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1956-02-24 第24回国会 衆議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十四日(金曜日)    午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 三田村武夫君 理事 高瀬  傳君    理事 佐竹 晴記君       犬養  健君    小島 徹三君       小林かなえ君    島村 一郎君       田子 一民君    林   博君       楢橋  渡君    宮澤 胤勇君       山崎  巖君    横井 太郎君       横川 重次君    菊地養之輔君  出席政府委員         法務事務官         (入国管理局         長)      内田 藤雄君  委員外出席者         検     事         (入国管理局次         長)      下牧  武君         法務事務官         (入国管理局登         録課長)    豊島  中君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 二月二十三日  委員淺沼稻次郎辞任につき、その補欠として  河野密君が議長指名委員に選任された。 二月二十四日  委員戸塚九一郎君、古島義英君、松永東君及び  三木武夫辞任につき、その補欠として田子一  民君、島村一郎君、宮澤胤勇君及び山崎巖君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十三日  刑余者更生施設確立に関する請願(宇都宮徳  馬君紹介)(第八三五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提  出第五五号)  司法書士法の一部を改正する法律案起草の件  土地家屋調査士法の一部を改正する法律案起草  の件     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  司法書士法及び土地家屋調査士法改正案起草に関し議事を進めます。  この際御発言があれば許します。——なければ、本件についての質疑はこれにて終了し、お手元に配付いたしてあります両草案取扱いについてお諮りいたします。なお、お手元に配付いたしてあります両草案の資料は、これを会議録に掲載することといたします。  司法書士法の一部を改正する法律案及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の両草案趣旨については、すでに委員諸君の論議も尽きていることと思いますので、直ちにその取扱いについて御決定を願います。司法書士法の一部を改正する法律案及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の両草案委員会の成案とし、これを委員会提出法律案とするに賛成の諸君起立を求めます。   〔総員起立
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 起立全員。よって、両草案は以上のごとく決しました。(拍手)     —————————————
  4. 高橋禎一

    高橋委員長 外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を許します、佐竹晴記君。
  5. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 それでは私よりお尋ねいたします。外国人が本邦に六十日以上在留するときは、外国人登録法第三条によって登録申請しなければならぬことになっておりますが、これは日本に在留する外国人に対し例外なく適用されるのでありましょうか。それとも、登録申請をしないで六十日以上在留することを認められる者がございましょうか。ありとすれば、その根拠はいかがでございましょう。これを承わりたいと存じます。
  6. 内田藤雄

    内田政府委員 外国人登録法規定文面だけから申しますと、ある特殊の者を適用の外に置くというような規定は全然出ておりません。しかし、実際上、国際慣習と申しますか、国際礼譲と申しますか、そういった角度から、これは条文の方で申し上げますと、出入国管理令の第四条の第一項に、いろいろ日本に入国して参りました場合の在留資格のことについて規定がございますが、その第一号の「外交官若しくは領事官又はこれらの者の随員」、及びその第二号にございますが「日本国政府の承認した外国政府又は国際機関公務を帯びる者」、われわれはこれらの者を略称いたしまして四・一・一あるいは四・一・二と申しておりますが、これらの査証を持って入って参りました者につきましては、実際上この外国人登録法適用を除外いたしておりまして、これらの者については指紋をとるというようなことをやっておりません。
  7. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 そういう扱いをすることに何か法規上の根拠がございましょうか。先ほどの御説によりますと国際慣行によってとありますが、国際慣行だけのことでございましょうか。いま一度確かめておきたいと思います。
  8. 内田藤雄

    内田政府委員 お説のように、国際慣行だけでございます。この点につきまして、ことさら条文が必要ではないかという御意見もあるやに伺っておりますが、私どもの了解いたしますところでは、法令にはたくさん外国人というようなことで規定されている法律がございますが、これらの法律炉外交官などに適用されないということにつきまして、一々除外規定は設けられていないのではないかと考えておる次第でございまして、ことさら規定炉ないからそういうことをしてはならぬということにはならないものと考えております。
  9. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 登録申請の場合には必ず指紋をとることになっておりますが、それは一時滞留者に対して時に非常に気まずい思いをさせることがないとは申されないと思います。過般中共から参りました方々との間にいざこざもあったように聞くのでありますが、これはまことに遺憾であると思います。将来通商代表や見本市あるいはスポーツ関係などで日本に参りまして六十日以上滞在しなければならぬような方々ができたといたしまするときに、これらの人に必ず指紋をとることを励行なさるということはいか炉であろうかと存じますが、何かそれに対して適当な便宜な方法はないものでございましょうか。
  10. 内田藤雄

    内田政府委員 われわれといたしましても、法律で画一的な規定をいたしますと、個々の具体的な場合にはちょっとどうかと思うような事態を生ずるのはやむを得ないと思っておりますが、しかし、私どもの立場といたしましては、一たん法律できめられました以上、その法律を励行いたすのがわれわれの任務であると考えておりますので、ただ個々の場合にどうも工合が悪いというようなことでこれを除外するというようなことはいたしかねるのではないかと考える次第でございます。しかし、ただいま佐竹委員が問題にしておられますような、通商代表といったようなものが実際上置かれたような場合を考えますと、先ほども申し上げましたように、その相手の国がまだ正式な承認を受けておりませんと、この出入国管理令の第四条第一項第二号の線に的確にははまらないのでございまして、文面から申しますと、そこに困難があるかとも存じますが、しかし、結局、先ほども申し上げましたように、外交と申しますか、国際的な儀礼、あるいは国際的な慣習といった角度から、除外してもいいと認められますような場合に除外いたすことは差しつかえないのではないか。従いまして、これはわれわれ法務省だけの角度では決定しかねると思いますが、日本政府の全般の態度といたしまして、まだ国交は開かれてはいないが、その国の政府職員というようなものについては、実際上この四条一項第二号のごとき取扱いをするという一般的な方針がきめられましたような場合には、われわれといたしましては、それに準じまして適当に処理いたすということも可能になろうかと考える次第でございます。ただいまいろいろおあげになりました中に、ただスポーツとか、そういうところまでこれを拡大いたすということは、われわれの了解しております国際儀礼範囲を逸脱しておるのじゃないかと思いますので、あくまで外交官あるいは政府の役員として公務を帯びておる者の範囲に限定さるべきものであると考えます。
  11. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 御説のように、国を代表しあるいは国家が認めて日本に派遣をしたといったようなことを前提といたしますると、たとえば、中共に関します限りは、中共を認めておらぬのでございますから、その根底をなすその国を認めておらぬのですから、その国の通商代表といったような観念が少しも起りません。スポーツの場合と何ら異なるところはないのであります。従って、もしこの中共通商代表が来たらばといって、その通商代表だけを特に取り上げてお考えになることはいか炉だろうかと私は考えまして、それと別に異ならないところの他の事例をもここに加えて御質問をいたしたわけでありました。最近承わるところによると、中共から参ります方々については、と遂に旅券を認めてもいいのじゃないかというところへまで外務省といたしましては考えが進んでおるやに承わりますが、他面、過日外務大臣に、確かに外務委員会においてと思いますが、かような場合においてそれに指紋を強制するというがごときはまことに好ましからぬことではないかという質問を発したときに、外務大臣は、その通りである、そういったと遂に指紋を特に強制するなどということは外務省としては決して好まないところであるという答弁があったようでありますが、外務当局としてそういったようにお考えになりまするならば・法務当局といたしましてもまた多少お考えがあるではないか、ことに、そういったような事例がだんだん積み重なって参りますと、そのことがまた一つ国際慣行になってくるではないかという考えも起るのでございますが、いかがでございましょうか。
  12. 内田藤雄

    内田政府委員 外務省の内部に、もう中共旅券を認めるところまで踏み切ってもいいんではないかという声もあることは、私も聞いております。しかし、それがすでに外務省方針として決定されたかどうかについては存じません。また、先般外務大臣が御答弁になりましたことは、速記録によりまして一応拝見いたしましたが、それが、ただいま佐竹委員のおっしゃいますように通商代表のような場合には指紋をとらない方がいいんだ、こういう御趣旨でありますかどうか、この点まだ私どもの方で外務大臣に確かめておらないのでございますが、いずれにいたしましても、外交当局の方におきまして、正規の国交がない場合においてもここにあげましたような、これに準じた扱いをするという方向に進まれました場合には、もちろんわれわれの方といたしましても、それに順応いたまして適当な措置をとり得るものであると考えておる次第でございます。
  13. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 さらに進んで、本件登録に関しては必ず指紋を伴うことになるわけでありますが、その指紋というものを必要条件といたします根拠はどこにございましょうか。
  14. 内田藤雄

    内田政府委員 これは、結局におきまして、登録原票というものと、その原票に基いて発行せられます登録証というものが一致していなければ、この登録の意味がないわけでございます。その点につきまして、遺憾ながら、過去の実例におきましては、その登録証が他に転売せられたり譲渡せられたりいたした例が非常に多いのでございます。もっとも、紛失したということをもって再交付を申請いたして参ります場合に、ほんとに紛失したものであるのか、あるいは他に譲渡したものであるかということの区別は非常に困難でございますが、しかし、われわれの方の推定によりますと、紛失と称して実は他に転売譲渡したのではないかと認められる事例が非常に多いのでございます。それと、ただ写真を貼付してあるというようなことでございますと、この改ざんが非常に容易にできまして、また名前も、その登録してある名前に自分の名前を変えてしまうというようなことによりまして、非常に不正が行われ、結果におきまして真実に反した登録証が横行いたすことになるわけでございます。それはどういう場合にそういうことになるかと申しますと、一番多い例は、密入国をして参りまして、登録証がないために、金に困っているような人から登録証を買い取るという形で行われる例が多いのでございます。ところが、御承知のように、指紋一つそれに付加いたしますと、そういった事態が非常に避け得る。そのことは、すでに昨年の四月二十八日以来この制をとりました結果、いわゆる紛失理由とする再交付の数が著しく減っておるということからも、われわれのねらった効果が十分に上っておるものであると考えております。また、今の外国人登録法のほかの条文にございますが、再交付を申請いたします場合には、われわれは十指指紋をとるようにいたしておりますが、そのことによりまして間接に登録証を大事にする、失ったような場合に十指指紋をとられるという不愉快さを免れんがために非常に大事にするといった効果も現われておるのではないかと考えておる次第でございまして、われわれ、日本に現在約六十万ほどの朝鮮人、また四、五万程度の中国人等、相当大量の外国人をかかえております現状におきまして、やはりとういう制度外国人管理基本としてぜひ必要であると考えておる次第でございます。
  15. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 御説を承わりますと、結局不正を働くことを防止、しようとする、また密入国などを防ぐ効果が非常に大である、こういう制度をしていてからそういったような不正が著しく減っておる、こういう事実が今回指紋必要条件とする基本をなしているようにただいま承わったのであります。しかし、この規定はすべての人を罪人扱いする規定と言わざるを得ないことになります。ただいまの御説のごとくだといたしますると、七十万という外人登録を要する人々すべてが不正を働く者であるという前提に立ったかのごとき感を与えることそれ自体が、これは大きな問題ではなかろうか、私はかように思うのであります。不正を働く者を防止しようというのでありまするならば、特に不正を働くおそれのある何らかのここに条件と申しますか、限界を設けまして、そういうおそれのある者のみを指紋をとることにいたしまして、その余の何のおそれもないような人までも指紋をしいるということのないようにしてやる、つまり、すべての人を不正の外国人であるというふうに見ないようにしてあげる方がいいではないかと思いまするが、そういうことについて、区別を設けあるいは条件を付して、不正を働くおそれのない人々に対して指紋などを強要しない何らかのここに立法の方法はないものでございましょうか、これを承わっておきたいと思います。
  16. 内田藤雄

    内田政府委員 ただいまの私の説明佐竹委員の次の御質問のようなものを呼んだといたしますならば、はなはだ遺憾に存じますが、決して、外国人犯罪者であるとか、外国人というものは特に犯罪をするとかいうことを念頭に置いて先ほど申し上げたような御答弁を申したつもりではないのでございます。ただ、実際問題といたしまして、今日の実情が、依然として朝鮮人密入国のものがなかなか多いのでございます。また、それにからみまして、先ほど申し上げましたように、譲渡とか転売というような事例が少くないのでございます。あらかじめ一体だれがそういう転売をするであろうか、譲渡をするであろうかというようなことを見込みをつけまして、その者には指紋をとる、そうでない者には指紋をとらないというような区別は、遺憾ながら何人にもきめてかかるということはできないのではないか、しかも、やはり法律の建前といたしまして、人種的に区別をいたすというような法律はできないことではないかと思うのでございまして、一たび法律として作ります以上は、何人にも区別なく適用するということでございませんと、ある者にだけ適用されるような法律ということでは、その人々から非常な不満を買うということになるのではないかと考える次第でございます。従いまして、われわれの意図するものは、決して外国人犯罪者扱いにしておるものじゃないのでございまして、正常にやっていらっしゃる方にはほとんど痛痒のないことであり、たまたまその中に不心得者があった場合にはこういう法令によってそれを阻止できるか、あるいはそういうものがあった場合に発見しやすい、ただこういうふうに考えておるだけでございます。
  17. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 十四才を限界にいたしまして、十四才に達した者には指紋を押捺させる、十四才に満たない者についてその必要がないとして除外しておるのでございますが、十四才を境にいたしましてかように区分をいたします根拠はどこにあるのでございましょうか。
  18. 内田藤雄

    内田政府委員 これは、確かに、密入国者というものの中には子供もたくさんおりますし、ある場合には子供でも指紋のあった方が便利であるという事例が少くないことは、われわれの経験でもわかっておるのでございます。しかしながら、たとえば、新しく日本で生まれればすぐ登録いたすわけでございますが、そういう場合にも赤ん坊に指紋を取るというようなことは、これはまたちょっと行き過ぎた点もございますので、どうしても子供の場合にはある年令に達したらという線を引かざるを得ないわけでございます。それで、そういった線をどこに引くかということは、いろいろな角度から意見があり得るわけでございますが、結局、こういう制度というもののとります最小限度必要性を充足するということがむろん一つのねらいであると同時に、他面、あまりに不当にその目的を拡大いたしまして、相手方ないしはその子供でございますれば子供親たちに不必要な不愉快さをしいるということは、これはわれわれの方としても考えなければならぬと存じます。結局、あれこれ勘案いたしまして、十四才という線を引いておるわけでございます。
  19. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 十四才というのは、たとえば刑法にいたしましても民法にいたしましても、そのころの年令が、意思能力があるかどうかという、ちょうど境目に当る年令ではないかと思うのであります。そういう点から、十四才に達した者は自由なる意思を持って押捺する、それ以下の者はまだ能力がないのだから押さないでもいいのだ、そういう見地に立っておるわけでもないのでございましょうか。
  20. 内田藤雄

    内田政府委員 自由意思というつもりではないのでございまして、指紋の何であるかというようなことを理解できるということが一つのポイントと存じますし、それから、先ほど申し上げましたように、その必要性目的としておりますところを、大体十四才以上くらいの者に限ってもほぼわれわれのねらっておる目的は達し得るのではなかろうか、こういう趣旨でございます。
  21. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 旧来、市町村職員などが登録証明書を不正に交付いたしました事実もございますし、また本法によって調査その他において職権を乱用いたしましたような事実がままあるように聞いておりますが、その実情はいかがでございましょう。
  22. 内田藤雄

    内田政府委員 御承知通り、この登録事務窓口は、日本全国にございます市町村の役場において行われているのでございますが、その数は日本全国で約五千七百カ所ございます。それで、その中には、主として朝鮮人でございますが、密集地区とでも申しますか、その居住のパーセントが非常に高い地区もございますし、そういった関係から、この登録制度を始めました当初には、あるいは脅迫なり、あるいは誘惑などによりまして、正当でない発給が行われたような例も少くなかったのでございます。現在まで起りましたおもな事件が約十六件ございますが、大体のことを申しますと、先ほど申しましたように、やはり朝鮮人などの密集しているような地区あるいはその付近においてそういった例が起っております。しかし、一般論といたしまして、最近は漸次市町村の吏員もこれらの事務になれて参りましたし、またこの朝鮮人たちが、そういった乱暴をするような事例と申しますか、彼らの気持もだいぶ変ってきておりますので、最近ではこういう事例はだんだん減ってきている、こういうふうに考えております。
  23. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 この提案理由説明の中に、「一部外国人の政治的な反対機運によって、ますますその事務が困難になることも予想しないわけにはいかず、従って、新たに指紋制度の加わった今次の大量切りかえをスムーズに行い切ることができるかどうかは、将来におけるわが外国人登録制度の運命をトする一つの山」である、こうおっしゃっておりますが、一部外国人の政治的な反対機運というのはどういったような事例でございましょうか。
  24. 内田藤雄

    内田政府委員 これは、現在のところ割合に平静なんでございますが、過去の例で申し上げますと、一昨年の秋に登録の一斉切りかえが行われました当時には、日本全国におきまして、延べにいたしまして五万五千二百三十二という推定の数字が出ておりますが、かなり執拗な切りかえ反対の陳情が各市町村窓口において行われたのでございます。大体、この政治的なと申しておりますのは、その当時略称民戦と称しておりましたが、朝鮮人の非常に左翼的分子の団体でございますけれども、その当時共産党の非常な尖鋭的な闘争方針ともからみまして、これらの民戦運動方針というものも非常に尖鋭化しておりまして各地におきまして非常に執拗な、ある場合にはすわり込み、またある場合には脅迫に類するような形で市町村窓口に押しかけて参ったというような例が相当ございます。その後民戦は変りまして、現在は北朝鮮系の総連合ということになっておりますが、その後少くとも表面的には従来のような戦術とは変っているようでございますので、ただいまのところ、そういう熾烈な反対運動が前回のような形で行われるかどうかということについては、まだそうなるであろうという予定はしておりません。しかし、過去の経験にかんがみまして、こういう人々がいつまたそういった戦術をとり、そういう方向反対運動して参るかもしれない、こういうことを予想しておる次第でございます。
  25. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 今回の改正で、市町村職員調査権限が拡大せられておりますので、それとただいま御説明のような事実と相対しまして、おもしろからぬ事態を惹起するようなおそれがあるではないかとも考えます。従って、もちろん左翼運動等はよろしくありませんが、これに対してなれないところの市町村職員なんかが調査権を乱用いたしまして、あるいは職権を乱用いたしまして、おもしろからぬ事態を起さないとも限らぬと考えます。そういうことについて監督ないし監察制度のようなことを御考慮をなさっておりますかどうか、承わっておきたいと存じます。
  26. 内田藤雄

    内田政府委員 ただいまの問題でございますが、市町村窓口事務監督は、直接は府県知事によって行われておるのでございます。しかし、われわれの方といたしましても、府県知事を通じての監督は当然いたす以外にも、先ほども申し上げましたように朝鮮人などの密集地区でその仕事が非常に困難であるような地区に対しまして、われわれの方でも可能な限りこれを援助し、また指導するということも過去においてもやって参っております。それから、特にこのたびのことにつきましては、われわれの方に、たとえば大阪など、前にはわれわれの地方事務所はなかったのでありますが、神戸のほかに昨年から地方事務所も設けられまして、そういうわれわれの地方事務所が、できる限りこういう事務についてあるいは御指導し、あるいは御援助し、そういった問題の起らないようにしたいと思って、いろいろ現在準備をいたしておる次第でございます。
  27. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 登録申請をしない場合、あるいはさらに指紋を押捺しない場合、これに対しての法律上の効果と申しますか、制裁というと語弊があるかもわかりませんが、これを拒否した場合に、これに対してどういう扱いをなさっておるか、これを一つ承わっておきたい。
  28. 内田藤雄

    内田政府委員 前からそういう場合につきましてはむろん罰則がございますが、今度の新しい法律におきましては、特に登録証受領義務と不携帯に関する罰則、両方規定いたしておりまして、市町村窓口におきまして、なすべきときに登録をなさないようなものが発見せられました場合には、市町村が告発いたします。しかし、告発なくとも、警察等においてそれを現認いたしましたときには、それで逮捕などもできるわけでございます。そして、その情状によりまして送検され、また起訴でもせられました場合、その判決が登録法違反によって禁固以上の刑に処せられました場合には、また入管令におきまして退去強制の該当事由にもなるわけでございます。しかし、先般も申し上げましたが、現在までのところ、この登録法違反のみの理由によりましてわれわれが退去にいたしたという実例はございません。ただ、将来もその通りかということは何とも申し上げられないのでございまして、非常に悪質な登録法違反の集団的な事態でも起りまして、その扇動者であるというような事態でもありました場合には、これは考えなければならぬと思っておりますが、過去におきましては、登録法違反のみの理由によりまして退去にいたしたことはございません。
  29. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 登録証明書を持っていないと、何か経済上その他非常に不利益な結果を生ずるような事態がございましょうか。
  30. 内田藤雄

    内田政府委員 登録証を持っておりませんと、第一のことは、食糧の配給がもらえないということです。それから、子供たちを学校へやるような場合に、その登録証がなければ入れてくれない。そのほか、自動車の免状を取るとか、そういったいろいろのことがございますが、あるいは船員手帳をもらうというようなこと、そういう場合に必ず登録証の提示が必要になっておりますので、そういった形では、もしないとすればいろいろな不便があろうかと存じます。
  31. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 住民登録法との関係はどうでございましょう。これは重複してやるのでございましょうか。外国人登録法によって登録いたしましたならば、一般の市民としての住民登録は必要でないのでございましょうか。
  32. 内田藤雄

    内田政府委員 市民としての住民登録は必要ないわけでございます。
  33. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 一たん日本に参っておりました外国人が外国へ帰った、ところが、再び日本へ入国する場合に、旧来の旧法時代に出国をした者は、新法施行後に再入国をいたしまするときに再入国についての便宜が与えられないことになっておるようでありますが、これは一体どういうものでございましょうか。すなわち、出入国管理令によりますれば、出国の際は、今度再入国をする場合を予定いたしまして、その取扱い規定がございます。そうして、再入国をする場合にはこれこれの便宜を与えるといって、そうしてその手数料までも徴しておるようであります。ところが、その手数料を徴して再入国を予約いたしおきながら、今回の法律改正によって、再入国をする際にその恩典を剥奪するということになると、これはその外国人に対してうそをついたといったような結果になりはしないか、こう思うのでありますが、これはいかがでございましょうか。
  34. 内田藤雄

    内田政府委員 従来のやり方が妥当であったかどうか、これはいろいろ意見もあり得ると思いまするが、いずれにいたしましても、過去におきましては、再入国の許可をとって出国をいたします場合でも、一度登録証を閉鎖して賄ったのでございます。そこで、新法施行後に再入国によって帰って参ります人がおりましても、すでに旧法時代に出国しております限り、その人の登録証は一度閉鎖されておるのでございますので、新法が施行されましても、その人は入国したあとでもう一度新しい登録をしてもらいませんと、どうしても登録証を持つ方法がないわけでございます。過渡的に多少、新法に基きまして再入国の許可をとっておる人とバランスのとれないようなことが起るかもしれません炉、これはもうほんの短かい間の過渡的なことでございまして、これはやむを得ないのではないかと考えておる次第でございます。
  35. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 今回政府からお出しの逐条説明二十九ページには「従来から、法の運用面においては、これらの外国人登録証明書は、出国港の入国審査官からその外国人の出国前の居住地の市町村長の許に送付しておき、当該外国人が再入国したときは、出国前の居住地の市町村長からその登録証明書の返還を受けるというやり方を実施してきたのである。」とありますが、今回はこれをしないわけなんでございますか。
  36. 下牧武

    ○下牧説明員 お尋ねの点は、少しややこしくなっておりまして、法律の建前は、旧法の第十二条によりまして、外国人が出国する場合にはその登録証明書を返納しなければならないという規定だけでございまして、再入国の許可を受けて出国する場合に除外例が設けてないわけであります。そこで、従来の法律の解釈といたしましては、再入国の許可を得て出国する者でも登録証明書を返納して、それを返納した以上は閉鎖するという建前になっておったわけであります。ところが、その建前を厳密に運用面で貫きますと、この再入国を何回も繰り返す者がございまして、それで出たり入ったりするというようなことになりますと非常に煩瑣なものですから、幾分運用面において、再入国の非常に多い者につきましては、一応閉鎖するというところまでいかずに、便宜の扱いとして、市町村長の手元へ送っておいて、そして再入国の場合にそれを返還するというやり方に、運用上やむを得ずなって参っておったわけでございます。そこで、今度の法律改正でございますが、従来の法律の建前があくまで一たん返納してそれを閉鎖するということになっておりますので、それを無視して経過規定を置くわけにも参りません。そこで、今回だけはやむを得ず、便宜の扱いということは将来の問題として、附則で、施行前に再入国の許可を受けて出国しまして、本法の施行後に入ってくる者については法律の建前はあくまでも貫くという立場をとりまして、お気の毒ながらもう一度新規登録をやっていただこう、こういうことで、申し上げれば法文上の形を整えたわけであります。
  37. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ところが、旧来は手数料を、千円程度と承わっておりますが、間違っておるかもしれませんので一つ御指摘を願いたいと思いますが、手数料を取って、今度再入国の際にはこういう便宜をはからうぞといって予約ができておるんです。ところが、今度この法律改正で、手数料を取りっぱなしだ、おれはもう知らぬといったようなことが、国家として言われることであろうか、この点についていま一度御説明を承わっておきたいと思います。
  38. 下牧武

    ○下牧説明員 新規登録の場合には手数料は収徴いたしません。外国にはそういう立法例もございますが、この登録関係でわが国では手数料を取ることはいたしておりません。管理令上の便宜は、従来通り、再入国の許可を受けて入ってくれば、その特別の恩典は受けられます。登録法上といたしましては、従来のこういうやり方が問題だと思って今度改正することにいたしたのでございますが、従来の規定は少くとも一般の出国と同様に登録証明書を返納して出ていくという規定になっておったわけでございます。
  39. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 出入国管理令第六十七条第四号に「再入国の許可一件につき一千円」、こうあります。つまり、出ていくときに再入国を予想いたしましてこれをすでに徴収しておるのです。入ってきたならばすぐこの取扱いをしてやろうといって、出入国管理令のこういう規定に基いて再入国を予約しておきながら、今度入ってきたら、この登録法の関係で、そういうことはいかぬ、一たん返納したら新しいものになるのだといったような御解釈をなさることは、果してどうでございましょうか。出入国管理令との関係をいま一度承わりたいと思います。
  40. 下牧武

    ○下牧説明員 再入国許可の出入国管理令上におきまする手数料と申しますのは、一つの査証の手数料にかわるべきものとして取る手数料でございまして、再入国の許可を受けて入ってくる場合には査証を要せずして入国が許されるわけでございます。これはあくまで再入国のものの手数料、再入国許可の手数料でございまして、入ってきた人に登録をするかどうかという点につきましては、手数料はあらためて徴収することはいたしておりません。
  41. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 再入国が許されるならば登録をしてやることは当然のことであり、旧来からも、一たん出ていくときに、この次いらっしゃるときにはこうしてあげましょうといってちゃんと話ができて、そうして出ていっているものを、法律の切りかえがあったからといって、今度は登録するかせぬかは別だといったようなことは、信義に反するのじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
  42. 下牧武

    ○下牧説明員 ごもっともな点でございまして、従来も法律の建前にそういう弊害がございましたので、今度の改正でそういうことをいたさないようにしたわけでございます。しかし、法律の建前に反する附則を作るわけにも参りませんので、従来の立て方を根拠にして経過規定を設けたわけでございます。ただ、運用の面におきましては、従来のいきさつもございますので、その辺のところはあまり非常識にならないように運用いたしたいと思いますが、建前といたしましては、やはり従来の法律の建前を否認するような形において経過規定を設けるわけには参らなかったわけでございます。
  43. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 どうも、筋を通したと仰せられますけれども、まことに理解しかねる点があるようでありますが、この程度にいたしておきましょう。それから、十四条の二項の「疾病その他身体の故障がなくなった後直ちに」云々とございますが、この「直ち」にというのは大体どれだけの日時期間を予定されてのことでございましょうか。これには罰則がついておりますので、その「直ちに」というのはすぐに罰則関係して参りますので、厳格にこの際しておかなければならぬと存じます。いかがでございましょう。   〔委員長退席、三田村委員長代理   着席〕
  44. 下牧武

    ○下牧説明員 法律の解釈といたしましては即座にという解釈になろうかと存じます。しかしながら、この点は、運用面におきまして大体三日くらい余裕は置きたい、かように考えております。
  45. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 それでしたら、どうでしょう。これは故障がなくなってから三日内にというようにお書きになる方が明確ではないか。直ちにというと、ただいまの御説明通り、故障がなくなったと遂にすぐにもうその日にやらなければということになると考えますが、一たんこういう法律ができますと、法を運用するについて、たとえば罰則なら罰則について検察当局がこれをいかに扱うか、直ちにというのはその日だと解釈いたしましても何ともしようがないと思いますが、いかがでございましょう。
  46. 下牧武

    ○下牧説明員 どうも筋ばかりで申しわけありませんが、今までずっと延びてきたものでございまして、本来その義務を前に果さなければならないものが特別の事情によって果せない、こういう事情にあったわけでございます。そこで、本来ならばすぐ出てきてやる、もちろんそれはその日のうちということにも限りませんで、たとえば汽車に乗ってこなければならないような場合には、当然それだけの余裕は見るべきである。常識的に見まして、大体誠意を持って出てくるという場合は「直ちに」の中に当然入ってくると思いますが、そういう場合におきましても、少くとも三日ぐらいの余裕を置けばこれで運用上差しつかえないじゃないか。建前を、なおってからそれだけまた余裕を置くというところまでいたしませんでも、運用の面は、われわれの方で通牒を出しまして、この運用は三日ぐらいの余裕を置くようにということにいたしますれば、従来の経験にかんがみましても、その点はしっかり守られておりますので、御心配は要らないかと存ずるわけでございます。
  47. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 その「直ちに」という解釈並びにからだの故障がなくなったというその解釈は、当局者の御解釈によって決するものでございましょうか、あるいはこれは客観的に決定さるべき事項でございましょうか。
  48. 下牧武

    ○下牧説明員 もちろん、その認定は、市町村窓口においてこれを違反として告発いたします場合にはその窓口の吏員がいたしますし、それを今度は捜査機関あるいは検察庁で有罪であるかどうかという判断をいたします場合には検察官の判断に待ち、また、裁判所に参りましたときは裁判所の判断に待つわけでございます。しかしながら、その判断も単なる想像ではいけないのでございまして、客観的な事情の裏づけを持った判断をしなければならないかと存じます。その意味におきましては、やはり客観的な判断が基準になる、こう申し上げるよりないと思います。
  49. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 本日はこの程度にいたしておきます。
  50. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会