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1956-02-20 第24回国会 衆議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十日(月曜日)    午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 福井 盛太君 理事 三田村武夫君    理事 佐竹 晴記君       犬養  健君    小島 徹三君       世耕 弘一君    楢橋  渡君       花村 四郎君    松永  東君       横川 重次君    吉田 賢一君       志賀 義雄君  出席政府委員         法務政務次官  松原 一彦君         検     事         (民事局長)  村上 朝一君         検     事         (刑事局長事務         代理)     長戸 寛美君         法務事務官         (入国管理局         長)      内田 藤雄君  委員外出席者         検     事         (入国管理局次         長)      下牧  武君         最高裁判所事務         総長      五鬼上堅磐君         判     事         (最高裁判所事         務総局刑事局         長)      江里口清雄君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 二月二十日  委員勝間田清一君辞任につき、その補欠とし  て坂本泰良君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 二月十七日  外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提  出第五五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提  出第五五号)  司法書士法の一部を改正する法律案起草の件  土地家屋調査士法の一部を改正する法律案起草  の件  人権擁護に関する件     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開きます。  理事会の協議によりまして、まず人権擁護に関し調査を行います。すなわち、昨日の新聞に報道せられております福岡地方裁判所被告人に対する睡眠薬実験問題について実情調査いたしたいと存じます。  なお、本調査に関し、最高裁判所より説明を聞きたいと思いますが、国会法第七十二条により、五鬼上事務局長江里口刑事局長の発言を許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。佐竹晴記君。
  4. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 昨日の朝日新聞朝刊十一ページに、「法廷睡眠薬のませ、精神喪失を再現、福岡強盗殺人犯実験を許す」と題し、次の通り記事が載っております。「福岡発致死量に近い睡眠薬強盗殺人犯に飲ませて、精神喪失状態調べるという生体実験を、福岡地裁公判廷で裁判長許可、来る三月一日九州大学医学部精神科脩三教授らの協力を求めてこの実験の影響が調べられる。本籍熊本県下益城郡松橋町住所不定無職鍬富克(二〇)は昨年四月十八日夜、福岡香椎香椎タクシーの車に乗り、福岡県筑紫郡太宰府町観世音手付近運転手小野寺正男さん(三六)を後からバンドで首を絞めて殺し現金千七百円を強奪、福岡地裁に起訴されていた。ところが去る十六日の公判熊本弁護士会山中弁護人福岡弁護士会都留弁護人は「鍬富犯行当時家庭不和と失恋のため自殺を決意、ウイスキーカルモチン百三十錠を混ぜて飲んでいた。このため被告人被害者の自動車に乗ると同時に精神喪失に近い状態となり被害もう想」——被害妄想というのは間違いだろうと思いますが、新聞にはそのように書いてありますから、新聞通りそのまま読みます。「被害もう想の強迫観念に襲われて発作的に運転手を絞め殺した」とのべ、従来医学上の実験では仮死に近いときの精神状態は分っておらず、この事情調べるため当時の状態を再現するよう、再び当時飲んだ分量の薬物を被告に飲ませるほかはないとして、被告承諾を得て被告人にもう一度服薬させる実験を行うことを申請したもの。」とございます。かような実験の行われるということは、よほど重大なことと思われます。果して新聞通りこのような事実があったかどうか、これをまず一つ確かめておきたいと思いますので、おわかりでございましたならば、最高裁判所あるいは検察当局の方からでもけっこうでございます。一つお答えをいただきたい思います。
  5. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 ただいま佐竹委員の御指摘になった事件は、まだ私の方では報告もございませんし、調査もしてございませんので、果してこういうことがあったかどうかわかりませんが、ただいま読み上げられた新聞記事は承知いたしております。
  6. 長戸寛美

    長戸政府委員 お尋ねの件につきましては、昨日新聞を見まして、この通りとすれば相当重要な問題であるというふうに考えまして、法務省といたしましては本日早朝福岡の方に事実照会中でございますので、その回答を待ちまして御返事を申し上げたい、かように考えております。
  7. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 私どもは別に裁判手続に干渉しようというのでも何でもございませんが、この記事通りだといたしますと、これには実に重大な事項がたくさんに含まれておるものと思います。この点に関し、同じ朝日新聞のこの記事の終りに、九州大学医学部薬学科の話としまして、かように載っております。「カルモチン致死量は十五グラムから二十グラムだが、カルモチンは水に溶けにくいから普通三十グラムから四十グラム飲まぬと死なぬ。ウイスキーアルコール分が強いから溶解度も大きく、水で飲むより危険だ。一錠は〇・一グラムだから百五十錠から二百錠飲めば生命危険性があることになる。一度助かったからといってもう一度人間服毒実験を行うなど実に危険で、とんでもない話だ。」と載っております。つまり 薬学科の方におきましては、とんでもないことをやるのだ、こう言うんでございます。もしもこの新聞通りであり、実験の結果もし死にでもいたしましたならば、どうでございましょう。これは、裁判官といたしまして、職権行政範囲内だから、つまり職務上の行為だから違法性が阻却されるものと言われましょうか。あるいは、いかに職務上といえども生命の危険を冒してまでさような証拠調べが許されるものでございましょうか。一般的な御見解、並びに最高裁判所における規則といたしましてもかような証拠調べを許される御所見でございましょうか。これを一つ承わっておきたいと存じます。
  8. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 ただいま私ども刑事局長が参っておりますから、専門的のことを刑事局長から答弁さしていただきたいと存じます。
  9. 江里口清雄

    江里口最高裁判所説明員 ただいまのお尋ねでございますが、通常鑑定におきまして精神状態鑑定する場合は、アルコール中毒のような場合にままあるのでございます。公判鑑定命令を出す。たとえば、被告が一升酒を飲んでおったというような場合に、一升酒を飲んだらどんな精神状態になるかということの鑑定命令法廷で出すという場合がままあるのでございます。かような場合におきまして、鑑定命令を受けた医者が、病院等で、さらに酒を飲ましてみる必要があれば酒を飲ます。飲ます必要がなければ飲まさないままで精神状態鑑定するというようなことがあるのでございまして、ウイスキーカルモチンを飲ましたというような場合に、裁判所といたしましては、実態をよく調べてみないとわからないのでございますが、通常の場合におきましては、カルモチンを飲んだ場合にどういう精神状態になるかというだけの鑑定命令を出す。医者鑑定命令を受けて、それだけのカルモチンを飲ませるという必要があれば飲ませるでありましょうし、必要がないということであれば飲ませないで鑑定するということになるかと思います。必要ありといたしましても、危険であれば医者はやらないということになるのでありまして、裁判所方法を指定して鑑定を命ずるというようなことは普通やらないことでございます。この点、危険なりやいなやというのは医師の判断にまかせて鑑定を命ずるというのが普通でございます。裁判所が危険であるということを知りながら命令をするということは考えられないことでございます。なお、この実態につきましては調査中でございます。
  10. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 まことに仰せの通りだろうと私も考えます。その犯行当時の状況を再現さしてみるといって、たとえば生きておる人間を解剖してみたり、あるいは毒薬をもう一度飲ましてみて、死んでもかまわぬということはないことだと思います。おのずから限界があると思います。しかし、この記事を見ますと、ウイスキーを飲んでその上にカルモチン百三十錠を飲んでおったということです。水は溶解が十分でありませんが、アルコールの場合には溶解度が非常に大である。そこで、普通水の場合には百五十錠飲むと致死量になる場合に、今度は百三十錠で、これは少々少いのでありますけれども、これにウイスキーを飲むのでございますから、これまた危険状態であると見なければなりません。その状態が一体どういう実情であるかということがわからぬので、そのままこれを再現してみようという申請をしたところ、裁判長がこれを許可したという記事になっておりますので、これだといたしますと、人道上容易ならぬことであるし、証拠調べ範囲というものもそこまでは及ばないと考えますために、私ども別裁判に干渉しようというのではないが、果してそういったことが許されるものであるかどうか、またいかなる限度においてこれを許されたものであるか、その実情を知らなければ、とうていこの問題は論ずることはできぬと思いまして、先ずその実情お尋ねいたしたわけであります。調査中であるということでございますから、詳細お調べの上に、きわめて短かい期日の間にこの委員会で御報告を願いたいと存じます。
  11. 高橋禎一

    高橋委員長 ちょっと私から江里口刑事局長お尋ねいたしますが、先ほど酒を飲んだ場合の例があげられましたが、実際に酒を飲まして鑑定をしたような例は相当あるのですか。
  12. 江里口清雄

    江里口最高裁判所説明員 法廷で酒を飲ましてその状態調査したということはいまだ聞いたことはございませんが、病院等で酒を飲まして精神状態を再現したというようなことは、まま鑑定書で読んだことがございます。
  13. 高橋禎一

    高橋委員長 いま一点、裁判所鑑定人に対して、カルモチンを飲ましてその飲んだ結果の精神状態鑑定しろということを命令したような場合に、その鑑定命令を受けた人としては、飲ませることは危険だと思ったら、訴訟法上あるいは法律上どういう処置をとるべきですか。
  14. 江里口清雄

    江里口最高裁判所説明員 ただいまのお尋ねの、カルモチンを飲ましてその精神状態調べてみよというような鑑定命令は普通出しません。それは飲んだときの精神状態はどうであるかというような鑑定命令をいたすわけでありまして、その鑑定命令を受けた鑑定人が、飲ませる必要があるとすれば飲ましてみて精神状態調査するでありましょうし、また、飲ませる必要がないということでありますれば、飲ませないで鑑定をするでありましょうし、その必要ありやいなやという点は専門的な知識を有する医者にまかせるというのが裁判所の普通のやり方でございます。
  15. 高橋禎一

    高橋委員長 私のお尋ねしたのは、普通のやり方でなくて、裁判所が、飲ましてその結果を鑑定しろという命令をかりに出したとすれば、それに対して鑑定人としてどういう態度をとるべきかということをお尋ねしたわけです。
  16. 江里口清雄

    江里口最高裁判所説明員 医者が専門的な知識のもとに危険であるということであれば、当然その方法をとるべきでないし、またそれを拒否することはできる、かように解釈いたしております。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 関連して一点伺っておきたいと思います。裁判権の行使、裁判手続上におきましても、人の生命を害しもしくは危険ならしめるものは裁判権範囲内でないと思われるのでありますが、こういう点はどうなんでございましょうか。今の場合に、死亡可能性があるかないか、死亡の危険があるかないか、そういう点はだれが判断するのでしょうか。死亡危険がかりにありといたしますれば、それは本人承諾の有無にかかわらず、一般的に許されないことではないであろうか。憲法の根本的な精神から申しましても許されないことではないだろうか。かりに死亡に至らないといたしましても、重大な身体障害毒物によって与えて、それを裁判資料にするということは、まことに危険な冒険と言わねばなりませんが、それは一体裁判官の自由な判断にまかし得るのでありましょうか。こういう点につきまして、一つ法務省当局の御説明を伺っておきたいと思います。
  18. 長戸寛美

    長戸政府委員 今の御質問でございますが、鑑定におきましても、人の生命を危うくするような方法ですることは許されないというふうに考えております。でありますから、本件のような問題におきましても、これがその人の致死量に近い、あるいは致死量に達するというふうなことで行われることは穏当でないというふうに考えるわけでございます。ただ、裁判所も、先ほど江里口局長説明申し上げましたように、そういうふうな形において鑑定を命ずるということはまずないというふうに考えられますが、ただ、その場合に、もしそういうふうなことが命ぜられたような場合には、医者としては、医者判断において、その毒物を使うことによってその人の生命を危うくするというふうに考えられる場合には、これは拒否し得る、こういうふうに考えております。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうも御答弁がはっきりしないのであります。他の例をあげますると、これは行政の問題でありますけれども、たとえばイスランジア黄変米毒物は、百パーセントの毒物ならネズミは数時間にして死ぬのであります。肝臓障害は見る見るうちに起って、細胞は崩壊していくのであります。これは実験上明瞭であります。その場合に、これを人間に注射もしくはその他の方法によって実験するということは、学界におきましても、そういうものは実験範囲ではない、人間を対象にして生命の危険を冒してまで実験するということは許されるべき範囲でない、こういうのが普通常識になっております。そこで動物実験などがしきりに行われておる次第でありますが、今のお話によれば、医者判断するという。私が聞かんとするのは、それが致死量であるやいなや、もしくは致死量にかりにあらずとしても、近い分量であるかどうか、もしくは、致死量とか致死量でないとかいったところが、これはやはり正常な身体神経状態において客観的に一般的に論定し得るのでございます。もし精神状態が非常に敏感なことになっておったり、あるいは肉体におきましてもこれを受ける状態が悪い条件にあったり、そういうような不良な条件が伴っておるときでございましたら、これは致死量であるとかないとかということを一般的に申しましても、具体的には必ずしも当てはまらない。こういう点におきましては、かなり精密な具体的な資料によって判断をしなければ、私どもは危険だと思っております。同じ毒物でも、人間に食わすのと犬に食わすのとは、身体障害は必ずしも同一でございません。こういうふうに、いろいろな要素が正常な状態であるとかないとかによって、私は結果が違ってくると思います。従って、私の聞こうとしたところは、それが危険であるとかないとかというのは、裁判官が悪意に判断してもよいのか、一口に言えばそうなんです。裁判官は、裁判資料弁護人が提供して、法規によって証拠調べを請求して、それを採用する。それが危険であるとかないとかは裁判官自体が恣意に判断してもよいのであろうか、ここなんですよ。だから、あなたは、医者がよいと言えばいいのじゃないか、こういうお話でありますけれども医者がというのはまた別の要素が入っていったことになりますので、私は突き詰めるとやはりそこへくると思います。人の生命を危険ならしめて、身体障害が明らかに認められるそのようなものが、裁判官の慈恵によって訴訟手続上容認し得る範囲であるかどうか、こういう点に帰着するのでありますが、そこにつきまして、あなた並びに最高裁の方におきましても、どなたかからはっきりと一つ御答弁願っておきたいと思います。どうぞお願いします。
  20. 江里口清雄

    江里口最高裁判所説明員 ただいまお話のような、危険を及ぼすような鑑定裁判官が容認することは、これはできないというふうに考えております。     —————————————
  21. 高橋禎一

    高橋委員長 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず政府当局より提案理由説明を聴取いたします。松原法務政務次官
  22. 松原一彦

    松原政府委員 ただいま議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  現行外国人登録法は、昭和二十七年四月二十八日平和条約の発効と同時に施行され、その後数回にわたって改正を見ておりますが、それはいずれも他の法律改正に伴う条文の整理または本法の一部規定施行期日の延期に関するもの等でありまして、制度実質面に触れたものではなかったのであります。  このたびの改正も、もちろんこの制度の本質的な部分については何等の変更を加えるものではありませんが、ただ、これまでのいわば形式的な改正と異なりますところは、従来とかくの紛争を起して参りました外国人登録証明書の大量切りかえをこの秋に控え、ようやく軌道に乗りつつあるこの制度の将来の運用の基礎をここに一そう確立し、今後はきわめて円滑にこれを実施することができるようにしようというねらいをもちまして、これに必要な手当をいたしますとともに、あわせて、この制度運用に当っております地方公共団体、特にその第一線事務をつかさどっております市区町村負担を軽減するため事務簡素化をはかり、また、従来の規定の不備を補う等、現行法実質面にもある程度の改正を加えようとする点であります。以下その大要について御説明申し上げます。  一、現行制度によりますれば、登録証明書交付を受けた外国人は、登録証明書有効期間の切れる二年目ごと登録証明書の切りかえ申請をしなければならないことになっておりまして、本年十月末ごろから来年一月ごろまでがその大量切りかえの時期に当り、その間に五十数万人に上る大量の外国人が一斉に市区町村の窓口に殺到し、しかも、このたびの切りかえにおいては、従来の大量切りかえのときと異なり、そのうち十四才未満の者を除いた三十数万人についてその申請と同時に指紋を押捺させなければならないことになっており、市区町村第一線に対して申請のあったその日のうちにその全部の事務の処理を望むことは、明らかに不可能と言わなければなりません。  そこで、これまででも、申請のあった日から一週間先とか、その一カ月も先に登録証明書交付せざるを得ないような運用に事実上追い込まれていたのでありますが、さらにこの切りかえの実施に当っては、過去においてその例を見たように、一部外国人の政治的な反対機運によって、ますますその事務が困難になることも予想しないわけにはいかず、従って、新たに指紋制度の加わった今次の大量切りかえをスムーズに行い切ることができるかどうかは、将来におけるわが外国人登録制度の運命を卜する一つの山と言っても過言ではないと存ずるのであります。  そこで、ただいま申し述べましたような事情を勘案いたしまして、市区町村においてその地区またはそのときの事情に応じて、その事務をならして計画的に処理することができるようにするために、一般的に、登録証明書を即日交付することができないような、やむを得ない事情がある場合には、市区町村長において、別に何日から何日までという交付予定期間を指定して、その期間内にこれを交付することができるようにするとともに——第五条第二項、第六条第四項、第七条第四項、第十一条第四項がこれに当ります。指紋の押捺も登録証明書交付の際に限らず、場合によってはただいま申し上げました別に指定する日に登録証明書交付する際に押させてもよいように改正するのであります。  しこうして、このようにしてこのたびの切りかえが無事行われた暁におきましては、すでに指紋もとってありますことゆえ、その次からの切りかえは、従来のように二年目ごとといたしませんでもよろしいと存ぜられますので、従来登録証明書有効期間を二年と限っておりましたのをやめまして、三年目ごと登録の確認を求める意味において登録証明書の切りかえをいたさせることに改めたのであります。  さて、以上のように、登録証明書有効期間を限定しないこととするとともに、登録証明書交付申請の日とその実際の交付の日との間に間隔を置くことができるようにした結果、その場で新しい登録証明書交付を受けることができなかった者は、新たな登録証明書交付を受けるまでの間は、古い登録証明書をそのまま所持しておればそれでよいことになったわけであります。  二、次に、事務簡素化につきましては、外国人居住地変更しようとする場合の事前届出制度を廃止いたしますとともに、市区町村長新規登録及び変更登録申請猶予期間を延長する場合並びに登録証明書を再交付する場合に都道府県知事の承認を要しないことに改め、また、市区町村または都道府県廃置分合等によって居住地の竹林が異なった場合には、本人申請を待たず、市区町村長職権によって変更登録を行うことができることとし、その他登録証明書の再交付申請書類を簡略化する等、都道府県及び市区町村事務的負担の軽減をはかることこいたしました。三、次に、現行法規定整備につきましては、まず、出入国管理令第二十八条の規定による再入国許可を受けて出国した外国人が再入国した場合の取り扱いについて新たな規定を設け、その者が出国する際に出国港において入国審査官に預けた登録証明書付入国市区町村長から返還を受ければよいこととするとともに、登録証明書受領義務を新たに規定し、また、本法による諸手続をする場合に本人出頭義務を明定し、かつ、代理人がこれらの手続をする場合にこれを妨げた者に対する罰則を設ける等、現行規定整備合理化をはかったのであります。  以上、簡単にこの法律案提案理由を御説明申し上げましたが、何とぞ、よろしく御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたします。
  23. 高橋禎一

    高橋委員長 次に本案の補足説明を求めます。内田入国管理局長
  24. 内田藤雄

    内田政府委員 私ども下牧次長がこの法案の作成等をみずからやっておりましたので、下牧次長に御説明を願いたいと思います。
  25. 高橋禎一

  26. 下牧武

    下牧説明員 それでは、命によりまして、この法律案逐条説明をいたします。お手元に外国人登録法の一部を改正する法律案逐条説明書という書類をお配りしてございますと思いますが、これに基きまして、ごく要点だけを申し上げたいと存じます。この法律改正の趣旨と申しますか、その大きな要点につきましては、ただいま提案理由説明で申し上げたところでございますから、この点は省略いたしまして、条文の順序を追って、新たな改正点だけに簡単に触れてみたいと思います。  まず最初の第三条でございますが、これは、大きな点といたしまして、第一項で、出入国管理令第二十六条の規定による再入国許可を受けて出国した外国人が再び日本に戻って参りました場合を、その新規登録条文からはずしまして、この点につきまして第十二条の二において新たな規定を設けたという点が違っておるだけであります。あとは条文整備でございます。  それから、次は第三項におきまして、従来新たな登録をする場合の申請猶予期間が六十日と定まっておりますが、これを延長する場合に、これは都道府県知事権限でございましたのを、市区町村長権限に移したという点が第二点でございます。  それから、古い現行法の第四項と第五項を削除いたしておりますが、これは後に第十五条に統合いたしました。これは代理申請に関する規定でございますが、規定の位置から申しましても内容から申しましても、従来ございました第十五条に一括統合した方が適当と存じまして、本条からはこれを削除いたしたわけでございます。  次に、第四条でございますが、第一項は単なる字句の整理でございまして深い意義はございません。問題はこの第二十号でございますが、第一項のうちの第二十号を新たに全部改正いたしました。それは、従来登録原票に記載する事項といたしまして市町村名及び作成の年月日というのをあげてございましたが、これは市町村の長の職氏名さえ書けば明らかになることでございます。作成の年月日は前の登録の年月日という号もございますので、これで十分というので改正したわけであります。  それから、第二項も単なる字句の訂正でございますが、従来登録証明書というものが非常に重点になってこの法律ができておりましたが、いろいろ考えてみますと、登録証明書というのは本来登録した登録事項そのものの手控えと申しますか、それの証明をしたものにすぎないのでありまして、本制度のねらいはあくまで登録をさせるというところに重点がございます。その意床で、従来とも登録証明書を中心に書かれておりました規定を、登録そのものに重点を置きまして、登録証明書はそれのいわば反映というような趣旨で、規定の立て方を直したのが大きな点でございます。実際の取扱いはこれによってさほど変るわけではございません。  それから第四条の第五項から七項までを削除いたしておりまするが、この場合も、第十五条の二に新たに規定を設けまして、それに統合いたしておるわけでございます。この削除いたしました規定は、後にも申し上げますが、これは市区町村長登録事務を実施いたします場合にいろいろの事実を調査いたしますその根拠規定でございまするが、これは何も新規登録の場合に限ったことではございませんで、一般に通ずることでございますので、後に規定を持っていきまして、十五条の二というのを新たに設けたわけでございます。  それから、第五条でございますが、これも大体字句の整理を主とした規定でございまして、重要な点はこの第二項でございます。これをちょっと読んでみますと、前項の場合において、言いかえれば市区町村長登録をしてそして証明書を交付しなければいかぬ、そういう場合に、いろいろな申請に関する調査をする必要があり、または大量切りかえの場合に非常に事務が煩瑣になってくる、そのときに新たな登録がはさんできたという場合に、どうしてもその場で登録証明書交付することができない事情がある場合には、何日から何日までの間に取りに来るようにということで、三日間ぐらいの期間を指定しまして、その間に証明書を取りに来させて、場合によってはそれと同時に指紋を押させて、そして交付するというように措置いたしましたので、いわゆる市町村の事務を計画的にならして行うようにする。その規定が、再交付の場合にも、それから引きかえ交付の場合にも、あるいは本年度行われます切りかえ交付の場合にもこれが準用されて、今度の改正のねらいの目的、重点となる根拠規定になるわけでございます。  それから、次は第六条でございますが、これも内容的には特に変った点はございません。第六条は、登録証明書がいたんだり、あるいはよごれたりしたような場合に、古い証明書と引きかえに新しい証明書を交付する、こういう規定でございます。この点につきましても、内容的には旧法とほとんど変りありませんが、新たに第四項を設けまして、先ほど申し上げましたように交付予定期間を設けて、そして市町村の事務を平均化していくという規定が新たに入ったのでございます。  それから、第五項を削除いたしましたが、これは、後に申し上げまするように、登録証明書有効期間を廃止いたしましたので、その起算日の根拠となる従来の第五項の規定は不要、無意味ということになりましたので、削除したわけでございます。  それから、新たに第七項を設けておりますが、これは全く事務的な必要から設けた規定でございまして、従来登録証明書の引きかえ交付をする場合には申請の際に提出された写真を原票に張るほかに、原票には指紋も押さなければならないわけでございますが、従来の原票の用紙では余白がございませんので、どうしても新しい用紙を使う必要がある。その結果、原票の書きかえもしなければいけないということに相なりますので、その根拠規定をこの第七項に設けたわけでございます。そして、この規定はやはり同じく再交付の場合、それから切りかえ交付の場合寺に準用されておるわけでございます。それから、第七条でございますが、この改正点のおもな点は、第一項におきまして申請書類簡素化いたしております。すなわち、第一号の申請書を、従来二通であったのを一通に減らしておりますし、第二号の再交付申請理由書二通というのを削除いたしたわけでございます。それで、初めの申請書を一通に改めましたのは、後に申し上げまする再交付について都道府県知事の承認を受けることを必要としなくいたしましたので、その結果、この申請書も一通でよいということになったわけであります。それから、理由書を浴しましたのは、これは申請書の裏に簡単に書かせればいいという従来の経験にかんがみまして、これを不要といたしたわけでございます。  問題はこの第三項でございまして、従来登録証明書の再交付をいたします場合には都道府県知事の承認が必要であったわけでございます。これは、いろいろ不正発行のような事例もございますし、そのおそれもありましたので、従来はその規定を設けておいたのでございますが、このたびは、市町村吏員の素質も相当向上いたしておりますし、また同時に指紋を押す制度もできて参りまして弊害が少くなって参りますので、特にこれを市町村長限りにまかせましても心配はない、かように存じて事務簡素化をはかったわけでございます。  それから、第四項は、先ほど申し上げましたように交付予定期間を指定して事務を平均化していくという規定をここに準用してございます。  それから、第五項の改正は、これは単なる字句の整理でございます。登録証明書を再交付した場合は、なくなったり盗難にかかったり滅失した古い登録証明書は効力を失うという当然のことを規定しておるのでございますが、この滅失したものが効力を失うというのは非常におかしいので、この滅失というのを省いただけでございます。  それから、第八項も、先ほど申し上げましたように、登録原票書きかえの根拠規定をここに準用してきたわけでございます。  それから、次は第八条でございますが、この点で最も重要な点は、現行規定の第一項に規定いたしまするところの、居住地変更しようとする場合にはあらかじめ元の居住地市区町村の長に事前の届出を必要といたしておりましたのを、このたびやめまして、新たに新しい居住地市区町村長のところへ居住地変更登録申請をすればいい、そしてそれを受けた新しい居住地市区町村長から前の居住地の市区可村長に対して登録原票の送付を求めて、そして手当をしていく、こういうことに改めたわけでございます。この点で、これは事務簡素化にもなりますし、また外国人のためにも非常に手続が簡便になったわけでございます。  それから、もとの規定の第五項に、居住地変更登録申請猶予期間を延長する場合に、従来は都道府県知事の承認を受けなければならなかったのでごさいますが、これも、先ほど申し上げたのと同じ理由によりまして、この承認を要しないことに改めた点、これがおもな改正点でございます。  次は第九条と第十条でございますが、これは前の旧法による第九条と第十条を新法では逆にいたしまして、前の十条を九条に持ってきて、前の九条に新法では十条に持ってきたわけでございます。この入れかえをいたしましたのは、新しいこの十条の規定と申しますのは、これは外国人に対する強行規定ではございませんので、第八条の強行規定と、それから新しい九条の強行規定を先に並べて、そしてあとにそうじゃない規定を持ってくるという、規定の体裁を整えただけでございます。内容的にはこの第九条は大して違いはございませんが、ただ違っておりまするところは、この第一項の変更登録申請をいたします場合に、その変更を生じたことを証する書面というのを提出することになっております。従来はこれを提出させるかどうかは市区町村長の自由でございましたのを改めまして、必ずこれは提出しなければならぬというふうに改めた点が違うだけでございます。  それから、第十条は、市町村または都道府県廃置分合等に伸う変更登録でございますが、従来はこれを外国人の方から申請させておりましたが、これはおかしいので、申請を待たずに当然職権をもって変更できる、当然の考え方に改めたわけでございます。  次は第十一条、これが今度の改正の最もねらいといたします大量切りかえ交付の場合の規定でございますが、まずこの第一項に、登録証明書有効期間、これが従来は交付の日から二年、こうなっておりましたのを削りまして、登録証明書そのものには有効期間は設けないということにいたしたわけであります。これはやはり、先ほど申し上げましたように、登録という制度登録させることそのものがねらいでございまして、それで登録ということはもう現に行われている。それで、その登録証明書というようなものは単なるそれを反映した証明書にすぎないということになりますから、理論的に申しますれば登録証明書そのものに有効期間を設けるというのはどうも考え方としては無意味じゃないか。しかしながら、いつまでも古い登録証明書をずっと何年も持たしておくというのも、これは外国人管理の上におきまして非常に支障がございますので、ある期間を限って切りかえをする。しかし、その切りかえは、登録原票に記載されている事項が真実の状況と合致しているかどうかということの確認をする意味においてその切りかえをする。こういう考え方が本来あるべき姿であろうかと思うのであります。従来の切りかえと申しますのも、そういう意味で行われておったのを、端的に、事柄をすっきりいたしますために、登録証明書有効期間を設けておけば一番わかりやすいというので、こういう措置をとっておったのでございますが、このたびは、最初にも申し上げましたように、登録証明書申請の日と、それからそれを交付する間に相当のギャップができます。その間のつなぎをどういうふうにするかということをいろいろ考えました結果、これはやはりもとの登録証明書をそのまま持たしておいて、新しい登録証明書を渡したときにもとの登録証明書の効力を失う、こういう措置にするのが最も事務的にも簡便である、かように考えました結果、その登録証明書有効期間を廃止いたしました。そのかわり、新しい登録証明書を受け取らないという者が出て参りますると非常に困りますので、後に御説明いたしますように、登録証明書の受領の義務規定いたしまして、それに罰則を付して、その受領を強制するという考え方に改めたわけでございます。  それから、もう一つ重要な点は、従来の切りかえは、登録証明書有効期間が二年であったがために、二年ごとに切りかえをいたしておりましたのを、今度の新法による切りかえはこれを三年にいたしました。それは、もうすでにこのときは、指紋はとってございますから、特に二年にいたしませんでも、もう一年延ばしても事実上差しつかえはございませんし、またそれだけ国の経費も節約になると考えまして、ゆるめたわけでございます。  それから、この条文で大事な点は、新しい第四項でございまして、第五条第二項の規定を準用する、簡単な表現になっておりまするが、これは、最初に申し上げましたように、市町村の事務をならして、交付の予定期間を定めて、そのときに交付するというので、今度の切りかえには最もこれが働く条文になるわけでございます。  それから、この第六項以下第十項までは新たに設けた規定でございますが、この第六項は、引きかえ交付、言いかえますると、登録証明書がいたんだり、よごれたりしたために、古いのと引きかえてくれ、こういう交付申請があった場合、あるいはそれをなくしたような場合に再交付申請があった場合と、それから本条に規定いたしまする切りかえ交付申請が競合いたしました場合に、引きかえ交付または再交付をいたします前に切りかえ交付によって新しい登録証明書を渡してしまえば、前の引きかえ交付あるいは再交付申請に基く登録証明書は、重ねて出さなくてもいい、むしろ出してはいけないんだ、こういう当然の規定でございます。  第七項は、それに関連いたしまして、再交付申請があり、また切りかえ交付申請があって、切りかえ交付によって新しい登録証明書を出す、ところが、その前になくなったというので再交付申請したその古い登録証明書が、もし盗難等によって、あるいは紛失等によってどこか第三者の手に渡っておるようなことも考えられますので、そういうものは無効になるんだぞということをはっきりいたしました。これも当然の規定でございます。  そうして、第八項で、そういう登録証明書は、今度本人の手元に戻ってきたような場合には、これはすぐ返納しなければいかぬぞ、こういうことを規定いたしました。これも当然の規定でございます。  それから、第九項は、さきにも申し上げましたように、登録原票の書きかえをすることができるという根拠規定をここへ設けたわけでございます。  それから、第十項、今申し上げました、この返納を受けた登録証明書は、市区町村長はこれを法務大臣に送付しなければいけない、無効になった登録証明書の送付をさせまして、中央においてそれを保管してその散逸を防ぐということにいたしたい、かような趣旨でございます。  それから、第十二条は、従来とほとんど変っておりませんが、違った点は、この第一項の中で、再入国許可を受けて出国する場合に、登録証明書を従来は返納しているという点を、この規定からは除きまして、次の第十二条の二に新たに規定したという点でございます。  第十二条の二でございますが、これは、従来の厳密な解釈によりますと、前条の十二条によりまして、外国人が本邦を出国する場合には、再入国許可をとっているといなとにかかわらず、その登録証明書を返納することになっている、そして新たに入国した場には新しく登録しなければいかぬ、厳密に申しますとそういう解釈になるわけでございますが、それに対しまして特例を設けまして、第十二条の二の第一項において、再入国許可を受けて出国する外国人は、その出国港において入国審査官にその登録証明書をまず預けていく、そうすると、第二項によって、入国審査官はその登録証明書本人が出国前に居住していたところの市区町村長に対して送付する、それで、その外国人が本邦に再入国いたしましたときは、第三項により、その入国本人が出国前に居住した当該市区町村の窓口に出頭いたしまして、その入国審査官から送付してあった登録証明書の返還を受ける、それで、そういう申請があった場合には、市区町村長はこれを本人に返還しなければいけない、こういうふうな考え一方に改めたわけでございます。そこで、再入国によって新たに入国した外国人は、あらためて第三条による新規登録をいたしませんでも、古い前の登録証明書を返してもらえばそれでいい、こういうことにいたしたわけでございます。  それから、次は十三条でございますが、これももとの規定と大して相違はございませんが、新たに登録証明書の受領の義務というのをここにはっきり定めたわけでございます。これは、先ほど申し上げましたように、大量切りかえ等の場合に新しい登録証明書を受け取らないという者が出て参りますと、古い登録証明書はその有効期間を廃止いたしましたので、いつまででもそれを持っておって切りがつかない、それでは困るというので、ここに受領の義務というのを明定いたしました。もちろん従来からこの登録証明書の携帯義務というのがございましたので、古い規定によりましても、登録証明書を受け取らないがために携帯しておらないという者は、当然携帯義務違反として処罰を受けておったのでございます。この受領の義務違反に対して罰則を設けておりますが、実質的には従然の取扱いと大した変りはございません。それから、十三条のただし書きでございますが、これは従来の第四項にあった規定をこのただし書きに持ってきただけでございまして、内容的には変っておりません。  それから、次は第十四条の指紋の押捺に関する規定でございますが、おもな改正点といたしましては、第二項以下四項まで新たに加えました点が、規定改正としては大きく変った点でございます。  まず第一項でございますが、これは、条文の整理のほかに、従来指紋を押すべき書類として登録証明書交付申請書、それから登録証明書引替交付申請書、それから再交付申請書というものを載せてございましたが、これらの申請書に指紋を押させる必要はございませんので、これを削りまして、指紋を押すべき書類としては登録原票、それから登録証明書、それから指紋原紙だけに押させる。指紋原紙には二葉に押させまして、一葉は第一線に残しておき、一葉は中央の法務省に送付させまして、法務省でそれを鑑識分類するということにするわけでございます。それから、新たに後段を設けまして、代理人がかわって登録証明書交付申請する場合にも、指紋本人が押さなければいけない、その場合にただいま申し上げた書類に押させるということにいたしたわけであります。  次は第二項でございますが、これは新たに設けた規定で、指紋をいつ押させるかという規定でございます。それで、まず本人自身が登録証明書交付申請に出頭いたしました場合には、指紋はその申請と同時に押させるのを原則といたしますが、先ほど御説明いたしましたように、登録証明書交付予定日を定めまして、登録証明書交付申請と実際にこれを交付する日が別々になる場合、その場合に、本人事情あるいは事務所に非常に事務が錯綜しておってその場でとうていこれを押させることができないといったような特別の事情がある場合においては、登録証明書を実際に交付する日に指紋を押させてもよろしい、いわゆる大量切りかえに伴うところの指紋の押捺の時期もこれによってならしていこうというわけでございます。それから、代理人によって申請をいたしました場合の本人指紋押捺の時期でございますが、これは代理人が本人にかわって申請せざるを得なかったような特別の事情、たとえば病気とか、そういう事情登録証明書を実際に受領するときまでにやんだときは、これはそういう故障がやんだその後直ちにではなくて受領のときまで延ばしてやろう、そうして受領のときに押しさえすればよろしい。しかし、実際に登録証明書交付を受ける、言いかえれば受領するときまでにそういった故障がやまないときは、故障がやんだときにこれを押させる。常識的に申し上げて当然な結論かと存じますが、かように規定いたしたわけでございます。  それから、次の第三項でございますが、これは政令に対する委任の根拠規定をここに設けましたので、その規定する内容は、まず第一点といたしまして、指紋押捺の方法でございます。けがをしているときにはどういうふうにするとか、いろいろこまかいことを規定する必要がございますので、これを政令にゆだねた。それから、次は、第二項の規定によって指紋を押すべき時期のきまった者が、その時期に押すことができない場合には、何とか手当をいたさなければいけない。そういうこまかい第二項でこぼれたようなものを第三項のこの政令の中で拾う。それから、そのほかこの条文を実施するための必要な施行規定を定めるということにいたしたわけでございます。  それから、この第四項は、十四才未満の者については指紋制度は適用しない。これは旧法にはございませんでしたが、従来これに基きまして外国人登録法指紋に関する政令というものを設けておりまして、その政令の中で同様に除外しておりましたのを、今度法律で明らかにいたしたわけでございます。  次は第十五条でございますが、第二項は旧法と字句の整理をいたしましただけでほとんど変っておりませんが、第一項を新たに設けたわけでございます。  この第一項の内容といたしましては、本人の出頭義務というのをここに朗らかに定めたわけでございます。この法律によって、いろんな登録証明書申請、またその受領あるいは提出をいたします場合に、原則としては本人がみずから事務所に出頭しなければいけない。これは訓示規定と申しますか、従来でも代理人による申請規定がありました以上は、これはその前提として本人出頭義務というのが当然前提になっておりましたのを、このたび明文で明らかにいたしただけでございまして、この違反に対しましては罰則があるわけではございませんし、従来からも本人の出頭を求めてやっておっただけのことでございます。詳細の説明につきましては逐条説明書の中へ記載しておきましたから、こまかいことは省略いたすことにいたします。  それから、次は第十五条の二でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、古い規定の第四条の五号から七号までを削除して、事実の調査に関する規定をここに持ってきた。ただ、違っている点は、この第一項の後段におきまして、「この場合において、必要があるときは、当該申請をした外国人に出頭を求めることができる。」、出頭要求の規定を設けたのでございますが、これももちろん強制力を伴うものではございませんし、これに応じなくても何らの制裁もあるわけではございません。当然のことを規定しただけでございます。  それから、第十六条、これは条文の整理にすぎません。  それから、第十七条、これも条文は非常に簡単になっておりますが、従来の規定を平易に書き改めただけでございまして、内容的に変りはございません。  次は第十八条の罰則でございますが、まず第一号におきまして違った点は、字句の整理のほかは、再入国許可を受けて出国した外国人が再入国をした場合の登録証明書の返還申請義務の違反、これを罰則に追加いたしました。  それから、次は第二号でございますが、この改正点のおもな点は、旧法の第二号によりますと、これこれの「規定に違反して登録証明書交付、再交付又は書換の申請に関し虚偽の申請をした者」、こういう書き方になっておりましたが、この「規定に違反して」云々をとりまして、端的にこれこれの「規定による申請に関し虚偽の申請をした者」、こう表現を改めたわけでございます。この理由は、大体これらの規定の対象になる外国人を主体として「外国人は」という書き方をいたしておりまするので、その違反をする者は外国人に限られるという解釈が出るおそれがあったわけでございますが、そういたしますと、日本人がたとえば外国人と偽わってこの登録をしたような事例を押えることができませんので、それで、その主体が外国人であるということを省くために、これこれの「規定に関し虚偽の申請をした者」、こういうふうに表現を改めたのが第一点でございます。  それから、その次は、第十二条の二第三項の規定というのをここへ挿入いたしまして、再入国した場合における登録証明書の返還請求に関し虚偽の申請をした者、これをも罰則の対象に加えたという点が違っておるだけでございます。  それから、第三号は、カッコの中を入れたのが違いまして、代理人が本人にかわって申請する場合にこれを妨げた者を処罰の対象としてはっきりさせた意味でカッコを入れて補った点と、それから、ただいま申し上げましたように、再入国の場合の返還請求を第三者が妨げたような場合、これを追加いたしましたわけでございます。  それから、第四号は、これは条文の整理のほかに、従来は登録証明書の切りかえ交付に関する二重申請を罰則の対象にいたしておりました。旧法で申しますと、「第十一条第五項において準用する第三条第六項」というのがそれに当りますが、この切りかえの二重申請ということは実際問題としてちょっとその例がございませんで、罰則として押えるのは新規登録の場合の二重申請だけ押えておけばいいというので、その切りかえの場合の二重申請の罰則を落したわけでございます。  それから、第五号でございますが、これは、この引きかえ交付の場合に著しく登録証明書がよごれたり、あるいは破れたりしたような場合に、市区町村長がそれを発見いたしますと、これに引きかえ交付申請をしろということを命令することができることになっておりますが、従来はその命令に従わなかった者だけを処罰の対象といたしておりましたが、新しい第五号では、そのほかに、その命令を受けた外国人またはその代理人が引きかえ交付申請をするのを妨げた者もここに載せまして、それで罰則の対象になるということを明らかにしたわけでございます。従来とも解釈上そういう解釈がとられなかったわけではございませんけれども、疑義をなくする意味において条文上明らかにしたということでございます。  それから、第六号でございますが、この点は、条文を整理いたしましたほかに、登録証明書の切りかえ交付の場合における古い証明書の返納義務違反、これを一つ追加いたしました。それから、登録証明書を紛失した、あるいは盗難にかかったということで再交付を受けた場合に、その前の登録証明書を発見してこれを回復した場合、これをやはり市区町村長に返納いたさなければならない。その義務違反もここに追加いたしました。それから、再入国許可を受けて出国する場合に登録証明書を預けて行く。それを預けずに行った、その登録証明書の提出義務違反に対する罰則をここへ明らかに規定いたしました。これは今までの規定を整理した結果に基く罰則の整理でございます。  次の第六号の二でございますが、これは新しく設けた規定でございまして、外国人またはその代理人が第六号に掲げる登録証明書の返納または提出をしようとするのを妨げた者に対する罰則を設けたわけでございます。いろいろ書いてございますが、第六号を受けた規定でございます。  それから、第七号で新たな改正点は、登録証明書を受領しない罪、これを新たに定めたわけでございます。従来携帯義務の違反でまかなった分を、今度は携帯と受領ということの義務を両方離しまして、切りかえ等の場合にどうしても登録証明書を受け取らぬという者が出て参った場合には、これでもってその受領を強制するということにいたしたわけでございます。それから、第二点といたしましては、外国人または代理人による登録証明書の受領を妨害した者に対する罰則を設けたわけでございます。  次は第十号でございますが、これは旧法の「行使の目的をもって、登録証明書を他人に譲り渡し」云々という、この「他人に」という点を削ったのでございます。これは解釈で当然とは思いますが、「他人に」があるために、前の登録証明書は自分名義の登録証明書じゃなければいかぬのじゃないかというような疑問を持つ向きもございましたので、それで、いっそ削っちゃって、自分の登録証明書を譲ってもいけないし、他人から一たん譲り受けたのをまた譲り渡してもいけない、こういうように、当然のことを規定・したわけでございます。  それから、第十九条でございます。十九条はいろいろございますが、単に条文の整理にすぎません。  それから附則について御説明いたします。附則の第一項でございますが、  この法律の施行日は「公布の日から加算して六箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」、こういたしましたのは、この法律の制定に伴いまして、先ほどの十四条に規定をいたしております政令その他附属法例の改正を行う必要がございますし、またいろいろな事務的な準備をいたさなければなりません。しかもその結果を都道府県及び市区町村長に周知徹底させるための期間も必要でございます。しかも本法全体のねらいがこの十月末ごろから行われる大量切りかえに対処するというのが基本的なねらいでございますので、大体八月くらいまでに準備を整えて施行いたしたい、かような考え方のもとにその施行期日を政令に譲ったわけでございます。  それから、第二項でございますが、この登録証明書有効期間二年というのを廃しまして、しかもその切りかえを一年延ばして、新法によれば三年目ごとに切りかえる、こういうことにいたしました結果、経過規定を置かずにほうっておきますと、本年十月末から行われる大量切りかえも当然一年延びることになってしまいます。それでは困りますので、ことしやる切りかえははっきりやるぞということで、その分に限ってこれは二年とし、従来通り二年として切りかえを行うぞということをここで明らかならしめたわけであります。しかも、一ぺんこの法律によって切りかえをやった者については特例を設ける必要はございませんので、ただし書きでその分を落していこう、こういうわけでございます。  それから、第三項は、再入国許可を受けて出国した外国人がこの法律の施行後に戻ってきた場合でございますが、これは経過規定を置かずにほおっておきますと、出国前に居住した市町村の窓口に行って登録証明書の返還を受けなければいかぬというあの規定が乗ってくるわけでございますが、もともとこの法律施行前に出国した者は、法律の建前といたしましては、もうすでに出国の際に十二条によって登録証明書を返納して出ていってしまっている。新しい措置が講ぜられておりませんので、この者については第三条第一項によって新規登録をするということを明らかにいたした次第でございます。  以上、簡単でございますが、逐条説明の要旨のみ述べて終ることにいたします。
  27. 高橋禎一

    高橋委員長 これにて説明聴取は終りました。  質疑は次会に譲ることにいたし、午前中はこの程度にとどめ、午後一時半より再開いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後一時五十一分開議
  28. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を再開いたします。司法書士法の一部を改正する法律案及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案起草の件について調査を進めます。なお、この際お手元に配布いたしました草案の作成経過を小木専門員より説明いたさせたいと存じますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  なお、両法案の草案はこれを会議録に掲載しておくことといたします。  小木専門員。
  30. 小木貞一

    ○小木専門員 それでは、私から御説明申し上げます。  この委員会理事会でこの両法案について立案するというお話がまとまり、委員長からまた試案を作るようにという話がございましたので、私どもは、衆議院の法制局、それから法務省の民事局と協議検討いたしまして、一応今お手元にございますような試案を作成したのでございます。  司法書士法は、御承知のように、旧法は大正八年に制定になりまして、当時は司法代書人法という名前であったものが、昭和十年に司法書士法という名称に変えられたのでございます。そういたしまして、昭和二十五年に当時の衆議員法務委員会が提案して現行法となったのでございます。当時法務省と司法書士会側との意見が必ずしも一致しない事情もありましたので、当時の法務委員会が調整に乗り出して立案したという経過がございます。このねらいは当時は、一般の行政監督的なものではなくて、司法書士会は、司法書士をもって構成する司法書士会の自主的な統制によって運営しようということでございます。しかしながら、自主的統制と申しましても、弁護士法のような弁護士会の高度の自治と申しますか、自治統制というものではないということを考えていたように思います。このたびの改正の理由と申しますか、改正の要旨は、法務委員会昭和二十五年に立案いたしました当時の改正原案に盛り込んであった問題をおおむね取り上げておると理解されてよろしいと思います。当時こういう問題につきましてGHQがその点を承認しません関係で、当時の改正原案にはそれが漏れていたというような関係がございます。  改正要点をかいつまんで申し上げますと、要するに、一つには司法書士の資質の向上、つまり利用する国民の側からの信頼度を高めていこうということ、それからまた、次には、この司法書士の業務というものが、裁判所、検察庁、法務局といったような官庁に出す書類の作成をかわってやるものでございますから、これらの重要な国家事務が公正に運用されるということに寄与するようにしたい、こういうことでございます。  趣旨はそういうことでございますが、改正の主眼点になるものは、一つには、裁判所書記官あるいは事務官等等の経験年数を引き上げていこうという問題、それから、二つには、現行では法務局長の認可になっているものを、選考による認可ということにしていこう、それから、三つには、単位の司法書士会及び連合会の設立をいずれも強制設立にしよう、それから、四つには、会員の実質的な強制加入を考える、そして会の自主的統制によって業務の公正な運営をはかっていこう、こういうことでございます。  なお、後ほど問題になります土地家屋調査士法とこの司法書士法とはなるべく調和をとっていこうというふうなねらいをもって改正案を考えてみたのでございます。  司法書士と調査士の現状を申しますと、司法書士は会員が約八千名、非会員が約四千名、それから、調査士の方もついでに申し上げますと、会員が一千名で、非会員が約九千名、こういうふうになっておるわけであります。しかも、これらの非会員であるアウトサイダーが国民の利用者側からいろいろな非難を受けてきておる、これは利用者側にとってただ迷惑をかけておるというだけでなくて、これらの司法書士なりあるいは調査士の仕事が、先ほど申しますような国家に重大な公務に関連を持つ仕事であり、誤まれば国家のそういった公務に間違いを起す、こういうような関係もございまして、これはどうしてもこの際そういう弊害を除いていく方法を考えなければならぬ、こういうことでございます。なお、香料もございますが、これらは後ほど御説明することにいたします。  それで、原案の方から参りますと、司法書士法の一部を改正する法律からまず申し上げます。  「第二条第一号中「三年」を「五年」に改める。」というのがございます。これは、先ほど申しましたような趣旨で、経験年数を現在三年とあるのを五年に引き上げる、こういうことでございます。  それから、「第三条に次の一号を加える。」、この内容は、「懲戒処分により、公認会計士若しくは計理士の登録をまつ消され、税理士、土地家屋調査士若しくは行政書士の登録を取り消され、又は弁理士の業務を禁止され、これらの処分の日から二年を経過しない者」、これは司法書士と兼業している者でございますが、これらの者がその資格で懲戒処分を受けた場合には司法書士となることができないようにする、こういうわけでございます。  それから、「第四条第一項中「長の認可」を「長の選考によってする認可」に改める。」、これは先ほど申しました説明でおわかりのことと思います。  それから第十一条の改正をやりまして、これは十一条の二にしまして、現行の第十条の次に次の一条を加える。見出しは「(認可の取消)」、内容は、「第十一条 司法書士が次の各号の一に該当するときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、認可を取り消さなければならない、一 その業務を廃止したとき二 司法書士となる資格を有しないことが判明したとき 三 第三条第一号、第二号又は第五号に該当するに至ったとき」、この条文は現在の土地家屋調査士法の八条と大体調和させる趣旨で設けたのであります。  それから「第十三条中「第十一条」を「第十一条の二」に改める。」、これは、先ほど申しますように現行の十一条が十一条の二になりましたから、条文の整理をするというわけでございます。  それから、今度新しく「第十四条第一項を次のように改める。」、これが今回の改正一つのポイントになるわけでございます。内容は「司法書士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて一箇の司法書士会を設立しなければならない。」、現在は任意設立になっておりますが、これを強制設立にする。この例は弁護士会につきまして先例がございます。  それから、「第十五条に次の三号を加える。七 入会及び脱会に関する規定 八 会計に関する規定 九 その他司法書士会の目的を達成するため必要な規定」、これを加えるわけであります。この第十五条は司法書士会の会則を定めた規定でございます。  それから、現行法の第十五条の二から第十六条まで次のように改める。まず第十五条の二でありますが、これは会則認可について規定するものでございます。内容は、「司法書士会の会則を定め、又はこれを変更するには、法務大臣の認可を受けなければならない。2 前項の場合において、法務大臣は、司法書三連合会の意見を聞いて、認可し、又は認可しない旨の処分をしなければならない。」、こういうふうに改めようとするものでございます。これは、司法書士会は会則を作らなければなりませんが、その会則は法務大臣の認可を受けることとする、こういうふうに改める。そうして、この認可をする場合には司法書士会連合会の意見を聞いて認否をきめるということでございます。  それから、第十五条の三としまして、これは入会に関する規定でございますが、「司法書士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会に入会届を提出した時から、当該司法書士会の会員となる。」、こういう規定を設けようとするものでございます。これは、いつから司法書士会の会員となるかという規定でございまして、この届を出しますと会の側からは拒否ができないという意味のことでございます。そうして、この会に入会しない者は、後に説明します十九条によって、業務ができません。従いまして、そういう者が業務をいたしますと、二十三条で制裁がかかってくる。こういうことになるわけでございます。  それから、十五条の四でございますが、これは遵守の義務をきめたものでございます。内容は、「司法書士は、その所属する司法書士会の会則を守らなければならない。」、これによって法律上司法書士はその所属司法書士会の会則を守る法律上の義務が出てくる。義務違反になりますと、いろいろな制裁が生まれてくるわけでございます。  それから、一六条は司法書士会の報告義務規定しようとするものでございますが、内容は、「司法書士会は、所属の司法書士がこの法律若しくはこの法律に基く命令に違反し、又は第十一条の二各号の一に該当すると思料するときは、その旨を、その司法書士会の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に報告しなければならない。」、報告義務を課しておるわけでございます。これが場合によりますと懲戒処分の端緒にもなる、あるいは十一条の取り消しの端緒になる、こういう次第でございます。  それから、第十七条は司法書士会の連合会の規定でございますが、内容は、「司法書士会は、会則を定めて、全国を通じて一箇の司法書士会連合会を設立しなければならない。2 司法書士会連合会は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、司法書士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。」、この司法書士会連合会の任務が何であるかということをここに書いたわけでございますが、これは要するに、新しい法令が出るとかあるいは業務の改善等について、場合によっては説明会なりあるいは研究会なり講習会なり、また関係業務団体、ことに日本弁護士連合会との申し合せ、協議等の会合を持つというようなことも、この連合会を通じてやっていく方が下部である司法書士会にそういうことが非常に円滑に流れていくのではないかということを考えているわけでございます。法務省側から見れば、これは会に対する育成の仕事になるということになろうと思います。  それから、次には第十九条の改正でございますが、現行法は第十九条では「非司法書士の取締」という見出しで、内容は、「司法書士でない者は、第一条に規定する業務を行なってはならない。但し、他の法律に別段の定がある場合は、この限りでない。」、第二項に、「司法書士でない者は、司法書士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」、こういうふうになっておるのを、これを改正いたしまして、まず十九条の見出しを、「非司法書士等の取締」、こういうふうな見出しに変えまして、同条第一項中「司法書士でない者」を「司法書士会に入会している司法書士以外の者」、こういうふうに変えまして、今読み上げました現行法の第二項中「司法書士でない者」とあるのを、「前項に規定する者」、こういうふうに改めようとするものでございます。これは要するに、司法書士会に入会していない者は業務を行うことが禁止される、こういうことになるわけでございます。  それから、あとは附則でございまして、附則は一項から五項までございまして、施行の期日、それから現在の司法書士あるいは現在の司法書士会または司法書士連合会をどういうふうに扱っていくかという経過の規定を二項以下五項までに規定いたした次第でございます。  簡単でございますが、一応説明を終ります。
  31. 高橋禎一

    高橋委員長 今説明のあったところについて、何か御発言があれば許します。椎名君。
  32. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 第四条の第一項中「長の認可」を「長の選考によってする認可」と、選考という字が入ったのでありますが、結局、長の認可と長の選考というのは、どの程度の相違がありますか。これを挿入した経過について一つ説明して下さい。
  33. 小木貞一

    ○小木専門員 これは非常に違うと思います。現在では、第二条一号の場合には大体裁判所事務官等々の在職年限が三年以上になった者は一応認可される。それから、二号のそれと同等以上の教養、学力ある者——これは実質的には試験でありますが、これらを司法書士として地方法務局あるいは法務局の長が認可をするわけでございますが、先ほど申しましたようなこれらの職にある者の経験年数を上げた理由にも関係いたしますが、出す書類によりましては、わずか三年というくらいではなかなか事務の公正、適正というものが期待できないということが一つございます。   〔委員長退席、佐竹(情)委員長代理着席〕 それ以外に、かりにそういう経験年数を持っておりましても、在職中の行状等が相当非難に値するというような者、能力はあるけれども行状がどうも思わしくないというような者も出てくるわけでございますので、そういう者は一応長の選考によってふるい落していこう、こういうことをねらっているわけでございます。
  34. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 それから、第十一条に認可を取り消すということになっておりますが、旧法を見てみますと、十一条の第二項によって、身体または精神の衰弱により業務を行うことができないときは取り消すことができたのですが、新しいこの法案の中にはその点がないのです。三年も五年も病気で実際に執務し得ないという場合でも、それは取り消すことができないことになりますか。
  35. 小木貞一

    ○小木専門員 それは十一条の二としてそのまま残すわけであります。新しいのが今度加わるわけであります。
  36. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 それから、十五条の三でございますが、司法書士が執務する場合は、その事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会に入会届を出せばいいわけですね。そうすると、たとえば千葉なら千葉の司法書士会に入会して、また東京でも入会するということができますか。
  37. 小木貞一

    ○小木専門員 これは、この条文に書いてありますように、その事務所の所在地を管轄するというのでございますから、千葉に事務所がございますと、東京には出せないことになります。
  38. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 どうして東京に出せないのです。千葉でも事務所を持っている、東京でも事務所を持っておりさえすれば、司法書士の資格として一人で二カ所へ入ることはできないという禁止規定はどこにもないように考えられますが、法的根拠がどこかにありますか。
  39. 小木貞一

    ○小木専門員 司法書士法施行規則第四条というのに、「司法書士は、二箇所以上の事務所を設けることができない。」、二項に、「司法書士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転することができない。」という規定がございまして、二個以上の事務所を持ってはならぬことになります。
  40. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 わかりました。
  41. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員長代理 それじゃ、吉田君。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今椎名委員から御質問があった点でありまするが、長の選考によって認可するという趣旨に変る場合、法第四条の二項、三項、四項の聴聞に関する規定というものはそのまま生きるのでありますか。従って、認可規定が選考によってということになりますと、選考という要件が加わるのでありますか。かりに例を設ければ、長が選考して適当にあらずというようなときはやはり認可を与えない、しかし聴聞に関する各般の規定はそのまま行われている、こういうことになるのですか。
  43. 小木貞一

    ○小木専門員 そういう趣旨でございます。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、民事局長にちょっと伺いますが、この司法書士並びに司法書士会の業務については監督機関があるのですか、ないのですか。それはあるとすればどこが監督するということになるのですか。
  45. 村上朝一

    ○村上政府委員 司法書士法は、昭和  二十五年に全部改正になりますまでは、法務局長または地方法務局長が司法書士を監督するという規定になっていたのでございますが、二十五年の改正の際に法務局長または地方法務局長の監督に関する規定を削除いたしまして、現在のところは官庁の監督には服しない状態になっておるわけであります。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、司法書士会が自律的に、みずからの会員の業務及び会の運営をみずから律していく、こういう建前になるわけですか。
  47. 村上朝一

    ○村上政府委員 さようでございます。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今度十五条の九号に入りまする必要な規定というのは、これはたとえば研修のようなものまでも相当入ることになるのでありましょうか。こうやってだんだんと自律的に会も大きくなるし、会員の業務資格、認可資格等についてもだんだんと制限していくのでありまするから、従って質が向上していくわけでありまするので、必然、裁判官とか弁護士などが業務の修習に相当時間を要しておりまするごとくに適当な研修規定を設けるということが必要でないかと思いまするが、そういったことは予想されておるのですか。いかがでございますか。
  49. 村上朝一

    ○村上政府委員 この改正案によりますと、司法書士会に加わらなければ業務を行うことができないということになりまして、自主的に司法書士業務の改善向上について会みずから責任を負うことになるわけでございますので、この法律にうたわれておりますような会の目的を達成するために必要な事業といたしまして、会員の研修等が行われるようになりますことも期待できると考えております。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 同時にやはり別な依頼者というものもあり、あるいはまた民事的関係においては金銭その他の財産的な利害関係でかなり複雑したものに接触するわけでありますので、相当綱紀問題についても厳格な改正を整える必要があろうと思います。たとえば弁護士会におきまして綱紀委員会を設置しておりますごとくに、そういったものについても何らかそういう方面の規定を設けるという用意がどこかにあるのでしょうか。その辺はいかがなものでしょうか。
  51. 村上朝一

    ○村上政府委員 現行司法書士法におきましては、司法書士が法令に違反する行為がございますると、法務局または地方法務局の長において戒告あるいは業務の停止、認可の取消し等の処分をすることができることになっております。第十二条でございますが、その規定改正後もそのまま残されるわけであります。   〔佐竹(晴)委員長代理退席、委員長着席〕 いわゆる強制加入の会になり、自主的に会員に対する監督の責任を負うことになりました機会に、これらの懲戒の処分も会みずから行うということも考えられるのでございますけれども、現在の実情から申しまして、現行法第十二条に規定してあります法務局または地方法務局長の懲戒権——法務局長、地方法務局長は監督権はないのでありますけれども、懲戒権だけが与えられておる形になっておりますが、これを廃止して会みずから懲戒処分を行うというよりは、会の方で、法律または命令に違反する行為をする会員がありました際に、法務局または地方法務局の長に会から報告いたしまして、十二条の職権の発動を促すという建前をとることが適当かと考えられます。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもその辺がまだ整頓しておらぬような感じがするのであります。法令に違反した場合に法務局長または地方法務局長が懲戒をするというのですが、会が会員の業務の逸脱、従って法令違反などのないようにみずからを律するように自主性をほんとうに与えていくのならば、もっと司法書士会に権限を持たし、会として戒飭する権限を持つというふうにするのがほんとうではないか。一方法務局長が戒告をする権限を持って、一方自主的にみずからを律していこうというようなことは、発達の過程において——今の段階がそうでありますというならおしまいでありますけれども、当初伺ったところによりますと、監督規定を以前の改正のときになくしてしまって、そうして自主的にみずからを律していくという建前になったというのでありますが、どうもそこが私はまだ残津が残っておるというのか、二本建で一本になっておらぬ。やはりこういう種類の今論じておるような問題は、いずれかはっきりしないと、私は効果があがってこぬと思うのであります。法務局長に戒告権を与えておるという以上は、やはり一種の広い意味の監督権じゃないかと私は思います。まあ、その必要があるから与えるのである、認可する者が戒告権を持っておるのだということになっておるならば、どうもそこで自主性はなくなっておるというふうに考えるのであります。もしほんとうに自主性を尊重するということであるならば、私は、今あなたの御答弁になりますように、法令の違反とか、そういうことで限定するのではなくして、もっと広く、道義的な分量におきましても、たとえば体面をけがしたとか、司法書士としてのしかるべき社会的品位を傷つけたとか、そういうことについても相当内部的に干渉していくのでなければならぬと思う。第十二条自体がそういうことをもうすでに予想しておる。でありますから、どうもそこが不徹底きわまると思うのであります。法令に違反した場合に戒告するのだというようなことは、これはむしろ例外ではないでしょうか。ここにも若干資料が出ておりまするが、なかなか、法律をやった人でありまするから、法令に違反するということでなくて、脱法的に体面を傷つけるということがよくあるわけでありまして、職権の乱用といいますか、弁護士なんかの場合も多くの場合そうでありまして、犯罪性を帯びるような場合は例外と申してよいのでありますから、そういうところから考えまして、やはり綱紀につきまして厳格にみずからを律する規定制度が伴うということが必要ではないであろうか、かくして逐次そういう法務局長の戒告権というものを解説するというように司法書士並びに司法書士会を成長さしていただく、こういうふうなことが今日この法律の歩んでいる建前ではないか、こう思われるのですが、いかがですか。
  53. 村上朝一

    ○村上政府委員 全く吉田委員のお考えの通り、私どもも現在の法務局または地方法務局の長が戒告その他の処分を行うという規定は中途半端なものと考えております。将来、司法書士会の自主的な統制と申しますか、会員に対する指導監督の実があがるようになりましたならば、逐次ただいまお示しのような方向へ進むべきものと考えております。  なお、法令違反だけでは足りないのではないかという点でございますが、これは前回、昭和二十五年の改正のときにも問題になりまして、この法令違反の中には相当詳細な規定法律または施行規則の中に設けられてあります。たとえば、「司法書士は、不当な手段で嘱託を誘致するような行為をしてはならない。」とか、あるいは「司法書士は、業務に関しては、公正で、親切、丁寧且つ誠実を旨としなければならない。」というような規定が施行規則の中にありまして、これらの規定に違反したということで戒告等の理由になるわけでございますので、現在の段階におきましては、この改正案に盛られております程度の規定が適当かと考えております。
  54. 小木貞一

    ○小木専門員 今の点でございますが、これは要するに、この新法が施行になりますあとは、施行規則なりあるいは各書士会の会則の改正ということが当然問題になってくると思います。そこで、私どもは、ことに会則におきまして、今の品位保持に関する問題、公正に業務を行う問題等々につきまして、会員はこういうふうにしなければならぬというようなものを内容に盛りまして、それを会則に表わす、その会則を守らないと、今度の十六条で、会則違反、従いまして法律違反ということになるわけでございますから、そういう方法で逐次品位の維持なりあるいは公正に業務を行うというようなことを具体的に示していくように、これは法務省の指導と申しますか、法務省も関連あるこの仕事についての司法書士会なり調査士会の広い意味での育成をやっていく、両者が相寄ってそういう国民に迷惑をかけないような方向へ進むという方法に出てもらいたいということを期待しておるわけでございます。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとその点につきましてなお伺いますが、すでに御提出の「司法書士数調」なる資料によるますと、非会員が四千三百五十八、会員か八千三百九十五で、半数強の非会員がございます。やはり今日地方におきましても司法書士に関する各般の非難的ないろんな事実が起りまする場合には、これは多く非会員かとも存じまするけれども、いずれにしましても、そういうものが一掃されなければならぬということが、おそらくこの改正法律案ができるに至った重要な一つの理由になっておると思うのであります。さすればやはり、こういった多数の非会員を今後包容していかねばなるまいところの新しい司法書士会の新発足ということになるわけでありましょうから、この際やはり徹底的に綱紀は厳粛に守られていくという建前をとっていくことが必要ではないであろうか。戦後すでに十年以上になるのでありますけれども、やはりこういう重要な法務に参画しておられる業者の方の新しい発足の場合には、一そうそういうことが明確にされねばならぬと思いますので、施行規則、細則等によりまして、いずれこの改正法の趣旨は十分に行われまするようにそういった経過的な規定ができるものと思いまするけれども、綱紀に関しまして一そう充実いたしました規定を設けて臨んでいただきたい。こういうふうに御希望申し上げておきたいのであります。     —————————————
  56. 高橋禎一

    高橋委員長 それでは、小木専門員から土地家屋調査士法の一部を改正する法律案作成経過等について説明を求めます。小木専門員。
  57. 小木貞一

    ○小木専門員 お手元の土地家屋調査士法の一部を改正する法律案、これは、先ほどの御説明で申し上げましたように、大体は先ほどの司法書士法の一部を改正する法律案に調子を合したということでございまして、簡単にポイントだけ触れて御説明いたします。  「第三条一号中「二年」を「五年」に改める。」、これも先ほどの説明の趣旨によったものであります。  それから、四条に新しく七号として、「司法書士法昭和二十五年法律第百九十七号)第十二条の規定により認可の取消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者」、これも、先ほどの案の第三条第五号に新設規定を設けましたから、それに調子を合したものであります。  それから八条、これは、現行の調査士法の八条を読んでみますと、「調査士が左の各号の一に該当する場合には、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、その登録を取り消さなければならない。一その業務を廃止したとき 二死亡したとき 三調査士となる資格を有しないことが判明したとき 四」1これが問題でございますが、「第四条第一号、第二号、第四号、第五号又は第六号に該当するに至ったとき」、こうございまして、こまかいことになりますが、今の八条の四号の中の第四条の四号というのは、十三条の規定によりまして懲戒処分、登録取り消しを受けた者、こういうことになるわけでございまして、一ぺん取り消しを受けた者のまた取り消し、こういうことになるので、それを整理したのでございます。それから、あとは、「又は第六号」とあるのを「第六号又は七号」、今申し上げました七号がふえたから、そういうふうに変えた整理、こういうことになるわけであります。こまかい問題でございますから、そのくらいにいたします。  それから、「第八条の次に次の一条を加える。」、八条の二としまして、「調査士が次の各号の一に該当する場合には、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、その登録を取り消すことができる。一引き続き二年以上業務を行わないとき 二身体又は精神の衰弱により業務を行うことができないとき」、これを追加するのでございますが、これは現行の司法書士法十一条と調和をさしたものでございます。  それから、第十三条第二項中「前項第二号又は」を「第八条の二又は前項第二号若しくは」に、同条第四項中「第一項第二号又は」を「第八条の二又は第一項第二号若しくは」に改めたのでございますが、この調査士法の第十三条の第一項の規定は、司法書士法の第十二条、つまり懲戒処分に関する規定と同じでございまして、司法書士法の場合と調査士法の場合とを、条文の体裁は若干違っておりますが、同じような趣旨にしていこう、こういうことでございまして、先ほど申しました八条の二というのを新しく設けますので、この場合にも聴問等の手続をやるのだ、こういうことでございます。  それから、「第十四条第一項を次のように改める。調査士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一箇の土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)を設立しなければならない。」、これは先ほど司法書士会について申し上げましたと全く同一の趣旨でございます。  その次の「第十五条に次の三号を加える。六入会及び脱会に関する規定七会計に関する規定 八その他調査士会の目的を達成するために必要な規定」、これも先ほど司法書士会の十五条で申し上げた趣旨でございます。  それから、「第十五条の次に次の三条を加える。」、第十五条の二としまして、見出しは「(会則の認可)」ということでございますが、中身は、「調査士会の会則を定め、又はこれを変更するには、法務大臣の認可を受けなければならない。2 前項の場合において、法務大臣は、土地家屋調査士会連合会の意見を聞いて、認可し、又は認可しない旨の処分をしなければならない。」、これも司法書士会で申し上げました趣旨と全く同様でございます。第十五条の三、見出しは「(入会)」でございます。「調査士は、その事務所の所在地を管轄区域内に設立された調査士会に入会届を提出した時から、当該調査士会の会員となる。」、これも先ほど司法書士会のところで申しましたと同様の趣旨でございます。その次、第十五条の四、これは「(会則の遵守義務)」という見出しでございます。「調査士は、その所属する調査士会の会則を守らなければならない。」、これも司法書士会で先ほど申しましたものと同様の趣旨でございます。  「第十六条を次のように改める。」、これは見出しは「(調査士会の報告義務)」、「調査士会は、所属の調査士が、この法律若しくはこの法律に基く命令に違反し、又は第八条の二各号の一に該当すると思料するときは、その旨を、その調査士会の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に報告しなければならない。」、これは先ほど司法書士法の第十六条というもので御説明いたしましたあれと全く同様の趣旨でございます。  それから第十七条、これは土地家屋調査士会連合会の規定でございますが、「調査士会は、会則を定めて、全国を通じて一箇の土地家屋調査士会連合会を設立しなければならない。」、二項として、「土地家屋調査士会連合会は、調査士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、調査士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。」、これも司法書士法の第十七条で申し上げましたものと全く同一の趣旨でございます。  その次に、非調査士等の取締りの規定第十九条でございますが、第十九条の見出しを「(非調査上等の取締)」ということに改めまして、同条第一項中「調査士でない者」とありますのを「調査士会に入会している調査士以外の者」、こういうふうに変え、同条第二項中の「調査士でない者」とあるのを「前項に規定する者」というふうに改めようとするものであります。これも司法書士法の第十九条の改正のところで申し上げたと全く同一の趣旨でございます。  それから、あとは附則でございますが、附則も大体一項から五項までございますが、司法書士法のところで申し上げましたから、これは省略いたします。  要するに、これは両法案を同一歩調のものにしようということでございます。以上で説明を終ります。
  58. 高橋禎一

    高橋委員長 他に御発言はありませんか。——なければ、本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後二時五十四分散会      ————◇—————