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下牧説明員 それでは、命によりまして、この
法律案の
逐条説明をいたします。お手元に
外国人登録法の一部を
改正する
法律案逐条説明書という
書類をお配りしてございますと思いますが、これに基きまして、ごく
要点だけを申し上げたいと存じます。この
法律の
改正の趣旨と申しますか、その大きな
要点につきましては、ただいま
提案理由の
説明で申し上げたところでございますから、この点は省略いたしまして、
条文の順序を追って、新たな
改正点だけに簡単に触れてみたいと思います。
まず最初の第三条でございますが、これは、大きな点といたしまして、第一項で、
出入国管理令第二十六条の
規定による再
入国の
許可を受けて出国した
外国人が再び日本に戻って参りました場合を、その
新規登録の
条文からはずしまして、この点につきまして第十二条の二において新たな
規定を設けたという点が違っておるだけであります。あとは
条文の
整備でございます。
それから、次は第三項におきまして、従来新たな
登録をする場合の
申請猶予期間が六十日と定まっておりますが、これを延長する場合に、これは
都道府県知事の
権限でございましたのを、
市区町村長の
権限に移したという点が第二点でございます。
それから、古い
現行法の第四項と第五項を削除いたしておりますが、これは後に第十五条に統合いたしました。これは代理
申請に関する
規定でございますが、
規定の位置から申しましても内容から申しましても、従来ございました第十五条に一括統合した方が適当と存じまして、本条からはこれを削除いたしたわけでございます。
次に、第四条でございますが、第一項は単なる字句の整理でございまして深い意義はございません。問題はこの第二十号でございますが、第一項のうちの第二十号を新たに全部
改正いたしました。それは、従来
登録原票に記載する事項といたしまして市町村名及び作成の年月日というのをあげてございましたが、これは市町村の長の職氏名さえ書けば明らかになることでございます。作成の年月日は前の
登録の年月日という号もございますので、これで十分というので
改正したわけであります。
それから、第二項も単なる字句の訂正でございますが、従来
登録証明書というものが非常に重点になってこの
法律ができておりましたが、いろいろ考えてみますと、
登録証明書というのは本来
登録した
登録事項そのものの手控えと申しますか、それの証明をしたものにすぎないのでありまして、本
制度のねらいはあくまで
登録をさせるというところに重点がございます。その意床で、従来とも
登録証明書を中心に書かれておりました
規定を、
登録そのものに重点を置きまして、
登録証明書はそれのいわば反映というような趣旨で、
規定の立て方を直したのが大きな点でございます。実際の取扱いはこれによってさほど変るわけではございません。
それから第四条の第五項から七項までを削除いたしておりまするが、この場合も、第十五条の二に新たに
規定を設けまして、それに統合いたしておるわけでございます。この削除いたしました
規定は、後にも申し上げますが、これは
市区町村長が
登録事務を実施いたします場合にいろいろの事実を
調査いたしますその根拠
規定でございまするが、これは何も
新規登録の場合に限ったことではございませんで、一般に通ずることでございますので、後に
規定を持っていきまして、十五条の二というのを新たに設けたわけでございます。
それから、第五条でございますが、これも大体字句の整理を主とした
規定でございまして、重要な点はこの第二項でございます。これをちょっと読んでみますと、前項の場合において、言いかえれば
市区町村長が
登録をしてそして証明書を
交付しなければいかぬ、そういう場合に、いろいろな
申請に関する
調査をする必要があり、または大量切りかえの場合に非常に
事務が煩瑣になってくる、そのときに新たな
登録がはさんできたという場合に、どうしてもその場で
登録証明書を
交付することができない
事情がある場合には、何日から何日までの間に取りに来るようにということで、三日間ぐらいの
期間を指定しまして、その間に証明書を取りに来させて、場合によってはそれと同時に
指紋を押させて、そして
交付するというように措置いたしましたので、いわゆる市町村の
事務を計画的にならして行うようにする。その
規定が、再
交付の場合にも、それから引きかえ
交付の場合にも、あるいは本年度行われます切りかえ
交付の場合にもこれが準用されて、今度の
改正のねらいの目的、重点となる根拠
規定になるわけでございます。
それから、次は第六条でございますが、これも内容的には特に変った点はございません。第六条は、
登録証明書がいたんだり、あるいはよごれたりしたような場合に、古い証明書と引きかえに新しい証明書を
交付する、こういう
規定でございます。この点につきましても、内容的には旧法とほとんど変りありませんが、新たに第四項を設けまして、先ほど申し上げましたように
交付予定の
期間を設けて、そして市町村の
事務を平均化していくという
規定が新たに入ったのでございます。
それから、第五項を削除いたしましたが、これは、後に申し上げまするように、
登録証明書の
有効期間を廃止いたしましたので、その起算日の根拠となる従来の第五項の
規定は不要、無意味ということになりましたので、削除したわけでございます。
それから、新たに第七項を設けておりますが、これは全く
事務的な必要から設けた
規定でございまして、従来
登録証明書の引きかえ
交付をする場合には
申請の際に提出された写真を原票に張るほかに、原票には
指紋も押さなければならないわけでございますが、従来の原票の用紙では余白がございませんので、どうしても新しい用紙を使う必要がある。その結果、原票の書きかえもしなければいけないということに相なりますので、その根拠
規定をこの第七項に設けたわけでございます。そして、この
規定はやはり同じく再
交付の場合、それから切りかえ
交付の場合寺に準用されておるわけでございます。それから、第七条でございますが、この
改正点のおもな点は、第一項におきまして
申請書類を
簡素化いたしております。すなわち、第一号の
申請書を、従来二通であったのを一通に減らしておりますし、第二号の再
交付申請理由書二通というのを削除いたしたわけでございます。それで、初めの
申請書を一通に改めましたのは、後に申し上げまする再
交付について
都道府県知事の承認を受けることを必要としなくいたしましたので、その結果、この
申請書も一通でよいということになったわけであります。それから、理由書を浴しましたのは、これは
申請書の裏に簡単に書かせればいいという従来の経験にかんがみまして、これを不要といたしたわけでございます。
問題はこの第三項でございまして、従来
登録証明書の再
交付をいたします場合には
都道府県知事の承認が必要であったわけでございます。これは、いろいろ不正発行のような事例もございますし、そのおそれもありましたので、従来はその
規定を設けておいたのでございますが、このたびは、市町村吏員の素質も相当向上いたしておりますし、また同時に
指紋を押す
制度もできて参りまして弊害が少くなって参りますので、特にこれを市町村長限りにまかせましても心配はない、かように存じて
事務の
簡素化をはかったわけでございます。
それから、第四項は、先ほど申し上げましたように
交付予定期間を指定して
事務を平均化していくという
規定をここに準用してございます。
それから、第五項の
改正は、これは単なる字句の整理でございます。
登録証明書を再
交付した場合は、なくなったり盗難にかかったり滅失した古い
登録証明書は効力を失うという当然のことを
規定しておるのでございますが、この滅失したものが効力を失うというのは非常におかしいので、この滅失というのを省いただけでございます。
それから、第八項も、先ほど申し上げましたように、
登録原票書きかえの根拠
規定をここに準用してきたわけでございます。
それから、次は第八条でございますが、この点で最も重要な点は、
現行規定の第一項に
規定いたしまするところの、
居住地を
変更しようとする場合にはあらかじめ元の
居住地の
市区町村の長に事前の届出を必要といたしておりましたのを、このたびやめまして、新たに新しい
居住地の
市区町村長のところへ
居住地変更の
登録の
申請をすればいい、そしてそれを受けた新しい
居住地の
市区町村長から前の
居住地の市区可村長に対して
登録原票の送付を求めて、そして手当をしていく、こういうことに改めたわけでございます。この点で、これは
事務の
簡素化にもなりますし、また
外国人のためにも非常に
手続が簡便になったわけでございます。
それから、もとの
規定の第五項に、
居住地変更登録の
申請猶予期間を延長する場合に、従来は
都道府県知事の承認を受けなければならなかったのでごさいますが、これも、先ほど申し上げたのと同じ理由によりまして、この承認を要しないことに改めた点、これがおもな
改正点でございます。
次は第九条と第十条でございますが、これは前の旧法による第九条と第十条を新法では逆にいたしまして、前の十条を九条に持ってきて、前の九条に新法では十条に持ってきたわけでございます。この入れかえをいたしましたのは、新しいこの十条の
規定と申しますのは、これは
外国人に対する強行
規定ではございませんので、第八条の強行
規定と、それから新しい九条の強行
規定を先に並べて、そしてあとにそうじゃない
規定を持ってくるという、
規定の体裁を整えただけでございます。内容的にはこの第九条は大して違いはございませんが、ただ違っておりまするところは、この第一項の
変更登録の
申請をいたします場合に、その
変更を生じたことを証する書面というのを提出することになっております。従来はこれを提出させるかどうかは
市区町村長の自由でございましたのを改めまして、必ずこれは提出しなければならぬというふうに改めた点が違うだけでございます。
それから、第十条は、市町村または
都道府県の
廃置分合等に伸う
変更登録でございますが、従来はこれを
外国人の方から
申請させておりましたが、これはおかしいので、
申請を待たずに当然
職権をもって
変更できる、当然の考え方に改めたわけでございます。
次は第十一条、これが今度の
改正の最もねらいといたします大量切りかえ
交付の場合の
規定でございますが、まずこの第一項に、
登録証明書の
有効期間、これが従来は
交付の日から二年、こうなっておりましたのを削りまして、
登録証明書そのものには
有効期間は設けないということにいたしたわけであります。これはやはり、先ほど申し上げましたように、
登録という
制度は
登録させることそのものがねらいでございまして、それで
登録ということはもう現に行われている。それで、その
登録証明書というようなものは単なるそれを反映した証明書にすぎないということになりますから、理論的に申しますれば
登録証明書そのものに
有効期間を設けるというのはどうも考え方としては無意味じゃないか。しかしながら、いつまでも古い
登録証明書をずっと何年も持たしておくというのも、これは
外国人管理の上におきまして非常に支障がございますので、ある
期間を限って切りかえをする。しかし、その切りかえは、
登録原票に記載されている事項が真実の状況と合致しているかどうかということの確認をする意味においてその切りかえをする。こういう考え方が本来あるべき姿であろうかと思うのであります。従来の切りかえと申しますのも、そういう意味で行われておったのを、端的に、事柄をすっきりいたしますために、
登録証明書に
有効期間を設けておけば一番わかりやすいというので、こういう措置をとっておったのでございますが、このたびは、最初にも申し上げましたように、
登録証明書の
申請の日と、それからそれを
交付する間に相当のギャップができます。その間のつなぎをどういうふうにするかということをいろいろ考えました結果、これはやはりもとの
登録証明書をそのまま持たしておいて、新しい
登録証明書を渡したときにもとの
登録証明書の効力を失う、こういう措置にするのが最も
事務的にも簡便である、かように考えました結果、その
登録証明書の
有効期間を廃止いたしました。そのかわり、新しい
登録証明書を受け取らないという者が出て参りますると非常に困りますので、後に御
説明いたしますように、
登録証明書の受領の
義務を
規定いたしまして、それに罰則を付して、その受領を強制するという考え方に改めたわけでございます。
それから、もう
一つ重要な点は、従来の切りかえは、
登録証明書の
有効期間が二年であったがために、二年ごとに切りかえをいたしておりましたのを、今度の新法による切りかえはこれを三年にいたしました。それは、もうすでにこのときは、
指紋はとってございますから、特に二年にいたしませんでも、もう一年延ばしても事実上差しつかえはございませんし、またそれだけ国の経費も節約になると考えまして、ゆるめたわけでございます。
それから、この
条文で大事な点は、新しい第四項でございまして、第五条第二項の
規定を準用する、簡単な表現になっておりまするが、これは、最初に申し上げましたように、市町村の
事務をならして、
交付の予定
期間を定めて、そのときに
交付するというので、今度の切りかえには最もこれが働く
条文になるわけでございます。
それから、この第六項以下第十項までは新たに設けた
規定でございますが、この第六項は、引きかえ
交付、言いかえますると、
登録証明書がいたんだり、よごれたりしたために、古いのと引きかえてくれ、こういう
交付の
申請があった場合、あるいはそれをなくしたような場合に再
交付の
申請があった場合と、それから本条に
規定いたしまする切りかえ
交付の
申請が競合いたしました場合に、引きかえ
交付または再
交付をいたします前に切りかえ
交付によって新しい
登録証明書を渡してしまえば、前の引きかえ
交付あるいは再
交付の
申請に基く
登録証明書は、重ねて出さなくてもいい、むしろ出してはいけないんだ、こういう当然の
規定でございます。
第七項は、それに関連いたしまして、再
交付の
申請があり、また切りかえ
交付の
申請があって、切りかえ
交付によって新しい
登録証明書を出す、ところが、その前になくなったというので再
交付を
申請したその古い
登録証明書が、もし盗難等によって、あるいは紛失等によってどこか第三者の手に渡っておるようなことも考えられますので、そういうものは無効になるんだぞということをはっきりいたしました。これも当然の
規定でございます。
そうして、第八項で、そういう
登録証明書は、今度
本人の手元に戻ってきたような場合には、これはすぐ返納しなければいかぬぞ、こういうことを
規定いたしました。これも当然の
規定でございます。
それから、第九項は、さきにも申し上げましたように、
登録原票の書きかえをすることができるという根拠
規定をここへ設けたわけでございます。
それから、第十項、今申し上げました、この返納を受けた
登録証明書は、
市区町村長はこれを法務大臣に送付しなければいけない、無効になった
登録証明書の送付をさせまして、中央においてそれを保管してその散逸を防ぐということにいたしたい、かような趣旨でございます。
それから、第十二条は、従来とほとんど変っておりませんが、違った点は、この第一項の中で、再
入国の
許可を受けて出国する場合に、
登録証明書を従来は返納しているという点を、この
規定からは除きまして、次の第十二条の二に新たに
規定したという点でございます。
第十二条の二でございますが、これは、従来の厳密な解釈によりますと、前条の十二条によりまして、
外国人が本邦を出国する場合には、再
入国の
許可をとっているといなとにかかわらず、その
登録証明書を返納することになっている、そして新たに
入国した場には新しく
登録しなければいかぬ、厳密に申しますとそういう解釈になるわけでございますが、それに対しまして特例を設けまして、第十二条の二の第一項において、再
入国の
許可を受けて出国する
外国人は、その出国港において
入国審査官にその
登録証明書をまず預けていく、そうすると、第二項によって、
入国審査官はその
登録証明書を
本人が出国前に居住していたところの
市区町村長に対して送付する、それで、その
外国人が本邦に再
入国いたしましたときは、第三項により、その
入国本人が出国前に居住した当該
市区町村の窓口に出頭いたしまして、その
入国審査官から送付してあった
登録証明書の返還を受ける、それで、そういう
申請があった場合には、
市区町村長はこれを
本人に返還しなければいけない、こういうふうな考え一方に改めたわけでございます。そこで、再
入国によって新たに
入国した
外国人は、あらためて第三条による
新規登録をいたしませんでも、古い前の
登録証明書を返してもらえばそれでいい、こういうことにいたしたわけでございます。
それから、次は十三条でございますが、これももとの
規定と大して相違はございませんが、新たに
登録証明書の受領の
義務というのをここにはっきり定めたわけでございます。これは、先ほど申し上げましたように、大量切りかえ等の場合に新しい
登録証明書を受け取らないという者が出て参りますと、古い
登録証明書はその
有効期間を廃止いたしましたので、いつまででもそれを持っておって切りがつかない、それでは困るというので、ここに受領の
義務というのを明定いたしました。もちろん従来からこの
登録証明書の携帯
義務というのがございましたので、古い
規定によりましても、
登録証明書を受け取らないがために携帯しておらないという者は、当然携帯
義務違反として処罰を受けておったのでございます。この受領の
義務違反に対して罰則を設けておりますが、実質的には従然の取扱いと大した変りはございません。それから、十三条のただし書きでございますが、これは従来の第四項にあった
規定をこのただし書きに持ってきただけでございまして、内容的には変っておりません。
それから、次は第十四条の
指紋の押捺に関する
規定でございますが、おもな
改正点といたしましては、第二項以下四項まで新たに加えました点が、
規定の
改正としては大きく変った点でございます。
まず第一項でございますが、これは、
条文の整理のほかに、従来
指紋を押すべき
書類として
登録証明書交付申請書、それから
登録証明書引替
交付申請書、それから再
交付申請書というものを載せてございましたが、これらの
申請書に
指紋を押させる必要はございませんので、これを削りまして、
指紋を押すべき
書類としては
登録原票、それから
登録証明書、それから
指紋原紙だけに押させる。
指紋原紙には二葉に押させまして、一葉は
第一線に残しておき、一葉は中央の
法務省に送付させまして、
法務省でそれを鑑識分類するということにするわけでございます。それから、新たに後段を設けまして、代理人がかわって
登録証明書の
交付を
申請する場合にも、
指紋は
本人が押さなければいけない、その場合にただいま申し上げた
書類に押させるということにいたしたわけであります。
次は第二項でございますが、これは新たに設けた
規定で、
指紋をいつ押させるかという
規定でございます。それで、まず
本人自身が
登録証明書の
交付申請に出頭いたしました場合には、
指紋はその
申請と同時に押させるのを原則といたしますが、先ほど御
説明いたしましたように、
登録証明書の
交付予定日を定めまして、
登録証明書の
交付の
申請と実際にこれを
交付する日が別々になる場合、その場合に、
本人の
事情あるいは
事務所に非常に
事務が錯綜しておってその場でとうていこれを押させることができないといったような特別の
事情がある場合においては、
登録証明書を実際に
交付する日に
指紋を押させてもよろしい、いわゆる大量切りかえに伴うところの
指紋の押捺の時期もこれによってならしていこうというわけでございます。それから、代理人によって
申請をいたしました場合の
本人の
指紋押捺の時期でございますが、これは代理人が
本人にかわって
申請せざるを得なかったような特別の
事情、たとえば病気とか、そういう
事情が
登録証明書を実際に受領するときまでにやんだときは、これはそういう故障がやんだその後直ちにではなくて受領のときまで延ばしてやろう、そうして受領のときに押しさえすればよろしい。しかし、実際に
登録証明書の
交付を受ける、言いかえれば受領するときまでにそういった故障がやまないときは、故障がやんだときにこれを押させる。常識的に申し上げて当然な結論かと存じますが、かように
規定いたしたわけでございます。
それから、次の第三項でございますが、これは政令に対する委任の根拠
規定をここに設けましたので、その
規定する内容は、まず第一点といたしまして、
指紋押捺の
方法でございます。けがをしているときにはどういうふうにするとか、いろいろこまかいことを
規定する必要がございますので、これを政令にゆだねた。それから、次は、第二項の
規定によって
指紋を押すべき時期のきまった者が、その時期に押すことができない場合には、何とか手当をいたさなければいけない。そういうこまかい第二項でこぼれたようなものを第三項のこの政令の中で拾う。それから、そのほかこの
条文を実施するための必要な施行
規定を定めるということにいたしたわけでございます。
それから、この第四項は、十四才未満の者については
指紋制度は適用しない。これは旧法にはございませんでしたが、従来これに基きまして
外国人登録法の
指紋に関する政令というものを設けておりまして、その政令の中で同様に除外しておりましたのを、今度
法律で明らかにいたしたわけでございます。
次は第十五条でございますが、第二項は旧法と字句の整理をいたしましただけでほとんど変っておりませんが、第一項を新たに設けたわけでございます。
この第一項の内容といたしましては、
本人の出頭
義務というのをここに朗らかに定めたわけでございます。この
法律によって、いろんな
登録証明書の
申請、またその受領あるいは提出をいたします場合に、原則としては
本人がみずから
事務所に出頭しなければいけない。これは訓示
規定と申しますか、従来でも代理人による
申請の
規定がありました以上は、これはその前提として
本人出頭の
義務というのが当然前提になっておりましたのを、このたび明文で明らかにいたしただけでございまして、この違反に対しましては罰則があるわけではございませんし、従来からも
本人の出頭を求めてやっておっただけのことでございます。詳細の
説明につきましては
逐条説明書の中へ記載しておきましたから、こまかいことは省略いたすことにいたします。
それから、次は第十五条の二でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、古い
規定の第四条の五号から七号までを削除して、事実の
調査に関する
規定をここに持ってきた。ただ、違っている点は、この第一項の後段におきまして、「この場合において、必要があるときは、当該
申請をした
外国人に出頭を求めることができる。」、出頭要求の
規定を設けたのでございますが、これももちろん強制力を伴うものではございませんし、これに応じなくても何らの制裁もあるわけではございません。当然のことを
規定しただけでございます。
それから、第十六条、これは
条文の整理にすぎません。
それから、第十七条、これも
条文は非常に簡単になっておりますが、従来の
規定を平易に書き改めただけでございまして、内容的に変りはございません。
次は第十八条の罰則でございますが、まず第一号におきまして違った点は、字句の整理のほかは、再
入国の
許可を受けて出国した
外国人が再
入国をした場合の
登録証明書の返還
申請義務の違反、これを罰則に追加いたしました。
それから、次は第二号でございますが、この
改正点のおもな点は、旧法の第二号によりますと、これこれの「
規定に違反して
登録証明書の
交付、再
交付又は書換の
申請に関し虚偽の
申請をした者」、こういう書き方になっておりましたが、この「
規定に違反して」云々をとりまして、端的にこれこれの「
規定による
申請に関し虚偽の
申請をした者」、こう表現を改めたわけでございます。この理由は、大体これらの
規定の対象になる
外国人を主体として「
外国人は」という書き方をいたしておりまするので、その違反をする者は
外国人に限られるという解釈が出るおそれがあったわけでございますが、そういたしますと、日
本人がたとえば
外国人と偽わってこの
登録をしたような事例を押えることができませんので、それで、その主体が
外国人であるということを省くために、これこれの「
規定に関し虚偽の
申請をした者」、こういうふうに表現を改めたのが第一点でございます。
それから、その次は、第十二条の二第三項の
規定というのをここへ挿入いたしまして、再
入国した場合における
登録証明書の返還請求に関し虚偽の
申請をした者、これをも罰則の対象に加えたという点が違っておるだけでございます。
それから、第三号は、カッコの中を入れたのが違いまして、代理人が
本人にかわって
申請する場合にこれを妨げた者を処罰の対象としてはっきりさせた意味でカッコを入れて補った点と、それから、ただいま申し上げましたように、再
入国の場合の返還請求を第三者が妨げたような場合、これを追加いたしましたわけでございます。
それから、第四号は、これは
条文の整理のほかに、従来は
登録証明書の切りかえ
交付に関する二重
申請を罰則の対象にいたしておりました。旧法で申しますと、「第十一条第五項において準用する第三条第六項」というのがそれに当りますが、この切りかえの二重
申請ということは実際問題としてちょっとその例がございませんで、罰則として押えるのは
新規登録の場合の二重
申請だけ押えておけばいいというので、その切りかえの場合の二重
申請の罰則を落したわけでございます。
それから、第五号でございますが、これは、この引きかえ
交付の場合に著しく
登録証明書がよごれたり、あるいは破れたりしたような場合に、
市区町村長がそれを発見いたしますと、これに引きかえ
交付の
申請をしろということを
命令することができることになっておりますが、従来はその
命令に従わなかった者だけを処罰の対象といたしておりましたが、新しい第五号では、そのほかに、その
命令を受けた
外国人またはその代理人が引きかえ
交付の
申請をするのを妨げた者もここに載せまして、それで罰則の対象になるということを明らかにしたわけでございます。従来とも解釈上そういう解釈がとられなかったわけではございませんけれ
ども、疑義をなくする意味において
条文上明らかにしたということでございます。
それから、第六号でございますが、この点は、
条文を整理いたしましたほかに、
登録証明書の切りかえ
交付の場合における古い証明書の返納
義務違反、これを
一つ追加いたしました。それから、
登録証明書を紛失した、あるいは盗難にかかったということで再
交付を受けた場合に、その前の
登録証明書を発見してこれを回復した場合、これをやはり
市区町村長に返納いたさなければならない。その
義務違反もここに追加いたしました。それから、再
入国の
許可を受けて出国する場合に
登録証明書を預けて行く。それを預けずに行った、その
登録証明書の提出
義務違反に対する罰則をここへ明らかに
規定いたしました。これは今までの
規定を整理した結果に基く罰則の整理でございます。
次の第六号の二でございますが、これは新しく設けた
規定でございまして、
外国人またはその代理人が第六号に掲げる
登録証明書の返納または提出をしようとするのを妨げた者に対する罰則を設けたわけでございます。いろいろ書いてございますが、第六号を受けた
規定でございます。
それから、第七号で新たな
改正点は、
登録証明書を受領しない罪、これを新たに定めたわけでございます。従来携帯
義務の違反でまかなった分を、今度は携帯と受領ということの
義務を両方離しまして、切りかえ等の場合にどうしても
登録証明書を受け取らぬという者が出て参った場合には、これでもってその受領を強制するということにいたしたわけでございます。それから、第二点といたしましては、
外国人または代理人による
登録証明書の受領を妨害した者に対する罰則を設けたわけでございます。
次は第十号でございますが、これは旧法の「行使の目的をもって、
登録証明書を他人に譲り渡し」云々という、この「他人に」という点を削ったのでございます。これは解釈で当然とは思いますが、「他人に」があるために、前の
登録証明書は自分名義の
登録証明書じゃなければいかぬのじゃないかというような疑問を持つ向きもございましたので、それで、いっそ削っちゃって、自分の
登録証明書を譲ってもいけないし、他人から一たん譲り受けたのをまた譲り渡してもいけない、こういうように、当然のことを
規定・したわけでございます。
それから、第十九条でございます。十九条はいろいろございますが、単に
条文の整理にすぎません。
それから附則について御
説明いたします。附則の第一項でございますが、
この
法律の施行日は「公布の日から加算して六箇月をこえない
範囲内において政令で定める日から施行する。」、こういたしましたのは、この
法律の制定に伴いまして、先ほどの十四条に
規定をいたしております政令その他附属法例の
改正を行う必要がございますし、またいろいろな
事務的な準備をいたさなければなりません。しかもその結果を
都道府県及び
市区町村長に周知徹底させるための
期間も必要でございます。しかも
本法全体のねらいがこの十月末ごろから行われる大量切りかえに対処するというのが基本的なねらいでございますので、大体八月くらいまでに準備を整えて施行いたしたい、かような考え方のもとにその
施行期日を政令に譲ったわけでございます。
それから、第二項でございますが、この
登録証明書の
有効期間二年というのを廃しまして、しかもその切りかえを一年延ばして、新法によれば三年
目ごとに切りかえる、こういうことにいたしました結果、経過
規定を置かずにほうっておきますと、本年十月末から行われる大量切りかえも当然一年延びることになってしまいます。それでは困りますので、ことしやる切りかえははっきりやるぞということで、その分に限ってこれは二年とし、従来
通り二年として切りかえを行うぞということをここで明らかならしめたわけであります。しかも、一ぺんこの
法律によって切りかえをやった者については特例を設ける必要はございませんので、ただし書きでその分を落していこう、こういうわけでございます。
それから、第三項は、再
入国の
許可を受けて出国した
外国人がこの
法律の施行後に戻ってきた場合でございますが、これは経過
規定を置かずにほおっておきますと、出国前に居住した市町村の窓口に行って
登録証明書の返還を受けなければいかぬというあの
規定が乗ってくるわけでございますが、もともとこの
法律施行前に出国した者は、
法律の建前といたしましては、もうすでに出国の際に十二条によって
登録証明書を返納して出ていってしまっている。新しい措置が講ぜられておりませんので、この者については第三条第一項によって
新規登録をするということを明らかにいたした次第でございます。
以上、簡単でございますが、
逐条説明の要旨のみ述べて終ることにいたします。