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1955-12-21 第24回国会 衆議院 法務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月二十一日(水曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 福井 盛太君 理事 田中幾三郎君       小島 徹三君    小林かなえ君       世耕 弘一君    林   博君       古島 義英君    松永  東君       宮澤 胤勇君    横井 太郎君       佐竹 晴記君    吉田 賢一君  出席政府委員         法務政務次官  松原 一彦君  委員外出席者         検     事         (入国管理局次         長)      下牧  武君         参  考  人         (警視総監)  江口見登留君         参  考  人         (警視庁刑事部         長)      小杉 平一君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 十二月二十一日  委員益谷秀次君辞任につき、その補欠として犬  養健君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員及び小委員長の選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭に関する件  法務行政に関する件     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。すなわち、今国会におきましても、前国会と同様に、議長承認を得て、その所管事項について国政に関する調査をいたしたいと思います。本委員会といたしましては、一、裁判所行政事務に関する事項、二、法務行政及び検察行政に関する事項、三、国内治安及び人権擁護に関する事項、四、違憲訴訟手続上訴制度及び最高裁判所機構改革に関する事項、五、外国人出入国に関する事項、六、交通輸送犯罪に関する事項、七、売春問題に関する事項、八、戦犯服役者に関する事項、以上の各事項につきまして国政調査承認を要求いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、国政調査承認要求書の作成並びに提出手続等につきましては委員長に御一任を願います。     —————————————
  4. 高橋禎一

    高橋委員長 次に、小委員会設置についてお諮りいたします。すなわち、ただいま決定いたしました国政調査承認要求議長において承認されましたならば、前国会通り最高裁判所機構改革に関する小委員会交通犯罪防止に関する調査小委員会及び外国人出入国に関する小委員会を設置し調査に当りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  次に、ただいま設置するに決しました小委員会の小委員及び小委員長についてお諮りいたしますが、小委員及び小委員長委員長から指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、ただいまから御指名いたします。  最高裁判所機構改革に関する小委員会   小委員    池田 清志君 小林  鋳君    椎名  隆君 高橋 禎一    福井 盛太君 三田村武夫君    松永  東君 猪俣 浩三君    田中幾三郎君 古屋 貞雄君    細田 綱吉君   小委員長 三田村武夫君  交通犯罪防止に関する調査小委員会   小委員    池田 清志君 椎名  隆君    高瀬  傳君 高橋 禎一    林   博君 福井 盛太君    三田村武夫君 猪俣 浩三君    佐竹 晴記君 田中幾三郎君    吉田 賢一君   小委員長 池田 清志君  外国人出入国に関する小委員会   小委員    池田 清志君 椎名  隆君    高瀬  傳君 高橋 禎一    花村 四郎君 福井 盛太君    三田村武夫君 佐竹 晴記君    古屋 貞雄君 細田 綱吉君    吉田 賢一君    小委員長 高瀬  傳君  以上それぞれ御指名申し上げます。     —————————————
  7. 高橋禎一

    高橋委員長 法務行政に関する件について調査を進めます。  この際本件について江口警視総監及び小杉警視庁刑事部長参考人と決定いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。  それでは通告に従って質疑を許します。池田清志君。
  9. 池田清志

    池田(清)委員 私は、この際二つの問題につきまして真相究明し、善後措置をたださんとするものであります。その一つ興安丸帰国いたしましたところの引揚者に関する問題であり、その二つ王子警察署管下交番爆発事件であります。  まず第一に、興安丸引き揚げて参りました帰国者の問題についてお尋ねをいたします。今回の引き揚げ中華民国から帰ったものでありまして、日本中華民国との間にはいまだ正常の国交が回復されておりませんところから、これらの引き揚げの問題につきましては赤十字機関等を初め民間の団体の交渉によりましてこれが実現されて参りましたことは御同慶にたえません。両国の正式交渉によらないところの引き揚げではありまするけれども、両国民がおのおのこれに深い理解を持ってなされておりますことは当然であります。国内におきまして一日も早く帰ってきてほしいと待ちわびておりました関係方々から申しますと、一日千秋の思いで待っておられた方々であります。これらの方々をあたたかい心をもって迎えますことは当然のことであると思うのであります。  さて、国の行政の立場から考えまするに、御承知のように、出入国管理令によりまして入国審査が行われたのでありまするが、その結果、伺うところによりますと、わが国の国籍を有せざる者、普通であるならばわが国に入ってこれないと思われるような方々も入っておるやに伺うのでありまするが、まずその真相をお尋ね申し上げたいと思います。
  10. 下牧武

    下牧説明員 舞鶴からの電報によりますと、今度の興安丸引き揚げて参りました総数二百八十三名中、外国籍を有しておりまして問題になると思われる者が七十四名ございます。そのうち五十名は大体われわれが日本人帰国に準じて港だけの審査在留資格を与えて問題のないケースと思われますが、あとの二十四名については、出入国管理令に照らして一応審査を遂げなければならないものと存じております。その内訳を申し上げますと、一名は日本人に同伴したソ連人の母でございますが、これは情報程度でございますが、七十才くらいのおばあさんらしゅうございまして、おそらく日本特別許可でも与えなければならないケースかと存じております。それから、そのほかに日本人の妻に同伴した中国人の夫が十九名入ってきております。これは一応審査をした上でなければ在留資格を与えるかどうかという点は決定いたしかねるかと存じております。それから、単独入国した中国人が五名おりますが、このうちの一名も七十才くらいのおじいさんで、日本におる中国人子供をたずねてきたというような事情のようでございます。これらは特別に考えられる事案かと思います。そのほかに単独入国した中国人に同伴した子供が一名ございます。これらを合せまして二十四名が問題になるケースかと考えております。
  11. 池田清志

    池田(清)委員 かねてわが国にいわゆる不正に入国する者があるわけであります。その不正入国者につきましても、入国審査手続を経まして在留許可を与える等のことが許されておるのでありますが、今回引き揚げの中に入ってこういうような者があったということに私は重大な問題があると考えるものであります。これに対しまして、当局といたしましては、この事柄不正入国と判定されておるか、それともどういう程度に解釈をしておられるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  12. 下牧武

    下牧説明員 もちろん、正規の旅券を持たずに入ってきておりますので、出入国管理令に照らしまして不法入国として扱っております。ただ、港においてすぐ上陸拒否をいたすというのはいかがかと存ぜられます。と申しますのは、やはりそれぞれの特殊事情があってみな参った方々だろうと思われますので、一応港においては上陸を認めて、それから落ちつく先に落ちつかせた上で、それぞれ所轄の管理事務所に出頭せしめて、その事務所において正規違反調査手続を終え、その結果法務大臣の裁決によって在留を認めるかいなかを決する、こういう段取りにいたす考えでおります。
  13. 池田清志

    池田(清)委員 ただいまの御説明によりまして、不法入国者に対しまする当局処置、態度というものを伺ったのでありますが、それらの個人々々につきましてこれらの行政処置がなされますのには相当時間がかかるものもあろうかと思うのであります。そういう厳密なる審査をいたされた後在留許可の与えられる者には許可が出ると思うのでありますが、与えることのできない人がありました際においては、一体いかなる処置をとられる所存でありますか、お尋ねしておきます。
  14. 下牧武

    下牧説明員 在留を認めることができない者に対しましては、強制退去処分をいたすよりほかはないかと存じます。その上で、普通のやり方といたしますれば、自費出国の勧告をいたしまして、それで出ていけばよろしゅうございますし、それでも聞かない場合には、場合によって収容いたしまして、強制送還という最後の手段をとらなければならないか、かように考えております。
  15. 池田清志

    池田(清)委員 興安丸関係はそれで終りまして、次に第二の問題の王子署管内交番爆発の問題についてお尋ねいたします。  十九日王子署の上十条二丁目交番が爆破されたという事件発生したのであります。時あたかも歳末でありまして、都民を初めといたしまして、国民全体が治安が守られよかしと願っているときなのであります。昨朝の新聞によりまして、この報道を見ましたところの私は、一種異様の感に打たれざるを得なかったのであります。その爆発が、普通のところならばいざ知らず、国家治安の最先端を守っております交番においてこれが行われたということについて、私は事柄を重大に考えざるを得ない一人でございます。これらの問題を究明するに当りまして、まずその真相警視総監から御報告していただきたいと思います。
  16. 江口見登留

    江口参考人 一昨日の夜管下におきまして巡査派出所が爆破されて、警察官が二名重軽傷を負いました。御指摘の通り希有な不祥事が発生いたしまして新聞紙上を騒がしております点につきましては、まことに恐縮いたしておるのでありますが、一昨日の夜発生いたしました事件の概要について一応私から御説明申し上げます。  爆破の時刻でございますが、大体十九日午後十時十六分ごろと考えられるのでありまして、それは重傷を受けました松田巡査の腕時計がその時刻をさしてとまっているところから察せられるのであります。場所は御承知と思いますが王子警察署の上十条二丁目の巡査派出所であります。負傷しました警官は二名でございますが一人は三十五才になります松田巡査で、この巡査は鹿児島県の出身であり、十年前に警視庁巡査を拝命しておるのでありますが、負傷の程度は、爆風でひどくやられまして、顔面はほとんど全部、両眼、耳等も非常な故障を起しております。あるいは両下肢の方も、あるいはガスのためでありますか腹部が非常にはれております。昨日私もお見舞に参りましたが、多少奥さんを通じて話ができる程度になっておりますし、目の方もあるいは失明せずに済むのではないかというふうに判断されております。本日から目に入っております夾雑物を取ろうという治療に入ることになっております。入院しております病院付近岸外科病院であります。この巡査は、本来は上十条五丁目の派出所勤務でございますが、当日は補欠勤務としてここに回されていたためにこの奇禍にあったということになるわけでございます。もう一人の巡査佐野巡査でありますが、佐野巡査前額部に二針ほど縫います傷を受けております。この方は十日間ぐらいで全快する、前の松田巡査は化膿その他合併症が出なければ一カ月で回復するのではないかと診断されております。この佐野巡査の方は、一昨夜はショックを受けて相当発熱しておりましたが、きのうは熱も下りまして、きのうの夕方には自宅に帰って療養することになったそうでございます。  損壊物としましては、その派出所が木造準耐火作りでありまして、この四坪半ほどの交番か半壊いたしております。それから、その隣に大門という印判屋がございますが、その印判屋交番寄りの方の壁が爆破されております。そうして、店内の商品等にも多少の損害を受けて、ショー・ウインドー並びにガラス戸だなのガラスが破壊されております。なお、交番の道路を隔てて隣側あるいは前の商店にも二、三コンクリートの破片などが飛びまして、ガラスが数枚割れておるというような状態であります。  発生当時の勤務員状況を申し上げますと、当夜は三人勤務でありまして、松田巡査は九時半から十時三十分までの立番勤務を命ぜられておったのであります。佐野巡査はその交番の裏の部屋で畳の上でふとんを着て休憩中であったのであります。従って、出ておる頭だけがけがをするというようなことになったわけでございます。もう一人の古木巡査警ら勤務中でありまして、外に出ておったのであります。  爆発時の状況を申し上げますと、松田巡査立番勤務中に、午後十時十一、二分ごろ、十七、八才ぐらいの女がその交番所に参りまして、一丁目八番地はどこでしょうかというようなことを尋ねましたので、同巡査は、派出所入口を背にして、後の方の戸だなから案内簿を出しまして、それを見ておるとたんに、入口の方でいやな臭気がしますので、それを見るために振り返ったとたんに全面的に爆風を受けたのであります。佐野巡査は、休憩室でうとうとしておりましたときに爆発音を聞いてびっくりしたのでありますが、それ以前のことは何も承知いたしていないのであります。古木巡査は、上十条三丁目あたりで爆発音を聞いたのでありますが、付近には旧造兵廠の建物がありまして、米軍がいろいろ作業をしておりますので、その事故による爆音かと考えて、そのまま警らを続行しておりましたところ、国鉄の十条駅付近でこの事件発生を聞きまして、急遽派出所に帰っておるのであります。  この爆音を聞きまして、たまたまその通りを隔てた前の飲食店で飲食しておりました某新聞社記者がいきなり交番へかけつけて参りましたところ、その派出所から巡査が拳銃一丁をかけてよろよろと出てきて、交番の表で倒れたので、その記者は走り寄って背中をさすったりして百十番、百十番と叫んだようであります。この百十番を呼べという声を聞いて、付近商店から十時二十分ごろに、この交番爆発して巡査が大けがをしたという電話が警視庁の方の指令室に入りましたので、指令室からはたまたま板橋署管内をパトロールしておりました。パトロール・カーの遠山巡査に命令を下しまして、直ちに現場に急行させたのであります。急行するに要する時間は二分であったのであります。そこで、直ちに倒れておる人を収容した。これが服がボロボロになっておりますから、一見してわからなかったようでありますが、それが松田巡査であるわけでありまして、それをすぐ岸病院に運びまして、そうしてほかにまた別の救急車が参りましたので、それによって佐野巡査をもう一つ鈴木病院というところ、に入院させることができたのであります。百十番の指令を受けました宿直主任は直ちに署長にその旨を報告するとともに、全派出所宿直員待機寮その他に連絡いたしまして、全員を招集いたしましたほか、第五予備隊一個中隊の十出動を要請しまして、緊急手配を行いまして、この事件究明のための捜査を開始いたしたのであります。  なお、警視庁本部からも、捜査一課、鑑識課の係官が直ちに現場に急行いたしまして、実況検分を行い、引き続き午前九時より現場におきまして爆発物その他捜査資料を得るために詳細な検査を行いましたところ、完全爆発、完全燃焼しておりますので、焼け残りのものは全然ないのであります。従いまして、現場付近の土砂とか損壊物件等をただいま鑑定中でございます。昨日の午前九時に王子警察署特別捜査本部を設けまして、刑事部長直接指揮のもとに関係各部の協力を得まして総合的捜査をお願いしておりますが、まだ現在の段階におきましては基礎捜査の域を出ません。捜査の経過についてまだ詳しく御報告するまでに至っておりません。  大体の状況は以上でございます。
  17. 池田清志

    池田(清)委員 ただいま警視総監から事件真相を詳しく御報告いただきまして、感謝をいたします。思わざる災害を受けられました両名の警察官に対しましては深く御同情を申し上げる次第であります。私が最も究明をしていただきたいと思うことは、この事件原因のことであります。この原因がもしそれ勤務中の警察官個人に対することであると仮定いたしますならば、私はさしてそう重く考えないのであります。しかしながら、もしそれこの原因国家治安を担当いたしまする最前線機関に対してのことであるか、それともまたその背後に思想的の関係があるか、あるいはまた国際的な関係等があるかというようなことになりますと、これまことに重大な問題でありまして、私はこの真相究明には最も精密にしかも迅速に明らかにしていただいて私どもが心配する必要がないようにしていただきたいと思うものでありますが、ただいま捜査が進行中でありまして、あるいは発表できない点もあろうかと存じますけれども、お差しつかえのない程度において、この原因についてお知らせをいただきたいと思います。
  18. 江口見登留

    江口参考人 まだその件につきまして詳細御報告申し上げる段階に達しておりませんが、御心配の通りもし公安関係というような事実が背後にでもありますならば、まことにゆゆしい問題でございますので、それらの点も抜かりなく、この捜査本部には公安関係専門警察官数十名を加えまして、そういう点についての捜査も同時に実行中でございますが、ただいまのところでは、あるいはそういう方面の嫌疑はないのではないかとは思っておりまするが、ここ数日たちませんと、ただいまこれ以上何とも申し上げられませんので、御了承を願います。
  19. 池田清志

    池田(清)委員 最後一つ、むしろお願いでありますが、治安の維持といたしましては、御承知のように、警察当局最前線にあられまして一番御苦労を願っておるのであります。ところが、その警察の一番先端にあります機関自身爆発をせられ、警察官の同僚の中に被害をこうむった者も現われたというようなこの現象によりまして、もしそれ警察官自体士気が衰えるというようなことになりましたら、まことに私は遺憾に思うのであります。警視総監におかれましては、これらの点についていち早く士気向上の御指導をいただいておるように伺いますけれども、御苦労ではありますが、さらに警察官全体の士気高揚のために格段の御努力をお願い申し上げたいと思います。これにつきまして、総監の御抱負等がありましたら、拝聴させていただきます。
  20. 江口見登留

    江口参考人 こういう事件のために非常に勤務に懸念を持つというようなことが起りましては、歳末警戒途上でもありますし、はなはだ遺憾なことでございますので、ただいまのお話の通り全署員を激励督励をいたしますとともに、この事件の解決のためには警視庁の全能力をあげ、警視庁の面子にかけても、すみやかにこの事件を解決したいと考えております。
  21. 小島徹三

    小島委員 関連して伺いますが、一つは、けさの新聞を見ますと、ちょうど爆発の寸前にその辺におった女がつかまったということを書いてありますが、そうですか。
  22. 江口見登留

    江口参考人 実は、昨夜十時過ぎおそくになりまして、先ほども申し上げました松田巡査に道を聞いたという一七、八になる女が出て参りました。私は非常に迷惑をこうむっているという申し出があったのでありますが、昨夜おそいことではありますし、本日また、果してその女が松田巡査の話しております女であるかどうかという点の裏づけ捜査はこれから固めていきたいと思っておりますが、大体松田巡査の話を総合するに、それがその女ではないかと認められております。
  23. 小島徹三

    小島委員 私は、この際一つお願い申し上げておきますが、先ほど池田委員の言ったように、巡査自身個人的な問題についてこういう事件が起きたということでありますならば、これは格別でございますけれども、そうでなくして、思想的な問題があるとは考えませんが、その他、第一線警官として職務上行なった行為に対しての何らかの反感が原因となってこういう事件が起きたということでありますならば、何といっても、第一線を強化する必要のために、これらの者に最大の慰謝をしてやるという方針をとっていただきたい。これは前線の巡査を一番激励する道だ。死んでも何もしてもらえないのだ、ただ一片の慰謝料とわずかな香華料くらいのことで取り扱われてしまうということは、実際においてやはり人間は物が多少影響するのでありますから、どうぞその点を十分御注意願いたいと思います。
  24. 高橋禎一

    高橋委員長 この際警視総監より発言を求めておられますので、これを許します。
  25. 江口見登留

    江口参考人 第二十二回の国会衆議院法務委員会会議録の第三十四号の中でありますが、売春等処罰法案審議の際においての神近市子委員質問に対しまして、私が参考人として答弁いたしましたことが載っておりますが、その中で十八ページ上段七行目から十七行目の間の陳述は、左記理由によりまして訂正いたしていただきたいということを、法務委員長あてに私からお願い申し上げておきましたので、その点を御報告申し上げたいと思います。  この陳述は、昭和二十四年五月東京都議会における売春等取締り条例審議の際に、一婦人議員質問に対して提出した答弁書の内容を引用せんとしたのでありますが、言葉不足のため、あたかもその婦人議員質問したかのごとき表現となっておりまして、十分意を尽していないために訂正をお願いしたわけでございます。それはこういうふうに書いてあります。「二十四年の条例ができましたときには、都議会でもある婦人議員が当分の間はこの条例赤線地域には適用しないでしょうねということを質問しております。理事者はその通りだ、ああいう人たちを厳重に取り締る場合にはいろいろな施設を考えてからでなければできないであろうということを答えております。」というようなことを私が述べておるのでありますが、「本条例においては売春取締につき散娼又は集娼等その形態に関し何等差別を附しておらないのであるが、警察の任務は広汎であり人員には限りがあるため直ちにすべての取締を同時的に行うことは困難であるし又国会における売春等禁止法制定迄の空白時の取締条例であるから先ず当面緊急な露骨化した売春取締り更によく弊害の徹底をきわめつつ逐時本条例趣旨達成に努める」と答えておるのが警視庁からの答弁書でありますが、これらと、その婦人議員質問などを勘案しまして、先ほど申しましたようなことを述べたのでありまして、この点、言葉が足りませんでしたので、訂正をお願いいたす次第であります。
  26. 高橋禎一

    高橋委員長 ただいまの江口警視総監訂正申し入れについては、委員会において了承いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 高橋禎一

    高橋委員長 なければ、さよう決定いたします。
  28. 椎名隆

    椎名(隆)委員 警視総監に一、二点伺います。松田巡査立番勤務中午後十時十一、二分ごろ十七、八才の女が同派出所に来た。そして、一丁目八番地はどこでしょうと聞いた。その直後にあの爆発事件が起きた。十時十一、二分ごろに女が来たということのわかったのはいつごろなんです。
  29. 江口見登留

    江口参考人 十九日の夜この事件が起りまして、先ほど申し上げましたように、署長がさっそく報告を受け、署長松田巡査本人について事情を聞きただしたのでございます。その時分にはまだ大きな声で署長が話をすれば通じたらしいのでございますけれども、その後非常に耳が悪くなりまして、話ができなくなった。きのうの夕方くらいからまた少し奥さんを通ずれば話ができるということになったのでありまして、この直後においては署長と大声で話をして、松田巡査から聞いたのがこういう事情であったわけでございます。
  30. 椎名隆

    椎名(隆)委員 それで、その直後に十七、八才の女が来たのがわかって、捜査を開始したのが同時であったのでしょうか。あるいは、それからどれくらいおくれてから捜査が開始されたのでしょうか。
  31. 江口見登留

    江口参考人 現場の保存ということが一番大切でございますので、直ちにその方の手配をいたしますし、さらに捜査本部の設置はきのうの午前九時ということになっておりますが、もちろんそれまでにいろいろ捜査の基本方針をきめたりなんかいたしますので、実質的な捜査は直ちに始まっておると申し上げて差しつかえないと思います。
  32. 椎名隆

    椎名(隆)委員 私は、現場の保存も大事には違いないが、少くとも十七、八才の女が来て、その直後にできたとすれば、その事実がわかったと同時に捜査を開始するのが当然だと思うのです。警視庁には昨年度殺人事件でまだ八つ借金があります。その問題が本年中に果して解決がつくかどうか、非常に疑問だと思う。先ほども池田委員並びに小島委員から言われた通り、これが巡査だけに対する遺恨、怨恨等の問題であるとするならばいざしらず、思想上の問題が背景にあるとするならば、私は重大な問題だと思う。これがもし未解決になるようだったら、警視庁の面目はなくなってしまう。本年度の殺人事件と比較対照してみたときに、爆発物調査をしてみたところが、現在鑑定中で、一体どういうものを使ったのかわからない、犯人もまだ出ないというようなことがあったとするならば、私は警視庁の面目がなくなってしまうんじゃないかと思うのです。幾分かの曙光が見出せたのでしょうか。
  33. 江口見登留

    江口参考人 ただいま申しましたように、事件発生直後全署をあげて捜査態勢に入りますし、それから、先ほども申しましたけれども、予備隊を一個中隊応援に出しまして、これが直ちにその活動を始めるというようなことで、実質的な捜査事件直後から始まっております。それから、爆発物の品質の究明でございますが、一応ただいままでのところは信管付導火線付のダイナマイトらしいものであろうと警視庁の保安課では調査いたしておりますが、なお、本日東大の山本博士にお願いして、専門家の鑑定を得たい、かように考えております。それから、先ほど申しましたように、爆発前に道を尋ねたという女性が昨夜おそく出頭して参っておりますから、けさから本人にいろいろ尋ね合せて、この事件関係があるやいなやということも究明してもらっております。
  34. 椎名隆

    椎名(隆)委員 次に、引揚船の興安丸の問題で伺います。  興安丸で二百八十三名来たうちに外国の国籍を有する者が七十四名であった。引き揚げというのは、私は読んで字のごとく日本人が向うからこっちへ来ることが引き揚げだと考えたのですが、外国の国籍を有する者がこっちへ来ることは、これは引き揚げになるのですか。
  35. 下牧武

    下牧説明員 私どもは引き揚げとは考えておりません。ただ、外国籍を有する方が来られても、全然日本に無縁故の人が来るということは、従来の事例からいたしましても非常にまれでございまして、何か特別な事情があるのだろう、その事情をよく調べた上で入管令に照らして処置したい、かように考えておるわけでございます。
  36. 椎名隆

    椎名(隆)委員 全然縁もゆかりもない人間、たとえば単独中国人か三名入ったというようなことは、船長が向うから引き渡しを受けるときに、これは全然関係がないからと言って断わるわけにはいかないのですか。
  37. 下牧武

    下牧説明員 本来ならば、三団体が向うから引き受けますときに、これは協定の範囲外であるということで断わってくれれば一番いいわけであります。しかし、それも三団体が断わり切れないような事情もあろうかと思いますし、それから、外国籍の中でも、たとえば日本人の夫に同伴して入ってくる中国人の妻というものは、やはり特別に考えてやらなければならぬ事情がございますので、そういう場合は、これは一応引揚者の範囲という概念の中には入れております。それから、両親そろって子供を連れてきたというような場合にはやはり特別に考えなければならぬ。そういう面で、一応純然たる日本人帰国ではございませんが、引揚者の範囲として特別に在留資格を与えようというのが、先ほども申し上げました通りこの中で五十名あります。
  38. 椎名隆

    椎名(隆)委員 今度の引き揚げについて何か問題が起きておるような話を聞いたのですが、何か大学教授の女房がソ連人で、そのソ連人の女親を連れてきた、また女房のいとこという全然関係がない人間がやはり引き揚げてきてこの中に入っておる、それについて問題の起ったようなことを私は聞いておるのですが、そういう事実はあるのですか。
  39. 下牧武

    下牧説明員 現在のところそういう詳細な報告は何も参っておりませんので、私どもは存じませんです。ただ、仰せのようなのもあるいは中にはおるかとも思っておるわけでありまして、これはすべて調査いたしますれば判明いたしますから、その際にははっきりした態度をとりたい、かように考えております。
  40. 高橋禎一

    高橋委員長 本日はこれにて散会いたします。   午前十一時五十五分散会