○
緒方政府委員 四十一条の
規定は
発行者の
発行義務を
規定いたしておるのでございますが、今御指摘になりましたように、現行の臨時措置法の建前は、
発行者が末端までの
発行の
責任、
発行の中には
供給を含めまして
責任を持つというふうに
規定されております。本法によりましては
発行者は
登録供給業者と
契約を結びまして、その要求に応じてその指示にかかる
教科書を
発行する義務を負う、こういうことでございます。そこで今御指摘になりました点は、なお四十五条と
関連をいたすわけでございまして「
登録教科書供給業者は、使用者に対する
教科書の
供給を業とする者の需要に応じて、
発行者との
契約に係る
教科書を
供給する義務を負う。」こういうことになっておるのでございます。そこでこの
法律の建前は、
発行者の
責任と
供給業者の
責任というものを分界を設けて
規定しておるのであります。
発行者は
発行契約に応じまして
供給業者に
供給するまでの
責任を負う、それからその先の
供給の義務は
供給業者が行う、こういうことでございます。この
趣旨は、従来の臨時措置法におきましては、
供給業者というものを
法律上全然
規定しておりません。これを
法律の上の
制度としては全然取り上げませんで、事実上
発行者と
供給業者が
契約してやっていくのが実体として認められておりますけれども、
法律上は認められておりません。従って
供給業者に対する監督規制というものは
法律上何もできないことになっているのでございますけれども、この
法律におきましては先ほど来御
審議いただきましたように、
供給業者に対しましても
登録の
制度を創設いたしまして、そしてその業を営むにつきまして不適確なものを排除していくという建前をとると同時に、またその
事業を営みます過程におきましてもいろいろと監督をし規制していく
規定を、この
法律におきまして
文部大臣の権限としてきめておるわけでございます。かようにいたしました以上、やはり
発行者と
供給業者の義務、
責任というものをはっきり
規定する必要がございますので、ただいま申しましたように
発行者と
供給業者の相互の義務の分界をはっきりつけておく方がいいのではないか、そのことによってかえって
発行、
供給の完全を期し得るのじゃないか、かように
考えた次第でございます。ただこれは公法
関係におきまして、さようにこの
法律に取り上げたのでございますが、しかし実際上
発行者と
供給業者とが
契約を結び、私法上の
契約に基きまして行います行為は、別にこの
規定に触れておるところではございません。この
関係は実際上の両者の
契約により円滑に
運営されていくことを期待しておるわけでございます。
それからただいま最後に御指摘になりました、従来は
発行者が最末端まで
供給する義務を持っておったし、またこれが
一つの権利でもあったのでございますが、それをここで
供給業者までの
供給ということになりますと、従来よりもその
責任ないし権限が狭められることになりますが、これに対しまして若干いろいろな
意見があると存じますけれども、これは今申しましたような
趣旨で原則的には運用いたしたい。ただ例外的な場合におきましては、この四十一条の
規定にもございますように、第二項におきまして「
登録教科書供給業者が
教科書の
供給業務を
遂行することができないこととなった場合その他政令で定める場合には、
発行者は、政令の定めるところにより、その
発行する
教科書を需要者に
供給しなければならない。」こういう
規定を設けておるのでございまして、第一に
供給業者がその業務を
遂行することができないことになった場合、
〔
委員長退席、山崎(始)
委員長代理着席〕
これは
供給業者側の
事情でございまして、
登録の取り消しであるとか、非常災害等があって事実上できないというような場合でありますが、その場合には直接
発行者が需要者に
供給をするということが
一つ書いてありますと同時に、政令で定める場合ということが
一つ規定してあるわけでございます。この政令につきましていろいろ検討いたしておりますけれども、たとえば直接に
発行者が需要者に
供給する必要のあるような、また特別の
事情がある場合もいろいろあると存じますので、それらのことをこの政令で
規定いたしたいと存じております。たとえば通常の時期をはずれて個々別々の使用者からの直接の注文があるという場合もございましょうし、あるいはまた特に
供給業者との
契約が不調でありまして、迅速に
供給しなければならぬ
教科書の
供給業務が円滑にいかないというような場合もあるかもわかりません。そういう場合にはあるいは
文部大臣の承認等にかからせまして、そうして直接に
発行者が
供給できるというような
規定を若干政令の上におきまして研究いたしたい、かように
考えております。