○辻原
委員 問題は、本日
新聞に発表せられました都下の各
大学学長等十名の方々が、非常に重要なこの
法案に対する見解を発表されておる。それに関連して今
大臣が
平田さんの質問にお答えなさったのでありますが、
大臣の
平田さんに対する御答弁を聞いておりますると、これらの人々の見解は、この
法案の
研究あるいは
政府の真意、こういうものを十分
検討なりあるいはそんたくすることがないためにこのような
声明を発表したのであって、
政府としては
所要の
手続、あるいは十分
関係の方々の
意見を尊重してやったのだという御答弁であったのでありまするが、私は、もし
大臣のお話のようなことでありまするならば、少くとも今日日本の
教育学界の中の大部分の人たちが、あげてこの
法案に対して警告を発するというような、そういう異例の態度は示さないであると思う。そこに
大臣のお考えなさっていられる点と、またこの
法案に対して従来
関係した方々あるいは
一般の国民の方々との間にも、非常なギャップがあるということを私は考えるのであります。単にこれの直接の
関係者である全国
教育委員の方々のみならず、日本の
教育に対して最も大きな位置を占めていらっしゃる
大学学長等が、よりより集まってこういう
声明書を発表するということは、今までの日本の
教育の歴史の中においてもまことに希有のことである。これに対して
大臣の少くとも納得せしめられ得る御見解を承わらないことには、われわれとしても黙って引き下るわけにも参らない。
教育学会の方々のみならず、たまたま軌を一にして昨日は全国の地方
教育委員会の
協議会においても、これに対する反対の態度をきめて、その
内容は別といたしまして、あげてこの
法案に対して反対の運動を展開するということを取りきめております。さらに従来
教育万般にわたって専門的な
研究を進めている
教育学会においても、痛烈な
批判書をわれわれの手元にも配布いたしておりまするし、また
政府に対しても手交したということを私は
新聞で承知いたしたのであります。それに加えて昨日の当
委員会においても問題になりました
都道府県の
教育委員会の
協議会においても、これには場合によれば
委員の総辞職をもってまで抗議しなければならぬという強い態度をきめております。こうして考えてみますると、事
教育に志す者、また
教育に
関係を持つ者、関心を持つ者、いわゆる世の良識者といわれる方々が、ここに打って一丸となって、今回
政府が企図する
教育委員会法の根本的改正ないしは取りまとめられた
教科書法案に対して、あげて反対の態度を示されておる。私がここで特に
大臣に承わっておかねばならぬと思うのは、個々の
内容はともかく、
教育学会の
批判書の中にも具体的に述べられており、さらにそれを取りまとめて各
大学の学長が
声明せられているその表題は、
文教政策の傾向に関する
声明、こう述べられているのであります。この
文教政策の傾向、言葉はどうでも言えると思いまするが、少くともこれは一歩々々
教育がその根底をゆすぶられて、漸次言論の自由、学問の自由を脅かすような過程をたどりつつあるということに対する
声明であります。私はこの種の
声明は、少くともこれに対する一つの心ある人々の警鐘と見るのであります。一体
大臣はこれらの
声明は、単にあの人たちは思い違いをしているのであるといって一笑に付せられるのであるかどうか。またこれは単に
清瀬大臣の御見解のみならず、鳩山
内閣の
文教政策がそういった言論自由の圧迫、民主
教育の根底をゆすぶっているという傾向をたどりつつあるという学会の方々の相一致した見解、これに対して
政府としては具体的にどうであるか、ということを天下に表明せられる
責任が、少くとも
政府を代表した鳩山総理にもあると思う。従ってこの機会に
文部大臣から総括的に世論を納得せしむべき
説明を承わると同時に、やはりこうした大きな世論の動きに対する総理の十分なる御
説明を承わりたいと考える。従って文相の御答弁のあとに、
委員長においては総理の出席を求められて、総理の所論をここで発表していただきたいと私は要求したいのであります。