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1956-02-16 第24回国会 衆議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十六日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 加藤 精三君    理事 高村 坂彦君 理事 米田 吉盛君    理事 鈴木 義男君 理事 山崎 始男君       伊東 岩男君    杉浦 武雄君       並木 芳雄君    山口 好一君       河野  正君    小牧 次生君       野原  覺君    平田 ヒデ君       小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         文部政務次官  竹尾  弌君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         運輸政務次官  伊能繁次郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    牧野 誠一君         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     齋藤  正君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         日本国有鉄道参         事         (営業局旅客課         長)      久田 富治君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 二月十五日  積雪地方における老朽危険校舎改築費国庫補助  増額に関する請願松澤雄藏紹介)(第五七  九号)  国歌制定に関する請願松浦東介紹介)(第  五八〇号)  写真技能師法制定に関する請願河野正君紹  介)(第六一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  教職員運賃割引国体の開催地問題及び学校  給食用粉ミルク横流し事件等に関する件     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず文教行政について質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。河野正君。
  3. 河野正

    河野(正)委員 先般の委員会におきましても大臣にいろいろ御質問申し上げましたが、さらに引き続きまして、二、三補足的に質問申し上げまして、大臣の所感を承わりたいと思います。  先日学問中立性ということを若干大臣に御質問申し上げまして、大臣からもいろいろと御答弁を承わったわけでございす。ところが今日の新聞等を見て参りますと、たとえば東大に起りました潜水艦実験の問題でございますが、私ども立場から見て参りますと、この潜水艦実験というものは、御承知とも思いますけれども防衛庁が業者に二十数億の発注を行い、そういった関連いたしました研究東大の方に委嘱された。東大といたしましても研究費が足りないというようなこと、まあそういった弱点がございますので、おそらくその要請に乗ったと思うのでございます。ところがきょうの東大の総長の談話を見て参りますと、今度行なった実験は、なるほど潜水船実験に間違いないけれども、しかしながら何も自衛隊から委嘱を受けてやったわけではなくて、業者から委嘱を受けてやったのだ。それだから別に軍事政策につらなるところの教育ではない、実験ではないというふうな釈明と申しますか、声明が発せられたようでございます。しかしながら私は本質というものはそういうものではないと思のでございます。そういった研究要請をいたしました形式上の問題ではなくて、やはり問題は研究本質ということが私は問題だと思うのでございますが、その点に対しまして大臣がどのような——たとえば、具体的に言葉を平たくして申し上げますならば、業者が頼めば軍事政策じゃないのだ、自衛隊が頼めばこれは軍事政策によるところの教育である、研究であるというふうにお考えになっているのかどうか。その点を重ねてでございますけれども大臣所見を伺っておきたいと思います。
  4. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今御引用の人がどういうつもりでおっしゃったかは、私ではむろんわかりませんが、私自身の考えとしては、業者から頼みましても、また自衛隊から頼みましても、学問の域に属する、また科学の域に属することを研究し、またそれを教育することは妨げないと思っております。要するに問題は目的でございます。それをわが国が防衛の域を越えて侵略戦に使うという考えなれば、それはいけませんけれども、しかし最善の効率で日本の国を防衛しようということになれば、これは妨げぬ、こう思っておるのであります。
  5. 河野正

    河野(正)委員 日本防衛というようなお話でありますけれども、今日まで大臣考え方はそうであっても、しかし厳然と憲法が存在する以上は、その憲法に従っていかなければならないというようなことを、予算委員会その他の委員会におきましてもいろいろと強調しておられるようであります。そこで現実の問題として自民党が再軍備政策をやるといたしましても、憲法を改正しなければならぬということで、きょうも憲法調査会法案が出るということでありますが、そういった事態が生れてきて、しかもそういう研究が行われるということにつきましては、私ども了承することはやぶさかでないのでありますけれども、しかしながら少くとも現実におきましては、今日のいわゆる平和憲法というものが厳存しておるわけであります。そういった中でそのような研究が行われ、そのような学問が行われるということにつきまして、私どもはどうしても納得がいかないのであります。大臣から防衛のためというようなお言葉がございましたけれども、しかしながら今日の憲法が存在する限りにおきまして、そのような御答弁につきましては、私どもといたしましてもとうてい納得するわけには参りません。そこで将来は別といたしましても、今日の憲法のもとにおきましても、やはり自衛のための研究であればよろしいというようなお考えがあるのかどうか、重ねて一つ答弁いただきたいと思います。
  6. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 その通りでございます。われわれの解釈は、現行憲法のもとにおいても、国家自衛のための最小限度防衛力は持ってよろしい、こういうことでございます。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ちょっと河野さんに申し上げますが、伊能次官が見えましたが、非常にお急ぎのようでありますから……。伊能運輸次官が参りましたので、時間を繰り合せて山崎始男君。
  8. 山崎始男

    山崎(始)委員 お尋ねいたしますが、学校教職員鉄道運賃割引の問題について若干お尋ねしたいと思います。この問題はおそらく運輸省の方へも相当陳情も出ておると思いますので、私からかれこれ申し上げるまでもない、先刻御存じのはずだと思うのでありますが、この点に対して当局とさましては、どういうふうな御見解を持っておられるのでありましょうか。われわれからみますると、御承知のように教職員はかつては運賃割引の恩典を過去において持っておりました。いわば既得権益なんですが、この点に対してどういうふうな御見解当局が持っておられますか、一つお聞かせ願いたい。
  9. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいま山崎委員から御指摘のありましたように、昭和二十三年の七月の運賃改正の当時までは、学生並びに先生方については、長い沿革のもとに二割の運賃割引をいたしておりました。二十三年七月の本国会における御審議の結果、学生割引については、当時日本の国情がインフレが非常に激しく進行いたしておりましたために、十五割というような一般的なきわめてドラスティックな運賃値上げを当時いたさなければならぬという情勢で、その十五割の運賃値上げを当時の学生に適用することが妥当かどうかということで、いろいろ国会において御論議をいただいた結果、学生については従来二割引であったものを五割引にする。そうして先生方については一般公務員と同様の取扱いをすることが適当であろうということで、そのときから運賃割引の廃止が国会において決定されました。しかしながら直ちにそういう措置をとることは、当時の国の予算においてもすでに二割引等運賃割引を見込んで予算措置等もしておられるということで、昭和二十四年三月一ぱいまでは先生方運賃割引を延長する。そうして昭和二十四年度から実施をするということに決定を見ましたが、さらに毎年度予算審議が若干遅れるということで、二十四年四月から二カ月延期をされて、二十四年の六月から今日の状態に相なって参ったわけであります。その結果二十九年度等の実績を見ますると、あの学生諸君が使っております個人々々の五割引の結果は、国有鉄道収入の面においては十六億余りの収入減を来たしておりまして、国鉄としてはかなり大きな影響を持っているわけであります。一方御指摘のように前々から先生方運賃割引について御要望もあり、また本委員会におきましても前委員長時代にそういうお話しもございまして国鉄初め私ども運輸当局としてもいろいろ検討を加えている次第でございますが、これらの問題につきましてその後一部の変更を見ましたものは、おそらく山崎先生承知と思いますが、傷痍軍人の場合でございます。これはまだ実施に至っておりません。近く政令を政府部内において取りまとめまして実施をする予定に相なっておりますが、この傷痍軍人割引をさせるにつきましては、国自体としても負担をするという建前になっておりまして、国鉄だけにすべてを負担させるという建前は最近とっておりません。従いまして今御指摘になりました先生方割引につきましても、私どもも長い沿革を持っておりますので、いろいろ検討を加えておりますが、従来からこの問題に関連した他の割引——昭和二十三年七月以前において同様な適用を受けたものについて考えてみますると、現在においてはすでに軍隊はございませんが、かつての軍隊、それから警察職員、現在において自衛隊軍隊とはその性質を異にしているとは思いまするが、実際問題としては自衛隊方面からもさような希望がございます。また、警察方面からも強い希望がございまして、それらと先生方との問題をどうするかということについては、政府部内におきましても寄り寄り国鉄協議をいたしておりますが、国鉄当局としても現段階において先生方に対して御指摘のような措置をとることは非常に困難であり、またインフレが一応終息した現段階において、学生諸君の五割引というものが団体旅行等における場合は別といたしまして、個々の旅行について五割の割引をする必要があるかどうかという点等も目下検討中でございまして、さしあたりの問題としては先生方だけの問題をこの際国鉄だけの負担割引をさせるかということについては、国鉄財政現況その他から考えまして、やや無理ではなかろうか。将来運賃改正その他の場合において本国会において御審議を願う際に、従来の昭和二十三年七月以前のように、先生方学生諸君とを平等に取り扱うという考え方が、今の経済実情からいって適当であるかどうか、あるいはそこに若干の差をつけてやるのはどうかというような点もいろいろ考慮されておりまするが国鉄としてはいずれにしましても現状以上に運賃割引という形で負担国鉄しわ寄せをされるということは、財政現状から考えて非常に苦しいから、そういうことでなしに研究をしたいということで、目下研究中で、特段に結論を得ておらないという状況実情でございます。
  10. 山崎始男

    山崎(始)委員 大体御趣旨のほどはわかりましたが、御承知のように公務員の中でも普通の一般教職員出張旅費であるとかいうものは、おそらく一番低いと思うのであります。まして一般民間産業あたりの一人あたり出張費の単価を見てみましても、およそ教職員くらい出張関係の費用の少いものはない。これは私が申し上げるまでもなく、もとより御承知だと思います。ところが反面学校というものは郵便局なんかはそういうところもございますが、一般公務員と違って山間僻地の山の奥にまで分布されているのであります。ところが最近の教育研究といいますか、そういう立場から考えてみますと同じ都道府県単位といたしましても、その中央へ出てこなければならない機会が非常に多いのであります。こういう場合に一人当りの出張旅費の経費は少い。しかし研究会にも出ていかなければいけない、あるいは御承知のように昨年あたり紫雲丸における修学旅行なんかの事件がございましたが、当時もこの文教委員会なり、あるいは輿論的に見ましても、教師がもっと旅行すると遂には出ていって、下検分をもっと丹念にやるべきだ、もっと事前に詳細にわたってやるべきであるというような輿論も相当高かったのでありますが、先ほど申しまするごとく、悲しいかな、半面そういうふうな出張旅費の点に非常に縛られております。しかも教育というものは常に、研究をやらなければ本来の教育者としての使命は達せられないことは申し上げるまでもございませんが、こういう観点から申しましても、また新しくここにそういう鉄道運賃割引を生み出すというのでなしに、いわゆる過去の長い歴史的な経過を持っている一種の既得権益であるのでありますから、そういう面と両者関連させて考えていただきまして、これはぜひ実現してもらいたいのであります。どうぞ政務次官とされましてそれに対する努力を重ねてお願い申し上げたいのでありますが、一つ大臣とお力を合わされて——これは法律的あるいはその他事務的には今すぐ困難かもしれませんが、そういう方法論の問題は別として、大きな観点に立ってこの運賃割引の点をぜひ至急に実現させていただきたいと思うのであります。一つ重ねてあなたの御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  11. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 お話重々ごもっともに存じますが、御承知のように国家予算あるいは各省配分財政上の割り振りにつきましては、これは国全体として、その年度々々における各省予算配分があろうかと思います。従いまして御指摘のような点については、まず第一段には国として先生方出張その他についての予算措置については万全を尽すということが、本来の建前のように私ども考えておりまするが、御指摘のように、従来の警察官あるいは学校教員というような問題については、既得権益ということについては傷痍軍人等と同じで、この点は御意見がありますれば、そういう問題については私どもとくと研究をいたすわけでありますが、傷痍軍人の場合につきましても、しわ寄せをどういう形で処理をするか。国鉄財政だけに処理をさせるか、あるいは国庫負担するかということで、この点は国庫も一部負担をするという解決方法を見たわけでありまするが、また一方学割につきましては、さいぜん来申し上げましたように、従来の建前と違って、学生には五割というような非常に教育政策的な割引が本国会において決定をしたわけでございますから、それらの問題と彼此よく検討いたしまして、率直な結論を申し上げれば、国鉄としては現在十六億あまりの負担をいたしております。従ってその範囲の負担であれば、学生先生方との配分ということについてあまり文句も出ないと思いますので、これらの点につきましては、目下本年度においては、来年度予算につきましては運賃値上げを前提としない予算を御審議願っておりますが、現在国鉄財政現状その他から見まして、国鉄としてはできるだけ早い機会国内経済の動向、また政府が来年度に編成しました予算均衡財政を貫くというような情勢を見きわめた上で、全般的の運賃是正方針をとりたい、かようにに言っておりますので、その節にはさらに十分検討した上で本国会の御審議も得たいと思います。お気持はよく私どももわかるのであります。
  12. 山崎始男

    山崎(始)委員 自治庁長官にお尋ねいたします。国体持ち回り禁止の問題について、前々回の委員会清瀬文部大臣には御所見をお尋ねいたしましたが、そのとき聞いておりまして、この持ち回り禁止閣議決定をしたというその動機といいすまか、そのおもな原因というものは、地方財政を再建しなければいけないという建前からこういう問題が起ったのだというお話でございました。してみると、やはりこの問題の震源地はどうもあなたのところにおありになるようなので、一つ当面の責任者として、この持ち回り禁止という問題に対して御所見をお伺いしたい。
  13. 太田正孝

    太田国務大臣 お答え申し上げます。申し上げるまでもなく、国体の問題は文部省の所管でございまして、私がその本質についてかれこれ申す段ではございません。今回の予算閣議におきましていろいろの問題の起りました中に、地方財政につきましては、予算編成方針にも述べております通り、今度の予算編成方針地方財政を中心としてと書いてあります。また赤字の出ないようにという二原則で予算閣議方針として決定し、発表した次第でございます。従って私の受け持つ自治庁予算関係から申しますると、地方影響のある問題につきましては、——私としては国体そのものについては何らの故障、いろいろなことを言う必要はございません。ただ地方状況が、御承知であろうと思いますが実は非常にひどいのでございます。決して強制しているわけじゃございませんがずいぶん整理なども、あるいは皆さんがお聞きになった以上に自治体はやっておるのでございます。また過去の国体をやった府県などにおきまして、まだその処理ができずに困っておるところもございます。たとえば徳島県、仙台などがそうであると私は記憶しております。かようなことを見ますると、自治体に非常に大きな影響を及ぼすことは私どもとしては困るのだ、予算編成方針もそうであるし、私の立場もそうでございます。ただし国体そのもの立場からこの問題を解決しようというなら、私はそれは異議ないが、地方財政が今日非常にひどい状況にありますので、進んで私としては賛成することができない。けれども私が震源地でこれをやるのではなくて、問題の本質教育関係文教関係体協そのものにあるのでありまして、地方自治体の目から見れば、また予算編成方針がかくのごとき方針をとっております限りにおいては、私として地方赤字をさらにふやすような——黒字のところならけっこうといってもいいと思いますが、赤字のところでさらに赤字をふやす、相当多額の金がかかりますので、そこで閣議決定におきましては、持ち回りをやめる方針をとるが、中央に総合的な設備を持ってその目的を達するようにしよう。これが閣議決定趣旨でございまして、私はその意味において賛成したわけでございます。私が震源地というとちょっと困りますが、地方財政現況というものはお察しを願いたいと存じ上げます。
  14. 山崎始男

    山崎(始)委員 地方財政現況ということは私たちも多少知っておりますが、問題は、私たちあの新聞発表を見て詳しいことがわからないのでありますが、スポーツ関係にいたしましても、それから御承知のようにもうすでに昭和三十五年度くらいまで主催される都道府県がきまっておると思うのであります。そういうところは、あの発表が出まして、暗やみで手探りして進めてよいのか打ち切ってよいのか非常に迷っている現状であります。大臣は末端のことを御存じかどうか知りませんが、少くともあれだけの行事をやりますと、あるいは青年団協力を得るとか、あるいは婦人会協力を得るとか、どこそこの場所にはどういう種目を持っていくとか、相当長い時間をかけて各民主団体協議をしてやっているわけです。ところがあの閣議決定が出ましてから非常に迷っておる。ここで特に一言申し上げたいことは、なるほど地方財政現状から見れば、そういうふうな決定をされるということも半面無理はないかもしれませんが、私は忌憚なく申しますならば、いささか行き過ぎじゃないかという気がいたすのでございます。なぜと申しまして、こういうスポーツとかいうふうな問題は、あくまで民主的に下から発達してこさせるように仕向ける。しかも今大臣お話では、東京の中央へ持っていって、その機関、設備を作ってやるのだ、それも地方財政しわ寄せ地方に与えぬためには仕方がないのだということでありますが、私はここは非常に考え方の差があるところではないかと思うのであります。すべて国の産業にしてもあらゆる文化にしましても、何といいましても一つ基盤といいますか、日本全体にタコの足の先のいぼに至るまで一つ基盤すそ野というものが広がつていかなければ、決してこういうもののほんとう興隆はできるものじゃないのであります。一体大臣は今までに——まことに失礼なことを申し上げますが、国体を行ってごらんになったことがあるのでしょうか、ないのでしょうか、私は疑いたくなるのであります。あの厳粛な気持、しかもその地方団体が行ったということになりますと、その地方体育興隆に目に見えないものがあるのであります。私はこの目に見えないものが非常に大切じゃないかと思う。これがいわゆる一つすそ野になるのだ。この点の認識一つの基礎になるのではないかと私は思う。これは何も体育ばかりに限ったことではございません。すべてそういうふうな形をとらなければ、国のほんとうの向上、発展というものはない。特にスポーツにおいては、学校教育におきましても青年学級なり何なりというて、今力を入れていらっしゃいますけれども教育的に見てもあるいは体育的に見ても、これは目に見えない、口では言えないよいところがあるのであります。私は一度ごらんになったらいいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、一片の閣議でもって、ただ地方財政しわ寄せをやらないのだというだけの理由でもっていきなりああいうものをぶつけられるということは、非常に官僚的なといいますか、一方的なといいますか、ほんとうの国の政治を知らぬものだと私はあえて言いたいのです。大臣の今のお話を聞いておりましても、私は矛盾があると思うのでありますが、私がただいま言いましたような御認識がおありになるのならば、なるほど地方財政という点だけからごらんになって、ああいうふうな閣議決定をおやりになるといたしましても、地方には財政の健全なところもある。そこが、いついつかの国体はわれわれの方でやりたいのだともし言うたならば、あなたはどうなさるのだろうかと私は思うのであります。いずれにいたしましても非常に行き過ぎじゃないか。特に前会のと遂に文部大臣に聞きましたところが、地方でやってはならないという法律があるわけじゃないのだから、それはやってもよろしいと言う。そういたしますと、ここでわれわれは非常にもやもやしたわからぬものを感ずるのであります。片万では閣議決定持ち回りを禁止するのだと言う。片方では法律ではないのだからやってもよろしいと言われる。そうすると、ただ七百万円の国が出す国体に対する補助金を出さぬぞというだけのことで、ああいうふうなぎょうぎょうしい御決定はされないだろう。これはわれわれの邪推かもしれませんが、結局真綿で首を締めるように、そのやろうとする都道府県がかり自治庁起債の問題なりその他の問題で行ったときに、そういうところへは起債なんか一切おろさぬぞ、あるいはその設備そのものでなくとも、そういろわれわれの方針協力しないような都道府県へはほかの起債手心をするぞ、あるいは特平でも多少手心をするぞというような威圧をかぶせて、やらせないようにしむけようという意図があるのじゃないか、こういうふうな邪推をせざるを得ないと私は思うのです。わずか七百万円の国庫負担金だけを打ち切るぞというのではないだろうと私は思う。この点のあやふやな点をもう少し明確にしていただきたい。
  15. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の御質問は、私が体育について認識がないという意味の御忠告であったと存じ上げます。私は実はからだも小さいし、運動なんかあまりやらぬ方でございますが、それでも私の年になって一年に一度スキーに行っておる人は日本国じゅうにあまりないだろうと思っております。山登りは富士山に十八回登っております。そんなふうで、自分の運動という点を離れまして、体育そのものが大切なことは重々知っております。ことに戦前ドイツにおりまして、第一時大戦後のドイツの興隆を見、あのスタジアムを見まして、日本もこういうものを持たなければならないということを私は著述において述べておるのであります。決して体育を軽んじ、その意味で今度の問題になったとは私は考えません。  第二の問題につきましては、自治行政につきまして、今日の地方財政の姿というものを、実は私現場をあずかっておる関係といたしまして非常に強く見ておるのです。国の方では減税をするのに、実はある意味の増税になっておるのでございます。さらに各省にお願いしまして、十年余りもたな上げされておった鉄道あるいは電電公社、専売にも固定資産税をかけるというようなことは、一種の大きな改革でございまして、これだけやらなければおさまらない状況でございます。そこの点もぜひお察し願いたいのです。それから長年の問題であった停年制もやらなければならぬところに参りました。さらに私どもとして自分の立場から感じを申し上げますと、大体予算というものは初め要求したものを大蔵省でいれてくれませんから、みんな復活要求がございます。自治庁といたしましては、自治庁自体の予算地方へやる予算とございます。私も実は長年大蔵省で小役人時代に予算に関係したのでございますが、復活要求の出ない閣議はほとんどございません。しかし本年私は、自治庁予算は一文の復活も要求しなかったのでございます。なぜかといえば、そこへ一文でもいくことは地方へやる金に響くということを非常におそれたからであります。これはほんとうの話です。それで自治庁の役人の方々には不満があったかもしれませんけれども、私の心持としては、今日の地方財政現況は、ほんとうに今直さなければどうにもならぬ。国家財政が健全だなどといっても、今の地方財政の姿では、すぐこういう問題が起ってくるのであります。だからあるいは地方財政現況を深く考え過ぎたというようにお考えになるかもしれませんが、私の立場としては、国体を軽んずるにあらず、地方財政をどうしても建て直さなければならぬというのか私の仕事場でございます。  それから第三にお尋ねでございましたが、地方自治体がこれをやろうとなさる場合には——自治体そのものに対する今の政府の関係というものは、憲法にも自治の本旨にかんがみとありますごとく、こっちでもって指図することはできません、地方議会において決定なさるものをいかぬということもできないのです。それは清瀬文部大臣も言われた通りでございます。しかし私としては、現況をよく察していただきたいというのが、地方財政立場からの言葉でございます。さらにこのことに因縁をもって起債等を考えるということは断じて私はございません。起債起債として地方財政立場から考えるので、国体にからんだ考えは毛頭持っておりません。どうぞあしからず御了承願いたいと思います。また体育問題、教育問題を軽んずるというような考えは私は毛頭持っておりません。私はただ地方財政現状を訴えたい、またお考えを願いたい、これにすぎないのでございます。
  16. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。ただいまは尊敬する山崎先生体育振興に関する御所論を拝聴いたしまして、いろいろ私も考えたのでございますが、二、三疑問が浮びましたので、卒直に申し上げまして、その一部につきまして政府委員の御答弁をいただきたいと考えております。私過般仙台市に参りまして、仙台市の壮麗な競技場のごく近くに、もとあそこで工事をしておった時代の納屋を借りまして、そこで社会党系に属するある有名な女流保育指導者が保育所を経営しておられるのを見てきたのであります。こういう尊い社会事業の施設でございますので、長男を連れまして夕方暗くなるまで保育所とそれに保育所に収容されている子供の家庭を、その女流保育指導者が家庭指導されるところまでを見てきたのでありますが、その女流指導者が痛切に言うておったのでございます。あの仙台の壮麗なスタジアムはまことに建築の卒業証書のような完備したものでございますが、そのわきに掘立小屋みたいなものに働いております保育指導者である。御承知のように仙台の医科大学生も非常にたくさんそれに参加してソーシャル・サービスその他をやっております。女史が言われるのには、こういう壯麗な運動競技場、そうしてこの粗末な、国からも市町村からも顧みられない保育所、この二つの対照が現在の日本の政治の貧困を語るものだと言うておったのでございます。それに私は深く心を打たれたのでございますが、御承知のごとく、東北の各府県は最も財政困難な地帯でございまして、あるいは宮城県あるいは福島県あるいは山形県あるいは秋田県、いずれの県をとりましても数億ないし十数億の赤字を背負っておるのであります。御承知のごとく保育事業、社会事業等にほとんど不十分なサービスしかできていない現状でございます。こういう場合に、あの地法にもたびたび行われましたような国体の競技というものは、経費のより重点的優先的使用の仕方として、国の財政並びに地方財政理念からみて果して穏当なものであるかどうか、私は大いに疑問があると思うのでございます。いかなる施設も施設をすればそれだけの有益な効果が上ることは当然なことだと思うのでありますが、社会政策社会事業にもまして豪壮な諸多の建築をして国体をやることが、優先的に取り上げらるべきものではないような気持が私はするのでございます。政府委員にお尋ねしたいのは、過去数回行われましたような国体も競技を地方府県で、たとい富裕県であっても財政上の無理なしに行われる地帯があるかという問題、現在全国の都道府県財政はきわめて窮迫をつげておりまして、真に必要な社会事業、社会政策等を行うことができないのじゃないか。東京といえどもあの大川の夏季における臭気を見ましても、汚物処理とかその他の公衆衛生措置は何らできていない。これをなしますのには数百億数千億の経費を必要とすると思うのであります。東京都を富裕都道府県というふうに称することは絶対にできないと私は考えているのであります。そういう観点から良心的に申すならば、私は従来の豪華版の国体競技の開催を、中央のすでにできている設備を利用することなしに地方で開催しまして、地方財政に無理を与えないような地帯が日本にあるかどうか、その点を財政部長さんに専門的な見地からお尋ねしてみたいと思います。
  17. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。私ども国体の問題を財政的にだけながめておるのでありますが、従来の国体をやりました県の状況を見ますと、都市によって非常に違いますが、大体四、五億の金は要ります。これは県と市町村と合わせてであります。県は二、三億は必ず使う、こういう状況であります。従来やりましたところは、御承知通りあとの使用はもちろんほとんど無料に近い使用をさしておりますので、維持管理費だけが残って参ります。大体五、六百万円維持管理費は残って参る、こういう格好であります。たいてい国体がありました県、市町村、特に市町村は赤字を大きく抱えております。これは四国の例をごらんになりますと、四国はブロックでやりましたので、四国の主要都市にスタジアムとかいろいろなものを分けたのでありますが、ほとんど全部その都市は赤字を出して、いまだにその赤字に困っておるのであります。仙台の例もそうであります。私ども国体がいいとか悪いとかいう問題ではなくて、こういうふうな大きな金が要る施設は当分やめてもらいたい、中央でやってもらいたいということをかねがね体育協会の方にお願いをして参ったのであります。最近はその事情をくまれて、もちろん計画そのものは前より小さくなっておると思っております。本年は兵庫県でやることになっておりますが、兵庫県は御存じ通り二十数億の赤字を抱えておりまして、非常に苦しい財政でありますが、しかしどんなに見積りましても見当として一億以上の金がやはり要るというふうに私ども考えております。さらに市町村がみな相当支出をしますとさらにたくさん金が要ります。その市町村もやはり赤字を抱えている、そういう観点から私どもは将来の維持管理の問題も合せてしばらく休んでもらいたいという希望を持っておるのであります。もちろん純財政的な見地だけでこの問題が片づくとは思っておりませんけれども地方財政現状は先ほど長官から申されましたように非常に苦しい状況でありますので、この際しばらく休んでもらいたいというのがわれわれの率直な気持であります。  学校の建築の問題とかいろいろな社会保障施設の問題とからんでの問題ももちろんございます。ほんとうに必要な施設をやらないで、十年に一ぺんぐらいしか使わないような施設をやる必要がどこにあるかというような議論もございます。私どもも老朽な危険校舎を相当抱えている、しかも生徒増で悩んでいる都市が、学校を建てないでスタジアムを建てるのは逆ではないかということまで強く申しております。そういう事情が個々の都市に参りますと非常にたくさんあるのでございます。その辺のところもあわせて考え地方財政現状もあわせて考えていただきまして、やはりしばらく休んでいただくような結論にしていただくようにお願いをいたしたのであります。
  18. 山崎始男

    山崎(始)委員 私は加藤さんの御説とはまっこう正反対の気持を持っております。それを申し上げておるわけにいきませんが、自治庁長官にお尋ねいたしますが、先ほどからの自治庁長官地方財政赤字を御心配なさるお気持は私も十分了解いたします。ただ国体という国民の行事、こういうものは私が先ほど申しましたように、日本の国の体育の向上にしても——体育もりっぱな教育なんです。教育そのものなんですから、これの向上ということがやはり農山村の山の奥にまで浸透してこそ、初めて全体のスポーツ興隆あるいは体育興隆というものがあるのだ、またそれが有形、無形、目に見えない、尺度でははかれない莫大なりっぱな面があるのだという、私はこの観点から申し上げておりますので、加藤さんとはまっこう正反対なのでありますが、いずれにいたしましても、閣議でもって持ち回りを禁止するのだと言い、法律では禁止することはできぬのだと言う。そうすると、ただやめてもらいたいというお気持の表示と解釈していいのでしょうか。  いま一つ、私はああいう決定をされたことが、非常に非民主的であるということを先ほどもちょっと申し上げましたが、今富裕府県であっても、こういう持ち回りは禁止すべきだというふうに加藤さんなんかの御意見は聞えたのでありますが、私は閣議決定行き過ぎであると言う。具体的に申しますれば、富裕府県というものはあるのだと私は思うのです。聞きますれば、自治庁にしても大蔵省にしても、ABCというふうに、地方財政の程度によってお分けになっていらっしゃるようにも聞いておりまするが、少々の金を出しても、いわゆるその地域社会の住民のためにりっぱな設備を一ぺん作っておけば、あとで利用もできるのだから残してやってもいいという熱意と同時に、物質的な地方財政の確立されておる都道府県も私はあると思うのですが、そういうものまでもあの閣議決定というものは拘束をされるというふうに解釈していいのでありましょうか。この点が非常に私わからないのです。
  19. 太田正孝

    太田国務大臣 第一点につきまして、体育の普遍と申しますか、これはもうもちろんお言葉通りけっこうと思います。私はそれを決していなんでおるものでも何でもございません。従って今日実際問題として、閣議決定がされたが、地方でたとえば地方議会がこれを可決したらどうするか、ここが昔の地方団体と今日の地方団体とは、憲法上から出発した建前が違っておるのでございます。昔の内務大臣が命令していって、知事に命を下すというようなことは絶対に溶きませんので、ただ技術的の助言と勧告ができる程度のものでございます。そこにまた自治というものが新憲法下において非常に重大な意味を持っている点もあると存じ上げます。  そこで金があるならやってはどうかという第二の御質問でございますが、富裕県という言葉は、このごろ通俗になっておりますが、実は赤字は八割あります。それから富裕県というものにはどこがあるか。今交付税を出しておらない、いわゆる不交付団体の県というものは三つしかございません。東京と大阪と神奈川県でございます。その大阪が警察費を持ってくる関係などからいたしまして、来年はどうなるかという境目のところに来ております。神奈川県に至っては少し下になります。余っておるという意味をもしそういう余裕財源というような意味にとるならば、東京以外にないとまで言いたい地方財政現状であります。富裕々々と申しますが、非常に多いような見方は私はしておりません。具体的に今申し上げたのが現状でございます。それをやりたいというのを、地方議会がやろうという場合に、私はとめることはできない。これは自治という本旨からきていると思う。それで非民主化ということを申しますが、自治法の精神というものは、民主政治の基本だと私は思います。だからここに新しい町村などができましたのについて、九月末日までに仕上げることになっておりますが、今八割五分くらいにしかいっておりませんが、これを基本といたしまして、民主政治の基盤を築き上げる、その財政面において、今日の問題が起っておるということを御了解願いたいと思います。
  20. 山崎始男

    山崎(始)委員 いや、その大臣のお気持はよくわかるのですが、具体的にそれならば、もっとくだいて言いますると、今月の九日でありましたか、日本体育会か何かが寄り合いをして、閣議決定ではああいうふうな決定をされたが、あくまで地方持ち回りは続けるのだということを再確認したというふうにわれわれは聞いているのです。そうすると閣議決定では、今地方財政立場からやめさすといわれる、片っ方の民主団体はあくまで続けるのだというておるわけなんです。こういう問題を調整というのか、どういうのか、どういうふうに割り切ったらいいのでしょうか。そこに非常にわれわれ疑問がある。
  21. 太田正孝

    太田国務大臣 第一に私が申しましたように、予算決定ということの閣議に出た問題でございまして、財政建前からの山針がきまったのでございます。この問題と、憲法のもとにおける自治体に対する政府の関係というものは、くどく申し上げるようでございますが、命令でもっていけない部分が非常に多いのでございます。そこに自治というものの本体が新しい憲法下に生まれたと思います。昔ならば、閣議決定した、なんじこれを心得べしというかどうか知りませんが、そういう方法もございますけれども、そういうことはできないのでございます。それが清瀬文部大臣も言われた言葉であろうと思います。法律に詳しい清瀬先生がおられるのでございますが、私としては、自治体に対する命令権のない限りは、先ほどいったような二律的な立場が起るかと思います。けれども政府考えとしては、この財政に関する限りは、ただいま申し上げたような趣旨を貫きたい考えでございます。命令はすることはできません。
  22. 山崎始男

    山崎(始)委員 そうしますと、閣議決定をされましたときには、これは命令はできないが、あなたのお考えとすれば、昭和年度から地方持ち回りをやめてもらいたいという、昭和年度という、そこに一つのけじめがありましたか、ありませんでしたか。
  23. 太田正孝

    太田国務大臣 私はそこまで考えませんでした。ただ抽象的に申しますれば、私は財政しかあずかっておりませんので、財政がよくならなければ困る、これ以上に私は申し上げることができませんでございます。今のはただ国体だけでなく、一般的に見まして、政府自治体に対しての命令権というものは、内閣総理大臣も、技術的援助と助言しかできない今の規定になっております。そこを一つ御了解願いたいと思います。
  24. 山崎始男

    山崎(始)委員 それはよくわかるのですが、私は法律的な問題を言うておるのではありませんので、お気持の問題として、現実にことしは兵庫県でやる、その次の年はどこへ行く——先ほどの政府お話では東京へ持ってきたい、こういうお気持のようですが、それは一体昭和年度からになるのだろうかということなんです。せんじ詰めれば……。
  25. 太田正孝

    太田国務大臣 どこへ持ってくるということは、私のきめる問題ではございませんが、閣議の趣意は、中央に総合的なものを作ろうという考え方決定されておるのでございます。私といたしましては、かようなことを言ってはどうかと思いますが、来年は私の選挙区の静岡県にあるのでございます。私も並み大ていにはこの問題を考えません。石橋氏も同県でございますが、その意味において、実は私としては切ない問題でございましたが、地方財政現状は、これをそこまで持っていかれない、ほんとうに私はそう思っておるのでございます。地方財政がいつできるかということがめどになりますが、たとえば赤字処理の計画は今八年計画で全国に行わんとしておるのです。この二月から実行に入っておるのでございますが、これが過去の赤字処理の問題でございます。赤字は三十年度も出ない、三十一年度も出ないという建前から、今回予算として皆様方の御審議を仰いでおるわけでございますが、これも数字はそういうふうに出ましたが、自治体がこれをどういうふうにやるかということは、命令できませんので、自治体が努力して下さるということと、政府も不親切でなく、親切にめんどうを見ていくと遂に初めてこれができていくので、非常に条件つきでございます。私はここ一、二年の間には非常に安定した地方財政ができるとは思いません。むろんことしはその序口を切りまして、健全への道を進んでいると思いますが、いつできるかということになると、ちょっと私は言い切れません。これが現状でございます。
  26. 山崎始男

    山崎(始)委員 最後にこの問題に対して文部大臣の御所見を承わっておきたいのです。すべて文部行政というものは、私が申し上げるまでもございませんが、十年先、二十年先、百年先を考えて、後手にならないように先手々々と打っていかなければならない性質を持っておると思うのでありますが、先ほどの加藤さんのお話と違いまして、私がいつも思うことは、大臣も御承知のように、山口県、長州というところから、非常に明治の初期からりっぱな人物がたくさん出てきたことは申し上げるまでもございません。この問題の根本はどこにあったかという歴史的な一点でございますが、吉田松陰という人がおられた。そうして伊藤博文とかその他の英才を教育した。その吉田松陰という人は、どこから出てきたか、これはたしか九州の方から長州藩へ養子か何かに来た人だと思う。また村田清風という人がたしかおったはずでありますが、その当時毛利藩は数十万両の借金を持っておった。ところが毛利藩をいかにして発展させるか、長州をいかにして発展させるかということは、教育以外にはないというので、当時数十万両あった上にまた三十数万両の借金をして、あらゆる教育施設、文化施設にこれを投じた。人物の養成をしてこそ初めて毛利藩の発展があるのだという決意のもとにやられた。従って長州の萩には、徳川の末期においてプールが作ってあるはずです。そういうような教育行政を先手々々といくことによって、村田清風がその方針をやってから三十数年後になって、あのわずか三十数万石の毛利藩から、徳川の天下を向うに回してやるだけの人物、英才というものが出た。こういうことなんです。私は特に国体なんかのただいまのよううなお話を聞きますると、少くとも文部行政に責任を持っていらっしゃいます大臣とすれば、こういう問題は特にほかの問題と違うと思うのです。地方財政赤字と言われまするが、なるほど自治庁立場ではそうでありましょう。しかし所管大臣としての文部大臣は、特別にがんばってもらわなければならない問題だと思うのであります。こういう観点から私は皆さん方の考え方と相当違うのであります。この点に対して文部大臣の御所見を最後に承わっておきたいのであります。
  27. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 教育の大切なこと、また次の時代の国運に重大なる関係を持っていることは山崎さんと少しも変りません。ただしかしながら国の政治は一体的に考えなければなりませんので、今太田長官のおっしゃられたような状態においてこれを強行することはしばし待っていいだろう、かように考えております。
  28. 佐藤觀次郎

  29. 河野正

    河野(正)委員 先般の委員会におきまして、給食ミルクの横流し事件につきましては、いろいろと論議されたわけでございますが、昨日等の新聞によりましても、だんだんこの問題が大詰めにきたようでありまして、すでに一部におきましては詐欺罪で起訴する、あるいはまた当局の談話を見て参りますと、全国的に摘発するのだというような報道をなされているわけでございます。従って私は、大臣に一応今日の状態のもとにおける御所見を承わってみたいと思うのでございます。御承知のように、新聞でも、長崎県外十数県においてこういった事実があるということを最高検は指摘いたしております。この中でいろいろ問題があると思いますが、たとえば熊本県、大分県あるいは鹿児島県等におきましては、今日まで給食ミルクの配当を受けたけれども、あまりにも量が少なかったので、もう少し増量してもらいたいということで文部省に督促してきたという情報も承わっております。ところが一方におきましては、長崎外十数県におきましてミルクを横流しするといった事実を見て参りますと、これは当然文部省当局におきまして、ミルクの配当の過程に非常にずさんな点があったという責任は免れないものと考えます。その点につきましても、新聞や捜査当局におきましても、給食課の責任は当然であるというようなことを発表して参っておるのでございます。なおまた御承知のように、今度横流しされましたミルクは、いわゆる外国の好意によって関税を免除されて輸入されたものでございますから、そういった対外的な非常に重大な責任も起って参ります。あるいはまた文部省というものは、今後日本の新しき世代を背負うところのりっぱな国民を養成しなければならないというきわめて重大な使命を持っているところでありますが、そういった文部省のずさんな計画あるいはずさんな指導によりまして、小さい学童たちに及ぼす心理的な影響も私は決して無視してはならないものと考えております。ただいま申し上げましたように、そういった問題、あるいはまた一部の府県の教育委員会の談話を見て参りますと、給食ミルクの不良品を払い下げをした。しかしながらその代金は文部省に戻している。事実かどうかわかりませんが、もしそうだといたしますならば、当然これは文部省が関税法に抵触するところの違法行為を行なったことでありますし、またそういった事実がなくても、そういった疑惑を生んだということにつきましては、私は文部省当局が十分な責任を負ってもらわなければならぬものと考えております。ただいま申し上げますように、いずれにいたしましても、私は今度の問題につきましては、文部当局にきわめて重大な責任があったものと思いますが、それらの責任につきまして、もういよいよ事件も大詰めになって参りましたので、大臣の御所見を承わりまして、細部につきましては後ほど事務当局に伺いたいと思います。
  30. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今回の給食ミルクに関する不正事件が起りましたことはまことに遺憾でありまして、天下に謝さなければならぬ重大問題だと思っております。この学校給食ということは、給食それ自身としては、世間に非常に歓迎されて戦後行われました一つの新たなる大きな制度と存じます。今日給食を受けている者は七百万近くに及んでおるのであります。また各方面の希望により、本年よりは中学にも及ぼそうと思っておりますので、大きな組織になっておりますから、今回の不祥事を機会としてどうやるべきか、十分に考えてみたいと存じます。かくのごとき横流しが生じたということも、法規的、行政的にどっかに欠陥がある。それからまたこのごろはだいぶ直りましたが、給食の物資で集団中毒をしたようなことがある。昨日も参議院で問題になりましたが、給食のパンなどの委託製造でありまするが、不正であったということが指摘されております。そういう配給のルートに関すること、また配給物資のこと、それなどを総合的によくわれわれも検討いたしまして、この災いを転じて福となす、そんなふうにいたしたい、かように存じておる次第であります。
  31. 河野正

    河野(正)委員 ただいま私が御質問申し上げました趣旨答弁、少し食い違っておるわけでございますので、重ねて大臣にお聞きしたいと思います。と申しますのは、ただいま大臣が仰せられましたように、今後のやり方についていろいろ研究していきたい、あるいはいろいろ不合理があるのでそれを是正していきたいということは私どもも了承いたします。またそうやっていただかなければなりませんが、しかしながらその前提といたしまして、いろいろ文部省当局が責任を負わなければならぬといういろんな事実が生まれてきておる。そういった責任に対して大臣はどのようにお考えになっておるか、それにつきまして御答弁をお願いしたい。
  32. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 そのことは前回のこの委員会で野原君にお答えいたしましたように、全貌がはっきりいたしましてからお答えいたしたいと思っておるのであります。
  33. 河野正

    河野(正)委員 それでは全貌がわかりました場合には、一つ明確な大臣の御答弁をお願いいたしたいということで、大臣に対する質問は中止いたします。  さらに私は前回の委員会における質問におきまして納得のいかなかった点がございましたので、さらにその点を御質問申し上げたいと思います。本日は厚生省の方からも部長さんがお見えになっておりますので、文部省の局長と部長さんに、ともども一つお答えを願いたいと思います。御承知のように今度給食ミルクなどが横流しされましたにつきましては、不良品だという一つの名目のもとに横流しがされたということでございます。そこで私どもが科学的な立場から非常に心配いたしましたのは、いずれにいたしましてもそういった不良品がいわば食品として流されたということでございます。ところが先ほどの委員会におきまする監理局長答弁によりますと、もちろん不良品であるけれども、厚生省のいろいろ検査の結果、これはいわゆる熱加工等を加えるならば人体に悪影響を及ぼさない、そういった厚生省の指示に基いて払い下げするということを認めたのだ、こういったような御答弁であったのでありますけれども、私はそのようなことは食品衛生法といろ法の建前からも不適当である、納得がいかないというようなことを御質問申し上げたのでございます。その点に対しましてどうも局長の御答弁は、私ども科学者の立場から納得がいきませんので、一つ厚生省の部長さんの方から納得のいくような御答弁をお願いしたいと思います。
  34. 楠本正康

    ○楠本説明員 お答え申し上げます。現在私どもが港等におきまして抜き取り検査をいたしております。その結果時たま菌数その他によりまして不良品が発見をいたされます。これをどう処分するかということは、食品衛生法の規定によりまして廃棄処分に付する程度のものもありましょうし、あるいは他に転用して差しつかえないものもございます。従って他に転用していいものにつきましては、せっかくのミルクでもありますから転用することといたしております。その場合にたとえばただいまお話がありましたように、加熱をする食品原料用等には転用しても食品衛生上支障のないものもございますので、さようなものは加熱原料用に回すものもございます。あるいはまた学校におきまして十分加熱をすればよろしいという程度のものもございます。かれこれ検査の結果に基きまして適当な措置をいたしておるのでございまして、従ってただいまお話のありましたように、これを加熱をして食品原料用に回すということは食品衛生上許されているところでございますので、私どもとしてはさような措置をとっておるわけでございます。
  35. 河野正

    河野(正)委員 ただいま部長の答弁を承わって参りますと、食品衛生法の第四条の二項の適用によってさような措置が許されるというふうな御答弁だろうと思うのでございます。しからば今日行われました横流しされました給食ミルクがほんとうにどのような実情であったのか、厚生省の方でおそらくただいまの答弁によりますと把握しておられると思いますので、一つその実情を御報告願いたいと思います。
  36. 楠本正康

    ○楠本説明員 ただいまのお話の点は、私どもいまだこの横流しの品物が全部どのようなものか、どの程度どういうふうに横流しされたか、全貌を承知いたしておりませんので、はっきりした結論的なことは申し上げられませんが、今まで私どもの知っております範囲におきましても、一部は別に事故品でないものも他に転用と申しましょうか、他に流用されておるように承知をいたしております。
  37. 河野正

    河野(正)委員 先般の監理局長答弁を承わって参りますると、厚生省で定められたいろいろな法規に基いてこれは当然転用すべきものである、転用せらるべきものであるというふうな性格に基いて転用したのだというような御報告であったわけでございますので、一つ今度は監理局長の方から、具体的に横流しされた不良品というものはかういう実態であったということの御報告を簡潔にお伺いしたい。
  38. 小林行雄

    小林(行)政府委員 よく今承われませんでしたが、今度の横流しされたミルクの実態でございますか。
  39. 河野正

    河野(正)委員 いや、払い下げたミルクの実態、不良品だといって払い下げたミルクがどういうふうに不良品であったかという、不良品としての科学的な性格です。
  40. 小林行雄

    小林(行)政府委員 日本学校給食会が従来取り扱っておりますミルクの中で、いわゆる事故品として払い下げたというもの、この内容につきましては大体やはり港における厚生省の方の食品衛生監視員の検査、それからその指示によりまして、一応加熱を前提にした製造法による食品については、その原料にしむけることならば差しつかえないという通知書に基いてそれを払い下げておるわけでございます。ですから要するに食品衛生法に定める基準に従って検査を受けて、学校給食用としてはよくないけれども、もしそれを加熱を前提にした食品の原料に回すものならば差しつかえないという指示を受けまして、その指示に従って払い下げをいたしておるのでございます。
  41. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの御答弁の内容を承わって参りますると、加熱加工を行うならば人体に影響がないというようなことでございますけれども、私ども科学者的の立場から考えて参りますると、加熱加工を加えて人体に影響がないということは、主として細菌上の問題だと思うのでございますが、しかしながら私どもが得ました情報あるいはまた私どもが科学者的な立場から常識的に判断いたしましても、むしろ私は化学変化というものが多いのじゃないかというふうに理解するわけです。化学変化が多いということになりますると、これは加熱加工いたしましても、部長さんはもちろんよくおわかりと思いますけれども、私はやはり人体の影響につきましては何ら変った点はないと思うのであります。そこで細菌が多くなったということになったら別でございますが、化学変化が発生したということになりますと、ただいま申しましたように、加熱加工いたしましても何ら変化を起さないということでありますから、非常に大きな危険がある。これは先般も森永ミルクがいろいろな問題を起して参りましたが、そういった意味で同じような大きな影響というものがもたらされておるというふうに私は考えて参るわけでございます。そこで少くともこれだけの問題になったわけでございますから、しかも食品衛生法という法律でも規定されておるわけでございまするから、もう少し突っ込んで御調査されました内容というものを一つ報告を願って、そして私どもの納得のいくようにしていただきたいと思うのであります。
  42. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど厚生省の楠本部長から御説明もございましたように、検査につきましては抜き取り検査で、しかもそれを培養してやるというかなり厳重な検査を行なっておるわけでございます。もちろんただいまのお尋ねの中にございましたような変質腐敗といったものは、当然加工用として仕向けることはせずに、飼料用に転用するとかあるいは全然廃棄をするというようなことをしておるわけでございまして、加工用に回し得るものは比較的、学校給食用としては必ずしも基準に合わないけれども、加熱する場合は人体には何ら影響がないというふうに認定されたものを回しておるわけでございます。従っていわゆる化学変化というようなこともそれには全然ないものと考えて、これを食品の原料に仕向けるという意味で、私ども払い下げをいたしておるわけでございます。
  43. 河野正

    河野(正)委員 新聞でもすでに御承知だと思いますが、本日の新聞を見て参りますと、長崎ではすでに詐欺罪で起訴されたということでございまするから、事長崎に関しましては私は全貌というものがはっきりしておると思います。それで私が最後にお尋ね申し上げたいのは、しからば長崎ではいわゆる転用されたのがどういう方面に転用されたのか。たとえば私どもがだんだん質問をして参りますると、最初加熱加工すれば食品に供してもいいのだという御答弁でありましたが、だんだん追い詰めて参りましたら飼料だという御答弁もあったのでありますが、少くとも長崎におきましては全貌というものが、すでに詐欺罪で起訴されておりますし、はっきりいたしておりますので、長崎における転用の状況あるいは転用の目的というものは何であったのか、その辺を一つお尋ね申し上げたいと思います。
  44. 小林行雄

    小林(行)政府委員 長崎の事件の概要というお話でございますが、これは本日の新聞に出ております通り、昨日起訴されたというようなことでございまして、現在まだ検察庁の方に連絡中で、その起訴の原因と申しますか、事実あるいは事由等について連絡をしてもらうように今手配をしてもらって、まだそれが入っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられません。ただ私どもが長崎県の吉岡君から聞いたところでは、いわゆる事故品でないものを事故品として払い下げておったというように承わっております。
  45. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して伺います。学童ミルクの払い下げの問題につきまして、私もわが国全体の教育の上においての問題の重要性を考えまして憂慮しているのでございますが、最も大きい私の関心は、この学童給食用のミルクそのもののわが国の児童の体位に与えたところの非常に積極的な大きな経験から見まして、こういう事態をもしアメリカの政府当局の方で得に関心を持って、こういうような状態では低い価格によって日本に脱脂粉乳を供給することは適当でないというような考えを持たれたら、これは大変なことになるだろうと思います。文部当局におきましては十分これが善後策をすみやかに講じて、こういう措置をとることにしたということをアメリカ政府当局へ御連絡いただきまして、この児童体位に重大な恩恵を与えておりまするところの教育物資の譲渡の継続をお取り計らいいただきたいと思っておりまするが、これについての文部当局のお考えをお聞きしたいと思います。  第二番目は、関税の問題でございますが、払い下げをすることによって税負担が生ずる。その関税負担の横流しをした分についての負担責任者はだれであるかという問題について、何か法律解釈上きわめてめんどうな問題になっているようでございますが、その文部当局における負担担当者に対する御見解を承わりたい。  第三番目に、この負担は結局学童にしわ寄せするしかないだろうということを、だれか学童給食用ミルク担当者の一人が語ったようでございますが、これこそ私は非常な重大な問題だと思っておりますので、この点についての御見解もあわせて承わりたいと思います。
  46. 小林行雄

    小林(行)政府委員 今回の横流しの事件によりまして、従来アメリカの好意で低廉な価格で輸入しておりましたものが、その影響を受けるというようなことでありますと、現在実施されております給食に非常に大きな影響がございますので、その横流しというものが事実としてあったわけでありまするけれども、今後絶対にそういうことを起さないような方策を考えたいと思っておりますし、また米国の方にも必要がございますれば、従来の通りその継続方を申請したいというふうに考えております。  第二点の、いわゆる横流しの際の税金の負担の問題でございますが、現在まだどこが確定的にこの税金を負担するということが結論的に出ておりません。一般の事故品の払い下げの場合には、日本学校給食会が税金を税関に納めて払い下げておるわけでございますが、今回の横流しのような場合には、果して日本学校給食会であるか、あるいは県の給食会であるか、その辺のところは将来研究してきめなければならぬ。また法規の解釈によってはっきりしてくることと思いますが、しかしこれを学童に転嫁して、学童からこの税金を徴収するというようなことは適当でないと思っております。
  47. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 並木君。
  48. 並木芳雄

    ○並木委員 大臣に一点だけお尋ねをいたします。それは靖国神社に対して国家が保護を与え、国家で管理するという問題でございます。これはおそらく終戦とともに宗教団体一つに加えられて、そうしていかなる宗教団体も国から特権を受けたり、または政治上の権力を行使してはならないという憲法二十条に抵触してくるという意味から、国家の庇護を受くることができず、また国家としてもせっかく靖国神社の英霊をお慰めしようと思っても手を伸ばすことができなかったというのが、今までのいきさつであろうと思います。しかしながらこの靖国神社に関しましては、国の犠牲になられたみたまを祭っておるところでございまして、普通の宗教団体としてこれを見るにはあまりに国民として忍びがたいところがあると存じます。その理由から、すでに国会におきましても、海外同胞引揚特別委員会においてはこの問題を取り上げておるのでございますが、いまだ大臣から権威ある答弁が得られておらないのでございます。幸い清瀬文部大臣憲法の権威者でもございますし、またその所管からいってもこれは国民教育、国民道徳というものと関連してくる大きな問題でございます。特に愛国心という点に結びつけるならば、この問題を看過しておくことはできないと思う。そこでお伺いしたいのですが、果して靖国神社を普通の宗教団体として扱わなければならないかどうか。私はこの点については、宗教的色彩を持っておる儀式を改めるとか、あるいはその施設などを取り除けば、特別立法を行うか、あるいは宗教法人法の一部を改正するだけで国家管理、国営にすることは可能であるという金森さんの御意見は妥当であると思うのです。もし金森さんの御意見が妥当でありとすれば、現行憲法のもとにおいても靖国神社の国家管理、国家の庇護を与える、国家においてこれを敬うという方法が講ぜられるのでありますが、清瀬文部大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
  49. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 戦前においては神社は宗教と区別しておったのであります。しかるに新憲法施行後また宗教団体法成立後において、靖国神社は英霊を祭るのでございます、またその儀式を行うのでございまするから、戦後の憲法法律のもとにおいてこれを宗教団体にあらずということは無理な解釈となると思います。従って憲法第二十条と第八十九条の関係からこれを国家が管理いたしまして祭祀を行うということは不可能と思います。われわれが憲法を改正する必要ありと思うたくさんの理由のうちの一つでございます。すみやかに憲法調査会ができ、適当なる処理がされることを私は希望いたしておるのであります。
  50. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 なお先日野原委員より質問のありました紀元節の問題について、大臣の発言を求められておりますのでこれを許します。
  51. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 高知県の繁藤小学校において本年二月十一日に行いました儀式類似のことにつきまして、ある程度の調査ができましたから局長より御報告させます。
  52. 緒方信一

    ○緒方政府委員 高知県の教育委員会から参りました報告の要点を御報告いたしたいと思います。  該当の学校は、高知県長岡郡大豊村繁藤小学校でございまして、校長は溝淵忠広という人であります。この学校は小さい学校でございまして、教員数七名、学級数六、児童数が百三十五でございます。伝えられます儀式と認められます状況は、二月十一日午前十時に全校の児童と職員、それから一般村民有志が参列して行われたのであります。  その内容は、普通の儀式と同じような順序でございますが、全員が入場いたしまして、開式の言葉があり、国歌斉唱、そのあと、たしか校長だったと思いますが、昭和二十一年一月一日に出された天皇陛下のお言葉を読んだということであります。これは昭和二十一年一月一日に出されました、俗に言っております人間天皇の宣言と申しますか、あの勅語でございます。これを読みました。その次に校長が訓話をいたしまして、来賓祝辞があり、そのあと紀元節の歌を斉唱いたしました。国歌斉唱、それで次は閉式の言葉で終っております。かような内容であったようでございます。  そこで、本校におきましては、新年の一月一日と二月十一日には従来もかような学校行事をやってきておるようでございます。昨年の二月十一日にも授業をしましたあとで一時間だけ校長が訓話をしたというようなことがございます。今年どうしてこういう行事をしたかということでありますが、この学校は昨年校舎を増改築したというような事情もあり、なおまた本年は終戦十年にもなったので、この辺で児童に対してわが国の国の初めの意義を知らせて、愛国心を涵養することが意義あると考えてやった、かようなことなのでございます。ちょうど当日は土曜日でございましたので、正午で児童を帰宅させた、こういう事実でございます。  そこでこの学校行事でございますが、この管理は教育委員会が行うのでございますけれども、その村の教育委員会に対しまして、二月初めに教育長に、これは口頭でございますけれども、こういうことをやりたいという申し出を校長からいたしております。それで教育長は、学校のことであるから、ある程度校長にまかせてやるから、職員会議で諮ってきめたらよかろう、こういう返事をしておるようであります。そこで学校できめまして二月六日に式典の案内状を村内の家庭、村長、教育委員あるいは村役場の吏員というものに発送をいたしております。当日の出席者は職員、児童のほか村会議員、PTAの役員、部落の部長、母親など合計十五名くらいだったようであります。まことに要点だけでございますが、一応御報告申し上げます。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ほかに質疑はありませんか。——ほかに質疑がなければ本日はこの程度にいたします。次会は来たる二十一日より委員会を開きます。  なお本日午後一時より開会を予定されておりました内閣委員会文教委員会連合審査会は、都合により内閣委員長協議の上、明日午後一時より開会することに延期になりましたので御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十分散会