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1956-02-14 第24回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十四日(火曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 加藤 精三君    理事 高村 坂彦君 理事 坂田 道太君    理事 米田 吉盛君 理事 鈴木 義男君    理事 山崎 始男君       並木 芳雄君    町村 金五君       河野  正君    木下  哲君       小牧 次生君    高津 正道君       野原  覺君    平田 ヒデ君       山本 幸一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  出席政府委員         文部政務次官  竹尾  弌君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     天城  勳君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         日本学術会議事         務局長     本田 弘人君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     齋藤  正君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 二月十三日  委員高村坂彦君辞任につき、その補欠として河  野金昇君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として高  村坂彦君議長指名委員に選任された。 同日  理事町村金五君同日理事辞任につき、その補欠  として高村坂彦君理事に当選した。     ————————————— 二月十日  写真技能師法制定に関する請願木崎茂男君紹  介)(第四六一号)  同(小林郁紹介)(第四六二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第五一九号)  同(下川儀太郎紹介)(第五五五号教育委員  会制度存続に関する請願横井太郎紹介)(  第五五六号)  統合中学校建築に対する国庫補助金差額補給  に関する請願櫻内義雄紹介)(第五五七  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  連合審査会開会申入れに関する件  文教関係予算に関する件     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事町村金五君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。つきましては理事補欠選任を行わなければなりませんが、先例により委員長において指名いたしたいと存ますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認め、高村坂彦君理事指名いたします。     —————————————
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に連合審査会開会出し入れの件についてお諮りいたします。目下内閣委員会におきまして臨時教育制度審議会設置法案審査中でございますが、本法案につきましては当委員会といたしましても重大な関心を有するところでございます。つきましては本法案に関し内閣委員会に対し連合審査会を求めたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なきものと認めます。なお、連合審査会開会の日時は主管の委員長と協議の上、来たる十六日午後一時よりといたしたいと存じますので御了承願います。     —————————————
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に前会に引き続き、昭和三十一年度文教予算関係、その他について質疑を行います。質疑の通告がありますので順次これを許します。山崎始男君。
  8. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでは緒方局長お尋ねいたします。前々の国会以来児童災害補償に関する論議がたびたび当委員会で行われましたが、当時まだ文部省自体においても、この問題の全国的な一つの動向というか、趨勢について確実な実態調査も不十分で、この問題に対する認識があまりなかったように見受けたのでありますが、われわれが承知いたしております最近の趨勢というものは、ここ半年くらいでもって各地方共済制度による補償方法がずいぶん急速度に進展をしておるように見受けておるのであります。これに対してその後文部省はどの程度実態調査をされておられますか。その点一つお聞かせ願いたい。
  9. 緒方信一

    緒方政府委員 児童生徒学校における災害実態の問題でございますが、一応文部省といたしまして、二十九年四月から三十年の、約一年間におきまする実情につきまして、サンプル的な調査を行なったのでありますが、しかしこれもなかなか態様が複雑でございまして、まだ正確な調査は実はできておりません。そこで私どもといたしまして、三十一年度に特に予算を計上いたしまして、一つ全国的に綿密な調査をさらに進めたい、かように考えております。今お話のように、各地方におきまして共済制度といたしましてぼつぼつ実施されつつあります状況は存じております。いろいろ調査もいたしておりますし、また各地方教育委員会等からもいろいろ相談があったりいたしますので、全国的な——島根県あたりは相当早くからやっておりますので、それらの実績をよく調べまして、御相談には、前の実績等を示すというようなことはいたしております。ただ、今申しましたように、全国的な調査は三十一年度に実施したいと思っておりまして、それが済みませんと、なかなか複雑な態様を持っていますから、はっきりした対策はそれからにいたしたい、かように存じております。
  10. 山崎始男

    山崎(始)委員 今お話のように、今年度事務的な調査費として三十万円かしらん計上されておるやに聞いております。今まで、文部省保健課ですか、そういうものがありながら、こういういうふうな重大な事柄に対して全然手をつけていなかった。全く放任されておった。ところが昨年度たびたび紫雲丸なり、あるいは三重県の津におけるああいう不幸なできごとが起って、あわてて今年度わずか三十万円計上された。正直にいえば、これから調査を始めるという段階であろうと思うのであります。われわれといたしますと、非常にこれは残念なことで、全くこういう重大な事柄後手々々になっていっている。すべて行政というものがこういうふうな後手になるということは、非常に遺憾なことでありますが、今局長の言葉のごとく、共済制度による救済方法が、自治的に地方で急速度発展をしてきておるという実態を、おそまきながら確認をされていらっしゃる。私はこの点に対して、大臣がおられませんので、竹尾政務次官一つ所見をお伺いしたいのでありますが、今局長が申されますように、まだ調査は不十分であるが、共済制度による救済制度が非常に急速度発展をしてきておるという実態は認めていらっしゃるのでありますが、長い間文教行政の権威として自他ともに許すところの竹尾政務次官は、この問題に対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、一つこの機会に御所見をお聞きしたい。
  11. 竹尾弌

    竹尾政府委員 今お尋ねの問題でございますが、山崎委員はこの問題につきましては非常に御熱心でありまして、私が文教委員の当時も、山崎さんの御支持を得まして、こういう制度はできるだけ法的根拠を持たせて進められたらどうか、こういう御意見もございまして、私はその点におきまして非常に同感の意を表していたのでございますが、そのつもりは今でも私変っておりません。事情が許しまするならば、そうした線でせっかく進めたい、こういう考えを実は持っております。しかしいろいろの事情のために、なかなか思ったことが実現されないということが現実政治実情でございますので、できるだけ御意に沿うように進めたいと思っております。
  12. 山崎始男

    山崎(始)委員 この問題に対しましては、われわれ前国会でございましたか、二十二国会でございましたか、特別国会社会党両派でもって、実は法律案として、全額国家負担の、大体一億二千万円ばかりの金額になったと思いまするが、法律案を提案いたしました。この問題をつらつら考えてみまするのに、今竹尾政務次官お話になりましたように、こういう法律案というものは、何も社会党だけが出すというべき性質のものでなしに、これは超党派的に、各党派共同出していくべきものだというふうに私は考えているのであります。従いまして、先ほどの政務次官お話のごとく、私は当時政務次官にもいろいろと個人的にもお話を申し上げ、竹尾政務次官は当時としてできるならば次の国会ぐらいでお互いに研究し合って、もっとよりよきものを出そうじゃないかというような、個人的な御意見もお吐きになったことがあるのであります。金額にいたしましても、全額国家補償といたしましても、大体われわれが調べております数字では、一億二、三千万円あればいいのであります。全額国家補償一つの理想ではございますが、何も全額国家補償でなくとも、他によりよき方法があるならば、われわれの全額国家補償という気持を調和さして、お互い相談し合ってもいいと私は思うのであります。これはほんとうは政府が出すべき性質のものだとすら私は思っておりますので、どうぞ一つ——昨年度と違いまして、その後比較的そういうふうな災害の数もあまりないようでありますが、やはり災害というものはいつ起ってくるかわからない。どうか後手にならないように、これは一つ早急に御研究願いたい。そうして各児童生徒あるいは全国のPTAその他が待望しておりますから、一刻も早く何らかこれに対して国家がめんどうを見るという親心を一日も早く具体化してもらいたい、かように思っております。どうぞよろしくこの点を重ねて御要望をいたしておきます。重ねて政務次官の御決意のほどを一つお聞かせ願いたい。
  13. 竹尾弌

    竹尾政府委員 まことにお説の通りでありまして、ちょうど山崎委員からこの件について私に個人的に御相談をしていただきましたのは、二十二国会のおそらく最終日かその前日かと記憶しておりますが、時間の関係も非常に切迫しておって、十分御相談する時間もございませんでしたから、今山崎委員のおっしゃられたような結果になったわけでございますが、せっかく事務当局をして研究をいたさせまして、できるだけ御意に沿うような結果に到達すべく微力を尽したいと存じております。
  14. 山崎始男

    山崎(始)委員 緒方局長に一点だけお尋ねします。教科書に関する法律案はいずれ出るであろうと思いますので、それに対する質問はそのときにいたしまするが、一点だけ。  最近地方におきまして、来年度の教科書が配布されております。もう一カ月も前に配布されましたが、新年度に使う教科書がもうすでに配布されておるということです。最近PTAやその他の会合に、休会中あちこち回ってみましても、常に不平が出てくるのは、どうして早く配給をして金を払わせるのか、こういう問題は大がいPTA会合で必ず出てくる。あまり大きな問題でないようでございまするが、こういう問題は小さく見えますが、やはりなかなか見のがすことのできない重大な問題を含んでいると私は思うのです。こういう点に対するあなたの御見解一つお伺いしたいのです。
  15. 緒方信一

    緒方政府委員 教科書早期分割配給でございますが、これはこの二、三年来行われておることと思いますが、これはどういう趣旨でそういうことが行われておるかと申しますと、一つは今お話のように、会社側としまして資金の回収という点もあるかと存じますけれども、もう一つは、教科書が、御承知のように学年初めにはどうしてもそろわなければならぬものでございますから、それを一ぺんに送付したり、あるいは一ぺんに父兄負担がかかるということを、もしなるべく分散してやることができるならば、それも一つ方法じゃないかということで、早期出版ができ、配布ができるように準備ができた会社においては、早期にそれを地方販売機構に流し、そしてこれを児童生徒に渡す、こういう方法をとっておるわけでございます。しかしこれはもちろん強制的にやるべき筋合いのものじゃございませんので、一つはやはり児童生徒側父兄負担の問題も、一時に四月に多額の金をかけるよりも、少し早目にそれを分割してお渡しした方がいいじゃないかという御趣旨もございますので、よく話し合いの上決定すべき問題だと存じます。今お話のように、父兄の方の弊というものが非常に大きいものであれば、それは私やるべきものじゃないと考えますので、よく調べまして、実情に沿うようにいたしたいと思います。
  16. 山崎始男

    山崎(始)委員 ただいまの御答弁まことに私は遺憾だと思うのです。ここ二、三年来行われておる、それでよく研究をしてこれから云々というお話ですが、私はあの声を聞いてみて、父兄は早く配給をされることを好んでおるとは思いません。そうすると今あなたのおっしゃった、配給する側には必ず理由がございましょう。いろんな理由があるに違いございません。ところが受ける側は迷惑がってておるという現実は、これは間違いがないのです。そうした場合に、いわゆる監督なりあるいは助言なりできるところの文部当局としては、こういう問題に対してただいまのような御答弁では、私は非常に遺憾だといわざるを得ないのです。何だか今のお話では、いかにも出版会社代弁者のごとき、言いわけをされておるがごとき印象を受けるのです。次に出てきます、あなた方がお出しになろうとしておる教科書に関する法律案の中に、あるいはこういう問題も抜本的に解決される方法がおありになるかどうか知りませんが、それは出てからのことにいたしますが、現実の問題として、ただいま私が申し上げました一学期も早く配給する——学期になって配給すれば、父兄負担がそこで一ぺんに来るからとかいうようなことでは、これは理由にならない。重ねて、どういうところにその原因があるのか、もう少し明白にその原因をお知らせ願うと同時に、文部省として、そういうことがいいことか悪いことか、望ましいことか望ましくないことかに対する明確なる御意見を述べていただきたい。
  17. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま申しましたように、父兄の方でそういうことが非常に迷惑である、かえって父兄不平があるということであれば、もちろんそういうことは強制的にすべきことではないと思います。その点は調査もいたしますし、善処いたしたいと考えます。
  18. 山崎始男

    山崎(始)委員 こういうことは、出版会社原因があるのか、その配給機構のどこに原因があるのか、もしあった場合に、あなたの方とすると、監督なりあるいは助言なりされることはできると思うのでありますが、できますか、できませんか、その点に対する御見解をお聞かせ願いたい。
  19. 緒方信一

    緒方政府委員 これは法律監督をする、助言をするということは、これは売買の問題でありますから、それを父兄の方で承諾して買うという実態であれば、それに対して文部省がものを言うという余地はなかろうかと存じます。しかし事実上の指導の問題として、もしそういうことは非常に無理がかかっておるとすれば、ものは言える、事実上の指導助言はできると考えております。
  20. 山崎始男

    山崎(始)委員 教科書に関する法律案をお出しになろうとしていらっしゃるあなた方の方とすれば、ただいま私が申し上げましたような点は、その法律案の中に織り込まれておりますか、おりませんか。
  21. 緒方信一

    緒方政府委員 今の問題、早期分割を廃止するとかいう直接の問題は織り込まれておりません。そういうことは売買の、業者と買う人との間の問題であるので、それは織り込まれておりません。
  22. 山崎始男

    山崎(始)委員 それはその通りでしよう。これは行政上の指導によって解決できる問題だと思いまするが、どうも今のあなたの御答弁では熱意があまりないような気がするのですが、よく実態を御調査になって——末端では非常に不平があるのです。どうか一つこの点はよく御調査になって、十分な、遺憾のないような行政指導をやっていただきたいのです。よく父兄の声を聞いてごらんなさい。これは非常に不平があるのです。どうぞこの点を一つお願いいたしておきます。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 この際暫時休憩いたします。     午前十一時二十一分休憩      ————◇—————     午前十一時三十二分開議
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。河野正君。
  25. 河野正

    河野(正)委員 前々回委員会でございましたが、私ども給食ミルク横流し事件につきまして若干の質問を行なったのでございます。その質問に対しまして、今日なお具体的な状況が不明であるので、いずれ全貌がわかったならばいろいろと具体的な答弁を行いたい、かように申すのが当日の文部省当局答弁であったのでございます。その後新聞報道その他を見て、参りましても、この問題が非常に拡大して参りまして、ある新聞のごときは、すでに文部省にも波及かというふうな記事が出て参っておるのでございます。前々回質問におきましては、ただいま申しましたように具体的な全貌が今日不明であるのでというお答えでありましたから、私はその後の質問につきましては留保いたして参っております。従いまして本日はその後の経過につきまして、まず当局の御報告を承わりたいと存じます。
  26. 小林行雄

    小林(行)政府委員 長崎脱脂粉乳横流し事件につきましては、その後教育長等も出て参りまして、その話を聞いたわけでありますが、教育長等はこの事件に関する情報をほとんど持っておりません。それで文部省としては、やはり前々回委員会に申し上げました通り、現在関係者として留置されておりますところの県の体育保健課長あるいは給食係長の出てくるのを待って詳細な報告を得たいというふうに考えておるわけでございまして、従って長崎についてはその後の正確な情報はまだ入っておりません。それから、それ以外の府県につきましては、現在新聞等に出ました県につきましては、それぞれ連絡をいたしまして報告を求めておる次第でございます。文部省に波及するというようなことがある新聞に出ておりましたけれども、そういうことは絶対に文部省にはないと思っておる次第でございます。  大体現在の状況はその程度でございます。
  27. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの御答弁を承わって参りますと、長崎につきましてもなお逮捕されておるのでその後の経過がわからない。その他につきましてもいろいろ調査してみるけれども、その具体的な事実についてはなお究明することができないというような、まことにたよりない答弁でございますけれども、しかしながら新聞紙上等報道を見て参りますと、すでに長崎県外十数県、たとえば熊本大分鹿児島あるいは三重県においてもというような具体的な県名が出て参っております。そういたしますと、警察当局はすでに全国的にこの問題を摘発するのだというような方針でございますけれども、そのスキャンダルを生み出しました親元でございます文部省におきましては、今日に至るまでなおその実情がわからない、これ全く私ども不見識といわざるを得ないのでございます。  そこで私が再度お尋ね申し上げたいのは、いろいろと確実な事実ということで御遠慮になっておるかもしれません。しかしながらただいま申し上げましたように、すでに新聞でも具体的に府県名も出て参っておりますので、もう少し具体的に御報告願いたいと思います。
  28. 小林行雄

    小林(行)政府委員 ただいまお尋ねの中にございました熊本大分鹿児島等につきましては、文部省としてはまだニュースをつかんでおりませんが、三重につきましては、一部事故品業者払い下げたということはわかっております。ただこれはいわゆる横流しではございませんで、保健所検査の結果、はっきり事故品であるという証明を受けて、それを業者払い下げておるのでありまして、不良品の処分に属するものでございますので、いわゆる優良品の、学校給食に供せられるものを事故品として故意に払い下げたというものではないわけでございます。それ以外の県につきましても多少事故品払い下げについて成規の手続を踏んでなかったものがあるかもしれませんけれども長崎県のような大規模な意識的、計画的な横流しというものは、文部省としてはまだつかんでおらない、こういうのが実情でございます。
  29. 河野正

    河野(正)委員 ただいま答弁を承わって参りますと、保健所検査によりまする事故品については払い下げを認めたようなお話でございますが、しからばその払い下げの目的は何に供せられるのか一つ答弁を願いたい。
  30. 小林行雄

    小林(行)政府委員 一般的に申しますと、検査を受けまして——これは御承知のように給食会輸入をいたしましたときに検査はしておりますが、その後の輸送あるいは保管等関係から、給食学校に至る経過の間に事故品になることがあるわけでございますので、そういったものにつきましては保健所のあるいは県の衛生部検査を受けて事故品であるという証明書を得て、それを業者払い下げるというのが普通でございます。これを払い下げる場合に、その用途でございますが、最悪のものは大体牛馬の飼料用として払い下げるのでございますし、またそれほど悪くないものにつきましては加工用として払い下げることがあるわけでございます。具体的な個々の例については文部省としてははっきりつかんでおりませんが、飼料用あるいは加工用として払い下げられる場合があるということでございます。
  31. 河野正

    河野(正)委員 ただいま御答弁を伺いますと、文部省はあたかも不良品払い下げを認められておるかのようなお話でございますが、私がお尋ね申し上げたいのは、そういった不良品について文部省払い下げるということをお認めになっておるのかどうか、その点をはっきり御答弁願いたいと思う。
  32. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは日本学校給食会文部省の委託を受けて外国から輸入をいたしますが、第一にその通関の際に検査を受けまして、その検査に合格しないいわゆる不良品事故品はこれは飼料用あるいは加工用として払い下げることがあるわけでございまして、文部省もそれは正規に認めておるところでございます。
  33. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの答弁を承わりますと、まことに私は遺憾と言わざるを得ないのでございます。と申しますのは、御承知だと思いますが、食品衛生法の第四条に、「販売を禁止される食品及び添加物」という項目がございます。この中には明らかに、左に掲げる食品または添加物はこれを販売してはならないあるいは加工してはならない、そういった意味の規定法律上定められております。しかもその四条を犯した者は、御承知のように第九章罰則の規定の中で、三十条の中に、四条に違反した者は三年以下の懲役または五万円以下の罰金に処するということが明確に法律によって規定されております。そういたしますと、文部省当局が、このような食品衛生法を犯し、しかもそれを犯すということを認められるということにつきましては、私どもは断じて許しがたいと思うのであります。この法律に対しまして、文部省はどのような責任をとろうとお考えになっておりますか、明確に一つ答弁を願いたいと思います。
  34. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは申すまでもなく、脱脂粉乳給食用加工用検査につきましては、文部省厚生省係官が来て検査をするわけでございまして、これは雑菌の数で厳格な基準ができておるわけでございます。その基準に従って検査をいたしまして、これに該当しないものは不合格品として給食用に供せない、しかし不合格品につきましても、内容によりまして、その品質検査の結果によりまして、飼料用に供するものと加工用に供するものとはっきり品定めをいたしまして、検査の結果が出るわけでございます。これは単に文部省のこの方面の食品衛生関係の知識のない者が検査をするわけでございませんで、厚生省の方の係官地方におきましては、衛生部なり保健所係官検査をした結果、その検査の結果に基いて払い下げをするというのでございまして、食品衛生法に違反しているようなことはおそらくないと思います。
  35. 河野正

    河野(正)委員 ただいま文部省答弁を承わって参りますと、食品衛生法に該当しないというような御答弁のようでございますけれども、この中には明らかに不潔、異物の混入というように、不潔であり、しかも人の健康を害するおそれもあるということでございますから、もしその健康を害せないという程度でありますならば、私は何も不良品として払い下げる必要はなかったものと考えるのでございます。ところが、人の健康を害するからこそ不良品として払い下げたのでございますから、これは少くとも私は健康を害するものであるというふうに認めざるを得ないのでございます。払い下げて、しかも健康に害がないということであるならば、払い下げること自身に疑問を持たざるを得ないのでございますが、その点はどうですか。
  36. 小林行雄

    小林(行)政府委員 日本の食品衛生法に基く脱脂粉乳検査基準でございますが、これは一CC当り雑菌五万ということで現在検査されておりますが、これは国際的に申しますと、非常に程度の高い厳格な基準のようでございまして外国では飲用の場合にも雑菌十万といったようなものが普通のようでございます。この学校給食につきましては、これが学童の飲用でございますので、特に厳格な基準をとって検査を実施しておるということでございます。これは学童の保健に誤まりなきを期するという意味であろうと思います。一般にこれを熱処理いたしまして、それを加工するということになりますれば、一般の人に対しては、特にこれがいわゆる食品衛生法にあります不衛生食品になるということではないと考えております。飲用に適当であるかどうか、ことに学童と申しますか、少年の保健上害があるかどうかということからこの基準ができておるものと思います。
  37. 河野正

    河野(正)委員 ただいま答弁を承わって参りますと、学童に対して健康上に影響を及ぼさなければよろしい、及ぼす危険性があれば不良品として取り扱うのだ、言葉を変えるとそのようなことだと思うのでございますが、そういたしますと、私は非常に大きな危険があるものと思いますし、またその点につきまして文部省当局の無責任を追及しなければならぬと思うのでございます。と申しますのは、いわゆる給食の問題は単に学校給食を受けるということでございますけれども、これが市販に出て参りますと、必ずしもおとながそのものを飲用すると限っておりません。やはり家庭に帰りますれば、子供たちあるいは学童たちも飲用する機会がたくさんあるのでございます。そういたしますと、ただいま局長報告されました答弁というものは全く機械的な答弁である。そうでなければ、私はこの認定につきましては非常に大きな疑問がある、かように思うわけでございますが、その点どうですか。
  38. 小林行雄

    小林(行)政府委員 それは先ほどお答え申しました通り、とにかく不良品は飲用に供しないということでやっておるわけでございまして加工品に回す場合も保健所検査の結果に基いてこれを加工品に回すということでやっておりますので、これは一応害はないものと思っております。文部省といたしましては、特に払い下げの場合に、学校給食会がいわゆる業者と契約をいたします場合には、これはそういった方面の食用に供さないという特別な請書を入れさせて実は契約をいたしておるのでありまして文部省としてはこれは飲用には絶対に供されてない、熱処理されたあと、加工用として一部回っておる程度のものであるというふうに現在状況を把握しておるわけでございます。飲用には、市中に出回っても供されてないであろうと了解しております。
  39. 河野正

    河野(正)委員 ところが食品衛生法第四条を見て参りますと、加工してもならないということが明記されておるわけです。そういたしますと、何とかかんとかおっしゃいましても、結局食品衛生法の適用を受けなければならぬということに帰結すると思うのでございますが、それでも何か御異論がございますか。
  40. 小林行雄

    小林(行)政府委員 従来の取り扱いは先ほども申しました通り厚生省検査の結果に基いて、これは特に人体に保健上有害であるというものは、はっきり牛馬の飼料用に回す、従って一応これがこの食品衛生法にあります不衛生食品に該当するものとして処理されておるのではありませんで、学校給食用としては適当でないけれども、それ以外のものに適当に処理してと申しますか、熱処理をして使用するならば差しつかえないものとして判定されておりますので、その判定に基いて加工用にも回しておるわけでございまして、従ってこの食品衛生法にいうところの不衛生食品の加工というようなところには該当しないものと考えます。
  41. 河野正

    河野(正)委員 どう聞いても私ども科学者の立場から考えますと納得いかぬのでございますが、それでは最後にお尋ねいたします。学校に行っております学童と、一たん学校がひけまして家庭に帰りました学童というものは、生態上、生理上何か違った点があるのでございましょうか。そういたしませんと、ただいまの局長答弁というものは納得がいかないのでございます。
  42. 小林行雄

    小林(行)政府委員 これは学童が学校給食用として飲用されることがよくないものであれば、家庭においても飲用することは保健上よくないことは当然でございます。ただ要するに先ほど来お答え申し上げておりますように、給食に適しないというものについては飼料にする、あるいはそのほか全然ひどいものは廃棄されることになるのでありましょうが——廃棄されたものは今までないと思いまするが、これをとにかく飼料にする。給食用には必ずしも適しないけれども加工用として処理するならば差しつかえない。たとえばこれを飲用に処理するならば、給食の場合と同じでございますのでよくないことになるわけでございますが、加工用としてたとえば熱処理をする、具体的にどういうことになるかわかりませんけれども、たとえばビスケットに熱処理をして入れるとかいうことならば差しつかえないというものがあるわけでございます。そういったはっきりした処理方法によって加工されるものならば、学童が食べてもおそらく差しつかえない、ただしそれをなまのまま飲用されることは危険である、こういうふうに解釈いたしております。
  43. 河野正

    河野(正)委員 食品衛生法の第四条の規定におきましては、先ほど私がいろいろ申し上げるような規定が明記されております。しからばそれでも使ってよいということでございまするかり、法的にどういう場合は使ってよいのだというような根拠があろうと思いますが、その根拠を示していただきまして、一つ納得さしていただきたい。
  44. 小林行雄

    小林(行)政府委員 文部省といたしましては従来厚生省係官検査の結果に基いてこれを処理しておるわけでございまして、法制的なものもあると思いますけれども、現在ここに持ち合せておりません。またよく調べてお答え申し上げたいと思います。ただし昨年十月に日本学校給食会が特殊法人として成立いたしました以後は、事故品はなるべく飼料にしようという方針で処理いたしております。これは必ずしもただいまお尋ねのあったような点に原因があるわけでございませんけれども、いわゆる国産品の脱脂粉乳をなるべく圧迫しないようにという趣旨から、関係省が話し合いまして、そういう方針を立てておりまして、現在では大体飼料にするということで、加工用に回すというようなことは差し控えるという方針で実施をいたしております。
  45. 河野正

    河野(正)委員 先ほどから答弁を聞いておりますると、だんだんと私の質問に追い込まれて、今日ではとうとう加工品にやるのではない、飼料に回すのだというようなことに話が相なって参りました。これは一体どういうことでございましょうか。ほんとうにそういう方針でやられたのかどうか。私が責任を追及したからだんだんと追い込まれて、今日では加工品へ出すのじゃない。——どうも食品衛生法四条の適用を受けやせぬか。先ほど質問申し上げましたように、もし食品衛生法の該当からはずれるという法的根拠がなかった場合には、非常に責任を追及されるので、責任を回避するために何か詭弁を弄しておられるような印象を受けるのでございますが、そういう点は大丈夫でございますか。
  46. 小林行雄

    小林(行)政府委員 前のお尋ねにつけ加えました通りでございまして、それは食品衛生法上疑義があるというようなことでそういう処理方針を立てたのでございません。先ほどお答えの中に申しました通り、やはり国産品の脱脂粉乳を圧迫しないようにするために、その輸入品のいわゆる給食に乗らない事故品加工用に回るということでありますと、国産の脱脂粉乳の販路を押えるという懸念もありますので、そういった趣旨からこれはなるべく牛馬の飼料用に回すということにしたのでありまして食品衛生法違反の疑いがあるということでそういうふうにしたのではございません。
  47. 河野正

    河野(正)委員 重ねてお尋ねいたしておきたいと思います。第四条に該当するというような疑いが非常に濃厚でございますけれども、それを否定するような法的根拠があれば別でございますが、その点についてはここで明言ができませんので留保いたしたいと思いますが、もし第四条の適用からはずすというような法的な根拠がなかった場合には、これは当然食品衛生法第四条に違反するものでございますし、またそれにつきましては三年以下の懲役または五万円以下の罰金に処するという罰則規定もあるわけでございますから、これは非常に重大な責任だと思うのでございます。その点につきまして、もし厚生省とお打ち合せの結果、四条を否定するような法的根拠がなければ、当然ただいま申し上げますような重大な責任が生まれて参ると思いますが、そのときはそういった重大な責任をお背負いになるだけの覚悟と決意がおありになるのかどうか、その点を最後に伺っておきたいと思います。
  48. 小林行雄

    小林(行)政府委員 従来食品衛生法に基いて検査厚生省あるいは県の衛生部保健所等で実施をしてきて、その結果に基いて給食用に乗せないものについて一部飼料用に回す、また他の部分を加工用に回すということでやってきておりますので、もちろんこの食品衛生法に違反をしてこの罰則に該当するようなことになるということは、私どもとしては毛頭考えておりません。従って第四条違反の場合にどうするかということについても、私どもとしては、ただいまここでお答えすることはできないわけであります。
  49. 野原覺

    ○野原委員 関連してお尋ねしたいと思います。先ほど監理局長河野委員質問に対して、今回のミルク事件文部省には絶対に波及しない、こういう断定をされたのでございますが、私もそのことを望みたいのです。文部省に波及してもらったら、私どもとしても国民の文部省に対する信頼をはなはだ失墜することにもなるし、決して望ましいことではございませんが、しかしあなたが当面の責任者として文部省に絶対に波及しない、こう断定されるからにはよほどの確信がおありだろうと思うのです。どういうことを根拠にしてそのような断定を今日なさるのか、御説明願いたいのであります。
  50. 小林行雄

    小林(行)政府委員 今回のいわゆる長崎事件について見ますと、確かに府県からの需要申請にはある程度水増しというようなものがあったようでございまして、それを文部省の方で審査をいたしておりますのにその水増しが見破れなかった、看破できなかったということについては審査が完全でない、不十分であるという点は確かにあろうと思いますが、計画的な横流しのある程度片棒をかつぎまして文部省がそれを積極的に支持して横流しをさせたというようなことは、おそらく文部省としては絶対にないと思います。そういう意味で文部省への波及というものはないだろうというふうに申し上げたつもりでございます。
  51. 野原覺

    ○野原委員 学校給食会には責任はないものでしょうか、いかがでしょうか。
  52. 小林行雄

    小林(行)政府委員 学校給食会の方は、これは御承知かとも存じますが、その輸入業務をやりまして、そして倉庫に保管しておりますものを、文部省からの輸送の指示を受けましてその指示通りの数量を一定の場所へ輸送する。従って府県給食会まで輸送するというのが学校給食会の業務でございますので、給食会としては文部省の指示の日時に指定の場所へミルクを送っておるというのが実際の状況でございますので、学校給食会には波及することはないであろうと考えております。
  53. 野原覺

    ○野原委員 関連ですから、私は簡潔に終りたいと思いますが、ただいまの河野委員質問に関して、加工品に不良品がやはり回されていると思うのです。私の聞くところによると、ミルク業者の手にも相当大量のものが入っている。ミルク業者の手に入れば、これは市場に回りっこない。加工品になっているに違いない、こういう点についてはあなたの方ではどうお考えですか。
  54. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、厚生省検査地方におきましては県の衛生部なり保健所検査の結果に基きまして飼料用に回すもの、あるいは加工用に回し得るものという判定を受けて、それに基いてそれぞれ払い下げをしているのでございますので、業者加工用として払い下げたものが、加工用として処理されるということは当然あり得ると思います。
  55. 野原覺

    ○野原委員 文部省に絶対に波及しないというあなたの御答弁に対して、私はただいま二、三お尋ねをいたしましたが、遺憾ながらただいまの局長の御答弁では、文部省に責任が絶対にないとは言えないと思うのであります。今文部大臣がお見えになりましたが、文部大臣日本学校給食会監督上の責任を持っていらっしゃる。実は水増し審査ということが今回のミルク横流し事件原因になっているのです。いわゆる水増しを見破ることができなかった、もしその水増しを早くから探知してそういうような要求をした教育委員会には断じてやらないということがあれば、実は横流しということは、不正なる官僚がやろうと思ったってできっこない。そのために日本学校給食会法というもので文部大臣に重大なる監督権限を与えております。条文を見たらわかるのです。私はこの責任は免れないと思うのです。しかもただいま捜査当局はいろいろこの捜査をしているようでありますが、そういう捜査の過程にあって、責任をだれよりも痛感しなければならない文部当局が、われわれには絶対に波及しないのだ、こういうような物の考え方というものは、いささか謹慎を欠くのではないかと思うのであります。そこで文部大臣がお見えになりましたから、重ねてお尋ねをいたしますが、大臣は捜査の結果、この事件がはっきりしたならば、私はそのときになって責任の所在その他についても考える、こういうことを言われたのでございますが、この言やはなはだよしであります。私はさすがに清瀬さんだと思って、この前の委員会では敬服をしたのでありますが、もっと具体的にあなたが善処される、責任について痛感をするということはどういうことでございますかお尋ねいたします。
  56. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 ある嫌疑が起った事件に責任を負う者がどういうことをするかということは千差万別で、具体的に今事実のわからない先に申し上げることはできないのでございます。
  57. 野原覺

    ○野原委員 大臣、あなたの監督の立場にある文部当局給食ミルク横流しについての書類が、今日文部省に全部備わっておりますか。それとも警視庁に持って行っておられますか、どうです、その点は。
  58. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 文部省の書類の一部分は任意提出いたしたそうでございます。それから給食会関係書類は押収または領置を受けているようでございます。
  59. 野原覺

    ○野原委員 国民が最も信頼している文部当局が今日警視庁から捜査を受けている。いいですか、政府の官庁が捜査を受けているのです。そしてあなたが監督しなければならない文部省が、その書類すら——任意持ち出しをしたかどうか知りませんが、学校給食会その他は持っていかれている。これは私は重大だと思うのです。だから大臣としては、そういうさまつなことについては一々できないかもしれませんけれども、しかしこの問題については責任というものはやはりとっていただかなければならない。あなたは捜査の結果を待たなければ何とも言えない、こういうことでございますから、私も捜査の結果を待とうと思います。しかし文教の責任者でございますから、国民道義の確立をお約束なさっている清瀬さんとしては、国民道義確立のためにもこの問題については慎重なる御配慮あらんことを重ねて希望いたしまして、私の関連質問を終ります。
  60. 河野正

    河野(正)委員 大臣がお見えになりましたから、引き続きまして質問を続行いたしたいと思います。  御承知のように大臣は今日まで非常に教育の中立性ということを強調せられて参りました。予算委員会その他を通じて聞いて参りましても、盛んに教育の中立性ということを強調されて参っております。ところがまことに残念なことでございますが、今日各所におきまして教育というものが一つの軍事政策に巻き込まれつつあるという事実を私ども見て参っているのでございます。従いまして本日はその点につきまして若干大臣の御所見を承わりたいと思いますが、たとえば最近東大で潜水艦の実験が行われたというようなことが新聞で報ぜられております。考え方はいろいろあると思いますけれども、少くとも教育の中立を守らなければならない、また今日まで大臣がそういった主張というものを強くやって参られたという建前の中で、そのような軍事政策と教育がややもすると結びつく危険性があることはまことに遺憾であるといわなければなりませんが、それにつきましての大臣の御所感を承わっておきたいと思います。
  61. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 教育の中立性は守らなければならぬと私も思っております。
  62. 河野正

    河野(正)委員 御承知のように教育基本法にも明らかに示されておりますように、その第一条に、「平和的な国家及び社会の形成者として、」云々という項目が明らかに規定されております。ところが新聞でも御承知と思いますが、先ほども申しましたように、東大ではどうも軍事政策と関連するような研究が行われている、あるいはまたこれは事実について当局お尋ね申し上げたいと思うのでございますが、各大学の医学部あたりにおきましては、自衛隊の委託生が盛んに聴講生として入ってきているというようなことで、各所において物議をかもしているようでございますが、この点に関しまして御所感と、また今日各地で起っております実情の一端等を御発表願いたいと思います。
  63. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 大学において学術を研究いたしますのは、大学の研究の自由でございます。それからいやしくもわが国が国家を守るために自衛隊を持っている以上は、自衛隊の学術を助けるということは平和には少しもそむくものではない。われわれの観念は日本国のような立場にある国が自衛をすることはかえって世界の平和に貢献するところであると思っております。
  64. 河野正

    河野(正)委員 私どももそのすべてを否認するわけではございませんけれども、しかしながら私ども長い間研究に携わって参りまして、そういった経験から見て参りましても、最初の一石というものがだんだん大きな波紋を描いていく、たとえば大臣も御答弁なされましたが、当初はそういった一つの合理性と申しますか正当性というものがあったといたしましても、それを契機といたしましてだんだんこの方向が再軍備につながっていく、こういったことは私ども戦前戦後の研究生活を通じて参りましてもきわめて明らかな事実であると考えております。そこで今日の自民党は国内の自衛力ということはお認めになっておるわけでございますから、そのような答弁はあろうかと思いますけれども、しかしながらそういった実績というものが将来非常に大きく拡大、拡張されて、そうしてとんでもない方向にいくという危険性を私どもは非常に考えておるわけでございます。そういった危険性は多分にあると思いますが、その点に対しましてさらに大臣から御所感を承わっておきたいと思います。
  65. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 世界の平和を乱すことはないように年々刻々私ども注意いたしておるのであります。日本人の教育に当っても二言目には闘争じゃなんじゃといったようなふうにあおり立てないようにいたしたいと思っております。
  66. 河野正

    河野(正)委員 これは何も私は闘争というようなことで御質問申し上げたのでもございませんし、また学内でいろいろ議論になっておるものも、私は何も闘争ということで物議をかもしておるのではなかろうと思います。私はきわめて紳士的に質問しておるにもかかわりませず、いわゆる学問の中立を守ろうという熱意に基いて質問しておるにもかかわりませず、ただいまの御答弁を承わってておりますと、私どもが闘争を大臣に何かけしかけておるというような意味で御答弁なされますことは、私ども委員の人格を無視されるもはなはだしいと思います。もう少し大臣質問に対しましては紳士的に答弁をお願いしたいと思います。
  67. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 私の表現が悪くてあなたのお気にさわったとすれば、これは陳謝いたします。しかし私ども平和教育をやろうということが文部省の信念でございます。しかしながら敵が攻めてくれば、日本の国は伝統ある大切な国でありますからこれを守らなければならぬ、しかしこちらから手出しをする、侵略的闘争は極力避けるべしということを教えたい、かように思っておるのであります。私が今言った闘争という言葉は春季闘争などという闘争とは違いますから御了解願います。
  68. 河野正

    河野(正)委員 具体的に申し上げますと、たとえば自衛隊の諸君が今日各大学の医学部に委託生として入学してくる、もちろん自衛隊の隊員も人間でございますからそういった人のからだに対しまするいろんな診療なりその他の技術を学ぶということは当然でございましょう、人道的の立場から見て参りましても、私は諸君が反対しておるように全面的に否認するものではございません。しかしながら当初はそういった精神で出発いたしましても、最後にはそういった医学というものが軍事医学の方向にだんだん進んでいく、私どもの経験から申し上げましても、当初は今日行われておるようなケースでございましたけれども、最後には積極的に戦争の方向へ協力するような軍事医学が行われておる、こういった点を私ども乏しい経験でございますけれども、経験から考えてみましても非常に大きな危惧と不安とを持たざるを得ないのでございます。しかも今日の教育基本法では、明らかに教育は平和的な教育でなければならぬということが規定されております。そういった教育基本法の建前を守るためにも、少くとも今日のような軍事政策に協力するような教育の方向というものは、非常に大きな危険性があるのでございまするから、その点につきまして大臣は今後さらにこういった方針を貫いていこうとするのか、あるいはまたそういった危険性は十分感じておられるのか、その辺のお考え方をお尋ね申し上げておきたいと思います。
  69. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 先刻もお答えいたしました通り、わが国が自衛隊を持ち、自衛隊の方では自衛のために有力に防備するための各種の研究をいたしておるのでありまするが、しかしそれが原因となってこれらの青年が進んで闘争したいといったような心が起らぬように十分に注意をいたしておきたいと存じます。この点はあなたと全く同一であります。
  70. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 平田ヒデ君。
  71. 平田ヒデ

    ○平田委員 私は特殊教育についてお伺いいたしたいと思います。  大臣並びに緒方局長さんにお伺いいたしたいと思いますが、去る二十三臨時国会の初頭におきまして文部大臣は教育の機会均等を力説され、そうして特に特殊教育についてはお力を注ぐということを承わっておりますけれども、教育特に盲ろう教育についてでございますが、これが義務制の完全実施のために、何か手をお打ちになられたことがございますか。
  72. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 盲ろう学校の就学等は十分に援助しなければならぬと考えておりまするし、今回は予算をちょうだいいたしまして、盲ろう学校で使用する点字教科書を作る機械も購入することにいたしております。できるだけ援助、補助をいたしたい覚悟でおります。
  73. 平田ヒデ

    ○平田委員 点字のことはあとから質問したいと思っておったのでございますけれども、点字機のことが出ましたので伺いますが、その点字機はどこに備えつけられるのでございますか。
  74. 緒方信一

    緒方政府委員 このたび盲学校の高等部の生徒の教科書を整備いたしますために、点字製版機と印刷機とそれぞれ一台ずつ購入いたしますために約二百万円の経費を計上いたしておるわけでございますが、この予算が成立いたしましたならば、これを国で購入いたしまして、そうしてこれを民間の点字出版の団体等にこれを貸与いたしまして、そして点字教科書出版が進みますようにいたしたいと存じております。どこにということでございますけれども、まだ具体的にどこということはきまっておりませんけれども、点字出版の面で事業されておる各種の団体がございますし、いろいろな公益団体等もございますので、その中の最も適当なものを選んでこれを貸与いたしたい、かように考えております。
  75. 平田ヒデ

    ○平田委員 子供たちの陳情も局長さんや大臣のもとにもたくさん参っておると思うのでございますけれども、この教科書が何よりも不足をしているばかりでなくて、お値段は高いし、数は少いし、それから古いということでございます。私のところにも高知県の片いなかの尋常四年生の女の子から手紙が参っておりまするけれども、ページ数が抜けておる。それからページ数が抜けているばかりでなくて、前後している。それから文字が抜けている。私にもどうか私の兄弟のように当りまえの新らしい整った教科書をほしいという涙ぐましい陳情が参っております。こういうことについて、文部省は少くとも義務教育でございますから、その本の監督という点についてはどんなふうになさっていらっしゃるのでしょうか。
  76. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいまのお話は、小中学部の話も入っているかと存じますけれども、義務制の盲学校教科書につきましては、業者にまかせておきましては十分に参りませんので、文部省で点字印刷をして出しておるという状況でございます。点字出版につきましては、やはり高等部のところで申しましたと同じように、義務制の分につきましても業者にまかせておいては円滑に参りませんので、文部省で点字印刷機を購入いたしまして、これをただいま「点字毎日」の方に委託をいたしまして出版をはかっております。さようなことで、義務制につきましては点字印刷も円滑に進んでおりますけれども、ただいま申しましたように高等部につきましては非常に高かったり、あるいは内容が十分でなかったりいたしまする関係で、このたび印刷機も購入いたすような予算を計上いたしましたし、それからさらに高等部の生徒に対しまして教科書を給与いたします予算といたしまして、大体二百万くらい同時にこの予算に計上いたしておるわけでございます。これによりまして高等部の生徒全体に対しまして教科書を無償でやれるように相なると存じます。そうなれば漸次事態が改善してくると存じておる、次第であります。
  77. 平田ヒデ

    ○平田委員 義務教育に準じて教科書の補助金は三分の一となっておりますけれども教科書はなかなか高いと思うのでございます。三分の一では私は容易じゃないと思います。その数字などにつきましてはここに簡単なものがございますけれども、本によっては四倍、五倍、数学の解析などになりますと、三十一円の本が五百十五円、十九倍強になっております。それから英和のコンサイスなども原本で五百円のものが一万八千百五十円、三十六倍、そのうち三分の一だけ補助されるのですか、これはどういうことになるか存じませんけれども、少くとも自分のふところから一万五千円くらい出さなければならない。大体盲学校の生徒は、義務教育だけでは一人立ちはできません。どうしても職業教育が必要なのでございまして、それに必要な本の値段もこれから推定されるわけでございますけれども、こういう点について今お話がありましたようなそういうところへ委託して本を印刷させるということよりも、国でもってこれを全部おやりになるという方法はとれないものでございましょうか。  それからもう一つは、いわゆる社会事業団体にまかせておくような出版のやり方、いわゆる民間の出版のやり方ですと、どうしても義務教育の教科書出版だけに追われてしまうそうでございます。そうしますと、出版能力が低いために、学期が始まりましても、二学期ごろになってようやく手元に渡ってくるのだそうでございまして、そういう点も私は考慮されなければいけないのじゃないかと思います。  それからもう一つは、高等学校の盲学校に教員養成の大学課程というものがあるのでございますけれども、この資格をとるのに必要な単位課目の中に教育学とか心理学とか、これはぜひ必要だと思いますけれども、こういう教科書が皆無だということを聞いております。こういうぜひともとらなければならない単位課目を高等学校へ置かないで、どうして教員の資格を与えていらっしゃるのか、私は大へん不思議なのでございますけれども、その点についてもお伺いいたしたいと思います。
  78. 緒方信一

    緒方政府委員 第一点の補助金が三分の一では本人が三分の二出さなければならないので、相当高い負担を本人がしなければならないのじゃないか、こういう御質問でございますが、この点は、事業主体は都道府県にいたしまして、都道府県予算の全額を計上するわけでございます。それに対しまして国が三分の一を補助する、こういう意味でございます。従いまして本人といたしましては教科書代を全部支給される、かような関係になりますので御了承願います。それから第二点の点字印刷の機能の問題でございますけれども、これはお話のように国で点字印刷所等を設置することができればなおけっこうかと存じますけれども、ただいまのところ、来年度といたしましてはとりあえず二百万円の金を計上いたしまして、先ほど申しましたように特に高等学校の点字教科書出版のためにこの機械を使用いたしたいと考えておる次第でございます。かようにいたしまして、なるべくスムーズに教科書出版できるように努力いたしたい、かように考えております。
  79. 稻田清助

    ○稻田政府委員 教員養成の過程において目の不自由な方に対しまする教材、これは御指摘のごとく今日まだ非常に整っておりません。遺憾な状態だと考えております。ただいかにして教養過程を修得するかという点は、これは主として講義による状態でございますけれどもお話の点につきましては今後とも盲教育の充実のために私どもとしても努力いたしたいと考えております。
  80. 平田ヒデ

    ○平田委員 緒方局長さんにお伺いしたいのでございますけれども、現在の盲学校就学のことについてでございますが、私ども調べたところによりますと、希望している生徒の三分の一くらいしか就学できない状態でございますけれども、この点について……。
  81. 緒方信一

    緒方政府委員 御指摘のように就学率は必ずしも良好ではございません。これには理由はいろいろあると存じますけれども、やはりからだの不自由な点でいろいろハンディキャップを受けますし、それと同時に、この就学につきましては経済的にも、一般教育より費用が相当かかるという点もあるかと存じます。さような観点からいたしまして、就学に対します父兄の経済的な困難を緩和いたしますために、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律というものができたわけでございますが、これに基きまして、法律に掲げましたような費目につきまして、特に義務制についてでございますが、予算を計上いたしまして今日までそれらの就学の奨励に努めておる次第でございます。高等部につきましては、これは義務教育ではないのでございますけれども、来年度から、先ほどお話し申し上げました教科書だけについてでございますけれども、施策を及ぼしたわけでございまして、そのようなことによって就学率の向上をはかっていかなければならぬ、かように考えております。
  82. 平田ヒデ

    ○平田委員 学校から学齢に達したからといって就学の達しが参りましても、なかなか通えないということでございます。特に盲ろう児というものは各方面に点在しておりますから、いわゆる義務教育の普通の小中学校のように一村に一校というわけに参りません。そこで非常に広大な地域にわたって盲ろうあ学校が設けられる、ここが私は特殊教育と名づけられるゆえんだと思うのでございますけれども、それに対してやはり手を打たるべき何かがあるのじゃないかと思います。家庭の貧困のために、あるいは親の無理解のために行けないからといってそのままほうっておかれたのでは、私は義務教育、いわゆる教育の機会均等をうたっておられる大臣としても申しわけないのじゃないかと思うのでございます。私の知っております範囲で申し上げますと、少くとも三分の二に近い生徒が希望しながら出られないことについて、何か手をお打ちになることを考えていただきたい。そう今申し上げているのでございますが、それに対して今の局長さんの御答弁はおざなりであったように思うのでございます。
  83. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま私盲ろう児童生徒の就学奨励費の内容について申し上げなかったのでございますけれども、この法律の内容といたしまして、特に義務学年に対しましては、教科書の購入費と学校給食費と交通費、寄宿舎の雑費並びに食費、こういうものを支給しているわけでございます。そこでただいまお話のように、盲ろう学校につきましては各県に一カ所ずつぐらいございます。従いましてその通学につきましては、特にからだも不自由でありますので、交通の上にも非常に因るという実情にございますので、先ほど申しました中の交通費でございますけれども、通学生と寄宿生に分けまして、それぞれ交通費の支給をいたしているわけでございます。通学生に対しましては、特に小学校の下学年の通学に対しましては、本人の交通費のみならずつき添い人の費用も計上いたしておるわけでございます。それから高学年の学生につきましては本人だけでございますけれども、これも計上いたしております。それからなお寄宿生に対しましては、ただいま申しましたように、寄宿雑費あるいは食費、かようなものを計上いたし、今年はまた特に食費につきましても予算を増額いたしまして、御趣旨のような意に沿いたいと考えておるわけでございます。
  84. 平田ヒデ

    ○平田委員 大へん配慮をされているように伺うのでございますけれども、現在の学校数につきましては、報告していない県が六県もあるということを聞いておりますし、全国的な調査がまだ不十分であるという点をお尋ね申し上げたいのでございますが、それと同時に、現在日本に盲ろうあ学校が百七十三校ある、その中で寄宿舎の施設も持っていない学校が十三、養護施設を持っていない学校が七つということであります。結局寄宿舎というものがぜひとも必要なことになるわけでございますが、全部で百七十三校のうち二十校だけは全然ないということになるわけなんでございまして、家庭の貧困もさることながら、ここで一つ考えなくちゃならないのは、養護施設との関係についてでございます。耳が聞えない、ものが言えない、目が見えないということは、ここで養護されなくちゃならないと思うのでございますけれども、これは私の考えでは、むしろ厚生省の養護施設と密接な連絡をとって、そちらの施設を拡充されることによって私は就学の児童を救うことができるのではないかと思います。ただいま交通費というのは、それは通える範囲の子供でありまして、通えない子供は、寄宿舎で幾らか補助されても、それでもなかなか思うように出せないというのが実情でございます。そういう点について寄宿舎に入れぬ子供は非常に多い、ぜひとも私は養護施設との関連においてこれらの子供たちを全部就学させるような方法をとっていただきたいと思うのでありますが、この養護施設というのは、これは保護者が負担する能力のない者という理由がございます。貧困はその理由の中に入るか、あるいはその境目でありますか、家が貧しいために子供に対して親としての教育をするだけのものを失ってしまうよう場合もございますので、そういう点について養護施設との関係文部省としてはどんなふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  85. 緒方信一

    緒方政府委員 お説のように、盲ろう学校の寄宿舎、それがいわゆる施設と一緒に併設されておるような実態が相当に多いのでございます。これは学校関係から申しますと、ぜひ寄宿舎を拡充いたしまして、寄宿舎に収容いたして教育をすることが最も必要と存じますけれども、また施設に入って、そこから通っておるという実態も相当あると思います。施設に対しましてもお話のように目的が違うわけでありますけれども、しかし実態としてそういうふうに併設の格好で行われておるところが多い実情であります。そこで私どもといたしましては、先ほども申しますように、文部省の施策といたしましては、盲ろう学校の就学奨励の経費を増額いたすことによりまして、そうして寄宿舎に入りやすいようにし、また寄宿舎に入る費用の本人の負担を軽減していくように努めたいと存ずる次第であります。なお寄宿舎のない盲ろう学校も中にはあるように御指摘でございますが、これは地方の都道府県負担になるわけでありますが、文部省といたしましては寄宿舎が増設されまして、寄宿舎になるべくたくさん収容されて、そうして就学率が上るように期待いたしておるわけでありますけれども文部省の直接の施策といたしましては、先ほどから申し上げますように、就学奨励費を漸次増額をしていきたい、かように考えております。
  86. 平田ヒデ

    ○平田委員 これだけで質問を終りますけれども、今日お取りになった予算はおよそ必要額の三分の一にしか達しておりません。大臣は大へんたくさん取れたとおっしゃいますけれども、これは三分の一でございます。しかしこの三分の一というのも、現在就学したいという児童の三分の一くらいしか就学さしていない、その児童に対してさらに三分の一でありますから、これはまことに申しわけだと思います。どうか私はこの収容させなければならない子供たち全部を学校に収容するような方向へ、ぜひとも努力をしていただきたいと思う次第でございます。最後に私どもの今の質問をお聞きになっての文部大臣としての御所見を伺いたいと思います。
  87. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 お説の通り微力でありますが、将来十分努力をいたしたいと思っております。
  88. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 休日の問題について野原覺君から質疑の申し出があります。野原覺君。
  89. 野原覺

    ○野原委員 大臣お尋ねいたします。高知県の小学校が二月十一日に紀元節の式典をあげた、こういうことでございますが、これは文部省は何かその真相を御調査になられましたか、なられておるならばそれはどういうことであったのか、私ども奇怪なことだと思いますので、一つ御説明を願いたいのであります。
  90. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 そのことを新聞等によって承知いたしまして、さっそく問い合せをしておりますが、この瞬間まで確たる返事は参っておりません。要点は教育委員会の許可でなくて、校長がこれをやったかどうかという点であります。返事があり次第御報告申し上げます。
  91. 野原覺

    ○野原委員 大臣はまだよく事情をおつかみでないので、私も実は質問をする場合に内容に立ち入ったお尋ねができぬのでありますが、かりに教育委員会に願いを出した、教育委員会が許可をした、これは教育委員会は許可をするわけはありません。大臣も御承知のよう、国民祝日に関する法律がありますから、許可は絶対しないのでありますが、あの高知県の小学校の紀元節の式典は非常な波紋を描いて、いろいろ賛否両論に分れて批判がなされております。先般並木委員質問に対して、紀元節には賛成であるという御答弁をなされた文部大臣としては、一体どういうようにあの式典をお考えでございましょうか。あなたの率直なお考えをお示し願いたい。
  92. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 その当日のことは、教育委員会その他の同意を得て校長がやったかどうかが一番要点でございます。それがまだわかりませんから、この高知県の繁藤小学校事件としては、私、本日はお答えを留保させていただきたいと存じます。これがわが国のほんとうの建国に合しておる日であるかどうかは別といたしまして、祝日としてではなくして、各人は祝う自由を持っておりまするし、祝わない自由も持っておるのでございます。私は祝う方に賛成であります。
  93. 野原覺

    ○野原委員 ただ個人が紀元節を祝う自由、祝わない自由、これは当然でありますが、学校一つの教育的な行事として、あの日は一日授業を休んで式典ををやった、こういうことになっておるのでありますから、この点をどうお考えですか。
  94. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 この日は全部休んでこれを祝ったのか、あるいは授業もやっておって、やはり昔はこれが紀元節という日だということを教えるためにやったのか、そこのところはまだわからないのでございますから、その日のことについてはよく調べてお答えすることにいたしたいと思います。
  95. 野原覺

    ○野原委員 たとえば二時間その式典をやって、あとの三時間は授業をした、こういう場合であっても私は問題があると思うのですが、あなたはそういう場合には問題がないとお考えですか。
  96. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 この具体的のことについては調べてから申し上げます。しかしながら、正規の学校の授業を休むことはよろしくないと存じております。
  97. 野原覺

    ○野原委員 これは教育行事としてはある程度認められる場合もあると私は思うのです。しかしながら紀元節の式典をあげたということは、たといそれが半時間であっても私はどうかと思うのですが、大臣は真相がわからぬから言えないと言うけれども、私の仮定に対して、そういう場合には許されますか。
  98. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 やはりはっきりしましてからお答えする方が誤解を招かないでいいと思うのであります。
  99. 野原覺

    ○野原委員 大へん問題がはっきりしないということに重点を置いた御答弁でありますが、私はもう一つお尋ねしたい。それは最近非常に復古調に乗ったと申しますか、学校方面でも、たとえば校長が壇上に上って天皇陛下万歳を三唱する、そういうことが間々行われておるやに聞くのであります。このことは一体許されるべきものかどうか。天皇陛下万歳と校長の音頭で生徒が唱和するということはいいのでございましょうか、いかがですか。
  100. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 それはいいと存じます。われわれが旅行をしても万歳と言ってくれるのに、日本の国民の結合の象徴である天皇陛下に向って万歳と申し上げることがどこが悪いのです。これはいいと思います。
  101. 野原覺

    ○野原委員 そこで私はお尋ねしますが、昭和二十二年の六月三日に第二百三十九号として発せられました学校教育局長の通牒はまだ生きておると思いますが、緒方局長、いかがですか。
  102. 緒方信一

    緒方政府委員 ちょっと今おっしゃいました通達を私よく存じておりませんので、よく調べてから申し上げます。
  103. 野原覺

    ○野原委員 よく聞いておってほしいのです。これは重要な問題です。あなたの方の文部省から、昭和二十二年六月三日、第二百三十九号、「学校における宮城遙拝等について」という通牒が出ておる。この通牒を読んでみますとこう書いてある。「儀式に際して学校が主催し、指導して行われた宮城遙拝、天皇陛下万歳は今後やめることとする。」よろしいですか。大臣個人としてはそれでいいけれども、法治国家としてこういう通牒を出して、これが生きておるとすれば、一体どういうことになるのですか。それを聞いておる。これは生きておるのか。局長いかがですか。
  104. 緒方信一

    緒方政府委員 これは今申し上げましたように、その通牒のことは私ここで承わっただけでございまして、その後の経過を存じませんのでお答えしかねるということを申し上げておきます。
  105. 野原覺

    ○野原委員 私は高知県の問題を聞いているのじゃないのです。よろしいですか。この法律はちゃんと公文書たる法規集に載っている。そうしてこれが廃止になったということを私どもはまだ聞かないのです。だから法規に通じていなければならぬ学校教員としては天皇陛下万歳はできないのだ。国民の祝日に関する法律を調べてみますと、昭和二十三年にこの法律ができておりますが、祝日というものは新憲法の趣旨に沿ったものでたければならぬという規定法律に明らかになされているのであります。そういうことから、非常な混乱を与えますから、ああいう式典が行われるということに対しては、やはり文部当局としては明確なる指示を出してやる責任があるかと思います。私はこの法文が生きていると思う。生きておるとすれば、文部大臣がよいと答弁された天皇陛下万歳はできないことになるのですが、大臣いかがですか。
  106. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 学校の行事として宮城を遙拝し、天皇陛下万歳を言うのは一つの行事でございます。あなたは学生が天皇陛下万歳と言ったら悪いのかとおっしゃるから、言ってよろしい、賛成でありますと言ったのであります。ことにその通牒などは占領されているときに行われたものでありまして、わが国が独立した今日において、天皇陛下に向って万歳と言うことはいけないというような解釈はよろしくありません。しかし、学校の行事として、特に生徒を並べてしいて言わしめるとか遙拝せしめるということは、これは問題でありますが、あなたの最初の問のごとき、天皇陛下万歳と言うことは少しも遠慮は要りません。宮城の前でたくさん言っておるのであります。
  107. 野原覺

    ○野原委員 あなたは、この委員会が終ったら速記録をよく読んで下さい。私がそれはいけないという質問をしたのは、学校長が壇上に立ってとまで具体的に言っているのですよ。あなたはよく人の質問を聞いて答弁してもらわないと困る。今になったら、私がこの法文を持ち出したものだから、これはえらいことになったとお考えになって、苦しまぎれに学校で生徒に強制したらいけないのだということを言っているのでありますから、それははっきりしているのです。私は個々人の生徒が勝手に天皇陛下万歳と言うことがいいか悪いかというような、そういう愚問はいたしません。これはよく質問を聞いて間違いのない御答弁をしてもういたいのであります。  それから大臣にここでもう一言お尋ねいたしますが、昭和二十三年の七月二十日に、法律第百七十八号として、国民の祝日に関する法律ができておりますが、この国民の祝日に関する法律は、国会で文化委員会等で非常な論議をされてできたことは大臣もよく御承知だろうと思う。あるいは大臣は当時は追放のうき目にあわれて国会に出ていらっしゃらなかったかもしれませんが、相当の論議をかもして国民的な世論の中でこの祝日が定められたのであります。その第二条を見てみますと、祝日は新憲法の趣旨に沿うべきこと、国民大衆があげて容易に納得し、参加し得べきものという規定がある。私はこれは重大だと思う。高知県の小学校は、私の聞くところでは、元日に陛下の詔書をうやうやしく奉読されて、生徒にはこうべをたれさせたということも聞いております。当時文部省から式典に関する通達がたくさん出ておるのでありますが、天皇神格化の表現を強制したり、または指導したりしてはならない、こういうような通達に基いて、教育委員会並びに学校長はそれを守っておるのですけれども、ともするとそういう法文上についての最高責任者の文部大臣が、どうもこういうことについてはとんとおかまいなしに、並木委員とどう話し合ったのかしらないが、紀元節讃美論を簡単にやってのけられるというようなところから、私は非常な混乱が教育界に起きてきておると思います。あなたの憲法改正論、あるいは占領下の法律についてあなたが意見を持っておられることは私は知っておる。しかしながら、いやしくも法律が残っておる限りは、この法律はあなたは守らせなければならぬ義務があるのです、責任があるのです。文部大臣が文教上の通牒等についておかまいなしにやられてははなはだ困るということだけ申し上げておきます。これに対する御所見を最後にお聞きしたい。
  108. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 国民の祝日ということは法律にきまって、何人も争うことのできないものでございます。それゆえに期間の計算も祝日はないものとしております。これは法律です。もちろん祝日じゃなくても、めでたい日だというので祝うことは自由であります。祝日じゃない日でも、あるいは祖先の霊を祭り、あるいは皇室をことほぐ、これは国民の自由でございます。私は二月十一日が現在祝日だといって学校に休業を命じたことは一ぺんもございません。けれども個人として、私はこれは一番めでたい日だと思っているのです。日本の国ができた日でございます。
  109. 野原覺

    ○野原委員 高知県の問題については、文部当局にすみやかにその調査を完了されて、次回の木曜日の文教委員会にこれを報告し、あわせて大臣のこれに対する所見、並びに今後学校が行う式典等に対していかなる見解と対策を持たれるか、私はその説明をここで要求し、委員長はそのお取り扱いをされんことを希望いたします。
  110. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 今の野原君の要求に対しましてこの次の委員会大臣の御所見をお願いいたします。
  111. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 了承いたしました。
  112. 並木芳雄

    ○並木委員 簡単に一点だけ申し上げます。私、今の野原委員質問を聞いておりますと、独立した日本人の常識と合わないような点が感じられるわけです。あげられた文部省から出ている通達も、占領治下の通達であって、それを訂正したり廃止した通達が出ておらなかったにしても、これは実質上の時効です。死文です。ただしああいうような疑問が出る以上は、やっぱりこれを一掃しておく必要があると思うのです。  そこで文部大臣にここで要望的に質問するのですけれども、ただいまの天皇陛下万歳にしても、あるいは国歌の斉唱——君が代を今国歌といって国歌斉唱と言っておりますが、あれも法文の建前からいうと、果してこれが日本の国歌であるかどうかということについては、なお疑問があるのではないかと思います。あるいは国旗の掲揚、こういう一連の独立国としての日本の行事に対する諸点についていやしくも日本国民の間から疑問が出るようでは困りますので、この際全部それを再検討して、はっきり国歌斉唱をやりたければやってよろしい、国旗掲揚よろしい、今の天皇陛下万歳もよろしい。やれという命令ではなくて、やってもよろしいという、そういう自由を明文化された方がいいのではないかというふうに感じられますが、大臣見解を伺っておいた方がいいと思います。
  113. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 それを一々法律規定するかどうかは研究を必要とすると思います。しかしながら君が代を歌うことは私は決して悪いことじゃないと思っております。私は学校においては、ほかの歌を教えるよりも、まず君が代を教える方がいい思っております。
  114. 並木芳雄

    ○並木委員 大臣、今の天皇陛下万歳をやってはいけないという通達が出ておったとすれば、やはりそれは何らかの形で、やってもらいたいならば、取り消さなければいけない。野原委員の御質問の点はわれわれは率直に聞かなければいけないと思うのです。私自身としては、それは占領時代のものであり、実質上時効にかかっておると思っているけれども、行政府のお役人はやはり憲法、法律を守らなくちゃいかぬということは事実なんですから、この際そういうものを一括して再検討して、新体制というか、新しい独立国としての発足にふさわしいものに改めた万がいいと思うのですが、この点いかがですか。
  115. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 ちょっとと訂正かたがた申し上げます。天野文部大臣の時代に、国民の祝日等の式典の際には君が代を歌い、国旗を掲揚することが望ましいという通牒が出ておるそうであります。私の先刻のお答えに補足いたします。
  116. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本日はこの程度にいたし、次会は来る十六日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会いたしす。なお、先ほど内閣委員会に申し入れた連合審査会は、十六日午後一時より開会いたすことに決定いたしましたので、御出席を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十八分散会