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1956-10-03 第24回国会 衆議院 農林水産委員会冷害による農業災害に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月三日(水曜日)    午後二時三十六分開議  出席小委員   小委員長 笹山茂太郎君       足立 篤郎君    川村善八郎君       林  唯義君    本名  武君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       小川 豊明君    小平  忠君       中村 時雄君  小委員外出席者         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益太郎君         総理府技官         (北海道開発庁         農林水産課長) 金子  満君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     伊達  博君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (振興局参事         官)      庄野五一郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      河野 恒雄君         農林事務官         (食糧庁総務部         総務課長)   岡崎 三郎君         農 林 技 官         (林野指導部         長)      仰木 重蔵君         労働事務官         (職業安定局失         業対策部企画課         長)      中村  博君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     関盛 吉雄君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件 北海道における冷害による農業災害対 策に関する件     —————————————
  2. 笹山茂太郎

    笹山委員長 それではただいまから冷害による農業災害に関する小委員会を開会いたします。  北海道における冷害による農業災害対策について質疑を続行いたします。  本日は北海道開発庁、建設省、労働省からもそれぞれ係官が見えられております。まず小川委員の、きのうに引き続きまして質疑を続けます。小川委員
  3. 小川豊明

    小川(豊)小委員 きのうに引き続いて北海道道庁からもらった書類農林省統計調査部からもらった書類についてお尋ねしたいと思います。  今度の北海道冷害について、道の報告統計調査部調査もほとんど同一で、たとえば水稲で道は六〇%に対して農林省の方は五三%というので、少しの開きはあるけれども、いずれにしても被害は非常に甚大だということがわかるのであります。この道の報告によりますと、被害金額が三百九十六億九千三百万という数字になっております。この被害農家戸数が十八万九千七百戸ほどでありますから、一戸平均が二十一万というような被害が出ているわけであります。そこで道としては、おそらくすぐ直面する問題は、食糧対策、生活問題だと思うのであります。この道の不足食糧対策についてはどういう措置をとられるか。  それからそうした救済によるだけではなく、働いで賃金収入を得て、この窮状から脱却したいと強く希望しておるわけですが、これに対して国費による失業対策計画があればこれを一つ示してもらいたい。  また薪炭材等払い下げを得て生業資金としたいということも希望しておりますが、営林局としてはこれに対してどういう考えを持っておるか。その場合の条件等もあればあわせてこれをお尋ねしたい。
  4. 渡部伍良

    渡部説明員 まず第一に食糧の問題でありますが、食糧現物については食糧事務所を通じて用意するように手配しております。そうして行政措置でできるのは、代金延納ができますから、道の要望で二十八年と同じように値引きをしてくれというような要望もありますけれども、それはともかくとして、代金延納をして現物罹災農家に渡すような準備を道にするように、私行ってよく話して来ました。食糧庁の方からももちろん食糧事務所の方には行っております。これには道と市町村とが仲に立つことになりますので、道の方でその方針をはっきりきめて、具体的に町村に示達して、町村長が必要な農家代金延納食糧が渡るような手続をしなければならぬことになります。それは道の方において準備を進めておると思います。  それから第二には賃金収入を確保する方法であります。これにつきましては、道の方の要望は各方面の公共事業なり、道路土地改良河川、そのほかの事業要望が出ております。これらにつきまして、継続事業につきましては重点的に、賃金収入が必要なところに落ちるように、振りかえることができる限り振りかえる、そういうよう’な方針で具体的に各担当官庁作業を進めておるのであります。さらに継続事業だけでは足りませんので、新しく予備金要求をして資金を追加する必要がある分、あるいは農林漁業金融公庫その他からの融資によってやる事業、そういうものの個所を具体的に決定しまして、その積み上げ作業を今やっておるところであります。  林野関係事業についても同様な措置を、道路土地改良河川、それぞれについてそれぞれの担当官庁で進めております。現在までまだそれの集計ができておりませんので、継続事業の分が幾らで、新規に予備金要求するものは幾らということは申し上げかねますが、これは結局下からの積み上げ作業でできるのでありますから、もうしばらく時間をいただかなければできないと思います。なお詳細は林野庁の指導部長からお答えいたさせます。
  5. 仰木重蔵

    仰木説明員 薪炭林払い下げにつきましては、二十八年度のときと同じように経営案の一部修正等を行なって、円滑なる払い下げをしなければならないのではないかというようなことで、今業務課長現地に参っていろいろ協議をいたしております。それから条件等につきましては無担保、延納等措置を二十八年度のときと同じようにとらなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  6. 中村時雄

    中村(時)小委員 経済局長にちょっとお尋ねしたいのですが、あなたの話は、きのうから聞いておっても、わかったようなわからないようなことが多いのですよ、どうも的確じゃないのです。たとえば今の食糧の問題に限定してみても、三つの条件がある。一つ食糧不足しているからもらいたいということ、一つはその価格を安くしてもらいたいということ、一つ予約買付に対するところの資金の問題をどうするかということだ。そこであなたのおっしゃることはできることを言っているだけの話なんです。片一方で、たとえば道に命じて今言ったような延滞することを認めましょうと言う、ところが逆に食糧はもらいたいけれども、その価格を安くしてもらえることができるかどうかはわかりません、こう言うのですね。つまり問題はできることだけ言って、あとは逃げているだけなのです。肝心のところがみな抜けている。だから私は食管長官に出てもらいたいということを言ったので、あなたは食管長官代理あるいは農林大臣代理かもしれないけれども、そういうところの肝心な点が抜けていたのでは、ほんとうの的確な問題を取り上げることはできないのです。  そこで一点お聞きしたいのですが、今言ったような余裕米買付の問題について、代金の問題をどういうようにしていくのか、あるいは実際に米の値段を下げてもらえるのかどうなのか、そういう点を的確にどういうところがむずかしいのか、そういうようなむずかしい点はどうしようじゃないかということがこの委員会では大事なのですから、真剣にそういう点を考慮して答弁をしてもらいたいのです。
  7. 渡部伍良

    渡部説明員 決してずらかしておるわけではありません。お話通り値段を下げることは、まだ農林省としては最後的にきまってない、それをきまらないからその現物を渡さないということではいけないので、できるところからやっているということであります。それから予約概算払いの金もまだ先般農林大臣が迷惑のかからぬようにするという言明をしただけでありまして、具体的にそれではいかなる方法によってそれを実現するかということは、農林省ではまだ案ができていないのであります。しかしそれは処置しなければいかぬということだけはきめておるわけであります。それ以上の説明は現在のところでは私の方ではできないのでありますから、逆に、しからばこの点はこうしろということで話が食い違って進んでいって、それではできる問題とできない問題はどうするかということになるのだろうと思います。お話通り二つ区別して申し上げておるのであります。
  8. 中村時雄

    中村(時)小委員 ここでは議論じゃないのだから、どうやってできないことをできるように一歩でも前進さすかということがやはり目的なんです。その要求をどう取り上げるかということを真剣に考えているわけなんです。そこでそれだったらできません、まだわかりませんというのでは困る。そこまでくれば、どの程度進行しているかということになる。そこでどの程度進行しているかということになれば、大体これができるのだろうか、できないのだろうかという見通しも考えられる。だからそういうような意味において、進行過程の問題をはっきりここで発表していただかないと、これがずれていけば何にもならない。みな今もう結論が出るかと思って一生懸命になっているときだから、その経過を、やはり親切にはっきりとさしておくということが最も大事なことになってくるのじゃないかと思う。
  9. 渡部伍良

    渡部説明員 中でいろいろ議論しておる点を一々説明することを省いておるわけでありますが、これは私がまだ議論過程をだれがどう言った、こう言ったと言うことはできないと思うのであります。現在の段階において、この段階にあるということしか申し上げられないと思うのであります。その点は中で議論をしておりますから、今度はそれぞれの局もまだはっきりした結論が出てないから言えないのじゃないかと思いますので、御了承願いたいと思います。
  10. 中村時雄

    中村(時)小委員 それでは最後にお聞きしておきますが、大体あなたのような頭のいい人が、来年までひっぱって延ばすというわけはないだろうと思う。大体の目標はあると思うのですよ。もう十一月以降になりましたら、雪が降ってなかなかいろいろなこともできないという状況にある。賃金労働の問題も出てくるでしょう。そこで解決の方法を非常にあせっているということはわかるだろうと思う。そこであせっているという建前に立って、大体どの程度の期日に目標を置いておるのか、その点をはっきりしておいてもらいたい。
  11. 渡部伍良

    渡部説明員 これは抽象的な議論でありますれば、どうしなければいかぬということは言えるのであります。具体的に、たとえば予備金支出を何億しなければいかぬというのには、結局現地からの資料を持ってきて、それを検討しなければいかぬわけですから……。
  12. 中村時雄

    中村(時)小委員 今言っているのは食糧の問題だけを言っているのです。
  13. 渡部伍良

    渡部説明員 食糧の問題だけならば、今関係方面といろいろな案を協議しておるのであります。しかしいずれにしましても、かんぬきはささっておるわけですから、何らかの方法概算払い農家の迷惑にならぬようにするということだけは結論が出て、われわれに与えられておるわけで、あと方法論になります。方法論の問題はこれは抽象論でありませんからいろいろな案があります。いろいろな案があって、それぞれこういう案ならここが担当するからその担当者ができるかできないかということで検討しておるわけですから、これはそんなに長くかからないと思います。
  14. 小川豊明

    小川(豊)小委員 私の今お尋ねしたいと思ったのは、農林大臣が迷惑のかからないようにすると言われる、あなたの御答弁でもそういう話なんです。そこで非常に困っておる状態の中でそういう話を聞くと、期待をかなり大きく持つことができる。迷惑がかからないようにするということは、解釈のしようによっては非常に大きく解釈ができ、おそらくあなたの方で最後にはそういうことができなくなってくる。これはせっかく努力しても、道の人たちからいうと、結果がこうなってしまったということになるから、早くいろいろの条件というものをつけて発表するようにしないと、その後の計画がみな狂ってくるのではないかと思うので、私はその点をお尋ねしたかったのです。  それから次に種子が非常に不足すると思うのです。この種子対策が非常に重要になってくると思うのですが、食糧不足の中で種子対策というものはなかなか困難だと思うけれども、これを確保するについてどういう措置をとられるか。聞けば、たとえば亜麻のようなものは冷害には非常に強い作物だと聞いておる。ところがその亜麻のできはどうやらそんなに被害は受けなかったが、種子はもう自給できない、不足する、不足するとこれは輸入しなければならぬ。そうすると国内産と輸入する種子価格の差というものはかなり出てくるだろう、そういうものの調整等はあなたの方でもやってやるつもりなのか、それはそのままにするつもりなのか、この種子に対しては、どういうようなお考えですか。
  15. 渡部伍良

    渡部説明員 種子につきましては、累年災害の部分には一年限りの災害と違って、どうしてもある程度の補助金を出さなければいかぬじゃないか、こういう考え方で今作業をしております。亜麻種子の輸入の手配等はもうやっておりますが、補助金農林省としては出すべきだという結論が出ましても、これは予算がつかなければいけないので、私の説明が常に大蔵との折衝が残っておるから、それが頭にこびりついて多少慎重な発言になっておると思いますが、農林省としては補助を出さなければいかぬ、それじゃその補助幾ら出すべきかということは今検討しておるわけです。これはたとえば亜麻にしても、海外の相場の引き合いとか、種になるとどのくらいになるかということをとらなければいけませんし、それに基いて算定しなければいけませんから、その手間はかかるわけであります。そのほかの種子につきましては、農産課長が私と一緒に行ったのですが、あした帰ってきます。現地で量、方法、そういうものをすでに具体的に道庁と相談させておりますから、あとはそれを持ってきて集計して、幾ら補助金を出すか、こういうことをこちらできめなければならぬ、こういうことであります。
  16. 小川豊明

    小川(豊)小委員 経済局長から説明があったわけですが、たとえば例としてあげたのですが、亜麻のような品種を輸入しなければならない。その輸入する価格国内産価格開きが相当ある。当然それは農家負担をしたくても農家負担できないような事情の場合に、補助するなり何なりしなければならない予算措置が当然出てくる。局長の方では、大蔵省との交渉等もあるからなかなかそれに対する答弁ができない、こういう答弁であったわけですが、大蔵省としてはこれに対してどのようにお考えになりますか。
  17. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。突然亜麻の種の補助金が出ましたので、ちょっと即答いたしかねますが、一体亜麻の種がどのくらい不足で、亜麻種子はどのくらいしておるのか、それこ輸入する亜麻値段はどのくらいなのか、その結果その差額がどれだけ農家負担になるのかという点をもう少し詳細に承わりませんと、すぐ補助金を出せるかどうかということは、ここでちょっと即答できないと思います。
  18. 小川豊明

    小川(豊)小委員 私どもは、亜麻の種がこれだけ不足するということをずっと前から道で聞いておるわけです。それから単価もこのくらい違うだろうということを私どもは聞いておるのだが、農林省の方でわからないはずはない。ただ、きわめて正確なものはどうかということは、これは時期もありましょうが、不足量とその価格差というものはおよそわかっているんだから、それに対してこれから調べなければまだわからないということでは、おそらく農家としては作付する計画が立たなくなるのではないかと思う。そういう点で、もっと私は早くこういう結論を出してもらいたいと思うわけであります。  それから次に北海道へ行って驚いたのは、農家一戸平均負債総額といいますか、農林省あるいは協同組合等から借りた負債が二十二万円ぐらいになっている。そうすると今度の災害被害総額というものを農家戸数で割ると、これも二十一万円ぐらいになる。こういうふうに大きな負債を負っているということで、結局小豆、大豆等冷害に弱いものをたくさん作らざるを得なくなるのではないか。早く借金を返すためにはそういうものを作るということになるのではないかと思うので、これは指導の問題になるわけですが、そういう点は十分考えなければならぬ。いずれにしてもそういう状態の中で今後の営農をどうするかということは、まさにこれは重大な問題だと思うのです。それで今度この表を見ると、災害資金の借り入れが道で九十三億八千万円あるわけです。それで本年に返済しなければならない償還額が二十六億ある、こういうふうになっておるが、これが延期の措置を講ずる、あるいは借りかえの措置をとってやるとか、いずれにしても道がとらなければならなくなるのではないかと思うわけです。これはあなたの方ではどういうふうな措置をとられるつもりか。その点と、それからきのうお聞きしたことですが、開拓農家の方でも非常に窮状に追い込まれておる、開拓農家償還期限も来ておるわけであります。この償還もできないんじゃないか、こう思うわけです。これらについても、開拓農家融資、それから一般の農家のこうした災害等融資償還についてはどういう措置をとられるつもりか、この点をお尋ねしたい。
  19. 渡部伍良

    渡部説明員 資金につきましては、二十八年以来各種の資金がありまして、まだ償還残がたくさんあります。一ぺんに返さぬでいいので、三十一年度に返すべきものがお話のように二十六億あるわけであります。開拓者につきましても、この冷害資金でいっておるものと開拓者資金あるいは農林漁業資金、そういうものでいろいろいっております。これらにつきましては、当然全部後年度償還さすというふうにいたします。これは台風等被害地区等はもうすでにやっておるのでありますから、それと同様にやるのであります。そのほかに来年度営農資金として必要額融資する、そういうふうに考えておるのであります。
  20. 笹山茂太郎

    笹山委員長 それでは次は小平君。
  21. 小平忠

    小平(忠)小委員 昨日からこの小委員会北海道冷害に対しまするいろいろ具体的な問題につきまして質疑がかわされ、政府当局意見を承わっておりますが、現在のところ確実にこうやるんだと御指摘のあったのは、まことに僅少でありまして、現状はきわめて緊急を要する問題がたくさんあるのであります。特にその中で救農土木事業に類しまする直接被害農家賃金収入を得せしめるという問題につきましては、これは生活資金確保見地からきわめて重要でありまして、北海道の大正二年以来四十余年来の大凶作に対しまする現状は、渡部局長現地を見てこられ、さらに他の係官現地を見てこられて、その点は認識を十分深められたと思うのであります。そういう見地から、道の方から具体的な要請がありますが、その中で時間の都合もありますので、私はきわめて重要な点を指摘申し上げまして、政府当局の御回答、御答弁を願いたいと思うのであります。  第一点は救農土木事業に関する問題でありますが、これは昨日来同僚委員からもるる指摘されておりまして、従来救農事業ワク拡大でありますとか、あるいはその金額のいわゆる要請にこたえる線を増すべきであるということが強く要請されております。そこでやはり現地に行かれましても大体同じ意見は、被害農家均霑せしむるような事業をぜひ取り上げてもらいたいということが第一点です。  第二点は、この措置がおくれますと実際に間に合わないという問題があるのであります。同時に均霑ということは、これは相当事業の範囲を拡大してもらわなければならない、こう思うのであります。従来のような線でありますと、本州、四国、九州におきます定期災害等におきましても、この救農事業が実際に行われまする事業について被害農家がその恩典に浴し得ないという面が多々あるのであります。そういう見地から、これはもうすでにこの問題が取り上げられましてから農林省としましては現地調査されておるのでありまして、従来の線よりどういう問題についてワク拡大できるか、まずこの点をお伺いしたい。
  22. 渡部伍良

    渡部説明員 救農土木が必要なのはお話通りであります。その趣旨で私の方も鋭意計画の樹立に当っておるのであります。お話のように災害を受けた土地に必ずしもそういう事業がないところが問題になってくるのであります。しかし均霑さすためには、たとえばいわゆる小規模の事業であって補助の対象になっていないものを公庫融資で取り上げてやっていく、そういうことも考えます。あるいはこれはほかの地区と変ったというわけにはいかないのでありますが、もう少し町村別に道その他関係官庁が綿密に計画を立てていって——今までここ累年救農土木をやったのですが、それはむしろ大ざっぱに大体どのくらいの人口で賃金収入がなければならぬから、その何割くらいを割り当てて、そのうち既存事業へ何ぼ回す、あと余裕金でやるというような、上ではじいて下へ下げたというようなことになっておりますので、金はできたけれども実際実施してみると、どこでやるかというところを探そう、こういうふうなことになっておったと思います。今度はそういうことでは急の間に合わないだろうし、資金の効果が上らないから、道庁の方にお願いしまして、具体的に町村別にどういう事業継続事業である、あるいは計画しておる事業である、従ってこの際この冬の間にどれだけの分量ができるか、そういう具体的な計画をあげてもらいたい、こういうふうに要求しておるのであります。幾ら大きい事業でも物理的に不可能な金額を計上してもだめでありますから、そういうふうに具体的にやるのには幾らの金になるかということをきめてきてもらいたい、こういうことをやっておるのです。従って事業の種類及び内容としては、この際変ったという、あんまり目新しいものはないと思いますが、やり方について相当道の方でも工夫をされておるのじゃないか、こういうふうに考えます。
  23. 小平忠

    小平(忠)小委員 一つ具体性がない、はなはだ抽象的で、特に最後の御発言で、事業について従来と別に変ったことはないと思います、やり方については均霑するような工合に考えておる……、これは大へんなことなんです。あなたも現地へ行かれて、全道各支庁激甚の地から事業拡大について強い要請があったと思う。それはやはり相当事業拡大しないと均霑にならないのです。いかにやり方を変えましてもだめなのです。ですからこれは各市町村にどういう問題があるか、どういう事業があるか、よく調べて吸い上げてもらいたい。現に道の方からあなたの手元には具体的な数字が回ってきている。ただ毎年度国家予算を各省が大蔵省要求して、大蔵省が査定をして国会に上程するようなわけにはなかなか参らぬと思います。そんなことをやっているから間に合わないので、これは具体的に従来の例に徴しまして、私はどうしても被害地現状にかんがみて、事業ワクはやはり拡大していかなければならぬ。従来のようにこれは国道でなければだめだ、あるいは市町村道でなければだめだとか、あるいは農道でなければだめだとか——かりに道路の改修あるいは改良をするにいたしましても、そういうワクを与えないと均霑にはならないと思うのであります。さらにそのほか馬そり客土あるいは暗渠排水等々、いろいろな具体的な問題がたくさんあります。ここで私は、きわめて大事な問題でありますから、あなたの方に該当する問題としましては——農地局長もお見えになっておりますから、土地改良事業については農地局長にお伺いしたいと思いますが、一応経済局長としては、非常に全般的な問題をあなたは処理していかなければならぬ立場だから、これはやはり現地を見てきた関係上、道の要請としては一般土木事業、開墾建設事業土地改良事業、それから林道、治山、こういうように一応分けて具体的に要請をいたしております。これは従来の線より相当範囲を拡大しないと、これは対象になりません。これは現地を見てきた結果、実際にこういうものを、現在道から要請のあります問題を対象にしておやりになるお考えですか。
  24. 渡部伍良

    渡部説明員 私の説明がよく受け取れてないように思います。ここで掲げられた種類は従来からみなやっておるのであります。ですから種類としては新しいものというのは、馬そり客土であろうが、農道であろうが、何であろうが、あまりないのです。お話のように、これを各農家均霑するようにするには、幾ら図上で引いてもだめなのでありますから、それが実施可能であることをはっきりして、これはやれるのだから、この分は全部よこせと、こういうふうにやらないと、ただ上の方で大体の図面を引いて、これは何だ、これは何だとやると、そこでぴしゃっと査定されてしまって、それを配当してみると希望通りいかない。まだここににもやるところがある、ここにもやるところがある、これが二十八年、二十九年の実態だと私は思います。従って今度はそういうことにならないように、ここに掲げられている事業について具体的に、継続事業にしてここはこう残っているから、まだこれだけできるのじゃないか、新しい農道を作るのにはここまでできるのじゃないか、暗渠排水をここまでできるのじゃないかということを出してもらって、そこで大蔵省にお願いして予備金を出すものは出してもらう、公庫の金を出してもらうものは出してもらう、こういうふうにしたらいいのじゃないか、こういうことでありまして、お話の趣旨は十分のみ込んでいるつもりでありますが、ちょっと表現が違っているのじゃないかと思います。ただ先ほどちょっと申し上げましたように、今までの予算のわくでは一定の規模以上のものしか補助金が出ておらない。その補助金の対象になる規模をもっと下げろという要求一つあると思いますが、しかしそれは私どもの方では公庫融資で手取り早くやった方が——十五年も償還期限がありますから、一々補助金の査定を受けてやるよりも、どんどんやった方が実効があがるのじゃないか、こういうふうに考えておるから、その点は従来と違って考えたらいいじゃないかということを最初に申し上げたのであります。
  25. 小平忠

    小平(忠)小委員 その事業拡大という問題は、私は実施事業費目の拡大のほかに量の問題とあわせまして、まあ従来の例を申し上げれば、結局団地でなければだめだという制限をするということは、せっかく対象にしても該当されないという結果になる。そういう団地主義というものは廃止してもらわないと均霑できない。そういうことをお考えになっておったのでは、ほんとうに救農土木事業被害農家を救うということはできない。簡単に言いますならば、結局十町でも二十町でも、実際に馬そりによって客土を実施した場合にはそれを対象にするということでないと、山間僻地で客土をするといっても、それは百町二百町固まっておるところならけっこうですけれども、そうでない今までのように三十町以上とか五十町以上と制限されたのではだめなんです。私はそういう拡大を意味しておるのですが、その点はどうなんですか。
  26. 安田善一郎

    ○安田説明員 小平先生の御意見、いろいろ拝聴いたしておりまして、今団地とか規模の話がありますが、大体救農土木事業というのは、ねらいは、私どもの局でやっておりますことに関することで申し上げますれば、非熟練労務者がたくさん雇えるものが被害農民のところへ賃金がたくさん落ちるものではないか。もう一つは、当然のことながら被害地域にそういう工事がなくてはならぬ。さらには先生御指摘の通りに、事業やり方なり補助金なりのつけ方あるいは融資のつけ方によりまして制限がある場合は均霑をしない、こういうことはなるべく避けなければならぬ。この三点じゃないかと思うのです。何しろ北海道でありますから時期の点もあります。私ども北海道道庁及び北海道開発局を通じまして仕事をする予定で、十月以降に残っておりますもののうちで、特にまず非熟練労務者をもって足りるもの、それから全体の仕事量の中から資材費にあまり食われないもの、言いかえますと耕地整理、団体営灌排、軌道客土、道営の灌排とかあるいは開拓事業補助、開墾建設、それらをおもなるものとすると思いますが、国営の灌排などはその面から見ますと熟練労務者を要するものが大体多いと思いますので、あまり出ないと思うのです。  一方災害農家がどのくらい現金において救済さるべきかということは、これまた一つの政策でありましょうが、別途それを立てまして、地域が合わず金額が合わず事業量が合わず、特に事業量でも現金収入が合わず、被害農民をもって労務者に充てることができないというような場合については、その地域について新しい事業を起すということも必要だと思うのです。そういう見地から見ますと、北海道庁の持ってこられておるものは、達観しまして割合よくできておると思いますが、しかし私が申しましたような考えで問題を解決しようとするには、何もかも取り上げたというきらいがある。あわせて多ければ多いほどいいといったような考えもあると思いますが、負担金その他の場合については、補助事業の場合は、自家労力の賦役によって自己負担する場合もあることなどは現金収入にはなりませんので、それらに留意して検討中であるわけであります。
  27. 小平忠

    小平(忠)小委員 局長の巧みな表現で一応網羅されており、きわめて適切なる施策であるというように聞えるのですけれども、巧みな表現の反面に、あなたのその言でいいますと非常に漏れてくるものがたくさん出てくるわけなんです。例を申し上げますれば、国営灌漑でありますとか、あるいは道営あるいは団体営、そういうものの該当地域のないところは結局対象外になってしまう。そこに問題があるのでありまして、やはり従来のような団地主義以上のものをとると、実際救農土木事業として農家賃金収入を得さしめるという道がなくなってしまう。ですから私はこの際、たびたびあることではなくして、全く開道以来の初めての大凶作にあっておりまするこの被害農民を救う場合に、それは何も将来の悪例にする必要はないと思います。ですからそれは十分に考えてもらわなければならぬ。同時に、これは経済局長にお伺いしますが、私はこれは建設省所管あるいは大蔵省大村主計官が見えておりますから伺えばけっこうだと思いますが、やはり今農地局長説明されたように、一応そういう線が生まれてきます。かりにそういう線を拡大いたしまして、団地の場合でなくても認めるといたしましても該当のない地域がある。しかし全道的に各市町村に該当するのはどういうのかというと、まず道路はどこにいっても該当されるわけです。御承知のように開道日が浅いために北海道道路は、国道や道道の一部は一応砂利も敷かれて車が通るようになっておりますけれども、一旦市町村に入りますれば、ほんとうに車が通れないというような現状であります。そういうことから従来のように道道でなければ認めないとかいう主義をはずしまして、市町村道の場合でもその道路改良、補修はその対象にするということを、絶対にこの際やってもらわなければならぬと私は思うのです。その点はいかがでございますか。
  28. 渡部伍良

    渡部説明員 現地に参りまして今の市町村道等を入れろという御要望は承わりましたが、これはそれぞれの所管のところでやっていただく。ただいま申し上げておりますのは農林省関係のことだけに限定して答えておりましたが、農林省関係の事業でいいますれば、砂利採取、馬そり、暗渠排水あるいは各種農道、全部入っておるわけであります。そこで問題になるのが今の団地の問題で、一定規模以上でなければやらない。これは一つは事務が処理し切れないという問題がある。ただつかんで金をやるのならできるかもしれませんけれども、そういうわけにいかない。それからまた小規模のものは、公庫の金であれば相当長期でありますから、そちらの方でまかなえば足りるのじゃないかということを申し上げておるのであります。二十八年の災害のときに、例の農業用施設の災害復旧で十万円以下三万円以上まで下げたのです。その下げたことによって係りの手が回らなくて、たとえば会計検査で批難を受けたとかいろいろなことで、迷惑をしたのが多いのか、あるいは効果があったのが多いのかということを比較検討いたしますれば、われわれ行政官としてはよう言い切れないのです。ですからそれは金を融資して市町村長の責任でよく現場で監督して遺漏のないようにやってもらいたい、こういうふうに考えておるのであります。しかしそれ以上踏み切れといっても、現在のところでは私の方ではよう踏み切れないのであります。
  29. 笹山茂太郎

    笹山委員長 建設省の会計課長が見えていますが、何か御意見はありませんか。
  30. 関盛吉雄

    関盛説明員 ただいま救農地帯の農民の救済のために、道路工事特に市町村道改良工事等について補助金を出すようにという御趣旨のように受け取ったのでありますが、御承知の通りに建設省のやっております道路改良にいたしましても、その計画の根幹となっておりますものは、年度当初の予算で御決定いただいておりますように、いわゆる道路五カ年計画というものをやっておりまして、市町村道につきましては、都市計画事業というもので取り上げております主要街路につきまして補助をいたしておるわけであります。従って、ただいまの事態即応の対策を今この場所で申し上げることができないのはまことに申しわけないと思いますけれども、現在の制度と現地の直接の救農者の発生しておる町村道との問題については、国と地方公共団体の財源の帰納、分散の問題とも関係いたしますので、道路の種別によりまして全部建設省で担当すべきものかどうかということについてはもっと検討さしていただきたいと思っております。いずれにいたしましても町村道の例を申されましたから申し上げたのでございますが、現在の北海道の状況にかんがみまして、直轄工事を実施いたしておりまする開発局の事業につきましては、できるだけ農民の吸収率を高めるように指示をいたしておりますと同時に、補助等につきましても、現地の事態の状況等を見まして道路あるいは河川局等においていろいろ検討いたしておりますことを申し上げまして御了解を得たいと思います。
  31. 小平忠

    小平(忠)小委員 それでは従来と何も変らないことでありまして、実際に救済にならないのです。そういうような考え方のもとに具体的に救農土木事業の内容を取り上げるということになれば、非常に限定されてしまう。大村主計官がお見えになっておるのですが、実際問題としまして、これは行政措置によりましてなし得ると思うのですが、その点はいかがでございますか。
  32. 大村筆雄

    大村説明員 ただいま道路の問題につきまして建設省から御答弁がありましたが、道路につきましては、私も詳しく存じませんけれども道路法の関係なんかもございまして、そう簡単に動かせないという事情もございます。ただいま御質問の市町村道なんかどうかという点でございますけれども、これは、従来やっておりますのは、特に今回の救農土木事業なんかと関連いたしまして、失業対策事業というものが割合適当しているのじゃないか、これは従来からも市町村事業主体になりまして全国各地で救済事業をやっておりますが、そういうものでやっていきますと割合その点の欠陥が補われるのじゃないかと考えております。
  33. 小平忠

    小平(忠)小委員 町村道になりますと道路法の一つワクがある。それから市町村長が監督してやっております失対事業にも、あなた御承知のようにワクがあります。私は、そういうワクに入れられた窮屈な考え方で持っていくならば救済にならないと申し上げておる。現地ではそういう強い要望がある。そんなめんどうくさい問題があるならば、行政措置によってなし得る範囲のものがあるのだから、一つその町村被害状況——結局三割以上の被害を受けた農家の戸数の割合、あるいは五割以上の被害を受けた農家の戸数の割合に応じて、市町村長に国で出し得る範囲の救農事業費を金額で割り当てて、あと事業の対象を、これこれのものをその町村において最も自主的に選定してやれ、こういう権限を与えてもらうならば非常にやりやすい、こういう問題も起っているくらいです。ですからこの救農土木事業につきましては、一つ急速に具体的な方策を講じてもらいたいと思います。そうしない限り、応急対策として今北海道の方から吸い上げられております問題のウエートは非常に大きいのです。時間的にもこれは非常に緊急を要する問題であると思います。  最後に、農地局長は先ほど、なるべくこの事業は資材費を食わない、実際労賃を要するものを重点的に取り上げたい、これはまことにけっこうです。そうでなければ実際に救済にならぬと思いますが、最後に引っかかってくる問題は、やはり団地事業はこの際廃止してもらうということを取り上げなければ救済にならないと思うので、その点はぜひ一つ考えていただきたいと思いますがいかがでございますか。
  34. 安田善一郎

    ○安田説明員 ちょっとこの場ですぐに小平先生のおっしゃるようにいくかどうか答えかねますが、経済局長を中心にしまして農林省でまとめ、また新しい考えを出しまして大蔵省とも折衝してわれわれの案を作りたいと思います。私が考えますと、市町村の方にそういうふうにまかすことも一つ方法だと思いますが、いかに救農土木事業でもそのあと補助金適正化の趣旨に反するようなことではやはりいけないようにも考えながら、一方農民組織によりまして、被害農家が多少のところは移動して作業する。道路にしろ、土地改良事業にしろ、その事業をしましたものは大小のものがありましても、いずれもやはり計画に乗った実行ができて経済効率が大きいということも考える要があると思いますので、公共団体を使う手とか、農村建設青年隊を使うとか、いろいろ方法がありますが、これら被害農家につきましては、自分の村の予定工事があるところだけということではなしに、もっと機動力を持たせまして、事業に対する補助金融資等の行き方とあわせて両方からいく考えが必要じゃないかと思います。その間においておのずから団地とか一定の制限以上とかいうようなことがあると思いますけれども、これはなるべく御趣旨に沿いますように、本来の救農土木の意味をなしますようになお研究したいと思っております。
  35. 小平忠

    小平(忠)小委員 これは安田さん、相談されることはもちろんだと思うのですが、これは農地局長としましてあなたの政治手腕なりまた過去のいろいろな面からいって、あなたがこれをやらなければならぬと思えば、できるのです。それから、大蔵省の担当の主計官である大村さんが見えておられるようですが、これは速急にきめてもらわないと実際に間に合わない。ですから、事業につきましても皆さんがよく認識を深めて持っておられるのですが、やはり根室の別海村のごときは、一つの村が四国の愛媛より大きいのです。そういう大きな村で小学校が五十も六十もあるようなところで、実際にワクがはめられたら一体どういうことになりますか。そういうところをお考えになって、四十年来初めてこうむった大凶作被害農家を救ってやろうという具体的な応急措置を講じてもらわなければならない。われわれ政党の立場として政府与党の方々にも連日強く要請いたしております。ですからあなた方は一つ事務的な最高責任者の立場から、急速にこれをぜひきめてもらいたい、こう思います。  それから渡部さん、現地を見てこられまして、実際にこの救農土木事業について道からも数字が上ってくると思いますが、金額にしてどのくらいのものを生かさなければ実際の救済にならぬとお考えになっておりますか。予備費は相当あるのですか。
  36. 渡部伍良

    渡部説明員 道からは三十五億出てきているわけですが、その程度のものができればいいんじゃないかと思いますが、ただ私、現地の図面を見せていただきましたけれども、従来計画があったのはこれはすぐ取り上げられるんじゃないかと思います。もう何年かやっておるものもありますし、そういうものを対象として道としてはこの数字を出しているのではないかと思いますが、そういう点をもう少し道とも打ち合せていきたいと思っております。支庁として全部もらったものは空知の支庁のもの、これは空知の全市町村町村別計画をもらいました。その中には私が行ったところの村の図面や将来の村の全体の建設計画というものも出ておりますが、すぐこれから設計して事業をやるというのには取り上げられにくいような問題も含んでいる点もありますから、そういう点は検討したいと思います。
  37. 小平忠

    小平(忠)小委員 大村主計官にお伺いいたしますが、今本年度の予備費はどのくらい残っているのですか。この北海道冷害対策に対しまして、あなたのところには具体的に数字を知事の方からも要請されておりますし、何せ被害総額が三百九十六億という、四百億に近い数字が九月十五日現在出ております。しかも最近の天候から申しますと、降霜の時期も比較的早いと思います。そういう点からいって豆類の回復による収穫予想等も、もし霜害をこうむってくるということになりますれば、これが被害額というものは相当上回るという点があるのであります。そういたしますと、具体的に国会を開かないで法的あるいは予算措置を講じない現在、国の予備費を使ってどの程度のこれに対する対策がなし得るか。現に道の知事の方からあなたの方にも具体的に要請されておると思いますが、大体事業費としては三十六億円を道の方では見込んでおります。それから資金関係といたしましては百三十九億、そのほか共済金その他を六十四億と見まして、措置金額が二百四十億なければどうにもならないというのが実情であります。被害の実態も従来のように農林省の統計調査事務所の調査と道の調査とが今回はほとんど食い違いがございません。そういう現状でありますから、この機会に大蔵省側として、ほんとうにどうしなければならぬかということについて御回答いただきたいと思います。
  38. 大村筆雄

    大村説明員 ただいま予備費はどのくらい残っておるかというお話でございますが、予備費は当初の予算で八十億御承認願っておるわけでございまして、ただいま、きょう現在のをしかと覚えておりませんが、なお六十数億残っておるはずでございます。救農施策につきましては、御承知の通り資金的な措置あるいは救農土木事業あるいは共済関係——その中には共済事業にすでに当初予算で大体やれるものもございましょうし、営農資金のようなものは融資金額が多いので、国としては利子補給程度でございますから、大体本年度の場合におきましてはそう金は要らないと思います。問題はやはり救農土木事業に相当の金がかかると思うのでありますが、これにつきましても、一定の範囲内においてやり得ることになっております各種事業、これは建設省、農林省それから労働省の失対事業と合せましてやはり相当の金額事業が行われておるわけでありますが、これは本年度におきましては救農土木事業に焦点を合せていくということによりまして、これは相当の支出も可能になるかと思います。なおどうしても不足だという場合は予備費使用ということも考え得るわけであります。そのほか、それでどうしても措置しきれない面につきましては、あるいは厚生省予算措置の生活保護というようなことも最後にとり得るわけでございます。できるだけのことはやらなければいかぬというふうに考えております。
  39. 小平忠

    小平(忠)小委員 きわめて抽象的な御答弁ですが、これは重ねて申し上げますが、非常に急を要する問題でありますから、農林省の方からも具体的に調査の上数字を出されると思いますが、どうか大蔵省といたしましても、全面的な協力のもとに急速に結論を出してもらいたいと思います。  次に農地局長にお伺いいたしますが、これは従来の災害の場合もあるのですが、本年度の異常災害によって土地改良区は非常に困っております。それは土地改良区の賦課金の徴収ということはほとんど困難です。そういう現状から、この土地改良区に対して長期低利資金の融通をぜひやってもらいたい、こういうことが強く要請されております。この点は今年はぜひやってもらわないと、現在土地改良区のやっております用水路その他の改修等の問題について全然お手上げになります。この点はいかがでございましょうか。
  40. 安田善一郎

    ○安田説明員 少くとも私が農地局長を拝命いたしましてからまだその事例に出食わしませんので、よく研究をいたしておりません。個々の事例につきまして、必要がありましたならば、道庁を通ずる場合もそうでない場合も御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  41. 小平忠

    小平(忠)小委員 それは、実はもう三年越しです。これは大村さんがよく御存じなのです。大体農林省の方で、前農地局長もこれはぜひ何とかしなければならぬと言い、経済局長もそうしなければならぬと言ったが、大蔵省の方で、それは各農家融資すればそれでいいではないかといったことからなかなか対象にならないのです。ところが、実際に農家融資しますと、農家の立場から言うと、非常に急ぐ方面資金が流れて、結局土地改良区の賦課金を延び延びになってしまうことになる。ですからやはり個々の農家への融資だけではだめであって、土地改良区自体に長期低利の資金融資することが必要なのです。これを農地局長に就任されてから初めて耳にされたことは当然でありましょう。従来からも農地局長はどうかしてもらわなければならぬという線を指摘しておるけれども大蔵省においてなかなか了承しないということを聞いておりますが、それは事実ですか。
  42. 大村筆雄

    大村説明員 御質問は賦課金の徴収を一つ延期してほしい、それについては個々の農家に延期するのではなくて、改良区に融資をすることによって改良区が賦課金を納めるのを政府が延期をさせてやるということかと存じます。その点は私詳細に承知しておりませんが、よく農地局の方とも相談してみたいと思っております。
  43. 小平忠

    小平(忠)小委員 その点は実際に賦課金の徴収がストップされますと、土地改良区の事業は全くお手上げです。どうしても現実に被害農家からは賦課金を徴収できないということから、それに相当する低利長期資金融資土地改良区が受けて、それで事業をやっていくという形をとる、そうして実際の農家には延納を認めるという形をとる以外にないのです。これはぜひ急速に決定してもらわぬといけない非常に重大な問題だと思います。
  44. 安田善一郎

    ○安田説明員 私不勉強でございまして、ただいま教えていただきましたが、二十九年からは個人融資をすることにやっとなったらしいのです。その点の改善意見はお聞きいたしましたので、主計局から申されましたように早急に研究いたします。
  45. 小平忠

    小平(忠)小委員 それは個人融資ではだめなんです。それはやはり土地改良法に基く土地改良区という団体に融資するという線が最も合法的だと思います。だからその点は局長一つ大蔵省とも十分相談願ってそのようにお願いしたいと思います。  それから先ほど小川委員からも指摘されました問題ですが、本年度のいわゆる予約米に対する概算金の問題であります。これは先ほどきわめて抽象的な御答弁もあったのですけれども、これだけは明確に願いたいが、実際問題として本年の災害によって、現に二千円の概算金をもらって使ってしまい、それに見合う供出もできないという場合には、これを返せないのです。ですから道の要請は、一つ来年まで延納してくれないか、その間の金利を利子補給してくれないか、補助をしてくれ、こういう問題です。これはたしか行政措置なり政令によってそういう処置がなされ得るのですが、それはできませんか。
  46. 渡部伍良

    渡部説明員 これはいろいろな方法があるのでありまして、現在考えておるのは、協同組合あるいはそのほかの集荷機関が政府の代行をしているわけであります。直接政府が——食糧管理特別会計が各農家に猶予することになる法律であります。一つ方法営農資金考えて、営農資金で払えばいいという方法もあるし、あるいはまた今の協同組合に委託しているんだから、協同組合が農家にかわって立てかえて払いまして、協同組合として打金その他から資金を借りて一年間つないでいくという方法、いろいろ方法があるわけであります。それらの方法に応じて——あとの二つの方法であれば法律なしでできるわけでございます。そういうことについて現在検討しておるので、どの方法が一番簡便で効果的かということまで研究しておるのであります。お話のように北海道は特に景気よく予約しておるので、そこが収穫皆無とか、四分作、五分作となっておるので、供出を期待することはできない。このやり方いかんによっては横流しの奨励の結果を来たすというふうなことも考えられますので、私の方では先ほど申し上げましたように、そういう心配がないような一番いい方法考えたいと思っております。ただどの方法でいくという結論を今申し上げられないのでありますが、早急にやってみたいと思います。
  47. 小平忠

    小平(忠)小委員 その問題は被害農家としましては直ちに臨時国会が召集されまして、法的な予算措置がとれるならばそれでけっこうなのであります。しかしそれがとれない場合に、これは行政措置によって実施されるならなおよい、どちらでもよい。結局一年間の延納と利子補給ということをやってもらわなければどうにもならないという現状でありますから、ただいまあなたが御指摘になりましたように、これは御承知の通り全販連が全国的の窓口になりまして、この概算金は一応支払う。ですからこれを払わないということになれば、これは立法措置が必要になりましょう。しかし一応今お話のように、農林中金なら農林中金から全販連にそれに見合う金額融資して、全販連から政府に払うものは払う、そこで実際に個々の単協と個々の農家との貸借関係をもってするならば、私はこれは政令によってなし得ると思います。もちろん金利につきましても補助金ですから政令によってなし得ると思います。いずれにいたしましても、急ぐ問題でありますから、急速にきめていただきたいと思います。  それから種もみの問題でありますけれども、これは非常に私は急を要すると思います。なぜかというと、従来のような価格でありますと、これはもみすりをやってしまったらだめなのであります。ですから現に道の方から要請があります包装代その他の経費を一応考えて優先的に確保する意味から、まず早く価格をきめてもらう、それはむちゃな要請ではなくして、現在一俵二千三百円、これはどうしても農家がほんとうに納得をして確保するという意味から最小必要限度三千円くらいの価格でないと確保できない。これも早く発表してもらわないとなくなってしまう。種もみならどこのでもよいじゃないか、あるいは東北や関東の種もみでもよいじゃないかというそんな非常識なことを言う人も中にはありますが、そんな種もみを持っていっても北海道で実際栽培できるものではありませんから、被害を受けて、その中でもまずまずこの分なら使えるというものをまず早く確保しなければならぬという見地から、急速におきめ願いたいと思うのですが、いかがでありますか。
  48. 渡部伍良

    渡部説明員 先ほど他の委員にお答えいたしましたように、農産課長が数日で帰って来ますから、至急結論を出したいと思います。これは、やはり農林省としては、この際補助金を必要とすると思いますが、補助金の問題が片づかなくても、食糧庁で種を買い上げるわけですから、買上価格さえきまればすぐ確保できまずから、その分だけでも早急にやりたい、こういうふうに思っております。
  49. 小平忠

    小平(忠)小委員 だいぶ時間も過ぎましたから、私はきょうはこのくらいで次会に譲りたいと思いますが、いずれにいたしましても、現在のところ政府側の御答弁はきわめて抽象的でありまして、具体的にこうだという線が出ないのです。いつも災害の場合にはこれでやられて、実際延び延びになってしまって、ほんとうにせっかく対策を講じてもらった、また補助をしてもらった、お金ももらったけれども、ありがたみがないという結果になる。ですから、どうしてもこの問題は一つ急いでいただきたい。この委員会としましても、特にそういう具体的な問題を政府側の意見を聞いた上で、小委員会自体の結論を出すということに急いでいるわけです。そういう意味からも急速に進めてもらいたい。  さらに農地局長の安田さんと大蔵省大村さんにお願いをしたいのですが、先ほど私は一つ対策の具体的な例として救農土木事業を取り上げましたが、さらに本年度事業実施中のいろいろな問題につきまして、行政措置によりまして繰り上げて実施をするとか、あるいは来年の計画になっておりますものをあるいはそれに該当するものとして進めるとか、いろいろ臨機応変の処置ができると思うのです。その場合に実際問題として資金対策にしろ、あるいは来年の営農対策にしろ、諸種の問題がありますが、応急措置として、もうすぐ霜が降る、雪が降る、この冬をどうして越冬しようということにおいて全く困窮に瀕している被害農家現状考えますと、どうしてもやはり最小必要限度の生活資金は直ちに確保してやらねばならぬということは、これは全く政府としてもまたわれわれとしても、当然措置しなければならない問題だろうと思うのです。そういう見地から、一つ係官を督励されまして、急速に横の連絡もとられまして、具体的にこうするという問題を、私は結論を出してもらいたいということを強くお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  50. 笹山茂太郎

    笹山委員長 次は本名委員
  51. 本名武

    ○本名小委員 いろいろ御答弁を伺ったのでございますが、今日の御調査段階においては、なかなか的確な御決定の内容を伺うことができないのは無理もないと思いますが、しかし一面また時期が時期でございますので非常に残念に思います。そこで私は二、三の点についてお伺いいたしますが、まず弟一に、この委員会で冒頭に経済局長から農林省調査報告を伺ったのでありますが、これは主として作況の報告でありまして、今日われわれがこの委員会において救農対策をいろいろ検討いたしておりますが、農林省においては今次の北海道冷害の総被害額というものを大体どういうふうに押えておられるか。どう考えておられるか。それの御説明があったかもしれませんが、私聞き漏らしておりますので、一応お聞きしておきたい。
  52. 渡部伍良

    渡部説明員 九月十五日現在で私の方で評価いたしますと三百二十億になります。それはバレイショ、ビード等は入っておりませんから、それらを合せますと数十億円ふえることになります。稲の九月十五日現在の作況は、審議会をきのうきょうやっておりますが、これを整理しまして数日中に発表いたします。それと同時に、十月一日における雑穀類も今集計しておりますから、これは十日過ぎにはできると思います。そこで全部を集計いたしますと、あるいはこれと違った数字が出てくるのではないかとも思っております。よくわかりませんが、私の感じでは、たとえばアズキなんかは、九月十五日でこの間お見せしたものは私の方が見方が少いようにも感じますので、まだ何とも申し上げられませんが、十月一日現在のものを急いでやらしておりますから、相当違ってくるのではないかと思います。
  53. 本名武

    ○本名小委員 統計調査部の御調査も、いろいろ時間的な問題で十分行き届いていないということはわかるのでありますが、いずれにしましても三百二十億を上回ることだけは間違いがない。これだけの被害を受けて、金融措置であるとか食糧措置であるとか、その他いろいろな措置を講じてこれから救済していかなければならないわけでありますが、そこで一つ二つお伺いしますが、まず第一に、令まで論議されました賃金収入であります。これについて私はもう少し具体的な御答弁があっていいのではないかと思うのであります。道から三十五億の要請があるが、被害が三百二十億以上を上回るという場合に、諸般の救済措置を講じて、さらに賃金収入としてどれだけ見てやらなければいけないかという基本の数字があって、その上に立った賃金対策をとらなければいかぬのではないかと思うのであります。今日被害農家の収入というものは、これは申し上げるまでもなく——私は、この間も見て歩いて非常に驚いたのですが、これは農林省大蔵省対策を立てる前に、厚生省で対策を立てなければいかぬのじゃないかというふうに感じたくらいであります。こういうやさきでありますから、まず今年の冬をしのぎ、そうして来年の営農に着手するまでの所要資金、生活資金というものを、一体救済のベースはどのくらいに置くべきかということを、道庁の資料を待つまでもなく農林経済、特に農林省は根本に考えを置いて、いろいろな対策を立てられなければならぬと思います。先ほど小平委員の質問に対する局長答弁の中にその点のお話がありましたから、私はこれ以上この場合はお聞きしようとは思いません。  そこで、まず具体的にお聞きしたいのは、三十一年度において北海道の開発予算の中で、大体において救農事業に関連のある事業というのは、一般公共事業において河川事業であるとか砂防事業であるとか治山事業、あるいは林道、道路という仕事があるわけですが、農地関係の問題については、先ほど小平委員から詳しく質問があったので重複を避けたいと思いますが、この一般事業に対して、今日まで工事を実施いたしまして、その結果、今後この救農事業に対して既定予算の実施の中において当てはめられる金額はどのくらいあるか、これは予算をとっている開発庁にお聞きするのがほんとうかもしれませんが、実施は開発庁がやっておられないのですから、一つ建設省なり林野庁なりそれぞれの関係において、既定予算においてどれぐらいの残工事があり、あるいは救農に対してどれぐらい充当できるか、その事業量と、さらにその事業量の何割しか、少くとも六割とか七割しか賃金収入にならないわけでありますが、それがどのくらい残っておるか、さらにその賃金収入の中で被害農家の就労によって被害農家が取得できる賃金はどのくらいあるか、既定予算について御説明をお願いしたい。
  54. 渡部伍良

    渡部説明員 今のお話は各局にわたって、直轄事業、道営事業、団体営、こういうふうに分れておりますので、総予算事業量、それからそのうちで冷害に回し得る、そういうふうな整理は、今手元にありませんから申し上げられません。きのうお話がありまして、どれだけくらい今の事業で回し得るかというのを推定さしておるのでありますが、まだはっきり申し上げられないのであります。もうちょっと御猶予願いたいと思います。
  55. 本名武

    ○本名小委員 それは各省各局に分れておるわけですが、それでは大体予算の動向を掌握する開発庁で、今日まで現地の実情、事業を直接やる開発局から何か報告がなかったかどうか伺いたいと思います。
  56. 柏原益太郎

    ○柏原説明員 ただいま渡部局長からお答えがありましたように、目下詳細な調査を進めております。一応非常に概括的な報告でございますが、河川関係、土地改良、開拓関係を合せまして、あまり大した金額にならないようでございます。大体事業費として一億見当の今後に回し得る経費があるという一応の報告が出ております。そのうちでいわゆる被災農家賃金収入に回し得るものが約六千七、八百万になるのじゃないかという報告であります。しかし詳細な検討をしておりますので、ただいま申し上げました数字はあるいは変るかもしれません。その点御了承願います。
  57. 本名武

    ○本名小委員 大体その見当ですと、他の関係も推して知るべしで、残工事に対してはそう大した期待はできないということになる。そこで、それならば一体こういう実情下にあって、農家賃金収入をこういった一般土木事業関係からどの程度見てやれるかということをお考えになったかどうか、さらにそのお考えに立って、実際の数字上どのくらい見込めるかという、これはおそらくこれだけの賃金が必要だからこれだけの仕事をするということだけではなくて、従来からやらなければならぬ計画があったと思うのであります。その計画の中でこの機会に繰り上げるなりあるいは新規予算をつけるなりして、救農事業の役にも立たせようという検討をなさっておるならば、その内容をお聞きしたいと思います。
  58. 柏原益太郎

    ○柏原説明員 今の事業費ないし賃金の数字お話通りでございまして、開発庁としましての経常予算、しかも今後残された予算の範囲内での考慮等でございまして、被災農家に対してどれだけの賃金収入を確保させるかということの検討の上に立った数字ではございません。実は先ほどから各関係の省からのお話があります通りに、その賃金収入をどれだけ確保させるかということについても十分慎重に検討していきたいと思っております。
  59. 本名武

    ○本名小委員 現在は検討の段階でしょうが、ぜひ一つできるだけこの機会に役に立つような御計画を立てていただきたい。そこで特にこれは要請をかねて御意見を伺いたいのでありますが、今のように御計画をお立てになる時期というものが非常に問題になってくる。さらにまた予算の決定が時期的に問題になってくる、さらにその上に立って予算の配分の時期が問題になってくる。いずれにしてもこの時期を急がなければならないことは申すまでもないわけでありますが、さらにここで予算ができ上って配分ができたといたしましても、これを実施するに当って今日までは非常に問題があった。と申しますのは、せっかく予算がとれても二月、三日になってから予算が配分になったとか、あるとはもっと大事なことは、先ほど農地関係で小平委員から御指摘がありました通りに、均霑されるかどうかということ、救農の目的が達せられるかどうかということが非常に問題だろうと思います。たとえば請負人に工事を請け負わした場合は、お百姓さんを使うよりも一人前の人夫を使った方がいいという問題も起きるでしょう。あるいはまた、農家は遠方まで出かせぎに行くということはなかなか至難であります。しかし至難だからといってそれをそのままにしておくわけにはいきませんが、一応はやはり農家が自分の家から通ってやりやすい仕事につかせるということが非常に大事なことであります。これらのことも勘案しての事業計画が必要になってくるわけでありますが、特に私は、土地改良関係ではいろいろ先ほどお話がありましたが、まず土木工事関係としては、砂利採取などということは非常にいいことで、この際道路計画というものは、つとめてこの機会に繰り上げて実施をしていただくようにお骨折りを願いたい。またそのほか採取ばかりでなく、運搬もあるでしょうし、とにかく農家が近くからやれるような仕事を考えるように、道まかせでなくして、計画を立てられる中央において特に留意してやっていただきたいということをまずお願い申し上げておきます。  そこで一つ、具体的になりますが、賃金収入と合せまして、やはり農家の唯一の収入は何といっても林産物による収入であろうと思うのであります。全道的な被害ではありましたが、特に開拓山ろく地帯の被害は深刻であります。山ろく地帯は当然山に近いところでありますから、この機会に林野の産物の処分によるところの救農対策というものは、相当役に立つと同時に、相当徹底的にやっていただくことがこの救農賃金収入の上に非常な重大な役目を果たすと思うのであります。  そこで二、三お伺いいたしますが、まず開拓地に行きまして一番必要なことは、何といっても山から木を払い下げてもらって炭焼きをやること、この炭焼きをする木材を払い下げてほしい、あるいはまた燃料としての必要な木材も払い下げてほしい。こういうような場合に、まず炭焼きのかまを作るのに金はないわけであります。簡単には系統機関といえども貸してくれません。この際どうしても、この築窯の補助というものは、国がめんどうを見てやらなければ、せっかく木があっても農家の収入には役に立たないということになる。そこでまず築窯の補助に対してどうお考えになっておられるか。それからこれらの林木の処分にいたしましても、直ちに払う金はないので、きのうも御説明がありましたが、延納措置をとらなければならぬ。これは私は行政措置で当然取れるものと思う。ただ問題になっておりますのは、延納におきましては、国の法律に基いてといいますか、どうしても利子をとらなければならぬ。しかしこれは利子をとることが妥当であるかどうかという問題が起きてくる。私は利子も延納期間中はとるべきでない。もちろんこの保証は町村がこれを保証すべきが当然であります。こういうことに対してどういうふうにお考えになっておられるかということをお聞きしたい。
  60. 仰木重蔵

    仰木説明員 林産物の払い下げ、特に薪炭木材につきましては先ほど御説明申し上げた通りであります。これを無利子にしようということでありますが、この点についてはいささか問題があろうと思います。  それから築窯の問題につきましては、これは予算措置を講じなければならない問題でありますので、関係方面と折衝をしなければならないと考えております。
  61. 本名武

    ○本名小委員 そのかまの問題は、これは金のないことははっきりしているのだから、これだけはぜひ実行していただかなければならぬことだと思います。詳しいことは申し上げるまでもないと思います。  それから利子の問題は、これは国の財産を払い下げるのだから利子をとらなければいかぬ、特に炭にする場合には炭を商売すれば営業用になるのだから利益もあるだろうということですが、実は生産費の中の労力費をかせぐということのほかに、この機会において利益をも取得してこの急場をしのぎたいというのがこの利子問題に対する一つ考え方の基本になりますから、利子の手続について、必要があれば立法措置もやらなければいかぬと思いますが、どうか林野庁も遠慮なさらずにやっていただきたい。  それからもう一つ林野関係で、濃厚飼料の生産が非常に不足しておる。従って粗飼料に依存する面が非常に多くなっている。従来もいろいろな災害であったことでありますが、粗飼料として野草の刈り取りを国有林地内において思うようにやらせてほしいということです。あれだこれだと制限せずに、幸いに山火時期も過ぎて山火事の心配はないのだから、思うように希望通りにやらせていただきたい。  それからさっきの質問で忘れましたが、一体薪炭材なりあるいは販売用の原木というものの処分の数量に対しては、これはその土地によっていろいろ事情があろうと思いますけれども、これも私はあまり強い制限をして、一律に何石までという制限は不適当だろうと思います。むしろ地方によって、林力の許す範囲内においてできるだけの量を処分してやるということも考えられなければ、ほんとうのその地方の救農対策にはならぬと思います。要するに原料は不足であって、生産費が高くなって逆に救農対策がマイナスになるということにならないように、希望するだけのものは——あまりむちゃくちゃにやるのは何ですけれども、制限せずに与えてもらいたい。
  62. 仰木重蔵

    仰木説明員 野草の採取については、御希望のように採取できるように、すでに各営林局に手配済みであります。  それから薪炭材の払い下げの数量の問題でありますが、これらの問題につきましては今幸い現地で折衝を続けておりますから、その結果を待ってまたあらためてお答えいたします。
  63. 本名武

    ○本名小委員 この機会に農林省にお伺いしておきますが、農民の関心を持っている大事なことの一つに、農産物の価格の問題がございます。私は農産物の価格については、別な機会にこれからいろいろ論議をしてお願いをしていきたいと思いますが、今年幸いに農産物価格安定法が制定されまして、その中に北海道に特に関係の深いバレイショ澱粉、大豆の二つが指定されておりますが、これに対する支持価格を一日も早く決定してやるべきであると思うのであります。それについて農林当局は今どういう御準備があるかをお伺いしたい。特に、幸い若干とれましたバレイショも、せっかく澱粉にしてみたものの、非常に国内市場の状況その他から売れ行き不安があるということは、自然加工業者あるいは需要者から回ってくるところの資金が、農民あるいは系統団体に対する借金の穴埋めに使われるということです。農民は安心して澱粉を作れば、金の道は通ずるんだという気持を一日も早く持たせてやらなければならないと思うのでありますが、澱粉の支持価格はいつごろきめるかという見通しを聞きたい。  それからもう一つは、この際北海道のバレイショ澱粉も、今年はいろいろ事情がありましょうが、救農対策一つとして買い上げるということを一つぜひ表明していただきたい。もちろん支持価格以上に売れるときはかってに売っていいわけでありましょうけれども、支持価格を決定し、さらに政府は何千万貫の買い入れをするということを農民に知らしめることこそが、私はまずもって窮状を訴える農民の心理作用の上に非常に多くの影響を来たすと思うので、その買い上げを一つ決意なさる御意思があるかないかということをお伺いしたい。
  64. 河野恒雄

    ○河野説明員 澱粉の問題で御質問ございましたが、価格の問題については、ただいま漸次検討いたしております。大体はっきりしたことは申し上げられませんが、今月末くらいになるのではないかと思っております。  それから買い上げの問題でございますが、これについては十分に事情を検討いたしまして処置をして参りたい、かように考えております。
  65. 本名武

    ○本名小委員 支持価格を今月中にきめるということは施行規則かなんかできまっておるわけですが、そこで一日も早くきめてほしいということと、もうこんなときには、とっかかってどんどん話を進めていっていただいていいはずですが、今お伺いするところによると、まだ全然話もしていないようですが、一日も早く検討して、価格を指示して安心感を与えるということが必要であると思います。買い上げももちろん努力していただいて、例年とは違う実情を十分に考えていただきたいと思います。  ついでですから大村さんにお願いしておきますが、さっき小川委員だと思いましたが、亜麻種子の問題が出ましたが、これは経済局長もごらんになった通り亜麻自体はかなり生育したのですけれども種子がさっぱりふえない、これは大問題であります。私はビートについで非常に大切な寒地作物であると考えております。むしろ北海道としては、国の内外の需給状況はともかくとして、寒地農業の一つの重要な作物として今後取り上げていく道を講じなければならぬ。そのことはまた別の機会に御相談するとしても、もう一つは、種子がないから外国から買うということのほかに、外国の種子は非常に優秀なんです。多収性のものであります。この機会に一つ農業政策の一つとして、さらにまた先ほど訴えられたように、この災害対策一つとして、ぜひこれは大蔵省として御考慮に入れて実行していただかなければならぬことです。これを希望申し上げておきます。  それから予約米の概算金のことですが、これについてもいろいろお話がありました。これは立法措置をしても当然一年間の延期をすべきだと思いますが、ただその場合に考えられることは、これまた利子のお話をして申しわけありませんが、利子をとるかとらないかということであります。私の考えでは、少くとも理由があって延納するのでありますから、なまけて契約も守らなかった、あるいは横流しをしてしまったということとはわけが違うのであります。そこで延納を一カ年認めたならば、その間における利子もとらないというのが対策としても、あるいは筋からいっても妥当であろうと考えるのでありますが、その点を伺っておきたいと思います。
  66. 渡部伍良

    渡部説明員 お話のように収獲が非常に減少して、むしろこっちから金を融通しなければいかぬような場合でありますので、利子の免除は私の方としてはもっともなことではないかと思って、そういうつもりで相談をしております。
  67. 本名武

    ○本名小委員 それから先ほどお話がございましたが、開拓者営農資金の確保の問題でありますが、時間もないので簡単にお伺いしておきますが、さっき申し上げましたように、今度の被害農家、特に開拓農民は農林行政によって救済するよりも、むしろ厚生行政によって救済しなければならぬような悲惨な状況にあるということを申し上げましたが、私はまさにその通りだと思う。従って今後における経営に対して、何かの形で安心感を与えなければならぬにもかかわらず、なかなか今日まで的確な数字的な対策の決定を見なかったということは、非常に惜しいと思うのであります。いずれにいたしましても、今日かけた開拓農民の資金というものは全く回収は不能であり、完全な赤字となってしまったわけであります。それにもかかわらずことしは農手であるとかあるいは営農振興資金というようなものの額の約六億というものを北海道で返済しなければならぬ。そこへ持っていってさらに営農資金を確保しなければならない。おそらく党の方からも二十一億の要求が出ていると思うのでありますが、この金は従来のような据置期間や返済方法ではとうていいかぬ。さりとて、これが従来の系統金融機関によってなされる場合には、いろいろな関係があって変えることもなかなかむずかしいかもしらぬが、この際一つ思い切って厚生省対策とあわせて考えられたつもりでもって、政府資金で何とか償還期限を十五年以上、据置五カ年くらいな方途をとることができないか。ほんとうに開拓農民をこういう資金方面から思い切って救ってやるというようなお考えがないかどうか、伺っておきたいと思います。
  68. 安田善一郎

    ○安田説明員 開拓者の、特に今回の被災者の方に対しましては、かねての御労苦と同時に、営農がとかく安定しないで従来とも災害資金償還が滞っておる。比較的償還の気分は強いんですが、被災に悩んでおる、こういう状況に対しましては、できるだけの知恵と努力とをしぼりたいと思っておるのでありますが、北海道の今回の冷害のように広範囲になりますと、もともと新旧の別はありますが開拓農家が非常に多くて、二万六千戸あるわけであります。早く入植された方、最近計画的に入植された方といろいろありますが、返済法の資金方法もあり、一部には開拓融資特別会計法の融資もございますが、ちょうどお話しのラインに沿うて申し上げますと、十分にことし行くとは思いませんが、厚生省行政と農林産業行政との中間のような、自作農維持資金という制度がございますので、この部分には関係方面と十分強力な折衝をしまして、遠からず不日、少くとも従来とは違った程度融資が行くように努力したいと思っております。
  69. 林唯義

    ○林(唯)小委員 関連質問。ただいま本名君から開拓に関する質問がありましたが、実は北海道開拓農家の惨状はっとに御承知の通りでありますが、これは本年だけの問題でなしに、当初の開拓計画そのものに無理があったんじゃないか、こういう点を私は非常に懸念いたすものであります。と申すのは、思い起しますと、終戦直後の年でしたが、当時北海道に緊急開拓をいたす——私の郷里の当麻なんぞは、軍用地でありましたものを緊急開拓地にするということに相なったのであります。そのとき農林省方面の意向と北海道庁の意向との間に大きな開きがあった。と申すのは、当時土地改良課にありまする原簿によりますれば、北海道の開拓地というものはAクラス、Bクラスあわせてわずかに狭小なものにとどまっておった。農耕適地というものは今まで使い尽されておって、戦後の緊急要請に応じても容易にその大きな反別というものは見出すことはできなかった。しかし敗戦後の当時の実情や、当時の政府の要請もあって、極力そのワクを広げて、ほとんど不適当と思われる土地、いわゆるCクラスといわれる土地に対して、当時道庁方面においても異論があった土地に入植させた。かような経過をとってきたことが今日の惨状の大きな遠因になっておると私は思う。従ってこの冷害に直面いたしまして、あらためて開拓地の適地であるかいなかに関して再検討されるお気持はないかどうか、また開拓に関しては、これを農耕適地として処理するよりは、むしろ現在のままの山林として放置する方が国家全般の見地から見ても必要であり、地元の要求にもかなっておるというような実情もしばしば見受ける。従ってかような面からいたしまして、現在の開拓地なるものを広く根本的に再検討いたす必要があると私ども考えるのでありますが、さような点に関する当局の御意見を伺いたいと思います。
  70. 安田善一郎

    ○安田説明員 終戦後とりました開拓計画について、根本的な欠陥がありはしないか、またその根本的改革を考えておるか、場合によってはやめるというような考え——言いかえますと農家個人で寒冷地帯と申しますか、今回冷害を受けたような地帯、あるいは霧の多いような地帯を利用しないで、他の方に使ったらということも検討しておるかという御質問でございますが、二十四年以前の緊急開拓は終戦早々の際に、人を開拓地へ入れて食糧も自給する、とにかく人を収容しようということでありましたので、根本的に検討をして改正すべきものがあったと思います。二十四年以降のものは、あるいはその土地につきまして傾斜度でありますとか、気象の点でありますとか、水の点でありますとか、いろいろの点を考慮いたしまして——温度等ももちろんでありますが、本省指導のもとにまず適地調査を行いまして、府県庁とともに、特に府県庁を中心にして地区計画を設定いたしまして、現在北海道から鹿児島まで入れますと約十六万弱の開拓農家になっておりますが、地区としましては約一千地区が不振開拓地区として経営診断の結果現われております。北海道についてだけ見るわけにもいけないと思いますが、私どもは高冷地であったり寒冷地であったり、その他の土地が、従来の既耕地に比して農耕に不適当な土地が比較的多い。これは日本の国土のしからしむるところ、人口のしからしむるところだと思いますが、やはり農村人口の現状、次三男の問題、こういうものを考えますと、また鉱工業の人口吸収力を考えますと、外国の例を見ましても、なお施策のよろしきを得れば、やはり開拓政策は進めていくがいいだろうと思っております。現にりっぱに平坦部で——軍用地などのせいもありますが、りっぱにやられておるところもあり、また、高冷地で家畜種畜を中心にした混合経営、林業を中に入れた経営、最近、九州では暴風雨対策——この間この委員会でもちょっと申し上げたことがありますが、果樹経営の開拓も最近は積極的に認めております。少し長くなって恐縮でありますが、開拓というものは補助融資とをまず入植直後に早く多くつぎ込んで営農を早くならしめる、技術を徹底して収穫をあげる、またそれに先だって開拓道路とか水路とかいうような建設工事を先つけてアンバランスをなくする、農耕に適するようにする、こういうようなところが要点だと思いますが、自余の問題は、経営規模がそれでいいもの、だろうか、あるいは人力だけで考えた経営規模と、機械もしくは家畜をもっと入れて能率的にまた多角化してやるがいいだろうかということが残されておる問題だと思います。積極的に開拓営農を進めることと、過去の負債を整理することの二途に分れると思います。これらの点について大いに改善を要することがあることはもちろんであると思いますが、今後それに従って進みたいと思っておるわけであります。
  71. 林唯義

    ○林(唯)小委員 ただいまの農耕不適地と一見見えるものといえども、施策よろしきを得れば何とか相なるという御説明を承わって、まことに安心いたしたのでありますが、前提に相なるところの施策よろしきを得ておるかどうかという点に、私は非常な疑問を持つものです。ひとり施策よろしきを得ないで、農耕不適地を適地の中に入れておくというような弊害を随所に見ます。これはしかし議論になるので、この際私は控えます。ただ一つ本年の冷害の結果、開拓地で最もおそれることは、離農が多くなって参るであろうということであります。申すまでもなく北海道は非常に離農現象の激しいところで、屯田兵時代においても、同一の条件のもとで暮した者で、二十年後にはほとんど三分の二離農をいたしておるというような統計が上っておるのであります。むしろ戦後の緊急開拓で農民として不適格者と思われるような人々がずいぶんがまんをしておられる。そしてこれらの人が、何となしに浮き足立っておるところに今度の冷害にかかっては、よけいこういう離農が著しくなって参ると思いますが、これらに対してはいかようなる御対策をお持ちになっておられるか、お聞きしたいと思います。
  72. 安田善一郎

    ○安田説明員 今回の冷害には、やはり今回の冷害対策をもって実施しなくちゃいかぬと思うのです。これをまた漫然と過しますと、農家負債が多くなって離農を進める、こういうことになると思います。ただ先ほど御質問があり、私も意見を申し上げたことでありますが、二十八年の災害というのは日本の農業に非常な影響を与えております。これを他の例で申しますと、単に開拓地ばかりではなしに、平坦部の旧農村の農地、農業施設の災害復旧も、日本の国力をもってしては、スムーズに三年ないし四年で解決つかず、いまだに百数十億の災害復旧事業が残っておるわけです。これに照応すろかのごとく、開拓者もそのときの負債がたしか百数十億あって、現在では百七十億の借金が実は全国にたまっておるわけであります。その全体のうちの、二十八年当時などのような異例なことを背負いながら、何となく施策が背伸び主義で十分でないところに問題があると思いますので、営農伸展の積極面と負債整理の消極面との両面にわたりまして、もう少し背伸びをした施策が期待されるところであるし、実行しなければならぬところだと思っておるわけであります。
  73. 林唯義

    ○林(唯)小委員 その方向に一つ努力をお願いいたします。そこでもう一つ、これは私は知識が足りないのでお伺いいたしたいのですが、戦後私どもの村でやっておる開拓地は、全部国費でもって負担いたしております。最近たとえば川で申せば、支流のごときは市町村河川であるから国では何ともいたしがたいというので、開拓地は非常に跛行的な事業の進まれ方に相なっておるのであります。そこで市町村自体がかかる経費を負担いたさなければならなくなった時期はいつであったのか、またいかなる方法によって、もしくは法か何かの形でもってさようなことに相なったのか、ちょっとその辺の知識をお教え願いたいと思います。
  74. 安田善一郎

    ○安田説明員 御質問にお答えするのに、ちょっと的をはずれているかと思いますが、私も当麻村へは行ったことがありますが、入植農家は大体五カ年間を中心に、補助融資、中期資金の世話をいたしております。その前に……。
  75. 林唯義

    ○林(唯)小委員 その五カ年間は、法に書いてあるのですか。
  76. 安田善一郎

    ○安田説明員 これは農地法に、その地区計画の竣工検査というような言葉をもちまして、入植されてから大体営農が立つであろうと想定した国の計画の片鱗が現われているだけでありますが、あと予算措置でやるわけであります。それに先ほど申し上げましたように、開墾建設の土木工事とか、飲料水とか電気あるいは畑灌、場合によれば、だんだん条件を整えまして有線電話、こういうように営農生活が発展して参るわけでありますが、過去の実際は、いつからというただいまの御質問でありますが、土質とか場所とか予算とかいうようなものがいろいろこんがらかりまして、水なり道路なり付帯林が十分整っておらぬものが、いろいろ混在しているようであります。これを大胆に申しますと、開拓地あるいは開拓農家は、ある意味で国家管理に近いような計画を立て、補助をし融資をしているわけでありますが、それが十分にいっておりませんけれども、これに対する対策としましては、各農家を全部調べまして、営農診断というものを行いまして、地区計画の変更を要するものは変更をする建前であり、災害を受けて立て直りにくいものは立て建すという精神のもとにやっているわけでありますが、地区ごとに見なければ、実はわからない状態であります。
  77. 林唯義

    ○林(唯)小委員 竣工検査を随時行なって、あなた方の主観のもとで判定をされて、それぞれ今後の負担方法をきめるという御意見でありますが、北海道の随所で、さようにして市町村に今後の工事の責任が移管されたような場所では、冷害の年でなくても、非常に施策の上で困っております。営農にまだ日の浅い住民に負担をかけるわけにいかないし、町村財政は困難である。そして国の方からは、あなた方の主観的な御判断で突っ放されて、事実平生といえども施策の上で困っている。既存農家ではなく開拓農民が困っている。しかも今度の冷害では、かような開拓農民が一番ひどい思いをいたしているということは、これはまたお認めに相なっているのでありますが、かような次第であるならば、かような竣工検査、つまり厳しい建前の上でおやりになった竣工検査というものを、もう一度もとに戻されて、営農の実態に入って一ついろいろと工夫をめぐらされて、今度の救農土木事業の場合などにも、ワクをゆるめてお考えになるようにお願いいたしたいと思います。この点一つ意見を伺いたい。
  78. 安田善一郎

    ○安田説明員 いい御意見がありましたら教えていただきたいと思いますが、御質問になった要点を、私はちょっと聞き違えたように思いますが、開拓に先行して必要な開墾建設工事に当りますものは、全額国庫で持っているわけであります。それで工事中に災害が起きたような場合には、また国費でやりますが、作ったあとは、地方の公共団体に負担していただくことが問題じゃないかと思いますが、具体的な地区を教えていただきましたら研究いたします。
  79. 本名武

    ○本名小委員 自治庁は見えていますか。
  80. 笹山茂太郎

    笹山委員長 見えておりません。
  81. 本名武

    ○本名小委員 地方財政の問題についてお聞きしたいと思ったのですが、それではこの次にお聞きいたします。  先ほど農地局長からお話がありましたが、なるほど自作農維持創設資金によって相当救われるということは了解いたしますが、今の林さんの質問に対する答弁の中にもありましたように、今次の冷害は今次の冷害に対しての対策をとらなければいかぬというお言葉からいたしましても、やはり考えなければならぬことは、悲惨な実情を掌握しなければいかぬということです。さらにその上に立って基本的な、今の林さんの御質問にもあったように基本的な問題もありますが、開拓農民に対する考え方が資金の面においてもやはり特別な扱いがなされなければいかぬ。特に災害によってこうむった被害に対して、一般の天災融資法によって果して開拓農民はやっていけるかどうかということ、それよりも思い切ってこの際基本的に開拓資金法によってこれを処置していくということの方が私は適切であると考えるのであります。今日までこの委員会においても、この問題はいろいろ論議されたのでありますが、一つ北海道冷害を契機といってははなはだ変な言葉でありますが、思い切って農林当局も踏み切られまして、開拓融資法によるところの融資によって営農の全うを期せしめるというふうにいたすべきではないかと思いますが、もう一度局長の御意見を承わって、私の質問を終ります。
  82. 安田善一郎

    ○安田説明員 開拓者資金特別会計で持っておりまする、同関係法によりまする融資は、それぞれ年間別に計画がきちんとなっておりまして、開拓者の方といえどもワクの増額なしにはこの資金冷害対策とせよ、こういうことは言われないかと思うのであります。しかしワクを増加して融資すべきではないかということにつきましてはよりより検討中でございますが、特殊の、たとえば自作農維持資金を供給するような農家でない開拓農家に対しまして、三分六厘五毛という普通の農家の預金利子より非常に安いようなもので融資をいたしますことが、本来融資制度として開拓者にとっていいことか悪いことかは私は多少疑問に思います。現在やっておりますものは開拓、入植される人のいわば補助とでもいうべき、しかも比較的多い、たとえば一戸十七万五千円、北海道でいえば百二十万円近くの融資を、入植直後に、農家の建設、営農の建設というような初期にやるもので、普通の金融ではないのじゃないかという気がするのであります。これが五年過ぎ、十年過ぎまして、また三分六厘五毛という資金を要しなければ成り立たないものだといたしますれば、それはまさに根本的に開拓農業を再検討すべきものだと思うのであります。その意味におきまして応急措置は応急措置として考えまして、整理すべき負債は整理するのがほんとうであって、なお営農の伸展を積極的にはかって、開拓者資金融通法によって災害融資の返還をしなくても成り立つ制度でこの際やった方がいいという場合は、他の方法対策を講じてやっていくのがいいと思っております。
  83. 本名武

    ○本名小委員 次にやります。
  84. 笹山茂太郎

    笹山委員長 それでは石田委員
  85. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 時間がございませんから簡単にお伺いしておきます。経済局長さんにちょっと伺いたいのですが、自作農資金の問題です。この前の水害に当りましては、まだ残額が九億ほどあった。それで災害による自作農の転落防止のために優先的にこれを考慮しよう、こういうことであったわけですが、その後この九億の配分はどのように行われておりますか。
  86. 安田善一郎

    ○安田説明員 自作農維持資金は、私どもの方で立案、起案いたしまして、経済局の農林金融清勢の全体から御批判審議していただきまして、両者意見の一致したところで府県庁を通じて行なっておるので、便宜私から申し上げたいと思います。水害関係の小委員会冷害関係の小委員会と分れましたので、ちょっと払いつ申し上げましたか忘れましたが、昨日でしたか申し上げたと思います。
  87. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 今どういうふうに進行しておるか、その実情です。
  88. 安田善一郎

    ○安田説明員 九億の配分につきましては、これを十億といたしまして、北海道冷害対策用の分を除きまして、そのうちの四億を風水害を受けた府県には、私の言葉でありますが、災害ワクとでもしまして、災害県の自作農維持のためにワクを作って与えたらどうだろうか、その先は府県以下の問題である。残りの六億は全国都道府県にわたりまして、本来自作農維持金融は、天災を受けたときに融資するのも一方法でありますけれども、他の相続とか農地移動とか、要するに零細農の農地の細分化ないしは零細農に転落するのを防ぐため低利長期の資金を貸すのが目的でございますので、その目的の基準によりまして配分したいと考えております。時期は数日のうちにと思っております。
  89. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 この問題は、聞くところによりますと、各府県の方で書類を整備するのに非常に複雑煩瑣なためにひまどっておる、農家の方はのどから手が出るほど急いでほしがっておるのだけれども、なかなか事務処理が困難であるということを聞いておるのであります。実はこの問題は、春の国会開会中の農林委員会におきまして、公庫の総裁にも出ていただいて、あの手続上の問題で二十数通りの文書を八通も作らなければならないという状況である、全く農民の手に負える仕事ではないのであって、やはり相当経験もあり学力もあるような人に依頼をしてこれを作成しなければならない、従って農家経営の実態とはほど遠いところの作文になってしまうのじゃないか、そういうことで果して法律の趣旨に沿う目的を遂げることができるのかどうかということを追及いたしましたところ、公庫の総裁も、これは煩雑に過ぎるから何とか簡素化したい、それから経済局の会計課の課長かと記憶しておるのでありますが、これも全くその通りであるということで、もう少し簡素化しなければいけないということを言っておられた。また各県の関係者の会議の席上にも、やがてこれを簡素化してやりたいと思うが、今のところ成案がないから暫定的には従来通りにやろうということを申されておるということを承わっておるのであります。しかるにいまだに暫定と称して今まで通りの手続をやっておられるという点は、これははなはだ遺憾なんで、この点については簡素化してやる用意があるのかどうか。これは法の欠陥も一つはあると私は思う。農地を担保にとったり保証人をつけたり、さらにその上に知事の責任において再建計画というようなものを立てなければならないというところに複雑さがあるのでありますが、そういう点の取扱いについてどういうふうに考えておられるのか、ここであらためて一つお聞きしておきたいのです。
  90. 安田善一郎

    ○安田説明員 石田先生の御質問と実は同じことが、きのうでありましたか出まして、まことに遺憾に思いますが、自作農資金ワク拡大と手続の簡素化、この二点について前国会でいろいろ御意見がありましたことによりまして、また附帯決議もありましたことに応じまして、農林省はその趣旨に従いまして実施をいたしますとお答えをいたしたはずであります。山添公庫総裁とともにお答えしたのは当時の経済局長の私でありました。ところが今年の第一回の割当十六億はほぼ四月の初めに行なったようでございまして、国会が六月三日に終ったと思いますので間に合いませんで、従って第二回の下半期の九億の場合を予想して研究を進めております。今次災害に当りまして、これを本来の目的というか、こういったときに大いに使うべきではないかという御意見に応じまして努力をいたしておるわけであります。おくれておることはまことに恐縮でありますが、御意見の存するところは実現をするつもりであります。率直に申しますと、起案事務を私どもでやって、経済局で金融の全面的な立場から見てくれる反面、御指摘の点は営農安定計画というのが実は振興局で、融資後の農家改良普及員の営農指導と相まって間違いなく指導していきたいという気持でできておるようでありますが、繁雑に過ぎるわけであります。私は実現をしたいと思っておりますことは、災害に当りましては県の認定があるようなところでは複雑な事前の帳簿式なものは要りませんで、普通の融資の申請のようなものにしまして、貸付後に次年度からということになりますか、ああいう営農安定計画に関する重要事項だけをとりまして、簡単にしてつけるようにしたらいいのじゃないか、災害農家のような場合はもっと簡素化をやったらいいのじゃないかと思っておりますが、なかなか成案が部課内で出ませんので、実は中で非常に猛烈にやっておりますから、もう少しお待ちを願いたいと思います。
  91. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 先ほどの御説明によりますと、残額九億に対して一億を増額して十億として配分をするということでありますが、実は最近の農家の経済的な諸情勢によって自作農の転落のテンポが早められておるわけでありまして、このままで行きますと、これは結果において日本の農地改革による自作農主義が非常に危険に瀕するということを感ずるのであります。特に本年のように凍霜害があり、水害があり、今回はさらに北海道冷害というように非常に災害が重なって参りますと、一そうそれに拍車をかけることになると思うのでありますが、現在の農地法の精神を守っていくためには、何といっても今農村が、実際上登記は経ておらないけれども、農地をいろいろな契約によって担保物件として負っておるところの債務が百億に及ぶであろうと推定されるわけでありますが、百億に上るその農地を担保にしての債務を負っておるというところへ、二十五億や六億程度の自作農資金ではとうてい間に合うはずがないので、この点について大蔵省は、日本の農地改革の精神を生かして、今後自作農主義という大きな国策の柱を守っていくために、自作農資金ワク拡大について思い切った措置をとっていただかないとこれは大へんなことになると思うのですが、一つ大蔵省の方のこれに対する考え方を承わっておきたいと思います。
  92. 大村筆雄

    大村説明員 自作農創設資金は御承知の通り公庫ワク内で融資しておるわけでございますが、公庫の全体のワクの関係もございますけれども、その中におきまして自作農創設資金ワクの問題につきましては、ただいま御質問のように、農地制度の維持確保をはかる上におきまして非常に重要な働きをなす点については、私どもも同様に考えております。昨年二十億を今年二十五億と五億ほどふやしたのでありますが、なおかつ相当足りないというような状況のようでございますので、この点につきましては農林省とよく御相談をいたしまして、できるだけ実情に沿うようにしていきたい、かように考えております。
  93. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 大へん御理解のある御答弁でございます。  そこで今度当面しております北海道冷害対策といたしまして、いろいろな金融措置についてお話がございましたけれども、今日開拓資金融通法の資金でさえもやはり利息の点では自作農資金よりははるかに高いことになるので自作農資金が今日農村に対する融資の面は一番利子が低くて年限が長い、これが一番有利な資金であるわけであります。いろいろな融資がございましても、すでにもう償還がずっとたまっておる。その上にまた似たり寄ったりの資金、それもやむを得ないことではあるけれども、そういう措置をされるよりは、もっとやはり根本的な解決をするためのこの資金を、ただいまの御報告では従来より一億増額されておるということであるけれども、それは北海道冷害というものを考慮に入れない額だと考えるのでありまして、今度は北海道冷害のための特別な自作農資金融資について、これは一つ大蔵省農林省でみっしり対策をお考え願いたいと思います。  いろいろ御質問申し上げたいこともありますけれども、時間の関係もありますし、また具体的な対策樹立に当っては懇談会等の機会もあると思いますので、私はこの点だけで質問を終りたいと思います。
  94. 笹山茂太郎

    笹山委員長 まだ出席しない方で質問のある方もあろうと思いますが、それは次に譲りまして、明日は午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会します。    午後四時五十八分散会