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1956-10-05 第24回国会 衆議院 農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月五日(金曜日)    午前十時五十九分開議  出席小委員    小委員長 綱島 正興君       石坂  繁君    大森 玉木君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       井手 以誠君    稲富 稜人君       中村 英男君  小委員外出席者         議     員 大橋 武夫君         議     員 石田 宥全君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    桧垣徳太郎君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農 林 技 官         (振興局特産課         長)      西村 周一君         農 林 技 官         (振興局植物防         疫課長)    堀  正侃君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君         農 林 技 官         (蚕糸局蚕業課         長)      小林 明隆君         農 林 技 官         (林野庁指導部         治山課長)   茅野 一男君         農林事務官         (水産庁次長) 奧原日出男君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         日本国有鉄道常         務理事     藤井松太郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月五日  小委員中村英男君同日小委員辞任につき、その  補欠として足鹿覺君が委員長の指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  第十二号台風による農林漁業災害対策に関する  件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長代理 ただいまより農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会を開催いたします。  昨日に引き続き第十二号台風による農林漁業災害対策に関して調査を進めます。  本日の政府側出席者農林省和田金融課長立川管理部長須賀蚕糸局長小林蚕業課長茅野林野庁治山課長日本国有鉄道常務理事藤井松太郎君であります。  鉄道橋梁河川問題についてまず審議を進めます。稲富君。
  3. 稲富稜人

    稲富委員 河川局長見えておりませんか。——それでは最初に運輸省の監督局長出席をお願いしておったのですけれども、お見えになっていないようでございますから、国鉄側にお尋ねしたいと思います。  大体お尋ねしたいと思いますことは、国鉄鉄道路線及び橋梁等ため農地に対してしばしば被害を与える、こういうような問題があった場合は、国鉄といたしましてはこの橋梁あるいはこれに対する路線等に対して、改修その他によって被害を与えないような方途を講ぜられるというような御意思があるかどうかを最初に承わっておきたいと思います。
  4. 藤井松太郎

    藤井説明員 私国鉄常務理事でございます。ただいまの御質問にお答え申し上げます。  台風水害等におきまして鉄道決壊といったようなことが原因になりまして、被害を及ぼしているというようなことは、実は遺憾ながら絶無ではございません。この際おわび申し上げますが、これは明らかに鉄道側施設が不適当であるということに基因して被害を及ぼしたということでございます場合は、その改良をいたす心がまえは十分にございます。
  5. 稲富稜人

    稲富委員 それでは具体的に一つお尋ねしたいと思うのでございますが、実は鹿児島線南瀬高駅と渡瀬駅の中間に飯江川という川があります。その飯江川にかかっております橋梁が非常に狭い。さらにこれが非常に低い。そういう結果、この飯江川の上流から流れてきます水が、その橋梁及び路線にさえぎられまして、約八百町歩の水田というものがほとんど冠水をするというような状態に置かれております。ことに今回の災害におきましても、私たち実情調査いたしたのでございますが、そういうようなことが現われておりまして、今回の水害によりまして約水稲の百町歩というものはほとんど収穫皆無の状態に置かれております。三百町歩というものは七割減というような悲惨な状態に置かれておるような状態でございます。これがためにその被害というものは、本年度においても一億数千万円を越すだろうという実情であるのでございます。   〔田口委員長代理退席、小委員長着席〕 こういう点は、ただいま申し上げましたような飯江川にありまするその橋梁が狭隘である、こういうところに基因をしているということは、きわめて明らかになっておるのであります。このような具体的な問題があるとするならば、これに対していかなる対策をおやりになるというお考えであるか、この点承わっておきたいと思うのでございます。
  6. 藤井松太郎

    藤井説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  ただいまお説のございました飯江川は、私が申し上げるまでもなく矢部川支流でございまして、飯江川の上流四キロぐらいのところに鹿児島本線が通っておるという状態でございまして、この飯江川なるものは、御承知だと思うのでございますが、実は矢部川がこう流れて、川がこういうふうに入るのが正常でございますけれども上流の方に入っておる。従いまして支流の水が本流に抜け切れぬというゆえんをもって、しばしば被害を及ぼしておる。まことに申しわけないのでございますが、福岡当局におきましても、矢部川改修はもとより、不自然な飯江川の改修工事をただいま施行されている。従いましてその施行されるのには、その具体的な内容としては、川幅を広げ、河道を変更することもお考えになっておられるだろうし、かたがた洪水量が多くてもはんらんしないように堤防かさ上げをするということになるのでありまして、これに関しましては、鉄道にも河川改修に伴ってそういうことが起るし、鉄道自体もそれによって安全性を確保されるということでございますので、従来の慣例に従いまして、大体こういう事態には二分の一、二分の一の費用の折半をもつて橋梁改修をやるということが通念になっておりますので、福岡県御当局とその折衝を実は始めている。従いまして国鉄といたしましては、福岡県御当局が従来の慣例に従いまして、問題の地点の御改修をなさると同時に、機を合せて橋梁改修をいたしたい、かように考えておりますが、これは河川改修でございますので、起業者側福岡県の方が御発動願わぬと、堤防ができてないのに橋梁だけ広くするということもできませんので、せっかくただいま交渉中でございます。その結果あの橋梁はどんなふうになるかと申しますと、約六十六メートルの橋梁でございますが、これを九十何メートルにしまして、川幅を三十メートルくらい広げると同時に、河川改修によって堤防が上っているということでございますので、それに合せまして二メートル五十程度線路を上げるという工事を、福岡県と協議がまとまりまして直ちに実行いたしたい、かように考えております。
  7. 稲富稜人

    稲富委員 福岡県の方がさばけないからこの仕事もさばけないでおるというお話でありますが、大体この飯江川の支流下流の方から改修されてきている。あの鉄道の踏切までは川幅が六十メートルになっている。ところがあの鉄道でさえぎられまして、その上の方は改修ができてないような実情なんです。せっかく下の方が六十メートルになってきているけれども、その鉄道線でさえぎられている。しかもその上流の方は御承知のごとく自然川でございます飯江川と大根川が合流している。飯江川の方は幅員が十八メートル、それから大根川の方は十六メートル、それが合流してしまいましたあの路線の上というのが十四メートルしかない、こういうような状態であることは、浸水するなという方が無理なんで、当然浸水をしなくちゃいけないような状態になっている。これを今日まで放任している。これはどこにその責任があるか。今あなたのお話によりますと、福岡県の方が話が進捗しないからそういうふうになっているようにもうかがえる。それが事実とすれば、福岡県側の重大な責任でありまして、福岡県側にもあるいは河川局等に対しても十分追及しなくちゃいけないと思う。何がためにただいま申し上げますように鉄道路線によって下流の方から改修された六十メートルの幅員がさえぎられているか、この点をもっとつまびらかに承れるならば、今日まで長い間放任されている責任がどこにあるかということを明らかにお示し願いたい。
  8. 藤井松太郎

    藤井説明員 ただいまおしかりをこうむつたのでございますが、私の方は責任那辺にあるかという問題にあらずして、河川改修に伴って橋梁がきまってくるという立場でございます。ただいま十何メートルというお話で、私もその現地ははっきり見ていないのですが、鉄道の現在かかっておる橋梁そのものの長さは六十六メートルに  なっている。  先生のおっしゃったのは、おそらく洪水時か何かになって水の流れるところがあって、そういうことになっていると思いますが、これの改修をしないで鉄道はけしからぬと言われても、河川管理者というものがありまして、その御了解なしに私どもは手をつけることはできないので、責任那辺にあるかという議論よりも、そういった事故を軽減することが主眼である。従いまして、福岡県ともせっかく折衝しているのですが、当面の責任者である河川管理者が、この計画を御起業願えれば、われわれの方はしかるべき分担方式でいつでも着工いたしますという気持でおりますので、御了承をお願いしたいと思います。
  9. 稲富稜人

    稲富委員 河川局長がお見えになったようでありますから、河川局長にお尋ねしたい。あなたは途中でおいでになったようでございますが、南瀬高渡瀬の間にある飯江川の問題です。御承知通り年々歳々災害をこうむっております。ほとんど毎年、少し水がありますと、冠水がほとんど八百町歩に及んでいる。今年の災害におきましても、相当浸水をして被害相当大きい。こういうふうな被害をこうむって、今日までこれが放任されておるのです。しかも飯江川の下流改修されておる。そしてこれは幅員六十メートルになっておるが、鉄道線路によってこれがさえぎられておる。しかもその鉄道線路上流の方、飯江川と大根川と合流した点は、飯江川の方は十八メートル、大根川の方は十六メートル、その少し鉄道上流は十四メートルにすぎない。これを今日まで放任していることはないと思う。その地方の農民は年々歳々非常に苦しんでおるのです。本年も私ども現地調査に行ったのですが、実に悲惨な状態に置かれておるわけです。これは聞くところによると、鉄道線路があるから改修が非常に困難だ、こういうことを言われておるのです。それで、今鉄道の方の話を聞きますと、福岡県なりあるいは河川管理者の方からこれに対する鉄道線路改修なりあるいは橋梁をかけかえろという要求があれば、鉄道側としてはこれに応ずることにやぶさかでないというようなただいまの話なんです。鉄道側はそれほどの考えを持っておられるのに、何がためにこれを放任しておったかという問題です。さらにこれに対して将来どうするという考えがあるか、その点を一つ承わっておきたいと思います。
  10. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。矢部川の水系につきましては、終戦後しばしば災害をこうむりまして、この河川改修重要性を認めまして全川にわたりまして改修工事をやっておるわけであります。今お話のありました飯江川につきましても、お話通り下流部増強工事を現在施工中でありまして、その増強工事もまだ今後におきましてもやらなければならぬ工事が残っておるという状況でございます。鉄道の問題につきましては、ただいまお話がありました通り鉄道を何とかしなければならぬじゃないかということは鉄道からもお話がございました。それで私の方といたしましても、福岡県に対しまして、この問題をどうするかということをしばしばお話はしておるわけであります。御承知のように、矢部川は県の事業でございますので、県の方から来年やる事業なり、ことしやる事業なりは申請がありまして、それによりまして私の方では補助金をつけるなりしておるものですから、その辺で県が鉄道お話しされて、こういうふうに事業分担をしてやりたいというお話が出て参りますれば、私の方でそれを審査いたしまして、必要だということになれば補助対象にいたしてやるわけでございまして、もちろん今のようなお話でございますれば、この仕事は早くやらなければならぬものだというふうに考えられるわけでございます。従いまして、今後におきましても県の方によくお話ししまして、鉄道とも一つよくお話しされて、今後の方針を早くきめるように私の方からすぐお話ししようということを考えておるわけであります。
  11. 稲富稜人

    稲富委員 結論を承わりたいと思います。  まず、国鉄の方にお伺いしたいと思いますことは、ただいま申し上げましたような事情でありますから、県の方に対して、これを改修する計画を立てて鉄道にこれに対する要望があった場合は、国鉄としてはこれに応ぜられるという考えがあるかどうかということを最後にはっきり承わりたいと思います。  さらに、今度は河川局長にお尋ねしたいと思いますことは、ただいまの問題につきまして、これに対する補助申請等県側から要求があった場合、事情はただいまお聞きの通りでございますら、建設省としてはこれに応ずるという用意があるかどうか。この点がはっきりいたしますと、ただちに県側からこれに対する具体的な処置をとられるようにわれわれも要求したいと思います。なお、この問題は河川局長も聞かれた通りでございますから、県から申請がありましたならば、県に対してただちに処置を講ぜられるようにあなたの方から通達していただきたい、こういうことを要望いたしまして、これに対する考え方最後に承わっておきたいと思います。
  12. 藤井松太郎

    藤井説明員 先ほども申し上げましたように国鉄といたしましては、この計画を具体的に立てまして福岡県御当局協議をいたしておりますので、河川管理者の方で御計画をおきめ願って、しかるべく通例に従った分担方式でおきめ願うということになれば直ちに着工するという用意はあります。
  13. 山本三郎

    山本説明員 ただいまのお話でございますが、県からこういうものにつきまして十分な資料を持ってきて、ここを改修するため——今のお話通りならば私は問題はないと思いますが、あるいは下流状況だとか用地の問題とかその他の問題もあると思いますから、それらにつきましても県が十分な資料を持って参りまして、やらなければならぬということになりますれば、私の方といたしましても当然優先的に考えるようにしたいと思います。
  14. 稲富稜人

    稲富委員 今の局長お話は、お話通りでありましたならばと私がいかにも根拠のないことを言っているようにおっしゃっているが、非常に遺憾だと思う。私たちはこの地方を、現地に行きまして調査をして参っているのであります。そういうようにお話通りでありましたならば、県の方からきたならば、こう言うと、いかにもわれわれの言うことは空気のごときものに思われても遺憾であります。われわれは事実に基いて言っているのであります。こういう事実があるかどうかということを県の方に十分確かめて、事実があるならば早く何とかやってもらいたい、こういうことをあなたの方から積極的に働きかけてもらいたいということを要望しておきます。
  15. 山本三郎

    山本説明員 今のお話はすぐ私の方からも県によく連絡いたしまして実情を具申してこっちへ持って参るように連絡いたします。
  16. 綱島正興

    綱島委員長 井出小委員
  17. 井手以誠

    井手委員 河川局長がお見えになっておりますからこの機会一点お伺いいたしておきたいと思います。  実は先般干拓堤防問題などについていろいろと質問いたしましたが、次長でありましたために十分な御答弁を得られなかったのでございます。なお、これは大きな問題でございますから、後日本委員会において海岸堤防直轄化あるいは堤防の高さなどについては大臣より御言明をいただきたいと存じております。本日は水防費関係一点お伺いをいたします。  まず、水防についての補助金は今日の現行法ではどんなふうになっておりますか、その点を一つお教え願いたいと思います。
  18. 山本三郎

    山本説明員 ただいまのお尋ねでございますが、現行水防法によりましては、重要なる地域の水防施設に要する経費の三分の一を国が補助することができる、こういう建前になっております。従いまして、その施設というのは資材、俵とかああいうものは入らないという解釈になっております。
  19. 井手以誠

    井手委員 ただいまの御答弁をさらに具体的にお伺いしたいのであります。その施設河川だけなのか、河川堤防水防関係なのか、あるいは干拓堤防も入っておるのか、あるいはそのほかのものも含まれておるのか、そのことが第一点。  次は、補助のある資材とはどういうものであるか、俵が入っていないとするならば何が該当するのか、その点を具体的にお教え願いたい。
  20. 山本三郎

    山本説明員 第一の問題でございますが、設置するあるいは準備する場所は必ずしも河川ということには限っておりませんで、現在までにおきましてもほかの部分、海岸等にも補助した例はたくさんございます。  それから補助対象になったものは何かということでございますが、現在までには、今年の予算等におきましては水防倉庫資材を入れておきます倉庫に対して補助をしております。
  21. 井手以誠

    井手委員 過去において倉庫のほかに土のう材料である俵ですか、これに対して補助をなさった事例は全然ございませんか。
  22. 山本三郎

    山本説明員 過去におきましては予備金から支出いたしまして俵等資材に対して補助金を交付したことがございます。
  23. 井手以誠

    井手委員 過去何回かの大きな水害には確かにいたしておったと私も記憶いたしております。そこでお尋ねいたしますが、九号、十二号の台風、しかも高潮が予想されておりましたので、おそらく大きな波浪によって決壊をしないかという心配から、有明海沿岸住民は、関係者ばかりでなく、背後の多くの住民を動員して、土のうをかついで必死となって二昼夜も三昼夜も一生懸命がんばっておった。そのため堤防の決潰を防いだというとうとい事例がたくさんあるのであります。たとえば潮水がずっと上流まで入っております六角川のごときは、関係の福富村あるいは白石町の全住民約二万名が動員されて三万俵の土のうを築いて固めましたために、幸いに決壊は免れました。同様に海岸堤防のことも言えるのでありますが、その著しい水防対策に対してどのようにお考えになっておりますか。おそらくそのままでは済まされないと私は期待いたしておりますけれども河川局長はこの地元民の、当然といえば当然かもしれませんが、うるわしい、涙ぐましい努力に対して、また財政窮乏折柄水害を防ぐために使った莫大な水防資材に対して、どのようにお考えになっておりますか、お尋ねいたしたいと思います。
  24. 山本三郎

    山本説明員 お説の通り河川なり海岸被害を全国的に見ますと、特に今回の問題等におきましては、水防によりまして相当効果をあげまして、防災的の働きをしておることは、私どもといたしましても認めているわけでございまして、水防資材補助につきましても、建設省としましては例年大蔵省に対して強硬に要求をしております。三十二年度におきましても資材補助したいということで強硬に要求しております。そういうわけでございますが、現在までにおきましては、この資材につきまして本年度におきまして補助するというところまで至っておりませんでまことに残念でございますが、今後におきましても努力したいということを申し上げたいと思います。
  25. 井手以誠

    井手委員 あんたは大蔵省じゃございませんよ。河川局長です。今の答弁大蔵省答弁と同じようなものです。今私が申し上げたようなこの事例をあんたは御承知になっておるならば、私はたとい大蔵省が強硬な態度であっても、あくまでもこれを獲得するだけの熱意を持ってもらいたいと思う。来年度はこうしたいということではございません。ただいまあなたもお認めになったように、この水防ためにどれほど国費の節約になったかわかりません。一たび六角川決壊し多くの海岸堤防決壊しておりましたならば、災害復旧だけでも私は莫大な金額を要すると思います。その地元努力に対しておそらく建設大臣感謝状は出すでしょう。私はさように期待しております。しかしまた同時にこの地元民努力と支出に対しまして、建設省としては水防資材に対してくらいは、規定の三分の一でございますか半分でございますか、当然お出しになる積極的な努力が私は必要であろうと存じております。一つもっと熱意のある御答弁を願いたいと思います。
  26. 山本三郎

    山本説明員 私どもといたしましての考えを先ほど申し上げたのでございますが、もちろん水防についてはその重要性考えておるわけでございまして、従来の水防によっての効果は十分認めておりますし、今後におきましても水防を積極的にやりまして災害未然防止に努めていただきたいのでございますので、水防資材等につきましては今後におきましても積極的に努力いたしまして、御期待に沿うように努力したい、こういうように思っております。
  27. 石坂繁

    石坂委員 関連。ただいま水防資材に関して井手委員の質疑がありまして、建設省の従来のこれに対する措置並びに考え方は一応承わったのでありますが、同様のことは農林省関係においてもこれは考慮してもらわなければならぬ点があるのであります。すなわち海岸堤防干拓堤防漁港堤防等について農林省関係の分もあるだろうと思います。建設省においては、もちろん不十分ではありますけれども一応の用意がされています。しかし農林省においてはさようなものがないようであります。農林省関係所管について農林当局はどういうふうに考えておるか、この際お伺いしたいと思います。
  28. 立川宗保

    立川説明員 主管の農地局長が参っておりませんので、後ほど……。
  29. 石坂繁

    石坂委員 それでは当該局長がお見えでありませんから、後刻その点をお話し願って、適当の機会に御答弁願いたいと思います。
  30. 井手以誠

    井手委員 ただいま局長から努力するというお言葉がありましたので一応引き下っておきましたが、そうしますと河川ばかりでなくして、海岸堤防干拓堤防、そういったことなどについての土のう材料である俵などの資材に対しては補助金大蔵省要求なさるおつもりでございますか、それだけ承わっておきます。
  31. 山本三郎

    山本説明員 要求しております。
  32. 綱島正興

  33. 中村英男

    中村(英)小委員 蚕糸局長にお伺いしますが、私ども先般調査をしたのは鳥取、島根でございましたが、陳情書にも見えておるように、九州全県も大なり小なり九号台風、十二号台風の、ことに潮風被害が非常に甚大であったのであります。この潮風災害は、行ってみますると、故老もこういうふうな潮風災害は知らぬというきわめて甚大な災害でございまして、蚕糸局の方でもそれの対策に非常に苦心をされ、非常に熱心にやってもらっているようですが、地元においても、かつて見ないような災害ですから、どういうような対策を講じていいか、実は非常に困っておったようですが、委員長の報告にもありましたように、現地普及員の諸君が非常に活動して、国や県の研究あるいは指導に待って、その後樹勢回復についても非常に努力して参っております。そこで樹勢回復の肥料あるいは農薬について、これは前例もあることですし、蚕糸局としてこれの対策についてどういうことをお考えになっておるか、一つお伺いしたい。
  34. 須賀賢二

    須賀説明員 先般の台風によりまして、特に山陰地方の一部に非常に激甚な潮風による被害が出ておりまして、私どもといたしましてその対策にいろいろ苦心いたしております。被害の程度によりまして応急措置等もおのずから違って参るわけでございますが、中にはどうしても枝を切ってしまわなければならないというようなものもございまして、来年の春蚕にも影響を残すというような被害状況のものもあるようでございます。そこでそれぞれ被害の程度に応じまして、末端でも技術指導をいたしておるわけでございますが、対策といたしましては病虫害の駆除をいたしますものにつきましては、農薬などについて、前例もありますので補助の措置を考えて参りたい。それから切ってしまいますものにつきましては、来年の基肥を施します時期におきまして、樹勢回復ために肥料を増投いたします分につきまして、補助の措置を考えていきたいということで、目下われわれの方としても必要なる準備はいたしておるわけでございます。
  35. 中村英男

    中村(英)小委員 ことしの樹勢回復の肥料はもちろんですが、災害の程度によっては来年の春肥のことも十分お考えになっておるというお話のように承わりましたが、そう受け取ってもよろしいですか。
  36. 須賀賢二

    須賀説明員 来年の春肥という意味は、来年の基肥を施します時期、実際問題といたしまして一、二月ごろになると思いますが、その時期におきまして樹勢を回復いたしますために特に肥料を増投いたします分につきまして考えて参りたい、そういうふうに考えております。
  37. 中村英男

    中村(英)小委員 これは局長はごらんになりませんが、蚕糸局の方では現地に行って御調査願ったことですから十分おわかりのことだと思いますが、この災害の程度というものは、全部の葉が落ちて、全部新芽が出てきておる。ひどいのになると上の方が五、六寸欠けておる。そこでことし晩々秋に葉を取ってしまうと来年葉が枯れてしまう、そういう状態をずいぶん見受けております。これについては、肥料もことしだけでなく来年も樹勢回復の肥料を続いてやらないと、なかなか樹勢の回復は困難だと思いますから、そういう点は十分考えておいてもらいたいと思います。
  38. 須賀賢二

    須賀説明員 御趣旨のことはよくわかるのでございますが、対策といたしましては、やはり年度内にやります分に重点を置きたい、このように考えております。
  39. 中村英男

    中村(英)小委員 ことに今度の災害は、海岸潮風災害ですから、相当改植もしなければならぬわけです。これについて桑苗の問題ですが、従来桑苗については県の方でも相当助成して参っておりますが、これが改植の助成については国の方はどういうふうにお考えになっておりますか。
  40. 須賀賢二

    須賀説明員 桑苗の改植につきましては、最近は融資でやっておるわけでございます。今回の場合も融資で改値をやりたい、ただ被害を重点的に受けました地区につきましては、おのずから融資の希望量も多いわけでございますので、それに合いますように融資のククは十分考えて参りたい、さように考えております。
  41. 中村英男

    中村(英)小委員 融資と言われますけれども、果実なんかをやっておる農民は相当富農ですが、海岸の養蚕をやっておる農民は、これはきわめて零細な農家です。ことに私どもが見ました鳥取、島根のそういう非常に災害が激甚であった地域の農民は、非常に零細な農業経営をやっております。従って現地においてもことしの暮れはもちろん、来年も現金収入がないというので、おそらく島根県においてもいわば不安定な農業経営の地帯であります。そういう意味において、責任者の市町村長は非常に心配をしておるわけです。そういう地帯ですから、これは融資でやるというようなことでは私はだめだろうと思うのです。現状は、融資を受けてそういうような改植ができるというような大きな経営の農家ではないのです。従ってこれはどうしても補助でやってもらわないとなかなか改植はできにくいと思う。ことに御承知のように終戦後いわば地方産業といいますか、国の産業といいますか、特殊な産業ですから、戦争中桑畑をみな桑を起して減産の一路をたどっておるのを、やっと各方面が努力して近ごろ増反してきたのです。これは県なり国が保護政策をやってきたから増反できたんです。これを融資でやるということでは、なかなか改植しにくいと私は思うのです。これはぜひ一つ補助でやるというふうなお考えに十分御検討をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  42. 須賀賢二

    須賀説明員 御趣旨はよくわかるのでございますが、われわれといたしましても特に災害対策だけでなしに、われわれの繭の増産の基本的な問題といたしまして、桑の改植を奨励することには非常に力を入れておるわけであります。なお、この場合、御承知のように農家としてはかなりの現金負担になりますので、その負担をできるだけ軽くする趣旨におきまして、改植資金については例の技術導入資金によって無利子の融資をいたしておるわけでございます。われわれといたしましてはできる限りの手当はいたしております。
  43. 中村英男

    中村(英)小委員 それから、私も詳しく知りませんが、従来大分、宮崎辺では災害常襲地帯として特殊な保護が講ぜられておるようですが、今度私どもが見ました地帯も、これは海岸の非常にやせた土地なんです。そういう土地が非常に多いわけです。これはやはり絶えず災害にかかる地帯として、特殊な措置というか、今までやっておられた常襲災害桑園に対すると同じような、それに準じた措置を講じてもらいたいという要望が非常に強いのです。それについて何か御研究になっておられますか。
  44. 須賀賢二

    須賀説明員 防災桑園は、御承知のように特殊土壌地帯対策としてとられておったわけでございます。これは本年度までは助成金の交付があったわけでございますが、来年度からはこれにつきましても、農林省といたしましては融資の方に切りかえざるを得ないだろうというふうな方向で今研究しておるわけでございます。特に今御指摘の砂地帯について、桑を植樹することによって砂防的効果を上げることにつきましては、明年度の問題として目下検討中であります。
  45. 中村英男

    中村(英)小委員 これはこの資料で見ますと、九州でも大体十九万貫の減産のようですが、今度の災害を受けた地帯でも相当の減産があるようです。御承知のように今度の災害では普及員が非常に活動して、そうして晩秋蚕飼育の方法についても非常に活動し、指導しているようです。これは御承知のように、農業普及員の活動費は国と県が三分の一を見、残りの三分の二を繭代の一貫目について三十七円の負担金を払って、活動して今日まで来ておるわけですね。そうすると減産分について今年は農民の普及員に対する負担金が払えない、いわば財政欠陥が出てくるわけですが、そうなることを非常に心配しているようです。これは理屈上から非常にむずかしいように思うのですが、それについて何か方途を具体的にお考えになっておればお漏らし願いたいと思います。
  46. 須賀賢二

    須賀説明員 この問題はわれわれといたしましても、実情は非常によくわかる問題でありますが、実は対策に最も困難を感ずる問題であります。御承知のように普及員設置の経費を集荷指導の形におきまして、養蚕団体の収入の一部から支出をいたしておりますような関係から、何かの事情で繭が減産をいたしますと、当該地区の養蚕団体としては非常に困難を感ずるわけでございまして、この春凍霜害の場合におきましても同様の問題があったのでございますが、凍霜害の場合は初秋、晩秋というようなあとに続きます蚕期においてできるだけ増産の努力をいたしまして、凍霜害による減収分を補っていく、従いまして普及員の活動期間も相当長期にまたがるというような実情にもありましたので、いろいろ理屈を考えまして、相当苦心をいたしまして指導強化費を一部予算に計上いたしたのでございます。今回の台風被害の場合におきましても、地区によりましては凍霜害以上の激甚なる被害を受けておる地区ももちろんあるわけでございますが、全体の規模におきまして、まだちょうど初晩秋の時期の被害であるような関係で、あとに続く蚕期が直接あとに控えておらないというような関係もございまして、凍霜害と同じような措置をとっていくということが理屈の上で非常に困難なわけでございます。何とかわれわれといたしましても、理屈のつく限り指導強化費を計上いたしたいということで研究はしてみたのでございますが、積算をいたしてみますと、実際に養蚕団体の収入が減りますものと見合いまして、それらともある程度のつり合いがとれもるというような形のものを積算するということができないような状況でございます。それで予算的にこの問題について措置をするということは、なお引き続き研究はいたすのでございますが、見通しといたしましては非常に困難な問題ではなかろうかというふうに考えざるを得ないわけでございます。得に被害の激甚でありました県等におきましては、県当局がいろいろ御苦心をなさいまして融資のあっせん等もなれておるわけでございますが、どうしても農作物の販売に伴いまする収入基礎にいたしまして、経費の一部を負担しておりますようなこの種の形の普及員の設置費につきましては、今後も起きる問題でございますので、われわれとしては、今後の問題としてもこの問題を何とか考えなければならないというふうに考えておりますが、当面の間につきましては、予算的に措置をとることは非常に困難な事態にあるということを申し上げまして、御了承をおいいたしたいと思うのでございます。
  47. 中村英男

    中村(英)小委員 局長の御説明も理解できぬではございませんが、これは予算的な措置が非常にむずかしいというのは、理屈の筋が立ちにくいから、大蔵省の方で予算的な措置がしにくいというふうに私は受け取れるんですが、もちろん、これは私どもが聞きましても、これは増産するときもあるんですから、そういうときと関連して考えてみると、やはり理論的には少し筋の立ちにくいところもありますが、これはほかの産業とは違って、私が説明するまでもなく、終戦後タバコの増反に食われ、さらに今日の情勢は、貫当り、この二、三日は少し上っておるようですが、十九万円台くらいな価格で引き合うような、そういう養蚕なり蚕糸業をしなければいかぬということが常識化しているような時代で、世間ではこれを斜陽産業だと言っておる。しかもこれは国策に沿っておるんだということで、今日まで非常に各方面とも努力して増産してきておるのです。ですからこれはそういうふうな理屈だけで、筋が通るとか通らぬとかということだけで、予算的な措置がしにくい、しやすいということではなくして、現実はそういう負担金が払えなくて財政的な欠陥が出て、普及員の給料が払えぬという結果が出てきておる。ですから、蚕糸局長は、十分そういう点はこまかく御調査も願い、御理解も願っておるわけですが、私はこの点は何か方法を講じてそして十分普及員が活動ができ、今後も養蚕が斜陽産業にかかわらず農民が増産していけるような方途が講ぜられなければいかぬと思うわけです。ことに養蚕をやっておる地帯はきわめて零細な地帯ですから、これがなくなると、農家にとっても現金収入の道がなくなる。そういう意味合いで、これはどうしても一つ理屈をこえてそういう意味の保護政策を講じてもらいたいというのが、地元の養蚕をやっておる農民はもちろんですが、大きな国家的見地に立ってみても、国の産業としてそういう特殊産業を保護育成すべきだという観点に立つて、ぜひこれは保護政策を講じていただきたいと思います。
  48. 須賀賢二

    須賀説明員 御趣旨の点は、私どもももちろんふだんからさような趣旨でいろいろな指導助長の方法をとっているわけです。なお引き続きさような線で極力努力いたしたいと思います。
  49. 中村英男

    中村(英)小委員 今度の災害について、これは従来前例もございますが、台風が終った直後の災害防除あるいは果樹あたりの樹勢回復の肥料、こういう問題について一つ対策をお聞かせ願いたい。
  50. 堀正侃

    ○堀説明員 今年の稲作は病虫害が、御承知かと存じますが、台風がなくてもかなりの異常発生が予想されまして、この防除量におきましては、過去のどの年よりも、いもち病等につきましてはかなり大きな防除が行われたのであります。今度の台風に伴う病虫害防除は、さらに台風に伴いまして各種の病害が異常発生をしましたことは当然予想されるのでございまして、私どもといたしましては、従来の例によりまして、この病虫害の防除のうち異常発生部分につきまして、つまり平常的な防除を上回る病虫害の発生があり、それに対しまして平常的な防除以上の防除が行われました場合に、これに対して従来の例によりまして農薬費の補助金大蔵省要求したい、こういう考えでありまして、九号、十二号等の台風による各県における病虫害の発生状況を現在調査中でございましてもう間もなく数日中にその資料がまとまることと思いますので、まとまり次第六蔵省と折衝したい、こういう考えでおります。  果樹につきましては、今特産課長が参っておったのですが、ちょっと出ておりますが、大体農薬につきましては、水稲、桑等と歩調をそろえて、特に異常的な防除をやったものに対しましては農薬費の補助をいたしたいと考えておりまして、それも目下資料を集めておりまして、集まり次第六蔵省と折衝いたしたい、こういうふうに考えております。
  51. 中村英男

    中村(英)小委員 あなたの方はもちろん異常災害について非常にたくさんな農薬を使って防除しているから、その補助を出したい、これはよくわかるのです。しかし、大蔵省見えておりませんが、聞くところによると、この前の凍霜害のときの経過と関連して、どうも農薬や肥料の補助金を出しにくい、そういうふうなことを聞いているのですが、何かそういうふうな話が内部であったのですか。
  52. 堀正侃

    ○堀説明員 凍霜害のときもさようでございますし、この前の七月から八月初旬の水害につきましても、いわゆる異常部分に対しては補助金を出したいというので大蔵省と目下折衝中でございますが、そういった異常部分の認定とかいうふうな点につきましてまだ十分に話し合いのつかない点がございまして、七月ないし八月初旬の水害についてもまだ十分な意見の一致を見ていないのでございまして、必ずしもそういったものに対して補助金を出さないという大蔵省当局の御見解でもない、こういうように考えております。
  53. 中村英男

    中村(英)小委員 大蔵省の方にお伺いしますが、従来の例では、こういう異常災害については肥料あるいは農薬について相当めんどうを見ておったわけですが、今度の災害のそういう異常な点について災害の直後に相当農薬を使って病虫害の発生を防いでおるのです。これは聞くところによると、何か凍霜害のときの話し合いがあったと見えて農薬や肥料についての助成はしにくいのだという話を仄聞しておるのですが、何かそういうふうな点について大蔵省が出ししぶっている点があるのですか。
  54. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答えを申し上げます。災害を受けられた農家にできるだけ手厚い保護をしてあげたい。従って災害後に農薬を使った分についても農薬代を補助していきたいというお気持はよくわかるのであります。私ども災害対策としてどこまでやってあげるべきであるか、あるいはあげられ得るかという点で、実はいつも悩むわけでありますけれども、農薬につきましては、実は私ども最近はこういう考えを持っておるわけであります。と申しますのは、数年前までは農薬を使うと非常にいいということが全般に普及しておらないという点がありまして、それを奨励していこうじゃないかというので毎年数億という予算を農薬のために使っていったわけであります。最近は農薬の使用状況相当普及して参っておりまして、もう肥料と同じくらい農薬を使っております。従いまして農家経済調査などを見ましても、経営費の中に占める農薬代の割合が非常に高いというふうに、農薬使用状態は農家の経営費の重要なコストをなしてきておる。ということは、それだけ農薬が普及しておりまして農家の経営費の中に入り込んできてしまうということで、従って災害の場合に農家の経営費を補償してやるというところまで災害対策を進めるべきかどうかというところに、農薬の問題については割り切っていかなければならぬということになってきておるわけであります。災害を受けた方は、農家といわず、これは中小企業でも同じことでございますけれども、それぞれ損害を受けておられるわけでありますし、その回復にも相当金を使っていかれるわけでありますから、財政さえ許したら、できるだけ補助金でめんどうを見てあげるのも一つ考え方でありますけれども、しかし大きな災害になりますと、どうもそこまで財政が持たないということもありますので、財政の補助で見てやる部分は、できるだけどこかで線を引かなければならぬ。従って、各個別の農家なり中小企業がそれぞれ災害を受けられた場合に、受けた損害についてまでは財政負担として持ちこたえられないのではないか、従って農薬につきましては、これは災害の場合でも補助すべきではないのではないかというふうに実は考えておるわけであります。
  55. 中村英男

    中村(英)小委員 大蔵省は、従来農作物に対する農薬が普及してなかったから、普及奨励する意味で補助金を出しておった、ところが相当普及徹底して、今日ではコストの非常に大きな部分を占めるほど普及してきたから、もうすでに奨励は要らぬじゃないか、災害についても、これは個人の補助であるから、国はめんどうを見る必要はないのではないかというような割り切った考えであるようですが、それでは大蔵省は従来まるで農薬会社の宣伝部の仕事だけしたことになって——一それはそれでいいでしょう、農薬会社の宣伝部の仕事はそれで任務が済んだかもしれない。そういう考え方は、私は、大蔵省としては少し合点がいかない。農薬会社の宣伝部なら任務は済んでおります。普及徹底したら補助金は出さなくてもけっこうでしょうが、しかし現実に農家が異常災害を受けて、非常にたくさんな、必要以上の農薬を使っておる。これはもちろん個人の責任において農業をやっておるのですから、そういう考え方からいったら、一切要らぬでしょう。造船も何もやめたらよい。一切の補助金をやめてしまったらよい。しかし他の部面においても、やはりそういう個人の力においてやりにくい点は補助をして、そうして国の産業を盛り立てていっておるのが現状なんですね。しかも農業なんというものは、特に日本の農業というものは、やはり国の保護がない限り立ち行きにくい条件があるのですね。そういう条件があるにもかかわらず、そういう割り切り方は、単に農業という立場だけでなくて、今日の国家の産業を育成するという立場から、私はふに落ちにくい点がある。これは大蔵省補助金を打ち切っていくという一つの理論の立て方を、そういうところに求めておられるように思うのですが、これはそういうふうにお考えでしたら、一つ十分考え直してもらいたいものです。あなた方は大蔵省の内部においていろいろ報告によって査定されておりますから、大蔵省としては財布を持っておるのですから、そういう考えも一面私どもは納得できないことはないが、現地調査に行ってみると、やはり日本の農業というものは保護していかなければ成り立ちにくい。そういう条件があるのですね。そういう条件をなくさずにおいて直ちに普及徹底したから、個人の責任においてやるべきことなんだから、国の援助は要らぬじゃないかという考えは、合点いきにくい。ですからこれは十分お考え願いたいと思っておるのです。従来これにはいきさつがあったのです。凍霜害がありあるいは災害があるというときには、農薬代や肥料代の補助の問題についても、大蔵省農林省との間にいろいろな経過があったろうと思うが、これはなかなかむずかしいものです。理屈は別として、それでは今まで出して、これから出さないということはむずかしいでしょうし、あなた方の言われる理屈も、私どもはわからぬこともない。ないけれども、そこはやはり成り立っていきやすい条件をまず作ることに努力してもらいたい。あなたの議論が成立するのはそれから後です。私はそういうように理解しておりますが、十分御検討願いたいと思っております。
  56. 大村筆雄

    ○大村説明員 農業は一般の中小企業と比べて非常に立ち行きにくいのだ、従って特別に助成が要るのだというお話でございますが、私どもも大体同様には考えております。従いまして、実は昨日も委員会で問題になったのでございますけれども災害対策を取り上げて見ましても、中小企業よりは一段と手厚い保護が農業には加えられておるわけであります。それはなぜかというと、やはり一般中小企業とは違って農業は不利なんだという前提に立って農業に特別手厚い保護が加えられておるのだと思います。  それからまた補助金の打ち切りという点でございますが、これは一がいに補助金をやめることが能だとは私ども考えておりません。これはほんとうに必要だと思えば、農業にも出しますし、また個々の農家の助成ということでなくて、農業全般の振興という意味で、そういう環境を醸成していくため補助金については、伸ばしていくものはやはり伸ばしていかなければいかぬのじやないかと考えております。ただ特別農家の補助金についていろいろ問題になりますのは、先ほど私が申し上げました理屈もございますけれども、過去におきましても、また現在におきましても、会計検査院あるいは行政管理庁、私どもの財務監査等によりましても、相当いろいろな弊害も出ております。いろいろそれは反省すべき点はございましょうけれども、やはり補助金として出します場合は、補助金の本質的な宿命的な問題もございますので、できるだけ弊害の少い形で、資金効率もできるだけ上るような形で参りたいと考えておりますので、一つ御了承願いたいと思います。
  57. 中村英男

    中村(英)小委員 これで一つ留意してもらいたい点は、この前の凍霜害のときに大体農薬なりあるいは肥料の補助金はこれでおしまいだというような折衝の仕方をされて、その後における災害の農薬の補助金の問題が非常に交渉しにくいのだというような話が——これはほんとうかうそか知らぬが、そういう話が伝わっているのですね。これがほんとうだとしたら、これはやはりその当時の折衝が問題だったと思う。これは凍霜害の地域と今度の災害地域は地域的にも違いますし、そういうことでない方がよいので、今の問題はそういう割り切り方では困りますから、一つ現地事情をよく聞いて、十分考慮願いたいと思います。
  58. 綱島正興

    綱島委員長 委員長からこのことでちょっと申し入れたいと思います。  これは大蔵省はお調べになればわかるのだが、工業が進んだ国ほど農業の方は進んでいるのです。世界で一番農業を保護しているのは北米合衆国です。これは比率から見ても何でもわかる。ただ北米合衆国のように生産条件の非常にいいところでは価格を保障しているにすぎない。それから日本のように生産条件が悪いところは生産補助政策をとっている。しかしながら工業と農業とはその労力のエフィシェンシーの上に非常な開きがある。そこで工業が進めば進むほど農業保護政策というものは倍加していかなければならぬ。大蔵省が今とっておる政策はこの点においては全く時宜を得ない政策で、その理由として補助金が別に流れたとかなんとかいう話で、基本論には立脚せずに弊害の一部をもって別なことを考えておる。いわゆる角をためて牛を殺すということに間違いない。牛を殺すようなことをしてもらっては農村は立ちっこないのだから、この点は基本的に考え直してもらわなければならぬ。これを今後ぜひとも大蔵省がやるということにでもなれば、これは国際的なケースをあげて農林委員会は争わなければならぬ。これはそういうものではないのです。農林省もこれはよく聞いておいてもらわなければならぬ。農林省はややともすれば大蔵省の圧迫にたえかねてそういう退嬰的な考えがないとは言えない。これは非常に遺憾なことで、日本の農政を現在の役人たちが愚弄するようなもので、町村に補助が行ったものが別なところに使われたとか、あるいは町村負担分をせずに施行したため補助金が一部変な方に使われておる、あるいは零細補助は実際は末端まで行っていないとか、こういうことは農民補助政策を廃止する理由には何もならないのだ。だからますます整備して補助をせねばならぬので、これを見るとごまかし以外の何ものでもないと思う。これはほんとうに大蔵省もよく考えてもらって——これはあなた一人に申し上げても困るけれども、あなたがその当局の一番の門口ですから、これは深く申し入れをしておきます。
  59. 中村英男

    中村(英)小委員 特産課長にお伺いいたしたいと思いますが、きょうは足鹿委員見えておりませんが、私ども回りました地帯は、鳥取の二十世紀、島根県のブドウ、桃に山口県の夏ミカンが相当被害を受けております。被害の非常にひどいところは、葉も全部落ちてしまって新しい芽が出ている。さらに新しい芽も出ないような枯死状態のところもあります。地元に行ってみると、来年は植物が生きるだけが精一ぱいで葉だけ出しているという状態ですね。だからおそらく来年は結実しないのじゃないか。ことに桃のごときは掘り起しをしなければだめなんじゃないかといわれているのですが、イモにしてもその通りです。葉だけできてつる巻きをしてイモができないという状態ですから、栽培地では借り入れのワクを増大してもらいたいという要求をしております。そういう意向が非常に強いのでありますが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  60. 西村周一

    ○西村説明員 果樹の被害につきましては、各県からの御報告によってよく存じておりますが、ミカン以外の落葉果樹につきましては、来年の花芽の形成というものが今度の台風によりまして相当阻害されましたので、来年は花自体が非常に少くなっている。その回復をはかりますためには来年の果樹の葉を十分に出させまして栄養を補っていく必要があると思います。それにはまず薬剤を散布することによって病害を防いでいきたいというので、薬剤については今後考えていきたいと思います。肥料につきましては、果樹の方はミカンを除きましては間もなく元肥をやる時期になると思います。それによって樹勢の回復をはかりたい。それからサツマイモにつきましては、私の方の所管ではございません。
  61. 井手以誠

    井手委員 農地局長見えましたので二、三お伺いいたします。  第一は、農業共済保険に入っていない入植者の水稲に対する見舞金の問題であります。これは先般も何回となく御相談をいたしております。あの土地は国有でいわば国が地主である。また農林省指導によって入植し、水稲を本格的に栽培したということ等、いろいろ先般来申し上げておりましたが、現地実情は先日来の委員会で詳しく申し述べた通りであります。視察団の報告にもありました通り地元からの御陳情も何回となくあったのであります。そこでかなり日にちも経過いたしましたので、おそらく農林省では保険金にかわる見舞金と申しますか、そういうようなものについての御成案ができているのではないかと思いますので、農林省の御方針を承わりたいと存じます。
  62. 安田善一郎

    ○安田説明員 井出先生からの御質問でございますが、過般の委員会でも、農業共済に法制的に加入ができない開拓入植者、入植後期間も経過せず、基準反収も保険法上設定をせられないというものに対する今回の被害の所得保障、または少くともこれにかわるべき見舞金支給の点はどう扱うか、またどう考えるかという点でありますが、私どもも自来その間におきましていろいろと研究をいたしましたが、第一には現在の農業災害補償制度の関係法の上において、共済金そのものは当然掛金を払って加入しておらない場合は、払うべきものではない、これは法の改正上今後は私どもは基準反収をしかるべく行うとか、掛金を払ってもらって、その掛金を特別に国家の補助度合を差をつけるとか、そういうふうにしまして、あるいは入植の直後からでも入る制度の方向で改正案を組んでもらうように努めたい、また私どももそれに出たいと思うのでありますが、そういう法的な農業保険制度上の保険金にかわるべきものとしてはどうか、こういうことに対しましては、先般も申し上げました通りやはり中央政府の予算制度上の一つの方法とか、さらには将来を予想した法的措置をも考えた場合の共済未加入者の災害補償の問題としては、今回はちょっと考えられない、こういうことである。しかしそれでいいかどうかということになりますので、私どもはそれで十分ではないと思っておるのであります。そこで入植者の所得保障とでもいうべきものが、法的な根拠をもった掛金を払う制度の上における共済金との比較にはなりませんけれども災害額に相応するような施策を全体を通じましてあるいは災害資金の額、融資の条件、金利の条件、また災害住宅の補助でありますとか、あるいは特に農業土木による労賃収入、ないしは救農土木事業による救済でありますとか、場合によりましては一部しかできないかもしれませんが、本年度予定したる土地改良その他の地区の変更等をももちまして、結果において被害農家の所得の増加を、一戸一戸厳格にはできないかとも思いますが、特に開拓者入植者についてその被害地について見ますれば、いいという一応の応急的な割り振り方をしまして他の被害者よりは厚くというふうにして御了承を願いたいと思っております。目下のところまことに苦しい段階でありますが、いい成案を得ません。研究過程におきましては、漁業者の李ライン等に関係しまして拿捕された場合に給与保険というのがありまして、漁船保険では強制加入かなにかになっておるが、入っておらない人の場合でも措置をとったことがあるという例のことを研究しまして (「小笠原のこともある」と呼ぶ者あり)そういうこともあるから、この際どうだということで私個人としても実は研究いたしたのでありますが、天災と外国からの人災とかというようなものとの差がどうということがありますが、幸い、十分ではありませんが、災害対策を講ずべき対象としての開拓者、入植者には、他よりも厚い措置を講じ得るということがありますので、ほかの例の場合と違うから、まあ一つ今回はがまんを願えないだろうか、こういうように考えております。
  63. 井手以誠

    井手委員 それじゃあ何とおっしゃいましてもがまんができないわけであります。おそらく綱島委員長は後刻これについての御発言があろうかと思っております。先般視察団長として現地を見られた際に、確固たる不動のお話もありました。地元民はそれに非常に力を得まして期待をいたしておるのであります。今もお話があったように、李ラインに対する見舞金、小笠原島民の帰還できない者に対する見舞金、そういった例もあるのであります。やろうと思えばなお五十九億でございますか、予備金もあるはずであります。簡単に現在の法制下でできないことは十分承知しておりますけれども、それかといって総合的な施策においてがまんを願いたいということでは、とても承知できるものではございません。先刻も申し上げましたように、あなたの方の指導で入植されており、またその指導によって本格的な水稲の栽培も行われておる。ただ共済制度に年限の関係から入れなかったという、その欠陥の結果によるこの不幸の状態に対しては、やはりほかの方法をもってやらねばならぬことは申すまでもございません。もうそのほかにあんたの方では、農地局長はいいお考えはございませんか。大臣なんかのお話はどうでございますか。
  64. 安田善一郎

    ○安田説明員 開拓地、入植地については総合的に農地局が責任も負い、また援助もし、足らざる能力でも職務上いろいろなことをしなければならぬと思っておりますが、何と申しましても災害対策であり、特にそのうちの一応農業保険と普通いわれる農業災害補償法であって、それにかわるべきものとしてこの問題は考えていいと思いますので、あるいは従来備荒貯蓄がありましたり、共済制度に任意加入がありましたり、家屋の任意共済等の問題もありますが、やはり経済局の方の所管に一応なっておりますので、私も従来全く関係していないこともなかったわけでありますので、一心同体となって研究しておりますが、両局を通じまして根本的には御要望に応じた措置を、その問題の個別的な措置としての対策を講ずる名案が浮ばないのであります。総体としてはそれを償うべく他で努力しよう、こういうように思っております。
  65. 井手以誠

    井手委員 今承わりますと、経済局に関しておるからというのは少し逃げ口上になってきましたが、それは経済局の関係ですか。
  66. 安田善一郎

    ○安田説明員 個別の作物災害の補償問題は、農業保険法の運営ばかりでなしに経済局だと思っておるのであります。
  67. 井手以誠

    井手委員 まあ所管のことになりますが、何と言っても基本はあなたの方だろうと思うのです。入植者を救っていく入植対策というものは、やはり農地局の主管であろうと思います。やはりあなたの方が推進力でなくちゃならぬと存じております。経済局長の意見を聞いてもいいのですが、やはりこれはあなたの方の考えが固まらなくちゃ経済局も話にならぬだろうと思います。どうなんですか。
  68. 安田善一郎

    ○安田説明員 総体の対策を講じて、開拓地及び干拓地の入植地の被害農家が他の農家に比して少くとも今回講ずべき対策の上において同等または薄く講ぜられるならば、私は明確に例を申しますと、農業共済制度に入った場合の普通の農家に支払われるべき共済金の半分でもいいから、ほんとうは基準反収的なものに照応しただけの比率がいいと思いますが、そういうものを臨時見舞金的なものとしての一種の所得保障金を出すのも手かと思います。そういう意見も持たないわけではありませんが、これはやはり第一には、差をつけて総体的な施策としてまあまあがまんしていただければ講じ得るのじゃないだろうか。他の方は将来の制度改正を待って行うべきものではないだろうか、こういうふうに思っておるわけであります。
  69. 井手以誠

    井手委員 入植者が一般農家よりも手厚い保護を受けておることは、私は入植者がその特殊な立場にあるから特別の措置を講じてあると思っております。それだから共済金の保険金についてはがまんを願いたいということでは、これはいささか酷ではないかと思うのです。もしあなたの方でほかの総合施策を実行する場合に見舞金に相当するものを含むという含みがありますならば、私は場合によっては引き下ってもよろしい。
  70. 安田善一郎

    ○安田説明員 この問題はよくよく考えてみますと、被災農家のうち農業保険に入っておる者、入っていない者の問題もありますし、実際現地について営農それ自身を考えますと、農業保険の対象の作物にしておるかどうかということもあると思うのです。米麦、養蚕等の——家畜を除いては、菜種、果樹、蔬菜その他いろいろあると思いますので、実は開拓地及び干拓地、こういう場合の被害とその他という問題もありますし、強制加入制度になっておるものと任意加入制度のものとあります。任意加入を行わない者と、任意加入制度になっておる者との作物の任意共済と非任意共済との問題もあると思うのです。そこで御指摘のような今回のいわば臨時応急対策、その災害に対するだけの一回限りの対策としては開拓地、干拓地の本来の営農状況、生産諸条件において差がある場合のみならず、被害そのものに対しても総体的に差をつけますれば、ただいま申しましたように、強制加入の保険に入っておる作物とその他の作物、任意共済に入っておるものとしからざる作物との間のことも考えますと、私のような結論にどうしてもならざるを得ないと思います。ただその際に私のような考えを持ちますと、実はその反面に非常に大きな責務が出てくるわけであります。どういうことかと申しますと、従来やって参りました開拓政策上それでよかったかどうか。今回の災害対策を別にしても、従来の災害が連続して参りました集積としての開拓農家の経済状況、営農状況あるいは将来開拓農家が処すべき天災あるいは天災を除きましても営農状況をどうするかというその問題を解決しないと、私のような意見にはならないと思います。これにつきましては、ぼつぼつと大蔵省にも説得的にかつ協力的に強力に総合的ないわば抜本的な開拓政策上の措置を、予算を通じ、あるいは法案を通じて、来年度は講ずるよう努力をいたしておりますし、今後もしたいと思っております。今回の九号、十二号、十五号の対策あるいは北海道の開拓地の冷害、こういうこともその対策ばかりでなしに一つ指導、御協力をお願いしたい、こういうふうに思っております。
  71. 井手以誠

    井手委員 あなたは現地を御承知ないから、そういうお言葉も出るかと思いますが、私が特に取り上げておりますのは、一般的に波及するおそれのない地区、すなわち例をあげますならば、例というか、ほとんどそれでございますが、佐賀県の大福搦であります。しかもあなたが今お認めになったように、やはり欠陥がある。相当の反収も見込まれるというものは早期に組合に加入できるようにしたいというお言葉があったように、その大福搦においては大体九俵ぐらいできる見込みでありまして、その見込みのもとに予約もいたしておるのであります。予約金も相当とっております。その地帯に、あなたも認められるように、入れねばならなかったものが、法の欠陥から入れられずにおった、そのものが不幸にしてこういう災害を受けたというものについては、私は例外的な措置は認められると思う。その金額が何千万円、何億円に上るならば簡単な問題ではないでしょう。けれども、私は概算いたしまして、何分の一というわけには参りませんけれども、総額三百万か幾らかあったら済むことだと思う。何千万円という金じゃございません。二、三百万の金があれば、被害者の要望には達しないかもしれませんけれども、大体私はいくのじゃないかと思う。なるほど法的にはむずかしい問題もありますけれども、出そうと思えば、私はそのくらいの金が出せないはずはないと思う。方法もあると思う。あなたはほかの方に波及するおそれがあるというふうにお考えになっておるかもしれませんけれども、波及するおそれはありません。けれども、特異な例でございます。将来もこういうことが起るかもしれませんけれども、すでに一般農家同様に扱っている干拓地では起らないはずであります。特殊な例でありますし、将来起りましても特定の地区だけであります。かつて児島湾の問題があったと私は聞いておりますから、これは二回目ぐらいでございましょう。そういうことを一つ考えになって、もう一ぺん慎重に御検討を願いたいと思います。委員長からも御発言があるようですから、私は一応この程度にとどめておきますが、総合的施策で一般農家よりもいい待遇をしておるから、その差額によって何とかこの際はということでは済まされない問題でございますから、一つ御検討願いたいと思います。
  72. 綱島正興

    綱島委員長 委員長からちょっと発言をいたします。この大福搦の問題は、共済法の一つの欠点で、開拓地や干拓地に予定されたる、大体何年後には普通の農家になるだろうという予定よりもすみやかに普通の農家になる。そうしてしかも隣も同じような耕作状態であるのに、隣はちゃんと保険金がある。ここは全く米作の単作である。何にもない。こういう問題が事実ある。これは近代政治の根本的の問題です。自由を主としなければならないという考えのものと、平等を主としなければならないという考えのものと二つありますが、しかし何ら自由を阻却しないような事情の事柄については、平等の法則を確立すべきことは論を待たない。これは現代政治の基本的な考え方です。そこで同一条件で隣のものは保険金をもらう、こちらはもらえないというのは、国家の施設が事実に妥当しなかった、少くとも国家の法律が事実に妥当しなかった、大きくいって政治が事実を阻却しておったということになるわけです。これはやはり国家に責任があると私は思います。それを償うためには、これは財政が基本的にひっくり返るというほどのものなら、そこもまた多少の考慮もしなければならぬでしょうが、これは国家の財政から見れば毛にも及ばぬことです。私は明らかな不公平の事実を目の前にさらすことは現代政治の責任としてできないことだと思う。これは前例もございます。たとえば見舞金のごとき、こういう点で解決をしてもらわなければ、現に目の前に明らかな不公平が起ることを看過することは、政治家としても政府としても絶対にできない問題だと私どもは思います。この点でもし当局が難儀をされるなら、私どももこれに当るだけの努力を別にしようと思う。農林省がこれについての責任を果し得るか得ぬかということは、農地局長も経済局長も行政を通じての政治的責任を果し得るか得ぬかというほどの重大な問題だと思うのです。何となれば条件が平等であって起った結果が平等である、そうしてそれに対する国家の施設が不平等であるということは、もし法律が予定した事実が事実に妥当しなかったならば、他の方法で解決すべきものだ、総合的のことでというのではどうしても人民が平等に物を取り扱ってもらったという考え方にならないから、収穫を失った者に対する処置をしてもらわなければ、人民には総合的にこういうことをやっておりますから、結果的には総合的に平等になっておりますといったところで、そんなことは人民にはわからぬので、そういうことがいわゆるアリの穴から堤防がくずれる、国家組織がこわれる原因にならぬとは言えない、こういうことは、身を国政に任じておる者はぜひともこれは大切なことで、行政官もあなた方のような有能な行政官は非常に心していただかなければならぬことだと思う。私は実は陳情があった時分に、政治的責任で私が引き受けるといった、これはもしあなた方がせぬなら、党の問題にしても、いずれの問題にしてもしなければならぬが、これだけのことは見舞金としてやれば何でもない。行ってごらんなさい、それは何にもない。連中が言うことは、働いて日傭を取ればいいと言ったところで、今流されて土地がなくなっておる、農地を作り直す仕事が別にある、その余暇がございませんと言う。肥料を含んだ耕土がみな流されておる、これを国家が救ってそれを全部もと通りにしてやるかというと、それもできない。だからこれは端的に隣もそうだし、こっちもそうだが、隣はたまたま共済法の適用を受けられた、こっちは受けられなかったというだけの欠点で、法律一点ばりでいったって、法律が予定する災害についての十分たる思慮が足りなかったという事実なんだから、これについては政治的に解決するよりほかに方法はないのです。そこでこれは農地局長も経済局長協議されて、ぜひこのことの解決については端的な政策で解決していただきたい、こう思うのです。これに努力をして突っかい棒をすること、あるいはあなた方ができぬと見込みをつければ、私どもは別に立法措置なり何なりいたします。わずか三、四百万円のもので立法措置まですることはどうか、前例の見舞金という問題があって、類似形態はないことはないのだから、これは特に委員長から両局長にお願いをしておきます。
  73. 赤路友藏

    赤路委員 今委員長からるるお話がありましたが、当局では無理だ、従って今までこの災害委員会は政府側の方も非常に忙しかろうと思うので政務次官を呼び出していなかったけれども、この問題は政治的な問題です。この際せめて政務次官にはっきりそれらの点に対して腹を聞かせていただきたい。
  74. 井手以誠

    井手委員 見舞金の問題については政治的な問題でございますので、後日大臣あるいは政務次官においでを願ってさらに御相談をいたしたいと存じます。一続いてお尋ねをいたしますが、この台風被害によって海水が流入いたしまして、佐賀県だけでも約七百町歩ばかりの水田に塩が入っておるのであります。特にひどいのは、御承知でもありましょうが、決壊品からなお今日でもどんどんと海水が入っております。水田は海面下に浸って参おります。そういうところの塩抜き工事、これが今後の生産確保のためにきわめて重要でございますが、その塩抜きについてどのようにお考えになって百おりますか。従来の例によると、石灰だけあるいは排水路を設ける、それをやるには電力を利用するというようなことで、従来の例では大体それがうまくいっておるようであります。これに対して当局ではどのようにお考えになっておりますか。これもまた被害者の切実な要望であります。第二線堤防以内でも塩が相当入っておりますし、第一線堤防以内では先ほど申し上げましたように、今日でも海水にひたっております。潮どめ工事も本年一ぱいには終るでありましょう。そういたしますと直ちに塩抜き工事に着手しなければならぬのであります。もし当局の施策がないならば、被害者の資金でこれをやるということはとうてい困難であります。端的に衣食住に困っておる被害者が、塩抜き工事の資金を作ることは困難であります。どうしてもこれに対する補助を願わなくてはならぬと存じておりますが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  75. 安田善一郎

    ○安田説明員 この問題につきましては、佐賀県庁からの御要望も聞きまして、またがっての対策として補助事業として行いました塩抜き作業補助金の実施状況等も勘案いたしまして、よその県の要望はどうだということも研究をいたしておるのでありますが、佐賀県には当初要求がありましたが、その後この塩抜き事業補助事業としてあるいは井戸を掘るポンプを使用し石灰を使うということについては、もう少し慎重に検討してもいいというのは実ははっきりしたことで、ここで申し上げていいかどうかわかりませんが、率直に申し上げますと、そういうお話し合いをいたしました。他の県からはそれほどの御要望もありません。一方かつてやりました補助金に計上したのが使用できなかった、全くではありませんがほとんど使用ができなかったのであります。そこで農地局の技術者と改良局の技術者にさらによく検討をしてもらいました結果、やはりその後の雨量の点とか潮どめ後の排水その他の工事、水の流入、排水でありますが、それで特に水稲を植えつけるような場合には大体これで済んでしまうので、将来のことも考えて、しいて措置をとらないことが多いのだ。これはしかし全額補助で将来あまり使うこともないむだな施設でも、今回は急いでやる必要があるという意味ではそういうことも考えられますというようなことであります。そこで地区を具体的にきめてどうしてもここではやりたい、こういう話があれば個別解決を何とかするような考えのもとに、一般的な施策としては、たとえばこの小委員会でお扱いの対策要綱のような一項目として申し入れることは様子を見たらいいじゃないか、こういうふうに思っておるのであります。
  76. 井手以誠

    井手委員 しばらく待ってくれとか様子を見てということはどういう意味でありましょうか。その後の天水の関係で技術的にどの地区でどのくらいな面積だということを確認する必要があるのかあるいは潮どめ工事の完成とにらみ合せなければならぬという意味ですか、なるほどところによっては若干塩抜き工事を必要としない場所も出てくるかもしれませんけれども、あの状態を見まするとその面積はきわめて少いのであります。長い間海水に浸っておる地区においては、塩抜き工事の必要であることは申し上げるまでもありません。基本的にどういうふうなお考えか、必要な地区に対してはどういう施策を講ぜられるのか、その点をはっきりお願いしたいと思います。
  77. 安田善一郎

    ○安田説明員 技術者の意見では必要ないだろうということだった、簡単に割り切りますと、私は佐賀県からの意見をいただいたけれども、少し乱暴で語弊がありますから、言葉じりをとらえられずに聞いていただきたいのですが、どこどこはどうしても要るんだこういう話ではございませんでした。二十八、九年の対策を講じたときにやったので、やった方がいいことじゃないかということで一応要望しておる、こういうことであります。それで過去の実績を見ますと、補助金の使用状況が悪い、そうでなくても天水排水工事をもちまして水稲の次期作付に支障がなかった。そこでどこどこ地区にはどうしてもその施設を講じたいというようなお話があれば、私の考えでは災害関連工事で数カ所のことならかまわんじゃないか、こう思っておるのであります。その予算の計上方法とその項目の使途が別ではいけないということになりますれば、それは別途片づけ得ることじゃないかと実は思っておるのであります。
  78. 井手以誠

    井手委員 最後のお答えきわめて重要な点であると思いますが、わずかなことであるならば災害関連工事でもできる、またわずかなことであればほかの方法でも何とかできるだろう、こういうふうなお言葉のようでございます。前段の技術者の意見によれば、現在のところあまり必要でないというお話、これは私はどうも納得しかねるお言葉だと思う。私ども現地に参りましたし、技術者からもずいぶん聞いたんですが、どうしても必要だという結論でございます。どの技術者がそんなことをおっしゃったか存じませんが、過去の二十八年災害に対する塩抜き工事においても、かなりの成績を収めたと私は聞いておるのであります。第九号台風からいいますならば、もうすでに一カ月半も経過しておる、ずっと海水に浸っておる水田に、塩抜き工事が必要でないとは絶対に考えられません。もしこのまま放置いたしますならば、何年でも水稲の植付はできないかもしれません。一つ災害関連工事でもやろうというお考えであれば私は多くは申し上げませんけれども、その必要性があることだけは一つ御認識を願いたいと思います。もし今までの御検討で一部の技術者から必要でなかったということでありますならば、もっと大くのあるいは地元関係者の意見を十分聞いていただきたいと思います。私ども調査団の聞いたところでは、みんなが必要である、技術者も必要であるという一致した結論でございましたので、この点を申し上げまして、ぜひ塩抜き工事についても対策を講じていただきますようにお願いしたいと思います。
  79. 安田善一郎

    ○安田説明員 海水が侵入して相当な塩分がある場合に塩抜き工事が要ることは事実である。また塩抜き作業をした方がいいことももちろん事実でありますが、九州地帯の干拓地のような場合に、土壌その他から見たならば次の作付時期までに——水稲のような場合には彼此勘案して技術者が考えても、この前講じたような対策補助事業としては必要ではないと思いますという意見である。そういう意味で私は一応そういうことにして他の事業としてでもぜひやりたいというところは、佐賀県庁から具体的に申し出があればできるんじゃないかそういうことで申し上げたのでございます。  それから委員長のお許しを得ましてあわせましてお答えしておきたいと思います。同僚の友人が外国で不慮の死を遂げられました。実はその関係でおくれて参りまして恐縮でございますが、水防法に関しまする井出先生の建設省への御質問に関連しまして石坂先生から、農林省所管の海岸堤防とか、干拓堤防とか、農業用、水利用の水害予防等について手落ちはないか、補助は足りなくはないかということが農林省にも御質問があったようでございます。従前水利組合法がありました際には、水利組合というのは、その後私どもが土地改良法の制定をお願いしましたときに土地改良法に移しましたもの、それが従来の水利組合で、普通水利組合といったと思いますが、もう一つ水害予防組合というのと、その二つを水利組合といい、水利組合法といっておったと私は記憶いたしております。たまたま農林省においては治水ということ以上に重きを利水に置きまして、施策をしてきましたこともあり、水害予防組合に担当せしむべき仕事及びこれに対する県知事の管理及び国の援助、こういうことにつきましての分界をばらばらにするのは必ずしも適当でないという考えもありまして、水利組合——旧普通水利組合に当りますところを土地改良法の中に入れまして、土地改良区としておることになった沿革がございます。この団体が土地改良区になっておるわけだと思います。従いまして、現在は建設大臣の主管のもとに県知事及び消防、警察関係の方が地方の所管者となりましてその末端は、建設省所管の海岸線であろうと、農林省所管の海岸線であろうと、また河川法の適用河川、準用河川のみならず、その他の場合でも、海水、河川の水等、すべてこれつながっておるものでございますので、一体となってその系統でお仕事をしてもらうようになっておりまして、農林省においては従前から水防につきまして補助を計上しましたり法の運用をしたことはございません。現在もそうであります。しかしながら海岸堤防等におきましては、農林省所管のものも工事中は農林省の所管でありますが、完成いたしますと知事の管理にまかせるわけで、結局知事のところへ行くわけであります。現実の水害予防は水害予防組合のみならず市町村、市町村の組合これが水防管理団体にあの法律はなっておりまして、私どもに主として関係あるところは、当然に市町村または市町村の組合についてよくわれわれの気持も反映せしめますというと、あわせまして農民がほとんど全部参加いたします水害予防組合でありますので、こういう応急的な洪水の場合、あるいは暴風雨、津波等の場合においては、所管別の争いを起して系統が乱れないように、首尾一貫、短時間に応急処理を現場に即してできるようにすることがいいのではないかという見解が目下私どもの見解であります。しかし従来建設省が講じておりました程度の補助でいいかとか、とかく農地や農林関係の干拓地の堤防水害予防等は万全であったかということについては、利水に重きを置いてきたことがあって、あるいは災害が起きた以後の災害復旧に重きを置いてきた点については、従来の農林省の態度は十分でなかったとも考えるのであります。従いまして今後建設省等とよく連絡をいたしまして、特に県あるいは水防組合につきまして関心を払いまして、被害を受けた後これを復旧するということもさりながら、その前の予防について、農業の関係からの意見は十分反映してもらうようにしたいと思っている次第であります。
  80. 綱島正興

    綱島委員長 午前中はこの程度にして暫時休憩いたします。午後は二時半より時間厳守で開始いたします。    午後一時八分休憩      ————◇—————    午後二時五十一分開議
  81. 綱島正興

    綱島委員長 午前に引き続き会議を開きます。  農林水産十二号台風その後の被害等について調査を進めます。質問の通告がありますからこれを許します。足鹿委員
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 まだ政府側もおそろいになっておらぬようでありますから、とりあえず養蚕問題について蚕糸局にお尋ねをいたしたいのであります。私はこの間第三班で山陰地方災害事情調査いたしたのでありますが、一番目立った被害は鳥取、島根、山口三県とも桑の潮風による被害が一番ひどいのでありまして、これは当局もすでに現地に係官を派していろいろとお調べになり、また明石の蚕業試験場方面でも技術的対策を検討中だと、この前おっしゃったわけでありますが、現地のいろいろな実情を見るにつけまして、とりあえず樹勢の回復措置を各地方庁が協力して自発的にやっておるようであります。これに対して関東その他の凍霜害に準ずる対策を必要とするわけでありますが、凍霜害は春だし、このたびの被害は秋でありまして、いたずらに硫安のような速効性肥料をやることはかえって有害の場合があるというので、蚕業試験場でも研究しておられたようでありますが、私はたまたま調査を終って上京し、また先月三十日から三日ばかり帰りまして現地をざっと見てきました。ところがちょうど春の五月のような状態になってしまっておるのです。新芽がまつ青に出てしまって、一望新緑の桑畑になっております。これではどうも来年が非常に案じられる。現地の声を聞きますと、これは果樹園も同様でありますが、果樹園の花の咲いたの、ナシ畑の花の咲いたの、新芽が続々と出たの、同様な傾向でありますが、やはり果樹はこの際カリを硫安とあわせてやることが必要ではないか。それをやる時期等の技術的なことは私どもはわかりませんが、やはりやらなければならぬ。ところが今までのカリ肥料の輸入ワクでは事が足りないということが問題になっているようでございます。それで、これは専門的なことになりますが、蚕業試験場の方の見解も肥料の種類、やる時期、方法等は今後指導を受けることとしまして、とりあえず農作物被害に対する善後措置として先般とられたような、農薬、肥料等の購入費の補助に対する予算措置を講じてもらわなければならぬと思うのです。これは午前中、中村委員からもお尋ねになったと思いますが、どういうふうに対策をお講じになるおつもりでありますか。あなた方が現地をごらんになり、私どもがそのあとで現地を見、そして今度私が見た感じからいいまして、このまま放ってはおけぬように思うのです。これはこのたびの災害が少々局部的、部分的で行政措置を講ぜられるにも若干困難な模様はよくわかりますが、何とかこれは措置を願わないと非常に困ったことになり、来春はさらに大きな減収が伴ってくるじゃないかと思うのです。恒久対策としてはいろいろあるわけですが、応急措置を一体どうされるおつもりか。やるようでもありやらぬようでもありということでなしに、この際はっきりしていただきたいと思うのです。
  83. 小林明隆

    小林説明員 ただいま御指摘になりましたことと寸分違わない考え方を持っております。つきましては、午前中局長から答弁申し上げましたように、さしあたり芽枯れ病の防除といたしまして農薬の措置をいたしたい。それから肥料の問題につきましては今御指摘になりましたように考えておりまして、凍霜害対策に対しましては速効性肥料としての窒素系統のものを一部助成いたしたのでありますが、今回の場合は明年の備えが大切でございますので、明年早春に施します元肥に対しまして、一部被害のはなはだしいものには助成措置を考えていきたい、こんなふうに考えまして、事務当局としては目下作業を進めつつある段階でございます。農薬は前例によりまして一番おそれますのは、胴枯れ病、芽枯れ病の関係で明春の発芽が非常に心配されますので、それに対する前例もありますことですから、助成を考えて参りたい。それからお話のように、どうにもならぬ程度に被害を受けまして、明春の収穫がほとんど期待できないというようなものに対しましては、窒素肥料だけでなく、燐酸カリも適量にあんばいいたしました対策考えて参りたい、かように考えております。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 昨日いただきました台風第十二号による農作物被害概況というものによりますと、桑の被害面積が五千四百五十四町歩で、被害量は四万三千五百八十貫となっておるようであります。第九号のときの資料をちょっと持っておりませんが、九号のときと合せて大体どの程度になっており、予算措置としてはどの程度のことを実行しようとしておられますか。端的に要領よく具体的にお答え願いたいと思います。この数字からいきますと、中村君からも意見があったと思うのですが、島根県の被害統計を見ますと、島根県だけでちょっと六万貫余り、鳥取県の分はまだ資料が整備しておりませんが、とにかく両方合せてすでに十万貫をこえておると私は思うのです。ところが、いただいた農林省の統計によるというと、わずかに十二号分によって四万三千五百八十貫の減収で、五千四百五十四町歩ということになっております。また九州各県からきた陳情要請によりましても、各府県ともこの桑園の被害を通じてこれに対する緊急措置を、今私が述べたような点を一斉に要請しておられます。これを見ても農林省の統計があまりに軽少過ぎはしないか。これは凍霜害のときあたりは、出た芽がまつ黒になるというようなので、見た目が非常に強く受けますが、今度の分はちょっと注意して見ないと、この桑畑はなかなかいい桑畑だなくらいで済んでしまう。しかしよく見ますと、二段、三段と新梢が伸びてしまって、全くまっ青な姿となっておる。これは申し上げるまでもなく蚕業課長御存じですが、統計との差があまりにもひど過ぎるのじゃないか、対策の根拠となる被害面積また被害収量それを根拠としてどの程度の予算措置を講じられんとしておられますか。大蔵省もお見えになっておるようですが、一つ答弁を願いたいと思います。
  85. 小林明隆

    小林説明員 九号、十二号、七月の水害を重ねまして、被害の現在見積っておりますのは、繭に換算いたしまして約二十万貫ほどとなっております。被害面積は一万七千余町歩でございます。そのうち被害の三割以上のものが約二千八百余町歩になっております。先ほどお答え申し、また午前中局長からお答え申し上げました線から申しますと、明春の収穫が非常に激減を予想せられるものに対する樹勢回復の肥料、それからその他の芽枯れ病、胴枯れ病をおもなる対象といたしました消毒用の農薬、これは大ざっぱに見積りまして、六百万円弱くらいなもので援助すれば足りるのじゃないか、こういうように考えております。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 肥料の方は……。
  87. 小林明隆

    小林説明員 加えましてです。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、三〇%以上の二千八百余町歩は該当するものとして取り扱われるわけですね。
  89. 小林明隆

    小林説明員 それを積算の基礎にいたしましてやっております。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、補助対象になるのは何%以上の被害を受けたものになるわけですか。具体的にはどういうことになりますか。
  91. 小林明隆

    小林説明員 ただいま申し上げましたのは、三割以上の被害二千八百町歩強と申しましたが、これは全国の各県全部が合わさっておりますので、このうちで対策対象として考えます県は、大体におきまして前例によって収穫皆無換算面積百町歩以上の県を拾って参りたい。そういたしますと、今手元に確実な数字を持っておりませんが、おおよそ県の数で十県ばかりでございまして、二千六、七百町歩ではないか、さように考えております。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、今の収穫皆無換算面積が百町歩以上になった県が大体十県程度ということですが、その収穫皆無になったものにのみ肥料と農薬の補助をするという意味ですか。その基準はなんですか。
  93. 小林明隆

    小林説明員 手当をいたします対象は、収穫皆無換算面積百町歩以上になった被害県を対象として考えます。これが約十県と考えます。  それからかりに農薬の助成をするといたしまして、その対象は、従来の慣例から申しましても三割以上の被害反別が対象になるわけでございます。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 六百万円というのは、金額にしてはわずかですが、農薬と肥料との配分はどういうことになるのですか。反当りどの程度になるのですか。
  95. 小林明隆

    小林説明員 御承知通りども事務屋でございますので、事務的に試算を進めておる段階でございますから、その点はさように御了解願いたいのでありますが、その対象反別のうち被害が特にはなはだしくて、消毒いたしましても来春の収穫があまり期待できない、こういうものは、消毒をやりましても農薬がもったいないわけでありますから、それに対しては基肥でいきたい、しからざるものに対しては農薬でいきたい、かように考えまして、一わたりやりますと農薬を二分の一補助いたし、肥料は前回の例によって三分の一程度、こういうふうに考えますと、おおよそ反当の助成金は同じことこなりまして約二百一、二十円の間に落ちつくのではないか、かように存じます。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 大体わかりましたが、これは関東凍霜害の場合と比べてどういうことになりますか。
  97. 小林明隆

    小林説明員 肥料の助成の単価は、おおむね同じだと思います。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 大体了承いたしました。問題は、掃き立て不能卵量に対する助成問題が一つ残っておりますし、それからすでに蚕種を予約しておって、それが掃き立て不可能になった場合、農業蚕繭共済の対象になるかならぬか、この間須賀局長に私お尋ねをしたところが、まだそこのところは検討中だということでしたが、その後御検討になりましたか。
  99. 小林明隆

    小林説明員 保険課の方からお答えするのが順序かと存じますが、御案内の通り、共済組合がつないでおるかおらないかが別れ目だと思います。従って桑の収穫予想を立てまして、蚕種を注文し、村の共済組合にしかるべき手続を経ておれば当然対象になって参ります。
  100. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。それではついでにただいまの桑の樹勢回復の問題に関連して特産課長にお尋ねいたしますが、鳥取県の場合は果樹が非常にやられておるのです。それで栽培業者の熱心な対策によって、二十世紀等は台風の予告前に総動員して青もぎをして比較的思ったほど被害が軽かったのは、そういう事前対策がよく行われたことによると思うのです。ただし晩生はやられております。青もぎができない事情にあったものは全部やられております。それでこの間も経済局の森参事官であったと思いますが、私が申し上げたときに、樹勢回復に対する肥料のやり方にしてみても、ナシが開花したところがある、桑と同様にいろいろやりたい、果樹業者は養蚕業者よりも実力が比較的ありますからやりたいと思うけれども、カリが手に入らぬ、この輸入ワクを何とか早く広げてもらって配給を受ければ、喜んで自分たちは自費でもやると言っております。この間からも私は言っておりますが、この手配をどういうふうになすっておりますか、一つ速急に手を打っていただきたいと思いますが、いかがでしようか。
  101. 西村周一

    ○西村説明員 お説の通り果樹の被害は非常にひどいものでございましてことにナシなどは不時開花をしたという話も私どもへすでに到達しております。それでそういうものは来年の花がすでになくなっているわけでございます。御承知のように果樹というのは、六月、七月ごろに来年咲く花のもとができるのでございましてそれが秋になって芽を吹いた場合には、その花が咲いてしまって、来年の花というものは非常に少くなるのであります。そういう果樹に対してどういう対策の手を打つべきかということにつきましては、私どもの方でもはっきりした対策がございませんので、目下試験研究機関と連絡いたしまして、どういう処置が一番適切であるかということについて協議中でございます。ただわれわれの方で現在考えておりますのは、ただいま御指摘の通りに、燐酸とカリをやらなくちゃならない、そういう関係ではっきり数字がわかりました節には直ちにカリの手配をいたしたいと思っております。
  102. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひ一つ、それは研究を早くされて、対策をしていただきたいと思います。  それからこの間も森参事官は善処するということを言っておられたんですが、今後の日本の果樹園の指導について、現在大きくなった果樹園は、今から防風林といってもちょっと無理でございますが、これからやるものにつきまして、コウヤマキであるとか、その他適当な防風に役に立つような樹木を周囲に植えしめる、これはわずかな経費でもってやれるのです。これに対して現地側の要望は、農業改良基金の対象に防風林設置の種苗購入とか、あるいはそれに要する諸般の経費を農業改良基金のワクに入れてもらってやりたい、こういうことを言っておるのですが、御研究になりましたでしょうか。
  103. 西村周一

    ○西村説明員 その点につきましては研究しておりまして、できるならば来年度の基金からそういうものを入れたいと思っております。
  104. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひ一つ御善処願いたいと思います。それから先ほど申し落しましたが、蚕業課長にもう一度お答え願いたいのですが、今後の恒久対策についてです。これは台風に限らず、凍霜害についても同様でありますが、稚蚕の共同飼育の問題です。昭和二十九年から稚蚕の共同飼育の問題については三カ年計画補助事業としてやられて、本年度で一応終ることになっておるように聞いておるのです。来年度からは農業改良基金に肩がわりをされるというふうに私ども聞いておるのですが、そういうことではなしに、こういう不時の災害等に備えてやっていけるのは、やはり稚蚕共同飼育を徹底的にやっていくということが、凍霜害に限らず、台風に限らず、すべての災害に対して一番抵抗力を養っていくことであり、また産業の生産費コストを下げ、安全策の上からいっても非常にいいことだと思うのです。それを今年で打ち切られて農業改良基金に持っていくということは現地側も非常に不満を訴えております。その点について何か再検討をされる御用意がないものでしょうか、この際ちょっと承わっておきたいと思います。
  105. 小林明隆

    小林説明員 御指摘のように三カ年間助成して参りましたのはモデル・ケースとしてやって参りまして、明年以降は改良基金でお話通り処置する、こういうことになっておりまして、融資ワクに大した窮屈さもないと考えておりますので、従来の程度の助成よりは——今後考えております融資と設置者側の打算からいえばあまり差がないのじゃないかと思います。こういうふうに考えておりますので、お話ではございますが、今のところやりかえというような考え方は持っておりません。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると要するに補助も基金によってやるのも別に変りはないというわけですか。そんなはずはないと思います。
  107. 小林明隆

    小林説明員 従来の補助率もごくわずかでございまして、資材費を対象としてやっておりましたので、ごくわずかの助成になっております。今度の農業改良基金の方で参りますと、融資額が相当上っておりまして、利子等の関係であまりそう差はないのじゃないか
  108. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと従来の稚蚕共同飼育に対するあなた方の対策が微温的であり、不徹底だということだと思うのです。私の言いたいのはやはり災害に対する安全策をやるという点からいって、稚蚕共同飼育が私は一番適切で、また農家も実行可能だと思うのです。これを改良基金にまかせてしまうことも必要であるが、もう一歩踏み込んで、この際再検討されて、現在蚕糸業は非常な不振状態にあるようですが、全体的な蚕糸政策の振興がいろいろな角度から検討されておる際でもありますので、もう少し一歩を踏み込んで、今までの不徹底なのをもっと大規模に、そしてほんとうに養蚕の技術の大きな変革が来るところまで持っていくというふうな対策を講じられる必要が私はあると思うのです。ですけれども今改良基金に振りかえても大した差はないというふうにあっさりしておられますが、私から言わせれば今までがそれは足らないので、その点どうでしょう、もう少しおやりになる気はこの際ないですか。
  109. 小林明隆

    小林説明員 御意見まことにその通りだと思いますが、地元でさような強い要望のあります面につきましては新農村建設の、そうした対象にも相なっておりますので、その関係と融資関係とを総合して参りますと、十分とは言いませんけれども、大体目的を達し得るのではないか、こういうふうに考えております。
  110. 足鹿覺

    足鹿委員 肥料課長がおいでになったそうですから伺いますが、カリの現在の輸入ワクなり輸入の実情はどういうふうになっておりますか。
  111. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 カリの最近の年間消費の実績は、だんだん伸びておりまして、最近では大体K2O五〇%に換算いたしまして八十万トン前後の消費水準になっておるわけでございますが、それに対して過去一年間の輸入の総量は大体八十五万トン程度輸入をいたしております。それで今肥料年度の消費の見込みは大体相当の消費増を見込ん  で、百万トン程度というふうに考えておりますが、三—九の予算で二十六万トンの買付を予定いたしておりますけれども、この九月、三月の九—三予算ではさらにランニングストックの増等を考えまして、予算の上では三十五万トン、ただいま申し上げました初めの二十六万トンといいますのは、K2Oの一〇〇%を申しておりますから、先ほど申し上げまして需要量のK2O五〇%に換算いたしますと、五十二万トンのものをすでに輸入の手当は済んでおりまして、九月以降K2O三十五万トン、従ってK2O五〇%では七十万トン、K2O五〇%にいたしまして合計百二十万トン程度の買付はできる予算措置だけは講じているわけであります。多少予算総額としてはゆとりがあり過ぎる程度であると思っておりますが、これは実情に従って買付を進めて参りたいというふうに考えております。
  112. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほどあなたがおいでになるまでに特産課長に伺ったのですが、いろいろと対策を考究しておるということですが、今度の台風で桑なり果樹が相当やられておる。これに対して現地側の声は、春の凍霜害と違って硫安もさることながら、カリ、燐酸というようなものもやりたいという声が非常に強いのです。ところがワクがない。ワクさえもらえば無理をしてでもやりたいということを非常に熱心にいっておるのです。今のお話では、相当ゆとりがあって、ワクは広げられるということですが、そういう緊急事態が起きて、声が起きても、不自由をかけぬ自信がございますか。
  113. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 ただいま申し上げました通り、カリにつきましてはそういうふうに予算上の準備ができておりますし、また燐酸肥料につきましても、同様に十二分の燐鉱石輸入の予算ワクを持っておりますので、災害ための緊急の需要増に対しても、これは十分に善処できるだけの自信がございます。
  114. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。  それではこの融資問題について農林省に伺いますが、地域指定についての方針はどういうふうに御検討になりましたか。
  115. 渡部伍良

    ○渡部説明員 現在県の希望をとっております。まだ全部出そろっておりませんが、出そろい次第指定することにいたします。その内容は、旧町村別に被害の程度の多い中から市町村長が認定をしまして、これは被害程度が多いし、負担能力がないというふうな認定をしたものに融資することがいいんじゃないか。その結論はまだ出しておりませんが、大体そういうような意向であります。その理由は、従来の指定だけで出しました場合に、協同組合で、低利でありますから、ほかに運用して不当な利得を得たり、あるいは各個人が利ざやをかせぐ、こういうふうな例がありまして、いろいろ問題を起しておりますから、そういうことの起らぬようにしたい、こういうのでございます。
  116. 足鹿覺

    足鹿委員 旧町村ということですから、要するに旧町村のうちのある地帯ということですが、どうもその辺をよほどその実情に即したようにやってもらわないと、実際かゆいところに手が届かないようなことになる。それは凍霜害の場合や、また北海道あたりの冷害の場合と違って、たとえば海岸に面したところで、高潮のため相当被害を受けた。ところが海岸沿いの、あるいは川沿いのその地帯が、周辺がずっとやられているので、ちょっとかわれば全く被害が少いというところもある。そういうようなときに、旧村単位とした場合でも、全体としてはパーセンテージが少い。しかしその地域としては全滅だという場合に、どういうふうに線を引かれるものですか。
  117. 渡部伍良

    ○渡部説明員 これは個人ごとに区別をつけない限り、その問題は解決しないと思います。従って従来の町村の区域で、ほんの一部分とはいえども全滅になったというような場合は、法律を改正して個人にそういうものを低利で貸すということをしない限り、救えないと思います。
  118. 足鹿覺

    足鹿委員 それは救えないと思いますでは困る。どうなんですか。
  119. 渡部伍良

    ○渡部説明員 救えないのです。法律を改正しなければ、地域を指定するということになっておりますから、他の議論が少し極端な御説明になったかもしれませんが、地域でなしに個人に貸すということに法律を変えない限り、どうしても断層ができるわけです。
  120. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと委員長からお尋ねするが、部落は地域じゃないですか。
  121. 渡部伍良

    ○渡部説明員 部落は地域でありますから、そういうことも検討しております。
  122. 足鹿覺

    足鹿委員 そんなとんがらがった答弁をしないで、もう少しゆるやかな答弁をわれわれは期待しておったのです。今のは木で鼻をくくったような答弁です。旧村でいくということはよろしいと思う。それは間違いない。旧村でいった場合、全体としては被害を受けたところがかりに二〇%だった。ただしその他の中間のものが二〇%で、あと六〇%は無害だという場合には、全体としては無害の方が多い。しかし部分的には全滅しているのだ、そうした場合、ある旧村を地域指定した、そうなった場合は、その被害の多いところの人たち申請してくればそれでよろしいんじゃないですか。個人に別に法律を切りかえていかなくてもいけるでしょう。
  123. 渡部伍良

    ○渡部説明員 それなら町村指定でいいわけでありまして、しかしそれでは町村指定する意味がないわけです。だからむしろ個人に市町村長の認定なら認定で直接に貸すことができるということにした方が、単刀直入にいくから効果的なんです。そういうことを検討しているので、私どもの方も困った問題だと思っているのです。今の法律を直して、だれがひどい、それから悪用しないということを認定してくれるということさえきまれば、地域指定とか何とかいわずに、あなたが言われるように、ひどいものには貸してやった方がいいんじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。従って注意を喚起する意味において、ちょっとしゃくし定木の答弁になったきらいがあるかもしれません。
  124. 足鹿覺

    足鹿委員 法律を改正すべく検討というのですが、さっきは法律を改正しなければだめですと言い切っておられたから、こっちも少しそれじゃ満足いかぬというわけです。法律を改正すべく目下検討中ということなら、それならそれで了承もできますが……。
  125. 渡部伍良

    ○渡部説明員 まだ結論が出ていないわけです。今のように法律に地域指定をしなければいかぬということになつておりますから、それにこだわると、いろいろな手続とか、いろいろな問題になりまして、それを簡便にしても、私が今言ったように、足鹿委員のおっしゃられるように、台風の場合で町村指定あるいは部落指定しましても、ある部落では五十戸のうち四十戸が被害農家である場合は指定されることはよいが、隣の部落は五十戸のうち被災農家が一戸の場合も指定するかどうか。後者の場合をも救うということになれば、地域指定の意味がないわけです。その地域で指定しますと、どうしても地域の境目にあるものは救えない問題が出てくるわけです。ですから地域指定の意味がないわけです。だからそれは法律上、立法論としておもしろくないのですけれども今の法律では、どうしても地域指定しなければ三分五厘にできないようになっているわけです。だから委員長のおっしゃる、土地があるのであるから、どう引いても地域が指定できるではないかというので、その被害のある人のところを全部地域指定すれば、地域指定しないのと同じことになるわけであります。これはおわかりになると思います。とにかく行政区画でも部落でも区域があるのですから、その境目は必ず断層ができるわけです。それではその法律の意図するところと違うのではないか。従ってその点で今府県の意見も聞きまして、一番いい効果的にできる方法はどうかということを研究しているわけであります。法律の建前からいいますと、地域指定をやる限り問題は残るから、地域指定をせずに——県くらいは指定してもいいかもしれませんけれども、その中では一町村あるいは一部落の中のほんのわずかな。パーセンテージの人が甚大な被害をこうむっても、それは近隣と同じように救済できるようにしなければならぬということです。(「それならいいじゃないか」と呼ぶ者あり)今の法律ではちょっと手続上それはむずかしいのです。(「そうでもないよ」と呼ぶ者あり)いや、そうです。
  126. 足鹿覺

    足鹿委員 それはあなたがさっきの答弁で口をすべらされたが、今までもそういう事例があったでしょう。それは災害を受けぬ者やまた軽微な者が、たくらんで低利な融資を受ける、そしてそれをまた貸しをしてもうけたり、協同組合は不適正なことをやる、それをどう防ぐかということが地域指定の問題にからんでおるのですよ。だから要するに、査定の方針は個人本位に査定をしていく。地域の指定は旧村単位にしておいても、査定を厳重に行なって、無被害の者や、被害が軽微で融資を受ける必要のない者にまでいかないように、適正にいくように指導を行えば、旧村単位で指導しておいて、個人本位に査定を行なって、その被害実情に応じて天災法の融資対象がきめられていくというように、今度は新機軸を出したらどうですか。法律改正によらなくても、あなた方の指導方針によって可能だと思うのです。旧村単位にしておけば、大体よろしいと思うのです。
  127. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今の二つの問題があるわけです。前段申し述べられた、悪用するものを悪用しないようにしようという問題と、それから地域指定で、地域を指定したところに入ったものと、地域指定しない地帯に残されるもの、この二つの問題があるわけです。ですけれども、地域を指定するのも、いやしくも台風が起って、ある村に一戸でも二戸でも全滅をこうむった地域を全部指定せよ、(「そうじゃない」と呼ぶ者あり)いや、そうしなければ、断層ができてくるわけなんです。そうすると、地域指定という意味がなくなりますから、それよりもむしろ前段の悪用する、あるいは過去の組合に対する貯金とかなんとかいうのがある者は、まずそれを使ってもらいたい、余裕のある人はオミットして、ほんとうに窮乏のひどい人に三分五厘の金がいくように選定できれば、それが一番いいのではないかと思います。そういうことをやるには、今の法律はかえて、直接個人に——私の説明しているのは、今の地域指定でやりますと、市町村だけやる方がいいのではないかという考えがあるわけです。あなたがおっしゃるように、一戸でもあれば、その部分を指定したらいいじゃないかという議論になれば、またできないことはないが、それでは今までの地域指定の意味がないということなんです。
  128. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。今の局長答弁は、立法したわれわれの考えとだいぶ違うようです。ここにも持っておりますが、大体個人という場合には基準があるわけです。だれでも地域内の者に貸せるわけのものではないのです。ある程度以上の損失を受けなくては営農資金というものは貸せないはずなんです。だから指定を受けたからといって、地域内の者が全部借りられるものではございません。悪用されるということは、監督すればいいわけで、それは別個の問題だと思うのです。注意はしなければなりませんが、それは本筋ではございません。従ってある程度以上の被害を受けた者が借りられるわけであります。しかし激甚な者に地域を指定するということは、それは農作物ばかりではなくて、今度の、たとえば干拓地のようにいろいろな方面に、衣食住すべてにわたって甚大の被害を受けたという地帯には、いろいろ困る問題があり、六分五厘とかいう利子では気の毒だ、こういうことで被害甚大な地域を特に指定してその村には三分五厘で貸す、こういうことに法律の趣旨はなっておると思う。しかしその地域にあっても、一定基準以下の被害者であれば、いかに指定地域であっても、その農家は借りることはできない。だから法律によって初めから借りられる資格はきまっておる。しかしこの一般的な営農資金なり営業資金というものは、被害激甚な者に対しては気の毒である、救えないという意味から、特に地域を指定して、三分五厘の低利なものを貸そうという意味に法律の趣旨はなっておる。局長もそのように理解されておると思う。だから被害者個人に対して指定しなければならぬということは起らぬと思う。それは末端において市町村長が認定すればいいことである。だから私どもが言う地域指定とは、町村合併がだんだん進んで参りましたし、従来のような行政区画ではなかなか低利の資金を借りる特別地域には指定しにくいであろう、だから局長もおっしゃったように、旧町村単位でやるということは私はいいことだと思う。しかし旧町村単位でも矛盾が出てくると思う。それは商工業が非常に発達しておるような地帯であって、ごく一部の農漁山村が非常に大きな被害を受けたような場合には、指定を受けられないおそれがある。そういう実情考えて参りますと、旧町村単位ばかりでなくして、これをさらに割って、たとえば開拓地であるとか干拓地であるとか、あるいはどの地帯であるとかいうように、一地区を区切って指定をする必要があるのではないか、こういうふうに問題が発展してきておると理解しておるのです。町村合併が進んで参りますと、開拓団がいかに大きな災害を受けても、おそらく三分五厘の地帯が出てこない、それでは気の毒であるから、個人の情勢に合うように、行政区画に合うように、一町村内の一つを区切って、三分五厘が適用される地域を指定しようではないか、こう話が進んでおるように思いますが、この点はどうですか。
  129. 渡部伍良

    ○渡部説明員 それは私の説明を半分しかお聞きになっていないわけです。あなたの御説明の通りで、その限りにおいては正しいのです。ところが被害をこうむったが、貯蓄なり何なりがあって、金を借りなくてもいい人が借りて、三分五厘のものを六分五厘で他に運用している、そういうところには金を貸さんでもいいじゃないか、市町村がその認定をしなければ、また同じように行政上の非難を受けるのではないか、そういう例があるわけです。それから組合としましても、初めからわかっておれば、つまり組合としては貯金がたくさんあるなら、今のままでやったらいいじゃないか。しかしとにかく組合は三分五厘のものを借りて、ほかへ六分五厘に運用する、そういう非難を受けており、指定して、貸す対象はまたその中からセレクトしなければ、行政としては工合が悪い、そのことを私は申し上げているのであります。そういうことを考えますと、地域指定だけでは足りない、むしろ地域指定はしなくても、町村長が責任を持って、この人はどうしても組合に貯金とかなんとかがあっても、要るのだ、災害を一定以上受けてどうしても金が要るのだということを認定してくれれば、その人には地域指定とかなんとかせずに、一つの認定書を出してくれれば、低利のものが出ていくようにした方がいいのではないかという考えで、そうなると法律改正が要るということを申し上げておるのであります。だから一町村に一戸でもそういうようにひどいものがあって、貸す方がいいというものは全部を指定しなければならない。それがまたわれわれの今までの行政の観念からいえば、相当集団的になければやらないのが今までのやり方でありましたから、それを直すのには相当研究を要するということを申し上げておるのであります。何でもかんでも一軒でもあれば指定せよということならそれはよいのですが、私の方はそこまでいかぬのではないかということを申し上げておるのです。
  130. 井手以誠

    井手委員 とりあえずの今度の災害については営農資金というものは急を要する問題ですから、これが直ちに発動できるように、実行できるような方式を考えることが当面一番大事だと思っております。将来は将来だと思う。臨時国会がすぐ開かれる見込みもございませんし、やはり今の法律のもとで一番適切な方法を考え出してもらいたいということを前提に私は申し上げておきたいと思う。  そこで、あなたはおっしゃいますけれども、営農資金の三分五厘のものが悪用されるということは私ども承知しております。それは農協の幹部とかあるいは町村の有志というもので悪用したということを聞いております。しかし個人々々がどういう経済状態にあるかは農林省の経済局長が知らないはずはないのです。ほとんどの農家がそんなに余裕があるものではございません。私どもが見て参り、あるいは聞いたところでは、農協が貸したものだけでも一戸平均二十数万円に上っている地帯もあるわけです。これは佐賀県の福富村から聞きました。あるいはごく一部に貯金した者もあるかもしれない。貯金している者がわざわざ金を借りるというのもおかしい。利ざやかせぎというものが全然ないとは申しませんが、それは百人に一人か千人に一人かわからない。そういう悪いものがおるかもしれないということを前提にして、非常に困った人々がそのためになお困るような方針をとってもらっては困ると思うのです。従ってあなたがおっしゃるように、ある程度市町村長にまかしてよいと私も思う。だから地域を指定しても、そこまで必要ないものは市町村長が認定しないでよいはずだ、もし市町村長が信用できないとか府県知事が信用できない、そういうこになると政治はもう根本から破壊しますから、そこまであなたがお考えにならぬでもよいと思う。それこそ私は行き過ぎた老婆心だと思う。やはりもっと国民は善良であるという立場から——それはごく一部の悪いものはうんとぴしぴしやってよいです。やるならなぜもっと大きな不正事件をあなた方は処分しないのですか。それなら私は言いたいことがたくさんあります。長野県のああいう事例なんか、私はこの前中澤委員から聞きましたが、そういうものはどう処分しましたか。三分五厘で利ざやをかせいだような人間は——そういうものこそもっと処分すべきですよ。善良なる者をどろぼう扱いのような目をもって見て、そのものを防がなければいかぬということでは、とても救えません。そういうことでは経済局長の任務は勤まらないと思う。やはりこの際町村合併も進んで参りましたから、先刻も申し上げましたように旧町村単位で指定する。それでも救えない気の毒な地帯に対しましては、町村のうちの地区を限って指定をなさる。そうしてその地区内において必要でないものは市町村長の認定に信頼してまかせる。そういう行き方で、すみやかにこの営農資金というものを交付してもらいたい、進めてもらいたいということを私は要望をかねて意見を申し上げる次第でございます。
  131. 渡部伍良

    ○渡部説明員 営農資金はもうすでに貸しておるわけであります。従って御心配になる、金が行かないということはないはずであります。ただその中で利子を三分五厘にするかどうかということだけは未定でありまして、利子の支払い期は借りてから相当先の方でありますから、それまでに片づけたい、その際にはなるべく困っている人がほんとうに有効適切にその利益に均霑するようにした方がいいとわれわれは考えております。それから必ずしも借り手が悪いことをするということを前提にして議論しているのではありませんが、しかし現実の問題としてそれがあるわけでありますから、それはもう隠すことができないのであります。従ってそういうことが起らないように、われわれの方で行政上の措置をすべきことは当然の責務であると思いますし、たとえばわれわれの方の組合の調べをしておりましても、貯金のある人はたくさんあるのでありますから、それは農手とかいろいろな問題で流動資金の借金はありますけれども、それはほんとうの一時の借金であって、そういうことを組合に聞いて市町村長がわからぬわけはないのでありますから、そのくらいの手は使ってもらった方がいいのではないかということを言っておるのであります。頭から、悪いことをするということを前提にしてお話しておるのではないのであります。できることはやりたい、こういうことであります。
  132. 井手以誠

    井手委員 悪いことができぬように行政上の措置をあらかじめやっておくことは必要であります。ただそれを強調するの余り、いろいろな施策がおくれていくということは困りますから、一つその点は申し上げるまでもありませんけれども、御注意を願いますとともに、法律に欠陥がありますならば、後日相諮って改正もいたしましょう。またあなた方から御提案があれば、協賛もいたしましょう。しかし臨時国会がいつ開かれるかわからない今日、それをたよりにするわけには参りません。従って現行法のもとに一つ万全の措置をとってもらいたい、これを私は特にお願いを申し上げるとともに、あなたはすでに営農資金は流しておるから支障はないとおっしゃいますが、相当な支障があるわけであります。資金の問題では金額の問題があるわけであります。次には償還期限の問題があります。金額は一応累年災でないものは五万円になっておりますが、これは少いと私は思う。地域指定をすれば十万円になるという話は聞きますが、五万円は少い、これはもっと増額してもらいたいと思う。特に申し上げたいことは先刻営農資金を貸すことによって予約金を肩がわりするような話がありましたが、もし営農資金を貸して予約金を返してもらうという方法になりますならば、五万円では足りない。それを一つ御検討を願っておきたいと思う。それと償還が二年ですか、非常に短かい。ところが今度の災害の特徴は御承知のように局部的に非常に甚大でありますので、そういうように家もなくなったような人に三年以内に返せ、翌年から返せ、そういうことではやれるものではありません。せっかくお貸しになるならば、やはり二年くらいは償還はたな上げにして、あと三カ年で払わせるということくらいはやってもらいたいと思う。地域指定だけでは問題は済みません、金額を引き上げること、あるいは償還期限を延ばし、たな上げの二カ年を設けること、そういうことについての局長の御意見を承わりたいと思います。
  133. 渡部伍良

    ○渡部説明員 現在までの研究では、五万円で一応いいというわけでありますが、御設例のような場合、特別な人に対してはあるいは無理があるかもしれません、よく研究します。今の概算払いのものは、先刻来お話申し上げますように、まだ結論が出ておりません。もしそれを営農資金に出すようなことになれば当然それを織り込んで考えなければならぬことになると思います。それから期限の点も、今のように家屋、農地の大部分を流失したというような場合は、あるいは短かいかもしれませんから、法律の許す範囲内で特例を開いた方がよいのではないか、こういうふうに考えます。これはしかしそういうように行政を細分した場合に、また問題は悪用される部分がどれだけあるかということとの考量になってくると思いますので、そう簡単に踏み切れない問題があると思いますが、よく研究します。
  134. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで今の指定の問題にもう一ぺん戻りますが、たとえば旧町村であった場合、指定の条件があるわけですね。平年作に比べてその収穫が何ぼ減った場合に指定するなら指定するというものがある。そうした場合に、旧町村の場合であって、被害海岸線なら海岸線あるいは潮が流れ込む川沿いなら川沿いというふうに限定された被害の場合は、その旧市町村を指定したときには条件上入らなくなるのです。そうでしょう。そうするとそれをもっと刻んで、部落単位に入っていかなければならぬ。そういうことにならないと、あなた方が法律に照らして指定する条件が整わない。従って除外する。除外されたところは六分五厘で、指定を受けたところは三分五厘だから、現地にとっては非常に死活問題、こういうことになる。そこで結局問題になるのは、被害のない地域に住んでおるがたんぼは被害のあるところに作っておるいわゆる出入り作の関係になってくるのです。そうした場合、部落なら部落というものを指定して、なるべく指定条件に合うように、わずかなことで指定条件からそれないように実情に即した指定方針をきめてそうして出入り作の関係は特別に調整をする方法をとれば事足りるのじゃないかと思うのです。そういうことをやっておいて法律改正したときには、先ほども非公式に赤路委員からも話があったように遡及規定を行うことによって問題を片づけたらいいじゃないか、今ここでもそういう話をしておったのです。その旧町村の場合、今度の災害の特殊性から見て、指定から漏れる地域が相当出てくるのじゃないかという点もまた一つ心配になるのです。それで現在のあなたたちのやり方というものが、先ほどの井手委員の話ではないが、頭からどろぼう扱いにしようとするから、なるべく目をくぐってやるというふうにまた一方では出ざるを得ぬ。そういうことになってイタチごっこになるのであって、やはりまず民を信用するという考え方に立って、作った以上はなるべく恩恵を広く与えてやるという方針に立たれんことを私は希望しますね。やはり部落に入らないというとうまくいかぬじゃないか、部落の場合は出入り作の関係を調整すれば大体実情に即していけるのじゃないか、こういうふうに思うのです。
  135. 渡部伍良

    ○渡部説明員 同じことを繰り返すことになるのですが、今の法律では、どうしても全部救う、出入り作を救うとすればとにかく全部調べてみなければいかぬから、指定しないと同じだというふうな立法論を考えるわけです。しかしお説のように、そういうことを全部入れて地域指定をすればいいじゃないかという考え方になってしまえば、ただ形式的にむだな手続をするだけということになるので、先ほどから議論をいたしておるわけであります。しかしお話もありますので、もう一歩私の方でも従来の考え方を変えて研究してみたいと思います。(「局長考え方でいいんだよ」と呼ぶ者あり)どうしても地域指定があれば断層ができてくるわけですからね。よく研究します。
  136. 足鹿覺

    足鹿委員 農林政務次官はどうされましたか。——今の局長の構想は、法律改正を前提としてお考えになっておるようです。これは先ほど赤路委員が言われるように、法律改正をしたときに、今変えたからといって今すぐに利子を払うわけじゃないし、今すぐ返すわけじゃない。先に処理する場合は、法律を十一月の臨時国会に出して、そしてそのときに遡及規定を何年何月の災害以降のものに適用するとうたえば、大体事足りるのじゃないですか。だからそういう点について、政務次官が来られたら、政府を代表してこういう方針でいきますということを言って下されば、私の質問は大体それでいいのです。
  137. 渡部伍良

    ○渡部説明員 私の方でよく研究させていただきたいと思います。ここですぐ結論を要求されてもそう簡単にいかない。これはやはり相談しなければならぬ。しかし現在の法律でお話の趣旨が織り込めるところまでは考えたいと思いますが、どうしてもいかなければ断層が残りますから、それもということになればやはり法律を改正する必要があると思いますから、それはそのときにもし断層で残っているものがあれば救うなら救う、こういうふうにお考えになったらいいのじゃないかと思います。
  138. 足鹿覺

    足鹿委員 大体地域指定はだいぶ論議したので少し前進しているように思いますが、そう御答弁になったような趣旨でぜひ善処願いたいと思います。  次に開拓地被害に対する対策中の融資方針はどういうふうに農林省としてきまりましたか。これは経済局長はこの前おいでにならなかったですが、この前の委員会のときに安田農地局長は、開拓営農振興法のごとき立法の構想をここで一応述べられました。ところがそれは先のことでありますが、また非常にけっこうな構想ではありますが、当面の問題としてはやはり緊急性のあるものでありますから、一応天災融資法なら天災融資法で、地域指定に関連して開拓地は地域指定に入れてもらいたいというのが私の意見なんです。その点について農林省の内部で意見がいろいろと食い違っておったと思うのですが……。
  139. 渡部伍良

    ○渡部説明員 私の方では開拓地もこの天災融資法でいきたい、こういうふうに考えております。そうして被害のきつい開拓地は三分五厘の地域指定をする、こういうふうに考えております。
  140. 足鹿覺

    足鹿委員 そうですか、そんならよろしい。局長それでいいのですか。
  141. 安田善一郎

    ○安田説明員 別に経済局長と私と意見の差はございませんが、開拓地は開拓地の事情に応じまして前年災もあり、災害をひどく受けておることが多いですから、開拓地全部とは言いませんが、被害甚大な開拓地及び干拓地の入植地は特定地域として出るように、しかも有利に借りかえ資金でも償還期の最後のものを借りかえるばかりでなしに、二年目以下のものも全部借りかえまして、借りかえ後は均等に年賦償還になるように努力しております。
  142. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、このたびの台風被害については天災融資法に基いて開拓地は特別に指定する、こういうわけですね。それでけっこうですが、その場合は、旧村を単位としてもし指定をされるような場合はどういうふうになるのですか。
  143. 渡部伍良

    ○渡部説明員 開拓地は開拓地として別に指定します。
  144. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると旧債の問題はどうなるのですか。
  145. 渡部伍良

    ○渡部説明員 旧債の問題は、借りかえ資金を出しまして、それを三分五厘の指定地域については償還期限を延長いたします。別途残っているやつを借りまして、それが年賦償還ということになります。二つの方法があるわけですが、普通の場合ですと、ことしの償還期限だけを一年延ばすというやり方、これは普通の地域であります。甚大地域はことしの分、来年の分、残りの償還すべきものをもう一ぺん借りかえて、新しい借金として期限を延長して貸し付ける、こういうふうにします。
  146. 足鹿覺

    足鹿委員 開拓者資金融通法は天火融資法と比較してどっちが有利ですか。
  147. 安田善一郎

    ○安田説明員 便宜かわってお答え申し上げます。開拓者資金融通法は、入植直後の内地でいえば十七万五千円に当ります基本融資は三分六厘五毛でありまして、中期資金と普通言われております家畜導入資金が別途ありますが、これは金利が違います。従いまして、天災法による特別低利の地域として指定の取扱いを受けます場合は三分五厘ですから、一厘五毛天災法が安い場合の方は安い。しからざる場合は五分五厘ですから、その差引だけ高いということになります。
  148. 足鹿覺

    足鹿委員 しかし資金ワクの点で違うでしょう。天災法は五万円で、開拓者資金融通法の方は今おっしゃったように十七万円でしよう。
  149. 安田善一郎

    ○安田説明員 資金の点は違いますが、天災法は中金資金をもちまして、豊富な原資をもって、利子補給だけ一般会計でやります。しかもこの利子補給は次年度の予算に計上すれば足りると思います。そうでなくても、臨時国会で補正をするとか予備費支出をすればよろしいのでありますから、これは一番弾力性に富み、原資は豊富であると思います。一方五万円切るか切らぬかは、今回いかなる措置をとるかによると思います。しかるに開拓者資金融通法による特別会計の融資は、その原資そのものが中金資金を期待しておりませんで、過去の政府出資または預金部資金、見返り資金から特別会計へ繰り入れたものでありまして、国会の御承認を得まして本年度のワクが限定されております。かつその性質が、入植直後の住居から農機具その他の生産資材購入等の営農資金で、どちらかというと長期的なものでありますので、償還期限もそうしてあるわけであります。しかるに今回の災害対策として、わずか一年の応急対策としまして、来年度作付時期までの営農資金を目的に貸す場合の項目につきましては、天災融資法が適当、かつ低率が適当だ、こういうふうに考えます。
  150. 足鹿覺

    足鹿委員 何かこの際、この間も申し上げたように、昭和三十二年、三年と一番ピークになって、救済の何らかの借りかえ措置を非常に要望しておることは御存じの通りです。要するにこれはもう長年たまってきた負債をどう整理するかという問題です。災害台風に限らず、冷害に限らず、開拓地は早魃その他の災害の頻発のために非常に困っておるのです。それで現在の融資方針は、天災融資で一時の緊急対策に重きを置いていくとして、長期にわたる負債の整理はどういうふうに片をつけておやりになるおつもりでありましょうか。
  151. 安田善一郎

    ○安田説明員 これはここ数カ年、特に二十八年の災害で、まんべんなくといってもいいほど開拓地が災害を受けまして以来、連続災害が多いために、現在の開拓地営農のあの開拓の規模では、その農業所得をもっては、過去の累積しました災害資金の未償還分の償還が困難な情勢が出ておるわけであります。その根本問題に触れておるわけでありますが、今回の災害に当っての対策として、来年の営農資金までのものとしては、先ほど申し上げますように天災法を適用いたしまして——天災法の融資で冷害対策等をやります場合の先例も多々ありまして、連年災のような場合には、借りかえ措置をもちまして、一部相当部分を、過去の災害の資金の未償還分のものを、より長期にならして借りかえる、こういう措置で緩和する慣習が一応できておると思います。私は今回はこの分でも一歩を進めまして、本年度償還期に当るものの償還のみならず、三年、四年以降の償還があるものでも、今回は第二年目の償還期に当る分も、なるべく天災法で融資していただきまして、さらに二十八年以降の大勢等を見まして、平年の状況でも、開拓地営農が画期的な変化を来さないならば、通常の農業収入をもって返還しきれぬ債務を持っておるものは、それ独自の根本に触れた債務の整理がいる。その中の債務が災害資金に入るかもしれないけれども、なるべくは災害資金は災害資金で将来長期に均等に返していくような状況を作りたい、こういうように思います。
  152. 足鹿覺

    足鹿委員 天災法による場合五万円のワクになっているが、それは今度の場合考える、どういう考えになるかわからぬということですが、何ぼを考えておられるのですか。
  153. 安田善一郎

    ○安田説明員 借りかえ資金は普通が五万円なら当然十万円です。なお昨日まで冷害の委員会だったと思いますが、土地改良区に対する融資とか、家畜を手放さなければならぬような状態になったときの家畜維持のような場合には、災害融資のワクをちょっとふくらますことを考慮するということを経済局長も承認されておりますから、私は経済局長と意見を異にしておりません。
  154. 足鹿覺

    足鹿委員 家畜を放す場合には三万円を加算するというのは、この前の凍霜害のときに作った事例です。ですから五万円と三万円で八万円ですが、これは冷害に限らず内地の場合も適用されるのでしょう。
  155. 安田善一郎

    ○安田説明員 借りかえ資金の場合には、それにプラス五万円いると思います。
  156. 足鹿覺

    足鹿委員 もう少し具体的に明らかにしていただきたいのです。三十一年度の償還延長は一応できる。各種災害資金の実際上負債整理に当る分の五カ年据置とか、この際あなたの開拓地営農振興に対する長期構想は長期構想として、まずとりあえず具体的な措置をこの際明らかにしていただくことができませんか。
  157. 安田善一郎

    ○安田説明員 来年度に対しますることは、恒久対策に触れることでありまして、目下大蔵省と折衝中でありますから、そうこまかにまだ予算問題を詳しく申し上げる時期に——それを基礎にした実行の内容は、時期がまだ早いかと思いますが、それに今回の応急対策はつながるものだと思う。応急対策は応急対策としておいて、万一恒久的な根本的な対策が講ぜられない場合でも講ずべく、累積災害債務の償還は、開拓者の現状にかんがみまして、あるときはそれを講ずることにしまして、償還期の末期に当っているものは借りかえ資金を借りれば新しく債務を負うたことになりますから、将来五年なら五年の均等償還になるわけです。ところが二年目とか三年目のような償還期に当っているものは、それを期限延長しますとそのまま延長されただけでありますから、三十二年以降の一年分の償還債務はふえるわけです。それは将来にわたって薄く延ばして均等償還されるがいいのだろう、こういうふうに思っておるわけです。それの最終的結論を農林省大蔵省と打ち合せたところで妥結するに至っておりませんが、農林省におきましては意見の差がない、経済局長と私と差がないし、私は経済局長と差がない、こういうふうに御理解願います。
  158. 足鹿覺

    足鹿委員 大体わかりました。大体本質からいいますと、やはり天災融資法に基くものは緊急の短期資金であって、開拓地のような累年災害によって返済が不可能となり、しかも同じ三十二、三十三と償還のピークがきたにもかかわらずこれが全く償還できない、こういう実情がもうすでにきておる場合は、例年台風とかなんとかで天災融資法の発動を受ければ別でありますが、受けられない年だってあるのです。たとえば早魃があった場合に、ことしのような台風があれば、天災融資法の発動が国会でも問題になるし、政府でも問題になって発動いたしますが、そうでないきわめて部分的な地帯については天災融資法の発動を見ない品わけです。そうなった場合には、いわゆるその金が短期融資であると同時に、その特別措置法からその適用がない開拓農家が出てくるということになる。従ってたとえば家畜導入資金という名前でこの際相当大量にワクが拡大になって投入された場合は、それは即災害営農資金であると同時に、長期資金の役目を演ずるわけなんです。従って私はあなたの方の意見の一致したことは喜んでおるわけでありますが、そういった点について抜本的な対策というものが開拓地についてはとられなければならぬと思うのです。資金対策について見ましても、そういう意味から私は申し上げているのです。現実に経済局とあなた方との間に意見の相違がないことを聞いて私も了といたしますが、そういう意味からいってやはり開拓者資金融通法というものを対象にしていく場合は長期資金であり、これは一種の恒久対策を伴っておる。しかもそれが発動する場合には直ちに緊急対策にも通用する。しかし今天災法によって融資をやる場合は、今の緊急対策には通ずるが長期対策というものには必ずしもならぬ場合もあるし、また年によってはその発動を得ない場合もある。こういう点からいって、資金の性質も違うし、目標も違いますから、そういう点を別個に考えて、長期にわたる恒久性のある金融対策というものをこの際確立してもらいたい。これは私の結論としての要望であります。十分御考慮願いたい、こう思うわけです。
  159. 安田善一郎

    ○安田説明員 足鹿先生の御意見、開拓地に関係します金融の取扱いの問題と現状の認識及び今後いかにしたらいいかということについては、私どもと根本的に意見の差はございません。足鹿先生の御意見に即しまして、よってもって私どもの方針書で政府の側の案を進めたいと思う。端的に今回の災害対策を見ますと、今回の災害対策でも開拓地に関しましては、開拓地の実情に応じまして恒久的対策とでもいう、根本的対策とでもいうべきものを含みにしても、先例に徴して無理ではないじゃないか。それをただいま申し上げましたような天災法の融資でも実現してみたいものだと思っておるわけです。それをもって十分としませんので、それに続く将来の問題は、一方開拓営農を進展せしめて償還を容易にしまして、なお通常の農業収入では償還し切れない債務を負うたために開拓営農は確立しない、こういうことを防ぐ対策は要ると思います。   〔綱島委員長退席、田口委員長代理着席〕
  160. 足鹿覺

    足鹿委員 了承しました。
  161. 井手以誠

    井手委員 関連して簡単にお尋ねしますが、従来半農半漁の地帯は、せっかくの営農資金が渡りかねる場合が非常に多いわけです。特に零細漁民についてはせっかくの資金も渡っておりません。そこで半農半漁の場合については、運用される場合に、そういう地帯には無理がないように必要なものには貸せるように一つ十分の御配慮を願うように御通達願いたい、これは私の要望です。  次に水産庁にお伺いいたしますが、漁業者の経営資金が——二回にわたる台風ために、特に養殖地帯におきましては、カキ、モガイ等種貝まで全滅状態であります。家こそ半壊程度で済ましたところもあります。あるいはさほど損壊していない家はありますけれども、その職場である漁場はほとんど決壊、壊滅状態であります。そういうところに営農資金が渡るような工夫を特にこの際してもらいたいと思いますが、その面に対する御配慮があるかどうか。農村よりも特に漁村は封建色といいますか、そういう気配が非常に強いのでありまして、せっかく渡った資金も必要な者には渡りかねる場合が多いのでありますが、今度の場合特に零細漁民が多い養殖地帯が全滅状態になっておる場合にどういうふうに御配慮になっておるか、その点をお尋ねしたいと思います。
  162. 奧原日出男

    ○奥原説明員 結局問題は、漁業協同組合が組合員に対して融資する際における融資の仕方について、現状よりもさらに零細な者に対して浸透するような指導の徹底というものが必要であろう、かように考えるのであります。それでそういうことを具体的にいたします一つの方法といたしましては、たとえば融資を受けました組合員がその生産物を協同組合の共同販売所に全部持ってくるというふうな制約を解くということも一つの方法であります。あるいはまた零細なものに対しまして、共同して金を借りるというふうな指導をするということも、これはところによりまして非常に必要であろうか、かように存ずるのであります。なおまた天災法で融資いたしまするものにつきましては、これは御承知のごとく、利子補給、あるいは損失補償というような制度がございまするので、この分につきましては、従来よりも比較的融資が浸透しやすいのではないかと考えておりますが、それにいたしましても、問題は末端における協同組合内部における組合員との結びつきの問題でございます。これについても、指導の徹底を期したいと考えております。
  163. 井手以誠

    井手委員 その点は多くは申し上げません。今のような御指導方針であればいいと思います。しかし、何と申しましても、損失補償があっても信用度が薄いということのために、特に必要な零細漁民に行き渡らない状態から、特に私は強力な指導をこの際してもらいたいと思うのです。これを要望いたしまして、次に、ただいま申し上げましたように、養殖関係が全滅状態にある。この零細漁民の養殖業者の救済をどのようにお考えになっておるか。カキ養殖業者あたりは、私はこれは漁村の共同利用施設として農林水産業施設災害復旧の項目に該当しはしないかと思っております。もっとも漁場の関係、所有者の関係、いろいろありましょうけれども、私は被害の実態から帰納いたしまして、これは解釈をあまりきゅうくつにせぬで、共同利用施設としてわずかながらの補助金でも行き渡るような方針をこの際とってもらいたい。機会がありますれば改正の措置も必要かと存じますが、当面やはり当局指導によって、解釈の拡大によって作ってもらうことが必要ではないかと存じますので、特にお願いいたしますとともに、どういうふうな総合的な救済対策をお持ちになっておりますか、この点を承りたいと思います。
  164. 奧原日出男

    ○奥原説明員 今回の災害によって被害を受けました養殖地帯の救済につきましては、当面の救済の問題と、その後におきまする総合的対策というものを並行して実行していかなければならない、かように考えております。当面の対策といたしましては、種ガキあるいは種モガイ等の入手を円滑にする、こういうことでございまして、これにつきましては天災法によりまする融資措置は御承知のごとく講じてあるのでございます。またこれに対する助成の問題といたしましては、これはこの災害ための措置ではございませんので、あるいはおしかりを受けるかとも存ずるのでございますが、有明の農薬被害対策といたしまして、本年度あの地帯におきまする種貝の入手に対しまして助成をいたすことと相なっておるのであります。カキ、モガイ等の種貝の購入及びその地まき、それからノリにつきましては、ひびの設置でございますが、これが大体この十二月から三月にかけて行われる、かように考えております。あの助成措置がある程度今回の被害地方の養殖の当面の復旧ということに期せずしていささかの寄与に相なった、かように考えているのであります。なお今後の総合的な対策といたしましては、やはり漁場を改善していくということをやっていかなければならないと思うのでございます。増殖の予算におきましては、御承知のごとくたとえばみおを作ってその底質をよくしていくということに対する助成措置も講じているのであります。またそういう自然の方法による漁場改善ということのほかに、ブルドーザー等によります耕転整地ということによる漁場の改善ということも考慮していかなければならない次第であります。そういう意味におきまして昭和二十八年の排土法に基いて現地に目下行っておりますブルドーザーを県といたしましては今後もぜひとも漁場改善に引き続き活用していく、こういうことで、そういうことのために一体どういう障害があるのかということについてさらに十分水産庁との間に協議をお願いいたしたい、かように考えている次第でございます。
  165. 井手以誠

    井手委員 有明海に対する千二百万円の助成は農薬の被害に対するものだと私は思っておりますが、そのものと今度の被害とは違うわけでありまして、一つ別途に助成の方法を講じてもらいたい。このことはもうあなたの方の積極的な対策を要望しなくてはならぬわけですが、一々こまごま私は申し上げません。農薬の被害水害被害に利用しようなどということはちょっとおかしいと思います。別途にお考えを願いたいと思います。またブルドーザーの問題についてもさらに技術家なり水産庁を通して二、三年利用する必要があるということを私も聞きまして、むしろこちらの方は心強く感じて出る次第であります。養殖業者についてはなおそれだけでは足りませんから共同利用施設というものを拡大解釈するとともに一段の工夫を願いたいと存じております。これは要望程度にとどめておきます。あなたの方では十全の増置を講じられるというふうに私は期待をいたしましてこれ以上申し上げません。  次に農地局長に簡単にお尋ねいたしますが、再々にわたって恐れ入りますが、開拓者住宅の問題、これは先般来何回も申し上げておりましたから多くは申し上げません。その後大蔵省とも折衝が進んでおろうと存じます。おそらく営農類型を改めて間違いなく十年以内は適用なさると思っておりますが、いかがでございましょう。いわゆる入植後十年以内は新規入植と同様な取扱いを災害者に対してはやるという、その問題について、先般大蔵省の主計局長は七、八年を考えているような話でもありましたし、さらにその上に不偏農家については年限にこだわらずやりたいというお話もありました。もちろん農林省ではもっと積極的な御意思があることは想像できるのでありますが、どのように積極的に御交渉になっているか。その点を承わりたいと存じます。
  166. 安田善一郎

    ○安田説明員 大蔵省はなかなか頭が固うございまして、わしらの言うことをなかなか聞いてくれません。目下の段階では全壊について一月八万五千円の補助金を出すという、入植後五年未満であることを堅持しておりましたが、連年災害であるところと従来予算の御審議もいただきまして開拓営農調査、実態調査をやっておりますが、それに基きまして不振開拓地区というのは千地区予定してありますが、今回の災害のみならず、従前不振地区にあります被害農家のものは五年を過ぎても補助しよう、こういうところでありまして、だんだん私も気が弱くなりつつあります。しかし時期を失しては悪うございますから、とりあえず過般すでに八万五千円までは補助金が出ることは大丈夫だから、さっそく準備にとりかかるようにというので、中金理事長のいつかの御答弁もありましたので、お話をしまして、中金資金で先借りて、片方も貸してあげて、少くとも八万五千円はいくということで早くやっていただきたいということを、実は府県庁あて通牒を出しておる次第でございます。
  167. 井手以誠

    井手委員 ちょっと主計官前に出て下さい。大蔵省の頭のかたいことは川定評があります。大蔵省の立場は私もわかります。わかるけれども、農業に対する認識は足りないと思います。先刻委員長からるる説明がありましたかりら、いささか御理解も願っておると思います。  そこでお尋ねいたしますが、五年たてば自営ができるという見通しから、資金その他の面において一応の施策が講ぜられておるわけであります。ところが十年をこえましても予定の資金なりあるいはその他の施策が実行できていないのであります。五年以内に行うべき施策が大体半ばかと私どもは数字的に承わっておるのであります。そういたしますと、政府の施策は行わずして五年以内で打ち切るということは酷ではないでしょうか。五年ときめたんだから自営できなくてもお前たちは独立して何でもやれ、こういうふうにお考えでしょうか。やはり自分の方も至らぬ点があったから、五年のものをもう少し延ばしてやった方がほんとうだとお考えになりますか。どちらでしょうか。
  168. 大村筆雄

    ○大村説明員 政府が約束した点はあくまで守らなければいかぬ、こう思います。私ども聞いておりますところでは——あるいは私どもの認識不足かもしれませんけれども、少くとも二十四、五年以降におきましては開拓計画のちゃんとしたものもおおむねできるようになりましてやるべきものはだんだんやってきておる。ただ二十三年以前の緊急入植につきましては、あの当時のことでございますので、開拓政策といいましても相当お粗末な入植の場合もあったというふうに聞いております。従ってただいま農地局長からも御説明がございましたように、千地区に余る不振開拓地区が現在なおかつ残っておるということになっているのだと思います。そこで私ども考えておりますのは、今の開拓政策というものが五年で独立し得るということになっておりましたならば、あくまで政府が責任をもってそれでやれるのだということになっておる以上は、やるべきことをやった以上は、断固として独立してやっていただきたい。かように思います。先ほども農地局長が御説明いたしましたように、連年災害というような気の毒なところは、また別かと思います。また不振開拓地区につきましても、当初からの入植開拓政策の不備という点もございますので、やはり別に考えてあげなければいかぬ、かように考えております。
  169. 井手以誠

    井手委員 わかりやすく申しますと、政府は五年内に一〇〇やると開拓者に約束した。ところが十年たった今日でも五〇しか与えていない。こういう場合にはやはりあと五〇やるまでは政府が自営できない農家として見てやるのがほんとうではないでしょうか。それともそういう必要はないとお考えでしょうか。
  170. 大村筆雄

    ○大村説明員 井出先生の御質問が抽象的なんでちょっとわかりにくいのでございますが、五〇しかやっていないということは一体具体的にはどういうことなんでございましょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  171. 井手以誠

    井手委員 例をあげますならば、開拓者に対しては資金は十九万円ですか十七万円ですか、私ははっきりした数字はつかんでおりませんが、幾ら融通するということが大体きまっておる。たとえば家畜導入とか住宅とかいろいろな開拓政策というものがあるでしょう。ところが約束した五年間に自立できるだけのものを——約束したいろいろな政策が一〇〇と仮定いたしました場合に、今まで政府が実行したものは五〇くらいにしかすぎません。ものによっては六五もいっておりましょうけれども、ものによっては三〇か四〇しかいっていないところもございます。まあ平均して十年たっても約五〇しか政府の政策は実行できておりません。これで大体おわかりだろうと思います。そういう場合に、約束が五年だから五年過ぎたものは補助金はやれない、こういうのは少し酷ではないかと思うのです。あなたは御承知ないかもしれませんが、昭和二十一年に入った入植者、これは三千円もらって掘立小屋を建てております。これは住宅ではありません。山小屋です。作業小屋です。ところが幸か不幸かわかりませんが、これは根を深く突っ込んでいるから少しぐらいの台風では倒れません。ほかの十何万円もする住宅は簡単に倒れても、掘立小屋は倒れません。倒れてもらいたいけれども倒れない。従って補助金対象にならないという悲惨な家がたくさんございます。そういう実情一つ御考慮になって、政府の政策の実行が足りないために、多くの農家が不振農家になっておる。中には動力の関係からかなり進んだのも出ておりましょう。しかし見て参りますと、一戸建ちの農家としてそう簡単に独立自営はできません。ほとんど政府の補助なしにはやっていけない開拓地に対して、お前の方は七年たったから住宅の復旧には補助できないとか、あるいは九年たっておるから家屋が全壊しても全然補助対象にはならないということは酷ではないかということを私は何回も申し上げた次第であります。それを農林省があなたの方に腰を低うし、辞を厚うして御相談申し上げておるけれども、どうしてもあなたの方が聞き入れてくれないというのが先刻の農地局長の御答弁でした。役人同士のことですから露骨なことは言わないでしょうが、相当なことがあったと私は想像しております。そういうように十何万円か貸す約束のものが七万円か八万円しか貸していない。そういうような政策しかやっていない政府としては、開拓者が相次いで災害を受けまた全壊を受けた、しかも全壊を受けた家が八年目である、あるいは十年目である。そういうものは私どもは全面的に——特に優秀なものは別でありますけれども、原則としてはほとんど不振農家でありますので、基準を引き上げ、営農類型というものを五年であったものを十年くらいに引き上げて、全面的に救っていただきたい。そうしてなお不振な十年以上の農家に対しては、いわゆる不振農家だけは補助対象にしていくということがこの際政府のとるべき当然の責務ではなかろうかと思っております。これに対してあなたの御見解を承わりたいと思います。
  172. 大村筆雄

    ○大村説明員 ただいま井出先生から詳細な御説明がございましたが、多少一般的に誤解をなさっておる面もあるかと思います。と申しますのは、私ども理解しておりますのは、二十四、五年以降におきましては相当しっかりした開拓地の地区計画を立てまして、ここに農地局の建設部長もおられますけれども、しっかりした計画のものに行われておるというふうに了解しております。それから十七万円と約束したものを四、五万円で打ち切ったということは私ども承知しておりません。ただ二十三年以前に緊急入植をやった地区につきましては、ただいまおっしゃいましたように相当不徹底な施策がとられていた、そのために今日なお不振地区が相当残って悲惨な状況のところもあるというように私ども聞いております。こういう地区につきましては、先生がおっしゃる通り、ある程度特別に手心を加えた施策もしていかねばいかぬのじゃないか、かように考えております。
  173. 井手以誠

    井手委員 あなたもお認めになっているように、二十三、四年以前のもの、そういう農家の住宅が非常に今度は損壊いたしておるのであります。たとえて申しますならば、佐賀県の大浦地区におきまして、私は全部見て回りましたが、十戸のうちに九戸は全壊しており、二戸は半壊して、満足に建っているものはほとんどない。そういう地区は二十一年から三、四年の建設であります。そういうものにつきましては五年以上過ぎたから補助対象にならぬというのは酷ではないか、従って二十五年、六年に入ったものはまだ五年以内のものもあろうし、また五年ちょうどのものもありましょうから、特にその点は申し上げぬでもいいと思います。もう七、八年、それ以上を過ぎたものが災害を受けた場合には、あなたもお認めになったように、困った人が多いわけですから、そういう者に対しては五年の営農類型というものを十年くらいに引き上げてやるのがほんとうではないか。中には百人に何人かは優秀農家もできておるかもしれません。しかし概してまだ伸びてはおりません。それは開拓地を見て回ればおわかりだと思うんですが、そういう農家を救うために、五年の限度を十年に引き上げ、その上になお不振農家に対しては十一年のものでも救っていこうというふうにお考えになるわけには参りませんか。ただ五年以上のものは不振農家だけやるということではなくして、政府の施策が思う通りにいっていないからそういうふうにお考えになって、五年を十年に引き上げるという御用意はございませんか。
  174. 大村筆雄

    ○大村説明員 お気持はわかるのでございますけれども、ただいまのところ私ども了解いたしておりますのは、現在行われておりますところの開拓施策について、原則として五年で一応補助を打ち切るという方針でやっております。ただし特に困っておる地区、すなわち連年災害地区とか不振開拓地区につきましては、特別な取扱いをしていかねばならぬ、かように考えております。
  175. 井手以誠

    井手委員 だいぶあなたの方と私ども考えは違いがあるようでございますので、同じことを何回繰り返しても同じですから、これ以上申し上げませんが、一ぺん開拓団を回ってごらんなさい、どういう状態であるかたいていわかるでしょう。りっぱな役所ばかりにいらっしゃるとそんなことはわかりません。農林省からも相談があるでしょうから——補助というものは何も金もうけで言っておるわけではありません、気の毒な農家を幾らかでも救ってやろうという熱意からみんなが相談しておるわけですから、自分の意見ばかり言わぬで、主管省の相談があった場合には、身でも皮でもはいでもらいたいと思う。これであなたに対する質問は打り切ります。  林野庁見えていますか——農地局長にちょっとお尋ねしますが、地すべりはあなたの方ですかどうなりますか。長崎県の世知原と佐賀県の伊万里市の東山代地区、南波多地区、大川地区。
  176. 安田善一郎

    ○安田説明員 私の局の関係もございますし、林野の関係もございます。
  177. 井手以誠

    井手委員 あなたの方の関係も講じてあるかお願いします。
  178. 安田善一郎

    ○安田説明員 農地局は農地の地すべり、広い意味でいえば地盤変動関係でございます。林野の方は砂防といいますか、もう少し山のことをやっております。
  179. 井手以誠

    井手委員 それでは林野の方が関係が多いかと思いますので、後日その機会を得たいと思っております。  だいぶ時間が経過しておりますので、私はこの程度で打ち切りたいと思います。
  180. 田口長治郎

    田口委員長代理 本日はこの程度にとどめ散会いたします。    午後四時四十五分散会