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1956-10-04 第24回国会 衆議院 農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月四日(木曜日)    午後三時三十八分開議  出席小委員    小委員長代理 田口長治郎君       石坂  繁君    大森 玉木君       白浜 仁吉君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    井手 以誠君       稲富 稜人君    中村 英男君  小委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (主計官)   松永  勇君         厚生事務官         (社会局保護課         長)      尾崎 重毅君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      鶴田  寛君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君         農 林 技 官         (蚕糸局蚕業課         長)      小林 明隆君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      河野 恒雄君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重藏君         農林事務官         (水産庁次長) 奧原日出男君         通商産業事務官         (石炭局審議         官)      田原 正邦君         中小企業庁長官 川上 為治君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         建設事務官         (住宅局住宅建         設課長)    稗田  治君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月四日  小委員足鹿覺君同日小委員辞任につき、その補  欠として中村英男君が委員長の指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  第十二号台風による農林漁業災害対策に関する  件     —————————————
  2. 田口長治郎

  3. 石坂繁

    石坂委員 台風九号に引き続く十二号の災害対策につきまして、私もいろいろ伺いたい点がありますが、本日は政府委員出席の都合からいたしまして、通産省関係の点をまずお伺いいたしたいと思います。  この台風九号及び台風十二号の被害は主として海岸堤防農作物等でありまするけれども、同時に中小炭鉱地帯に対する被害もかなり多いのであります。私の出身県熊本県のごときも、天草地方におきましては中小炭鉱が若干あるのでありますが、その被害の集計は四千五百万程度にも上っておるのであります。これらはその経営者は全く中小企業者であります。そこでこれをそのままの状態において放置いたしますならば、経営が不振の上に、この再度の被害を受けましたために、全く行き詰まりの状態にあります。そこでこの天草炭鉱地方坑内外復旧費及び出炭減流失炭に対する経営資金は相当大きな金額を必要とするのでありまするけれども、これが自力をもってはそのまかない困難な状態であります。従いまして業者といたしましては、速急に立ち上らねばなりませんけれども、この復旧経済資金の融通に苦しんでおる。これが非常な切実な要望でもあり、また必要なことでありますので、この際国民金融公庫から、あるいはまた中小企業金融公庫から相当金額の別ワク融資を設定されまして、これらの被害中小炭鉱に対する融資に向けられることが必要だと思いますが、そのような点につきまして通産省におかれましては、すでに何らかの御用意があろうと思います。その御用意の有無、ないしは御意思の点について伺いたい。
  4. 川上為治

    川上説明員 十二号台風被害につきましては、私どもの方にはまだ詳細な連絡がきておりません。一部参っておりますけれども、全体的にはまだ参っておりませんので、現在いろいろ調査中でございます。九号台風につきましては、調査はできておるわけでありますが、それに対しては現在中小企業関係につきましては、助成金とかあるいは利子補給とか、そういう制度がないわけであります。従いましてどうしても国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫、あるいは商工組合中央金庫というようなところで特別なワクを設定して特別な融資をする以外に現在のところは道は開けておりませんが、私どもの方としましては、現在の申し入れによりましてさっそく一応国民金庫公庫につきましては、長崎県については一千万円のワクを作っております。それから佐賀県につきましては二千万円、福岡県につきましては二千万円というようなワクを作っておるわけでありまして、これはやはりB号災害措置というような方法によりまして、すなわち年度利率九分六厘、それからすえ置き期間六カ月以内、返済期限が最高五カ年以内というような特別な措置をとっているわけなんですが、九月二十日現在の実績ではまだ申し込みがはっきりわかっておりません。それから中小企業金融公庫につきましては、これは特別なワクは作っておりませんけれども申し込みによりまして善処できることになっておりまして、これも九月末現在におきましては、まだ現地代理店とかあるいは支店に対する申し込みというのはないというような状況になっております。その後十月に入りましてからは、まだ私聞いておりませんけれども、九月末現在においては中小企業金融公庫に対する申し入ればまだないというふろに聞いております。もちろんこれは私の方としましては、十分その申し込みに対して金融をはかることは指令をいたしておりますが、まだ来ておりません。それから協同組合関係につきましては、商工組合中央金庫融資することになっておるわけでありますが、九号台風につきましては、長崎につきましては申し込みが三千二十万円、佐賀県につきましては二百万円、福岡につきましては四百万円程度というようなことになっておりまして、それに対して四件ぐらい貸し出しを行なっておりますが、まだそれ以外の申し込みは十分来ておりません。今お話のありました天草の問題につきましては、もしそういうような被害がございますれば、われわれの方としましても、こういうような機関を通しまして特別な融資をしたいと考えておりますが、天草の問題については、おそらく石炭の問題ではないかと思いますので、石炭の方は別途措置をとっておるはずでありますから、そちらの方から御返事申し上げます。
  5. 田原正邦

    田原説明員 この間の九号、十二号台風による炭鉱被害は、今度の台風は雨が少くて風が非常に強かった関係で、坑内の方には大した影響はございませんでしたが、坑外施設は全般に相当な被害を受けております。特に地域的に申し上げまして、長崎県下の離島の炭鉱及び熊本県下の天草区の炭鉱被害坑外施設が非常に大きかったようであります。炭鉱施設のうちで、これを二つに分けまして、炭鉱自体施設と、それから炭鉱関係のある公共施設、たとえば道路なり護岸なり、あるいは港湾施設といったようなものがございますが、そのうちで、われわれの方で関係いたしております炭鉱自体施設復旧については、現地通産局が具体的の問題について現在も主として中小企業金融公庫融資あっせんについて努力しております。実績を上げている状態でございます。
  6. 石坂繁

    石坂委員 ただいまの御答弁融資についての御用意のあることはこれを了承いたしました。天草地方炭鉱被害のうちで、単に出炭量の減少あるいは流失炭による損害というばかりでなく、やはり坑内外被害に対する復旧費も相当必要であるのであります。先ほど局長の御答弁では、まだ十二号台風被害の報告を得ておられないという趣旨の御答弁であったようでありますが、私ども調査いたしましたところによりますと、大体十二号台風被害は四千五百万円である。これを九号台風に合算いたしますと、天草島内の各炭鉱被害総額は一億一千七百万円程度に上っておるのであります。そうしてこれに対しまして両者の要望いたしておりますところは、まず国民金融公庫から一億円、中小企業金融公庫から二千五百万円、こういう金額の別ワク資金を設定しての融資を受けたい、こういうことを言うております。先ほど局長の御答弁では、長崎福岡佐賀各県の申し込みだけであったようでありますが、おそらくそれらの三県の業者というものは大きな業者であるのではないかと思います。しかるに天草地方業者というものは比較的に中小業者であります。なおこの復旧費用に対するこの地方融資要望、さらにまた流失炭等による経営費融資等につきまして、なおすみやかに御調査の上、できるだけ業者要望を充足させていただきますように、私は重ねて要望をいたしまして、この後の御善処方をお願いいたします。
  7. 田原正邦

    田原説明員 天草地区損害額につきましては、私の方が通産局を通じて調査いたしました金額は、約六千万円になっております。これは炭鉱自体施設でございまして、炭鉱関係のある道路とか港湾などは含んでおりません。具体的に山から通産局の方に融資あっせんなりその他について申し出てきた分については、そのつど努力しております。また本省の方に現地の方から直接言ってきた問題はございませんが、今のところ現地で解決しているものとわれわれは解釈しております。
  8. 石坂繁

    石坂委員 今の六千万円というのは九号、十二号を含めましてですか。
  9. 田原正邦

    田原説明員 そうでございます。
  10. 石坂繁

    石坂委員 なお現地で解釈したものと思うという御答弁ですが、本省の方に申し出てきているのはございませんか。
  11. 田原正邦

    田原説明員 まだありません。
  12. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。中小企業庁長官にこの機会に一点承わっておきたいと思います。台風水害による被害公共土木事業あるいは農林水産業施設被害と同様に、いつも甚大な被害を受けておるのであります。ところが中小企業の特性からいたしましてしかもそれがほとんど財産だということから、なかなかこれが救済方法が少いのであります。先刻もお話のように、国民金融公庫資金ワクをふやすとか、あるいは商工組合中央金庫であるとか、中小企業金融公庫ワクをふやすとか、そういったことがせいぜいのようであります。しかし重なる災害を受けまして中小企業の窮状は目に余るものがあるのであります。大きな企業は信用度の関係から融資の道もありましょうけれども、一番必要な零細企業については、ほとんど救済方法がないのであります。私はそういう資金ワクをふやす、それが中小企業にも行き回るような工夫を一段とやってもらうとともに、中小企業者が行なっておる共同利用施設でございますか、そういったものに対しては、農林水産業に対して若干の共同利用施設として国庫補助の道が開けておりますのと同様な意味で、中小企業に対しても、共同利用施設に対しては国庫補助の道を開くような立法措置をお考えになっておるかどうか。さらにまた店舗復旧であるとか商品被害であるとか、そうしたことに対する共済制度を確立する必要も私はあると考えております。現在のままで、お前の方は財産だからしようがないではないかということでは、私は済まされぬような気がいたすのであります。中小企業庁としては共同利用施設に対する国庫補助の道を開くお考えがあるか、これが第一点。第二には店舗商品被害に対してこれを復旧するための共済制度をお作りになるお考えがあるかどうか、この二点を長官から承わっておきたいと存じます。
  13. 川上為治

    川上説明員 現在協同組合共同施設に対する助成金制度はあるわけでございます。それは年間一億程度ワクをもちまして、そうして助成金——これは無和子の金融ということになりますが、これは各県で特別の会計でもって、それで実行しているわけであります。しかし今お話がありましたように、この金額が全体的に非常に少いという点は、全く同感でありまして、われわれといたしましては、どうしてもこれを増額したいということで、現在いろいろ努力しておりまして少くとも来年度の予算におきましては、相当程度増額したいという気持で現在やっております。それから特に災害関係のものにつきましての助成金についても、私はやはり特別に考えてやるべきではないかというように考えておりますが、現在のところは特別に考えられておりません。それから、農林漁業者に対しましては、災害に対しての利子補給とか、そういうような特別な措置をとられているのですが、中小企業につきましては、そういう措置は全然とられておりません。先ほども申し上げましたように、あるいは国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫とか、あるいは商工組合中央金庫とか、そういうような中小企業の専門的な政府機関、こういうものから特別なワクを設けてあるいはその返済期限を長くするとか、あるいはその据え置きの期間を長くするとかいうような程度のことしか、現在のところではやっておりませんので、これは私もやはり農林漁業者等と同じようにその辺の中小業者に対しましては、特別な措置を国として考えるべきじゃないかというように考えておりまして、現在内閣中小企業振興寒議会というものがありますが、この問題も取り上げまして現在検討しておりまして、何とかそういう法律を作って、それによって救済し得るような措置考えるべきじゃないかということを、今やっております。ただ残念ながら現在のところはそういう措置をとっておりませんので、先ほど申し上げました通り中金とかあるいは国民金融公庫識別措置以外には、現在のところは措置ができていないというような状況であります。
  14. 井手以誠

    井手委員 大体御答弁があったようですが、言葉は悪いかしれませんが、あなたは中小企業の親です。だからもっと積極的な御計画があってもいいじゃ、ないか、そういう要望もかねてあっておるはずでありますから、もっと進んだ対策がほしいと思う。一億円の助成があるとおっしゃいましたけれども、それは無利子のものを貸すのであって、それは戻さなくてはならぬのであります。なるほど無利子のものを貸していただくことはありがたいけれども、その金額が少いのとともに、やはり一般的な財産に対する補助はできないにいたしましても、共同施設に対しては、二割であるとか三割であるとか、高額なことはできませんでも、やはり若干の国庫補助の道をとるという措置が私は必要ではないかと考えております。それとともに先刻来申し上げております天災に対する共済制度、火事が起きましても、火災保険に入っていない者は非常に困っている。水害が起きる、台風による被害、そういった最近の相次ぐ災害考えて参りますと、何らか一つ天災による国家補償共済制度、これを一つ立案願いたいと考えております。一つ重ねて中小企業庁長官の積極的な御意思を承わっておきたいと存じます。
  15. 川上為治

    川上説明員 共同施設助成金につきましては、従来はこれは無利子金融ではなくて、実は助成金という形でやっていたのであります。それをことしから特別な県で特別会計を設けまして、無利子融資するという形に改めたのでありまして、これは実は私が就任する前にそういうことになっておるわけでありまして、現在これを実行いたしておるわけでありますが、われわれの方としましては災害等につきましては特別な助成金を出すということは積極的に考えてみたいと思っております。  それからもう一つ共済制度の問題につきましては、現在におきましてもこれは県によってはないところもありますが、各県によりまして組合による共済制度というのができておるわけでありまして、それに対しまして県の方である程度援助をそれぞれやっておるわけであります。ただ遺憾ながら、やはり国として特別の援助は何もいたしておりませんので、私の方としましては、こういうことについてもやはり国が特別に援助をすべきじゃないかということで、現在いろいろ検討いたしております。積極的にこういう問題については、一つ何か実現し得るような方向にもっていきたいと考えているわけであります。  それから共済制度の問題について、たとえば大館大火につきましては共済組合があるわけなんですが、その共済する金が足りなくてこれを何とか中金の方から特別に融資してもらいたいという話もありまして、金額はまだはっきりきまっておりませんが、ある程度金額を出すということになっておるわけであります。私どもとしましては、こういう天災による災害につきましては、どうしてもやはり国として特別な措置をとっていくのが当り前じゃないだろうかというふうに考えまして、私自身としましてはきわめて積極的に考えています。
  16. 赤路友藏

    赤路委員 今回上長官からいろいろお話を承わったのですが、ちょうど長官のおっしゃった通り、農民なり漁民なりに対しては利子補給なり何なりで非常に金利を下げる方法を講じておられます。私どもここで中小企業の問題を取り上げるのはいささか場違いかと思いますけれども、今までの御答弁を承わっておりますと、一応中小企業振興審議会の方で、そういうような恒久的なものとして、災害を受けた場合における対策に対する立法作業をしておられる、けっこうなことでございますが、今立法作業をされておるのはいつでき上るかわからないわけであります。そこで当面、台風十二号でひどくやられておるところがあるのですが、いろいろワクの増額をしていただきましてやっておりますから、やはり何といっても金利の問題が相当当面大きな問題だと思うわけなんです。金利引き下げということは行政措置でありませんが、その点特別に立法をしなければいけないのか、大蔵省なりあるいはこれら関係金融機関と話し合って何とかそこで特別に金利をこの際引き下げるという方法はないものだろうか、この点いかがでしょうか。
  17. 川上為治

    川上説明員 これは別に法律では必要ないと思うのですが、たとえば国民金融公庫利子を特別な場合においては引き下げるということは、別に法律改正という問題では私はないと思っておりますが、この問題につきましてもいろいろ検討をしたのですけれども、従来のいきさつもあり、また金利の問題よりもやはりこの際早急に金を貸し出すということが一番大事な問題であるということに判定いたしまして、そうして一応金利につきましては九分六一厘ということで出すことになっておりまして、特別な措置金利については講じておりません。
  18. 赤路友藏

    赤路委員 そうではないのです。よくわかるのですよ。その金利の問題よりも早く金を貸してやるということが重大だ。これはよくわかります。しかし早く金を貸してやるとともに金利を下げてやるということが、ほんとうにこの零細なものを立ち上らせるゆえんだと私は思う。そこで従来のいきさつというお話がございましたが、従来そういうことをやっていなかったということが私は大きな誤りだと思う。何も全然金利を下げるという、そういうケースがないんじゃないですから、長官がおっしゃる通り、すでにもう農林関係でも漁業関係でも、災害のたびにそういうことをやっておるのだから、中小企業者だけそのワク外であるということはないと思う。先ほど井手委員が少し強い言葉で言ったようですが、これは中小企業庁ほんとうに腹をきめてかかっていただけばやれることだと思います。私たちはそれに対しては十分協力をいたしますから、この際一つ長官は腹をきめて、そうしてワクを拡大していただくことはけっこうです。これと同事に金利を下げる交渉をやっていただきたい。
  19. 川上為治

    川上説明員 この問題につきましては、私の方もいろいろ関係の方と相談をしまして、金利の問題よりも早く金を貸すことが大事だということで一応そういうことにしたわけであります。なお金利引き下げの問題につきましては、われわれの方でもさらに御要望に沿って十分研究いたして、もしどうしても下げなければならぬというような問題でありますれば、特別な措置をするように相談したいと思います。
  20. 稲富稜人

    稲富委員 長官結論的に申し上げたいと思うのですが、ただいま赤路、井出両委員から、いろいろ中小企業対策に対しての御質問をしたのですけれども結論は、あなたの方で金を貸すことと、それと同時に当然利を下げること、これができなければ利子補給をやる、こういうことになってくると思います。そうすると立法措置の必要がある。そういう場合に、政府としては政府提案として立法措置をやるようなお考えがあるかどうか。政府としてそこまで進んでいないということになれば、議員立法としてそういうものを提出した場合に、政府はこれに対してどういうような考えでこれを受けて立つか。結論はここにあると思うのです。次の国会に政府として積極的に立法措置をやらないとすれば、当然議員立法か何かの形をもって応じなければならないと思うのですが、その点あなたの方の心構えを聞いておきたいと思いまする
  21. 川上為治

    川上説明員 私としましては、これはやはり農業者あるいは漁業者と同じように、それと同じに軒を並べているようなところの中小企業に対しましては、特別な措置をとるべきだ。ですからそういう立法措置を講じたいというふうに考えておりますが、これは大蔵省と十分相談しなければなりませんので、果して政府提案ということになりますか、この点は十分検討をした上でやりたいと思うのであります。なお案の問題につきましては、現在内閣中小企業振興審議会というものができておりますから、この意見も十分私の方としては聞かなければなりませんので、この審議会にもこの問題を提出して現在いろいろ研究さしてもらっております。
  22. 稲富稜人

    稲富委員 大蔵省は来ておりますか。
  23. 田口長治郎

    田口委員長代理 あとで主計局次長を呼んで答弁してもらうことにいたしましょう。  川上長官に私からも要請しておきますが、九号、十二号の台風食品工場海岸地帯にありますために、非常にたくさんやられております。中小企業金融公庫を設立します際に、農林漁業金融公庫とどの線で区別をするか、こういうことで盛んに議論になったんですが、結局農林漁業金融公庫生産者ということにして、それから先は一つ中小企業金融公庫に預けよう、こういうような関係食品工場災害復旧融資の問題は、中小企業金融公庫以外には、どうも融資するところがないわけなんです。おそらく農林省からあなたの方に折衝しておられると思いますけれども、これはどうしても中小企業金融公庫融資をする、この方法よりほかにないし、それが一番筋が立ちますから、そういうことに一つ処置してもらいたいということと、それから先般の大館大火の場合の食品工場に対する融資金額、あなたの方から下の方に流しておられる金額は、個人の場合は百五十万円ですか、組合の場合は四百五十万までというようなことを流しておられるように聞いておるわけなんでございますが、今回の海岸地帯食品工場被害というものは、一工場で三千五百万円程度被害があるし、しかもこれらの工場輸出製品を盛んに製造しておる。付近の連中はこの工場によって飯を食っておる、こういうような事情にあるのでございますから、金額を百五十万あるいは四百五十万と、こうきめられてはこれはとうてい追いつかないことでございますから、この金額を増額されるということについて農林省から折衝中だと思いますが、長官一つのみ込んでおいていただきたい。その点を要請しておきます。
  24. 川上為治

    川上説明員 食品工場の問題につきましては、私はこれはやはり組合に入っていなければ別ですが、組合に入っているものにつきましては中小企業金融公庫の方から当然貸し出し得るものだというように考えております。具体的には私まだ全然聞いておりませんので、十分聞きました上で善処することにしたいと思います。なお大館の火事の際におきましては百五十万円、四百五十万円というワクがある。これは一般の原則論だと思います。ですから非常に特別な工場であって、その再起のためには相当な金が必要であるということであれば、中小企業金融公庫としましては三千万円まではよろしいということになっておりますので、そういうことを通用すればよいのではないかというふうに考えております。
  25. 田口長治郎

    田口委員長代理 大館の場合多分そのワク程度でおさまる災害だったろうと思いますが、実情によってぜひ御考慮願いたいということを要請しておきます。
  26. 石坂繁

    石坂委員 議事進行について。先ほど来の中小企業関係の問題は、局長より大蔵省の御意見を確かめたいので、明日でも委員長において適当にお計らいを願います。
  27. 田口長治郎

    田口委員長代理 主計局から一つ願いましょう。厚生省がおいでになっております。厚生省は尾崎保護課長と鶴田施設課長でございますが……。
  28. 石坂繁

    石坂委員 罹災住宅について若干伺いたいのですけれども、これは公営住宅あるいは住宅金融公庫関係でありますから、建設省関係の方がお見えになっておりませんければどうであろうか。厚生省関係を離れていると思います。従って私はそう長く時間はかかりませんが、明日ということにしていただきたいと思います。
  29. 田口長治郎

    田口委員長代理 厚生省関係は別に御質問ございませんか。
  30. 井手以誠

    井手委員 私は先般の小委員会において、天災を受けた者の生活困窮者に対しては、従来の基準にとらわれず、財産があるから云々ということではなくて、特別の措置をもって生活保護法を適用してもらいたいということを御相談した。それを厚生省で検討した上で地方庁に通達を出そうというお話でございます。それがどうなっているかお尋ねいたしたい。
  31. 尾崎重毅

    尾崎説明員 先般もそういう御質問がございましたのですが、そのとき私は、天災あるいは災害による生活の困窮というものに対しては、生活保護法の一般原則で律するというのが生活保護法の建前でございますし、その生活保護法以外に新たなる法令をつくるという考えはないというふうにお答え申し上げました。なおその運用については、いわゆる特別の事態であるので、いろいろ手抜かりのないように、その手抜かりのないようなことについて通牒でも出したらどうかというような御注文が、ございましたので、その点帰りまして局長に御報告申し上げました。まことに、ごもっともであるようであります。ただ文書による通牒ということは、そういうお気持を的確に伝えるにはふさわしくないだろう。そういうような意味の御要求は、あるいは御注文は、従来も災害に関連しまして、いろいろ局長御自身が伺っておるようであります。その点は従来といえども遺憾のないように通達はしておるが、なおそういうようなお話があれば、徹底するようにということで、最近でございましたか、佐賀県からも所管の課長が参りまして、井出先生からこういうお話もあったがゆえに、よく法の運用については気をつけてやるように、遺憾のないようにということはし伝えてございます。そういうことで局長とも十分生活保護法の運用ということについて遺憾のないように処置をしておるつもりであります。
  32. 井手以誠

    井手委員 一般の生活保護については大体承知いたしておりますが、農地を持っておる農家、あるいは家を持っておる、若干漁具を持っておる漁民に対しては、財産があるからといっていかに困窮し、その日の生活に困っておっても生活保護法の対象にはならないようであります。たとえば今回の災害のように、農作物は全滅をして完全にいかれてしまっておる。しかも家は倒されてその家の跡始末から復旧について走り回っておる者が、別に現金収入を得るという余裕はないのであります。そういう者に対しては、やはり従来の基準にとらわれず、法の解釈、運用を最大限まで発揮して、私はその月に現金収入の見込みのない者に対しては、若干農地を持っておるからといっても、自分の家であるからといっても、やはり生活保護の対象にすべきものではないか。まあよく聞きますと、お前の方はミシンがあるから生活保護の対象にならぬとか、非常に窮屈なことをおっしゃるようです。なるほど考えてみればミシンを売ってもいいのではないかと思います。しかしまたそのミシンがあることによって将来現金収入の道も——半年先、一年先にはそれはわかりませんけれども、いつかのある日にはミシンを持っておることによって現金収入の道もあり、未亡人に対しては細々と生活を維持する道も残されておる。ところがそういう者に対して、ミシンがあるからといって生活保護法の対象にならないとは私は酷だと思う。特に災害を受けた場合には、農地を持っておるから、財産があるから、こうおっしゃいますけれども、その農地というものは一年に一回しか水稲からは収入があがらないのであります。農作物が全滅するような場合には、相当決定的な打撃を受けておるという災害者の立場を考えますならば、私はただ運用をもっとよくしてくれということだけでなくて、もし法の改正を必要とするならば法の改正を用意しておりますとか、何とか方法があるように思うのですが、その点はいかがですか。
  33. 尾崎重毅

    尾崎説明員 今お仰せの点はまことにごもっともだと思います。ただ私ども生活保護法の運営に当りますときに、それは一般的に気をつけなければならない点として、ただいまの御意見は十分拝聴しなければならないことと思いますが、たとえば生活に困窮した際に、わずかばかりの田畑がある、あるいは小さいながらも自分の家がある、あるいはミシンがあるというような場合に、一応保護法の条文からいたしますと、その所有する資産あるいはその人の能力、これを最大限に活用して、なおかつ困窮するときに保護をしなさいということになっております。しかしこの資産と能力の活用というものは、自分の持っておるものは全部売ってしまえとか、そういう運用の仕方をすることにはなっておりません。当然その人の自立更生ということをあわせて考えなければならないというふうにしてあるわけです。ちょっと一般的な話になって恐縮でございますが、そういう事柄からいたしまして、いわゆるその人の自立更生に不必要と思われるような資産は処分しろという建前でございまして、今御指摘のそういう事例につきまして、土地を持っているからあすの米にも困るという人の生活保護をしないとか、あるいはそういう土地、家屋、ミシンというようなものを売らなければ生活扶助の金は出さない、そういうふうな運営はしていないつもりでございます。従いましてもしそういう具体的事例がございましたら、私どもその点は十分間違ったことのないように徹底さすつもりでございます。
  34. 井手以誠

    井手委員 課長さんはそうおっしゃいますけれども地方に参りますとそういう冷酷なやり方が、特に最近は予算を締められたためにひどいようであります。私は何も作って申すわけではございません。先般私は地方に参りまして聞いたことは、実は私は家内を離縁しました。家内が失対事業に行って、月に三千幾ら二百円ばかり収入があるために、自分は肺病でもう死にかかっておるけれども病院を追い出された。金は納められぬ。そういうことから嫁御に収入が三千何百円あったからといって医療保護の対象にならなかった。やむを得ないから私は家内を離縁しましたという話すら私は聞きました。これは水害とは直接関係がありませんから恐縮でありますけれども、そういう冷酷な実情もございます。佐賀県伊万里市山代町向山炭鉱の大棚龍太郎という人がその該当者であります。これは一人ばかりではありません、ほかにも離縁した人が何人もある、そういう実情です。この点はきょうは社会労働委員会でもございませんから、私はこれ以上は申し上げませんけれども、適用に当って、ただ法を正面から窮屈にばかり解釈して適用をなさっておる末端機関があることを一つ考えになって、その運用には十分の御注意を願いたい。それとともに天災を受けました場合には、なるほど働く能力は持っておりましても、現金収入——土方の道もないでしょうけれども、かりにありましても、家を倒されたというような場合にはそういう余裕はないのでありますから、一つ災害を受けた者に対しては特別の運用をするように、あらゆる機会を通じて一つ徹底をしていただきたいことを要望いたしまして、生活保護に関する問題を打ち切りたいと存じます。  続いて住宅関係をお尋ねしたいと存じます。私はここで法律案を持っておりませんのでわかりませんが、災害を受けた場合の住宅、あれは仮設住宅でありますが、幾らになっておりましたか。全壊した被害者の何割でございましたか、ちょっとお聞かせを願います。
  35. 鶴田寛

    鶴田説明員 全壊流失の三割ということになっております。
  36. 井手以誠

    井手委員 実は失念いたしておりましたが、昭和二十八年のときにずいぶん引き上げに苦労したことがございました。今記憶を呼び戻しました。ところが今回の災害を見ておりますると、多くの人家の中で、あの家が流された、この家が全壊したというようなことが、従来の災害には多かったのでありますが、今回は長崎県などを見て回りますと、ここで三十戸、ここで五十戸といって、集団的に流失、全壊という被害を受けておるのでございます。先般も千々石町その他に参りまして感づいたことは、せっかくその法律の恩典は受けておりますけれども、五十戸の全壊被害者があるにかかわらず二十戸ばかりしか家は建っておらない。そのあと三十戸はとほうにくれておるという実情もあるのであります。従ってこれは立法関係になるかもしれませんけれども、そういうふうに集団的に一カ所三十戸、五十一尺あるいは八十戸という壊滅的な被害を受けたような場合は、その比率は非常に低いではないか、かように考えるのであります。ある市村町長のお話によると、市町村が保証してもよいから、何か融資の道でもというような御相談もありました。従ってこういうふうに集団的な被害を取けました場合は、特例によってもっと率を引き上げる御用意が厚生省におありになるか、その立法措置をなさる御用意があるかどうか。その点を承わっておきたい。
  37. 鶴田寛

    鶴田説明員 先ほど申し上げました流失全壊の三割というのは、現在実は御承知のように恒久的な住宅の問題につきましては建設省の所管でございまして、災害救助法で考えております三割というのは、さしあたり本人が自立して、自己の力で住まうところを得られない人たちが三割ぐらいだろうという見当のもとに、あの三割というのがきめられておるわけであります。従いましてあとの七割というものは、三割が災害住宅、これは建設省関係でございますが、そっちの方でやっていく。それからさらにあとの三割が住宅金融公庫の貸付金の関係で家を建ててもらう。さらに最後の一割というものは、これは自分の力で何とかやっていける人たちであろうというような関係で、これは建設省と了解の上で、災害救助の三割というものがきめられておるわけでありまして、たとえば五十戸の聚落の部落が三十戸やられたというような場合、あるいは五百戸に対するそういうような場合、問題はそれぞれあると思いますが、一定の基準がありませんと、私ども事務的にどうしても処理ができないわけでございまして、厚生大臣が基準を設けておるわけでございますが、従来の例から申しますと、大体三割でそう窮屈なことはないのじゃないかというふうに考えられております。
  38. 井手以誠

    井手委員 最後の窮屈でないではないかということの認識にやはり違いがあるわけだと思うのです。一ぺん一つ罹災地を御視察願いたいと思います。申し上げるまでもなく、罹災を受ける場合、これを農地で申しまするならば、災害を受けるような農地は、これは下田のところが多いのであります。従って零細農が多く持っておる。これは大体言えると思う。また水害を受けるような地帯に家を建てておる人は、漁民であるとかあるいは裕福でない人が多いのであります。余裕を持つておる人は宅地もありましょうし、あるいは別に買うこともできましょう。安全な地帯に建設することができるはずでありますけれども、それができないところにそういう気の毒な人々が多く集まっているというのが実情であろうと存じております。従って、三割でよかろうとおっしゃいますが、私の見た目では、やはり八割から九割まではその必要があろうと考えられる。次の三割はどこで、あとの三割はどこで、最後の一割が自己資金だ、こうおつしゃいますけれども、私が今度見て参りました漁村地帯などを考えてみますると、自己資金であるとか、他にたよるとか、あるいは恒久住宅を簡単に建てられるというような人はほとんどなかったのです。こういうことを考えますと、やはりあなた方の所管である仮設住宅の三割の基準はもっと引き上げていただきたいと思うのです。一般的な例で申しますならば、火災なんかでは金持ちが焼ける場合もありましょうし、中堅の人々の罹災者もかなりあるでありましょう。しかし水害とかいうことになりますと、多くは割に所得の少い、生活の豊かでない人が多いのであります。その点、私はあなたに十分民情の御調査を願いたい。東京ばかりにいらっしゃるとおわかりにならないかもしれませんから、十分現地も御調査をなさって、基準の引き上げに御努力をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。もし立法の必要があれば改正案でも提出されたい。あるいは行政措置でよければ大臣と御相談になって引き上げていただきたい、これを要望いたすのであります。
  39. 鶴田寛

    鶴田説明員 実態の認識不足ではないかというお話でございますが、実は私は大体大きな災害現地には参っておりまして、そういうお話も決して今まで聞いていないわけではございません。ただ、これは運用の面の問題でございますけれども、現在でも三割という線でやっておるわけでございますが、三割に対応するところの戸数を建てる。ところが実際それに入るという段になった場合に、入り手がなくて非常にあとで困った問題が多々あったわけでございます。確かに今のお話のよに、三割ではどうしても間に合わぬというところもあろうかと思いますが、今まで私どもは県の声もよく聞き、町村長さん方の御意見もいろいろ承わって、先ほど申し上げたように、現在のところでは三割でちょうどいいところじゃないかというふうに思っておるわけでございますが、これの改定は法律の改正は要しませんで、行政措置でできることでございますので、上司とも諮って一つ研究さしていただきたいと思います。
  40. 井手以誠

    井手委員 立法措置でなくして行政措置でいいとおっしゃいますなら、もし知事なり市町村長から実情をつまびらかにして御相談があれば、六割でも七割でもできるわけでございますか。
  41. 鶴田寛

    鶴田説明員 そのつど現地要望に必ずしもお答えすることはできないじゃないかと思います。と申しますのは、この基準は厚生大臣が定めることになっておりますので、厚生大臣がその基準を定める場合に何割にするかという問題だと思います。四割ということになりますと、四割以上は無理だ、五割ということになりますと五割まではやれるということになると思います。
  42. 井手以誠

    井手委員 その場合、基準はありましょうけれども、何の問題でも例外ということがあるわけです。従って基準だけにとらわれることなく、必要な場合にはこれを引き上げることができるように改めていただけぬのですか。省内でそういう御協議は願えませんか。
  43. 鶴田寛

    鶴田説明員 それは帰って上と相談することにいたしたいと思います。
  44. 田口長治郎

    田口委員長代理 運輸省天埜港湾局長出席になっておりますので、御質疑をお願いします。
  45. 井手以誠

    井手委員 当委員会では九号並びに十二号台風による災害対策を審議いたしておりますが、最初に問題になりますことは、運輸省の所管を含めて海岸線の所管の問題であります。漁港の用途であっても商港を兼ねているために運輸省の所管になっている。いろいろなことで、地元から申しますならば、国は一つであるからやはり同様な災害対策を願いたい、こういう切実な要望があります。そこでお尋ねいたします。運輸省に関係する商港が方々で被害を受けているようであります。直接災害復旧に該当するものも多いし、またあれだけの台風でございましたので、かりに災害復旧工事に該当しない場所でも堤塘なり防波堤なりは非常に軟弱化しておりまして、いつ崩壊するかわからないという危険にさらされているところが非常に多いのであります。たとえば口之津のごとき。そこでこの災害復旧についてどのようにお考えになっているか。今日までお伺いしたところによりますと、建設省や農林省は実情をよく御調査になりまして地元の要望通り海岸関係についてはできるだけ単年度でやりたい、こういう格別の御配慮もあるようであります。おそらく運輸省でもそういうおぼしめしであろうと存じておりますが、この機会にそういう災害復旧の方針を承わっておきたいと思います。
  46. 天埜良吉

    天埜説明員 ただいま漁港の用途であっても商港の指定を運輸省でやっているというお話でございました。その点について一言申し上げます。港湾につきましては原則として運輸省でやることになっておりまして、そのうちもっぱら漁業の用に供する漁港についてのみ農林省ということになっておりまして、漁業に使っておりましてもその他に使っておりましても、漁港の指定をしないうちは運輸省でやることになっております。それから次の点でございますが、港湾の区域内の海岸堤塘につきましては、これは運輸省の所管といたしまして責任を持ってやっておるわけでありまして、その点漁港につきまして農林省がやり、その他について建設省がやるというような点一貫性もございますし、同一の湾内で同じような高潮が来るというようなことも考えられますので、その点は連絡を密にしております。そこで考えられる高潮に対して十分対応できる構造、高さによって復旧していきたいという方針でおります。それから海岸の工事は非常に急ぎますので、これは一カ所こわれていてもすぐ次にやられるということがございます。御指摘の通りでございまして、私の方といたしましても、普通の港湾災害は三・五・二でやっていきたい方針でおりますが、それにもかかわらず堤塘につきましては何とかして一年次でやっていくという心がまえでおります。ただ、実は九号、十二号につきましては、私の方は九号が起りました際に、非常に事態容易ならぬということで災害査定に先だちましてすぐに係官を派遣いたしまして、そうして各箇所について応急の復旧方針の打ち合せと指示をさせるようにいたしました。しかし実際の災害査定につきましては、これは県の方の事務の都合上非常に手が足りなくて因っておられまして、ことに漁港の災害の査定をする手と、普通の港湾災害の査定をする手とが重複いたしますので、それに非常にお忙しいので、それでは漁港の分を先にやっていただきましょう、その後応急の指示はしてありますし、方針も打ち合せをしてありますので、さしあたりのさしつかえはまず少いと考えられるので、あとにいたしましょう、こう言っておりましたところ、また次の大災害が起りましたので、それでこれはもう放任できないということで一括参りまして、去る二日に大体査定を終りまして、ただいま帰京の途にあります。従って詳しい箇所ごとのことはまだ実はわかっておりません。しかし大体のことはさしあたり九号のときに派遣した係官からよく事情を聞いておりまして、今のような海岸のことについては、どうしても一カ年でやってしまわなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  47. 井手以誠

    井手委員 一番大事な最後のところが少りわかりかねたのでございますが、おそらく一カ年でやりたいというお言葉ではなかったかと思います。申し上げるまでもなく私が見ました長崎の茂木港、口之津港、佐賀県の大浦港は、商港になっておるかどうか私ははっきりいたしませんが、いずれも南の方に湾が開けております。どこでも跡形もないような非常な被害を受けておるのであります。しかもその工法を考えますと非常に脆弱だ、こういうふうに私ども考えるのでありまして、その商港は風雨のときには避難港にもなるでありましょう。いろいろ考えますと、これが復旧は非常に急を要するのであります。漁港ももちろん急を要しますけれども、商港は定期船の発着からいろいろなことを考えますと、非常に急を要する問題でございますが、どうしてもこの点は単年度で復旧してもらいたい、農林省、建設省では、大体海岸線の緊要なものについては年度内に八割くらいは予算を出して、残るものは来年早々出して、来年の台風まで、いな水稲移植期くらいまでには全部完了したいというお言葉でございます。そこでもう一点はっきりと、いつまでに御完成なさる御意思であるかどうか、その点を第一にお伺いをいたします。  続いてその防波堤などを見て参りますと、先刻も申しましたように非常に脆弱である、あるいは裏落ちをしておりまして、それによる決壊が多かった、これらを考えますと、従来の原形復旧だけでははなはだ危険でございます。おそらくあなたの方でも改良というよりも、災害がないように若干の改良の意味のものをなさるであろうとは考えておりますけれども、その分についてどのようにお考えになっておるか、それが第二点、第三点は、その災害復旧工事に至らないものも非常に弱っております。空洞になったところもたくさんございます。あるいは護岸がのこの歯のように非常にこわれて、これまた裏落ちその他によって災害復旧工事には該当しないけれども、きわめて危険な場所が多いのでありますが、この点につきましては防災工事と申しますか、そういったことについてどのようにお考えになっておるのか、建設省、農林省では今回は特別の措置をもってそういう防災工事もやっていきたいというお考えのようでございますが、運輸省の御方針を承わりたいと思います。
  48. 天埜良吉

    天埜説明員 第一の点でございますが、海岸堤防、ことに農地を守るべき堤塘について、いつまでに直すかというお話でございますが、十二号の分は係官を直ちに派遣するというのと同時に査定に行っております。まだその報告を受けておりませんから全貌がわかりませんけれども、少くとも九号について破壊を受けました海岸の堤防につきましては、水稲を植えなければならぬ時分までには確実に直せるつもりでおります。  それから第二点の構造の点でございます。これはあの方面の、ことに比較的小さい港の分の堤防その他につきましては、空石積みとかいうような構造でございまして、弱かったものでございます。これらにつきましては、やはり構造を近代的なコンクリート構造にして、根入りを深くいたしまして、底幅も十分耐えるだけの強度に直す災害復旧にいたしたい、こういうふうに考えております。  第三の点でございますが、火災復旧工事としては取れないけれども、非常に脆弱になっている部分がたくさんあるに違いない、これはあると思います。そういうような分につきましては、私は特別な措置という点がよくわからなかったのでございますが、これは防災工事もございますし、大体私の方で九号について考えておりますところでは、土木助成の工事をやっておるところがございますので、この分とあわせまして早急に復旧したい、こういうふうに考えております。
  49. 井手以誠

    井手委員 ただいまの御答弁によりますと、来年春ごろには完了するというお言葉でございました。それで関係地も関係者も大体安堵するであろうと存じます。どうぞ一つすみやかに復旧できますように、また再び崩壊する危険のないように万全の措置をとられますよう要望いたしまして質問を打ち切ります。
  50. 田口長治郎

    田口委員長代理 今の問題に関連しまして主計官にお伺いする次第ですが、防災事業でやります場合は補助が五割程度だったですね。地元が九号、十二号で災害を受けた、それが災害に乗らないで防災でやらなければならぬ、こういうことで地元負担という点におきまして五割ではなかなかできないという問題があるのです。そうかといって放任しておきますと、今度は大きな災害がやってくる、この防災の補助率を災害の分に限ってもうちょっといわゆる災害に相当する率にしていただかなければ実際は実行ができないと思うのですが、この点について何か御意見はございませんでしょうか。
  51. 松永勇

    松永説明員 災害につきましては全額国庫補助のものも国庫負担のものもございますわけでありますが、災害という異例のものにつきましては、国の方が非常に負担を多くするというふうにでき上っておりますが、そのほかの面につきましてたとえば今の防災ということにつきましては、これは現在のところでは、全体のバランスの上からそういう負担率になっておるのでございます。今急にこれを改正するということは、全体とのバランスを見ながら考えていかなければならないと思われますので、検討してみたいと思います。
  52. 田口長治郎

    田口委員長代理 この防災を要する原因が、長い期間に少しずつそこに至った場合と、こういう台風その他による災害によって防災を必要とする事情に立ち至ったこととは、非常に事情が違うと思うのです。これが全部こわれてしまえば災害に乗るが、ちょっと押せばこわれてしまうというふうな状態にあってもこれは災害に乗らない。その点災害として認めなければならないものを認めないところに、むしろ原因があるのではないかしらんと思うのですが、全体の補助率のバランスその他ということになれば、やっぱり防災を必要とする原因にさかのぼらなければわからないと思うのです。実際に現場を見て歩きますと、もう一押しくればがらっと災害に乗る状態になってしまう。しかも国としては多額の国費を費さなければならぬような状態になってしまう。今であればそこまでいかないで、わずかの金でできるのだが、原因はどうも台風にあるので、これを防災なるがゆえに率が低い、災害なるがゆえに率が高いということに区別されることが、そこに非常におかしいことがあるのじゃないかと思うのです。私も、自然に長い間に防災を必要とする事情に至っている、こういうものについては一般の率でいいと思いますけれども、全くの災害なんで、九号台風、十二号台風がなければそこにいかなかったやつが、あの台風のためにそうなっているのですから、これは名事前はどうでもようございますけれども、実際に実行のできる、災害と同じ待遇にされることがしかるべきじゃないか、こう考える次第ですが……。
  53. 松永勇

    松永説明員 今までのところでは、先ほども申し上げましたように、災害が起きたものの復旧、国としては復旧までについては、これは全体の財源の関係から、非常に高率の負担をもってやっているわけであります。それに伴う改良事業ということも、もちろん現在はできるようになっておりまして、改良の関係もこれに加えてやっているのでございます。防災事業につきましても、現在のところではそこに一線を画して、負担率を変えなければ全体のバランスがとれていない——とれていないと申しますか、非常に多くの経費を要するということからきておりまして、災害復旧のみで三十一年度四百四十億近い金になっておりますけれども、全体の災害復旧金額が減ってくるというような時代になりますれば、そういう点も十分検討してみたいと思っております。
  54. 田口長治郎

    田口委員長代理 原因は台風によって起ったことです。テンバの石はずっと連なっているが、基礎の方の石はこわれてしまっている。そういうことなんですから、災害と認めてやるべきものだと考えるわけですが、これは全般的に関係するでしょうから、一つあとでよく研究してみて下さい。至るところでこれが問題になるようですから……。  今建設省の稗田住宅建設課長がお見えになりましたが、何かございましょうか……。
  55. 白浜仁吉

    ○白浜小委員 水産庁次長にお尋ねしますが、漁港の指定、未指定という問題にからみまして、今度の災害の扱いをどういうふうにされるか。開くところによると、審議委員が欠員になっているので、指定も非常におくれているというようなことから、災害地としても非常に心配をしておられるのですが、これに対する考え方を一つ承わっておきたいと思います。
  56. 奧原日出男

    ○奥原説明員 災害を受けました港湾の中で、現に漁港の指定を受けていないものの措置をどうするかということで、現地にいろいろ問題が起っているということも承知いたしております。これにつきましては、具体的な問題につきまして運輸省との間に十分連絡をいたしまして、漁業の根拠地として、あるいは漁業上使用する港として取り上げるべき必要のあるものにつきましては漁港の追加指定をしていく、そういうことによって将来災害が起りました場合に、水産庁として処理すべきものにつきましては線をはっきりさせるということにいたしたい、かように考えております。
  57. 白浜仁吉

    ○白浜小委員 今後の問題は別としまして、今次の九号、十二号に対する措置をお尋ねしているわけです。  もう一つお聞きしておきたいのは、いわゆる漁港指定の申請もしていない。ところが実際はこれを港湾として扱われるとしましても、実際の面で使っているのは漁港が主である。しかし漁港の指定になっていない。いわゆる町村の船だまりとしてこれが使われているというふうなものが今度の災害を受けた。しかもこれは国庫の補助も何もないということになりますと、今までの漁村がつぶれるもとになるというふうなことに相なりますので、この辺の扱いをどうされるかを、もう一度お伺いしたいのであります。
  58. 奧原日出男

    ○奥原説明員 漁港の指定をされていないものにつきましては、先ほども港湾局長からお話のありましたように、これは運輸省の所管ということに相なるのであります。従って当面運輸省においてこれが災害復旧をしていただくように、具体的なケースについてよく連絡をいたしたい、かように考えます。
  59. 白浜仁吉

    ○白浜小委員 港湾局は見えておりますか。——それでは水産庁の次長にお願いしておきますが、今港湾局の方はお帰りになったそうですから、よくその点連絡をしまして、万全を期してもらいたいということをお願いしておきます。
  60. 奧原日出男

    ○奥原説明員 ただいまお尋ねのありましたものは、水産庁としましては目下漁港指定の申請のあったものにつきましては、これは水産庁として漁港の災害復旧でこれを取り上げるというふうなことの方角に善処いたしたい、かように考え検討いたしております。
  61. 白浜仁吉

    ○白浜小委員 もう一つお尋ねしておきたいのは、現地を見て参りますと、実際問題として、もう漁船が出入りできないというふうな状態の、ほんとうの意味の壊滅状態になっている漁港がたくさんあるわけでありますが、私どもがきめました法律で大体三年以内でやる、しかも三、五、二の比率でやるというふうなことが今まで言われておるのでありますけれども、全体の漁港についてこれを単年度で復旧しろということも非常に無理かと思いますけれども、重点的にそういうようなところを一つ勘案して処置をしてもらいたい。数港のうちの中心地だけでもやるとか、そういうふうな面についての善処方を特にお願いをするわけでありますが、水産庁の方でどんなふうにお考えになっておられますか。
  62. 奧原日出男

    ○奥原説明員 漁港の災害復旧につきましては、ただいまお話のありましたように、全体といたしましては三、五、二という比率によって計画的に実行いたして参りたい、かように考えております。しかしながらその中で取り上げて参りまする先後に関しましては、これはわれわれの査定の基準におきましては四つの段階を設けて、緊要なものからやっていく、こういうことに相なっているのであります。従って個々の具体的の地点におきましては、実情によりましては県とも十分打ち合せをいたしまして短期間にこれを復旧させるということは可能に相なっているのでございまして、実情に即するように善処いたしたい、かように考えております。
  63. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。漁港の被害については九号、十二号台風被害の特徴でありまして特に漁港の復旧を急がなければなりませんが、ただいま田口委員からお話のあった点で、漁港はすべて緊要なものとしてお考えになっておる。ほとんど役に立たないというようなところが多くあると思うのですが、普通の場合ならば、緊要なものといえば大体六割から六割五分と私ども聞いておるのであります。その緊要なものとは漁港は全部入るのか、あるいは大体九割見込んであるのか、それをまずお聞きしたい。
  64. 奧原日出男

    ○奥原説明員 漁港の災害復旧の緊要分といたしましては、一般的な予算の上の認定におきましては大体七割見当、こういうふうに考えております。しかしながら具体的なケースによりましてはこれは全体の九割も緊要復旧を要するというものは少くないのでありまして、そういうものについてはかようなことによって善処して参りたいと考えております。
  65. 井手以誠

    井手委員 私がお尋ねしているのは、一般的な災害復旧における緊要なものとは大体六割から六割五分程度と聞いております。いわゆる三カ年で復旧するものとは、六割から六割五分と聞いておるが、漁港の場合には幾らかと聞いておるわけです。
  66. 奧原日出男

    ○奥原説明員 漁港の場合におきましては大体七割、こういうことに相なっております。しかしながらそのときの災害の査定の状況によりましては、われわれは九割くらい緊急分というものがあるんじゃないか、こういうようなことで予算の折衝をいたして参りたい、かように考えております。
  67. 井手以誠

    井手委員 それでは緊要なものとは漁港については最低七割、今回はさらに努力をして九割くらいまで取りたい、こういう御答弁のように承わってよろしゅうございますか。
  68. 奧原日出男

    ○奥原説明員 お話通りであります。
  69. 井手以誠

    井手委員 そこで先刻あなたは四段階に分けて、緊要なものからなるべく早く復旧しますということでありました。あまりくどく言うことは失礼かと思いますが、災害復旧についてはにがい経験を毎年やっておりますので、私は特にお尋ねしたのでありますが、田口委員からもお話がありましたように、非常に急を要するものが多いのであります。特に周辺に比較的いい港がなくて避難港になっておる漁港もあるのであります。たとえば佐賀県の大浦港のごとく、外側の第一線の防波堤もやられ、第二線の内側の防波堤も破壊されてしまっておる、しかもここは有明干拓の潮どめに要する石を運搬する根拠地でありますので、これは単年度で復旧しなければならぬと考えておるのであります。このように急を要するものについては、先刻来運輸省あるいは建設省、農林省からお話がありますように、特に急を要するものについては単年度で復旧なさる御用意があるかどうか、この点を一つ承わっておきたいと存じます。
  70. 奧原日出男

    ○奥原説明員 現地の実情に基きまして、県とも十分打ち合せをいたしまして、特に緊急なるものにつきましては、場合によれば単年度ということも善処いたして参りたい、かように考えております。
  71. 井手以誠

    井手委員 善処ではなくして、特に必要と認めたものはおやわになりますか、なりませんか。
  72. 奧原日出男

    ○奥原説明員 個所によりましては、そういうことに取り計らうところも当然出て参る、かように考えております。
  73. 井手以誠

    井手委員 同じことを繰り返すようですが、漁港の場合には最初建設したものの都合にもよりましょうけれども、非常に脆弱な石を築いて、あといなかの映画館の表のように薄いコンクリートで張ったようなものが多いのであります。やはり練り積みをしなければならぬと思っております。原形復旧だけでなく、そういった練り積み、あるいは裏落ちのないように強固にするという改良工事も加えておやりになりますか、これが第一点。続いて先刻もお話ししましたけれども災害復旧に該当しない個所の防災補強工事、これはどういうふうにお考えになっておりますか、これを第二点として承わります。
  74. 奧原日出男

    ○奥原説明員 漁港の災害につきましては、漁港の性質上、形式的に原形復旧するということでは、復旧の仕事といたしまして不適当であるという場合が非常に多いのじゃないか、かように考えております。そこでこれは地区地区の状況によって相違があるとは存じますが、一つの例を申し上げますれば、たとえば従来石垣積みでありましたものにつきまして、波がそこに押し寄せてくるというようなおそれのあるところにつきましては、これをコンクリートの練り積みに直す。そういうふうなことはある程度復旧上適当な範囲におきましては、改良的なものもまた原形復旧ということの中に包含されて実施されるものがある、かように考えておるのであります。しかしながらそういうことでまかない切れない改良的な部分につきましては、これは関連工事といたしまして実施いたして、総合的に漁港復旧に遺憾なきように善処いたしたい、かように考えております。  なお当面被災いたしましたものでないものにつきましても、将来の防災を目的といたします工事につきましては、防災工事といたしまして毎年全国にわたりまして実施をいたしておりますので、今後もこの方針を継続して参りたい、かように存じております。
  75. 井手以誠

    井手委員 あとの分の防災補強工事のことですが、毎年度計画的な予算の範囲内でおやりになるということではなくして、どこでも空洞になったり裏側が落ちたり、災害復旧工事に該当しないけれども、ほとんどそれに近いものがたくさんあるわけです。だから来年とか再来年に待つわけにいかない個所が多いのでありますが、これはどうお考えですか。
  76. 奧原日出男

    ○奥原説明員 波で洗われましたそういう部分の補強というようなものにつきましては、これは関連工事として実施をいたして参りたい、かように考えております。
  77. 田口長治郎

  78. 石坂繁

    石坂委員 災害による住宅の復旧の問題について、先ほど厚生省関係につきましては井手委員からいろいろ御質疑があったのでありますが、私は建設省並びに大蔵省の方にお伺いいたしたいのであります。  人間の住宅というものは、これは人間生活の最低限度であります。災害による被災者の人たちも、とにかく当座の雨露をしのぐだけの設備はやっておるかもしれませんけれども、だんだん寒さに向う折柄でありますから、すみやかに復旧しなければなりません。はなはだ気の毒であります。そこでこの復旧につきましては、格別の措置を急がなければならぬ最大の急務だと思いますが、これについて公営住宅関係の問題であります。第二種公営住宅建設費は、三分の二がたしか国庫の補助となっておるようでありますが、その残りの三分の一が地元負担になるかと思います。この地元負担の三分の一について、これは全額すみやかに起債の承認をしていただくべきだと思うのであります。この点について建設省としてのお考え及び大蔵省当局のお考えを承わりたいと思います。
  79. 稗田治

    ○稗田説明員 公営住宅法の八条によりまして、災害が起きました場合、風水害等の場合は、一つ災害で五百戸以上滅失しましたとき、火災の場合は一つの火災で二百戸以上滅失しました場合、それから各地方公共団体の行政区域内で存在しまする戸数の一割以上滅失しました場合、こういった場合が公営住宅法の八条の適用になるわけでございますが、そのときは滅失しました戸数の三割を限度といたしまして、災害公営住宅を建設する場合に国はこれに対して補助する義務を持っておるわけでございます。それで御承知のように公営住宅法は、国と地方公共団体とが共同して住宅を建設していくことになっておりますので、この実際の事業計画と申しますのは、地方公共団体の方の事業主体の方で建設計画を立てまして、それによりましてこちらは戸数の割当その他をいたすわけでございます。それで災害公営住宅の場合には、八条の適用になりました分につきましては、三分の二国庫補助でございますが、残りの三分の一につきましても、これは全額起債ということに相なっておるわけであります。
  80. 石坂繁

    石坂委員 そういたしますと、残りの三分の一の全額起債については問題ないわけですね。
  81. 稗田治

    ○稗田説明員 八条適用の場合は、問題ございません。
  82. 石坂繁

    石坂委員 なお住宅金融公庫の罹災家屋に対するものは、どうしても罹災者には優先的に融資の割当を行わなくちゃならぬ。それからその融資の率が、たしか現行は七割五分、これを行政措置によって八割ないしは八割五分に引き上げることができるのではないかと思いますが、少くともこれは八割程度に引き上げる必要がある。この二点について住宅金融公庫の意見を伺いたい。
  83. 稗田治

    ○稗田説明員 住宅金融公庫の災害の場合の措置でございますが、公営住宅法によりまして八条が適用になった場合に当りましては、住宅金融公庫の方でも、滅失しました戸数の二割ないし三割を特別ワクといたしまして罹災者の方に優先的に割当をしているわけでございます。それで今の融資の率でございますが、法律は木造は八割、それから鉄筋コンクリートのものは八割五分となっているのでございますが、現在はそれが五分ずつ少い融資率を平常の場合はやっているわけでございます。災害の場合はこれを法律の限度まで直しまして、融資をいたしているわけでございます。なおこの八条適用のような大きな災害の場合には、その上に大体三年以内の据置期間を設けて実施しているわけでございます。従いまして三年間は据え置いてございまして、返済期間も償還期間も三年間延長になるという特典があるわけでございます。
  84. 田口長治郎

    田口委員長代理 自治庁の柴田財政課長出席しておられます。
  85. 井手以誠

    井手委員 九号、十二号台風による災害復旧のために地方の負担は非常に重くなっておるのであります。先般の委員会において、私は特に再建団体の地元負担についてはどうしてもらうかということをお尋ねいたしましたが、支障のないようにいたしますということでありました。おそらくそうであろうと存じておりますが、指定事業については実績の七五%に押えるという話があるのですが、これはどうなっておるのでありますか。
  86. 柴田護

    柴田説明員 災害の場合は復旧事業費につきましては国から負担金が出ますが、この負担金の裏づけは全部地方債であります。地方債で許可いたしておきまして、この地方債につきまして翌年度以降その元利償還金の九割五分を交付税の算定基準にする、こういうふうなことであります。指定事業とは一応関係がございません。
  87. 井手以誠

    井手委員 指定事業と関係がなければ、必要なる工事に対しては地元負担は起債その他の方法によって支障のないように進められるということに解釈してよろしゅうございますか。
  88. 柴田護

    柴田説明員 その通りでございます。
  89. 井手以誠

    井手委員 今回の台風被害によりまして、ただいまも申しましたように地元の負担は非常にふえるのであります。そういたしますと、長崎県、佐賀県のごとき再建指定団体におきましては再建計画に大きな支障を来たすと思うのであります。特に先刻来の質疑応答でお感づきになっておったかと思いますが、おそらく防災補強工事が膨大な額に上ると思う。災害復旧工事には至りませんけれども、大体半額を地元負担しなくちゃならない防災補強工事、これがきわめて多いのであります。これらを考えますと、再建指定団体の再建は非常にむずかしくなって参りますが、こういう場合には、再建特別措置法の趣旨にかんがみても、地元負担金を減らすような国庫負担額を引き上げる措置が必要であろうと存ずるのであります。先般の国会において特例法が設けられまして、漁港その他四つ、五つの点については国庫補助率が指定団体には引き上げられたようでありまするが、この防災補強工事など地元負担については、一つこの際国庫負担の比率を引き上げて地元の再建団体が大体年限内に再建できるような特別の取り計らいが必要ではないかと私は思う次第でありますが、その御用意はないか、もし立法措置が必要であれば次の国会に御提出なさる御意思があるかどうか、その点を承わっておきたいと存じます。
  90. 柴田護

    柴田説明員 災害復旧工事のために再建団体の再建に非常に支障があるということは私どもよく了解するところであります。そういう場合におきましては再建計画の変更でございます。普通の災害復旧工事の場合でありますならば災害復旧工事の性格上一応その地方の負担分は地方債でやっておいてその元利償還金を将来見ていくという形で解決していく。ただ今お話がありました防災工事の場合、これは純粋に考えますれば一つの大きな事業になっております。しかし問題は再建団体だけにとどまりませんで、黒字赤字を含めての問題だと私は考えます。黒字赤字を含めて災害関連工事というものをどういう工合に扱うか、その補助率をどうするかという問題は一つの大きな問題であります。両方並行して一つの事業として扱ってもらえぬだろうかという話は毎々大蔵省としたことはありますが、現在はお聞き及びのような状況になっております。なお国庫財政の状況等も関連がございますし、大蔵省ともよく相談して改善の道を講じていくようにいたしたいと思います。
  91. 井手以誠

    井手委員 何も地方公共団体が進んで再建指定団体になったわけではないのであります。金繰りがつかないからやむを得ずしぶしぶ指定を受けたのであります。そして八年か十年間準禁治産者的でやむを得ない、こういうことになっておりますが、ワク外になっておる災害問題をこれに入れて参りますと、十年のものが十五年になる、十二年のものが十八年になるというふうにずっと延びてくると思うのであります。もし別な地方債の問題が解決しないならばずっと延びてくるのじゃないかと私は思います。そこで当面の問題である防災工事など、あなたはただいまほかの府県においても防災工事をやっておるじゃないかという話でございましたが、それとは違うのであります。災害復旧工事に至らないものがその周囲に全面的に起っておるのです。ちょっとの台風でも決壊するような場所がきわめて多いのであります。そういうようなのをほっておくわけには参りませんので、先ほど来主管省が申しておりましたように、防災補強工事をやります。しかしその負担は地元は半額でやるという話、やらないわけには参りませんから、やはり起債その他お願いして工事をやるでありましょうが、その負担というものは将来再建に非常な支障を来すと思う。従って先般の特例法によりまして四つ五つの補助引上げがありましたが、私は同様の措置をぜひ今回とってもらいたいと思う。私は議員立法という手があることも知っておりますけれども、できるならやはり自治庁において立法されたい、私はそれだけの積極的な意思財政課長要望したいのでありますが、いかがでございますか。
  92. 柴田護

    柴田説明員 私が申し上げましたのは、再建団体の事情はよくわかりますが、同じ問題は公共団体においてもある。従って防災工事というものと災害復旧事業というものをどう扱うかという問題は、これは黒字赤字を越えた問題だからということから、制度としては再建団体だけを特殊扱いにすることは私は適当とは考えない。再建団体だけの問題として再建計画というものが実行ができるかできぬかというような問題は、別途再建団体の投資的経費をどのようにして確保していくかという問題になると思います。制度として考えます場合においては私ども地方団体全部を通じて防災工事というものと災害復旧工事というものとの連関性を考えていくべきじゃないかというように考えておるわけであります。ただ御趣旨はよくわかりますので研究してみたいと思います。
  93. 井手以誠

    井手委員 あなたは防災工事は毎年々々予算の範囲内で、必要ではあるけれども災害復旧工事とは違うというお考えのようですが、私は災害復旧工事とほとんど同じような性質のものだということを申し上げておるわけであります。それはおわかりだろうと思います。しかも国庫補助率のないいわゆる小災害というものについて地方は負担しなくてはならない、それも私は大きな再建計画に重荷になると思うのであります。せっかく金を貸してたな上げしてやって再建させようというおぼし召しであるならば、思い切って一つ災害による場合にはその分はほとんど国で見てやろうではないか、そのくらいは大蔵省に交渉してやろうという熱意が私はほしいと思うのです。  そこでもう一つお尋ねしたいことは、今度の災害は全面的なものではありませんけれども、町村によりましては局的部にきわめてひどいのがありますが、そういう市町村に対して、特別交付税などというものについてどういうふうにお考えになっておりますか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  94. 柴田護

    柴田説明員 特別交付税の配分は毎年三月ごろにやるわけでありますが、災害によります税の減未収、これの補填、それから建設工事と申しますか、災害復旧工事に至りませない、つまりたとえば災害によります消防団の出動計画、こういった災害関係、これを特別交付税で見ていくことになっております。大体特別交付税の額の範囲内において、最大限毎年考慮することにいたしておりますし、本年度もそのつもりであります。
  95. 井手以誠

    井手委員 ここであまり要望ばかりいたしましても結論が出ぬだろうと思いますが、交付税の金額ワクのうちでの若干の操作だけでは、私はとても救えるものではないと思います。もし交付税について補正予算を出されるような場合には、そういう被害激甚なものに対しては若干交付税の引き上げをやってもらって、特別交付税が行き回るように一つお願いをいたしたいと思う。それと先刻来申し上げておりまする再建団体に対する国庫補助率の引き上げ、これを私は強く要望いたしまして質問を終ります。
  96. 田口長治郎

    田口委員長代理 食糧庁から河野食糧庁総務部長、それから大蔵省大村主計官出席になっております。稲富委員
  97. 稲富稜人

    稲富委員 食糧庁にお尋ねいたします。問題は簡単だけれども深刻、重大な問題であります。実は私米穀の事前売り渡しの問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、今回のような災害にぶつかりますと、当然事前売り渡しの数量の変更というものが生ずるので、これは当然変更はお認めになると思いますが、次に起ってくる問題は前渡金の償還の問題であります。こういうような天災地変によってこうむった被害に対しては、前渡金なんかの返還はなかなか困難と思いますので、これに対しては当然その償還延期をやるべきものである、かように考えます。これに対して政府はどういうようなお含みを持たれておるのか、まずこの点を承わりたいと思います。
  98. 河野恒雄

    ○河野説明員 お尋ねの点でございますが、御存じのように概算金につきましては、東北の方では十二月末、その他の地域では一月末ということにいたしまして、その際に供出されました米の代金と清算をいたしまして、足りない分については返納を要することに相なっておるわけでございます。そこで現実の問題といたしまして、返納を要する場合には、供出する農家が委託をいたしておりまする農業協同組合から返納をしていただくということに相なっておるわけでございます。なおそれにつきましては、全販連その他の全国団体が保証と申しますか、農協等において支障のある場合は全販連からでもとれるという体制になっておるわけでございます。なお農協等につきまして、返納をいたします際に、各供出農家につきましては、その農協に所属する農家がそれぞれ積み立てまして、さような場合に備えるということに相なっております。そこで今回のような災害の場合に、さような金を果して返せるかどうかという問題が起って参るわけでございます。食糧庁といたしましては、かような点につきましては、いろいろ考えておるわけでございますか、特別会計の契約の面といたしましては、やはり返納をしていただくものは返納していただきたい。しかし実質的にさような面で非常に困難な場合もございますので、第一段階として返納することになっておりまする農協等につきまして、それらの資金の足りないというような場合にはその農協に資金の融通をはかるという措置もあるではないか、かように考えております。なおそれらにつきましては、経済局長もいらっしゃいますので、あるいは経済局長からの御答弁が適切かと思いますが、私どもいろいろ相談してやっておりますので、便宜私から御答弁申し上げます。
  99. 渡部伍良

    渡部説明員 ただいま食糧庁の総務部長からお話がありましたように、ただいま研究の段階では、予約の概算金は集荷団体が責任を持っておりますから、一応形式的には各農家は政府に返還したという格好にしまして、それに相当する金を集荷団体に融資いたしまして、証文のつけかえをすれば、まとめて金を集荷団体に融通することによってその問題は解決できるんじゃないか。しかしその際に延納期間利子をどうするかという問題があるわけです。利子は別途一般会計から補給するなり、食管会計で持ってもらうなり、いろいろ方法があるのじゃないか、こういう線で研究いたしております。また詳細の点は結論が出ておりませんが、いずれにしましても、大体今申し上げましたような線で落ちつけなければ、ほかに方法はないのじゃないか、こういうふうに思っております。これは食糧庁長官の方とも急いで打ち合せておりますから、近日に結論を出すことができると存じます。
  100. 稲富稜人

    稲富委員 政府といたしましては、全販連との契約となっておるから、全販連が責任を持てばいいんだ、こういうような、全販連に当然責任があるのだというようなお考えもあるようにも承わっております。しかしながら、それでは全販連としても、実際の災害農家に対しまして、これに対する政府の方として考慮するというような線を打ち出さなければ、全販連としても処置に困るだろう。そもそも概算払いの返済の問題等は、厳格にそういうことを考えておるということは、あるいは米の予約をしておきながら横流しをするというような、そういう悪意の農家に対する制裁が大きな目途だったのではなかろうか。ところがこういう災害の農家に対しましては、政府は全販連の責任においてやるという建前をとりますと、全販連といたしましてはやはりその責任において、何とか被害農家に対して請求しなければならない、こうなるから、契約者である政府として全販連に対する特別のこれらに対する考慮を払うような処置をとることが妥当であると思う。ことに今局長からお話のありました金利の問題のごときは、これは当然免除してやるべきものであって、償還延期の問題とそれから利子の免除の問題は、これは政府の方から全販連に対して積極的にそういうような免除及びそういう親心をもって処置していただきたい。今日われわれが方々の災害地に行って見ますと、やはり全販連として、契約の責任がありますので、一方では非常に罹災者は災害で困っているやさきに、直ちにこれが償還の要求をされているというような事実は、悲哀に暮れている災害農家に対する実に涙のない処置であると思う。これは全販連としては、及び農協としては責任を感じてやられたことであろうと思う。こういうことに対して政府みずから進んで親心をもってこれに対しては全販連に何かの通牒をやってそしてこれに対する方法をとられることが妥当である、かように考えます。何とか考えておる、こういうことでありますけれども、末端においてはすでに請求をされておる事実がありますので、そういう請求はしないように、こういうことは特別の措置であなたの方でやられる必要があるのじゃないか、こういうように考えるわけでありますが、あなたの方のお考えを承わりたい。
  101. 渡部伍良

    渡部説明員 先般の委員会で、あるところで概算金の返還の告示をしておる例をお話がありました。食糧庁の方にその旨を伝えまして、そういう行き過ぎのないように、末端の食糧事務所なり、集荷団体の方に注意するようにお願いしておきました。しかし、いずれにしろ早くこちらが態度をきめまして、農林省の正式の方針として公表することが必要でないか、こういうふうに考えております。先ほど申し上げましたような線で研究しておるわけであります。これはそんなに長くなりませんから、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
  102. 稲富稜人

    稲富委員 それではただいま私の希望いたしましたような線で農林省は処置をとるように方針をきめられて、至急にその意思を集荷団体等の方に通ぜられる、こういうことに解釈して差しつかえございませんか。
  103. 渡部伍良

    渡部説明員 その通りであります。
  104. 井手以誠

    井手委員 関連して。今末端で無理のないようなことにしたい、こういう話でしたが、その通知をいつお出しになりましたか。あなたもお読みになったと思いますが、大福搦のあの悲惨な農家に、農協から早う利子を払えというふうに言うてきておりますよ。それはお聞きでしょう。それがいいとお思いになりますか。悪いとお思いになりますか。もし悪いとお思いになりますれば、天災の場合には利子をとらないということはいつお示しになりますか。めどを一つお示しいただきたい。
  105. 渡部伍良

    渡部説明員 今のお話を先般の委員会で聞きましたので、そういうことは行き過ぎであるということで、食糧事務所等の末端にまでその趣旨が徹底するように話しておるわけであります。しかし末端の数も多いわけでありますから、そういう問題が起らぬように早く政府の方針をきめまして、どうするのだという処置要綱を末端に流す必要があるというので、現在食糧庁と私の方で協議中であります。これは正確に何月何日と申し上げられませんが、ここ数日お待ちを願いたいと思います。
  106. 稲富稜人

    稲富委員 最後にお尋ねしたいと思いますことは、将来政府と全販連との間に売買契約をなさる場合に、そういう償還の問題等は、返済期限等に対しましては別途にさらに考慮をするとか、何かそういうことを契約の中にうたっておく必要があるんじゃないか。そうしませんと、今度のような問題が起りますと、売買契約をそのまま受けた集荷団体等におきましては、今言ったような非常に取り急いだ通知を出すということもありますので、将来の契約等には一つ考慮する必要があると思いますが、これに対してはどういうようにお考えですか。
  107. 渡部伍良

    渡部説明員 お話しの通りだと思います。これは結局できるだけ集荷を効果的ならしめるためにも、そういう点はよく徹底するようにあらかじめやっておく必要があるんじゃないかと思います。これは北海道の冷害の例で、おそらくその点はっきりしないと供出の線に乗ってこないんじゃないかと思います。ですからそれはほかの地方災害の地域でも、かえって供出を阻害する結果になるのではないかと思いますので、そういう趣旨から私の方から食糧庁に通知しまして、早くきめよう、こういうことでございます。
  108. 稲富稜人

    稲富委員 それでくどいようでございますが、問題はやはりその償還延期の問題と利子免除の問題だと思うのでございますが、どうも局長の御答弁を聞いておりますと、わかったような、結論はどうなさるかわからぬような御答弁でございますので、この機会にできますことならば、政府としてはこういうような考えを持っているんだという、被害農家が安心するような御答弁をお願いしたい。
  109. 渡部伍良

    渡部説明員 まだ政府部内で最終的な結果が出ておりませんので、そういう答弁をしておるわけであります。災害担当の経済局としては、お話のように延納と利子の免除をしたらいいだろう、こういうことで中で議論をしておるのであります。そのためには、最終的には農林省の意見をきめ、大蔵省と相談してやらなければ——私がここで言明しているのは一局長の希望になるわけでありますから、割り切ったお答えはできないのであります。その割り切ったお答えができるのは、数日お待ち願いたいと思います。
  110. 稲富稜人

    稲富委員 幸いに食糧庁も大蔵省もお見えになっておりますから、ただいまの問題に対して、できますことならば食糧庁並びに大蔵省考え方をこの機会に承わっておきたいと思います。
  111. 河野恒雄

    ○河野説明員 経済局との関係もございますので、よく内部で相談いたします。   〔「そんなことじゃいかぬ、弁答やり直し」と呼ぶ者あり〕
  112. 稲富稜人

    稲富委員 食糧庁の責任のある答弁ができないとするならば、食糧庁長官なり責任のある方を呼んでいただきたい。大蔵省においてもまた責任ある答弁をしていただきたい。
  113. 河野恒雄

    ○河野説明員 経済局長のおっしゃいました趣旨等にのっとってやりたいと思います。
  114. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。御質問の趣旨はよくわかるのでございますが、まず概算金の償還延期の問題でございます。これにつきましては、前々、これはもう六月あるいは七月の災害水害以来の問題でありますので、当時から、概算金の償還不可能になった、非常にお困りの農家に対しましては、何か返せるような措置を講じてあげなければいかぬということで、寄り寄り相談しておりまして、これは大体営農資金の貸付の制度でもつて運用していく、それでもって償還ができるようにして差し上げるということで、大体相談が進んでおります。それから利子の減免でございますが、この点は、実は六月の水害以来非常に問題になっておる点でございます。ただいまのところ私どもの研究の結果では、これは法律上減免できないという結論になっております。と申しますのは、財政法でもって債権の効力の変更の問題になりますので、これは法律上減免できないという結論になっておるのであります。そこで、災害で非常に困っておる農家から利子をとるとは何事だというおしかりがあるかもしれませんけれども、しかしよく計算していただきますと、農家の中でも大きい農家、中規模の農家、小さい農家といろいろございます。その中で、被害農家というものは、やはり小さい農家が非常にお困りになっておるのではないかと思うのであります。といたしますと、大体五反あるいはそれ以下の農家だと思うのでございますが、かりに五反全部水田といたしまして、反二石といたしますと約十石とれるわけであります。そのうち保有米を引きますと、大体予約しておられるのはまあ数石じゃないかと思うのであります。といたしますと、概算金をいただいておられるのはその二割でございますから、これは一万にも満たない金額でございます。そこで利子は幾らかと申しますと、これは日歩たしか二銭四厘であります。そこで予約されましたのは七月以降でございましょうから、大体六カ月あるいはその前にお返しになれば、六カ月以下ともなりますので、概算金をかりに七千円くらい払っていただいておる方は、日歩二銭四厘といたしますと、年にして百五十円、大体半年以下でございますから七十五円以下というような金額になるのでございまして、筋から申しますと、これはもう供出されましたら払ってもらえるのは当然の金でございますが、それをその前に予約奨励の意味で二割だけ先払いしておるわけでございますから、それが払えない方は、やはり筋から申しますと、これはいろいろおしかりをこうむるかもしれませんけれども利子をつけてお返し願わなければいかぬのじゃないか。それは今申しましたように、お困りの農家には七十五円以下という程度でございますので、このくらいのことは筋を通していただいたらどうか。私ども研究の結果も、法律の改正を要しますので、一つこれは筋を通してお返し願いたいと思います。
  115. 稲富稜人

    稲富委員 どうもただいまの大蔵省の御答弁は、実情を十分御存じないようでございます。あなたの方は、取るような計算ばかりされて、実際実情を解釈されていらっしゃるようで、現在の、ことに先刻からも陳情のありました大福搦とか、ああいうところは全然収穫がないのでございます。そこに入ってきた開拓者であるし、全然収入がないというようなひどいところもあるわけであります。こういうようなところに対しては、やはり金利を取るという考え方が非常に間違っておる。さらにまたあなたは、営農資金関係でやっていくと言われるが、これも営農資金を借りれば当然返さなくてはいけない。国民が災害をこうむって、悲嘆に苦しんでいるときに、金を貸してやることはけっこうでございます。しかしながらこれは金利を払わなければいけない。またそれが膨大となって予算措置はどうなるかということを承わっておきたい。果してそういうような被害農家に対して全部営農資金を貸すような予算措置ができているかどうか、この点もあなたの方で十分御計算になっておるかどうか。それから今申されるように、どれだけの収穫があるだろうから返すのは当りまえだというような考えでございますが、収穫がなかったところもある。しかしそういう困った中から金利まで払わなくちゃいけない、それはもちろん当然収穫があるものだとして前渡し金をもらったのだから、もらったものを返さなくてはいけないのじゃないかということになるかもしれませんけれども、しかしこれは天災地変が起ることを予期しないでやったことである。天災地変に対して当然同情の目をもってやるのが政治でなくちゃならないと思う。大蔵省は何も金を取ることばかりが務めではないと思う。やはり政治の一角として国民に対して善政をしくことに大蔵省としても協力しなければいけないので、その点に対してあなたの方は取ることばかり考えぬで、今言う実情等を農林省及び食糧庁等、そういうような方面からの実情に即した話があれば、これに対して特別立法措置をやらなければならないとするならば、あなたの方で進んで特別立法措置をやって、そしてこれに対する救いの手を伸ばすということが当然あっていいと思う。それは金を持っていて税金を納めないというのはどしどしとりなさい。そういうのは遠慮する必要はない。しかしながら一方においては、食う米もない、こういうような収穫皆無の人たちから金利を取るということは、これはあなた方が職務に忠実なるゆえんじゃないと思う。その点からあなたの今の考え方は、私たちは納得ができません。どうかいま一度考え直して御答弁を願いたいと思います。
  116. 大村筆雄

    大村説明員 ただいまの稲富先生のお考えも、もちろん十分私どもにわかるのでございます。ただ災害対策といたしましては、私どもも乏しい財政の中から共済のために百数十億を初め、できるだけのことはさしていただきたいと思っておりますが、ただいまのように筋ばかり申してほんとうにはなはだぎくしゃくして申しわけないと思うのですが、金額金額でございますし、この返済資金につきましては、営農資金からも融資のめんどうを見て差し上げますし、共済金もできるだけ早く概算払いができるようにするということでございますので……(「開拓地は共済に入っていないですよ」と呼ぶ者あり)まあできるだけの御便宜をはかるようにして差し上げたいと思いますが、この点につきましては、できるだけ一つ農林省も御研究なさるそうですから、私どももここでおっしゃることを、いやだめですというふうに断わってしまっているわけでございませんので、もう少しまた研究もさせていただきたいと思います。
  117. 稲富稜人

    稲富委員 今主計官にお願いしておきたいと思いますことは、あなたは少いからとおっしゃるけれども、そう国家財政に影響するものではない。少いから取らぬでもいいわけなんです。その点は農林省等から実情に即してあなたの方に対する要求があると思う。もしも農林省が実情に即しないようなことを言うなら、われわれは農林省に承知はできない。その点は一つ規則通り考えないで、規則というものはお互いに作るのだから、無理のある規則ばら変更してもいい。無理のある法律であるならば当然変えなければいけないと思うので、当然その点は立法処置をやって、十分一つそういうような事務的な考え方じゃなくて、政治的な考え方で処していただきたいということを、この機会に特に私はあなたにお願いを申し上げたいと思う。きょうあなたは大蔵省を代表して来ておられるのだから、その点はあなたから大蔵省に対して十分伝えていただきたいということをあなたに希望申し上げたいと思う。
  118. 大村筆雄

    大村説明員 わずかの金だからいいじゃないかというお言葉でございますが、実は私どもこれを執拗にお断わり申し上げておりますのは、利子の減免という問題はこの問題に限らないわけなんでございます。ほかにも同様の問題が方々にあるわけでございますので、ほかへの波及という問題もございますので、この点は慎重に考えさせていただきたい、かように考えます。
  119. 稲富稜人

    稲富委員 今主計官はわずかな金だからと言われるのだけれども、私の言っているのは、わずかな金だから、こういうような天災地変というような国民の非常な悲嘆に苦しんでいるときには、特別な処置をとってもいいのじゃないか、こういうことを言っている。これは国家財政に影響するというような問題ならば、もっと大きく考えなくちゃいけないかもわからない。この点は、ほんとうに国民がこんなに困るという問題があったら、ほかに影響しても、当然立法処置をやっていいじゃないか。だから、ほかに影響するからといって、全然収穫皆無だといって苦しんでいる農民の中から——先刻もお話のように、これは農業共済にも入っていない、全然収入はないのですよ。こういうところから、金は返せ、利は取るのだというようなやり方というものは、国のやるべきことじゃないと思う。普通の民間高利貸しやなにかならともかく、国としてやるべきことじゃないと思う。こういう点からお尋ねをして、われわれの要望をしておるわけであります。その点を一つ十分考え直していただきたい。
  120. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して、ちょっと農林省に伺いますが、予約概算金は金額にして幾らですか。大体私の想像しておるところ五、六百億だろうと思うのですが、そのうちその返済の延長は大体どの程度に当るか、またその金額に伴う利子はどの程度考えておるのか。今わずかだと言われますが、まとめ上げると、相当な金額になるのじゃないかと思うのですが、どういうふうになっておりますか。
  121. 渡部伍良

    渡部説明員 まだ詳細な計算はいたしませんが、大ざっぱに申し上げますと、内地の分だけについて申し上げますと、台風被害が百五十万石ぐらいになっております。しかし、その中でこれは非常の処置でありますから、収穫皆無とか非常な収穫の減によって供出予約の大部分が遂行できない者を対象にして、その範囲にとどめたらよいと思います。その推定はまだできておりません。今いろいろ検討しております。ですから、そんなに大きい数字にはならないと思います。北海道はちょっと大きいと思います。北海道のものだと、北海道庁の計算では二十四億——四十四億の予約で概算金で約二十四億を免除してもらいたい、その計算でいくと、利子が約三億六千くらいな計算になっております。しかし内地はそんなに大きい数字にならないと思います。内地はそれの何分の一かだと思います。
  122. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど二、三日中に態度をきめるということなんですが、大蔵省の今の答弁と食糧庁の答弁を聞いておると、営農資金被害農家に一たん貸して、それをまた今度返済させるようにするのだ、大蔵省も食糧庁もこういう考え方のようですね。経済局長考えておられるのは、稲富委員の質問に対する答弁では、何か別なことを考えておられるように先ほど聞いたのです。その点を大蔵省は今言われたような頑強な態度ですね。自信があるのですか。それで、立法措置をどうしても必要とするようです。午前中の冷害対策委員会は、立法措置を必要とするというので、委員会としてそれを打ち出したというふうに聞いておるのです。当委員会としても大体歩調を合せていかなければならない。北海道であろうと内地であろうと、概算金に対する態度に差はないわけですから、同様の取扱いをしてもらわなければならぬと思います。それで問題は、末端の農民が農協と出荷契約を結んでおる、それを県連と単協が結んでおる、県連は全販連と結んで、全販連が結局政府と契約をして、全販連経由でもって五百億ばかり、五百五、六十億だろうと思いますが、それが概算金として今一応支払われておる、こういうことになっておるわけです。ですから、大蔵省なり食糧庁の考え方は、結局その全販連に対して金を貸すということですか。そんなことは意味ないと思います。全販連だったら、一応そこに何らかの便法を講じて、末端の方で何とか措置をすれば事足りるではないか、今大蔵省や食糧庁が考えておることは、営農資金を貸すというのは末端にみな貸す、そうすると、他のものと概算してみると、営農資金の額は、まだほかのものもありますから、ものすごく大きなものになる。そうでしょう。概算金以外の農作物被害に対する営農資金が相当出ていくわけです。そうなると相当なものになる。そういう繁文縟礼的なものをやめてしまって、全敗連と政府との間において何かこれを操作して、一年後には単協を通じて実際上は決済ができるようなことを考えた方がいいと思います。そうしなければ、金を出す、そういう末端に流す、そしてもとに戻す、また証書をあとから決済をするということを一年くらい延長するためにそういうことをやることは、非常に事態が遅延をして、今問題になっておる血の出るような被害農家に対しての救済にならないと私は思います。その手続だけでも大へんですよ。ですから、それがもう少し簡単にいくように、立法を必要とするならば立法措置でけっこうですが、どうも農林省考え方と大蔵省考え方とは、まだだいぶ開きがあって、経済局長立法措置を必要としないようなきわめて農民的な考え方をしておられるし、大蔵省はやはり金融機関的な考え方を多分に持っておられる。その点簡単に言われるけれども、ちょっと不安に思うのです。やはり当委員会としては、立法措置をするということを一本柱を出していただいて、今言ったように営農資金を貸し出すという方法によらずして、適当な方法で決済をするように考えていただきたい。その点どうですか。
  123. 渡部伍良

    渡部説明員 農林省でも、初めは営農資金でやったらいいじゃないかという話があったわけです。しかし今の手続の点、それから現在の予約の事務を考えてみますと、金の猶予は上の方でして、下の農家からの予約申込書を単位組合に対する借金証文に書きかえて現実の金は動かないで、上の方だけでいくのじゃないかという結論に到達しておるわけです。それが具体的にほんとうにできるものかどうかということを食糧庁の中あるいは集荷機関の話も聞いて、今具体的に検討しておるわけです。それができましたら今度大蔵省の方にかけ合うということになりますので、大蔵省の方を責めていただいても、まだちょっと大蔵省でも困るのじゃないかという気がするわけです。私の方でやればそう迷惑にならない。それから私が説明すると、大蔵省の心配するような、概算金を無限に免除する、猶予するというような印象を受けますけれども、そういうことはやはり行き過ぎで、農林省として必要最小限度やったらよいのじゃないかと思います。そういう具体的な案を持ってもう一ぺん大蔵省に相談しなければはっきりしたことは申し上げられませんということを先ほど申し上げたわけであります。
  124. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど大蔵省主計官が言われた法律上困難だということ、それは概算金の返済を延長することも困難であるし、利子補給自体も困難であるというふうにお考えになったことですか、利子免除の点だけがむずかしいのですか。
  125. 大村筆雄

    大村説明員 利子減免の点でございます。
  126. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、今経済局長が言われたようなことについては、あえて現在の法律内において政令とか必要な行政措置によっていくということについて大きな疑義はありませんね。要するに利子免除の点だけが問題になる。
  127. 渡部伍良

    渡部説明員 それは私が計算すると、利子補給した方がいいのか、免除した方がいいのか、全体の支出がどちらが得かという問題があるわけです。借り入れして利子補給すれば借入金で利子補給しなければならぬ、食糧庁で減免すれば食糧庁の資金コスト、その比較で政府として総支出がどちらが得か、こういう問題もあるわけです。ですから減免するとなれば法律が要る、だからそういう問題はもう少し私の方に研究させていただきたいと思います。
  128. 井手以誠

    井手委員 利子の減免はできないとおっしゃるのはどういう根拠ですか。
  129. 大村筆雄

    大村説明員 きょうちょっと財政法を持って参りませんでしたが、財政法第八条の関係です。
  130. 井手以誠

    井手委員 どういうふうな意味の……。
  131. 大村筆雄

    大村説明員 債権の効力は法律をもってしなければ変更できないという規定が財政法の第八条にございます。従いまして利子という債権につきまして減免は法律をもってしないと変更できないという点でございます。
  132. 井手以誠

    井手委員 どうしてもできないものであれば、やはり別途に対策を講じなければならぬと思います。それともり一つ、あなたは営農資金でとおっしゃいましたけれども、営農資金については後刻あるいは明日でも論議されるでありましょうが、今まできまったところでは最高五万円です。まあ累年災害の場合は別でしょうけれども、一応農林省考えてあるのは五万円です。それから予約金を差し引いてするということになりますと、営農資金の意味がなくなってしまうのです。なくなってしまいはしませんけれども非常に意義を減殺されるのであります。従って私は農林省にも大蔵省にも注文したいのですが、営農資金からということでなくて、もう少し簡便な方法でまとめてやっていただきたい。これを私は強く要望いたします。すでに論議されているので多くは申し上げません。これから差し引くとか営農資金がどうこうということでなくて、もっと簡便な方法でやっていただきたい。
  133. 田口長治郎

    田口委員長代理 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後六時十一分散会