運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-10-02 第24回国会 衆議院 農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月二日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席小委員    小委員長 綱島 正興君       石坂  繁君    大森 玉木君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       赤路 友藏君    井手 以誠君       稲富 稜人君    中村 英男君  小委員外出席者         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (振興局植物防         疫課長)    堀  正侃君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重蔵君         農林事務官         (水産庁次長) 奥原日出男君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月一日  大森玉木君九月十二日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。 同日  小委員足鹿覺君同日委員辞任につき、その補欠  として中村英男君が委員長指名で小委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  第十二号台風による農林漁業災害対策に関する  件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会を開会いたします。  まず十二号台風による農林漁業災害状況について、政府説明を求めます。
  3. 安田善一郎

    安田説明員 台風第十二号の農林水産業に対します被害につきましては、農林経済局長から全般的にわたりまして、農林省調査について御報告を申し上げたいと思いますが、農地局関係農地及び農業用施設につきまして、九月二十六日現在において私どもの手元に届いておるものについて、一部でございますが、お許しを願いましてまず報告をさせていただきたいと思います。  台風第十二号は、関係県といたしましては鹿児島その他の九州各県、高知その他の四国四県、中国、岐阜、山梨等についてかなりの被害を及ぼしたのでありますが、農林省直轄代行事業としております部分につきましては、直轄は一カ所、代行二カ所、合計直轄代行で八地区の被害を受けておると思います。その被害額農地及び農業用施設合計はただいまのところでは七千八百七十万円でございまして、そのおもなるものは佐賀の有明、また佐賀の西川副、南川副、大福搦、大浦第一、久保田搦長崎の有馬、佐々というようなところでございまして、九号以前において被害を受けましたところと重複をいたしまして、さらに被害を増したところがかなりあるのでございます。勢いその反面増加被害額といたしましては、比較的僅少とも裏から言い得ると思います。補助事業としてやるべき対象であります農地及び農業用施設合計額は、被害金額におきまして三億三千二百万円弱と見積っておる次第であります。これに対しまして直轄代行事業については直ちに査定を了しまして、九号台風に加うるに十二号台風被害を加えまして大蔵省折衝いたしまして、いずれも原則として単年度に実施いたし、本年度内におきまして査定被害額の約五割を支出いたしますように話をつけまして、九号につきましてはすでに申し上げました通り支出済でありまして、十二号分についても本日の閣議に予備金支出をかけていただくようにお願いしておるのであります。補助事業につきましては従前の被害に十二号台風査定を加えまして査定中でございますが、この査定は目下の状況を地方庁と連絡をとり農地事務局連絡をとっておるところについて申し上げますと、十月十五日ごろまでに査定終了の予定でございまして、それが集計され次第直ちに予備金支出を行うよう準備中であるわけでございます。
  4. 綱島正興

    綱島委員長 今の政府説明に対して何か御質問がございますか。
  5. 井手以誠

    井手委員 ただいまの御説明について一点お伺いしたいと思います。単年度原則として直轄代行工事災害復旧をやるということでございますが、御説明によりますと本年度五割ということでございまして、いささか単年度復旧原則に反するようでございますが、八割とは違うのでございますか。
  6. 安田善一郎

    安田説明員 ちょっとかぜを引きまして言語が不明瞭だと思いますが、本年内で五割を支出しまして、三月までには、言いかえますと一月ごろには全部合せて九割くらい補助する、そういう意味でございます。
  7. 渡部伍良

    渡部説明員 十二号台風農作物被害概況は昨日お配りしました資料でごらん願います。全国の総数を申し上げますと、水陸稲で八十八万石の被害、カンショで八百五十四万貫、雑穀が五万石、野菜が六百八十三万貫、果樹が四百二十五万貫、工芸農作物桑等となっておりまして、総被害面積は六十三万町歩に及んでおるのであります。そのうちで県別府県別の表でごらん願いますように、九州を中心としておるのであります。農作物被害は以上の通りであります。  農地関係は、今農地局長からお話があったと思いますが、水産関係は十六億九千七百万円余になっております。そのうち一番大きいのは高知、続いて長崎佐賀となっております。  山林関係は五億七千万円でありまして、治山関係林道関係、林産物及び林産施設関係等になっておりまして、九州四国方面が主として被害をこうむっておるのであります。  十二号台風関係被害状況は、概略以上の通りであります。
  8. 綱島正興

    綱島委員長 何か御質問ございますか。井手君。
  9. 井手以誠

    井手委員 この機会に承わっておきたいと存じますが、去る九月十一日の委員会におきまして、九号台風による農林水産業被害対策のらち急を要する資金関係について、当委員会決議を行なって政府に申し入れたのであります。すでに実行の段階にいっておると思うのでありますが、第十二号台風による災害視察の際各地で承わったところによりますと、融資実行が国会の意思となかなり離れておるような感があったのであります。たとえば貸付利率とか、あるいは償還年限とか、あるいは特別低利措置とか、そういったものに対する対策が、委員会決定とは離れておるようであります。この機会に、委員会決定した六つの資金に関する対策についての政府決定事項を承わりたいと存じます。
  10. 渡部伍良

    渡部説明員 台風第九号までの被害農林漁業者に対する資金の融通は、九月十八日付の政令をもって施行しまして、十六億のらち府県から要望があった十三億のものは県に配当いたしております。あと県と打ち合せて追加要求があれば出すと、こういうふうになっております。  問題になりました第一点、開拓地はいいのですが、被害激甚な地域指定の問題は、今県と打ち合せいたしまして、早急に実施したいと思っております。  それから主務大臣指定災害のものは、これは指定をいたしまして今週中に地方に通知いたします。  それから「農林漁業金融公庫から前項による復旧資金及び一般の代船建造等に必要な資金を融通するに当っては、別の融資要綱を制定し、融資率所要資金の八割以内、貸付利率年七分、償還期限は十五年(据置一年)以内でできるだけ長期とする。」これは大体この通りにしたいと思いますが、償還期限は十年程度でいいんじゃないかという話が出ておりますので、その程度になるだろうと思います。  それから自作農の金は十二号台風の分を含めまして処置したいと思って、今府県と打ち合せをしております。  つなぎ資金等は随時いっておると思いますが、おそらく先生方がおいでになったときには、私の方からの通知が末端まで十分下っていなかったところがあると思います。順次下げておりますから。なお私の方でもよく御注意を承わりましていろいろな措置をやって参りたいと存じております。
  11. 井手以誠

    井手委員 開拓地貸付利率は三分五厘とするということに決議をいたしておりますが、これがどうなっておるか。また今十三億を割り当てたとおっしゃいましたが、それは以前の六月、七月ごろのものも含めたものが十三億ではないかと思うのでありますが、九号だけで十六億のうちの十三億を割り当てたということになるのでありますか、その点を重ねてお尋ねをいたします。  なおほかにも聞きたいことがございますが、その前に委員長にお伺いをいたしたいと思います。かねてわれわれが尊敬しておる綱島委員長は、この決議を行うに当っては、これはきわめて不満ではあるが、最低の必ず実行できる線である、これは当局と打ち合せ済みであるから間違いなく実行できる、いろいろ要望もあろうけれどもこれで一つがまん願いたいというお話が私どもにあったのであります。かねて政治力をうたわれておる委員長のことでございますので、私どもは絶大な信をもってこの決議に当った次第でございます。ところが小委員長視察のときにお聞きになったことと思いますが、私どものきめたものとはいささか、いなかなり違うようでありますが、この点も委員長は御承知であろうと思います。この機会一つ委員長から当時の経過並びにこの処置に対する御所信を承わりたいと思います。
  12. 綱島正興

    綱島委員長 承知しました。これはそれぞれ当局とも当時話し合いまして原案ができたものでありますから、ぜひ実行させるつもりであります。  それから委員長から一つ局長お尋ねをしますが、今のお話の小委員会決議の第一項、災害指定を行うことと経営資金事業資金を貸し付ける、こういう条項で三分五厘の指定は大体基準はきまりましたか。
  13. 渡部伍良

    渡部説明員 これは二十八年、二十九年の激甚地地域指定関係がうまくいきませんでしたので、会計検査院その他から非常な疑義の指摘を受けました。従来通りではいけませんので、ほんとうに必要なところに低利の金のいくような方法を考えなければならぬ。すなわち会計検査院指摘を受けたのは、たとえば三分五厘の金を協同組合で運用するとか、あるいは個人がそういう金を借りてほかへ有利に運用する、そういうところが指摘されておるのであります。それは災害融資趣旨とはちょっと異なりますから、そういうことのないようにするのに具体的にどうしたらいいかということで府県と打ち合せております。府県が責任が持てるような案というのを出してもらいたいということで今具体的に各府県と打ち合せております。それができましたら政令災害激甚地指定基準を出しましてそれに従って実施するようにいたしたいと思います。従いましてただいま金を貸しているのは三分五厘ということになっていない。とりあえず金を融資する、利子の支払いまでには激甚地指定をいたしまして、現在五分五厘になっているのを三分五厘に書きかえる、こういう措置を必要とすることになります。これは必ず実行をいたします。先ほど申し上げましたように、悪用されないような措置を講じたいと考えております。  それから井手委員からお話がありました十六億の十三億近くを貸しているということでありますが、私ども府県からの要求を制限しているというわけではありません。府県と打ち合せながらやっておるのでありまして、なお府県から出てくれば、余裕のある限り府県要望に応じたいと思っております。それからなおその中には九号台風だけではありませんで、その前の災害対策分も含んでおります。最初五億予定しておりましたが、その分も含めております。
  14. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま局長の御答弁によってさらにお聞きしたいと思いますが、本委員会決議いたしましたこの第三項の農林漁業金融公庫融資に対する償還期限の問題であります。先刻局長答弁を承わりますと、十年でいいというような意見もあるから十年にしたというようなお話であったのでありますが、その点もっとはっきり、十年でいいというのはどういう方面からそういうことになっているのか、その点一つつまびらかにおお答え願いたいと思います。
  15. 渡部伍良

    渡部説明員 漁船償却年限等を見ますと、十年くらいの期間がいいのではないかという考え方であります。しかし私の方では、どうしても十五年がいいということなら十五年にしてもいいと思いますが、関係当局と相談した結果、あまり長くてもだらだらして工合が悪い、こういう考え方であります。
  16. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、この償還期限の問題は、これを決定いたしますときに、先刻井手委員からも小委員長に希望申し上げましたように、最低のものだということで、しかも当局の方とはある程度了解が済んでいるというような小委員長意見もありましたので、償還期限は十五年だという決議をされたと思います。でありますならば、これに対する処置に対しては、本委員会趣旨をどこまでも尊重してもらうように、これは政府に強く要望したい、委員長からも、前のいきさつもありますので、そういうことに善処方をお願い申し上げたいと思います。
  17. 綱島正興

    綱島委員長 承知いたしました。
  18. 渡部伍良

    渡部説明員 今の問題は、私の方で別に制限するという趣旨ではありません。大体見ていると十年くらいがいいということでありまして、どうしても十五年ほしいということならやりますが、決して無理にやろうという趣旨ではないのです。その点を御了承願いたいと思います。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 今の稲富委員質問に関連しましてこの第三項ですが、融資ワクを別に作るということになっておりますが、これは今作業中ですか、完了しておるのですか、その点をちょっとお聞きしたい。
  20. 渡部伍良

    渡部説明員 ただいま大蔵省と相談をしておりまして、私の方では主務大臣指定災害の方に入れてしまいたい、こういう考えでありますが、まだ大蔵省の方との話が済んでいないので、早急に調整したいと思います。
  21. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっとお尋ねしますが、それはどちらに入れるにしても、やることは間違いなくやるわけですね。この第三項の趣旨には沿うようにやられるのですね。
  22. 渡部伍良

    渡部説明員 決議趣旨に沿って業者に有利なような措置をやるように考えております。
  23. 赤路友藏

    赤路委員 今のお話では、なお大蔵省折衝の過程にあるということでありますが、大蔵省折衝するということは政府保証を要する、こういう意味大蔵省折衝をするのですか。
  24. 渡部伍良

    渡部説明員 公庫の所管が大蔵省と共管になっておりますから、当然大蔵省と相談しなければなりません。両省の意思が一致しないといけないわけです。
  25. 中村英男

    中村(英)小委員 関連して。決議地域指定の問題ですが、災害の度合いの内容はまだきまってないのですか。  もう一つ地域指定を部落にするか、村にするか、行政単位でやられるのか、そういうことがきまっておりましたら伺いたい。
  26. 渡部伍良

    渡部説明員 御承知のように、被害激甚地域指定するのがおくれているゆえんは、従来のように町村単位指定するとほとんどかからないのです。ましていわんや新市町村単位であるとますますいかぬ。従ってもう少し地域を縮小しまして、できるだけ拾えるようなことにしていきたい、こういうつもりで県と打ち合せておるわけであります。県の方でもそこのところを初めのうちはあまり注意しておりませんで、ただやれやれと言ったのですが、それじゃどこを指定するのか、こう言われて、それで初めてその問題にぶつかりまして、今ずっと各県から希望の案が出ておりますから、それを調整しましてやるつもりでおります。
  27. 赤路友藏

    赤路委員 なお納得いかない点があるので、重ねてお尋ねします。この前この第三項目を入れたときに、私質問をして、特にこの点強調しておいたのですが、たとえば大蔵省折衝して公庫の現在のワクの中から融資しておる、こういうことになるかと思うのです。その場合問題になるのは、所要資金の八割というのが一点問題になるわけです。自営船の場合は八割ということになっておるが、その他の場合は六割ということに業務方法書はなっておるので、この点が一点あること、貸付利率については、七分は在来の一般融資の場合にも七分ですから、これは問題はない。償還期限の十五年ということが問題になるかと思うのです。それ以外には深く大蔵省折衝をすることはないと思う。ただこの場合もう一度申し上げておきたいのは、この項目を入れて、別に融資要綱を作ってもらうということは、普通の金融ベースに乗らない業者があるということなのです。たとえば船を沈没させた個人が、なお相当量負債を持っている、あるいは転貸すべき所属組合がこれまた相当負債を持っている、俗にいう不良組合である、こういうような立場の漁家が船を沈めた場合、これは金融ベースに乗らないからというので、全然立ち上りがつかない。それはもう災害でやられたのだから、あきらめなければならないのだということであってはならぬ。そういうものももう一度立ち直らせていくということのためには、現在の公庫法をもってしてもいけないだろう。公庫業務方法書ワクの中ではそれが取り扱いにくかろう。従って災害による融資要綱を作ってもらいたい、こういうことで了解を求めたわけです。そういうようにしようということで作業はしていただいておると思うのですが、そういう上に立ってやっていただいておりますか。そうなると金融機関の建前からいった場合、これは貸せないということは当然なのです。そこで必要になってくるのは国の方の損失保証ということが必要になってくる。この国の方の損失保証の点で大蔵省折衝するというなら話はわかるわけです。この点はどうなので
  28. 渡部伍良

    渡部説明員 損失保証の金は公庫が持っているのでありますから、問題はないわけであります。それから融資率八割も問題はありません。ただ先ほど問題がありました漁船の方で融資指定しますと、十年ということになりますが、主務大臣指定なら十五年であります。私の方は主務大臣指定でやりたいのでありましてこの点だけが話があますから、将来においてもやはりまじめにやるという要綱が必要になります。たとえば水揚げマージンから一定割合を天引きするとか、保証人を立ててそういうことは要求したらいいとか、こういう要綱を今考えてやっておりますが、至急進めるようにいたしたいと思います。
  29. 綱島正興

  30. 田口長治郎

    田口委員 十二号台風被害調査の方で九州方面を回ってみますと、この第一の天災法による融資額につきまして、各県ともに五万円以内というようなことをいっているようでございますが、今回の被害の実情からいたしまして五万円で済むところもありましょうが、大部分はとうてい五万円では済まないと思う。この金額につきましては、私どもは法が許している十五万円といいますか、水産関係につきましては十万円以内というような金額まで上せてしかるべきだというように考えている次第でございますが、今各県で五万円以内という話が出ている。何か本省からさような通牒が流されたかどうか、もし流されないとすれば、これは法の許す範囲内の金額融資してもらわなければ非常に困る漁家ができるというように考えている次第でございますが、この点いかがでございますか。
  31. 渡部伍良

    渡部説明員 普通の場合は農林漁業者でありますとか、あるいは一般漁業者でありますれば、五万円で足りる。ただし前に借りておって、またやられたという場合にはその倍を貸しますから、十万円まで貸すことになっておりますので、これでまかなえるのではないかと思います。  それから漁具購入資金等は五百万円まで金を貸すことになっております。これも足りるのではないかと思っておりますが、お話の点はもう十分県には徹底しているはずであります。それでも何か困るという点がありますれば、具体的にまたよく研究したいと思います。
  32. 田口長治郎

    田口委員 それから第二の問題につきまして、これは委員会決議といたしましては、主務大臣指定する漁船は「(十も未満又は無動力のもの)」いうことになっているのでございますが、どういう関係か知りませんけれども、一トン以上のものがこの漁船であるというような解釈もあって、非常に迷うているような漁民がたくさんいるようでございます。御承知通りこの無動力漁船というものは一トン以下の漁船が大多数でございまして、ほんとうに零細なる漁業者が一トン以下の漁船を使っている。今回の災害に際しましては、何としてもこの零細漁民を救済しなければならないのでございますから、委員会といたしましては無動力のもの、これは一トン以下のものでも当然この漁船に該当するという気持で決議したわけでございますが、水産庁とされましてはその点どういう解釈でおられるか、ここではっきりさせていただきたいのでございます。
  33. 渡部伍良

    渡部説明員 私の方は十トン未満を一トン以上で切る意思はないわけであります。水産庁も同じだと思います。
  34. 田口長治郎

    田口委員 それから第三の点につきまして先ほど赤路委員から別に融資要綱を制定するということについて質問があり、そうしてその難点を指摘された次第でございますが、ちょうど昭和二十九年の台風のときに特別要綱を制定されたのでございますから、あの二十九年の特別要綱で、先ほど赤路委員質問されたような点がどういうことになっておりますか。あれと同じことによって折衝をしつつあられるのでございますか。さらにあれよりも違った条件によって折衝しておられるのでございますか、一応二十九年度台風融資要綱を発表願いたいのでございます。
  35. 渡部伍良

    渡部説明員 私の方では融資取扱い要領というものを公庫できめさしまして、それを下に流すことになっております。その中に貸付方針なり貸付対象なり、それから先ほど問題になっております漁船復旧資金貸付では天引き積み立てとか、あるいは連帯保証人をつけるとか、そういう特に注意すべきことを盛り込みまして貸付趣旨か徹底するようにいたしたい、こう考えております。従いまして三十九年の特別融資要綱というふうな改まったことまでやらなくても、今のような取扱い要領を出せば足りるのじゃないかと思っております。そういう、ように取り扱いたいと思います。
  36. 田口長治郎

    田口委員 経済局長は何か勘違いをしているのではないかしらぬと思うのでありますが、たとえば代船建造資金の問題で、先ほど赤路委員質問に対しまして一般融資であれば最高八割、普通個人その他は六割、こういうことであるから漁船建造資金主務大臣指定にする、こういうような御答弁があったように聞いたのでございますが、これは一般融資でどうしても該当しない漁船その他を主務大臣にしておるのでございまして、主務大臣指定外で当然公庫融資ができるというものに対する特別要綱という意味でございますから、その点が少し違うのじゃないかしらぬと思っております。  それから二十九年にこの融資要綱を特に作られて、今回はそういうものを作らぬでも、簡単な応急的のことでこの問題を片づけよう、こういうようなお話のように今承わったのでございますが、九号にいたしましても、十二号台風被害にいたしましても、実にひどい、もう村の人に言わせると、海岸地帯で人間の作ったものは何にもなくなってしまった、こういうような状態の被害でございますから、間に合せ的の要綱類似のものではいかないで、やはり二十九年の台風で制定された、はっきりした権威のある融資要綱を作られてしかるべきだ、こう考えるのでございますが、その点どうもただいまの経済局長の御答弁では少しぼけておるようでございますし、私ども委員会決議した精神はそこにあるのでございますから、この点をぼかされては非常に困ると思うのであります。重ねて申しますが、災害要綱を制定してもらいたいということは、普通の公庫融資では今回の罹災者をどうしても救済できない、言いかえますと、いろいろな条件を緩和した貸し出しをしてもらわなければならぬ、こういうような意味におきまして、融資要綱を特に作らなければならぬ、こういうことを認めた次第でございますから、その点について重ねて経済局長の御答弁を求めます。
  37. 渡部伍良

    渡部説明員 私の方では御趣旨に沿ってやっておると思うのでありますが、なおよく水産庁とも打ち合せます。特別にこの分だけを切り離して別の要綱で出した方が趣旨徹底するようにも思いますから、もう一ぺんよく研究さしていただきます。でなければ、この中にもその点を特に詳細に書いて趣旨が徹底するように、どちらかの方法で研究いたします。
  38. 田口長治郎

    田口委員 第四の問題につきまして、自作農維持創設資金融通法の資金ワクが二十五億あり、今十六億だけ使われて九億だけ在来のやつが残っておると思うのでございますが、この九億にプラスの五億と、こういうふうに考えていいものか、この九億は災害地に分配をある程度優先するが、全国にあまりに公平を欠くようなそういう配分方法でないことで処分して、九号の災害地にはそれに五億だけ加える、こう解釈していいか、その点政府でどうお考えになっておりますか。私どもは自作農が維持できない環境になったのはこの災害なんかの場合が一番大きい、こういうような意味におきまして、災害地には二十五億の残りの資金も優先的に分け、さらにそれで足らない五億をプラスする、こういうような処置がしかるべきでないか、こう考える次第でございますが、経済局長はこの点どうお考えになっておられますか。
  39. 安田善一郎

    安田説明員 経済局長と御相談をしておる点をかわって申し上げます。自作農維持資金のもとのワク作りは農地局で立案いたしまして、経済局でまた審査してもらって、農林省として外へ出す形でありますが、農林水産委員会決議としての四項、資金ワクの拡大、五億円を下らざるものを九億円との間においてどうするかということは、御決議でありますのでむしろ意味委員会の方からお聞きしたいのであります。しかし私は御決議になりました意味を、五億円を下らざるものとはっきり書いてありますが、被害の実態に応じて被害地に特別に自作農維持資金というものがいくのを、この際被害に対応してそのくらいいくように、しかし別途、自作農維持資金も全国的に足りないくらいでありますので、被害県として都道府県に割り当てる別途の資金もある、その合計が、目下のワクの残は九億ある、こういうことでワク全体の拡大をはかって御決議の御趣旨に沿うように努力すべきである、こう理解をいたしております。そこで実はここ数日を待って府県に出そうかと思いまして、局内また経済局内と打ち合せておりますものは、まず年間二十五億円のワクのうち十六億円が当時配られておりましたが、ちょうど御決議のあったときの府県の実情を見ますと、資金が多いのではありませんけれども、手続上その他のことでありましょうが、別途手続を簡素化することを考慮中でございますが、それを別としまして、約三億融資残が残っておりました。すなわち各県に割当てた十億は消化済みということで三億は残っておりました。そこで早急に被害の実態がわかった場合に、これを被害県に重点を置き融資する意味で指導するとともに残りの九億について、例を言いますと被害ワクとでも言うべきものを分けて、被害県に重点を置いて、その残りを一般の自作農維持創設の目的の方へ使うように何とか分けることにおいて考慮する、別途ワクの増大をはかるという考えをもちまして四億円を——十二号台風、また最近実情がわかりつつありますので、十五号台風の今までわかっておる状況を加味しまして、その累積した本年の被害状況を中心にしまして被害県に四億を配分したらどうかと思っておるわけです。そのほかには当然ワクの増大のことも考えまして、四億を加えて九億を十億にした、一億増加というわけですが、十億くらいにいたしますとワクの拡大は一応確実のようでございますので、六億を一般自作農維持創設資金として被害の多い少いにかかわらず、本来の自作農維持資金として分けたらどうか、そういうふうにいたしまして、なお足らないところはその十億のワク、厳密に言いますと被害単独のワクは四億のようになりますが、それでなお足りないところは中央から割当しませんで、府県の実情に即してもっと必要である、こういうことを申請をいただいて逐次ワクの増大を資金の供給側とあわせてやっていくのが穏当な方法だと思って研究を了しつつあるのであります。最終まで至っておりません。結局においては五億でもあり五億でもないようなことになりますが、しかしなぜそう考えておるかと申しますと、十六億の残っておったうち、三億が必ず被害県に行く。四億は今年特別に出そう。ワク全体は年で申しますと、二十五億が二十六億になるように被害と特に限定しない。自作農創設資金は六億になるわけであります。本来は五億しかありませんが、これが全県に行く。ところが北海道を中心にしました冷害の被害が相当多いものでありますので、あそこは単作地帯でございますので、別途の施策も必要と思いますが、自作農創設維持としても必要でございますので、これには相当のワクを要しなくちゃいかぬ。これはまた北海道には限らないと思うのでございます。そこでそれは御趣旨に沿いますような相当なワクの拡大をはかるように今協議中であるわけでございます。
  40. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと委員長から聞かして下さい。五億を下らざることというのは、これは被害地域だけの増額ワクを五億を下らざることとする。残っておる十四億のうち、配分の方の九億も創設資金の本来の趣旨に従って被害地を重点的に見る、こういうことでこういう決議をしたのですが、その点がちょっとこの決議と食い違っておるようです。
  41. 安田善一郎

    安田説明員 四の御決議の御趣旨は、田口委員の御質問が私の方にありましたので申し上げたのでありますが、御決議趣旨委員長通りだと思うのです。結論を最終までの措置を加えますと、今研究中でありますが、御決議に沿うように努力中であります。おそらくは沿えると思うのであります。しかしその過程としては、時日でありますとか据置期間でありますとか、償還年限は御指摘通りにやるつもりでありまして、その中間として急ぎますから、十五号の被害を概略押えたところまでを被害ワクとしては四億くらい出して、残りを六億くらい出そう。そうすれば一億のワクの拡大になるわけであります。被害重点をしながら一億のワクの拡大になりまして、今後四億以上、私は四億で足りないと思うのです。四億以上のワクの拡大を、十二号ないし十五号までは、今後なお足りないからぜひ要るという府県の申請に一方まつと同時に、冷害をも予想して立てておかないと、資金ワクの点にちょっと問題があるのではないかと思われるわけであります。しかし御要望に沿えるものと思っておるわけであります。
  42. 井手以誠

    井手委員 ただいまの自作農創設維持資金ワクの拡大については、後日さらに論議されると存じますが、先般の決議は先刻小委員長から話があったように、残っておる九億をなるべく被害地に当て、それでも足りないであろうから、少くとも五億は別ワクとして災害地にやってもらいたいという趣旨でありまして、私ども調査いたしたところによりますと、九州管内だけでも最小限度六億必要のように私ども存じたのであります。もちろんそれでは足らない。これを各県に割ります。各人に割って参りますと、災害の干拓地のように災害のひどいものに全部行き渡るものかどうかもわからないもののようであります。そういうことを考えますと、四億とか、さらに一億のワクを増すとかいうような程度ではとうてい足りませんことを私は一言だけ特に強調しておきたいと思います。そこで渡部経済局長お尋ねをいたしますが、天災等による融資法の発動においてその償還年限据置期間を承わりたいと思います。   〔綱島委員長退席、田口委員長代理着席〕
  43. 渡部伍良

    渡部説明員 一般のものにつきましては次の出来秋から返してもらうのでありますが、累年災害の分は今年償還期限がきているものを借りかえて二年以内、開拓の場合は三年以内、こういうふうになっております。
  44. 井手以誠

    井手委員 この点も後日論議されると思いますので多くは申し上げませんが、局長に特に申し上げておきたいことは、今度の災害は局地的に非常にひどいのであります。干拓地に参りますと、八反歩、一町歩作ったところが全滅であります。開拓地においてもほとんど全滅の状態であります。それらを考えて参りますと、二年とかあるいは三年とか、かりに被害激甚のために三年になりましても、一二年間に償還できるとはとうてい予想されません。家も全壊するしあるいは半壊、大破したような状態にある農家が、翌日から農作業に専念できるとは思われませんし、今のような経済状態のもとで直ちに収入が次々に出てくるということは予想されないのであります。この償還年限据置期間というのは非常に重要な問題でございまして、視察に際して特に据置期間の問題、償還年限の延長等々は各地において要望された次第であります。そういうふうに金が困っておるのなら貸してやろう、しかし期間が短かいぞというようなことでなく、一つ最大限度にやってもらいたい。まあ局長お忙しいからなかなか現地にお出向きになるのは困難でしょうけれども災害地に行ってみると、そう二年とか三年とか言えたものではありません。自分が災害を受けた身になってみますと、それは翌年から払えるものではありません。私はきょうここで直ちに結論を得ようとも、あなたから言明を得ようとも思いませんけれども、そんななまやさしい、翌年から償還されるような状態ではございません。されるようなら借りはしません。家も流されあるいはこわれ、収穫物は皆無だというような状態のもとで翌年から返せというような金の貸付はこれは酷だと思うのです。なお委員会は続会されましょうからあらためてお尋ねいたしますが、そういう点は一つ十分お考えの上で対処していただきたいことを要望して私は質問を打ち切ります。
  45. 赤路友藏

    赤路委員 経済局長に、これは質問ではありません。要望であります。この三項の融資要綱ですが、先ほど田口委員質問に対して十分研究をするというお話であったのですが、実はすでに九号台風が済んでから一ヵ月になっておるが、いまだにこれが研究中であるというようなことになると、その研究している間に被害者はのびてしまうというような結果にもなりかねないので、一つ十分お考えを願いたい。非常にこまかいことですが、ぜひ考慮していただきたいことは、実例をとって申し上げますが、たとえばAという被災者が代船建造をする場合、窓口機関である農林中金の方にプロパーの負債が延滞分として二百万なら二百万ある。そして今度特別に要綱を作っていただいてここに代船建造費として一千万の金を貸すということになると、その際農林中金は金融機関の建前から延滞されたものが二百万あるからというので、その一千万から二百万を差っ引く。こういうことになると、せっかく貸したがこれは作れない。こういうような現状になっておるわけです。そのままに手放しにしておきますと、これは取る可能性がある。御承知通り昭和二十何年でしたか、室蘭製鋼の場合も、公庫から貸したものを農中が旧負債があるというのでそれを取ってしまったことが原因になっていまだにできない。そして問題を起しておる。こういうようなことがある。当時十分農中の方には注意をしておきましたが、そういうようなケースが出て参ります。それらのことも一つぜひ考慮の中に入れてこの要綱をお作り願いたい。できるだけ早く、たとい一日でも二日でも早い方が助かるのでありますから、ぜひ一つ速急に手を打つようにお願いしておきたいと思います。  水産庁の方に少し御希望申し上げておきますが、今度災害地を見て回りまして、漁港の被害でありますが、九号台風である程度やられておったのが十二号台風であれがもうめちゃくちゃにこわされて、非常に大きな被害をこうむっておる。ほとんどもう使用にたえないようなところがあるようであります。その場合御承知通り漁港修築というのはまだ十分いっておりませんので、たとえば旧態のままの石垣積みの護岸のところが相当あるわけなのです。そういうところが全部やられてしまっておる。一定の個所が九号でやられ、今度十二号で潮が裏に回って裏からはね返されておりますから、石が五、六個抜かれますとあとはがたがたと落ちてしまう。こういうようなところが非常に多いのでありますが、こうしたところは原形復旧では処置がないのじゃないか、こういうふうに思うわけなのであります。もちろんそれぞれ被害県において十分な設計等をやると思いますが、原形復旧ということでなしに、できる限り再度そういうような被害を受けないように、改良復旧の手を打っていただきたい。そういうふうにしていただけるかどうか。
  46. 奥原日出男

    ○奥原説明員 水産庁は目下被害各県を実査をして回っております。十二号の方が九号よりも被害が大きかったのであります。しかしこれは九号の被害がその中に含まれておるのですが、九州関係で三件すでに実査を終っております。ただいまもお話がありましたのは、おそらくどこか具体的な地点があってのお話だと存じますが、これは実情に応じまして改良工事をも加味できるように善処いたしたいと思っております。
  47. 中村英男

    中村(英)委員 先日救農土木の問題を研究していないというお話でしたが、これは現地に調査に行ってみると、施設災害のあるところは人夫なんかで出られますけれども、施設災害のない農村こそ災難だと思うのです。たとえば養蚕なんかで現金収入の道がない、ことしもなければ来年もないという状態が起っております。これは研究されましたかどうか。あるいは研究されなかったら十分研究してもらいたいと思います。  それから水産庁の方についでに聞きますが、きのうの吉川小委員長報告に、島根県の工事の疎漏が指摘されたようですが、私ども見まして島根県もそうですし、鳥取にもそういうような疎漏な工事が見受けられました。これはおそらく鳥取、島根だけでなしに、おそらくこれは戦時中のものだと思います。近ごろの工事はこういうものはないと思いますが、工事をするに当って十分留意してもらいたい。
  48. 安田善一郎

    安田説明員 先般委員会がありました際に救農土木の御要請のお話がありまして、数日後主計局、特に次長とよく懇談をいたしました。十二号がまだ明確を欠いておりましたちょっと前であります。その後十五号も参りました。九号の際には特殊の地帯、たとえば干拓地で堤防をやられて全く壊滅をくらったというようなところが、小地域ではあるけれども、全国的に見ると例年より被害が少いので、多少難色を示したまま別れたのであります。その後十二号以降の被害が来まして、中に施設被害がなくても自然現象で作物被害が相当島根その他来ておるのであります。水害が起きて、作物被害があって施設被害はあまりないというようなところもあります。加うるに冷害の様相が大体はっきりしまして、相当の額のようでございますので、四、五日前あらためて主計局の首脳部と実はお話をしまして、状態が判明次第やはりこれは——今年は被害の少い年ではない、私は日本全体に被害の少い年でも、ある地域には救農土木は要るのだという説でありますが、大蔵省でもそういう説を持っておりまして、君の説においても実施すべきではないか、こういうことで大体農業土木工事は来年を予定しておりますものの繰り上げ施行の方法でありますとか、北海道等においては、また地区によっては予定工事がないところがあるわけでございます。これは繰り上げ施行でもって足りないところは別途の措置を講ずる、あるいは冬季にはその正確な実施設計に基く農業土木工事を実施できない場合がありますので、その場合はたとえば来年度行うための砂利運びとか、道路工事の準備行為とか、北の方でいきますと、馬そり客土とか、いろいろなものが考えられるわけでありますから、被害状況においてぜひ実施しようじゃないかということで、実情の判明と方法を練っておるところでございます。
  49. 田口長治郎

    田口委員長代理 本日はこの程度にとどめ散会いたします。    午前十一時五十三分散会