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1956-09-08 第24回国会 衆議院 農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十一年九月七日(金曜日)委員 長の指名で次の通り選任された。       石坂  繁君    大野 市郎君       大森 玉木君    白浜 仁吉君       田口長治郎君    綱島 正興君       原  捨思君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    井手 以誠君       稲富 稜人君 同日  綱島正興君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 会議 昭和三十一年九月八日(土曜日)     午後一時四十九分開議  出席小委員    小委員長 綱島 正興君       石坂  繁君    大森 玉木君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       原  捨思君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    井手 以誠君       稲富 稜人君  小委員外出席者         議     員 吉川 久衛君         総理府事務官  及川 角嘉君         大蔵事務官   徳宣 一郎君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     伊達  博君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農 林 技 官         (農林経済局統         計調査部作物統         計課長)    石川  里君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   小林 誠一君         農 林 技 官 河口  清君         農 林 技 官         (振興局植物防         疫課長)    堀  正侃君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君         農林事務官         (食糧庁総務部         総務課長)   岡崎 三郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重藏君         農林事務官         (水産庁次長) 奧原日出男君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         予報課長)   伊藤  博君         建設事務官         (河川局次長) 美馬 郁夫君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      山内 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  第九号台風による農林漁業災害対策に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより台風等による農林漁業災害に関する小委員会を開きます。  本委員会は九号台風その後の台風その他の農林水産災害について調査を進めます。まず質疑を進めることにいたします。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 九号台風対策の審議に先だって、対策重要参考資料になるとも考えますので、まさに襲来せんとしておる十二号台風台風圏進行方向について、もし情報が入っておりますならば、この機会に承わりたいと思います。
  4. 綱島正興

    綱島委員長 ただいま気象庁の方に、予報課長というわけにはいきますまいけれども情報のわかるお方にこちらへ来ていただきたいという交渉中でございますから、気象庁の方から連絡のあり次第御報告申し上げます。
  5. 井手以誠

    井手委員 それでは施設災害についてお尋ねいたしますが、昨日建設省にお尋ねいたしました海岸堤防のことについて承わりたいと存じます。  河川局長は、質問に対する答弁の最後に、明年の植付までには支障のないように災害復旧したいという御答弁でありましたが、支障のないということはやや明確を欠くのでありまして、農林省では昨日答弁がありましたように、単年度復旧を目標にいたしまして一億三千万円の工費に対して一億一千万円ですか、二千万円ですか、ほとんど大部分を本年度に支出する模様でありますので、これと歩調を合せて、当然建設省でも隣接する海岸堤防災害復旧をお願いしなければならぬと存じております。そこで農林省歩調を合せて来年の春までには——春と申しますと三月というわけではございません、四月五月までには災害復旧を完成なさる御意思でございましょうか、その点を明らかにしていただきたいと存じます。
  6. 美馬郁夫

    美馬説明員 ただいまの御質問でございますが、私ども考え方といたしましては、目下県当局からいろいろ資料を集めまして復旧計画について協議いたしておりますが、大体本年の十月ごろまでに満潮面の水位に支障のない程度には一応やりまして、これで今年はとにかくどうにか持てると思いますから、こういうことでしのぎまして、来年の台風時期までには全部完全にやってしまう、こういうふうな計画で今おります。
  7. 井手以誠

    井手委員 くどくは申しませんが、けさ着きました佐賀県の新聞によりますと、今日でも八朔の大潮のために百四十戸の入植住宅は軒先まで洗われているようであります。十月末までには満潮面までとおっしゃいますが、はなはだ危険な状態でございます。現地における災害復旧建設省農林省の間に差があっては、はなはだ工合が悪いのではないか、せっかく農林省では、四月、五月までには完成する、大体は本年内にも完成するということでございますので、建設省でもできない相談では私はないと思います。もちろん県当局は単年度復旧を強く要望いたしております。ただいまのお言葉にこだわられることなく、現地要望一つ十分くみ取っていただきたい。ただ希望を聞きおくということではなくて、ぜひそうしていただきたいということをお願いしておきます。
  8. 稲富稜人

    稲富委員 ただいまの井手委員の御質問関連いたしまして、海岸堤防の問題をお尋ねしたいのですが、ことに干拓地海岸堤防等管理農林省所管建設省所管とあるようでございますが、これに対して、将来いつまでも両省所管にしておくのか、あるいはこれをいずれか一つにしようとするのか、この点の政府の方針を承わっておきたいと思います。
  9. 美馬郁夫

    美馬説明員 その点は三十一年度から海岸法が新しく施行されることになっておりますが、あの海岸法建設関係農林関係運輸関係と、こういう所管がはっきりしておりますから、あの法律趣旨にのっとってやっていきたい、こういうように考えております。
  10. 稲富稜人

    稲富委員 その法律趣旨にのっとってやることが将来いいかどうかということが問題なんだ。私たちが、たとえば干拓地等海岸堤防を見ます場合に、やはり干拓地海岸というものはその土地に非常な影響がある。現に現在耕作されております農作物等との関連があるから、非常に住民は、農林省所管に対して強く要望する。一方建設省関係では現在それがために被害をこうむっている農作物というものを、ただ見のがすのではないけれども、やはり何となく考え方がうといのではないか。こういうような感じ方がするわけです。やはりこういうことは、農作物と非常に密接な関係があるということが一応考えられるのではないかと思う。そういう点に対してこの三様に分けるというのは、どういうことに基準を置いてやられていく考えであるか、その点を承わりたい。
  11. 美馬郁夫

    美馬説明員 現在の大体の分割の方針は、工事を施行中のものを基礎にいたしまして、それは一応工事が終了までやっていく、そういう建前でやっております。
  12. 石坂繁

    石坂委員 先ほど海岸堤防についての井手委員の御質問に対して、稲富委員から関連質問がありましたが、私も簡単に加えたいと思うのです。先ほどの御答弁海岸堤防法が今年から施行されるようになって、そうして農林省建設省所管がはっきりいたしておるから、その法律趣旨に従って実施する、ごもっともだと思います。ところがいろいろ地元事情調査してみますと、この海岸堤防についての法制国家管理に一本化してもらいたいという意見がかなり強い。それで海岸堤防法を実施いたしますその直前で日が浅いのでございますけれども、この後国家管理に一本化するについての立法上の処置をお考えになる必要があるのではないか、その点についてどういう御見解を持っておられるか。
  13. 美馬郁夫

    美馬説明員 ただいまの御質問でございますが、国家管理と申しますと、たとえば中央の官署を一本にする、その点につきましては私ども別考えを持っておりません。現在の法制が正しきものである、こういうふうに考えております。
  14. 石坂繁

    石坂委員 これはなおわれわれも研究いたしますが、当局としてもそういう要望のあるところについて研究してもらいたい。  なおもう一つは、災害復旧に関しましては、これはどこまでも工事を急がなければならないのでありますが、この査定がややともいたしまするとおくれがちであります。従いましてできるだけ至急に査定をやってもらいたい。もしそれが何らかの事情でひまどるようなことがあれば、工法協議等の便法によって本工事緊急復旧に着手することを認めていただきたい。こういうふうな希望被害地には多いのですが、それについてどういう処置をなされているか、お伺いたしたい。
  15. 美馬郁夫

    美馬説明員 九号台風被害につきましては、私ども大体九月の十日ないし十五日から、九月の十五日ないし二十日ごろまでの間に査定を終了する予定であります。詳細に申し上げますと、福岡が十五日、佐賀が十日、長崎が十二日、熊本が十日、それからおおむね一週間くらいの予定で終了する予定でございます。
  16. 綱島正興

    綱島委員長 そうすると大体二十日前後からほんとうの建設省資料として出せますね。
  17. 美馬郁夫

    美馬説明員 二十二日ごろになります。
  18. 山内一郎

    山内説明員 ただ委員長に申し上げますが、今度の十二号台風がもし九州へ参りました場合には、せっかく査定をやりました個所もさらに災害を受けますので、この調査は延期になると思います。
  19. 井手以誠

    井手委員 ただいま石坂委員も御指摘になりました海岸堤防の行政の一元化ということについては、私も現地におりまして非常に切実に感じておるのであります。先般の災害に対しては、建設大臣にいち早く現地を御視察いただきまして非常に感謝をいたしております。ところがいらっしゃったときに、隣合せ農林省建設省海岸堤防があるわけです。建設大臣は一方だけしか見ないということで騒ぎ出しましたので、気を使った係官の手によって、幸いに現地においてはうまくいったことがあったわけであります。いずれにいたしましても海岸保全法はすでに実施されておりますので、法律を実施して行くという御方針についてはやむを得ないかと思うのであります。しかし根本的には海岸堤防について、一方は建設省であり、一方は農林省であるということでは、負担の問題や、あるいは補強の問題、災害復旧の問題について非常にめんどうでございます。国会においてもこの点については再検討をいたしたいと考えておりますから、当局においても十分御研究を願いたいと存じております。  そこで昨日も私お尋ねいたしましたが、工事をおやりいただくときには、それぞれ権威と自信をもって実行なさるでございましょうけれども、やはり同じ地帯の隣合せ工事については、同時に着工し同時に完成するようなことでなくては地元民としては納得いかないのであります。朝晩二回大潮で洗われておる現実の惨状において、一方ではどんどん復旧について石が運ばれておる、指定工事が行われておるのに、一方においては全然着手できていない。こういうことではやはり地元民は承知しないのであります。十分一つ両省連絡をとってやっていただきたい。これだけは切に私はお願いいたしたい。片一方が先にきまったからといって——もちろん即時やっていただくことは喜ばしいことでございますけれども、なるべく日を同じゅうしてやっていただきたい。これはくどいようですけれどもお願いいたしておく次第であります。  そこで今度は農林省にお尋ねいたしますが、従来組合で作られた海岸埋立干拓が、その後国に移管されて代行干拓になっておる。その堤防の高さが四八メートル程度でありまして、これを七メートルくらいに引き上げるという計画があったということは私どもも承知いたしておるのであります。ところが残念なことには現在の予算の進み工合から申しますと、その一・三メートルのかさ上げには——一・三メートルだと思いますが、十何億を要するのに、現在の予算では一カ年間に一億円そこそこだそうでありまして、予定かさ上げに達するには十年以上を経過するようになるのであります。これでは毎年災害の不安におののいておる干拓地海岸堤防の近くの居住民においては、これは不安この上もないのであります。この海岸堤防強化あるいは海岸堤防ということの問題については、根本的には水面から上に上る工事については、少くとも五カ年以内に竣工してもらわなくちゃならぬのであります。これが十カ年もまたそれ以上もかかるようでは、いつ災害に見舞われるかしれないのでありまして、従って私がお尋ねしたいのは、代行干拓におけるかさ上げ工事を今後何カ年間で終る見込みであるのか、これから十分の一足らずの予算でお進めになる御意向であるのか、あるいはまた今後の干拓における海岸堤防において、水面から上に上げるのに十年もかかるようなことではだめでございまして、今後三年か四年か——私は一、二年とは申しません。地盤の関係がありますので、一、二年では無理でありますが、三年か五年以内には完成してもらわなければ、せっかく巨費を投じてやった堤防工事がまたもとのもくあみになるのではないかと私ども心配をいたしておりますので、この二点について当局の根本的な方針を承わりたいと思います。
  20. 河口清

    河口説明員 今の干拓堤防かさ上げの問題につきましては、私直接主管しておりませんけれども、現在の代行事業干拓については、極力井出先生のおっしゃったように、短期間かさ上げ工事が終るよう主務課では努力いたしております。なお災害復旧につきましてでございますが、その問題につきましては、現在の災害復旧工事に加えまして既定事業予算がついておりますので、特に大福搦干拓のごときは、これは災害復旧事業——現在既定事業としてついておる予算が多少不足いたしますので、ほかの方の地区から流用いたしまして、なるべく完全な堤防に、短期間に、少くとも来年の植付までには完全な提防にするという計画で進んでおります。その他の海岸堤防代行干拓堤防かさ上げ工事につきましては、なるべく早く終るように予算措置ができるように努力しておると聞いておりますし、帰りましたならばさっそく関係主課連絡いたしまして、その話をいたしましてなお一そう努力するように申し伝えます。
  21. 井手以誠

    井手委員 ただいまのかさ上げ工事の問題と埋立堤防の、海岸堤防建設についての五カ年以内の竣工、これは昨日の調査団の報告にもその中心的な対策として取り上げられておったのであります。主管局長がお見えでないということですから、これ以上申し上げませんが、非常に重要な問題でございます。地元からも切実に訴えられておりますので、特に御留意を願いたいと思います。  さらにお尋ねいたします。第一線堤防強化はもちろん必要でごさいますが、第二線堤防になった場合に、これが災害にあうことも予想しなくてはならぬのであります。ところが、一旦建設省に移管をされますと、従来の堤防は第二線堤防としてもし災害があった場合にはこれが復旧に非常に困難を来たすのであります。今度の災害を顧みましても、第二線堤防が非常に危機に瀕している。私はここで第二線堤防強化しろとは申しません。まず何よりも第一線堤防強化が必要でございますので、それまでは申しませんけれども、第二線堤防における将来の災害考えます場合には、第二線堤防農道として編入する必要があると私は考えるのであります。農業施設として取り扱う必要があると考えております。この点に関しての御用意を農林省当局から承わりたいと思います。
  22. 河口清

    河口説明員 第二線堤防農道として考えるべきではないかという御質問でございますが、現在海岸堤防の第二線堤防については、農道としての取扱いはいたしております。現に国営の有明干拓の背後にある第二線堤防のごときは、かつて開拓道路としての補修工事を実施したこともございますので、将来はその御趣旨に沿うように農道としての取扱いをいたしたいと考えております。
  23. 井手以誠

    井手委員 けっこうな御答弁でございますが、全面的にお願いをいたしたいと存じます。  そこで自治庁にお尋ねいたしますが、ただいままでお聞きのように、今度の災害復旧には、海岸堤防の本質から単年度復旧ということになっておりますが、佐賀長崎のごとく赤字県再建団体指定されている地方公共団体においては、災害復旧に非常に支障を来たすのであります。昨日理財課長においでいただきましてお尋ねいたしましたが、なお隔靴掻痒の感がありましたので、重ねてお尋ねいたします。これら再建団体における災害復旧については、再建団体でない地方公共団体災害復旧と同様に、かりに単年度復旧がありました場合でも、地元負担あるいは起債などについても支障なくお認めになる御意思でございましょうか、どうでございましょうか。十分考えましょうということでなくて、再建団体あるいはそうでない団体も同様に取り扱う、あの再建計画以外に扱うということの御明示を願いたいと存じます。
  24. 及川角壽

    及川説明員 お答えいたします。再建団体におきまする公共災害復旧事業につきましては、再建団体であろうとなかろうと一般の団体と同様の取扱いをいたします。従いまして、地方債につきましても、かりに今御指摘のように単年度でそれが復旧するのだということになっておりますれば、それに伴う地方負担分起債できるつもりであります。
  25. 井手以誠

    井手委員 指定を受けた再建団体も、災害復旧については全然再建計画とは別個に取り扱って、災害復旧には支障がないように、起債についてもあるいは復旧計画についてもやらせるという御意思でございますか。
  26. 及川角壽

    及川説明員 ただいまの再建団体につきましては、当然それは将来再建計画の改定が必要になって参ります。再建計画を改定いたしまして、その事業再建計画に盛り込みますから、その災害復旧公共事業費地方負担分起債で十分見る、こういうことでございます。
  27. 井手以誠

    井手委員 それでは自治庁に、ついでですからお尋ねいたしますが、つなぎ資金についてどのようにお考えになっておりますのか。おもなる府県別にすでに出した分と今後の御計画をお示し願いたい。
  28. 及川角壽

    及川説明員 自治庁といたしましては、つなぎ資金については各地方団体からの要望を伺いまして、大蔵省及び郵政省にこれの融資方を頼んでいるような状態でございます。今までのところで申し上げますと、額をはっきり覚えておりませんが、佐賀長崎、富山、石川、山形、新潟ですか、このくらいの県にはつなぎ融資を出しております。
  29. 稲富稜人

    稲富委員 私、海岸堤防の問題についてお尋ねしたいと思いますが、海岸堤防補強は当然必要でございますが、私がこの際補強について建設省にお尋ねしたいと思いますのは、今回の第九号台風によりまして佐賀県の昭和搦補強されました堤防は、補強部分が下の方が決壊しているという事実があるのでございます。こういうような事実というものは、補強計画が疎漏でなかったかというような見方も出てくるのでありますが、これに対し建設省は、あの災害実態を見てどういうふうに御解釈になっているのでございますか。これは将来の補強等にも非常に影響しますので、まずこれに対する建設省としての御見解を承わっておきたいと思うのでございます。
  30. 山内一郎

    山内説明員 その前に全国の海岸事情についてちょっと申し上げますが、私の方で海岸堤防補強するという事業を取り上げましたのは昭和二十五年からであります。それ以前につきましては全然国の補助がございませんで、二十五年から始めたのでございますが、佐賀県の全般の海岸堤防が非常に弱いというので、佐賀県につきまして優先的に取り上げたのであります。この中の昭和搦につきましても、やはり最初から二十五年から仕事を始めたのでございますが、海岸堤防の長さが全長で二千三百十メートルございます。これは大体東北の方向から西南の方向に走っておりますが、東の方から西の方へ行くほど程度が悪くなる。従いまして二十五年から手をつけたのは西の方から手をつけた。いろいろ調査をやりますと、非常に海の深さが違う。それから地質関係がやはり西へ行くほど悪くなる。従いまして西から手をつけたのでありますが、全部私の方の希望計画通りには——完成の途中で災害を受けて非常に残念に思っておりますが、やはりやりましただけ災害施設災害としてはやらないときより少くなって、復旧はやらないときよりも早く復旧できた。もう少し詳しく申し上げますと、もしやっていなければ破堤個所が非常に深掘れをしておりますが、現地でよく御視察なさったそうでございますが、非常に深く掘れていない関係上、さっそくに復旧工事に着工できるというので、やりました点について今度の台風の条件が非常に悪くてやられたのは残念でございますが、復旧の点では幾分助かっている、そういう状況でございます。
  31. 稲富稜人

    稲富委員 復旧の点では助かったという御答弁でございますが、率直にあなたの見解を承わりたいと思いまするのは、私どもが見ますると、補強をやりました部分だけが、しかも上の方は残りまして、先の方について残っている。従来の既定堤防にああいうくいを打っている、そのくいを打って補強したところに一つの欠陥があったのではないか、こういう見方も当然ある。またそこに大きな原因があるのではないかと思う。そういうことがもしも大きな原因であるとするならば、将来の補強に対して十分なる計画、再びそういうことの起らないようなことをやることが最も必要だ。こういう見解を私たちは持っておる。それでその補強に関して遺憾なきを期しておったのであるか、その点を承わりたいのです。その点は何も御答弁なさらぬで、結果から見てかえってよかったのであるというようなことでは、私たちは納得がいかないと思う。率直に、かえってああいう補強をやった結果がよかったのであるか、私たちはあの状態を見ますると、補強部分だけがこわされている、しかもその中に打たれましたくいだけが残っているというこの皮肉な実態というものは、最初補強計画に疎漏があったのではないか、こういうことが言われると思う。その点はなかったか。どういうような観察を技術的にしておられるかということをお聞きしたかったわけです。
  32. 山内一郎

    山内説明員 その点を申し上げます。この計画は従来の堤防の高さをさらに一メートル五十高くするという計画でございまして、その高くいたします場合に一番上の方に波返しをつけます。それはどういたしましてもコンクリート構造に作らないといけないのでありますが、コンクリート構造にいたしますと目方がかかるわけでございます。その場合に二通りのやり方をやっております。一つの場合は非常に地質がよくて、堤防の中の土質がいい場合にはくいを打たないでその上に載っけております。この佐賀の場合は御承知のように非常に地質が悪うございますので、どうしてもくいを基礎に打たなければ上の重い波返しを受け持つことはできないというような結果がわかりましたので、基礎くいを打ちまして、その上に波返しをつけた、そういう計画でありました。
  33. 稲富稜人

    稲富委員 ただいまの場合、たとえば福岡県の昭代でございましたか、あの場合を見ますと、ただ従来の堤防の上に波返しでございますか、コンクリートを載せてあるだけであります。そうして単に載せてあるだけであるから、これが決壊しておるという事実がある。佐賀県の場合には今おっしゃいましたように、従来の堤防が弱いからくいを打ったとおっしゃる。そうするとくいだけが残りて、中が全部洗われて、上の波返しだけが残っているというような現象が起きている。これはどちらがよいかという問題が起ってくるのでありますが、私たちはそういうようなことで、補強してかえって悪くなった、あるいは補強をしてただ高く上に載せたばかりで形式的である、こういうようなことを考えずに、もっと堤防の当初からの計画というものがなされなければいけないのではないか。しかも今の場合を見ますと、それはくいを打てば従来の堤防は中がゆるむでありましょうし、ゆるむということは当然補強されるべき堤防が弱くなっていくということは、しろうと考えでもわかるのです。それをあえてやられた。あれは時期的にもっと日がたっておればよかったとおっしゃるかもしれないけれども、それにも事情があると思う。これはやむを得なかったと脅えば過去のことを責めるのではありません。将来の補強対策というものは、これを参考にしてもっと慎重にやるべきではないか、こういうことをわれわれは考えているので、これに対して当事者としてのあなた方はどういうような技術的な考えを持っておられるか、この点を私たちは将来の参考にしたいために、お聞きしておるわけです。その点を伺っておきたいのであります。
  34. 山内一郎

    山内説明員 この昭和搦といいますのは、昭和の初めごろだと思いますが、一応昔の堤防ができておりまして、それを補強するという事業を始めたのでございますが、もし最初からこういう新しい堤防建設するという事態になりますと、おのずからこういう方法とは変って参ります。しかし補強工事でありますので、現在ある堤防を取っ払って新しくやるというわけには参りません。従いまして高さを上げるという工法をとっておりますが、上げる場合には先ほど申し上げましたように、波返しを持たせるためにはどうしても基礎くいを打たなければならない。もし基礎くいを打ってないといたしますと、施工後すぐ沈下を起しております。従って九号台風のような場合でなくても、その波返しはふっ飛んで、堤防が全部破堤するという場合も予想されます。従って補強という点におきましては、どうしても重い波返しをささえるためにくいを打たなければならないというので、新しく作るというのと、ちょっと変って参りますが、新設をする場合には別な方法をとると思います。従いまして今度の復旧におきましても、従来の補強という点とは観点を異にして、よく調査をいたして実施をしたい。ただいまの段階は、下の方の捨て石をやりまして、満潮時までの締め切りをやるという段階で、現在調査中であります。
  35. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると結論から申し上げますと、昭和搦のような補強の場合には、くいを打つよりほかに方法がなかったということですね。そういう結論でやむなくくいを打った。結果としては、そのくいを打った部分だけが決壊させられたけれども、これはやむを得なかったのだ、ただ補強をやっておったがために復旧は早くできるというので、かえってそういうくいを打っておったことがよかった結果になったのだ、こういうあなたの方の御解釈ですね。
  36. 山内一郎

    山内説明員 お説の通りでございます。
  37. 井手以誠

    井手委員 ただいまの稲富委員の御質問については、私も同様な考え地元議員として持っておりますが、どうも今のお答えでは私も納得しないのであります。しかし建設省として権威を持って御計画になったお立場から、率直に稲富委員の御注意を受け取るわけには参らぬかと思いますが、そう解釈いたしておるのであります。従ってこの点については御答弁は要りませんから、将来の補強工事については、一つ十分に工法について御研究を願いたいと思います。下が非常にかたいところに、上からくいを打って、その周囲がゆるんだ、そのゆるんだところに弱みができたというふうに、しろうとはほとんど見ておるのであります。案外しろうとの目というものは当るのであります。しかし私はこれ以上申し上げませんが、十分御研究を願いたいと存じます。  そこで農林省施設災害復旧についてお尋ねをいたしますが、開拓者住宅の災害復旧については従来どういうふうになっておりましたか、この際要点だけでけっこうでございますが、大体の御説明を願いたいと思います。
  38. 河口清

    河口説明員 開拓者住宅の補助につきましては、大破したものについて十八万円の半額補助があります。
  39. 井手以誠

    井手委員 入植五カ年を経過した場合にはどうなりますか。ちょっと参考までに申し上げておきますが、農林省の入植者に対する営農類型と申しますか、計画によりますと、資金は十八万何千円を融通する、あるいはどういう場合はどうするというふうに計画はあるようであります。従って五年間で大体入植者の営農は独立自営できる、こういう計画になっておりますが、従来の農林省の施策によりますと、その半ばにも達していないのであります。しかも累年災害によって入植開拓者の窮状は目に余るものがあるのであります。そういうことから考えますと、五年を経過して被害を受けた場合でも、当然私はその施設災害復旧の恩典を与えるべきものだと考えるのであります。その点についてどういうふうに今までなっておりますか。
  40. 保坂信男

    ○保坂説明員 詳しい補助率等については明確に記憶をいたしませんが、開拓者の住宅につきましては、全壊のものにつきまして二分の一の補助をいたしまして、最近におきましては、五年以上お説のように経過をいたしました開拓者が罹災をいたしました場合におきましては、全壊の場合におきまして補助率を若干下回って補助をいたしておると記憶をいたしております。
  41. 井手以誠

    井手委員 大体見当がつきましたのでお尋ねいたしますが、お話のように五年を経過したものについては若干下回るのではなくして、補助の対象にならないという話であります。昨日局長の御答弁によりますと、干拓地における入植者につきましては、五カ年を経過したものでも特例を認めたいというお話でございました。非常にけっこうなことでございますが、今度の災害には長崎佐賀ばかりではなくして、今回の台風被害としては特に開拓者の被害が顕著であります。これは鳥取県においても島根県においても熊本においても福岡でも同様であると思うのであります。たとえば一集団地区に十戸ある場合には九戸まで全壊をした例も佐賀県の大浦にはあるのでございます。しかも当初入植せられた開拓者の住宅には三千円の補助しかなかった開拓者の住宅もあるわけであります。非常に脆弱でございます。その場合に、五年を経過したものは災害復旧の対象にはならないとかあるいは若干しか補助しないということでは非常に冷酷過ぎる問題だと思います。それがもし政府において予定通りの——十七万六千円でごさいますか、予定通り営農資金を与えたりあるいは堅牢に住宅建設をさせたり、あるいは自営できるような策を施してあるならば私は申し上げることはないと思いますけれども、先ほど申しますように、施策はその半ばにも達しておりません。十年を経過してもなお六五%とかいう数字が出ておるのであります。従ってこの法律によりますれば、入植者に対してはそういう恩典があるのでありますから、これを五年で打ち切るべきものではないのであります。そこでこの機会に私は明確にお答え願いますが、まだ入植者で自営できない、これらほとんどの開拓者に対する住宅の災害復旧については、年数を問わず災害復旧の恩典に浴さすべきものであると存じますので、これに対する当局の御方針を承わりたいのであります。
  42. 保坂信男

    ○保坂説明員 せっかくのお尋ねでございますが、農地局から責任局長がまだお見えになっておりませんので、御趣旨はよくわかりましたので、御連絡を十分申し上げて措置をお願いするように取り計らっていきたいと思います。
  43. 井手以誠

    井手委員 委員長も私の質問をお聞きだったと思うのですが、委員長もそういう御意見はかねがね強調されたと存じております。私は今度の災害対策についても、その点は重要問題の一つであると考えておりますので、きょう関係局長が見えていないということは非常に残念でございます。すみやかに出席されるように一つ督促をしてもらいたいと存じます。  なお施設災害復旧についての意見も私はありますが、ほかの御質問者もあるようでありますので、一応この分についてはこれで打ち切りたいと思います。
  44. 綱島正興

    綱島委員長 次に石坂委員質問を許します。
  45. 石坂繁

    石坂委員 委員長に伺いますが、進行の順序は先ほどいただきました農林水産施設災害復旧対策のこの順序で大体おやりになりますね。
  46. 綱島正興

    綱島委員長 それば絶対的ではございません。大体御参考までに……。
  47. 石坂繁

    石坂委員 干拓堤防災害復旧措置につきましては大体井手委員稲富委員等の質疑応答がありましたので、私は両委員が触れられなかった点について簡単に質疑をいたしたいと思いますが、農林省の方に伺います。  干拓堤防の応急復旧工事の必要につきましては、御承知の通りに農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、これに基きまして政令が出ているわけであります。これによりますと、本来農林大臣が特別の事情があると認めたる応急工事につきましては、年額五万円以上のもので当該個所の本工事の二割が国庫補助の対象となっておる、こういうふうに承知いたしております。しかるに干拓堤防工事につきましては、一般の本工事に認められないような特殊資材等が必要であります。従いまして本工事費と関係なく、応急工事に必要な経費は全額国庫補助の対象となすべきではないかと思うのでありますが、こういう点について当局はどういうふうに考えておられるか、お伺いいたします。
  48. 河口清

    河口説明員 干拓堤防の決壊いたしました場合の応急工事についての御質問でございますが、御承知のように干拓堤防の応急工事といたしましては、土俵その他で仮締め切りをする、あるいはくいを打つといったような応急的な工事が多いのでありますが、その土俵その他の工事は二割とかという制限でなくて、やがては本工事の盛り土もこの一部に流用されるものが多うございます。それは当然本工事の対象になるとお考え下さってけっこうでございます。
  49. 綱島正興

    綱島委員長 石坂委員、今予報課長が見えられましたので、ちょっとこの際……。
  50. 石坂繁

    石坂委員 けっこうです。
  51. 綱島正興

    綱島委員長 予報課長から今度の十二号台風の様相を、現在までのところを御報告願いたい。
  52. 伊藤博

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。けさ六時までの状況は、お手元に差し上げました刷りものに書いてあります通り、ここ一日、二日ずっと北西の方へ上って参りまして、きょうの十二時には沖縄の北西約七十キロくらいのところまで参っております。風速が大へん強く出ておりまして、きょうの十一時ごろ、沖縄では平均風速にしまして四十四メートル、突風七十メートルを観測しております。暴風の半径がやはり広うございまして、台風の東側では約七百キロくらいまでの間は二十五メートル以上の風が吹いております。西側の方は少し狭くなっておりますけれども、それでもやはり四百キロあるいは五百キロという範囲は二十五メートル以上の暴風が吹いております。  これからの予想でございますが、朝予想いたしましたのは、お手元に配りました扇型に開いたそれが予想の範囲でございますが、正午の観測に基きましても、その予想はほとんど相違はございません。差しあたりは北西の方に向っておりますが、もうしばらくしますと、それが北北西に向きを変える見込みでございまして、大体私どもの予報としては、二十四時間くらいが限度でございますが、もう少し先まで想像を加えますと、日本海の方へ進んでいく公算が大きいものと考えております。ただいまのところは速度は一時間十五キロくらいでありますが、そこに線がひっ張ってございますが、北緯三十度辺に達しますと、もう少し速度が早くなりまして、東に向う西風が出て参りますと、一時間に四十キロから五十キロくらいの早さになるものと予想いたしております。  そういう予想通りになって参りますと、九州の方は台風の東側に当りますので、相当南風が強くなると考えなければならぬと思います。雨はきのうごろから九州で降り始めまして、熊本県の山の中でございますが、一ヵ所だけ二百五十ミリくらいに達したところがございます。平野部ではまだ大したことはございませんが、山の中で百ミリか、百五十ミリ、一番多いところで二百五十ミリくらいすでに降りました。台風の速度が今のところあまり早くございませんから、雨の降る時間も多少長引くかと考えますと、九州の山の方はなお雨量を増す見込みでございますし、平野部もこの前の九号のときは大体百ミリ見当でございましたが、それくらいの雨は降るのじゃなかろうかと予想いたしております。そんなところが大体の概況でございます。
  53. 綱島正興

    綱島委員長 速記をやめて。   〔速記中止〕
  54. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。石坂委員
  55. 石坂繁

    石坂委員 先ほど応急資材費についての国庫負担のことを御答弁願ったのでありますが、先ほどの御答弁によりますと、結果におきましては結局全額国庫補助ということになるのですね。そういうことですね。  それから水防資材のことでありますが、これはどうしても平素から土俵その他のものを備蓄しておく必要があると考えますが、現在建設省の方ではその費用を出しておられるようです。そこで農林省の方に要望いたしたいことは、建設省同様に農林省においてもそれらの水防資材費を補助されるというお考えはないでしょうか。
  56. 河口清

    河口説明員 干拓堤防の水防資材の備蓄その他につきましてはぜひ必要だと思いますので、ぜひやっていきたいと思います。
  57. 石坂繁

    石坂委員 なお、先ほどの昭和搦工事について井出、稲富両小委員の質疑応答があったのでありますが、どうも日本の国の状況は年々災害がやって参っております。農山村あるいは漁村、ことに干拓地のごときはそれを受ける心配が非常に多いのであります。もちろんこれは復旧工事をやって原状回復を急ぐのは当然のことでありますけれども、ただそれだけでは毎年々々災害の跡始末をするだけであります。従ってわれわれは国家の対策としてこれを防除する方法を講ずる必要を痛感いたしておるのであります。従いまして、今後復旧工事をやられるに際しましても、防災の見地から、防災の趣旨を加味した復旧工事をやる必要があると思いますが、建設省あるいは農林省におきましても、もちろんそういうお考えであろうと思いますけれども、その点いかがでしょう。
  58. 美馬郁夫

    美馬説明員 建設省所管海岸堤防復旧につきましては、ただいまの災害復旧法で許された範囲内の原形復旧以上の点につきましては災害復旧法でやっていきますし、その他の災害復旧法に予定しております以上の部面につきましては、できるだけ改良費を同時並行的につけまして、改良工事とあわせましてすみやかに復旧工事をはかりたい、そういうふうなつもりでおります。
  59. 河口清

    河口説明員 農林省干拓堤防につきましても建設省とやはり全く同じでございまして、災害復旧費のできる範囲においてはある程度の改良を加味してやる。それ以上の補強につきましては関連事業費という土地改良関係の補助がございますので、それと組み合せまして実施していきたいと思っております。
  60. 石坂繁

    石坂委員 復旧工事につきましてはこれで打ち切ります。
  61. 井手以誠

    井手委員 委員長に御了解願いたいと思うのですが、次に農作物被害、保険による措置、資金融通の三つを一緒に質問させていただきたいと思います。
  62. 綱島正興

    綱島委員長 けっこうです。
  63. 井手以誠

    井手委員 まず第一にお尋ねしたいのは、入植後、日が浅いために農業共済保険に入っていない地域、これに対して、端的に申しますならば、昨日も申しましたが、大副搦のようなところは八俵、九俵を予想される干拓地の水稲が全く全滅をいたしておりますので、水稲一本立の入植者の経営では全く困るのであります。昨日はその措置として堤防工事の人夫賃で当面どうかというような話もありましたが、それだけでは私は不十分だと思うのであります。この水稲災害について、農林省の指導による入植水稲栽培、これを考えますると、今根拠がないから、保険に入っていないから全然措置はできないというような冷淡な態度で私は済ませないと思うのです。一町歩と申しますると、八俵できるところで一町歩ということになりますれば相当な金額になるのであります。それが全然保険がない、補償がない、見舞がないということでは、入植者としては非常に打撃でございますので、何か農林省でこれにかわる措置が講ぜられておるかどうか、この点についての対策を承わりたいと存じます。これが第一点であります。  それからこれは一般的な問題になりますが、そういう地帯を中心にいたしまして、八俵も九俵もできるという見込みから米の売り渡し予約をいたしておりまして、予約金をもらっておるのでありますが、水稲一本立の入植者ではとても返済する能力はないのであります。早くても返済は来年の水稲の収納期になるのであります。これを法をたてに直ちに戻せということは私は酷だと思うのであります。この二点についてどのようにお考えになっておりますか、方針を承わりたいと存じます。
  64. 保坂信男

    ○保坂説明員 第一点の御質問について私の方からお答え申し上げます。米の予約金の問題については食糧庁の総務課長が見えておりますのでそちらから御答弁していただきたいと思っております。御指摘のように入植後二、三年の間は基準収量が不確定であるというような要素からいたしまして、農業災害補償制度の引き受けの対象にならないのが通例でございます。その過程におきましても引き受けを実施いたしておる向きもございますけれども、今回の災害のような場合におきまして、特に干拓地で入植後、日浅いものについては引き受けをしていないのが相当多くある現状であると承知いたしております。その面に対しまして農業災害補償法の共済金の支払いをするということは、それはとうてい不可能であろうと考えます。それに対する対策として別途いかなる措置があるかということにつきましては、率直に申しまして、なかなか名案は少いと考えるのでございますが、先日も農地局長が申し上げましたような実質労賃が入るというようなことも一つの方法であろうと思いますが、さらに一般の天災融資法に基く経営資金等の取扱いに基きまして、特にそうした極端な被害を受けました地帯につきましては、地域指定等の方法を十分検討いたしまして、融資の面につきましても特段のお骨折りをするという方法を検討すべき事柄ではないかということで、目下研究をいたしておるのでございます。
  65. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいま御質問の第二の点について申し上げます。概算金の返納でございますが、今お話の通りまことにお気の毒な状況にある農家に対しまして、何らかこれを免除あるいは延期するということは当然私どももすぐ考えつくことでございまして、何とか道はないものかということでいろいろ大蔵省また法制局その他事務当局と打ち合せたのでございますが、現在の制度は、食糧庁つまり政府と、それから各農家との一つの制度に基いた契約ということになっておりまして、一つの契約上の債権がそこでできておるわけであります。従ってその条件を変えるには何としても財政法に基きまして法律を要するという最終的な結論になりまして、ただいまの制度の運用としましてはいかんともしがたい、制度そのものとしてはお米を国に売ってもらう、それを確保する制度といたしましてただいまの制度ができておるものでございますから、従って制度の建前から考えまして、いわゆる災害というような場合の特例を設けますことは、また別途の措置で何らか考えなければならぬということになるわけだろうと思うのでございます。  次にそれではどういう措置があるかということになって参りますと、すでにたびたびお話にも出ておりますように、各種の資金、またそれが間に合わなければいろいろなつなぎ資金、そういうようなことで、現実にどうしても返納が無理だというような農家に対しましては何か特別な、そういった資金面でもって考慮せざるを得ないのじゃないかというように考えまして、ただいま関係方面と、また部内でも打ち合せ中でございます。
  66. 井手以誠

    井手委員 あとで足鹿先生からもこの問題についてはお願いしたいと思っておりますが、ただいまの御両人の御答弁を承わっておりますと、どうもサービス省としての農林省の性格ではないような気がいたすのであります。私はよく最近本省の高級役人さんの地方に対する答弁なんかを聞いておりますと、農林省は商人と同じで商取引だ、そんな社会政策的なことはやれぬ、こういうようなことをぬけぬけとおっしゃっておることをよく承わるのであります。私は、政治は貧乏させないように、転落した者はこれを救っていくのが政治の目標だと思う。予約の方は契約だ、商取引だ、私はそんなことだけでは済ませるものじゃないと思う。食糧庁は食糧庁の建前だ、農地局は農地局の建前だ、そういうことではいかぬと思う。やはり農林省の、あるいは国の政治の一環としてお考えを願いたい。そういう契約じゃないから私の方は出せません、災害については別途にお考えを願わねばならぬ、こういうことであってはならぬと思う。私はその点についてはいろいろ言いたいことがありますけれども、小委員会では具体的に対策を講ぜねばなりませんから、論議がましいことは申しませんが、そんなに相手方が困っておるなら救ってやるように、法律が今の場合適当でないならば法律を改正する、政令が工合が悪いならば政令を改める、そういうことはできることだと思うのです。今の予約金の問題について、なるほど契約ではありましょうけれども、相手が困っておるならば延ばしてやるということは、そう私はむずかしい問題じゃないと思う。できないならばできないところを改めるというふうに努力を願いたいと思う。また相手方は、将来まで、商取引の相手方としてあなた方の得意先でもあるわけですよ。あなたの方にはいい得意先のはずでありますから、それをかわいがってやる、将来うんと売ってもらうということでありますならば、この際困っておるならばそれを救ってやることが必要だと思う。あとで委員同士研究はいたしますが、予約金についてはそう待てないはずはないと思う。来年の出来秋まではぜひ返済を猶予してもらうように格段の努力を願いたいと存じます。  それからいま一つ災害共済金に入らないために保険金が支払えない問題。これはなるほど入っておりませんから保険金が支払えないことはわかっておりますが、それほど困っておる者に対しては、見舞金程度のものは何とかの名前で出せぬはずはないと思う。まるまる保険金をくれろとはだれも申しません。半分か三分の一でもいいはずであります。それくらいの金を出せないはずはないと思うのであります。それと、すでにそういう悲惨な目にあっておる者に対する措置とともに、今後は、国が補助金を出して用水施設をしてやった、井戸を掘らせた、そして本格的に水稲の栽培を行なったならば、五年以内であっても私は保険の対象農家にすべきであると思う。これは干拓地ばかりではございません。開拓者全部についても同様だと思うのです。未確定な収入あるいは未熟田畑という問題もございましょう。組合がそういう開拓者の加入を好まないことも私どもは承知いたしております。従ってそういう場合を救済するには、開拓者に対して、その損害の多い分については国庫の補助率を引き上げるというような特別の措置を願わなくては、あの山の中腹において段々畑を耕作しておる開拓者の災害についてはなかなか救えないと思う。これは今後の問題にもわたります。今度十二号台風が来れば、被害はさらに大きくなって参りましょうが、当面のすでに災害を受けた者と、そういう保険に入っていない、また保険に入ろうとしても入ることのできない開拓者に対する共済保険についての対策も、私はこの際十分再検討すべき時期ではないかと思いますが、これに対する当局の御用意はいかがでございましょう。
  67. 森茂雄

    ○森説明員 保険の問題でございますが、先ほど農政課長から申し上げました通り、そういう理屈になるわけではございますが、現在の実態といたしまして、逆に保険の対象になっておる者でも掛金を払わないという根本的な問題もありますが、いずれにいたしましても、農業災害補償制度がありまして、困っている者を強く救うという制度でありますので、目下全般的に保険制度の改正案を検討いたしておりますが、特に御指摘の開拓者の問題につきましては、農地局の施策と相待ちまして、農業災害補償制度の趣旨にも考えまして、保険の対象となっておる対象部面を勘考し、あるいは全般の問題と関連いたしまして、特に開拓者なり、常襲災害地帯あるいは特に今日の悪いところにつきまして、特別な措置をする必要があると思いますので、根本的な問題と関連いたしまして解決いたしたいと目下検討中であるわけであります。
  68. 井手以誠

    井手委員 農地局長も幸い見えましたが、例を大副搦にとりますならば、農林省の指導で井戸も掘っていただきました。りっぱな水稲も育って参りました。何回も申し上げますが、八俵も九俵もとれるような美田になっておったのであります。ところがこれは日が浅いために保険の対象になっていない、加入ができない。自作農創設についてもいろいろな問題が起ってくると思うのです。現在の段階では、いわば政府は地主さんであるわけです。あの問題を起した地主制度のもとにおいてすら、小作人の困ったときには飯米も支給する、あるいは金もくれてやる、そういった事例もあったはずである。その地主である政府が、農林省が、法律にはそういうような取りきめがないからできないとか、あるいは予約金の返済はすぐやってもらわなければいかぬという冷たい態度で済まされるはずはないと思います。これは農地局長と非常に関係が深いことでございます。せっかく自分がかわいがって育てておる入植者がこんなに困っておるなら、現在の法律でできないものであるならば、これを改めて、救済していこう、あるいは法律でできないなら別途の行政措置で見舞金でもやろうじゃないかというような措置を講ぜられることが親心であると思う。指導なさった皆さん方の務めでもあると思う。私はここで法律ではできないなどという御答弁は聞きたくない。何とかやはり工夫し、努力し、幾らかでも救ってやろうという誠意をこの際見せていただきたいのでありますが、農地局長はどのようにお考えでございますか。
  69. 安田善一郎

    ○安田説明員 誠意のほどは、御説の通り私もその通りであります。法律改正を要するものも行うべきであると農地局では少くとも考えております。私は相当部分、具体的対策を立てれば農林省の意見になり得ると思う。しかし法律改正等の措置をとる場合には国会を要しますので、国会がある際には間に合せたいと思います。その前に、開拓農家がしし営々として終戦後働かれ、特に二十三年までは緊急開拓として、政府の対策が夫整備のままに入植された、二十四年以降は、今から思いますと、営農利益がはかばかしくないという部分が出ておる。これを補強する要がある。その上にさらに災害が重なって膨大な負債を持っておるのでありますから、それ自身負債の整理をもしなければならぬ。しかし整理だけするのでは十分でありませんから、営農規模や営農の高度化をはかる措置を融資の補助で行わなければならぬと思うのであります。昨年から新地区一千地区を営農診断しまして、三カ年計画でやる施策が三十一年度予算から立っておりますが、それは消極的に過ぎますから道路、水路、畑地灌漑その他の措置を要するようなものはそれを加え、小規模な機械開墾をやる場合もこれを加えて、必ずしも手開墾ばかりでやらないようにして営農振興の方針を立たせる。それから今回災害を受けた場合は、とりあえず天災による融資法に基いて、営農資金が要るという分の法に基く融資ばかりでなしに、開拓者には、特に災害地で大被害をくらったところは、低率の、例の地域指定をすべきだと私は思っております。これには旧町村単位で従来指定する予定があったという意見があるのでありますが、私は開拓地など地域が明確な場合は、それで指定してもいいのじゃないかと思って、研究をいたしておるのであります。さらに本年償還期に入っておる返済分でありますが、これは従来の例もあるようですが、一応前提を施策を立て直す、負債を整理するということを考えるがゆえに、本年度は増し貸しと申しますか、返済資金を増加して貸す、増加して供給しまして、それで返済分を返す、そういうふうにしてもらうとどうかと思うのであります。それは農林省としましては実施するつもりであります。その額をきのう農林経済局長が、おおむねの構想に基きまして目下内定しておる省内の意見を申し上げたわけであります。しかし今回特定地域につきましては、ほんとうに田畑も家も家財も流れたのがあるわけであります。これに対しては当面、きのう生活保護法等の話もありましたが、あれは農林省は直接施行しておりませんけれども、家を持った場合にはなかなか適用がしにくい法律のようであります。そこできのうも申し上げましたように、私は自分でちょっとはじいてみたのですが、大副搦が一番ひどいので、すでに一番最初に予備費を特にきめて支出をするようにしておりますが、これが約八十戸か七十戸であります。入植農家はほとんど全部やられておるわけであります。その工事を、その農家が特殊技術を要せざる分を全部働いてもらう。これはつなぎ融資的な融資もワクとしては県に差し上げてあるわけでありますけれども……。それで働いていただくと、まあ机上の計算では、一戸当りのその工事の労賃は、単年度で行いますので九万七千円になります。しかしそんなふうにはいかないでありましょうが、それからある額を引きましても、数万になると思うのです。そのほかに今のお話でありますれば、お見舞金ということもほんとうにあると思いますが、この分は私は国の予備費としては——予備費支出に当ると思いますので、目下要求手続をとるとか、とるための考えをめぐらしてやっておりません。これは当然県において、国営工事もやるくらいで、九万七千は別として、半分でも四万何ぼですから……。赤字団体でありましても、きのう自治庁の者がお答えいたしましたように、赤字財政としての地方財政は処理すると自治庁が言っておりますから、それによって適切なる処置を少くとも講ずべきものである。それで十分とも思いませんがやっていただきたい。また県庁の幹部の人が見えられましたところによりましても、できるだけその措置はとり、また被害を受けなかった部面の協力態勢を強化して、その措置をとりつつあるということを、全部でないかもしれませんが、県の部長、副知事から聞いておったので、そういう考えでおるわけであります。
  70. 井手以誠

    井手委員 局長の話によりますと、かなり努力はされておるようでありますが、私はここであらためて局長に数点についてはっきりした御答弁を願いたいと思います。第一には、先刻いらっしゃらなかったから中途半端に終ったのですが、開拓者住宅は、従来の例によりますれば、五年を経過したものについては補助の対象にならないそうであります。昨日局長の御答弁によりますると、昭和搦干拓地については特別の措置をとろうということでごさいますが、各府県で一番被害の多かったのは開拓者でありまして、今の農政で一番盲点になっているのは零細な漁民と開拓者であります。その中の開拓者について政府の施策が半ばにも達していない今日、五年で自営できるはずの入植者が十年たっても自営ができないという現在の状況から見ますならば、かりに七年目、八年目に住宅が全壊いたしましても、災害の対象にすべきが当然であると私は考えるのであります。その点について十年以内は、今までの五年というのを十年まで延長する、このくらいは私はぜひやってもらいたいと思う。これは国会の知ったことではありません。大蔵省がかってにあなたの方に押しつけたものだと承わっておりますが、営農類型による五年までの災害復旧を改めて、少くとも十年以内ということに一つ延長してもらいたい。その意思があるかどうか。それが第一点のお尋ねであります。  第二点は、ただいま御答弁もありましたが、水稲共済金の問題、これは政府において、農林省はまだそういう考えはなく、むしろ県において若干手当もしてやるようだから、赤字団体といえども、県において措置を願いたいというお話でありました。もちろん県においては、あるいは全農家が助け合い運動をやって当面の急をしのいでおります。しかしそれも政府の措置を期待してのやり方であります。県が生活資金を融資する場合においても、政府の施策を当てにした対策であります。赤字団体であればなかなかそううまく措置もできません。先刻も申しますように、農林省が地主の立場でもありますので、見舞金ということでは工合が悪かろうけれども、やはりこれにかわる、共済金の半分か三分の一程度のものは何らかの名目で一つ御支出を願いたい。土木工事のことについて人夫賃というお話もありました。それが一部の——一部というよりも大きな資源にもなりましょう。しかし災害を受けた者は、そう毎日々々出られるものではございません。住む家もないような状態のもとにおいて、そう毎日稼働できるものではないのであります。実際は計算の半ばにも達しないだろうと私は存じております。きょうも関係組合長から陳情がありましたが、そういうことを申しておりました。従って見舞金に関する対策については、ぜひ一つ政府でおきめをいただきたい。県においてもこれにつけ加えるものをやる、またやってもおりますので、もう一つ考え直して政府でお考えなさる御意思があるかどうか、それが第二点。  次に予約金については、もうあなたの管轄ではないでしょうから、これはお尋ねいたしません。小委員会自身で検討を進めたいと存じます。  そこで第三にお尋ねいたしたいのは、共済金に関連してでございますが、政府が補助金を出して用水路を作ってやる、井戸を掘る、水道をやる、そうしたら八俵も九俵もできるようになった。たとえば大副搦のようなところには、すみやかに保険の対象になるような措置を願いたい。政府が施策を講じたならば、その年から共済組合に入れるような措置を今後はぜひ一つとっていただきたい。それとともに一般の開拓地においては、未熟田畑のためにあるいは収穫が一定しないために、組合に加入することを組合は好まないのであります。なかなか開拓者は組合に入れない。そういうことを考えますとこれを現実的に救済するためには、開拓者に対しては国庫の補助金を引き上げるという措置をとらなければならぬと思います。結果においてはそう大した金額にならぬと思いますので、法律改正なりあるいは新しい御施策がおありになるかどうか、その点を第三としてお尋ねしておきたいのであります。以上三点について一ついま一回御答弁を願います。
  71. 安田善一郎

    ○安田説明員 お見舞金に対しましては、御趣旨はごもっともと思いますが、地元において政府が講じられ得るいろいろな対策を講ずるであろうということは予想されておられると思いますが、見舞金を政府が見舞金として計上して供給するということを予定しておられるかどうかは、ちょっと私は……。(井出小委員予定してみんな当てにしております。」と呼ぶ)私は少くとも聞いておりません。つなぎ資金を出します場合は、くれっぱなしではありませんが、一種その意味も持ちますし、他の施策に支障を来たすといけませんので、他の施策で明確なやつで補助金なり政府融資なりその他の措置をとるまでの間、そういうことができ得るかということを研究さしていただきたいと思います。これは従いまして意思があるかないかといいますと、あるようなないようなものであります。  第二の五年以上の入植者についてでありますが、開拓地に対しましては、政府は昔のいい意味の地主のやった措置をとっておりますが、それ以上のものだと思います。入植前営農資金から道路からすべてやって、ある期間貸し付け、最後までやっております。それから最初から出します場合もあり、一部貸し付けをする場合もありますので、従ってその心持はいい意味の地主のこういう災害小作人に対してとった措置以上のものということは当然だと思いますが、今もその趣旨はかなり生きておると思います。  住宅に関する限り申しますと、従来の制度、現行制度は御承知の通りと思いますので省略いたしますが、大災害を受けました場合、言いかえますと全壊、半壊、大破と普通分けて今まではやって参りましたが、今回もその査定現地ですでにしつつありまして、おおむねわかっております。簡単に申しますと、石川、鳥取、広島、山口、福岡佐賀長崎、熊本、大分、鹿児島、これを含めまして全壊は五百四十三戸と認められます。査定の結果変動があると思いますが、五百余戸に上ります。金額はざっと見ますと三億に上ります。このうち従来は五年未満で全壊の分五割補助であります。私はきのうも申し上げましたように、こういう場合は現金がないのであるから労力はがまんしてもらいまして、購入資材の全額補助ということがいいのではないか。額は従来より下ってはいけない。増すことはあっても下ってはいけない。その場合はしかも足鹿先生からの御意見もあったように思いますが、必ずしもこの場合全部原形復旧ということを考えるばかりではなしに、ブロック住宅はかなり金額もかさみますが、若干従来まじえております。これは農家の希望に応じなければならぬ分もありますので、全部ブロック住宅にせよと仰せつけるわけにいきませんので、一応農林省の立場としては、ブロック住宅の割当をうんと増しまして、そうしてこれも購入資材の全額補助をする建前で要求をしたいと思っております。準備が直轄、代行、官轄地域の復旧工事のようにまだいきません。そこで大蔵省にはその趣旨を話してあるだけです。金額とともに折衝の上きめたいと思っております。それから五年を過ぎたものはどうかという点であると思いますが、これは私は補助率を下げて補助した経験があることを記憶しております。この措置はいかようにするかということについては、大災害地や先ほど御指摘になりました干拓地のみならず、土地の高位にある開拓地などの場合は多少事情が違うと思います。暴風雨で雨は割合少なかった。潮風害で多少被害を受けたところも。ありましょうが、全体の田畑、家財道具みな流失して、着の身着のままで非常に悲嘆にくれておられる方とは違う部分がありまして、五百戸の半壊、大破の中には全壊もありましょう。査定の結果を見なければわかりませんが、五百戸あるわけですからあるだろうと思いますが、その残りは融資にしたいと思います。あるいは半壊大破も借金はしたくないという方は自分で直されることが従来行われてきましたので、融資を好まないという方もありましょうが、その準備は政府がすべきものではないという建前でありますが、住宅に関する対策は一応建設省にあります。開拓地は各省の総合行政を農林省農地局で行なっておるので、多少力の弱いところがあり、一部の行政をやっておるところもあるわけでありますが、その残りは何とかして融資をつけたい。ところが建設省の施策でも、われわれの農林漁業公庫法による融資におきましても、この場合住宅をたとえば分解して、その資材と考えましても、どうもあの現在の法律では適用にならぬという解釈が圧倒的でありまして、私はいいのではないかと言っておりますが、負けておる形であります。そこできのうお話がありましたから私は御答弁を申し上げました着想について、すぐ中金の理事長と折衝いたしまして、中金資金は少くとも貸そう、あとはその施策に待ってなお高利債借りかえの方に持っていく措置はあとでとにかく考えよう、災害対策である、借りてしまえば実際は住宅のための融資であっても、開拓者は総体の負債を何とかしなければいかぬのだから、あるいは住宅資金として公庫融資とかの方式による施策を講ずることも建設省はお考えですから、応急措置として、中金あるいは中金のバックによる系統資金はそういうものに貸し出しをしてもらう、こういうことを中金の理事長ときのうお約束を申し上げた。  第三点の共済制度と、基準反収がまだ明確でない時期における開拓者とか、実際上入らない場合の開拓入植者というようなものについて、農業保険に入れるべきじゃないか、こういうことでございますが、現行法規のもとにおいては本年度は無理だと思います。  それからかねて農地局においては農業保険制度を、正確に申しますと、農業災害補償法の適用によるものと別個に、開拓者の相互扶助の備荒貯蓄に政府が補助を加える制度を考えて、大蔵省とも数カ年折衝しましたが、必ずしもいい案でもなし、また実現もしなかった経緯が本年度までの状況でございます。いささか私見になりますが、せっかく御質問にありましたからあえて申し上げますが、公式の農林省の意見は、きのうの経済局長の答弁じゃないかと思います。もともと農業保険制度は根本的改正の時期に遭遇しておりまして、前国会でも政正案を提示したい試みを事務当局はいたしたものであります。そこで改正の内容では、開拓者であろうとなかろうと、掛金の問題とか補償金の問題とか、その他の国庫負担金の問題とかを改善すべきでありまして、かたがたまた役員や事業執行の中心にされる人の大部分が既耕地の農家における人のうちから選ばれたもので構成されるいわゆる共済団体——現在の共済連とか共済組合でありますが、そういうことでなしに、制度内容も変れば事務執行の機関も当然変るべきものだと思っておりますので、その制度改正案の中には、開拓者に応じた補償制度が適用さるべく挿入されるようにいたしたいと思っておりますが、本年度はその方向としては間に合わないんじゃないか、こういうように考えております。
  72. 井手以誠

    井手委員 今の答弁についてはいろいろありますが、長くなりますので省略いたします。先刻次期国会に法律の改正案を出したい、あるいは別個の法律案を出したいというお言葉がありましたが、今用意されているものはどんなものでございましょうか、一応参考までにお聞きしておきたいと思います。
  73. 安田善一郎

    ○安田説明員 一般的に申しまして、先生の御趣旨に沿うような各種のことでありますが、災害復旧事業をもっと農家の実情に合うように、簡単に申しますと、農家の負担を増高せずに、災害の起きた後の次の作付時期までに技術的な最大限度の復旧工事を仕越しとかというようなことをいわれたり、補助金適正化の法律に触れましたり、補助金の少いために、年度割のために——と申しますのは、国会で議決になりました法律に基いても、緊急性のあるものを三年間でやれというようなことでありますが、そういうことでなしに、補助金はそうであっても、復旧工事そのものはもっと早くできて、生産を翌年から上げられるのは、農家自身のためでもあり、国家のためでもあり、公共のためである、こういう意味のものを何かものしたいと思っております。その方針については河野農相も了承して、いかなる案が立ち得るかをよく研究して、予算の中に反映してみよということの指示を受けておるのであります。農業保険に関しましては、主体が経済局でございますし、問題が御承知の通り数カ年にわたって、なかなか名案が出ない点でありますが、いかように処理されるか、この中に入って行うべきものと思います。それから住宅に関しては、先ほども申し上げました通りであります。必ずしも農林省所管にとらわれず、開拓者に都合がよければその方に大胆に切りかえてもいいのではないかと私は思っております。しかしあくまでも開拓者なり開拓農業の要請に沿うて、もし建設省が立案されるならば——きのうは立案中と言われたと思いますが、要望に沿うてやっていただくようでなくちゃならぬ、そういうふうに思っております。その他いろいろあります。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 ほかのことを聞きたかったのですが、今ついでですから局長に一つ伺いたい。開拓地の問題ですが、ただいま問題になっておりました天災法の地域指定の問題ですね、特に二条の三項の主なんですが、これによると、利率が三つに分れておる。地域指定を受けた地域は年三分五厘で、開拓者に貸し付ける場合は年五分五厘で、その他の場合が年六分五厘と、三つに分れている。これを、先ほど局長が法律改正云々と言われて、今井手委員との間に応答がありました、具体的な法律改正としてこのものを地域指定で、とりあえず本年の場合は救っていく、しかし国会が開かれる場合には、開拓地については、地域指定を受けなくても三分五厘というふうに、簡明直截に法律を変えたら、いつもそう問題にならぬじゃないか、こういうふうに私ども聞いたのです。その点はどうですか。
  75. 安田善一郎

    ○安田説明員 いろいろの方法があると思いますので、特に農林委員会の皆様方の超党派的な意見に相応するのが一番円滑に実現できるものと思っております。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 超党派でやるということは、もちろん議員立法でやれということでありましょうが、あなたが、国会があれば国会に提案をしてやるんだが、今国会がないので地域指定によって処理をしたいと言われたわけだから、地域指定にまずとりあえずはよらざるを得ない。しかし、今井手委員も追究していられたように、この地域指定ということは、非常に敏速を欠くし、それからなるべく金を出すまいという意図によって地域指定のワクが狭められるという印象を従来受けております。そういうことがあってはならない。別に好んで金を借りたり、借りたものは返さなければならぬことを知りながら、むやみに命を借りるものもありません。現実に開拓地の場合は、普通の系統農協、県から市町村の単協を通じて融資を受ける開拓農家は、私どもの見たところでは融資を受けるに非常に困難をしております。連帯保証人の問題等で、開拓地となると保証人のなり手がないのです。返済能力のない者同士が保証人になってもしようがない。一般の既存部落の保証を受けようとしても、開拓地は相手にしない。こういう実情なんです。昭和二十八年の凍霜害のとき私ども現地調査したときに、あとでいろいろ事情を聞いたのはそういうことなんです。ですからこれはもう今までの事例でも、せっかくの政府の救済措置が下へ浸透しておらないのです。もっとも、いま一つの府県の開拓農協連を通じて、各開拓者個々人が組合員になっている場合は、そこに融資したものが一直線に出る場合もありますが、主としてどういう融資方法を政府は現在までとっておられますか。私が指摘しておるように、おそらく前者だと思うのです。その辺はどうでしょうか。
  77. 安田善一郎

    ○安田説明員 今まで政府がどういう措置をとる気持でおるかという点につきましては、私はそれにお答えをするのに自信がございませんが、農林省の中の特に農地局と大蔵省その他の関係機構を含めました政府的な措置、従ってそういうところが同意しなければ、政令が出ないわけです。そういうものは足鹿先生がおっしゃったように外から批判されてもやむを得ないじゃないかというものが過去の施策でなかったかと思うのです。と申しますのは、地域の指定のしぼり方をきつくするという気持が、外からそういう意見も出るのじゃないかという気もいたします。  もう一つは、根本的に天災による融資法をお作り願った以前の個々の法律と、天災法による融資法という政令によれば随時措置ができるといういい制度を法律によってお作り願った場合との差を考えますと、天災法の方が手続は簡便になりましたが、貸付する条件はかえって強くなっておるように私は思います。営農資金というものを貸す、そういうときにその内容をかなり明確に制限的に書いておる。あわせまして収穫高の減少とその年間の所得額の減少とに地域もおいて制限をして、そしてそういう場合に融資をするということが書いてある。そこでおのずから特別低利のところが少くなるようになってきた沿革じゃないだろうかと私は理解しておりますが、慣例によると、大体町村単位で、相当ひどい場合に、こういう話のようであります。端的に申しますと……。私は町村でなくても、例をあげれば干拓地というようなものは、部落的なものであっても、明確に一区域である。それが同じ被害をこうむり、全滅をくらうのだ。こういう場合は、現行法でも指定してもあえて法律違反じゃないじゃないかという説に立ちまして、そして政府部内でその説ではいけないかということを今提案中であるということを申し上げた。次期国会で天災法の融資の地域指定とか、利率とかについて、その部分を改正したらどうかということにつきましては、私が答弁するのもちょっとどうかと思いますが、開拓地に関しては、その方法もあり、超党派でお願いすることが一番適当だという感じもいたしますし、また開拓者には総合的な対策を講じなくちゃいけないと思っております。その中には、たとえば現行制度でも開拓者融資特別会計は入植者の最初の入植から、入植後の三カ年、五カ年というものをねらいまして、その後は、以降の年次には家畜の中期資金と申しておりますが、五年後の農家でも貸すような資金がだんだんつけ加わっておりますけれども、この率からいえば、ひとしく三分六厘五毛である、だからどういうところでやるかにつきましては、彼此勘案いたしましてよく研究するといいと思いますが、金融の緩和の状況、金利低下が——今ちょっと上っておりますが、緩和の状況から見ますと、一方は、特別会計の場合は政府資金そのものである。そうでない場合は、系統資金を含めました民間資金の潤沢なものを使い得る、そういうことなどいろいろありますので、目的が達すればいいという方向で研究をいたしておるわけであります。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると私が言ったような趣旨において、そういうふうな方法もあるが、とにかく天災法の地域指定をめぐって十分検討をし、必要な措置を加える、こういうことですな。
  79. 安田善一郎

    ○安田説明員 私はそういう努力をいたしております。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 それから私が今言いましたように、開拓地には実際において営農融資が天災法によって出た場合に、融資を受けられない農家が非常に多いのです。それを私言っておるのです。それで一方その開拓者は所属の市町村の単協にも籍を持っておる、同時に県の開拓農協連というものにも籍を持っておると思うのです。開拓農協連が政府資金を受けて、これを末端組合員に流していく場合の融資と、それから各系統農協の県、市町村、開拓者、こういう融資を受けておる例とどちらが多いか。きょう御答弁ができなければ明後日でもけっこうですから、その実績等の資料をいただきたいと思います。これは資料でけっこうです。私は地域指定をめぐってあとでいろいろな問題を申し上げようと思ったのですが、この際申し上げてしまいますが、今度はどういう地域指定方針ですか。今の安田局長の話を聞いておりますと、私の聞き方が悪いのかもしれませんが、何か部落を指定しておるような印象が強いのです。旧市町村というものの中に開拓地が含まれておるでしょう。新市町村であろうと、どこであろうと同じですが、ある一つの町村がある。そうするとその行政区域は開拓地を含んでおる。ところがその開拓地をあたかも除いて地域指定をしておるおそれがあるから三段階に分れるように私どもには聞き取れるのです。それで今度の地域指定方針はどういう方針でおやりになりますか。
  81. 安田善一郎

    ○安田説明員 地域指定方針は経済局長にお聞き願いたいと思います。私は参加しておりますが、全般的な融資の担当者でございません。しかしたまたま開拓地の災害のひどい問題についてのお話がありましたから、要求者側、開拓農民と同じ側に立ちまして、中で努力しておりますということを申し上げたのであります。  それから三種類というのは、対象が三種類に分れておるのでありまして、融資するということになった場合には、融資を受ける人の地域はその全体にひっかかる、その地域の中に三種類ある、そういうことであります。  それから部落でありましてもと申し上げましたので、部落単位でということではございません。むしろそれは依然として従来の少くとも旧町村単位でそういう適用ができる場合を言っているのが有力説であります。私は干拓地なんかでははっきりしているから別でいいじゃないかと考えております。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 経済局長は地域指定方針はどうですか。
  83. 森茂雄

    ○森説明員 ただいまの地域指定の問題は、農地局長からお話がありましたような御意見もありますが、旧町村であるか、それから限定したそういう区画をはっきりさしてやるか、いろいろ意見がありますので、至急結論をきめたいと考えております。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 それから地域指定関連しまして、地域指定が非常に遅延する、もっとこれはすみやかにいかぬものでしょうか。同時に今私が言いましたように、新市域によって指定されても、別に無理をして金を借りようという開拓者もおらぬでしょうし、農家も私はないと思います。ただ目的があれば借りる場合もありますが、災害融資などを、人目もあってなかなかそう簡単に借りるということはできない。だからそんなに警戒される必要はないと思う。だから大市町村なら大市町村で指定をしておかれれば、そう該当者は検査をされる必要はない。別にあまり窮屈に、何でも私たちがはたから見ておると、一応のワクだけはきめておいて、あとは政令でだんだんじわじわと締めてしまって、結局その網をあけたときはあまり中味がない、こういうような印象を受けておるのです。そういうことのないように迅速におやりを願いたいということです。特に御配慮を願いたい。  それから、一応その点は井手さん以来ずっと相当長い質疑応答ですから、方面を変えて蚕糸局長にお尋ねをしたい。昨日提出されました資料によりますと、桑園、またその桑園をもととする蚕繭に対する被害は相当な額に達しておると思うのですが、実際は夏秋蚕に大きく響き、それから晩々秋蚕に対して響いてきます。これをどう対策を講ずるかということは、きわめて迅速的確にやらないと、産繭量に致命的に響いてくると思います。昭和二十八年の凍霜害にしてみても、本年の関東方面に来た凍霜害にしてみても、芽が出かけたものをやられるから、はたから見てもはっきりいたしますし、従って世論の響きも大きい。従って対策も比較的順調に迅速に行われたように思うのです。ところが今度の場合は、潮風によって、私ども山陰方面の現地を見て来ましたら実にひどい、青々と採取間近かくなったものが全然使いものにならない。これは結局発芽直後にやられたものよりも被害そのものは大きいのではないかと思われるのです。そこで桑園の被害対策というものに対してどういうふうにお考えになっているか、たとえば二十八年の凍霜害、あるいは本年における凍霜害というものに準ずる、いなそれ以上の強力な施策を講じられる用意がありますかどうか、蚕糸局長に全体としての御構想を承わりたい。
  85. 須賀賢二

    ○須賀説明員 今回の台風によります桑の被害につきましては、潮風による特別の被害でございまして、われわれといたしましても、その報告を受けました直後に担当の係官を派遣いたしまして、現地被害状況についても調査をしたのでございます。ちょうど晩秋蚕の直前に当っておりましたので、農家に対しましては非常にお気の毒な結果になっておるのでございますが、その対策といたしましては、被害程度と状況に応じまして、病虫害の防除によりましてやりますものにつきましては、それに必要な措置をとって参る。それから被害程度が非常に強くなっておりまして、来年度の春蚕にまで影響を及ぼしますようなものにつきましては、樹勢の回復に対しましてさらに必要な対策をとらなければならないと思っております。その後再発芽の状況等をさらに見まして、それぞれ被害の状況別にその措置を考えていかなければならないわけでございまして、状況が判明いたしましたら、それに応じましてすみやかに対策をとって参るように、それぞれ努力いたしておる次第であります。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 まだ具体的によくわからないですが、たとえば晩々秋蚕等、蚕紙の掃き立て不能が起きると思うのです。そうした場合は蚕繭共済の対象にはっきりお取り上げになりますかどうか、たとえば具体的にはどうお考えになっているか、その場合に概算払いを早期に支払いになるかどうか、というのは凍霜害の場合に準ずる取り扱いを、一つ一つずっと項を追って大体の方針を立てていただけば、私はよくわかると思うのです。そういうような御説明をしていただきたい。
  87. 須賀賢二

    ○須賀説明員 共済の関係でございますが、これは現在の制度によりまして、かつそれぞれの農家におきまして、必要なる契約が取り結んでありますれば、それに基いて共済金の支払いをするということになることはもちろんでございます。  それから今年の春の凍霜害の場合と対策がどういうことになるかというお話でございますが、これはちょうど晩秋の時期でもありますので、凍霜害の場合のごとく、これからあと引き続いて掃き立てをして参るという時期と若干異なっておりますので、おのずから対策に多少の差異があることはやむを得ないと思うのですが、被害程度に応じまして、できるだけの処置はいたしたいと考えます。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 たとえば晩々秋蚕に掃き立てを予想しておったものが被害のために掃き立てができない、そういう場合に、本年なり二十八年にはどういう処置がとられたか私は存じませんが、たとえば蚕紙代金に対して政府が助成なりあるいは補助なり、要するに見舞を出すとか、そういったような、もう少しきょうあたりになると、私は具体的な案を、何を考えておられるかということで、われわれ小委員会としても、政府が気のついておらないような点については十分検討していきたい、こういう意図でやっておられると思うのです。私はそういうつもりでおるのですが、そういう点で今の局長のお話では、少しぼんやりとしておって、よくのみ込みつかぬですよ。たとえば樹勢回復ですけれども、肥料なら肥料というものをどういうやり方で考えておられるかというようなことがわかれば、もう少し内容をお示し願いたい。
  89. 須賀賢二

    ○須賀説明員 私、先ほど申し上げましたのは、凍霜害の場合の対策といたしましては、ちょうど春蚕の時期に被害が起きるということになりまするので、対策のねらいはそのあとの初秋、晩秋でできるだけそれを取り返す。農家といたしましては春蚕で被害を受けました分を、初秋、晩秋で増産努力をいたしまして、それを取り返すということになるわけでございます。それに必要なる助成措置等をそれぞれ考えまして、とっておるわけでございまするが、今回の場合は、その被害を受けました農家に対しましては、非常にお気の毒なのではありまするけれども、春蚕の場合のようなわけに参りません。いわゆることしのその後の蚕作で、被害の一部を取り返すということにはなかなか参らぬわけでありまするので、春蚕の場合と対策に若干の差異が出てくるわけでございます。従いまして、私、先ほど申し上げましたように、今回の被害が来年度の春蚕に影響を残しまする程度被害を受けましたものにつきましては、来年度の春蚕の前に施しまする元肥等につきまして、助成の措置を考えて参りたい。その量、金額等につきましては、私どもの方の技術担当課で目下検討いたしておりまするが、もう少し具体案が固まりまするまでお待ちをいただきたいと思います。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 いま一つ、きのうの経済局長の御説明なり答弁で明らかになったのですが、特に潮風被害等については新たな被害のケースであるので、専門家によく検討をしてもらって、早急に対策を講ずるということでありましたが、専門の立場にある蚕糸局長にお尋ねしますが、どういうふうにその特殊な対策についてお考えになっておりますか。今まで聞いたようなことが、大体そういうお話の筋でありますか。  それから今聞いたようなことは、一般行政措置としておやりになるのですか、何か特別な方法を他に求められるのでありますか、その辺を二点……。
  91. 須賀賢二

    ○須賀説明員 昨日経済局長が申し上げましたのは、いわゆる個々の被害につきまして、今回の九号台風で出ました被害の中で特に取り上げて考えて参りまする個別対策の対象として、塩害による桑の被害考えておるという趣旨でお話したのだと考えております。従いましてわれわれは、経済局の担当のところと具体的に打ち合せをいたしておるわけであります。大体の筋は、先ほど来私が申し上げておるようなことが、実際の対策の筋になると思うのでありますが、これは従来の扱いからいたしましても、予備金等に基きまして、府県を通じて農家に対してこれをするという形をとるわけであります。一般の行政措置としてとられておるわけであります。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 大体おぼろげにわかったわけでありますが、特に特殊な潮風による被害に対する技術的な特別な対策ということについて、もう少し——あさってごろにでも輪郭がわかれば、その際にでもお知らせを願いたいと思います。  それからこれは経済局長に一点だけ申し上げて意見を聞いておきたいのですが、今度果樹の被害が随所にあるわけですが、現在ある相当な樹齢に達した果樹園に対して防風施設を講ずることは早急にはいかないと思うのです。だがこれから苗を植えて漸次果樹園に仕立てていくという事態も今後相当あろうと思うのです。そういった計画のものに対していつも台風の来るような方向に防風林を作っていく、こういう計画をよりより検討しておるところもあるのであります。そういうようなことに対して、その対象を改良資金に求めるというようなことについて検討して参りたいと思うのです。何かそれに類似するような事例がありますか、今の果樹園に対するところのさしあたりの措置は、樹勢の回復等の一連の対策があろうと思うのですが、現在これから果樹園に仕立てようというところにはそういう対策が必要だろうと思うのです。今度の暴風にこりて、そういう動きが各地であるように聞いておるのです。その点どうですか。
  93. 森茂雄

    ○森説明員 今後造成されます果樹園の保護といたしまして、御指摘になりました防風林に対して農業改良資金の対象にしたらどうかということでございますが、御承知の通り農業改良資金の対象費目につきましては相当運用にまかされておって、通牒で県から上ってくるものを指定して指導しておるという関係もありますし、本年度発足したばかりでありますので、この防風林に限らずいろんな問題が出てきておるように伺っております。御指摘の点につきましては、さっそく振興局と連絡をとりまして、その他の対象を拡充するという考えが出てきておる部面とも見計らいまして検討いたしたいと思っております。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 それに関連して、干拓地の防風林の問題もあるのです。果樹園の防風施設等に限らず、他の方面もよく検討するということでありますので、この際そう大した手数のかからない、しかも将来にわたっては効果のあることでありますので、慎重に、相当用意をもってぜひ実現すべく御検討願いたいと思います。
  95. 安田善一郎

    ○安田説明員 開拓は営農類型が一応きまっておりまして、傾斜度で言いますと十五度に大臣告示をもってきめておりますが、果樹園等は開拓を広めることもあり、開拓地が災害を受けやすく、また高度的な農業でなく一応考えておったこともありますので、先般傾斜度二十度くらいのところの果樹を中心にする開拓もやろうということをきめまして、大分においてはすでに実施しております。従ってそういう特有の未墾地というものが相当ありますので、そこに付帯林を置く場合には、その他の営農類型でも付帯林を置くことを予定いたしておりますから、開拓者資金を充てることになっております。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひ御善処願いたいと思います。  それから先ほど井手委員からいろいろとお話になりましたが、食糧庁に伺いたいのですが、米穀の事前売渡し数量が当然変更されて、減額になる場合もありましょうが、全部供出不能の農家も出でくると思うのですが、その前渡金に対する返納資金を貸すようなお考えはありませんか。たとえば天災補償の分に何かちょっと追加をするとか、いろいろやり方はあると思うのです。先ほども井手さんが非常に追及しておられたが、どうも法律にないからできぬとおっしゃることはその通りなんですが、もっとこういうことも考えてみたい、ああいうこともやってあげたいというふうに、もう少し打てば響くような答弁をわれわれは一応期待しているのです。ところが、何となしに法律にないからだめだというようなつっ放されたような印象を受けると、われわれとしてもどうも納得がいかない。災害を受けた農家というものは、今ここでわれわれが質疑応答しているようななまやさしい空気ではないと思うのです。生きるか死ぬかというどたんばの農家なり漁家が多いと思うのです。そういう者になりかわって、私どもとしては少くとも心情を訴えているつもりなんで、そういう気持で御答弁になっていると思うが、もう少し、たとえば今私が提案しているような返納資金を貸していく。そして返納遅延に伴う利子の負担等についても何らかの措置を考える。この際この小委員会において必要な措置をとる上に私どもは参考にしたいと思うので申し上げているのですが、今私が述べたような点で何かお考えになる余地はないでしょうか。
  97. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまの御質問でございますが、実は先ほど私答弁いたしましたことが、言葉が足りなかったのであるいは誤解があったのかと存じますが、私が申し上げました趣旨は、ただいまの予約制度のワクの中では何ともできない、こう申し上げたのでございまして、従って制度そのものの運用としては何ともできないわけでございます。従ってただいまの農家を救うというような意味での処置ということになりますと、それは別途の法律措置によるかあるいは別途の資金措置によるかということになる、こういうことを申し上げたわけでございます。それでただいまの御質問でございますが、これは単に私ども食糧庁だけの問題でなく、農林省のほかの関係局と打ち合せをしなければならないと思っておりますが、ただいまの御質問の点だけに限定して申し上げますと、大体私どもは概算金というものはやはり一種の営農資金だというように考えているのでございます。法律上の性格から申しますと、なるほど売り渡し代金の前払いということになるのでございますが、やはり前払いをしているという趣旨は営農資金というふうに考えているのでございます。これが十二月三十一日あるいは一月三十一日の期限で納められない場合に、それを一つ返してもらうということになるわけでございます。これを他面実質的に考えますれば、営農資金を半年間あるいは五カ月間ぐらい貸しておいてそれを返してもらうということになるわけでございます。従ってこれを何らか他の営農資金に振りかえて、あとその次の出来秋まで存続していく。またこれは私どもも、その状況なりによりましては十分その理由なりその趣旨はわかるのでございますが、極力そういう道はないだろうか。ただその場合に、ただいまの天災資金というようなもので振りかわれればこれは一番いいのでありまして、ただいまの経済局の金融課との打ち合せでは、それでもって十分いけるのではないかという打ち合せは進めているのでございます。ただその場合に、実際適用を受ける農家といたしましては、たとえば一万円について二千円、二割の概算金をもらっております。それを返すということになると、別途の営農資金を受けてそれを返すということになりますと、やはり自分のふところに入ったものを返すということで、精神的にまた経済的に多少どうも変だというような観念も出るかと思いますので、何らかそこをスムーズに、農家にそんないろいろな煩瑣な手続をさせないで別途の営農資金に切りかえられる道はないものだろうかということで、実はただいま検討しているところでございます。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 天災法の第二条第四項を読んでみると、何か今課長のおっしゃったことに通ずるような条文のように先刻から読んでいるのでございます。要するに前渡金といえども営農資金だという解釈に立った場合、その営農資金はいわゆる米穀売り渡しの前渡金という名目で出ているが、営農資金を農家が借りておる、それがたまたま被害を受けたということになりますと、この四項の場合もまげて解釈すれば適用できぬこともない、今課長がおっしゃるように、一たん農家に出して、またそれを天災資金に出すということはちょっと実際煩瑣ですから、その必要はない。やはり資金を受けた者が天災を受けた、この四項に該当する、こういう解釈をかりにとったとすれば一応片がつくのじゃないか、そういう感じも受けるのです。とにかくこれは非常に重要な問題だと思うのです。農家はもうすでに前渡金よりも前に肥料手形で実際において青田売り黒田売りをした格好になっている。そのところに前渡金で、これにまた利息まで取られるということになりますと踏んだり蹴ったりで、全くやり切れない状態になると思う。きわめて小さいことのようですが、これは現地へいきますと非常に深刻な大きな問題でありますのでも必ず今日御答弁になりましたような御趣旨によって、何らかの具体的な措置を実現してもらう。私どもは小委員会でいろいろと練ってはみますが、十分御配慮をお願いしたいと思います。  最後に、私が昨日質問しました農林漁業金融公庫の資金ワクの拡大問題に関連してここで資料をいただきましたが、この中で天災法に基く政令の制定に従って予想される金額は大体十六億円、こういうふうに明記してありますが、この六月ごろの冷害または水害等と今度の台風九号との関係はどういうふうになりますか、十六億円の内容は。これではさっぱり見当がつきませんが、もう少しこの説明をはっきりしておいていただきたいと思います。
  99. 保坂信男

    ○保坂説明員 ただいま御指摘のございました天災による融資法に基く今回なさんとしております政令の融資ワクの点については、ここに掲げましたように目下大蔵省との話し合いにおきましても、統計調査部等の資料に基きまして、算定をいたして参りましたものが、十六億のワクになるわけでございますが、その内訳といたしましては、先般農林経済局長からも説明がございました通り、従来の六月から八月までの水害についてすでに被害数字に基いて算定をして参りましたものは五億の数字でございます。それをその後九号台風が追いかけて発生をいたしましたので、その被害をも合せまして、十六億になったわけでございます。
  100. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、このたびの分を十一億、六月、八月の冷水害が五億、こういうことですね。
  101. 保坂信男

    ○保坂説明員 ただいまの説明はいささか不十分でございましたから……。前の折衝の過程におきましてはさような経過を踏んで参ったわけでございますけれども、借りかえ資金等を検討をいたしまして、内訳別に申しますと、両者合せまして十一億が新規貸付分でございます。五億が、従来の旧債で期限が近く参りまして、借りかえを要する分の借りかえの財源として五億考えておるわけでございます。その新規内訳といたしましては六月から八月までの水害分が二億で九号台風分が九億でございます。
  102. 足鹿覺

    足鹿委員 安田さんどうですか。今のお話で開拓関係の借りかえ問題などもこれに含まっているのですか。旧債の借りかえが五億だというお話ですね。その点はよく打ち合せて内容的につじつまが合っているのですか。これだけをえらくスピーディーにやっておられるが、なんですか、ちょっともう少し……。
  103. 保坂信男

    ○保坂説明員 この借りかえ分につきましては、従来二十八、九、十と、それぞれその災害に対しまして経営資金が貸し付けられておりまして、その償還は二年あるいは三年——開拓関係は三年で、それぞれの時期に応じて本年度の償還に当る部分の額のうち一定割合を算定いたしまして、五億にしたわけでございますから、開拓等につきましても、もとより入っておると考えております。
  104. 安田善一郎

    ○安田説明員 総ワクの中には、経済局と折衝しました場合には、一応対策を講ずべき対象の被害については、開拓地の借りかえ資金等を見込んでおります。その結果どうなるかと申しますと、前年災を受けまして、当期償還が荷が重いという人には、農政課長が一戸当り五万円と申し上げたことから御質問があったかと思いますが、その倍額くらい貸し付けるのであります。
  105. 足鹿覺

    足鹿委員 今度の九号台風被害に基く天災融資法のワクが九億円という一応の見込みのようでありますが、これは昨日いただいたあの被害統計の中の数字からこういうものが一応算定されているとすると、被害の度合いというものは、今後水稲にしてみても、桑園にしてみても、果樹にしてみても、まだまだ今後日にちがたつに従ってふえると思うのです。そうするとどうも少しつじつまが合わぬような感じを持ちますが、これは懇談の際に伺ってもいいことですが、どうも少し不十分ではないかという感じを持っております。何を根拠にといえば、昨日もらった被害統計というものがあまりにも一われわれが考えておったものとはほど遠いようなもので、それが根拠になってこの数字が出ているとすれば、もう露からワクが不足だということになる。この不足なもので一応乗り切っていくということになると、地域指定——要求がはみ出てくるから、これをチェックするというようなことになってきはしないかと思うのです。そういう点でもう少し説明を十分に聞けば余分なことを聞かなくても済むし、われわれも想像をたくましうするつもりもないのですが、よく説明されないので納得ができないのです。ですから、もう少しこれを説明してほしいと思うのです。  それからこの自作農維持創設資金の下半期分の増ワクをここに一応北海道、宮城、山形、佐賀長崎、熊本、大分、宮崎というふうに追加希望があるということでありますが、これはここに記載してあることにかかわりなしに、希望はもっと受け入れていくのですか。それをちょっと伺いたい。  それからこの参考の公庫の回収状況、要するに資金源は公庫の回収状況がよいので、それでワクについては心配しなくてもいいという昨日の経済局長のお話でした。そこでこれを見ると、どうも回収予定額に対して回収実績というものが大体皆三倍、三十年度予定は二倍弱というように非常に成績がいいのです。こんなに三倍も回収予定があるのに、頭から三分の一を見込むというようなことは、この問題とは関係ないが、私ども納得がいかないのです。こういうところに資金源をちゃんと持っておって、いざということになると出してくる、出してくる財源に使うことばいいことですが、予定を三倍も上回るというようなことで、この資金ワクの窮屈なときにこういうことは少しずさんじゃないかと思うのです。どうも最初の財政投融資のときにだんだんきゅうくつになる、政府の投融資が少くなって、そうして預金部資金や回収金に依存する傾向がだんだん強くなるが、しかしそれは頭では出さない。予定額はこの程度にしておいて、実際出してくると三倍にもそのしりがはね上って出てくるということは、こういう災害のときなり被害を生じたときにはこれくらいの余裕があってもいいという意味もあるかもしれませんが、それにしてみては三倍はちとひど過ぎる、私はそういう印象を受けますが、どういうわけから出るのでしょうか。
  106. 安田善一郎

    ○安田説明員 二つの点を御指摘になりお聞きになったと思いますが、天災等による融資法の融資ワクを農政課長が申し上げたり私がさっき申し上げた中には、足鹿先生がさらに御質問なさった農地及び農業施設復旧に関する資金は入っておりません。天災法等によりまする営農資金を限定されたものであります。従ってその外であります。従って営農資金のワクに見合う被害額を推定したのは農林水産業にわたりますが、そのうちの農、作物については統計調査部長がきのう申し上げたものであるはずであります。その他のものは、すなわち農作物以外林産物等のものは他の資料であります。今後被害がふえれば営農資金としてはふえるはずであります。自作農資金に関連して公庫の資金を御指摘になりましたが、このくらいの公庫の回収状況につきましては、前国会の御審議で二百九十億の公庫の全体のワクをきめられ、その中に新規の簡保資金を繰り入れたり、また産投会計から十億を入れまして、それらを合せて二百九十億がことしの公庫の総ワクであります。その際に年度初めの融資計画では回収金その他八十億見ておる。その際に実際にこのくらいの回収金の増が出るのはちっともおかしくないのでありまして、大蔵省の主計局から配付になっておる予算の説明という。パンフレットの中の各種の政府資金の、たとえば開発銀行だとか産投会計、中小企業金融公庫といろいろありますが、前年度の実績と前年度計画との対比があれには載っております。それで参考にして御審議いただいたはずでありますが、その他の公庫でも、過年度の農林漁業の公庫でも、たとえば二十五億を予定したときに五十五億の回収金をした、そういうふうに出しておりますが、増が三十億円は決して不思議でありません。特に三十年度は豊作でありますから、借り受けた側もこの際利子を払って所定の償環期限に払うよりは、利子を負けてもらって繰り上げ償還しようという機運が強い場合、当然に三十年度の中からこのくらいあるのはほんとうだと思います。三十一年度も同様だと思います。従いましてそういうものは引き当てにするのがいいのじゃないか、こういうことであります。
  107. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、さっき私がお伺いしたのは、自作農維持創設資金の下半期分の総ワクについて、ここへ希望が出た県の名前がしるしてあるわけです。これのみに限定せずに、新たなるものが発見されたり、その希望が出た場合には、これに限定される必要はないと思うがどうかということです。  それから今お話を聞いて、十六億というワクがあるけれども資金源は何ぼでもある、それを聞いて安心をいたしました。大船に乗ったつもりで一つ対策を立てますから、そのつもりでうんと実情に即して御協力願いたい。以上の自作農の維持資金の点だけをお尋ねして御答弁願って、それで私の質問を終ります。
  108. 安田善一郎

    ○安田説明員 私は希望がきていると思いますが、佐賀で一億五千万円追加がきておることだけは数字的にも記憶いたしております。八府県で約五億、下半期分の追加増ワク希望あるいはその他でやっていったこともあり、本気でその額を言われたかどうか、まだ確認いたしておりません。おのずから、他の融資がいろいろありますので、災害に対しても天災法等の融資等もありますので、自作農維持資金というものは低利で長期であるから借りたいということは当然あると思います。だから重複申請もあると思います。他方自作農維持資金は災害被害が起きた農家に貸してもいいのですが、自作農で農地を手放さねばならぬような状況にあったときに、かなり融通のきく額を低利長期で貸すものでありますので、その条件に当てはまったものに貸すことを想定してワクの増加をはかりたいと思います。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員 もう最後と思っておったのですが、一点だけ私申し上げておきます。この自作農創設維持資金の問題については、局長は新任されてよく御存じないでしょうが、これは問題ですよ。地方へ行ってごらんなさい。申し込んだ何十分の一しかこれは借りられないのです。私どもの一町村に多くて二人ですよ。ひどいところになれば一人ですよ。何十人の申請があっても、このワクがないというので実に締めて締めて締め切っておるのです。事実これは昨日から問題になっておりますが、私どもがいろいろ問題があるにもかかわらず、この問題を前国会において超党派で決議した精神を少く逸脱しておられると私は思うのです。この法案を審議したときには、私どもは非常に難色があった。しかし現在農村に長期資金を供給する道としてやむを得まいということで、農地担保という言葉を削って、農林漁業金融公庫の業務方法書の問題にからみ合して一応この法律を通した。その当時われわれが通した気持は、やはりこの長期の資金を融通していかなければ今後農地改革の成果を維持し、進んで営農の改善をしていくということが非常にむずかしい、そういう意味から私どもは忍びがたきを忍んで同調したつもりなんです。ところがこんなに資金に相当余裕があり、それから下期においても相当増ワクの考慮の余地があると言っておられるにもかかわらず、今までの実績からわれわれが見ますと、締め過ぎておる。そんなばかな話は私はないと思うのです。一村に何十人の希望を出しても一人や二人や、よほどの大村でなくては三人の希望が達成されないなんという自作農維持資金の制度の運用というものには、非常に今後検討の余地があると思うのです。局長はこの点をどういうふうに実態をつかんでおるか、よくわかりませんが、そういう実態にあるということを御承知になって、今後この運営については十分検討してもらいたいと思うのです。私どももやりますが、これはこのままほうっておけません。こんなばかな運営はないと思います。これはたまたまこの問題が出たから言及しましたが、いろいろな機会に本格的な検討を、われわれもやりますが当局も十分再検討して御善処願いたい、これだけ言っておきます。
  110. 安田善一郎

    ○安田説明員 自作農維持資金は、創設の際、創設すべくその法案を御審議願った際と、農林漁業公庫法改正案の産投会計からの出資等に関係しまして前国会のその公庫法の審議に際してとの二国会においておのおの御意見があったと思います。前者は農地担保をするのは適当ではないじゃないかという御意見がかなり中心的であったと思います。ワクのことも触れてあったとは思います。後者の方は公庫資金のうちの自作農資金二十六億のワクが、ほとんど一町村一戸当りしかいかないから、将来このワクを公庫の自作農創設資金二十六億を通すけれども、次の国会にはその公庫の資金の部分をうんと拡大せよ、久保田委員で例をあげますと、その御発言の中では百億くらい増加しろ。私はその当時これは将来償還を考えて自転すべきもので、ある期間を考えなければいけませんが、創設の立案に当っては二百億くらいいる性質のものであるから、今後大幅に増加をするつもりであります、こういうことで附帯決議も御了承を願い、また大石政務次官もそのように努力いたしますということで決議された。それが今足鹿委員のおっしゃったことと思います。その趣旨については私も同様に考えまして、来年度の資金増加については、飛躍的な増加を少くとも農林省は要求をいたすようにきめております。しかし二十六億と予定して、自作農維持資金のワクをきめられた今年度の中におきましては、それは総体価格二百九十億のワクの中でありますが、こういう部分の運用を、自作農維持資金としてその諸条件に従うように増加するよりしようがない、こういうことを考えております。
  111. 赤路友藏

    赤路委員 水産庁の次長に一点だけお尋ねしておきたいと思います。今度の災害で水産関係被害を受けておるのは、大体金融べースに乗らないような階層の諸君が多いと思う。これが一つ、もう一つ被害を受けた漁家の中で、系統機関からすでに融資を受けて、これの償還も非常に悪いというような状態のものがあるわけなんです。ところがこういうような諸君が金融べースに乗らないからというので、融資がされないということになると、そのまま立ち上りがきかないという状態になると思う。こういう面に対して水産庁はどういうふうにお考えになっておるか、この点を一点だけ聞いておきたい。
  112. 奧原日出男

    ○奥原説明員 今回の災害におきまして罹災いたしました漁業者が非常に零細であり、ただいま御指摘のようないろいろな点についての方策を講じなければならないと存じますが、しかしながら天災法によりまする融資の資金によりまして、個人の漁業者の漁業生産に必要ないろいろな資材の関係等は相当カバーをされて参るのでありますが、こういうものに関しましては、あの法律によります保証をそれぞれ国及び県において対策を講じますので、本来は金融べースに乗らないものが相当この上に引き上げられる、かように考えております。
  113. 赤路友藏

    赤路委員 金融べースに乗らない零細の方で、たとえば四、五十トンの船をたった一ぱい持っておる。これは鹿児島県にあるケースなんです。御承知の通り李承晩ラインがあり、四、五十トンの船ではあまり遠く行けないし、といって漁場を失って非常に困っておる。ところが今系統機関から金を借りておる者も十分な償還ができないというようなことで、従って保険にもかかっていない。それが今度の台風で船が沈没してしまって全然手がつけられない。そんなものは仕方がないのだから、それでしまいだといってしまえばそれまででありますが、それではならないと思う。こういうような場合には、単に金融べースというような形だけではいけないのじゃないだろうか。こういうものは私は他にもあると思うのです。そういうときに水産庁としてはどういうふうに対処されるか。これは金融機関にいえば、それはべースに乗りません、これはだめだと、一ぺんにいってしまうのじゃなかろうかと思う。それだけでは政治にならない。どういうふうにお考えですか。
  114. 奧原日出男

    ○奥原説明員 先ほど申し上げました天災法による融資に関しましては、実は漁船はこの中に包含されておらないのであります。漁船に関しましては漁船保険に加入しておりまする船につきましては迅速に国の再保険金の内渡し等の措置を講じておりますが、これに加入しておらない零細な規模の船につきましては、実は農林漁業金融公庫の指定災害としてこれを救済するということにいたしておるのでございます。また融資のワクの限度に関しましても、農林漁業金融公庫の漁船に対する融資のワクのあの貸付の限度をさらに引き下げて、そういう零細なものに対しても貸付し得るような方策を講じておるのでございます。従いましてできる限りそういうもので救済し得る限りのものを拾って参るような指導と努力をいたしたいと存じております。
  115. 井手以誠

    井手委員 水産関係で一言お尋ねいたします。先刻も申しましたように、災害があって一番救済もされなくて困るのは零細漁民と開拓者であります。今回の九号台風でも昨日田口委員からお話がありましたように、非常な災害を受けまして、有明海、特に佐賀県の漁場、特に養殖場は全滅状態であります。一つの例をとりますると佐賀県の浜町においては、一漁業組合だけで六千万円近くの被害を受けておるのであります。有名な有明のカキ、こんな大きなカキ、小さなカキもありますが、これは全滅であります。子貝も全滅であります。ことしばかりではありません。来年の種子もございません。カキにモガイ、その他の養殖が全滅状態といって差しつかえないのです。これらについてどのような救済措置を講ぜられておりますか。それが第一点。  次に、ただいま赤路委員から融資の点についてのお話がありましたが、公庫の金を融資したいということも承わりました。しかし実際従来の例から見ますと、融資を受けられるのは組合の有力者だけでありまして、農村といわず漁村といわず真に資金を必要とする零細農漁民は従来ほとんど借りることができなかったのであります。きょう厚生省に来ていただきたかったのは、この措置も私は聞きたかったのであります。こういう気の毒な漁民に対しては、生活保護ということについても水産庁と厚生省と連絡して対策を講ぜられる意思があおりになるかどうか。その点もあわせてお尋ねいたしたいのであります。
  116. 奧原日出男

    ○奥原説明員 まず有明海の養殖に関します救済策についての御質問でございますが、これに関しましては天災等の融資に関するあの法律によりまして稚貝、種貝につきましては融資の措置が講ぜられることに相なっておるのであります。この資金がそれぞれの経営者にとって非常にお役に立つのではないか、かように考えておるのであります。  なお有明海に関しましては、御承知のごとく農薬等の被害関係もありまして、今年度におきまして四千八百万円の養殖に対しまする助成措置を講ずることに相なっておるのであります。この中で貝類の地まき等につきましてはまだまだ実行が残っておるものが相当あるのであります。そういうものもこの罹災地帯の養殖の再建ということには大いに寄与するであろう、かように考えております。  なお、融資がきわめて零細なものには行きにくいという現状に対して生活保護の問題についてどう考えるかということにつきましては、われわれといたしましては、できる限りその地方に関係の部局あるいは他省所管の事項等で関連のあるものについては十分連絡をとりまして二、三の措置を講ずるということに努力をいたしたい、かように思うのであります。  根本的な問題といたしましては、やはり水産に関しましても共済措置というものが講ぜられなければならぬのではないか、こういうことを災害の都度痛切に関するのであります。明年度以降の問題といたしましては、われわれといたしましては現在漁船及び漁船が全損いたしました場合の漁具の全損というものについてのみ御承知のごとく保険をいたしておるのでありますが、この保険を定置その他の漁具にまで拡充していくということをぜひ解決をいたして参りたい、かように考えておるのであります。また漁業の共済の問題に関しましては、これは非常にむずかしいいろんな問題を持っております。漁業生産費というものを一体どうつかんでいくか、あるいは漁獲高というものをどうつかんでいくか、あるいは道徳的危険に対する保証をどう確保するか、まあいろんなむずかしい問題を持っておるのでありますが、過去二カ年間この実施のための必要な調査を進めて参りまして、明年度以降におきましては、この実施を前提といたしましたさらに一歩進めました実験に踏み出してみたい、かような考えを持っておるのでございます。
  117. 井手以誠

    井手委員 今農薬被害対策費として四千八百万円をやっておるから災害復旧にも寄与するであろうというお言葉でありましたが、これはちょっと心外です。農薬被害については必要な金額の十分の一にも足りない非常にわずかなものである。漁民はありがたくいただきましたけれども、あれでは足りないのであります。しかもその農薬被害についてのわずかな金をたよりに再建しようとする場合にこの災害を受けた。これは二重の被害です。農薬の被害とは別で、それで寄与するなどとお考えになってはこれは大へんです。農薬被害についてもさらに私は本年度も増額支出をお願いいたしたいとともに、来年度の種もなくなってしまっておるこの養殖関係、カキとかノリとかモガイとかいうものの養殖業者に対する災害救済については、一つ腰を据えて対策を講じてもらいたい。ただいまのような農薬被害などへ便乗しようなどというお考えじゃとてもこれは対策は立ちません。  もう一つは天災による融資をぜひお願いしたいと思っておりますが、果してあなたの方の水産関係の融資が、先刻お話になっておった融資総額の方にうまく入っておるかどうか、これについては若干私は疑いを持っております。その点については遺憾ないように一つやっていただきたい。末端の零細業者まで今回は融資が行き渡るように一つ特別の工夫を願いたいと存じます。
  118. 奧原日出男

    ○奥原説明員 ただいま井出先生のおしかりのありました通りに、私も有明海の養殖の農薬による被害の救済として四千八百万円の額が十分であったとは考えておらないのであります。ただ現実問題としまして、これから稚貝を漁場にそれぞれまくということに対して助成されるということは、まだ完了しておらないものについてはこれからの問題であります。従って次の養殖漁場の増殖ということについてはそういうことも期せずして活用し得ることと相なったという事実を申し上げたのにすぎないのであります。  なお、天災法によりまする養殖関係のワクが果して十分とってあるかどうかということに関しましては、先ほど来からお話の出ておりまする十一億という新規の天災法による今年度災害による融資のワクの中には水産関係も線を一応確保いたしておるのであります。(「どのくらいだ」と呼ぶ者あり)三億五千万円確保いたしております。
  119. 原捨思

    ○原(捨)小委員 ただいま有明海のカキその他の貝類については井手委員からお話がありましたが、全くこれは全滅状態であります。ただこの機会に申し上げたいことは、有明海においてはカキの養殖によって収入を得て、そしてその収入を次のノリの養殖に振り向けておったのであります。従ってカキの全滅によってノリの資金の用意というものは全然ない。でありますからぜひこの際営農資金的な融資を早急にやってもらわなければならない、さように思いますが、その御用意がありますかどうか。
  120. 奧原日出男

    ○奥原説明員 天災法によります種貝に関しまする——真珠あるいは養魚、カキ、モガイ、アサリ、ハマグリ等についての融資はあの法律によってやることに相なっておるのでございます。ノリの問題に関しましては、災害の状況によりましてノリをさらにその他の項目として取り上げたらどうかということについて十分検討いたします。
  121. 田口長治郎

    ○田口小委員 質疑はこの程度にとどめられまして本会を閉じられ、直ちに懇談会を開かれんことを望みます。
  122. 綱島正興

    綱島委員長 皆さん御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 綱島正興

    綱島委員長 それでは月曜の十時から本小委員会を開きたいと思います。  本日はこの程度で終りまして、あと懇談会をいたします。    午後五時十七分散会