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1956-09-11 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年九月十一日(火曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 吉川 久衛君    理事 笹山茂太郎君 理事 白浜 仁吉君    理事 田口長治郎君 理事 淡谷 悠藏君    理事 稲富 稜人君       足立 篤郎君    安藤  覺君       井出一太郎君    石坂  繁君       大野 市郎君    大橋 武夫君       大森 玉木君    木村 文男君       楠美 省吾君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       伊瀬幸太郎君    井手 以誠君       神田 大作君    多賀谷真稔君       田中幾三郎君    中村 英男君       中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  委員外出席者         厚生政務次官  山下 春江君         農林事務官         (事務次官)  清井  正君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (振興局参事         官)      庄野五一郎君         食糧庁長官   小倉 武一君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 九月十一日  委員赤澤正道君、加藤常太郎君及び平田ヒデ君  辞任につき、その補欠として大橋武夫君、井出  一太郎君及び多賀谷真稔君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員井出一太郎君及び大橋武夫辞任につき、  その補欠として加藤常太郎君及び赤澤正道君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  第十二号台風による農林漁業被害実情調査の  ための委員派遣承認申請に関する件  昭和三十一年台風第九号による農林水産業被害  対策に関する件  食糧配給制度に関する件  第十二号台風による農林漁業災害状況について  説明聴取     —————————————
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  この際まず第十二号台風による、これまでに判明した農林水産関係被害状況について、政府説明を求めます。野田統計調査部長
  3. 野田哲五郎

    野田説明員 このたびの台風十二号の被害の詳細につきましては、まだ報告が参っておりませんので、現在私どもが得ておりますいろいろの資料から、輪郭を御説明さしていただきたいと思います。  御存じのように、このたびの台風十二号は、九州の南の方に接近いたしたのは八日から九日の朝にかけてでございまして、九州西方海上を北上いたしまして、十日の朝早く対馬の上空を通っております。それから日本海に入りまして、山陰沖から急に方向を北に転じまして、きのうの夕方はウラジオストックの沖合いを通りまして、けさの三時には沿海州の沿岸に到達しているわけでございます。  九州の西を通りますときの中心示度は、九百三十から九百五十ミリバールの見当でありますが、日本海に入りまして後、九百六十ミリからずっと下りまして、沿海州におきましては九百七十ミリというような状態になっております。  気象庁の発表によりまして、この進路の周辺における被害の区域を見ますと、大体内地におきましては、北は能登半島から滋賀、和歌山を通ずる線が東の危険の限界線ではないかと思っております。この台風は、雨量については、山間に非常な雨を落したようでありますけれども、平地におきます雨量は割に少いようでございまして、昨日の九時現在におきまして、鹿児島が百七十九、ミリ宮崎が百七十七ミリ長崎が百十四、ミリ高知が百二十二ミリ、徳島が百十二ミリと、こういうようなところが百ミリを越しておるのでございますけれども、また熊本が三十九ミリ福岡が八十二ミリ、松山が四十七ミリ、高松が三十六ミリというように、百ミリをずっと落ちる地域相当あるわけでございます。これはちょうど台風中心山陰沖を通過しておるときの雨量でごさいますので、九州におきましてはその後に多量の降雨があったということは考えられるのでございます。  この台風通りますと、われわれとして心配されます被害のうちで、まず水稲関係について申しますと、九州地方におきましては一番被害を受けやすい出穂開花前後というものが、面積にいたしまして約五割前後あるわけでございます。四国におきましてはそれが四割前後に減ります。中国地方におきましてはそれが三割前後になるわけでございます。近畿に参りますと若干またふえまして、四割前後というものが最も強い被害を受ける面積ということになります。これらの状態にあります稲につきましては、ひどいものは白穂、それから稔実障害というようなものを出しますし、受精不能というような状態になりますし、またもみずれというようなことになりますし、さらには倒伏というようなことが起きるわけでございます。この被害の総量が幾らになるかということにつきましては、的確な見当もつきませんが、昭和二十九年の九月十三、十四日に九州を縦断いたしました台風十二号というのがございますが、これの水稲の減収は百六十五万石ということになっております。これは今度の台風に比較いたしますと、進路が東に寄りまして九州を縦断しておるということにおいて被害がきつく出てくるという可能性もありますけれども、台風の力といたしましては今回の方が大きいということを考えなければならないかと思います。  以上、水稲についてでございますが、大体台風の予想されます被害につきまして、簡単な御説明を申し上げました。
  4. 安田善一郎

    安田説明員 農地及び農業用施設で、ただいままで熊本農地事務局及び岡山の農地事務局の活動によりまして、主として各関係県庁資料によりました応急の調査取りまとめを申し上げます。  農地及び農業用施設被害は、目下のところでは正確を期しがたいのでありますが、一億一千八百四十一万円くらいに上っております。一番ひどいところは愛媛鹿児島ではないかと思っております。次いで長崎宮崎佐賀でありまして、高知山口大分にわたっております。熊本自身は目下調査中でございますが、九月十一日午前九時までには情報の連絡がございません。佐賀について申し上げますと、田畑流失等九十三カ所——私の方で田畑流失と申しますのは、統計調査部長が作物上の被害でいわれるよりは大きな農地被害と考えております。道路損壊十一カ所、堤塘損壊が三十九カ所、破堤五カ所、干拓堤防損壊が十一カ所——これは昨日お話の中にもあったと思いますが、九号台風で大被害を及ぼして、干拓堤防のくずれてしまった、なくなってしまったというものといささか違いますが、同一個所の昭和搦、大副搦、第二線堤防が十一カ所損壊をした。それを越えてもちろん海水は中に入っておる。海水そのものが同量出入りしているような損壊ではございませんようであります。長崎田畑被害が百八十三町歩大分は同様のものが十三町歩施設七カ所、宮崎農地関係被害でごさいますが金額で一千万円、熊本調査中、鹿児島農地関係で一千五百万円、福岡被害軽微の見込みであるが、まだわかっておりません。愛媛相当被害を受けておりまして、農地も若干ありますが、農業用施設相当被害を及ぼしておるようでありまして、おそらく被害最高ではないかと思われる状況であります。高知農地が六千町歩施設二十一カ所、山口農業用施設一カ所というような報告状況であります。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 畑地の災害、特に果樹などの災害についてはきておりませんか。
  6. 野田哲五郎

    野田説明員 まだ参っておりませんが、参り次第お伝えいたします。
  7. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に先般の第九号台風による農林漁業災害について調査を進めます。  本問題につきましては、さきに台風等による農林漁業災害に関する小委員会を設置して、その被害状況及び対策調査して参りましたが、この際小委員長より報告を求めることにいたします。綱島正興君。
  8. 綱島正興

    綱島委員 小委員会の結果を御報告申し上げます。本農林水産委員会において設置せられました台風等による農林漁業災害に関する小委員会経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。  去る八月中旬、九州地方に大きな被害を与えた第九号台風農林漁業関係災害につきましては、八月二十八日より九月四日までの八日間にわたり、長崎県、福岡県、佐賀県、熊本県及び鹿児島県に対し、二班の現地調査委員が派遣され、九月七日その調査報告を聞き、また被害県及び各農業団体かを参考意見として状況等説明対策に関する要望等を聞いたのでありますが、元来本委員会としても事の重大なるにかんがみ、九号台風等に対する対策を具体的に樹立する必要がありましたので、本小委員会を設けたのは各位の御承知通りであります。本小委員会は、九月八日、農林省自治庁、厚生省、建設省等担当官出席を求め、災害状況並びに対策について協議を行い、九月十日は農林省、大蔵省の担当官農林漁業金融公庫及び農林中金責任者出席を求め、災害に対する具体的措置について検討をいたしたのであります。その結果、小委員会としましては、第九号台風農林水産関係被害は、九月八日現在統計調査部の集計された数字は、農作物のみでも八十三億円に上り、農地農林水産業施設等につきましては、損害の査定が二十日過ぎでないと終りませんので、正確な数字はわかりませんが、きわめて甚大でありまして、被害農林漁業者に対しましては、早急に最大限の対策を講じなければならないという結論に達したのであります。ちょうどこのときに当り、たまたま九州中国方面に来襲しました中心示度九百三十ミリバールを示す第十二号台風が襲来いたしましたので、この台風による被害相当額見込まれる状態にありますので、九号台風と十二号台風災害対策とは別に分けまして、元来不可分のものとは考えられますけれども、一応結論を出すよりほかない事情に相なりました。従いまして、十二号台風対策を共通する部分を除き、早急に対策を決定しなければならないものについてここに方針を定め、対策実行方を強力に政府に要求すべきものであるとの意見の一致を見た次第であります。  以下小委員会対策要綱説明申し上げます。   過ぐる八月、九州中国地方等に襲来した第九号台風は、まれにみる風速をもつて通過し、たまたま満潮時に際会したため、随所に干拓堤塘欠潰し漁船及び漁港施設を破壊する等、農地農林水産業施設農作物又は水産物に異常な損害を与えることとなつたのである。しかも二旬日を出ずしてまたまた略々同一地域に第十二号台風の来襲するところとなり、被災農漁民の窮状はまことに見るにしのびないものがある。   よつて政府は、急施を要する左記各項につきとりあえず万全の方途を講じ、もつて農林漁業生産力の確保と農山漁家の経営安定にいかんなきを期すべきである。   なほ、爾余の対策については、台風第十二号による被害結果の判明を俟ちこれと併行して迅速に所要措置を講ずるものとする。      記  一、「天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法」に基き、すみやかに政令による災害指定を行い、経営資金及び事業資金貸付を行う。    被害激甚な地域並開拓地に対しては、貸付利率年三分五厘とする。    累年災害を受けた農林漁業者に対しては、本法により償還を延期し又は借換資金貸付けを行う。    融資総額はとりあえず十二億円を下らざるものとする。  二、農舎、畜舎、蚕舎堆肥舎水産加工施設魚干場を含む)、水産倉庫養殖施設網干場漁船(十屯未満又は無動力のもの)等の個人施設被害については、農林漁業金融公庫主務大臣指定災害の枠より復旧資金融通する。    融資枠は、希望に応じ増加する。  三、農林漁業金融公庫から前項による復旧資金及び一般の代船建造等に必要な資金融通するに当つては、別の融資要綱を制定し、融資率所要資金の八割以内、貸付利率年七分、償還期限は十五年(据置一年)以内でできるだけ長期とする。  四、災害を受けて困窮が著しく、自作農の維持困難となつた者に対しては、「自作農維持創設資金融通法」による第二条第四号資金を、農林漁業金融公庫自作農維持創設資金枠を拡大し、被害の実態に即応して、優先的に貸付ける。    資金枠の拡大は、五億円を下らざるものとする。    貸付利率年五分、償還期限二十年(据置三年)とする。  五、最も急を要する農地及び農林水産業施設又は公共土木施設災害復旧事業のうち遷延を許さないものについては、地方公共団体営のものにあつては、簡易生命保険及び郵便年金積立金又は資金運用部資金よりつなぎ融資又は短期融資を行い、団体営のものにあつては、農林漁業金融公庫又は農林中金より早急に融資措置を講ずる。  六、入植農家であつて潰滅的打撃を受けたものに対する生活援護については、関係県と密接に連繋の上、万全を期するものとする。
  9. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいまの報告に対し、及びこれに関連して、政府に対し質疑があればこれを許します。
  10. 大橋武夫

    大橋(武)委員 ただいま小委員長の御報告につきまして、特に最も急を要します融資問題について、小委員会でいち早く対策をお立ていただいたことにつきましては、まことにけっこうであると思います。ただ農作物被害に対処いたしまする将来のための肥料購入費に対する補助でありますとか、あるいは被害最小限度にとどめますための農薬等措置に対する補助でありますとか、あるいはまた農作物不作の結果生じました生活費の不足を補うための救農土木事業等を、これからの対策として当然考える必要があると存じますが、この点につきましては、小委員会におけるお取扱いがいかがになっておりましょうか、これを承わりますと同時に、希望といたしまして、これらの残った対策につきましても、小委員会においてできるだけ早く結論をつけて、当委員会に御報告下さることをお願いいたす次第であります。
  11. 綱島正興

    綱島委員 肥料問題その他まだ基本的対策もたくさんやらなければならぬ問題がございますが、小委員会でとりあえず出しました措置は、早急にしなければならぬ急務中の急務で、しかも農林当局大蔵当局の了解し得る限度のものをまずとりきめて、とりあえず現地を救済するという考え方決議でございますので、このほかに肥料に関するものとか、その他いろいろ農業施設に関するものとかがあるわけでございましょうから、これは本委員会でお取り上げを願いたい、こういう趣旨でございます。
  12. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 この際、お諮りいたします。ただいまの綱島委員長報告通り委員会におきまして、昭和三十一年台風第九号による農林水産業被害対策に関する件について、決議を行いたいと存じます。その案文はお手元に配付してある通りでありますので、朗読を省略し、小委員会結論を本委員会決議といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。
  14. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 なお本決議取扱いにつきましては委員長に御一任願います。  なお農業災害に関しまして、特に発言を求められております。井出一太郎君に発言を許します。
  15. 井出一太郎

    井出委員 去る昭和二十八年の冷害凶作に際しまして、当時北海道方面を視察せられました方々から、風連坊主農林三十四号との交配種だったと思いますが、そういった新しい品種北海道にきわめて好適な品種であろう、こういう御報告を受けたのでございます。それはここに足鹿委員もおられますが、上川試験場永山支場でその品種育成中でございます。その直後本委員会において公聴会をいたしました際に、永山支場浜場長が特に出席されまして、その経過について述べられましたことは、この速記録にも明確に載っておるのであります。自来私もこの新品種に興味と関心を寄せて参ったのでございましたが、たまたまつい数日前北海道へ参りました際に、やはりことしも冷害状況であるということを報告を受け、また沿道若干の圃場にも立ってみたわけでございました。北海道冷害は今回の西日本一帯台風被害と並んで、やはり日本農民の自然の暴威にさらされる宿命的なものを思わせられまして、感慨無量なものがございました。このときこの際、もし風連坊主の変種といいましょうか、こういうものが固定されまして、そうして北辺農業に大きな福音というようなことに相なりますならば、これは非常に望ましいことなのでございます。しかるに仄聞するところによりますると、この新しい品種をめぐりまして、一つ北海道道庁の側において依然として育種試験を継続をしておる状況にあるようであります。一方この新品種育成をするに当って力をいたした松村技官なる人が、昨年の春道庁をやめまして、民間に下ってみずから試験研究をいたしておるようでございます。そうして松村氏のもとに、農民が数千名結束をしてこれを支持している。また同氏はこれを早く固定させる意味において、南九州果て種ケ島でもって二期作を試みて、道庁品種よりもテンポにおいて早いものを持っているようでございます。私は技術的にいずれが是かいずれが非かというようなことはわかりにくいのでございますが、こういうものが何か官庁技術民間技術の対立になっているというようなことは、まことに好ましからざる現象である。あるいはそれに若干政治的な問題なども介入しているやに聞き及ぶのでございます。こういうことでは非常にまずいのでありまして、もしこれがほんとうにりっぱなものであるならば、民間官庁も相協力して一本になって、早く打ち立てなければならぬと思うのでありますが、承わりますと近く本委員会から国政調査のために北海道委員諸君が出向かれるとのことでありますが、どうかその辺に一つお心をとめられまして、今の育種のその後の状況一つ委員会において、超党派的といいましょうか、ニュートラルな立場で、技術的な観点に中心を置いて、ぜひお調べをいただきたい。このことを特に委員長を通じてお願いをいたすわけでございます。
  16. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 井出委員の御発言に関連いたしまして、すでに早く本委員会においては北海道国政調査をいたすことになっておりまして、今お触れになりました冷害等の問題についても、あわせて調査をいたして参る予定になっておりますので、ただいまの御意見を尊重いたしまして十分調査をしていただくことにいたしますから、御承知を願います。  午前中の会議はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時五十八分開議
  17. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事会の申し合せにより、ただいま調査をいたしております第十二号台風による農林水産関係被害状況につきまして、その現地調査及び対策樹立に資するため、現地委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、派遣地は、特に被害の甚大な中国四国九州地方とし、派遣委員及び人数、期間につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、議長承認申請の手続をとることにいたします。  暫時休憩いたします。    午後一時五十九分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分開議
  20. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十一年台風第九号による農林水産業被害対策に関する本委員会決議に対して政府より発言を求められております。農林大臣
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 御決議の御趣旨ごもっとものことでございまして、政府といたしましてもできるだけこの御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。     —————————————
  22. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に食糧配給制度に関する問題について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。足鹿覺君。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 八月の二十四日の本委員会において大臣の御出席を待ち、現在問題になっております米穀配給制度のいわゆる合理化案についてお尋ねをし、いろいろと政府考え方をただしたかったんでありますが、どうしても都合がつかないというので、自来今日まで待ち続けておったわけであります。その間に、政府は去る二十八日に閣議決定をいたされまして、米穀配給制度合理化案なるものを公表されておるのであります。わが委員会が去る二十四日にこの問題を取り上げ、国民の食生活に密接不可分関係のある配給制度の、合理化とは言っておりますが、その内容をしさいに検討してみますと、非常に改悪に類する面がたくさんありますので、こういうことについては十分論議を尽し、ほんとう国民が納得をした合理化案であるならばこれはやむを得ないけれども、現在政府が考えておられることは、合理化とはいうものの、実質的には非常におもしろくない内容を持っておるということを指摘いたしまして、担当長官としての食糧庁長官に所信を聞いたわけでありますが、ついに結論を得なかったわけであります。本日大臣が御出席になりましたから、あらためてこの問題について伺いたいのであります。  一番最初に経過からお尋ねをいたしますと、八月十七日に農相が、閣議において労務加配米廃止並びにそれに関連して御発言になった。その後二十三日に食糧懇談会が九段分室において開催をされ、当日いろいろ議論がなされたそうでありますが、その際に、労務加配米をやめる案に対しては、慎重論が多かった。だが、農林大臣廃止を強く主張された。しかし病人や妊産婦などに対する特別加配制度は残した方がよいという意向も具体的に出ておったと伝えられておるのであります。その後日本母親大会労務加配米は存続してもらいたいという決議を行なっておりますし、続いて総評の大会においてもその反対意思表示がなされ、また直接重労働に従事して最高加配米をもらっておる炭鉱労働組合の代表は、大臣御存じのように、農林省正面玄関横相当長い間座り込みをして当局の反省をまじめに求めておる。こういうように世論はあげて農林大臣が考えておられるところの米穀配給制度合理化案に対し、なかんずく労務加配米廃止の問題についてはあげて反対をいたしておるのであります。伝えられるところによりますと、農相一つ政治的判断に基いてこのことを御計画になったようでありますが、やはりその政治的判断の基礎は世論に基かなければならぬと思うのであります。これは申し上げるまでもないと思うのであります。そういった点からこの案に賛成の意見を出しておるとおぼしき世論は、私いまだ寡聞にして知っておりません。直接利害関係を持つ人々ではありますが、労働者はもちろんのこと、妊産婦あるいは病気療養者、こういう人々の中から切実な反対が起きておることは御存じ通りであります。にもかかわらず、十月一日をもって、関係官庁との間にも調整を遂げて、実施をせられる心組みだというふうに一般には伝えられておるのであります。国民が非常に重大関心を持っておりますこの問題に対して、あらためて本委員会を通じて、国民に対して農相の所信をこの際明らかにしていただきたい。まずこの点からお尋ねをいたします。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 少々蛇足を加えるようになるかもしれませんが、少し詳細にわたって私の考えておりますところを申し上げたいと思います。御承知通りに現行の食糧の配給制度は、その一部分には、非常に食糧の不足いたしておりましたときに、その不足いたしております食糧を合理的に配給するということの重要な使命の達成のために、計画せられ実施されてきたものが非常に多いと私は思うのであります。たとえて申しますれば、年令別の配給差のごときはその尤たるものだろうと思うのであります。さらに労務加配の制度にいたしましても、重労働に従事されます諸君が、配給制度によるところの基本配給量をもってしては、その労働に耐えることは困難であるというような者に対しましては、当然足りないところは金さえ出せばやみ米でもあるじゃないかというわけには絶対参りません。従って政府配給制度を続けております以上は、他に合理的に入手する方法がない以上は、これらの諸君に加配をするということは必然的にいたさねばならぬことであって、これが計画せられ実施せられたものと私は了承いたします。その他にもいろいろそういうものがございましょうが、おおむね以上申しましたようなことで来ておると思うのであります。ところが御承知通り、昨年の豊作に引き続いて本年も作柄等を見ますれば、相当に食糧の事情が潤沢になって参り、さらにまた将来も相当にこれが潤沢になっていくことは想定できると思うのであります。してみれば、ここに従来の非常に足りなかったときの制度、非常に複雑な制度をそのまま続けていくことが妥当であるかどうか。さらにまた今申し上げましたように、労務加配のように、他に入手の方法がない、しかも一面において重労働に耐えるためにどうしてもそれだけの食糧は入り用であるという諸君に対しましては、その当時いたしておりました労務加配を他の方法で——一般労働者の諸君、必ずしもそれが傾斜生産によるところの国家の重要産業であるとなしとにかかわらず、重労働に従事しておられる諸君、これらの間に差別をつけるということは妥当であるかどうかということも、私は考えるべきだと思うのであります。従って御承知通りに、希望配給という名前をつけておりますが、政府が必要な諸君には必要な量を売り渡すという制度を設けます以上は、その方面で入手していただくことが適当ではないか。但し総評の諸君等が主張せられておりますように、これが賃金関係もしくは家計経済の上からいって非常な変化を来たすとかなんとかいう別の話は、これはおのずからむろん私は別に議論はいたしたいと思うのであります。しかし食糧配給制度そのもので考えます場合には、今申し上げますように、もっと露骨な言葉で申しますれば、食糧管理特別会計の負担においてこういう労働条件の能率というようなものを負担していくということは妥当であるかどうかということ等を考えますと、政府の財政経理の上から参りまして、食糧管理特別会計は、食糧の配給制度を運行するのに純粋に必要なものをこの会計負担においてやることが妥当であろう。さらにまた食糧事情が潤沢になって参れば参ったように、従来の非常にこまかく区分して乏しきものを公平に分け合うという観念でなしに、潤沢になって参ったならば参ったようにして、そうして事務の簡素化をして参ることが妥当であろう。一面には事務の簡素化は、これはあたかも自由販売に通ずるものなりということで非常に御非難もあるようでありますが、私はあらためて申し上げておきます。私はそういうことは全然意図しておりません。どこまでも今申し上げたように、食糧配給制度、今の食糧政策を続けて参りますわれわれの心組みといたしましては、与えられたる条件に基いて、この条件をいかに円滑に運行して参るか、必要最小限度の事務において運行して参るかということがとらるべき措置ではなかろうかと私は実は考えるのであります。従ってそういう意味合いから今回の処置を集約して考えたときに、この制度は、妥当ではないかということで考えておるのでございます。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 労務加配米の問題についていま少し全体を通じてお尋ねしたいのでありますが、これは防衛庁、労働省、厚生省と関係省庁が非常にたくさんあります。そしてまた防衛庁を除いては、労働者の実質賃金、あるいは病気療養者妊産婦等の療養費、あるいは健康保持上非常に重大な関係を持っておるのでありまして、閣議決定にあっては企画庁がその調整に当るというふうに大臣は提案をされておるようでありますが、大体において関係省庁との間に調整を終って、この重大問題が異論なく、ただいま農相が考えておられるように進むことに同意があったと解してよいのでありますか。私どもの見るところでは、まだその調整がついておらない。その及ぼす影響は、食管会計の面で約十四億円程度、あるいは見方によっては三十億円程度の赤字の解消になる、こういうことを申しておりますが、一面においては必ずしもそうならない。希望配給に地域差を設けて、現在の百二十円というものを百十五円、百十円と小きざみにすることによっての赤字、指定外米の値下げをしてこれを希望配給に増量して回すという点になりますと、差し引きして食管特別会計の面においても、農林大臣が構想しておられるように十四億ないし三十億のプラスになるかならぬかということは、事務的に見ても疑問があります。農林大臣の言われる傾斜生産当時の事情と今日の情勢は、それは同じだとは私は思いません。しかしその根本において流るるものは、常に低賃金にあえいでいる労働者人々に対して、一つの福音として生産力上昇のために励みを与えていく、またその労に報いていくという性質のものであって、私は善政だと思うのです。また厚生省所管にしてみても、妊産婦病気療養者に対して、心ばかりでも加配をやっていくということについては私は非常に善政だと思うのです。それを今農林大臣がおっしゃるようなきわめて抽象的なお考えによって廃止するということは、いい方向へ向うのではなくして、善政をくつがえすことになると私は思うのです。そういう意味においても納得がいきませんし、また食管会計自体の数字の操作につきましても、別にまたこれを実施することによって赤字が増加していく場面もあるのでありますが、そういう点を取捨選択して利害得失を考えてみますと、今あなたが言われるようなそう簡単な結論は出ない、こういうふうにも思えるのであります。どの面から見ましても私どもは納得がいかない、かように思うのでありますが、その議論はともかくとして、審議庁とのお話し合いによってもうすでに関係庁とは話がついたものでありますかどうか。またこれを世論に逆行してどこまでも押し切られることに対して厚生省、労働省はどのような御見解に立っておられるか、これもあわせて農林大臣の御答弁と同時に承わっておきたいのであります。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 少し誤解があるようでありますから説明させてもらいます。今お話のありましたように、私はこの処置をとることによって食管の会計を改善しようという意図はございません。すなわちこれをやることによって今お話のように二十億前後の金が浮いてくるだろう、浮いてくる金で食管の会計の赤字の穴埋めをしようというようなことを考えておるのではないのであります。すなわち一面において労務加配の制度その他の制度につき可能なものを改正いたします。たとえば防衛庁の配給米にいたしましても、これは新年度から防衛庁で予算を組んでもらって、そして食管会計の方では防衛庁の方に特別の安い米を回すというようなことはいたしたくない。その他予算関係のものにつきましては、これは新年度から実施することにいたしますが、いずれにいたしましても、それによって生じたものを全部今御指摘のありましたように生産県、中間県、消費県等々にこれらの値下げをいたしまして、そしてその食管の従来の負担を広く全体の諸君に均霑をいたしたい。労働者の諸君で申しますならば、先ほど申しましたような、加配をいたしております労働者の諸君にはむろん今度は多少御負担を願うことになりますけれども、その他の従来加配をいたしておらずに、やみ米を食べておられたかおられぬか知りませんけれども、希望配給をとっておられた諸君に対しては、希望配給の価格の引き下げによって家計に寄与するようにしていきたい。働く諸君については、みな平等の立場で食管会計としてはやっていきたい。そうしてそれを労働省において特別に考慮する必要があるならば労働省において考慮を願いたい。厚生省においても同様に、厚生省の社会政策の上において考慮をしていくようにしてほしいというふうに考えておるのでありまして、それをみんなやめてしまえということを主張する立場に私はあるものではないのでございます。農林大臣として食糧管理をいたしております立場から、食管会計を預っております立場からいたしまして、食糧の配給制度、食糧管理特別会計の建前からいたしまして、この機会にいずれも行政の上から一つすっきりするようにして参りたいというのが希望であるのでございます。くどいようでありますが、これによって利益を生み出したり、これによって負担を軽減して食管の赤字の穴埋めにしようというような考えは毛頭持っていないのでありまして、どこまでもその及ぼすところの食糧管理の立て方を国民諸君に対し全部一律に公平にして参りたい。傾斜生産時代の加配のように、今日どの産業がどうで、どの産業は軽んじてよいという時代ではないと思いますので、すべての産業、全部の労働者諸君に対して同様なる意味において食糧の配給制度を立てて参りたい、こう考えておるのでありますから、その点はくれぐれも一つ御了承をいただきたいと思います。  それから経審の方で経審を中心として各省と調整をしてやって参る問題につきましては、今事務的に打ち合せ中でございます。まだ結論にはなっておりません。
  27. 山下春江

    ○山下説明員 ただいまの問題につきましては、私どもの方として特に申し上げることは、結核で療養しておられる患者、あるいは結核で在宅治療をしておられる患者、あるいは妊婦等に対しまして基本的に統一されますことは、事務の簡素化の上からはいいと思いますが、ものの考え方において患者に非常に不安を与えます。おいしい主食を食べさせますことは、カロリー源として非常に大切なものでありますので、金額にして大したことはないと思いますが、そういうような不安の中に病人などの受ける打撃を考えますときに、何とかそういう不安な気持にさせたくないと思っておりますので、今農林大臣から御答弁がありましたように、これらのことにつきましては、農林省、大蔵省等とよく御相談をいたしまして、なるべく病人に不安を与えないような態勢を確立していくことに努力をいたしたいと思っております。
  28. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 労働省は大臣も次官も来られないということでありますので、事務次官に出席を求めましたが、ただいま外出中でございますので、行く先を調べております。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 労働省がこの重要な問題にそういう態度であるということは、私ども納得がいかないことです。私ども農林委員会がこういう関心を持っているにもかかわらず、労働者の死活の問題をかかえてわれわれが審議している際に、主管省がこういう態度であるということは私ども許せないと思います。もう少し厳重に出席を求めたいと思いますから、委員長においてもお手配を願いたいと思います。  そこで農林大臣に伺いますが、この制度は昭和二十一年から今日まで十一年の歴史を持っていることは申し上げるまでもなく御存じ通りだと思います。なるほどこれは行政措置でありまして、別に法律の改正を要しないし、また国会の承認を得る必要もない、政府の腹一つでやれる問題であります。しかしこの労務加配米廃止に関連いたしまして、今度閣議に諮って政府が発表した米穀配給制度合理化案内容を瞥見してみますと、基本配給日数の一本化という点をまずうたっております。それによりますと、現在大消費地が八日、生産地が十五日の内地米の配給を受けているに対して、これを全部一律に八日にし、そのほかに二日間の外米を入れて大体十日間ということを考えているようでありますが、そういうことになりますと、大消費地においては従来と変りがございませんが、米の生産地における消費者は十五日のものを七日も削られる。そうするとそれは直ちに家計費に影響して参ります。家計費の膨張をやみ米に依存するか、あるいは、格差は若干つきますが、希望配給米に依存するかの二つでありますから、どうしても家計費に食い込んで参ります。こういうことは、豊作が二年続いて配給制度を改正しようという政府の意図とは、私は合致しておらないと思う。豊作が二年も続いたのであるから、大体十日以上は内地米の配給で食いたい、十五日ぐらいにはせめてしてほしいというのが現在の国民の願っておる声であると私は思うのであります。世情に達しておられる農林大臣が、そういうことがわからないはずは私はないと思います。これがわからないと言うならば、この案は国民の声とは全然別なことをねらっておられる。だから食糧会計の財政的な合理化案ではないかという疑惑も、誤解ではなくして当然疑惑として生まれてくるのであります。一面内地米の業務用売却、たとえば料理店であるとか食堂であるとかいうようなところに、今度の案では増量されようとしておる。これは悪いことではないでしょう。しかし一般家庭の分を実質的に切って、そうして業務用のものを実質的にふやす、料理店あるいは飲食店等の内地米の配給量を拡大するということは、私は少し均衡を失しておると思う。そういう施策を行おうとするならば、まず家庭の主婦たちに安心を与えるために、やはり並行して増量をしていく、こういう施策が講じられてしかるべきだと私は思います。そういった点につきましても、今度の配給制度の改正というものは、合理化とは言っておられますが、改善ではない、むしろ改悪に近い内容のものだ、こういうことを私は断言してはばかりません。  それから年令別の配給基準量の整理をなさろうとしておる。これは現在のように何才から何才までは何ぼというような十段階もあるようなことについては、私どもも疑問を持っております。そのことを政府がねらって、年令別の配給基準量を整理しようというその意図は、私はわからぬことはありません。私どもも幼年期、少年期、青年期、壮年期、老年期、こういう程度で大体いっても、そう大きなあやまちはなかろうと思いますが、今度の政府の年令別配給基準量から試算をしてみますと、実際においては現在の配給量を下回ることになるのを大臣御存じでしょうか。先ほどの地域別においても、生産地においては十五日を八日に削って、そうして年令別の配給基準量を整理してまた削っていくということになりますと、一般家庭は踏んだりけったりでございます。しかも一方業務用の人々のみは若干の増量を受ける。これはどこまでも私は片手落ちだと思う。豊作が二年続いて、少くともその豊作の喜びを一般消費者にも管理米を通じて分ち与えるという趣旨のものであり、また時代に即してある程度合理化し簡素化をしていくという趣旨は、私どもはわからぬではありませんが、こういうふうに基準量では切り下げられ、また年令別基準量で実質に減っていく、その上に労務加配米制度もやめていくということになりますというと、先ほど大臣の言われたような、特殊な労働者だけに恩典を与えないで、みな国民にひとしく平等の取扱いをしたいのだという大臣の御趣旨とは、このたびの合理化案というものは逆な内容を持ち、その結果としては、逆な結果をもたらすものではないか、こういうふうにすら考えるのであります。こういう点について、私は誤まっておれば御指摘願いたいが、そういった内容をよく検討してみますと、これを直ちに十月一日を目途として実施するということは、労務加配米の問題とあわせて、私は世論に逆行する非常な暴挙だと思うのであります。なおそういった点をも承知の上でこれを強行される御意思でございましょうか、押してお尋ねを申し上げます。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 今足鹿さんの御指摘でございますが、年令別の差等を撤廃して、そして幾らか今度は減しているのじゃないかというお話でございますが、そういう考えは持っておりません。これは計算のことでございますから、計算の出た通りにやるのであって、それによって配給量を減そうというようなことは毛頭考えておりません。そろばんが違っておったら違っていることを御指摘いただきますれば、訂正することにやぶさかではありません。これはどこまでも従来の配給量を人数で割ったその平均できめるのでございまして、そういうことを考えておりませんから、どうかその点は一つ御訂正いただきたいと思います。もし計算が違っておるという御指摘があれば、その通りであれば直すことにやぶさかではございません。  それから第二の点でございますが、生産県で従来十五日あったものを、内地米を八日に下げているのじゃないかという御指摘でございますが、それは数字の上ではその通りでございます。しかし価格の面におきまして、御承知通り生産県におきましては従来の価格を大幅に引き下げいたしまして、配給価格は——どういうふうに言うたらいいか知らぬが、一升にして生産地では百二十円というものを百十円に下げるのでありますから、これは非常にその数字が接近いたしているわけであります。ほとんど違わないところまで希望配給量があるのでございまして、その希望配給量によりますれば、従来の配給日数を上回る配給が得られる、希望配給で入手できるということになっております。御承知通り、生産県におきましては、従来往々にして配給辞退もしくはその他の方法で入手される諸君が非常に多かったのであります。それらの実情にかんがみまして今回の処置に切りかえたのでございまして、しかも御承知通り、生産県が十五日で消費県が八日であるというようなことは、これも私は従来の処置が、生産県の方から消費県に米を運びます際に、県外に移動する際に、それぞれの地区において、生産県に十分米がなければ、米が公平に、生産県も消費県も同様な配給量を配給することができないような実情も過去においてあった事実を、私はむしろこの際基本配給量は全国一律に八日であって、そしてこれを希望配給の面において、生産県は運賃その他の関係もございますから、これを大幅に引き下げて、そして基本配給量とほとんど違わない価格で配給をすることが妥当であろうというふうに筋を立てたのでございまして、最初に申しました通り、これらによって負担を加重にしようということを決して考えているのじゃないのでございまして、これを一つ合理的に持っていきたいというところにあるのでございますから、その点は誤解のないように願いたいと思うのであります。私は決して豊作続きのあとを、米についてさらに配給量が減ってしまうとか、さらに食糧について不安を持つとか、さらにやみ米に依存しなければならぬとかいう事情のないように、少くともやみ米がこれでほとんど払拭することができるだろうということをねらっているのでございまして、今政府が意図いたしておりますよりさらに安く合理化された、そういう米が今後出てくるかどうかということは、これは私も保証の限りではありませんが、少くとも今後におきましては、生産県におきましては一升十円以上のやみ米というようなものはなくなるだろう、中間県においても一升十五円以上のやみ米というものは今後ないだろう、消費県においても一升二十円以上のやみ米というものは、今後あら得ないであろうということにして、そして食糧の流れる流れ方を順次正常化する方向に持っていくようにし、さらにこの結果として、政府としてまたその実情に合うように、こういうことによって、政府に売り渡す量はさらにふえてくるだろう、やみで売るよりも政府に売った方がよろしい、正常のルートを流れていった方がよろしいという結果が生まれてくる、だろう、そういうことによってさらに政府はより多くの集荷量がふえ、希望売り渡しがふえて参りますれば、それによって政府としては、この米の食管制度をさらに拡充強化していくことができるようになるのじゃなかろうかということを考えておるのでございまして、くどいようでありますが、決してこれによって食管制度の経理の穴埋めにしたり、もしくは一般大衆に迷惑をかけるというようなことをあえてしようという考えは毛頭ないのでありますから、その点は一つ御了解いただきたいと思う次第でございます。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 先刻の御答弁を聞いておりますと、食管会計の負担において労務加配米、あるいは妊産婦、長期結核療養患者というようなものの保護を部分的にするということは、適当でない段階に達した、こういうような御趣旨であった。しかし関係省としてその必要を認めて考えられる場合は、それはその必要においてやり得ることであろうという趣旨の御答弁だったと思うのです。何かその辺農林大臣の意図がはっきりつかめなかったのですが、私はそういうふうに理解した。そういたしますと、大臣もこういう制度がいい、存続していかなければならないということは認めておられる。ただ食管会計の負担においてこういう制度を存続することはおもしろくない、こういう答弁と解してよろしいと思います。そうすると、制度自体はいいのだから残すのだ、関係省が残せと言えば残す。ただし農林省が食管会計の負担でこれをやることはおもしろくない。こういうふうに大体なったように思う。そうすればそれにかわるべき措置は、関係大臣あるいはその他の閣議等においてどういうふうに御検討になっておりますか。その点をもう少し解明してもらいたいと思います。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 今足鹿さんのお述べになりました通り私は考えておるわけであります。たとえば学校給食の制度は、粉食奨励その他の児童の体育向上、改善等から必要な処置であるということが閣議で決定せられて、そうしてその処置をやろうというならば、それを食管会計の負担においてやるということは、今まではそういう処置がとられておりますが、そういうことはしないで、むしろ文部省の所管においてそういうことを考えてやってほしい、その他、たとえば先ほど申し上げましたように、防衛庁の問題、もしくは今の社会政策の面から参りまして、厚生省で妊産婦その他結核療養の諸君に対して安心感を与えてやる必要があるということでありますならば、厚生大臣からそれぞれの案をお立ていただいて、それを閣議決定して、必要があれば予算の上に具現していくようにしてほしい、ただ今年度の中間においてにわかにこれらの処置を食管会計において、直ちに政府が必要と認めつつも食管会計はこれをやめるということは妥当でないと考えますから、それらについては必要性その他に対して、先ほど申し上げましたように、主として経審が中心になって、これらの制度をどの程度に整理するか、続けるかということは、調整をしていくようにしていこうということで、閣議で決定いたして、せっかく検討中であります。ただし、明年度予算からは、今申すように、各省においてそれぞれ予算の請求をして、これを成立するようにしていきたい、こう考えておるわけであります。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 たしか食管会計の中に計上してあります学校給食は、例年十六億ないし十八億円だと私は記憶しております。たまたま農林大臣は、今文部省関係の学校給食の事例を引用されたから申し上げますが、そういたしますとこのたびの御計画は、内閣の学童に対するところの福祉、保健施設といいますか、栄養改善の対策といいますか、そういった問題において文部省とも関係を持ち、結核患者や妊産婦関係においては厚生省との関係ができる。炭坑労働者その他百五十数万人の労働者に影響を持つ点においては、労働省と関係を持つ。また海運その他いろいろな事業場を監督しておる運輸省と関係がある。ただ防衛庁関係はこれはしばらくおくとして、非常に関係をしていく方面が多岐にわたっております。そうしてその内容は、非常に重要な内容であります。それを聞くところによると、閣議においてはほとんど異論がなかった。それで河野さんはずいぶん労働省や厚生省から突き上げられるものと思っておったところが、案外静かだった。これならやってもよさそうだというので声を上げられた、世間ではそういっておる。われわれはそう聞いておる。そういたしますと、このような非常な重要かつ広範な関係を持つ国民の保健、栄養、あるいは実質賃金、その他労働者等の福祉に非常な関係を持つ重大な政策を、ただその内容がよくわかっておらないから、閣議のような大ざっぱな論議をするところでは議論が出なかったのではないかと私は思う。その内容はこういうような内容のものであるということを、ほんとうにあなたが精通した事務官を帯同されて、そうしてこういう結果になるということを言われたら、関係大臣なり関係省はがく然として、この問題については慎重な検討をその際においてもやったでしょう。また結論を出すことができなければ、保留等の措置によって慎重を期せられたと私は思う。今からでも私は慎重な検討を必要とする段階だと思う。ですから、今大臣が言われるように、その制度自体はけっこうな制度だから残したい、予算の関係のあるものについては本年度中途で切るようなことはしない、これは関係省と相談をするというようなことになりますと、この労務加配米について約十四億程度、学校給食関係が十六億ないし十八億程度、その他いろいろなものを見ますと、相当な金額になります。その事業内容も、先ほど申し上げたように、非常に重要な問題になってくると思います。私はこういう重要なことは、国民の生活に密着しておる問題でありますから、ほんとうに慎重にやってほしいと思うのです。  そこで実施についてでありますが、議論をいつまでしておっても切りがありませんが、実施について十月一日を目途にしてやるというふうに閣議で御決定になっておるのであります。目途ということはどういうことでありますか。ただいま聞きますと、関係省とは事務的な調整はまだついておらぬ、経済企画庁がこれからその調整をやるのだ。その調整を待ってやられるともしかりにいたしますならば、いつごろを想定しておられますか。こういうことはやはり慎重を期して、かりに断行するにしても、ある一定の折れ目、切れ目といいますか、そこに年度の変りであるとか、何か重大な変異が起きたというようなときか、あるいは国民はいいことであれば、納得をいたしますが、時期としてもまずいし、内容から見ても不当だし、どうしてもわれわれ国民は納得がつかない。私ども農村関係者でもどうしても納得がいかない。いわんや利害関係を密接に持っておる人々の立場から見れば、納得のいくはずがない。私はそう思う。これは農林大臣は厳粛に反省をされて、これをもう一ぺん閣議にかけ直す、あるいはもっと具体的に内容をさらけ出して、ほんとうに真摯な立場に立って御検討をされる価値のある問題だと思います。面目にこだわる必要はないと思う。実施の期日とからんで、私は農林大臣の今一応の御所信を承わりたい。どうされるつもりでありますか。これを二十八日の閣議決定の十月一日を目途としてこの重大問題を押し切っていかれるのでありますか。そのころまでには経済企画庁が事務上の調整もとり、関係省も納得をして進むというふうに解釈をするのでありますか。その関係省が一応内容を知らないままに今日になっておるといたしますならば、これは問題でありますが、大体山下政務次官の話を聞いてみましても、厚生省方面においてはよく御理解になっておる。労働省といえどもそうであろう。ただ閣議の場合においては、大臣にはそこまでこまかいことがわからなかったと考えざるを得ないのです。従ってこれは次官会議等でもっともっと慎重な態度をとられて、そうしてもしこの制度をかりにやめた場合には、労働省や厚生省でかわるべき措置が予算の面においてもめどがつき、何ら既得権をくつがえすことのない保証のついたときにこの問題に切りかえていくということであれば、国民はある程度納得すると思うのです。今これをやめてごらんなさい、あとはそれきりになります。これは明らかなる事実です。そういった面から考えてみますと、財政負担は大体において石当り九百二十円くらいになります。それを百五十二万石といたしますと大体十四億円、一升当りの差額が十一円という計算になりまして、労働者の家計あるいは長期療養者の家計にとっては非常に重大な問題です。金額はわずか十一円でありますが、私は非常に重大な問題だと思います。そういう具体的な内容を突き詰めて検討するとき、われわれも非常にがく然とするのです。これを世論があまり騒々しくない、閣議でも大した異論がなかった、こういうことですらすらと持っていかれるということは、私は少し無謀過ぎると思う。もっと慎重であってよろしい。  また過日も大臣がラジオで放送されたのを聞きましたが、これをやりまして食糧事務所の機構を今後縮小していくという御意図が含まれておる。それから次には集荷方面において去年一応成功を見たわけでありますが、漸次この合理化措置が一段と進むと、今度は集荷面において現行米の卸売業者の新規開業を認める道を開く、現行米配給卸問屋と小売商の登録の固定化を緩和し、小売商自由選択制によって卸業者の競争によるサービスの向上をはかる計画がある。現在の食糧事務所の配給業務機能の一部を卸業者に移譲することによる政府の米流通中間経費の節減をはかる等を考慮しておると伝えられておる。また本年私が予算委員会の席上において農林大臣に伺いましたいわゆる特別集荷制度の問題についてであります。あのときは委託制度においてはやるのだと言われましたが、あのときはすでに二月の中旬でありまして、大体において米の予約も完了し、農家の手にはあまりないときであるから、農林大臣が一応委託方式によって特別集荷制度をおやりになっても大きな影響はないと私は見ておりました。が、しかし反対をいたしましたが、農林大臣は押し切って政令を施行せられました。これに関連をして、米の集荷制度についても現在の農協の独占体制を改めるという美名のもとに、商人系業者の進出を促す方策を講ずることによって農協と商人の自由競争を行わせる、そのため現在の集荷登録方式を固定化せず、予約申込時に自由に農家をして予約せしめる等の案が一部に検討されておると伝えられております。河野農相は明年から集荷予定数量を示さない方針だともいわれております。現在の出荷奨励金は出さないとも言明されたと伝えられております。こういうふうに二段、三段と——この間もあなたは、この配給制度というようなものは重大な問題であるから、今後三年間はいろいろと検討してみなければならぬというふうに、速記録によりますと、参議院の予算委員会において私どもの同僚議員であります羽生議員の質問に対して答えておられます。ところが、参議院の選挙が済み、一応この問題が世論の対象から薄くなってくると、いきなりこの配給制度の改善という格好で労務加配米さえ切ってくる。米の配給統制撤廃の際に、集荷面においても配給面においても一挙に統廃にひとしいようなことをやると抵抗が強いから、まず配給面で比較的抵抗の弱いところから一つ一つ片づけていく、世にいわゆる河野方式のなしくずし統制に持っていこうとする御意図のように見受けるのです。このように第二段、第三段とちゃんと詰め将棋のように次の手が考えられておる。こういうことでは食糧制度は重大であるだけに国民が非常に不安に感じます。先ほど山下さんがおっしゃっておったように、要するに何となしに非常に不安動揺するということでは私はよろしくないと思う。  質問に戻りますが、先ほども述べましたように、十月一日を目途としてどこまでもおやりになるのか、あるいは経済企画庁が調整をして実際におやりになろうとするのはいつごろであるのか、そういう考え方をやめて、もう一ぺん閣議その他事務次官会議とかいろいろ必要な措置を講じて、国民世論に問うて慎重を期せられる御所存はないか、こういう点をお尋ねいたします。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 どうも足鹿さんは私が考えてもいないことを考えておるであろう、考えておるであろうとおっしゃいますし、それから私が一ぺんも言うたこともないことを伝えられるというようなことで表現されますが、あなたのような権威のある方が言われますと、それが一般の人にはほんとうのように聞える。ほんとうのように聞えるとそれが不安動揺のもとになると私は思う。これはもっと責任を持って、言うたら言うたとか、お前からいつ幾日聞いたとか、だれに言うたとかいうことで言うていただきますとけっこうだと思うのであります。決して私はそういうことを言うたことはございません。  それから今お話の、出荷奨励金を来年はやめると言うたそうだ、そういうことを言うたことも考えたこともございません。そういうことについては、組織のない農民諸君には話を徹底しようとしてもなかなか徹底しにくいのでございますから、十分私の考えもお確かめ下さってお話し下さるようにお願いいたしたいと思う次第であります。  それから今お話の、閣議で唐突の際に、考えるひまもない間に決定したじゃないかという意味のお話、もし違っていたら取り消しますが、これは先ほどお話しになりました通りに、閣議でこういうことをしてみたいと思っておる、こういう研究を私はいたしておりますから、各省大臣はそれについてよく御相談願って、御意見がありましたならばいずれ閣議決定を願うときに御発表願いたい、あらかじめ私は予告をいたしておるのであります。各省大臣は、米の問題についてお話の通りふだん十分に勉強してない場合もあるかもしれませんから、私がいきなり持ち出していきなり賛否を問うようなことはいたしたのではないのであります。それぞれ省において十分御相談の上御意見を拝聴いたしたいというふうにあらかじめ閣議に提案をいたしまして、その日に決定をせずに、次の週でしたかその翌週でございましたか、閣議の御了解を得たというふうにいたしておるのでございます。  なおこれらにつきましては、事務当局の間の打ち合せを十分に済まさせまして、あらためて今月中に最終具体案について閣議決定をして十月一日から実施に移りたい、こう考えておるわけでございまして、決してこういう重大な問題を軽率に唐突のうちにやろうというようなことは考えておりません。その間にもちろん事務手続が進まない問題、たとえば妊産婦その他の人についてどうするかということは厚生省との間に意見の一致を見ない、その善後措置がまだ十分できないというようなものにつきましては、その準備ができるまで延ばさなければならぬものもあるだろうと考えております。目途という言葉を使いましたのは、十月一日に実行いたしたいという目標をきめて、それまでに事務手続を終るようにということであります。しかし事務手続が終らない場合があるかもしれません。終らない場合にはむろんそれが終るまで待って実行するのが当然と考えております。  ただ誤解があるといけませんから御了承願っておきたいと思いますことは、先ほど申しました学校給食の問題のごときは、これに変るべき予算措置とか、明年とられるというものは当然ことしの予算措置によってこれをこのまま続けていくことはもちろん当然のことでございまして、これが政府の方針をやめるということになりますれば、それは別でございますけれども、今私の申しましたのは、農林省の食管会計においてこの予算を組むよりもむしろ文部省の予算においてこれを組むことの方が妥当じゃないか、そういうものの負担が食管会計の負担においてやられることは妥当でないということを考えておるのであって、その一例として申し上げたのでございます。この学校給食をやめるとかやめないとかいうことを私は考えておるのじゃございません。これは会計経理を正常化するという意味において、そういうふうに予算を組んでほしいものだということの例に申したのでございます。ただし労務加配米の問題につきましては、これは労働大臣においてしかるべくお考えになることと思うのであります。農林省としては、労務加配米をやめて、それから浮いてきたのを食管会計のプラスにしようとは考えていない。これは全体の労働者諸君の立場を考えてやるんだ。そこで先ほど足鹿さんがお示しになりましたように、一升について大体十一円違うじゃないか。十一円違うということは大問題であると仰せになりましたが、これは計算が非常に違います。これは数字のマジックでございます。なぜかと言えば、全部が百二十円の配給米を食べるのじゃございません。その労務加配米を食べておられました人でも、それが生産県におられます人は百十円の希望配給米に変るのでございますから、その差はわずかに一円でございます。でございますから、それらの点をお考えいただきたい。たとえて申しますれば、炭鉱地帯でありますところの福岡は一体百二十円の配給米になるかというと、これは今後どういうふうな数字が出てきますか知りません。そういう点につきましても現に佐賀もしくは長崎、これらの炭鉱地帯の人は、それぞれの所属する県の希望配給価格がきまるわけでございますから、それによって従来労務加配をとっておられた人が全部百二十円の米をとるように変るわけじゃないのでございます。そういう点も一つお考え願いたい。港湾労働者の諸君にいたしましても、港湾労働者の諸君が全部神奈川、東京だけにいるわけじゃございません。従ってそういう数字にはならない。くどいようでございますが、それらによって浮いてきます食管の金額は、これを全部あげて全体の消費者に均霑せしめることにいたしておるのでございますから、今まで一部の人がその恩典に浴しておったものを全部の人に均霑さすということが建前でございます。従って一升十一円高い米を食うようになるじゃないか、これだけ労働者の負担加重になるじゃないかということは絶対にないのでございます。その点はそういうふうに御了承いただきたいと思います。
  35. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 足鹿委員に申し上げます。大臣の都合もございますし、時間の都合もございますし、他の質疑通告者もございますので、なるべく簡潔にお願いいたします。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一点伺っておきたいのでありますが、先刻来大臣の御答弁を聞いておりますと、文部省関係は来年度の予算の上において善後措置を考える、食管会計からはずした場合は文部省予算にこれを組みかえていくことを打ち合せたい。厚生省とは妊産婦や療養者に対するところの変るべき善後措置の話し合いがまだついておらぬが、これは話し合いをしたいということをしばしば言明せられておりますが、労働大臣なり労働省との間に、労務加配米の問題についてはその善後措置云々という言葉はないわけでありますから、これは切ってしまうということですか。それはどうもおもしろくないと思うのです。この辺については労働大臣とは今後これに変るべき措置をどうされ、どうお話合いになるつもりでありますか。今後この委員会の都合がどうなるかわかりませんが、労働委員会が開かれなければ労働大臣にこの席上に出てきていただいて、労働大臣の所信を、これは当然聞くべき性質のものだと思うのです。百五十二万人の労働者に及ぼす問題であります。非常に大きな労働問題です。もう食堂において、この労務加配米を給食の形でどんどん出している会社事業場がたくさんあることは御承知通りです。二十三万事業場というと非常に膨大な労働者がその恩恵を受けておるのでありますが、労働省から一人も来ておらぬ。そういうようなことでは私どもも困ると思います。これは別に社会労働委員会もあることでありますが、私農林大臣に一考を求めたいことは、両大臣の間において、変るべき善後措置をどういうふうにおつけになる御所存であるかということが一点。  それから閣議においては十分に検討の時間を与えたということをおっしゃいましたが、私どもは農林大臣閣議においてこの問題を発言されたのが八月十七日だったと記憶しております。二十三日には食糧懇談会を御開催になっておる。その食糧懇談会の席上においては東畑博士だとか、いろいろの学識経験者がおいでになって、そうして研究をしておられる。その研究の結果は先ほども冒頭に申し上げましたように、慎重論が多かった。しかし農林大臣は強く主張された。こういうことになっておるのであります。米価審議会をお開きになる正式の理由にはならぬと思いますが、やはり法律に定められたいわゆる米価構成、これは消費者価格にも直接間接に影響をもたらすし、またひいては将来の配給制度に全面的に影響をもたらすということになりますから、正式な米価決定については消費者価格にしろ、生産者価格にしろ、これは米価審議会に諮るのが筋ではありませんか。その措置は一ぺんもとっておられない。わずかに二十三日に食糧懇談会政府が自分たちの考え方だけで任命なさったところの委員によって構成される学識経験者等を、政府が直接にお頼みになって、政府のいわば好意的助言者の立場に立つ人を集めておっても、それらがよい返事をしておらない。答申もない、やってけっこうという答申もないということになりますと、世論はあげて反対政府の機関に準ずべき、政府機関に匹敵すべき食糧懇談会も賛意を表しておらない。米価審議会には所要の手続が全然とられておらないということになりますと、これは政治的独断ではありませんか。そういうふうに私どもは結論づけざるを得ない。極端な言葉を私ども別にもてあそんで快をむさぼるのではありませんが、どの面から考えても国民は納得しておらなぬではないですか。手続の上から見ても十分ではありません。しかも二十三日に食糧懇談会は答申もしておらない、慎重論を出してそのまま散会しておる。そうして当農林委員会が二十四日に開会をされて、大臣出席を求めて朝から晩までわれわれは待っておったが、ついに大臣は政務御多忙のために出席にならなかった。そうしてきょうまで災害対策等に連日努力して、きょうの大臣の御出席を待ったわけです。委員長にもお願いをしたいのですが、他の委員発言を私はじゃましようとは思いませんけれども、これだけの大問題に、わずか三十分や一時間の大臣出席結論がつくはずはございません。そういう点もおくみの上、きょうは十分大臣に質問の時間等もお与えあらんことをお願いいたします。そういう意味からいっても、とにかく十七日に発言をし、二十三日に食糧懇談会を行い、二十八日にはすでに閣議決定になっておるが、これだけの重大問題がこんなに超スピードにいくはずはないと思うのです。十分議を尽して、ほんとうによく検討したと大臣はおっしゃいますが、こういう形から見て私どもには納得がいきかねるのであります。そういう点において閣議その他必要な米価審議会等にもこれを諮っていただきたい。米価審議会の意見も尊重してもらいたい。そして食糧懇談会等にも正式の答申を求められる必要がある。あらゆる方面の意向をよく打診し、結論的にどうしてもやるということになれば、労働者との間にこれに変るべき措置をどう講ずるかという対策もなしにワクを切って落すということは、私ども無謀もはなはだしいと思います。その結論もなしになお強行されるということになりますと、これは国民としてどうしても納得が参りません。御再考願いたいと申し上げる以外にはございません。その点について、労務加配米についてかわるべき措置いかん。妊産婦、療養者等に対するかわるべき措置は考えておる、学校給食についても所管を変えても支障は来たさない、だから労務加配米だけは打ち首かということになりますので、その点だけを明確にしていただきまして私の質問を終ります。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 私は先ほども申し上げました通りに、閣議におきましても大体最初に説明をいたしまして、中二週間を置いて決定をしたのでありますから、決して倉卒の間に決定をしたとは思はないのであります。各省大臣はそれぞれ各省に帰って相談をする間があったはずでございまして、十分相談されたと思うのであります。その間に米穀懇談会を開きましたが、これは今あなたのおっしゃるようなものではないのであります。どこでどうお聞きになったか知りませんが、私は初めからしまいまで全部出席をいたしまして、各委員諸君とも十分懇談を重ねたのでございます。これはあくまでも懇談会でございますから、各委員意見も十分拝聴し、われわれの意見も十分説明をいたしまして、大体私どもとしては十分の腹がまえをきめてやったことであります。  それから労働省、石炭の問題における通産省その他のことにつきましては、それぞれ所管省において、適当に案をお考えになる必要があるというならお考えになるでございましょうし、現行の農林省通りでやって、各省でよろしいというなら、その通りやることになるでございましょう。私は閣議において、こういう処置をとりたいと思うから、各省大臣一つ御検討を願いたいということをお願い申し上げておるのでありますが、まだ別に案は承わっておりません。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 米価審議会は……。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 米価審議会は今のところ開く予定はありません。
  40. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 多賀谷真稔君。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほど足鹿委員の質問の際に、大臣は今度の食糧配給制度の改正に対する根拠といたしまして、食糧が現在も潤沢であり、想定としても大体潤沢である、こういうお話があった。潤沢であるならば、なぜ基本配給を増加されないか、この点も答弁がありましたけれども、私は解せない。なぜかといいますと、統制並びに現在の食糧管理の根本というのは、政府が責任をもって一定の量を消費者に配給する義務がある、ここに私は現在の食糧制度の根本があると思う。ですから、基本配給というのは、少くとも十分ではないけれども最低の生活の維持だけはできるという基準を配給すべきが基本配給である。希望配給というのは、よけい余裕のある人に、どうぞ余裕があったらお買い下さい、量は確保しております、これが希望配給でなくてはならない。しかるに今度の制度を見ると、生産地においては従来の基本配給を下げて、内地米を八日分あるいは準内地米を二日分、合せて十日分、さらに希望配給は十日分、一体基本配給と希望配給が同じ数であるということは、現在の食糧管理をどういうように考えておられるか、私はどうも解せない。政府はあくまでも配給する義務を持っておる。その配給する量というのは、少くとも最低の基準を確保する量でなくちゃならない、かように考えるが、農林大臣はどういう御所見であるか、まず承わりたい。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 どういうふうに申し上げたら御納得がいくか、ちょっと私も話がめんどうになると思いますが、社会党の諸君のお考えのように、はっきり二重価格制度に割り切っておいでの諸君は、一方において生産者価格は生産者価格できめ、消費者価格は消費者価格できめるということになりますれば、今のお話のようにきちっと割り切れると思うのであります。しかし、われわれはその立場をとって、おりません。その立場をとっておりませんから、生産者価格は生産費の事情その他の事情を勘案して年々きめております。さればといって、生産者価格が変ったからといって消費者価格をみだりに動かすことは、消費者の家計の上に常に不安動揺を与えますから、私はあえてとらないのであります。しかし、基準となるべき数量だけは常に規定しておこうという建前でございます。従って豊凶によらず、これだけは常に家計の上において安定した価格であるということはやっていきたい。しかし今お話の通り、一方において粉食の奨励をいたしておるのでありますから、それらの点を勘案いたしまして、豊凶によって粉食の奨励等は1麦の値段が安い場合には粉食の利用者が多いという場合もあります。それからだんだん子供さんが大きくなられるに従ってパン食に変って、粉食の利用度が増しておる場合もございます。現に御承知通り各家庭の米の消費量は一定ではございません。そういう事情でございますから、これらの諸般の事情を勘案して、われわれといたしましては以上の措置をとっておるのでありまして、その点について御意見のありますることは、私もむろん社会党さんのとっておられる立場もごもっともと考えますけれども、私どものとっておる立場からいたしまして、この点は十分御理解がいきにくいかもしれませんが、われわれとしてはその立場をとっていきたい、こう考えております。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 希望配給という発案をなさったのは河野農林大臣であったかと思います。従来はいろいろ若干のニュアンスの差はありますけれども、大体は基本配給が原則であり建前であった。ところがその基本配給と同じくらいの数字希望配給である。こういうことはどうしても私は現在の食糧管理制度からいくならば、原則をゆがめるものである、かように考えざるを得ないのです。豊作であり潤沢であり、潤沢の想定がつくというならば、当然基本配給を増すべきである。それをあなたの方で、これは食管会計の赤字が出るんじゃないか、こういうお話があるかもしれませんが、それはそれとして、河野農林大臣の先ほどの議論を聞いておりますと、非常に明確に分離をしてお考えのようでありますから、その点はあなたの政治力をもって解決されていただくとして、とにかく配給制度ですから、少くも基本配給と銘打っている以上は、その基本配給で最低生活ができる、いかに粉食をされましても、内地米の十日分あるいは八日分ということでは生活のできないことは大臣自身御存じでしょう。ですから私は十分とは申し上げませんけれども、基本配給というならば、ましてや将来において食糧が潤沢に供給されるという見通しがあるならば、基本配給はある点まで増加すべきである。そうしてその余剰を希望配給という形でやられるべきである、こういうように私は考えます。再度御答弁願いたい。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 豊作が二年続くような格好になりますので、内地米が国内に非常に潤沢になっておりまするから今のような御議論になると思うのであります。終戦後十年にわたって、この八日分を維持することに相当政府としては苦慮せられて参られたことは御承知通りであります。従って一たび平年作を下回るようなことになり、現在の人口をもっていたしまして供出が思うようにいかないということになりますと、消費者に対して、一ぺん基本配給量を上げたものをまた下げるというようなことになることは、非常に安定を欠くということになりはせぬかと私は思うのでありまして、これにはいろいろ御議論もありましょうけれども、実際行政を担当いたしております者といたしましては、慎重に取扱っていきたいという考えからいたしておるのでございます。今お話のように割り切れないものが何かあるというようなことは、私も考えられないことはないのでありますが、ただ希望配給という名前が実は妥当でないかもしれないと思うのであります。どうも食糧制度は、何かやみ米というようなものがあったり、いろいろなものがありますので、どうも割り切れない点がありまして、はなはだ遺憾でございますが、どうかその辺のところは一つ御了解いただきたいと思います。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣は基本配給量を増加しない一つの大きな理由として、現在は豊作だけれども、豊作というものが長く続くわけがない、あるいは平年作あるいはそれ以下の不作になる、そうすると基本配給を下回るというような、いな基本配給が十分配給できない、こういうような事態が起ると、国民生活に不安を与えるから、基本配給は今まで据え置いたんだ、こういう御答弁であったと思います。今度の配給制度の改正というものは、まさに現在の豊作を前提として行われておる。あなたのような御議論をするならば、これはむしろ制度というものですから、制度とか政策とかいうものは、少くとも平年作を基準として立案さるべきである。今度の、あなたの方で合理化と銘打たれたこの案というものは、現在の豊作を前提としての案じゃありませんか。あなたの御議論はどうも初めとあととが矛盾をしておるように思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 極端な場合を想定すると、そういう議論になります。むろん、昨年の豊作のあとを受けて、ことしは御承知通り、持ち越し米等において相当の量になっております。従って平年作である場合におきましては、この制度でやっていくことができるということの確信を持っております。ただし国際的な食糧事情も非常によくなっておりますから、凶作不作というようなことになりましても、内地米におきましては必ずしも潤沢にやるわけにはいきませんが、食糧の不安をかけるようなことはない。今お話の点は内地米の点であるということも、この際蛇足であるかもしれませんが、つけ加えさせていただきたい。食糧の不安というものは将来くるものじゃない。これは私はそう確信しております。ただし内地米の配給量についてものを申しますると、今のようなことが言えるのじゃなかろうかということに御了解を願いたいと思います。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも加配米その他の問題にいたしましても、量は何とか確保すると言う。それは希望配給の形で確保する、あるいは希望配給の値段で確保する、こういう意味かもしれませんが、どちらかまだはっきり伺っていないのですけれども、とにかく量は確保するということなんです。量は確保するということは、あくまでも現在の状態においての確保である。ですから私は政策を少くとも変更する以上、これはやはり平年作を基準としてやらなければならない。これはそうでしょう。電気の場合だって、平年水を基準として電気料金をきめるのです。豊水を基準としては電気料金はきめやしません。ですからあらゆる政策はやはり長い間の平年作を基準にとって、それによって政策は実施される。それからはみ出た分が希望配給になり、あるいはいろいろな形になる。これはわれわれが議論するまでもなく、大臣よく御承知通りである。ところが今まで大臣がおっしゃったことと今度の処置は全然違う。今度の処置を見ると、あくまでも現在の状態、現在の時点に立っての政策を実行されておる。ですから私たちはどうも理解できないと思うが、平年作になっても十分量の確保ができますか。これをお尋ねいたしたい。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 それは平年作の場合に、供出の制度に十分な御理解を持ち、これが回転がうまくいくということになって参りますれば、十分にいくと考えております。  ただ一点つけ加えさせていただきたいと思いますことは、今電気の例をおとりになりましたが、私は食糧はどういうものもこれにかわる例はないのだ。これは絶対的なものであって、いやしくもそこに不安のないようにしていかなければならぬ。電気の場合ならば、火力であるとか、もしくは需要を少し削っていくというようなことがあっても、それによって致命的な問題は起りませんけれども、食糧の場合にはそうは参りませんので、そこで最も安全度を持っていきたいというように考えます。さればと言うて、これは電気でもそうかもしれませんが、これの貯蔵の点につきましては、御承知通り、あまり長期の貯蔵には耐えにくいものでございますから、安全度をとり、しかも貯蔵その他の点を考慮しつつ、最初に私が申し上げました通り、与えられた条件を基準にして、そうして最善に分配していく方法を講じていかなければなるまい、こう申し上げたのはそのゆえんでございます。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 電気の問題は、これは私は料金について平水の時期をとった、こういう話をしておったので、量の供給ではございません。大臣がおっしゃる通りに、何ものにも比例することのできない重要な問題である、生命にかかわるものですから、私たちはあえて言っておるのです。ですからこれは需要は比較的一定しておりますけれども、供給は天候と関係がある、あるいは災害の影響がある、こういうものである。しかも需要はちょっとでも少くすることができない。かような問題でございますから、これが統制撤廃その他の暁になれば騰貴が起る。当然仲買人の介入の余地がある。それが跳梁する余地がある、これを非常に心配をしておるわけです。この点は大臣も何ものにもたとえることができない重要な問題だとおっしゃいますから、私もその通りであり、またそれを前提としての議論を進めておるわけでありますが、労務者の加配米を削る、あるいは妊産婦その他のものを削るといたしまして、現在は希望配給の価格でそれを配給する、それを確保する、こうおっしゃっておりますけれども、平年作になりますと、あるいは不作になりますと、その確保ができないのではないか、その場合一体どういうことで確保されるのか、制度というものがなくなりますから……。あなたはその当時はあるいは大臣をおやめになっておるかもしれませんが、とにかく制度がなくなるんですから、そういう場合にはどういうようにして確保されるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 制度がなくなったということはどういうことですか、ちょっともう一ぺん……。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労務その他の加配制度がなくなる、制度としてなくなる、こういうことです。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 労務加配制度がなくなりましても、希望配給制度が残っておれば、それで私は食糧管理制度としてはよろしい、こう私は申し上げておるのであります。それは労働条件その他は別の考慮を払っていけばいい、こういう建前をとっていきたい、こう申し上げておるのであります。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労務加配制度という制度があって、それを今度は希望配給という線に全部置きかえて、そうして現在量が余っておるからそれは希望配給の中からおとり下さい、こういう話である。ところが制度がなくなって、そうして希望配給の絶対量が下った場合には、どうしてとりますか。これを聞いている。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 その絶対量が現在の労務加配の制度よりも下回るというふうにはならない。なぜかと申しますと、もしそういう内地米が非常に不作であった場合には、御承知通り、準内地米、すなわち台湾米その他ほとんど内地米と変らない米がわが国の周囲にございますので、これらを内地米と同様にして消費をしていただくことにいたします道が講ぜられておると思うのでございます。これは従来においてはなかなか入手困難の場合があったのでございますが、最近においてはそういう道が開かれておる、こう考えておるわけでございます。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 従来も希望配給という線は非常に少くて、労務加配という線の中で労働者は生活しておったわけです。ところが従来そういうことが全然なかったというなら別ですけれども、従来もそういうことがあり、またその可能性がある、ですからあなたは、外米はどんどん入ってくる、入手は困難でない、こういうことをおっしゃっておりますけれども、その不安はやはりある。しかもこれは生命にかかわる問題ですから、あなたの言を借りて言うならば、ほかの何ものにもたとえることのできない問題です。ですから私はこの制度がくずれてしまったときに、ほかのものをとってきて労務加配に回すということは実際はきわめて困難である、また労働者としてもほかの者の茶わんをたたいておれによこせということは言えないでしょう。ですから私は制度としてそういうものを存続しておくべきである、かように考えるのですが、大臣は不安はないかもしれませんが、私たちは非常な不安を持っているから、これをもう一度御答弁願いたい。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 私は国際的な食糧需給の状態から見て、そういう場合は万々ない、万々一あった場合には、これは当然制度を復活してしかるべきものである、こう考えます。
  57. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほどから何度も言っておりますように、豊年という現在の時点をとっての対策がやられておる。ですから私たちは、平年作とか不作というものは百年に一回来るというようなことではなく、あるいは二年に一回、あるいは数年に一回来る、こういうことを考えますときに、大臣の言はどうも私たちには納得がいかないのでございます。  続いて私は、それはあとから再度質問することにいたしまして、次の質問に移りますが、価格の問題です。差額をどういうように補償されようとしておるか、食管会計としてはそれは補償しない。他の省でやれ、これはまず防衛庁なんかいいです。これは政府がお雇いになっている政府のかわいい子供ですから。これはまあ政府の方で何とかおやりになるでしょう。しかしたとえば職業安定所の窓口を通じて働いております日雇い労働者にいたしましても、実際問題としてどうしてそういうことをおやりになるのか、政府がどういうふうにして補償されるのか。現在二百五十二円程度で働いておる。しかも二十日ぐらいしか働いていない、一世帯で二人おりましても一人しか働けない、こういう状態の中で、現在われわれから見まするとわずかでありますけれども、非常に大きな重荷になる。これを一体どういうようにして具体的には補償されるのか、あるいは在宅の結核療養者にいたしましても妊産婦にいたしましても、これは厚生省がやればいいじゃないか、こうおっしゃいますが、しからば厚生省が在宅の結核療養者あるいは妊産婦にわずかの金額——わずかといっても本人は非常な金額ですが、金額にいたしますとあるいは百円程度かもしれません。あるいは百円未満かもしれませんが、一々届けるのか、こういう点さっぱりわれわれはわからない。ですからそういう点も当然所管大臣としてはお考えであるべきだ。これは何とも食糧行政であるから労働関係あるいは厚生関係は知らぬというわけにはいかない、国務大臣ですから。ですからその点を一体どういうようにお扱いになろうとしておるのか。さらに大きな問題は私は民間労働者であると思います。この民間労働者政府の金で、あるいは予算でやっておるのではありません。ですから民間労働者のその差額については、あなたの方で強制的に命令をして、賃金を上げてやれ、こうおっしゃるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 職業安定所でごあっせん申し上げておる諸君につきましては、これは当然その計算の結果、それが食糧事情の変化によって負担過重になるから賃金を上げなければならぬという結論になれば、その賃金を是正することが妥当だろうと思います。しかしそれらにつきましては私は所管大臣でございませんから、責任あるところは申し上げかねます。しかしそれはそういう処置をとられることが妥当だろうと思います。しかしまた今の民間のことにつきましては、これは私は何とも申し上げられません。政府はそれらに対して、農林大臣がこれは上げてやれとか上げてやるなとかいうことは、私が言うべき筋合いではないと思います。
  59. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 民間労組の問題、これは私は所管大臣でないから、こうおっしゃいますけれども、あなたの方でこの案を出されておるのですから、この案が直接影響があるところですから、当然国務大臣として考えてしかるべきである。また実際賃金を上げてやれという法律が出せるかどうか。これはあなたの方で常識でお考えになったらいいと思う。おそらく現在の政党ではそういうことをおやりになるということは考えられない。それであるからおれは知らぬ、こういうことでは、いやしくもこの案を出して、そうして各所に波乱を巻き起した河野農林大臣の言としては解せない、かように考えるわけです。今の妊産婦の問題でも、あるいは入院患者の問題でも、在宅結核療養者の問題でもしかり、具体的にどうするのか、これをまずお聞かせ願いたい。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろお話でございますが、それぞれ所管大臣がございまして、それぞれ所管のことについては十分やっておられるのでありますから、私は閣議において、こういうことを農林大臣として実行いたしたい、それぞれ所管大臣におきましては、それぞれの所管事務において一つ御検討をいただきたいと申し上げておるのでありますから、それぞれの所管大臣お尋ねいただきたいと思います。
  61. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 あとの方の質問の時間がなくなりますので……。井手以誠君。
  62. 井手以誠

    ○井手委員 ただいまの多賀谷委員の質問に対する大臣の答弁は非常に矛盾があると思う。この労務加配米の問題はあなたが主管大臣である。よその省のことはおれは知らぬということは、はなはだ不親切である。先刻あなたは総評の言い分にももちろん耳をかさねばならぬ点があるから、これは別の面で考究したいということをおっしゃっておる。また先刻は足鹿委員の質問に対して、事務的に各省と連絡を完了しなくては実行できないということもおっしゃったのであります。あなたもお認めのように、この影響は非常に大きいのでありますので、別の面の措置が完了しなくては私は実行はできないと思うのであります。あなたは国務大臣であり、主管大臣でございますので、よその省のことはおれは知らぬということではいけません。少くとも、もしあなたが断行しようとおっしゃるならば、それにかわる被害を償うだけの措置は当然なした上で実行しなければならぬと思うのであります。これらの点はいかがでございますか。
  63. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどからお答えいたしました通り、それぞれの所管大臣が必要なとるべき処置はとられるでありましょうし、私はこれについてそういうことを申し上げてあるのでございます。
  64. 井手以誠

    ○井手委員 ですから、先刻あなたが言明なさったように、事務的に各省と折衝を完了しなくては実行できない、実行しないとおっしゃった。あなたの方だけ労務加配の制度を廃止して、それにかわる各省の措置がおくれるということになる、あるいはとられないということになりますと、これは片手落ちであります。そういうことはなすべきことではないはずであります。それでもなさろうとする御見解でありますか。そうであるならば、最初の言明とは食い違うはずでありますが、いかがでございますか。
  65. 河野一郎

    河野国務大臣 労働大臣、通産大臣からは、この案を実行して賛成だということを承わっておりますので、あとは事務的ないろいろ打ち合せがあるだろう、その打ち合せを事務当局がいたしておる、こういうことでございます。だから私さいぜん申し上げたようにお答えしたのでございまして、通産大臣なり労働大臣から、たとえば、石炭関係の問題は非常に大きいということでございますから、通産大臣にも十分伺っておるわけでございます。労働大臣にも意見を伺って、それぞれの必要な処置をそれぞれの省においておとり願う、こう申し上げておるのでございます。これを農林大臣がどうせい、こうせいと言って指図するわけに参りませんし、またすべき筋合いのものでもないと考えております。
  66. 井手以誠

    ○井手委員 主管大臣として労務加配廃止を行うということであるならば、それが影響するいろいろな措置を講じて初めて実行すべきであると思う。先ほども山下厚生政務次官は、非常に不安が多いので対策を講じなきゃならぬということもおっしゃった。それでは山下政務次官にお尋ねしますが、今のような農林大臣の言明に対して、厚生省は御承知なさるのでございましょうか。労務加配あるいは乳幼児に対する、あるいはそのほかの福祉関係に関する加配について、厚生省の対策はととのわなくても農林大臣が実行しても差しつかえないとお考えになりますか。
  67. 山下春江

    ○山下説明員 先ほども申しましたように、これは在宅患者の場合などは、特に収入の少い家庭でございますので、その基本配給と希望配給との価格の差はわずかでありますが、そういった不安を与えないように、それからまた一番安い栄養源がこの主食のお米ということになっておりますので、これが少しでも上りますと非常に関係してくるというので、入院患者にも関係がありますが、今せっかくその面では事務的に折衝をいたしております。この問題については、農林当局の方、まあ大蔵省とも関係がありましょうが、先ほど申しました通りに、農林省、大蔵省と折衝をいたしておりますが、私の方の希望するそれらの措置に関しましては、大体入れられる角度になっておりますが、まだ決定していないので、私は決定したということを先ほど申し上げておりませんでしたが、今せっかくやっているようでございます。
  68. 井手以誠

    ○井手委員 大臣もただいまの山下政務次官の御答弁をお聞きになったと思うのであります。厚生省でも非常に不安がっておられる。絶対やはり対策は講じなければならぬというお考えのようである。先刻あなたは労務者の生活に非常な影響がある、賃金の引き上げをしなければならぬであろうという御答弁もあったのであります。それらを考えますと、このまま労務加配米廃止することは重大問題でございます。従ってほかの対策が講ぜられずして、これを自分の思う通り廃止を断行するということは重大問題だと思う。軽率にはできないと思うのであります。大臣一つこの際冷静にお考えになって御答弁を願いたいと思う。自分がやりたいからあくまでも押し通すのだというお考えではなくて、あなた自身認められているように、ほかの方面に大きな影響がありますので、その対策が講ぜられなくては実行しないということでなくてはならぬと思う。その点について一つ大臣の冷静な御判断を願います。
  69. 河野一郎

    河野国務大臣 私は先ほどからそういう答弁をしております。たとえば厚生省の方においてこういうことをやらなければいかぬというような御意見があれば、それが完了しなければこれはやらぬようになる。従って、十月一日を目途としてということは、そういうことでございます、こういうように私はお答えしているのであります。所管大臣から、もしくは所管事務当局から別に御注意、御注文がなしにおりますことにつきましては、これはそのまま実行してよろしい、こういうふうに考えておるのでございまして、やってはいかぬ、こういう処置をやるのだからそれができるまで待ってくれというのを、それを待つわけには参らぬというようなことをやろうとは考えておらぬ、こういうことであります。
  70. 井手以誠

    ○井手委員 ただいまの御答弁で、各省との連絡が事務的に完了しなくては実行しないというお話であります。それではもし通産省、労働省方面から賃上げの問題に影響する、労働者の生活に関係が深いという申し出がありますならば、あなたはその問題が解決しなくては実行はなさらないのでありますか、その点の念を押しておきたいと思います。
  71. 河野一郎

    河野国務大臣 それは通産大臣もしくは労働大臣からこれこれかくかくで影響するところが大きい、その影響についてはこういう処置が必要である、政府としてこういう処置をとるまではやってくれるな、こういう申し出があれば私はやるべきではないと思います。ただしその処置は政府でやるべきではなしに、民間でやるとかなんとかの判断は通産大臣がなさる、通産大臣から、もしくは労働大臣から、そういうことについてこの処置をやることは反対だということが閣議で申し出されれば、むろんこれは閣議決定できないのですから、実行しようとしても実行は延期せざるを得ないことになるわけであります。
  72. 井手以誠

    ○井手委員 それではもう一ぺん簡単な問題をお尋ねいたします。私は多賀谷委員が申しましたように、豊作を前提とするものであるならば基本配給を引き上げなければならぬという同じ意見を持っておるのであります。そこでお尋ねいたしますが、生産県に対しましては、配給日数をふやすから供出をうんとやってくれ、こういう供出督励のために、一つは生産県における配給日数が多かったはずであります。この前の保利農林大臣のときにも、もし今後豊作ということがありますならば、直ちに生産県における配給日数を増加することに私は確約いたしますということを、この席上で言明になっておるのであります。これは復元することが正しいことであると私は思っておる。ところが先刻来申されておりますように、豊作気がまえでありますならば、当然生産県に対しましては十五日を十八日に復元することが第一の道であると思っております。先刻多賀谷委員の質問に対しまして、凶作の場合もお話しになりましたが、今度の計画によりますると、従来生産県として供出を督励しておった佐賀県その他においては、これを中間県として取り扱われる。これを悪く解釈いたしますならば、労務加配の多い府県に対しては、これを生産県から消費県に落す、あるいは中間県に落すというふうな措置も考えられておるというふうにも疑いたくなるのであります。従って豊作気がまえでありますならばもとの十八日に復元することが私は大事な点である、それがまた労務加配にもはね返る問題だと私は考えるのでありますが、その点についてはいかがでありますか。  なおこの際申し加えておきますが、私が申し上げるまでもなく、政治は国民の信頼を受けることが一番大事だと思う。一たん農林大臣が約束したことはこれは実行しなければ、今後の行政はやっていけないと思う。運営はできないと思う。農林大臣河野一郎は言明なさっておりませんけれども、日本政府農林大臣ははっきり復元することを言明なさっております。そういう意味から、一つ農林大臣の生産県に対する復元、並びに生産県をわざわざ中間県に落しておる、この点をもあわせて御答弁を願いたいと存じます。
  73. 河野一郎

    河野国務大臣 前大臣がそういう言明をなさったかどうか、今私はよく了承しておりませんが、御承知通り佐賀県は福岡長崎の両消費県を控えておりますから、事情は多少違うようでありますが、関東以北の生産県におきましては非常に配給辞退が多い。今日までの状態でも、むしろ配給日数をふやすということよりも配給辞退が非常に多い。むしろ配給価格以下にやみ米が下回っているという実情にあることは御承知通りであります。諸般の情勢を勘案いたしまして行政措置をとって参りたい、こういうことでございまして、これらの地方におきましては、ある人は全然配給辞退をするということでございますから、地方の実情に合うようにやっていく方がいいだろう、従って今申し上げましたように、希望配給といいましてもこれらの地方においては百十円で基本配給との差額はわずかに一円もしくは一円余というところまで下げてあるわけであります。今お話の佐賀県の場合につきましては、これはまさに生産県としてこれを百十円でやることが一応理論でございますけれども、いろいろな両周囲県の事情等も勘案いたしまして、ここに多少考慮する必要があるのではなかろうかと考えておるのでございまして、最終的決定はまだいたしておるわけではございません。何分御承知通り米の動き等を見まして、そうしてそれが直接農民にどういう影響を与えるか、農民にどういうふうないい影響を与えるか、悪い影響を与えるかというようなことも十分考えたいと思いますし、また佐賀県の場合のように、米を非常に主たる生産物といたしておりまして、このためにこれが相当に県の財政もしくは農民諸君の計算の上にいろいろな複雑な要素をもって考えなければならぬ場合もあると考えますので、実はこれらにつきましては最終決定についてはなお慎重に考えていたしたい、こう考えておるわけであります。
  74. 井手以誠

    ○井手委員 ほかに質問の通告もあるようでございますから最後の一点だけ申し上げておきます。  大臣、これは数日前朝日新聞に載った記事であります。消費者も生産者も最も評判の悪い労務加配米廃止と書いてあります。生産者も消費者もということになりますと、これは全国民だと言っても過言ではないと思います。もちろんあなたやそこの何人かは別かもしれませんが、この全国民反対をしておるこの民の声、天の声に対して、国務大臣である農林大臣は、この評判の悪い労務加配制度の廃止中心とする配給制度合理化、これを一つさらに研究して万全を期するために再検討をしてもらいたいと、私は切に希望する次第でございます。答弁は求めませんが、一旦言い出したことはなかなかひっ込めたくはないでしょうけれども、この重大なる問題に対して、ぜひ一つ再考されんことをお願いして私の質問を終ります。
  75. 稲富稜人

    ○稲富委員 一点だけ大臣お尋ねすると同時に希望を申し上げたいと思う。先刻から大臣配給制度のいわゆる合理化案に対するいろいろ御説明を承わったのでございます。どうもお話を承わっておりますと、あるいは文部省関係の学校給食に対しては文部省自体が考えればいいのだ、あるいは厚生省関係は厚生省自体が考えればいいのだ、あるいは労働省関係は労働省自体が考えればいいのだ、こういうような御意見のように聞くのであります。これはあなたが農林大臣として食管特別会計の負担をなるべく少くしたいというような意図から、おそらくそういうことを思い立たれたのじゃなかろうかと思うのであります。これは日本の食糧行政の担当者としてのあなたとしては、実に無責任なやり方で、やはり食糧行政の上からは一貫したことを立てなければいかぬと思うのであります。ところが、この重大な問題をするには、あなたは閣議で非常に慎重を期したのだとおっしゃっておりますけれども、どうも先刻からの質疑応答を聞いておりますと、これを閣議で決定される前に事務的な折衝が各省で行われていない。私は、少くとも国民生活にこれほど影響のあるものを決定するならば、まず事務的に各省関係、あるいはあなたの省においてももっと検討すべき必要があったのじゃなかろうかと思う。ただ最初に閣議で決定して、その決定した線に沿うて事務的折衝をやってこれに数字を合せよう、こういうようなことはよろしくないと思う。私はここであなたと議論をしようとするものではありません。ただ今度の配給制度合理化をなさろうという意図というものは、先刻あなたがはっきり申されましたように、食糧に不安を持たしたくないというのが政府の意図であるということをはっきり言われております。国民の負担を大きくしたくないという意図からやったのだというような親心のようでございますから、その親心がありますならば、まず現在それが国民生活にどう影響を及ぼすかということをもっと慎重にお考え願って、さらに各省との間でももっとよく打ち合せられて、閣議で決定したからこれをどこまでも事務的に押していくというような考えでなく、もっと慎重に考えていただきたい。これは決しておそくはないと思いますから、ただ十月一日を目途としておるからこれを何とかして押していこうというのでなく、ほんとう国民生活の上に不安を与える、しかも労務加配米の問題においては、多くの労働者の生活の上にも不安を与えるという事実がありますので、どうかこの点に対しては、さらに一つ賢明なるあなたの親心によって、慎重なる一考を促しておきたいということを心からお願いいたします。日本の食糧政策に対して、少くとも将来あやまちのないような方途をとられんことをお願いして、あなたの決意を促したいと考えておるわけでありますから、どうか十分なる御考慮をお願いするわけであります。この際できますならば、あなたのこれに対するその考慮の点だけを承わりたいと思います。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんの御意見、御質問でございますが、第一はこれによって食管会計にプラスをして赤字を補てんするとか、もしくは食管会計の 担を軽減するという意図は全然持っておりません。これは明瞭に申し上げておきます。従って、今一部労務加配米を比較的割安でとっておられる方々、これらの方々が労務加配の制度ができる当時の事情と今日の事情とを勘案して、そうしていやしくも未組織の労働者諸君、全国に散在しておられる方々、これらの方々全部にこの負担を均霑いたしたいというところに第二の考えを持っております。これらの必要なる措置を今後も続けてとる必要があるとするならば、それぞれの行政官庁において御考慮願いたい。これを食管会計の負担においてやるということは、必ずしも私は適当ではなかろうという考えでいたしておるのでございまして、決して他意はないのであります。  それから、これを配給制度の根本的な改革のなしくずし云々というようなことは全然考えておりません。これは、少くとも私は考えていないのであります。従来非常に乏しいものを合理的に分け合うために、必要以上に緻密な計算をし、必要以上に緻密な行政がとられておったものを、これを簡素化し合理化することによって、一部行政費の負担の軽減をいたしたい、これは考えております。従って先ほど足鹿さんからでしたかお示しになりましたように、食糧事務所等を簡素化するというようなことをお前は考えておる、これもなしくずしの一つの方法じゃないかともし御想像されるならば、これは絶対私の考えとは違うのでありまして、私はそうでなしに、配給制度合理化していきたい。集荷の制度につきましては、先ほど足鹿さんから御指摘ございましたが、それは私の考えではございません。むろん農林省の事務当局の間には、いろいろな場合を想定していろいろ研究しておるかもしれませんが、それについて私自身検討したことはございません。私は今申し上げます通り、あくまでも今日の状態において、もしくは日本の食糧状態において簡単に統制を撤廃してやるというようなことは、なかなかこれが合理的にうまくいくという事態は、国民諸君のよほどの食糧に対する理解というものがなければ非常に不安定になるということを私自身は考えておるわけであります。これは相当の年月をかけて、国民諸君がみな一様に食糧統制の必要なしということにならなければ、なかなかこの処置をやることは適当でなかろうということが私の考えでございます。私以外の人はどう考えられるかわかりませんが、少くともそう考えておるのが現在の私の考えでございます。従って大臣就任当時米の統制撤廃に対して私が述べました意見は、私の意見が間違いであったということを私は私みずから訂正いたしておるわけでございます。この点はさよう御承知をいただきたいと思うのであります。その他の点につきましては、せっかくいろいろ御注意もあることでございますから、十分に勉強して間違いのないように努力していきたいと思います。
  77. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの農林大臣の御答弁に対しまして、また最後に付言して申し上げたいと思いますのは、それほど食糧問題に対する国民の不安をなくするようにという親心がありますならば、御承知通り政治は国民の納得する政治でなければいけないと思う。それで労務加配米の及ぼす影響がどうであるか、やはりその影響下にあるあらゆる団体その他と十分に一つ御協議願って、そうしてそれならばいいという国民が納得をした上においてこれを実施するというような方法をとることが、これが政府の当然国民になすべき親切でなければならないと思います。どうかこれを実行するにあまりに急にして、国民の不安のままにこれを実行するということはこれはおもしろくないことでございますので、たとい実際の実行はおくらしても、国民の納得するような結論を見出した後にこれを実施されるように、特に一つ大臣の大英断を私はお願いしたい。
  78. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 農林大臣、ごらんの通りでありますので、関係各省間の話し合いを十分慎重にお取り計らいの上善処されたいと思います。  休憩いたします。    午後五時十九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕