○
安田(善)
政府委員 卸売人の
許可につきましては、だんだんと御
意見もありまして、
改正法案の御
審議上重要な事項になっておることを私も各
段階、各時期、経過に応じましてよく認識をいたしておりますが、
農林省の解釈としましては、
現行法におきまする、言いかえますと、旧
憲法のもとに作りました
現行法の
卸売人に関する規定は、
地方自治体というものではなしに、国の
地方機関である機関委任によって国の事務を行う、県ではありませんで、県知事であります
地方長官に委任をしてやらしておった。またその
業務が国の事務でありますことは、新
憲法下の
地方自治法にも特に明文をもって明記いたしてある。それがいろいろ事情の
変更もありまして、今後
市場政策になるべく十分なる力を尽したいという政策とにらみ合せ、また他の条文の
改正条規との
関係もありまして、これはまさに本省において取り扱うべきものである、農林大臣というよりは、中央
政府、本省において取り扱うべきもの、こういう
意味におきまして
改正案を御
提出申し上げて、御
審議を願っておるわけでありますが、結論的に逐条的に見解を申し上げますと、まず
卸売人の
業務は、
中央市場の中に入ります貨物と同様でございますが、北は北海道、南は九州からでも
東京の――しかも
生産者の委託販売を原則としまして
取引される
業務地域が
全国的でございます。留意すべき点も多々ございます。各方面からあります。そこで
都市である
開設者ではもちろんいけない。また
地方長官が
許可権を持つのは今では適当でなくなっておると思っておるのであります。
第二点としましては、
卸売に対する委託者、言いかえますと、
生産者の出荷が無条件で行われてせりが行われる現状でありますから、
生産者の
段階では、農協であろうと魚協であろうと、これは県連の
段階では農林大臣の直接
監督、またそれを通じまして
農林省の委任を受けて県知事が
監督しておる
団体、あるいは指導奨励をしておる
団体でありますので、これと照応しまして、
生産地から
消費地へまでの
業務を行う
段階は、同じように農林大臣が
許可権を持つ、あるいは
監督をすることが必要だと思っておるのであります。
第三点は、先ほども申し上げましたが、本来これは国の事務である、国の機関を
地方長官に行なわせたのであります。知事はともかく
開設者は適当でない、こういう
意見でございます。
第四点としましては、
卸売人が
取引条件を結びまして、独禁法の排除をいたします場合の
監督は、私的独占禁止法の
関係をもちまして農林大臣が認可し、また
監督し、初めて可能であるので、同様に行わなければならぬと思うのであります。また
農林省は、立案に当りまして公取とも打ち合せまして、過去の経緯も
考えて、営業
卸売人の合併、営業の譲渡というものにつきまして、農林
取引の実情、言いかえますと
生鮮食品のうち委託販売でせり売りをする
方法を
業務規程では原則として扱っておる、こういうことからいたしまして、あまり厳格に独禁法を他の鉱工業のようにするのも適当でない、その必要もないというので、覚書交換で運用の申し合せがしてあり、
参議院の
改正では、これを法文化して修正案ができておりますが、いずれを通じましても同じ運用になると思います。その際にもこれは
取引条件のみならず、営業譲渡、合併は大臣の
許可が必要であると思っております。さらに
中央卸売市場につきましては、
横井先生のおっしゃいますように、一時中間的には、
地方庁も中央
政府も
育成助長、
監督の力が足りなかったのではないか。対策
協議会でもこれを積極的に行うべしという
意見もありました。
農林省で
関係の専門の課を設置いたしましたが、
助成、低利
融資の
措置、その他のことを
考えましても、合理化したり、ほんとうの企業整備を第三者的に特に行い得る、こういうことについても本省が適当だと思っております。
さらに
農林省は、過般も当
委員会で御指摘になりましたように、生鮮食料品というものは
扱いにくいが、豊凶の度に応じて、生産の変動がひどいものでもあるから、これは特定の
市場だけにまかしておきますと、あるところに荷が集まって暴落する。案外よその
市場に出せば値が維持できる、こういう場合がありますので、
地方庁をも使いまして、村の
段階の
生産者団体をも入れまして、指導者も入れまして、
全国的なおもなるものの流れの需給調整
協議会を四半期別に行なっておるのであります。指導
措置でありますが、これとの
関係を見ましても、またこの
措置がなければ十分な
取引に対する
政府の
措置ではないと思いますが、これとの
関係から見ましても農林大臣が直接
監督するのが
卸売人では必要ではないか。
さらに現在
中央卸売市場は十三
都市にありますが、
大正十二年に制定された
法律によりまして、
指定地域は四十一でございます。そのままほっておいては
開設すべき
都市にも
地域にも、
中央卸売市場の
開設をいまだに見ない
地域もあります。
地区の検討も今後必要と思いますが、
農林省がもっと乗り出して
生産者のため、
取引のため、
消費者のためにするのが必要であると思うので、本省の
許可権をお願いいたしたいと思うのであります。さらに第八点としましては、
農林省か
卸売人の
許可を行うと、
市場行政が
生産者本位になるという御
意見がありましたが、全くそうでありません。
農林省は単に生産のみならず、流通、配給また消費面においても
責任を持っておりますにで、その生産、流通、消費を通じて偏せざる行政、むしろ
開設者であれば
消費地本位の、あるいは長年のなれた
業者との間においての因襲にとらわれた行政があるので、この際においては第三者的で、各
段階で
地域において広い面の
監督者という
意味で、農林本省が
許可権を持ちたいと思うのであります。第九点としましては、先ほど申し上げましたように、
生産者団体の方は認可、
監督権を
農林省が持っておるから、それと照応する商人は、まず
開設者で委託販売して、せりにかける当事者になりましても、
生産者の代行機関しも見るべ機能でありますから、これを
農林省において
監督したいと思うのであります。
監督者はまた
市場内
監督の建前から、
業務規程で
監督するのが当然のことと思っておるのであります。
最後に独占の弊があるかどうかもいろいろ御
議論がありましたように、穏当なる
取引業者が存立する。特に
生産者団体がもっと伸びていくということなども
考えなくてはいけませんので、慎重にこれは検討しなくてはいけませんが、それらについても
開設者では適当でないと思うのであります。またおよそ事業の主体としてだけ認めました
開設者というものが、
地方公共団体でありましても、国の行政権を直接特に
法律で委任されるという例もあまり聞かないのであります。そういう建前から申しまして、特に
東京都を御指摘になるのは適当な
議論ではない。また六大
都市にしましても、私どものところへは
東京都のような御
議論は実はきていないのであります。他の
都市は違うのであります。