○岡
参考人 私はこの
法律全体について賛成するものであります。今その部分的に少し
内容を申し上げてみたいと思います。
開設者の条項を、従来、財団
法人または地方公共
団体とあるのを、地方公共
団体としているのでございますが、この点も賛成であります。
次に卸売人の問題について申し上げます。元来
中央卸売市場というものは、農山漁村民が生産した品物を無条任で委託をして、販売をしてもらう場所であります。卸売人はその無条任委託を受けた物を
市場において仲買人あるいは小売人に売る、こういうきわめて重大な責任のあるものであります。そういうように考えてみますと、これは
政府か強力な
監督をし、指導をし、さらに保護をする、こういうことによってやらなければならぬということは申すまでもないのであります。水産だけを調べてみましても、
東京市場だけでも一億数千万貫で三百数十億円のものを一カ年間に無条件で提供しているのであります。百円になろうと三十円になろうと、無条件委託でありますから、生産者は何らこれに文句を言うことはできないという
現状でやっております。こういうところでありますから、卸売人に対しても
市場の全体に対しても、
行政庁が十分にこれを
監督をし、保護をしてこなければならかなったのであります。今から三十数年前の大正十二年に
中央卸売市場ができた当時は、
政府においても
農林省の中に
市場の
関係の係員が
相当数おって、予算も
相当のものを作って、保護もし、
監督もしておったのでありますが、それが世の中がだんだん進み、人口がふえてきて、
市場が非常に大きな
性格を持つようになっても、予算はだんだん減るし、
監督は十分でなかったように思うのであります。こういう点から考えてみましても、今日の生産者の無条件委託を受けたもの、そしてそれを都市の者あるいは近郊の者の非常に重要な食糧として供給する役目を持っている
市場に対しては、
政府が十分なる
監督をしなければいかぬ。それにはその
市場内の一番大切な卸売人は
開設者の
許可ということでなしに、農林
大臣が
許可をする。これはただ農林
大臣に
権限を
許可しただけでは意味がないのであります。それだけ農林
大臣に責任を持ってもらいたい。ここ三十数年来、
東京の
市場を見ても、災害その他によってこわれたらこわれたままです。
東京都あたりにおいても、
相当大きな起債なとしてやっておりますが、まだ十分とは言えません。そういうように考えてくると、
政府もこれに対して責任を持って、農林
大臣は
許可をする、同時に
中央市場の
改善ということに
相当の努力をしていかなければならぬ。私どもの
考え方は、卸売人は単なる営利会社でなしに、ある程度公共性を持てたところにしもらいたい。それには、たとえば金融の問題、これなども単に普通の営利会社の社長、重役が金融にのみ飛び歩くようなことをさせないで、
政府資金の導入であるとか、あるいは融資の
あっせんというようなことを考えてもらいたい。あるいは課税の緩和ということも考えてもらいたい。不当な荷受け競争の禁止ということも考えてもらいたい。そのほか資本の構成などについても、
相当政府が
監督していくべきではないか。こう考えてみると、農林
大臣が
許可をし、同時に十分なる指導をし、そして今言ったような資金の
あっせんもし、あるいは
政府資金の導入もする。こういうことによって
市場の
改善と同時に、卸売人そのものをも公共性、公益性に近い会社にして、そうして農林
大臣が
許可すべきものじゃないか。今日はあまり弊害がありませんが、今までには執行権を持つ地方公共
団体と、議決権を持つ地方の議会との間に、卸売人の
許可などについても
相当意見の相違があって、ために
市場によくない結果を生じたような場合もないとは言えない。最近はそういうことはないように思っておりますが、いろいろの点から考えてみて、どうしてもこの
中央卸売人は農林
大臣の
許可にして、十分なる
監督、保護をしてもらいたい。ただこれに対し、それならば
業務の
許可と施設の
許可とが二人の
命令がら出たらば困るのじゃないか、こういう御
意見もあるようでありますが、これは農林
大臣と地方長官との間、あるいは
開設者との間に、その折り合いがつかないものまでも農林
大臣が
許可したけれども、
市場でいるところがないというような、おそらく私はそういう行政措置は行われない、事前に十分地方庁の長官なり、あるいは
開設者の
意見を聞いてやれば済むものではないかと考えております。
それからもう
一つ卸売人で困ったことには、進駐軍が出てきて以来、無制限自由ということをやった。水産だけでも
東京都に十数、二十もあると言っておりますが、これではどうにもならぬ。この会社がつぶれたときにそのしわを寄せられるのは生産者です。生産者はこれでずいぶん泣いております。こういう
関係上、これを制限することはできないにしても、だんだんしぼっていって、あるいはその
市場の面積その他からいって施設の需要量、すなわち物理的
方法によってもしぼれるだろうし、あるいは卸売人の一人当りの取扱い高が、営業費が六分なり五分なりの手数料でまかなえるか、まかなえないかということは、算術計算でも出てくる。いたずらに卸売人を
許可して、片っ端からみなつぶれていくようなことをさせるのはいけない。これはしわがみな生産者に来るからいけない。こういうことによってやると、そういう制限もできるのじゃないか。たとえば今日
東京都だけにおいても水産だけで十社あります。そのうちABCDという四社が大体において八六%の荷を扱っている。その他の六社が一四%を扱っている。四社だけで八六%やって、あとの六社が一四%しかやらない。こういうことになりますと、今日でもまだ非常によくなってきたのであるけれども、これが十九社あったときでは一%もやらないようなものもあった。こういうのがいたずらに産地にうまいこと言って魚を取って、しまいにはぱっと逃げてしまうというようなことが必ずしもなきにしもあらず、現にありました。こういうことをされるということは、農山漁村民の生産を保護する道ではないと思うのであります。こういうような角度から考えてみましても、
一つ大臣許可ということは、この際
監督を十分にし指導を十分にし、そのかわりは保護を十分にする。先ほど言った
通り、
相当の保護をして公共的
性格を持った、いわゆる
大臣の免許会社というような特殊会社になって、そうして生産者が安んじて無条件委託のできるようにしてもらいたいというのが生産者の
考え方であります。
その次に、いろいろありますが、
類似市場の問題が起っているようですから、
類似市場について申し上げます。これは今日いろいろ理屈があり、賛否両論があるようでありますが、一体
類似市場が今日のごとくどうしてできたかということを探究してみなければいけません。これには
政府も
中央卸売市場の
開設者にも必ずしも責任がないとはいえない。だんだん人口がふえてくれば予算もだんだんふえてくる。施設も普及してくればだんだん予算をふやして、そうしてもう少し国が力を入れてやってくれて、そうして買出人のためにも便利になるということになれば
類似市場というものはあまりできない。それが一方
政府の予算もあまりない、
監督指導も十分でない、あるいはまた非常に都市が大きくなったにもかかわらず一カ所だけで分場が少い。分場でもどんどん設けるということであれば、それにしても予算が足らない。こういうようなことを見る。あるいは
市場の現在の位置がその都市の地理的に見て不適当な場所であるというようなところから、適当な場所にこしらえてみたり、あるいは人口がどんどん郊外にふえていくと、買い出しするために大へんな時間がかかる都心へ出てくる。これは
政府にも
開設者にも責任がないとはいえない。こういうように考えてみれば、今言ったような
中央卸売市場を
整備強化する以上は、どうしてもある程度こういうものを漸次考えていかなければならない。ただしあるものを全部禁止せよ、
閉鎖命令を出す、そんなことはできません。これは実際上からいっても
法律上からいっても、今でき上ってせっかくやっておるものを、
類似市場のゆえをもって禁止
命令を出すなんということはできない。できないとするならば、一面
大臣の
許可による卸売人の充実あるいは
政府の予算措置による
市場の施設の強化ということによって漸次これはやる。やる
方法としてはどうしたらいいか、底びき船の場合に、無
許可のどろぼう船が、無
許可船がたくさんいる。
許可船を整理していって無
許可船をほったらかしておいて、善人は整理されてどろぼう船は整理の対象にならぬというような
状況がある。これは
法律を作るときにやむを得ぬからその無
許可船も一たん
許可のワクに入れて、そして今度は全体を見て整理していこうじゃないか、こういうようにしなければいけない。これは
法律上できないでしょう。そこで私は、この原案にあるところの届出制というものは、届出制を認めたからといって、
中央卸売市場というものを認めないで、どんどん許していくという意味じゃないと思う。一応届出をして、そうして
監督をし、監査を十分にして、もし不適当な、不都合なものがあるとすれば閉鎖を命ずる、こういうようにして整理をしていく、あるいはそのうちで非常ないいものである、そうして地理的に見てもどうしてもこれをここに置かなければならぬものであるというならば、
中央卸売市場の分場として置こうとも、あるいはいかなる
方法を考えようとも、行政措置で私はできると思う。こういうように考えてみると、この
類似市場の問題なども、いろいろのこうなった結果から考えてみて、そうして原案のような
方法によって漸次
監督指導して、そうして吸収、
合併するかあるいはどういう
方法にするか、やっていかなければ、やる
方法がないじゃないか。もしこれよりいい
方法があるというなら私どもは賛成しますが、さりとてそう極端に、今あるものをみんな禁止
命令を出す、こういうようなことはできないものだ、こういうように考えてみると、この点はやっていかなければならない。
それから私はもう
一つ。この
法律上で特に問題になるのは保証金の問題であります。今日保証金というものは、非常に取扱高が少いときに、卸売人が保証金を出すのに大体五十万円くらいの程度のものを出して、その保証金につきましては、
市場の使用料、その他が優先的であります。そうして生産者の委託品などは請求権が一番最後です。優先権がない。もし
市場に対する借金などがたくさあれば、これを全部引いてしまうと、五十万円ばかりの金では残るものはありまん。そこで私は、これはある程度大きな保証金を取っても、卸売会社が困らない
方法があります。たとえば金利を付するとかなんとかいう
方法によって、同時にその金は運転しますから、そういうような
方法はよってある程度取って、生産者もその会社に対して優先権を持つようにしてもらいたい。これは今度の
法律の
改正の
内容に入っておりませんが、場合によれば
業務規程でもできないこともないのでありますから、そういうようにやってもらたい。私はきょうは時間がありませんから、おもなる重要なことだけについて申し上げたのであります。