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1956-05-18 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十八日(金曜日)    午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    足立 篤郎君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    石坂  繁君       大野 市郎君    大森 玉木君       川村善八郎君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       赤路 友藏君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    石田 宥全君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     昌谷  孝君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  永野 正二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     檜垣 好文君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重藏君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  凍霜害による農業災害対策に関する件     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  本日はまず先般の凍霜害による農業災害について調査を進めます。  本問題につきましては、さきに凍霜害による農業災害に関する小委員会設置して、その被害状況及びその対策調査して参りましたが、この際小委員長より報告を求めることにいたします。笹山茂太郎君。
  3. 笹山茂太郎

    笹山委員 それでは私から凍霜害による農業災害に関する小委員会の経過について御報告申し上げます。  この小委員会は、成立の当時、すなわち五月十五日直ちに懇談会をいたしまして、引き続いて十六、七日の両日にわたって開会をいたしていろいろ審議をしました。凍霜害被害現地調査報告を聞き取り、またその救済対策につきましては、各委員より意見の御開陳があり、また関係政府委員に対しましても、それぞれ質疑が行われたのでございますが、その結果今回の凍霜害被害はきわめて広範囲であって、しかも被害程度がきわめて甚大であるから、被害農家に対しまして早急に最大限度対策を講じなければならぬということで、この委員会におきましては、次に申し述べるような決議をいたしましてこの決議の実行を強力に政府に対しまして督励すべきものであるということに意見の一致を見たのでございます。その決議案内容を私から朗読いたします。     昭和三十一年四月及び五月の凍霜害に対する決議(案)   政府は、このたび北海道を除く全国の各地に発生した瀕霜害が、各種の農作物に対し二十八年のそれに劣らない損害を与えた事実に対処し、農家をその窮状より救済し、今後の生産を確保するため、左記各項に基き、速急にこれが対策を樹立実行すべきである。     記  一、被災農家に対しては、「天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法」の適用により、速に経営資金貸付を行い、併せて利子補給損失補償等措置を講ずる。被害の特に著しい農家に対しては、政令による地域指定を行い、貸付利率を三分五厘とする。償還期限は五年の範囲内で出来るだけ長期とする。    尚、累年災害を受けた農家に対しては、本法により借替資金貸付ける。  二、被害をうけた開拓農家に対しては、前項による経営資金融通措置を講ずるほか、生産資金貸付等特別の措置を講ずる。  三、農林漁業金融公庫から農林漁業資金を借受けているもので今回の凍霜害によりその償還が困難となったものがあるときは、公庫をして償還猶予措置を講ぜしめる。  四、再生産確保のため、次の如く予備金より支出する。補助金の使途、交付方法等については、被害の実体に応じ、弾力的かつ総合的に定め、補助金支出の目的を達成するに努める。   (1) 樹勢回復用肥料代桑、茶及び果樹に対する肥料所要量の二分の一(開拓地に対しては三分の二)を助成する。肥料所要量は桑及び茶については、反当平均七貫五百匁(硫安、換算)とし、果樹については、これに準ずるものとする。   (2) 病虫害防除用農薬代  桑、茶、麦、馬鈴薯及び果樹に対する農薬所要量の二分の一を助成する。   (3) 蚕種については晩秋蚕掃立卵量蚕種代の二分の一を助成する。   (4) 稚蚕共同飼育及びその施設共同桑園を含む)に必要な経費に対し助成する。   (5) 水稲苗代に対しては追播用種もみ代又は購入苗輸送費に対し助成する。   (6) 凍霜害予防のため重油等燃料を消費した農家に対しては、特にその経費の一部を補助奨励措置購ずる。    尚、そさいについては災害対策用予備貯蔵種子を速かに放出させる。   (7) 森林の被害に対し必要な経費助成する。  五、技術指導強化に要する経費として次の如く予備金より支出する。   イ 蚕業技術員及び農業改良普及員に対し特別指導手当助成する。   ロ 繭の減産により給料の支払の困難となった組合等に対し蚕業技術員給料補助する。  六、統計調査職員及び農業共済団体職員に対し災害調査活動員予備金中より支出して増額する。  七、農作物及び蚕絡の凍霜害に対する試験研究調査費予備金中より支出して増額し又は助成する。  八、被害農家に対し速かに共済金の仮払いを行わせるため農業共済基金より農業共済組合連合会に対し仮払資金融資するに必要な財源措置を講ずるとともに所要利子補給を行う。尚、春蚕の掃立不能及び九割以上の被害農家に対しては農業共済保険特別会計より早期に概算払いを行う。  九、政府は、被害農家に対し不足食糧を売渡し、その代金の延納措置を講ずる。  十、凍霜害予防対策として、農業気象通報連絡員設置及び気象観測器具購入に必要な経費補助並びに重油等燃料燃焼装置重油予備貯蔵土地条件改善整備等に要する経費助成を行う。  十一、桑、茶、麦等専業地帯にあって潰滅的打撃をうけ他に現金収入のとぼしい農家に対して救農土木事業実施しこれを救済する。  十二、葉煙草耕作者に対する災害保障を速急に実施する。  十三、災害農家については申請による予定納税額減額等所得税減免措置を講ずる。  十四、被害都府県及び市町村の今次災害による税収入の激減と支出増加に対処し、地方特別交付税及び起債の特別措置を講ずる。地方財政再建促進特別措置法による地方公共団体は別途対策を樹立する。   右決議する。 以上のような案を本委員会決議にせられたいという要望でございます。  以上御報告申し上げます。
  4. 村松久義

    村松委員長 ただいまの報告に対し、及びこれに関連して政府に対し、質疑があればこれを許します。
  5. 中村時雄

    中村(時)委員 今の小委員長にちょっとお尋ねするのですが、この十の「凍霜害予防対策として、農業気象通報連絡員設置、」こうありますが、これは問題はたとえば農業気象通報設備であるとか、いろいろな問題があるわけなんです。たとえば各町村にマイクを通じて一ぺんに呼びかけていくとか、いろいろな問題があるわけですが、そういうものがまだできていない町村もあるのです。そういうようなものも御参考に入れておいていただくとよりいいのじゃないか、このように考えるのですが、どうでしょうか。
  6. 笹山茂太郎

    笹山委員 委員会審議の過程におきましては、集団放送といいますか、そういったような通信の設備の不完全な地域に対しては、今後この対策と並行しまして各方面の協力を得て完備したい、こういう意見が相当多かったようでございます。なおその他、農業気象に関しては従来非常におくれておるのでございまして、農業関係対策を進めるにはどうしても農業気象関係を特に重視する必要があるという意見が強かったのでございまして、この文案には的確にそういったことが入っておらない向きもあるのでございますが、そういうような点も実は十分含まれておるつもりでかように文案をきめたようなわけでございます。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま小委員長から御報告になりました決議案の第一項でありますが、『被災農家に対しては、「天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法」の適用により』ということでございます。この法の適用をするにあたりましては、被害の特に著しい農家に対しては、政令によって地域指定を行うということに相なっておるわけであります。この地域指定市町村単位に行われるわけでありますが、同一市町村と申しましても、特に最近は市町村合併等によりまして非常に広範な市町村があるわけです。その場合において、同一市町村内といえども、その被害程度が著しく異なる、たとえば小さな小川があって、その川の沿岸はほとんど被害がないというような地域が至るところに見受けられるのでありますが、そういうような場合において、市町村単位地域指定を行われたとするならば、その同一市町村内の被害程度のきわめて軽微の地域も、やはりこの貸付利率を三分五厘とし、あるいは償還期限は五年の範囲内というふうに同一に取扱わねばならないものであるかどうか、この点政府委員の方から明確にしておいていただきたいと思います。
  8. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 経過的に農林省で大蔵省と折衝中で、それほど異論なくこの災害融資のことはまとまりつつありますことは、地域指定を特に行いまして、被害の特に甚大な農家に対しまして貸付利率を三分五厘にいたしますことは一応抜いているわけであります。委員会の御決議がありますれば、当然御趣旨を尊重いたしまして、その技術的方法を考慮すべきだと思いますが、昨日この案を見せていただきまして考え中でございますが、小委員会の案を委員会でお取り上げになりつつあるわけでございますので、委員会の方からよく御指導をお願いしたいと思います。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 委員会の方の決定に従って考慮するというお話ですけれども、私が伺っているのはこういうことなんです。同一市町村内においても、被害の軽微な地域と非常に深刻な打撃を受けた地域とがあるが、それを同じ指定地域であるから、同一利率または年限において取り扱わなければならないというようなことになると、実情にそぐわない問題が起る。ことに昨年成立いたしました補助金等適正化に関する法律等関連もございますので、実情に即するように、県なりあるいは町村なりが、被害厚薄によって適切妥当な措置をやり得るかどうか、この点を伺っているのです。
  10. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問はわかりました。技術的に行政上うまくできるかという御質問だと思います。私はこの御決議の案に従いまして地域指定を行いますが、被害の特に著しい農家を選んでこの貸付はやる案だと実は了解して拝読しているわけであります。  天災云々に伴います類似の災害措置法は、政令によって地域指定を行い、かっては町村単位で行なった例が水害等であるわけです。場合によりましたならば、あるいは本来から申しますと、技術的な話でございますが、法律改正をしまして、地域指定だけでなしに、もう少し細部の指定を行うようにしなければ、法律実施との間でむずかしい点がありはしないかと思いますが、しかし案を決定しますれば、すなわち政令を出しますればそれは法令になる、こういう建前で申しますと、政令による指定地域における農林漁業者融資をするという法律でございます。従いまして個々の農家につきまして、市町村長等の、あるいはそれにかわるべき適切なる機関認定を経ましてその認定によって融資対象をきめる、融資対象に応じまして貸付条件に照応したように、その条件の差が出るというふうにするのがいいんじゃないか、その前に、地域指定及び農家指定につきましても、年間所得状況被害との関係を見ましたり、収穫上からの減少、言いかえますれば減収量との関係を見ましたりする場合に、何かの基準が要るのではないかと思って、昨日から私は自分で考えておるわけであります。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 実はそこで立法措置をやらなければならないのではないかという疑いがございますので、質問を申し上げておるわけであります。今の経済局長答弁によりますと、政令をもって適切な処置ができる、こういうふうに承わって差しつかえございませんか。
  12. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 ただいまのところ完全に自信はございません。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは二十八年度の災害に当りまして、あとでいろいろ会計検査院等から指摘を受けたようなこともございますので、政府予算等決定をいたしまして、これを流した後における市町村当局あるいは県の当局等がその処理をするに当って、非常に問題の起りやすい点であると思うので伺っておるのでありますが、その点局長自信がない、こういうことでありますと、やはり国会において立法措置をするかしないかということについて別に考慮を要すると私ども考えるのであります。その点はそういうことであります。  次にもう一点伺いたいことは開拓農家の問題であります。私どもが回りました群馬県の二、三の開拓地でございますが、ようやく開墾も終り、しかも麦作などは非常な豊作であったのでありますが、全滅的な打撃を受けておるのです。全く同情にたえないのでありまして、いろいろ事情を承わるところによりますと、この農家は実は農業共済に加入しておらないで共済金は受けられない。融資の問題を話しますと、融資はやはり開拓農家としての貸付限度限界点にまでほとんど達している農家が大部分である、こういうことでございまして、これは特別な措置をしなければなるまいということを話し合って参ったのであります。小委員会案といたしましては、特に一項目を設けまして、前項による営農資金融通措置を講ずるほかに、生産資金貸付等特別の措置を講ずるということの決定を見たわけであります。そこでこの開拓融資の問題でありますが、今申しましたような事情一定限界に達している者については、特別に生産資金貸付等をやるということになりましても、やはりこの開拓融資ワクの問題があるのではないかと考えるのでありまして、せっかくこういう決定をいたしましても、開拓融資の一つのワクが障害になって、それ以上貸付が事実上できないというようなことになっては困るので、これは結論から申しますと、やはり開拓融資保証法の一部改正資金ワクを拡大しなければそういう方面融資できないことになるか、あるいは今のところ何か別の資金を回して借りかえ等の措置をやっておいて、後に法的な措置をするか、そういうような点についての政府の見解を明らかにしていただきたい。
  14. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 実はこの関係農地局長が担当いたしておりますが、金融でありますので、私どもと打ち合せの上きめることになっております。本日たまたま他の用事で出席しておりませんので、便宜私の側からお答えすることをお許し願いたいと思います。  第一項によります融資は、開拓農家実情に応じまして、一般農家よりも適正な有利な条件融資すべきものと思うわけであります。  その次の生産資金貸付につきましては、開拓融資特別会計によりますいわゆる中期の資金融資開拓者信用保証制度によります融資、その原資中金を使ってやる融資であるわけであります。特別会計によります融資は、財政投融資計画に応じまして、すでにきまっておりますものを変更いたしません限り、年間運用よろしきを得て厚薄をつけることになるだろうと思うのであります。当面必要な金融対策においてそういうことをやる場合に、年間資金計画に穴があくかあかないか、あいた場合にどういう措置をするかということは、必ずしも直ちにでなくとも、あとでもよいのじゃないかと思いますが、理論上は穴があくものだと思います。またその内容を見ますと、家畜とか共同施設、住宅などがございまして凍霜害を受けたような場合には特別会計法によりまして、開拓者に特別の融資をやっておりますが、特別会計では五分六厘くらいの金利になっております。従って今までの第一項に基く政令による指定地域貸付利率の三分五厘は事務当局としては要求しておりません。それはざっくばらんに申し上げて、公募による設備資金でも最低が四分であったからということも考えたわけであります。これは決議になりましたら、その決議に応じてまた政務次官からお答えがあるかと思いますが、その他生産資金中金資金を使いまして信用保証制度に基いて融資するものは、目下の金融状況からいたしまして原資の調達は無理ではないので、現行制度のままでかりによけい融資ワクが要るという場合でありましたならば、保証倍率について、これは法律には何もありませんが、たしか五倍だったと思いますが、その倍率の若干の増加によりまして解決がつき、特別の立法措置は要らない、私は少くともそう考えております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 それから第一項の借りかえ資金を貸し付けるということですが、やはり災害を受けた農家は、ずっと二十八年、二十九年、三十年と部分的になりますけれども災害を受けてそれぞれ融資を受けておるのです。そういう人たちが一番困りますことは、今融資を受けても、それが直ちに前々年度からの償還とぶつかるので、借りかえということに大きな希望をかけておるわけでありますが、この借りかえ資金の操作について具体的にどういうふうにお考えになっておるか、経済局長から承わっておきたいと思います。
  16. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 借りかえ資金の問題は、あるいは過去の災害融資のものについて償還延期するのも方法ではないかと思いましたが、償還延期手続が繁雑で、農家とたとえば金融機関である農協との関係でいろいろな融通上の手続がより複雑になる。それから単なる延期でありますと、おのずから期間の制限もある。あわせて農家が今後災害をも予想しながら営農をしまして、年々の災害融資を受けながらも均等に償還をしていくのが、一番農業実情に適すると思いますので、そこでこの決議案にありますように、本案による借りかえ資金を貸し付けるといり方法はまことにけっこうなことだと思うのであります。この際検討しておりますことは、二十八年以降のものでございまして、二十八年は実は償還の末期に到来しております。その分を余分に利子補給を加えまして、今回の貸付と同様に好条件をもって貸し付ければいいと思っておるわけであります。
  17. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、府県単位に見まして、収穫皆無換算として百町歩以下の府県はこの案の対象としない、それから前の第一項の、やはり法案の対象にしないということでございますが、収穫皆無換算町歩といいますと、かりに五割の減収の場合だと二百町歩ということになるわけであります。そうなりますと、その対象からはずされる府県は、境を接しておる近県が恵まれておるにもかかわらず、その県が全然恩恵に浴することはできないということになるわけだと思うのです。そういう点については一応対象とはしないが、やはりその救済措置については、現実に被害を受けたところに対しては具体的にその対策を講ぜられるのか講ぜられないのか、あるいはまた、そこは対象としないけれども、他の全体のワクの中からそれを今度はその地域にまで及ぼすということに取扱いをされるのか、その点を承わりたい。
  18. 昌谷孝

    昌谷政府委員 私からお答えいたします。御指摘収穫皆無換算町歩以上と未満の問題は、私どもの取り扱っております問題としては、予算積算をいたします場合の対象面積をそういうことで整理する慣例になっておりますので、今回も一応そういうことで積算を始めております。従いましてこれは慣例上の扱いとしての対象面積でございますが、運用の問題と申しますか、実施の問題といたしましては、御指摘のようにそういう県には助成をしないとか、そういう境になる線ではございません。一応予算総額をはじきます場合の積算の根拠としてそういう扱い方をする例になっております。従って被害の実存するところについてはそれ相応の助成をすることには変りはございません。
  19. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、百町歩以下の府県の分は、被害県数字の上に加算をして予算措置をされるというここですか。それともそこの分は切り捨てて予算措置をやって、そうして被害の該当県に取った予算の分をそちらへも回してやるということですか。どちらなんでしょうか。
  20. 昌谷孝

    昌谷政府委員 従来の取扱いといたしましては、そういった収穫皆無換算にいたしまして百町歩以上の県の被害面積を累計いたしましたものを助成対象としての計算基礎にいたしております。従いまして実際の助成は、その計算基礎に使われた使われないにかかわらず、被害の実存したところに出るわけでありますけれども、厳密に申せば、被害収穫皆無面積町歩以下の実面積は、一応計算基礎からは除外されております。
  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこを実は心配しているのです。実面積から除外されるということになりますと、実面積積算基礎からははずしておいて予算措置をとって、そうしてそれをその地域にまで具体的には実施するということになると、被害を受けた県が当然に受くべき措置がそっちの方へ流れていくということになるから、全体に対する手当がそれだけ薄くなる、こういうことなんですね。その点は、先ほどの御答弁によりますと、慣例によるということでありますが、その慣例は変えることができるかどうか。それからまた、政令か何かの基礎があるのかどうか。それによって私どもは今後の対算を考えなければならぬ。
  22. 昌谷孝

    昌谷政府委員 慣例と申しましたのはまさに慣例でございまして、そういった法規的な基礎はございません。そういった問題は、全体の被害数字を早急に予算化するための便法として従来用いておりましたことで、実際にはそれぞれの県の被害状況に応じて、さらに被害程度に応じて成立いたしました予算額を各県に振り当てますので、予算積算基礎との比較におきましては、確かに水増しが行われるということに、御指摘の通り厳密に解せばなりますけれども、一応私どもはその全体の予算金額をにらんで、またそれの各県別の配分のバランスを見まして実行して、従来は対処して参ったわけであります。
  23. 石田宥全

    石田(宥)委員 大蔵省の原次長が見えておりますが、補助金等適正化に関する法律適用補助金についてはあるわけですが、今予算課長から説明のあったような取扱いをされた場合に、補助金等適正化に関する法律適用の面との関連についてどうお考えになっておりますか。
  24. 原純夫

    原政府委員 本件の具体的積算についてはつまびらかに記憶しておりませんが、県当り被害がこうだとかあるいは事故がこうだというようなものについて補助をいたす場合に、一定スケール以下のものについては補助をしないということはよくございます。この場合それかどうかはっきりいたさないのでありますが、どういう思想でそういうことがあるかといいますと、これはきわめてざっとした考えでありますが、県というものがあり、その住民に対していろいろなことでいろいろ世話をしておられるわけでありまして、国も災害なり事故なりがあった場合には力を尽すということでございますが、そのスケールで地方的に処理していただくというものはおのずからあってしかるべきで、県の段階の前に、県も手を出さないが村、自体やらなければならぬというようなスケールもございましょう。そういうようなことがあるわけでございます。道府県の場合はどちらか私存じませんが、そういうものだとすると、これは実行上も県においてやっていただくことになるかと思うのでありますが、そうでなければ、ただいまお話の出ました通り、水増しといいますか、水が入るというようなことになって参ると思いますので、よく実情を調べて研究いたしたいと思います。
  25. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと原次長にお尋ねするのですが、たとえばA県において八十町歩災害にあった。B県において八十町歩災害にあった。合せたら百六十町歩になるわけなんです。そうすると百町歩以下ということでなくて百町歩以上になるわけですね。そうすると配分において非常にアンバランスになります。そういうふうな場合にはどういうふうなお考えを持っておるか。
  26. 原純夫

    原政府委員 ただいまの例、私どもよくわからないのでございますが、八十町歩以下のものと二百町歩なり三百町歩なりという場合でございましょうか。そうであるとすると、今の基準でいきますと、八十町歩以下のものは積算基礎にならない。その程度のものは村なり県なりでやっていただきたいという思想ならば、そういうやり方はあると思います。それでやっておるかどうか、これは私つまびらかにしないので、調べていずれかを見て研究したいと思います。
  27. 中村時雄

    中村(時)委員 わからないどころかわかっておるじゃありませんか。答弁ははっきりしておる。百町歩以下は積算基礎にならない、こう言っている。そういたしますと、たとえば八十町歩くらいな程度であれば、その県なら県でまかなうなり、あるいは町村なら町村でまかなう、こういうことになるわけですね。ところがそういうのが二つ三つあると百町歩以上になることは当りまえなんです。そうすると、八十町歩以下のものは非常に負担が大きくなるけれども、百町歩以上のところはある程度補助対象になる。これは補助対象にならない。しかし積算をしてみると、非常に大きな金額になってくるわけです。そのような場合でも百町歩以下のところは基本的に取り入れるかどうかということを聞いておるわけです。
  28. 原純夫

    原政府委員 私も少しこんがらがっておりますので、お答えがはかばかしくないかもしれませんが、お話が、ただいままでのものは営農資金融資利子補給だったのが、どうもこのお話でほかの補助に入ってきているような……。
  29. 中村時雄

    中村(時)委員 今のは補助対象を言っているわけです。
  30. 原純夫

    原政府委員 そうしますと、ただいま申しましたことが、よりきいてくると思うのであります。つまり一町歩被害手当するのに幾らかかるか、いろいろ見方もございましょうが、それはある程度のものなら村でおやりなさい、ある程度のものなら村と県でやりなさいという限度を考えるということはあるだろうと思います。なお話が補助に入って参りましたので、補助については、実は私どもかなり根本的にいろいろ問題を持っておりますので、その点はちょっと付言させていただきたいと思います。
  31. 石田宥全

    石田(宥)委員 大体重要な点は明らかになって、立法措置をしなければ明確でない点とそうでない点とが明らかになりましたから、あとでまた御協議を願わなければならないと思います。  そこで最後に私は、これは農林政務次官と原次長とに率直に申し上げておかねばならぬのですが、今原次長は、補助政策というものについては根本的に考えがある、こうおっしゃったわけです。それから閣議も、いち早くこの凍霜害が起りますると、閣議決定としてはやはり補助助成というものには触れないで、融資対策を立てるということが行われたようであります。私どもは、実は当初本年の凍霜害昭和二十八年度以上というようなことは考えておらなかった。ところが現地に参りましてつぶさにその実情を見ますと、昭和二十八年度どころのものではないのであって、群馬県の相当広範は、数郡にわたる地域のごときは、桑も全滅、麦も全滅です。春作は全然収穫かないというような状態になっておる。それから福島県等におきましても、防霜対策として重油の燃焼をやり、あるいはまきその他の燃焼等をやって相当な経費——これは共同施設的に使っておる点もあるのであって、そういうような実情からいたしまして、単なる融資だけでは救済としては妥当ではない。どうしてもやはり肥料、農薬その他の防霜対策としての燃料費等については、補助を出さなければいけないと思う。そこで二十八年度の凍霜害対策については、あとで会計検査院から指摘されたような事実もございましたけれども、これは私は、むしろ政府があるときは程度としては相当行き届いた対策を立てられたのであるけれども、遺憾ながらその時期を失しておる。春樹勢回復のための速敷肥料をやるとしましても、その代金が九月十月になって回ってくる。農薬の補助がやはり雪降り前になって回ってくる。そういうことになりますれば、わずかの金額ではあり、適切な時期に配分ができない。そうなってしまうと、その処理が必ずしも適切に行い得られないような場合もあり得る。今回の対策としては、そういうことのないように、本回ここで決定を見たならば、すみやかに対策を立てていただきたい。それについてはやはり農林省の基本的な腹がまえと、それから大蔵省も今原次長が言われたように、補助助成というものついて根本的に別な考えを持っておる、こういうようなことで政府部内に意見の対立等がございますと、勢い最終決定がおくれて、適時適切な資金が今後末端まで流れないということになることを実は私ども恐れるのです。そこでこの点は一つ大石次官並びに原次長からそれについてのお考えを率直に承わって、今私が申し上げたような最悪の事態を起さないようにしたいと考えます。これで私の質問を終りたいと思います。
  32. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答えいたします。今の御趣旨はごもっともと思います。閣議ではまだ具体的な方法決定いたしておりません。凍霜害の起りました直後の閣議におきましては、とりあえず天災法を基準としていろいろなことをしたい、そうしてその実情に応じて各対策を講じたいという方針をきめただけでございまして、補助とか何とかいうことに関しては一切きめておりませんので、その点御了承願いたいと思います。私どもは、結論を申し上げますと、昭和二十八年度の方法に準じて行いたいと思っております。ただし補助のいろいろな項目であるとか、あるいは区分と申しますか、こまかく分けるとか、大きく分けるとか、そういうことについては多少の検討も要すると思いますけれども、二十八年度に準じた方法において融資補助と両方相兼ね備えて、できるだけのことをいたしたいと考える次第であります。大蔵省におきましてはどう考えておりますかわかりませんけれども、とにかく農村のこの災害をできるだけ早く救済したいという考えには変りございませんので、できるだけ早く意見を調整いたしまして御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えます。
  33. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 百町歩以内という問題ですが、これは小さい災害に対しては町村で処置できるものは町村でやりなさい、県でやれるものは県でやれという原次長の話は、一応了承できる。ところが今度の問題で、かりに九十町歩府県が十府県に及んだ場合においては九百町歩になる。そうすると予算課長の話では、これは積算の中には入れないけれども、それには助成金をやる、こうおっしゃっておる。そうするとこれが何百町歩ということに計算が出た場合には、対象となるべき府県予算を当然食っていくということよりほかに仕方がないじゃありませんか。そうでなければやっていきようがない。そこでいい悪いの議論は別といたしまして、そういう対象外の府県には補助金をやらぬということなら筋が立つから一応わかるけれども、そっちはやりますということでは、これは当然食い込まれるのはきまり切っている。そこでどういうふうな措置をとるにしても、一応この基準で決定になった予算数字というものが、百町歩以内の該当県のためにこの数字が食われることは絶対にないという措置でなければ、これはどうきめたって基準がぐらついてしまいますよ。その点がまだ了解できない。
  34. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 予算基礎に関しました数字の問題でいろいろ御議論があるようでございますが、これはこういう実情に実はなっております。私たちの調査は、桑なら桑で何町歩、それからバレイショで何町歩果樹で何町歩ということになっております。それをずっと集計いたしまして、それで実は百町歩という数字が、大体今まで限界線にきておるわけであります。決して被害があるのにそれに数字を出さないという趣旨ではございません。先ほど申しましたように、かなり小さい被害で実際問題として国が手を差し伸べるまでの対象としなくとも、何とか片づけていかれるという数字はあると思います。それらの数字を今までの例から見ますといろいろな作物別の被害を全部集計いたしまして、大体全部で百町歩程度のものが大体こちらに正式に県なり何なりからやかましく言われ、その他統計調査部の報告はずっと参りますけれども、県から非常にやかましく言われます数字は、そこらで縛れば、そう実際の問題といたしまして間違いがないというような見当の数字でございます。これはもちろんそのような数字が今までの経験から申しましてありますので、それを予算計算をいたします場合の基礎にいたしますが、これを予算計算基礎といたしますには実は問題があるのであります。と申しますのは、先ほどから御議論がありますように、できるだけ早くそういう数字大蔵省の方と折衝をいたさなければ相なりません。こういう被害の問題でございますので、ほんとうの意味の最終決定数字ということは、ある程度動くことを実は予定しながら、全体の数字としてのまとまりを大蔵省の方と交渉いたしておる。こういうことに相なるわけであります。もちろんそういうことで予算を要求いたしまして、それから両方の意見が一致いたしまして、具体的に地方に対して指令をいたしますような場合におきましては、これはまたある程度数字が固まったものが出てくることも御了解願えると思います。そういうような意味合いにおきまして、当初予算数字といたしました数字、その該当県がそのままであるかというと、若干その間に時日の経過の上におきまして、大した動きはないと思いますが、動きがあるということはあり得るわけであります。予算課長は、そこのところを非常に計数を扱っておりますもので厳格な言い方をいたしましたので、若干の誤解があったかと思いますけれども、そういう程度の差異のところはお認め願ってもやむを得ないのではないかというふうに実は私も考えておるわけであります。先ほど五十嵐先生の御質問の御趣旨が、もしも当初要求しておったその百町歩以上の県だけで、そのほかの県は全然出さ丈のだという、非常に厳格な御質問であるといたしますれば、今申しましたように、後ほどの経過中におきましての数字報告等の訂正、むしろそれは現実に近い確実な数字となって参ると思いますが、その程度の修正等はあることも一つお含みを願いたいのであります。  それから今の場合は、主としまして補助の場合におきます問題でございますが、融資等の場合におきましては問題は違います。各個の農家で非常にひどい被害がある場合は、県に関係しないで来ることがあるわけであります。融資もそういう場合はまた動くわけになりますが、補助の場合には今言ったような数字が一応のもとになりながら要求をいたしておる、こういう経緯でございます。そこらのような事情でございますので、少し事務的な話と結論の話とがあれになりましたが、御了承願いたい。と思うのであります。
  35. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 そうするとAという県に今度八十町歩災害があった。それが農林省に対して要請をしてきておるという場合には、これは計算の中に入れますか、もしこれを入れないということであると非常に不公平だと思う。それは要求しないところはいいでしょう。そういう場合にお前の県は百町歩以下だから取り合うことはできぬという態度を農林省がとると、これは非常に不公平ができると思う。そういう要請をしてきた県に対して、そういう場合には私は当然計数の中に入れるべきだと思うが、その点はどうなりますか。
  36. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 予算を要求いたしておりますのは、大蔵省の方に私たち数字をはじきまして要求いたしております。これは各県別数字ということには若干移動がございましょうが、全国的な客観的な数字として申し上げておるわけでございます。従いまして現在のところ大蔵省とやっております数字は、先ほど予算課長が申し上げましたように、入っていない数字基礎にしてやっております。これは県からの報告、それから統計調査部の報告は、両方とも数字が違って参りますが、大体におきまして今は仮設の例として八十町歩の問題を五十嵐先生は言われましたわけでありますが、正直なところ八十町歩程度のところは県から報告が今まで参っておりません。統計調査部の報告は、私たちに参っております県よりも被害の少いところでも報告は参っております。実はそういう実情なのであります。どこかで切らなければなりません。それはたまたま八十町歩なり、あるいは七十町歩なりのものが出てくることはあり得るかもしれませんが、今までのところは出ておりません。そこのところが今までのあれとして百町歩で実は切っておるわけであります。本来の性格からいって、もし百町歩という数字が今申しますようなものから比して非常に辛いと申しますかということになれば、これは当然もう少し下に伸ばして、その上の県は入れるとかいうことにやるべきものだと思います。思いますが今までのところは、そんなところで大体いけるものですから、それで過しておるというような実情でございます。
  37. 中村時雄

    中村(時)委員 政務次官は先ほど大体二十八年度の災害に基いて行うとおっしゃいますけれども、今官房長のおっしゃったように、その被害内容もいろいろあるわけです。たとえば桑と茶を比較してみても、茶ならば二番茶もできるし、三番茶もできる。だから補助対象にしても、利子補給にしても、ある程度の時間的余裕ができる。ところが、一年作でほんとにやられたものは、即座に金が要るのです。ところが、二十八年度のようにやっていると、半年もその上もかかるということが現われてきている。そのために非常に困っている。だから、準ずるにしましても、たとえば利子補給であるとか、融資であるとか、補助であるとか、そういうことは別としてその期間というものは非常に重大な役目を果している。これがずれると、必要がないような場合さえ起ってくる。あなたにこういう質問をするのは無理かもしれぬけれども、そういう点は十分事務当局の話を聞いて遺憾のないように十分考慮してもらいたい。ただ簡単に、準じます、その通り金額は出ました——たとえばあの当時融資が二十億円ですか、そういうもののワクだけが大体準じておりますというのなら話は別です。ところが、内容においてはうんと問題がある。だから、そういう点は軽率な発言をされていると、ほんとうに被害を受けた者は参ってしまう。十分御注意のほどをお願いしたい。
  38. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 それは御指摘の通りでございます。御指摘の中で悪い点はまねいたしません。よい点だけを準じようというつもりであります。
  39. 原捨思

    ○原(捨)委員 私はこの機会に政府当局にお尋ねしてみたいと思います。それは鹿児島の桜島の爆発についてのことであります。御承知のように、桜島は昨年の十月十三日に十年ぶりに突然大規模の爆発をいたしました。死者一名、負傷者十数名という不慮の災害を起して、今日まですでに六十回に及ぶ爆発を起しております。この降灰のために桜島初めその周辺の農業が少からず被害を受けているのであります。桜島は御承知のように果樹と蔬菜の産地であります。昨年のごときも桜島のミカンがその降灰のために非常に品質が低下した、あるいは非常な減産になったというような実情であります。桜島だけにおいても、その災害は耕地において千七、八百町歩、金額にして数千万円という被害であります。のみならず島民はいつ何どき大爆発が起るかというので、まことに戦々きょうきょうとして、その日その日を送っているというわけであります。しかしながら、こうした爆発による災害は、今のところ政府の救済を求める道がないのであります。全く泣き寝入りの状態にあるというのが実情であります。そういう次第でありますので、政府におかれましては、今回の凍霜害同様の取扱いをもって、この爆発による災害を救済される御意思はないかどうか、その点をお伺いいたします。
  40. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答えいたします。どうも政務次官といたしまして、その詳しい被害の実態をつまびらかにしておりませんので、はなはだ申しわけなく思っている次第でございます。事務当局は十分調査してあると思いますので、さっそく事務当局と打ち合せまして、被害の実態を調べまして、できるだけ農家に経済的な負担を与えないように、いろいろな方法を考慮いたしましてで、きる限りの援助と申しますか、お手伝いをいたしたいと念願いたしております。
  41. 赤路友藏

    赤路委員 今、原委員から桜島の話が出ましたが、これは非常にローカルな問題で、部分的なことになっている。凍霜害のように全国的な問題ではない。御承知の通り現在活動している火山は全国でもごく僅少であります。従いましてどうも常に忘れられがちである。今原委員の御質問に対して次官から誠意のある答弁はございました。しかしこれはすでに昨年の十月十三日第一回の爆発して今日まで至っている、それらの報告は当然来ていなければならぬ。御承知の通り桜島は約一万の人口が果樹でもって生計を支えている。これが全滅している。このことは当然わかっているが、今日までほとんどこれに対する手段方法が講じられていないということなんです。ぜひ今の次官の御答弁を実行していただきたい。おそらくこういうことは単に桜島だけではないと私は思う。わずかではありますが活動している火山帯には当然起るべき問題だと思うので、これらの点十分将来注意して迅速に手を打っていただきたいということを希望しておきます。
  42. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答いたします。ただいまの御趣旨はよく了解いたしました。果して天災法の適用ができるか、できれば喜んでいたしますが、よく調べまして、これが適用できない場合にも何らかの方法があると思いますので、できるだけ努力いたしたいと思います。
  43. 中馬辰猪

    ○中馬委員 ただいまの御質問関連いたしておりますが、実は昨年の十月だったと思いますが、天災による法律対象指定してもらって、準用といいますか約三千万円の融資を仰いでいるわけであります。今回においても、昨年の十月以来しばしば災害がございまして特に一週間ぐらい前には大爆発も見られております。そこで農林省においては、その都度ということはなかなか容易ではありませんので、台風があるとかいろいろなそういう際に便乗というかそういう形をとって、天災による法律の準用をいたしているわけですけれども、今回においても一週間ぐらい前に大爆発があったわけでありまして、島民及び県下全体ではございませんが、大体三分の一程度は非常な被害をこうむっております。ちょうどリラの花が咲いたり、ミカンの花が咲いたりする時期でございますので、果樹のごときは全滅という状態であります。またタバコに対しましても相当の災害をもたらしているように聞いております。従ってでき得れば天災よる法律指定の中で、法律改正を提案してもらうことができれば非常に幸いと思いますけれども、もしそれが間に合わないとすれば、今回の凍霜害措置と同様に適用してもらいたいと思うのであります。これが一つと、もう一つは法律改正する意思があるかどうか。その都度会計検査院に相談してやっているようでありましては、何々等という等という言葉の中に含めてもらうことであって、そういう姑息な手段でなくして、法律そのものの第一条を改正する意思があるかどうか。われわれとしても強く改正を要望しているわけであります。
  44. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 桜島の爆発の被害をほかの災害に便乗してこれを何するということは法で許されないことでございますから、それらのことはいたさない方針でございますけれども、でき得る限りいろいろな方面の解釈あるいは法の解釈を広げまして、できる限り島民の難渋におこたえいたしたいと思っております。なおこれは確かに天災でございますから、これがこの法に入れば非常にけっこうだと思いますが、その辺の法的ないろいろな問題につきましては、まだ自分としては何とも申し上げる知識もございませんので、十分に検討いたしまして、誠意ある対策をいたしたい、こう念願する次第でございます。
  45. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 笹山小委員長にお尋ねしたいのですが、この決議案の第五項に、「技術指導強化に要する経費として次の如く予備金より支出する。」そのイ、ですが、「蚕業技術員及び農業改良普及員に対し特別指導手当助成する。」とありますが、これと同時に、国費の補助職員であるところの産業技術指導所の職員、この指導所の職員も、言うまでもなく激甚地帯においてはほとんど不眠不休の技術指導を中心として活動されておるわけであります。従って当然この中に含まるべきものだと考えますが、産業技術農という中にこれは含んでおる、こういうことに了承してよろしゅうございますか。
  46. 笹山茂太郎

    笹山委員 国費の一部の補助によるところの産業技術員としてそれは含んでおるつもりでございます。
  47. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 政務次官にお尋ねいたします。今度営農融資の場合に、政令によるところの指定地域は三分五厘で融資をする。これ以外は六分五厘で融資をするということなんですが、災害によって営農資金融資をする場合に、災害営農資金としては六分五厘なんという金利は、今の金利情勢からすればこれは何といっても高いです。これは低利でも何でもない。ここに災害に対しての融資という場合においては、六分五厘というのは決して低利ではない。そこでこの指定地は三分五厘でいく、それ以外の災害地に対してこれは当然引き下げていくべきだと思うのです。これに対するあなたの見解を承わっておきたい。
  48. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 これは私も個人といってはおかしいのですが、高いと思います。ただし開拓地はこれより一分安くなっておりますが、それにしてもやはり何となく高いような感じがいたします。どういう経緯でこのような六分五厘ときまりましたか、私も当時の事情はよくわかりませんので、わかりませんが、確かに高いと思います。できるならこれは低い方がいいと思います。それにはいろいろな財政上の問題もございましょうし、大蔵省とのかね合いもございましょうから、今これをどうするということはお約束できませんが、高いという感じを持っておりますから、できる限りこれを引き下げるような方向で働いて参りたい、かように思っております。
  49. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 そうすると、とにかく政務次官も今の金利の六分五厘というのは高いということをお認めのようですが、これが引き下げのために十分の努力を一つお願いしたい。  それから農林当局にちょっとお尋ねしますが、今度の災害によって、実は問題に出ておりませんけれども蚕種協同組合といったような蚕種製造企業体の受けた打撃というものは非常に大きいのです。これはもう御存じの通り。ところがこの問題はいろいろ調べて、対策をどうするかということになると、共済制度の理論との関連もあって、これはなかなかむずかしいが、もし今のような激甚地帯においてこれだけの大きな打撃を受けたということになると、当然蚕種製造企業体の方に深刻な影響があるわけです。そこでこれを放任しておくということになると、その結果はどうなってくるかというと、回り回って養蚕大衆のそっちへしわ寄せがいく、当然そういうことになるわけであります。そこで蚕種協同組合等の企業体に対して、私の考えといたしましては、長期低利の融資をしてやる、そうして経営の安定をはかってやるということが急務だと思うのです。そういう点に関して一つお考えをお尋ねしたい。
  50. 永野正二

    ○永野政府委員 凍霜害によりまして、確かに蚕種の販売代金の回収に非常に困難を覚えるというような問題があるのであります。従いまして蚕種製造業者の経営についても相当な問題が発生しておることはよく存じておるのであります。私どもといたしましては、当面被害を受けました養蚕家のための措置をいろいろ講じなければならぬと思っておるのでございますが、それと並行いたしまして、たとえばすみやかに共済金が支払われた場合に、できるだけ養蚕家と蚕種業者との間の債権債務の関係を公正に処理をしていくことにつきまして、関係団体の間でも若干話し合いが行われておるようでございます。それらにつきまして公正な措置ができますように、私どもとしてはできるだけの指導をしていきたい、こう考えておるわけでございます。なお将来の経営につきましてたとえば資金の問題、その他いろいろあるかと思うのでございますが、これらの点につきましても、よく業界の実情を調べまして、業界の要望等もできるだけ参考にいたしまして、できるだけ措置をしていきたい、こう考えております。
  51. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 それから森林の凍霜害です。森林の凍霜害と言うとちょっと異様に感ずるのですが、実は今度の視察で、愛知県下において非常に激甚な被害があった場所を井谷委員とともに現地を視察して参りましたけれども、これは、この案の中には一項目入っておりますが、これは実にひどい。わずか数ヵ村で一億にも及ぼうという大きな被害を受けております。造林地のごときは、若木は全部掘り取って植えかえをしなければならぬというような実例がある。われわれの行った場所は、ちょうど冬山のような、実にこれはもう予想しなかったような実情を見て参りました。この点については、特に今まで森林の凍霜害ということは例がなかった問題であるだけに、十分一つこの点は御留意を願って、万遺憾なき措置をとってもらいたいことを要望いたしておくわけであります。
  52. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 いい実例を承わりまして、一つの対策の方針を立てることができましてありがとう存じます。よく被害の実態を調べまして、しかるべく手を打つように努力いたす所存でございます。
  53. 井谷正吉

    ○井谷委員 これは今の五十嵐委員の御質疑関連をしておるのでありますが、私は笹山小委員長にお尋ねをしたい。ということは、昨日はなかったわけだが、きょうの案を見ますと、第七の項に、「森林の被害に対しては、必要な経費助成する。」と書いてあります。これは非常に簡単な表現でございますけれども、私もあれを実際に見てきておりますから、そういうことをお尋ねしてみたいと思うのです。この「森林の被害に対しては、必要な経費助成する。」、これは私はあまりばく然としておると思う。地元の人の話を聞きますと、今お話にあるように、薪炭林までみなやられる。その薪炭林のやられておる場合と、用材林のやられておる場合とは、これはおのずから性質が違うのです。杉、ヒノキ、松林、こうした二、三年のものがみな枯れておる。枯れておるといっても、これが引き続いて来年からの成長がとまるのか、一時停止するのか、こうした被害に対して必要な経費助成する、補助するといったって、こんなばくとしたものをこの個条に入れるとしたら、あまり当委員会としての権威の上にもどうかと思うのです。調査ができていなければ正確な調査の上に立って、どういう程度のものはどうするかということが見られねばうそだと思う。苗圃の場合には今までにも例がありますが、立木の凍害というものは、これはかって知らないのです。それを単にこれだけ入れておるからわれわれの面子が立ったというような、これは言い過ぎかもしれませんけれども、そういう扱い方は、私は不服でございますが、小委員長の御見解を承わりたいと思います。
  54. 笹山茂太郎

    笹山委員 ただいま井谷委員のお尋ねでございますが、実は小委員会におきましてこの問題についていろいろな御意見が出たことは事実でございます。そこで特に愛知県、岐阜県の一部におきましてかような被害があるというようなことを聞きまして、政府に対しましてさような報告は参っておるかと尋ねましたところ、農林統計調査事務所の方は、山林の被害まで調査をすることになっておらないから、その方面には県の方からまだ報告を受けておらない、林野庁の方にはあるかもしれないといったような程度でございましたから、その程度であるならば、事実が判明した際におきましてそれを対象にして救済策を講ずるのがいいのじゃないかということで、そういう意見が強かったのでございます。本日これを急に挿入したということについては私に責任があるのでございますが、森林被害と申しましても、先ほど井谷委員からお話がありました通り、従来の例からするならば、多少の凍霜害には針葉用材林、濶葉樹それぞれ書いていくのが普通の姿でありますので、ここに森林の被害と書いてありましても、幼齢林で特に新芽に生育をたよる依存度の非常に強いもの、あるいはまた苗圃にあるような非常に新芽に依存する程度の強いものについては、被害があり得るかもしれないというような意味合いにおきまして少し表現が大げさでございましたが、そこらの点を説明をするというつもりでかような項目を掲上したわけでございます。いずれにいたしましても、県の方から実情に関しまして十分な報告があった場合におきまして適当な手段をとるということでございまして、必要な経費助成するということは、それらの被害者に対しましてその救済上植えかえがいいか、あるいはまたその他防除の薬剤が必要か、そういった被害者からの要望をも聞き合して別途対策を講じたい、こういうふうに考えておるようなわけであります。
  55. 村松久義

    村松委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ、質疑は終了いたします。  この際お諮りいたします。先ほど笹山君の御発言の通り、小委員会の結論を本委員会決議とするに御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  56. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  この際決議に対する政府の見解をただします。
  57. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 いろいろと御決議をいただきましたが、この趣旨を十分に体しまして、でき得る限りの努力をして、農家災害を救済——と申しますとはなはだ失礼な言葉かもしれませんが、救済し、軽減するように努力する所存でございます。
  58. 村松久義

    村松委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時十四分散会