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1956-05-09 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月九日(水曜日)     午前十一時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 吉川 久衛君    理事 笹山茂太郎君 理事 白浜 仁吉君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    足立 篤郎君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       井出一太郎君    石坂  繁君       大森 玉木君    加藤常太郎君       川村善八郎君    木村 文男君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       原  捨思君    本名  武君       松野 頼三君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君       井谷 正吉君    稲富 稜人君       石田 宥全君    川俣 清音君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    日野 吉夫君       久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農地局参事         官)      戸嶋 芳雄君         農林事務官         (農地局管理         部長事官)   立川 宗保君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 五月九日  委員井出一太郎君辞任につき、その補欠として  加藤常太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六六号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(笹  山茂太郎君外三名提出衆法第三五号)  昭和二十九年度までの災害に係る農林水産業施  設の災害復旧事業実施についての善後措置に  関する法律案稲富稜人君外三十四名提出、衆  法第四八号)  中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣  提出第九九号)(参議院送付)     —————————————
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいまより会議を開きます。  去る四月六日付託になりました笹山茂太郎君外三名提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。まず本案趣旨について提出者説明を求めます。笹山茂太郎君。
  3. 笹山茂太郎

    笹山委員 ただいま議題となりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  わが国の農林水産業施設は、毎年災害により甚大な被害を受けており、従ってその復旧事業を推進することについては、国及び施行団体において常に努力しておるところでありますが、今回これらの施設に関する災害復旧事業を特に推進するために、緊急な災害復旧事業に対する国庫補助金交付につき、政府財政上の措置に関する規定整備するとともに、国庫補助にかかる災害復旧事業施行を翌年度に繰り延べる場合の差額返還の時期を明らかにすることといたしました。これが本改正案提出した理由でありますが、次にその主要な点について御説明申し上げます。  すなわち第一点は、災害復旧事業がとかく遅延し、多大の仕越工事を生ずる等、各方面に甚大な支障を与えている現状を改善するためには種々改善措置が必要と考えられるのでありますが、なかんずく、国の予算措置については、翌年度予算制度をとっているとはいうものの、実質的には継続費と同様の考慮のもとにこれを行う必要があるものと考え、緊急な災害復旧事業として政令で定めるものにつきましては、政府はこれらの事業が、三カ年度以内に完了できるよう財政の許す範囲内におきまして国庫補助金交付につき必要な措置を講ずる旨を法文の上に明らかにし、もって施行者が迅速かつ計画的に工事を進め得る道を開き、災害復旧事業の推進をはかることといたしたのであります。  第二点は、国が都道府県に直接または間接に補助した場合に補助金交付を受けた年度に、その補助金に残額を生じたときは、当該年度終了後または当該年度終了前に当該事業終了した場合におきましては当該事業終了後、直ちに国に返還させるように現行法規定せられておりますが、災害復旧事業が、その事業実施の段階において、工事の完成が当該年度を越えざるを得ないような事情にある場合におきましては、すでに国庫から、前払金として支出したところ補助金については、当該補助金に相当する事業量以下であっても、その補助金差額事業を繰り越して施行する限り国に返還する必要がないという行政措置が講ぜられておりますので、これらの行政措置との均衡をはかるために、国庫補助にかかる災害復旧事業施行を翌年度に繰り延べる場合におきましては、その差額は翌年度事業終了のときに返還することといたしたのであります。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。     —————————————
  4. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 去る四月十一日付託になりました内閣提出参議院送付中央卸売市場法の一部を改正する法律案議題といたし、審査に入ります。  まず本案趣旨について説明を聴取するわけでありますが、本案参議院において修正上本院に送付されたものでありますので、参議院修正部分につきましても便宜政府より提案趣旨とあわせて説明を承わりたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めます。それでは政府説明を求めます。大石政務次官
  6. 小倉武一

    大石(武)政府委員 ただいま上程になりました中央卸売市場法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  中央卸売市場法は大正十二年に制定され、その後ほとんど何らの改正を経ないで今日に至っているのであります。本法施行以来中央卸売市場にはときに応じて変遷はありましたが、最近においては十三の都市本法に基く中央卸売市場開設しており、青果物、魚介類等生鮮食品の総販売量の大約三分の一に及ぶと認められるものが、中央卸売市場における取引を経て流通している状況であります。中央卸売市場生鮮食品需給調整及び価格形成において中枢的地位を占めるに至っていると申して過言ではないのであります。しかも、同法制定後今日に至る生鮮食品流通ないし取引各種実情変化、特に中央卸売市場がおおむね集散市場ともいうべき実態となっていることは、立法当時の実情とは相当著しい変化でありまして、政府においても従来中央卸売市場等に関する法制その他について鋭意検討を重ねて参ったのであります。ことに昨年におきましては、本問題が生鮮食品生産者取引業者消費者を通じて重要であることにかんがみ、広く中央卸売市場開設者生産者卸売人仲買人小売人及び学識経験者のおもな方々から成る中央卸売市場対策協議会を農林省に設けまして、農林大臣から中央卸売市場改善整備に関しとるべき施策について諮問いたしたのであります。この協議会におきましては、慎重討議の結果、昨年十二月十九日に、中央卸売市場指導監督卸売人整備仲買人地位の確立、中央卸売市場における取引適正化、いわゆる類似市場規制その他の事項について答申がなされたのであります。  政府といたしましては、この答申を尊重し、さらに慎重考究を重ねまして、中央卸売市場法について所要の改正を行うべき本法律案提出した次第であります。  以下本法律案主要内容について概略御説明申し上げます。  第一は、中央卸売市場開設区域指定は、政令指定する数以上の人口を有する都市及びその適当な隣接地について行うこととして、区域指定基準を新たに明らかにすることといたしたのであります。  また、中央卸売市場の使命の重要性にかんがみ、現行法により中央卸売市場開設者となることができる者の中から民法の公益法人を削除することといたしたのであります。  第二は、中央卸売市場卸売人許可に関する規定改正であります。中央卸売市場卸売人許可は、従来国の事務考えておりますが、現行法では地方長官がこれを行うという規定になっております。さきに述べました通り本法制定後今日に至る生鮮食品流通取引事情を見まするに、卸売人業務関係地域はますます広くなり、ほとんど全国的なものも多い実情でありますので、卸売人市場取引における重要な地位とその許可事務性質等に照らし、これは農林大臣が行うこととし、農林大臣は、直接市場経営の任に当る開設者意見を尊重して行うこととして、この関係規定改正追加したのであります。  第三は、卸売人の間における協定についての私的独占禁止法適用除外に関する規定追加であります。現在中央卸売市場の中には、卸売人の間の過度競争により種々弊害を生じ、卸売業務の適正かつ健全な運営が阻害されていることが多いことにかんがみ、これに対する規定を設けたのであります。すなわち、卸売人が右の弊害を自主的に防止するため、卸売業務に関する取引条件について協定を締結しようとする場合において、農林大臣がこの協定を、関係事業者等の利益を不当に害するおそれがない等の諸要件に適合すると認めて認可したときには、その協定には私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用を除外することといたしたのであります。ただし、中央卸売市場の機能を考慮しまして、物品の価格、品質または数量に関する協定は認めないことといたしてあります。  第四は、仲買人に関する規定追加であります。従来本法には仲買人に関する規定がなかったのでありますが、央卸売市場取引における仲買人地位にかんがみまして、開設者は必要に応じ仲買人を置くことができる旨を規定し、その資格、員数等業務規程をもって定むべきことといたしたのであります。  第五は、類似市場に関する規定追加であります。中央卸売市場取扱い品目について当該指定区域内において中央卸売市場類似業務を行う市場については、現行法では、中央卸売市場開設に際して農林大玉中央卸売市場開設者意見を聞いた上閉鎖を命じ得る旨の規定と、中央卸売市場開設者はこの場合損失の補償をなすべき旨の規定があるのみであります。しかしながら、最近府県条例により中央卸売市場法趣旨に必ずしも沿わない中央卸売市場以外の市場の法認ないし規制等が行われて、特に中央卸売市場指定区域内について統一した行政が行われない事態が生ずるやに認められることもありますので、かくのごとき事態を防止して中央卸売市場との関係において調整をはかる必要が認められるのであります。よって、生鮮食品の最近における流通取引事情とこれら類似市場ないし一般市場現状にかんがみまして、中央卸売市場主導的地位確保し、その公正な運営を期し、中央卸売市場指定区域内の生鮮食品流通並びに価格に与える影響力を整え、中央卸売市場との関連を考慮いたしまして、中央卸売市場と類似する業務を行う大きな市場とこれによる流通取引公正化に資するため、類似市場に関する規定追加する必要があると考えます。  すなわち、指定区域内において中央卸売市場類似業務をなす市場であって、命令で定める基準以上の施設を有するものについては、一定事項の届出をなすべきものとし、農林大臣は、生鮮食品の円滑な流通をはかるため必要ある場合は報告徴収、立入検査を行い、業務の公正を確保する等のため必要あるときは施設または業務方法の変更を命じ、これに違反する場合は業務の停止を命じ得る等の規定を設けたのであります。  以上が本法律案提案する理由であります。  次に、中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対する参議院修正について御説明申し上げます。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案は、去る四月十一日の参議院会議におきまして、以下御説明申し上げます点について修正議決されました。  修正内容の第一点は、中央卸売市場卸売人の数の最高限度に関する規定追加であります。すなわち開設者は、中央卸売市場における業務の適正かつ健全な運営確保するため必要があるときは、業務規程をもって卸売人の数の最高限度を定めることができることといたしておるのであります。  第二点は、右の規定により業務規程をもって卸売人の数の最高限度が定められている場合は、農林大臣はこの最高限度をこえて卸売人許可をすることができないという規定追加であります。  第三点も、中央卸売市場卸売人許可に関する規定についてでありまして、内閣提出改正法案におきましては、農林大臣は、開設者意見を尊重して卸売人許可または許可拒否処分を行わなければならないこととなっておりましたが、修正は、これに追加しまして、農林大臣が行う右の許可または許可拒否処分開設者意見と異なるときは、農林大臣理由を明記した文書をもってその旨を開設者に通知しなければならないことといたしておるのであります。  第四点は、中央卸売市場卸売人の間における合併または営業譲受に関する私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外に関する規定追加であります。すなわち、内閣提出改正法案中にあります中央卸売市場卸売人の間における価格数量等を除いた取引条件に関する協定についての私的独占禁止法適用除外に関する規定追加と同趣旨措置を、卸売人の間における合併または営業譲受についても講じようとするものであります。すなわち、卸売人の間における過度競争による弊害を防止するため必要な場合において、農林大臣が右の協定の場合と同様、公正取引委員会協議の上、一定要件に適合するものと認めて認可した卸売人の間における合併または営業譲受には、私的独占禁止法規定適用されないことといたしておるのであります。  以上、中央卸売市場の一部を改正する法律案に対する政府案提案理由並びに参議院修正議決について御説明申し上げた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいま説明に相なりました二法案質疑は後日これを行います。     —————————————
  8. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、順序に従ってこれを許します。川俣清音君。
  9. 川俣清音

    川俣委員 二、三点お尋ねいたしたいのです。家畜改良増殖法立法当時における政府並びに国会との質疑応答を見ますと、これが酪農振興基本になっておるというようなことで賛意を表されておるようでございます。そこでお尋ねいたしたいのでありますが、この公団法の一部を改正するという意図は、この家畜改良増殖法の積極的な条項、つまり二条ですね、これをさらに積極的に解釈いたしましてこの改正を行おうとする意思であるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  10. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 家畜改良増殖法の二条ですが、家畜改良増殖法は、優良なる家畜を農家に普及さすために種畜確保及び利用の増進を目的とするのであります。従いましてただいまのお話があります二条を直接どうこうするという関係はありませんけれども、ジャージーを導入するについては大体二百頭に一頭の割合でやはり種畜を、これは政府において輸入します。それをもとにして増殖をはかっていく、こういうことになりますので、その部面においては、種畜を持つという意味においては、この家畜改良増殖法二条の適用を受ける、こういうことになります。
  11. 川俣清音

    川俣委員 私がお尋ねしているのは、いろいろな行政上の予算措置を講ぜられる場合、その背景をなすものは法律だと思うのです。すでにできております法律を基礎にして予算化することが行政官の任務だと思うのです。そこでこの二条に基いて「家畜改良増殖促進に有効な事項については、これを積極的に行わなければならない。」という、この趣旨に基いて公団法の一部を改正するようになったのかどうか、こうお尋ねしているのです。
  12. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 もちろん二条は、改良増殖法二章以下の規定以外の家畜改良増殖促進するということを義務づけておりますので、当然これに基いているという解釈でございます。
  13. 川俣清音

    川俣委員 この「有効な事項については、これを積極的に行わなければならない。」という条項に基いてやったのかどうかと、こう聞いているのです。これは別の法律根拠に基いてやったのか、これに基いてやったのか、こうお尋ねしているのです。
  14. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 当然この法律に基きまして、さらに細目の点は別の法律なり指導要綱によって、詳細きめてやっていく、こういうことになります。
  15. 川俣清音

    川俣委員 これ以外の根拠はありますか。
  16. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御質問の要点がちょっとわからないのですが、家畜改良増殖法昭和二十五年にできたのでありますが、そのときには、いろいろなことをやりたいという考えから、こういう二条のような宣言的規定ができているわけであります。川俣委員がおっしゃるように、全部これに基いているといえばいえるのですけれども、しかしこれは宣言的規定でありますから、これを実行に移す場合には、いろいろな法律なり、行政手段が必要になってくるわけであります。その意味においてはこれに基いているといえますけれども、詳細は別の制度が要る、こういうようになるわけであります。
  17. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 都合により川俣君の質疑は午後に譲ります。     —————————————
  18. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 去る四月二十一日付託になりました稲富稜人君外三十四名提出昭和二十九年度までの災害に係る農林水産業施設災害復旧事業実施についての善後措置に関する法律案議題といたし、審査に入ります。まず本案趣旨について提出者説明を求めます。稲富稜人君
  19. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま議題となりました昭和二十九年度までの災害に係る農林水産業施設災害復旧事業実施についての善後措置に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  農林水産業施設災害復旧事業は、従来災害発生の年から三年間で実施することが、立法者考えであり、また行政上のならわしでありました。特に二十八年の風水害は、被害の甚大にかんがみ、特別の立法措置によって広い範囲に国の補助率の引き上げを行い、早期復旧を強く期待いたしました。政府もまた国会及び罹災地の要望にこたえて三・五・二の比率による三カ年復旧をかたく約束したことは御承知通りであります。  ところが復旧事業実施状況は、毎年財政都合により国会側再三の督励、関係者の痛切な訴えにかかわらず補助金交付が逐次おくれて予定通り進捗しておりません。すなわち二十五年災はようやく三十年度に完了しましたが、二十六年災は六年目の三十一年度にもなお全部完了する見込みがなく、しかも特別措置を講じた二十八年災は、三年目の三十年末ようやく五割そこそこの進行状態であります。  しかしながら罹災現地におきましては、累年災害による被害の拡大をおそれるとともに、生産回復と経営安定を急ぐ心情から、政府の言明を信用し期待して、補助指令を待たず復旧工事を行なった仕越し工事の量はきわめて大きく、そのため市町村等実施者炉農業協同組合等金融機関から借り入れたものは莫大な金額に上っております。中には年間税収入額をこえる町村もあり、二十八年災だけで数億円に達する罹災県もあります。  この多額の借入金は、財政窮乏する市町村等に大きな重圧となり、その利子負担によって、せっかくの補助金の効果も、高率補助の特典も著しく減殺されているのでありまして、災害に関する最近の陳情が多く利子負担の軽減に重点を置かれているのも、この窮状からであると存ずるのであります。  以上の理由から、災害復旧事業実施について、災害発生の年から三年間における仕越し工事の借り入れに関しては、国の財政事情からいたし方ありませんが、その後の借入金利子に対出しては、補助金交付趣旨に基いて、国が利子相当額を補給して事業施行者負担を軽減する必要があると存じます。これは今日なお仕越し工事の残っている二十六年災以降、災害発生から三年間の予算措置を講ぜられた二十九年災までの災害復旧事業についての善後措置を行おうとするものでありまして、三十年災以降の災害復旧事業に対しては、今後政府予算措置と別途提案されている復旧事業の期間を定める立法措置に期待するものであります。  何とぞ災害地実情を御了察の上、慎重審議すみやかに御賛同下さいますようお願い申し上げる次第であります。
  20. 吉川久衛

    吉川委員長代理 ただいま御説明に相なりました法案に関する質疑は後日にこれを譲ります。  午前中の審議はこの程度にとどめ、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ————◇—————    午後二時四十九分開議
  21. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。川俣清音君。
  22. 川俣清音

    川俣委員 午前中に引き続いて質疑を行いたいと思います。家畜改良増殖法畜産振興基本法であるという建前で、立法措置が講ぜられておったことは、午前中申し上げた通りであります。そこでこの第二条の、「第二章以下において規定する事項以外の事項であっても家畜改良増殖促進に有効な事項については、これを積極的に行わなければならない。」という、法律としては珍しい規定をもって基本法たるの観念を明らかにいたしておるのです。これに基いて積極的に酪農振興を講じなければならないというところから、公団にもこれを適用して、積極的な方法を講ぜられたのかどうかというのが午前中のお尋ねであったのでありますが、この基本法に基いて具体的に公団法において取り上げたとも見えるし、そうでないような説明でもあったんですが、もう一度その点を明らかにしておいていただきたい。
  23. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 もちろん基本的には家畜改良増殖法第二条の規定に従って、いろいろな施策をやっておるのは間違いないのでありますが、そのやり方については先ほど御説明申し上げましたように、細部について特別の法制なり施策が必要だ、こういう関係になるかと思います。
  24. 川俣清音

    川俣委員 それでよろしいのですが、ただ積極的にこれを行わなければならないということで、一つ取り上げただけでは積極的とは言えない。幾つも取り上げていかなければならない。この点、これはやっぱり順序があると思うのです。これに基いたとすれば、公団方式をもってやることが一番最良なりと考えてやったのか。幾つもやられようとするのだという説明ですが、一つだけでは積極的ではない。まだ公団方式による輸入方式以外にも考えていかなければならないが、その一つとして取り上げた。まだ幾つもなければならぬ。次はどういうことを考えられておりますか。
  25. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御承知のように、酪農振興法による集約酪農地域指定とか、あるいは種畜輸入、あらゆる面でいろいろなことをやっておるのでありまして、機械開墾地区酪農振興は、機械開墾法律でやっていくのであります。これは新しい試みで、今までは穀菽農業には適しないとして捨てられておるところを、近代的な機械、新しい土壌肥料学による土壌の処理、そういうものをやって、やはり穀菽には適しないけれども、全度は青刈り家畜の歯を通せばその土地が利用できる、こういうところからやってきておるのであります。しかし最初は、良本では新しい試みてあるから、ほかの地域には見られないような高率の補助とか、特別な厚い指導というものをもってやってきておるのであります。これはよく言われますように、いわゆるパイロット・ファームで、これが成功すれば、他の地域も応用して積極的にやっていく、しかしその成果がはっきりしないうちにあんまり手を広げてはいけない、こういう考え方です。
  26. 川俣清音

    川俣委員 私が尋ねているのは、この法律に基いて、これをさらに具体化する法律として機械公団法の一部改正を行う。それはそれでいいのです。そのように現実化していくとするならば、これに基いてやはりいろいろな立法措置が必要だろうし、それと同時に行政措置も必要だろうが、公団方式のほかにまだどんな準備があるのか、こう聞いておるのです。これ一つで終りなのか、これに基いて立法化して、行政措置を講じていくものか。公団方式で終りなのか、まだまだもっといろいろなものを出される用意があるのかを聞いておる。ただ一つとすれば、これは基本法に基いて公団方式をとったのではない。機械公団の便宜のためにやったということのそしりを受けるのではないか、こう思うのです。そうでなくて、基本法に基いて、一つ方法として公団方式によるジャージー種の輸入方式をとったのかと聞いたら、あなたはその通りだという。それならば、次々と法案が出てこなければならぬじゃないか。ただ機械公団だけ便宜的にやらせるという意味なのか、これを基本法にして、続々と具体化するような法案を出してくるのかどうかと聞いておるのです。
  27. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 それでありますから、機械開墾によって新しい農業の分野を開くために、試験的にこれをやるわけであります。これが技術的、経済的にめどがつけば、新しい施策考えて、他の地域にも及ぼしていかなければならぬ。しかし現在の段階においては、今きめておる特定地域の技術的、経済的な結果を判定するのに数年を要するわけであります。これがいい結果が出れば、それを進めていくのに新しい立法が必要になってくる。予算上の措置も必要になってくるかもしれません。これを推し進めていきたい、こういうように考えております。
  28. 川俣清音

    川俣委員 重ねてお尋ねいたします。いわゆる機械公団の経営状態が非常に悪いので、一つこれを便宜的に使おう、こういう意味なのか。そういう誤解が非常に多いのです。あなたは首を振るけれども、そういう誤解が多い。そうでなくて、あらゆる積極的な方途を講じなければならないから、一つ方法としてこうしたんだ、こういうのか、どちらかと聞いておるのです。
  29. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 機械公団事業内容につきましては、先般来質疑応答がありましたが、去年十月に発足してまだ半年でありますので、諸般の準備を重ねておるというのが現状であります。その機械公団がやる地域に牛を入れるために、外国から牛を輸入する、こういうのでありますから、いろいろお話がありましたように、機械公団でなければいかぬということではないのでありますけれども、機械公団を使った方が経済的にも、あるいは施策を進めていく上にも便利である、こういう考え方からいたしたのであります。
  30. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、やはり基本法に基いて、その具体化として機械公団法の一部改正考えた、こう一応了解をいたします。  次にお尋ねいたしたいのですが、機械開墾地以外においても、特にジャージー種のような役牛を兼ねておる牛種は、機械公団による特種開墾地以外におきましても十分これを増殖し、酪農の中心として拡大していく余地が他にもあると思うのです。そこでこれを積極的に推し進めていかなければならないのであるからして、さらにいろいろな方策が講ぜられていなければならぬと思いますが、どういうことが講ぜられていますかということが私がここに尋ねたい基本なんです。
  31. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 質問の趣旨がよくわからないのですが……。
  32. 川俣清音

    川俣委員 機械公団でジャージー種を輸入するのは、当初におきましては開墾地だけに入れることが主ですね、それから増殖されてさらに敷衍していくであろうことは予想されますが、それだけを待っているのか、さらに機械開墾地以外においても、輸入を二百頭なら二百頭入れるばかりではなくて、さらに増大していく意図があるのかどうか、こう聞いているのです。
  33. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先般御説明いたしましたように、一応農林省としては今後五カ年間に、従来のものを加えまして約二万頭近くのジャージーを入れて、十年後には十万頭のジャージーの牛を適地に普及させたい、こういう考えでおります。そこでそれのためにはすでに八ケ岳、岩手そのほか何箇所ですか、もうジャージーが入っておりますから、そこのところをさらに早く継ぎ足して、大体経済単位五千頭あるいは二千五百頭という、そこまで持っていく。その分についてはもし引き続いて世銀の方で借款を与えるということになれば、やはり今提出しておるような方向でやっていくのがいいじゃないか、こういうふうに考えております。
  34. 川俣清音

    川俣委員 そこで実はお尋ねしたいのですが、これは最初の一年か二年でわずか二百頭、五百頭、千頭という程度の輸入でありますならば、価格輸入価格で大体売買されるということが行われているのです。ところがそれからというものは、急速に国内のジャージー種の価格が低落していくだろうと思われる。おそらく順調に入ってくれば、機械公団が三年目のときには、国内相場が今より予想した以下にできてくるのじゃないか。これは予想されませんか。私どもは今から予想できると思うのですが、この点どうです。
  35. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは将来の予想ですからなかなかめんどうな問題でありますが、私どもも、傾向としてはそういうことを考えておかなければいかぬというつもりでいろいろ準備をしております。それから大体今年というか、三十年には千八百入れました。三十一年には二千五百頭入れる。これは先般お手元にお配りしましたが、ジャージーの生産は豪州で二十数万頭できております。それから豪州ではやっぱり許可制度を持っております。二千五百頭が今のところマキシマムになっておりますが、本来ならばもっと入れて早く実質的にやりたいという意向もありますけれども、向うの都合からいってそれ以上できない。従いまして向うの方の関係はこれだけ注文を出しても市価が上るという心配はありません。
  36. 川俣清音

    川俣委員 少くともこの基本に基いてあらゆる方策をとっていきますということは、国内にジャージーが非常にふえるということです。ふやして利用させるということが目的なんです。それは結局は酪農品の生産コストを下げていくところにねらいがある。そうでなければ入れたって意味がない。終局は酪農製品の製産コストを引き下げていくというところにあると思う。引き下げるまでに至るには、それほど盛んならしめたということは、結果的から見ましてもかなり牛の値段が安くなったという現象が、増殖になったという現象と一致してくるわけです。ふえなければいつまでも価格が維持されていくでしょう。ふえていけば当然価格も下ってくることが必然なのです。下らなければコストは下っていかないのです。今のような高い乳牛を入れてきて、ジャージー種を入れてきて価格が下らないようであったならば、これは盛んになってきませんよ。従って特別な便宜を与えないでもどこへでも入るということは、特別な便宜を与えないでも利用者がふえていくということです。従って価格が下るということを予想していかなければならない。また価格を下げることが目的でなければならぬと思う。下げることが目的でないにしましても、生産コストを下げていくということと利用者が多くなるということは、下らなければ利用者が多くならない。ジャージー種を飼う者が多くならなければ盛んにならないですから、そこで価格が低落するということを初めから頭に入れておかないといかないのじゃないか。しかし価格が下るならば輸入をとめるとかいうことじゃないでしょう。そうすると三年目には現在のような予想した価格で入れるということは、引き取り手がない。むしろ国内の増殖された乳牛を利用する人が多くなってくるんじゃないかということが予想されないかどうか、この点をお尋ねしたい。
  37. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいまのところ各府県の状況等を調べ、希望をとつてみますと、当分のうち二千五百頭入れて、それから大体毎年半分の雌が出てくると仮定して、やはりまだ当分需要に追っつかない。従って私の方では、今後五カ年間は引き続いて入れようというのであります。そこでだんだんふえるに従って、一般に今まではひもつきで順々に分けておりますが、第二、第三の娘牛になると、これは市場に出てくることになるので当然下ってくると思います。その下ってきた場合に、輸入牛と国内のものとの間に相当の開きが出てくる。それはお話のように相当差ができてくると思います。その差ができても、ある地区では、これは今までの経験にみまして、とにかく山岳草地にはジャージーがいいということは、牛の専門家はだんだんの経験によって非常に熱望が高いのでありますから、現在よりも国の補助を購入に対してよけいに出さなければならないということは出てくると思いますけれども、どうしても国内では需要をまかなえないという分は、少々高くても輸入ジャージーを入れなければいけないという部面が出てくるんじゃないかと思います。しかしこれはもう少したってみないとわからないのでありますが、そのときにはやはり国の助成をもっと入れて、ほんとうに成績がいい、そういう地帯にジャージー炉必要だということがわかれば、国の助成をもっと厚くしなければいかないという事態が出てくるんじゃないかと思います。それは覚悟しております。しかもある程度の運賃補助とか、いろいろな費用を国で持っておりますから、これは年々ふえるに従って施策追加していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  38. 川俣清音

    川俣委員 今から盛んにならしめようと思うならば、やはり一定額を補助いたしまして、補助がない部分の相場というものが一般に取引される価格であるというふうに持っていかないと、機械公団にいたしましても、とんだものを引き受けたということになるであろうし、またとんだものを引き受けたということにならしめるほど盛んならしめていかなければならないものだと思うのです。それと同時に、もう一つは、日本のようなところにジャージー種の原種ばかり入れておいてどうかという問題です。日本のような地帯には、やはり日本流の土地と飼料と見合いの交配種が当然考えられていかなければならぬじゃないかと思うのです。交配種というような問題を考えないで、何でもかでも輸入牛だけに仰ぐということは、今後急速に酪農を進めていき、また馬にかわる牛としての役牛の役目を果させるということになると、交配種を考えていかなければならない。交配種を考えていくということが、私は家畜改良増殖法基本でもあると思うのです。改良して増殖していこうというのでしょう。この法律はそうです。これは輸入するに必要な法律じゃないのです。輸入したものを改良していこうというところに目的がある。改良するのはなぜかといえば、数を目的にしておるのです。二条というものはそのように私は解釈していくべきものだと思うが、あなたはどうなんですか。
  39. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは純粋なるもの、能率の高いものを広げていくというのと、それから今の雑種を広げていこう、しかし雑種でも能率の高い雑種でなければならないのですから、その二つのねらいがお話のようにあると思います。ただ昨日申し上げましたように、大家畜の雑種の固定化というものは、五年、十年ではできません。たとえばアメリカのヴェルツビルの農事試験場で、インド牛とジャージーを交配してやるとか、水牛とほかの牛をやるとか、いろいろな研究をしておりますけれども、十何年かかってもいいもの炉できません。これは試みでありますから、いいものができる場合とできない場合がある。国の方でそういうものを特別にやっていく。すぐ民間でそういうものを出すわけにいきません。しかし今ジャージーを輸入するのは、現在市乳地帯でない、原料乳しか作れない地帯に適しておる。豪州、アメリカ、みな三割なりあるいはニュージーランドのごときは、六割以上もジャージー種になっておるわけでありますから、その地方の気候、それから草資源等を勘案して、一定の地区には日本でも適する、こういうのでやっております。これが相当数になってきますと、お話のような問題は、当然民間からそういう運動が出てくるのではないかと思います。
  40. 川俣清音

    川俣委員 先を急ぎますが、結局はジャージー種が入っておるのを見ると、非常に雑多です。どれが一体ジャージーの本種かということについていろいろな疑問があるくらいに、ジャージー種でも、場所によっても違うであろうし、非常な相違があることは、今まで輸入されておるものでも明らかです。あなたは首をかしげておるけれども、ほんとうですよ。値段から大体違うじゃないですか。しかしここでこの論争はやめます。従って、機械開墾地でも、青森と北海道ではだいぶ違うと思います。五年たってごらんなさい、十年たってごらんなさい。その地域に特質的な、対応するようなものが比較的残りまして、そうでないものはだんだん淘汰されていくことは明らかです。大動物であれば大動物であるほど淘汰率が激しいのです。そのことは別としまして、私はやはり交配種というものを今から考えていかなければならぬと思う。そこで改良、増殖ということが主になってできておる法律を、いわゆるチャンピォンだけを輸入するのだ、チャンピォンだけをふやしていくのだというやり方をするのか。あるいは交配種まで作っていくということがこの法律基本じゃないかと私どもは理解するのだが、もしもこれが基本だとしますれば、この法律改正する意思がおありかどうか。そういう優良種だけをふやしていくというなら、ほんとうはこの法律は適当でないのです。これは優良種をふやしていく方法ではないのです。
  41. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この法律は、先ほど申し上げましたように、純粋種と雑種両方に適用されるのであります。やはり雑種でも固定していなければいかぬわけです。絶えず次々変ったものができる、そういう雑種では困る、能力のいい雑種の固定したものをふやしていく、こういうことになるのでありますから、この法律で一般民間のものをふやすのはいかぬ、新しい雑種を固定するのは国が相当経費をかけ、施設をしてやらなければいかぬということになるのです。これはいいのが出るか出ないかわからないのです。
  42. 川俣清音

    川俣委員 最後に一つお尋ねしてやめておきますが、当局は問題が起るごとに言を変えておられる。その事態が起きると、起きたときに、必要なふうに法律を変える。その例としては、種畜というものは雄もあれば雌もある——あなた方が認めた基本法のこの法律には、種畜とは雄をいうとちゃんと書いてあるのに、私は今別に議論をするわけではありませんが、何か競馬の馬を受けると弁解のためには別な言葉を使い、機械公団をやると、これは基本法だと言いながら便宜的に公団法を利用してみたりするようなことが行われるところを私は慎しみたいと思うのです。不備ならその不備を直していく。あくまでこれを基本法だとするならば、純粋なものもやるかわりに、やはり交配種もやるのだという建前をとっておるのだから、両建前であるということを認識するならば、目下重点を置いておるのは優良種だけだ、あらゆる予算もあらゆる行政も優良種だけだということでなしに、これが基本法だというならば、やはり交配種についても、あるいは雑種についても、今日本にあります種類についても、どうしてこれを改良していくかということについて熱心にならなければ、これは基本法だということは言えないと思う。何か目新しいものができるとそれに飛びついていったのでは、いつまでたっても畜産行政というものは立っていかないと私は思う。その局長の思いつきだけでは畜政なんというものは立っていくものではありません。一年か二年で変るような畜政でありますなら、これはほんとうにむだな力を入れておることになる。そこで私はあなたにお尋ねしたい。あなたがかわっても、あとの人がこれはいい方策であるということで継続できるものでなければならないということです。畜産局長がかわり、農地局長がかわれば、機械公団のやつはやめようとか、また別なことにしようということになりますと、末端の農民は非常な迷惑をする。高い価格で買ったものが、今度は奨励品種からのけたとかあるいは補助がなくなったということになれば、末端の農民に及ぼす影響は非常に大きいのです。そこで、やはり長年継続できるような畜政の基本を立ててもらわなければならぬと思うし、その基本に沿うた公団法改正でなければ無意味だと私は思うのです。そこでお尋ねしたのですが、その点を明らかにしてもらいたい。
  43. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話の通り家畜についてはそう二年や三年で変えることはできないし、それを取り上げるためには相当の研究もし、あるいは試験をしてからでなければいけないと思います。ジャージーを取り上げるにしましても、私の承知しておるところでは、とにかく数年前からジャージーとブラウン・スイスの比較検討をやってきたのであります。その結果、ブラウン・スイスとジャージーを入れようということになったのですけれども、ブラウンスイスはヨーロッパしか種がない、供給がないから運賃その他が非常に高くなる。従ってジャージーを入れようということにきまったのであります。しからばこのジャージーを入れる地帯をどういうように選定するかということにつきましても、むやみに希望があるからということでなしに、そのところの草資源あるいはそのほかの農業との関連を十分考えて、可能の限度というものでやらなければいかぬ。その限度を一応十年後に十万頭——二万頭から順々にふやして十万頭にする、こういう考え方でやっておるわけであります。そういう方策が、お話のように担当者がかわることによって途中でとだえないために法律なりあるいはその他の施策を確定していくというのでありますから、御心配の点は、法律を忠実に施行することによってそういうことは起らないというように考えております。
  44. 川俣清音

    川俣委員 一応よろしいのですが一体家畜改良増殖法を作ったときはえらい勢いで、えらく期待をかけて作っておるのです。だから、法律はあとの者もこれを順法させるように、行政的にこれを行わせるために法律化していくということは当り前のことなんです。首をかしげたって、そうじゃないですか。今私から指摘されなければ、記憶を新たにしないような格好になっておるじゃありませんか。従って、あなたが今国会に申し出られているところの機械公団にしましても、あなたと農地局長時代は熱心であっても、途中でああそんな法律があったのか、仕方なしにやっておるんだという格好になったのでは、末端の農民の迷惑もはなはだしいものがあるから、はっきりしておいてほしいということなんです。
  45. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お説の点はごもっともでありますので、はっきり農林省の中でそういうことが残るようにいたします。
  46. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 淡谷悠藏君。
  47. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 本法案に対しましては、先日来各方面の責任者の方においでを願っていろいろ質疑を試みましたけれども、どうも聞いてみればみるほど主体がぼやけて参ります。申すまでもなく、開墾事業だけでも非常に大きな新しい試みである上に、さらにジャージー種の大量輸入さえやるということになりますと、今後予測されるさまざまの混乱があるのであります。そこでこの際はっきりしておきたいのは、開墾地の事業実施主体は一体どこなのか。公団の方では、私どもは指導面は担当いたしません、しかし仕事はするんだという。そうすると公団に対して、かくかくの計画に基いて開墾をし、かくかくの方針に基いて営農をさせよといって命ずるのは一体どこになるのでありますか。この点を、一つ次官からはっきり御答弁を願いたい。
  48. 小倉武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。これは農林省の方針においてやるつもりでおります。
  49. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、農林省が計画を立てて、その計画を実施する場合には公団がやる。そうすると地元と公団と農省林との有機的な連繋が一体どこにあるのか。さまざま営農方針やあるいはこの開墾計画につきまして、地元に疑点が生じました場合に、公団に聞くのか、直接農省林に聞くのか、あるいは公団に聞いて、さらに公団が農林省に聞いて、農林省の返答を得てから公団が地方に伝える、あるいは地元の開墾者が直接にやるのか、県がやるのか、この点で現実的にも混乱を生じておる。その指導命令系統をはっきりお答え願いたい。
  50. 小倉武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。公団はその方針に従いまして開墾する、そして土地を作るということがその事業の目的でございます。その後の開拓民の営農なりあるいは経済的な行為の指導ということは、相談があれば、もちろん県の開拓課なり県の事務所なり、そこから当然農林省の方に連絡があるということで、上から下まで、上というとおかしいのでありますが、農林省から県庁を通じて開拓民の間が一本につながるもの、またそういたしたいと考えておるわけであります。
  51. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうもはっきりいたしませんが、そうすると地元の入植者がさまざまな開墾並びに、経営について聞きたいことがあった場合は、地元の入植者が県に聞いて、県がこれを一体どこへ持っていくのか。公団へ持っていくのか、あるいは農林省にじかに持っていくのか。
  52. 小倉武一

    大石(武)政府委員 県の方で十分指導できれば、県でも御指導するでありましょうし、国との連絡が必要である場合には、当然農林省の方に連絡があることと思います。
  53. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 県がみずから決定し得ない場合は、公団を飛んで農林省にきてよろしいのですね。その点はっきりしてもらいたい。
  54. 小倉武一

    大石(武)政府委員 それはどちらでもいいことだと思います。もちろん公団の方に相談する必要がある場合には公団の方にも相談いたしましょうし、公団の方に相談する必要がない場合には、当然県の方から農林省の方に直接きても一向かまわないとわれわれは考えております。
  55. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 公団はそれでは全然浮き上ってしまってもかまわないのですね。公団はあらかじめ農林省の方針を受けて仕事を始めている。その方針について疑義があり、変更されなければならない場合に、公団を飛んで農林省に交渉するならば、農林省が前の方針を変えないで押し切るときはよろしいけれども、若干変更を見なければならない場合は、公団よりも先に地元の県がする、こういうことになりますね。
  56. 小倉武一

    大石(武)政府委員 公団は別に営農の指導はいたしませんので、営農の指導は県なりあるいは農林省でいたすわけであります。ただしその場合、県で判断をしてある営農の指導をいたす場合に、公団の方面の仕事、開墾とかの仕事がある場合は、当然それは県の方から公団の方に相談がいくでありましょうし、それが農林省にも相談をする必要がある場合には、当然農林省の方に相談があるもの、こう考えております。
  57. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 現在の開墾の方式、単価、所要経費等について、農地局、県、公団三者がさまざま協定することになっておりますが、この具体的な方向が確定しておりますかどうですか。これは事務当局の方からでけっこうですが、御答弁を願いたい。
  58. 小倉武一

    ○小倉政府委員 その点につきましては、今、県、農地事務局、農林省、そういう関係機関が打ち合せ中でございます。
  59. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 まだ打ち合せ中で決定していない。こうなりますと、入植者の募集に当って、入植者が入った場合にどれだけの地価で土地が手に入り、どれだけの融資を受け、幾らの補助を受け、あるいはどういう方針で開墾し、その開墾の費用がどのくらいかかるのか。これが全然わからないままに入植者の募集が行われた、こう思ってよろしいのですか。まだあなた方の基本方針が決定してない。その前に入植者が入っている。そうすると、雲をつかむようなばく然とした形で入植者の条件がきめられている、こう思ってよろしいのですか。
  60. 小倉武一

    ○小倉政府委員 計画といたしましては、もちろんきまったものがございまして、必要な建設工事あるいは助成ないし融資、また一戸当りの所要の金額等につきましては基準ができておりますので、上北、根釧それぞれの地区について、入植者は大体どういう規模の営農をやり、またどういう程度の金が要り、またその金のくる道はどういうことになっているかということはきまっているわけでございます。
  61. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 現在県なり道なりがこの仕事を実施する場合に、県あるいは道が入植者もしくは増反者も含めてこの開墾の委託を受けている。これに基いて公団と委託契約を結んで実施する、こういうふうに確認してよろしいのですか。方式はどうなっているのですか。基本的な問題でありますから。
  62. 小倉武一

    ○小倉政府委員 開墾作業につきましては、今お話のように、公団が地元農家の委託を受けてやる、こういうことになっております。
  63. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その場合に、開墾の補助金が非常に重要な要因になると思いますが、この開墾補助金は国から直接に公団に対して交付するのですか。あるいは公団を飛んで実際の入植者の方に交付されるのか、この点はどうなっておりますか。補助金交付方法について決定したことをお伺いしたい。
  64. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これは普通の開墾作業費でございますと、結局農家に行くのでございますが、今回の機械開墾につきましては、公団が委託を受けてやりますので、結局はその金は公団にいくことにならざるを得ないのでございますので、交付の仕方といたしましては、厳に公団にいくように、そこは農家から受領委任を徴す等の措置でもっていたしたい、かように考えております。
  65. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その補助金の額は四五%と聞いておりますが、相違ございませんか。
  66. 小倉武一

    ○小倉政府委員 さようでございます。
  67. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その補助金等が適正に使われているかどうかは、つまり公団実施する開墾作業の指導監督は国の機関が当るというふうに了解してよろしいかどうか。国が十分責任をもって公団補助金等の使用あるいは開墾作業の進捗等を監督する、あるいは指導するというふうに考えてよろしいかどうか、確認しておきたい。
  68. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これはもちろん終局的には国が責任をもってやることでございますが、現地では県にある程度おまかせして、県庁も指導監督してもらう、こういうふうに考えております。
  69. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 入植者が負担すべき分、すなわち五五%ですが、これは県が公団に委託して実施する分については、国と公団との間に取りきめた方式あるいは形式に基いた諸般の手続を取り進めるという画然と区分しての事業実施の方向が望ましいと思うのですが、そういうような補助規程、開墾方式、形式等がまだ全然きまっていないという場合にこの事業がまず渋滞する結果を見ているように考えられますが、いつごろ一体これらの諸般のものが決定を見ますか。
  70. 小倉武一

    ○小倉政府委員 まだすっかり形式的には確定はいたしておりませんが、もちろん入植するときまでには確定をいたしまして、入植する直前に通知するようにいたしたいと思っております。
  71. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 機械が入って作業を始めるのが六月、七月と申しますと、目の前に迫っている。目の前に迫っているこの仕事の実施に対して、まだ諸規定さえできていないというこの事務渋滞はどこから来るのですか。公団の組織が悪いのですか、それとも農林省が怠慢なんですか、どっちなんですか。目の前に迫って、機械が入っているんですよ。その場合に諸般の規定ができていない。こんなだらしのない状態は一体どこに原因があるのですか。
  72. 小倉武一

    ○小倉政府委員 別段特別の原因というわけでもございませんが、国それから県が主でございますが、そのほかに農林省の出先である事務局、それからまた関係公団等が打ち合せてやっておりますので、いろいろ手間がかかっているのでございますけれども、県当局ともおよその話はついておりますので、そう今後手間取らずにきまるというふうに存じております。
  73. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで具体的に二、三の問題を申し上げて農林省のはっきりした御所信を伺いたいと思うのですが、入植施設の問題であります。これはブロック造りにして住宅兼畜舎にするという構想のようであります。補助金は十一万六千円、融資金を十八万四千円、ほかに営農資金を一戸当り十六万六千円出します中から七万円と見込んで、一棟当り三十七万円と予定しておりますが、こう確定したかどうか。あるいはまだ折衝中にあるかどうか。この点を一点伺っておきたい。
  74. 小倉武一

    ○小倉政府委員 予算としてはもちろん今お話のようにきまっているわけでございます。
  75. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 三十七万円ときまっているわけですか、あるいは三十万円ときまっているわけですか、住宅建設の予算というのは。
  76. 小倉武一

    ○小倉政府委員 全体が三十万でありまして、国庫補助が十一万、それから融資が十八万余りになっております。
  77. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、営農資金の方から一戸当り七万円を見込んで、住宅資金について三十七万円にするというのはこれはやらないんですね。これは非常に重大ですから私はお伺いしておきたいのですが、おやりにならないかどうか。
  78. 小倉武一

    ○小倉政府委員 先ほど申し上げました通り、予算としては計上いたしておるのであります。
  79. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは伺いますが、この住宅資金は、補助金、融資金を入れて三十万円、そのうち畜舎部分が七万円になっておるのです。三十万円の住宅のうちで、住宅兼畜舎ですから、畜舎の方が七万円になっておる。ところが設計の内容はその反対に、畜舎の部分が八割を占めており、畜舎に住宅がちょっぴりとついておるのが実態なのであります。これに対して住宅の補助金とか融資の交付について大蔵省の了解を得ておるかどうか。また会計検査院等においても疑義があるようでございまするが、家ができてから、補助金や融資の規定に関してさまざまな検査院からの文句がつかないかどうか、その点は一体どうなんです。予算は住宅の方が三十万円、畜舎が七万円、あるいは三十万円の中の畜舎が七万円ですが、設計では逆なんです。設計では畜舎が大部分、八割を占めておる。そうしますと非常に問題になりますが、この点は一体どういうふうに措置されておるか。
  80. 立川宗保

    ○立川説明員 これは予算といたしましては、ただいま御説明がありましたように三十万円、国庫補助十一万六千五百円、融資金十一万三千五百円という額になっております。そのほかに別立てに畜舎としては予算を計上しておりますが、さしあたりのところ住宅と畜舎を同じ一棟の建物の中に収容をして出発をする、そして将来営農形体完成後等において住宅と畜舎が分れていくということが想定されますが、さしあたりはそれを一緒にした格好でいこう、こういう構想でございます。そこで初年度の設計につきましては、一挙に完成形体の住宅と畜舎を作るというのはぜいたくでもございますし、家畜も逐次入って参りますので、当初一部を作りまして漸次建て増しをしていく、こういうことになります。そこでさしあたりの状態といたしまして、畜舎の部分がかなり多くを占めますけれども、さらに二階を増築してそこに住まったり、あるいは家畜の乳牛がふえるに従って乳牛の入るところをさらに増したり、こういうことになるわけであります。
  81. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 非常に困った設計だと思うのです。なるほど青森県の農民は馬と同居をしておるということは有名でございますが、いくら同居をしておるといいましても、馬や牛を抱いて寝ているわけではないのです。従来の家屋でもはっきり畜舎と家は分れております。雪の関係上同じ屋根の下にあるだけであって、あの馬のくその中に農民はごろごろ寝ているわけではないのです。今あの荒野の中に入植をさせまして、家も与えないで、せっかくアメリカから買ったジャージーの家は建ててやるが、農民の家はあと回しだなんていった計画がありますか。しかも取ってくるのが住宅資金としての三十万円、一体この計画でいいと思っているのですか。
  82. 立川宗保

    ○立川説明員 家畜が入りますのは、第二年目に馬のせんが入ります、それから三年目に乳牛の槽が二頭入ります。そういう順序でございますが、従来のようないわば家畜と人間の住いとを一緒にしたというような形の住宅にはしたくない、やはり家畜と住宅とを一棟のものに建てますけれども、それは近代的な衛生的な施設にしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  83. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ますます変じゃないですか。入植者はもう入るのですよ。家畜は向う何年間で入る。入ってこない家畜の畜舎を先に建てて、現在入っている人間の住居をあと回しにするというのがありますか。人の入る家がなくて、畜舎ができても家畜が入らない、こんな矛盾した設計は許さるべきものでないと思う。しかも具体的に家屋の設計を見ますと、下にコンクリートの畜舎ができて、そこにはどんどん堆肥なんか踏み込んでいく、その畜舎の上に二階を建てて人を住まわせるというのでしょう。一体どっちが主なんです。三十万円の住宅資金は人間のための住宅資金ですか、ジャージー様の住宅資金ですか、どっちですか、お伺いしたい。
  84. 立川宗保

    ○立川説明員 これは従来の開拓地のいろいろのやり方を土台にもいたしまして検討いたしたのでありますが、やはり成功しております開拓地の事例を見ますと、基幹の生産手段であります家畜を中心にして、そこの施設を初めから相当よく見て考えていくというところががっちりした開拓地に成長しております。それで、もちろん人間の住宅を快適にするということも同時に考えなければなりませんけれども、やはり限定された資金を最も有効に活用いたしまためには、畜舎にも十分来生度から使えますし、それから人間の住宅もそこを基幹として拡充できるというような設計を今考えつつあるわけでございます。
  85. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは非常にりっぱな御方針だと思いますが、それならなぜはっきり畜舎の方を三十万円と見て、人間の家屋を七万円と見なかったのですか。予算面ではっきり住宅が三十万円である。予算でうそをいって、実際は牛の方の小屋をりっぱにするということは、果して今日の会計検査法等において通るかどうかの問題がある。一体なぜはっきり畜舎予算として三十万円もらわなかったのですか。予算は住宅ですよ。実際は畜舎だ。あとで会計検査院からこづかれて手を上げるようなことはございませんか。なければそれでよろしい。
  86. 立川宗保

    ○立川説明員 その点は関係省と打ち合せておりますからないと存じます。
  87. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは確認いたしますが、住宅資金として取りました三十万円を畜舎部分に回して建築しましても会計検査院の方は何ともない、関係省は何ともない、この責任を農林省はとりますね。
  88. 立川宗保

    ○立川説明員 住宅資金の三十万円の内訳は先刻申し上げました通りでございます。それから畜舎として計上しておりますものが二十万円、これは全額融資金でございます。それでこれはもちろん将来年々ふえて参りますから、そういうものを含めたことで御説明申し上げておるわけであります。そういうことで設計は畜舎と住宅を一緒にしてやるということについては、関係省との打ち合せが済んでおります。
  89. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと住宅の方は三十万円、畜舎の方は二十万円と確認いたしますが、一体これらの資金はいつごろ交付されますか。これまでの開拓の例を見ますと、家はできたがなかなか助成金や融資金が手に入らないので、建設請負人と本人との間に非常に困ったことが起りまして、そのために意外に高い利子の金を借りて困っている例がありますが、これは一体いつごろまでに交付される見込みでございますか。
  90. 立川宗保

    ○立川説明員 ただいまお話の資金は、住宅の建設に着手するというまでには十分間に合せるつもりでございます。
  91. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 第二・四半期あたりまでに交付できますか。
  92. 立川宗保

    ○立川説明員 十分大丈夫だと考えます。
  93. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 次は電気の導入でございます。電気の導入については、現在の計画によりますと全事業費の概算が二億円になっております。これによれば新たに入植する三百四十八戸のため——これは北部上北の例でございますが、新しく変電所を建設しなければならないことになってくる。この建設費は約九千万円かかりますけれども、これに対する御配慮はございますか。
  94. 立川宗保

    ○立川説明員 ただいま予算的に確定をいたしておりますものは、一戸当りの電気の導入施設といたしまして九万円でございます。それがそれぞれ国なり、融資金なりで持つわけでありますが、ただいまお話のようなあそこは不便なところでありますから、電気の導入につきましてはいろいろ問題がございます。それでこれにつきまして今具体的にその実行方法を急遽これも研究をいたしておりますので、日ならずして確定をすると思いますが、ただいま御指摘のような点がいろいろございまして、十分研究をしてこなしていかなければならない問題だと考えております。
  95. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 電力会社の最近の傾向でございますが、一切の施設費用を需用者に転嫁しようという傾向がはっきり見えてきております。そのために意外にこれらの電気導入の計画が狂うこともあると思いますので、この点は十分なる御用意をもって御着手いただきたいと思うのでございます。  次は開墾の建設についての付帯工事についてであります。本年度実施事業は、施設道路が約九千七百三十二メーター、防災施設が四十一・二八町、この事業費が五百八十六万一千円と決定したかになっておりますが、一部は国、一部は県、この県の方は地元の開拓者でございます。この地元の開拓者が実施することになっております事業は、国営事業所の実施計画に基いたもののあとに行うことになっております。ところが国営事業所の実施計画は、十月から十二月までにこの道路を作るという計画でございますが、一体十月から十二月までにあの地区の道路工事が行われると思っておられるかどうか、この点をはっきり私は伺っておきたい。
  96. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 今お話の建設工事を十月ないし十一月のうちに行いますという実施計画は、私の方ではそう考えておりませんので、六月から大体十月の終りごろまでに本年度の建設工事は計画通りに完成させたい、こう考えて現在仙台農地事務局で施設設計を作らしております。
  97. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それなら大へんけっこうなんでございますが、ただ国がやります道路計画だけでは、地元の土地の情勢は使用にたえない。この幹線道路から派線の圃場まで行く道路を作らなければ、肥料一つ運べないという状態です。その国営の道路が十月に完了するようなことであってはことしはほとんど営農の計画はできません。できるならもっと早く切り上げまして、少くとも全部の道路工事が十月の終りには完成を見るようにしなければ一カ年間操り延べになると思いますので、その点も十分なる御配慮をお願いしたいと思います。  それからさらに具体的にお伺いしたいことがございますが、あの地区に防風林として残される国有林もしくは公有林がございますが、この防風林の立っております木を立ったままで入植者に買えという要求が出ておるように伺っておりますが、この点はどうですか。
  98. 立川宗保

    ○立川説明員 防風林の関係でございますが、これは基幹防風林になりますところにつきましては、土地が国有地として残っておりますので、その立木につきましては国有林として残す、こういうことになるわけでございます。ところが耕地防風林のごとく第二次的な防風林につきましては、これは土地そのものも国が買収したり、あるいは国有林から所管がえを受けまして開拓者に売り渡すことにしておりますので、その上に立った木だけが別に残されるというわけには参りません。これは入植者が買い受けるということに相なります。
  99. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この入植計画の営農状態を見ますと、決して楽な営農状態ではございません。その場合に営林局が払い下げします立木が高価なものにつきますと、ほとんど防風以外には用途を見ない林木が一つの材木として、建設資材としての単価などで売りつけられたら、これは非常に経営を圧迫すると思う。先般本委員会でも私有地やその他の共同所有の土地に対して、いろいろな林野を作る法案を通しておりますので、できるならば、この防風林などは売りつけないで育成するような方法をとらなければ非常に経営を圧迫すると思いますから、新たにこれは御考慮を願いたいと思います。  それからこの公団ができます場合に、私質問を申し上げましたが、土地は開墾をして牧草の種をまいて、土地を改良して入植者に売り渡すような御答弁がはっきりあった。この牧草の種をまくという一つの準備的な作業の中には、石灰によって酸性を中和するという忘れてはならない一つの作用がございます。一体炭カルなどの手当はどうしておりますか。聞くところによりますと、炭カルは地元で負担するということを言っておるようですが、それに相違ございませんか。
  100. 小倉武一

    ○小倉政府委員 炭カルにつきましては、補助と地元負担と両方から成っております。地元だけの負担ではございません。
  101. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 従来の開拓者に対しても炭カルの補助等がございますが、これと今回の入植者のそれとは相違がございますか、ございませんか。あるいは今度の炭カルの補助によって既設の開拓者が非常に損を受けるといったようなことはございませんか、どうですか。この点を念のために伺っておきたい。
  102. 立川宗保

    ○立川説明員 従来の開拓地のやり方と若干違いがございます。それは負担のやり方でありますが、今回の負担の仕方は、土壌改良の資材費の総所要金額に対しまして半分を国庫が補助をする。それから残りの半分のうちさらに半分、すなわち四分の一でありますが、これは県が負担をいたします。それから最後の四分の一につきましては、開拓者が負担をするとう格好になっております。開拓者自身は、すぐには負担能力がございません。これは二十カ年の長期の資金でこれを裏打ちをする、こういう工合にいたしております。そこでそれだけの違いがございまして、一面において、従来の開拓地の状態と比べますと、開拓者自身が若干負担をいたしますから、負担の表面的な割合については、むしろこの機械開墾の方が悪い。しかし実質的な部分については、従来は標準は三寸荒起でございますが、今回は六寸に及びますので、実質上は非常に深起しになって、従来の倍もの資材が必要になってくる。その部分について全部手当がいっているということで、そういう実質的な意味から言えば非常にいいとも言えます。
  103. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 炭カル等を土地へ投入するのはいつごろになりますか。
  104. 立川宗保

    ○立川説明員 今回は耕しまして、すぐ炭カルと燐酸肥料を施しまして、それからすぐ牧草の種をまく、これは開墾と同時であります。
  105. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 炭カル等を輸送する道路の状況をお調べになりましたか。もしくは圃場と道路との間がどんな状態になっておるか、配った炭カルが雨に打たれてだめになるような現象をお考えになりませんか。これはどうですか。
  106. 立川宗保

    ○立川説明員 道路の問題は先ほども御指摘がございましたが、なかなか簡単でない問題がございます。それから先ほど戸嶋参事官から申し上げましたように、極力いろいろ努力をいたしておりますが、当初初年度あたりではいろいろそごを来たすことも場合によったらあり得るだろう、ただいま御指摘のような問題があり得るだろう、こういう気はいたします。場合によりますと、燐酸肥料はともかく全体に牧草の播種の前にやるけれども、炭カルはこの次に秋起す、来年の春また再墾する、こういうような時期にまくということも場合によればできるかもしらぬということを考えます。
  107. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そごを来たすことがあり得る程度では私は心配いたしませんが、そごを来たしておるのです。あそこの土地は炭カルなしでは実際ものができないし、道路がないことも事実なんです。持っていった炭カルを収容する場所がないということはわかっておる。まだ全体の設計やあるいは計画が確立してないということを聞きますので、できるだけ現地とももっと密接な連絡をとりまして、監督指導の方向をはっきりさせ、責任の帰着点もはっきりさせまして、そごを来たさないように早急におやりにならなければ、これはどうなるか今からわかっております。これは今までの公団の方に交渉いたしましても、全く現地の公団は何にも知らない。動いてもいない。農林省自体がはっきりしたことがわかっていない。これでは地元が非常に混乱いたしますから、早急に地元とも相談をいたしまして、納得ができる線でこれはきめてもらいたいと思います。  次に機械の使用料のことでございますが、一体今のトラクターは一時間どのくらいの損料になっておりますか。
  108. 小倉武一

    ○小倉政府委員 機械の使用料はただいま公団と私どもとの間で話し合いを進めておりますが、大体現在の類似の機械の使用料を参照いたしまして、公団の原価等も考慮いたしまして決定をするつもりでございますが、詳細はただいま資料を見ましてお答えいたします。
  109. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 聞くところによりますと、一時間四千五百円という内示があったということであります。普通の使用料は三千三百円から三千六百円であります。これでは公団の方がはるかに高い。あるいはやり方が違うのかもしれませんが、この料金の決定はやはり現地において実験をして一体どれくらいになるのやら、はっきりしたデータをつかまえてから御決定にならなければ、大へんな不平が出ます。同時にこの機械一時間当りの損料が一般よりも高いということは、また会計検査院からこずかれる原因になるのです。実施する県としては非常に困っておる。県の意向を聞きますと、全体計画が決定されていない、そのために県費負担の見通しがつかないので、予算さえ組めないという窮境に立っておる。これは一日も早く、実施する当該の自治体が困らぬように、早急に私は手を打ってもらいたいと思います。  農林省全体に対するお尋ねはこのくらいにしておきまして、次はジャージーに関して畜産局長に若干お尋ねしておきたいと思います。なおこれは政務次官にお尋ねをしたいのでありますが、一体ジャージーは再三地元の農民の要求があるということを局長が言われますけれども、この間の答弁では、入植者の条件としてジャージーを飼育するということを機械開墾の場合にははっきりときめている。そうしますと地元の農民が希望するというのはジャージーを希望するのではなくて、ジャージーにくっついてくる開墾の金がほしいのであります。ジャージを入れなければ開拓資金を出さぬというからジャージーだというだけの話であって、ジャージーの本質についての農民の要望ではないということを一応頭に入れておいてもらいたい。私はこれは現地で調べて参りました。そこでこれは政務次官にお伺いをいたしたいのでありますが、世界銀行の借款はもうまとまったのですか、まだまとまらないのですか、この点です。
  110. 小倉武一

    大石(武)政府委員 大体今月の終りにはまとめたいと考えております。
  111. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その場合はこっちはジャージーはほしくない、ホルスタインはほしいのだが、ホルスタインの金を出せと言った場合に、世界銀行が応ずる可能性がありますかどうですか。
  112. 小倉武一

    大石(武)政府委員 農林省では現在ホルスタインを入れようとは考えておりません。ジャージーを入れようと考えておりますので、そのようなことは考えてみたこともございません。
  113. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ジャージーを入れないで、今の開拓地に国内の牛で酪農を営ませるような可能性はございますか、ございませんか。
  114. 小倉武一

    大石(武)政府委員 それは、農民が希望すればそれもできると思います。
  115. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私のお伺いしたいのは、今のような条件で牛を貸し付けるようなことが財政的に許されるかどうか。牛は持たせたいが、金がないから世界銀行からの借款を当てにして、その世界銀行から借款をするためには、どうしてもジャージーを入れなければならないというひもがついておらないか、その借款とジャージーとのひもの関係について、私はお尋をいたしたいのです、
  116. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 借款はジャージーを輸入するための借款であります、従ってホルスタインを入れるようになれば、今の有畜農家創設資金で入れる、こういうことになると思います。
  117. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その場合に地元の要求さえありますと、ジャージーではなしにホルスタインを入れて、やはり酪農経営の指導ができるというふうにお考えでございますか。
  118. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは場所によっていろいろ違うと思いますけれども、たとえば上北の地区であれば、もうすでにジャージーとホルスタインとの混合地帯でありますから、集乳あるいは処理もそのようにできておりますのでさしつかえないと思います。但し私の方としては、これは役所の事務的な考え方からいえば、ここにはジャージーを入れた方がより経済的であるという考えは持っております。それをとにかくよく得心をしてもらって、どうしても得心がいかないということになれば、ホルスタインを養うということもやむを得ぬと思います。けれども私の方はジャージーを希望いたします。
  119. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その点について、この間配付されました資料を見ますと、さっき川俣委員からも懇々と述べられましたけれども、乳牛の購入費は現地で四万七千五百八十円なんですね、これが補助金も全部入れますと九万九千九百八十六円というふうに、大体十万円の牛になっているのです。そうしますと、大体五万二千何百円かは中間費に入っていることになる。種牛として入れるならばこれは仕方がありますまいけれども、五万円という中間費を払ってまでも五千頭のジャージーを入れなければならないという理由は、私はどこにも見出せないのでありますが、これは最小限度の種牛に限定して、あとは国内生産の方に振り向けるというわけにはいきませんか、どうですか。
  120. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはちょっとそういうわけにはいかぬのでありまして、種牛は種牛で二百頭当り一頭の平均でジャージーの種牛を入れております。その種をつける相手がまだないわけですから、それをある程度までこの間申し上げておりますように、私どもの計画では、今後五年間に今までの分を含めて二万頭弱を入れたい。それで今度自然にそれがある程度ふくらんでいく、こういうことをやってふくらむまで一定期間はどうしても入れなければならない、こういうことになります。
  121. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは局長に申し上げるまでもないと思いまするけれども、農家経営というものは、特に酪農経営というのは牛乳だけ売っておったのでは経営が立っていきません。勢い廃牛処理をしなければならないし、子牛もとらなければならない。その場合に、この牛というのは現地で四万七千円しかしてない牛ですから、国内で非常に安い価格で生んだ子が取引されることははっきりわかるのです。従って現地がジャージーをきらうという理由一つには、ホルスタインの子に比べて高過ぎるという不平も非常に多い。一体八万八千円という額をこのまま押し通すつもりなのか、あるいはもっと安くする公算があるのか、これもはっきり承わっておきたい。
  122. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは先般御説明しましたように、この間の入札で二千円だけ安くなるということははっきりしました。それからあと、そのほかの費用で私の方は節約を今検討しておりますが、八万円に近づける——八万円を割りたいのですが、八万円を割る  ことはちょっとむずかしいと思いますが、今八万八千円になっておるのを八万円に近づける、あと数千円節約をするように、研究しております。相当の見一込みがあると思います。今はっきり八万何千円になるかということは申し上げられませんが、八万円に近づける、−八万円をそう越えない程度までいけるだろうと思います。
  123. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この牛の買入れは始まっているのですか。あるいは入札をしているならば、アメリカのどういう会社でこれを売るのか、これをお知らせ願いたい。
  124. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 三十一年度は先般御説明しましたように、従来政府が買いつけるのが六百頭で公団が買うのが千九百頭であります。合計二千五百頭になっております。この政府で買う六百頭の分の入札は先般やりました。あと来月に入れば公団で扱う分も入札にしたいというので準備を進めております。選定官は先月の二十七日に立ってもう現地に行っております。牧場を回っております。数十の牧場から、一カ所三十頭ぐらいから、三頭ないし四頭を体格であるとかあるいは病気の点を血統証と対照しながらえり分けをするわけですから、それをもう始めております。この豪州の相手方としてはニュージーランド・ローン・カンパニー、そこを相手にしてそこが向うの集荷責任者ということにしておるのでございます。
  125. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと借款ができる前に、この法案通ります前に、予定の計画だけは開墾に先んじてどんどん進んでおるわけですね。開発公団というものは現地の道路を作る前に牛だけは入れる、この線だけははっきりいたしましたが、そこで非常に重要な問題は、農業経営ですから政府が無限に補助されるならばいざ知らず、やっぱり地元の入植者が行って経営をするならば、入れます乳牛の額なども非常にこれは大きな条件になる。どうしてもあなたのおっしゃる八万円の線では営農が成り立たないという線が出まして、もっと安価に手に入るホルスタインによって堅実な農家経営をしたいという要求のあった場合に、それならばこの計画は取りやめだというような恫喝はされないでしょうね。確めておきたい。
  126. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはちょっと誤解があると思いますが、今入れるのは機械開墾地の周辺の既農家に入れまして、その子を三年目に機械開墾地に渡す、こういうふうに予定しておるのであります。従ってそうしなければ今度出す入植者に安い子を渡すということができないわけですから、既農家に先へ入れて子をとっていく、こういうふうにするのであります。あとどうしてもホルスタインが欲しいというところがあれば、これは実はほかの地区から機械開墾地に集中し過ぎるというので、希望がたくさんありますれば、そっちに回すことは一向差しつかえないんじゃないかと思います。しかしあくまでも私どもは今までの経験で、やっぱり畜産地帯のほかの農業が伴わないことにはジャージーがいいという考え方を変えておりません。しかしどうしても納得ができないということになれば、先ほど申し上げましたようにホルスタインでけっこうです。
  127. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 現地が納得できないというのは値段が高いということも入っているのです。あなたは今開拓地に入れるのではない。周辺に入れるのだとおっしゃいますけれども、これはやっぱりこの法案通りますと、公団が仕事の一環としてこのジャージーの繁殖をはかるのです。繁殖をはかる場合に、繁殖の母体になる牛が高ければ子も安い値段じゃ売れないのであります。切り離して幾ら今入ってくる牛が高くても子は安くするのだ、こうなると周辺農家の経営を犠牲にして、新しい開拓者を助けることになってきます。この点はこの表で見てもわかっている通り、中間経費がまだまだこれは節約できる可能性があると私は思う。係官なども向うに行っておられるそうですが、そういう点を十分考慮されまして何か考えなければ、現地はこれは引き取れません。外国から入ってくるものは、さまざまな風評を生んでおるときでございまするし、この膨大なジャージーを入れまして、また競走馬の二の舞を演じないように私は強く要望をいたしておきます。それからなおジャージー種については、今後の酪農経営のあり方によっては、私はあながち反対するものではありません。けれどもあなたのおっしゃる通り、これは粗飼料に耐えてしかも集団的に飼育されて初めてジャージーの本質が発揮される。その場合にアメリカの粗飼料の観念と日本の粗飼料の観念が全然違っておる。日本の粗飼料といったような観念でやっても乳は出やしません。そこで何といってもこの計画に付随して、日本の酪農行政上大いに牧草の改良をやるとか、今までの経営の仕方のように、牛か豚かわからぬように、一頭丸々のものを裏の納屋にぶち込んでおく、こんな形態を離れまして、ほんとうに集団飼育ができるようなはっきりした経営方針、管理方法をお出しになるならば、これは十分納得し得るが、その点に対して遠大なる御抱負がございましたら、お伺いしたいと思います。
  128. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話の通りでありまして、草地の改良が議題になったのは戦後のことでございます。しかもここ数年であります。これはもう機械開墾をやること自体が、新しい成分の高い、レッド・クローバーとかオーチャードグラスとかいうものを入れる。そうしてそこで、試作をしてみて、一応これは日本の場合にも適するという結果で、もうすでに——これは何と申しましても米麦農業の人の頭の切りかえは、なかなかむずかしいのでありますが、各地方で、たとえば福島の白河地方だったと思いますが、五反歩全部を、じいさんが家族に宣言して、五カ年間は米の飯を一つも食わないということで牧草に転換して成功している例があります。そういう苦心した例が各所に出てきておるわけであります。これならいけるということで、これは各地に出てきております。計画は大体できて、その土地に合うような、燐酸をどれだけ入れるとか、炭カルをどれだけ入れるとか、どういう種類の牧草を入れるとか、こういうことの決定さえできれば、これはもう問題なくできるのではないかと思います。そういう点に今後の施策の重点を持っていきたい。しかしいずれにいたしましても機械開墾のところは従来と違ったやり方をするわけですから、慎重に御趣旨に沿うような指導あるいは助成をやりたいと考えております。
  129. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は大体これで質問をやめますから、あとは木村委員にゆっくり関連質問をやってもらいますけれども、今お聞きいたしますると、この計画につきましては、まだきまってもいないし、危ぶまれる点が非常にたくさんある。これは現地は、おそらくは中央では想像もつかないような不便な、大へんなものでありますから、机上プランでなく、できるだけ早く現地に出向かれまして、そこで十分なる検討と要求なども取り入れまして、もう一つそごのないような計画を立てられるように警告をつけまして私の質問を終ります。
  130. 木村文男

    ○木村(文)委員 実は私一つ不満を申し上げたい。委員長の処置として、おそらく少数党の諸君に十分意見を述べさせてやるというその党の方針を体して、この委員会の運営をしておる結果、その飛ばっちりが私にきたのだと思います。従ってその点については名委員長として敬意を表するが、先ほどいろいろ打ち合せした点について——これはやはり関連だから、関連は途中である程度の質問を許すということを、この後与党の諸君の中にもあると思いますから、特に御注意を願いたい。  さて本論に入りますが、実は淡谷委員の質問に関連する点は、先ほどから淡谷委員も、地元との非常に密接な連絡をとれという、そのお考えを基調としての御質問であったと私は拝聴いたしたのでありますが、私も実はその点についていろいろと地元から声を聞いておりますので、これに関連いたしまして当局にお尋ねをいたしたいと思っておったわけであります。大体私の御質問申し上げようとする半分については、淡谷委員からお尋ねがあったようでありますが、特に私はこの北海道の開墾と青森県の北部、上北を対象にするところのこの機械公団事業は、これを円滑にその目的通りに遂行するためには、何といっても地元との連関性、よく連絡をとる。また関係官庁の横の連絡がきわめて大切なことになると思う。従いまして私は、それを中心にしてまず第一に農地局長に四点お尋ね申し上げたいと思います。これはすべて地元の声でありますから、よく一つ考え置きを願いたい。そしてそれに基いた御答弁を願いたいと思います。  第一点は、この事業施行するに当りまして、工事の請負の入札等の場合は、地元の関係業者をも必ず参加せしめるように配慮されたいということでありますが、当局にはこの御意思があるかどうかということをお聞きしたい。
  131. 小倉武一

    ○小倉政府委員 建設工事につきましての請負関係でございますが、これは仕事が適正に行われるために、会計法上の制約もございますし、私ども内部的な取扱いのこともありますので、そういう諸規定に基きまして、支障ない限りなるべく地元の業界の方の参加を願うことはけっこうだ、こういうふうに存じます。
  132. 木村文男

    ○木村(文)委員 実は私がこれをお尋ねする理由は、仕事をやるには地元の協力がなければならぬと私は思う。もう一つは、失業対策の面から見ても、地元は失業の面から見て非常に苦しんでおるわけであります。でありますから、せっかく大きな事業を受けても、それが地元に全然利益がないというわけではないのですが、地元自身も負担をしておるであるから、失業しておる者のためにも私はこういう面を特に配慮願いたいと考えたわけであります。従いまして、もし会計法によって入札請負は中央だけでやる——中央の大きなものにとられるというきらいがなきにしもあらずであります。そういう場合には、人夫等を雇用するに当って特に地元の者を使ってもらえるように、一つ特に配慮を願いたいと思いますが、その点に関するところの当局の方針を承わりたいのであります。
  133. 小倉武一

    ○小倉政府委員 できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。
  134. 木村文男

    ○木村(文)委員 第二点として、三十一年度事業施行について、営農付帯事業やあるいは先ほど淡谷委員からたび重なってのお尋ねがありました炭カルの問題や、あるいは土壌改良工事用の資材の購入等に関する地元負担の資金面における自治庁との関係、あるいはその他の関係方面との関係、横の連絡が十分ついておられるかどうか、伺っておきたいのであります。
  135. 小倉武一

    ○小倉政府委員 三十一年度につきましては、全体の事業といたしまして、国、農家のほかに県にお願いをしなければならぬ部分は、先ほどもお話がございましたような土壌改良の費用が主でありまして、約七百万円程度でございますが、これは上北だけでございまして、根釧はまた別でありますが、北海道、青森両県につきましてもその点につきましては自治庁と十分連絡しております。
  136. 木村文男

    ○木村(文)委員 ところが、私が伺ったところによりますと、農地局長の今の答弁では十分連絡はついておると言いますけれども、なかなかそういうように連絡はついていないように承わっておるのであります。従いまして、予算を盛る上において県でも非常に困っておるということを私は聞かされておるのでありますが、その点は十分連絡がついておるかどうか確かめておりますか。
  137. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これはもちろん十分ついておりますが、お尋ねの趣旨はおそらくこういうことではないかと思うのであります。財政需要に見込んでおるかどうかということになると思うのであります。これは当然見込んでおるのでありますが、と申しまして自治庁から青森県に対しまして、青森県に対する交付金の中に土壌改良の費用として何百万円入っておるから、県費を計上せよ、こういう指令は、自治庁としては出さない建前になっております。これは開墾関係のみならず、われわれの補助金全部そうでございますので、やむを得ないこととは思うのでありますが、計上されておることは間違いございません。
  138. 木村文男

    ○木村(文)委員 そこが農地局長のお答えの通りにはいかないのでありまして、ここが問題なのであります。従いまして私は、もしかりに農地局長がそこまで自信のあるお考えがあるとするならば、この次の機会でよろしゅうございますから、すっかりとお確かめになりまして——これはその中に入っていると言われますと、役所では通るかもしれませんけれども、地元においてはそうはならぬのです。ここが下の役所のつらいところなんです。ですから、これをせっかくあなた方がいろいろと御心配になっているのでありますから、この際突っ込んだ自治庁との御交渉をせられまして、確たる書類か、覚書でもいいし、省と省との関係の取りかわしを、パーセンテージではっきりと具体的に表わすくらいの方法をとっていただきませんと、あなたのせっかく苦労した事業が結果においてほんとうによくいかないことになるのです。ですから、どうか一つその点を自治庁の関係の方面に確かめていただくように、特にお願いをしておきたいと思います。  この点はそれだけにいたしまして、次に第三番目といたしまして、先ほど淡谷委員からもお尋ねがあったかもしれませんが、設計や計画に変更の要がある場合には、必ず地元と打ち合せをして、しかる後に納得の上で工事を進めてもらいたいと思うのでありますが、この点は今までの間にどういうように打ち合せ済みであるか、明らかにしていただきたいと思います。
  139. 小倉武一

    ○小倉政府委員 機械開墾全体につきまして、建設工事から営農につきまして、もちろん地元の意見を十分参照しなければ法りませんので、具体的な問題は、これまでも県当局と十分打ち合せてきたつもりでございますが、なおその点につきましては念を入れて、随時われわれが現地に出張するなり、あるいは現地の方をお招きするなりいたしまして、一そう留意をしたいと存じます。
  140. 木村文男

    ○木村(文)委員 実は農地局長さん、これはひざをまじえてお話をした方がいいかもしれませんが、先ごろ私は当面の責任者だといわれる公団の責任者にもお尋ねしたのでありますが、その際も現地で十分打も合せ済みでありますと言われましたが、県に聞いてみますと、県はこれは非常にくどいているわけです。先ほどやはり淡谷委員からも、地元のことを——特に淡谷委員は選挙区であります。その選挙区の淡谷委員が大へん心配せられて、たび重なってこの問題を出しておる。それも要はここにあるのであります。実際あなた方に言わせると、十分打ち合せ済みでありますと言うけれども、与党の私にも、反対党である社会党の淡谷委員にもともにくどいて、県に関係のあるものは超党派的にやってくれ、この声はこういう意味なんです。われわれの声はわれわれの声ではない。ですからこの点は、県の人を呼ぶなどということでなく、出張旅費もかかるでしょうけれども、できるだけ現地に職員なり関係官を派遣せられて、すっかりと打ち合せをするように方針を変えていただくようにお願いしたいと思います。その御意向があるかどうか承わりたいのであります。
  141. 小倉武一

    大石(武)政府委員 仰せの通りいたす所存であります。
  142. 木村文男

    ○木村(文)委員 次にもう一つ念を押しておきたい。これは大きな施設を使うからこの開墾には関係がないと言われるかもしれませんが、政務次官にお尋ねしたい。それは今までの開墾には、私は与党ではなはだ申し上げにくい。あとで理事の諸君にまたおしかりをこうむるかもしれませんけれども、どうもうまくいっていない点もあると言いたいのです。八割ぐらいはうまくいっていないと私は思うのです。そこでこの結果として出てきておるのは、青森県の例を申し上げると、実は開拓者の中で生活保護を受けている者が約六千世帯あるという現況である。私はこれを考えてみましたら、ほんとうにりつ然とすると思う。そこでもし万一今度の施設で初めに入植させて、雪のために工事ができなくなったとかいうようなことが起きたとするならば、そういう結果が生じないとも限らない。そういう場合には生活保護費だけの救済の道でなしに、何らか別の道を講ずる意思があるかどうかということを、これは農地局長に対しては事務的に、政務次官に対しては政治的な立場においてお伺い申し上げたいと思います。
  143. 小倉武一

    大石(武)政府委員 事実仰せのようなことが今までの開拓政策並びにその実績の中にはあったかと私も思います。これは非常に申しわけないことと思いますけれども、やはり今まで戦後十年間日本の国情のいろいろな困難さがそのようなしわ寄せを来たしたと思うのでございまして、今後は絶対にそのようなことのないように十分に配慮をする所存でございます。
  144. 木村文男

    ○木村(文)委員 畜産局長一つお伺いしたい。ジャージーを輸入する問題とホルスタインの問題は、県内の地元では非常に大きな問題になっておるわけです。この点については、さっき淡谷委員に答弁したことには間違いがないでありましょうね。この点を確認しておきたいと思いま。
  145. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 淡谷委員にお答えした通りであります。
  146. 吉川久衛

    吉川委員長代理 暫時休憩いたします。    午後四時三十七分休憩      ————◇—————    午後四時四十六分開議
  147. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  148. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本案につきましては本日まで数度質疑を続けてきたわけですが、結局問題になる点といたしましては、まず全体の問題としては、農地開発機械公団が乳牛導入業務を行うということは、昨年本法律立法した当時の立法の本旨にもとるようなおそれがあるのじゃないかという点が非常に指摘されるわけです。その点に対しましては、今後政府当局としては、農地開発機械公団法が昨年立法されたときの農地開発の根本的な本旨をいささかも歪曲するというようなことのないような点に対して、どのような確信を持っておられるか。しかも今回の乳牛導入に対しては、開発公団が全く自己の責任においてこれを行うということではなくて、ほとんど財政的な負担等に関しては、地方公共団体や関係農業団体等にその負担を転嫁するというような点もあるわけです。この二点に対してはどのような考えを持っておられるかということと、さらに今回の法律改正等によって考えられる点は、今後の公団の人事とか機構あるいは資金調達の方法等についても、全面的な検討を加える時期に到達しているように考えられるわけなんです。これをあわせて総括的の問題としての政府の所信を承わりたいと思います。
  149. 小倉武一

    大石(武)政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。公団運営につきましては、全面的に再検討いたし、公団設置の所期の目的を確実に実現するため遺憾なきを期す所存でございます。それから農家の自己負担分の融資を促進し、いやしくも地方公共団体立てかえ払い等その他地方財政に過重の負担を来たすことは、絶対ないようにいたす所存でございます。
  150. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、この法律案が成立した場合に考えられる点は、第一の点は、公団が行う業務のジャージーの導入に対しては、非常に価格が高いということなんです。これは一切の経費を入れるということ、ジャージー一頭が十二万円にもつくわけです。これは自己負担並びに政府負担関係都道府県の負担によりまして、とにかくジャージー種そのものの導入が非常に価格面において高きに失するということは、政府も認めておられる。しかも開拓地あるいは集約地区に入れるジャージーの場合ですから、これは自己負担分に対しましても極力価格の引き下げをやるという必要がある。特にその理由としては、現在の乳価あるいは乳牛の償却費の点から見ても、これはやはりジャージー種を持つということは農業経営上農家の経営の安定になるという見通しの上に立たなければいけないのですから、こういうような価格の引き下げ等に対しては、自己負担分が大よそ八万八千円ということになっておりますが、われわれとしては、やはり七万五千円程度で農家が持てるようにしなければいかぬと思うのです。この点に対しましては、どのようにして乳牛の価格の引き下げを行なって農家に持たすか、この点に対する見通しをお尋ねしたい。
  151. 小倉武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。全くお説の通りに努力いたしまして、ジャージー種乳牛の導入に際しましては、できるだけ買付価格を引き下げます。そして中間経費をできるだけ節約いたしまして、仰せの通り農家に対する負担をできるだけ軽減いたしたい、こう考えておる次第であります。
  152. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は先ほど畜産局長も、八万円を割るようにするということを言明しておるのです。だから政務次官の今の御答弁のできるだけやってみるということでなく、八万円を必ず割るということでなければ困るのです。大体どのくらいにやるお考えですか。
  153. 小倉武一

    大石(武)政府委員 あらゆる努力をいたしましてでき得る限り下げたいと思いますが、先ほど畜産局長からお答え申し上げましたように、八万円を中心とする値段まで何とか持っていくように努力する、所存でございます。
  154. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第二番に問題になる点は、世銀との借款条件は年利五分、償還期限十五年ということで借款が成立すると思うわけです。その場合においては、農家に対する、あるいは都道府県に対する貸付条件等に対しても、世銀との間において成立するであろう借款の条件と同一にこれをするということが当然のことなんです。それが今日においては、政府の方針として、農家に対しては年五分の利子で償還期限を十カ年にするというような計画だけれども、これは全くけしからぬ話です。ですから、世銀借款の条件と必ず同一条件にするという取扱いをすることに考えを改めるかどうか、その点はいかがですか。
  155. 小倉武一

    大石(武)政府委員 できるだけ仰せの通りにいたしたいと思います。先ほどお話の世銀からの年五分、償還期限十五年というのはこちらの希望でございまして、できるだけこのように取りまとめたいと考えておる次第でございます。そのような有利な条件になりましたならば、あらゆる努力をいたしまして、できる限りこれに近いようなところまで持っていく方針であります。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は世銀との条件と同じにするということでわかるわけですが、第三の点は、農家の自己負担分は、結局農家が導入乳牛を買い入れて、それを年賦償還で返済するということになるのですが、この償還契約というのがあまり厳重に失する場合は、当然返済不能というような事態も起きないとも限らないわけです。ですから契約を結ぶ場合は、いろいろな事態に備えて、こういうような場合においては返還条件を緩和するとか、その分に対してそれを地方公共団体の責任に帰属させるというような厳重な契約を結んだ場合においては、ジャージー種を入れないということになるかもしれませんから、そういう点については適切なる具体的な条項を掲げて、そして安心して導入ができるようにすべきである。もう一つは、世銀借款以外の有畜農家特別措置法に基く二万六千円の融資分に対しては、これは政府の方針によると、横浜にジャージーが着くと同時に融資が行われていなくても、関係都道府県は資金を調達して公団に渡さなければならぬということになっておる。そうなると、資金融通を受けるまでの間地方公共団体立てかえ払いをするというような事態が必ず生ずるわけです。これは都道府県としては非常に迷惑なことであるから、もうどの府県に何頭のジャージーが入るということは計画済みであると思いますから、これに対しては都道府県が資金の立てかえをすることのないように、やはり有畜農家の資金の融通措置等は、事前に手配して促進しておく必要があると思いますが、そういう万般の措置というものはどのようになっておりますか。
  157. 小倉武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。農家の営農の状態を十分に勘案して、非常に弾力的な取扱いをいたしまして、そうして償還ができないためにいろいろみじめな場合にあうということが絶対ないように指導いたす所存でございます。  それから先ほどの融資の問題でございますが、これもできるだけその融資を促進いたしまして、いやしくも地方公共団体の立てかえ払い等のないように、そのような事態を起さないでも牛が十分農家に渡るように、あらゆる努力をいたす所存でございます。
  158. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後にジャージーの導入に関する三カ年計画で三億一千万円の世銀借款は、農地開発とあわせて総額十八億の一環として行うのであるから、これだけを切り離してということは非常に至難だと思いますが、今後はこういうような外資だけに依存したわが国の酪農振興考えるような、そういう消極的な他力依存の政策というものは一擲する必要があると思う。ですから、これを契機にして今後のわが国の畜産政策等は、やはり自力でやっていくというような明確な決意が必要であると思いますが、今までのこういう他力依存の河野農政をこの際転換させる必要を政務次官としては認めておられると思いますが、その点はいかがですか。
  159. 小倉武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。もちろんわが国におきましては、酪農というものが今後は農業の中心になることと思いますので、自力でもやり得るような国家の方針を確立しなければならぬし、そのような実績をあげたいと念願する次第でございます。
  160. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 他に御質疑はございませんか。——なければこれにて質疑は終局いたしました。  これより討論に入るわけでありますが、討論の通告もございませんので、これを省略し、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  161. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 起立総員。よって本案を原案の通り可決すべきものと決しました。  この際淡谷悠藏君より本案に対し附帯決議を付したいとの申し出があります。これを許します。淡谷悠藏君。
  162. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 本案に次の附帯決議をつけたいと思いますので、御賛成をいただきたいと存じます。読み上げます。    農地開発機械公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議    政府は、農地開発機械公団法改正に伴う乳牛導入業務実施にあたり、左記の諸点に留意し、いやしくも地方公共団体、農業団体又は農家に過重の負担を課することとならないよう万全を期すべきである。    なお、政府はこの際、公団運営については全面的に再検討し、公団設置の所期の目的を実現するにいかんなからしむべきである。        記   一、公団の売渡しに係るジャージー種乳牛の農家負担額は、乳価または乳牛償却費の点より見て著るしく割高であるから。乳牛買付価格を引下げ且つ中間諸経費を節減してこれを大巾に低減するよう努力すること。   二、公団の国際復興開発銀行からの借入条件は、年利五分、償還期間十五年となっているにもかかわらず、農家に対する貸付条件を年利五分、償還期間十年としていることは不適当であるから、同銀行からの借入条件に見合うよう貸付条件の緩和を図ること。   三、導入乳牛に対する農家の自己負担分については、地方公共団体の立替払とならないよう時期を失することなく融資の促進に努めること。   四、農家に売渡した乳牛の対価の回収については、営農の状態に応じて弾力的に取扱うよう契約内容の適正を期すること。    右決議する。     昭和三十一年五月九日        衆議院農林水産委員
  163. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 お諮りいたします。ただいま淡谷悠藏君より提案されました附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  164. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 起立総員。よってただいまの附帯決議を付するに決しました。  なお、本案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会      ————◇—————