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1956-04-28 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十八日(土曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君       赤澤 正道君    足立 篤郎君       五十嵐吉藏君    井出一太郎君       石坂  繁君    大野 市郎君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       綱島 正興君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    小川 豊明君       川俣 清音君    神田 大作君       田中幾三郎君    中村 英男君       日野 吉夫君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君         通商産業事務官         (通商局次長) 樋詰 誠明君  委員外出席者         農林事務官   木多 政治君         参  考  人         (大映映画株式         会社社長)   永田 雅一君         参  考  人         (大映社長秘         書)      木村武千代君         参  考  人         (日本トロッタ         ー協会会長)  広沢 春彦君         参  考  人         (日本中央競馬         会業務部長)  井上 綱雄君         参  考  人         (藤井商店店         主)      藤井  治君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月二十七日  委員芳賀貢君辞任につき、その補欠として川俣  清音君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  馬匹輸入に関し参考人より意見聴取     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず先般来調査を続けて参りました馬匹輸入に関する事情調査のため、参考人各位より御意見聴取いたしたいと存じます。本日の出席者は、大映社長永田雅一君、同社長秘書木村武千代君、日本トロッター協会会長広沢春彦君、日本中央競馬会業務部長井上綱雄君、藤井商店主藤井治君、ここに並んでおられる順序でございます。  なおこの際、参考人諸君委員長よりごあいさつを申し上げますが、本日はお忙しいところわざわざ御出席をいただいて、ありがたく存じております。本日の意見聴取の形式は、質疑という形で進めたいと存じますので、さよう御承知をいただきたいと思います。なお参考人諸君に申し上げますが、質疑に応じて答えをせられまする場合は、委員長をお呼びを願って、委員長の許可を受けてそのつどに御発言を願う、かようにいたしたいと存じます。  なお永田参考人は、午前中だけで、午後は所用があるということでありますので、最初永田参考人質疑をせられることを希望いたします。  では質疑を許します。中村時雄君。
  3. 中村時雄

    中村(時)委員 参考人方たちお忙しい中をわざわざお呼び立てをいたしまして御出席を下さったことは、深く感謝する次第であります。  御存じのように、実は当農林委員会におきまして、今まで競馬馬というか、種馬と申しますか、この問題に関しまして、実は日本トロッター協会会長広沢春彦さんから、昭和三十年十月十一日をもって、通商産業大臣石橋湛山氏あてに、米国産トロッター輸入外貨資金割当申請について行われたのであります。ところが、途中におきましてサラブレッド競走馬が三頭輸入されて、しかもその当時外貨割当として一万五千ドルが残っておった、その残っておった金額があると思って三頭を取り入れた。ところが実際にはそれが二月十七日をもって期限が切れて、ついにこれが実現できない。そこでトロッターにおけるところの資金をもってそれを肩がわりする、こういう事件がたまたま起ってきたのであります。それに対しましていろいろな疑義が生まれている。たとえば為替管理法の問題であるとか、あるいは河野農林大臣が、大臣としてその監督下にある競馬協会を通じてこういう行為を行うところの政治道義の問題、こういう問題がたまたまここに現われてきたわけなんであります。そこでその問題の基本を一応お聞きしたい、こういう意味において関係者諸氏のお集まりを願ったわけなんですが、今委員長からお話を聞きますと、一応そういう行為に対するいろいろなお話を承わりたいのでありますけれども質疑応答のような格好とおっしゃるので、はなはだ失礼とは思いますけれども、そういう観点からお尋ねをしていきたい、このように考えております。  まず第一に永田さんにお尋ねしたいのでありますが、アメリカにおいて河野さんとお目にかかった前後のいきさつ内容、これが第一点。それから御出発の際に、農林省の技官か、あるいは事務官かもしれませんが、お宅にお伺いをして、こういう一万五千ドルの金が余っている、これで競走馬でも入れないか、こういうことをお伝えに行ったということを承わっているのですが、そういうふうないきさつ内容、こういうことをまず第一にお尋ねしておきたい、このように思うわけです。
  4. 永田雅一

    永田参考人 私、永田であります。今の御質問についてお答え申し上げます。  昨年の九月十二日と記憶いたしているのでありますが、本日やはり同じ参考人といたしまして私の秘書木村君が参っておりますが、本社の社長室木村君が参りまして、農林省畜産局本多事務官がたまたま来られて、馬の輸入に対する外貨が一万五千ドル余っているから、君のところの社長が最近アメリカに行かれるらしいが、アメリカに行かれたならば、種馬でもこの一万五千ドルで輸入されたらどうかということを本多事務官自分、すなわち木村秘書に言ってくれた。だから社長、もしもあなたが馬を買う気があるならば、一万五千ドルの輸入ワクがある、こう言っておられますから、そのことを申し上げます。こういうことで初めて私自身は馬の輸入の一万五千ドルのワクがあるということを知ったのであります。そこで私は当時、同月すなわち九月の十八日にニューヨークに要件がございまするので、日本時間九月十六日の。パンアメリカンで出発いたしました。サンフランシスコニューヨーク行の飛行機に乗りかえるものでございますから、サンフランシスコ・タイムで十七日の午前中と記憶しておりまするが、サンフランシスコへ着きましたら、たまたまアメリカの私ども友だち河野君がエアポートに見えておりました。そこで初めてサンフランシスコ河野君がおったということを知ったわけであります。あなたはどうされるかと言いましたところが、自分はワシントンで用足しをして、今晩か明朝の飛行機でもってロスアンゼルスを経由して日本に帰るんだ、君はどうするんだと言うから、私は飛行機待ちをして、ニューヨークヘ九月十八日、明日中に入らなければならぬ、それならば半日あるじゃないかということから、私ども友だちと野君と同伴で、私のフェアモントとうホテルへ参りました。そこで友だち並びに河野たちから最近のアメリカの話、いろいろなことを雑談しておりまするときに、たまたま私はその一万五千ドルの馬の輸入ワクがあるということを思い出したのであります。それで私は河野君に、君は農林大臣をしておられるんだからわかるだろうが、一万五千ドルの馬の輸入ワクがあるということを聞いたが知っておるかと聞きました。そのとき河野君は、知らぬ。実は私の秘書木村君に本多事務官が、一万五千ドルのワクが余っておるんだが、種馬でも入れたらどうかとわざわざ親切に知らしてくれたんだから間違いないと思う。だから私は都合によれば、時間の余裕があれば、アメリカ種馬を買い、その馬の能力を検定したいと思うが、君はどうする。こう言って私は河野君に尋ねましたところが、ぜひ僕も半分乗せてくれということで、一緒に買おうじゃないかということはそこで決定したのであります。  この機会に申し上げたいと思いますが、私がその馬を買うというときの心境は、当時河野君に私は申し上げたのでありまするが、今までにアメリカサラブレッドを三十頭ずつ二回、ここ二、三年来入れたことがあるのであります。そしてこれを日本馬主日本金で百五十万円で抽せん馬として配付いたしまして今なおこれが走っておるのであります。ところがその馬を三十頭二回入れたのでありまするが、そのうちの十頭内外というものは、日本競走馬一流の下に相当するくらいの程度能力を持っておるのであります。そこでその金額を調べてみますると、USダラーで大体において二千ドルから二千五百ドルくらいしておる。その程度値段の馬が日本に来て、日本競走馬一流の下に位するくらいの能力を持っておる。だから、もしもその倍額である、すなわち五、六千ドル程度の馬を買えば、アメリカでもその値段からいけば一流の下である。このくらいの程度の馬を輸入して、種馬の前に一応能力検定日本の馬と競走させれば、私は日本の馬の方が勝つと思う。現在日本でも、長距離は日本の馬の方が能力があると思う。だからこの機会に一応能力検査して、幸いにして日本の馬の方が速いということがきまれば、逆に日本の馬を輸出しようじゃないか。こういうようなことを河野君と話し合ったのであります。だから、この一万五千ドルの馬の輸入ワクが残っておるなら、これを利用して、種馬を二、三頭入れよう、能力検査してみよう、こういうことだったのであります。  そのときに河野君が私にいわく、永田君、君にしても僕にしても、馬は好きだけれども、なかなか馬を見るということはできない。たまたま中央競馬会から井上君が中心でカリフォルニア州におけるところのトロッターレースその他の競馬視察に来ておるから、彼に見せて馬を買わしたらどうだろう、お互い馬はわからぬじゃないか。ごもっともだ、ところで井上君がこちらにおることはわかっておるのか。大体ロスアンゼルスにおるということだから、自分は一日ロスアンゼルスにおるから、井上君を探して、もしも井上君がおったならば、彼は獣医の資格を持っておるから、馬をよく見ることができるだろう。じゃ、彼に依頼しようじゃないか。もしも自分ロスアンゼルスに行って彼井上君に会えなかった場合には、君はニューヨークから帰りにロスアンゼルスに寄るんだろうから、そのとき井上君を見つけて頼んでくれということで、私はニューヨークに立ち、河野君はロスアンゼルスに立った。こういうことなんであります。引き続いて述べさせていただきますが、それから私は九月二十六、七日ころと記憶いたしておりますが、ニューヨーク用足しをいたしまして、ロスアンゼルスに参りました。そうすると、私の旅館であるところのビヴアリー・ヒルス・ホテルというホテルに、井上君がたずねて参られました。そのとき清水という輸出商店の主人と、ほかに日本人が一人で、三人で私のホテルにたずねて来られたと記憶いたしております。そうして久しぶりにアメリカの土地で会ったものだから、井上君何しにこちらに来ておるのか、河野君に聞いたんだが、何か視察に来ておるのか。いろいろと視察に来ておる、というような話がございまして、井上君が私に、実は農林大臣にお目にかかったら、一万五千ドルの馬の輸入ワクがあるということをお前知っておるか、ということを聞かれたが、井上君いわく、自分は知らない。永田君が言っておるんだから間違いないだろう、ついては種馬にもなり、能力検査もできる、一万五千ドルのワク範囲において買い得る、なるべくその範囲において、いい馬を二、三頭買えと言われたが、買っていいんですかということを、井上君から私に念を押されましたので、その通りだ、買ってもらいたい。ぜひ将来種馬にもなり、能力検査しても十二分であるということを一つ君研究をお願いする。そうしたところが、そのときに、買うには手付金が要る、こういう話だったのであります。そこで私は、今旅行の帰り道だし、アメリカ映画業者に金を借ろうと思えば借りられる、しかしまさか馬を買うのに金が要るから金を借してくれということも言えぬ。それで私は清水商店のあるじに向って、あなたは私を信用いたしますか。信用いたします。あなたはこの馬を購入して、やはり輸出をやられるでしょう。そうすると、エキスポートとして手数料をとられるでしょう。いただきます。それならば、私は帰らなければ一万五千ドルのワクがもらえないんだから、あなた信用するならば、あなたの方に払い込むまで手付金をお立てかえになったらいいじゃないか。もちろん立てかえさせていただきます。ということで、それじゃ井上君お願いしますということで、私は別れたのであります。そうして日本に帰国いたしましたのが、十月四日と記憶いたしております。そうすると、私帰りますと同時に、秘書の大村君に、実は井上君に頼んで馬を二頭ないし三頭買ってもらうことにしたよ、だから大丈夫なんだね、と言ったところが、その明けの日の五日だと思いまするが、私は本多事務官に一万五千ドルは大丈夫なのかと聞いたところが、いや大丈夫ですからという返事でございましたから御安心願いたい。こういうことで実は安心しておったのであります。それから約十日間ほどしてから、中央競馬会業務部長井上君から、藤井という輸入商店を紹介しますから、それに一万五千ドルに相当する円貨を払ってもらいたい、一切の手続はその藤井商店がやってくれるということの紹介で、藤井商店の者が参りましてそこで藤井商店に一万五千ドルに相当する五百四十何万円というものを領収証をもらって払い込んだのであります。そういたしまして、最初は十一月か十二月に輸入してくるというものがおくれまして、一月十日ごろに横浜に到着した。そうしてちょうど金を払い込んだあとでありましたが、最初私は二頭だと思ったら三頭になった、こういうことであります。それで一頭が牡馬、二頭が牝馬でありました。でありますから横浜に着きましたので、河野君に僕は牡馬の方をとる、君は牝馬の方をとってくれと言ったのです。牝馬の一頭は私はあまりいい馬でないと思うのですが一頭はいいと思います。でありますから一頭を私がとって、二頭を河野君がとったのであります。それから私は牧場へ持って行く前に能力検定をしたいというので、私は私の馬を直接競馬場田中和一郎厩舎に預けてあるというのがただいまの御質問に対しましての事実を申し上げておる。以上でございます。
  5. 中村時雄

    中村(時)委員 今お話を聞いておりますと、永田先生日本の馬を輸出するということをちょうどアメリカに行った当時に考えられておった、こういうお話なんでありますが、日本の馬を輸出するという目的は、やはり競走馬として輸出する、そこで日本競走馬というものが非常に優秀であるということを御主張になる。これはある意味では外貨獲得に対してもプラスになると思います。おそらくそういうお考えだろうと思うのです。これは常識で判断いたしましても、種馬としてという問題よりもまず競走馬としてこれが優秀であるというお考え方があってなされたのだろうと思うわけですが、その点に対してはどうでしょうか。
  6. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。私はもちろん今の御質問に対しては双方だったと思います。ということは私も馬主として見まして、詳しい事情は知りませんが、いささかアウトラインは知っておりますので、競走馬というものはある程度能力検査をするまでしか競走させてもらいない。また御存じ通り競走だけの観点でございましたならば、年に一度のダービーというのがございまして、馬主というものはそのダービーの勝馬の馬主になりたいということがやはり馬主になる動機だと思います。私が馬主になりましたときはさような考え馬主になったのでございます。ところが日本にはルールがございまして、外国馬のいかなる名馬でも、いかなる高価な馬を輸入いたしましても、ダービーはもちろんのこと、日本の優秀なるところの五大レースには出走できないのでございます。でありますからそういう高価な馬を買ってもダービーに出られない、いなその他の有名な五大レースにも出られないというようなものを、競走だけの観点では購入いたされないのであります。でありますから結論は種馬として、種馬にするまでの間に——今は二年の間能力検査ができるということを知りましたが、その当時は私はわずかの期間しか能力検査ができないということを知っておりましたので、でありますから能力検査をしたいというのが私自身の偽らざる気持でございました。
  7. 中村時雄

    中村(時)委員 はなはだ変な聞き方になるかもしれませんが、たとえば以前に三十頭ずつ二回、百五十万ドルくらいで買っていらっしゃる。それは現在も競走馬として使われているわけでございましょう。先ほどのお話では今般の輸入種馬に主体があるんじゃなくて——御存じのように種馬というのは大体牡馬をいうわけですね。在来牝馬を入れるときの種馬、かような場合には、大体はらんでいるやつを輸入しているわけですね。その方がプラスになるわけです。というのは雄であれば年にたとえば四十頭か五十頭か六十頭の種がとれるわけです。ところが雌であればこれは実際に受胎するかしないかもわからない。そこで種馬というものは大体雄をいっているわけです。また実際の法律の上にも部分的なものには書いてある。畜産局長は最近苦しまぎれのとんでもない定義をやりましたけれども、そういうことがあるわけなんです。そういうことは永田先生もその方の権威者でありますから御承知だと思うのです。そこをやはりお考えになれば——あなたが種馬を作って牧場でも経営するというお考えを持っていればどうか知りませんが、少くとも競馬について非常に興味を持たれて、この前の中央競馬会のときにはたまたまあなたのお名前が出たのであります。そういうことを考えますと、その中心競走馬において事をやっていきたいということが偽わらざる私はお考えであろうと思うのであります。あなたは種馬云々とおっしゃいますけれども、それはどっちかというと従の問題で、主としての問題はやはり競走馬で事を運ぶということが馬主としては最も主たることじゃないかと思われます。
  8. 永田雅一

    永田参考人 さように考えられることもいたし方ないと思いますが、私自身種馬のつもりで入れる、能力検査をしようという気持に偽わりはありません。ということは、私は牧場は経営いたしておりませんけれども、私は牧場経営主には考えが二通りあると思うのであります。一つは商売で牧場を経営しておる方、すなわち生産者でございます。私の場合としては自分の趣味で生産をいたしております。牧場主としては経営いたしておりませんが、実は私は北海道の大塚牧場にイチヂョウ、エンドオブタイムという牝馬を持っておりまして要するに種をとりまして自家用自分生産いたしております。また下総の若草牧場ではフラワワイン、ハナミノルという牝馬を持ちまして、そうして種つけをしております。またラショウモンという馬を、これは軽種馬協会に貸しつけております。ですから牧場に常に七頭から八頭私は自分の馬を預託し、自分生産をいたしております。でありますから私の牧場に預けております馬はおおむね牝馬でございますから、自分自家用で自給自足で馬を生産していきたいと思いましたので、特に私の場合は牡馬を入れたのであります。以上であります。
  9. 中村時雄

    中村(時)委員 もう一点、清水商店から立てかえ払いをお願いして、内地へ帰って藤井商店が大体代行する、こういう状態で金を払われた。そういうことですから、河野農林大臣は当初友一人——あなたの名前ではありません、友人にこの馬をもらったということを言われたのでありますが、そういうふうにあなたがお贈りになったのでありますか。
  10. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。実はサンフランシスコで会いましたときに一万五千ドルのワクで二、三頭入れようといって相談いたしましたときに、永田君、自分は今まで浪人をしていた、一口にわかりやすくいうならば冷飯を食っていた時代から君には世話になっていた、今は曲りなりにも大臣になったことであるから、そうそうは世話になるのはいやだ、だからこの馬を買うのに日本の円として二百五十万円は自分が支払いたい、だから二百五十万円だけは自分が支払うということを、サンフランシスコで話をしたときに彼は私に申し入れております。そのときに私は、君と僕との間だからいいじゃないかと言ったのですけれども、彼は、そうそう永田君に世話になっていられない、このことだけは、やはり二百五十万円だけは自分が払いたいということを言っておりました。それから私がその藤井商店に支払ったときに、これだけの金を支払っておいたよと言いましたところ——そのときのことは記憶いたしておりますが、実は永田君、自分は藤沢か何かにちっぽけな家を持っているんだ、それが、あせるかあせらぬかだけで、値段が三、四十万円違うんだから、これが売れたら、要するに二百五十万円を払い込むということでございました。今なおそれは清算しておりません。  なぜしてないかと申しますと、最初馬を送ってくる方は清水さんだということは知っておったんですが、中央競馬会から藤井商店を紹介されました。藤井商店は私は存じ上げない。ところがそのときに、馬一頭の輸送賃は四十万円だという話だった。四十万円であるならば、人間一人が飛行機ニューヨーク往復するよりまだ高い、それは高過ぎるじゃないかというけれども、もう仕方がない、約束をしてしまったものですから、じゃ、四十万円で仕方がない、こういうことであったのであります。そうすると、請求書が、二月の二十日ころと記憶するのですが、参りました。それが四十万円どころの騒ぎじゃなくて、合計いたしまして百四、五十万円の請求書を持ってこられたわけであります。でありますから、私は金が惜しいんじゃない、人間約束したらそれは実行してもらいたい、そうして最初は二頭であったものが途中から三頭になった、それは一万五千ドルのワクの中にしてしまう、ただ輸送は、二頭送るのも三頭送るのも、馬丁が一人ついてくるだけの話だから、これだけ高いんだから一頭はまけてサービスせいと言ったら、その点はサービスいたしますということだった。従って私は、二頭で八十万円とプラス保険金だけでありますから、その保険金も、常識からいくならば十万円か十五万円でございますから、百万円までで済むと思ったのに、百四、五十万円の請求を受けたのであります。でありますから、今なお清算ができておらないのであります。  なぜできていないかと申しますと、私は金を払うのが惜しいんじゃないのです。どう勘定いたしましても百五十万円にはならないというので、清算がついておりません。従って河野君との一切の清算はついてないのであります。でありますから、馬代としては彼から二百五十万円もらうのであります。そこで輸送賃が解決つけば、その輸送賃をその比率で分けるということになっておるのであります。
  11. 中村時雄

    中村(時)委員 そうしたら、これは御確認願いたいのでありますが、河野さんにあなたが贈呈をしたものじゃないのですね。
  12. 永田雅一

    永田参考人 さようでございます。
  13. 中村時雄

    中村(時)委員 もう一点。先ほど一万五千ドルという種馬としてのワクをとあなたはおっしゃいましたけれども種馬としてその当時計上されましたワク期限が切れていたわけなんですね。これは御存じであったかどうですか。
  14. 永田雅一

    永田参考人 その当時は全然知らなかったのです。最近いろいろと物議をかもしてきたので、どうしてこんなに問題になるのかということで、事情を聞いて初めてそれが切れていたことを知ったんです。全然知らなかったのです。
  15. 中村時雄

    中村(時)委員 それではあなたのお考えは、種馬としての一万五千ドルであって、トロッターとしてのワクの内から来たところの支払いの能力を持った一万五千ドルじゃなかった、こういうことなんですね。というのは、トロッター協会から申請をして十万ドルの資金を取っているわけなんです。ところがその一万五千ドルのあなたの方に差し上げているワクというものは、トロッター協会のそのワク内の金を使用しておるのです。だからあなたが当初考えられました一万五千ドルのワクとは全然その趣きが異なっておるわけなんです。そこに一つの大きな問題の焦点が出てくるわけなんですが、この点は慎重によくお答えを願いたいと思います。
  16. 永田雅一

    永田参考人 私はただ一万五千ドルの馬の輸入ワクが余っておるからこれを使用したらどうかという一点だけでございまして、それが何のワクであるか、一万五千ドルの馬の輸入ワクがあるということのほかは、今あなたがおっしゃったトロッター協会とどうなっておるのか、そんなことも一切私知らないのです。全然事情は知らないのです。
  17. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると知らないということは、逆に考えた場合に、あなたの知っている範囲内というものは当初の一万五千ドルのワクだけを知っていらっしゃった、こういうことになるわけでございますね。
  18. 永田雅一

    永田参考人 さようでございます。
  19. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 関連して。この一万五千ドルは、トロッター協会が申請をして、十万ドルのワクをとっておったわけです。それが一万五千ドル余った、それをあなたが利用なさったのですが、だれに交渉して役所の方はどういうように交渉してそれをあなたが使えるようになったかということを聞きたい。
  20. 永田雅一

    永田参考人 私は一万五千ドルのワクがあるからそれを使用せいと言われただけでありまして、それがトロッターであるのか、そういう十万ドルの申請の中から一万五千ドルが余ったというようなことの事情は一切存じ上げないのであります。ただ、要するに一切何も事情を知りませんでして、中央競馬会井上君が、馬の輸入手続一切、藤井商店というものを紹介するから、藤井商店に払い込んでくれと言った。ですから私の考えでは、その一万五千ドルを藤井商店に払い込んで、手続から何から全部できるものだ、かように思っておりました。
  21. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうするとあなたは一万五千ドルに相当する円価を藤井商店に払っただけなんですか。
  22. 永田雅一

    永田参考人 さようでございます。
  23. 川俣清音

    川俣委員 ちょっと関連して。今永田さんのお話の中で、先に清水商店と約束してあとで藤井商店にかわったようですが、このかわったことについてどういう決済をしておられるのか、あなた自身が決済をしたのか、藤井商店が決済をしたのか、その点をお尋ねしたい。それからその清水商店というのは外社ですか、国内会社ですか、この点はどうですか。もう一つ清水商店立てかえ払いをされたときに外貨割当を持たないで、外貨割当までも清水商店に依頼されて手付金を打たれたかどうか、この点です。
  24. 永田雅一

    永田参考人 お答え、いたします。清水商店といいますのはアメリカエキスポート商社でございます。そして実はその当時初めてこれを輸出しておるということを知ったわけです。その清水という人を私は存じ上げておるのです。それは日本人のロスアンゼルスの町の商工会議所の会頭を勤めた男で、商売はくつ屋さんだったものですから、初めてエキスポーターだということを知ったわけです。この方はアメリカの籍のある人だと思いました。ですから多分私は、これからは想像でありますが、清水という店から輸出をして、受ける方が藤井商店だ、私はかように想像いたしておりました。
  25. 川俣清音

    川俣委員 そこで私のお聞きしたいのは、あなたが外貨割当を持たないで、清水商店に依頼した、こういうことになりますか。それからこれは外社だというけれども日本人に金を貸す場合においては割当を持たなければならぬようなことは、あなたも知っておられたか、知っておらなかったか、この点です。それから清水商店は、おそらく外貨割当についての手続は知っておったと思いますが、あなたに無条件でこれらの外貨割当立てかえ払いをされたのかどうか、その点の話し合いがあったかどうか。
  26. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。私は一万五千ドルのワクが使えるものだという前提で話しておりましたから、その一万五千ドルのワクをもらわぬことには払い込めない。だから、これが商売人であるならば、手付金がもし要るならばあなたがお立てかえになったらいいじゃないか。あなた、それは信用できるだろう——ただしその後手付を払ったのか払わぬか知りません。会話といたしましては、そういう会話をいたしました。
  27. 稲富稜人

    ○稲富委員 大体わかりましたが、一、二点永田参考人にお聞きしたいと思っております。  アメリカでたまたま河野大臣と会われてお話をなさったときの河野大臣とあなたとの話は、一万五千ドルのワク内で買えるならば二頭であってもいい、三頭であってもいい、こういうような話のように聞くのであります。その点は二頭、三頭と、はっきりわかっていなかった、あなたは二頭というつもりだったけれども、三頭来たんだとおっしゃるのですけれども、ただ一万五千ドルのワク内で何とか買おうという思いつきであったかどうか伺っておきたい。
  28. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。一万五千ドルのワクで二、三頭買おうじゃないかというのが動機でありました。でありますから、なるべくならはいい馬として私は二頭買いたかったわけであります。御存じ通り馬は数あっても仕方がありません。ですから最初の動機は二、三頭買おうということだった、けれども自身は二頭ぐらいにしておきたかった、こう思っておったのが、結果三頭になった、こういうことでございます。
  29. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとその当時の一万五千ドルというのは、後に——これはあなた御存じないことだと思いますが、トロッター協会から十万ドルのワクをとりましてトロッターを買い入れるということがあったわけなんです。しかしその当時はまだその計画はなかったときなんです。それでお帰りになって一万五千ドルのワクというものはもう期限が切れておった、こういうことがおわかりになったわけなんですね。
  30. 永田雅一

    永田参考人 帰って参りましても一万五千ドルが切れておるということは知らなかったんです。切れておったいうのは、今回これが問題になってから、実は君に一万五千ドルのワクがあると言ったけれでも、あれは切れておったんだよ、それだから事がややこしくなったんだということを、今回の事件で初めて知ったわけであります。
  31. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう一点だけお聞きしたいと思いますが、永田参考人は非常に競馬に御熱心で造詣深いのでありますが、競馬といたしまして、トロッター競走をやろうというような計画があるように聞くのでありますが、大体あなたは競馬通といたしまして、こちらでトロッター競走を今日の競馬でやることに対するいいか悪いかというような、そういう点を率直に一つ承わっておきたいと思うのでございます。
  32. 永田雅一

    永田参考人 私は一回ほどアメリカトロッター競走を見たんでありますが、それはほとんどナイターでございまして、八百メートルか一千メートルを直線走るものでございますから、非常に婦人の観客が大いのでございます。でございますから、現在の中央競馬会が主催しておられる競馬でやるということについては、私はいいとも悪いとも何にも無関心でございます。ただし、別の方法で、どこかに野球のグランドのできるごとく、トロッター専門のナイターができ得るならば、実に愉快じゃないか、こう思っております。
  33. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと最後にお聞きしたいんですが、そうすると今までの支払いは全部完了していないということなんですね。
  34. 永田雅一

    永田参考人 輸送賃だけでございます。
  35. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、ほかの方の馬の代金そのものは終ったわけでございますか。
  36. 永田雅一

    永田参考人 さようでございます。
  37. 中村時雄

    中村(時)委員 ということは、輸送賃というものは、きまった、確立されたものですね。向うからの請求が百四、五十万円ですが、あなたのお考えは百万円くらいだ。四、五十万円相違があるわけなんですが、その問題の解決ということはどういうふうにお考えになっているか、それを一点お伺いしたい。
  38. 永田雅一

    永田参考人 私の方は早く精算したいものだと思って、早く精算してくれ、早く精算してくれということを藤井商店に督促いたしておりますが、なお今においてもまだ向うから精算ができておりませんです。
  39. 中村時雄

    中村(時)委員 次に、あなたが外貨ワクの一万五千ドルというものがもらえるであろうということ、これはあくまでも推察なんです。あなたのような実力がある人が、帰れば実際にもらえるのだという結論をつけられたというところに問題があるわけです。あなた自身がそれほど手抜かりのあるような方ではないと思うのです。御答弁を聞きましても、なかなか慎重に御答弁されておるようでありますから、そこで外貨ワクを持たないで、ただ話し合いだけでそういう行為が行われたというところに問題があるわけです。というのは、あなたが向うに行きまして、清水商会に、多分一万五千ドルのワクがあるから立てかえ払いをしてくれ、こうおっしゃったに違いない。そうでしょう。そこで、ワクのないのにそういう取引を実際において行うことができるかどうかということをお考えになったですか。
  40. 永田雅一

    永田参考人 ちょっとそこが、中村さん、違うように思うのです。井上君と私のホテルへ来たときに、一万五千ドルのワクがあるからこれで買おうと思っておるんだ、こう申したんですね。そのときに、要するにこれはひょっとすると手付金がいるかもわからない馬の代金を立てかえておけと言ったのじゃありません。手付金がいるかもわからぬと向うが言ったので、私は手付金は持っておらぬ、商売するなら、もしも手付金がいるならば、私を信用すれば立てかえておいてもいいじゃないか、こういうことなんです。後日立てかえたのか立てかえぬのか知りません。そういう会話はしました。  一万五千ドル立てかえろと言ったのじゃありません。手付金がいるかもわからぬ、いるんだったら、旅先だから私は金は持っておらぬ。まさか馬を買うのに友達から金を借りることもできないから、手付金なら些少だと思ったものですから、あなたが立てかえたらどうなんだ。ただし立てかえたのか立てかえぬのか知りません。
  41. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、向うでの支払いはほとんどやらなかったわけですね。あるいはやったかもわからないけれども、あなたには全然関係がないのでしょう。問題は向うの方ではなくて、こっちの藤井商店の問題になってきたわけです。藤井商店にそれを支払ったわけです。その藤井商店に支払ったときには、次の問題があるからお聞きしたいと思うのですが、その当時にはワクがすでに切れているわけでしょう。切れておるのに、その問題としてあなたに認識させながらその金を払ったということが出てきたわけです。ところが実際は、その当時の一万五千ドルではなくて、後者からきた問題を引っぱっておったわけです。要するにトロッターの十万ドルの買入金の残りから支払った、こういうことから起った、そういう意味においてお聞きしたわけですが、非常にお忙しい中を来ていただきまして、非常にありがたく思っております。大体の内容はそれではっきりいたしましたから、一応これで私の永田さんに対する質疑の形としては終りたいと思います。
  42. 川俣清音

    川俣委員 先ほどお尋ねしたのに答弁がなかったのですが、清水商店藤井商店との間の決済はどうなっておるか、御存じですかどうか。おそらく藤井商店請求書の中にはその点があったと思うのです。あなたとしても、どうなったか、立てかえてもらった以上どうなったか、依頼した以上どうなったかということは、無関心ではおられなかったはずだと思います。永田参考人のように責任感の強い人なら、その辺は何とか明らかになっておったはずだと思いますが、どうですか。
  43. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。清水商会と藤井商店とどう決済されておるか存じ上げませんです。これは領収書でございまして、私写真をとって参りましたですが、「五百四十一万二千円、ただし右金額は米国産牝馬三頭の購入代金、米貨一万五千ドル、清水貿易立替払分円価お預りしました。右金額正に領収致しました。昭和三十年十月十四日藤井商店」と書いてあります。これで私は払い込んだのであります。しかしこれを見てみますと、円価預り分として受け取っております。でありますから藤井商店清水商店とはどうなっておりますか、これも知りませんです。
  44. 川俣清音

    川俣委員 いわゆる手付金清水商店に依頼したわけですね。あなたの今までの公述によりますと、手持ちがなかったから払い方を依頼した、こういうことですが、あなたのような責任感の強い人が、あの手付金立てかえがどうなったということをお聞きにならないのはおかしいじゃないですか。聞かないなら聞かないでよろしいですけれども、今まで堂々と責任感の強いということを述べられたのですが、今まで手付金がどうなったかということをお聞きにならなかったのはおかしいじゃないですか。
  45. 永田雅一

    永田参考人 これも主観の相違でございますからどうもやむを得ませんが、私は一万五千ドルのワクが、金を払い込んでしまえばそれで解決だと思っておりました。なぜならば、一万五千ドルというワクがもらえるのだ。しかもわざわざ向うからこれを使えとおっしゃったのですから、当然その外貨ワクはいただけると思っております。だから払い込んでしまえば……。私は払い込んでそれに相当する馬を輸入してもらえばいいとかように思っておったのです。
  46. 川俣清音

    川俣委員 委員長から公述人に聞いたことを答弁させるように……。よそのことは時間もありませんから長々とお述べにならぬでけっこうです。あなたが先ほど公述されたその公述の中には、手付金が入り用だということで、清水商店に、この契約をするということになると手数料も入ることだから、おれを信用して立てかえたらどうかということをお話しになって、向うがそれをオーケーした、信用してですよ。従ってあなたは信用された人になっておるのだが、その信用を回復させるようなことを確かめられたかどうかということを聞いているのです。信用して借りたのだがその信用に報いられるようなことをあなたはおやりになったかどうか。信用される人か不信用な人か公述全体についての信用の度合いをはかりたいから私は聞いておる。
  47. 村松久義

    村松委員長 おわかりですか。
  48. 永田雅一

    永田参考人 ちょっと頭が悪いのでわからないのですが。
  49. 村松久義

    村松委員長 要するに手付金を払ったかどうかということについて後日確かめたかどうか、こういうことです。
  50. 永田雅一

    永田参考人 私自身は確かめる必要はないと思いました。向うは商売でやっておるのですから。それで手付金を払えなければ買えなかったら買えないでもいいと思った。だから必ず手付金が要るとは言っていない。要らぬかもわからぬ。要するに帰らなければ払い込めないのだから立てかえておいたらいいじゃないかと言うたのですから、私はあえて確かめる必要はないと思いました。
  51. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 河野さんがアメリカに参りました場合に、ロスアンゼルスの近くの——近くでもないがポモナという畜産共進会の開かれましたところで一頭馬を贈られた。ただもらっちゃ済まないから、幾らか金を払って贈られたということがこの前言われておったのですが、永田さんそれについて御存じでございましたらお話し願いたいのです。
  52. 永田雅一

    永田参考人 一切存じ上げませんです。
  53. 中村時雄

    中村(時)委員 一番最初にお尋ねしたのですが、そのお答えがなかったのですが、本多さんという方がお宅の方にわざわざ一万五千ドルあるということを言うていったのがこの端緒なんですが、この本多さんとお宅の方と何かの関係があるのですか。
  54. 永田雅一

    永田参考人 全然関係がございません。私は本多事務官競馬場で二、三回顔を合わせたことがございますが、全然関係ございません。
  55. 中村時雄

    中村(時)委員 本多さんがそうすると好意をもって行かれたのか、あるいは何らかの方法で行かれたのか、あなた自身の関係ということは、ただいま言ったようにワクを持たないという問題だけなんですが、私は一点だけどうしてもわからぬのでしつこいようにお聞きするのですが、あなたのような方が、そのワクがないのに——ないというよりは、あるとあなたは思っていらっしゃった。しかし実際にはワクがないのです。ということは、あなたは為替の権利をしっかり持って行って商売されるならばほんとうの商売人ですね。だ単に一官僚がそう言ったからといって、それを信用されたということなのですが、そうなれば問題は、あなたの関係じやなくしてそのの本多事務官に転嫁されていって、そういうことを申請をした人、あるいはそういう忠勤を励んでいる人たちが問題になってくるわけです。あなた自身はその人を信用して行なった行為かどうかということを最後にお聞きしたい。
  56. 永田雅一

    永田参考人 私はその馬というものは特殊なものでございますから、馬のワク輸入が一万五千ドル残っておるんだから、これを使用せいということは絶対信用しました。
  57. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 一点だけお尋ねしますが、河野さんとあなたがアメリカで会われた。あなたが二頭もしくは三頭予定を立てられた。河野さんと会って、おれにも一口乗せてくれと言われて、あなたの方で承諾なすっているわけです。それで三頭来て二頭が河野さんの名義になっておる。その金の精算について、あなたの方では、払うといってもそういうことはどうでもいい。ところが河野さんは、おれも曲りなりにも大臣になったから払いたいと思うが、今はないから、どこかに家があるから、それを処分したらばそれで払う、こういうことになっておる。こういうのが今までの御答弁ですが、そうすると河野さんの方の家がまだ売られておらないと思うのですが、あなたの方では売られるまでは、それは受け取らないでお待ちになるおつもりですか。  もう一点は、河野さんの方でいつまでも売れなければ、その金は御請求なさらないのがあなたの気持のようですが、あなたのお気持はどうなんですか。
  58. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。二百五十万円は自分が払う。たた現在手元に金がないから物を処分して、家を売って払う、それまで立てかえてくれ、こういうことでございます。それは馬の代金でございまして、先ほどから申しておりましたが、輸送賃はまだ精算できておらないのであります。でありまするから輸送賃が精算できたならば私は河野君に請求いたします。
  59. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今は輸送賃が精算できておらないから、輸送賃が精算できたら請求なさる、こういうお答えでありますが、先ほどのあなたの公述では、河野さんが支払わなければならない、そういうことはどうでもいいじゃないか、こうあなたはおっしゃっておられる。そのときには請求する意思はあなたにないということなのです。で今度精算ができれば請求すると今はお答えになっておるのですが、その食い違いはどこにあるのですか。この点あなたは最初請求する意思はなくて、こういう問題になったから請求しなければ工合が悪いから請求なさる、こういうことになってくるんじゃないか。この点の食い違いを一つお聞きしたいと思います。
  60. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。私自身は食い違いはないと思っておりました。何となれば、最初に馬を買おうじゃないか、僕も共同で買ってくれと言ったのです。だからそのときに向うが、自分は冷飯を食っておるときから君に世話になっておるから、どうにか曲りなりにも大臣になったのだからこの点は僕が払う、私がいいじゃないかと言ったときの気持は、私は彼にくれてやるつもりでおりました、率直に。ところが、いやこれは大臣にもなったら物をもらうことはいけないから、これだけはとってくれ。そのときにとってくれとだめを押したときには、私はとるという気持になりました。とってやることが彼のためにいいと私は思っておりましたから、そういう意思でありました。
  61. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それに関連して……。この間大臣がここで、この馬はいろいろ問題を起したから、人に譲るということを言っておるのです。まだあなたに対して金の決済ができない馬を人に譲るという行為を、あなたはお認めになるかどうか。その点をお聞きしたい。
  62. 永田雅一

    永田参考人 その点は私は存じ上げないのでありますが、想像でものを判断してはいけないと思いますが、おそらく彼がこれを譲ったら、相手からきっと金をとるか、何か代償を求めるでしょうから、私のところに二百五十万円の馬の代金は持ってくるものと存じております。ただし、人に譲ったのかどうかは、私は存じ上げません。
  63. 神田大作

    ○神田(大)委員 永田さんに二、三簡単にお尋ねしておきたいと思います。河野さんと永田さんがアメリカでお会いになったときに、河野さんと一緒に買おうというような話し合いになった。その場合に、河野大臣外貨割当が一万五千ドルあるということを知らなかったとあなたはおっしゃっておりましたが、あなたが外貨割当が一二万五千ドルあると言われましたときに、河野大臣も、外貨というものはそう簡単に割り当たるものではないということは、大臣である以上はよく御存じだろうと思うのでございますが、それに対してどういう話し合いがあったのか、もっと詳細にお話願いたいと思います。
  64. 永田雅一

    永田参考人 先ほども申し上げましたように、実は一万五千ドルのワクがあるということを、数時間いろいろな雑談をしておるときに思い出しまして、君は農林大臣だから、馬の輸入ワクが一万五千ドル残っておるということを知っておるのかと私は河野君に聞いたときに、彼は知らぬと言ったのです。ほんとうに永田君残っておるのかい、こういうだめを押したことがあります。私は帰りましてすぐに、自分秘書の大村君に、河野君に会ったときに、一万五千ドルのワクがあるということを知っていなかったよ、こういうことを言ったと私は記憶があるのであります。ですから、そのときはっきり彼はワクがあるということを知らぬと言っておりました。
  65. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、永田さんは、一万五千ドルという外貨は、だれがどのために申請した外貨が余っておったか、余ったもと、どの外貨が余ったかという性質、そういうもとがどういうものであるか、御存じだったろうと思いますが、その点についてお尋ねいたします。
  66. 永田雅一

    永田参考人 馬の輸入ワクが一万五千ドル残っておる、こういうことを聞いたのでありますから、結論は、馬のワクが残っておるということであります。ですから、どういうことでどうなっておるか——外貨割当ワクがある、そのワクが馬の部門に一万五千ドル残っておるのだ、だからこれを使え、こう言われたものだと私は思っておりました。
  67. 神田大作

    ○神田(大)委員 外貨割当については、永田さんはいろいろ長い御経験もあるのですから、詳細にわかっておるだろうと思うのですが、どなたかが申請した外貨ワクが余っておる、自分が申請しないものが、なかの人が申請したものが余っているからといって、それを使ってもいいかどうか、そういう点は常識としてはっきりわかっておるのですが、一体どなたが申請した外貨ワクが余ったことになっておるのですか。
  68. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。それはどなたが申請されて残ったのかわかりません。ただ要するに、一万五千ドルのワクが残っておるから、だれが申請されたか知りませんけれども、とにかく馬の輸入ワクが一万五千ドル残っておるのだ、残っておるから、これをお前たち使わないが、だから使えるのだ、こう思ったわけであります。その輸入手続は一切藤井商店がやるというから、藤井商店が全部手続をやったのだと思ったのであります。
  69. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して……。それではあなた御自身は、今の三頭——あなたのお考えは二頭であったかもしれませんが、それに対する申請はされたのですか。
  70. 永田雅一

    永田参考人 してないです。ですから、今になってみれば、こういう問題になりましたから気がつくですけれども、当時は馬の輸入の手続から、この人を紹介するから、この人に払い込めと言ったから、一切そこがやっておるものだと思っておりました。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点お聞きしますが、あなたと河野さんとは非常に近しいおつき合いをしておる友人の関係のようですが、そこでちょっとお尋ねしたいのは、この三頭の馬は五百四十一万二千円でお買い求めになっておる、そうして河野さんが二頭お持ちになり、あなたが一頭お持ちになっておる。河野さんがあなたに払わなければならぬのは二百五十万円です。これは二頭です。あなたの分は一頭で、二百九十一万二千円です。雌と雄との違いはありますけれども、この差が非常に大きい。友人関係だし、あなたは金持ちだから、河野さんの方を安くしてやることはわかるけれども、価格としての差はどういうようにお考えになりますか。
  72. 永田雅一

    永田参考人 ごもっともな御質問だと思うのでありますけれども、馬の場合いは数ではございませんでして、駄馬なら三頭と名馬なら一頭でも、一頭の方が高いのであります。私の方の買ったその原名はジョン・リューソーという馬でありますが、非常にいい馬であります。ですから、河野君の持っておる二頭よりこの馬の方がずっと値打があると私は思います。
  73. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっとおかしいですね。さっきあなたは、河野君のうちの一頭はよくないが、一頭は非常にいいから、それで二頭を君が持ち、僕が一頭持つという話であった。河野さんに非常によい馬を差し上げたようにこの前の公述には出ておった。今伺うと、金額で見ると非常に違うのです。河野さんの方が非常に安い。河野さんのは一頭は悪いが、一頭はよいのです。もちろんあなたの今のお話をお聞きすれば、あなたのはよいのです。それにしても金額が違い過ぎるのです。この点はどうも私どもには解せないのですが、こうも違うのですか。
  74. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。先ほど申しました通り河野君の持った牝馬二頭の中の一頭は、自分自身の主観では問題でないと思います。一頭はよい馬であります。そう申し上げたのであります。しからば私の持っておる馬は、河野君の二頭持っておる一頭の方よりよいかどうかということになったら、私の方がよいと思います。この機会に親切にお答えするのが私の良心だと思うのでありますが、たとえば一昨々日下総で馬のせりがございました。一頭で牡馬が四百七十五万円、牝馬が二百二十万円であります。それくらいよいのと悪いのとでは差がございます。
  75. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうしますと、厳密に言いますと、清水商店を通じての本件の馬の購入契約といいますか、それはいつになるのですか。
  76. 永田雅一

    永田参考人 お答えいたします。売買の契約はいつになっておりますか、そう点は知りません。私は十月の十四日に払い込みましたことをもって、その馬がとれる、かように思っておりました。
  77. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうしますと、買い主はあなた一人なんですか。それから、あなたから河野さんに二頭売ったことになるのか、あなたと共同して向うから買い入れたことになるのですか。河野さんに馬の所有権が移ったという関係ですね、それはどういうように理解してよろしいのですか。
  78. 永田雅一

    永田参考人 これを買うという意思が働きましたときには、二人が共同で輸入する、こういう意思でございました。
  79. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうすると、表面の名義はあなたであるが、実際の買受人は河野さんとあなたと共同ということに理解してよろしゅうございますか。
  80. 永田雅一

    永田参考人 さようでございます。
  81. 神田大作

    ○神田(大)委員 外貨割当が一万五千ドルあると思って契約したところが、帰ってみたら外貨割当がなかったというわけですね。その後一万五千ドル払うのに対してどういう手続をとって、どういう方法で外貨割当をとりましたか。
  82. 永田雅一

    永田参考人 一万五千ドルのワクが切れていたということは、先ごろ新聞に何か不正輸入だというようなことが載って、初めて自分の馬に問題があったのかということを知ったのですから、その新聞が出るまで全然知りませんでした。
  83. 神田大作

    ○神田(大)委員 ちょっと私には解せないのですが、二頭買おうと思ったのが三頭になったと言いますが、一体そういうことは私たちは商取引として了解できないのです。初めから三頭買うということで初めて三頭入る、二頭買うということで二頭入ると思うのですが、何頭買うということに対してあなたは意思表示をしなかったのですか。
  84. 永田雅一

    永田参考人 私は二頭もしくは三頭買うと言っておりましたものですから、要するにいい馬であったならば二頭でいい、私の意思としてはこう思っておりました。けれども、買うときは二頭ないし三頭買う、こう言ったのであります。
  85. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると河野農林大臣アメリカの畜産共進会からもらった一頭というものに対して河野農林大臣はそのときもらったということは知っていたのですか、知らなかったのですか。
  86. 永田雅一

    永田参考人 私自身も知りませんが、河野君が知っておったかどうか私は知りません。私自身も、ただいまお話を聞いておって全然わかりません、全然知らぬのです。
  87. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、今度輸入された三頭の中に、その共進会から贈られたという馬が一頭入っていたということはいつ知りましたか。
  88. 永田雅一

    永田参考人 共進会というようなことも初耳でございますが、そういうことは全然知りません。私は一万五千ドルの中で二、三頭と言ったものですから、その範疇の中で送ってきたものと思っておりました。全然知りません。
  89. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 永田さんはこういうところにはあまりたびたびおいでにならないと思うので、ただいまの問題に若干関係がございますが、大へん該博な競馬の知識を持っておいでになるようですから、日本の馬産の将来について、これは農馬の改良に重点を置いたらいいと思うか、あるいは競馬馬の育成が日本の農業の発展上かえっていいのじゃないか、すなわち馬匹を改良する上においても日本の農家が競馬馬を産出するという方向に向いてどういうものでございましょうか、率直にあなたの御意見をお聞きしたいと思います。
  90. 永田雅一

    永田参考人 私はただ馬主でありまして、馬主としてのものの見方でございますので、将来馬の生産というものが日本の農業の馬匹改良であるか、競馬のためにするかということは、率直に申し上げまして私自身にもわかりません。そしてまた今の政府が競走馬に重点を置いておるのか、馬匹改良に重点を置いておるのか、どちらに重点を置いておるのか、あいまい模糊といたしておるように思います。
  91. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 結局あなたの牧場におけるいろいろな馬の生産というものは、むしろ優秀な競馬馬を作るというところに重点を置いておるように考えられます。あなたの場合はそれでいいかもしれませんが、一般にはまだはっきりしていないと思うのです。それで結局あなたのお考えは、日本競馬競馬として純粋なスポーツである、このスポーツに対する国民の気持もさまざまでありましょうけれども、相当関心もあるのでありますから、あなたとしては、優秀な競走馬日本で作りたいという気持があるようだ。従って今までの輸入馬というものは、表面は農馬の改良といっておりますが、実際のところは各農家なども競走馬のいいものを作って売ろうという傾向があっちこっちに見えておるようでございますが、私は一向競馬には暗いのですが、それはどうでございますか。
  92. 永田雅一

    永田参考人 なかなかむずかしい御質問なんですが、私の個人の主観からいきますと、私個人はもちろんいい種馬を入れてそうして優秀な競走馬を育成したい、こう思っておりまして、牧場に数頭馬を預けておる、私の考えはそうでございます。それだけなんでございます。
  93. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは最後に総括的に一点だけお尋ねをしたいと思います。それは競馬全体の問題なんですが、今あなたは実際にこれを競走馬としてやっていくものかあるいは農馬としてやっていくものか、どちらがいいかはっきりわからないとおっしゃいましたが、現在の競馬の状態を見まして、私はスポーツだとは思わない、逆にギャンブルだと思います。それで公売の状態を見ても、あるいは町で売っている状態を見ても、実際スポーツとして見ているより賭博として見ている方が多い。それを賭博として見ることがいいか悪いかということは問題でありますが、あなた自身はどういうふうに将来の競馬の問題を助長育成するというお考えを持っているか、あるいは助長育成でなくて、ほかのお考えを持っているか、そういう点を最後にお聞きしておきまして 一応総括質問を終りたいと思います。
  94. 永田雅一

    永田参考人 私個人の考えは、やはり競馬という行為は娯楽、スポーツだと思っております。だから競馬というものは、レクリエーションとしての存在価値があるものだと思っております。現在でも私自身では、あれはギャンブルだけで人が集まっているとのみ思わないのであります。たくさん来ておられますけれども、おそらく半分近い人は、レクリエーションとして来ておられるのだろうと思います。
  95. 村松久義

    村松委員長 永田参考人、御苦労様でございました。どうぞ御退席願ってけっこうです。  次に稲富稜人君
  96. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではトロッター協会の広沢参考人にお聞きしたいと思いますが、まずトロッター協会が現在やられております事業内容というものはどういうことをおやりになっておりますか、その点一つお教え願いたいと思います。
  97. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えいたします。トロッター協会は、一昨年の三月、十勝、岩手の速歩馬、つまりトロッター生産する地域の方々が、速歩馬競走も今のような状態ではだめだから、早いトロッター的なものをやりたい。ただしそれには生産地ではとうていそういうふうなものを得ることもできないから、何とか方法をやりたいというようなことで、一昨年の三月、トロッター協会というのができ上ったのでございます。しかし協会としましても何ら資金もございません。一切ないときに、ちょうど関西でもってトロッターを買って、あとは生産地へ返すというふうなことがありましたので、その仕事を主としてやっておったわけでございます。それもいろいろな摩擦がごたごたありましたけれども、まず曲りなりにも進んだ、こういうわけであります。  そのほかの仕事といたしますと、速歩馬競走は御承知通り中央競馬の方では関西でやっております。こちらの方では関東の船橋とかその他でやっておる。それから新潟で非常に盛んであるというようなことで、速歩馬競走の応援をするというようなこともやっておる状態でございます。まだできたばかりでまことに貧弱な団体であって、積極的な仕事は現在いたしておりません。大体そういうふうなことでございます。
  98. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、トロッター協会のお考え方というのは、トロッター種の馬を将来できるだけ競走馬に育成していきたいというのが大体トロッター協会としての今日の希望であり、ねらいである、こういうのでございますね。
  99. 広沢春彦

    広沢参考人 そうではございません。一体トロッター協会というものはトロッターレースだけをやるためにできたわけではないのであります。農馬を作り上げたいという点に重点があるのでございます。今日本の馬は百万頭ございます。そこでその百万頭の馬をどうして持っていくかということを馬政に関係している方々が関心を持っておられる。そこでトロッターも必ずしもレースにばかり出るのでなしに、そのうちの一部のものはやはりこういうような血液を入れて、やや動きのいいようなものを作りたい、それを農馬に還元するというような点で主として結成されたのでございます。しかしただその手段としてトロッターレースもやらなければいけないと考えまして、その両方でできた、こういう次第でございます。
  100. 稲富稜人

    ○稲富委員 トロッターの大きさは大体どのくらいのものでございますか。
  101. 広沢春彦

    広沢参考人 大体五尺一寸から、五尺二、三寸のものだと思います。
  102. 稲富稜人

    ○稲富委員 五尺三寸というと、メートルにしますとどのくらいになりますか。
  103. 広沢春彦

    広沢参考人 一メートル六十ぐらいです。
  104. 稲富稜人

    ○稲富委員 トロッタ一種の馬はどういう性格を持っておりますか。あなたはトロッター会長でお詳しいと思いますが、性格は敏感であるとか、もちろんサラブレッドほどは敏感ではないと思いますが、性格としてはトロッターはどういう特徴を持っておりますか。
  105. 広沢春彦

    広沢参考人 そういうこまかい点は、はなはだ失礼でございますが、トロッター協会の常務理事がここに来ておるので、その者にやっていただきたいと思いますが……。
  106. 村松久義

    村松委員長 参考人のわかる範囲においてお聞きを願って、さらに必要ならば参考人を追加いたしますから……。
  107. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは私はなぜこういうことを聞くかと言いますと、トロッターの種類の馬が、日本の将来の農馬改良に適するかどうかということをお聞きしたいためにそのトロッターの性格というものを聞いたわけでございます。大体私たちから考えますと、その点がよくわからないので今聞いたわけでございます。今トロッター会長は、日本の農馬改良に貢献したい、こうおっしゃっておるのでございますが、果してあなた方としては日本の農馬にトロッターというものが適する、こういうようなお考えを持っていらっしゃるのでございますか。これは農馬たけでは馬を増産するのに金の問題等かあるから、できるならこの繋駕競走、速歩馬競走に持っていきたい、これが大体主になっておる。そうしてトロッターというものが日本の農馬改良にそれほど貢献するかどうか、相当に問題があるわけなんでございます。この点を私聞いておるのです。果して日本の農馬としてトロッターの性格が適するかどうかということを私お聞きしておるわけでございますから、その点をお教え願えればけっこうでございます。
  108. 広沢春彦

    広沢参考人 私は馬の性格からいって、日本の農馬にも十分適当なものと思っております。実は私は青森県で牧場をやっておりますが、明治の時代に現にトロッターを入れまして、トロッターの血液は相当に入っておったのであります。それからいろいろ変遷しまして、トロッターはいけないというふうなことになり、また戦争中にはついに相ならぬというようなことで満州まで持っていかれたことがあったのです。ただいろいろな事情トロッターが農馬に利用されないできたというふうに考えておるのです。私のところでも現にトッターをやってそうして農馬の改良その他を昔からやったのでございます。現在は持っておりませんが、やった次第でありますから、十分その性格からいっても農馬として大丈夫なものである、こういうふうに私信じております。
  109. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、次にお尋ねしたいと思います。昨年の十月でございましたか、トロッター協会から今度アメリカトロッター輸入したいからというような申請が出ておるのでございますけれども、こういうことをなさったことは御存じでございますか。
  110. 広沢春彦

    広沢参考人 実はその問題は、私は遠方に住んでおる関係上、そういうふうなことがなされたということはあとで聞いたわけでございます。(「あとで聞いたとしたら大へんだぞ」と呼ぶ者あり)
  111. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、会長のあなたが御存じでなくて、トロッター協会がトロッター輸入したいということを申請なさったといいますと、これはトロッター協会の趣旨ではなかったのでございますか。それともほかの方からそういうことをしたらどうかというような話があって事務的になさったのでありますか。その点を一つ、これはほんの参考まででございますが、承わっておきたいと思うわけでございます。
  112. 広沢春彦

    広沢参考人 これはつまりさっきも申し上げました通りトロッター協会としますと、やはりいろいろな点からまずトロッターレースをもって協会を成り立たしていきたいということであるわけでございます。ところがたまたまあとから聞いたなんといっては、はなはだ無責任なことをお答えいたしますけれども、関東レース・クラブというのがこういうことをやるがというような申し入れがあったために、それではということで事務の当局の者が応諾した、こういうわけなんでございます。
  113. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、今問題になっておるのでございますが、結局ほかの方から一つこの際トロッター協会の名義でトロッターを入れてくれないか、こういうような話があったから、トロッター協会では名義を貸したというような形で入れた。結局こういうようなことになるわけでございますか。——かた苦しくお考えにならないで、ありのままをおっしゃっていただけばけっこうです。何もあなたを責めているのじゃないですから……。
  114. 広沢春彦

    広沢参考人 やはりトロッター協会としますと、農林省畜産局あたりで、二十六年でございますか、日本の馬のいろいろな改良増進というような案件を議題に供して、トロッターでもよいトロッターを入れるというふうなことになっておるのでございます。トロッター協会としますと、やはりそういうふうなことにも順応しなくちゃいけないんじゃないかというふうな観点でやった、こう思うのであります。
  115. 稲富稜人

    ○稲富委員 私お聞きしましたのは、決してあなたの言葉じりをとるとかあげ足をとるとかいうことではございません。どこまでも参考の資料にするために聞いておるので、農林省がどういう関係を持っておるとかそういうことはどうでもいいのです。ただ今度はトロッター協会からトロッターを三十頭輸入するということで外貨割当の申請等が出ておりますので、これをトロッター協会が何かの目的をもって自発的にそういうふうになったのであるか、あなたのさっきの御答弁によりますと、会長御存じなかったということになりますと、ほかの方から、トロッターを入れようというような計画があってなさったように思いますので、この点をお聞きしておるわけなんでございます。何もあなたの方の協会を責めるとかなんとかいうことではございませんので、ありのままの事情だけを参考に教えていただけばけっこうでございます。今度しかもトロッター輸入外貨割当の申請が出ておるわけでございます。その点を聞いているので、あなたの方が何か必要があってこういうことをやらなければいけないということじゃなくして、結局あなたも御存じないうちにトロッター協会の名前を貸して、そしてほかの方からトロッターを入れてくれないか、こういうことで入れられた、こういうふうに私伺ったものですから、それを念を押して聞いておるわけです。
  116. 広沢春彦

    広沢参考人 外貨割当トロッター協会から出ておるわけでございます。そのことは今申し上げた通り、こちらではぜひそういうふうなトロッター協会の動きをよくするために、一つそいつを入れようという考えを私は持っておるので、何もほかからしいられたというふうなことはないんじゃないかと思うのです。
  117. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると藤井商店外貨割当輸入をしてもらいたいという依頼をされたのは、あなたの方から依頼をされたのでございますね。
  118. 広沢春彦

    広沢参考人 その通りでございます。
  119. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとトロッター輸入をあなたのトロッター協会でやろうということを計画されたことは、やはり農馬の改良をやるためにそういうことが必要であるということをあなたの方では考えていらっしゃるのですか。やはりトロッター競走をやってみようというのが大体のトロッター協会としての希望じゃないのでございますか。の方には、将来農馬の改良をやろうとか、それが自然的にそういう結果になるだろうというようなことを農林省が計画しておるのだから、そういうことに資するだろうということは考えておられるかもしれぬが、しかし他方では、トロッターを持ってきて、日本競馬競走でもやって、トロッターの馬というものをみんなに知らせようというのがトロッター協会が動き出した大体の目的じゃないのでありますか。
  120. 広沢春彦

    広沢参考人 最後は農馬の方に回したいという考えでありますけれども、やはり一面トロッター競走をやってみたいという考えもあるわけです。突き詰めれば両方であるというふうに考えております。
  121. 稲富稜人

    ○稲富委員 今度の輸入はいつごろ御計画なさったのでございますか。
  122. 広沢春彦

    広沢参考人 これは前々から中央競馬会、前の競馬部あたりまでトロ協としてぜひ競走をやりたいという考えをもって陳情書まで出ておるわけです。結成されたときも直ちに出しましたわけですから、二、三年前からそういうふうな考えでやっておった、こういうわけでございます。
  123. 稲富稜人

    ○稲富委員 今日牧場の方には北海道その他にトロッターというものが相当にあるとおっしゃいますが、トロッター競走以外の馬としてあなたの協会へ登録されているのは何頭くらいありますか。
  124. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えします。トロッターといいましても、純血のトロッターというのは幾らもおらぬのであって、何パーセントかトロッターの入ったものを総括しますと大体六百頭ぐらいおるようであります。
  125. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると将来トロッターの血液というものを日本の農馬を改良するためにどうしても入れようというのがあなたの御希望のようでございますが、そうしまするとやはり種馬としてトロッター種を入れるとするならば、牝馬よりも牡馬の方がその目的に沿うように思いますが、その点あなた方実際おやりになってどうでございますか。
  126. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えいたします。先ほド申しました通りまず現在牝馬三十頭のトロッター輸入は、レースからいいますと、やはり純血なトロッターがほしい、こういうわけでございます。そうしてそれらを生産地に還元して、その数をふやしたい、こういうわけでございます。それで男ばかり持ってきたところで、やはりこちらにおる比較的速力その他の能力のないものにかければ、また純粋のものはできないというので、やはり牝馬を入れて還元していきたいというふうな考え方になっておるわけでございます。
  127. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点が農馬の繁殖ということを考えますと、牝馬は御承知通り一年に一頭しか産まないわけでございます。やはりたくさんの血液を分血するためには、牡馬が一頭あればそのトロッターの血液というものは相当数、ほかに分血ができるわけです。牝馬としては一頭しか一年に生産しないので、この点はあなた方がトロッターを繁殖させようあるいはトロッターの血液をできるだけ繁殖させようという意味からされる場合は、やはり牡馬の方が適当である。純血のトロッターを作っておこうと思えば、それは牝馬をたくさん買ってきて、そうして日本にきておるトロッター牡馬の血液をとれば、トロッターの純血はできる、ところが今言うように純血ではなくして農馬に改良するためには、トロッター系統の血を分けようとするならば、やはり牝馬よりも牡馬の方がその目的に沿うように私たちしろうと考えでするのでございますが、その点あなた方の専門家としての御意見一つ参考に承わりたいと思うのであります。
  128. 広沢春彦

    広沢参考人 やはりトロッター牡馬も岩手、十勝その他で輸入しておるのでございます。そうしてそれで十分に種つけをして使用しておるわけであります。今度も三十頭入ったもののうちには一頭牡馬ということになっておるのでございますが、やはり種つけをしてふやすためには牡馬輸入しておるのでございます。
  129. 稲富稜人

    ○稲富委員 牡馬輸入されておることは知っておりますが、日本の農馬改良なんでございますから、農馬改良にやはりトロッター系の血を分血したいというならば、トロッター牡馬輸入して、そうしてトロッター牡馬から日本の在来の牝馬種つけた方が、トロッターの血液というものが日本の農馬改良には適応すると思うわけなんです。牝馬の場合には一頭しかできないことになるわけです。その点から一つ効果的に農馬の改良にトロッターを使うというならば、牡馬の方がその目的に沿うようになりはしませんかということを私お聞きしておるわけなんでございます。その点をあなたのトロッター協会として、ぜひトロッターの血液を日本の農馬の中にも分血していきたいという御趣旨のようでございますので、そういう御趣意であるならば、私の言っておりますようなことがその御趣旨に沿うのじゃないか、こう私は考えてお尋ねしておるわけなのです。
  130. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えいたします。やはりトロッターのいい牡馬というのは非常に値段も高いという点があるのでございます。相当数入っておりますので、そういう高い馬ばかり二十頭も三十頭も買ってくるということはほとんどできないのじゃないかと思われる点もあります。いろいろな余裕がありますれば牡馬を買う——こういうことは、競走馬ということでなしに、農林省あたりでいい高いトロッター牡馬を買ってきていただけば一番いいのでございます。現に農林省ではブルトンというものを農馬改良に買ってきておりますけれども、そういうふうな高い金ならば政府がうんと出して買ってきていただくというふうにしていただけば非常にいいのじゃないかと思います。
  131. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、今度あなたの方でそういうふうな趣旨でトロッターの三十頭を申請されたのでございますね。そのときのあなたの方の申請はトロツターの牝馬を二十五頭で牡馬を五頭でございました。ところが実際今日来ているのは、牡馬が一頭で牝馬が二十九頭来ているのでございますね。これは金が足りなかったからそうなったのではなくて、金は余っているのです。三万何千ドルかの金が余って、結局牝馬二十九頭と牡馬一頭を購入されているということは、あなたの今言うようなお考え方からいきますと、あなたとしての申請された趣旨には沿うていないということになるわけでございますね。
  132. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えします。私は実は購買に行って何頭買われたというようなことは知りません。結果においてそういうものが来たというので初めてわかったのであります。
  133. 川俣清音

    川俣委員 広沢さんにお尋ねしますが、そうやかましくお聞きするわけではないのですが、せっかく来られたのでお尋ねいたします。はなはだ失礼ですけれども、あなたの御答弁を聞いておると非常に名誉職みたいで、あまり協会の実権を持っていられないような答弁のようですが、その通りなのですか。それとも重要な事項はやはりあなたに相談するというふうになっているのですか。会長ですから、やはり重要な事項はあなたに御相談するという建前であなたはやっておられるようにも見えますし、何かロボットというふうにも見えますが、その点だけお聞きしたいと思います。
  134. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えします。確かにそうかもしれません。
  135. 川俣清音

    川俣委員 失礼な言い分ですけれども、どっちかはっきり御返事願いたいのです。名義を持っているからには、やはり重要事項については相談にあずかっているならあずかっている、あずかっていなければあずかっていないという率直なお答えでけっこうなのです。決して非難するような意味じゃございませんから……。
  136. 広沢春彦

    広沢参考人 しかし私もやはりそういう席にありますので、大きい問題その他のことは十分相談を受けております。ただ事務的ないろいろな点はあまりタッチしてない、こういうわけでございます。
  137. 神田大作

    ○神田(大)委員 今の広沢さんの話だと、私の質問に対してはっきりお答えしていただけるかどうかわかりませんが、今度の問題について非常に大事なことでありますから、随行の人も来ておられるようでありますから随行の人と相談して一点だけお答え願いたいと思うのでございます。トロッター協会からトロッターの余った金があればサラブレッドを買ってもいいのだということを藤井商店へ返事をしたと言われておりますが、トロッターを買った金が余ればほかの馬を買ってもいい、申請した以外の馬を買ってもいいということを藤井商店にお答えしたかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  138. 広沢春彦

    広沢参考人 藤井商店には三十頭のトロッター輸入して、かりにそのほかのことがあれば、農林省との了解ができればいいだろうということを答えた、こういうわけでございます。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 そこで私お尋ねしたいと思うのですが、報告を聞きますと、藤井商店にあなたの方から、今神田委員から聞きましたように、トロッターで余ればサラブレッドを買ってきてもいいのだという御返事をなさった。ところが先刻聞きますと、あなたの方としてはどこまでも牡馬を希望されておったのではないか。余った金というのは牡馬を少くして金が余っておる。牡馬を五頭買うてくるというのがあなたの方の申請だった。ところが牡馬を一頭買ってきておる。その点も余裕ができた理由になっておる。そのときのあなたの方の目的通り牡馬五頭、牝馬を二十五頭買って、それに余裕ができたらサラブレッドを買ってもいいというようなあなたの方のお気持だったろうう思うのです。実際は牡馬を一頭にして安い牝馬をたくさん買ったから金余った。こういう場合でも余ったならばサラブレッドを買ってもいいといような返事をなさったわけですか。その点がどうもあなたの希望に沿っていないように考えるのですが、その点をお聞きしておるのです。
  140. 広沢春彦

    広沢参考人 それは私の方ではよわかりませんけれどもサラブレッドのことは今お話ししました通り、余った場合には他の馬を買う、農林省でそれを承知すればいいだろうということを事務の方で藤井商店に答えた、これだけの話であります。
  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなたの方で最初に申請されたのは、農林省の意向で申請されたのではないでしょう。あなたの方で、トロッターを入れたいという協会の御希望があったのでございましょう。それはやはり協会としては協会の目的通りトロッターを入れたいというのが大体の御趣旨だと思うのでありますけれども、それを農林省の方がいいならばいいと言いますと、いかにもあなたの方が申請人でなしに、さっき言ったように名前だけ貸しているのであって、実際は農林省でやっているのだ、こういうような感じを受けるわけなのでございます。私が承わりたいと思うのはそこなのです。
  142. 村松久義

    村松委員長 なおこの際お諮りいたしますが、井上競馬会の業務部長はきょう午後競馬があるそうでございまして、なるべく早く帰りたい、こういうことでございますので、この際井上参考人質疑を集中されてはいかがかと思います。今の問題だけは結末をつけて、あとは広沢参考人に対する質疑はあと回しにしたいと思います。
  143. 広沢春彦

    広沢参考人 要するに今申し上げました通り、余ったときにはほかの馬を買ってもいいということを藤井商店へ事務局が答えたということなのであって、それ以外の深いことは実は私存じません。
  144. 中村時雄

    中村(時)委員 実は私の聞いておる範囲では、こういうことを聞いているのです。たとえば余裕額の使用については、農林省のある人は、またこのトロッターの問題に関して必要があるかもしれないからというくぎを合同会議の席上ではっきりさしておるということを聞いておる。しかも農林省当局のその人は、最後にサラブレッドが入ったのを結果において聞いてびっくりしているのです。そういう状態が事実あるのです。わからなかったら、その方もここに御出席のようですから、あとでお聞きしますけれども、そういう状態になっている。だからあなた方の方で、意識的に当初からトロッター以外のサラブレッドとかいろいろな問題が頭の中にはなかったと思う。この外貨割当の結果、今言った一万五千ドルの外貨の使いそこないが、期限が切れてそれが使えないために、あなた方の中から余ったものを取り上げたということになっている。だから当初から、あなた方はトロッター以外の問題に関してのお考えはなかったと思うのです。少くとも申請でもそうなのです。だから少くともあなたの良心において、これは非常に重要な問題ですから、お答え願いたいが、あなた方自身は、トロッターだけの話であって、サラブレッドに関する関係はなかったと私は推察しているのです。その点を良心的に、はっきりお答え願いたいと思います。
  145. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えいたします。最初は確かにそうだったと思います。トロッターを入れたいというのが日本トロッター協会の趣意であって、さらに金が余ったらサラブレッドを買ってこいというような考えは全然なかったと思います。
  146. 中村時雄

    中村(時)委員 私はそれが率直な意見だと思うのです。そこで今言ったように、農林省当局の一部、先ほどありました永田さんのところに報告された方が、サラブレッドを入れた結果、外貨がないためにあなた方の方に押しつけていったものと私は解釈しているわけです。それをもう一回、しつこいようですけれどもはっきりさしていただきたい。
  147. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えいたします。今申し上げた通りのわけでございます。
  148. 中村時雄

    中村(時)委員 こういうことなのです。あなたのおっしゃったトロッター協会が、最初からトロッターだけ考えておった。ところが逆に別のコースから一万五千ドルという金を割り当ててサラブレッドをとるという一つの別の計画があったわけです。ところがたまたまその一万五千ドルというものは流用ができないということになった。そこでその金を何とかしなければならぬ、馬は実際に買うてしまった。こうなったわけです。そこであなた方のところへ、そのサラブレッドを入れるというために、あなた方の余った資金を流用するために問題が出てきたのではないか、こういうのです。意味がおわかりですか。わかりませんか。
  149. 広沢春彦

    広沢参考人 何だかはっきりしませんが……。
  150. 中村時雄

    中村(時)委員 こういうことなのです。あなた方が十万ドルの申請をされた。そしてトロッターを入れた。そのときには今お答えになったようにサラブレッドのことは考えていらっしゃらなかった。そうしてトロッターがちゃんと入ってきたわけです。ところがあなた方とは別に農林省の一部の連中が、永田さんのところに話をしに行って、要するに一万五千ドル金が余っているから競走馬を入れないかと相談した。それならよかろうというので永田さんが購入されたわけです。それで購入してみたところが予定しておったトロッターの金ではない一万五千ドルというものがあったわけです。その金が流用できないということになった。そこで何とか金を捻出しなければならぬということになったわけです。そこでたまたまあなた方が買われたトロッターが安く入ったものだから金が余ってきたわけですね。余ってきているけれども、この金はトロッターに流用しなければならぬからということで、合同会議でくぎを打っているのです。そこで足らないようになったけれども、一部の人たち考えて、あなた方のところで十万ドルのうちで三万ドルぐらい余っているから、その金を流用していったということになるのだろうと思うのです。そこで私のお聞きしたいのは、あなた方は、そのサラブレッドが入ってから御相談を受けたんだろうと思うのです。サラブレッドを購入してしまってからあなた方の余った金を使わしてくれという御相談があったのだろうと思うのです。それ以前は、少くともトロッターだけの考え方で進められておったのでしょう。こういうことです。
  151. 広沢春彦

    広沢参考人 おっしゃることは存じません。
  152. 稲富稜人

    ○稲富委員 それなら、今そこに連れてきていらっしゃるから、御相談の上でお答え願いたいが、その相談があった時日はいつか、その日にちを御返答願えばけっこうです。
  153. 広沢春彦

    広沢参考人 十月の下句か十一月の初めだそうです。
  154. 稲富稜人

    ○稲富委員 十月下旬ごろといいますと、あなたの方はまだ申請された時分でございますよ。まだ余るか余らぬかわからぬときですよ。その点、日にちをもう一度確めて下さらんか。日にちが違っているのじゃないかと思います。十月下旬というのは申請された時分で、まだ余ったというようなことがわかっていないときだった。御相談されたというのは余ってからで、ずっとずれて、今年になってからのはずでございますがね。
  155. 広沢春彦

    広沢参考人 それはそういうのが余った場合はというのだそうでございます。余った場合はそうするというようなことだというのです。日取りはそういうようなことです。
  156. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、それはまだ藤井商店が買い出しに行く前でございますか。買い出しに行く前に、もしも余ったならサラブレッドを買ってきてもいいかということを、念を押していったわけですね。
  157. 広沢春彦

    広沢参考人 そうだそうでございます。
  158. 川俣清音

    川俣委員 ちょっとお尋ねいたしますが、さっきの割当について、あなた方の方では、なかなか外貨というものは割り当てられないから、幾らか多目に、かけ引きをして申請されたのですか、または非常にいいものを買うにはこのくらいの金がどうしても必要だということで外貨申請をされたのか、どっちであったかお答え願いたい。
  159. 広沢春彦

    広沢参考人 はなはだあれですけれども、先ほどもちょっとお願いしました通り、私の方の常務理事が来ておりますから、その辺を一つ話さしていただきたいと思います。   〔「あなたが申請者でしょう」「一体申請者はだれなんだ」と呼ぶ者あり〕
  160. 村松久義

    村松委員長 それはあとでお聞き願います。
  161. 広沢春彦

    広沢参考人 私はよく存じません。
  162. 神田大作

    ○神田(大)委員 トロッター協会でもって申請するときに、発注書というものを出すわけですね。その発注書には種類と品質を書かなくてはならぬ、その場合に、トロッターと書いてあると私は思うのですが、そうあるかどうか、それをお尋ねします。
  163. 広沢春彦

    広沢参考人 常務理事にお答えさせたいと思いますが……。
  164. 村松久義

    村松委員長 知らないことは知らないでけっこうですから、その意味でお答え下さい。
  165. 広沢春彦

    広沢参考人 私は知りません。
  166. 村松久義

    村松委員長 それでは井上参考人に対する質疑を先にいたしたいと思います。
  167. 中村時雄

    中村(時)委員 議事進行——実はお尋ねしておきたいのは、井上さんは何時までここにおっていただけるか。今十二時二十分なんです。一時までというのだったら、この次に回していただきたい。これはかなりお聞きをしたいし、経過の御報告も参考までに聞きたいことがたくさんあるわけです。委員長を通じてお聞きを願いたい。
  168. 村松久義

    村松委員長 井上参考人は最大限度何時までおられますか。
  169. 井上綱雄

    井上参考人 午後からちょっと用事がありますが、委員会でいろいろ御質問があろうと思いますから、できるだけ私の方も都合して、この席で……。
  170. 村松久義

    村松委員長 この席上でお答えをいたしたいから、できるだけのことはいたします。こういうことでございます。  井上君に先に御質問を願います。
  171. 中村時雄

    中村(時)委員 先般来、私にはわからないのですが、うわさに聞くと、井上さんも何か検察庁でいろいろな御尋問があったような話を聞いたのですが、その内容並びに経過。これは一つ一つ私の方からお聞きしてもいいのですけれども——それではまず第一にお尋ねをしておきたいのは、トロッター輸入の経緯をお聞きいたします。
  172. 井上綱雄

    井上参考人 トロッター協会が当初計画をせられておりまして、申請書も出ておったのでありますが、これはトロッター協会の計画が遂行できないようになったから、競馬会で肩がわりをしてやってもらいたいという申し出がありまして私の方では理事会に諮りまして、入れることに決定いたしたのであります。
  173. 中村時雄

    中村(時)委員 どういうわけでトロッター協会がその継続ができないということになったのですか、その経緯を伺いたい。
  174. 井上綱雄

    井上参考人 これはそのとき承わったのでありますが、当初からトロッター協会は、単独で入れるということは、金がなくてできないので、協力者があったように聞いております。それは関東レース・クラブが当初計画せられたということでありますが、関東レース・クラブが事情によって中立せざるを得ないようなことになりましたので、金の一部分も出せないような事情だから、競馬会で出してくれないか、この業務全体を競馬会で肩がわりしてやってもらいたい、こういうことでございます。
  175. 中村時雄

    中村(時)委員 今中央競馬会自身が赤字で苦しんでいて、施設さえできないというような状態におきまして、法案の一部改正までして、何とかしてくれ——これはあとで非常な問題がありますのでお尋ねしますけれども、そういう状態になっておる。そういう経営ができないようなものをあなたがかかえ込んでそうしてやっていくという御決心のほどは、すなわちこのトロッターのそういう業務をあなた方が代行して、その赤字で経営がやっていけないというものを、経営がやっていけるようになる自信があったわけですか。
  176. 井上綱雄

    井上参考人 現在私どもは関西におきましてトロッターレースをやっておるわけであります。そのトロッターレースはどういう売り上げになっておるかということを、御参考までに申し上げた方がよかろうと思いますから、申し上げますが、三十年度のトロッターレースの総売り上げは、三億三千四百十三万九千百円であります。それに対しまして、所要経費といたしましては千八百五十三万四千百円であります。売上げからわれわれのところでは一四%の利益を得ているわけでありますが、差引いたしますと、四千六百七十七万四千四百七十四円という、一応昨年度のトロッターレースに関する限りの収益を得ているわけであります。ところが、これは御承知と思いますが、現在のトロッターレースのやり方といたしましてはまことに物足りないものがいろいろございまして昨年馬主会で入れましたものにつきましても、アメリカ流のほんとうのレースをやってみたならば、この収益はますます増加するであろう。そこでアメリカからトロッターの純血を入れまして、このトロッターレースの改善をはかりますれば、われわれといたしましてはさらに収益を増すことができ、かつまた現在いろいろ問題になっております点を解消できるというような考え方でございまして、トロッターレースの改善をいたしますために、トロッターを入れることに同意をいたした次第であります。
  177. 中村時雄

    中村(時)委員 この間、私農林大臣にお聞きいたしましたところが、農林大臣お話では、トロッターレースに対する券の発売は中央競馬会ではやっていないのだ、こういうお答えが行われたわけです。そうしてそういう高い馬を農家に直接はやれないからというお話もあり、ただいま検討中のところである、こういうお答えがあったわけです。ところが、あなたのお話を聞いておりますと、すでにトロッターレースを行なっている、こういう結果が出てきたわけですが、中央競馬会として実際に券を発売しながらトロッターレースを行なっているのですか。
  178. 井上綱雄

    井上参考人 農林大臣お話は、おそらく関東でやっておらぬというお話であったと思うのです。かつまた、このたび入れたものにつきましていろいろ準備の関係もございまして、当分の間券を発売しない、そうした諸般の事情がございまして、ためにデモンストレーションのようなレースをやりたいということを私どもの方で考えておりますので、あるいは農林大臣はそういうことをおっしゃったのじゃないかと思いますが、この実績は、関西におきまして、京都、阪神及び小倉におきまして現に実施をいたしております三十年度の実績でございます。それにつきましてあきたらぬものがございますので、アメリカから馬を入れましてそのレースの改善をいたしまして、いろいろ向うの方式にならったものをやりたいということで、競馬会といたしましては今度の計画を引き受けたわけであります。
  179. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、トロッター馬主というのはだれですか。
  180. 井上綱雄

    井上参考人 現在の馬主のことをおっしゃるのでございますか。
  181. 中村時雄

    中村(時)委員 この間入れた……。
  182. 井上綱雄

    井上参考人 これは他の馬と同時に持っている人もございますし、単独に持っている人もございまして馬主が変っているわけでございません。——今度入ったものでございますか。今度入ったのはまだ私どもで一応持っている。これは私の方でレースの大体の仕組みなり、あるいは賞金額なりその他持ってもらうについてのいろいろ具体的な条件がありますので、その条件をはっきりしまして、なおまた今申しますように、入れたものをすぐレースに使うことにつきましての疑義もございますので、向うから参りましたアメリカ人の輸送者を一人先生にいたしまして、いろいろ関係者に勉強させているわけでありまして六月になりますれば、おそらくこれは一応レースに使い得るように完成するであろうと考えております。従いまして現在のところまだ競馬会が所有いたしております。
  183. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、そのトロッターをどういうふうに効用されるか、それをお聞きしたい。
  184. 井上綱雄

    井上参考人 こうようというのは、どういうのですか。
  185. 中村時雄

    中村(時)委員 たとえばこれを種馬として入れている。種馬としてやるためには、どういう経路を経てどういう期間を置いて、どういう状態でこれを種馬とし、どういう販売経路をもって一般の農村なら農村に売っていくのか、そういうことをお聞きしたい。
  186. 井上綱雄

    井上参考人 それについて申し上げます。大体農林省の側の希望も、二カ年ぐらいはレースに使って、二カ年たったらこれを生産地の農民に売るようにいたしたいという当初農林省からの話もございましたので、なるべくその線に沿うてやりたいと思います。具体的に申しますと、本年の六月、あるいは七月になるかもしれませんが、そのくらいから二カ年間レースに使いまして、その間に大体賞金その他の割り振りによりまして馬主といたしましては減価償却をいたすことができるように、賞金その他のことを考えたいと思います。そういたしますと、馬主は損がないということになりますと、これはだれにも迷惑がないわけでございますので、このときにレースの仕組み、賞金その他レースの数とか種類というものを少し変える。そうすれば、馬主も持っておっても仕方なくなりますので、これを安く手放すことになると思います。その安く手放したものを生産地で引き受ける、こういうことにいたしたいと考えております。
  187. 中村時雄

    中村(時)委員 馬主が損がないということは、馬券を買った者が損するということなんですが、それでその馬主は二年くらいの間に、それほど膨大な利益がある。この高いものが安価な値段で直接生産者農民に売られるということになっていくならば、これはかなり膨大な利潤になってくるのですが、二年くらいでそんな大きな利潤のあるものを果して手放すでしょうか、どうですか。
  188. 井上綱雄

    井上参考人 これはサラブレッドやアングロ・アラブにいたしましても、大体二年間あるいは二年たたないで競走は終りまして、生産地に入りますとか、あるいはその他の競馬に連れていくというのが現状でありまして、単にトロッターだけの問題ではないのでございますが、大体馬主は利潤があるということにはなりませんが、原価は償却するという程度になっておると思います。これは私ども賞金予算を御審議願っておりますが、賞金予算の基礎というのはそういうことになっておる次第であります。非常な利潤があるとは思いませんが、大体その程度で原価償却ができるというふうに考えております。
  189. 中村時雄

    中村(時)委員 本論に入りたいと思いますが、それではトロッターに対するところの今までのトロッター協会の会長お話を総合してみると、あなた方が立てた十万ドルの内容トロッター三十頭に対して十万ドル必要だという内容は、どういうところから出てきたのですか。
  190. 井上綱雄

    井上参考人 このトロッター協会の計画によりますと、一頭当り百二十万円見当で出ておるようであります。なおまた内容は、先ほど来お話がございますように、牡馬が五頭で牝馬が二十五頭ということになっておるのでございます。ところが私向うに参りまして、種々調査いたしまして、さらにまたこちらに帰りましてから諸般の情勢を考えてみますと、現在の馬主諸君に馬を持ってもらいますには、百二十万円の馬では持つ希望者が非常に少い、あるいはないということでございますので、一応これは八十五万円程度考えたのであります。なお直接の商社でございます清水商会にもそういうことを照会いたしましたところ、八十五万円程度で一応御希望のようなものは買えるという見通しがつきましたので、私どもとしては、十万ドルのワクはすでに藤井商店に発注が済んでおるあとでございますが、私どもの方の計画としては八十五万円程度で三十頭ということで契約をいたした次第でございます。
  191. 中村時雄

    中村(時)委員 それではその当時一万五千ドルに対するところのサラブレッド輸入というところの問題と関連して、どういうふうなお考えを持ってこれを行われたか。
  192. 井上綱雄

    井上参考人 この一万五千ドルのワクについては、けさほどお話がございましたが、これはアメリカですでに購入の予約をされておると私ども考えておりましたが、このトロッターワクをどう使うとか、あるいは一万五千ドルのワクをどこから持ってくるということについては、私どもは関係はございませんので、私ども種馬の関係のワクが一万五千ドルあるから、永田さんが御出発の際にすでにそういうお話が出ておったということでございまして、ワクについては、私どもはどこから持ってこられるか、どこからとられるかということについては御相談も受けておりません。かつまた何らそこに御質問もなかったので承知いたしておりません。ワク割当については、もっぱら官庁のお仕事だと考えております。
  193. 中村時雄

    中村(時)委員 ところが、先ほどの会長お話を聞いておりますと、申請をされてワクが残ったらサラブレッドを入れてもよろしいということの御相談がありました、こうおっしゃっている。そうすると当初からそのワクというものは、それだけ余裕があるということになるのじゃないのですか。それだけに割り当てる余裕がないということならば、当然その中に他の品種の馬が入ってくるというべらぼうなことはないと思う。ところがお答えの中に、そのワクが余ったならば、他の品種すなわちサラブレッドを入れてもよろしいんだ、こういうお話がありました、こうおっしゃるところを見ると、代行していらっしゃるはずのあなた方が、どういう理由でそういうことを承認できるのですか。
  194. 井上綱雄

    井上参考人 これは当業者である藤井商店が、おそらく農林省の御了解を得られたことと思うのでありますが、私どもとしては、当初から八十五万円で三十頭程度ということを言っておりましたので、十万ドルのワクがあるということも承知いたしておりますが、そのワクを直接こっちに持ってこられるのであるか、あるいはまた他に馬を買うワクがあるかということについては、私は承知いたしておらぬということでございます。
  195. 中村時雄

    中村(時)委員 すると、あなた方中央競馬会トロッターの代行をする。そうでしょう。代行するとあなたはおっしゃった。代行するときには、トロッター協会の方ではすでにそのワクの余ったものをサラブレッドならサラブレッドを入れてもよろしいということの話がありましたと、先おっしゃった。お聞きになったと思う。ところがその内容は、トロッター協会からあなた方には言わなかったのですか。
  196. 井上綱雄

    井上参考人 これは、内容とおっしゃいますが、トロッター協会は、トロッターに関する輸入の代行をするように、私の方にお話があったのであります。その他のことについてはお話がなかったのであります。トロッターについては私どもこの事業ができればいいと考えておりましたので、その他のことについては、これは当事者の藤井商店と役所の間の連絡があればよかろうと思っておりまして、なおまた余裕があれば使っていいという、私どもにもちょっとお話がありましたが、私どもトロッターが完全に輸入できれば、その他のことについては何も言うことはない。ワクをどういうふうにされるかは農林省の方でやっておられるので、私どもトロッターさえ完全に輸入できれば差しつかえない、こういう返事をしております。
  197. 中村時雄

    中村(時)委員 これは重大な問題です。そうすると、農林省の方は当初からそういう計画をし、当初から一万五千ドルというワクをぶんどろうという考え方がはっきり出てきた。あなた方ももと農林省にいらっしゃったんだから、当然そういう行為が行われるということは推察できなかったですか。ことにあなたは馬に関しては長年うんちくを傾けておられて、りっぱな考えを持っておられる。だから中央競馬会ができる際に、あなた方はそっちに行くのじゃないかと言ったら、行かないとおっしゃっていて、いつの間にか行ってしまった。そういうあなた方のようなエキスパートが、その裏面における内容を全然知らなかったのですか。
  198. 井上綱雄

    井上参考人 これは大へんおしかりのようでありますが、私今申し上げましたように、十万ドルのワクにつきましては先にきまっておった。トロッター協会の方の申請できまっておりましたのを、私どもが計画をいたしましたのが、今の百二十万円と八十五万円の差ができまして、余るということは知っておりました。しかしそれにつきまして、私どもトロッターを入れる代行をいたしましたので、その他につきましては、何らわれわれの方でやってくれというような依頼もないのでございまして、そのワクをどう使うかにつきましては、私どもに権限はないと考えておりましたので、従いましてこの為替のワクについては、当業者である藤井商店がもっぱら農林省と折衝をいたしてやったことと考えておりますし、またトロッター協会にいたしましても、私どもにいたしましても、そういうような余った金があるならば他に使ってよかろうかということでございました。それにつきましては今申し上げましたような次第でございます。
  199. 中村時雄

    中村(時)委員 あなた、ほんとうに良心をもって答えてもらいたい。言いわけを頭の中で考えていちゃ困る。これはあなた方は百二十万で買おうとしていらっしゃった、当初は……。
  200. 井上綱雄

    井上参考人 私の方はそう考えておらぬのであります。
  201. 中村時雄

    中村(時)委員 八十五万円……。
  202. 井上綱雄

    井上参考人 そうです。
  203. 中村時雄

    中村(時)委員 すると、百二十万円よりもっと安いものが手に入ったというわけですね。実際はもっとよりよきトロッターがたくさんあるということです。百二十万円から八十五万円、八十五万円よりもっと安いのもありますね。すると、あなた方がそれほど品種の改良に重点を置いておるならば、なぜ十万ドル出して、もっとよりよきトロッターを買おうというように考えなかったのですか。少くともあなた方のような考えを持っていらっしゃる方が、値段さえ安ければどんなものでもいいということはないと思う。少くとも十万ドルのワクをあなたは倹約して、放棄するほどのお考えを持っていらっしゃる頭の持ち主じゃないと思っております。これは御商売にしたってそうなんです。そういうんだったら、なぜ藤井商店なり何なりによく相談されて、よりよきりっぱなものを買わなかったか。筒一ぱいのことはできると思う。それはあなたは官庁にいてなれているはずです。予算が余っていれば年のしまいには少し無理をしても全部使ってしまうでしょう。一銭だって予算を余さぬでしょう。そのくらいにワクがきめられたら、そのワクは全部使ってしまう能力を持っているあなたなんです。そのあなたに余裕金を残そうなんて考えがあるはずがないのです。
  204. 井上綱雄

    井上参考人 その点については私どもの方へ参りました馬をさらに馬主に売らなければならぬ実情にございます。従いましてサラブレッド抽せん馬でもアングロ・アラブの抽せん馬でも、——サラブレッドの抽せんにつきましては昨日終りましたが、当初百万円程度ということで相談をいたしましたところ、それを買われる馬主の方が七十万円で売れということで、つまりそう言っては失礼でございますが、馬主のふところ工合がいい人ばかりではございませんで、十万円でも五万円でも三万円でも安い方がいいというのが馬主の実情でございます。それで農耕馬改良とかトロッターそのものの改良のためには、仰せのごとく最もいい馬を入れるのがけっこうなのでございますが、競馬会で終始持つものではございませんで、結局馬主に売らなければなりません。それで当初のトロッター協会の計画では百二十万円でございましたが、百二十万円では引き受ける者がない。また馬主さんにも相当当ってみましたが、そんなに高いものではとうてい引き受ける者はないよという馬主さんの事情で、八十五万円に引き下げました。精算の結果はよくわかりませんが、それよりも少し高くなると思うのであります。大体八十五万円の馬を現在では調教も済ませまして配付するような段階になっておりますが、八十五万円ではとうてい引き受けられない、競馬会の負担において何ぼか引き下げてくれなければ引き取る者はないよという意見も出ております。だから馬のいいのを入れるのは今委員からお話通りけっこうでございますが、競馬会がこれを入れるわけではございませんで、ワクと実際の金は違いますので、これを馬主に持たせる意味におきましては、どうもそんな高いものでは引き受けられないという実情でございま す。
  205. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはトロッター協会の代行をしていらっしゃる、そのときの実情というものは、あなたのような方には大体競馬主のふところ工合がどういうものか、幾らぐらいかということは当然わかるわけです。結果においてはそのことを逆算をしていくのじゃない、計画というものは大体どの程度で、どういうふうになるかという目安くらいはつけていくものでしょう。もしあなたのおっしゃる通りでありますなら、あなた方の計画というものは実にずさんだったという結論が出てしまう、この重要なる外貨を、あなた方のずさんさのために、一競馬のために左右されていっては大へんです。今言った十万ドルにしましても、実際のふところ工合から考えてみた場合に、大体の馬主の購入できる範囲はどのくらいか、三十頭入れるのにどのくらいの外貨が要るかということは当然推測できるわけでしょう。向うへ行って交渉したら値が安かった、それで金が余ったとこの前当局が言っておる が、ところが聞いてみると全然そう じゃない、答弁に食い違いがある。あなた方の計画としては、馬主が購入できる金額というものは幾らくらいか、それに対して何十頭入れる、それで幾らの金が要るか、それで外貨の申請上をする、こういうことが計画であろうと思いますが、一体あなたはどういう計画をされておりますか。
  206. 井上綱雄

    井上参考人 先ほど来の話の当初の計画は私の方で立てたものではありません。トロッター協会が他のものと計画されたのでありまして、私どもが計画したのではなくて、従いまして十万ドル割当というのは私どもとしては計画に間違いがないと思うのでありますか、当初の計画と私ども代行いたしました計画に食い違いがあったということを申し上げます。その点で御了承願いたいと思います。
  207. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたが盛んに頭を使って一生懸命言われるが、私がある人に聞いたところによりますと、こういうことを人がうわさしておる。ある人があなたにたまたま何かの機会にお聞きになったのだと思うが、そのときの御答弁で、すでに外貨割当がなくなっておるので、入れるかどうかわからない——三頭のサラブレッドのことを意味しておる。その三頭のサラブレッドを入れるのに対しまして、すでに外貨割当がなくなっておるのじゃないか、こういうことをお考えになっていた。ところが係にあなたが聞いてみたところが、トロッター輸入割当十万ドルのうち予算として計上した分の余剰ができるのだ、こういうことをどこかでお答にになったと思うのだが、そうするとつじつまが全然合わなくなる。今申しましたように、結果において余剰が出たのではない。あなたは当初からよく知っておって、この三頭を入れるという一つ考え方を持っておったのじゃないかと私は疑義を持つのであります。これに対してはどうお考えになりますか。
  208. 井上綱雄

    井上参考人 今どなたからかお聞きになったという話でありますが、私はそういうことをたれにも話したような気がいたしません。非常に残念でありますが……。その点は私がさきに聞きましたのは、サラブレッドにつきまして永田さんが購入せられたという事実を実は知っておるわけでありますから、その事実につきまして私ども係に話ししまして、もしもそうだったらこれは当然購入予約の取り消しをしなければ当局に迷惑を及ぼすのであるから——一万五千ドルのワクにつきましては私も実は確めて行ったわけではありませんので、そこでこの点につきまして私は帰りましてから係の者に聞かせましたところ、たまたまそれが大丈夫だという話になりましたが、その大丈夫という内容につきましては私どもにはわからぬ。為替のワク割当がどうなっておるかということにつきましては競馬会といたしましては全然知らぬのであります。従いまして大丈夫ということから、ああそうかということで、先般の農林大臣からのお答えもそうだったと思いますが、私どもといたしましては、紹介してくれという話であるので紹介したのでありまして、ワクがどうなっておるかということにつきましては当事者である藤井商店内容について御相談の上でやられておることと存じております。
  209. 中村時雄

    中村(時)委員 藤井商店のえらい詐欺みたいなことになってしまうわけですが、責任転嫁が藤井商店にかわっていったわけであります。あなたはそういうことは覚えがないとおっしゃっておるが、よく冷静に考えてもらいたい。これはうわさかもしれませんが、そういうことを人から聞いておるのです。先ほどは十分な話をしなかったのですが、サラブレッドの三頭の輸入に対する外貨について、すでに外貨割当はなくなっておるので、入れることができないのではないかというふうに係に聞いた、ところがトロッター輸入は十万ドルのうち予算として計上した分に余剰を生ずるという見込みで、見込みが確実であるからこれを充当したいと思います。それは農林省からそうしてもよいとのことであります。なお本多君が直接話をしますということで、井上の部屋に本多君が来て、通産省の方でも差しつかえないということでありますから、農林省として差しつかえありませんと言明しておる。こういうことをあなたは御記憶ありませんか。そうなると今言ったあなたの答弁とはだいぶ食い違いが出てくる。そのことは前もって知っておったということになる。その承認の上に立ってこの行為が行われたという結果が出てくる。
  210. 井上綱雄

    井上参考人 どなたがどういうふうにおっしゃったかということでありますが、私は今お答えいたしました程度考えておるのであります。もしもそういうことをかりにどなたかが私と話をしたと言われたとすればその方の記憶の間違いだと思います。そういう点で御了承願いたいと思います。
  211. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると私がうわさで聞いておるこのことの方が間違いだとおっしゃるのですね。
  212. 井上綱雄

    井上参考人 さうでございます。
  213. 中村時雄

    中村(時)委員 それからその次にお尋ねしたいと思います。あなたが競走馬に対して、十万ドルに対するところの割当が余剰がある場合に、サラブレッドを入れるという内容のことは全然知らなかったかどうかということを最後にはっきりさせておきたいと思います。
  214. 井上綱雄

    井上参考人 サラブレッドを入れるということにつきまして、アメリカに滞在中永田さんからそういう話の出ましたことはけさほどのお話通りであります。あのときに永田さんは私に頼んだという話でありましたが、私は頼まれる立場でなかったので、同席の清水貿易の主入がおられましたので、清水貿易の主人に頼まれたと私は了承いたしております。その話は十分知っております。
  215. 中村時雄

    中村(時)委員 知っておるということは、前もって大体その話は知っておったわけですか。
  216. 井上綱雄

    井上参考人 けさほど永田さんがおっしゃったように、永田さんの滞在のホテル清水貿易の主人があいさつに行くときに、あなたも一緒に行ったらどうだろうかということでございましたので、同席をいたしました。そのときのお話を知っておるということを申し上げておるわけであります。
  217. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、これは一つ整理する意味においてですが、先ほどトロッター会長がおっしゃったように、大体十月にその話を聞いた、要するに十万ドルに対するところの割当の余剰金ができた場合には、サラブレットを入れてもよろしいというような話し合いを十月に聞いたとおっしゃっている。その問題が一つあったと思うのです。それをあなたはお聞きになったと思う。しかしあなたは、そのことの内容に関し、あるいはそういうような問題に関することは全然知らなかった。知らずしてただ代行してやったというか、経営を引き受けたということなんですね。
  218. 井上綱雄

    井上参考人 もう一度申し上げますが、トロッター輸入についての十万ドルのワク割当につきましては、当初から私の方が申請しておりませんので、そのワク範囲内で私どもは仕事をすることに考えておったのでありまして、従って、藤井商店の契約もそういうふうになっておるのであります。内容につきまして知っておるか知っておらぬかということでございますが、そこのところはどういうお話なんでございましょうか。もう一度お願いしたいと思います。
  219. 中村時雄

    中村(時)委員 それはこういうことなんです。申請をするときに、今の会長お話では、すでに十万ドルのうちで余剰ができたときには、それを他に転用してもいいかというふうに話があったということを御確認しておるわけなんです。その内容をあなたは知っておったかどうかということです。ただそれを知らずして、トロッター協会の経営なり何なりを引き受けたかどうかということをお聞きしておるのです。わかりませんか。
  220. 井上綱雄

    井上参考人 ちょっとよくわかりませんが……。
  221. 中村時雄

    中村(時)委員 こういうことなんです。先ほど会長が十月にその話がありましたとおっしゃったのですが、お聞きになったでしょう。
  222. 井上綱雄

    井上参考人 ええ。
  223. 中村時雄

    中村(時)委員 十万ドルに対して余剰が現われた場合には、他に転用してもいいかどうかということの話し合いは十月にありましたとおっしゃったですね。そこで、あなたが経営を引き受けるときに、今の会長のお考えのように、その十万ドルの余剰に対しては他に転用してもいいということを御承認の上で引き受けたかどうかということなんです。
  224. 井上綱雄

    井上参考人 その点は直接何も話はございませんので、私は存じません。
  225. 中村時雄

    中村(時)委員 非常にお急ぎのようですから、いろいろお聞きしたいことはたくさんありますが、一点だけにしぼります。輸入をしてきた競争馬については、あなたが一番よく内容御存じのことと思うのです。そこで、その問題に関しての登録は、一頭は永田さん、二頭は河野さんになっておる。その内容なり値段なりは、あなたが直接見に行ったわけですね。そのうちで河野さんの持っているいい馬と称するもの、永田さんの持っているいい馬と称するもの、そこに価格の相違が先ほど質問にあったようにあるわけです。一体どういうわけでこういうふうな分け方をされたのか。あなたが見に行って、あなたが立ち会って、あなたが馬のいい悪いはよくわかっているはずです。永田さん自身はえらそうに言っているが、何もわからぬとおっしゃった。馬の判別は何もわかちぬので、専門家のあなたを連れていったのでしょう。そこで、分け方やいろいろな内容についてお聞きしておるのです。
  226. 井上綱雄

    井上参考人 これはけさほどの話のうちでございますが、先ほど申しましたように、永田さんが言われましたことは、永田さんが多少思い違いをしていらっしゃるのじゃないかと私は思います。清水貿易の主人に、農林省から一万五千ドルのワクがあるといってきているから、自分は馬を二、三頭買いたいんだというお話がございまして、同時に、私が同席しておりまして、君、時間があれば、はなはだ済まぬけれども、ついでに馬を見てくれないかというお話がございました。その翌々日であったと思いますが、清水商店の方から連絡がありまして、清水商店の専務と一緒に参りましたが、そのときの事情を申し上げますと、馬丁と調教師がおりまして、馬主がいなかったのであります。どの馬がいいかどの馬が悪いかということにつきまして意見を求められましたので、これは日本に入れてから使える馬であろうとか使えない馬であろうとかいうことを申しましたが、値段その他に関しましての話は馬主がおりませんので出ませんでした。またその他多少のことを言ったと思いますが、英語でやっておりましたのでよくわかりませんでしたが、調教師等は、値段については自分たちもはっきりしないし、この馬を売るか売らないかということもはっきり言えないというようなことであったと思います。従いまして、馬がいいか悪いかということにつきましては、この馬は日本でよろしかろう、この馬ならば日本では悪いだろうというような判定を私はいたしましたような次第であります。それ以上のことはわかりません。
  227. 中村時雄

    中村(時)委員 最後に一点。先般来中央競馬会法の一部改正法というのか出まして、設備資金が足りないからという意味においてこちらでも決議したわけでありますが、その際に、当初、中山競馬場の工事の下請金額について、その後さらにそれが変更になったということを聞いておるのでありますが、工事の内容に対する詳細ないろいろの資料がありましたら今後送付していただきたいと思っております。それ以外のことに関しましては、私の質問はこれで打ち切ります。御苦労さまでした。
  228. 井上綱雄

    井上参考人 今の、当時の内容につきましては、私が窓口になっておりませんので、臨時建設部というものを作りまして、総務部長が衝に当っておりますので、総務部長に連絡をいたします。
  229. 稲富稜人

    ○稲富委員 井上参考人に二、三お尋ねしたいと思います。  井上参考人は昨年渡米されたのでございますが、いつからいつまでの期間で、いつお帰りになりましたか。その期間をちょっと承わりたい。
  230. 井上綱雄

    井上参考人 八月の終りに出まして、九月の終りに帰って参りました。日は、出かけたのが大体八月の二十六日ごろだったと思っておりますが、帰って参りましたのはたしか九月二十八日だったと思います。その期間であります。
  231. 稲富稜人

    ○稲富委員 はなはだ失礼でございますが、そのときの目的は、何を主体としておいでになったのか承わりたい。
  232. 井上綱雄

    井上参考人 それは、農林省調査員というようなことで、公務員として出張命令が出ておりましたが、中山競馬場の建設が必至の問題でございますし、御承知通り競馬場につきましてはいろいろの御批判もあるわけでございますけれども、あちらでは最も新しい競馬場がたくさんできておりますから、競馬場の建設のいろいろの問題を見てくることと、それから特に競走のやり方につきまして、従来われわれの方でやっておりますことが、いろいろとぎこちないところがありますことも御承知だと思いますが、特に戦後の競馬の運営はアメリカの指示によってできているものがたくさんございますので、その辺の運営の状況等につきまして、向うの競馬がどう運営されているかということに関心を持って参りましたのが主でございます。また、私も多年技術者の端くれでございましたので、馬の生産状況等につきましても、時間の余裕がある限り見てこいというようなお話でありましたので、そういう目的で参りました次第でございます。
  233. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻永田参考人お話を聞きますと、農林大臣が立つときに、トロッター競走に関して今調査に来ているからというようなお話があったということでありますが、トロッター調査も目的の一つであったのでございますか。
  234. 井上綱雄

    井上参考人 お答え申し上げます。トロッターにつきましては、先生御承知通り、関西におきますトロッターレースの施行ぶりははなはだまずいのであります。従いまして、これをどういうふうに施行していくかということも競馬の運営の内容といたしまして当然必要でございましたので、関心を持って参りまして、トロッターレースも非常に念入りに見て参りましたので、その他いろいろ競馬の運営に関してということで申し上げたのでございまして、これも調査目的の一つであったことは間違いございません。
  235. 稲富稜人

    ○稲富委員 その当時トロッターアメリカの価格等もやはり御調査になったのですか。
  236. 井上綱雄

    井上参考人 価格と申しましても競走馬につきましてはいろいろございまして、大体この程度のものはこの程度で買えるというようなことにつきまして、競馬場に出ておりますものの値段と、馬の資格につきましても関心を持って調べて参りました。昨年日本からやはりトロッターを買いに行かれておりますが、本年はこれがどのくらいの値段であるか、あるいはこの品物であって日本に使えるかどうかということについては調査いたしました。
  237. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻、今度のトロッターを買ってきたのは八十五万円というような御意見のようでありましたが、あなたの方で御調査になったときに、やはりこのトロッターというのは一頭八十五万見当ということも御調査になってきたのでありますか。
  238. 井上綱雄

    井上参考人 それは実際にやってみませんと、これは馬がどのくらいかということはうかつに聞けないわけでありまして、一々当ってきたかという仰せでございましたら、そうではなかったのでございますが、まあ大数観察と申しますか、その程度のものはこのくらいで買えるだろうということを、牧場競馬場において諸般の人々に聞きまして、この程度のものは買えるだろうという印象は受けて参りました。
  239. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとあなたは、トロッターがあちらで八十五万円見当ということは見て帰ってこられたわけでございますね。そうしてそのことはやはり農林省の方に御報告なさっていますか。
  240. 井上綱雄

    井上参考人 これはそういうことを正式にということではございませんが、帰りましたあと、帰朝報告をいたしました際に、トロッターが多少安く買えるのではないかということでございますが、実はその後実際にやってみますと、ウエスタン・八ーネスというのがちょうど十一月、十二月ころに行われるのでありますが、その時期を失しますと相当値段も動揺がございまして、価格について厳格にこの程度のものはどのくらいで買えるだろうということは、どうもはっきりとつかめなかったのであります。およそのことは八十五万円程度でもわれわれの競馬場で使えるようなものは得られるであろうという印象は受けて参りました。
  241. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると井上さんにお聞きしたいのですが、農林省から外貨ワクをとりましたときには、一頭が百万円から、牡馬の方は百八十五万円くらいということで外貨ワクをとっているのです。あなたはやはり八十五万円くらいだということを向うの方で調査なさってきて、そうして農林省に御報告なさっている。農林省がどういうわけでこれを八十万円か八十五万円ということを妥当だということにしたのですか。これはトロッター協会が申請するときも、牝馬の場合は百万円、牡馬の場合は百八十万円、こういうことで外貨ワクをとっているわけでございます。これはあなたの方との連絡が十分とれていなかったのでしょうか、その点あなたのお考えを承わりたい。
  242. 井上綱雄

    井上参考人 これは具体的に確かめたわけではございませんが、想像で申し上げますと、昨年輸入せられましたのがやはり八十万円から八十二、三万円だったのじゃないかと思います。その馬は御承知のように関西で使っておるのでありますが、それが非常にまずいということで、トロッター協会といたしましてはもっと生産上いいもの、それから競走上いいものと、両方考えられまして、当初の計画が立っておるのでありまして、そうしてこの輸入申請が出て参ったのでございます。この輸入申請を私の意見なりあるいはその後の清水貿易の調査等を基礎として出しかえなかったということでございまして、これは外貨ワクと申しますものが、厳格にどれだけでぴっしゃりというわけにも参らぬというような実情もあるのではないかと思います。実情は外貨ワクはある程度余裕をとって申請をしておって、外貨ワクがなければこの通りには認めてもらえませんというようなことで、多少余裕をとって申請をせられておったものを、一応その外貨ワクは、今の事情ではこの程度に余裕があるからよかろうということでなかったかと思います。これは私は確めたわけではございませんで想像でございます。先ほど中村委員からのお話もございますが、何か十万ドルのワクをいらざるものをとっておいてすべり込ましたのじゃないかというふうに私はお聞きしたのであります。そういう意図があったとは私は信じておりませんので、外貨ワク割当につきまして多少余裕をとって申請してあった。余裕をとって申請してありましたが、私の方が代行することになりました場合には、厳格に実行に移す段階でございますので、そこではっきり馬主に渡す。そうしてこのくらいでなければならぬということが明瞭になって参りましたので、当初の計画と私どの計画とは、私の方の実行上の関係で変ってきたということになると思うのであります。
  243. 稲富稜人

    ○稲富委員 これはあなたを責めるわけではないのでございますが、ただ参考までに申し上げておきたいと思いますのは、あなたは九月の終りころに帰ってこられまして、農林省に報告されて、向うの馬の価格の問題も、トロッター協会が十月中旬に申請をしている。さらにこれに農林省が裏づけしておるわけです。そのときは今申し上げましたような価格というものが非常に幅を持たして申請されている。ここに私たちはどうもふに落ちない点があるからお聞きしておるわけなんであります。これはあなたに対していろいろ御答弁を求めるわけではございません。そういう事情になっておりますので、その点が私たちふに落ちないものですから、価格の問題をお聞きしたわけです。それから永田さんが向うに行かれて、一万五千ドルのワクがあるから種馬を買ってきたらどうかということは、農林省本多事務官から話があって行った。あなたは河野農林大臣から、先刻永田参考人の話の中にもあったことなどお聞きになっておりますが、あなたは河野農林大臣に向うでお会いになったときに、河野農林大臣が、永田さんがこういう話を聞いてきておるそうだから、一つ競走馬を買ってやったらどうか、世話してやらぬかということを農林大臣からお聞きになって、そして清水商店と一緒に永田さんに会われた、こういうように私先刻聞いたのでございますが、それは間違いないのですか。
  244. 井上綱雄

    井上参考人 その点はちょっと間違っております。実は永田さんのお話を聞いておるうちに、永田さんどうしてそういうことを言われるのかと不思議に思っておった。実はそうでございませんで、実情を申し上げますと、農林大臣ロスアンゼルスに見えましたのは九月の中ごろだったと思います。敬意を表しに参りましたところ、ほかのいろいろな話のついでに、永田君が今サンフランシスコに来ておるよということでございました。そうですが、どちらに行かれるのですかと言ったら、ニューヨークに行く、帰りにロスアンゼルスに寄ると言っておったぞという話であった。そうですかということで、そのときに永田が一万五千ドルのワクを持っておると言っていたが、君知っておるか。いや私はそういうことは全然聞いておりません。前にそういうお話はございませんから何も聞いておりません。大体農林大臣御存じのないことを私が知っておるというはずもございませんから。それはそうだねというお話でございました。そのときに馬を買ってくれとか、永田世話してやれというお話もございませんし、かつまた、私は商売人でも何でもございませんから、ただそういうふうに話を聞いただけでございます。
  245. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから河野農林大臣がほかの共進会に行って馬を一頭もらった。ところがもらうわけにいかないから金を払ったということを河野農林大臣は言っておるのでありますが、その馬は一体どの馬でございますか、スカーレットの方ですか、ケープタウンの方でございますか。どちらの方でございますか、あなたが御存じならお教え願いたい。
  246. 井上綱雄

    井上参考人 共進会に私お供いたしたのでございますが、そのときに農林大臣は、各種の農産物が出ておりましたが、畜産物、特に馬についていろいろ御関心があったようであります。詳しく長く、三十分程度でございますが、割合に長く見ておられましたので、これはその翌日でございましたか、清水貿易の人から、農林大臣に共進会に来てもらって大へんありがたかったということと、何か記念に差し上げたいが、大へん馬がお好きのようだが、一頭差し上げたいというお話があったということを私聞いたのであります。こういうお話があるそうですが、農林大臣どうでございますかとお話をしましたところ、これは農林大臣がただでもらうわけにはいかない、それはだめだよというお話でございました。その通り率直に清水商会の方に話をしましたところ、ああそうですか、それはごもっともでございますということになっておりまして、寄贈したいという馬がどれでございますか私は全然知らないのであります。そういう話を私も承わったことは確かでございます。
  247. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると農林大臣に馬をやろうと言ったのは、清水商店がやろうと言ったのですか。
  248. 井上綱雄

    井上参考人 清水商店の専務でございますが、それを通じての話でございます。何か書いたものもあったようでありますが、寄贈したいからという意思の手紙を見せられまして、こういうことを言ってきておるということでございます。これは清水商会ではございませんで、共進会の設立者でありますか、畜産組合長でございますか、そういう立場にある人からの申し出だと思います。
  249. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、スカーレットかケープタウンかどちらかわからぬが、そのうちの一頭がそのときにあった馬であるのでありますか。
  250. 井上綱雄

    井上参考人 それは今申し上げましたような事情でございまして、どの馬を寄贈するというようなことは、私知らないのでございます。来たもののうちどれであるかということも私は存じません。それは事実三頭来たのでありますから、そのうちの一頭がそれに該当するかどうかということも実は私は知らないのでございます。しかし、大体三頭来たんだから、そのうちの一頭そういうものがあるのか、あるいはごく 、安い値段で買ったということになっておるのかどうか、実際に買われたのかどうかということは、清水商会の方で取り計らったものだと考えておるのであります。ただでもらうわけにはいかぬということにつきましては、はっきり私の方から清水商会の方に伝達いたしまして、ただもらわれたのではないということは私自身が証明いたします。
  251. 村松久義

    村松委員長 稲富君に申し上げますが、想像とか、あるいは伝聞の事項は、参考人には聞かぬことになっております。ですから、これは知らぬということで御了承を得たいと思います。
  252. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから清水商会という商会は、いかなる貿易商であるか。もしも参考人御存じでありましたならば、一体どういうものを扱っている商会であるか、一つお教えを願いたいと思います。
  253. 井上綱雄

    井上参考人 清水商会は、私もつき合いはごく新しいのでございますが、馬の輸入につきまして、農林省も従来関係がございましたし、いろいろ他の畜産物についてもございました。アメリカで馬につきましてほとんど一手でやっているくらい大きな商会というのは、ニューヨークに本社を有するファシイヒ・ティプトン・カンパニーでございます。このファシイヒ・ティプトン・カンパニーとの関連の密接な商社か、われわれの要る馬、ほしい馬を向うで入れてくれるということになっている次第であります。清水商会は——たまたまその会社の代表は、ゼ・タイソンという人でございますが、そのゼ・タイソンという人の話によりますと、清水商会にやらせるのが一番適当だ、自分の会社としてはそう思う。清水氏も四十年ロスアンゼルスに滞在して、米国籍を有する日系の商人であるから、こういう人にまかせたら一番適当だろうというアドヴァイスでございまして、私も清水商会を信用いたしました。なおまた清水貿易の主人にも会いまして、いろいろ話をしてみますと、ともかく私ども長い間畜産局におりまして、家畜の輸入につきまして仕事をいたしておりましたのですが、その実際りことは知りませんが、いろいろな話が伝わりますので、外国の商社とのしっかりした密接な連係を持つことが一番いいし、特にアメリカに四十年も住んでおるような信用のある——先ほど永田さんのお話にもありましたように、これは日本人の商工会議所の理事か会頭かをしておる人でございますので、この人に頼むのが一番いい。なおまた藤井商店につきましては、先ほど申しましたように、藤井商店清水商会の日本における代理店になっておりますので、永田さんの方にもその代理店という意味におきまして、私が紹介したのでございます。そういう事情になっております。
  254. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、以前日本に外国産馬か競走馬が入ったことがありますが、それはやっぱり清水商会をわずらわしまして入ったのでありますか。
  255. 井上綱雄

    井上参考人 清水商会じゃございません。他の商社でございまして、その他の商社が入れたために、今度アメリカに行っていろいろ聞いてみますと、馬の裸値段よりも、いろいろ雑費がたくさんかかり過ぎているということであり、私もそう感じました。それでなるべく安くいいものを入れるためには、そういった他の商社よりもこの方がよかろうという判断をいたしました。
  256. 川俣清音

    川俣委員 井上さんに二、三点お尋ねしたいんですが、あなたは公務員で行かれたそうですけれども、旅費はどこから出たのですか。十分な旅費であったかどうか。それは競馬会から出たのか、あるいは農林省から出たのか、両方から出たのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  257. 井上綱雄

    井上参考人 お答え申し上げます。これは農林省調査員ということになってロスのパスポードをもらいましたが、費用は競馬会の負担になっております。十分であったかどうかとおっしゃいますが、まことに不十分でございました。しかし不十分でも何とかやって参りましたので、不平に思っておるわけじゃございませんが決して十分じゃございません。
  258. 川俣清音

    川俣委員 先ど永田参考人お話では、自分の馬を買いに行くのに、その馬のいい悪いを見てもらうのに井上さんをお使いになったそうです。旅費の不足な、しかも公務員でありながら、人の馬を買いに行くほど、時間的にも金銭的にも余裕があったのですか。それは永田さんの金で行ったのか、時間的にも相当余裕がなかったようですし、公務員でありますから、そんな人の商売を援助するほど余裕があったとは思われません。そこで先ほどお尋ねした、余裕のないのにわざわざ旅費を使って人の馬を買いに行くほど、あなた、永田さんに何か義理があるのですか、その点お尋ねいたします。
  259. 村松久義

    村松委員長 川俣さんに申し上げますが、本件に直接関係することのみを御質問願います。個人にわたる問題はお尋ねのないように願います。——今の点、お答えになりますか。
  260. 井上綱雄

    井上参考人 公務員で参りましたし、世話を頼むよと言われたわけじゃございませんので、そのときのお話清水商会の主人が同席いたしましたことは、先ほど申し上げました通りであります。たまたま私も技術者の片端でございまして、そのことにつきましては長年やって参りましたので、永田さんとは馬主会の会長という関係のお知り合いであるだけで、私も、そう言っては何ですが、そう深いおつき合いをしておるわけじゃございませんが、たまたま向うにおりましたような関係で、時間の余裕があったらあなたもちょっと見てくれないかということでございました。旅費という点につきましては、行きましたのがロスアンゼルスの中にございますサンタアニタという場所でございまして、これは自動車で三十分程度しかかからぬ所でございます。そのサンタアニタの競馬場に行きまして、午前中の二時間ほどの時間でございましたが、たまたまその日に予定がございませんので同行いたしたような次第でございます。特にそのために時間的あるいは金銭的に迷惑をこうむったという事実はございません。また特に永田さんにサービスしなければならぬようなおつき合いでもございませんので、御了承願いたいと思います。また馬をたくさん見ますことが私の勉強の一つでもあるという考え方から同行いたした次第であります。
  261. 村松久義

    村松委員長 直接に関係のあることを御質問願います。
  262. 川俣清音

    川俣委員 問題はそこなんです。それじゃいい馬か、悪い馬か自分はよくわからないから、専門家のあなたにそれを選別させる、こういうことであなたに同行願った、こういうことなんです。そうすると、あなたが選別して三頭入ったんですか。あなたの選別以外で入ったんですか。この点はどうなんですか。
  263. 井上綱雄

    井上参考人 これは私はそういうふうに依頼せられましたが、ロスのパスポードを持っている関係もございますが、私の観念といたしましては、当然清水貿易の方と、今申し上げましたファシイヒ・ティプトン・カンパニーからゼ・タイソンという人が来ましたので、その会社の関係でいい、悪いを判断し、選別をして送ってきたものだと考えております。これがいいか悪いかということにつきましては、これはよかろう、悪かろうということは申しましたが、それが動機になって、この馬を入れた、あの馬を入れたと言われることは、私どもといたしましては非常に迷惑に存ずる次第であります。
  264. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、永田さんがここで公述されたのは全く違っておるという観点ですか。それだけ聞けばいいのです。私はそれを聞くために立っているのです。公述人の間に食い違いがあるのじゃないかという点を聞いております。
  265. 井上綱雄

    井上参考人 向う様がそういうふうに思っておられましたか知りませんが、私の受け取り方は全然違っておるということでございます。
  266. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、先ほどからの答弁によりますと、トロッター協会の会長自身が余裕があるように外貨の申請をしたのか、あるいはいいものを買うように申請したのかわからないと、こう言うのです。それにもかかわらず、あなたは余裕を持って外貨割当をしたらしいと自分は想像するという。本体の協会がわからないのに、あなたはどういう根拠で想像されるか。いやしくもわからないならわからないでいいのですが、想像されると公述になったからは、何か根拠があるわけです。聞かないことまで答弁されたのだから……。協会の責任ある会長はどっちかわかりませんという答弁をしておる。責任ある会長がわからないのに、しかも外部の人が想像するというからには、何かの根拠があると思いますから、その根拠をお示し願いたい。
  267. 井上綱雄

    井上参考人 はなはだ言葉の表現がまずかったのかもしれませんが、私の方は、トロッター協会が申請せられたワクを私どもが実行に移すことで代行いたしておるのでございますが、当初の計画が、先ほど来たびたびお話に出ますように百二十万円あるいは百八十万円というような計画で出されておりまして、実は私どもが実行に移す段階におきまして計画をいたしました場合に、八十五万円程度の平均でやりたい、こう考えておりましたので、当初のその計画が先行いたしておりますので、そういうふうに申し上げたのであります。  なおまた向うの調査とか清水貿易の調査等を参考にいたしますと、実行計画におきましては若干のゆとりが出ることになったのではなかろうかと申し上げたのであります。そういうつもりで申し上げておるのであります。
  268. 川俣清音

    川俣委員 もう一点お尋ねしたい。農林省調査員でありますから、かつて農林省にもおられたし、外貨割当についてはどの程度やかましいかという認識は井上さんも持っておいでになったと思う。これは公務員でない場合は別です。ところが公務員のあなたが馬を買うことについて、いい悪いは別として、いろいろ相談を受けたときに、外貨を持っていない人がそういうことをやることは、日本の畜産行政の上にまずいということをお考えにならなかったかどうか。そういう点についてはなはだ無関心であったのかどうか。そういうことは通常行われておるのだから、こんなことは簡単なことだというふうにお考えになっておったのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  269. 井上綱雄

    井上参考人 でございますから先ほど申し上げましたように、外貨割当があるかないかということにつきましては関心を持っておりまして、永田さんがそういうふうにおっしゃるから、永田さんほどの人がはっきりそれをおっしゃるので、また立つ前に農林省から事務官が見えてそういう話があったと具体的な話までございましたので、半信半疑であったのであります。すでに農林省からそういう伝達があった以上は、それはどういう事情かわかりませんが、その伝達があったというお話で信じておりました。それで帰りましてからもその点が気になりますので、係から農林省に聞かせたわけであります。
  270. 川俣清音

    川俣委員 大体なかなか輸入できない競走馬輸入させたいという考え方を競馬会をお持ちになっているということは聞いておる。そういう競走馬を入れることは非常にむずかしい状態であるときに、農林省の役人が永田さんに言ったからといって、簡単に永田さんを信用するということよりも、農林省の従来のやり方が頭にこびりついているのではないかと思うのです。その点無関心であったのか、今聞くと、あなたは農林省時代は外貨については関心を持っておった、こういう話ですが、そういうことを常識的に農林省が承諾するというふうに思っておられたかどうか。永田さんに本多事務官がそう言ったというのだが、そんなことがあり得ると思っておったかどうか。なかなか困難なことだというふうにお考えにならなかったかどうか。その点をお尋ねいたします。
  271. 井上綱雄

    井上参考人 同じことを繰り返すわけでありますが、永田さんほどの社会的な地位のある人であり、またいろいろな見識のある人でございます。そういう人から、農林省からそういう話があったということを聞きましたので、それを信じましたのは事実であります。無関心であるかないかということでなく、それを信じたいということは事実であります。
  272. 村松久義

    村松委員長 神田君。
  273. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間も切迫しておりますので簡単に二、三お尋ね申し上げます。  あなたはトロッター協会から依頼されて、中央競馬会トロッター輸入について代行したというようなことでございますが、外貨割当の問題について、実際問題として、トロッター協会と中央競馬会とはどういう関係において外貨割当トロッター協会と中央競馬会と話し合いをして外貨の申請をしたのか、それともトロッター協会だけが外貨の申請をしたのか、その点をお尋ねします。
  274. 井上綱雄

    井上参考人 トロッター協会の仕事に対しましては、去年くらいもそうでございますが、トロッターレースを振興いたしまして、トロッター協会の仕事が従って振興いたしまするようにということについては、レースをやっておりますのは中央競馬会あるいは地方競馬でございますので、そういう関連におきまして、今回に限らず前からそういう依頼があるわけであります。でトロッター輸入に関しましては、二十九年度におきましては、関西の馬主協会でトロッター協会と協力して入れておる実績もございまして、われわれといたしましては、トロッター協会の仕事を援助すると申しますか、推進すると申しますか、そういう意味合いにおきまして、トロッター協会の仕事はわれわれぜひ盛んになるようにしたいという考え方を持っておりました。と申しますのは、競馬会といたしましては、馬産の振興ということに法律上もそう書いてございます次第で、競馬会がこの日本の馬の振興上必要な対策につきましてはできるだけの援助をすることは当然だと考えておるのであります。   〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  275. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、実際にトロッターを利用するのは競馬会であるというふうに解釈していいのですか。
  276. 井上綱雄

    井上参考人 それはトロッターレースをやりますときにおきまして、一応最初中央競馬会競馬に出したいとおっしゃいますので、私どもといたしましては、競馬をやるためにトロッターを入れるというふうに了解いたしております。
  277. 神田大作

    ○神田(大)委員 さっき川俣委員質問に対して、永田大映社長からアメリカで会ったとき、具体的に外貨割当について話があったと申されましたが、具体的に話があったというのはどういうふうに具体的に話があったのですか。
  278. 井上綱雄

    井上参考人 具体的にと申しましたのは、永田さんが一万五千ドルの割当が僕にある、こういうお話がございましたので、それだけでなくて永田さんのお話では、立つ前に農林省からそういう連絡があった。しかも人名まであげてそういう御連絡があったということを具体的にと申し上げました。そういう事実がある。それについてそうでございますかということ。それからこれは永田さんはお話になりませんでしたが、私はやはりそれはもう一度お確かめになる必要はないでしょうかということを申し上げたわけでございます。
  279. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは専門家ですから、具体的というのはもっと突っ込んで、しからばだれが外貨をもらったものの余りであるかということは、あなたはちゃんとそのとき頭にあったろうと私は思うのでございますが、そういう場合に一体どの外貨が余ったかというようなことはお考えにならなかったのですか。
  280. 井上綱雄

    井上参考人 長い間役人をやっておりますと、そういうことになるのではないかと思うのでございますが、恐縮でございますが、役所の方からそういう話があったということになると、それをひっくり返してどうだこうだということは考えないようなくせがついておりまして、役所の方から、人名まであげてのお話がございましたので、役所からそういうふうに言われればそうだろうというように思いましたので、そのときはそういうことは気がつきませんし、考えもしなかったというのが事実でございます。今おとがめになりますと、なるほどそうだなという気がいたしますが、そのときはそういうふうに思いませんでした。
  281. 神田大作

    ○神田(大)委員 ちょっと変だと思いますが、井上さんのような専門家がアメリカに行って 一万五千ドルの外貨が余っておるので、サラブレッドを買うというような話があれば、一体どの外貨とどの外貨が余っておるかということは、ちゃんと心得ているわけだと思います。それを知らないといえばそれまでですけれども、そういうことがちゃんとわかって、あの人の申請した外貨が余って、じゃ買うかなというとがわかっておると思うのでございますけれども、そのときそういうことが頭に来なかったのですか。
  282. 井上綱雄

    井上参考人 外貨割当を扱っておる方は、私が知っているところでは、ごく少数の人がやっておられまして、その他の人がそういう事情について知っておったかどうかといいますと、よく私はわかりませんが、おそらくだれにもあまりわかったことではないと思います。従いまして、私ども役人を昔しておりましたけれども輸入は大へんめんどうな規定になっておるようでありまして、係にまかせてあるというような状態でありまして、こまかいことは全然知らなかったのであります。   〔田口委員長代理退席、委員長着席〕
  283. 神田大作

    ○神田(大)委員 私はほかの外貨のことを言っているのではなくて、あなたが専門に取り扱っているトロッターとかサラブレッド、その他限られた馬の外貨のことを言っているのです。一体馬を輸入するについては、あなたは日本でだれが申請して、何頭入る、どこからいくということは、農林省調査官として市場視察まで依頼されておるんですから、ちゃんとわかっていると思うのです。そういう点について、あなたが知らないというのはどうも私は不思議だと思うのです。知らなければどうしようもございませんが、私は当然それはわかっておったと思うのですが、その点正直に言ってもらいたいと思います。
  284. 井上綱雄

    井上参考人 正直に申しましてもわかりませんです。事実知らなかったし、また外貨割当事情につきましては、そのつどの事情で相当変っておりますし、だれからそういうような申請が出ておるかというような書類も、全然私の方にはお示しもないし、そういうことは役所の機密のことだと思いますので、係以外にはほとんどわからないのではないか。その外貨をだれに割り当てるか、どのくらい申請が出ておるかということは、現在でも一向私は存じませんし、どういうところからどういうように出したかということは、その当時存じませんでした。
  285. 神田大作

    ○神田(大)委員 話はほかの方に移りますが、永田さんが三頭の馬を買う場合に、清水貿易を通じて買ったといいますが、この清水貿易を紹介されたのは井上さんですか。
  286. 井上綱雄

    井上参考人 そうではありません。清水貿易は先年来永田さんと御懇意であるようなお話でありました。私は清水貿易を永田さんに紹介したことはございません。
  287. 神田大作

    ○神田(大)委員 河野農林大臣アメリカで買った馬は、あなたは馬を見てくれと頼まれたのですから、その馬をごらんになったろうと思うのでございますが、ごらんになった馬は、先ほど稲富委員質問されたように、今河野大臣が持っておる二頭のうちの一頭に違いないのですか。
  288. 井上綱雄

    井上参考人 農林大臣からは、私に馬を買うとか買わないというお話は全然ございません。先ほど申し上げましたように、永田さんがワクを持っておると言っておるが、君は知っておるかという話が出ただけであります。永田さんから、時間の余裕があれば、君済まないが見てくれないかというお話ございましたが、河野農林大臣は、私に対しまして馬を買いたいとかいうお話は全然ございません。ただ、私の方から共進会の馬についてのお話を申し上げたことは、先ほど申し上げた通りであります。
  289. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 今の神田委員質問に関連してですが、あなたは永田さんから頼まれて、馬を見てくれと言われた場合に、全然馬は見ていなかった、あるいは今度入ったジョン・リューソー及びケープタウンあるいはスカーレットというような馬は、あなたは一ぺんもアメリカで見ていなかった、こう了解してよろしいですか。
  290. 井上綱雄

    井上参考人 二頭は覚えておりますが、一頭につきましてはあまり記憶がはっきりいたさないのであります。大体見た馬の中から持ってきたのじゃないかと思いますが、実はメモも何もつけておりませんので、どの馬をどの競馬場で見たか見ないかということになりますと、はっきりいたしませんが、大体私の記憶に残っておるのは二頭であります。
  291. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その二頭というのは、現在どの馬になっておりますか。
  292. 井上綱雄

    井上参考人 牡馬牝馬であります。
  293. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 牝馬を一頭ごらんになったというのですか。ここに非常にデリケートな問題があるのです。さっきいろいろ質問しておりましたが、ポポナ畜産共進会で農林大臣がもらい受けたかあるいは代金を払ったかの一頭であります。これがもし清水商会でこっちへ送ってよこした馬に入っておるとすれば、これは重大な問題になってくると思う。送られた馬が売りつけられておる、そういう点で大へん重大なので、牝馬の中のどの一頭か、これははっきりとお答えを願いたい。
  294. 井上綱雄

    井上参考人 これは三頭ともみな見たのであるかどうかという記憶がはっきりせぬということを今申し上げましたが、農林大臣はそれはもらうわけにいかぬとおっしゃったので、どういう馬をくれるかということにつきましては、私も聞いておりません。その点は私は何とも申し上げようがありません。おそらくもらうわけにいかぬということについては清水商会も十分知っておるはずでございますので、そういうふうに取り計らったものと考えております。
  295. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣はもらわないけれども、若干の金は払ったつもりだとこう言っておる。そこで農林大臣の言う馬の一頭が、現在あなたの知っておる限りの厩舎には入っておりますかどうかということを確かめたいのですが、現在入っております農林大臣の馬二頭のうち一頭があるでしょうかないでしょうか。一体あなたが見た三頭のうち——あなたもしろうとでないから、一ぺん見た馬は忘れないだろうと思いますけれども河野農林大臣の馬二頭のうち、あなたの見た以外の馬が入っておるかいないか、その点率直にお答えを願いたいと思います。
  296. 井上綱雄

    井上参考人 申し上げますが、私の見ましたのは七、八頭でありまして非常に短かい時間でございます。覚えておるだろうとおっしゃいますが、正確に記憶いたしておりますのは二頭でありまして、あとの一頭につきましてはどうも記憶がはっきりいたさぬということを申し上げたのであります。
  297. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その一頭は入っておりますか、どっちですか。スカーレットですか、ケープタウンですか。
  298. 井上綱雄

    井上参考人 牝馬の一頭は黒鹿毛の馬であります。これにつきまして私はまだ見ておりません、横浜に入りましたときにちょっと見ただけで、だいぶやせてきておりましたし、輸送がだいぶ困難だったそうで、姿も変っておりましたので、ああこの馬だったかなというふうに思いましたので、今のように申し上げた次第であります。清水貿易が一応私に見せた馬を送ったには違いないと思うのであります。しかしそれは今申し上げましたように、相当時間の経過がございまして、姿も変っておりましたので、少し記憶が薄らいでおるということを申し上げたのであります。はっきり覚えておるのは、牡馬の一頭と黒鹿毛の牝馬の一頭でありまして、これはあれだなということがわかりましたが、あとのものは多少形が変っておりましたので、ああ見たのかなという印象があっただけであります。そういうことを申し上げたのであります。
  299. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 くどいようですが、しろうとですからよくわかりませんので。向うの馬一頭のうちどっちですか、ケープタウンですか、スカーレットですか。
  300. 井上綱雄

    井上参考人 どちらでございましたか、名前をちょっと記憶しておりません。
  301. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 馬の顔を見るとわかりますね。
  302. 井上綱雄

    井上参考人 さようでございます。
  303. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 なおもう一点お伺いしたいのは、トロッターの代金を実際に支払ったのはどこでございますか。同時に、トロッターの代金の全部の金高は幾らになっておりますか、その点をお伺いしたい。
  304. 井上綱雄

    井上参考人 まだ清算が済んでおりませんので、全部の金額については申し上げかねますが、これは競馬会が藤井商店に支払いました。
  305. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 サラブレッドについて外貨ワクがなかったのだということをお聞きになっておったかどうか。お聞きになったのならば、いつごろこういう問題が起ったのか、その点をお聞きしたい。
  306. 井上綱雄

    井上参考人 ザラブレッドのワクがあるかないかということにつきましては、帰りましてすぐ確かめたのであります。そこで農林省の方にお話したのは、たしか十月の初めごろだったと思います。  それから、トロッターの支払いは、ごく最近になりまして全部支払ってしまったのであります。
  307. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、現在輸入されましたトロッターというのは、全部日本競馬会のものであるというように了解してよろしいかどうか、あるいはまたもう代金は支払ったのだ。この代金はトロッター協会に貸し付けたのかどうか、その点貸借関係をはっきりしておいてもらいたいのが第一点。もう一点は、トロッター協会とあなたの方との関係が生じましたのは時期的にいつであったか、その点をお聞きしたい。
  308. 井上綱雄

    井上参考人 今全部払ってしまったというのは訂正いたしたいと思います。まだ清算が済んでおりませんので、全部については払っておりません。  それから今のお尋ねは、トロッターの問題とサラブレッドの関係だと思いますが、サラブレッドの関係は、私どもといたしましては、直接サラブレッドを入れるという計画は持っておりませんでした。これは藤井商店を私が永田さんに紹介いたしまして、永田さんの方と藤井商店の関係になると思います。そのワクがどうなっておったかということにつきましては、私どもといたしましてはどこのワクがどういうように使われ、またそのワクがあったなかったかということにつきましては存じないわけであります。  それから次に、御質問トロッター協会と私どもの関連は、このたびのことに関してのことだと思いますが、これは大体私が帰りましてからの話であります。トロッター輸入の計画を立てて、輸入申請書を用意して出したけれども、実際に決裁になりましたのは大分あとだったと思いますが、出されたのは相当前だったと思うのであります。その処理につきまして、計画が遂行できなくなったから一つよろしく頼みたいということで二、三度お話がございました。それで私はそれを理事会に提案するという段取りにいたしたわけであります。
  309. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 お伺いしたいのは、金を支払われたとすると、表面馬はどこの所有になっておるか。あなたの方の所有になっておるならばかまいませんけれども、もしトロッター協会の所有であるならば、トロッター協会とあなたの方との金銭上の貸借関係はどうなっておるのか、こういう点であります。
  310. 井上綱雄

    井上参考人 現在清算が済んでおりませんので、清算が済まなければ完全に私どもの馬であるかどうかということは申し上げかねますが、一応代金のある程度の支払いをいたしましたので、所有権は私の方にあると思います。トロッター協会からは代行を頼まれただけでありまして、金のことにつきましてはトロッター協会との関連は何もありません。所有権は、現在は完全に所有権があるかどうかちょっと疑いがありますが、トロッター協会とは関係ありませんので、まあ一応清算が済めば、完全に私どものものになると思います。
  311. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、結局トロッター協会というものは、今度入ってきましたトロッターの馬については何ら権利はない、申請はしたけれども、馬はあなたの方に残った、こういうふうに了解してよろしいですね。
  312. 井上綱雄

    井上参考人 これは約束はあります。すなわちトロッター協会の関連におきましては、二年たったらそれは生産地に返してくれるように努力してくれという条件付で申し入れはありますので、その申し入れば尊重したいと思っております。トロッター協会と関連がないとはっきり言えるかどうか、その点については関連があると申し上げ得ると思います。その他の点については関連がございません。
  313. 川俣清音

    川俣委員 先ほど井上参考人は、どの馬を見られたのか、どの馬を買ってきたのか、それを永田さんが買われたのかということに対して、私はどれを買われたのか存じませんと述べられた。今淡谷委員には、二頭だけは記憶がある、私の尋ねたときは全然わかりませんと答弁しておられる、どっちがほんとうなのか。前のが違っておったら取り消してもらいたい。普通の参考人であれば私はそんなことは言いませんが、少くとも競馬会には無関心ではいない私どもに、そういうことを言ってのがれようとすることは、はなはだもって不謹慎だと思いますので、どっちかにはっきりしていただきたい。淡谷さんに述べられたのがうそであり、私に述べられたのがほんとうか、どっちかはっきりしていただきたい。
  314. 井上綱雄

    井上参考人 存じませんということを申し上げましたならば、その方を取り消したいと思います。存じませんというふうに申し上げましたのは、私はなはだ何でございますが、今のような工合に知っておるわけでありまして、淡谷さんに申し上げた方がほんとうでございますので、もしも適当でありませんでしたら、その点をおわび申し上げておきたいと思います。
  315. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 参考人にお尋ねする前に、本日配付されたサラブレッド種馬輸入に関する件調査報告というのは、だれの名前で出ておるのですか。
  316. 村松久義

    村松委員長 それは前回に委員会より要求されまして、農林大臣のところで作った報告書でございます。
  317. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それではこの報告書によりますと、井上業務部長永田氏の秘書から、アメリカでこの三頭の購入を予約してきたので、輸入商を紹介してもらいたい、こう頼まれたので藤井商店を紹介した、こういうことになっておる。そこでこのサラブレッドの購入については、外貨割当がまだ許可を受けていないので、今の十万ドルの余裕金を使おうということで、余っておる一万五千ドルの金を使用するのに、トロッター協会と競馬会の方の了解を得た、こういうことになっておるのですが、競馬会の返事は、わが国の産馬の改良の上から余裕分をサラブレッド輸入に回すことは差しつかえないという意見であった、こういうことになっておりますが、あなたの方はそういう回答をしたのでありますか。
  318. 井上綱雄

    井上参考人 これはだれに対してそういう回答をしたかということでございますが、私もこれを拝見をいたしたのでありますが、わが国の馬の改良上必要であるとか何とかいうことで藤井商店に私が回答をしたのではございませんで、やはりわれわれの方の計画と申しますか、トロッター購買を依頼しておることが実現できるならば差しつかえないだろうというふうに軽く考えてやったのであります。そのときにサラブレッドの問題でかれこれ特に頼まれたのではございません。サラブレッドの問題につきましては、これはトロッターのものについても同様なことを言われたように聞いておりますが、サラブレッド三頭だけ指定して入れていいかどうかということにつきましては、私どもの方にはそういう話はなかったのであります。為替の割当につきましては、再々申し上げますように、十万ドルのワクをどう使うか、あるいは余裕がどこから出てくるのでるかということについては、競馬会としては全然知らないと申しますか、関係のないことでございまして、われわれの計画が遂行されて、そしてわれわれの方に余裕があるなら、それは使われても差しつかえないだろうという程度に、軽く話したのであります。
  319. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうすると、このトロッター輸入に割り当てられた外貨、この実需者というものは、実際使用できる権利というものはどちらなんですか。あなたの方なんですか、トーロッター協会の方なんですか。
  320. 井上綱雄

    井上参考人 実需者は、申請をいたしましてから、その実需者は今度は当業者にその為替の権利と申しますか、ワクを使うか使わぬかということの許可を得ることになっておりまして、その段階におきましては、商人である藤井商店がそれをどう使うかということの権限を持っている立場だと了解いたしております。従ってただその場合に、藤井商店としては実需者であるトロッター協会にも了解を得る必要があると考えて、おそらく了解を求められたり、代行をしている関係で、私の方にもそのお話があった、そういうふうに了解しております。
  321. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうすると、この報告書の通り、余裕分をサラブレッド輸入のために使いたいということの了解を、結局あなたの方に求めてきたということになるんじゃないですか。
  322. 井上綱雄

    井上参考人 その余裕分というような言葉で申し上げたのではありませんで、われわれの事業が差しつか、えないならば、商店に対してどういうふうにせられても一応差しつかえないというような答弁をしたように思いますが、こういうふうに書いてありますと、そういうふうに言ったかのように思われますが、その通りの文句で言ったわけではありません。われわれの方が事業が差しつかえないならよかろうじゃないかという程度に話したのであります。
  323. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうしたら、あなたの方へ藤井商店から何の了解を得にきたことになるのですか。馬を買ってもいいかということの了解を得にきたことになるのですか。それとも余裕分をこれに回してもいいかどうかということの了解を得にきたのですか。
  324. 井上綱雄

    井上参考人 おそらく後者だろうと思います。私は実際に為替のワクをどう使うかということについては事務を自分でやったこともございませんし、輸入をやったこともございませんから、わかりませんが、そういうようなことで実需者及び代行者に為替の余裕があったらそれを使ってもいいかどうかという了解を得る必要があって、藤井商店でそういうふうにせられたものと了解いたします。
  325. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうすると、あなたはアメリカ永田氏に会っている。そして馬を買うというので、その馬を見に行っているわけですね。永田さんの方からあなたにたのんで、あなたが藤井商店を紹介して、引き合せをしているわけです。そうすると、あなたの方へ今の了解に行ったときに、すでにアメリカ永田さんが買った三頭の馬の代金支払いに充てるのだということはわかるはずですね。そのことはあなたはわからなかったのですか。
  326. 井上綱雄

    井上参考人 それはどこに充てるかということは明瞭にお話はございませんが、たぶんそうなるかもしれぬということは想像いたしておりますが、具体的なお話はなかったのであります。
  327. 村松久義

    村松委員長 なお藤井参考人木村参考人がおりますので質疑を継続いたします。
  328. 川俣清音

    川俣委員 井上参考人の公述中に、他の参考人としてもし自分たちと違う点があれば、井上参考人のおられる間にはっきりしておいてもらいたい。さっき永田参考人のあれについて井上参考人は、どうもあれは私に大へん困るというような御答弁でしたが、行かれてからでは食い違いを発見できませんから、井上参考人の発言中において、この点は自分としては不本意なら不本意、違うなら違うということを明瞭にしておいていただきたい。
  329. 村松久義

    村松委員長 どうですか、井上参考人を除いた他の参考人の諸君は、井上君が話されたことに違う点があると思われるならば、この際一つこの点は違うということを申し述べていただきます。
  330. 木村武千代

    木村参考人 私は木村でございますが、永田が今おりませんので、私の関連したことでございましたならば違うとか違わないということを申すことができますけれども、今までの井上さんの言われたことは、永田意見と違うということは、私に直接関係がございませんから、永田に直接井上さんに聞いていただかないとその点はわかりませんから、どうかそのことを……。
  331. 藤井治

    藤井参考人 私は藤井と申します。今井上さんのお話になったことで私に関連したことを申し上げます。大体私は当初からの当面の担当者でありませんから、この事件ができましてから周囲の者から聞いたことで想像しまして申し上げる次第ですが、今部長さんが言われましたように藤井商店サラブレッド輸入を申請したというように私は聞いたのでありますけれども、これは大体においてこのトロッター輸入されるときに、すでにサラブレッド輸入されるということはわかっていたのではないかと思うのです。私の考えでは。私は当面当事者ではありませんから、確たることは申し上げられませんけれども、私の考えはそうであります。これは一こと申し上げておきます。
  332. 川俣清音

    川俣委員 ほかはありませんか。
  333. 村松久義

    村松委員長 他に御発言ありませんか。——神田君。
  334. 神田大作

    ○神田(大)委員 井上さんに。今、田中委員からお尋ねになったことは非常に大事なことであるので、井上さんは最初からアメリカに行って永田さんとお会いし、それから帰って来て、今度は永田さんの秘書さんに頼まれて藤井商店を紹介した、というふうにずっとこの問題に関連しているのでございまして、それについてサラブレッド三頭を購入するという資金一万五千ドルは、トロッターを買った余りでもって買うということをわからないような、あいまいな返答をされましたが、そこは非常に大事なことなんですね。これはあなたは初めからわかっておって、トロッターの余りの一万五千ドルはサラブレッドの購入に充てるのだということはおわかりになって、藤井商店にあなたは依頼した、こう私は考えるのですが、その点は事実は違いありませんか。
  335. 井上綱雄

    井上参考人 これは再々申し上げますように、私どもとしては、トロッターワクをどう使うかというようなことにつきまして、あるいは外貨ワクをどう使うかということにつきましては、全然私ども権能を持っておりませんし、またそういうことについてかれこれ申し上げる筋合いではないのでありましてこれは当業者である藤井商店がもっぱら農林省と折衝されまして、そのワクを使っていいとか悪いとかいうことをおきめになる、(「藤井商店が勝手にやったと言うんだね」と呼ぶ者あり)藤井商店が連絡をしてやるべき立場だと考えております。特に私が紹介いたしましたのは、その注文が永田さんからあって、これは木村さんから私に連絡がありましたので、商社をだれにしたらよろしかろうということで、一応紹介状を書いてよこせということでありましたので、私はその紹介状を書きました。従いまして藤井商店永田さんに——これは木村さんかもしれませんが、木村さんから永田さんに連絡をして、その上で農林省にいろいろお話があって、この為替のワクについての問題がきまったものと考えております。私どもの連絡といたしましては、トロッターワクが残っておるからどうだというようなお話もないし、またトロッターの事業が遂行できれば、それは私としては差しつかえないという程度考えて、これはおそらくトロッター協会の方も同様であろうと思うのでありますが、なにを入れるからどこにどうするというような具体的なお話を別に何もいたしません。その点はたくさんの委員の方を前にいたしまして私が虚言をかまえておるわけでも何でもないのでありまして、私は当時の事情を率直に申し上げたのであります。
  336. 木村武千代

    木村参考人 ただいま井上参考人は、木村からどの商社にしたらいいかということを頼まれたと言われますが、私はどの商社にしたらいいかということを依頼した覚えはございません。ただお電話がちょうどありまし て、それで藤井商店にこの馬の輸入の件は一切まかすことになっているか ら、さよう承知しておれということでございましたから、私はそのことを知ったのであります。それまでは藤井商店ということは全然知らなかったのであります。このことをはっきり申し上げたいと思います。
  337. 中村時雄

    中村(時)委員 井上さん、今お聞きになったと思うのです。片一方の方ではあなたに依頼したのではなくしてあなたの方が、そのことは藤井商店にまかすことになっているのだ、こうおっしゃっているのです。これは大きな問題なんですよ。あなたの方は最初から計画的にちゃんと考えて、予定を立て藤井商店ということを考えて、そうして、これにまかしたからということになっているのです。今木村参考人のおっしゃるのは、あなたの方にこれをどうしてくれとかこうしてくれという依頼じゃないのです。あなたの御答弁は、藤井商店にきまっているのだから、それに云々、こうおっしゃっているのでしょう。一体あなたのさっきからの答弁は虚偽の答弁なんですか。
  338. 井上綱雄

    井上参考人 実は、中村さんに申し上げますが、今度永田さんがアメリカで馬を買うような約束をしたから、どういう商店にしたらよろしいかという電話であったと私は思います。これは、きまっておるというようなことは私は申し上げたつもりは一つもございません。というのは私のつもりとしても、きわめてあるわけではありませんので、藤井商店清水の代理店であるから、清水の代理店である藤井商店が一番便利であろうというような判断から藤井商店を紹介いたしました。藤井商店ならばよろしかろうと思いますが、どうですかということで紹介いたしました。これは重大な食い違いだと思いますから、そういうふうに言われると、これは証明のしょうがございませんが、電話がかかってきまして永田さんが馬を三頭買ったけれども、それについては輸入商社をだれにしたらよろしか——輸入商社もたくさんございますので、そういうお話であったので紹介しております。特に私の方で藤井商店をきめてやるという必要もないし、またそういうふうに特に申し上げなければならぬ理由もなかったと思います。
  339. 中村時雄

    中村(時)委員 これは参考人同士が非常に食い違いになっておるのですね。今の木村さんのお話では、だれがよかろうか、こういうふうに依頼し、(「依頼はしないのだよ」と呼ぶ者あり)井上さんの方では今言ったような返答になっておる、こういうことですね。先ほどのあなたのお言葉とちょっと違うのです。これは食い違いが非常に大きいのですが、もう一度それをはっきりさせておいていただけませんか。
  340. 木村武千代

    木村参考人 私の方でお電話を聞きましたときには、井上さんからお電話があって、そうして永田さんが馬を買ったらしい、その買った馬の輸入手続及びその他の一切の手続は藤井商店がするから、藤井商店を紹介してやるからその人と会ってくれ、こういう電話でございましたからそのことを永田に申し伝えただけでございます。
  341. 中村時雄

    中村(時)委員 今言ったように食い違いがはっきりあるということは御両者はお認めになりますね。——それに対する何の御回答も井上さんからありませんか。
  342. 井上綱雄

    井上参考人 これは繰り返して同じようなことを申し上げるようでありますが、私が電話で聞きましたのは、輸入商社をどこにしたらよろしかろうというように聞きましたので、これは今申し上げたように清水の代理店である藤井がよろしかろうというように返事をしたと思うのであります。ですからこれは電話のやりとりでございまして、文書でやっておるわけではございませんので、そう言われますと、私どもも非常に立場に困るのであります。
  343. 中村時雄

    中村(時)委員 それは木村さんの方からお電話をしたわけなんですか。
  344. 木村武千代

    木村参考人 私はこの馬の輸入に関しましましては、——井上さんがいつお帰りになられたかそれはちっとも知らないのです。あとでまたお話が出ると思いますけれども、本多さんから話を聞いた以後はもう中断になっておるわけなんです。それで何か馬が来るらしいということは聞いておりましたけれども、いつ井上さんがお帰りになったということは知らなかった。ところが井上さんからお電話がきまして、こういうようなことを伝えてもらいたいと言ったから、私はそのまま機械的に永田に伝えただけでございます。
  345. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、井上さんの方から木村さんの方に電話がいっているのでしょう。井上さんがかけているのじゃないですか。
  346. 井上綱雄

    井上参考人 それはちょっと違うと思うのです。私は……。
  347. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと待って下さい。今言ったことは二つの問題が出てきておる。あなたのお話は、木村さんの方から電話があって、馬を入れておる、一体どこにどうなるのだ、こういうお話があなたの方にあったので、あなたの方は藤井商店を紹介するから云々というふうに御答弁になっておる。ところがお聞きすると、そうじゃない。あなたの方は藤井商店にすでにきまっておるのだから云々とおっしゃっておる。それからもう一点は、あなたのお話では、電話は木村さんの方からかかったような御答弁なんですが、木村さんのお話では、あなたの方から電話がかかってきておる。一体これは どっちがどっちなんですか。
  348. 井上綱雄

    井上参考人 これは電話のやりとりで、私が先にかけたか、あとにかけたかということは……。中村(時)委員 それは、電話の内容ですよ。
  349. 井上綱雄

    井上参考人 これは私の方から積極的に今度は藤井商店に入れさせることになっておると言うはずはないのでありまして、私はそう言う必要はないと思う。お話があったから、それはそういうふうにかけたと記憶しております。その点は、木村さん、どうですかね、もう一ぺん考えてみてもらえませんか。これはあなたの方から電話がかかって、藤井商店がよろしかろうと言ったら紹介状を書いてよこせ、こういうことだったと私は思っております。
  350. 木村武千代

    木村参考人 私の記憶ではかかってきたように思うのでございますが、これは私もだいぶ前のことだったものですからはっきりは存じませんが、今まで記憶したところではそういうことであります。なぜかと申しますと、私はこちらから自分自身として積極的に聞く理由がないものですから、ほかの仕事——これが私の本来の仕事でございましたならば、これは私が積極的に聞いて自分の責任を果したいと思います。しかしながら馬の輸入ということは私の本来の職務ではございませんでしたから、そういう積極的に責任を果す義務がございませんから、私からそのことについて電話をかけたりするということはないと思うのであります。私はそういう考えで電話がかかってきたと記憶しております。
  351. 村松久義

    村松委員長 二人の参考人の間に話の相違がありますが、それは相違のままで聞いておきます。  藤井参考人に対する御質問があれば……。
  352. 稲富稜人

    ○稲富委員 藤井さんにお尋ねします。まずお聞きしたいことは、ただいま藤井さんもお聞きになっておりますように、競走馬輸入問題が起こっておりますが、最初にあなたの方がトロッター輸入を依頼されましたのは、どこから依頼をされましたか、これをお聞きしたい。
  353. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。そのことについては、今まで私が知っている範囲内で、馬の行政についてはすべて競馬会から出ていると思っています。この場合も多分競馬会を通じてトロッター輸入があるということを私の方が知ったのだと思います。そこから話が進んだのではないかと思っております。
  354. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとあなたの方に発注したのは競馬会でございますか。
  355. 藤井治

    藤井参考人 それはトロッター協会からの注文だったそうであります。
  356. 稲富稜人

    ○稲富委員 はなはだ失礼でございますが、藤井さんの方は、従来貿易商としてどういうものをおもに扱っていらっしゃいますか。さらに競走馬輸入等に対してもどのくらいの経験を持っていらっしゃいますか、その点承わっておきたいと思います。
  357. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。私のところの輸入商としての実績はまだ月日が浅いので、畜産についての輸入という面におきましては——実は私は国内の畜産業者であります。それで過去、戦前におきましては私のところで朝鮮牛を取り扱っておったわけです。朝鮮が独立しまして家畜の輸入についし貿易という面が生まれましたので、貿易面を研究するのだというので、農林省にもたびたびお伺いしまして、農林省の扱っている牛馬を扱わしてもらいたいということを申し入れましたけれども、どうしても実績がないということで認めていただけないのです。そういうことで二十七年に豪州産のサラブレッドを七頭入れたわけです。これは私のところの独自の立場で入れたわけです。この許可はそのときの農林省競馬部の許可で入れたわけです。そういうわけで、昨年もアメリカから種馬としてブリッカバックを一頭入れております。大きい仕事といたしましては、このたびのトロッターが初めてなのでありますけれども、畜産の行政につきましては、三、四年前からずっと英国、米国、豪州、ニュージーランドと相当研究しているつもりでございます。
  358. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、この回あなたの方で外貨資金割当申請というものを通産省にお出しになっていますけれども、これはあなたの方でお作りになったのでございますか。
  359. 藤井治

    藤井参考人 私の方で作ったそうであります。
  360. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、今まであなたの方でも外貨資金割当を申請なされた場合があると思います。ことに馬なんかをやられた場合もあると承わったのでありますが、その場合ここに銘柄というのがありますね。これはやはり従来も単にホースということで受けられておったのですか。
  361. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。その通りだそうであります。ホースでとっていたそうです。
  362. 稲富稜人

    ○稲富委員 それは通産省等の指導によってそういうことをやられておったのでございますか。
  363. 藤井治

    藤井参考人 その通りだそうであります。
  364. 稲富稜人

    ○稲富委員 今度はただいまの問題に触れて参りますが、そうすると、そういうことであなたの方は今回十万ドルの外貨ワクをもらわれておるのでございますが、この外貨ワクをもらわれましたのと、現在入ってきたのには非常に違いがあるわけです。これはあなたの方も御存じになっていると思うのでございますが、これに対してあなたの方はどの筋から了解を受けられたのですか。
  365. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては、この購買に当りましては、トロッター協会から購買官が行っておられますので、われわれのところはただ輸送面だけの貿易を担当しただけでありまして、購買その他の金銭に関してはわれわれはタッチするところではありません。それでこういうことになったと思います。
  366. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して。そのときにあなたは、トロッター協会との問題でこの問題が取り上げられたわけですね。そうするとトロッター協会の方は、トロッターを三十頭輸入するのはもう確認されておったわけです。そのときにサラブレッドがその中に入ってきた経過、そういうことは一体どういうことになっていくのですか。契約の内容は、あなたも御存じのようにそういうことになっておるわけです。トロッター協会との契約は、先ほど会長のおっしゃったように、トロッター協会としてはトロッターを入れることが目的で、その結果においてこの問題が起きてきている。だから当然あなたの方も当初トロッターを入れることだけが専任だったと思うのです。その後、入れてきてそのあとでたとえばサラブレッドの問題が出たのだ、あるいは先ほどあなたのお話の想像では、トロッターだけではなくて、残りの余剰金をもってサラブレッドを入れるということが当初からおわかりに、あるいはお話の中にあったのか、その点をはっきりと一つお教えを願います。
  367. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。そのことにつきましては、当面の当事者がおりませんので、詳しいことは私はわかりませんが、大体先ほどからのお話を承わっておりますと、一頭当り百二十万円、三十頭で約十万ドル、そういうことで大体予算を組んで申請したのだけれども、それでは高過ぎるから買えない、八十五万円程度の馬を買おうということに、トロッター協会並びに中央競馬会で大体目安がついた。それで金が余ったから、それではサラブレッドをその残りの金で入れようじゃないかということは、すでに上の方でわかっておったことで、私の方はただ命ぜられてやっておるということだけであります。
  368. 稲富稜人

    ○稲富委員 それであなたの方が外貨割当の申請をされる場合に、すでに十万ドルのワクというものはいささか余裕ができるのだという考えがあって、十万ドルの外貨の申請はなさっておるわけでございましょうか。
  369. 藤井治

    藤井参考人 その点は私はわからないところでありまして、当初百二十万円の予算で十万ドルを申請されたのであります。ただ私のところは輸入の代行だけでありまして、購買の方の関係はありませんので、私のところがどうということも間違いだと思います。
  370. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは今言った百二十万円くらいのトロッターを予定しておって、その手配をするつもりでおったけれども、八十五万円くらいに下げてくれということは、申請の当初にそれが出ておったのですか。
  371. 藤井治

    藤井参考人 そのことは私がおりませんので、私聞いておりませんし、申し上げることはできません。
  372. 稲富稜人

    ○稲富委員 それであなたのアメリカに行っていらっしゃる方が、こちらから購買に行かれる時分に、やはり十万ドルのワクはもらっておるけれども、何とか余裕を持たしておくようなトロッターの購買をしなくちゃいけないのではないか、余裕を持たせるようにしなくちゃいけないということをいっていらっしゃったということを、私たち聞くのでございますが、やはりそういうことがあったでございましょうか。
  373. 藤井治

    藤井参考人 そういうことは私全然聞いておりませんです。
  374. 中村時雄

    中村(時)委員 これは大事なことなんですから、正直に言ってもらいたい。でなかったら、あなたの方が何か商売柄悪いことをして、こういうことをごまかしたということにとられそうなんですよ。そこではっきりしておいてもらいたい。というのは、あなたの想像では——少くとも想像というものは基本があるわけですね。想像では、八十五万円にしてくれということは、少くとも以前からサラブレッドを入れることを承認の上でこういう割当をされたのではないか、こういうふうに思う。こういうことなんでしょう。そこであなたがトロッターを割り当てる以前からサラブレッドを入れるのだという想像がされます。こうおっしゃる。どうしてそういう想像が出てくるかという想像の基本があるわけです。そうしてくるとはっきりしてくると思うのです。それはどういうことからそういうことになったのですか。今あなたの係の方がいらっしゃらないけれども、あなたにそういう相談があったのか、あるいはそういうお話を聞いておるかはっきりしていなかったけれども、聞いたような記憶があるのか、そういうことを一つお話願いたいと思います。
  375. 村松久義

    村松委員長 想像論でなく一つ事実論をやってもらいたいと思いますから、藤井参考人もむやみな想像の話のないように願います。
  376. 藤井治

    藤井参考人 私が申し上げることは、今まで百二十五万とか百二十万と言いましたのは、最近になりまして、このパンフレットで見てわかったことでありまして、明細については私は何も存じておりません。といいますとはなはだ無責任なように聞えますけれども、私は常時いなかにおりまして、こちらの店は私の名前にはなっておりますけれども藤井一雄が担当者でやっている仕事でありまして、このたびの問題も何ら私は相談を受けていないのであります。
  377. 川俣清音

    川俣委員 ちょっと藤井さんにお尋ねしますが、あなたはさっきは貿易業者としての常識的な御答弁があったのですが、貿易業者としては輸送だけを担当しておるので、いわゆる購買官は別にあって、買った人が送れと言ったから送ったのだ、従って八十五万とか百二十五万かわからぬけれども、表面は百二十万円の予算で外貨をあなたの方で申請して、買った者は購買官で、あなたの方は輸送だけ受け持ったという先ほどの答弁ですが、その通りなんでしょう。それとも違うのですか。
  378. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては申し上げにくいのでありますが、今質問されたことはちょっとはっきりわからないのです。
  379. 川俣清音

    川俣委員 あなたは先ほど、われわれは輸送だけ担当しているのだ、馬を買う人は別にトロッター協会から行っていて、その人が買いつけたものを輸送を受け持ったのだというのが先ほどの御答弁だった。これが貿易業者の普通の常識的なやり方なんですね。あなたはその常識的に御答弁になったのか、実際にそう思っておられるのか、こう聞いているのです。
  380. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては、家畜の輸入と申しましても個人商社がやる場合には全部を自分でやることもあります。しかしこのたびの問題はトロッター協会並びに中央競馬会からの依頼によりまして、購買官は中央競馬会から行きます。私のところはとにかく送金並びに輸送の面を担当しただけだと考えております。
  381. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとあなたの弟さんは購買官と一緒に渡米なさったのでございますか。
  382. 藤井治

    藤井参考人 購買官よりも少しおくれて行ったそうであります。
  383. 稲富稜人

    ○稲富委員 それはいつごろでございますか、渡米なさった日にちは。
  384. 藤井治

    藤井参考人 一月の終りだそうでございます。
  385. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとあなたの弟さんは、渡米なさる前に、すでにあなたの方からトロッター協会及び競馬会に対して、余裕があった場合はサラブレッド三頭を入れてもいいということは、了解を受けて行かれたわけでございますね。
  386. 藤井治

    藤井参考人 そのときにはすでにサラブレッドは入っていたと思います。だから知っていたと思います。
  387. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとはっきりしていただきたいことは、トロッターを買いにこちらの方から購買官が行かれる以前にサラブレッドが入っていたということになるわけでございますね。
  388. 藤井治

    藤井参考人 そういうことであります。
  389. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするといま二つ念を押しておきたいと思いますが、私たちへの報告は、トロッターを買ったその外貨割当の余裕ができたからサラブレッドを買ってきた、こういうことになっておりますが、事実はこれに反しまして、トロッターを買いに行く前にすでにサラブレッドは入ってきていた。それでサラブレッドワクトロッターから浮かさなくてはいけない。サラブレットがあってトロッターがあとになっておりますね、あなたの方の取り扱い上そういうふうになっておるわけではございませんか。ちょっとその点をお伺いしたい。
  390. 藤井治

    藤井参考人 先ほど申し上げましたように、十万ドルということは百二十万円の単価を標準にいたしたことだと思います。それでこちらがいよいよ輸入するということになりまして実需要者である馬の持主が、それだけの高いものは買われないという状況のもとに大体話がついたのではないかと思います。それでもうトロッターを買いに行く前に予算を少くして、大体百二十万円は高いから八十万なら八十万、八十五万なら八十五万ぐらいの線で買おうじゃないかという話がついていたのじゃないかと思います。
  391. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 藤井さんにお聞きしたいのですが、清水商店の代理店をなされておるそうですが、清水商店からサラブレッドの代金の請求を受けましたのは何月ごろになりますか。また永田さんから五百四十万円のお金を預かったのは一体何日ごろになりますか。
  392. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。十月十四日に一万五千ドル永田さんからいただいているそうであります。精算書は二月二十日に永田さんのところに出してありますけれども、まだそこの金額はもらっていないそうであります。
  393. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 永田さんから一万五千ドルというのですが、これは円じゃなくてドルでおもらいになったかどうか。それから清水商店永田さんとの間に精算代金の食い違いがいろいろ生じておるようでございますが、この内容を詳しくお聞きしたい。
  394. 藤井治

    藤井参考人 永田さんから一万五千ドルいただいたことは円価と聞いているそうであります。これは私のところでもらったというより、清水商店の代行として預かっているそうであります。
  395. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 清水商店永田さんとの間に精算上、輸送賃その他の問題でいろいろトラブルが起っているということをさっき永田さんが言っておりました。これはあなたの関係か清水商店の関係か知りませんが、精算が永田さんははっきりつかないと言っておりますが、その状況を詳しくお聞きしたいのです。
  396. 藤井治

    藤井参考人 これは私その当時おりませんのでよく承知しておりませんが、いずれ永田さんの言われることは清水商店にも私の方から連絡しまして、清水商店の言い分もはっきりさせまして近いうちに精算さしたいと思っております。
  397. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 内容をお聞きしたいんですが。
  398. 藤井治

    藤井参考人 内容は先ほど申し上げましたように、私も詳しいことは存じないのです。
  399. 川俣清音

    川俣委員 永田さんからどういうわけで支払いを受けたか。藤井商店永田さんとは別に馬の購入の契約もしておられないんじゃないですか。またあなたの方で委託を受けたのは、購買されたものを輸送することの委託を受けた、こういうことなんです。従ってそれもトロッター協会が買い付けたものを輸送するということを、農林省の了解を得、通産省の了解を得てやられておる、こういうことだが、永田さんとの関係はいつできたんですか。今までの経過の中には一つもつながりがないんですね。金を受け取られるあなたがあれもないようなんですね。永田さんが外貨割当を受けたんでもないし、従ってあなたがそういう契約をなすったわけでもないし、農林省の承認を受けられたわけでもない。そうするとあなたの方で、どういうわけで永田さんから支払いを受けなければならない か、その点がわからないんです。
  400. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては、私のところは清水貿易の一応代理店ということで、このたびのトロッ 夕ー並びにサラブレッドの関係で清水とは密接な取引があるわけでありま す。清水の依頼で、永田さんの方から私の方が仮受けをしたわけであります、金の方は。それからサラブレッドの問題につきましては、私詳しいことは存じませんけれども、先ほど申しましたように、多分トロッターと並行しての話じゃなかったかと考えております。
  401. 川俣清音

    川俣委員 永田さんがサラブレッドを入れたかどうかは別としてあなたが委託を受けたのは、先ほどの御答弁によりますると、トロッター協会から、買い付けたものの輸送だけの委任を受けておる、こういうことだったですね。そこを私はあなたに確認を求めたいんですが、そうでしょう。そこでどういうわけであなたの公述以外な結果が生まれてきたのかということがわかりませんから、お尋ねしておるわけです。
  402. 藤井治

    藤井参考人 先ほども申し上げたと思いますが、輸送の面と送金の面を担当しているんだ、と申し上げたと思います。送金の面も私の方で担当してやっております。
  403. 川俣清音

    川俣委員 そうするとトロッター協会以外に、また別に契約もあるわけですか。あなたの契約はトロッター協会との契約だ、こういうわけですね。従ってトロッター協会がサラブレッドの分を払うのは、これはまた別問題ですね、契約主であるから。何を買ってさたかわからぬけれども、契約主であるから支払いを受けるのは当然だ。それを契約主でないものから支払いを受けるのはどういうわけなんですか、と聞いておる。
  404. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては、私の方で最初に依頼を受けたのはトロッター協会からであります。従ってトロッターの代金は、中央競馬会から受け取っております。永田さんの方から金を受け取ったのは、私の方はしいて何はないと考えておりますが……。
  405. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、トロッター協会からあなたは請求権をお持ちになっておられるんですが、契約者ではない者から金を受け取られたのはどういうわけですか、とお聞きしているんです。トロッター協会の代理として永田さんから受け取ったんですか。もう少し詳しく、トロッター協会とあなたの契約を聞いておるんです。契約者から当然な権利義務の行使として受け取られるのはよくわかるんですが、契約者でない者から金を受け取られるのはどういうわけですか、と聞いておるんです。
  406. 藤井治

    藤井参考人 それは永田さんが清水貿易に依頼して、清水貿易から、永田さんの金を私のところに受け取ってくれろという依頼があったので、私の方で永田さんから金を受け取ったわけです。
  407. 中村時雄

    中村(時)委員 先ほどの確認を願いたいのですが、さっきの永田さんのお話では十月十四日に支払いをされておりますね。預かっておるのですか、そうですね。ところがトロッター協会の会長広沢春彦さんは、あなたの商会あての発注書を出しておる。それは十月十一日なんです。十月十一日に発注書を出して、その中には品名として米国産トロッターとなっておる。それから数量が三十頭、牡が五頭、牝が二十五頭、輸入予定価格は、そのときは牡馬が百八十万円、牝馬が百万円となっておる。たった三日間の違いです。三日間の相違でもっていつの間にかサラブレッドが入ってきておるわけです。申請をしてから支払いまで三日しかたっていない。三日間の間にサラブレッドを買って早くも入ってきておるわけですね。一体これはどういうことになるんでしょうか。あなたの御想像で——想像よりも、これを基本にして考えてもらいたい。あなたに支払われたのは十月十四日なんです。ところがトロッター協会が申請書を出しておるのは十一日の日なんです。十一日の日に出しておるものには、サラブレッドのことは何一つ書いておりません。そうでしょう、たった三日間の間にサラブレッドの代金をあなたに支払われてしまった。そうするとあなたの方では、これに対して一体どういうお考えを持っているのですか。
  408. 藤井治

    藤井参考人 トロッター輸入につきましては、根本は清水貿易が引き受けたのだと思います。十万ドルの中からサラブレッドの金を払っておることにつきましては、御承知のようにサラブレッドはすでに以前に話があったことと思います。そのことを、こうしてくれろと言われたので、そういうふうにしたのではないかと私は考えております。
  409. 中村時雄

    中村(時)委員 一点はっきりしたことは、今言ったように十四日の日に支払われておる。しかしトロッター協会会長からの発注書は十一日である。これは御確認願えましたね。  それでは一点井上さんにお尋ねしたいのですが、今言ったように非常に時間的な錯誤が出てきたわけです。それに対してあなたはどういうお考えを持っていらっしゃるか。あとは事務当局との問題に入りますけれども、それを一点。あなたに何か言い分と言ったら失礼ですが、これに対するお考え方があるならばこの際一応承わっておきたい。
  410. 井上綱雄

    井上参考人 トロッター輸入につきましては、けさほど来申し上げておりますように、トロッターの計画が当初立てられて われわれが代行をいたしました。ところが当初の計画が変更になりましてワクが余るということになっておったことも承知しておりますが、サラブレッド輸入の問題は、すでにアメリカにおきまして——けさほどいろいろお話がございましたようにそのことは先行いたしておりました。従いまして清水貿易といたしましては——これは私の想像でございますが、当然の注文を受けたことにして、その代理店の藤井に事務を連絡した、そういう事情になっておりますので、トロッター輸入申請につきましては、今のお話のように時間が切迫しておりますが、トロッターの購入ということはすでにアメリカにおきまして、これは九月にそういうことになっております。そのことは清水貿易としては十分承知いたしておりますので、代理店の藤井商店に連絡があり、その連絡の結果、藤井商店の方ではそれを受けていろいろ仕事をせられた。トロッターの方は当初の計画と変ったという点で、別にそのワクを使うか使わぬかということについては、私ただいま存じないわけですが、そのワクの余裕があるゆえに使うように立ち至ったのではないかと思います。
  411. 中村時雄

    中村(時)委員 トロッターワクがあるないということは別にして、たとえば日本トロッター協会長の広沢春彦さんが昭和三十年十月の十一日に通産大臣石橋湛山殿あてに米国からトロッター輸入外貨資金割当申請を十一日の日に行なっている。ところが今言った永田さんが馬を購入されて代金の決済をされているのは十四日の日です。そうすると時間的に見ても、当初からトロツターの価格の余剰金をその方に回すということを、あなたも知っておってやったのじゃないかという結論が出てくるのですが、あなたはどういうお考えですか。
  412. 井上綱雄

    井上参考人 トロッターワクをどういうふうに使うかどうか。余りがあったらどういうふうにするかということにつきましては、私どもとしては全然権限を持っておりません。そのワクが残ったらどこで使わせるか、だれに割り当てるかということにつきましては、だれも権限もないし、責任も持たないのであります。われわれとしては、十万ドルの輸入ワク範囲内でわれわれの計画を遂行してくれ、代行した意味藤井商店に頼んだのであります。そのワクの余剰ができたからどうするかということにつきましては、私何ともお答えのしようがありません。
  413. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなたは権限もないし、それに対して云々もないと言いながら、あなたの先ほどの答弁の中には、木村さんから電話があって、その電話があったときに藤井商店というものを御紹介してあげますと言ったじゃないですか、そうしたら権限もないからそういうこともないのに、だれそれにどうするということは知っておらなければできないことじゃないですか。
  414. 井上綱雄

    井上参考人 今のようなお尋ねですと、そういうふうになりますけれども、これはちょっと食い違いがあるようですから、木村さんの方からも馬を輸入することになったら、輸入商社はどこがよかろうかという相談があったということを了承しております。その了承した範囲におきましては、清水貿易が馬を買ったということと関連をいたしておりますので、私もそれを知っております。従いまして藤井商店が代理店であるから藤井商店を紹介したのです。このトロッターワクがあるから割り当てる割り当てぬということは、農林省の方で、たとえば永田さんの買われた馬についてどのワクを割り当てる、あるいは余裕がどこにあるかというようなことについて私は権限を持っておらぬわけであります。これは率直な意味におきまして、藤井商店を紹介したにとどまります。そこで金はどこにあるかあるいはだれが了解を与えておるかというようなことは私は知らぬのであります。このワク割当につきましては、私としては全然存じないわけで、ただトロッターの計画と関連して考えますと、いかにもそこにごしらえごとがあるような御質問のようでありますけれども、これは率直に申しまして、こしらえごとはないのでありまして、トロッターワクが十万ドルある。たまたま注文者があって藤井商店がそれを実行するに当りまして、このワクをどこから持ってくるかということにつきましては、藤井商店が直接農林省と連絡したら、どういうワクからそれを割り当ててよろしいかというようなことは、藤井商店農林省との関連において考えなければ、私どもには相談もなし、またトロッターワクが残りましても、私どもはそれをどこに割り当てるということはどうしようもないわけであります。そういう事情になっておるのであります。
  415. 中村時雄

    中村(時)委員 今のお話では、あなたは私の質問に対して答えてない。トロッターワクがあるなしということに対して、あなたが以前にサラブレッドを入れる入れないという問題は知らなかったら知らないでよろしい。それを行なったか行わないかということはこちらが調査するのです。あなたの方がいけなかったら、農林省が勝手に作ったのだということになってくる。そのこと自身に対してどうとかこうとかいうことは必要ない。一応実績はわかりましたから質問を打ち切ります。
  416. 稲富稜人

    ○稲富委員 藤井商店にお尋ねしたいと思いますが、藤井商店は先刻永田さんより一万五千ドルを十月十四日にお預かりしたというお話ですね。これは永田さんとの間にいつごろから交渉がありまして十四日に入ったのでございますか。その点の経緯を一つ承わりたいと思います。
  417. 藤井治

    藤井参考人 永田さんとの交渉は十三日か十四日、金を受け取る直前だったそうであります。
  418. 稲富稜人

    ○稲富委員 直前といいましても何日であるか不明ですか、私お聞きしておりますのは、あなたの方が通産省に対して外貨資金割当申請をお出しになった日は、十月十一日の日付でお出しになっておる。そして金をお受取りになったのは二、三日しての十四日の日です。それで申請をなさるときには、永田さんとの間には金を入れてもらうというような話もできておったのじゃないか、こういうことをお尋ねしておるわけなので、その十一日と十四日の間に二、三日の余裕がありますので、その点つまびらかにできれば承わりたいと思うのです。
  419. 藤井治

    藤井参考人 永田さんからお金を受け取ったことにつきましては、清水貿易と私のところといろいろの関係があるので、永田さんに馬の金は立てかえているから君のところで受け取ってくれ、そういうことで一万五千ドル円貨で受け取ったわけであります。永田さんとの知り合いはそのとき初めてできて、その以後にサラブレッドの具体的な問題が出たのじゃないかと思います。
  420. 神田大作

    ○神田(大)委員 藤井さんに二、三お尋ねしたいと思いますが、今の稲富さんとの関連もありますので、それから先にお尋ねいたします。十月十四日に金を受け取ったのを確かめておきたいのですが、清水商店から請求書があったのですね。それで金を受け取った、こういうふうにわれわれは聞いておるのですが、それに間違いありませんか。
  421. 藤井治

    藤井参考人 その通りであります。
  422. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、請求書というのはいつ藤井さんの方には届いたのですか。
  423. 藤井治

    藤井参考人 それは以前に永田さんがアメリカに行かれましたときに、大体一万五千ドルは出すという約束があったそうであります。それで一万五千ドル受け取っておいてくれという依頼があったから一万五千ドル受け取ったそうであります。
  424. 神田大作

    ○神田(大)委員 清水商店からあなたの方にそういう請求書が来た、日にちはいつですか。
  425. 藤井治

    藤井参考人 はっきりしたことはわかりませんけれども、十四日以前だったと思うのです。
  426. 神田大作

    ○神田(大)委員 東京銀行の丸の内支店から為替を組んで代金を支払ってあるというふうにわれわれの調査ではなっておるのですが、このサラブレッド三頭の代金を清水商店へあなたの方から支払っておると思うのでございます。その点はいかがですか。
  427. 藤井治

    藤井参考人 十二月の末にLCを開きまして決済をしたのは一月の十日だそうであります。
  428. 神田大作

    ○神田(大)委員 その場合に為替を組むときにトロッターとして払ったのではなく、サラブレッドとしての三頭の代金の為替を組むときには、外貨割当の許可証がいるわけですが、その場合に競走馬として許可証を取ってあると思いますが、それに間違いありませんか。
  429. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。そのときには家畜の馬ということにして許可が取ってあります。
  430. 神田大作

    ○神田(大)委員 家畜の馬というのは品種でございまして、銘柄のところに競走馬とか、あるいはサラブレッドとかいうようなことをはっきり書いてあると思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
  431. 藤井治

    藤井参考人 あまり詳しいことは私はよく存じませんけれども、聞きますところでは、ただ馬と書いてあるそうであります。
  432. 神田大作

    ○神田(大)委員 申請書に添付する発注書というものがあると思うのですが、それではその発注書には銘柄に何と書いてありますか。
  433. 藤井治

    藤井参考人 そういうことは私存じておりません。
  434. 神田大作

    ○神田(大)委員 外貨割当の申請人はトロッター協会になっておるのですか、それとも藤井商店になっておるのですか。どっちですか。
  435. 藤井治

    藤井参考人 藤井商店になっておるそうであります。
  436. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 関連して。それでは今の輸入承認申請書というものをあなたの方の名前で出してあることはわかりましたが、しかしこれはトロッター協会から注文があって出したのでしょう。その注文の内容一つお聞きしておきたいと思います。また書類で出たのか、口頭で注文があったのか。トロッター協会の注文の内容ですね。
  437. 藤井治

    藤井参考人 それは書類で出ておるそうであります。
  438. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 その注文書なるものをお持ちでしょうか。
  439. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。それは農林省に出してありまして、私の手元にはありません。
  440. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それではあなたの方からこの輸入承認申請書を出した以外のサラブレッドが問題になっておるのですが、これは永田さんが農林大臣と共同で話し合って買ってきたということになっておるのでありますが、これに対する輸入承認申請書をあなたの方から出しておりますか、または永田さんからのサラブレッドの注文書です ね、これが注文書もしくは口頭でそういうことがありましたならば、それに基いてこの三頭の承認書を出しておりますか、出しておりませんか。
  441. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。そういう小さい技術問題のことは私は全然わからないのであります。
  442. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それでは先ほど永田さんから金を取ったということになっておりますが、注文もない人からあなたの方は受け取ったことになるのですか。
  443. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。その金を受け取ったということにつきましては、清水貿易から依頼をされて受け取っただけでありまして、当面の、その当時やっていました担当人は現在あちらに行っておりますから、私ここで説明できません。残念に思いますけれども、御了承願いたいと思います。
  444. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 今のトロッターの問題については、輸入承認申請書を出しておる。永田さんの分については一体注文書が出ておるのか、承認申請書を出したのか、出さないのか、それだけでいいですから、一応相談してお答え願いたい。
  445. 藤井治

    藤井参考人 その輸入承認申請書は出してあるそうであります。それがなかったら許可がされないそうであります。
  446. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それじゃその永田さの方の購入の承認書については許可があったのですか、なかったのですか。あったら、いつあったのですか。
  447. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては、通産省も農林省も許可しております。
  448. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 その金額は幾らですか。
  449. 藤井治

    藤井参考人 一万五千ドルだそうでございます。
  450. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうしますと、あなたの方はトロッターで十万ドルのワクを受けたわけですが、さらにそれに加えて永田さんの方の一万五千ドルが許可になったということになると、そのトロッターの方の分一万五千ドルは余っているわけですが、これを返すのはどういうことになるのですか。
  451. 藤井治

    藤井参考人 お答えいたします。その問題につきましては、先ほど申し上げましたように、最初の計画では百二十万程度のものでありましたが、途中で馬が高過ぎて入れる量が少いというので、馬を安く評価することになりまして、それだけのドルが要るという勘定のもとにやられたことじゃないかと思います。そのことについては私のところが積極的にやったことはないと思います。詳しいことは私はよく存じておりません。
  452. 中村時雄

    中村(時)委員 藤井商店にちょっと伺いたい。あなた方が申請されましたその外貨の申請書に対しまして、許可がおりたのはいつですか。
  453. 藤井治

    藤井参考人 十月の二十四日だそうであります。
  454. 中村時雄

    中村(時)委員 許可がおりたのが十月二十四日で、その前の十月十四日には今言ったように決済ができているわけですか。
  455. 藤井治

    藤井参考人 それは決済でなしに、かりに預かっている形であります。ということは、清水貿易から一万五千ドル円貨で受け取っておいてくれという依頼があったのでそういうふうにしたのであります。
  456. 中村時雄

    中村(時)委員 これは確認だけしておきたいのです。そうすると、十月の十一日に外貨獲得の件について申請をされて、そうして二十四日の日にはその許可がおりたわけですね。ところが十月の十四日の日にはサラブレッド三頭に対する金をすでに清水商店から依頼があって金を払い込むようにというので預かっている、こういうことですね。
  457. 藤井治

    藤井参考人 そうです。
  458. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたのさっきのお話で、十万ドルの外貨割当トロッター協会からのトロッター購入の資金であるということはわかりましたが、このトロッター輸入の金がサラブレッド三頭も含むということにおしまいにはなりましたね。このサラブレッド三頭を含むということをあなた方が知ったのは大体いつごろであったか、そしてこの問題をたれから聞いたか、それからまたサラブレッド三頭の代金をこの外貨ワクの中で支払わなければならなくなった事情、これを支払ってもよろしいということを言った人を私ははっきり聞きたい。どういういきさつがあったか。
  459. 藤井治

    藤井参考人 そのことにつきましては、当時私はおりませんので、人は存じませんけれども、私の思うところでは、一応競馬会がトロッター輸入についてのあっせんをしているわけであります。従って中央競馬会の意図のもとに私のところが働いたというわけであります。そこから話が出たことだと私は考えております。
  460. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうすると、トロッター外貨割当ワクの中でサラブレッドの金も払ってよろしいというのは、やはり中央競馬会から出たというふうに理解してよろしいわけですか。
  461. 藤井治

    藤井参考人 私はそこのところははっきりとはわかりませんけれども、多分そういう趣旨のもとにやったのではないかと思います。
  462. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それでは今一万五千ドルの新しいワクの許可を受けたとあなたはおっしゃる。ところが農林大臣の方からの調査報告によりますと、十万ドルのうちで、一万五千ドルの金が余ったから、この余裕金を使わしてもらいたいということをあなたの方から、中央競馬会トロッター協会に申し出たというので、この両者の意見を聞いて、農林当局は口頭で了解を与えた。あなたの方の今のお返事によりますと、書面で申請を出して、書面で許可を得た、こうおっしゃるのですが、あなたの今の公述には間違いないのですか。この農林大臣の報告と食い違ってきましたから、お尋ねをするのであります。
  463. 藤井治

    藤井参考人 それらは私のところが最初からそういうふうに持っていったんじゃなしに、サラブレッド輸入を依頼された当時に、すでに中央競馬会トロッター協会、農林省の大体の了解がついてから、私のところに話がきたように承わっております。
  464. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そうすると、輸入承認書を出したというのは、間違っておるわけですね。あらためて出して、あらためて許可をとっておるのですか。書類できまっておることですから、相談しなくてもわかっておるでしょう。許可書があったら出してもらいたい。
  465. 藤井治

    藤井参考人 ちょっとお願いがあります。私その貿易の技術面は全然わかりませんので、わかった人間がおりますから、その人から説明してよろしゅうございますか。
  466. 村松久義

    村松委員長 参考人の決定をいたしておりませんし、事務的なことは、一応お尋ねの上に答えていただきたいと思います。この程度でよろしいならば……。
  467. 中村時雄

    中村(時)委員 井上さんに最後に伺います。今言ったように十月の十一日に申請書を出して、十月二十四日の日に許可が出てきた。その外貨に対するところの許可をもらったわけです。ところが今言ったようにサラブレッドに対するところの代金の受け入れ方は、十四日の日に行なっておるわけなんです。そこでこのことは、トロッターの金が余ったからこのサラブレッドを買うたんではないということだけははっきりしてきたわけです。それに対してあなたは何か言い方があるなれば、はっきりここで言っておいていただきたい。
  468. 井上綱雄

    井上参考人 これは今の計画の変更によって、トロッターの購入の総金額の十万ドルは余るであろうという想定はできたと思うのでありますけれども、この余った金をどう使うかということにつきましては、われわれとしてはどうしようもないわけであります。これはたとえば当初予算上すでに残余が出るということははっきりしたと思うのであります。そのはっきりした金をどう使うかということにつきましては、それは中央競馬会といたしましても、トロッター協会といたしましても、これは権限がないわけであります。
  469. 中村時雄

    中村(時)委員 私の質問はこれで打ち切ります。
  470. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 広沢さんにちょっとお尋ねしますが、実はこの問題であなたの名前が出ましたときに、私よくあなたを知っておりますので、どうもこれ は、さっきあなたがおっしゃったように、ほとんど会長名前だけ出しておいて、何か裏で仕事をしている人があるように考えられてならなかったわけです。実は今聞いていますと、あなたの知らない間に非常にトロッターの問題でこじれていることが次第にはっきりされただろうと思う。実際今トロッター協会の実務を預り、実際トロッター協会を動かしておるのはだれであるか、今後の参考にいたしたいと思いますので、伺っておきたいのです。
  471. 広沢春彦

    広沢参考人 お答えします。トロッター協会の実務は山本文陸郎さんです。
  472. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それからもう一点お聞きしたいのは、トロッター協会ができた事情でございますが、さっき大体の話はあなたからお聞きしましたけれども、一番積極的にトロッター協会を作ろう、こういう発案をされたのはおそらくあなたじゃあるまいと思いますが、どこから一体この水が向けられてトロッター協会を作られたか、その人をはっきりさしていただきたいと思います。
  473. 広沢春彦

    広沢参考人 それは十勝の富永という人であります。それから岩手県の佐々木泰治さん、その二人が発頭人なんです。これは生産地の代表格の方で、その方々が一生懸命にやった。そして実は組織のときに、私が軽種馬協会長その他をやっているもので、私の方にいろいろ世話をやいてくれという依頼があったわけです。それでわれわれの方で世話をやくという形で、その会を開いたのです。そのときには富永さんと今の泰治さんが一生懸命になってやってでき上った。そこでそれじゃ会長をどうするかということになって、私が無理やりに押しつけられた、こういう格好でございます。
  474. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき井上さんの方から、トロッター協会は今運営に非常に因っているから、一つ中央競馬会の方に仕事をしてくれという依頼があったと言います。が困っているというのは経済的な理由でございますか。何か機構的にお困りになっているのですか。
  475. 広沢春彦

    広沢参考人 もちろん経済的にも、あまり資金もなく困っております。あとは機構その他のことはまだかりの団体でありましてまだ社団法人とか何とかなっていないのでございます。ぜひそれらを近いうちにやって、本格的なものにしたいという考え方でございます。
  476. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう一点。さっきあなたの話で農馬の改良のお話が出ましたが、一体トロッターというのは、純血で農馬に適当なのか、混血で馬の改良をしたのが適当なのか。純血を求めるか混血を求めるか、その点の回答を伺いたい。
  477. 広沢春彦

    広沢参考人 それは雑種といいますか、混血の方がいいと思います。純血トロッターを農馬にするということは、多分まずいと思います。
  478. 村松久義

    村松委員長 それでは本件の参考人に対する質疑はこれで終了いたしました。参考人の方々には長い間御苦労さまでございました。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時九分散会