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1956-04-24 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十四日(火曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    足立 篤郎君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       井出一太郎君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大野 市郎君       加藤常太郎君    木村 文男君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君       井谷 正吉君    稲富 稜人君       石田 宥全君    小川 豊明君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    日野 吉夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      新沢  寧君         農林事務官         (農地局参事         官)      戸嶋 芳雄君         参  考  人         (農地開発機械         公団理事)   土屋 四郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月二十日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員松野頼三君及び川俣清音辞任につき、そ  の補欠として足立篤郎君及び稲富稜人君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十一日  昭和二十九年度までの災害に係る農林水産業施  設の災害復旧事業実施についての善後措置に  関する法律案稲富稜人君外三十四名提出、衆  法第四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案に  ついて、参考人出頭要求に関する件  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六六号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  高碕国務大臣より、河野農林大臣海外出張不在中、内閣法第十条により臨時に農林大臣の職務を行う国務大臣に指定されましたので、この際あいさつをいたしたいとの申し出があります。これを許します。高碕国務大臣
  3. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま委員長から御報告を願いました通りに、私、昨年河野農林大臣留守中少しばかり留守居をいたしました。そういう関係もございましたものですから、お前はまあ比較的伴食だしひまだろうからやれ、こういうわけでございましょうが、私河野農林大臣留守留守を守ることに相なったのであります。来月の十五日くらいには農林大臣はお帰りになるだろうと思いますが、それまでの間、私はなはだ不敏でございますけれども、十分職責を尽して留守中を全ういたしたい、こう存ずるわけでございます。特に国会開会中でございますので、私は時間の許す範囲におきまして、私に要求がなくてもできるだけ出席させていただきまして、皆さんの御意見を聞かせていただきたい、こういう所存でございますから、どうかよろしく御鞭撻御指導あられんことをお願いいたします。
  4. 村松久義

    村松委員長 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。  この際お諮りいたします。本案審査のため、参考人として農地開発機械公団理事土屋四郎君の出頭を求め、意見並びに説明聴取を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村松久義

    村松委員長 御異議ないと認めます。では参考人より意見を求めることにいたします。
  6. 中村時雄

    中村(時)委員 参考人でその当時要求をいたしました成田さんと和田さんの欠席はどういう理由なんですか。
  7. 村松久義

    村松委員長 土屋参考人公団の代表として派遣せられましたので、これを受け入れることにいたしたのでございます。なお意見聴取の後質疑を行いまして、なおそれで不備だという御見解ならば、あらためて一つお呼びをいたしますから、さよう御了承をいただきます。  参考人土屋四郎君。
  8. 土屋四郎

    土屋参考人 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案につきまして、一言私の考えておりますことを申し上げて御参考に供したいと存じます。  このたび公団法改正によりまして、農地開発機械公団ジャージー導入をすることができるということと、一部公団機械を、公団の本来の仕事でありますところの農地造成改良に余裕のあるたとえば農閑期等農地造成改良以外の方面にも使用することができる、こういう二点の改正かと存じますが、乳牛導入につきましては、実は公団といたしましては、ただいまのところは、農地造成改良のための機械を貸し付ける、あるいは開拓者等から委託を受けまして、その機械によって開墾をいたすということになっております。機械開墾と申しましても、現行法では開墾作業委託を受けてやるということに相なっておりますが、御承知のように、特に今後の機械開墾地区におきましては、何と申しましても非常に劣悪な自然的社会的条件の所が多いのでございまして、開拓の根本でありますところの農業経営の安定と確立ということから考えますと、何といたしましても、ただいま着手をいたしておりますところの上北地区とか、あるいは北海道根釧地区等におきましては、農業経営上、少くとも穀菽と牧畜との混同経営あるいは酪農経営というふうな形にもっていかないと、開拓者がせっかく入植いたしまして、またわれわれの方で委託を受けて開墾いたしましても、営農確立という所期の目的が達せられないところのうらみがあるのではなかろうか。実は私昨年まで、東北地方の方に仙台農地事務局長として三年ほどおったのでありますが、二十八年と二十九年と二年続いて冷害を受けまして、一番冷害のひどかったのが開拓地でありました。その開拓地の中でも特に陸稲を作ったりあるいは小麦というような穀菽をやっているところの開拓者の打撃が一番大きかったのでありまして、これに比べますと乳牛を持っておるとか、あるいはその他の家畜を持っておって畜産経営をあわせてやっておるところの開拓者経営は、これら冷害に対しても非常に抵抗力が強いということをしみじみ感じた次第であります。この機械公団開墾地区について開墾を始め、さらに今度政府の方針により公団法改正して、ジャージー導入するということは、われわれ公団といたしましても、この開拓者農業経営を安定確立する意味におきまして、まことに適切な措置ではないかと存じまして、公団といたしましてはもとよりこれに異存はございませんで、賛成でございます。  なお、仕事をします所が東北北海道の、年間のうちで半年くらいは積雪その他のために仕事ができないような地帯でございますので、その間いろいろ農地造成改良以外の方面機械の活用をできるという部分がございましたら、これを活用するということも必要であろうと思いますので、これまた公団法のこのような改正は、われわれといたしましてはまことにけっこうであろうか、かように存じております。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 議事進行。ただいま参考人発言は、当委員会で審議しておる法案と趣きの異なったような発言があるのです。この法律案内閣提出法律案であって、公団役員に、この法律案賛成であるとか反対であるという意思表示を、われわれは求めておるのではないのです。問題は、昨年の公団発足以来今日に至るまで、機械開発公団がどのような事業を善意をもって行なったかということを、まずわれわれは聞く必要があるのです。この法律案は今審議の過程にあるのですから、それを公団役員が来てとかくの論議は、必要でないと思うのです。ですから、委員長はこれを注意されると同時に、やはりこの際理事長成田氏を呼ぶ必要があると思う。何のためにきょう来ないかということは、われわれは了解できないのです。ですから、これは委員長においても慎重にお取扱いになって、参考人を招致された以上は、われわれの聞かんとするところを委員長からよく伝えて発言させるようにしてもらいたい、そういうように考えます。
  10. 村松久義

    村松委員長 賛否の表明も意見のうちの一部であると思いますので、これはこのままといたしまして、なおこの際公団進捗状況を一応説明を願いたいと思います。今の成田氏云々ということは、私はわかりませんけれども、このことはあとで決定をいたします。  公団進捗状況に関して説明を求めます。
  11. 土屋四郎

    土屋参考人 機械公団は、昨年の十月十日に発足をいたしました。自来、公団事業計画でありますところの青森県の上北北海道根釧開墾事業並びに北海道篠津地区泥炭地土地改良事業に対する公団機械の貸付の仕事、この三つ仕事準備に従事して参りました。なお、三十年度は、公団法の付則によりまして、政府から土地根釧篠津事業に対しまする五億五千万円の工事委託を受けたわけでございます。発足早々でございましたので、この委託事業の方は、政府の方と十二月半ばに正式の委託契約ができまして公団政府からこの委託を受けたわけでございます。さらにこの仕事を、上北地区につきましては仙台農地事務局に、根釧篠津地区につきましては北海道開発局等工事実施公団からお願いすることにいたしまして、これを実施して参ったのでありますが、時あたかも冬季のことでもございますし、諸般の仕事進捗状況も、発足早々のことでございましたので、大体におきまして三十年度にはこの受託工事は一億四千万円程度を消化いたしております。これらは工事実施、設計あるいは用地の補償あるいは機械の購入、営繕工事、その他工事雑費等に使われております。残りは新年度に繰り越したわけでございますが、この繰り越されたところの分は、新年度早々から逐次事業の方を進めて参っておりまして、資金の方を消化しておる状況であります。  それから上北根釧開墾につきましては、上北地区が今年度約千町歩開墾をいたします。それから根釧地区は四百町歩開墾をいたすのでございましてこれらに対しましては、公団といたしましては、現地にそれぞれ上北支所根釧支所を設けまして、すでに用員現地の方に送っております。またこれに要しますところの機械等手配もいたしまして、入植者上北地区に百十六、根釧地区に七十戸、すでに選考を終えて目下訓練あるいは待期中でございますので、これらの入植者現地入植をいたしますと同時に、われわれの方では遅滞なく開墾仕事ができますように、目下鋭意この準備を取り急いでおる、こういうような状況でございます。(「何を言うておるのかわけがわからなぬぞ」と呼ぶ者あり)
  12. 村松久義

    村松委員長 成田理事長出頭を求めて意見を聴取いたしたいとの御要望もございますので、あらためて成田理事長意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。なお土屋参考人に対する質疑はこれを継続いたします。
  14. 中村時雄

    中村(時)委員 先ほど言っておいたのですが、理事長を呼んだ以上は、ただ都合が悪くて来れませんというのではなく、どういう理由で来れなかったかということをはっきりしておいてもらわないと困る。そういう点委員会自身の権威と言えば悪いかもしれませんが、非常に問題があると思うのです。こういうことをわれわれが認めていくならば、将来いろいろな問題においても、当然こういう結果が出てくるわけです。そういう点をはっきりしておいてもらわないと、ただじだらくに、だれでもよろしいというわけにはいかないわけです。そういう点は特に委員長によく御確認を願っておきたい、こう思っているわけなんです。
  15. 村松久義

    村松委員長 了承いたしました。
  16. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 今中村委員がおっしゃったようなことですが、この前協同組合の問題に対して、参考人として中金湯川理事長に来てもらって、それから中央会の荷見さんを呼んだのですが、院内に来ておって、都合が悪いからといってかわりを出している。これはまことにけしからぬことで、僕は院内で見たのです。荷見さんなんか廊下で合った。なぜ来ないかと言ったのですが、かわりを出していますと言う。従ってきょうもこういうことであったら、私は国会軽視だと思うのです。これは厳重に委員長から出るように取り計らってもらいたいと思います。
  17. 村松久義

    村松委員長 了承いたしました。
  18. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実はきょうは理事長が来られるものと思って、いろいろ質問を準備して参りましたのですが、せっかく土屋さんいらしたのですから、ただいまの参考意見について若干質問したいと思います。  この公団そのものの事務的な仕事進捗状態と、現地仕事進捗状態とをはっきり区別して御報告願いたい。公団にさまざまな役柄ができたり、あるいは事務所ができたりしたのはよろしい。具体的に、北部上北では現地開墾がどの程度まで進んでいるのか。どういう機械が入っているのか。根釧地区ではどういう仕事が始まり、どのような機械が入っているか。特に今お話では機械及び用具の配置が済んだということでございますが、この用員の数なども具体的に御報告願いたい。なお本来から申しますと、根釧地区開墾計画上北地区よりもはるかに大きいのでございますが、初年度上北が一千町歩根釧は四百町歩。逆になっております理由なども、もっと的確に御説明願いたいと思います。
  19. 土屋四郎

    土屋参考人 公団は先ほど申し上げましたように、十月十日に発足いたしました。事務所は、本部国会の正門前の元の農林省の庁舎の中にございます。それから職員は理事長理事、監事のほか現在の定員は四十七人でございまして、本部に二十五名、それから上北支所に十一名、根釧支所に十一名ということにいたしております。充足状況は、本部の方が二十五名のうち最近現在で欠員が二人ほどあろうかと思っております。それから上北十一名でございますが、これがたしか八名今向うの方に行っているかと思います。支所長以下行っているのでございますが。それから根釧は十一名のうちたしか欠員が四名だと思っております。現地事務所の方は、この仕事開墾建設工事営農指導三位一体になって運営をしなければなりませんので、これは国の建設事業所と併用するというようにいたしております。それから機械の方はまだ現地には参っておりません。目下手配中でございます。これはしかし六月の半ばには開墾を始めますので、それまでには間に合うように国産機械及び一部輸入機械につきまして手配をいたしております。なおこれを動かしますオペレーターあるいは助手等につきましても、それぞれ手を回しまして、目下募集中でございます。開墾すべき上北の方は六月二十日。ごろから、それから根釧は七月からとただいま予定しておりますが、それまでには間に合いますように機械導入手配いたしたい、かように考えております。それから上北地区は全体の計画が三千四百余町歩、それから根釧も大体同様でございますが、上北の方は今年度は千町歩、それから根釧は本年度は四百町歩で大体三年で終る予定でございますが、根釧の方は逐次この面積をふやして参りまして来年、再来年が最高になるかと思っております。上北の方は大体ことしが。ピークでありまして、それからあと少しずつ減っていって全面積を済むことになる予定でございます。
  20. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも御答弁によりますと、公団発足以来全然現地的な仕事進捗していないと認められるようであります。特に重大な発言は、あなたのところは建設仕事営農指導とが三位一体でなされている、おそらくもう一つの位は公団のものだろうと思いますが、一体公団発足当時営農指導ということもやれという命令があったのですか。どうですか。公団営農指導するつもりだったのですか。
  21. 土屋四郎

    土屋参考人 公団営農指導についてはタッチいたしません。公団開墾をするのであります。また開拓地の道路その他の建設工事は国でやるのであります。それから、営農指導はほかの開拓地区と同じように県が責任をもっておやりになる。それでこの三つのものが相互によく横の連絡をとって調和をとっていかないとうまくいかぬ、こういう意味事務所等もなるべく一緒なところにいるようにしたい、こういうことで申し上げた次第でございます。
  22. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なお上北地区で百十六戸の入植者があり、根釧地区が七十二戸の入植者があるように聞きましたが、開墾もできない何にもないところに入植したというのは、一体どういう意味なんですか。全然まだ開拓仕事進捗していない場合、入植して一体どこに住んで、どうして暮しているのですか。
  23. 土屋四郎

    土屋参考人 まだ現地は入っておりませんです。大体六月の半ばごろに入るということでございますので、それまでにわれわれの方では機械を遺漏なく手配いたしまして、入植者が入りまするとわれわれの方でそれを並行して開墾作業が進みますように手配中でございます。
  24. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは、今百十六戸の入植用員というものは、県の指導所に入っておる。これは上北地区の場合ですが、この百十六戸の入植者の教育にたえないような狭いところで非常に設備の悪いところで、もうとても困っている事情はおわかりですか。これは公団進捗状態が、今のままでいたずらに仕事を進めますならば何もならぬ  大ぶろしきになってしまう。始める前にふろしきが破れてしまうということはわかっておる。そういう実情おわかりですか。
  25. 土屋四郎

    土屋参考人 私はその上北で百十六戸の入植者訓練を四月の初めごろから約二ヵ月開始するということで、青森県でおやりになるということは伺っておりまするが、現地入植訓練の実地の状況はまだ承知いたしておりません。
  26. 稲富稜人

    稲富委員 関連して土屋参考人にお聞きしたいと思いますが、今度の酪農導入、これはやっぱり一つ営農指導だというふうにあなたの方では御解釈になって、おりますか。
  27. 土屋四郎

    土屋参考人 営農指導ではございませんが、営農確立に寄与することができるというふうに考えておる次第でございます。
  28. 稲富稜人

    稲富委員 公団営農指導はやらないというふうにあなたは解釈しているという御説明になっております。そうすると酪農乳牛導入するということは営農指導ではない。ただ一環性はあるけれども純粋の営農指導ではないという解釈公団側ではなさっておるわけですね。これに対する公団解釈を承わりたいと思うのです。
  29. 土屋四郎

    土屋参考人 先ほど申し上げましたようにそう考えております。
  30. 稲富稜人

    稲富委員 それから公団側は、今度の酪農ジャージー種導入に対しては、あまり積極的ではないようにあなたの先刻の御説明では承わったのでございますが、やはりそういうふうに解釈して差しつかえないのですか。
  31. 土屋四郎

    土屋参考人 先ほど申し上げましたような意味におきまして開拓者営農確立に、開墾だけでなしにそのほかの面でも、ジャージー導入という面で公団が寄与できるということで、これは積極的に、われわれも大いにけっこうであるということでこれに協力してやりたい、かように考えております。
  32. 稲富稜人

    稲富委員 それで聞きたいのは、すでにこの公団発足いたしましてまだ一年足らずのうちに、この公団法の一部を改正しなければできないような状態に立ち至っておる。しかも法律公団法の一部を改正するとなっておりますけれども、この改正の要旨というものは、公団法の基本的な問題に関係する改正なんです。ところがあなたの先刻の御説明を聞きますと、今度のこの酪農導入に対しては公団側としては異存はないのだ、こういうふうに御明なさった、異存はないということは消極的なことなんで、公団側は積極的であるというふうにわれわれはとれない。こういうような公団法改正することもやむを得ないのだろ、異存はないのだ、こういうような御説明を先刻なさっておるのでありますが、これは公団としての非常に消極的な意思表示だと解釈するわけなんです。この点をあなたにお聞きしているのであって、公団発足いたしまして、事業を今日まで進めていって、公団として当然必要上今度の法律改正をやらなければいけないことになったのであるか、あるいは公団としてはあまりにも積極的ではないけれども、こういうことを政府から計画をされて指示されたから、異存なくわれわれは応じなければいけないというような、非常に消極的な意思であるか。ここにこの法律の非常な重要性があるわけです。そこであなたの先刻からの御説明を聞きますると、異存はないというような意思表示であって、これは消極的であるというふうにわれわれは解釈いたしますので、公団のこれに対する態度といいますか、考え方をあなたに承わりたいと考えるのであります。
  33. 土屋四郎

    土屋参考人 先般来申し上げました通り公団といたしましては、いろいろ考え方はございましょう、あるいは公団営農指導までやるというような考え方もございましょうが、現在はこの公団開墾だけでございます。そこで公団といたしましては、等頭一歩を進めまして、ジャージー開拓地への導入をすることができるという権能を与えられるということは、公団としては開拓者営農確立に寄与するという積極面がございまするので、積極的にさように公団としてできることは、非常にありがたいことである、かように考える次第でございます。
  34. 木村文男

    木村(文)委員 関連して私はきわめて簡単に二、三お尋ねしたいと思いすが、まず第一にあなたにお聞きしたいことは、私は実はさっき淡谷委員からもお話があったように、青森県の選出ですから、上北に非常に関係があるのです。それで先般帰った際に、実はいろいろ文句を言われたんです。われわれが文句を言われるということは結局あなた方が悪いから言われるのであって、われわれは非常によかれかしと思って、この公団関係する法律を議したのです。それがあなた方の運営が悪いために、帰りますとわわれわれはかれこれ言われるわけです。そこで与党といえどもこの際一つ、ただしておかなければならぬことはたださなければならぬと思う。そういう意味でお尋ねするわけなんです。  そこで私は、第一にあなたにお伺いしたいのは、公団は当初の法律機械化公団法律が議決されたときに、その法律の認める範囲は、あなたはさっきのお話では、営農指導も可能であるというように考えておられるようでありますけれども、それは可能であるかどうかということを、はっきりここで御答弁を願いたい。
  35. 土屋四郎

    土屋参考人 公団法によりまして、農地造成改良仕事に必要な機械を購入して貸し付ける、それから委託を受けまして農地改良造成工事を行うこと、これに付随する仕事、かように相なっておりまして、公団開墾作業をやるのでありまして、営農指導は県の方でやっていただくものである、かように考えております。
  36. 木村文男

    木村(文)委員 それではさっきの淡谷君に対するあなたの答弁は妥当を欠いておる。そうでしょう。これはあなたも理事をやるくらいの人なんだから、ああいう答弁をしてもらっては与党としてはほんとうは迷惑なんだ。そこだけははっきりしてもらいたい。特に地元に関係のある私としては迷惑である。こういう点は、理事としてあなたは慎しまなければならぬ。これが一点。  そこでそれに関連して、なぜ私はそれを言うかというと、今度は乳牛導入が今青森県で問題になっておるのです。こういうことは公団のやるべき仕事であるかどうかということを確かめたい。
  37. 土屋四郎

    土屋参考人 法律改正しまして公団乳牛導入ができるようになるということは非常に望ましいことであると考えます。
  38. 木村文男

    木村(文)委員 あなたは法律改正して、公団乳牛導入することはいいことだと言うけれども、根本的な原則法はそうなっていないということをあなたは今はっきり認めた。それをまた今度指導の方に持っていこうとする、営農の方に持っていこうとする、それ自体非常に矛盾するじゃないかと私は思う。その点の見解を明らかにしてもらいたい。
  39. 土屋四郎

    土屋参考人 現行法では、公団委託を受けまして開墾工事を行うことになっております。しかし今度改正をいたされまして公団ジャージー導入することができるようになるということは、公団といたしましてもまことに望ましいことであると私は存じております。
  40. 木村文男

    木村(文)委員 これは水かけ論みたいになってしまってしょうがないが私はこの後に保留しておくことにする。  第三番目にあなたにお聞きしたいことは、現在公団仕事に着手していないというさっきのお話であったわけです。それではわれわれに提示した当初の計画通り工事進捗状況が進んでいるかどうか、これを一つお聞きしたい。
  41. 土屋四郎

    土屋参考人 目下鋭意準備作業中でございまして、開墾上北地区におきましては六月の下旬から、それから根釧地区におきましては七月から大体十月一ぱいまでに予定開墾を終る計画でございまして、これに必要な準備を着々いたしております。われわれはいかなる困難を排除してでもこの計画を実現いたしまして、開拓者営農に支障がないようにいたしたいと考えております。
  42. 木村文男

    木村(文)委員 最後に一点。そこでこの工事計画通り進めるということになりますのには、人事の問題が一番大きな問題だと思う。運営の衝に当る人が当を得なければいかぬ。何ごとも人事が基本なんです。その衝に当っているあなたが、先ほどのお話では、さあたしか何人くらい欠員だなんというようなお話では、そう大して本省のように何百名、何千名おるわけではない。それに理事たるあなたが創立当初における責任者であるあなたが、現場の人員もつかめない、しかも一緒の屋根の下におるところの人員の数もつかめないような工合では、はっきり言うと、私はこの公団仕事は、あなたのような理事がおられる間はできないと思う。人事くらい重要な問題はないのです。たとい向うに見えている金山があっても、人が行けない山は金山にならないのです。それくらい人というものは、私は大事なものだと思う。それをまだ何百名もおる人員じゃないのに、理事たるあなたが当初において、まだたしか何名くらいというような言を、この神聖な、権威のある国会において答弁をするような状態では、私は先が非常に案ぜられる。こういうことを私はあなたに特に申し上げたい。私は自分の選挙区が青森県ですから、特に案ぜられるのです。大へんなことだと思う。ですから、そういうことのないように特に注意を促したいが、その意思、決意のほどを一つ表明してもらいたい。
  43. 土屋四郎

    土屋参考人 御趣旨の点は十分に考えまして、お話通り人事は重要でございますので、十分支所を督励いたしまして、仕事を円滑に推進していきたい、かように考えております。
  44. 稲富稜人

    稲富委員 議事進行について。実は公団運営に対しまして、公団理事者から十分内容を聞くことが、われわれが本法律案を審議する上に非常に必要だと考えて、公団理事者の御説明をお願いしたわけでございますけれども、先刻から土屋理事の御説明を聞いておりましても、非常に不十分でございまして、私どもやはり理事長に来てもらって、もっと公団の内容、運営等を検討した上で、この法律案の審議を進めていただきたい、こういうような考えを持っておりますので、私も公団の内容等に対しまして聞きたいのですけれども、次にぜひ理事長の出席を求めて、もっと責任ある公団側のこれに対する説明を求めまして、さらに提案者である政府に対して質疑をやりたいと考えておりますので、委員長においてもさようお取り計らいを願いたいと思います。
  45. 中村時雄

    中村(時)委員 つけ加えて。もうくどくどは申しませんけれども、その理事長参考人に呼ばれる際に、もう一人ここに書いてある和田栄太郎、この方も同様に、やはり一緒に呼んでいただきたい。ということは、われわれの承知している範囲内では、この機械公団というものは開墾に対して機械を貸し付けることであったと思う。ところがその内容に入って参りますと、運用の面がはっきりしていない、これが第一点。それから第二点は、答弁の中において、これは、ふとすると営農にまで発展するおそれもある、こういうような観点があるわけです。そこでこれらの参考人を、十分スタッフをそろえてここにお呼び出しを願いたいということを追加しておきたいと思う。
  46. 村松久義

    村松委員長 ただいま稲富君及び中村君より成田理事長のほかに和田栄太郎理事を招致するという動議がございます。成田理事長は前回呼ぶことに決定をいたしましたので、あらためて和田理事を追加することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めまして、さように決定をいたして審議を続けます。  参考人御苦労様でございました。  なお本案に関する質疑を継続いたします。淡谷悠藏君。
  48. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の質疑が残っておりますが、質疑の進め方の上におきまして、どうしても公団理事長にいろいろな御意見を聞いてからでないと進まないと思いますので、理事長が出まして、われわれの考えておりますことに御答弁を願った上で、あらためて進めたいと思います。保留しておきたいと思います。
  49. 村松久義

    村松委員長 なお質疑の通告は他にございますが、議事の進行の協議のために休憩をいたします。    午前十一時五十分休憩     —————————————    午後二時三十一分開議
  50. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 大石政務次官にお尋ねしますが、午前中も公団土屋理事の出席を得て若干の質問をいたしました。内容は非常に不明確であったのですが、今までの質疑を通じて言えることは、この機械公団法の中でシャージー種を輸入するということよりも、むしろこれは酪農振興法の関係の方が非常に近いんじゃないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
  52. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答えします。おっしゃる通りでございます。ジャージーを輸入するというそう行為は、むしろ機械公団でやるよりは、ほかの方でやった方が必ずやりいいと考えております。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから機械公団でどうしてもやらなければならぬというわけじゃないんですね。何でやってもいいんでしょう。たとえばそれは森林公団でやっても、やるということには変りはないわけでしょう。ですから問題は、昨年の国会で成立した農地開発機械公団法を、この改正というものはむしろ冒=するようなことになるのですけれども、そう思わぬですか。
  54. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 何でやってもいいというわけには参りませんですが、この農地開発機械公団の目的は、結局今まで開墾できなかったいろいろな土地をできるだけ早く開墾して、そこのところを酪農地帯にするということでございます。でございますから、そこにジャージーを入れるということは非常にその目的に合うわけございます。では、なぜこの機械開発公団にくっつけたかと申しますと、世界銀行から金を借りるということの都合でございます。外国の銀行から金を借りますときには、何かそこにある一つの特別会計の機構が必要でございます。その機構を別に作りますと非常にわずらわしくなりますし、世界銀行から金を借りることが一つ機械公団仕事でございますので、むしろこれはそれと一緒にやった方が——酪農地帯を作ることがその目的でございますので、それと合致するという意味からこの方がやりいいと考えまして、法律を変えた次第でございます。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし世銀の借款以外は、たとえば余剰農産物の見返り資金の場合も、これは政府が特別会計を設けて処理をしているわけですね。だから、やればやれぬことはないんじゃないですか。こういう公団を設けなければ外資の受け入れができないということじゃないと思うのですが、いかがですか。
  56. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 おっしゃる通りやればやれないことはないのです。ただここに機械開発公団というものが去年できておりまして、これは世界銀行から金を借りる。そしてその目的が酪農地帯を作るということでございますから、この法律を少し変えまして、このジャージーを輸入するという仕事をくっつければ、非常に簡単でやりやすいというふうに一応考えているわけでございます。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 世界銀行の話が出たんですが、先日の新聞によると、大蔵省も農林省当局も、世界銀行からの借り入れということは今後やめてしまった方がいいという見解を明らかにしておるのです。そうなると、本年度の借款は実現できるとしても、今後長期的にそういうような世銀の借款に期待を持たないということになると、せっかくこの公団法の一部を改正しても、世銀の借款による乳牛導入ということは中絶すると思うのですが、いかがですか。
  58. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 世界銀行から借款をしないということは別にきめてございません。何か別な形で伝わったのか、農林省では、世界銀行から借款しないということは一切きめておらないはずでございます。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そうじゃないですよ。これは明らかに新聞に出ておる。大蔵省も農林省も正式に見解を発表して、今の世界銀行の借款はいろいろな条件が有利でないから、これは将来継続して受け入れるべきでないということは、あなたは知らぬかもしれぬけれども、国民はみな知っておるのですね。そうですよ。そんな首をひねる必要はないのですよ。
  60. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 農林省では、私も政務次官をしておりますが、そういう方針は一切まだきめておりません。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、今後も世界銀行から金を借りるということを継続する意思なんですね。そうして外国からジャージー種導入をはかる、そういう長期計画を持っておるのですか。
  62. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 やはり今後わが国では、農業開発の必要がある場合には喜んで世界銀行から借款をいたしたいと考えております。ジャージー種に関しましても、今後世界銀行からの借款によってこの方針を進めて参りたいと考えております。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 このジャージー種導入について、今国会においてすでに開拓者資金融通法の一部改正をやっておるわけですね。これは乳牛等を機械開墾地区導入するために、今までの開拓者資金融通法の一部を改正して、そうして機械開墾地区入植者に対しては、資金の貸付あるいは乳牛導入等に対して非常に有効適切な措置をとるということが、改正の内容だったのです。ところが今度のこの機械公団法の改正は、これは次官が言ったように、必ずしも機械開墾地区に牛を入れるためにやるというのじゃないんですね。そうじゃないのでしょう。これは酪農振興法に基くところのいわゆる高度集約地区に対してジャージー種を入れる場合においては公団が業務を行うということであって、何も機械開墾地区に牛を入れるためにこれをやるんだということと全然違うんですが、その点はいかがですか。
  64. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 これは結局、酪農地帯にジャージーを入れるということが終局の目的でございます。ただ、まだ今のところは開墾が終っておりませんし、それに入植者もまだ資金も豊富でございませんので、やはりできるだけ安く牛が入るには、入る初めから用意して安い子牛を入れるということが必要でありますし、またある程度牛が入りませんければ、酪農としては存続ができませんし、牛をたくさんふやすという意味もございましょうし、牛を周辺地区に入れるということは、終局の目的は、やはり多くの子牛を開墾地区に入れて、そうして一日も早く集約的な酪農地帯を作りたいということでございます。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 政務次官はよく知らないのですね。高度集約の指定地区は必ずしも機械開墾地区の周辺じゃないのですよ。機械開墾の指定地区は、これは青森県の上北北海道根釧地区ですね。高度集約の土地というのは、その周辺には幾らもないんですよ 御存じでしょう。昨年三十何カ所かの指定をやったのは、これは全国に分布されておる。そうすると、まず高度集約地帯に入れるということは、これは全くのこじつけなんですね。しかも高度集約地帯というのはこれは未開発地帯じゃないのです。すでにもう既存農家が、そこで営農をさらに安定させるためには集約的にそこに牛を導入しなければならぬという考え方の上に立っておる。だから、これは入植者とかあるいは機械開墾地区と全く関係がないのです。次官がおわかりにならなければ、畜産局長の方が知っていると思うが、どうですか。
  66. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 ですから、集約的な酪農地帯を作りたいと申し上げたのでございます。今までのいわゆる集約酪農地帯と申しますのは、経済的ベースよりも、むしろ一つのサンプルとしてジャージー導入するということに目的があったのでございまして、いわゆる子返し制度というものをやったわけでございます。別に経済的なベースによらない制度でやったわけでありますが、これからは、ジャージーでも十分やっていけるだろうという見通しが大体つきましたので、これからはこのような試験的な段階を過ぎまして、ほんとうに経済的なベースによって牛を導入してふやしていくという方針に変ったわけであります。この機械公団実施する開墾地につきましても、経済的ベースによっていきたい、こういう方針で進んでおりまして、いわゆる集約酪農地区の問題は、ことしはわずかに浅間と霧島の二地帯しか残っておらないわけでございます。こういうわけで、酪農開墾地帯にたくさん手を入れるということにつきましては、将来入れなければなりませんが、直ちに高い牛を入れるわけには参りませんので、むしろそれを飼い得る既存農家だけにこれを飼わせまして、その子牛を安く開墾地帯に入れるということによって、経済的負担にもならず、十分に土地開墾されてから牛も入るということになるので、この制度が一番やりやすいと考えておるわけであります。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもはっきりわからないです。結局高度集約の指定とか、その集約地区に対して乳牛を高度に受け入れるということは、酪農振興法を中心として運営されていくわけですね。それから機械開墾地区に、その地区だけに牛を入れるということは、機械公団法とも関係があるのですけれども、その区分がはっきりしないのじゃないですか。結局世銀の金を借りて、世界で一番高い牛を買ってきて、農家にこれを預ける、政務次官の論法からいうと、その高い牛を預けた既存農家から、今度は生まれた子牛を安い値段で引き取って機械開墾地区に入れるということになると、どこかに犠牲ができるのではないですか。買ってくるのは、世界で一番高い、牛乳の生産量の少い牛を買ってくるのです。最高の牛を買ってきて、預けて、それから生まれた子牛は一番安い値段で買い取って機械開墾地区に入れるということになると、高度集約地帯の農家は大きな犠牲を受けるのではないですか、どうですか。
  68. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 それは犠牲にならないように政府で十分配慮するわけでございますが、問題が非常にややこしくなって参りましたので、畜産局長からお答えさせたいと思います。
  69. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいまのお話機械開墾地区は、上北根釧の両地区になっておるのであります。そこの両地区は、前々からお話申し上げておりますように、乳牛の飼育を主にした農業経営をやらせていこう、残された草地で、普通の牧畜では成り立たない地域に新しい営農方法を確立しよう、そういうのが機械開墾地区のねらいでございます。そのところに牛を入れる手段といたしまして、ある程度開墾が進んで、畜舎とか農舎とかいろいろなものを整備して——いきなり牛を入れてもよいのでございますが、その周辺の地区も、既存農家において牛を飼いたい、ことに十和田地区等はすでにジャージーを入れておるのでありますから、そこに順次入れておきまして、その子を機械開墾地区に入れた方が、機械開墾地区事業がスムーズにいく、こういう考え方から、私どもは周辺の地区に先に入れまして、その子を機械開墾地の入植者に入れよう、こういうのでございます。三十年度までは、機械開墾とは関係なしに、酪農振興法に基きまして、集約酪農地区のジャージー適地に入れてきておるのであります。三年間の経験に基きまして、先般申し上げましたように、今後十年間には輸入牛二万頭を昭和三十六年までに入れまして、今後十年間に十万頭近くまでジャージー牛をふやしていきたい、こういう考え方から計画を立てていっておるのであります。  そこで三十一年度におきましては、従来の子返し制度でいくものが六百頭、機械開墾地区に生まれた子を渡すために周辺の農家に入れるのが千九百頭、こういうふうになっておるのであります。三十二年度は二千五百頭、これを機械開墾地区の周辺地区に入れたい、その地区ジャージー種の原料乳地帯としての経済単位にまで達せしめたい、こういう考え方でおるのであります。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 昨年農地開発機械公団法の審議をしたときは、ただいまのような説明ではなかったのです。機械開墾をやった地区に対しては、あとの営農設計に対しては一戸に対して約十頭程度ジャージー種を入れて営農の安定をはからせる、そういう説明はあったのですが、その前段において高度集約地区にまずジャージー種を入れて、その子牛を買い取って機械開墾地区に入れるというようなそういう案というものは、全然示されてなかったのであります。どの段階でそういう変更が行われたか、その点をもう少し詳しく御説明を願いたい。渡部(伍)政府委員 昨年機械開発公団法の御審議を願ったときには、上北地区では三年目に二頭のジャージーを各農家が保有できるようにいたしたい、それから根釧地区では二年目に二頭、三年目に二頭を入れて、一戸当り四頭のジャージー種を入れるようにしたい、これだけの説明であったのであります。その後種々検討を加えました結果、集約酪農地域の経済性と申しますか、ある一定の密度の牛ができないとその地区酪農の振興ははかれませんので、できるだけ早く牛を入れた方がいい、そういう結論に到達いたしまして、法律を出したときには、その年、その年に直接入れたものを直接農家に渡す、こういう考え方を変えて、できるだけ早く入れて、一方においては付近の集約酪農地域の乳牛の集約度を高めて、それと同時にその子を機械開墾地域に入れたので間に合うから、そうした方がより効果的である、こういう考え方に直ったのであります。昨年機械開発公団法を出したときには、そういった早期に集約度を完成するということの検討が十分できていなかったのであります。その後いろいろ検討した結果、できるだけ早く集約度を高めたい、こういうふうな観点からこういうふうになったのであります。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 この説明によると、今後高度集約地区ジャージー種の入るところに対しては、世界銀行の融資、それから国内においては有畜農家創設資金と二本建で導入ができる。しかしジャージーを入れない高度集約地帯の乳牛導入の場合はどういうことになるのですか。
  72. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは全般的には有畜農家創設資金でやるのでありますが、ただ外国から輸入する輸入価格、大体今度ジャージーを入れるのは、八万円余りで貸し付けることになりますが、そのうちFOB価格は六万円余りになると思います。この六万円余りを世銀から借りて、その残りの分はやはり有畜農家創設資金でまかなっていく、こういうふうになるのであります。世銀から借りる金は輸入価格だけを世銀にたよる、こういうことになっております。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 それ以外の牛の導入に対しては、全然特別な配慮は講じないということですね。
  74. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいま申し上げましたように、有畜農家創設資金で融通するわけでございます。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 有畜農家創設資金でいくと、これは一頭当り大体二万五千円くらいしか貸付ができないのでしょう。それ以上できるのですか。できるとすればどのくらいが平均の限度であるか御説明願いたい。
  76. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 大体導入家畜平均八万円くらいと見まして、その七割を有畜農家創設資金で融通するのでありますから、五万六千円、あとは自分が協同組合で借るなり、自己資金でまかなう、こういうことになっております。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 有畜農家創設資金で約五万六千円ずつ貸すとすれば、ことしの計画頭数からいくとどの程度の融資の資金措置が講じられているのですか。
  78. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ことしの導入計画は、乳牛のみならずその他の家畜を合せまして十三億余りだったと思います。そこで乳牛だけは世銀のものも入れまして約二万頭余りが導入できるという計算になっております。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで具体的にお尋ねしたい点は、機械公団が輸入牛の業務を行うということですが、これは実際公団がやるのですか。外国から牛を買い付けてきたり、それを現地の集約地区の農家とか、あるいは開拓農家に対して貸し付けるという実際の仕事公団がやるのですか。
  80. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほどからお話がありますように、機械公団ジャージーを輸入する資金の責任を持つ。こういうことになりまして、一応その資金によってジャージーを輸入し、これを地元府県に貸し付け、地元府県から入植地の協同組合なり個人に貸し付ける、こういう形式をとります。それから実際の事務につきましては、公団は府県に対する貸付、契約の締結、それから府県から代金回収、それを世銀に返す事務、こういうことをやります。さらに実際の輸入業務、すなわち現地に行って優良牛の選定あるいは途中の輸送、そういうものは従来通り農林省の係官を派しまして選定、護送をやらせます。検疫はもちろん一般的に政府がやることになっております。従いまして繰り返しますと、公団の事務は世銀から金を借りる、向うに対する支払い、府県に対する貸付の契約締結、償還金の取り立て、こういう事務をやることになっております。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 もう少し具体的にお願いします。実際もしこの法律改正をやった場合、公団がほんとうにいうところの輸入業務をやるかやらぬか。今局長の言った言葉を聞くと、ただ便宜的に公団が世銀から金を借りるためのそれだけの仕事をする、あとは実際ジャージーの買付とか末端に対する乳牛の貸付とか貸与金の回収とかいうものはやらないで済むというような説明なんですが、それでは納得できない。どの程度仕事をほんとうにやるか。
  82. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 輸入の名儀は機械開発公団になるわけです。その金の支払いも公団になるわけです。輸入国に対する支払いですね。そしてその所有権は公団に帰属するわけです。それでこれを府県に貸して、府県が入植者あるいは最初は周囲の農家に売り渡すわけです。乳牛を買う人と県と公団との契約になるわけです。年賦償還で代金を取り立てますから、年賦償還金の取り立てが公団と県と個人、こういうふうになってくるわけです。売り渡して年賦償還金を取り立てる、こういうことになります。それだけになりまして、実際の輸入地における牛の選定、それから購買の事務は公団から農林省の係官が委託を受けてこれをやる。こっちに着きましてからは、公団が検疫所通過のときに受け取って、国内の現地に対する輸送事務はやる、そういうふうになっております。本来ならば公団が直接輸入先の国へ行って選定して、輸入業務を一切行うのが普通でありますけれども、これは前々からいろいろお話がありますように輸入牛の選定の責任あるいはブルセラ病等の病気について国が全責任を負わなければいけない、それからまたそういった費用は農家にかけてはいけない、国が持って、農家が購入する価格を少しでも安くしたい、こういう観点からそういった一切の事務は国の職員がやる、こういうことになります。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 どうも変ですが、そうするとまず公団は、世銀から公団名儀で借り入れをするということはわかる。それからジャージーを買い付ける場合の仕事は農林省にまかして、公団は全然買付の仕事はやらない。そういうことですね。金だけ一応借りて、あと輸入業務一切は農林省に全面的にまかすわけですね。そうすると、牛が横浜なら横浜に到着すれば、それを今度都道府県の知事に売り渡すのですが、そこからあとのことがまだわからないのです。それからどうなるのですか。
  84. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 公団は、輸入の実務は従来農林省の購買官が行ってやっておりますから、それに委託する、こういうことであります。名儀責任は公団にあるわけであります。公団は府県に年賦償還で売り渡し、府県は乳牛飼育者にこれまた年賦償還で売り渡す、こういうことになるわけであります。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 変じゃないですか。公団がどうして知事に牛を売るのです。農家に売らないのですか。知事なんか何も牛をほしいと言わないでしょう。
  86. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは集約酪農地域の設定並びに機械公団事業運営をうまく生かすために府県知事に十分な責任を持っていただきたい、こういう考え方で府県知事を介在さしておる。さらに償還金を確保する場合に、府県知事を介入させますれば保証的な地位に立つことになりますから、直接公団から農家に貸して、府県がそこからはずれまして指導とかあるいは償還の事務をおろそかにしないように府県知事を介在さす、こういう考え方であります。
  87. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと関連して。今の問題ですが、この前の競馬馬の輸入のときなどはLCを組んで藤井商店などにやらしているわけなんです。たとえば農林省のそういう機構の中に、そういう業者間にLCを組んでやらしているような場合と、あるいは担当官が直接行って買うような場合、そういう見分け方というのはどういうふうにしてやっているのか、あるいはどういうわけでそういう複雑な機構をわざわざ使っているのか、そういう点をちょっとお尋ねしたい。
  88. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 従来の購買方法は国が直接買うので、国が購買官に現金を送りまして、そこで支払いをする。そして船積みをして持ってくる。輸送の事務はもちろん商社に委託しております。今度の場合は公団が金を払うことになります。今度は公団は国でなくして一般民間になりますから、これは輸入の許可が必要になり、為替の許可が必要になる。従って従来一般に民間の輸入するのと同じ方式になります。工ージェントをきめまして、そこで金の支払いをやらす、こういうことになります。なぜ購買事務を国がやるかということは、先ほど申し上げましたように、一つは購買だけのために公団の職員を増すということ、それは結局補助金という形で公団が出せばいいのでありますが、従来もう三年間購買に行ってなれておりますから、直接役人が行って購買した方がいいということ、それからまた補助金を出すかわりに購買官の費用は国で直接持ちまして、輸入乳牛のコストにはかけない、すなわち農家に渡す牛の価格をそれだけ安くしたい、こういう二つのねらいから切り離して、ただ代金の支払いは代金の支払い、あとの費用のかかるものはできるだけ国が見てやって農家の負担する分を少くしたい、こういう点から切り離してやっているわけであります。
  89. 中村時雄

    中村(時)委員 じゃお尋ねしますが、たとえばそういうふうに技術的に購買能力を持っておるところの技術官が必要であるからといってそういう 形態をとっていらっしゃる。片一方競馬馬なんとかの場合も同様のことが言えるのです。これは実際の馬の生産を中心にして考えている。そうすれば、当然それに伴うところの技術官があなた方の方にはおるはずなんです。それがなぜできなくて、たとえばLCを組んで、業者にまかしていくということになれば、当然それは問題が出てくると思う。組んで業者にまかすということは、競馬馬という特殊なものであるから、その方に重点を置いておるのじゃないか。こういう危惧さえ生まれてくるのです。そこらの解明は一体どういうふうに考えておらるか。
  90. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ジャージー導入については、機械開墾地区関係する問題は特にそうでありますが、国が責任を持ってやっていく、こういうのであります。種畜を輸入する場合は民間の馬の育成者なり、牧場主が自分の危険負担でやるのであります。従いまして一定の標準なり、こういうものを買ったらいいということはしますけれども、一々具体的の選定については、そこまで国が責任を負うことをしていないのであります。そこが違うのであります。国が直接輸入する場合は国から購買官を出します。現に三十一年度も出す予定になっておりますが、そのほかに民間牧場において育成のために種畜を輸入したい、こういう申請が出ても、そこまで私どもの方ではめんどうを見る必要はない、こういう考えでおります。
  91. 稲富稜人

    稲富委員 関連して。そうすると外貨の割当は公団が申請者になることになるわけでございますか。
  92. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ジャージーの場合は、二つの方法があると思います。公団が直接申請者になってもよろしいし、公団が実需者の要請書を出して輸入商社を指定して、そこに外貨をおろしてもらってもよろしい。その二つの方法がある。ただし今度の場合は、その内容をはっきり規定しますから、せんだって問題になったようなことはないようにいたします。
  93. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、外貨割当にはやはりジャージーということを銘柄にははっきりされるのでございますか。
  94. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 もちろんであります。
  95. 稲富稜人

    稲富委員 従来の関係は、馬の場合には単に馬となっておったらしいのですが、今度の場合は牛ということにならないのでございますか。牛ということになりますと、ジャージーであってもホルスタインを買ってきてもよろしい。これは為替管理法違反にはならないという政府の見解があるらしいのですが、そこの点は従来とその方式をお変えになるのであるか、承わっておきたいと思います。
  96. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは従来と方式を変えたいと思います。従来のように不明確で、あとで問題が起って苦しい言いわけをしなければならぬようなことのないように、はっきり規定いたしたいと思います。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどの畜産局長答弁によると、知事にジャージーを売りつけるのは、売り渡しした年賦償還の代金の回収を完全にするために売り渡すわけですね。そうなんですか。
  98. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 一点は償還金の確保が目的であります。一点はジャージー導入地区指導について責任を持ってもらう、こういう点がもう一点あるわけであります。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 第一の点はわかるのですけれども、第二の点は別に知事に牛を売りつけなくても、指導は都道府県がやれるじゃありませんか。集約酪農地域というのが設定されておって、そこに事務所まで設置して、十分なる計画に沿って諸般の具体的な計画が進められているわけなんです。どうして知事に牛を売らなければ指導がうまくいかないのですか。
  100. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは普通の有畜農家創設資金で金を融通しておるという場合、府県知事が何も介入していないんじゃないか、こういう話であるのでありますが、何を申しましても機械開墾地区は新しい試みでありますので、この地区の成績が上るか上らぬかは、将来の残された草原地帯の酪農振興に重大な影響がありますので、特別念入りに都道府県知事の指導なり監督を私どもは要求しておるのです。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 その辺がちょっと変なんです。それじゃ小倉さんにお尋ねしますが、開拓者資金融通法の改正によりますと、機械開墾地区開拓者に対しては、これは別に知事を経由しなくても資金の貸付ができるわけですね。そうでしょう。その場合牛を入れるときだけは機械開墾地区入植者に対して知事を経由しなければジャージーの売り渡しができない何か特別の理由があるのですか。そうなると別に開拓者資金融通法をわざわざ改正して、機械開墾地区入植者に対する特段の配慮をしなくてもよかったんじゃないですか。非常に矛盾があるのです。
  102. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御質問の趣旨がちょっとわかりにくい点があるのですけれども、機械開墾地区に対しまする乳牛導入についての御質問と、それからこの改正法案にありまする規定の仕方と両方問題があると思いますが、この法案の関係におきましては、公団が道県に売り渡す、こういうことになっております。その理由につきましては先ほど畜産局長お話しをいたしましたように、いわば便宜のためでございまして、公団が直接農家に売り渡すとかあるいは協同組合に売り渡すとか、いろいろな方法があるかと思いますが、先ほど畜産局長が申しましたような理由で、地方公共団体に売り渡す、こういうことにいたしたいと思います。こういうのが原案の趣旨でございます。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 その点が重大なんですね。たとえば機械開墾地区に対してはジャージーの資金だけじゃないのですよ。機械開墾の経費の全額を国が貸し付けるのでしょう。機械開墾地区入植者に対してはそうじゃないのですか。その場合は別に知事に貸し付けるのじゃなくて、直接機械開墾地区開拓者に対して多額な開墾資金とかそれにまた付随する必要資金の直接貸付が行われる。ところが牛に限ってだけは、これは安心がならぬからというので知事を経由しなければならぬという理由はないじゃないですか。同じような取扱いはできないという何か世銀から特別な条件でもきているのですか。
  104. 小倉武一

    ○小倉政府委員 もちろん資金の貸付はこれは知事ではございません、あるいは地方公共団体ではございませんで、直接乳牛導入する農家ということでございます。従いまして資金の供給の仕方と乳牛の売り渡しの仕方が違うのであります。その辺がどういうわけだというお尋ねだと思いますが、資金につきましてはこれは従来通りと申しますか、機械開墾地区につきましては特別会計でもって貸し付ける方針でありますが、これは府県に貸すという性質のものでございませんので、特別会計が直接ほかのいろいろの開拓者資金と同じように取り扱っていく。ただ売り渡しの方は、これは初めての制度でございますし、そこは多少違ったルートで持っていきましても、支障はないものと考えるわけです。資金は農家に行きましてその資金が今度は府県の償還にあてていく、府県がまた今度は公団にその金を償還にあてていく、こういうことにいたしておるわけです。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 小倉さんの言うのは違うのですよ。これは府県に対しては資金を貸し付けるのではないのですよ。ジャージーを売り渡しをするわけですね。売り渡し代金は年賄償還で取り立てるということになるのですね。それから機械開墾地区開墾あるいは建設に要する資金は資金として貸付をするわけですね。だから趣きが若干違うわけです。しかし牛そのものを売り渡しをする場合も、何も都道府県知事に一応売り渡しをしなければならぬという、そういう手続は必要ないのではないかというのがわれわれの判断です。それをあえてやるということは、これは何か借款の一つの条件として、そういう形でなければ乳牛導入の世銀の借款ができないのかという点なんですいかがですか。
  106. 小倉武一

    ○小倉政府委員 資金の借り入れ先である世界銀行からそういうふうな条件がつけられておるということはございません。公団が直接農家でなくて道県に売り渡すということにいたしましたのは、先ほど申しましたように、仕事の便宜のためと、一つは償還を確保したいということのためでありまして、仕事の便宜と申しましたのは、公団が直接農家に貸すということになりますると、公団にそのための特別な用員となり経費が要るといったようなことにもなりますので、県にお願いすればそういうことも省ける、そういった便宜のためでございます。そのほかに特別の理由はございません。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 世銀からの特別の条件が示されていないとすると、このジャージー導入の世銀の融資は、これは世銀と公団との間における貸借関係ということになって、それから都道府県とか個人は世銀とは全然関係はないわけですね。公団は世銀から借りた金を期限内に利子をつけて払えばいいわけで、それ以外のものは世銀に対して、何ら直接の債務関係はない、そういうことですか。
  108. 小倉武一

    ○小倉政府委員 お尋ねの通りでございます。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで次にお尋ねする点は、都道府県知事が公団からジャージーの売り渡しを受ける、その次には都道府県知事は、今度は末端の個人に直接売り渡しをやるわけですか。それともその間にまた何か経由する機関とか団体があるわけですか。
  110. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは地元の農協を通じて個人に売り渡しをしていきたいと思っております。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、農協がまた知事から売り渡しを受けるわけですか。農協が売り渡しを受けて、それからまた農協が農家に売り渡す、そういう段階になるのですか。
  112. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 農協が受けて個人に渡すあるいは農協から個人に金を貸して個人に直接やる、その二つの方法があると思いますが、要するに農協を通じてやる、こういう考え方でございます。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 農協を通ずるというだけではなくして、知事から農協が今度は買い受けるわけですか。農協が一たん買い受けて、それから個人に売り渡すわけですか。
  114. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 必ずしも名義を一ぺん農協の名義にして、そうして個人に売り渡す、そういうことは考えておりません。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 農協は単に経由機関として取り次ぐだけであって、別に債務関係の責任というものは農協にはないわけですね。
  116. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 今のところは農協は世話をする。たとえば有畜農家の金を世銀の借りる額以上に借りなければなりませんから、その関係でどうしても金を有畜農家創設資金で借りなければいかんという点からいっても、農協を使わざるを得ないのであります。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合の農協の責任の所在がどういうことになりますか。一つは知事の方から流れてくるのは、世銀の借り入れ分ですね。六万何千円、それからもう一つの不足分の二万数千円というものは有畜農家創設資金を借りる、これは当然農協を経由してくることになる。そうすると農協の段階においては、この二本建の資金を農家から回収しなければならぬという責任が生じてくるのでありますか、どうなんですか。
  118. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 当然両方の金のめんどうを見なければいかぬ、こういうことになります。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合地方公共団体である町村は全然それに関知しないわけですか、その地域の町村ですね……。
  120. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 地元の協同組合が間に合わぬというような場合には、市町村が出てきてもいいと思いますけれども、現在のところは協同組合がやる場合には市町村が出る必要はない、こういうふうに考えております。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 次に具体的な事例として、もしそのジャージー種を買い受けた農家が、毎年の返済に当って義務の履行がうまくいかないという場合には、これはどうしてもただいままでの御説明によると、都道府県知事の責任において毎年次の償還分は必ず公団に返済しなければならぬ、そういうことになるわけですね。
  122. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 一時的にはどうしても直接農家に関係する府県知事が、公団に対して責任を負わなければならぬということになります。府県知事の方で金を返せなければ今度は公団がそのしりをぬぐわなければならぬ、こういうことであります。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そのために知事に責任を負わしたのでしょう。公団には全然仕事をやらせぬために知事にことさら責任を負わしたのであるからして、いかなる場合においても都道府県知事は、回収が十分いかぬ場合は知事の責任において公団に対して毎年次の返済は滞りなくやる、そういう厳重な約束になるのじゃないのですか、いかがですか。集まらぬ分はやむを得ぬということになればまた別ですが……。
  124. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは通常の場合、すなわち農家がさぼって効果を上げないというような場合には、当然知事さんに責任を持っていただかなければならない、こういうふうに考えます。しかし今契約書の案を見まして、天災地変その他農家の責めに帰することができない事由によって償還金ができない場合には支払い期限の延長あるいは減免の請求を知事から公団にすることができる面を認める条項を契約書の中に入れております。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 実際の問題として、天災地変によらずとも、乳牛の場合にはそれが不妊牛であった場合もある。分娩しない場合においては乳の生産ができないですから、借入金の返済は不可能な事態になる場合が数年続くときもあるわけです。そういうものも理由にして、これは不可抗力であるということで、その分に対しては知事は責任を負わないというようなところまで実情に沿ったようなことはできないのでしょうか。
  126. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 天災地変その他農家の責めに帰することができない事由という中には、そういうものも当然含めなければ、それは別の処置をしなければ政府としてもジャージーを購入した責任を果したことにはならないのであります。これは別途の措置を講じたいと思います。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、都道府県知事にのみあまり重い責任を負わしておるように見受けられるわけです。ですからそういう都道府県知事の責任をあくまで追及するという点に対してま、これはやはりこういう法律を作る場合、政府としても責任の所在を明らかにしておく必要もあると思うのです。公団だけが何らの損失も生じないし、何も仕事をやらないということは今までの説明によって明らかなんです。輸入業務もやらないし、それから貸付等の面の仕事も何もやらない、ただ単なるトンネルなんです。これは最初の御説明通り、何も機械公団でなくてもやれるのだということはその通りです。この程度のものであれば森林公団でも何でもできるのです。こうなれば都道府県知事にのみ重い責任を転嫁させて、公団は非常にのんびりした、有名無実の仕事の上にあぐらをかいておるということにしかならないではないですか。こうなればこの法律改正の根本問題にまで触れていかなければならないと思いますが、いかかですか。
  128. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 府県知事にあまり重い負担を課する、こういうようなお話でありますが、実は先ほど御説明申し上げましたように、購買官を輸入先国に送り、あるいは管理検査の費用、あるいは一部海上保険料、輸入乳牛の保証費、そういうものは約四万九千円余り政府で負担することにしておるのであります。従いまして府県といたしましても、その地域にそれだけの国費をかけた牛が入るのでありますから、相当の責任を持っていただいて、所期の目的が達せられるように願うことは当然だと私は考えておるのであります。  それから公団は輸入乳牛については素通り業務ではないか、こういうお話でありますが、先般来お話がありますように、乳牛導入仕事は、入植者関係農家、府県、公団、国全体が一丸となって事に当らなければ効果が上らないのであります この公団機械開墾をすることがあくまでも本来の業務でありまして、その地域にたまたま世銀から金を借りてジャージーを入れるから、その借り入れを主体として開墾公団を使う、そういう関係でありますので、公団に輸入乳牛についてあまりに大きい負担を課して本来の業務に支障を来たしても困るので、必要最小限度の仕事をやってもらう、こういう考えておるのであります。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 公団は何も仕事をやらないでしょう、できないのですよ。輸入業務は農林省がやってしまうから公団は何もやれないでしょう。末端に対する貸付等に対しても知事がやったり、農協がやってしまうから、公団は何もやれないということになる。公団にもう少し仕事をやれるようにしたらどうですか。
  130. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 機械公団はあくまでも機械開墾を主にしておるのであります。私どもが早く乳牛の集約度を高めたいために、国費だけでは追っつかないので世銀の金を借りるということになって、世銀の金を借りるということになれば、機械公団仕事についても世銀の金を借りるということになっておるから、便宜機械公団を世銀の借款の主体たらしめよう、こういう考え方でありますので、乳牛導入について機械開墾公団にあまり大きい仕事は負わせたくないというのが、私どもの考えであります。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は時間がないから次に譲りまして この際お尋ねしたい点は、世銀からの借款が最近のうちにきまるというようなことも聞いておるのですが、このジャージー導入の借り入れ条件は、償還の年限、据置期間、あるいは利率はどういうことになっておりますか。
  132. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 三年据置の十二年年賦償還になっております。十五年後に全部返してしまう、こういうことであります。利子は五分であります。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 次に公団が貸し付ける場合の条件は、何年年賦のどれだけの利子です。
  134. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 三年据置の七年の年賦償還であります。十年後に全部返して、利子は五分であります。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 それは変じゃないですか。世銀から十五年償還の金を借りて、一番困っている農家に十年年賦で貸すというのはどういうわけです。五年間の大きなずれがありますが……。
  136. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは最終的に世銀とまだ年限、利子については交渉の余地が残っておりますが、もし世銀の方で十五年を最終契約で確約いたしてくれれば、公団から府県に貸す場合の条件もそれに合せたい、こういうように考えておりますが、最終的な何ができておりません。そこで私どもの方ではあまり早くこちらの希望条件で計算をすると、受け入れる方に不測の期待権を与えるというような関係で、実際計算をして三年据置の七年の償還ならば一応の採算のめどがつくというので、そういう計算をしておるのであります。
  137. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、世銀との正式借り入れ契約が締結された場合はそれと条件を必ず合せるというのですね。それは間違いないですか。
  138. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 できるだけそれに合せたいと思います。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 できるだけではなくて、必ずやるのですね。今あなたはやると言ったではないですか。世銀が十五年年賦償還にきまった場合はそれと同一条件で貸付をやると言ったではないですか。できるだけではないですよ。必ずやるのですか。
  140. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ちょっと話がこまかくなるのでありますが、五分の利子のほかに約定手数料というのがありまして、その差額だけはこれは貸付の場合にその金を下から取り上げるなりあるいは別途国から補給するなり、この問題が残ります。従いまして必ずその通りの条件にするということになれば、今の約定手数料をそのまま下へつけなければいかぬということになります。そうしますと、ある程度表面上の条件はぴったり——十年貸付で三年据置、七年償還というものでも、少しゆとりをとらなければ、その約定手数料が出ませんから、ぴたっとそういうことは今すぐ申し上げかねるのであります。しかしなるべくそういう趣旨でやりたい、こういうように考えます。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 それは変ですよ。金利の場合は世銀からたとえば四分五厘で借りてきて、それに若干の加算をいたしてやるという場合もあり得るけれども、償還年次を五年も詰めるということではだれも牛を飼えないではないですか。償還年限はやはり世銀と同じにする必要があるでしょう。向うが十五年ならこちらも十五年、あるいは二十年にするか。短かくするというのは変でしよう。
  142. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほど申し上げましたように、今十年以下では私どもの方では困る、営農が成り立つ上からいって十年以下の期間では困る、どうしても十年の期限はほしい、こういうことで、期限は世銀が十五年を認めてくれれば十五年でやりたいと思っています。ただ今の利子の計算は、表面の利子のほかに約定手数料が当初要るのでありますから、その分だけはカバーしなければならぬ。もし期限が十五年になればお話のように十五年にいたします。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員 本会の都合があるようですからこの程度で終ります。
  144. 村松久義

    村松委員長 残余の質疑は明日続行いたしまして、明日は午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会