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1956-03-30 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月三十日(金曜日)    午後一時二十一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    伊東 岩男君       井出一太郎君    石坂  繁君       大野 市郎君    大森 玉木君       加藤常太郎君    川村善八郎君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       松野 頼三君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君       稲富 稜人君    石田 宥全君       小川 豊明君    川俣 清音君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    日野 吉夫君       久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         農林事務官         (農業改良局         長)      大坪藤市郎君  委員外出席者         農林事務官         (農業改良局総         務課長)    庄野五一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十九日  農地改革の行過ぎ是正に関する請願宇田耗一  君紹介)(第一六一七号)  新農業団体設置に関する請願松山義雄君紹  介)(第一六一八号)  新指導農業団体法制定に関する請願外十二件(  小金義照紹介)(第一六一九号)  同(相川勝六紹介)(第一六二〇号)  農業委員会強化に関する請願外一件(鈴木善  幸君紹介)(第一六二一号)  強化合成米の育成に関する請願松野頼三君外  十五名紹介)(第一六六七号)  みつばち転飼費軽減に関する請願三浦一雄君  紹介)(第一六六八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業改良資金助成法案内閣提出第五六号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農業改良資金助成法案を議題とし、審査を続けます。質疑通告があります。これを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 一点だけお尋ねしたいのであります。耕土培養法に基きまして、予算の中に低位生産地調査事業という項目がありますが、これは昨年までは人員で二百六十五人の人件費が入っておるわけでありますが、その分と関連いたしまして、甘藷試験用材料隔離増殖事業それから施肥改善事業等を合せて二百六十五名の人件費が全部削除されておる。そしてその分は事業費として支弁することになって、予算金額では変更がないのであります。そういうことになりますと、今年は予算は減額はしておかないが、来年からは人員の整理をやろうという目途のもとにこういう組みかえをなされたのであるかどうか、この点を伺っておきたい。
  4. 大石武一

    大石(武)政府委員 具体的なことは改良局長よりお答えいたさせます。
  5. 大坪藤市郎

    大坪政府委員 ただいまの御意見のありました点でありますが、その点につきましては御意見通りに、同金額のものを事業費支弁に組みかえております。しかしながらこれは何も人員を整理するとか何とかいう考え方でなしに、都道府県の側におきまして、事業費でも人件費でもどちらでも便利のいいような方に使ってよろしいというような、都道府県側の立場を考慮いたしまして、われわれといたしましてはそういうふうに組みかえたのでありまして、決して人件費の分を削除するとかいうふうな考え方は毛頭ないのでございます。しかしながらこれをやりました結果、都道府県側におきましては、なおその点につきましていろいろ人件費が削除されるのじゃないかというふうなおそれを来たしておるというふうな状況もありますので、私どもといたしましては通牒をもちまして、こちらから仕事を委託するのでありますから、それに必要な人間は必ず確保してもらいたいということを強く要望する意味合いから通牒を出しまして、人件費相当分が削除されるということがないような措置をいたすことに相なっておるわけでございます。
  6. 石田宥全

    石田(宥)委員 しかしそういうふうに農林省として人員を整理するということのないようにという要請が出ておりましても、やはり来年度の予算編成の際の一つの前提となって、大蔵省なり自治庁なりが、やはり関連的なものでありますから、農林省だけでそういう指示をされても、来年の予算編成の場合には、そっくりその分がやがてなくなるおそれもなきにしもあらず。ことに耕土培養法は、今度改良資金助成法関係でこれが削除されるということになれば、今局長の言われたようなことは全然意味をなさないことになりはしないかと思うのです。
  7. 大坪藤市郎

    大坪政府委員 ただいま申し上げましたのは、これは農林省ばかりではなしに、大蔵省とも了解済みでございまして、この人件費相当分事業費というものは、農林省が実施の場合におきましては、必ず人件費相当分として計上してもらいたいということにつきまして、大蔵省におきましても了解済みでありますし、なお自治庁ともこの点につきましては連絡をいたしまして、府県におきましてそういうことのないような措置をいたすことになっておるのでございますから、御了承願いたい、かように考えます。
  8. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういうことでありますと、わざわざ人件費という項目をなくしてしまって事業費に繰り入れるということは意味をなさないんじゃないですか。どういう理由でそういう組みかえをしたのですか。
  9. 大坪藤市郎

    大坪政府委員 この点につきましては、都道府県側におきまして彼此融通と申しますか、いろいろな費目がございますので、そういう場合に便宜かと思ってやったのでありますが、ただいまのような御意見もございますので、三十二年度以降におきましては、その間の事情をとくと検討して参りたいと考えるのでありますが、三十一年度予算におきましては少くともそういうような趣旨を、支障を来さないよう通牒を厳にいたしたいと考えておるのであります。
  10. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点では、特に最近耕土培養法等によって秋落ちだとか、酸性土改良というようなものについて、ようやく農民が目ざめて関心を高めて参っておるわけです。土質の基本的な調査、それからそれに対する改良についてはきわめて重大な問題であると思いますので、今御説明のあったような趣旨を、十分今後農政の上に生かされるように希望を申し上げて質問を打ち切ります。
  11. 村松久義

  12. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私は時間がありませんからごく簡単に要点だけ三つお伺いをしたいと思うのであります。  その一点は、耕土培養法を制定せられた趣旨は、私としてはよくわかるのでありますが、これは日本農業技術改良の、少くとも資金面から見た場合においては非常に後退になると思うのであります。というのは、一つ資金的にも数年後においてはワクがきまってしまう、動かない。これが第一。これについてはどんなふうに考えられておるかということを第一にお尋ねいたしたい。  それからここにあげられております、たとえば保温折衷苗しろにしても、秋落ち水田にしても、あるいはそのほかいろいろの問題にしても、また藻土地改良等においても、今までの実情はどうかといえば、補助金は、多くの場合においては、農村でやる場合には、補助金をもらってこれをほかに回す。労力はほとんど自分たち無料奉仕をするという場合が多い。そうしなければできないのであります。ところがその資材部面なり何なりは借金になったということになれば、これはどうしても消極的にならざるを得ない、資金自体自己負担でやらなければならぬという点。  それからもう一点は、政府全体の傾向からいうと、だんだん補助金を打ち切ろう、しかもだんだん農業に対する保護政策後退するというのが今の全体の傾向です。  この三つから見て、どうしても技術面についての政府援助後退すると思うが、政府はおそらくそんなことはありませんと言うに違いないが、それに対してはどういう具体的なことを考えておられるか、時間がありませんから、要点だけ簡単に答弁をいただきたいと思います。
  13. 大坪藤市郎

    大坪政府委員 改良資金について、本制度を創設することは農政後退を来たすのじゃないか、こういう御意見かと拝聴いたしましたが、実は私どもとしてはその点を最も重視いたしまして、本法案を御提案いたした次第でございまして、農政後退を来たさないように、進んで無利子資金を潤沢に農民に供給することによりまして、農政の伸張をはかりたい、こういう趣旨であります。少額の補助金を交付いたしますよりも、相当まとまった金額を無利子で交付するということになりますと、非常に現金の少い農民もその資金によって技術の進展をはかれる、こういう趣旨でございます。私どもとしては、農政後退を来たすようなことのないように本法案提出いたした次第でございます。  第二点の、借金がふえるというお話でございますが、この点については依然として農民労働力に待つといたしまして、現金で買うような相当分について資金を交付することに相なっておるわけでありますから、借金が累加して参るというようなことには相ならぬと存じますので、その点は御了承願いたいと思います。それから、  第三点の補助金を今後どんどん打ち切っていくのじゃないかという御意見でございますが、実はわれわれとしてもそういう点は毛頭考えていない次第でございまして、今後といえども新規技術ができました場合には、われわれとしてはもちろん補助金を継続いたすつもりでございます。さらに本改良資金法におきましては、市町村あるいは都道府県、そういう事業主体がやるような場合においては、依然として補助金を継続いたす所存でございます。本法案考え方といたしまして、補助金を削減いたすとか、あるいは項目を圧縮するというようなことを一般的に考えるというような趣旨は毛頭ないのでございますから、その点御了承願いたいと存じます。
  14. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう少し突っ込んで聞きたいのですが、時間がありませんから、次の質問に移ります。こういう格好でいきますと、国としても、また農村としても、一番こういう援助をしなければならぬ層が、実は金を借りられなくなる危険性が非常に多いと思います。現在の段階でも、昨年度の増産にしても、あれを分析してみれば、ごらんの通り、山地の悪いところであって、しかも悪いたんぼを持っている連中は貧農が多くなっている。こういう連中は非常に生活に困っている。こういう連中にこそ今日の段階においては、政府はもっと親切な技術援助をしてやらなければならぬ。特に今度の援助の対象になるものはほとんど施設であります。こういう連中施設をやるのに金がなくて一番困っているのが実情であります。むしろ農村の現状からいくと、相当大作をしている連中はどんどん買えるのであります。今までの実績からいいましても、大作連中はどんどんそういうことはやれる。ところが、やりたくても、またやることが農家安定のためにも国家のためにも必要な連中がほとんどオミットを食います。あるいは動力耕転機一台買うにいたしましても、年間二万五千台出ているのに二千台——どもは経験があるが、一村に三台か五台、これをだれが借りてやっているかというと、ほとんど大作である。借りなくてもできる連中である。最も必要な連中はできません。こういう点について、技術特に施設に連関をしたところの階層分化がひどくなって、農村の状態はまことに不安定になってくる。この中の種類によってそれぞれ段階を設けて、これ以上のものについてはこうする、これ以上のものについてはこれだけ厚いものをやる。ほんとに小さい農家が安心して借れるような施策をやるべきだと思う。そう言えば、おそらく政府としては、そんなことは運用でやりますと言うに違いない。幾らあなたの方で運用でやると言っても、農協を通じて貸すということになれば、これはどうしたって農協に対する支払い能力返済能力のはっきりしたものになる。こういう点で何ら考慮が払われておらない。こういう点について行政運用でやるというけれども行政実態農村実態から見ると、ますます階層分化を盛んにし、農村を全体として不安定にする。こういう点について、将来たとえば省令等において一つの基準を設けてやるという御意思があるかどうか、この点を第二点としてお伺いいたします。
  15. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもっともな御意見でございますが、十分注意をいたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  16. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一点は、この資金運用の実務を改良普及員がやることになっている。ところが、私はこれに対して二つの点において大きな疑義を持つ。一つは、技術改良をする人間が銭を握った場合には、必ずしも技術改良されません。この点で政府としてはむしろ別の考えを持っているようですが、この点は一考を要する。  もう一つは、今でも改良普及員は雑務に追われているところへ、今度はこれもやらなければいかぬ。御承知のように自作農創設維持資金も一運用の実際は改良普及員がタッチしなければならぬ。今度は総合計画もやらなければならぬ、これもやらなければならぬ。こういうことをやっておったら、ほんとうの百姓の技術の相談に乗れぬ。そしてこれを指導することもできません。これをやる以上は、当然政府としては改良普及員人員の増強なり、改良費を増額すべきだと思う。現在の改良普及員はどうでしょう、農協や町村へ行って金をもらわなければ動けない。こういう連中が金を握ったときにどういうことが出てくるかということは想像にかたくない。こういう点について政府はどのように考えているか、その点を一つ……。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 御説の点も十分拝聴いたしましたが、実は農村に駐在いたします農林省関係技術員普及員いいろおりますが、これらを私どもといたしましては十分整備強化をいたしまして、融通性をもってできるように将来考えたいということで、今回もこれについては相当考慮いたしましたが、結論に到達いたしませんが、なるべく御趣旨に沿うように努力いたします。
  18. 村松久義

    村松委員長 ほかに川俣清音君より質疑通告がありますが、時間の関係もありますし申し合せもありますので、この程度において質疑を打ち切ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 村松久義

    村松委員長 よって質疑はこの程度で終了いたしました。  この際委員長より政府にお尋ねをいたします。本案に対して、利子補給についての行政措置を明確にする規定と、付則第二項及び第三項を削りたいという修正意見がありますが、この点について政府の財政的な措置はどのようになりますか。これをお伺いいたします。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 慎重御検討いただきまして、今お話のような御意見でございますから、政府におきましては予算の範囲内において、その運用十分注意をいたしまして御趣旨に沿えるようにいたしたいと思います。
  21. 村松久義

    村松委員長 ただいま小川豊明君より本案に対する日本社会党自由民主党共同提案にかかる修正案提出されました。その内容は各位の御手元に配付してあります通りでございます。この際、本修正案趣旨について提出者説明を求めます。小川豊明君。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 提案されております農業改良資金助成法案の審議を通じまして、この法案の持つ内容の非常に重大なことをわれわれは感知したのでございます。しかしながらこの法案予算がすでに通っておりまして、法案が通らない、また遅れるというようなことになると重大な支障を来しますので、この法案の持つ精神、その効果を減殺しないで高めるということを考えまして、ここに日本社会党自由民主党の両党を代表して、修正案を御提案申し上げる次第であります。  まず、時間がございませんので、修正案要旨を読み上げます。    農業改良資金助成法案に対する修正案   農業改良資金助成法案の一部を次のように修正する。   第三条に次の一項を加える。  3 政府は、都道府県が第一項第二号の保証に係る貸付金につき当該農業協同組合との契約により利子補給を行うときは、当該都道府県に対し、当該利子補給に要する財源について必要な措置を講ずることができる。   第十八条第一項中「第三条第一項」を「第三条」に、同条第二項中「第三条第一項」を「第三条」に、「保証債務に係る弁済金」を「保証債務に係る弁済金利子補給金」に改める。   附則第一項の項番号を削り、同項中「昭和三十一年四月一日」を「公布の日」に改め、附則第二項及び附則第三項を削る。  以上が修正案要旨でございまして、時間を節約いたす意味から、説明を省いて御提案申し上げます。
  23. 村松久義

    村松委員長 修正案に対しては別に質疑もないようでございますので、質疑を終局いたしまして、これより修正案及び原案を一括して討論に付します。——別討論もないようでありますので、これより採決に入ります。まず小川提出にかかる両党共同修正案について採決いたします。この修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 村松久義

    村松委員長 起立多数。よって本修正案は可決いたしました。  次に修正の部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  25. 村松久義

    村松委員長 起立多数。よって本案修正議決すべきものと決しました。  この際、田中幾三郎君より本案に対する附帯決議を付したいとの申し出があります。発言を許します。田中幾三郎
  26. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 本案に対しまして、次に述べるような附帯決議一つ付させてしただきたいと思います。  案文を朗読申し上げます。    農業改良費金助成法案に対する附帯決議   本法案が、農業生産力の発展と農業経営の安定にとって不可決な補助金政策を一般的に制限し又は廃止するものではない趣旨にかんがみ、政府は、今後、地方公共団体等が直接実施する事業等に対する現在の補助金継続強化を図ることは勿論、新技術の導入を目的とする補助金新規計上等について積極的な努力を払うべきである。   なお、政府は、第三条第三項により利子補給に要する財源措置を講ずるに当っては、小土地改良施設、農道、索道施設等に対する利子補給率を少くとも五分五厘を下らないものとすること。以上であります。
  27. 村松久義

    村松委員長 ただいまの附帯決議を付するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  なおお諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 村松久義

    村松委員長 ご異議なしと認め、さように決定いたします。この際、政府発言があればこれを許します。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、運用上につきまして十分善処するつもりであります。
  31. 村松久義

    村松委員長 なお農林水産業の基本問題についての質疑を続行することにいたしておりましたが、本会議開催の時刻が迫っておりますので、この際、農林大臣においては、次会何日何時に本委員会出席できるか、その点の御都合を伺っておきます。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 来週の火曜、水曜、この両日におきまして、なお委員長とよくお打ち合せをいたしまして、そちらの御希望になるべく沿えるように、私も最善の努力をして出席をすることにいたします。
  33. 村松久義

    村松委員長 さように了承いたしまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後一時四十八分散会      ————◇—————