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1956-03-28 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十八日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    井出一太郎君       石坂  繁君    大森 玉木君       加藤常太郎君    川村善八郎君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    松野 頼三君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    稲富 稜人君       石田 宥全君    小川 豊明君       川俣 清音君    神田 大作君       田中幾三郎君    中村 英男君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         農林事務官         (農業改良局         長)      大坪 藤市君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君         食糧庁長官   清井  正君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (通商局次長) 樋詰 誠明君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局畜産課         長)      神尾 正夫君         農 林 技 官 高橋三四次君         農林事務官   本多 政治君         農林事務官         (畜産局競馬監         督課長)    黒河内 修君         通商産業事務官         (通商局農水産         課長)     日比野健児君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業基本施策に関する件     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の基本問題について質疑を行います。稲富稜人君
  3. 稲富稜人

    稲富委員 前会に引き続いて河野農林大臣に、農政の基本的な問題についてお尋ねを行いたいと思います。最初にお尋ねいたしたいと思いますことは、去る三月七日の本委員会におきまして、私農業団体再々編成に対する政府方針を承わりましたところが、そのときの答弁では、大体成案を得ておりますので来週の初めに要綱を申し上げて、御意見を拝聴いたしたいと考えておりますという御答弁になっております。来週の初めといいますと、すでにもう過ぎているのでありまして、それからもう数週間を経過いたしております今日まで、その要綱のお示しがないのであります。実は会期も半ばを過ぎた今日、この重大問題をお出しにならないということは、おそらくこれはお取りやめになったのではないかと思いますので、一応、なぜこういうふうに要綱を示すということがおくれたのであるか、お取りやめになったのか、その方針を承わっておきたいと思うのであります。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 大体成案を得まして、今法制局法案整備中でございます。御承知通り法案は、法制上いろいろなものを取りまとめます関係から、その準備がおくれておりますが、当委員会の御都合も伺って、ごく最近のうちに要綱を御説明申し上げたいと思っております。
  5. 稲富稜人

    稲富委員 要綱というものは、農業団体編成をやるという要綱でございますか。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 再編成という言葉がどういうことに当るか知りませんが、要するに今国会に提出すべき農業委員会もしくは農業会議所等に関する整備法律案であります。
  7. 稲富稜人

    稲富委員 少くともこの問題は、日本農業団体の上においては、大きな問題だと思うのであります。しかもこの農業団体再々編成の問題は、会期の初めころからすでに問題になっておることを、会期がもう半ば過ぎた今日、この重大な問題をお出しになるということは、私は政府としてもあまりに無責任だと思う。どういうような要綱をお出しになるか、この点に対しましてはいずれお出しになると思いますが、おそらくこんなにおくれてお出しになるということは、われわれの要求通りに、農業団体再々編成はやらないということも考えられますので、その点はまた出ました上で承わることにいたしたいと思います。さらに、その他にもいろいろ聞きたいことがありますが、本日私は特に農業関係一般に対しまして、日本農馬改良に対する基本的な問題を承わりたいと思うのであります。なぜかと申しますると、まず先年十二月に日本トロッター協会が、日本農馬改良目的として、トロッター種購入申請をされたという事実があるので、ございますが、これは、農林大臣御存じでありますか、承わりたいと思います。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 聞いております。
  9. 稲富稜人

    稲富委員 農林大臣は、トロッター輸入することが日本農馬改良になる、こういうようなことに承知なさっておりますか。単に競走馬としてのトロッター輸入する、こういうようなことで御承知になっておるのですか、その点を承わりたいと思います。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 農馬改良の上から必要であるという説でございます。
  11. 稲富稜人

    稲富委員 日本農馬改良意味においてトロッター種が必要である、こうおっしゃるのでございますが、これは私は基本的に非常に疑義があるのであります。なぜならば、すでに農林省は、日本の「馬の改良及び生産方針」というものをお示しになっておる。この生産方針の中にも、農馬として将来適するものは何かというと、「これに適当な種類は、中間種を主とする」こういうことが書いてある。しかもこの方針の中に、中間種としては、農馬改良に適するものというものは、アングロノルマンアングロノルマン系種、軽半血種中半血種、重半血種ということが、前の方の欄には書いてあります。もちろんこの備考の中に、「前掲のもののほか、トロッターブルトン等農馬及び輓馬改良生産に適当な種類と認められる。」と書いてあります。しかしながら、日本農馬改良に適する主たるものはすなわち中間種だということが、二十六年に農林省からお出しになっている「馬の改良及び生産方針」にはっきりうたってある。しかるにもかかわらず、突如として、日本農馬改良のためにトロッターを急に輸入しなければいけないというような情勢に立ち至った理由を承わりたい思う。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り戦争から占領中の長きにわたりまして、が国の家畜は全般に血液が固定しておると思うのであります。これはなるべく入れかえをする必要がある。ただその後為替が非常に窮屈でございましたので、そういう処置がとられずに参ましたが、最近為替も多少楽になりましたので、なるべくいろいろな必要な種類血液をまぜて改良していくということが必要であろうという基本的な考えから、そういうことになった、こう考えます。
  13. 稲富稜人

    稲富委員 元来、日本農馬にいかなる馬格の馬を必要とし、改良の主点としなければいけないかということは、日本農馬改良の基本的な問題であると思うのであります。概してトロッターというのは、日本農馬としては馬格が大き過ぎる、こういうようなことに一般に思われているということはいなめないと思うのであります。その点から考えますときに、昨年農林大臣世界各国をごらんになって、帰ってこられると直ちに、このトロッター輸入しなくてはいけない——それほど日本農馬トロッターの血を受けなくてはいけないという必要というものを、諸外国を見て非常に感ぜられたという、その理由が私にはわからない。この点、世界各国を回って、農馬に対する非常に博学な知識をおさめてこられて、こういうような方向に日本農馬改良を持っていこうとなさったと思うのでございますが、その博学なる点の片鱗を承わりたいと思うのであります。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 決して私は馬にそれほど博学でないのでございまして、技術者意見を取り入れて、賛成したわけでこげいます。
  15. 稲富稜人

    稲富委員 それでは技術者意見によってされた、こういう意味でございますか。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 技術者の説明を聞きますと、そういうものを入れて血種を変えていくのがいいだろうということで、そうしたわけでございます。
  17. 稲富稜人

    稲富委員 あなたは馬のことは詳しくないとおっしゃるが、競走馬に対しては相当知識があると思うのであります。大体トロッターというものは、競走馬として見る場合には非常に疑義もあるし、速歩馬としての価値はあると思う。ただこれを農馬に供するということに私は非常に疑惑があるので、そこのところに私たちにはぴんとこないところがあるわけです。それが、技術者としてそういう意見があるとするならば、その技術的な知識一つその方面から承わりたいと思う。これは農馬の将来の改良上に参考になると思いますので、この点承わりたいと思います。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの点につきましては、後刻技術者が参りましてから御説明申し上げますが、今私が申し上げました通り日本農馬の適種適格と申しましても、いろいろなものが総合してそこに生れてくるものであって、本来中間種、それからまたあまりからだの大きくないものということにしておりますけれども、これにはいろいろ意見もあると思うのであります。たとえば戦争中の軍馬補充部時代考え方が日本馬政相当に強く指導して参りましたが、必ずしもそうばかりじゃない。今日山間地における輓馬等関係からいたしましても、いろいろな点があるんじゃないか。たとえば田の浅いところならば牛を農耕に非常に利用してきた。耕地の深いところになりますと、牛はうまくないから馬がいい、馬の場合にはやはり足をよく上げる馬がいいというような点もありまして、そういう点等をいろいろ総合いたしますと、必ずしも一つのものでなく、いろいろなものをまぜ合せてできてくるんだというふうに、私はしろうとの常識考えておるわけであります。
  19. 稲富稜人

    稲富委員 私は日本農馬改良というものは、日本産の農馬でも改良すべき余地があると思う。今日外国から農馬輸入することは、外貨資金割当等の問題もあるわけです。今日外貨をかくして使うということ、そうしなければ日本農馬改良ができないかという問題が起ってくると思う。なぜ私がこれを聞くかといいますと、すでに今日まで一あなたはさっき承知しておるとおっしゃいましたが、日本トロッター協会トロッター輸入するについて通産局長あて外貨割当申請をやっている。そのときに農林省は、これに口添えをなされている。すなわち、米国トロッター種馬購入について、その理由としては、「本邦農馬改良をはかるため、別紙計画により今回下記団体において一括米国トロッター輸入することになった、これが輸入に要する外貨資金割当については何分の御配慮を願います。」こういうような書面がいっている。農林省がこのような口添えされているということは、日本農馬改良外貨割当をとってまでやらなくちゃできないほど、それほどトロッター種輸入することが必要なんだということなんです。農林省日本農馬改良にそれほどの、今後外貨を使ってもトロッター種を入れなければならぬというほどの必要性をどこに考えておるかということを私は聞いておるのです。これは技術者が来てからでないとわからないとおっしゃいますが、少くとも農林大臣として御存じあったはずなんです。農林大臣は、ただ技術者意見だけでなくて、この基本的な問題を、少くとも農林大臣として承知なさっておかなくちゃ——しかもこれは外貨という大きな問題があるのですから、これは基本的な問題なんです。これについて農林大臣としての所見を承わっておるわけです。こういう書面が出ていなければ聞きません。こういう書面農林省で出されておるから承わっておるわけです。これに対して一つ意見を承わりたい。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお話の点で、ございますが、かねて昭和二十六、七年当時からいろいろな種類の馬の輸入が必要である、先ほど私が申し上げましたような意味合いにおいて必要であるということを感じておりましたけれども、外貨事情が悪うございましたので、今日まで延び延びになってきた。それが外貨事情がだいぶよくなりましたから、そこでこういうものも入れようじゃないかということで、この処置に出た、こういうことでございます。
  21. 稲富稜人

    稲富委員 通産省はおいでになっていますか。
  22. 村松久義

    村松委員長 本省を今出たそうですから、やがて見えます。
  23. 稲富稜人

    稲富委員 それでは、そういうようなトロッターが必要であるということをお考えになったのは、やはり農林大臣がアメリカの馬産地等の状態を見てから、そういうような必要というものをお考えになったのでございますか。その点一つ承わりたい。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことではございません。
  25. 稲富稜人

    稲富委員 そういうことではないというのは、それでは以前から時期があったらトロッターを入れようというようなお考えがあったのでございますか。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 以前からあったものでございます。
  27. 稲富稜人

    稲富委員 元来農林省としては、競争馬外国から輸入しない——以前は輸入されておりましたけれども、最近は輸入しないというような方針を大体とられておったと思う。種馬は別でございます。その点は、今でもそういう方針をとっておられるのでございますか。その点承わっておきたいと思う。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 二十八年ころまでは内地競走馬が枯渇しておりましたから入れておりますが、二十九年からは競走馬目的としては入れないことになっております。
  29. 稲富稜人

    稲富委員 かって競馬法の改正をしました時分にも、私の質問に対して、政府当局は、今後競走馬は入れないようにするという方針をとっていらっしゃるということを承わっておったのでございますが、あなたが農林大臣になられましてからでも、依然としてそういうような方針は持続していらっしゃるのでございますか。この点承わっておきたい。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 外貨事情が多少変ってきましたので、方針としては今の方針でございますが、御承知通りサラブレッド種のものを輸入いたします場合には、種用輸入したものを、それの能力の検定をするというような意味合いで、それを競走に使って、あとを種にするというようなことはやっておるようでございます。
  31. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、あなたは専門家御存じだと思いますが、普通種馬というのは、一般常識では牡馬を言うのです。繁殖馬種馬には違いございませんが、そういうような外国の馬を日本輸入して、これを日本に血を分けるというときには、種馬というのは大体牡馬輸入するものなんでございます。ところがこれに対して牝馬輸入されるということは、種馬ということからこれを輸入するということになりますと、基本的な方針にも非常に違ってくるような感じもするのでございますが、これは農林大臣どうお考えになりますか、承わっておきたい。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 こういう点、私もあまり専門家ではございませんが、御承知通り一般家畜品種改良をいたします際に、牡を入れますことの方が利用範囲が広いわけでございます。しかしすべての場合に必ず牡と牝と双方を入れるので私は大体慣例であり、常識であると思います。それはなぜかと申しますと、近親繁殖になりますから、そういう意味合いで常に牡と牝と双方が入れられておるのが過去の実情であるということを御承知願いたいと思います。
  33. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、次に今度のトロッター輸入の問題に言及することになるのでございますが、トロッター外貨割当要求される場合に、トロッター協会からは牝馬二十五頭、牡馬五頭としての外貨割当要求がなされている。これに対しては御承知通り十万ドルの割当が来ているのでございますが、このトロッター輸入されるということは、農林省考えとしては、どこまでも農馬改良としてこれを使うという御方針で承認されたのでございますか。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 大体申請の趣きは、それを二カ年間は能力を十分見て、そうしてそのあと種牡としてこれを使うということでこれを許可したということであります。
  35. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、能力を見てといいますと、その見るということは結局競馬に使うことはなるわけでありますね。そうしますと、やはりわれわれが疑惑を持つことは、競走馬競馬に使うことが主であって、これが廃馬になった場合に種馬に回すということが従でないかとさえ考えられる。その点まずどちらが主であり、従であるかということも承わっておきたい。(「トロッターをやるのが主だよ、それ以外に何をやるのだよ、片方は名目価値だけじゃないか、それをはっきりせい」と呼ぶ者あり)
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 今お答えを申し上げました通りに、申請者申請通りにわれわれはその能力を見て、あと種に使うということで、そのまま額面通りでけっこうだろうという意味で承認しました。
  37. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、その輸入に対しては牡馬が五頭であり、牝馬が二十五頭という申請になっております。その率を牝馬が二十五頭、牡馬が五頭、こういうことに分けられたことはどういうことに根処があるのでございますか。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 それはただいま申し上げました通りに、近親繁殖になりますから、なるべく雄と雌とをそういうふうに入れておった方が、将来これが内地で伸びていく場合にいい、こういうことであります。
  39. 稲富稜人

    稲富委員 近親繁殖という立場からいう場合に、牡馬の五頭と牝馬の二十五頭程度、こういうような配分で一番適当だ、こういうことで農林省は賛成されたわけですね。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 一応の目安はそういう程度がよかろうと思います。
  41. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、申請はただいま申し上げますように、牡馬の五頭、牝馬の二十五頭ということで申請をなさって、これに対して外貨割当は十万ドルを割り当てられておる。ところがいよいよ買付が済みまして、今月の三十一日に横浜にその馬は入ることになっております。これは牝馬が二十九頭で、牡馬が一頭なんです、私は実際を見ておりませんけれども、こういうことになっておるということを聞いておる。そうしますと、これは農林省がこの申請をなされたときのその方針には非常に反したことになってくると思うのだが、それでも差しつかえないのでございますか、承わっておきたいと思う。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御指摘の通り数字になっておるそうでございますけれども、それは向うで購買いたしまするときに適格なものがそういうふうになったということでございます。
  43. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと私が承わりたいと思うことは、単にこれを競走馬として購入する場合は、牡頭が五頭で牝馬が二十五頭の予定が、牡馬ばかりになろうが、牝馬ばかりになろうがこれは差しつかえないだろうと思う。ところが少くとも日本農馬改良にこれを役立たせようとするとき、牡馬が五頭、牝馬が二十五頭くらいが適当な比例として政府申請をなさっておる。ところが結果は今のように牡馬が一頭、牝馬が二十九頭ということになりますと、農馬改良趣旨からいいまして、これを購入された趣旨と非常に違った結果になってくると思うのだが、農林大臣はそうお考えになりませんか。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 二十七、八年にこの種類のものを輸入いたしまして、それが六頭、二頭ということで入っておりますから、まあ今度はそれでもよかろうということでございます。
  45. 稲富稜人

    稲富委員 農林大臣、あなたは前に買っておったからこれでもいいとおっしゃいますが、この申請をなさった場合は、前に入ったことを知っておって申請をなさっているのでしょう。前に入ったということがわからなかったというならともかく、前に入っておった計画のもとにこれができておると思う。ただ今度の計画が違ったということは、前に馬が入っておったからこれでも差しつかえないということは、あまり計画性がないと思うのであります。大臣はそこをお考えにならないのであるか、承わりたい。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 おそらく購買するに適格なものがなかったからそういう結論になったと思うのでございまして、最初のような数字で入れた方がよかったというふうには思います。
  47. 稲富稜人

    稲富委員 私は、産地に行って少くとも三十頭くらいの馬を買うのに、適格馬がないということはどうも考えられない。しかもさっきのお話では、あなたが外国の馬を見てきておられるわけですから、相当の確信を持ってこういうことは進められたと思う。それが購入に際して、三十頭くらいの馬を買ってくるのに適格馬がないからこれを変更したでは、私たちの方では納得がいかないのでございますが、農林大臣は聰明な頭でそうお考えにならないのでございますか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 購買の時期もございましょうし、いろいろな予算の都合もあったと思うのでございますが、前に買ってある分に牡が比較的たくさんいるから、これでもよかろうということでそうなった、こう思います。
  49. 稲富稜人

    稲富委員 これはこうじゃないのですか。競走馬主体としておるから、競馬に走らせようとして三十頭はどうしてもそろえなければいけない。ほんとうに農耕馬改良に使うというような方針であるならば、適格馬がなかった場合は少くしていっても差しつかえないわけです。適格馬がなかった場合は、三十頭買わなくても二十五頭くらいで差しつかえないだろう。ところが競走主体を置いておるから、三十頭だけそろえようという考えがあって、適格馬がなかったけれども、牝馬をたくさん買ってこよう、そういう結果になるのではないか、その点主と従がどこにあるかということをさっきから質同したのは、関連があるから聞いておるわけです。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り相当しに高い馬でございますから、これを持って参りましてすぐにそのまま農耕馬に使うわけでもございませんし、いずれもこれは種馬として使うのでございます。種馬として使います場合に、稲富さんのお話通り二カ年間十分能力を調べて、それによって日本国内のこれに対する認識も深まり、それをすることによって輸入いたして参りますものの一部の償却もできるということでございまして、決して競馬が主だとは申すのじゃありませんが、さればといって、これは先ほど申し上げました通り、両々兼ねて考えておるということは間違いないと思うのであります。  なお三十頭そろわなければ競馬ができない、これは稲富さんも御承知通り競馬は三十頭なければできないわけではないのでありまして、そこには決してゆとりがないわけではございませんが、とにかく一応三十頭買おうということでいっておりますから、三十頭向うで適格なものをそろえた、そうしたところが、それがたまたま牡馬が少くて、牝馬が多かった、こういうことだと思うのでございます。
  51. 稲富稜人

    稲富委員 三十頭買うということで買い出しに行った人は、これは農馬改良の馬を買いに行ったけれども、競馬の馬を買いに行ったという頭の方が強い。取り扱った店もそうです。これは私調べてわかっておるのです。それで、そういう点があるからやはり向うの方は三十頭そろえなければいけないという先入観が非常にあったと思うのでありまして、あなたはいかにも答弁を逃げられようとしておるけれども、私は適格馬がなかった場合には、こちらの方針通り買ってくるということが大体の購入の主たる目的でなければならないと思う。この点あなたもそういうふうな解釈をなさっていて、それでこれを大目に見られるということは非常におかしいと思う。この点いかが考えますか。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 今の点でございますが、五カ年計画で毎年三十頭ずつ入れようという計画でやっておりますので、ことしの今の馬種は、あとでこれを入れかえをして、来年雄を多くして雌を減らすというようなことでいけるだろうということ等も勘案してやっております。こういうことでございます。
  53. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して。詳しいことはいずれあとでいろいろお話したいと思っておりますが、あなたは農耕馬に、農耕馬にとおっしゃいますけれども、これは、ほんとうは競馬でやっていこうということははっきりしておる。たとえば今中央競馬会の井上さんが検察当局に呼ばれて尋問されたそうですが、その中の答弁ではっきりしておる。その中に競馬会としては競走にバラエティを与えるために輸入をして、この種の競馬を行うことは現に関西で実施している。この競走馬の模範レースを行うためにも必要なことと考え理事会及び競馬運営審議会の議を経て輸入するに至ったのであります。こういうふうに言ったと聞いている。ですから実際は競馬をやろうということが中心になっておる。この点どうですか。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 これは先ほどから私が申し上げますように、両々相待って目的を達成するということでございます。
  55. 稲富稜人

    稲富委員 通商局長がお見えになっておるようでございますから、通商局長にお尋ねしたいと思うのでございますが、十月二十日付をもちましてあなたのところに、日本トロッター協会からトロッター種馬購入するからという外貨割当申請がなされておるのでございますが、これは御承知でございますか。
  56. 板垣修

    ○板垣政府委員 申請が出ております。
  57. 稲富稜人

    稲富委員 しかもその理由とするところは、農馬改良をはかるということであります。そのことと、さらにその頭数の比例といたしましては、トロッター牡馬が五頭で、牝馬が二十五頭ということもはっきりこれはうたってあるのでございますが、それも御承知でございますか。
  58. 板垣修

    ○板垣政府委員 承知いたしております。
  59. 稲富稜人

    稲富委員 そうするとあなたの方では、この申請に対して外貨割当をなさっておるのでございますが、申請されたその理由を承認して、その外貨割当をなされたわけでございますね。その点承わっておきたい。
  60. 板垣修

    ○板垣政府委員 さようであります。
  61. 稲富稜人

    稲富委員 そうしますと、もしもそういう意味外貨割当をなさったのに、その目的あるいはその内容等に変更があった場合はどうなるのでありますか。その点を念のために承わっておきたい。
  62. 板垣修

    ○板垣政府委員 樋詰次長よりお答えいたさせます。
  63. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 一応外貨割当をいたしましたときには雄が五頭、雌が二十五頭ということで、今後の馬匹改良というものに資するんだというふうにわれわれ承知いたしまして割り当てたのでございますが、これはその後農林省の方のお考えとして、その雄雌の内容が変っても今後の農耕馬の馬匹改良というものに差しつかえないんだということであって、それで実需者の方から内容が雄雌の間にある程度の変更があるということがございましても、われわれの方といたしましては、とにかく馬匹改良のために十万ドルの外貨で馬を買っていただくということについてこれは割り当てたのでございますので、それは実需者の方がそれでもいいということであれば本来の目的に沿うもの、そういうことで、別に雄でなければいかぬ、雌でなければいかぬということまでは通産省としては申し上げておりません。
  64. 稲富稜人

    稲富委員 それでは、たとえあばなたの方でその十万ドルの外貨割当をなさる場合に、その馬の価格というものは基本的なものにならなくちゃいけないと思うのです。雌馬と雄馬の場合は価格において違うことは、これは御承知であると思うのです。すでにあなたの方に日本トロッター協会の広沢会長から通産大臣の石橋湛山あてにこの外貨割当申請が出ております。そのときにははっきり輸入家畜の予定価格というものは、一頭平均牡馬百八十万円、牝馬百万円ということをはっきりしるされているのです。牡馬牝馬が変った場合は価格の上において違う。こういうことは差しつかえないのでございますか。内容が変ればその単価に影響する。単価に影響するということは外貨割当に影響するということになってくる。こういうことは差しつかえないということにあなたの方では御解釈でございますか。
  65. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 外貨割当一般的に金額で割り当ててございます。その金額を積算する根拠といたしまして、いろいろ今の牝馬牡馬というような係が馬については出てくる、こう思われますが、たとえばほかの物資につきましても、百万ドルで百トンというような場合に、うまい買い方をいたしまして単価を安く買ったということになれば、この百万ドルで百トン買ってくるというようなこともこれは一般的にあり得るわけであります。それは特に数量と金額と両方を指定しているといったようなものもございますが、その数量指定をいたしておりませんときには、一応その金額の割当を受けたものは金額の範囲内において、もし高いものを買えば量が減る、安いものを買えば量がふえるということは、一般的に外貨割当として認めております。
  66. 稲富稜人

    稲富委員 この場合は、この基本的な数字が今申し上げますように、はっきり単価が出ている。すなわち牡馬が百八十万円で牡馬が百万円、しかも牡馬が五頭、牝馬が二十五頭、こうなりますと総計が三千四百万円。三千四百万円であるがゆえにあなたの方は、十万ドルの外貨割当を妥当と見てやられたと思うのです。ところが、これが牝馬牡馬とが違った場合は、当然これは総額に対して違ったことになってくるわけです。それだから、これは当然あなたの方としては、この認可申請に灯して非常な影響があるわけです。ただこれをうのみにされるということは、私はあなたの方としては役目上おもしろくないと思う。これを差しつかえないとあなたの方ではおっしゃるのでございますか。
  67. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 外貨割当をいたしました際には、先ほど申し上げましたように、一応五対二十五ということでやるとこうなりますので、大体これで今後の馬匹改良をしていくんだというようなお話で、われわれの方は大体それに対する必要な所要の外貨を割り当したのでございますが、その後馬匹の改良という見地から必ずしもその割合でなくてもいいんだということで、実需者の方でその内容を変更されるという場合におきましては、これはそっちの方を主管しておられる農林省なりあるいはその改良を実施されるといった実需者なりというような方の方がその内容を変更されるという場合に、われわれの方は必ずしもその内容変更には、これは当初の約束に反するからいけないのだということを申し上げるだけの知識もございませんし、これはもう当然主務官庁なりあるいは実需者なりという方が、その方がいいんだと信じて内容をお変えになったということであれば、われわれの方としてはとやかくそれ以上申し上げることはできないわけであります。
  68. 稲富稜人

    稲富委員 内容の変更だとおっしゃいますけれども、これは最初この理由は今申し上げますように、あなたの方は農林省意見を聞いたとおっしゃるでしょうが、農馬改良トロッターを入れるということが大体私ども大きな疑義があるわけなんです。しかもこの品種の改良だということ、これはあなたにはわかるように申し上げなければいけないと思いますが、農馬改良に必要なために牝馬を二十五頭、牡馬を五頭というのが最初農林省計画だった。ところが実際輸入されるものが変った場合は、これはこちらの農馬改良に影響するところも大きい、方針に非常な影響がくるわけなんです。  こういうふうな方針に影響がきた場合でも、あなたの方は差しつかえないかと聞いておるのです。
  69. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 その方針に影響がくるかどうかということは通産省ではわからないことでございまして、それで、農林省の方で馬匹改良に影響がないというふうに御判断になったのであれば、これはわれわれの方としてはそういうふうな方針を新たにおとりになられたということで、主務官庁の御意見に従わざるを得ない、こう思っております。
  70. 稲富稜人

    稲富委員 それならば……(「くだらぬことだ」と呼び、その他発言する者あり)今くだらぬことだとほかから雑音が入っておりますが、私が聞きたいというのは、これは基本的な問題なんです。あなたの方はこの申請をされるようにしかも公文書で出されている。公文書で出されているその申請の内容が変っても、これは差しつかえないかということを私は聞いているのであって、こう聞くこともくだらぬことであるかどうか、これは実に私は根本的な問題だと思う。しかもあなた方は、少くとも公文書で出されているのです。通産省の方では、割り当てる場合はあなたの方の申請を妥当として、これに対しては外貨割当をやられている。それが内容が変更されている。これであなたの方では済むかという問題が起ってくるわけです。やむを得ずとしてわれわれは見のがすことはできないと私は思う。こういうような場合は通産省は、それの変更に対しては口頭か何かで変更すればいいのでございますか。出す場合はこういう書面をもって出していて、変更する場合は口頭でいいのですか。書面で出すべきものではないのですか、どうですか。
  71. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 一応外貨割当に当りましては、申請のときには大体雄が五頭、雌が二十五頭ということでこうやっておりますが、割り当てる際には、これはあるいは内容の変更もあるかもわからないということで、とにかく本来の当初の計画通りお進めになれば大体そういうことになるであろう、しかしあるいは内容変更等もあるかもわからないので、当該のこの問題につきましては一応家畜ということでトロッター申請——こういうことでアバウトごうごうと外貨申請が出ているわけでありますが、それに対して全額で十万ドルということだけで割り当てておりますので、外貨割当証明書の方から申しますと、これは別に内容がどうお変りになるといっても、われわれの方としては、ほんとうにお入れになる方がそういう必要でお入れになったというのであれば、通産省として、特にそれに対して困るということは申し上げるべきではないのではないか、そういうふうに考えております。
  72. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると通産省に承わりたいのですが、あなたの方では家畜、馬ということで許可しているのだから、馬であればどういう馬でも差しつかえないという、こういう解釈でございますか。
  73. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 それは一応形式的には馬ということになっておりますが、これは当然トロッターの馬が将来馬匹改良に使われるために入れられるものというふうに了解して、それで外貨割当ということがなされたわけでございます。われわれの方としましては、当然外貨割当申請がありましたときの当初の申請書の目的通りに、日本の馬匹改良のためにこの馬が使われるのであるということを信じて、この外貨割当を実施したわけでございます。
  74. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、あなたの方はトロッターを馬匹改良のためだと信じて、この申請に対する割当をやられた。ところが実際農林省で買うことを認められてきたものは違っておったということは、結局通産省からいいますと、農林省意見とあなた方に対する申請とが非常に違ったのであって、非常に期待がはずれたという結果になるわけでございますね。
  75. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 私どもは馬匹の改良ということのために必要な馬ということで十万ドルの外貨を割り当てるということをいたしたわけでございます。それが当初の牝牡の関係がかりに変りましても、それで馬匹改良に支障がないのだという主務官庁の方の御判断があれば、私は通産省としてはそれでいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  76. 稲富稜人

    稲富委員 それではあなたの方は、外貨がどこまでもトロッターとして、しかもこれは馬匹の改良になるためだとして外貨割当をやられた、こういうことをまず最後にはっきり承わっておきたい。そういうように解釈して差しつかえないですね。どこまでもトロッター、どこまでも馬匹改良だ、しかもこれは農馬改良ということで出された。こう解釈して差しつかえないですね。
  77. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 割当のときはその通りでございます。
  78. 稲富稜人

    稲富委員 割当のときはそうであった。それでは今でもそう思っていらっしゃいますか。今はどうですか。
  79. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 今でも、当然馬匹改良に資するということでお入れになったわけであります。
  80. 稲富稜人

    稲富委員 馬匹改良農馬改良は違うのです。通産局長あてに、畜産局長から出ておりますのは、農馬改良をはかるためということになっているのですよ。馬匹の改良農馬改良は非常に違うのです。あなたの方は農馬改良で十万ドルの割当をやられたというと、その点が非常に違うのです。その点をはっきりしてもらいたい。
  81. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 予算を組み、外貨を割り当てました際には、今お説の通り農馬改良に資するということで外貨を割り当てております。
  82. 稲富稜人

    稲富委員 それでは次に参ります。これは河野農林大臣に承わりたいと思うのでありますが、実は一月十二日に横浜にサラブレッドの四才馬が三頭入っております。これはトロッターでございません。しかもサラブレッドの馬が単に入ったというのではなくて、この中の二頭は河野一郎という方の名前で入っております。これはどういうような外貨割当を受けられたのであるか、その点を承わりたいと思うのであります。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ婉曲にお尋ねでございますから、この機会に明瞭にいたしておきたいと思います。実は私はあまり外貨割当等につきましては詳しくございません。お尋ねになりましても、それを詳細に御説明申し上げることは困難でございます。事の経緯は、この中にも御承知の方がおありの通りに、従来競走馬改良のため、馬の改良といいますか、種馬として年々相当の馬が入っているわけでございます。そういうような経緯で馬の輸入をいたしております関係から、たまたま種馬輸入為替の余裕があるということを私は友人から聞きました。私はそういうものがあるかどうかなというふうに言いましたところが、間違いなく前期で一万五千ドルほど為替の余裕があるから、それで種馬を入れたらどうかという話だったということを聞きました。そういう余裕があるならばそれは入れたらいいだろう、馬の改良をしたらいいだろうということをその友だちに申しました。友だちはそれならば一つその種馬を買って帰るというような話を、私は昨年アメリカに行っておりましたときに、アメリカでそういう話を聞いたわけでございます。それから大して気にもとめずに、そういうような話をして国へ帰って参りました。そういたしますと、たまたまその為替の余裕があるといいますか、昨年の四月−六月の前期の割当の馬の輸入に引き当てるべき為替が一万五千ドルまで余裕があったということでございますが、それは私が昨年日本へ帰りました前にその為替の期日が切れておったということだそうであります。これも私は最近知ったのでございます。そういうことで、たまたま今お話トロッター輸入するという、為替の方が非常に余裕が出てきたから、その方をその今の馬の方に当てたらどうだということで、そういう処置をとって入れたということだそうでありますけれども(「自分がやったんじゃないか」と呼ぶ者あり)そうおっしゃいますけれども、これは私は真相を申し上げているのです。皆さんも御承知通り輸入するときに輸入主が自分で為替の手続をして、自分が農林省へ行ってお願いするとか、通産省へ書類を出すということをした人は、私は日本人にないと思います。みな貿易商に頼み、貿易商がその手続を一切するのでございますから、そういうことを輸入主自身がやる場合は絶対ないと思います。決して私自身が輸入をやったとかやらぬとか、それがどうなっているとか、こうなっているということを知っておってやるはずはないのでございます。そういうことでございますから、最近新聞に出ているところの馬がどうとかいう記事を見まして、おかしいなと思ってよく聞いたところが、そういう今の経緯を伺ったのであります。そういうことでございまして、決してこれには、インチキしたりごまかしたりして、輸入農林大臣をいたしておりながらしようというような心底は毛頭私は持っておりません。何も今農林大臣をしているから、特権として馬の輸入ができるとか、馬の輸入をしたらひどくもうかるというようなものでないことは、これは御了解願えると思う。馬を輸入したらそれでひどくもうかる——、自動車を輸入して高く売ってもうけるということと、話は違うと思う。決してこの馬を輸入して持ってきたから、それで百万円の馬が二百万円に売れるということでないことは、皆さん御承知通りです。従ってこれを持ってきて一もうけしてやろうというような心底は毛頭ないのであります。だからこれは、その当時そういう話を聞いたものですから、そういう余裕があるなら入れてもいいじゃないか、それを私も金ができたから買うからと、こういう話をしたのでございまして、決してその間にインチキだとかごまかしだとかいうようなことまでして入れようというような心底もなし、またそれを入れたことによってどれだけもうけがあるわけじゃなし、何もないのであります。ただ自分の考えでやっただけであります。これが今言う通りに、手続を聞きましたところが、確かに前期一万五千ドルの余裕があった。これも事実でございます。ところがそれが、私が帰ってきたときには期日が切れておった。そのときも期日が切れておるという話も知らないのであります。何にも私知らないのでございます。全然知らない間にそういうふうになっておったのであって、それをいろいろ、さもさも私が非常に悪いことをしたとか、不正をしたとかいう心底は毛頭ありませんということは、一つ御了承願えるかどうかわかりませんが、御承知おきいただきたいと思います。これはどこまでも申しますが、入れることによって私が何か特定の利益を得たということなら別でございますけれども、それによって特定の利益を得られるようなものではない、こう私は思うのであります。しいて申せば、こういうことをごまかしてまでやらなければならぬ筋合いのものでは全然ございません。従ってその点は私は新聞の記事を見るまで、全然その経緯がどうなっておるかということを知らなくて、期限が切れた話もそのとき初めて聞いたのです。その後それじゃどういう手続になったかということを聞きましたから、トロッターが比較的向うで安かった——私が買うとか買わぬとかいうのは差額でなしに、トロッター向うでは安かったというので、余裕ができたからその上で買ったということが真相でございます。一つどうぞそういうふうに御了承いただきたいと思います。
  84. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、サラブレッド三頭のうちの二頭が、河野一郎とい一うと農林大臣でありますが、あなたの馬であることには間違いないのですね。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 間違いございません。
  86. 稲富稜人

    稲富委員 通商局長にお聞きしたいのでございますが、先刻からいろいろ御質問申し上げましたように、外貨割当というのはトロッターにはっきり限定されております。しかも農馬改良ということにはっきりされておりますが、サラブレッドというのはさっきもお話があった通り農馬と違うのです。その線によってサラブレッドを購入したいということは、為替管理法上どうなりますか、それを承わっておきたい。
  87. 板垣修

    ○板垣政府委員 お話のように最初農耕馬でありトロッター種ということになっておりましたが、実施の結果予算が余りました場合に、農林当局におきまして、農馬のみならず他の一般馬匹改良のために種馬輸入するのが適当であると主務官庁におきまして考えられましたならば、その際には通商当局といたしましては異存はない次第でございます。
  88. 稲富稜人

    稲富委員 あなたの言う主務官庁というのは通産大臣でありますか、農林大臣でありますか、どちらでありますか。
  89. 板垣修

    ○板垣政府委員 この場合は農林省でございます。
  90. 稲富稜人

    稲富委員 非常に奇怪な話を聞くのですが、あなたの方は外貨割当のときに目的がはっきりしてこなければいけない。しかも農馬改良トロッターにこれを局限してあなたの方は外貨割当をやっているんじゃないですか。ところがその外貨が余った場合に全然目的が反するところの馬を買ってきても差しつかえない、こういう解釈でございますか。
  91. 板垣修

    ○板垣政府委員 全然目的が反したような場合は困りますけれども、ただいまの場合には一般馬匹改良のための種馬でございますので差しつかえはないと思います。
  92. 稲富稜人

    稲富委員 さっき念を押したじゃないですか。馬匹の改良じゃない。さっきあなたは農馬改良である、しかもトロッターでなければいけないということを言っているじゃないですか。サラブレッドとトロッターは違いますよ。農馬改良にはならないやつですよ。はっきり念を押しているじゃないですか。あなたの方が言葉で、ごまかそうなどということはできませんよ、その点はっきりして下さい。局長は困りますと言われた。困りますでこのことは通らない。為替管理法上どうなるかということを私は承っているのです。
  93. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 私から申し上げます。当初は先ほど申し上げましたように、農馬改良のためにトロッター輸入したいということで、大体三十頭、十万ドルということで割当をしたのでございますが、この予算を実施しました結果ある程度余裕ができたといり場合に、その余裕のできた部分で、農耕馬以外に一般の馬匹改良のためにも具するということで、ほかの馬を割当を受けた人間が主務官庁の了解を得た上で輸入される、こういうことでありましたならば、われわれといたしましては、一応最初割り当てたときにはトロッターが入るもの、またそれが日本の馬匹改良のため、特に直接的な農馬改良のためにプラスであるということで割り当てたわけでございますけれども、しかしそれはトロッターに限らずほかの馬の改良も必要だ、しかし今まで一般的に家畜のためにさく資金というようなものについてはできるだけ節約しようということで、十分でなかったのが、今回たまたまトロッター購入に際して余裕ができたということで、それを入れたいというのが農林省の方の御意向であり、また実需者割当を受けた商店の方が、適当な買い物があるということで、割当をもらった範囲内で外貨を使うということであれば、為替管理法上われわれの方としては、一応技術上の問題はございますが、従来の習慣からいたしまして、馬あるいは牛ということで割当をいたしておりますので——かりにトロッターを三十頭入れるということで、トロッターを三十頭買わないで、ほかの馬を買ってきたということであれば別でございますが、三十百頭一応お買いになって農耕馬改良には十分資するという成果を収めた、その上で余ったということであれば、それを一般馬匹改良にお使いになるということにつきましては、われわれとしては別に為替管理法上違反であるから困る、そういうことはないわけでございます。
  94. 稲富稜人

    稲富委員 非常におかしな話ですが、それではあなたの方に外貨割当を受ける場合に、たとえば薬品なら、肺病の薬品が要るからといって外貨割当を受けておいて、買ってくるのは肺病の薬でなく、全然別個の薬を買ってきても差しつかえないのですね。今のような解釈であれば、馬であればどんな馬でも——外貨割当をやる場合は農耕馬であり、トロッターであるということで外貨割当をやっておる。しかしながら余ったものは馬であるなら何でもよいという解釈でしょう。そうすると肺病の薬を買ってくるということで外貨割当を取っておいて、余ったらどんな薬でも買ってきてさしつかえないという解釈ですか。
  95. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 今のお話でございますが、もし非常に悪意な方がございまして——われわれの方で外貨を割り当てます際には、二心申請書というものの中にはこういうものを買うのだという明細のものが大体出ておりますが、普通一般の商業道徳その他から申しましても、大体まずその目的を達するというために必要なものを入れるというのが実際行われておるわけでございます。そういう趣旨から申しまして、一応薬品という格好で割当をした、ただしその薬品と申しますものはそれは一応本来の申請された当時の内容明細というものにのっとって入れるというのが原則でございますが、かりに今のようなお話のあれで全然違ったものが入ってきたという場合にも、これは大きな薬品という項の中に入る限り為替管理法上は、あと道義の問題というようなことは残るかと思いますけれども、法律的には税関でも押えようがない、そういう割当制度になっております。  それからなおサラブレットでございますが、これにつきましては、われわれが承知いたす範囲におきましては、各用役に適当な種類農馬の中に軽量級というのがございまして、一応その中にサラブレッドというのも入っておるのだというふうに承知いたしております。
  96. 稲富稜人

    稲富委員 今畜産局長に知恵をつけられてそういう解釈をしておるのであるが、これは非常に違うのですよ。最初にあなたの方に出たのは農馬改良なのです。サラブレッドは農馬には適しない、農林省がちゃんとこういう方針を出されております。馬の改良及び生産方式、これにちゃやんとサラブレッドの馬が農馬に適するということは書いてない。やはり中間種がいいのだということが書いてあるのです。しかもサラブレッドという馬は非常に勘が強い馬で、どちらかといえば農馬に適しない。それで今あなたは為替管理法には違反にならないけれども、道義上は違反だ、こうおっしゃったのですが、それでは今度の場合は、トロッター購入するということで外貨割当をとった、しかもこれは農馬改良ということで外貨割当をとった、ところが農馬に適しないサラブレッドをたまたま買い入れたということは、道義に反するという考えはお持ちになりませんか。あなたの方の通商局としてはどうですか。この点承わっておきます。
  97. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 それが農林省の方でも、全然農耕に適しない馬であるというふうなことであれば、これはあるいはそういうことになるかもわかりませんが、先ほども申し上げましたように、一応サラブレッドも農馬というものの範疇に入るのだ、こういうことがある限りは、私の方としては別にそれ以上申し上げることはございません。
  98. 稲富稜人

    稲富委員 もう一つあなたにお聞きしたい。あなたはこういう場合は為替管理法違反じゃないと言われましたが、確信を持って言われますか。あなたの方で外貨割当をされるときの目的とその方針も違っておる、こういうものに対して外貨割当をして、全然別個の目的に使うものを買ってきた場合に、これは為替管理法違反でないということを責任を持ってあなたは答弁できますか、この点を承わっておきたい。
  99. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 その点につきましては、さらに慎重に検討させていただきたいと思っておりますが、今の段階におきましては、少くとも形式的な為替割当というものが馬という格好でなっておるという限りにおきまして、形式的にはこれは全然為替管理法上の問題は生じない、そう思っております。
  100. 稲富稜人

    稲富委員 これははっきりしておかなければいかぬ。あなたの方の馬というのは、これは申請書の中にはただ従来馬ということになっておるから従来通り馬と書かれたので、内容が非常に違っておった場合に、馬だからどんな馬でもいいというのはいかぬと思う。馬の性質によって割当というものは基本的にきまるわけです。それじゃあなた方は外貨割当をされる場合に、それほど基礎のないことで割当をされるのでありますか。そういうふうな基礎の薄弱なものによって割当をされるということであれば、われわれは外貨割当の根本的な問題で疑惑が起る。少くとも政府は、この重大な国際経済に及ぼす影響の大きいときに外貨割当をやる以上は、よほど的確な理由方針があらねば外貨割当はできないはずである。しかるにもかかわらずそれをうやむやに外貨割当をして、その使途があとで違っても差しつかえない、為替管理法違反でないというような解釈を、これを運用されておるあなたみずからがされることは重大な問題だと思う。かくのごときは方針が違っておるのだ。目的が違っておるのだ。これは明らかにあなた方の割当をされたその方針と反した結果になっておると思います。これでも差しつかえないとあなた方がどこまでも言われるならば、今後為替割当に非常に大きな影響を及ぼす。単に私はこの問題に限定しておるのではない。大きな為替割当に影響するので、この点を聞いておるのです。この問題は将来も問題を残すことでありますので、はっきりと御答弁を承わっておきたい。
  101. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 まずこの問題の点から申し上げますが、われわれの方といたしましては、農馬改良ということが外貨割当の確かに動機であり、そういうつもりで割り当てたのでございますが、その目的を達した上に、当初考えられた品種であるトロッターという馬以外にも農馬改良になるということでプラスされるということであるならば、これは本来の為替割当の精神というものから必ずしも逸脱しておるものとは考えられないと思いますので、少くとも今回の件につきましては、実はわれわれの方でも、内容がどういう、ふうに変ったかというようなことは最近まで知らなかったわけであります。それはそういうふうに書いて適当であるというふうに主務官庁の方で御判断になった限りにおきましては、形式的には、この為替管理法に基きまして外貨を割り当てたという根本精神と矛盾した行為が結果的に起ったというふうには必ずしも解釈いたしておりません。
  102. 稲富稜人

    稲富委員 主務官庁の意見によれば差しつかえないというあなたの解釈でありますが、主務官庁は先刻私が聞いたところによると農林大臣であるという。そうすると農林大臣はそれほど大きな権限があるわけです。主務官庁のあなたの解釈いかんによっては、通産省はその解釈を変えてもよいというほどあなたに重大な責任がある。そのあなたが、しかもこういう馬を持主として買ってくるということは、これは私はどう考えても納得がいかない。これは非常に遺憾だと思います。しかも相手は主務官庁の農林大臣であり、当事者であるがゆえに、まさか通商局があえてそういう解釈をなさるわけがなかろうと思っている。これはほかに及ぼす影響も非常に大きいので、そういうような間違ったことがはっきりした場合には、これに対してどういう処置をとられるかということを承わりたい。
  103. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、私も新聞の記事を見ましてすぐ事情を確かめました。確かめた結果先ほど申し上げたような経緯でございますので、トロッター輸入して、そうして余裕があり、前の分が期日が切れておるからそれに引き当てができない、それでそういう余裕ができて、しかも手続上も一応それで済んでおるということを聞いたので、それならそれでよかろうというふうに考えたわけであります。重ねて申し上げておきますが、もし悪意があり故意にやるならば、先ほども申し上げました通り、自分で自分の名前を出してそういうふうなことはいたさないだろうと思うのです。私はどこまでも善意でものを考えていたしたことでございまして、今お話のように、間違ったことがあり、これが悪影響を及ぼすということでありますれば、これはそれ相当処置をしなければいけないと考えておりますが、その後手続をいろいろと調べましたところが、まず大体これでよろしかろうということで私はそのままにいたしておるわけであります。悪ければいつでも適当の処置をとります。
  104. 稲富稜人

    稲富委員 先刻の通商局のお考えでは、これが悪意の場合はけしからぬというお話であったのでありますが、私の調べた範囲によりますと、藤井商店の支店長が今アメリカに買い出しに行っておるが、農林大臣御存じないと言われるかもしれませんが、藤井商店が向うに買い出しに行く時分にすでに外貨割当をして、十万ドル受け取ったけれども八万五千ドルくらい使ってきて一万五千ドルくらいは残さなければならないというような腹組みで行ったということも聞いております。こうなりますと、どうも初めから計画的に出されたように思われる。上かもわれわれの遺憾に思いますことは、先刻からいろいろ私は質問いたしましたが、牡馬の方が少くなって牝馬の方がふえたということには、やはりそれだけの金に余裕を作るために、わざわざ安い牝馬をたくさん買って、そうして十万ドルの金を浮かせるような行為がなされたというようにも一応うかがえる。それからあなたはアメリカに行ってサラブレッド三頭の話をして帰ってこられた。ところがあなたが帰ってこられてから急にトロッター協会トロッター輸入することに奔走し始めておる。その点にもわれわれふに落ちないところがあるわけであります。あえて私は悪意に解釈するわけではありませんが、こういうような点を総合いたしますと、最初から計画的にやられたというような点が非常に多いわけであります。これを私は最も遺憾に思います。こういう点を通商局の方でも十分にお調べになりますれば、あなた方が単に主管庁のそういう変更になった方針をうのみにされて、善意にばかり解釈されて、この為替管理の重大な問題を放任されるということは、あなた方の責任が及ぼす影響が非常に大きいので、こういう諸般の事情がわからなかったら、私の方で十分調査しておりますから、それは通産省の方にお知らせしてもようございます。そういうようないろいろな計画的な問題が現われた場合に、やはりさっきの解釈通りにあなた方は為替管理法違反ではないのだ、主務官庁がそういうようなことに変更すれば差しつかえないのだ、こういうことでこれをどこまでもお見のがしになるという方針であるとするならけしからぬ。この点を一つ承わっておきたい。
  105. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 先ほどから再々申し上げておるのでございますが、われわれの方といたしましては、これは形式的には為替管理法には直接には触れるということはない。ただそれはあと道義的の解釈とかいうようなことで、全然違ったものを買うということになるかどうかというあたりは法律上の問題ではなくて、むしろ道義的の問題というようなことが起るのじゃないか、そういうふうに考えております。
  106. 稲富稜人

    稲富委員 あなたの方は、形式的には為替管理法違反ではないとおっしゃいますが、その為替管理法に形式と形式じゃないことと二通りあるのでございますか。あなたの方では、あなた方の割当目的に違った方法でこれが使われた場合は違反ではないのですか。法律の解釈に二つあるはずがないのです。形式的な法律解釈と形式的ならざる法律解釈と二つあるはずがないのです。
  107. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 割当の際には一応馬という格好で形式的には割り当てたわけでございます。そこで馬といって牛を買ってきた場合にはこれは問題でございますが、そういう意味で形式的にはということを申し上げたのであります。
  108. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど馬を三頭買ってくるために、あとからトロッターを無理に入れさせて、そしてトロッター為替をとっておいてそれを浮かしたというような意味の疑問もあるというようなことでございましたが、これは私は全然誤解ではないかと思う。なぜかと申しますれば、三十年の前期におきましてサラブレッドの牝牡も入れておるわけでございます。でありますからトロッターを入れなければサラブレッドが入らぬという理屈にはならぬのでありまして、これは明確にサラブレッドの輸入申請して参れば、やはり前期にも許しておりますし、従来の慣例によってそれは許していいのじゃないかというふうに私は考えました。わざわざトロッターという名前でごまかして十万ドルをとらなければいけないとか、十万ドルをトロッターでとっておいて、その中から無理に浮かしたというような工作をしなくても、単独にそういう手続をとれば、当然現に前期におきましても、今ここで調べますとサラブレッドのために牡馬二頭、牝馬九頭を入れております。そういうふうにしておるのでございますから、特別にそういうことをしなくてもよろしい。たまたま事務手続がそういうふうになったということで御了承いただきたいと思います。これはくれぐれも申し上げておきますが、私は従来の慣例を破って、自分の地位を悪用して、ことさらにそういうことをしようというような心底は毛頭ありません。この点は一つ御了承いただきたいと思うのであります。
  109. 稲富稜人

    稲富委員 農林大臣がそうおっしゃるならばまたお聞きしたくなるのでありますけれども、そういうような悪だくみがあったかどうかしりませんけれども、大体二十九年の五月十四日のここの委員会で、競馬法改正の法律案が出ましたときに、あなたもそのときは野にいらっしゃって、私が質問するときに農林委員で私の後にいらっしゃった。そのときに私の質問に対して農林当局は、サラブレッドは将来入れないようにするということを答弁なさっている。あなたもそれをお聞きになっているはずなんです。やはりその当時から、日本競走馬が足らなかった場合はサラブレッド系統の競走馬輸入した。しかしながら将来は輸入しないということをその当時はっきり答弁されたことをあなたも聞いていらっしゃると思うのです。あなたにはそういう方針をとっておらないとおっしゃるけれども、あなたが大臣になってから変更なさったならともかくも、農林省が従来そういう方針をとっておったということははっきり速記録に載っておる。
  110. 河野一郎

    河野国務大臣 これは外貨事情の変化もあるかもしれません。しかし私は馬を入れるときに認可したり許可したりすべきものじゃございませんから、そういうことは詳しくは勉強しておりませんでしたが、今ここで調べてみますと、そういうことになっておりますし、私も稲富さん御承知通りよく競馬に参ります。競馬に行って番組を見ますと外国産がたくさん走っておる。あれはみな輸入した馬だというような普通の考え方で、それは普通に品種の改良のために外国でできた馬が輸入されて、それが走っておるという事実を見ておるものでございますから、別にそこに不審も持たずにおった、こういうことでございます。これはいずれも能力を調べて、そうしてそれがあとから優秀なる牝馬牡馬として使われることだと思うのでございます。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど通産当局は非常に重大な発言をしておるのです。それは競走馬輸入は形式上妥当であるということを言っておる。しかるに昭和三十年の四月二十二日付で通産省当局は、競走馬輸入に対しては不承認の態度を決定しておるじゃないですか、競走馬外貨割当を行わないということを通商局農林水産課の通達として基準をきめておるじゃないですか。上がるにトロッターに先立って一月の末に競走馬三頭が入ってきておる。こういうものを形式上為替管理法上違反でない、不正でないということをあえて言うのは、通産当局自身がきめた競走馬輸入不承認の方針の本質をみずからくつがえしておるんじゃないですか。そういう点はどうなんですか。
  112. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 競走馬というものの解釈につきましては、私の方といたしましては、こういう種類の馬だから競走馬だあるいは競走馬でないかという解釈のほかに、種馬に使うか使わぬかというようなことも加味されているんじゃないか。そこで一応競走馬というものは輸入しないという方針をとっております。しかし能力検定その他からいって、種馬に使う前に一応一定期間走らせることが必要なんだということで、将来は種馬に使うけれども、ある短い一定期間について検定その他から走らした方がいいのだということで入れるものは競走馬でないんだという解釈、それが農林省の方でとられるというのであれば、われわれの方といたしましては競走馬でない種馬が入ってきたというふうに解釈いたしております。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは詭弁ですよ。河野一郎君が二頭と永田雅一氏が一頭、これは何です。種牡馬ですか。牝馬じゃないですか。河野一郎君のは牝馬ですよ。
  114. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 私馬のことはよく存じませんけれども、種馬という中に、いわゆる馬匹改良という目的種馬という言葉が使われておると思いますが、その場合には必ずしも雄でなくても雌でもいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは通産省と農林当局はなれ合いでそういうことを合法化しようとしておられるが、だれがこれを判断しても雌の種馬競走馬にする、そういう判断のもとに輸入を認めるということになれば——これは競走馬に出場させるために厩舎に入れてあるじゃないですか。もう出場しているんじゃないですか。明らかに競走馬であることは間違いがないのですよ。ですから通産当局がみずから作った輸入不承認の本質をくつがえして、このことだけに関して農林当局から知恵をつけられて、これは種牡馬である、そういうような判断のもとにこれを取扱うということは、重大な不正であるというようにわれわれは考えるわけであります。通商局次長はどう思いますか。
  116. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 今の種馬に牡牝の区別と申しますか、種馬は牡でなければいかぬかどうかということにつきましては、先ほど申し上げたように、私もちろんその専門家でございませんのでようわかりませんが、従来から馬匹改良ということのために牝でも必要だということで牝馬も入れている、そういうふうに解釈いたしておりますので、あとのどれが競走馬でどれが種馬かという解釈につきましては、私の方は主務官庁である農林省の方の解釈というものが一番正しい解釈と、そういうふうに信頼いたしております。
  117. 稲富稜人

    稲富委員 普通常識では種馬というのは男馬をいうのです。牝馬繁殖馬というのです。それから馬匹の改良をやるためには、よそのたくさんの馬の血を分けてもらわなければいけない。繁殖馬というのは一年に一頭しか生ませません。日本の馬を改良するために外国から買ってくるならば、たくさんの血を分けるためにはやはり男馬、牡馬を買った方が日本の馬の改良に資するということになるのであって、そういうふうに馬匹の改良だといいながら牝馬をたくさん買ってくるということには非常に異議があるわけなのです。牝馬というものは一年に一頭しか馬を生みません。牡馬だった場合はその血というものはたくさんの日本の馬に繁殖することができるわけなのです。その点からも牝馬をたくさん買ってきたということは、あなたの方で馬匹改良であるとか農馬改良であるとかということで外貨割当をやられたその点の方針からも非常に相沿わない購入になっておるということを、通産省はお考えにならなければいかぬと思う。  それから農林大臣は先刻競走馬外国産馬が走っているからよかった、こうおっしゃる。ところがあの外国産馬が走ったから問題になったのです。日本の馬を改良するために競走馬外国から買っくるということはいけないのじゃないかという話が出たときに、今までは馬資源が足りなかったから競走馬を買ってきたのだ、しかし馬資源が十分になってきたから将来は買わないということをはっきり言っている。あなたはそのとき私の横におられたのだから聞かれているはずだ。それを知らなかったとおっしゃるが、あれほど馬に詳しいあなたが、ことに競馬にはしろうとではないあなたが御存じないはずはないと思う。その点、そういうような単なる言葉だけの答弁では私は満足しません。  さらに私聞きたいと思うのは、ところがあなたは二頭買ってこられた、しかも種馬と称される牝馬なのです。あなたの名前になっておるのは競走馬として登録して、競馬に使おうとされている。あなたは農林大臣になられたときに、かって持っておりましたガイセンモンでございましたか、あなたの馬を弟さんの謙三さんの名前に変えられた。私は農林大臣になって遠慮されたと思っておった。ところが今度はそれをあなたの馬になされている。農林大臣というものは競馬会の最高監督者になっておる、日本中央競馬会法の第三十一条、「競馬会は、農林大臣が監督する。」監督者であるあなたが競走馬を所有されるということが妥当なものであるかどうかということに非常な疑惑がある。この点あなたはどうお考えになっておるか承わりたい。
  118. 河野一郎

    河野国務大臣 その点を明確に申し上げます。私は監督者たる農林大臣が自己の所有名で馬を出場ささない方が反当である、さして悪いとは決して私は申しませんけれども、ささない方が妥当であるという意味合いで、農林大臣に就任いたしまして直ちに自分の馬は馬名を変更いたしました。今回もむろんこれを出場さすときには自分の名前で出場さそうとは考えておりません。ただ先ほど来申し上げます通りに、普通の常識ですなおに今までいたしておるのでございますから、そういうふうに、これを自分の名前で競馬に出すということは考えていないのでございます。まだそういうこともありませんから入れたものをそのまましてあるというだけでございます。(「登録してある」と呼ぶ者あり)これは申し上げますが、馬の所有者としての登録はいたさなければいかぬというので、入れた以上はその登録をしなければなりません。それをもし輸入したものをごまかすという意味があれば、いいかげんなそこらのわからぬ名前でやったかもしれぬと思うのであります。しかしこれは先ほど来申し上げますように、私は何らの意思がなしに、普通にすなおにやったことでございますから、自分の名前で今まではしてあった。いよいよ競走に使う場合には、御注意もあります通り、すでに今までも私は自分の馬名を変えておりますので、そういう処置をとることは当然だと考えております。むろんこれを競馬に使う場合には名前は変えなければいかぬ、こう思っております。
  119. 稲富稜人

    稲富委員 そうするとあなたは二月八日付をもって中央競馬会に登録されておりますが、あれは出さないつもりで登録されておるのでありますか。あなたは競馬に詳しいのだから……。
  120. 河野一郎

    河野国務大臣 それは出すつもり出さぬつもりということでなしに、もし出します場合には、ただいま競馬法のどういうところにあるか知りませんが、厩舎に入れまして一カ月でありますとか三カ月でありますとか、その所属馬にいたしておきませんと、どういう馬でも使うということができないのであります。そういう関係から登録してあるのでありまして、いよいよこれを出走するという場合にはおのずから別でございます。でございますから手続上そういうようにしてあるということでございます。これは私は今ここで申し上げます通りに、かって自分でもそういう処置をとっておるのでございますから、これからそういう段階が参りますれば、当然自分の名前でやるようなことはいたしません。そういう腹づもりでおったのでございます。
  121. 稲富稜人

    稲富委員 あなたは農林大臣でなかったときの持ち馬を、農林大臣になったから名義を変えられた。ところが今日ではあの二頭の馬は河野農林大臣の馬だということを厩舎では皆知っております。出すときにあなたが名画を変えられたところで、河野農林大臣の馬が人の名前になって走っておるということにほかならないのだから、あなたのそういうような精神から申しますと、非常に精神に反することになってくると思う。それでもあなたは十分隠したつもりなんでございますか。
  122. 河野一郎

    河野国務大臣 これは少しお考え直しをいただきたいと思うのであります。元来申しますればスポーツでございます。英国におきましては英国の皇帝の馬が走っております。これはみなスポーツでございますから、大体申せば、競馬法にも、馬券を買ってはいけない、監督者でありますからいけないということになっておりますけれども、馬を持ってはいけないということを書かぬゆえんはそこにあると私は思うのでございます。しかし私は先ほど申し上げました通りに、自分の名前でない方がよろしいというので、今までの馬にいたしましても、農林大臣になる前に私が持っておった馬は、私の馬だということは皆さん御承知のはずでありますが、農林大臣になったときに名前を変えたのでございます。でございますから、それを私が変えたからといってお前の馬に違いないじゃないかとおっしゃると思いますが、今回もそういうふうにしてやることがよかろう、こう思っておるのであります。それを、お前の馬だということをみんな知っているからいまさら変えても意味がないとおっしゃるかもしれませんが、私は私の良識で、変えた方がいいという良識に従って変えていこう、こう思っておるのであります。その点はいろいろ御判断でございますけれども、私はそういう問題を取り扱います場合には、どこまでも良識に立って、自己の反省の上に立ってやっておるということを御了承いただきたいと思うのであります。
  123. 稲富稜人

    稲富委員 私としての結論を申し上げますと、先刻からお聞きのように、今度のこのサラブレッドが三頭入ったということは、もとをただすとトロッター種を買い入れる、しかも農馬改良に名を借りて外貨割当がなされまして、しかもこれが故意かどうか知らぬけれども、たくさん牡馬を買うようになっておったのが、値段の安い牝馬に変更して、ここに割当の金に余裕があったということを理由として、これを奇貨としてと申し上げますか、三頭のサラブレッドが入ってきておる。この三頭のサラブレッドが入ったということは、すなわち日本農馬改良という意味からいくと非常に目的に反するような結果になってきておる。これは先刻から通産省の方でも解釈しておりますように、為替管理法違反——法的根拠についてはまだ疑惑があると言っておるのだから、しかもこの疑惑がなくなったということは農林大臣の意向によってそれが了解できるのだ、こういうことを言っている。そうなりますと農林大臣の責任というものは非常に大きい。しかもそれがさらにあなたの監督下にある中央競馬会においてさらにその馬が走るということは、道義の上から申し上げましてもおもしろくないと私は思う。これはあなたとしては、自分は良心に従ってやっているのだから悪いところはないのだとおっしゃるかもしれません。あなたの良心はそれで済むかもしれませんけれども、世間は私は納得しないと思う。この点に対してあなたとしても何とか方法をとられなくては、これは自分は良心に従って悪いことでないのだから差しつかえないのだ、行き違いがあったのだ、買ったことは自分は知らなかったけれどもそういうことになっておったそうだというような、あなたは競馬に対しては相当造詣が深いのだから、そのくらいのことを知らぬということではわれわれは納得できない。その点をあなたはどこまでも良心に従って、これはこのままほっといてもいいのだということでお済ましになろうとするのか、この点についてあなたの御所信を承わりたい。
  124. 河野一郎

    河野国務大臣 明確に申し上げます。第一点はこの馬を輸入いたします際にトロッターに名をかりて輸入したのではない、これは御承知願いたいと思うのです。これは先ほど申し上げましたように、たまたま為替の手続がそういうことになっておりましたが、出発の動機は前期において為替が余っておった。それを使う予定であったところが期日が切れた、それを振りかえたということで後期に回ったということであります。従って私はトロッター輸入するような意味において詐称してこれを輸入したということでなしに——詐称しなければ輸入ができないということであるならば絶対にやめなければならぬ、返還しなければならぬ、いかに善意であってもしなければいかぬと思います。しかし私はそうでないという解釈に立っておりますから、私はそれはそうは思いません。しかし今お話のように、そういうふうに馬の名義を変えただけではいかぬ。これを走らすことはいかぬ。これは輸入いたします際に能力を検定する意味において一時競馬に使ってやる場合もある。これはそういうこともあるということでございますが、今後この馬の処置につきましては、御注意のこともございますから、私といたしましては自分の良心に従って善処いたします。
  125. 稲富稜人

    稲富委員 最後に、これは二つにわかれると思うのです。一つは馬を走らせる、走らせないということは、あなたが競馬の最高監督者であるという立場の問題、サラブレッドを輸入されたということはあなたは初めは知らなかった。外貨が余っているということを聞いたが、余っていなかったらこういう結果にならなかったとおっしゃいましたが、これは答弁にならない。それはそういうことだとおっしゃいましたが、問題はさかのぼって外貨割当の方式ということがサラブレッドの競走馬を入れるという方針ではなかったのであって、この方針に反して、結果から見るとサラブレッドをこれに便乗して入れたということに為替管理上の大きな問題がある。この点の疑惑というものは通商局との問題であって、通商局が将来どういう解釈をされるかということは、別個の問題が残ると思う。この問題は農林大臣の解釈によっていいとも悪いとも決定されるというようなこの通商局の解釈はどうも私妥当でないと思う。この問題は別個にまた残ると思う。監督者としての立場の場合と、それからサラブレッドを輸入するという目的でない外貨割当によってサラブレッドを輸入されたという問題、これはおのずから別個の問題であって、この問題をどう処理するかという二つが残る問題だと思うのであります。大臣はそうお考えにならないか。その点を私は最後に念を押しておきます。
  126. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど来いろいろ御意見でございますが、牝馬種馬ではない、こういうことであります。この点は第一に私と解釈が違うのであります。稲富さんも御承知通りに、牛の場合でもあるいは一般家畜の場合でも、種牝、種牡という言葉があることは御承知だと思います。これは鳥の場合でも種牡と種牝がみなあるのであります。共進会をやりましても、何をやりましても、豚の場合には種牝豚、種牡豚、馬の場合には種牡馬種牝馬みなあるのでございます。つまり種雄ということはあります。しかしそれをそうでなければ種ではないのだという解釈は、これは行政上そういうことになっておりませんということを一つ承知おきをいただきたいと思うのであります。  それからその他の為替の手続におきまして、トロッターに籍口して非常に何か悪用したというようなことでありますが、これは解釈上の相違もあるかもしれませんが、少くとも私といたしましては、悪用してやるべからざることをやらせたというような、そういう処置ではない、自然にそういうような結果になってきたということで御承知をいただきたいと思うのであります。  いろいろお話でございますが、今申し上げますように、普通の処置でやればやれることであって、こういうことにしなければ絶対できないことを、こういう文字を使って、通産当局をごまかしてやったということならばこれは悪いことであります。しかし決してごまかすとか何とかいうような意味では全然なく、普通の手続でやればやれることを、そういう手続になっておるだけだと私は了承いたしますので、この点についてはさよう御承知をいただきたいと思うのであります。
  127. 村松久義

    村松委員長 関連の質問がありますから、一点ずつお許ししまして、休憩いたします。沖田大作君。
  128. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣にどうしても納得できない点をお尋ねしますが、農馬改良のために外貨割当があった。それで一万五千ドル余ったからこの競走馬を買ったというが、農馬改良というものは八万五千ドル買えばたくさんだと、こう思っているのですか。これは十万ドル、もっと買っても足らぬと思う。それを八万五千ドルだけ農馬改良のために買って、あと一万五千ドル余ったからそれで競走馬を買う、しかもこの競走馬というものは、通産省では三十年度における競走馬外貨割当は中止するとはっきり通牒を出しておる。にもかかわらずあなたが、監督の立場にある農林大臣が、こういうごまかしを、私はごまかしと言いますけれども、こういうごまかしをやっていいと思いますか。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 あなたは、こまかしとおっしゃいますけれども、私は先ほどからあれだけ誠心誠意申し上げたのであります。なぜ幾らあっても足らない農馬改良に買わぬかとおっしゃいますけれども、申請がないものを許可のしようがないじゃありませんか。他に申請があり、その申請を拒否して、そして自分の馬を買ったというならばこれは悪いでしょうが、他に申請がないのです。これ以外に他に申請が出ていなかったから、それで余りが出たわけでございます。他にそういう輸入申請がなかったのでありますから、もっと入れたらいいじゃないかとおっしゃっても、入れようがないじゃありませんか。
  130. 神田大作

    ○神田(大)委員 一体何頭トロッターをお買いになったのですか、何頭輸入したのですか。
  131. 河野一郎

    河野国務大臣 農林省輸入したのではないのであります。申請者があって、その申請者が買いにくいのでありますから、これは私が自分でやるわけではございません。
  132. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうするとこの競走馬申請者があったわけですか。
  133. 河野一郎

    河野国務大臣 これは当然申請者があったのであります。
  134. 神田大作

    ○神田(大)委員 外貨割当をしていない競走馬申請があったからといって買うという法があるのですか。輸入を許可するという法がありますか、一体だれが申請したのですか。
  135. 河野一郎

    河野国務大臣 申請者はむろんあるわけであります。
  136. 神田大作

    ○神田(大)委員 それじゃだれが申請したのです。この点をだれかわかる人から答えてもらいたい。
  137. 河野一郎

    河野国務大臣 これはトロッター協会申請者でございます。(「サラブレッドはだれが申請した」と呼ぶ者り)サラブレッドもあわせてその方あに使いたいという申し出であります。——ちょっと訂正いたします。今のは間違いであります。それは中央競馬会であります。
  138. 神田大作

    ○神田(大)委員 ますますおかしな話になるのです。初めは農馬改良のために外貨割当をした。途中でもって競走馬も一緒に申請になっている。しかもその競走馬を中央競馬会が申請をして、それを通産省は認めた形になるのですが、通産省としてはこの問題についてどう考えているのですか。違反しているじゃないですか。
  139. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 先ほどから再々申し上げたのでございますが、私の方としましては、一応馬に対して十万ドルということで外貨割当をしておりまして、それ以上の特別の条件というものは、外貨割当の許可書にはついておらないわけでございます。そこで外貨割当をもらった人間がその範囲内において、国内において馬か入れてほしいという実需者があった、その注文を受けて、その範囲内で買ってこられるという限りにおいては、私の方としては別に違反だということはないと思います。
  140. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、外貨割当を受けた本人がまた追加した場合はいいとおっしゃるが、先刻農林大臣の説明によりますと、トロッタートロッター協会がやった。サラブレッドは中央競馬会が申請したとおっしゃる。そうしますと、当然申請人は違うじゃないですか。外貨割当申請人が違うのです。
  141. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 外貨割当申請人は、いずれもその実需者から注文を受けました藤井商店という名義になっておりますので、貿易商としての藤井商店が外貨割当を受けております。
  142. 稲富稜人

    稲富委員 それでは藤井商店からサラブレッド購入申請書が出ておりますか。
  143. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 一応トロッター約……。ただ外貨申請書には生きた馬、雌約二十五頭……。   (発言する者多し)
  144. 村松久義

    村松委員長 静粛に願います。
  145. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 申請書には家畜たる馬ということで……。   (発言する者多し)
  146. 村松久義

    村松委員長 静粛に願います。
  147. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 約三十頭ということになっております。
  148. 村松久義

    村松委員長 中村時雄君。
  149. 中村時雄

    中村(時)委員 今の問題で河野農林大臣に最後の一問だけ、いずれ昼から十分やりますけれども、あなたの今おっしゃっていることの外貨割当に対して二月二十日に……。   (発言する者多し)
  150. 村松久義

    村松委員長 静粛に願います。(「定足数不足だ」と呼ぶ者あり)静粛に願います。定足数はあります。定足数十分。
  151. 中村時雄

    中村(時)委員 今農林大臣外貨割当が以前において千五百万ドルあったとおっしゃる。それが実際期日が切れた。事実九月二十日をもって期日が切れておるものを、今度は正常な立場であったならば当然買えるじゃないかとおっしゃっている。それではなぜ正常な立場に立ってそれを行わなかったのか、これが第一点。  それから通産局の方の第二点は、この畜産局長からの申請の中には申請人が日本トロッター協会広沢春彦になっておる。しかもその種類、性、頭数はトロッター種になっておる。何も当初から申請人が今言ったようなサラブレッドを申請するのだということにはなっていないはずである。ただあなたは馬だとおっしゃるけれども、あなたの方に申請したものにははっきりとトロッターと書いてある。それをそういうようなごまかし方をするものじゃない。いけないものはいけないとしてはっきり認めて、きっちりすべきである。いずれ昼から十分な答弁をしていただきたいと思っておりますが、以上二点だけ関連をもってお答えを願いたいと思う。
  152. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたしますが、私は実は今度のことを知るまでは、ちゃんとそういうふうに、あなたのおっしゃるようになっておったと思ったのであります。そうしたところが事情を聞きまして、どうもはなはだ——そういうことを聞いたので手続をちゃんとしておかなければよくないという気がいたします。
  153. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 これは先ほど畜産局長からの申請とおっしゃいましたが、畜産局長から一応役所間の通牒はいただいております。それからトロッター協会の方からも通産大臣あての副申は出ておりますが、外貨割当申請書の申請者は藤井商店になっておりまして、それには家畜の馬ということで出ておるわけでございます。
  154. 村松久義

    村松委員長 二時再開として、休憩いたします。    午後十二時三十八分休憩      ————◇—————    午後三時十七分開議
  155. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業の基本問題について質疑を継続いたします。中村時雄君。
  156. 中村時雄

    中村(時)委員 午前中の稲富委員から引き続きまして、暫時いろいろ質問してみたいと思います。  まず第一にトロッターについてお尋ねをしてみたいと思います。現在トロッターに関して五カ年計画を作って毎年三十頭を入れていく、そして二年間これを競走させて次に農耕馬に回すこととして、今年度十二万ドル、トロッター協会長の廣澤氏の名をもって、昭和三十年十月十一日申請の結果、これが十万ドルだけは認められたのであります。ところが、午前中において農林大臣は、このトロッターあるいは競馬に対して、これはスポーツであるからと、こういう言辞をはいていらっしゃる。現在アメリカで行われているトロッターはほとんど夜間行われている。しかもこれは非常に八百長が多いために、接近をして見なくちゃならない。そこで自動車を走らしてこれとともに行動しているような状態なのであります。それでさえもいろいろな問題が起っている。しかも今の広いところの競馬場においてトロッターを行うことが果して妥当であるかどうか、これをまず第一点、お聞きしたい。
  157. 河野一郎

    河野国務大臣 中村さんのおっしゃる通りに私も多少そういう点に疑点を持ちますので、当分は新しい馬については投票券の発売はしない方が妥当ではないか、こう考えております。
  158. 中村時雄

    中村(時)委員 これに対する券の発売の問題はあとからいたすといたし・まして、第二点として、あなたはスポーツだとおっしゃる。私は日本競馬というものはほとんどギャンブルではないかと思っている。ということは、今の日本の中央競馬会において、その売り上げ券の二割ないし三割というものは場外馬券でまかなっている。場外馬券でまかなうということは、実際にその場所に行ってそれをながめて、そうして楽しんでそういうふうにやっていくだけの経済的立地がアメリカのようにできていない。だからアメリカにおいてはあるいはスポーツと解せられるかもしれませんが、しかし日本においてはまだ大衆あるいは馬券を購入する人たちは、そこまで十分に行っていないと思う。少くともほとんどがギャンブルとして第一義的に取り上げられている、スポーツとして取り上げられている人たちは第二義的の問題であろう、このように考えられる。河野農林大臣は依然としてこれは純粋にスポーツだけだと思って考えていらっしやるかどうか。あなたのようなお立場であればスポーツと考えられるかもしれない。しかし私はあくまでも第一義的には日本のあり方はギャンブルだと思う。この二点をお尋ねいたしたい。
  159. 河野一郎

    河野国務大臣 そういう方向にいくように指導することが必要だと考えております。
  160. 中村時雄

    中村(時)委員 次に、指導する方向が必要だと思うということは、少くともまだ十分そこまでいっていないことを確認されていらっしゃる。十分いっていないことを確認されておりながらなおかつそういうような行動をとっていらっしゃる。トロッターをやらすのだという考え方を持っていらっしゃる。そういうことができ上った結果において、トロッターならトロッターの問題を取り上げてもおそくはない、私はこのように考えるのですが、どうですか。
  161. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろやり方はあると思いますけれども、なるべくいろいろな馬の種類を見て、そうして観衆にも一般国民にもそういうふうな勉強をしてもらうことが必要だろう、こう思うわけであります。
  162. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言うのは現実のことを言っているのです。現実には今言ったようにトロッターというものは日本にはまだ早い。しかも設備も十分にできていない。あなた自身もそれは認められておる。にもかかわらずなぜこれをトロッターとして認め、トロッターとしてそれを必要としてやらしているか。しかも、それじゃもう一点お尋ねしましょうか。たとえば今度トロッターとして入ってきた馬は、予定されたものは百万円、もう一つは百八十万円、こうなっているわけだが、実際に購入したのはもう少し安かったかと思う。そこで金額が先ほど言った十万ドルの割当のうち二万五千ドルほどが余ってきた。そういうような高いものを購入してきて、設備も何もないのにやらしていくという原因はどこにあるのか、それをお尋ねしたい。
  163. 河野一郎

    河野国務大臣 今お示しになりましたように、競馬場にいたしましても非常に遠いところにございます。これをアメリカもしくは諸外国のようになるべく都市に近接したところに競馬場を開設するということも必要のことだと思うのであります。そういう意味からいたしますと、馬場の小さいところで競馬ができるということが必要な条件になってくるわけでございます。今そういうものはとおっしゃいますけれども、現に関西地区におきましては、トロッターではございませんけれども、これと似たような馬種をもって繋駕をやっておりますが、これも順次改善する必要があるという意味合いからこの処置はとられたということに考えております。
  164. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは次にお導ねしますが、トロッター輸入の実需者は日本トロッター協会です。ところがそれがなぜ日本中央競馬会に肩がわりされたのですか。
  165. 河野一郎

    河野国務大臣 それを輸入して実際その馬主になる人の関係からいたしまして、日本トロッター協会の代行を便宜競馬会がした、こういうことだそうであります。
  166. 中村時雄

    中村(時)委員 私はちょっと意見が違う。またそれはあなた個人がそういうふうにお考えになってこれを認められたのかどうか知りませんが風聞するところによりますと、そのときの係であった井上さんが先般検察庁に呼ばれている。検察庁に呼ばれてどういうことを発言していらっしゃるか、検察庁に行って調べてみてごらんなさい。おそらくあなた方も調べていらっしゃるでしょう。私のうわさに聞いた範囲ではこういうことを言っている。たとえば一応競馬に出すことを目的として輸入し、とあるのです。そうして二年くらいの間に農家に売れば農家としては優良馬を安価に手に入れることができる、こういうことになっているのです。そういたしますと、今言ったように二年ぐらいの間に農家に売ればということは、前提としてトロッターを認めて、それからかなりの金額がそこに売り上げられて、それによって補てんをし、農家に安いものを売っていこう、こういうお考えであろうと私は思う。農林大臣はこういうお考えでないというお考え方を持っているのですか。
  167. 河野一郎

    河野国務大臣 これはちょっと先ほど私が申し上げましたことと同じことだと思うのであります。
  168. 中村時雄

    中村(時)委員 で、私は今のトロッターの問題に関しまして、次に日本トロッター協会の会長の広沢春彦氏から昭和三十年十月の十一日をもって、通商産業大臣石橋湛山氏あてに米国トロッター輸入外貨資金割当申請について、とこうして申請書を出していらっしゃる。続いて十月十一日同じく藤井商店に、このトロッター協会長より、左記のものを注文するにつき、輸入に関する一切の責任を求めたい、こういってトロッター種の三十頭、そのうち牡馬が五頭、牝馬が二十五頭という内訳にして出しておるわけです。その場合に通商局長あてに持ってきて、農林省畜産局長から畜産局第四〇〇三号をもって、本邦農馬改良をはかるために、別紙計画により本会下記団体において一括米国トロッター輸入することとなったので、これが輸入に要する外貨資金割当について何分の御配慮をお願いします。これはあとで大事な問題になるのですが、トロッター種購入についてとして通商局に申請をしていらっしゃる。このことの御確認を畜産局長からお願いしたいと思います。
  169. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お話通りでございます。
  170. 中村時雄

    中村(時)委員 そういたしますと、トロッター協会から出したものを——トロッター協会が実需者としてはっきりしておるのです、にもかかわらず今言ったように中央競馬会が肩がわりした。その中央競馬会の監督権を持っているものは農林大臣である、こういう三段論法なんです。監督権を持っておる農林大臣が自分の指揮下にある中央競馬会を通じて輸入させ、それを私有物にしていくということに対して農林大臣は職権乱用として考えていらっしゃるかどうか、あるいはそれは当然妥当な行為であると考えていらっしゃるか。
  171. 河野一郎

    河野国務大臣 これはトロッター日本競馬会がトロッター協会にかわって輸入した。先ほど来お話がありました通りに、為替に余裕があって、前からのいきさつがあったものをその中に入れた。こういうことを私は午前中私の良心にかんがみてお答えを申し上げました通りに御了承をいただけば、監督官である私が無理に日本競馬会を乱用して、悪用しておるというような意思は毛頭ないのでございまして、便宜そういうふうな処置になった、こういうだけのことではないかと私は考えております。
  172. 中村時雄

    中村(時)委員 このことは結果において判断ができていく。結果においてあなたは実際の監督権を持っていらっしゃる農林大臣、しかも自分の指揮下に中央競馬会というものはある。それを購入してきて自分は淡々として当然のことだと思われる。そう思われるところがあなたの政治良心かどうかをお聞きしたい。
  173. 河野一郎

    河野国務大臣 非常に日本競馬会に迷惑をかけたというようなことであるとか、もしくは日本競馬会に非常に不利益を与えるようなことをしたとかいうようなことでありますれば、監督者として非常にこれはよろしくないことだと私は思います。しかしそれによって日本競馬会が別に迷惑を受けたとか不利益を受けたとかというようなことではないと私は思います。
  174. 中村時雄

    中村(時)委員 ところがあなたの良心はそういうふうに淡々とされるかもしれませんが、時たまたま高橋さんが検察庁へ呼ばれたとうわされておる。その際に聞くところによりますと最後の結論にどういうことを言っていらっしゃるかと言へば、実はこの外貨に対して——その外貨が流れてしまったということは、ちょうど二月の十七日でもってあなたのおっしゃっている一万五千ドルの種馬として使用されるところの外貨の期日が当然切れてしまった。だからここには手持ちはないのです。ないというものがいつの間にかトロッターの名義をかりて、その十万ドルのうちから一万五千ドル、これが安く買えたものだからその余った金を利用して、今言ったあなたの所有されている——午前中あなたははっきり言明された——飼養されておるところのサラブレッド二頭をあなた個人の名義で購入をしてきたわけです。そこで高橋さんはびっくりしまして最後にこういうことを言ったといわれている。「その後サラブレッド三頭が輸入されたことを聞き実は驚いたが、その詳細については知りません」とその係官自身でさえびっくりしているそういう状態なんです。あなた自身は実際にはそういうふうに淡々としている。その政治良心というものは敬服に値いしますが、しかし実際の係官は、こういうべらぼうなことを行うことはけしからぬじゃないかということを言っておる。あなたは実際自分の政治良心に照して、中央競馬会からそういうものを個人名義で取り寄せるということがいいかどうか。おそらくあなたには全然わからなかったんじゃないかと思う。その点をはっきりと言ってもらいたい。
  175. 河野一郎

    河野国務大臣 たまたま係の違う者に検事局で質問があったのでそういうことになったそうであります。私はこれについて先ほどから申しますように、別にそんなに従来の慣行等からいってめんどうな——それは今言う通りごまかして何かをしようと思えばそれはめんどうなことかもしれませんが、ごまかしてやらなければならぬことでもなし、無理にトロッターの名前を使わなければ輸入のできないことでもない、こう考えております。私はトロッター為替の中に入れて処置をしたということを実は知らなかったのであります。知らないでは済まぬかもしれませんが、実際はそういうことでございました。しかも結果から申しましても、それによって非常に不利益を与えたとか非常に莫大な損害を与えた、そういうことになればそれはよろしくないことであります。むろんそれは弁償しなければいけませんし、またそれによって私が非常に利益を得たということでありますれば、これは私もよろしくないと思います。けれども、私も非常に利益を得たというふうにも考えておりません。
  176. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたがそれほどおっしゃるならば一つお尋ねしたい。あなたがそれじゃ競馬馬のサラブレッド二頭を買った理由、経過、そういうことについてお尋ねしたい。
  177. 河野一郎

    河野国務大臣 理由は別にございません。
  178. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたが何もわからないのに、理由もないのにその馬を買うということもおかしい。あなたは少くともアメリカにおいて永田大映社長と会っていらっしゃる。永田さんが東京を出発される前には、農林省の一技官が永田さんのところに注進に行かれて、現在この種馬に対して一万五千ドルが残っておるのだがということの通信をされた、それを聞いて永田さんがアメリカへ行かれまして、あなたとホテルにおいて会われ、その後この金を使って競馬馬を買おうじゃないかという御相談があったと私は聞いておりますが、これに対してどういうふうにあなたは考えていらっしゃるか。
  179. 河野一郎

    河野国務大臣 その通りでございます。
  180. 中村時雄

    中村(時)委員 どなたか知らないが、農林省においてそういう特殊な事情を持った一つの利権的な行為、すなわち一万五千ドルという金額をはっきりここに持っていらっしゃる。持っていらっしゃるにかかわらず、そういうふうな金額をわざわざ何をもってこの永田さんのところへ注進に及び)そして農林大臣のところへ、わざわざそのために大映の永田さんがアメリカまで飛んだかということは少くとも…(河野国務大臣「じょうだんじゃない」と呼ぶ)違うなら違うで御答弁願いたい。少くともそういうことは、自分たち自身がその金を利用して、最初から競馬馬を購入するという意図によってやったんじゃないですか。
  181. 河野一郎

    河野国務大臣 これは中村さんに申し上げますが、永田君が馬を買うためにアメリカへ行かれたわけじゃなかろうと思います。馬を買うためにアメリカまで行くほどの人でもないだろうと思います。また私にしても馬を買わなければならぬ理屈は毛頭ありません。ただ前にお答え申し上げました通り、私はその通りだと申し上げましたが、その本多技官云々ということは、私は後日に聞いたことで、そのときは知りませんでした。たまたま永田君がサンフランシスコですか、私が帰るときに彼はアメリカへ来るというので、いき合いまして、いき合ったときにその話がありましたので、そうかね、そんなことがあるとは僕は思わぬがねと言よたら、いやそうじゃない、確かにこういうことでまだ前期の為替の残りがあるのだ、これで種馬を入れるというような話があるそうだという話を聞きましたので、それならいい種馬でも入れたらという話をしました。それだけのことでございまして、そうやかましく、為替が一万五千ドルあるからそれをもってアメリカへ飛んだ、それで私と会って二人でそういう謀議をした。そんなふうな筋合いの話をするなら私ももう少しく慎重に扱いますが、そんな話じゃないのですから、ことさらにそういうふうにおっしゃらぬでもいいじゃないかと私は思うのです。
  182. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたのおっしゃることを百歩譲って聞くとしましても、ちゃんと出ているのです。たとえば井上さんが言っているのです。ここにやはり検察庁で発表したとうわさされている事柄の中に、「井上がロスアンゼルスに滞在中、河野農林大臣が見えて、水田君が先日サンフランシスコで外貨一万五千ドルの割当を持っているといっていたが、君はその事実を知っていたか。」「承知しておりません。」「二、三日うちにこの地に永田君がくるといっていたが、会って聞いてもらいたいという話があった。その後二、三日して、永田さんが見えたので、そういう事実がありますかと聞いたところ、農林省から渡米前に連絡があって、一万五千ドルの外貨の余りがあるが、使いませんかと、本多という事務官から連絡があったが、念のためにもう一度東京に照会してみるとの話であった。翌日であったと思うが、再度永田さんに会った。たまたま清水貿易の社長も同席したが、きのうの話は間違いない。清水君、一万五千ドルの範囲内で馬が二、三頭買いたいと思う。井上君時間があったらちょっと馬を見てくれないか。」とはっきり答弁したといわれているじゃありませんか。こういうふうにはっきり本人が言ったといわれているにかかわらず、たまたまあなたはそういうふうなことで永田さんはきていないとおっしゃればきていないでけっこうであります。きていないけれどもそのうちの一部分としての要素を持っていたことだけは確かなんです。馬を買うという要素を持っていたことだけは確かなんです。今いったように一万五千ドルがある、それを承知の上で、渡米されたときにその話をしたということは、当然出発の前からその馬を買うという要素を持っておったと私は思う。永田さんがそういう要素を持っておったと思う。それでそのことをさっきから言っているのです。
  183. 河野一郎

    河野国務大臣 それは私もその通りだと思います。私もそういうふうにお答えしております。永田君がそういう話を私にしたのです。(中村(時)委員「あなたは前にはそういっていない」と呼ぶ)いや速記録を調べればわかります。私はその通りだといっております。
  184. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると永田さんのお話の基礎はサラブレッドの競馬馬を買いたい、こういう御意思だと思う。農・林大臣はそういうふうにお受け取りにならなかったでしょうか。
  185. 河野一郎

    河野国務大臣 競馬馬で外国から入って参りますのはみな種馬でございます。
  186. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃその種馬ということになってサラブレッドが入ってくる。そうすると、種馬ということになれば当然競馬という考え方よりも、種馬という考え方の方が重点であるとあなたは考えていらっしゃるのですか。
  187. 河野一郎

    河野国務大臣 外国から入ってくるものは、みな二、うであります。
  188. 中村時雄

    中村(時)委員 ところが事実は、先ほどからお話のあったように、まだトロッター日本に到着していない。ところがサラブレッド三頭だけは、はやすでに到着しておる。しかもその三頭は、はやちゃんと認可をとって、しかも厩舎に入れて、いつでも競走のできるような準備までしておる。これは少くとも種馬というよりも、何とかして大急ぎで競走させたいということが主体じゃないかと私は考えるのですが、どうですか。
  189. 河野一郎

    河野国務大臣 これは別にそう取り立てておっしゃらぬでも、みなそういうように能力を検定して種馬にしておるのが従来の慣行でございます。私は別にそこに不思議はないと思います。先ほどあなたもお話しになりました通りに、今の三頭につきましては、前期の分で入れるという話で手続をしておったのじゃないかと思います。それが前期の分が一万五千ドルあったものが、期日が来て使えなくなったから、後期の分でそれを振りかえた、こういうことでございますから、別にどうもないじゃないかと思っております。
  190. 中村時雄

    中村(時)委員 それはほんとうの良心の問題です。今言ったように、種馬というよりも、最初の話が出たのは、種馬と称する金額はこうあるから、一つ競馬馬を買ってきたらどうでしょうかということなんです。そこで競馬馬を買うということの方が主体であって、種馬というものは従属的は問題だろうというように考えられる。しかし河野さんはあくまでもこれを種馬だ、自分の持ち馬は種馬だとおっしゃるかどうか。
  191. 河野一郎

    河野国務大臣 海外から買って参りますものはみな優秀な血統のものであって、これは日本馬種改良に使うものでありまして、そこに血液が更新して参るということでございますから、私もその通りと思います。ただここで中村さんに申し上げますが、午前中に私が精密さんにお答えいたしました通りに、いろいろの御議論もございますから、今後の取扱いにつきましては、私は私自身の良心に銘じて間違いない、非難の起らぬようにこの処置をするということをここに申し上げて、御了承を得たいと思うのであります。
  192. 中村時雄

    中村(時)委員 次にお尋ねしたいのは、通商局の方におきまして外貨割当の件のいろいろな問題の考え方を承わったのでありますが、通商局の方として当初十万ドルの割当に対しまして、実際の価格というものは幾らであったのか、御発表を願いたいと思います。
  193. 板垣修

    ○板垣政府委員 当初の予定は、雌が三千ドル、雄が五千ドルということになっております。
  194. 中村時雄

    中村(時)委員 総計幾らになりますか。
  195. 板垣修

    ○板垣政府委員 総計十万ドルでございます。
  196. 中村時雄

    中村(時)委員 十万ドル全部トロッターを買ってしまったのですか。ごまかさずにはっきりしてもらいたい。
  197. 板垣修

    ○板垣政府委員 ただいま申し上げましたのは、当初の予定の額でございまして、実際幾らの額で買えるかは、コマーシャル・ベースですから、わからないわけででございます。
  198. 中村時雄

    中村(時)委員 わからないなんて、おかしいじゃないですか。もはや購入してしまった。当初はきちっとできておる割当が十万ドルであった。十万ドルのトロッターを買えなくて、実際にはサラブレッドを三頭買っておる。ですからサラブレッドを三頭幾らで買ってきたのか。トロッターが幾らになるかわからないというのは、どうわけですか。
  199. 板垣修

    ○板垣政府委員 ただいまの外貨割当方針は、大体の予定価格によって割当をいたしますが、その中におきまして商社の取引、買付能力その他によりまして、もし安く買い付けられた場合には、その分量だけ買ってもよいことになっております。石油などもそうであります。価格は最後まで固定はしないわけであります。
  200. 中村時雄

    中村(時)委員 それはおかしいじゃないですか。十万ドル割当をしてトロッター種を買ってくるのです。ところがはっきりわかっておらないにかかわらず、先ほど言いましたように河野さん自身が、はやすでに金額を使って買ってきている。それがわからぬで、一体どうやって行政の外貨割当ができるのですか。そんなばかげた話があるものじゃない。
  201. 板垣修

    ○板垣政府委員 当初は雌が三千ドル、雄が五千ドルということでありましたが、後になりましてシフで二千五百ドル内外で買えるという見込みが立ったわけでございます。従って外貨に余裕ができたということになるわけであります。
  202. 中村時雄

    中村(時)委員 そんなべらぼうな話ってあるものじゃない。現実に一万五千ドルという金額を浮かすために、ここに金が余ったからそれを転用したのだと午前中に言うているじゃないですか。そうするとその金額というものは一体どこから生み出したのですか。余っていないということになる。わからないという結果になる。わかりもせぬのに、そういうような馬を購入することができますか。サラブレッドのような三頭の馬を購入することができますか。余っているからこそ、このサラブレッド三頭の購入ができたのじゃないですか。ところがトロッター自身の今言った三十頭に対して、その金額がはっきりわかってないにかかわらずそういう違法の行為ができますか。
  203. 板垣修

    ○板垣政府委員 最初の予定価格、雌三千ドル、雄五千ドルということで三十頭買うことになっておりましたが、ただいま申し上げましたように、シフで幾分安く、二千五百ドル内外で買えることになりましたので、その三十頭分の残りが余裕が生じたということになるわけであります。
  204. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは一頭一頭幾らぐらいになって、幾らぐらい余ったかということをお知らせ願います。
  205. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 午前中も申し上げたのでございますが、当初は一応大体雄が五千ドル、雌が三千ドルということで、五対二十五というような割合にすると十万ドルになるということで外貨割当はいたしましたが、しかし実際問題といたしまして、その後、先ほど申し上げましたように、牝牡の関係が変っても差しつかえないのだという御認定——農馬改良の上に差しつかえないという農林省の方の御了解も得た上で、この買付に行きました商社が三十頭はとにかく約束通り買った。さらにその買ったというのは、平均いたしまして大体二千五百ドルということで三十頭にしますと、七万五千ドルになるわけでございますが、最終的には、まだこの馬も到着いたしておりませんので、果して幾らで買ったかということにつきましては、われわれはわかりませんが、少くともある程度の差額が生じた。その差額について馬を買ってきた、こういうことでございます。
  206. 中村時雄

    中村(時)委員 そんなずさんな計算の頭をしておるから生きた馬を輸入してみたりするのです。少くともあなた方の責任者が、それだけの外貨がはっきりした結果まだ三頭輸入したというなら話がわかる。その結果さえはっきりしないのに、そういうべらぼうな行為を行うことが不思議なんです。これはあなた方自身も幾らで入ったかということを大いに研究してもらいたい。少くとも七万五千ドルじゃない、六万台で入っているのです。そういう点をあなた方自身が研究していないというのはおかしい。  河野農林大臣にお尋ねしたい。一体河野農林大臣は、あなたの所有のサラブレッドを幾らでお買いになったのですか。
  207. 河野一郎

    河野国務大臣 これは友人に私は依頼をして輸入をいたしたのでございまして、その金額の清算はまだいたしておりません。
  208. 中村時雄

    中村(時)委員 これは大へんな問題なんですよ。たとえばこういうことをやりまして、幾らで買ったかということになると、税金の問題にもかかってくる。少くとも税金の問題にひっかかってくるわけなんです。しかも早くも競馬の方に出すようにすれば、少くともこの関税の方は生産に使うというような意味において無税にしているのです。普通であれば、当然これは動物輸入として二割かかってくるのです。それを二割かけぬで無税にしているところに、あなた方の政治的良心を考えたい。実際にあなたは金がたくさんあるでしょう。あるから幾ら高く売りつけられたって買えるんでしょうが、大体ものの考え方としては、サラブレッド一頭その当時幾らくらいかの御見当はつくと思う。そこであなた幾らくらいなら御購入なさる予定を立っていらっしゃったか。
  209. 河野一郎

    河野国務大臣 大体三千ドルから五千ドルくらいと考えております。
  210. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、トロッターで買われる金額と、ものすごい開きになってしまう。そこで、これは畜産局長に聞きたい。トロッターで買われた金額とそれだけの相違があるわけなんです。そうするとあなた方自身は当然申請はされなかったけれども、将来トロッターをより購入したいという五カ年計画まで考えていらっしゃって、なぜそういうような金額をそっちへ回してほんとうの畜産行政をなさらぬのか、それをお聞きしたい。
  211. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 競馬会の方からのお話は、大体一頭平均五千ドルくらい、一万五千ドルというものを流用したい、こういう話であったのでありますが、その清算は先ほど大臣お話がありましたように、まだはっきりできておりません。従来、たとえば三十年度上期にフランスから入れたのは六千ドル、これはブルトンです。その他の地方から、午前中に話がありましたサラブレッド雄二、雌二、ブルトン雄七、これを入れたのが、全体で十八頭で十二万ドルになっておるのであります。大体そういう見当であります。
  212. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで一点お尋ねしたいのは、畜産局長は、この河野農林大臣個人の所有していらっしゃるところのサラブレッドに対して、先ほどから言った経過を見て、一応競走馬考えられるかどうか。
  213. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは午前中からお話がありましたように、あくまでも種馬として……(「女の種馬があるか、ばかなことを言うな」と呼び、その他発言する者多し)
  214. 村松久義

    村松委員長 御静粛に願います。
  215. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 トロッターも同じでありますが、能力検定のために一定期間競走出しまして、その後に種に使う、こういうことになっております。
  216. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは畜産局長ですから、畜産行政には非常に詳しいと思うのですが、種馬という限界はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  217. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは午前中からいろいろ大臣からお話がありましたように、馬の近親繁殖による能力低下を防ぐためには、雄だけでなしに雌も相当入れなければいけないのであります。(笑声)笑いごとではないのであります。実績を申し上げます。サラブレッドの二十七年からの輸入で種として入れましたのが、二十七年には雌が十七、雄が五、二十八年に雌三十、雄が四、二十九年に雌二十二、雄一、三十年に雌八、雄六。トロッターでは種として入れましたのが、二十七年、雄雌各二頭、二十八年には雄四頭入れております。二十九年には、ただいまのような方式で一定の期間使ってから種に回すために三十五頭入れております。これは雌であります。
  218. 中村時雄

    中村(時)委員 新たに種という言葉が出てきたけれども、大体種というのは男だと思うんですよ。女の方は腹なんですよ。大体常識考えてごらんなさい。今まで使ってる用語の中でも、種馬といえば雄なんです。これが普通の常識語です。あなたはそうでないとおっしゃるのですか。
  219. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 種牝、種牡と言っております。これを種と言ったのは、あるいは言い方が間違っておるかもしれませんが、種牝馬あるいは種牡馬、種牝、種牡両方あるのであります。
  220. 川俣清音

    ○川俣委員 農林省で普通使ってる用語以外のものを使ってあえて弁解されるということは、今後非常な誤解を招くと思う。あなたの方は種馬というものに一つの規格を設けておる。種牝馬とかいうことで規格を設けておりません。種馬というのは雄を言う。いわゆる種牝馬の場合は種馬よりも規格を落すという言葉は使っておりますが、種馬と称するのは農林省では種牡馬のことを言うんです。それを畜産局長——あなた方通牒を出すときに、種馬というものは種牝馬も入るということになったら重大なことです。今までの通牒を全部ごらんなさい。種馬というものは今まであなた方農林省で、公定に使われておるのは、種牡馬のことを種馬と言っておられる。通牒とこの答弁を変えられると、たいへんなことになりますよ。あらためて御答弁願いたい。
  221. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 繁殖用に使うものを種牝、種牡、こう言っておるのであります。従いまして、種と申しましたのは通称語と御理解願います。繁殖用のものには種牝と種牡馬とあるのであります。
  222. 川俣清音

    ○川俣委員 今まで出されておる通牒その他の種馬というのは、牝馬も入ってるんですか。今までの通牒によりますと、全部種馬というのは種牡馬をさしておることは明らかじゃありませんか。あなた方規格を出しておられるでしょう。規格には種牡馬という規格は出しておりません。種馬というとで規格を出しておられる。すべて検定の基準になってるのは種馬幾ら、種牝馬幾ら、こうなってる。種馬というものは種牡馬のことをさしている。従来の通牒を全部変えられる意思があるのかどうか。
  223. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私は両方とも含まれると思いますが、これは高橋技官——専門家が来ておりますから……。
  224. 川俣清音

    ○川俣委員 通牒のことを聞いておる。
  225. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 通牒の方には両方入っておると解しております。なお専門的に説明をした方が誤解を解くと思いますから……。
  226. 川俣清音

    ○川俣委員 私がお尋ねしておるのは、今まで農林省は種牡馬をさして種馬といって通牒を出しておられるのではないかと聞いておる。種牝馬の場合はあらためて規格を変えられておる、その場合は種牝馬とわざわざ銘打っておるはずです。種馬に対するいろいろな、あなた方の規定があるでしょう、その中には種牝馬は入っておりません。そういうふうに馬種によって変えられるというと、今後、あなた方が告示しておるものまで全部変えなければならないという問題が起るから、あらためてここで御答弁を伺っておる、答弁のがれをしてはいけません。
  227. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私が種馬というときには両方入っております。現に種馬牧場の場合には、雄と雌がおるのであります。種馬といった場合に種牡馬だけを言っておる、こういうふうには必ずしも言えないと思います。
  228. 川俣清音

    ○川俣委員 この間の通牒を見てごらんなさい。種馬の規格を出しておる。種牝馬は何割減とするということで減ぜられておる。種馬というものの規格は種牡馬の規格になっておる。種牝馬は別の表現を使っておられる。種馬の奨励の場合は種牡馬になっておる。すべての通牒や補助や何かの規定は全部そうです。馬ばかりじゃない。牛でもそうです。それを雌も入っておる、雄も入っておるというのでは、今後農林省の告示でも補助でもでたらめなことができますよ、そこで私はお尋ねしている。すべてのものを変更しなければならないことを覚悟で御答弁になっておるかどうか。
  229. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは今までの使い方を説明しておるのでありまして、稻富委員のお持ちになっております昭和二十八年に出した戦後の新しい馬の改良及び生産方針の中に種馬という項目があります。その中の表の説明に備考(一)として、「この表に掲げた数値は種牡馬のものである。種牝馬については、体高において約三糎、体重において約三〇瓩小さい数値とする。」ということがあるのでありまして、種馬のときには種牡馬も種牝馬も両方含まれておる、こういうふうになっております。
  230. 川俣清音

    ○川俣委員 その場合には種牡馬とは出ていません、種馬と言っておる。ただし種牝馬の場合はこの限りじゃないという注釈を加えている。それは明らかです。よく読んで下さい。種牡馬とは出ていませんよ。種牝馬の場合はこの限りではないということが付則になっておるはずです。
  231. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 今申し上げましたのは、種馬の中には種牡馬と種牝馬があるということの例証をあげたのであります。農林省では、種馬の場合にはそういう二つの意味があるということを申し上げたのであります。
  232. 中村時雄

    中村(時)委員 次に通産省にお尋ねしたいのですが、先ほどの話ですでにおわかりになったと思うのです。そこで非常に重要な問題ですから、よくお考えになって答弁願いたい。  あなた方は先ほどの話からもはっきりしたと思うが、実需者たるトロッター協会に今言ったトロッターを売らずして、中央競馬会にこれを売ったということになりますが、これは、あなた方は違法と思われるか、あるいは妥当と思われるかどうか。
  233. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 これはけさほども申し上げたのでありますが、違法ではございません。
  234. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは貿易の為替管理というものは、どういうふうな主体的な見解をとっていらっしゃるのですか。
  235. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 これは本来から申しますならば、元来がトロッターを買うということで出たものでありますから、トロッターを買うというのが普通でございます。ただそのときに先ほどから再々申し上げておりますように、われわれといたしましては従来の慣習に従いまして、一応外貨割当には馬ということで、それ以上の特別条件というものを付さないで従来やってきたわけでございます。そこで馬の方も、主務官庁である農林省の方で馬としてもらった外貨予算、その背後には直接の動機はトロッターを買うということがあるわけでございますが、そのトロッターを買ったほかに金が残ったということでありますれば、それはもちろん正確に事務的に処理するということでありますと、トロッターの予算はこれだけ余った、そこでそれ以外の馬を買いたいからということであらためにその申請が出されるというのが、これが普通の形だと思います。しかしもちろんこの場合にも、農林省の方でそういう馬を買うということが日本の馬匹改良のために必要なんだ、こういうふうにかりにお認めになるということでありましたならば、予算の範囲内でもございますので、そういう内容をさらに変更する、あるいは追加するといったことについてお話があり、あるいは業者から正式の手続がとられるということであれば、通産省としては当然外貨の使用というものは認めて参ったはずだ、こう考えております。
  236. 村松久義

    村松委員長 中村君に申し上げますが、この問題は午前中と重複するおそれがありますから、どうぞ御注意の上に御質疑を願います。
  237. 中村時雄

    中村(時)委員 語るに足らずで、あなた自身の良心はそこから出てくると思う。少くともあなたが外貨を割り当てたときには、先ほど言ったように、畜産局長からの通知によって、あるいはトロッター協会によってこれはすでにトロッターに使用する金額であるということをはっきり腹の中では知っておられた。知っておりながら、たまたまこれが問題になって馬で輸入をされたから、馬なら馬でよろしいじゃないかという幅を広げた解釈をされておる。そうしますと、あなた方がそのことを知っておりながらその悪い行為を認めたことになる。そうするとあなた自身は完全な詐欺行為をやっておることと同じではありませんか。自分自身トロッターで入ってくるということを知っておる。知らなければ別ですよ。馬なら馬として当初からそういう見解を持っておれば別です。ところが割り当てる以前に当然トロッターが入ってくるという確信を持って割り当てられておる。ところが結果においては馬という名目になった。そこでそれと結びつけておるだけだ。腹の中ではトロッターを入れるということを知っておりながら馬としてごまかそうとするのは完全なる詐欺ではありませんか。
  238. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 先ほど申し上げたのでありますが、法的に申しますと、これは法的な拘束力というような点から、あるいは事務的にどの程度までわれわれが規制できるかということでございますが、従来の慣習に従いまして馬あるいは牛というときには、それ以上の規制というものは別に外貨割当につけておらないのでございます。たまたまこういう問題が起りましたので、今後の割当につきましては、特に馬の品種とか、あるいは馬の規格といったものがございまして、それをつけるということならつけるということで今後やっていきたいと思っておりますが、今までは従来の慣習に従いまして税関のコール番号に合せた馬ということだけでありまして、それに特別な条件をつけていなかった、そこでわれわれの事務の方から申しました場合に、その範囲内で馬が入ってきたということは、これは事務的にはわれわれの方はやむを得なかったもの、こういうふうに考えます。
  239. 中村時雄

    中村(時)委員 たとえば法的にやむを得ないとおっしゃったあなたの言葉の裏は、当然最初トロッターを入れるという確認の上に立って、この外貨割当をしたのです。ところが実際に現われてくる品目は、一般的に馬になっているから馬としているだけです。あなたのほんとうの腹の中ではトロッターを入れてくるという考え方を持っていたと思う。ところが、その結果において入ってきたものは、今言ったようにほかのサラブレッドだった。そこの食い違いが起った。そこで形式上の問題は馬でもいいことになっている。そこで私の言っているのは、あなたの言っている違法の問題じゃなくて、ほんとうの良心に訴えて、道徳的にあなたはこれを正しいと思うかどうかということを言っている。あなたはこれがほんとうに自分自身が何にも知らずに、馬であると解釈しているのか、あるいは先ほど忠告があったように、あなた自身はトロッターであるということを知っておった結果においてやっておるのか、その点を聞きたい。
  240. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 これはもちろん、先ほどから再々申し上げておるように、外貨割当をいたしましたときに、通産省といたしましては、トロッターが三十頭入ってくるという了解のもとで割り当てたのでございます。本件につきましては、私どもの方が事務的の連絡といったようなものを農林省からいただいておらなかったということだけは、これは非常にわれわれの方でも遺憾に思うのでございますが、もしそのときに、農林省の方から事務的な御連絡をいただいておったということであれば、当然あらためて申請書を出さして、その上でこれを認めた、こういうふうに思っております。
  241. 中村時雄

    中村(時)委員 今のではっきりしたでしょう。今言ったようにトロッターときめて入ってくると思ったものが実際は入らなかった。入らないなれば、当然それに対する申請をされて、そうして入ってくるなれば、私たちは何も申しません。ところが実際にあなたはそれの申請をされましたか。あなたに聞くのは無理かもしれません。当然それはトロッター協会との関連になるが、あなた自身はどういうふうに考えておりますか。
  242. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 その点に関しましては、トロッター並びにサラを輸入したいという方から農林省には相談があったのであります。これは先ほどから通商局の方でお話がありますように、またけさほどからお話がありますように、上期のものの話の続きという考え方から、それはいいだろう、こういうことになったのであります。
  243. 中村時雄

    中村(時)委員 上期の続きというけれども、上期の方は二月二十七日で打ち切られておるのです。だから、あらためてやろうと思えばそれは一その決定事項がきまっておる。その期日は過ぎたのです。期日が過ぎたということは済んでおるのです。済んだなれば、あらためて新しくやり直すべきなのです。そのことにひっかけてやっていくところに問題が起っておるのです。そのひっかけ方が、現役の農林大臣が、自分の膝下にあるところの中央競馬会を通じて行われるというところに問題がある。私があなたのお立場なれば、当然あらためて申請を仕直してもらって、そうして外貨をきちっと受けて、種馬なら種馬としてやってこそ妥当だと思う。それを継続されていくということになれば——それは見解の相違になると言うかもしれませんが、私はならないと思います。
  244. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほど申し上げましたように、上期のものは九月二十日で切れたわけです。トロッターは十月に申請をしておるのであります。その間経過いたしまして、外貨の一万五千ドルが切れた、切れたということで大騒ぎをやっておるのであります。そこでトロッターをだんだん買っていくうちに、予定よりも安く買えたということがはっきりしましたので、それに振りかえることを、競馬会の方に農林省として口頭をもって了解を与えたのでございます。
  245. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは行政方式と自分の感情をごちゃまぜにしたら困る。行政方式としては、今言ったように期日が切れたものは切れたんです。それを上半期の継続であるということは、あなた自身の主観の問題なんです。少くとも一応行政処分としては二月二十七日をもって切れているのです。切れている以上は、あらためて申請の仕直しをしなくちゃならぬ。それをあなたは、継続をしているというところの限界は、どこにとっておるのですか。
  246. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほど通商局の次長からお話がありましたように、許可の指令が馬であるということでありますので——従来そういう場合にも例があるのであります。金額の範囲であるし、従来から話しのあったものでありますので、私の方としては申請者の方に、それはよかろうという口頭の指示を与えたのであります。
  247. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは馬ということを大きく取り上げましたが、それじゃお尋ねしますけれども、馬という大きなワクのみで割当をするんだったら、通商局のこの外貨割当の基準に示されている、競走馬には外貨を割り当てないことにしているこの事項は、一体どうして識別するわけですか。
  248. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 今回のトロッターにしましてもサラにしましても、先ほどから議論がありますように、私の方としては、一定期間能力検定等に使ってから種に使うということで、この点は最初から種牝牡馬ということで通商局と相談をしてきめておるのでありまして、追加の分も同じことに扱う予定で了解を与えたのであります。
  249. 神田大作

    ○神田(大)委員 関連して……。
  250. 村松久義

    村松委員長 関連の範囲を離れないように願いまして、一問だけ。神田君。
  251. 神田大作

    ○神田(大)委員 今法的に違反でないと言っておりますけれども、あなたたち種馬だから買ってもいいんだと言いますが、なぜ種馬競馬に登録するのか。これは競走用の馬に違いない。競走用の馬として世界に有名なもので、それにしか使わない馬を買ってきて、それを種馬だという詭弁を使っている。断じて許せない。(発言する者多し)率直に国民にわびる……(発言する者多し)そういうこじつけを言っておるのははなはだけしからぬと思う。その点、はっきりと言って下さい。
  252. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいま中村委員にお答えいたしましたように、割当基準の中には競走馬は許されないということになっておりますが、競走専門で入れることは許さない。競走に五年も七年も使えるだけ使いまして種にするのもあります。しかし、これは、能力検定をやる場合にトロッターでは二年ということにして、そうして種とするということに認定をして、通商局と相談をしてきめておるのであります。
  253. 中村時雄

    中村(時)委員 これは非常に大きな問題になってきた。競走馬ということは、現役の、今府中に入っておる河野さんの持ち馬であるサラブレッドを二年なり五年なり使ってやっていく、そうすると主体競走の範囲になる。そういうことの名目であったからこそ競走馬という言葉をわざわざ使っておる。そうすると、競走馬の中には、今言ったように、牡だって牝だっていいんです、あなたの解釈からいけば——私は変な解釈だと思うのですが、そうしてそれを競走馬としたことは、当然種馬になるということなんです。どっちに主体があるかということなんです。あなたのおっしゃるのはそうだろうと思う。そこで競走馬ということになって、競走馬という言葉がここに入ってきたのだけれども、それに対してあなたはどういうふうに考えるか。
  254. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは専門で、御承知だと思いますが、種として使うのには、あまり走らせ過ぎると能力が落ちるのは当然でありまして、私どもの方は能力検定の必要の限度というものを一応二年ということできめておるのであります。それが済みましたら種に使う、種に主点を置くということで通商局と話をきめておる。種馬ということで入れたのであります。
  255. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ一つお尋ね、します。一体種馬競走馬の限界はどこにとっておるのですか。
  256. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは競走を主目的にするということであります。御質問のありますように、どちらに重点を置くかということになりますと、われわれの方ではやかましく、トロッター輸入する際には二年を走らしてみるということを固く条件にしておるのであります。
  257. 中村時雄

    中村(時)委員 競走馬には外貨割当をしないといっている。それでは、一体この種馬をなぜ競走馬に出すのですか。それだったら、最初から馬としておけばいい、何も競走馬としなくてもいいのです。
  258. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは、一般的  に馬としておったならば、競走を主にする馬の輸入申請が非常に多くなりまして、日本の馬のブリーダー等に対する影響もありますので、一般的に競走馬を入れるつもりはないのであります。いい血を入れるという趣旨から、一定の期間能力検定に使った後種に使う、そのものだけに限定したのであります。
  259. 中村時雄

    中村(時)委員 それだったら、何も競走馬としなくて馬としてもよろしいし、種馬競走馬としてもいいのです。これには競走馬と書いてある。しかも外貨割当の場合には、馬という大きな課題でやっている。しかも理論的には小さく縮めて、競走馬はいけないとなっておる。競走馬はいけないならば、競走をさすということを限界としなければならぬ。それを認めた上で競走馬と書いてあるのですか。
  260. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 一定の期間競走をやらして、能力検定をするということを条件にして種馬を認めております。
  261. 中村時雄

    中村(時)委員 そういう一定の条件ができれば、何でも認められるのですか。たとえば競走もさせる。——私はこれが主体だと思う。損をして馬を買ってきやしません。これは競走によってもうけようという下心であって、競走ということが中心だと私は思うけれども、しかし片一方で種馬だとおっしゃるので、それなら種馬が中心であったら、競走はさしてもよろしいと解釈していいのですか。たとえば、あなたは種馬購入してこられた、しかも法的には競走馬輸入しないとなっておる。ところがこの種馬には、理由をつけて競走さしたらいいじゃないかという。そうしますと、片一方では法的にこれをとどめておいて、しかもその違法行為を認めた結果やらしておるのかどうかということをお聞したい。
  262. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは、競走をやらす目的能力検定の範囲に限っておるのであります。そしてその期間を二年ということで、あとは種に使うというように、種の範囲をそういうように限定したのであります。
  263. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、競走馬の中に、法的にその解釈をちゃんと織り込んできているのですか。
  264. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 輸入公表の条項の意味でありますれば、輸入公表の中の競走馬の解釈を農林省、通産省で統一してそういうようにしたのであります。
  265. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連してお聞きしたい。問題は、家畜に対する外貨割当会議の基準なるものに問題がある。これは単に通商局だけで作ったのじゃなく、通商局と畜産局が合議して基準なるものを作ったわけですね。その基準の要綱なるものは、畜産局においても御存じでしょう。何のためにこの基準を作ったのか。この基準によって家畜外貨割当を詮議して、それによって承認、不承認をきめるわけでしょう。これにははっきり基準が示されておるじゃないですか。この基準からはずれるものを、いかにも基準に当てはまるかのごとくこれを合法化してやっておるというところに問題がある。その点を一つお聞きしたい。
  266. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 輸入公表はすべて通商局と相談をしてやっておりますが、その中に競走馬を除くということになっておるのであります。あるいはもう少し厳密に書いておけばよかったということが言えるかもしれませんけれども、種牡、種牝に使うということを認める場合には、それを能力検定をするために一定の期間競走とかその他に使うということは当然許される、こういうふうに考えております。
  267. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の尋ねておるのは、この基準なるものをいかに当局が忠実に履行したかしないかということです。今局長の言ったようなことを聞いたのじゃない。たとえばこの中にはこの割当会議の構成、これは通商局の予算課、農水産課が入っておりますし、農林省の方からは、農林経済局の経済課と畜産局の畜政課か畜産課がこの会議の構成メンバーになっておる。だから通産当局においても、農林省との間において、意思の疎通が欠けておったという答弁成り立たない。この家畜外貨割当に関する限り、この会議において基準に基いて審査したわけですから、知らなかったということはない。それで申請人の資格等もここに明らかになっておる。家畜購入申請者は、一つは公共団体及び学術研究団体、その二は家畜の実需要者ということになっておるわけでありますが、その場合においても実需者というのは、農業協同組合または連合会、牧場経営者ということにやはり限定されておるわけであります。こういうふうな明確な基準というものを持っておりながら、しかも農耕馬改良に資するという目的のためのトロッター輸入するのに便乗して、どこからも申請のないところの競走馬を三頭購入するというその審査をこの会議においてやったかやらぬかという点に対して、お尋ねしたいと思います。
  268. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これはこの会議で審査した結果、そういう一定期間能力検定のために競走に出す種牝、種牡馬は、競走馬と取り扱わないということをきめたのであります。
  269. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃなくて、輸入申請がもし出た場合に、これを許可するかしないかということをきめるのは、この協議会の役割だ。もうアメリカで買って日本の国内に来たものを、それをどうするかということを詮議する機関じゃないでしょう。輸入申請があった場合に許可、不許可を決定する場合のこれが一番重大な基準になる、そうでしょう、どうなんですか、通商局は。
  270. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 十万ドルの外貨割当を実施いたします際には、当然この基準に照らしまして、そうしていわゆる一般競走馬は入れない、これは競走馬でないものを入れるということで十万ドルを割り当てたと思います。
  271. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点はわかります。トロッターの三十頭の申請に対しては、わが国の農耕馬改良のために、この基準でそれは認められるのです。しかしそれ以外の目的競走馬を三頭入れるという場合にも、やはり申請があった場合においては、これはこの協議会において審査しなければならぬ。それをしないで、たとい三頭であってもみだりに競走馬を買い付けるということは、絶対できないわけであります。もしそれが行われたとすれば、これはやはり為替管理令違反になるか、あるいは行政上の不正あるいは非違行為であるということを当然指摘できる、そうじゃないでしょうか。
  272. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 割当会議審査基準の別表の中に、家畜改良増殖に供用するために輸入を許可する家畜種類、こういうのがありまして、その中に馬としてサラブレット種、アメリカン・トロッター種、アングロ・アラブ種、アングロ・ノルマン種、ブルトン種、ペルシュロン種、こういうものをあげておるのであります。従いまして私の方で外貨が余った場合にサラブレッドを入れようというときには、この条項を適用しまして、農林省の方で口頭で了解を与えたのであります。
  273. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないのですよ。外貨が余ったら何を買ってもいいということじゃないのです。輸入申請が出た場合において、これを厳密に審査するのがこの審議会の目的でしょう。そのための基準でしょう。ですから農耕馬改良用のトロッターの三十頭の申請に対しては、これは適正であると認めて承認を与えておるわけなんだ。そのほかに三頭の競走馬申請が当然出てきておるはずなんだ。その場合の審査というものを審議会において、果してこの基準に照らしてくられたかどうかということを聞いておるのですよ。
  274. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは十万ドルをきめる際にそういう問題が出ておりますので、別表の家畜改良増殖に供用するためにできるだけ私の方では外貨の事情が許す限り許したいというかねての希望を持っておるわけでありまして、幸いに余ったからこれを入れよう、こういうふうに考えたのであります。
  275. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないですよ。トロッター輸入外貨申請トロッター協会の会長から出ているでしょう。それに対して畜産局長名をもって昭和三十年の十月二十日に通商局長あてに、本邦の農馬改良をはかるために、別紙計画によって今回下記団体において一括米国トロッター輸入することになったが、この輸入に要する外貨資金割当について何分の御配慮を願いたい、ということで、その目的とするものは明確になっているじゃないですか。農耕馬改良に資するため三十頭のトロッター種なるものを輸入することに申請が出ているからして、畜産当局においてもこれは今後の家畜改良計画の上に沿って妥当であると思うから、この分に対しては外貨割当をされたいということをあんたは言っているのでしょう。去年の十月二十日だからあんたはもう畜産局長になっておった。これ以外に競走馬輸入等に対して善処せられたいということは、何もそういう意思表示をしておらぬじゃないですか。これに限っているじゃないですか。だから当然この審議会においてもこの分だけが審査の対象になったという以外にないじゃないですか。これにあわせてそのとき競走馬輸入申請に対しても協議したのですか。
  276. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これはけさほどから話がありますように、上期において一万五千ドルを使ってサラブレッドを入れたいというお話があったわけです。そのための金をどうしようかということで、先ほど来話がありますように、農林省の事務当局では苦労しておったわけであります。ところがそれが九月二十日で期限が切れる、使えなくなって、さあどうしようかということになっているときにこのトロッターの買いが進みまして、幸いにそこに金が余るということになりましたので、サラの方もその余裕金から使おうという口頭の了解を与えたのであります。
  277. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると通商局の次長の答弁と全く違うじゃないですか。通商局においてはこれはトロッター種輸入するということで認めたので、それ以外の輸入馬をこれに包括しているということは全然夢にも考えておらなかったということを、繰り返し繰り返し言っているじゃないですか。もし今畜産局長が言われたような問題がこの許可、をする場合において取り上げられておったとするならば別でありますが、しかし通商局はそういうことはないということを言っている。あんたの方はその相談をしたと言っているが、これは全く食い違っているじゃないですか。どうですか。これは通産、農林両当局で作っている審議会です。どちらからも出席しているのです。その審議会の構成員の中において答弁の食い違い、しかも本質的に重大な食い違いがあるということは、われわれは了承することができないわけです。どちらが正しいのですか。
  278. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 私から申し上げますが、先ほど申し上げましたように、当物十万ドル割り当てましたときには、これはトロッターということで割り当てた、これはその通りでございます。ところが金が余った。われわれの方といたしましてはたまたま馬という以外に特別条件というものは何もつけておらなかったということのために、従来外貨割当をもらった人間は、事務的に申しますと外貨割当の範囲内で——最も正確にいえばこれは数量まで規定して割り当てるというのがほんとうかもしれませんが、これは買付の条件いかんによりまして値段も違いますので、現在の外貨割当は大よその数字を見当にいたしまして金額を割り当てるということをいたしております。そこで割当をもらった人間が、特別にトロッターに限るという条件もないというのであれば、国内で注文者があった、そこで範囲内で買えるという場合に、農林省の方でもそれを適当とお認めになったというのであるなら、それはその馬を買って持ってくるということは事実上あり得る。先ほども申し上げましたが、そのときにわれわれの方に当然そのお話があって、こういうふうにやるのだということであれば、もちろんその通りやったと思いますが、これはかりになかったというにいたしましても、馬として割り当てるという通産省の割当の方から申しました場合に、その割当を受けた人間がその予算の範囲内で持ってくるということは、全然事務的には手落ちがなかったということで、欲を申しますと、これは一言声でもかけていただくということをやっていただけば、今度のようなこういう問題は起らなかったと思いますが、事務的に見ました場合には、結果的にも決して何ら手落ちはない、通産、農林ともに適法の行為ということだろうと考えております。
  279. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の質問はただ一点だけなんです。問題は、トロッター輸入申請が出た場合において、この家畜外貨割当の審議会においてどういうような経緯を経て決定をされたか。その場合においてはおそらく、今次長が明確に言われたように、この外貨が余った場合においてはそれ以外の目的を持った用途の馬を買い付けてきても差しつかえないというような、そういう付随したような協議というものは全然行われなかったということは、今のあんたの御答弁によってこれは明らかになっているわけです。ところが畜産局長に言わせれば、これは前からのつながりもあるから、もし余った場合においては競走馬を買ってきても差しつかえがないということになったというのであれば、これは大きな食い違いがあるわけです。私は午前中からの通産当局の答弁の方がむしろ正直だと考えている。畜産局長答弁によってどっちが真実であるか不明確になってきたわけです。畜産局長農林大臣をかばうためにやるのならわかるけれども……。
  280. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 言い回し方が多少違うので誤解を生じているのじゃないかと思いますが、全然食い違っていないのであります。割当審議会でいろいろな問題が議論されるのであります。そこで私の方では種としてサラを入れたいということをかねがね思っておったのであります。その際にこういう余裕ができましたのでそれを使ってよろしい、こういうことを言っただけでありまして、ただいま通商局次長がおっしゃられたのと同じ趣旨であります。
  281. 芳賀貢

    ○芳賀委員 同じじゃないですよ。通商局はそういうことを言っていないのですよ。一言何か連絡してくれればよかったがということを言っている。あんたはどこへ連絡したのですか。
  282. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 通商局次長お話も、あれば当然許可したであろう、こういうふうにおっしゃられておるように思います。ただ私の方では馬という品目で種に使う、こういうことはしばしば行われておりますので、独断で輸入業者の方に口頭許可を与えた、こういうのであります。同じことであります。
  283. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは主管当局としても行政上の責任問題になるから、私は事務当局に聞いておるわけなのです。農林大臣の行い、これはあるいは政治的あるいは行政上の責任は当然追及されると思うけれども、しかし事務当局がこういうような正しくない方針を決定し行うということに、私はあくまでも問題があると思う。たとえば申請人の資格にしても、これは厳密な資格条件が具備されているのでしょう。公共団体であるとかあるいは協同組合または連合会、牧場を経営する者に限定されているわけです。これは種牡馬を入れる場合においてもです。農林大臣は、これは河野一郎個人の資格で、——牝馬だといって強弁されるかもしれぬけれども、これは適格条件には入ってないでしょう、河野一郎個人は。どうですかこの点は。こういうものは当然許可を与える場合の資格条件として十分検討すべき事柄であるというふうにわれわれは考えるわけですが、そういうことを全く放置して安易に取り扱うというところに——これは農林大臣だからこういうように扱う、それ以外の者に対しては厳格にやるという、そういう行政上の不平等は絶対に許せないと思う。その点はどうですか。
  284. 河野一郎

    河野国務大臣 決して従来も不平等な取扱いをしておらないと私は思います。たとえば今回のトロッターにいたしましても、トロッター協会がこれを輸入することにいたしまして、二年間はこれを個人の者に持たして、そうしてあとからこれを繁殖の牝馬牡馬にするということをやっておりますので、今おっしゃった点は、ごもっともでございますけれども、従来そういう慣行をとっておるわけでございます。
  285. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると大臣にお尋ねしますが……。
  286. 村松久義

    村松委員長 芳賀君、関連が少し範囲が広過ぎますから、縮めて下さい。
  287. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今農林大臣はそういうことを言われましたが、それではあなたがほんとうに種牝馬種馬として輸入したいという考えがあるとするならば、それは主目的競走馬ではないのですから、あなたは今後は種付を重点とした仕事をやられるのですか、どうなのです。
  288. 河野一郎

    河野国務大臣 私はもし事情が許すならば牧場を経営して、そうして馬の生産に従事したいということはかねがね念願いたしておる次第であります。
  289. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今後河野一郎個人が種馬所等の経営をやる、しかしその場合も牝馬だけの種馬所というものは成り立たぬと思う。種付というものは一番優秀な種牡馬を持ってこなければ、あなたがいかに種付所をやりたいといってもやれない。だから主目的はあくまでも種馬でなく競走馬ということにあなたは考えておったということがわかるのですが……。
  290. 河野一郎

    河野国務大臣 はなはだ失礼ですが、その間の事情を御承知ないからそういうふうにおっしゃるのじゃないかと思うのです。これは大体種牝馬をみな持ちまして、そして国家が輸入いたしました優秀な種をつけて馬の生産をしておるのが現状でございます。牝馬を持っていて牧場ができるかとおっしゃいますけれども、牧場と申しますのは大体牝馬を持つのが慣例でございます。
  291. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいま大臣からおっしゃられる通りであります。
  292. 村松久義

    村松委員長 基本問題に関する質疑は後日に継続をいたします。     —————————————
  293. 村松久義

    村松委員長 石田宥全君より発言を求めておられますので、これを許可いたします。石田宥全君。
  294. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣はお忙しいそうですから、きわめて簡単に御質問を申し上げたいと思うのでありますが、三十一年度予算によりますと、外麦並びに内地麦の売り渡し価格は四月一日からこれを引き下げることとなっておるのであります。さらに最近新聞では、外米は自由販売にするということであり、その価格も三段階にするということが報ぜられておるのでありますが、売り渡し価格引き下げは国民の食生活安定の上にきわめて適切な措置であると考えるのでありますけれども、政府は四月一日から外米や内地麦の価格の引き下げを実施されるのかどうか、まずこの点を伺いたい。
  295. 河野一郎

    河野国務大臣 この点につきまして今私の考えておりますことを申し上げます。実は米麦価の決定、払い下げ価格決定等につきまして、また配給数量等の点につきまして、米価審議会にお集まりいただいて十分御相談をいたしたいと思っておりましたが、最終的にまだ計数等の整理について未熟なところがございます。そういう点から、私といたしましては、一方は四月一日からぜひ実行いたしたいということで、四月一日から外米の払い下げ価格の決定もしくは麦価の決定を暫定的にいたしておきまして、それらの計数の整理等がつきました上で、あらためて四月中に米価審議会を開いて御相談をいたしたいと思っております。
  296. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 米麦の買い入れ価格または売り渡し価格は米価審議会の議を経て決定することになっておると思うのでありますが、そういたしますともうこれからの手配では米価審議会を三月中には開けない。そこで暫定措置をとっておいて、もしそれと異なった答申が出たような場合において、一体その関係はどういうふうに処置なさいますか。
  297. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通りこれを値上げするという処置でございましたならばこれは米価審議会の御了解が得にくいと思いますけれども、御承知通り値下げをいたしていきたいということでありますことと、かたがた暫定的に今その米価審議会開会までの処置としてやっておきたい、こういうことであります。
  298. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 四月何日ごろの予定で手配をされますか。
  299. 河野一郎

    河野国務大臣 今計数を整理しておりますから、準備ができ次第なるべく早くやりたいと思っております。
  300. 村松久義

    村松委員長 本日はこれにて散会いたします。   午後四時四十九分散会