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河野国務大臣 いろいろ婉曲にお尋ねでございますから、この機会に明瞭にいたしておきたいと思います。実は私はあまり
外貨の
割当等につきましては詳しくございません。お尋ねになりましても、それを詳細に御説明申し上げることは困難でございます。事の経緯は、この中にも御
承知の方がおありの
通りに、従来
競走馬の
改良のため、馬の
改良といいますか、
種馬として年々
相当の馬が入っているわけでございます。そういうような経緯で馬の
輸入をいたしております
関係から、たまたま
種馬の
輸入の
為替の余裕があるということを私は友人から聞きました。私はそういうものがあるかどうかなというふうに言いましたところが、間違いなく前期で一万五千ドルほど
為替の余裕があるから、それで
種馬を入れたらどうかという話だったということを聞きました。そういう余裕があるならばそれは入れたらいいだろう、馬の
改良をしたらいいだろうということをその友だちに申しました。友だちはそれならば
一つその
種馬を買って帰るというような話を、私は昨年アメリカに行っておりましたときに、アメリカでそういう話を聞いたわけでございます。それから大して気にもとめずに、そういうような話をして国へ帰って参りました。そういたしますと、たまたまその
為替の余裕があるといいますか、昨年の四月−六月の前期の
割当の馬の
輸入に引き当てるべき
為替が一万五千ドルまで余裕があったということでございますが、それは私が昨年
日本へ帰りました前にその
為替の期日が切れておったということだそうであります。これも私は最近知ったのでございます。そういうことで、たまたま今
お話の
トロッターを
輸入するという、
為替の方が非常に余裕が出てきたから、その方をその今の馬の方に当てたらどうだということで、そういう
処置をとって入れたということだそうでありますけれども(「自分がやったんじゃないか」と呼ぶ者あり)そうおっしゃいますけれども、これは私は真相を申し上げているのです。皆さんも御
承知の
通り、
輸入するときに
輸入主が自分で
為替の手続をして、自分が
農林省へ行ってお願いするとか、通産省へ書類を出すということをした人は、私は
日本人にないと思います。みな貿易商に頼み、貿易商がその手続を一切するのでございますから、そういうことを
輸入主自身がやる場合は絶対ないと思います。決して私自身が
輸入をやったとかやらぬとか、それがどうなっているとか、こうなっているということを知っておってやるはずはないのでございます。そういうことでございますから、最近新聞に出ているところの馬がどうとかいう記事を見まして、おかしいなと思ってよく聞いたところが、そういう今の経緯を伺ったのであります。そういうことでございまして、決してこれには、インチキしたりごまかしたりして、
輸入を
農林大臣をいたしておりながらしようというような心底は毛頭私は持っておりません。何も今
農林大臣をしているから、特権として馬の
輸入ができるとか、馬の
輸入をしたらひどくもうかるというようなものでないことは、これは御了解願えると思う。馬を
輸入したらそれでひどくもうかる
——、自動車を
輸入して高く売ってもうけるということと、話は違うと思う。決してこの馬を
輸入して持ってきたから、それで百万円の馬が二百万円に売れるということでないことは、皆さん御
承知の
通りです。従ってこれを持ってきて一もうけしてやろうというような心底は毛頭ないのであります。だからこれは、その当時そういう話を聞いたものですから、そういう余裕があるなら入れてもいいじゃないか、それを私も金ができたから買うからと、こういう話をしたのでございまして、決してその間にインチキだとかごまかしだとかいうようなことまでして入れようというような心底もなし、またそれを入れたことによってどれだけもうけがあるわけじゃなし、何もないのであります。ただ自分の
考えでやっただけであります。これが今言う
通りに、手続を聞きましたところが、確かに前期一万五千ドルの余裕があった。これも事実でございます。ところがそれが、私が帰ってきたときには期日が切れておった。そのときも期日が切れておるという話も知らないのであります。何にも私知らないのでございます。全然知らない間にそういうふうになっておったのであって、それをいろいろ、さもさも私が非常に悪いことをしたとか、不正をしたとかいう心底は毛頭ありませんということは、
一つ御了承願えるかどうかわかりませんが、御
承知おきいただきたいと思います。これはどこまでも申しますが、入れることによって私が何か特定の利益を得たということなら別でございますけれども、それによって特定の利益を得られるようなものではない、こう私は思うのであります。しいて申せば、こういうことをごまかしてまでやらなければならぬ筋合いのものでは全然ございません。従ってその点は私は新聞の記事を見るまで、全然その経緯がどうなっておるかということを知らなくて、期限が切れた話もそのとき初めて聞いたのです。その後それじゃどういう手続になったかということを聞きましたから、
トロッターが比較的
向うで安かった
——私が買うとか買わぬとかいうのは差額でなしに、
トロッターが
向うでは安かったというので、余裕ができたからその上で買ったということが真相でございます。
一つどうぞそういうふうに御了承いただきたいと思います。