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1956-03-23 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    伊東 岩男君       井出一太郎君    石坂  繁君       大野 市郎君    大森 玉木君       加藤常太郎君    川村善八郎君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    河野 金昇君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    原  捨思君       本名  武君    松野 頼三君       赤路 友藏君    伊瀬幸太郎君       稻冨 稜人君    小川 豊明君       川俣 清音君    神田 大作君       田中幾三郎君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         農林事務官         (農業改良局         長)      大坪 藤市君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君         食糧庁長官   清井  正君         林野庁長官   石谷 憲男君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      新澤  寧君         参  考  人         (農林中央金庫         理事)     一楽 照雄君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会参         事)      森川 武門君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十二日  委員井出一太郎辞任につき、その補欠として  足立篤郎君が議長の指名委員に選任された。 同月二十三日  委員松浦東介君及び川俣清音辞任につき、そ  の補欠として井出一太郎君及び中村英男君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  有益鳥獣保護増殖及び狩猟適正化等に関す  る特別措置法案足立篤郎君外三名提出衆法  第二五号) 同月二十三日  森林開発公団法案内閣提出第一四五号) 同月二十二日  藤沢用水改良事業促進に関する請願高瀬博君  紹介)(第一五一〇号)  農林省札幌統計調査事務所移転に関する請願(  小平忠紹介)(第一五一一号)  新指導農業団体法制定に関する請願南條徳男  君紹介)(第一五一二号)  日本中央競馬会法政府納付金比率改正に関  する請願小笠原八十美君外六名紹介)(第一  五四二号)  二戸郡地方集約酪農地域指定等請願(山  本猛夫君紹介)(第一五六八号)  新農業団体設置反対に関する請願五十嵐吉  藏君紹介)(第一五九九号)  新農業団体設置反対等に関する請願(星島二  郎君紹介)(第一六〇〇号)     ————————————— 本日の会議に付した案件  飼料需給安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)  飼料品質改善に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇四号)  農業協同組合整備特別措置法案内閣提出第五  三号)  有益鳥獣保護増殖及び狩猟適正化等に関す  る特別措置法案足立篤郎君外三名提出衆法  第二五号)  森林開発公団法案内閣提出第一四五号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農業協同組合整備特別措置法案を議題といたし審査を進めます。  本日はまず本案について参考人より意見聴取を行います。  御承知の通り本案は、不振農業協同組合の振興をはかるため、国及び都道府県が自主的に整備を行う農業協同組合に対し必要な助成を行う等の措置を講じて、その整備促進をはかり、もって農業協同組合の健全な発達に資せんとするものでありますので、この際農業協同組合事業及び経営指導監督等を行なっておられる全国農業協同組合中央会参事森川武門君、及び組合系統金融機関としてその資金面等を預かっておられる農林中央金庫理事楽照雄君より、それぞれ自己専門立場から本案に対する意見をお述べを願いたいと存じます。  まず農林中央金庫理事楽照雄君より意見の発表を願いたいと存じます。一楽照雄君。
  3. 一楽照雄

    ○一楽参考人 農林中央金庫の一楽でございます。こういう席に出るのは初めてでふなれなものでございますから、どうぞよろしく。  このたび政府が御提案になりました農業協同組合整備特別措置法案について意見を申し述べ、お聞きいただきますことはまことにありがたい仕合せに存じます。この法案につきましては、結論といたしまして原案通り実施いただくことが、私ども考え方から見ましてもまことにありがたいことだと思います。特にこの点をこういう工合に御修正願いたいというような点も気づかないで、大体このままでけっこうじゃないかと思うわけであります。と申しますのは、御存じの通り協同組合に関しましては、さきに昭和二十六年ごろでございましたか再建整備法をお作りいただきまして、その後五カ年にわたって三十億円余り国費をつき込んでいただいて、そして組合並びに連合会再建を御推進いただきましたわけでありまするが、これはそれだけでは必ずしもその効果が十分上りませんので、引き続き事業連整備促進法をお作りいただきまして、これが二年ほど前から実施になって、私どもそれの実施を一生懸命に今やってきておるわけでございますが、連合会の方はその整備促進法という手直しによって、今度は丁寧に一つ一つ連合会について徹底した指導を加えてやるという時間的余裕を持ち、またそういう個別的指導ができるような立法をしていただきましたので、今度ので十分連合会の方は立ち直るという見通しを持っております。ただ単位組合の方につきましては、大体において前の再建整備法によって、それにかかった組合は七、八割まで所期の目的を達したように承わっておるわけでございまするが、そのときに再建整備法に乗せなかった組合で、その後思わしくないというのが相当数あるようでございますので、そういうものを主たる対象として、今度のこの特別措置法によって手がけていこうという考えであるようで、そしてこの今度の特別措置法は、考え方としては、最近にこの連合会対象として実施していただきました整備促進法のその趣旨に大体のっとって、そしてまたそれの経験を基としてやらそうというお考えに基く御立法のようでございますから、まことにけっこうじゃないかと思います。そにつきましては、結局運用におきまして関係者が、特に県の中央会信連、また経連というような関係連合会が、そしてさらに中央における全販連、全購連、中央会、並びに私ども農林中央金庫というような系統組織における中央並びに地方連合組織というようなものが、この制度を、この法律を出していただいて、そして国費を使っていただくというのを十分にまじめに、これを一つの迎え水として、この補助金金額にたよるのでなくして、指導を加える手がかりとして私どもこれを活用するときに非常に効果があると思いますので、これで予定されております金額は、まあ考えようによりますと非常に少額のようでございますけれども、それでも関係者が十分活用すればいいのではないか。本来協同組合は自主的にやっていかなければならないものでございますから、これを指導にいくときの手がかりという意味で活用すれば十分生きる、そういうようにしなければならないと私ども思っておる次第でございます。そういう意味におきましてこれを出していただけることは、私ども関係者が当然今までもやらなければならなかったことでございますけれども、国民から、並びに政府からわれわれのなすべきことを一そう督励指導していただいたという意味に解釈しまして、われわれ関係団体において、単に政府行政機構にたより切るだけでなくて、自主的に魂をこめて指導に当るということが必要である、その責任感を痛切に感ずる次第でございますから、どうかそういう意味で御審議をいただけばけっこうだと思うのでございます。  直接この法案につきましては以上の通り意見でございますが、実はこの機会にこの法案相当不可分関係があると思いますところの、この一つ前の再建整備法のことにつきましてお願いを申さざるを得ない気持がするのであります。それはどういうことかと申しますと、前のそのもう一つ前の再建整備法によりまして、単位組合並びに事業連再建に対して、出資報奨金出資に対する奨励金、並びに固定資産を流動化するまでの金利負担を緩和する意味において、政府助成金を出していただいた。これが大体三十億円余りと承わっております。これが法律条文の上では五カ年間の目的達成の期間を置いて、その目的を達成すれば、あと利息をつけて返すというような条文が十四条にあるわけでございます。まだ目的を達成しなかったときにも返還を命ずるという条文である。目的を達成しなかった場合に返せということは、あらゆる補助金の建前から見て当然のことでございまして、これは問題ないことだと思いますが、目的を達したのに返せというのは、従前あまりなかったことであります。当時諸般の情勢上まだ日本講和条約をしておらなかったあのときの立法でございますので、そういう条項が加わって返せというような条文になっているわけです。しかし実際問題として遠からず法律改正されて、返還しなくてもいいということになるというので、関係方面がその点を相当強く指導されましたので、あの補助金をいただいたのは、組合においても事業連においてもみんな利益勘定に入れて、収入の中に入れちゃっているわけです。そしてそれを担当官庁もすべて認めて、むしろそういう指導をして来られている事実がはっきりとしているわけでありますので、これを法律条文が訂正されないで、返さなければいかぬということになりますと、この多数の単位組合として非常に意外なことになります。ことに連合会におきましては、そういうものを返さないように変更していただくという前提のもとに、今やっております整備促進法もすべて取り運んでいるわけでございます。もしこれが改正を見ませんで、どういう方法にもせよ返還をせよということになりますと、今御提案になっております特別措置法意味もその前提が非常に大きな影響を受けることになりますし、ましてすでにやっております各連合会整備促進法による措置などというものも、その基盤が総くずれにくずれるわけでございます。このことは農林当局その他の御配慮によって、私ども運動をいたさなくても当然期日の三月三十一日までにあの十四条の削除はお取り運び願えるものだとみな信じ込んでおります。これが相当の問題にもなるということは予想もしておらなかったようなことでございますので、この機会にお願いするのはまことに勝手なことでございますけれども、要は協同組合並びに連合会整備という一つの問題でございますから、この点について特に御考慮と御検討をお願いしたいということを希望として切にお願いする次第であります。  まことに簡単でございますけれども、また御命令によりましてお答えをいたします。
  4. 村松久義

    村松委員長 次に森川武門君。
  5. 森川武門

    森川参考人 中央会森川でございます。整備特別措置法の問題につきましてはただいま一楽理事から申し上げました通りでありまして、私ども関係者としては同意見でございます。ただ中央会といたしましては、これに基いてまっしぐらに一つ組合再建のために全力を傾注したい。要は今お話のございましたように、私どももそう信じているのでありますけれども農業協同組合ほんとうにみずからの力で立ち上ってみたいということと、それを構成しているところの農家が、ほんとうにその気持になって組合再建するというような意欲がない限り、いかなる処置も効果がないということは当然のことでございますので、われわれといたしましてはこれを足がかりとして、このような組合農家並びに組合員が自主的に盛り上るように全力を傾注していきたい、そしてこの法律目的を完遂するようにやっていきたいということでございます。  以上簡単ですが、私の意見を申し上げました。
  6. 村松久義

    村松委員長 参考人意見聴取は終りました。  次に参考人に対する質疑を行います。小川豊明君。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっと一楽さんにお尋ねいたしますが、今不振農協というのは三千以上あると聞いていますが、この措置法でいくと一千組合駐在指導員が二百、その他のものはこの程度で行くわけですが、この程度の進め方で五年間で再建が可能でしょうか。
  8. 一楽照雄

    ○一楽参考人 いろいろ統計によりまして大きな数字も出ているようでございますが、ここからここまでが不振組合で、これがノルマルだという客観的なはっきりとした数字があるわけでもありませんし、私ども立場から申しますと、大体こういう御援助をしていただくことがまず恥じ入らなければならぬ立場でございますので、とにかく全力を尽してやらなければならない。それから先ほども申し上げましたように、経営体でございますから、赤字ができたからといって物質的な援助をいただくことになりましても、それで解決する問題ではない。どういたしましてもそういう御援助なりは強い指導の場合の手がかりだけにしまして、そうしてこういう機会にわれわれ系統機関のものが特にその責任感を強くして、みずからの力によっていくということで解決していかなければならない問題でありまして、五年間でできるかどうかというお答えにはならぬかもしれませんけれども、私ども当事者としては、やらなければならぬという覚悟だけを申し上げておきたいと存じます。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 あと一、二点お尋ねします。この法案事業整備促進法のような傾きがある、ちょっと私どもが見てそういう感じがするのですが、ところが単協側はやはり信用事業をあわせてやっていく、この点がこの法案に反映されていないのじゃないかという気持がするので、この点専門家立場から一点お聞きしたいと思う。それから整備目標ですが、固定債務全部の整備といっておりますけれども、この中に未払い売掛金がこげついている、これはもちろんだと思うのですが、債務の中に組合員からの貯金があるわけです。この整備具体的内容が明らかにされていない。この点についてのあなたの立場からの検討。それからもう一点お尋ねしたいと思うのは、整備組合信連債務を持っておって、信連利息減免措置をとった場合は、その信連に対して助成を行われることになっているが、組合貯金を食いつぶしておる、あるいは欠損金を出したとか、固定在庫になっておる。そして信連からの借入れがないという場合には助成措置が講じられないような点がこの法案の中にある、これも一つの欠点ではないか、こういうように見られておりますけれども、こういう点について実際の立場から見た御見解を伺いたい。
  10. 一楽照雄

    ○一楽参考人 第一点の信用事業についてのことがあまり触れてないじゃないかとおっしゃることはごもっともだと思います。第一さっき申し上げましたように、事業連整備促進経験を生かしてやろうというので始まった関係もありまして、あまり金融事業のことを書いてないのは事実でございます。しかし私ども実際の面から言いますと、法律は大きなワクだけ、補助金をいただくところだけを書いていただきまして、再建計画内容につきましては、大体私ども実務家の者が十分個個の実情に応じてゆとりのあるように、余地を残していただいて、お役所なりあるいは議会でこまかくなるべくおきめ願っておかぬ方が便利なわけでありますので、その点はここにないことが私どもからいうとかえって都合がいいともいえます。そのかわりちょうど経済連の整備促進をやりますときに、審議方針というものをみんながお互いに相談して作った。目安を作ってはかっていったのと同じように、あれは販売購買の方だけでしたが、今度は不振組合以外についても金融について組合金融あり方というような、そういう理想的なものをこしらえて、それに合すようにお互いにやっていこうじゃないかというので、お互いにせっかく研究中であります。そのことは不振組合のみならず、不振組合でない組合金融の世界におきましても、今まで通り組合金融あり方でいいかどうかということについては深い自己反省を必要とするのではないかと感じますので、かたがたこの機会をとらえまして、不振組合にそれを当てはめると同時に、不振組合と称されないものについても組合金融あり方を持っていこう、そういうように考えておるわけであります。  それから第二の、信連貸付金のない場合は、あらためて貸しましてそして利子補給をいたしますから、信連が低利の貸し出しができるわけであります。それで事業資金を今まで貸さなかったところも貸していく。積極的に信連に貸すように進めたいと思います。貸しますとあとあと指導も一そう身が入ります。法律ではこれは貸せるように解釈しておるわけであります。
  11. 村松久義

  12. 神田大作

    神田(大)委員 一楽さんにお尋ねいたします。この整備法案では年々一億一千万円です。これでもって三千三百組合整備するといっておりますけれども、これくらいの金を貸して一体不振農協再建整備促進ができるかどうかということを承わりたい。
  13. 一楽照雄

    ○一楽参考人 それは経営体でございますから、法律ができたあるいは財政的援助が大きいからということだけではできませんけれども、少くともそれを活用して関係者が一生懸命やれば相当成果が上りますので、どうも簡単にこの施設だけでできるかできぬかということは、私ども当事者でなければ客観的に批評もできるのでございますけれども、われわれ責任ある者でございますから、やはりこの程度のものをせいぜい活用してやらなければならぬという責任感だけでございまして、専門家といいましても当事者でございますから、冷やかに、その程度ではできないとかあるいはこれで十分だとかいうことはできません。これは金額の問題だけではないわけでございます。そういうような考え方におるのであります。しかし逆に言いますと、あまりもらうことになりましても困りますので、これは私ども承知しておりますが、五億五千万円の財源があったからこの法律あとから出された事情を知っておりますからあまり申し上げられないのです。われわれ関係者としましては。
  14. 神田大作

    神田(大)委員 これは私らが見ますと、現在の三千三百の不振組合再建整備して軌道に乗せるには、一年に一億一千万くらいの金を補給してもできないと思う。それはもちろん更生できる組合もありましょう。ありましょうけれども協同組合のになう現在の使命を果すためには、速急に、ここ一、二年内に相当の数の整備をしなければならぬと思う。というのは、経済界が次々に動きつつある。だから五年も先までかかって三千三百組合整備する、そういうなまぬるいことでは困るんじゃなかろうかと思うのでお聞きしておるのですが、その点はどうですか。
  15. 一楽照雄

    ○一楽参考人 それは単位組合でございますから、村で一つの民主的な機運ができますと、二、三年で急速に相当成果が上るわけであります。どうしてその機運を盛り上らすか、村内の人がこの人ならというような人が組合長か専務か参事の中に一人出てきますと、急速に成果が出てくる。そういう人が出てきやすいような指導をすることが要点だと思いますので、金額を五倍にすればできるとか十倍にすればできるとかいう性質のものではないと思いますので、私どもはあまり金額の方にこだわらないでおるわけであります。
  16. 神田大作

    神田(大)委員 その点で森川さんにお尋ねしますが、一億一千万の金を五カ年間出すことによって三千三百からの不振組合を更生さすというようなことについて、これは私としては非常になまぬるいことであって、そういうことでは不振農協の回復はできないと思うのですが、あなたはどういうふうにお考えですか。
  17. 森川武門

    森川参考人 不振組合の状態はいろいろありますから、ケース・バイ・ケースでいかなければならぬと思います。また過去におきましても自力でりっぱに再建した組合もあるわけなんです。そこで画一じゃなしに、ケースに応じた指導をすることにおきまして私たちは必ず組合再建させようという確信を持って今やっていきたいと思っておるわけであります。そこで最初申し上げましたようにこういうことはそういう足場を与えるものとして、自主的に再建していくんだということにしてやっていきたいと思っております。
  18. 村松久義

  19. 芳賀貢

    芳賀委員 参考人に申し上げますが、実は昨日の当委員会としては、中金の湯河理事長と全中の荷見会長をおいで願う——決して皆様方が来られたから不足だということじゃないのです。しかしやはり団体最高責任者の人が直接御出席になって所見を述べてもらう方が一番適当であるという判断のもとにそうしたのですが、そろいもそろって二人とも見えないのですが、今日は何か特別の理由でもあったのですか。
  20. 一楽照雄

    ○一楽参考人 実は私その経過を存じませんで、夕べ帰りに急に、理事長にというお話があったのですけれども、よんどころない用があるからかわりでもいいかといって交渉中だから、あすの朝行ってくれぬかということで、実は理事長にも会う機会がありませんし、用件の内容も承わっておりません。いずれにいたしましてもまことに申しわけない次第でございますが、そういう事情でございますから……。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは二、三お伺いしたいと思いますが、先ほど楽参考人から、現在審議している整備特別措置法に対して全面的期待を持っておるという点と、農林漁業協同組合再建整備法に対して、ことしはこれで切れることになるので、さらに善処をわずらわしたいというような、そういう意味の簡単なお話があったわけです。問題の本質は、農業協同組合に対してこのように次々に国が立法的な措置を講じなければ、いわゆる全国の弱小組合なるものは、みずからの力で協同組合としての本来の使命を伸ばしていくことができないものであるかどうか、そういう見通し等はどういうように考えておりますか。
  22. 一楽照雄

    ○一楽参考人 まことにわれわれ農協関係者としてはおはずかしい話でございまするが、何とかもう外部依存をやめて、農協が経済的に自立して、自主制を確立するというような方向にいかなければならぬ。それは産業組合の例からいいましても、法律とか省令とか政令とかいう制度だけの問題じゃなくして、協同組合運動筋金が強く入らなければならぬ。その協同組合運動を展開するためには、現代の社会に即した、正しい、そして青年にも魅力のある理論が打ち立てられなければならないと思うのですが、私の感じでは、戦後の協同組合はそうした運動理論経営のプリンシプルもおろそかにされているので、これを早く打ち立てなければいけない、そういう意味で、今やっております整備促進法の中には、販売事業購買事業に関連して、やや理論的なもの、筋金が入ったと思いまするが、肝心な金融の方についてもこれをつけ加えていかなければまだ本物にならない。そして運動としての機運が盛り上らなければ、いかに制度を工夫しても、いかに助成をいただいても、これは雪だるま式にかえってだめになるのではないかというように考えております。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、問題は協同組合組合員である農家が、協同組合の理念的なものに徹するということによって、全国協同組合が健全化するという、そういう自信を持っておられるのですか、それが筋金さえ入れば大丈夫だということになりますか。
  24. 一楽照雄

    ○一楽参考人 全体の組合員といいましても、農業を営んで生活しておりますし、それからそう協同組合のことについて強い理解を要求することは無理だ、期待することは無理だ。しかし少くとも協同組合の常勤役員であり、あるいは私どものように月給をいただいている職員というようなものは、協同組合についての考え方を明確にして、そして全体の農家の方々がそういう人たちを信頼してついてこれるように、日常活動が統一されておらなければならないじゃないかと思うのでございまして、全体の農民が一々十分な理解を得るというようなことまでいかなくても、役職員だけでも一段とその協同組合意識が明確になれば、よほどよくなるじゃないかと期待しているわけであります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 私のお尋ねしたい点は、問題はそういう組合員の認識の問題もあると思うのですけれども、もう一つは、どのような方法を講じても、依然として今日のごとき経済機構のもとにおける協同組合というものは、これはやはり一つ事業体であるし企業であるということも、これは完全に無視することはできないと思うのです。ですから全国協同組合経営の上におけるバランスを保てるという、そういう経営をやらなければならぬということになれば、これは自然、商業主義的なそういう経営方針をとらざるを得ないところにいくんじゃないかと思うわけです。そうでなくて、協同組合協同組合員の利益のためにこうしなければならぬということに重点を置いた場合においては、どうしても経営面におけるアンバランスといいますか、そういう面が一方においては出てくるわけです。それをどういうふうにして克服して、今後協同組合の健全化をいうがごときものに持っていくかというところに問題はあると思う。ですからその場合、こういう法律の保護によらなければ全国の三分の一程度の弱小組合というものは、自主性の中では自立できないものであるかどうかということをお尋ねしているわけです。そういう点を  一楽さん並びに森川さんからもう少し明確に——これは基本的な問題と思いますから、お伺いしたい。
  26. 一楽照雄

    ○一楽参考人 それは日本の現在の段階においては、私は農協は自立できると思うのです。またささなければいかぬと思うのです。今おっしゃいましたように、経営体だから経営を維持するためには農民に対して——言葉は違いますけれども、十分な奉仕といいますか、農民のものにならないで商業的にならざるを得ないじゃないか、そうおっしゃいますが、私はその点において基本的に意見があるのであります。たとえば普通の銀行なり金貸しであれば、貧乏人に金を貸したら取れない、金持ちに金を貸したら取れるというような考え方が普通なのであります。しかし私は昭和五年から金庫に入りまして、とかく仕事の関係上これまではよくない金を貸した。借りる申し込みがあると、貸せないようなところに調査に行く、悪いところばかりに行っているのです。そういう経験から申しまして、極端な言葉でいえば、貧乏人に金を貸してつぶれた組合というものはないのです。大体旧地主なりそういう人に金を貸してつぶれる。そういうことなので、ことに今日の農家においては実際問題として……(「貧乏人に金を貸しておりはせぬじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、それは意見でございますから……。組合のことなんですよ。金庫はまたそれぞれ制約があり、別でございます。組合のことでございます。実際問題として芳賀さんのおっしゃいます経営の何と両立すると思っております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 今一楽さんは非常にいいことを言われたのです。商業主義的な経営の場合においては、貸付を行う場合において回収の見通しのないときには金を貸さない、そういうことを言われたのです。その傾向というものは、今後の協同組合の健全化の方針の中にはやはり底流をなしていると思うのです。私がさっき指摘した通り、困った弱い組合に対する資金の貸付であるとか、協同組合事業の利用度を高めさしてやるということになると、非常に宥和的な、そういう経営方針をとらなければいけない。しかし協同組合の理念の上に立った経営をやる場合においては、大体三年くらいそういう方針でやると、これは健全組合でなくて非常に不健全な弱体組合というところに転落してしまうのです。ですからそれを立ち上らせるためには、商業主義に徹したような協同組合の運営の方向にこれを持っていかなければならぬということに自然的になるわけです。そういうことは、特に金融系統を預かっているあなた方は知っているのです。中金だけはワクがあって、ワクで拘束されているからやむを得ぬというが、あんたもそういう方針でやっているのじゃないですか。弱い連合会に金を貸さない、連合会はまた弱い協同組合に対しては資金を流さないという傾向は、全国を通じて一貫していると思うのです。そういうように協同組合のワク内においてらち外にほうり出された協同組合は、結局法律の保護等によって救済しなければならぬというところから農林漁業組合再建整備であるとか、今度の特別措置法が出てくる必要が生じてくる。ですから協同組合運動とかいう範疇においては、弱いものは救わない、助けないということが露骨に現われていることによってこういう法律が必要になる。ところがあなた方は、この法律が出て非常にけっこうです、まるで厄払いをしたような考えでいるんじゃないですか。手足まといになる組合に対しては、こういう法律を当然政府考えて、国会において立法化すべきである。一人立ちのできる組合だけがわれわれの領域の中においてこれが協同組合あり方であるというふうにやっていけばいいというような、割り切った考えがあるようにどうしても思えるわけですが、その点を一つ正直に話して下さい。
  28. 一楽照雄

    ○一楽参考人 私どもが申します通りに、金庫なり組合がいっておらぬじゃないかという御批判と御非難はいろいろあるだろうと思います。今後とも十分に承わらしていただきます。今は私の考え方を聞かれましたので、こうなければならない、そういう方向に進めなければならぬということを申し上げているわけでございまして、やはり組合金融は無担法金融法律にも書いてありますように、原則として指導金融でありますので、人様の金を預っておるのですから回収は確実にしなければなりませんが、どうしたら回収が確実になるかという方法について、ひいては金融の改善と組合金融における考え方の相違がなければならぬ。これは相手方に親切に、取りやすいような方法にして、そして楽に返せるようにしていく、弱肉強食でない、今おっしゃられましたような意味で助けていかなければならぬわけです。これまでの事例を見ましても、決して商業主義にやって組合が繁盛しているというのは私は聞かない。一時繁盛しておってもそのうち失敗します。村ごとの組合の商業主義なんて大したことはありません。やっぱり組合員に全面的に親切に溶け込んで、そして家族的に組合員から親しまれて、何もかもめんどうみていくという組合が繁盛しているというのが事実だと私は考えております。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことじゃないのです。これは地帯別に見た場合、これは健全な協同組合の所在する地域の農業上の諸条件というものは、協同組合を健全化する要素を多分に持っておるわけなんです。だから経営の手ぎわが大体普通であればこれは当然健全化されるのです。しかしそれ以外の地域、非常に生産性の劣っている地域とか、あるいは米作によらない畑地農業等に依存しておるような地域の協同組合というものは、生産の面に徹しても、どういうふうにやってもこれはうまくいかぬという地域が非常に多いのです。しかもそういう組合がだんだん多くなってきているわけです。ですからそれにはそれ相当の明確な理由があるのです。これは日本農業の置かれた一つの宿命的なそういう理由の中から、協同組合が健全化できないというものを荷物としてしょっておると思うのです。そういうものを見のがすわけにはいかないと思うのですが、いかがですか。
  30. 一楽照雄

    ○一楽参考人 おっしゃいますように、山村地帯とか生産力のない地帯に対して、協同組合事業分量からいいますと、数字的な事業分量の上らないところはあります。しかしそういうおくれた地帯こそ資本主義の波にまかしておけないので、協同組合のやる仕事があると思うのです。そこの指導者によって、同じような地帯でも、隣り村が優良組合で、隣り村の組合が優良でないという事例がたくさんあります。しかしそうはいいましても、今おっしゃいますように、客観的には自力だけの経営の責任ではなくて、ほかにも責任があるとも言えるかもしれませんが、私ども当事者としては、少くとも経営の問題、指導者の問題、そうして全国的にこういうふうなぶざまな状態になれば、われわれ中央機関におるものも特に責任を感ずるというような考え方でおるわけでございまして、やはりその方を相当強調していただきませんと、人により、やり方によって、同じ村でだめだったものでも、一人いい組合が出てきたために、急に二、三年の間によくなったという事例はずいぶんあるわけです。
  31. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 関連して一楽さんに一つお尋ねをしたいのですが、今あなたの組合金融考え方を伺ったのですが、考え方はおっしゃる通りなんです。非常にけっこうでございます。またそうなくてはならないと思います。ここにおられる農林水産委員の皆さんが、例外なしにあなたの考え方には共鳴しますけれども、実際やっているところの、現実の組合金融のやり方がまったく矛盾している。このやり方にみな非常な不満を持ち、あなたのせっかくのお答えでございましたけれども、疑惑を持っているのです。具体的な例をあげろとおっしゃれば限りないくらいございます。しかしそれをあげる時間がございませんから、一々あげませんが、みんなの疑惑と不満をなくするようにするためには、単に考え方だけでなしに、何らか具体的にこうやらなければならないのだ、やりますということを伺わないと、われわれは納得ができないのでございます。一つその点を伺いたい。
  32. 一楽照雄

    ○一楽参考人 最初から申し上げております通り、この機会にわれわれがよく自己反省をしなければならぬと申し上げておるわけでございます。ですからこの席では簡単に御得心を願えないと思います。やはり時間をかけて、ほんとうに言う通りに少しずつでも進んでいくかどうかということで御批判願いませんと、弁解しただけでは御了解願えないことだと存じます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほど一楽さんは、資本主義云々という話をされたんですが、協同組合は資本主義の権力機構、いわゆる経済機構の中において協同組合は繁栄できるとか、健全化できるというような、そういう甘い考えの上に立っておるのですか。さっきあなたはそんなようなことを言われましたが、その点はどうですか。
  34. 一楽照雄

    ○一楽参考人 協同組合の運営においては普通の資本主義そのものの企業体におけるような営利主義、弱肉強食ではいけない。弱肉強食という言葉は古いですけれども、あなたのおっしゃったような、弱い者を強い者が助けていくという気持を表わしていかなければならない。かといって自分を殺してしまうわけにもいきませんけれども、そういう気持相当強くやっていかなければできないということを申し上げたのでありまして、資本主義の権力云々という言葉で触れたわけではございません。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 一楽さん、あなた方は全国協同組合を預っているのですから、全国協同組合の理念に徹しなければいけないとか、そういうことを言っている人たちが、一番大事な点についてあえて触れようとしないで、どうして今後全国協同組合をしっかりしたものにできるか。そのために農政活動が必要であるとか、営農指導をやらなければならぬということを言っておるんじゃないですか。そういう必要がないとかそういうものに目をおおって、単に経営主義だけでいけばいいのだということであれば、これは何をか言わんや、何のために協同組合の農政活動があるのです、何のために営農指導をやらなければならぬのですか。今日のようにこういう矛盾した納得のできない経済機構の中において日本農業が圧迫されておるわけですから、それに対抗することができなくても、せめてレジスタンスとして抵抗するくらいの力がなければいかんじゃないですか。そのために農政活動が必要になってくるのではないですか。今後協同組合が農政活動を必要であるとするならば、どこに農政活動の基点を置くわけですか。
  36. 一楽照雄

    ○一楽参考人 農政活動といいませんが、経営から申しましても、要するに協同組合は、資本主義の社会においては、一人々々の農民が資本主義の荒波の中ではやっていけないから、全国の農民が一かたまりになってやらなければいかぬじゃないか。今労働者だって全国的に組織ができております。経営者は経営者でそれぞれ組織を作っておる。ひとり農民だけが村ごとの組合、県ごとの連合会、そう程度じゃいけない。昔のある産業組合発達時において、明治の時代においては、農村における商業資本、高利貸し資本というものに対抗するものでしたから、村の組合だけでも相当意味がありましたけれども、今日の独占資本主義といわれる段階においては、農民を全国的に結集しなければならぬ。そういう点でやはり協同組合経営論も相当時代に合うように直さなければいかぬということを痛切に感じておるわけでございまして、ここでは簡単に御賛成願えるような議論が、そう簡単にできるものではないと思いますので、御了察を願いたいのです。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 その点はその程度にして……。あとは最近の傾向を見ると、全国的に協同組合の不振の原因の一つに資金の固定化というのがどうしても否定できないわけです。これは特に昭和二十八年ごろから、全国的な災害が毎年のように多発することによって特に顕著になってきておる。一方においては、むしろ負債の整理とか負債処理という段階を一つくぐらなければ、ただ単に経営の健全化だけでは済まぬような段階に来ておると思うのですが、これをやる場合においても、当然貧弱な協同組合のみずからの力では何ともできないわけです。あるいはその地域の信連でもこれはできないと思う。そういう場合においては、やはり中央金庫のごときが今までの経営方針を一擲して、もう少し真剣にあなたの高説の中にあるように、中金の持ついわゆる資金力を弱小組合の健全化のために有機的に運用するという具体的な、明確な方策というものは確立されておらなければならぬと思うのですが、そういう点に対しては具体的な方策があるわけですか。
  38. 一楽照雄

    ○一楽参考人 方策でなくても、実行すればいいことでございますし、今の金庫法なり何なりでそれをやれるようになっておる、やらなければならぬような立場におるわけです。皆さんのおしかりによって、常に御鞭撻をいただいてやらなければだめなんです。やればいい、すぐできることなんです。(「何もやっていないじゃないか」と呼ぶ者あり)やるように努力いたします。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 やればいいというけれども、今まではやっておらなかったということなんですか。これからやるということなんですか。やればいいという自信があるということは、今まではやっていなかったけれども、これからはやるという反省の上に立った、やればいいということですか。
  40. 一楽照雄

    ○一楽参考人 今まで全然やっていなかったわけではないのですけれども、やはりあらゆる機会に、皆さんの御忠告なり御批判のあったときに、さらに一段とその覚悟を新たにしてやる必要があるということを申し上げたわけで、今まで必ずしも努力していなかったとも言えません。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に全中の森川さん、これはあなたの方の会長の荷見さんに聞くはずですが、先般全国農協組合長大会なるものがあった。あのとき本委員会の各委員諸君は敬意を表してほとんど出席したわけです。私どもが奇異な感じを受けたことは、大会が成立して、議長がこういう発言をしたわけです。今祝辞を受けることになっておるのですけれども、予定した来賓がお見えになりませんので、祝辞はあとでいただきます。そういう場合、われわれは予定された来賓であったかどうかということです。これは正式な文書によるところの招待状を受けておる、協同組合長大会をやるから御臨席……。
  42. 村松久義

    村松委員長 芳賀君、芳賀君、問題外にわたらぬように願います。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 祝辞を賜わりたい。われわれは来賓ですから、祝辞をやらすとかやらさぬとか、そういうことの是非ではない。われわれは予定された来賓として大会に敬意を表して出席した。
  44. 村松久義

    村松委員長 問題外にわたらぬように……。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 予定した来賓が出席しておりませんから、祝辞はあとでやりますというような、ああいう司会者の言辞というものは全く了解に苦しむわけです。何のためにわれわれに対してそういう招聘状を出されたか。その点は会長から聞かなければわからぬですけれども、もしあなたが会長の意思をそんたくして、ここにお述べになることができるとするならば、この点に対して参考までに聞かせてもらいたいと思う。
  46. 森川武門

    森川参考人 荷見会長公務がありまして、きのう突然のお話でございましたから、きょうちょっと出られなかったのですが、大会のことにつきましてのお話でございますけれども、祝辞をいただく方をそれぞれ最初から予定いたして大会をやる——いろいろ時間の制約その他もありましたので、ああいうことになったので、来賓として御招待申し上げた方にそういう非礼をするという考えは決してないのでありまして、ちょうど祝辞は衆参の農林水産委員長さんにお願いをするということで予定してあった、そういういきさつでございますから、御了承願いたいと思います。
  47. 赤路友藏

    赤路委員 一楽さんにちょっとお尋ねいたします。三月十三日に参議院の農林水産委員会理事長の湯河さんが参考人として出ておられまして、そのときにそれぞれ農中の金融あり方について意見を述べておられます。その第一点は、農林水産業の季節的性格から資金源も資金需要も減退するということ、第二は資金コストが非常に高くなるので、本来の組合金融として農林漁業の面にそれを貸し付けることについては非常にやりにくいということ、第三点は、金を集めても農山漁村の方になかなか運用できない悩みがあり、その結果心ならずも余裕金になる。それが系統外に運用されるということになってきた。第四点は、本来預金を集めておきながら、それら系統の預金は農山漁村に還元すべきものであると考えながらもそれができないことは非常に心苦しい。集約すると大体この四点のことを言っておられる。従って農林中金の在来の資金運用に非常に欠陥があるということを理事長みずからが認められておると思う。今までの一楽さんの各委員からの質問に対する御答弁を聞いておりますと、反省という言葉がよく出てきておる。理事長みずからがこの資金運用の欠陥を十分認め、理事としての一楽さんもこれを認めておられるから、反省する、組合金融を正しい方向に持っていこうということをおっしゃっておられるのだと思う。今吉川委員からも話がありましたが、反省をする、こういうような運用に欠陥があるということを理事長も認め、あなたもお認めになっておるが、一向に具体的な線が出ていないと思う。私たちが知りたいというのは、そういうような、今まではこうであった、反省しているのだということでなしに今後具体的にどうしてこの組合金融を正常なものにするかという、このことを聞きたい。それを今吉川さんも言われたと思う。そこで何か具体的に一点出さなければなかなか御返答もできないと思いますが、同じ日に鈴木勇造さんがやはり参考人として出ておられる。その鈴木さんの言葉では、今日単協が二百万円程度出資金だとすると、どうあろうともその一割、二十万円をこえるような貸し出しはできないという規定になっておる。そうすると単協は出資金の一割しか貸せないという状態である。一方でそういう形でこの貸し出しを押えておる他面において、いろいろな形でもって預金吸収をやっておる。そうなってくると貸し出しは規制するわ、預金吸収はどんどんするわで余裕金が出る。余裕金をそのまま置いておくわけにいかないから、当然何らかの形で回していかなければならぬ、従ってそれが系統外機関へ流れていく、こういうのが現在の実情ではないか。こういうことに対して一体どういうふうにされようとするのか、このままの状態で貸し出しを押えているのかどうか、これが一点。  もう一つは予約特配の廃止、これをおやりになると、そのしわ寄せが信連の窓口にくる。このことはサービスが落ちていき、また経営自体にも現在の段階においては大きな影響を及ぼすことになる。結論からいくと余裕金ができて、それをますますふくらしていき、しかも末端の方ではそのことのために困る、こういうふうなことが出てくると思う。この二点について具体的にどういうふうにお考えになっておるか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  48. 一楽照雄

    ○一楽参考人 理事長からも話があったそうでございますが、やはり私の方まで系統的に上ってくる預かり金の利息をどうしても下げませんと、その資金を高く運用しなければならぬ。高く運用しなければならぬということになると農村の方に消化することの努力よりも農村以外にやった方が手っとり早いことになりますから、どうしてもそういうおそれがあるわけであります。どうしても根本的には系統間の預金の利息を下げる方向に努力しなければならぬ。それは目先信連経営、ひいては単協の経営も苦しくなりますけれども、それをできるだけしんぼうして金を余裕金にしない。余裕金にして系統に上げてくるのが能じゃないから、村で集まった金は村の中で貸付金として消化しますと、余裕金の量は総体的に減ります。そうすると余裕金の利率は安くても組合経営は成り立っていて、こういう意味で、これからの農村事情から見ても、日本経済全体の事情から見ても、従来のように組合金融が長村の金を吸い上げて系統から外へ出していくポンプの作用をしておったのを、まず村で組合までは吸い上げるけれども、それはできるだけ村内で消化するという方向に努力して、余裕金の額と資金量全体の中における量を一割とか五%とかいうようにしていきますと、利息を下げても組合経営に支障がないということです。ですから当分の間私の方は積極的に預かり金の利息を下げる、しかしこれは緩急よろしきを得ませんと、肝心の角をためて牛を殺す結果になりますから、一面において信連も貸付に努力する、単協の方も努力をする、そういうことをやりますと金庫へ上ってくる金は少くなる。理屈の上では少くなっても金庫のための農協じゃないわけですから、極端に言えば金庫が要らなくなってもいいわけであります。そういう意味で……。(「それがほんとうかうそかということなんだ」と呼ぶ者あり)ですから今後引き続き御鞭撻をお願いしたいわけであります。
  49. 赤路友藏

    赤路委員 今の一楽さんのお話ごもっともだと思います。あなたが今ここでおっしゃったように、今その辺からも大分いろいろ意見が出ております。言うだけでは何にもならぬ。今までいつも委員会金融機関の諸君に御出席を願ってお話を申し上げますと、もっともなことをおっしゃる、もっともなことをおっしゃるのだが、その場限り、これは非常に遺憾である。だから今一楽さんのおっしゃったように、一応この特配を出さないということになれば、そのこと自身あなたがお認めになるように、これは末端へしわ寄せされる。それをカバーしていくということはやはり何といっても末端において必要な量のものを貸し付ける。そうして回転を早くやっていくことでなければならぬと思います。従って今おっしゃるように、余裕金をあるパーセンテージを押えて、それ以上出さないという努力が将来なされて、それが末端の方へ融資されるということをやっていただかなければならぬと思います。そこで先ほどから仰っしゃるように、農林中金は市中銀行ではない、コマーシャル・ベースの上に乗った金融をやられては困る、ある程度の危険は伴う、それを十分一つ御考慮の上に将来の金融においては、この場限りでなく、今おっしゃったことを確実に実行していただきたい。こういうふうに希望だけ申し上げます。
  50. 一楽照雄

    ○一楽参考人 よくわかりました。
  51. 安藤覺

    ○安藤委員 ちょっと森川さんに伺っておきたいのであります。先ほど神田さんからもお話があったようでありますが、全国不振組合の中において、その不振のよって生ずる原因、これにはいろいろあろうと思いますが、その点御記憶を持っておられましたならば、大ざっぱにお答え願いたいと思います。  一つ組合役員もしくは職員の無能という原因によって生じた不振、第二には組合役職員の不正行為によって生じた不振、その第三は地理的、地域的に恵まれないことによって生じた不振、それともう一つはこの単協の不振の原因と現段階における連合会の不振の原因とはかなり隔たりがあるのじゃないかと思いますが、その点についてもしおわかりになりましたら御説明を願いたい。  もう一つ先ほど芳賀君が指摘しておりましたが、現行法の規定しておるようなサービス機関的性格を十分持ち合せて経営していくときにはなかなか今日のこの段階においては、内容において困難だ、あるいはそれを振い立たしていくためには営業主義的、商業主義的に当らなければならぬ。こういう場合があるということを言っておったのでありますが、この二つのものの調和というか、サービス機関的なものにいけば常にだれかによって、どこからか無窮に援助を仰いでいかなければならぬというところに陥りやすい。営業主義的、商業主義的にいけば組合それ自体は利益していくが、利益していくことが組合を結局搾取することになるだろう。これらの調和について現在どのような御指導をなさっておるか、以上の点について簡単にお話願いたいと思います。
  52. 森川武門

    森川参考人 単協の不振の原因につきまして御指摘がありましたが、おそらくそれぞれが全部関連をしておるのであります。直接の原因はいろいろありといえども、その問題については、無能力な問題もありますけれども、しかし無能なら無能なりにやっておればよかったのに、そこへまた商業主義が入ってきたので、これが一層紛糾したということがすべて関連してくると思います。今御指摘の不振の原因は、それぞれ関連しておるというふうに考えるのであります。  なお、単位協同組合の場合と県連の場合とは不振の状況が違うというお話でございますけれども、これも大体過去におきましては、それぞれその比率は違いますけれども、同じような点があったのではないか。一つの理由でそれが不振になったということはやはりないのであって、それぞれがみな関連がある。しかもその不振の原因は、今御指摘になったようなことがそれぞれ重なり合っておるというふうにわれわれは考えております。この点につきましては、県連の場合におきましては、整備促進法の制定によりまして県連の再建整備促進をやる場合に、十分反省もし、また検討も加えまして、非常に峻厳にこの点を遂行して事業運営をやっておるのであります。従って今後におきましては、この原則に基く限りにおいて、県連の場合におきましては、今言いましたような不振の原因は、この面から除かれていくというように考えておるのであります。従いまして、単位協同組合の不振の場合につきましても、整備促進法のあの考え方に準じまして、個々の組合ケースによりまして事情が違うと思いますが、やはり個別的に今言いましたような原則をもってわれわれは整備計画を立てていくということでなければならぬ。従って結論としましては、ただいま御指摘になりましたように、商業主義とか営業主義とかいろいろございましょうが、われわれはまずその前に、協同組合運動体であるということを見のがすことができないのであります。運動体ということ、運動ということ、この精神を度外視しての組合経営もまたあり得ないのでございます。従いまして、商業主義は断じてとるべきじゃない。もしも商業主義でなければ組合経営されないということならば、その組合は解散すべきである。あくまでも組合員ほんとうの盛り上るところの協同の意識によって、組合再建されるまでその組合は解散をするのが至当である。そこまでの覚悟がなければ不振組合はいつまでも繰り返されるのではないか。ですから人だとか、物だとかいろいろな点がありますけれども、せんじ詰めていきますと、やはり組合が成り立つところの客観的な条件というものがないにもかかわらず、これを安易に何とかして成り立たそうというところに商業主義が生まれてくるのでありまして、これは全く単なる経営主義ということで、組合の本道から離れておるというふうに考えております。そういう点からいきまして、それでは商業主義でなくして、現在のような困難な経済情勢において、いかにして健全な組合ができるかということにつきましては、中央会といたしましては、総合事業計画の樹立実行運動というようなものを強力に推し進めていきたい。これはあくまでも農家経済を計画化する。計画なくして農家経済の改善、向上というものはないのでありますから、あくまでも計画化する。その組合の経済の計画化の上に組合の諸事業を結びつけていく。従って、組合の諸事業経営のためにあるのではなしに、組合農家経済の発展向上のための計画化を基礎として、それに奉仕するところの組合事業であるというふうに規定をいたしまして、ほんとう組合員に奉仕する組合であるという意味を貫いてこの運動をやる。もしもそれが成り立たないということであるならば、私は日本協同組合運動というものは成り立たないのじゃないか、これは根本的に別の問題であるというふうに割り切っていきたい、こういうふうに考えております。
  53. 安藤覺

    ○安藤委員 第一の不振の原因についてはもう少し詳しい御説明があるのじゃないかと思いましたが、きょうはそのことを予定されておいでにならなかったでしょうから、これ以上お尋ねするのは無理だろうと思います。  第二の組合精神に徹した運動体としてのあり方という御主張に対しては、まこに同感共鳴いたすものでありますが、ただその間、往々にしてこういった運動の仕方というものが、もとより農民それ自体の意識の低さにも大きな原因がありますけれども組合役職員だけが独走し、組合員との間が遊離する傾向はないか、こういうことを多分に私は現実の姿において見ておる。この点は将来とも十分に御注意願っていかなければならぬ。ほんとうに梅田雲浜のごとき気持において役職員にやっていただければけっこうでありますけれども、ただ農村以外におけるところのつけ焼刃的なインテリに堕してしまって、計画と理論を述べることだけは達者であるけれども、手は白魚のごとくなってしまって、従って日々の生活、日々のものの考え方、百姓の暑さ寒さに対する感じ方と、役職員諸君の感ぜられる感じ方との間に大きな開きができてくる姿があるのじゃないか。これが現状におけるところの日本組合運動の不振の大きな原因をなしておりはしないかと私は思うのでありますが、その点につきましてどのようにお考えになっておりますか。
  54. 森川武門

    森川参考人 御指摘の点は常にわれわれは相戒めておるのでございまして、ただいま申し上げましたように、運動体であるということにおいて、やはり組合運動に携わる者は、そういう意味において反省をし、また努力をしていかなければならぬというふうに考えておるのであります。当然役職員は組合から遊離してはあり得ないのでございまして、今言いましたわれわれの考えを遂行するためには、一層御指摘の点に徹してやるということでなければならぬ、こういうふうに考えております。
  55. 村松久義

    村松委員長 午後一時に再開することとして、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————    午後二時九分開議
  56. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昨二十二日付託になりました足立篤郎君外三名提出有益鳥獣保護増殖及び狩猟適正化等に関する特別措置法案を議題といたし、審査に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。  ではまず本案の趣旨について、提出者の説明を求めます。足立篤郎君。
  58. 足立篤郎

    足立委員 ただいま議題と相なりました足立篤郎外三名提出有益鳥獣保護増殖及び狩猟適正化等に関する特別措置法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  狩猟に関する基本制度を定めております狩猟法は、大正七年に制定を見ました後、今日まで数回にわたって改正せられておりますが、最近では昭和二十五年に大幅な改正が行われ、鳥獣の漸減傾向に対処しまして、狩猟鳥獣の捕獲、に関する農林大臣または都道府県知事の一般的な禁止または制限の権能、キジ、ヤマドリ等本邦独自の鳥類につき、その捕獲数の制限と販売禁止等の法的規制をはかることにより、鳥獣の捕獲を適正なものとするように努めるとともに、他方では、鳥獣保護区の設定と保護区内における営巣、給水、給餌等の保護施設の設置等、鳥獣の保護育成のための施設を講じ得まするように措置いたしましたことは、各位のすでに十分に御承知のところでございます。  しかるに現状を観察いたしますに、これらの措置にかかわらず鳥獣減少の趨勢は一向に衰えないのみならず、このままに推移いたしますならば、鳥獣資源の枯渇は結局おそるべき事態にまで立ち至るであろうことが憂えられるのでありまして、この際鳥獣保護行政の上におきまして、新生面を開くことが必要であると痛感いたすものでございます。しかして、このように鳥獣が激減しました原因を探究いたしますに、近年の天候異変、農薬による被害または過去における森林の過伐乱伐や、都市の膨張に基く棲息条件の変化等、人為の及ばない事情または経済、文化の発達に伴って真にやむを得ない事情によるところもあるのではありますが、一面、中央地方における総合的かつ計画的な保護増殖計画の樹立とこれに対する予算措置等、積極的な実行面にも欠くる点がありましたことを否定できないと思いますし、他面、鳥獣ないしは狩猟についての教育、普及宣伝、啓蒙等の指導面の努力の不足があり、あるいは法令上の不備または取締りの不徹底に乗じて乱獲が行われておりますこともまた事実であると存ずるのであります。よって私どもといたしましては、自然界における鳥獣の減少が、国民生活の内容を貧しくいたしますと同時に、農林水産資源に与える影響も少くない点に思いをいたし、この悪化した事態をすみやかに改善いたしますために、国、地方公共団体及び鳥獣に関係のある諸団体が、独自にあるいは相互に協力して、有益鳥獣保護増殖狩猟の適正化、狩猟道義の高揚等を推進すべく、これがために必要な措置及び制度整備いたさんとして、ここにこの法律案提出したのであります。以下要約してその内容を御説明申し上げたいと存ずるのであります。  まず、農林大臣及び都道府県知事は、それぞれ鳥獣保護審議会の意見を聞いて、有益鳥獣保護増殖狩猟の適正化、愛鳥思想の普及発達、有害鳥獣の駆除等を内容とする鳥獣保護計画を定め、国及び地方公共団体は、その実現に努めますとともに、これらの計画の実施に必要とする経費について規定いたしております。このこととも関連いたしまして、鳥獣及び狩猟に関する重要事項を調査審議するために、農林省に中央鳥獣保護審議会を、都道府県に都道府県鳥獣保護審議会を設けることにいたしました。  次に、狩猟の適正化をはかりますために、現行狩猟法に対してこの際若干の特例的な規定を設けることにいたしておりますが、そのおもなるものを申し上げまするならば、次のごとくであります。  その一つは、初めて狩猟免許及び狩猟登録を受ける者に対しまして、教育的意味を持つ狩猟者試験を課することとした点であります。  その二は、農林大臣は、都道府県知事に対して、狩猟免許または狩猟登録の数の制限を勧告し、都道府県知事は、勧告の範囲内で免許または登録の制限を行うことができることとした点であります。  その三は、猟友会をして国または地方公共団体の行う猟政に協力させその専門的知識の活用をはかりますために、猟区の管理経営の委任、法令の普及、その違反防止への協力、狩猟免許の下付等の事務の委任等ができる道を開いた点であります。  最後に、猟友会員の自主的組織によりまして有益鳥獣保護増殖狩猟の適正化に努めさせますとともに、会員の品位の保持、指導連絡をはかり、もって狩猟行政の円滑な実施に資せしめる目的をもって、全国猟友会及び都道府県猟友会の設置及びその定款、業務等について規定することにいたしたのであります。なお猟友会以外の団体に対しても愛鳥思想の普及等の事業を委嘱し、助成することができることといたしております。  以上がこの法律案提出した理由及び内容の概略でありますが、人類の歴史とともに長く共存共栄して参りました有益鳥獣が、戦後激減しております趨勢は、まことにさびしき限りでございまして、文化国家建設途上にありますわが国におきまして、この面に対する施策に欠けておりますことは遺憾しごくに存ずるのでありますが、この際賢明なる委員各位の深い御理解を賜わりまして、この悠久なる理想達成のために、大所高所に立っての御判断に基き、何とぞ慎重御審議の上、ぜひともすみやかに御可決賜わらんことをお願い申し上げる次第でございます。
  59. 村松久義

    村松委員長 質疑は次回に譲ることにいたします。     —————————————
  60. 村松久義

    村松委員長 引き続いて、本二十三日付託になりました内閣提出森林開発公団法案を議題といたし、審査に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。よって本案の趣旨について政府の説明を求めます。石谷林野庁長官
  62. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 ただいま上程せられました森林開発公団法案提案理由を御説明いたします。  わが国の林野面積は、国土のおよそ七割を占め、森林の立木蓄積は六十億石をこえるのでありますが、すでに開発利用されております森林は、面積で約六割、蓄積におきまして四割、約二十四億石にとどまっておりまして、年間二億石をこえる木材の需要は、ほとんどこの既開発林からその毎年の生長量をこえて供給せられているのであります。従ってこのまま推移しますれば、森林資源が枯渇するに至るおそれがあるにもかかわらず、他方、木材の需要は、国民経済の発展に伴い年々増加の一途をたどっておりまして、この現状を打開して森林資源の保続をはかるためには、造林事業の推進にあわせて林道網を整備することによって奥地未利用林を積極的かつ集中的に開発して参る必要があると存ずるのであります。かかる観点から全国の森林を概観いたしまするに、残されている未開発林地の中で、熊野川水系の流域及び剣山周辺地域は、森林資源がきわめて豊富であり、針葉樹用材の割合が高く、跡地造林に対しても適当な条件を備えているにもかかわらず、その開発が著しくおくれている現状でありますので、特にこれらの地域を対象としてその森林の急速かつ計画的な開発を行うことといたしたものでありまして、この事業に必要な資金といたしましては、余剰農産物見返り資金を借り入れることとし、事業を合理的かつ効率的に行うために、森林開発公団を設立することといたした次第であります。以上が森林開発公団法案提出いたしましたゆえんであります。以下法案内容につきましてその概略を御説明申し上げます。  まず公団の行う業務といたしましては、林道の開設、改良及び災害復旧事業、並びにできました林道の管理を行うこと、それらの林道の利用地域において委託による造林事業を行うことがおもなるものでございます。なお林道事業の費用については、おおむね現行の公共事業の例に準じ、国は公団に補助金を交付し、また受益者及び県は公団に負担金を納入することにいたしたのであります。  次に公団の組織につきましては、愛知用水公団その他の公団の例にならい、理事長及び監事は農林大臣が任免し、その他の役員については理事長が農林大臣の認可を受けて任免することとし、業務につきましては、その適正な運営を確保するために、林道の基本計画は農林大臣が定め、その実施計画、林道の管理規程その他重要な業務の実施の方法につきましては、公団は、農林大臣の認可を受けて定めなければならないことといたしたのであります。さらに公団の財務及び会計につきましても、予算、業務計画及び資金計画については農林大臣が認可することといたし、借入金、余裕金の運用につきましても一定の制限を付する等、その経理の公正を期した次第であります。  以上がこの法案内容のおもな点でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  63. 村松久義

    村松委員長 質疑は次会に行うことといたします。     —————————————
  64. 村松久義

    村松委員長 次に農業協同組合整備特別措置法案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続けます。神田大作君。
  65. 神田大作

    神田(大)委員 この法案内容について少しお尋ね申し上げたいと思います。第五条において、整備計画の適否を認定する場合には、農林省令で定めたところによりこれを都道府県知事に提出する、都道府県知事は、この整備計画が適しているかどうであるかということは学識経験者の意見を聞いてきめる、こう法案にありますが、都道府県知事が学識経験者に聞いてきめる学識経験者というのは、一体どういう人を指しますか。
  66. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私ども考えでは、農協中央会の役職員の優秀な方とか、その農業協同組合の地域に関係した農業または農業協同組合経験を有するような人などであります。
  67. 神田大作

    神田(大)委員 そうすると、知事は自分の適当な考えでもって学識経験者というものを選んで、その人たちだけの意見を聞いてきめるというようなことは、独断になりがちじゃなかろうかと思うのですが、こういう点をもっとはっきりと法案で指定したらいかがですか。
  68. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 そういう御趣旨に沿いますように、政令で農協関係の人を適当に入れたり、事業の種類によりまして、経済連の上級機関の人を入れましたり、そういうふうにしたいと思います。
  69. 神田大作

    神田(大)委員 これを政令できめるというお話でございますが、政令の構想といいますか、そういうものがおわかりなら、もっとはっきりと、どういう範囲の人というようなことを御発言願いたいと思います。
  70. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 まず第一には、組合整備促進について法に基いて自主的に能力を与えられております農業協同組合中央会の役職員の人、第二には、農業協同組合系統組織においても関連がありますような各種の事業別の上位団体のお方、その中には経済連もありますし、信連もありますし、また狭い意味の学識経験者もおられると思います。その他町村長などで適当な場合は、そのお方も入っていただいたらと思います。
  71. 神田大作

    神田(大)委員 それは委員会というものを組織して、個人々々でなく、委員会意見というようなことで受け入れるのか、それともそういう人たちの一人々々意見を知事が聞いて、勘案をしてきめるのか。その点をお尋ねします。
  72. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 実質上には委員会を作りまして、その委員会の各委員から出ました総意に基いたその意見を聞いてやるのが適当だと思います。この五条二項は、委員会と申しますか協議会と申しますか、その委員または協議員個人としての学識経験者を指しておりますので、ばらばらに時を異にして意見を聞くやり方ではよくないと思っております。
  73. 神田大作

    神田(大)委員 局長はそういうように考えているのですが、この法案から見ますと、これは知事が個人々々に聞いて適否をきめても何ら違法でないということになる。ここに非常にあいまいな点があると思う。少くとも今局長が言われたような人たちに知事が一人一人聞いて、そうしてそれが多数であるかあるいは適正であるかというようなことは一切公表されないような場合もあるし、都道府県知事が自分の考えでもってそれをまげてきめる場合も考えられるという、ふうに、これは非常に不明朗な規定であろうと私は思うのでございますけれども、この点をもっとはっきりと政令なり何なり、あるいはあなたがきょうここではっきりとどういうことにするかということを示してもらいたい、こういうように考えております。
  74. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 学識経験者の意見を聞く際に、学識経験者の任命されるおもなもの、私はただいまこれを最小限度に申し上げます。また意見を聞く方としては、協議会または委員会の形の会議体とする、そういうことを政令でもってその方式を定めたいと思っております。また同条第三項によりまして知事の恣意的な認定が行われないように、御趣旨に沿いましてこの法律に基く措置として実施いたしたいと思います。
  75. 神田大作

    神田(大)委員 そのことは非常に大事なことであって、農業協同組合整備計画が適当であるかどうか、あるいはそれを指導する上において、それらに関連しているところの民間団体がこれに協力していく上においても非常に大事なことだと思うのでございますけれども、そういう意欲を何か抑圧するようなやり方は、この法案において一番まずい点であろうと思うのですが、そういうことをこの法案の中に、政令にゆだねないで、入れて、委員会なり協議会なりを組織させて、そういう総意の意見を知事が聞いて諮問するとか、あるいはそのほかの方法によって適正な確かめ方をしてこの適否をきめる、そういうことをなぜこの法案の中に盛らなかったか。この点をお尋ねします。
  76. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 率直に申し上げますと、なるべく都道府県にも、国の法律によります審議会のようなものを公的に設置しないでいきたいという内閣の方針がございましたので、事の性質にかんがみまして法律文を「政令で定めるところにより、」学識経験者の意見を聞いて、その学識経験者はただいま申し上げたような方で、その費用も国からの予算で補助をいたしまして、その補助で縛りまして、実質上それで十分にまかなえる自信を持ちましたので、そういうようにしたのであります。
  77. 神田大作

    神田(大)委員 このことは、農業協同組合が自主的な農民の意欲によって立ち上るという上において、私は非常に大事な規定だと思う。こういう規定が感情的、一方的な方法によってきめられるということそれ自体が、農民の自主的な意欲を非常に抑圧することになるのであって、そういうことと関連いたしましてこれはあくまでも、この適否のきめ方にいたしましても、いろいろの計画に対する意見等につきましても、民間の意見、そういう団体意見あるいは学識経験者の意見を十分尊重するような、そういう案にすべきであると私は考えるのでありますが、この点についてあなた方は、運用の面でうまくやるというようなそういう考えでおるかもしれませんけれども法案そのものが非常に非民主的なものによるのじゃなかろうかとわれわれは考えるわけであります。それを是正する考えがあるかどうかお尋ねいたします。
  78. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 この法律目的は、第一条にも明示をされておりますし、また第五条の第二項におきましても、知事が恣意的に学識経験を有する者を任命できませんので、農業協同組合整備に関し学識経験を有する者で、政令で定めるところによらなければならぬし、かつその意見を聞いても、整備計画の適否の認定は、農林省が、本法を第一条の目的で運用しなければならぬという趣旨に基き、農林省令で定める基準以外には従ってはいけないという保証をも明確にいたしておりますので、神田先生のおっしゃる通りに実行するつもりでございます。
  79. 神田大作

    神田(大)委員 この問題はわれわれの意見とあなた方の意見とは違っておるように思いますので、後ほどまたお尋ねすることといたします。  次にこの整備特別措置法案によりますと、金利の助成といいますか、信連の負債にのみそういう措置をとっておられるようでございますけれども、これは中金あるいは信連の負債が固定して、そういう上級機関の負債の整理にのみとらわれておるということは、中金や信連の救済的なにおいさえがうかがわれるのでありますけれども、その点はどうお考えになりますか。
  80. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 この法案によります整備促進は単位農協でございますので、単位農協整備計画に伴って必要なる資金の融通は県信連をもって行わしめるのが原則である、またそれが当然であると思う。農中が飛び越えて単協に融資するのはよくないと思ったので、信連に、こう考えておるのであります。またこの事業は国が整備特別措置を講ずる必要がある、かつまた必要な程度援助する必要があるという建前で法律を制定いたしたいと思っておるわけでございますので、信連、農中の救済でなしに、わが国が援助をしまして、信連農協との関係も、協同組合らしく共同行為ができますように、援助も協力もできますようにしたいと思っておるわけであります。
  81. 神田大作

    神田(大)委員 そうすると信連等の負債とかあるいはそのほかの信連等に関係のない負債がある農協で不振に陥った場合は、これは救済する方法がないと思うのでございますけれども、そういう場合はどういうふうにいたしますか。
  82. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農協信連から資金の融通を十分に受けられない場合も現実にはございますが、この際は単協の整備促進経営の健全化が刻下の急務であると思いまして、農協の単協におきます赤字が五年以内で消える計画、あまり赤字の多いところは出資金の二分の一までの赤字は認める整備計画を早く五カ年間で立ててもらう意味において、少し踏み切りまして、信連の融資によればその利子の減免のうち五%以内を国が負担するということでいきたいと思っておるわけでございます。
  83. 神田大作

    神田(大)委員 単協の負債というものは上級機関からの借入金とかあるいは組合員の預金等によってもそれが払えないというような状態になっておると思うのでございますが、こういうような末端の組合員の預貯金の不払い等に対してそれをどういうように解決していくか、その点をお尋ね申します。
  84. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 それは再建整備促進以来、不振の農協経営が不健全な組合についてとっております政府その他農林省の方針と同じでございまして、まず組合員の自主的な協同精神によりまして、組合員組合事業を利用するということを第一にいたしまして、事業の拡大をはかる、また事業の健全な経営をはかる、また指導よろしきを得るように進めまして、この前に申し上げましたように自然的な立地条件とか作物の条件などで、現在の経済、地理、交通等の事情でその組合の地域だけではわからぬ場合は、自主的な建前の上に立って合併の勧告などもする余地をとりまして、そしてその上にこの整備特別措置を講じて、自分で力を増して赤字を消していく、また貯金の支払いがうまくいかなかった場合はそれを消していく。その間に組合員組合との問題がありましたものは、やはりあくまで協同精神を基礎におきまして、納得ずくで逐次、かつまた健全に、そして早期というかあまり長くかかってもいけませんので、五年を目途にして解決していってもらいたいと思っておる次第であります。
  85. 神田大作

    神田(大)委員 この不振農協の一番問題になっているのは、預金の不払いだと思いますが、一回そういうことに農民がなりますと、いかに協同精神を盛り上げようと思っても、あるいはその村に適当な熱意に燃えておる指導者ができましても、なかなか再建できないと思うのです。そういうことから考えまして、信連に対する利子補給ばかりではなしに、預貯金者に対して何らかの方法を考えないと、再建整備というものは促進されないのじゃなかろうかと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  86. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 神田委員の御意見も、不良組合の例について見ますとまさに当っておる面も多いと思いますが、やはり協同組合精神にのっとりまして、第一が組合員が任意で作りましたので、そういう貯金の不払いが一時的に起りました場合でも、それを立て直すことによって組合を立て直し、また組合の協同精神と共同による事業も伸ばすことが初めてできるわけでございますので、一挙に国が手を差し伸べて甘くするよりは、預貯金の元本の切り捨てにならぬように配慮しながら事業を助けて、自然に払える道をつけるのが農協の一番いい行くべき道だと考えておる次第であります。
  87. 神田大作

    神田(大)委員 不振農協のうちには、役員の不正とかあるいは重大な過失によって不振になった組合があるのです、そういう場合にこれをうやむやにされているのがたくさんあるのですが、こういった役員の不正や重大な過失によってたくさんの損失をこうむって不振に陥った場合の責任が、非常にあいまいになっておると思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
  88. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農業協同組合はその成り立ちまするもとの法律の精神と、組合そのものの建前からいたしましてわが国農業、農家のために絶対必要なものでありますけれども、あくまでこれは一つの法人でございまして、法人の中において、御指摘のような不正事項とかあるいは背任的行為でありますとか、そういうことが役職員の中においてありまして生じました赤字等につきましては、これを行政庁がどの程度負うかということは、いろいろな角度から判断をする必要があると思いますが、少くとも国が手を差し伸べて再建をはかる場合には、法に基きまして常例検査というものが別途農協には監督上の措置としてございますので、特に念を入れまして組合の検査もし、指導的監査もいたしまして、その赤字原因等の責任の所在を明らかにして、それから手を差し伸べる。従いまして組合関係者の個人責任がある場合は、その個人責任において不正その他の事態、経理上の欠陥等を是正してもらう措置を講じまして、また人が適当でない場合には人の交代をも、言いかえますと執行体制の強化もしていただきまして、それを全体の組合員の総会において判断をしていただきまして、その上に立って整備措置をとることにいたしておる次第であります。
  89. 神田大作

    神田(大)委員 あなたがここでそういうことを言われることは全くその通りでございますけれども、実際にそれでは、このような三千三百からの不振組合があるという農業協同組合において、そういう役職員の不正やあるいは重大な過失によって不振に陥った組合相当数あると思うのでございますけれども、それらのものを一々検討してみますと、あなたたちが今までの指導といいますか、あるいはそれに対する監査といいますか、非常にそういう点が行き届いておりませんためにこういう問題が起きたのもございますし、またそれがその後できたものにつきましても、適正な処置をしないために、それらの責任があいまいになっているのがたくさんあると思うのでございます。これはあなたが今ここで言われるような簡単なものじゃないと思うのです。実際問題として私は、そういう問題はあなたが言われるように簡単に解決されないと思うので、実際問題のこととして、今までそういう問題の処置に対していかなる都道府県に対する監督をし、あるいは今後それに対する方針を持っておられるか、お伺いいたします。
  90. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 すでに国会に報告になっておりまする会計検査院の検査におきましても、同様な事例が出ておりますが、これらについてはそれぞれ適切な事後措置をとっておるつもりでございます。しかしまだ目の届かないところも多いと思いますが、常例検査につきましては、特に経済局農業協同組合部の検査課で特別な努力をするように、内部でも能率的、計画的、指導的に、そして懇切丁寧にこれを行いますように、特に本年度は非常に力を入れてこれをやろうと思っておるのであります。あわせまして、農協中央会もできましてから日がなお浅いのでありますが、農業協同組合の自治監査とか、さらに突き進んでは他の組合指導を行いますことにつきまして研修施設、技能、知識の研修訓練等を相当力を入れてやっておられて、今後その成果は待つべきものがございますので、両々相待ちましてその努力をいたしたいと思っておる次第であります。
  91. 神田大作

    神田(大)委員 府県は地方財政の困難にあいまして、これが農業協同組合指導する職員をほかへ回したり、あるいはそういう適当な人が得られないために、全然経理指導のできない、あるいは監査の能力のない者もこういう部面へ入れておくというのをわれわれは知っておるのでございますけれども、こういうように、いかに国でもって不振になった組合助成をやって更生させましても、そのように地方機関において、あるいは中央会等におきましても同然だろうと思うのでございますけれども指導態勢が整わなければ、またこういう不振組合あとからあとから出てくると思うのです。千組合を更正させましても、あとからまた五百組合が出るとか、あるいは千五百組合が出るとかいうことになれば、いつでもそういう仕事をやっていなければならぬというようになるのでございまして、そういう点において非常な欠陥が今まであったのじゃなかろうかと思うのです。ろくに帳簿もできないような人が指導員で来てみたり、あるいはまた一年に一回も単協へ回ることができない。来ても一日か二日、ちょっと資産表を見るだけである、そういうような手薄では農協指導の完全は期せないと思うのでございます。そういう点において遺憾があったのじゃなかろうかと思うのでございますが、あなたはどうお考えになっておりますか。
  92. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 終戦後農協ができましたから今日まで、組合の検査事務、指導事務を行います者につきまして、特に農林省及び地方庁におきます者の素質と経験と、あるいは加うるに人格とが十分でなかった者もあるかと思います。これはやはり人間の性もありますとともに、職務に精励する訓練の問題もありますので、本年度におきましては、予算編成に当りまして検査員を平衡交付金に移すという議も相当強く出ました。しかし私ども組合の検査という重要なことは、信用事業を扱っておる例から見ても、銀行検査官に匹敵するくらいである。また農業からみれば、懇切丁寧に指導的に行うべきものである、容易に地方庁の財政事情で員数を動かしたり、専門家を他の専門に回したり、しろうとを回したり、地方自治法に明るくない人を急に配置したりすることはよろしくないので、農林省の直接の補助金にするということに万全の努力を払いまして、三十一年度ではおよそ補助職員のうちでは最も確保をいたしておるものと思っております。しかしまだ十分ではございませんので、今後能率と素質とによく留意いたしたいと思っております。
  93. 神田大作

    神田(大)委員 私はこの点は非常に大事な点だと思うのです。この点をあなたたちがもっと力を入れて、各農協指導し、適正なる運営をするように検査しますれば、不振に陥る農協というものが非常に少くなってくるのじゃなかろうかと考えるのでありますが、私の今見るところによりますと、まだまだ不完全でございます。この点について、特段の努力を払ってもらいたいと同時に、予算的措置をもっとしてもらいたいと私は考えます。今度のこの法案によりましても、駐在指導員というようなものを置くといわれておりますけれども、この駐在指導員を二百名とか三百名とか駐在させるというが、一体駐在をするだけの力を持った人たちがありますか。どこからそういう人材を持ってきて駐在させるおつもりですか、お尋ねいたしたいと思います。
  94. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 経済連の整備促進法に基く整備促進におきましてもまだ十分とは言えませんが、必要最小限度におきましては、農協中央会からたとえば新潟県その他に派遣して、駐在せしめて再建整備措置促進しておりますが、全国中央会で研修をしました職員もすでに約二千名に上っております。加うるに事業上系統的に関係のあるところには、経済連の再建整備でやっておりますように、ぜひ協力をお願いしまして、立て直しの基礎が固りますまでそういう御協力を得たいと思っておる次第であります。
  95. 神田大作

    神田(大)委員 これは中央会の職員を委託して駐在させるというようなことになるのでございますが、中央会でそういう駐在をして指導し、いろいろと相談にあずかるような人を養成するための努力をあなたたちが払われていたかどうか。今まで、また今後そういう人たちを育成しなければならぬと思うのでございますけれども、そういう努力も私は今までは非常に薄かったと思うのです。こういう点で問題は、やはり人の問題でございますから、適正な人を駐在させて不振農協の人たちと一体となって努力をすれば、農民というものはそれについてきて、農協というものは再建されるものでございますが、問題はこの人を作ることについてもっと計画的な、しかも熱意を持った方法によってこれをやらなければならぬと思うのですが、そういう者を今後あなたたちはどういう方法、どういう機関によって養成していくか、お尋ねいたします。
  96. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 昨日も申し上げたのでありますが、鯉渕学園とか協同組合学校とかいう特別の施設も講じまして、昨年は中央会に約七千万円の教育に関する補助金も交付いたしております。本年度も中央会全体には六千万円の補助金を続けて出しておりますので、その運用と、各農協あるいは連合会全体となってこの方面に余裕のある金を——貴重な金でありますけれども、人物が重要であることお話通りでありますから、それにも期待していきたいと思います。
  97. 神田大作

    神田(大)委員 最後に私は農業協同組合が自治的な団体であり、農民の一つの意欲によって農業協同組合というものは更正すると思うのでございますけれども、あなたたちが考えておる新農村建設とか、あるいは新農業団体とか、あるいは農業委員会の改組による農業委員会の拡充というような問題は、農業協同組合のこういう盛り上った、農協を強化しよう、そういう協同組織の力によって農民の生活と経済と文化的な向上をはかろうとするような意欲を阻害するおそれがあると私は思うのでございますけれども、この点についてどうお考えになりますか。
  98. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 それは全く反対でございます。農業協同組合は農村を健全に発達させたり、農業生産力の増進をはかりましたり、農民の地位の向上をはかることを目的にいたしておりますので、いわゆる新農村の総合助成と申しますか、建設に当りましても、農業協同組合はその有力な事業主体の一つである。あわせまして農業協同組合経験を持ちまするというと、その計画にも有力に参加すべきものと思います。農業委員会等でも、今農業及び農村の振興計画に関する事務がございます。両々相待ちまして、りっぱな農村を作っていくことが——むしろこの両者は農業計画の二大支柱でございます。片方が片方を排除するということはないと思います。またそうすべきものではないと思ますし、加うるに事業主体は農業協同組合しかほとんどないのじゃないか、そういうふうに思います。
  99. 神田大作

    神田(大)委員 新農村建設のにない手は、局長の話では、農業協同組合が適当であるというように考えられるのですが、その通りですか。
  100. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 本法案に出ておりますように、不振農協があります場合には、その農協を不振から脱却させて、健全化して、農業や農民のためになることも、農村建設の事業一つである。また他に向いまして農業協同組合事業を行いまして、農業、農民のために事業をすることも、農村建設の事業である。なお各種の事業を総合的に村として考えまして、総体的な効率を上げて新しい農業を作っていくということもまた、その事業である。こういうふうに思います。
  101. 神田大作

    神田(大)委員 この新団体が農政活動をやるというようにわれわれ聞いておるのですけれども、これはまだそういう案はないと言われればそれまででございますが、農業協同組合の一番大きな支柱となるのは、やはり農政活動、農民の意欲を高める上において、農政活動が大事な農業協同組合一つ使命であろうと思うのであります。そうすると、今度あなたたちが農業団体にやらせる農政活動と、農業協同組合がやろうとするところの農政活動、そういう二つの農政活動に対してどういうような見解を持っておりますか。
  102. 村松久義

    村松委員長 神田君に申し上げますが、本問題に限って、一つ離れないように願います。
  103. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 あまり詳しくお話するのは、この際適当なときではないかと危ぶみますけれども農業協同組合法の中には、農業協同組合に関して行政庁に意見を建議したり、諮問があったら答申したり、意見を公表したりすることもございます。現在の全国農業会議所、都道府県農業会議等には、農業及び農民に関して同様なことが規定してありまして、その権能が与えてある。しかし先生のおっしゃいまする農政というのは、いろいろ意味もあろうと思いますが、法律あるいは予算等を通じまして、国会できまりましたようなことを行政庁が農業施策として浸透することもありますれば、また広い意味の政治的なこともあると思う。政治的なことは憲法上の問題もあろう。あるいは政党等に関する問題もあろうと思いますが、農協そのものは経済事業を中心に行なっておりまするから、中立的なものとして動いていくのがいいと思っております。
  104. 村松久義

    村松委員長 この問題は他に機会もございますから、別の問題を一つやっていただきたいと思います。
  105. 神田大作

    神田(大)委員 委員長からの注意もありますので、この問題は別の機会に質問することにいたします。  それで私はさきの、知事が適正であるかどうかというようなことをきめる場合において、法文が非常にあやふやでありますので、この際当局に、この政令を出す場合には、そういうような独断専行にならないように、一つ十分この対象になる農協立場を理解できるような人たちの意見を聞き、それらのものが片寄らないような方法をとってもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終ります。
  106. 村松久義

  107. 小川豊明

    小川(豊)委員 簡単にお尋ねします。この四条に一号から七号まであげてありますが、二号の「事業執行の体制を改善するための措置、」これは事業執行体制を健全に確立しよう、こういうことだろうと思いますが、そう解釈していいわけですね。これだけはわかるんです。そこでさらに九条には「都道府県知事は、農業協同組合整備計画をたて、又はこれを実施するため債権者とその債務の条件の緩和その他の援助を受ける契約をする必要がある場合には、当該農業協同組合の申出により、そのあっせんをすることができる。」とありますが、どういうわけでそこまで府県知事がやれるようにさせたのか。これはむしろ自分の問題ですから自分たちでやるか、あるいは再建整備委員会というようなものを作って、そこでやるべきであって、府県知事にそういうことのあっせんまでさせるということは行き過ぎじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  108. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 この規定は、現在ありまする経済連の整備促進法にも規定がありますが、より根本的には、平素農業業協同組合につきましては、設立の認可から指導的な検査、監査から、常時知事のもとにありまする検査官を使いまして、知事がよく留意して指導の任に当るべき立場にございますので、お話にありました審議会て諮問委員会、協議会というようなことは、五条によりまして実行いたしますので、その意見を聞きました知事は、その知識をそのまま使いまして、かつ自主的にやるべき性質もございますので、当該農業協同組合の申出があったときにあっせんをするということにいたした次第でございます。
  109. 小川豊明

    小川(豊)委員 協同組合法の精神も、今までの説明も、自主的な団体である、こういうことを言われ、またそうでなければなりません。その自主的な団体であるという点から見ても、都道府県知事にこういうものまであっせんさせるということは、どうかと私は思う。先申し上げた「事業執行の体制を改善するための措置、」これだけならわかる。そこで自主的な団体である以上は、指導が干渉にならないようにしなければならないわけです。ところがあなたの方で、この指導が往々にしてかなり行き過ぎをしでかしてるんじゃないかということを、私は現実に見るわけなんです。この点でそういうことはあり得ませんか。自主性を阻害するような、あなたの方からそれではいけない、これではいけないというようなことはありませんか。
  110. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 このあっせんは、もちろん農業協同組合の自主的な申し入れによるのでありますし、あっせんには強制力を必ずしも持っておりません。かつそのあっせんも農業協同組合が学識経験者の意見も徴しまして整備計画を立てたあとで、実施のために必要な場合だけに限ってありますので、それ以上にわたらぬように特に念を入れて周知徹底をせしめようと思います。
  111. 小川豊明

    小川(豊)委員 四条の二ですが、これを私どもが聞くところによると、農協それぞれが再建整備に乗り出してやっておるうちに、農林省が直接じゃないらしいが、県へ行くと、ああいう人もいけない、こういう人もいけない、そういうことをしきりに言われる。なぜそういうことを言われるのか、これは自分できめるべきことではないか、何故県はそれに干渉するのだと言うと、農林省の意向がそうなんだ、こういうことを聞いたのです。すると、これは県自体が農林省の名をかりてそういう自分の意思を持ち出すのか、それともあなた方自身がそこまで立ち入っているのか、この点をお聞きしたい。
  112. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 事業執行の体制を改善するための処置は、もちろん農業協同組合、しかも組合員全員の総意によってやるべきだと思っております。私、農林経済局長になりましてから、そういうふうに県が干渉したことを聞いたことはございません。かりにそういうおそれのある事態ありとしますれば、整備計画をしっかり立ててもらいたい、また少なしといえども利子補給その他の措置法律に基いて国が講じておるものであるから、しっかりやっていただきたいという熱意から、多少のことがあったかと想像いたしますが、今後そういうことがないように特に留意をいたします。
  113. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは国から金が支出されて、それによって再建していく点から、それを適切有効に使う指導は私も必要だと思う。同時に、執行体制を改善することもまさに必要であると思うけれども、その必要の限界を越えて——総会が開かれようとしても開かれない、なぜ開かれないかというと、大体話し合っておった役員を県庁でいけないと言っている。そこで僕らがそういうことは干渉じゃないか、自主性を阻害することのはなはだしいものではないかと言うと、農林省の意向はそうではない、こういうことを聞かさる。そこで農林省の意向がそうでないということは、それがただ一県ならば県庁が少し農林省を利用し過ぎていると思うが、三県も四県もそういう事例にぶつかっておる。だから、あなたの言うようなことではない。よくしたいという熱意の余りにしても、こういう干渉は避くべきだ、こういうふうに考えます。この点はなければそれでけっこうと言うよりしようがない。しかし今後あまりに干渉すると、かえって自主性を阻害する、協同組合というものは自主的な組織ですから、むしろ下からどんどん盛り上っていかなければならぬ。それを啓蒙なり教育なり宣伝というものをおろそかにし、しかもいよいよ再建ということになって、あの人ではいけない、はなはだしきは、こういう人でなければいけないということ言ったということを私はある県で聞いておる。それはまさに行き過ぎだ、こういうふうに考えますが、この点は答弁は要りません。  次に十条ですが、これもさっき答弁にあったと思いますが、欠損はあっても借入金のない場合はどういうふうになりますか。この場合は該当しないように私には解釈されるけれども、どういう解釈を下したらいいか、この点をお伺いいたします。
  114. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 単協に関しますこの法律では、欠損金があっても借入金をしない場合は利子補給をしない。前の再建整備法ではそうでない場合がありました。しかしこれは農業協同組合同士とか特に農協整備をするために学識経験者の意見も入れてとか、また特に信用組合から借りた場合とかいうことで、その事業の進展をもねらっておりますので、もちろんそこで借りていただけば必ず補給をするということでいきたいと考えております。
  115. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると経営が困難になって信連から借り入れたものだけは再建に該当するが、信連から借り入れずに、欠損をそのまま持っているところは該当しない、こういうふうに解釈していいわけですね。
  116. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 そういう赤字があるにもかかわらず、そのままほうっておこうとする組合はこの利子補給は適用しませんけれども信連から金を借りて立て直しをしてもらいたいので、そうして下さったら利子補給をするということであります。
  117. 小川豊明

    小川(豊)委員 借入金をせずに欠損を持っていたならば利子補給をしない、しかし今度再建するために信連等から借り入れて再建にかかった場合にはもちろん利子補給をする、こういうことになりますね。
  118. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 そういうふうにお勧めしたいということです。
  119. 小川豊明

    小川(豊)委員 わかりました。
  120. 村松久義

    村松委員長 芳賀貢君が見えませんので、本案に対する質疑はあと回しにいたします。     —————————————
  121. 村松久義

    村松委員長 次に飼料需給安定法の一部を改正する法律案及び飼料品質改善に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題として審査を進めます。質疑を続けます。川俣清音君。
  122. 川俣清音

    川俣委員 飼料需給安定法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたしますが、『第五条第一項中「買い入れた輸入飼料」を「保管する輸入飼料」に改める』というふうにされたのはどういう理由なのか、お尋ねいたしたい。
  123. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 第五条第一項で「その買い入れた輸入飼料を売り渡すものとする。」こういうふうになっておるのであります。ところが改正案によりますと、第八条の二で「買い換え、又はこれと交換」ということになるのであります。交換の場合が買い入れと読めるか読めないか、こういう疑問がありますので、とにかく持っておる飼料を売るのだということにはっきりするために保管する飼料、こういうふうにしたわけであります。
  124. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、これは本質的には輸入飼料じゃないものを持っている、いわゆる書きかえによって、保管というからには内地産のものも含まれる、こういうふうに理解させるため、いわゆる国内産のものは輸入飼料とみなすということで、保管する輸入飼料とこう読みかえさせた、こういうことですか。
  125. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 そうであります。
  126. 川俣清音

    川俣委員 そういう答弁だろうと思ったんです。そこでどうもお尋ねしなければならぬ問題がある。そうすると飼料需給安定法というものは全部変えていただかなければならぬ。法律の趣旨は提案の説明の当時の速記録から見まして、国内産の品物が逼迫しておるのでとかく需給上も不安定であるし、価格も不安定であるからして、できるだけ安くしようというねらいなんです。それには輸入飼料を入れなければならないという建前でこの法律ができておる。従って目的は、この法律目的を第一条に書いている。「この法律は、政府が輸入飼料の買入、保管及び売渡を行うことにより、飼料の需給及び価格の安定を図り、もって畜産の振興に寄与することを目的とする。」となっております。内地産のものを買ってきて安定するなんということはこの法律の趣旨じゃない、根本から変えているじゃないか。目的から変えてこなければならない、こんな小さなところの問題じゃない。そのくらいなところを事務的に変える必要があるならば、なぜ本法の目的全体を変えないか。この法案を出された趣旨は、法律の趣旨に従って改正されるものですよ。もしも根本的に変えるならば、条文は別にして、この本法の趣旨に従った改正でなければならぬはずです。これを廃案にして新しく別に法律を出して変えようというならこれは別です。国内産が非常に豊富になってきて、増産されていって、その買い上げをすることによって農産物価格も安定する、また飼料の需給も円滑にいくということでいくならば、法律の根本を変えなければならぬ、出直してこなければならぬ。どうも部分修正でこれをごまかそうとするようなことは、これは法律をもてあそぶものだと思う。どうです。
  127. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 この改正案は第一条の目的を変えようという意図はないのであります。そのために八条の価額も非常に限定的に書いておるわけなのであります。それと同時に、輸入飼料でない国内産飼料を無制限に買うのでなくして、同一種類の同一数量を買いかえまたは交換する、こういうことになっておるのでありますから、そのものに限り輸入飼料とみなす、こういうことをしておるのでありまして、私の方では等量交換でありますからその分だけを国内産飼料でも輸入飼料とみなすことは本法の目的の範囲内である、こういうふうに考えておるのであります。
  128. 川俣清音

    川俣委員 聞くところによると法制局でそう書きかえた方がよろしい、修正をするならばそうした方がよろしいということでされたようであります。これは昔の法制局と違って、最近は法律の成り立ちや何かを十分検討して字句を加えるのじゃない。ただ字句だけを見て変える。法律の趣旨がどこにあるのかなんということを質問を受けて変えたんじゃないらしい。それはあなた方の説明が悪いんですよ。この法律はこういう趣旨でできているのだが、こういうことができるかどうかという相談をすべきことなんです。ところがそうじゃないのです、今書きかえが必要だがどうしてくれるという相談をするからこういう結果になる。当時の提案説明を見てごらんなさい、あるいは質疑応答を見てごらんなさい。内麦から生れてくるふすまと買いかえするというようなことで需給安定をはかろうなんということは毛頭考えておらない。だからこれは法律の主文に明瞭なんです。この法律政府が輸入飼料の買い入れ、保管、売り渡しによって、飼料の需給及び価格の安定をはかる。国内産の飼料は不足であるから、そこで輸入飼料に依存して需給の安定をはかり、需給が不安になってくるために価格が高騰してくるから輸入を豊富ならしめよう、こういう趣旨なんです。従ってこれは原価計算主義ではない。第七条に、「政府は、国内の飼料の需給がひつ迫しその価格が著しく騰貴した場合において、これを安定させるため特に必要があると認めるときは飼料需給安定審議会にはかり、その所有に係る小麦を売り渡す場合において、その相手方に対し、その小麦から生産されるふすまの譲渡又は使用に関し、地域又は時期の指定、価格の制限その他必要な条件を附することができる。」ということになっておりますし、この飼料需給安定法は原価計算主義をとっていないのであります。買い入れた価格で売らなければならないとか、そういう思想でこの法律はできていない。七条は明らかにあなた方が今改正されることを否定している。従ってこの法律全体から見てそのことを容認しない法律になっている、国内産が不足であるという前提に立っての法律なんです。豊富であれば輸入を控えるということはあり得るかもしれませんが、買いかえて安定させるなんという考え方はないではありませんか。だから法律の趣旨を全く変えた改正案である。しかし飼料需給安定について全部新しく構想を変えてくれば別です。前は、外国の安いふすまなり小麦を買ってきて、その差益金で安定をしようというのが、第一のねらいであった、説明によればそうなんです。同量とか同質とかいう考え方はない、安いものを買ってきて、その差益金を利用して価格の安定をはかろうということが一つのねらいで、もう一つ、大量に入れることによって需給のバランスをはかっていって、価格の安定をはかろうというのがこの法律の趣旨なんです。どの条項を見てもそうなっている、そういう建前で各条項ができているじゃありませんか。だからそれを部分的に買いかえすることができるとかなんとかいうことで読みかえさせるというようなことでいけるものじゃないと思う。そういう政策が転換されたならば、転換されたような法律に直していかなければならない。どうなんです。
  129. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これはあくまでも輸入飼料の増大によって、国内の需給を安定したい、こういうねらいになっておるのであります。そこで買いかえが、起る場合というのはどういうときかといいますと、輸入が国内の需要をまかなって、政府の手持ちができる場合に起るのであります。すなわちそういう場合には、国内の価格が暴騰しそうになれば手持ちをどんどん出していくわけでありますが、それをやってもなお手持ちが余る場合に、それがちょうど梅雨どきを越さなければならない場合には買いかえをしようということになるのであります。その際には、保管を継続するという意味においてその際新しい輸入飼料が買えればそれで買いかえをしてもいいのでありますけれども、必ずしもそういうふうにもいきませんし、需給のバランスの範囲内において国内産のものを引き上げれば需給は逼迫してしまうから、それと同時に手持ちを出す。そういう操作をやろう。すなわち保管を継続する一つの手段として、便宜国内産のもので買いかえをしていく、あるいは交換をしていこう、そういうわけであります。その範囲内でありますので、この法律の当初の目的を逸脱するというふうには考えておらないのであります。
  130. 川俣清音

    川俣委員 どうもそう聞くと、まことに悪意に聞える。悪意というのはどういうことかというと、前は比較的飼料が高かった。今度は相当安くなる傾向があるから、ここで安くしない操作に使うのでないかというような悪意の解釈が出てくるのです。私はそうは解釈したくはない。業界にはそういう意向があります。けれども私はそうは理解したくはない。もっと善意に理解している。悪意に理解せいといえば、もっと資料を別に出しますけれども、そういう悪意で解釈したくないから、私は善意に解釈している。業界の希望によってというか、運動によって法律が変えられたというふうに私は悪意に解釈したくはない。これが前提なんですよ。あなたのような答弁を続けておると、どうもそうとらざるを得ないようなことになることを遺憾とするのです。そこで私は善意に立って聞くからそのつまりで答弁して下さい。  八条を見てごらんなさい。前の八条は、「条件を附して小麦を売り渡したときは、省令の定めるところにより、遅滞なく、売り渡した輸入飼料の価格、」これは外国飼料意味です。「品目、数量の条件その他必要な事項又は前条第一項の規定により附した条件を、買受人別に、公表しなければならない。」という規定は何かというと、これだけ輸入されたのであるから、価格が安くされる方向をあえてここで指示する必要があるので公表するのです。これは価格の暴落等が起ることが必至であるから、それがねらいであるから、わざわざ公表するのです。これはそうなんです。いわゆる国内飼料にプラス・アルファをねらっての法律なんです。あなたの方はアルファじゃない、とんとんなんです。とんとんなんということを考えた法じゃありません。多くなればなるほど——従って畜産振興のためにこの法律ができているのですよ。えさを安くするということがねらいでできているのです。価格を下げないなんというのではありません。肥料需給安定法というのは価格を安定する、需給を安定するというのがねらいなんだけれども、河野農林大臣に言わせると、できるだけ下げよう、これが安定法のねらいだというのです。肥料の方はできるだけ下げようというのがねらいならば、えさの方だって下げることがねらいでなければならないはずなんです。同じねらいでできておるのだから。従って、国内産プラス・アルファによって、そのアルファの力によって、輸入飼料によって価格の操作を行なっていこう、あるいは需給操作を行なっていこうということがねらいなんだ。従ってストックなんということはあまり考えていない。買ったものはどんどん売り渡していって、価格をできるだけ下げていこう、需給をできるだけ円滑にしていこうというのがねらいの法律なんです。それをストックしていって、それで操作をした取扱い業者にあまり打撃を与えないようにしようなんという法律ではない。そういう法律を作るなら、飼料販売業者援護法という法律を作るなら別です。飼料業者がつぶれたらえさに及ぼす影響が大きいから飼料業者援護法を作ろう、こういう目的なら別ですよ。もしもそのような意見があって、ストックをするということが目的ならば、その三万トンか二万トンのストックで一体そんな操作ができると思っていますか、ほんとうにストックを持ってやるというなら、腐らないものをいつでも売り渡せるような、持ちきれるようなものでなければ、ストックの圧力はきかい。鮮魚だって、冷蔵庫を持たないような魚屋が、おれはストックを持っておるからというようなことでいばったところで、魚の価格に影響を与えることはできない。それを冷蔵庫を持っておる者が言うなら圧力がきく。腐って、買いかえをしなければならぬようなものを持っておって、これでストックを持っておるから威力があるということは、どこでもできるものじゃない。長官どうですか。
  131. 清井正

    ○清井政府委員 ストックの数量についての御質問でございますが、一がいに、どのくらいの数量を持っておればストックとして価値があるかということは、なかなか申し上げにくいと思うのであります。そのものの性質並びに需要数量、供給数量を全部勘案いたしまして、果してどの程度が必要であるかということを具体的に判断すべきものだと思うのであります。具体的の御質問の点につきまして、果してどの程度が適正であるかということについては、ちょっとはっきりした御答弁を申し上げかねる次第でございます。
  132. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 飼料のストックの算定は、むしろ畜産局の方からこれだけ持ってくれということを言っておるので、私の方から御説明いたします。一番問題になりますのはふすまでございます。ほかの品目は、世界の供給量も相当潤沢でありますから、そう神経質にならなくてもいいが、ふすまだけは、日本の需要は、ほかのものと代替できない最低量というものがありまして、先般お配りいたしました資料のいろいろな表を見ても、ふすまが一番ひどく価格の変動を受けておるのであります。そこで内地産が四万トンないし五万トン、あと輸入が毎月四万トンないし五万トンでありまして、ほかに輸入分を一万トン内外出せば従来は需給がとんとんになる状態でありますので、その目標でやっているわけであります。ところがふすまは、これを輸入しますのに、どんなにしましても最低二カ月以上かかるわけでありますので、そういうことをにらみ合して、三万トン程度最低持っておらなければ、お話のように保管をする意味がない、こういうふうに考えておるのであります。なお七条、八条の関係は、そういう手持ちもなし、あるいは外国からの輸入も間に合わなくて需給が逼迫したる場合の特別の措置であります。そういう場合には特別念入りに条件なり制限を付して、それが需要者にわかるように公表していく、こういう趣旨であります。これは需給が逼迫して価格が上ったときはそういうことをやる、相当程度の統制をやろう、こういうことであります。普通の場合は買いかえができるのは需給をまかなってなおかつ保管を継続できる、こういう状態でありまして、七条、八条の場合は異例の場合である、こういうふうに私ども考えております。
  133. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁長官にお尋ねいたしますが、これはどういうわけで食管特別会計で操作しなければならないというここになったのですか。あなたはどういうわけで食管会計でこれを引き受けているとお考えになっておりますか。今までなぜ特別会計でお買い入れになったのですが。何か食糧庁として構想があったからこそと思うのです。
  134. 清井正

    ○清井政府委員 厳密に申し上げますといろいろ御議論のある点だと思いますけれども、本来は主要食糧であります。そこでただいま御指摘の通り問題はいろいろあるかと思いますけれども飼料として取り扱う一部の物資には、品質の問題はございますけれども、小麦等のごときは主要食糧と形は同じ形を持っております。むろんウェートは違っております。品質につきましてはもちろん、飼料に回す場合と主要食糧に回す場合とそういう意味において若干の違いがあるといわざるを得ないのであります。そういう問題が一つ。それから特別会計をかりにえさのために新しくいたしました場合と、それから食管の特別会計をかりてやります場合とは、やはり特別会計は二つ別々に作ります場合よりは、一つの特別会計で実施した方があるいは経費の節約その他の面からいって有利である、こういうこともいえるであろうと思うのであります。従ってこれは厳密に申しますればいろいろ問題があるかもしれませんけれども、ただいま申し上げたようなことから考えますれば、食管会計において飼料の売買をいたすということも決して意味のないことではないというふうに考えております。
  135. 川俣清音

    川俣委員 そこでお尋ねしているうちに疑問の点が二つ出てきた。食管会計というのは赤字が出た場合一般財政からの繰り入れはなかなか困難なことは、たびたびあなたから御説明のあったところであります。しかもその赤字は消費者が負担しなければならない。えさの方から出たそごを一般の人が負担しなければならないということは公平な負担ではないと思う。そう思いませんか。
  136. 清井正

    ○清井政府委員 お話の点は理論的に申しますといろいろ問題がある点でありますけれども、やはり性質、程度の問題から考えなければならぬ点が実際問題としてありはしないかと思います。なるほど御指摘の通り食管特別会計において赤字が出ました場合に、これが措置並びに取扱いにつきましては、非常な問題があったことは申すまでもないことであります。従ってこれは主食としての問題でありますが、ただ食管特別会計においてえさを所管しておる関係上、これに若干の運営上損失を実際は生じておるわけであります。もっとも本年度は予定量よりかなり少い額で済みましたが、その内容を見ますと、それぞれの物資につきまして利益のあるものもありますし、損失の起る物資もあるのでありますが、総計して損失が起った、こういうことであります。しかし元来えさにつきましても、これは法律の建前上やはり需要者たる農家に対しまして一定の安定価格によってえさを供給するということにおきまして農業経営に対して貢献するということが、ひいては一般農業経営あるいはいわゆる主食の経営にも若干の影響があることはいわざるを得ないのであります。そういう観点もあると思うのであります。そういうことは決して理屈立てて申すわけではありませんが、そういうようなこともございますし、従来の経過から申しますれば、若干の損失がありますればこれは食管特別会計において負担するのも万やむを得ないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  137. 川俣清音

    川俣委員 この法律ができた趣旨は、御存じの通り外国から安い飼料を買って、その差益金をもって価格操作して国内の市場価格を下げていこうというのがねらいの一つ。もう一つは、国内飼料の逼迫を緩和するために外国飼料を入れるということが二点なのです。なぜ食管会計が受け持ったかというあなたの説明は足りないと思う。なぜかというと、えさが高くなってくれば主食を高くしなければならない。主食のかすでやったものの方が高くなって本体の方を安く売るというようなことはできなくなる。内地小麦にいたしましても、内地大麦にいたしましても、裸麦にいたしましても、そのかすのふすまなり麦ぬかなりが高ければ本体が高くなっていく。そこで食管会計に影響するところが大きいから、ある程度の犠牲は忍ばねばならないということであなた方の方は引き受けておると私は理解しておる。そうじゃないですか、そうなんでしょう。ふすまの値段が高くなり、ぬかが高くなり、米ぬかが高くなってごらんなさい、なかなか安くは供出する者はなくなってしまう。支持価格を下げていかなければならなくなる。事主食の価格に非常な影響を与えるから、この程度の犠牲を払っても主食全体の価格構成の上には役立つということで引き受けられておるというふうに理解をしておる。それならば一般の消費者が幾分負担することもまた主食の価格の安定の上から当然な義務負担であるというふうに理解しなければならないと思っておる。そうでなければ理解できない。そうじゃないですか。
  138. 清井正

    ○清井政府委員 その点はまさにあると思います。私どもの言葉が足りなかったのでありますが、そういうふうに私は端的に申しましたけれども、やはりえさの価格安定ということは直接に主食の価格に影響するわけでありまして、損失を補償いたすのもそういう意味が十分あると考えております。
  139. 川俣清音

    川俣委員 そうだと思う、その通りなんです。そうすればここに問題が出てくる。できるだけえさの価格を下げるということは、畜産の面ばかりでなくして、できるだけ主食を安く供給しなければならないという立場をとらなければならない。食糧庁としては、えさの値と主食の価格との間のつり合いを常に考えなきゃならぬということなのです。ところが畜産の方はそうじゃない。業者のことを考えておる。下ったりすると業者がつぶれるかもしれぬという心配が先に出て参りまして、この法律は従いまして価格安定よりもむしろ価格を引き下げていこうということがねらいなのです。輸入飼料によって価格を下げていく、できるだけ差益金をもって操作しよう、さらに国内産のほかにプラスして輸入することによって価格操作と需給の安定をはかろうというのがこの法律なのです。あなたはそれに賛成して食糧特別会計の中で操作しておられると思う。ところが今度はそうじゃない。内地のものを買いかえるという。それでは輸入することよりも買いかえることの方に力が入ったことになります。必ずしもそうじゃないといたしましても、この法律はそう操作で安定させるというねらいじゃない。そうすると前に食糧庁として引き受けた時代と今とは目的が変ったもので、目的が変ってもなおあなたはこれを引き受けられる勇気があるのですかどうか。前の目的は今あなたが述べられた通りです。今度はあまり下らないようなことにねらっておるが、それでもなお食管の赤字を出しても操作しようというふうに考えられるかどうか。これは非常に問題が大きいと思うから、御答弁願いたい。
  140. 清井正

    ○清井政府委員 お話でございますが、今回の改正におきましても、私の申し上げた根本の趣旨は変っていないのじゃないかと考えます。先ほど御指摘があり、私もお話申し上げた通り、食糧管理特別会計においてえさの買付をお引き受けする理由はその通りでございます。特に三十一、三十二の二食管特別会計におきましても、飼料関係におきましては若干の損失と見ております。御指摘の通り、買い入れました飼料と売却いたしました飼料との間に損失を起すということは、価格安定をはかるという意味がそこに入っておるわけであります。金額もごく少額でございますので、御趣旨の点は通っておるわけでございまして、今回の法律改正におきまして買いかえの問題を御議論になっておるようでありますが、買いかえの問題につきましてもこれは技術上の問題であろうかと思うのでありまして、低廉な安定した価格によって飼料の需要者にこれを供給するという本来の趣旨は、決して変っていないというふうに実は考えておるわけであります。従って私どもの会計においてこの会計をお預りするということについては、何ら問題はないというふうに実は私考えておる次第でございます。
  141. 川俣清音

    川俣委員 私はできるだけ時間を節約したいし、逸脱したくないのですが、売り渡し米の値段を下げよう、主食の値段を下げようということは容易ではありませんが、ふすまも麦ぬかも米ぬかもそれに相応して下っていかなければならないはずです。ところが、あまり下ることはどうかというような考え方から、買いかえの思想が含まれているような感じがする。むしろ主食よりも先にふすまが先行しなければならない、安くなっていかなければならない。それに引きずられて本体が安くなっていくというふうになっていかなければならないはずなんです。それを一方は国内の価格支持政策をとられておりますから、下ることが下り得ないでおりますことは認めます。しかしながら、ふすまがわずか下ったのだから、おそらくあとでこれだけ下ったという説明があるでしょうが、片方はそれだけの強力な支持政策をとっておってもなお下っていく、片方は下げる目的でありながら下っていないというふうに開きがある。片方は上げていこうとしてもなお下っておる、片方は下げなければならないという法律でできておる。その開きがもっと増大してこなければならないはずです。おそらく前と大した違いがないということに説明されるだろうと思いますが、長官どうですか。
  142. 清井正

    ○清井政府委員 数字のこまかい点につきましては、ちょっと私資料を持っておりませんが、私どもといたしましては、麦の販売価格をきめます場合におきましても、ふすまなり麦ぬかなりの一定の販売価格を予定してきめておることはお話通りであります。従いまして、今回さらにこの改訂を考えます場合におきましても、やはり麦ぬかなりふすまなりの副産物の価格の動向をにらみ合いまして、なるべくその価格に沿うように——ということは、つまりその価格が上るということに実は問題があるのでございまして、現在の傾向また将来の傾向といたしましては、なるべくそれを飼料という立場から下る方向に持っていかなければならない、としますれば、やはり麦の価格もこれを低める方向に持っていかなければならないというふうに実は考えざるを得ないのであります。従っていずれが結果、いずれが原因と申しますか、私どもといたしましても常々副産物の動向と飼料の価格安定という立場から見合いながら原麦の価格をきめる、こういう立場をとっておるのでありまして、近々そういう措置もとりたいと考えていますが、ただいま申し上げたような観点からそういうふうに考えております。
  143. 川俣清音

    川俣委員 時間がありませんから、この問題はいずれ他の機会に譲ります。  次に食糧庁長官にお尋ねしたいのですが、マニトバ五号あるいは雑穀であります大豆、トウモロコシ、これらは食糧庁としてはえさになったり油になったりすることは当然お認めでしょうが、これらの輸入の価格と数量について、将来どういう方針をとられるつもりであるか。
  144. 清井正

    ○清井政府委員 どういうふうにお答え申し上げましたらよろしいか、私どもはっきり申し上げられませんが、私ども主要食糧の立場としてのまず需要量を考えざるを得ないわけであります。主要食糧としての需要から考えまして、国内の供給量、よって不足する数量を海外の輸入に仰ぐという立場から需給計画を作っておるのであります。これはあくまでも主要食糧という立場からであります。飼料という立場からは、畜産局の方においてそれぞれの立場における需要事情を勘案されまして、その不足分を輸入に仰ぐという形にいたしております。主要食糧としての不足分と飼料としての不足分とこれが合計されまして、輸入計画に計画されまして、一部は政府がこれを買い上げる、一部は民間によって買い入れるというようなことになっております。大体の計画の基礎は主要食糧と分離した計算になっておりまして、輸入計画については、一つの総ワクの中におきまして飼料部分、主要食糧部分として輸入する、こういうふうに計画いたしておるのが現状の計画においての輸入の仕方であります。
  145. 川俣清音

    川俣委員 決して言葉じりをとらえるわけではないけれども、どこで需給のバランスをとるかということで不足分という考え方が非常に違ってくる。畜産がだんだん盛んになってきた場合の需給の分と従来の実績ということ、あるいはこれから奨励しようとする畜産の発展とを加味していかなければ不足分というのは出てこない。そこで相当大規模にあるいは余裕のあるように計画を立てるということが飼料審議会等から要望があった場合は、さらに食管会計の中で操作で輸入の増大をはかり得られるのですか、はかり得られないのですか。
  146. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま申し上げました通り、えさとしての需要は畜産的な観点から計画いたしております。飼料関係において飼料審議会においてそういう御意見等がございまして、計画上さらに需要量を増したいというようなこと、すなわち供給量を増したい、外国からも輸入量を増したい、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、それに応じまして輸入計画数量を増加するということはでき得ることであるというふうに考えます。
  147. 川俣清音

    川俣委員 それは要求があれば食管会計の操作の中でできるとこう理解してよろしいのですか。それとも審議会は審議会として勝手にきめられても、食管特別会計では操作がしにくいとこういうことになるのでしょうか、その点を聞いておるのです。無条件で受け入れられる状態なのか、それともそれをかなりあなたの方と打ち合せしなければ受け入れられない状態なのか、食管特別会計の操作上お聞きしておるのであります。
  148. 清井正

    ○清井政府委員 これは一概に申し上げにくい点があると思います。これは畜産の立場からこれを入れなければならぬという御意見飼料審議会等でございまして、そういうようなことを重要視することが大切だということでありますれば、私どももこの案をそのまま受け入れて差しつかえないと思いますが、すべてこれは個々の場合の検討に待たなければならぬのでありまして、食糧管理特別会計といたしましては、飼料の観点からぜひ入れなければならぬということでありますれば、私従来の経験から申し上げましても買いましたものの売却につきましては今後いろいろ操作があるのであります。どういうような損失になりますか、今後問題になるのでありますが、輸入の数量等につきましては、大体御希望の線に沿うてやってきておる実例がございますが、今後もそういうことでありますれば実情に沿うて措置することが適当だろうと考えております。
  149. 川俣清音

    川俣委員 これ以上はあまり聞かないことにしましょう。  次に官房長にお尋ねしたい。飼料品質改善法律改正せられようといたしたので、省議等において十分検討いたされたと思うのですが、これは取締り法規として改正しようというねらいなのですか。それとも従来の法律を逸脱しないように改正しようというお考えなのですか、その点をお尋ねいたしたい。どういう検討があったのか、畜産局から出したから無条件に承認されたとも思われない、相当検討されていなければならぬと思うのです。
  150. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 提案理由のときに御説明したかと存じますが、従来の飼料品質改善の問題、これを強化いたしますためにとりました措置であります。もちちん取締りの点につきましても若干の点につきまして強化しております。趣旨は品質改善法律で、公定規格をきめてやっていきたい。かような考え方であります。
  151. 川俣清音

    川俣委員 あくまで品質改善がねらいだとすれば品質改善ということは指導ですか。そうでしょう、これは奨励指導ですよ。取締りというのは一定の罰則を設けて違反を禁じていくというのが建前じゃないですか。指導奨励と取締りと違うというのがあなたの答弁ですね。そうするとこれは取締りじゃなくて指導奨励だ、こういうのですね。では農薬などは何ですか、やはり指導奨励ですか、取締りですか。
  152. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 この法律はたしか十五条だったかと思いますが、取締りの規定が若干前から入っておるわけでありますが、先ほど申しました通り品質改善の問題を、主にいたしております。農薬の方は私ちょっと存じませんが、たしかあれは取締りの方を重点に置いた法律であったかと思います。
  153. 川俣清音

    川俣委員 そうすると取締りと奨励とはどこが違うのですか。おそらく違反をした場合にはいかぬぞ、こういうきつい形が常識上取締りだ、なるべくこうしなさいというのが指導だ、こういうことになるのじゃないですか。
  154. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 指導と取締りがどこで違うかということでございますが、取締りと申しますれば罰則等を伴います意味の最低限を保証するようなものになるかと思います。指導の場合は、それと違って育成と申しますか、一般の自主的な指導を助長するような方向においてこれをやっていく、こういうことかと思います。
  155. 川俣清音

    川俣委員 大体それが常識的な答弁です。その通りなんです。ところが農薬の方は非常に弊害がある、また害毒もあるんですね。取締りの方は罰金が割合に安い、指導奨励の方が罰則が重いんです。普通の常識から言えばやっていかぬということをきつく取り締るのが取締り法規だ、こういうんでしょう、その必要があるということで作られたんでしょう。ところが農薬の方は害毒を及ぼすところの影響が大きいということで法律にもちゃんと出ている。ところがこれは安い。できたころの情勢によっていろいろ修正を加えられるならば、今言ったような輸入飼料を保管飼料に直すというように部分的の改正をせられるならば、この点の比較検討が当然行われていなければならぬはずなんです。肥料取締り、農薬取締り、種苗等の取締り、これらは同じように公定規格をきめ、登録をせしめる、ところがそれに対する罰則が不同一なんです。これは何のために重いのか、何のために軽いのかという根拠がないんです。そこを検討されたかどうか、こう聞いている。これは畜産局が出したから無条件にのむ、こういったのか、そういうところまで検討されたのかどうか、省議の内容をお聞きしようとは思いませんが、検討されたのかどうか。
  156. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 同じような性格のものはやはりその罰則等が大体同じようになっておるのが常識だろうと思います。この肥料取締りの方の問題とは大体において歩調が合っておるかと存じております。もっともこの法律ができます場合のその当時の状況等によりまして若干の差異が生ずることもございますが、しかし私たち法令審査をする立場といたしましてはできるだけ同じような性格のものは同じような罰則ということが、これは原則だろうと思います。もちろん私たちだけの審査ではありませんで、私どももそういうつもりで審査をいたしておりますが、法制局その他でも十分審査をしていただいております。
  157. 川俣清音

    川俣委員 時間を節約するために議論はしないで、注意だけしておきます。こういう法律を出されるときはやはり比較検討されるべきだと思います。どうも今まで出てくる法律は、早早の場合に出てくるものが多いように感じる。たとえば農薬の方においては三十日以内に公告しなければならない。三条の方はわざわざ告示しなければならない、七条、九条の方は公告しなければならない。なぜ一体区別しなければならないのか、告示も広い意味の公告の中に入ることは一般の常識なのです。公告と書かなければ公告しないのだというようなことはこれは詭弁なのです。農林省の同じ公告なのです。告示と書かなければ告示しないというなら、全部農林省関係のものは告示に直さなければならない。同じ条項のところです。一つだけ直しておいてほかはかまわないというようなやり方を一体何のためにやったのか、意味がわからなくなる。変えるならば、近代的な構想だというなら全部変えたらいいでしょう。たった一つだけ変えて何の意義があるというのか、そういう点なんです。整理の仕方が非常に疎漏ですよ。まだ疎漏な点がある。これは大きいから言っておきます。農林物資規格法において、この規格を定めるにはこういう方法によらなければならないということをきめ、しかもこのねらいは何かというと公定規格、登録がねらいなのです。せっかくこういう基本法があるにもかかわらず——もしも取締り法規でなければ、この法規によっても十分にやり得るのです。公定規格の条項が足らないということであるならば、この条項によってちゃんとあるのです。第一条に「この法律は、適正且つ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによって、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」といって、これらのものは含まれる法律があるのです。取締り法規だからして別に作らなければならないというのなら別です、それならまた意味がわかるが、指導、奨励ならば、農林物資規格法というものは農林物資を指導、奨励するためにできている基本法なのですし、昔から日本が、まだ農商務省時代から日本の農林物資規格というものをやって指導奨励してきている基本法なのですから、なぜこれを使わないで新たなものを使うのです。これは法律の乱用です。この点あなた方は検討されたのかどうか聞いているのです。
  158. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 その問題に関しましては一応議論をいたしたのでありますが、やはりえさの問題自体といたしまして一貫してやることの方が妥当であろうということと、それから農林物資規格法は御存じのように国内において生産されます農産物等を原料といたしましたものというふうに法律としては一応限定いたしております。それでえさの場合は海外の農産物ももちろん入りますし、農産物外のたとえば水産物でありますとかあるいは鉱物のようなものでありますとか、その他いろいろなものが含まれるわけでありますから、農林物資規格法の対象といたしますものよりは範囲も広いというような事情がございます。それと先ほど申し上げましたえさといたしましての一貫したやり方でやりたい、そういうようなことがございまして現在御審議を願っておりますような形になっている、こういうことでございます。
  159. 川俣清音

    川俣委員 私は質問でなく意見だけ言って、大体終りたいと思うのです。質問しても満足な答弁を得られません。それはあなた方がどんなに答弁しても、化学肥料などと違って、ふすまにしても、大豆にしても、大豆かすにしても、みな単味で売れるものなんです。この単味でできるものを混合してどれだけの比率でいくかというだけのことなんです。そこの点に取締り法規にしたくてもできない痛さがある。そこで逃げているだけです。ただ罰則の方ではこれは法律だからどうにでも作れるということでやっているだけのことだ。そこに統一されない法律の体裁が出てきているのです。これは単味で売れるのだから罰則はできないのですよ。そこまではいこうとしたっていけない。だから放任しておいてよろしいかというと放任ではいけないから指導しようということになって、議員提案で出たのです。単味で売れますために政府が行政的にそこまで入れないで法制化できなかった。政府提案ができなかったゆえんはそこにあるのです。できなかった理由があるにかかわらず、今度改正案として政府案で出てきておる。最初の出発は行政的にそこまで入れないということだったにかかわらず、今度さらに強化するには入れるというのは、一体どういうわけなんです。そういう点の検討もしないで、これならばよかろうというようなことで倉卒にこの忙しい国会にむやみに改正案なんか出すべきじゃない。出すならもっと検討して熟慮しなければならない。法制局に行ったら公告よりも告示の方がいいと言ったから変えました——それでは農林省のほかの公告はどうなっているかということも検討しなければならぬはずだ。あなた方はもっと勉強しなければならないのに、非常に粗雑ですよ、十分反省すべきだと思うのですが、どうですか。
  160. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 立法されました当時の事情等は、その後の法律の運用に際しましてもあるいは改正をいたします場合にも、十分に尊重いたして考慮すべきことは当然のことかと存じます。ただ議員立法でありましたものを政府の方で提案いたしまして改正するということは、事情によればそういうこともあり得るわけでございますので、御了承を願いたいと思います。  なおえさの問題につきましては、もちろん単味で行われる場合もございましょう。問題になりますのは、やはりそれがどのように配合されてえさとして出されているか、そこのところに問題がございますし、またそういうものが市販いたされます場合が多いわけでございます。従いまして単味である場合と配合いたしました場合とにおきましては、若干その間に法律のねらいといたしますところも違っておるかと存じます。
  161. 村松久義

    村松委員長 ほかに御質疑はございませんか。——これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  162. 村松久義

    村松委員長 速記を始めて。  農業協同組合整備特別措置法案を議題といたし、審査を進めます。  他に御質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 村松久義

    村松委員長 なければ、これにて質疑は終局いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会