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1956-03-22 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十二日(木曜日)    午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       井出一太郎君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大野 市郎君       大森 玉木君    加藤常太郎君       川村善八郎君    木村 文男君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       河野 金昇君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    松野 頼三君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稻冨 稜人君    小川 豊明君       川俣 清音君    神田 大作君       田中幾三郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局         長)      大坪 藤市君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      新澤  寧君         農林事務官         (農業改良局総         務課長)    庄野一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十二日  委員足立篤郎君辞任につき、その補欠として井  出一太郎君が議長の氏名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業協同組合整備特別措置法案について参考人  出頭要求に関する件農業協同組合整備特別措置  法案内閣提出第五三号)  農業改良資金助成法案内閣提出第五六号)  飼料需給安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)  飼料品質改善に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇四号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農業改良資金助成法案を議題といたし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 最初にお伺いいたしたいのは、この改良資金制度が創設される前提となった問題についてであります。というのは、従来行われてきたところの補助金制度欠陥があったということをあなたの方でも反省されて、その批判にこたえるためにこの改良資金制度が新政策として取り上げられたわけでありますが、この制度に対してその批判にこたえるというのはどういう考え、方あるいはどういう観点からこの改良資金制度が創設されることになったのか、この点をまずお伺いいたします。
  4. 大石武一

    大石(武)政府委員 改良局長からお答えいたさせます。
  5. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま改良資金助成法案提出に関連いたしまして、いかなる観点から本法を提案したか、こういうような御意見でありますが、これにつきましては、すでに政務次官より提案理由で説明いたした通りでございます。ただいまも御意見がありました通り、従来の補助金のうち一部のものにつきましては資金効果が少いとか、あるいは本来の目的に合致していないというようないろいろな御意見があるのでございます。しかしながら私どもといたしましては、わが国農業零細性からいたしまして、どうしても農業投資といたしまして、助成金というものは今後も継続していくつもりであります。ただ、いろいろな助成事業がありますが、そのうちの一部のものにつきましては、すでに相当助成効果を上げておりまして、いつまででも助成を継続していくということはこの際適当じゃない、こういうような事業相当あるのでございます。御承知のように、助成事業を漫然と長く続けていくことは、わが国事情からしても困難なことでございまして、そういう意味合いからいたしまして、この際一部の事業につきましては、助成事業改良資金制度に切りかえるということにいたしたのであります。ただ、助成事業改良事業に切りかえるということにつきまして、これは農政後退じゃないかというような批判が一部にあるのでございますが、私どもとしては、その辺が最もおそれておるところでございまして、この際助成事業改良資金制度に切りかえましたのも、わが国の国情からいたしまして、相当効果を上げておりますものを漫然といつまでも助成を継続することは困難である、しかし何かこれにかわるものを打ち立てなければ、御意見通りわが国農政後退を来たすというおそれがありますので、この際一部事業につきましては改良資金制度というものに切りかえることにいたしまして、法案提出いたす、こういうことに相なったのであります。御了承を願いたいと思います。
  6. 小川豊明

    小川(豊)委員 この補助金政策は総花的で、末端の補助が非常に少いという欠陥があったと私ども考えます。また反面においては、国の一貫した方針のもとに政策を行うことができたという長所を持っておったと思うのでありますが、今度の貸付金によるところの制度補助金よりもっと効果が上るだろうという根拠は、どこから出てくるのですか。
  7. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいままでの具体的な例を申しますと、今回改良資金制度に切りかえました事業のうち、補助金見合いの分につきましては、従来大体三割程度補助であったのでございます。たとえば水稲健苗育成でありますと、六十円のうちその三割の十八円を補助しておった。従って七割程度というものが自己負担ということに相なっておったのでありますが、これを切りかえまして、総事業費の七割というものは無利子の金をもって貸付をやっていくということにいたしまして、三割の補助というものを七割の無利子貸付というふうに切りかえをいたしたのであります。もちろん少額の金でありましても補助金は全然ないとは申しませんが、たとえば水稲健苗育成でありますれば、政府としてはすでに六、七年奨励をいたしまして、非常な御努力によりまして今日相当効果をあげております。今のわが国農業の客観的な情勢からいたしますれば、必ずしも少額補助金を出さないでも、この際資金相当に提供してやれば、農家はそれによって水稲健苗育成施設ができるというような状態に立ち至っている、かように私どもは了解しておるのでございます。もちろん一部の市町村におきましては、そこまでもいっていないところがあるかと思いますが、これは新農村等におきまして指定された市町村におきましては、展示的な施設として、従来通りの形において助成ができるというような格好になっておるのでございますが、大部分の市町村におきましては、助成金から資金に切りかえましても、これは農政後退を来たさない、順次資金が増額されて参りますので、農政後退を来たすどころか、これによりまして農業の基本がここで作り得る、かように考えておるのでありまして、そういう意味からいたしまして、今回法案を御提出申し上げた次第であります。
  8. 小川豊明

    小川(豊)委員 この資金は、地方財政の面から見ると、その赤字の一因になるということが論議されているわけです。従来の補助金の場合は、二億とかあるいは三億程度地方負担であって、この資金制度になって、私ども計算してみると、四億七、八千万の負担地方としてはしなければならない、こういうことになるように考えられますが、これは逼迫した地方財政相当の重荷になる、こういうふうに考えられるのであります。これは大きな負担になってくると考えられるが、この点はどうですか。
  9. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま小川先生からお話がございました通り、本制度を実施するといたしますと、ただいまの御意見通り、三十一年度におきましては、地方財政といたしましては四億七、八千万円の資金が要るということに相なるのであります。従いまして、地方財政現状からいたしまして、御意見のような懸念が考えられるのでございますが、実は従来のような助成金を継続いたしました場合に、大体三億見当の金を所要資金として県は負担しなければならぬのであります。なお県単位事業におきまして、相当やっておる府県におきましては、それ以上の金額を実は支出しておるのであります。従いまして府県負担という点から見ますと、もちろん三十一年度におきましては、三億少しをこしたくらいの府県負担分が四億数千万円というふうになりますので、一年限りで考えてみます場合には、御意見通り府県負担増加と相なるのでございますが、改良資金制度というものは、府県特別会計を創設いたしまして、その資金繰りによりまして農業改良発達をはかっていこうという趣旨でございます。従いまして、初年度におきましては府県負担は増加するのでございますが、二年、三年、四年、五年と、五年ほど継続いたしますと、五年目にはほとんど府県負担金は必要がなくなって参るのでございます。大体二年か三年目くらいで、府県負担分が現在と見合うくらいの格好になって参るのでございます。御承知のように府県財政と申しましても、これは一年ぽっきりで考えるべき筋合いのものではなくて、長期計画として、府県財政計画等がどうあるべきかということが考慮の対象になるものと思うのでありまして、その意味合いからいたしますれば、三十一年度におきましては、もちろん御意見通りに多少の負担増加に相なるのでございますが、二、三年を出ないで、本制度による方が、府県財政負担は、従来の補助金を継続しておりますよりも、負担が少くて済むという格好に相なって参りますので、長期計画府県財政計画の立て直しの一つの目標として考えます場合には、本制度を創設いたしました方が、従来の補助金をだらだらと継続して参っておるよりも、かえって府県負担は少くなる、こういうような結論に相なるのでありまして、そういう意味合いからいたしまして、これは必ずしも府県負担の増額を来たさない、かように私ども考えておるわけでございます。
  10. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは府県負担を増額しないというのでしょうか。これは一体地方交付金の中に含まれることになっておるのですか。それともなっておらないのですか。これはどうなんです。もし含まれておらないとしたら、これは将来よくなるとかなんとか言っても、地方としては、今持ちようがないんじゃないですか。
  11. 大坪藤市

    大坪政府委員 本資金のうち、たとえて申しますと、改良資金府県の三十一年度分は十二億七千五百万円でございまして、その三分の二の八億五千万円見当のものは国が補助いたすのでございます。従いまして、残りの四億二千万円と申しますのは、これは府県負担をするのでございますが、もちろん四億二千万円は、地方財政交付金財源といたしまして、再建計画の中には明瞭に織り込まれておるわけでございまして、この点につきましては、大蔵当局の方も、それから自治庁の方ともよく打ち合せ済みでございます。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 私もその点は見たんですが、地方財政再建促進特別措置法施行令を見ると、これは織り込まないようになっていませんか。歳入の立て方を見ましても、歳出の立て方を見ても、たとえば歳出の立て方を見ると、事業費原則は、当該団体における一般財源充当可能額、特に重要なもののみを計上、さらにまた特に事業量の圧縮に努めること、超過事業経費財源は増収または他の経費の節約によること、こういうことになっておって、地方財政交付金の方に入れてあると言いますが、これは地方では組めますか。そういうことが立てられますか。地方の方として地財法との関係は一体どうなるか、この点を私はお尋ねいたしたい。
  13. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの御意見でございますが、地方財政計画としまして、資金所要金額計算の中にこれが織り込まれているということに相なるわけでございます。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 府県で聞きますと、こういう改良資金制度を設けられても、地方負担分負担し切れない。再建促進法によると、これは負担できない、こういうことになっておると言う。あなたの方では差しつかえないと言うが、この点は明確に、ほんとうに差しつかえなく、地方がそういうことに対して何ら危惧を感ぜずにやれるのだ、あとでもって再建整備法規上において支障ないんだということを、ここで御明言願いたいと思う。
  15. 大坪藤市

    大坪政府委員 もちろん御意見通り、現在のところ地方といたしましては非常な財源難にありますので、御心配のように、地方財政といたしましてはこれは相当の問題じゃないかと思いますが、本農業改良基金は、御説明申し上げました通りに、わが国農業の、特に農業改良普及の基本的な線といたしまして、今後私どもは、この基金制度を活用することによりまして、農業改良発達をはかって参りたい、こういうこうな強い考え方を持っておるのでございます。従いまして、非常に資金源に悩んでおります府県でございますが、従来は三億くらいのものが、三十一年度に限って、約その半額くらいの金額が増額するというくらいのことでございますので、私どもといたしましては、これは何をさておきましてでも、資金源といたしましては、ぜひ計上してもらいたい資金であるのでございます。そこでこの点につきましては、地方財政当局にも強く要請いたしまして、本制度幸い可決を願いました暁におきましては、資金を県が負担し切れないから、本計画が画餅に帰するというような憂いのない措置を必ずとって参りたい、かように考えておるのでございます。この点につきましては、農林省といたしましてもその点を強く地方当局に呼びかけまして、御心配のないような措置をとって参りたい、かように考えております。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方のお考えもわかるし、これを受け入れたいという地方当局の気持もわかるのです。ただ、いかにそういうことを地方が希望し、あなたの方で努力なすっても、入れ得ないような規定が地方財政再建促進法施行令にできておるのではないか、こういうことを私は心配するので、そういうことができておらないんだ、心配ないんだ、こういうことならば、これは何も私の言うところはない。地財法との関係からみるとできないんじゃないか。いかにあなたの方で御熱心にこれを呼びかけられても、地方がしようと思っても、地財法再建整備団体になった以上は、これはできないことになるんじゃないか、こういうことを心配してお尋ねしておるのである。あなたの方でやってもらうつもりだ、地方もやるつもりだという、これはいい。だけれども、やってもらいたいつもりでもやるつもりでも、法規——地方財政再建促進特別措置法というのは最も重要な法律になっておる。この点からいうとできなくなりやせぬか、できないではないかということを私は心配する。この点は差しつかえないのだということであれば、それだけでもいいから、簡単に言って下さい。
  17. 大坪藤市

    大坪政府委員 私どもが本制度をやります場合に大蔵当局と相談をいたしました限りにおきましては、ただいまの御意見の点は差しつかえない、こういうふうに了解をいたしておるわけでございます。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 じゃ、念を押すようですが、そうすると再建団体になった地方団体は、この再建促進法施行令その他からは入れられないようになっておるけれども、これは特別に入れられるような話がついておる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  19. 庄野五一郎

    庄野説明員 今局長から、御答弁申し上げた通りでございますが、この点につきましては、大蔵省並びに自治庁とも打合せをいたしたわけでございまして、地方財政再建促進特別措置法における関係については一般補助金と同じことになるわけでございますが、自治庁との話し合いにおきましては、従来の補助金と違って、ただいま局長から御説明申し上げましたように、一定期限がくると自滅していくことになりまして、初年度だけ一時幾ばくかの地方財政負担増になりますが、次年度からずっと半減、さらに縮小していく、こういうような関係でございまして、地方財政再建促進特別措置法の第二条によりますと、大体赤字の道府県は、この財政再建計画を立てました場合には、七年以内において歳入歳出との均衡の実質的な回復をはかるような計画を立てるわけでございます。その計画は、次年度から直ちに財政負担がずっと減っていく、従来の補助金よりは財政負担が次年度から減るということで、自治庁と、この点は非常に賛成でございますので、話がついておりますから、御心配はないと思います。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 この施行令あるいは財政計画再建計画策定基準というものを見ますと、歳入の立て方、交付税見込額は、人口増生徒増その他、測定単位の数値の増の伴うものだけを見込む、こういうことになっておる。私は、そういう歳入の立て方から見ても、再建団体になった以上はこれはできないではないかという心配を持ったのであります。これは今のあなたの答弁のように差しつかえないとするならば、今御承知のように、ほとんど各府県再建団体に入っております。わずかであるとかないとかではなく、法規上盛り得ないものはでき得ない、いかにいいものであってもでき得ないので、その点を心配してお尋ねしたわけでありますが、その点はあなたの方で差しつかえないという御答弁ですから、一応打ち切ります。  それからこれを実施していくときには、技術というものは当然並行していかなければならないわけです。改良基金という制度は、技術と並行していくということが、これを見ると、あなたの方の建前になっておるように見えますが、この点はどうですか。ただ金を貸し与えていくのではなくて、改良計画が立てられ、さらにこれがこの基金によって推進されていくという、技術と並行していかなければならないように私どもは解釈しているわけですが、そう解釈していいですか。
  21. 大坪藤市

    大坪政府委員 御意見通りでございまして、資金の使途につきましては、技術と並行せしめて推進をはかって参りたい、かように考えておるのでございます。従いまして、本資金原則といたしまして団体的なお貸付をやって参りたい、いわゆるグループ的な奨励制度としてやって参りたい、かように考えるものでございまして、これにつきましては、私どもの第一線で活躍いたしております農業改良普及員技術奨励、指導もあわせましてやって参りたい、かように考えておるわけであります。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 御答弁通り、この案の出発においては、改良基金制度改良普及員拡充制度、この二つの制度は並行していくべきである。これが並行していかない場合には、あなたの方のお考えになっている成果を上げることができないわけです。この点は私もよくわかるわけです。そこで一つお尋ねしたいのは、二十九年度末には一万九百六十八名あった普及員が、三十年度には五%減っておる、三十一年度においては三%の定員減が予定されているわけです。そういうふうに、並行していかなければこれを実施するのに困難であるにかかわらず、一方において普及員制度をこの通り減らしていってしまったら、単に普及員が非常に過重な事務を背負うだけで、実質的な効果が上らないことになる。こういう制度を立てながら、どうしてここでこういうふうに普及員を減らしたか。今も御答弁になったように並行していくべきにかかわらず、普及員を減らしてこれを効果を上げようとするのは、考え方にちょっと矛盾がございませんか。
  23. 大坪藤市

    大坪政府委員 改良普及員制度を強力にやって参ります上に、そのうしろだてと申しますか、並行的にやる施設といたしまして、普及員の増員の問題、これにつきましては、ただいままことに御同情ある御意見を賜わりまして、私どもといたしましては、まことにありがたく存ずる次第でございます。当初われわれといたしましては、少くとも普及員につきましては現状維持というふうに考えて参ったのでございますが、一方にはすでにある程度欠員というものが現実にあるわけでございます。同時に他方におきましては、必ずしも普及員につきまして人間を増加しないで、その普及活動能力範囲を広めていきたい。これの具体的な方法といたしましては、オートバイ普及員に買ってやる、こういうような操作によりまして一普及員当り能力を増加せしめる、こういうことにいたしたのでございます。片方には現実にいわゆる欠員というものが生じておるし、他方普及員活動能力を広める、こういうような形にいたしまして、欠員見合いのうち二・数%に該当するものにつきましては、やむを得ないということで大蔵省と折衝いたしまして落した、こういうような格好になっておるのであります。われわれといたしましては、現実欠員府県といたしましてあったのであまりすし、また他方オートバイ等も認めてもらいましので、この辺で妥協いたしました。こういうようなわけであります。
  24. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはおかしいですよ。この制度はむしろ技術員活動が先行するくらいでいいわけです。技術員計画を立てて、それから基金がいき、さらにその基金の実施を適正ならしめる、この技術員活動がなかったらこの制度は生きていかない。ところがせっかくやっても技術員予算大蔵省の方から切られてしまって、これをやるといったところで一つ効果が上らない。あなたは、オートバイを買ってやるとかなんとかいうけれどもオートバイを買ってやろうと、自転車を買ってやろうと、人間には能力の限界がある、もっと人をふやさなかったならば、この効果は上げ得ないではないか、この点を一つ心配するわけなんです。この点はもっとはっきり、これではできない、今後もっと人をふやすつもりだ、これならよいわけです。それを人は減らしていく、だんだん減ってきておる、ことしの予算でも減ってきておる。オートバイを買って能力を上げ得るといっても、決して効果は上ってこない。その点はもっとはっきり御答弁願いたいです。今までこういうわけだからできなかったけれども方針として、今後ふやしていくつもりだとかなんとか、その点がなかったらできない。この点をお尋ねしたい。
  25. 大坪藤市

    大坪政府委員 その点につきましては、われわれといたしましては、人間を減らしたというふうには考えていないのでございます。と申しまするのは、すでに従来のいわゆる改良普及員に対しまする補助金が半額というふうなことに相なっておったのでありますが、実質給与の面からいたしますと、数等補助金計算の基礎が下回っておったのでございまして、そういう関係から、府県といたしましては一定定員といたしましての一万何百円という形のものはあったのでございますが、実は府県の方におきましては、補助金額が所定の金額に見合わないために相当欠員を持っておったのでございまして、そういうような事情がありましたので、この計算をはっきりさせるというような考え方からいたしまして、補助金の単価を相当引き上げたのでございます。従って名目上の定員は二・五%ほど削られたことに相なっておるのでございますが、実は補助金の総金額は逆に一割五分ほどふえておるわけでございまして、そういうような観点から欠員見合いのうち一定のものを整理をいたした。こういうような実質になっておるのでございまして、補助金の総額というものは、府県に対しまする金額は逆で、引き上げておるというような事情に相なっておるのでございまして、もちろん普及員制度に非常に重点を置いておる府県におきましては、補助金なしの県も単独の経費でやっておるような県もあるのでございますが、逆にそういうような事情になっていない県もあるのでございまして、総体の人員の面からいたしますれば、一応削減したような格好になっておりますが、補助の総金額はふえておるのでございまして、われわれといたしましては人員を整理をしたというような考え方は持っていないので、ただいま申し上げましたように、現在の人員を少くとも確保するということで、この上にオートバイを買って活動能力を加えるような資金を新しく助成いたしておりますので、普及員活動につきましては、従来に遜色ないばかりでなしに、ある程度能力の伸長は来たしている、かように考えているわけであります。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 それはあなたの立場だから、そういう御答弁をなさらなければならないかもしれないけれども普及員はこれで足りていると思っていますか。おそらく足りないのです。足りないからもっと——ことにこういう制度を作っているのなら、特にこれは普及員活動に待たなければでき得ない。ただ金を貸しますからでは、何もならないと思う。この法案にもある通り計画を立てそれを実施させるということだから、普及員活動に待つほかない。その普及員一つもふえていない。そして足りないのです。農協等が独自の指導員をもってやっているから、どうやらこうやらやっている。その点をあなたの方でもっとお考えにならなければ、これは私はほんとうに——しかも年々この資金のワクが増大しているのでしょう。このままでなくて増大しているわけでしょう。増大していくのに人員を増加させないでできますか。私はむしろ逆に、これが先行して初めて効果が上るのじゃないかと考えているが、あなたの方は金のワクさえ与えれば人の方はそうでなくてもできるのだと言うけれども、実際的な効果からいったら、私は不可能だ、困難だと思う。この点をどういうふうになさるつもりか、もう一度お聞きしたい。
  27. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま小川委員のおっしゃったと同じ考えでございます。将来、この農業改良資金助成法のこの資金をもっともっと増大して参る考えでございますから、おっしゃる通り普及員なりそういうものをもっともっとふやして、普及事業を拡大することは望ましいことでございまして、できるだけそういうふうに努力いたす方針でございます。
  28. 小川豊明

    小川(豊)委員 それからこの資金貸付からいうと、どうしてもこれは貸付ですから、元金は返済しなければいけない。そこに借金になるわけですね。農家の方からいえば金を借りなければならぬ。当然そこに返済というものが生じてくるわけです。そうすると、借り入れようとする農家の場合、返済能力のある者で、当然保証人というものが出てくると思う。これは保証人をつける制度だと思いますが、保証人はつけますか、つけませんか。
  29. 大坪藤市

    大坪政府委員 御意見通り貸付金でありますから、もちろん返済を必要といたしますので、府県として貸付をいたします場合には、適当な保証人を取ることになろうかと存じます。ただ本資金については農業改良普及制度の一環として推進して参りたいと考えておりますので、実行組合であるとか、あるいは四Hクラブであるとか、農事研究会であるとか、農村において今日相当多数あります農事に関する職能的な特殊の団体を対象にしてできるだけ貸して参りたい。そういうものが存在しない場合に、個人の貸付ももちろん認めるわけでありますが、われわれとしては、できるだけ団体的な貸付制度をとって参りたいと考えているわけでございまして、相互保証というような格好に相なろうかと考えるわけであります。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 この資金を本年度分だけで見ると、農家一戸当りにすると、百五十円か二百円くらいのものじゃないでしょうか。ごく少額じゃないですか。従ってその効果をねらおうとしても、今おっしゃるような形で貸さなければならぬことになると思うのですが、いずれにしても、借りられる農家単位で一応考えなければならない。実行組合その他を単位にして貸すこともいいでしょうけれども、そうすると、やはり保証人をつけなければならない。返済能力のある人か、さもなければ、能力が確実に認められるという場合でなければ、これは借りられないことになる。そこで改良基金制度の持つ一つの不安は、上層農家が特に利用することができるようになって、最も資金を必要とする、作付面積の少いような農家等がこの資金を利用することがかなり困難になってくる。そうするとこの基金制度は上層農家に対しては有利になるが、利用できない下層農家に対しては何にもならないという心配がこの基金一つ欠陥になって出てくるのではないかと思うが、この点についてはどういう考え方を持っているか。
  31. 大坪藤市

    大坪政府委員 実はただいま御意見の点が私どもといたしましても、最も本制度考え出します場合に、検討いたした点でございます。御説のように貸付金でありますし、返済を必要とする関係からいたしまして、個人々々に貸付をいたす場合は、往々これまで農業関係貸付金はいわゆる富農層に集中するというようなきらいがあるのでございます。従いまして本制度におきましてもそういうような弊にできるだけ陥らないように、われわれとしては阻止するという観点からいたしまして、改良資金貸付はできるだけ実行組合であるとか四Hクラブでありますとか農事研究会とか、こういうような団体を対象にして貸しつけて参りたい。もちろんその前に四Hクラブとか実行組合とかいうもの自体が富農なりあるいは特殊の階層ででき上っているという前提でありますれば問題にならないことになるわけでございますが、そういうような研究会とか四Hクラブというような団体は、大体におきまして職能的なそういうことに熱心な人の固まりであるのでございまして、必ずしも財産的にどうこうということでなしに、農事につきまして特別な利害関係と特別研究心のある人たちの固まりでありまして、そういうようなグループ員をひっくるめて貸付対象に考えて参りたいと考えているわけでありますから、本資金が特別の階層に、富農層に片寄るというようなことはないとわれわれは考えておりますし、またそういうことは絶対に防いでいかなければならぬと考えているのでございます。御意見のようなことにならないようにわれわれとしては今後とも努力して参りたい、かように考えております。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後にもう一点お尋ねしたいが、そうであればこそ先ほど申し上げた普及員というものは非常に重要な役割を果しているわけなんです。その点においておそらくあなたの方では、最初普及員というものを拡充していく、あるいはもっと素質を向上させていくということを考えてこの基金制度を立案されたのだと思う。ところが予算その他の関係でそう行かなかった。基金制度だけが出てきたところにこの案の持つ一つの不安が出てくる。それからいま一つの点は、この金が富農層に利用されることになると、改良基金制度の精神というものは死んでしまう。ところがこの制度の中にそういう不安が一点ある。さらにいま一点は、地財法との関連において地方財政はこれを負担することが困難になる。この三点がこの案の持つ不安な点であります。この点についてもっとさようでないようなことを一つ十分に御研究下さることをお願い申したいと思います。
  33. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの御意見、まことにわれわれとしてはそういうことのないように、今後とも努力して参りたいと思いますが、第一点の普及員の問題につきましては、さしあたり三十一年度におきましては、できるだけ研修を多く実行いたしまして、普及員自体の能力を高めて参りたい。同時にオートバイ等のいわゆる機動性のあるものを助成して参る、これは遺憾でありますが、普及員自体をふやすことはできなかったのでありまして、そういうような方法で普及員活動能力を増加して参りたい、かように考えておるわけでございます。  第二点の財政資金の問題でございますが、これは自治庁と数回にわたりまして折衝いたしておるのでございまして、われわれといたしましては、ただいまの御意見のような御心配はないと存じますが、今後とも自治庁とも十分連絡をとりまして、県が本資金見合い自己負担分を醵出できないようなことのないように措置をいたして参りたい、かように考えておるのであります。  第三点の一部階層の農民にのみ集中するということは、これは本制度の所期いたしていない、また一番そういうふうになることをおそれている点でございますので、今後この点の運用につきまして、われわれといたしましては十分一つ注意して参りたい、かように考えておるわけであります。
  34. 村松久義

    村松委員長 一時半再開として休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議
  35. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先ほどの理事会の申し合せによりまして、飼料需給安定法の一部を改正する法律案及び飼料品質改善に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたし、審査を進めます。質疑を続けます。中村時雄君。
  36. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私は河野農林大臣に飼料需給に関する基本的な問題をお尋ねしたいと思っていたのでありますが、非常に時間の制限を命ぜられましたので、そういう概念的なものは一応抜きにいたしまして、一つ考え方をお伺いしたい点は、家畜飼料に対して、値段さえ高かったならば、たとえば一業者のところに片寄りをさせて、ほかの団体に迷惑がかかってもどうでもよい、そういうようなお考え方を持っていらっしゃるか、あるいは地域的な割合を考えつつ均衡に飼料行政の一つの方向を考えていらっしゃるか。基本的にこの問題を一つお尋ねしたい。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り飼料政策の基本になるべきものは、良質であること、低廉であること、それから豊富であることということが申すまでもなく基本でございます、その中で、可能な限りこの基本方針に沿って進めていかなければならないのでありますが、今お話になりましたように、政府が手持品を処分いたします場合に、会計法の制約もございますので、これを競売に付さなければならない。今申し上げたことと非常に相反するものがあるわけでございますが、政府といたしましては、これらの運用を十分考慮いたしまして、一般畜産大衆の利益に合致するようにいたしていくように努力していかなければならないと考えております。
  38. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その基本的な問題はよくわかります。需要と供給のバランスの上に立って、現在アンバランスであったものがいろいろな問題を起しているわけだと思う。そこでその問題を、たとえば先ほど私が言ったのは、ある一カ所に限定してそういう特殊に片寄ったような方向にさせないようなお考えを持っているかどうかということをお聞きしているわけです。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 片寄らないようにやっていくことが基本であります。
  40. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは具体的にお尋ねするのですが、昨年の六月のマニトバの五号と六号の払い下げに関して、一、二お尋ねしていきたいと思うわけであります。当時におきまして、たとえばマニトバ五号に関しましても全購連、日鶏連、全畜連、全酪連、全豚連あるいは日本飼料、こういうようないろいろな業者があるわけです。それが六月のマニトバ五号に関する払い下げにおいて、一業者が四千トン全部を購入したという事柄が、いろいろな問題から出てきているわけであります。それに関して、どのような行為があってこういう結果が出たかということを、まずお尋ねしたい。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り、ただいま御例示になりました各団体を通じてそれぞれ適正な数量が流れて参りますことが、一番普遍的に全国に飼料がいくようになるのでございますから、私といたしましては、なるべくこれらの団体を通じてそれぞれ適正な数量が流れていくことを希望いたしておるわけであります。ところが今お話もありました通りに、需給の関係等から一時に一団体が非常に強く数量を要求するというために、それらの団体の間で話し合いがなかなかつきかねることが多いのでございます。つきかねますと、やむを得ず競争入札で入札をせざるを得ぬような事態になり、その競争入札の結果が今御指摘になりましたようなことになりますので、これははなはだ遺憾のことで、そういうふうにならぬように心がけなければならないと思っております。
  42. 中村時雄

    ○中村(時)委員 河野農林大臣は遺憾だとおっしゃいましたが、今言ったように、そのとき落札をされたのは日本飼料であります。日本飼料というのは、現在はどうか知りませんが、おそらく以前は河野農林大臣が御関係のあった会社であります。かく私は記憶しておるが、今は御関係があるかどうかお聞きしたいのが第一点。第二点は、そのような遺憾であるということが、現実の上に行われておるその会社が日本飼料であるということになりますれば、これはどのような処置を考えていったらよいのか、この考え方を第二点としてお聞きいたします。
  43. 河野一郎

    河野国務大臣 当時は私は関係しておりましたが、現在は関係しておりません。  入札の結果でございますから、入札の結果が出ますと、やはりそれぞれ系統の組織があるわけでございますから、それによってこれが流れていくということになる。しかしこれは一ぺんやったならば当分やらぬというものじゃないのでありまして、政府といたしましても、こまかく区切ってときどきやっておるのでございますから、あとから適当に是正されるようになっているものだ、こう考えております。
  44. 中村時雄

    ○中村(時)委員 どうもはっきりしませんが、飼料需給安定法において、飼料の購入に関しましては、原則としては一般入札になっておる。それから特別の事情がある場合には、指名競争契約あるいは随意契約とこのようになっておるわけであります。そのときに入札をさせたのは、一般入札でやったのか、あるいは今言った特別の事情におけるところの指名競争契約、随意契約でやったのか、一体これいかなる契約でやったのかをお聞きしたい。
  45. 河野一郎

    河野国務大臣 随意契約というものはやらぬそうでございます。さればといって、一般入札も、今申しましたように、流れて参ります経路がございますから、大体先ほど御例示になりましたような団体を通じて、実績等を勘案して流れて参れば、これは普遍的に流れていくことになっておると思うのでございます。それがたまたまそのときの事情で、それら団体間において非常に強い要望があって、過去の実績を無視して話し合いがつかないというようなときに、極端な競争が行われてやむなくそういう事態が起るということが間々あったのでございます。その当時も国会にお話があったと思うのでございますが、先ほど答弁いたしました中で、その事件があったときに私が関係がありましたと申し上げたのは間違いであります。私は一昨年の秋にやめましたから、そのお話のときにはもう関係がないわけでございます。そういうことのないように、昨年の議会でもだいぶやかましく話がありましたので、カーボンを混ぜるとか、いろいろなものをまぜてマニトバは流した方がよかろう、横流しを防止する必要があるということになっておりますから、今は比較的平静にいっているように考えます。
  46. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私のお尋ねしたのは、原則としてはこれは飼料需給安定法にちゃんと書いてあるのです。一般入札でやる。しかし特別の事情がある場合に、指名競争入札をする、あるいは随意契約をやるか、こうある。随意契約はやりません、また今言ったように一般競争入札もやりません。そうすると、この場合に行われたことは、指名競争入札をやられた、そう解していいのですか。
  47. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことです。
  48. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それではお尋ねしたいのですが、特別の事情がある場合、少くともこれに当てはまって、私は指名競争入札をやったと思う。特別の事情がある場合というこの特別の事情によってこれが行われたのですが、そのときの特別の事情とはどういうことを意味しているのですか。
  49. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通りマニトバの五号は他に転用される場合が非常に多いわけであります。政府といたしましては、その監督の責任もしくはそれが政府の意図する畜産家にこれが利用されるように処置いたさなければいかぬ関係から、これは指名入札にしてやるわけでございます。
  50. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、特別に転用されるということが特殊事情における骨子になってきたわけなんですね。特別に転用されるということはどういうことを意味しているのか、お聞きしたい。
  51. 河野一郎

    河野国務大臣 もちろんそれだけじゃございませんけれども、御承知通り、一般にマニトバ五号は、麦の性質からこれを特殊の用途に使って、製粉会社等がこれを非常に要求する点が多いものでございますから、そこでこれがやみで横流しをされるのが、監督をいたしましても相当あるわけでございます。そういうことでございますから、これを一般入札にいたしますと、初めからその監督が非常に困難になるというような点、また政府としては今お話の通り飼料需給安定法によりましてなるべく安い価格で畜産家の手に入るようにしていきたいというような点等を考慮しつつ、この処置をとったのであります。
  52. 中村時雄

    ○中村(時)委員 どうもこう歯に何かはさまったような御答弁なんですが、私のお尋ねしているのは、もっと意味が違うと思う。要するに五月に一万トンの入札をやろうとされた。ところがそのうちで四千トン余りが購連へ落ちているのです。ところが全購連としてはあなたが今おっしゃったように特別に転用せねばならぬということは、その当時ふすまの値段が高くて、食用に横流しになったり、いろいろな問題がある。これを飼料として、粒でなくてふすまにしていきたいというお願いを当局に願ったはずです。ところが、当局はそれはいけないということになって、この四千トンというものが残っていった。ところが二十日ばかりのわずかの間に、今度は不思議なことにそれがふすまにもなる、食用にしてもよろしいという結果が生まれてきた。私はそう記憶している。これに対してどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。
  53. 河野一郎

    河野国務大臣 当時粒でこれを配給するという条件で入札した場合には、あくまでもこれは粒でいくべきものだ。初めの入札するときの条件を入札後において変えることは弊害が起ると考えますので、初めから政府方針通りの条件をきちっときめてやる、こういう経過であります。
  54. 中村時雄

    ○中村(時)委員 この飼料需給安定法に基きまして、マニトバにいたしましても小麦は小麦として同じなんです。そこで価格の安いものが入ってくる。これが食用になれば当然ある程度の購入権の争いが出るに違いない。その実例をはっきり出してみましょう。たとえばその入札の際に、五月十三日の落札の価格及び数量を見てみますと、マニトバ五号に対して予定価格として政府が線を引いたのは二万八千六百円。ところが入札されたのは全購連で二万九千五百円、それから日鶏連が二万九千七百円、全畜連が二万九千三百円、全酪連二万九千五百円、全豚連二万九千四百円、それから日本飼料が二万九千五百円、こういうふうになっているわけなんです。そこで全購連が二千百三十七トンそのとき購入されている。その他の方はずっと減りまして、大体全部で五千四百三十六トンの購入になっている。それと同時に、そのときに四千トンばかりのものを余分にやはり全購連が購入しておったのです。そのとき今言ったような状況から、この四千トンが食用にもふすまにもならないというので、一応これがたな上げになっちゃったわけです。それをめぐってその次の六月八日の落札になって現われてきたわけです。わずか二十数日で、そのときには裏で今度は食糧にしてもよろしい、ふすまにしてもよろしいという売り方をした。そこで驚くなかれ、この入札は非常な高値を呼びまして、全購連が三万一千円、日鶏連が三万円、全畜連が二万九千円、全酪連二万九千円、全豚連三万円、全開連が三万円、そのときあなた方政府考えておったのは二万八千円、前と同じなんです。ところが今言ったように入札の価格が一ぺんにはね上ってきたわけなんであります。しかもその際に落札された日本飼料は三万二千百円です。その前の五月十三日には二万九千円で日本飼料考えておった。それがわずか二十数日を出ずしてこれを飼料にしてもよろしい、ふすまにしてもよろしいと言ったとたんにこのような状態になった。一体あなたの行政の考え方は、そういう業者の金もうけ主義的な一つ考え方で行われているのか、需要供給のアンバランスをとるために量的な面で押し出そうとしているのか。そういう点で一つの大きな瞬間を私たちは持っているわけなんです。それに対してどういうようなお考えをもって行政をしていらっしゃるか。
  55. 河野一郎

    河野国務大臣 中村さんの今おっしゃったことは少し私はおかしくないかと思う。もしそれが逆であったらどういう結果になりますか。粒でくばれば全部えさになるから比較的安い値段でみなが利用する。それを半分は粉に使ってパンにしてもよろしいという条件をつけるから、これを払い下げするものが高い値段を入れる、これはあたりまえではないでしょうか。パンに利用してよろしいという条件をつければおそらく高くても入札し手がある。これを利用してはならぬ、これは全部えさに使うのだということになれば、えさとしての価値ですが、物は同じマニトバ五号なのです。しかしそれを食糧に使ってよろしいということになれば高く入札をする。それを食糧に使ってはいかぬ、えさに使うのだといえば、それだけのえさとしての価値で入札をするということで、これは不思議はないのではないか。だから、初めにこれを食糧に使ってはいけない、全部えさにするのだという条件で入札をしたものを、あとからこれを食糧に使ってよろしいということに変えたら利用価値が多くなるから、不正な入札を行なった、政府は入札できめたものをあとから食糧に使ってよろしいということにしたから、それによって一団体がぼろもうけしたじゃないかという非難が起ってくると私は思う。だからえさとして入札さした場合には、しまいまでえさでなければいかぬ。えさとして使わないのなら一ぺんそれは返して、今度は食糧なら食糧にしてもよろしいという条件でまた入札をやり直すということは当りまえのことじゃないですかな。
  56. 中村時雄

    ○中村(時)委員 河野さんは、中村君お前の考えはおかしいじゃないかと言うが、私はあなたの考えが少しおかしいのじゃないかと思う。それはどうしてかといいますと、このマニトバは飼料として入れているのです。食糧として最初から入れたのではない。そのときの四千トンは飼料として考えておった。そうでしょうが。飼料として入れておって、その後において食糧に転用していったのです。飼料としてやっていくならば、飼料としては格安のものの方がいいのです。価値が高くなっていけば、飼料を利用する人たちが余分にそれだけ負担せんならぬということになる。食糧の方に回されれば、飼料として格安に入ってきたものを今度は格高で国内でほかの方に転用するというべらぼうな考え方は、私はどうもそこが解せないのです。あなたはそれは妥当だとお思いですか。
  57. 河野一郎

    河野国務大臣 これはふすまをとるためにマニトバ五号を入れている場合がたびたびあるのです。(「詭弁だよ」と呼ぶ者あり)それはこの処置が初めてじゃないのであって、たとえばこういう場合がありますよ、報奨用物資としてひかしている場合もあります。そういうことで私の記憶でもそういうふうにあると思います。しかしこれはそのときの事情で、ふすまが非常に足りなくて割高になっている場合は、特別にふすまをよけいとるためにそういう処置をとったこともある、こういうことだと私は思うのです。大体二十日たたないうちにとおっしゃるけれども、従来の例では月一回ずつ、少くとも平均一回、二十日ぐらいで払い下げしているのが慣例だと思うのであります。慣例を逸脱したり、そういうことを曲ってやったり、そういう行政措置は、私は農林大臣になりましてから、前のことは申し上げて恐縮でございますが、むろん前のことも妥当にやっておりますが、私は最も厳正に自分で良心的にやっておるつもりであります。そういうふうに払い下げたときに、えさだといって払い上げて、あとからこれをふすまにひきたいというやつを許せば、今お話の通り利用価値が変ってきますから。それを逆に全購連が粉にひきたいというのを許さなかったのは当りまえの処置だと私は思うのです。その次に粉にひいてもよろしいという条件——ふすまは足りないからふすまだけとるのだ、粉にして利用してもよろしいという条件で今度は払い下げをするということは、それは合理的に高く売ることで当りまえじゃないかと思うのです。
  58. 中村時雄

    ○中村(時)委員 話をそらさないようにして下さい。私は昨年の六月の問題をいっている。その場合に今言ったように、これは飼料需給安定法というのであなた方は八十億円取って、格安の物が入った。しかもそれは食糧に向けてはいけないというので、色をつけて飼料に回しているのです。しかも飼料として入ってきたとたんに食糧にします、何にしますと高値にしておいて、あなたの方は需要供給のバランスの上から高く売ったのだからいいとおっしゃるけれども、その影響を受けるのは、利用しているものが影響を受けるのです。粒にしてやってそれだけの利用価値があるから飼料用として取っているのです。それなら勝手にあなた方が日本飼料で全部引き受けておいて、食糧にしたら価値があるからといって全部自分が高値で買い占めておいて、そして云々するというのだったら自分がもうかることしか考えていないのじゃないか、こういうふうにいわれてもしかたがないと思うのです。
  59. 河野一郎

    河野国務大臣 これはここに数字もあります通り、二十八年度でも五万トンぐらいひいているのです。ふすまの値が割高になったときには、粉は食糧に回してふすまだけとるために——これは決して異例特例の方法じゃないのです。従来やっておることを従来通りやっておるだけなんです。しかも今あなたのお話の通り、そうすればえさが足りなくなるから、えさについての全体の量が減るじゃないかとおっしゃるが、減らぬように入っております、それだけ取ってあります。それから国内の麦の生産等では、すそ物が多かったり少かったりしますから、そういうふうにゆとりのあるようにしております。これを特別に、そのときに必要もないのに、ただ一会社をもうけさすためにやったならば、これは非常に悪いことですが、これは従来、ここにもあります通り二十八年度に五万一千七百トンそういうようにしております。あなたは四千トンやったのがけしからぬとおっしゃったが、こういう数字は従来もやっておるのです。私はその記憶があるから先ほど申し上げたのです。それを安く、ふすまにして粉は使ってよろしいという条件でなしに一会社に払い下げたものを、あとから粉は粉でも勝手に売ってよろしい、ふすまだけ使えばよろしいということになれば、これは非常によろしくない、おしかりが出ると思いますが、今申し上げた通り、それだけの利用度が高くなるのですから、初めから入札のときの条件でそういうようにして出すならば、従来もやっておるのですから、これはその含みで皆さんがおやりになることであって、それはそんなにやかましく小言を言われることはないと思うのです。
  60. 中村時雄

    ○中村(時)委員 どうも私は解せぬのです。政府考えていることは、たとえばマニトバにしても二万八千円程度考えていらっしゃる。大体の飼料の需給面から考えてみてこれが必要なりとして、飼料需給安定法に基いてこれが輸入をされてきた。ところが今言ったように、国内に入ってくるとそれを転用さして、そして格高にして三万二千円からで落札さしている。そしてそれを食糧にしていけば高くなるのだからそれはいかにもけっこうなことじゃないかとおっしゃるけれども、当初の予定はこれは粒用の飼料として計画されて、それは実際には出しておったものです。だからそれをほかの方へやられるということは片方に穴があくと同時に、何を好んでそういう方々にもうけさす必要があるかどうかという問題が第二点として現われてくる。もしもそれを今言ったような、最初のような落札で飼料の方に回していったら、実際に飼料の方の値段が下る。飼料があり余っておるというならば別ですが、その当時はそれほど高い値で買わなければならないほど飼料は不足しているのです。たとえば五月十三日の入札では、政府は二万八千円に考えていたが、ほとんど全部が二万九千円で落そうとしている。すなわちこのことは需給のバランスの上からいってアンバランスになっている。飼料は不足している、高くなっている、ふすまはその当時はべらぼうに高い。そこでふすまにしてくれぬかということを再三再四その当時言っておった。ところが購入したときはそれはいけませんといって、わずか二十数日にしてこれはよろしいとなっている。その政策の変換の早さはどういう理由かという疑問がこの中から出てくるのです。あなたは、そういうふうに高くなったら高くなったでいいじゃないかとおっしゃるけれども、その影響を受けるのはだれか。あなたには影響がないかもしれぬ。日本飼料という一つの会社がもうけるという見解においてはいいかもれないが、ほかの方で一番迷惑をこうむるのは飼料を必要とする生産者です。私はこういうふうに考える。
  61. 河野一郎

    河野国務大臣 そこまでおっしゃられると私も一言申し上げないわけに参りません。もしそういう処置をとらなかったならば、また日本製粉というようなふすまを主として生産している会社が、ふすまがなくて困っているものに対して早くふすまを供給して、ふすまの値を下げるという処置をとらなければやはり非難が起るでしょう。今言う通りに初めからふすまとして払い下げたものならば、ふすまとしてこれを使うように払い下げていかなければ、粒ではふすまの代用はしないのです。あなたも御承知通りです。粒を幾ら払い下げたってふすまの方の値は下りません。そこで一方、そのときにはどういうつもりであったか知らぬが、これを粒用として常時払い下げの形式で払い下げた。そうすると全購連が取った。取った全購連はこれは全部粒で使うのだといって取ったけれども、非常にふすまが要るようだからふすまに変えてくれといった。ふすまに変えるならふすまに変えるということで入札をしなければ、その値段が今お示しのように違いますから、あとで問題が起るからそれは一ぺん政府へお返ししなさい。そうしてふすまに使うのだということで払い下げましょう。当りまえのことじゃないかと思う。この処置をとらなければ、当時ふすまが上っておったに違いない。上っておったに違いないから、当時ふすまが要求された。ふすまはやらないのだとばかり言っておったらふすまが下りませんから、日本製粉や日清製粉をいたずらにもうけさせることになるじゃありませんか。私はそう思います。そういうふうに一局部をとらえてそれでどうだどうだとおっしゃいますけれども、全体を通じて飼料価格は私はそういう傾向にいっておると思うのであります。
  62. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私はどうも頭のいいと言われる河野さんにしておかしい答弁だと思う。飼料用として粒なら粒としてそれを出していく。それから製粉の方のたとえば日清製粉なら日清製粉のふすまの手当は手当として——それほど大きな数量でもない。大きな数量であれば当然別です。わずか六千トンでそれを転用さしていって云々というようなお考えをするよりも、それはそれとして一応基本線を引いておいて、その結果、実際ふすまの方はふすまの手当としての方法はあると思う。にもかかわらずそれだけを特殊に取り上げていったその根拠が私にはっきりわからない。
  63. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げますように、こういう処置をとるぞという処置を政府がとることによって現にふすまは下る傾向をとってきている。当時の価格や何かをごらんになればおわかりになると思うのであります。私は当時よく記憶はありませんが、就任以来えさに関する限り自分で最善を尽して、いやしくもそういうことのないように努力したつもりでございます。決して今御指摘になるようなことのないようにしたつもりでございまして、粒がないから粒が上ってしまうじゃないかというが、粒が不足をしないようにすべて万全の措置をとったつもりでございます。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの中村君の質問に関連して。この問題は、昨年の二十二国会において当委員会の畜産に関する小委員会において、当時原田畜産局長の時代でありますが、この問題をわれわれは取り上げたのです。当時大臣はついに出席しなかった。しかし河野農林大臣の就任された後にこの問題が出てきたことは明らかです。それで問題は、五月十三日に九千九百八十二トンの入札を行わした。その後六月八日に日本飼料が四千トンの落札をやっておる。ですからこの五月十三日と六月八日の間において、このマニトバ五号の飼料はこれは食用に転用するという何かそういう公示を行なっておるはずです。それはいつやっているのですか。
  65. 河野一郎

    河野国務大臣 むろん入札の前に全部集めて説明会をいたしまして、説明会でそういう説明をして入札することにしておるそうであります。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは食管特別会計が扱っておる飼料ですから、入札を行う前に当然公告して、何月何日にこれだけの数量の飼料を入札に付するということは公表すべきことでしょう。それを当日業者を集めて、その場所で今度の場合はこれを食用に転用してもいいというようなことは非常にインチキきわまるじゃありませんか。
  67. 河野一郎

    河野国務大臣 そんなことはないそうです。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなたは今言ったじゃないですか。
  69. 河野一郎

    河野国務大臣 そう言いやしません。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 みんな集めてその場で話をすると言ったでしょう。
  71. 河野一郎

    河野国務大臣 みんな集めてその場で話をするとは申しません。これはやはり事務手続がありまして、前もってそういうような関係者を集めて話をする、正式には文書をもって通達する、ちゃんとやっております。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから事務的にいっていつやられたかということを私はあなたたちに聞いておるわけです。これは局長でもいいです。
  73. 河野一郎

    河野国務大臣 事務的に説明します。
  74. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいま資料を持っておらぬので日にちははっきりしないのですが、大体一週間ぐらい前であります。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体じゃいかぬです。五月十三日にやったということは明らかになっておるし、その後六月八日にやったということも明かになっておるから、その中間において当然これは正式に公告しておるとすれば、そういうものは先般の委員会においても、きょうの委員会においてもこれは資料として用意されておく事柄であろうと思うのです。その日にちを明らかにして下さい。
  76. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 すぐ調べて御報告申し上げます。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に農林大臣にお伺いします。先ほど前例はあるということを言われましたが、この六月八日の入札による日本飼料の四千トンの転用の分は、これを最初から食用に転用して、そこから生ずるふすまを飼料として流して、そうして飼料の価格を安定化させるという目的であるならば、飼料会社に入札させて、そこから製粉会社に転売させなければならぬという理由はないと思う、用途を転用して食用に回すということがきまった場合においては、何も迂遠な方法を講じてあなたの支配力をもって日本飼料に、たとい四千トンであろうともそれを独占的に入札させて、そこから製粉会社に転売させなければならぬという理由はないのではないか。なぜまっすぐに製粉会社も入札に参加させなかったのですか。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 記録を見ますと、入札の結果そこの数字が多かったのであって、独占で扱わせるというような処置はあるべきはずのものではありません。先ほど中村さんから御例示になりました、飼料を取り扱っております関係団体全部が入札に参加をして、そうして入札の結果という数字が出たということであって、これをただむやみに私が関係しておった会社に独占させて、勝手に随意契約でもさしたという工合に誤解されることははなはだ迷惑で、私はそういう不当な処置はいたしません。今お話の、何かこれはおかしい、おかしいとおっしゃいますが、何が一体おかしいのですか、ちっともおかしくないです。こんなのをおかしいとおっしゃるのは(「裏がおかしい」と呼ぶ者あり)裏も表もない。入札をして、やったことがしかも初めの条件と——条件を明示し、入札をさせたことが、それがおかしいと言うなら、おかしいと言う方がおかしいと思う。入札というのはそんなものじゃないと思う。初めに言った通り、途中で条件を変えれば、それはいかぬ。入札するにはこれこれの条件で入札をしなさい、そうして落札しちゃったあとから自分の懇意であるから条件を変えていった、これはおかしい。そうじゃない。それは条件を変えてくれ、さもなければこれは要りません、要らなければお戻しなさいといって戻していった。それであらためてその条件通りに入札させてとった。そのときに全購連がお取りになれば文句はないでございましょう。ちっとも私は不思議はないと思う。ただ入札の結果、そういう数字が出たから、あとでおかしい、おかしいとおっしゃる、何がおかしいのか、ちっとも意味がわからない。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないのですよ。一応あなたはもっともなことを言っておるけれども、この飼料を用途を変更して、これを食用に回す場合においては、むしろ製粉業者等もこの入札に参加すべきなんです。ところが飼料の会社だけにしか参加させていないじゃないですか。飼料会社に入札させる場合には、これは飼料として払い下げるのであるから、飼料会社がその入札に参加しておるわけです。それを日本飼料が落札して、そこから製粉会社に売っておるじゃないですか。そういう迂遠な方法をとる必要はないのです、これはもうかるということがわかっておって、そうして独占的に四千トンの払い下げをしておる。しかもその会社が、あなたが一番影響力を持った日本飼料であるというところに問題があるわけです。それから特にマニトバの転用についても、あなたが農林大臣になって以来こういう道を開いた。たとえば前のアルコール原料に対する転用の問題についても、自分の農林大臣の時代にそういうことをやっているじゃありませんか。その点はどうなんですか。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 どういうふうにお答えしたらよろしいかわかりませんが、特に利益を与えたということですが、入札でございますから利益があると思ったらだれでも高く入れればいいのですよ。一社や二社で独占してやったわけじゃないのだから、従来やっておった関係団体がみんなやったのだから、関係団体が競争入札して、一番妥当だと思う数字を入れて、その結果落札した数字がそうなったからといって非難されても、私は非難を受けるわけには参りません。それは私は当りまえのことだと思う。しかも飼料としてこれは払い下げをしたのですから、飼料関係団体が扱うのは当りまえです。食糧として払い下げをしたのではない。飼料としてふすまをとるためにマニトバの五号を払い下げたのですから、こういう処置をとるのは当りまえだと思うのです。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではお尋ねしますが、その場合ふすまが主で製粉が従なんですね。粉というものは、別に価格やなんかに算定されていないわけですか、その場合はどうなんですか。転用というものは、飼料を食糧にかえるという場合に転用になるのですね。そうでなければ転用という言葉を使う必要はないでしゃう。一体何に転用したわけですか。
  82. 河野一郎

    河野国務大臣 これはどうもあまり異なことをお尋ねでございまして、マニトバの五号をふすまをとるために飼料として払い下げた。その中に粉が入っておる、粉は計算に入れて入札したか、入れずに入札したか、それは入札する方がそろばんをはじいて入れたでございましょう。それからそれを利用して、これだけの利益が粉の方で出てくる、ふすまの値段がこれだけ出てくる、合計してこれだけの価格で入札してよろしいということになって、入札したのだろうと思います。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣の答弁は全く詭弁じゃないですか。何のために転用したか明らかになっておらぬ。飼料に使う場合は飼料会社が入札に参加するのは当然であるけれども政府方針として事前にこれを食糧に転用するということを明らかにして、この四千トンというものを入札に付したという場合は、むしろ飼料会社だけに入札に参加させるのでなくて、直接製粉会社等もそれに参加させるべきではなかったかというわけです。それをなぜ迂遠の方法のみを講じたかということを先ほどから尋ねておるのです。そのことをあなたは何も説明していないじゃないですか。
  84. 河野一郎

    河野国務大臣 飼料をとるのが目的で飼料用として入札したマニトバを、その中からふすまをとるのが目的で払い下げをいたしましたから、そこでその方に重点を置いてやったのであります。粉の方については、御承知通り粉は公定価格がきまっておりまして、その中の公定価格になるべき粉の分を計算に入れてやりますから、これは別に私は差しつかえないと思っておるわけであります。
  85. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今の河野さんの御答弁ですが、食糧に回していった以上は、食管法に基いて食糧としてやったらいいのです。小麦は小麦で、何も飼料にしようと食糧にしようとわからないのです。飼料としてやるのは、飼料として実際には取り上げたのです。そうして飼料として需給安定法に基いて安い値段で一般に出そうとしておった。ところがあなたのおっしゃるように、これを食糧に転用するならば、食管法に基いて今度は食糧の中に入れればいいのです。そしてそれから出てくるふすまは、ふすまとして取り上げればいいのです。本質が変ってくれば当然本質の変ったような方向で打ち出したらいいじゃないかというふうに考えられるが、どうですか。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 委員会でございますけれども、中村さんのように裏も表も何でも御承知の上で、そういう一部分をとらえて質問されるということは、少しお考え願いたいと思うのです。なぜかと申しますと、製粉会社に対する麦の払い下げは自由に、決して制限せずに政府はしております。製粉会社は、必要があって政府の方に言ってくれば、いくらでも政府が出すのであります。何も入札に参加するとかしないという問題ではない。入り用があればいつでもやりますけれども、製粉会社の方は、当時いろいろ商売上の事情があったのでございましょう。とにかく製粉会社にひかしておるだけではふすまが下りません。製粉会社には御承知通りそれぞれの特約店があって、特約店のルートを通じてでなければ流れません。ですからその製粉会社の支配しておりますふすまの市場に他のルートから刺激を加える必要があって、時時こういう処置をとることが必要である、もしくは政府はふすまを輸入して、日本の国内のふすまの値を下げるようにすることが必要である、当時は輸入が間に合わなかったからおそらくこういう処置をしたのだと思うのでありまして、そういうことは百も二百も御承知で、そうして何だ何だといって質問しておられると私は思うのであります。たいていおわかりになっているのじゃないかと思うのですが、どうぞ一つ御了承を願いたいと思います。
  87. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなた自身は非常によくおわかですが、私は何もわかってないからこそこういうふうな御質問をしておるわけです。  そこでお尋ねしたいのですが、あなたは先ほど、ある一つの特定会社に理由いかんを問わず一方的に集めて、一方的の系統だけをもって流していくことは一応考えなくちゃならぬ、あまりよくないことである、このようにおっしゃっておる。もう一歩突っ込んで、それではその欠陥はどこにあるかといえば、先ほどおっしゃったようにこれが指名競争入札だったからそういうことになる。そこでその問題に対してあなたは随意契約なり、そして一口ごとにそういうふうな方向がとれるようなお考えを持っているかどうか。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 緊急やむを得ざるときのほかは、公定価格がございませんから、随意契約の処置は困難でございます。ただ先ほども申し上げました通りに、政府が大体責任を持てる範囲内のものを指名いたしまして、指名競争入札で払い下げすることが一番妥当である。指名者に適当のものがあればそれは決して私は拒否してはいけないと思いますけれども、こういう特定の品目につきましては、指名競争入札で十分監督をして払い下げしていくことが一番いいのじゃないか、こう考えております。
  89. 中村時雄

    ○中村(時)委員 時間が非常に切迫しておるので、一応中心課題だけをあと一点お伺いしたいのですが、私の言うのはこういうことなんです。こうなってきたら、たとえば日本飼料なら日本飼料だけが独占ですよ、そうでしょう。一応自分の一手におさめたということは、独占になってしまう。そしてその系統に応じてこれが下へおろされていく、それからおろされた工場から先はどういうふうになっていくかはわからない。わかっておれば局長にここでただちに証明してもらいたい。日本飼料からその下の工場に流していく、その下の工場からいよいよこれがどこへ横流しされていくかということがはっきりとわかっておれば御指示を願いたい。  そこで私の言っておることは、たとえば全購連の系統にしても、あるいはまた日鶏連の系統にしても、全畜連にしても全酪連にしても、みなこれはほしいから、こういうふうに三万円高からするような、政府よりも二千円から違うような価格を形成しながらも入札しようと一生懸命になっておる。それはおのおのの系統を持ったいろいろの組織があるわけです。ところがその方には流れずして、今申しましたように日本飼料の方だけに云々されていくような傾向がここに現われてくる。そういう欠陥を排除するためにはどうしたらいいか、どういうお考えを持っておるかということをお聞きしておるわけです。
  90. 河野一郎

    河野国務大臣 四千トンたまたま一ぺん競争入札の結果そうなっただけであって、何もそんなにやかましく議論されるほどの数字でもないと私は思うのであります。しかもそれがもうそれからおそらく二十日か一カ月すれば、あとの入札をやって払い下げをしておる。年間を通じて十万トン以上のものを払い下げしておる中で、たまたま一ぺん競争入札したらそういう数字が出ただけの問題であります。しかもそれが何か非常にそこにもうけさしたかといえば、競争入札でみんなが目一ぱい入れてやった、こうした結果がそういうことになった、平たくいえばそれだけであって、まあそういうふうにならぬように、これが方々に分れればよかったかもしれぬけれども、そういう結果が出たというだけだと思うのであります。しかし私はこれがいいとは決して思っておりません。先ほども申し上げる通り、なるべく普遍的に各系統団体に流れていくようにすることが妥当であると思うのでございますけれども、何分その当時マニトバについて非常に各方面の要求がありましたので、なかなかうまくその話がまとまっていかなかった、それが他に転用が絶対できなくなったならば割合に話がうまくつくようになった、こういうことだと私は思うのであります。ですからお尋ねでございますけれども、最近はいろいろな処置を講じまして、そしてそういうふうなことがなく各方面に順調に今放出されつつあるということでございますから、なお御注意があれば十分承わりますけれども、御了承いただきたいと思います。
  91. 村松久義

    村松委員長 時間がありませんから、もう一問だけに願います。
  92. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私も約束の時間だけは守るつもりで時計を見ながらやっておるのですから、御心配ないように願いたい。  それで最後にお尋ねするのは、こういうことなんですよ、河野さん。私が言っておるのは、あなたが今言ったように、一方的にそういうことになったのはいけない、こう言っておるのです。それで実際はほしいので、みんな今言ったように三万円台から入って入札しようとしている。その熾烈な気持は、みんな飼料には関心を持っておる。あなたはたまたま四千トンだと言うが、こういうのは私は失言だと思う。やはりそういう中に重大な問題が出てくると思う。それが大きく見れば、全体に発展していく一つの課題を持っていると思う。それでその点はあなたは変に思われるのが困るというならば、変に思われないように簡潔に御答弁されればいいと思うのです。  それで最後にお尋ねしたいのは、今後こういうことを再び行わないであろうと私は善意に解釈する。しかし、今後はこういうことがないと善意に解釈しますが、あなたは今言った系統的な問題を取り上げて、全国にまんべんなくやっていけるようなお考えを持っておるかどうかということをお尋ねしておきます。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 ぜひそうやりたいと思っておりますが、ざっくばらんに申しますと、連中はけんかをすると競争入札をするのです。そうすると、いわゆる実績で分ければよろしいのですが、実績で分けない。競争入札をしますとまあ偏在するというか、その前のときは全購連一本で、ほとんど片寄るというようなことになりがちなのです。しかし私はこれは決していいことでないと思っておりますから、十分注意をいたしましてそういうことのないように最善の努力を払います。
  94. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連して、一問だけお尋ねしますが、私はこういう問題が起ってくるのは、この間お尋ねしたわけですが、日本飼料というのは日本の飼料界において許されておるたった一つ特権を持つ会社なのです。輸入業務と、それから実需者団体の資格と、この二つ持っているのはこの日本飼料以外にないのです。あとは輸入は輸入、実需者団体は実需者団体と分けてある。ところが日本飼料だけがこの二つの資格を持っておる。それでここでさらに問題になってくるのは、大臣がついせんだってまで社長をしておった会社であるという、こういう関連がこういう問題を生み出す一つの大きな要素だと思う。そこでこの二つを分けるべきである。なぜこの日本飼料だけに輸入業務と実需者団体と二つの資格を許したのか、この点を私は特に大臣にお尋ねしたいと思います。
  95. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、社長をしておりましたことは、畜産に非常に興味を持っております。それで畜産を盛んにするためには飼料を合理的に廉価に配給するということが一番必要であるという意味合いから、私はこれに熱意を持ったのでございます。しかしこの会社が不当な口銭を取るとかなんとかいうようなことがあれば、私は直ちにこれに対して十分な発言をしたい、こう思って私は関係したのであります。しかしその点は、私はおそらくどなたがお調べになっても、全購連と同様に最も妥当に公正に業務を遂行しておると思うのであります。しかしこの会社は国策会社でもなければ、国家のあれは何ら関係はございません。全く民間が話し合いで作った会社でございまして、その間に資本的にも法律的にも何らの影響もなければ、全然関係はないと私は心得ます。それがたまたまその会社の業務進展上、私がやめてから後でございますけれども、輸入の業務を扱っております会社と合併をした、そして輸入の業務を一部扱っておるということでございますが、これは旧三井物産の一物もやっておりますよ。これは一物は輸入をして、その原料を政府の払い下げをいたさぬだけであって、その輸入した原料を日本配合飼料に売り、その配合飼料でできた飼料をまた自分が買って、そうしてこれを全国に売りさばきをしておるというふうに、これは輸入と飼料の販売と一緒にやっている会社が大部分でございます。今の日本の輸入商社のうちで、おもなる商社は大体やっております。しかしそれがいろいろ御議論があれば、私も十分、今直接理事者ではありませんけれども研究はいたしますが、私はそういうふうにしてなるべく利益を少く飼料の、取引をすることがいいんじゃないか、こう考えております。
  96. 村松久義

    村松委員長 大臣に対する両案の質疑は終了いたしました。  次いで……。
  97. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今の問題についてまだ政府委員の方の返答がない。
  98. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいま問題になっております四千百四十六トンの配出先は粒用として二千三百九十九トン、ふすま用として千七百四十七トンであります。粒用は三十五工場、ふすま用は二十九工場であります。工場はほとんど全国各地方の工場にまんべんなく渡っております。
  99. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私の言っているのは、その三十五工場から先、たとえば地方の一般の農協やあるいは養豚組合、そういうところへ流れているかどうかということをお聞きしているのです。
  100. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは当然商人を通ずるものあるいは協同組合で買うものもあると思います。
  101. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その配分先を知らしてもらいたい。
  102. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 末端の方は私の方では調べておりません。それは調べる権限がないのであります。
  103. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたは権限がないというけれども、そこまで調べないと、これが横流しになるとか食糧にしたとかいろいろなことになるのがわからない。たとえば、あなたには関係ないけれども、今度の余剰集荷の問題でもそうだ。買い取りをやりませんとこう言う。やらなかったところで、実際に現金を持っていって買い取りをしたかどうかということがわからない。委託をしようと思ったって委託ができない。それと同じ結果が出てくる。だから少くとも一つの目標を立てて、しかも皆さんが税金を納めたこの飼料需給安定法の金を使ってやっている以上は、末端におけるそういう動向をよく握らなければ、ほんとうの行政執行はでき得ない。なぜならば、たとえば飼料の需給を考えていくにしましても、大体現在の牛なら牛の頭数がどのくらいあって、それがどのくらいふえておる、それに基いて幾ら出すということによって初めてでき上ってくる。ところがそういう頭数さえもはっきりわからない。そういうことで今の畜産行政ができ上っているのですから、その根拠というものはあやふやなんです。あやふやだからこそ、この飼料の需要と供給のバランスがとれないから価格構成がうまくとれない。そういう点を十分よく御賢察なさってあなたも御努力願いたいということを御忠告しておいて、一応これでおさめることにいたします。
  104. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して……。  局長にちょっとお尋ねしておきますが、公定規格をきめる場合、マニトバ五号を粒で入れた場合の成分とふすまでやった場合の成分とは同じように考えられるのですか。マニトバ五号そのままの粒を配合した場合の価値と、それからふすまにした場合の価値とは同じなのかどうか。おそらく普通の常識からすれば違うのじゃないかと思う。マニトバ五号は配合の対象にならないのかどうか、これだけちょっとお聞きしておきたい。
  105. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは当然違うのでございます。
  106. 川俣清音

    ○川俣委員 それでマニトバ五号を粒そのもので、結局政府が高いにかかわらず飼料として回すことは好ましくないとお考えになっておるかどうか。将来公定規格をきめる場合の必要上お尋ねいたしておきます。
  107. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 この間お配りした資料の中にありますように、ふすまとマニトバの含有成分が蛋白なり澱粉なり違うのでありますから、違うように処置しなければならぬと思います。
  108. 川俣清音

    ○川俣委員 そうしますと、先ほど大臣が答弁したこととあなたの答弁とはだいぶ食い違ってくるというふうにお考えになりませんか。粒はふすまをとるために入れたのだ、マニトバ五号はふすまをとってえさに回すために入れたのだ、こういう見解ですが……。
  109. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 答弁の食い違いはないと思います。それはふすまの需給対策として、ふすまが非常に高騰してきたからやったので、食い違ってないと思います。
  110. 川俣清音

    ○川俣委員 ですから粒は飼料にならないのかと聞いておる。ふすまプラス粉、加わって価値が出てくる。マニトバ五号というものはふすまプラスあなた方の資料にある通りの成分が加わっておる。大臣の答弁はふすまにするために入れたのだ、こう言っておる。ふすまにするために入れた飼料であれば、ふすま以外のものは飼料にならないと考えられるのですか、大臣の答弁はそうですよ。
  111. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 両方とも飼料になるのであります。ただその当時ふすまの価格は非常に高く、粒の方は御承知のように大体一定の価格で政府の払い下げでいっておるわけです。それでそれをふすまにひいてふすまの価格を押えるに使っただけでありまして、それでいいと思います。
  112. 村松久義

    村松委員長 川俣君の要求しておる食糧庁長官は見えておりませんから、あと回しにいたします。
  113. 中村時雄

    ○中村(時)委員 畜産に関する小委員会で、昨年の六月十三日に、マニトバ小麦問題が当委員会において取り上げられるであろうという推察に基いて、井谷委員から日本飼料の重役陣の構成、すなわち人的機構あるいは資本の変遷、そういうことに対する資料の要求をしたのですが、その提出は一向今までにない。なぜこういう要求をしたかと言いますと、この日本飼料のマニトバ五号が問題になって以来、直ちに、今まで三千万円であった日本飼料の資本金が一億円に増資されておる。しかも今度は河田商会の専務が日本飼料に入りまして専務となり輸入の実権をとっているのであります。しかもその資本の中においては、東食なりあるいは兼松なりの会社が重役陣に席を並べ、あるいは各社に——これは商業取引ですから自由じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、農林大臣の関連としてその圧力のもとに資本の投資を行わしめていると考えさせられるのであります。このようないろいろな問題がこの中には介在しておるのです。そういう事柄から今言った資料の要求をされておるのです。それに対して、一向その後資料の提出もないということなのですが、資料を速急に提出していただきたい。     —————————————
  114. 村松久義

    村松委員長 次に農業協同組合整備特別措置法案を議題として審査を進めます。質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。神田大作君。
  115. 神田大作

    ○神田(大)委員 農業協同組合整備特別措置法案について当局にお尋ねをいたしたいのでありますが、政務次官が出てないようでありまして、大臣が出ないならば政務次官をすぐ呼ぶように……。
  116. 村松久義

    村松委員長 政務次官はただいま呼んでおりますので、お待ち願います。速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 村松久義

    村松委員長 速記を始めて。神田大作君。
  118. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣あるいは政務次官が出席したときに農業協同組合の整備特別措置法案の根本的な問題についてあらためて質問いたすことにして、局長に少しお尋ねしますが、この法案でもって大体不振農協というものが整備されるという見込みがありますか、そういう自信を持っておりますか。この点からまずお尋ねいたします。
  119. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農業協同組合のいにしえをたどりますと、日本では信用事業を中心にしました産業組合ができましたり、また産業組合が先人の御努力によりまして、法案の通過以後各種の方面、特に産業組合の方々、直接関係のある人の自主的な努力によりまして発展して参ったのは御承知通りでありますが、あわせましてこの産業組合は主として日本の特殊事情からしまして、実情に沿うように農業の面で発達をしてきたと思います。従いまして勢い農業の日本経済上の地位でありますとか、日本の農業経営の零細、弱小の点等を反映いたしまして、共存共栄、相互扶助の上に立ちまして小農、小事業者の協同組織として、あるいは事業種別に、あるいは地域別に、あるいは上級下級機関の段階別に発展をして参りました。またその行いまする事業といたしましても、信用事業、経済事業、利用厚生の事業から営農指導事業等にもわたりまして発展して参りましたが、ただいま生きております現行法は、農業に関しましては農業協同組合法として成立をいたして、その上に立ちましてこの協同組合が発展をしておると思うのであります。しかしいろいろ日本の終戦後の事情も反映いたしまして、終戦時にありました農業会の資産の引き継ぎをいたしましたり、また終戦後の立法の特徴といたしまして、十五人以上の人が集まれば農業協同組合ができまして、また市町村に単位組合があって、県、全国におのおの連合会がある。また連合会の形式も、いわゆる信用事業を含めました単協もありまするし、信用事業を除いた農事を中心の単協もあります。特殊の事業を取り扱います単協もございます。単協の区域も必ずしも同一のものはございません。あわせましてその連合会におきましても、極端な例を申し上げますと、市町村の中に連合会もあるくらいであります。しかしだんだんと農家組合員、また農業協同組合の組合員及び理事者という方々の御努力もありまして、また私どもその他関係庁が協力をいたしまして、税法上の特典もあったりいたしまして、逐次発展の度を深めて参っておるのは御承知通りであります。これをかりに単協についてみますと、出資、非出資の組合、各種の事業を行うものを入れまして、全国に三方五千ばかりでございます。その中に中核体とも申すべき信用事業を行います市町村単位の単位組合は一万三千ございまして、おおむね旧町村の区域に整備をされつつありますが、やはりここに立地の関係でございますとか、事業分量の関係でございますとか、また出資、非出資の関係でございますとか、理事者その他の事業執行体制の関係でございますとか、先ほど申し上げました現在の農協法に基きます前の農業会との関係からいたしまして、だんだん整備はされつつありますが、まだ十分なものではないと思われるところが多々あるわけであります。言いかえますと、立地条件、役職員の執行体制、また組合員の相互扶助の精神におきましても、事業の利用の度合いのことにおきましても、また信用事業と経済事業とその他の事業とのバランス等の関係もうまく適切に合いまして、りっぱな組合も歴史を持ちながらかなりたくさんあるでありますが、かりにこれを総観いたしますと、御承知のように農林漁業組合の再建整備措置といたしまして、終戦後の経済事情の変遷上からいたして打撃を受けましたものは、第一には金融機関は他の金融機関と同様に、信用事業について行いますものの整備を進めまして、その次には、ただいま申し上げました農林業漁業協同組合及びその連合会の再建整備措置を法的に御立法願いまして行いました。それでも必ずしも十分に再建整備ができて、いかなる事態においても——特に最近の事情あるいは今後の事情によりまして、農協が自主的な農民の協同組織の集まりであるという性質に応じまして、農業関係事業活動、あるいは農業生産力の発展、あるい農家経済を安定ををし、地位の向上をはかりまして、この組合事業の発展を通じまして、わが国国民経済の安定に資するというには、まだまだこれから努力がなされなければならぬと存じておるのであります。その事情を反映されまして、二十八年以来は主として経済連——農林漁業、これは農協以外も含めておりますが、経済連を中心にしまして整備促進法ができまして、十年間の期限をもちまして整備計画を立てて、その経営の健全化あるいは事業の拡大、あるいは不良事業の整理、事業執行体制の強化、その他の事項をも中心にいたしまして整備強化中でございます。ところが二十六年の再建整備措置は単位農協も含んでおりましたけれども、二十八年以降の整備促進法は連合会を対象にいたしております。その結果を最近の経済事情ともあわせまして、組合について見ますと、全国の農業協同組合の中心でありますところの信用事業も行う単位農協、全国に一万三千ございまするけれども、その約二四%は、これが経営の状況を見ますと、いわゆる不振組合と申して差しつかえないような組合であります。おのずからその不振の度合いには、自力をもって努力をいたしますれば、また自力に加うるに農協中央会やその他の農協団体の協力を得まして、自主的に整備強化をして立ち直るであろうという組合も、ございますが、また指導者によろしきを得なくて、立地条件が悪くて、有名無実に近い組合もあります。かりに指導者によろしきを得れば、おそらくだんだんりっぱになっていくだろうという組合もございます。しかし事業分量やその他から見ますと、相当の国の財政的な援助もいたしますと立ち直るであろうと思われるところもあるのである。そこで今般農協の関係の方とも御相談を申し上げまして、農林省におきまして本法案を立案いたしまして、御審議をいただきたいと思っておるのでございますが、本法案におきましては、ただいままで御説明を申し上げましたことのうちに、特に自主的に整備を行う気持もあり、おそらくは能力も持てるであろうが、経営状況も悪いと思われる総合単協が農協の中心でありますから、総合単協を中心にいたしまして、二年間のうちに整備計画を立てますれば、あるいはその経済事業を中心といたしまする融資についての——信連等から融資するわけでありますが、それについての利子補給、あるいは経営指導者が十分に足りないところは、経営指導者を他からでも、たとえば農協中央会からも派遣していただいて、あるいは上位系統団体からも、派遣をしていただいて、そこへ当分の間駐在をして指導をしていただく。その駐在、指導をしていただくことについての補助金を持ちたい。また立地条件の悪いところや、組合員がまことに少いところにおきましては、申し上げましたような法律に基いて、自然発生的に出まして、十分に組合としましては経営が健全化いたしますには条件が不備である、こういうようなところもございますので、その場合には行政庁が合併を勧告することもできるようにいたしまして、そうして経済事業も増し、取扱い量も増し、組合員の利用度も増して、そういういろいろな援助によりまして、農協が一刻も早く整備されるように期待をしたいというのがこの法律案でございます。しかし全くこの法律だけで十分であるかどうかという点につきましては、この法律をなるべくすみやかに御審議の上御可決をお願いいたしまして、その運営状況をいつも検討し合いまして、さらに足りないところを加えたり、悪いところを改正したりして進んでいくことと思うのであります。  なお申し上げますと……。
  120. 村松久義

    村松委員長 経済局長、質疑に対する簡潔な答弁をして下さい。
  121. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 総合的特殊農協の関係の整備とか、経済規模の拡大というようなこともあわせまして、これは不振農協を整備するに数歩を進めるものと考えている次第でございます。
  122. 神田大作

    ○神田(大)委員 ずいぶん長々と御説明をいただきましたが、局長としては、この法律だけでは現在の不振農協を整備することは不可能であるというようなことであると思うのですが、しかしこの法律案を出し、予算措置もしたようでございますから、一応のこれに対する目標を持っていると思う。この法案に付随する予算措置として一億一千万円を計上してあるが、この金額は一体どういうところを根拠としてこの予算措置をしたか、お尋ねいたします。
  123. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 先ほど申しましたような総合単協につきまして、特に政府も援助をするがいいというものについてまず考えまして、駐在指導員の指導費を一千万円、信連から融資をしていただく場合に、その利子補給を五分以内でするものが七千五百万円、ただいま申し上げましたように合併を勧めて、自治的に合併するのでありますが、そうした場合には、うまく成り立つであろうと思う場合に二千五百万円、またこれらの農協の振興をはかりますために、都道府県に学識経験者や農協の関係者に集まっていただいてその整備計画を審議していただくために二百三十一万九千円、そういうふうに計上したものであります。
  124. 神田大作

    ○神田(大)委員 その金額は私も大体わかっているのですが、この一億一千万円というような金額を出して不振農協を整備しようとしておるのでございますけれども、これについては、たとえば何カ年計画において幾つの組合を整備していくというような、そういう目標があると思う。その点をお尋ねいたします。
  125. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 この法律によりましては、五カ年間をもちまして、単位農協の、特に重要な総合農協の、ただいま申しましたような組合について、経営の健全化をはかるような計画で進みたいと思っておるわけでございますが、利子補給をするがよろしかろう、まず第一年度はそれでやったらよろしかろうと思われる対象組合は約一千でございます。駐在指導員が必要であろうとして、予算で予定しておいたならばよかろうと判断をいたしましたのは、対象組合が二百でございます。また合併奨励金は、二つが合併する場合、三つが合併する場合もあり得ると思いますが、合併が二百五十行われるのをほぼ一年間に予想しておるわけであります。次年度以降は、その成績を見まして、おおむね総合単協については、五カ年で全部経営を健全化していきたいと思っておるわけであります。
  126. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると五カ年だというと、この金額が同じとすれば五億五千万円ということになるのですが、この五億五千万というような金は、さきに金融機関再建整備法に基いて、旧勘定の欠損を助成するために政府から融資した金額のうち、いろいろほかには使いましたが、その残がちょうど五億五千万に当るのです。こういうことを勘案して今度の計画をお立てになったかどうか、お伺いいたします。
  127. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 再建整備の際におきます御承知通りの調整勘定は、六億一千万円ほどございます。これのうち整備促進法の規定に従いまして、国庫にこれを二十九年度末に納付いたしましたが、それにまたあわせて再建整備に資するように予算を計上して使えという規定もございますが、今般におきましてはそれをも考え、またいろいろな経済事情からいたしまして、特に単位農協は整備強化を政府助成においても行わなければならぬことを考え他方農業協同組合のセンサスによりまして整備をいたしましたことと、三者合せまして約五億は他に使えばいいだろうという目標を持っておるわけでございます。
  128. 神田大作

    ○神田(大)委員 この調整勘定の問題ですが、この調整勘定は当時金融機関に対しまして政府相当金額を出して、これらの危機に瀕した金融機関を救出したものと思うのです。農業協同組合の場合はこれを信連に融資して、それを信連はあるいは中央金庫等においては返済しておるようでございますが、ほかの金融機関はその後どうなっておりますか。
  129. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 ほかの金融機関は、まだいろいろの事情をもちまして整備は終っていないと思います。
  130. 神田大作

    ○神田(大)委員 この整備を終っていないということは私はよくわからないのですが、終戦後とにかく十年にもなって、ほかの銀行が相当資金を集め、相当配当をしたり、そのほか余裕金がだぶつくほどあって、まだこれが整備さえされていないという、そういう話は聞けないと思う。これは局長の間違いだと思いますが、いま一ぺん御答弁願いたいと思います。
  131. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私の言葉がまずかったと思いますが、旧勘定と新勘定を分けて、新勘定で早く整備して、経済界の不安がないように、取引の安全をはかるように措置されて、その方は進んでおると思いますが、旧勘定の方が農林業関係のようには締め切りが早くついていないのではないか、こういうふうに思います。詳細は、他の金融機関については的確に全部ただいま存じておりません。
  132. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題は、農村金融に対しましては手きびしい一つの制限を加えて、そうして中央金庫や県の信用組合とか、あるいは農業協同組合等に対しましては調整勘定の政府融資を返済させ、ほかに財閥関係の銀行関係の調整勘定をそのまま今日まで許しておく、こういう点について私たちは非常に疑義を持っているのです。この点については局長関係局長ではないから確答はできないであろうと思いますけれども、これはやはり農村金融と大いに関係もあることでございますので責任を持ってやり、今日までにちゃんと調査しておくべきです。またそういう問題について、担当官として詳細なる説明ができるように当然しておくべきであると思う。この点については後刻また資料が整ってから質問いたしますけれども、この点局長が責任を持って、他の金融機関の調整勘定について詳細なる資料を出してもらうことと同時に、御調査を願いたいと思う。  先ほどの点に戻りますけれども、この農業協同組合整備特別措置法案の五億一千万円という金がちょうど調整勘定と同じような金額になっているということは、過般参議院等におきまして問題になりまして、これは当時政府の責任によって金融機関が非常な犠牲のもとに払った処置であるから、この調整勘定は当然農業協同組合の再建整備のためやそのほかのために使うべきであるというような決議もされておると思うのです。この金を農業協同組合整備特別措置法のために使うことはけっこうでございますけれども、この域を脱しない、それだけの金額以上に達しない、しかも五億一千万円くらいの金では現在の三千三百からの不振の農業協同組合を更生させることはとうていできないと思います。この法案そのものに対しましてはわれわれは賛意を表するものでございますけれども政府がこのような措置をとるならば、もっと徹底した措置をとらなければならぬのじゃなかろうかと考えるわけでございます。局長は、この法案と、一年に一億一千万円の金ではとうてい整備ができないというようなことを言われておりますし、われわれも当然これではできないと考えております。それで、信連から借りた金の利子補給をしたり、赤字の出たものに対して利子補給をしたり、一体そういうことでもって不振農業協同組合というものは更生できるものであるか、私は、そういうことではなかなか更生できないと思うのでございますけれども、この農協の不振の原因ですね、こうしている間にもまた、全国の農業協同組合の中でだんだんと経営不振に陥っている幾つかの農協があると思う。不振になった組合に対しまして、ただ利子補給をするというような、そういう手ぬるいことでは農協というものは立ち直っていかないと思うのでございますけれども、この不振の原因について局長から御説明願いたいと思います。
  133. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 まず第一に資料のことでございますが、お話の通りせっかく勉強いたしますから、農協関係以外の銀行業務を行うものについての資料を調製して提出いたしますことは、その担当の役所の方へ一つ委員長からお願いをいたします。政府部内のことでありますから、私からもそのような御要求があったことはよく伝えて協力をいたします。  不振組合の原因は、私から申し上げるまでもなく、また神田先生御存じのように、いろいろな状況がございまして、千編一律にはいけないかと思います。第一には、農業会の不良資産を継承いたしました農協の資産に、不良資産がまだ残っておる場合もございましょうし、またあるところでは、経済の変動の影響を受けまして、たとえば澱粉工場を作って、あるいは油の工場を作ってうまくいかなかった、農機具の会社に投資をしたりしてうまくいかなかったというような事情もありましょうし、もともと——さっき少し長々申し上げまして恐縮でありましたが、いろいろあげましたように、経営の基礎になるような知識が適当でなかったり、また少し乱雑と申しますか、設立のされ方が不整備と申しますか、系統活動にも適しないように組合が作られて、目下整理段階に入っているような状況である、経営者に人が得られなかった、そういうようないろいろな状況についてあると思うわけでありますが、農協中央会とも協力しまして、農協のセンサス、一斉調査をしました中で、それらの事由のおもなるものをあげながら調べましたものがございまして、それを基礎にいたしまして、予算措置は、先ほど申しました三種の助成を入れて、おのおの組合の実情に即する方法をとりながらやるといいと思っておりますが、事の根本は、何と申しましても協同組合でございますから、組合員の自主的な相互扶助、共存共栄の精神的なつながりと、経済的な、事業的な活動とが基礎になって参るべきものと考えておる次第でございます。
  134. 神田大作

    ○神田(大)委員 大体そういう原因があると思うのでございますが、そのうちの最も大事なことは、農業協同組合の末端における人的問題だろうと思う。特に農業協同組合の末端におる職員の、農業協同組合を経営する一つ能力とか、そういう素質というものに対して、力のない組合では、農業協同組合の職員を普通の給料でやとうことができない。安い賃金で、ただ農業かなんかに従事していた人を連れてきて職員に入れる。しかも、われわれの調べたところによると、平均七、八千円の給料で働かす。そういうことではいい職員もこないし、また複雑な農業協同組合の業務を処理する能力がない。そういう職員の養成に対して、これは根本的に考えなくちゃならぬと思うのですが、政府は今までどういう努力をしてこられたか、お尋ねいたします。
  135. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 この方法は二つございます。今まで努力をしまして現在続けておりますのは、まず農協の自主的な努力によりまして、中央会もございますし、上位系統機関もございますから、それらについて自主的に相互扶助に力を尽して、役職員の教育を熱心にやっていただく、こういうことも一つでございます。あわせまして、三十年度におきましては、御承知通り農協中央会に七千万円ばかりの予算を使っていただきまして、農協の役職員の養成教育機関として、各都道府県に組合の講習所が設置されておりますし、東京には、御承知と思いますが、学校法人の農協の短期大学があります。茨城県には鯉渕学園を持ちまして、それらのもので、すでに昨年の九月末では約二千名の役職員の教育が行われております。今後もこれを続けると同時に、先ほど申しました全国農協中央会の育成奨学制度を一そう活発にやっていただきたいと思っております。また今回は、御指摘のように中堅の役職員が不振組合に駐在をいたします場合に、その人件費と申しますか、そういうものを不振組合が全部負担するのは無理なことが多いと思いますので、その人件費の補助をしたいと思っております。
  136. 神田大作

    ○神田(大)委員 農林省は新しい農村建設というようなことで金を出す、あるいはまた新しい農業団体を作るのにも相当力こぶを入れていこうという意向を持っている。しかし既存の、下からの組織である農業協同組合が、一つ一つつぶれ去っていくという現状に対して傍観をしていたきらいがあったと私は思う。なるほど三十年度におきましては、中央会に対しましてそういう補助を出すことにしたのでありましょうが、それを前には、農協の維持育成ということに対して非常に冷淡であっのじゃなかったか。それがゆえに、みずからの力のない農協は、経済的な変動やその他のいろいろな障害にぶつかって、それをこなすだけの力を持っていません。そういうところから、一つ一つの農協が不振に陥りつつあったのじゃないか。私は新農村建設等の問題についてそれだけの熱意を持っている農林省が、なぜ民主的な農業協同組合をりっぱに育成するために、今までにもっと努力を払うべきであったにもかかわらず、努力を払わなかったか。そうしておいて、にっちもさっちもいかなくなって、閉鎖の段階になって、つぶれ去っていくときになって初めて今度は——当然ほかの銀行では今もって回収しないような金を昭和二十五年か六年かに回収させてしまった。そういう金も使わないでおって、今日どうにもならなくなってから、こういうことをやるというのは、非常におそまきでもあるし、見識がないとわれわれは考えるので、ございますが、そういう点について、局長はどうお考えになりますか。
  137. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農協は、何と申しましても農民である組合員が自主的に協同組織を作りまして、自分たちの地位の向上もはかり、経済の安定もはかり、農業生産力の発展を期するものでございまして、自主的な努力が大事だと思います。しかし、何と申しましても日本の農民の組合でございますから、大企業に類するような農家があるわけじゃございません。そこで終戦後は、農林省に特に農業協同組合部を置きまして、組合の作り方の監督もいたしますと同時に、指導育成もいたします。また法に基きまして、経営についても監査をいたしますと同時に、指導的な監査もいたします。しかし、あまり干渉がましいことで育成するものでもないと思います。他方、農協自身も、中央会は最近は、自主的な組合同士の中の自己監督推進、整備促進、育成普及という機関となっておりますので、これに対して補助金をも交付し、また先ほど申しました再建整備促進法をだんだん各種のものあるいは連合会のものというものについて、法に基いて予算も計上してやって参りましたものを、特に今後は単協について育成することが、再建整備をはかることが、特別措置としてやっても望ましいことだというような段階と思いましたので、新しい立法もお願いしたいと思っておるわけでありますし、予算も計上して助成をしたいと思っておる次第であります。十分であったかなかったか、こういう点につきましては、今後一そう十分にやって参りたいと考えております。
  138. 神田大作

    ○神田(大)委員 都合の悪いときは、農協というものは自主的団体だから、お前らはお前らでもってやれというのが、農林省の逃げ言葉です。都合の悪いときはそうです。しかしながら今度の農業団体の再編成の問題等に対して、猛烈な勢いで、金なんか幾らでも使っていいから作ろう作ろうとする。そういうところに私は御都合主義があると思う。私はそういう意味合いにおいて——もちろん自主的な団体であるからそれに干渉すべきではありませんよ、干渉すべきではありませんけれども、しかし日本の農民にとって、農業協同組合はどうしても必要である、また今後の農業経営においてもどうしても必要であるという組合であるならば、大体組合の二四%、三千三百から四千といわれる不振組合ができるまでなぜ傍観しておったか。こういう点においては、私はこれを指導する立場に立っておる農林省に大きな責任があると思うのですが、大体政務次官にこの点についての御返答をお願いいたしたい。
  139. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたしたいと思います。非常にむずかしい問題でございまして、見方によっては、このようなたくさんの不振組合ができたのでありますから、政府の指導が悪いとおっしゃっても、なるほどその通りということもできると思います。しかし先ほど経済局長からもお答え申し上げましたように、やはりこれは農林省ですべてを監督、指導するわけに参りませんから、すべての点まで行き届きませんので、あるいは自主的な組合の自主的な行動というものを第一と認めなければなりませんので、そこにもそのような不振に陥るいろいろな土台があったのではなかろうかと思うのでございます。でありますから、先ほど局長から申しましたように、なぜこのような不振の協同組合ができたかと申しますと、大体三つの大きな原因をあげております。御承知のように、一つは経営規模の小さなこと、それから役職員の人を得ないこと、それからそのような結果によって繰り越し欠損金がたくさん出たということ、この三つが大きな原因であります。従ってこのような原因を取り除くことがこの不振農協を救い、今後の農協の発展を期するわけでありますので、そのような意味で今までいろいろな立法措置をいたしましたので、この点を御了承を願いたいと思います。
  140. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっとお尋ねしますが、再建整備、これはいい言葉なんですが、今までは連合会、全国団体あるいは県団体を中心にして再建整備を進きてきたわけです。本来ならば農協という組織は単協から県連、県連から全国、こういうふうな形で単協が強化されなければ、これは幾らやっても県連が強化されるはずはない、全国団体など強化されるはずはない。ところがこれは連合会を中心にしてやってきておるわけでありますが、どういう考え方で連合会を中心にしてやってこられたのか、この点を伺いたい。
  141. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 系統組織でございますので、この連合会についてまず努力をいたしますと、個々ばらばらな単協——ばらばらと申さなくても、系統的でありましても、末端組合より効果が多いということだったと思うのであります。もう一つは組合経営は、人体でいえば血液に当るところが金融事業でもあったという意味からしまして、信用事業を第一にして、その次に経済連が大事だということで措置がとられたと存じております。しかし二十六年以降の再建整備法には単協も入れてあったと思うのであります。
  142. 村松久義

    村松委員長 本案の審査は明日にこれを継続いたします。     —————————————
  143. 村松久義

    村松委員長 この際お諮りいたします。農業協同組合整備特別措置法案審査のため参考人として、明日午前十時より全国農業協同組合中央会会長荷見安君及び農林中央金庫理事長湯河元威君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。なお両君の出席ができない場合は委員長において適宜その代理を選定の上、出席を求めることにいたしますので、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会