○久保田(豊)
委員 私は
畜産問題並びに
飼料問題の基本点について大きく三つばかりお伺いしたいと思います。さっきから局長は、少くとも百万頭以上に持っていきたい、こう言われておる、そして
政府のきめられた五カ年計画でも、大体
畜産には非常に力を入れられておる。せんだって大臣も、これからの新しい
日本の農業政策としても
畜産ということを
中心にして、いわゆる商業作物の方に力を入れていこうというような大きな構想を持っておられる。この五カ年計画を見ましても、三十五年度には乳牛が約七十六万頭、あなたの言われる百万頭には少し少いけれ
ども、七十六万頭、そのうちで搾乳牛が三十五万頭ということになっておる。それから食肉牛が二百三十八万頭、豚が百二十六万頭、鶏が六千三百七十一万羽、こういうふうになっておりまして、全体を通じて乳牛は二十九年度を標準にして約八割五分の増をやろう、こういうわけです。これがいいか悪いかということは別問題としまして、私がお伺いしたいのは、これに対する
政府の
飼料政策が立っているかということであります。この五カ年計画を勉強してみましても、
飼料政策はざっくばらんに言って立っておらない。ここに
日本の酪農が非常に大きな動揺をする根本があるわけです。これに対してどのような施策をとっておるか、少くともこれに見合うだけの
飼料対策というものがどこにあるかというと、ほとんどない。
国内的には
小麦——三麦を合せまして大体田畑合せて百七十八万町歩まきつけをする。基準年度は百七十万町歩であって、わずかに、八万町歩の作付増である。こんなことは今のような麦
価格の政策をとっておる場合実現はいたしません。おそらく実際にはすでに二十六年から比べると十一万町歩以上減っている。このままいけば
日本の麦作は、三十五年度ごろには現在より少くとも十五万町歩ないし二十万町歩は必ず減る、こういう
実情だと思う。これはだれが考えたって今の
価格政策、今の基本的な農業政策では減らざるを得ない、こういう
実情です。さらに
飼料作物の増産を非常に考えておる。これは二十九年度では三十四万三千町歩であるが、これが六十六万二千町歩になっておる。しかもその
内容を見ると、畑作
飼料作物が二十九年度では九万四千町歩が二十八万八千町歩約三十万町歩で、三倍にふえることになっておるわけです。しかもこの
飼料作物は、濃厚
飼料も一部はありましようけれ
ども、大体において濃厚
飼料じゃない。しかもことしあたりの
政府の予算措置からいうと、米麦の増産ということは、多少はできても多くは期待できない。
価格政策の面からいっても補助金その他資金の使い方からいっても、そうならざるを得ない。そうしてくれば、私は結論としてどこへいくかといえば、
外国飼料にのみたよるということにならざるを得ないと思う。
外国の
飼料のよって来るところはどこにあるかといえば、
外国から
飼料作物のみならず一般の
食糧として入れたものの残滓、いわゆるかす、こういったものであるが、これの方は
政府の計画によると四百二十万トンで少しもふえていない。しかも
国内の
生産がふえない、こういうことになれば輸入
飼料にたよる以外にないという
実情である。この輸入
飼料が、これで見ると現在は大体五十八万トン約六十万トンである。この
通り計画をやるとすれば、輸入
飼料は少くとも現在の三倍ないし四倍にふえざるを得ない。今日でも百六十億以上の
飼料を輸入しておる、これが三倍、四倍になって五百億ないし六百億になった場合に、現在の外貨事情がだんだん変ってきて、輸入が再考されるという問題が出てくる。その場合に、今の三倍、五倍の
飼料の輸入ができるか、こんなことはできない。
人間の食う物でさえ節約しなければならぬときがくる危険性があるので、その際に動物の食うえさの方に力を入れてやるというような政策をとる
政府がもしあるとするならば、これは気の狂った
政府である。(「いやりっぱな人がやっているよ」と呼ぶ者あり)今のことは別として、私はこういうことはできないと思う。小さな、こういうふうにあっちを少しいじってみたり、こっちを少しいじってみたりする法案も大事でしょう。しかし私は一番根本は、この基本問題を
政府が今からまじめに考えて対策を立てない限り、
日本の酪農というものは基礎的に非常に不安定である。安定した酪農にはならない。この基本問題について一これは局長に
質問するのはちょっと気の毒だと思うが、しかし少くとも局長もその職務にある限り、この基本問題を本気に考えないで、法案のこんなところを少しばかり直してみて、十万トンとか五万トンをどうするとかこうするとか、こんなことは末の末です。この基本問題をどうあなたはお考えになって、どういうふうに今後施策を進めていこうということを考えておるか、まず第一にこのところをお尋ねいたします。