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河野国務大臣 私は今の
お話を黙って伺っておりますけれども、お互いに
農政のために一生懸命やっておるつもりでありますから、そうあまり何もかも悪いようにおっしゃることは、私は少しお
考え願いたいと思うのです。何も御承知なしにおっしゃっていらっしゃるなら私はそういうことを申しません。御存じの上でそういうことをおっしゃって下さることは、私は少しお
考え願いたいと思います。たとえば肥料の価格にいたしましても、その月の
生産の
方向はわかります。今月は何トンできた、
幾ら増産したということはわかします。しかし肥料は御承知の
通り電力、石炭、労銀、その他いろいろ要素があります。石炭の
事情はどうでございますか、現在の石炭の価格がどういう
方向に向っておりますか、電力はどういう
事情にありますかというようなものを
考えますと、ただ
増産の
方向に今あるだけで肥料審議会を開いて肥料の値段はかくあるべきだということを言われる情勢に一体ありますか。そういうことは十分御承知だと思うのであります。御承知だと思うから私は申さぬのでございます。ただ簡単に硫安が今
増産の
方向にあるじゃないか、調べればわかるじゃないかとおっしゃっても、それだけですぐ値下げができるかできないかということはよく御承知だと思う。今申した
通り石炭の
事情はどうだ、電力はどういうことになっておるかというようなことを全部勘案いたしますれば、硫安の値段は将来どういうふうにあるべきかということを
考える際も、三カ月、四カ月の長期にわたってならば、これはいろいろ
考えなければなりませんけれども、当面渇水期だけれども、ことしは比較的に電力が順調だった、十二月、一月割合に調子がよかったから、すぐ下げてやれというようなことでいく
事情に
——先ほども申し上げました
通り、他の
生産条件がいろいろありますから、今すぐにそういうことを言うのは適当でないと思います。現に硫安組合等から、こういうものが値上りしたからこれについてお
考え願いたい、これが上ったからこれについてお
考え願いたいというようなことを言うてきております。おりますけれども、そういうことを取り合おうとはいたしておりません。しかし私は、硫安の値段を下げれば当然下るものを、それを下げずにいて、そして
農村からは搾取させる、そして労働賃金は上げることに反対している、そういうようなことを一ぺんでも私は
考えたこともなければ、したことも絶対にございません。それを一つよく御了承の上で御
質問願いたいと思うのであります。なおくどいようでありますけれども、その他の……(「それだけ知り過ぎておってああいうことを言うから問題を起すのだよ」と呼ぶ者あり)それならば、今ここに、昨日硫安工業会に持たしてやりました文書を持ってきておりますから、これを一つ朗読させます。
〔谷垣
政府委員朗読〕
日本硫安工
業協会会長 石毛郁治殿
農林事務次官 平川 守
硫安工業関係の労働賃金につい
て
最近硫安工業関係労働組合が、経
営者側に対し賃銀ベース引上の要求
を行い夫々折衝の段階にあるやに仄
聞する。もとより当省としても労働
者の労働
条件の適正な
改善に反対す
るものではないが、他面
政府の基本
的政策として、
農業生産費の低下を
図り
農産物価格の安定に
施策を集中
している次第もあり、
農業生産資材
中最重要の地位を占める肥料の価格
については、可及的に廉価に供給す
る如く、努力しつつあることは、御
了知の
通りであり、労賃の上昇を
以って直ちに肥料価格の引下げの阻
害要因となし、若くは肥料価格上昇
の要因となすが如きことは、当省と
してはこれを看過しえないところで
ある。
以上の観点より、この際肥料消費
者である
農家の側にも、肥料価格の
面における利益を充分に考慮せられ
るよう、特に善処を期待する。
なお貴協会傘下の各会員に対して
は、貴職より上記の趣旨を通報する
等適宜の措置をとられたく御願いす
る。