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1956-02-22 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十二日(水曜日)    午後三時一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 笹山茂太郎君 理事 白浜 仁吉君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大野 市郎君       大森 玉木君    加藤常太郎君       川村善八郎君    木村 文男君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       中馬 辰猪君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       松野 頼三君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君       井谷 正吉君    稲富 稜人君       石田 宥全君    小川 豊明君       川俣 清音君    神田 大作君       田中幾三郎君    中村 英男君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     昌谷  孝君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一朗君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局長         事務代理)   庄野五一郎君         食糧庁長官   清井  正君  委員外出席者         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部長)    桑原 信雄君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 田中  勉君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 二月二十一日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として中  村英男君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員赤路友藏辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として赤  路友藏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業基本施策に関する件     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の基本問題について質疑を続行いたします。通告順にこれを許します。淡谷悠藏君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最初まず農林大臣にお尋ねしたいのですが、一体あなたはかぜは直りましたか。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 だいぶよくなりましたが、まだすっかり全快いたしませんで困っておるわけであります。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 かぜもまだすっかり直らないというし、録音や何かの忙しいこともたくさんあるようですが、われわれもだてや酔狂でやっておるのではありません。数回にわたって大臣出席を要請いたしました。一日も早く、重大な今日の日本農政に明るい見通しをつけたいというのがわれわれの念願であります。それをきょうもすでに二時間経過しておる、一時の約束が三時になりました。われわれ今まで漫然とあなたを待っておる。それに対してあなたは一体どう考えていらっしゃるか、はっきりと大臣の今の心境お話し願いたい。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 一時半に出席をする予定でおりましたところが、いろいろ用事がありまして、大へん御迷惑をかけまして相済みませんでした。今後は十分注意いたします。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 用事というお話でございますが、一体委員会用事じゃないのですか。すでに約束をした時間を二時間もずれておいて、ただ用事があったというのでは、私はどうも認めない。この間みたいにかぜをお引きになって注射をされているのでは仕方ありませんけれども、一体録音が大事か農林委員会の席が大事か、どちらが大事だとお考えになっておりますか。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 実は十二時半に対談会録音がありまして、それを済ましてこちらの方に出席する予定でおりましたところが、その録音が少し事故がございまして、途中で相手もおられることでありますのでやめて参るわけにもいかぬ、そこでこちらの方と連絡をして、なるべく早く伺うもりでおりましたが、ついおそくなりまして大へん御迷惑をかけましたことは先ほど来申し上げておるような次第であります。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は実はきょうはこういうことを申し上げるつもりじゃございませんでした。ただ河野農林大臣は、決してロボット大臣ではないとわれわれは考えておる。少くとも危機に瀕した日本農村に対して基本的な革新農政を打ち立てるために先頭に立って挺身指導しておられるのが今の大臣態度だと思う。従って出て参りました法案なども、おそらく大臣の深いかつ確然たる態度に出たものと思いますので、大臣について聞かなければどうしても納得のできないものがたくさんある。きょうもまずこの基本方針につきまして、十分徹底的にあなたの御意思を確かめまして、協力すべきは協力し、反対すべきは最後まで反対する、この形でやって参っております。従って今後また質問の最中にあるいは録音をするとかあるいは腹が痛くなったとか、あるいは宴会があるとかいうことで席をはずされることがあるかないか、あらかじめお伺いしておきたい。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 農林委員会の審議に支障のないように、今後十分努力をするつもりでおります。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この間の大臣の当委員会における施政方針演説でございますが、これについて私しさいに分析いたしてみました。大臣は、少くとも現在の日本農業については非常に深い関心を持ち、かつ世界の農業生産事情が近年著しく好転してきたので、日本農業もこのままでは立っていかないというところに今度の農政基本線を置いているように私理解いたします。これについて大臣がいろいろ述べておりますが、この具体的な方針を見ますと、私は若干危惧の念を抱かざるを得ない。大臣には深い構想もあると存じますので、念のために再確認をしておきたいと思うのでございます。まず大臣は、この施政方針演説最初項目に、新農村建設の基本的な構想をうたっておられる。第二には技術水準向上とその徹底した普及、第三には農林水産業生産基盤を強化し、資源の有効利用を促進するための対策並びに米、麦、畜、水産物等を含めた食糧総合的自給度向上をうたっておられる。第四には農林水産物価格対策流通改善対策並びに生産資材対策向上、第五には農林水産物輸出振興、第六には農業団体制度整備強化実現、この六項目にわたる大臣演説を見ますと、二以下五までは従来の農政にも現われた方針であります。かつ内容にいたしましても別段新しい方向は見出せませんので、第一と第六、すなわち新農村建設の基本的な構想農業団体制度整備強化実現、世間で言う農業団体の再編成の形の中に新しい河野農政方向があると、こう認めてよろしいかどうかはっきり御答弁願いたい。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御指摘のように数項目にわたって申し上げたのでございますが、今第一と第六が重点的か、こういうことでございますれば、必ずしも第一と第六だけを取り離して申しているわけではないのでございまして、これらはいずれも関連して考えているわけでございます。  お許しを得ましてこの機会にあらためて私の考えておりますことを、別の角度から申し上げさせていただきたいと思います。大体現在の農村現状にかんがみまして、まず考えなければならないと思いますことは、こういうふうに表現してみたらどうかと思うのであります。従来の農政農産物増産に非常に重点を置いておった。それを私は農産物増産重点を置かなければなりませんことはもちろんでございますけれども、それと相関連して農業者、すなわち農家生活改善もしくは生産向上もしくは経済の安定、物を対象にして考えますのと、人を対象にして考えますのと、両面から考えていく必要があるだろう。すなわち従来国家の要請によって食糧増産を非常に強く要請し、これが農家経済の安定と相関連してやって参りました農政を、農家自身生活改善、もしくは経済の安定に相当ウエートを置いてものを考えていく必要があるだろうというふうに、両面から施策を講じていきたいという、その考えが新しく加えられた。そこでそれを演繹いたしまして、人から組織へこれが移行して参るというふうにやっていくべきものだ、こう思うのでございます。そういう際に、農家経済を安定し、農家生産向上を意図いたします上において、必要なる組織を勘案して参りたい、こう考えておるのでございます。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣お話によりまして、いよいよ語るに落ちたところにきたと思いまするが、この新農村建設構想につきまして、内容に立ち入った質問をいたしたいと思います。  まず農林大臣は、日本農業の状態を見られまして、世界的な農業に伍して、ひけをとらないような農業に持っていく自信があるようなことを書いております。しかもその見通しに基いて新農村建設、すなわち単なる農業生産物増産だけではなくて、農民生活の安定をはかるための農政を担当されている大臣考えられております新農村建設——ここに大臣から配布されました署名入りの新農村建設構想なるものを持っておりまするが、これをつぶさに検討してみますると、あなたは、日本農業が現在どのような角度から助成した方が一番よろしいのか、こういう点についていささかもはっきりした具体策を持っておられない。日本農業が、当然助成しなければ立っていかないことはわかっておりまするが、その助成方向が、従来のばらばらな補助政策ではなく、もっと一貫した補助政策を行うんだといっておきながら、どこに一体助成方針を置かれるのか、その点がはっきりいたしません。それをまず伺いたい。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 農家経済が確立し、安定するということに重点を置いていきたい、こう考えております。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは答弁にはなりません。そんなことは教科書みたいなものでありまして、別に大臣答弁をわずらわさなくともよろしい。知らないのなら、はっきり申してくれればよろしいんですが……。それではもっと具体的に質問いたします。あなたは新農村建設で、農山漁村青年の自主的な構想に基いて案を立てる、こういっておられる。そうしますと、どのような案が出て参ろうとも、これを全部のむつもりでございますか、それとも何か河野構想なるものがあって、その構想に合った案ならば、これを取り上げるという方針をとられておるのか、その政府指導方向をはっきりお示し願いたい。生活の安定だとか、増産だとかいうお題目のような、一年生の教科書みたいな答弁を要求しているのではない、あなたの配ばられた新農村建設構想なるものに基いて、具体的なあなたの指導方針を述べてもらいたい。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 たびたび申し上げる通りでございますが、あくまでも適地適産であり、しこうしてそれがその農家の収入を増加するということを前提条件に置きまして、その地のそれぞれの代表的な、熱意のある人物の集まった協議会において具体案を作っていただきまして、そうして、その具体案をそれぞれの府県もしくは中央委員会において検討いたしまして、よくこれらと話し合って取りまとめていくという方向に持っていきたい、こう思っているわけであります。ただその際に、あまりに一部に偏しまして過剰生産になりませんように、これをわが国内の全体の消費の面と照らし合せまして、適当に調整していく必要がある、こう考えております。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも農林大臣は、巧みに質問の的をはぐらかしまして、まるでイカみたいに、墨を吐くような戦術をとられますが、私はもっと突っ込んでお尋ねします。あなたはこの新農村建設におきまして、全国の九百ヵ町村へ五万円ずつの調査費を与えて、その調査費によってできた計画立案の中から五百カ町村を選び、これに総合助成として六百五十万円の四〇%、すなわち二百六十万円ずつを配る、これに対して予算を三十六億円要求されたのですが、これが十五億円に決定しているというふうなうわさが立っておりますが、この真偽についてはっきりお伺いしたい。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 初めてやることでございますから、初めからいろいろ計画は変えております。従って最初に私が考えましたのは、一町村当り大体一千万円くらいの金を出すというような計画でやってみたい、こう思っておりましたが、いろいろ財政都合等もございまして、今ここに予算を提出したような数字になったわけでございます。また大蔵当局予算都合もございましたので、それに合せるように、後年度においてこれを増加するように計画も変えておりますから、初めに要求しましたものと、あとから予算として実際決定いたしましたものとの間には区別がございます。そういうわけでございます。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ私の今読みました数字は、これはおのみになるのですみ。この通りであるということを認定してよろしいのですか。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 新農村建設計画補助費をきめましたのは、金額を幾らにするかということは、早々の際にきめましたので、私も具体的な数字——これははっきり申し上げますと、計画として全国を五千町村程度に分割して、五千町村を五カ年計画で完成するという基本方針はきまっておるのであります。それを年次別にいたします場合には、最初の初年度において幾らにするか、それを次年度に繰り越すかというようなことは、財政都合によってやっておりますから、その数字は、今申し上げます通りに、財政都合でそういう数字にいたしたわけでございます。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 言葉じりをとらえるわけじゃございませんけれども、この重大な農村の機構を改変すべき法案に対して、予算を取るにも構想するにも、早々におやりになったのですか。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 私は計画を早々の際にいたしたとは申しておりません。計画相当に慎重に検討してやったのでございます。それをどの程度のものからやってやるかということでいたしたのでございまして、予算数字を、今言う通りに、幾ら予算幾らでやるということを、適当にやったというような答弁をしたのじゃございません。それは財政都合もありますから、本年度は何カ村やるかということは、今申す通り早々の際に最終に決定いたした、こう申し上げたのでございます。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、農林大臣心境は常に変っておられるようでございますから、現在この場所において、一体この新農村建設に対してどのような構想を持っておられるのか、今の心境でよろしゅうございますから、はっきり言っていただきたい。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 今の心境も前の心境もございません。私は最初から同じでございます。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、やはり九百カ町村へは一カ村について五万円ずつの調査費をやる、この点は間違いございませんか。間違いないとすれば、一体この九百カ町村へ五万円の調査費を出して、その中から五百カ町村を選ばれるという、この選択基準はどこにあるのですか。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 こういう初めてやることでございますから、調査費を出しましても、それぞれの村が、従来の村、従来の会合、従来の制度で行うのではありませんから、全く新しくやるのでございますから、なかなか事情によってたとえば御承知の通り町村合併にいたしましても、なかなか簡単にできないで、数年間にわたりましてもなおかつできないようなわけでございます。従いましてこれにいたしましても、すぐに全部ができる、こういうこともございません。りっぱな案が非常な熱意を持って早くできるものから順次委員会においてとりきめをしていく、そういうわけでございます。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 町村合併でなくて、新農村建設について伺っているのですが、大体順次にできたものからとっていくとすると、早い者勝ちですか、競馬みたいなものですか。あるいはそうじゃなければ、選択基準は一体どこに置かれるのですか、どこで一体選択するか。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 これは各県にそれぞれの協議会なり委員会ができます。その委員会で適当なりと認めたものを、中央に持ってきます。中央委員会は適当と認めたものの順によって、これをやっていく。しかしおのずから情勢には程度がございますから、それによって全国的ににらみ合せてやって参るということでございます。
  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではこのあなたの構想の三ページに書いてございます「農山漁村中堅青年の新鮮な創意と旺盛な推進力に期待するところが大きい。そこでその積極的な参加を得て、構成される新農村建設協議会の協力を得ることによって、市町村またはその区域内の適当な農林漁業団体計画立案及び遂行に当ることとしたのである。」この意味だと理解するのでありますが、この新農村建設協議会なるものの性格権限をはっきりお話し願いたい。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 性格は、今申すように、各部落の代表青年代表、もしくは既存の農業団体代表等によって集まった、この新農村建設計画をやる意欲のある人たち集合体でございます。権限はこの計画立案して、そうしてこれを取りまとめますことが、権限でございます。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣のこのパンフレットの中に「計画立案及び遂行に当る」と書いてありまするので、五万円の調査費と二百六十万円の総合助成費は、この団体が取り扱う、こう理解してよろしゅうございますか。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 それは村によって、新しくできるものによって、一応計画立案で終る場合もございましょうし、それからまたそれによってやる場合もございましょうし、それぞれの地方創意工夫を十分に生かしてやって参りたい。なおかつその制度等につきましては、今後十分研究をしてやって参りたい、一番都合のいいようにしてやっていきたい、こう考えております。
  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣の言うのは、どうも今後考える、今後考えると逃げておりますが、今後の問題でなくてもう予算が出ている。それを一体現実に金を扱う団体はどこなんですか。それじゃ、これもまだきまっていないのですか、これから考えるというのですか。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 扱う団体、お金が二つあります。今の五万円の方は、計画をし、調査をし、研究する団体、今の協議会が使います。それから一方の金は、それができた際に、それを直接その村の区域内でどういうことに使うかということをそこできめるわけでございます。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どういうことに使うかじゃなくて、この金を経理をする主体はどこか、市町村なのか、あるいはこの新農村建設協議会なのか、あるいは他の団体なのか、あるいは平野案だとあなたがおっしゃる例の農民会なのか、その関係をはっきり私は聞きたい。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 それは新しく協議会ができます。そこに参加する者がきまりまして、事業の計画がきまりまして、それをきめた上で、どういうふうにしてそれを使うかということは、そこで相談して差しつかえない、こう思っております。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも私は納得ができないのであります、頭が悪いせいかもしれませんが。計画をするのが新農村建設協議会、そうすると、この新農村建設協議会できめた通り大臣は従われますか。どうきまっても従われますか。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 きめ方が悪ければ、それは採用しないわけでございますから、きめた通りに従うわけでございます。悪ければ従いませんが、よければ、それを指定して実行させます。こういうことでございます。そうしてそれを実行して参ります際には、その新しい組織体の中で八百戸の農家が集まりまして、今後どうやっていこう、こうやっていこうということについては、みんな同じ村でございますから、皆さんで相談してやっていかれるものと、こう期待しております。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこを聞きたかったんです。もっと早く言ってくれればはっきりしたんですが、九百の町村に五万円与え、その中から五百カ町村を選ぶ場合に、いいが悪いかおきめになるのはどこですか。あなたはさっき自由にまかせると言った、今度は九百カ町村から五百カ町村を選ぶ、あるいはこの仕事をするのがいいが悪いかを判定すると言っておりますが、この選択基準は一体どこがつかまえ、どういうような基準か。これがさっきの質問であります。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げております通りに、それができたものを県の協議会がよく検討いたしまして、相談いたしまして、県の協議会が適当であるということになれば、中央協議会に持って参ります。その中央協議会でこれを適当と認めた場合に、農林大臣は指定します。こういう順序に行きます。こう考えております。
  41. 淡谷悠藏

    淡谷委員 御答弁がはっきりしませんが、地方協議会ですか、中央協議会ですか。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 町村と県と中央三つ協議会ができるわけでございます。そこで町村のと申しますか、下部の協議会立案をして計画をして、そこでみなで相談して、これをやろうということになれば、その案を県の協議会に持って参ります。県の協議会が、これは増産になるだろう、生産過剰になるだろうという場合には、これをこういうふうに変えたらどうかという相談に乗ります。そこで取りまとめをいたします。いたした場合に、その県からそれを中央に持ってきます。中央ではそれを全国的にながめて、またこれをあんばいいたします。そうしてこれで適当だろうという場合に、農林大臣が指定いたします。こう申し上げておるのであります。
  43. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますると、このパンフレットの中の矛盾がはっきりいたしまするが、大臣はこの農山漁村中堅青年の新鮮な創意と旺盛な推進力に期待しながら、最後にはその決定権はあなたが握られる。こういうふうに解釈してよろしいんですね。あくまでもこれは河野農政実現機関である、こう考えてよろしいか。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 全国の各町村事情を私が知っておるわけはございません。でありますから、それぞれの地区、それぞれの町村青年諸君もしくはそれぞれの地区農業団体代表者諸君によって適地であり、適産であるということを御判定願わなければ、その指定のしようはどんなえらい人でもできなかろうと思います。そういうことをやるような乱暴な人はおそらくないのではないかと思います。そこで青年諸君に期待して、そうしてここに日本農村の新しいあり方に意欲を持たせるということが行き方ではないか、こう思うのでございます。何も私が自分計画を描き、自分筋書きを書いてやるといったところで、そういう全国的な筋書きは私に書けようはずがないじゃありませんか。それはそういうふうにやらざるを得ない、こう思うのであります。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私そんな乱暴な答弁をされる大臣はあまり見たことがないんです。大体あなたはばく然日本農政考えばく然とおれはこう大ぶろしきを広げるが、その具体的な内容地方町村で盛れ、こうおっしゃるんですか。あなたの農政は、大ぶろしきでもかまわないが、何も具体的な立案はない、こう考えてよろしいですか。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 具体的な立案町村でやる。町村でやるより仕方がないと思っております。各農家がそれぞれ自分計画自分で立てることは当りまえであり、それぞれの協議会がそれぞれやるよりほか仕方がない、こう私は思っております。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣、あなたの構想の一番最初のページに「現状を打開できる条件わが国農林漁業に決して少くないことを発見する」と書いてある。何を発見されたんですか。外国の農産物に圧倒されまして、どうにもならなくなった。この日本農業を打開すべきその条件をどういうふうに発見されたのですか。これもばく然としているのですか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 議論になりまして恐縮でございますが、現在の日本農村事情をもっていたしましては、私はこのままではいけない。これはどなたもお考えになるだろうと思うのであります。このままでよろしいとおっしゃる人は、私はおそらくないだろうと思うのであります。それぞれの見方はみな違うと思いますが、しかし現状でよろしいとおっしゃっておる人は私はないと思います。そうしてみれば、やはりそれぞれの立場々々、もしくは見方見方によってみな見ておられる、こう思うのであります。私は私なりに見ておるわけでございます。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたな農林大臣ですよ。農林大臣とは一国の農政を誤りなからしめるように運用する責任がある、義務がある。それぞれの立場が違うといって澄ましておられるものじゃない。あなたは、私はそれだけの考えがあるというならば、農林大臣河野一郎はどういうふうに考えておられるのか、はっきり説明をする義務がある、責任がある。言ってもらいたい。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたしますが、これは私が就任以来たびたび申し上げておることでございますから、あまりくどいことを申しては恐縮と思って差し控えたのでございますが、たとえば今の一々の米麦を主体とする農家について考えてみましても言えるのでございましょうし、養蚕農家についても言えるでございましょうし、畜産農家についても言えるでございましょうし、みな私はあると思います。たとえば水産について申しましても、現在の沿岸漁業によりまする水産業者は、あのままでいいかどうかということについては、これを改善しなければいかぬという点はたくさんあります。そういうふうに一々についてみなあるわけでございます。そこに農政を改革し、農村政策について建て直していかなければならぬ点が生れてくるのだ、こう思うのであります。一々申し上げれば、全部について私は申すことができると思うのであります。
  51. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、大臣農政ばく然とした雲をつかむような勘でございまして、その勘に基いて五万円を九百町村に、四千五百万円の懸賞金を出して、全国九百カ町村から農政改革の懸賞論文を募集している。その選者ては河野農林大臣が当るのだ、こう理解してよろしいですか。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 私が考えますのに、いわゆる官僚統制的な考え方で農政をやって参らなければならぬ時代もあったと考えます。戦争中に、たとえば団体農業会一本にいたしまして、上意下達でやっておった時代もあったと思います。また終戦後において食糧の非常に不足いたしておりましたときに、食糧増産に全農村をかりたてた時代もあると思います。しかし今農村の自立経済を達成せしめて、最初に申し上げました通りに、食糧増産を意図しつつ、一面において農家経済の安定確立をはかっていかなければならぬということに、私は農林行政の根幹があると思うのでございます。従いまして従来のやって参りました食糧増産の線に加えるに、農家経済の安定確保という点を加えてやっていくことが、今日の農政としては非常に重要なことだ、こう考えてやろうとしておるのでございます。それが今申します通り、大局的に申せば食糧の自給度の向上という大きな農政の線がございます。それに横からと申しますか、縦からと申しますか、個々の農家の立場を取り入れまして、個々の農家がそれぞれの適地適作をいたしまして、そしてこれにそれぞれの農家の自立経営を達成できるように考えなさい。それには個々の農家ではいけない場合がありますから、それが一つの村という団体になっておやりなさい。たとえばそういうことを私がここで、何県の何村は酪農をやりたまえ、牛を飼いたまえと命令したところが、そこは畑のまん中で、もしくは水田のまん中で酪農に適さないということになるだろうと思うのでございます。でございますからそれぞれの村、それぞれの地方において酪農に適したところでは酪農をおやりなさい、やることを計画なさるでございましょう。なさってもたいへんけっこうでございますとこちらが賛成して、そうしてその計画をお助けしていこう、こういうことをやって参るのに、私は一向さしつかえないのじゃないか。全国のことを何を考えておるのか。懸賞論文とおっしゃいますけれども、何県の何村については、中央におって何もわかりませんから、その地方の村の人がみないいことをお考えになる、その意欲向上せしめるということが非常に大事である。これはことに今日の農村青年の諸君に対しては一番大事なことだ。そうして農村青年の諸君がみずからの研究、みずからの創意によって、そうしてそこに計画を立てて、りっぱな計画が立ったら、それを助けていくということによって、初めて増産意欲も起り、農家経済の安定に対する農村青年の非常に旺盛な努力がここに生れてくる。これに期待してやって参りたい、こう考えておるわけであります。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、河野農政はブランクじゃなかったのですね。やはりあなたが本来持っておられる食糧増産の線あるいは適地適産の線、共同作業を推進する線、経営規模を拡大する線、あるいは生産費引き下げの構想農村の改造、文化対策、こういったような一連の河野農政は一応プランがございまして、このプランに合うような計画ができた場合には各部分々々の条件に応じてこれはとっていく、こう了解してよろしいのでしょうか。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 お言葉の通りであればその通りでございます。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その通りだといたしますると、この中央にできます協議会というのは、そういう案の選定や助成の決定をする機関になりますか。それとも農林省でやられますか、どちらです。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 それは諮問機関としてそこに諮問をいたして、適当であるということになれば、そういうことにいたします。
  57. 淡谷悠藏

    淡谷委員 諮問機関として諮問さして適当であればという言葉を大臣は使われております。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 適当という答申を得ればということです。
  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 適当という答申を得ればですか。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 そうです。
  61. 淡谷悠藏

    淡谷委員 はっきり答弁を願いたい。あなたが適当と思うような答申を得ればですね。そこが問題です。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっと申し上げます。そういうところは少しも問題でないのでございます。そういうところは問題でないので、あなたのおっしゃっている通りなんでございます。あなたのおっしゃっている通り適当という答申を得ればやるのでございまして、その諮問をする以上はその委員会が不適当であるといえば、それを農林大臣がやるはずはないと思います。その委員会からこれは適当だからこれを指定してよろしいという答申があればやる。普通に御解釈を願えばその通りになると思います。私は普通の解釈通り申し上げておるのでありますから、どうぞさように御了承願いたいと思います。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 河野農林大臣は非常に高邁な気持を持っておりまするが、言葉がやや文学的であります。的確な科学的な答弁がない。だから私ははっきり申し上げますが、一例をとりますと、あなたは適地適産という言葉を再々用いられる。これは一体国内的な限度においての適地適産ですか。それともまた国際的にこの視野を広げた適地適産というのですか、その点はどうです。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 具体的に申し上げます。国際的に適地適産、理屈を言うのはやめまして、国内的に見て適地適産、しこうして個々のその地における農家の収入の多いということをつけ加えさしていただきます。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうお言いになるならばもう少し突っ込んでお聞きいたしますが、日本の米や麦の生産はこれを適当と認めますか、日本は米麦の生産地として適地適産のあなたの理想にかなうかどうか。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 私は現在の日本農家、これは東西南北いろいろ事情は多少違うところはございますけれども、生産条件のよしあしは違いますけれども、農業生産の中におきまして米作は大体において一番有利な農業である、こう考えております。
  67. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その有利な適当な作物である米が河野農林大臣も始終頭を悩ましておりますところの米価問題ですね、外国産の米よりも高くつくということは、一体日本農政の欠陥ではないのですか、一体日本適地、適産であるはずの米が外国産の米より高い、この矛盾を具体的にあなたはどうお考えになりますか。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 生産条件が違うからであります。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうするとあなたの言うことは矛盾するじゃありませんか。適地、適産であるが生産条件が違う。その生産条件の違うというのは河野農政によって直し得る条件ですか、それとも自然的な立地的な条件でどうにもならぬという条件でしょうか。どっちです。
  70. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろございます。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いろいろの中には立地的な自然的な条件も入っておりますか。まるでラジオみたいな話になりましたが……。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 自然的な立地的なものもある地方もございます。総じて申しますれば、経営規模が小さいのでございます。地価が高いのでございます。いろいろございます。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではもっと摘出してお聞きいたしまするが、一体自然的な立地条件が多分に劣っておるというこの一点をとりましても、これで絶対的に米の生産日本で適当な生産である、日本は米の適地通産であるというふうにとられますか、自然的な立地的な条件が違っておる。あとはそれはさまざまな農具の問題や、経営の問題はあるでしょうが、立地条件河野農政をもって直し得るのですか。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 米と申しますと、いろいろございますから、外米と内地米と地方により価格が違いますから、そう簡単にお話しになりましても、その通りにはいかぬだろう、こう思います。
  75. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いろいろおっしゃっておりますが、この河野農林大臣適地適産という言葉の中にはある場合には日本は米を作っても高くてしょうがないから、外米をある程度入れなければならぬし、麦においては特にそうだから、外国産の麦を入れなければならない、こういうふうな構想がございませんか。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 足りないだけは外米も外麦も入れなければいけないこう考えておりますが、先ほど来申し上げますように、国内における食糧の自給度を引き上げるということは一貫した政策としてこれは強力に進めていかなければならない、これは間違いないことであります。
  77. 淡谷悠藏

    淡谷委員 足らない部分は入れると申しまするけれども、そうすると生産費の引き下げの点はどうなるのですか、高くつく日本の米の生産費を合理的に農民の犠牲なしに引き下げるという構想考えておるのですか。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 生産費の引き下げは最も強く熱望いたしておるところであります。
  79. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その一環としてけさの新聞を見ると、あなたは硫安工業会に対して農林省を通じて、硫安の価格を下げろという申し入れをしておる。これはごもっともな申し入れでございますが、この値下げに関連いたしまして賃金のベース・アップをやるならば硫安の価格を下げろというような申し入れをされたそうでありますが、この真意はいかがでございましょうか。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 私は昨日肥料課長を使いに出しまして一面において米の消費者価格を一定にいたしておき、もしくは生産者の価格においても従来の線において計算をしてやって参るという線を固持いたしております関係からいたしまして、この際硫安の争議において労働者諸君にのみこれが偏するようなことをされては因る、農民の立場からまず肥料の価格はより安く期待をいたしておるのであるとの申し入れをいたしました。私がこの申し入れをいたしましたゆえんのものは昨年末に他のいろいろな業界のものよりも、硫安の会社が非常に多額の年末手当を出したということで、全国農民は強い反感を持っておるのでございます。この事実がございますので、今回また一方において硫安の労働者諸君に偏して、これが賃金の優遇が強くいれられるようなことになりますれば、勢い硫安の価格は騰貴せざるを得ません。従って硫安会社のそれぞれの理事者はこの両面を十分に勘案して善処してほしいということでありまして、決して労働者諸君に対して絶対賃金の引き上げをしてくれては困るということを申し入れいたしたのではないのでございます。この事実を勘案して善処してほしいという申し入れをいたしたのであります。私は農民の立場に立って当然なすべきことをなしたというつもりでございます。
  81. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それがもし農林大臣のほんとうの腹であるならば、これくらい困った観念はないと思う。あなたは労働者の賃金のベース・アップのみが硫安の価格を高くすると思っていらっしゃる。そうではない、別な要因が大きい。私は本筋を離れることを避けるために、この問題は他の機会にお尋ねいたしますが、あなたの農政に対する考え方は、まさに労働者と農民とを分裂させるような一つの政治的な意図をはらんだ農政である。たくさんの農村における青年の中から、特定な青年を選んでこれに河野農政を押しつけようとするものである。まさに増してきておりますところの農村の階層分化の傾向をますます強め、同時にまた労働者と農民の間にくさびを打ち込もうという非常に卑劣な策謀を持った政策である。私はこのように断ぜざるを得ない。なおこの新農村建設の第一項のおしまいにおいて、「もっともここにいう農林漁業団体とは固定的に既存の団体のみをさすのではなく新農村建設の過程においてはみずからこの建設運動を推進するに適したものとして既存の団体が変貌し、あるいは新しく育成されていくことが考えられるのである」。この既存の団体の変貌というのは何をさすのであるかお答えを願いたい。
  82. 河野一郎

    河野国務大臣 農業委員会その他ございます。
  83. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと河野農林大臣は現在の農業団体を再編成するという意図はお捨てになったのですか。この農業団体再編成の意図というものは一体どういうふうになっておるかはっきりお答え願いたい。
  84. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り先ほど来申し上げました農政のうちにおいて農家の安定、農家の主張というふうなものを十分に取り入れて、またこれが十分に発揚できるということに重点を置いていかなければいけないというふうに考えますので、団体におきましても、従来の協同組合の組織のものはこれをますます強化していくようにする、また反面農業委員会その他事業のうち一部なくなりましたもの、もしくは弱化しようといたしておるもの等をそれぞれ整備統合してこれを強化して参るということを考えていくわけでございます。
  85. 稲富稜人

    ○稲富委員 ちょっとただいまの肥料価格の問題に関連してお尋ねしたいと思いますが、大臣の言葉というものは誤解を生むおそれがある。われわれの主張するのは、資本家の利潤を少くすることによって賃金の値上げをしなければならない。資本家の利潤を少くすることによって肥料価格を下げなければいけないというので、これは両面だと思う。ところがいかにも賃金を上ぐれば肥料価格が上るのだというような、いかにも労働者と農民とがその利益を配分しているというような感じを持つということはおもしろくない、その点はやはり労働者と農民との離間策のための政治的な意図があるのだ、こういうことを言われてもしかたがないと思う。そういうことからそういう発言をされるならば問題である。その点ははっきりしておかなければならぬ。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 ですから先ほどもお答えいたしました通りに、労働者の立場も十分勘案しつつ、肥料の値下げについても意を用いるようにしてほしいということを私は非常に慎重な態度で、しかも肥料課長の持参いたします書面につきましても、慎重にこれを検討した上持って参ったというように、十分に注意をしてやっておる次第であります。
  87. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はやはり賃金の値上げの問題と硫安の値下げの問題は切り離して論ずべきものだと思う。それを一緒にやられたために、そういう誤解を招くおそれがあるので、その点は、私は、農林大臣として発表の時期等については相当慎重にやられて、そういう誤解を招かないような取り扱いをされることが妥当であると思う。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 昨年末のボーナスが、各産業に比べて、硫安会社は非常に多かった。これはあなた方も御承知の通りであります。私は特定の硫安会社のボーナスが昨年末あんなに多くなければ申さないのであります。しかし昨年末非常にたくさんのボーナスを硫安会社が出した。これは農民諸君が非常に不愉快に思っておる点であります。程度を越えるとそういう気分になるのであります。その程度が妥当なものであれば、決してだれも労働者諸君が賃金を上げることをとやかく申すべきものではございません。昨年末にそういう例がございましたから、また今回そういうことになっては困る。それによって労働者、農民の間に離反する気持が起っては困りますから、その点を勘案しつつやってくれ、こういうように言ったのであります。そういう前例がなければそういうことは申さないのであります。
  89. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでただいまの硫安の問題はやはり時期をよく考えなければならぬ。農林大臣、あなたの言動というものは割に慎重であろうけれども、われわれから考えると、時期等において非常に誤解を招くような発言がありますので、ことにこういう問題は時期等を選んで、今後は発言をなさるように注意をしていただきたいと思う。これについては、今後のこともありますし、農林大臣はどういう考えであるかを十分承わっておきたいと思います。
  90. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまも申し上げました通り、私は時期は誤まっていないと思います。なぜなれば、昨年の暮れにそういうことがなければ突如としてこういうことを言い出すのは時期が適当でないかもしれません。しかし昨年末において硫安会社が非常にたくさんのボーナスを出したことは事実でございます。その事実に対して、農村の方面においては非常に割り切れないものがあるのでございます。でございますから、また再び賃上げ闘争によって、昨年末のように非常にたくさんのボーナスを出して、これで経理は一方において値下げの余地はございませんということになってしまったのでは、ときすでにおくれまして、労働者諸君がよけいとってしまったから硫安の値が下らないというようなことになりますと適当でありません。でございますから、この時期を選んで私は申し入れをすることが妥当である、こう考えて申し入れをしたのであります。
  91. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなたは時期が間違っていないとおっしゃるが、しからば肥料の価格を決定する場合は肥料審議会もある。肥料審議会にあなたが諮問される場合の材料にあるいはボーナスが多かった、賃金が多かった、相当の利潤があるから肥料を下げるべきであるというならば、その時期を選んで言うことが妥当であると思う。ところが今日、賃金の問題が残っておるときに、この賃金を上げれば、肥料の価格が下がらないということは、これを直ちに政治的な意図をもってやっておるという誤解を招くおそれがあると思う。あなたは明らかに時期を誤まっている。これは明らかに肥料審議会等にあなたが諮問されるときの材料として適当の時期に提出をされるべきものである、こう思うのです。いかがですか。
  92. 河野一郎

    河野国務大臣 これは何かの誤解じゃないかと思うのです。なぜならば賃金が上ってしまえば生産費が上ってしまうのであります。生産費を基準にして硫安の価格をきめるのでございまして、生産費を無視してあんなに高い労働賃金を払い、あんなに高いボーナスを払うのだから、肥料を安くしろというわけには参らぬのであります。生産費を十分検討いたしますと、労働賃金が幾ら、何が幾らということになりますから、そこで労働賃金が上ってしまったあとではそういうわけに参りませんから、そこで私は十分考慮してほしい、これを今申されるように、こういう際にそういうことを言うのは時期が適当じゃないと言われるのは、昨年の場合であれば適当でないかもしれない。私はそのまま了承いたします。私もこういう軽率なことはいたしません。しかし昨年そういうことがありましたから、私はこの際硫安の経営者に反省を促すことが妥当であると考えてやった処置でございます。
  93. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、農林大臣はこの賃上げを要求しておる場合、肥料価格を下げるぞということを肥料経営者に言えば、肥料経営者が賃金を上げることを阻止する口実の材料になるということをお考えにならないのですか。
  94. 河野一郎

    河野国務大臣 これは何かのお間違いじゃないかと思います。賃金を上げるなら肥料を下げるぞということを申しておりません。きのう持って参りました文書も御必要があれば差し上げてもけっこうでございますが、私はそういうことを申したのではありません。これはちゃんと文書があるのであります。その文書にはそういうことは書いてございません。
  95. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは公文書としてお出しになったその文書を出していただきたい。その文書を出していただきましてさらに批判させていただきます。
  96. 日野吉夫

    ○日野委員 今硫安の問題がたまたま大問題に発展したので、これを十分調査する必要があるので、私は資料を要求いたしておきます。農林大臣は、昨年の暮れにボーナスを出したので肥料価格を圧迫するというようなことを言っておられるが、その関係を少くとも明確にする数字的な根拠を示して言うならば一応わかるけれども、ばく然とそう言っただけではわれわれは了解できない。肥料会社は去年度は砂糖、肥料、セメント——三日景気といわれている。これは好景気の会社で利潤があったということを何よりも雄弁に物語っておる。その一部がボーナスとなって、労働者に還元されようとしておる。これが直ちに肥料価格を圧迫する程度になっているかどうかということについて、われわれは十分調査する必要がある。大臣はこのことをどう了解しておられるか。この間の新聞発表ではそうした数字的根拠は一つも示されていない。そこでこの点を農林委員会として、年次別生産と輸出、そしてさらにこの生産費、価格等を調べる必要があるので、資料を要求したい。きょうここに出してある砂糖の資料のように、何社あってこれの生産と消費が幾ら、過般の需給安定法では農林大臣は立ち入って肥料会社の経理を調べる権限が付与されてあるはずであります。従ってこれらの正確な数字をここに示して、この問題は十分に論議してみたいと思います。ただ一応伺っておきたいのは、去年肥料会社が出したボーナスというものは、ほんとうに労働者の待遇をよくして肥料の価格を引き下げることのできない程度になっているかどうか。それに対する見解だけ伺って、資料の要求をしておきます。
  97. 村松久義

    村松委員長 ただいまの資料の要求はそのまま政府に伝えます。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今言われたボーナスを出したことが肥料価格値下げに重大な影響を及ぼすものであるという考えを持っておるか。その見解だけを聞いておきましょう。
  99. 河野一郎

    河野国務大臣 昨年末のボーナスが高かったことは、御承知の通り当時各新聞の一せいに報道するところでございます。なお詳細はただいま委員長から御要求の通り、資料として文書でお答えすることにいたしますが、これはもうどなたも御承知の通りと思います。私もボーナスが多過ぎればそれが生産費に影響することはなにがしかはあると思います。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 淡谷委員の肥料関係の質問に関連して、ちょうど私は肥料審議会委員をやっているので、今の大臣の御答弁に対して簡単に御質問申し上げます。  昨年も議会を解散された当時、河野農林大臣は盛んに肥料の大幅値下げを宣伝して相当農民の票を集めたと思う。ところがその結果どれだけ肥料の需給安定法に基くところの値下げを行なったかというと、わずかに硫安は一俵について五円しか大宣伝に対して値下げが行われなかった。その後早期に肥料審議会を開いて政府の御調査になった適格なコスト、調査に基いたところの適正な価格を審議会に諮問すべきであったにもかかわらず、それを全然怠っておった。こういう宣伝だけはやるけれども、ほんとうに肥料メーカーに対して、持ち前の強引さをもって、あくまでも肥料の値段を下げさして農民に対して報いるという熱意のある仕事というものは行なっていない。ですから今度の場合においても、農林大臣の意図なるものは、ほんとうにこの機会に肥料の単に硫安だけではなくて、ア系肥料の尿素あるいは過燐酸にしてもあるいは輸入肥料のカリ等にしても、価格安定あるいは肥料の値下げをやるというだけの熱意と具体的な根拠を今日持っておられるかどうか。その根拠の上に立ってメーカーに対するあのような勧告あるいは警告のようなものを発せられたかどうか。その根拠をお尋ねいたします。
  101. 河野一郎

    河野国務大臣 私は肥料の問題につきましては、農業生産上非常に重要なものでございますから、常に深い関心と熱意を持って行政をいたしておるつもりでございます。たとえば今御指摘の通りに、当面いたしております過燐酸もしくは石灰窒素もしくはカリ等につきましても、十分注意をいたしまして善処をいたしておるつもりであります。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の肥料製造というものは、三十一年度の肥料生産計画等に対して、今までよりは輸入の引き合い等も好転しておるので、生産相当上昇しておると思うのです。生産性が高まっておると思うのです。そういうことは結局肥料のコストに影響を持っておるわけなんです。ですから生産費が低減しておるというような事実を農林大臣として把握された場合には、毎月報告等を徴してその推移をあなたは確かめておるわけですから、もうすでに値下りが相当出ておるということが把握できた場合においては、具体的な価格算定の根拠を整えて、そうして政府権限を持って肥料審議会の招集等をも早期に行なって、すみやかに値段を下げて農民の期待に沿うというようなことをやるお考えはないですか。
  103. 河野一郎

    河野国務大臣 新聞でもごらんの通り、私は議会でも答弁いたしましたが、来たるべき六月の改訂期には相当下げるということを考えておるわけでございます。そういうふうにして、今すでに春肥につきましてはどんどん出回っておりますから、これを今から云々いたしますよりも、昨年御審議願いましたように、相当辛くいたしたわけでございますから、今度の六月の改訂期には下げるように調べよう。今お話に毎月々々とおっしゃいますけれども、一ぺん生産費を調べまするには相当に準備と日数がかかるのでございます。そう常にそれをつかまえることはできないわけであります。生産費の要因をなしますものは、あるものは上りあるものは下り、それが工場別に立地条件等は違いますから、非常に複雑でございますので、そう一年中調べてつかまえていくということはなかなか困難でございます。でございますから委員会等の際に慎重に御審議を願っておりますように、農林省としては相当にそろばんは辛くはじいてやっておるわけでございます。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは大臣毎月の生産費を調べたかというのじゃない。毎月の生産の推移というものは報告によって明らかになる、だから月別の生産計画に対してそれが上昇しておるかどうかということは判断できるわけなのです。生産が非常に上昇しておる。生産性が向上しておるということは、労働者の生産性がその部門に対して寄与しておるということで、これは否定することもできないのです。今の御答弁によると、六月までは適正だからこのままにしておくということになれば、ここ数カ月はもういかにメーカーが利潤を追求しておっても値下げをしないということをあなたは正直に言っておるのじゃないですか。六月までは肥料審議会を開かない、そうなのでしょう。じゃ今大幅に肥料の値下げをして農民に今年のまきつけに必要な肥料を低廉な価格で提供するというので宣伝はしておるけれども、実際やる意思はないじゃないですか。六月の審議会にかけなければだめだということになると、これは来肥料年度の価格をどうするかということを考えるにすぎないわけです。合化労連の賃上げをやるような場合には値下げはしない。利潤が増大しておるということがわかりながら六月まで肥料審議会を開かない、肥料の値下げをしないという魂胆でおるということは、労働者に対しても賃上げをさせない、農民に対しても肥料の値下げはさせない、そういうことになる。単に肥料業者だけに対して利潤の増大を許すというのがあなたの本心だということが、自分答弁の中で明らかになっておる。こういう変節的な、まじめに農業政策をやっておらぬ、農民に対しても、宣伝だけで肥料の値下げをする気がないということは、これはもう少し反省する必要がある。値下げをする必要があるとか、コストの計算をして値下げをする要素が増大しておるという場合には、緊急に審議会を招集して値下げ断行の手を打つことができる。その場合にはわれわれは大いに協力します。あなたはやる気があるのですか。
  105. 河野一郎

    河野国務大臣 私は今のお話を黙って伺っておりますけれども、お互いに農政のために一生懸命やっておるつもりでありますから、そうあまり何もかも悪いようにおっしゃることは、私は少しお考え願いたいと思うのです。何も御承知なしにおっしゃっていらっしゃるなら私はそういうことを申しません。御存じの上でそういうことをおっしゃって下さることは、私は少しお考え願いたいと思います。たとえば肥料の価格にいたしましても、その月の生産方向はわかります。今月は何トンできた、幾ら増産したということはわかします。しかし肥料は御承知の通り電力、石炭、労銀、その他いろいろ要素があります。石炭の事情はどうでございますか、現在の石炭の価格がどういう方向に向っておりますか、電力はどういう事情にありますかというようなものを考えますと、ただ増産方向に今あるだけで肥料審議会を開いて肥料の値段はかくあるべきだということを言われる情勢に一体ありますか。そういうことは十分御承知だと思うのであります。御承知だと思うから私は申さぬのでございます。ただ簡単に硫安が今増産方向にあるじゃないか、調べればわかるじゃないかとおっしゃっても、それだけですぐ値下げができるかできないかということはよく御承知だと思う。今申した通り石炭の事情はどうだ、電力はどういうことになっておるかというようなことを全部勘案いたしますれば、硫安の値段は将来どういうふうにあるべきかということを考える際も、三カ月、四カ月の長期にわたってならば、これはいろいろ考えなければなりませんけれども、当面渇水期だけれども、ことしは比較的に電力が順調だった、十二月、一月割合に調子がよかったから、すぐ下げてやれというようなことでいく事情——先ほども申し上げました通り、他の生産条件がいろいろありますから、今すぐにそういうことを言うのは適当でないと思います。現に硫安組合等から、こういうものが値上りしたからこれについてお考え願いたい、これが上ったからこれについてお考え願いたいというようなことを言うてきております。おりますけれども、そういうことを取り合おうとはいたしておりません。しかし私は、硫安の値段を下げれば当然下るものを、それを下げずにいて、そして農村からは搾取させる、そして労働賃金は上げることに反対している、そういうようなことを一ぺんでも私は考えたこともなければ、したことも絶対にございません。それを一つよく御了承の上で御質問願いたいと思うのであります。なおくどいようでありますけれども、その他の……(「それだけ知り過ぎておってああいうことを言うから問題を起すのだよ」と呼ぶ者あり)それならば、今ここに、昨日硫安工業会に持たしてやりました文書を持ってきておりますから、これを一つ朗読させます。   〔谷垣政府委員朗読〕    日本硫安工    業協会会長 石毛郁治殿     農林事務次官 平川  守    硫安工業関係の労働賃金につい    て   最近硫安工業関係労働組合が、経  営者側に対し賃銀ベース引上の要求  を行い夫々折衝の段階にあるやに仄  聞する。もとより当省としても労働  者の労働条件の適正な改善に反対す  るものではないが、他面政府の基本  的政策として、農業生産費の低下を  図り農産物価格の安定に施策を集中  している次第もあり、農業生産資材  中最重要の地位を占める肥料の価格  については、可及的に廉価に供給す  る如く、努力しつつあることは、御  了知の通りであり、労賃の上昇を  以って直ちに肥料価格の引下げの阻  害要因となし、若くは肥料価格上昇  の要因となすが如きことは、当省と  してはこれを看過しえないところで  ある。   以上の観点より、この際肥料消費  者である農家の側にも、肥料価格の  面における利益を充分に考慮せられ  るよう、特に善処を期待する。   なお貴協会傘下の各会員に対して  は、貴職より上記の趣旨を通報する  等適宜の措置をとられたく御願いす  る。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこに問題がある。今大臣答弁において、六月までは肥料審議会を絶対開かぬということになっておる。コストが値下りを示しているのですよ。そうすれば六月まで肥料審議会を開かない場合に、合化労連とメーカー側との折衝の中において賃上げをするような情勢になった場合には、大臣はどうするのですか。その場合にあなたはすぐそれより先に、値下げをやるような手配をしますか。それとも傍観しておるつもりですか。どうなんです。そういう時期がもし来た場合には、あなたはどうするつもりです。
  107. 河野一郎

    河野国務大臣 もう一ぺんどうぞ。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今私の言った通りですよ。
  109. 河野一郎

    河野国務大臣 労働賃金を上げたから——上げる前にすぐ値下げをせよというようなことは、そういうことはできません。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 値下げをせよというのじゃありません。そういう情勢に至るような場合にはあなたはどういうような措置をとるかということです。さっきも稲富君の質問に答えて労賃を上げた場合においては、それが既成事実になって、コストになるからして、何ともすることができないということを言っているじゃありませんか。そうしてこういうような警告を発しておるでしょう。ですからそういうような時期に直面するような場合には、具体性ができた場合においては、農林大臣として、この声明の手前あなたはどういう措置をとるのか、肥料審議会を六月まで開かぬという場合には。その考えはあると思う。
  111. 河野一郎

    河野国務大臣 不適当な労働賃金の値上げが実現——そういうふうに注意をいたしておりますから、そういうことはないだろうと考えております。(発言する者多し)不適当な労働賃金の……、不当な労働賃金の値上げが実現するとは考えておりません。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうするとあなたは、この勧告によってメーカー側に対しては、陰であなたとなれ合いでやっておるかもわからね。大臣とメーカー側がなれ合いの上でこの声明書を出しておるか、勧告を出しておるかわからぬ。あなたはそれを知っておるわけだ、どうだかということを。そうして賃金の値上げをこれによってストップさせる。圧力をかけて、そのかわり肥料の値下げもやらさぬということは、繰り返して言うようでありますが、肥料メーカーに対する利潤の増大を、追求を認めるということだけにしか尽きていないのです。そういうことをわからないのですか。
  113. 河野一郎

    河野国務大臣 私は不当な労銀の値上げをと、こう申したのであります。労銀の値上げを決して認めないというのではありません。不当な労銀の値上げというのです。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 不当というのはどのくらいなんですか。現在が妥当なのか。どのくらいが妥当であり、不当であるか。その賃金のベースがどの程度が肥料産業の場合には妥当の賃金ベースなのか。どの程度が不当な賃金ベースであるか。それがわからなければ、基本がわからなければ妥当とも不当とも言えないと思います。どうなんです。
  115. 河野一郎

    河野国務大臣 それは今後検討いたします。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀委員 検討ではない。この勧告は現在の賃金ベースが正当として、これ以上上げた場合には不当と認めて勧告をしたのではないですか。正当、不当の線がわからないで、こういうものを権力的に出して、しかも一方においては肥料の値下げをしようという誠意がない考えの上に立ってこれを出しておるという場合には、これは許せないところの政治的な陰謀だと言えるのですが、正当、妥当の線はどうなんですか。
  117. 河野一郎

    河野国務大臣 現在の労働賃金が正当であって、それより上げるのは不当だと決して私は申したことはありません。それは双方で交渉せられて双方で検討せられて適当なことをなさるだろうと期待いたしておるわけであります。決してそういうことを書いてございません。またそういうことを言うておりません。それは当事者の間でやられることだと思います。その結果についてわれわれが判断するのであります。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうするとあなたは何ら具体的な根拠の上に立っておらぬ。正当性というものは経営者と労働組合の中において合理的に双方が相談をした上で妥結をしたような場合のその決定というものが妥当の線であるということをお認めになるのですか。
  119. 河野一郎

    河野国務大臣 私は先ほどからたびたび申しております通りに、昨年末社会通念として不当な高額のボーナスを出した。こういうことは新聞の記事がそれを報じております。新聞の記事にそう出ておるというのです。それを読んだ農民は全部そう考えております。それでありますからそう言うのであります。それは農民感情になって出ております。農民感情を代表して言うのは当りまえだと思います。でありますからそういう事態は、先ほど稲富さんもおっしゃいますように、労働者、農民、この間において意思の間隔があるようになってはいかぬ。でありますから私はそういうことを言うのは妥当だと考えております。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから具体的な数字とか線を示すべきなんです。そうでないと、ただあなたはいたずらに農民感情だけを悪用して、そうして肥料メーカーの要望にきゅうきゅうとする、労働者の生活も苦しめ、農民生活も苦しめながら、わずかな肥料メーカーと結託してこういう政治的な権力を乱用するというところに、われわれはそういう行為こそ許すことができないということを指摘しておるのです。明らかに申し開きができるようなそういう根拠があれば、この機会にあなたはお述べになったらどうですか。何も言ってないじゃないですか。どうなんです。
  121. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げます通りに、私は農民の意思を農民の意思として考えてやります。それはそういうふうな事態になることをおそれるから申すのであります。当然だと思うのであります。それ以上は今申し上げますように、あなた方と私の考えと違うのだと思うのでございまして、私はそういうふうに注意し善処を促すことが当然だと思ってやったことであります。
  122. 稲富稜人

    ○稲富委員 農民の感情として言ったとおっしゃいますが、ただいま労働者が賃上げの要求をしておる場合に、先刻から河野農林大臣の御答弁を聞いておりますと、不適当な賃上げをやってはいけない、こういうことの意思表示があられたということは、たまたま現在の賃上げを要求しておることが不適当だという感じを与えると思う。おそらく私は相手のメーカーにもそういう感じを与えたと思う。その点を私は非常に軽率だというのであって、あなたは現在の要求を不適当と思っておいでになるのですか。先刻のお話では、不適当だ、こうお思いになったから出されたようだが、それでは何が適当かというと、適当は現在研究中だとおっしゃる。適当がわからなければ不適当もわからぬはずです。適当な賃金というのがわからぬでおいて不適当だけを指摘するということは、あなたとして好ましいことじゃないと思う。その点を私はお聞きしている。
  123. 河野一郎

    河野国務大臣 これは全然第三者にそういうことをお話するならば、数字をあげて話をしなければならぬと私は思います。しかし相手は当事者であり、相手は経営者でございます。経営者にただいま朗読いたしましたような文章を提示いたしますれば、この文書を正当に判断をし、正当に解釈をして善処されると思うのでございましてそれが全然知識のない、経験のない者が読めば、どの程度がいいか悪いかわからぬじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、それはわれわれと違って当事者でございますから、百も二百も承知の人に、適当におやり下さい、こういうのでありますから、これは間違いないと思います。
  124. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点が非常に違うのです。賃上げ要求をやっているときに、不適当な賃上げ要求に応じてはいかぬ、こう言うことは、現在の賃上げ要求が不適当であるということを相手に印象づけることになるということは常識だと思う。あなたがそうお考えにならないということは、あなたの考え方がそういうように曲げて解釈をされているのであって、それを受けた当事者というものには、やはり現在の要求が不適当だということを農林大臣考えているんだ、こういう感じを与えると私は思う。あなたはそうお考えにならないのが不思議です。
  125. 河野一郎

    河野国務大臣 私はわざわざ正当なるもしくは妥当なる労働条件はむろん異議のあるものじゃないということを前段に断わっております。でありますから、そういうふうにことさらに曲げて考えるわけはない、こう思うのであります。
  126. 稲富稜人

    ○稲富委員 それはまくら言葉としてあなたはお使いになったのでしょう。まくら言葉として妥当な賃金を払わなければいけないということをおっしゃったのでしょう。しかしまくら言葉のあとに、不当な賃上げだ、こう言われれば、ちょうど賃上げ要求中だから、その賃上げ要求というものは不適当だということを当事者が考えるのが常識なんです。その常識をもって判断せしめるようにこの書面を出されたのだと思うのです。その点農林大臣として非常にけしからぬということになってくると思うし、事重大だからわれわれは聞いている。結果から見ると時期的に非常に悪いのです。
  127. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申します通りに、昨年非常に甘くボーナスを出したそのあとでございますから、また非常に安易にやられたら困る。それが生産費の中に計算されて農村の側が非常に高い肥料を買わされるようなことになっては困る、そう考えてやったわけでございます。
  128. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで結論としてお尋ねしますが、この文書というものは、確かに相手方も私たちのような解釈をしていると思う。そういう誤解を招いたということは私はおもしろくないと思うから、そういう誤解を招いたとするならば、誤解がないように、この意味は決して現在の賃上げというものを不適当というのではないのだという、世間の誤解を招かないような手を尽す意思がありますか。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 誤解しているかしていないかは、この手紙を受け取った人が誤解しているか、していない、かということでありまして受け取った人は今申しましたように硫安組合の各会社の代表者であります。もしそういうふうなことを言って、私の言う意味と違って、農林大臣も労働賃金を今要求しているように上げることは絶対反対だと、私の言うことに籍口して不当にやるような事態がございますれば、そのときには今稲富さんがおっしゃった通り、私の申したことを誤認しているのだという場合には、私には釈明する用意がございます。
  130. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣、あなたはたった一つの河野農政の中の肥料問題の値下げだけでもこれだけの論議を起している。あなたの農政というものは農民の名をもってしますけれども、農民自体が強く非難している。こういうことを十分お考えになって、この新農村建設なるものの構想に対しても慎重な態度をとっていただきたい。特に私はこの新農村建設の中にある新しい農業団体の構成の問題について話を進めまするが、先般出ました平野三郎君の農業団体の再編成案、農民会という構想をもって新しい農業団体を作ろうという案は、世間では河野一郎が平野三郎をしてアドバルーンを上げて指かんをしてみたんだといううわさが立っておりますが、これはどうでありますか、はっきりお答え願いたい。
  131. 河野一郎

    河野国務大臣 たびたび申し上げます通りに、そうではございません。
  132. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういたしますと、この間平野三郎君が岐阜県における演説会で、これは河野農林大臣に頼まれて作ったのだとあなたが信用される新聞に出たのは、平野三郎がうそを言ったのだと了解していいか。
  133. 河野一郎

    河野国務大臣 平野君がどういうことを言ったか私は存じません。
  134. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私が言っている通り、あなたがさっきも農民の世論というものは新聞に出ていてわかると言ったその新聞が書いているのですが、平野三郎君ははっきり河野農林大臣に頼まれてこれを書いたと言っているのです。そうすると、あなたがうそをつかなければ平野君がうそをついた。中野君がうそをつかなければ農林大臣がうそをついた、こう了解していいですか。
  135. 河野一郎

    河野国務大臣 その通りだと思います。
  136. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではどっちか一人がうそつきになります。これはあなたと平野君と一緒に対決されたらいい。決闘でも何でもやったらいいと思います。私はこの農業団体再編成について新農村建設構想と関連してお伺いいたしますが、一体大臣は、日本農業はその経営規模が零細であるから生産力を発揮し得ない、零細であるから他の諸国の大規標な機械農業に対しては価格の点においても生産の点においても能率を上げ得ないといったような意味のことを書いておられますが、それに対して共同作業による農政の展開を唱えておられる。そうしておきながら、農業団体の再編成構想においては、農協から信用事業をとってしまうといったような含みもあるやにうかがわれますが、いわゆる世論なるものはこの点について河野農林大臣農政に対して非難している。協同組合もこれに対して大会を開いて非難しているが、現在農業団体の再編成に当って農協から信用事業を取り上げるという構想をお持ちかどうか、なお伺っておきます。
  137. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろお話になりますが、最後の一つだけ答えをお聞きになって、その前にいろろい勝手にお話になりますけれども、そういうことは私は非常に迷惑いたします。そういうことでなしに、私の言うていることを御質問になるならば、全部御質問願うようにしていただきたいと思うのであります。今お尋ねになりました、農協から信用部を取り上げるということを考えているかどうか、これは考えておりません。
  138. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、さっき農林大臣農業団体の再編成をするということをはっきり言っておられましたが、現在の農林大臣はどのような構想農業団体の再編成をされるのか、この点の御説明を願います。
  139. 河野一郎

    河野国務大臣 目下検討中でございます。
  140. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一体あなたがこの委員会でなされました施政演説の中で、検討中という言葉を幾ら使っていると思いますか。いいですか、念のために申し上げます。「農業災害補償制度を改正し、農林漁業金融の活用をはかり、農業団体制度整備強化実現して参りたいと存じます」と、第六項におきまして、まずこんなことを言っておる。たとえば「農家単位共済の実施、低災害地等についての加入の自由、共済掛金の予納制、共済金支払いの被災に応じた適正確実化、損害評価方法の整備厳正化、共済事業を行う団体に対する監督強化等の諸問題につき、検討を進めておる次第でありまして、」と書いておる。その次には融資活動につきまして、「一そうその融資活動を活発化して農林漁業の生産力の発展を促進し得るよう検討をいたす所存であります。」と書いてある。そのほかにまだあるのです。至るところにあなたはこの検討を書きまして、わずか二ページの中に五カ所書いておる。そうすると河野農政というのは検討農政だといってもよろしい。ちっとも形を作っておらない検討中の農政である。
  141. 河野一郎

    河野国務大臣 現在農村はあらゆる面から検討しなければならぬ段階に至っておると思いますので、その点について検討し、そうしてできるものから順にやっていこう、こういうつもりでございます。
  142. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうすると、農林大臣はあらゆる方面から検討して、まだ固まらない計画に対して予算だけは確実に十五、六億円とったのだ、こう了解してよろしいですか。
  143. 河野一郎

    河野国務大臣 非常に誤解があるようでございます。新農村建設計画を即新農業団体ということで御議論になっておるようでございますが、私はそういうふうに申してはおりません。新農村建設は新農村建設として全国の各農家の方々が非常に御賛成のように私は考えております。それで非常な御熱意を持って御協力いただけるものと思っております。一方においては先ほど申し上げました通り、個々の農家についてはそういうふうにして農家経済の確立、安定を期するように努力を進めて参る。それとはまた別に、現在再建整備をいたさなければなりません農業団体がたくさんございます。そういうふうなものは公的もしくは任意の団体等がございますから、これらについても整備強化をいたしまして、これはこれとして進めて参るということであります。新農村建設運動即農業団体再編成ということにお考えになっておとりになっておるようですが、その文章の書き方が悪かったら、今私が申し上げますように御了解願いたいと思うのであります。
  144. 淡谷悠藏

    淡谷委員 書き方の悪い文章を流すからさっきのような問題を起すのであります。あなたはそうおっしゃるけれども、新農村建設構想パンフレットの三ページには「新農村建設の過程においては、自からこの建設運動を推進するのに適したものとして既存の団体が変貌し、あるいは新しく育成されていくことが考えられるのである。」とはっきり書いてある。これは何を意味するのですか。これすなわち農業団体の再編成じゃありませんが。
  145. 河野一郎

    河野国務大臣 これは御承知の通り、現在の協同組合の一番の欠点は組織の小さいことであります。三百戸、五百戸の農家で一団体をなしておりますのでは、協同組合がどうしても育成強化できないのであります。それでございますから、これらの団体もこの新しい団体の発生と同時に、新農村建設計画と同時に自然に整備強化せられて、相当数の農家を組合員とした団体に再編されていくだろうと私は思うのでございまして、必ずしもそれが一緒でなければならぬとか、同時にやるとかいうようなことではなく、自然発生的に育成強化されていくだろう、こう思うのでございます。
  146. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっき農林大臣は新農村建設協議会というものについてはっきり言われた。しかも計画立案並びに遂行には市町村またはその区域内の適当な農業団体が当るという文句を出して端的に述べておられます。そうすると大臣が期待される新しい農業団体なるものは、この新農村建設協議会と理解してよろしいのか。この新農村建設協議会というのは農業団体じゃないという前提のもとに立たれるのか、その点をお伺いしたい。
  147. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り農業団体は新しく作る——農業委員会を改組もしくはこれらのものを整備強化いたすにいたしましても、やはり時日を要します。それができなければ今申しますように新農村建設計画ができぬというわけではありません。でございますから、これは並行して参る場合もありましょうし、もしくは団体の方がおくれる場合もございましょう。ですから新農村建設計画は、新しい協議会でいろいろな団体代表者もしくは部落の代表者等が集まったものでやっていただく。しかし私はこの協議会を称して新農村団体というておるのではございません。
  148. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この新農村建設協議会農業団体じゃない、こういうのですね。農村の盛り上る青年の力を結集した協議会農業団体でないなら何ですか、商業団体ですか。
  149. 河野一郎

    河野国務大臣 それはそういう新しい農村建設するために協議会ができるのでございます。われわれが農業委員会を改組したり、その他のものを吸収してこれを強化するということと同一には考えていない、こういうことでございます。
  150. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 新農村建設計画は先ほどから論議されておりますから、私繰り返しませんけれども、この新農村建設というのは今に始まった問題じゃないのです。現在やっておる新農村建設というものは、大臣御承知のようにすでに数年間やっておりますけれども、だんだん先細りになって、当初の計画が単なるペーパー・プランに終っておるのです。われわれの地方などにおきましては、当初のプランが全く遂行されない。たとえば政府の農地の買い上げの問題にしても、ほとんど農地法を空文化せしめておって、森林の解放等もストップをさせられて、新農村建設というものが全く行き詰まりを来たしておる。同時に新農村建設協議会というものがあって機関紙などを発行しておるのでありますが、従来多年にわたってやってきました新農村建設運動との関連、すなわち従来やって参りました新農村建設運動というものはさらにこれを加味し、それを完成せしめるように努力をするという方針であるのかどうか。  もう一つは、全国的に協議会を作っていろいろ運動をやっておるんだが、大臣の言われるところの諮問機関としての全国協議会というようなものは別個に考えておられるのか、あるいはその協議会をもっと拡充強化して、それに一つの役割を果させようとするのか、この点を一つ明らかにしておいていただきたい。
  151. 河野一郎

    河野国務大臣 新しく作るつもりでございます。それから今やっておりますもので、いいものはむろんこれをそのままでもけっこうでございます。育成強化していきたいという考えでございます。
  152. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういたしますと、従来の新農村建設計画で進んできたところについて、いろいろな事情で、たとえば資金の面であるとかあるいは農地の解放等の面においてそれが障害になって目的が完成できないでおるところは、これを優先的に認めてさらに積み重ねていくというふうに理解してよろしいかどうか。
  153. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げますように、計画のいいりっぱなものでありますれば、早く審議会でこれは妥当であるという答申が出るでございましょう。それだけ早くなるわけでございます。
  154. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それから県にも協議会を置き、全国的にも協議会を置くということでありますが、それは従来の協議会と新たにという大臣の今の答弁からいきますと、今までのものは今までのものとしておいてもう一つ別にお作りになる、こういうことですか。
  155. 河野一郎

    河野国務大臣 今度は今申し上げましたように新しく知事の諮問機関、農林大臣の諮問機関として作るつもりでおります。従来のものは自然にやめることになるだろうと思います。これは自主的に作っておられるそうであります。
  156. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういたしますと、今までに自主的に作っておって大いに努力をいたしておるものはこれを無視して、そうして天下り的に大臣の号令をかけた協議会でやっていく、こういうことになるわけですな。
  157. 河野一郎

    河野国務大臣 無視するとかしないとかいうことでなしに、今度は一つの計画をもって予算を運用して参るわけでございますから、それに基いて、知事が独断でやるわけには参りませんから、知事の諮問機関として協議会を作ってもらってその協議会の答申をつけて上級に持ってきてもらう、こういうことでございます。
  158. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 もう一点だけ。適地適産の問題は先ほどから議論が尽されておると思いますが、今私が申しまするように、新農村建設というようなプランは、かつては負債整理組合などを作った当時も、農村の再建ということについてはいろいろな計画がしばしばなされておる。そうしてその際に常に適地適産ということが中心的な考え方であったわけです。そこで適地適産的な考えによって、農村建設なり再建なりを考える場合において、ややもすると、全国的にほとんど同じような傾向のものが現われてくる。その結果といたしまして同じような計画のもとに進むものでありまするから、直ちに生産過剰の状態に入る。一例を言えば、養豚をやれということでみんなで養豚をやりますると子豚が非常に高くなる。ちょっとたつと、今度は成豚が大暴落をしてしまう。酪農にいたしましても、酪農に導入の利子補給などをやりますると一ぺんにふえてくる。ところがもう少したつと今度はすぐ牛乳が暴落してしまって採算がとれなくなる。これは要するに奨励措置や何かで一つの計画のもとに行われるが、やがて日本のような狭いところでありまするから生産過剰を来たす。そうして暴落した場合に、その製品の価格の値下りに対しては、従来政府は常にこれを顧みない。そこでやはりそういう場合における農産物の価格安定ということが問題になって、政府指導奨励をしてきた場合の生産過剰に対する対策は一体どのように考えておられるのかその見当がはっきりしておりませんと、うっかり二百万や三百万の金をもらって乗るわけにはいかないということになると思うのです。その点を一体どういうふうにお考えになっておるかただしておきたい。
  159. 河野一郎

    河野国務大臣 その点が——全国協議会を置いて農村青年意欲もしくは協議会の案をそのまままるのみにすることができないのは、局地々々で作りましたものによりますと、あせると生産過剰になりますから、これを調整するという役割をそこで勘案していくようにしていきたい、こう考えておるのであります。
  160. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林大臣は二十一日の記者会見で、農業団体の再編成は平野試案のようなものでは行わない。だから農協には手をつけないが、農業委員会農業共済組合の整理強化は行う予定で、三月に入ったら案をまとめる。この場合農業委員会にかわる新団体を作ることになるだろう、こう言っておりまするが、これはほんとうでございましょうか。
  161. 河野一郎

    河野国務大臣 大体そういう見当で今案を取りまとめ中でございます。
  162. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、さっきの御答弁に関連しまして、この新農村建設協議会というものはこれは諮問機関である。この諮問機関に諮問して、その答申に基いて事業を遂行する団体を選定する、こういうふうに理解されまするが、農業委員会にかわる新団体と申しますと、農業委員会はもうなくするつもりなんでしょう。これははっきりしているんですね。農業委員会にかわる新団体というのですから、その新団体は目下検討中であっても、農業委員会だけはやめるという方針には変りはないでしょうな。
  163. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお答えいたしました通り、そういう見当で研究をして取りまとめ中でございます。
  164. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それもまだまとまらないらしいのですが、そうしますと、農業団体の再編成に対する農林省案、あるいは河野農林大臣案というものは全然まとまっていない、かように理解いたしますが、このまとまらない再編成を前に置いた農業団体に対してこの協議会がどのような答申を出すか、これはまるで見ものでございます。ただしこの協議会が扱う事業、協議会が答申する事業、しかもあなたが四千五百万円の懸賞論文を募集しまして、これで構想ができた案に対して助成する融資の点であります。あるいは助成の点でございますが、これについては既存の各種補助金があげられております。農業改良基金及び農林漁業金融公庫の資金、農林漁業団体指導金融など、積極的な援助を促進すると言っておりますが、そうしますと従来の助成や融資をこの新農村建設の方に全部吸い上げてしまう。全部と言わないまでも、重点的に吸い上げる、こういうふうに考えられるのでありますが、この点はいかがでございましょう。
  165. 河野一郎

    河野国務大臣 おっしゃるようにはならないのでございます。全農村を新しい企画をもちまして計画を立ててやっていく、その計画と並行と申しますか、その計画とにらみ合せて補助助成する。それぞれの既存の流れをもってその点に流してやる、こういうことでございます。
  166. 淡谷悠藏

    淡谷委員 しかしあなたの書いたパンフレットにあるのです。あなたの書いたパンフレットの四ページに、従来のばらばらの指導はやめてしまって、今読み上げたような、いろいろな交付金や助成金や融資を行うと書いておる。これは変ったのですか。
  167. 河野一郎

    河野国務大臣 一般の助成にしましても、特殊助成にいたしましても、今申しましたような計画を一方において立てて参かますから、その計画を立てておりますものとにらみ合せてそこに持っていくというふうに考えておるのでございまして、少しも変っていないのでございます。
  168. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いろいろ質問してみますと、あなたの新農村建設計画は大へん危ない、あるいは日本農政を根本からくつがえすかもしれない。あなたの農政がまだ基本的に確立されていないのに、検討中のこの計画というものは、検討中であってもまことに危ない。しかも各農村青年層の自主的な構想によるといっておりながら、計画指導、調整については市町村及び都道府県とうたい、同時に農林大臣はあらかじめ地方別に自然的、社会的、経済条件を加味した計画基準事項を示すとしてある。この基準事項ができておりますか。これは大臣がもし農林省に命じて作らしておるならば、農林省の係の方から一つお答えを願いたい。
  169. 河野一郎

    河野国務大臣 新農村建設計画については今まで御説明申し上げました通りに、そういう基準、企画をもってやるのでございまして、その標準等については順次今後検討を加えて定めていきたいと思います。
  170. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こういう基準事項を順次検討を加えるというんですが、基準ができないで計画が一体できますか、どっちの方向にひっ張っていくのですか。
  171. 河野一郎

    河野国務大臣 全国千差万別の町村ができるのでありますから、それについて基準と申します。ならば、大体八百ないし千戸の標準農村を規模にして作る。その次には全国の需要を対象にして、それに対する生産割当をしていくようにして、過剰生産にならないようにしていく。この二つが目途でございまして、あとは各村々の盛り上る力、青年計画創意を取り上げていくということでいいのじゃなかろうかと思うのであります。
  172. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は言葉には自由性があると聞いておりますけれども、農林大臣の言葉の自由性に驚き入る。さっきは端的に全国農民が硫安の労働者のベース・アップには反対しておる、値下げを要望している、まるで全国すみずみまで農民の気持がわかったようにおっしゃるし、バック・ペイの問題ではあれだけ上っている農民の世論を全然きかない、今度はまた全国わからないと言っている。一体農林大臣農民の気持がすみすみまでわかっていられるんですか、わからない方がほんとうなんですか、どちらですか。
  173. 河野一郎

    河野国務大臣 今お話になるようなことを私は言うておりません。全国各地の農家の諸君がそれぞれの気持で新しい農村計画を立てていらっしゃるだろう。これは私にはわからぬから各地でやっていただくことが一番いい。また同時に創意工夫に依存する方がよろしいと申しておるので、決してわかっておるとは申しておらない。それからバック・ペイの問題についてお話でございますが、バック・ペイについては先般お答えいたした通りでございます。それから肥料の問題については昨年新聞が出たのに対して農村の意見を方々からいろいろ言うてきておりますから、それについて私は答えたわけであります。
  174. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私が読み上げました通り農林大臣ははっきり、あらかじめ地方別に自然的社会的経済的な条件を加味した計画基準を示すとちゃんとうたっておられる。あらかじめというのはあとになってのお話ですか。
  175. 河野一郎

    河野国務大臣 そうです。
  176. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あらかじめという言葉は、私たちが国定教科書で習った限りにおいては以前にというふうに解していたんですが、大臣の語彙ではあらかじめというのはあとからという意味に解釈するんですか。これは日本の文教政策上の大きな問題になりますからその点一つ……。
  177. 河野一郎

    河野国務大臣 私は予算の御決定をいただかないうちに勝手なことをするほど独善なことはいたしたくありません。従ってこのあらかじめは予算が両院を通過成立いたして政府がこれを実施する前でございます。決して今日以前ではございません。御審議中にあらかじめというようなことを申してやろうとは考えておりません。しかもこのあらかじめ基準というのは協議会を作りまして、その基準中央協議会にお諮りいたしましてそこで決定すべきものだと考えております。でございますから予算が通過いたしましたならば、その際にそれぞれ協議会をお作りいただきまして、中央におきましては中央基準協議会の議を経てあらかじめ作って、それを地方に流すということであると思うのであります。今予算を編成いたしますに当りましては、大体一村当りどういうふうにしてやるんだ、ないしはまたそれは協議会によって地方創意工夫を生かしていくんだということでこの予算数字はきめてあるわけでございます。
  178. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたが指導調整の点に書かれましたのは予算の額じゃないんですよ。予算をとるための基準事項じゃありませんか。予算を審議する場合には何ら基準事項を示さない、農村の新しい構想をうのみにしようとおっしゃるんですか。この基準事項というものはそういうようなものがはっきり定められて初めて予算の問題もあるんじゃありませんか。
  179. 河野一郎

    河野国務大臣 予算は一村当て協議会費として五万円出します。それから農村のそれぞれの村で大体八百戸ないし千戸を基準とした新しい村を作ります。その村一村に対して大体この程度の金額を補助もしくは流して、それをその村の協議会が作った計画に使わせることにいたします。こういう基準によって予算の御審議を願っておるわけでございます。
  180. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますとこの計画基準事項というものは予算獲得のための基準事項であって、新農村の具体的な基準事項は定めない、あるいは今後定めるんだ、そのどちらなんですか。
  181. 河野一郎

    河野国務大臣 それでございますから農村青年創意工夫を生がして適地適産を十分に意欲を燃やしてその村の発展するようにしていく。それに対して総じて一村当りこういう金を出すということでございます。
  182. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたのおっしゃることを聞いておりますと全然科学性がない、計画性がない。ただばく然とした感覚をもって、思いつきでアドバルーンを上げてすぐまたひっ込んでしまう。世間ではよくあなたのことを、河野農林大臣はおそろしくたくましいハッタリをもってアドバルーンを上げて、いつの間にかキャラメルの広告のゴム風船みたいにしぼんでしまう、こう言っておる。農業団体の再編成でもそうでしょう。おそらくあなたは大きなアドバルーンを上げたに違いない、それが世論か沸き立ってきて反対の声が大きくなると、小さく風船みたいに縮まってしまう。新農村建設もそのようなものと理解してこの具体的な基準計画が立った場合に、世間がこれに対して反対した場合は、アドバルーンをゴム風船まで縮める御用意があるかないかはっきり伺っておきたい。
  183. 河野一郎

    河野国務大臣 私を非難されるならばいかように非難されてもけっこうでございますけれども、農村はこれに対して非常に強い要求がございますから、あまり悪口をおっしゃらぬで、農民の声にこたえて、これが完全に生きていくように御協力願いたいと私はお願いする次第でございます。新農村建設計画に対して反対の声は農村の声にも決してございません。(稲富委員農民はわからぬと言っているぞ」と呼ぶ)農民はそれぞれの地区におきまして、おそらく稲富さんも選挙区にお帰りになれば、あなたの選挙区でりっぱな案を各農村で立てて稲富先生のところにお持ちになると思います。それぞれの農村がそれぞれの案を立ててお持ちになりまして先生に御相談するかと思いますから、その際には十分御協力を賜わりたいと思うのであります。
  184. 稲富稜人

    ○稲富委員 私のことを話しておったから私も大臣に聞かなくてはならないのですが、農民の希望があるとおっしゃいますが、新農村建設運動がどういうものであるかということはまだはっきりわかっていない。それだからわれわれ聞いているわけなのです。しかもわれわれ予算審議上の必要があるから、新農村建設に対する政府の具体的な方針を聞いておるわけだ。それをただ農民は非常に期待しているとおっしゃることが私はわからない、わからないものを期待するはずがないのだ。それを農民が期待しているのだというような言葉でごまかして予算だけは目をつぶって通してくれ、そのあとで計画するのだというのがあなたの御意見のように聞くのです。われわれは新農村建設に対して非常に疑惑がある、疑惑があるというのは、具体的な案を示していないじゃないか、われわれが期待しているのは、新農村建設運動を推進することによって現在の日本がどうなるか、将来の日本はどうなるかということを聞きたい、その具体的なことを何もお示しになっていない、ここに私たちは新農村建設運動に対して釈然としないところがあるわけなのです。あなたがただ農民は非常に期待しているのだと言うのは、あまりにもあなたの独善だと思う。農民はこれに対して何も知りません、農業団体再々編成の問題は論議されておる、しかるに新農村建設運動というのはどういう具体策を持っておるか、ただ政府予算を組んだだけであってその後にどういう計画をするかということはわかっていないと思う。私たち実際地方を回りまして、新農村建設とはどんなものですかと聞かれます。あなただけが農民が期待されているというのはあなたの独善だと思う。どこからあなたはそういう農民が期待されているというのか、根拠を聞きたい。
  185. 河野一郎

    河野国務大臣 それは私のところに参られます各府県の代表者、もしくは各県からたくさん人が見えます、手紙がたくさん参りますが、みな賛成であります。でありますから私は期待しておると思うのであります。私が先般来お話申し上げております通り——ことさらに反対をされるとか、もしくはことさらにわからぬわからぬとおっしゃればそれは別であります、しかし今の全国町村の分割では大きな村もあるし小さな村もあるし、そうして新しい町村合併が都市中心に合併をせられまして、農村として運営して参りますのに必ずしも適当でない、共同経営をして参るのに適当でないというような見地に立って、新しい規模のものが必要であろう。これにはどなたもそこまでは御異存はないと思う。その次に、しからばそれは何をやるんだということになりますが、それはその地方その地方において計画をしていただくんだ。そしてその計画に対して、過剰生産になるとか、もしくは全国的に見、県内からにらんで適当でないという場合には、御注意を申し上げて直していただくんだ、そうしてその村がこれによって発展をする、その村内の農民諸君の経営がこれによって自立するというような計画が立てば、その計画を是認して、政府はこれに対して補助助成をする、こういうことでございますから、これほど明瞭なものはない。農民の諸君がこれに対して疑惑を持たれる筋合いはどこにもないと私は思うのであります。私の方でこういうものを作ってこうやれ、ああやれといえば、そんなものはできない、そんなものは私どものところではだめだ、こういうことになるかもしれませんが、こちらからそんなことは申さないで、一にかかって戦後特によく勉強しておられる農民青年諸君——私はきょうもある会合で承わったのでありますが、出征されて外地等を広く見て参った青年、もしくは戦後満州等から引き揚げてこられた諸君、これらの人は、戦後において農村のすべての経営において、改革的に新しい農業を営んでおられる人が多い。農業経営が非常に変ってきたというが、その変化はこれらの人によって起っておる場合が多いという話も承わったのであります。それこれ考え合せてみましても、とにかく今日非常によく農村青年諸君が勉強しておられることは事実でございます。でありますからこれを取り入れまして、これらの熱意を十分に動員いたしまして、この苦しい立場にある農村の人の創意工夫、努力を生かして、将来の新しい農村の姿を生み出していこう。これが全国的にながめ、県内から調整して妥当なものであれば、それでけっこうであります、とこれを認め、補助助成対象にして参ろう、こういうことでございますから、あらかじめこっちに案があるなら示せ、示せとおっしゃっても、それは今言うことで御了解願うより仕方がないと思います。
  186. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はこの問題に対して根本的な問題は、いずれ機会を得てお尋ねしたいと思っておりましたので、ただ関連で二、三今の御答弁に対してお尋ねしたいと思うのであります。非常に新農村建設運動に対して賛成の手紙が来るとおっしゃるが、おそらくこういう人たちは、何か金が出るんだから、補助でももらいたいという点があるかもしれぬと思うのでありますが、先刻からお尋ねしたいと思っておりますことは、もちろん現在の新農村建設という言葉に反対する者はないと思う。しかも非常なこの青年意欲に対して、こたえなくちゃならないという点に対して反対する者は私はないと思う。単なる表面上のことについては賛成だと思う。ただ内容にいかなるものを盛るかということによって結論が出てくると思う。しかも先刻から、たとえば農林大臣の御答弁を聞いておりますと、適地適産と言う。言葉はけっこうなんです。われわれが一番憂慮するのは、いかなるものを適地適産するかということをまず考えなくてはならない。しかも先刻から石田君も質問しておりましたように、生産過剰になった場合に価格が下るのをどうするか。農民に対する損害をどうするか。あなたの方の答弁では、生産過剰にならないようにすると言うだけなんです。少くとも政治としてこれを責任をもってやる以上は、その結果をそんたくして実施しなければならないと思う。単なる新農村建設であるとか、青年意欲にこたえたいというような観念的なものによって、政治を行うべきじゃない、私たちはかように考える。観念として一は大いにいいところはありましょう。その結果をわれわれは検討しておるのです。それと、われわれは少くとも今日、予算を通過する上においては、それが予算に盛られている以上は、これが農村にどういう影響を及ぼすかということを検討しようと思って尋ねれば、あなたの方では、それはこれから検討するんだとおっしゃるから、われわれは空虚のものである、計画性がないんじゃないかと言うんです。それに対して、農民がこれを非常に希望しておるからというようなことを言っておる。ただ表面上のことだけを見て、農民は希望しておると言っておるんです。私はそれに対してあなたはどうお考えになっていらっしゃるかということを聞きたいのです。
  187. 河野一郎

    河野国務大臣 それは先ほど来お答えいたします通りに、全国的に需要というものはわかっております。需要は大体見当がついております。米ならば幾らあってもよろしい、麦ならばどうである、その他雑穀についてはどうである、くだものについてはどうであるというような需要がわかっております。蔬菜についてもわかっております。畜産物についても大体のつかみはできます。これらを勘案しつつ全国協議会が、正しいか正しくないか、この程度でいいか悪いかをきめていくのだということを先ほど来申し上げておるのでありましてただいまの稲富さんの御指摘になったことはごもっともでありますが、それについては政府としては、今申します通りに、協議会がそれらの点を勘案してやっていくのであります。従ってただそれぞれの町村計画がそのまま上にいかないで、まず第一位として県の協議会において県内の調整あんばいをいたすでございましょう、相談相手になってそれを指示指導するでございましょう、県から上に集まったものは全国的ににらんでそれをさらに再調整するでございましょう、こういうことを申し上げたのであります。むろんただいま御指摘の点については、十分に意を注いでおるわけでございます。
  188. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますと、この新農村建設運動の予算というものは、一応予算をお組みになったが、それに対していかなることをやるかということは出たとこ勝負で考えるというのが政府の腹なんですか。あなたの方では、具体的な問題は出たとこ勝負だ、一応予算だけ組んでおくのだ、こういうような結論になると思うのでございますが……。
  189. 河野一郎

    河野国務大臣 出たとこ勝負と言われますが、目標が農家経済の安定、営農の確立ということをねらっておるわけでございます。それを目標にしておるわけであります。でございますから、それはそれぞれの村、それぞれの団体代表等によって、この村ではこういうふうにすることが一番いいのだ、こうやれば一番うまくいくのだということがきめられるわけでございます。そういう目的のためにこの計画を進めるのでございますから、その目的に沿って計画が出て参りますれば、いいものはいい、悪いものは悪い、悪いものは考え直すと言っておるのでございます。これを出たとこ勝負でいくとかなんとかおっしゃいますけれども、大局としては、今申しますように過剰生産になることが一番心配でございます。暴落する場合、計画がそごする場合が心配でございますから、過剰生産にならないようにということにつきましては、十分に意を配りまして、そうして全国的調整は全国協議会においていたしますということを申し上げておるわけであります。
  190. 稲富稜人

    ○稲富委員 それじゃこの問題はいずれ私の質問の時間に譲ることにいたします。
  191. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この間バック・ペイの委員会の場合に、農林大臣は思わずつかみ金という言葉を使いまして、次の委員会であわててつかみ金という言葉は取り消されましたけれども、河野農政の根本には、このつかみ金という観念はまだ払拭されておりません。今の案などを聞いておりますと、詳しい計画はあと回しにして、四千五百万円の懸賞金をばらまいて懸賞論文をとって、そのあとでこの計画を立てると言っておるのですが、あなたの言われる農民はどういう農民かしりませんが、つかみ金をばらまいて金をやるからと言われて、いやだと言う農民は私はないだろうと思う。しかもあなたのこの構想で非常に憂慮されますのは、最初の一カ年で計画を立てて仕事をするという町村は五百しかない。この恩典に浴しない残りの農民は果して喜ぶでしょうか。あなたのアドバルーンは高く上った。そしてつかみ金がばらまかれても、そのうちの一部分にしかばらまかれない、こういうことになりましたならば、あとの五カ年なり六カ年なりを指をくわえて待っておるほど今日の農村生活は豊かでしょうか、あるいは経営は楽でしょうか、こうした農村における階級分化を早めるような構想について、あなたは考えてみたことがございますか。
  192. 河野一郎

    河野国務大臣 もし私の理解が間違っておればお許しを願いたいと思いますが、懸賞論文、懸賞論文とおっしゃいますけれども、決して私はその論文をとってどこで使おうというつもりはありません。その村その村で計画を立てるのでございますから、何も何県の何市においてどういう計画を立てた、適当である、となれば、その村がその計画でやるということでございましてほかの地方はほかの計画でやるのでございますから、何も懸賞論文を募集しておるわけじゃございません。この点はそう御理解を願います。もし私の解釈が違っておれば訂正いたします。  それから、その次に、今これだけやってほかの村はどうするのだ、こういうことでございますが、こういうふうにして五カ年間に全国の各町村を新しい計画のもとに生産計画を立てるように補助助成をしていくというのでございます。それじゃほかの取り残された村はどうするのだとおっしゃいますけれども、順次やって参る、またそれじゃ一体何するのかとおっしゃいますが、その間は従来の農政は少しもこれによって変更いたすわけじゃございませんで、従来の農政に加えてやるわけでございますから、その間他の村がこれをやるから非常に迷惑するということはないと思います。
  193. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は先ほど来の質問でたびたび聞いておるのですが、全部の町村に均分して行う方針ならばまだ文句は出ない。少くとも九百と限定し、さらに五百とこれを狭めてくる、この九百を五百に落す基準というものはなければならないのです。それをあなたはちっとも答えてない。しかも懸賞論文じゃないと申しますけれども、九百の論文を集めて五百選んだら、やはり懸賞じゃないですか。どうせ選ぶなら、全国でこの論文を募集してそのうち適当なもの、りっぱなものから手をつけないか、全国に均分する方針でこの五万円という金をばらまかないか。しかもなお一点申しておきますが、さっき申しました通り助成はこの新農村建設重点的に傾きます。それをわずかに十億のバック・ペイも払えないような財政で、新農村建設もやるし、またあとの方の行政もやるのだ、補助もやるのだ、融資もやるのだと言う、こんな河野放言には私は信頼できない、この点に対してはっきりお聞きしたい。
  194. 河野一郎

    河野国務大臣 非常に誤解があります。九百のうちから五百やるなどということをだれも言うておりません。私の申しますのは、今の農村の単位としては九百戸くらいがいいのではなかろうか、それを八百ないし一千戸くらいの標準で一団体を作ったらいいのじゃなかろうか、こういう標準を申し上げたのであります。従って九百にいたしますれば、四百五十万戸として五千町村になるじゃないか、だから全国農村を分けて五千くらいの村ができるということに見当つけたらいいじゃないか、こう申したのであって、従って五カ年間に、一年千町村くらいずつやっていけばよろしいのでございますが、初年度でございますから、まずこのくらいから手をつけ始めた、こういうことでございます。今申す通り全国農村が一斉にそれぞれの計画を立てていただけばよろしいのであります。その中で早くいいのができたのから順にやっていく、こういうことになるだろう、こう申し上げたのでありまして、何も指定してこれだけはやらすが、ほかのところはやらさぬとは考えておりません。その点はさように御理解をいただきたいと思います。
  195. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっき私が数字をあげて大臣にその点をお伺いしたのですが、この五万円ずつちょうだいするのは全町村でございますか。
  196. 河野一郎

    河野国務大臣 それは今御指摘になりましたように、全国どこでもやるのでございますけれども、その中から早くそういう機運が盛り上って、やろうといってくるものを選んでやらせる、こういうわけでございます。
  197. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ただいまの答弁はたった今瞬間に違うじゃありませんか。農林大臣をどう信じたらいいのですか。全部にやらせて、早い方から競馬馬みたいにとっていくのだということを言うかと思うと、今度はそうじゃないと言う。すぐ変ってしまうのはどうなんですか。
  198. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 事務的な話になっておりますので補足申し上げますが、計画を樹立いたしますのは全町村に及ぼすわけでありますが、初年度はそれほどのことになりませんので、九百の町村計画を樹立いたします。その中で計画の中にそれぞれの事業がございます。それぞれの事業に対しまして事業の補助がまた出るわけであります。その中で特別補助と申しますか、いわゆる総合的な補助のできますものが五百村できるわけであります。そうしますと、計画は立っておりますが、なお実際の事業の特別助成総合助成がいきませんものが四百残るわけであります。計画がまだ不十分なものもあろうと思います。それは練っていただきまして、翌年度の場合にやります総合助成対象になる、こういうふうになって参ります。
  199. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今の説明を聞きますと、誤解したのは私じゃなくて大臣です。どうぞ大臣が誤解しないようにあなた方事務当局としてやってもらいたい。大臣が誤解しておるのです。
  200. 河野一郎

    河野国務大臣 その九百が選ばれるのは、熱意があって早くやったものからそういうものが出てくる、こういうことを申し上げたわけで、その前段を私は申し上げたのであります。
  201. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はもうやめますが、あなたは、熱意があるとか農民が欲しておるとか申しますが、五万円をちょうだいするという金に対する熱意でしょう。二百五十万円の補助金がくると思うからみな熱意を示しますよ。熱意を示してあなた方に日参したものからどうしてもやる、これはあなたの言う金のつかみ取りじゃありませんか。私はこんな新農村建設という美名のもとに農村の純真な青年をかり集めることには反対です。こんなずさんな空疎な計画の新農村建設予算を使うことは絶対承服できません。私は質問を打ち切りますけれども、おそらく次の質疑におきましてこの新農村建設の全貌を明らかにしたい。これは要するに何もありません。あなたのつかみ金的農政以外には何もない、このことだけ申し上げまして私の質問を打ち切ります。
  202. 村松久義

    村松委員長 神田大作君。
  203. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は新農村建設の問題についてたくさん質問することがありますが、これはあとの機会にいたしまして、農業団体の再々編成の問題について質問さしていただきたいと思います。今淡谷委員質問に対しまして、新らしい農業団体を作るというような御返答がありましたが、あなたはあるときは団体を作らないように言ったり、あるときは団体を作ると言ってみたり、あるいは平野三郎氏から言わせれば、河野構想によって農民会を作る考えを出しておる、そこで農業団体の間において非常な混乱を起しておる。農民もあなたの言動によって非常に迷っておる。だから本日あなたから、この農業団体について、一つはっきりと作るなら作る、作らなければ作らない。あるいは作るとすればどういう性格でこれを作るのかということをお示し願いたいと同時に、この新農業団体について今国会中に法案を出すつもりがあるのかどうか、そこをはっきり御答弁願いたいと思います。
  204. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答えいたしました通りに、今国会中に提案をするつもりでせっかく検討し、案をとりまとめ中でございます。その目標はどういうところに置いておるかと申しますと、誤解の起りませんように、明瞭に大体分けて申し上げます。第一は協同組合系統については、これは別途育成強化の方策を立てておりますから、これはそのままにいたしておきます。それから農業共済につきましては、十分検討を加えてこれを改善強化しなければならぬ点が多いので、これについてはせっかく検討を加えております。この二つについては全然手を触れずにその他のものについて再検討を加えてそしてここに農村の新しい組織を作って参りたいという方向で検討を進めておるということに御了承いただきたいと思うのであります。
  205. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、今の農業委員会を改組して作るのか、それとも農業委員会とは別個な性格団体を作るのか、伺いたい。
  206. 河野一郎

    河野国務大臣 農業委員会を発展的解消をして新しいものを作るということも考えておりますが、農業委員会を中心にして拡充強化して参りたいということも考えております。その点は今検討中でございます。
  207. 神田大作

    ○神田(大)委員 この新農業団体は諮問機関のようなものであるのか、それとも法人組織のものであるのか。
  208. 河野一郎

    河野国務大臣 むろん法人の予定でおります。
  209. 神田大作

    ○神田(大)委員 法人として新農業団体を作るということになりますと、農村において農業協同組合との関係というものができると思うのでございますが、大体この農業協同組合と新農業団体とはその性格においてどう違うか。今できておるところの農業協同組合と新しくできる新農業団体というものは性格がどういうふうに違うか、どういう分野でもって仕事を受け持つか、そういう点を伺いたい。
  210. 河野一郎

    河野国務大臣 最初に申し上げました通り方向で今検討中でございまして、なるべく早く結論を出したいと思いますから、しばらくお待ちを願います。
  211. 神田大作

    ○神田(大)委員 よくあなたは検討中と申します。この間の特別集荷制度の問題等も、私の質問に対しまして、目下検討中であるということで、二、三日たつと何か農林省に指令して特別の集荷制度を断行するというようなことでしたが、あなたは去年の四月に農業会議所に、新農業団体はどうすべきか、どうして作るかということを諮問しておる。だから、一年からあるのなら、この問題について大体の性格とか、あるいは公法人であるか私法人であるか、あるいはどういう仕事をこの新団体にやらせるかということは、とっくに構想の中にあると思うのです。その点大きな問題でございますから、私たちと正直に話し合うというような、そういう態度で言ってもらいたいと思うのです。
  212. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り全国農村に対して農業団体の問題は非常に誤解があり、もしくは非常に不安がございますから、そこで私は慎重にお答えをいたしておるのでございますが、いずれ機会を見まして、十分御意見も拝聴した上で結論を得たい、こう思っております。決して私は独断でやるとか、秘密でやるとかいうようなことでなしに、慎重に扱っておるわけでありますから、その点を一つ御了承いただきたいと思います。
  213. 神田大作

    ○神田(大)委員 この新農業団体農業協同組合との関連についてお答えがないのでございますが、新農業団体が公法人といたしますと、現在行なっている農業協同組合と、事業の上において、いろいろ活動の部面において必ず競合すると私は思うのでございますが、そういう点を十分考えておられるかどうか。
  214. 河野一郎

    河野国務大臣 そういう点もいろいろ複雑な要素がございますし、しかもこれが各町村に対して非常に違う条件もございますから、それらを十分考慮して今検討しているわけであります。しかもこれは検討中でこの国会を終るというつもりじゃございません。またいずれ三月の初めには結論を得て、そして十分皆さんの御意見を承わりたいと思いますから、しばらく御猶予をちょうだいいたしたいと思う次第でございます。
  215. 神田大作

    ○神田(大)委員 検討中というのですが、農相はこの前、検討中というのを、二日たってわれわれに相談もなしに突如として特集制度をやったようなことと同じように、あなたは私たちの質問を避ける意味においてそういうことを言っておるのだろうとわれわれは考えるのですが、そういうことじゃなしに、政府で現在の新農村建設と関連して正しい農業団体を作るのだ、新農村建設のためには新農業団体が必要であるというようなことは、あなたはもうお考えになっておるだろうと思うが、そういう点をざっくばらんに話して、今度の新農村建設のために、私はこういう団体がいいと思うからこういう団体を作るのだというようなことは、もう腹の中にあるだろうと私は思う。新農村建設は要綱にもちゃんと表に出ておる。一体新農村建設の仕事をどこの団体にどういうふうにしてやらせるかという質問に対しましても、あなたは的確な答弁をしておらないで、一体どういう点をどうお考えになっておるか。新農村建設と新農業団体とはどういう関係を持っておるか、お尋ねいたします。
  216. 河野一郎

    河野国務大臣 今検討いたしておりまする団体と新農村建設計画とはこれを同一にして考えておりません。これだけは私ははっきり申し上げておきます。ただ新農村建設計画が進みまして、そうして新しい生産経営が生まれて参りました際に、そのあとでその土地の農家の方々が集まって、協同組合が一つにしようじゃないかというような話し合いができるとか、もしくは集まってそれを規模にしたものによってこういうふうにいこうじゃないかということは、あとではできるかもしれませんが、さしあたっては考えておりません。
  217. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣農村における生産技術指導というようなことを、どういうふうにお考えになっておるか。その生産技術指導というものをどういう機関でやろうと思っておりますか。
  218. 河野一郎

    河野国務大臣 生産技術指導にもいろいろございますから、そのものによって、また場合によって違うとも考えております。
  219. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは農村生産力を増強する意味合いにおいて、技術指導というものは非常に大事なことです。そうすると、これをどういう機関に、どういう方法で技術指導をするかということを、これは大臣の今考えていること、あるいは現在実行していることを簡単に伺いたい。
  220. 河野一郎

    河野国務大臣 たとえば普及員の制度にしましても、この普及員の制度を将来どう持っていくかということも考え直す時期がきていると考えております。そういうことで、これらのものを協同組合一本にまとめるのがいいか、ないしは協同組合と申しましても、御承知の通り全国これが非常にりっぱになっていないのもあるわけでございます。そういうことでございますから、これを画一的に考えることがいいか悪いかというようなこともなかなかむずかしい問題でございます。でございますから、これらについては、せっかく今新しい団体考えると同時に、どうするかということも考えておりますということで、しばらく御猶予をちょうだいいたしたいと思うわけでございます。
  221. 神田大作

    ○神田(大)委員 その新しくできる農業団体に対して生産技術指導というようなことを平野試案には盛っておるのですけれども、こういう技術指導を新農業団体にやらせるというようなことについて、あなたのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  222. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げました通りに、やらせる場合がいい場合もありますし、それからそうでなくて、協同組合で生産指導の一部をやらす場合がいい場合もあるだろう、これを画一的に生産指導を全部協同組合でなければならないというわけにも参りませんし、協同組合にやらしてはいかぬという結論もおそらく出にくい、こう思います。
  223. 神田大作

    ○神田(大)委員 農政活動の問題ですけれども、新団体農政活動を担当するというようなことを言われておりますけれども、農政活動の問題についてはどうお考えになりますか。
  224. 河野一郎

    河野国務大臣 農政活動は私はおおむね新団体が適当ではないがと考えております。
  225. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、この新団体は公法人でもって、そうして新団体におる職員を国の方で助成して、農政活動はその新団体にやらせるというような、そういう構想でございますか。
  226. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろな場合がありますから、今研究をしておるところであります。
  227. 神田大作

    ○神田(大)委員 私はまじめに聞くのですから、まじめに答えていただきたい。今の大臣答弁を総合しますと、私が言ったように、新団体は公法人でもって、そして農民がこれを組織し、賦課金等もある程度農民からとって、この新団体に対して適当な補助をする。しかもそこにおるところの専任職員に対しましては助成金を出す。そして農地関係のこと、あるいは供米関係のこと、あるいはまた農政活動を新団体にやらせるというような構想に、私は大臣答弁から受け取ったのでありますけれども、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  228. 河野一郎

    河野国務大臣 私は法律のことはあまり明るくありませんが、公法人という言葉は誤解を招くそうでございますから、これは私が先ほど来あなたのお使いになった言葉に、これを肯定していることではございますけれども、これは一つ十分研究を要すると思いますから、さよう御承知おき願いたいと思います。それから今いろいろお話になりましたが、いずれ案を具して議会へ提案をして、十分御審議を願うのでございますから、その機会まで、しばらく御猶予をちょうだいいたしたいと思うのであります。
  229. 神田大作

    ○神田(大)委員 公法人か私法人かというようなことをはっきりするのは何も——公法人でどういうふうな誤解を受けるのですか。
  230. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 公法人、私法人というようなことは学説上ありますけれども、公的色彩が強いとか私的私彩が強いとかいうことをいろいろいわれていますが、農業団体とでも言うべき通常用語で使われるものについて、公法人か私法人かという議論は、法律上の言葉としては適当でないと思います。
  231. 神田大作

    ○神田(大)委員 ちょっとわけがわからないのですが、公法人か私法人かというようなことは、団体に対しては性格を左右する大きな問題なんですね。公法人なら公法人、私法人なら私法人ということははっきりした方がいいと思います。
  232. 河野一郎

    河野国務大臣 たとえば委員会制度でいく場合もあるわけでございます。そのときにこれを公法人というか私法人というか、それらの点をあわせ考え中でございますから、用語を今きめかねる、こう申し上げたのでございますから、決して無理に言葉をめんどうにしておるわけではないのでございます。
  233. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると先ほど私が質問した農政活動をやること、あるいは賦課金をとること、駐在職員に助成金を出すこと、あるいは農地関係のこと、あるいは供米関係のことをやる新団体を作るというようなこと、これはあなたの答弁の中からはっきり出ておるのですが、そういう新団体を作ることをお考えになっておるのでございますか、その答弁を一つ……。
  234. 河野一郎

    河野国務大臣 今順次お並べになりましたが、その中で賦課金をとるとらぬということも研究中でございます。なお最初に申し上げました通りに、いずれ三月の上旬までには案をまとめるつもりでありますから、しばらく御猶予をちょうだいいたしたいと思います。
  235. 神田大作

    ○神田(大)委員 先ほど農政活動を考えておるということでございましたが、そうなると、農政活動というようなものは、国の行政を浸透させるためならば、国の行政機関がこれをやるべきであるし、あるいは下から盛り上る農民農政活動であるならば、自主的な農民組織によって、県の駐在職員なんかの助成金をもらわない団体でやるべきだと私は思うのであります。(「その通り」)そうしないと、御用団体、いわゆる補助金をもらっておる御用団体農政活動をやるというのはちょっとわれわれには変なんでございますけれども、その点はいかがでございますか。
  236. 河野一郎

    河野国務大臣 検討中の問題についてあまり深くお答え申し上げると、かえって誤解を招きます。いまいずれも結論に達しないことでございますし、しかもこの問題は日を長く要しませんから、しばらく御猶予を願います。いずれ案を具して……(「今月中に予算は通ってしまうじゃないか」と呼ぶ者あり)予算農業委員会についての予算をちょうだいいたしてあるわけでございますから、これをかえるかかえぬかということは今研究中でございます。ですから農業委員会について予算の審議を願っておるわけでございます。
  237. 神田大作

    ○神田(大)委員 農業委員会予算がわれわれの手元に来ておるのを見ますると、七月までしか予算がないようですね。これも非常に中途半端な……。(「違う違う、神田君、間違いだ」と呼び、発言する者あり)新農村建設と新しい農業団体とは関係ないと大臣は言っておりますが、われわれはやはり新農村建設と新農業団体とは非常な関係があると思う。それは大臣の新農村建設構想にはちゃんと載っておるわけです。そうすると今度の新しい団体法案と今度の予算とは非常な関連を持っておるわけです。だからしてこの新団体性格構想あるいはいろいろの仕事の内容等がわからなければ、われわれはこの予算を通すわけにはいかないと思うのです。そういう観点に立って、これをどうも三月になってから、四月になってから出すということではなしに、はっきりとその性格を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  238. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたしますが、新団体につきましては、新しい団体の問題につきましては、今申し上げましたような意味において、研究を続けておるわけでございます。これが農業の新しい村作りと関係があるじゃないかということを非常に強く押しつけられますけれども、私は関係があるというふうに考えていないのでございますから、私の申し上げる通りに一つ御承知を願いたいと思います。
  239. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣は、十八日の自民党の総務会のとき、農業団体の再々編成は行わないと言われておる。ところが本日は、新団体を設立すると、こう言われておりますが、どうしてきょうそういうふうに、まだ二、三日しかたたないのに、答弁が食い違っておるのですか。そのどっちがほんとうであるか。
  240. 河野一郎

    河野国務大臣 私が自民党の総務会で発言したことを、お聞きになっておったわけじゃないと思います。(発言する者あり)私が言わないことを、言ったといわれることは非常に迷惑でございます。
  241. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたが言わないということになると、新聞にはちゃんとあなたが言ったように書いてあるので、言ったか言わないかは、あなたの総務会に立ち会ったのじゃないからあとにいたしますが、目下検討中検討中と言って、先にも申したように、あなたは誠意をもってほんとうに私たちに話をして、そしてここで検討するならとにかく、何か腹に入れておいて、裏でもって自分の好みの団体を作るということであっては、これは農民の信頼をやはり失うものではなかろうか。特集の問題だってそうです。私が質問したら一目下慎重に検討中であるということを何回も言って、二日たったらば農林省で特集制度をやっておる。こういう信義に反したことはまことにけしからぬことだと私は思うのです。こういうことの絶対にないように、ほんとうに検討中であるという誠意を示していただきたいと思います。私は検討中というようなことを追及してもおもしろくないので、この質問は後刻に譲りまして、私の質問をこれで終ります。
  242. 河野一郎

    河野国務大臣 私は誠心誠意お答えいたします。先般の特集につきましては、決して私は二日や三日できめたのではございません。その後慎重にいろいろの人の意見を聞き、そしてきめたのでございます。決してあなたにここでお答えして、二日や三日できめたのではございません。それから今の問題につきましては、先ほど申し上げます通りに、三月になりましたならばいずれ案を具して皆様方に十分御検討をお願いいたしましてやるつもりでございますから、これは予算と関係のあるものなら、無理に何も予算が通るまで待ってやるというつもりではないのでございます。今いろいろな問題が非常に複雑しておりまして、予算関係の法案を一日も早く議会に提案しなければならぬというものがあるのでございますから、これを少しあとに回しておるわけであります。その魔に検討を続けておる、こういうことでございますから、決して検討中で不誠意ということでないのでございます。その点を一つ御了承いただきたいと思います。
  243. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して農林大臣にお尋ねしたいのです。予算々々とおっしゃっているが、予算は今月一ばいで通そうという企図をもって、はやすでにそういうふうに動いておる。そうすると私たちの真剣にやっているこの団体編成の問題についても、新農村建設の問題にいたしましても、これに伴う予算というものが事実あるわけなのですから、いろいろな角度からあなた方をやり込めるとか、そんなきたない意味じゃない、あなたがおっしゃっておる検討中ということをここで検討しようというのです。その中から、よりよきものを引き出そうという目的を持っておる。それをあなたのように検討中検討中と言っていては大へんなことになってしまう。あなたの腹案をここに洗いざらい出してもらって、それを検討していってよりよきものを作る、こういうふうに考えていただかなければならぬ、こういうのが私たちのほんとうの熱意を持った農村に対する考え方なので、あなたのように検討中々々々と言っておったんじゃ、それこそほんとうに見当違いになってしまうと思うのです。その点は十分留意をされて、あなた方の考えていらっしゃるところを打ち出していただきたい、これを要望いたしまして、次に移っていただきたいと思います。
  244. 村松久義

    村松委員長 小川豊明君。
  245. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は農林大臣の施政演説なり、あるいは年頭の所感なり、その他委員会答弁なりを聞いてみると、日本農業政策を大きく転換することを示唆しておるものがあります。そういう要素を多々含んでおります。その点についてお尋ねしたいわけであります。その前にあなたに申し上げておきたい。よくわけのわからぬ答弁を議会の答弁のようだということを言われるのです。そういう問題ですから、わけのわからない議会の答弁らしくでなく、ほんとうに率直にお答えを願えればけっこうだと思う。  そこで今度のこの予算を見ると、今までのいろいろな施政演説から見ても年頭のあいさつ等から見ても、ここに一つの河野農政といいますか、そうした一つのあなたの構想の背景をなしておるものがある。その背景をなしておるものは、余剰農産物を受け入れざるを得ない。このことは日本農業政策を大きく転換させざるを得ない一つの背景ではないか。そこでお尋ねしたいのは、この余剰農産物の受け入れというのをあなたは今後継続なさるつもりなのか、それともこれはできる限り早く打ち切りたいと思っておられるのか、この点をまずお尋ねしておきます。
  246. 河野一郎

    河野国務大臣 私の農政に対する基本的な考え方といたしまして、食糧の自給度は最大限にこれを拡充して参るようにしていかなければならない、これは何人も異存のないところでございまして、われわれといたしましてもこれには最大の努力を払う熱意を持っておるわけでございます。しかし今翻って考えまするのに、自給度の向上が反当収穫量を上げるということだけでいくならばむろんけっこうでございます。しかしそれだけではむろんできませんので、そこで新たに農地の拡充をするとか、もしくは反当収穫量の少いところでもこれを主要食糧に転換するとかいうような面に参りますと、逆に農家の負担になってくる場合があるわけでございます。私は農家の負担を過重にしてまでする必要はないのではないかというので、その点について多少今のとお答えが食い違った面が出て参りますけれども、その二つを双方から勘案して結論を出すべきだというふうに考えておるわけでございまして、簡単に、余剰農産物は可及的すみやかに一切輸入を防止するようにすべきだというだけでいくことは困難でございまして、今の農家経済を確立し、安定して参るという、二つの要素の答案を一つに書いたもので、今の余剰農産物の輸入を減していくという答えにして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  247. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私も今すぐこれが打ち切れると思ってお聞きしているのではない。あなたのお考えの中に、今後ともこれは継続していくことが日本の発展のためにいいというお考え、従って今後ともこれを継続していくつもりなのか、それともできる限り近い機会に打ち切るようにすべきであるというお考えになっておるのか、その点をお聞きしておるのです。
  248. 河野一郎

    河野国務大臣 今お答えいたしましたのは基本的な考え方を申し上げましたが、そういうふうに努力をいたしましても、一方において人口増加の点がございますので、われわれが目標といたしておりまする五カ年計画によりましても、あまり輸入の数字が減らないのでございます。でございますからなるべく輸入を減すように、余剰農産物の受け入れ量を減すような方向でいくということは必要でございますけれども、実際はなかなかそうはいきかねるということが実情ではないかと考えております。
  249. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今のお答えで余剰農産物の受け入ればでき得る限り減らしていきたい、そういうことが好ましいことである限り、これは減らしていく努力をなされていくことが一つの方向だと私は思う。そういうことを前提として、先ほど施政演説の問題あるいは年頭のあいさつの問題、この提案された問題等を見ていくときに、かなりそこには矛盾が出てくるわけです。たとえば適地適産というような言葉で表現されておりまして、結局は換金作物に置きかえる、従ってそこには商業主義的な農業の思想が出てきておる、一方においては食糧の自給度をもっと高めなければならぬ、食糧自給度を高めるには、そこには当然農業に対しては保護政策がとられなければいけない、こういう二つのここにも矛盾がある。これはやむを得ないとしても、こういう矛盾に立つ。さらに農協の育成というようなことを一方においては大きく打ち出しておりながら、一方においては特集制度をあげてみたり、あなたの構想の中に幾多のそうした矛盾をはらんでいるわけです。この点で私は、このどっちを主にするかということは非常に大切な問題で、あなたは非常に注意深く表現をしておるようですけれども、この矛盾は随所に露呈していることを見のがすことはできない。こういう点をもっとはっきりなさって、日本農民の一つの進路を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  250. 河野一郎

    河野国務大臣 でございますから、ただいま申し上げましたように、農家経済の安定を期するということは、非常に大きな命題だと私は思うのでございます。でございますから、農家の収入をふやすためには、換金作物という言葉をお使いになりましたが、収益の多い作物、すなわち適地適産で収益の多い作物を作ることに賛成しないわけには参らぬ。これは一にかかって農家経済の安定拡充のためでございます。しかしそれにばかり堕するわけにはいかぬのでありまして、一面においては食糧の自給度を増すという二つの問題を勘案しつつ結論を得ていきたいというように考えておるわけでございます。
  251. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そういうことはわかるのですが、さらにお聞きしたいのは、余剰農産物受け入れを今後とも継続するつもりかどうかということに対しては、なるべくこれは打ち切るように努力したいという御答弁です。新農村建設構想というものは、結局アメリカ余剰農産物受け入れというものが前提あるいは背景となって作られなければならなかったものではないかと考えるのですが、いかがですか。
  252. 河野一郎

    河野国務大臣 これは先ほど申し上げました通りに、米を作るということは、おおむね農村におきまして決して不利益なことではないのであります。(「そんなことは百姓が一番よく知ってるよ」と呼ぶ者あり)でございますから、無理して生産費の高いところで作らせようとすると、そこに圧力がかがりますけれども、大体従来米作地帯におきましては、米作をしていくことは相当にいいわけでございます。そういうことでございますから、今言う通りに余剰農産物受け入れを背景にして新農村建設計画を立てていくのじゃないかということは、私はそういうふうには考えていないのであります。
  253. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 適地適産という言葉が使われておりますが、これは結局今言われたように、割高な食糧増産を換金作物に徐々に転換していくということが適地適産という言葉で表現されたとわれわれは解釈するわけですけれども、いかがですか。
  254. 河野一郎

    河野国務大臣 作物で金にかえないものはないのじゃないか。換金作物とおっしゃいますけれども、みんな換金作物である。収益の多いもの、収益主義にとらわれてやるかということと了承いたしますが、私は農家の経営を安定さすためには、収益を主たる要素にして考えてやることが必要であると考えております。
  255. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると今までの日本農業政策がとってきた食糧増産方式というものは、ここで一応あなたの手によって今後収益中心の農業に置きかえられていくその第一歩であるというように私は考えざるを得ない。そこでもし日本農業がそういう方向へ踏み出して、最も割高な作物に転換していくということになると、やがてはちょうどフィリピンが置かれているような、砂糖だけを増産して食糧は持たない、従ってフィリピンのように自主的な、経済的な独立性を失なっていくような結果が、日本農業に招来される結果もこの方式でいくと出てくるのじゃないかと憂慮されますが、あなたはこの問題に対してどうお考えですか。
  256. 河野一郎

    河野国務大臣 食糧の自給度を拡充しつつ一方において収益を勘案してやっていくことは不可能だと言いますから、私は不可能ではないというのです。なぜならば、大かたの米作地帯が計算上引き合いますように内地米の価格が決定される。そこで収益主義にかわればフィリピンのようになるのではないか、砂糖がよければ砂糖になるのではないかとおっしゃいますけれども、それはなかなかそういうふうにはいかない。そこに私は価格政策の立てようによって、これが農家に収益主義を主張しつつ、食糧増産農家の収益とにらみ合せた政策が出てくると考えております。
  257. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私が冒頭に矛盾が出てくると言ったのは、あなたが今米を作ることは決して適当でない——適当でないという言葉ではなかったが、米を増産することは農家経済を豊かにしないから、もっと農家経済を豊かにするものに置きかえていくというならば、これはお茶を作った方がいいならお茶を作らす、あるいはミカンを作らすということになる。これは適地適産です。そうなってくるならば、食糧増産という方式は、そこで一歩後退し、二歩後退していくのではないかということを聞いておるのです。
  258. 河野一郎

    河野国務大臣 お話のように私は申し上げておらないのであります。私が米を作ることが得だと言ったら、そこで石田さんかどなたかが、そんなことは百姓が知ってるよとおやじりになったのはそのためであります。日本農家は米を作るのは損ではないのであります。適地適産、収益主義にいたしましても、米をやめて他にそんなにいいものがあるわけはない。しかもこれは米価の決定いかんによってきまるのでありますから、今あなたのおっしゃったようになりませんし、その矛盾を克服するように、また矛盾が起らぬように行政の通営をして参る必要がある。すなわち米価の決定いかんによってもそれはできる、こう私は申し上げているわけであります。
  259. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 食糧増産費は年々減ってくる、減っているということは、あなたの施設演説なりあるいは年頭のあいさつなり、そういう点から感知できることだ。だから私どもが憂えていることは、食糧増産に対して重点を置かないでいくことが、いわゆる河野農政の基本的な方向であり、余剰農産物がその背景をなしているのではないか。これこそ最も日本農業方向に対して大きな問題だと思うから、繰り返し私は聞いておるのです。
  260. 河野一郎

    河野国務大臣 去年と今年とを比べて、たとえば土地改良費にいたしましても減ってるとおっしゃいますけれども、減ってないのであります。わずかばかりふえております。決して食糧増産費を減らして余剰農産物に置きかえるというつもりであるというふうには考えておりませんことを申し上げておきます。
  261. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 結局割高な米や麦を作っておったのでは、日本の輸出は伸ばし得ない。従ってそういうものは、安い麦等は外国から入れた方が得であるということが、余剰農産物受け入れのあなたの基本的な考え方でしょうね。
  262. 河野一郎

    河野国務大臣 これは私が考えるよりも現実に行なっていることであります。外国から安い米、麦を入れて、日本の米や麦を高く買って、それに今年で申しますれば大体二百数十億振りかえをいたしまして、そして内地の米麦価を維持いたしておるという政策を現実に行なっておるわけでございますから、今お話のようなことはいたしておりません。
  263. 村松久義

    村松委員長 小川君に申し上げますが、もう一問ぐらいで質問を留保せられて、次会に回されてはいかがですか。
  264. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それでは委員長の言う通りにしますが、そこで一問お尋ねしておきたいと思うのは、米や麦は外国の方が安いということが日本の輸出の伸びない原因であるということは一つの事実であるとあなたはおっしゃいましたが、あなたはそういう考えのもとに進められておると思うのです。アメリカやカナダの麦はなるほど日本よりは安い。ところがドイツやイギリスやフランスの麦は日本よりまだはるかに高いはずです。そしてドイツあたりは輸出はどんどん伸びておる。だからそれでもってすぐそういうふうに日本農業を転換させるということに対して私は非常に危険を感ずるし、理路も立たないと思うのですが、あなたはどうお考えですか。
  265. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げました通りに、なるべく労働者や勤労者大衆にも食糧の安いということは労働条件をよくする意味において必要なことであります。でありますから、外国の労働者諸君に比べて高くない食糧を供給するということは絶対に必要だと私は考えております。これが産業を振興するゆえんであると考えております。しかし反面それが直ちに農政に影響してくるということでは困りますので、外国から安い米麦を入れますけれども、その安い米麦をある程度引き上げて、そうしてそれを一般の内地の米麦価に振りかえまして、そして農産物の買い上げの価格を高くしておるということで調整して、現実に私は政治をやっておるわけでございますから、今あなたのお話のようなことでなしに、その事実をもって一つ御理解をいただきたいと思うのであります。
  266. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 質問を保留せよということですから、それではあとで質問を展開するためにもう一点お尋ねしておきたいと思いますが、政府は今年公債を発行しないということを言明しておるわけです。私どもが見たときに、公債を発行しないで三十一年度予算の執行はでき得ないのじゃないかと考える。そこで公債にかわるものがいわゆる民間資金の活用となってくる。その民間資金の活用という言葉を農業団体に適用した場合にどういうことになるかというと、農業関係の各種公団に公団債を発行させて、これを農林中金に抱かせる。これが民間資金の活用という言葉でいくようになるのじゃないか。そういう考え方をしてみると、これはあなたは取りやめになさったということを聞いておるし、また取りやめるのか取りやめないのか私どもにはわからないが、農業団体の再編成の中の信用組合の二段階制というもの、資金コストを二段階制にすることによって安くできるから、農林中金に公団債を発行せしめて抱かせるということが可能になるということが一つ。いま一つは、府県に滞溜している金を一カ所に集めることが可能になるがゆえに、資金の集中と統制を可能にするためにそういう考え方があったのではないか。私はあれが発表されたときにそういうふうに考えたのです。この点は今後公団債等を発行させて、それを農中に抱かせるような構想はありませんですか。
  267. 河野一郎

    河野国務大臣 今までに考えておりません。
  268. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それではこれを基本にしてあとまた質問することにして、きょうはこれで終ります。
  269. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣にこの際砂糖の問題に関しましてちょっとお尋ねしたいのです。砂糖の問題に関しましては時間をいただいて十分検討しなくてはならぬと思っておるわけですが、きょうはさしずめ一、二点だけお尋ねします。すなわち本年度におけるところの砂糖の輸入の構想いかんということです。同時に最近キューバ糖二十五万トンの輸入の計画考えていらっしゃる。それに対して業者の方から、現在それを公表されますと市価のいろいろな問題の観点から因るからという立場から、これの公表を差し控えておるというような状態が起っているといううわさすらある。特にそれをめぐりまして各実利者団体が、いろいろな方法でいろいろな運動を起しながら、農林省目がけて押し寄せておる。これに対して河野農相はどのような考えを持って処理されようとしていらっしゃるか。この二つをまずお聞きしておきたい。
  270. 河野一郎

    河野国務大臣 実はその話は今まだよく勉強しておりません。いずれ勉強してきましてお答えいたします。
  271. 中村時雄

    中村(時)委員 今勉強してないということは、事務当局としてはそういうことを隠して農林大臣にそういう報告をしなかったのか。現在糖価という問題に関して三十億円の問題をめぐりいろんな構想が練られておる。たとえば前週におきましては藤山愛一郎氏と、同時に大蔵大臣の一萬田さんとが一緒になって、東京会館においてその弟さんの勝彦さんを尋ね、三十億円に対するところのいろいろな取引をやっておる。そういう実態をここでは詳細に申しませんが、いろいろ行われておる最中、特に糖価に対しましての問題が——おそらく私の推察では、今この二十五万トンのキューバ糖を入れるということは、すなわち今までキューバ糖は三十万トン前後入っておった、その大半を今度は取り上げてしまうわけです。そうすると残ってくるところはおそらく台湾糖であるとか、かなり高いところのものが入ってくるに違いない。そこで価格の問題の折衝をするとか、いろいろな観点からごまかしまして、これは必ず引き延ばしてくると思うのです。そうすると入ってくるまでにちようど三カ月くらいかかりますから、必ず六月、七月、八月とかけて糖価が再び上ってくるような現象が出てくると思うのです。こういう点非常な重大な問題であるにかかわらず、そういうような問題の計画なりいろいろな事柄がちっとも現われていないということになれば、これは大へんな問題だと思う。少くともそういう方向には、利にさとい河野さんがそれを放っておいくことは私はどうも解せない。そうすると少くとも事務当局は、何らかの意図を持って業者とこういうことを行なっておるのか。少くとも先日大蔵省において、大蔵当局、農林当局、通産当局が工業会を仲間に入れてその相談もしたはずであります。そういう事柄はよく御調査を願いたい。しかもそれは少くとも速急の問題なのです。それだけに十分お考えを願いたいということが第一点。事務当局はこれに対してどういう考え方を持って処理しておるか。その点を一つお聞きしておきたい。
  272. 河野一郎

    河野国務大臣 御注意をちょうだいいたしましたので、さっそく勉強いたしまして善処いたします。私は砂糖の問題につきましては非常に敏感に……。(「興味がある」と呼ぶ者あり)興味ではないのでありまして、厳重に従来の主張を続けて参るつもりでございますから、ただいまの御注意をさっそく十分勉強しまして善処します。
  273. 中村時雄

    中村(時)委員 事務局の考え方を一つ。今までの経過、いつごろの考え方を持っておるか。この問題では多くの人の首が飛んでおるのですよ。人間も死んでおるのです。首までつっておるのです。そういういろいろなことがあったはずです。これは年来の問題です。まあ農林大臣は幸いにしてそういう御見当を大体つけられたようでありますから、これ以上の問題は私も取り上げませんけれども、事務当局としての考え方はどういう考え方を持っておるか。
  274. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま御指摘のありました点は、私ども事務当局で目下通産当局といろいろ相談をいたしておる最中でありますから、まだ農林大臣にも何ら報告をいたしていない問題であります。問題は本年度の割当が三万トン残っておるのであります。それを近日中に割当をいたすつもりであります。それをいたしましてもなおこの四月ごろに約十八万トンの持ち越し、すなわち約二カ月分があるわけであります。そういう実態になっております。そういう実態になっておりますけれども、なおかつこの際、台湾との貿易協定の問題も、ここにからんであるわけであります。それにかんがみまして私ども将来の砂糖の需給状況、それから糖価の状況をにらみ合せまして、適正な糖価に推移するように、また需給が適当にいくようにいたしますには、この際どういう措置を講ずるかということを、当然考えなければならぬのであります。問題は日台協定の今後の進捗状態にもよるわけでありますので、今直ちにどうするということもここで申し上げられませんが、ただいま申し上げましたような諸般の状況をにらみ合せまして善処していきたい、こういうように考えております。
  275. 中村時雄

    中村(時)委員 あなた方の今までの適切なる行為という言葉が常に糖価をつり上げておる。それはいつもそうなんです。業者側の手によっていろいろ思案された方向をのみ込んで、それが時期の操作を誤らせ、あるいは発表の動機を間違え、その結果がいつでも上ったでしょう。そこにあなた方が信用できないという結果が出てくる。必要であれば全部計数を出してあなた方にお見せしてもけっこうだと思う。あなた方自身もおそらく信用のできる人はいないと思うのですよ。それだけに私の言うのは、三十一年度におけるキューバ糖の問題がどういうふうに処理され、どういうふうに解決しようかということに対する聞き方をやっている。また実需者に対するところの問題を聞いている。しかしこれはせっかく河野農林大臣が興味をもって善処されるそうですから、私もこれ以上の追究はいたしませんが、よく考えて、そういう点のあやまちのないような方向の措置をとられんことを願っておきまして、御忠告だけにとどめておきます。
  276. 村松久義

    村松委員長 本日はこれにて散会いたし、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後六時十二分散会