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1956-05-17 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十七日(木曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 大平 正芳君 理事 高橋  等君    理事 保科善四部君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       大村 清一君    北 れい吉君       薄田 美朝君    辻  政信君       福井 順一君    眞崎 勝次君       松浦周太郎君    横井 太郎君      茜ケ久保重光君    井手 以誠君       稻村 隆一君    片島  港君       西村 力弥君  出席国務大臣         国 務 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房賞勲部長) 村田八千穂君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 五月十七日  委員中馬辰猪君及び松村謙三君辞任につき、そ  の補欠として辻政信君及び大村清一君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  栄典法案内閣提出第一六〇号)     ―――――――――――――
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  栄典法案を問題としこれより質疑に入ります。通告がありますので順次これを許します。井手君。
  3. 井手以誠

    井手委員 きょうは担当吉野国務大臣だけですか。じゃ大臣から何かごあいさつがあるわけですな。
  4. 吉野信次

    吉野国務大臣 大へん行き届かない者でございますが、今度またお手伝いをすることになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
  5. 井手以誠

    井手委員 憲法調査会法案が成立いたしましたので、そのおかげかどうか知りませんがこの栄典法案担当大臣になられた吉野国務大臣に対して、若干質問をいたしたいと思います。日本国憲法に基く栄典制度は、民主日本にふさわしいものでなくちゃならぬ。日本国憲法の生命とする平和な文化国家あるいは福祉国家に沿うた、民主日本の先々躍動するものを象徴するものでなくてはならぬと私は考えておるのであります、従って従来の軍国主義あるいは役人国家、紫色の濃い宮廷色であってはならぬのであります。新憲法のもとにおいては、新しい構想のもとに根本的に再検討して出発しなくちゃならぬと考えておりますが、新しい栄典制度のあり方について、まず吉野担当大臣の基本的なお考えを、初めに承わりたいと思います。
  6. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいまのお話しの点、私も全然同感でございまして、やはり新しい民主的なふうに栄典制度をこれからきめねばならぬ、こう考えております。
  7. 井手以誠

    井手委員 大臣は、新しい憲法のもとには新しい構想でやらなくちゃならぬというお答えがございました。従って続いてお尋ねをいたしますが、かつての栄典制度は、軍国主義の非常に濃いものであったことは申すまでもないのであります。従って新しい栄典制度は、古い軍人とか官僚を中心とする古い栄典制度温存したり、あるいは復活するようなことがあってはならぬのであります。現在の国民のほとんどは――ごく一部は知りませんけれども、ほとんどの人は、かつての菊花章と申しますか、旭日章と申しますか、瑞宝章と申しますか、そういったものは知らないのであります。かつて羽ぶりをきかした人々にはそういうことがあったことを、あるいは覚えておるかもしれませんが、国民のほとんど全部は知らない。それは世論調査においても明らかなところであります。しかしこの栄典制度というものは、従来上から名誉としてあるいは誇りとして与えられておったものである。その古いものを脱却し、払拭して、新しい栄典制度国民の盛り上る中から、国民の賞賛の的となり、あるいはこれを表彰する、そういうものでなくては真の権威はないと思うのであります。  しかも憲法の第十四条によりますると、「栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。」ということが明記されておる。もし従来の官僚軍人本位のものであったかつての勲章温存、復活しようとするものでありますならば、これは憲法に抵触することになるでありましょう。従ってかつての勲章は、ごく一部あるいは文化勲章などを除いては、これを有効とすることは断じてあってはならぬと私は考えております。ところが今回提案されました栄典法案によりますと、かつてのものは有効と書いてある。無効とはしてないのであります。今大臣は、新しい構想のもとに再出発しなければならぬとおっしゃった。そのお考えのもとにありながら、出された栄典制度案は、古い栄典制度温存しようとなさる傾向がある。寝た子を起すように、国民の忘れたものをまた生かすようなやり方が行われておる、このことについてまずお尋ねをいたしたいのであります。
  8. 吉野信次

    吉野国務大臣 ごもっともなお尋ねでございますが、これは法律的には、勲章は今度の菊花勲章以下三つだけでございまして、それ以外のものは新しい法案による法律上の栄典ではないのであります。それですから従来のものをどうするかという経過的な規定として、従来のものを全然無効にするというのも一つ考え方でございますし、またあっても本法案による栄典ではないので、ただ事実あったものをそのままにしておくがいいかどうかという軽い意味でありますから、従来のものを栄典法による栄典としておくという意味ではないのです。ただあったものをそのまま――しいてこれを無効にするまでもなかろうという意味でただ置いたというのが立法趣旨でございます。
  9. 井手以誠

    井手委員 従来のものを単に置いただけだ、新しい栄典制度のもとにおいてあらためてやるのじゃない、とおっしゃったのであります。しかし説明にもありましたように、無効とせずに有効とするということは、これはやはり温存でございましょう。新しい憲法のもとに新しい栄典制度を作るということでありますならば、かつて非難された軍国主義的なものを一切払拭し、洗い落し、一掃するということでなければならぬと考えております。この前の第二国会のときには、従来のものはこれを有効とする規定提案されました。また去る二十二国会における審議におきましても、ここに御記憶の方もおありと思いますが、ときの多数党であった自由党の中から、これを無効とする修正提案もあったのであります。これを残していくということと無効とするということは、大きな開きがあります。この点についてあらためて大臣の御所見を承わりたいと存じます。  しかもこの際つけ加えておきたいことは、金鵄勲章廃止になっておる。戦争放棄の新しい憲法のもとにおいては、二百八十三万でございますか、それだけの勲章の中に、旧軍人が持っておるものは二百三十何万に上っておる。それをそのまま残しておこう、生かしておこうというのは、軍国主義的な古い栄典制度温存しようとするものであるということをつけ加えて、あなたの御所見を伺いたいのであります。
  10. 吉野信次

    吉野国務大臣 今申し上げました通り温存するというほど積極的の意味はございません。ただこれを特に無効だと宣言するほどのことはあるまい。ただ過去のものは過失のものとしておくだけであって、それは今度の栄典法による栄典ではないのですからそれでよかろうというくらいの軽い意味、形式的な意味でこれを有効とした、こういうことでございます。
  11. 井手以誠

    井手委員 大臣承知のように、現憲法は全く百八十度転換したものでございます。軍国主義的憲法から平和憲法に変っておるのであります。かつての軍国主義時代の旧軍人がほとんどを占めておる古いものをそのまま残そうということは、先刻あなたがおっしゃったような、新しい構想のもとに出発しなければならぬというお言葉とは通うじゃございませんか。先刻も申しますように、第二回国会においてはわざわざ無効の規定が置いてある。先般二十二国会においても、時の与党自由党の方からは、これを無効とする修正提案があった。それほど重要な問題でございます。これは公聴会においても言論機関の主張においても大体一致した意見であります。これをそのまま認めていこう、しかも提案説明にはそのことをわざわざ明記してある。無効とはしません。有効であるということが書いてある。積極的と消極的との差はあるかもしれませんが、しかし時代が変った以上は、前のものを断ち切ってしまうことこそ新しい栄典制度ではございませんか。その根本的な理念に立たなくては、これは新しい栄典制度はあり得ないと考えておりますが、いかがでございますか。
  12. 吉野信次

    吉野国務大臣 申し上げました通り、潔癖な議論をすればそういう御議論にもなろうと思いますが、そこまで割り切ってお考えにならない考え方もあろうと思うのです。それで、現在のやつはただあるのですから、この栄典法案による栄典でないということだけで、経過的には置いてもいいだろう。これは栄典審議会答申にもそうなっておりますし、それから二、三年前にやったこの世論調査というものも、せんさくすればどの程度世論を代表しておるかという議論もありますけれども、そういう方面でもそう潔癖に言わぬでも、ありきたりのものはありきたりのもので、新しく認めるというのではなくて、そのまま放置しておいてもそう弊害がなかろう、こういう答申もございましたので、その答申によって政府は今度立法した、こういうことであります。
  13. 井手以誠

    井手委員 金鵄勲章は、先刻も申しましたように、あれは戦争放棄日本国憲法にはもとるものである、こういうことで、いろいろ感情的にはあったでしょうが、これは廃止になっておる。勲章のほとんどを占めておる旧軍人が持っておるこの旧栄典、これは金鵄勲章と同じ意味ではありませんか。この点については、私はあなたとも十分論議いたしたいと考えております。平和日本を象徴する文化国家を表徴すべき栄典制度、これは目標がはっきりいたしております。その目標に向って、国民の励みとなるもの、そういう人々を表彰する栄典制度、そのものに対して昔の勲章を生かしてそのまま置いておく、これはいいことではないと私は思うのです。  そこで、私はさらに続けてお尋ねいたします。金鵄勲章廃止になった。ところが金鵄勲章と同時にもらった旭日章瑞宝章、それはそのまま残すということになるのです。ここにも何か書いてある。「現に授与されている従前の旭日章、宝冠章、瑞宝章及び記章は、この法律の施行後も、なお効力を有するものとし、」と書いてある。一方においては戦争放棄日本国憲法にもとるから金鵄勲章をやめた。ところがそれと同時にもらった、あるいは金鵄勲章までいかない人々がもらった旭日章あるいは瑞宝章などというものは効力を有するものということになっております。これは金鵄勲章廃止した意味とは全く反対ではございませんか。理論的にも矛盾がございませんか。同じ戦争に行って功労があったというので、金鵄勲章をやめて、それと同時にもらった旭日章はそのまま保存されている、効力を有するものとなっている。しかもくどいようですけれども、一番高い金鵄勲章をやめて、その次にあるようなものが残っている。これはどう考えても矛盾ではございませんか。
  14. 吉野信次

    吉野国務大臣 観念的には金鵄勲章とほかの勲章とは私はやはり区別があると思う。お話によれば、これは一緒くたに皆軍国主義のものだというようなお話ですけれども、そうは考えないのであります。金鵄勲章の方はもっぱら武功の方のことでありますから、これは事実上はお話通り軍人の方が多く持っているという事実はございましょう。しかし観念的には私はそこに若干区別考えてもいいものだと考えております。
  15. 井手以誠

    井手委員 それじゃ言葉をかえてお尋ねしてみましょう。今度生まれようとする栄典制度は、国民尊敬と納得がなくてはならぬと私は思う。これは私は絶対的な要件であると考えております。国民があまり関心も持たない、あるいは尊敬もしない、承知もしていないようなものであっては、せっかく作った栄典制度権威も何もないと私は考えている。国民は今平和国家文化国家を願っているときに、かつての軍国主義時代のものをそのまま生かしておく、効力あるものとするというような行き方は、これは間違っていると思う。そういうことをやったんでは、せっかく作られる栄典制度価値はないですよ。やはり割り切るものは割り切らなくてはならぬ。そうまで考えなくてもいいというようなことでは、栄典制度栄典価値はない、勲章価値はないのであります。やはり理論的にも感情的にも割り切ってこそ真の栄典制度価値があると私は存ずるのでありますが、その点についていかがでございますか。
  16. 吉野信次

    吉野国務大臣 まあその有効という言葉にこだわれば、そういう御議論も出ますけれども、この有効とするというのは、消極的に、せっかく今まであったものを全然無効にするほどのことはあるまいというだけの意味でありまして、この法案によって今度きめられる栄典として有効としておくという意味じゃないのですから、私はそう割り切ってお考えにならなくても差しつかえないのじゃないかというふうに考えております。
  17. 井手以誠

    井手委員 そこが問題だと思う。そのくらいの程度であるならば、わざわざかつての明治憲法平和憲法に変えるというようなことは必要ないのです。ああいう軍国主義がいけなかったから今日平和憲法になっている。ここには軍人関係の方もいらっしゃるようで、よく御存じでございましょうけれども、重ねて申し上げましょう。金鵄勲章旭日章、あるいは瑞宝章、そういうものは大体表裏一体のものだと私考えております。若干違っておるかもしれませんが、基本的には大体そうだと思う。本件はあれは戦争放棄憲法にもとるからというので、認めない、無効になっておる。ところが添えものである旭日章あるいは瑞宝章というものはなお効力を有するものとされておる。その点はやはりはっきり割り切らなければ国民は納得しません。この前の国会においてもここにいらっしゃる辻議員からいろいろ質問があった点であります。辻さん御記憶があると思う。そういう論議の末に、多数党であった時の与党自由党から、効力を認めない、こういうことが提案されておる。しかも位についてはどうなっておるか。これも私は聞きたいと思います。位もまた残しておくというお考えではないかと思うのです。一つ基本的に考え直してはどうですか。
  18. 吉野信次

    吉野国務大臣 位の方は残しません。  それから金鵄勲章とほかの勲章表裏一体というお話がありましたけれども、私は表裏一体ではないと思うのです。つまり金鵄勲章は、私から申し上げるまでもなく、これは武功がなければやらないのです。ただ軍人であるからというて、単に軍人なるがゆえをもって金鵄勲章というものをやるのではないのです。それだから、同じものだというお考えには私はちょっと御賛成しかねるのでございまして、その間はやはり観念的にははっきり区別してよろしいものだ、こういうように考えております。
  19. 辻政信

    辻委員 関連……。ただいまの井手君の質問に関連しまして一言大臣にお伺いしたいのでございます。それは金鵄勲章は戦場におきまして、功績の最も抜群であったものがもらっております。それに付随して、金鵄勲章をもらった者は、必ず例外なしに旭日が併用されておるのであります。それから旭日だけをもらった軍人というのは、功績はあまりなかった、金鵄勲章をもらう程度ではないが、第二位の者に対して旭日章をやっておる。それから瑞宝章は、第三位の功労の者に対してやっておる。これは軍人に対して与えられた勲章根本精神であります。もちろん旭日瑞宝章軍人以外の者ももらっております。もらっておりますが、大多数の軍人はそういう形式でもらっておるのであります。それを金鵄勲章だけは軍国主義でまかりならぬと言って踏みつぶす。そうして一番功績のあったものは踏みつぶしておいて、二番目、三番目のものを生かそうというのは、これは適当ではない。もしすべての勲章を認めないならば、一律にそれを恵めないことにする。生かすならば、一番国家のために身を殺して表彰された金鵄勲章というものを生かさなければならない。ことに現実におきましては、遺族が大部分であります。金鵄勲章を持っておる者のほとんど大部分は死んでおるのであります。そうすると、金鵄勲章というものは、位はいとともに死んだむすこの形見として、仏壇に祭ってあるのであります。それを国家が認めないで、その次の勲章を認めておるということは、私は金鵄勲章をもらった遺族の身になってみると忍びない。それを認めないならば、在来のものは一切認めないという主義に徹底すべきである。認めるならば、金鵄勲章を黙殺することは筋が通りません。その点について、大臣のはっきりした御答弁を願いたい。
  20. 吉野信次

    吉野国務大臣 金鵄勲章の方は、すでに過去において無効であるというふうに立法的の措置がなされておりますので、この際にまたそれを有効だということも、情勢上やりにくいと思います。ですからただ問題は、従来の勲章が今度は有効になっておりますけれども、有効という意味も、ただそのままあれば使ってもいいというほどの、ごく軽い意味でございますから、金鵄勲章についても、無効とはなっておりますけれども、これをあるいは佩用といいますか、使うということを認めていいかどうかということは、これは一つの問題にしてもいいものではないか、こう思うのでございます。それはあるいはこれをつけるときに、政令なら政令というものの問題で、若干考える方が権衡がとれるのではないかと思います。しかし基本的に潔癖な理論をやれば、理論は実は徹底しないのです。徹底しないのですけれども、過ぎた場合に、過去にさかのぼってやるときの議論ですと、これは大いに傾聴すべき点があろうと思いますけれども、多少その点になりますと、理論は不徹底なきらいがあるということだけは私も認めます。ただ問題は、それほど潔癖にしなくても、従来のものをごく軽い意味で、――そこは井出さんと多少意見が違うのですけれども、軽い意味で論議しているものですから、少し理論が不徹底でございますけれども、その辺の調節がつくということで御了解が得られれば幸せだ、こういうふうに考えております。
  21. 辻政信

    辻委員 それは筋が通らぬというのです。私も金鵄勲章を二つ頂戴しておりますが、今さらそれを有効だといって、まさか金鵄勲章を飾って国会に出られはしません。そういう意味ではないのです。これは位はいとともに、死んだ子供の霊として、遺族が祭っておるのです。それを国家が認めないということは、つぶしてしまえということなのです。過去においてやったのは、アメリカの命令でやったものです。日本の良心でやったものではない。それにかかわらず、第二位、第三位の兵隊としては落第坊主、それのもらった勲章を生かして、優等生の金鵄勲章を認めないというばかげた筋の通らない議論はいけません。認めないならば、あっさりやめて、一切認めないで出直した方がよろしい。認めるならば、第二位、第三位のものだけを認めて、遺族が自分の子供位はいがわりに拝んでいるものを認めないということは成り立たない。だから、そういう不徹底な制度をやめて、もう一ぺん相談をし直して、はっきりしなさい。
  22. 吉野信次

    吉野国務大臣 私が申しました通り、いわゆる筋が通らないということは、若干通らないことは私も承知しております。さりとて、政治的考慮と申しますか、この情勢において筋を通すからというて、今さら金鵄勲章有効立法をもってやるということもいかがであろうかというところにちゅうちょせざるを得ない、こういうことでございます。
  23. 片島港

    片島委員 辻さんの言われるのはこういうことなんです。あなたは何か金鵄勲章をやった者だけをえらい戦犯的なお取扱いなんです。ところが勲章をやる場合には、一番いい者に金鵄勲章をやった。やった趣旨がそうなんです。二番目に旭日をやった。三番目に瑞宝をやる。最初にやったときはそういう段階をつけてやったわけです。だからもしやめるならば、下の方からやめていって、そうして金鵄勲章があまり戦犯でいかぬというならば、この間の位を少し下げてでもこれは残すべきだ。趣旨がその通りなんです。順番を設けて順序よくやっておったものを、下のものは罪が低かったというのはおかしいですよ。軍国主義に対する責任が軽かったというようなことは、働かなかったから順位が低かったのです。だから全部ずっと下げていけばいいのだが、上だけとって、下をそのままにしておくのは、これは筋が通らぬ。だからやめるなら全部やめなければならぬ。認めるなら金鵄勲章も認めなければならぬ。
  24. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 今片島君の御意見がありましたが、私はやめる方に賛成です。それは金鵄勲章は決して無視しませんが、やはり私は現憲法の建前からいって、戦犯とは言いませんし、悪いとは存じませんが、やはりこれは廃止すべきだ。さらに同時に過去の勲章もみんな廃止すべきだ。それは吉野国務大臣は軽い意味とおっしゃったけれども、軽い意味ではない。相当大きな政治的な考慮だと思う。その政治的な考慮が問題だ。そこに問題があると思う。従って私はここに吉野国務大臣を責めても長くなりますからやめますが、この問題は吉野国務大臣はあまりこれを固執しないで、もっと虚心たんかいに意見を聞いて、これに対する重大な考慮をすべきだと思う。辻君の御意見もありますけれども、私は金鵄勲章は廃した方がいいと思う。これと同時に過去の勲章はなくすべきだと思う。そうして私はやはり新しい姿で新しいものが生れてくるべきだと思う。私はこれで前の勲章をなくしてもだれも文句は言わないと思う。その方々に対しても新しくやるべきものがあればやればいいのです。過去の人に全然やらぬというのではない。過去のやった業績に対して調べ直して、やるべきものはやればいい。この際全部無効にして、新しくやる。あなたがたとい親心で軽い気持から残してやっても、おそらく過去の勲章をひっぱり出してつける人はありませんよ。つけることのないものを何も残すことはない。それこそ、私はあなたのおっしゃる軽い意味が大きな政治的な意図を持っておる、こういわざるを得ない。従って私はこの際今後の審議において、過去のものは全部なくするような方向へ行くような審議をすると同時に、吉野国務大臣政府を代表してその方向一つ努力をされる決意をされることを要望しておきたいと思う。いかがでしょう。
  25. 吉野信次

    吉野国務大臣 私の考えはたびたび申し述べたところでございまして、そこが大へん違うところで、軽い意味で経過的の意味で申したのであります。そして審議会なりまた世論と申しますか、これも一部の何ですけれども、そうそう割り切らないで、従来のものは何も毒にも薬にもならぬからそのままにしておいたらよかろう。(「毒にも薬にもならぬならなくしてもいい」と呼ぶ者あり)そこが御意見の違うところですが、そういう意味でごく軽い意味で私どもは考えておって一向差しつかえないのじゃないかというふうに、繰り返し繰り返しお話を申し上げたのであります。
  26. 辻政信

    辻委員 大臣、失言がありますよ。毒にも薬にもならぬとは一体何ごとですか。冗談じゃない。命をかけて戦ったその兵隊身がわり仏壇に備えてお祭りしておる、遺族気持がわからぬのですか。それが毒にも薬にもならぬとは不届き千万だ。
  27. 吉野信次

    吉野国務大臣 言葉が少し過ぎて、取り消します。さきに私が申し上げたのは金鵄勲章について申し上げたのではないのであります。今の毒にも薬にもならぬという言葉は何ですけれども、ただその言葉が、法律的にいえば本法案による栄典とは認めない、そういう意味で、軽い意味で経過的に考えたということで、さき言葉はつつしんで、取り消しておきます。
  28. 受田新吉

    受田委員 関連して。吉野先生は、大へんおそれ入りますが、最終の位階勲等は、従何位勲何等でいらっしゃったか。また勲章をいただいたか。その最後は瑞宝章をいただかれたか。それを一つお聞かせいただきたい。
  29. 吉野信次

    吉野国務大臣 勲章は私は瑞宝の勲二等しか持っておりません。非常に低い方の部類でございます。それから位の方は幾らですか、これも人並みよりは低い方だと承知しております。
  30. 受田新吉

    受田委員 あなたは少くとも戦前大臣をやられた人で、ありますから、大臣の叙せられる従三位以上をもらっておるはずです。勲章も二等をいただかれておると言われるならば、位人臣をきわめるに近い方である。あなた御自身が今勲章を胸にぶら下げることを期待しておられないとは思うのです。けれども今御質問された方々の意見を総合してみるのですが、問題がそこに残るのは、旧武官と旧文官と、この関係をどう調整するか。過去の勲章に非常にむずかしいところがあると思うのです。文官であって勲章をもらった者は平和的な意味であるということが、この政府が出された説明書にも書いてありまして、文官の方は持ってもよかろう、武官の力は戦争に関係があるからということになると、非常にそこが微妙な関係で解釈がむずかしくなると思うのです。そういうことになれば、以前の勲章は全部整理するなら整理する、生かすなら生かすというように一本にしないと、武官は殺し文官は生かすというような考え方で過去の勲章考えられることは、政府自身としては一つ矛盾を構成されることだと思うのでありまして、この点をはっきりした態度でお示しにならぬと、われわれの与野党を通じての御質問の御答弁にならぬと思うのです。
  31. 吉野信次

    吉野国務大臣 私の申し上げたことはだびたび申し上げた範囲を出ませんので、これ以上つけ加えて新しくお答えすることもないわけであります。
  32. 北昤吉

    ○北委員 私は衆議院において昭和十二年から出ておりますが、昭和十六年のときに戦時予算に協賛したという名義で、議員として功労ありというので初勲の勲四等瑞宝章をもらったのです。私はそのとき事変は見込がないというのでもらいに行かぬといったところが、清瀬君が、湯浅倉平君はかつてシベリヤ出兵のときに勲章をいただいたけれども、もらわぬとがんばったところが、これは陛下のおぼしめしだからそういうことはいかぬというので圧迫されてついにもらったから、君もがんばっても、ひとり新聞にせかれるだけでだめだ、こう言われて、仕方がない、私は二、三日後にいただきに参りました。これはどうせ用いられないからというて、たんすの底に入れてそのままになって、見たこともありません。私は初めからこの戦争は負けると思ったけれども、戦時中に予算に反対することはできぬから、いやいやながら賛成したものであります。その功労によって勲四等をもらった。みんな議員は初勲は勲四等をもらっておる。衆議院議員というものは、いかに長くても勲一等はもらえぬ。議長は勲一等がもらえる。これについておもしろい話があります。原口中将は勲二等であった。陸軍中将で衆議院議員に出ておった。それで動一等にしなければならぬ。そのときには一等ずつ上げた。ないものは初勲をくれた。ところが、君は衆議院議長になったわけではないから勲一等にするわけにはいかぬというので、金杯の三つ組をいただいた。ところが戦後に勲一等をもらうよりもよかった、これを売ったら三十万円くらいになる、そう言われておりました。こういうような議会人などを叙勲したということは、これは戦争に行ったのとは違うのです。ただ軍事予算に協賛したというだけで、勲章をもらっておる者はみんな一級進められ、われわれのような無典組は初勲をもらったのです。議会で瑞宝章を持っておる者、そのほか勲章は八年に一回ずつ上げるらしい。そういう点からいうと、これも戦時に準じたものであるから、私は金鵄勲章廃止するならわれわれの瑞宝章廃止して当然だと思う。それは戦後に考えたのです。初めアメリカの憲法の草案のうちには、貴族というものは、現在なっている華族は残してよろしい。ところが、これはどうせ将来作らないのなら今までの貴族を全部廃止したらいいというので、私はその当時の自由党の政務調査会長をしておったが、その議論が勃然として起きて、それを、廃止することにした。幣原さんが私を呼んで、貴族を一代限り許すというのはアメリカの日本にくれた涙の一滴だから、これだけは残してくれ、幣原さんは男爵であったから、それに執着する意味はないと私は考えたのですけれども、これはもう廃した方がよかろうというので、松本治一郎君が部下を率いて私に感謝の辞を述べた。階級制度は、すべて華族、士族、平民というのは徳川時代からの遺物であるというので、これを一掃してくれたのは、われわれの水平運動には非常に功労のある方だといって感謝を受けた。そのときに華族は残す、そして栄典には特権を伴わない、というのは、政治的特権の意味だと思うのです。今の文化勲章に年に五十万円の年金をくれておる。これも特権です。解釈すれば、憲法違反です。これは政治的特権の意味に解釈した。言いかえてみると、華族が貴族院議員になれるというのは政治的特権の意味に解釈しなければ、文化勲章に五十万円の年金を与えるということの弁明がつきません。必要は法律を破るという言葉がドイツにあります。その意味で、憲法でも必要のときには破るのです。たとえば、私立大学には援助してはならぬと憲法に書いてあるのに、私学振興会に十五億の金を前年度も出しております。そして私学振興会から、私学に安い利子で金を貸して間接に援助しております。憲法であっても、やはり時勢に伴わないときには、自然に破るところが出てくる。この二つは顕著なのです。政治的特権を伴わずというのは――すべての栄典には特権を伴わずということになっておる。金をくれるということは非常な特権です。英国の勲章のごときはみな金がついておる。日本は非常に名誉を重んずる方で、金がつかぬ勲章もあります。金鵄勲章は、今は廃止されたから金はもらえませんけれども、ついております。そういう意味で、憲法の重大なるところでも、必要においてはそれたところがある。それであるから、現在生きておる華族の一代だけは称号を許すという、アメリカがやったのと同じような意味で、金鵄勲章を認めないでほかの勲章を認めるというのは――瑞宝章をもらったり旭日章をもらったり、当時議会に出ておる者はみなもらったのですから、そうすれば、やっぱり廃止した方がいい。廃止するなら絶対的に廃止した方がいいと思います。取り上げる必要はないかもしれない。国民にくれたのだから……。それに勲七等というのはみんな兵隊の墓に書いておる。それをけずるわけにはいかぬから、やはり既定の事実はある程度まで認めなければならぬ。既定の事実を認める意味において温存しようというお考えでしょうけれども、金鵄勲章を廃した以上は、ほかの勲章を廃すべしというのが、私は徹底した理論だと思います。廃止しないならば、みな過去の功労者として認めてもよろしいと思います。一方を廃して他を廃せぬということはよくないと思う。現に私のおいは、フィリピンの緒戦で、偵察機に乗って、敵の潜水艦を撃沈した。これは陸軍で初めての功労者であったが、グラマン戦闘機六機に囲まれて死んだ。そして金鵄勲章をもらって、年金も何ももらいませんが、その母親が、辻さんの言う通り、今でも仏壇位はいと一緒に飾って参っておりまして、これを唯一の慰めとしています。瑞宝章旭日章は、みな議会に関係があったからといってもらった。議会人のもらったものは全部それです。それで八年続けば一級上ることになっておった。われわれは昭和十六年にいただいたから、その後八年になっておりますが、まだいただきません。そういう事情でもらったものであるから、金鵄勲章廃止したくらいならば、これも一諸に廃止した方が私はよろしいと思う。私はそれが徹底しておると思う。華族をなくしたと同じことです。これは私が三役時代にやったものですが、松本治一郎君はわざわざ部下を率いて感謝を述べたことがあります。そういった意味で、その方が徹底しておると思うがいかがですか。
  33. 吉野信次

    ○古野国務大臣 だんだんのお話は、よく私も了承しております。私の申し上げたことも、先ほど申し上げた通りでございまして、それ以上につけ加えることはございません。
  34. 大村清一

    大村委員 この際重複のきらいはありますが、北さんの御発言がありましたから、私も同様のことを申し上げたいと思います。それはたしか私の記憶によりますと、私は相当長く官吏をやっておりましたが、最後は勲二等でやめたのであります。ところが勲二等になりましたのは支那市変の功労によって昇等された。そうして何でもその当時ごく少額ではございましたが、公債証書で千円か二千円の証書をもらった。これはとりもなおさず支那事変の勲章と同時にきたのであります。その後公債証書は敗戦によって失効して、くず紙になったことを記憶しております。そうして金鵄勲章というのは、だんだんお話のありますように、国民の義務として生命を賭して戦ったというようなところで賞賜されたものであります。それに比べますと、私どもはただ官吏の席にすわっておったということから、自動的に勲二等になったのでありして、金鵄勲章廃止する以上は、そういうような勲二等を剥奪してもらった方が、国民として感情の上においてはおさまるところがあるように考えられるのでありますから、私も北さんの御意見に賛成をするのであります。ただお話もありましたように、金鵄勲章その他は墓にも書いた人がありますから、さかのぼって剥奪するということはあるまい。その点を一つつけ加えまして、北さんの御意見に対しまして、官吏側の方におりました者の感想を御参考に申し上げておきます。
  35. 眞崎勝次

    眞崎委員 ちょっと勲章問題に関連して、根本的にもう少し研究しなければならぬものは、戦争の責任者だと思います。少くとも憲法上の輔弼の臣であって、天皇の名において命令を出した人と、あるいは計画してそれを実行した人と、命のままに一命を捨てて働いた者と、これを区別せぬから、勲章自身が、軍人自身が、軍閥になったり軍国主義者であるように疑われたりして、その賞与についてもかくのごとく議論が出てくると思いますが、もう少し私は戦争の責任をはっきりすることが必要だと思う。そうすると、無実の難を一般国民はこうむらず、勲章としても生きるべきものは生き、死ぬべきものは死ぬ。これをはっきりしないでごたごたにして論じているところに、いつまでたっても国家の再建をすみやかならしめない思想的の存在があると思うのですが、これを同時に考えていただきたいと思います。
  36. 井手以誠

    井手委員 ただいままでのあまたの関連質問で、吉野担当大臣も大体おわかりであろうと思います。この憲法に基く新しい栄典制度は、国民的なものでなくちゃならぬ。国民のための栄典制度であります。これは与野党を通じて、全会一致で作らなくちゃならぬ問題であります。従って、影の声があったように、これは後日お互いに与野党相談して、修正すべきものは修正しなくちゃならぬものと考えております。しかし私は、国民の名においてやるべきものであるならば、問題点はどこにあるかということを提起する必要があると存じますので、進んで栄典制度の問題で私は申し上げておきたいと思うのであります。  提案されました栄典法案は、従前の効力問題について筋が通らないことは、これははっきりいたしました。あなたは、失言であったかもしれませんけれども、毒にも薬にもならないようなお話もあった。私はそういうことでは、国民が納得し尊敬する栄典制度は生まれないと思います。そこでこの効力問題は、さらにあとに譲りまして、問題点を二、三申し上げておきますが、勲章には陛級というものがあってはならぬように私は考えております。功労の差によって勲章の違ったものを与える、そういうことはあってはならぬと思う。文化勲章が一本でありますように、その他の勲章におきましても一本でなくちゃならぬ。功績のものさしではかるようにすべきものじゃございません。かつて位階勲等があったように、そう段階をつけてやるべきものじゃございません。ところが今回出されました法案によりますと、旭日勲章において七階級に分けられている。私は提案される前に、与党内においても文化勲章に対する意見があったことを記憶しておりますが、あの文化勲章のよさというものは、一本であるところに重要な点があると思います。それを功労程度に応じて大勲章であるとか、あるいは銀光勲章であるとか、こういったように分けていくことは、これはよくないことだと私は思う。これの勲功をはかるものは私はないと思うのです。余談にはなりますけれども、かつての勲章において、金メダルの勲一等よりも、銅メダルでございましたか、勲八等の方がほんとうの勲章であったように考えております。そういうことを考えて参りますと、旭日勲章に七等級も分ける必要はないと思いますが、この等級を分けられる根本的な理由を、この際私は承わっておきたいと思います。
  37. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の、等級をつけないということも、これは一つの御意見だろうと思います。しかし政府提案者といたしましては、やはり功労というものの大小によって若干の等級をつけるということも、これは別に外国がどうだという意味でもございませんけれども、どこの国でもこういったような制度を置きますときには、その例になっておりますから、私はそれでも差しつかえないだろう、こう考えております。
  38. 井手以誠

    井手委員 これまた非常に自信のない御答弁でございました。外国に例があるとか何とか申されますけれども、やはり勲章というものは、文化国家福祉国家目標に沿う、万人の励みになる、何人もできないその功労に対して、国民が感謝するという栄典制度でございますから、これは優等生だ、あれは何だというて差をつけることは私はいけないと思う。私はこの点だけ長くはましませんが、もう一回等級をつけられた理由を、一応やはり政府として確信を持って出されたのでございましょうから、いろいろ理屈をつけることもあると思いますので、この際お伺いしたいと思います。
  39. 吉野信次

    吉野国務大臣 提案者といたしましては、国家社会に対する功労の大小によって若干差をつける、こういうことであります。
  40. 井手以誠

    井手委員 功労の大小ということが私どもにはわからぬのであります。しかし、きょうは問題点を提起するのが私のねらいでございますからこの程度にしておきましょう。  続いて勲章の種類についてお尋ねをいたします。今日の日本国憲法から申しますならば、平和とかあるいは福祉とか社会とか産業とか抜術とか、そういった方面の勲章を置くことが適切であると私は考えております。この前提案されました栄典法案によりますと、産業勲章というものが非常に重きを置かれております。またその産業勲章については、いろいろな意見はありましたけれども、公聴会においても、言論機関の主張においても、これは必要であるということに意見が一致しておったように私は記憶をいたしておるのであります。産業勲章の中には、経済界、産業界の代表者だけではなくして、労働界、農業界も含めようという意見が強かったのであります。今回の提案を見てみますと、産業勲章というものは全然抜けてしまっておる。私は、あとでも申しますけれども、平和勲章であるとかあるいは産業勲章であるとか、技術勲章であるとか、社会勲章であるとかいうものに栄典法ねらいがなくてはならぬと考えるものでございますが、何ゆえにあれだけ多くの人々から期待されておった産業勲章が抜かれたのか、その点をお伺いいたします。
  41. 吉野信次

    吉野国務大臣 実質的に否認する考えは少しもないのでございまして、産業に功労のあった人、その一部はやはり国家全体に功労があったものとしての勲章になりますし、それからまた文化的な産業の分は文化勲章によってカバーされるのですから、実質的に否認する考え一つもないのです。
  42. 井手以誠

    井手委員 否認する考えはないとおっしゃいますけれども、先刻申しましたように、それほど世間から期待されていた産業勲章を抜くということについては、やはり何らかの大きな理由がなくてはならぬと私は考えるのであります。なるほど内閣は吉田内閣から鳩山内閣に変りはしましたけれども、委員会の意見なりあるいは国民の多くの意見から考えますならば、当然私は産業勲章を置かるべきものだと思う。もちろん私は産業勲章を分けて、労働勲章であるとか、あるいは農業勲章であるとか、いろいろのことも考えるのでございますが、これをまとめて産業勲章でよろしいと考えましても、当然産業勲章を置かるべきものだと思う。やはりこの際産業勲章を抜いた理由をもっとはっきりお聞きいたしたいのであります。
  43. 吉野信次

    吉野国務大臣 産業は平和国家においては一番重大なことでございますから、すなわち産業に功労あるということが即国家社会に功労がある者だ、こう解釈して一向差しつかえないと思います。それですから産業勲章という特別のものを置かずして、産業界に功労のあったという方はすなわち国家のために功労があったものとしてこの勲章をやる方がよろしいだろう、こういう考えもございまして、ことさらに産業勲章というものを設けなかったのであります。
  44. 井手以誠

    井手委員 そうすると、産業に勲功があった者は旭日章を与えようというお考えでございますか。
  45. 吉野信次

    吉野国務大臣 その通りでございます。
  46. 井手以誠

    井手委員 この前も旭日章はございました。それはおそらくきょうだけの答弁であるかもしれませんけれども、これは大きな問題だと思うのです。それはどういうものを作ったがよいかということについては後日お伺いもし意思を述べたいと存じておりますが、単に産業に勲功があったから国家に勲功があったとして旭日章を与えるということだけでは、多くの人々は納得しないでございましょう。  続いてお尋ねいたしますが、あなたは先刻来臨時栄典制度審議会を尊重するとおっしゃった。それならば審議会から答申された功労章というものをなぜ抜かれたか。二十二国会における提案説明によりますと、功労章というものを非常に重要視されておったようでありますが、今回は、審議会答申にあるにもかかわらず抜いてしまっている。これはどういう理由でありますか。
  47. 吉野信次

    ○古野国務大臣 詳しいことはその衝に当っておる政府委員の方からお話を申し上げた方がよいと思いますが、一応私から簡単に申し上げます。その功労竜の方は旭日章に実は合併して一括してやった、こういうことでございます。なお必要があれば政府委員の方からそのいきさつをお話申し上げてよいと思います。
  48. 井手以誠

    井手委員 では聞きましょう。
  49. 村田八千穂

    ○村田政府委員 功労章という考え方はだいぶ古くからございまして、この前の第二十二国会提案されたときの栄典法以来の考え方でございます。それは、少し詳しく申しますと、今までありました日本の熱量という制度は、実は諸外国の制度と比較してみますと、記章と勲章と二つを含んでいるのであります。今あります七等、八等の制度は、外国ではこういう体裁のものを勲章と呼ばないで記章と呼んでおります。栄典法考えましたときに、そういうものを別のものにして勲章からはずしまして、功労章という名前にいたそうというのが功労章のことを考えました最初でございます。その案でずっと来ておりまして、この問題は、先ほどの臨時栄典制度審議会でも、もちろんそういうふうに勲章から独立させるほどの必要もないではないかという御意見がありましたが、どちらかと申しますと、重要な問題として扱われずに、一応在来の案でよいだろう、こういうことで答申がありました。これにつきましてなおよく検討いたしまして、名前なんかもできるだけ簡単な方がいいじゃないか、たとえば勲章あり、功労章あり、褒章あり、三つのものがあるというふうに複雑にならぬ方がいいじゃないか、わざわざ勲章から下級のものを功労章として分離独立させる必要がない、そういう意見を結局私らの政府の方で採用すべきものであると考えまして、それで功労章を勲章と合併してしまいました。以上のようないきさつでございます。
  50. 井手以誠

    井手委員 工合が悪いときには答申が無視される。これはいつの場合もさようでございますが、この功労章については明らかに審議会答申が無視されているように思うのであります。先ほど御答弁があったように、産業勲章はこれをやめて旭日章の方にまとめた、功労章もこれにまとめた。しかし功労章は勲章に至らないものに対して授与するというのが今までの建前ではなかったかと思うのであります。先般の国会でもそういう答弁があったと思います。それらのものを全部集めて旭日章をやろうという。それでは旭日章はどういう人々にやろうとするのでございますか、その基準、対象をこの際ある程度明確にしておいていただきたいと思います。おそらくかつてのような役人本位であるとか官僚本位ということはないでございましょうけれども、どういう方面におやりになるのか、また等級はどういうふうにしてつけられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  51. 村田八千穂

    ○村田政府委員 最後のお尋ねにちょっと関連しますので、最初のお尋ねにありました点から申し上げますと、確かに功労章は、前に提案いたしましたときに勲章に達しない者に授与するものと申し上げました。その点は、今度はっきり申しますと、旭日勲章のうちの金勲章と銀勲章と呼んでおりますものが元の功労章に相当いたします。それで旭日銀光勲章以上の勲章を授与する功労に達しない者には金勲章、銀勲章を授与する、すなわち功労章を授与するということで、前の制度矛盾がないように私は考えております。  それならどういう基準で授与するか、こういうお尋ねでございます。この最後のお尋ねにつきましては、もちろんこの旭日勲章国家社会に広く貢献された各方面の方々に授与できるような運びにいたしたいと考えております。しかしその具体的共基準につきましては、この法案にあります通り栄典審議会を作りまして、その方へ諮問いたしまして基準を設けていきたい、こういう考えでございます。
  52. 井手以誠

    井手委員 等級をつけるという観念そのものが、私は間違いであろうと思うのです。その点は後日またお伺いいたしますが、ここで吉野大臣お尋ねをいたしたいと思います。  勲章というものは、先刻も申し上げましたように、普通の人のなし得ない、文化国家福祉国家建設に大きな貢献をした人を表彰する、尊敬する、こういうものでありますならば、たとえばソ連においてジャガイモ栽培で世界記録を作った、これは並々ならぬ苦労があっただろう、その者に対しては、独ソ戦争で勲功があった大将と同じような最高勲章を与えられておるように、農業界において東北、北海道の寒冷地帯においてこれに耐え得る種苗を発明した、そういう農民に対しても、やはりその功績に報いる勲章が必要であろうと私は考えております。また漁業についてもあるいは農村における多収穫の問題についても、条件はいろいろありましょうけれども、万人がやり得ないことを苦心してこれを発明する、発見する、これが国家の目的に非常に貢献した者に対しては表彰すべきものだと私は思う。そういうふうに考えますならば、やはり勲章というものは一本でなければならぬ。これが私は原則だと思うのであります。この勲章のやり方――長い間官吏をしておった、これは国から給料を払ったのですよ。農民とか漁民とかその他の人々はそうではありません。長い間国の仕事に携わっておったから等級をつけてやろうというふうな考え方、これは私は誤まりだと思う。勲章はどういう方面にやらねばならないかという基本的な問題について、この際承わっておきたいと思います。今申しましたように、ソ連の一農夫のことは別にいたしましても、各方面にいろいろな表彰に値する人があると思う。今日ではごく一部に、一番最下級の褒章と申しますか、そういうものを若干与えておるようではありますけれども、やはりそういう人々にもっと高級の、最高の勲章をやるべきではないか、そういった考えから、この際大臣の基本的な御方針、態度を承わっておきたいと思います。
  53. 吉野信次

    吉野国務大臣 具体的にどういう標準にするかということは、先ほど政府委員から申しました通りに、本法案が成立いたしましてから後に、栄典審議会というものによってこれをきめる、こういうことでございます。ですから、今私からこういう具体的な標準だということを申し上げる段階にはなっておりません。しかし今例に引かれましたような、非常に国家功労があるというような場合でございましたならば、これは当然最高の方の勲章を与えるに適するものだと、私個人としては考えております。
  54. 片島港

    片島委員 関連して。私は、この法案審議するについて、吉野国務大臣はもう少し答弁のできるように勉強をしていただかないと、ちょっと審議ができぬのじゃないかと思う。先ほど井手委員から質問がありましたときに、等級をどうして置くかと言ったら、外国などもそういう例でやっておるということだった。ところが、あなたは外国のものを調べられたかどうか知らぬが、ソ連では一九三〇年に勲章通則を制定して、レーニン勲章と赤星勲章、これは単一級で等級がありません。そしてこれには年金をつけております。詳しいことは言う必要はありませんが、等級がない。フランスでも普通勲章としてレジョン・ド・ヌールという一種だけでありまして、この一種の不便を補うために海事功労勲章、農事功労勲章等の勲章を併用しておるが、一種ですよ。アメリカには、御承知のように、軍隊だけしかない、船員にはあります。外国人に授与するのにレジョン・オブ・メリットというのがありますが、これは単一級で、等級がありません。英国はどうですか。英国のオーダーの中で、ガーター勲章というものは一三八四年の制定で、これは単一級である。シッスル勲章というのも単一級、聖パトリック勲章も単一級、メリット勲章も単一級である。こういう一番重要な外囲の諸例なんかもあなたは一つも勉強されておらない。だからこういうことをわれわれが聞いたときに、やはり担当大臣としてある程度の答弁ができるくらいの知識を持って来ていただかないと、こういうものを今から聞かなければならない。こういう外国の諸例なども引用しながら審議を進めていかなければならぬのに、そういう自信のないようなことでは、私は今度の審議がどうしてもスムーズにいかぬと思います。もう少し勉強してこの委員会に臨んでいただくように私はお願いしておきます。
  55. 吉野信次

    吉野国務大臣 承知いたしました。なお今の点につきまして、政府委員から補足的に説明をさしていただきます。
  56. 村田八千穂

    ○村田政府委員 お話の第一番はソ連でございますが、ソ連はお話通り単一級の勲章をたくさん持っておる国でございます。その単一級の勲章の中でおのずから等級が――等級と言うと語弊がありますが、功労の大小によって分けるのを違えております。小さい功労でしたらこの勲章、大きくなればこの勲章。こういうふうになっております。  それから次にフランスの例をお引きになりました、フランスはお話通りレジョン・ド・ヌールという勲章一つでございます。これが五等級に分れております、今度の旭日章の銀勲章以上に相当するようなものでございます。それに対して特別の勲章がたくさんございます。その特別の動章は、大体三等級になっておる。中には二等級のものもございます。こういうような勲章は、運用の実績を見ますと、わが国におきまする褒章と同じような運用をしております。要するに功労が大きければ、たとえば海事勲章というのがありましても、海事勲章でなくてレジョン・ド・ヌールである。文芸上の勲章もございますけれども、やはり功労が大きければレジョン・ド・ヌールであって、功労が低いときに特別の熱意を授与する、こういうような制度になっております。  それから次にアメリカのお話がございました、アメリカは軍人に対する勲章軍人に対しない場合には戦時中の文官の功労に対する勲章、こういうものしかございません。軍人に出しますものはただ一種類だけでありまして、外国人に授与するときには四等級になっております。これはきわめて異例の勲章制度でございまして、自国人に授与する場合は一種類である。そうして外四人に授与するときには、その一種類ではどうもあまり体裁がよくないという実情からだと思いますが、四等級に分けております。一番最高のものは、世界各国の勲章の三等に相当する体裁のものでございます。一等に相当する体裁のものはございません。二一等、三等、四等、五等に相当する四等級に分けております。もちろん外国人に授与するとしましても、それは軍功の勲章ですから、外国の軍人にしか授与しておりません。  それからイギリスでございます。イギリスは非常にたくさんの勲章がございまして、今あおげになりましたシッスル勲章、ガーター勲章というようなものは、わが国の制度に当てはめますと、ちょうど菊花前軍に相当する。菊花勲章に相当する勲章は向うは三種類持っておる。これは御承知のことかもしれません、長くなって恐縮でございますが、イングランド、スコットランド、アイルランド、この三つの国が持っておったものを一つにしたために三種類になっておるわけでございます。そのほかに五等級の勲章、三等級の勲章、こういうのがたくさんございます。そうして今おあげになりました勲章は、メリット勲章と、それからもう一つコンパニオンス・オプ・オナーだと思いますが、その二つの勲章だけは日本文化勲章に相当するような単一級であります。いろいろな勲章をたくさん持っておって非常に複雑な運用をしているのがイギリスの実情でございます。  その他の国を見ますと、大体勲章というのは五等級になっている。その五等級の下に勲章に属する記章というのがあるのでございます。直訳するとまずいんで、勲章に属する記章というのですが、勲章の系統に属する記章というのがございます。この記章は大体二等級または三等級になっている。これを私の方ではひっくるめて旭日章として七等級にしているわけでございます。  大体今申し上げましたようなことで、勲章の等級としましては大体五等級、その下に二等級または三等級の記章を持っているのが各国の共通の制度であります。中にはもちろん例外もございます。最近オーストリアが独立いたしまして、去年から作りましたのは十一等級に分れておる。こういうふうなたくさんのものに分れておるのはあまりございません。たくさんに分けている場合には、もちろん勲章の種類をふやしているというのが実情でございます。
  57. 片島港

    片島委員 それは私もちゃんと調べております。主要な国のものをみな勉強してきておるので、あなたがおっしゃったことは全部わかっております、ただイギリスあたりのオーダーというのが大体勲章に当って、オーダー・メダルというのが大体記章に属するようなものであります。そのオーダーの中ではガーター、シッスル、聖パトリック、それからバース勲章というのがありますけれども、これは一、二等というのがナイトの爵に叙せられるもののようでありますから、これは別であります。それからメリット勲章、この五種類があるから等級が分れておるのじゃない、勲章がそれぞれ違うのです。それは私の方でも勲章のいろいろなものを作ってから、これは農民なり漁民にやる、これは工業の方の関係にやる、これは商業関係にやる、こういうふうにやるなら筋が立つのです。ただ一つの一等から七等までずっとこうやって、みな一律にしたら、たとえば農業などで相当勲功をあげても、役人なんかやっておって長く勤めた人のような、そういう勲章はもらえっこないのです。やはりそういう人も同じように恩典に浴するためには、むしろ勲章の数を多くふやして、やはりりっぱなものであるというふうにしなければ、どっか文官などのしりにつくようなものである、そういうような感覚を受けるから、井手君もさっきからこの等級の問題を問題にしておる。ただ勲章が多いから、多くないからということ、でなくて、そういう重要な勲章について、それに類したものはたくさんありますけれども、戦後になってだいぶ廃止したり、いろいろ改正をしておりますから、ごく最近のものはよくわかりませんが、わかっておる限りにおいてはだんだんと整理をしておる。そうした小さいこそこそしたたくさんあるものを私たちは問題にするのじゃないのです。やはり国の勲章として一番おもだった代表的なものを対象にして審議をしなければならぬので、いろいろなものがたくさんあるからそれをこうくっつけてみて、これはこの次になるだろうというようなことは、私たちは専門家でないから、この委員会ではそういう審議はできない。ただ私が言うのは、そういう問題などについても、もう少し大臣の方で御答弁ができるような態度でこの委員会には臨んでいただきたい、こういうことを私は申し上げておきます。
  58. 井手以誠

    井手委員 時間を定められておりますし、私も所用がありますので、私は質問をたくさん用意しておりまして、二、三時間分は用意しておりますが、きょうはあと一点だけ質問いたします。  今までの答弁によりますと、吉野大臣は何もかにも審議会でやるのだ、あなたにとっては唯一の隠れみののように私は感じとったのであります。もちろん栄典制度を生かすも殺すも審議会の運用いかんであることは、私も承知しておりますけれども、その基本的な問題をいかなる功績によって、どういう基準でやるかというような重要な問題に、一切がっさい審議会へ持っていこうとすることは、あなたのとるべき態度でないと思うのです。政党内閣の今日の総理大臣、その人が任命する審議会委員、そういったことを考えますと、運用をちょっとでも誤まりますと、栄典制度権威に関する問題である。私は今後勲章局のようなものがあろうとは考えておりませんけれども、この栄典制度権威あらしめ、価値あらしめるためには、どういう人々にどういう基準でやるのだということを、この委員会において明確にしておくことが絶対必要であると私は存じておるのであります。何回も繰り返すようでありますが、今までの栄典制度に関する審議においては、多くの公述人から、言論機関の主張においても、各界各層の代表を審議会に入れなくてはならぬということが、常に有力に主張されております。また基準も委員会において明確にすべきであるということも、私は聞いておったのであります。記録に残っております。あなたのように何もかにも審議会でやるのだということでは納得できません。おそらくこちらの方にいらっしゃる与党の方々もそういう気持がおありだろうと思う。審議会にかけるには、やはりこの法律の内容に相当のことを盛るべきだと私は思う。審議会の問題について、あり方についてこの際基本的にあなたのお考えを承わっておきたいと思います。今まではそういう意見が圧倒的である、何もかにも審議会にまかせるということではいけません。
  59. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点は非常に重要な点でございますから、これは独善に陥らないように、この審議会にかけてきめたい、こう考えておるのです。従って審議会の構成が非常に公平でなければなりませんから、従来戦前においては、賞勲をやるときに役人の古い人が集まって何かきめるようなものがございましたが、今度はそういうことは全然とらずに、大体民間人を主として審議会を構成する。すなわちおっしゃる通り各方面の人の意見が代表されるような審議会の構成にしたい、こう考えております。
  60. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は栄典制度と全面的に制定する時期として、今はどうも妥当でないという考え方を持つのです。それはなぜかといいますと、今度の国会においても小選挙区法というようなああいうべらぼうな法案が多数の方で押し通されるという、こういう政治が続いている場合、あるいは国家目的にどれだけの人々が自分のエネルギーを集中しているだろうか、こういう工合に考えてみますと、今回この際栄典制度を全面的に施行することは、まことに時代が早い。やはり国民のほとんど大部分国家目的というものを自分たちの輝かしい目的だという工合に考えて、そこにエネルギーを集中するような状態にならないうちに栄典制度を施行するということは、全面的に作り上げるということは僕は反対なんだ。今やったとするならば、やはり井手君が言ったように、ごく限られた、ほんとうに国民の文化水準を高めるなり、あるいは日本の目的である生産の方面に非常に寄与をした、こういうような場合に限るべきである。そうでなく全般的にやって、政治に携わった者も、行政に携わった者も栄典の恩典に浴せしめる、こういうようなことについては、今の日本が激動期を過ぎた時期においては、そういうことはむしろ時代の進展にマイナスになる行為となるという結果が必ず生まれる、こう私たちは推論するのです、私はこの栄典制度を、ごく限った方向にしぼっていくということをこの際強く考えらるべきだ、こう思うんです。こういう点に対しての提案者側の御意見はどうですか、お聞きしたいと思います。
  61. 吉野信次

    吉野国務大臣 必ずしも、そう特殊なものに狭く限らないでよろしいと思います。しかしお話しの点は、要するにこの栄典制度をどう運用するかという運用の問題でございますから、そういう点も、運用いたしますときには考慮してよろしいだろうと考えております。
  62. 山本粂吉

    山本委員長 暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は開会に至らなかった〕