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1956-04-27 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十七日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    北 れい吉君       薄田 美朝君    田村  元君       高瀬  傳君    辻  政信君       床次 徳二君    林  唯義君       福井 順一君    眞崎 勝次君       松浦周太郎君    粟山  博君       山本 正一君    横井 太郎君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       井手 以誠君    稻村 隆一君       下川儀太郎君    片島  港君       西村 力弥君    細田 綱吉君       森島 守人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         防衛政務次官  永山 忠則君         防衛庁次長   増原 惠吉君         防衛庁長官官         房長参事官  門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (財務参事官) 鈴木 源吾君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 四月二十七日  委員池田清志君及び細田綱吉辞任につき、そ  の補欠として北れい吉君及び勝間田清一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  森島守人君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国防会議構成等に関する法律案内閣提出第  八七号)  自衛隊に関する件     —————————————
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  自衛隊に関する件について調査を進めます。飛鳥田君より発言を求められております。この際これを許します。  飛鳥田君。なお、飛鳥田君に御相談ですが、大蔵大臣の御都合もあり、お約束の時間が約二十分程度でございますので、要領よく質疑応答せられ、所期の目的を貫徹せられるよう、お願い申し上げます。
  3. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 委員長にあらかじめお断りしておきます。私の方は要領よくいたすつもりでございますから、お答えをいただく側でてきぱきお答えをいただければ、もっと早く終ることをお約束いたします。  前会お伺いいたしました防衛分担金の問題について、三月八日に日米合同委員会における新しい経理手続ができ上った、こういうことをお認めになりました。この発表について、外務省との連絡の上でお答えをするということでありましたので、この点について御答弁をいただきたいと思います。三月八日の経理規程を御発表いただきまして、なぜ従前経理規程を今回の経理規程に改めなければならなかったか、そしてまたどれほど今度の経理規程日本のために前進をしておるものであるか、その点を要領よくお答えをいただきたいと思います。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 時間を節約する意味から、経理規程の問題でありますので、合同委員会委員として出ております鈴木財務参事官答弁させます。
  5. 鈴木源吾

    鈴木説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。昨日大蔵大臣及び主計局長からも申し上げましたように、アメリカ会計法規が変りまして、そのために契約締結の当時に、それが後日日本からの交付金で支払われるか、それともアメリカドル資金の方で支払われるか、それがわからないために、契約の段階においてこれを円で支払うものだという、そういろ報告は出せない、そういうことから今度は、円で支払われるものであろうと、ドルで支払われるものであろうと、アメリカがここで駐留のために使う経費全体の見積り、こういうものを四半期ごと向うが出す。なおそれに付随したいろいろな報告もくれることになります。そうして実行したあとに円で支払ったものは、もちろん詳細な証憑書類もつけて全部こちらに毎月くれる。ドルで支払った分については、これはアメリカ陸軍海軍空軍それぞれ会計法規が違いますから、違った書式でありますけれども、あと報告をくれる。なおそれ以外に日本側としましては、米側の支払いを全部日本銀行を通じて扱うようになっておりますから、その日本銀行に現われた数字もとにしてもう一度向うと突き合わせる、そういうようなやり方になっております。
  6. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 従前経理規定を今回の経理規定にお改めになった御努力は、私たちも多とするものでありますが、しかし従前経理規定で私たちが一番大きな欠点だと考えておりましたものは、すなわち米側支出ドル防衛分担金、これについて果して駐留のための派生的な維持費であるか、ないしはそれ以外の経費であるかの区分を明確に把握できない点が一番欠点だったと思うのであります。たとえばドル資金の中から航空機自動車、重車両、船舶、こういうものの修理費支出をせられております。そしてこれは防衛分担金として計上せられて参りましたことは御承知の通りであります。ところがこれらの航空機自動車、重車両等沖縄台湾韓国等から送られてくるものを直して向うへ送り返しているというのが大部分であります。もしそうだとすると、日本駐留している米軍の派生的な経費防衛分担金でまかなっているのではなくして、台湾沖縄韓国等にある国連軍の派生的な経費日本政府防衛分担金として認めているという結果にならざるを得ないのであります。また特需関係につきましても、通産省特需課発表をいたしました資料によりますと、JPA日本で調達する特需総額のうも五七%が海を渡っていく、こういうふうにいわれております。ところがこの特需に支払った金額も、大部分防衛分担金として計上をせられてきた傾向があります。なかんずく問題を小さく限りますと、こういった特需物資を運搬するためのいわゆるサービス料港湾荷役費用その他は全部日本駐留する米軍維持費として防衛分担金ドル資金の中から支出せられておる。もし五七%が海を渡るとするならば、これは当然港湾荷役、運搬、こういった費用サービス料の五七%は削減しなければならぬはずであります。ところがこういうようなことが平然と行われてきておるのでありまして、これを大蔵省が今まで黙って見過して、防衛分担金をこちらの側は向うの御要求通りに五百五十八億を計上し、あるいは負けていただいたといって喜んで三百億を計上しているということは、私は大きな政治的な問題だと思うのであります。ともあれこうした非常に不明確ね部分経理手続の不備から出てきておる、こういうことはいなめないのであります。一体今回の経理手続によってこうした欠点をどのように除去できているのか、今後またそれをできる自信があるのか、この点について少し技術的な問題になりますけれども、明確にお答えをいただきたいと思います。このことによって日本国民は百億あるいは百五十億預しているのかもしれないのであります。
  7. 鈴木源吾

    鈴木説明員 ただいまの御質問につきましては、今度の新しい経理手続できめました手続に関連して様式が全部きめてあります。その書類で御説明申し上げるとよくわかると思いますけれども、今度の手続によって今の御疑念の点が、(飛鳥田委員「何枚目ですか」と呼ぶ)それはお手元に差し上げてあります資料終りから七枚目に、米軍がここに駐留している経費について四半期ごと報告をいたしてくる様式が載っております。パートワンパートツーと分けておりますが、ここに載っております例でいきますと、七月から九月までが金額一億三千九百万ドル年間に直しますと、五億ドル以上になりますが、そこでパートワンの方は日本駐留している軍のための経費・それからパート・ツーの方は日本関係のない部分、こういうふうに経理を上下に振り分けて向う報告をくれる、こういうふうになっております。そこでもう少し申し上げますと、先ほど通産省特需数字を御引用になりましたがまず特需関係の場合に、統計を見ますときに、アメリカICA——MSA予算関係のものと、それからそれ以外のものとありますから、まず通産省特需統計に出て参ります中で、ICA国際協力予算関係のもの、これは最近では年間七千万ドル以上になっておりますが、これは軍の方のドル支出統計には全然表われないように、入らないように区別するようになっております。なお軍の支出機関を通して出るもので、日本駐留関係のないものをまず最初に分離するときには、アメリカ予算項目で、たとえば軍事援助とか、これが非常にこまかい分類になっておりまして、日本関係で出てくるのでも十五、六種類ありますが、これも全部向う分類をして向うがまず予算関係で分けて出します。その次には、日本駐留している軍の直接の費用で、先ほど御質問がありました、あとでその資材などが朝鮮に行くとかあるいは沖縄に行くことがありはしないか、たしかにそういう場合があります。そうしますと一番最初には、一応それが朝鮮部隊あるいは沖縄部隊から注文の来たものであれば、初めからそれで分離されております。次にここで発注せられてあと向うに送られる場合には、送られたときにその部分は分離するということをやっております。それでもちろん完全とはいきませんけれども、時間がたつに従って、そういうふうに調整をしていきますと、かなり正確に近いものが出る。米側でも非常に努力して駐留経費を突きとめるようにしております。そういう関係で、こういうふうに駐留関係経費、それからそれでないものを分けるというふうに表ができております。
  8. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今お示しのサンプルを見ますと、第一部と第二部の分類は、これはアメリカが懇意的に分けてこちらに通達してくるものでありますか。もしそうだとするならば、これが真実正確に行われていくかどうか、現実に正しい分類であるかどうかということについて、さらに私たちは疑いを持たないわけに参りません。現実に今までがそういった非常にめちゃくちゃな、勝手な分類をしてきたというのが実情でありますので、これから先もそのようなことがあり得ないとは保証できないのであります。また防衛分担金支出をいたします支出官についてみましても、東京一本に集中せられているのではなしに、各地に散在いたしており、それらの支出官自身小切手を切ります場合に、そう明確に意識をして切るなどということを想像することは不可能であります。こういう点から考えて参りますと、この分け方自身向うから押しつけられるだけでは意味がないのであります。この分け方について、この経理手続はどのような監査をする権限規定しているのか、またそれについて日本側政府はどこまで立ち入って検討することができるようになっているのか、これを伺いたいと思います。
  9. 鈴木源吾

    鈴木説明員 行政協定の上では、日本側が交付する円資金については、日本側のいろいろの標準方式によって報告をもらい、また日米合同委員会を通じて監査をすることができるようになっております。米側予算については、これは協定の上では向う報告を出す義務もなく、監査をこちらがする権限もありません。しかしながら向う側としましては、日本側に協力する意味で、お手元に差し上げましたようないろいろの書式で、向うができるだけの報告をくれる。また今の御質問にありましたが、向う予算でありますから、アメリカ予算分類によって項目が現われております。しかしこれが日本駐留の分であるか、あるいはよその分であるかという疑義のある場合には、もちろん今までの例に徴しましても、喜んでこちらの、質問に応じていろいろ説明をしてくれます。できるだけ御趣旨に沿うように私どもとしても最善を尽してやるつもりであります。
  10. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今最善努力を尽してとおっしゃっておられたのでありますが、変ります以前の経理規定を見ますと、円資金については監査をすることができる規定があったはずです。ところが先般大蔵省の方に伺ってみますと、監査を行なったことは今まで一ペんもない、こう言っておられるのであります。わからないところを質問の形で通告をして教えてもらったことは一、二度あるけれども、監査を行なったことはない、こう言っております。現実監査のできる経理手続規定がありながら、これを一ぺんも行なっておられないで、また今回できるだけ努力をいたすつもりでありますとかりに仰せられても、私たちはそのことをすぐ信用するわけにいかない。現実に今までも十分監査規定を利用して努力をしてこられたあとで、なおかつ今後もいたしますというのならば、私たちはわかるのです。そういう点ではなはだ心細い感じがいたしますが、この点は非常に重要な問題でありますので、そうした監査を必ず行われて、少くとも四半期ごと報告がありますたびに、国会に対して御報告を出していただける意思があるかどうか。そうでもいたしませんと、十分に監査をしていただくことができないはずです。この点については大蔵大臣一つ答弁をいただきたいと思います。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 監査は一度やったことがあると思います。多分二十八年でございますか、昭和二十八年にやりました。そしてその監査の結果は、行政協定等使用目的にかなっているという結果が出ておるわけ一。あります。御趣旨の点は私もごもっともと考えております。必要があると考えられますときは、私は所要の手続をとって監査をやることに決してちゅうちょするものはありません。
  12. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 国会に対して、その四半期ごとの御報告をいただけるかということを伺っているわけです。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 監査米側支出報告等に不当があると考えられる場合に行うのでありますが、私は監査の結果について特に条約上等において問題ないと考えますので、必要がありますれば、むろん国会に私は報告すべきだと思っております。
  14. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そこで今十分監査をして誤まりなきを期するとおっしゃったのでありますが、そのお話を伺いますと、また心配が出て参ります。それは今度の新しい経理手続の、二月十一日の日米合同委員会財務分科会の決定の中で、二の四というところを見ますると、在日米軍維持費四半期ごと報告、こういう項目b項にはこう書かれております。報告には駐留米軍維持費を記載し、また各費目については米軍の内規に従って分類整理される、さらに陸軍についての報告は、駐留米軍維持費とその他のものとに分けて示され、そして歳出項目または類似項目群の別で適正に処理される。こういうふうになっておるのでありますが、ここでは陸軍については維持費とその他のものとを分けて報告する、こう言いながら、空軍については全然触れていないのであります。なるほど陸軍の場合には、比較的日本本土内にある陸軍のための駐留維持費と、朝鮮あるいは台湾沖縄、こういうところにある国連軍としての米軍、こういうものについての維持費、これは区別が比較的できやすい。また大蔵省の方が受けた報告を見ても、かりに間違いがあっても、ある程度は発見できるはずです。ところが空軍関係になりますと、全然これを区別することは不可能になって参ります。そういう配慮のもとに、あるいはそういう下心のもとにでありましょうが、陸軍については、維持費とその他のものを分けて示すということが規定せられているにもかかわらず、空軍関係費用については何らきめられていない。こうなって参りますと、台湾駐留している米第七艦隊の航空部隊、あるいはフィリピン駐留しているアメリカ航空部隊、こういうものの維持経費までこの防衛分担金の中に含められてしまう可能性がある。現実御存じでもありましょうが、立川空軍修理工場であります。ここへ台湾飛行機オーバーホールをするために帰ってくる、フィリピンの演習でこわれた飛行機が戻ってくる、立川修理をして、その直ったものがまた自分の任地に戻っていく、こういう形になっております。そういたしました場合に、立川修理工場修理はしておりますが、しかしその飛行機台湾部隊所属であります。フィリピン部隊所属であります。こういうものの経費は、防衛分担金の中へ、日本駐留する米軍経費として入ってしまう。ところがこの金額は、そうたやすくわれわれが、しかたがない、こう言って過ごしてしまえる程度の額ではありません。T33のような飛行機と違いまして、アメリカが使っております飛行機はみんなジェット飛行機です。こうなりますと、エンジンのオーバーホール一つでも何千万円のお金がかかるはずです。こういうものがみんな防衛分担金の中に人ってこられたのでは、日本国民はたまらないわけです。こういう点を考えて参りますと、この二の四のBという項目は非常に危険なものが入っておる。この点について体どうお考えになり、そして一今例申し上げたような費用をどう区分して、日本防衛分担金を減らしていく努力をして下さることができるのか。ただ努力をいたしますということではなしに、これこれ、これこれの手段をもっていたします、こういうふうな御答弁をいただきたいと思います。
  15. 鈴木源吾

    鈴木説明員 まず陸軍海軍空軍の三者の会計法規が違いますから、その書式が違うということは先ほど申し上げました。次に日本の交付する円資金につきましては、昨年度三百八十億、今年度三百億でありますがこれは米陸軍だけに回して、たとえば今年度の三百億は空軍海軍は一厘も使わない。全部陸軍だけ、陸軍経費のごく一部になります。それで、まず日本側円資金に関する限りは海軍空軍は一厘も使わないのですから、その部分がほかの方に使われるという心配は全然ありません。それから次に、アメリカドル予算部分につきましては、先ほどもちょっとお話JPAという言葉が出ましたが、JPAを通して海外の関係の調達がある程度行われます。これは陸軍の方の統計に出てきますから、陸軍の方で分けることはもちろん必要であります。海軍空軍はそういうJPA的な機能はつかさどっておりませんから、海軍自体あるいは空軍自体経費、その部分につきましては、ここの例示の一番終りから五枚目に載っておりますが、空軍だけでも年間に一億八千五百万ドルぐらい使う。そのうちどれだけを日本の分として分類するか、これは今度の新しい手続に基いて報告が出てくると遂に、細部の関係は、日米間で一週間おきに定期的に会合しておりますから、そこで質問をする。そしてなるべく確実に駐留経費を算定するように努力するつもりであります。
  16. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 努力するつもりでありますとおっしゃいますが、実際努力の結果そういうものを分けていけますか、今のような経理手続で、向の一方的な分類報告日本にしてくる。しかもその一方的な分類報告について一々それに立ち入って監査ができない。もしわからないところがあれば質問をして向う説明をいただくという程度で、これは台湾飛行機じゃないか、これはフィリピン飛行機維持費じゃないか、こういうことを明確にしていくことができるのか、今の与えられた手続の範囲内で、こう考えてくれば私は神様でない限りできないと思います。ところが、できないといって引っ込んでいれば、こちらで計上する三百億、それに見合うアメリカ防衛分担金としてのドル資金、これは折半原則だということがきまっておるのです。ところがこっちの方に、日本駐留費はほんのわずかで、他に存在しているアメリカ軍経費がみんな含まれてくるとすれば、こっちの三百億はもっと負けてもらえるはずです。百億でも百五十億でも負けてもらえるはずなんです。それを、こっちを明確にできないためにわれわれが防衛分担金削減について科学的な根拠をもって強く当れないということは、日本国民に重大なる損害を与えていく結果に終らざるを得ないのでありまして、やむを得ないから自衛隊をふやします、その分防衛分担金を負けて下さいなどというこそくなことを言っているわけです。もとへ返って防衛分担金の本質を考えてみれば、米軍日本駐留する場合の基本的な経費は当然米軍の負担、派生的な経費について半々で負担する、こういうことは全世界共通した事実です。ところが、伺う側が半分出すというこの半分を正確にとらえられないで、しかもその半分の中から台湾にいたりフィリピンにいたりする飛行機修理代も払わされる。こっちの人のよいのにもほどがある。こういう点から考えてみて、もっと正確につかんで経理手続をとっていただく必要があると思う。これは米軍空軍陸軍海軍経理規程が違うのだ、こんな言いわけでは済まないと思います。米軍だって、日本に三百億からの防衛分担金を計上せしめてこれを彼らの維持費に使用している以上は、それに見合う部分については明確にする義務を持つ。そのことについて日本政府に疑問があるならばその監査に応ずべき義務があるはずです、金を出さしておるのですから。日本政府の三百億も、金は取った、おれたちはしたいほうだいをするということでは、国際的の道義も立たないはずです。空軍陸軍あるいは海軍、こういう問題について派生的な経費の中でほんとう日本駐留のため必要なものとそうでないものとをもっと区別する方向に進めていただかなければならないと思います。こんなことを鈴木さんに申し上げるのは恐縮ですが、御存じのように、米軍支出官東京だけにいるわけではありません。あっちにもこっちにもいて、そういう方々が軍人として比較的経理手続に暗いラフな頭でどんどん小切手を切っているわけです。こうなってくれば、大蔵大臣を初めとして、あなた方によほどしっかりしていただかないと彼らに勝手にやられてしまう、こういう結果に終らざるを得ないのでありまして、この問題は非常に重要です。また大蔵省の方でもこういったことについて今まで努力が足りなかった。たとえば、ドル資金のうちから支払われているかどうかということについて、もしお調べになってみる覚悟があれば調べられたはずです。たとえば電電公社、こういうようなところに小切手が回っていきます。そこへ行って小切手を見ればその小切手D勘定とかY勘定とかC勘定とかいう記号が載っているはずです。その記号を国鉄、電電公社その他の公社並びに会社に連絡してお集めになって調べてみれば、今あなた方がつかんでおられる数字より以上に正確な数字が出てくる。何の調査機関も持たない私たちが、一月ぐらいかけ回ってみた結果は、突き合せてみれば、おそらくあなた方よりも正確な数字を持っておりますよ。そういう点で非常にあなた方の、これから努力をいたしますというお話は、それだけでは受けとれないわけです。話が横道にそれてしまいました、また大臣も時間が非常に迫っておるようでありますから、私はあまりこの点をこまかく申し上げませんが、どうぞ一つこれは、いろいろな党派をこえて、防衛分担金削減する、こういうことは重大なことです。しかもその防衛分担削減の交渉をする場合に、ただ単に自衛隊にこれだけよけい金をかけましたから、こっちをまけて下さいなんという不見識なことではなくて、相手方折半原則で半分づつ出す、こういつているのですから、相手方ほんとうに半分出しているかどうか調べてみて、君らはこれっきり出していないじゃないか、だから防衛分担金をもっと削減しなさい、こういうことを明確にいって交渉していただくことをお願いしたいのです。日本民族としての独自な立場に立って説明をしていただきたいと思います。私はアメリカの議会の中で、日本防衛分担金について、米国政府当局者がどのような答弁をしているかも実は読み上げて、あなた方の反省に資したいと思ったのですが、時間がありませんから、大蔵大臣に対するこうしたお願いを申し上げて、一応終らせていただきます。  続いて、この前のお約束がありますので、防衛庁の方に質問をさせていただきます。先般私、ジェット機の第二次生産協定について附属表の御発表をお願いしておきましたが、それはどういう工合になりましたか、御答弁をいただきたいのであります。
  17. 船田中

    ○船田国務大臣 これはジェット機の生産についての供給表を公表すべきではないかという御質問でございました。この供給表につきましては、米側供給物資の細目を定めたものでありまして、その中に一部MSA協定による機密の品目を含んでおります。かたがたNATO諸国との関係などから、米側の意向もありまして、慣例上その全貌の発表は差し控えたいと存じます。なお機密に該当しない個々の品目につきましては、御要望の向きがございますれば、お知らせをいたすことにいたします。
  18. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、その機密の部分発表になれない部分については、何らかの法的な措置をおとりになりましたかどうか、ただ機密だ機密だというだけでは……。
  19. 船田中

    ○船田国務大臣 これにつきましては、目下手続中でございます。
  20. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そこでお伺いをいたしたいのですが、今度のF86ジェット飛行機、世界中でもほとんど時代おくれになってしまったこの飛行機について、一体何で機密々々と言わなければならないのか。私は少くともこれはアメリカの軍の秘密ではなくして、アメリカのいわゆるこれを生産している会社の何らかの権益を守るための秘密だといわざるを得ないと思うのでありますが、この点についてなぜ機密であり、なぜこれをやらなければならないのか、米軍からどういう要求があったのか、もう少ししさいに承わりたいと思います。
  21. 船田中

    ○船田国務大臣 これは会社だけの機密でなくして、MSA協定による機密の品目がその中に合まれております。なおF86Fにつきまして、時代おくれというお話でございますが、これはヨーロッパその他におきましても、第一線機として米軍が使っておるものでございまして決して時代おくれのものではございません。
  22. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 結局そうなって参りますと、この第二次生産協定の中で、今度は日本の民間会社とアメリカの民間会社との間に契約をする形が出てくると思います。たとえば新三菱重工業株式会社とノースアメリカン、あるいは川崎航空機工業株式会社とロッキード海外サービス会社との間でいろいろな契約が出て参ると思いますが、この契約に関して今の秘密の問題はどうなるのか、あるいは特許権の問題は会社と会社との間でどのように取りきめられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  23. 増原恵吉

    ○増原政府委員 ロッキードと川崎でやりまする契約は、主として機体の関係でございます。MSA協定に基く防衛秘密に物する分は搭載兵器の一部でございます。両会社でパテントその他を使う場合の契約は、機体に関する部分では、たとえばロッキードと川崎ということで契約をいたすわけであります。
  24. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは最後に、ちょうど増原さんが見えましたから、一つだけ伺わせていただきたい。これはこの前伺ったのですが、どうもよくわからなかった。そこでもっとよく教えていただきたいので、一つだけお伺いいたします。航空機生産を防衛六カ年計画に従って行なっていく、こうなりますと、六カ年計画を作っていく計画段階においては、少くともF86を月産十五機、T33を七機は作っていかなければならない、こういうふうにあなた方もお考えになっておりますし、一般にも考えられておるようであります。ところが六カ年計画の計画段階を終了いたしまして、維持段階に入って参りますと、86を十五機は要らない、すなわち月産九機で維持をしていくことができる。丁33も七機は要らない、二機で維持段階を通していける、こうなりますと、86を十五機、T33を七機作るような生産計画を立てて参りましたものを、にわかに縮小していくわけにはいかないはずであります。六カ年計画の後にまた次の六カ年計画を作って、もっと増大させるのだ——船田さんの御説によりますと、この経済時代というものを見ますと、三、三、三方式というのが書かれておりますが、こういう形になれば要らなくなる。そこでどうしても月産で86は六機余るし、33は五機余る、こういう形になるのでありますが、こうした余る段階をどう処理されていくつもりか、ごく簡単でけっこうです。さらに第二次六カ年計画をやるおつもりなのか、あるいは余ったものについては海外に輸出をなさるおつもりなのか、それとも国家で補償してやって、拡充してきた生産設備を縮小させるつもりなのか、その三つのうちどれをおとりになるのか、一つ伺わせていただきたい。
  25. 増原恵吉

    ○増原政府委員 F86、T33という二つのものが今大きい具体的題目でありまするが、これは、きまっておりますることは、三十一年度予算にお願いをしたのが第二次計画昨年度が第一次計画ですが、これによって三十三年の六月までという計画が確定いたしておる。この計画の機種は、両者合せますると、一次二次合せて、それぞれ百八十機になりまするが、この百八十機で、それまでに国産化をするものを含めまして治工具類は償却をいたす計算を立てて単価をはじいております。従って一応この第二次計画は第二次計画として治工具等の償却はできて一応の採算はとれる。しかし六カ年計画としての私どもの希望としては、第二次計画で終りたくはありませんで、少くとも第三次計画を来年度でお願いすることになると思いますが、それはまたそのワク内で国産部分が多少増加すると思いますが、その治工具類は完全に償却をするという形で処理していきたい。現在の計画は第二次長期計画を想定してやるという形はとっておりません。
  26. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もう終るつもりだったのですが、重大なことですから伺いさす。二年間でその治工具類その他を償却してしまうということになれば、非常に高い飛行機をあなた方は作っているという結果にならざるを得ない。これを作るいろいろな治工具を二年間で償却するというならば、一機について何千万円も高い飛行機日本国民はあなた方の計画によって買わせられているという結果になるのは、だれが考えても当然だと思うのです。なぜそんなに一機について非常に高い飛行機をお作りにならねばならないのか。なぜこれを避けられぬのか。私たち日本国民の一人として、世界の通常の価格上りも倍もするような高い飛行機を買うことについては賛成できません。この点についてどういう御配慮を持っていらっしやるのか、御説明をいただきます。
  27. 増原恵吉

    ○増原政府委員 一応原価を全部計算をいたしますと——全部といいますのは、御承知のように第一次計画でありますと、大ざっぱにいいまして七割くらいを米側が負担をしてくれる、第二次計画でも五割弱になると思いますが、米側が負担をしてくれるということでありますので、この米側負担を日本側で払うという仮定に立ちますると、非常に高いもの参を買うことになりますが、三割なり五割なりというもので私どもはコンプリートのものが入手でるのであります。これは非常に格安なものであります。治工具類を償却すると申しましても、国産の治工具類を償却するの。ありまして、基本的な非常にたくさんな治工具類は無償で提供を受けております。これはもちろん観念的に償却をいたすことではないわけであります。
  28. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 次の機会にやらせていただくことにいたしまして、これで打ち切ります。     —————————————
  29. 山本粂吉

    山本委員長 これより国防会議構成等に関する法律案を議題とし、討論に入ります。通告がありますのでこれを許します。石橋君。
  30. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする国防会議構成等に関する法律案に反対の意見を述べんとするものであります。  反対の理由の第一は、その法条の持つ違憲性を私たちとしてはあげたいと思うのであります。本法案が、防衛庁設置法四十二条に基いて提案されておるということでございますが、われわれはこの防衛庁設置法は、自衛隊法とともに、明らかに憲法違反の法律であるとして認めてはおりません。しかもこの防衛庁設置法第四十二条によりますと、国防会議の任務といたしまして、国防の基本方針あるいは防衛計画の大綱あるいはまた自衛隊出動の可否といったような現行憲法の認めておらない問題について審議をしようというのでありますから、とうてい容認できないわけであります。皆さん方もすでに御承知の通り、現在の日本国憲法は、民主主義、基本的人権尊重主義、そうして世界にその例を見ない絶対平和主義を三大原則として掲げており、この三原則が全憲法を通じて一貫して生命として流れていることは御承知の通りであります。これは数百万のわが国同胞の血によってあがなわれたものである、この現行憲法の第九条にも示されております戦争の放棄、そうしてまた軍備の放棄というものは、再びあやまちを繰り返しませんと誓ったわれわれ日本人のこの叫びが、そのまま高らかにうたいあげられたものであると私たちは考えておるのであります。しかるにこのたっとい平和憲法の精神は次々に踏みにじられて、初め警察予備隊として出発いたしましたものも、現在すでに自衛隊として完全に軍隊の性格を持つようになっております。その実勢また驚くなかれ二十万に達しようとしておるのであります。かくして平和憲法がじゅうりんされている段階にあって、ここに国防会議というものを設置するとなれば、二重にさらに大きく憲法違反の大罪を積み重ねることになると私どもは考えます。さような意味合いにおきまして、平和を求める国民の名において私たちは本法案に賛成する  ことを拒否するものであります。  次に本法案の審議に当って、私たち十分に自信を強めたのでありますが、もう一つの特質を備えている。それは何かといいますと、かりに名づけるならば、やはり隷属性と呼ばれるものであろうと考えておるのであります。大体この国防会議が問題になって参りましたのも、昨年の防衛分担金削減交渉の際にさかのぼって、当時防衛分担金削減してもらうために、アメリカに対して国防会議を早急に作るということを約束した。その約束を果す意味において二十二特別国会に提案されたのであったのでありますが、それがアメリカ製オネスト・ジョンでむざんにも爆砕され、前長官杉原さんはその責任を負って自決したといういわく因縁つきの法案であります。(「自決とは大きいぞ」と呼ぶ者あり)今国会におきましても、原水爆を持ち込まれて再び船田さんも自決しないように一つ十分に御留意願いたいと思います。とにかく終始このような経緯の上に立って出されております国防会議法案は、アメリカ抜きでは考えられないと私たち思うのであります。そもそも現在保守党の方方が進めておられます再軍備政策は、アメリカの要請によって出発し、アメリカの援助によって促進されているという現状から推しまして、当然のことであるかもしれませんけれども、私たちはこれを認めるわけには参らないのであります。しかも国防会議の任務といたしまして、国防の基本方針を決定する、あるいは防衛計画の大綱を策定するというようなことを掲げております。しかしながら現在の状態下にありまして、日本は自主的にこのようなものを決定する力を残念ながら持っておらないと断ぜざるを得ないのであります。  まず国防の基本方針について考えてみましても、われわれの質問に対しまして船田さんは、この委員会において、まず国力、国情に相応する最小限度の自衛体制を整備して米軍の撤退を期するのだ、それが達成されるまでは日米共同防衛体制をとっていくのだという御説明をなさっておりました。ところがこの第一段階から第二段階への転移に当っての、いわゆる米軍の撤退の時期については明言されないのみならず、おそらく確信を持っておられないのではないかと思うのであります。少くとも現在の米駐留軍というものは、日本の政府の要請に基いて存在するがごとく装われております。そうであるならば、日本の要請がなくなれば、当然に撤退しなくちゃならないというふうにわれわれ考えるのでありますが、その撤退の時期がいつになるのかわからない。どの程度の防衛体制を整備すれば撤退するのか、日本側のみではきめられないというような現在の両国の関係、このようなものから自主的な国防方針などというものは絶対に作れないということを指摘せざるを得ないわけであります。これは安保条約の性格でもあるわけであります。少くとも今のような保守党の続く限り、地上兵力はおそらく撤退するでありましょうけれども、海空軍、特に空軍の撤退などというものは向う九十九カ年後のことになるかもしれない、私たちはそのようにすら考えております。他国の指示あるいは承認を得なければ、日本の国防方針をきめられないという、このような国防方針は、国防の名に私は値しないと思います。しいて国防という名を冠しようとするならば、それはアメリカの国防方針であると、そのように述べるべきであると私たちは考えます。また防衛計画の点について考えてみましても、鳩山内閣は長期防衛計画を策定する必要ありといたしまして、防衛庁において着々と六カ年計画試案なるものを作っております。これはすでに幾段階かを経てばおるのでございますが、昨年の八月重光さんがアメリカに渡りましたときに、彼の品からつぶさにアメリカ側に対して説明がなされておるにもかかわらず、日本の国民に対しては昭和三十五年最終年度の地上兵力、そうして艦艇保有士、飛行機数といったようなものだけが発表されておるにすぎないのでありまして、その内訳はもちろんのこと、年次計画すら全部秘匿されておるのであります。なぜこれが発表されないか、表面では国防会議ができないからだと言っておるけれども、実際はアメリカの完全なる了解が取り付け得ないからだと私たちは考えるのであります。このようなことを考えていきます場合に、どうして防衛計画、ましてや長期防衛計画などというものが国防会議において自主性のあるものとして策定され得るでありましょう。一、二の例をあげてみますならば、これも審議の過程において話したのでありますが、この六カ年計画の中で対潜哨戒機P2Vこれを最終年度に九十六機、三十年度において二十四機保有する目標で防衛庁は計画を組まれておる。ところがそれがわずかに二機しか来ないというので、あわてて防衛六カ年計画の練り直しを取りざたするような醜態を演じておる。また四月の二十一日にアメリカのヒギンズ米陸軍次官補がやってきたときの話によりますと、今まで兵器供与という形で現物が日本に援助として持ち込まれておったけれども、これは今後は現物供与という形から兵器の自給体制、立のための援助、こういうものに切りかえる必要がある、いうようなことを言われて、これまた防衛庁いささかあわてふためいておる。おそらくこれが今後推進されることは明らかであろうと思う。あなた方がP2Vの航空機の国内生産というものを盛んにこのごろ考え出しておるのも、この言明と一連の関連ありと考えるのでありますが、このようなことにアメリカの計画が変更されて参りますと、今のあなたたちの考えておる六カ年計画なるものも根底からくずれ去っていくことは明らかであります。先日大体防衛費用としては国民所得の約二・二%を使うんだということを言っておられました。この六カ年計画に要す費用は、これまた約八千三百億ということを言っておられました。しかしアメリカの現物給与が削減され、減少されて、国内生産というものに方向を切りかえた暁には、明らかにコスト高になって参りまして、現在考えているような計画が根本からくずれ去っていくことは、これまた明らかなのであります。このように防衛計画におきましても、アメリカの大きな影響を受け、彼らの了解なしには絶対に策定できないというような運命に置かれているときに、何の国防会議かと私は言いたいのであります。少くともこのような自主性のない国防会議というものを私たちはこめません。おそらくこの国防会議というものを作ることによって、日本の国防の基本方針も、防衛計画も、日本が自主的に決定し得るのだ、決定しているのだというように装わんがために、国民を欺瞞せんがために、この国防会議が使われるおそれすらあると私たちは考えまして、反対の第二の理由として掲げたいと思うのであります。  次に、一応違憲性というものをたな上げいたしまして、法案の細部についての検討を加えるといたしましても、そのずさんさというものに私たちは目をそむけるわけには参らないわけであります。少くとも国防会議を何のために作るのか、これにはいろいろありましょうが、私どもは過度の権力が集中されることを排除するという目的、また軍事をいかにして政治が押えていくかという目的、あるいはまた防衛計画というようなものがある程度の恒久性を持たなければならないというこの目的を果すためにこそ、国防会議は必要なのであろうと考えております。ところが残念ながら、本法案にはこの精神を生かしていく何らの考慮も払われておらないのではないかというふうに考えざるを得ないのであります。少くともこの大原則を生かしていくためには、会議の構成という面と事務局という面に慎重なる考慮が払われなくちゃならないと私どもは考えております。まずこの構成を取り上げてみますと、先ほども申し上げましたように、鳩山内閣は昨年の二十二特別国会にも同様国防会議の法案を提出いたしました。その際の構成は、関係閣僚のみならず五名以内の練達堪雄の士という形で民間人を入れることになっておったのであります。それが本国会において出されました案によると、完全に抹殺されている。単に閣僚だけで構成する形になってきているのであります。同一内閣が同法案を提出するに当って、全く生命となる部面において内容を異にするというがごときことは、あまりにも無定見に過ぎると私は考えます。この点につきまして、前国会で衆議院において修正された点を尊重したのだということを、総理あるいは長官は再々言明されておられますけれども、しかし考えてみるに、当時と現在においてはその情勢を大いに異にいたしております。まず第一に当時は自由党の諸君は野党でございました。そうしてこの野党にあった自由党の諸君が強硬に民間人を除くことを主張しておったのであります。ところが現在はこの自由党の諸君も、保守合同の結果鳩山総裁の統制下にある一つの党の中に存在しております。去年においては野党であったから、法案を通すために、自由党の諸君の意見を取り入れて修正しなくちゃならないということもあったかもしれませんが、本年は、もし民間人を入れることが正しいとするならば——これが最も正しいとするならば、鳩山総理は十分に党内の意見を調整し、説得する機械を持っているのであります。また力をも与えられているのであります。ところがそれについての何らの努力もしておられない、これではあまりにも無定見であろうと考えます。また衆議院の意見を尊重したというのであるならば、事務局の面についても同一の法案が提出されるべきであります。しかし事務局の面については、これを拡充することの方が正しいとお考えになったのでありましょう。今度は幾分これを拡大した形で提案されておる。しからば民間人の面につきましても、民間人を除くことが正しいと信じて変更されたのならともかく、院議を尊重したのだというがごとき責任回避の言辞を弄することを、私たちは絶対に認め得はいのであります。  なおこの事務局について見ましても、人員わずかに十五名、このような規模においてどのような仕事ができるでありましょうか。昨年度よりはややましであるにいたしましても、やはりお茶くみ仕事以外の域を出ないというように私たちは考えます。ましてや制服の説明を反論し、あるいは議員の方方を補佐し、適度の修二を加えるための情報収集に当り、資料を作成するというようなことは、この程度の事務局では絶対に不可能であろうということを私たちは憂えるものであります。  いろいろほかにもございますが、とにかく申し上げました通り政治優先の大原則というものが少しも生かされておらない、この大鉄則にひびの入るおそれのあるこのような法案には、私たちは絶対に賛成し得ないのであります。国家百年の大計を誤まりなからしめるために、歴史のあやまちを再び繰り返さないためにも、私たちはこのような無定見な自主性のない法案に断固反対せざるを得ないわけでありますが、このような法案がもし通過されることになりますと、さきに不法な成立を見た教育二法、あるいは現在問題になっております小選挙区法その他と相待って、日本の反動化、軍国主義化、ファッショ化がさらに大きく前進するであろうことを憂えまして、私たちは本法案を絶対に粉砕しなくてはならないという信念のもとに反対を吐露するものであります。委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  31. 山本粂吉

    山本委員長 次に横井君。
  32. 横井太郎

    ○横井委員 私は自由民主党を代表しまして、本国防会議構成等に関する法律案に対しまして賛成の討論をいたしたいと思います。  私どもは、いやしくも独立国である以上は自衛のための軍備を持つことは当然である、こういうように考えております。従って自衛のためには国力の許す限り自衛隊を育成強化いたしていかなければほらぬ、かように考えるものでございます。そのためにはこの法律の裏づけがなければならない。そこですでに判定いたしておられます防衛庁設置法、自衛隊法とともに、この国防会議構成法というものが当然なければならないと考えております。いわゆるこの防衛三法は日本自衛隊をささえる三本の支柱であると考えるのであります。その最も重要なるこの法案が今日まで日の目を見ていない。いかにも残念でございます。しかもこの法律案防衛庁法第四十二条、第四十三条からいえば当然のことでございます。いやしくもこの防衛庁法なるものは、社会党の緒君は御反対であるかもしれませんけれども、民主主議のルールにのっとって国会を通過した法律でございます。その法律を守っていくというのは、これは国民ひとしく守らなければなりませんが、ことにわれわれ国会を通した国会議員としてはこれを守るのは当然のことだと、かように考えるのであります。  そこで先ほども反対論でお述べになりましたが、この国防会議が違憲性があるかどうかという問題でありますが、私どもは、いやしくも独立国である以上は、自衛のための軍備を持つのは当然であって、絶対に違憲ではない、こういうように考えるのでございます。幸い最近社会党も三月二十日の日でありましたか、これに対する意見を発表されまして、自衛権は持ってよろしい、しかし自衛力は持たぬ、それじゃ侵略せられたときはどうするかと言ったら、それは国際裁判に訴える、こういうような説を御発表になりましたが、まことに迂遠な話である、かように考えるわけであります。自衛権があれば自衛力を持つのは当然でございます。だから私どもは、この自衛力は極力育成をしていかなければならぬと思います。社会党さんも万年野党ではございませんので、自衛権をせっかくお認めになりましたので、だんだん私どもの方にお近づきになりましたが、一そうもっとお近づきになられまして、やがて政権をとられたときの用意になされた方がけっこうであろうと考えるわけでございます。とにかくこの際あえて御忠告申し上げたいと思います。  どうかこの際本案に御賛成あらんことを希望いたしまして、私の賛成討論を終ります。(拍手)
  33. 山本粂吉

    山本委員長 これにて討論は終結いたしました。  これより国防会議構成等に関する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 山本粂吉

    山本委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  なお本案に関する委員会の報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 山本粂吉

    山本委員長 御異議がなければさよう決します。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会      ————◇—————