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1956-04-12 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十二日(木曜日)    午前十一時八分開議  出席委員    委員長 山本 粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    北 れい吉君       薄田 美朝君    高瀬  傳君       辻  政信君    床次 徳二君       福井 順一君    眞崎 勝次君       粟山  博君    山本 正一君       横井 太郎君   茜ケ久保重光君       井手 以誠君    細田 綱吉君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         内閣官房長官 田中 榮一君         宮内庁次長   瓜生 順良君  委員外出席者         議     員 赤城 宗徳君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 四月十二日  委員石村英雄君辞任につき、その補欠として下  川儀太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十二日  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一六一号)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇七号)  栄典法案内閣提出第一六〇号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律の一部を改正する法律案赤城宗徳君  外三名提出衆法第三六号)     —————————————
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を求めます。赤城宗徳君。     —————————————
  3. 赤城宗徳

    赤城宗徳君 ただいま議題になりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案提案理由について、御説明いたします。  現在、教育職員給与制度は、学校の種類、職種、学歴経験年数の四要素をもって構成されております。そのうち、特に経験年数要素が重要視されておりますことは御承知の通りでありますが、学歴等他要素は、俸給決定の上に、大きな比重をなしていないのであります。しかしながら、教育職員特殊性にかんがみるとき、学歴要素は、相当高く評価すべきものと考えます。文教行政の一端を示す教育職員免許制度を見ても、この点が高く評価されており、その学歴相違がそのまま免許状相違に結びつけられ、教育職員の職務と密接な関係が保たれているのであります。しかるにこの学歴要素が、給与制度に明確に反映せしめられておらぬため、同一年令の者を比較した場合、高学歴者は低学歴者に比して、必ずしも高い給与を受けているとは限らないという均衡を伴わない現状に遜るのであります。この点、文教政策人事管理の不一致に、矛盾を感ぜざるを得ないのであります。  かかる状態のままでは、高学歴職員の士気に影響を及ぼし、教育を沈滞せしめ、学校教育の遂行に支障を来たすおそれもありますので、これら高学歴者俸給額の調整をはかるべく、本改正法条提出いたした次第であります。  改正点の要旨を申し上げますと、第一点は、高等学校教育職員級別俸給表及び中学校小学校等教育職員紋別俸給表の適用を受ける教育職員中、旧制大学もしくは新制大学を卒業した者、旧中学校高等女学校教員免許状もしくは旧高等学校教員免許状を有する者、または人事院がこれらの者と同等以上の資格を有すると認める者等、いわゆる学歴資格の高い者につきましては、予算の範囲内で、人事院の定めるところにより、二号俸をこえない範囲内におきまして、俸給月額を調整することができるものといたしたことであります。  第二点といたしましては、人事院は、教育職員初任給基準につきましても、右の趣旨を考慮して、適切な措置を講じなければならないものといたしたことであります。  所要経費といたしましては、国立学校分納一千五百万円、公立学校国庫負担分約三億六千五百万円、合計約三億八千万円であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 山本粂吉

  5. 根本龍太郎

    根本政府委員 ただいま議題となりました栄典法案提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府は、わが国の再建に寄与した各方面功労者を広く栄典に浴させるため、褒章制度を拡充する等栄典制度の改善に努めて参りました。しかしながら現行栄典制度につきましては、このような部分的修正にとどめることなく、全体について再検討し、時勢に即応した制度を整備いたしまして、その全面的運用をはかることが必要と信ずるのであります。従いまして、さきに臨時栄典制度審議会を設け、栄典制度改正について諮問いたしたのでありますが、今回その答申を基とし、さらに本問題に関する従来の経緯及び世論の動向を参酌して慎重に考究いたしました結果、その基本的事項法律案として取りまとめ提出いたしました次第でございます。  次に本法律案概要を申し上げますと、栄典制度をできるだけ簡素かものにしようとするものでありまして、勲章を根幹とし、これに褒章等を配し現行の位階や勲位勲等は、今後廃止することにいたしております。  勲章につきましては、菊花勲章旭日勲章及び文化勲章三種とすることといたしました。菊花勲章は、従来の菊花章を受け継ぐものとし、旭日勲章は、従来の旭日章宝冠章及び瑞宝章三種にかかわるもので、従来のこれらの章と体裁上も区分し、従来の授与方針にこだわらず時勢に即応した運用をはかる考えであります。しかしながらすでに授与されました旭日章宝冠章及び瑞宝章につきましては、今後も有効とし、その着用を認めるべきであると考えております。文化勲章は、従来の制度を継承することにいたしました。  褒章制度は、主として国民の奇特の行為を表彰することを目的としておりますので、章の体裁存改善するほかは、大体従前の通りといたす考えでおります。  以上申し上げましたように栄典制度を整備しようとするのでありますが、さらにその運用塁際において、厳正公平を期し表彰に遺漏なからしめるために、総理府に、審議会を設け、各方面の識者を委員にお願いし、その審議を経て運用するようにいたすとともに、内閣総理大臣官房賞勲部を廃止して総理府内部部局として栄典月を設置し、栄典に関する事務処理にも遺憾なきを期するようにいたしたい考えであります。以上本法案概要を申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  6. 山本粂吉

    山本委員長 以上両案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  7. 山本粂吉

    山本委員長 次に宮内庁法の一部を改正する法難案議題とし、質疑を続行いたします。通告がありますのでこれを許します。茜ケ久保君。
  8. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 宮内庁事項内閣委員会の所管でありましけれども、なかなかお尋ねする機会がなかったのであります。今回いい機会であるので、私は二、三の点につきまして長官質問したいのでありますが、ちょうど留守だそうでありますので、次長一つお伺いしておきます。  第一点は、天皇行幸に関してでありますが、私どもこの点についてはいろいろ意見を持っておりますけれども、とにかく第一にお尋ねをしたいことは、現在行われている行幸天皇自身意思によってなされておるか——これはまあ、こういうことをお尋ねしても、あるいは無理かもしれませんが、そのことは穴内庁の方において自主的に御決定に相なっておるか、あるいは内閣等から、あるいは地方等から要請があって行幸というむのが決定せられておるか、行幸されている事態に対する発動の根拠をどこに置いてなされておるか、この点を一つお尋ねしたいと思います。
  9. 瓜生順良

    瓜生政府委員 行幸まさる場合の発動のことをお尋ねでありましたが、これは主として行幸を仰ぎたいという方から、たとえばある地方植樹祭が行われると、植樹祭が行われるところの森林開発協会でしたか、そういうところ、それから、その行われまする山口県の方の知事、そういう方面からぜひおいでいただきたいという申し出があります。なお国民体育大会の際の場合でありますと、これは国民体育協会並びにその国体が行われまする地元の県の知事の方から、来ていただきたいという申し出がございます。なおその他いろいろ大会ですとか何かの場合においでになります場合も、そうした大会をなさる主催者の方から来ていただきたいという申し出がございまして、その申し出に基きまして、陛下の方の御都合等をよく考えまして、御都合がよく、またそのところへおいでになってもよろしいというように判断をされた場合、行幸になるわけでございます。
  10. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 その行幸決定せられる場合には、何か宮内庁の中にそういった、天皇が行かれることはいいか悪いかというようなことを、天皇都合もお聞きになるでしょうが、それを審議しあるいは御決定なさる何か組織でもありますかどうか、お尋ねいたします。
  11. 瓜生順良

    瓜生政府委員 特別の組織というものはございませんが、宮内庁の任務、つまり皇室に関する国家事務の中に入ると思います。宮内庁仕事として、宮内庁長官がその責任をもって判断をし、それを陛下に申し上げてきまるというようにいたしております。
  12. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 そういった場合内閣の方には連絡あるいは了解、そういった打ち合せ等のことは何らありませんかどうか。
  13. 瓜生順良

    瓜生政府委員 行幸の場合によりましては、内閣の方へ申し上げて、総理大臣意見も聞きましてきめておるのでありますが、定例的な、たとえば植樹祭、あるいは国体おいでになる、あるいは学習院卒業式おいでになる、芸術院授賞式おいでになる、こういう定例的なものにつきましては、事前に特にお打ち合せをしないこともございますが、方針がきまりますれば、すぐ内閣の方には申し上げておるわけであります。しかしそう定例的でないものにつきましては、やはり内閣の方に連絡をいたしまして、御意見を伺ってきめております。
  14. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 行幸の場合に大部分地方に参りますと、これは国民的な歓迎の催し等もありますが、それと比較してやはり地方においては、戦前と変らぬような警備態勢と申しますか、非常な警察官の、私どもから見ると不必要と考えられるような警備がなされておるのでありますが、これは宮内庁から地方に対して要請をされるものか、あるいは内閣が指令をしてそうした態勢をとらせるのか、または地方が独自に、ああいうものものしいというよりも、まるで国民をさながら罪人でもあるかのような取扱いをすることが非常に多いのでありますが、この取締りと申しますか、警備と申しますか、そういったことに対する手配というものはどこでなさっておるかお伺いしたい。
  15. 瓜生順良

    瓜生政府委員 一般の警衛につきましての方針をきめ、そのやり方を指揮されるのは警察庁——責任国家公安委員会だと思いますが、その下の執行機関である弊祭庁長官の方でやられるのでありまして、宮内庁といたしましては直接これに対しまして関与する建前ではありません。しかし国民との親しさを阻害することのないようにしていただきたいというようなことは、警察庁の方へも希望意見として申しておることはたびたびございまするが、治安の関係責任警察庁の方にございまするので、その警察庁責任においておやりになっておると存じておる次第であります。
  16. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 戦前と違って戦後は天皇に対する特別な制約は国民にないと思うのでありますが、何かまだ、私どもそう詳しいことは存じませんが、一般国民天皇との間において、いわゆる昔は不敬罪とかその他いろいろのことがございましたが、そのような一般国民間の個人的な関係と違った関係が現在もなお天皇国民との間に存しているかどうか。存していればどいう点が違っているか。いわゆる国民同士人間的な関係と違って、昔はずいぶん私ども迷惑したことがありました。しかし戦後はそういう特殊なことはないと私記憶しておりますが、なお天皇国民との間の人間的な特別な関係があるかどうか、あったらどういう点が特別なものとして残っておるか、この点についての御説明を願います。
  17. 瓜生順良

    瓜生政府委員 御質問趣旨がはっきりつかめておらないのですが、私の判断する範囲で申し上げますると、天皇国民との人間的関係ということでありますが、この天皇も昔のように神ではない、やはり広い意味日本国民の二人となっておられるわけであります。しかし憲法第一条に天皇日本国象徴であり、国民統合象徴であるということが定められておりまするから、国の象徴国民統合象徴としての天皇国民との関係ということにつきましては、普通の一般国民同士関係とはやはり違う、やはり象徴としてあこがれの中心であるというような地位おいでになりまする天皇国民との関係ということで、われわれはいろいろの問題の扱い考えておるわけであります。従って一般国民天皇との関係がここに深い隔たりがあるというようなことではなく、親しくお接しになれるようにというふうに常に考えておりまするが、しかし地方おいでになる場合の例を考えましても、たくさんの方が陛下を迎えられまするので、その場合に秩序の維持ということも警察方面考えておられるわけですが、その点もやはり頭に入れておきませんと、そのために混乱をしてそこに事故が起きてもいけない、たとえば一昨年の正月の際に二重橋事件が起きまして、まことに申しわけなく思っておるのですが、そういうようなことになってはいけないというような配慮はいたしておるわけであります。何か特別に接しにくいような感じではないように考えて、お扱い関係をわれわれは取り計らいたい、こう考えておるわけであります。
  18. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私の質問も悪かったかもしれませんが、私のお尋ねしたのは、昔の不敬罪のような、そういう関係の何か特殊なものがあるか、こういった質問です。
  19. 瓜生順良

    瓜生政府委員 現在昔の不敬罪というような特別の法律の規定はないのであります。その関係においてはもしも何かありましても、一般の刑法の条文で規律されるということになっております。
  20. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私どもこれは社会党の立場から天皇という一つ存在を否定はしておりませんし、また日本天皇というものが歴史的にいろいろ意味を持っておることはちゃんと了解しております。しかしながら過去において、これは天皇の是非ではなかったのでありまして、為政者が天皇という一つ立場を利用してのいろいろね国民に対する悪い面の利用が非常に強かったと思うのであります。私ども天皇の名において犠牲を受けた一人でありますが、そういった意味でせっかく新憲法天皇人間に引き戻してくれて、まことにいい一つの形が生まれようとしておったわけです。ところがまた最近どうも、これは保守党の諸君の考え方の中にも強く出て参ったし、新しい憲法を作ろうという考えの中にも天皇というものをさらに昔の姿に引き戻すような考え方があります。これがどのようになるかは別として、さらに宮内庁としては、昔の宮内庁当隣の、天皇という一つの座に宮内省があぐらをかいて、やはりそれ自身天皇というものを国民と特殊な関係を結ばせるようなこともありました。それが終戦後いわゆる新憲法のもとに新しい一つの姿が生まれようとしてきておったのを、最近やはり保守勢力の今申しますような一つの形と呼応するがごとくに、天皇というものを一つの特殊なものに祭り上げようとする具体的な現われがあるので、地方行幸に対して私どもは別に文句を言うわけではありません、これがほんとう国民天皇とをいわゆる人間的なつながりに結びつけるという形のものになれば、私ども決して反対ではありません。しかしややもすると私どもの目から見ると、決してひがみではなくして、いわゆる日本国民感情というものが民主的に、しかも人間平等の基本的人権の尊重ということがだんだん徹底して参りまして、相当考え方が違ってきておる、それをさらに何か機会をとらえて昔の姿に引き返そうとするような保守反動的な力が非常にぶえてきたと思う。それに天皇という存在と結びつけて、天皇という存在を利用して、そういったものへ拍車をかけてくる危険が非常にある。先般の憲法調査会審議を通じて、清瀬文部大臣の御答弁を静かに聞いていると、文部行政責任者である清瀬一郎氏などの考え方には多分にそれが濃厚であると思う。こういった際に私どもは、天皇が、御自身意思は別としても、全国を行脚されるということは、今次長のおっしゃる国民感情と融和するという形が、スムーズに出る場合には大へんけっこうなんです。ところが今申しますように、政治的にもあるいは思想的にも、いろいろな意味保守反動の方へ逆戻りする一つの力にこれを利用されて、天皇至上の姿に引き戻すような危険を私は非常に感じる。  天皇が私の県にも見えたのですが、そのときにある中学生が最敬礼をしないというので非常なおしかりを受けた、あるいはまたある親が何かちょっとした言葉が出たために、支配的な連中から非常な攻撃を受けたということがある。あなた方はどういうようにお考えか知りませんが、具体的にそういうことが非常に強いのです。この点に対して宮内庁としてはどうお考えかとお尋ねすれば、そうしたことは全然ない、ないように努力しておるということを御答弁になると思うのでありますが、それはそれとして、具体的にそういうことは非常に強いのです。これは天皇存在についても非常に大きな危険性があるし、せっかくここまで民主化された天皇という姿に対しても私は非常に危惧を感じます。一面国民の側から見ても、何か大きな危険性を感ずる。そういう点で私がここで宮内庁にどのようにお考えかという御質問をしても、私の満足する御答弁はできないと思いますので、しいてこれに対する御答弁を強要するのではありませんが、私はそういうことを感じている。また現にそれがあるのです。  そこで、ぜひ一つそういう点を今後宮内庁行政の上において十二分に注意してもらいたいのですが、この点について、内閣委員会として宮内庁のことを担当しながら、最近においては宮内庁事務について何ら関与しなかったのですが、私は今後相当重大な関心を持っていか一なければならぬと思う。それでそういう点を私ども、非常に痛感するのでありますが、次長のお立場から率直に、今私の言った点に対する御見解でもけっこうですし、そういうことをお感じになったことがあるかどうか、あるいは第三者からそういったことを指摘されたことがあったかどうか、お答え願いたいと思う。
  21. 瓜生順良

    瓜生政府委員 今のお尋ねの御趣旨については、われわれはそういうつもりでやっておるわけであります。何か例があるかというお話でありますが、地方行幸なんかをなさる場合に、ときによりますと、地方職員の方だとか、あるいは会社の方あたりで非常にむずかしくお考えになり過ぎて、そうしなくてもよろしいというように申し上げることがやはりございます。たとえばどこかへおいでになります際に、その場所について特に経費をかけてよくされる、あるいはその並んでおられる場合の取扱いについて、ここらあたりは人が入っておられてもよろしいと考えている場所についても、場合によりまして遠慮されておられないというような場合もございますが、そういうときは、気のついた場合には宮内庁の方の立場で、それはこういうふうにしていただけばいいので、そんなにむずかしくお考えにならなくてもよろしいと言っておった例はございます。
  22. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 あなたは戦前から宮内庁におられたのでありますか。
  23. 瓜生順良

    瓜生政府委員 私は宮内庁に入って二年四カ月でございまして、その前は実は内務省の方で役人をしておったわけで、終戦後は戦地から帰ってきてから警察関係にいました。もとは内務省畑におった人間です。
  24. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 そうすると戦前の、旧憲法における天皇位置と現在の天皇位置とでは非常に変っておりますが、あなたは戦前から宮内庁におられぬとすると、非常にお答えが的確に出ないのですが、それでなくても現に天皇側近として仕事をされる立場として、天皇位置というものが、戦前天皇位置とは天皇にとってどちらがよろしいとあなたはお考えになりますか。今の方がいいとお考えか、あるいは戦前のような状態がいいとお考えか、この点についてあなたの御私見でけっこうですから率直にお答え願いたい。
  25. 瓜生順良

    瓜生政府委員 それは非常にむずかしいお尋ねでございまして、それは憲法上における天皇地位ということに関連してくるのでありまして、憲法上の問題につきましてはいろいろ論議もございますので、われわれといたしましては政治的に論議の過程にありまする問題には関与するような発言をしない、陛下の近くにおります者としてそういうようなことでおりますので、何とむちょっと申し上げかねるのであります。
  26. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 決して政治的な意味でおお尋ねするのではないのです。  この間も私は憲法調査会で、清瀬文部大臣といろいろ質疑応答したのですが、陛下人間的な立場を認めて、陛下自身の自由な意思における生活というものが望ましいと私は思う。しかし私ども天皇存在隔たりがあるのでありまして、これは私、一緒とは考えないのであります。しかし長い伝統の中に生きてこられた存在、でありますから、あるいは私どものいわゆる庶民的な考え方をもって一がいに律することもできないと思いますが、あなた方は側近にあって日常生、活をごらんになり、また天皇に接しておられて、常日ごろいろいろお考えになっていることと思いますので、どういう状態になったらいいかということを——あとで皇太子のことについて二、三お尋ねしたいと思うのでありますが、そういう点から、私、先ほど憲法上と言ったのは語弊があれば、一つ人間としての天皇のあり方が昔のように非常に束縛されて——私は現在でも衣だ非常に好い束縛があると思う。私たちは開院式に見えた天皇をながめてまことにお気の毒な気持がする。現在人間天皇という中にも非常な束縛と、また自由意思を無視された何か魂のない人形のような形で、無理じいをされている点があると思う。それにしても戦前はもっとひどかった。  そこで私は清瀬文部大臣に聞いたのです。あなたは憲法改正について天皇地位を何とかされるというお考えだが、あなたはざっくばらんに、天皇はどういう状態が一番望ましいかと、天皇自身の恩恵を聞いたことがあるかと言ったら、全然お聞きにならぬ、聞く必要はないとおっしゃる。私はやっぱり天皇自身意思を尊重し、それに基いて物事をきめていく状態が一番望ましいと思うのだが、やっぱり清瀬さんはおそれ多いらしいのでありまして聞かれないのであります。それはそれとして、憲法改正云々でなくて、天皇という人間の面を考えた場合、いわゆる昔のような状態がいいか、あるいは今の状態がいいか、あるいはさらにもっと民主的に、天皇自身意思によっていかにでも動き得るような状態までも進むべきが望ましいか、個人的な見解でもいいから——決して私はあなたの次長としての立場での御答弁を何かにしようという意思ではございません。私はほんとう天皇というものをそういった賞味で——天皇というものはこれは歴史的にあるのですよ。これを私は否定しようとも思わなければ−天皇制という一つ政治上の問題については問題ですけれども天皇という一つ人間的な存在については否定するしたいにかかわらずあるのですから、ある以上はやはり私は国民的にも、あるいはまた天皇自身をもなるたけあたたかい思いやりのある存在としていきたいと思うのですよ。それは昔のように、政治上に利用されるとか、いろいろな権力に利用されて、いわゆる国民の土に天皇という存在を利用して、天皇意思とはかけ離れて国民を非常に圧迫をし、国民を非常に経済的な搾取に利用する面については寸毫も私どもは仮借することはできませんけれども、そうでなくて、天皇という一つ存在があることについてはあまり文句はないのですから、そういう意味においてお尋ねしておるのであって、むしできたら、私はやはりざっくばらんといいますか、率直にその状態についてのお考えをお伺いできたら幸いだと思うのです。どうしてもお伺いできなければやむを得ませんが……。
  27. 瓜生順良

    瓜生政府委員 ここでは個人的な意見を申し上げてはいけませんから、個人的意見というのではなくて、次長としての考えを申し上げまするが、現在天皇国民の総意に基いて国の象徴国民統合象徴というお立場におられます。そのお立場をどういうふうにされることが最もその象徴たる、現在の時代における象徴としてのお役割を果されるのに適当であるかどうかということを考えまして、われわれはいろいろお世話を申し上げる場合に取り計っておるつもりでおるのであります。なお現在いろいろなさっておられまするよりはさらにもっと、場合によっては国民との親しさをさらに増すように、お出かけなども多くするとか、お会いになる方ももっと多くするというようなことも考えた方がよいのではないかと考えておるわけであります。しかし従来ともお出かけの機会、あるいはお会いになる機会、なお例の認証の書類なども相当にございまして、そうおひまであるということもないのでありまして、そうしよっちゅうお出かけになる、お会いになるということもできないのであります。さらに許される範囲ではそういうふうになさる方が、現在の情勢に即応した天皇陛下のお立場が発揮されるのではないかというふうに考えておるのであります。今御質問されておりまするお気持はわかるのですが、そのお気持の線とわれわれの線は決して逆ではないというふうに御理解になってよろしいと思います。
  28. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 現在の天皇はいわゆる古い教育と古い型の中に育った方ですから、これはなかなか急にはいかぬと思うのです。そこで皇太子は、これは新しい時代の息吹きを相当吸っておられるし、私どもはまだ小さい時分の皇太子には教育上でも、いろいろな面で非常に期待しておったのでありますが、最近「週刊朝日」に出比した「孤独の人」ですか、こういうことでみますと、せっかく皇太子が普通の人間的な状態で伸びようとするものを、これは私はあなた方の責任だと思うのだが、宮内庁のお役人さん方がまたぞろ今の天皇が踏んできたような型の中に押し込めようとするように、一般国民に非常に印象づけられておる。あの「孤独の人」という小説は学友の人が書いたのでありまして、小説でありますから、どこまで真偽かはわかりませんけれども、一応あれは皇太子に対する宮内庁当局の方針が非常に強く制約してきて、せっかく国民も期待し、皇太子本人もそのように伸びようとしたものを、急転直下に逆な、今あなたが御答弁なさったことと逆な方向に持っていくような事態が現われつつあると感ずるのであります。これは先ほど言ったように、今の天皇はもう過去の型の中で育った人でありますから、これを急に変えることは無理でありましょうから、私どもはなるたけ無理をしないようにすることを期待するのでありますが、せめて皇太子は、これは今も申しますように、新しい時代の中の息吹きを吸った人でありますから、先ほど言ったようなことでいけるものと、実はひそかに期待をしておったのでありますが、それがどうも最近そうでなくなったというように国民もそれを感じ、非常に落胆しておる。これは何かやはり、私が先ほど申し上げたことは相反しないように次長はおっしゃるけれども、具体的には皇太子等の例によって、逆コース的なことがあるのではないか、こう思うのでありますが、これに対する御見解を承わりたい。
  29. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇太子さんのことに関連して、ある学友が何か本を出されるというようなことで新聞の記事がありました。その本はまだ出ておりませんので、よく読んでおらないのでありますが、皇太子さんの将来の進み方については、なるべく人間として成長されていくように考えておるわけでありまして、そうむずかしく考えておるわけではないのでごいます。しかし皇太子殿下というお立場におられるものでありますから、非常に皆さんの関心も深いのですし、どこかへお出かけになっても、たくさんの方が集まってこられまして、自由にそこらあたりを散歩されるというわけにもいかないというようなこともあり、またときには、とう言っては何ですが、利用しようという方もあって、だれとでも自由に擬せられても、あとから御迷惑をされるようなこともなきにしもあらずというようなとともありますので、そういうような点で、将来天皇となられるお立場におられる方としての行き方ということについて、また別の面からそう普通の青年と同じようになさるということも無理な点がある、こう存じて、周囲の者としてお世話する場合にはそういうようなことも考えております。そのことが場合によると何だか周囲の者がむずかしいことを言っておって、皇太子殿下を孤独の人にしておるというようなふうに考えられる人があるかもしれませんが、皇太子殿下は学友とも、われわれがときに横で拝見しておりましても、普通の青年と同じように、実に喜々として愉快にお話になり遊んでもおられるわけでありますし、またいろいろお出かけの機会も、昔から比較しますと、ずいぶんお好きなものということもありますが、音楽会とかそういうところへはずいぶんお出かけにもなっておられます。またお好きな運動競技の大会などにもたびたびお出かけになっておられるわけであります。そういうような点で、そうあの本に現わされておるよう宏、そんなことでもないようにも思うのであります。その本を読んでおりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、そういうような気持で将来も皇太子さんのお世話をしたいと存じております。
  30. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 宮内庁の人たちの考えておることは少しおかしいと思うのです。競技会や音楽会等に出力けられることが、必ずしも人間的な、国民とのつながりとは思わぬのです。出かけましても、出るときにとにかくえらい警戒をし、行っても周囲には宮内庁の役人とか政府の高官とかいったような特殊な存在の諸君が取り巻いておって、ただ同じ会場におるというだけで、同じ会場にありながら全然一般の者とはそこにつながりがない。こういう状態では私は幾らどこへ出かけられてもだめ、かえって逆だと思う。もっと英国の皇室のように——英国の皇室がいいか悪いかは別として、先般もニュースを見ておると、皇太后が競馬馬を持っておられてダービーに出して、自分の馬にも一般国民がかけるし、自分も馬券を買ってそして競馬場の中でみんなと一緒に楽しんでやっておる状態、これはニュースですから、どこまでどうだかわかりませんけれども、こらいったようにはっきり英国の国民と英国の皇室というものは、教科書で教えたり、あるいはだれかが強制するのでなく、自然の形で生まれておる、そう思うのですが、とにかく日本の場合には、こうだこうだと一生懸命教えながらも、感じがだんだん国民と遠ざかっていく。先ほども私が言ったように、私は志賀高原で偶然皇太子と同じゲレンデに出てスキーをしたことがありますが、あのときは別に警戒もないし、自然の形でスキーができましたし、皇太子も非常にうれしそうな姿でスキーをしておりました。たとえば下手でころんでも、ころぶと思えばまたその周囲のスキーヤーは非常に親しみを感ずるのです。あれが皇太子が猪ヶ谷みたいに非常に上手で、われわれと段違いに上手だったら案外親しみを感じない。へっぴり腰ですべってころんでいるところにむしろ一般スキーヤーは親しみを感ずる。同じように、皇太子は一般人間と精神的にもあるいは学科的にも隔絶して偉いというときには、国民からかけ離れたものになる。この間も進学問題であなた方が頭を悩ましておりましたが、学校の課程が足りなければ原級にとどまるのは当然であって、そこに私は国民の中に解け込む姿が一つあると思うのです。それをしゃにむにそうでないようにするところに誤まりがあると思う。そういう意味において私は今度の孤独の人、これは別として、そういった今あなたのおっしゃった演劇やスポーツを見に行くから、国民と一緒にあるという考え方の中には、非常な誤まりがあると思う。もっと密接なつながりを持つような、たとえばあるいは利用されるというが、利用されてもいいではありませんか。利用されるような皇太子の方に国民か非常な親しみを持っているのです。もちろん悪質な利用に対しては困るのです。もっとその点で宮内庁という組織考え直してもらうことがいいのではないか。この点について私は機会を見てぜひ宮城に出かけていって、宮内庁のあなた方の仕事の様子や何かを見たいと思う。私どもがそういった心配をするのは、天皇存在を利用する……(「杞憂だよ」と呼び、その他発言する者あり)この人たちはそうなんです。この人たちは今や利用しようとかかっている。利用されては困るのだ。  それともう一つ最後に聞きたいことは、先般原爆の図に対して、天皇、皇后それから皇太子並びに義宮に、こういった日本の一番大きな悲劇であり、再びこういう悲劇を起してはならぬような原爆の一つのあの状態を、これは主催者がおおったのかあるいは宮内庁の指図でおおったのか。さっきの皇太子の意見は私は一つの希望として言っておきますが、今の原爆関係のものを天皇初め皇室の皆さんに見せなかったのは、宮内庁意思かあるいはその博物館その他の意思か、この点に対して一つ伺いたい。
  31. 瓜生順良

    瓜生政府委員 原爆の写真のことは宮内庁意思ではありません。あの日写真展に出ています目録がありまして、その中にやはり原爆写真の分もございました。そのままこういうものがありますというので、陛下の方にもお上げしてあったわけであります。その日おいでになりましたら、そこに白いカーテンがかかっていたということで、これは聞きますと、展覧会の実行委員会の方でそういうふうになさったので、宮内庁の方の行った者はかえって面くらったような形であるわけであります。
  32. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 それは一度ならず二度も三度もあるのですから、次の機会には宮内庁からそういうことがないようにといったような連絡でもなさったらいかがかと思うのです。また長崎に義宮が見えてあそこでまたやられるということでは、やはり国民感情に非常に悪い影響を与えるのです。私が先ほど来心配してお尋ねし、御意見を申し上げたことを事実が具体的に証明しているのです。そうなると、私どもが今せっかく皇室というものに人間的な好意を持ちながら、今後の皇室、天皇という存在に対してわれわれは相当第六ね決意をしなければならぬ。それではいかぬから、そういうことがないように私は非常に好意的な考え方でものを申し上げておる。しかし始終そういうことをなさって、私どもの心配する天皇という存在がかつての戦争前のような天皇ということになると、これはもうどうあろうと私どもとしては絶対に承服できないのでありまして、思い切った措置を考えざるを得なくなってくる。それではいかぬから実は前もって心配をし、いわゆる人間的な気持で、過去の私ども感情を全部洗い流して申し上げておる。ところがあなた方は、今御答弁では私どもと同じようなことをおっしゃるけれども、具体的な事実としては、原爆の問題にしても、ああいう問題が逆な面で出てくる。さらに国民もそれを感じつつある。せっかく国民も今天皇というものに対して昔の悪い思い出をだんだん忘れて、新しい存在の中に解け込もうとするときに、そういうことが次々になされると、私は逆行になると思う。そういう意味で私は今度のことはそれで宮内庁の御意向は大体わかりますが、今後そういうことのないように、あったら、今度あなたが幾ら答弁なされても、やはり依然として宮内庁の中に昔の天皇というものに対する一つの郷愁が残っておって、機会があったらいわゆる保守反動と結んで、再び天皇というものを昔の天皇の座に押し上げようとする動きがあるものと私は断ぜざるを得ない。私はそいう気持存持つから、その危惧がないようにしたいと思う。従いましてこれは質問でなくて、私の宮内庁に対する一つの希望として申し上げますが、私ども政治的に天皇というものに対していわゆる重大な決意をさせないような状態に、今後ぜひ運用願いたいと思う。私はこれを希望してきょうは質問を終ります。
  33. 山本粂吉

    山本委員長 受田君。
  34. 受田新吉

    ○受田委員 私は宮内庁法改正案にきまして、さらに時間をかけてお尋ねしなければならぬことがありますので、次回に質疑を残しておきますが、この長官官房の仕事の中で、用語の点とまた職務の内容にも関係するのですが、二、三指摘申し上げておきたいことがある。それは宮内庁法第一条の三に幾つも事務が掲げられてある中に、「賜与及び受納に関すること。」それからもう一つは時従の項のところに「側近に関すること。」側近というような言葉、賜与というようは言葉は、はなはだ差別的な、高いところから下へたれ給うような印象を受けるのでありますが、何かもっと適切な用語がないでしょうか。御答弁願いたい。
  35. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この用語の問題につきましては、先日の御質問に対して申し上げましたのですが、いろいろ検討はいたしたのであります。なお現在も検討をして将来はまた考えていきたい点もございますが、今お尋ねの賜与というのは、これも一般の方のお気持と相呼応して、国民の総意に基いて家政とされるその総志が那辺にあるか、どういうふうにしたらいいだろうかということを考えまして、今までのところ、これがあることがかえってお気持に合うようであるので、こうして残しておるのであります。あとの「側近に関すること。」——側近というのはほんとうにそば近くということで、これは字の通りでございまして、そば近くにいていろいろお世話をする。われわれの方はちょっと離れておりまして、事務的なことをやっております。そういう違いがあるわけであります。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 側近というのは陛下に奉仕することですね。陛下がもったいないから側近に奉任する——おそば近くなどということも用語としては非常に尊敬の意を表明した点においては認めざるを得ないのでありますが、陛下自身も、また皇太子御自身も大衆の中に解け込みたいという気持もあるし、最近山口県、岡山県に行幸されたのでありますが、山口県下においても民衆の中に解け込みたいというお気持を持っておられる。国民象徴であり、国民とともにある陛下としてのお気持を表わそうとしておられるのに側近に奉仕する人々が非常に大事にして、陛下を民衆から離れさせるという気持があるので、この点は少くとも宮内庁としては陛下側近の事務を担当されておる立場から、陛下をして国民から遊離せしめないような加冠をとられないと、せっかく民衆とともにある陛下として、陛下自身が宣言をされておるのと逆な方向へいくおそれがあると思う。そういう点については十分心していただきたい。特に皇太子殿下も成人されたことだし、皇統譜令という従来の皇室曲節に基いた規則も出ておるわけで、皇統連綿として続くであろうという皇室の繁栄のためにも国民とともにある至宝として考えてあげなければならぬと思う。そこでこれに関連してお尋ねするのですが、皇統譜令にやがて示されるであろうところの皇太子妃を冊立されるということについては、世上いろいろと議論がされておるのでありますが、皇太子殿下の妃殿下にはどなたをお迎えするかというのは今や国民関心の中心になっておるのです。しかも皇室の繁栄はまた国民の喜びとするところであって、国民とともにある皇室として、その喜びの日を迎えたいという気持は国民のひとしくこれを認めておるところであります。皇太子妃について世上いろいろね批判、憶測が行われておって、いろいろな角度からいろいろな候補者も出ておるように書かれておるのでありますが、宮内庁としては皇太子妃を冊立されることについては、今どういう御見解を持っておられるのか。皇太子殿下の意思を十分尊重された措置がとられておるのか、あるいは皇太子殿下の意思を無視していろいろな擁立運動が行われておるのか。いろいろな揣摩憶測が行われているのを解消するためにも宮内庁としての御意見を拝聴申し上げたいと思うのであります。
  37. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇太子妃の問題についてのことでございますが、現在新聞、雑誌などで相当騒がれておりまして、今にもきまりそうに書いておるのでございますが、実はまだそう具体的にはなっていないのであります。しかしわれわれは職務上当然どういう方が候補者によかろうか、適当と思われる年輩の女性の方にどういうのがあるだろうかというので、広く調査はいたしておるのでありますが、それじゃこういう方が有力だというような段階にはまだ達しておらないのであります。ところが外部で少し騒がれ過ぎておるような状態でございます。  それからなお皇太子殿下の御意思を無視して進められるのじゃないかというような御心配の点は、そういうことはないように常に心がけておるのでありまして、現在それほど具体化の段階でなく、この調査をしておる段階においても、その状況については皇太子殿下にも申し上げ、また皇太子殿下のお気持なんかも聞いておりまして、またそれによってさらに考えていくというふうに調査をいたしておるのでありますから、何か無理に横の方できめて押しつけるというような御心配はなさらなくてけっこうであると思いますので申し上げた次第であります。
  38. 受田新吉

    ○受田委員 皇太子殿下はすでに意中にある女性を描かれておるというような、そういうことはないのですか。次長としては皇太子殿下の御意向も伺ってというように、今あなたのお言葉にあったが、皇太子殿下はあなた方にどういう御意向を示されておるか、その皇太子殿下の御意向をお伺いしたい。
  39. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇太子殿下に特に意中の方があるということはございません。御意向というのも、これを言いますと、よたも新聞、雑誌が騒ぎますし、またいろいろな娘さんを持っておられる家庭に御迷惑を与えることが多いのでございまして、従ってそれは遠慮させていただきたいと思います。しかしなお御意向と申しましても、やはりこれは縁のものでございまして、われわれの兄弟や何かでも結婚する前にいろいろ言っておって、これはいいと思って結婚した人が、対象として前もって言っていた方と違う場合があるのですが、お気に召す方がぽっときまるということもあり得る、そういうこともありますので、御意向ということについてここで申し上げることは私は遠慮させていただきます。
  40. 受田新吉

    ○受田委員 そうするとあなた方には皇太子殿下の御意向はある程度伝わっておる。あなた方は胸中に皇太子の御意向を含みながらいろいろと調査しておられるということに了解してよろしゅうございましょうか。
  41. 瓜生順良

    瓜生政府委員 おおむねそういうふうに御了解願います。
  42. 受田新吉

    ○受田委員 あなた方は非常に光栄な立場にある人であって、われわれには御意向がわからない。あなた方だけは皇太子の御意向を体しながら候補者の選定に当っておられるという、まことにうらやましい限りでありますが、私はもう一つ、皇太子殿下もお年ごろになられたことだし、またすでに胸中に描かれておられるあらまほしき女性の姿もおありだろう思うのですけれども、皇太子妃に決定される対象となる方は、これは身分、門地、性別……(笑声)失礼、性別は別ですけれども、家柄とかその他のいろいろな条件に制約を受けているようなことがあるのかどうか。この点、日本のあらゆる女性に喜びの候補を立てて選定される資格があるのかどうか。あなた方の方では事務においても調査においても粗漏がないと思いますが、対象とされる女性の方はどういうところに限界線を置いておられるのかをお伺い申し上げたいのであります。
  43. 瓜生順良

    瓜生政府委員 以前でありますると皇族それから五摂家の方、特に限定された華族の方というふうにまっておりましたのですが、現在はそういう制限もありません。しかしやはりしっかりした家庭の中で育てられた女性の方でありませんといけないと思います。特に家柄がどうのこうのというよりも、しっかりしたいい家庭に、よくしつけを受けて育ってこられた方というふうに考えております。従って相当範囲が広いだけに、調査もそう簡単ではないのでございます。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 そういたしますると、もとの皇族の方あるいは五摂家の方、清華家とかいろいろあったわけですが、公侯伯子男、もと華族の身分にあった人でなければならないとか——もと皇族の方、もと華族の身分にあった人を対象として調査するというふうな形に進んでおられるのではないでしょうか。
  45. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そういう範囲も調査の範囲に入りまするが、先ほど申しましたようにもっと広く、しっかりした家庭に育てられた方というふうに思っております。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますると、年ごろの女性はすべて皇太子の皇妃になる光栄をになう可能性があると断定できますか。
  47. 瓜生順良

    瓜生政府委員 これはむずかしいお尋ねでありますが、先ほど申しましたように、しっかりした家庭に育てられた方でありますれば、年ごろの方はみね調査の対象になるということは申し上げておきます。
  48. 受田新吉

    ○受田委員 これは全女性のはなはだ喜びとするところで、年ごろの女性に、非常な希望を胸に抱かせることだと思います。  もう一つ、清宮さんの降下——この降下という言葉は私気に食わぬと思いますが、お相手になられる男性の方に、天理教の御曹子がおなりになるのではないかということが今世上いろいろ伝えられておりますが、この内定の皇女、天皇のお子様としての清宮さんの御結婚については、宮内庁丁としてはどういう御意見を持っておられるのでありましょうか。
  49. 瓜生順良

    瓜生政府委員 清宮様の御縁談については、まだ全然その調査の段階にも入っていないわけでございます。先日ある新聞、ある週刊雑誌にお尋ねのようなことがいろいろ書いてありましたが、われわれの方から言いますると、これは全然事実無根のことで、相手方の方でそういうことを言った方があるようでありましてああいう記事になっておるのでありますけれども、根拠のないことでございます。
  50. 山本粂吉

    山本委員長 江崎君。
  51. 江崎真澄

    ○江崎委員 さっきの受田君の御質問に関連して、皇太子妃のことについてお尋ねをしたいのです。これがどうも世上騒ぎ過ぎることは、新しい姿の皇太子、近代の皇太子という交錯した環境において、社会とかあるいは特に言論機関等が問題にし過ぎるというような傾向、これは否定すべくもありませんからやむを得ぬことです。やむを得ぬことですが、この問題についてあなたの方、宮内庁側ではどういうふうにお考えになっておられるか。これはもう時に新聞、時に週刊雑誌あるいは婦人雑誌、あらゆるものに出てくるわけです。こういったものは自由にほうっておくより仕方がないものでありますが、特に今度「孤独の人」という皇太子のかつての学友の方が暴露的な小説を——現実小説だというふれ込みだそうですが、そういう小説ができる。そうするとこの小説が脱稿しないうちに、各映画会社が競って映画化を考慮しておる。こういった問題は、ただに宮内庁考えられることよりも相当国際的にも、言うならば影響もあるところでしょうし、あるいはまた国民感情に与える刺激ということも、これは相当軽視できぬものがあるだろうと思う。こういったものに対してのお考え方はどうなのですか。
  52. 瓜生順良

    瓜生政府委員 現在の建前で、特に事実を曲げたようなことが書かれております場合には、その新聞雑誌、そういうものに対してそれは違うからというふうなことは申しておるわけであります。しかしいろいろな書き方でなかなか巧妙に書いてあります。その逃げ道があるように書いてありまして、なかなか特に注意をするような書き方にはなっていないのが多いのでございます。なお今の皇太子殿下に関するある本のことにつきましても、内容を見ないとわかりませんのでありますが、これは小説だからそのままを書いたのではないというふうに言うであろうと思いまして、これも小説なるがゆえに特に注意するということは、何かむずかしい点があると思うのであります。現在言論、出版の自由が尊重されておりまするそれと矛盾しないように、われわれの方も配慮しておるのでございますので、そういう点はどうかなと思うことがありましても、そうむやみに発言ができなくて困る場合もございますが、これもやはり一つの現代の社会の現われの姿と思いまして、それに即応することについては将来も研究いたしていきたいと思います。
  53. 江崎真澄

    ○江崎委員 その通りだと思うのです。それで言論機関に抗議を申し込むというようなことは、これは時代、情勢等を考えてみましたところで、まさかあり得べきことでもない。そうしますと皇太子妃の問題というものは相当厳粛に取り上げられなければならぬというこの事態、この場面において、おおよその見当——まだ今学習院の聴講生の課程を終えられたばかりで、これから社会万般にわたってほんとうの学問をなさるのだということを、この間学習院の御卒業のあの場面でいろいろな見解が表明されておったですね、そういうときに、普通の一般の家庭の常識をもってすれば大体結婚のめど、何才ごろになったら結婚なさるのだとか、あるいは大体こういうような姿においてきめられるのだということは、おおよそこれはきめられるべきものだと思うのです。そういうことが世上にはっきりと示されないことが、いたずらに皇太子の身辺というものをわずらわしくさせて、同時にまた皇太子妃候補者というような人々に大へんな、さっきの受田君の話ではないが、富くじでも当てるような好奇心、これははたから見る者と受ける本人とでは、大へんな違いがあると思うのです。これは宮内庁としてもっと責任感じられなければならぬ。言論機関やその他の機関に抗議を申し込む事態でない以上は、これは国民的関心事である、その関心はいろいろな見方があると思う、いろいろな角度からの関心です。けれどもただそれをそのまま野放図に野放しにしておくということは、宮内庁として、責任の衝にある人としていささか考慮の足りない点があるのではないか、これを私は心配する。これが一点。  それからもう一つ、ついでにちょっとお尋ねしておきたいのです。どうも非常にうとい話で恐縮ですが、皇太子は満何年何カ月になられまするか、ついでにちょっと承わっておきたい。
  54. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇太子殿下のお生まれは昭和八年の十二月二十三日であります。そうしますと二十二才と四ヵ月になります。  それから前段の点につきましては、実は皇太子妃の問題について新聞なんかにもいろいろ書かれるものですから、記者との定例会見といろのを私は毎週一回やっております。宮内庁長官は月に三回やっておりますが、その場合に、何も切迫していないのだ、そんなに書かれてはいかぬのだというふうに申すのでありますが、何か隠しているかのようにとられるのであります。われわれの言うことを信用なさいといっても、いや、どうだろうというので、以前にそう言っておいてぱっと出たことがあるからとかなんとか、だいぶ古い話をされたりして、その点が遺憾な点があるのでございますが、やはりそうした記事を作ることで生活の資を得ておられる方もあるので、そういう方の宣伝がまたきいたりいたしまして、遺憾なことだと思うのですが、全然手を打っていないわけではないのでございます。
  55. 江崎真澄

    ○江崎委員 時間がだいぶ過ぎますから簡単に結論存急ぎますが、これはもうちょっとざっくばらんにお話ししょうじゃないですか。今のようなそういううわべの御答弁だけでなしに、私は真剣に考えてもらわぬといかぬと思う。今の結婚問題というのは、二十二才四ヵ月が若過ぎるとかあるいはおそ過ぎるとかいろ標準は、これは個人的な問題であって、はたからとやとう言うことではないと思う。けれども、戦後の一般社会——宮中のことは一般社会は例になりませんからともかくといたしまして、二十二才四ヵ月というこの御年令は、もし御本人にして結婚の意思しばらくなしとせられるならば、特にこの間学習院の課程を終えられるあの場面においても、先ほど申し上げたように、一般社会学をこれからは勉強するのだというような非常に輝かしい、将来の希望に満ちた抱負を述べておられる皇太子にして、そういう御意思がないということであるならば、いっそのこと、はっきりととこ二年や三年は当分ないのだ、いや、少くとも二年以内はあり得ないのだとか、そういうようなことを、これも御本人の意思に基いてでありましょうが、ある程度表明することは決して悪くない。むしろあなた方が、まだまだそんなに差し迫った問題ではないのだといいながら、何となく新聞社の関心をそそるようなそこに現実がある。だからこれがこんなにもめる。皇太子の学友が優先的に新聞社へ採用されたり——それはまず第一の要件は、皇太子妃の問題を特種としてとるのだというような暗黙の了解があると聞くに及んでは、これはいかにもあなた方は無責任ではないか。これはたとえば四月一日に東久邇稔彦氏が鳩山邸におなりになる、これは皇太子妃がきまったのだというので、時ならぬ日曜日に新聞社が色めき立つというような場面がある。これは少し思わせぶりが多いのじゃないか。事実候補選定の具体的段階に入っておるということなら、これは発表して決して悪いことではない。そこに、逆に言えば宮内庁の少し古い点があるのじゃないか。これはもっと露骨に、ある程度はっきりと打も出される方がいい。それは結婚されるとかあるいはされないとか、これくらいのめどは、二年ということが言いにくいのであるならば、向後一年以内はとかそういうようなことにして、もう少し皇太子というものを縛りつけない自由な姿に置くことは、言うところの側近としてのあなた方の責任であると私は思う。これはどうですか。もうちょっとざっくばらんにお話ししょうじゃないですか。
  56. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この点は宮内庁長官ともいろいろ話しておることであります。ところがそれでは二年以内はきめない、一年以内はきめないとそうはっきり言ってしまっても困るようなこともありはせぬか。やはり調査を進めていく場合において、ある時期において、縁のものだから比較的早くき上る場合もあるかもしれない、あるいはないかもしれません。急いでおりませんが、そういうわけであいまいなものがある。実態がそうなんですが、これは御結婚という問題は、やはりいい女性が見つかって、ほんとうにお気に入ってそこできまるわけのものですから、何か普通の仕事をきめるように、いつまでに、こうきちっといきかねる面がある点は御了解を願いたいのです。そういうちょっとむずかしい問題だけに、何年計画というようなことが言えないのであります。なおその点はいろいろ調査をしておる、どういう人を調査しておるかということは、広い範囲で、それなら何十人、何百人でも言ったらどうかということになると、その場合に対象になった娘さんの方が期待を持たれる。そのうちにだれか一人きまられる、落第される方は非常に困られるという、娘さんに傷をつけるようなことがあってもいけない。そういうことがあるものですから、なかなかこの話がしにくい点がございますので、そういう点も御了解願いたいと思います。
  57. 江崎真澄

    ○江崎委員 それは大体あなたのお説を承わっておると、やはり新聞社が色めき立つはずで、相当近い機会にありそうな印象を受けろ。縁のものだからわからぬということはごもっともですが、責任の衝にある人は、ただ親戚が、縁のものだからわからぬといって、遠縁の娘の縁談を見ておるような、あるいはむすこの縁談を見ておるような気持であっては困る。少くとも一般社会学を一生懸命勉強しようという皇太子が、世上で総理のところに稔彦さんが行った、結婚の問題だ、あの雑誌を見れば、この週刊誌を見れば結婚問題結婚問題、こんなことでほんとうの勉強ができますか、あなたの若いころのことを考えてごらんなさい。それは世間は責任がないのだ、新聞社に、雑誌社に責任はないのだと言えば、それはそれまでですが、しかしこの勉学課程にあられる皇太子を、将来の天皇になるべき人をそういう環境に置くことが一体いいのか悪いのか、それをしもいいのだと言えば別です。けれども、あなた方としてもう少し責任ある姿において、こういう問題というものは皇太子がわずらわしくないように、またそういうことばかりに騒がれると、つい若い者というのはそれに気をとられがちなんです。これはお互い同士の若いころを一ぺん考え合せてみると、相当真剣な問題として考えなければならぬことだと思うのです。だからそういう点においてあなた方の御注意を喚起したい。皇太子の結婚式はいつだ、どうだということよりも、そういう環境に皇太子を匿いていいかどうか。縁のものだから仕方がない、世間が騒ぐのは勝手だ、それは無責任過ぎるというものです。これは宮内庁長官ほんとう責任ある御答弁をいただきたいところですが、これはよほど御考慮になっていただきたい。希望として申し上げておきます。  それからまた同時に最後に一つ承わっておきたいのは、二十二才四ヵ月という若い場面で、縁のものでわからないというあなたの御答弁だけでなしに、多少こういうものは議論に上る環境にあられるというふうに考えられるならば、それは陛下の御希望がなるべく早くめとらせようという御希望か——これはよく世間にあることです。親がなるべく早くむすこに嫁をとらせよう。いやいやそうではない、自分はまだ若いのだから、しかも両親は健在だからもうちょっと世の中の苦労もさせ勉強をさせる。これは世間にあることです。あるいはまた本人が、親はその気持がなくても早く自分は嫁をとりたいという気持がある場合もございます。あるいは両方ともが意見が一致した場合というものがあるわけでございます。これはあなた側近におられる人として具体的におわかりになっておると思われる。なるべく早くもらった方がいいという見解陛下はお持ちなのか、あるいは御本人もお持ちなのか、あるいはまあそんなに急ぐ必要はないのだというふうにお考えになっておるが、とかく世間がうるさいのであるのか、その辺は具体的な問題ですからお答え願えると思いますが、これはどうですか。
  58. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その点は私直接陛下からは承わってはいないのであります。長官がお会いして聞いておると思います。私は正確なことは存じません。結局はそうおそくまで延ばすということでもないでしょうし、すぐということでもないという、今われわれがいろいろ検査しておるのがちょうどそのベースに合っておる。ですからある世度のところでなるほどという方が見つかって、その時期が来れば——非常にあいまいなようですけれども、そういうようなことでお察しを願いたい。
  59. 江崎真澄

    ○江崎委員 今ちょっとあなたに御要望として申し上げておきました。こういう環境に果して若い皇太子を置いておいていいかどうか、若い者がそういう結婚問題で騒がれれば、自分に本意がなくても、ついそういうことに気をとられやすい。それが果して一体、これから一般社会学をしっかり勉強しよろという立場の皇太子に適切であるかどうか、とれについての責任ある御回答は、一ぺんよく承わらなければいかぬと思う。これはあなた方の責任ですよ。皇太子のことが議論に上るのは、これは世間の勝手だけれども、あなた方の責任をいかにされるのか、これは一つ責任ある御答弁を近い機会に承わりたい。
  60. 山本粂吉

    山本委員長 暫時休憩いたします。午後一時半より再開いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕