○受田
委員 今や皇室の事務を担当される職員の
方々も公務員法によってはっきりと身分が確保されてお了のでありますし、また宮内庁という役所も
国家行政
組織法の一環として成立しておるのでありまして、この点におきましては、古い伝統をそのまま残すほどの必要はないのではないか。むしろ宮内事務官というような形にせられて侍従という
言葉におきましても、陛下の直属の事務を取り扱う事務官としては、それに相当した名称を用いた事務ということにておけばいい。何か一貫して書記官とか事務官とかでまとめることができると思う。参事官という
言葉も非常にいい
言葉だと思うんです。参事官、事務官というような形で、それに宮内という
言葉をつけて宮内参事官、宮内書記官、宮内事務官という形にされて、特に陛下の直接おそばの仕事をされるということになれば、宮内秘書官というようなことにされてもいい。いろいろ
言葉の使い方はあると思うんです。昔の内侍従、典侍という陛下の身辺をお世話なされる女性の人々の名前にも、そういう
言葉がつけられ、それが権という
言葉がつけられて階級が設けられたこともある。こういうことやら、そして個々の
言葉の中に皇子のふ育官というのがある。この
法律の中にふ育という
言葉は養育という——皇子を養育されるお仕事で、おそばでお守をされるということになれば、ふ育の「ふ」という字の漢字がないものだから、そこでかなでふ育とつけられたわけです。ひらがなで「ふ」とつけて、ふ育官などということは、あまりに変なことなんです。役目の名にひらがなの「ふ」をつけてふ育官というような役目があることは、官職の統制の上からも私は感心しないと思うんです。従って皇子を養育されるなら、養育というはっきりした——ほかの役所では見ることのできない特別の
言葉、昔の官職要解をひもとかなければわからないような
言葉が出ておるわけで、この点新らしい時代感覚をもった官制の上からは、できれば皇室事務に当りましても、一般行政事務とことさらに変った名称を用いないように、また
国民にもことさらに変った——皇室であるという特権的な印象を与えないために、
一つ名称全般について御考慮をされる時期がきているんじゃないか、特別職の職員の中に、皇子ふ育官というのがあって「ふ」とひらがなで書いてあるこの
言葉などを見たときに、現在では一般職、特別職の公務員を通じ、あるいは地方の公務員を通じてみても、ひらがなを使った名称のある職名というは、全然ほかに見当らないと私は思うんです。こういう点において宮内庁法、あるいは宮内庁法の施行令に、でき得べくんば名称において印象的に特権的な意識を
国民に与えしめないように、変更をされるところの御用意がありはしないかと思う。今回の法改正に当りまして、おそらく私のこの見解については賛成される方もあろうし、また反対される方もあろうと思いますが、反対される方も、ひらがなを用いなければならないような、皇子ふ育官のような名前が厳として残っているというにおいては、何らその改正に
異議を持たないと思うのでありますが、御
所見を
伺いたいのであります。