○石橋(政)
委員 呉市の六千五百人の英連邦軍関係の失業対策というものを重点に
考えておられるようでありますが、私先ほど申し上げたように、米軍関係の撤退が大幅に行われるということもこれはほとんど確実であります。現に東北あるいは九州の各県において、その予告を受けてここ数ヵ月のうちに解雇されようとしておる人も相当あるわけであります。この点は労働省も一応調査しておるようでありまして、二月三十四日の読売新聞にも、労働省の調べによると、という書き出しで、七月ごろから大体一万五千人という大量の解雇が予想されておるということを、はっきり出してきておるわけであります。ただいまの御
説明を聞きますと、駐留軍関係労働者の給与が比較的高いとかそういうような表現で、一般失業対策に行きたがらないのだというふうなことを強調されておりますけれども、これは一方的な片寄った見方ではないか、私このように思うわけであります。駐留軍関係労働者の給与が一般公務員に比べて高いというふうには決して
考えておりません。
一つのワクの中にはめて、たとえば基本賃金とかいうようなものだけを取り上げて云々すれば、それはあるいはそういうことも言えるかもしれませんけれども、たとえば公務員に適用されております恩給とか、あるいは身分の保障とか、その他共済関係の措置とかいうふうなものを全部ひっくるめて考慮していった場合に、決してそういったような線は出てこないわけであります。退職金の問題
一つとってみましても、この率が駐留軍労働者の場合に公務員よりも劣っておる。従って公務員並みにしてくれというのが、関係労働者の現在一番大きな念願になっておることも労働大臣は知っておろうと思うのです。そこでそういうふうな見方をされるのではなしに、やはりもう少し積極的に、こういった大量の駐留軍労働者を何とかしてやろうという熱情を持っていただきたい、私はこのように思っておるわけであります。現に終戦後十年間という長い間、駐留軍労働者がどういうふうな苦しい目にあってきたかということは、大臣もよく知っておられるはずであります。風俗慣習その他違った職場にあってどんな目にあってきておるか。それだけではない。駐留軍の
基地の中で働いておるというだけで、
日本の国内法による保護すら受けていないという例がたくさん出ておることは、これまた御承知の
通りであります。十二月の臨時
国会においても私この点
質問いたしたのでありますが、当時取り上げました問題がやや具体化して参りましたので、あわせてここで
説明をし、そうして大臣の確答を聞きたいと思うのでありますが、あのときに
説明いたしました青森の三沢の
基地で起きたコックの事件でありますが、湯川というコックがエビフライの半煮えのものを食卓に供したという理由をもって解雇された。ところが実際はそれが理由でない。また本人はその責任は全然ない
立場にあった。そこで不当な解雇であるとして地方労働
委員会に提訴した。地方労働
委員はこれを不当労働行為と判定して救済命令を発した。ところが米軍がこれに従わない。仕方がないので青森の地裁にこれを提訴いたしたわけでありますが、この青森の地裁が非常に奇妙な判決を下しておる。結局地方労働
委員会で下した不当労働行為というものは認めておりながら、その点には何ら触れないで、今の行政協定の
範囲の中では、米軍の中佐がそういった行為を犯したからといって罰を加えることは何もできない、どうにもならないというような裁定を下してきておる。こういった問題を果して労働大臣として見のがしていいものかどうか。明らかに不当労働行為であるという判定が下っておる。その点何ら救済措置を講ぜられないというような
日本人労働者が出てきておってもかまわないのであるか。先回もお話申し上げたように、もし
日本政府の責任でどうしても米軍に国内法を適用させるだけの自信がないとするならば、米軍が直接
日本人労働者を雇うというようなことを禁止する、全部
日本政府が一応雇って米軍に提供するという間接雇用一本の方式に切りかえてしまったらどうか。あるいはまた行政協定そのものを改訂して、そういう疑義が生じないように、十二条あるいは十五条で明示されておるように、駐留軍に働いておっても、
日本人労働者は
日本の国内法の適用を受けるのだという、これが不明確だ、あいまいだというならば、不明確でないように、あいまいでないように明確に行政協定を改訂するというところまで持っていくのが、労働大臣としての職責上の義務ではないかと思うわけです。少くともアメリカ人だからといって、国内法を無視して、そういう非行をやっているのを指をくわえてながめておるということは、絶対にあるべからざることだと思うのであります。この点間接雇用一本にしたらどうか、あるいは行政協定を改訂したらどうかという私の
質問に対しまして就任早々であるから少し研究させていただきたいという
答弁であったのでございますが、その後の研究の結果を
一つ御
答弁願いたいと思います。