○倉石国務大臣 ただいま議題となりました
昭和二十三年六月三十日以前に
給与事由の生じた
恩給等の年額の改定に関する
法律案について、その
提案理由及び概要を説明申し上げます。
この
法律案は、去る第二十二回
国会の衆参
両院内閣委員会における恩給法の一部を
改正する
法律の一部を
改正する
法律案審議の際の付帯決議の主旨に従い、
昭和二十三年六月三十日以前に退職し、もしくは死亡した文官関係の公務員またはその遺族に給される恩給を増額改定いたそうとするものでありまして、内容のおもなる点について申し上げますと、次のごとくであります。
第一の点は、恩給の増額改定に関するものであります。
昭和二十三年六月三十日以前に退職し、もしくは死亡した公務員またはその遺族の恩給で特に増額を要望されているものは、文官関係の公務員またはその遺族の普通恩給または扶助料であると思われますが、これらの恩給の年額は、同年七月新給与
制度が実施され、
一般公務員の給与が増額されたのに伴い増額されてから、
昭和二十八年まで、公務員の給与
支給水準が引き上げられるたびごとに増額改定されて現在に至っているのであります。
ところで、新給与
制度実施の際は、各省局長は、十三級職または十四級職に格づけされることになっていましたが、かつて旧高等官官等俸給令が施行されていた当時、勅任官たる各省局長としての俸給を受けて退職した者に給されている恩給の年額は、いわゆる一万二千円ベース当時の
一般職の職員の俸給表による十三級職三号俸を受けて退職した者に給される恩給と同類に、また、各省局長で年功加俸を受けて退職した者に給されている恩給の年額は、十四級職五号俸、すなわち、十四級職の最高俸の一号下位の俸給を受けて退職した者に給される恩給と同額となっていますので、
昭和二十三年六月三十日以前に退職した各省局長にかかる恩給は、そのまま据え置くこととし、その他の各省局長以上の俸給を受けて退職した者にかかる恩給についても、同様の
取扱いをしようとするものであります。
しかしながら、旧判任官俸給令が施行されていた当時、判任官一級俸を受けて退職した者に給されている恩給の年額は、一万二千円ベース当時の各省課長補佐としての下位の俸給であり、かつ、係長としての高位の俸給である九級職三号俸を受けて退職した者に給される恩給と同額となっていますので、これを改めて、新給与
制度実施の際の各省課長補佐としての中位の俸給である十級職工号俸またはこれと同額の係長としての最高位の俸給である九級職八号俸を受けて退職した者に給される恩給と同程度の額になるように増額することとし、その他の勅任官たる各省局長の俸給に満たない額の俸給を受けて退職した者にかかる恩給についても、その後に退職した者にかかる恩給との権衡を考慮して、右に準じ、その年額の是正を行うこととし、現行の恩給年額計算の
基礎俸給年額三十五万四千円以下のものについて、一万二千円ベース当時の
一般職の職員の俸給表の通し号俸一号俸ないし五号俸上位の俸給年額に相当する額と現行額との差額に相当する増額を行い、恩給を増額改定しようとするものでありまして、この措置は、本年十月分以降の恩給について、本人の請求を待たずに行うこととしようとするものであります。
法律案第一条並びに別表第一及び第二の
規定が、これに関するものであります。
第二の点は、増額改定措置の制限に関するものであります。恩給に関する経費は、最近急激に増加し、年額九百億円をこえる巨額に達していますので、国家財政の現状にかんがみ、このたびの増額は、公務傷病者及び遺族たる子が受給者である場合を除いて、六十才以上の受給者の恩給に対してのみ行うこととし、受給者が六十才に達するまでは増額を停止しようとするものであります。
法律案第二条が、これに関するものであります。
なお、右のほか、
昭和二十三年六月三十日以前に退職した公務員に給する普通恩給で、
昭和三十一年十月一日以後に
給与事由の生ずるものについても、同日前のものに準じて取り扱うこと、及び、この
法律は、公布の日から施行することを定めようとするものでありまして、
法律案第三条及び付則の
規定が、これに関するものであります。
以上が、この
法律案の
提案の
理由及び概要であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御
賛成あらんことをお願い申し上げます。
—
————————————