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1956-02-14 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十四日(火曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 山本粂吉君    理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君    理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君    理事 宮澤 胤勇君 理事 受田 新吉君    理事 下川儀太郎君       大坪 保雄君    薄田 三朝君       辻  政信君    床次 徳二君       福井 順一君    粟山  博君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       石橋 政嗣君    稻村 隆一君       片島  港君    西村 力弥君       森 三樹二君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  出席政府委員         内閣官房長官 田中 榮一君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     大石 孝章君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君         法務政務次官  松原 一彦君         文部事務官         (調査局長)  福田  繁君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君  委員外出席者         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    佐藤 寛政君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 二月十四日  理事山本正一君同日理事辞任につき、その補欠  として宮澤胤勇君が理事に当選した。 二月十日  金鵄勲章年金復活に関する請願加藤鐐五郎君  紹介)(第四五六号)  軍人恩給引上げ実施に関する請願池田清志  君紹介)(第四七九号)  名古屋市内駐留軍家族住宅移転促進に関する  請願早稻田柳右エ門紹介)(第四八〇号)  公共職業安定所職員給与調整に関する請願(  矢尾喜三郎紹介)(第四八三号)  石川県下市町村地域給指定等に関する請願(  岡良一紹介)(第五一一号)  旧海軍特務士官等恩給不合理是正に関する請  願(岡崎英城紹介)(第五四八号)  京都府久世郡下の地域給指定等に関する請願(  岡本隆一紹介)(第五四九号)  京都府亀岡市の地域給引上げ請願岡本隆一  君紹介)(第五五〇号)  鉄道用地賃貸料支払促進に関する請願(中村  梅吉君紹介)(第五六九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事互選  連合審査会開会に関する件  臨時教育制度審議会設置法案内閣提出第一〇  号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)(予)  米駐留軍築城基地問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 山本粂吉

    山本委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。山本正一君より理事辞任の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本粂吉

    山本委員長 御異議なければさよう決します。なお補欠理事は先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本粂吉

    山本委員長 御異議なければ、宮澤胤勇君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 山本粂吉

    山本委員長 次に臨時教育制度審議会設置法案を議題とし、質疑を続行いたします。
  6. 受田新吉

    受田委員 この法案の趣旨については、先般御説明をお聞き取りいたしたのでありますが、この法案提案責任者になられた清瀬文部大臣は、そのよって来たる基本的原因基本的理由の中に、教育国政基本である、しかも非常に重要なものであるということを書いておられるのでありますけれども、すでに大臣承知のように、こうした教育制度等審議する機関として中央教育審議会なるものが設置されて、会長以下熱心に御検討いただいておるというときに、教育国政基本であるということを今あらためてお持ち出しになられて、しかもその基本的なものが臨時的な機関審議会によって検討されるというような、かかる制度を設けざるを得なくなった理由について、いま一応具体的な御説明を願いたいと思うのであります。
  7. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 ごもっともなお尋ねでございます。今の教育制度は、受田さん御承知通り占領の初期に教育刷新委員会の議を経ましてお立てになったものを国会で承認して、一番もとは昭和二十二年の教育基本法、同年の学校教育法、こういうものでございます。今の中央教育審議会は、これを作りました教育刷新委員会最後の決議によって継続したような形になっております。自来りっぱな委員が御就任になりまして、あの教育制度の運用についてはすでに十回の答申を得ておるのでございます。ところがその後昭和二十七年四月にわが国独立いたしました。独立以後早三年でありますが、独立後の今日から顧みてみますと、当時占領下教育制度には根本的に反省しなければならぬ点があることを発見し、一つ世の中のこんとんを考え直せという論が出てきたのであります。そうしますとひとり文部省のみならず国政全般に、一つ政治家も入ってもらい、実業家も入ってもらい、考え直そうという時期に到達いたしましたから、内閣にこの委員会を置いていただこう、こう着想したのでございます。
  8. 受田新吉

    受田委員 占領直後にあちらさんの指示のもとに置かれた教育の刷新委員会なるものが、教育基本法などを作った、そういうものは、今中央教育審議会に発展されて、いろいろ検討されておるけれども、十年たった独立後の日本としては、基本的にこの問題を考え直す必要があるという意味で、こういう機関を設けることにしたというお説であると御了解をしてよろしゅうございますね。
  9. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 その通りであります。
  10. 受田新吉

    受田委員 しからば、教育の大本というものが、臨時的な機関によって審議されるということそれ自体は、これは教育を軽視するおそれはないか。つまり臨時的にこういう機関を設けて、いろいろと調査し、研究するというようなことでなくて、恒久的機関として考えるべき性質のものではないかと考えるのでございますが、いかがでございましょう。
  11. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 教育根本について、一ぺん根本方針立てれば、それで百年とは言いませんが、日本教育制度は立つのであります。ところが中教審は、立ってから後にもずっと継続的に毎年の運行について必要なことをやるので、中教審こそ永続のものでございますが、一たん基本を組み立てるということは、一ぺんでよかろう、そういうものを長く置く必要はなかろうと思いまして、臨時といたしたのでございます。
  12. 受田新吉

    受田委員 清瀬大臣は非常に正義感の強い、筋骨の通った御見解を持っておられる。閣僚内においては、その人格の崇高さと、その手腕のごりっぱさは、大体において衆目の見るところ一致していると思うのでありますが、しかしここで問題になることは、大臣がこの臨時教育制度審議会を設けて、教育の百年の大計をここではっきり打ち立てておきたいと思われるその根本的な理由の中に、臨時的な機関を設けて、あとはそれにのっとってやれば何とかなるのだという、はなはだ安易なお気持が現われておるような気がするのです。教育というものは百年の大計であって、一ぺんに成果をあげようというようなものではない。災害復旧をするのに応急措置をするというようなものではない。この間、官房長官田中さんは、応急的な対策を立てるために、この機関を設けるという意味の御説明があったのであるが、応急的に機関を置く、教育を応急的に考えるというその考え方は、非常に私は安易な考え方だと思うのでありますが、この点もっと根強く――教育は一朝一夕にして実績の上るものでない、広く深く長期にわたった計画が必要だということであるならば、従来の中央教育審議会なるものをもう少し内容を変えて、大臣の御構想のようなものを盛り込んだような形で、これを再発足せしむべき筋合いのものでないか。ことに今内閣にはいろいろな機関があり、各省にもまたいろいろな機関があり、しかも審議会委員会というものが、雨後のたけのこのごとく戦後できまして、行政の混乱を招いておる。そこで内閣行政簡素化を大いに主張しておる。この際いたずらに屋上屋を重ねるような機関がどしどしできるよりは、もっと筋金の入った既設の機関を大いに活用するという方針をお立てになる必要はないか、御所信を承わりたいと思うのであります。
  13. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私の一身に対して御丁重なお言葉をちょうだいして恐縮の至りでありますが、この構想はこういうことなのであります。臨時教育制度審議会は、たとえですから違いますけれども、たとえば憲法改正が必要だから、憲法改正調査会を置く。調査して改正すれば、調査会は要らない。それと同じように、占領中にできた教育制度を再検討する。再検討して立てれば、再検討の機関は要らなくなる。ただしかし教育は生きものでありますから、中央教育審議会のようなものは、常時文部大臣諮問機関としてこれは継続していくのですけれども、この改革理由内閣において一ぺんにやる、ここが中教審意味が違うのでございます。
  14. 受田新吉

    受田委員 この法案提案責任者と、今後におけるこの審議会主管大臣はどなたが当られることになりますか。
  15. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それは内閣総理大臣でございます。
  16. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、清瀬さんは内閣総理大臣にかわってここで御説明になっておられるわけでございますか。
  17. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 その提案理由は、内閣を代表してやっておるわけでございます。
  18. 受田新吉

    受田委員 今後この審議会を進めていく際に、文部省はいかなる立場をおとりになられますか。
  19. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 なるべく行政事務は簡素にするために、会議の招集とか、あるいは記録の整理とか、それらのものは文部省の適当なる局においてお世話することと存じます。
  20. 受田新吉

    受田委員 政府構想を持っておられるこの審議会会長、副会長専門委員というような方々は、これはもちろん会長、副会長委員互選ということでありますけれども、こういう方々の選出に当っていかなる構想を持っておられるか、お伺いをしておきます。
  21. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それは法律案第三条にも書いておきました通り、大きな国の要請によるのでありますから、国会議員十名の方を嘱託いたしたいと思っております。それから学識経験者教育についても、その他の産業経済国家の将来等について、学識経験のある方三十人を、嘱託しようと思っておるのでございます。
  22. 受田新吉

    受田委員 専門委員は、これはおおむねここに掲げられてある規定もあるのでありますが、事実上は結果的にはどういう立場の方が任命されることになりましょうか。
  23. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 この会議に付議する事項が数項あるのでございますが、その問題に練達堪能な一流の方を選任いたしたいと思っております。
  24. 受田新吉

    受田委員 その専門委員は本職を持った人を兼務させることになりますか、あるいは専任とされることになりましょうか。
  25. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 必ずしもほかの職業を持っておる者は排除するという考えはありませんが、第五条の四項にあります通り専門委員非常勤でございます。
  26. 受田新吉

    受田委員 非常勤ということになりますと、待遇はどういう取り扱いを受けることになりましょうか。
  27. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 まだその待遇報酬等については正確な決定はいたしておりません。あるいは幾分の腹づもりでもということであれば、参考に政府委員から申し上げますが、予算も請求しておることでありますから、はなはだわずかでございますけれども……。
  28. 受田新吉

    受田委員 ちょっと説明を聞きます。
  29. 福田繁

    福田政府委員 非常勤手当でございますが、専門委員につきましては今一応予定いたしておりますのは、委員と同様に口当でございます。一日幾らという日当で、会合のつど差し上げるという建前をとっております。
  30. 受田新吉

    受田委員 その今会合のつど日当を上げる、一般職の給与法にも規定がありますけれども、その定められた規定で千円か二千円かいただいたとしても、これはまことにりょうりょうたるものであります。今大臣の御説明の、必ずしもこれに専念することを要せざる場合もあるということで、専念し得る人もあり得ると思うのですが、専念し得る場合は、そのわずかな日当では生活が保障できないことになりますけれども、これらについてはいかなるお取り扱い考えておられましょうか。
  31. 福田繁

    福田政府委員 予算的にはただいま申し上げたような措置をいたしておりますので、もしある程度まとめて給与的なものを差し上げなければならぬということになれば、おのずから人数を減少して専門委員を委嘱するという以外になかろうと思います。
  32. 受田新吉

    受田委員 しかる場合は、勤務口数を多数に計算する方式をおとりになることになるのですか。
  33. 福田繁

    福田政府委員 多数と申しますのはどういう意味か存じませんが、要するに勤務日数に応じました日当を出すということでございます。
  34. 受田新吉

    受田委員 すなわち多く勤める日を作るということに努力されるのか、委員会が開かれた日だけに専門委員が出るわけじゃないでしょうから、そのほかの日でも調査のためにはどしどし出るということになると思うので、そういう勤務日数を多数にするという意味かどうかをお尋ねしたのです。
  35. 福田繁

    福田政府委員 そういう意味ではございません。やはり会合のあったときに、そういう手当を差し上げるという方式をとるわけです。
  36. 受田新吉

    受田委員 会合のあった日だけ手当を出して、そのほか研究調査に要した本人の努力には報いることができないのでありますか。
  37. 福田繁

    福田政府委員 その点は具体的にこの専門委員を委嘱しますときに、また人事院等と具体的に打ち合せまして決定いたしたいと思っております。
  38. 受田新吉

    受田委員 これはまだ具体的な内容をお持ちになっていないようでありますので、これ以上は追究を差し控えて御研究をいただいて、次回の委員会あたりにある程度具体的な構想を示していただくことを要望しておきます。  問題はまた元に帰りまして、この法案提出理由に戻って参りますが、清瀬文部大臣の、戦後十年たった今日、教育基本的問題を考え直すためにかかる機関を設けたというこのことについて、臨時的な機関でよるしいのだという御説明があったのですけれども、私はこの点に一つ疑義があるのです。重ねてお尋ねしますが、臨時というこの言葉はややもすると、教育長期計画考えている国民大衆は、非常にここで便宜的なものの制度ができたように印象づけられると思うのです。一応ここで何かの基本的案を練り直したら、それは憲法調査会と同じようにあとはまたいい調子にいくのだということでありますが、その臨時審議会任務を終ったときには、中央教育審議会にまた仕事をゆだねられることになるのですか。あるいはこれにかわる機関を、あらためて臨時的でないものを設けようとしておられるのでありますか。
  39. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 教育は国の制度でありますから、一たん内閣にこれだけの委員会を作って戦後改正すべきことを改正すれば、その仕事は一たんは終るのでございます。中央教育審議会はかくのごとくして改正せられた新教育制度のもとに、引き続いて教育界のために調査審議仕事をやってもらうのでありまして、教育改正という仕事を年中やるのではございません。
  40. 受田新吉

    受田委員 中央教育審議会という機関は、あらためてこの臨時教育制度審議会仕事を引き継ぐことになりますか。
  41. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 そうじゃございません。中央教育審議会は、今もやっておられるあの同じ仕事を引き続いて、またこの審議会がある最中も引き続いてやってもらうのです。ただこの審議会教育根本法律、ことに学校教育法とか、あるいは後に御説明すると思いますが、教育基本法とか――こんなものは年中変えるものではないのです。一ぺん深く研究して変えましたら、そこで制度は固まりますから、その制度のもとにおいて中教審は引き続いてやってもらう、こういうことでございます。
  42. 受田新吉

    受田委員 しからば結局この機関がなくなれば、中教審仕事を受け継いでいくと同じ結果に私はなると思うのです。この点中教審の存在はこれとは別個であって、何ら関係がないのであるという前提ではなくて、この審議会がなくなった暁には教育制度に関する問題はやはり中教審が常に考えていく。中教審教育制度というものには一切関与しないというものではない。この点において教育制度審議を進めていく機関として中教審以外のものを考えられるか、あるいは中教審にゆだねられるかということを私はお尋ねしているわけです。
  43. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 たとえを引いてはなはだ失礼でありますが、家にすれば建築、改築ということがこれなんです。修繕ということが中教審になるのであります。一たん占領中にはできましたけれども、世間から見れば大きな一つ根本的に考え直すことがあるだろうから、そこで占領後第一の教育制度をこれで作ろう、それでこの臨時教育制度審議会仕事は終るのです。だれも引き継ぎはしません。しかし一たんそれをやりましても、修繕、掃除ということはありますから、中教審はやはり必要なんです。だから中教審は、現に臨時教育制度審議会かある二年の間にもあるんですよ。
  44. 受田新吉

    受田委員 よくわかるんですが、建築土台を作るのと、あと修繕をするという関係でなくして、建築土台ができても制度は常に時勢に応じてある程度改変されなければならないのです。そういう教育制度の問題を引き続き研究する機関としては、この審議会任務終了後において中教審が引き継ぐのかどうかということを今申しておるわけです。それで大臣の御答弁は、何か中教審は今でも現にあるんだ――もちろんこれはあるんです。廃止する政令が出ない以上はあるわけです。あるのですが、これは基本的問題について、この審議会任務を終了されたということになれば、その審議会考えてきてまだなし足らなかったこともあとから起るわけです。二年くらいの間にそうすべて完全とはいきません。臨時というものはそういうものです。臨時的な機関がやることには手落ちが多いのですから、その手落ちが多かったことの処理はどこがやるのかということをお尋ねしておるわけです。
  45. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 同じことを繰り返してはなはだ失礼でありますが、世の中の将来はわかりませんから、今回基本的の改革をしたと考えておりましても、また時勢の推移でもう一度根本的改革の必要があるということであったら、おそらくは再び臨時教育制度審議会というものが起るでありましょう。しかし経営の、ルーティンの仕事としてのことは、やはり中教審でやっていただくのです。わが国の歴史を見ましても、大正六年には臨時教育会議というものを作っております。教育改革をしておるのです。大正十年には臨時教育行政調査会というものをしておるのです。こういうものかある最中でも、この当時の文政審議会とか、あるいは教育審議会というものは、続いておったのであります。それと同じ格好なんです。
  46. 受田新吉

    受田委員 教育制度審議をするために、この機関の設立が、この委員の任命が内閣にまかされている以上は、そのときの政府意図によってその教育制度審議会なるものが動かされる、そのときの政府施策によってこれが推進されるということを認めなければなりません。ところがそのときの政府施策によって都合のいい人を任命することができるのであります。委員学識経験のある者三十人というものは内閣が任命するのですから、内閣都合の悪い人が任命されるということは考えられないことなんで、内閣意図を含んだ人物が学識経験者として選び出されて、その人が教育制度審議するということになれば、当然そのときの政府意図が十分顕現されるような審議がされるということはきわめて明瞭でありますが、教育そのものが、そのときの政府によって、適宜時の政府都合のよい審議がされるということは、これは国家百年の大計に立つ教育問題としては重大だと思うのであります。この点を大臣にお伺い申し上げたいと思うのであります。
  47. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 われわれは自分の方の内閣都合のいい御用委員を間抜しようとは思っておりませんです。現に国会議員のうちには、あなた方の御党派からもどうか御参加を願いたいと思っておるのでございます。しかしながら出ました答申案は、諮問に対する答申でありますから、全部とるかとらぬかはわかりません。自分と同じことであったらこの会を置く必要はございませんです。やはり良薬口に苦しで、苦いことも言ってもらおう、かように思っております。
  48. 受田新吉

    受田委員 良薬は口に苦いというようにありたいというお気持は敬意を表するわけですけれども、大臣、この問題に関連して幾つも同類型のものがあるわけでありますが、反対意見というものは、そのときの政府の口に苦い意見というものであっても、これは最後には多数の前に屈服するのが、民主主義多数決主義という点からいえば当然なんであります。その少数意見を代表するものが常に公正な立場から取り入れられて、多数意見を是正してくれるならば、これははなはだ意義が深いと思うのでありますけれども、現在意図しておられる政府方針に従いますならば、清瀬文部大臣構想がここにこの法案となって現われた以上は、十年間に非常に間違いの方向教育制度が行った傾向がある、そういうものをこの際直すんだという御意図がある以上は、この審議会によって審議される結論は、政府意図する方向におもむくもの、そういう予想がされることは衆目の見るところだと思いますが、政府意図する構想は、別のものが出るということかあり得るとお考えになられますか。
  49. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 政府にも与党の議員にも提案権があるのでございまして、自分の思う通りのものをやっていい、我を通すのであったら、二百九十名の多数で教育案を出します。けれども教育は非常に重大なことであるから、各方面の意見を謙虚に聞いて、そこで案を立ててやるというのがわれわれの心境でございます。一たんこの委員会を作っておきながら、御用委員ばかりの言うことを聞いて、立場を異にする方の意見は聞かない、そういう邪心をもってこれを提案したのではございません。どうか御了解をお願いしたいと思います
  50. 受田新吉

    受田委員 これらの問題につきましては、日を追うて具体的にお尋ね申し上げることといたしまして、きょうはもう一つ基本的問題に触れたお尋ねをして質疑を終りたいと思います。  清瀬構想の中に含まれている、この臨時教育制度審議会性格でありますが、行政機構上における性格内閣に置くとされております。内閣に置かれたかかる機関がほかにございますか。
  51. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今内閣に置いておる機関閣僚審議会だけでございます。しかし今から置こうとする機関国防会議及び憲法調査会とこれとでございます。
  52. 受田新吉

    受田委員 今まで置かれた機関には閣僚審議会があるのでありますが、これは外国為替管理法の第三条に示す規定に基いて政令で作られた機関です。従って今大臣が御説明になった内閣に直接置いた機関として単独立法で定められた機関ではありません。この点いかがでありましょう。
  53. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 その通りでございます。
  54. 受田新吉

    受田委員 しからば今回のこの御提案は、閣僚審議会と比較検討すべきものではなくして、新しい立場内閣直属審議会として置かれたものであって、全くこの審議会なるものは、かなえの重きをなした機関として今まで空前の御提案である、かく断定してよろしゅうございますか。
  55. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 終戦後の機関としては画期的な大きな機関と思います。占領前においては、臨時教育審議会等原敬さん自身が委員長になっておられたこともございます。終戦後としてはこれは大きな機関でございます。
  56. 受田新吉

    受田委員 内閣には総理大臣のもとにおける各種の審議会なるものがあって、これは総理府設置法にも第十条、第十五条等に掲げられてあるのでありますが、内閣総理大臣のもとに置かれる機関としてこの教育審議会を置かれる方が、むしろそうした行政簡素化等にも対応した意味で、政府意図からするならば妥当ではないかと思うのであります。総理大臣のもとに置く機関内閣のもとに置く機関というように、幾つも区別された機関ができることは、行政を複雑怪奇にさせるおそれがあると思いますが、この点御所見を伺いたいと思います。
  57. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 この立案に対しては、今受田さんのおっしゃる通りのことも一時考えたことはございます。しかしながらだんだん案を練っていきますと、わが国教育根本にも一つ反省しなければならぬところがある。これは他の機会に申しましたが、日本の道徳教育といったことにも関係する。それからこの立案は財政、ことに地方財政にも関係しますし、あるいは行政組織にも関係いたしますし、内閣全体の重大問題になることを発見いたしまして、ひとり総理府の機関とするよりも、内閣全体の諮問機関とするを可なりとして、最後にこの案を作り御審議をわずらわしておるところでございます。あなたのお考えも一つの考えとして考えたことはございます。
  58. 受田新吉

    受田委員 政府行政基本改革を今用意しておられるようでありますが、内閣に置く機関総理大臣のもとに置く機関、あるいは各省に置く機関、いろいろばらばらの審議会なるものがたくさんあって、国民はどんなものがあるかわからぬような状態になっておる。こういう際に屋上屋を重ねるような各種の委員会審議会なるものをもっと整理して、もっと強力なものにするという御意図はないのでございますか。
  59. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それはございます。委員会を整理し、減少するということは研究され、また実行されんといたしておるのでございます。
  60. 受田新吉

    受田委員 しからばそうした研究のされつつある過程において、むしろ内閣に置く機関というものがここへ登場したわけでありますが、今大臣の御構想のような内閣全体の問題ということもありますけれども、総理大臣のもとに置く機関としても、総理大臣内閣統括の責任者でありますから、同様の見解が私はとれると思うのであります。この点こうした機構改革に当っては、できるだけ政府は、政府みずからの内部における基本方針と矛盾がないような形で、その過程における改正案なるものは御提出なさるべきじゃないかと思います。政府みずからは行政機構簡素化を叫び、委員会審議会の整理統合を叫びつつあるときに、一方においてはさらにこれを複雑怪奇にさせるような機関を御提案になるということは、政府意図と矛盾したことと思います。この点において、今大臣が最初はそういう構想考えたことはあると仰せられたのでありますが、総理大臣のもとにおける機関としてはこれは所期の目的を達し得ませんか。総理は内閣統一の最高責任者ではないのでありますか。この点総理大臣の権能というものを考えたときに、総理府に置いて総理大臣のもとに置くということは、審議会性格上言うならばこれは妥当ではないかと思うのであります。
  61. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 これは両論あるところでございますが、総理府は文部省と同じく一つの行政機関なのです。各省を統合する権能は持っておりますけれども、しかしながらこの案はわが国民道義の源泉に関することも考えなければならないし、またほかの省に経済上、行政上大きな関係を持つこともございますし、従って合議体たる内閣に置くことを可と考えたのであります。行政機構改革に伴うて各種の委員会、もはや任務を終ったような委員会、二つを統合して一つにできるような委員会、そういうものを統合するということと、国家的、根本的に必要なものを置くということは矛盾しないと思います。各種の委員会を統合しなければならぬという要請がありましても、国のためにこのくらい重大なことについては、やはり思い切って大きな委員会を置く方が、国家将来の進運のためによいであろう、こういう考えであります。
  62. 受田新吉

    受田委員 清瀬さんはこの法案の担当国務大臣になっておられますか。
  63. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 この案について担当国務大臣の決定は受けておりませんが、私の所管の仕事に一番関係が多いのでありますから、連帯責任ある閣僚の中で私がこれを担当して説明いたし、あるいは答弁いたしておる次第でございます。
  64. 受田新吉

    受田委員 内閣に置く機関として文部大臣がおいでになることは、これは文部省の勢力を扶植するような印象を国民に与えます。むしろこの際担当国務大臣文部大臣にあらざる方がなさって、そして閣内においては文部行政の支配を受けていないのだ、高い立場内閣全体の問題として考えておるのだという印象を国民に与える方が、この臨時教育制度審議会の設置目的にも合致すると思うのでありますが、御所見はいかがでございますか。
  65. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それは議論のあるところでありましょう。しかしながら教育審議会文部大臣が口を出して悪いということもまたあまり行き過ぎたことではなかろうか。私もあなたと同じような感じを持っておるのです。立法とかいうものは、むしろしろうとがやるのがよいだろうという所論を平生私も持っているのです。しかしながらこの審議会法というものの審議には、やはり文部相当の者が参って御説明申し上げるのがよいだろう。内閣に置くのでありますから、内閣の連帯責任でございます。
  66. 受田新吉

    受田委員 もちろん内閣の連帯責任で、国務大臣として清瀬先生が御担当になることは、これはしてはならないということはありません。ごもっともです。しかしこの法案性格上、文部省の一角がこれに対して強く息吹きを与えるというような印象を与えないためにも、中教審などは立場が違っておるのだという印象を与えるためにも、むしろ他の適切な国務大臣がお当りになられて、この法案審議政府側の責任者となられることが、私は国民に与える印象の上からもまたこの法案性格の上からも妥当であると思う。今大臣もその点について御反省の色がほのかに見えたのでございますが、この際担当国務大臣変更の手続をおとりになることが適切ではないかと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  67. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 これは議論になりますが、やはり文部大臣が担当してこの案を説明し、この通過をはかることを適当と思っております。しかしながら政府委員としては内閣を代表する官房長官がこの通り来ておられます。文部省政府委員ばかりではございません。
  68. 受田新吉

    受田委員 田中官房長官お尋ねしますが、あなたは内閣法に基いて内閣行政専務その他一般の整理連絡をはかられる責任者でいらっしゃるようでありますが、内閣みずからのもとに置く機関を、少くとも官房長官を抜きにして他の国務大臣がやられるということになるならば、これは内閣法においても官房長官の必要が認められないということにもなると思う。この際、先ほど申し上げたような趣旨から、あなたは副長官であるので、なかなかこれはむずかしいことになるのですけれども、この法案の担当国務大臣としては、官房長官がみずから当られるか官房長官は今国務大臣でないのでありますから、他の適切な人をもって充てるのがいいのではないかということと、もう一つは憲法調査会の担当国務大臣はだれになっているのか、国防会議の担当国務大臣はだれになっておるのか、こういうふうな諸般の問題に関連して御答弁いただきたいと思います。
  69. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 今回の臨時教育制度審議会は、先ほど文部大臣からお話がございましたごとくに、教育根本問題につきまして広く検討をいたし、またこれに関連した問題につきまして、も検討いたしますので、内閣という一つの合議体のもとに置いた方が、各省に関連したことが非常に多いものでございますから、そういう意味におきまして内閣にこれを設置したのでございまして、これは先ほど文部大臣から御説明のあった通りでございます。  そこで、こういう関係内閣総理大臣が担当になるのでございますが、そうすれば官房長官が担当ということになるのであります。しかしこの問題は教育制度根本問題に関係いたしておるのでございまして、やはり教育制度を担当しておられまする文部大臣が、一応国会における提案理由説明、答弁その他にお当りになることが一番適切であると思う。こういうことからいたしまして、閣議におきまして、本案の提案理由その他国会における質疑応答については、清瀬文部大臣が最も適任であるからということで、一応文部大臣に担当をお願いいたしておる次第でございます。  それからなお国防会議等は、すでに二十二国会におきまして提案されたのでございますが、その際にはこれに最も関係の深い防衛庁長官が、国会における提案理由並びに質疑応答に当られております。それから憲法調査会関係におきましては、ただいまのところは文部大臣がやはり担当していただくことに大体きまっております。
  70. 受田新吉

    受田委員 これは閣議決定ということでありますが、昨年末に河野農林大臣は、給与担当国務大臣として一時御活躍をいただいたことがあります。その御活躍の過程において、自分はこの給与担当国務大臣として適切でないから、これを断わるつもりだ、こうはっきり言われた。ところが清瀬さんがこの法案の担当をされることは、文部大臣としては非常に信頼を得られた方であろうけれども、文部省屋上屋を重ねるような形のこの法六案の味方をされては、国民に対しても疑惑を与えることになるので、この際適切な他の国務大臣にこの任を譲って、自分文部大臣として別な立場から教育考えていきたい、そういう熱情を示していただくことが妥当ではないかと思いますが、大臣みずから閣僚了解を得て、この担当国務大臣たることを辞任する御決意ありやいなやを御答弁願いたいのであります。
  71. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 みずから任ずるわけではありませんが、この案の説明及び御質問に対する応容は、私が一番適切だと思っております。辞任する意思はございません。
  72. 受田新吉

    受田委員 これで一応第一次の顧問を終りたいと思いますが、最後に今の問題に関係をしておる、内閣に属する問題でありますが、政府はかつて砂田防衛庁長官が国防省設置を考えておられたことがありまして、新聞その他に国防省は設置すべきであるという見解を表明されたことがありますが、閣僚の一人として表明された国防省設置法なるものは、その後いかなる形で政府はこれを考えておられるか、内閣の大番頭としての田中長官お尋ねします。
  73. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 砂田防衛庁長官が御在任の当時に、これは単なる防衛庁長官としての御意見だと思いますが、そういうことが新聞に発表されたことがございますが、当時内閣といたしましては、それを正式には取り上げておりません。ただ今後行政審議会等におきましてあるいはこういう点が審議されることがあるかも存じませんが、現在のところ内閣としましてそういうような問題を正式に取り上げたことはございませんから、さよう御了承を願います。
  74. 受田新吉

    受田委員 最後に、政府に資料の提出を要求しておきます。それは臨時教育制度審議会を設置されるに至ったについて、教育関係における各種の委員会審議会等の機構及び現在やっておられる仕事内容及びそれらに活躍しておられる委員等をお示しいただきたい。  さらに審議会に置かれる専門委員については、内閣総理大臣学識経験者の中から任命するというのでありますが、どういう人を予定しておるのか、その予定任命者をお示し願いたい。  それから専門委員非常勤ということに立法措置がとられてあるのでありますが、非常勤とする場合に、もっぱらこの職務に従事する専門委員手当について非常に問題が起るので、例の非常勤職員で各種の委員会――たとえば国家公安委員会文部省関係なら文化財保護委員会等における委員長委員等の給与に準ずるような意味の俸給表の通用を考えておられるのか、こういう点について非常勤と書かれた以上、われわれ非常に疑義がありますので、それらについて具体的な計画をお示し願いたい。  これを御要求申し上げて私の質疑を終ります。
  75. 山本粂吉

    山本委員長 残余の質疑は次会に譲ります。     ―――――――――――――
  76. 山本粂吉

    山本委員長 次に法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由説明を求めます。松原法務政務次官
  77. 松原一彦

    ○松原政府委員 ただいま上程になりました法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を簡単に御説明いたします。  この法律案の要旨は、少年院を新設し、若干の少年院の分院及び少年鑑別所の分所を、本院または本所に昇格させ、火災により、その施設の大部分を失った少年院を廃止し、及び市町村の廃置分合により、位置の改められた刑務所、少年院等の位置を改正することの四点であります。  第一の少年院の新設につきましては、最近、広島矯正管区内の少年院に送致される少年が、かなり増加しておりますので、同管区内の少年院の収容力の実情にかんがみ、新たに岡山県に少年院を一カ所新設することといたしたのであります。  第二に、福岡少年院の分院貞志寮は、福岡矯正管区内の精神薄弱少年を、北海少年院の分院紫明寮は、札幌矯正管区内の女子少年を収容する施設でありますが、それぞれの特殊性にかんがみ、この際、貞志寮を中津少年学院として、紫明寮を紫明女子学院として、いずれも本院に昇格させ、さらに、施設の整備充実をはかる必要があり、また、福岡少年鑑別所の分所小倉鑑別支所は、少年鑑別所としても屈指の施設であるので、この際、これを本所に昇格させ、さらに、整備することにいたしたのであります。  第三に、東京矯正管区の宇都宮少年院は、昭和二十八年一月収容少年の放火により、事務庁舎を除き全焼したのでありますが、その後の同管区内の少年の収容状況にかんがみまして、復旧の必要がないものと思われますので、この際廃止することといたした次第でございます。  第四に、最近の市町村の廃置分合に伴い、刑務所及び少年刑務所で、位置の改められたものは、府中刑務所外五カ庁、少年院にあっては、多摩少年院外二十一カ庁ありますので、これ等について、法務省設置法の別表の整理を行うことといたしました。  以上が提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
  78. 山本粂吉

    山本委員長 本案に対する質疑は後日に譲ります。     ―――――――――――――
  79. 山本粂吉

    山本委員長 次に駐留軍築城基地問題について茜ケ久保委員より発言を求められておりますのでこれを許します。茜ヶ久保君。
  80. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 基地問題の根本的な点についてお伺いしたいことがありますが、本日は長官が参っておりませんし、さらに担当大臣も出席しておりませんので、基本的問題は次会に譲りまして、本日は、先般の根付飛行場の調査に参った際に、私現地に参って調査いたしました、福岡県築城基地に関する質問を、事務的な点について担当官にお伺いしたいと思うのであります。  この問題は、終戦直後に旧海軍施設を占領軍が接収いたし、その後幾度か追加接収をなされて今日に至ったものでありますが、現地を調査して参りまして、私が非常に奇異に感じましたことは、私全国的な基地の調査と実態を見て参りまして、ほとんど基地に対する潜在的な反対が非常に強い中で――ときには特殊な商売をする人たちから賛成の意見も出たりするのでありますけれども、ほとんどの農民ないし関係者は反対であります。しかるに築城基地につきましては、純粋な、純真な意味における協力が今までなされてきております。と申しますのは、単純な、純粋な気持から、日本を守るために必要ならばというので、とうとい田地田畑を無条件に提供し、しかも提供したあとでも長い間自分たちの苦労を無視して協力をしておる態度があるのであります。ところが私現地に参りましてつぶさに調査をして参りますと、そういったまことに純粋な気持から協力している現地の農民や関係者に対する政府のとって参った態度というものは、まことに言語道断と申しましょうか、けしからぬ態度がしばしば見られておるのであります。これは私はもちろん基地の反対という基本的態度から申しますならば、何ら言う点もございませんが、少くとも現地の皆さんが、そのような純粋な気持からこれに協力しているということに対しては、政府はできるだけのめんどうを見ると申しますか、あるいは現地の人たちの気持を了として、完全な代償をなさるべきものと考えるのに、実際はそうではないということであります。そこで基本的問題は別として、私は今から二、三事務的な点をはっきりとお伺いしたい。と申しますのは、先般調査したあとで文書をもってそれぞれの関係者に質問書を発して参ったところが、それに対する御返事を見ますと、ほとんどが善処するとか、考慮するとか、調査をするとかということで終始している。昭和二十年の終戦直後占領軍に接収されて、その後数次の拡張をし、さらに講和発効後においてもそういうことがなされておるにもかかわらず、いまだ関係官庁が調査とか連絡とかといっておるのでは、私は何ら誠意がないと言わざるを得ないのであります。そこで私がここでわざわざ質問いたしますのはそういうことでなくて、関係官庁は、はっきりと、今から私が質問する点についてできるかできぬか、やるかやらぬか御答弁を願いたい。今さら考慮するとかあるいは調査するとか、そういったことはもう許される段階ではないと思うのであります。従いまして本日は防衛庁から経理局長、調達庁から不動産部長、農林省から農地局長、建設省は道路局長が不在で道路企画課長がお見えでございますが、責任のある答弁をいただきたいと思います。もしまたここで考慮とかあるいは善処とかいうことでありますならば、ちょっと容易ならぬことではないかと思います。以上前置きをいたしまして端的にお伺いしますから、御答弁もそのような態度でお願いしたいと思います。  第一の点は、昭和二十六年一月十五日築城飛行場の第二次拡張の際に、行橋市松原部落民の利用しておりました築城に至る市道が、飛行場用地として壊滅したのであります。そのときには、現地の諸君のお訴えを聞いておりますと、代替道路を作ってやるということでこれをつぶしたのでありますけれども、今日に至ってもその代替道路かできておらぬのであります。まずこの問題に対しまして、調達庁からその問のいきさつを最初に簡単にお伺いしておきます。
  81. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 御質問の代替道路の点について簡単に御答弁申し上げます。ただいま茜ケ久保委員からお話がございましたように、築城飛行場の昭和二十六年一月の第二次拡張の際、その拡張部分の中にあった道路が壊滅するという結果になりますので、それのつけかえをしようという要望がありました。この問題につきましては、当然接収問題の所管である調達庁の事案でございますが、ただ道路に関しましては、市道あるいは施設区域内の小さな部分の道路等につきましては、調達庁が所管するというふうになっており、道路法による道路については建設省の所管であるというような経緯もありましたので、建設省と調達庁との間においていろいろな打ち合せが実施せられたことは事実でございます。ただしなぜ今日まで相当時間を食っておったかということにつきましては、この拡張部分の計画が実は相当変更を見たのでございます。そのためにその代替道路の設置を、どの個所にすべきかというようなことにつきまして、相当時間をとったことは事実でございます。もう一つは、所管の建設省の方も予算措置を講じた事実もありますが、そういったようなことから、必ずしもその予算措置が完了しなかったといったような経緯もありますので、今日まで延び延びになっておったというような点につきましては、所管機関の私どもといたしましても、まことに遺憾であったと存じます。それでこの扱いにつきましてはどうやるか。私ども内閣委員会調査団か御視察になった前から、建設省ともいろいろ打ち合せをしておりますが、とにかく政府内部において緊密な連絡のもとに、どうしてもこの三十一年度予算でもって実施すべきものというふうに判断いたしておりますが、なおそのときには、各省で緊密な連絡の上、実現を見るようにいたしたいというふうに考えております。
  82. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 ただいま不動産部長の御答弁によりますと、道路関係は建設省の道路局ともいろいろ話し合いをしたということでございますが、佐藤道路企画課長がお見えのようですが、この意見に対する建設省の今までの経過並びに今後の処置について承わりたいと思います。
  83. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 公共道路でございますから、建設省といたしましても、所管上十分注意をいたさなければならないことは申すまでもございません。この道路につきましては、当時地元の道路関係者から建設省の方へいろいろ実情を訴えて参りました。建設省といたしましては、公共道路を遮断されることでございますから、これにかわるべき道路ができるように考えまして、調達庁並びに大蔵省の方といろいろ連絡いたしまして、相談いたしましたことは、ただいま不動産部長の申された通りでございます。ただこの間にこの飛行場が拡張せられるというお話がございまして、たとえばつけかえいたしますにいたしましても、その拡張計画がはっきりいたしませんと、かわる場所の選定かしにくいということがございました。しかしながら、といってほっておくわけにはとうてい参りません。具体的に申しますと、昨年の一月か二月ころに、この一応のつけかえをやるように、この経費を安全保障諸費でもって大蔵省の方に要求いたしたこともあるのでございます。しかしながら拡張問題その他でごたごたいたしておりましたものですから、そのときはものにならず、実は今日まで及んだ次第でございますが、先ほども申しますように、公共道路が中断されたままでおるということは非常に困ることでございますので、ただいまでも、調達庁の方とよく御連絡いたしまして、今後すみやかにこの処理をはかるように、建設省としては要求をし処理をいたしたいと考えております。
  84. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 どうも官庁のなさることはまことに気が長いので、昭和二十六年というともうちょうどまる五年たっております。まる五年の間役所の都合やいろいろなことで、住民のそういった声を無視してやるということは、私どもの常識ではちょっと考えることができないのです。何と気の長いものだと感心いたします。それはそうとして、今お二人の御答弁で、不動産部長は三十一年度とおっしゃるし、建設省でも調達庁と協力してということでありますから、しからば今度この道路をつけかえていただく責任官庁をここではっきりしていただきたい。調達庁がなさるのか、あるいは建設省がなさるのかはっきりしていただいて、大体昭和三十一年度と申しましても、予算がきまればすぐに予算措置はできるのでありますから、年度末を待たずに、予算の決定次第直ちにその道路の建設に着手するという、ここではっきりしたお答えを承わらなければ、ちょっと納得がいかぬと思うのであります。一つ責任官庁をここではっきりしてもらうことと、それから予算の通過ができたらただちに予算措置をしてこの着手をするという二つのはっきりしたお答えを、ここでお願いしたい、こう思うのであります。
  85. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 所管に関しましては、従前とも、また将来とも、公共道路に関しましては建設省と存じております。ただ問題がこういうような施設区域に関するものでございますから、その予算の扱い等につきましては、調達庁が窓口を務めまして、また財政当局ともよく折衝し、その予算の実現を見て、そうして実施に関しては建設省というふうに考えております。それから時期に関しましては、御指摘のように大蔵省主計局との打ち合せもございますが、その点を完了すれば早期に実現を見るようにいたしたいと存じます。
  86. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 道路課長もそのように考えてよろしゅうございますか。
  87. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 さようでございます。
  88. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それではこの件に関しましては、調達庁並びに建設省の緊密な連絡の上、一つ年度早々において完成されることを強く要望して、この問題を一応おきまして次の点に入りたいと思うのであります。  次は、これもすでに文書をもって御答弁をお願いしたのでありますが、やはりはっきりした要領が得られませんので、ここで重ねてお伺いをいたすのであります。それは防風林伐採による農作物被害に対する補償の問題であります。松原、稲童両部落の海岸線に沿って、今日幅七十ないし八十メートルの防風林、しかも長さ二千五百メートルに及ぶものであります。この約半数は旧日本陸軍が伐採をしたのでありますが、それをさらに昭和二十五年の十月及び二十六年一月に占領嗣が残り半分を全部切ってしまった。そこでその防風林の伐採による被害が相当なものに達しておるというので、これに対してはある程度の補償がなされておるようでございますけれども、このような補償ではとうてい現地の農民の生活を補償するに足るものでないというのでありますが、これにつきまして調達庁から、大体の今までの経過と、さらに今後の処置について承わっておきたいと思います。
  89. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 松原、稲童両部落地の防風林伐採によりますところの農作物の被害の補償問題に関しましては、茜ケ久保委員から経緯の御説明があった通りでございますが、要点は施設区域の関係で今日その農業被害が発生しておるという事実でございます。その原因が、ただいまお話にもございましたように、半数が旧日本軍時代の原因である。それからもう一つは、あとの半分は占領期間中に連合国軍によって惹起され、その結果が今日の農業被害ということで現われておるという事案でございますので、私ども所管といたしましても非常に扱いにくい事案でございますが、さしあたりまして、占領期間中の被害に関する問題を、昭和二十九年の四月に五十八万四千円の見舞金を交付することによって解決いたしました。それから講和発効後の被害につきましては、一応御要望は、駐留軍の行為によりますところの問題を扱う特損法の適用を見て扱えというようなお話もございましたが、ただいま申し上げましたように、原因そのものが、占領後に限りましても、占領期間中の連合国軍の行為でございますので、法律そのものの適用は見るわけにはいかない。しかしながら内容については、この米駐留軍が講和発効後に起した行為によって惹起された損失と同性質のものであると判断いたしましたので、特損法の計算内容を準用いたしまして処理するという方針のもとに、昭和三十年の十一月被害の正確なる調査を完了いたしましたので、書を作りまして、目下財政当局と折衝中でございます。近く決定を見て、被害関係者に補償の御支払いができるものと考えております。
  90. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 その被害算定の内容、それは大体被害者と話し合いがなされておるかどうか、あるいは被害者の要求額と庁でおとりになった算定との差が相当ありますかどうか、おわかりなら、お話し願いたい。
  91. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 所管は福岡調達局でありますが、担当の者からの報告によりますと、いろいろと私どもの補償の内容につきまして説明をいたしまして、そうして妥結を見るようにはかっておるというお話でございます。ただ問題は、被害者の申請いたしました金額と、私どもが特損法の基準内容によって算定いたしました場合と食い違いがございますので、その点をよく御理解願えるように御説明しているはずです。ただ決定的なことは申し上げかねることは、申し上げましたように、目下私どもの方の本庁でも財政当局と予算折衝中でありますので、金額がはっきりいたしませんので、これでいかがですかというわけにはまだ参っておりません。
  92. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それは大体いつまでのものをやっておられるのですか。
  93. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 講和発効後の昭和二十七年度の事案から、差し当りまして二十九年度分までのことを計算しております。
  94. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 先ほども申し上げましたように、私どもの関知する限りにおいては、現地の皆さんの要望なりあるいは、要求というものが、他の軍事基地と比較して非常に遠慮したというか、些少に過ぎるくらいなものであると私は思うのであります。さらにまたその要望の仕方、要求の仕方も非常に差し控えた態度と考え方でなされておりますので、ややもすると、現地の調達局ないしは本庁のいわゆる話し合いの仕方、折衝の仕方がほかの基地と違って強く感受されますので、私は特にこの築城の場合には、そういった点を一つ十分考慮してやっていただかぬと、かえってあとに大きな問題を残すようなことが起り得る、こう思うのであります。従いましてまだ算定その他のものを拝見する時期に至っていないようでありますが、この問題はなるたけ早くしかもできるだけ多額のものを大蔵省当局に折衝して一つ取っていただいて、早急にその現地への補償の実体を示してもらいたい。さらに私はその結果によって、この問題はあらためて当局に対して質問なり要請をすることといたしまして、本日は、早急にしかもできるだけの額を大蔵当局から取っていただきたいという要望を添えて、終りといたします。  次に駐留軍が現地の農民の意思を無視して稲童地区の民有農地をつぶして、米軍が海岸の射撃場へ通ずるための道路を勝手に設置した。そのために農地としての使用価値がなくなったり、壊滅したという事実があるのであります。これはまことに心外なことでありまして、たとい安保条約によって駐留する米軍といえども、土地所有者の意思に反してかってにそのようなことをすることは、とうてい許されることでないことはもちろんであります。現に築城基地においてはそういった事実があるのであります。これについていろいろお尋ねしたいことがありますが、まず最初に調達庁側のこれに対する御見解を承わっておきたいと思います。
  95. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 ただいま御質問の、勝手に道路を作って歩き回っておるという事案は、高射砲陣地に使っておる施設及び区域に通ずる道路のことと存じますが、この経緯は、旧軍時代に飛行場の誘導路であったのでございます。そこが戦争終了後に関係農民に払い下げが行われまして、一応農地という形になっておるのでございますが、これが陣地まで入りますのに道路のような格好をしておって、駐留軍が使いやすいので、使っておることは事実でございます。  これは私ども所管の成規の事務手続からいきますと、施設及び区域として正式に提供すべきであるか、それともここに駐留軍また一般にも通行できるような道路を設定すべきかということにつきましては、検討中でございますが、もし関係農民の御希望の線を実現するとすれば、はっきりと施設及び区域として扱えるようにすべきである、使用権を確保して実施すべきものというふうに判断しております。
  96. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 不動産部長のお答えを聞いていると、調達庁としては、たとい旧陸軍が使っておったものにしろ、農地として払い下げて、農民がこれを耕作している土地を、アメリカ軍が勝手に、たとい通りいいとかないとかでなく、使用しているという実態を御存じでありますが、これに対して調達庁側としては、米軍に抗議またはそういった使用を直ちに中止すべきであるという申し入れをなさったことがあるかどうか、お伺いいたします。
  97. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 一般的に申し上げますと、こういった事案につきましては、当然米軍に使用を控えてもらうという申し入れをするのが筋でございます。そうでなければ、すみやかにこれを米軍が使えるように裏づけの措置をする、いわゆる使用権を確保するというのが筋でございますが、本件につきましては、私ども知ったのは確かに今日現在よりはだいぶ前でございますが、関係農民はむしろ使っていただきたい、ただしこの土地を買収してもらいたいというような要望もございましたので、先ほど申し上げましたように、正規の施設及び区域とすべきかいなかというその手続について考えておるというような次第でございまして、一般的には御質問のようなふうにはできるだけしないというのが方針でございます。
  98. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私も現地に参りましたが、先ほど冒頭に申し上げましたように、現地の諸君は、自分の土地を勝手に使われておりながらも、それに反対あるいは何か強い要求をするのでなくて、むしろ軍に使ってもらいたいというような非常に好意ある協力をしておるのであります。従いまして、そうであるならあるだけ担当官庁である調達庁としては、施設、区域にすべきかすべきでないかということも、もちろん一応そういった決定をなすべきでありましょうけれども、施設区域か区域外かにしても、なるたけ早くこういった現地民の要望にはこたえるのが至当でないかと私は思う。いまだ今日そのままにしてあるというのは、私どもとしてはまことに遺憾千万に思うのであります。しからば調達庁としては当該関係者の要望にこたえてこれを買い上げて、買い上げた結果施設にされるか施設外にされるかは別として、早急にこの処置をされる意思があるかどうか、そしてまたそれはいつごろ具体的に実行される見通しかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  99. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 買うなりあるいは借りるなりの措置については早急にいたしたいと思います。ただ今日までおくれておりますのは、このような道路を施設及び区域にするか、あるいは路線権というような地役権だけの処理でもって片づけるかということにつきましては、実は非常に問題がありまして、結論が出なかったので、私どもも扱いかねておったわけでありますが、いずれにしましてもその点の研究もだいぶ進行いたしましたので、近く借り上げるか買収いたすか、いずれかの措置をいたします。
  100. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 と同時に、買い上げその他の処置をされることはけっこうであるし、またそうあるべき、だと思うのでありますが、実際に駐留軍がそのような措置をしておるのでありますから、調達庁でお買い上げになる時期まで、その間の地元民の受けた損害に対する補償を私どもは当然なすべきものと思うのであります。買い上げるのが昭和三十一年の何月何日になりますかはわかりませんが、駐留軍が勝手に使用し出してからその買い上げに至るまでの期間の補償を私は当然なすべきであると思うが、調達庁ではそれをされる意思があるかどうか。
  101. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 少くとも賃貸借契約で参りました場合に、使用開始の時期から今日までの賃借料については、当然その借料相当額は補償すべきものと判断いたしております。
  102. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 農地局長お尋ねしたいのでございますが、今お聞きのような事実が現に存在しているわけであります。少くとも民間においては農地が一畝たりとも農地以外の用に供される場合には、当該市町村の農業委員会の議を経、さらに県の農業会議の決定を経なければ、農地の使用の目的変更はできないわけであります。たとい安保条約による駐留軍といえども、こういったまことに無謀と申しますか、私は現地に行って全く血の沸き返るような憤慨を感じたのでありますが、こういった事実を農林省としては御存じになっておったのかどうか。また御存じになっておったとすれば、いかなる措置をされましたか。一つ責任ある御答弁をお願いしたいと思うのであります。
  103. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまお話を承わっておりますと、農地の転用につきまして、農地法上どうも遺憾の点があったのじゃないか、こういうふうに確かに思われるのであります。私ども、今問題になっております築城の飛行場の件につきましては、昨年の秋地元から話がありまして、直ちに県を通じまして調査をいたして、本年になりましてからその回答が参ったのでございますが、その中に今御指摘の農地の転用の問題は実は含まれておりませんでしたもので、転用の問題につきましては、実はただいま委員の御質疑によって初めて承知した、こういうことであります。
  104. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私は、農地局としては1現地の担当官庁もそうでありますけれども、相当長い期間こういうような事実があるのであります。少くとも農地解放を完了し、いわゆる農地を確保するためにあらゆる犠牲を払って行なったわが国の農地関係の問題が、このようなことで無視されることは、まことに遺憾千万と思うのであります。農地局長がきょう私どもの質疑を通じてこういった事実を承知したということは、まことにうかつ千万と思うのでありますけれども、これも実際とすればやむを得ないと思います。反面調達庁が現地の諸君と話をして適当な処置をするということも当然でありますけれども、こういったことが実際において私が方々の基地を回りますたびにあるのです。こういうことはとうてい許さるべきことではないと思いますが、今ここで農地局長にお小言を言うのもどうかと思いますので、私は調達庁の事務的な折衝の過程は過程として、やはり農林省としてもこういう実態を早くつかんで適当な措置をしていただくことが妥当であると思うのです。本日わざわざ農林省からおいで願ったのも、私はこういった実態を見て全く日本人としての正義観から許さぬものを感じましたので、実はおいで願ったのでありますが、おそらく全国にまだこういったケースがあると私は思うのであります。この実態にかんがみて至急農林省としても調査していただいて、こういう事実があったならばすみやかなる処置をしていただいて、こういう問題が起らぬようにぜひ善処方をお願いしたい、こう思うのであります。この点につきましては大体調達庁の御答弁を了とするにやぶさかでございませんが、一つ至急処置をされまして、今までの事案ができるならば今国会開会中に解決するという確信を持って御遂行願いたいと思うのであります。  次に接収地内の山林の燃料補償の件でありますが、これも私行って参りましたが、高射砲陣地に鉄条網をめぐらして立ち入り禁止にしているのであります。その補償の額を聞いたら、現地では一年間に七銭と言っておりましたが、何か調達庁の答弁書によると月七銭ということであります。月七銭でも、私はこれは非常に安いものだと思うのであります。妙義の場合は立ち入り自由で、全然立ち入りを制限しない地区ですら九銭七厘の契約をしたのであります。この稲童地区の山林の場合には立ち入りを厳禁しておいてしかも七銭という契約は、私は非常に不当に安いものだと思うが、調達庁は、現地の要望にこたえてこれを適当に改訂される意思があるかどうか。さらに燃料等の関係もございますが、これを含めて今までのいきさつと、今私が申し上げた改訂をなさる意思があるかどうかをお答え願いたいと思うのであります。
  105. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 御質問の地域は高射砲陣地の中の一部で、山林の制限区域の中のお話でありますが、お話にございましたように、確かに私ども過大な制限をしておるものと判断いたしたわけでございます。従いまして、一番いい方法は、その制限区域を解除することによって、関係農民が自由に立ち入りできて使用収益ができるというふうにもっていくことが一番いいと判断いたしまして、米軍側に数次にわたって厳重な交渉をいたしました。ところが米軍側の方にもまた事情がありまして、付近に家族住宅の場所があるのでございます。そういったような関係から、その高射砲陣地の立ち入りとあわせて、やはり立ち入り制限を、あるいは日本側の方では過剰と判断するかもしらぬが、万やむを得ないというようないきさつもあったのでございます。従いまして、そうなりますと、今御質問がございましたように、月間でありますが、坪七銭という使用料が適当かどうかという問題になるわけでございます。この問題につきましては、一般の山林の賃借料につきまして吟味をいたしまして、七銭が適当と判断いたしております。ただ問題は、その場合は若干の下草刈りだとかあるいは若干の間伐だとか、そういうような適当だる使用収益がなし得るということが必要と判断いたしますので、その採取不能分につきまして、補償いたすということに方針を決定いたしておりまして、金額も算定が終りましたので、現地の調達局におきましては、関係者と打ち合せ中でございます。
  106. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私は坪七銭の賃借料はたとい別に薪炭の補償料をお出しになるとしても、自分の土地に、自分が立ち入りできないという精神的なこともありますので、妙義の例がもし例にならぬとおっしゃれば別でありますが、立ち入り自由であって、何をしてもかまわないという条件下のものが九銭七厘出されて、このように鉄条網を張りめぐらして自分の所有地でありながら、この地に全然入れないというような状態のものが七銭で至当だということはあり得ないと思う。そういったことは、政府に非常な矛盾があるのであります。薪炭の補償は別にするとしても、七銭というものが、過度に低いものだと思考するのでありますが、これを一つ相当の価格に値上げされる御意思はないかどうかお伺いします。
  107. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 今申し上げましたように、そういうような下刈り、あるいは間伐等の収益を上げ得ないということに対する補償については、考えておりますが、賃借料として値上げするかしないかという問題については、現在の段階では値上げいたしかねると判断いたしております。ただいま茜ヶ久保先生が妙義山の問題と比較されて御議論になったわけでございますが、妙義山の問題は将来あそこに山岳訓練学校が設置された暁は、関係山林の地域において、射撃は実施いたしませんが、徒歩で跋渉いたしまして、相当程度の山林経登口を不能ならしめるということが条件になっておったわけでございます。その条件に想定される条件をあわせて算定いたしたような次第でございまして、場所によりましては、完全に爆弾を投下するとか、あるいは攻撃訓練を実施することによって、山林経営を不能ならしめる地区につきましては、ところによりまして、七銭よりも高額なことは御承知通りでございますが、本件につきましては、事務的にはできないものと判断いたしておるわけであります。
  108. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 その問題は基本的な問題でありますので、また別に譲りまして、燃料採取の不能なために起る損失に対しては補償するというお答えであるし、さらに現に大蔵当局とも折衝は進んでおるということでありますが、その結果がもし現地の皆さんの御要望と接近をしておって、大体において了承されるものであれはこれは大へん幸いであります。もし現地の諸君の御要望とあまりにもひどい差があって、現地の諸君がこれを受け入れることができないような状態の場合に、当局としてはさらに考慮されるだけの意志があるかどうか。私は現地に参って現地の諸君の御意向を聞いて参っておりますからこれは無関心でおれませんし、当然そういった具体的の問題の場合には、私もおそらくそういったことに対して、何らかの立場で現地の諸君に御協力することは万やむを得ぬむのと思うのであります。従いましてもちろん無謀な要求とは存じませんが、そういった場合、当局としてはさらに御考慮される余地があるかどうか、この点一応承わっておきます。
  109. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 この事案につきましては、福岡調達局限りで実施できる事案でございますので、適正な結果を出して関係者と協議中のものと判断いたしますが、一般論としては私の方も適正なものに持って、いくように指導いたしたいと考えております。ただ適正であった場合に、関係方々が御納得いかないというときは手を尽して御納得いただくように努力いたしたいと思います。
  110. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 現地の諸君に対して、当局できめた一つのワクでしゃにむにこれに協力させるという納得のさせ方は、私どもとしてはなかなか得心がいかないのですが、現地の諸君を納得させるためには、当局としても自分の方もある程度の努力をして、現地の諸君の納得を得るような処置を一つ講じてもらいたい、こう思うのでございます。  以上要望をつけまして最後にもう一占だけ伺います。時間もだいぶ進みましたけれども、もうわずかでありますからごしんぼう願いたいと思います。それは代替池の問題であります。これは昭和二十五年の拡張によりまして松原地区の用水池が壊滅されまして、灌漑用水が非常に不足して困っておるので、これにかわる池を作ってもらいたいという要望が二十五年以来なされておりますが、いまだ実現していない。これについて、はまたいろいろないきさつもあるようでありますが、これに対するいきさつと現在のとられておる処置をお伺いしたいと思うのであります。
  111. 大石孝章

    ○大石(孝)政府委員 ただいま御質問がございましたように、昭和二十六年にこの松原地区に飛行場部分か拡張せられました場合に、その中にありました灌漑用水のため池が壊滅した事案でございます。それで調達庁におきましては、昭和二十六年にこの関係の農地に到達一する水路三本分の補償は全額九十万円を支出することによって解決いたしておるのでございますが、ただため池自体を復旧させる、適当な場所に代替のため池を設置するという事案につきましては、農業経営上損失被害があれば当然理屈のあることでございますので、私どもの方でも農林省の農地局の方に緊密な連絡をとりまして、私の承わっております範囲内におきましては、農林省の農地局拓植課におきましても、わざわざ担当の主任官を現地に派遣中でございまして、その結果どういうことになるかということが、私の方に連絡がある予定になっております。
  112. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 ただいま不動産部長から、農地局の拓植課長にこの事案については調査をしていただいておるということでありますが、農林省でこのことをお聞きになったのはいつごろで、しかもその後どのような処置をされておるか、担当課長である拓植課長から御答弁を願いたいと思います。
  113. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまの灌漑用のため池の問題につきましては、昨年十月ごろ地元の方がわざわざ農地局に見えまして、その他の点と一緒に事情の陳述がありまして、私どもとして初めて承知したわけでございます。そこで福岡県を通じまして実情の調査を依頼しておったのであります。なおまた調達庁の方からも、本年一月になりまして、農林省の見解と申しますか、お尋ねになるなど御連絡がございました。そうしているうちに県からの調査報告が参ったのでありますが、報告書を見てみますと少し不備な点がございまして、実地について調べる必要がございました。特に今のため池につきましては、つぶれた十町歩ばかりの水田とそのため池の関係、それがどういう権利関係にあるかといったようなことについて少し調べる必要が生じましたので、先ほどお話が出ましたように、ただいま現地で調査中でございまして、その辺がはっきりすればすぐ解決できる問題である、こういうふうに考えております。
  114. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 代替ため池の点についても、両当局の御答弁は一応誠意あるものと私は考えますが、これはやはり現地の諸君が大分言っておりましても今までなかなかできておらない。そこで私は、きょうは私の立場を一応保留して現地の諸君の意思というものを本委員会で表明したわけでありまして、私は五つの点について御質問したのでありますが、今の御答弁がそのまま実行されますならば、まだいろいろな問題は残りましょうけれども、一応現地としてもやや満足のいくものが生まれるのではないか、こう思うのであります。従いまして、冒頭にも申しましたように、現地の諸君は非常に純粋な気持で協力しておるのでありますし、ぜひこういったものを裏切らないためにも、できるだけの努力を願いたい、こう思うのであります。  最後に、防衛庁の経理局長がお見えになっておりますか、実は私はうっかりするとこの問題は、うわさによると近く接収解除されて防衛庁が引き継ぐというようなことでありますので、防衛庁の責任の面が出てくると考えてお呼びしたのでありますが、幸いに調達庁の御答弁が、私の感ずる面においては責任をとってもらえるというところに来ましたので、防衛庁の経理局長お尋ねする案件はなくて済んだわけであります。しかし先ほども言いますように、現地に参りますと、現地の諸君は私どもから言うとまことに残念しごくのほど非常に純粋な気持で協力しておるという状態であります。さらに聞くところによると、また滑走路の延長等も計画があるやでありますが、これに対する私どもの立場は別として、現地の諸君の様子をお聞きすると、それぞれ問題があるようであります。それでまたそのとき、起ったときには起ったときで重ねていろいろお尋ねし、御要望します。特に現地の隊長とも会って参りましたが、現地の隊長その他の幹部諸君も、こういったことに対して、実地訓練をしながらも大きな関心を持ち、心痛しておるようであります。それではせっかくの訓練等にも支障があるというようなことも伺いますので、そういうようなことに対して、あらかじめそういう点を御了承になって、ぜひ善処方を願いたい、こう思うのであります。これは要望でありますが、せつかくお見えになっておるので、一応経理局長のこれに対する所見を承わりたいと思います。
  115. 北島武雄

    ○北島政府委員 築城の飛行場は、御指摘のように現在駐留軍の使用に提供されておりますが、内々の話では、これか近く接収を解除されて防衛庁に提供されるようであります。そこで、その場合に起ります諸般の問題につきましては、ただいま茜ヶ久保先生から御要望がありましたように、現地部隊をして心配せしめないで安心して訓練に従事できるよう、防衛庁当局といたしましても現地の人たちと十分円満な話し合いを進めたいと思います。
  116. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 一つ資料提出をお願いしたいのです。先般調達庁に西村委員から十八条による事故の資料の提出方を要望したところが、何かあまりに膨大過ぎるので西村委員は飛行機事故たけについて要望したのでありますが、私どもの手元には全国各地の十八条の事故による被害者からの手紙が来ております。さらにまた社会党の支部等を通じて相当数のものか来ております。これを見ますと、十八条による被害者が泣き寝人りをし、あるいは長い問無補償のまま放置されておるという実態がまた全国的にあるやに私は思うのであります。従いまして、これはまことにごめんどうな仕事かとも存じますが、事人命に関することも多分にありますので、十八条による専攻の発生した日時と、事故の概要と、申請された日にちと、処理された日にちと、申請の金額並びに査定された金額、これが公務上のものか公務外のものか、またその処理の経過、これは現在までに処理されたものはその処理件数でよろしいのですが、まだ未処理のものは、その事故の起った場所と人名も、一つぜひ全国的に御調査願いたい。そうして表にして委員に配付してもらいたい。これは少し仕事がめんどうでありますけれども、やはり駐留軍関係によって起るこういう問題は私どもとしては看過できないのであります。ぜひこれは要望したいということを申し上げて私の質問を終ります。
  117. 保科善四郎

    ○保科委員 ちょっと関連して。私は今の茜ケ久保委員の質問並びにそれに対する政府当局の御答弁を聞いて、実は非常にうれしく感じたのであります。こういう問題は、とにかく日米安全保障条約によって米軍が日本の防衛を担当してくれておるのでありますからして、向うに対しても親切に、こういうことが日米の間を裂くような、反米宣伝の材料になるようなことにしないように当局は十分に注意してもらいたい。今言うたようなことをほんとうに親切にやっておれば、未然にそういうことが防止できると私は思うのです。せっかく何千里という遠方から来ておる米軍に対していやな感じを与えたりするということは、日本人も好まないわけです。どうぞそういう意味合いにおいて親切にやって、事前に起りそうなことを防止して、こういうような基地の問題あたりは皆無になるように当局の善処をお願いすると同時に、社会党の茜ケ久保委員のきょうの質問あたりも非常に親切で、私は気持よく感じましたことをここに表明しておきたいと思います。     ―――――――――――――
  118. 山本粂吉

    山本委員長 この際お諮りいたします。臨時教育制度審議会設置法案について、文教委員会から連合審査会開会の申し入れがありますので、これを了承するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 山本粂吉

    山本委員長 御異議なければさよう決します。なお開会日時は、明後十六日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十一分散会