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1956-02-09 第24回国会 衆議院 内閣委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年二月九日(木曜日) 午前十時四十六分
開議
出席委員
委員長
山本
粂吉君
理事
高橋 等君
理事
保科善四郎
君
理事
受田 新吉君
理事
下川儀太郎
君 大坪 保雄君 大村 清一君 小金 義照君 薄田 美朝君 田村 元君 辻 政信君 床次 徳二君 林 唯義君
福井
順一君
古川
丈吉
君
眞崎
勝次
君 宮澤
胤勇
君 栗山 博君 横井 太郎君
茜ケ久保重光
君
飛鳥田一雄
君
石橋
政嗣君
稻村 隆一君 片島 港君 西村 力弥君 細田 綱吉君 森 三樹二君
出席国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
内閣官房
副
長官
田中
榮一君
総理府事務官
(
調達庁総務部
長) 眞子
傳次
君
人事院総裁
淺井 清君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長
) 大山 正君 専 門 員 安倍 三郎君 二月八日
委員眞崎勝次
君
辞任
につき、その補欠として楢
橋渡
君が
議長
の指名で
委員
に選任された。 同月九日
委員北れい吉
君及び
楢橋渡
君
辞任
につき、その補 欠として
古川丈吉
君及び
眞崎勝次
君が
議長
の指 名で
委員
に選任された。 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
調達庁
に関する件 自衛隊に関する件
公務員
の
給与
に関する件
山本粂吉
1
○
山本委員長
これより
会議
を開きます。 昨日提出の
石橋
君の
動議
を議題といたします。
討論
の通告がありますからこれを許します。
保科
君。
保科善四郎
2
○
保科委員
私は自由民主党を代表いたしまして、昨日の
板付飛行基地移転
に関する
石橋
君の
動議
に対しまして
反対
の
討論
をいたすものであります。 この
飛行基地
は、御
承知
のごとく、
日米安全保障条約
によりまして、
日本
の
防衛
の重要なる
任務
を遂行しておる場所でございます。従って直ちにこれを
内閣委員会
の
決議
といたすことは適当でないと考えるのでございます。 何となればこれは
関係各部
、特に実際にこれを使用して
防衛
の
任務
を遂行している
米軍
との十分なる
折衝
も必要であります。またその代
換地等
に対しても十分なる見込みをつけてそうしてこの問題を扱うべき性質のものと考えるのであります。従ってこれを
動議
として直ちに決定することなく、十分に
委員長
より
政府
に
善処方
を
要望
すべきものと考えるのであります。すなわちこの
報告
を
了承
するということにいたしまして、
委員長
から
政府
に対し
着処方
を
要望
されんことを希望いたしまして私の
反対討論
を終ります。(
拍手
)
山本粂吉
3
○
山本委員長
茜ケ久保
君。
茜ケ久保重光
4
○
茜ケ久保委員
私は
日本社会党
を代表いたしまして、この
決議案
に
賛成
の
討論
を行うものであります。 去る一月十一日から十五日にわたる五日間の
現地調査
の結果に対する御
報告
は
自民党
の
眞崎勝次同僚委員
から詳細に述べられたのであります。この詳細な御
報告
を、きのう本
委員会
においてお聞きになった少くとも
日本
人としての
国会議員
であるならば、私はあの
内容
に対してだれ一人
反対
できるものではなかろうと思うのであります。私は
派遣団員
として
現地
に参りましてつぶさに
実情
を
調査
いたしました。
現地
における市長以下全官公庁の
代表者
、あらゆる団体の
代表者
、そうしてまた
市民
、あるいは
学校関係
、その他五十四万
市民
のあらゆる階層の
代表者
が
市会議場
にあふれまして、それぞれの
立場
から非常な熱意のある
反対意見
が、述べられたのであります。これを聞きまして私
ども
は、もちろん
社会党
といたしましては
基地
の設定それ
自身
に
反対
ではありますけれ
ども
、今回の
調査
といたしましては、
内閣委員会
から、
移転
の申請に対する
調査
でありますから、
移転
ということだけに限っていろいろな
調査
をしたのでありますが、これはまことに言語に絶するものがあるのであります。しかも
福岡市民
が
基地
に
反対
して、この
基地
を
日本
からなくせというならば、あるいは
自民党
の
諸君
の
日米安保条約
その他に日をかりておっしゃることもわからぬではございませんけれ
ども
、これは
移転
でありまて、あの五十四万
市民
のまっただ中にある
基地
を適当な他の地区へ
移転
してもらいたい。それもかえ地があるなしにかかわらずわれわれは絶対にというのではなくて、適当なかえ地を探して、しかもそのかえ地に
移転
をしてもらいたい、こういうのであります。従いまして私
ども
は、
今保科委員
がおっしゃったように、
日米安保条約
に対する
違反
でもなければ、またあの四十三
航空師団
が
日本
を
防衛
するということをいっておりますが、私に言わせると、あれは決して
日本防衛
のためではありません。はっきり言うが私はアメリカの
第一線空軍基地
と思っている。しかし百歩譲って、いわゆる四十三
師団
が
日本
を
防衛
するということにいたしましても、
移転
でありますから、
移転
するまではあの地におることを決して
福岡市民
も
反対
しているのではありませんから、何ら
防空
上に
支障
のある点はないのであります。しかも、昨品もちょっと触れましたが、私
ども
は
現地
の
師団長
に会って、
師団長
の意をよく聞いたところが、
師団長
も
福岡
全
市民
の
反対
の中であの
基地
におることは、決して
防空
を完全に行うゆえんではない。全
市民
の
反対
の中では、一たん事あった場合には
防空
を担当する
司令官
として、とうてい完全な
防空
の
責任
は負えぬということをおっしゃっておる。そうして、
自分たち
としてもほかに適当なかえ地があれば
移転
してもよろしいし、さらに
移転
することを上司に上中いたしましてそうして
皆さん方
の御
意向
に私
ども
は決して追随するのにやぶさかでない、こういうことを言っておる。どんな
観点
から考えましても、私はこの
決議案
に
反対
する
理由
がないと思うのであります。特に私が指摘したいのは、これは
内閣委員会
から配付されました
基地
問題に関する
資料
でございますが、
米駐留軍
は都市の周辺から撤退するとの
外務省発表
がちゃんと出ておる。その中で、その使命の遂行に
支障
なき限り、原則として
陛軍び空軍
は
都会地外
に撤退するという
話し合い
ができております。さらにまたきのうの
委員会
において
自民党
の
福井委員
はこうおつしゃっておる。以上述べましたように、
福岡
の地元といたしましては、何としても今までの甚大なる
損害
に対する補償、
防音施設
というものをすみやかに徹底してもらうことは言うをまたないことでありますけれ
ども
、もう
一つ
抜本塞源的に、とにかくこの
航空基地
を可及的すみやかに
移転
してもらいたいという
要望
でありますから、重ねて私が
要望
いたしますことは、本
委員会
といたしましては、可及的すみやかに
移転
すべしという議決をしてもらいたいということであります。」こういうふうに
自民党
の
福井委員
ですらおっしゃっておる。こういったことからいたしまして私
ども
として、この際今すぐにここで目もかさずに
移転
しろというならば別でありますが、
決議案文
にもありますように、私
ども
といたしましてはまとに譲歩を重ねた
決議
でありまして、
政府
に対しては決して無理を言っているとは思いません。従いまして私はどのような
観点
から考えましても、これはすみやかに
移転
すべき諸般の情勢を
政府
が
責任
をもって整えて、そうして五十四万
福岡市民
のあの血の出るような
要望
に対してこたえることが至当であると思うのであります。特に私は一言つけ加えたいのは、私
ども
は決して個人で
調査
に行ったのではございません。昨年の暮れ、
福岡
市よりの
移転
に対する
調査方
を上申してやつた。そのことを
内閣委員会
がとらえて正式に
調査方
を決定したというのは、何らかの
結論
を出して
委員会
の
責任
においてこれを解決する努力をするという意志があったからだと思うのであります。その
内閣委員会
の意思によって行動した
調査団
が、しかも
調査
の結果全員一致決定した
結論
であります。特に
福岡
市において私
ども
の五日間における
調査
に対して、
福岡市民
のすべてがこういうことを言っておる。われわれは今までたくさんの
国会
からの
調査団
を迎えたが、もちろん今までの
調査団
がふまじめであり、
仕事
を遂行しないとは言わないけれ
ども
、今回の
基地調査団
ほど真剣に、しかもまじめにあらゆる
観点
から
市民
の
要望
にこたえるような
調査
をして下さったことは初めてである。われわれは本
調査団
に全
市民
をあげて満腔の敬意と謝意を表するという
新聞発表
すらしておるのであります。このような真剣にしてまじめな、しかも徹底した
調査
の結果生れました
全会一致
の
結論
に対して、本
委員会
が何の
理由
があってか——私は
保科委員
が
自民党
を代表して言われたあの
反対理由
は何ら了解することができないのであります。かような
意味
において
自民党
の
諸君
も、この全
福岡市民
の、しかも
福岡市議会
から
自民党
の全
市議団一同
の
決議案決定要望
の電報を受けております。また同日
調査団
と一緒に
懇談会
に列席された
自民党
の某代議士は、私もこの問題については全面的に
移転
に
賛成
であるという
意見
を述べていらっしやる。このようにどの
観点
から見ましても、私は本
決議案
がこの
委員会
において満場一致決定されることはありえても、
反対
される
理由
はどこにもないと思うのであります。いろいろ申し上げれば数限りなくございますが、かような
意味
において、私はいま一度
自民党
の
諸君
も考え直して、全員一致
賛成
されることが至当であると思うのであります。 以上を述べまして
社会党
を代表して本
決議案
に対する
賛成
の
討論
といたします。(
拍手
)
山本粂吉
5
○
山本委員長
これにて
討論
は終りました。これより採決いたします。
石橋
君の
動議
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
山本粂吉
6
○
山本委員長
起立少数
。よって
動議
は否決されました。
福井順一
7
○
福井
(順)
委員
全国の
基地
問題は
現下日本
の最も重要な問題の
一つ
であります。従いまして
福岡
の板付
基地
問題もまことにこれは重要な問題でありまして、この問題につきましては慎重にやらなければならない、私はこう考えるものであります。この
航空基地
が
日本防衛
のために果している役割というものはまことに重大なものであります。またこの
航空基地
があるために地方の財政に神益しているところもまことに大きいものがある。またもう
一つ
考えなければならないところは、
条約
上の義務を果して
国際信義
を守らなければならないということも考えなければならないことは、こういうことも私
ども
が
現地
に
調査
に参りましたときに、
司令官
からもつぶさにその
報告
と
意見
の開陳があったのでありますが、それにも増して、何といたしましてもこの
福岡
市というものは、五十四万
市民
を擁するところの
商工業
の
一大中心地帯
であり、また文教の府であります。従いましてこれら
航空基地
によるところの
損害
というものは、まことに甚大なるものがあるのでありますから、こういうこともよく
委員長
は勘案されまして、非常に慎重なる
態度
でもって事を決しなければならない、私はこう思うのであります。幸いにも
司令官
も、適当なかえ地があれば
移転
をしてもいいということも言っておるのでありますから、
委員長
といたしましても、かえ地があれば
移転
をするという
決議
をするくらいのお気持で、
政府
に対しましても強硬にこれが
善処方
を
要望
していただきたいということを希望いたします。
山本粂吉
8
○
山本委員長
福井
君の
発言
はこれを
了承
いたしました。
委員長
は
政府
に向って強くこれを
要望
いたすようお取り計らいいたします。
山本粂吉
9
○
山本委員長
次に
公務員
の
給与
及び
公務員制度
につき
受田委員
より
発言
を求められておりますので、これを許します。受田君。
受田新吉
10
○
受田委員
公務員制度
及び
公務員
の
給与
に関しては、すでに
政府
の
内部
において
種々検討
を加えて、進展の
傾向
にあるようでありますが、ここで年も改まったことだし、
政府自身行政機構改革案
について相当雄大な構想のほとばしりも拝見しておりますので、一応最近における
関係
の諸点について御
答弁
をいただきたいと思います。 最初に、
官房長官
が来られる前に、副
長官
も
おいで
のようでありますし、なお
淺井人事院総裁
がおりますので、お二人で間に合う点についてお尋ねしたいと思います。
内閣法
に
規定
してあるところの
総理大臣
と、
総理大臣
の欠けたときあるいは
総理大臣
に
事故
があるときに、臨時に
総理大臣
の
職務
を執行する副
総理
なるものとの
関係
についてお尋ねしたいと思うのであります。
内閣法
の第九条には、今私が指摘した点が掲げてあるのでありますが、
内閣
においては、現にだれをもってこの第九条に掲げられたる
規定
の
適用者
と定められておるのか御
答弁
を願いたいと思います。
田中榮一
11
○
田中
(榮)
政府委員
ただいまは第九条の
規定
に基きまして、あらかじめ
総理大臣
から
重光外務大臣
を
内閣総理大臣
の
代理
として指定してございます。
受田新吉
12
○
受田委員
重光外務大臣
が副
総理
であるという御
答弁
でありますが、副
総理
は
総理大臣
が
事故
があるときあるいは欠けたときその
職務
を行うというこの
規定
に忠実なる
立場
に置かれておるのかどうか。ことにことしの初め
鳩山総理
は、
予算
の審議の
最後段階
において、
閣議決定
を急がなければならぬという
段階
において、
川奈温泉
の方で御
静養
中、副
総理
である
重光
さんが
総理
にかわった
立場
で、主として
閣議
の
責任者
となって、その
取りまとめ
に尽力せられておるのかどうか。事実上
総理
は
川奈温泉ホテル
で御
静養
中でありますから、これは
事故
あるものと認めなければならない。その際における
閣議
の
主宰者
としての副
総理
の
地位
が
いかよう
にあったかを御
答弁
願いたいのであります。
田中榮一
13
○
田中
(榮)
政府委員
総理大臣
が
川奈
におきまして病気
静養
されておりましたときのことにつきましては、先般の
予算委員会
におきまして、
総理大臣
御
自身
から
お話
がございましたので、この点は私からお答えを省略した方がよいと存じます。なお
総理大臣
が病気その他の事由によりまして
閣議欠席
の場合におきましては、便宜副
総理
でありまする、
内閣総理大臣
の
代理
でありまする
重光外務大臣
が事実上
閣議
を主宰されております。
受田新吉
14
○
受田委員
閣議
を主宰されておるという確実なる情報を今初めて
田中
さんからお聞き取りしたわけでありますが、われわれが
新聞記事
その他でその
閣議
の模様をうかがうところによると、副
総理
の夜光さんの
存在
は全く影を没して、新たなる
人物
が副
総理
の格にのし上って、
閣議
の空気を左右しておるということを伺っておるのであります。これは
予算折衝
においても、
大蔵大臣
との
予算
ぶんどり
交渉
などに、
河野農林大臣
のごときは勇敢に飛び込んで、その目的を達成して、その後においては、今度は
大蔵大臣
との間の
連絡調整係
として御活躍になっておるというようなことを見ますと、
予算折衝
においても、副
総理格
の
仕事
はむしろ河町
農林大臣
であるということを、
新聞記事
その他の
印象
でははっきりこれを受け取れるのでありますが、
重光外務大臣
みずからが副
総理
としてその間のあっせんの労をとったということを私は何っておりませんが、そういう問題はいかがでございますか。
田中榮一
15
○
田中
(榮)
政府委員
ただいまの
お話
はどういう
意味
かよくわからないのでありますが、
河野農林大臣
は、御
承知
のように、党との
連絡閣僚
になっておりまして、
予算
その他一切のことにつきましては、
内閣
と党との
連絡
のためには、
河野農林大臣
初め他の二、三の
閣僚
がこれに当っておりますので、さような
意味
におきまして
新聞
に
河野農林大臣
の名前がしばしば出るわけでありまして
法規
上のいわゆる
総理大臣
の
代理
は、あくまで
重光外務大臣
になっております。
受田新吉
16
○
受田委員
日ソ交渉
におきましても、
外務大臣
を乗り越えて
河野外務大臣
とおぼしき者が
総理
と直接
折衝
されて、
外務大臣
と
総理大臣
との
話し合い
では一応の
結論
が出たごとく
印象
されたものが、翌日は
重光外務大臣
が存知しないような結果を新たなる
人物
が現われて取りきめておる。こういうようなことは
外交
上においても、副
総理
の
地位
にどこにあるかという
印象
を
国民
に与えておるのです。この点
内閣法
に指定してあるところの第九条の
規定
は、事実上現
内閣
においては、
重光
副
総理
なるものは、
外交
上においても内政上においても、副
総理
としての
働き
をしていない、こういう
結論
が出ると思うのでありますが、こういう点は、ただ単に
事務連絡
上
総理
にかわって、
閣議
の席上においての
取りまとめ
は
重光
さんがしているというようなことではなくして、
実質
上、
内閣
の
責任者
としての副
総理
の
働き
ができていないという
印象
を与えているのですが、この
印象
は間違いであるかどうかを御
答弁
いただきたたい。
田中榮一
17
○
田中
(榮)
政府委員
私
ども新聞
に報導されたことをそのまま事実としてとるわけにはいかないのでありまして、やはり
法規
上の点から申しますと、あくまで
重光外務大臣
がいわゆる
内閣総理大臣
の
代理
として
内閣
の公式の一切の
事柄
を
取りまとめ
る、こういうふうにしか申し上げることはないと考えて おります。
受田新吉
18
○
受田委員
吉田内閣
のときは、今は故人となられた
人格者緒方
副
総理
が、常に
吉田総理
を助けて、衆議院における本
会議
及び
委員会
の
答弁等
においても副
総理
としての
発言
を堂々としておられました。ところが
鳩山内閣
において副
総理
としての
重光外相
の御
答弁
を私は残念ながらまだお聞きしておりません。この点におきましては、
重光
副
総理
は
吉田内閣
における
緒方
副
総理
のような形式、
実質とも
に
りつぱな
副
総理
としての資格が与えられていないという
印象
を
国会議員
のみならず
国民一般
に与えておるのであって
内閣法
第九条
違反
であると思うのであります。この点におきまして、少くとも政治的な
責任者
として
内閣総理大臣
の
事故
あるときにおける副
総理
の
地位
がはっきりと確保されるような
措置
をおとりになる必要があると思うのでありますが、
内閣
の
事務
の整理をなさる
官房
といたしまして、いかなる御見解を持っておられるか、御
答弁
をいただきたいと思います。
田中榮一
19
○
田中
(榮)
政府委員
ただいままで
重光外務大臣
は、
内閣総理大臣代理
といたしまして
内閣
の全体をまとめるような
事柄
につきましては、きわめて有力に働いておられます。ただそれが外部に十分に出ていないというだけでありまして、私
ども
は
内閣法
第九条のこの
規定
は明確に順守されておるもの、またそういう線に沿うて
内閣
が
運営
されておるものと
確信
をいたしております。
受田新吉
20
○
受田委員
確信
をしておられるということでひそかなる御満足のようでありますが、これはすでにあらゆる
国会議員
を通じ、保守の方も同感でありますし、
国民一般
が
重光
副
総理
の
存在
は無視されていることを確認しておるのです。これはもうさおさすことのできない大勢なんです。そういう
立場
上
内閣
の
内部
では
内閣法
第九条に
規定
する
規定
を無視した行動がとられておるという点において、これは重大な問題だと思うのでありますが、少くとも
内閣法
にはっきりと
規定
してあるこの
規定
を十分尊重する
措置
をとられることを一応
要望
いたしておきまして
官房長官
が来られてから、あらためてさらに鋭く追及することにしたいと思うのです。 次は、
人事院総裁
にも関連御
答弁
をいただきたいことなんですが、現
内閣
は
行政機構
の
改革
を徹底的に推し進めたいという意欲を持っておられることは、われわれよく
承知
しております。ところが
昭和
二十九年の三月でしたか、
政府
は
閣議決定事項
として
公務員制度調査会
なるものを設けられ、その
答申
を待って
改革
を推し進めようという意図のもとに、昨年の十月その一応の
結論
を
答申案
としてお受け取りになっておられると思います。その
答申案
に基いて、
内閣
に
公務員制度調査室
なるものが十一月の初めごろでしたか、できたと思うのでありますが、この
内閣
調査室
なるものは、重大な
行政機構
の
取りまとめ
をする、
公務員制度
の問題を処理する大事な
仕事
であるにかかわらず、なぜ一
政令
をもって単なる
調査室
のごときものでこれを出発せしめようとせられたのか、あまりにも
公務員制度調査
に
軽視的傾向
があると思うのであるが、御
所見
を伺いたいと思うのであります。
田中榮一
21
○
田中
(榮)
政府委員
国家公務員法
の改正その他
公務員制度
全般的な
改革
が必要であるというような声もございますので、
政府
といたしましては、お説のように、
昭和
二十九年三月に一応
公務員制度調査会
なるものを
閣議決定
に基く事実上の
調査
といたしまして設置いたしました。自来数十回の
合合
を重ねまして、ようやく昨年の十月に一応
公務員制度
の
改革
に関する基本的な
答申
ができ上ったのであります。そこでこの
答申
につきましては、まだ若干十分に
検討
を要すべき点もございますので、
政府
といたしましては、昨年の十一月一日に、
お話
のように、
政令
の
根拠
に基きまして
公務員制度調査室
を設けたのでございます。そこでかような重大なものをなぜ
法律
に基かずに
政令
でやったかという御質問でございます。ごもっともな点でございますが、
政府
といたしましては、早急にこれを実施する必要があり、もちろん
法律
の
根拠
に基いて置くのもけっこうでございますが、要はこの
公務員制度調査室
の構成並びに
運営
でございます。またこれに充当さるべき人の問題、こういう点がきわめて重要な問題でございますので、
法律
としなくとも
政令
の
根拠
に基く
公務員制度調査室
を作り、これが
運営
を適正にすることによって十分に効果を上げることができるであろう、こういう
観点
から、一応
政令
の
根拠
に基きまして
公務員制度調査室
を設けたのであります。この
公務員制度調査室
は、三十一年度の
予算
にも人員の拡充を要求いたしておりますように、今後相当拡充強化いたしまして、この
公務員制度
の
改革
というのは、
公務員
百数十万の大きな問題でございますし、
政府
といたしましても、今後の
行政事務能率
を上げる上においても重大な問題であり、かつきわめて重要な施策の
一つ
と考えておりますので、今後この
公務員制度調査室
を拡充いたしまして
公務員制度調査室
におきまして、昨年の十月に
公務員制度調査会
から
答申
をされました
答申
の
内容
を、具体的に十分に
検討
いたしまして、そうして
確信
を得次第、これを逐次法文化するような
準備
を着々進めております。しかし
公務員制度
の全般にわたる非常に広範な問題でありますので、残念ながらこれを早急に立案することは非常に困難でございまして、ただいまいろいろと
資料
を集め、また
調査
をいたしまして、これが法案の
作成準備
に取りかかっておるような次第でございます。
受田新吉
22
○
受田委員
政府
は、
公務員制度調査会
の
答申
をもとにしてのみ
制度
の
改革
を行わんとしておられるように見受けられるのでありますが、
公務員制度
及び
公務員
の
給与等国家公務員
に関しては、
人事院
なるものが
政府
の
機関
として独立してある。この
機関
の
存在
はあたかも忘れ去られたかのごとき御
発言
でありますが、
人事院
の
存在
については
公務員制度調査会
の
答申
とあわせてどのような御
所見
を持って
おいで
になりますか、御
答弁
をいただきたい。
田中榮一
23
○
田中
(榮)
政府委員
ただいま私が申し上げました
調査検討
を加えておるという場合におきましては、
人事院
はもちろんのこと、
関係各省
、それから特に
現業等
を持っておられる
官庁
の
意見等
も十分に取り入れまして、現に
公務員制度調査会
には
人事院
の有力なる職員の方が入っておりますから、等
甲案
を作る場合におきましても十分に
意見
を開きまして、その上で作くられておるわけであります。 それからなお、今後これを
法律案
として立案をする過程におきましても、
人事院
はもちろんのこと、
関係官庁
の
意見
をさらに聴取いたしまして、なるべく
実情
に即したような
制度改革
をやりたい、かように考えておりますので、非常に慎重な
態度
でやっておるわけであります。
受田新吉
24
○
受田委員
人事院
をある程度尊重されているということは、
公務員制度調査室長
に
人事院
の
任用局長
を迎えられたという点で一応私は
了承
をするのでありますが、しかしここに問題があるのけ、
人事院
という
機関
は、いずれの政党の
内閣
であろうと、常に公正な
立場
で
公務員
の
制度
や
給与
を
規定
しようという筋の逝った
機関
です。
国家公務員法
に基くこの
人事院
なる
機関
が、今度
公務員制度調査会
の
答申
あるいは
政府部
内の
意向等
を通じては軽視される
傾向
にあることは、副
長官
も十分御
了承
になっておられると思うが、漸次
人事院
の権限をもぎ取って、あるいは
内閣
に人事局なるものを設けて、新しい構想を進めようというような
意向
もあるようでありますが、
人事院
を現在の機構より漸次権限を縮小するという方向にあることは、間違いない
政府
の
意向
と了解してよろしゅうございますか。
田中榮一
25
○
田中
(榮)
政府委員
政府
といたしましては、特に
人事院
を軽視するとかいうような
意向
はないのでありますが、ただいろいろの行政
改革
全般から考えまして、現在の
人事院
のあり方について再
検討
したらどうか、この形のままでいいのであるかどうか、あるいはこれをもう少し
改革
したらどうであろうかというようなことは、現在論議されております。従いましてすでに
答申案
は——ごらんのことと存じておりますが、
公務員制度調査会
の
答申案
の末尾には、やはり
人事院
の
改革
について若干
意見
が盛られております。 それからなお現在行政審議会におきましても、
政府
全体の
行政機構
の
改革
を今目途にいたしましていろいろ
検討
を加えております。これは大きな
立場
において
行政機構
を鋭く批判いたしまして、相当大きな
行政機構
の
改革
をいたしたい、こういう見地から全体の
行政機構
の
改革
を取り上げております。その中にもやはり
人事院
のあり方についていかにすべきであるかということは当然出てくるのでありまして、この点につきましては今後行政審議会の
答申
がどういうふうになりますか、そういう点も
答申
を待った上でなければはっきりした
政府
の
態度
はきまらぬと考えております。
受田新吉
26
○
受田委員
政府
が意図する
人事院
の
改革
については、
改革
ということになれば改めてよくされるという考え方でわれわれは解釈をしていたのでありますが、
人事院
制度
を縮小するという形に改められるという
意向
がこの
答申
業を見ても見られるし、また
政府
は
人事院
廃止とかあるいは骨抜きの
制度
を残して
内閣
に人事局を置くというような
発言
をしばしばされておる。こういうことになれば、少くとも
人事院
の機構は縮小される
傾向
に持って行こうという意図があると
了承
してよろしいのでございますか。
田中榮一
27
○
田中
(榮)
政府委員
問題は
公務員
の
給与
その他非常に重要な問題でありますので、単に
人事院
を縮小するというのではなくして、
公務員制度
の能率増進のための
改革
並びに
給与
に関する待遇改善という点は、これはひとり
人事院
だけではなくして
政府部
内の機構といたしましても、当然取り上げなくてはならぬ問題でありますので、
人事院
を廃止するのではなくしてそれにかわるべき機構を
政府部
内においても持つ、そうすれば
人事院
が現在の形でなくとも縮小してもよろしい、こういう考え方であります。単に
人事院
だけを廃止してしまったらよろしいという考えではないのでありましてやはりそれにかわるべき機構を
政府部
内に持って、より能率的な
公務員
の活動を期待する、こういう見地からただいま
検討
されている次第でございます。
受田新吉
28
○
受田委員
人事院
にかわる機構を
政府部
内に持って、そしてなお
人事院
をそのまま残すということははなはだ変な話なので、
人事院
にかわる
機関
が
政府部
内に新たにできるならば、
人事院
が骨抜きにされることは当たりまえの話なのです。この点、屋上屋を重ねる
機関
をお作りになる意図か、あるいは
人事院
を骨抜きにしてこれにかわる
機関
を
政府部
内に作る意図か、そのいずれかでなければならないと思うのでありますが、二つの
機関
を並立するような行政
機関
の複雑化をはかるとは、私は解し得ない。要するに私の後者の見解に一応御
賛成
いただけますかどうですか。
田中榮一
29
○
田中
(榮)
政府委員
冒頭に申し上げましたごとくに、
人事院
の今後の取り扱い方につきましては、
政府
としてまだ正式に決定はいたしておりませんので、私からその
結論
を申し上げることはできません。ただ現在の
人事院
につきましては、
改革
した方がよいという
意見
が大体の世論のようでございます。これを縮小して存続するということは、単に今までの沿革があるからこれを存続するのだというのではなくしてやはり存続する以上は、その機構としての十分な
働き
を
政府
としては期待しているわけであります。もし
人事院
が縮小した形において存続されるとすれば、
人事院
としての
任務
を十分に果し得るようなことにおいて、存続されるのであろうと思います。また廃止されるとするならば、当然これにかわるべきものを
政府
としては考えなければならぬと考えている次第であります。従いまして、ただいまのとこるはっきりした
結論
をここで申し上げることばできませんので、この点はあしからず御
了承
願いたいと思います。
受田新吉
30
○
受田委員
政府
の
代表者
としての
田中
さんの御
所見
で、
人事院
は廃止するかあるいは骨抜きの機構として存置するかという方向におもむきっつあるという
印象
を受けたことは、私だけではないと思います。その点は
政府
の意図がはっきりいたしましたので、ここで
一つ
淺井人事院総裁
に御
所見
を伺いたい点が起りました。 それは、終戦後多難な国政の中で人事行政を担当してこられた
淺井人事院総裁
とされては、感無量なものがおありだと思うのでありますが、
政府
自身
において今
公務員制度調査会
の
答申
に基き、あるいは
政府
内部
における
改革
論者たちの
意見
を総合すると、
人事院
を漸次機構縮小の方向へ持っていこうという意図が察知されるのです。しかしここに厳たる
国家公務員法
によって人質院を
政府部
内における独立
機関
としての価値づけがされている以上は、あくまでも
人事院総裁
としてはその
仕事
をお進めにならなければならないのですが、そのお進めになられる大事なお
仕事
の中に国家及び
政府
に対する勧告権があります。その勧告権の中で、すでに国家
公務員
退職年金法なるものの素案が勧告されております。また
給与
準則たるものが同様の
立場
に立たされておりますが、これらの勧告されたものがその後どのように
政府部
内で処理されておるかについて、
人事院総裁
としてはいかなる御見解を持っておられるか。勧告のしつぱなしということは
人事院
の
責任
においてとるべきではないと思うのでありますが、これらすでに勧告済みの諸問題についてのその後の御
所見
をお伺い申し上げたいと思います。
淺井清
31
○淺井
政府委員
受田さんにお答え申し上げますが、申すまでもなく
人事院
といたしましては、勧告いたしたものを実現いたしたいということは当然のことでございますが、ただいまお示しの退職年令法なりその他の問題につきましては、これを受けました
内閣
側におきまして、すべて
公務員制度調査会
に付議せられ、その
答申
が出ておるわけでございます。次いで、これをどう取り扱うかということを考慮中の現状のように考えておりますので、その占につきましては、どうぞ
内閣
当局の方に御質疑を願いたいと思います。
受田新吉
32
○
受田委員
人事院総裁
の御
答弁
で、
内閣
側に
責任
が転嫁されたわけでありますが、この国家
公務員
退職年金法の
人事院
勧告の処理、
給与
準則の処理等については、
政府
は
公務員制度調査会
の
答申
を持つというようななまぬるい問題ではなくて、すでに
昭和
二十八年にこの勧告がされておるので、三年になっておるわけでありますが、
いかよう
にお考えになっておられるのか御
答弁
をいただきます。
田中榮一
33
○
田中
(榮)
政府委員
お話
のように、
昭和
二十八年の一月十八日付をもちまして、
人事院
から
国家公務員法
第二十三条及び弟六十三条の
規定
に基いて、一般職の国家
公務員
の
給与
準則を定める
法律
の案を
内閣
及び
国会
に提出せられたのであります。さらに同年の十一月十七日に
国家公務員法
第八条第四項及び第二十三条の
規定
に基いて、国家
公務員
の退職年金法の案その他恩給
制度
に関する研究の成果と
意見
を、
内閣
及び
国会
に提出せられたのであります。それを受けまして、
政府
側といたしましては、この
給与
準則並びに現在の恩給
制度
の
改革
、これを退職年金
制度
に変更するということにつきましては、
予算
の
関係
、財政の
関係
等もあり、またいろいろ他の恩給等の
関係
もございますので、この点につきましては慎重に
検討
を要すべきものと考えまして、この点をただいま申し上げました
公務員制度調査会
の方に、
政府
としてその
検討
方を諮問いたしまして、その諮問に基きまして、昨年の十月に
調査
会から
答申
が出ているわけでございます。従って
政府
といたしましては、この
答申
に基きまして、
公務員制度調査
が中心になりまして、各省並びに
人事院
とも十分に
連絡
を密にいたしまして
結論
を得たい、今こういう段取りになっておる次第であります。
受田新吉
34
○
受田委員
公務員制度調査会
の
答申
を待たれたり、
公務員制度
照査室にそのあとの始末をさせられたりして、誠意を示しておられるという御
答弁
でありますが、今国をあげての問題としてとかく議論されていることに、恩給亡国論というようなこともあって、恩給法そのものに対する批判はすこぶる手きびしいものがあるのです。こういう際に、いわゆる恩典的な退職後の
給与
であった恩給法の精神を改めた、
人事院
が勧告した国家
公務員
の退職年金法なこは、前進のものであるとわれわれは思っている。この一前進したこの法案を取り扱うのについては、これは
実情
に即して、
国民
年金への発展としてわれわれは野党の
立場
からも考えておるわけですけれ
ども
、
政府
としても、少くとも恩給法という古い
印象
を受けるようなかかる法案を逸脱して、新鮮の感覚を持つこの
国民
年金的な性格に発展している退職年金法のごときものを、何らかの形で急に取り上げるということは、これは国策の中心でもあらねばならぬと思うのでありますか、恩給法を改めて、こうした年金
制度
への切りかえということについては、
政府
としては十分御
賛成
をいただいておるのでありますか、御
答弁
いただきます。
田中榮一
35
○
田中
(榮)
政府委員
先ほど申し上げましたごとくに、非常に
関係
するところが広範であり、またいらいろ財政上の
関係
もあり、また従来の沿革もございますので、この点につきましては、
政府
としましても、まだ
結論
に達しておりません。今後十分に
検討
した上で
措置
しなければならぬと、こう考えております。
受田新吉
36
○
受田委員
全くだらしない御
答弁
ですね。この大事な問題すらまだ全然
結論
が出ておらぬということでは重大な問題だと思うのです。少くとも恩給法というこの
法律
は、
国民
年金的な性格のものへ発展させる過程に世界の流れがあるということは、副
長官
も御
承知
であろうと思う。従ってそうした
法律
改正に対する
政府
の真摯な
態度
というものだけは、
国民
の期待にこたえねばならぬと思うので、恩給法をそのまま存置するか、あるいはこれを
改革
するか、まだその
結論
が出ないということでなくて、その方向に今進められておるという
政府
の方針くらいは、私はもうあっていいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。全然まだそういう方向さえも見定めない、波のうねりのまにまに流されておるのでありますか。
田中榮一
37
○
田中
(榮)
政府委員
お答えいたしますが、退職金
制度
というものは、われわれの考えでは、現存
公務員制度調査会
から
答申
された案につきましては、きわめて妥当なものとは考えております。ただ実際のいろいろの事情からして、これを直ちにこのまま採用できるかどうかということは非常な困難な点がございますので、この点は今後の研究に待たなければならないということだけを、
一つ
御
了承
願いたいと思うのであります。
受田新吉
38
○
受田委員
どうも、また日を改めて御質問申し上げたいと思いますが、大へん足りない御
答弁
でして、
政府
の信念というものも伺えないし、
日本
の国政を担当する
内閣
の
官房
副
長官
としては、もっとはっきりしたものがほしいと私は思うのです。まことに力ない御
答弁
で、私質問を続けることが非常に退屈になりましたので、(笑声)この問題を終りたいと思うのでありますが、
一つ
大事な問題でありますので、やはり行政管理庁の
事務
当局の方ではむずかしいからと思いますが、ここで
一つ
だけ最後にお尋ねしておきたいことがあるのです。それは、国の行政上のいろいろな実態を常に観察して、その誤りなきを期する必要がある。そのために、
総理
府の外局に行政管理庁というお役所があります。このお役所は、その
長官
に国務大臣をもって当てるということになっておりますので、非常に重要な役所になっておるわけでありますが、行政管理庁の業務と、
内閣
の調調室がやっておるところの情報収集の業務と、あるいは公安
調査
庁がやっておる業務、あるいは情報を収集する
機関
としては、外務省の国際局のやっておる
仕事
というような、いらいろのものがあるわけです。こういうような情報を集めたり、あるいは業務の監察をしたりするというような
機関
が各省にばらばらに分れておるのでありますが、こういうものを、たとえば監察業務であるならば、会計検査院の決算に対する監察、あるいは各省の
内部
にそれぞれの部内観察
機関
がある、こういうようなものを、行政管理庁と一本にした大きな——単なる
総理
府の外局というような
存在
でなくて、もっと大きい
立場
で、会計検査院的な
機関
として、行政監察をする
機関
を置くとかいうような御
意見
はないのでございますか。実際に
運営
されて、そういうものがほしいなというようなお考えは持つておられませんか。
田中榮一
39
○
田中
(榮)
政府委員
行政管理庁と会計検査院の権能は非常に異なつておりまして、会計検査院は国家経費の経理の
関係
につきまして適法であるか不適法であるかということにつきまして、独立の
立場
におきまして検査をする
機関
でございます。それから行政管理庁は、もちろんそういった経理のことも含まれると思いますが、主として現在各省並びにその出先
機関
その他におきして行政の
事務
を取り扱っておりますが、この行政の
運営
について
実質
的に不適当なものがあるかどうか、あるいは決律
違反
の事実があるか、あるいはまた通牒
違反
の事実があるか、あるいは
政府
の施策に反したような点があるか、あるいは経理上非常な乱費の事実があるかどうか、こういつた主として行政の監査の点に重点を置いております。 それからまた情報収集の
機関
でございますが、なるほど
内閣
調査室
にもあり、また公安
調査
庁にもあり、また外務省の情報文化部においてもやっておるのでありますが、その情報収集の目的がおのずから違っております。これらのものはそれぞれの
立場
におきまして、
内閣
調査室
におきましては相当高度の情報を取り、また外国情報につきましては、外務省が
現地
の
機関
からの
報告
等を徴しましてやる。それから公安
調査
庁におきましては、破防法の
関係
によるところの情報を収集するというように、それぞれ情報収集の目的等が若干異なっておりまして、そういう点からこれらの情報の
機関
があるわけでありますが、これらはいずれも必要なものでございますので、
内閣
調査室
等におきまして、適当な方法によってこれを
取りまとめ
て、国家としてこれを施策の上に十分に参考
資料
として利用しておる、こういう状況でございます。
受田新吉
40
○
受田委員
それぞれみな必要であるからこういう役所ができておるのだ、一向
取りまとめ
る必要がないのだという御
意見
でありますが、
取りまとめ
るのは
内閣
で適当におっておるのだ——私が今言ったのは、会計検査院と行政管理庁を、本にせよという
意味
ではなくて、会計検査院のような
機関
に行政監察院というような形でもいいから、そういうような
機関
を、会計の方の検査とともに行政の監査をする国務大臣を置く。管理庁としては
総理
府の外局というようなものでなくて、もっと高い
立場
で別の
機関
として置くべきではないか。そうしなければただ単なる
総理
府の外局の
長官
から他の各省の大臣が監察されるということは、行政
機関
の指揮監督の
立場
からも非常にまずいところがあると思うのです。この点単なる
総理
府の一外局の行政管理庁
長官
が各省に対して勧告をしていったというようなことは変な話なんで、こういう点についても
機関
の
地位
、権限というようなものを実際は調整できるように御工夫なさる必要がないか、こういうことを申し上げておるのです。
田中榮一
41
○
田中
(榮)
政府委員
現在の行政管理庁
長官
は国務大臣がやっております。これはもちろん
内閣
の外局であります。それから
防衛
庁も
内閣
の外局になっております。それから警察庁も、自治庁も
内閣
の外局であります。従いまして行政管理庁が
防衛
庁、自治庁、警察庁と、
内閣
内の
一つ
の
行政機構
であることは同じ
立場
になっておりますので、いずれも権限は同等でございます。行政管理庁の、
長官
は国務大臣がやっておるのでありますから、決して他の諸
官庁
に対してひけ目を感ずるとか、そういうことはないわけであります。全部権限は同等でございますから、これは当然他の省を十分なる見識をもつて監督監査ができるわけであります。
受田新吉
42
○
受田委員
総理
府の一外局が他の省と同等などとおっしゃることは、これは行政法の建前をよく御
承知
ないものであって、たまたまこの長が国務大臣であるからというので、国務大臣としての
立場
の
発言
ならば私は
了承
しますが、行政管理庁
長官
なるものは
総理
府の一外局の
長官
なんです。その
総理
府の外局の単なる是官が、省の行政
長官
に対しての監察をするということになると、ここにある程度矛盾が発生するから、行政監察を各省
取りまとめ
て、もっと大きな、各省ににらみのきく
機関
として新発足せしめる必要がないかということを私申し上げておるのです。
田中榮一
43
○
田中
(榮)
政府委員
昨年の二十二
国会
におきまして行政管理庁の
規定
を改正いたしまして、行政管理庁としましては相当公団公社にも監督権が伸びることになりましたし、それからまたあるいは勧告を行い、また
意見
を徴するというような相当大幅の権限強化の
規定
が改正されたわけであります。現在としてはこれによって十分
運営
ができるものと考えております。
受田新吉
44
○
受田委員
いま
一つ
、
内閣
調査室
なるものは一体どんな
仕事
をしておるのか、
仕事
の内書を御
答弁
いただきたいと思います。
田中榮一
45
○
田中
(榮)
政府委員
内閣
調査室
は現在、先ほ
ども
申しましたいろいろな情報の収集をいたしましたり、それからまたいろんな基本的な
調査
をしたり、さようなことをやっておるのであります。
調査室
は
総理
府本府組織令の五条によって作られておりまして、
政府
の重要施策に附する情報の収集、
調査
及びこれに関する行政
機関
の
事務
についての
連絡
調整をはかる
事務
をとっておる、こうういうことになっております。現在やっておりますることは、ソ連、中共との修交政策に対する動向と、国内各界各層の動向についての情報の収集並びに
調査
、それから
政府
の施策に対する各各層の反響についての
調査
、それから
国民
道義の高揚のための基本的及び社会風潮の
調査
及び東南アジアの実態、その他対日動向等の
調査
、こうした公安
調査
庁とかそういうところの情報とは違った、もう少しハイ・レベルの情報を聴取いたしておるわけであります。収集もしておるような状態でございます。
受田新吉
46
○
受田委員
そうすると、特にソ連、中共等に対しての情報聴取を今掲げられておられたのですが、ソ連、中共、東南アジアの経済とかいうふうな、こういう限定した地区に対する
調査
に重点が置かれて、ほかの国々のものは一般的な
調査
ということになるわけです。特にソ連、中火を指摘しておられる
理由
はどこにあるのでございますか。
田中榮一
47
○
田中
(榮)
政府委員
現在アメリカ、その他イギリス、インド、そうした方面の情報ももちろん収集いたしております。ただ現在のいろいろな日ソの
交渉
とかそういう方向の
交渉
等も進捗いたしておるわけであります。それから最近におきましては日共との交通等も相当頻繁に行われておるし、またそういう点からソ連並びに中国との情報というものはわれわれとしてもぜひ知っておかなければならぬもの、こういう考え方で現在これらの情報を収集しております。
受田新吉
48
○
受田委員
そうすると
内閣
調査室
は情報収集局、いわゆる
緒方
構想にあった情報局の性格を持っておるものと解してよろしゅうございますか。
田中榮一
49
○
田中
(榮)
政府委員
内閣
調査室
としましては情報の収集並びに現在
政府
の行なっておりまする政策が
国民
にどういうふうに反響しておるかといったような世論的な
調査
もやっております。それからまたいろいろな、たとえば諸外国の経済情と申しますか、どういうふうな経済情になっておるか、こういつたようなことも現在いろいろ調在をいたしております。情報の収集以外にいろいろな
調査
を相当広くやっております。
受田新吉
50
○
受田委員
その
調査
の結果は
国会
にもお示しいただけるように
資料
が出されますか。
田中榮一
51
○
田中
(榮)
政府委員
最近におきまして
内閣
調査室
におきまして
調査
いたしました
資料
は、中にはつまらない
調査
もございますが、中には相当よい
調査
もございますので、今度
予算
を取りまして、これを
国会議員
の皆様方にも
一つ
ごらんを願いたい、こういう趣旨でただいま
予算
を取っておる次第でございます。
受田新吉
52
○
受田委員
内閣
調査室
と
内閣
審議室の
関係
、審議室の
仕事
を
一つ
お示し願いたい。
田中榮一
53
○
田中
(榮)
政府委員
内閣
審議室は現在各省で具体的にやっております諸政策が、特に
意見
が衝突い「たしましたり、あるいは各国競合したり、そういう場合においてその調整をやっております。また各省で
取りまとめ
のできないような
事柄
は便宜
内閣
審議室が中心になりまして、
事務
の
取りまとめ
をやっております。あっせん役といいますかそういう役割をやって、おりまして、これはむしろ現在の行政
事務
の
連絡
調整という点に重点を置いております。
受田新吉
54
○
受田委員
これで質問を終ります。またあらためて伺いたいと思います。
細田綱吉
55
○細田
委員
関連して。ちょっと一言伺いたいのは、
日本
の各省は、これは歴史的か
制度
の上か知りませんが、世界各国に例を見ないおのおの強い権能、権限、それから沿革を持っておる。そのためにいわる各省割拠主義ですか、セクショナリズムが非常に強い。
内閣
審議室でいろいろ調整はされるでありましょうけれ
ども
、とにかくそういう弊害が
日本
の各省の
制度
の上にあるということはお認めになっておりますか。
田中榮一
56
○
田中
(榮)
政府委員
お説のように、各省はいわゆる積極的権限争議、消極的権限争議——積極的権限争議というのは
仕事
の奪い合いといいますか、消極的権限争議というのだと、お互いに
仕事
を押しつけっこするという
傾向
は若干ございます。そういうような場合におきまして、できるだけ調和をはかり、調整をとるという役割を現在
内閣
審議室において行なっておるわけであります。
細田綱吉
57
○細田
委員
先ほど審議会と
調査室
のことについて
受田委員
から質問がありましたが、先ほどの
公務員制度調査会
というのと
行政機構
審議会というのはどういう違いがありますか。
田中榮一
58
○
田中
(榮)
政府委員
公務員制度調査室
でございますが、これは現在
公務員制度
の
改革
を目標といたしまして、
昭和
二十九年の三月に
公務員制度調査会
というものが
内閣
の諮問
機関
として設置されました。この
調査
会で
政府
が諮問した事項につきまして
答申
を作りまして、昨年の十月に
政府
に
公務員制度
はかく改正すべきであるという
答申
が出されたのでございます。この
答申
に基ますと、
公務員制度
全体に関する非常に広範なものでありますので、現在の
国家公務員法
を改正するには非常に大がかりな
仕事
になるわけであります。そこで
政令
の
根拠
に基きまして公務精度
調査室
が設けられて、そして
国家公務員法
の改正に必要な
準備
事務
をとるのが
公務員制度調査室
でございます。それから
内閣
審議室は、今申し上げましたように、各省との
連絡
調整をはかるための
事務
をとるのが、この
内閣
審議室の主たる
任務
でございます。
細田綱吉
59
○細田
委員
私の伺ったのに、いわゆる
行政機構
審議会のことを伺っておるのです。
田中榮一
60
○
田中
(榮)
政府委員
行政審議会は
内閣
に設置されました
一つ
の諮問
機関
でございまして、
政府
の
行政機構
の
改革
につきまして
政府
から諮問がございまして、その諮問に応じまして審議会で
検討
して
答申
する、このような
任務
を持っております。これは民間の学識経験者その他二十名の方々に
委員
を御委嘱いたしまして、現在
運営
されており、ただいま申しました
政府
の
行政機構
の全体についての
検討
を行なっている
一つ
の諮問
機関
であります。
細田綱吉
61
○細田
委員
そうすると行政審議会と
公務員制度調査会
とどこに違いがあるのですか。人の問題だと言われるかもしれませんが、人の問題も
行政機構
の問題も同じです。どこに違いがありますか。
田中榮一
62
○
田中
(榮)
政府委員
一口で申しますと、
公務員制度調査会
は人に関する問題であり、行政審議会の方は
行政機構
に関する問題でございまして、人に関する問題は全部
公務員制度調査会
の方にまかしてあります。
細田綱吉
63
○細田
委員
そうすると人の問題は人の問題で別に進めている、機構の問題は機構の問題で別に進めているのかということを伺っているのです。機構の問題が定まって人の問題が続いていくと思うのですが、人の問題と機構の問題を別々にして行政審議会の方の
仕事
ができますか。またこしらえたところが何にもならぬと思ますが、その点どうですか。
田中榮一
64
○
田中
(榮)
政府委員
もちろん人の問題と機構の問題は関連性がございます。しかしながら
公務員制度調査会
の方は、
公務員
給与
の問題、任用の問題、それから今
お話
がございました退職年金の問題等、待遇とか、
給与
とか、そうした問題がおもなる問題でございます。それから行政審議会の方は現在の
政府
機構の問題でありまして、人の問題とは少しかけ離れた問題、しかし必ずしもこの何者が全然
関係
がないかというと、決して
関係
ないことはない、やはりある程度の
関係
は持っておりますが、おのずから研究の目標が異なっておりますので、やはりこの二つの
調査
会というものが必要であると考えております。
細田綱吉
65
○細田
委員
先ほどの
受田委員
の御質問で、
内閣
人事院
というものが縮小の
傾向
というか、そういう構想を持つて進められているという
印象
を受けた。また今まで
新聞
に報道されたところを見ても、全
国民
がそういう
印象
を受けていることは間違いないと思います。そこで先ほどあなたが言われたように、
日本
の官署というものが、いろいろ積極的にか消極的にか知らないが、とにかく世界に類例のないほど強いものであって、歴代
内閣
がしょっちゅうもてあましていることも御
承知
の通りである。現在
予算
局を大蔵省からとるということも、なかなか河野農相が難航していることは、あなた御
自身
が御
承知
だと思う。
日本
の
行政機構
の
改革
は各省の割拠主義がとれるかとれないかということにかかっている。各省が勝手に人間を一人でも多くかかえたい、多くの
仕事
をやりたいということでばらばらにやっているから、国費がずいぶんむだになっておる。決算においても同じ
仕事
を同じ場所で、農林省もとっておれば、建設省も災害復旧のためにとっているという例がずいぶんあって問題になっておることは御
承知
の辿りです。これはみんな各省割拠主義の現われなんです。これを除いては
行政機構
の
改革
というものは
意味
をなさぬ。そこで考えられることは、
人事院
ができて超党派的に、また各省に根を持たない超然とした
立場
でこれをコントロールしていくというところに、終戦後の
日本
の
政府
の一歩前進があった。ところがこれを縮小してしまうならばまた戦争前のような格好に戻るのじゃないか。
人事院
の
存在
というものは少くとも一歩前進である。ところが今どき割拠主義が強いのに、これをまた縮小して
内閣
の外局に移してしまうということになったら、これはさらに各省の割拠というものは強くなる、この点はどうお考えになりますか。
田中榮一
66
○
田中
(榮)
政府委員
行政
改革
に仰せの通りに割拠主義を除くということも、私は大へんけっこうだと思うのでありますが、それと同時にやはり能率の増進と申しますか、そういう点にも重点があるわけでありまして、もちろん今後
行政機構
の
改革
をされる場合におきましては、各省の割拠主義を可及的に少くする、それから能率を向上させる、こういう点に重点が置かれるものと考えております。
細田綱吉
67
○細田
委員
そうするとあなたのおっしゃるいわゆる能率を増進させるということは具体的にどういうことでございましょう。国費が二重に出たりあるいは各省のなわ張り根性によってずいぶん能率を下げておる。結局そこにメスを入れない限りは能率なんというものは上っていかないのです。あなたの言われる能率を上げるということはどういうことを具体的に目標にされているか御説明願いたい。
田中榮一
68
○
田中
(榮)
政府委員
能率増進につきましては非常に広範でございますから、私からここで具体的に申し述べることは避けさせていただきたいと存じますが、いろいろ
行政機構
を
改革
いたしますならば、各般の法令等も相当少くなる、また権限を明確化いたしまして、従来許可等が競合しておる場合にはこれを単一に直すとか、それから上たいろいろな申告申請等につきましてもできるだけ簡素な手続をとらせる。こういった主として
国民
の便宜をはかるという点に重点を置き、かつまたそれによって権限争いを防ぎ、また
公務員
の能率を増進する、こういうことであろうと思います。では具体的にどういう点か指摘しろ、こうなりますと、まだ
行政機構
改革
案というものが全部できておりませんで、ただいま
検討
の過程でございますので、私から具体的に申し述べることはちょっとできないのでありますが、目標はそういう点じゃないかと考えており…。
山本粂吉
69
○
山本委員長
細田君、ちょっとお願いですが、あなたのは関連質問なんで、他に質問通告がございますので、どうぞ御簡潔に願います。
細田綱吉
70
○細田
委員
あなたの言われる
行政機構
の
改革
案には全く失望しました。能率の増進ということを言われるが、その能率の増進というのは、ただいまの御
答弁
では、せんじ詰められは重複した法令の整理、結局そんなことくらいのものです。そんなことだったら行政審議会とかあるいは
公務員制度調査会
などというものを置いて、大げさにやらなくてもいいと思う。先ほど
受田委員
が言ったように、同じものに二重に
予算
を出していたり、あるいは同じような人間を使ってみたりするということは、結局各省がなわ張り主義で勝手に
仕事
をすることにあるので、これを調整することが必要である。とにかく行政簡素化ということが今、
日本
の政治に一番必要なんです。たとえて言うならば、話は違うが、権力の乱用の点でいきますと、検事や警察における監督は上司しかないでしょう。上司しかないから、上司の者は下の者が悪いことをしても、それを摘発すると自分が行政処分を受けるから、そんなものは伏せて隠しておこうとする。こういう
行政機構
の監査機構をもっと強化する、それから外省の割拠主義をなくする、
日本
の
行政機構
の
改革
は、この二つをおいてはないのです。あなたの御
答弁
を聞くと、全くその的をはずれてしまっておる。言いかえると
鳩山内閣
の鳴りもの入りの
行政機構
の
改革
の中身はそれなのです。あなたはまだ構想だけで
結論
は出ていないと言われるけれ
ども
、あなたはそれでいいと思ってやっておられるかどうか、最後に聞いておきます。
田中榮一
71
○
田中
(榮)
政府委員
ただいま
お話
のような点を十分考慮いたしまして最善の努力をいたしております。御
了承
願いたいと思います。
森三樹二
72
○森(三)
委員
先ほど
人事院総裁
は、
人事院
がかって勧告したもろもろの実施については、ぜひとも
政府
に対してこれが実現することを
要望
する、つまり
人事院
は
人事院
としての権威に基いて勧告したものであるから、これが実現についてはもちろん希望するということを言われた。これは当然過ぎるほど当然の御
答弁
だと思う。そこで
政府委員
にお尋ねしたいのですが、この
公務員制度調査会
の
答申案
の組子
制度
の中に書いてありますところの勤務地手当の問題であります。この勤務地手当の問題につきましては、すでに一昨年の七月二十一日だったと思うのですが、勤務地手当に関する
人事院
勧告がなされた。しかるにその後われわれは衆議院の各種
委員会
におきまして、この勤務地手当の実現に努力し、そして昨年の一月衆議比の
委員会
においては通過し、本
会議
に上程したのでありますが、解放になって、遂に流れてしまったのであります。そういうような沿革もあるわけですが、この勤務地手当の
答申案
を見ますと、勤務地手当は将来これを廃止することを目途として、できるだけこれを簡素化すること、すなわち勤務地手当はさしあたり二
段階
程度として、勤務地手当支給地域は、なるべく人口等による客観的基準によって指定すること、こういうようにさしあたりとか、二
段階
程度として支給するとかいうようなことがあるのです。私は一昨年
人事院
が勧告した勤務地手当の勧告が、実施されておるといないとによって、
公務員
の受けるところの
給与
上の利益、不利益というものは大きな差があると思うのです。これを実現しなかった
政府
の
責任
は非常に大きいと思うのです。
公務員
の受けるところの
損害
は莫大である。しかも
公務員制度調査会
の
答申
には、さしあたり二
段階
程度として勤務地手当を支給するという明確な線が出ておる。しかるに
昭和
三十一年度の
予算
には、何らこれに対して
予算
化していないということは、
政府
の怠慢もはなはだしいものであると思うのですが御
所見
をお伺いしたいと思います。
田中榮一
73
○
田中
(榮)
政府委員
勤務地手当の改正につきましては、官公労組からもしばしば陳情がございますし、われわれも現行勤務地手当
制度
が必ずしも万全なものであるとは毛頭考えておりません。
昭和
二十九年の五月、
人事院
から勤務地手当の全面的な改正につきまして勧告がありましたことはお説の通りでありまして、その後
政府
といたしましても鋭意勤務地手当の改正につきまして
検討
を加え、また
公務員制度調査会
におきましても、特に勤務地手当につきましては十分に御
検討
をわずらわしたいということで、各
委員
の方々にも熱心に御
検討
を願いまして、十分ではございませんが、すでに
答申
が届いておるのであります。この
答申
をそのまますぐ実現できるかといいますと、いろいろな財政上の
関係
、また現に勤務地手当を支給されているものの
立場
も考えまして、すぐこれを廃止するというようなことはできないのでありますが、
政府
としましては、やはり勤務地手当はできるだけこれを廃止して、それにかわるべきものを支給することが正しいのではないか、こういう目標は立てておるのであります。何分にも技術的に非常に困難な点があり、今申し上げましたように、職員の利益にも密接な
関係
がある問題でございますので、現在これについても
結論
は出ておりませんが、できるだけ早急に何らかの改正案を作りたいと考えておりまして、ただいま
検討
いたしておりますので、その点ご
了承
願いたいと思います。
森三樹二
74
○森(三)
委員
ただいまの御
答弁
を聞きましても、
政府
にこの
答申案
を実施する熱意の全くないことを、私は非常に遺憾に思うのであります。とにかく、先ほ
ども
申しましたように、一昨年のあの勤務地手当の勧告というものが何ら
予算
化されておらない。これによって
公務員
の受ける損失は私は莫大なものだと思うのです。しかもこの勤務地手当は、現に受けておる者が多数あるのです。しかも受けていない所といる所では、物価の指数とかその他生活の水準からいって非常にでこぼこができておる。それを是正するために
人事院
が勧告をしたのでありますから、一日も早くこれを
予算
化することは当然過ぎるほど当然なんです。これを本年度
予算
に入れないことは、前回も言った通り非常に遺憾でありますが、
政府
はこれに対してできるだけ早い機会に補正その他の方法によって、
公務員制度調査会
の
答申案
を基準としてわれわれはもちろんそれ以上の
国会
で修正した案を持っているのですから、あくまでもその修正した案を実現するために、当
委員会
においても今後努力したいと思いますけれ
ども
、
政府
は
政府
の
責任
において、この
答申案
を基準とした
予算
措置
をしなければならぬと私は思うのです。これをしないことは
政府
の非常な怠慢だと私は思うのであります。この点を十分考慮していただきたいということを申し添えておきます。 ついでに、石炭及び寒冷地手当は総合的に整備し簡素化することとあります。しかしながら、石炭手当及び寒冷地手当というものは、やはり東北、北海道等の特殊な地域における特別な手当で、これは実際要するのです。現在石炭は三トン支給されておりますが、三トンでは足らないというのが
実情
なんです。少くとも四トンなければ越年できないという
実情
であります。これを総合的に整備、簡素化するということは非常に危険な形になるのじゃなかろうかと心配しているのですが、
内容
はどういうふうにお考えになっておるのか、御
答弁
を願いたいと思います。
田中榮一
75
○
田中
(榮)
政府委員
現在の寒冷地手当、石炭手当につきまして、これをいま少し改善するという点でございますが、この点は今
検討
しているそうでございます。
森三樹二
76
○森(三)
委員
とにかく
検討
で濁されても困るのですが、もう少し
責任
を持って
実情
を
調査
されて、われわれから言うならば、この石炭手当は、金額からいってもトン数からいっても、足りないので増額してもらいたいのです。また寒冷地手当についても同様でありますから、その点
一つ
十考慮して、次回に明確な語
答弁
を願いたい。一応これでもって質問を終ります。
山本粂吉
77
○
山本委員長
ジェット機墜落事件について西村
委員
より
発言
を求められておりますので、これを許します。西村君。
西村力弥
78
○西村(力)
委員
外務省の当局者に来ていただく予定でありましたが、見えられませんので、
内閣
の担当でいらっしやる
田中
さんに一言お尋ねをいたしたいと思います。今月の三日ですか、新小岩に
米軍
のジェット機が墜落しましたことは
新聞
で御
承知
と思うのです。その現場に私も行って見ましたが、ちょうどアメリカ軍のトラックが来まして跡片づけをやっておりました、密集した住宅地帯に墜落したのであって、その状況はまことに惨たんたるものであり、かつまた周辺の人々に与えたショックというものはまことに大きかったのであります。困ったことだと思っておりました。ところが翌日の
新聞
には、
米軍
が東京上空で演習飛行中にこの
事故
が発生したのだ、こういう記事が出ておるのです。これはわれわれにとって実に重大なことではないか。八百万も密集しておるこの上で演習飛行をやられたんでは、いつどんなことで
事故
が発生し都心に墜落するかもしれない。これは
日本
国としても認められないことであり、またアメリカ軍としてもこのようなことのやれないのは当然なことだと思うのです。ところが実際にやっておる。やっぱり広島や長崎に原爆を落したようなああいう気持がまだ残っていて、
日本
の都心上空においても演習飛行を平気でやっておるではないかと思う。まことに残念ですが、これについて
政府
としては
実情
を
調査
し、アメリカ軍当局にこういうことは再びないように抗議をなさる、あるいはなさっておる、そういうことがありますかどうか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
眞子傳次
79
○眞子
政府委員
ただいま
お話
の通り、本月三日葛飾区小岩町へジェット機が墜落いたしまして相当の被害を出しまして、被害者の方々に対してはまことにお気の毒に存じております。ジェット機を使用して大都市の上空で演習あるいはそういったことができるかどうか、そういうことにつきましては、私の方の担当ではございませんので、私から御説明申し上げるわけには参らないのでありますが、被害状況を私の方で
調査
いたし、またそれに対応した適切な補償の
措置
、そういったことを私の方で担当いたしておりますので、万遺憾なきようその手続を進めている次第でございます。
西村力弥
80
○西村(力)
委員
被害者に対するあたたかい補償というものは当然やらなければならぬ。もっと急いでやらなければならぬ。そうしてもっと大きな算定をしなければならぬ。今までのあなた方のやり口は実に
事務
的であり、全くアメリカ軍の利益のためにやっているような
傾向
が見える。これは私の個人的見解になるでしょう。あなた方は何か基準に基いてやっているんだ、こう言われるでしょうが、それを聞いているのではない。
田中
さんにお聞きしているのは、こういう工合に都市上空で演習をやられたんじゃかなわない。こういうことは事実発生したのですからね。去年の九月には八王子で墜落
事故
があって、死者五人、被害者三十人、こういうことが起きている。あるいはきのうは板付飛行場の
報告
もありましたが、あの板付においてもしょつちゅう
事故
があって、死者も十三人ほど出ているというのが陳情書として私たちに来ておる。そういう工合にだんだんと都心に演者が拡大されて、
事故
が都心に発生するというようになることは軽々に見のがしておくわけにはいかぬじゃいか、
政府
のその見解を私はただしている。
事務
的なそんなことを聞いているのではない。その見解はどうであるか、またこのことについて
実情
を
調査
し、また抗議するような、そういう諸
準備
をやっておるかどうか、こういうことをお聞きしておる。
田中榮一
81
○
田中
(榮)
政府委員
ただいまの御質問に対する
答弁
はむしろ専門の外務省方面からお答え願った方がいいと思うのでございますが、
内閣
側としての考え方としましては、現在の行政協定上に、
米軍
が必要な飛行演習、訓練をするという区域は、両国
政府
におきまして大体合意するところによって明確に定まっているわけであります。従ってこの行政協定の上におきまして、両国
政府
の間の合意によって定まった以外のところでもし訓練をしたということになりますと、これはやはり
日本
側としましても
米軍
側に対しまして、こういう地域におきまして、そうした爆撃演習とか射撃演習といったものは、当然危険を伴うことでございますし、こういう点は
一つ
十分に注意を喚起しなければなるまい、こう考えております。
西村力弥
82
○西村(力)
委員
担当外務省が来ないことでございますから詳しいことはおわかりにならないと思うのですが、しかし
日本
の
政府
としてはこ事態は見のがせない。注意を喚起したいというよりも、やはり
日本
国民
の身体、生命、財産を保護する、これは当然
政府
の
責任
として、強くこういうことを排除する
措置
をとらなければならぬのではないか、こう思うのです。今のところ東京都上空におきまして訓練していいか悪いかということはあなたは知らないようであるし、また今回の事件については何ら積極的な
交渉
なり処置をやっていない、そう私は受け取るのですが、その通りですか。
田中榮一
83
○
田中
(榮)
政府委員
この点につきましては、さらに
内閣
側から外務省に
一つ
早急に
連絡
をとりまして、何らかの
措置
をとろようにいたしたいと思います。
西村力弥
84
○西村(力)
委員
その何らかの
措置
に対する心がまえ、これは強く抗議をして、今後一切こういう悲惨事が起らないように
措置
するという腹がまえでおやりになるということを、
一つ
この際御明言願いたい。
田中榮一
85
○
田中
(榮)
政府委員
お説を十分
了承
いたしまして、
連絡
いたしたいと心います。
西村力弥
86
○西村(力)
委員
次に
調達庁
の
関係
でございますが、小岩のことについてもさっそく東京の調達局がかけつけておりまして、名刺を二、三枚私も見て参りました。まことに機敏でけっこうでございます。ところが実際にその被害者が食うに食えないというような人、あるいは療養に事を欠くという人があるにかかわらず、いろいろな
事務
的な
関係
、ことに最も障害となるのは、
米軍
の同意が得られないというような事情によって、実際に補償されるのが非常に時期をおくらしてしまうというのが
実情
なのです。これはあなたの方でも十分御
承知
と思う。小岩の件につきましてどこまで
調査
が進んでおるか、あるいは被害を受けられた方々の療養やあるいはその住居の復旧、こういうことに対して応急的な
措置
をあなたの方ではどういう工合になさっておるか、どの辺まで進んでおるか。これは小岩の事例を申し上げましたが、被害を受けて泣き寝入りをしなければならぬ、しばらくの間非常に苦しい思いをしなければならぬのが、
事故
発生の従前の例ではすべてなんです。だから小岩の例一件をあげてあなた方の
措置
進行等を願いたいというわけなのであります。
眞子傳次
87
○眞子
政府委員
御質問ごもっともなことでございまして、本来ならば私
ども
希望するところは、被害が発生いたしましたならば、直ちにその個人に対して、見舞金とかあるいは慰謝料とかあるいは治療費とか、そういったものを差し上げたり、あるいはその他物品を提供し、もしくはいろいろの救護の
措置
かとりたいところでございますけれ
ども
、実際問題といたしましては、私
ども
の与えられておるいろいろな規則、基準等がありまして、そう簡単に思う通りに参らないので、被害者の方々に気持の上でも非常に御不満を持たれておる点もあるかと思います。しかしながら私
ども
は、規則を越えてということはございませんが、規則にないことでも、私
ども
の個人的な気持からできるだけ救恤の方法をとり、また被害事実の
調査
につきましても、できるだけ親切な
態度
をとりたい、こう思って参っております。この小岩の被害につきましては、私の方では即日東京局から担当官が参りまして親しく被害者の方々にお見舞を申し上げまして、その翌日になりましたけれ
ども
、その夜のうちにいろいろ手配をいたしまして、東京局から毛布三十五枚、ふとん四十三枚を貸し下げいたしまして、なお区役所からは、これは私の直接のあれでございませんが、私
ども
のできないところを、区役所の方と東京都当局とのお力添えを願いまして、区役所から米一斗、木炭一俵、現金三千円、その他町会等からもいろいろこまごましたものを差し出していただきました。そうして軍側の方とこの被害につきましてさっそく
連絡
をとりました。その当日は夜おそくなって初めて私の方でも海軍の厚木
基地
から出た飛行機による
損害
だということがわかりましたので、その方と通経をとりまして、翌日には厚木航空隊航空
司令官
、米海軍
基地
司令官
、海軍航空隊第一軍
司令官
、れのおの少将二人、大佐一人の方、それから厚木
基地
のリーガル・オフィサーの少佐の方が見舞に行かれ、そうしてそれぞれお見舞申し上げられまして、さしあたりこれも軍の規則ではありませんが、向うのお気持だと思いますが、見舞金として百ドル、毛布七十四枚、マット二十五枚をお貸し下げ下さいました。それからなお軍から角形テント四棟各九坪、折り畳みベット二十五個を無償で貸与されまして、上平井中学校校庭にそれを設置しました。また松永病院に入院中の重者の一人に対してリーガル・オフィサーから見舞品として電気ベットが送られた次第でございます。私
ども
の補償
事務
の処理計画といたしましては、当局として基礎
調査
にさっそくかかりまして、その被害事実に基く被害者の補償申請の指導を進めまして、これが二月三日から二月八日まで大体かかりました。それで今明日中に申請書を受理いたしまして、それぞれ今後の補償を与える手続を進行いたす予定でございます.
西村力弥
88
○西村(力)
委員
日本
語にはいろいろの敬語の使い方がございますが、ただいまの言葉の端々をお聞きしまして、私非常に奇異な感じを受けておるのですが、それはとにかくとしまして、まあそこまで努力せられたことに対して何ら私は依存があるわけではございませんが、ただ補償申請書が出た、これを今度健際に交付する手続を急ぐ、こういうことでありますが、補償申請が出てあなたの方でそれを認められたならば、直ちにそれだけを内払いというか、概算払いというか、そういう形で支払うということはできないのかどうか。そうして後になってアメリカ軍の合意を求めて、完全に精算する、こういう工合にはいかないのか。それができるとすれば、いつごろそのことはできるようになるか、その点を
一つ
お尋ねしたい。
眞子傳次
89
○眞子
政府委員
私
ども
もそういった内払いといったようなことでもなるべく早く被害者の救恤
措置
をとりたいと思うのでございますが、現在の
法規
の建前といたしましては、全部
調査
が終らなければ算定がつきませんで、全額お払いをするのは相当おくれることに相なるのでございます。しかしながら今度の場合、何らかもっとわれわれの方でも工夫を加えようと思いまして、不動産、動産に分けまして、不動産の方はいろいろな
調査
その他でおくれますので、動産だけでも
調査
を終えて、その分だけ先に弁償するという手を打ってみよう、こういう考えでおる次第でございます。全体の弁償が終りますのはどうしても三月二十日ごろ、いろいろ書類
調査
、軍との
連絡
、協議等考えてみますと、とうしても三月二十日過ぎる、三月下旬には終るんじゃないか、こういうふうに考えております。
西村力弥
90
○西村(力)
委員
動産については先払いを
一つ
考えようということでありますから、これはあなた方の何らかの便法
措置
によって可能だということになるわけですが、不動産についても皆さんが指導なさって、補償の申請をされたのですから、大体においてあなた方の
了承
せられる程度の申請だろうと思います。動産と不動産、先払いできるできないの問題は、確実に査定ができるかできないかというところにだけかかっている。これは何としても法的にというか、便法をいか講じても不動産の場合にはできないという
理由
ではないように聞いておる。療養補償なんかについては、療養期間はなんぼかかるかわからぬし、それがなおったあとの固定的な身体障害というものも出るか出ないかわからないのでありますから、これは療養の進行の都度に応じてやらなければならぬということになるのですか。動産と不動産は一緒に取り扱うということは可能ではないか、あなたは動産については便法を考えようというのだから、不動産についてもそういう便法をとる方法があるのではないか、そう考えるのですがいかがですか。
眞子傳次
91
○眞子
政府委員
私は今
一つ
間違えましたので訂正させていただきます。実は本件の被害の場合は、不動産の方が
調査
がしやすいので、これが早く終るそうでございまして、動産の方をあと回しにするというと誤弊がありますが、これがひまが要りますのでおくれまして、不動産の方を先に弁償を終える見込みを立てております。そういう次第でございますが、両方とも物的のこういう
損害
についてはもちらん、傷害者の治療費等、なるべく早く補償いたすように努力いたしたいと思っております。
西村力弥
92
○西村(力)
委員
今回のは、見込みとし三月二十日ごろまでに完済したいということでありますが、従前の例からいいますと非常に早い、こういう工合に見えるわけです。今までの例としては非常におそいのでありますが、ひどいのになると半年もかかるという事例があるわけですが、そういう場合の、最後的な決定をして、支払いをするまでに相当長期間を要するあなた方のおもなる障害と考えられる点は、どこにあるかということをお聞きしたい。
眞子傳次
93
○眞子
政府委員
やはり被害の
調査
、補償額の査定、これが一番手間がかかります次第でございまして、その次にば
米軍
折価が相当かかります。これは起案して翻訳をする、あるいは
交渉
に参りますのも、また
交渉
に参りましていろいろ
折衝
いたしますにも、言葉その他で内地の役人同士で話し合うというように参らないという点も多々ございますので、そういったことでおくれる次第でございます。今度の下小松町の事案は東京都二十三区内では初めて起ったジェット機の墜落
事故
だそうでありますが、しかも非常に繁華な所で、まことにお気の旗な気持がわれわれにもありますし、東京局と私
ども
の連結、ま軍との
連絡
につきましても、東京局と軍との
連絡
あるいは本庁からさらに軍への
連絡
といったような
連絡
関係
が、割合にスムーズにいけたように思っております。全体に行政協定十八条の補償
関係
から申しまして、自動車
事故
とかあるいはこういつた飛行機の墜落
事故
とかいったようなのは、比較的被害
調査
等に時日を要しませんから、われわれの努力が幾らかでも芽を出すのでありますが、農業被害とかいうものになりますと、非常におくれまして、そういった被害に関連いたしますと、全体の補償もおくれるということはやむを得ないのでございます。
西村力弥
94
○西村(力)
委員
船田大臣は忙しいそうでありますので、いろいろ質問したいことがありますが、はしょって、あとは後日に譲っていきたいと思いますが、あなたの方として十分考えていただきたいのは、不動産の
調査
が簡単にできて、動産の
調査
ができないということですが、そういう技術的な困難を克服して先払いができるということでありますから、最大限に先に弁償する
措置
をとっていただきたい。 それからもう
一つ
は弁償額の問題でございますが、
福岡
の板付の例なんか見ましても、老父母と病弱の夫と子供三人を残して、農家の支柱であったおかみさんが一挙に吹っ飛んでしまって死んだ。「それに対する補償が、二十万円だ。そういうようなことではとうてい完全なる補償とは言い得ないという実例も出てきておりますし、その賠償額の引き上げ、そういう点については、今後相当の努力を
調達庁
としてはやっていただかなければならぬ。砂川の
基地
をとり、小牧の
基地
をとるというときには、
法律
をこえて協力謝礼金を生み出そうとして、あなた方努力しておるのだから、こういう被害者に対する完全補償ということはもう少し誠意を持って努力せられんことを望みます。 この場合に船田国務大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、自衛隊がこういう被害にあった場合には、
損害
賠償を要求せられるかどうか、あるいは自衛隊の庁舎がそういう被害に——飛行機の墜落や自動車がぶつかったとかいうそういう被害があった場合は、あなた方は要求せられるかどうか。
船田中
95
○船田国務大臣 これは国有財産同士の
関係
でございますが、特別なものはないと思います。
西村力弥
96
○西村(力)
委員
自衛隊員は国有財産というとおかしいですが、隊員がそういう被害にあった場合、自衛隊の建物が被害にあった場合はどうですか。
船田中
97
○船田国務大臣 自衛隊員につきましても、一般の
市民
と同様に扱うことになっております。特別なものはございいません。
西村力弥
98
○西村(力)
委員
一般
国民
と同じように補償を要求せられるわけですね。
船田中
99
○船田国務大臣
公務員
と同じように扱っておるということでございます。
西村力弥
100
○西村(力)
委員
そうすると補償を要求しない行政協定の第十八条一項と二項ですか、ああいうところに準拠してやられるわけでしょうか。あそこには当事者双方の軍隊あるいは
公務員
とあります。だからこの行政協定そのものにも私たちは非常に疑いを持つのです。当事者双方の軍隊あるいは
公務員
による被害、こういう場合には請求権を放棄する、こういうことになっておるので、
日本
には軍隊がはっきり
存在
するという前提のもとにあの行政協定を結んでおる点において、私は非常に疑問を持つのですが、軍隊という
意味
ではなく、
公務員
として請求権は放棄する、こういう御趣旨でございますか。
船田中
101
○船田国務大臣 これは行政協定で相互に放棄するということになっておるようです。
西村力弥
102
○西村(力)
委員
だから軍隊というわけではなく、
日本
の
公務員
、の
立場
で放棄するのかどうか。
船田中
103
○船田国務大臣 今
お話
しの通り、
公務員
としてでございます。
西村力弥
104
○西村(力)
委員
関連庁にもう
一つ
お尋ねしたいのですが、朝鮮事変、あるいはヴェトナム戦争、そういう場合には
日本
に駐留する
米軍
がその戦闘に参加したということは事実なんです。アメリカ軍が戦闘行為をやっておるときごに、
日本
国内において
事故
が発生したこともあると思う。そういう場合の
損害
補償はどうなっておるのですか。
眞子傳次
105
○眞子
政府委員
行政協定十八条によりまして、戦闘行為に伴うそういった被害については、補償をいたさないことになっております。
西村力弥
106
○西村(力)
委員
そうすると
日本
自体も戦闘行為に参加したということになるかどうか、この点はあなたに開いてもしようがないが、それに困ったことである。かってに戦争されて爆弾かかえて飛び立った、あるいは重いから燃料タンクを途中で落っことした、それが
日本
のわれわれの同胞に当った、こういう場合にも、彼らはかってに戦争をやっておるのに、受けた
日本
人は、戦争に参加もしていないのに被害が補償されないというふうなことはとんでもない話だ。この点なんかについても、
日本
の
実情
に私たちはしみじみと悲しみを覚えざるを得ない。その点はあなたに聞いてもしようがないと思いますので、これだけにとどめますが、
一つ
資料
としてアメリカ軍が公務中にやったというそういう
事故
、それの例をすっと出してもらいたい。どこで何の
事故
で、被害がこうこうで、それに対する補償がこうこう、こういう工合に、そして補償を最終的に支払ったのは
事故
発生から何カ月あとか、これを全部まとめた何件で何ぼというのではなく、
一つ
一つ
全部やってくれても大したことではないと思いますので、これを
一つ
資料
として御提示願いたいと思う。 私は以上をもって終ります。
山本粂吉
107
○
山本委員長
海上自衛隊店地問題につき
石橋
委員
より
発言
を求められております。これを許します。
石橋政嗣
108
○
石橋
(政)
委員
私は
防衛
庁
長官
に長崎県の大村に作られようとしております海上自衛隊の
航空基地
に
関係
いたしまして、質問をいたしたいと思っております。地元の報道陣も連日取り上げておるのでございますが、突如海上自衛隊が大村湾の大村市に属する地域、あるいは水域に、水上機の
基地
を作るという計画を立てて、その
準備
を進めておるということを聞いた地元
関係
者が、非常に憤慨いたしまして、今猛烈な
反対
運動をやっておるというわけであります。最も
関係
するのはこの水域において操業いたしておる漁民でございますが、漁業協同組合の情報によりますと、計画されておる大村の水上機の
基地
は、大村市漁業協同組合の地先漁業権内に設けられる。それは幅四百メートル、沖合い三千メートル、そのつながりに三千メートル平方の飛行場、発着場を設置する、こういうふうな計画らしいのであります。もしこのような計画が実際に実行しされますと、非常に問題が大きくなってくる。この誘導水路を含む以北の地域で操業が不可能になってくる、もしもこの誘導水路が航行制限でもされるようなことになりますと、こちらの漁業
基地
から北の方の漁区に操業しようと思いましても、片道六時間、往復十二時間というのでは、実際上操業が不可能になってくる、そういうことになると、現在の水産水揚量はほとんど八割方減ってしまうというようなことから、非常に
反対
をしておるようなのでありますが、こういつた不安を除去するためにも、海上自衛隊で計画されておる
内容
は、詐細本
委員会
において発表されることが必要なのじやないか。あまりにも突然、地元に何ら相談なしにこういう
基地
計画を立てて
準備
をされたということについては、われわれも大いに不満を持っておるわけです。従って飛行場として使用するこの範囲は一体どういうところなのか、これに伴う
予算
がどれくらいであって、またここに配置される飛行機の機種あるいは機数、兵員数というようなものも、できるだけつまびらかに御説明を願いたいと思います。
船田中
109
○船田国務大臣 ただいま
石橋
委員
の仰せられました海上自衛隊として、大村に水上機の
基地
を持ちたいという計画は持っておるのでありますが、しかしただいまお示しのような詳細な数字を、今ここに用意いたしておりませんから、それにつきましては海上自衛隊の者を呼びまして、なお十分それを
調査
いたしました上で、ここで御説明申し上げるようにいたしたいと思います。
石橋政嗣
110
○
石橋
(政)
委員
私はもう一週間前から質問の通告をして、質問する要旨についても知らしてあるわけなんです。それを今になってまだ調べてないからというのはどういうことなんですか。あまりにも私は怠慢過ぎはしないかと思う。地元では連日のように陳情もやっておる、また市長も
防衛
庁にやってきて海上幕僚長にも会って、一応の計画というものも聞いておる、それを本
委員会
で取りしげるから一応調べてきてくれということを申し入れてあるわけなんですが、それを
長官
は全然聞いておらないというのですか。
船田中
111
○船田国務大臣 今
石橋
委員
の仰せられたことにつきましては、私の下元に今詳細な
資料
を持つておりませんので、十分
調査
をいたしまして、ここで御説明申し上げるようにいたした方が正確ではっきりしてくると思いますから、さようにいたしたいと思います。
石橋政嗣
112
○
石橋
(政)
委員
まことに私としては遺憾にたえないわけでございます。
内部
の
連絡
が悪いのかどうか知りませんが、調べておらないということであるならば、具体的なものはあとで知らしていただくことといたします。私はこの問題は非常に大切だと思うわけなんです。 それでは最初に、大村に海上自衛隊の水上機の
基地
ができるということを
長官
は知っておるかどうか、その点を確かめておきたいと思います。
船田中
113
○船田国務大臣 大村に水上機の
基地
を持ちたいという計画を持っておるということは昨日伺いましたが、詳細なことは私、まだ
承知
いたしておりません。
石橋政嗣
114
○
石橋
(政)
委員
防衛
庁の中がどういうことになっているのか知りませんけれ
ども
、
一つ
の大きな海上自衛隊の水上機の
基地
ができるというような計画が、もうすでに地元においては一カ月も前から荒々と進められておるのに、
長官
はきのう
報告
を聞いた、そういうのだとちょっと納得がいかないわけでございますけれ
ども
、
防衛
庁と海上自衛隊——この場合は海上幕僚長
関係
になるかと思いますが、それとの
連絡
はその程度のものなのですか、まずそれを確かめておきたいと思いいます。
船田中
115
○船田国務大臣 私が大村の
基地
について御質問があるということを伺ったのは昨日でございまして、その
資料
はここに下僚の方から示されておりますが、それにはただいまお示しのような詳細なものがございませんので、これを至急に取り調べましてここでもつて御説明ができるようにいたしたいと思います。
石橋政嗣
116
○
石橋
(政)
委員
それでは地元の地方総監部あるいは海上自衛隊の長沢海上幕僚長あたりの、
新聞
によって報道されている談話といったものを中心に、質問をとりあえずいたしたいと思います。 先ほ
ども
ちょっと申し上げましたように、もし地方総監部あたりで考えているような計画が実行に移されますと、非常に地元の漁民が困る。農民の面にも若干の利害
関係
があるようでございますけれ
ども
、特に強い
反対
運動をしておりますのは漁民
関係
であります。一体大村に水上機の
基地
を作らなければほかに適当な
基地
がないのか、大村のあの沿岸でなければ絶対にいけないものであるのかどうか、この点から先にお尋ねしておきたいと思います。
船田中
117
○船田国務大臣 私の聞いておりますところでは、ただ候補地として計画を持っておるということでございまして、ただいま示しのような、具体的にどの範囲に水上機の
基地
を設けるかということについて、確定的な案を持っておるということは聞いておりませんので、なおもう一度よくその点を詳細に
調査
いたしまして、ここで申し上げたいと思います。
石橋政嗣
118
○
石橋
(政)
委員
その点は実際に地元で進めようとしているところと若干矛盾があるのでございますが、言葉の上だけでいきますと、地方総監部における
発言
と一致しているわけです。西
日本
新聞
にも出ているのですが、佐世保地方総監部の各部長が説明に当って「離着水の場合、旧
基地
の都合もあって現計画ができているので、ここが特別に漁民にとって悪条件となれば計画区域をずらすことも研究したい。」ということも言っております。今の
長官
の説明も大体似たようなことでございます。絶対に大村のこの水域でなければならないというようなものでもないということで、一応了解いたしたいと思うのでございます。 次にお伺いしておきたいと思いますことは、もしこの地域に水上機の発着場が設けられるようなことになりました場合に、漁業の地域の中に誘導水路などができるようなことになるわけでございますが、もしそうだとしますとあくまで
反対
だと地元の人が言った場合に、強制的な
法律
手段を講じてでも漁業権の使用収用をするというような事態が起ることもあり得るのかどうか、この点を御質問しておきたいと思います。
船田中
119
○船田国務大臣 この問題につきましても、先ほど
答弁
申し上げましたように、私の
承知
いたしておりますのは、大村に水上
基地
を設けたいという計画があるというだけのことを聞いておりますので、これに間違いがあってはいけませんから十分
調査
をして、どの程度に計画が進んでいるのか、あるいは地元の者との
交渉
がどうなっておるかということを、詳細に取り調べた上で御返
答申
し上げる方が間違いなくてよかろうと思いますから、さようにいたしたいと存じます。
石橋政嗣
120
○
石橋
(政)
委員
まことに私は心外なのです。きのう聞いたばかりだということを何度も言うのですけれ
ども
、私の方は一週間前から通告して、
防衛
庁からわざわざ何をお尋ねになるのですかと、質問の要旨を聞きに来ているのです。私もそのときにちゃんとこういうことを聞くのだと言っておりますのに、それを
長官
に言わない。
委員
が
委員会
に出席を求めてどういうことを質問するのだということを事前に話もしているのに、なおかつ
準備
ができないということは、全くもって怠慢もはなはだしいと思う。
委員長
からも、
委員会
の権威を守る
意味
において、十分に注意をしていただきたい。しかし、ここでこの問題だけ言っておりましても、何も知らないという一点張りでは質問にはならないわけでございますから、それでは基本的な問題として、地元の利害
関係
者、こういう人たちが絶対にそういうものを作っては困るというときにおいて、どんな強制的な手段を講じてでもこれを使用なり収用するというようなことはやらないという腹がまえだけは、
長官
持っておられるかどうか。少くとも
基地
などというものは住民の協力なくして、百パーセントの効果を発揮すると考えません。そういうことを考えた場合にも、あくまでも
話し合い
で、納得ずくでこういう問題は処理すべきだと考えるのですが、
長官
はその点について同様の見解を持っておるかどうか。これだけをただして、あとはあすにでも質問したいと思います。
船田中
121
○船田国務大臣 この問題につきましては、今も
お話
がありましたように、十分地元の方々の御了解を得て納得ずくでいくようにいたしたいと思います。しかし先ほど申し上げます通りに、計画がどの程度に進んでおるか、地元との
交渉
がどうなっておるかということを、私
承知
いたしておりませんので、間違ったことを申し上げてはかえって私は御迷惑かと思いますので、十分取り調べた上で返
答申
し上げることが適当と存じます。
山本粂吉
122
○
山本委員長
政府委員
に御注意申し上げます。一週間も前からそうう通告があって、この
委員会
で
発言
があっても、的確な
資料
に基く
答弁
ができないようなことでは、
委員会
の審議がおくれるばかりでございますから、いろいろの御都合もあったでしょうけれ
ども
、きょうのところはやむを得ないとして、今後は的確な
資料
に基いて、要領よく簡潔にお答えができて、
委員会
の審議が進むように御協力を特にお願い申し上げます。
西村力弥
123
○西村(力)
委員
ただいまの船田
長官
の御
答弁
を聞いておりますと、
長官
は
防衛
庁の中でたな上げされておるのではないか。私は
長官
をけなすのではなくて、
防衛
庁の中で制服が横行し出してきたのではないか、そういうことが感ぜられるのです。そういうことがあったら困ったことであります。もちろん優秀なる船田
長官
は、そういうことはないと思うのですが、がっちりとこの武断政治、武家政治にいかないように旺盛な上気を掌握していただきたい。そういうような感じを受けましたので、私としては、
長官
にはしっかり制服何ものぞというような気持で
防衛
庁の掌握を希望したいのであります。
下川儀太郎
124
○下川
委員
だいぶ、船山
防衛
庁
長官
はいじめられたようでございますが、ただいま西村君が武断政治に物言わせるなというようなことを言っているけれ
ども
、私たちの日から見ると、これは武断政治以上のことを船田
長官
はやっておられる。それは事態が非常に重大な問題でございまして、質問が量後になりましたが、本来ならばこれは緊急質問をして、しかも船田
防衛
庁
長官
の不信任案を出さなければならぬというような重大な意図をはらんでおる質問でございます。これは言うまでもなく、今日労働組合が、
新聞
ではいわゆる春季闘争と称しておりますが、生活権擁護のために、あるいは賃上げ闘争をやろうとしておる。そのときにきのうの東京
新聞
、その他の
新聞
を見ますと、
防衛
庁
長官
がこの労働組合の経済闘争に対しまして、自衛隊を出動するということを
発言
しておられる。また作品の
自民党
の総務会の席上において、この春季闘争に際して、もし警察力が足りなければ自衛隊を出動させてもいいということを言明しておられる。これは非常に重大なことで、ただ単にこれは
委員会
だけの問題でなくて、いわゆる
国民
全体の問題でなかろうかと思う。そもそも自衛隊の出動ということに対しましては、われわれは自衛隊法を審議するときに、国外出動の場合あるいは国内出勤の報合においてのいろいろな限界を追及した。国内出動の場合は、おおむね暴力革命の場合をさしておる、あるいは災害等の場合をさしておる。とこるが労働組合が自主権を擁護し、賃上げ闘争をするに際しまして、いわゆる自衛隊と称する軍隊を出動するなどということは、およそこれは考えられないことだ、軍閥時代ならいざ知らず、今日民主主義的な政治の中において、軍隊をもって労働組合の生活権養護を圧迫するような声明を出されることは非常な越権行為じゃなかろうかと思う。なかんずくあなたが
防衛
長官
であったとしても、自衛隊を出動させる場合は議会の承認を経なければならぬ。その前に
総理
承認を経なければならぬ。これ明らかに自衛隊法の中に載っておる。それをどういう資格か知りませんけれ
ども
、労働組合の経済闘争に際して自衛隊を出動するなどという言葉を弄することは、明らかに
国会
無視でもあり、あるいは自衛隊法に対する考え方が、あなたははなはだ間違っておりはせぬかと思う。あなたはどういう考え方からそういうことを
発言
したのか、それをまず伺っておきたい。
船田中
125
○船田国務大臣 ただいま下川
委員
から、私が自衛隊を出動させるという
発言
をしたという前提に立っての御非難でありますが、私はそういうことを
発言
いたしておりません。これははっきり申し上げます。むしろ自衛隊の出動というようなことのないようにいたしたいということを昨日の自由民主党の総務会において話はいたしておりますけれ
ども
、ただいまお示しのようなことに私は申しておりません。これははっきり申し上げておきます。
下川儀太郎
126
○下川
委員
おそらくそういうふうに御
答弁
なさると思っておりましたが、しかしこれは
新聞
紙上にも昨日伝えられたことでございます。しかもその他の人々から
自民党
内におけるあなたの
発言
等々がわれわれの方に十分伝えられてきておる。ただこの場をごまかすために、その言動を避けられる形においての
答弁
のように私たち考えておりますが、いやしくも
防衛
長官
というものは、極端に言うと、武力を持っておる。その掌握者なるがゆえにその
発言
というものは重大でございます。ましてや過去における
日本
でも、議会が開かれて今日まで、軍隊を出動せしむるなどという
発言
をした陸軍大臣もなければあるいは
防衛
長官
もなかった。また自衛隊法の審議に当っても、われわれは重々それを忠告申し上げた。それが
新聞
に出ておる。そうすると、
新聞
に出ておることがほんとうなのか、あなたの
発言
しておることがほんとうなのか、われわれわからない。いやしくも東京
新聞
は大
新聞
の
一つ
であり、あるいはまた産経時事にも載っておる。
新聞
記者の書いたことがうそであって、あなたが言ったことがほんとうだというならば、これは
新聞
記者
自身
と対決してみなければならぬ。問題は事が重大なんです。自衛隊の行動いかんが労働者の経済闘争を圧迫する、あるいは
自民党
の総務会において、あなたが話されるということは、
自民党
というものが資本主義を基盤とした政党なんだから、資本主義を擁護するために自衛隊を私したことになる。公平を欠いたことになる。そうなってくると、あなたの職権、あなたの
防衛
長官
というものの
立場
の重要性というものは——もっと極端に言うならば、これは国内的な問題だからまだいい、国外出兵ということになってくると、より以上にあなたの言動は
国民
を不安に陥らしむる。ただ単に労働組合の闘争ではない。これから農民組合あるいはまた中小企業の連中も、やはり生活権擁護のための戦いをするかもしれない。そういう場合に一々それらを鎮圧するということは、自己の権力を擁護する、
自民党
の
政府
を擁護するための
一つ
の手段としてこの自衛隊の出動を用いられるとするならば、これはゆゆしき大事であります。民主主義の破壊でもあり、議会
制度
の破壊にもなって参ります。なかんずく
国会
の承認を経ず、
総理
の承認を経ずして、ただ個人のあなたがそういう
発言
をするということは、個人でなくて
防衛
庁
長官
だけに重大な
責任
を持ってくると思う。一体
新聞
記者の言うことがほんとうなのか、あなたの言うことがほんとうなのか。しかしいやしくも大
新聞
がそんなうそを書くとは思わない。この点はどうなんですか。
船田中
127
○船田国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、昨日の自由民主党の総務会におきましても、自衛隊を出動させるなどということは、一言半句
発言
をいたしておりません。これははっきり申し上げます。
下川儀太郎
128
○下川
委員
春季闘争を控えての重大な折でもあり、いわゆる政治闘争ではなくして、あくまでも労働者の賃上げ闘争でございますから、今後そういう自衙隊の出動というようなことは、これはあくまで革命に用いる以外にはそういうことは使えないというようなあなたの言葉を、そういう言明を私たちは欲しい。そうでないと
承知
できない。言っても言わないということもでき得る。ですから、自衛隊の目的というものを——われわれこれに
反対
でありますが、しかし自衛隊というものの今後の行動いかんが非常に人心を動揺せしめ、健全な労働組合のその戦いに対して、いわば弾圧して、強権発動という形にこれを置きかえられることをわれわれおそれるのでありますから、あなたが言わないというならば、この際自衛隊というものはゆるがせに使うべきものではない。やはり労働組合のそういう賃上げ闘争などはその自主性にまかして、あくまでも自分はそういうことをあえてしないということをこの際言明していただきたいと思います。
船田中
129
○船田国務大臣 昨日の自由民主党の総務会においての問題は、治安対策でありまして、ただ治安対策と労働争議の問題とがたまたま議題にたっておったことは事実であります。しかし私も労働問題と治安対策の問題とを混淆するほどそれほど私は思想的には混乱いたしておりません。治安問題は治安問題として考え、また労働問題につきましては労働問題として、はっきりその間は区別していくことを私も心得ております。従いまして、労働争議が起ったら自衛隊を出動させるなどということは、私は絶対に申しておりませんし、また自衛隊の出動の場合には、自衛隊法の命ずるところに従いましてこれをやって参る、成規の手続をとってやって参るのでありまして、あらかじめどういう場合に出動させるというようなことを私が言うはずはございませんし、また私は申しておりません。
下川儀太郎
130
○下川
委員
ただいまの言葉がそれが真実なれば、これはわれわれとしても一応了解いたしますけれ
ども
、しかし自衛隊出動の場合において、
国会
に承認を得るということ、この
一つ
があるということははっきりしておりますが、しかも春季闘争はこれは
国会
開会中にあるのでありますから、当然これはどんな言明をする場合においても
国会
にはからなければならぬ、あるいは
国会
のいろいろな
意見
を聞かなければならぬということは、これは明らかになってくる。
新聞
記者
諸君
がきょうおりますけれ
ども
、あなたが
新聞
記者の前に立って、そういったことは
発言
しない、治安といわゆる労働問題に対しては、十分区別して考えておるということをおっしゃっておるが、あなたの言う治安とは一体どういうことなのか。国内治安のそれを
一つ
分析して
お話
し願いたいと思います。
船田中
131
○船田国務大臣 私は今下川
委員
と治小問題について論争しようとは考えておりません。自衛隊を出勤させるという場合におきましては、御
承知
の通り、自衛隊法にはっきり明示されております。その条件が整った場合においては、その条件のもとに、ある制約のもとにおいて出動させるということになるのでありまして、あらかじめ今度の労働争議があるからどうこうするというようなことは、私は今申してはおりません。
下川儀太郎
132
○下川
委員
防衛
にも限界があると同じように、治安にも限界があると私は思う。ですから、労働組合が闘争する、しかもやむにやまれない過程において衝突する場合がいろいろあるのでありますが、その
一つ
一つ
の労働組合の運動というものを治安というワクの中において取り締られたら、これは根こそぎ治安になってしまう。だから、治安とはどの程度をさすのか、その限界が明確にならないと、治安という名目のもとに自衛隊の国内出動をやられたら、これは弾圧以外の何物でもないと私は思う。だから、治安というものの限界を私は一応承わっておきたいと思います。
船田中
133
○船田国務大臣 先ほど
答弁
申し上げましたように、自衛隊法の明示するところに従って行動するのでありまして、それを逸脱して、権力を乱用するというようなことは毛頭考えておりません。
下川儀太郎
134
○下川
委員
この問題は、あなたは知らないと言うし、それから
新聞
社の方はこれを発表しておられる、あるいはそうしたいろいろなニュースが伝えられてきておるので、われわれはその真偽を確かめて、もしあなたが言ったとするならば、これは徹底的に私たちは追及いたします。しかしこの問題に対してはわれわれの同僚議員が多数の
意見
、質問を持っておられるようでありますから、私は一時打ち切って、他の同僚議員に譲りたいと思います。
山本粂吉
135
○
山本委員長
ちょっと御相談ですが、何か一時から臨時
閣議
があるそうですから、どうぞそのおつもりで。——稻村君。
稻村隆一
136
○稻村
委員
事重大ですか、一言御質問申し上げますが、今あなたは下川
委員
の質問に対して、むしろ自分は自衛隊を出動しないようにしたい、出動するようなことはないようにしたい、こういうことを言ったと言われましたが、それならば、一体あなたは憲法に保障されたストライキというものを、暴動とかそういうふうなことをあらかじめ予想して考えておるのですか。それをお尋ねしたい。
船田中
137
○船田国務大臣 先ほ
ども
申し上げましたように、労働問題と治安問題とは別に考えております。決して労働争議が起ったからそれですぐ治安出動をしなければならぬ事態になったというようなことを考えてもおりませんし、私はそういうようなことを申したことは絶対にございません。
稻村隆一
138
○稻村
委員
それならば、春季闘争にからんであなたがああいうふうな自衛隊の問題に触れられた、それが誤解を生んで
新聞
に出たのかもしれませんが、そういうことをあれすることがそもそも間違いです。いつでも労働運動に対する理解のない人、たとえば明治憲法のもとにおいては民衆に言論結社の自由が全くない。労働争議というものは悪であるというふうな考えを持っておる人が政治家には多い。私はあなたも長い間の政治生活をしておるから警告を申し上げますが、私
ども
長い間民衆連動をやって弾圧されてきておるけれ
ども
、いつでも善意によって権力を乱用し、特に軍隊を動かした、そういうふうな臆病で、暗愚な政治家というものが、ロシヤ革命を見ても、フランス革命を見ても、革命の原因をなしておる。特にこれは
自民党
の声明などを見ても、労働争議そのものが悪であるという前提に立っておる。そうしていつでもそういうものが何か治安を乱す、暴動にでもいくように考えておる。そういうことからそういうふうな自衛隊の問題が誤解を生んだと思う。明治憲法のもとにおいてすら、軍隊を
一つ
の暴動にでも出すことを拒否しておる。現に私も
資料
を持っておりますが、寺内
内閣
の米騒動のときに、上原元帥のごときは、最後まで軍隊を出すことに
反対
しておる。そうして警察から言われてしかたなくて出した。それは明治憲法のもとにおいて、軍閥専制政治の時代においても、軍隊は非常に慎重にやっておる。それをいやしくも今日の政治家が、かりに総罷業といたしましても、労働争議をつかまえて、それを直ちにある種の暴動とか危険を予想して、そういうふうな問題にからんで誤解をするような言動をなすということは、私は実にけしからぬと思う。これは要するに、今までのあなたもそうですが、お互い私
ども
反省しなければならぬと思うのだが、明治憲法のもとにおいて習慣となってきた、人人が、人間の自由とかあるいはそういう問題を非常に軽く見る。そういうことで私は誤解を生んだと思うのです。あの記事は決して軽々に見逃すことはできないと思う。そういう点に対して大臣はどう考えるか。これは誤解であると幾ら弁明しても、弁明にならぬと思う。現に自衛隊を出すような事態にしたくないということは、すでにそういうふうな労働争議に対して間違った見解を持っておる。必ずそれは暴動とか、悪であるというような観念に立っておるから、そういうことを言うので、それに対してあなたの考えはどうですか。
船田中
139
○船田国務大臣 それはたびたび申し上げております通り、労働問題と治安問題とは区別して考えております。ただいま稲村
委員
の仰せのような、労働問題についてすぐこれを治安問題とごっちゃにして弾圧するなどということは、毛頭考えておりません。
稻村隆一
140
○稻村
委員
どういうわけで記事に出たのです。
新聞
記者はでたらめを書くことはないですよ。そんなばかなことは常識上ない。何かそれにからんで労働争議を弾圧する、自衛隊を出す云々の話が出たのでしょう。でなければその記事が出るわけがない。あなたはそういうことはないと言明されておる。僕は
新聞
記者がいかに非常識でも、そんなでたらめを書くわけはないと思う。
船田中
141
○船田国務大臣
新聞記事
については、私は
責任
を持つというわけには参りません。
飛鳥田一雄
142
○飛鳥田
委員
今
新聞記事
について私は
責任
を持つことはできないとあなたは述べられておりますが、しかし現実に
新聞
に出て、それが大ぜいの人に影響を与えておるということは定定できないと思います。
新聞
を見ますと、あなたが特に出席して「「デモ隊に対し警察力で足りなければ自衛隊をいつでも提供しますから」とこれまた大へんな鼻息」とこう書いてあります。これが非常な影響を
日本
の全労働者の上に及ぼしたということは、これはあなたの
責任
であるなしにかかわらず事実とだ思うのです。もしそれがあなたのお説のように事実でないとすれば、こういう影響をあなたはこれからどう除去されていこうとするのか、この問題を伺いたいと思います。
新聞
が勝手に作ったデマだからどんな重大な影響を労働者の上に及ぼそうとおれは知らないといわれるのか。あなたの労働問題と治安問題とは別個であって、不当な弾圧はしません、こういうお説を正しく
日本
の全労働者に伝えるための努力を、どういう形かでなさるお心持があるかどうか、これを伺いたいと思います。
船田中
143
○船田国務大臣 それがすなわちこういう
国会
における論議を通じて、その真相を
国民
諸君
にお伝えするということが一番適当であると思います。
飛鳥田一雄
144
○飛鳥田
委員
国会
の論議という形だけで、一度
新聞
に出ましたものがぬぐい去られるとは私は考えないのです。あなた
自身
の側から積極的に
新聞
社に対して解明をせられるなり、
態度
を声明せられるなりして、全国の労働者
諸君
が安心して正しい権利行為としての労働争議を行うようにと、声明をせらるべきだと考えるのですが、どうでしょうか。
船田中
145
○船田国務大臣 御高見十分承わっております。
西村力弥
146
○西村(力)
委員
言った言わないの論議で、
長官
は言われない、ただし自衛隊を出動するようなことはないようにしたいという
発言
はなさった、こういうことでございますが、忽然としてそういうことが出るわけはございません。だれかから質問かなんかあって、話のいきさつから
長官
の
答弁
がそういうふうになったと思うのです。
長官
がそういう言葉を出されるまでのいきさつはどういうことなんです。忽然と自衡隊を出すようなことはいたしませんとおそらく言うはずはないと思う。そのいきさつを
一つ
お知らせ願いたい。
船田中
147
○船田国務大臣 昨日の自由民主党の総務会における
内容
をここに詳細御
報告
することは適当でないと存じます。しかしただいま西村
委員
の仰せになりましたようなことは、私現在においても決して治安がそれによって乱れるようなことにならぬことを欲しておるのでありまして、そのどういういきさつであったかというようなことを、ここに詳細申し上げることは、私は差し控えたいと思います。
西村力弥
148
○西村(力)
委員
差し控えたいと言われますが、とにかく大臣として
発言
されたことは非常に重大な影響を持つものでありまして、私たちは大臣が
発言
されたそのいきさつのあらましを知りたい。総務会においてどんな
内容
の決定をなさったとか、そういうことは一個の政党の
内部
事情でありますから、知ろうとは思いませんけれ
ども
、総務会で自衛隊を掌握する大臣が
発言
されたことは、やはりその発生事情を一応知る必要があると思う。詳しいことを申されないならば、総務会の構成員のだれかから
長官
に対して要請があったのか、こういうことはできないかという質問があったのか。それがなければ、
長官
が狂ったわけじゃあるまいし、ひょこっと言うわけはない。それだけは
一つ
お知らせ願いたい。あなた方の
内部
の御決定などを知ろうというわけではない。事重大ですから、そうでなければ、自衛隊を出動すると言わないと言ったって、また自衛隊を出動させろようなことはないと言ったって、納得できない。
内部
ではかみそりをといでいるんだ。銃にたまをこめて今まさに発射しようという意気込みでいるんだ。このことはどんなに取り消されても、そう受け取らざるを得ない。これは労働組合だけがあの言明に影響されているんじゃない。
日本
の民主主義を願うすべての人が、あの
新聞記事
を見て非常な怒りを覚えているのです。だから私は聞くんです。そのくらいわれわれにお知らせくださっても、一向おかまいないと思うのです。お願いします。
船田中
149
○船田国務大臣 ただいま重ねての御質問でございますが、私は自由民主党の総務会においても、自衛隊を出動させるなどということは全然申しておりません。これは本日ここにおいてはっきり申し上げておきます。
山本粂吉
150
○
山本委員長
本日はこれにて散会いたします。 法務
委員会
との連合審査会は、本
会議
散会後に開会いたしますので、御
了承
願います。 午後一時二十八分散会