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1956-05-17 第24回国会 衆議院 逓信委員会電波及び放送に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十七日(木曜日)    午前十一時五分開議  出席小委員    小委員長 早稻田柳右エ門君       秋田 大助君    竹内 俊吉君      橋本登美三郎君    原   茂君       松井 政吉君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  小委員外出席者         議     員 森本  靖君         議     員 八木  昇君         郵 政 技 官         (電波監理局次         長)      西崎 太郎君         参  考  人         (日本放送協会         ラジオ局長)  春日 由三君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 四月十三日  八木昇君同月六日委員辞任につき、委員長の指  名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送事業に関する件     —————————————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 これより電波及び放送に関する小委員会を開会いたします。  放送事業に関する件について調査を進めます。この際質疑の通告がありますので、これを許します。竹内俊吉君。
  3. 竹内俊吉

    竹内委員 標準放送周波数割当計画についてお尋ねをしたいのであります。前委員会において原則問題二、三についてお尋ねをして、荘次長からそれぞれ答弁をいただいておるわけでありますが、きょうはもう少し詳しい点についてお尋ねをしたいのであります。  その前に、大電力局といわゆるその範囲内のサービス局との関連の点から、二、三NHKお尋ねをしたいのでありますが、NHKは各地方局においてローカル放送をやっておって、そのローカル放送というものを相当重要なものとお考えになって、その放送内容なり企画なりに苦心をなさっておられると思うのであります。そこで問題は、そのローカル性そのものNHKはどういうふうにお考えになっておるか。つまりローカル放送目的と申しますか、あるいはローカル性というものの認識と申しますか、どういうふうにお考えになってこのローカル放送に力をお入れになっておるのでありますか、その基本的な考え方一つ承わっておきたいと思います。
  4. 春日由三

    春日参考人 非常にむずかしい御質問なのでございますが、私どもの方がローカル放送ローカル性というものを考えておりますのは、政治、経済、社会、文化、芸能までを含めまして、あらゆる意味において、その地域社会に強く結びついて役に立つようなものを、全国放送とのかみ合せにおいて、その地域社会に提供したいという考え方なのであります。
  5. 竹内俊吉

    竹内委員 今のは、やり方のアイデアの点なのですが、そうではなくて、たとえば局を設けるに当っての一つ考え方があると思います。そこでこの地域社会におけるローカル性というものは、常識的に考えて、その地方の感情、実生活のいろいろな条件、あるいは事柄によっては教養においても特殊のもの——と言っては語弊があるかもしれませんが、教養の点においても私はローカル性があると思います。そういう点を総合されて、地域社会における重大な実生活条件になっておるものを重要なものとして考えて、それと結びつくこの文化的な作業がわれわれの生活の向上に役立つのだ、こういう考えのもとにその地域々々のローカル性というものを見て、局の設置考え、あるいは放送内容なり企画なりをお考えになっておる、こういうふうに私らは考えておるのですが、その通りであるかどうかを確かめておきたい。
  6. 春日由三

    春日参考人 今の局の設置の問題も一つあると思いますが、これは正直に申しまして発生過程から行きました場合には、おそらくほかの電波伝播状況とか、そういうふうな条件も過去において入ってきたのじゃないかと思うのでございます。しかし現在は、ただいま先生のおっしゃるように総合的にその地域社会に役立つような運営と申しますか、あるいはプログラム考え方と申しますか、これは量的に実質的に決して十分だとは申しませんが、それを大事な考え方としてプログラムを作っていくことは確かでございます。
  7. 竹内俊吉

    竹内委員 放送法第九条の第一項に、NHK全国的及び地方的な放送をするため云々ということがあります。これは必ずしもNHK地方局設置せよということを命じた、強い意味の条項ではないようにも受け取れますが、明らかにNHKローカル放送をしなければならないということを、義務放送一つ条件として含んでおるものと私は考えます。そういう意味から局を置く場合の考慮があるのだと考えるのですが、今の御答弁では、電波範囲内との非常な関連性においてローカル性考えられておる、こういうような御答弁に聞いたのであります。さようでありますか。
  8. 春日由三

    春日参考人 ちょっと私の言葉が足りなかったのでありますが、電波の聞える範囲というようなものが、先ほど先生がおっしゃったことのほかに、過去において考慮条件になっているのではなかろうか、そういうことを申しましたので、それが現在そうだということを申し上げたつもりはないのであります。確かにおっしゃいますように、私ども地方のいわゆるローカル放送を、全国放送と同じような意味において、やはり私どもの仕事と考えて含んでおることは、先生のおっしゃる通りであります。
  9. 竹内俊吉

    竹内委員 これを春日さんにお尋ねするのはちょっと当らないかもしれませんが、それではお聞きしたいのだが、東京大阪周辺NHK地方局を設けなかった。過去のあなたのおっしゃる発生的な過程事柄でもよろしゅうございますが、どういう意図からこういう結果になっておるのか。現在もこれを設ける意図があるようなことを、私は聞いていない。東京周辺神奈川及び五県にはあなたの方の局がないわけであります。ここの各県にはそういうあなた方が今日認識されておるようなローカル性というものはないという御認識の上に立っておるのかということが一点。あっても、それは東京局で十分カバーできる、そういう内容放送をしておるという意味から、これを考えないのかということが第二点。第三点は、あなたがおっしゃった伝播力がカバーしているから、わざわざそういうものを設ける必要はないのだ、ローカル性というのは付随的な考え方であって、元来は電波の及ぶ範囲で有効に電波を使うという建前から局の設置考えるのだから、それは考えていないのだという、三点のことが考えられるわけであります。そこで東京大阪にこういうローカル局を作っていない、また私の知っている限りでは、さほどローカル放送をしていないが、どこからそういうことをお考えになって、その他の地方との区別をされておって、どこに理屈を立ててそういうことをお考えになっておるか、それをちょっと御説明願いたい。
  10. 春日由三

    春日参考人 おっしゃいますように、私が答える以上の問題のように考えておりますが、その中でお答えできる問題といたしましては、第一点の東京大阪周辺の各地区にローカル性が希薄であるかどうかということにつきましては、そうだとは思っておりません。従いまして、私どもプログラムを作る立場からいえば、やはりそれぞれの地域社会に必要な番組を作らなければならないということを考えております。しかし実情は先生も御指摘通りでございまして、他の一県一局というふうな局があるところとの比較におきまして、たとえば東京週辺の神奈川とか埼玉というもののためにさく時間は必ずしも同じでない、比較的少いということは事実でございます。にもかかわらず、私どもは少いながらも東京電波でカバーしております関東の一都六県のための時間ということを作り出しておりますし、それをできるだけたくさんやりたいというふうな考え方で、今プログラムの中に入れておることは確かであります。  第三の御質問の、どういう目的から作らなかったのかということは、ちょっと私ではお答えできかねるのでございます。
  11. 竹内俊吉

    竹内委員 あなたのお答えいたしかねる程度に、今のNHK置局方針一貫性というものは実はないのです。そういう意味からいえば、私はないと思う。ないところに私は一つ考え方があると思います。それを今追及しようとは思わないが、要するに電波の届く範囲内で考えるといったふうで、局の設置考えてきたことは事実であります。あなたのNHKの局全体を見てみると、そうなっておる。そこで今度できます大電力局との関連性が非常に出てくるわけであります。これはあなたの方にお聞きいたしてもいたし方のないことでありますから、電波監理局お尋ねしたいのであります。今度四局に百キロを認可するという方針のようでありますが、東京大阪福岡札幌、四局を百キロにいたしました結果、そのエリアはどのくらいまでに考えておりますか、御説明願いたい。
  12. 西崎太郎

    西崎説明員 今御指摘になりました四局の大電力化に伴って、どれだけエリアがふえるかということでございますが、これは御承知のように、東京大阪はすでに五十キロワット、それを今回のわれわれの方の原案では百キロまで増力できるようにし、それから福岡札幌は現在十キロでございます、これを百キロに増力できるようにしたい。もっともこの問題につきましては、もうすでに国会においても事業計画として御承認を願っております。その結果エリアがどれだけふえるかという御質問でございます。御承知のように、電波はいわゆる地上波によりまするサービスエリアと、それからもう一つ、これは技術上でありますが、夜間においては空間波として相当遠方までこれによるサービスエリアと、両方あるわけであります。一応現在の電波法建前でいきますと、そのうち空間波によるサービスエリアというものは事実上あるわけでございますが、法規上はこれを取り上げてない。それで地上波によってどれだけエリアがふえるかということで申し上げますと、大体エリアでいいますと、五〇%程度であります、こういうふうに考えております。
  13. 竹内俊吉

    竹内委員 この百キロ増力によってそのエリアが非常に拡大されるということは、今の御説明でも明らかであります。そこでこれを百キロに増力いたします行政上のねらいとしては、この基本的なあなたの方からもらった資料によると、国際条約上の権益擁護のためというふうに書いてあるわけでありますが、その権益擁護ということの内容と、もう一つ国際放送の拡充の意図もあってこれをおやりになるように聞くのでありますが、その効果と、その二つの点から御説明願いたい。
  14. 西崎太郎

    西崎説明員 なぜ大電力化をやるかという御質問でございますが、これはわれわれの方の原案修正方針に書いてありますように、まず第一は混信対策という見地でございます。御承知のように、外国混信が最近非常にふえてきている。前回チャンネルプラン策定当時から見まして、現在相当外国からの混信がふえている。おそらく今後これはますますふえると考えております。そこでこれに対する対策の一環として、大電力化ということを考えているわけであります。これをさらに具体的に申し上げますと、NHK放送法によりまして、全国あまねく聴取できるようにしなければならない義務を負わされている、こういうふうに考えているわけでありますが、かりに外国混信が起りました場合に、先ほど申し上げました四局において大電力放送をやりますと、大体において日本中を一ミリボルトくらいの電界でもってカバーできるわけであります。従ってどこか地方の局が妨害を受けたという場合に、その大電力放送によってこれを補うというのが一つの理由でございます。それからもう一つ国際電波権益確保というものでございます。御承知のように・現在正式に国際的に認められている大電力チャンネルは全部で九つあります。それで、これはやはり実績によって使っておかないと、たとえば次の国際会議その他において召し上げられるおそれがある。これを既成事実として使っておくということは、どうしても国際権益確保上必要であると考えまして、これを使っておこう、できるだけ早急に既成事実を作り上げておこうということが、電波権益確保という意味でございます。それからもう一つ、いわゆる国際放送という考え方に通じるという点でございます。これはたしか前にもちょっと申し上げたことがあると思いますが、標準放送を大電力化しますと、さっき申し上げましたように、空間波によりまして、夜間は大陸あるいは東南アジアの方も電波が届くわけであります。従ってそこにおります聴取者はこれを聞くことができる。そういう意味においては確かに国際放送の一翼もにない得る、こういうふうに考えておりますが、必ずしも国際放送のための放送であるとは考えておらない。副次的に国際放送の補助にもなる、こういうふうに考えております。
  15. 竹内俊吉

    竹内委員 この問題は、日本現状放送事情考えますと、非常に大きい問題だと思いますが、NHKが法律上になっている全国あまねく普及するという、その任務を遂行させるための大電力増力という点が一番大きいように、今の御答弁では伺ったのであります。しかしながらあまねく普及するということは、もちろんこれはその通り考えなければならぬのですけれども、大電力のみがその方法だとは考えない。むしろこれは大電力によって起る他の影響とにらみ合せて考えていくべきであって、その他の方法によっても、これは十分に達し得る、技術的な考え方方法もあると思う。その点からして、必ずしも今の答弁は私は了解いたしません。またもう一つ考え方、つまり国際条約上の権益を擁護するのだ、こういう意味で百キロをやっておかなければ将来召し上げられる危険があるということでありますが、将来百キロがどうしても日本に必要だという見込みならばそれもそうでありましょうが、日本のような小さい国では、国内電波として使い方は必ずしも大電力のみによらなくてもいいのだ。先ほどNHKで御答弁になっているように、非常にローカル性というものが小さいながらもあるという場合には、むしろいかに電波を小さく使って、上手にそしてあまねくこれを普及するかということが、日本国民生活に一番マッチした電波使い方だと思う。そういう点から大電力増力には必ずしも賛成できがたい点が私は多いと思うのです。ことに放送局開設根本的基準の第三条の七には「その局を開設することにより一の放送局放送区域内において又は放送区域の大部分を共通にして、二以上の放送局があることとなる場合に、その局の番組が他の放送局番組と一日の放送時間の三分の一以上完全に同一のものとなってはならないこと。但し、左に掲げる放送局については、この限りでない。」と、ただし書きをもって今のような場合でも、大電力ができた場合にその周辺内の局を廃止しなくてもいいという意味のことをうたっておりますが、あくまでもこれはただし書きでうたっているので、一般的な方針ではないのであります。それを今回あなたの方からいただいた資科によりますと、「日本放送協会の既設の局であって、その放送区域が同協会の大電力放送局放送区域重複するものについても、チャンネル割当廃止しない。」と、こういうふうに恒久的な方針として明記している。この食い違いは私は相当大きな問題であろうと思うのでありますが、そこでこの大電力を許可された法的基準としては第三条の七のおそらく第三によるものであろうと思うのでありますが、その点の御説明を承つっておきたい。
  16. 西崎太郎

    西崎説明員 ただいま御質問のありました重複局の問題でありますが、この点につきましては確かに今御指摘のように、われわれの方の修正方針案にはそういうふうに案として書いてあります。ただこの際ちょっと申し上げておきたいと思うのですが、修正方針というものの性格でございます。これは内容をごらんになるとおわかりと思いますが、実は前回すなわち昭和二十八年におきましてチャンネルプラン改正したとき、再編成したときの基本的な方針でございますが、これは今回はそのまま踏襲する、ただその方針のワクの中で今度のチャンネルプラン修正に当りまして、それの作業をやる場合の考え方というのを規定したのが今度の修正方針案でございます。従いまして今回の修正方針というのは、今回のチャンネルプランに対する一種の説明的なものでございまして、これは将来もそのまま踏襲していくということにはならないわけでございます。あくまでも今回の原案に現われておるところの特徴的なものをあげたわけでございます。確かにこの重複局の問題につきましては、その根本基準におきましてうたわれておる通りでございますが、実はこの問題につきましては、御承知のように前回の場合も京都NHKの局につきましていろいろな議論があったわけでございます。いろいろもんだ結果、現状に落ちついたわけでございます。実はこの原案は、当時の諸事情考えますと、これの整理というものは、先ほどお話のありましたローカル番組の編集、あるいは受信機の分布の現状としましては、必ずしも高級な受信機だけでなく、相当低級な受信機もまだ残っておるというような事情が解消しておるとは思われない。そういう意味におきましてわれわれの方の原案といたしましては、今回はこれを残そう。ただその場合にこれに使います周波数につきましては、できるだけ民放その他には使えないような波を使う、こういう考え方で実際の波の問題につきましてはこれを存置することによって、ほかの方に実害が起るというようなものではないわけでございます。ただ先ほども申しましたように、この方針は今回の案でございまして、これを今後とも踏襲していくという考えではないわけでございます。
  17. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいまの御答弁は、この放送協会の四大増力局を設けるが、それはすぐでき上るものではないと思う。長いものは三年もかかろうかと思うのであります。であるからすぐ電力を百キロに増加するということはできがたいから、ことしの場合はこういうふうに重複したものでもチャンネル割当をして、廃止しない、大増力が完成すればさらに考える、こういう意味でありますか。
  18. 西崎太郎

    西崎説明員 この次のチャンネルプランの再編成のときに考える、こういう考え方であります。と申しますと、今から三年後にさらにまたこういう機会があるわけでございまして、そういうときに考えたい、こういうわけでございます。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 今のはちょっと重要な問題ですから関連して。個々の問題は別にしまして、今次長は、三年後の波の変更のときには大電力周辺小局について廃止するかどうかを考える、こういうことを言われたようですが、これは非常に重大問題であって、この前の放送局開設根本基準のときに修正を加えたことがあります。どういう事情修正したかは、御承知通りに当時大阪電力を大電力増力をした、そのときにその周辺の小放送局といいますか、そういうものが廃止されるような根本基準建前であった。そういうことからして地方利用者から非常な運動もあり、かつまた事実委員会としていろいろ審議した結果、国政調査までやりましたが、その結果やはりこれはローカル放送相当部分を必要とするということから、その開設根本基準内容について修正を与える必要があろうということからして、御承知のように最後の項目に公共の必要のある場合においては、その限りでない、こういう規定が加えられたのであります。従って大電力によっていわゆるその周辺小局を改編するという問題は、基本的の問題としては、この前の開設根本基準改正のときに一応原則としては解消されたのじゃないか。というのは従来の考え方——従来というのは、その改正前の考え方は、大電力ができた場合においては、これをカバーし得る範囲内においてはそういう小局廃止していく、こういう考え方根本基準であったものを、その後の社会情勢、ことにローカル方面の公共的な事情からそういうことが必ずしも妥当ではない、そういうことからああいうような修正を加え、かつまた当時廃止の運命にあったものが存置せられた、こういう結果になったとわれわれは承知しておるわけです。従ってこの問題は非常な重要視題でありますから、十分にこれは慎重なる態度を願いたいと同時に、この東京付近の局がないということについても、実は僕は茨城県ですが、これはやはりローカル放送局を必要とし、かつまた希望をしておるわけです。実は私のところは初めからありませんから、今さらどうも主張をしても仕方がありませんから、あえて陳情、請願等はいたしておりませんが、すでに前に廃止になった前橋局とかその他においては、復活要求をしてきておる。なぜ復活要求しておるかというと、御承知のようになるほど地方ローカル・ニュースあるいはローカル番組等を中央においてカバーしておりますが、しかしもしこれが県に一つあれば、たとえば六局できれば当然六倍の放送時間を組むことができる。ところが実際上は、まあ過去の実績、いろいろの事情からして東京周辺にこれを置いておらないために、六分の一ないし八分の一、他の地方の局から考えればそういうわずかな時間で今日地方の人はがまんしておるわけなんです。これは当時の情勢からそういう結果になったのですが、できればこれはあえてNHKのみならず、民放でもけっこうなんですがそういうローカル放送が十分にできるものがあってほしい、こういう考え方地方の人は持っておるわけなんです。従って今回の根本基準といいましょうか、割当基本方針を見ますと、非常に苦心をして大電力は認めるけれども、その周辺小局廃止しない、しかしながらその小局に与える波は民放があまり歓迎せざる波を割り当てておる、こういう先ほど説明はいろいろ当局の非常な苦心の存するところであると思うのですが、少くともこの根本考え方については、やはりしっかりした考え方を持ってもらいたい、こういう工合に考えますが、その点について御説明をもう一度お聞きしたい。
  20. 西崎太郎

    西崎説明員 ただいまのお話では、三年たったら、また再検討すると申し上げたのですが、それは必ずしも三年たったら廃止するのだというふうに申し上げたつもりではなかったので、その点は一つ御了承を願いたいと思います。ということは、三年たったらまたそのときの事情によって考えたい、こういうことであります。
  21. 竹内俊吉

    竹内委員 私は必ずしもこの廃止することが妥当だということを言っておるのじゃないのです。私はむしろ関東東京周辺にもローカル性があるのだから、NHKの一貫した考え方からすれば当然設置すべきである。間に合うからやるとか間に合わなければやらぬということで置局考えるのはNHKとして誤まりです。しかしながら今までの発生過程においては、電波の勢力の届く範囲という考え方が強くて、そういうふうにやってきたという事実だけを申し上げたのであって、それはいい方針だとは言っていない。だから私はむしろ日本では大電力局をそういう名目のためにやるということは適当でないのであって、もっとこれを上手に使えばこういう無理をしないでも、重複をしないでも十分に電波の効率的な使い方があるのだ、こういう考え方でこれはお尋ねしておるのです。私はこの大電力重複した地域放送局廃止しろとは申し上げない、これはもちろん今の西崎次長の御説明のあったように、たとえば京都にしてみても今のよりも約何倍か電界程度が高くなります。だが一方にはローカル性というものがあって、そこに一つの大きい条件意味を持って放送をしているのでありますから、私はこれを直ちに廃止するということは適当でないと思う。しかしながら今あなたのおっしゃった言葉で、まだ性能のごく低い受信機相当にあるので云々という言葉があったが、これは今度のチャンネルプラン策定に当ってあなたの方の方針は一貫していない。また一方では全然逆のことを考えておるのです。たとえば性能のごく悪い受信機にはないようなダイヤルを、PRチャンネルとして千五百六十というのを割り当てておる。これは明らかに受信機相当に高度に発達したという観点に立ってその方はやっておる。一方はまだそういう性能の低い受信機相当にあるのだという考え方でやっておる。一貫していないのであります。これもまたあとでお尋ねをするが、そこで今の御報告ではそういう重複地域NHKに対しては、民放であまり歓迎しないような波を割り当てた、こうおっしゃるが、できたプランはそうなっていないじゃないですか。何をもってあなたはそれを立証しますか。できたプランはゆうべ一晩調べてみましたが、そうなっていません。中にはそういうものもあるという程度です。だからこれでは大電力の計画そのもの、それに付随したチャンネルプランの計画については、私は十分な考えはまだ練られていない、こう考えますが、さらにこれはもう一度考え直す、修正するという考え方はありますかどうか、伺っておきたい。
  22. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 去る十四、十五の両日にわたりまして、各方面の関係の方にお集まりを願いまして、この電波監理の修正案につきまして御意見を伺う会を開きました。その際いろいろな御意見の御開陳がありましたので、電波監理局といたしましては、この修正案が最もよいと申しますか、適当に近い案であろうと考えましてお示ししたのでありますけれども、この全体についての総論的なお考え修正方針ないし各事業者の各個の考え等をお聞きしまするのに、当方の考えの不足な点もありましたし、またその欠陥もないではありませんでしたので、この先日の二日間にわたる御意見を総合いたしまして、さらに再検討をただいま開始しております。これにつきまして、さらによい結論に近いものをなるべく早く出したい、そういう考えでただいま作業をやっておる次第でございます。
  23. 竹内俊吉

    竹内委員 これは私は、今局長の御答弁がさらに再検討して今まで公聴会等に現われたところを参考にしていこうという考え方でありますから、どうぞそういうふうにしていただきたいと思うのであります。そこで私がこういうことを聞きますのは、再三当委員会で私申し上げておるように、今日日本放送NHKだけ聞いている消費者もいないし、商放だけ聞いている消費者もいないということが非常に大きいのです。これは善悪の問題あるいは好ききらいの問題ではないのです、そういう事実がある。そこでお聞きしておきたいのであるが、電波行政の主管庁である郵政省は、この電波行政を行う上において、今や重大なる基本資料といわなければならないところのNHK及び商業放送の聴取率が、どういう状態になっておるかということを独自の立場から御調査になって、その資料を持っておりますか。(森本靖君「そんなことはできないよ」と呼ぶ)それを一つお聞きしておきたい。
  24. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘の聴取率の問題は、まことに重大な、電波監理行政上必要な事柄だと思うのでありますが、現在電波監理局の内部におきましては、それらの調査資料等を集めることをやっておりません。放送協会放送文化研究所あるいはその他の機関でやっておられますことを知っておりますので、それらを随時御報告を願いまして、それによりまして参考資料にしようと考えております。現在のところはそれらの調査をやっておりません。なおよく考えまして、必要でありますならば調査をやりたいと考えております。
  25. 竹内俊吉

    竹内委員 私は必要であればやるなんという段階じゃないと思うのです。森本君がそんなことはやれないということでヤジっていますけれども、こんなものは国費でやれないはずはありません。NHKでも民放でもみんなやっておるものを、どうしてできないはずがありますか。やろうと思えばできます。今局長のおっしゃったNHKなり民放なりからの聴取率に関する報告を参考にして仕事をされておる、こう言っていますが、これは全幅的に信用していないのでしょう。率直に申しますが、相当割り引いてあなたの方の立案の資料にしておる。しかもその割引方が何の根拠もない、全く目八分でものをはかって、いろいろな施策の資料にしておるのであります。私はこの点から考えても、相当な国費を使っても、これだけ日本の文化に影響の大きい、ある考えからすれば、日本の学校教育に匹敵すべきところの国民の大きい影響を持つ文化施策であります。こういうものの根本施策に、どういうふうにこの貴重な電波が国民に利用されておるかという実態をつかまないで、いろいろな施策を考えるということは無理だと思う。もはや、ここまできたら、そういう科学的な資料によってものを判断すべきである。そういう意味で今後の予算編成に当っては、こういう費用を当然要求すべきだと考えますが、将来そういうことをやる意思がありますかどうか伺っておきたい。
  26. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘のごとく、この放送国民生活あるいは国民の教養その他に及ぼします影響は、きわめて甚大であることは申し上げるまでもありません。この聴取率の問題は、私自身もきわめて重大な材料だと思ったのでありますが、この電波監理局の仕事として、今月までには組み入れておりません。予算措置等もやっておりません。ただいまお話のごとくきわめて重大で、今後のやり方につきましてないしは具体的な電波割当等についても関係があるので、十分考えまして本年度の予算にございませんので、何かかわるような対策をとりたいと考えております。
  27. 竹内俊吉

    竹内委員 今度のチャンネルプランで重要な点がたくさんあるのでありますが、もう一点お伺いしたいことは、百キロ局を今度NHKに四局許して電波を割り当てられた、第二放送まで百キロにしたということのねらいは、先ほど西崎次長の話したのは、第一放送意味だと私は思うのだが、第二放送も共通の意味でありますか。
  28. 西崎太郎

    西崎説明員 先ほど言葉が足りなかっただろうと思いますが、御承知のようにNHKの第一、第二を通じまして、プログラム全体から申しますと、全国同一プロが量的にいえば多いわけであります。第一、第二を通じてという意味で、その点言葉が足りなかったと思います。
  29. 森本靖

    ○森本靖君 その点に関連して。
  30. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 この際お諮りいたします。森本靖君が発言を求めておられますが、実は先般辞任せられまして、小委員外になっておりますが、この際小委員外の発言を許すことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 御異議なしと認めます。森本靖君。
  32. 森本靖

    ○森本靖君 今の聴取率の調査の問題でありますが、ここでチャンネルプランの論争を行う場合に、その基礎になる問題が、いつも電波監理局の方の答弁では、要するにNHKの資料その他の資料によってやっているということであって、一番肝心のほんとうの資科というものは電波監理局には全然ない。このことについて竹内委員がしょっちゅう質問をしておるわけでありますけれども、いつもきまり切って予算措置がないということで、電波監理局はできないという答弁です。それで今の点ではっきりしておきたいのは、そういうことをやるのは非常に重要なことで、電波監理局としてやらなければならぬけれども、今の電波監理局の人員と予算措置においては、そういうことはでき得ないということをはっきりしておいてもらいたいと思う。と申しますのは、今の人員、機構でも河かできるようだけれども、やらないというふうな印象を受けると非常にまずいと私は思う。この前の予算委員会の分科会においても、この問題について私の方から執拗にあなたに御質問した場合に、相当の人数と予算を今年は要求したけれども、全部削減せられてしまって、残念ながらできないという答弁をせられているわけでありますから、今竹内委員から質問があった点について、その間の経緯を明らかにしておいてもらいたいということを私はお願いしたいと思います。電波監理局としてはやりたいし、やらなければならぬということについては考えておるけれども、今の人員と機構、それから予算においてはできませんということを、この際はっきりしておいてもらいたい。できないからこそ、そこでNHKなり、その他の資料をもらって、その資料を基礎にしてやっておる、こういうことでしょうが……。
  33. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 まことに仰せのごとくであります。けれども、聴取率の調査ということはきわめて必要であると考えますので、何か方法を講じて、少しでもそれに対する手がかりを得たいと考えますので、先刻のような御答弁を申し上げたわけです。予算もとってない、人員もございませんから、権威あるりっぱなものは今年はできない、これは明確なのでありますけれども、何とかしまして電波監理局としてよって立つ根拠として信頼できるようなものを私どもは把握したい、そういう考えで申し上げたのでありまして、最善の努力をこの際いたしたいということを申し上げておきます。
  34. 森本靖

    ○森本靖君 そういうような答弁をいつもするから、いつも竹内委員に追及せられるのです。はっきり言って……。今の機構と人員においてできる限りのことをやりたいというけれども、この前、たとえば今の監理局の仕事は、検定の監視その他の問題になっていて、それについて人員がこうなっておる、それであなたの方は六百何人も要求してわずか四十何人しか今年は予算をもらってない、そういう答弁をはっきりしておるわけです。今の電波監理局の主要な事業としてそういうことはやりたいと言っておりましても、できないことは明らかなんです。その点も、今の機構において何とかやりたいと考えますということはわかるけれども、それは言うだけのことであって、今の機構、人員、予算においては、そういう重大な資料をはっきり作るということは、なかなか困難であるということをはっきりしておいてもらいたいと思うのです。それを、何か今の機構でもやればできるというふうな印象を与えるような答弁をしょっちゅうせられるから、なぜこさえぬかということでしかられることになる。できないならできないとはっきりしておいた方がいいと私は思う。
  35. 竹内俊吉

    竹内委員 私は何も今の人員、機構にこだわってものを申しておるのではなしに、そういうことが必要であるならば、予算と人員とを要求してやればいいのであって、何としてもその責任は行政当局にあるということは、これは明らかであります。ですから、今度の予算編成に当ってその点を十分考えてやっていただきたいと思います。  それからもう一つ重要な点でありますが、この百キロ局をNHKに許したわけでありますが、第二放送の点は、非常に聴取率の低い特殊な放送と申していいくらいのものでありますが、これにまで百キロの電波を割り当てるということは、私は今日の波の非常に窮屈な場合には適当でない、こう考えるわけであります。その点一つ考慮願いたい。  さらに重要なことは、この百キロ局を将来商業放送にも許可する意思があるかということをこの前にお尋ねしたら、莊次長はそれは考えていねい、考えていないというよりも将来許可する方針ではないというふうに私は受け取ったのでありますが、それはそれとして一つの見方でありますが、その理由を一つ承わりたい。
  36. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 この前の委員会におきます莊次長の御答弁は、大電力は商業放送には許さないということを申し上げたというお話でありますけれども電波監理局といたしましては、大電力を将来商業放送に許さないとは考えておりません。この修正方針日本放送協会の主要な放送局について云々とございます。今回は日本放送協会にこれを許可するのであります。将来については、これは言及しておりません。もし国際的な取りきめが変りまして、今日以上の大電力の波の割当日本に認められる場合には、いろいろな情勢を勘案しまして、適当であれば民間放送にも許可することが将来行われるであろうと考えているのであります。
  37. 竹内俊吉

    竹内委員 これはきわめて重大な御発言をあなたはなさっていると思います。荘次長答弁と全く食い違っておる。それから商業放送に将来大電力を、条約上のあれがあれば許可するのだということをおっしゃるが、今大電力NHKに割り当てたものの中には、条約上指定になった波でなく、また今指定されている波を民放でも使っているじゃないですか。あなたの御答弁は成り立ちませんよ。たとえばラジオ東京で使っている波は、国際条約上百キロにしてもいい波でしょう。片一方のNHKに割り当てる波は、条約上にない波があるじゃありませんか。そういうことでなしに、商業放送の性質を考えて、荘次長が御答弁になったのは非常に含みがあると聞いておる。ところがあなたのおっしゃったことでは、条約上のことで考えているので、その他では考えてない、そういうふうに受け取られるではありませんか。これは将来の日本の商業放送に重大なことでありますので、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
  38. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 今の私の説明に不足なところがありました。それは先日の莊次長の御答弁に関係があると思うのでありますが、民間放送に今回はとるというふうにきめました理由の一つは、民間放送の相互の均衡等を考えて、このことは将来でもそういう考えによって免許を考えなければいかぬ、そう考えております。国際的な取りきめによって割り当てられる波が今日よりも多くなる、そして民間放送考える場合でも、必ず与えるというのではなく、諸般の情勢考え、特にバランス等を考え、そしてこれが商業放送として適切であろうという場合にはこれを許可する、そういう考えであります。
  39. 竹内俊吉

    竹内委員 要するに民間放送のネット・ワークの問題がだんだん具体化してきている、日本放送状態がアメリカの形態にだんだん似てくるという傾向を将来持つものだと思います。そうなった場合には考える、こういう意味でしょう。そうでなくて、ただ単独に考えるという意味だと、そこに非常に大きい問題が残るわけであります。そういう点は、行政上きわめて重大なことでありますから、こういうことの御発言に対しては、そういう点をよくお考えになっておっしゃっていただかないと、これは業界に混乱を招くおそれがあります。  もう一つお聞きしたいのは、今度のチャンネルプランで、民間放送局のある局を十キロに増力して、他の地域に移転させることを許可するという新しいケースが出てきたわけであります。これは福岡の例であります。将来日本の都市には、そういう例をしばしばとることがあるべしという含みを持ってのお考え方であるかどうか、これも重要な問題でありますから、今回のチャンネルプランの新しいケースとして確かめておきたいと思います。
  40. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘の問題は将来しばしばかようなことが起るべしということを予想して、これを示唆的に出したのではありませんけれども、波の事情等によりましてそういうことも絶無ではなかろう、こう思うのであります。将来の例を暗示してやったのではないことを申し上げておきます。
  41. 竹内俊吉

    竹内委員 実はこれは暗示したことになるのです。これはしばしば起るのであります。現に名古屋でも何局かの申請があるはずです。あるいは札幌でも仙台でもたくさんこういう例があるわけです。こういうものをさばく上において、あなたの方が新しいケースを作ったのですから、これは明らかに暗示的な行政措置であります。これをそう判断することが常識である。ですから、これについてのもう少し具体的な態度を、この場合委員会を通して国民に明らかにしておいてもらいたい。適当なバランスがとれるものであるならば、他の地域でも将来積極的に許可する方針であるか、あるいは消極的な方針をとるつもりであるか、これはあなたが新しい例を開いたのだから、この例を根拠にしてもう少し説明しないと、納得できない。
  42. 西崎太郎

    西崎説明員 局長の御発言をちょっと補足させていただきたいと思います。先ほど民放に大電力を許すのかという御質問について回答がなされたのですが、その点について補足させていただきたいと思います。  竹内委員からネット・ワークの問題が出ましたが、もちろんそういうこともファクターになります。なおそのほか、たとえば同一地域に二局なり三局の民間放送局があるという場合に、そのうちの特定の局だけにたまたま大電力チャンネルがあるということで増力させるということは、これはやはり均衡上問題であると思う。またそのほか、ある特定の都市の既設の民放局を増力させますと、その近くの小電力民放局にもやはりいろいろな影響がある。こういうような点を一つ十分考えていく必要があるということであります。  それから民放局の同一地域に対する並立の問題でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げました前回の再編成の方針の中にもうたわれておりますが、「一般放送を行う放送局のある都市に割当を行うほか」ということで、前回日本放送東京において波を割り当てられた、こういう例もございますので、われわれとしては今回の例もこの再編成の基本方針にのっとったのであります。ただ先ほど申し上げましたように、今回の割当の特徴を抽出したという意味で、修正方針にうたったわけであります。この点は今後におきましても、波の事情が許し、またいろいろな点を考えまして事情が許せば、そういうケースが出てくると思うのです。ただどういうようなところがそれでは具体的に問題になるかという点につきましては、現在のところは申し上げかねるわけであります。
  43. 竹内俊吉

    竹内委員 結局健全な競争の範囲内ではそういうものは認めていくという方針だと思うのです。常識的に言えば、また現在の日本のあらゆる企業がそうなっているから、それは当然のことだと思う。それはそれでいいと思うのでありますが、この新しいケースに対して、暗示したのじゃないとか、これ限りだというふうな意味にとれる御答弁があるので、くどく聞くわけでありまして、もっと常識的な考え方でお答え願えれば、何の問題もないわけであります。  もう一つ重要な問題でありますが、PRチャンネル割当周波数が非常に高いということは、公聴会でも非常に問題になったと聞いておりますが、これに対して莊次長のお答えは、そういう要望が非常に高いから、これは十分考えなければならぬと思う、こういう御答弁がありましたが、公聴会もいよいよ終ったわけであります。局長はどういう考えをお持ちになったか、確かめておきたい。
  44. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 この問題につきまして公聴会でいろいろ異論があったことをお聞きしました。この修正の可能性につきまして目下考究中であります。直し得るやどうかにつきまして検討を加えております。すなわち、高い周波数をもう少し低い方に持っていくことができるかどうか、今全体の関係等を考慮中であります。
  45. 竹内俊吉

    竹内委員 非常に消極的な御答弁でありますが、これはもっと積極的にお考え願いたい。要するに今日チャンネルプランを見てお尋ねをして、あなたの御答弁を聞いて痛切に感じますのは、波の割当については技術的にもう行き詰まったのだ、こういう感じが非常に深いのであります。これは政治的と申しますか、何かもう一段上で考慮しなければ、日本の波の最も公平な、しかも利用率の高い使用の仕方を発見することが困難になるだろうと思うのであります。そこで再々私が申し上げておりますことは、日本放送の実態からして、NHK民放とをいかに調和した形において育成していくかということが、電波行政の放送に関する限りにおいては基本的目標であろう。ところがことしのチャンネルの計画を見ますと、依然としてそういう段階にきていないのであって、私は非常に遺憾だと思うのでありますが、これは政治的な事柄に属する希望が多いので、事務当局にお尋ねしても適当な答弁は得られないと思いますから、大まかにお聞きします。私が申し上げたような技術的操作では行き詰まった、もう政治的に大きく考えて、私がたびたび申し上げておるようにNHK第二放送の波を調整して、そこから何波か引っぱってきて調整をするとか、そういう大きいところに眼目を置いてプランを立てなければ、どうにもならないところにきておるという感じが深いのであります。その点局長の御所信はいかがですか。
  46. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 まことに御同感でありまして、特に放送についての電波事情がきわめて行き詰まった状態にきておりますので、そういうことをつくづく痛感しておりますので、今回の再割当案の作成に当りまして研究しました結果は、昭和二十八年の基本方針というものを踏襲していく以外に手はあるまい。決してこの基本方針というものが金科全条というものではないとわれわれは考えておりますが、少くとも三年間はまあこれを守っていかざるを得ない、この土台の上に修正案をやっていくのがいいと考えたのでありまして、お説のごとく私どもは技術的な根拠によって大きな変化をもたらして、これで日本電波割当も昔とは趣きを異にするようになったということはできないと考えて、こういう修正案を作ったわけであります。技術的にはもういくところにいっているという感じであることは御同感でございます。
  47. 竹内俊吉

    竹内委員 最後に今までお尋ねした事務的な件を再確認する意味で申し上げますが、大電力重複地域におけるチャンネルの計画をもう一ぺん考え直してもらいたいということと、PRチャンネルの件は再々申し上げたように、だれが考えてもこれはエリアを半減する結果になるのであって、しかも波の状態から見ますと、われわれしろうとが考えても相当に操作の余地があると考えますので、その二点の考慮を要望して私の質問を打ち切ります。
  48. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 松井君。
  49. 松井政吉

    ○松井小委員 同僚委員の方から質問通告があるようでありますから、簡単にお伺いいたします。ただいま竹内委員との質疑応答の中で非常に重要なことを伺いましたので、この際明らかにしておいていただきたいと思います。  今度の基本的なチャンネルプラン電波監理局の案を策定する場合の基本的の考え方をお伺いしたい。そこで局案がこう発表されたので、竹内委員のような質問が起り、内容のこまかい地域にわたるプランにまでわれわれ質問しなければならぬことになるのでありますから、その基本的な考え方を伺わせてもらいたい。その基本的な考え方というのは御承知のように、電波監理局そのものの機構上の問題は局長以下にお伺いしても答弁できないと思う。現在郵政省の一局でありますから、機構上の問題からくる作業上のことを質問をしてもお答えできないのでありますから、これは大臣が来たときにお伺いしたいと思いますから、それは省きます。省きますが、現われてきた原案の中身から拾ってお伺いをいたすのでありますが、先ほど来いろいろ問題になっておりまするローカルと難聴——民間放送は御承知のように一県一つないし同一地域に三つ、こういう形で民間放送はできております。それに対する波とNHKローカルの波と、そういうことが一番基本にはってくる。それに付随をしてそういう場合の波の割当考える場合に、今日の日本放送そのものが、たとえばNHKだけを考えてみれば、第一の難聴地域はやや解消の段階にきておる。今度第二の難聴地域を解消しなければならないのが放送法建前であり、精神である。要は第二放送のいわゆるローカルの難聴地域解消と民間放送との波のかね合いを、今度の考え方を現わす場合にどう基本的に考えてこのプランを立てたか、これをまず第一にお伺いしたい。
  50. 西崎太郎

    西崎説明員 先ほども申し上げましたように、今度のチャンネルプラン修正方針、これはやはり前回におけるチャンネルプラン再編成の基本方針によっておるわけであります。と申しますことは、NHKにつきましては確かにただいまお話のございましたように、全国あまねくということをモットーとしておるわけであります。ただこれは前回基本方針にもうたわれておりますけれども、第一放送、これはローカル放送といいますか、地域放送がやれるような波の割当をする。それから第二放送はこれはやはり基本方針にうたわれておりますように、全国同一プロということが原則になっております。ということは、第二放送につきましては地域別の放送がやれないことがあるということを前提にしておるわけであります。これは前回からの考え方でありまして、今回も変っておらないのであります。それでそういう事情の許す限りできるだけ民間放送を伸張させる、一般放送を伸張させる、こういう点が基本的な考え方でありまして、その点は今回においても変っておりません。
  51. 松井政吉

    ○松井小委員 答弁が第一と第二に少しこだわったようでありますが、要するにそこはあまりこだわらないで、一体ローカルの難聴地域の解消について、どのような基本的な考え方でこのプランを立てたか、そこのところを本格的に聞かしていただきたい。
  52. 西崎太郎

    西崎説明員 ローカルの難聴を解消させるということになりますと、おそらくこれは中継用のチャンネルの問題に通じるのではないかと思います。それで中継用のチャンネルにつきましては、今回はNHKについては第一放送に三チャンネル、第二放送に二チャンネル、これだけ割り当てておるわけであります。そのほかに、既設のそれ以外のチャンネルで中継用に充てられるというものも使えるようにいたしております。むしろわれわれの考えとしましては、ローカル放送の難聴地域の解消という問題は、電波の問題もないことはありませんけれども、予算的な問題が大きいというふうに考えます。
  53. 松井政吉

    ○松井小委員 そうではないのですよ。予算的な問題は第二の問題なんです。それは技術的には私の方がしろうとであなた方の方がくろうとですから、われわれが申し上げるまでもないのです。ローカル放送の難聴地域を解消するためには、置局の問題もありましょう。それからその隣接地域の局の増力の問題もありましょう。しかし予算上の問題は、波の関係さえあればやれるという地域がうんとあるのです。これは御承知だと思います。それが波の関係でやれないという理由の方が多いのですよ。それともう一つは、先ほど質問の中で問題になっております大電力関係におきましても、大電力にねったために、逆に放送局がなくなって難聴地域が輝きたという地域があるということは、当委員会で幾たびか例をあげ、地域をあげて質問応答した中に明らかになっているのです。だからそういう場合に、かりに大電力関係におきましても、その地域の住民にあまねく放送を聞かせるために再び局の復活があり得るとか、あるいはそういうことは好ましくないとか、いろいろの角度から答弁も質疑もなされているのです。だから、そういう問題とずっとからんで、従来から難聴であったところをローカルの聞えるようにするには、波の関係をどうしたらいいか、それに付随して、置局でなければなら広いのか、隣接局の増力でいいのか、それに対する予算は、一体波の割当関連してどういうことになるのか、こういうことにならなければ解消しないのです。それから大電力関係においても、やはり局の復活をしなければ、どうしてもローカル放送を住民に聞かせることができないという地域があって、問題になったことはあなた方も御承知通りです。そういう場合を考えて、今の日本放送全体から考えて民間放送に波を、今の答弁によりますと今度は充実をしたというような御答弁がちょっとあったように思いますが、そういうことが大事であるのか、ローカルの難聴地域解消が大切な段階であるのか、この点の放送に対する基本的な考え方が監理局の方ではっきりしないと、プランのこまかい中身についての質問ができないのです。だから、今どっちを考えるべきだとか、今の段階においてどっちが重要だというような点を一つ明らかにしてほしい。それから次の質問を続けますから。
  54. 西崎太郎

    西崎説明員 先ほど来いろいろお話もありますように、ローカル放送程度の問題ということになると思うのであります。ローカルを各県それぞれ徹底するようにするということになりますと、これは非常にたくさんの波がなければ実際問題としてできないわけでありますから、われわれの方としましてはやはりまず全国的な難聴を解消する、いわゆる全国同一プロの難聴地域を解消するということに主眼がございまして、それができた暁にローカルの難聴も逐次解消していきたい、こういう考えでおるわけでございますが、そのローカルを徹底的にやる、いわゆるローカル難聴を解消するということは、これは実際問題として程度問題でありまして、これを百パーセントにやるということは、現在の電波事情から申しますと非常に困難でありますので、この原案程度ということにいたしたわけであります。
  55. 原茂

    ○原(茂)小委員 あなたは今の松井委員質問の焦点を取り違えていると思うのです。第一にしろ、第二にしろ、どちらでもいいのですが、いわゆる難聴地域が今日非常にあるわけです。まず公共放送建前からいうと、あまねくこの放送を聞かせるということが建前ですから、難聴地域の解消ということが、三年ごとのプランの再編成に関してはまず一番重要な条件になってくるのじゃないか。従ってその新しいプランを立てるのに、ローカルとか第二に拘泥するのではなくて、難聴地域解消というところに重点を置いて立てたのかどうか、こういうことを聞いているわけです。
  56. 西崎太郎

    西崎説明員 先ほども申し上げましたように、われわれとしましてはまず全国難聴というものを第一義的に取り上げていく、それからその次の段階としてローカル難聴を解消していきたい、こういう考え方でございます。その点は今度の修正方針にもうたわれておりますように、「放送の恩恵に浴することの乏しい地域に対して、できる限り救済の措置を講ずる。」そしてその具体的な方法としまして、「日本放送協会放送については、置局全国的分布を勘案し、一部の局の増力又は中継局の増設を可能にするごとくする。」こういうふうにしまして、現にこの線に沿って増力を認めておる局もあるわけでございます。
  57. 松井政吉

    ○松井小委員 それであとは全国放送の難聴を解消する建前で作ったということになれば、その方針はけっこうです。ただそのあとに残るものは、その中身を検討した結果、今その方針に基いてあなた方はプランを立てたのだが、それでは全国放送の難聴が解消してない地域があるがどうするかということは、これは具体的な中身からわれわれは質問しなければなりませんから、考え方としてはそれでいいのです。いいのですが、付随してそれではもう一つ基本的な考え方の点でお伺いしますが、要するに今放送協会が行なっておりますローカル放送のいわゆる中身、それからそれが重要であるか重要でないかということと大体において地方においては一県一単位でできておる民間放送——これは商業放送でありますから、当然中身について論ずる必要はないかもしれませんが、その中身と、貴重な電波を使って国民のかてとするために、どちらを有効適切にしなければならないかという考え方で波の割当考えたか。この基本的な点は答弁しにくいかもしれませんが、明らかにできる線まで一つお答えを願いたい。
  58. 西崎太郎

    西崎説明員 先ほども申し上げましたように、ローカル放送という観点からはNHKの第一をわれわれの方としてはその主たる対象に考えておるわけでありまして、従いましてNHKの第一放送に対する波の割当、それからもう一つ指摘民放割当との関係ということになると思いますから、その点はわれわれの方としましては、この波の割当の数の表がございますが、それで申し上げますと、これを端的に反映しておると思いますが、NHKの第一放送につきましては、先ほどの大電力も入れまして波の割当は三十三でございます。それから民間放送に対する割当は三十でございます。
  59. 松井政吉

    ○松井小委員 ちょっと答弁が的をはずれているのです。要するに僕の言うのは番組まで考えてどっちが大切かということを聞ているのですよ。むっと言えば要するに僕は、たびたび当委員会で正式にNHK当局にも要望したし、それからNHK当局からも答えていただいておりますし、あなた方からも答えていただいておりますが、ローカル放送の一番大切なのは聴取率がいいとか悪いとか、大ぜい聞いているとか聞いていないとかいう問題ではないのですよ。一番大事なのは地方の産業放送というものです。むしろ産業指導放送というのが私は何よりも一番ほしいのです。その聞えない地域があるとすれば——たとえばその地域は毎年の台風の通過地域であるとか、あるいはその地域は冷害地域であるとか、これは日本の地球上に置かれている位置からいって、もうその地域は毎年来るのだ。そういう場合における指導放送といろものが一番大切なんですよ。これはスポンサーによる商業放送ではできないのです。たとえば苗しろの水は今晩は苗頭を埋めるほどためておいてくれとか、いつごろは農作物に虫がつくからその虫はどうしてくれとか、この地域の特殊産業としての羽二重についてはどうだとか、あるいは繭についてはどうだとか、そういうことの地方の産業指導に関する放送は、わずかな時間でありますけれども、これはむしろ聴取者が多いとか少いとかを抜きにして、私は一番ほしいのです。要は公共放送として一番大切なんですね。その県の特殊事情は、その県の試験場長なり、試験場の技師なり、あるいはその地域の農地に関する問題ならば、県の人がやはりNHKの委託に基いて、あるいはNHKの方へ申し入れしてその波を利用して県民を指導しているわけです。これは単に地方の商業放送が送るレコードの歌を聞く人が多い、この指導放送を聞く人が少いという問題じゃないのです。公共放送建前ローカルの本質というものを頭に置いて波を考えなければならぬ。その場合にその放送すらその県において聞くことができないという難聴地域を、一体どう考えるかということにつながってくるのですよ。要はローカルそのものの本質と番組の中身そのものと、ローカルの波、それから地方の商業放送番組の中身まで考えて、一体電波監理局としてはどっちが大事だという考え方に立つか、その基本的な考え方を聞きたいというのです。
  60. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 松井委員の仰せられましたことにつきましては、私も全く同感でございます。ローカル放送についての民間放送あるいは日本放送協会に対する国民の要求は、公共性という点においては全く同じだと私ども考えております。どちらも公共性がなければならぬ。ただいま言われましたようないろいろな地域の問題について、時時刻々両方ともアナウンスする必要があるがゆえに、われわれはその貴重な電波を民間放送NHKと両方に与えております。両者は相寄り相待ってその地域のために奉仕しなければならぬという使命を持っておると私は考えますので、これについてNHKの方が重要であり、民放の方が重要でないとは考えませんけれどもNHKの方は放送法で必要なるものを国民のために奉仕すべきことが明瞭にうたわれておるのでありますが、民放の方はある意味では任意的な機関と言ってもよいかもしれません。そういう意味でその間に多少の差はあるかと考えております。同じように公共に奉仕しなければなりませんけれどもNHKの方が絶対的に大きな任務を持っておるというように考えるのでございまして、ローカルの難聴を解消する際にどっちを先にやるかということを言われますならば、やはりまずNHKというふうに申さなければならないかとも考えております。
  61. 松井政吉

    ○松井小委員 どうも先入認識があるのかどうか知りませんが、答弁NHKとか民放とかにこだわり過ぎますよ。私はそういうことを言っておるのではない。たとえば私がただいま例を引いたような放送は、法的に見ても、今の民放NHKという公共放送と商業放送の二つを並べてみた場合にどっちがやり得るか、これを考えてもらえばよいのです。現在の民放NHKを対照してそんなに極端に考えなくてもよいのです。どっちがやり得るかということになれば、やはり商業放送の方は、商業放送をやることによって利潤を上げていかなければならない企業体になっているんですよ。これが今言ったような文化的産業指導の放送等の番組を、収入なくしてやるということは無理なんです。やれと言ってもやれないのです。だから県内に一つ民放があったとすれば、その民間放送が県民全体に聞えるような措置は、民間放送を免許しておるのですからこれは考えていただかなければなりませんけれども、今言ったような内容放送を民間放送の商業放送にやれといったって、これはやり得ない企業体になっているのです。強制できないのですよ。強制できなければ番組を編集したってやり得ないのです。そうなってくれば、法の建前からあまねく国民に重要なる放送をやる機関はどこかといえば、やはり日本放送協会しかない、こういうことなんです、そうでしょう。その考え方が明らかになるとするならば、波の割当において当然そこの点が考慮されなければならない、こういうことになるのじゃないでしょうか。だからそういうことが考慮されたかされないか、それを考慮されてやったけれども、残ったそのための難聴地域をどう解消するか、この二点になると思うのです。先ほどから西崎さんの御答弁で、そういうことも考慮して今度のプランを立てたという御答弁がございましたけれども、今度はその波を一々検討していきますと、それが解消されない地域がうんとあるわけです。ローカル局で聞えない地域がうんとあるわけです。その措置を今後どうするか、この方針をこのプランを立てるときに立てられていなければならない、それを一体どうするか、こういうことです。局長は先ほど竹内君の質問にもそうですが、非常にうまいことを答弁しようと思って努力している、それがかえっていけないのです。たとえば四十七社も民放ができておる、NHKもある。できたものだから、いろいろな要求が外部から、企業体の内部から出てくるだろう。そういう意見を聞いてうまく調和をとってプランを立てればいいという政治的な考え方でやっていけばいい、問題があれば三年後だ、当面はこう考える、そういうことで答弁をごまかせばいいと思っているかもしれませんけれども、私は電波行政と放送というものはそれではいけないと思うのです。政治に左右されてもいけないし、内閣がかわっても、その基本方針というものが変ってはならないと思うのです。そういう意味で今の行政機構の関係からいっても、郵政省の中の一局へ置いてできるわけはない。内閣がかわれば大臣がかわる。大臣がかわれば方針が変って参ります。人事異動が行われます。人事異動が行われても方針がくずれ拾いというのがほんとうの建前でなければならないのですが、残念ながら今までの機構ではそれがくずれてくるのです。そういう考え方でものを考えて参りますと、今度現われたチャンネルプランも多分にいろいろな意見を聞いて、まあまあこの程度で調和をとったらいいだろうという点は明らかにこまかい数字で出ておりますけれども、今私が申し上げたように、電波放送の重要性に対しては、一貫した方針を堅持するという基本的な考え方が現われておらないのです。そのために基本的な考え方については、先ほど答弁しているようにわれわれも納得するような考え方でありながら、現われてきた点についてはそういう難聴地域の解消等はできておらないという点がずっと出てくるわけです。一方においては、答弁の中ではっきり言っているように、商業放送も育成しなければならない、あるいは民間放送も促進させていかなければならない、こういう考えです。ところが電波は限られておるでしょう。両方うまいわけにはいきません。そういう現状の中でどういう基本方針を貫くかということが大切なんです。それを聞いているのです。両方うまくいきませんよ、限られておるのですから。両方うまいことをやろうとすればおざなりに過ぎる、おざなりに過ぎるならば、基本的な方針電波監理局にないということになる、それでいいか悪いかということです。その点を一つ明らかにしていただきたい。
  62. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 松井委員指摘の点は私同感なんであります。決して私ども公聴会を開いて多くの人の意見を聞いていい子になろう、どこにも調子を合せようというような考えでは毛頭ないということを申し上げておきたいと思います。それから何ら考えがないというのではありませんで、先刻来申し上げます通り日本国民のために電波をいかに公平に能率的に割り当てるか、そうしてこれを活用せしめるべきかという点につきましては、ともかくいろいろ案を練り、検討を加えた結果、こういうような修正方針を作り上げた次第でございます。片方によければ片方に悪いのは当然でございますから、自分の信念を固めて断固臨めばいいという考え、むろん私は賛成でありますけれども、なるべく多くの人の意見を聞き、日本にはNHKいうもの以外に民放というものがここに発達しておるわけでありますから、それを健全に育成していくことは、これはやはり大事なことである、それはただに民放のためのみならず、NHK自体にもいいことである、そう考えるのが一つの基本的な考え方であろうと思うのでありまして、そういう意味におきまして、私どもはかような修正方針を採用することに決したわけであります。しかしながら先ほどからお話しになっておりますところの、地方々々の事情について非常に重要な事柄を最も端的に、かつ迅速に報告し得る義務を持っておるものは、これはNHKであることは明瞭でございます。このNHKにさような義務を行わしむるように、電波行政が行われなければいかぬということにつきましては同感でございます。民間放送NHKも同様に公共性を持っておるものでありますから、かようなことについても、民放に対しても私は希望するのであります。民間放送も率先して広告放送ばかりではなしに、かようなその地域の人たちの日常生活あるいはいろいろな問題について必要なことを、率先して自発的に報告する任務があると私は考えておりますので、先ほどさように申したのでありますけれども、このNHK義務は明瞭でありますから、かような任務が達成できるようにわれわれは考慮すべきであるというふうに考える次第でございます。そのことを申し上げたわけであります。
  63. 松井政吉

    ○松井小委員 具体的なことは後日に譲りますけれども一つ注意しておきます。それはかく上手に答弁しようということが竹内委員質問についても、われわれの質問についてもあるのですが、それは将来速記録に残ったり、この前こういうふうに答弁したではないかということでいろいろ誤解を生じてきたりして、質問時間を長くとらなければならぬことになりますから、要するに電波監理局は政治的に偏向してもいなければ、いずれにも偏向していないとわれわれは見るのでありますから、その立場に立って、衆知を集めて考えたことならば、それが気に入る入らないは、われわれの考え方は自由でありますから、賛成、反対は別でありますから、思ったことをずばりと答弁するようにお願いしたいと思います。一応注意しておきます。
  64. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 この際お諮りいたします。八木昇君の小委員外発言を許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 御異議ないものと認めまして、八木昇君の小委員外発言を許可するに決しました。八木昇君。
  66. 八木昇

    八木昇君 時間がおそくなって参りましたから、簡単に二点だけ質問いたしますから、端的にお答え願いたい。  先ほど竹内委員の御質問にあったのですが、実際問題として現在の状況のもとにおいて、民間放送の特定なところに百キロ放送を許可するなどということは、これはもう不可能に近いことだ、こう常識的に考えるのですが、それは別としまして、今度の計画によりますと、福岡、久留米に朝日放送か何かと思いますが、これに十キロ放送を許可する。これは一挙に増力することになるわけです。そうしますと、ラジオ九州あたりはこれによって実際問題として被害を受けるのではないか、こう想像をしておるわけですが、それでほかにも室蘭あたりは新設されることになっておりますし、ちょっと聞き及んだところによりますと、近く横浜あたりにも、相当大きね民間放送の新設を許可されるとかされないとかいううわさもある。こういうことでありますと、今の久留米の十キロの新設とかあるいは増力というふうなことに関連して、民間放送の各会社がそれぞれ激甚な競争を展開して、将来漸次増力をされていく。各会社がそれぞれバランスをとったような形ででも、そういうことになっていくおそれはないか。そういうことによって、今のNHK放送との関係がどういうふうになっていくか、こういう点についての御見解を、一応明らかにしておいていただきたいと思います。
  67. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 民間放送の各社が増力を希望しているのは事実であります。ただいま御指摘の九州朝日放送というのが、今度十キロになるということであります。そして同様に各社が盛んに増力を希望しているのであります。けれどもこれは限度がありまして、そうどこも希望通り増力は認められない。これは技術的にもそうならざるを得ないのであります。今のままでいきますと、どの民放もみんな大きな電力を持った放送会社になるかというと、そうはならぬと私ども考えております。これに伴いまして、日本放送協会がどうなるかということでありますが、この問題は将来、今日私どもが採用しておるところの、昭和二十八年にきめた基本方針というものを根本的に考え直して、そしてたとえばNHKの第一放送、第二放送という二つの放送を認めるというのが、この前の基本方針でありまして、今後少くとも三年間はそれを踏襲していこうという考えでありますけれども、こういう問題につきましても、民間放送の今後の発達いかんによって、また国民の多くの希望等によって、あるいは変更した方がいいという情勢になるかもしれないと考えております。従いまして今日ではそれにつきまして、予言ができないのであります。そういうわけで私どもは少くとも当分の間は、今日の情勢が継続されるであろうと思いますし、大変化は近い将来には起らないのじゃないかと考えております。ただ電波の不足ということは、非常に切実な問題でありまして、おそらく近い将来には中国あるいはその他の東アの諸国が盛んに放送をやり出し、電波の要求をするということが起った場合には、今日の日本電波事情が非常な影響を受けて、それによって、国全体としての放送網も考え直さなければならない事態が起らないとも限らないということも、ただいまから懸念いたしておる次第であります。
  68. 八木昇

    八木昇君 とおっしゃることは、逆の方から言えば、この配られた表によりましても、一般放送の新設申請が三十七件、増力申請が十七件、現在もうすでに出ておる。こういうものも、実際の面から見て判断する場合には、実際問題としてこういう申請の許可は困難に近いのだ、技術的な面からは困難に近いのだ、こういうように理解していいのかどうか。またさらに、今の九州朝日放送増力という問題は、将来これに類似するような許可を漸次やっていくための、一つの端緒を開いたものであるというふうには理解できない問題だ、こういうふうに考えていいのかどうかという点についてお聞きしたい。
  69. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 再々申し上げます通り電波事情はきわめて困難でありまして、かような申請がありましても、免許は非常にむずかしいのであります。九州の場合は、これは駐留軍の電波を返してもらいましたために、そのことが可能になったのであります。それが九州にいくのが一番適当だろうという判断で、そうなったのであります。かようなことが再々起るだろうという暗示では毛頭ないのであります。
  70. 八木昇

    八木昇君 今の駐留軍の返してくれたとかいうのは、ほかには使えないのですか。何かもっと方法はないのですか。
  71. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 九州に置くのが一番適当だろう、そう判断したわけであります。
  72. 八木昇

    八木昇君 それについては、それ以上お伺いいたしません。それから別の問題をもう一つだけお伺いをいたします。これは再三この委員会でも井手委員その他から発言があったし、かつて約束になっておったというふうに伝え聞いておるのですが、それは佐賀県の唐津あるいは大分県の日田、こういう方面にNHKの中継所を作ってもらいたい、こういう強い要望があって、そういうようにいたします、御要望に沿うようにするということになっておるらしいのですが、今度配られました資料の中にも、そういった点が載せられておりませんので、ちょっと念のためにお伺いするのです。こういったところに中継所を設けるということの困難性が、もし何かあるとするなら、それは何か。予算上の問題か、それとも波の問題か、何かそういった理由があるのか。そういう理由はない、近いうちに必ずやろうと思っておるのか、この点もう一度念のためにお伺いいたします。
  73. 西崎太郎

    西崎説明員 今具体的なお話がありましたが、その点は前々から問題でありまして、われわれといたしましても、その線で今考えておるわけであります。ただ今回の案に載っていないじゃないかというお話ありましたが、これは実は、かりにそういうところに作る場合には、中継用のチャンネルを使いまして置くわけでございまして、そういうものはこれには含まれておらないわけであります。ただ既設のそういう中継局、この波がどう変るかという程度のことは載せてありますけれども、今の百ワット程度の中継局の新しいものは載せておらないのであります。
  74. 八木昇

    八木昇君 それはわかっておるのです。私も既設のものの表だけがあるということはわかっておるのですが、どうされるおつもりかということを聞いておるのです。今後お約束の通り実施せられる御意向であるかどうか。くどいようですが、何回も出ているらしいのですが……。
  75. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 関連して。先ほど次長からお話があった中継用として二チャンネル及びローカル用、第二放送用として三チャンネル、第一放送用として二チャンネル、これをNHKに割り当ててあるのじゃないですか、あなたのお話では。それが唐津あるいは日田に該当するかどうかということを聞いているのじゃないですか。
  76. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 この前の委員会においてすみやかに善処するということを申し上げたことは、私もよく覚えております。今度のチャンネルプランのいわゆるNRチャンネルというものがあるのですが、その割当によりまして可能だろうと考えております。触るべくそのことが実現されるように努力します。
  77. 森本靖

    ○森本靖君 それで唐津、日田の二つはできるようになったことは成功ですが、ただこれは私のところとかなんとかいうことでなしに、こういう例はたくさんあるということを、あなたの方は答弁の際に明らかにすべきなんですよ。そうしないと、これはその局所局所の問題が大きく出てくるわけなんです。あの唐津の問題についても、全国放送そのものは一応聞えるわけです。ところがローカル放送そのものが聞えないというところに問題があるわけであって、それがために中継用のものを置けということを強硬に言ってできることになった、これは非常に御同慶にたえないわけです。しかしそういうふうな問題がその個所々々だけでなしに、全国的に相当数あるということも、やはりあなた方は答弁の際に明らかにしてもらいたい。そうしないと、何かそこだけが置かれておって、それだけをやればそれで済むのだというような印象を与えるので、そうではないということを、あなたの方は機会あるごとにはっきりしておいてもらいたいということを言っておきます。  それから今度のチャンネルプラン割当でありますが、この前の委員会以来、竹内委員質問もちょっと聞いておりますと、それに対するところのあなたの方の答弁が、非常にちぐはぐな答弁になっているわけです。これは今回のチャンネルプラン方針そのものが民放に遠慮し、それからNHKも立てなければならぬというところから、電波行政についての最高方針、現在の政府のチャンネルプラン割当は、こういう確固たる方針であるということが一つも明確になっておらぬわけです。要するにあなたの方は、現状をとにかく何とか両方うまくおさめたらよろしいという一心で、こういう発表をしたと私は考えるわけです。そこで先ほど竹内委員も言いましたように、これ以上技術的な問題を幾ら質問をしても、これはもう一つ上の段階になると思う。そこで私は監理局長に注意を申し上げておきたいことは、竹内委員が、ここもこういうふうに直さなければならぬ、あそこもああいうふうに直さなければならぬという質問をいたしまして、それに対しましては十分に公聴会後において検討いたしますと言われているけれども、今回のこういう基本的な方針そのものには私は相当異論があるけれども、この方針に従ってチャンネルプラン割当をきめるというならば、大体この限度が技術的なやりくりの最高の限度じゃないかと思うのです。これを二カ所、三カ所いらうということになりますと、これがずっと全般に波及していくというおそれも多分にあるわけです。そこでそういうふうな答弁の際には、私は慎重に行なってもらいたい。というのは、何か一つ質問が出ると、この問題についてはもう一回慎重に検討してみて後刻云々というようなことになると、これは非常に波及が大きいと思う。そういう点については今後十分に考慮して答弁を願いたいということと、それから今度のチャンネルプラン方針を一応修正をするということはここに書いてありますけれども、この書いてあることを読んでも、一体確固たる筋を貫いた方針がどこにあるかということが私たちには明確にならぬわけです。たとえば十キロ放送についても、これは商業放送との均衡を考え云々というような答弁になると、それでは初めに、今後こういう問題についてはこのときだけであって、将来については考えないという問題についても、疑問が起きてくると思う。さらに民間放送の百キロ放送についても、これとの均衡云々ということになってくると、非常に答弁が聞いておりますとちぐはぐな答弁で仕方がない。要するにこのチャンネルプランの基本的な方針というものの背骨は、一体どこにあるかということを端的に説明願いたいと思うのです。その方針を変更するということはあなたたちの段階ではなしに、それ以上の段階にあるということも、これはやはり明確にあなたたちは答弁をする際に言っておいた方がいいのじゃないかと考えるわけです。
  78. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 修正方針がどうも明瞭でないというふうなお言葉であります。それはこれを読みますと、そういう感じを与えるかもしれぬと私も思います。それは昭和二十八年度の基本方針なるものを明瞭にここに書いてありませんから。その内容は大体こうなんです。それは何だそんなことわかり切った問題ではないかと言われるかもしれませんけれども、そんな程度のものなのであります。電波の公平な能率的な分配をしようではないか、それから日本放送協会に対しては第一放送網と第二放送網という二つの放送網を認めよう、そういうふうにしよう、それから民間放送は健全に育成しよう、そういう三つのねらいをあげているのがこの前の基本方針なんです。そういう三つの原則は今後とも堅持していこうというのが、今度の修正方針なのです。それについて実施に当って、三年間のいろいろな経験や実績等にかんがみて、そうしてこの程度修正しかできないだろう、技術的にはこれ以上困難である、そういう考えでこの修正方針を作ったわけでありまして、当局ははっきりした電波行政の信念を持っていないというふうに言われますならば、私はそうではなくして、その表現が少しわかりにくいのだろう、そう私は信じます。そういうわけで私先ほど申し上げたことは、そうなればこう直しましょう、御意見を聞いて修正しましょうというふうに、その場その場をつくろうというのではありません。この基本方針によって修正方針を作って、それによって割当の具体案をここに作りました。それについて私どもでも考えの及ばなかった点があるかもしれません。北海道から九州の各地の地方事情等については、私どもでもわからないところがあるかもしれません。それにつきまして御意見を伺って、どうしてもこれは悪いということがあったならば直そうという考え方で、修正あるいは考慮しようということを申し上げたのであります。
  79. 原茂

    ○原(茂)小委員 今の説明の資料ですが、一ページの終りに十四日と十五日の公聴会のあとその結果によって決定すると書いてあるわけですが、このプランというのは公聴会以後にできたのですが、これを変更することがあるのですか。
  80. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 これは公聴会で皆さんに意見を聞いて、その中でもごもっともな御意見である点がございますならば修正するかもしれない、目下検討しているわけです。
  81. 原茂

    ○原(茂)小委員 この公聴会の議事録を要点だけでけっこうですから、あとでできたら配ってもらいたい。
  82. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 それは目下まとめておりますから……。
  83. 原茂

    ○原(茂)小委員 それはあとでもらえますね。それをお願いいたします。  それから第二に、御説明内容ですが、説明の第二項に、「一般放送における使用を適当とする場合を除き、」と書いてあるのですが、「一般放送における使用を適当とする場合」というのはどういう場合なんですか。
  84. 西崎太郎

    西崎説明員 これは一般放送として使える場合にはアジャセント、隣接のチャンネルでも使わせるということであります。
  85. 原茂

    ○原(茂)小委員 そうすると一般放送で使える場合なら、いわゆる使用を適当と認める場合ですね。
  86. 西崎太郎

    西崎説明員 そうでございます。
  87. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 時間がないようですし、次の小委員会に出られるかどうかわかりませんから、ちょっと意見を申し述べて参考にしていただきたいのですが、この前の昭和二十九年の十月十一日に当委員会で、一般放送事業者の放送局の免許に関する決議、こういうことをしております。内容は御承知のように、国内経済の諸般の情勢並びに混信の事実から考えて、新免許に対しては慎重なる態度をとってやってもらいたい、こういう決議をしておるのですが、もちろんその時代から今日では情勢が変っておりますから、必ずしもその決議がその通りに今なお生きておるとは考えておりません。従って私は新免許に絶対に反対である、こういう意味ではありませんが、ただ現在の日本の経済から考えて、ややもすれば消費文化が重きを置かれるということについてはよほど考えなくちゃいかぬのじゃないだろうか、こういうことと同時に、また既設放送民放をできるだけ育成強化していく、この方針もまた考えなくちゃいかぬだろうと思うのです。そういう意味を十分にお考えを願いたい。同時にまた今回の周波数割当計画修正方針によりますと、第三項目の中に、「一般放送事業者について、国内混信の軽減のため、所要の措置を講ずる。」こういうことで積極的に民放に対する措置を講ずるようでありますが、この前われわれ国政調査をしました際にも、相当民放混信があったようでありますから、この機会にこれはできるだけ改善の努力をしてもらいたい。もちろんこれに関係することで既設放送局増力の問題があると思いますが、この既設放送局増力問題は、私は技術的にはよくわかりませんが、必ずしも増力をしたから混信がふえるということでもないだろうと思います。しかしながら既設放送局民放の強化育成という点から考えても、ある程度この問題は積極的に考えてやるべき性質のものがあるのではないだろうか、こういう意味でわれわれ委員会としては、もちろん公正にこれを処理していきたいのでありますから、そういう意味での民放の育成ということは積極的に考えてやってもらいたいということを一つ意見として申し上げておきます。
  88. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 本日はこの程度にとどめ散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。    午後一時十五分散会