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1956-03-09 第24回国会 衆議院 逓信委員会電波及び放送に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月九日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席小委員     小委員長 早稻田柳右エ門君       秋田 大助君    小泉 純也君       竹内 俊吉君    松井 政吉君       森本  靖君    八木  昇君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  小委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     金川 義之君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   栃澤 助造君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 これより電波及び放送に関する小委員会を開会いたします。  放送事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。竹内俊吉君。
  3. 竹内俊吉

    竹内委員 NHKの側に二、三お尋ねしたいのでありますが、先般お尋ねをした国際放送について重ねて確かめておきたいと思いますことは、先般申し上げました通り放送協会の提出した資料によりますると、せっかく相当予算をもってやっている事業が、大体において私は佳良だと思うのでありますが、放送協会では大体良だというようにお答えになっておりますけれども、満足すべき状態にないということにおいては一致しておるようであります。今実施しております十三方向の地域が、全部が政府命令によって区域を選定したものかどうかを承わっておきたい。
  4. 栃澤助造

    栃澤参考人 ただいま竹内議員のおっしゃった通り、十三方向いずれも政府命令方向であります。
  5. 竹内俊吉

    竹内委員 これは放送法においても明らかであったと思うのでありますが、海外国際放送は必ずしも日本放送協会義務ではないように解釈しております。その点放送協会はどういうように解釈しておりますか。
  6. 小松繁

    小松参考人 放送法第九条にございますように、国際放送自体NHK自身でもやるよう規定になっておりますが、ただいまの国際放送は、政府から交付金をいただいてやっておる実情でございますので、政府からの命令に従ってやるというのを建前としておるわけでございます。
  7. 竹内俊吉

    竹内委員 そういたしますと義務ではないが、もちろんやり得る、放送法上さようになっております。義務ではないが、命令によってやっている、こういうことだと思います。そこで交付金ということが出ましたが、その交付金がこの国際放送に使われている費用のどのくらいに当っておりますか。昭和三十年度と三十一年度の予算について御説明願いたい。
  8. 小松繁

    小松参考人 三十年度におきましては約七〇%が政府交付金になっております。昭和三十一年度の予算では政府交付金が九千万円くらいでありまして、それに対して協会側で五千五百万円くらいをプラスして実施する予定にいたしております。
  9. 竹内俊吉

    竹内委員 パーセンテージはそれに似たようなものでございますね。
  10. 小松繁

    小松参考人 大体それに近い数字であります。
  11. 竹内俊吉

    竹内委員 そういたしますと、政府命令によってやっている仕事が、交付金では足りなくて日本放送協会自体のまかないのうちから三〇%はこれに使用しているという結果になると思います。申し上げるまでもなく放送協会の収入は聴取料であります。聴取料三〇%海外放送に使っているわけでありますが、使っていることのよしあしは別として、それのけじめを明瞭ならしめるためにお尋ねするわけでありますけれども、聴取料使い方に関しては、経理区分等をして厳重にテレビの方に使ってはならぬとか、流用を禁止している条項があるのであります。これを海外放送に切りかえれば、国内聴取者サービスとはかけ離れた方向に使用されていることになりますが、この点について日本放送協会はどういうお考えを持っておりますか。
  12. 栃澤助造

    栃澤参考人 先ほどお話がありましたように、海外放送は、政府からの命令でもやれるし、協会それ自体が必要とあれば実施し得るよう業務範囲になっております。三十年度において九千三百万円の政府交付金でございますが、この交付金の対象になりましたのは、無線施設専用料ニュース並びにニュース解説番組経費でございます。御承知よう世界海外放送実情を見ましても、ニュースニュース解説国際放送内容にはなっておりませんで、音楽にしてもその国固有の芸術にしても、広く海外に紹介するのが海外放送実態でございます。なるほど政府からはニュース並びにニュース解説費用よりちょうだいしておりませんけれども、海外放送全体を実施するために、それ以外の番組経費協会が持ち出してやっているわけでございます。
  13. 竹内俊吉

    竹内委員 その使途の内容はそのようでありましょうが、聴取料の三〇%をそういうように流用していることについて、日本放送協会は適当なりと思ってやっているのか、やむを得ずやっているのか、その点をお聞きしたい。
  14. 栃澤助造

    栃澤参考人 ただいまちょっと触れましたように、国際放送政府からの命令でもやれるし、協会自体でもやり得るように、放送法規定によって協会業務範囲の中だというよう考えております。ですからその金額のいかんによってはある程度議論の余地はあると思いますが、現在協会が実施している程度の額は、当然受信料の中から出し得るものと考えて実行しております。
  15. 竹内俊吉

    竹内委員 それでは根本的なことをお尋ねしなければならないのですが、受信料とはどういうものなのですか。これは受益者負担なのか、あるいは放送を聞く対価なのか、あるいは一種のライセンス、免許料の性質のものなのか、日本放送協会はこれをどう解釈するのか。われわれは解釈を持っておりますが、そこの一点を明らかにしていただきたい。
  16. 金川義之

    金川参考人 受信料性格に関しましては、いろいろ学者の間に議論もございますが、われわれその中の通説――協会から考えましても、最も妥当だと現在考えておりますのは、契約に基くサービス対価、それが受信料性格を形成しておるものというふうに考えております。
  17. 森本靖

    森本委員 関連質問先ほどNHK経理局長答弁は、そういう答弁をせられると、政府当局答弁内容食い違いがくるわけです。これはこの前の予算分科会でも私がこの問題について質問したわけです。ところがその質問に対して政府当局としては、国際放送の一億五千万円ですか、今年度の分については当然政府が支出すべきものであるけれども、財政全般のにらみ合せから、この程度交付金しかできないので、これは一つ御了承願いたいという答弁がたしかあったわけです。これは速記録を見たらはっきり載っておると思います。その点はちょっと食い違いがあると思う。どうですか、その辺は。
  18. 栃澤助造

    栃澤参考人 ただいまの森本委員の御質問にございましたが、政府の答えておられる範囲につきましては、詳細私はつまびらかにしておりませんけれども、政府が現在協会に対して命令をしておる範囲というものにつきましては、十三方向十三時間、それから番組内容としましては、先ほども申し上げましたようニュース並びにニュース解説、こういう範囲でございます。これに対して国がさらにつけ加えた番組命令がございますれば、もちろん協会それ自身の持ち出しの範囲というものがある程度縮小されるものというふうに考えられます。そこで政府国際放送としてNHKに対して命令をする範囲というものは、協会がこういう命令をいただきたいと言う筋合いのものではございませんで、政府の意図がどういう範囲考えておられますかわかりませんが、少くとも現在命令されておる範囲は十三方向十三時間、それに対して番組内容としましては、ニュース並びにニュース解説、こういうふうになっております。それで先ほども申し上げましたようにそのほかに演芸なり音楽なりというものをつけ加えて、さらにニュース並びにニュース解説というものが聞けるように、また日本海外放送の実際の成果が上るよう海外放送の仕方というものを協会では考えておるわけでございます。
  19. 森本靖

    森本委員 私はそういう答弁を聞いておるのじゃないのです。国際放送の問題については、竹内委員質問に対して、NHK自体がやることができるので、この金額の差については云々という問題があったわけです。ところが今NHK当局でございましたか、この説明では、受信者に対する対価の問題としての受信料の定義であるというふうな回答があったわけです。そうするとその辺の食い違いがどうしても出てくるわけです。この前の私の質問に対して、政府当局としては、国際放送については、一応政府が全部見るべき筋合いのものであるけれども、財政全般の見地から見てやむを得ない段階である、こういう答弁があったわけです。その方針が正しいのか、あなたが今言われておる方針が正しいのか、その点を聞いておるわけです。NHK政府との答弁が食い違っても、別に政府機関じゃないのだから、かまわぬようなものの、これはちょっとおかしいと思う。
  20. 栃澤助造

    栃澤参考人 ただいま申し上げましたのが、言葉が足りなくて御理解が困難だったかと思いますが、建前の問題からいたしますと、政府命令をされる国際放送というものは、少くとも世界で行われております海外放送内容と大体同じようなものが――放送の時間にしましても、それから番組経費にいたしましても、当然そういう必要な金額協会に対して交付されるのが一番望ましい状態でないかというふうに考えております。もしそれが望ましい状態でないとすれば、それを補う方法として協会それ自身が、海外放送のある程度金額を持ち出すのもやむを得ないという程度ございまして、協会としましては海外放送は自前でやるという建前は毛頭持っておりません。あくまで政府命令が主体である、こういうふうに今の段階では考えております。
  21. 竹内俊吉

    竹内委員 私がお尋ねようと思っている結論森本君が今質問されましたが、私も国際放送費用というものは政府側が全部負担して、思い切ってもっと金をかけてやるべきものだという観点に立って質問をしているわけであります。実際見てみますと、あなたの方ではいろいろ陳弁をしておりますが、非常にいいと言われているアメリカ東部でさえあまり満足でありません。これは先般小松会長が、その資料在外公館からとった資料ですが、在外公館というものは放送に関してきわめて無責任だという御答弁でありました。さような点もあるかもしれませんが、私の知っている範囲、集めた範囲資料によっては悪いのであります。  そこでもう一度郵政当局お尋ねをするのでありますが、ただいまの質疑のやりとりで、われわれの聞こうとしている方向は大体おわかりになったと思いますが、今の国際放送の現状に対して郵政当局はこのままでいいと思うか、これを改善していかなければならぬと思うならば、この点をどうしていくというお考えを持っているか、その点を一つお伺いいたしたい。
  22. 濱田成徳

    濱田政府委員 現在の国際放送状態は、決して満足でないということは考えております。これをいかに改善するかということにつきましては、かねがね頭を悩ましている問題であります。ただいま竹内委員からもお話がありましたように、これは今後日本の現在の国情に照らし、また日本の国力を正しい意味において大いに発展させる一つ方法として、国際放送は国がやらなければならぬ、こういう意味におきまして交付金というものももっと多額に支出して、ただいまの十三方向十三時間ではとうてい足りません。できますならばこれを十五方向二十数時間にも増したいという念願を持っております。これにつきましては今後も大いに努力を払おうと思っております。それから方向につきましても、ただいま竹内委員がおっしゃいましたように、アメリカ東部等はあまり有効ではないという話を私も聞いておりますので、さらに実情調査し、もっとよく到達し得るよう電波周波数考えましていろいろな方法を講じ、なるべく多くの海外在住日本人日本ニュースを伝える。それから日本の今日の国の進み方等について正確にこれを伝えると同時に、諸外国との親善を増すために電波によるところの外交と申しますか、そういうものをさらに促進せしめるために、ますます海外放送につきましては力を尽さなければならないという考えでございます。具体的にはできますならば、政府からも海外放送聴取状況調査というふうなことを直接やるために、人員の派遣等もやりたいという希望を持っておりますそういたしまして先ほど竹内委員のおっしゃいましたところの、あるところは有効でない、あるところはいいということを的確に定めまして、この海外放送実態を明確にし、効果を上げるようにしたい、そう念願をしております。
  23. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいま電波監理局長の御答弁によると、これからは的確に聴取状況郵政当局自体が乗り出して調査をされる。これはおそまきながらおやりになった方がいいと思います。先般お尋ねしましたが、国際放送に関してどのよう放送され、どのように受け取られておるかということの調査さえお持ちにならない。長年の間相当多額交付金政府日本放送協会に交付しておるわけであります。その点においては郵政行政電波行政をあずかっておる電波監理局が怠慢であった、こう申されてもいたし方ないと思います。また先般小松会長から悪いところもあるが、それは町のまん中だから悪いのだ、郊外に行けばよく聞えますという答弁があったのであります。私の知っている範囲内では、ヨーロッパでは郊外のごく静かなところに行ったら聞えるかもしれませんが、大体用をなしておりません。国際放送に対する放送法規定は、「国際放送は、国際親善を害するものであってはならない。」とありますけれども、内容においては害していないかもしらぬが、よく聞こうと思っても聞えないで非常に苦労するという点では、むしろ日本国際放送は、この第五条の「国際放送は、国際親善を害するものであってはならない。」という点に反しておる。こういう点からもまじめに考え日本放送しておるならば、それはよく聞えるというような快的な印象を向うの土地の人に与えるようでなければならないと思うのであります。そこで先般の質問をむし返すようでありますが、今申し上げたように、悪い方向のものをこの際思い切ってやめて、これにもう少し設備を加え、改善を加えれば、もっとよく聞えるのだという方向に、十三方向なんというものにこだわらないで有効なことに切りかえるということを、郵政当局放送協会は相談をされて、そういうふうに予算使い方をするお考えはありませんか、重ねてお尋ねします。
  24. 濱田成徳

    濱田政府委員 ただいま竹内委員から郵政当局は怠慢ではなかったかというおしかりがございました。私の考えではできるだけいろな方法を講じてやってきたつもりであります。ただ今まで正式の派遣委員等はなかったのでありますけれども、私自身も随時外国に行く方々に会いまして、どういうふうな状態になっておるか調べてもらいたいということをお頼みしたことは数回あるのであります。その方々情報によりますと、なかなか有効であるという情報もございます。それから先ほど指摘アメリカ東部なんかはあまり有効でないというよう情報がありました。それからあるところではあんなものはちっとも役に立たぬというのもありますし、いやそうではない、ある特定の人が聞いておりまして、それを邦字新聞に発表しておりますから、結局間接的には非常に役に立っているのだ、在留の日本人には役立っているのだ、そういうふうな議論もございます。それによりまして私どもはできるだけのことはやってきておった。また今後もやっていこうという考えでございます。そういたしましても正確にわかっておりません。それをわからせるようもっともっと有効適切な方法を講じたいと考えております。それが調査の方であります。  それから先ほどお話の有効でないところはやめる、有効なところに重点的にやったらどうかというお考えはまことにごもっともでございます。その点につきましても今後よく調べましてきめるようにいたしたいと思います。十三方向というのは、ただいま南米、欧州、近東、米国東部米国西部、ハワイ、オーストラリア、インド、パキスタン、タイ、インドネシア、ビルマ、フィリピン、それから華南、華中、華北であります。これらをすべて調べてどこが一番有効にいっておるか、あそこら辺はほとんど有効でない、むだだというようなことがわかりましたら、これは考え方を変えなければならないと思います。しかしこれはなかなかむずかしい問題でございまして、今有効でないからやめてしまえというのは後退意味します。これは日本政府としてきめるべき問題だろう。技術的に今日いってないからやめるという結論は、時期尚早かもしれない。そこら辺もよく調査をいたしたいと考えております。
  25. 竹内俊吉

    竹内委員 この問題は、私今他の会合に行かなければなりませんから時間がないので、あまり繰り返しませんが、あなたはそうおっしゃるけれども、国際放送に関する的確な資料を今政府一つも持ってないじゃないですか。できるだけのことはやってきたとおっしゃるけれども、全くやみくもにやっておったということなんです。しかも正確なモニターの方法もとらずに、こうやればよいはずだということでやったに相違ない。それも一つ方法だと思う。もう一つ、また今悪いが、これをやめてしまうことは後退だとおっしゃるが、放送は聞えなければ用もなさないわけです。こっちはよいと思っておったって、電波が届いていなければ何の用もなさない。何の用もなさないものに国の大きな費用を使うことは、電波行政をあずかっているあなたの方としてはまずいことであって、これは的確な資料を早くつかんでそういうふうに修正されんことを要望いたします。私は時間がありませんので、これで一応打ち切ります。
  26. 森本靖

    森本委員 それでは私の方から二、三、NHKに関する問題を質問する前に、きのうの竹内委員との質疑の間でちょっと問題がありますから、例の外国電波との混信の問題について、これは何か適正なる外交措置をとるというふうなことを政府では考えておるのですか。
  27. 濱田成徳

    濱田政府委員 電波の使用につきましては、国際電気通信連合という組合みたいなものがあるわけであります。世界各国が加盟しておりますから、もし外来の不当な電波をわが国において感じましたならば、その国際電気通信連合に対してこれは困るから慎しんでもらいたいというようなことを言い得るわけでありますけれども、これについては罰則がないようでありまして、制裁等を加えることは困難のように聞いております。それからこの連合に入っていない国は勝手にやれるわけで、やっておるのでありまして、これについては何とも申し上げようがありませんので、連合に訴えることもできませんが、これにつきませんが、これにつきましては何らかの私的な方法をもってでも注意を促すというようにしたいと思っております。
  28. 森本靖

    森本委員 その国際電気通信連合なるものに中華民国ソビエト連邦北鮮というようなところは入っておるのですか。
  29. 濱田成徳

    濱田政府委員 ソ連中華民国―台湾はこれに入っております。北鮮は入っておりません。ソ連国際電気通信連合に入っておりますけれども、今日の周波数割当制度には承服いたさないという見解をとっておるそうであります。
  30. 森本靖

    森本委員 中共の方はどうですか。
  31. 濱田成徳

    濱田政府委員 中共は入っておりません。
  32. 森本靖

    森本委員 こういうところから出てくる電波については、非常に参考になる意見等もあって、国内において聞くことそのものについてはわれわれもいいと思いますけれども、ただ国内における電波との混信において、国内民間放送なんかはほとんど聞けないというふうな状態もあるわけです。たとえば南海放送でしたか、これは千百二十キロサイクルくらいだったと思いますが、その電波が、突然今年の一月五日ごろから、北京放送だったとたしか思うのですが、それが相当の電力でありましてほとんど混信して聞けないという状況であるわけです。こういう問題についてどういう措置考えるかということをお聞きするわけです。その放送会社においては、その時間以降はほとんどスポンサーもついてくれないというようなことで、非常に困惑しておるという状況ですが、その辺のことを御承知ですか。
  33. 濱田成徳

    濱田政府委員 ただいま御指摘ような事例はほかにも聞いております。まことに困る次第であるのですが、実際にたとえば南海放送電波を直ちに変更するということを考えるのは、尚早であろうと思うのであります。と申しますのは、海外電波を出すのは、必ずしも長期にわたっての決定した結果でもないらしいのでありまして、試験的にやっているという場合には、それに従って変えますと、また変更しなければいかぬという事態になりましようから、そういう意味でしばらく情勢を見守って、いよいよこれにきまったなというときになったらば、それに対する適切な措置を講じなければいかぬだろう、そう考えております。先ほど申しましたように、たとえばソ連中華民国でなく、北京放送だといたしますならば、これについてはただいまでは今電気通信連合を通して交渉するわけにいきませんので、何か私的な方法によってでも、お考え面しを願いたいとかなんとか、そういうふうな交渉をして、今までやっている日本電波に妨害のないよう措置を講ずるよりほかに方法はあるまいと考えておりますが、まだそういうことをやったことはありません。
  34. 森本靖

    森本委員 現在日ソ交渉の問題が、政府当局の中では非常に論議されているようでありますけれども、こういう点からも中共ソ連との国交回復の問題が非常に重要になってくるわけでありまして、これはこの小委員会の問題ではありませんけれども、国交の未回復は未回復としても、その範囲内において貿易その他の問題についてはいろいろ話し合いを行なっておるのが今の状況です。そういうことになると、こういう電波の問題についても、局長の言われるよう国際電気通信連合を通じてはやれない、私的に話し合う云々ということだけれども、まだこういうことは一ぺんもやっていないのでしょう。非公式ながらも日本政府向うとの間において、こういう問題を話し合ったということは一回もないのでしょう。
  35. 濱田成徳

    濱田政府委員 私の記憶している範囲では、一回もありません。私といたしましては、何か中国の使節団が来るというような場合に、話をしたいという気持を持っておりまして、実はこの間郭沫若氏一行が来たときに、電波関係者がいないかと思って探したのです。一人もおりませんでした。たまたま学術会議関係者がおったものですから、その人にちょっと話をしたのです。実はこういう問題で困っていることもあるのだけれども、だれがあなたの方ではそういう話に応ずるだろうか、まあ私的にですが、そういう友達はだれかということを聞いたことがございます。それについては後刻返事をしようと言って別れて、それきりになっております。
  36. 森本靖

    森本委員 これは向う電波関係責任者はわかっておると思いますので、郵政省としても一応正式に、あるいは非公式にでも呼びかけてみるという努力をしなければならぬと思うのです。私は徳島放送局へ視察に行って、その録音を聞いたのですが、ほとんど聴取が不可能な状態です。そういう状況でありますし、これからもまだいろいろな問題が出てくると思いますので、この問題については政府当局としては、国交は未回復であっても、こういう電波の問題についてお互いに話し合いをしようじゃないかということを、一つ積極的に呼びかける意思があるかどうか、お聞きしたい。
  37. 濱田成徳

    濱田政府委員 今のお話まことにごもっともでありまして、郵政省としてどういうことをしたらいいか、今はっきりお答え申し上げられないのでありますけれども、その必要性は絶対認めておる次第でありますから、ただいまお話方向に沿うていろいろ努力したいと思います。これは外務省を通じてやるというのではなくて、非公式に電波関係者として話をした方がいいだろうと考えております。私は今こうすればいいのだということを申し上げかねるのでありますが、ともかくあらゆる努力をして、電波外交と申しますか、それの展開をする必要があると考えておる次第であります。
  38. 森本靖

    森本委員 これは小委員会ですから、その辺のことは一つはっきり御回答願いたいのです。もしきょう回答ができなければ後日回答をしてもらいたい。こういう問題は双方で話し合いをしなければならぬ段階にきておることは事実です。だからこれは政府として積極的に――国交回復しておろうがおるまいが、呼びかけて話し合いをしていこうという態度を、中共あるいはソ連等に対してとっていく意思があるかどうか、お答え願いたい。もし本日局長の責任においてお答えができないならば、後日大臣からでもけっこうですから一つ御回答を願いたい。
  39. 濱田成徳

    濱田政府委員 御意見まことに同感でございまして、郵政省方針をはっきりきめまして、後日御回答したいと思います。
  40. 森本靖

    森本委員 ついでに参考までにNHK当局に聞いておきたいのですが、今海外から日本に送られておる放送相当あるわけですが、あの日々時間がきまって送られてくる外国日本放送については、これは一応録音をするというふうな措置をとっておりますか、どうですか。たとえばモスクワ放送北京放送、デリー放送、サンフランシスコ放送、こういうところの放送NHK当局は一応全部聴取しておると思いますが、聴取した場合に、それを録音にとっておるか。それともこれは日本にとって重要な放送であったという点について、若干録音をとっておるのでありますか、参考までに伺っておきたい。
  41. 小松繁

    小松参考人 ただいまお話がございましたように、聞き得るもののほとんど全体については聴取をいたしております。そうしてある程度記録にも残しておりますが、録音につきましては、特に重要だと思われる一部についてはいたしておりすけれども、今はほとんどいたしておらないのが実情でございます。
  42. 森本靖

    森本委員 それでは何月何日の放送について、たとえばデリー放送についてのこれこれという記録はとっておりますか。
  43. 小松繁

    小松参考人 大体内容聴取しておりますので、その要領は記録に残っておるはずでございます。
  44. 森本靖

    森本委員 この問題は、局長が言われましたように、他日郵政省の意見をまとめて改正せられたときに、私はこの外国電波の問題についてはまた論じたいと思います。  それから次に、きょうは海外放送の問題が主になりましたので、ついでに海外放送の問題についてお聞きをしておきたいと思います。このNHK放送については、すべて放送番組審議会というものがあって、その中で検討されておるということが説明の中にあるわけですが、この放送番組審議会、それから国際放送番組の審査会、あるいはまた各放送の種別ごとにおける審議会というものは、どの辺までこの審議会がタッチをする権限を持っておるのですか。どういう形において、この審議会というものは運用せられておるのですか。
  45. 小松繁

    小松参考人 放送番組審議会並びに国際放送番組審議会の両方につきましては、番組編成の基本的な方針についての御意見を十分に伺って、その方針に従って編成するという態度をとっております。もっともその両審議会におきましては、方針としてはそうでございますが、いろいろ具体的の問題について意見がしばしば出まして、それを参考にする場合ももちろん例外的にはございます。なお放送番組審議会につきましては、資料としてお出ししてあると思いますが、その下部的な機構の形におきまして、専門的な委員会が非常にたくさんございます。これはやはり外部の専門有識者の方にたくさん委員になっていただいて、その委員会を構成いたしておりますが、そこにおいては各専門的な番組それぞれについての具体的な意見を詳細に伺いまして、なおかつこちらの編成方針も申し上げまして、相当突っ込んだ具体的な編成にまで意見を伺いつつ、実際に移しておる次第でございます。
  46. 森本靖

    森本委員 この海外放送番組審議会というものは、年に何回くらい開かれるのですか。
  47. 小松繁

    小松参考人 大体二カ月に一回の割合で、今まで開かれております。
  48. 森本靖

    森本委員 それでこの番組審議会の委員は、会長が委嘱するわけですか。
  49. 小松繁

    小松参考人 そうでございます。
  50. 森本靖

    森本委員 そうすると、会長が委嘱するということは、実質的には協会のどこがこれをおやりになるのですか。
  51. 小松繁

    小松参考人 どこがやるかというのは、その事務当局という意味でございますか。
  52. 森本靖

    森本委員 はい。
  53. 小松繁

    小松参考人 国際局でございます。
  54. 森本靖

    森本委員 それからその他の放送番組審議会の委員の任命等については、これは中央の場合はどこでやられるのですか。
  55. 小松繁

    小松参考人 これは国際放送番組審議会と同じように、会長委員を委嘱するわけでございます。それの事務当局といたしましては、一応ラジオ局が中心でございますが、関連のある報道局、テレビ局、いずれもその事務当局になるわけでございます。
  56. 森本靖

    森本委員 そうするとこの番組審議会というのは、とにかくたくさんあるわけですね。だいぶいろいろの細部に分れておりますので、この審議会というものは、形式的なものでなしに、実質的に相当審議をして、その意向というものが放送番組に現われてきておる、放送番組そのものの基本的な取扱いについては、この審議会が非常に活用されておるというふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  57. 小松繁

    小松参考人 先ほど申し上げましたよう国際放送番組審議会、放送番組審議会、いずれにいたしましてもこれは非常に基本的なものについて、いろいろ御意見を伺っているわけでありまして、決して形式的という考え方もありませんし、また実質的にはいろいろ有益な意見を伺っておるわけであります。専門委員会につきましては、これはもう全く文字通り専門的な方々の御意見でありまして、これらが非常に大きな協会番組編成の指導的な立場に立って活用されておるということは、はっきり申し上げられると思います。
  58. 森本靖

    森本委員 それでは国際放送番組審議会と、それから中央にある放送番組審議会の内容について、どういうふうな基本的な方針でこの委員の人選をせられるわけですか。
  59. 小松繁

    小松参考人 この委員の顔ぶれも、お出ししてありまする放送協会の概況、そういうのに全部出ておりますように、各方面の非常に権威のある方々という大きなねらいでございます。もっともその中には、大部分の方は国際的問題について非常に権威者であるという要素も含んだ方々でございます。従いまして放送の専門家である、あるいは放送の非常な経験であるという意味合いは割合薄くなっておるかと思いますが、放送に関してもある程度大きな関心を持っておる方々というふうに考えております。
  60. 森本靖

    森本委員 そうすると、まず大体非常に有名な方々ばかりですね。たとえば国際放送番組審議会を見てみると、国際電電の社長、元日本放送協会国際部長、元イタリア大使、日本銀行総裁、外務次官、こういうふうにとにかく有名でなければならぬというのが、委員の人選の基本方針みたいな格好になっているのですが、そうですか。
  61. 小松繁

    小松参考人 今のお話通りでございます。実際に活用されております内容から見ましても、たとえば竹内委員からいろいろ御指摘がありましたように、インド、パキスタン方向には非常に利用価値が少いとか、そういう問題についてはどういうふうな措置をとるべきであるか、あるいは電力を増強すべきである、これはだれでも常識的に考えることでありますが、それでは電力を増強する場合にどういう措置をとるか、どういう方面にどうふうに働きかけるべきであるかというような問題について、今まで非常に熱心にやっていいただいております。また毎回の委員会の場合には、必ずそれまでの二カ月間の国際放送の実際に実施された内容、それから聴取されて利用されておる現状を詳細に報告いたしまして、これをさらに成果あらしめるためには、どういう方法をとるべきであるかとい意見が主でございます。そういうふうに非常に活用されておりますので、われわれといたしましては、今日委員にお願いしておる方々が、いずれも非常に御熱心にこの国際放送の成果を上げる上に協力をいただいておるというふうに信じておるわけでございます。
  62. 森本靖

    森本委員 そうすると、海外放送でなしに、放送番組審議会というのは、これはどういう基本的な方針によってこの委員の人選をするのですか。これもちょっと見てみると、大体有名人ばかりでありまして、それから各地方の地方放送局、各県の放送局の審議会の委員のメンバーというものも、ほとんど商工会議所会頭、市長というふうな、その土地のいわゆる有力クラスといいますか、そういう人でなければ、この委員会委員のメンバーに入っておりませんが、やはりこれもそういふうに世間的に相当有名でなければならぬ、こういうふうな委員の任命方針ですか。
  63. 小松繁

    小松参考人 ただいま国際放送の方で一つの例を申し上げましたように、国内放送番組の場合に関しましても、各方面の広い知識をお持ちの方々、あるいはまた放送に非常に大きな経験をお持ちの方々、これは割合に国内放送の場合にはそのファクターが多く現われておると思います。放送そのものに非常に深い経験と理解をお持ちの方々であって、しかも全般的に非常に判断の視野の広い方というのが、かなり大きな基準になっておると思います。必ずしも地位の高い人という考え方は、この際大きなファクターになっておらないわけであります。
  64. 森本靖

    森本委員 私がこれだけしつこく尋ねたのは、必ずしも地位の高い方とはなっておらぬ、こういう答弁だけれども、これは中央、地方を問わず、全部その土地のロータリー・クラブにでも入っておるような人ばかりで、それ以下の人は全然入っておりません。放送受信者というものは、これはもう上から下まで、とにかく各階各層あらゆる人々が聞いておると私は思う。それに対して放送番組の審議会として、一応のそういう諮問機関として妥当な番組を編成するために意見を聞くというなら、少くとも私はこういうふうな有名人ばかりを並べるということでなしに、無名の人でも大衆を代表する人はたくさんあると思う。たとえばこの中に労働関係の代表なんかは一人も入っておらない。国際放送の審議会あたりにおいても、総評に国際部長があれば全労にも国際部長があるし、それぞれILO等を通じて相当国際的な視野も広い。また国内においても、これは労働大衆が、たとえば総評なんかだったら三百万人の組織人員をかかえておる。そういう点について考えてみると、中央、地方を問わず、ほんとうに働く人の意向を聞くというような代表の委員が、残念ながらこの中には見当らぬ。この点については、私は前から非常に不思議に思うし、不満に考えておるわけですが、そういう点はどうですか。放送というものはあまねく国民大衆一般を対象としてやる、それがための番組審議会であるということなら、そういうことは私はやはり公共的に超党派的に考えていいのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  65. 小松繁

    小松参考人 ここは率直に申し上げた方がいいかと思いますが、御説の通りでございまして、われわれといたしましてもこの委員を決定する際に、その問題は常に論議の対象になるわけでございます。ただわれわれといたしまして、そういうことも必要な要素であろうという考え方は一応あるのでありますが、やはり先ほど申し上げましたように、放送の経験を十分お持ちの方とか、あるいはまた非常に視野が広いとか、何か一つはっきりした、外部でも納得できるような要素で、この人ならばというふうに考えられる、あるいは考えやすい方に落ちついているのが実情でございます。決して必要ないという結論になっているわけではありませんので、われわれとしてもこの問題については十分に考究をしておるのでありますが、今後もその問題についてはさらに検討を加えていきたいと存じております。
  66. 森本靖

    森本委員 大体それでよろしゅうございますけれども、この中には「すぐれた放送番組の編成を行い、かつ独善に陥ることのないよう、部外の学識経験者を委嘱」するということを書いてあるけれども、実はこういう考え方そのものが、私はある程度独善的であろうと思うのです。非常に、知名の士、有名人ばかりを並べて放送番組審議会ができ上った、それは非常に体裁のいい審議会です。しかし実質的に、私が今言ったような、ほんとうに大衆を代表するというふうな――今日労働組合とか、あるいは社会事業団体とかいうものも、相当組織をされておるわけです。そういう方面の代表というものは一人も入っておらぬということは、これははなはだ遺憾にたえぬと思う。将来この点については十分一つNHK当局としてもお考えを願いたいと思うのですが、考えてくれますかどうか。
  67. 小松繁

    小松参考人 現在御希望のような形になっておらぬということは御指摘通りでありますが、今申し上げましたように、われわれとしても常にこの人選の問題については検討しておるわけでございます。今後もそういうことについての適当な人を得るという意味では、十分に考えていきたいと存じております。なお現在はそういう形になっておらないにいたしましても、世論調査というものにつきましては、十二分な最善の方法を尽しまして、番組に反映いたしておるわけでございますので、必ずしも委員にその人がいないということだけで、そういう声が番組に反映をしていないというふうには考えておらないわけでございます。これは念のためにつけ加えて申し上げたわけでありますが、今の森本委員から御要望のありましたことにつきましては、十分に検討して参りたいと存じます。
  68. 森本靖

    森本委員 それでは次にもとの海外放送のことに返りまして、参考までにお聞きしたいのですが、NHKにおいて放送員として、放送記者として、海外に常時派遣をしておるところがもしあるならば、その場所と人員をお知らせ願いたい。たとえばオリンピックなどという特別な場合でなくて、海外放送記者を派遣しておるところがあればお知らせ願いたい。
  69. 小松繁

    小松参考人 現在私の方には、御承知よう外国に常置機関として、パリにパリ総局、ニューヨークにニューヨーク総局、この二つがございます。パリには常駐一名になっておりますが、現在交代中になっておりまして、ほかの用もありまして、臨時的には二人おることになっております。ニューヨークには二人派遣しております。これが私の方の外国に常駐させております派遣員でございます。なおそのほかにイギリスではBBCから依頼を受けまして、協会の職員を派遣しております。これは向う国際放送日本あるいは東洋方面に向けるための要員として一人、それからアメリカ国際放送を預かつておりますVOAの方も、日本向けの要員といたしまして現在五名そちらに派遣しております。これは協会の直接の業務でございませんが、ただいずれにつきましても先方の仕事をするのが建前でございますけれども、われわれの希望といたしましては、そういう人たちがNHKの必要ある場合にも協力できるように約束をしております。それが現状でございます。
  70. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  71. 竹内俊吉

    竹内委員 先般お尋ねしたチャンネル・プランについて、二、三お尋ねしたいのですが、今度の割当についての電波監理局のやり方についてお尋ねするわけです。二十八年度においては御承知通り相当広い範囲にわたって学識経験者を呼んで聴聞会と申しますか、それを開催したわけであります。しかしながら振り返ってみると、あの聴聞会もきわめて形式的であって、なるほどやるにはやったが、あまり徹底したものではなかった、今回は改訂に当って、どういう構想のもとに聴聞会等を開いておやりになるか、その点を一つ御説明願います。
  72. 濱田成徳

    濱田政府委員 周波の再免許の問題につきましてこの前昭和二十八年ですか、それにつきましては私詳細な内容を存じませんけれども、今回はなるべく多くの人の御意見を伺いまして、正確妥当なるを期したいと思っております。御意見のごとくベストを尽したい所存でおります。その期日等は大体五月の半ばくらいには多くの方々の御意見を伺うことを完了したい所存であります。
  73. 竹内俊吉

    竹内委員 今もう少し具体的にお尋ねをしたいのでありますが、なるべく衆知を集めて万全を期したいというような抽象的なことではなく、二十八年度におやりになったことがおわかりでありましょうから、ああいうこととは違った、もっと徹底した方法をやるとすれば、具体的にどういうことをおやりになるのか、そこをお伺いしたい、抽象的なことはわかっております。
  74. 濱田成徳

    濱田政府委員 お答え申し上げますが、この問題につきましてはどうして再免許が公平に、また適切に行われるかということにつきまして、先般来相談をやっておるわけであります。そのあらましの日程等もきめた次第であります。その公聴会等をどこでやろうか、何人くらいにしようかということにつきまして、目下研究をさしておるわけであります。大体全国各地でやることを省略しまして、東京一カ所においてなるべく多くの人の意見が反映するように集まるよう仕組んで、御意見を伺って結論に持っていきたい、そういう考えであります。それ以上のことはまだ進行しておりませんので、たびたび竹内委員からどうもおそいではないか、目下研究中のことが多いのではけしからぬというおしかりがございまして、はなはだ私も恐縮いたしておるのでございますけれども、このごろ非常に多忙でございまして、これは弁解がましくなりますけれども、担当官その他と打ち合せをやっておるひまもないくらいに忙殺されておりまして、先日のこの御質問につきましても明確なお答えをし得なかったのを残念に思うのであります。そういうことが万事きまりまして、わかりましてから、あらためて詳細にお答え申し上げてみてもいいと思いますが、いかがでございましょう。
  75. 竹内俊吉

    竹内委員 先般テレビジョンの放送周波数の割当の基本方針についての資料をちょうだいして、これについてお尋ねしたのでありますが、これに対する付帯事項があった。その付帯事項のところを今ちょうだいしてこれを見ると「原案を適当と認める。」という主文になっておって、多少の付帯意見がついておりますが、大体においてこの基本方針は確認されたようであります。それで一点お伺いしたいのは、これの第七は、テレビの受信者が受信の利益を享受するについて、でき得る限りその経済的負担の少くなるように考慮して、このチャンネル・プランを考える、こういうふうに受け取れるわけです。これは内容的にはどういうことを意味するのですか。
  76. 濱田成徳

    濱田政府委員 この聴視しやすいということは、簡単に申し上げれば電界強度を強くするようにという、これはわかり切ったことでありますけれども、そういうサービス・エリアをなるべく広くとれるように配慮しなければならない、そういう考えであります。
  77. 竹内俊吉

    竹内委員 今の御答弁少しおかしいじゃないですか。これは受信者が受信の利益を享受するについて、でき得る限りその経済的負担の少くなるよう考える、経済的負担、これはどういう――先般私がお尋ねした、いわゆるテレビ受信機の検定制度等を考えて、補修費その他の負担があまりかからないようなやり方まで考える、こういう意味で、そういう受信機を対象にしてテレビジョンの周波数の割当を考える、こういう意味ですか。経済的負担の少くなるよう考えるというのは、内容的にいえばどういうことなのですか。
  78. 濱田成徳

    濱田政府委員 電界がもし弱いとしますれば、アンテナを高く掲げなければなりませんし、またいろいろな工夫をこらさなければなりません。従いまして経済的負担が聴視者にかかるのは当然であります。電界強度が強い電波がいくように配置するならば、聴視者の負担が減るわけであります。そういう意味でたとえばサテライトとかあるいはブースターとか、そういうものを考えまして、なるべく楽に聴視できるようにしたい、そういうふうなつもりでおります。
  79. 竹内俊吉

    竹内委員 電界強度の関係も確かに経済的に影響ないとは申せませんが、それだけのことでありますか。これは先般のあなたのお答えでもはっきりしているように、日本の今許されておる六チャンネルまでの利用によっては、これをもって日本全国に普及させようとすれば、パワーに限界があるということは、これは常識的に明らかであります。そうしますと、自然そこから出てくる答えとして、大体においてそのパワーというものはテレビのエリアにおいてはそれほど全国的に差異のないものができ上るだろうということは常識的だと思います。だから今あなたがお答えになった点も、そういうことにして差をつけてやれば、そういう負担の多い少いが出てきますけれども、実際においてあまり出てこないのではないか。また電界強度保護区域外については当然あなたの方で考えてないことでありますから、その保護区域内における条件でなければならない。七の保護区域内における条件だとすれば、ただいまおっしゃっただけのことだとすれば、私はまだ考えていくことか幾つかあると思う。そこでお尋ねしているのですが、今のあなたのお答えたけのことですか。
  80. 濱田成徳

    濱田政府委員 最も大きな問題は電界強度の問題だと考えております。それ以外に幾多の考慮すべき面があろうと思いますけれども、ただいまここでこういう問題があるということをはっきり申し上げかねる次第でございます。まず都市の場合において、大都会の場合においては雑音の問題があります。この雑音に対する考慮はしなければいけません。螢光灯あるいはいろいろな高周波の利用なんかが盛んになりまして、これに対してどういう配慮をしていくか、そして聴視者の利益をはかるか、これは重大な問題であります。これについての対策等は考究中であります。それ以外に何か大きな問題がありますかどうか、私今ちょっと頭に浮んで参りません。あとで研究いたします。
  81. 竹内俊吉

    竹内委員 私は、あなたの今おっしゃった妨害の排除についてですが、これだけ日本でラジオ、テレビが普及する場合には、もっと法制的に考えなければならぬ根本的問題がある。テレビで申し上げますならば、上を飛行機で通ってもあれだけの大きい影響があるのでありますから、全般的に考えて、そういう構想をもってこれはお考えになったことだろうと思いますし、また受信機それ自体の方にもそういう条件がある、この点については具体的にもう少し資料をあなたの方でわれわれに提出して下さって、もっとこれは深く掘り下げていかなければならない問題だろうと思います。いずれ来年、再来年になってきまして全国的にテレビが普及してくると、非常に大きな問題になると思いますので、その点についての考慮を要望しておきます。  それからこの付帯意見の中の第四の一に「標準放送を行う放送事業者のテレビジョン放送局開設の申請の審査に際しては、その標準放送局の状況をも併せ勘案すること。」とありますが、あまりに当りまえのことをここでわざわざうたっているのは、審議会でどういう論議が出てこういう一項が加わったのであるか、その点を一つ御説明願いたい。これはあまりに当りまえのことで、ここでわざわざ付帯意見として取り入れたというのは、この条項には現われてはいないが、何かそこに相当重要な論議が出てきてこういうものが取り入れられたのか、その内容を説明して下さい。
  82. 濱田成徳

    濱田政府委員 これはまことに当然なお話でありまして、何かそこにこういうことを書く必要を生ずるよう議論があったのであろうかというお疑いはごもっともでございますけれども、特にあったわけではございません。全くこのことを考慮しないということではいけない、念のためというわけでここに書いたものだろうと思います。
  83. 竹内俊吉

    竹内委員 最後に一点、今度のチャンネル・プランの基本的な態度として特にお尋ねしたいのは、日本放送界の現状を見ると、周波数の割当に対してはもはや今までとかなり違った考え方、態度をもってしなければならぬということは説明を要しないと思います。そのときに際して、従来のような、日本放送協会周波数をまず割り当てる、その残ったもので次の段階考えるといったふうな態度と方針であってはならないと思います。全体を一つのものとして考えて、NHK民間放送とがその特質を双方生かして、長短相補って日本放送文化の全体の向上を期するという立場から、周波数の割当を考えなければならぬと思う。二十八年度と今度では、質的にも量的にもそういう点からのあんばいをしなければならぬと思うのでありますが、その点に対する根本的な態度は今どういうふうにお考えになっておりますか。
  84. 濱田成徳

    濱田政府委員 問題がラジオでありましても、テレビジョンでありましてもただいま竹内委員が仰せられましたように、日本放送協会を優先的に考えるという表現は妥当ではないと私は考えております。何と申しますか、割当あるいは置局等を行う場合にNHKをして先行せしめる――言葉はちょっと変かもしれませんが、先行せしめるということはあるだろう、それはやむを得ないことであろう、そう考えております。決して優先的に取り扱うという考えは適切であるとは思っておりません。御存じの通り現在の放送法によりまして、NHKは全国あまねく受信できるよう放送を行う任務を有するのでありまして、津々浦々まで放送が聞えるようにする義務があります。それを実現するようにわれわれは配慮しなければならぬ、そういう意味で優先的という表現でなくて、まず行わせる、まず先になるということは現実にやむを得ない、と申しましては変ですが、必然であろうと考えるわけです。
  85. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいまの優先と先行とはどう違うのか、どうもその言葉のせんさくもしたくなるわけでありますが、いずれにしても、その考え方は私はもはや現状に合わないのではないかという考えがいたします。もちろん放送法第七条で、日本放送協会はあまねく普及する義務を負っております。ただし第一条には、御承知通り双方に相通ずる放送法の目的が書かれておる。これは最大限に日本放送を普及せしめて、国民に放送文化の恩恵を保障する、こういうふうな意味のことが書かれてある。最大限とあまねくとどこが違うのか、これはまた法文の中できわめてあいまいな点ではありますが、NHKはあまねくやればいいので、他の放送はあまねくやらなくてもいいという考え方は、行政上からは考えられない。今日の場合においては双方とも最大限に国民に伝えて、放送文化を長短相補ってやることが建前であります。また国民側からいっても、NHK放送だけを聞いているわけではありません。これは資料を持ってきて申し上げてもよろしいのですが、もう今日に至っては自由にダイヤルを回して聴取者が聞いている。これは電波監理の一番大きな目的が達せられたわけです。われわれは聞く自由を持つ段階に来ている。そこに立ってチャンネル・プランを考えなければいけないのであって、優先とか先行とかいうことではなくて、全体を一つのものとして考えなければならぬということが電波行政の根本でなければならぬ。そういう問題について今の御説明を修正する必要はございませんか。
  86. 濱田成徳

    濱田政府委員 大へんむずかしい御詰問でありますが、先行せしむべしという考えではなくて、結果は先行せしむることになることもある、そういうふうにただいま考えております。しかし御指摘のごとく、日本放送日本放送協会民間放送とが相寄り相助けて唇歯輔車の関係と申しますか、両方が協力してむだな競争をすることなく、それぞれの立場において協力するということが真に望ましい態勢だろうと思うのであります。そういう仕組みにおいて日本放送文化が発展して、国民の福祉に寄与することにならなければならぬと思うのでありまして、そういう意味におきまして、私決してNHKを優先的に考えなければならぬ、電波の割当とか置局の方針等につきまして、優先に考えなければならぬという考えは持っておらないのであります。この前の国会のお話の中にありましたように、全国あまねく放送聴取できるようにするのが、日本放送協会の任務でありますけれども、同時に民間放送がこれを助けて、足らざるところを補って、それで完全になるということが望ましい状態であるという考えを持っております。以上の御答弁でよろしゅうございますか。
  87. 竹内俊吉

    竹内委員 ただいまの答弁は、前の答弁よりはやや了承に値すると思います。そういう点で重ねて申し上げますが、今度のチャンネル・プランの改訂は、二十八年度とは非常に違うのだ。これだけ日本放送界が質的に変ったのだから、その現実に即して全部を一つのものとして考えるということを重ねて要望して、一応質問を打ち切ります。
  88. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会