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1956-10-31 第24回国会 衆議院 逓信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月三十一日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 秋田 大助君 理事 小泉 純也君   理事 橋本登美三郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 松井 政吉君 理事 森本  靖君       愛知 揆一君    宇田 耕一君       長谷川四郎君    平野 三郎君       山本 利壽君    井手 以誠君       伊藤 好道君    八木  昇君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  委員外出席者         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (電波監理局         長)      浜田 成徳君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     永田  清君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員長)  阿部真之助君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     池田 幸雄君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     溝上 けい君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社社長) 町田辰次郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社専務) 大野 勝三君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社理事) 山岸 重孝君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 九月十九日  委員杉山元治郎辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長指名委員に選任された。 十月十二日  委員片山哲辞任につき、その補欠として片島  港君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員小泉純也君辞任につき、その補欠として木  崎茂男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木崎茂男辞任につき、その補欠として小  泉純也君議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員志村茂治辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員中村梅吉辞任につき、その補欠として長  谷川四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員長谷川四郎辞任につき、その補欠として  中村梅吉君が議長指名委員に選任された。 同日  理事小泉純也君委員辞任につき、その補欠とし  て同君理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人出頭要求に関する件  参考人より意見聴取の件  郵政事業に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事小泉純也君が去る二十六日本委員辞任されましたのに伴い、理事が一名欠員になっておりますが、同君が再び本委員に選任されましたので、小泉純也君を再び理事指名したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前重義

    松前委員長 御異議がなければさようにいたします。     —————————————
  4. 松前重義

    松前委員長 これより日程に入ります。郵政事業に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  この際お諮りいたします。去る十九日の理事会においてきめられた件でございまするが、本委員会といたしましては日本放送協会経営委員長阿部真之助君、日本放送協会会長永田清君以下理事の諸君を、及び国際電信電話株式会社社長町田辰次郎君以下重役の方々参考人として招致いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松前重義

    松前委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、右参考人方々はここにすでに列席しておられますので、まず日本放送協会経営問題について調査をいたします。発言の申し出がありますので順次これを許します。橋本登美三郎君。
  6. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 本日はNHK当局方々をお呼び願いまして、特に今回は委員長並びに会長ともに新しく就任されましたので、大いに御意見を持っておられるだろうと思います。この機会に両者及び関係各位の御意見を承わって、われわれ国会審議上の参考に資したいと存じます。  第一に、委員長並びに会長が適当にお答え願いたいのですが、御両氏が最高責任者として御就任になりましたが、NHK経営方針といいましょうか、あるいは運営方針並びに番組編成等の基本的な方針についての考え方があるだろうと存じますが、この機会に御説明願えれば大へんけっこうと存じますので、お伺いします。
  7. 松前重義

  8. 阿部真之助

    阿部参考人 私から大体のことを申し上げておきますが、NHK経営については、従来から特に変ったということもないのであります。この放送公共放送だということで、あくまでも公共的の立場で不偏不党な立場からできるだけ国家公共のために、その福祉のために努力したいということに尽きております。
  9. 松前重義

  10. 永田清

    永田参考人 日本放送協会におきます事業運営方針並びにその現状につきまして御説明申し上げたいと存じますが、それに先だちまして、本日私ども日本放送協会に対してこのような機会をお与え下さいました御配慮を厚くお礼を申し上げたいと存じます。  まず本年度事業運営でございますが、さき国会におきまして御承認をいただきました収支予算事業計画等の線に基きまして、ラジオにおいては全国あまねく放送を受信することができるように、全国放送網を整備し、難聴地域解消に努めますとともに、老旧設備改善をはかり、また報道教養芸能娯楽及びローカル番組拡充強化に努め、あわせて受信者普及を促進することに主眼を置いているのでございます。  テレビジョンにおきましては、すみやかにその全国普及を達成いたしますため、新局建設に努め、番組におきましては、ラジオと同様に公共放送として報道教養番組に力を注ぎますとともに、健全明朗な芸能娯楽番組編成いたしますことを根本方針にして、あわせてテレビジョンの特色を生かした放送番組の創造に努めておるのでございます。また受信者普及につきましては、総合的かつ計画的な措置を強力に推進しまして、一日も早く全国普及を達成することに努力いたしております。  事業運営に当りましては、以上申し述べましたような方針のもとに着々諸般の計画を推し進め、おかげをもちまして事業各般にわたって所期の結果を得つつあるのでございます。すなわち、まずラジオ放送におきましては、第一に難聴地域解消主眼といたしまして、本年度においては第一放送新設六局、第二放送増設五局、放送電力増力三局の計画を進めております。なお、本年六月に標準放送局周波数割当の再編成が行われまして、この十月初めから実施に移されましたが、その後の事情もございまして、一部の地域におきましては若干の混信が生じておりますので、現在この対策につきまして十分検討を加え、必要な措置を講じつつあります。また、一方今回の再編成におきまして、東京大阪札幌福岡の百キロワット増力と、それから一部小電力局増力が決定されましたので、これらの局につきましても逐次増力を行うような計画を取り進めております。また、ラジオ放送番組につきましては、さきに申し述べました方針のもとに、少青年に対する教育放送社会、婦人、農事、産業等社会教養放送、迅速、的確な報道放送、健全な芸能娯楽番組充実ということに重点を置きまして編成を行なって参りました。たとえばこの七月からは聴取者要望にこたえまして、一そう高い水準教養番組充実することにいたしまして、第二放送特別教養番組編成いたしており、これの一環として、すでに皆様御承知通り日本美の発見、シェークスピア・シリーズ等放送いたしておるのでございます。幸いにして多大の反響を呼び、大きな成果をおさめておりますことはすでに御承知通りでございます。またこの十一月からの冬季番組の改訂に当りましては、従来の番組を全面的に再検討いたしまして、少青年向け番組拡充、ニュース時間の増設、高度の教養芸術番組充実等を中心にいたしまして、番組全体にわたって一そうの刷新充実をはかり、あわせてローカル放送改善充実する見込みになっております。ラジオ受信者普及につきましては、事業運営基礎受信者増加にあることにかんがみまして、積極的かつ計画的な施策を講じ、その開発に力を注いでおり、その結果、ラジオ受信者数は現在千二百六十一万世帯普及率七五・八%に達しております。しかしながら最近におけるこのようなラジオ受信者普及に伴いまして、未加入世帯の数は次第に減少することと相なりますので、今後の普及と、またこれに関連する事業につきましては、慎重な配慮と適切な施策が要請されるものと考え、種々検討をいたしております。  次にテレビ放送について申し上げますと、NHKは現在東京大阪名古屋、広島、仙台及び福岡の六局におきましてテレビジョン放送実施し、そのカバレージ全国世帯の約三六%に及んでおります。本年度におきましてはさらに札幌、函館、静岡、岡山、小倉及び松山の各地域に六局を新設する計画を進めており、これによりましてカバレージは約四三%に達する予定でおります。さらに引き続き熊本、鹿児島の二局を新設いたしますほか、福岡局を五キロワット増力するなど、着々全国普及計画を推し進めていくつもりでおります。また新局建設を相まって送信機、カメラなど放送設備充実改善に努め、この分野における日進月歩の技術的進歩に即応するように意を用いております。またテレビジョン放送番組につきましては、さきに申し述べました方針のもとにその充実改善に努力し、特にこの十一月からは現在のテレビジョン放送番組を全面的に再検討し、たとえば教養特集連続教養講座芸能特集といったような多くの番組を新設すると同時に、定時放送時間を三十分延長いたしまして、あわせて大阪名古屋等におけるローカル番組充実を行う運びになっております。さらに来年一月以降は、学校放送放送時間の増加予定いたしております。テレビジョン受信者普及につきましては、放送網計画の進捗と、あわせてテレビジョン受信機の量産もだんだん本格化して参りましたので、この基礎の上に立って積極的な普及をはかり、受信者数は現在二十八万人に達しております。さらに今後番組充実、置局の推進をはかりますとともに、テレビジョン受信機低廉化修理技術者の養成、受信障害除去等に努めまして、受信者開発を強力に推進する予定でおります。  次に放送に関する技術上及び番組上の研究について申し述べさしていただきます。まず技術研究の面におきましては、放送音質向上放送機器性能改善ラジオ及びテレビジョン受信機簡易低廉化、イメージ・オルシコンなど各種機器国産化カラーテレビジョン研究等重点を置きまして、現業面からの要求と将来の発展に備えて研究を進めさしていただいております。特にカラーテレビジョンにつきましては、最近におきましてその基礎的研究を終りまして、実験放送を行い得る段階に立ち至りましたので、実際に電波を発射し、種々の研究を行いますために、実験局開設の申請を提出いたしました次第でございます。これによりまして技術上の具体的な諸データーを収集して、標準方式の決定に資するとともに、三色受像管試作等も行い、全機器国産化のために一歩一歩着実に研究を進めさしていく所在でございます。放送番組等研究につきまして、科学的な世論調査実施放送番組研究放送資料の保存、海外放送事情調査などに努力し、特に世論調査につきましては今後一そう組織的かつ総合的な調査を推進いたしまして、その結果を十分に活用いたしたいと考えております。  次に国際放送について申し上げますと、本年度は前年度通り十三方向、十三時間の放送を行うことになっておりますので、もっぱら放送番組刷新充実をはかって、一そうわが国に対する各国の理解を深め、国際親善と重ねて貿易振興に寄与することを方針にいたしまして努力しておる次第でございます。たとえば使用いたします国語におきましては、去る五日から華北向け及びヨーロッパ向け放送にそれぞれロシヤ語を追加いたしましたので、これによりまして使用いたしております国語は合せて十六カ国語になっております。また今後の放送につきましては、少くとも来年度ソ連向け及び東亜向け放送の二方向新設拡充計画いたしまして、またさらに放送時間を重点的に増しまして、一方向現在一時間のものを平均一時間半ないし二時間程度にし、一そうその目的を達したいと考えております。  以上申し述べました業務の遂行に当りましては、公共放送使命性格にかんがみまして、経理の公正を根本方針にしてその徹底に努めまして、一そう事務簡素化合理化をはかって、経費節減に意を用いております。また職員待遇改善につきましては、経費節減をはかりまする一方、やはり増収にも努力いたしまして、さき国会において予算承認の際にも附帯決議として待遇改善についての御要望も承わっておりますので、十分この方面にも力を尽したいと思っております。  さて明三十二年度収支予算事業計画等編成についてでございますが、これにつきましては以上申し述べましたところに基きまして、放送施設建設放送番組充実改善受信者普及番組技術研究という方向に問題を推進さして参りまして、各般にわたって一そう積極的な施策を進めて事業拡充をはかりたいと考えております。考えますに放送事業は一国の文化進展のバロメーターといわれておる次第でございますが、今日協会放送事業が国内はもちろん、国際的にも大へん重要な地位を占めて参っており、その責任の重大さを痛感いたしてみる次第でございます。従いまして公共放送としてのNHKのあり方を確立し、これを合理的かつ能率的に達成するためには、事業運営について長期にわたる総合的な計画を樹立することが必要であり、このことは諸外国の放送事情参考にいたしましても、一そうその感を深くする次第でございます。来年度収支予算事業計画資金計画編成に当りましても、このような方法事業遂行見通しに立ってこれを編成し、事業運営成果を具体的に上げたいと考えております。現在このような考え方に立ちまして慎重に予算編成の作業を進めておりますので、今日なお詳細にわたり御説明申し上げるところまでには至っておりませんことを大へん恐縮に存じておりますが、大きな方針といたしましては、大体次の四項目重点を置いて編成いたしたいと考えております。  その一つは、ラジオ放送の面におきまして難聴地域解消をはかることは、前申しましたように当然のことでございますが、特に放送設備老朽化改善し、新しい技術の導入による送信演奏関係のいろいろな機械の整備拡充をはかりたいと考えております。  次にテレビジョン放送におきましては、日本電信電話公社マイクロウエーブ建設計画進展を勘案しつつ、テレビジョン放送地方普及に努め、急速に全国放送網を完成するように努力いたしたいと存じております。  第三に、放送番組を一そう充実いたしますため、高度な学術、教養芸術番組を十分編成いたしたいと考えております。なおこのため一案といたしまして、第三放送可能性についても慎重に研究さしていただいております。  第四に、職員待遇改善でありますが、この点につきましては前にも申し述べましたように、本年度に引き続き職員の素質の向上と生活安定を通じて、将来にわたる放送事業の健全な発展を期するため、経営の許す範囲内におきまして待遇改善に努力いたしたいと考えております。  この四項目はいずれも当面の大きな問題でございまして、資金の面からいたしましても、本年度において一挙にこれを達成することはなかなか困難と思われます。従いましてさきに申し述べましたように、少し長い見通しをつけまして、これを検討していき、さしあたり来年度収支予算事業計画資金計画編成に当りましては、これらの点をできる限り反映して参りたい所存でございます。  以上まことに簡単でございますが、事業運営方針及び現状並びに三十二年度予算編成考え方の一端を述べさしていただきましたが、本委員会におかれましては以上私どもの意のあるところをおくみ下さいまして、よろしく御指導、御鞭撻をお願いいたしたいと思います。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体新当局の今後の日本放送協会運営方針についての御趣旨はわかりました。ただいまの新会長の今後の方針に関連いたしまして、二、三具体的な問題についてお聞きいたしたいと思います。お話の中に公共企業体としてのNHKの行くべき道ということをおっしゃっておられましたが、御承知のように放送法の中ではNHK、いわゆる公共企業体といっておりますが、それと民間放送の二本立になっております。この放送法放送事業の二本立という基本的な考え方から、NHKにおいても、もちろん政府当局においてもお考えでありましょうが、やはり基本的な考え方がなければならぬと思う。その基本的な考え方について御説明願いたい。その基本的な差異があるためにNHKにおいては第一、第二放送があり、並びにテレビジョン放送を持っておるのであります。そこで新会長から、この法的機関といいますか、NHKに与えられた使命、またその使命に従って民間放送といかなる差異があるべきかという基本的考え方について御説明願いたい。
  12. 永田清

    永田参考人 ただいまのお尋ねの御趣旨に沿いまして意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、放送法におきましては、御承知のように公共放送使命社会公共福祉にあるということが規定されておりまして、公共放送は当然その任務遂行しなければならないわけでございます。そういう規定に基きまして国民のウエルフェアにこたえ、わが国文化水準向上に寄与するような放送番組編成いたすということ、それから公共放送という全国的な放送任務を持っておりますので、先ほどもちょっと触れましたように、国民があげてその放送を聞くチャンスが与えられねばならないという趣旨のもとに、放送施設拡充拡大化計画いたしておるのであります。また商業放送はもともと商業的地盤に立っておりますので、それはその方針運営されていくだろうと思います。しかし今お話がございましたように、わが国建前公共放送商業放送と二本立になっておりますので、NHKといたしましてはいろいろな面で商業放送にも御協力するということになると思います。ただNHK国民的基盤に立っておりますので、その国民福祉向上国民立場を忘れない範囲で協力がなされねばならないというふうに考えております。実際は民間放送に対しましては、技術の援助あるいは御要求があれば、長くNHK専門家を養っておりますので、その方々を派遣するとか、あるいはまた民間放送の方からNHKの方へ実習に来ていただいて、そこで十分技術を体得されて放送任務を尽されるようにという趣旨で、できるだけ御協力申し上げております。以上であります。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私の質問の第一の方については御説明願いましたが、第二の点であったNHKに第一放送、第二放送の周波を与えておるゆえんのものは何であるか、どういう考えでこれを扱っておるかという点については十分な御説明がなかったのですが、会長でなくても適当な人でけっこうです。御承知のように放送法が改正されましてから民間放送が認められまして、そこで数多くの民間放送が現在事業運営をやっておるわけであります。中には一部の意見として、NHKが第一、第二放送を扱うということは少し欲が深いのじゃないか、あるいは第二放送をできるだけ圧縮して、その余った波を民間放送に加えるべきじゃないかという意見もあるわけであります。しかし私個人は、やはりこの公共企業体としてのNHKのあるべき姿の上から考えて、第一、第二放送というものはNHKがやらなくちゃならぬ一つの基本的な線だと思います。しかしながらそれにはやはり番組編成方針において、第一、第二を必要とする理由が明確でなければならない、またそれが実施されなければならない。そういう点で常に委員会においてこの問題も論議されておるのでありますが、その点に対して新当局各位においてはこれをどういう工合考え、どういう工合に将来扱っていく方針でありますか、その点についての実情を少し御説明願いたいと思います。
  14. 小松繁

    小松参考人 私からただいまの御質問に対する御回答を申し上げたいと存じます。先ほどの会長の全般の方針において一部それに関連した説明もあったかと存じますが、NHK番組扱い方につきましては、建前はやはり全聴取者、全国民に近いわけでございますが、それの要望にこたえることが一番の要点かと存じます。現在編成いたしております番組の基本的な編成の仕方は、御承知通り世論調査に基きます。この世論調査は非常に科学的な幾つかの方法を採用いたしておりますが、その世論調査に基き、さらにNHKは外部の各方面の権威のある方々にお集りいただいて番組審議会を作っておりますが、この審議会方々の御意見や、またそれぞれ専門委員会を設けまして、専門分野につきましてもそれぞれ委員会がございます。かつまた平素常に数千通に及ぶ毎日の投書がございます。これらの全体を総合いたしまして番組編成いたしておるわけでございますが、現在行なっております番組種目から申しますと約八百種以上に及んでおりますが、それによりましてもなおかつ要望のすべてを満たすに至っておりません。この八百種目番組は、現在の第一、第二両放送網ともそれぞれ約十七時間くらいでございますが、これをもちましてようやく満たし得る程度でございまして、先ほど会長説明にもありましたように、今後さらに高度の教養放送的なものをこれにつけ加えることを今考えて一部実施に移しておりますが、それを編成するに当りましてはほかの番組もある程度はこれを制限する状況にあります。従いまして国民要望から申しますならば、さらに現在の放送時間の延長、これは二つのネットワークで時間を延ばすことが適切であるか、あるいはむしろ第三チャンネルを使いましてさらに三重放送としてやるのが適切であるかにつきまして、先ほど会長からのお話にもありましたように現在検討いたしておる次第でございます。第一、第二放送性格から申しますならば、第一放送につきましては一般家庭対象といたしまして、その家庭と申しますのはやはり年寄りから子供に至るまで、だれが聞いてもいい種類の一般家庭向き番組それから第二放送におきましては教養的な番組を主として編成いたしているわけでございまして、その教養的番組と申しましても、現在のところでは一般的な教養放送的なものと、またある特別な、たとえば学校放送あるいは特殊な夜間の教養的番組というふうな、非常に特殊対象向け教養番組を全部含めまして、今第一、第二放送番組編成をしておるわけでございますが、その教養的なものを場合によりましては、特殊対象教養番組一般教養番組というふうに分けてみますならば、イギリスのBBCが行なっておりますような第三放送的なものが考えられるわけでございます。そういうふうに現在の要望を十二分に満たすには、むしろ時間が足りないというのが実情でございます。従いまして先ほどから申し上げましたように、場合によりましては第三放送まで考えるのがむしろNHKの義務ではないかというふうに考えられますので、現在検討しておる最中でございます。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体わかりましたが、お話によりますと結局第一、第二放送並びにテレビ放送、この三つを通じて総合的に公共放送を出していこうという考えのようであります。多少はその中に第一放送の部面と第二放送の部面とに差異はありますけれども、十分な波長を持っておらぬために総合的に公共放送としての使命を達成しよう、こういう考え方が基本的であると解釈してよろしいように考えます。そこで先ほど会長並びに副会長からお話がありました第三放送というのは、別な波長をとって第三放送実施しようというのか。今のお話では大体そのようなんてすか、前に会長か新聞等でちょっとお話しになったところの第三放送というのは、現在の第二放送の中で第三放送的な番組を組む、こういうふうに新聞では受け取れたのですが、ただいまの会長並びに副会長の話はそうじゃなくて、別途にチャンネルを求めて、そこで第三放送的なものを別個に行おうというようなお話のように聞けます。その第三放送とは中波放送お話しになっておるのか、それとも最近問題になっておりまするFM放送をさしておっしゃっておるのか、その点についての御説明を願いたい。
  16. 小松繁

    小松参考人 私から御説明申し上げます。第三放送実施いたすということにつきましては、もちろん方針として決定したわけではございません。そういう段階に達しておりませんけれども、今申し上げましたような趣旨からもう非常に要望が強くなっておりまするだけに、われわれとしてはやがては近い将来にはそこまで進まなければならぬのじゃないかといって、現在検討しておる段階でございまして、それでもしそういうのがかりに実現する時期が参りましたとして、いかなる電波を使うかということに関しましては、われわれとしましては国民の負担を少しでも軽くするという意味からいいまして、当然標準放送の周波数を使ってやりたいわけであります。しかしながらこれは皆さんも御承知かと存じますが、標準放送現状からいいますならば、ほとんど余裕がございませんし、外国電波の混信問題も入って参りまして、ますます将来は窮屈になろうかと存じます。そこに何か大きく転換する方法でもございまして、解決する方法を政府がお持ちならば、われわれといたしましては国民の負担が最小限度になるように標準放送を希望するわけでございます。しかしながらこれは非常に困難だろうということは推測いたしております。もしこれが許されないといたしますならば、現在どこの国でも最近盛んに実施いたしておりますように、ことにまたそういう電波の窮屈さだけでなくて、高度の教養番組あるいは高度の芸術番組というふうなものを考えますと、非常に高音質が要請される場合が多いわけでございまして、そういう意味からいいまして本FMを利用することが非常に適切かと考えております。ただしこのFMを使いますことにつきましては、今のところ日本の国におきましては、かりに実施するとなりましても、よほど受信機の生産体制が確実にでき上っておりませんと、非常に高価な受信機を受信者が持たなければなりませんし、かりに相当低額な受信機が実現する見込みが立ちましても、国民に新たに別の受信機を持つ要請をすることになりますので、これの実施に当りましては十分な検討を加えまして、また国民要望がそういう負担にもかかわらず、ぜひ必要であるという声がはっきりつかめるような段階に入りました際に、初めて実施が可能になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまのお答えに関連して政府当局にお聞きしたいのですが、今NHK当局としては公共放送なるものを強化拡充するためには、どうしても第三放送というものを考えなければならぬ、そういうお話であった。その第三放送ではできれば一般国民の負担を軽からしめるためには、標準放送の波をもらえれば一番いいのだ、しかし現在の実情から考えて困難ではなかろうか、第二段としてはFM放送というものも考える段階であるというようなお話でありますが、それに対して電波当局としては、現在NHKが第一番に要望するところの標準放送の波はどういう状態で、かつまたその可能性があるかどうか。かつまたFM放送については、受信機の問題等に相当困難があるというNHK当局見通しであるが、これに対して政府当局としてはどういうお見通しを持っておられるか。かつまたFM放送に対する将来の許可といいましょうか、これを審議する時期というものは長い将来の問題であるか、それとも近い将来の問題であるか、これらについての御答弁を承わりたい。
  18. 浜田成徳

    ○浜田説明員 今お話の第三放送につきましては、詳細なお話を承わっておりませんので、もしかような要望が強いといたしますれば、その電波の割当等について考究せねばならぬと考えます。しかしただいま小松会長が申されましたように、その電波の割当の情勢は非常に窮屈でございます。ほとんど不可能に近い状態でございます。でありましてもしどうしても第三放送実施する必要に迫られるといたしますならば、第二放送に使っておりまする電波の配置と割当等につきまして再検討を加え、これを第三放送に回すか、あるいはこれもただいまお話にありましたようにFM放送実施考えなければなりません。これにつきましてはまたNHK当局と十分御相談をいたしたいと思います。それでただいまお話のFMの受信機は高価ではなかろうかということでございます。これは確かに中波の受信機よりも高くなります。しかしながら、いろいろ技術的な改善をすることによって、あるいは多量生産を実施することによりまして、私は必ずしも国民に多額の負担をかけるようになるとも思っておりません。外国の例を御参考に申しますと、ドイツのごときあるいはイタリアのごとき、相当低廉なるFM受信機の普及に努力しております。ドイツの場合ですと、大体中波の受信機と同じ程度で買える。少し高いくらいである。しかしながら今後の努力によっては大体同じ程度になし得る自信を持っていると申しております。わが国におきましても、技術的の改善、それから大量生産等によりまして、私は将来は中波受信機とほぼ同等の値段でこれが販売せられるではなかろうかと考えております。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 もう一つお答えが抜けておるのです。最近FM放送に対する申請が非常に多きを数えているようですが、政府当局では、こういう申請に対して、将来の見通しとして、いつごろになればこういうものを許可し得るような状態になり得るかどうか、こういうことがちょっと答弁のうちに抜けておりますが、FM放送は非常に重要であり、必要である。ということは、今後国際上の混信の状態もなかなか除去することも困難な場合が起きましょうし、それに対してFM放送は、いわゆる音質がいいばかりではなく、その技術の面からいって過度の混信を完全に防げるという建前からいって、国外あるいは国内の混信という点から見れば非常な性能を持っている。そういう面から、これは広くいえば国防上からも相当必要なものではなかろうかという点から考えても、FM放送については積極的に考える時期に到達しておるのではなかろうか。こういう面から今たくさん申請が出ているようでありますが、これらに対する当局の処理方針を、抽象的でけっこうでございますからお答え願いたい。
  20. 浜田成徳

    ○浜田説明員 ただいまの橋本委員の御趣旨、まことに同感であります。FM放送なるものは放送の進歩したものでありますので、当局といたしましては、なるべく早くこれがスタートされますように免許基準につきまして検討しております。遠からずこれが完了いたしまして、申請されているものにつきまして審査を急ぎまして、なるべく早くこれが実施されるように努力したいという考えでございます。
  21. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの電波監理局長のお話通りに、当局としてはFM放送の重要な使命にかんがみ、できるだけ早くこの実施考えており、これに対して諸般の連絡をとる準備を整えつつあるというお話であります。それに対して、少しNHK当局は消極的な考え方でおるのではないか。今から研究してできるだけ近い将来において、当局はFM放送に対して許可を与えようと考えておる。それに対してNHK当局としては、今なお検討中であって、かつまた中波でいくか、FM放送でいくか、まだきまっておらない。私がなぜFM放送NHKに希望するかといえば、こういう性能の高い、しかも狭くとっては困りますが、広くとっての防衛上のそうしたものをNHKが使用せられることになれば、これはまたかなり教養番組等にも使用せられるものであろうと思う。そういうような従来の中波放送とは違った特殊な性能を持っておるものが、NHK当局においては、今なお根本方針がきまっておらない。しかもこれは東京でやったものを大阪で聞かせることができないという程度のものだ。だから民間が、東京なり大阪なりあるいはところどころにそういうものができたということでは、せっかくの高性能のしかも特殊の内容を持っておるこういうものが、全国普及化されないところの危険がある。だから全国的に普及の義務を持ち、また全国の文化の向上をはかるべき協会当局は、積極的にこういう問題に対しては熱意を持ってやるべきだと考える。これに対して、今までのお話によると、熱意がないのではないが、また一面においては予算上の問題がありますから、私が言うようには簡単には参りませんけれども、すでに民間においてはこれらが申請され、これらが実施されようとしているときに、NHK当局においてはこれが検討中であるというようなことでは、果して日本全国ラジオ文化、テレビ文化を背負って立つべきNHK当局として責任ある態度であるかどうか、非常に疑問に思う。それに対してもう少しはっきりと、具体的な方針を鮮明せられることを希望しておきます。
  22. 小松繁

    小松参考人 先ほど申し上げましたのは言葉が幾らか不十分でありまして非常に誤解を与えたと存じますので、重ねて説明をつけ加えさせていただきたいと存じます。このFM放送実施することにつきましての協会の態度が、非常に消極的であるとは考えておりません。ただ先ほど電波監理局長からも話がありましたように、これの実施についてはわれわれも当然近い将来に必要であるというふうに考えておりますが、何といいましても、日本の国民に現在の標準放送の受信機のほかに、もう一つ別の受信機ないしは現在の受信機を改造することについて負担がかかるということが大前提でございます。そうしたものを実施するという場合に、少しでも経費が安くなるようにするためには、メーカー側の態勢が整うこともぜひ必要な条件になって参ります。従いまして今直ちにここで実施する方針を立てる前に、そうした準備態勢が直ちにとられ得る手段を講じておくことが必要だと考えておるわけでございます。従いましてできるだけ早い機会に、あるいは実験放送なり、試験放送なり、実用化放送なり、何か適当な準備態勢の電波を出しまして、それによってメーカー側も、またそれを受け入れる側におきましても、そうした態勢が整う期限を置きまして、皆さんの十分な了解なり態勢が整った上で実施に移すのが適当だというふうに考えて、先ほど慎重な態度を申し上げた次第でございます。なおただいま橋本委員からも一言お触れになりましたように、協会実施する場合には必ず全国普及するという大前提が必要でございます。従いまして、その見通しをまず試験的に立てる必要がございます。現在NHKといたしましては、中波にいたしましてもテレビジョンにいたしましても、その建設、改修計画、すべて非常に膨大な経費を必要といたします上に、さらにあわせてそうした新たなる建設計画が必要になって参りますので、それらの将来の見通しにつきましても、はっきりしたものを持ちまして実施に移したい、こういう考え方でおるということでございます。
  23. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大いにやろうというのですから、これ以上その問題については強く申しませんが、先ほど来会長からお話がありましたように、カラー・テレビの実験放送すらもやろうとしているときに、FM放送のごときもっと簡単であるべきものが、今なお実験放送すらできないということは、あまり感心したことではないと思います。なお会長の話の中に、テレビの普及についても十分努力しており、来年度というか、本年度一ぱいで四三%まで使用者をふやすことができるというお話で、大へんけっこうであります。実は当委員会におきましては、テレビの受像機の問題につきましても、大蔵当局あるいは大蔵委員会とはかりまして、本年度も値上げになるところを、まあまあ一応押えたのでありますが、そのテレビ受像機の物品税をできるだけ安くしていきたいというのは、こういう文化的な施設は都市だけで享有すべきものじゃなくして、できるだけ早くこれを地方の人に文化的な普及をはかって、文化に浴せしめたい、こういう考え方からいたしまして、今やまさに地方にテレビが伸びんとするときに、テレビの受像機の値段が上るようなことであってははなはだ困る。こういうことからして大蔵省当局並びに大蔵委員会とも協力いたしまして、そこで今年度承知のような値段に押えることができたのであります。また一方日本電信電話公社のマイクロウエーブというものも予定以上に非常に進歩しつつあって、五カ年計画のものが約一年くらい短縮して延びておるような状況であるのであります。従ってテレビの地方普及化、ことに地方の人が東京の高級な芸術を見ることができるのは非常にありがたいことでありますから、われわれとしましてはできるだけ早く地方の都市にこうしたテレビが普及せられんことを切望しておるわけであります。来年におきましての計画を先ほど申されたようでありまするが、とにかくマイクロウェーブの進展に伴うNHKの地方テレビ局計画をもう一度お話し願って、かつまたその予算措置というものが建設予算の点において果してこれをまかない得るのかどうか。もし困難であるとするならば、どういうことをあなた方は希望しておられるのか、この点についての御説明を伺いたいと思います。
  24. 永田清

    永田参考人 テレビについての御質問でございますが、御趣旨全くその通りでございまして、どうしても早くテレビの全国網を完成しなければならないと考えまして、鋭意努力いたしております。実はこのテレビの普及度につきましては、NHKとしてはその当初として予想しなかった以上の進度で現実には進んでいることは御承知通りでございます。そしてそれはもはや国民生活の一般に浸透しかかっている。つまり従来は何か富裕階級のものだと考えられておったのが、現在におきましてはそれどころか、幸いにいたしましてさまざまな経済的な伸展とも関連し、国民所得の増加とも関連しまして普及して参りましたので、これはやはり全国普及の進度に応じて早く全国網を完成しようという根本方針で進んでおります。これにつきましては、いろいろ技術上の問題もございますので、その点につきましては担当の溝上理事説明いたさせます。いずれにいたしましてもその普及度の急速であることは、世界各国同じような状況にあるのでございます。しかしいま一つ考えなければならないのは、やはりいま少しテレビ・セットの値段が下ることが望ましいという点でございます。これは当初からNHK研究所で十分指導いたしまして、メーカーとしてもだんだん大衆化されていくこういう商品の価格については、できるだけ価格を引き下げていただきたいという趣旨で協力もいたしておるのであります。これは御承知のように相互規定的な関係にございまして、大衆に普及して需要数が多くなれば、大量生産ができるわけでございます。大量生産ができれば、生産費は安くなる次第でございます。そうなれば価格もまた安くなる、こういうことに相なる次第でございます。一方技術的指導を行なって、積極的に価格を下げさせること、それから地方普及度によって経済法則に基く価格の軽減を実現する、かような方針で進んでおります。技術的なことはまた理事から御説明いたさせます。
  25. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 いずれ詳しいことは理事からお話がありましょうが、その前に会長なり担当理事からでけっこうですが、この建設を進めているテレビの普及をはかるためには、予算措置も必要だろうと思うのです。かつまた建設予算増加ももちろん必要であると同時に、テレビの番組編成費の増大も考えられると思います。最近の実情で申しますと大体二十八万台ということでありますが、おそらく三十一年度一ぱい、すなわち三月末までには三十五万台くらいまでいくだろうと思うのですが、三十二年度予算で五十万台くらいをお見込みになるのだろうと思うのですけれども、三十一年度で五十万台を見越しましても、現実にテレビに対する番組編成費等の費用は、必ずしもいわゆる独立採算でもって間に合っているかどうか。あとで予算上の御説明も聞きたいと思いまするが、あるいは困難な情勢にあるのではなかろうか、当委員会におきましても一部にはラジオ予算とテレビの予算というものは、やはり独立採算でいくべきだという考え方も持っておりますけれども、すでにテレビのいわゆる需要者がふえて相当の収入を得てきておるという一つの理由と、もう一つはテレビは当然ラジオにかわるべきものである。あるいはラジオの文化的向上を強力に推し進めるとき、ラジオ、テレビというものは切り離すことのできない一つの両翼である、こういう点から考えて、私個人は必ずしもテレビ予算というものとラジオ予算というものが別個でなければならぬとは考えておりませんが、現実の問題としては、大体原則としてそういう扱いをNHK当局はしておるようであります。果して従来の予算編成方針で、三十二年度においてもなおテレビの十分なる機能を発揮し得るようなことができるかどうか、そういう点についてのお考え方一つ説明を願いたい。
  26. 池田幸雄

    ○池田参考人 お答え申し上げます。テレビジョンの財政的な面につきましても、橋本委員のお説の通り現在では非常に困難なという一語に尽きるわけであります。当初テレビジョン放送を開始いたしますときに、この委員会でも御説明を申し上げ、御了承を得ましたように、当初の五カ年間はどうしても赤字財政になる。それから後の五カ年間には、事業収支の均衡がある程度得られるのではなかろうかという見通しのもとに、われわれとしては許された範囲内においてテレビジョン放送局の新設あるいは開発放送番組充実というような諸般の計画を進めて参りまして、ただいまも申し上げましたように現段階におきましては非常に困難な状態で、ああいう番組をしたいと思いましてもなかなかできないような現状にございますが、幸い受信者増加が非常に思ったよりも好調でありまして、たとえばことしの予算でお認め願いましたときには、大体本年度に十八万くらいの純増があるだろうというのが、現在になりますとあるいはそれより上回るのではないかというようなことも考えられるようになりまして、その点はまことにありがたく思っております。そういう意味合いで、それに伴いましてできるだけ番組充実をはかっていきたいというふうに考えておりますので、今御指摘下さいましたラジオテレビジョンの経理の区分の問題につきましても、この点につきましては本委員会におきましていろいろと御審議いただきまして、現在においてはラジオテレビジョンの経理の区分を厳重に守られております。もちろんこれはテレビジョン財政の収支の均衡が保たれない実情におきましては、やはり財政負担の帰属の公平という見地から意味がございます反面、実際の業務の運用の面におきまして種々困難な問題がございます。テレビジョンの財政の均衡がこれから後だんだんと保たれてくるような場合におきましては、やはり経営能率の向上、業務の合理化というようなことを考えますならば、相互の有機的な運用が将来の問題としてはなし得るような考え方ができるのじゃないかというふうに存じておりますが、現在は先ほども申し上げましたように、事実上まだ財政上の事情はむずかしいような実情であります。
  27. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの答弁に関連して政府委員にお聞きしたいのですが、今答弁があったように、テレビの収入をもってテレビの番組編成等の費用をまかなうということは相当困難な状態である。もちろんこれは当初からそういうことは見込まれておりまして、従ってある程度の採算になるまでは、一応これは借入金等によってまかなうという方針で、従来予算編成をやっております。しかし本年度末をもって大体三十五万ないし四十万の数になる、三十二年度においてはあるいは五十万をこえるであろう、こういうような状況になった今日、なおテレビ関係の予算と、ラジオ関係の予算を厳重に区分してやることが果して妥当かどうか。あるいは、もちろんこれを一緒くたにすることはできませんが、一応ある程度までは一種のプール計算といいますか、総合計算で考えていって、ラジオ、テレビ文化を向上せしめる、こういう考え方でいってよろしいのではないかとも考えられるのですが、これに対して郵政当局はどういうようなお考えを持っておられるか。
  28. 浜田成徳

    ○浜田説明員 橋本委員の御指摘の点につきましては、私どももかねがね撤廃したらはいいではないかというような、その可能性について考えておりますが、その時期は受像機がもっともっと安くなりまして、国民の多数の手に渡って、普及が実現したという、そういう時期においてやることが妥当であるというように考えております。経理の区分撤廃は、さような時期においてやるのがいいのではないか、そういう考え方であります。
  29. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 時期については明確じゃありませんが、そうしますと三十二年度予算編成の場合において、テレビジョンにおける内容強化というものについては相当困難が伴うと思うのですが、この問題については政府当月はどういう御指導をなさるつもりか、その点について御意見を伺いたい。
  30. 浜田成徳

    ○浜田説明員 先ほど橋本委員から、テレビジョンラジオの拡張発展のように考えるのは必ずしも妥当でないという意見がありましたが、私は全く同感であります。今日のテレビジョン普及状態から判断いたしますると、ラジオテレビジョンは全く使命分野を異にしていきつつあります。ラジオラジオとしての使命がはっきりして参る、テレビジョンテレビジョンとしてのそれ自身の使命が明確になって参るというわけでありまして、テレビジョンの今後のやり方につきましてはラジオの拡張工事として、このことについては問題があろうかと思います。私の考えでは、まだ熟した考えではありませんけれども、何か適当な方法がありましたらば、この際においてテレビジョンの画期的な普及発展をはかるような措置を考究せねばならないだろう、そう考えております。
  31. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 他の委員からも御質疑がありましょうから、簡単にあと二点ばかりお聞きして、簡単なお答えでけっこうでありますから、あとは他の委員にお譲りしたいと思います。その一つは、せんだって郵政省当局において御承知のように放送法改正審議会なるものを作って、その答申案が出ております。この放送法改正案の中には、われわれの意見と相異なる点が相当ありますが、これに対してNHK当局のこの改正案に対する考え方、これは抽象的な御意見だろうと思いますが、どう考えておられるか、これが一点。  もう一点は会長が先ほど方針のときに申されましたが、待遇改善の問題、これはラジオ従事者というものは一流新聞の従業員と大体待遇を同じゅうすべき性質を持っております。その仕事の上から見ても勤務状況から見ても当然そうあらねばならない。現実の問題としては、そういうような一流新聞社と比べて相当の開きがあると見られるような点があります。しかしまた一面において公共企業体——完全な公共企業体ではありませんが、一応政府のあるいは国会予算承認を受けているというような立場にあるために、まあ公務員との関係もある程度考えざるを得ない状態にあるようであります。会長が諸外国を歩きまして、そうして各地の放送事業の従業員の待遇等に関連して、今後待遇改善については努力せられるというお話でありますが、基本的には財源の問題もあります。そういうような問題に関連して、抽象的でけっこうでありますが、この二つの点についてのお答えを願って私の質疑を終りたいと思います。
  32. 永田清

    永田参考人 まず放送法改正の問題でございますが、これはまことに重大なことでございますので、十分御審議願うことと期待いたしております。御承知のように審議会の答申案が出ておりますが、それは少数意見も付してありますし、かつまた前文に、この放送に関する仕事は今後急速に進展していくであろうから、根本的な改正はそれらの事情もよく慎重に研究した上でなすべきであるという言葉が付記してございます。いずれにいたしましてもこの答申案を十分の参考といたされて、政府当局でも何らかの原案ができることであろうと予想されますが、実際にどういうふうになっておるのか、私どもとしては知る由もございません。従いまして実際に具体案ができまして、また政府でも十分御審議願うときに所見を述べさしていただきたいと思います。  次に待遇改善の問題でございますが、先ほども触れましたように、実際に待遇改善をするようにという附帯的な決議が前々から行われておりますので、その趣旨に沿ってやらねばならないわけでございますが、いずれにしても経理を不健全にするわけには参りませんので、十分経理面でも努力いたしまして、その趣旨を実現するようにいたしたいと思っております。御承知のことと存じますが、せんだってもBBCでは、やはり今の橋本委員の御趣旨通り改善をいたすようなことになっております。これは何といたしましてもテレビが六百万以上の聴視者を持っているというところから、経理的にも許される段階にきたように思われるのでございます。経理の上に十分乗った形で、少くとも昨年よりもよりよき実績を上げるように努力いたします。
  33. 森本靖

    ○森本委員 この経営方針その他については、先ほど会長の方から説明がありまして、大体前年度方針を踏襲するということでありますので、この点については私はきょうは触れないで、またの機会で触れたいと思います。きょうは特別の問題について二、三簡単に御質問を申し上げたいと思いますが、まず最初に経営委員長にお聞きしたいと思います。経営委員会は大体定例的に今どのくらい開会をしておられますか。
  34. 阿部真之助

    阿部参考人 ただいま定例的に開いているのは、月に一回開会しております。実はもっとひんぱんに開いた方がいいのでございますが、何分委員が各地に散在して、それぞれ重要な仕事を持っておられる方々なので、そうたびたび北海道や九州からお集まり願うことも非常に困難な事情なので、現在は月に一ぺんずつ開くことにしております。
  35. 森本靖

    ○森本委員 月に一回程度開いておるというお話でございますが、大体その経営委員会が月に一回会合せられる時間はどのくらいでありますか。月に一回程度で、その一回の経営委員会の審議の内容はどのくらいの時間をおかけですか。
  36. 阿部真之助

    阿部参考人 時間というと、問題によって長いことも短かいこともあるので、計算してないのではっきり申し上げられませんが、常時お集まりを願ったときは、二日間会合を開いて、朝の十時ごろから大てい午後に及ぶことになっております。
  37. 森本靖

    ○森本委員 そうすると委員長経営委員になられまして、それから経営委員長に就任をせられましてから今日まで、経営委員会を何回開かれまして、その延べ時間を合せますると大体どのくらいになりますか。
  38. 阿部真之助

    阿部参考人 そういうことはどうも計算したことがないので、はっきり数字的に申し上げることは困難であろうと思います。大てい私が今まで申し上げたことでおわかりだろうと思います。
  39. 森本靖

    ○森本委員 私が特にこういう時間的な点をお聞きしておりまするのは、これは申すまでもなく放送法に基きましては、経営委員会任務というものが非常に重要でありまして、特に第十四条等におきましては、日本放送協会の基本的な問題を、すべてこの経営委員会において審議をし、決定をするということになっておりますので、相当長時間の審議をしなければ、これだけ膨大なNHKの内容、あるいは経営、あるいは予算、あるいはまた番組編成に関する基本的な計画、こういう問題についてなかなか頭の中に入りにくいのじゃないか。大ざっぱな点は一応、これは聰明な方であられますのでわかられると思いますけれども、しかしそういう大ざっぱなことでなくして、大体の輪郭をきちんと討議をしていくということになりますと、かなり慎重に経営委員会の審議を要するのではないかと考えておりますので、委員長に就任をせられまして以来、大体どのくらいの時間をこの経営委員会の審議におさきになっておられるか、参考までにお聞きをしたわけであります。大体就任をせられまして今日まで、この委員会を開会せられた回数は何回になられますか。
  40. 阿部真之助

    阿部参考人 私就任して大体半年になるので、月一回でございますから六回でございます。非常に重大な問題だから時間がかかるだろうというお話なんですが、なるほど神経質にいろいろこまかくつつき回せばそういうことになるだろうと思いますが、経営委員会の仕事というものは実務に当っておるわけじゃなく、大体の方針、特に予算編成の時期に現業の方々と相談をしてきめれば、あとは一々こまかい仕事をするわけでもないので、まあ大綱をつかむというような形でやっておるわけでございます。
  41. 森本靖

    ○森本委員 それではお聞きしますが、これは前にサンデー毎日にも載っておりまして非常に問題になり、当委員会でも委員が非常に憤激をしたわけであります。日本放送協会の内容等についていろいろ中傷誹謗に満ちた記事も載っておりまして、当委員会でも非公式に若干審議をしたことがありますが、それはそれといたしまして、それでは経営委員長にお聞きをいたしますが、役員の交際費は今年度予算の中ではどのくらいになっておりますか。
  42. 阿部真之助

    阿部参考人 役員の交際費は予算審議のとき皆さんももう御承知のことだと思いますが、私今詳しいことはよく記憶しませんが、間違うといけませんからこれは業務の方から御報告を願った方が確実だろうと思います。
  43. 森本靖

    ○森本委員 私がお聞きいたしますのは、前に会長の交際費が一千万円あって、これを縦横無尽に流していろいろするというふうな記事も載っておったことがありますが、その交際費の点についてお聞きをしたのは、たまたま委員長が、大体大まかな点を知っておればいいと言われましたので、その大まかな項の中の放送法第十四条第九号に、役員の報酬並びに交際費については経営委員会の議を経なければならないというふうに、はっきり法にも載っておりますので、経営委員会を開かれたついでに、こういう問題についても、大ざっぱな金額だけでも御承知だろうかと考えてお聞きをしたわけです。
  44. 阿部真之助

    阿部参考人 その程度ならばお答えできますが、しかしそれはどうしてもあなたが私を試験なさるつもりでお聞きになるなら、私は申し上げなければならぬことになります。そのかわり前に申した通りに、間違ってもあまり責任を持ちかねますが、大体役員の交際費というものは、私の承知する限りでは十方円か二十万円が限度だろうと思うのでございます。会長で二十万円程度あるかないか、その限度だろうと思うのであります。
  45. 森本靖

    ○森本委員 逆に阿部委員長からおしかりを受けたようでありますが、試験的というわけではないのです。私は今までの経営委員会のあり方について非常に心配をしておったわけです。と申しますのは、これほど重要な問題を審議する経営委員会が、ややもいたしますとなおざり的な会合をしておるのではないかというふうな懸念も多分にありまして、幸い聰明な委員長のことでありますので……。私が勘定いたしますと委員長が就任をしてから、一日八時間の会合として四十八時間の会合になりますけれども、その四十八時間の会合の中でも、放送法の第十四条の内容を大ざっぱであるけれどもつかんでおられる、こういうふうに言われましたので、その中の一項目の当面問題になっておる問題だけをちょっとお聞きしたわけでありまして、別に他意はありませんので、その点一つあしからず御了承願いたいと思います。  そこで重要な点についてお聞きしたいと思いますが、委員長になられまして、経営委員会をやられました一番最初の問題が、会長の選任等の問題ではなかったかと考えます。その当時新聞紙上では、会長の選任等についていろいろ報道せられておりました。われわれといたしましてはその際にいろいろ心配もいたしましたが、ちょっと委員長にお聞きしたいと思いますが、この会長の選任をする場合には、委員がそれぞれ候補者を持ち寄って検討するというようなことを行うわけでありますか。それともだれか他の者が、この者は非常に会長にいいからということで推薦をして、その推薦をもとにして審議をする——人の名前は別といたしまして、審議の方法はどういうふうにやられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  46. 阿部真之助

    阿部参考人 それは御質問の第一の方法によってわれわれは選任したわけであります。各委員からいろいろの候補者を持ち寄って、それでこの人が最も適当だろうという意見の一致が得られた場合において、会長を推薦するという方法をとりました。
  47. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、各委員は自分の知っておる範囲内の人をそれぞれ自分の好ききらいによって推薦するということであって、広く大きく呼びかけて、どういう人が会長に適任であろうというようなことはやらずに、各委員がそれぞれ自分の好きな人を、この人が適任であろうという者を勝手に持ち寄って、それであれはよかろう、これはよかろうということで審議をして最終的に決定をする、こういうことになるわけでありますか。それから、そういう場合にNHKの元の役員の意見あるいはまた郵政省の意見、そういうふうな意見はお聞きにならぬわけですか。
  48. 阿部真之助

    阿部参考人 ただいま委員が好きな人を勝手に持ち寄るというふうな御質問でございましたが、そういうことは断じてありません。われわれの仕事は会長を選ぶということが——会長が主として現業をふだんやっていただくわけですから、最も重大な仕事の一つなんです。その会長を選ぶには、自分が好きだとかきらいだとかいうことで、われわれは候補者の顔ぶれを持ち寄ったわけではありません。それぞれの委員は十分の資料を尽して、最も適当であろうと思う人物を各方面から物色して持ち寄ったということなんでありまして、好きとかきらいとか、自分の狭い範囲内の友人だけを推薦するというようなことはなかった。少くとも私自身においてはそういうことは絶対になかった。いわんや郵政省とか政府あたりからヒントを受けるということは——御承知のように政府のひもつきとかなんとか、だいぶ議論がやかましかった当時でありまして、そういうことは特に努めて私どもは避けたということが実際なのであります。
  49. 森本靖

    ○森本委員 委員長の言われることはまさにその通り正論でありまして、会長を選ぶ際に政府当局意見とか政治家の意見とかが強力に入るということは絶対に避けなければなりません。しかしそれかといって、委員の方がそれぞれの各分野において、これは最も適当であるというふうに推薦をせられると言われますけれども、その場合に、委員方々が広く各階層にわたってこれを推薦するというような今の御答弁でありましたが、果してこれだけの少数の経営委員において、ほんとうにこれが一番優秀な人材であるという人物を各階各層にわたって選ぶことができるかどうかということについて、私たちとしては非常に疑問を持っておるわけですが、その点はどうでしょう。
  50. 阿部真之助

    阿部参考人 お答えいたします。各階各層にわたることができるかということなんですが、幸いにしてNHK経営委員会委員というものは、地区的に選ばれてきた人たちなんですが、その顔ぶれを見ますと、いろいろの業務に携わっている人が多いので、各階各層に関係を持たれる方々が多いために、相当広い視野をもって人材を求めることができたということはお答えできるかと思います。
  51. 森本靖

    ○森本委員 確かにおっしゃられる通り経営委員の任命については、各地域ごとに任命をせられるのと、それから放送法第十六条によりまして、教育、文化、科学、産業その他の各あらゆる分野から経営委員を選ばなければならぬという法律事項になっておりますので、そういう方面の人物を経営委員に選ぶことはできますけれども、そうかといって、それでは経営委員長にお聞きをしたいと思いますが、たとえば労働大衆あるいは農民大衆というものはかなり多くの各階各層を構成しておる、そういうところの人材も、今日の日本においてはかなりあると思う。そういうところの意見がこういうものに反映しておるかどうかという点について、非常に疑問を抱くわけです。たとえば会長といえば、何かどこかの大きな会社でもやっておるとか、あるいは元大新聞社の社長とか、ロータリー・クラブの会長とか、そういうふうなとにかく何か知名の人、今まで名前の売れた方でなければできないというふうな頭が、やはり経営委員の中に観念的にあるのではないか。そういう新しい各階各層から求めるということを、経営委員会において実際にどういう工合にやっておられるかということをお聞きしたいわけです。
  52. 阿部真之助

    阿部参考人 もちろんわれわれも、労働者の階層もしくは農民の階層に会長として最も適任者があるということがわかりますれば、そういう人を推薦するのに少しもちゅうちょいたしません。だが九千万人もある人間一人々々について、いかにわれわれが努力しても、そういう知られざる人を掘り出すということは、まことにこれは不可能なことだと思う。特にやはり社会的に相当有能の人であるということが認識されない人をその職にぽつんと置くことが、適当であるかどうかということも問題である。そこで私どもが選んだ会長については、あなた方からいろいろ御批判はあるかもしれない。だがわれわれとすれば最善を尽した。これ以上の人があるかもしれませんが、事実上そういう人があっても、なかなか会長になられることをお好みにならぬというようないろいろな事情がありまして、われわれとすれば、われわれが選んだ人以上の人は得られなかったということを御了承願いたいと思います。
  53. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておりますのは、現会長がどうのこうのとか、あるいはだれそれがどうの、だれそれがいかぬということを言っておるわけではないのです。今日の会長はりっぱな方であられますよ。それは私はけっこうだと考えておるわけですが、そういう人物をとやかく言うわけではなくして、経営委員の顔ぶれを見てみるに、各階各層といいながらも、実際には一方的に片寄ったような経営委員の構成ではないか。労働大衆と申しましても、名もないそれぞれの職場の中へ入っていって、一人々々探せということを私は言っておるわけではない。日本に労働大衆が一千万以上おるとするならば、少くともそれを組織して、それを動かして、そのリーダーとしてやっておる人物がたくさんおるわけです。あるいは農民の各階各層にわたっても、農民を組織してそれぞれそういう運動をしておられる方々はたくさんあるわけです。そういう方面に対して、いわゆる手が届いておるかどうかということを聞いておるわけです。私は経営委員会としては、今日の経営委員の中において最善の努力をせられたということは認めるわけであります。しかし今日の経営委員会において最善の努力をしても、なおかつ相当足らぬ分があるのではないかということを私はお聞きしておるわけです。
  54. 阿部真之助

    阿部参考人 私自身とすれば、ほかの経営委員を任命する権限も何もないので、与えられた委員の中で会長を選考しなければならぬという立場に置かれておる。あなたの御注文はまことにごもっとものように思いますが、もしもかりに私が郵政大臣か何かであって、任命の権利を持っておれば、あらためて考えるということ以外には、どうもあなたの御質問にお答えすることはできないと申し上げるより仕方がないと思います。
  55. 森本靖

    ○森本委員 私はその答弁でけっこうだと思う。だから経営委員会の構成についてそういう不便があり、また経営委員の構成については、絶えず当委員会においても郵政大臣に対してこういうことを要望して、郵政大臣としてももっともな御意見であるということはたびたび答弁をしておる。にもかかわらずそれが実現をしておらないからこそ、経営委員会において会長選任をするという場合については、あなたが各界各層からそれぞれのことを考えてやられると言われるけれども、何か残ってはしませんかというふうな気がするのではないかということを、この任命をせられた当の責任者としての経営委員長にお聞きしているのであって、経営委員長の方が確かにそういうふうに残っているような気がするという御答弁なら、問題が一つはっきりしてくるわけです。そのことを私はお聞きするわけであって、今の経営委員の任命については委員長責任はないわけであって、当然これは郵政大臣、あるいはまた国会においてこれは承認、不承認ということをやりますので、これはかえって逆にこちらの方に責任が出てくるということになりますけれども、しかしそういうことにおいて、そういう欠陥があるのではないかということを経営委員長としてお認めになるかどうかということをお聞きしておるわけです。
  56. 阿部真之助

    阿部参考人 そういう組織上の欠陥云々ということは、ちょっとどうもお答えできませんが、とにかくわれわれがやったことば実にいい会長さんを得たということで満足しているので、あなたのおっしゃるように、非常に不満足の状態じゃないということを申し上げるだけで、それ以上申し上げることはできません。
  57. 森本靖

    ○森本委員 またもとへ戻りましたので……。私が聞いておるのは、今日の会長が悪いということを、さっきから一ぺんも言っておるわけじゃないのです。各界各層においていろいろな意見を聞いて選ぶということが、実際には各界各層の意見を聞いておるようにあなたがお考えになっておっても、実はわれわれから見ると、各界各層の意見を聞いておらないというふうに考えるが、その場合にあなたは、各界各層の、日本のすべての国民大衆の意見を十分反映した会長の御選任であるというふうにお考えになるかどうかということの、手続上の問題を聞いておるわけです。ここがこれから先の重要な問題です。要するに委員長としての見解と私たちの見解というものが相違してくるということになると、これはまた将来の経営委員長の問題としても重要になってくるので、この点を私はお聞きしておるわけです。
  58. 阿部真之助

    阿部参考人 どうもあなたの御質問に答えることは私の権限以上のことで、委員会の構成に関する問題であろうと思うので、このことについて私がここでどうこう申し上げることは、少し自分の立場を越えたお答えになりはしないかということで、この程度一つごしんぼう願うより仕方かないと思う。
  59. 松井政吉

    ○松井委員 関連。どうも経営委員長質問の内容がはっきりしないらしいのです。今最初から入らずに、経営委員会がやらなければならない仕事の一つとしての会長選任から森本君が入りましたので、あなたの方で大へん誤解しているらしい。そこで私の方から本質的にお伺いいたしますが、経営委員会性格と職務は万々委員長承知だと思いますが、従来の経営委員会というのは、ただいま持たれている経営委員会と同じ法律のもとに持たれておったのです。ところが法律によれば、NHKのすべてのことの最高責任経営委員会なんです。従って経営委員会から選ばれた経営委員長がすべての責任を負うことになる。会長以下の理事は、これは法律からいえば一つの執行機関である。経営委員会がきめた方針に基いて業務の執行をする一つの執行機関なんです。法の建前はそうなっておるのです。そうなって参りますと、先ほど来会長の御説明になりました予算編成、その他理事方々説明しました業務運営の問題、そういう大方針はあなたのところできめられなければならぬ、同時にあなたのところが承認しなければならぬ、そしてあなたのところが全責任を負わなければならぬ、こういうことなんです。ところが従来の経営委員会は、われわれから見れば、幾たびも私は指摘をしましたけれども、これは執行機関の諮問機関の形であって、法律通り経営委員会運営をやっていなかったのです。今度あなたが就任をされて、法律に基く諮問機関ではなくて、経営委員長として全責任を負われる立場において、経営委員会運営NHK全体の運営をお考えになっておるかどうか。この問題、法律に基く経営委員会性格とあなたの責任について、最初にお伺いします。ここからいけばはっきりするだろうと思う。
  60. 阿部真之助

    阿部参考人 御質問通りでございます。従来の委員会がどうであるかこうであるかということは、私は従来の委員会に出席しておりませんので、わかりませんが、御質問通り了承しております。
  61. 松井政吉

    ○松井委員 そういたしますると、たとえば予備金を使う場合でも、経営委員会の議を経なければならないことになっておるわけです。そういうこまかいものまで、ちゃんと経営委員会の議を経なければならないと法律はうたってあるのです。たとえばサンデー毎日等でたたかれておりましたNHKの古垣会長の交際費が一千万円云々、そういう問題が出てきたのにかかわらず、先ほど森本君がお伺いしたところが、そういうことについては詳しくわからぬとあなたはお答えになっているそうでございますね。これは経理担当の現業の理事なら理事から、あなたは経営委員会で報告を聞いているはずなんだ。計画を聞いているはずなんだ。そうすると、従来の経営委員会と同じように、あなたはその通りだとおっしゃるけれども、その通り運営をやっていないことになりますが、この点はいかがですか。
  62. 阿部真之助

    阿部参考人 古墳会長の時代にどういうことをやったということは、私はどうも存じ上げないと申し上げるほかはありません。もちろん一千万円の交際費だなんということは、現在においても過去においても、おそらくはそんなことはなかったろうと思う。それは何かの誤報だろうと思いますね。だからそういうことを私が存じていなくたって、私の責任には関係はないことだろうと私は思います。
  63. 松井政吉

    ○松井委員 それを問題にしているのじゃないのです。サンデー毎日にはそういうこともたたかれた、それで国会議員もたたかれた、それでわれわれは、あなたが経営委員長になったので、そういうことは今後なかろう。なかろうことを信じて、経営委員長としてのあなたは、そういうことについて従来の関係がどうあろうと、それはあなたに責任はないが、今後どうするかということの、あなたの方針を聞いているのです。
  64. 阿部真之助

    阿部参考人 過去においても私はそういうことはなかったろうと信じますし、将来においてもそういうことはあってはならぬということは、もちろん私は考えていることなんで、そういうことがあったら、当然これは私の責任にあるということを言わざるを得ないわけであります。
  65. 松井政吉

    ○松井委員 それならばついでにお伺いいたしますが、三十二年度予算事業計画については、経営委員会においてはすでに具体的なお話し合い、協議をなされたか、それともまだそこまでいかないで、現業の諸君が数字をはじいている程度でありますか、この点についてお伺いいたします。
  66. 阿部真之助

    阿部参考人 この大綱については会長その他からぼつぼつ御相談を受けております。しかしながらまだ具体的な相談を受けるまでに至っておりません。
  67. 松井政吉

    ○松井委員 言葉じりをとらえるわけではございませんが、会長から報告を受けておるのじゃないですよ。法律に基く経営委員会は、経営委員会計画しなければいかぬのですよ。その素材として、会長なり現業理事からいろいろなデータをとることは御自由なんです。とらなければできませんから……。けれども大方針経営委員会で立てるのです。会長が立てるのじゃないのです。法律の建前は……。会長ももちろん理事でありまするから、理事の一人として、二つの性格を持っておりまするから、当然会長もおやりにならなければなりませんけれども、これは会長とか現業が相談に来ないのでわからない、あるいは相談に来たからわかるという性質のものではございません。経営委員会がやらなければならぬことなんです。それをお伺いしているのです。
  68. 阿部真之助

    阿部参考人 御質問通りです。もし私の前に言ったことが十分でなくて、そういう御質問が出たとすれば……。むろんこれは現業からデータを求めて、寄り寄り相談しておる。それからそのことについて会長からも御相談を受けておるということなんです。
  69. 松井政吉

    ○松井委員 それならばお伺いいたしますが、予算編成方針について、当然大臣の副署といいますか、あるいは承認書といいますか、あるいは大臣の説明書が、国会へ提出されるときには必要なのでありますから、事前に郵政省と事務的な打ち合せをするのは当然だと思います。けれどもNHKの企業体の性格からいけば、独自の予算編成が行われてしかるべきだ。郵政省等の干渉なり、あるいは郵政省等からのいろいろな予算編成についての御意見等が来た場合に、そういうものに関係をしたりあるいは相談することは御自由で、経営委員会独自の立場においてお立てになる御意思だと思いまするけれども、念のためにお伺いしておきます。いかがでございますか。
  70. 阿部真之助

    阿部参考人 御質問通りでございます。
  71. 松井政吉

    ○松井委員 そういたしますると、これは委員長にはちょっとわからないかもしれませんから、ほかの方でもよろしゅうございますが、最終的には委員長のところへ来るのでございまするから、両方でお答えいただきたいのでございます。三十一年度NHK事業計画予算を審議するときに大いに問題になりました——額はごく少額でございましょう、一億円足らずでございましょうけれども、大きく問題になりました新たに設けられた固定資産税は、三十一年度予算費目にはないはずであります。この支出は経営委員会の議を経なければならないことになっておりまするが、どういう方法でお払いになるか、経営委員会において御相談なさったことがあるかどうか、これを一つ明確にお答えを願いたい。
  72. 池田幸雄

    ○池田参考人 お答え申し上げます。本年度の固定資産税につきましては現在払いつつございますが、それは予備金から支出いたしております。
  73. 松井政吉

    ○松井委員 予備金支出のときの取扱いをいかようにされておるか、お伺いいたします。
  74. 池田幸雄

    ○池田参考人 経営委員会の御承認を得てやっております。
  75. 松井政吉

    ○松井委員 それは阿部委員長就任後でございますか。
  76. 池田幸雄

    ○池田参考人 さようでございます。
  77. 松井政吉

    ○松井委員 阿部委員長は先ほど六回経営委員会を開いたと言いますが、何回の経営委員会において正式に委員会の御承認を得たか、その点について念のためにお伺いいたします。
  78. 阿部真之助

    阿部参考人 どうもその点はっきり記憶しません。毎月そういうふうな報告を受けて、そうして委員でもつて協議して承認していたので、いつごろかどうも今記憶しておりません。
  79. 松井政吉

    ○松井委員 それでは何回の委員会か記憶がないこともあるのでございますから、記憶がなければないでよいですけれども、しかしその場合あなたのところへ持ってきた事務当局は日にちまでわかっているわけですね。記録はあるわけですね。あなたが記憶がなければ、他の理事なり会長なりからその日を明確にしてもらうことが、この委員会の質疑応答のならわしでございますから、そういうように一つ考えていただきたい。
  80. 池田幸雄

    ○池田参考人 今手元に書類がございませんのではっきりした日にちは申し上げかねますが、八月の委員会で御承認を得たと思います。そうしてそれは、この固定資産税は各地域で納めておりますので、一括して御承認を得たと記憶いたしております。
  81. 松井政吉

    ○松井委員 それではよくわかりました。その次にお伺いをいたします。来年度予算編成について歳入面の大きな問題になる可能性があるのでお伺いをいたしますが、今一番電波関係で放送と結びつけて、当閉会中の小委員会においてもあるいは委員会においても議論になっておりますものに、共同聴取の問題であります。ところがこれは無電灯地帯その他の不便なところへ、放送法に基きあまねく国民放送を聞かせようというので作った組織でありまして、その法律もわれわれが審議をして作った。ところが現実は共同聴取地域実情というものは、一日かりに十時間といたしますと、放送時間がわずかで、その中継所と称されるところの農協なり役場の広報機関の活用時間と電話の側の通話時間が多いのであります。しかしながら共同聴取者といえども一戸当り同じ受信料をNHKがいただいておる。この関係について経営委員会において検討されたことがあるかないか、これは委員長から理事会において、具体的に現場の者として御協議なさったことがあるかどうか、この点について明確に一つお答えが願いたい。
  82. 阿部真之助

    阿部参考人 そういう問題は私就任以前からも起っておる問題なので、私が就任以後にはそういう問題は協議されたことはございません。そういうことを申し上げておきます。
  83. 池田幸雄

    ○池田参考人 委員長は今お手元に資料を持っておられませんので御記憶がないかと思いますが、たしかこの前の委員会、十月でございましたが、千葉県の共同聴取で……。私は、当委員会がいろいろ実地調査をなさったことについて報告して、御審議願いましたことを記憶しております。
  84. 阿部真之助

    阿部参考人 私の記憶違いであったことを訂正いたします。
  85. 松井政吉

    ○松井委員 そうすると、この共同聴取者全国でどのくらいあって、その共同聴取者の一戸当りの戸数に計算する受信料がどのくらいあるか。これは当然歳入に組まれてくると思いますから、その点についておわかりだったら明瞭に一つお答えが願いたい。
  86. 池田幸雄

    ○池田参考人 大体これは全国的に現在やっておりまして、北海道には特に多いわけなんでございますが、今正確な数字が手元にございませんので、後ほど資料を差し上げてもよろしゅうございますが、施設数は大体千四百施設あります。大きいのから小さいのまでございますが、今資料をここへ持ち合せておりませんので、帰りましたらすぐわかります。
  87. 松井政吉

    ○松井委員 施設は千四百でありますが、聴取者数、それからはじき出す受信料金の額、これを一つ……。
  88. 池田幸雄

    ○池田参考人 これは今申し上げましたように、聴取者数の資料を今持ち合せませんので、帰りましてから御報告さしていただきたいと思います。受信者の受信料は同じでございます。
  89. 松井政吉

    ○松井委員 わからなければやむを得ませんが、それならばもう一つお伺いします。  先ほど来橋本君の質問の中にもはっきり出ておりましたが、その中の具体的な問題の一つとしてお伺いしますが、今の聴取率、すなわち民放とNHKの聴取率の比率並びにその聴取率の国民階層の分布、業種別、職業別に見た分布、これがおわかりになりましたらお聞かせが願いたい。
  90. 池田幸雄

    ○池田参考人 聴取率の方はただいまここに資料がございませんが、文献で絶えず調べておりますので、その資料はいついつかと言えば、整っております。それから国民の分布はちょっとわかりにくいだろうと思いますが、抽出法によって、大体どんな分布でどういう聞き方をしているかというような方法をとっております。
  91. 松井政吉

    ○松井委員 なぜわれわれがこういうことを聞くかと言いますと、民放の方ではわれわれのところへ出してくるのです。民間放送を聞いている職業別のデータ等をまことにまめに出してくる。そうすると——これは会長にもあとでお伺いしますが、先ほど知る由もないと言われた放送法の改正になりますと、われわれはこれを対象にして大いに議論しなければならぬところでありますから、NHKの方でも多くの調査機関を持っているだろうし、緻密な調査をしていられるはずですから、やはりそういうNHKの第二を聞いている国民各階層の職業別あるいは年令別あるいは男女別に見た分野というものは、大体どういうことになっている一か、それはNHK調査網が調査したものでけっこうですから、そういうもののデータをわれわれは常に必要とするのです。しかも先ほど橋本君が言ったように、公共放送商業放送の二本立をどうするか、われわれは今の立法に矛盾があれば、それを直す場合にどうするかということについての非常に大きな参考資料になりますので、これは一つそういう調査ができ次第われわれの方にも参考までにいただきたいと思います。そういう意味でわれわれはお聞きをしているのですから、さよう御了承おきを願いたい。
  92. 池田幸雄

    ○池田参考人 今お話し下さいました中で、年令別、性別、あるいはまた教育程度別と申しますか、そういう別の聴取率は絶えず調べております。それで御必要な部分をお示し下さいましたならば、後ほど提出いたします。
  93. 松井政吉

    ○松井委員 午後も当委員会は続くのでありますから、午前中の質問はもう一点で打ち切りますが、これは言葉じりをつかまえるわけではありませんけれども、会長にお伺いしますが、放送法改正案について知る由もないと答えられた。ところが、答申案の中身は新聞は全部発表しておるのです。しかもこの放送法の改正は、会長もお答えになったように、放送協会としては非常に重大な問題でありますから、知る由もないという程度ではなくて、もうあなたの方のいずれかの機関で、放送法を改正するときはどうなるかというくらいのことは御研究をなさっていると思います。同時にまた、就任なさってからも会長はその報告を受けていないはずはない。経営委員長も同様だと思う。一番大きな問題ですから、これは企業体の性格まで変るかもしれない問題ですから、知る由もないのではなくて、万々知っている、答申案の中身まで検討なさっておるけれども、まだ正式に郵政省当局との話し合いはしていないということではないかと思うのですが、どうも知る由もないという記録が残ったのでは工合が悪いのですが、その点は一ついかかでしょう。
  94. 永田清

    永田参考人 私、放送法の問題について申し上げて、知る由もないと言ったのは、現在答申案を基礎にして政府原案がどうできているかについて知らないと申し上げたのでありまして、答申案はむろん公表いたしておりますし、またNHK自体にも意向はどうだろうということは聞いてくるのが当りまえですから、答申案は全部承知いたしております。それを基礎にしてどうなっておるのか、どうすればいいかということについては、私どもはまだ何ら知っておりません。しかし先ほども申しましたように、放送法自体は非常に重要な事柄でございますので、これは十分国会でも御審議を願うことに相なるかと思います。しかし私どもも公共放送責任をになっておりますので、その放送法改正がかりにも言論統制というふうなことに進むようなことがあるとすると、これは所見を十分述べさせていただきたいと思います。
  95. 松前重義

    松前委員長 ちょっと一言申し上げておきます。阿部経営委員長は二時五十分に大阪にお立ちになるそうでありますから、できるだけ阿部委員長への質問を先にしていただいて、また午後再開いたしますので、その節会長以下に対する質問をしていただきたいと思います。
  96. 井手以誠

    ○井手委員 関連して、ちょっと委員長に一点お尋ねいたしたいと思います。  阿部委員長はかねがね評論を通じて、NHK経営について不満を述べられておったようであります。特にことしの四月二十五日民間放送の誌上によりますと、NHK経営現状通りで満足であるというものがほとんどないのであるから、このままでいけばいつかはまた政府からくちばしをいれられる口実を与えられる、いかにしてNHKを政府の干渉から守るか云々というようなことを述べられておったのであります。今日評論家阿部真之助氏は、NHK経営委員長という最高の責任者になっておられますので、かねて評論家としての不満を持っておられます諸点について、今後は責任者として不満を一掃するいろいろな具体案を、すでに御用意になっておると思うのであります。そこでこの際、経営委員長として、どの点についてNHK経営が不満であったか、またこれをどのように改めようとなさっておるのか、これを第一にお聞きをいたします。第二には、あなたの方の毎日新聞またあなたもNHK民間放送との競争関係についてもかねがね評論をなさっておりましたので、そのあり方についても第二点としてお伺いいたしたいと思います。
  97. 八木昇

    ○八木(昇)委員 今の井手委員の御質問に似たようなことでありますので、ちょっと補足して同時にお答えをいただきたいと思います。  今も井手委員から言われましたように、阿部委員長の御意見では、結局NHKが政府あたりから干渉を受けるようなことになるのは、どうしてもNHK自体の経営が不満足であるからであって、従ってNHK経営そのものをどういうふうにやっていくかというもっと建設的な意見を持ち、建設的な具体的な進め方をやらなければならぬ、こういうことを阿部委員長は四月ごろおっしゃっているわけであります。そこで、では委員長としての建設的な具体的な意見というのは、どういうものかということをお伺いしたいわけです。それをさらに具体的に申しますと、近来NHKに対する批判というものはいろいろございますが、私がよく聞くところでは次の三、四の点がおもな批判だと思う。というのは、まず第一は、最近どうもNHK放送は、三、四年前に比べると少しずつ自由が失われつつあるというか、やや官制化しつつあるのではないか、というのは、たとえば冗談音楽の問題で、ちょうどテレビ放送の認可がおりるかどうかというさなかのときでもあったし、何かその間にも国民一般としては不明朗な感じを持っている、こういう世間の、NHK放送が最近どうも自由が奪われつつあるのではないかという一つの世論の見方に対して、どういう見解をお持ちであるか。第二番目は、聴取料がNHKの場合には強制徴収ということになっておるのに対する不満があるが、これについてどういう見解をお持ちになっておるか。三番目は、どうもNHKは独占的であり過ぎるのではないか。この段階になれば、もう少し民放関係に道を開いてもいいのではないか、こういう批判があります。ほかにもいろいろありましょうが、よく聞くのは、こういう三点でありますが、これらについての御見解をお伺いしたい。先ほど会長からは執行機関の責任者でありまするからそうかもわかりませんが、経営委員長は全体としての責任者でありまするから、こういう点について見解を述べていただきたいと思います。先ほどの会長お話では、新しい方針としては難聴地域解消とか、テレビジョン地方普及とか、高度な学術教養番組あるいは待遇改善、こういうことだけをおっしゃったのですが、これはもう毎年々々繰り返し言われておることで、そういうことはもう普通だれが考えたって当りまえのことでありますので、そういうことよりはむしろ先ほど来私が申し上げました三つの点につきましての明快な御答弁が願いたい、こう思うわけであります。
  98. 阿部真之助

    阿部参考人 お答え申し上げます。私は主筆の時分どういう議論をしたか、どうも少しもうろくして記憶がないのでありますが、しかしながら私はNHKに当時非常に満足していたかといえば、決して満足してなかった。今日においても私は必ずしも満足しておるものじゃない。それではどの点が不満足だという御質問でありますが、それは私は個々の事実ではなしに、何というか一口に言うと、まだほんとうに民衆のものになり切っていないような感じなんです。もしくは国民のものになり切っていない。どうもそれは私にとっては何ということなしにNHKのあり力について不満足だった。その原因はどこにあるかということは、幸いに私は経営委員長になったので、これから徐々に掘り下げていって、その根源を改めていきたいと思う。そう思っております。ただいま御質問の冗談音楽云々ということについては、私政府の干渉があったかどうかということは存じておりません。私はなかったろうと思うのです。しかしながらそういう誤解を世間から受けたということも、私が委員長になる以前にNHKに対する不満の一つだったろうと思うのです。幸いに私はそういう不満を持っておる一人なんですが、かりに今後政府からそういうような干渉があっても、これは断固としてはねつけます。そんなことがなかったら私の男がすたるのです。この点ははっきり申し上げることができます。だからその点についての御懸念は一つお持ちにならぬようにお願いせざるを得ない、かように思っております。まだ何かありましたか。
  99. 八木昇

    ○八木(昇)委員 きょうは経営委員長としての相当具体的な抱負をお聞かせ願えると思って実は期待をいたしておった。そこで私どもが関心を持っておる二、三の問題として、そういう政府干渉というものがもしかりに今後あり得るとすれば、それに対していかなる態度をもって経営委員長は臨もうとされるかということが一つありましたが、これは明快な御答弁をいただきましたので、まことに心強く思うわけであります。第二の点は聴取料の強制徴収問題、第三は民放との関連についての御見解であります。さらにややこまかくなりますが、技術上の問題で、外国電波の妨害の問題があります。これらについての御見解を承わることができれば幸いだと思います。
  100. 阿部真之助

    阿部参考人 答弁の漏れたところをお答えいたします。強制徴収の件でございますが、強制徴収によってNHKが成り立っているので、これがいけないということになりますとNHK々廃止しろということになるので、私は重大だろうと思う。私はやはりNHK経営委員長になったからには、NHKがなくては困る、強制徴収はどうもこれはやむを得ないだろう、かように存じております。それから民間放送との関係でございますけれども、これはいつかの国会の公聴会にも私は呼び出されて、参考人として私の意見を述べたことがあるのですけれども、公益ということがNHKの独占のように論議されておる向きもあるが、私は民間放送といえども本質的においては公益放送だろうと思う。その点においては変りはないと思うのです。ただ金が一方においては強制徴収という方式によってやられ、一方は広告料で商業的な経営方針であるという点に性格の違いが出てくるので、公益そのものの本来においては変りはない。だからできるだけ民放とも手を携えてお互いにそれぞれの特徴を発揮し合って、民衆の福利あるいは文化の増進に資していかなければならぬ。今は何かNHKと民放が商売がたきのようににらみ合っているというように、新聞かなんかでは書きたがっているようですが、そういうことがもしあったとすれば、NHK責任があることで、そういう態度は少くとも改めるべきである。今後は民放ともきわめてよき関係において、相互に手を携えてやっていきたい、かように存じております。
  101. 井手以誠

    ○井手委員 政府の干渉から守ろうということについての御答弁については、私も満足をいたしました。このことは記録にはっきり残っておりますので、一つ委員長も十分銘記していただきたいと思います。いろいろなことは申し上げぬでもいいと思いますが、先刻あなたの御意見を例にとりましたのは、四月二十五日の民間放送であります。これはあなたのはっきりした意見として載っておりますが、今は責任者になられておりますので、それは新聞のいったことだということではなくして、一つ責任を持った態度で臨んでいただきたいことを持に要望しておきます。  そこで私はお尋ねしますが、NHKに対する不満としては、国民のものでなかった、国民的なものでなかったということだけをおっしゃったようであります。確かにその点はわれわれも同感の気がいたすのでありますが、その不満というものは当然責任者になられた今日、やはり実行なさらなくてはならぬのであります。除々にとおっしゃいましたが、あなたがかねておっしゃる評論においても、徐々にやるべしなどとお書きになったことはないので、やはり改めるには急でなくてはならぬ。慎重でなくてはなりませんけれども、そう徐々であってはならぬはずであります。いつごろあなたの不満とされておることをここで改めようとなさる御決意であるか、この点をまず第一にお尋ねをいたしたいと思うのであります。三十二年度予算事業計画もすでに固まろうとしておる今日でございますから、おそらくその時期ではないかとは思いますけれども、念のためにお伺いしておきたいと思うのであります。  それからもう一つ私が第二段としてお尋ねいたしましたNHkと民間放送との関係、先刻八木委員からもお話がありましたが、民間放送にはいろいろな問題について建設意見がないということをあなたはかねがねおっしゃっておったと思います。問題になっておるのはあなたも指摘なさったように、NHK民間放送との競争的な立場、これをいかに調査なさろうとするお考えであるか、これこそ私はNHK責任者としての建設意見であると思いますので、もっと具体的にあなたの御構想を承わりたいと思います。
  102. 阿部真之助

    阿部参考人 ただいま私はNHKに不満の点は徐々に——徐々にではなしに急激に一つやっていただきたいという御質問でございますが、御承知のように私は年をとったせいか、非常に性格が保守的なんです。だからそう急激にものを改めるということよりかも、やはり徐々に堅実にものを改めていった方が確かだろうと思うのです。だからそう目立ったようなことは私はやりたくないと思っております。そのかわりしっかりした基礎のある、もし私の寿命があるならば、そういうふうな仕事をやっていきたい、かように存じております。  民間放送との関係もそうなんで、建設的にどういうことを今する気かといったところが、その地ならし工作ができていないようであります。だから民間放送とどういうふうな結びつきを持ったら一番いいかということは、まず精神的な結びつきから取りかからないと、どうも今のところでは変に対立のような関係が——どっちが悪いか知りませんが、こっちが悪かったらこっちが改めるよりか仕方がないし、民間が悪かったら民間の方にお前の方が悪いから改めろというようなことを言って、そういうことからだんだん話し合っていけば、ほんとうによき結びつきができるのじゃないか。こっちで一つ建設意見を持っていて、民間放送や何かに押しつけたところが、そううまく行くものではないと思うのです。だから少し年月をおかし下すって、でき上りを一つ見ていただきたい、かように申し上げていくより仕方がないと思います。
  103. 井手以誠

    ○井手委員 阿部委員長からはもっとはっきりした御答弁がいただけると思っておりましたが、残念でございます。あなたの評論というものは、世間では相当高く評価されておる。特にあなたのおっしゃったように、保守派においては高く評価されております。その高く評価されておるあなたの評論、評論家阿部がNHK責任者になったら、評論のように思うように行かぬようだなという非難を受けたくないと私は考えております。野にあってはなかなか言うけれども、一たび責任者になると案外徐々にしかやれぬじゃないか、慎重に堅実にということでなかなかやらぬじゃないかということは困ると思う。それでは今までのあなたの長い間の評論、在野におきます評論の評価というものが下るということを、私は非常に心配している。ただいまあなたは委員長の寿命がとおっしゃいましたが、りっぱな委員長であればいつまでも続くだろうと私は期待いたしておりますが、せっかくNHKに対して御抱負も評論ではあったようであります。私はこれ以上あなたが具体案をお持ちにならなければ聞きませんけれども、そのかねての評論なり持論を生かされる絶好の機会ですから、すみやかに実行に移されることを希望いたしまして、質問を打ち切ります。
  104. 森本靖

    ○森本委員 だいぶ関連質問が多くて、最初の私の質問がケリをつけずに終っておりますので、一応この問題についてははっきり委員長の方からもう一回回答願いたいと思います。なお今八木委員、井手委員のそれぞれの質問に対しましても、委員長みずから確かにNHKはまだ民衆のものにはっきり溶け込んでおらないような気がする、それはどこという意味でなくして、ばく然とそういう気がする、そういうようにいみじくもおっしゃられましたが、われわれもそういうことを考えておるわけであります。  そこで最初に私が質問を申し上げましたこの経営委員会の構成あるいは任命等については、これは経営委員長に直接の責任がないわけであります。しかし今の経営委員会のあり方、経営委員の任命方法、構成、そういう方面においては確かにこの会長の任命等ということについて、国民のすべての意向というものを反映した形における任命の方法であるというふうに、あなたがお考えかどうかということをお聞きするわけです。この点が私はこのNHKというものが民衆の中に溶け込んでおらないという気がばく然とするということは、やはりその一番の最高責任者というものをきめる場合における、そういう手続方面についても言えるのじゃないかということをお聞きしておるわけであります。それを経営委員長として就任をせられて、当ってみて、そういうふうな気が経営委員会の内部においてもするのじゃないかということをお聞きするわけです。
  105. 阿部真之助

    阿部参考人 前の私のお答えを繰り返すよりほかお答えのしようがないと思うのでありますが、あなたの御質問は、今の経営委員会の制度が悪いというふうに承知してよろしゅうございますか。——その点については私は今こういう席でどうこうということを申し上げることをはばかるのでございます。
  106. 森本靖

    ○森本委員 勇気のある委員長だから、私はそういう点についてはずばりずばりと回答ができる、こう考えて聞いたわけであります。しかし勇気のある委員長でも、経営委員長という職につけば、評論のようにそう簡単に評論できないということであるならば、あえていたし方がないので私は質問をやめますけれども、やはり民衆の中に溶け込んでいないという点は、そういう点に一番大きな原因があるのではないかということを私は考えているので、委員長が幸いずばりとお答え願えると考え質問をしたわけであります。非常に残念でありますが、それではこの点については終ります。  もう一点だけ、簡単な問題でありますが、将来にも影響する問題でありますので、お聞きしておきます。この手続について私も不幸にしてまだ知りませんが、たとえば会長が外国に外遊するとかそういう場合においては、一体だれが責任を持ってこれを許可するということになっているわけですか。これは委員長であろうと会長であろうと副会長であろうと、その辺の手続について事務的にまずお答え願いたいと思います。
  107. 阿部真之助

    阿部参考人 私への御質問でございますか。——それならお答えしますが、会長が外遊でもされる場合には、経営委員会承認を受けることになっております。
  108. 森本靖

    ○森本委員 これは意地悪ととられるとちょっと困りますけれども、しかし将来のNHK経営についての参考までに聞いておきたいと思います。そこで経営委員会がこれを承認をして渡欧せられるということになりますと、NHK会長として広く海外に知識を求めるために行かれるということは確かにけっこうでありまして、将来それが日本の放送事業発展に大いに寄与するということも考えますので、私たちもけっこうだとは考えますけれども、しかし日本の放送事業を背負って、しかも日本の放送協会会長として渡欧せられて、広く海外に知識を求められるならば、少くとも日本の今日のNHKの内容については、ほとんど隅から隅まで手のひらを返すごとくわかって、日本の放送界における今の状況というものがわかって、その上において広く海外に知識を求めるということがいいのであって、場合によっては——就任早々の場合は、広く海外に知識を求めるというよりも、NHKの状態を早く詳細に知ることに努めるのが至当ではないかと考えるのでありますが、しかしこの辺は見解の相違でやむを得ませんけれども、その辺は経営委員長どうでしょう。私の考えとしては、そういうふうに行かれるのもけっこうでありますけれども、何といってもこういう委員会等においていろいろ質問があれば、直ちに答えられるということになって、初めて広く海外に知識を求められた方がいいのではないかと考えますが、その辺どうですか。
  109. 阿部真之助

    阿部参考人 お説はまことにごもっともで、九割くらいまでは私は同感でございます。当時の模様は、海外に知識を求める目的で会長は渡欧されたのではないのです。国際の各放送局の首脳者の会合がありまして、それに出席しなければならぬという用件があって渡欧されたので、その機会に非常に会長は勉強された。もうほとんど寝る時間だけで、できるだけ広くついでに各地を視察されてきた。それが非常にわれわれの参考になったということだけを申し上げておきたいと思います。
  110. 森本靖

    ○森本委員 時間がありませんのでこれで打ち切りますが、委員長のおっしゃられる通り、非常に熱心に海外を視察せられて、それが将来の日本の放送事業に寄与せられるということは確かにけっこうなことだと考えます。しかし、将来もこういう問題があるとは限りませんけれども、一応私たちが老婆心ながら、今後の経営のあり方について簡単なことでありますけれどもちょっと申し上げておきたいのは、そういう場合にはまず日本の内情というものを十分察知せられてから行かれるのが至当ではないか。もっとも今回の場合はそういう首脳者の会議であったというので、それは一割の理由でありましょうけれども、あとの九割のあなたがいいと言われた点については、今後すべての経営の基本的な方針について、そういう方針一つやられることを特に希望いたしまして、私の委員長に対する質問を終ります。
  111. 松前重義

    松前委員長 それでは簡単に私から質問をいたします。  先ほど会長の御説明の中で、今後における重要なる放送協会のやらんとする仕事としては、難聴地域解消の問題、第二はテレビ放送拡充普及全国放送網の完成、第三は第三放送の実現、それから第四は職員待遇改善、これだけを承わりました。経営委員長は、経営方針に関しては公共性の立場を失うことなく、これらを会長その他にいろいろやらしておる、こういうふうな御説明でありました。そこでこの四つの事項と公共性との関連性についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。これだけで一体公共性が保たれておるかどうか、公共性の一番重要な問題が落ちてはいないかと私は思うのでありますが、いかがでございましょうか。経営委員長から御答弁を願いたい。
  112. 阿部真之助

    阿部参考人 まあ落ちている点があるかもしれませんが、どういう点か、御指摘になると私気がつくかもしれませんが、まあこの程度でいいのではないかと思っております。
  113. 松前重義

    松前委員長 どうもまことに十分ならざる御説明で不満足でありますけれども、指摘をいたしますれば、まず第一に、国際放送の問題等は日本放送協会がやらなければならない唯一の使命なのです。私もせんだって各国を回ってみたときに、ことに放送事業もときどきのぞいて見たのでありますが、各国の日本人の日本から出てくる電波を聞いた感想だけを聞いてみましても、国際放送はまことに拙劣であるという一言に尽きる。わけても国際放送設備その他電波放送時間等に対しても非常な不満がある。日本の国際性に対しては非常に大きな役割を勤めなければならない国際放送が、今日のような貧弱な状態に放置されているから、われわれは今までの放送協会のあり方に対しては非常な不満を持っておった。そういうところが私どもの不満である。国内の個々の問題ももちろんその不満の一つでありますが、日本の世界における立場をいかに保つかというこの根本問題について、われわれは非常な不満があった。この辺に私はまず経営委員会の論議の中心がなければならないと思うのでありますが、いまだかつておそらくこの問題は経営委員会において論議されたことはないのじゃないかと思われる。いかがでありましょう。
  114. 阿部真之助

    阿部参考人 その問題については、論議されたことがないどころじゃなしに、実はしばしば論議されていることなんです。だがまあ御指摘のように非常に十分でなかったということはあり得ることでありましょう。これは逐次われわれとしては大いに力を注いでやっていかなければならぬことだろう、かように考えております。
  115. 松前重義

    松前委員長 論議はされたが重要事項には入れなかったということでありますね。それでは公共性という言葉ではもってこれを代表することはできないのじゃないかと思うのでありますが、いかがでありましょう。
  116. 阿部真之助

    阿部参考人 どうも論議はされたが、重要事項に入れなかったというそのあとの方のことは、私は申し上げたつもりはないのでございます。放送事業として、国際放送はどこの国でも最も重要性を置いておることなんでありまして、重要性を置かないなんということは絶対にこれはありません。ただ不十分だという点は、われわれも認めざるを得ないだろうと思います。これは逐次改善していくより仕方がないと思います。
  117. 松前重義

    松前委員長 先ほど会長から御説明のありました四大政策の中には載っておりません。説明の中には多少あったけれども、入っておりません。
  118. 永田清

    永田参考人 国際放送の問題につきましては全くお説の通りでありまして、日本の国が国際社会に重要な地位を占めてくればくるほど、必然的にこの問題が重大化していくことはお説の通りであります。従って、従来から国際放送については研究を続けており、その具体策については初めの説明で触れたつもりでございますが、ただこの問題を具体的に一つ方針として掲げることはけっこうでございますけれども、実現していくプロセスを考えますと、これは委員長も特に御承知のように、技術上の問題がなかなか重要でございまして、その技術的な問題も並行して考えた上で掲げたいという所存でございましたが、実際に問題をはっきりした方がよろしいように思いますので、新しく項目につけ加えさせていただきたいと思います。
  119. 松前重義

    松前委員長 第二の問題といたしましては、公共性の問題の一つといたしまして、まず研究所——研究機関の整備拡充ということが重要な問題でなければならない。すなわち民間放送との相違は、これらの国民から集めたいわゆる聴取料なるものによって研究して、それで民間放送その他日本のテレビあるいはまたラジオ工業の発達に資するという重要なる役割が一つあるはずなんです。これは公共性の最も重要なるものの一つであると私どもは信じておりますが、これも実は先ほどの四大政策の中にはなかった。放送協会としてはどういう態度をおとりになるつもりですか、経営委員長から伺っておきたい。
  120. 阿部真之助

    阿部参考人 御指摘の通り、この研究所というものは非常に私どもは重視しております。だが、当面の問題として四つをあげたわけで、これは非常に金もかかることでありますし、今さしあたってこれを重大政策という四つの中に入れなかったというだけのことで、特にこれが入れないから軽いというふうにお受け取りを願いたくないのです。それはやはり順序があるのでありまして、限られた予算の中で実行に移していく場合には、取り上げる項目というものはやはり限られるということは、やむを得ないことであります。逆にそういうふうにお取りにならぬことをお願いいたしておきます。
  121. 松前重義

    松前委員長 いろいろ御説明は伺いますけれども、私はこの四大政策というものを承って、どうも公共性という立場から多少これは本末転倒のところがあるのじゃないかと実は思うのです。まず国際放送の問題、研究機関の助長、これらに対する拡充というような問題は非常に重要な問題でありまして、この辺が放送協会以外のものではできないところだと私は思っております。難聴地域解消とか、テレビ放送の拡張なんというものは民間放送でもできるのです。第三放送拡充をやるということも実はできるのです。どこでもやりたくてしょうがない、しかしどこでもやれないのが国際放送研究機関の問題だ、そこが大事だと私は思うのですが、この点についてどういうふうにお考えか、もう一ぺん阿部委員長から答弁を願います。
  122. 阿部真之助

    阿部参考人 委員長の御議論はまことにごりっぱだと拝承しております。できるだけ一つ趣旨に沿うようにわれわれは努力いたしたいと思います。
  123. 松前重義

    松前委員長 それからもう一つ簡単に伺いますが、アジア地域に日本が残した遺産は、物ではほとんどないけれども、言葉というものは残しておる。大陸にも残っておれば、フィリピンにしても支那大陸にいたしましても、あるいはまた台湾にいたしましても、東南アジアにおいても言葉は残っておる。その言葉は、私は相当な日本の文化的な遺産だと思うのです。これをどうして維持するかという問題は、海外放送拡充という問題とともに、重要な問題だと思う。短波でこれに聞かせるばかりでなく、中波によって大電力放送をどうしても私はやるべきだと思う。御承知のように、アメリカはすでに沖縄に一千キロの大電力放送をやっておる。それからまたヨーロッパにおきましては、アイスランドに一千キロの放送をやっておるようです。そういうふうにしていわゆる自分の国語の維持、あるいはまた自分の国の情勢をこれらの国々の地域の人々に日本語をもって聞かせる、こういうふうな使命が私は日本放送協会になければならぬと思う。阿部経営委員長は非常に優秀な評論家として、今日まで評論界に君臨しておられるのでありますが、これはあなたでなければ実現できない問題だと私は思うのです。これくらいの抱負は、一つ放送協会を攻撃なさった今日までのいきさつからいっても実現できなければと思うのですが、いかがでございますか。
  124. 阿部真之助

    阿部参考人 まことに同感だと申し上げるほかはないと思います。しかしながらあれもこれもあげていけば、それは簡単なことですが、やはり実行ということになりますと、評論しているようなわけにもいかないので、その点は一つできるだけ実現することにいたします。(拍手)
  125. 松前重義

    松前委員長 非常な名委員長ぶりをぜひ一つこれは発揮していただいて、一つこの辺のほかの民間の会社ではできない面を特に担当していただくところに、私は公共性の問題があると思う。どうかこの辺は政府の問題もありまして、きょう大臣も出てきておらないのでありますが、政務次官はどう答弁するのか、一つ政務次官の答弁を伺いたい。
  126. 上林山榮吉

    ○上林山説明員 かねてから委員長はこの方面について非常に見識のある御議論をされているのでございますが、今回各国をお回りになったので、さらにみがきのかかった示唆に富んだ御意見であるようでございますが、ただいまの国際放送をどう考えるかというような問題を初め、これは緊急に可能な限りにおいて、政府としてもNHKなどと協議の上善処すべきものである、こういうふうにこれは真剣に考えております。簡単でございますがお答えいたします。
  127. 松前重義

    松前委員長 予算の中にしからばどういうふうに組み入れられますか。
  128. 上林山榮吉

    ○上林山説明員 たとえば国際向けの放送の時間をふやすとか、あるいは一、二本方向をふやしていくとか、そういうような問題については予算の許す範囲内において努力してみたいものだ、こういうふうに考えております。
  129. 森本靖

    ○森本委員 こういう問題は非常に重要な問題でありまして、特に国際放送の問題については、あるいは今まで相当の金額の補助が出ておりますけれども、ただいま委員長が言われた放送技術の問題については、これは放送法に基いてもちゃんと国家から一応補助金が出せる仕組みになっておるにもかかわらず、これは一回もそういう金が出ておらない。ですからこれはいかに経営委員長がそういうふうに経営の抱負を述べられても、政府がそういう問題について真剣に考慮しなければできない問題であって、今委員長が言っておるのは、国際放送もそうだけれども、放送技術研究の点についても、政府はもう少し真剣になって考えろ、こう言っておるのであって、放送技術の点についてはどうですか。国際放送については毎年度ある程度予算というものが、小なりといえども一応これは交付される形になっております。放送技術の点については、そういうことはいまだ一回もやっておられない。この点については政府はいかがですか。
  130. 上林山榮吉

    ○上林山説明員 ただいまの森本委員の御質問に対してだけお答えして、以後大臣にお答え願いたいと思いますが、国際放送ないしは公共放送の性質からいって、NHK研究所の充実ないしは強化を格段にはからなければならないという御指摘に対しては、ごもっともな意見であると思いまするので、ただいま大臣もお見えになりましたが、あるいはNHK当局もおられるわけでありますが、よく協議して、予算の関係その他もございますので、できるだけNHK自体が積極的にできるものは、そういうふうにしてもらわなければならぬのでありますが、それでもどうしても万やむを得ないものが具体的にある場合においては、その問題を中心にいたしまして先ほど申し上げた趣旨によって努力したい、こういうふうに考える次第であります。ただいま予算の折衝中であるから、あるいは計画中であるからという段階でございますので、もちろんこの問題も議論にならなければならぬ点であるということだけを申し上げまして、一応私の答弁を終りたいと思います。
  131. 森本靖

    ○森本委員 あしたどうせ郵政省の予算の問題がありますので、そのときにさらに詳細にお聞きいたしますが、政務次官はこの国際放送の点については、今までの慣例で非常に考えておると思います。しかし放送技術研究に関する交付金の問題については、一生懸命努力いたしますという答弁がありましたけれども、なおあした郵政省の三十二年度予算計画に関連して、この問題については質問をしたいと思いますので、きょうの質問は私はこの程度で打ち切ります。
  132. 松前重義

    松前委員長 午前中の調査はこの程度にとどめまして、午後二時半まで休憩いたします。    午後一時三十分休憩      ————◇—————    午後二時五十分開議
  133. 松前重義

    松前委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政事業に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  まず日本放送協会経営方針について午前中に引き続き調査を進めます。質問の通告がありますのでこれを許します。松井政吉君。
  134. 松井政吉

    ○松井委員 午前の関連質問において残った部分を質問いたしますが、時間もだいぶ過ぎておりますので要点だけ質問いたしますから、御答弁の方も要点だけを明瞭に簡略にお答え願いたいと思います。  最初に三十一年度事業計画予算に基いて業務の運営をして参りました現在における実行状況について御説明が願いたい。受信料等の予算から見た成績等もその中に含めて御説明が願いたいと思います。
  135. 池田幸雄

    ○池田参考人 お答え申し上げます。一口で申し上げますと、御承認をいただきました予算の執行につきましては、収入も支出も大体予定通りに進行しているように存じております。たとえて申し上げますと、上半期、九月まででございますが、大体聴取者増加率は五十一%ぐらいのところへきております。受信者増加につきましては四月の初めから努力いたして参りました。できるだけ早い機会受信者予定数を突破することが収入の増加になりますので、この方面に努力いたしましたが、約半分を少し上回ったような形でございます。支出状況を簡単に申し上げますと、多少建設関係でおくれている部門がございますが、大体上半期では総予算の四二、三%のところへいっているように考えております。
  136. 松井政吉

    ○松井委員 本会計年度末における見通しについて御意見をお伺いしておきたい。
  137. 池田幸雄

    ○池田参考人 今の傾向から参りますと、まずラジオの方につきましては、十定数を三月末までにやっといけるような程度ではないかと思っております。と申しますのは、けさほど会長から御説明申し上げましたように、未加入世帯が少くなっておりますから、加入に相当の努力をしなければ予定数を突破しないと思いますが、幸い今の格好からいきますと、大体予定数にいけるというふうに想像いたしております。テレビジョンにつきましては、当初の御承認をいただきました増加数が十八万でございますが、おかげさまで順調に進んで参りまして、年度末には二万ぐらいオーバーするのじゃないか、言いかえますると、二十万ぐらいになるのではないかと予想を立てております。
  138. 松井政吉

    ○松井委員 その実績と見通しの上に立って、もはや数字の検討に入ったと思いますが、三十二年度事業計画並びに予算の規模は三十一年度に比べてどのような形になりましょうか、骨格だけでも検討済みならばお答え願いたい。
  139. 池田幸雄

    ○池田参考人 これは午前中会長から御説明申し上げましたように、ただいま経営委員会の御指示によりまして集計中でございますので、確定的なことを申し上げかねることをお許し願いたいと思いますが、大体ラジオの方は、来年度は今年ほど聴取者増加は自然のままでは見込まれないのではないかと思っております。これはここ二、三年漸減さしていただいております格好から見ましても、また受信者が大体七五%くらいまで普及率を見ておりますので、漸減するのではないと思います。来年度予算がまだ経営委員会の御命令で集計中でございますので、確定的なことは申し上げられませんが、大体三十二年度内にラジオは四十五万くらいふえる。そういたしますと、前年度に比しまして収入総額は約四億少し上回る程度ではないかと思っております。テレビの方は、今のように御審議いただきました予算に比べまして好調な増加を示しております。これは来年度の置局の計画ともからみまして、ラジオよりもつかみにくい数字でございますが、今のような状況でありまして、来年度は今年をずっと上回った三十万前後ふえるではないかというふうな予測がもしも立てられるといたしますならば、収入もそれに伴いまして約十億くらいの増加があるのではないかと思います。しかしこれは来年度建設計画とのにらみ合せもありましてまだ検討中で、事務的な集計上のことを申し上げて失礼でございますが、最終段階に至っておりませんことを御了承願いたいと思います。
  140. 松井政吉

    ○松井委員 大体の骨格と規模はわかりました。テレビの方についてちょっとお伺いしますが、先ほど会長からはマイクロウェーブ等の進展とともに、全国普及中という当りまえの説明しかお伺いできなかったのですが、ラジオと違いましてテレビの方は、マイクロウエーブの方が延びてもそれで普及ができるという状態ではないのではないかと思います。その場合、テレビ普及のための特別の建設計画、施設計画経費等の考え方が当然生まれてきはしないかと思いますが、テレビを国民に見せる立場から、マイクロウェーブの進展とともにテレビの見えない地域解消計画、施設建設等の計画考えられておられるかどうか、考えておるとすればどういう方法とどういう形が構想にあるか、こういうことについて一つ説明願いたい。
  141. 溝上けい

    ○溝上参考人 先ほど予算の進行状況につきまして池田理事からお話がありましたが、これに関連して建設計画につきましても、ラジオ、テレビ両方とも現在検討中でございます。もちろんマイクロウェーブができておりますところは非常にやりやすいわけなので、当然そういうところの方が事業的に容易にできますけれども、われわれの方としましてはそれとまた別に、やはり地域的な重要性とか、なおもう一つテレビジョン電波というものが、最初スタートしたときよりは、だいぶ予想と違いまして、非常に行きにくいところと案外思わぬところによく行くところとありますので、今まで実際に置きました電波の状況を十分に検討いたしまして、それで届かないところを十分に確定した上で、できるだけ早く、なるべく能率よく、広い電波でカバーできるように地域的にも選定したい。それからもう一つはマイクロウエーブがありませんでも、比較的簡単に、現在のテレビジョン電波でもって直接中継できるような方法考えておりますし、それからなお郵政省の方で例のブースター方式に対する法的な手順もお進めになっておられるように存じておりますので、それらを総合いたしまして、現在、この次の段階として日本で一番急ぐというところに置きたい、こういう方針で現在具体的な案を検討中でございます。
  142. 松井政吉

    ○松井委員 そうすると大体増収が見込まれる予算規模のものと、それから昨年以上に建設、施設をしなければならない部分との関係において、テレビだけの支出と収入の関係はどういう工合に押えておりましょうか。
  143. 池田幸雄

    ○池田参考人 ちょっと確定的なことを申し上げられませんので、はなはだ申しわけないのでございますが、今溝上理事から申しましたように、前に当委員会に提出いたしましたテレビの計画が、今申しましたような状況で、ある程度規模を変えたい、変えねばならないのじゃないかという点について検討いたしておりますが、われわれとしましてはできます範囲内、財政の許します範囲内で、置局をできるだけ積極的に進めていきたいというふうに考えております。今申しましたように状況が多少違っておりますので、ただいま再検討いたしておる最中でございます。
  144. 森本靖

    ○森本委員 テレビの点についてちょっと会長にお聞きしたいのですが、NHKがテレビを行うところの法的な根拠は、放送法の第何条に基いてテレビを行なっておるかということをまずお聞きしたいと思います。
  145. 永田清

    永田参考人 お答えいたします。放送法ができましたころにはテレビの問題というのは研究段階でございまして、実際にこういうふうになるというようなことは、明確には予想されなかったように思われます。従いまして放送法の規定としては、放送という非常に広い意味に使っておりましたが、これはラジオ、テレビを含むものと、こういうふうに解釈いたしております。
  146. 森本靖

    ○森本委員 そういう解釈でけっこうでありますが、そうすると日本放送協会については、テレビは放送法の「放送」というすべてに含まれるということになると、第七条の「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」という規定がテレビにそのまま適用せられる、こういう考えNHKの業務を執行しておられるということですね。
  147. 永田清

    永田参考人 その通りです。
  148. 森本靖

    ○森本委員 この問題については今までいろいろ論議をせられたこともありますが、たまたま新しい会長はこの第七条に基いて行われておるものということをはっきり言われましたので、それでけっこうであります。そこであまねく日本全国において受信できるようにするということは、単にラジオだけでなくして、テレビも行わなければならぬということであります。そこで先ほど来の松井委員の御質問に対して理事者の方からいろいろ答えておられますけれども、御承知のように電電公社のマイクロウエーブが、急速に三十一年度全国的に行われるようになった。このマイクロウェーブが急速に行われることになったについて、NHKとしてはそれに付随をし対応して、テレビの放送局の開設ができるように準備を進めておると考えますが、その点はどうですか。
  149. 池田幸雄

    ○池田参考人 マイクロウェーブが、今森本委員のお説のように非常に進展が早うございますので、われわれもできるだけそれに即応いたしたいと思って今検討いたしておりますが、これもやはり財政とにらみ合せて考えていかなければならぬじゃないか、そういう点で再検討を加えておるわけでございます。
  150. 森本靖

    ○森本委員 なかなかゆうちょうなことを言っておりますけれども、すでに民間テレビの方は、マイクロウェーブができるものと予想して、各地において開局の免許の申請を、電波監理局に対して相当行なっておるはずであります。これに対するところの解決は、おそらく近く郵政省も発表することになると思うのであります。ところがNHKはそういう点について、公共放送であると放送法によってはっきりと認定をせられておるという何か特権階級意識的なものがありはしないか。というのは、すでにマイクロウエーブが施行せられるのを見越して、民間としては二つとも三つも同地域において免許を申請しているところが多々ある。ところがNHK一つもしておらぬ。これはどういうところから申請をしておらぬのか、将来民間放送がどこでやられてもNHKは何ら文句はないというのか、その点をはっきりお聞きしたいと思う。
  151. 小松繁

    小松参考人 池田理事の申し上げました意味は、ただいま森本委員の御指摘のことは趣旨は決して違っていないというふうに考えておるわけでございます。NHKは、テレビジョン放送を始めましたときからすでに非常に積極的な意欲を持ちまして、全国普及をはかろうと考えておりまして、むしろ電電公社に向って一刻も早く全国的にマイクロウェーブのネットワークを作ってほしいという要望を強くしてきたわけであります。今日になってみますと、電電公社の計画が相当全国的に具体的に積極的に進められております。この状況とわれわれの考えております意欲とは、大体一致しているとわれわれは感じておりますが、実際の実行に当りましては、何と申しましても協会資金の裏づけが必要になって参りますので、その資金面は従来の建設程度のワクではなかなか急速に実行が不可能のような感じがいたします。ことに今日になってみまして、今森本委員の御指摘の通り、各国各地から非常に早急な実施要望しております。この状況と両方にらみ合せまして、何とかして協会としては資金面の裏づけをもっと拡充する方法をあわせて考えまして、もちろん将来の長期計画としての見通しは大切でございますから、長期計画のもとに、従来のスピードよりももっと速度を速めるという趣旨実施に移すように、今検討しておるわけでございます。
  152. 森本靖

    ○森本委員 そういう検討をしておるということはよくわかっております。いつもそういう答弁がありますので、検討しておることはよくわかっておりますが、現実に民間放送はそれぞれマイクロウェーブが施行せられるということを見越して、相当の申請をしておるわけですよ。ところがNHKはそういう場合に申請がかいもく出ておらぬ。その場合郵政省は、かりに仮免許を与えるという場合に一体どうすればいいのか、こういう問題にも突き当ってくると思うのです。免許の出ておらぬものに対して仮免許をおろす必要はないのですから……。ところがすでにマイクロウェーブが施行せられるのを見越して、民間放送では三つも四つも出ておる。同じ地域において三つも四つも出ておるところもたくさんある。そういうところをNHKはどう考えておるのかということをお聞きするわけです。将来そういう点について十分慎重に行いますということを検討しておるということはわかるけれども、検討している時期ではない。もうすでに出ておる。ところがNHKは、それは民間の方が出ておっても、それの方に一つだけしか許可しないのだ、おれの方には当然許可があるのだ、頭からこういう特権意識的なことを考えておるのなら、これは別です。われわれとしては、これは少くともNHKがこの放送法第七条に基いて行うとすれば、各地域においてNHKというものは、一つテレビジョン放送を持たなければならぬということを常に念頭において考えておるわけです。考えておるけれども、肝心のNHK自身がちっとも積極的に動いておらぬ。民間の方は積極的にどんどん動いているという現況を、どうお考えになるかということを聞いているのです。
  153. 小松繁

    小松参考人 池田理事が先ほど申し上げましたように、三十一年度予算をここで決定していただきます際に、昭和三十二年度までの計画を一応御参考に資料としてお出ししてございます。三十一年度実施すべき局につきましては、具体的に設計も進め、手続の方も進めておるのでございまして、三十二年度、三十三年度の将来につきましては、一応の構想は参考書にお出ししてありますが、そちらの方は正式承認をこの国会で受けておりませんので、そちらの方まで意思表示をするという段階にない実情にあるのでございます。
  154. 森本靖

    ○森本委員 そうすると電電公社が、三十一年度には入ってなかったけれども、三十一年度に特別にマイクロウェーブを施行するというところが出てきたはずです。そういうところは、先ほど私が言ったように、民間放送からどんどん申請が出ている。そういう場合に、それではそういう計画はないから一応三十二年の終りまで待つ、こういうわけですか。それまでの間に一応民間放送に対して仮免許が出て、その準備期間は一年として準備を始めたらどうなりますか。そういう場合にNHKは全然除外してやるということも、法の建前からいけば可能性がなきにしもあらずですね。NHKにどうしても許可しなければならぬということはないわけですから……。申請が出ておらぬものに対して許可するわけには参らぬと思いますが、その点どうお考えになるかということをお聞きしているわけです。
  155. 小松繁

    小松参考人 今の考え方、進め方については、森本委員の御指摘の通りであります。ただ私どもの方では、電電公社の方の計画を——われわれの今立っております。一応参考書に出しておりますそれ以外の地域で、もっと早くマイクロウェーブが完成するというものを、私自身今のところ正確に聞いておりませんが、そういうものがどんどん出てきました場合には、それは国会承認を受けた計画でありましても、社会全体の要望が促進を熱望する空気にあることも勘案いたしまして、そういう場合にはわれわれとしては、さらに計画を場合によっては変更していく。もちろんそれには国会承認が必要になると思いますが、そういう気持を持っているわけでございます。
  156. 森本靖

    ○森本委員 そういう点を知らないというのは、非常におかしいと思うのですよ。そういう事実があるわけですから……。これはどこそこの土地、どこそこの土地というものを私が表明するまでもなく、マイクロウェーブが三十二年にやられるという計画が、急遽三十一年からやられるということになって、三十二年の終りには当然マイクロウェーブが架設せられて、すでにテレビの波が発せられるという段階になる。それを見越して民間放送の方は申請してきている、こういう情勢にある。ところがNHKの方は全然出ておらない。それではちょっと私は電波監理局長にお聞きしたいと思いますが、そういうかりに仮免許をするという場合でも、たとえばNHKから申請が出てくるのを待って全部一切含めてやる、こういうことになるわけですか。
  157. 浜田成徳

    ○浜田説明員 この問題は先ほどお話のように、放送法にある全国あまねくという精神からいたしまして、NHKテレビジョンをまず考えなければいけませんけれども、申請書が出ていない場合には、先ほど森本委員が言われましたように、これはどうもやむを得ない。でありますから、検討しましたあげく、どうしても民間放送の方を先に免許をする必要がある、そういう事態が起らぬとも限らぬと思います。
  158. 森本靖

    ○森本委員 今監理局長が答弁をせられた通りだと思うのです。だから私が先ほど来NHKに聞いているのは、そういう点であまりにもNHKがのほほんとしているのじゃないか。当然おれのところには一つ免許がおりるものなり、こう頭から考えて、すでに民間放送はそういう申請をしているにもかかわらず、NHKがそういう申請も全然行わないということは、非常におかしいじゃないかと思うのですよ。そういう点は私はNHKの将来のテレビジョン問題を心配するからこそ質問しているわけですよ。それに対してNHKがのほほんとしておるという手はないと思う。早急に申請の手続をとるならとるということは、これは検討の段階じゃない。はっきり架設せられるということを見越して民間放送はやっているのであるから、NHKの方としてもそういうものを見越して、そういう申請をしかるべく早急に行なっていいじゃないか、こう私は考えるのですが、その点NHKの方はどうですか。
  159. 小松繁

    小松参考人 基本方針としては、森本委員のおっしゃる通りだと思います。もうその点についてはわれわれもそういうふうな考え方をしてちっともそごはないと思いますが、現実に、どこかにそういうマイクロウエーブが実際に完成されたという場所ができることが明確になった際は、われわれといたしましてはすぐにそれを活用するように計画を進めるということは、これは当然なんですが、御承知通り協会は、三十一年度予算に限って申し上げますならば、もう事業計画の内容、同時に資金計画一切がここで決定されておりますので、その計画を変更しなければならぬわけでありまして、ことにまた方針としてここで国会の御承知を得られるといたしましても、資金の裏づけが一応必要でありますので、それが実施になるかどうか、やはり検討した上で初めて意思表示をするということになろうかと思っております。
  160. 松井政吉

    ○松井委員 それだから三十二年度予算骨格の中で議論が行われているわけでしょう。三十一年度計画実施じゃないわけですね。それで先ほど会長説明でも、すでにテレビ局六局でしょう、さらに六局でしょう、そのほかに二局を考慮している、こういうことです。そうすると十四局になる。その十四局のうちすでに実施しているところ、免許申請しているところ、それから三十二年度予算計画、施設、建設をしているところ、これを具体的にあなたの方で、先ほど会長の御説明なされた中身を御説明なさればはっきりするわけです。それを一つ説明してほしい。  それから電波監理局長にお伺いいたしますが、テレビ局の、NHK、民間を問わず、免許申請をやっている現状について、具体的に詳しく説明していただきたい。
  161. 池田幸雄

    ○池田参考人 本年度承認を得まして実施し、ことしじゅうに完成いたしますのは、札幌福岡——福岡増力でありますが、静岡、岡山、小倉、松山、函館、それだけは本年度中に完成をする予定でございます。それから熊本、鹿児島は多少おくれるのじゃないか、これは先ほど森本委員からも御指摘がありましたように、マイクロウエーブの完成と私の方とのからみ合せで、多少おくれるのじゃないかと思っておりますが、実施する計画にはいたしております。
  162. 浜田成徳

    ○浜田説明員 目下申請が出されておりますものは全体で約七十局でございます。そのうちでNHKは一局であります。その詳細の内訳はただいま資料を持っておりませんので、もし御希望でありますればあとから申し上げます。
  163. 松井政吉

    ○松井委員 今の電波監理局長の説明で、七十局免許申請が出ておる、NHKの一局というのはどこでございますか。
  164. 浜田成徳

    ○浜田説明員 札幌であります。
  165. 松井政吉

    ○松井委員 それではもう一つお伺いいたしますが、先ほど溝上理事も言いましたが、置局の関係とにらみ合せてということもありますが、先ほど私が質問した問題は、置局の問題と、置局でなしに、マイクロウェーブは仙台、札幌が通っておるからその中間の青森は見えない、その場合には置局ではない方法考えられるのか、置局でない方法考える場合の施設、建設予算措置というものは、テレビ増収を見込んで三十二年度予算骨格の中に入っておるのかどうかということを先ほどから聞いているわけです。そういうことについてわかっている範囲でいいから具体的に説明してもらいたい。たとえば七十局免許申請が出ておるうちでNHKは一局だということになれば、六十九局は民間テレビ放送局ということになりましょう。その一局が札幌だ、こういうことになりますから、そうすればその他、あなたの方でマイクロウエーブの進捗とともに、計画されて免許申請を出そうという考え方を持っておる局はどことどこであるか、それから置局以外の施設、建設によってテレビを国民に見せようとする部分は多いと思うから、場所は要らないですから、それに大体早いところから、簡単なところから片づけようと考えるでありましょうから、そういう意味のものを三十二年度にどの程度片づけられる見通しで、施設、建設予算措置考えておられるか、こういうことについてわかる範囲説明をしてもらいたいと思います。
  166. 溝上けい

    ○溝上参考人 経費の問題と関係があるようですが、最初にちょっと申請のことを御説明申し上げます。七十局申請がありましてNHK一局というと、いかにもおかしいようにお感じになるかもしれませんけれども、先ほど副会長から話がありましたように、NHKとしましては年度ごとにきまりました局だけについて、本年度末までに完成するように手配を進めておるわけでありまして、しかも申請いたします場合に、われわれの方としましては、完全に敷地その他の計画が全部完了しました上で、あとで変更がないような形にきまったところで申請いたします。それで申請の免許になるかどうかということにつきましては、これは郵政省の方でチャンネル・プランを一応お考えになるわけですが、これはこれから大部分おきめになるけれども、今まで若干それが予定されておるわけであります。そういうわけで、そういうような見通しもありまして、大体土地はあまり早く発表しますと、いろいろ関連の問題がありますので、全部きまったところで申請いたしますので、ちょっとそこだけ横断面を見ますと非常に少いようですけれども、一応先ほど説明がありました六局につきましては本年度中に完成する、残り二局につきましては本年度着工で来年にかかりまして完成する、こういうわけで実行上の計画は順調に進めておるつもりであります。それから増収分の関係というお話でありましたが、うちの方の予算というのは、建設費のワクはいわゆる経常費とは別個の予算になっておりますので、増収分があったからそれを建設費に直接充当するというのではなくて、借入金によってまかなうわけでありまして、それが数年後に漸次返還されるのですから、来年度幾ら増収があったからどれだけふえるとか、あるいはことしの増収が少いから少くなるとかいうのではなくて、別個の計画で進めていくつもりでおります。それから来年度どの程度局が置けるかということにつきましては、少くとも本年度以上はもちろんやりたいのですが、先ほど申しましたように、割合経費の少い局と経費のかかる局と総合的に考えまして、今全体の建設費の予算のワクがまだ未決定でありますので、具体的に何局ということはちょっと申し上げられないのであります。
  167. 松井政吉

    ○松井委員 置局のものはよくわかりましたが、置局以外の施設工事でテレビを見せるようにする計画があるかないか、計画があるとすれば、すでに予算骨格の中にそれを考慮に入れつつ予算編成をやっておるかどうか、こういうことを開いておきます。
  168. 溝上けい

    ○溝上参考人 施設以外の方法と申しますと、結局具体的に申しますと、一番NHKとして経費のかいらないのは、御承知の共同受信でございますが、これは今のところNHKとしましてはただ指導いたしておりますだけで、自分の方の計画としては考えておりません。それで残る問題として、置局でないとはいえませんけれども、りっぱな独立した局を置くのではなくて、いわゆる中継所式のものを置く、こういうのは先生の言われる置局以外の分に入ると思いますが、そういうものも若干考えております。しかしそれは先ほど申しましたように電波の分布状況を、今年度でき上るものもございますので、それらのデータも相当そろって参りましたので、そういうのを勘案いたしまして、独立した局を置く分と小さい局を置く分と総合的に来年度建設費のワクでもって考えていこう、こういうように思っております。
  169. 松井政吉

    ○松井委員 わかりましたが、そうすると一切のそういう建設は借入金でまかなう、しかしテレビはますます発展をしていくことは明らかでありますから、大体本年度よりも予算規模の歳入面での増収が一応予定される、こういうことになって、それは主として経費にお使いになる一こういうお考えですから、非常にけっこうな話ですが、そうすると今度は全然建設計画と別の方向に移りますが、来年度のそういう増収を見込んだ、たとえば受信ラジオの方で四億程度、テレビの方で十億程度、わずかでございますけれども、とにかく予算規模が大きくなる。しかし建設費用を入れるとするならこれは借入金でありますから、さらに経費面から見た増収分より予算規模は大きくなるかもしれません。だから全体の予算規模の問題がそういう形になるのは当りまえだと思いますが、経費の面はやはり増収した分が膨張するわけですから、経費の面の規模は膨張せざるを得ないわけです。そうすると経費の面において職員の待遇、あるいは具体的にいえばベース・アップ等を見込む予算骨格を考えているのかいないのか、この点を一つ、わからなければわからない、検討中なら検討中でもいいですが、一応聞かしておいていただきたい。
  170. 池田幸雄

    ○池田参考人 お答え申し上げます。お説の通りラジオで四億、テレビで十億近い増収が見込まれるわけであります。御承知のように、そのうち今NHKが必要としておりますのは、けさほど会長が申しましたように、現在ある施設をある程度改良し、改修していかなければならぬ。これは松井委員もよく御存じの通り老朽施設が非常に多うございますので、その改修にもある程度回さなければならず、それと同時にやはり今御指摘のように、これは会長からも申し上げましたが、職員待遇改善にもできるだけ努力いたしたいというふうに考えておりますが、それらいろいろなやりたいこと、たとえば放送時間もテレビについては延長していきたい、学校放送もやっていきたいというようなことを、今総合的に検討しておる最中でございます。
  171. 松井政吉

    ○松井委員 そうするとベース・アップ等は考えておらないということですか。まだ考える、考えないの段階でないということですか。
  172. 池田幸雄

    ○池田参考人 もちろんそれも重要な要素として、一緒に考慮いたしておる最中でございます。
  173. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の来年度見込まれる十四億について少しはっきりしておきたいことは、それ全部がいわゆる老朽施設の改善あるいは待遇改善に回されるのでなくて、当然それがふえるのですから、経営費の増加がなくちゃならぬわけです。ですから、今の答弁は非常にあいまいであって危険があるのですが、十四億全部が増収ではあるけれども、その全部が老朽施設の改善あるいは待遇改善に向けられるのではなくて、置局がふえ、人件費もあるいは番組もふえるのであるから、当然経営費にその部分が繰り入れられなくちゃならぬ。その残りが老朽施設改善費あるいは待遇改善に回される。これは明確にしておかないと問題になるから、その点を一つ……。
  174. 池田幸雄

    ○池田参考人 お説の通りでございまして、私言葉が足りませんでしたが、施設の改善と、それから施設がふえていきますときに人員の増加も見込まなければなりませんし、また受信者がふえましたら、それによる収納費の増加とか、そういう経営的な経費増加は当然頭の中にあったのでございますが、言葉が足りませんで失礼いたしました。
  175. 森本靖

    ○森本委員 先ほどのテレビの点でありますが、電波監理局長に先にお伺いしたいのですが、七十局のうちの一局がNHKだといわれます。この七十局の申請局を各地方別に見た場合に、どのくらいに分けられるわけですか。一カ所から二つ三つ出ておるところもあると思いますが、この七十局を地域別に分けた場合にどれくらいになるのですか。
  176. 浜田成徳

    ○浜田説明員 今書類を私持っておりませんので、明確には申しかねますが、一例を申しますと、東京に七局くらい、大阪が五、六局、北九州地区で二局というような例がございます。その他二カ所くらい出るところが各所にあるでしょう。
  177. 森本靖

    ○森本委員 質問の要旨は、すでにテレビが開設をせられておるところの東京大阪等に対して、その上にさらに申請をしておるところというのではないのです。さっきの私の論争の中心を明らかにしておきたいと思いますが、そういうことでなしに、将来マイクロウエーブが架設せられるところについて、それを見越して申請をしておるところがあると思う。そういう場合に、一カ所に二つなり三つなり、そういうところがあると思うのです。そういう場合の七十局というものはどの程度に分布をせられるか、これが質問の要点です。今直ちにわからなければ私はこれでいいのですが、ただ先ほど来NHK当局の方が、慎重に慎重にということで、また計画がなければ云々というような、予算が云々ということを言われておるけれども、私が繰り返して言って、おるのは、すでに民間放送が三十一年度にマイクロウェーブが追加になって、それができ上るのが三十二年度である、それを見越して民間放送がすでに二つも三つも申請しておるところがある。ところがNHKは全然それに申請しておらない。そういうことになると、法の建前からいけばかりにこれが今仮免許を——今年になるか来年早々になるか、それは郵政省の方針でまだ明らかになりませんけれども、それが明らかになった場合は、それが除外せられるというおそれも多分にあるのです。そのことを私はNHKに注意しておるわけです。まだお気づきになりませんか。これが私の質問の肝心の要点です。この質問の要点をNHK当局が理解をしていただくならば、私のこの質問は終ります。
  178. 小松繁

    小松参考人 今の森本委員お話はよくわかっております。またその線に沿ってわれわれこれから進んでいきたいと考えております。
  179. 森本靖

    ○森本委員 わかったなら一つ十分——そういう私が先ほど来質問をしておるところが多々あるはずですから、十分に電波監理当局と話し合いをして、そういうおくれをとらぬようにNHK当局としてはお願いしたいと思います。  それから次に私は海外放送の点についてちょっとお聞きしておきたいのですが、最初に会長から海外放送刷新充実を行なっていきたいという説明がありましたが、この海外放送刷新充実を具体的に会長としてはどういうようにお考えの上、これを進めていかれようとするか、その点を具体的に御説明願いたいと思います。
  180. 永田清

    永田参考人 海外放送の問題につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、技術的にはなかなか困難な問題がございますのと、それから時差がありますので、ただNHKが非常に積極的にこれをやったということだけでは問題が完了しないので、海外で聴取する人が十分にこれを受け入れてくれなければならない、こういう事情にございます。従って技術的な問題はそこへ移っていくのでございますが、これは後ほど技術担当理事から説明いたします。  なお海外放送方向につきましては、先ほども申しましたように、次第に拡大されておる次第であります。それから内容についても十分検討し、日本の文化を海外に紹介し、あるいは日本の実情を知らせて国際親善に資したいという趣旨のもとに、それを一そう強化していくという方向でございます。放送時間につきましても、従来は一時間だったのを一時間半ないし二時間にふやしていきたい、こういうことになるのでございますが、国際放送NHK自体ではできませんので、ほかの関係がございますから、それらと結んで進めていきたいと考えております。
  181. 森本靖

    ○森本委員 具体的な、刷新充実という内容にまだ一つも触れてないのですが、この国際放送については、放送法の第三十三条に基いても、これは大体郵政大臣が放送協会に対して、こうこうこういうことを一つ年度はやれ、その命令に従って放送協会がこれを実行することになるわけです。だから放送協会がそういう点について大いに意欲を燃やして、刷新充実という点について考えていくという点はよろしいわけですが、そういう点、すでに三十二年度以後の問題について、郵政省の方からあなたの方に対して、刷新充実という点の具体的な内容についてお話がありましたか。それがないと、会長がこれを幾らやろうとしたところで、やはり法の建前上から言うとそういう結果になろうと思いますが、その辺はどうでしょう。
  182. 永田清

    永田参考人 郵政大臣に御質問ですか。
  183. 森本靖

    ○森本委員 よく質問を聞いてもらいたいと思いますが、私の言うのは、そういう海外放送、それから国際放送等の問題については、もともと放送法の第三十三条に基いて郵政当局放送協会に委託をするなりあるいはまた命令をすることになっておるわけです。だからそういう話については、すでに会長の方に対して郵政大臣の方から具体的な内容についてお話があったのかどうか、そういう点をお聞きしておるわけです。これはあしたの郵政省の三十二年度予算についての内容にも触れてくるわけでありますので、特に会長にその点をお聞きするわけです。——この問題は放送法第三十三条に基いて、NHKの海外放送における基本的な問題なんです。こういう問題については、少くとも大臣から経営委員長並びに放送協会会長に対して、最高の責任者に対して話があるはずなんです。だからそういう点について会長の方に話があったのかどうかということを、会長にお聞きをしておるわけであります。——私の質問の要点がわからぬようですが、先ほど会長は四大政策の中に、この海外放送問題については落しておって、あとから逓信委員長が注意をして、その海外放送についても前に答弁をした通り考えております。これは重大政策の中に追加をいたします。こういうことで答弁があったので、それほど重大政策であるならば、ここで会長が独断でそういうことを言ったところで何にもならぬので、すでに郵政大臣の方からそういう話が会長の方にあったのかどうか。これは交付金の問題ともからんでくるので、郵政当局から会長の方にそういう話があったかどうか、こういうことをお聞きするわけです。なければない、あったらあったと簡単な答弁でけっこうです。
  184. 永田清

    永田参考人 海外放送の問題につきましては今のお話通りでございます。事務的にはそういう形をとることになるわけでありますが、先ほど申しましたように、NHKとしては海外放送充実刷新を行いたい、こういう趣旨のもとに目下事務局でいろいろな関連の問題がありますので、それを整理していただいて、そうして郵政大臣からこの問題についてのお話があるものと、そう承知いたしております。
  185. 森本靖

    ○森本委員 海外放送国際放送の点については、三十三条に基いてはこれは郵政大臣の方が協会に対して命令をするということになっておりますが、そうすると協会の方でちゃんとおぜん立てをして、こういう計画をして一つこれを御命令下さい、こういう形をとっておるわけですか。
  186. 永田清

    永田参考人 これは法の建前からして、郵政大臣の方から、国としてこういう海外放送が必要だという基本的な問題がきまるわけでございますから、こちらから言ってはおりません。
  187. 森本靖

    ○森本委員 私がお聞きをしておるのは、そういう建前になっておるからこそ、会長が公約の建前として、これこれの問題については実現をしたい、こういうことを公然とこの委員会で言われたので、そういう問題についてはすでに郵政大臣の方から話があっておるかどうか、もし話がなくして言うならば、それはから回りにすぎないから、から回りの説明をせられたのかどうかということをお聞きしておるわけです。これはちょっと考えると意地が悪いような質問にとれますけれども、事実その通りなんですから、そのことをお聞きしておるわけです。私がお聞きしておるのは、そういうふうな話が郵政大臣の方からあったのかないのか、なければないという答弁でけっこうなんです。そういう話が郵政大臣の方からないけれども、協会会長としてはこうやろうと思いましたので、そういう答弁をいたしましたということなら、それでいいわけです。しかしそういう答弁なら身もない答弁をしておった、こういうことになるわけで、その辺を明らかにしてもらいたいということを言っておるわけです。
  188. 永田清

    永田参考人 先ほどNHKの基本的な運営方針について御説明いたしました中に加えましたのは、当然今の森本委員のような方向に具体的になって参りますので、ぜひそういうふうなことに進めたいということを言っているのであって、具体的なプロセスは御説のような形になると思います。
  189. 森本靖

    ○森本委員 それでよくわかりました。結局まだ郵政省の方からはそういう話もないけれども、NHK当局としてはこういうことをやりたいということで、これから先またこういう命令については、郵政大臣の方からあるかないかわからぬけれども、NHKとしてはこういうことだということであって、実際は身のない答弁であるということが明らかになった。しかしこの問題についてはあとで私はまた質問したいと思います。この海外放送の問題については、さらに明日の郵政省の予算の際において、これは交付金の問題もからんで参りますので、その際に十分に質問したいと思いますが、次に海外放送の点について、国内の報道におけるニュース源についてはわかりますが、NHKがニュースの時間に放送しております海外から入ってくるニュースについては、どこどこの通信機関から入ったニュースを、海外のニュースとしてニュースの時間に放送されておりますか。これは今後の日ソ国交回復にからみまして、このニュース源についてちょっとただしておきたいと思うわけです。
  190. 永田清

    永田参考人 海外放送の問題は御承知通り非常に大事になって参りましたので、NHKとしては従来ニューヨーク、ロンドン、パリに支局を置き、さらにワシントン、ニューデリー、香港に増設いたしたいということでありますが、これは外貨割当等の問題がございますので、それと関連して進めていきたいと思っております。従ってそういう支局からの的確な報道を入れるのと、さらにつけ加えて共同、AFP、AP、UP、ソビエト通信、ラジオ・プレスといったような、国際的な通信網とも結んでおるのであります。さらにつけ加えますと、BBC並びにアメリカのVOAというようなところとの関連もはかっておる次第です。
  191. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 関連質問。僕はそういう森本君のような言い方は賛成しないのだ。はっきり言うが、この海外放送拡充については、東亜方向方向、ソ連方向方向、二方向増加する、並びに放送時間は従来十三時間を二十八時間とする、こういう考え方が郵政当局にあって、それを郵政当局の方で、もちろん予算を獲得してみなければわからぬけれども、来年度予算としてはこういうことをやりたい、従ってNHKはこれについての準備をすべしという話し合いがあってしたのではなかろうかと思うのですが、その点はどうですか。郵政当局にはっきりしてもらいたい。
  192. 浜田成徳

    ○浜田説明員 その通りであります。
  193. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そういう点は僕は委員としてもう少し親切に聞くべきだと思うのです。一応放送協会会長は地位のある人でありますから、その人に聞いたのでは答弁はから回りをする。委員会の質疑はそういうふうであるべきではない。ですから私はその点をはっきり局長に確かめて明らかにすべしと言ったのですが、聞きませんから私が聞いたのです。その点を私は特にこの際明らかにしておきます。
  194. 森本靖

    ○森本委員 明らかにしていただいてけっこうでありますが、私はその点については郵政大臣から放送協会会長にそういう話があったかどうかということをお聞きしているわけです。それについてないというから私はそういうことを御質問したわけであって、何も委員としての侮辱などには当らぬわけでありますが、せっかくの御忠告でありますので、忠告は忠告として同僚委員からの忠告は聞きますけれども、しかし私の質問は何ら落度がないと自信を持っておりますので、その点は将来とも私がそういう方向質問をすることもあるわけであります。  そこで先ほどのニュース源の問題でありますが、ニューヨーク、 ロンドン、パリというような放送協会の支局のあるところから入ってくるニュース源については問題がないと思うのです。ただAP、共同、ソビエト通信、中共の通信というようにそれそれの——東欧諸国においてはそれぞれの国で一つのきめられたような報道機関があるわけでありますが、西欧諸国においてはそれぞれの商業の通信網があるわけであります。そういう場合のニュース源を協会の方で取り上げた時間数を、会社別に明らかにするというようなことはできますか。これはきょう答弁がなくてもけっこうでありますが、次の委員会あたりまでに、そういうニュースを取り上げた時間数等についてはっきりした資料ができますか。
  195. 小松繁

    小松参考人 ただいまの御要求に対しましては、非常に長い期間全部を通じての正確な数字が出るかどうか、はっきり今ここでは申し上げかねますが、最近の何カ月というふうにやればあるいは出るだろうと思いますので、そういうものは作ってお出しするようにしたいと思います。
  196. 森本靖

    ○森本委員 それではNHKの分についてはあまり長くなりますので、これで私は打ち切りますが、次の委員会あたりにおきましてかりにNHKの問題を取り扱う場合には、海外のニュースをNHK報道する場合におけるニュース源の時間割が、大体明らかにできるような用意をしておいてもらいたいと思います。それに応じて、今後の国際情勢に応じたニュースの公平な取扱いという点について質問をしたい点がありますので、その御用意を次の委員会までに願っておきたいと思います。
  197. 小松繁

    小松参考人 承知いたしました。
  198. 松井政吉

    ○松井委員 私の質問の最後の項に入りますが、だいぶ時間がおくれましたので、あとは全部省きます。省きますが、三十二年度計画の中身の一つになっているラジオ関係で難聴地域解消のうちの一つ、ローカル難聴解消についての具体的な解消方法をどのようにお考えになっておるか、これが第一点。同時にローカル放送番組の中身について、どういうローカル番組を重要視してお考えになっておるか、二の二つの点について明瞭にお答えを願いたい。
  199. 溝上けい

    ○溝上参考人 御質問の前半の技術的の措置につきましてお答え申し上げます。難聴地域についてはかねて国会方面全国難聴を優先的に取り扱うようにというような御方針でありまして、在来大体その線に沿って鋭意計画してみました結果、一応、まだ多少はありますけれども、かなり全国的な難聴という部面については、よほど人口の希薄な所を除きますと、大体完了に近づいたような気がいたします。それでその当時の御趣旨と若干違って参りますけれども、その後全国的な各地の御希望を総合いたしますと、今のお話のローカル的な難聴、県別難聴というのが非常に強くなって参りまして、これはどうしても放置できないという点から、去年あたりからも多少入りましたが、特に本年度計画につきましては相当な要素として、置局の中に県別難聴の解決という部分を織り込んで進めている次第でございます。これに対する措置方法としましては、結局隣接する局の増力と、それから難聴地域の中心地へ小さい局を置くという二つが考えられるわけです。増力に関しましては先般の周波数の変更のときにできる限り要望しまして、郵政省の方である程度取り入れていただきました。置局の方につきましては来年度のテレビと同じように、建設計画予算のワク内で可能な限り進めたい、かように考えております。
  200. 小松繁

    小松参考人 先ほどの松井委員から御質問番組について申し上げます。ローカル番組といたしましては、何と申しましても第一順位としてはローカル・ニュースであります。第二順位といたしましてはアフター・ニュースともいうべきような社会番組、たとえば農事、婦人、県政というような番組学校放送などもこれに入ると存じます。第三番目にはその土地々々固有の演芸などがこれに入ろうかと思います。そういった一般文化的なものを扱うようにいたしております。
  201. 松井政吉

    ○松井委員 そうしますとローカル難聴解消方法については、われわれの方は要望する以外に方法がないのでありますから、これをできるだけ増力、置局によってローカルの難聴解消してほしいと思います。番組問題について、中身の産業放送は、二の部門の通念上の社会番組に入るのですか、これはどうなんですか。
  202. 小松繁

    小松参考人 ただいまお話通り第二の社会番組の方に考えているのであります。先ほどローカル・ニュースと申しました中には、場合によりましては、これは考え方でございますが、地方行政部あたりからの公知事項というものもこれに属するかと思います。
  203. 松井政吉

    ○松井委員 僕らがローカル番組で一番重要視したいのは産業放送なんです。産業放送といってもほとんど指導的な放送をしていらっしゃるが、これはやはり大切にしたいと思うのです。だから、通念上の社会番組の中の学校放送も大いにけっこうでございますが、演芸等の時間は私は要らぬと思うのです。これはできるだけ少くして、今でもローカル難聴地域の、たとえば農村地帯においては種をきく時期、ことしは冷害が起りそうだという説明、そういう放送はみんな聞きたいわけです。それが難聴のために聞えない。聞えないのでよその県に頼んで番組編成してもらっておりましょう。そういうことがうんとある。そうするとこれは一つの県内に受信機を持ってラジオを聞きながら、よその県に頼んでその地域の産業指導の放送をやってもらわなければならない、こういうことが行われているわけですから、これを解消するために全力を尽していただきたいと思うのです。そうでないと、ローカル放送の意味が半減してくるのです。受信機を持って、放送は聞いておるけれども、よその県に頼まなければその地域の農業関係、その地域の公共関係、あるいはその地域の産業指導の説明等を聞くことができない、こういうところに非常に重要なことがある。そうしてこのことは、ある場合においては指導説明になり、ある場合にはいろいろ技術指導の面が出てくるのですから、これは民間放送でやり得る仕事ではないのです。スポンサーをつけてやり得る仕事ではないのです。従って民間放送のニュース等は、ローカル線のニュースあるいは中央のニュースをローカルに移して持ってきてやっているようですけれども、そういうところにNHKの行うローカル放送重点を置いてほしいと思うのです。だから、そういう工合に三十二年度計画についても御考慮願いたいと思います。これもある意味における希望ですけれども、ぜひそういうところに重点を置いていただきたいと思うのです。それと難聴地域は、これは増力と置局と、それ以外の技術的な方法によって解消していただく、これだけをわれわれの方では希望する以外に方法はございませんから、その番組の点について一つもう一ぺんはっきりとしていただきたいと思います。
  204. 小松繁

    小松参考人 先ほど順位を申し上げましたが、これは性格を申し上げる意味で申し上げたのでありまして、実際の扱っております放送からいいますと、地方農事、それから産業方面には最も多くの時間とまた最も多くの人をかけて実際に扱っておるつもりでございます。各地方の放送局に農事放送専門家を置いて、農事放送に非常に力を入れているのもその一つでございます。実際にまた放送が、地域社会に非常に大きく役立ったという実証がはっきり現われておりますのもこの農事放送であり、産業放送でございますので、松井委員のただいまのお考えについてはもう十二分にわかりますし、またそういう御趣旨に沿って今後もやっていきたいというふうに考えております。
  205. 松井政吉

    ○松井委員 大体私の質問を終りますが、最後に希望を申し述べておきます。他の同僚委員からも希望がいろいろ出ていると思うのですが、テレビの方の、たとえば免許申請の問題についても、国会予算の審議を受けなければならない企業体であるので、そういう建設資金等の関係から大事をとっている向きもあろうと思いますが、テレビジョン放送が日本にできるかできないかのときにはまことにすばしっこい芸当もやってのけた実力を持っておるNHKでありますから、一向遠慮なくどんどんやってほしいと思う。  それからさらに三十二年度事業計画予算編成方針の四大目標に海外放送その他の希望が含められて進められることと思いますが、ここに本日説明されたものは、ほんとうの当りまえの平面だけから見れば、何もそれほど味のあるものじゃないのです。その中身となるすべてが味のあるものだと思うのです。そういう味のあるものをできるだけ用意されて、そうして委員会等に予算提出事前にやはり知らしていただく、それから必要なるデーターはわれわれにいただきたい。そういうことで公共放送の正常な発達にわれわれも寄与いたしたいと思います。それでしかもわれわれの行う質問は時と場合には気に入らない質問もありましょうけれども、われわれは何もNHKに対する質問、それから電波放送に対する質問、これはどんなことを言ったってわれわれには利害関係がございません。われわれが法律を作って、その法律のもとに行うため、立法府としての法律執行のまじめさをわれわれは現わすわけですから、気になさらないで、おっくうになさらないで、どんどん出てきてみずから進んで説明するくらいの勇気を持っていただきたい、こういう希望を申し上げて私の質問を打ち切ります。
  206. 永田清

    永田参考人 御承知のように、公共放送は将来の社会の健全な発達につきまして、非常に重大な任務を持っておりますのでわれわれもその責任者として十分にその職責を果すように努力いたしたいと思っております。いろいろな御趣旨はよくわかりました。それはまたわれわれのむしろ求めようとしておる方向であることは明らかになったのでありますが、民間放送と違って、やはり問題を確実に前進せしめるべき性格の仕事でございますので、具体的に今後着々推進していきたいと思っております。
  207. 松前重義

    松前委員長 私から三つ簡単に御質問しますから、簡単にお答えを願います。中波大電力放送というものは、中国大陸、台湾、東南アジアの地域に対して日本語放送がいかに重要であるかということは、先ほど経営委員長にお尋ねしたときに申し上げました。これに対して今日まで多少われわれの意見をくんでやってもらった点はありますけれども、今後の具体的な計画があったらまず第一点としてここにお示し願いたいと思います。  第二は研究費の問題です。研究費は全体のNHK予算の何%に当るか、NHKがほんとうに公共放送性格を持ち、公共的な性格を持っておるならば、これに対して相当なものを使って、民間の技術の育成に努めるのは当然であります。これは一体どのくらい使っておるのか、その点の金額をお示し願いたい、それが第二点です。  第三点はカラーテレビの実施について伺いたいのです。大体カラー・テレビはようやく実施の段階に世界的に入って参りました。まだ完全であるとは言えませんけれども、とにかくここにカラー・テレビが生まれようとしておる現実において、放送協会は試験放送ぐらいで一体いいのか悪いのか。試験放送のことは伺ったけれども、心がまえを伺いたい。これが第三点です。一つ御答弁を願います。
  208. 小松繁

    小松参考人 中波大電力につきましては、これは先ほど松前委員長からこれの必要性のよって来たるゆえんのお話がありましたが、全くその通りに存じます。日本の近くの海外には、日本語自身直接理解のできる方が非常に多いのでありまして、その人たちに中波の放送をそのまま聞かせるということは、これは非常に簡単にしてまた最も効果の多い方法考えまして、また一方これに副産物的に外国から最近非常に大きな電波的な侵略、言っては言葉が悪いかもしれませんが、混信を受けております一つの防衛策にもなることを考えますと、現在の五百キロ程度ではまだまだ不十分で、むしろ百キロ、二百キロまで増力することが非常に有効な方法だと考えまして、現在全国的な計画は一応立てて持っております。一部百キロにまで増力が可能な政府の方針が立ちまして、着々その方向に進みたいというふうに考えておりますが、今後さらに政府側におかれまして、国際会議においてさらに増力可能な方向に進みますならば、できるだけ早くそういう方向に進みたいと考えておる次第であります。  次に技術研究に関しましては、数年来しばしばこの委員会におきまして大きな示唆を与えられておるわけであります。またNHK性格からいいまして、当然力を尽すべき大きな事項というふうに考えまして、数年前から急速度に予算の増額をはかりまして、昭和三十一年度におきましては四億三千七百万円をこれに投じておる次第でございまして、全予算面からいいまして大体今年約四%に相当するわけでございます。今後もこの方向に大いに力を尽していきたいというふうに考えている次第でございます。  第三点のカラー・テレビに関しましては、本年度技術研究費の約五千万円をこれに計上いたしまして、このカラー・テレビの部分的な研究に力を尽していきまして、現段階におきましては、部分的な研究は一応完了の段階に至っております。実用的なところまで部分的には進んだという実情にございます。従いまして、これからは直ちに総合的な、実施的な研究段階に入るという意味合いをもちまして、先般これの実験放送の申請もお出ししたような状況でございます。今後これのいよいよ実用化、また実施ということに向って積極的に進めていきたいというように存じておる次第であります。
  209. 松前重義

    松前委員長 今の放送協会の御答弁に対しまして、中波大電力に対する政府としての希望、これは当然政府としての政策面においてアジア極東政策として必要なものでありますから、何か一つ意見があると思うのです。それから研究費に関しまして、ただNHKの聴取料から四%をこれにさいて持ってきたというお話でありますが、これだけでなく、何か国家としてこれというもの、助長育成したいという国家の補助、こういう問題を考えておるかどうか。カラー・テレビの促進に対してどういう考えを持っておるか。この三つの点を政府側から一つ御答弁を願いたいと思います。
  210. 浜田成徳

    ○浜田説明員 中波大電力放送につきましては、札幌東京大阪福岡の四カ所に百キロの設置を決定いたしまして、ただいま小松会長の御説明のごとく進行中であります。しかしながらまだこれでは十分とは考えられませんので、できますならばさらに増力可能性につきまして検討いたしたいと思っております。これにつきましては国際条約の関係もありますから、簡単には実現は困難でありましょうけれども、いろいろな観点からいろいろの方法をもってその実現について考えを進めたいと思っております。  研究費につきましては、先ほどいろいろお話がありました通りNHK公共放送としての性格を十分に果す意味から申しましても、相当の費用を聴取料のうちから研究費にさいて、みずからの事業のみならず、一般の放送事業に対しても貢献する必要があるのであります。これについてなるべく多額の費用が出されますように要望しますと同時に、政府におきましても日本の放送事業国民の将来について重大なる影響を与えることを考えまして、なるべく奨励するような方策を考えたい。すなわち研究資金の交付を考えている次第であります。これは毎年のことでありますけれども、なかなかこのことが実現しませんことは遺憾に思っておるわけでありますけれども、今年も皆さんの御後援を受けまして、ぜひその実現をはかりたいということを考えております。  次に天然色テレビにつきましては、先ほど松前委員長が言われましたように、私の考えでは非常に急ぐと思います。世界の趨勢は、テレビジョンは天然色に移行しつつある。アメリカはすでに実施に入っております。その他の各国でも大わらわになって、その実現に努力しております。この趨勢に基きまして先般のCCIR、国際無線通信諮問委員会の決議の中に、この次の総会の一年前に、モスクワにおきましてテレビジョン研究部会を開催することを決定いたしました。すなわち再来年のおそらく春または夏において、天然色テレビについての標準方式の国際的な討議が行われるだろうと期待されるわけであります。もはやそれまでに一年余りしか時間がありませんので、日本はNHKのみならず、民間放送七の他の機関もこぞって協力いたしまして、この方式の確立、日本としての態度を決定するような必要に迫られていると考えます。その意味からも、NHKにおきましては、先ほどの研究費に、特別な費用を天然色に割り当てられるような措置が望ましい。政府におきましても、そういう意味におきましていろいろ考究したい。そういう所存でございます。
  211. 松前重義

    松前委員長 ごく簡単に希望を申し述べておきます。中波大電力につきましては、昨年来百キロからの増力を多少やられたのでありますが、これはこの前も経営委員長のお見えになるところで申し上げた通り、アメリカがすでに沖縄において千キロ、また南鮮が二百キロ以上のものをどうもやるらしい。こういうことも大体ニュースとして入っております。あるいはまた中共の放送あるいはソビエト側の放送等が日本を妨害している。こういうようなことで、非常に国際的な空間の戦いがある意味においては起っている。こういう見方からいたしましても、あるいはまた日本語をここに保存するという意味からいたしましても、今日の百キロ程度のものではとても間に合わないと私は思いまして、こういう点で本質的な研究を政府としても考えてもらいたい。この点要望しておきます。  第二の研究費の問題は、四%というものは、外国の普通の製造会社でさえも五%前後の研究費を出しております。日本でもやはりそのくらいの程度を普通の製造会社は出しております。それ以下の研究費で、四%を出したから公共性があるのだということは、私は言えないと思う。非常に私は全体として少いと思う。ほんとうに公共的な、民間の放送その他をある程度技術的に指導する体制の中央機関たらしむべく、これはもっと思い切った支出を私は必要とすると思うのであります。この点につきましては、来年度以降新会長においてとくと研究されんことを望むものであります。  それからカラー・テレビの問題は、ただいま承わったように、世界的傾向となって参りましたが、由来テレビなんかをやりますときに、非常に私どもが遺憾に思いますのは、わが国民間放送その他においてこれを採用する場合においては、あるいはRCAより、あるいはその他の外国の会社からすぐ買ってきて、何でもそのまま備えつけることによって、わが国独自の技術というものがはばまれてきている。幸いにして放送協会研究所においてこれに対して相当熱心な研究を続けてきて、ある程度成果を得ておられる。ただ単に放送協会実施面のみならず、日本の製造工業に対して、カラー・テレビが本格的に実施せられる場合においては、国内産業によってこれを生産する。このくらいの意気込みをもって政府は指導し、また放送協会はこれに便宜を与える。こういう態勢を私はとらなければならぬと思うのであります。御承知のように普通の白黒テレビの場合でも、この間までアメリカやその他から輸入しておりまして、日本でできるようになってもなお海外より買おうとする民間の放送会社がございます。これを防ぐのに、政府自身もへなへなになってしまってそれを許そうとする。どういうわけで許そうとしたのか知りませんが、日本の国産品を防遏して、海外に依存せしめようとする考えがその方面にあった、それと戦うのにずいぶん苦労したのでありますが、そういうことにならないように、今度は政府自体としても、また放送協会技術的に実力をもっと発揮されて、そうしてこれらの日本的なものによってこれが実施せられんことを希望するものであります。私の質問はこれで終ります。
  212. 松前重義

    松前委員長 次に国際電信電話株式会社の経営問題について発言の申し出がありますので、これを許します。橋本登美三郎君。
  213. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私は時間もありませんから、なるべく簡単に御質問したいと思います。  大臣並びに国際電電当局にお聞きしたいのですが、大臣は国際電信電話株式会社に対しては、もちろん監督権を持っておりますが、今私がお聞きしたいのは、この株式会社法の第十一条に、取締役および監査役の選任及び解任、並びに利益金の処分等があるわけです。最近、本日おいでになったように、社長以下専務がおかわりになっております。もちろんこれは許可事項でありますからして、出されたものを認可するのでありますが、世上いろいろ言われておりますので、これについての御説明を大臣からお伺いいたしたい。並びに利益金処分でありますが、第六期利益金処分を、これは営業報告が手元にありますけれども、この利益金処分はどういう方針でこれを御認可になっておるか。この二つについて、まず大臣からお聞きしまして、続いてこれに関連して社長、あるいは専務でもけっこうですが、第六期の営業状況及び営業成績の状況、並びに当委員会でかねてから問題になっておったのですが、国際電信電話会社というものは、法律に基いてきめられたいわゆる独占会社である。であるから、常に利用者の利便を第一に考え、いわゆる配当等については第二義に考えるべきである、優先的に利用者の便宜をはかり、従ってサービス改善とともに、料金の値下げ等も行うべきである、こういう見解を何回かの委員会によって出しておるわけであります。この問題につきましても、最近解決を見たようでありますから、これらについても御説明を願いたいと思うのであります。
  214. 村上勇

    ○村上国務大臣 まず第一点の国際電信電話の役員の解任についての御質問でございますが、これは私が法律によって許されている範囲にしかこれに当っておりません。役員会並びに株主総会において、これこれの人が一身上の都合でやめられる、これこれの者をその後任に、あるいはその定員を満たすために就任させたいというような意図をもって申請がありましたので、私は単にこれを了承したというにすぎないのであります。世上いろいろとうわさされている点があるとただいま言われましたが、私はそういうような点についての世上のうわさは、何も聞いておりませんし、その役員の解任につきましては、法の命ずるままに行なっておるわけであります。  第二点の国際電信電話会社の経理の内容あるいはその利益金の処分等につきましては、これは事務当局国際電信電話会社の事務当局と非常に熱心に協議した結果、ともかくこの程度のものは、一部値下げを断行しても十分経営がやっていけるだろうという結論が出ましたので、過日四億円程度の値下げを断行いたしまして、国際通信の利用者といいますか、貿易業者等のために、この値下げを断行した次第であります。
  215. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今大臣は非常に穏やかな言葉でしたが、私はせんだっての取締役の解任、このことば別といたしまして、法律に従ってとおっしゃる言葉については、私はもう少し見解を明らかにしてもらわなければならぬと思う。第十一条で——これはその他の条項にもあります。各条項にあるのですがたとえば第十一条でもけっこうですが、「取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議は、郵政大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」。この法律の解釈ですが、今回のこの取締役の更新については、私は大臣が法律に従って云々と言われましたから、この法律上の解釈を一つはっきりしておきたいのです。この会社法、その他の法律でもけっこうですが、この会社法でいうところの認可を受けなければならないということは、出されたももについては、そのまま無条件で認可しなければならないと御解釈になっておるのですか、その点をもう少し……。
  216. 村上勇

    ○村上国務大臣 これは私は出されたものは、何でも認可しなければならないというように解釈いたしておりません。出されたものに対して、その人が適当であるかというところまで検討した結果でなければ、この認可は何でもかんでも認可するということではないと解釈いたしております。
  217. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうだろうと思います。それで前の答弁ですと、私は法律に従ってそれを了承したにすぎないということをおっしゃいましたので、今後法の運営上疑義が起きますから、それであらためてお聞きしたのですが、私は今の大臣の答弁のように、出されたものについては、郵政大臣が過去の実績を考え、かつまた会社の状態、将来を考えて、いわゆる認可すべきものは認可し、認可のできないものはこれを差し戻して、もう一度一考せよ、こういう権限を持っておられるだろうと思います。  続いて社長から本第六期の営業状況及び利益金処分の内容等について、御説明願いたいと思います。
  218. 町田辰次郎

    ○町田参考人 第六期の営業報告は、各委員の方にみな差し上げてあるはずであります。またきょう持っておりますが、これを一々全部読むということは、えらい時間がかかると思いますが、いかがいたしましょうか。それから事業計画概要も、実は準備して持ってきております。これもお手元に差し上げてあるそうでございますが、何でしたらこれを一通り私から申し上げてもいいのですが、大体ここに全部出ておりますし、これを一々申し上げると非常に時間がかかるように思いますが、いかがですか。
  219. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私のお聞きしておるのは、利益対照表全部読めとは言っていないのです。利益金の処分内容、たとえばこの中に書いてありますが、剰余金処分、すなわち準備金あるいは別途積立金、いろいろ書いてありますが、そういうものの内容について、もう少しこれを具体的に御説明願いたい、こういう意味です。
  220. 町田辰次郎

    ○町田参考人 私はちょっとこまかいことは……。
  221. 大野勝三

    ○大野参考人 ただいまお尋ねになりました第六期の営業成績、なかんずく利益の処分についての質問でありますが、お手元にお配りをいたしました第六期営業報告書の中にもございます通り、第六期の利益は前期から繰り越しました利益剰余金一億六千四百二十八万四千三十六円にこの期の利益金五億二千二百七十七万四千三百四十八円を加えまして、合計六億八千七百五万八千三百八十四円ございました。この利益をどういうふうに処分いたしましたかというと、利益準備金といたしまして法定の二千七百万円、それから納税引当金といたしまして二億四千万円、株主配当金といたしまして一億三千二百万円、これはちょうど年八分の配当に相当いたしますもので、これは半期でございますから一株につき二十円の配当ということになるわけでございます。そのほかに別途積立金といたしまして五千万円を除き、役員賞与金四百万円、次期に繰り越します利益剰余金として二億三千四百五万八千三百八十四円を計上いたしまして、株主総会でその通り承認になり、さらに郵政省御当局でも御認可になったということに相なっておるわけでございます。
  222. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 社長から営業報告をお聞きするのがめんどうでありますれば、担任の重役からでもけっこうであります。なぜ私がこの利益剰余金のことをお聞きしたかといいますと、聞くところによりますれば十一月一円から料金の九分の引下げを実行するそうであります。その金額は大体において四億くらいになると思います。そうしますとこの利益金の従来の処分の仕方、これとの関連性が出てくるはずだと思います。そういうことがありますものですから、従って繰越金の利益をよけい残したこともそれに関連してくるだろうし、そういう点から利益剰余金の処分の内容についての説明——これだけ読んでもらうならあえて読んでもらわなくてもいい、ここに書いてあるのだから。要するに十一月一日から大体九分と聞いておりますが、その料金引下げを当局の見解に従って断行される、まことに英断である、しかし赤字にまでして料金の引下げは行われないのですから、そういう点に関連して御説明を願いたい、こういうわけです。   〔委員長退席、松井委員長代理着席〕
  223. 町田辰次郎

    ○町田参考人 よく御趣旨はわかりました。来期は値下げの影響を受けるのでありますが、これは今専務が答弁したように八分の配当をするに最も適当なる収益なり、その他いろいろな角度から勘案して、これが適当だということで八分の配当にいたしたわけでございます。続いて先ほどいろいろ御心配になった年に約四億ほど一応減収になる見通しでありますが、これらにつきましては一応見通しとしては、前期の配当は継続ができるのではないかというふうに見ております。
  224. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今のお話を伺いますと、配当は従来通り八分を持続することができるという予想で、年間四億円の料金引き下げによるところの減収があっても、他の増収によってまかなおう、こういうお話のようでありまして、もう少し詳しい説明を聞きたいのですが、一応この程度にいたしておきます。  なお私がお伺いしたいのは、国際電信電話会社は従業員の待遇等についても非常に考慮しておって、この点われわれも従業員の待遇が改善されるということは、まことにけっこうだと思うのですが、年間四億近い、いわゆる利益金がそれだけ減るわけでありますから、将来どういう事業量の増加があるかわかりませんが、そう大した事業量の増加考えられないと思いますから、従って合理化とか、そういう面がかなり大きく出てくるのではないか、そのために従業員の待遇が改悪されたり、あるいはまた無理が生ずるようなことがないことを希望するのですが、その点に対する見通しとしてはどうお考えになっているか、その点を御光明願います。
  225. 町田辰次郎

    ○町田参考人 実は今度の値下げをする場合におきましても、いろいろの角度から勘案しまして、また郵政御当局ともとくと御協議をした結果、今御心配のような点をいろいろと検討しましたが、今日の見通しとして、それによって従業員の待遇が悪くなるとか、また配当に悪い結果を来たすというような見通しではなく、現状でいけるという見通しが立ちまして、かような値下げもいたしておるような次第でございます。
  226. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 なおこれに関連して当時株の処分問題でもって当委員会でもいろいろ論議があったのですが、そのときに一部の外部の人から株を公社とかそういうような団体が持った場合、この国際電電会社が公社に引き戻されるのではないか、こういうような心配が一部であったようであります。この点については政府当局はどう考えられるのか知りませんが、おそらく政府当局でもそういう考えはないと思いますが、大臣からも御説明願いたいと思います。少くとも私個人、委員会においても、現状といいましょうか、これらが国民大衆の、利用者の利便を十分に達成し、かつまた健全なる経営が行われている範囲内においては、これを公社にしようというような考え方は出てこないだろうと私は思う。特に私は当時会社法を制定します際の委員長でありました関係もありますが、できるだけいわゆる民間企業としての長所をとって進歩、発達してもらいたいというのが私の念願であります。従ってそういう点に関する一部のいわゆる誤解といいますか、まあ一種の誤解でありまして、もしそういう点がありますれば大臣からも御説明願いたいと思います。少くとも私はその問題は健全なる経営が行われ、かつまた国民大衆の利便がこの方式によって十分に達成せられるのでありますれば、そういう心配はなかろうと思うわけであります。なおこれに関連しまして今後日ソの国交が回復せられて近く批准が行われると思います。従来ともにソ連と直接はやっておらないようでありますが、ソ連もしくは中共と直接将来いわゆる無線なりの方法によって通信を開始する意図があるかどうか、そういう点について御説明願いたいと思います。
  227. 村上勇

    ○村上国務大臣 私に御質疑の点だけをお答えいたします。国際電信電話会社を公社にしたらどうかというような声は、必ずしも皆無とは申されません。第二十四国会の当時におきましても、そういう声が相当あったのでありますが、私といたしましては現在のところ、ただいま橋本委員御指摘の通り、私企業のうまみをあくまでも発揮いたしまして、日本の国際通信のために大いに役立たしたい、かように思っておりますので、公社にするということは毛頭考えておりません。
  228. 町田辰次郎

    ○町田参考人 東京とモスクワとの無線電信の連絡は、終戦後間もなく再開されたのでありましたが、昭和二十四年の三月十六日に司令部の指令によりまして実は停止されたのであります。現在対ソ連絡通信は、御承知通り長崎−ウラジオ間の海底電線、これによって支障なく取り扱われておるような次第であります。本年の初めに国交調整の問題が云々されておりましたころから、ソ連は直通電話なり電信なり、あるいは写真連絡なりの開設について提案をいたしておりましたが、これに対しまして郵政御当局は、正式に国交が回復するまで保留したい、こういう趣旨の回答をいたしておることは御存じの通りであります。なお最近二カ月間の取扱い電報の数は、平常の月で六百通から七百通あります。本年八月は日ソ会談のためにだんだん多くなりまして、約二千八百通に上っておるのでありますが、今までの通信量では直通連絡を持つほどのことはないと思われるのであります。なおモスクワとの経過時分は約二時間ぐらいかかる、こういうような現状であります。
  229. 森本靖

    ○森本委員 私もちょうど今出ている問題で質問してみたいと思いますが、長崎とウラジオ間の海底電線は今どうなっておりますか。
  230. 山岸重孝

    ○山岸参考人 長崎とウラジオの海底電線は、現在長崎ののは国際電信電話株式会社の所有に帰しておりまして、それから三海里まで日本側の所有になっております。それから先はグレート・ノーザン、大北電信会社の所有でありまして、ウラジオからモスクワはソ連のケーブルが使われております。しかし長崎とモスクワとはそのケーブルによりまして直接の通信をずっと行なっております。
  231. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、昔やられておったノーザンの通信連絡というものはモスクワまで行っておって、モスクワから先の有線連絡というものは欧州諸国に対してなされておらないわけですか。
  232. 山岸重孝

    ○山岸参考人 このグレート・ノーザンは、お説のごとくヨーロッパまで行っております。それで日ごろの通信は長崎とヘルシンキとの間に行われておりますが、ソ連との間の電報がございますときにはモスクワでそのケーブルを途中で落して、ウラジオと直接やっております。
  233. 森本靖

    ○森本委員 もう一つイースタンの方の有線連絡は今どうなっておりますか。
  234. 山岸重孝

    ○山岸参考人 イースタンのケーブルは、極東方面については戦後全然回復しておりません。
  235. 森本靖

    ○森本委員 これは線はもう全然ないのですか。
  236. 山岸重孝

    ○山岸参考人 グレート・ノーザンの線が長崎−上海間にございますが、今の中共政府がこのグレート・ノーザンの線を使って長崎と上海との間の電報を扱うという意思がないように聞いております。上海と香港との有線の状態がどうなっておるかは知りませんが、しかし通信はとにかく行われておりません。
  237. 森本靖

    ○森本委員 そうすると長崎−上海−香港間の海底線は今全然使われておらないということになりますが、この所有権はどこになっておるのですか。
  238. 山岸重孝

    ○山岸参考人 グレート・ノーザンに属しております。
  239. 森本靖

    ○森本委員 上海と香港間の海底ケーブルはどうなっておりますか。
  240. 山岸重孝

    ○山岸参考人 上海と香港の海底電線はケーブル・アンド・ワイヤレスの所有に属していると思います。所有権としてはそうだろうと私は想像いたしております。
  241. 森本靖

    ○森本委員 そうすると昔あった長崎−上海間、上海−香港間の海底ケーブルは、現在全然使用しておらないわけですね。長崎と上海間については、使用しようと思えばできるという回線の状態にあるわけですか。
  242. 山岸重孝

    ○山岸参考人 お説のごとく長崎−上海、上海−香港間は全然使われておりません。長崎−上海線につきましては、故障の個所が方々にあると聞いておりまして、現実に修理しておりませんから、使おうと思っても直ちに使えない状態であります。
  243. 森本靖

    ○森本委員 それでは今日モスクワとの連絡は有線を通じて可能なんですね。今日は無線よりも有線でモスクワとの連絡は行われるわけですね。
  244. 山岸重孝

    ○山岸参考人 さようでございます。モスクワとウラジオと直接に通信をやっておりますから、無線とほとんど変りないと思います。
  245. 森本靖

    ○森本委員 この問題はまたあらためてお聞きしたいと思います。前に戻って、先ほど橋本委員質問に対して大臣がお答えしましたことが、どうも私頭が悪いのではっきりわかりませんが、国際電信電話株式会社法第十一条の認可という点は何かぼやけたような答弁であったので、もう一回具体的にはっきりした御答弁を願いたいと思います。先ほど橋本委員に御答弁をした内容を具体的にお答え願いたい。
  246. 村上勇

    ○村上国務大臣 会社から役員を改選して、これこれの者を役員にするという申し出があった際に、郵政大臣は、それに異議があってもそれをそのままうのみに認可してしまうというものではないと思います。従って万一その役員の過去の行跡、あらゆる点から勘案した際に、それが不適格な人であるとしたならば、それに対して承認しないということがあると思います。
  247. 森本靖

    ○森本委員 わかりました。この第十一条の認可を受けなければその効力を生じないということは、文字通りやはり郵政大臣が認可をしなければその効力が生じないとはっきり解釈してよいでしょう。
  248. 村上勇

    ○村上国務大臣 その通りであります。
  249. 森本靖

    ○森本委員 次に、これは利益金の問題と料金の値上げの問題にからんでくるわけでありますが、九分の値下げで四億円の減収になるということであります。来年度九分の値下げをして、株主配当が八分ということになってきた場合の利益の見通しについて具体的にお答え願いたいと思います。
  250. 大野勝三

    ○大野参考人 森本委員、ただいまの御質問をちょっと聞きもらしましたのですが……。
  251. 森本靖

    ○森本委員 ここは会社ではなくして国会委員会でありますので、委員質問する点については、よくお聞きを願いたいと思います。なお委員会委員会の風習がありますので、一つ十分お気をつけ願いたいと思います。  私がお聞きしておるのは、先ほど橋本委員が言われましたように、九分の値下げによって四億円の減収になることについて、これが従業員の待遇にも関係しないというふうに言われておりまするけれども、先ほどちょっと言葉の中で経営合理化という点もありましたが、この問題についてはあとでお聞きいたします。とりあえずこの四億円の減収になった場合に、株主配当が依然として八分であるという場合、その収入がどうなってどういう見通しになるかという、概算なものでよろしいわけでありますが、来年度見通しについてお聞きをしておるわけであります。
  252. 大野勝三

    ○大野参考人 料金の値下げをいたしました結果、概算いたしまして年間四億円の減収になるであろうという予想を立てましたのは、実は三十年度の実績を土台にいたしまして、それに引き当ててみれば大体そういう数字になるであろうというふうに見込みを立てたわけでございます。ところが最近に第七期の決算がようやくまとまりかけておりますが、それを見ますと、非常に営業の状態は改善されております。もっともこの第七期と申しますのは、本年の四月から九月までの期間でありまして、料金の値下げが実施されますのは、先ほど申し上げましたかと思いますが十一月からでございます。そういうわけでありますから、この第七期には値下げの影響は現われていないのでありますから、営業の状態がいいということはもちろん当然でありますが、ここで大事な点は、私どもが当初料金の値下げ案を検討しておりました当時に、大体電報の需要の増加趨勢というものがどのくらいあるであろうかという点であったわけであります。これはまあ非常にむずかしい問題になりますけれども、大体過去の実勢から推しはかって、このくらいは増加すると見込んでも差しつかえないのじゃないかと思われたのは、大体二%くらいであったのであります。ところが実際はそれをはるかに上回っておりました。それが当時においては予測できなかったいい結果が現われたわけでありますが、その状況は昨今のいろいろな情勢を勘案して考えますと、ずっと引き続き期待してもよさそうに思われます。そういうことを織り込みまして、八期の収支がどのくらいになるであろうか。八期と申しますのは本年九月から来年の三月でありますが、それを大体見込んでみますと、なるほど確かに減収は年間にいたしますと四億、言いかえますと一期二億円ということでございますけれども、それは伸びたであろう収益がなるほど二億へっこみますけれども、その収益の伸びがかなりようございますから、かれこれ考え合せますと、七期、八期を比較すると若干これはどうしても収入減は避け得ないのでございます。七期一期と八期一期だけの収入の状態を比較してみますと、それほど大きな減収には事実ならない。これは言いかえますと、非常にむずかしい問題でございますが、たとえば七期が一〇〇の収入であった。われわれの予想では八期は一一〇に伸びる。これは一つの例でございますが、八期は一一〇に伸びるはずである。それが実際は今の料金値下げでこれが一〇〇を割って、九五とか九六に落ちるはずであるというような場合、これが実際は今申しました通り、見込みの問題ではありますけれども七期は一〇〇であった、八期はおそらく九六、七くらいまではいくのじゃないか、こういうことになります。そうすると七期、八期を比較しますと、その減収は二とか三とかあるいは四とか、そういうことになりまして、当初予定されました一一〇との比較では大きいのでありますけれども、前期と比較しますと実績ではそれほどの減収にならないということが期待できるのではないかと、これは少し楽観過ぎる見方かもしれませんけれども、まだやってみないことでありますから何とも申せませんが、まずまずそういうことを考え合せますと、相当に事業増が予想以上に伸びがよかったということから考え合せまして、実績の減収は——実績の減収と申しますか、前期、前々期と比較しての減収は、それほどのものではない。今申します四億というのは、これだけの収入があるであろうという、あるべき収入との比較でございます。今、後に申しましたのは、実際にあった収入との比較でございます。多いとか少いということは、この辺は非常に言いにくいのでございますが、まあそういう意味で、実績と比較しますとそう大きな減収はなさそうだという見込みが大体立ちそうであります。やや楽観過ぎるかもしれませんが、今も申しました通りそういうわけでありますから、配当その他の問題は、先ほど社長の申し上げました通り、八分の持続には何らの懸念はございません。また他の経費その他におきましても、必要経費を処弁するのにいささかも不自由を感ずることはないというふうに考えております。
  253. 森本靖

    ○森本委員 四億円の減収というのは私も聞いたのでありますが、これだけの収入があるという見通しに立った場合の四億円の減収であるということであって、実績にからんで考えた場合にはこれほどの減収にはならない、こういうことですか。
  254. 大野勝三

    ○大野参考人 そこが非常にむずかしいところなんです。もう一ぺん申し上げますと、こういうふうにずっと事業増がございまして、一つのカーブを描いて収入というのは年々ふえて参ります。予想される収益といってもいいかもしれませんが、それと比較して、値下げをした場合にはそれだけのギャップができる。そのギャップが年間四億円と推定されるわけです。ところが、今私が言っておるのは、この予想されておる上向きのカーブの線と比較すれば四億の線かもしれませんが、上向きの実績と平行線を引きますと、上向きの線と平行線との間にギャップがございます。このギャップを取り払って、得べかりし利益というものをとるならば、現実の前期の収益と料金値下げのために出てくる収益を比較すれば、四億円よりも相当内輪のものになるということを申し上げておるわけです。
  255. 森本靖

    ○森本委員 それは私の方から聞いておる通りだと思うが、具体的にはここに第六期の営業報告書というものがあるわけです。そこで第七期の場合は関係がないわけでありますが、第八期から以降について、具体的にこの数字がどのくらいになるかという見通しをお立てになっておるかということをお聞きしておるわけです。
  256. 大野勝三

    ○大野参考人 第六期はごらんの通り収入だけで申しますと、大体二十六億見当でございますね。実は今第七期の決算を締めつつあるのでございますが、七期は第六期の収益の状態とほぼ同じ——ちょっとぐらいふえるかもしれませんけれども、大体七期と六期とは大差ない決算になりそうでございます。八期に至りますと、これは全く予想した通りに全部取り込まなければなりませんから、確かなことは申し上げられませんが、六期、七期に比べては八期は若干少い収入になるだろうというふうに予想いたしておる次第でございます。
  257. 森本靖

    ○森本委員 私がお聞きしておる点とだいぶ違うわけですが、この減収の分が関係するのは八期以降でしょう。だからそういうことは直ちにむずかしいとしても、料金の値下げをする場合には、将来の一応の見通しを持って料金の値下げを行うと思うのです。そういう場合に、ここに六期の報告が出ておるけれども、こういう報告の形が八期以降の場合にどういう形になるという見通しを持っておられるのか、こういうことを聞いておるわけです。大ざっぱであろうともそういう見通しがなければ、料金の値下げについては、ただもうけておるから値下げをするということではないと思う。一応これだけのもうけがあるから、これだけの値下げをしても何ら差しつかえないという考え方に立っておられると思う。そうした場合に、第七期の場合は関係ないとして、第八期以降についてはこの問題がどうなっていくかということを——これははっきりした数字を言えというのは無理でありますが、そういう場合の営業成績というものが具体的にどのくらいになっていくであろうという見通しを、国際電電の重役の方々は立てておられるかということをお聞きしておるわけです。
  258. 大野勝三

    ○大野参考人 私は大体そういうお尋ねに対してお答えいたしたつもりでありますが、もう一ぺん申し上げますと、今申します通り、値下げは今年の十一月からでありますから、減収の効果が実際面に現われて参りますのは第八期でございます。その第八期は、六期、七期に比べて若干の収入減はございますが、絶対に現在の配当を維持し、あるいは必要な経費を処弁するのに不自由を感ずるようなおそれはございますまいということを申し上げたわけであります。
  259. 森本靖

    ○森本委員 だから私はそういう内容について先ほどから聞いているので、そういう内容については具体的に数字になった場合にどういう数字になってくると予想しておられるかということを聞いておるわけです。その数字をことこまかにこのくらいの数字になる、一銭一厘違わぬということを言うのは困難だろうけれども、一応の見通しとしてはどういう数字を持っておられるのかということをお聞きしておるわけです。だからあなたの答弁の内容についてはすでにわかっておるので、私の聞いておるのは、そういう具体的な数字の場合にどういうことを想像しておられるのかということを聞いておるわけです。
  260. 大野勝三

    ○大野参考人 森本委員の具体的な数字を的確に話せと言っても無理だろうという、まことに御理解のあるお尋ねでございます。全くその通りでございます。予測の問題でございますから、いろいろな数字が出ますけれども、いずれもそれに信憑性を百パーセント持たせることはできません。そこで大体のことを申し上げますと、御承知通り通信の需要は、世界動乱があるとか、経済界に非常な変動があるかいたしますれば大きな影響を受けまして、思わざる変化を期待しなければなりませんけれども、まずまず今日の状態では先ほど申しましたようなある程度の伸びを期待しても差しつかえないような状態ではないかというふうに考えられます。そういうことをやや楽観的であるかもしれませんが織り込んで計算をいたしますと、最後に、その収入の総額という点だけにしぼって参りますと、ここにごらんになりますように六期には二十六億円余りの収入が出ております。七期にも大体この見当のものが出はしないかと考えておるのでございますが、第八期に至りますと、値下げをして、それが十一月からきいて参りますから、二十六億はとても期待できそうもございません。そこでどのくらいになるかという数字は、先ほど森本委員のおっしゃった通りどうもまだ的確にはじき出していないのでございますけれども、それにいたしましても、あらゆる必要なものを全部処弁したあとでの最後のしぼった利益がどのくらいになるかと考えてみますと、これは非常に大ざっぱな見当でございますけれども、この六期、七期が五億円見当出ておるのに対しまして、やはり四億円少々くらいに落ちるのじゃないかと思っております。そこで四億円少々に落ちた場合は、今御心配になるような必要な労務費とか、給与費、そういうものは全部差引後の問題でありますから、あとのしぼった結論で影響を受けるものは何かといえば、配当か準備金かそういうものをどうするかということが残ってくるわけであります。
  261. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 関連して。私もさっき深く聞かなかったのですが、森本委員の聞いておるのは、——たとえば六期なり七期なりの計算では、料金を従来のままにしてやれば、第八期に幾らかの増収が出てくるわけですね。たとえば二十七億五千万なら二十七億五千万、そういう増収を見込んで、なおかつ半期に二億円今度は料金引き下げによって減ってくるわけですね。もちろん二億だけ増収が出てきて、もとの二十六億五千八百万円ならわれわれは心配しない、おそらくこれを切るのじゃないか、切った場合にどこを切るか、合理化によって首を切ったり、従業員の待遇を下げたり——先ほどあなたは八分の配当は大丈夫だと言って、第一条件に八分の配当を言っておりますから、八分の配当に触れないで、もしこれが予定通り増収が出てこない、二十六億五千八百万円だけは出てこない、そこで二億減収ということになると、結局は配当金に手をつけるか、積立金、保留資金を減らすか、もしくは従業員のいわゆる合理化にいくか、この三つのうちいずれかにしわ寄せがいく。この場合においてあまり予想が狂ってくると、会社であるから配当は八分を下げられない。そういうことから従業員のいわゆる賃金に手を触れるようなことがあっては、これはわれわれとしてはあまり芳ばしくない。これは絶対にせぬでもらいたい。従業員の待遇はすでに今日与えられている一種の既得権であって、この既得権を侵害するようなことのないようにしてもらいたい。こういう意味からその点具体的に森本委員が聞いているのだろうと思う。もう少し具体的に言ってもらいたい。
  262. 森本靖

    ○森本委員 私の質問の要点に専務の方は大体触れられてきたわけです。私の質問をしておる点に対して、いわゆるすべての経費とかいうものを支払った後においても、いわゆる減収になっても、なおかっこの六期の営業報告に出ておるところの五億二千万円というところの金が四億の程度は残るだろう、こういうことになって、ここに一応あなたたちの見通しというものがはっきりしてきたわけです。そうするとこれは首を切るとかあるいは従業員の待遇を下げるどころか、まだ上げてもかまわぬという結論になるわけですけれども、場合によっては上げる財源というものはあり得る。あるいはまた場合によっては大臣が念願をしておるところの料金をもう少し値下げをしてもかまわぬということになるわけですが、しかしあえてこの問題について私は触れません。この問題について触れませんけれども、ここに今の答弁に明らかになったことは、そういう九分の減収になりましても、実際には第八期の利益金というものは四億程度になるということになって参りますと、将来の従業員の待遇その他については、下げるどころか場合によっては上げ得る可能性が出てくるということが考えられるわけですね。その問題を、上げるとか下げるとかいうことは別として、営業方面から見ると上げ得る可能性は出てくる、こういうことになるわけですね。
  263. 大野勝三

    ○大野参考人 非常にデリケートな問題についてお尋ねをいただきまして、今私が申しましたのは六期、七期というような比較的確実な数字をもとにしての予想を申し上げたのでございまして、たとえば所要経費の処弁をしたあとでもなおかつ云々と申し上げたその所要経費は、六期、七期において出しておる経費を土台にして言っているわけでございます。ここで少しよけいなことを申し上げるようで恐縮でございますけれども、御承知通り大体東京大阪のセンターができまして、一応の態勢は整ったわけではございますけれども、これからなおさらに研究所施設を拡充するとか、そうでなくてもサービスを向上するために海外通信施設の増備あるいは改良、そういうことをはかっていかなければならぬ面が出て参りますから、そういうことも将来に考えながら、またお尋ねになりました給与の面につきましても、上げるとか下げるとか、そういうことを聞かないとおっしゃっておられますが、全く私どもこの問題は単に営業面の数字だけを見て余力があるから上げてよろしい、余力がないから下げてよろしい、やはりそういう機械的には結論が出せない問題だということ、これは森本委員のおっしゃっている通りだと思う。そういう辺で一つ御了承願いたい。
  264. 森本靖

    ○森本委員 私は何もここでどうこうという結論を出しておるわけではない。どうせあなたの方の会社にもそれぞれ労働組合があって、それぞれ賃金問題について労使双方で解決をつけられると思う。ただしかし問題がこういうふうな料金の減収になるという場合において、冒頭からその経営合理化あるいはまた従業員の待遇の低下というようなことが論議をせられましたので、私はこの予算の内容からして一体それでは経理はどういうふうになっていくのかということを、ずっとあなたに御質問を申し上げた場合に、これは大体四億円程度の利潤になるから心配ない、こういう答弁を得ました。それをすべて従業員の待遇改善に回せとも何ともわれわれは言っておらぬわけです。それはやはり施設の改善あるいは営業の改善等によって、ますますサービスの向上に努めなければならぬ、改善に使わなければならぬでしょう。しかしたまたまそういうような出し得る財源があり得るということが明らかになったという点を私はあなたに念を押しているわけであって、それを今ここでどうこうせよというのではなしに、明らかにそういうところの財源は出ているということが今の答弁で明らかになったということを、あなたが認識をしておいてもらえばそれでいいわけです。
  265. 大野勝三

    ○大野参考人 よくわかりました。
  266. 松前重義

    松前委員 政府にちょっと質問いたします。今まで私はこの問題は触れませんでしたけれども、今度は触れてよろしい問題でありまして、触れなければならない問題だと思います。それは日ソ交渉がもし国会において承認されたと仮定いたします。そういう場合において樺太との間にはすでに通信線が、海底電話線が行っておる、この問題です。これを一体政府はどうなさるつもりか、これは国際電信電話と公社と非常に関係のあるものでありまして、一体電電公社にやらせられるのか、国際電信にやらせられるのか、あるいはその辺の所有権の帰属はどういうふうに考えておられるか、これらの問題について、あの領土たな上げになった現状においてどういうふうに考えておられるか、一体その辺に具体的な方針を持っておられるか、これを伺いたい。この問題は具体化いたしましたからお尋ねいたします。具体化しない問題については日韓の問題がございます。朝鮮海峡があります。そうしてまた今後におきましては中共との間の問題も出てきましょう。いずれにしましても、今後このようないわゆる無線のみによっては通信は断じてできません。だから有線の通信網を通じてこれらの多量の通信をはからなければならない安定したる通信をつけなくちゃならぬということは当然でありまして、すでに英国並びにヨーロッパ大陸、それからアメリカ大陸等は長距離の海底電話網によって、電話線によってもうつながれたのです。そこまで技術は発達してきております。日本でも作ればできぬことはありません。このような時代において一応国際電信電話株式会社をどのように使おうと思っておられるか、またこれらの国際間の問題について、所有権の帰属、将来の運営方法、それらについてどういう考えを持っておられるか、大臣から伺いたいと思います。
  267. 村上勇

    ○村上国務大臣 なかなか重大な御発言のようであります。この問題はきわめて重要な問題でありますので、ただいまただ単に郵政大臣がこう思うからというだけでお答え申し上げても、また政府全体の意向を打診しないで私から軽率に申し上げることはどうかと思いますが、御趣旨の点は十分承知いたしましたので、私各方面とも十分研究いたしました上で、お答えさせていただきたいと思います。
  268. 松前重義

    松前委員 もうすでに日ソ交渉を行われている、しかも妥結の寸前にある現在、まだ御準備がないということはまことに遺憾に思います。これは当然今まで考えておかなければならない問題であるのでありまして、しかしないならばないとして、率直な今の大臣の御表明によって私も了解いたしますが、今度の臨時国会までにはぜひとも具体的な政府の方針一つ宣明していただきたいと思います。  そこで問題は、先ほどのヨーロッパ大陸とアメリカ大陸とをつなぐ海底電話線が開通したという問題であります。その技術的な様子についてわれわれも多少関心を持ったのでありますが、もちろんこれを日本でやろうとしてできないことではありません。しからば国際電信電話株式会社はいかなる抱負を持って今後の、こういう平和がだんだん回復されて、相互の交渉が緊密につながっている歴史の現代に処して、日本の文化的なあるいは経済的な発展にその通信網を提供しようとしておられるか、もうすでに何らか具体的にプランをお持ちだろうと思いますから、一つ壮大なプランを伺いたいと思います。
  269. 町田辰次郎

    ○町田参考人 まだ具体的なそういうプランはありません。私就任以来、大局的にいろいろな角度からそういう問題についても絶えず検討を加えておりますけれども、まだ具体的なる結論は出ておりません。しかしその問題は今後大いにやるつもりであります。
  270. 松前重義

    松前委員 どうもとうふにかすがいのようで一向手ごたえがなく、まことに残念に思います。しかし国際電信電話にはこの間就任されたばかりでありますから、前の人にもなかったということになるでしょう。早急に政府との間に話し合って、将来の日本の経済発展に資する通信網の計画を具体的にやっていただきたい。国際電信電話はほとんど無線ばかりに依存しておるようであります。エンジニアにも無線の人ばかりしかいないでしょう。そのようなことでは、とても国際電信電話使命を果すことはできません。今後日本がだんだんと衰弱していくというのなら別問題ですが、われわれは国を興そうと思っておるのですから、そういうことではとてもそれに対処することはできないと私は確信いたします。この前の国際電気通信株式会社の陣容よりもずっと後退した陣容でもってやっておられる。それは営業問題もありましょうけれども、今後に処するにはもう少しかまえを大きくしてもらわなければならないと私は思うのです。わけても日ソ交渉ができつつあるのに、政府側でまだあの通信線をどうするか考えてもいないというのでは話にならないと思う。幾らひょろひょろ内閣でも、このくらいのことは検討して準備しておかなければならない、事務当局にも少し苦言を呈さなければならないと思う。とにかくこの問題につきまして、この次の臨時国会までには一つ国際電信電話株式会社においても、また政府においても、ある程度の具体的な、あなた方の施策を表明していただきたい。これは当面した問題でありますから要求しておく次第であります。以上であります。
  271. 森本靖

    ○森本委員 今日は時間がありませんので、私の質問もこれで終りますが、次の委員会におきましては、さらに事業計画の内容について、無線と有線の問題について、それから国内における電報の受付等の問題について、主として業務上にわたるところのいろいろな施策の問題について、具体的に説明をしていただきたいと思いますから、できればこの事業計画の概要というふうな、こういう簡単なものでなしに、もう少し詳細な内容の説明書をあらかじめ配付を願っておきたいと思います。その他の問題についても次の委員会で詳細に行いたいと思いますので、とにかく事業計画の概要という問題については、いま少し詳細な報告書を御提出願いたいと思います。
  272. 松井政吉

    ○松井委員長代理 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ、本日はこれにて終了いたします。次会は明十一月一日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。  各参考人には御苦労さんでございました。    午後五時十九分散会