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1956-05-25 第24回国会 衆議院 逓信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十五日(金曜日)    午前十一時四分開議  出席委員    委員長 松前 重義君   理事 秋田 大助君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 松井 政吉君    理事 森本  靖君       宇田 耕一君    川崎五郎君       竹内 俊吉君    濱地 文平君       山本 猛夫君    山本 利壽君       佐々木更三君    志村 茂治君       杉山元治郎君  出席政府委員         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (大臣官房電氣         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (貯金局長)  成松  馨君  委員外出席者         通商産業事務         官         (中小企業庁振         興部振興課長) 川島 一郎君         日本電信電話公         社理事         (業務局長)  吉澤 武雄君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した請願  一 簡易保険保険金最高制限額引上げ請願   (松浦周太郎紹介)(第六号)  二 同(小平忠紹介)(第六四号)  三 簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲拡   大に関する請願松浦周太郎紹介)(第七   号)  四 同(小平忠紹介)(第六六号)  五 北海道地方簡易保険及び郵便年金加入者   ホーム設置請願松浦周太郎紹介)(第   八号)  六 同(小平忠紹介)(第六三号)  七 鷹匠町に特定郵便局設置請願田中武夫   君紹介)(第三五号)  八 簡易保険診療所増設等に関する請願(小   平忠紹介)(第六五号)  九 長野地方貯金局原簿移管反対に関する請   願(原茂紹介)(第八八号)  一〇 同(下平正一紹介)(第八九号)  一一 簡易郵便局事務員待遇改善に関する請   願(野田武夫紹介)(第九〇号)  一二 和井内簡易郵便局特定局昇格請願   (山本猛夫紹介)(第九一号)  二二 北海道地方簡易保険及び郵便年金加入   者ホーム設置請願町村金五君紹介)(第   一四五号)  一四 簡易保険診療所増設等に関する請願(   町村金五君紹介)(第一四六号)  一五 簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲   拡大に関する請願町村金五君紹介)(第一   四七号)  一六 簡易保険保険金最高制限額引上げの請   願(町村金五君紹介)(第一四八号)  一七 鳴海町の電話普通加入区域拡張に関する   請願加藤清二紹介)(第一四九号)  一八 御厩町に無集配郵便局設置請願(高木   松吉君紹介)(第一七六号)  一九 郵政職員兼職に関する特例制定請願   外十件(床次徳二紹介)(第二一二号)  二〇 高知電話局舎建築に関する請願森本靖   君紹介)(第二一三号)  二一 郵政職員兼職に関する特例制定請願   (原捨思君紹介)(第三四六号)  二二(中馬辰猪紹介)(第四四九号)  二三 荏原町に無集配特定郵便局設置請願(   宇都宮徳馬紹介)(第三七九号)  二四 久ヶ原町特定郵便局設置請願(宇都   宮徳馬紹介)(第三八〇号)  二五 郵便年金支給額増加に関する請願(勝間   田清一紹介)(第四四四号)  二六 北海道地方簡易保険及び郵便年金加入   者ホーム設置請願本名武紹介)(第四   四五号)  二七 簡易保険保険金最高制限額引上げの請   願(本名武紹介)(第四四六号)  二八 簡易保険診療所増設等に関する請願(   本名武紹介)(第四四七号)  二九 簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲   拡大に関する請願本名武紹介)(第四四   八号)  三〇 尾道市にテレビジョン放送所設置請願   (高津正道紹介)(第四五〇号)  三一 郵政職員兼職に関する特例制定請願   (池田清志紹介)(第五〇八号)  三二 稚内漁業用海岸局短波施設設置請願   (廣瀬正雄紹介)(第五〇九号)  三三 鳴海町の電話普通加入区域拡張に関する   請願早稻田柳右エ門紹介)(第五一〇   号)  三四 毛呂山郵便局集配局昇格請願(横   川重次紹介)(五七二号)  三五 当日に特定郵便局設置請願草野一郎   平君紹介)(第六〇三号)  三六 上前木に無集配郵便局設置請願(内海   安吉君紹介)(第六〇四号)  三七 公衆電気通信法等の一部改正に関する請   願(中村梅吉紹介)(第六四三号)  三八 仕七川郵便局存置に関する請願小泉純   也君紹介)(第六四四号)  三九 小規模郵便局制度改革に関する請願(佐   竹晴記紹介)(第六四五号)  四〇 向鎌田郵便局開設請願助川良平君紹   介)(第六八一号)  四一 簡易保険診療所増設等に関する請願(   川村善八郎紹介)(第七五五号)  四三 簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲   拡大に関する請願川村善八郎紹介)(第   七五六号)  四三 簡易保険保険金最高制限額引上げの請   願(川村善八郎紹介)(第七五七号)  四四 北海道地方簡易保険及び郵便年金加入   者ホーム設置請願川村善八郎紹介)(   第七五八号)  四五 日本電信電話公社法の一部改正反対に関   する請願外一件(赤城宗徳紹介)(第七五   九号)  四六 中津川郵便局電話切換器設置請願(   池田清志紹介)(第八一二号)  四七 神戸市内通信施設復旧促進に関する請   願(五島虎雄紹介)(第一〇一一号)  四八 電話加入権担保制度確立に関する請願   (佐竹晴記紹介)(第一〇一二号)  四九 緑町に特定郵便局設置請願臼井莊一   君紹介)(第一〇六五号)  五〇 小規模郵便局制度改革に関する請願(池   田清志紹介)(第一〇六六号)  五一 郵便年金に対する特別措置に関する請願   (越智茂紹介)(第一〇九四号)  五二 お年玉つき郵便葉書等発売に関する法   律の一部改正反対に関する請願山口丈太郎   君紹介)(第一一五三号)  五三 小規模郵便局制度改革に関する請願(中   馬辰猪紹介)(第一   一五四号)  五四 ラジオ岩手夜間出力増強に関する請願   (松前重義紹介)(第一一五五号)  五五 川内駅前特定郵便局設置請願(小牧   次生君紹介)(第一一六七号)  五六 お年玉つき郵便葉書等発売に関する法   律の一部改正反対に関する請願田中武夫君   紹介)(第一一七五号)  五七 尾道市にテレビジョン放送所設置請願   (高橋等紹介)(第一一七六号)  五八 福山市にテレビジョン放送所設置請願   (高橋等紹介)(第一二六九号)  五九 特定郵便局長自由任用制確立等に関す   る請願南好雄紹介)(第二一七〇号)  六〇 日本電信電話公社法の一部改正反対に関   する請願渡海元三郎紹介)(第一二八七   号)  六一 福山市にテレビジョン放送所設置請願   (高津正道紹介)(第一二八八号)  六二 小鈴谷町の電話増設に関する請願(久野   忠治君紹介)(第一三二二号)  六三 小規模郵便局制度改革に関する請願(瀬   戸山三男紹介)(第一三五八号)  六四 同(永山忠則紹介)(第一三九九号)  六五 湯船村の簡易郵便局特定郵便局昇格   の請願川崎五郎紹介)(第一五二二   号)  六六 原水爆禁止切手発行に関する請願松前   重義紹介)(第一八〇八号)  六七 中ノ原に無集配局設置請願井手以誠   君紹介)(第一九一六号)  六八 簡易生命保険最高契約金額現行維持に   関する請願大野伴睦紹介)(第一九八一   号)  六九 同(岡崎英城紹介)(第二一〇四号)  七〇 同(赳田赳夫紹介)(第二一〇五号)  七一 同(米田吉盛紹介)(第二一〇六号)  七二 同(關谷勝利紹介)(第二一二九号)  七三 同(臼井莊一君紹介)(第二一三〇号)  七四 同(愛知揆一君紹介)(第二一三一号)  七五 釜石放送局開設認可に関する請願(松   前重義紹介)(第二一一三号)  七六 新潟県にテレビジョン放送所設置請願   (田中彰治紹介)(第二一五六号)  七七 田母神郵便局電話交換業務開始請願   (助川良平紹介)(第二一五七号)  七八 小規模郵便局制度改革に関する請願(伊   東岩男紹介)(第二一六二号)  七九 簡易生命保険最高契約金額現行維持   に関する請願古井喜實紹介)(第二一六   三号)  八〇 同(鈴木周次郎紹介)(第二一九九   号)  八一 同(宮澤胤勇紹介)(第二二二五号)  八二 湯浅電報電話局舎新築等に関する請願(   世耕弘一紹介)(第二一六九号)  八三 大岩岩井郵便局集配事務存続に関   する請願松岡駒吉紹介)(第二二一六   号)  八四 真岡市に電報電話局設置請願松前重   義君紹介)(第二二一七号)  八五 帯広市に地方貯金局設置請願本名武   君紹介)(第二二四四号)  八六 大岩岩井郵便局集配事務存続に関   する請願徳安實藏紹介)(第二二四五   号)  八七 有松地区に無集配郵便局設置請願(稻   村隆一紹介)(第二二七二号)  八八 簡易生命保険最高契約金額現行維持に   関する請願荻野豊平紹介)(第二三一四   号)  八九 西神吉村に無集配特定郵便局設置請願   (吉田賢一紹介)(第二三一五号)  九〇 電話加入権担保制度確立に関する請願   外一件(中村梅吉紹介)(第二三一六号)     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  まず本日の請願日程中、日程第一九、郵政職員兼職に関する特例制定請願外十件、庄次徳二紹介、表番号第二一二号、日程第二一、同、原捨思君紹介文書表番号第三四六号、日程第二二、同、中馬辰猪紹介文書表番号第四四九号、日程第三一、同、池田清志紹介文書表番号第五〇八号、及び日程第五九、特定郵便局長自由任用制確立等に関する請願南好雄紹介文書表番号第一二七〇号の各請願一括議題といたします。右五件の請願につきましては、それぞれ紹介議員より取り下げ願いが提出されております。この際右五件の請願について取り下げを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前重義

    松前委員長 御異議ないものと認めまして、右五件の請願については、それぞれ取り下げを許可するに決しました。     —————————————
  4. 松前重義

    松前委員長 次に、ただいま取り下げを許可するに決しました日程第一九、第二一、第二二、第三一及び第五九の請願五件を除いた八十五件の請願日程について審査に入ります。審査の方法といたしましては、まず紹介議員説明を聴取いたし、次に政府当局所見を求め、議決につきましては、最後に一括して行うことといたします。また審査の便宜上、同趣旨請願については、日程の順序にかかわらず、これを一括議題として審査することといたします。なお紹介議員出席のない請願につきましては、専門員より説明させることにいたします。  それではまず日程第一、簡易保険保険金最高制限引上げ請願並びに本請願と同趣旨日程第二、第一六、第二七及び第四三の各請願一括議題といたします。紹介議員の御出席がございませんので、専門員より説明いたさせます。吉田専門
  5. 吉田弘苗

    吉田専門員 簡易保険保険金最高制限額引上げ請願文書表番号第六号外四件、請願者北海道留萌宮薗町一丁目前田留郎外十名、紹介議員松浦周太郎君、本請願要旨は、現在の経済事情から見て、簡易保険保険金最高限度額十五万円は、低額に過ぎて保険効果が乏しい。ついては、簡易保険保険金最高制限額を、三十万円程度まで引き上げられたいというのであります。
  6. 松前重義

    松前委員長 政府の御所見を求めます。
  7. 上林山榮吉

    上林政府委員 簡易保険の現在の保険金最高制限額十五万円は、現在の経済事情から見まして十分とは考えておりません。しかしこれが引き上げにつきましては、諸般の事情もありますので慎重に検討することといたしたいと思って、現在検討を進めておるところでございます。なおその額等については、そういうような趣旨から最後の結論を得ておりませんけれども、請願趣旨十分滑りように努力をいたしたいと考えております。
  8. 松前重義

    松前委員長 御質問ありませんか。     —————————————
  9. 松前重義

    松前委員長 御質問がなければ、次に日程第二、簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲拡大に関する請願、並びに本請願と同趣旨であります日程第四、第一五、第二九及び第四二の各請願を一括して議題とします。吉田専門員
  10. 吉田弘苗

    吉田専門員 簡易保険及び郵便年金積立金融資範囲拡大に関する請願文書表番号第七号、請願者北海道留萌宮園町一丁目前田留郎外十名、紹介議員松浦周太郎君、本請願要旨簡易保険及び郵便年金積立金は、地方への還元公共への利益のために融資することを本旨としているが、さらに積極的に地方産業振興並びに発展のために、融資範囲拡大し、融資額を増額されたいというのであります。
  11. 松前重義

    松前委員長 政府所見を求めます。上林政務次官
  12. 上林山榮吉

    上林政府委員 政府所見を申し上げたいと思います。地方産業振興のための融資については、現在においても地方債を通じ実行しており、明年度においては農林漁業金融公庫への融資も行われるので、さらに地力産業に寄与することになると考えられますが、適当な融資対策については、今後も確実、有利、公共利益地方還元運用原則に照らし、研究いたしたいと思っております。
  13. 松前重義

    松前委員長 御質疑はありませんか。
  14. 松前重義

    松前委員長 御質疑がなければ次に移ります。日程第五、北海道地方簡易保険及び郵便年金加入者ホーム設置請願並びに本請願と同趣旨であります日程第六、第一三、第二六及び第四四の各請願一括議題といたします。吉田専門員
  15. 吉田弘苗

    吉田専門員 北海道地方簡易保険及び郵便年金加入者ホーム設置請願文書表番号、第八号、請願者北海道留萌宮園町一丁目前田留郎外十名、紹介議員松浦周太郎君、本請願要旨は、わが国初めての国立有料老人ホームである簡易保険郵便年金加入者ホームが熱海に設置されたが、しかし北海道地理的条件あるいは生活環境において、他の都道府県より恵まれない幾多の面があるから、北海道地方の同一加入者が容易に利用できるよう、同加入者ホーム北海道地方に最優先的に設置されたいというのであります。
  16. 松前重義

  17. 上林山榮吉

    上林政府委員 簡易保険郵便年金加入者ホーム設置につきましては、その後全国各地から設置方の強い要望もありますが、加入者の多い地域で、しかも地理的に見て多数の加入者利用できるところに優先的に設置する必要がありますので、一応全保有契約件数の四〇%を占める関西以西を対象として設置する予定であります。なお将来はなるべく全国加入者が均等に利用できるように設置したい希望を持っておりますので、請願の趣きは今後拡充の際考慮いたしたいと思います。     —————————————
  18. 松前重義

    松前委員長 次に日程第七、鷹匠町に特定郵便局設置請願議題といたします。吉田専門員
  19. 吉田弘苗

    吉田専門員 鷹匠町に特定郵便局設置請願文書表番号(第三五号)請願者兵庫明石鷹匠市営鷹匠アパート内水田勝治外四名、紹介簡員田武夫君、本請願要旨は、鷹匠町は明石市の西南部に位し、最近は各種建物、住宅が著しく増加しているが、現在郵便品局は市の中央部にあり、約一、五キロ以上の距離があるため、これが利用に多大の不利不便を感じている。ついては、鷹匠町に特定郵便局設置されたいというのであります。
  20. 松前重義

    松前委員長 政府所見を求めます。上林政務次官
  21. 上林山榮吉

    上林政府委員 請願の地に無集配特定局設置することは現行設置標準にはほぼ達しますけれども、他との振り合い上、現状においては早急の実現は困難かと思われているところであります。
  22. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。     —————————————
  23. 松前重義

    松前委員長 次に日程第八、簡易保険診療所増設等に関する請願並びに本請願と同趣旨であります日程第一四、第二八及び第四一の各請願一括議題といたします。吉田専門員
  24. 吉田弘苗

    吉田専門員 簡易保険診療所増設等に関する請願文書表番号、(第六五号)請願者北海道空知郡滝川町字明神泉谷照市外十一名、紹介議員小平忠君、本請願要旨は、国民大多数を加入者とする簡易保険の使命はまことに大きく、その加入者の健康の保持増進とは、すなわち国民全般健康保持増進に通ずると言うも過言でない。戦前は簡易保険健康相談所各地に設けられ、多くの加入者がこれを利用していた。北海道は、医療機関に恵まれない地区が多く、かつ交通不便の地域の多いところでは、一その簡易保険診療所増設と、巡回診療必要性が強い。ついては、北海道簡易保険診療所増設巡回診療拡充とをはかられたいというのであります。
  25. 松前重義

    松前委員長 本件に関する政府所見を求めます。上林政務次官
  26. 上林山榮吉

    上林政府委員 御説明申し上げます。簡易保険及び郵便年金加入者健康保護増進並びに医療費負担の軽減と加入者の福祉をはかるための施設として、現在簡易保険診療所全国十七カ所に設置しておりますが、将来この施設を各都道府県に一カ所あて北海道につきましては四、五カ所、計五十カ所程度簡易保険診療所設置し、同所にエキス線その他最新の診療器具を装備した巡回診療自動車を配置し、随時巡回診療を実施し、加入者の要請に沿うよう目下計画中であります。なお近く開設する診療所といたしましては出雲、釧路など二カ所でございます。以上簡単でございますが、御説明といたします。
  27. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。     —————————————
  28. 松前重義

    松前委員長 御質問がなければ、次に日程第九、長野地方貯金局原簿移管反対に関する請願及び本請願と同趣旨であります日程第一〇の両請願一括議題といたします。
  29. 吉田弘苗

    吉田専門員 長野地方貯金局原簿移管反対に関する請願文書表第号(第八八号)請願者長野県諏訪郡茅野町玉川原武紹介議員原茂君、本請願要旨は、長野地方貯金局では、郵便貯金原簿長野県分以外に埼玉県、群馬県及び東京都の積立貯金定額貯金等を所有しているが、昭和三十年十一月郵政省側より東京都の積立貯金甲府出方貯金局へ移管する計画が示されたことは、同事業運営の面よりみて好結果を生ずるものとは考えられない。ついては、現在高能率をもって処理している同地方貯金局より、原簿を他に移管して業務を縮小する計画は取りやめられたいというのであります。
  30. 松前重義

  31. 上林山榮吉

    上林政府委員 御答え申し上げます。少し長くなるかもしれませんが、長野地方貯金局で所管しております東京記号積立貯金事務甲府地方貯金局に移管する計画は、現在甲府仙台地方貯金局におきまして所掌しております東京記号通常貯金新規預入のものの原簿事務を本来の所管局である東京地方貯金局に、毎年ほぼ二割あて五カ年間で移管しまして、利用者の不便を除き、あわせて東京地方貯金局において行なっている機械による原簿事務処理合理化能率化をはからんとする処置の一環をなすものでありまして、この措置により、甲府地方貯金局業務減少に伴い、相当割合の減員を生ずることとなりますので、これを緩和しようとするものでありますが、さらにこれによって東京記号積立貯金事務東京郵政局管内にある甲府地方貯金局へ管外の長野から移入されることとなりますので、事故処理等においても便利となるのであります。なお今回の措置によりまして、長野地力貯金局は現在の定員千三十七名中七十五名が、前記措置実施の第二年度より三年間に業務の縮小に伴い減員されることとなりますが、これに対しましては強制退職強制配置転換等を講ずる意図は全然ございません。自然退職が一年間約二十数名見込まれるわけですが、これとにらみ合せて無理のない措置を講ずる予定でございます。また甲府地方貯金局は、現在山梨記号積立貯金事務を取り扱っておりまし、この事務には経験がありますので、東京記号積立貯金事務甲府地方貯金局へ移しましても、その事務処理能率の低下を示すようなことはないと考えております。以上の理由によりまして、本請願に直ちに応ずることは困難かと思われます。
  32. 松前重義

    松前委員長 質問はありませんか。
  33. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 これは私まだ調べてありませんから詳しくわかりませんか、今原君がおればあるいは原君自体がよく研究しておると思いますが、長野地方貯金局原簿を移さなければならぬという事情は、単なる事務上の合理化だけですか。
  34. 成松馨

    成松政府委員 お答え申し上げます。長野積立貯金甲府へ移したいと考えておりますのは、いわば二つ理由があるのでございまして、一つは先ほど政務次官の御説明にありましたように、現在東京都の普通の貯金が戦争のための疎開によりまして、東京地方貯金局仙台地方貯金局甲府地方貯金局というように三つに分れておるわけでございます。それを何とかして東京地方貯金局へ持ってきたいというように考えておるのでございますけれども、現在まてある原簿を持ってくるということにつきましてはいろいろ支障がございますので、これからあらためて貯金をし、あらためて貯金通帳を発行するものを、今までの孝え方でいきますと、あるいは仙台へ、あるいは甲府へと持っていかなければならないものをそうしないで、その五分の一ずつを毎年東京地方貯金局へ持ってこようという考えを持っておるわけでございます。そうしますと、甲府だけについて申し上げてみますると、その考えでいきますと、甲府へは今後五年間に五分の一ずつ新しい通帳が入らなくなりますので、現在まである通帳しか五年後には残らなくなるわけでございます。そうしますると、今後五年間を想定してみますると、私どもの計算によりますと、大体百二十名分仕事甲府としてはなくなるわけでございます。現在甲府定員が五百五、六名の小さな局でございまして、そこから新規通帳がだんだん入らなくなることによりまして、約言二十名の人間が減員される計算になりますほかに、これまである東京記号通帳につきましても、全払いというような現象によりましてだんだん減っていきます結果、なおそれ以上に定員の面から見れば減らさなければならない計算になるわけでございます。従いましてそういうようになりますと、甲府定員関係が非常に小さくなるわけでございまして、できるだけある程度規模を持たせた方が、事務処理の上でも都合がいいという考え方からいきまして、理屈のつく限りは定員をあまり落させないようにしたい。そういう画からいきますと、現在長野東京記号積立貯金を持っておりますので、その仕事甲府の方へ移すことになりますと、定員減少がある程度救われ、甲府地方貯金局規模もある程度の大きさに維持することができる、これが一点でございます。  その次は、いろいろ事務上の面からいきますと、長野地方貯金局長野郵政局管内にございます。甲府地方貯金局東京郵政局管内ということになりまして東京記号甲府地方貯金局へ持ってきた方が、事務処理その他の仕事の面から見ても便利であろう、大体この二点から、長野から甲府へ持ってきたいと考えておるわけでございます。長野といたしましては、長野地方貯金局は現在一千三十数名の、地方貯金局中でも大きな局でございまして、ここから七十名分ぐらいの仕事を持ってきましても、長野地方貯金局規模それ自体には大した影響がないから、持ってきても長野自体にはそうひどい支障が生じないものと私どもは考えておるわけでございます。
  35. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、甲府のそうした従業員救済のために、長野地方貯金局原簿の一部を移管するという結論ですね。甲府貯金局が東京都管内だからそういう原簿移管ということがあると思いますが、そういうこまかい技術上の問題は別にしまして、ただわれわれ国会の方から見ておりますと、地方の今後の就職というものはなかなか大きな問題であると思います。ここ一年ぐらいかなり地方の方が行き詰まってきて、二男、三男の東京集中が非常に大きくなってきております。こういう点からも、できるだけ就職の地方分散ということも考えてもらわなければならぬし、かつまた事務自体もあまり中央集権的にいくよりは、少くともこういう組織がある以上は、地方貯金局というものを強力化していくという方がいいのではないかと思います。そういう点もう一度御再考願って御研究願う余地があれば研究してもらいたい。単なる合理的な事務処理ばかりでなくてそういう大きな人口問題、就職問題という面からもり一度再検討すべきものだと思いますが、この点について政務次官はどうお考えになりますか。
  36. 上林山榮吉

    上林政府委員 確かに橋本委員の言われる大局的御議論につきましては、政府としてもそういう点を十分考えなければならないと考えるのでございますが、あくまでも合理的に事務を処理すると同時に、仕事の性質上、関係者、国民に対してサービスを改善していくという趣旨もまた非常に大事であると考えまして、先ほど答弁したような趣旨でおるわけでございますが、 なお検討の余地もあると考えますので、ただいまの御意見に対しては別述に十分研究を進めてみた、というように考えております。
  37. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この問題につきましては、 原君が出席の際あらためてもう一度政府委員質疑をなさるように一応保留しておいてもらったらどうかと思います。まだ意見があるだろうと思います。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  38. 松前重義

    松前委員長 わかりました。そのように取り計らいます。一応これは原茂君の出席を求めて、もり一回政府との間に検討することにいたします。     —————————————
  39. 松前重義

    松前委員長 次に日程第一一、簡易郵便局事務員の待遇改善に関する請願議題といたします。
  40. 吉田弘苗

    吉田専門員 簡易郵便局事務員待遇改善に関する請願文書表番号第九〇号、請願者神奈川県川崎市鹿島田川崎鹿島田簡易郵便局内塩見久槌、紹介議員野田武夫君、本請願要旨は、簡易郵便局は、全国の山間辺地等郵政施設の恵まれないところに介在して郵政事務の遂行に寄与しているが、そこに働く事務員の待遇は一般社会とは隔世の感のあるほど不遇なものである。当局では、簡易郵便局郵便局でないとしているが、一般世人は郵便局と認め、しかも可能執務内容も一般郵便局と何ら異ならない。ついては、一般郵便局従業員の処遇には最善の配慮が払われている今日、簡易郵便局事務員の待遇の改革について措置されたいというのである。
  41. 上林山榮吉

    上林政府委員 本件は御承知の通り郵政事務の取扱い量の少いへんぴな地方にまで省直営の窓口機関を設置しますことは、合理的経営の見地からしまして妥当でないので、このような地方における郵政事務普及のための措置としましてこの業務地方公共団体及び農業協同組合等の公共組合に委託し、その協力を得て経済的にその業務の普及をはかることとしたのが、簡易郵便局の制度でございます。従いまして簡易郵便局運営の責任者は、その受託者である地方公共団体等の代表者であり、同局の事務取扱い者は、その団体の職員になっておりますので、その給与待遇等につきましては、当然受託者の責任においてなされているものでありますので、ただいまのところ郵政当局としては、そういうことにつきましては、御希望に沿いかねると申し上げておきたいのでございます。
  42. 森本靖

    森本委員 この問題は実は委員会で質問をしたかったのでありますが、ちょうど請願の項に出てきましたのでこれについてちょっと質問をしたいと思います。今全国でこの簡易郵便の待遇の問題が大きな問題になっているわけであります。確かに今政務次官説明したように、簡易郵便局というものは現行法律においては、地方公共団体もしくは農業協同組合、あるいはまた漁業協同組合、そういう公共団体に委託をしてやるということになっておりますけれども、実際はその地方の人たちが簡易郵便局をやりたいということによって、名前だけをその公共団体に借って、そして公共団体としても、その方が郵便業務として村に非常に利益に及ぼすということで運営しているわけであります。そこでこの簡易郵便局に従事するところの従業員の待遇が非常に劣悪になっている。そこで今あなたも答弁せられているように、地方公共団体が当然責任を負ってやるべきであるということを言っておりますけれども、今日の地方財政の緊迫した状態からするならば、これが非常に困難であるということは御承知の通りであります。そこで何らかの形において、この簡易郵便局のあり方についても検討しなければならぬ段階に今日至っているわけであります。簡易郵便局の制度ができる際に、われわれ社会党としては、将来早晩こういうことがあるであろうということによって反対したわけであります。できることならば現在の特定郵便局をこしらえるのがよろしいという考え方で反対したけれども、これは当時の政府によって押し切られて、この簡易郵便局というものができたわけであります。こういういきさつで、今非常に困窮しているところの簡易郵便局の制度というものを、政府は単に、地方公共団体に委託しておるので、地方公共団体だけの責任であるということによってその現実の悲惨な状態に目をおおうということは、はなはだもって責任のがれであるというように考えるわけであります。そこで簡易郵便局制度についてもう少し抜本的に考えていくというお考えはないか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  43. 上林山榮吉

    上林政府委員 あとで小規模郵便局制度改革に関する請願というようなものも出ておりますので、そういう際にも一言触れたいと思っておったのでございますが、現在の制度といたしましては、先ほど答弁した趣旨が原則的にとられなければ、やむを得ない状態であると思います。ただいま非常に建設的な御意見を拝聴いたしましたが、私どもといたしましても万事このままでいいという考え方は持っていないのでございます。たとえば必要度が諸種の事情から非常に高くなってきた地方であるとか、あるいはその他特定局設置する基準に達したような場所は、できるだけこれを昇格せしめていきたい、こういうように考えたり、あるいはその他——これはただ私の考えでございましてまだまとまった考えではございませんが、たとえばパート・タイム式の簡易郵便局というようなものに、これをもっと改革していく点もあるのではないかというように、いろいろ具体的に検討も進めておりますけれども、森本委員も御承知の通り、本制度はこれを実施しましてからまだ日が浅いのでございまして、これ自体範囲内においてもさらに研究し、あるいはまた事業の成績を上げるとかその他の便宜をはかるとかいうことも、もうしばらく経験を続けた上で最後の結論に達したいものだという考えを持っているところでございます。以上御了承願いたいと思います。
  44. 松前重義

    松前委員長 この問題につきましては紹介議員野田武夫君の出席を求めて、もう一度検討することにしてはいかがかと思いますが、いかがございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 松前重義

    松前委員長 それでは野田君の御出席を求めてもう一度検討することにいたします。     —————————————
  46. 松前重義

    松前委員長 次に日程第一七、鳴海町の電話普通加入区域拡張に関する請願、及び本請願と同趣旨であります日程第三三の両請願一括議題といたします。
  47. 吉田弘苗

    吉田専門員 鳴海町の電話普通加入区域拡張に関する請願文書表番号第一四九号外一件、請願者愛知県愛知郡鳴海長野村三郎外二名、紹介議員加藤清二君、本請願要旨は、愛知県愛知郡鳴海町は、近時急激に発展し、戸数と人口が著しく増加しているが、電話区域は旧来のままで区域外の住民はきわめて不便をしている。ついては、同町の電話普通加入区域を拡張するとともに、前之輪地区は大高局に、有松裏地区は有松局管内となっているので、これら地区鳴海局とし普通区域とされたいというのである。
  48. 上林山榮吉

    上林政府委員 ただいまの請願に対してお答え申し上げます。加入区域は局よりの距離、加入者の密度等によって設定することとしておりますので、現在の特別加入区域全域を普通加入区域とすることはとうていできないと考えますが、最小限度の拡張の希望地域を具体的に示していただければ、調査検討の上考慮いたしたいと存じます。なお前之輪地区及び有松裏地区鳴海局区内に編入することは、既設加入者の収容がえのため設備の増設を要しますので、予算上早急実現は困難でありますが今後十分検討いたしたいと思います。
  49. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  50. 松前重義

    松前委員長 次に、日程第一八、御厩町に無集配郵便局設置請願第一七六号を議題といたします。
  51. 吉田弘苗

    吉田専門員 御厩町に無集配郵便局設置請願文書表番号第一七六号、請願者福島県内郷市御厩町下宿一番地菅波大十一外五名、紹介議員高木松吉君、本請願要旨は、福島県内郷市御厩町は小島、御台境両町を加える下三町の中心地として、学校、官公署、病院及び保養所等が所在し、将来ますます発展するものと思われるが、この下三町には銀行、農協その他の金融機関もなく、ことに郵便局まで三キロないし五キロもあるため、貯金、郵送、為替、電信等の所用にはきわめて不便で、多年郵便局設置を切望されている。ついては、御厩町上宿に無集配郵便局設置されたいというのであります。
  52. 上林山榮吉

    上林政府委員 請願の地に無集配特定局設置することは、最近局にやや近く、設置標準に達しないので、現状においては実現は困難と思われます。なお窓口機関利用上の不便があると思われますので、簡易郵便局設置ならば将来考えてもよいと考えております。
  53. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。     —————————————
  54. 松前重義

    松前委員長 御質問がなければ、次に日程第三〇、高知電話局舎建築に関する請願、第二一三号を議題といたします。紹介議員森本靖君の御説明を願います。
  55. 森本靖

    森本委員 本請願請願者は、高知市帯屋町全電通高知県支部の委員長甲藤猛君であります。請願要旨は、高知電話局が自働化の計画が本年あるやに聞くけれども、その場合、現通信部庁舎の敷地に最小限の自働局舎を建築する計画のようであるけれども、もし事実とすれば、次のような事由により次のように変更されるよう請願いたしますというのであります。その趣旨を申し上げます。  一、現高知県通信部庁舎敷地に四階建(建坪延べ千二百坪)の高知電話局を建築し、自働局をも含めてこれに吸収してもらいたい。理由、現電話局は庁舎狭隘のため、1、育児時間の付与されている職員は、現在約二十名いるか、保育施設は設けられていない。2、交換要員の食堂は、施設拡張のためなくなり、現在十分の広さを持たない休憩室と兼用である。3、営業課は一室に全部収容不能のため、集計係のみ監査課事務室に置いているが、このため監査課は欠員の補充をしようにも机を置くスペアがない。4、機械課、線路課事務室は、坪数十八坪に対し二十七名も収容している。なおこの十八坪の中には材料戸だなが相当のスペアをとり、事務室は全く狭い。5、材料層庫は狭いため、現電報局敷地にあるバラック建を使用しているが、なお狭いのみならず、外見上もよくない。6、女子交換要員のげた箱置場は全然なく、各階段踊り場に並べてあり、通用が狭くて見苦しい。7、女子宿直室、更衣室等が全く狭隘のため、ふとんは重ねて敷き、ラッシュ時の更衣室は混雑して身動きができない。8、現通信部敷地に自働局のみ新築すれば、電話局の市外と市内が相当離れ、各課相互の連絡その他種々不便を生じ、事務能率が非常に悪い。  二、現電話局庁舎に通信部を吸収してもらいたい。理由、1、現道信部はそのほとんどを現在老朽バラック建に収容して事務をとっているが、余命幾らもない建物である。従って前記により新電話局庁舎完成後通信部を現電話局に吸収し、一階を倉庫とし、現在通信部より約二キロ離れた通信部分室(材料課)をも一緒にして、二、三階を通信部事務所及び保健、医務室、会議室等に充当してもらいたい。2、通信部の移転先は電報局の中継機械化を待ってスペアを見つけるとの計画もあるようだが、現通信部各課をそのスペアに吸収することは不可能と考える。  三、配置転換に関する協約締結に際しての覚書は、第二項において「甲は企業合理化の過程において労働条件の悪化を計る意図はない——及び第三項において「甲は配置転換を行うに当っては各事業所に於いての職場環境等の良否が必ずしも均衡がとれていない現状を認めて職場環境厚生福利施設等の不均衡を解消するよう極力努力するの趣旨に基き、電報電話の自働化に伴い庁舎にスペアを生じた場合は、職場環境の改善と厚生福利衛生施設の充実に十分意を用いてもらいたい。中継機械化により生じたスペアに無理に事務要員を詰め込む等は、およそこの覚書の趣旨に反すると考える。  四、実施調査に係員の派遣をお願いしたい。現在電報電話通信部は同一構内にあり、ここに約七百名の従業員が勤務しており、自働局舎建築に伴う職場環境の改善は従業員の多年の願望である。この際係員を現地に派遣され、職場の実体をつかみ、職員の声を十分開いた上建築計画を決定するよう配慮されたい。  以上が請願の内容であります。
  56. 上林山榮吉

    上林政府委員 お答えいたします。現在通信部所在の敷地に市内設備、市外設備とも収容し、かつ事務上並びに職員の保健上支障のないような局舎を新築することといたしておりますので、できるだけ請願趣旨に沿うように努力をいたしたいと考えております。     —————————————
  57. 松前重義

    松前委員長 次に順序を変更いたしまして、日程第四八、電話加入権担保制度確立に関する請願、第一〇一二号及び本請願と同趣旨であります日程第九〇、第二三一六号を一括議題といたします。  ただいま中小企業庁振興課長川島一郎君の御出席がありますことをお知らせいたします。
  58. 吉田弘苗

    吉田専門員 電話加入権担保制度確立に関する請願文書表番号第一〇二二号外一件、請願者 東京都北区上中一里一丁目十四番地城南化工機株式会社社長 太田政記、紹介議員 佐竹晴記君、本請願要旨は、現在電話加入権を担保として、金融措置を講ずることは認められていないが、電話は譲渡担保の手段に訴えて高金利で貸し付けられ、その利子を使用料として収受しており、万一利子遅滞の場合は、加入権を処分して暴利を得ているのが実情である。ついてはこれが対策として、電話加入権を担保として、国が指定する金融機関より低利かつ長期の貸付措置を講ずる制度を確立されたいというのであります。
  59. 松前重義

    松前委員長 政府所見を求めます。上林政務次官
  60. 上林山榮吉

    上林政府委員 お答えいたします。電話加入権の担保制度については、左のような利害得失が考えられると思います。利点としては加入者、特に中小企業の金融難打開に寄与することが考えられます。欠点としましては、加入権を担保の目的とすることを認めると、公社が加入者と第三者との紛争に巻込まれ、業務の円滑な遂行と電話架設の計画的実施に重大な支障を生ずるのみならず、さらに加入電話原簿への登記等、取扱い事務が増加するとともに、他方において加入権が電話業者の営利の具に供されることになるおそれがあります。なお電話加入権の市価は公社の拡張計画に従って大幅に変動しますが、部外者がこれを予測することは困難でありますから、担保設定後の価値の変動による紛争を生ずることもあり、担保の対象とすることは必ずしも適当でないと考えられます。他方五カ年計画の進捗並びに大都市においては電話の市価が著しく下落したところが多く、その他のところでも急速に下落の傾向にあり、このまま推移すれば負担法廃止後電話需給の不均衡が解消すれば電話の市価がなくなることも予想できますので、恒久的なものとして担保制度を確立する必要はないかと考えられます。以上のような事情でありますので、一般的に電話加入権を担保に供し得るようにすることには賛成いたしかねますが、中小企業のため限定された範囲で特に施策を講ずる必要がある場合には、関係方面とも十分協議の上慎重に検討したいと考えております。
  61. 松前重義

    松前委員長 御質問はありませんか。
  62. 松井政吉

    ○松井委員 今の政務次官説明は、公社法、公衆電気通信法三十八条で担保、たとえば質権を認めていない条文と大いに矛盾しております。従ってその点をまず第一番に明らかにしていただきたいと思います。というのは、御承知のように公衆電気通信法の第三十八条には「電話加入権は、質権の目的とすることができない。」 こう押えているのです。従って担保物権としては扱わない、こういうのですね。ところが今の政務次官説明の第二段の項においては恒久的な担保権として認めることは不可能だが、それ以外の方法がこの法律の現存している間でもできるかのような印象を与える説明をなさっております。だからまずその点を最初に明らかにしていただきたいと思います。
  63. 松田英一

    ○松田政府委員 私からお答え申し上げます。ただいま松井委員のおっしゃいましたように、確かに現行の法律そのままではこれは不可能だと考えております。ただそういうような請願趣旨にありましたようなことで、特にまたいろいろ電話事業の運営上ということから考えまして、特別に限定された範囲で、限定された必要に基き、国家全体としてとるべき施策にどうしても必要があるということになりますれば、法律を作ることに対して検討いたしたいという意味でございます。
  64. 松井政吉

    ○松井委員 それからもう一つ請願理由が、単に中小企業者が電話金融のための担保物件にしたいということに主眼が置いてあるという政務次官考え方、最初の第一点ですね。それについての賛成できない理由として、公社が紛争に巻き込まれる、こういう理由がついております。これも大いに矛盾です。というのは、たとえば電話加入者としては加入権が一つの財産であることはこれは間違いがないと思います。要するに加入金を支払い、それに対する電話債券等は、これは加入者が電話に加入したときに必ず買わされましょう。その債券は公然と売買の対象になっておる。それは文句ないとしても、たとえば都市においては一級から四級までは加入金が三百円、その他の装置料が四千円、権利金が三万円、こう取られるわけです。これをかりに複式簿記で整理するときは、これは財産でないのですか。要は財産になりましょうね。従ってそういうものがかりに担保の対象にならないという法的矛盾、それと紛争に介入するという問題、それと結び合わせて考えると今の三十八条がこのままだと公社が迷惑をこうむる。というのは、三十八条の第一項には電話加入権の譲渡は公社が認めればできることになっておる。公社が譲渡を認めることができて、譲渡が行われておるわけです。譲渡の行われる財産が担保の対象になるかならないというのは第四項に規定されておる。これは法の矛盾ですよ。その法の矛盾を今の状態のままほうっておけば、これはあるいは売買、ブローカー、そういうものが電話の加入権の譲渡あるいは売買をめぐっていろいろな迷惑を公社に及ぼす危険がある。この第一項はそうでございましょう。今度はそういう混乱が起きつつあるにもかかわらず、担保の対象にはならないと、こう財産権を押えておることは、これはやはり法律の矛盾だと思います。だから担保に加入権を認めることは、紛争に介入するということでほうっておけばほうっておくほど、逆に社が迷惑をこうむる状態——電話本数がふえて、いわゆるブローカーの暗躍となって、譲渡権をめぐっての価格について混乱などを起した場合は、会社が紛争に介入することがいやだといっても、介入せざるを得ない法の建前になっておりますが、この点については大いに説明と矛盾しておりますね。これをまず解明していただきたい。
  65. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいまのお説でありますが、紛争に巻き込まれて非常に困るという意味のことは、ただいまは譲渡は確かに公社が認めることによって行われておりますが、その財産的価値というようなものにつきましては、これはすべて当事者間の問題として扱われておりますので、公社としてはただ加入権そのものが動けば動いたものによって、当然そのときに公社が承認しておるわけでありますから、だれが電話加入者であるかはっきりする。従ってそのはっきりしておる電話加入者に電話のサービスを提供するということによって、加入者との関係がございますので、直接の事業運営には現在のままでは支障がないということになるのでありますが、もし質権の問題がここに出て参りますと、それが非常に広範に行われて参ります場合には、質権の設定そのものについては一体公社がどういう立場に立つのか、またその質権を設定することについて公社がその通知を受けたとか受けないとか、あるいはどういう時期に受けたとかいうふうな問題で、一々そのつど公社が引っぱり出されることになりまして、まためんどうな問題が債権者、債務者間に起きております場合には、会社のその場合の取扱いそのものが非常に機微な関係になりますのでそういう場合にはむしろ公社の運営上非常に厄介な手数がかかってくるという点がございまして、一応紛争に巻き込まれないためには質権の問題が出ないということがいいというふうに考えられた次第であります。もちろんこの場合に一つの法律としてきめましたもとには、一体質権というものが発生し得べきものかどうかという点についての若干の学者間の疑義もありましたしそういう点もとにかく法律的に明らかにする。それから政策的にもそういう意味でそういう紛争に介入しない方が、事業の運営あるいは発展に専心できるというような点、それからこの理由の中で後段に述べておりましたような電話事業の性格そのものが非常に将来発展していくということから考えれば、担保価値というものが増していくというふうなことなんかも考え合せまして、現在の法律はできておるというふうに考えております。
  66. 松井政吉

    ○松井議員 これは一般の国政調査の形で質疑応答をやれば一番いいのですが、せっかくの機会だから続けさしていただきます。要するに、たとえば今あなたの答弁だと、言葉じりをとるわけじゃないのですが、加入権譲渡は公社が認めればできることになっている。質権ということになると、紛争に介入したり公社事務が煩雑になるので、それはたとえば個人の自由を認めた形にしてあるというけれども、第四項は個人の自由を認めておらないのです。そうでございましょう。たとえば、これはあなたの言う説明からすれば、おれの財産になったのだから、電話を引くためにかかった費用というものは、決算のときには、要するに資産、負債の仕訳のときには、やはり資産の側に残ります。金を出しておりますから、そうでございましょう。その権利そのものが第四項において質権の目的とすることはできないということになると、民法、商法の立場からいっても、この第四項が矛盾になってくる。そういう民法、商法の立場からいって、一般人に対する財産権を担保に入れたり売買することが、公共事業だからいけないというのならば、三十八の第一項条における譲渡をも禁止しなければならぬ。これは一貫していない。この三十八条の一項から四項までに相矛盾するものが載っておる。そのために譲渡は行われるけれども質権は認めないという矛盾が出てきて、それがすでに混乱を起しておるのです。戦災電話などは一年の間に三回ぐらい権利が移動しております。だからその点についての手続——直接質権の問題に関連はないけれども、公社が認めない加入権の譲渡が行われております。それを発見したときには、現在公社は勝手に認めておるのかどうか、公社が認めなければ譲渡ができない。ところが勝手に起っておるのです。それを発見したときには、それはそのまま認めておるのですか。承認しないうちにやって、しまったものを発見した場合に、黙って自由に加入権の譲渡を認めておりますか。それは現実にどうなっておりますか。
  67. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 ただいまの松井委員の御質問でございますが、現在の法律におきましては、実は種々問題があったのです。御存じのように電話の加入権は一時譲渡禁止をしたことがありました。この場合は、当然譲渡を禁止した以上は財産権としても完全でなくて、また質権も認めないという実体でありました。その後会衆電気通信法によりまして、財産権であるし、また譲渡も自由であるということにいたしたのは御承知の通りであります。そこで財産権であり、譲渡性がある。それで完全な担保に提供できるというのが、本来の財産権の完全な性格と思うのです。ところが譲渡性がありました過去におきましても財産権として認めておって、差し押え、仮差し押えはできても、質権が設定できるかどうかという問題は、従来ずっと未解決のまま過ごしてきた。と申しますのは、これは学説及び判例の問題になりますが、果して加入権というものは質権の対象になるか、これは非常に疑わしかったわけであります。この法律前におきましては、実際の取扱いといたしましては差し押え、仮処分、これは当然できるのですが、質権の設定につきましては、単に当時の逓信省の方針といたしまして、特に質権があったという通知を受けた場合は、特に第三債務者という立場でなくて、かつまた対抗要件を備えたものという意味でなくて記録にとどめただけであります。従って質権の問題は法律的にははっきり解明していないということが第一点であります。第二点は、実際問題としてほんとうに質権を設定する場合、手続上完全に質権者の保護ができるかどうか、こういう点から見まして、質権を設定した加入者の譲渡は自由にできるし、あるいは番号の変更、また質権が競合した場合にどうすべきかというような、実際問題としてむずかしく、手続がこれに沿うようにできるかどうかという問題もございまして、煩雑であるばかりでなく、紛争に巻き込まれる場合もあったのであります。  そこで以上のような点が、果して法制定の際に解決できるかということにつきまして、ずいぶん関係方面とも討ち合せしたのでございますが、依然として質権が果して設定できるかどうかということについては、はつきりした解釈が成り立たぬということ、第二点の実際の取扱いにつきましても、やはり依然としてそういうような手続の点、あるいはそれによって起るべきところの質権が完全に確保され、質権者の権利が公社の取扱いで確保されるかという点についてもすこぶる問題でございますから、一応現段階におきましては質権は設定することができないというふうに、法律で特にこれは制限したわけでございます。そこで今日の問題になったわけであります。御存じのように相当な市価がございます。かつまたこれを担保として、実際においていろいろな方法においてやられておることは御承知の通りであります。そこで公社は、法律が禁止している以上はわれ関せずえんというような態度をとらざるを得ないのでございます。実際問題として果してそれに対して公社が正式な手続を定めてやる場合にはどうしたらいいか、すこぶる問題があり、研究しなくてはならないのであります。窓口におきまして、いつの何時に受け付けたか、その順序というものがありますが、加入者原簿に登録する場合に——登録したと仮定しましても対抗要件がいつ当事者に成立するか、そうしてその質権設定の加入権というものは、それでは自由に売買できないかというと、これは自由に売買できまして、別途に質権者が何ら関知しない間に電話局に新規加入者、旧加入者が連署をしてくればこれは、公社の窓口としては当然義務的に承認せざるを得ない、そういうようなことがございまして、質権の保護は十分でない、このような事情のある加入権を質権の対象にするという法律的に解明もできましても、さらに手続上もはっきりしたい。かつまた手続上はっきりしたい趣旨は、ただいま申し上げたように、やはりその質権者を保護しなければいかぬというような立場から考えますと、ここに法律の改正を当然しなくちゃいかぬ。その改正する際におきまして、一応目的に沿うように制限条件というものを法律的に明定していただかないとできないのであります。以上のように公社側としては考えておる次第であります。
  68. 松井政吉

    ○松井委員 経過ですが、一つ答弁が落ちております。現実に加入権の譲渡が東京都でも、込んでいる地域では二十万近くの機利で売買されておりましょう。それから割合に込んでいない電話局、比較的新しい、加入申し込みの少い地域においても十二、三万円で売買されておりましょう。それが高いときは二十五万ぐらいで売買されております。これはもちろん業者の手によってやられているでございましょうが、そういうことが公社の事前承認でないうちにやられて、あとから新加入者と旧加入者が承認を持ってくるわけです。それは今おっしゃったように、義務的に法律の建前から承認の判を押してやらなければいけないのでしょう。そういうことが行われているのです。早くいえばそれだけの、かりに市価といいますか、価値があるわけです。だから単なる手続の問題だけで質権を押えておくというのは、これは矛盾じゃないか、こういうのです。これを法理論の建前から一ペン聞かしていただきたい。  それからもう一つは、戦災電話のように、実際には法律によって優先的な権利みたいなものを権利者に与えておりますが、現実にはいろいろ地域の関係等で、電話そのものは使用に値していないわけなのです。所持しているという権利だけあるわけです。それはブローカーの手によって三転四転、移動していることも御承知の通りでございましょう。それもやはり問題があるのです。それでさえ価値があるものとして移動している。権利が存在しているわけなのです。りっぱな権利が存在して、そして業者の手によって二十万なり二十万をこえる価格、あるいは安いところでも都内では十二、三万円で権利そのものが売買されているものが、質権の対象にならないというのは一体どういうわけか。この法律からいえば理屈はこういうことになってくるのですよ。だから公社が認めて、譲渡の承認を公社がするならば、当然やはり公社が認めた場合は、いわゆる担保権を認めなければいけない。これが一貫した筋が通った法律の建前になってくると思うのです。それができるかできないか。郵政省としては法改正をやろうと考えているかどうか、これを一点明らかにしてほしい。  それからもう一つは、紛争が起って困る、手続が煩雑になるということになりますならば、その担保ないしは質権として、いわゆる担保物件を扱う相手万を、法律ないしは政令で規定をしたらいいじゃないか。民間の金融ブローカーは扱えない、あるいは普通民間銀行も扱わない、たとえば中小企業金融公庫とかが扱わなければならないと、一定の場所を法律できめるか政令で制限すれば、紛争も煩雑も起り得ないで、加入者に対する金融の便宜を与えることができるのです。そういう点まで研究したことがあるかどうか、考えたことがあるかどうか。いずれにせよこの三十八条は、一項と四項は矛盾しておりますから、これは法改正をやらなければならない。法改正をやる場合に私が今申し上げたことが考えられてくるのです。だからそういう意思があるかないか、これを一つ郵政当局と公社当局と両者から明らかにしてほしいと思う。これは扱い方は幾らでもあると思う。
  69. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいまの御趣旨はまことにごもっともでございまして、譲渡し得る財産がすべて質権が認められるかどうかという点につきましては、実はこのすべてを質権の対象とするというふうな場合に、担保として活用し得るという点から、いろいろそのためには債権者の保護だとかというふうな問題もございまして、現在の民法でも物の場合にははっきりした質権が確立しておりますが、権利質の場合には一応民法の規定もございますけれども、少しあいまいな点もある。それから質権の場合に、普通の場合ですと、質に入れますとその物の占有権は質権者の方に移ってしまいますので、その意味で非常に債権者の保護という点ではっきりするわけですけれども、電話の場合は質に入れましても、質に入れたその人が使っているというふうな状況になりますので、第三者はそれを誤解しやすいというような問題がありますので、実は従来からも相当問題になっていたわけでございます。しかし今松井委員のおっしゃいましたような工合に、そういう点を、たとえば金融公庫とかそういったものに限定すればその点はなくなるじゃないかというふうに、はっきりした意味で限定をして参りますと、確かにおっしゃいましたようにその弊害は少くなって参りますので、その場合は当然の性格として、やはり電話の加入権に対する質権というものも、考慮する必要があるのではないかということを私ども考える次第であります。そういう点のことにつきましては、実は金融の方の方法につきましては、これは郵政省としてはいかんともしがたいことでございますので、関係官庁の方でいろいろ検討していただきまして、そういうふうな手段がとれるというふうなことでございましたら、それと関連して私どもは当然そうい方向で研究しなければならぬというふうにも考えている次第でございます。    〔委員長退席、松井委員長代理着席〕
  70. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 ただいまの法の改正考え方につきましては、政府委員からお答えの通りでございます。その前に松井委員の御指摘の、現実の問題はどうなっているかという点につきまして、申し上げます。現在の法律におきましては、御存じのように加入権の譲渡は電話局の承認がないと効力を発生しないというので、承認の手続を経ない限りは効力発生の条件になっていない。従って個人心々が相対ずくで譲渡した、実際当事者同士は金を払えばそれで権利ができたものと思っておるのでありますが、法律のこの効力発生要件というものは、それだけでは効力がない。やはり新加入者、旧加入者というものの権利の変更をするのは電話局の承認という行為がありまして、そこで初めてはっきりするのであります。こういうので、効力発生要件に欠けております従来の考え方、あるいは対抗要件、当事者同士がもう取引をすればそれで効力があったというのを、この際法律ではっきりいたしまして、御指摘のようなことは解決しているわけであります。それから戦災電話の問題でございますが、これも同じようなことでございまして、確かに転々として売買れれておりますが、これも法律上の扱いにつきましては同じにやっているわけであります。
  71. 松井政吉

    ○松井委員長代理 幸い御出席を願いましたから、主管事項ではないかもしれませんけれども、この際中小企業庁の方にお伺いをしたいのですが、これは当然過ぎるほど当然でありましょうが、中小企業者の持っている電話の加入権を、たとえば質権として扱う場合に、現状の法律ではできないと思いますが、できるかできないか、これが第一点。それから仮定の問題で、はなはだ恐縮でございますが、ただいま質疑応答の中で明らかになりましたように、この法の改正を行いまして、そうして公社が質権を認めたときには、質権としてその加入権は認められる。その場合に、民間のブローカーや、そういうものに勝手気ままに質権を認めるということになりますと、先ほど政務次官説明したように、会社がいたずらなる紛争に介入しなければならぬことになったり、事務上の煩雑か起きますから、当然その場合の金融機関というものは、法律なり政令で指定をしなければならない、そう考えられます。その対象は、やはり中小企業金融公庫ですか、そういう中小企業を中心とした公的な金融機関が一番望ましいと思われるのです。そういう法律の改正があった場合に、中小企業庁の立場として扱い得る道がございますかどうか。それから扱い得る方法等ございましたら、この機会に一つお聞かせ願いたい。
  72. 川島一郎

    ○川島説明員 中小企業庁として申し上げますが、第一点の質権の対象に従来金融機関がとっておったかと申しますと、御指摘のように法律で禁止されておりますために、質権としては設置不可能というふうに解釈いたしております。  それから仮定の問題といたし、まして、法律で質権設定を許すというふうな改正が行われるといたしまして、特定の金融機関を指定して受け入れさしてはいかがかという御質問でございますが、元来電話加入権を質権として使用いたします場合に、最もこれを利用いたします部分は、いわゆる零細金融ということになろうかと思うのであります。元来零細金融につきましては、中小企業庁または大蔵省でもさような方針かと存じておりますが、特に中小企業金融公庫なり国民金融公庫あたりの運用方針におきましては、原則として、物的担保を徴しないという方針で運用して参っておるわけでございます。これは御承知の通り、零細企業者は、価値あるものそのものの所有が非常に少いわけでごさいますので、そういう物的担保を徴収するということは、零細企業者の将来の企業経営の継続に対して差しつかえるということで、もっぱら対人信用を主として金融の措置をはかって参ったようなわけでございます。そのために、あるいは信用保証協会とかあるいは信用保険とかいう制度を使って参ったわけでございます。従って第一段の、政府金融機関をこの質権の設定の対象金融機関として指定するということにつきましては、さような指導方針との調整をいかが考えますか、この点について若干中小企業庁としては疑問があるというふうに考えておる次第でございます。  それから特に零細金融という面をできるだけ広く救済していきたいというふうに考えますと、非常に狭い範囲で指定するということは、せっかくやっていただきます法律改正といたしましては、その実効を上ぐるに十分でないというふうに考えておるわけでございます。御心配のような紛争の問題、これは私ども門外漢でどうも正確なことはわかりかねますが、新しく法律を制定いたしますとすれば、その質権の確認、対抗要件その他につきまして、十分法律的な手続を確立いたしますれば、さような点の危惧も若干減少するのではないかというふうに、私どもの方としては考えるわけでございますが、なお実施当局におきましてはいろいろまた御検討のことと存じますので、中小企業庁の希望といたしましては、せっかく零細金融の立場でかような制度を考えていただきます以上、できるだけ制限をしないで、広く質権の対象としていただきたいというふうに考える次第であります。
  73. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 関連して。先ほど来のお話を聞いておりまして、本質的な問題をもう少しはっきり聞きたいのですが、加入権が質権となり得るような類似の行為が他にございますか。
  74. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 お答え申し上げます。実は加入権の内容につきましては、過去におきまして法律的に確定した説がなかったのであります。今度法律的に加入権をはっきりと譲渡できるということになりまして、財産権であるということははっきり解明できたわけであります。しかし民法上の権利質の場合において、留置的効力がないものは、証書も何もないわけです。動産におきましては、先ほど政府委員の御説明のごとく、質ははっきりするのです。ところが債券、証書というものがなくて、何ら留置の証拠がない、第三者に対する対抗要件も非常に不明確であるというので、その意味におきまして、実はこのような種類の権利に対するものは類例はございません。従って今後非常に緊急を要する問題として、私どもも公社として研究中でありますが、法務省あたりの見解もまだはっきり伺ったことはありませんが、立法当時においては、以上のような不明確な御意見でありました。
  75. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その点一つ当局に御研究を願います。ただ中小企業救済のためという考え方は、本質的にはおかしいと思う。中小企業庁の万でもそう言いましたけれども、中小企業、零細企業者の救済のために、もし法を曲げてそうするというのであれば、はなはだおもしろくない思う。今言ったように、財産権の問題として、質権としてこれが法律的に可能である。こういう見解に立つならば、孝の一部を指定する。あるいは特定の金融機関を指定する考え方もおかしい。もう少し根本的な問題を考えて、財産権として、質権として設定することが可能である、また法律上も妥当である、こういう見解に立てば、ここで法制上の改正が必要だろうと思います。その点を考えないで、単に中小企業の救済のためであるという考え方ならば、それは当然他の方法によって行うべきであって、単なる加入権の問題でこれは論議すべき性質のものではない。その点をもう少し明らかにして答弁してもらいたい。
  76. 松井政吉

    ○松井委員長代理 しかし現実にたとえば零細なる金融なりあるいは多少の金がほしいときに、電話を担保に入れるから十五万貸してくれということが行われているわけですね。その行われている行為をどう取り締るか、こういうことをお考えになったことございませんか。現実にそういうことが平気で行われているのを、法律がこうなっているからということでほったらかしていいと思っておりますか。これは法律を改正して、何らかの、認めるなら認める、できないならできないで統一し、混乱が起らないように善処する方策をとる、こうなければいけないのですが、現実にやられておるこの姿を、黙認していていいというお考えであるか、そういうことについて明らかにしておいていただきたいと思います。
  77. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 現実の問題としては、加入権を担保とする金融を相当やっておることは事実でございます。そこで例としまして、請願の中にもありましたように、譲渡担保というような場合でありますが、白紙委任状でもつけまして——白紙委任状は要するに名義をいつでも書きかえてよろしいという——加入権者が出しております。そうしますともしも金を返へさぬ、あるいは利子を遅滞した場合に、加入者の意思もあるいは加入者の不便も顧みずに電話局へ持っていきまして、電話局としてはそういう内容はタッチすべきものではありませんから、正式な連署があれば受け付けて譲渡を承認する、こういうことになっております。それが今具体的に実際に行われている例でございますが、質権の問題につきましては、質に入れたというような形は現在どういう形でありますか、その点わかりませんか、現実には何かやはり加入権があるからというようなことは行われることは事実と思いますが、詳しくその辺まだ知っておりません。
  78. 松井政吉

    ○松井委員長代理 この問題について、他に御質疑はございませんか。—それでは請願請願としての取扱いを当会員会において後ほどきめますが、請願を離れてもこの問題は、橋本委員も言ったように、加入権そのものから、加入者の財産権そのものから検討しなければなりませんので、政府並びに公社におきましても、この法律改正の内容、果して必要あるかないか、そういう問題について十分検討していただき、次回の委員会等において、さらにわれわれ一般電信電話の業務運営の面で、この問題の審議をしていきたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
  79. 秋田大助

    ○秋田委員 ただいま中小企業庁の川島説明員でありますか、中小企業金融公庫その他零細金融を取り扱う場合に、政府考え方としては、元来零細企業者その他少額所得者等に対する金融であるから、対人信用をおもにする。従って物的担保ということは、本質上主として考えておらぬ。従ってこの電話加入権を担保にすることについても、そういう方針が主体として考えられるというようなお話でございます。まことにごもっともでありますが、幸いにしてそういう零細金融の関係者の中に電話加入権というものだけはある、従ってこれを利用したいという御要求は、まことにごもっともだと思います。特別な場合として電話加入権については一つ物的担保というものを考慮してやろう、これが中小企業金融のこと、ないしは中小企業振興という問題がクローズ・アップされておるこの際でもあるし、特別に考慮しようというお考え方をお持ちにならぬかどうか。これがただいま主題となっておる陳情の解決に重大関係があろうと思います。この点についてのお考え方を伺っておきたい。
  80. 川島一郎

    ○川島説明員 お話の通りでございまして、零細事業者がとにかく信用が欠如してるために、金融が受けがたいということは事実でございます。従いまして、たとい少額たりといえども、やはり物的担保を有するということは、非常にけっこうなことだと考えますので、できますればこのような制度が成立することを望んでおる次第でございます。
  81. 松井政吉

    ○松井委員長代理 それでは時間もだいぶ過ぎましたので、残余の請願については次会において審査することとし、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。   午後零時三十五分散会