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1956-03-07 第24回国会 衆議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月七日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 松井 政吉君    理事 愛知 揆一君 理事 秋田 大助君    理事 小泉 純也君 理事 廣瀬 正雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本  靖君       宇田 耕一君    遠藤 三郎君      小笠原三九郎君    川崎末五郎君       竹内 俊吉君    塚田十一郎君       中垣 國男君    濱地 文平君       星島 二郎君    山本 利壽君       井手 以誠君    志村 茂治君       杉山元治郎君    原   茂君       八木  昇君   橋本登美三郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局次         長)      荘   宏君         日本放送協会理         事       岡部 重信君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月六日  委員植原悦二郎辞任につき、その補欠として  平野三郎君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員石田博英君及び伊藤好道辞任につき、そ  の補欠として遠藤三郎君が議長指名委員に  選任された。 同 日  委員遠藤三郎辞任につき、その補欠として石  田博英君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第三一号)  放送法第三十七条第二項の規定に基き、同会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 松井政吉

    松井委員長代理 これより会議を開きます。  電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。この際昨日の質疑について村上郵政大臣より答弁を求めます。村上郵政大臣
  3. 村上勇

    村上国務大臣 電話設備費負担法期限の五年延長をお願いいたしておりますが、これに関連して、政府側公社側にこれまでの説明に多少食い違いがあるのではないかとのお話のようでありますが、実は政府側公社側も同じ趣旨のことを申し上げたつもりでございましたが、言葉が足りませんでしたので、あらためて御説明申し上げます。  本法電話設備費の一部を加入者負担していただくという趣旨臨時立法でございまして、これをさらに延長いたしますことは望ましいことではございませんが、お手元にお配りいたしました資料によっておわかりいただけますごとく、第一次五カ年計画終了時における電話サービス状況、並びにこれに引き続く第二次五カ年計画必要性から、またこれを遂行するに必要な建設資金調達がなかなか思うにまかせない実情から、やむを得ずこの法律延長し、加入者負担をもうしばらくお願いいたしたいという次第でございます。しかしながら第三年目以降におきましては、本法に基く加入者負担をできるだけ軽減するようにいたしたいと考えておるのでございまして、これにつきましては、一般経済情勢の推移とにらみ合せまして、できるだけ外部資金の獲得に努力いたします一方、公社側におきましても収入の増加、経費の節減に努めますとともに、現在加入者からいただいております装置料加入料等をも勘案いたしまして適当な措置をいたしたいと存じております。なおこの措置につきましては、第一次五カ年計画経過等をも見なければはっきり申し上げることはできませんが、その時期になりましたら、当委員会においても御検討いただくこととなると思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
  4. 松井政吉

    松井委員長代理 御質疑はありませんか。  御質疑がなければ、これをもって本案に対する質疑を終ることにいたします。  これより討論に入ります。討論通告順によってこれを許します。秋田大助君。
  5. 秋田大助

    秋田委員 ただいま議題となりました電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案に関し、私は自由民主党を代表して、政府提出原案賛成の意を表するものであります。  この法律案の目的とするところは、本年三月三十一日を期限とする電話設備費負担臨時措置法効力をさらに五カ年間延長すること、及び加入電話種類変更の場合に生ずる不合理を是正して負担調整をはかることの二つでありますが、後者、すなわち負担調整は、現行法の不備を補正しようとするものでありまして、何人も異論のないところであろうと思いまするので、ここには、以下電話加入申込者等負担金及び債券負担せしめる臨時措置を今後さらに五カ年間延長することの可否について、意見を申し述べたいと存じます。  電話国家社会の諸活動並びに国民日常生活に必須の用具でありまして、その健全な発達をはかることは国の政策として当然の要請であります。しこうしてこれが普及策としては、電話が一部富裕階級だけでなく、広く国民一般利用に供せられるように、これが架設に要する経費あるいはこれが利用のための料金等加入者負担額はでき得る限り軽減することが望ましいことは、これまた申すまでもありません。またおよそ電電公社の必要とする建設資金は、その自己資金を基本といたしまして、不足分国家資金財政資金借り入れあるいは公社債公募等に待つべきものでありまして、電話加入申込者等受益者負担に仰ぐがごときことは、公社事業公共的性格から申して、極力これを避くべきであります。この見地よりいたしますれば、加入申込者等電話設備費の一部を負担せしめることは、でき得べくんばこれを避け、やむを得ざる場合においてもこのような措置はなるべく早くピリオドを打ちたいことは言を待たざるところでありまして、負担法の建前が恒久立法でなく、時限的な措置になっている理由もここにあると思うのであります。従ってかかる臨時措置が是認さるべきかいなかは、一に現在におけるわが電話事業状況から推して判断するよりほかはございません。  翻ってわが国電話事業現況を見まするに、昭和二十八年度以降実施された拡充五カ年計画は相当の成果を上げ、昭和二十五年度末当時百二十一万であった加入者数は、五カ年後の今日では二百十六万に増加し、施設面サービス面ともに著しい改善向上の跡を示してはおりますものの、国民電話に対する要望はまだまだ満足されたと申すにははるかに遠いのでありまして、たとえば電話需給状況を見ましても、需要数供給数をはるかに上回って、積滞申し込みは現に四十二万の多きに達し、今後毎年十九万個程度の増設を行なっても、今より五年後の三十五年度末において、なお数十万の積滞が残るものと予測されるという状況であります。わが国電話普及率が人口百人当りわずか三・五で、世界の第二十二位にあることをもってしましても、わが電話事業世界水準に遠く及ばない未発達状況にあることが端的に立証されるのであります。さらに電話局舎、機械、線路等基礎設備も、現在なお著しい不足を告げておるのみならず、町村合併に伴う電話施策の統合、無電話部落の解消、市外通話サービス向上等電話事業の前途には現実改善整備の必要に迫られている案件が山積しているのでありまして、これらを解決して、わが電話事業国際水準に引き上げるとともに、電話事業に課せられた社会的使命にこたえるためには、昭和三十二年度において第一次五カ年計画が完了した以後におきましても、引き続き同様、もしくはそれ以上の規模をもって第二次計画を進めていかなければならないことは、火を見るよりも明らかであります。  しかしながら、この拡充計画実施には、現在の規模をもってしても、毎年約六百億円に達する巨額の資本投下を要するのでありまして、この建設資金のすべてを損益勘定の繰入金、財政資金あるいは公募債券等に依存できるならば、加入申込者負担は全廃することも可能でありましょう。しかしながら現実には、これらの財源にはいずれも限度がありまして、よほどの事情の変化がない限り、現在以上これに期待することは無理であります。現在負担法によって電電公社は年間約百億円の資金を得て、これを拡充計画実施に要する建設資金の一部に充当しておるのでありますから、もし負担法を本年度をもって打ち切ると仮定いたしますれば、建設資金の有力なる財源を失うこととなり、五カ年計画は頓挫して、国民要望の的である電話拡充も著しく鈍化する結果を来たすのであります。  このような情勢を総合勘案しまするに、電話拡充建設資金の一部を受益者たる加入申込者等負担とすることは、たとい好ましいことではないといたしましても、まことにやむを得ない措置でありまして、また現状にあっては、この措置をさらに当分の間延長する必要があると認められるのであります。その期限を幾ばく延長することが適当であるかは、見解の相違によって結論もおのずから異なると思いますが、現況をもって将来をはかれば、来たるべき五カ年以内に状況が著しく変化する予想は困難であります以上、政府原案の五カ年延長は妥当な案と思います。のみならず五カ年を延長することによって、第二次五カ年計画について、当初の三カ年については負担法による財源が確保され、計画策定安定性を与えることとなる利点も考えられるのであります。要するに電話事業が今後健全な発展を遂げ、及ばずながらも国民需要に応じてその使命を曲りなりにも達成するためには、やや長期間にわたって安定資金確保見通しを持つことが絶対に必要と考えます。これが本原案をわれわれが支持する根本的理由であります。  よって私は五カ年延長原案を支持するものでありますが、もしこの延長期間中に、電話建設資金財源を他に求め得る方途が確立されたような場合においては、負担法規定する金額は最高限を示すものでありますから、その範囲内において政令により負担額を軽減することの望ましいことは申すまでもありません。いなむしろ政府及び公社当局においては、進んで加入申込者等負担を軽減すべく積極的に適当の方策を講ずべきものと考えるのであります。  以上申し述べました理由によりまして、私は政府提出案賛成の意を表して討論を終る次第であります。
  6. 松井政吉

  7. 八木昇

    八木(昇)委員 私はただいま議題となりました電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  この法律案内容は、本年三月三十一日をもって満了する電話設備費負担臨時措置法効力昭和三十五年度末までさらに五カ年間延長することと、電話種類変更の場合の負担調整をはかる規定を設けようとすることにあるのでありますが、負担調整については条文が複雑難解をきわめておって、広く国民に理解してもらうべき法律としてははなはだ意に満たないものがありますが、実体的には別段異論のないところであります。そこで問題は、この臨時措置法効力をさらに五カ年間延長することが適当かいなかにかかってくるのでありますが、この点につきましては、遺憾ながら幾多の点において疑義なきを得ないのであります。  まず第一に生ずる疑問は、電話施設建設資金は、企業体たる日本電信電話公社自己資金、もしくは、国からの借入金、資金運用部などの財政資金融資公募による電信電話債券等外部資金によってまかなうべきものであって、これを電話加入申込者等負担せしめることは、根本的に誤りではないかということであります。これに対して政府当局は、公社自己資金国家資金財政資金ないしは公社債公募額にはおのずから限度があって、これのみでは必要とする建設資金に足りないので、好ましいことではないが、受益者にも負担してもらうのであると答えておるのでありますが、公社自己資金は、公社みずからの努力によって生み出すものでありますから、しばらく別として、従来国家資金財政資金の面において、政府電話事業に対して、果してどれだけの資金を供与したでしょうか。終戦までの過去の歴史は、資金の供与どころか、一般会計あるいは軍事費会計への搾取の歴史であったことは周知の事実でありまして、今日日本電話事業国際水準以下に低迷している最大の原因がここにあることは、万人ひとしく認めるところであります。さらに終戦以後においても、見返り資金預金部資金から二、三回少しばかりの融資はたったようでありますけれども、最近ではこれも全然なく、外部資金といえば公募社債のみであります。公募社債といえども単にワクを与えられるだけであり、たしか二十九年度においては、そのワクすら消化できなかった結果、建設資金財源に穴があいたことすらあるのとあります。このように電話事業のような公共事業に対して、政府はほんとうに力を入れずに、ばく然資金が窮屈であるという理由受益者負担に転嫁するというやり方に対して、私は大なる疑問を抱かざるを得ないのであります。  さらにこのような受益者負担をしいる結果、たとえば東京で電話を引こうとすれば、負担金債券装置料を合せて十万円近い金を要するのでありまして、これでは電話は一部富裕階級の独占に帰してしまいます。真に電話を必要としても、普通の勤労階級では手の届かない存在となってしまいます。言うまでもなく電話を広く国民一般の利便に供するのが国の政策であり、公社使命であるべきであるのに、この受益者負担という重荷のために電話が各階層に行き渡らないということは、電話行政をあずかる者としては、深刻に反省すべきことではないでしょうか。政府あるいは公社当局は、この負担のもとにおいても現に応じ切れないほどの需要があるから、電話普及政策に反しないといっておりますけれども、これは金持ちは米を食え、貧乏人は麦でがまんしろという思想と相隔たること遠くない考え方で、電話行政の理想とはかけ離れたものの見方と言わさるを得ません。次に、このように受益者負担ということが好ましくない制度であるなら、たといやむを得ずしてこの制度をとったとしても、できるだけ早くこれを打つ切るべきであります。この制度恒人立法としないで、時限法とした趣旨もここにあるのであろうと思います。事実昭和二十六年負担法制定当時には、五カ年後にはこの制度を廃止し得る見通しで五カ年の期限を設けたのではないでしょうか。そういう見通しを立てずに、ばく然と五カ年間と期限を則ったとすれば、驚くべき無責任と言わねばなりません。それを五年たった今日まだ存続が必要であるとして、さらに五カ年の延長をはかるというのは、事の当否は別として、当初の見通し誤りがあったことは否定し得ざる事実であります。  なおまた、受益者負担してもらうほど建設資金不足に悩んでいる電電公社に対し、別途市町村納付金を課するとは、一体どういうことでありましょうか。郵政大臣は、公社に対する関係のみについていえば、納付金を課することは誤まりであるけれども、他面地方財政再建のため、やむを得ず納付金を課したのであると答弁しておりますけれども、国家社会のいろいろの要請を、矛盾撞着を来たさないようにあんばい調整して国策を立てるのが政府の任務でありまして、このように明瞭に矛盾する政策政府の各部局がまちまちにとるのでは、政府行政方針根本はいずれにあるのかを疑いたくなるのであります。  以上、私はあたかも反対討論のようなことを申しましたけれども、冒頭に申しましたごとく、結論として、わが党が本法律案賛成する理由は、一にかかってわが国電話事業現状に照らして、電話施設の迅速なる拡充をはかることが最大の急務であり、国民一般の至上の要請であるということに存するのであります。言葉をかえていえば、この負担法はいわば悪法であって、決して望ましいものではないが、保守党政権のもとにおいては、この負担法を存続させるよりほか、国民のこぞって要望するわが国電話事業の急速なる発展ということを実現する方途がないとするなら、この法律延長もまたやむを得ないという消極的な意味においての賛成でございます。従って本案の議決後、本案に附帯して、負担法のような臨時変則的な措置はすみやかに終止符を打ちたいという内容決議案が、動議として提出されるはずでありますから、この決議を単に政府は一片の附帯決議として軽視されることなく、あくまでも誠意をもって決議趣旨実施に移されることを強く要望いたしまして、賛成いたすものでございます。
  8. 松井政吉

    松井委員長代理 討論は終局いたしました。  これより電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案議題として採決いたします。本案原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  9. 松井政吉

    松井委員長代理 起立総員。よって本案原案の通り可決いたしました。  次に森本委員より本件に関する附帯決議の件について発言を求められておりますので、この際これを許します。森本靖君。
  10. 森本靖

    森本委員 ただいま全会一致をもって可決をされました電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案に関する附帯決議動議提出をいたします。まず附帯決議の案文を朗読いたします。     附帯決議   およそ電話施設建設に要する資金は、企業体自己資金をもつて賄い得ないところは、国家資金財政資金の借入或は公社債公募等方途によつてこれを調達すべきであつて電話加入申込者等受益者負担にまつことは、事業公共的性格からいつて、努めて避けなければならない。この見地からすれば、電話設備費負担臨時措置法による受益者負担は、急速な拡充を必要とする電話事業現状と、これに要する資金を十分に供給し得ない国家財政並びに公社収支刻下の状態よりする已むを得ざるに出た措置というべきである。よつて政府及び公社当局においては、将来事情が許す限りなるべく速かに、かかる臨時措置を打切る方針の下に、できうれば負担法延長期間内においても加入申込者等負担を軽減すべき適当の方策を講ずべきである。   右決議する。  次に本附帯決議案提出趣旨を簡単に御説明申し上げます。電話施設建設資金は、本来電電公社自己資金もしくは国家資金財政資金借り入れ公社債公募等による外部資金によってまかなうべきであって、電話加入申込者等受益者にこれを負担せしめることは、事業公共的性格からいって好ましくない。ただ電話施設の急速な拡充ということは、国民要望の的であり、現状においてはこの要望を実現するためには、受益者建設資金の一部を負担してもらうよりほかはないという理由によって、負担法は可決せられたのでありますが、討論の際秋田委員も指摘されましたごとく、また八木委員も申し述べました通り、このような臨時変則措置はできるだけすみやかにこれを打ち切って、本然の形に立ち戻ることが望ましいことは言うまでもありません。たとえば公社収支の好転によって建設勘定への繰入額が多くなるとか、財政資金からの融資公募社債増大等によって、借り入れ資本がふえるとかした場合には、まっ先にこの受益者負担額を切り下げるのが当然であります。しかも現在施行中のいわゆる第一次五ヶ年計画は、昭和三十二年度、すなわち負担法延長期間の中途において完結するのでありまして、これに引き続く第二次五カ年計画策定に当っては、当然計画規模とともに所要資金調達計画についても、新しい構想がめぐらさるべきはずであると思います。よって私は、現在の負担法は一応五カ年間延長はされるけれども、政府としては、事情が許す限りなるべくすみやかにこれを打ち切る方針のもとに、でき得れば負担法延長期間中においても、加入申込者等負担を軽減する措置をとるべきであるという考え方に立脚をいたしまして、この決議案提出した次第であります。  以上が本決議案提出趣旨であります。何とぞ全会一致賛成あらんことを望みます。
  11. 松井政吉

    松井委員長代理 ただいまの森本委員動議に対して、御質疑があればこれを許します。御質疑はありませんか。  御質疑がなければ、森本君の動議を採決いたします。森本君の動議のごとく附帯決議本案に付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松井政吉

    松井委員長代理 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。  なお本案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願います。
  13. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま全会一致附帯決議につきましては、政府におきましても十分その趣旨を尊重し、その線に沿って参りたいと存じている次第であります。     —————————————
  14. 松井政吉

    松井委員長代理 次に放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。この際、質疑通告がありますのでこれを許します。森本靖君。
  15. 森本靖

    森本委員 私はこのNHKの予算の審議関連をいたしまして、まず冒頭大臣にお聞きしたいことは、けさの朝刊に、一せいに放送法改正に関する郵政省原案なるものか発表されております。これに対しまして各新聞ともそれぞれ論説、解説で取り上げましてかなり大きく報道せられておるわけでございますが、この放送法改正の問題については、当委員会においても今までいろいろ問題がありまして、なお本委員会におきましてもずっと前の国会以来、この放送法改正に関する小委員会を持ちまして、種々論議もし、また質疑応答も取りかわしてきたわけであります。その過程におきまして、大臣は、この放送法改正については非常に慎重に考えていくべきである。これはむろん前の松田大臣からのすっと関連をした発言でありまして、そういたしまして今の村上郵政大臣になりまして、放送法改正については、きわめて重要な問題でありますのと慎重に考慮していかなければならぬ、放送法改正ということについては、少くとも一党一派に偏するということでなくして、超党派的にこれを考えていかなければならぬ、それがためには超党派的に学識経験者も入れて放送法改正に関する審議会というようなものを作って、そこで十分に練って練り上げて、そうして政府承認を得て国会提出をする、こういう言明があったわけであります。そういうふうなことを私たちは信頼をいたしまして、今日まで放送法改正に関する問題を種々論議をしてきたわけであります。ところが突如としてここに郵政省放送法改正に関する原案なるものが発表されたわけであります。この原案内容を見てみますと、かなり重要な面が多いわけであります。一体大臣が今までの審議過程を考慮して、この放送法改正案というものを出したのはどういう意図に基いて出したのか、たとえば河野農林大臣農業団体再編成の問題を論ずる場合に、自分が出すのは都合が悪いので、一応平野試案というような形で出して、世論のアドバルーンをあげたというようなこともありますが、一応この放送法改正原案を出したということは、郵政大臣としては世論の集中が非常に激しいので、一応郵政省原案として出して、世論の動向というものは大体どこにあるかということで、アドバルーン的なことでこれを出したのでありますか、それとも郵政大臣が確固たる方針のもとにこれを出されたものであるか、その点をお聞きしたい。
  16. 村上勇

    村上国務大臣 放送法改正しなければならないということは、年来の多くの人たちの考えであったと思います。これを改正するに当りまして、いろいろと本委員会におきましても御注意あるいは御忠告等も賜わっておったのであります。私といたしましてはただいま森本委員お話のように、これを原案として云々というようなものではないのでありまして、単なる試案とでも申しますか、素案が一応できましたので、直ちに、発表前に小委員長あるいは両院の委員長にこの素案を示した次第であります。また全くお説のようにこれは超党派的な審議会に一応かけて、その審議会の答申を尊重して初めて法制化す、法文化すということになるのでありまして、これは単なる試案にすぎないものでありますが、しかしながら大体こういうような形でひとまず試案をお示しした上でいろいろと御批判を願いたい、かように思って試案を発表した次第であります。
  17. 森本靖

    森本委員 今の大臣のお答えでは、これは単なる試案であるということでありまするけれども、一般の世論というものは単なる試案とは受け取っておりません。きょうの新聞を見ましても明らかな通り、政府考え方は大体この辺にあるということが、各新聞において論ぜられておるわけであります。かりにこういうふうに試案を発表されるときにおいても、事は非常に重要な一問題であり、慎重を要するということは、前もって私たちから言ってあるはずであります。しかもこういうふうなものを審議する際には、放送法改正に関する審議会というものを通してやる、こういうこともあなたははっきり言明をされておるわけであります。ところがその放送法改正に関する審議会の輪郭すらわかっておらぬという現状において、こういうふうに単なる試案という、しかも郵政大臣なるものが試案という形において発表するということはいいかどうか。今日非常に問題になっておるこの放送法改正というものを、こういう形で突如として発表するということは、あなたはいいとお考えになってやられたのですか。発表の形式というものが非常に突如として行われた。今まで大臣が言われておったような形式を一つも踏んでおらない、こういうように私たちは考えるわけでありますが、その点はどうですか。
  18. 村上勇

    村上国務大臣 どちらが先かというようなことになりますと、非常にめんどうな議論になりますが、私としてもやはり郵政省が漫然として何も持たないで、審議会に一ついいように作って下さいというようなことはあまりに責任がないのではないか。従いまして郵政省としては一応こういうような考え方ですというぐらいの考え方を、いわゆる素案としてこれを審議会なりあるいは当委員会にあるいはその他に御相談して、その上で初めてここにりっぱな原案ができる、その原案を基礎にしてこれを法制化す、こういうような行き方でなければ、ただ単に人だけ集めて、何でもいいからよろしくというようなことでは、少し無責任ではないかとも思いましたので、一応試案ができましたので、まあこういうような考えを持っておりますが、これがいいでしょうか、あるいは悪かろうか、そのことについては一つ十分御検討、御審議を願いたいというようなことでありますので、決して委員会を無視するとか、あるいはこの重要な法案の取扱いをする上に非常な手落ちでやっておるとかいうようなことは、私は考えられないのであります。
  19. 森本靖

    森本委員 そうすると今後郵政大臣としてはどういう方針で取り扱いますか。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 これは単なる試案、すなわち試みの案でありますから、この案に対して一応今明日中に審議会委員を委嘱したいと思っております。その審議会ができまして、審議会でこの試案を御検討願って、そうして原案ができましたならば、今度はまたその原案を当委員会または小委員会にお諮りいたしまして、その上で法文化いたしまして、その上でこれを正式に国会提出いたしたい、かような考えでございます。
  21. 森本靖

    森本委員 その審議会というものを今明日中に作って、それに諮るということでございましたが、この審議会の問題についてもあわせてお伺いをしたいと思いますが、そういうことの前に、私はやはり大臣にはっきり聞いておきたいのは、一応われわれがこの委員会において大臣から承わっておったところでは、この放送法改正に関する審議会というものを超党派的に作って、そこで今回の放送法改正について、どういうふうな方向においてやったらよかろうということも種々相談をし議論もして、そうしてある一つの方向というものが出た場合に、それを今度は郵政省に持って帰って、そうして一つの原案を作って、さらにもう一回この放送法改正に関する審議会ですか、それにかける、それほど慎重に行なっていきたいというのが今までの答弁の内容であります。ところがそういう審議会というものはまだ作らずに、ぽんと原案だけ郵政省の独自の原案というものを発表しておいて、そしてそのあとにこの放送審議会を作って、その中で十分練ってもらいたいというようなことでは、政府の意向というものがここにあるということが示されて、もうすでにその審議会に対して、ある程度の大きな圧力を加えておるというような格好にとられてもやむを得ぬのじゃないか。その辺の順序というものが、ここに突如として発表したということと、あわてて今明日中に寮議会を作るということは、手続上として非常に不備な点があるのじゃないですか。一応そういう超党派的な審議会なら審議会を作って、そこに御意向はどうでしょうという大体の意向を聞いてさらにその上において原案をまとめて、その原案審議会にかけるならかけて、そうしてやっていくということが、この前から論議せられておるところの一つの意見じゃないですか。そのかたわら、この国会においても電波及び放送に関する小委員会をこの放送法のために設けておるのであって、その内部においても十分に論議をして、一つの原案が固まっていくというのが筋道ではないですか。それを突如としてそういうふうにぽっかり発表するということは、どうしても私は納得ができぬわけでありますが、何か一つ政治的な意図があるか、あるいは大臣に、何か一つの重大な目的でもあるのですか。
  22. 村上勇

    村上国務大臣 政治的な意図も目的も何もございません。ただ森本さんのこれが原案だというお考え方と、私の考え、これは単なる試みの案であるということに食い違いがあろうかと思います。決してこれが原案ではありません。従いまして事務当局におきましても、また私も検討しておりますが、全く超党派的の審議会委員、それはすでに大体できておりますが、それを何もないのに、試みの案もないのに、審議会委員をお願いして、ただ委員さんだけにこれを一つよろしくということもどうかと思いまして、一応私どもの方では試案をお示しするくらいのことは差しつかえないのではなかろうか。その上で原案ができるのであります。当委員会におきましても、小委員会ができておりますので、小委員会委員長にこの試案を発表前にお示しいたしまして、小委員会審議会と並行して試みの案を御審議願って、初めて原案ができるということになる次第でありまして、決して政治的な何かの意図を持って、突然出したということではないのであります。ただ放送法改正は各方面からも非常に注目されておりますので、これを極秘のうちに、実は試みの案をまとめておった次第でありまして、決して突如として何らかの目的でこれを発表したということではないのでありますから、何とぞその点御了承願います。
  23. 森本靖

    森本委員 ついでにお伺いいたしますが、小委員長にこれを通告したのはいつですか。
  24. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 昨日午後早稻田委員長に御通知いたしました。
  25. 森本靖

    森本委員 小委員長通告するのと新聞に発表するのと同時であって、小委員長はきのうの夕方もこの内容については御存じなかったと思う。私は小委員長に、きのうの三時ごろでありましたが会いまして、どうしてきょうの放送小委員会が流会になったかということをお話ししたことがありますが、そのときにはまだ私は小委員長は何も御存じなかったのじゃないかと思うのです。そういうように、小委員長通告したというのは、新聞発表と同時にということで、ほとんど儀礼的、形式的に通告しただけだ。そういうようなことで一体どう考えているかということです。それがために小委員会というものを設けて種々論議をするということになっているわけです。どうですか。
  26. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 昨日二時半ごろ早稻田委員長を訪問いたしまして、基本方針について詳細に御説明をいたそうと思ったのでありますが、あいにくお留守でありまして、そのことができなくて、はなはだ遺憾に存じております。先ほど大臣お話にもありました通り、この問題につきましては、まず郵政省において試案をまとめまして、しかる後に衆議院の電波及び放送に関する小委員会にお諮りをして、それから先ほどお話もありましたように、放送法改正審議会というようなものを一日も早く作りまして、そうして御相談を進める、各方面と並行に話を進めていきたい、こういう所存であったのでありまして、そのことが新聞発表のよほど前に行えなかったことは、非常に遺憾に存じております。
  27. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 関連質問。この問題は非常な重大問題であって、森本君の質疑に対する大臣の答弁にも私納得のいかぬところがだいぶあります。それについて、森本君の質疑を補足する意味において、もう一度お聞きいたします。大体政府当局日本放送協会なるものを政府機関と考えておられるのか、それとも政府は単に予算の上程を手続上行うだけであって、国会承認が主であって、政府機関でないという見解に立っているのか、そのいずれかでだいぶ問題が変ってくると思うのであります。たとえば大臣試案を示したにすぎないとおっしゃっておられるが、もしこれが政府機関であれば、あるいはそういうような方法も考えられると思う。従ってこれが手続上の扱い方といたしましては、当然放送法改正審議会等を作られて、その間においては試案が生まれてこなければならぬ。政府当局試案を出すのでなくて、そういう超党派的な、民間の有志を集めた審議会によってこの放送法のどこを改正すべきか審議して、その審議会の空気に従って政府当局試案をまとめるということはあり得るけれども、そういう問題を抜きにして、政府関係だけで試案を持ち上げて、そうしてこれを審議会の諮問にかける、こういう考え方は私は根本的に違っているのではないかと思う。この点どういう工合にお考えになっているのか、はっきり御答弁願いたい。
  28. 村上勇

    村上国務大臣 これは公共的な重要な事業であることは申すまでもないのでありまして、政府機関ではありません。しかしながら結論的にはあくまでも審議会審議による原案を尊重して立法措置を進めたい。巷間放送法についてはいろいろ議論がありますが、こういう程度の試案政府においても作ることは必ずしも悪いとは思っていないのであります。
  29. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 公共事業とおっしゃったが、これは公共事業ではありません。法律的にいって必ずしも公共事業じゃない。それは私がここであえて詳しく申し上げる必要もないのですが、公共的な放送を行なってはいるけれども、公共事業でないことは法文で明らかなのであります。従って公共的な意味を持っているということは、広く国民全般に関係がある、こういう意味において放送審議会というものが各方面の人材を網羅して、その審議会において試案が作られることは当然だろうと思う。あたかも国鉄なり専売公社等に対するがごとくに、一種の政府機関として考えるものの考え方がこの中に入っておるというのは、あなたがけさ御発表になった基本方針にこういうことが書いてある。「その全面的かつ根本的な改正を行うためには、さらに十分の検討を要するので、さし向き緊要と認められる事項について左記のとおり改正実施する。」こう書いてある。試案とも何とも書いてない。「左記のとおり改正実施する。」そこでもって改正要点が出ておる。従って政府はこの方針のもとに、単なる試案として審議会にかけるのじゃなくて、こういう考え方のもとに審議会をリードしようという前提に立ってこの案を作られていることは、精神的に疑うことができないのであります。その点についてもう少し明確なる御答弁を願いたい。
  30. 村上勇

    村上国務大臣 これは全くあなたのお話の通りであります。これは要するに放送法改正するのは、こういう意味において必要であるということなのでありまして、内輪の問題になっております放送法はこういう事情によって改正するのだということとこの試案とは違っておるのであります。これは原案ができ、立法化した際につける文章でありまして、これにつけてあります内容のように改正するのだという割り切ったものでは必ずしもないのであります。
  31. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今大臣は基本方針という郵政省が正式に公文をもって回した文書に対して、これは別ものであるとおっしゃっておられるが、それはどうもわれわれはそのままには受け取りにくい。しかしながら大臣はこれは公文でもなければ、改正方針とはいっておるが、ただ改正したいという程度のものである、あえてこう言って字句を訂正されておりますから、私は大臣の今の言葉は、「左記のとおり改正実施する。」ということは改正したいという意味であると解釈いたします。その方が御都合がよろしいでありましょうからそう解釈いたしますが、いずれにしても根本的な問題として、広く多くの知識を集めて試案なるものを作り、それを国会の小委員会なりに相談なり諮問せられるという方法をとるべきにかかわらず、こういう具体的な問題をまずもって政府当局試案であるというて出されるやり方は、言論機関としてのNHKに対する考え方が誤まってはしないかと思いますから、政府当局では一応こういうものを本日出しましたけれども、審議会に対してはこの点は全く白紙の問題として、あらためて審議会の意向によって試案を作る、こういうお考えがあるかどうかを一つお聞きいたしたい。
  32. 村上勇

    村上国務大臣 これを白紙に返すということは考えておりません。私の方としてはこれは一つの参考にはなるだろう、そういう考え方でございます。
  33. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それでは大臣は今試案なるものは単なる参考資料であるとおっしやいましたから、参考資料としてわれわれも受け取ります。
  34. 小泉純也

    ○小泉委員 ただいまの森本君や橋本君の質問に関連をいたしまして、私も一言お伺いをいたしておきたいのであります。大臣は先ほどからの答弁で、単なる試案であるということを繰り返して説明をしておられますが、私どもはどうしてもこれをわれわれの常識をもってしては、単なる試案であるとは受け取りがたいのであります。現に放送法改正の基本方針と明らかにされておる。しかも郵政省昭和三十一年二月二十九日という日付があり、さらに私が最も遺憾に感じることは、これは全く官僚独善的な考え方に出たものであって、委員会を無視するはもちろん、放送法改正に関する小委員会が厳として存在しておるのをば、果して当局は知らないのであるかとあえて私は問いたいのであります。先ほどの同僚の質問に対して濱田政府委員は、事前に小委員長に連絡をしたと言われましたが、実に驚くべきことで、それは昨日の午後で、しかも本人はいなかった、ただ本日の答弁において事前に通告をしたというが、これは一つの言いわけにすぎない、小委員長に対し、小委員に対して私は礼を失するものはなはだしいものであると言わざるを得ないのであります。官僚の非常識はあえてわれわれ点に介しないといたしましても、われわれが村上郵政大臣を尊敬しておる最大のゆえんは、こういうことに対する取り扱いが実に政党人として練達堪能の士であるということでありますが、あまりにも今回のやり方は、与党のわれわれといたしましてもどうにもがまんができない。村上郵政大臣にあるまじきやり方ではないかということを、私は大臣のために非常に遺憾とするものであります。郵政大臣は、先ほどは極秘のうちに試案を作って案を練っておったと言われますが、極秘のうちに案を練っておったのに、これを突如として発表しては、少くともこれは極秘にならないのであります。少くともわれわれ政党常識からいえば、小委員くらいには非公式に懇談をして、こういう試案を一応まとめたのであるが、どういうものだろうかと御相談するのが当然であるにかかわらず、ただ一片の通告を小委員長にして、同時に新聞に発表しておる。これが現に二月二十九日にできておる。二月二十九日にできておって、それを昨日突如として発表した、その期間の間においても非常にわれわれはその取り扱いを不満とするものであります。今後少くとも十分これはお考えを願って、委員会の協力、与党の協力を得るためにも、こういうことをなさることははなはだよろしくないと考えますので、十分考え直していただきまして、もっと一委員会が超党派的に円満に遂行することができるように、大臣からも下僚に特に御指導を願って、万遺憾なきを期せられたいということを私はあえて要望いたしておきます。今後この取り扱いについては、ただいまは単なる試案、参考意見ということでございましたが、この委員会に対する出方をば一つ御考慮願ったらどうかと思いますが、いかがでありますか。
  35. 村上勇

    村上国務大臣 昨日、端的に申しまして、電波監理局長に委員長、小委員長、衆参両院のその責任者にだけはお示ししてもらいたいということを命じまして、何時から何時までと時間を切って、それが十分了解がついたら何時に発表しようということで、大体その時間に御了解がついたように私も考えましたので実は発表したのですが、実際におきましては、これは先ほど申しましたように、ほんとうはきょうから発足するというようなものでありまして、単なる試案でありますし、これからこれを御参考に願って小委員会におきましても原案を一つ御審議願いたいというのが私どもの趣旨であります。審議会におきましても原案を並行してお願いするというようなことでありますので、私としてはこれにとらわれて御審議の必要はないじゃないか、かように思っておるのであります。手違いのありましたことについてはまことに遺憾といたします。今後十分注意を申しつけます。御了承願います。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 この放送法改正問題は、村上郵政大臣ばかりでなくて、前大臣からも実は非常に大きな問題になっているわけです。従って今日基本方針を出されるということになりますと、数年来の懸案に対するピリオドをここにつける意味において、こういう基本方針が出されたものと解釈するのが常識です。従って基本方針を出す基本的な態度が、今春委員の質問ではっきりしたように、大臣の御答弁からいうと誤まっていたことになるわけです。ですから私は、こんな危険な文書が公文書として出された今日、このまま参考意見であるとか参考資料であるというような程度でこれを見のがすということは、非常にむずかしい問題だと思います。できればこの公文書をきょう撤回なさってあらためて基本的な態度を考慮されて、相談された上で諮り直しをする、あるいはこの文中の措置するとか、決定するとか、実施するという言葉を、率直にここで訂正なさるか。そうしなければこの文書をきょうここに出されたまま、単に大臣の参考意見であるというだけでは、非常に重要な問題でありますから受け取ることはむずかしい、こう考えますから、この点どちらかに態度をはっきりしていただきたい。
  37. 村上勇

    村上国務大臣 先ほど橋本委員また小泉委員からも御注意がありましたが、この放送法改正の基本方針、いわゆる最後の改正実施するという上表紙のようなものは、これは内輪に出すものが表に出ているように私は思っておりますので、これを撤回することにはやぶさかでありません。しかしながらこの試案内容については、これは私としては単なる一試案でありましても、一応ここにお示しいたしたのでありますから、小委員会におきましてこれが御検討願うことを私としてはぜひお願いしたいのでございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 上表紙の実施するというのは撤回なさる、あと内容に関しては参考資料として試案として出された、こういうふうにきょうお認めいただいたなら、それでよろしゅうございます。  そこで参考に一点だけお伺いしておきたい。その基本的な考え方ですが、国会軽視の問題に対しては、先ほど言われたので、概略的なそういう問題は正式にこれが出された後に審議を続けるとしまして、たとえば第四項に「協会の業務運営の合理化及び責任の所在の明確化を図るため、次のとおり措置する。」という試案がここに出されたけです。参考までにこの考え方の基本をお聞きしたいのですが、今日の協会の運営の不合理なところ、大ざっぱに言って、一体どういうところが合理的でないとお考えになるのか、たとえばマネージメントの面で言うならば、今日の機構ということに対しても相当突っ込んだ考え方が基本になって、いゆわる第三項までのものが出てきておるのでありますから、現在の協会の機構あるいは経営の運営上、一体どこが不合理だと考えてこういうことを出されたのか。基本的にはもちろんそれがあるのではないかと思いますから、全体のものの考え方の基本を知るためにお聞かせいただきたい。
  39. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 この問題については、審議会その他の委員会等において十分御検討願いたいと思います。この協会の業務の合理化及び責任の所在の明確化の必要はどこにあるかということにつきましては、一例をあげますと、経営委員会の問題があろうかと思うのであります。経営委員会というものは、御承知のごとく日本放送協会の最高の意思決定及び執行の責任機関であります。これが考えはまことにけっこうであるといたしましても、その実有上において必ずしも適当なものとは思われない。そこら辺に大きな問題があろうと思うのであります。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 私のお伺いした答弁にはならないのでありますが、試案でありうと参考であろうと、少くともこうして次の通り措置したいと考える以上は、今日の協会の経営上の不合理の点かどこかにあったのじゃないか。たとえば私の言う機構の問題でもけっこうですが、そういうところに当局側として何か不合理と考えられるものがあったのじゃないか。これから審議会審議していただきたい、小委員会でこれから考えていただきたいのだというのとは、この出てきて形から言って違うし、精神もそういうのではない。これは基本的にはもうすでに、どこかが悪いからこうするのだというような考え方があって、一応こういうものが出たということに知る。ですから、一体協会の経営上どこに不合理があるのか、どこをどういうふうに考えられておるのか、一点でも二点でもけっこうですから参考として私どもは知りたいのであります、こういうものを今後審議するのに非常に参考になりますから、一つ例を引いて御説明が願いたいのであります。
  41. 荘宏

    ○荘説明員 ただいまの協会の経営委員会は、法律によりまして非常に大きな権限と責任とが与えられております。しかしながら法律で権限が与えられておる場合には、その権限の行使が十分にできるという裏打ちが、制度の上にもなければならないのではなかろうかというように考えられます。しかるにただいまの状況を見ますと、経営委員会は他に業務を持っておる方々が全国八地区から選出されておりますので、会議の回数あるいは一回の会議にさき得る時間というようなものについても、これを十分に持つことができないというような状況にあります。そういうような点はいま少しく制度的に何らか合理化が考えられないものか、こういうことが一例であります。
  42. 松井政吉

    松井委員長代理 ちょっと原君に申し上げます。政府の方にも申し上げますが、きょうはNHK予算の審議が上程されております。ところが緊急必要欠くべからざる事態の発生についての質疑を続けておるのですが、それは手続上の問題だけにとどめておいていただいて、内容の問題は後刻具体的に本委員会において審議をすることにしたいと思いますが、そのように原委員の方でも考えていただきたい。政府の方でも、内容の御説明を質疑に応じてやるということならば、委員長また内容にまで入りますけれども、政府の方もやはりそういう考え方で本委員会を進めようとするならば、内容の御答弁はきょうは遠慮されたらよろしいのじゃないか、もしそうでなく説明をされるということならば、質問をしなければならないということになりますから、そういう点は一つ委員長に協力を願って、そういう手続上の問題できょうはやっていただきたい。  そこでちょっと委員長から政府の方にお伺いしますが、質疑応答の間において明らかにされて、釈明の言葉も多少答弁の中に入ったようでありますが、一番問題のところはここだと思います。当委員会には電波、放送に関する小委員会ができております。委員長に早稻田君が推薦をされて今やっております。ところがその小委員会の正式の委員会において、記録を見れば明瞭になっておりますように、全会一致放送法改正については随時関係方面と連絡をとって行うということが、明瞭に決議をされておるのです。この決定をするときには、政府当局は出席をしております一にもかかわらず、正式の国会委員会に何らの連絡なくして、突如として試案を発表したというところに、国会軽視の大きな問題があるのです。これが誤りであるかないかという釈明を明瞭にしていただかないと、予算の審議委員長として入るわけに参りませんから、この点は、もし与党側の理事の諸君の要求があれば、休憩をして理事会において善後措置を講じてもよろしゅうございますが、その点が明らかにならないと、正式の委員会において決議をし、そのときに政府が出席してこういう態度をとるということがあっては、予算の審議に入れませんから、その点についての政府の態度を明らかにしていただきたい。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 今委員長の言われたことはごもっともだから、ぜひそのけじめをつけていただきますが、その前に、先ほど私が一例をとったのは、前から言ったように、内容の詳細に入ろうという考えではないのであります。そこで特に大臣に聞いてもらいたいのですが、こういう問題が過去いろいろ取り扱われてきましたが、当局側の考え方が常に非常に抽象的にばく然と出てきますが、今後正式に審議に入る前に、こういうところが不合理だと思うからこういうふうにやりたい、今日の段階における現状分析をもってして、ここをこういうふうに改めたい、こういうところがいけないと思う、だからこうやりたいのだという提案をあらためて出していただきたい。今後の詳細な審議のときには、現状に対する不満なり、不合理なり、経営上の欠点なりというものを、当局側としてここがいけないと思うからという理由の詳細なものをまず出して、しかる後にこの審議に入るということを要求しておきます。
  44. 八木昇

    八木(昇)委員 委員長から繰り返し言われましたように、現に小委員会というものがあるのに、またこの本委員会もあるというのに、突如として昨日の夕刻小委員長にすら連絡をせずに、こういう重大な発表があったということについての国会軽視の責任というものについて、私も各委員の方々と全く同感でございます。ところが先ほど来の質疑応答の中で私感じました点は、すでにもう計画的に事態を相当進めておられる。そうして今明日中に放送法改正のための審議会のメンバーを発令をしたい、こうおっしゃっておられる。どういった人たちに委嘱をするかということについての政府の案がもうすでにできておるのです。そうして今明日中に発令をする、こういうことなのです。これはその通りでございますか。
  45. 村上勇

    村上国務大臣 これが取扱いについてのそごを来たしたことについて、私先ほど釈明申し上げた通りでありまして、決して国会を軽視するとかいうようなことではありませんし、また単なる試案でありましたために、取扱いについて非常に軽く扱ったというようなことについては、おしかりをこうむってもやむを得ないところでありますしが、単なる試案でありまして、これが原案である、あるいは法案であるものをさような取扱いは断じていたしません。この点一つ御了承を願います。  それから審議会の構成メンバーにつ きましては、あくまでも権威者、学識経験者、あるいは政党的に申しますならば、超党派——現在の二大政党のうち自由党から一人入れば、社会党の方からも一人入ってもらうというようなことで、メンバーを今考えております。してこれを一方的な審議会によって審議していただこうというような気持は持っておりません。
  46. 八木昇

    八木(昇)委員 もう一点だけ、実は私が聞いておる点は、今明日中に審議会のメンバーの発令をする、こうおっしゃっておられたので、今明日中に発令をされますかということと、そういう審議会を持つべきであるかどうか、審議会を持っとすれば、どういう方面の人にどういうふうな構成をもってその委員を委嘱すべきであるかというような問題も、電波、放送の小委員会論議の対象となり得ると考えておるが、そういう点は小委員会において論議すべき問題であるとお考えでないかどうか、この二つの点を聞いておるわけであります。
  47. 松井政吉

    松井委員長代理 暫時休憩をいたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  48. 松井政吉

    松井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際村上郵政大臣より発言を求められておりますので、これを許します。村上郵政大臣
  49. 村上勇

    村上国務大臣 先ほどの委員長の御質疑に対してお答えいたします。国会軽視の意図は全然ありません。先ほどお答えいたしました通り、取扱い手続上、そこを来たしたことは遺憾であるこ考えております。今後十分注意いたしたいと思います。なお本日皆様に配付いたしました放送法改正の基本方針なる書類の第一ページは、誤まって添付したものであります。また郵政省放送法改正審議会は近く発足しますが、この試案は当審議会並びに国会に設置されている小委員会に参考資料として配付するものであります。また放送法改正案は、右審議会の議を経てその後に作成されるものと考えております。右御了承願います。
  50. 松井政吉

    松井委員長代理 次に放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題として質疑を続行いたします。森本靖君。
  51. 森本靖

    森本委員 それでは、この前の委員会のときに質問がありまして、それで特にそのときの松井委員から提起されました予算総則の第六条の解釈について、特にこれと関連をいたしまして、今回の固定資産税の問題について一体どう解釈をするか、こういうことでそれが宿題になっておるわけでありますが、これに対する統一した見解を一つお述べを願いたいと思います。
  52. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 協会の施設は富裕町村にあるので、今回の固定資産税の改正は、貧困町村救済の目的に反するのではないかというような御趣旨であろうと考えるのでございますが、これにつきましてお答えいたします。協会施設がかりに富裕町村に多くあると予定いたしましても、地方税収全体の額を増加させることが、結局貧困町村救済の道にも通ずるのではないかと考えておるのであります。このような場合には、政府において他の手段で貧富の町村間の調整を行うことが当然に考えられると思っております。
  53. 森本靖

    森本委員 その答弁の趣旨はちょっと違うわけです。それはそういう質問もありましたけれども、「予備金は、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができない。こういうことが予算総則の第六条に明確になっておるわけでありますが、今回の固定資産税の問題については、今年度二千万円は予備金から流用するという答弁がありましたけれども、そういう答弁をするということは、すでに予見をした答弁でありまして、この第六条との解釈は一体どうなるか、この点を聞いておるわけであります。
  54. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 松井委員からこの種の問題について種々御質問がございましたので、先ほどああいうお答えをいたしたのでございますが、ただいまの問題についての私どもの考え方は、「予見しがたい予算の不足に充てる」ということは、何人も全く予想もせられない、たとえば火災であるとかあるいは地震等の発生によって生じた不足に対処することと、もう一つには、予想はせられるのでありますけれども、不確定であるという事態に対処することが含まれるものと考えておるわけでございます。たとえば台風等におきましては、毎年台風があることは予想されることではありますが不確定であるというようなもの、また法の改正が予想はせられても確定になっていないというものがあるかと思います。従いまして協会予算を編成した時期においては、基礎となる地方税法の改正については未決定のものであるので、協会が予見しがたいものとしたことは妥当ではないか、こういうふうに考えておるのであります。
  55. 森本靖

    森本委員 台風とこの固定資産税と一緒にせられたのではたまったものではないのですが、それではこの予算をNHK当局がきめた時期は一体いつですか。
  56. 岡部重信

    ○岡部参考人 予算を提出いたしました時期は、一月三十一日と心得ております。しかしそれは提出時期でございまして、予算を確定いたしましたのはそれより以前でございまして、もし間違ったらあとから訂正いたしたいと思いますが、十一月だったかと思います。
  57. 森本靖

    森本委員 その経過は一応わかりましたけれども、そうするとこの第六条というものは、予見しがたい予算の不足に充てる以外云々ということで、その予算を組む当時はこういうことは予見しなかった。しかし今日の段階においては、もうはっきり予見できるということは、政務次官も今答弁をされた通りでありますね。そうすると、今の時期においてこの委員会でこれを審議するわけですから、そのことがはっきり予見をされるということであれば、そのことを明確に修正をして、もう一ぺん出し直してもらいたいと思う。そうしないと、どういう答弁をされてもつじつまが合わないのです。予見をしがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用してはならない、こういうことははっきり書いてある。ところが、政府当局は明らかに予見をするという答弁をしておるわけです。そうなれば、明瞭にその予見をするような格好に予算を修正するなり、総則を変えるなりして、現実の問題に立脚をして提案をし直してもらいたい。そうしないと、つじつまが合わないわけです。その点はどうですか。
  58. 岡部重信

    ○岡部参考人 NHKとしましては、この固定資産税につきましては、いわばNHKが他の公社と性格の違う分野もあるかと思いますが、いまだに固定資産税はごかんべん願いたいというので、地方行政委員会などにも私どもの意見は申し述べておるところでございます。予算としましては、先ほど政府側からも御答弁がありましたが、NHKの予算は大体立法措置を要するようなもの、あるいは公定料金などで認可といいますか、許可といいますか、鉄道などその例だと思いますが、そういうものについては、確定額になってから初めて予算に計上する、かような措置をとっておる次第でございます。それでこの固定資産についても、今森本さんのお話のような点も私どももわからないことはないのでございますが、この予備金を、ご承知の通り本年は従来の実績に照らしまして多少減らしはいたしましたが、およその金額として約十分の一ぐらいの金額でございますので、実際問題としては予備金でまかなうことが可能であろう、こんなふうに考えておるわけでございます。
  59. 森本靖

    森本委員 私はNHK当局にこれを聞いているわけではない。今日の段階においては、NHK当局はそういう答弁をせざるを得ないだろうと思う。しかしこれを一応政府審議をして、政府国会に意見書を出してきておるわけです。そこで政府としては、一応大臣も閣議で了解をしてああいう法案をはっきりと提案をしておるわけです。そうすると、何か特別変ったことがない限りにおいては、あの法律は通るという確信を政府は持っておると思う。そうすると、これは明らかに予見しがたい問題ではないわけです。そうなってくると、やはり政府はこの意見書を出してここで審議をしてくれということを持ち出してきておるわけです。そうすると、明らかに予見しがたい問題ではないから、予見するような格好に修正をして出してもらいたいということです。そうしないと、いかに陳弁これ努めても、この字句と解釈とがおかしいということは、だれが見ても明らかです。その辺を明確にしてもらいたいと思います。
  60. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 お答えいたします。かりに放送法改正試案が通過するという前提に立って予見し得る問題ではないか、そういう意味において予算を修正して政府は出させるべきではないかというような御趣旨であったかと思いますが、違いますか。(森本委員放送法と全然違う」と呼ぶ)地方税法の問題で改正があったのだから、すでにこれはもう予見できていることであるから、そういう趣旨から政府としては予算を修正して再提出をせしむべきではないか、こういうように了解してよろしいのでありますか。
  61. 森本靖

    森本委員 そうです。
  62. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 その点について政府としては、御承知の通りにこの予算が妥当なものであるかないかという意見の具申は法規上できますけれども一、修正権あるいは調整権、そうした種類のものは政府にはないわけでございます。意見書をつけるということはできますけれども、政府が協会に対して予算の調整をせしめるという積極的な権利は持っていないわけでございます。法律上の立場からはそういうふうに解釈をいたしますが、同時に実際の運営の問題として協会等の予算を聞いてみますと、予算の範囲内においてそうしたような問題はやりくりが十分にできる。こういうことでございますので、運営の面からは支障がないのではないか、こういうように考えておる次第でございます。
  63. 森本靖

    森本委員 私が言っておるのは、予算上やりくりができるとかできぬとかいうことを言っておるわけではない。それは二千万円くらいのものは予算上やりくりができるのは当然でしょう。それくらいのことができるのは当然だろうけれども、第六条に予算総則として、予備金は、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを絶対に使用してはならないということを明確に書いてある。ところがこの委員会において今日論議されておるときに、もう固定資産税の二千万円というものは予見をしておる。その金は一体どこから出すかということを私たちが質問をした場合、予備金から出しますということをNHK当局が答弁をしておる。予備金から出しますということを答弁するということは予見しがたいことではない、すでに予見できるわけであります。その辺の解釈をどう解釈するかということです。予見のしがたいものだったら、予備金から二千万円出しますというふうな答弁はできないはずです。それを予備金から二千万円出しますという答弁をしておいて、予算総則は、明らかに予見しがたい予算の不足に充てる以外に絶対に使用してはならぬ、こう書いてある。この間のつじつまの合わぬ問題をどうしてくれるかという問題を聞いておるわけであります。
  64. 村上勇

    村上国務大臣 ごもっともな御質疑であります。しかし私どもはこのNHKの予算をおおむね妥当であるとかないとかいう審議をしたのでありますが、その際には固定資産税の問題がまだはっきりとなっていなかったのであります。その後はっきり固定資産税を徴収するということにはなりましたけれども、先ほどNHK協会の参考人がお答えいたしましたように、なおまだ法案を目下審議中でありまして、協会としてはあくまでもこれを抹殺してもらいたいという運動を継続いたしておるようであります。従いましてこの固定資産税は、われわれも常識的には通ると思いますが、しかし一応予見しがたい支出になるというような御解釈をお願いいたしたいのでございます。そういうような意味から、第六条の規定によりまして予見しがたい予算の不足に充てるということができることになっておりますので、一つそのように御解釈を願いたいと思うのです。
  65. 森本靖

    森本委員 これは答弁をしてもらえばもらうほど疑義の出る問題であって、大臣もはっきりと常識的には通るということが予見される、けれども予見しがたい予算の不足に充てるということでやってもらったらよろしいと言う。これは全く文学上答弁になっておらぬと思うのですが、私はこの問題はそんなごまかしではなしに、やはり予算総則は予算総則、それで支出する場合には予算総則通りに支出するようにする、何らかもう少し明確な解決方針というものを出してもらいたい。そんな不明瞭なままで、あなたの言うことはもっともだけれども、この点はまげて御承認願いたいということでは、まげて承認するわけにはいきません。やはり明確に筋道が通った答弁をしてもらいたいと思う。  それからもう一つは、結論が出る出ないにかかわらず、NHK当局はこの固定資産税の二千万円についてはどうするかということを質問したときに、予備金から充てるつもりでございますと言う。これは予見をしておるわけです。そうするとこの六条違反になるわけです。今全く考えておらぬ、予想もできぬということなら別ですけれども、その点を一つ明確にしてもらいた円いと思うのです。
  66. 村上勇

    村上国務大臣 はっきり申しますとまだ結論が出ていないのでありますから、予見しがたいものだと私は思っております。
  67. 森本靖

    森本委員 結論が出ておらないから予見しがたいということは、それはよけいにおかしいと思うのです。あなたはさっきも、常識的に通るという予見をしておるということを言われたではないですか。だから、常識的に通るということを予見しておるならば、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができないから、こういうものは使用してはいかぬのです。この辺の解釈は、もう少し日本語なら日本語らしく解釈するようにしてもらわぬと、ここでこの問題を審議するわけに参らぬのです。一つ明確にしてもらいたい。
  68. 村上勇

    村上国務大臣 私のお答えにちょっとあいまいなところがあったようですが、私は通るかもしれない、しかし通らぬかもしれぬというようなことを抽象的に申し上げたのですが、とにかく目下国会においてこの法案の審議中であります。しかもNHKから盛んにこれに対して削除を希望しておるのでありますから、その審議過程においてどうなるかということは予見しがたいものだ、かように解釈いたしております。
  69. 森本靖

    森本委員 大臣が参議院の本会議の方に用があって行かれるそうでありますから、大臣に対する質問はこの程度でおきますが、しかし私がはっきりしておきたいのは、今日の内閣というものは自民党の多数の上に立ってでき上っている。その閣僚が確信を持って提案しておる法律案が、まだ海のものとも山のものともわかりませんという答弁では納得しがたい。この六条の「予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができない。」という解釈を、万人の納得がいくようにはっきりと答弁をしてもらいたい。それまでは、私は今後の質問をやめます。この問題についてそんなコンニャク問答をやってもつまりません。これは明らかに予見をしておるということをNHK当局も大臣も言っておるのだから、それを無理にこじつけて、まあごもっともでございますけれども、これは一つ御了承願いたいということでは、私はどうしても納得いきません。それについて明確なる御答弁が願えるまでは、私はこのNHK予算についての質問は、本日はこれ以上いたしません。
  70. 秋田大助

    秋田委員 関連して。ただいまNHKに対する固定資産税、予算総則第六条の予備金の問題について、森本委員から御質問があり、政府側の見解の御答弁があり、やりとりがあったのでございますが、私はこういうふうに解釈をしてみたいと思いますので、もしも森本委員が御納得いきましたならば、さらにこのNHKの予算承認に対する本議題を一つ継続御審議を願いたい、こう考えるのであります。それはなるほど第六条の文言そのものから解釈いたしますと、いかにもおかしいように思われる。また森本委員の御意見ごもっともでございますが、これは特殊の事態でございます。それでNHKの予算に対する政府承認の権能の内容等も多少不明確なところもございますが、とにかくNHK側としては、ただいま予見は文字上されるけれども、とにかく反対をせられておる。従ってもし森本君の言われるように、固定資産税引当金というようなものを、もしここに明確にいたしますれば、かえってそれがNHKが承認しておるのではないかというような根拠を与えることになるとも思えるのでありまして、NHKとしては、本年度の予算上、NHKの固定資産税について法案が審議されておりますけれども、引当金を今ここに予算上明確にするということはできないというのは、NHKのその立場としては当然なことではないかと思います。そこで政府提出されたNHKの予算を承認を与えるかどうかという立場になりますと、政府の立場もあるが、NHKの立場というものも当然考慮しなければならない。しかしながら力が一どうしてもこれがNHKの意図に反して通った場合は、予備金の項目があるから、この中から支出もできるという事実関係を説明されておる。これはまあ事情上、妥当なものとして政府承認を与える、こう解釈していけは、あえて不当ではないと思われるのでございますが、政府の見解はいかがでございましょうか。
  71. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 ただいま秋田委員から関連質問がございました通り、私どもも大体そういうような考え方をいたしておるのであります。ただいま国会で法案が審議中であることは事実でございますが、これはまだ結論も得ていない段階であり、NHKとしては、これの阻止を熱心にやっている段階でもございますので、そういうふうに私どもも考えておるのであります。なおただいまの関連質問の中に、政府が何か調整がとれるような、あるいは修正権でも政府が持っておるかのごときニュアンスのお言葉があったようでございますが、政府は単にNHKから出してきた予算については、意見を付することができるだけでございまして、承認承認は最終的に国会にあるわけでございますので、そういう観点から申し上げましても、かりに最後に法案が通過した場合でも、あるいは現段階においては予見しがたい状態にある、こういうように私は解釈をいたしておるのでございます。
  72. 秋田大助

    秋田委員 なおつけ加けて私の見解を補足いたしたいと思います。ただいま上林山政務次官から、NHKの予算の承認権に関して政府には修正権等はないという御見解がありました。私が何かあるかのごときニュアンスのある発言をしたのではないかというお疑いも差しはさまれましたが、私はさようなことは考えておりません。そこで私もこの三公社課税並びにNHKに対する課税の問題に対しては、反対の意見を持っておるものであり、当委員会でも少くとも固定資産税にすることは不当であるということを発言した者の一人でございます。森本君その他社会党の皆様も御反対の意向のように承わっております。そういうような立場に立ちますれば、この予算におきまして固定資産税引当金なるものを予算上措置するということは、これまたもしそういうことをされれば、われわれとしても反対せざるを得ない立場でございますので、大体NHK側の御答弁あるいは政府側の答弁は、何も私は与党であるから申すのではないが、大体妥当な発言ではなかろうかと考えておる点を補足いたしたいと思います。
  73. 松井政吉

    松井委員長代理 ちょっと私から、これで質問通告森本君は、この問題が明らかにならなければ質問を続けないということであります。そこでどうしても明らかにしてもらいたいのは、政府の方にお答えを願いたい重要な問題は、賛成か反対かの問題ではないのです。賛成の場合であっても反対の場合であっても、その筋が通らなければならない、こういうことを聞いているわけです。そうすると予算総則の第六条は、予見しがたい予算の不足に充てる以外に予備金を使ってはならないとうたってあるのです。その場合に今地方行政委員会で固定資産税についての法律案審議中でありますが、それを予見しがたいと解釈をするのか、予見したがNHKの企業体の関係からこの総則を認めざるを得なかったのか、意見書をつけた政府としてはどう解釈するのか、これが明らかにならなければいかぬ第一点です。  第二点は、予算を直接作った協会の方では、固定資産税を取ってもらいたくない意見を持っておる。これは明らかにされております。しかしながらどこかから出せということになれば、予備金から二千万円くらいは出せる、こういう答弁をしておるわけです。そういたしますと、意見書をつけた政府の解釈と、予算を編成をしたNHKの解釈とが、六条の解釈については一致していないのです。これはどういう理屈とどういう理論体系で六条の解釈をしてくるかということが、第二の疑問点になっていると思うのです。  第三の疑問点は、要するに「予備金を使用する場合は、経営委員会の議決を経なければならない。」これは第六条の第二項にあるわけです。もし出したくないという気持を持っている協会が、法律が通った後、経営委員会において予備金を固定資産税に使うべからずという議決をするかしないか、これはわかりませんけれども、そうなった場合のこの第六条の解釈は一体どこに筋を通してくるか、この点の解明がなされなければならないと思うのです。これは賛成反対は別であります。予算に組んでいても、固定資産税反対は秋田さんの言う通りだと思います。だから賛成反対は別として、六条の解釈と固定資産税そのものがちゃんと合ってこなければなかなかこれはむずかしい、解明したことにはならない。今申し上げた三点について妥当だという意見書をつけて下さい。この妥当だという意見書は、われわれが広義に解釈すれば、予算の数字から予算総則に至るまで妥当なる意見書をつけたものと解釈するのです。そうすれば、この第六条の妥当なる意見書をつけた政府の見解というものが、今の三点について明らかにされなければ困る、こういうことが森本君の意見だろうと思うのです。だからここでこの予算に対する審議がつかえると、きょうは散会のやむなきに至りますので、この三点について政府側の見解をお伺いします。
  74. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 第一点と第二点につきましては、先ほど答弁した趣旨とあまり変りはないのでございますが、それは今法案が通過するかしないか予見できる見方もございますし、また予見できない見方も、審議過程にありますので、できるのではないだろうかと思うのであります。それから企業体の特殊の立場を考慮して、予見し得る状態であるけれども、やむを得ないからと考えているのじゃないか、こういうお話でございますが、前段を受けまして、もちろんそういうように一面考えますけれども、今審議が継続中であるということと同時に、企業体の特殊性にかんがみまして、そういう解釈をするのが穏当じゃないだろうか、こういうように考えております。なお第六条の二項で、予備金を使用する場合は、経営委員会の議決を経なければならない。だから第六条の趣旨からいって、経営委員会が、そういう固定資産税がきまった場合、これを出してはならないと議決をした場合はどうなるか、こういう具体的な例を引いてのお尋ねでございますが、その場合はNHK自体で考えていかなければなりないのでありますけれども、おそらくそういう事態は実際問題としては起り得ないのではないだろうか。法律上とうせ課税をされたのであるけれども、われわれはそれには反対であるから、支払う必要はないと経営委員会が言うこと自体が不穏当じゃないだろうが、こういうように私は解釈をいたします。なお食い違いの点があるのじゃないかという質問でありますので、私の方としてはNHKの答弁と食い違いはない、こういうように考えておりますが、もしNHKの方で何か話がありますならばお答えを願いたい、こう考えます。
  75. 松井政吉

    松井委員長代理 もう一点続けてお伺いしますが、ただいま政務次官が答弁なさいましたが、先ほど政務次官は予見しがたい内容についても説明なさっております。それは風水害、災害等の説明をなさっておるのです。それと同一に固定資産税を扱っていいという理論が第六条で成り立つかどうか、この点のお答えがないのですよ。  それからもう一点は、三公社については納付金だけれども予算に組んで出ております。これは今の政務次官の御答弁からすれば予見しがたい、通るか通らぬかわからぬけれども、予算に組んで出して、衆議院はすでにその予算を通過しておるのです。それから後に提出されたNHKの予算にはそれがなくて、そうして予備金をそれに充てる、こういうことになりますと、そこにつじつまが合わないのです。内容賛成反対は別ですが、そういう解釈のもとに六条を認めるということになると、非常に矛盾が起きてくる。それから予備金を使用する場合経営委員会の議決は、どういう議決をするかわかりませんが、出さないと議決すること自体がけしからぬ、こうきめつけてくるならば、第六条というものは改められなければならない。たとえば法律が通った場合には、経営委員会はそれをのまなければならないとか、それをまじめに執行しなければならないとかいう言葉に変らなければならないのです。経営委員会というものは、NHKの経営全般に対して自主的に法律上持たれておる委員会であり、自主的に決議をすることができる機関なんでありますから、その機関が政府の考え通りに決議をしないことがけしからぬ、そのこと自体がけしからぬということになってくると、この第二項というものが問題になってくる、そういう点について再度はっきりしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ私は重要なことをお聞きしますが、今の固定資産税が予見しがたい範囲に入るとするならば、NHKの従業員諸君が、これから待遇の要求をいついかなる時期にやってくるかもしれぬ、その場合にそれも予見しがたい理由の中に入るから、予備金から手当を出してやることも可能だということの解釈に通ずるのですよ。もし今の固定資産税の解釈をとればそういう解釈で、第六条の予備金の使用と解釈していいという御見解かどうか、この三点について政府の所信をはっきりしていただきたいと思います。
  76. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 先ほどの私の意見は、大体現在もそういうふうに考えているのでございますが、法案が継続審議中でありますので、見ようもいろいろあろうと思いますが、一応私どもとしては最終決定に至っていないのでありますから、予見しがたい状態と解釈していいのではないか、こういうように考えております。それから経営委員会法律できまった税金を払わない、こういうような決議はおそらく社会通念の上からしないであろう、しかしあくまでもNHK自体においていかにするかは決定すべきものである、こういうように考えておるところでございます。なお第六条の予備金を、従業員の待遇改善が必要であるからと決定をした場合にそれも同様に解釈するか、こういう御意見でございますが、第四条のただし書きに、「給与については、他の項と彼此流用することができない。」こういうようになっておりますので、一応は私は同じ意味に解釈できないのではなかろうか、こういうように考えておるところでございます。
  77. 松井政吉

    松井委員長代理 ちょっと誤解があったようですが、それで聞き間違いだと思う点は、経営委員会が税金を支払わないという決議をするのではないかという質問を私はしているのではないのです。経営委員会がその金を予備金から出すことはいけないという解釈は自由なんです。税金を出さない決議をした場合のことを私は聞いていないのです。その点はあなたの聞き間違い。それから第四条のこれは、てんで第六条とは精神が違うのです。その点は一つはっきりしてもらわぬといかぬ。
  78. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 第四条のただし書きの解釈は、これは一般の場合でございますので、予備金から支出し得るもの、こういうように解釈していいのではないかと思います。それから経営委員会が、もし固定資産税の法案が通った場合に税金を納めないという決議をすることはないだろうと言ったことは、委員長の質問の趣旨と食い違っておりますので訂正をいたしますが、私はその場合でも予備金から出すかあるいはその他の面から出すかは、あくまでも自主的に経営委員会が考えることでありますので、ただ社会通念上からその場合でもおそらくそういう法律ができれば、その法律を守るであろう、  こういうように考えておるということを申し上げたわけでございます。
  79. 松井政吉

    松井委員長代理 井手以誠君。
  80. 井手以誠

    ○井手委員 政務次官、ただいまのあなたの発言はきわめて重大でございますよ。法律が通らなくては予見しがたいという言葉が正しいものでありますならば、今までの国会審議は御破算にしなければなりません。法律案と予算案と同時に提出する、そのことについてももちろん異議はありますけれども、従来あなた方保守党内閣がやってきましたことは、その国会中に法律案が通りさえすれば、予算案が先に審議されても差しつかえないということを強弁されて、今日まで押してこられたのであります。あなたもよく御存じのように、予算は政策の集中的表現といわれておりますが、その政策に基いていろいろな法律案が出され、その集約されたものが予算である。その予算がすでに衆議院を通っておりますけれども、関連する幾多の法律案はなお審議中である、また提出されていないものもあります。私はこれを不当だとして今まで責めて参りましたけれども、法制局の解釈によればそれも差しつかえないということで、現在やられておる。予算書はそれを予見して、すでに電電公社においてもほかの公社においても、納付金で予算に計上されておる。それを放送協会に限って予見しがたいということは、これはいかにひいき目に見ても解釈できないのであります。この点はよくお考えになって答弁なさらないと、これは重大でございますよ。もし予定されておる法律案が出ておるものが、予見できないならば、せっかく審議した予算は御破算にしな  ければならない、架空のものです。政府は多数党をもって、必ずこの法律案は通すという自信を持ってやられておる。そういう事情があればこそ、放送法の第三十七条に郵政大臣はこれを検討して意見を付さなければならないとある、もしそういうことが予見しがた  いものであるならば、何も検討して意見を付することもないでございましょう。国の施策というものと関連して誤まりがないかどうかを検討して意見書を出されるものである。そういうことのために三十七条があるはずである。はっきり予見される固定資産税について、これは通るか通らぬかわからぬからあとでいたしますなんて、そういうことは言えないはずであります。いやしくも政務次官の立場であるならば言えないはずであります。当然これは予見される費用である。そういうことについて私はなお質問をいたしますが、私のただいままでの質問に対して、この際政務次官のお考えを御答弁願いたいと思います。決してこれは放送協会だけの問題でなくして、全部の法律案、予算に関連する重大な問題でございますので、慎重にお答え願いたい。
  81. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 予算案と法案ができるだけ同時に審議されるということは、もちろん予算編成上望ましいことであります。むしろ法案が先に通って予算があとから組まれるということが好ましいことだ、こういうことは考えております。ただいま放送局の問題についていろいろ答弁いたしておりますが、これは先ほど大臣も答弁されたのでございまして、その線に沿って私も御答弁申し上げておるわけでございます。なるほど見ようによっては、今おっしゃるようにそういうことが言えると思うのでございますが、ただいまのところは、苦しい答弁になるようでありますけれども、予見しがたい状態と見ても、妥当性を全然欠くということにはならぬのではなかろうかと考えて、答弁申し上げているのでございます。なおこの点については後刻大臣その他ともよく連絡をいたしまして、一ぺんで答弁が済むようにいたしたい、こういうように考えておりますから、御了承をお願いいたしたいと考えます。
  82. 井手以誠

    ○井手委員 ずいぶん苦しい模様も私わかりますから、あえてここで議案の撤回などは求めません。しかしほかの公社においては、予見できるものとして納付金に計上されておる。放送協会だけが予見できない、そういうふうに地方行政委員会で多数で修正されるとは絶対に考えられません。ほかの委員からも御質問がございましょうから、私はこの点だけにとどめておきますが、事がきわめて重大であるという点だけを、政務次官はよくお含みを願いたい。
  83. 八木昇

    八木(昇)委員 先ほど来言われておりますように、これは政府のはっきりした統一的な見解を述べられて、われわれが納得がいくようなことになりませんと、これ以上審議が続かないと思いますので、本日の委員会は最終的なことにしていただきたいと思うのです。なおこの際確かめておきたい点を一、三点だけ確かめておきます。予算書の本筋からいえば、こういった固定資産税を今度取るというような場合には、予備金からこれを支出するということが適切であるとはなかなか言いがたい。従って、ほんとうは固定資産税の引当金というような一つの項を新たに起して、予算書としては処置するということが当然あるべき姿である、こう思うのです。その点一応明快にしておいていただきたいと思います。ちょっと補足しますと、予算書のあるべき姿としては、台風があったとかなんとかいうような予見しがたい場合ではないのであって、こういう固定資産税を取るという処置の場合には、予備金を引き当てるというのは、少くとも穏当ではない。やはり新たに明確な項を設けて措置するのが穏当なあり方ではないかということについての見解を聞いておるのです。
  84. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 なお研究の余地はあろうと思いまするが、ただいま率直に言わしていただきますと、御質問の趣旨に沿うことが妥当であるというように私は考えます。ただし御承知の通り一般の予算の場合と違いまして、放送協会の場合は、政府の方には強い調整権とか、ここをこうしなければならぬとかいうことは、規則の上においてはできないことになっておりますので、実際の運営としては、おっしやるような趣旨を織り込んで時期によってはそういう話し合いをしてもいいものではなかろうかと考えております。
  85. 八木昇

    八木(昇)委員 これは先ほどの井手さんの御質問と関連をいたしますが、それならば、今地方行政委員会でNHKから固定資産税を取るというようなことが論議をされておるのだろうと思うのですが、そういうことの結論が出るまで、NHKの予算審議を急ぐということについては、すでに事態がはっきり予見をせられておるのであるから、私は無理じゃないかと思う。何となれば、NHKの予算に対する国会審議権というものと電電公社や国鉄の場合とあるいは幾らか違うのかもしれませんけれども、そういう方面の場合は、すでに事態を予見して納付金をそれぞれ納めるということで予算書を提出してありますから、この場合だけ異なっております。こういう状況であるとするなら、これは地方行政委員会審議の進行と相待って、当委員会においても審議せらるべきものであると考えるが、その点についてもはっきりしておいていただきたい。
  86. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 できるだけ各委員会が時間的に並行して審議されることが望ましいわけでございますけれども、国会の実情は必ずしもそういうことになっておりませんので、多少のずれもやむを得ないのではないか、こういうように考えるのであります。なお一応その法案は通るのじゃないかということを言われておりますが、あるいはそうなるかもしれないというように考えます。しかし与党の委員の中にも、あるいは社会党の委員の中にも、この問題については現在いろいろ反対の空気もあるわけでございますが、大体通るのじゃないかということは私は言えると思います。それでなおその他の問題については、ただいまの問題を含めまして、統一した答弁を一回でできるように連絡をいたしたい、こういうように考えております。
  87. 秋田大助

    秋田委員 先ほどの井手委員の御質問に関連して、はなはだ恐縮でございますが、私の意見を参考に申し述べさせていただきたいと思います。なるほど井手委員のおっしやることも一理ございますけれども、歴代の内閣が予算と法律との関連について、ただいま井手委員から御質問のあったことに関する措置というものは、要するに予算並びに法律案提出者が大体一致しておる場合でございます。従ってああいう歴代内閣のとった措置の妥当性が認められておる。今問題になっておる点は、NHKの予算編成権に対して政府に修正権がない、そういう場合でございますから、ちょうど主体が二つに分れている。前は一つであった。こういう点に基いているのだろうと私は思う。従って今の問題は、NHKに対する固定資産税に関する法案が審議中で、まだ決定的な段階に至っておりませんから、NHK側といたしましては、予算編成技術上の特別の問題である。予算編成技術上の見地から考えて、この固定資産税に関する問題は予見しがたい予算とみなして措置して差しつかえない。予算編成技術上特殊の観点から、これはこういうふうにみなして措置をして差しつかえない、またそれが妥当ではないか、こういうように考えるのであります。御参考までに申し述べさせていただきます。
  88. 松井政吉

    松井委員長代理 それでは本問題については、先ほど政務次官の御答弁なさったように、政府の方においても、第六条の解釈と、それから予見しがたい問題と固定資産税のことについて、一ぺんで答弁できるように相談をしてきていただくそれからその場合、意見をつけた政府と予算編成をいたしました協会との間に食い違いが生じては困りますので、政府はNHKとの間に連絡をとり、NHKも政府と連絡をとって、これもやはり一回で答弁が済むように御相談をしてきていただき、次会において明確なる御答弁を願いたい。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後二時四十一分散会      ————◇—————