○靱説明員 千五百円といたしましたのは終戦直後の問題でございまして、その後四千円という装置料の値上げをいたしております。しかしこれの
根拠というものは、要するにケーブルから各加入者宅につけまする引込線の経費というような観念でやっているのでありまして、橋本
委員の御指摘のかつての、あるいは三百円というようなお話がございましたが、そういう時代の設備費とは性格が全く違っております。そこで
わが国の電話事業というものは元来、先ほど
営業局長がお話ししましたように、千五百円というのは、それで市内の電話設備がほとんど全部できる経費となっております。ところがこの制度のために非常に電話というものは特殊なものになって
発達している。そこで占領下におきまして、電話というものにそういう負担をかけるわけにいかぬというので、一切そういう負担はかけない。従って引込線の装置料ぐらいは四千円ということにきめられたわけでございますが、これは私
どもの理想でありまして、外国においてはそういう形態で
発達しているのです。遺憾ながら
わが国においてはそういう形態にできなかった。そのかわり
わが国におきましては特殊な形態がある。そういう負担金をちょうだいいたすかわりに、電話の売買譲渡ができるという、これまた世界にちょっと例のない形態をとってきている。そこで理想をもって貫くならば、売買譲渡は禁止して、それで四千円なり五千円なりの装置料でいくというのが本来の姿かと思いますが、何としましても電話の売買というものは過去の問題でありまして、しかもこれにはかつての加入者の方は相当の資本を出している。こういう状況もありますし、しかも負担金が、あるいは電話公債というのも発行いたしましたが、費用の何%しか充足できなかった。それならやはり経済の自然に従って、必要のなくなった者はより必要な人に売買のできるということが、むしろ
一般の利用者の方の希望じゃないかというので、再びあれほどポツダム政令でできていましたのが自然消滅して、自由に売買できるようになった。こういう経過をとって今日に及んでいるわけでございますが、公社の性格として、あくまでこれを外部資金をみずから集めて、あるいは
政府の御援助を得て施設してやる。これの利子も払い、あるいは元金の償還もできるような料金体系を作って、できるだけ新規の加入者に対してはこれを充足していくというような態勢をとるべきでありますが、今のところの私
どもの見通しといたしましては、そこまでの理想に一挙にまだ到達できない。しかも五カ年計画を第三年度までやって参りまして、来年度の予算の御審議を願っている次第でございますが、かつて計画しました五カ年計画の実施によって、大都市等においては自由に電話がつくようになったと思ったところが、ますます需要がふえて参りまして、積滞の壁というものは絶対に減ってこない。すなわち申し込んでから、申し込んだものの三〇%
程度しか在来消化してないのでございますから、三年たたなければ電話がかからぬ、こういうことになるような状況でございます。そこで、これは国の財政としましても限度があるので、電話に一千億も直ちに出すということはとうてい行かないわけでございますから、そこらを勘案いたしまして、またこれは各個人のお宅につく電話回線というものは、あの間はほとんど占有されてしまう。電灯のように共通ではない。こういうような点から、需要の非常に大きいというところは、金を少し貸してやってもいいから早くつけてもらいたいというのが、国民の希望でございます。そういうところをにらみ合せて、この負担法というものができた。これは松井
委員、橋本
委員、皆さん御
承知の
通りでございますが、そこで今度は五カ年間さらに延長するとは押しが太いじゃないかということでございますが、これは先ほど来、
政府当局に五カ年間の見通しについて御質問がございますが、私
ども五カ年計画を完成しましてもまだかたまりは解けなかった。さらに第五次五カ年計画をやりましても、このかたまりは容易に解けない。一方においてはこれを国民の利用に供していかねばならぬわけですけれ
ども、何としましても現在需要が非常に高い。従いまして私
どもとしてはできるだけこれは軽減していくべき方向に行かなければならぬわけでございますが、今後五カ年間の見通しとしましては、やはりそういう制度の存置を必要とする。その際におきましてもちろん
政府資金がたくさん投下できれば緩和ができる、こういう
考えであります。それで負担金の三万円という点につきましては、自動電話の場合におきましては大体二十万から三十万の投下資金を要するのでございますから、そのうちの三万円というものを負担金として、五年間はお返ししますが、五年後はお返ししない。あとはまさに借金でございまして、これは六分五厘の利子をつけて必ずお返しするというお約束のもとにできておるのであります。これがいつまでもそういうふうでは、
わが国の電話の
発達のためにはおもしろくないことでございますが、たとえば先般御質問のありました水道、ガスあるいは電気等におきましても、相当受益者的負担の性格のものがあるのでございます。そういうような点から、非常な需要があるその要望に対してできるだけつけていきたいというような要請と相待ちまして、こういう
法律ができておる次第でありまして、公社の立場を申しますれば、ある
程度資金に安定を得まして、毎年五百五十億か六百億
程度の拡張計画というものがフラットに、今後さらに五年ぐらいできていくことを非常に熱望しておるような次第でございます。