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1956-03-07 第24回国会 衆議院 地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月七日(水曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐津 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    山中 貞則君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       西村 彰一君    門司  亮君   運輸委員会    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       關谷 勝利君    濱野 清吾君       堀内 一雄君  早稻田柳右エ門君       井岡 大治君    下平 正一君       正木  清君    山口丈太郎君       小山  亮君   建設委事員会    委員長 徳安 實藏君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君       荻野 豊平君    久野 忠治君       志賀健次郎君    仲川房次郎君       中村 寅太君    二階堂 進君       廣瀬 正雄君    山口 好一君       今村  等君    楯 兼次郎君       中島  巖君    山下 榮二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         建設政務次官  堀川 恭平君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         大藏事務官         (主税局税制第         二課長)    吉国 二郎君         地方行政委員会         専門員     円地与四松君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 ではこれより地方行政委員会運輸妻事員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  私が案件を所管する委員会委員長でありますので、委員長の職責を行います。  それでは地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。
  3. 大矢省三

    大矢委員長 質疑通告がありますので、順次これを許します。  なおただいま出席政府委員は、自治庁税務部長奥野政府委員運輸省自動車局長山内政府委員、以上であります。  なお本日は多数の方の質疑通告がございますので、できるだけ質問者並びに政府答弁も簡潔に一つお願いを申し上げます。それでは堀内君。
  4. 堀内一雄

    堀内委員 私は運輸行政に関して、まず運輸省当局にお伺いしたいと思いますが、申すまでもなく陸上運輸の大宗は、鉄道と自動車でありまするが、この見地より自動車保有量は、国民経済に重大な影響があると存じまするが、政府はこれが育成についてどんな方策をとっておられますか。
  5. 山内公猷

    山内政府委員 自動車育成方策についてのお尋ねでございますが、現在交通の進歩に伴いまして、自動車がどうしても社会政策上ふえていくということは、これは文化の向上とともに必然の姿でございます。これを低廉に国民の足といたしますためには、企業育成あるいは金融面その他各般の点について考慮いたしておるわけであります。
  6. 堀内一雄

    堀内委員 次に最近数年間における貨物自動車及びバス増加の概況について、お伺いしたい。
  7. 山内公猷

    山内政府委員 ただいま詳細な数字を持ち合せておりませんが、特にバス及びトラックにつきましては、戦争中燃料統制によりましてほとんど壊滅をいたしたわけでありますが、二、三年前すでに戦前の域に達しまして、その後非常に急カーブで上昇しつつあります。こまかい数字につきましては、後ほど御説明いたしたいと存じます。
  8. 堀内一雄

    堀内委員 私の調査によりますれば、年々二割から五割くらいの増加を見ておるのでございますが、三十一年度における推定量は、前年に比してどのくらい増加するとお考えでございますか。
  9. 山内公猷

    山内政府委員 大体保有車両数は、二割程度ふえるものと予想いたしております。
  10. 堀内一雄

    堀内委員 私ども調査によりますと、トラックにおいては約三割、バスにおいては約二割ということになっておるので、これを平均すると二割五分くらいの増加になるかと存じますが、これは将来の税率そのほかの算定の基準になるので、その辺いま一度お伺いします。
  11. 山内公猷

    山内政府委員 予想の問題でございますので、われわれは一応内輪に考えて御説明を申し上げたわけであります。と申しますのは、一応現在われわれがそういう推定において基礎に置きますのは、ガソリンあるいは軽油という外国からの外貨を使ってとる燃料費を主に考えておりますので、一応外貨のワクといたしましては、自動車用燃料軽油の問題でございますので、軽油について想定をいたしたわけでありますが、運輸省消費見込みといたしましては、大体約百五万キロリッター、そのうち自動車用は六十キロリッターといたして計算をいたしたわけであります。
  12. 堀内一雄

    堀内委員 運輸省は今日まで軽油自動車使用奨励してきたのでございますが、その奨励のねらいはどこにあったのでありますか。
  13. 山内公猷

    山内政府委員 ただいま申し上げましたように、軽油を使うということは、燃料消費の上からいきまして非常に経済な点がありますのと、特に日本のように石油の生産国でない日本におきましては、そういう場合におきまして非常に経済的なものを奨励をいたしたいという国策的な見地から、軽油奨励をして参ったのであります。
  14. 堀内一雄

    堀内委員 国策として軽油車奨励する理由は適当でありましょうが、これを使用する人の立場から見ましたならば、ガソリン車軽油車とはいずれが有利であるか、その利点と不利な点とをお伺いいたしたい。
  15. 山内公猷

    山内政府委員 ただいま申し上げましたように軽油におきましてはその効率と申しますか、外貨節約という点におきまして非常に有利な点があるわけでございます。しかし他面揮発油に対しまして修繕費あるいは償却費というような面におきますと一五倍ないし二倍程度経費がかかるという難点があるわけでございますが、それらの点におきましては現在私の方でもいろいろ技術的な改善をいたしておるわけでございます。
  16. 堀内一雄

    堀内委員 軽油自動車利点燃料費が低廉であるというところにあることはもちろんであります。従いましてそのほかの修繕費部分品購入費というような場合におきましては、むしろ軽油自動車が非常に不利なのである。それにもかかわらず一般が現在軽油車を使っておるのは一に燃料費が安いというところにあるようでございまするが、しからばこの燃料費が高価になるということになりますと、軽油自動車奨励国策というものは行き詰まってしまうのではないかと思いますが、御意見をお伺いいたします。
  17. 山内公猷

    山内政府委員 運輸省といたしましてはもちろんそういう燃料政策上あるいは外貨節約上峰油というものの価格が安いことを望んでおるわけでございます。
  18. 堀内一雄

    堀内委員 燃料費等増加すると他にこれを賦課していくといったような関係から、ややもすれば旅客運賃とか貨物輸送運賃というようなものが上っていかなければならないというような状態になることをおそれるのでございますが、そうしたことは現在の経済状況から見てきわめて重大な問題と思いますが、これに対して運輸省はどんなふうにお考えになりますか。
  19. 山内公猷

    山内政府委員 運輸省におきましても政府の低物価政策に即応いたしまして、公共の輸送機関であるバスあるいはトラックというものの運賃の低廉を期待いたしておるものでございます。望むらくはそういう値上りは企業努力の中において吸収していただきたいという希望を持っておりますが、御承知通り二十六年以来こういう運賃というものは据え置きになっております。それで現在の企業におきまする運賃というものは限度一ばいになっておりますので、あるいは大幅な支出の増加ということになりましたならば慎重にその際考えたいと思います。
  20. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま局長から企業の内部においてそれを節約するというお話がありましたが、今日本自動車業は非常に困難な状態にありますので、いわゆるその合理化というような点におきましては極力やっておることは当然であります。にもかかわらず燃料費というものが非常に上ってくるのでございましてこの点については私は他に期待することはできないと思っておるのでございます。  次に税金の問題についてお伺いいたします。占領軍日本弱体化政策に基くところの税制が、わが国の自立経済に適しなかったという見地から、一般企業に対しては年々減税の措置が講ぜられておるのでありますが、ひとり自動車事業についてはほとんど毎議会ごとこ増税が行われておるのでちります。そうしてその理由は、道路の利用に関する負担ということでありまするが、一体現在自動車使用者道路の整備のために負担しておる税金または受益者負担金というようなものの実情はどんなふうになっておりますか、運輸省当局にお伺いしたい。
  21. 山内公猷

    山内政府委員 戦後自動車関係に対します税金、特にガソリン税金というものは、御承知のように道路目的税的な性格から年々上昇いたしております。しかし運輸省といたしましては低廉な交通国民に供するという意味におきまして常にそういう点につきましては苦慮をいたしておるわけでございますが、大体経費の一割をこしておるのではないか。そういうものは結局形を変えて国民税金としてかかっていきつつある情勢でございます。
  22. 堀内一雄

    堀内委員 局長さんの答弁は私満足できないのでありまするが新任の方でもありまするので、私の調査のことをちょっと申し上げたいと思います。ことに今度の質問自治庁当局にお伺いしたいのですが、現在自動車に関してかかっておる税金は、第一に揮発油税、第二が地方道路税、第三が自動車税、第四が道路法に基くところの受益者負担金、さらに道路改修協力費というようなものがあり、その上に最近になりましては昨年から自動車損害保険料というようなものがさらにかけられておる。さらに現地におきましてはトラックであるとかブルトーザーであるとか道路改修用の寄付が行われ、また道路修理等に際しましては車両または労役の無料提供というようなことをやっておるのでありまして、非常に負担が多いにもかかわろず、一般的の税の軽減の国策に逆行して自動車税金をさらに増加せんとするところの自治庁の意図はどこにありますか。
  23. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今お話になりました問題は軽油引取税創設に関する理由についての問題だと思います。御承知のように揮発油を使っている自動車軽油を使っている自動車との間の税負担均衡をはかる上におきまして、自動車税にして五割程度増加負担を求めておるわけであります。しかしながらこのことは自動車で使います軽油の分量が自動車によってかなり違っておるわけでありまして単に自動車税の五割増しの負担均衡が得られておるかどうかということについては非常に問題があるわけであります。これはやはり使用する油の量に応じて税負担を求めることによって初めて負担の公平が得られるのじゃないか、こう考えるわけであります。そういうこともございまして軽油課税は年来の問題にもなっておるわけでございますけれどもかたがた道路施設充実のための財源も、地方財政が非常に困っておるものでありますから確保して参らなければなりませんし、今申しましたような負担均衡という問題をあわせまして今回軽油引取税創設しようといたしたわけであります。
  24. 堀内一雄

    堀内委員 運輸当局にお伺いしたいのですが、ただいま奥野政府委員お話のように、なるほど軽油自動車燃料においてガソリンよりもやや有利になっておるに違いありません。それが運輸省を初めとしてやっておる日本における軽油車奨励国策の基本になっておると思うのでございますが、そういうような意味において一八%を占めておるところの現在の燃料が、税金関係において有利でないというようなことになるおそれがありますが、そういう点について国策の遂行上運輸当局はどんなふうに考えておりますか。
  25. 山内公猷

    山内政府委員 ただいまお話のありましたように、現在燃料費が上って参りまして一八%になっておることは私ども承知をいたしております。しかも軽油を使っております車種は、大体定期バスあるいは定期トラックといいまして、国民経済上非常に公益性の強い分野におきまして主として使われておるわけでございます。運輸省といたしましては先ほど申し上げましたように、国策上あるいは外貨節約上、そういう燃料がなるべく安く、そして普及することによりまして、外国からのガソリンの輸入を少しでも少くいたしたいということを念願といたしまして、部内でもそういうことで御理解を願っておる次第であります。
  26. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま運輸省当局説明のように、現在のバスとかトラックとか、そういう自動車の中でも非常に公益性のあるものは、運賃そのほかが許可制になっており、しかもその料金をきめるときに現在の諸税との関係基礎になってきめてあるので、それをさらに増加するということになると、旅客並びに貨物運賃を上げるというようなことになるおそれが非常にあるのでございますが、それに対して自治庁はどんなふうに考えますか。
  27. 奧野誠亮

    奧野政府委員 揮発油租税負担軽油租税負担均衡をはかるということになって参りますと、あるいは同じような税率でなければならないのかもしれません。しかし先ほど来いろいろお話になりましたような点も考慮いたしまして軽油引取税税率は、揮発油税地方道路税を合せましたもの  の半分以下に定めようといたしておるわけであります。
  28. 堀内一雄

    堀内委員 次に軽油引取税課税対象として自動車並びにその一部のものに限定した理由についてお一伺いしたい。このことは税負担均衡上好ましくないばかりでなく、徴税技術上もきわめて困難と思うのであります。この際軽油使用に対して全面的に課税して、その一般税率を低下するというようなことはいかがであるか。もし農水産等関係を言うのであるならば、この間の事情についてはすでに自動車には自動車税が課税されてあるという意味においてこの関係均衡を保っておるものと考えますが、いかがですか。
  29. 早川崇

    早川政府委員 ただいまの堀内委員の御質問にお答えいたします。課税除外の一番大きな漁業でありますが、しかもこの漁業のうちで大型漁船でなくして、一本釣のポンポン船というのが軽油を使っておりますが、いろいろ調べましたところ、現在の事業において最もみじめな沿岸漁民であり、さらに現在よりも四割も軽油税がかかっていくというのでは、非常に社会政策上困る、こういう観点で三十五万キロに及ぶところの漁民用軽油を主体といたしました課税除外という処置をとりました。それ以外に他意はないのでございます。
  30. 堀内一雄

    堀内委員 次に本税の創設目的は、道路に関する費用に充当するとありますが、この意味道路新設、舗装その他改良、維持、修繕等道路の直接費のみに充当するのでありますカ、それとも市町村に対する交付金とか、古い道路公債償還とか一般人件費事務費または失業対策費というようなもの等のいわゆる一般財源使用するのではないか、私はかつての道路費に対するガソリン税におきましても、その創設の当時におきましては、一般財源より二百億はあったのでありますが、それが第二年度からは一般財源の分は削除されてしまった。そうしてガソリン税の税収のみによって道路費の全額をまかなうということになった前例から見まして、この税金地方一般財源または赤字補てん使用されるようなことはないかということを非常におそれるのでございますが、この点についてはいかがでございますか。
  31. 奧野誠亮

    奧野政府委員 道路に関する費用に充てなければならないということに法律で義務づけをいたしておるわけでありますので、単なる赤字補てんに充てることは法律上できないわけであります。地方団体のことでございますから法律を無視したことはやらない、かように考えております。道路に関する費用でございますので、市町村道補助金に充てても差しつかえないわけでありますが、しかし主としてお話のございましたように新設改良修繕、こういう目的に充てていくように指導して参りたいと考えております。
  32. 堀内一雄

    堀内委員 その道路の旧債の償還とか人件費事務費失業対策等に使われるおそれはありませんか。
  33. 奧野誠亮

    奧野政府委員 道路に関する費用の解釈の問題になろうかと思うのでありますが、しかし人件費でありましても、修路工夫等人件費は一種の修繕費たと思いますし、そういうものに支弁しても差しつかえないのではなかろうかと思っております。しかしなるたけ狭義の道路費に充てるように進めて参りたいと考えております。
  34. 堀内一雄

    堀内委員 そこで本税の使用目的を適切ならしめるために、自治庁は本税の使途についてどんな監督と方法を考えておりますか、たとえば軽油税等目的税使途のために審議会を開くというようなことを考えておられますか。
  35. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先般運輸省と相談をいたしまして、この使途につきましては、堀内さんがお話になりましたような道路費に向けるように指導して参りたい、同時にその財源使途につきましては、使用者意見等も十分徴するようにしてもらいたいという趣旨の通達を出す予定をいたしております。
  36. 堀内一雄

    堀内委員 そこでもしこの税の使途が不適正であった場合にはどんなふうな処置をなされますか。納税義務者に対しましては三年以下の懲役、百万円以下の罰金並びにこれを併科するというような規定があるようでございますが、これを使用者方面から見たらばどんなふうになりますか。たとえば補助金に係わる予算執行適正化に関する法律というようなものの中には、補助金等を他の用途使用した場合には三年以下の懲役、五十万円以下の罰金云々というような規定があるのでございますが、この方面使途監督する面における罰則等はどんなことになっておりますか。
  37. 奧野誠亮

    奧野政府委員 法律執行する機関でもございますので、法律の以外のことをやるというようなことは全然予想しておりません。法律で義務づけていることでございますから、そういうふうに守られるという観点に立っているわけであります。住民といたしましては法律違反疑いがございますれば、会計検査を求めていくこともできるわけであります。万一そういうことがあれば、あらためて必要な措置をとらなければならないということも考えられますけれども、そういう事態は予想されないと考えております。
  38. 堀内一雄

    堀内委員 私は非常に驚いているのですけれども住民は、納税者は悪いことをするかもしれないからそれを取り締る官吏なり、政府地方庁の当局はそういうことをすることは予想されない、そういう考えでおられるのならば、はなはだ遺憾でありますが、大臣のその点についての御意見を伺いたい。
  39. 太田正孝

    太田国務大臣 申し上げるまでもなく新しい目的税でございますので、先ほど来承わっております通り、第一義的に目的税としての目的を達しなければならぬと思います。従ってこれが違反するような傾向のある場合におきましては、とくと指導いたして間違いのないようにいたしたい、それが法律問題になる場合にはこれは別個の観点であろうと存じます。われわれといたしましては目的税が厳格に行われという意味で指導していきたいと考えております。
  40. 堀内一雄

    堀内委員 物事が規定通りに行われ、人間がその良心のもとにおいて動かされるということになれば、法律は何にも要らないのであって、そういうような見解でやられたのでは、私どもはこの監督の点においてほ納得できないのでございます。この点について私は何かそのようなことをこの法令の中べっけ加えるかどうか、いま一度大臣の御意見をお伺いしたい。
  41. 太田正孝

    太田国務大臣 政府委員答弁した後に……。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように自治庁長官が第二の検閲をすることができるわけでありますし、また検閲をしてはいろいろと助言勧告をいたして参ってきているわけであります。そういうような助言勧告をしても何ら守られないということは、今までにおいてまずないのではないかというふうに思っております。またそこまで地方団体が法一の規定を守らないようになってしまえば、法の権威といいましょうか、地方団体性格そのものを変えていかなければならない、こういう問題にもなるのじゃないかと思うのでありまして、その点については、万御心配のないように十分な努力をしていきたいし、現在の法制でそれは可能だというふうに考えておるわけであります。
  43. 堀内一雄

    堀内委員 現在の法制でそれは可能だというなら、どういう法制によってそれをおやりになるかということをお伺いしたい。
  44. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほども申し上げましたように、検閲をいたしましてこれに対して勧告をしていく権能というものを自治庁長官が持っておるわけであります。従いましてそういう疑いが起りました場合には、直ちに検閲をいたしまして、そうしてそういうことのないような勧告をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  45. 堀内一雄

    堀内委員 先ほども申しましたように、昭和三十年度に制定の補助金等に係る予算執行適正化に関する法律の第三十条の罰則によれば、補助金等を他の用途使用した者は、三年以下の懲役、五十万円以下の罰金並びにこれを併科することができるということになっておりますが、こういうようなことと現在の税金使用との関係において、どんなふうに取り扱っていく考えてございますか、大臣の方にお伺いしたい。
  46. 太田正孝

    太田国務大臣 違法のことにつきましての規定は、その通りに行われるものと思います。御案内の通り、今日の自治法のもとにおける政府監督権というものは、公にはありませんので、ただいま申しました検査をするとか、あるいは助言及び勧告をするというような限界にとどまっております。税務部長の言われましたのは、そういう程度において万全を期していこうというので、事違法ということになりました場合には、法律規定が行われることと存じます。
  47. 堀内一雄

    堀内委員 本税の創設によって予定せる価格は、三十七億九千六百万円というようになっております。そうしてその税額が一キロリットルに対して六千円ということになっておりますが、その算出の根拠をお伺いしたい。
  48. 奧野誠亮

    奧野政府委員 年間の消費量は百万キロリットルと考えております。そのうち農漁業用その他非課税の分を三十五万キロリットルと予定いたしております。あと六十五万キロリットルのうちで、特約業者の段階で税金を徴収してもらいますので、一%内外の欠減量を見なければならないのじゃないかというふうに思っております。そういたしますと、今お話のような数字になって参るのであります。
  49. 堀内一雄

    堀内委員 運輸、通産、防衛農林等の各省にわたって調査したいところによりますると、大体防衛関係において四万五千キロリットル、鉱工業の方面において九万二千キロリットル、自動車において六十四万キロリットル、その他三万五千キロリットルで、この方面課税分が六十一万二千キロリットルというふうになってきておるのでありまするが、ほかの問題はとにかくといたしまして、自動車の場合におきまして、これをどのくらいと見ておられますか。
  50. 奧野誠亮

    奧野政府委員 明確な数字はないわけでありまして、大体五十万から六十万キロリットルくらいじゃないだろうかというふうに思っております。
  51. 堀内一雄

    堀内委員 この際運輸省当局にお伺いしますが、現在自動車増加傾向を、先ほどあなたが二割増と言っておられました。私は二割五分くらいの増になっておると勘定しておるのでございます。そういうような関係から、三十一年度における軽油使用量は、自動車関係でどのくらいに見ておられますか。
  52. 山内公猷

    山内政府委員 私の方の予想では、三十一年度六十一万キロリットルと考えております。
  53. 堀内一雄

    堀内委員 そうします。ると、自動車だけで六十一万キロリットル、私ども調査よりもよほど辛く見ておるのでございまするが、かりにこれを六十一万キロリットルで勘定しましても、先ほど奥野政府委員お話でありますと、自動車だけでもって約予定額まで達するようになるのでございますが、この点どんなようにお考えですか。
  54. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように大体課税対象軽油が六十五万キロリットルくらいに考えているわけでございます。現在機械油等につきましては課税をする建前をとっておりますけれども軽油価格が上って参りますので、大部分灯油の方に逃げていくのじゃないかというふうに考えております。それはけっこうなことだと考えます。従いまして、自動車だけの分より若干多い部分が課税対象になるのじゃないかというふうに思っております。
  55. 堀内一雄

    堀内委員 あなたは六十万キロリットルという最初の算出の基礎を言っておられるのでありますが、今運輸当局お話によりますれば、自動車それ自身で六十一万キロリットルというようなことになっているので、そこによほどの差があると存じますが、この点について今日まで運輸省当局とどんな折衝をなされているか、ちょっとお伺いしたい。
  56. 奧野誠亮

    奧野政府委員 軽油消費量につきましては、通産省の石油課と話し合いをいたして参っておりまして、十分連絡もついている次第であります。
  57. 堀内一雄

    堀内委員 運輸省調査も今言ったようなことであり、私ども調査にいたしましても、この六十五万キロリットルというのはあまりに辛いと思うのでございます。そこで私はこれを少くも八十万キロリットルは大丈夫だ、金額で百五万キロリットルになりますが、八十万キロリットルは課税の方に十分いけると思うのでございます。そこで、この点に対してお伺いするのでありますが、そうしますれば、大体一キロリットル税金の額が四千円ないし五千円くらいの程度で、私は十分御期待の税額を徴収できると思うのですが、いま一度その点について伺いたい。
  58. 奧野誠亮

    奧野政府委員 実は軽油消費量を、当初九十万キロリットルぐらいしかないだろうというふうに考えたのでありますが、その後多少増加が見込めるというようなことで、通産省と話し合いをいたしまして、百万キロリットルに見込んだわけであります。現在法律に予定しております非課税の分だけで、大体三十五万キロリットルになるわけでございます。従いまして、課税対象になる部分は六十五万キロリットルくらいになるのじゃないかというふうに予定をいたしております。
  59. 堀内一雄

    堀内委員 あなたは通産省と御交渉になったという話でございますが、自動車の問題等につきましては、通産省以外に運輸省もあることであり、しかも私ども調査によりますれば、非課税が、あなたは三十五万キロリットルと言われますが、非課税は大体三十五キロリットル、それから一般の課税が八十万キロリットルというのが常識になっているのでございますが、この点について将来一つ運輸省そのほかとさらに検討されて、そうして確実のところを出すように、一つ御尽力を願いたいと思います。そしてそれによって、この税率六千円を、四千円ないし五千円のところへ引き下げるということについて努力してもらいたいと思いますが、奥野さんの御意見を伺いたい。
  60. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話の点については、運輸省とも十分連絡をいたして参りたいと思っております。ただ軽油自動車の台数からいたしますと、とても六十一万というような数字にならないと思っております。しかし御注意もございますので、よく連絡をいたしたいと思っております。
  61. 堀内一雄

    堀内委員 次に大臣にお伺いしたいのですが、灰関するところによりますれば、過般の知事会議において、各府県の赤字を補てんするために、自動車の取得税というものをかけようじ心、ないかということが決定しております。そうしてこの意見に対しては、自治庁も同意を与えているというようなことを流布されているのでございますが、この真相をお伺いしたい。
  62. 太田正孝

    太田国務大臣 私知りませんから、部長からお答えいたします。
  63. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、地方団体が法定外の普通税を設けようといたしまする場合には、自治庁長官の許可を受けなければなりません。しかし地方税法上、自治庁長官は特別に法律に掲げた事由がない限り許可を与えなければならない、こういう法制になっているわけでございます。従いまして、今お話のような税を申請してきた場合に、これを拒否する法律上の根拠がないのじゃないだろうか、こういう心配を持っているわけでございます。決して自動車取得税を設けなさい、こういうような勧告をいたしてはおりませんが、ただ地方団体が許可を申請してきた場合には、これを拒否することができないのじゃないかというふうに考えております。
  64. 堀内一雄

    堀内委員 次に私は、本税を国税として国庫においてこれを徴収して、特殊の交付税といったような形式において各府県に交付することについて、大臣の御意見を、お伺いしたいと思います。御承知のように、今道路は府県の県境を越えておりまして、しかもその利用距離はこのごろ非常に増大しております。トラックのごときも現在五百キロの長距離の営業をやっておる、観光自動車は非常に遠くから各地へ入ってきておるのでございまして、そういう意味から都市における自動車地方道路を利用してこわすことが非常に多い、しかも地方はみな貧弱県でありますのでそれが補修できないということになっておるのでございます。そこで私はガソリン税と同様にこれを国税として徴収して、そして各府県における改修を要する道路のキロ当りを基準にして、これを特別交付税というような形式にして支給するのが妥当ではないかと存じますが、御意見を伺いたい。
  65. 太田正孝

    太田国務大臣 交付税問題は非常に重要な問題でございまして、現状における三つの大きな国税から入ってくることさえも将来の税制調査の議題にすべきものだろうとさえ私は考えております。従って今御指摘の税を国税にし、これを交付税に回すという考えはただいま持っておりません。お示しのような都市の付近の府県が非常に道路をこわされたりしているという事実は私も認めております。ただいまのところではたしか五大市だけに取った金を回す手段が講ぜられているにすぎないのでございます。問題の主眼である交付税にするという考えは私は今持っておりません。
  66. 堀内一雄

    堀内委員 そこで私は建設省の方にお伺いしたいのですが、現在のような観光地を中心とした道路状態から見まして建設省はこれをどんなふうにして将来改修していこうというお考えを持っておりますか。
  67. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 道路の整備につきましては、ただいまガソリン税相当額を財源としての五カ年計画を立てて実施することにいたしております。
  68. 堀内一雄

    堀内委員 その五カ年計画というものがきわめて遅々としておるばかりではなく、一番の問題は地方の府県というものが貧弱でありますためにその中央の負担分が支弁できないというような関係に、非常に道路の改修がおくれておるように存じておるのでございますが、その点についてはどんなふうにお考えでありますか。
  69. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 お話通り道路の整備は遅々として、進んでおりません。五カ年計画を立てて二十九年度から実施はいたしておりますけれども、これが計画されたように進んでおらない状態でございます。と申しますのは揮発油税相当額はそのまま入っておりますが、その他に一般財源も加えて実施するように計画を立てておるのでございますが、この一般財源の方が計画通り入ってきておらない状態でございます。
  70. 堀内一雄

    堀内委員 次に運輸省当局にお伺いするのでありますが、今や自動車運輸は増税に次ぐに増税をもってしているのに、他方人件費は年とともに増加して、運輸業は非常に困難な状態になっておるのでございます。そして現在運賃は原価を割らんとしておるような状態にあるのでございます。ことに旅客の状況も大都市付近と地方とは収益において非常に違いがあり、道路そのほかの消耗におきましても、地方の府県においては非常に負担が多いということになっておるのであります。他方バス並びにトラック運賃昭和二十六年に制定された、ことにトラックの地域運送、地場運送と申しますか、この料金は昭和二十三年にきめられてそのままになっておるというようなことから、この問題が通りますと必然的に自動車運賃なり、貨物の料金なりを引き上げるというようなことが起ってくると存じますが、これに対して実は大臣にお伺いしたいのですが、お見えになっておらないようでございますので、当局意見を一応お伺いしたいと思います。
  71. 山内公猷

    山内政府委員 その点につきましては先ほどちょっと触れたわけでございます。公共事業の料金と申しますものは非常に社会生活に影響いたしますところが多いという点におきまして、われわれはそういう運賃をどうするかということは常に慎重な考慮を払っております。基礎的に申しますと、しかし企業でございますので原価を償うということが第一の要件であることはもちろんでございます。ただ企業の点だけを見ますと、社会に及ぼす物価の影響もございますので、われわれの考えといたしましては、企業合理化によってそれが吸収されるのかどうかという点が、一番大きな問題となるわけでございます。しかし先ほど御指摘のありましたように、料金が非常に長い間据え置かれており、その間物価の騰勢あるいは賃金の上昇その他ガソリン等の負担も相当かかってきております。それらの点を将来十分検討いたしまして、この問題に対する結論を申し上げたいと思います。現在まだそういう詳細のデータを検討中でございますので、この席上で結論的なお話をすることは差し控えさしていただきたいと思います。
  72. 堀内一雄

    堀内委員 最後に私はこの税金につきましてはその徴収の方法並びに税率、これの使用といった方面について格段の注意をお願いするということと、さらにこの税金のごときはやはりガソリン税と同じように特別交付金といったような方法によることが、現在の地方道路を直すのに一番いいのじゃないかという意見を申し上げて私の質問を終ります。
  73. 大矢省三

    大矢委員長 次に中島君、
  74. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私、建設委員でありますのであまりこの問題を研究しておりませんので、ごく簡単に自治庁当局にお伺いいたしたいと思います。  まず軽油引取税創設の趣旨はどうであるか。それから農林水産用は非課税となっておるという話でありますが、そういうような二重の取扱いをしておるのかどうか。二重取扱いをするとすれば課税量と非課税の量はどういうパーセントになっておるか。この引取税は先ほど奥野さんですかの説明によりますと、地方財政財源に充てるけれども道路の整備の費用に充てるというように言われているが、事実そうであるか。以上三点をお伺いいたしたいのであります。
  75. 早川崇

    早川政府委員 第一の軽油引取税目的先ほども二、三申されておりましたが、第一はやはり地方財政が非常に逼迫しておることが大きな目的でございます。第二番目は先ほど部長からも御答弁申し上げましたように、一般ガソリン自動車との均衡上ある程度までは軽油引取税をと4てもやむを得ないのではないかという観点から納税していただくことになりました。最後にこれを目的税にいたしますゆえんは、御承知のように府県が実施する道路の整備費用が非常に逼迫しておりますので、その点におきまして本年度二十数億の財源をぜひいただきたい、こういう意味から課税をすることになったわけでございます。  次の農水産関係の非課税は、先ほど申し上げましたように三十五万キロリットルという大部分が一木釣でみじめな生活をしておる零細な沿岸漁民の人たちのための燃料でございますの一で、自治庁当局といたしましては社会政策上そこを考慮いたしまして課税除外をいたしたわけでございます。さらに技術的には国税になりますと非課税にするのもなかなかむずかしいのでございます。地方税にいたしましたので技術的にもそういう課税除外ということは、徴収上可能であるということに事務当局で確認をいたしましたので非課税にいたしたわけでございます。
  76. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで軽油引取税創設の趣旨は、地方財政財源に充てるということと、自動車税率に対する均衡を保つことだ、こういうような二つの点をはっきりしていただいたわけであります。そこで十九国会におきまして当時の、現在もそうでありますが、国の財政が非常に困窮である、しかしながらこの困窮の中においても道路の整備だけは緊急にやらなければならぬということで、議員提案によりまして総議員の賛成によりまして、道路整備費財源等に関する臨時措置法なるものが、成立いたしまして、ガソリン税全額とそれに一般財源をプラスアルフアして道路の整備に充てなければならぬ、こういうことがはっきりと議員の総意によりまして法制化されておるのであります。しかるにその後見ますと、このプラスアルフアの方は一削ってしまいまして目的税としたガソリン税を失業対策であるとか、あるいは他の名前によって非常に支出しておるというのが現況でありまして国会の総意によって議員立法したものが、事務当局によって常に毎年改正法律案なんかでゆがめられておるというのが現状なのであります。その十九国会におきまして、先ほど政務次官の御答弁に、自動車の税の均衡を保つためということにおいて軽油自動車に対しては一カ年一万円の自動車税を課してこれで均衡を保った、かようなわけであります。そこで私の考えといたしましては、これらの政府の法案のもとに、おのおの企業家はそろばんをとって、そして自動車を購入するなり事業の計画を立てておるにもかかわらず、十九国会にこういうようにはっきりと均衡を保つために自動車税を上げておるのが、わずか二年もたたぬのにまた税制改革をするというのは、あまり政治的に責任がないのではないか、こういうように考えるわけでありますが、この政治責任に対して自治庁長官答弁を求めます。
  77. 早川崇

    早川政府委員 二年前自動車税に若干の公平の考慮を加えましたが、その後ガソリン自動車の課税との均衡がなお十分でないということで今回自動車税の方上りも、軽油引取税という名目によりまして、一キロリットル六千円ということにきまったわけでございまして、それがガソリン自動車その他との均衡問題に対しては、先ほど堀内委員に御答弁のあったように、本来はそのまま一万三千円まで行くのが表面上は均衡を保つゆえんのように見えますが、いろいろな技術的の修繕とかその他の条件が軽油の方は悪いものですから、その二分の一以下という引取税にしたわけでございまして自動車税のあの課税率だけではあまりにもふつり合いがひどくなるということをわれわれは考えておるわけでございます。なおそういう自動車の引取税を目的税に使うという趣旨は、国家の全般の方は存じませんが、自治体に関する限りは、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、道路目的にかなうように厳重にわれわれは指導していきたい。他に流用したりすることは絶対にない、今までもなかったのでございますが、今後も厳重に指導監督をいたしまして、あやまちのないように、自治体に関する限りはそういうことのないようにいたしたいという強い決意を持っております。
  78. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま御答弁された方はどういう方ですか。
  79. 大矢省三

    大矢委員長 政務次官です。
  80. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それでは政務次官にお伺いいたしますが、あなたはそういうことはないと言いますけれども昭和二十九年度において長崎県は警察の庁舎をガソリン税で建てておる、そういう事実がはっきりあるのです。私はこれに対して答弁は要求いたしません。  大臣に対して申し上げるのでありますけれども、とにかく自治庁にしましても下の事務官僚の数字でいろいろ大臣たちが引き回されている感が非常に強い、しかも十九国会において全議員共同提案で可決されたものを、その後幾多の一部改正案によってゆがめられておる。ことにこの軽油税などは十九国会においてガソリン税均衡を保つために、自動車税において一万円かけておる。これでかりに今次官が言われたように均衡がとれないとしたなれば、この一万円を一万二千円とか三千円にすべきが当りまえじゃないか。企業家は政府が出した法律を信頼している、それによってそろばんをはじいて事業計画を立てるなり新しい車を購入するなりしておるわけである。それを朝令暮改、かくのごとく政治責任なくして法律をたびたび変えるということは、これは政府並びに大臣の責任である、こういうふうに私は考える。国民は安心して事業計画なり車両を買うことができないじゃないですか。この点について大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  81. 太田正孝

    太田国務大臣 過去におきまして関係者が御指摘のようなことがあったとしましたならば、これは厳に戒めたいと思います。私その経緯の点を存じませんが、お言葉の通りでありましたならば、どこまでも強くそういうことのないようにいたしたいと思います。今度の軽油引取税につきましては私自身責任を持ちまして、その目的税の本来の趣意にそむかないように厳格にやっていくつもりでございます。
  82. 中島巖

    ○中島(巖)委員 はなはだたよりない答弁でありますが、とにかく法律を朝令暮改するところの大臣の責任を追及しておるのでありますから、この点についてはっきりした御答弁を願いたい。
  83. 早川崇

    早川政府委員 かわりまして御答弁申し上げます。朝令暮改という意味は、この問題に関する限りはそう気にする必要はないんじゃないか、なぜならば程度の問題でありまして、この国会できまったのをすぐ半年もせぬうちに変える、これは私は朝令暮改だと思います。しかし二年前のそういう自動車税を今度は軽油引取税に変えまして、しかも地方財政は非常に逼迫しておる。しかしながらそれは程度問題で、このガソリン税と同じところまで引き上げるという大改革でありますれば若干の問題はありますが、二年の年月と最近地方財政が非常に逼迫してきた、こういう情勢を考慮に入れますならば、私は朝令暮改のそしりは当らない、かように考えます。
  84. 中島巖

    ○中島(巖)委員 この問題をえらい論議しておっても何ですが、かりに事業をやる上において、たとえば自動車にかける税金でありますが、自動車を  一台購入すれば、最小限度運輸省でもそう言っているのですが、五年から十年使うのです。つまりこの法令を信頼して事業計画を立てて、自動車を購入して運輸事業をする。しかも二年目でもって法律をまた改正される。これが朝令暮改でないと言えますか。現に軽油自動車を持っておるものは、この税率でもって計画を立てて事業を営んでおる。しかもその自動車を買って、まだ四分の一か五分の一使わぬうちに、法律を改正して、軽油税創設する。この政治責任は、非常に大きいものだと私は考えます、そこでお伺いいたしますが、この自動車税を普通の一般自動車税率に引き下げた。そして現在政府の見込みのキロリッター六千円でありますか、これを課税すると、三十七億になる。そうしますと、この差額はどれくらいな金額になるわけですか。
  85. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自動車税の引き下げによります減税額は、二億円くらいでございます。従いまして、差額が増加負担ということになっております。
  86. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そういたしますと、三十七億の税収見込で、三億円程度しか自動車税での減税額がないというお話だから、結局三十四億円程度増徴ができるという見込みですか。
  87. 奧野誠亮

    奧野政府委員 そうでございます。
  88. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこでお伺いいたしますが、実際問題として二重課税にして農林漁業用と自動車使用というようなものは、はっきりと今後運用の面において摩擦なしに監督ができるかどうか、この点が非常に重要な点だと思うのであります。それが第一点。  第二点といたしましては、先ほどの御答弁によりますと、地方財政ではあるけれども、特に道路の面へ使うということを御指示なさる、こういうようなお話でありますけれども、かりに道路の面に使うといたしましたなれば、十九国会において議員提案において決定いたしました道路整備の財源等に関する臨時措置法に基きまして、これも当然この自動車税ガソリン税と同様のワク内に入れて、そして国によって地方べ配分すべきだ。先ほど堀内委員からもそういう説がありましたが、それが最も運用の妙を得ておる、かように考えておりますが、御所見いかがでありますか。
  89. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第一点は非課税範囲があるが運用三混乱をしないかという問題であります。もとより全面課税した方が、税の姿がすっきりすることはいうまでもございません。しかし現在考えておりまする非課税の範囲も、かなりしぼって運営して参りたい。特に免税証の交付の申請を求めまして、そしてその場合にはどの店で買うかということを明確にしてもらう。そうしますと、免税証を買い集めて不当に免税軽油を手に入れるというおそれをなくすることが可能になってくるのではないか。免税軽油使用者とそれから軽油販売店との間のルートをつけておくことによって、横流しを防止して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。  第二点の道路整備五カ年計画の財源に充てるべきじゃないかという御指示でございますが、道路整備五カ年計画の対象になっておりまする道路は、たしか国、府県道の一割くらいでなかったかと思います。非常に多くの府県道もあるわけでございまして、府県道のどこの修繕をする、どこの改良をするかということは、むしろこれはもっぱら扱います府県住民がどこから先にするか、自分の判断でやった方がよろしいのではないか。民主的な運営がより一層可能になるのではないかという考え方を持っておるわけであります。軽油引取税程度のものは、もとより府県の住民が好む方向に積極的に使わして参りたいというふうに存じております。
  90. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま奥野政府委員説明によります、いろいろな官庁のあれによって非課税と課税との関係を調節ができるというようなお話でありますが、これはおそらくかつての経済統制時代の経済違反のようなことを惹起するもとでありまして、こういうような二重課税にするなんということは、根本的に避けるべきものだ。かりに零細なものでありましても、農林水産にいたしましても、自動車事業にいたしましても、公共性という点には大差ないものである。従ってもしかけるべきものなら一律にかけるべきものだ。うわさに聞けば、河野農林大臣が強いためにこうしたということですが、事実のほどは知りませんけれども、そう私は考えるわけであります。従いまして次にお伺いすることは、ただいまの奥野政府委員説明によりますと、各県の方が実情を知ってるから、ユ、うした方がいいというようなお説でありましたけれども、結局この財源を握っているのは、道路局ではなくて自治庁である。従って各県がよく実情を知ってるから各県の言い分でこれを交付するといったところで、各県がこんな均衡のとれたバランスの上にあるかということは、自治庁ではわからない。従いましてもしこれを興野政府委員の言うように道路の面に振り向けるとしたならば、その担当官庁であるところの建設省の道路局がこれを割り当てることが、最も行政の運用上当を得たものだ、こういうふうに考えるものでありますが、自治庁の御所見はいかがでありますか。
  91. 奧野誠亮

    奧野政府委員 軽油引取税目的税にしているわけでありまして、軽油使用者に還元する。言いかえれば軽油引取税が徴収されるような団体の財源になりまして軽油引取税負担したような人たちの使う道路に向けて、この金が投ぜられているわけであります。決して中央政府でこれを割り当てるということは、一切ないわけでございます。税でございますので、税源のあるところで収入になって参るわけであります。なお公共事業でありましても、地方負担がございます。その地方負担以上にまた単独の道路費負担していくということを、御了承願っておきたいと思います。
  92. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そうすると、今の奥野政府委員説明によりますと、地方各都道府県によって使用された税額だけが、その都道府県の収入になる、かように解してよろしいですか。
  93. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りであります。
  94. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それならば、なおこの課税の点に対しまして、非常な問題が出てくる。たとえば長野県なり埼玉県の車が横浜で買ってきた場合には、横浜の税収になる、こういうふうに解してよろしいですか。
  95. 奧野誠亮

    奧野政府委員 販売いたしました営業所所在地の府県の収入になるわけであります。
  96. 中島巖

    ○中島(巖)委員 これは非常に重大な問題で、課税の根本に大きな間違いがある、こういうふうに私考えるわけでありまして、この点をよく御研究願っておきたい。  本日は八人も質問者があるそうでありまして、堀内委員もだいぶ明細な質問をされましたので、私もあまり長くなって迷惑をかけてもいけませんので、そろそろ質問を打ち切ることにいたしますけれども、私はこの軽油引取税創設に対しまして根本的に反対をするものであります。それは結局、根本問題といたしまして、十六国会において議決いたしました道路整備の財源等に関する臨時措置法、いわゆる議員提案によって国会の総意によって決定したそのときに、揮発油税を増額して課してある。これに基いて、いろいろの企業家は事業の立案をしておる。にもかかわらず、わずか二年足らずでこういう税制改革をするということの政府の政治責任をまずこれは追究せねばならぬと思うのであります。第二点といたしまして、これは先ほど質問いたしませんでしたけれども、わが国の軽油自動車の発達というものは実に目ざましいものでありまして、現在ディーゼルエンジンだげはドイツ、イギリス、アメリカに日本は劣らない。しかもこれが輸出に非常に向いておる。その大きな原因は軽油税創設しなかった、こういう点にあるわけであります。すなわち国際収支の面から見ましても、どうしてもこれは育成すべきものだ。貿易上から見て育成すべきものだ。従ってここに軽油税を課することはできない。この点が第二点。第三点といたしまして、農林水産業……。二重の扱いをする、ことに今の奥野瀞府委員の言われたような課税方法だ……。すれば、非常にでこぼこができてしまう、こういうように考えますので、かつての経済警察の恐怖時代というようなものを再現せしめるもとだ。つまり人為的の政治によりまして業者を恐怖のどん底に落すような結果になる。こういうあらゆる点から見まして、まず自治庁はあきらめてこの法案を撤回すべきである、こういうように考えるわけでありまして、以上御答弁は要りませんけれども、よくお考え願いたい、かように考えるわけであります。私の質問はこれで打ち切ります。
  97. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に青野武一君。
  98. 青野武一

    ○青野委員 私は運輸委員をしておりますので、質問者も多いことでありますから、要点だけをごく簡単に関係者に質問をしたいと思います。  まず第一に運輸省自動車局として、この軽油税に対して大体反対の意思を持っておられるように私は考えておりますが、自動車局長は、この点について具体的にこういう理由であるから自動車局としては反対である、こういう点を一つお伺いしたい。と申しますのは、大体全国の自動車関係の労働組合の諸君が、低い給与ベースで非常に生活も因っておるから、この税金がかかるようになれば、会社の運営上給与の遅配とかあるいは給与のくぎづけ等も行われるということを考慮して反対しておる。それから自動車関係の業者あるいは団体がほとんど大部分反対をしておられる。私どもが決定をいたしました、二月から実施しております自動車損害賠償保障法、この法律が実施せられてから、自動車の営業者は、今までにかけておらなかったこの保険料の負担をしておる。大体課税方針としては、自動車を持っておる営業者の諸君は、税金の点ではもう限度がきておる、このように大体考えております。それからこれが実施せられるようになれば、御承知通り販売店の店頭で、非課税と課税が区分されておるので、免税証明書が横流れをする。軽油の不正取引が行われる。脱税等が公然とあとを断たないようになる。従ってこの法律ができることによって、これが通過して決定することによって、いたずらに罪人を作ることになる。こういうふうな諸点を考慮いたしまして、私ども軽油引取税というようなものは国会に提出すべきではないという立場をとっておりますので、具体的にどういう反対理由を持っておられるか、まず運輸省自動車局長自動車局を代表して一つ意思を表明してもらいたいと思う。と申しますのは、地方行政委員会で三月一日と思いますが、公聴会か何かお開きになって、参考人としてはいろいろな要望があったと思います。そのときであったかどうだかわかりませんが、運輸省自動車局としては軽油税について、自動車は、社会生活、産業活動上きわめて重要な役割を果しているが、いまだわが国においては諸外国のレベルに達し得ず、その育成助長をはかりつつある段階であり、また自動車使用者、なかんずく自動車運送事業者等の担税力がすでにその限界に達している現状において、これを無視するがごとき軽油税創設は取りやむべきである、こういう意思表示をなさっておると私は聞いておる。そういう点について今私が申しましたようなことが事実とすれば、具体的にどのようなことが反対の理由になっておるか。これはぜひきょうの連合審査会で御発表願いたいと思います。
  99. 山内公猷

    山内政府委員 ただいま青野先生からお話がありましたように、公聴会におきましての意見は、きまる前にそういうことで、運輸省といたしましては、この軽油税というものが、終局的に言いますと、ないことの方が望ましいのでありますが、財政上の必要があれば、できるだけ低いということがわれわれの希望であったわけであります。一応現在政府といたしまして国会の御審議を願っておりますので、そういう点、われわれとして一応了解をした上で御提案になっておるわけでありますが、従前の反対論拠を示せということでお答え申し」上げたいと思います。  まず第一点はただいま御指摘のありましたように、自動車企業というものがすでに限界にきておる。と申しますことは、先ほどるる申し上げましたので詳細な説明を許していただきたいと思いますが、運賃が据え置かれたということと、その間にいろいろな面におきまして税負担あるいはその他人件費負担等ということで、企業の限界にきておるという事実は、われわれも知っておるわけであります。それともう一つ、われわれ監督者の立場といたしまして、一般に物価が横ばいでありますために、運賃料金というものはなるべく低くといいますか、なるべく値上げをしないで、言で低物価政策量力をしていきたいという気持も強いわけであります。その間のジレンマに陥っておるということは争えないわけでありまして、たとえば今後六千円という一キロリットル当りの税金創設されますと、運賃に四%くらい響くというわれわれの計算になっております。これで企業が非常にぎりぎりになっておりますために、われわれといたしましては別途の社会政策意味から、そういう運賃値上げの契機になるような支出の増加はなるべく避けたいというのが一つの理由であります。  もう一つ先ほどいろいろ農林水産漁業その他の免税の点がありましたが、この自動車企業というものも免許企業でありまして、公益の企業であります。そのためにこれは国といたしましてどうしても助長し監督をしなければならない。ところが監督面は相当やっておりますが、そういう点で他の政策によりまして、逐次企業基礎を破るというような方向に支出の増加がいくということは、運輸省交通政策としてたえられないところであります。その点から、ほかのたとえば免許から除外されております企業の中にも陶磁器の製造というようなものもあります。これは公企業ではございません。運輸省のやっておりますのは公企業でございます。そういう点も自治庁当局としてお考え願いたいというのが第二点であります。  第三点は、これも先ほど説明いたしましたように、軽油自動車国策的な見地から助長し普及することをわれわれは望んでおります。それは軽油を使うことによりまして走行キロが、ガソリンと比べまして一八倍、約八割程度同じ単位のガソリンを使うこと  によりまして延びます。ただそのために先ほど申しましたように、修繕費あるいは減価償却費というような点で  一五倍ないし二倍の負担がかかるということで、この価格が低ければ関係者がなるべく軽油を使うということになりまして、外貨節約になるという国策的な見地から、軽油価格はなるべく低きに押えてもらいたいというのがわれわれの念願いたしました主要な点でございます。時間がありませんので簡単に御説明いたしますと、そういよ点におきましてわれわれに軽油税というものはなるべくなければ一番けっこうであり、それからあってもなるべく低くしてもらいたい。これが運輸省交通政策上の見地から軽油引取税に対するわれわれの意見として、従前申し上げておったところであります。
  100. 青野武一

    ○青野委員 大体具体的にわかりましたが、私の同僚委員からも先ほど質問がありましたように、すでに以前の国会で、十九国会であったと思いますが、軽油自動車税というものが一両について一カ年間約一万円増徴されておる。それにもかかわらず今回この軽油引取税創設することが私どもの納得のいかないところであります。大体運輸省の方針といたしましては今の御説明で納得することができましたが、燃料政策上からいってみて運輸省の諸君、特に自動車当局は、走行キロが揮発油を使って、おる自動車に比べて約一八倍延びる、そうして価格は五割、しかし今度は修繕する場合にあるいは償却費において、これを合せますと約一五倍ないし二倍になるという今の御説明でありました。しかし私たちが不思議に思うのは、これは正確な数字であるかどうか、ほとんど正確だと私は信じておるのですが、この揮発油税の税収見込みは、大臣の御答弁によるとたしか三百七億二千万円、ところが二十九年度の自然増収を計算してみますと、三百七億二千万円に加えるに自然増収金額が五十五億四百三十三万円で、実際においては…百六十二億二千四百三十三万円になる。従って剰余額が幾らかというと七十二億二千四百三十三万円である。そのうち二十億を道路公団にかりにやったとしても、あとには約五十億円の金か残っているわけなんです。こういうことを考えると、大体政府の方針として農林関係は土地改良費、水産関係は港湾の改修費、自動車道路の整備費、こういう方針で行かれていると思いますが、こういうように七十二億二千万円からの金が剰余額として残っておるときに、どういう理由道路公団に二十二億円の交付金をやったか。また先ほど質問のあったところを聞いておりますと、何か消防会館ができたとか、あるいは揮発油税の横流しをやっていろいろな設備をやっておるとかいうことも私どもは聞いておるのです。そういうことを信じたくはありませんけれども、事実上こういうように見積り過大、自然増収が五十五億円もある。従って六十一万キロリットルくらいでございましょうという御答弁は私先ほど聞いておりましたが、大体運輸省としてはこの問題について二割程度の自然増収になるのか、あるいは二割五分になるのか、そこのところが同僚委員の御質問に、はっきりした御答弁がなかったようであります。ここ二、三年の増加率を御考慮なさって資料を作られれば、かなり的確なものができ上ると私は思う。そうすることによってあまりに見積りが過大に食い違うことのないようにいたさなければなりませんが、この点はどうでしょう、大体運輸省自動車局としては全国でこの税の対象になっておる自動車は、どの程度増加率を示しておるかということをまず承わっておきたいと思う。
  101. 山内公猷

    山内政府委員 先ほどちょっと数字が見つかりませんのでお答えを落しましたが、お答えいたします。運輸省推定といたしましては、三十一年度の軽油車増加の趨勢といたしましては、トラックにおきまして一一九%、二割九分増を見込んでおります。それから、ハスにおきましては一一七%、一割七分の増加を見込んでおるわけであります。
  102. 青野武一

    ○青野委員 今自動車局長からの御答弁を承わりましたが、この点について自治庁長官はどうお考えでしょうか。これはあなたがまだ自治庁長官になっておらないときのことでありますけれども、三百七億円の税収見込みが五十五億円もふえた。こういう見積りが果して妥当でしょうか、この点を一つ承わっておきたいと思います。
  103. 太田正孝

    太田国務大臣 今の数字の点は税務部長からお話し申し上げますが、経営が非常に苦しいといういわゆる負担能力の問題、それから国家が助成すべき企業であるかという問題、それに自治庁としては先ほど政務次官も言われました地方財政の現況をどうするか、三つの問題がからんでおりますので、私としては本年新しく収入を得る道につきましてはお出しになる方にずいぶん苦しみをかけております。運輸省に対しましては、いわゆる三公社課税において国鉄に非常に大きな負担をお願いしておるようなわけで、また郵政省に対しましては、電電公社が電話のない村をなくしようといって計画されておるその部分も制限してようやく今度賛成していただいたような次第であります。事業家の立場の計算、それから助成すべきかいなかという国策の点、よく了解をいたしました。  また二年の間に変えたということは、それはやはり国策の変更でございます。二年が短かいか長いかは別として、これは私ども大いに戒めなければならぬことだと思います。ただ私の知る限りにおきまして、地方財政の現状が非常に困ったところへ来ておりますので、かような点を訴えまして、今回やったわけでございます。  税の見積りにつきましては厳格にいたさなければならない。ことに自然増収の見積りというものは、税の見積りの中で一番厳格にしなければならぬ。悪くすれば増税になり、苛斂誅求になるものでございましてその点につきまして数字の点は私はなはだ失礼ですが承知いたしませんので、税務部長からお答え申し上げることにいたします。
  104. 奧野誠亮

    奧野政府委員 揮発油税の問題でありますので、大蔵省の方から御答弁をしていただきます。
  105. 吉国二郎

    ○吉国説明員 ただいまお話のございました揮発油税の自然増収の問題でございますが、御指摘の通り二十九年、三十年はまだはっきりいたしませんが、両年とも相当な——二十九年は五十五億程度の自然増収が出ております。三十年も若干の自然増収が出るということは見積っておるわけでございますが、当初の見積りにおきましては、先ほど自治庁税務部長からお話もございましたように通産省の需給計画等を参酌いたしまして適正な見積りをいたしておりますが、最近需要額の増加が年々非常に大きくなって参ります関係で、どうしてもそのような誤差が出てきておるわけでございます。  なおただいまお話のございました三十一年度につきましては、その点でかなり大きく自然増収を考えて見込んでおりますので、あまり大差は出ないのではないかと現在は思っております。
  106. 青野武一

    ○青野委員 税務署側の御意見として今御答弁がありましたが、大阪府の税務長で播磨重男さんという人がこういうことを言っているのです。政府はすでに昭和三十一年度の予算が成立した以上予算の組みかえは困難と思うので、理論的には第十九国会の御決定による一キロリットルにつき一千円程度の課税が妥当であるが、軽油引取税予算額を地方財政補助金として交付し、全消費者の均衡負担とされたい。そして農林水産あたりを除外している今、私が先ほど申し上げましたように、農林関係者の補助金として還元する場合は土地改良費に充てろ、水産に関しては漁港の改修に充てろ、自動車道路整備に充てろ、こういう方針を政府はきめて、間違ったら困るからといって必要な法制化をやる、こういうようにやればさしつかえないのではないかという意見が、税務長という立場におる人の意見として出されております。  それから自動車関係の諸税が国会に提案されて年々増徴の一途をたどっている現状にかんがみて、恒久性のある適正な課税について研究願いたいということです。朝令暮改で、あした決定したものを晩に改める、根本的な税法を一年か二年の間に作り変えてしまう、十九国会で軽油自動車税をいじって一年について一万円の課税に増徴した、そういうことで現在は軽油引取税というものは何も税金としてかけているわけではないのです。ところがこういうようにやると税務署としても困る。私も先ほどちょっと触れましたが、第一、一キロリットルについて六千円とはっきりきまっておりますので、たとえばたちの悪い業者が非課税の切符を、私の方は税金のかからぬ切符をもらったから君に譲ろうといって一枚をやみ取引すれば六千円、二枚持っていけば一万二千円ということになる。そういうことはまずないと御答弁になりましても、軽油の販売店の店頭で課税と非課税とを区分されるのだから、必ず軽油の不正取引が行われ、免税証明書の横流れがあります。戦時中、戦後十年間の例をとってみてもわかる。あれだけ警察官がいてさえ上野の駅へ一日に何百人、何千人という人が米を背負って帰ってくる、あれはいまだに跡を断たない。とにかくこれは罪人を作る法律になる、業者にとっては大きな打撃である。先ほどもちょっと触れましたが、自動車損害賠償保障法によって新たに自動車を何十台、何百台持っておる人でも事故のあるないにかかわらず、その保険金を支払わなければならない。こういうことがすべて物価に影響してくる。軽油が上ってくる、運賃も上げてこなければならない、そうするとそこで働いている何百人、何千人の労働者の賃金が不払いになって給料のくぎづけが起る、これは何も益するところはありません。先ほど申しましたように、揮発油の収入見込み三百七億円、五十五億の自然増収がありますから、二十億円を道路公団にかりに交付金としてやったとしても、五十五億円の金があれば初年度二十五億、これをもって充当すればできぬことはない。無理な税金を作って罪人を作る、業者には反対されて、やり方が非常に窮屈になってくる。労働組合の諸君もこれはわれわれの生活に影響することだからといって先頭に立って反対しておる。どこから言ってもあまりりっぱな法律であると私どもは認めるわけにはいかない。同じ行政官庁の中で運輸省自動車局あたりは、先ほど申しましたように具体的な例をあげて、燃料政策としては私ども経済六カ年計画の一翼として軽油自動車奨励して、しかも走行において八割よけい走る、そういう点から言っても今までやってきたことがとにかくここで大きく蹉跌することになりますから、それでは困るという立場をとっていることを考えてみましても、これは一応引っ込めて他に適当な方法をお講じになることが賢明な策だと思いますが、自治庁長官はどうお考えになりますか。
  107. 奧野誠亮

    奧野政府委員 非課税を設けることによって横流しの事例が生ずるのではないかという御注意の点でございますが、もちろん先ほどお答え申し上げましたように全面課税の方が税務行政はやりやすいわけでございます。しかしながら他の産業全般との調和をどうはかっていくかという別な観点もあわせて考慮しなければなりませんので、御心配のございますような免税証につきましては、特定の店を選ばせてそこから買わせることによってルートをつける、そういうことによって免税証の横流しを防止していけるというように、いろいろ工夫を講ずることによってできる限り避けるように努力いたして参っておる次第でございます。  第二の問題につきましては、軽油引取税自動車関係者にも負担してもらうわけでございますけれども、それを二のまま自動車関係者の使われまて自動車道路費用に充てていきたい。道路の施設を充実していくことも必要でございますが、地方財政が非常に窮乏していることでありますから、将来にわたって確保することは困難でございます。それをこの目的財源によって、他の財源がいかようであろうと、道路財源だけは確保していけるようにやっていきたい、そういうねらいもあることを御了承願いたいと思うのであります。
  108. 青野武一

    ○青野委員 太田自治庁長官に御答弁をお願いしたいのです。私は運輸委員でありますから本日の会議に出席するのにまだ十分目を通さぬ点がありますが、もしこれに違反した場合には罰金は幾ら、あるいは何年の懲役というかなり過酷な内容が盛られておりますことを先ほどの同僚委員の質問の中で聞いたのでありますが、そういうふうにしておることは、たとえば免税証の横流れであるとか、軽油の不正取引だとか、公然と脱税が行われることを予知しているから、そういうような過酷な罰則をきめているのではないかと思うのです。これは何か問題が起ってくる法律案なのです。罪人を作るようなやり方をしなくとも他に適当な方法がないかという点について、自治庁長官の御答弁をぜひこの機会に承わっておきたいと思います。
  109. 太田正孝

    太田国務大臣 問題は非課税関係におきまして乱用されるということに、一番注意をしなければならぬ点があると思います。この点についての罰則の強いことも考えましてできる限り指導をいたしまして、かかることのないようにいたしたいと考えております。お言葉の点はよく心におさめまして、実際に自治庁として間違いのないようにいたしたいと思っております。
  110. 大矢省三

    大矢委員長 次に二階堂進君。
  111. 二階堂進

    ○二階堂委員 私は簡単に軽油税の問題につきまして、自治庁長官並びに運輸省当局にお尋ねをいたしてみたいと思います。今回軽油税創設されて一つには地方財政を援助したい、その取った金は地方道路の整備のために使いたい、こういう趣旨で軽油税がかけられることになっておると思うのでありますが、御承知通り道路整備につきましては、すでにガソリン税という目的税をもってこの整備に充てておるわけであります。今回この創設されんとする軽油税は当然取り立てられた金が、国の五カ年計画道路整備についてはガソリン税というものが設けられており、同時にまた軽油税目的とするところも道路の整備のために使われる、こういうことになっておる以上は、私は当然一本の姿にして徴税されるのが最も妥当な方法ではないかと考えておるのであります。徴税の方法を、一方においてはガソリン税を国がとり、一方においてはまた地方税というようなものを設けて地方においてこれを徴税していく、こういうことは非常に事務の煩雑化を来たすことにもなりますし、また徴税の技術面においても相当むずかしい点が多々あるように私は考えられるのであります。先ほど長官はこの軽油税というものを、国のガソリン税と同じような一本にして取る考えはないかという同僚議員の質問に対して、現在のところはそういう考えは持っておらぬ、こういうような御答弁がありましたが、自治庁長官は、私が今申し上げましたようなことをお考えになりまして、このような方法で地方道路の整備のために、軽油から税金をとってこれを使うというような考え方は現在はいいとお考えになっておりましても、将来私はこれを一本にされるようなお考えがあってしかるべきものと考えますが、念のためにもう一ぺん長官の基本的な考えを一つお伺いいたしておきたいと思います。
  112. 太田正孝

    太田国務大臣 二階堂委員にお答え申し上げますが、徴税関係から現在二つに別れておりますが、この点の徴税のこまかいことは、税務部長からお答え申し上げることにいたしまして、現状におきましてはその点から二つになっておるのでありますが、議員の皆様方ののお言葉もあり、私もよく検討いたしたいと思います。今年に限っては私は徴税の立場からやむを得ぬことじゃないか。将来につきましては御忠告のお言葉もありますし、私もよく検討いたしたいと思っております。
  113. 二階堂進

    ○二階堂委員 私が申し上げました理由は、これはともに道路のために使われる金である、従って国なら国が一本にまとめて取る、そうしていろいろな条件を勘案してこれを地方に分配すべきものじゃないか、こういうように考えるのが一つの理由と、もう一つはやはりこれは徴税された軽油税の分配が適正を期せられないといううらみがある、さらにまた徴税の技術面において相当むずかしい点がある、こういうことから一本にすべきじゃないか、こういうことを私は申し上げたのでありまして、私の考えとしましては、当然これはガソリン税といったような税が道路整備のために目的税として設けられておる以上、同じE的のために使われるお金ならば、やはり一本の姿において徴税され、それをまた道路の整備のために使われるのが当然だ、こういうふうに私は考えておりますので、この点は特に自治庁長官の御再考をお願い申し上げる次第であります。  そこで次にお伺いいたしますのは、この揮発油税は簡単に申しますと、たとえば国鉄が使っております省営バスあるいは日本通運株式会社でありますか、普通マル通と言っておりますが、このマル通といったような全国的に相当たくさんの車を動かしている会社があります。こういうようなたとえば運輸省が省営に使う軽油あるいはマル通がトラックに使っております軽油、これは一体どういうふうにして、たとえば運輸省なら運輸省、マル通ならマル通が買っておるのか、どこで買っておるのか、たとえば省営バスに使っておる軽油を一括して運輸省が横浜の業者から買う、あるいは東京の業者から買う、どこかで買っておると思うのですが、一体どういうふうにしてこの軽油を買っておるのか、なおまた省営バスはどのくらい台数があって、どのくらいの車両地方において動いておるか、あるいはマル通がどのくらいのトラックを持って、都会においても相当動いておると思っておりますが、これは地方においても相当走っておると思っております。その台数がどのくらいになっておるか、その点を一つ運輸省当局にお尋ねいたします。
  114. 山内公猷

    山内政府委員 初めに揮発油あるいは軽油をどこで買っておるかという点について申し上げますと、たとえば日通の場合について言いますと、東京近辺でございますれば大体東京中心で一手に買って各営業所に配給しております。それぞれ支店がございますので、東京以外はそういうところで買って配っておるのが実情でございます。それからただいまお話のこまかい国有鉄道で経営しております車両数、あるいは日通の車両数というのは、現在ここにまだ持ち合せておらないわけでございます。全体の数字ではなはだ何でございますが、貨物用あるいは乗合い乗用、全体の揮発油を使っております車両数は八十一万三千六百十九台になっております。次に軽油を使っておりますのが三十年九月三十日現在で四万七千五百四十三両になっておりましてその他のものが千八百六両、被牽引車が二千二十両、合計いたしまして八十六万四千九百八十八両、これが昭和三十年九月三十日現在の全自動車両数でございます。こまかい内訳につきましては手元に資料がございませんので、御必要があればまた御説明申し上げたいと思います。
  115. 二階堂進

    ○二階堂委員 私はもっと正確な数字を知りたかったのでありますが、ただ  いまの御答弁によりますと省営バス使用する軽油は一括して買っておられる、こういうような御答弁であったようでありますが、そうですが。
  116. 山内公猷

    山内政府委員 全国一括して買っておるのではございませんので、東京付近は東京で買っておる、地区を分って買っておるわけでございます。
  117. 二階堂進

    ○二階堂委員 そうすると大阪の付近はやはり大阪の方で買っておるわけですか。
  118. 山内公猷

    山内政府委員 ちょっと間違いました。今私が申し上げましたのは日通の場合でございまして、日通の場合には東京付近は東京で買っておりますし、大阪付近は大阪で買っておる、その他の地区にはそういうところから流しておるということでございます。国有鉄道のバストラックにつきましては、本省で一括して購入いたしております。
  119. 二階堂進

    ○二階堂委員 そういたしますと、この軽油税は一括して買っておられますと、たとえば横浜の業者から買うあるいは東京付近の業者から買っておられると思いますが、そうするとその徴収された税金は、これは当然この税の建前から行きますと、東京都の収入になるかあるいはまた神奈川県の収入になるか、こういうことになると考えられますが、そうですが。
  120. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国鉄が購入されます軽油の引き取り個所、要するに元売りから直接購入されます場合でありましても、その引き取り個所は幾つかに分れていると承知しております。要するに引き取り個所の所在地の府県の収入になる、こういう法律の建前にいたしております。
  121. 二階堂進

    ○二階堂委員 私がお聞きしておる理由は、これはそうなりますと、マル通の関係にしましても、あるいは国鉄の関係にしましても、車は大都会中心だけに走っておるわけではありません。省営バス等につきましても、地方にも相当車は走っております。そうすると、軽油税を徴収される個所は、二、三個所にきまっておる。その税収というのは、特定の県によけい金が入っていく。車はたくさん地方にも走っている。車が走っているのはむしろ地方が多い。これは都会は大都会でありますので、相当な車が走っておると思いますが、私はこの軽油を買うところは、一括して買うと、そこにたくさんの道路財源が与えられる。しかも車が道をこわしておるようなところには、非常に公平にこれが分配されていかないという結果になるのではないか。私はこういうことからいたしましても、これはやはり国が一括してガソリン税のようにとって、そうしてこの地方道路の改装、舗装をしなければならぬと思う。改良しなくちゃならぬというような個所あるいはいろんなほかの条件等を勘案して、地方にもこの分配が適正に行われるようにすべきではないか、こういうふうに考えておるわけであります。こういう点でこれは徴収されても、その財源がきわめて片寄ってしまう。直さなければならぬ道は、地方道路なんかたくさんあるわけであります。そういうところに不公平な分配が行われる結果になるおそれがある。そういうことがないように私ども道路の整備は考えていかなければならぬ、そういう結果になると私は思う。詳しく国鉄の省営バスが一体どこで何万キロ買ってどうしておるか、あるいはマル通が何個所で買って、しかも走っておる台数が、たとえば地方と六大都市の関係考えてみましても、アンバランスがあると思う。ほんとうにこれは軽油税なら軽油税を徴収されて、そうして地方道路なら道路のために、あるいは地方財源に充てるとするならば、やはり財源は片寄らないような徴税の方法も考え、分配の方法も考えていかなければならぬ。ところが今のようなこういう徴税の方法では、結果において公平を欠く分配が行われてくるのではないか。従って私は最初申し上げた通り、やはり国が一本にして吸い上げてそうしていろいろな条件を勘案して、地方道路のために財源として与えていくということが至当ではないか。こういうような見地から私はさきに長官にもお尋ねをいたしたのでありますが、そういうことに結果はなると思う。そういうようにならないようにあなた方は徴収をされ、またそれが適正に使われていくという御自信がおありになるかどうか、奥野部長にお伺いいたします。
  122. 奧野誠亮

    奧野政府委員 揮発油税のように製造段階に徴収しようといたしますならば、どうしても全面課税でなければならぬのじゃないかというふうに思います。現在軽油引取税について考えておりますように、漁業用、農業用に課税をしない、こういうことは、国の税務機関で製造段階でやっていきます場合には不可能だと思うのであります。やはり総合行政をやっておる県の段階で、どういうものについては課税をしない、どういうものについて課税するという、その区別をしなければならないのではないか、そういうように考えております。その結果非常に地域的に片寄るのではないかという御心配のようであります。しかし軽油自動車の分布状況を見ますと、非常に全国的に普遍的であります。東京や大阪は揮発油自動車から比べますと、軽油自動車は非常に少いのでありまして、いなかの方は割合に多いわけであります。これは軽油自動車が、牽引力とかあるいは航続力という点において揮発油自動車と非常に違っている関係が多分にあると思っているのであります。軽油引取税の収入は、営業地所在地の収入にして参るものでありますから、これもまた相当普遍的にそれぞれの団体の財源になっていくわけであります。具体的に東京、大阪について申し上げますと、人口の分布率と軽油自動車の分布率が一%ぐらい違いしかないのでありまして、非常に普遍的になっております。なお道路財源地方国体が上げます場合に、国道のような場合でありますと、国で統轄いたしましてどの道路からどの程度改良していくかという点について強い統制力を加えてよろしいと思うのでありますけれども、府県道の、ことに府県住民だけが使うような道路になって参りますと、なるたけ自主的にその辺の問題を解決さしていきたい。地方自治の問題を考えて参りますと、地方的な道路につきましては、地方住民でその間の道路改良政策をいたさしていきたい、こういう考えもあるわけでありますので、軽油引取税の分量等から考えましても、現在のやり方でよろしいんじゃないだろうか、こういうふうな考えを持っているわけであります。
  123. 二階堂進

    ○二階堂委員 私もこれはよく勉強しておりませんから、詳しい資料をもってさらに詳しくお尋ねする方法もないわけでありますが、私は先ほど申し上げました通り、国はガソリン税をとって五カ年計画を立てて道路をよくしよう、こういうことで努力をいたしておりますが、ガソリン税だけではとうてい足りない。そこで今回は軽油税創設されまして、道路財源に充てたい、こういうお考えであるわけでありますが、私が先ほど申し上げました通り、一番車が通って非常に道を荒しているのは、都会だけではないわけであります。地方道路は非常に荒廃しております。その修築のためには相当財源も要るわけであります。そこで今回のような軽油税創設されて、税金をとられるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、この徴税された金の使途について、配分が非常に均衡を得ていないことが結果において出てくるじゃないかという心配を私強くいたしているわけであります。この点は一つあなたも運輸省当局ともよく打ち合せられまして、しっかりしたデータをもってそういうことが間違いなく、適正に徴税もされ、またその使途も適正を期するようにやるという御自信を持って、こういうことをやるならばやっていただきたいと考えておりますので、この点は特に私念を押しておきたいと思っております。  さらにまた農業関係ですか、の軽油については、免税をされております。これは一面私どもはそういうようにしていただくこともまことにけっこうと思っておりますが、しかしガソリン税も一つの目的を持って道路をよくしようという税金であります。あるいはまた軽油税金目的を持っている。農業用を免税されるということは、一面においてはその理由がありますが、しかしこれも私は平等にとられることが、徴税の適正を期するゆえんじゃないかと考えております。これは先ほども同僚の議員から質問がありました通り、必ず横流しが出てくるとか、あるいはいろいろな問題がそのほかに出てくるという心配があります。そういう問題が起ってきた場合にどうされるのか、そういう点を非常に心配しております。また農業関係に使う軽油、これに税金を課せられましても、これを一定の目的のために使用するということをはっきりされたならば、それでいいんじゃないか。たとえば農業あるいは漁業を営んでいる人たちの共同施設のために一部を補助するとか、あるいは漁港の費用は非常に足りませんので、漁港の整備のためにこれを使うんだという一つの目的をちゃんと設けて、全体の徴税額の何。パーセントは農業用に使用される経費であるから、この目的のためにとられた金額は漁港の整備に使うとか、あるいは共同施設のために使うというふうに、その目的をはっきりされて、そのために使われるのであったら、私は何も間違ったことではないと考えております。そういうふうに明らかに目的をきめて  一部を免税して一部だけをとるというようなことをされると、必ず問題が出てくる、問題を起さないために、そういうようなはっきりした目的を持って徴税をされることが妥当ではないか、私はこういうふうに考えますが、どのようにお考えになっておりますか。
  124. 奧野誠亮

    奧野政府委員 二階堂さんのるるおっしゃっておることも、一つの見識だと考えておるのでございます。ただ、政府が今とっております考え方というものは、やはり漁業その他の部分について、租税負担を求めることは困難ではないかというふうなところから、税務行政としては全面課税がよろしいのですが、他の産業政策等々との関係から調整をとってある程度税務行政上の便宜を犠牲にしているのだ、こうお答えいたしたいのであります。もと、より漁業、農業の関係にも負担してもらって、それ一、付し施設充実の財源に返していけばよろしいのではないかということでございましたけれども、わが国の漁業とか農業とかいうものは、非常に規模が零細だと思うのであります。従いまして、またこういうものについて、受益者負担的な格好において施設を充実する、そういう余地に乏しいのではないか。また現に原子産業につきましては、あまり租税収入は得ておりませんけれども、莫大なものをこれらのために投じておるような次第でございますので、この面につきましても、さらに軽油負担を求めて目的税にして返していくという考え方も、零細性のゆえになかなかとりにくいのではないかという心配を持っているわけでございます。
  125. 二階堂進

    ○二階堂委員 この点については、いろいろ意見もあることと思っておりますので、このくらいにしておきます。今回キロリットル当り六千円の課税をされることになるわけでありますが、この影響は自治庁の方とされましては、大した影響はない、影響と申しますのは、たとえば物価の値上り等ということに関連してくるわけであります。国民生活の上において、大した影響はないのだというふうにお考えになって、こういうことをお考えになったのか、あるいは多少なりともそういう傾向が出てくるということをお考えになっておるのか。これはたとえばバス運賃等も、こういうことになりますと、やはり値上げをしなければならぬ、一般的な常識的な考え方から申し上げますと、こういうことになると思っております。なおまた、トラックが運ぶ貨物にも、軽油税がかかったらある程度の送料の値上げをしなければならぬ、こういうふうに常識的に業者の方からも意見が出てくると思うのでありますが、こういう軽油税創設されるにつきまして、自治庁当局とされましては、そういうふうな心配は全然ないのだというお考えで、こういう税を創設されたのか、この物価等の関係は一体どういうふうにお考えになっているのか、この点を一つ承わっておきたいと思います。
  126. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現在自動車税の対象になっております自動車の数は、昨年の九月三十日現在で、登録台数が百三十七万台でございます。その中で軽油を使っております自動車が、四万台から五万台の間でございます。揮発油を使っている自動車でありますと、揮発油税を一キロリットル一万三千円、地方道路税とあわせて負担しておるわけであります。軽油引取税が新たに軽油自動車にかかって参りますので、軽油自動車負担も並み大ていではないと思うのでありますが、揮発油との関係におきましては、半額以下の負担に押えておりますので、何とか合理的な運営によって、これを吸収していただけないものだろうかというふうな期待をいたしておるわけでございます。
  127. 二階堂進

    ○二階堂委員 私が今お尋ねしました点について、運輸省当局はどういうふうにお考えになっておりますか。
  128. 山内公猷

    山内政府委員 その点につきましては、先ほど運賃に関連いたしましてたびたび御説明をいたした通りでございまして、一応軽油が上るということを前提といたしまして、軽油車ばかりを使っておるバス会社という想定のもとに計算をいたしますと、運賃に響くのは、約四%響くわけであります。それで先ほど申し上げましたように、運賃を非常に押えて、低物価政策をとって参りましたので、運輸省当局がおそれておりますのは、非常にバランスがくずれつつあるところでありまして、そこにまたバランスをくずす契機を与、えるということは、われわれ運賃政策上憂慮しておるところであります。
  129. 二階堂進

    ○二階堂委員 一方においては地方財政が苦しいから、こういう税をとって地方財政の窮状を救ってあげたい、これはもっともなことと思っております。しかしながら、この地方財政の救済ということについては、政府はやはり別個に考えて、当然救済すべきものは正しい筋を立てて救済すべきだと考えております。こういうふうな課税をされますと、私どもは当然バス運賃等の値上げということも、一応考えられるわけであります。また、そういう空気も出てきておるやに、私は考えております。さらにまた物価の値上りというようなことに影響して参りますと、低物価政策をとっておる今日でもありますから、矛盾した結果にもなりかねないのではないか、こういうように考えますので、この点をよく十分御検討下さるようにお願いを申し上げておく次第であります。  さらにまたもう一つお尋ねいたしたいことは、先ほどガソリン税使途の問題について道路財源として地方に与えておる金が、何か警察庁舎のために使われたという御意見もありましたが、これは建設委員会においてもいっか問題になったことがございますが、いまだに誤解が解けておらないように私は考えておるのであります。もしその目的としてとう九たかノリノ税が、道路財源としてとられた金が、別個の警察の庁舎といったようなものに使われておるというようなことがありますと、これは大へんな問題だと考えております。先ほどの同僚委員の質問に対しましても、自治庁長官ははっきりした御答弁がなかったようでありますが、一体そういうことがあったのか、なかったのか、この点をもう少し明確に政府当局として御答弁なさった方が、私はいいのじゃないかと思います。もしそういうことがあるならば大へんなことであります。今回立てられまする軽油引取税使途については、自治庁長官は責任を持って善処するということを申されました。その通りでなければいかぬと思っております。しかしこれと別な問題でありますが、こういう目的のためにせっかく税金をとられても、それがほかの方面に使われるということになると、大へんなことになる。国民の不信を招く一大原因になります。そこで長崎のような問題も過去にあったということを聞いているし、もしもあったとするならば、それはどういうふうに処置したのか、あるいはなかったとするならば、その点を明確にされておく必要があると思っております。
  130. 奧野誠亮

    奧野政府委員 昭和二十九年度の揮発油譲与税の政府の歳入に、いろいろ地方で紛議があったということを聞いております。その事情を調べましたところが、道路費を歳出に計上し、歳入は一般財源をもって充てておった。ところが年度の中途に揮発油譲与税制度がきまりまして、揮発油譲与税というものが道路目的財源として来るようになった。そこでこれを歳入に計上して、一般財源を振り向けておった部分を他に回すようにしたことがあったようでございます。これは形式的にはそれでもよろしいのでありますけれども目的財源を設定した見地から考えますと、加わってきたものはそのまま道路費に追加してもらいたかったのであります。それが非常に苦しかったものですから、一般財源を振り向けておったのを、揮発油譲与税に肩がわりさした、こういう例があったようであります。今後はこういう点については、一般財源をことさら減額して目的財源に振りかえるということでなく、目的財源が加わってきた場合には、それはそのまま追加して道路財源に振り向けなければならぬ、そういう考え方で指導していかなければならぬと思っております。
  131. 二階堂進

    ○二階堂委員 私は今ちょっとわからなかったのですが、長崎の問題ですが、これはほんとうに道路財源がほかのそういう警察庁舎に使われたのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。その点はどうなんですか。
  132. 奧野誠亮

    奧野政府委員 長崎の例は実は承知していないのですが、全国的に建設省ともよく当時話し合いをし、調査し合った問題でございますけれども目的税を他に使ったところはないようであります。これはございません。ただ一般財源を振り向けておった額を、目的財源が来たものだから、減らしてしまった。こういう団体があって、非常に問題になったのであります。これも今後目的財源が加わった場合には、その道路費の歳出の追加に充てるように持っていくべきではなかろうか、こういう指導方針をとって参りたいと思っております。
  133. 二階堂進

    ○二階堂委員 その点道路局長の方はどうなんですか。あなたの方に御関係がある問題だと思いますが……。
  134. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 昭和二十九年度の揮発油譲与税で長崎県に配分されたのは、全部道路に関する費用に使われております。
  135. 二階堂進

    ○二階堂委員 時間も経過いたしておりますので、これ以上お聞きしたいこともありますが、本日はこれにて私の質問は打ち切りたいと思いますが、勢頭に申し上げましたように、やはりこういう二重に税金をとってしかもその税金が同じ目的のために使われるのであるならば、徴税の方法としては、やはり国の方で一ぺん一まとめに吸い上げて、そうしてそれをいろいろな条件を勘案されて、道路整備費に使われるということが望ましい徴税の方法ではなかろうかというふうに私は考えますので、この点を重ねて私の意見として申し上げて、今後考慮していただきたいとお願い申し上げる次第であります。
  136. 久野忠治

    ○久野委員 関連して。ただいま二階堂君の質問に対してのお答えによりますると、どうも配分の点がはっきりしないということ、それから徴税した税が明らかに地方道路費に充てられるかどうかということ、この二つの疑点があろうかと思います。  それで率直にお尋ねをいたしますが、この税は一体地方道路負担額に充当させるというのか、それとも補修費その他の一般地方財源に充てるというのか、一体どちらでございますか。
  137. 奧野誠亮

    奧野政府委員 道路に関する費用に充てれば、国方らの補助事業に民会にう地方負担に充てても単独事業に充ててもどちらでもよろしいわけであります。しかしながら原則的には単独事業で必要だと認定するところに、どんどんこれを振り向けていってもらう必要があるのではなかろうかというふうに存じております。
  138. 久野忠治

    ○久野委員 かりに単独事業に充てるとすれば、やはり一定の計画をもってやらなければ、実際に道路改良の実をあげることができないと思います。そういう立場から道路整備五カ年計画にこれを充ててはどうかという意見が出てくるわけなんで、そういうような問題等についてあなたの方は十分適切な指導をする用意があるのですか、どうですか。
  139. 奧野誠亮

    奧野政府委員 五カ年整備の対象になっておる道路以外に、地方団体が単独でやるものについても計画を作って運営させるかどうかという問題になってくるだろうと存ずるのであります。この点につきましては、建設省とよく話し合いをいたしまして、必要な方法を考えて参りたいと考えております。
  140. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 質疑を進める上においてわれわれ必要だと思いますので。先ほど奥野部長はこの財源をあまり偏在しないようにするという御説明でありました。そうであるかどうかということは、私どもは資料がありませんのでわかりませんが、この案を立てられるについては、都道府県が徴収することになっておりますが、各都道府県の大体の数字といいますか、予想といいますか、そういう資料があると思いますので、その資料を一つ出していただきたいと思います。
  141. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今の御意見に対しまして軽油自動車が各府県にどういう配分になっておるか、これをお示しすれば御了解いただけると思いますので、そういう資料を提出いたしたいと思います。
  142. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それで大体見当がつくと思いますが、この法律では取引業者の所在地で徴収することになっておりますから、そういう点も含めてできるだけ詳細な資料をお願いいたしたいと思います。
  143. 大矢省三

    大矢委員長 まだあとに質問者通告がありますが、予定では午前中ということでありました。しかしながらその残っておられる方々に対して質疑を続行するために、明日の午後に続行いたしますからさよう御承知願います。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後一時四分散会