○鈴木(直)
委員 関連して。東京大学
学生新聞の昭和三十一年十月十五日号
学生論壇、あるいはアカハタの十月十八日から十九日号の座談会に「
砂川はこうして守られた」という記事がある。それに「
砂川基地
反対闘争に参加して」という早稲田大学の第一文学部三年の斎藤吉見という者の書いたものがある。それを見ますと、たとえば現地の情勢ですが、「半鐘が鳴って
測量隊の侵入を知らせた。闘争本部のスピーカーは全員配置につけ、と叫んだ。乱闘服の私と友人の
学生共産党員は第三ゲートに向って走った」云々。「私は友人の共産党員と顔を見合せ苦笑した。「
自分で交通費を出し、握りめしに四十円を出してまで
砂川にやってくるのは
学生だけだ。人気の出るのも無理ないさ。淺沼書記長も野坂第一書記も大いにほめておだてているわけさ、」その共産党員はこう私にささやいた」云々と書いてある。「三日目にはもう闘争以外に楽しみはなくなった」云々とそのアカハタに書いてあるのですが、これを見ますと、彼らはやはり「
測量隊の侵入」を、「
測量の目的」を妨害するということが、この群衆の目的であったということがはっきりしているわけです。今までの質疑応答によりますと、ただそこに何にもない群衆が集まっていたのだ。そこへ
警察官が行って暴行したんだというような印象を受けるようなふうに問題が進められておりまするが、この共産党の機関紙のアカハタの偽わらざる座談会を見ますと、やはりその目的は国が
測量しようとするその
測量を妨害する目的のもとに計画的に、意識的にかり集められているものであるということがはっきりしておるのです。今の
答弁によりましても、それをするために相当の日当も払っておるところを見ますと、実際においてそういう
考え方を持っていない人までもかり集められて、日当をもらってやっているということである。事実私は社会党の国
会議員の
方々でもそうだろうと思う。あの十二日にここで地方行政
委員会が開かれることになっていた。ところが社会党の本部の
方々から向うの応援に来いと言われて、ことの地方行政
委員の
方々も実際弱っておった。実際は行きたくないというような格好をしておられた。本部の、来いという
命令で、党の
命令だから仕方がないといって行った人もあったようだ。結局この問題は相当深い計画のもとに計画されて、そこに動員されてきているということがはっきりしていると思うのです。ここに「闘争本部のスピーカーは全員配置につけ、と叫んだ。」とある。闘争本部が設けられて、うわさによりますと、その闘争本部の計画が共産党に関係しているところで行われているということを、相当有力筋から聞いております。この文章を見ましても、「乱闘服の私」と書いてあるから、おそらく乱闘するために特別の服を着ていったのだろう。乱闘服と書いてある。そうして友人の
学生共産党員ということが書いてあるので、共産党に入っている
学生が行っているのです。従ってこれは表面は合法的な仮面をかぶっておるけれ
ども、その表面と実際とは違いまして、単に合法の仮面をかぶった戦術をとっておるにすぎない。これは相当弁護士が研究したでしょう。こうすれば
警察も手をつけられない。今
委員会で聞きますと、
警察も軽犯罪法とか交通取締法の疑いがあるというきり法律的には解釈できないようなやり方をしているんだから、これは非常に現在の法制上の盲点をうまくついた大衆運動にすぎない。きわめて悪質な意図を持った、現在の法制を研究して終局の目的を達成しようとするところの遠大なる運動なんです。これをずっと読んでみてもわかる
通り、一つの闘争なんだ。党員についても、共産党の党内における出世のために
砂川闘争を戦う。そうしてうんと戦って、
警察からでも検挙されれば、党員として出世するという、そういう内容を持ったものなんだ。そうしてこれはすでに、社会の何も知らない人たちは、そこに行われた乱闘とか、そういうものをニュースとか写真とかによって報道されて、いかにも
警察官が暴行をしているようなふうにそれがカムフラージュされて、国会内における
委員会におきましても、主として
警察官の暴行に興味を持たして、それをニュース・カメラにとって、
警察官が無事の民を暴行したのであるという。割の悪いのは
警察官だけだ。この前の
委員会を私は聞いておりまして、かわいそうに思いました。まるで
警察官だ
けが暴行して国
会議員からしかられておる。演説の上手な国
会議員がかわるがわる立って、役人を、
警察の者をしかっておる。ところが地方行政
委員はお互いに知っておる
警察隊長なり長官だからいじめられない。それで関係のない、現地におって、ここをつつかれたあそこをつつかれたという人がかわるがわる来てその事実をあげて、これはどうした、あれはどうしたと言ってしかりつける。それをニュース・カメラがとる、それを報道する。そうして国民はこの記事によって、
砂川事件というものは何でも無事の民が集まったのを、
警察が勝手に行って、
警棒を振った結果生じたのだというふうに印象づけられているというのが、私は
砂川事件の表面に現われてきた事実じゃないかと思う。これはゆがめられている問題だと思う。だから
砂川問題というのは、もっと全般的に検討されるべき問題であると
考えておるのであります。少くともこの記事を見まして、また今の同僚の永田
委員の
質問に対する
答弁に関連して
質問するのでありますけれ
ども、こういう計画のもとに行われたものに対して、現在の
警察はそういう秘密的な内容を
調査するというようなことは、占領下において従来の特高的なやり方はやってはいかぬという
考え方になって今まできておりますから、おそらくそういう情報は深く察知していないと思います。あるいは公安
調査庁の方でよく知っておられるかもしれませんけれ
ども、おりませんから今
質問はできませんが、こういう闘争本部を作って、
砂川問題を中心として、これを基地
反対闘争に結びつけ、
先ほどの大衆訓練をした。暴力革命というところまで
考えておるのかどうかわかりませんが、あるいは共産党員はそういうふうに
考えているかもしれない。それが
指導的な役割をとって、社会党の議員にはそれがわからなくて、大衆のためだと思ってやっていたかもしれない、利用されていたのかもしれない。往々にして問題が起ると共産党は暴力革命の秘密的な
考え方をして、それに好意を持っておる合法性を持っている政党なり組合を利用し、それをかき立てて成功したということを
考えているかもしれません。そういうことも思われる。社会党員の人たちは非常に
良心的にやっておられたかもしれぬが、うまく国
会議員をあやつったというものが深いところにあるかもしれないとも思われるのであります。もちろんその資金がどこから出たかというようなことについては、ただいまはっきりした
資料もありませんけれ
ども、もっと深いところに
根拠があるのではないかというふうにもアカハタを通じて推察をするのでありますが、この共産党の計画とこれとはどんなふうな関連にあったのか、その点がわかっておるならお知らせ願いたい。