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1956-10-15 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第61号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月十五日(月曜日)     午後零時二十四分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 鈴木 直人君 理事 永田 亮一君    理事 山中 貞則君 理事 北山 愛郎君       青木  正君    纐纈 彌三君       灘尾 弘吉君   茜ケ久保重光君       淡谷 悠藏君    川村 継義君       五島 虎雄君    坂本 泰良君       櫻井 奎夫君    滝井 義高君       古屋 貞雄君    前田榮之助君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大麻 唯男君  委員外出席者         警察庁長官   石井 栄三君         警  視  監         (警察庁警備部         長)      山口 喜雄君         調達庁次長   丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁連絡調         査官)     磯  淳爾君         総理府事務官         (東京調達局         長)      河崎  正君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 十月十五日  委員加賀田進君、坂本泰良君、田中武夫君、西  村彰一君及び横路節雄辞任につき、その補欠  として櫻井奎夫君前田榮之助君、古屋貞雄君、  淡谷悠藏君及び滝井義高君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りをいたします。警察に関する件について、本日本委員会において、江口警視総監藤本警視庁警備第一部長、及び井出警視庁第八方面本部長の三名を参考人として説明を聴取いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。  時間が十二時を経過いたしておりますから、一時まで暫時休憩することにして、一時から再開いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時四十八分開議
  4. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先ほど承認を得ました参考人江口警視総監は、今東京都の教育委員会に出ているそうです。それが済み次第出たい、こういうことであります。それから藤本警備第一部長は、天皇陛下の御視察があってその警備に当っているので、きょうは都合が悪いという返事であります。それから井出第八方面本部長は、今事件収拾のためにどうしても手が抜けぬからという返事がございました。それから大麻国務大臣は後刻出席されるという通知がございました。次にただいまの御出席石井警察庁長官山口警備部長、それから河崎東京調達局長は後刻出席するという返事がございましたから、間もなく出席されることと思います。  それでは警察に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますので、これを許します。淡谷悠藏君。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 去る十二日、十三日の両日にわたりまして、東京砂川町の米軍航空基地拡張に関する調達庁強制測量を援助しようとしまして、警察予備隊を繰り出し、二日にわたって千余名の負傷者出した事実がございます。これは日本警察史が始まって以来の不祥事でございます。しかもこれは決して突発事件ではございません。不祥事とはいえません。こういう事態になることをおそれまして、われわれは十数日前から激しくこのことを警告し、善処を求めた。今井調達庁長官に、すみやかに現地におもむいて、この事態を収拾しろということを幾たびか申し入れました。最後には立川調達事務所まで出向いてこのことを強く要請しましたが、がんとして出て参りません。これは決して単なる突発した不祥事ではない。政府の怠慢と政治的な無責任によるところの重大な政治犯罪であります。少くともこういうような事態で、千数百名の無抵抗国民鉄かぶとこん棒で、武装した暴徒にひとしき日本警察予備隊が傷つけたというのは、何としてもこれは許しがたき政府政治責任と私は思うのであります。  あの事態発生の十二日の状態を私ども現地で見ておりました。調達庁測量隊は、決して交通を遮断され、阻止されてはおりません。事務的な手違いがあり、また不完備な点のあることは、やって参りました測量隊自体も認めながら、これは上からの命令であるからどうしてもやるんだ、話し合いには応じない、あくまでも強行するんだ。事務的な不完備を認めながら強行しようというのであります。それではあとになって、またさまざまな紛乱も起るだろうし、よろしくないから、道路妨害になるならば少し横へ寄って、関係者の家でも借りまして、そこでもう一ぺん、最悪事態を避け、激突を避けるためにゆっくり話し合おうじゃないかということを再三申し入れをした。ところが、やにわに警察予備隊装甲車がこの中に突入して参りまして、妨害もない交通妨害するな、妨害するなとマイクで叫び立てながら、驀進してきたのであります。われわれはからだをもって阻止しましたから、幸いに不祥事は起りませんでした。責任者を出せといって詰め寄りましたら、ややあって吉田警部とかという人間が出てきた。そしてさまざまな事態を訴えましたところが、そういうふうな測量上の事務的な手違いがあるとは今聞いたというのです。それでは困るからもっとじっくり話し合おうじゃないかということを言っているうちに、立川警察署長と称する、めがねをかけた、官服をまとった—名刺出しませんが、多分これはにせの署長じゃないでしょう。やって参りまして、交通妨害だからのけろというのであります。りっぱに通れるのであります。ですからこの署長に対して、事は国民所有権に関する問題であり、人権上の問題であるから、もっと慎重に処理したらどうかということを懇々と申し入れました。ところが警察署長ともあろうものが、国民人権が何だ、こういう暴言であります。お前は憲法を知らぬのかと詰め寄られましたら、憲法なんか知らぬという暴言であります。憲法も知らぬ、国民人権も無視するような署長が、交通妨害に名をかりて、しゃにむにこの警察予備隊の導入をはかったのが、十二日の当初の実情なのであります。これは私一人じゃありません。事態を心配いたしました同僚の、ここに出席しております委員の数人も見ておりますから、多分あとでいろいろお話もあるだろうと私は考えます。しかも受け取りがたいのは、調達庁との話し合いが続けられている最中に、署長憲法も知らぬ、国民人権を無視したような行動に出ている最中に、私服をまといました——あとで聞きますと刑事だそうでございますが、測量隊装甲車でやって参りました警官隊の横に立って、もう十分過ぎた、もういいだろう——話し合いの最中に、実力行使いたしますという一方的な宣言で、戦車を乗り入れてしまった。しかも、鉄かぶとはかぶっておりませんでしたが、戦闘帽をかぶった千二百名という警察予備隊がやにわに行進を始めまして、労働組合がたむろしております所まで驀進してしまった。しかも測量隊は、十分道があるのに行こうともしないのであります。そのような事態を心配しまして、もう一ぺん何とか穏やかにしようというわれわれを、国会議員が何だ、こんな暴言をはきながら、その列外に排除しようとした。その排除するのも、当り前にやればよろしい。手をさかさにねじ上げて、からだをぐるぐる回しながら列の中をこづき、あるいはけり、なぐりながらやった。二、三人倒れてきたのもあります。そのような傍若無人なふるまいをやりまして、遂に初日のあの激突が生じました。  あの激突にわれわれは非常に憂慮をいたしまして、十三日も同じような状態が続くならば、これはまさに収拾すべからざる大混乱も起るだろうから、この際何とかこれを避けるような工作をしなければならぬといって、日本社会党が党をあげまして、徹夜して各方面に折衝したことは、これは決して知らぬとは言わせません。しかもこういうわれわれの誠意を全然受け入れようともしないで、翌日はどうです。投石があったという理由で、鉄かぶとをかぶせ、警棒使用もやむを得ずという方針のもとに、突如現地に襲いかかりましたのが、この不祥事の直接の原因であります。投石はなされた。しかしわれも見ておりましたが、少数の私服刑事が事を挑発するために、みずから石を投げておった実情をわれわれは見ております。警察内部で石をぶっつけておいて、それを石が危いからといって鉄かぶとで武装さして突入させるというような態度は、一体初めからの計画的暴虐でなくて何でありましょう。私はこの点政府に十分なる責任を追究したい。しかもこの突入しました警官隊が、一方においては全然測量する意思もない調達庁の隊員を引き連れております。道を開いて、さあおいでなさい。見たら、測量機具を持ってこないから私たち帰りますと言うのです。交通妨害で通れないという道を通りなさいと言ったら、測量の道具がないと言う。そうしてそのときにはすでに役場前の大きな混乱が生じておった。妨害を排除し、交通を阻止することをとめると言っておきながら、あれが一体交通を阻止した者に対する態度であったのでしょうか。何ら抵抗していない労働組合に対して、あるいは学生に対して列を組んだ中におどり込んでいって、それを一人々々ひっこ抜いて警棒でなぐる、突く、ける、これがあの混乱を招いた最大の原因なのであります。しかも測量とは何ら関係のない畑の向うの学生の隊に向って、他人の畑の作物をじゅうりんしながら、この一隊が全く文字通り暴徒のようになだれ込んでいって、見さかいなくなぐりつけております。これを見かねました日本妙法寺の和尚さんたちが、うちわ太鼓をたたきながら制止しようとして中へ入ったのを、理不尽にこん棒をふるってなぐりつけて、現に重傷で一人入院しているではありませんか。法衣を身にまとって非暴力の旗を立てて、うちわ太鼓をたたいている僧職にある者が、どうして抵抗をしましょうか。何の弁解がありますか。私自身見かねました。全くあの学生たちを引きずり出して泥にまみれさして、もう無抵抗になった者をける、なぐる、息の根も絶えさせるような暴挙を見るにたえかねまして、数人の同僚とともに制止に入った。それを、何だ、このやろう、というわけで、国会議員が何だ、こんな暴言を吐きながら、うしろからはっきりこん棒でぶんなぐった。うそと思うなら、私の頭にさわってみて下さい。こぶがまだ残っている。これでは実際私は日本警察というものの威信は何もないと思う。政府責任なんというものは古ぐつ同然であります。しかもその傷ついた者を警察官のトンネルを通らせながら、まるで何か重大な犯罪者でも送るように、全然無抵抗のこの負傷者たちを、さんざんになぐったりけったりする暴状をやっている。われわれがとめに入ろうとすると暴力で阻止する。これでは負傷者の出るのが当然であります。ごらんなさい、十二日の第一回の負傷者よりも、事態を収めるつもりで鉄かぶとこん棒を持って武装した警官出動してからの方が、負傷者が数倍にふえているではありませんか。この混乱警察みずからが作り出し混乱であります。警察みずからが暴徒のように荒れ狂って無抵抗国民を傷つけた実態であります。こんな暴状政府としてどうしてなさるか。しかも負傷者の中にはたくさんの女の子供がおる。女の子供たちが何が抵抗したのです。私、見ておりましたが、最後にはあまりの暴状にあきれ返って、学生たちは一齊にスクラムを組んで一ぱい涙を浮べながら夕焼けこやけ赤トンボというあの童謡を歌った。童謡を歌っておりましたこの学生たちを片っ端から再びこん棒をふるってこれをなぐりつけ、引っぱり出し、こずき出すという暴力行為を始めたのであります。こういう実情を一体あなた方は見られたかどうか。われわれはこうした事態を心配しまして、最高責任者幾たびとなく現地に来てこの事態をごらんなさい、この事態を直視して、そこからこれを解決するような道をはっきり見出しなさいと、十数日にわたってあなた方に申し上げたはずなんです。ちっともなされていないではありませんか。しかもこの警官たちが口々に言うのは、これは上の命令である。われわれは上の命令に従ってやるだけの話であって、当然やるのだ、実に傲慢無礼をきわめた態度で、思うままの暴行を、安心して暴力をふるっている。あなた方はこんな命令を出されたに違いない。表面では私どもに対して負傷者は出さないようにする、犠牲は少くするこう言っておきながら、陰に回っては、はっきりこのような暴力を指令しているに違いないのであります。第八方面隊本部本部長の部屋を見てごらんなさい。昭和三十年十一月五日砂川基地反対に対する警備実施状態という写真が麗々しく誇らかにかけられている。千名以上の人間を傷つけて何が実施状況ですか、何が警備です。警察自体国民を傷つけ、このような犯罪を犯しておるじゃありませんか。私はこれは決して政府命令ではないと言わせない。命令がなかったならば、どうしてあの千数百名の警官が、最後には二千名の警官が、あのような傍若無人な安心しきった暴力がふるわれるでしょうか。私はこの点を深く追及したい。しかもその検挙をしあるいは排除する方法といいますと、残虐をきわめたものであります。現に肩から脱臼している人がある。それほど強く腕をねじっている。きょうの新聞を見ますと、指をつかむのは、これは当りまえであるということを、警察責任者の方が言っておりますが、指をねじ曲げて折っている事実があります。これでは全く警察政治の復活じゃありませんか。こんなことで一体事態が片づきますか。このような残虐きわまる無法な命令をあなた方はお出しになったのか、お出しにならないのか、この点をはっきりここで御説明を願いたい。
  6. 石井栄三

    石井説明員 基地測量問題につきまして、いわゆる反対運動が熾烈に展開されたのでありますが、これに対する警察態度は、かねがね申し上げたと思うのであります。ここにあらためて繰り返しますが、われわれ警察といたしましては、合法的な反対運動に対しましては、何ら干渉し介入しようとは思っておりません。しかしながら、いかに反対運動をせられる方々の気持がもっともであるといたしましても、それが行き過ぎまして、いわゆる非合法の段階に達しますならば、警察職責上これを放任するわけには参らないと思うのであります。このことを私ども警察のとるべき基本的態度として、今日まで持してきたところであります。今回の砂川基地拡張地域測量につきまして、その測量必要性、特にまた十月十六日までに完了しなければならないという必要性、こういう点につきましては、私ども警察の直接あずかり知るところではないのでございますので、これは調達庁その他関係方々から説明をお聞き取り願いたいと思うのであります。私ども調達庁側のとられました方針、すなわち政府のとられた方針でありますが、十月十六日までにぜひこの測量を完了しなければならない。その必要に基きまして、調達庁側成規の手続に従って測量をしようという方針をとられておりますのに対しまして、地元方々、またさらにこれに応援をされる労組あるいは学生諸君等が熾烈に反対運動を展開されたわけでありますが、それに対しまして、私ども警察としましては、先ほど申し上げました通りその反対運動が合法のワク内にある限りにおいては、警察は何らこれに介入し、干渉しようとは思っておりませんが、一たびそれが行き過ぎまして不法の事態になりますならば、警察職責上これを放任するわけには参らない。こういう基本的態度に照らして、現実の動きを冷静にながめて参ったのであります。具体的には、今月四日以来調達庁測量班が連日にわたりまして測量すべく現地に出向いたのでありますが、いわゆる話し合い戦術と申しますか、話し合いをしようということで絶えず進路を妨げられまして、目的測量地点に到達できないで、むなしく日を過したというように私ども承知をいたしておるのであります。そうして十月十二日を迎えたのであります。調達庁といたしましては、余日幾ばくもなくなりましたので、今まではできるだけ話し合いに応じ、なるべく事が円満に運ぶことを念願しつつ応待をして参ったのであるけれども、事ここに至っては荏苒日を過すわけに参らないというので、従来以上に強力な態度をもって、強い障害があってもあえてそれを押し切ってどうしても測量を実施したいという強固な決意を固められたように伺ったのであります。そこで私どもといたしましては、十月四日以来、連月調達庁測量班が絶えず進路をふさがれて、測量をし得ないで引き揚げておった。それを繰り返しております間におきましても、これを冷静に警察の立場からながめまして、しさいに検討しますならば、これはあるいは道路交通取締法違反の様相もあり、軽犯罪法に触れるような事態もあり、また都の条例違反状態もありましたけれども、またさらに若干人に傷害を与えたような事案もありましたけれども、あえて私ども事態の円満なる解決を望むがゆえに、それをきっかけとして警備出動することを極力控えて参ったのであります。先ほど申しました通り、十月十二日に至りまして、測量隊といたしましては、これ以上時日を遷延するわけに参らない、十六日までにどうしても完了しなければならぬという必要性にかんがみ、今日からはどうしても強力に妨害を排除してでも測量を実施しなければならない、こういう強い決意をされたように伺ったのでありまして、そうなりますと、もしそれをそのまま放任いたしますならば、必ずや相当な混乱が起るであろうということは、予想にかたくないところでありましたので、そうした不法な状態のままに放置することは、とうてい許されないという見地から、警察といたしましては出動を余儀なく決意をいたしたような次第でありまして、十二日には、午前中に地元立川署長が約一時間にわたってあらかじめ警告を発したように聞いております。にもかかわらず、それに応じていただけなかったので、午後に入りまして、午後一時二十分ころでしたか、初めて予備隊出動下令をした、こういうように承知をいたしておるのであります。十月十二日にはそうして出動はいたしましたものの、反対者側抵抗がきわめて熾烈であったために、結局当日は測量目的を達し得なかったのであります。翌日はどうしても測量を実施したいという測量隊側の強い態度でございましたので、警察といたしましては、やはり不測の事態の防止のために、前日同様出動をせざるを得ないという考えのもとに出動をさせたのであります。しかしその間にありましても、なおかつ、先ほどお話もありましたように、社会党の各先生方が手を尽して事態円満解決のために、最後まで努力されようとしておられた点を私も十分承知をいたしております。現に私のところに、十二日の夜おそく、ある幹部の方がそういう話を持っておいでになりました。私もその話を承わりまして、私も全く同様に、もし事情が許すならば、円満に事態解決するならばこれほど望ましいことはないのであるから、事情の許す限り警察といたしましても実力行使することについては慎重を期しましょうということで、十三日は早朝部隊出動せしむる予定でありましたものを、特に最後話し合いのために若干の時間猶予方を申し出られましたので、それに私は同調いたしまして、若干十三日の出動を時間を繰り下げたような次第であります。私どもとしましては、どこまでも事態が円満に解決することこそ念願しておれ、混乱の起ることを望む、いわんや挑発的な行為に出るといったようなことは毛頭考えておらなかったのであります。不幸にしまして十二日、十三日の実際の警備部隊出動の結果、双方に相当数負傷者出しましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。その間警察官の必要以上の実力行使があったために、そういう結果になったかどうかという点につきましては、現在詳細に調査をいたしておるところであります。もし不幸にしまして警察官のいわゆる行き過ぎ行為、必要以上の実力行使をしておるというような点がありましたならば、それに対しましては十分責任を追及すべき点は追及したい、かように考えておるのであります。先ほど御指摘のありましたように、上司から、暴力行使してよろしい、すべしという命令を下したから、第一線の警察官がああいう挙に出たのであろうというお話でありましたけれども、決してそういう命令は下しておりません。どこまでも警察としまして許されたる範囲において当然行使すべき権限の行使実力行使ということをやかましく指示しておるのでありまして、出動いたします警察官の一人一人に徹底すべく、口頭における訓示指示はもとよりのこと、書面によりまして、警備出動の心得という印刷物を手渡しまして、こういう点につきましては細心の注意を払い指示をいたしておるように私は伺っておるのであります。決してお話のように上司から出動の際にはどんなことをやってもよろしいというような乱暴な命令は下しておらないのであります。なおいろいろと例をあげて御指摘がありました、たとえば立川署長ともあろうものが、国民の権利など知らない云々という暴言を吐いたというようなお話もありましたが、私、立川署長は個人的にもよく知っておりますが、決してそんな乱暴な言葉を吐くような人物ではございません。おそらく何かの聞き違いではなかろうかと思うのであります。あるいはまたそういう場合に多少言葉が足りないと申しますか、そういったようなことから誤解を受けるようなことになったのではないかと思うのであります。また婦女子に対してまで警察官暴行を働いたとか、あるいは妙法寺の坊さんに対して警棒をもって暴行を加えたというような、いろいろ具体的な事例をおあげになって御質問がございましたが、私の今日まで聞く限りにおきましては、そうした暴行事案はなかったというふうに聞いておるのでありますが、なおそうした点につきましてはさらに十分に調査をいたしまして、もし不幸にしてそういう行き過ぎの点がありますならば、将来を戒めるとともに、また責任を追及すべきものは十分責任を追及したい、かように考えております。
  7. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと申しますが、今国家公安委員長大麻国務大臣のほかに、政府説明員として丸山調達庁次長磯連絡調査官河崎東京調達局長が参っております。
  8. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは今の石井長官の御答弁によりまして、これは命令でないと言われた。それならば、傷ついた者を収容しております場所に立ち入って、勝手に看護婦なんかに暴行を加えたような事実がございますが、これも命令しないと断定するのですか。あるいは非常に危険な状態になっておりますけが人を収容するために走っていく救急車に停止を命じて、きかなければ運転手を検束するぞとおどかしておるような事実も、おそらくあなたの命令ではありますまい。また報道陣があの警棒を振り上げて、頭といわず背中といわずめった打ちにしておる現状カメラにおさめようとしておるその瞬間に脚立をひっくり返して傷を負わしたという事実は、何の必要あって、こうしてカメラを恐れるのでしょうか。出動した警察予備隊が正しい行動をしているならば、指示された通り行動をしているならば、カメラにおさめてもらう方がよろしい。報道陣を非常にじゃまにして、ある場合は抜き打ちに駐車禁止の札を揚げて警官隊がやってきたり、あるいは写真をとっておるカメラ警棒でたたき落すなどというようなことは、あなたはどうお考えになりますか。しかもあなたは今立川署長の弁護をされた。一時間ほど懇談したなどとはまっかなうそであります。あなたは一回でも責任者としてあの現状をごらんになりましたか。調査いたしますとか、遺憾であるとか、これはとても納得のできることではありません。あの重傷を負った無抵抗国民はどうするのです。立川署長は、警告と称して言いっぱなしです。いくら事態説明しましても、道路があいているのに警告を与えている。妨害しておるのは警察なのです。警察装甲車警官妨害している。今度の事態は返す返す遺憾でありますが、この原因は無責任なる政府上層部の態度にあります。責任を負って処理しなければならない者は一向現地に現われてこない。要求しても来ない。これを下僚に転嫁して、無責任行動をあえてさして、その末端の混乱に乗じて弾圧しようというゲリラ戦術ではありませんか。だれが一体責任を負いますか。井出第八方面本部長でさえも、あの五日市街道に待機しておって、あの混乱のまっ最中に自分の命令が少しも行われていない現状を見にこようともしなかったじゃありませんか。しかもその井出方面本部長が昨日警視庁の二階で何と言っているか。われわれは調達庁にだまされておりました、というのです。調達庁調達庁で、初めから測量する意思がない。あるいは法廷の問題になり、さまざまな疑問点が続出する。もう自分たちの手に余っておるから、何とかして警察にこれを押しつけて、自分たち責任をのがれようとする態度が露骨だったではありませんか。あなたも知っているでしょう。測量機を持ってこないで測量する、十六日かかるという測量が四日でいいと言う、あるいは三日でもいいと言う、二日でもいいと言う。トランシット三台要る、四台要るなどと言っておきながら、おしまいには一台でもよろしい、それがなくて、平面測量でもよろしい。——あの暴行の中でどんな測量をしたか知りませんけれども、おそらくいいかげんな測量でしょう。わずか一時間か二時間で三分の二重要な測量が終った。これが一体正しい官吏公吏の態度でしょうか。井出本部長ははっきり調達庁にだまされたと言っていますよ。しかもその責任者は少しも現われない。現われないで激突をするにまかせておいて、そしてあとになれば、取り調べます、目下取り調べ中でありますと言う。初めから分っておったことじゃありませんか。この怠慢の責任は一体どうしますか。  さらに私お伺いいたしますが、一体このような事態が起った直接の原因として、警棒を振り上げてぶんなぐったり、あるいは腹を突いたり、最も多い負傷は顔面の負傷ですよ。顔の負傷が一番多い。目をつぶしたり、鼻柱を折られたりして血に染んでいる負傷者がたくさんいるじゃありませんか。こんなことも命じておいたんですか。鉄かぶとは石を避けるためだと言っているが、石は投げられなかった。そのかわり鉄かぶとをもって負傷した国民がたくさんある。警察官が一体何人けがをしているか。あなたがさっき言われた調達庁調査の場合のけがというのでありますが、診察した医者の話を聞きますと、深さ皮に達する傷だと言っている。療治はばんそうこう程度でよろしいと言っている。そんなことに難くせをつけて、一日も早く警察隊を誘導して、あの正しい、自分の権利を守るために反対している連中を警察力をもって弾圧させようという調達庁の挑発行為が今度の不祥事を招いている。これは調達庁じゃない、挑発庁である。初めから挑発行為だった。こんな無責任態度をとって、しかもこれはあなたが直接統率されるか、指揮命令か何か知りません。なおこれはあとで究明いたされましょうが、二千名の警官があなたが出さない命令で勝手気ままに野獣のごとく荒れ狂ったらどうなりますか。鉄かぶとが武器になります。こん棒も使いようによっては人命を奪うような凶器になります。凶器を持った二千の、国民の税金で養われている警察予備隊という暴徒命令を無視して荒れ狂った場合、一体どうなるというのです。現にあなたが命令を出さないならば、これは完全な暴徒である。なぜ検挙しないか。あなたが命令出したからでしょう。次第によってはやっつけろ、こういう命令があるからこんなことをやっている。命令出したのでない、命令を守らないで、勝手気ままに千余名の国民を傷つけたというならば、町の愚連隊を取り締るように、自衛隊でも何でも繰り出して二千名のあの警察予備隊をふん縛ったらよいじゃありませんか。なぜあなたはやらないか。命令出しているからだ。この点はどうです。
  9. 石井栄三

    石井説明員 井出方面本部長調達庁にだまされた云々と言ったというお話でございますが、私はそんなことは聞いておりません。おそらく井出方面本部長がそういうことを言うことは万々あるまいと信じているのであります。  警察予備隊警棒の問題についていろいろお話がありましたが、警察官警棒を携行いたしておりまする目的は、自己の防衛を主たる目的とする、いわゆる護身用のものであるのが本来の目的であるのであります。と同時に、いろいろ職務執行の場合に、これを法に許された限度において使用するということが、当然守られなければならぬ警察官の執務上の心得でございまして、今回の場合決して警棒を用いていかなることをやってもよろしいといったような乱暴な命令を出すはずはありません。なお、命令を私が出したようにお考えになっているようでありますが、東京都の警察の職務の執行につきましては、警視総監が最高の責任者でありまするので、これは念のために申し上げておきますが、警視総監がそういう乱暴な命令出したとは私は絶対に考えません。どこまでも正当な権限行使のもとに必要なる指示をし、さらに慎重な行動をとるように訓示をいたして、今回の出動をせしめているものと聞いております。先ほども申しました通り出動警察官の個々に対しまして単に口頭による訓示、指示のみならず、印刷物による出動心がまえを渡しまして、十数カ条の詳細な、かゆいところに手の届くような各項目を取り上げて、これが徹底をはかっておるのであります。あるいは大ぜいの中にはああした興奮した場面におきまして、多少行ぎ過ぎがあったかもしれないという点は、私どもも一応懸念をいたしておりますので、先ほども申します通りそうした点は十分慎重に調査をいたしまして、もし行き過ぎ行為がありましたならば、それに対しては適当なる措置をとりたい、かように考えておるのであります。決して警棒を縦横無尽に振り回して、いかなることをやってもよろしいといったような乱暴な命令は絶対しておらないということを御了承願いたいと思います。
  10. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はきょうは警視総監にもお尋ねしたいと思っておったのでありますが、まだ来ておりませんから私はあらためて追及いたしたいと思う。  あなたはこれほど大きな事件になり、これほど世論から非難を受けておりますこの事実をまだかばおうとなさるのか、調査しないと言うのですか。きのう一日あったはずですが、日曜だといって休んでおられたのですか。あの事態の善後処置をすみやかにとるために、一生懸命かけ回っておるのに、どこへ行っておられたか。私はあなた方のそういうふうな、国民の命なんというものをちりあくた同様に考えている態度はあくまで警察万能、政治の堕落であると思う。しかもこの明々白々たる事実を、多少あったかもしれません、——あなたは千名の無抵抗人間が傷ついてあんなに悩んでいるのを、あったかもしれませんというふうに考えておるのですか。もう少し誠実に、もう少しはっきりと長官としてのあなたの考えを言ってもらいたい。二千名の武装警官があなた方の方針、あるいは警視総監の命令に従わないで縦横無尽に荒れ狂った事実は、もう曲げられない事実なんであります。しかも測量とは全然関係のない方面の他人の畑作物をじゅうりんして、わざわざ回っていって抵抗しない人間をたたき倒しておる。われわれは見ておるのです。制止をしても聞かない。制止をした者にさえ暴力を加えておる。こうした明々白々たる事実さえ、あなた方は否定されようとするのか。しかも自分は一ぺんも現地へ出てこないあの立川署長のような全く無責任な、非常識な人間の言うことを取り上げて、これを客観的な資料として判断して、自分は陰に隠れておって全然顔を出さないでやる結果が、このような事態を招くのです。私はこれを政治犯罪という。政治的な犯罪です。この二千名の命令に従わざる暴徒命令に従わないこの予備隊、この事実が、あなたが取り調べた結果はっきりしたら、あなたは一体どうするのです。重ねてお伺いしたい。
  11. 石井栄三

    石井説明員 無抵抗の者に対して警察が必要以上の実力行使して負傷せしめたというふうに仰せになりますけれども、私はそうは考えないのであります。警察官の側にも、十月十二日には八十五名の負傷者出しております。十三日には百五十七名の負傷者出しております。警察官が両日にわたってこれだけの負傷者出しているということは、やはり相当強い抵抗があったからこそ、警察側にもこれだけの負傷者が出たものと思います。また反対運動をされる、抵抗をされる方々の中に多少の負傷者が出ましたが、これがすべて警察官行動に基くものばかりであるというふうには考えられない節があるのであります。あの混乱の中において、反対者側同士の間においてお互いにあるいは石を投げたとか、あるいは木の切り株を投げたとか、あるいは棒を投げたのが当ってけがをしたというのが現実にあるということを私は聞いております。従ってそうした点を十分に調査いたしました上で、果して警察官行き過ぎがあるかどうかということを確かめまして責任の追及をしたい、かように考えまして先ほど来申し上げておるのであります。これだけ数の多い問題でもございますので、短時間において正確に実態を把握するということはなかなか至難であるのであります。  昨日お前は何をしておったかというお尋ねでありますが、私は昨日の測量中止、さらに本日以後の測量中止等につきましていろいろと関係者と折衝をいたしておったのでありまして、決して漫然とうちに寝ころんでおったわけではございません。十月十二日、十三日の双方にあれだけの負傷者出したことにつきましては、私は心から遺憾に思っております。警察行き過ぎ云云がどうこうという問題を離れましても、国民の一人としましてこうした事態を起したことはまことに残念なことであります。今後の問題としてもできるだけ不測の事態を起さないように、事を円満に運ぶことの必要性にかんがみまして、私は関係の各方面の者と昨日は貴重な時間を十分活用したつもりでおるのでございます。決して漫然と遊んでおったわけではございません。
  12. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は長官にそのような強弁をやめてもらいたいのです。警察官の方もけが人を生じておると言われるが、国民の方のけがは警官の何倍に当っておりますか。しかも十三日の数は、警官負傷者よりもはるかに、はるかに増しておる。それをお互い同士の衝突によって受けただろうとは、何という話ですか。何ら武装しない人間が押し合ったからといって、一体肩の骨がはずれますか、目の玉が飛び出ますか、一体頭にこん棒の傷が受けられますか。そんな態度で臨んでおるから、あなたはばかにされるのです。しかも全く誠意のない、うそをつくことが平気なような下僚の言うことばかり信じて、権威ある国会の言うことを信じない。こんな態度では、私はあなたの調査に信頼ができません。少くともこの事態はわれわれの手によっても十分に調査しまして、あらためて責任は追及します。もう警官隊暴行というものが、しかもあなたの命令に従わない暴行が公然と行われておる。武装する二千余の警官隊が国家権力を背中に負って縦横無尽に荒れ狂ったこの事態というものは、将来の警察制度に対して非常に大きな反省を促す点があるだろうということを私は強く言いまして、一応私の質問を終ります。
  13. 大矢省三

    大矢委員長 茜ケ久保君。
  14. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 大麻国務大臣も見えておりますが、一応先ほどの同僚淡谷君の質問に関連して石井長官にお伺いいたします。私は前斎藤国警長官以来かわりました石井長官には人間的な一つの信頼と、何といいますか個人的な期待を持っておりました。それは石井長官が新任以来国会における誠実な、しかもうそのないざっくばらんな答弁をする過程を通じ、さらにまた警察行政に対する信念に対して、そういった気持を持っておりました。今回の砂川の事件に対する同僚淡谷委員の御質問に対する答弁の過程において、私は今まで石井長官に持っておったそういう私の人間的な信頼というものが、くずれていくような気持がするのであります。日本の治安を担当し、国民の生命財産を守る立場にある警察庁長官に対してそういった信頼の持てないような具体的な事実は、私はやはり日本の一つの悲劇だと思う。従いまして私は端的にお伺いします。どうか長官も、日本人と言ったら言葉は大げさでありますが、少くとも国民に信頼をされ、今後とも日本の治安と正しい警察のあり方を担当される確信を持って一つ御答弁願いたいと思う。もちろん警察庁の長官として部下を信頼し、また部下のやったことを建前上一応かばうことも当然でありましょう。しかし私は十二日、十三日の事態というものは、石井長官がどんな言葉でこの委員会の場所を糊塗なさろうとも九千万国民の目に、耳にはっきり焼きついております。私は長官はおそらくニュースも見られたと思うし、テレビも見られたと思う。新聞もごらんになったと思う。決して社会党委員社会党の立場から言っているのじゃありません。国民的立場から、あの惨状というものは私がきょうはからずも、この地方行政委員会という場所で、国民にかわって言う言葉であります。どうか一つそういう意味で長官は先ほど言ったような気持で御答弁願いたいのでありますが、十二日、十三日のあの実態をいろいろな角度からごらんになり、新聞、ラジオ、ニュース等をごらんになって、国民の生命財産を守り、治安を確保する警察官としての立場上、行き過ぎがなかったと、あなたの長官としての立場からはっきり断言できるか御明示願いたいと思う。
  15. 石井栄三

    石井説明員 絶対に警察官行き過ぎ行為がなかったかと言われるのでありますが、私はそれに対して遺憾ながら絶対になかったと大みえを切るだけの勇気は持っておりません。先ほど来申し上げました通り、あれだけの混乱を起したのであります。新聞の報道あるいはいろいろ先ほどお話のようなニュースなりテレビ、こういったもの、あるいはさらに他の人の口を通じて伺ったところ等々から判断をいたしまして、警察官行為に若干の行き過ぎがあるのではないかということを私は憂慮するがゆえに、先ほど来申します通り、十分慎重に実情調査いたしまして善処したい、かようにお答えをしておるのでございます。
  16. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 若干の行き過ぎという言葉が私はどうも気になります。若干の行き過ぎという言葉は官僚の諸君のよく使う言葉でありますけれども、あの惨状とあの暴行が私は若干の行き過ぎという言葉では表現できるものではなかろうと思う。これは後ほど江口警視総監が参りましたならば、私は別な角度から追及すべきものを持っておりますが、しかし当面の責任者江口警視総監であっても、日本の治安警察の長は石井さんであります。そういう意味において、今度の問題がただ単に警察側において多少の行き過ぎがあったけれどもというようなことで、もし処理されますならば、私どもは今後日本警察に対して、国民の立場を擁護する警察とはどうしても考えられない、あの問題かアメリカの基地拡張の問題と直結しておりますので、言葉の上ではいろいろな言葉が出ますけれども、決してアメリカの雇い警察とは言わぬけれども日本の善良な国民の生命財産を保護し、これを安全に守ってくれる警察とは言えないのであります。私も当日混乱の中に飛び込んで制止しましたが、私は背が高いのでよくみな知っております。何回もああいう場面にいるので予備隊の人も顔見知りが多い。従って私に向っては上から手を加えない、私の腰にはこん棒の跡の黒ずんだところがたくさんできております。もし御希望なら見せてもいい。下の方からこん棒で盛んにつつく、私の腰には相当できております。私が今度の十二日、十三日の混乱で経験したことは、昨年のときには私ども国会議員が参りますと、一応予備隊の諸君は手を控えあるいは話をすれば聞いておりました。面と向って私どもに悪口雑言を言わなかった。ところが十二、十三日は非常に戦闘的です。私ども参りますと国会議員がなんだ、代議士がなんだ、そこのけ、そこのけ、こういう状態であったのであります。これは昨年十月の治安と今度の治安との間に、やはりあなた方が命令されぬとおっしゃるけれども警察当局としてああいった治安に対する取り扱いに相当な開きがあると思う。命令はなさらないかもしれないけれども命令でない命令、いわゆるあなた方の指示される含みのある言葉の中に、国会議員でも、もちろん国会議員が悪いことしたらこれは当然問題でしょう。しかし少くとも私どもはいわゆる基地反対の立場をとっておりますから、あるいは私どもの行いが基地反対のために有利になることもないではないでしょう。しかし少くとも警察官諸君を制する場合には、私ども国会議員という一つのプライドと職責考えてやっております。それに対して今言ったような暴言が公然と面と向って出るという、しかもそれが一人ではない、ほとんど全員がそうであります。こういったところに——先ほど石井長官はそういったことはないとおっしゃっているけれども、昨年とことしとの間にこういう開きがあるところに、あなた方のとられた立場にやはり変化があったのではないか、こういうことを考えるのですが、いかがでしょう。
  17. 石井栄三

    石井説明員 私が今日まで報告に接しておるところによりますと、現場におきましては警察官に対しても抵抗される方々から非常にばりざんぼうがあったと聞いておるのであります。警察官も不幸にしてやはり凡夫であります。そうしたばりざんぼうを受けたのに興奮しまして、あるいはこのやろうとかばかやろうといったような、売り言葉に買い言葉といいますか、そういったことをはいた者があるいはあるのではないか、かように考えるのでありまして、そうしたことは私はあえて否定はいたしません。しかし日ごろ指導教養の場合にそういう乱暴な言葉を吐いてもよろしいなどということをやっているかというと、絶対にそんなことはありません。特に先ほど来申します通り警備出動に際して、ことに今回の出動に際しては、出動心得というものを渡しまして、その中の一節にも絶対に感情に走ることなく、常に冷静な判断と慎重な態度で臨むようということを重要な事項として織り込んで、これが徹底を期しておるような次第でございまして、昨年から今年にかけて、茜ケ久保委員のおっしゃるように、日ごろの指導教養の機会に、そうした点について従来と違った指導をしておるのではないかという御疑念は御無用でございますので、御安心願いたいと思います。
  18. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 大麻公安委員長にお尋ねいたしますが、大麻公安委員長は御老体でありますので、現場にみずからいらっしゃったとは考えられません。しかし公安委員長としてあなたにいわゆる御指導をしていただく日本警察が、特に十二、十三日の両日、警視庁の予備隊の諸君が反対運動を続けておる現地の諸君並びに応援した労働組合学生諸君に与えましたあの、私ども言葉で言えば暴行でございますが、非常な暴行に対しまして、それ相当の御報告をお受けになっているだろうし、石井長官にも言ったように新聞、ラジオ、ニュース等ですでに十二分に御了承と存じますが、あなたは日本国家公安委員長として、あの事態に対してどのようなお感じを持ち、どのような責任を感じておられるか、そうしてまた今後あの事態をどのように御収拾されようとしておるか、よけいなことは申しませんから、あなたの立場をはっきりと、信念と今後に対する処置をお伺いしたいと思います。
  19. 大麻唯男

    大麻国務大臣 私はこの基地の問題と警察とは直接の関係はないと考えておるのでございます。またあってはならないと考えておるのでございます。基地問題を解決しようというのはほかの役所のすることでございまして、警察のすることではございません。警察がこれに介入したり干渉したりすべきものではない、こういうふうに考えております。警察は一意専心、民主警察を今育てようとしておる最中でございますから、(発言する者あり)黙って聞いて下さい。それじゃ先が言えないじゃないですか。何も警察はそれに直接の関係はございません。ただしかしその道程において不法な事案が起ったらこれは芟除しなければならない。ただこれだけのことでございます。それではそうい不法な行為があったかどうか、こういうことが問題になるだろうと思います。それさえなければ決して警察がそこに介入してはならない、こういうふうに考えております。それは公安委員も全部さように考えております。それがすなわち日本の民主警察であると、かように考えておる。警察の首脳部もまた石井長官以下だれ一人これに反対しておるものはございません。同じ意見を持っておるものでございます。しかしながらこの十二日、十三日の二日の事件が不幸にして世間の物議をかもし、新聞で御承知通り事態が起りましたことはまことに遺憾千万に考えておる次第でございます。これは警察がしたことかだれがしたことかまだわからないけれども、何かあったにしたところで、まことに国家のために残念千万なことであると、かように考えておる。ほんとうに憂えておる。ちょうどあなた方の政党の書記長の淺沼君がおいでになりまして御注意下さいました。それで私は私の考えを率直に申しました。お前はそう考えておるだろう、そう考えておるだろうけれども、それが徹底しないといけないから、それはだれがきめるか、こういうことを言われますから、東京都内においては警視総監がやる、こういうことを私はお答えしました。それで茜ケ久保君はどうしていますかと私は聞いた。妙な、よけいなことを申し上げるが、実はあなたに会いたかったのです。(笑声)いやいや、笑いごとではございません。私大まじめで聞いたのです。というのは、ことしのメーデーのときに、茜ケ久保さんの御忠告によりまして私は非常に益するところがあったと思っておる。こんなことをしてはいけないぞ、メーデーはこういうつもりであるから、ということをおっしゃって下すったのが私非常に参考になった。それだから私はそのときも淺沼君に申し上げたが、茜ケ久保君の御忠告によって私はわざわざ——老体々々とおっしゃいますけれども、逆に社会党の諸君がメーデーに出発されるところまで私自身見に行ったのです。(「今度も行ったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)まあ黙って聞いて下さい、そう先を言ってしまうと困る。そうすると、あれは労働者のお祭りであって決して秩序を乱すものではないということを私は知りましたから、そういう処置をいたしたことがあります。それで今度も何かそういういい忠告をしてくれる人はないかと思って、私は探し回っておったような次第でございます。(笑声)いや事実その通りである。ちっともうそは申し上げません。しかしながら新聞でも拝見しますと、ああいう事件が起ったということは、どういうことにしても大へんなことである、遺憾千万なことであると、かように考えております。警察でどれだけの行き過ぎがあったか、間違いがあったかなかったか、あったんではなかろうか、それが非常に心配でございます。それで石井長官とも相談いたしまして、なるべく早く調べ上げてそして早く処置をとらなければいけない、きのうの打ち切りのごときはそういうことも多少影響しております。老体だから、あそこに行かなかったからいけないとおっしゃるけれども、そんなことは無体なことであって、私あそこまで出かけていってみるべき性質のものではないと思う。公安委員というのは警察を管理するところで、警察事務を執行するところではございませんから、その執行するものでないものがあまり出しゃばるということは、やっぱりよくないことだと思っております。それはとにかくといたしまして、事柄はすこぶるまずかった。国家のためにまことに遺憾千万であるから、警察官に悪いところがあったら、それは十分に反省しなければならぬ。今石井長官を私はかばうわけではありませんけれども、この人くらい官僚には珍しい自制の観念がある人はないと思うのです。非常にみずからを反省しておる。今の警察では反省の能力は割合にある方ですよ。人間は一番大切なことは、自分たちのやったことをよく反省してみる、人の言うことをよく聞くということが一番大事なことだと私は思っておる。それで今われわれはそれをやっておるところでございますから、どうぞ何か悪いことがあったらどんどんお聞かせ下さい。よってもって反省をいたしたい、かように考えております。
  20. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 大麻国務相といいますか、公安委員長にこれ以上申し上げてもどうにもならぬと思いますので、とにかく今おっしゃった最後言葉は一つお忘れなく。おそらく私どもがここで問題にする以上に国民が問題にし、世論が問題にし、そうしてあらゆる報道機関が問題にして、あなた方が一応委員会の答弁ではどのような答弁をなされましょうとも、そういったことで必ずしも問題は解決しない。そういう点を十二分にお含み願って今後の警察の方に対して十分な反省と今後の大きな参考にしていただきたい。  委員長お伺いしますが、警視総監は見えますか。
  21. 大矢省三

    大矢委員長 警視総監は今東京都の教育委員会に、前から約束があって出ておられるそうであります。今連絡しておりますが、まだ返事がないのです。
  22. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 もしきょう見えなければ、明日でも再開して警視総監が見えるような御措置を願いたい。
  23. 大矢省三

    大矢委員長 できるだけきょう出席してもらうようにいたします。
  24. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それでは石井長官にお伺いしますが、今度十二、十三日の大量の警察官の動員の手続はどのような手続でなさったか。今大麻公安委員長は、調達庁の仕事と警察庁の仕事とは違うとおっしゃった。もちろんであります。しかしあの出動の手続は調達庁側の要請によってなさったのか、あるいは警察が独自の見解からなさったのか。その間の手続について一つお答えを願いたいと思います。
  25. 石井栄三

    石井説明員 調達庁側から警察に対しての応援要請のありましたのは十月八日でございます。それは先ほど来申しました通り調達庁測量隊が、十月四日以来毎日測量すべく現地に出向いては進路をはばまれて測量不可能で引き揚げた、そういうことを繰り返して数日にわたりましたので、これではとうてい測量目的が達せられないというので測量ができるように妨害排除、こういう状態をなくしてもらいたいということで、十月八日付をもって調達庁側から警視庁の方に出動の要請があったように聞いております。しかし警視庁としましては、それでもなおかつ警備部隊出動は慎重にすべきであるという考慮のもとに、さらに数日動向を平静にながめておった、こういう状況になっております。
  26. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 昨日淡谷君の質問に対する石井長官の答弁の中で、私の個人に関するような点がありましたので、この点を一つ長官にはっきりとお聞きしたいと思う。それは十月四日に測量隊が第四ゲートから入ってきた場合に、最初に負傷者出したと調達庁では発表しておる。その中で有馬某という人が全治十日間の傷を負った。それが茜ケ久保代議士の暴行によって起った、こういった新聞発表をしておる。最近は立川署においてこれを告訴的な手続をとって、私のところに任意出頭の手続をとっております。私はあの際早速現地におもむいて、重野東京調達局の次長並びに本人とも会う約束をしましたが、重野君が何か所要で帰り、本人も会うことをがえんじないで、ついに会えなかった。病院に参りまして、診断書によって、あるいは医師によってよく説明を受けた。私がなぐったような新聞報道でありますが、傷の状態は、いわゆる表皮が少し裂けて次の真皮に達するほんのかすり傷、しかも打撲傷のあとは何もない、こういった診断であります。全治十日となっているが、ばんそうこうを張ればそれでいいという状態です。私はこのことについては別な法的措置によって処理をしますが、こういったことが発表され、新聞で喧伝されていたことは——私どもは四日からずっと参っておりましたが、調達庁の今度の測量の一つの特徴といたしましては、去年はそうではなかったが、写真班を携行し、さらに何か情報収集の事務員を携行し、しかも測量と称して入ってくる職員は、測量機械も何も持たないで、隊伍を組んで、私どもが待機して話し合いをしようというところに突入してきている。そうして無言でわれわれにぶつかってくる。私ども話し合いをしようというのでいろいろ手を尽しましたが、できなかった。そういった写真班を連れて参り、あるいは情報収集の職員を連れてき、しかも測量用具を持たないで、私どもの待機しているところに参る現実というものは、これは、あなた方が何と弁解されましょうとも、今あなたがおっしゃった、何か測量するのに妨害があってできない、それを具体的に立証して、警察出動を要請する原因を作ろうという動きが多分に見えている。これは私だけではない。当時そこにおりました新聞記者の諸君、あるいはニュースその他の報道の関係の諸君も、それぞれこれは言っている。こういった状態は、私はどうしても警察予備隊なり、その他のものを要請する材料を作るため以外の何ものでもないと思う。こういったことによって、予備隊がああいったような出動をしたとなると、具体的な千人、二千人の予備隊出動するには、警視総監として相当の決意をしなければならない。それは淡谷君も言ったように、社会党としては何回も、こういうときに予備隊出動したら大きな事故が起るであろうことを再三、再四注意をしておる。にもかかわらずああいう出動をされるということは、私はそういったことではとうていできるものではないと思うのであるが、調達庁の要請ということは、警察側はどのような具体的な事実によって、千人、二千人の予備隊を動員する決意をなさったのか、その要請の具体的な事実を私はここではっきり御明示願いたい。ただ単に調達庁側から要請があったというのでなく、こういう事態であるから千人、二千人の予備隊出動せざるを得なかったという、具体的な立証をしてもらいたいと思う。
  27. 石井栄三

    石井説明員 調達庁が要請されたのはいかなる理由に基くかは、これは調達庁にお聞き願わないと私では申し上げるわけには参りません。先ほどもお答えいたしましたように、調達庁の要請があったから警察出動したのではございません。先ほど申しましたように、十月八日に要請はありましたけれども警察警察独自の判断で、警察の出るべき段階にならなければ出るべきでないのでありますから、要請があったからといって、直ちに出る態勢をとったのではございません。それ以後の情勢の推移をながめておりまして、十一日に至りましてその必要を感じて出動したのでございます。
  28. 丸山佶

    丸山説明員 調達庁の次長の丸山でございます。今回の測量に関しまして多数の負傷者を出す事態になり、私ども測量実施担当のものといたしまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。ただいま茜ケ久保先生からお話のありました事件、並びに関連する警察への要請等の問題に関しまして、私から申し上げたいと思います。  四日に私どもの職員の有馬君との間に事件が起った。これに関して私どもも調べましたが、ゲート付近のもみ合いがあって、有馬君が持っておる書類がとられた。それを取り返すというようなことから、ここに小ぜり合いになりました。そのときに額にけがをしたということでございます。そのけがの程度状況等は、これは私ども何も抗弁あるいは格別になにするよりも、医者の診断その他の状況が最も確実なものであります。当時発表云々は、現地において調達庁が格別に発表したものでも何でもございませんので、記者に聞かれた現場の者が話したものと心得ております。  なお今回の測量に関しまして、格別に調達庁が挑戦的と申しますか、何らか事態を悪化して特に警察の援助を求めたというがごときお話がございましたが、私どもといたしましては、もともと測量を円滑円満に実施したいという念願以外には何ものもないのでありまして、一日から十六日の間にそのようなやり方ででき得る事態はないか、実際にやれば予定の三千坪等は三日あるいはちょっと四日目にかかってもできるということでございましても、何せその予定期日の前から、いろいろな支援団体あるいは学生の団体等で数千名の反対の者たちが出張って、もし調達庁測量隊が来たならばその阻止をする態勢にあるということも、時々刻々情報報告あるいは新聞で承知いたしておる次第でございますので、非常にこのやり方を憂慮しておったわけでございます。四日からいよいよ現場に出動してやろうといたしました際には、先ほどのようなことがまず起きまして、私どもも非常に心配いたしました。お話のありました写真機携帯あるいは情報収集等に関しましても、写真機はもともと土地のみならず、今回は家屋等の調査もあることでございますから、写真機の必要の場合がある。そういうことでもちろんあらかじめ用意しておきました。なおしかしその多数、数千名に上るというような群集の中に、私ども四、五十名のものが飛び込んでいくという形勢でありますから、どういうことが起るかわからぬ。いかなる不祥事態になるかもわからぬ。また私ども測量隊行動等にも、あるいは非常に誤まって、後になり問題になるようなこともあろうともしれない。かようなところから、後々に対する記録上の必要もあります。それから情報連絡等は、これはそういう事態でございますので、私どもとしては当然そういう係りもなければならぬ、こういうことでやって参っております。四日、五日、六日、日を重ねるに従いましても、やはり所期するごとき円滑なる測量というものはできない。一時話し合いの最中とか、あるいは話し合いによってという問題に関しましても、私どもは、測量を私どもが所期しますような、円満に、しかもすみやかにいくことができるような話し合いは、もちろん大いに歓迎していかなければならぬ、こういうことで、そのような意味の話し合いはせよと測量の隊長にも指示をいたしておるわけでございますが、遺憾ながらさような意味合いの話し合いはさらに進まず、どんどん日はたってしまう、そのような状況でありますので、測量責任と権限を持っておる東京調達局長は、ただいまお話にもありましたように、八日に至りまして、これではとても測量をこのままで進めるというようなことは望めない、何とかわれわれの行動が阻害される、あるいは妨害されるような事態は改善して、善処していただかなければならぬ。それに対してはやはり警察に連絡を申し上げて処置をお願いするより仕方がない、かような結論に達した次第でございます。  もちろん警察に私どもがお願いいたしましても、何も私どもがお願いしますことで出るとかいう話しではない。警察は治安当局といたしまして、その独自の見解に基いていくものであるということも、私ども当初から重々承知しておりましたので、調達庁といたしましては、あらかじめそういうこともいたしておりません。またそのような意味合いであるということを測量責任者である局長の方にもよく伝えておいたわけでありますが、今まで述べましたような次第に基いて、そのころにはどうしてもこのままでは自分の命ぜられた仕事の執行もできませんので、その事情警察に述べてお願い申し上げた、こういうようなことになったわけであります。
  29. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 では丸山次長にお願いしますが、調達庁関係を少し簡潔に御答弁願いたいと思う。少し長過ぎるようでありますから、要点だけ簡潔に御答弁願いたいと思います。  この問題は昨年から引き続いた問題でありますが、昨年の事案以来今日まで立川基地拡張について、アメリカ当局から催促なりあるいはいつまでできるんだといったような、そういった要請があったかどうか、お伺いしたいと思います。
  30. 丸山佶

    丸山説明員 アメリカとの関係は、公式ルートといたしまして、日米合同委員会があるのでありまして、合同委員会の問題でございます。この立川基地等の関係は、御承知だと思いますが、昨年の春に政府の最高意思決定がありまして、向うに通じておる。それの実施に関しまして、昨年度に予算を組みまして仕事を始めたわけであります。従って当時におきましては、昨年度中にはでき上るものであるということを双方了解しておりましたところが、遺憾ながら実は仕事も進まず、年度を越しまして本年に持ち込みました。従って本年度当初において、また会議を通じまして、どういうことだろう、予定のようにならないが、今後どうなるのであるかというものがありました。従ってこれについては、昨年はできなかった。この予算等も繰り越して、本年においてはこれをまた引き続き実行するように努力する、かような旨をお答えしております。
  31. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 そういった際に、これはもちろん日米安保条約、行政協定により、特に五つの飛行場は昨年の三十一年度の防衛分担金削減の条件になっておるようでありますが、それはそれとして、もちろんアメリカが五つの飛行場の拡張を要請していることもこれは事実であります。ただ問題は、私は船田担当国務大臣あるいは今井長官に聞きたいのでありますが、遺憾ながら出席がありませんので、一応やむを得ず次長にお伺いするのでありますが、そういったことはわかっております。しかしそれはこの基地拡張がスムースに行く場合のことであって、国民のこのような反対とこのような障害があるにもかかわらず、約束をしたんだから、あるいは外交信義上といったようなことで強行されるところに、私は非常な不審をいだいておる。船田担当国務大臣は日本防衛も必要とおっしゃるけれども、これは別の角度で討論をしたいと思うんだが、少くとも警察関係その他の方々政府当局は多少の抵抗があるということをおっしゃっておる。しかし私はあの砂川基地拡張に対する国民の反対というものは、ただ単に砂川基地関係者だけでなく、あるいは応援の労働組合だけでない、社会党だけでない、国民は口にこそ出しませんけれども、この問題に対する反対は非常に強いのであります。あなた方は直接そういった国民の声に耳をかそうとされない。一方的にアメリカの要請だけにただ便々と追従しているような状態であるから、こういった事態が起るのでありますが、国民のこの問題に対する関心は非常に強い。河崎局長は説明員だそうでありますから、多く追及いたしませんが、河崎局長などはこういった点を日本人という良識から考えなければならぬと思う。  ただあくまでもやるんだという一点張りではまことにけしからぬと思うんだが、しかしここで河崎局長を怒ってみても始まらぬでしょう。すでに日本人的な良心が、私はないのではないかと思う、そういった意味で、丸山次長、日本政府は昨年度やるべきことができなかった。というのは、日本政府が怠慢でできなかったのか、あるいはできないにはできないだけの大きな理由があった。これは私はやはり地元を中心に日本民族の良心による反対が、あの立川基地拡張できなかった大きな事実だと思う、こういったことをアメリカ当局に対して十分なる説明をした事実があるかどうか。日本政府がなぜできなかったか。昨年できなかったので、今年初めにさらに日米合同委員会等で話し合ったならば、その際になぜ昨年度できなかったか、できなかった原因を究明して、これこそはアメリカの日本基地化に対する日本民族のあげての反対の姿がこういった状態に陥ったのであるという説明がなされて、アメリカに一ぺん約束したことは事実であるけれども、約束がこうした具体的な事実によって遂行できない、だから一ぺんした約束であっても、話し合いでそれこそこれを取りやめることができるか、日本政府国民のそういった現地の反対の気持をアメリカ側に対してつぶさに説明し、アメリカに対して砂川基地拡張の中止方を申し出た、あるいはそういった折衝をした事実があるかどうか、この点をお伺いしたいと思う。
  32. 丸山佶

    丸山説明員 飛行場の拡充問題に関しましては、国の防衛のために現段階では安保条約でアメリカ軍を置いている。アメリカ軍の現在使用している飛行場に関しましても、飛行機の発達で従来のプロペラがジェット機に変る時代で、日進月歩である。このような状況から、日本の防衛に関して、将来アメリカが引き揚げ、日本基地となり、日本の飛行場となった場合にも、もちろん飛行機の進歩には応ずべきものである。かようないろいろな観点を考慮しまして、政府は飛行場の拡充を決定しているものでございます。これは私ごときものから申し上げてはあるいは僣越かもしれませんが、そのような経過から、アメリカとの関係において、現在の形においては飛行場拡充の約束があるわけでありますが、この問題に関しまして何ゆえにできなかったか、その問題についてアメリカ側と話上合ったことがあるか——もちろん常に機会あるごとに話しております。特に昨年でき上らなかった理由は、相当高いレベルの会議においても、その事情を述べている。従ってその際におきましては、いわゆる昨年の砂川事件を中心にする立川の非常なる反対問題が大きく話題となったことはもちろんでございます。また国民の中にそういう基地反対の非常なる声もあるという事情ももちろん伝えております。しかしながらこの立川飛行場拡充に関しまして、あるいは私ども直接仕事を担当する者のやり方に創意工夫その他が乏しきために、かくまで問題が大きくなってきたかという節もあるかと存じますが、一方またほんとうの意味の話し合いで、国のそういう施策であるならやむを得ぬ、しかしその協力条件といたしてはかくかくであるべしと補償問題その他のことで話が進むのもあるのでございまして、現に立川の隣に位します横田の拡充の方は、つい一、二ヵ月ほど前には円満な話し合いのもとにその売買契約等が進んで、提供を実行するというようなことにもなっておりますし、また同時に進めております名古屋の小牧飛行場に関しましても、大部分のところそのような措置に進んでおる。かような事情をアメリカ側とは公式会議ではもちろん事務的折衝においてもよく話し合っております。
  33. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 警視総監が参りましたらまた質問いたしますが、調達庁関係は別な機会にやることにして、私の質問を終ります。
  34. 大矢省三

  35. 古屋貞雄

    古屋委員 私は最初に石井長官にお尋ねいたします。十二日、十三日の二日にわたる事案というものは、長官もテレビでもごらんになっておるはずだと思うのです。なお大麻国務大臣も、あとから質問をいたしますから十分お聞き願いたい。十二日のあの事実、それから十三日のあの事実、少くとも千人の重軽傷者を出したというこの事実は、非常に歴史的な汚辱、暴行事件だと信じます。従いまして、私の立場とか立場でないとか言わずに、冷静に人間としての御判断を願った事実の御答弁を願いたい。なお私ども社会党の立場からこうであるべしということでなくて、国会議員として国民の代表として私は承わりたいと思うのであります。ただいま石井長官から御答弁を承わりますと、多少の行き過ぎはあったのだけれども、七百数人の負傷は、スクラムを組んだ人たちが自分みずからの行動においてけがをしたのもあるだろうというようなことをおっしゃっておりますが、私は報道陣のおっしゃることが一番正しいと思う。目で見ておるのだし、商売人でありますから。報道陣が見て新聞に書かれておる事実はもうお読みになったと思います。さらに報道陣が決議をいたしまして、重傷者を出したのはけしからぬという抗議文を、たしか政府に突きつけた事実もあると私は聞いております。しこうして、私ども見ております前で、報道陣の諸君が警察警棒を使って暴行を加えております事実を写真にとろうとしたら、報道陣に傷をつけてとらせなかったという事実、これは本日の新聞「サン」でございますが、この事実を一つごらん願いたい。これは間違った事実、演出じゃないと思う。この事実を見てもらったら一番はっきりわかる。この事実が、警察法の一条と警察官職務執行法の第一条第二項に違反してないかどうか。はっきり、簡単な答弁でけっこうです。その責任を私は問いたい。どうです。警察官警棒でやったり、頭の毛を引っ張っている、その事実はどうです。
  36. 石井栄三

    石井説明員 ただいま拝見いたしました写真説明のところを読みますいとまもございませんので、ちょっと拝見をしただけでは正確に把握できませんので、断定的なことを申し上げるわけに参らないのでございますが、先ほど来私がたびたび申し上げますように、遺憾ながら今回の両日にわたる混乱におきましては、警察官行き過ぎ行為があったのじゃないかという懸念を私は持っております。それだけに十分に慎重に実相を検討いたしまして、その責任を追及すべきものは追及するし、また今後われわれが反省し、是正しなければならぬ点は十分に考えたいという点を申し上げているのでございまして、一つ一つの事案につきましては、また私十分詳細な報告も受けておりませんので、これは事実である、これはそんなことはなかったということを、正確にお答えすることのできないことをはなはだ遺憾に思いますが、御了承願いたいと存じます。
  37. 古屋貞雄

    古屋委員 私は実は江口警視総監に直接お尋ねしたいのですが、石井さんがそういう御答弁をなさるから私承わりたくなるのです。そうするとこういう事実はお認めになりませんか。五社の新聞社が決議をもって、警察官暴行をしてけしからぬ、報道陣の報道の職務の妨害をしてけがを与えた、こういう申し出のあった事実はいかがでございますか。
  38. 石井栄三

    石井説明員 警視総監のところに報道陣からそういう抗議のあったことは聞いております。従いまして、この件に関しましては、警視総監も十分真相を調査して善処するというお答えをしているように承わっております。
  39. 古屋貞雄

    古屋委員 どうもこういうことは釈迦に説法でございますけれども、これをお忘れになって御答弁をなさっておるようでありますので読み上げますが、警察官職務執行法の第一条には、「この法律は、警察官警察法に規定する個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定めることを目的とする。」第二項にいきまして、「この法律に規定する手段は、前項の目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであって、」こういうことなんだ。従いまして、警棒を用いるということは万やむを得ない必要でなければならない。またかりにすわり込みをしておる人々がおったといたしましても、二千人の警官でございまするから、それらを抱き起して他に移すこともできる。これは必要程度の行為だと思う。しかるに警棒を振り上げて髪の毛をつかんで引きずり出すという今の写真のようなやり方——その写真を事実でございませんとはおそらく申さぬと思う。それを事実でございませんと申すならば、役人をあしたからやめてもらいたい。私は国民を代表して断じてそう申し上げます。こういう事実が職務の執行に必要な最小限とおっしゃるのかどうか、その点をまず承わりましょう。その写真通りのことがあるとしたらどうなんです。
  40. 石井栄三

    石井説明員 お説の通り警棒の使用につきましては、法の規定に基いて正当な行使でなければならぬことは申すまでもございません。先ほども私お答えをいたしたのでございますが、警棒警察官が持っておりますゆえんのものは、本来は自己の防衛、護身用具としてのものでございます。さらに犯罪捜査、犯人の逮捕等必要な場合に自己の防衛のみならず、あるいは第三者の身体、生命を保護するというようなことに必要な場合にこれを使用するという建前のものであります。その使用に行き過ぎがあってならぬことは申すまでもないことでございます。今回の警備出動に際しましても、警棒は一応携帯はさせましたけれども警棒の使用は、先ほど申しました通り、自己の防衛のため以外には使わないという建前をとって、これを隊員に指示をいたしておるのでございます。ただ前線部隊に配置になった者につきましては、抵抗を排除し、道路を警戒していくために、われわれの方では警棒を横に持って押していくということにしておりますが、こういう使い方を一部認めたということに相なっておるのであります。従ってもしそうした警棒の本来の正当な使用の範囲を逸脱して、そのために無用の負傷者出したという事実がありますならば、これは十分に戒めなければならぬところでございます。先ほどお示しになりました写真等につきましては、それに該当する事実がもし不幸にしてありましたならば、これはまことに残念なことでございます。十分今後戒めて参りたいと考えます。
  41. 古屋貞雄

    古屋委員 その今の写真にございます事実があれば戒めるとおっしゃいますが、それは当然犯罪が成立すると思います。これは原板がございますから、はっきりとその本人の具体的な事実もわかると思いますので、私どもの方から証拠を提出いたしますので、その点は、いわゆる反省ということでなくして、厳重処罰を願いたいことを私は要望いたします。これ以上はあなたに対する御質問をやめまして、私は大麻国務大臣に質問いたします。  新聞を拝見いたしますと、見出しの中に、警察官暴行という大きな見出しがございます。特に真相そのままをお書きになった新聞の中には、荒れ狂う警察官という見出しで新聞が出て、これは全国に配布されております。警察に対する国民の信頼は、一体これによってどういうような影響を及ぼすか、重大なことであると私は思います。大麻国務大臣に承わりたいのは、先刻淡谷委員からお尋ねしたように、十二日に山下という立川署長が形式的に議員団の前に出てきて、われわれは諸君の話し合いというようなことは知らないのだ、国民の権利というようなことは私どもは今は頭にない、ただ交通妨害になるから取り締るので、ここをあけて下さい、議員さんの方は、四メートルもある道ですから、そちらがあいておるのだからお通りになったらどうですかということで、お話しになった。それよりも、社会党の議員の諸君は、十日かかろうが二十日かかろうが、話し合いで片づけて、十三日の血を流すような歴史的な不祥事を起さないようにと、相談をしようとお話し申し上げたのに、警察の方では、ただ単に交通取締りだとおっしゃって、これを振り切っている。あなたの部下は、国民の権利などはどうでもよいというようなことを言っている。これはわが党の議員諸君がたくさん聞いております。こういうような不心得な者に人を取り締る資格があるのかどうか。砂川の諸君は、固有の権利、自己の財産権を保護するために、今正当な手続をいたしておりますよ。総理大臣の収用認定は不当である、特別措置法の第三条の適正かつ正当であるという条件にあてはまっておらないから、あの総理大臣の収用認定そのものが無効であるという訴訟を起しております。そうしてしかもこれの効力に対して、執行に対して、測量停止の仮処分までも今裁判所に出して争っておるはずであります。従いまして裁判所は両方の意見を呼んで聞いて、現状変更や不祥事の起る場合には話し合いで進めようということの態度を裁判所がおとりになっているのは、これが今までの慣例でございます。それなのにただ調達庁から申し出があったというこの事実だけで警察はそれを全部承認されて、信用されて、地元の所有者の諸君が憲法で保障しておる所有権、固有の自由権というものの主張、いわゆる手続に違法があるというような主張をされておりますその人々のところに、無理に、強制的に測量をしよう、測量をしよう、それに妨害になる、だからお取り締り願いたい、こういう申し出が出た場合に、その取締りの指揮をする立川署長の山下さんが、国民の権利、そういうようなものは考えておらぬということを暴言されて、そうしてしかもその数時間後には装甲車を先頭に道路のまん中へ、交通妨害だと称する警察の方たちがみずから交通妨害の発頭人をやっておるというこの事実、こういうことに対しまして一体大麻国務大臣は公安委員長といたしまして、いわゆる日本の公安を預っています責任者といたしましてどうお考えになりますか御答弁を願いたい。先刻聞いておりますと、まことに不謹慎なことを言っていると私どもは思う。お取り消しを願いたいということを要求したい。というのは、茜ケ久保さんに会ってよく聞いてやりたいとおっしゃった。十三日のような現実はあなたは知っているはずなんですよ。聞く必要はありません。これは日本中の新聞に書いてある。そうしてあれだけのけが人、前の日も百人近くけが人を出しておるじゃありませんか。それを今のようなチャランポランな、茜ケ久保さんに聞いてどうしようとか、ああしようとか考えておったということ、そういうチャランポランな事件じゃありません。日本人として真剣にお考え願いたい。少くとも公安の最高責任者として真剣に考えて御答弁願いたい。まじめに御答弁願いたい。この現実は新聞を見れば、新聞全部が警察官暴行という見出しをつけて、暴行の事実を書いておる。新聞はうそを書かぬ。正しい事実を書いている。そうして新聞社は決議をして、厳重に警視総監に抗議まで申し込んでおります。しかも新聞社の関係者が入院しているということは明らかな事実なんです。これは一体だれが責任を負うかという問題、これはあなたが負わねばならぬと思う。従いましてあなた自身が、こういうような事案が起きるといういわゆる前提となった十二日のあの事実を承知しながら、一体あなたは十三日のこの問題についてどういう具体的な処置をとったか、それを聞きたい。
  42. 大麻唯男

    大麻国務大臣 申し上げます。私は国家公安委員長でございまするから、公安委員会の決議によりまして日本警察を管理いたしまして、そうして民主的に育てていきたいということを念願としておるものでございます。従いまして、私は事犯一つ一つにタッチしてどうしようというものではございません。ただ方針は、基地問題に対して警察は直接関係すべきものではない、しかしながら不法事犯がもし起るような場合には、これを排除して治安を維持しなければならぬというのが警察の職務である、かように考えております。そこで、警察首脳部とも意見を交換して、警察当局でもその通り考えております。ただいま茜ケ久保君のお話を申し上げたことを、大へん不謹慎だと仰せになりますけれども、実は淺沼書記長がおいでになりましていろいろお話がありまして、その意向を私は申し上げましたら、それはお前としてはそれで当然だ、それでよかろうと仰せになりました。そのあとで、懇意な間柄でございますから、雑談をした際に、私は人のおっしゃることをよく耳を傾けて聞かなければならぬと思います。独善であってはいけないと思っておる、それだからたとえばこうこうこういう議員があって、メーデーのときに私に注意を与えて下さったことが大へん参考になって、よい結果を結んだように思いますと、こういうお話をしたにすぎないのでございまして、何ら不謹慎なことを申し上げたわけじゃございません。先ほどの言葉が足りなかったから、古屋さんが大へん御立腹のようでございますが、決してそうじゃございません。どうぞあしからず御了承願いたいと思います。
  43. 古屋貞雄

    古屋委員 私はそういう御質問を申し上げたのではないのです。この現実の事実に対して——大麻大臣がさようなお考えでいろいろお話しになっておりますけれども、そうなると私はくどく申し上げなければならぬ。私は簡略に申し上げたのですが、今の根本的な問題からいきましても、憲法の九条に違反しておる軍事基地だという議論をする国民もあるわけです。従って、安保条約の第三条に基く行政協定は、あれは条約なんだから、それは国会の承認を経なければ根本的に無効だという主張をされているのが砂川の諸君の意向なんです。とにかく国民の中に相当多数の、軍事基地反対をいたします、いわゆる平和日本の平和憲法を守るために、どうしてもわれわれは反対しなければならぬという意向を持った人たちがおるということが前提となり、その人々の代表と申しましょうか、三千人、四千人からの青年諸君があそこに集合しておるという事実は、十二日の事実で大臣もよく御承知のはずだと思うのです。従って警察がその翌日に、二千人の武装警官の立場に立って進軍しろということになりますならば、衝突することはどんなばかでもわかっています。十二日の晩にわかっているはずです。全部、子供でもわかる理屈だと私は思う。それを大事な日本の公安を取り締る責任者が——私の方の淺沼書記長は、根本的に待ってもらいたい、まず第一の問題は、日ソ交渉が済むまでは悪影響を及ぼすから、日本のためになりませんから待って下さいと申し入れたはずです。決してちゃらんぽらんに言って、笑い話に言ったわけじゃございません。わが党あげて全部、少くとも日ソ交渉のじゃまになってはいけないから、それまで待って下さいと、まじめに日本の民族を考え日本の将来を考えて立ち上って、話し合いで済ませよう——たとい十六日までにできなくても、三週間もかかればあとの手続は簡単にできるのであります。昨年から今日まで一年延びておるのです。どういう理由であろうとも延びてきたという事実を考えますならば、あえて日本政府が十六日までに、千人以上の血を流してもどうしてもやらなければならぬという理由は、私はどう考えても発見に苦しむ。こういう事実については大麻国務大臣はどういうようにお考えでしょうか。それでもやった方がよかったとおっしゃるのですか。
  44. 大麻唯男

    大麻国務大臣 十二日、十三日の事件はよく承知をいたして、まことに遺憾にたえないと考えておる次第でございます。しかしながらこれがよかったか悪かったか、そういうことをお答えするには、おのずから他に政府に主務大臣がおりますから、そちらの方からお答えするようにいたしたいと考えます。私は今日は公安委員長として伺っておるのでございますから、公安委員長の立場から申し上げますと、今申し上げた通りである。それから私は決して権威を失っておるわけじゃございません。淺沼書記長とお話ししましたのも、話が済んだのちの雑談でということをお断わり申し上げたわけでございます。反対党の人だからものを言わないという流儀は私は大きらいでございます。反対党の人でも、なるべくそういう人たちの御意見を伺って誤りなきを期したいというのが、私の念願でございますし、かねて御懇意の間でもありますので、雑談もいたしましょうし、笑い話もいたします。それは公式な話が済んでからのちのお話でございましたから、どうぞ誤解のないように。書記長に非常に御迷惑をかけることになりますから。書記長は書記長として十分話をなさいまして、私もお伺いした。それが済んだのち、さてこれから私談に移ろうじゃないかということで話をしたので、それは決して悪いことでないと考えておる次第でございますから、どうぞ古屋さんもそういうふうに御了承願いたいと思います。
  45. 古屋貞雄

    古屋委員 その点はよくわかりましたが、私はだめを押したいのです。今回の事件は公安委員長の立場から非常によくないことであった、こういう御答弁をいただいたということにお考え申し上げていいのでございましょうか。
  46. 大麻唯男

    大麻国務大臣 起った事案はまことに遺憾であるということは考えておるのでございます。
  47. 古屋貞雄

    古屋委員 石井長官にお尋ねしたいのですが、この写真にございますような警棒をふるうことですね、警棒を用いることは、みずから守るための必要に持たしておるのであって、積極的に他人にけがを与えたり、あるいは他人の手を引っぱって、こういうような残酷なことをしたというようなことが明らかになりますならば、この責任は徹底的に明らかにしていただいて、今後再びかようなことが起らぬように、しかも国民に荒れ狂う警察官であるというような感じを持たさないように、徹底的にこの問題に対する責任の所在を明らかにして、そうして今後こういうような警察行動を断じて行わないようにお約束をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  48. 石井栄三

    石井説明員 お言葉通り警察職責は、国民の生命、身体、財産の保護に当るということでございます。その職責の遂行に当りまして、いわゆる行き過ぎ行為があるために国民の身体、生命、財産に危害を与えるようなことがあっては、これは全く申しわけないことであります。お言葉までもなく、われわれは日ごろから十分その点は戒めて参っております。今後さらに一そう十分留意をいたしまして、今回の事案の中に不幸にしてそうした行き過ぎ行為がありますならば、御説の通り十分その責任を明らかにいたしまして善処するとともに、今後も十分戒めて参りたいと思います。
  49. 古屋貞雄

    古屋委員 そのように実践をしていただきたいと思います。なお質問をいたしたいのでございますが、直接の責任者江口警視総監がおいでになっておりませんから、質問を保留いたしまして、あとから具体的にいたすことにいたします。
  50. 大矢省三

  51. 滝井義高

    滝井委員 前の三人の委員が重要な点にだいぶ触れましたので、重複しないように、二、三の点について調達庁石井さんの方にお尋ねいたしたいのです。  まず第一に、淡谷君の質問に対して石井さんの御答弁の中で、測量必要性、あるいは十月十六日までに完了せねばならぬというようなことは、警察のあずかり知らぬところであるという、きわめて重要な御答弁があったのでございます。私は、警察が、十二日に千名をこえ、十三日には二千名をこえるような者が出るからには、当然警備の計画と申しますか、出動計画というものがなくてはならぬと思います。出動計画というものがあったと思いますが、そういうものがあったかないか、これをまず御答弁願いたい。
  52. 石井栄三

    石井説明員 警備の実施につきましては、東京都下におきましては警視総監が最高の責任者でありまして、その管轄内に起ります事案に対処しての警備計画というものは平素から用意をして、この程度の事案にはこの程度の警察官を動員して当るのが適当であるという計画を持っておるわけであります。それを具体的な事案に照らして実施をいたすわけでありまして、警視総監の方におきましては、日ごろからそういった計画は持っておられたものと信じております。
  53. 滝井義高

    滝井委員 その警備計画あるいは警備実施計画と申しますか、そういうものは全然あなたの方に——こういう重大な外交上の問題をはらんだものでございますから、一都の治安をつかさどる江口警視総監独自でできる問題ではないと私は考えます。当然全国的な最高の責任を持っておられるあなたなり、あるいは船田長官なりに十分御相談があったと私たちは心得ておりますが、あなたにそういう計画は全然御相談がなかったのですか。
  54. 石井栄三

    石井説明員 もとよりお説の通りきわめて重要な問題でございますので、警視総監から私の方に連絡は当時ありました。
  55. 滝井義高

    滝井委員 警視総監からその警備の計画の御相談があったということでございます。一応これを了承します。それならば、当然その測量計画というものとマッチした警備計画が立てられておらなければならぬと思います。測量計画というものはどういうものであるとあなたはお聞きになったか、これを一つ御説明願います。
  56. 石井栄三

    石井説明員 測量計画の内容は、私一々承知をしておりません。われわれ警察出動しなければならぬ必要性の有無を判断するのには、結局測量班がどういう方針態度行動する予定であるかという意味の予定計画を承知していればいいのでありまして、具体的にどの地点を何坪というようなことにつきましては、むろん現地の第一線においては必要かもしれませんが、私そこまで詳細なことは承知をいたしておりません。ただ測量隊が十二日の日になりまして、先ほども申し上げましたように、それ以前はいわゆる話し合いの戦術と申しますか、それに応対されてむなしく日を過しておりましたが、事ここに至ってはいつまでもそういう状態を繰り返しておったのでは十六日までに測量を完了することかできない、どうしてもきょうからは測量には実際に着手をしたい、実施に入りたいという強い態度になったように、われわれは判断をいたしたのであります。従いまして、それをもし測量隊が出るにまかせておいたのでは、必ず不測の事態が発生するであろうということが予見されましたので、不測の事態の未然防止という警察職責にかんがみて、警察出動必要なりと、かような判断を下したわけであります。
  57. 滝井義高

    滝井委員 答弁になりません。あなたは非常に良心的なお方であるということは私もよく存じております。良心的なお方であるがゆえに私は良心的な御答弁を得たいと思います。回りくどい答弁は要りません。少くとも測量隊態度方針というものは、測量が大体何日ぐらいああいう三千人も四千人も動員された中でかかるか、あるいはほんとうに精密測量をやるためにはどのくらいかかるかということが、そこにはっきりと出てこなければ、警備方針は立たない。それは警察予備隊が烏合の衆ならば何も必要ありません。しかし少くとも国家権力のもとに統制をされておる予備隊であり、警察であるならば、当然それに見合ったところの、何日測量がかかるからどの程度の部隊を出さなければならない、何日これを使用しなければならないという計画というものがなくてはならぬと思うのです。その計画というものは、あなたにさいぜんあったということを御確認していただいたわけです。従ってその計画があったならば、それに見合う測量の計画、測量の見通し、日数、こういうものが具体的な測量班態度方針として出てきておらなければならぬと思う。それを一つ率直に御答弁願いたい。
  58. 石井栄三

    石井説明員 私ども調達庁側から聞き及んでおるところでは、測量には三日ないし四日を要する、こういうふうに承わっております。
  59. 滝井義高

    滝井委員 調達庁にお尋ねします。丸山さんの御答弁でも三日ないし四日かかるという御答弁があったと今記憶をいたしております。今度予定をされておりましたところの測量をする面積は何坪ですか。
  60. 丸山佶

    丸山説明員 先ほども申し上げました通り、滑走路と一体となるべき誘導路部分が主目的でございまして、約三千坪でございます。
  61. 滝井義高

    滝井委員 三千坪の中で何坪測量が完了いたしましたか。
  62. 丸山佶

    丸山説明員 約千坪でございます。
  63. 滝井義高

    滝井委員 丸山さんの御答弁でも三日ないし四日という御答弁がありました。警察最高責任者である石井さんの御答弁の中にも、あなたの方からは測量計画は三日ないし四日かかるということを聞いたということでございます。それによって警備計画が立てられておる。そうしますと、あの混乱の中で千坪——いわゆる一番大事な、一番困難な測量をやるために何時間かかりましたか、御答弁を願いたい。
  64. 丸山佶

    丸山説明員 現地測量事実に関する報告を聞いておりますと、約三時間ないし四時間かと、ただいまのところ存じております。
  65. 滝井義高

    滝井委員 それはあの大混乱の中に警察力を導入し、排除して、そうしてかかった時間まで加えて三時間ないし四時間なんです。これはわれわれは現地でよく見ておるからわかっておる。そうしますと、実質的に測量をやる時間というものは大体どの程度かかりましたか。
  66. 丸山佶

    丸山説明員 私承知しておりますところでは、実質的な所要時間がそのようであったと存じます。その前後あるいは数日前からいういう机上計画その他のものは別にいたしましたが、当日の所要時間がただいま申し上げた程度と、かように承知しております。
  67. 滝井義高

    滝井委員 よく私は現地におって見ておりましたが、そんなにかかっておりません。そうしますと、これはあなたの方が、測量が三日ないし四日かかるということは、一体どういうところからそういうことに相なったのですか。これでいけば一日もかからない。実はさいぜん、井出本部長調達庁のぺてんにかかったという発言をしたということを、淡谷委員であったか言いました。石井さんは、そういう発言をするはずはない、こういう御答弁があったのでございますが、われわれ社会党の議員は、昨日井出さんにお会いをいたしまして——私一人ではありません、淡谷さんと二人だけではございません。約十人ばかりの人がお会いしております。これは全部私は二度確認をいたしております。調達庁からの三日ないし四日かかるということを一つの基礎にして、少くとも警備というものを考えてみた。ところが実質的にあの混乱の中でやってみたところが、三分の一以上のものがわずかに一時間か二時間でできてしまったという、この事態を見たときに、われわれは全くこれは調達庁のペてんにがかったということは、私は速記をとっておるが、ここにちゃんと書いてあります。ぺてんにかかったということをはっきり申しました。私はそれは間違いはございませんかと確認をいたしましたら間違いはございません、われわれはそういう感じを今や強くしておるということを、治安の現実の指揮者から聞いておる。私は井出さんという人は、うそを言う人ではない、非常にまじめなお役人だと思っております。なぜ私はそういう感を深くしたかというと、きょうある新聞を見てみましたところが、今度の責任井出本部長に負わせるべきだ、井出本部長は勇退すべきだということがある新聞に出ておる。私はそういうように一人の人に責任を負わせることは断じて許すことはできない。この点についてこれは率直に、石井さんどうですか、あなたもあの結果を、あの事態の中であの短時間で測量のできた状態から見まして、あなたの方が三日ないし四日かかるという、そういう情勢判断のもとに鉄かぶとをかぶり、警棒も持たせ、乱闘服を着せ、しかも装甲車まで前に出してやらなければならなかった情勢判断というものは、明らかに調達庁のその三日ないし四日という、これが大くきあなた方の先入観となって、あの事態に一つの認識の誤まりを来たした原因になっておりはしないかと私は思うのですが、率直に、今あなたは三日ないし四日ということを言ってくれました、それを率直に、私は何も責任を追及する必要はないので、この事態はやはり明白にえりを正して私たち日本民族のためにやらなければならぬと思うのでありますが、御答弁願いたいと思います。
  68. 石井栄三

    石井説明員 先ほどお答えしました通り測量には三日ないし四日かかるというふうに私どもは承わっておるのであります。私ども技術的な専門家でございませんから、一日に何坪精密測量ができ、それが集積されて四日分でどれだけになり、今度測量しようとする坪数と合致するかというところまでは遺憾ながらわかりません。ですからお互いに信頼し合っている役所同士のことでございますから、調達庁側の三日ないし四日かかるということは、私は全面的にこれを信頼しました。そういう観点から考えまして、逆算して参りますと、十六日までに完了するということからいたしますならば、十二日ごろどうしても測量に着手しなければ追っつかない。たとえば自後十六日までの間に、あるいは非常に天候が悪くて実施できない日があるかもしれない、そういう危険も計算に入れますならば、十二、十三、十四、十五、十六というこの五日間というものは、必要最小限度の期間であるということは、これは私は常識的に考えられると思います。そういう意味で十二日から測量隊が、どうしてもきょうからは測量に万難を排しても着手したいという意気込みになることも、これまた当然であると思うのであります。そういういろいろな要素を考え合せまして、われわれ警察としましては、これを放任するにおいては不測の事態を生ずるおそれがあるから、いわゆる不法事態の予防の責務をになう警察としては出動せざるを得ない、それまで私は警備隊の出動ということに関しましては、慎重にも慎重を期し、最後まで自重をするようにという建前をとって参りましたことは、先ほど来しばしば申し上げた通りでございます。
  69. 滝井義高

    滝井委員 これで大体警察庁長官の方の立場は十分にわかりました。そこで調達庁にお尋ねしますが、あなたの方は十月の八日に警察官出動を要請いたしたということは、今石井さんからの御答弁で承わってはっきりいたしてきました。そこで警視庁の方としては、慎重に見て、三日ないし四日ということだから、八日に要求しても、もうここ一日、二日は冷却期間と申すか、情勢を見ても間違いないだろうということで延ばしておるようでございます。そうしていよいよ三日ないし四日だから、これはもう十二日には出動しなければ間に合わないということで千名、その翌日に二千名の武装した警官を出すという、こういった事態になっている。これはお互いに役所同士でございますから信頼し合わなければならぬという、こういうやむにやまれざる立場から、警察は武装警官出したという、こういう認識がわれわれに出てくるのです。そうしますと、大体あなた方は三日ないし四日ということを言われた根拠というものはどういうところなんですか。それとも測量の方法を変更して、そして一日でできるような状態を作ったのですか。この点を一つ良心的に明白に答えてもらいたい。
  70. 丸山佶

    丸山説明員 測量を実施計画そのものに関しましては、その専門の技術者の技官に立案させているものでございます。それによりまして、三日でできると思うが、万一の場合にはあるいはちょっと翌日にかかるかしれない、かように私は報告を受けております。その旨をもちろん警察には連絡申し上げておるので、何も私の方から警察をペテンにかけて云々ということは毛頭ないのでございます。ただ遺憾ながら私自身は専門の技術者でございませんので、その三日という計画あるいは四日にかかるという計画が疎漏であるか適正を欠いたかということの判断は、今申し上げかねますが、対象物のいかんその他によりまして、面積の広狭だけで判断し得るものか、あるいは測量の方法を、こういう方法をとれば早くできる、こういう方法をとれば手間はかかるがもう少し精密になる。このようなことがあるのではないかと私は推測しますが、ともかく当初の計画において三日、これがちょっと翌日にかかるかもしれないから四日と、このようなことが私どもの技術者の立案にかかったことは事実でございまして、それを警察の方へ連絡しております。
  71. 滝井義高

    滝井委員 丸山さん、この事態に及んであなた方はみずからその責任をとろうとせずに、ついにその専門技術者の技官にあなた方は責任を転嫁し始めた。それは許されませんよ。少くともあなた方が十月八日に警官出動を要請するときには、それは警視庁に向って三日ないし四日といい、これは技術的な問題があるけれども、やればこれは一日でできますぞということを、どうして言わないのですか。混乱が起った後にわずか一時間か二時間で三分の一の千坪できるという、こういうことは今になって、それは技術者がそう言ったからで、私たちは知りませんでした。私たちは専門技術者ではありませんからということは、ここでは許されません。千人に及ぶところの若い青年や、労働組合員や婦人の方々が死に直面するばかりの負傷を受けているじゃありませんか。そうして今になって一技術官に責任を負わせるということは、断じてこれは許すことはできない。調達庁警察庁に向って陳謝しなさい。陳謝できますか。それは私たちの見込み違いでございました。技術官がそう申しましたので、われわれは最高責任者は誤まりでございましたという陳謝が警察庁にできますかどうですか。
  72. 丸山佶

    丸山説明員 測量の計画自体あるいは実施方法に関すること、もちろん私自身がそれに関して必要な誤まりも正さずあるいは変更等のことにおいて指示もせず、疎漏の点があれば、私個人はもちろん陳謝いたさなければならないと存じますが、その技術上の問題に関しましては、幸い測量責任の人である東京調達局長が見えておりますから、局長からまず事実を説明いたしたいと思います。
  73. 河崎正

    河崎説明員 河崎でございます。ただいま測量の実施のことにつきまして御質問がございましたので、私からお答えいたします。このたび第二次認定を受けまして測量に参りまして、東京から遠い方、すなわち砂川の町の三番寄りの方でございますが、この地域は私どもの方と賃貸借契約をいたしていただいております地域が非常にたくさんあるわけでございます。私どもといたしましては、すでに飛行場のかきねから道路をちょうど一本隔てて、それからずっと五日市街道までは、その私どもが賃貸借契約をいたしております土地を通って、五日市街道まで出られるわけでございます。従いまして測量計画といたしましては、この五日市街道までの距離を数学的に計算できるという形にしたいというのが、三日ないし三日半という計画であったわけでございますが、五日市街道寄りの方は、これは宅地がございまして、ただいま申しましたような協力派の方々が多いものでございますし、長い間地元をお騒がせしましても、まことに申しわけないことでございますので、測量計画を五日市街道寄りの協力派の方は少しあとで、早く言えば騒がなくなってから、あるいは適当な時期にはからしていただくことにいたしまして、最も早くにやる地域、その次にやる地域、こういうふうにブロックを測量隊の方で計画をいたしたわけでございます。それで、十三日にできましたものは、最も先にやらなければならないと考えておりますところの、いわゆる飛行機の誘導路、この敷地になるところでございまして、なお測量いたしたいと存じておりましたところは——この誘導路たけでは、実際に飛行機が走るということになりますと、少し都合が悪いようでございます。しかし工事をいたしますその敷地から申しますと、十三日に測量さしていただきました地域で、工事はできるということでございます。
  74. 滝井義高

    滝井委員 ちょっと結論がわかりませんが、そうしますと、あなたは十三日に測量したところの誘導路の予定の測量だけやればそれで実はいい、ほかのところまでやるためには三日ないし三日半かかる、こういうことならば、そういうことをどうして警察庁長官の方なり、あるいは江口警視総監の方なりに言わなかったのですか、それをお言いになりましたか。
  75. 河崎正

    河崎説明員 測量隊といたしましては、第一日ないしは——まあ順位から申しますと、一、二、三というふうな形において測量を順次進めていくということは御連絡しておると思います。私も、石井長官の方には御連絡はいたしておりません。私は出先でありますので、警視庁の方とは御連絡は申しております。
  76. 滝井義高

    滝井委員 こういう部隊を動かすときに、石井さんの方にそういう連絡がいかないはずはないのです。一警視総監ではとても動かすことはできません。これは一つの民族運動になろうとしておる運動なんです。だから、一警視総監だけでできるはずはないのです。ところが石井さんはそういう答弁はない。現地部隊を指揮した井出さんもそういうことは知りません。はっきりしておる。そうしますと、これは同じ日本政府の中の調達庁と、その部隊出したところの警察庁との間に、あるいは警視総監との問に全く連絡がないじゃありませんか。ちぐはぐじゃありませんか。一体こういう混乱責任はどちらがとるのです。警視庁は、あなた方が三日ないし四日かかるということで出動計画を立てて、あなた方はその出動計画の中において、わずかに一日のうちの一時間か二時間でできるものを、それをできますと言わずに、三日ないし三日半かかりますということで仕事を進めていく。こういう日本の官庁内部の全くむちゃくちゃな、自分本位のやり方が、だれ一人として責任をとろうとしないやり方というものが、一千人の国民を犠牲にし、あるいは二百人をこえる警察官を犠牲にしておるのじゃありませんか。警察官もまたわれわれのかわいい子供なんです。犠牲を受けた学生労働組合の諸君や婦人も、われわれのかわいい子供なんです。日本人同士が血を流すということが、官庁同士の連絡がうまくいかなかったことによって起っておるじゃありませんか。一体その責任はだれがとるのです。言ってごらんなさい。調達庁、一体その責任はだれがとりますか。
  77. 丸山佶

    丸山説明員 お言葉ではございますが、今局長も申します三日、目的の三千坪、これが一日しかやらなかった。実働は、先ほどもお話がありましたように三時間ないし四時間、これでその三分の一の約千坪ができた。その三分の一が、まる一日かからずに、その半分でできた、午後でできた、この点だと思いますが、これは非常に測量隊が馬力をかけましてやったものだと私は承知しております。その三日という連絡は、警察の方に連絡しておりまして、それの三分の一でとどめた、これは昨日、一昨日以来政府首脳の会議によりまして三分の一にとどめたわけでございまして、従いましてまだその三分の二というものは残っているわけでございます。
  78. 滝井義高

    滝井委員 警察庁と調達庁の間に、非常に大きな、測量計画と出動計画の間に食い違いがあったことは、大体明白になりました。そこで最近ここ一日二日の新聞の状態を見ると、測量をやらなければならぬものは二千九百三十五坪である、完了したものが千八百六十坪という新聞の発表が非常に多いのです。今あなた方の御答弁では、三千坪の中で千坪を完了した。そうしますと、新聞あたりに出ている千八百六十坪というものとの間に非常に開きがある。新聞社は宙にこういうこまかい数字を書くはずはありません。おそらく調達庁から出た情報なり、あるいはあなた方の係官に聞いて出ている情報だと思いますが、これは一体どちらがほんとうなんですか。どうもわれわれは調達庁を信用できない。どちらがほんとうですか。予定の坪数は約三千坪と言わずに、はっきり最後の数字まで言って下さい。それから完了した坪数も最後の数字まで言って下さい。
  79. 丸山佶

    丸山説明員 測量の主目的地帯は、先ほども申しましたように、誘導路予定地を中心とする部分でございまして、そのうちいわゆる反対派の方の分でございます、それの予定が約三千坪と私申し上げたわけでございます。その三千坪のうち、そのうちの千坪ができたと申し上げましたのは、その三千坪のうちの約八百坪の土地と、それから隣接しますところの条件派の方々の分等が合計しまして千坪を若干越すという数字になっている。従いまして今詳しい数字をあげられましたが、どの新聞のものでございますか、これはもう少しよく確かめましてお答えさせていただきたいと思います。
  80. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、反対派の三千坪のうちで千坪できたというのは、そのうちの土地が八百坪と、隣接地の条件派が千坪、そういたしますと大体千八百坪前後になるわけです。その数字はいいといたしまして、そういたしますと、あなた方は非常に執拗にまで、十六日までに完了しなければならないという強い要望を持っておられ、そうして十月八日には警察官出動を要請いたしました。ところが政府の発表によると、誘導路予定の測量は十三日で完了した。この上犠牲者を出したくない。従って残りの未測量分は今後に譲り、十六日までと予定された測量は一旦これで打ち切る、こういうことになったわけです。そうしますと、あなた方はこれは全部やらなくて打ち切っていいのなら、どうしてもっと前に話し合わないのですか。これは一体どういう理由ですか。この理由を一つ国民にわかるように御説明して下さい。警察官出動まで要請して、十六日までどうしてもやらなければならぬ、こういう強いあなた方の要望があった。しかもその測量が必要であるかどうかということは、警察としてはかかわり知らないところである。その必要性というものは、一にかかって調達庁の強い要請と認定のもとにわれわれは行動いたしましたというのが石井さんの答弁である。そういたしますと、あなた方はその強い要請を発しておきながら、わずかに三千坪のうちの千坪で、誘導路だけができたからこれでいいという理論的な根拠を一つ御説明願いたい。
  81. 丸山佶

    丸山説明員 私ども調達庁考えといたしましては、決して千坪できればよろしいというわけではございません。もちろん御承知通り今回の測量目的が滑走路、昨年測量を実施いたしまして、ただいま収用委員会に申請しております滑走路部分と一体となって用途を弁じ、なおその工事も同時に着手建設する必要がある誘導路の建設である。従って誘導路部自体の敷地並びにその周辺の土地というものが問題なのでございます。これを測量いたしたい。これの関係のうち特に収用委員会に持ち込まなければならぬのは、契約で土地の買収ができないところで、やむを得ず収用手続をとるのでございますから、それの予定部分が今の約三千坪でございます。それをぜひ私どもとしてはいたさなければならない、かように考えておるわけでございます。これを今の滑走路部分と同一の状況まで持っていく必要がある。本来ならば去年の測量に引き続いての部分でございましたが、いろいろの事情から延びておりますが、これを早く追っつけたい、かようなものが今回の測量の対象でございます。従ってその三千坪というものをぜひ測量いたしたいと考えたのでございますが、新聞発表、政府が発表いたしましたように、まずその約千坪というものができておるならば、しかもそれが誘導路、直接それ自体の敷地となるものである。これがもし収用手続が済みまして土地の取得ができますならば、滑走路と合せて工事は着手できる。だから滑走路の使用あるいは建設工事ということになり得る。従ってその隣になるべき場面、本来ならばこれが完全にありませんと、その誘導路の完全な使用というものには支障があるわけでございます。この分も合せてこれだけのものが絶対必要であると考えましたが、実はとにかく誘導路の部分ができれば一応滑走路とあの部分と合せて建設工事には支障がない。この一つの段階、それにまた御承知のようなああいうことにもなりましたので、これ以上なお残余の部分を続けるということは、この際は打ち切るべきであるという最高の政府方針に従いまして打ち切ったわけでございます。
  82. 滝井義高

    滝井委員 いいですか。三千坪のうち三分の一の千坪で済むというのなら、なぜもっと早くあの混乱の起る前それをあなた方は言わなかったのですか。社会党話し合いをしようじゃないかと、あれだけ十日間もあなた方の前で説得をしたじゃございませんか。ところがあなた方は問答無用、測量に来たのです、測量をやらせて下さい、これだけです。それなら三千坪要りませんから千坪でよろしいから測量をやらせて下さい、こう言えばまた話が違ってくる。そうして混乱が起ったあとに、それは千坪でございました、誘導路だけの千坪をもらえば、あとは十六日までにやらなくてもあとに延ばしてもよろしゅうございますということになれば、全くあなた方は国民を瞞着し、しかも日本警察を瞞着したことになるではありませんか。一体その最高責任者はだれですか。だれが一体そういうことを言ったのですか。
  83. 丸山佶

    丸山説明員 先ほど申し上げましたように、私ども調達庁といたしましては、決して千坪でいいとは申し上げておるわけではございません。やはり計画通り誘導路、それを含むその付近の三千坪というものが必要だ、かように考えておる次第でございます。それに対しまして一部千坪の直接工事が行われる場所ができたという事実と、それから現状、諸般の情勢から政府の御決定、こういうことでありますので、私どもはこの際やむを得ぬと思って了承した次第でございます。
  84. 滝井義高

    滝井委員 あなた方は力を行使して混乱を起したあとに、そういうことをおっしゃるけれども、それでは間に合わない。もし千坪でよかったら、千坪でいいのだからと具体的に出すべきなんです。あの混乱が起った今になってそれは千坪でよかったということでは私はいけないと思う。少くともあなた方が技術的に見てそれでいいというならば、政府最高責任者にそれを進言しなければならない。さいぜんあなたは三日間あるいは三日半かかることは、自分の方の技術者がそう言いましたからと言いましたが、おそらく今度われわれが政府を追及したならば、最高責任者調達庁が三千坪要求したからと、こう逃げるでしょう。あなた方の社会は都合よくできているのですね。国民が血を流したあとで、その責任を回避するために下かあるいは上に責任を転嫁することがあなた方のならわしなんです。事態がはっきりしたではないですか。話し合いができないというのではない。千坪でよかったならば、あのとき千坪を打ち出し地元の人と話し合えると思います。それを強引にあなた方は三千坪でなければならぬと主張するから、警察は三千坪を接収する強制測量をやらせる計画を立ててきたのではないですか。それならば伺いますが、今後の残りの手続については、土地についてはどういうことをやるのですか。今後の手続を明白に一つ御説明願いたい。
  85. 丸山佶

    丸山説明員 今後のことについて申し上げる前に、いま一回繰り返しますが、調達庁だけの立場で考えておりますのでは、三千坪必要だと考えているのでございます。それが各般の情勢をにらみ合せまして、この際は千坪でもって打ち切るべしということになった次第でございます。今後のことに関しましては、もちろん測量のできました部分に関しては収用委員会に収用を申請いたしまして、申請の裁決のありましたあかつきには土地の取得ができますので、これによって建設工事にとりかかる、こういう段取りでございます。
  86. 北山愛郎

    ○北山委員 今のことに関連しましてちょっとお伺いしたいのですが、三千坪のものがとりあえず誘導路の分の千坪でよろしい、それはその分の工事ができるからだ、こういうお話なんです。そうしますと、この工事はアメリカ側でやるはずなんですが、その千坪はとりあえず手続が済めば、アメリカに渡すのですか、そうして工事をさせるのですか。そうするとあと残った二千坪について、私新聞で見たのですが、飛行場を使った場合に、飛行機が発着をする、するとそのそばの住家に住んでいる者は爆風等でいたたまれぬようになるだろう、自然にその部分は解決するのだ、というようなことが新聞にありましたが、その千坪だけ渡して、直ちに米軍が工事にかかるのか、工事にかかってでき上れば、その滑走路と誘導路は米軍が使えるようになってしまうのか、どうなんです。
  87. 丸山佶

    丸山説明員 ただいま申し上げましたように、測量の済みました部分は土地収用の手続によりまして収用委員会にかけます。一方ただいま収用委員会にかかっております滑走路部分がございます。この両者を合せまして収用の裁決になりますならば、土地の取得ができます。取得ができますと、これは約束によってアメリカに使わせることになります。そうしますとアメリカでは滑走路部分、誘導路部分の工事ができることになりますから、工事に着手することになると思います。なお、その余の部分に関しましては、いろいろ新聞等の記事その他のこともありますが、ただいま具体的にどういうこと云々ということについて、まだこの際申し上げることは差し控えたいと思います。政府の昨晩の決定では、これは後日において期するということになっておる段階でございます。
  88. 滝井義高

    滝井委員 今私もそれを質問しようと思ったのですが、そうしますと、第一次収用決定分と、それから今度千坪、この部分が東京都の土地収用委員会にかかって採決がおりたならば、これはきわめて重要なことなのですから、おそらく事態は今年中に起ることなのです。これは米軍に工事をさせるために引き渡してしまうことになりますか。これを一つ明白に御答弁を願っておきたい。
  89. 丸山佶

    丸山説明員 そのつもりでございます。
  90. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これはますます事態は重大になってくると思う。あなた方が一連の関連のあるものとして三千坪を目的としておる、しかもそのうちの千坪だけは取って、その付近のきわめて密接不可分の関係のある隣接その他の土地を、まだ何ら手を加えることなく政府みずからが中止をしておって、そうしてその付近の土地というものが日本憲法で認められておる所有権の順当な行使を、日本国民ができないという事態に追い込んで、それで調達庁はわれ関せず焉にしておることはできるのですか。その点をもっと明白に、親切に、国民のために答えていただかなければならぬと思うのです。そういう点は、あなた方は具体的に今後の手続を一体どうするのか、残りの土地については具体的にどうするのか、打ち切ったというだけでは責任は済まない、よって起ってくるべきところの今後の手続、あるいはその手続をせずに今年中にアメリカがどんどんと工事を開始した場合のその住民に及ぼす影響——もし今の基地反対運動をこのまま放置したならば、日本人がブルドーザーの下に敷かれて死ななければならぬという事態が起ることをあなた方は予測しておりますか。丸山さん、そこは命がけですよ。もっと明白に責任ある態度で、下の技術官や上の人に責任を負わせずに、きょうはあなたが長官のかわりに最高責任者としておいでになっておるのですから、その二点——技術上の今後の取り扱い、それからアメリカに年内に引き渡すかどうか、こういう点を一つ明白にしていただきたい。
  91. 丸山佶

    丸山説明員 ただいま収用委員会に入っております滑走路の部分、それからこれから持ち込みます誘導路の部分、これはいずれも反対者、どうしても話によって売買契約ができないというものだけでございます。それ以外に話し合いによって契約ができました土地が、なお相当部分あるわけでございます。この二つの、今収用委員会に持ち込んでおる部分、それから委員会にこれから持ち込む部分、これとすでに話し合いがついておる部分というものが一体となりますというと、それが全部国の所有という事態が収用委員会の採決があると出るわけでございます。私ども担当官庁といたしますれば、これはすでに閣議の決定でもあることですから、これを米軍へ引き渡しの手続をとる、そうすれば、米軍では予定通りに建設工事にかかる、こういう段取りを申し上げておるわけであります。それに関連いたしまして、周辺の関連部分等、あるいはその工事等が年内にかかるようなことになったら、いかなる事態になるか。それからそのときのまた大混乱を予想してどういう措置をとるかということについては、ただいまのところ私からはお答えいたしかねます。ただこの問題に限らず基地問題は全部そうでございますが、大問題と考えておりますので、私ども調達庁当局限りで処置するというようなことはせずに、これはあくまで政府全体の十分なる考慮のもとに、調達庁は執行すべきであるという態勢のもとに、今春来関係閣僚の基地に関する協議会というものも、内閣部内に設けておりますので、もちろんそういう協議会の審議、協議もあり、また閣議の御審議ということにもなりまして、それらのときにおいて具体的な処置が行われるものと考えております。
  92. 滝井義高

    滝井委員 これはきわめて専門的な技術的な問題になるし、政治的な問題もはらんでおりますので、いずれこれは船田長官にお聞きいたしたいと思います。  最後に、丸山さんに調達庁最高責任者としてお尋ねいたしたいのは、三千坪の予定を千坪でよろしいという政治的な最高決定があったので、それで自分らはやむなく承服をしたのだ、結論的に言えばこういう意見でございます。そうしますと、これについてはあなた方事務当局としては日米合同委員会等に内々にでも御相談になって、そういうことでよろしいということを政府に意見具申をされたのか、それとも全く日本政府の独断的な処置によって千坪でいい、十六日までの測量を打ち切る、こういうことになったのか、その間のいきさつを御説明願いたい。
  93. 丸山佶

    丸山説明員 今回の打ち切りの事情についてはアメリカとは何ら連絡をしたようなことはなく、政府責任者の最高の協議のもとにきまったと私は承知しております。
  94. 滝井義高

    滝井委員 江口さんと船田さんはあとでやることにして、私はこれで終ります。
  95. 大矢省三

    大矢委員長 北山君、大麻国務大臣へ先に願います。
  96. 北山愛郎

    ○北山委員 あとに質問者もあるようですから、私簡単にやりますが、まず第一に大麻国務大臣にお伺いします。  先ほど来のお話を聞いておりますと、警察基地問題とは別個だ、しかも今度の事件は東京都の警察の決定する問題だ、できたことについては遺憾だ、こういうだけの話であって、これだけの長い間にわたり、しかも重要な問題について大麻国家公安委員長は一体何をしておったのか、どういう措置をとったのかさっぱりわからないですよ。ただできたことだけは残念だと、こういうだけでは承服できない。さもながめて見ておったというようなことでは困るのです。そこで一体この砂川事件についてどういうことを公安委員長はおやりになったのであるか。それは遺憾だということについてあとどうするのか、これをお伺いしたい。たとえば警視総監の措置が不当であるならば、国家公安委員会は警視総監を任免する権限があるので、人事問題にも関係してくる。ですから、ただ遺憾だというばく然たる表明では困る。何をしてきたか、これを一つ話して下さい。
  97. 大麻唯男

    大麻国務大臣 私の申し上げ方が悪かったかもしれません。それで北山さんに誤解を与えたかもしれませんが、私が関係がないと申しましたのは、基地の収用問題については警察の知るところではない、また知ってはいけない、こういうふうに考えているのでございます。これは私に限らず、各委員もそうで、警察当局もそうですけれども、その途中でもって不法な事犯が起れば、これに対して排除するということが警察の職務である、これを申し上げているだけでございます。無関心で見ているというのでなくて、それにむやみに干渉してはいけない、こういうことを言っているのでございますからして、大麻、何をしておったかとおっしゃいますと、はなはだ恐縮しますが、私は警察が何をしておるんだと言うが、警察はもちろん民主警察であるから決してそういう調達庁の手先になったりなんかしてやるのではない、そういうことを申し上げておるのでございます。それで事犯が起ったらそれは警察関係しなければならない、これは当りまえのことでございまして、私だけの意見ではない。各公安委員警察当局も、みなそういう心がまえでやっておるわけでございます。それが間違っていたら大へんだと思うのです。そういうふうに考えております。それで私はひたすらに警察を管理しておるものでございまするから、警察当局がそういう乱暴なことをしないように注意を与えておった、こういうわけでございます。それだけ御承知おき願いたいと思います。
  98. 北山愛郎

    ○北山委員 基地問題と警察の運営ということは観念上は別個です。しかしこの問題は、先ほど来調達庁なりあるいは警察庁長官の答弁でもわかる通りで、やはり測量の期間、三日なり四日なりという問題、あるいは十六日までに測量をやってしまわなければならぬという問題と警察権の発動ということが関連しておるのです。要請されて警察が出ておるでしょう。関連しておる。関連がないということはないのじゃないですか。
  99. 大麻唯男

    大麻国務大臣 決して要請されて出たのじゃございません。要請はされてはおりますけれども、要請をされたから出たのではない。警察警察独自の立場から、これはどうも不法行為を排除しなければならぬというので出たのでございますから、それだけ御了承願います。
  100. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、今度の砂川問題に対する警察出動ということは、その措置は都の警察だからもちろん警視総監なりそこできまった。しかし出動の決定についてはそれ以外の政府は何ら関係しておらぬ、都の警察だけの責任で決定し、出動した、こういうことですか。
  101. 大麻唯男

    大麻国務大臣 警察官のやったことが悪ければ、もちろん政府責任を感じます。何も知らぬというのじゃございません。けれども権限がそういうことになっておる。これを監督するのがこっちだからして、決して無関心であるわけではございません。どうぞそこはお間違いのないようにお願いいたします。
  102. 北山愛郎

    ○北山委員 こういうことをお尋ねするのは、この問題について私どもの地方行政委員会の立場からすれば、警察の運営についてこれが正しく行われなきゃならぬ、この際の警察出動ということは果して適当かどうか、また出動が適当としてもそのやり方が適当かどうか、この二点について私どもは真相を究明し、責任も究明しなければならぬと思っておるのです。ですから先ほど来の問答にありました通りに、果して警察実力行使をやることが適当かどうか、果してそういう必要があったかどうか、ほかの方法、警察実力以外の方法で解決できる道がなかったかどうか、私は結果的に見ると、何かほかの方法で解決ができるものを、警察がみすみす火中のクリを拾って泥をかぶったというような結果になってきておるのじゃないかと思うので、この点については、この警察出動についてやはり慎重な意見を持っておられた大麻公安委員長としては、結果的にあとでふり返ってみて、あの出動はよかったか悪かったか、こういうことをお伺いしておきたい。
  103. 大麻唯男

    大麻国務大臣 その出動がよかったか悪かったか、またその方法がどうであったかということにつきましてはいろいろ議論があろうかと思います。もう少し慎重に考えてみなければ結論が出ないと思う。けれどもあれだけのことが起ったということは、国家のために喜ばしいことではもちろんございません。まことに残念千万に思っておりますから、もし悪かったらそこを正していかなければならぬ、十分に正さなければならぬと、かように考えております。そこでこれはほんとうに反省をして、人の意見もよく聞いてみて、それでもって判断しなければならぬと、かように考えておる。だから私は社会党の諸君のお話もほんとうに謹聴しておるのです。つつしんで伺っておる。これは皆さんからほめていただいてもいいぐらいだと思っておるのです。それをひやかされては困る。それではまじめに聞いておるのがばからしいということになります。ほんとうに聞いております。そういうふうに考えておるのであります。それでこの事柄につきましては警視庁のやりましたことが悪かったら、それは十分に今後あやまちないようにしなければならぬし、また処置もしなければならぬ、かように考えて知ります。けれどもこういうことはにわかに判断をしてやると大へんなことが起りますから、それだからこれはあくまでも慎重にかまえなければいかぬと思っておるのでございます。
  104. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題はあとでまた警視総監からもいろいろ伺ってわれわれも判断をしたいと思うのです。しかし公安委員長のように人の意見ばかり聞いて、自分の意見は必要なときに——公安委員長としての職責を十分尽しておることに若干疑問があるので、そういうことではこういう事態をただ結果から見て遺憾だ、国家のために遺憾だなどということだけを先ほど来言っておられるのでは困ると思うのです。それからなお今般の警察権の運営の方法についてですが、これはほとんど異論のないところです。先ほど石井長官はよく調査の上で——行き過ぎかないとは言えないけれども調査をしてと、こういうお話であります。しかし一々だれがどこでどういうふうにしたかということを調べなければ、そういう証拠をあげてやらなければそれが信用できないということではなかろうと思うのです。何千人という人が見ておるその中で行われた事件ですよ。しかもニュースあるいは新聞あるいはテレビ、みなそういうものにとられておる。万人環視の中で行われた事件であって、どの新聞もどの報道機関も同じように報道しておることを、いまさらながらこれは調べてみなければわからぬ、こういうふうなことでは普通の常識上そんなことは考えられない。そこで私が伺いたいのは、調査をするというのは一体どういう調査をするのですか。警察庁はどういう方法でどういう調査をするのか、それをお伺いしたい。
  105. 石井栄三

    石井説明員 新聞その他の報道機関の報道をされておる点、これも貴重な資料でございます。あるいは現場における当時の目撃者その他から伺うというのも、これも貴重な材料になろうかと思います。われわれは決して警察部内においてのみの調査によって結論を出そうとは思わないのでありまして、あらゆる角度から公正な結論を得べく慎重な実態調査をしてもらいたいと思っております。
  106. 北山愛郎

    ○北山委員 ほかにいろいろな点がありますが、この調査の問題については私どもは今申し上げた二点、すなわち警察側のあの際に出動して測量に協力するのが適当であったかどうか、それをやった責任者はだれであるか、あるいはまた現地におけるあのような警察官行動、この実態がどうかというようなことも、警察庁はまた別としまして、われわれ委員会の立場からも十分調査をしなければならぬと思うのです。ただきょうの質疑だけではもちろん十分でないし、また答弁としてもこれから調べなければならぬ、検討しなければならぬというのですから、この委員会としてもやはりその調査を継続する必要がある。そういう意味で一つほかの委員方々の御了解も願って、この委員会が砂川問題の全貌、その真相及びその責任の所在を調査するということを、一つあとででもけっこうでありますから、そういうような措置をお考え下さる必要があると思う。あとはまだ調達庁の長官なり、あるいは肝心かなめの警視総監その他が見えておりませんので、それがおいでになってからいろいろお伺いをしたいと思います。一応私の質問はきょうはこれで終ります。
  107. 大矢省三

  108. 坂本泰良

    坂本委員 今回の警察官暴力行為に対して非常に遺憾に感じて、この責任を徹底的に追及しなければならぬと思うのです。それで私は二つに分けて、こういう状態が発生したことと、その前提にわれわれはこの不祥事が発生しないように十二日の本委員会でも非常な努力をしたのですが、ついに十二日の夕方から十三日にかけてこの不祥事が発生したのであります。そこで大麻大臣にお伺いしたいのですが、基地に関する関係閣僚懇談会があるということを聞いておるのですが、ここにおいて十六日までに測量を強行しなければならぬということを決定されたかどうか、その点をまず最初にお伺いしたい。
  109. 大麻唯男

    大麻国務大臣 私は関係閣僚のうちに入っておりません。
  110. 坂本泰良

    坂本委員 新聞によると大麻大臣も入られて船田長官、調達庁長官、官房長官、こういう方々、名前は私の方は少し違っておるかもわからぬが、こういう閣僚が十六日までに測量を強行しなければならぬということを決定した、それには大麻大臣は入っておられるのですか。
  111. 大麻唯男

    大麻国務大臣 入っていません。私はこの基地問題に関しては関係ないとさっきから申し上げておる。それだから基地問題に関する関係閣僚じゃございません。
  112. 坂本泰良

    坂本委員 関係閣僚でないならば、この十六日までにいろいろ政府考えて、この測量を強行するのには土地の関係農民、学生その他労働組合の強硬な反対があるから、どうしても十六日までに強行する、そういう場合にはやはり警察官出動を要請しなければならぬ、こういうような相談の中に大麻大臣は入っておられないかどうか、その点お聞きしたい。
  113. 大麻唯男

    大麻国務大臣 入っておりません。しかしながら警察官が入ってもらわなければならぬというようなことを言った人はあったようでしたけれども、それはちょっと誤解してくれては困るのだ、警察基地問題に介入はしない、ただ不法事犯が起るときには警察がこれを排除するけれども、お手伝いをするのではないぞ、日本警察というものは九千万国民のものであって、一方のものでありませんから、そう調達庁が要請したからといってやるものではない、ただもちろん調達庁から情報は聞きましょうけれども、そういうわけで入っておらぬのです。
  114. 坂本泰良

    坂本委員 それはこれに関係しておられぬでもこの基地に関する関係閣僚が、どうしても政府責任において十六日までにこれを強行する、それについては警察官出動も必要だ、こういうので警察の担当大臣であるあなたに対して、また石井警察庁長官に対して、こういうような要望があったかどうか、その点をお聞きしたい。
  115. 大麻唯男

    大麻国務大臣 私に関することだけを申し上げます。そういう話をした人はありましたけれども、おれの方は調達庁基地問題に関係はないぞ、それだから要請があったからといって警察が出るわけじゃない、ただ警察独自の立場から不法事犯が起るようなことがあれば、これを排除するためには出るかもしれないけれども、要請があったから出るというものじゃない、こういうふうに答えたことはございます。これが一番大事な点だと思っております。警察としてはそれを守っていかなければならぬ、かように考えておるのでありますが、それは固く守ってきた次第でございます。また警察当局もみなそのつもりでやっております。
  116. 石井栄三

    石井説明員 大臣がただいま御答弁された通りでございます。
  117. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、返答だけ聞いたのですが、十六日までに測量を強行するについては警察官出動を求めることがある、そのときにはよろしくたのむ、そういうような要請はなかったのですか。あるなしの結論だけでいいのです。
  118. 大麻唯男

    大麻国務大臣 要請というぎょうさんな言葉でもなかったのですけれども、話はよろしくたのみますと言うから、それは違う、おれの方ではただ独自の立場から出るべきときは出るけれども、君の方から要請があったからといって出るわけにはいかぬぞ、こういう話はたびたびしたことがあるのです。
  119. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお伺いいたしたいのですが、八日に警察官出動の要請が調達局からあったということは、これは警視庁に要請があって、そういう要請があったということを警察庁は報告を聞いただけですか。警察庁自体にも要請があったかどうか、その点をお伺いしたい。
  120. 石井栄三

    石井説明員 東京調達局長から警視庁の方に要請があったのでありまして、私どもは警視庁からその旨報告に接しただけでございます。
  121. 坂本泰良

    坂本委員 公安委員長としての大麻大臣に、もうちょっと聞きたいのですが、この十六日までの測量の実施については、政府が強硬な、警察官出動させて測量するというこういう態度をとっていたということは、これは御存じだろうと思うのです。そこでそういうような出動の場合において、ことに十二日のような情勢になって、もし警察官がここに出動したならば、どういう方法をとるか、私は十二日に山口警備部長には今測量しても、今訴訟が起っておるから訴訟が片づかないことには、この収用委員会は進行できないのだ、だから今直ちに測量する必要はない、そこでこの測量隊反対者側との衝突が起る場合に、警察官は中に入ってこの不祥事が行われないためには測量を延ばさせた方がいいではないか、それが必要な措置じゃないかということを、私は十二日に質問したわけですが、大臣はどうです。そういう場合にやはり今度千人も犠牲者が出たように、警察官出動した方がいいと考えるのですか。
  122. 大麻唯男

    大麻国務大臣 ちょっと今要点を取り逃がしてしまったが、済んだことをそのときどう思うかという御質問にはちょっとお答えしにくいです。
  123. 坂本泰良

    坂本委員 済んだことといっても、千名の負傷者が出ておるこの状態が発生したでしょう。それは警察官が反対者を排除せぬでも、不慮の状態が起きないためには測量隊をとめさせてもいいはずなんです。それをどうしてとめずに、そうして強行したから千名の負傷者も出たわけでしょう。だからあなたは公安委員長としてそういう場合になぜ今測量してもすぐ効果がない、裁判の解決を待って半年か一年先にならなければできないというのに、なぜ急速にこういう測量をするか。こういうような立場に立った場合あなたの言う民主警察は、やはりそれでも測量隊を援護して反対者を排除すべきかどうか、それを聞いておる。
  124. 大麻唯男

    大麻国務大臣 決して測量隊を援助するわけではないのであります。ただ測量ということは調達庁政府でやる、あっちでやることですから、警察がそれをやめたらよかろうと言うのは、これも出過ぎたことだろうと思うのです。しかしながらこの事案というものはすこぶる国家のために不仕合せなことであって、まことに遺憾であると思っております。悪いところがあったらこれは改めなければ——先ほどどなたかから大麻は質問ばかり聞いておるが自分の意見はないじゃないかとおっしゃるが、人の話を聞くことが一番大事なことだと私は思っておるのです。
  125. 坂本泰良

    坂本委員 できたから仕方がないと言うのだけれども、公安委員長というのはそういう不測の損害ができないように民主的な警察をやらせるというのが目的なんでしょう。それを十二日まで測量をもう少し延ばした方が警察官としてはいいじゃないか、何も測量隊のサーバントみたいに、けが人まで出して反対者を排除する必要はないじゃないかということを、私は極力十二日にここで主張しておるのですよ。どうです、そのときしなかったら、こういう千名もの負傷者は出ていないはずですよ。委員会がこういうふうに注意していても警察官が出ていって、そして写真のような、こん棒を持ってなぐってこずき上げて、そうして負傷者出した。それでもあなたは民主警察と言われるのですか。
  126. 大麻唯男

    大麻国務大臣 ちょっと坂本さんに誤解があるようなんですが、私は過ぎたことだから仕方がないと言ったのではありません。それは一つどうぞ考え直して下さい。そういうことを申し上げたつもりじゃなかったのです。それはとにかくといたしまして、国家公安委員長というのは御承知通り警察を管理するものでありまして、警察事務を執行するものではございません。それだから大方針をきめて、そして警察当局の執行を促すものでありまして、一々こういう場合にこうせい、ああいう場合にはああせいという指図をするものではございません。大方針だけは先ほどから申し上げた通りで、これくらい民主主義をやろうやろうといって心配しておるところはないと思うのです。人の意見もよく聞き、そして自分の意見も警察庁に言う。今の警察庁当局は常識も発達し、反省力をよく持っていますよ。そうでありますけれども、この間の事件が非常に国家のために不幸なことであったというのは私痛感いたしますが、そういうことが起ったというのはまことに残念で、しょうがないと思っております。再びそういうことのないように心がけることはもちろんの話しである。またあやまちがあった者はこれを取り調べましてそれはたださなければならぬ、こう言って反省して、そして日本の国に民主警察を確立したい、かように念願しておることだけははっきり申し上げて御了承願う次第であります。
  127. 坂本泰良

    坂本委員 いや、念願しておることはいいのですよ。しかしこれは昨年の測量のときにもこういう不祥事が発生しておる。さらに今度それに輪をかけた大きい不祥事が発生しておる。あなたが真剣に警察担当の大臣であり国家公安委員長で、今おっしゃられたようなことを一年前に起ったから起らないようにされたら今度はそういうことは起らないはずですよ。それが起ったのでしょう。口ではどんなにりっぱなことを言ったって、去年もあなたはその責任者だったでしょう。去年ああいう状態が起きて、さらに今度十二日、十三日にこういう状態が起きたならばなお大きい不測の損害が出る、犠牲者が出るということがわかっておるでしょうが。それをどうしてやらせたかということですよ。もう二、三日前に過ぎたから今後やらぬようにすると言うが、去年のことをまた繰り返すでしょう。あなたが真に責任がありますならば、昨年のあの状態で再びそういうことを起さないようにするためには、民主警察のほんとうの行き方を徹底させなければいかぬと思うのです。それが徹底していないからさらにこういう問題が起きたと思うのです。だから私はさらにあやまちを改めるだけじゃいかないと言う。これは警察官があのサンの写真にあるように明らかに傷害罪ですよ。刑法上の犯罪です。これは徹底的に究明してその処置をとり、さらに改める必要があると思うので。その点どうですか。責任者を追及して徹底的にやりますか。
  128. 大麻唯男

    大麻国務大臣 追及しまして悪いことがあったら徹底的にやります。
  129. 坂本泰良

    坂本委員 明らかに警察官に刑法上の犯罪に触れるものがあると思うのですが、その点はどうしますか。
  130. 大麻唯男

    大麻国務大臣 それは警察当局に注意するつもりでございます。私みずからやる役目ではございません。それだけはっきり申し上げておきます。責任は私感じますけれども、それを私にやれといったってやれぬ。こういうわけだから、ここに石井長官もおりまして、ちゃんとお話を承わっておるから、本人もよくそう申しており、非違はただす、こう申しておりますから、それで御了承願いたいと思います。
  131. 坂本泰良

    坂本委員 石井長官山口警備部長に、まだあとがありますけれども、もう一点だけ聞いておきたいと思います。十二日の委員会には石井長官はおられずに山口警備部長が出られましたのですが、あのとき盛んに必要な措置を講ずると言われたですね。その必要な措置を講ずるということは、この千名もの犠牲者が出てもかまわずにやるのが必要な措置だ、そういうようなお考えだったのですかどうですか、それを承わりたい。
  132. 山口喜雄

    山口説明員 そういう事態か出るということは当時考えなくて、現地でトラブルが起ったならば、あるいはその起るおそれがあるならば警察として必要な措置をとらざるを得ません、ただそういう紛争が起らないことを私は切にお祈りします、そういうことを申し上げたのです。
  133. 坂本泰良

    坂本委員 先ほど質問もありましたように、第八方面隊では砂川基地に対する実施要綱案というのがあって、もうちゃんと準備して訓練をしているので、その訓練の結果が十二、十三日に現われてきて、千名に達する暴行傷害を受けた、こういう結果になっておると私たちは思うのです。そこでこの測量はしても、あとはあの町長の職務執行の訴訟が起きて、これが六ヵ月ないし一年かかるのだ。だからここに五百名もあるいは千名ものこういうことが、われわれはもう警察権が発動したならば起るだろうということは予想しておったのですよ。専門家であるところの警察庁ではなおより以上にそういう点は情報を集めて予想しておらなければならぬはずです。そういうことを調査もしないで予想していなかったらこれは怠慢だと思うのですよ。ですからなぜ十二日と十三日に測量を強行して、そして千名の負傷者を出さなければならなかったか。トラブルが起きたならば現地でやるというのじゃ済まされないでしょう。その必要な措置をといって事前にはごまかしておいて、事後にはこれから改める、それでは人民の生命、財産を守るところの警察は勤まらぬと思うのです。私はやはり、調達庁に対して測量をやめよというその権限はないでしょうが、なくても千名も負傷者か出るようならば、その現実の問題の上に立って測量をあしたまで延ばすとか、四、五日延ばすとかいうことは警察官としては予想を持って、その判断でやるべきだと思う。私はそうすることが先決問題だと思う。トラブルが起きた場合の必要な善処すべき問題だと思うのですが、石井長官山口さんはその点はどうです。
  134. 石井栄三

    石井説明員 先ほど来たびたびその点は他の委員からの御質問でお答えした通りであります。それをまた繰り返すことになりますが、簡単に申し上げますならば、十六日までにどうしても測量を完了したいということ、政府声明でも示された通りであります。従いましてわれわれ警察の立場としましては、十六日までにどうしても測量を強行されるとしましても、少くともできるだけ混乱なくして事が円満に運ぶことを念願するがゆえに、十月四日以降毎日測量隊現地に出向きまして測量にとりかかろうとしても、それが阻止されてできないということを繰り返し、その間に若干の不法事犯がありましたけれども、あえて警備部隊出動をぎりぎりまで差し控えたのであります。そうして測量に最小限三日ないし四日を必要とするということでありますがゆえに、十六日から逆算いたしまして、十二日測量隊を、今までのように話し合い戦術に引っかかって、そのまますごすごと引き揚げているのでは、もうどうしても間に合わない状況から、あらゆる障害を突破してまでも、この測量に着手するということで、ここへ臨もうといたしたのであります。これをこのまま放任して従来のごとく静観をしておるというわけには参らない、それでは必ず不測の事態を生ずるに相違ない、こういうふうに考えましたので、警察といたしましては、遺憾ながら警備部隊出動をせしめざるを得ないという結論に到達いたしたのでございます。
  135. 坂本泰良

    坂本委員 その出動はいいのですが、出動によってこういう悲惨事ができているわけです。こういう悲惨事は出動して起さないという見通しをあなた方は持っていたのですか、どうですか。
  136. 石井栄三

    石井説明員 警察としましては、極力そうした犠牲を起したくないという考えはもちろん持っておりました。むろんそれは基本的な考え方とし、従いまして出動する警察官に対しましては、個々に出動心得を徹底させまして、常に冷静な判断のもとに、行き過ぎ行動のないようにということを強く指示、徹底をはかったはずでございます。しかしながら現実には不幸にいたしまして、反対者側抵抗がきわめて強かった関係もありまして、双方に、相当のけが人を出すということになったのであります。そのために、あるいは警視庁の総監を初め、上司が日ごろ指示、訓示したところが、徹底しなかった点があるのではないかという点につきましては、先ほど来申します通り、十分反省もいたしまして、行き過ぎの点がありましたらそれに対しましては十分善処したい、かように存じております。
  137. 坂本泰良

    坂本委員 警察官暴行に対しては、社会党としては法規対策委員会でこれを決定しまして、司法上の告訴告発の用意もするし、さらに警視総監その他第八方面隊隊長をぜひここへ呼んで、今言われたようなことならば、こういうことはないはずだけれども、千名の傷害、暴行を受けた者が出ておるのですから、一つこの点はさらにあとで究明いたしたいと思います。
  138. 大矢省三

    大矢委員長 門司亮君。
  139. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡単にお聞きしたいと思いますが、ちょっとその前に警視総監に来ていただきまして会議を開きますに当っての参考の資料として、調達庁に要求いたしておきます。これについては委員長に取り上げていただいて、ぜひ出していただきたいと思います。  それは砂川の問題に関する訴訟が幾つか起っているはずであります。従ってその訴訟の件数と、いわゆる事案内容はどういうものが訴訟されているかということの書類を出していただきたいと思います。  それからあとは主として警視庁でありますが、警視庁に対しましては、警察官出動に対しまするいわゆる心得書が出ておるはずであります。それから武器の使用について、いわゆる警察官の職務執行法の七条に基く武器の使用についての心得書がこの中にあると思いますが、これについて両方出してもらいたい。  その次には、当日、十二日、十三日の警察部隊編成とその責任者の氏名をぜひ出してもらいたい。同時に出動人員の数を明らかにしてもらいたい。これは制服及び私服の別を分けておいてもらいたい。  その次には、警察官命令系統と命令内容を一つ出してもらいたい。どういうことで警察命令系統があって、命令はどういうものが出されたかということ、これは警察庁の長官から警視総監、警視総監から各警視庁内部における組織に対して、どういう命令書が出されておるか、その内容を一つ明らかにしてもらいたい。このことは非常に重大な問題でありまして、あの事犯の起きた一つの大きなかぎになるかと思いますので、ぜひ出してもらいたい。それと同時に、警察庁あるいは警察の今度とって参りました警備方針を一つ明らかにしてもらいたい。いずれも文書で出してもらいたい。  それからその次には、今回の事件におきまする負傷者、いわゆる一般人と警察官負傷者の数をできるだけ詳細に出してもらいたい。その内訳といたしましては、重傷が何名あるいは軽傷が何名というように書いてもらいたい。同時にわかっておるだけの負傷の場所と種類、私がこのことを聞いておりますのは、この事犯の暴力行為に対しまして、どういうものが一体暴力行為になっておるかということ、このことは今度の問題を解決いたします上において非常に重要な問題でございまして、負傷の種類とその傷害を受けておる人体の場所が、一体どの辺にどういう負傷が多かったかということを、わかっておる範囲において一つつまびらかにしてもらいたい。同時に、この事案に対する検束者が何名あって、これがいかような処置がされておるかということ等についても、この際あすの会議に間に合うように明細にしてもらいたい。このことをぜひ警察当局に要求していただきたいということを、一つ委員長にお願いをいたします。  それからごく簡単に一つだけ聞いておきたいことがございますので、これは大麻さんから率直に御答弁いただきたいと思います。それは今までいろいろの問題がありましたが、警察は八千万国民警察であるということを大臣は言われております。まことにその通りだと思う。だがここで私は非常に奇異に感じますので、警察の答弁をはっきり求めたいと思いますことは、八千万国民警察官であるべきものが、本日の新聞の報ずるところによりますと、その見出しに、警察官暴行した、あるいは警察官が暴動化したという文字を使っております。これは八千万国民警察官ではないということが私は言えると思います。この新聞報道に対して、一体警察はどういうお考えをお持ちになりますか、さらにこれを肯定されるかどうか、もし肯定されないとするならば、警察官暴行しなかったという実証をこの際はっきりあげてもらいたい。このことを本日は非常におそくなっておりますので、もしここで答弁ができないというならば、書類でも何でもよろしゅうございますから、一つこういう事件の解決をすることのための最も大きな資料として明確に示してもらいたい。八千万国民の生命と財産を守るべき警察官が、暴動化したあるいは暴力化したということになって参りますと、これは大へんなことなんです。その責任国家公安委員長責任だと私は考える。従ってこれを明確にお答えを願いたい。
  140. 大麻唯男

    大麻国務大臣 警察官が八千万国民のための警察官であるということは、私どもの常に目標としておるところであって、そうでなければならぬ、かように考えております。また中には心得違いの者もありましょうけれども、大体そういうようなつもりで全国の警察官はやっておる。これはお認めおきを願いたいと思います。全国の警察官の士気にも関係することでございますし、それだから私はどうしても日本警察は一部少数の人の警察ではなくして八千万国民警察であるということを強調したいと思うのでございます。また事実警察官はそういうつもりで一生懸命やっておりますということを、ここにはっきり申し上げたいと思います。しかしながら都下の大新聞にああいうことが書かれましたことは、これは警察としては非常に残念に思うのでございます。自分たちの至らざるところを顧みまして、どうしてもああいうことが書かれないように今後努めなければならぬ、かように考えております。しかしながら書かれたことは事実でありますから、そういうふうに書かれるようでは警察はいけない、これは反省しなければいけない、そういうことを今後書かれないように心がけなければならないと、かように考えております。これだけをはっきりと私の考えとして申し上げます。そしてそれに至らぬところがあったら、今後どしどし改めまして、そしてそういうふうに言われないようにしなければならぬ。それで初めて警察の威信が保たれる、かように考えております。ああいうことを書かれるようでは警察の威信が非常に落ちたと思うのですから、これは残念に思っておる。
  141. 門司亮

    ○門司委員 私はこれ以上の答弁は要りませんが、今の大臣の御答弁を聞いておりますると、大体今度の事件に対する警察態度は、一応新聞に書かれておりますように、非常に暴動化して、そのこと自体は遺憾であったということを大臣がお認めになったものと解釈して差しつかえございませんね。これは念を押しておきます。
  142. 大麻唯男

    大麻国務大臣 一部やったことについて行き過ぎの点はあるかもしれませんが、暴動化したということは、それはうそだと私は思っております。しかしながらそういうことが書かれないように注意はしなければならないけれども警察官が暴動化してはおらない。これだけは全国警察官の名誉のためにも、はっきり申し上げておかなければならぬと思います。
  143. 門司亮

    ○門司委員 これ以上私は議論いたしませんが、大臣の今の答弁は非常に苦しいあいまいな答弁でありまして、念願していることは、私どもも念願しております。そうでなければならぬと思う。また全部の日本警察官がそうだと思いません。しかし一部であってもなくても、とにかく十二、十三日に起った事犯については、これは何にも武器を持たない無抵抗主義である民衆に対して、あれだけの負傷者出したという事実は、否定するわけには参りません。従ってその暴行を受けた者に対しては、これは明らかに暴動化したという言葉が適切であるかどうかわかりませんが、しかし暴行したことに間違いはないのでありまして、そのこと自体は私は今までの大臣の答弁から考えて参りますならば、大臣は一応お認めになっているものとして、今後私はこの問題に対する処置を考えたい、こう考えております。
  144. 大麻唯男

    大麻国務大臣 尊敬する門司さんにお言葉を返すようで、はなはだ悪いですけれども警察官をそう暴動々々と言われては……(門司委員「あなたが言うたと言いやしない」と呼ぶ)違いますよ。(「見ていないからわからないんだ」と呼ぶ者あり)それは見ていないけれども、両方にけが人も出ているし、行き過ぎはあったかもしれないけれども、暴動だと言うのは非常に酷だと思います。それは承服できないわけであります。
  145. 門司亮

    ○門司委員 今大臣は酷だというお話でございますから、一部酷でないという範囲においてはお認めになっていると思いますが、しかし問題はそういうことでは片づかぬと思います。もし大臣が絶対にそういうことがないという御確信があるなら、そういうものを国民の前に明らかにされることが至当である。しかし私は暴行でなかったということの立証は、この際はできないと思う。従って暴動化したという言葉はあるいは多少行き過ぎかもしれないが、しかし警察官行為が不法であったということは、私ははっきり言えると思う。この点は大臣においてもお認めを願っておきたいと思います。
  146. 大麻唯男

    大麻国務大臣 暴動化したという言葉は、少し行き過ぎかもしれぬということを門司さんがお認め下さいましたから、こっちとしましては、行き過ぎがあったことは、これはどうもあったかもしれないから、そんな大きなことは言えない。十分努めてはっきりしまして、早く国民の信頼をますます厚くするように努めたい、こういうことを申し上げまして、お答えとしておきます。
  147. 門司亮

    ○門司委員 大臣の答弁は、その点は何とかして問題を自分たちの都合のいいようにまげて解釈されようとするから、そういうことになるのでありまして、暴動化したということは大きな問題であります。しかしあの事件については、警察官が兇暴化しておったということは事実です。兇暴という文字は使えると思うのです。暴動という一つの計画的のものではなかったかもしれない。しかし事態に対処した警察官態度は、明らかに兇暴化したということは言える。これは大臣にもこの際認めてもらいたい。
  148. 大麻唯男

    大麻国務大臣 慎重に研究しなければ、こういうことは軽々にそう断ずるわけにいかぬと思う。どうぞそれで御了承願います。
  149. 大矢省三

    大矢委員長 それでは時間もだいぶ経過しておりますが、先ほど要求のありました資料は、それぞれ関係者から出していただくように私から請求いたします。では突然のことで、きょう参考人に来ていただくことができなかったので、明日は午前十時半から開会したいと思います。  それではこれにて散会いたします。     午後五時二十六分散会