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1956-09-12 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年九月十二日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    大森 玉木君       唐澤 俊樹君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    古井 喜實君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       西村 力弥君    門司  亮君  委員外出席者         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林与三次君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 八月二十七日  委員門司亮辞任につき、その補欠として田中  織之進君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  門司亮君が議長指名委員に選任された。 九月六日  委員門司亮辞任につき、その補欠として飛鳥  田一雄君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員吉田重延辞任につき、その補欠として林  唯義君が議長指名委員に選任された。 同日  委員林唯義君辞任につき、その補欠として吉田  重延君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員小澤佐重喜君、飛鳥田一雄君及び西村彰一  君辞任につき、その補欠として大森玉木君、門  司亮君及び西村力弥君が議長指名委員に選  任された。 同日  理事吉田重延君同月七日委員辞任につき、その  補欠として同君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び財政について、調査を進めます。発言の申し出がありますので、順次これを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 最初に地方財政再建促進法のその後の進捗状況につきまして、財政部長から御説明願いたいと思います。というのは、この前の委員会でお伺いした進捗状況はどうもはなはだ思わしくない、この分でいくと年内に完了するかどうかわからぬというような情勢でありましたから、その後の状況をこの資料について御説明を願いたいと思います。
  4. 小林与三次

    小林説明員 お尋ねの財政再建事務処理状況について、簡単に御説明申し上げます。  お配りになっておられますのは、専門員室の方で御調製になりました資料で、九月三日現在であります。現在はこの資料よりもさらに進んでおります。九月三日現在は、一番最後の表をごらん願いますと集計がございますが、府県十三、市が二十九、町村四十八、計九十団体、こういう数字になっておりますが、本日九月十二日で現在ではその数は、承認府県が十三、市町村が八十九、合計百二、その上今明日中にもまたプラス五件が出る予定になっております。  それでその他の問題はどういう状況になっているかと申しますと、これは大蔵省で現在協議中のものが百六十くらいございます。それから自治庁で内協議を済ませまして、そして地方に渡して今地方あと手続を進めているものが三百十九ございます。それからその後場合によっては取り下げようかというふうな空気のものが一部ございます。これが八つぐらいあるようでございます。これはまだ向背がはっきりわかりません。あと私の方で内部的に審査しているものはもうほとんどございません。それで現在は地元町村で正式の審議を進めておる、一部は大蔵省で進めておる、こういう状況であります。自治庁といたしましては、地方に行ったものにつきましては地方ですみやかに態度をきめまして、正式の手続をするように督促をいたしております。それから大蔵省に参っておるものにつきましては大蔵省に対して審議促進を勧めておる状況でございまして、毎日のようにというわけにもいきませんが、回っておるものから逐次進めつつあるというのが概況でございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 ただいま伺った状況でございますと、前回の委員会から約一月ちょっとであります、その間に五十団体くらいが新しく承認を受けたことになります。こういうスピードでいきますと、五百団体をやるのに毎月五十ずつやっておったら十カ月もかかってしまうのじゃないかと、はなはだ憂慮される次第でありますが、下手すると来年度繰り越しのものも出てくる、こういう状況に対して自治庁はどういうふうな措置をおとりになっておるか、どういう見通しを持ち、またお考えを持っておるか。
  6. 小林与三次

    小林説明員 今のお話でございますが、そういう心配はもちろんございません。私たちの方といたしましては今年中にはもちろん片づけたい、今年中どころじゃなしに、もう大蔵省に参っておるものにつきましては、すみやかに話をつけてけりをつけたいと思います。それから地元市町村に残っておるものにつきましても、おそくとも今月一ぱい——今月一ぱいは無理だろうと思いますが、来月か、もう一月くらいのうちに出すものは全部出させる、そういうことであとは一月か二月くらいかかるかと思いますが、そういうことで最終のものでもここ数カ月というよりも二、三カ月のうちには、ぜひ片づけたいという考えであるのでございまして、来年にまたがるようなことはもちろんあり得ぬし、またそういうことをしてはいけない、こういうふうに考えております。
  7. 北山愛郎

    北山委員 お話のようであれば大へんいいのですが、しかしこの前の委員会でもその点の質疑がされて、たしか鈴木委員からも事務進捗についていろいろ御注意があったわけであります。しかしその後五十件くらい承認がふえておる程度であって、どうも私どもはわきから見ておって余分な心配かもしれませんけれども、そういうふうに楽観は許されぬのじゃないか、それからことに地方団体状況を聞きますと、再建適用のためにしょっちゅう自治庁にお百度参りをして、その旅費が莫大なものになっておる、非常に事務的に繁雑である、下手するとちょっとした利子補給だけは旅費の方でふっ飛んでしまうのではないかということすらいわれておるのですよ。ですから一面においては事務の繁雑ということ、それは自治庁大蔵省意見調整とかあるいは団体の意思の決定とか、いろいろ事実上の障害はあると思うのです。そういうものが解決されないと、ただ小林さんの馬力だけではその通りいかないのじゃないか、もしもそういうふうに残った場合にはどういうことになるのですか。相当団体が残ってしまった、しかし再建指定日はきまっておるというようなことで、来年度予算も組まなければならぬのですから、そうすると一年繰り越しということになるのですか。
  8. 小林与三次

    小林説明員 再建のためにかえってお金がかかるということになると、これは申しわけないのでありまして、協議の最中におきましては、おそらく自治庁の方に市町村の係の人が出てきたこともあるだろうと思います。これは今申しました通り自治庁としましては審議が終りまして、自治庁としての意見は大体出てきた市町村との打ち合せを済ませながら地方意見が出ておりますから、もうあと市町村で最終的な態度をおきめ願って正式な書類をいただけば、こちらの方へ説明に来る必要はない。大蔵省との話はもっぱら自治庁の方で折衝をして話をつけたい、これは基本的な考え方であります。今までも大体そういう方法で事を進めております。特殊な問題については例外があるかもしれませんが、一般的にはそういうことで自治庁大蔵省との折衝万事解決をしたいというのがわれわれの考え方でございます。それでだんだん問題の焦点も実はしぼられておりまして、現在大蔵省でも五百何十たまっているのにつきましては、今一般的に論議をしなくちゃならぬ問題がありまして、これは今自治庁大蔵省の方でやり合っておりますから、これが解決すればごそっと大ていの問題は解決つくのがございます。しかし団体によっては非常に特殊な問題があるのもこれは事実でございます。そういう非常な特殊なものは最後に残るかもしれません。そうでないものは全部早く片をつけたい、こういう考え方であります。今お話のようにまさか来年度にまたがる、そういうような事務上の処理というものはわれわれとしてもしちゃいかぬ、またこれはすべきものでもなくて、そういうことにならぬように話を進めたいと思っております。
  9. 北山愛郎

    北山委員 別の問題としてお伺いしておきますが、実はこの前の委員会でもお伺いして未決定の問題であります。これは例の借りかえ債の処理政府資金の分が三十億ある、これをどうするかということについてこの前は自治庁大蔵省との間の意見調整がつかなかったのです。その後一月以上たっておりますが、この調整はどうついたのか。あの借りかえ債の三十億というのはどういうふうに処理するのかどういうふうにおきめになったのですか。
  10. 小林与三次

    小林説明員 この借りかえ債の問題は、これは申しわけないのですが、実はまだ話がついておりません。と申しますのは、今まで一般起債の方の配分につきまして早くけりをつけたいというので、これはもう大体始末をつけまして、今度は残った借りかえ債の問題を片づけなければならぬというので、具体的に話を進めております。これは三十億の問題とともに御承知の公募の問題がございます。公募の問題はそう簡単に——相手のあることですからできることもあるし、できないこともある。これができなかったら非常に問題の多いこともあるのでありまして、そういう問題もあわせて解決策を講じ、早く片づけたい。起債の問題で残っておるのは、大体しぼられるとその問題になってきますから、その問題も早く処理いたしたいと存じております。
  11. 北山愛郎

    北山委員 その一例の借りかえの問題すらも、数カ月かかるのでは思いやられるのです。しかもこの借りかえ債の問題というのは、やはり計画承認関連する大きな問題である。それならばどういう点で意見食い違いがあるのですか。自治庁はどういうお考えであり、大蔵省はどういう考えであるのか。この三十億の借りかえ債はどういうふうに使おうというのか、あるいは使わないというのか。もう年度相当過ぎておりますから、どういうふうなお考えで一体こういうものを財政計画に組んでおるのか、初めからきまっていなければならぬ。それが今もって省庁の間の意見調整がつかぬというのは、これがすなわち事務の渋滞を来たしている大きな原因だと思う。一体どういう大きな意見相違があるのですか。
  12. 小林与三次

    小林説明員 借りかえ債の問題は今申しました通り起債の問題が全般的にございまして、起債配分をともかくも早く急がなければ地方では仕事もできない、こういうので厚生事業なり教育関係なりその他の起債配分につきまして、今まで一生懸命になっておりまして、これは大体見通しをつけましたのです。そこで残った問題が借りかえ債の問題になっておりまして、現在どういう点で意見食い違いがあるかということを具体的に申し上げる段階ではございませんが、最後借りかえ債の問題が残る。この問題を解決せぬければならぬ。この問題と再建計画とは必ずしも関係はないのでございまして、普通の再建団体につきましては別にかかわりなく、個別の問題はともかく進めていかなければならぬと思っておるわけであります。それでありますから借りかえ債の始末の問題につきましてはしばらくゆとりをいただきたいのでありまして、さっそくに始末をつけたいと思います。
  13. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それに関連して再建債処理して借りかえの問題ですが、これは地方団体意向はどういうふうな意向であるかという点をちょっとお聞きしたいのですが、従来銀行その他と公募債において相当関連があった。ところがそれを取り上げて政府資金に振りかえるということにする場合に、利子補給というものがあるのだから、むしろ公募債を持っておりたい、政府資金に取られるというよりも、利子補給があるのだから、その補給を受けながらダブついておる預金をそういうふうな堅実な再建債の方に切りかえておいた方がいいというような、従来の各府県なり、市町村取扱い銀行側意向があるかどうか、その点は一応どんなふうな情勢にありますか、お聞きしたいと思います。
  14. 小林与三次

    小林説明員 今お話通り、従来の公債の問題につきましては、やはり地元銀行は、このごろの金融の状況から考えましても、全部引き上げられてはかなわぬというところも現にございまして、それで再建債の場合でも、再建債公募の消化がえらくむずかしいかというと、逆にかえってそのまま再建債として従来やっておった先の人が引き受けたいというところもありまして、そういうところはすぐに始末がつくわけでございます。そこで公募債借りかえの問題は、今申しましたお話のように、相手がございまして、しかも高利で借りておったものを、こっちは低利にしなければならぬのでございますから、そこはなかなかこっちの希望通り向うが応じてくれないというところが、実はあるのです。それでございますから、三十億の問題は、これは政府資金の問題ですから事柄は簡単ですが、五十億の問題になってくると、計画通り進めるためには、相当大蔵省の協力も願い、銀行側とも強く折衝しなければ、なかなかむずかしい問題が現実にあるのです。そういう問題がございましてこっちも今苦労いたしておるのでございますが、それをまた総合的に考えなければ、借りかえ債の問題は全然解決がつかないというのが実情でございます。それで北山委員から今おしかりを受けましたけれども、借りかえ債の問題に本式に取り組むのはこれからの段階になっておるわけでございまして、これはどうしても公募債を総合的に考えてこの問題をうまくやらなくちゃいかぬというのが実情でございます。
  15. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、借りかえ債の運用については、公募債も含めて大体再建計画承認とは関連なしに別途のものとして運用するということだけはきまっておるのですか、それが一点。それから私は、どうも今もってこの問題の解決がつかないというのは実に受け取れないし、それから両者の意見相違点もまだはっきりする段階でないなどということは、どうしても納得ができないのです。これはもしはっきりできないなら、どうしてできないのか、お話し願いたい。  それからもう一つ新たなる事態が出てきておる、それは再建計画というものを一応地方団体が作って出す。ところが最近において地方交付税の例の態容補正が出てきまして、それで一部の地方公共団体には交付税のふえたところもあるし、減ったところもあるわけです。そうすると、それに伴ってすでに作った再建計画変更を当然余儀なくされてくる、これは一つ事態でありますが……。そうすると、一応承認済みのものも、来年度計画からしてまた変えていかなければならぬ。次に、今資料として配付されたうちで、来年度地方財政対策の中で、もしも地方債元利償還についての何らかの措置自治庁がやろうとし、それができるだろうと私は信じておりますが、そうなれば、今度その事態によって、また再建計画を変えなければならぬという事態ができてくる。あるいは税法改正も出てくるでしょう。そういうことになれば、せっかく七年、八年の計画を作ったのが、年々制度改正によってその収入なり支出が変って参りますから、毎年計画変更を要するということになる。どだい初めから再建法の中のいわゆる再建計画の年次計画なるものは実際は見積りにしかすぎないのですよ。それを確固たる計画のようにして、そうしてそのワクの中に押し込めようとこの法律がなっておりますが、そういうふうにしておいてそのような変動が起きてくると、当然そのたびに変更しなければならぬ。今まですでに申請されている分の計画承認すればそれで済むという事務じゃなくて、さらに今後その分を毎年々々変更するという事務すらも今度起ってくるのですよ。それで私はこれは果てしもないどろ沼の中に入ってしまっているのではないかと思う。私は再建法の第二条ですか、あの再建計画そのもの性格について、当初あの法案を審議した際に申し上げたのですが、あの年次計画なるものは、そういうふうな将来について厳重に縛るというようなものであってはならない、こういうように申し上げたはずですが、事実はその通りになっている。この現象を一体どういうふうに考えるのですか。
  16. 小林与三次

    小林説明員 先にこの借りかえ債と再建計画の問題でございますが、この借りかえ債とは関係なく再建計画の方は進めたい。再建計画のうちで借りかえ債をどうしても前提にしなければならぬというものもないわけではありませんが、それは大ていの場合数年度計画の問題でございまして、これはともかく再建計画を早くきめなければ個個の団体が非常に困りますから、それは早く始末をつけたいというので進めておるわけであります。借りかえ債の問題は、再建団体、非再建団体を問わず一般の問題として考慮しなければならぬので、一応これを切り離しまして今その問題に取りかかっておるのでございまして、非常に遅れましたことはまことに申しわけないのですが、お許しを願いたいと思うのでございます。それからもう一つは、再建計画を作ったが、たとえば交付税がきまった、あるいは特に災害が起ったということになれば、これは当然に再建計画変更の問題が起ってくるのでございまして、それは変更せざるを得ない。ただし変更につきましても、今果てしないどろ沼という御表現でございましたけれども、これは一応計画でございますから、変った事態がそれぞれの団体について起れば、これは変えざるを得ない、また変えるべきものだろうと思います。特に制度が変ったりすればこれは当然の話であります。かりに制度が変らなくても、個々団体実情によってやむを得ないということがあり得ると思います。それにつきましても、こっちといたしましては、速急に変更の問題がもう起りつつありまして、これをどういう形でやっていくかという問題は、個々団体の負担にならないように、あるいは再建計画の根本に影響のないように、変更手続方法もなるべく簡便にいたしたい、こういうのでその方針を部内で相談をいたしておるのであります。精密に言いますと、ちょっと金額をいじっても後年後にぱっと響くということになって、八年、六年を全部いじるということになると大へんな話でございまして、そんなことをやっておっては動きがつくわけではございません。そんなわけでございまして、当然に後年度に響く問題と、しからずして当年度限りの問題とあるはずだと思います。交付税法の問題などならば当然にあとに響きますが、そうでない、一時収入に響きますけれども、あとに響かないという問題ならば、当年度限りの問題ということになるのであります。そこで計画変更手続につきましても、当年度限りで済むものは当年度始末をつけて、あとに響くものはあとに響くもので始末をつける、こういうふうに考えまして、なるべくこんがらがらないようなことで手続を済ませたい。それからなお法律にもありますが、軽易な問題は承認を要せぬという手続がございますので、その承認を要せぬという範囲も政令で一応きまっております。もう少し運用上具体的に実態に合うようにも考えまして、要するに赤字解消という基本の大筋さえ確保していけば、これはいいのでありまして、その大筋に触れぬ限りは問題は、それぞれの実情に応じて適時動きのつくようにしなくてはいかぬという基本的な考え方で、その扱いにつきましても、検討を進めております。これも速急にきめなくちゃいかぬと存じております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 今までの再建計画がなかなか簡単にきまらぬと同じように、それはおそらく今後変更についてもなかなか簡単でないと思う。かりに今度の交付税法態容補正による増減分をどう見るか、これだっておそらく自治庁見解は、きまってないでしょう。今度の交付税のふえたものをどう見るか。来年度予算をどう見るかきまってない。おそらくそれは大蔵省といえども別な意見があると思う。これを計画外にして見るのか、あるいはその分をたとえば収入がふえたのだから、増税として計画したものを増税をやめてよろしいのか、なかなかこれはデリケートないろいろな問題が出るのです。決してそう簡単な問題じゃない。あと変更についても、しかも自治体の事情による変動以外に、このごろは地方財政あるいは行政面制度改正ということが毎年必至に起ってくる。おそらく三十二年度も起る、それから三十三年も起るでしょう。ですからそのたびに再建計画なるものは変動を予想されておる。予想されておるものを七、八年の先を見通し計画を立てるという場合には、これは概算の見積り計画にしかすぎない。そういう性格のものであるべきだ。それをやかましく厳重な性格に規定している。たとえば指定事業費を何%で押えるとか何とかいうことは、その場になってみなければわからない。各省はその省の見解によって事業費をつけるでしょう。それを一体どう調整するのですか。一応昨年度の七五%に押えたといっても、これは各省ばらばらな事業費ですからどういうふうに調整するのか、結局はその年度に行って見なければわからぬのです。わからぬものを初めから一つワクの中に押し詰めようという法律自体の中に問題があるのであって、そのためにまた自治庁事務当局は苦労しなければならぬ、自繩自縛です。私はその点を指摘するだけにとどめます。  その次に自治債券について自治庁通牒が出たはずです。あれはその後も変らぬでおるのですか。最近何か通達が変っておるように聞いておるのですが、人口十万以上の市それから府県自治庁確認行為を必要とする。それ以下のものは府県確認を必要とするというように何かやり方が変ったように聞いておるのですが、そうじゃないのですか。
  18. 小林与三次

    小林説明員 あの通牒自身はあのままになっております。今まで自治債券扱いにつきましては、もう少し具体的な扱いをきめる必要があるだろうと思っておるのでございまして、その問題を研究したいということが、あるいはそういうふうになったのじゃないかと思っております。今まではただおしかりばかり受けておるわけでありますが、正式の問題を早く片づけることがまず第一でございますので、これを片づけるために全力を注いでおりまして、これは一応めどはつきましたから、そういう問題とそれから今の変更の問題、これはいろいろ問題がありますが、これもなるべく実態に合うように簡素にやりたいという考え方で、向う扱いもきめたいというのでございます。  それから今指定事業の話なども出ましたが、指定事業の問題も実は残された問題の一つでございまして、今大蔵省と至急に折衝をしておる問題の一つでございます。指定事業の問題は、一つ予算ワクの問題がございまして、要するに法律補助適用を受けるか受けぬかという問題でございますので、大蔵省とも十分な話をつけなければ事がきまらないのでございまして、これもともかくも自治団体再建計画範囲内において自主的にやれる仕事はできるだけやらせ得るような方向でぜひ話をつけたい。こういうのでせっかく協議を進めております。それでそうしたことをいろいろ考えれば、再建計画というものは数年度にまたがるからという問題もございますが、ともかくも大きな赤字を数年度にわたって消すという長期——あまり長期でもございませんから、そういう数年度にわたる問題がどうしても根幹にならざるを得ないのでございまして、その根幹だけを守って、それぞれの実情に応じて進捗をしていく、その進捗は問題の起らぬように再建の目的を達すればそれで足るのでございますから、それ以上の問題につきましてはあまり複雑にならぬように逐次問題の扱いを整理いたしていきたいという考えでございます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 自治債券のやり方についてただいまのお話はっきりしなかったのですが、当初のやり方でたとえば変りはないというのですが、当初は確かに通達を出して、計画を県なりあるいは自治庁に出して確認してもらう、こういうことになっておったわけです。ところがそうではない、ゆるく変ってきたように思うので、もし変ったならばその点はっきりしていただきたい。
  20. 小林与三次

    小林説明員 今までのところはあの通牒はあのままにしております。しかし具体的の扱いはどうするかということをもう少し相談してきめたいと思っております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、近く変るということなんですか。これは不確実な情報なんですけれども、たとえば三年以内の計画である場合においては確認行為は要らないのだ。それ以上については府県協議をすればいいのだというようなことを指示されたかに聞いておるので、根本的に自治債券の方向が変ったように聞いておる。もしも変ったならばこれを明らかにしていただいた方がいいのじゃないか。またそういうふうに変えたいと思っておるのだが、まだ最終的にきまらぬというならば、今後変えるなら変えるで、大体こういう方向で変えるということをはっきりしていただきたい。
  22. 小林与三次

    小林説明員 今までのところは変えておりません。それで今後どこまでどう変えるかという問題も今具体的に申し上げるほどの意見も私は持っておりませんが、自治債券扱いだけはもう少しどうきめるかということを相談して早くきめたい、こういうことだけ考えております。どこをどうするかということまで、ちょっと私ここで申し上げる意見は持っておりませんので、御了承願いたいと思います。
  23. 北山愛郎

    北山委員 その点はっきりしませんので、もしもお調べになって、今お話を申し上げたような方向へ変えるというのであれば、この点の見解を明日でもよろしゅうございますから明らかにしていただきたい。  それから今再建の非常にわずらわしいじめじめしたお話ばかり申し上げましたが、今後は一つ年度における自治庁の構想についてお述べを願いたいと思います。そのうち特に地方債の元利負担、これはぜひとも三十二年度には何らかの措置をとるということを自治庁長官が言明されておる。それで自治庁として決定された方向はどういう方向であるのか、これは一つ早川さんからでもお話を願いたい。
  24. 早川崇

    ○早川説明員 まだ正式にきまったわけでもむろんございません。素案だけのことを申し上げますが、お許し願いたいと思います。既発行地方債処理につきましては、従来これを予算措置としていろいろ折衝しておりましたが、このたびは地方財政再建のための地方団体の公債費に対する臨時特別措置に関する法律という仮称の法律を現在立案中でございまして、法律の問題として処理いたしたい。その内容はたとえば失業対策費とかあるいは六・三制の建築補助その他特定の公共事業費、金額は二千五百億円くらいになろうかと思いますが、そういった国の財源の補てんが十分でなかったために、やむなく地方債になったというような性質のものに対しまして、利子の半額国庫負担、また特に自治体において財政状況が非常に悪い、その原因もやむを得ない特別な場合には、元本並びに利子の全額補給、こういった内容で現在検討中でございまして、それに要する予算は百二十億今年要求いたしたい、かように考えておる次第でございます。今後の発行する地方債に対しましては、これは一般的な利子逓減とか特別に利子半額補給とか全額元木補給ということは考えておりません。
  25. 北山愛郎

    北山委員 ただいままでたまっておる地方の従来の借金が五千億以上あるのでしょうが、その中で今お話のようなものは、ものによっては全額利子補給をするというのですか。私の聞いたところでは、災害関係起債、義務教育の関係起債、それから補助事業の起債、こういう関係のものの利子を半額補給するというお考えのようにちょっと漏れ聞いておるのですが、どうなんでしょうか。
  26. 早川崇

    ○早川説明員 ただいま申し上げましたように、一般的に半額利子補給ということであります。ただし元利償還額が多額に上り、著しく財政を圧迫しておる地方団体に対しては、事の性質を検討した上で利子の全額または元金の一部を補給する、こういう法律案を検討いたしております。
  27. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、団体によって、元利の負担が非常に大きい団体等について特別にそういう措置をとるというお考えのようでありますが、災害対策について、これは単独事業についてもやはり従来——たしか昭和二十五年でありましたか、全額国庫負担にした例もあるわけです。従って、それは何も積極的にその団体、その地方に利益を与えたというものではなくて、いわば病気を直した、傷あとを直したという経費なのですから、その分についてはそういう全額国庫負担の趣旨で従来の分についての少くとも利子負担は全部補給するのが正しいのではないかと思うのですが、早川さんはどのように考えておりますか。
  28. 早川崇

    ○早川説明員 一般的にはやはり半額利子負担ということになっております。同じ議論は、たとえば六・三制の義務教育校舎の問題にも言えるのでございまして、これは国の義務的な制度によって地方が負担をしなければならない。しかしその時代の人たちだけで負担をするのは金がないということで、これを十年、二十年の起債にしていくという議論はわかりますが、しかし利潤も生まないのに六分五厘、八分という高利まで払っていかなければならぬ。しまいには元本と利子が一緒になる。義務教育の場合これは理屈に合わないのではないか。単に災害復旧のみならず、そういった義務教育その他も含めまして、でき得れば全額国庫負担といたしたいのでありますが、戦争前、ちょうど現在の利子の半分、三分五厘程度が地方債のあれでもありますし、諸外国の地方債も二分五厘から三分という情勢をもあわせ考慮いたしまして、あまりにもラジカルな方法を避けまして、二分の一の国庫負担、ただし政令によって、特に公債費負担のために財政がどうにもならぬという特別な場合には、利子の全額または元本まで補給しよう、こういう考えであるのであります。
  29. 北山愛郎

    北山委員 それから今後借り地方債については、この委員会でも再々各委員から償還年限の延伸あるいは利率の低下というようなことのいろいろな要望、意見があったわけであります。ですから少くとも償還年限の延伸等については、自治庁でお考えがあるだろうと期待しているのですが、そういうお考えはございませんか。
  30. 早川崇

    ○早川説明員 一般的問題といたしまして、起債の問題、特に公営事業の電気の起債なども、民間では四十年というのを、こっちは二十五年くらいにしております。そういった意味で地方債は全般的に期限が少い場合がございますので、この問題につきましても来年度大蔵省折衝いたしまして、若干公募債も含めて長期起債の方向に持っていきたいと目下折衝中でございます。
  31. 北山愛郎

    北山委員 もう一点だけお伺いしておきます。来年度地方財政対策として、自治庁としては新市町村の育成のために相当な意気込みを持っておられる。そうしてたしか六十何億かの予算要求をしておるようであります。これは大へんけっこうなことでございまして、実は今まで衆参両院とも従来の合併促進法に明記されておることの実行を政府に迫っておったわけでありますが、なかなか実行されておらなかった。六十億というのはちょっと少いのですけれども、それだけとすればよいと思うのですが、六十何億というものを一体どういうふうな形で、新市町村の育成にお出しになる御計画であるか。それをお示し願いたい。
  32. 早川崇

    ○早川説明員 この問題は前の国会で北山委員からずいぶんお話がざいました点も入れまして、電話、道路、橋梁その他につきまして、今年は昨年よりも何とか実のあるところまで持っていきたい、こういう趣旨でございます。その内容につきましては行政部長の藤井君から申し上げさせます。
  33. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 御承知のように町村合併促進法は今月の末以降をもって失効いたしまして、来月から新市町村建設促進法が全面的に施行になるわけでございまして、私たちといたしましては、来年度の重点は、新しく生まれました新市町村の健全な育成の基盤を造成して参るということに重点を置きまして努力して参りたい、かように考えておる次第でございます。来年度予算といたしまして、自治庁といたしましては、新市町村の建設に要する経費といたしまして、今お述べになりました程度の予算要求をいたしておる次第でございますが、この内容は、都道府県に対します補助金と、それから新市町村に対しまする補助金、二つの内容に分かれておるのでございます。都道府県に対しましては都道府県にそれぞれ新市町村の建設促進審議会が置かれることに相なりますので、これに要する経費並びに新市町村がそれぞれの建設計画調整いたしますための指導費あるいはそれぞれの町村に適合した調整計画の基準を策定いたします経費等につきまして助成をいたしたい、かように考えております。主体は新市町村に対する補助金でございますが、これもそれぞれの市町村に置かれまする建設審議会に対する経費、並びに建設計画調整に要する経費等のほかに、支所、出張所の統廃合等新しい市町村の組織運営の合理化のために必要な施設の整備に要する経費を主体として要求をいたしておるような次第でございます。この支所、出張所の統合等新市町村の組織運営の合理化に必要な経費でございますが、もちろん新市町村の育成のためには、各省がそれぞれの立場から独自の方策を持って、しかも全体としては調和のある統一のとれた態勢のもとに育成の措置を講じて参らなければならないことは当然でございまして、関係の各省におかれましても、本年度と同じような方針あるいはさらに新しい角度から来年度についてそれぞれ措置すべきものを考究をしていただいておるような次第でございます。  当庁といたしましては、それぞれの省の主管に相なりまする事務について出しゃばって参るわけには参りません。もっぱら重点を新しい市町村の一体性の確保、今後伸びて参りまする新市町村の基盤の育成ということに重点を置きまして、助成の方途を講じて参りたい、かように考えておる次第でございまして、このため必要なる道路の新設であるとか、あるいは幅員の改良事業、並びに橋梁のかけかえ、あるいは補修の事業、そのほか部落電話の架設なり有線放送事業、さらには連絡に要しまするオートバイであるとか、あるいは土木事業用のトラック等の購入助成、そのほか支所、出張所の統合等を非常に推進いたしておりますけれども、問題はこれらを収容いたしまする中心の役場に余裕がないというのが現状でございます。これらに対しまして、若干の増築の関係の事業に対して助成の方途を講じたい、かように考えておる次第でございます。大体一市町村平均といたしまして積算をいたして参りますと、千三百万円程度の積算基礎が出て参るわけでございまして、これを新市町村の平均の単価といたしまして、総事業量を出し、理想的に申せば単年度で全部実施してしまうというのがよいのでございますが、いろんな関係からそこまで踏み切りをつけることもできませんので、それぞれ年度計画を立てまして、助成の道を講じて参りたい、かように考えておる次第でございます。  以上概略御説明を申し上げました。来度年の新市町村建設に要する予算措置についての当庁の構想でございます。
  34. 大矢省三

    大矢委員長 亀山委員
  35. 亀山孝一

    ○亀山委員 北山委員の御質問中でありますが、政務次官が何か政務次官会議で退席されるので、その前にちょっとお伺いしたいと思います。  この前の委員会で、私は京都市における観光税の問題を質問申し上げまして、これが自治庁におかれまして、十分慎重な態度で認可をしていただきたい。あるいは認可までに市と社寺側との協議問題もあるということを申し上げました。私の聞くところでは、ついに京都市側と社寺側との間には十分の話し合いもつかずして認可申請を出したやに聞いております。またこれが奈良市にも波及いたしまして、奈良の社寺側と奈良市あるいは奈良県との間にいろいろ問題もあるようでございますが、これにつきまして、自治庁側はどういうようにお考えになるか、どういうような態度でお進みになるか、この際政務次官からお伺いをしたいと思います。
  36. 早川崇

    ○早川説明員 まだ県の副申がついて自治庁まできておりませんので、原則論だけしかお答えできないのでありますが、原則論といたしましては、自治庁としては自治体でありますから、市町村、特に京都市の観光税の場合には、これを拒否する理由はないと考えております。ただしそれにはあの法律にありますように、一般の国税との競合とか、そういった法律条項に抵触する場合には許可ができないという規定がありまするので、そういった条項を含めまして、大体の見当としては今月末ごろ最終的に決定いたしたい。まだ県から副申がついた書類がきておりませんので、その程度のお答えよりできない現状であります。原則論だけを申し上げます。
  37. 亀山孝一

    ○亀山委員 これを拒否できないということは、この前も太田大臣も自治庁見解として仰せられたのですけれども、そのときも申し上げたように、こういう問題は法律問題ということでなしに、宗教関係あるいは観光事業に重大な関係があるから、むしろでき得るならば自治庁が間に入られて、市及び社寺側との間に何か話し合いをつける。そうして先般加賀田委員がなんかおっしゃっておられたように思いますが、あるいは寄付ということにして税として取り立てない、あるいは修学旅行の学生生徒に対しては特別に考慮すること等も、自治庁が間に入って話し合いをされるべきじゃないかと私は思うのですが、そういうことに対しての御見解を伺いたい。また今月末とおっしゃっているが、すでに日も迫っている今日、あまり性急なことをなさらぬで、十分自治庁でこれが善処方をお願いしたいと思うのでありますが、重ねて一つ政務次官の御意見を伺いたい。
  38. 早川崇

    ○早川説明員 自治庁といたしましては手を尽さなかったわけではないのでありまして自治庁の通達でできるだけ協議してもらいたいという書類は出しております。ただしまだ正式に自治庁まで書類がきておりませんので、その上でできるだけ円満に行政指導をすることは、お説の通りいたしたいと思っております。先ほど申し上げましたのはあくまでも原則論だけでありまして、具体的に書類がきましてから検討いたしたいと思います。
  39. 大矢省三

    大矢委員長 永田君。
  40. 永田亮一

    ○永田委員 ちょっと政務次官がおられる間にお伺いしたいと思うのですが、この前の国会で地方自治法の一部改正が行われました。それで都会議員だとか府県会議員だとか、そういう人たちの報酬が、報酬以外の名目では一切認められないということを決定したはずであります。ところが昨今新聞を見てみますと、東京都では三千七百万円でしたか、何か退職金とかいう名目で渡したというようなことが出ておったのであります。それから大阪市でもやはり一千何百万円というものが議員の退職金という名義で出されたということが新聞に書かれてあります。こういうようなことは、私どもがきめたこの法律に明らかに矛盾した、あるいは地方自治法を踏みにじったやり方だと私は考えるのですが、そういう問題の真相がおわかりになっておったら、自治庁の方で御発表願いたいと思います。
  41. 早川崇

    ○早川説明員 法律的に申しますと、自治法の効力発生以前の問題でございまして東京都の問題も違法ではないのであります。これが政治論として是か非かということは、これは別個の問題でありますが、法的には発効前でございますから、違法ではございません。
  42. 永田亮一

    ○永田委員 こういうことは、なるほど法的には違法ではないかもしれませんが、私どもがこういう法律を作った趣旨というものから考えてみまして、まことに遺憾だと思うのであります。また新聞で見ますと、大阪のある議員なんかは、これは一般の労働組合が退職金を戦い取るのと同じだと言ったというようなことまで書かれておるのでありますが、こういうことは議員が悪いことをやっておるということを自分で意識しておりながら、何とかこじつけて弁明をしようとしておるように考えられるのですが、自治庁としてどういうふうにお考えになるか。こういうことをそのままほうっておいていいものかどうか、御意見を伺いたいと思います。
  43. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 新聞紙上で、特に東京の都議会議員並びに大阪の市議会議員等につきましての、退職金の問題が論議をせられておるのであります。大阪の方の詳細は今まだ調査をいたしておる段階でございますが、東京について調べましたところは、ただいま政務次官からもお述べになりましたように、実は東京の議員の退職金の支給内規と申しますか支給規程によりますると、これは落選をせられる、あるいは死亡等で議員をそのままおやめになるという場合に、今までのものをまとめて出すという規程に相なっておるようでございます。従いまして昨年の選挙で再選にならなかった方々につきましては、去年すでに支給がなされておるわけでございます。今回問題になっておりまするのは、実は再選せられた方々の退職金につきましてこれを支給した。いわば議員さん方の考え方から言えば、これは一種の既得権であって、当然もらえるべきものをまだ預けてあるのだというような考え方をいたしておるようでございます。去年までの分、去年の四月やめまする前までのものを支給したというのが実情でございます。この点は今月に入りますると退職金というものは支給ができないということは、はっきり法的に規制を受けまするために、八月になりまして急遽支給の措置を講じたというのが実情でございまして、法的に申しますると、これは一応従来からのいきさつのあったもの、内規なり規程なりによってきめられておるものについて、前の分について清算をして支給をしたということで、法的には違法とは言いかねるというふうに考える次第でございます。しかしいずれにいたしましても、こういうやさきにこういう措置を講じたということにつきましては、適当ではないのではないかというふうに考えておるのでございます。
  44. 永田亮一

    ○永田委員 法的には合理的かどうかよく知りませんけれども、また東京、大阪がどういう規程を設けておったかあるいは既得権であったという議論が成り立つかもしれませんが、私どもはこういう法律を作った精神というものと比べてみると、全くこれは人をばかにしたやり方だという気がするのであります。自治庁といたしましても、おそらくそういう感じがされるだろうと思う。合理的だといえば、あるいは報酬条例などを改正して、お手盛りでどんどん今後また上げていくかもしれないという心配さえも、われわれは考えられるのでございますから、こういうやり方全般について、自治庁がこれからどういう考えを持っておるかということを、重ねてもう一度だけお伺いいたします。
  45. 早川崇

    ○早川説明員 自治庁といたしましては、自治法の改正がなされましたので、今後その線に沿っていくはずでございます。また自治庁といたしましては、あの自治法の改正の通った直後、そういった問題には慎重を期するようには通達を出しております。ただし先ほど申し上げましたように、お互いに議員、都会議員というその立場も考えまして、いかぬというところまでは書類は出しておりませんが、慎重にするようには通達は出しておるのであります。
  46. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ちょっとその問題で……。実は今のお答えによりますと、昨年ですか、この前の任期が切れたときには、切れた人で落選した人、あるいは退職した人には退職金をやるという条例ですか、内規があった、それで実施した。ところがこの八月になって、再選された人にはそれを実施しなかったので、前の規程によって実施したような御答弁だったのですが、もし再選された者にも退職金をやるのだという規程がその当時あったならば、おそらくそれで実施していたのじゃないかと思うのです。新聞によりますと、今までの規程は、いわゆる再選をしない人にはやる、それ以外の人にはやらないというような内規になっていた。ところが今度自治法の改正が今月の一日から発効するので、それまでの間にその規程をこっそり直して、前にさかのぼった形においてそれを支給したようなことが書かれておる。そうすると法律的には、一カ年前にあった規程を一カ年後に直して、また一カ年前にそれを適用するというような行き方は適法であるかどうか、効果があるかどうかということを疑問に思うのです。ところが今行政部長の答弁では、すでにそういう規程はその当時あったのだ、ところが再選された人はそれを今まで申し出ないで、辞退はしなかったが、そのまま受け取らないでおったのだ。それを一年前の適用でもって受け取ったのだというふうに、規程がずっと前に存続していたような説明でありましたが、新聞によるとそうでないようであります。先月こっそりそれを直して、そうして一年さかのぼってそれをやったようなふうに書かれておる。どっちが真相であるか。もし一年さかのぼって適用した、それを八月にこっそり直したということであれば、それはやはり適法ではないのではないかと思うのですが、その点の実情を承わっておきたい。
  47. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 この間、都の当局の方から事情を聴取いたしました際には、私といたしましては、最近になってその規程をこっそり直したという印象は実は受けておらないのであります。規程の内容自体が、退職金については再選された場合にはその人にはその際には支給しない。やめられたり再選しないで落選されたその場合にまとめて支給する、こういうようなことになっておるということを承わっておるのであります。
  48. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 その際には支給しないということは、その再選された人はその次の任期が終ったときに支給するという意味であって、もしそうであるとすれば、中途で支給するというふうな解釈にならないのじゃないかという気がするのですが、どうですか。
  49. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 その点はおそらく仰せの通りだと思います。ただそうなりますと、九月に入りまして自治法が施行になって明確に無効の状態になるというので、急遽措置をしたのであると考えておるのであります。
  50. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それは違法ではないですか。
  51. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 今私の理解いたしておりますところ実情では、これを直ちに違法であると断定するわけには参らないのではないかと考えます。ただいずれにしましても、これが妥当を欠く措置であるということには間違いがございません。
  52. 門司亮

    門司委員 今その問題で違法でないと言うけれども、自治法あるいは公務員法のどこにも、特別職のそういう者に退職金を出していいという規定はないのであります。これは出さないことになっているのが私は正しいと思う。だから自治庁がこれを退職金と考えておるとすれば、当然自治庁は何らかの形で勧告すべきだと思う。  それからもう一つは、ことしの春であったと記憶いたしておりますが、東京都の墨田区にこれと同じような条例があったのであります。この条例については当時の行政部長であった小林君が、きわめて遺憾であるという答弁をここでちゃんとしておる。従って墨田区では区民大会を開いて監査請求をして、監査委員が不当であるという結論を出したのでその条例は廃止された。そうしてもらった人はみんな返しておる。こういうことが同じ東京都の中にあるのです。これも条例によるならば、ずっと二十二年にさかのぼり、一年勤めた人も、そのときもらっておった報酬の何%かをもらうという規定が書いてある。こういう規定はちょうど今のお話のように既得権であると言えば言えるかもしれない。しかし問題はさかのぼって出すということが一体許されるかどうかということなんです。従って、自治庁は、これは違法でないというお話ですけれども、私は明らかに違法だと思う。今のお話のように、自治庁がこれを退職金だと認めているなら、私ははっきりした違法であると思う。これが、社会通念にあるいわゆる自治の功労者というようなことになって、表彰条例という形になっておれば、条例の姿からいって違法ではないし、表彰するということはあり得ることだと思う。これは別にとがめる筋合いでもない。しかし今の部長の答弁によると、退職金だということをはっきり断定しているので、退職金だというなら私は明らかな違法だと思う。この点の解釈はどうなんです。ああいうものをほんとうにあなたが退職金だとお考えになっているなら、私は、違法だとして処置をおとりになるのが正しいと思う。さっきも申し上げましたように、あなたが表彰条例とお考えになっているならそれもけっこうだと思うが、しかし表彰条例ということになるなら少し度がはずれていると思う。これは社会通念からいえばおそらくそういう性質のものではないと思う。どっちにしても妥当なる処置でないということはわかっておる。だから、法的に何らの関係がないのだというような自治庁の答弁では、私は困ると思う。もし退職金であるとするならば、やはり自治庁ははっきり違法であるということを断定すべきだと思う。この点はどうなんです。
  53. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 門司委員の御指摘になりましたように、議員の退職金の支給根拠というものが、従来の自治法においても全然なかったのはその通りでございます。そこでこの退職金を出すということが果して許されるのかどうかというような点につきましては、従来も若干論議があったことは事実でございます。ただはっきりとこれを禁止するという措置もとっていないような関係から、実際問題といたしましては、各地方団体におきまして、退職時に議員に対して若干の金品を支給するというのが全国的な慣例となっていて、実はずっと行われてきておったのであります。その形式は、今お話しになりましたようないわゆる功労金というような形をとっていところもございます。またはっきり退職金というような名において贈っていところもあるわけであります。その把握の仕方というものについては、それぞれ論議があると思います。たとえば退職金と書いてあっても、そいつはいわば在職中の功労に免じて若干の措置をするのだというようないわゆる表彰費的なものである、あるいは功労金的なものであるというような性格のものだという説明をする場合も起ってくるのであります。いずれにいたしましても、この問題をめぐりましていろいろな論議もあり、問題もございましたところから、今回の自治法の改正で、はっきりと支給の給与の種類というものを法定いたしますとともに、支給をいたす場合におきましては、これもまたはっきりと条例の根拠を必要とするというふうな疑義なからしめることにいたしたのでありまして、今後はこれに関連する問題は非常に少くなり集約されて参るのではないかというように考えられるのであります。いずれにいたしましても、われわれといたしましては、このような措置は妥当な措置とは決して考えておりません。
  54. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいのでありますが、東京都はおそらくまた監査請求をするでしょう。従って自治庁は、こうした場合に明確な御答弁あるいは明確な線をお出しになっておらないと、おそらく監査委員はこれを妥当だと言わぬと思う。自治庁は非常にあいまいな返事をしておって、やってもいいがやらなくてもいいようなものだというのですが、監査請求が行われてその結論としては妥当でないという結論が出ている。そうしてもしこれがまた妥当でないという結論を出しても、本人に渡っているものを取り返せるかどうかということについてはいろいろ問題が残されると思う。少くとも監査の請求が行われて、監査委員が妥当でないという結論を出した以上は、自治法に基いた住民の一つの権利として成規の手続を踏んで成規の答が出ると思う。そういうものに対して自治庁自身があいまいな態度をとっているのはよくないと思う。だから遺憾であるというようなことだけの意思表示ではなく、違法だということをはっきり言った方がいいと思う。法律的にどこにも支給していいという根拠がないものを条例で定めることができる。いわゆる法律に逆らわなければ条例でできることになっている。条例も憲法で保障された自治体の一つの権利であることに間違いはない。従って条例を重んずることもけっこうだと思いますけれども、法律的に根拠のない、妥当性のない条例等については、自治庁はこの際はっきり態度をきめておいてもらいたい。もし退職金と認められるものなら、単なる遺憾というようなことではなく、違法だということをこの際言い得ると思う。その辺を自治庁ははっきりされておらないといけない。現実には墨田区でやっているから、あなた方は御存じだと思う。条例ができて、若干の議員は支給されておった。それが監査請求になって不当支出だということで勧告されて、もらっておったものはみな返している。こういう例が同じ東京にあるのです。そのときも自治庁意見は、非常に遺憾なことであると、小林君はちゃんと言っている。それに基いてこういうことが行われた。自治庁見解として、もう少しはっきりした態度をとっておいてもらわぬと困る。将来は法律をこしらえたから、どんなことがあってもさせないでしょうからいいし、表彰条例はこしらえられるから表彰はできるでしょう。どうですか、もう少しはっきりしたことが言えませんか。
  55. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 ただいまも申し上げておりますように、今後の問題は一切疑義がなくなると思うのでございますが、従来の自治法の規定の明文を見ます場合に、支給根拠もなければ、またそのかわりに支給をしてはいけないという積極的な明文もないというところから、いろいろ問題が起ってきておったのであります。われわれといたしましては、この問題について将来の問題はさておき、従来の点につきましては、これがあまねくある程度全国的な一つの慣例として実施をせられてきておるというような事柄でもございまするし、また法律的にいいましても、この点明確を欠いているというような点でもございますので、ここで従来の退職金というものはすべて違法であるということを断定いたすことは、行き過ぎであろうと考えております。
  56. 西村力弥

    西村(力)委員 早川政務次官にお尋ねしたいのですが、町村合併の進行に伴って一郡一町、一村ということが出ておる。それで郡地域の是正ということは当然やらなければならぬと思うのですが、これをどういう工合にやられるか、いろいろお考えになっていらっしゃることと思うのですが、その是正をやる場合の方針、そういう問題についてお聞かせを願いたい。
  57. 早川崇

    ○早川説明員 郡の単位は明確な行政単位でありませんが、非常に重要な問題で、最近町村合併に伴いまして、飛石みたいに三つ、四つ離れ離れになっておるような郡ができて参っておりまして、非常に不便な、不自然な状態になっております。従ってここの調査室のあれに載っておりますように、この際郡の区域につきまして地方制度調査会に諮りまして、結論を得次第、そういう不自然なところは直していきたい、かように考えております。
  58. 西村力弥

    西村(力)委員 地方制度調査会にかけられるにしましても、自治庁としての考え方というものは固まる必要があると思うのです。その場合に都道府県の責任においてこれをやらせるかということが一つ。それからあなたに特別にお聞きしたいのは、この前の地方行政委員会の場合に、次官の談話が新聞に載っておりまして、あなたがいらっしゃらなかったために長官にその点についていろいろお聞きしたのでございましたが、この郡市区域の是正というものと、御熱心に主張される小選挙区制の区割の問題を、自治庁としては関連性を持たせる考えがあるかどうか、この二点について明確にしておきたい。
  59. 早川崇

    ○早川説明員 選挙法の改正につきましては、すでに廃案になりましたから、全く白紙の立場で、再び小選挙区法を出すか出さぬかということは、白紙の立場で考えるということになっておりまして、出すということは確定しておりません。また郡の区域を小選挙区にからませてということは、その点は全然ございませんので、御了承願いたいと思います。
  60. 中井徳次郎

    ○中井委員 今町村合併の話がありましたが、私、町村合併に関連して一、二点申し上げ、またお尋ねもしてみたいと思うのであります。大体九月の末で三年の期限が切れるわけでありまして、今全国で大へん自治庁がしりをたたいて追い込みをかけておるようであります。それに従いまして、各地でいろいろな問題が起っておるようでありますが、大体九月の終りまでに予定通り進捗をするのであるか、あるいはまた今どういう状況であるか、大体の概況を最初に聞かしていただきたいと思います。
  61. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。八月一日現在の調べによりますと、都道府県の合併計画に対する進捗率は、全体として八〇%になっておるのであります。最近の概数の調べによりますと、八月末では八三%まで伸びてきておるのであります。その後九月になりまして、各県ともこの件の進捗が非常にしり上りに向上して参っております。大体われわれの見通しといたしましては、九月末日までで八五%から八六%程度の進捗を示すんではないか、かように推測をいたしております。
  62. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体パーセンテージはお聞かせいただいたが、あと残っておるのは非常にむずかしいのばかり残っておるのではないか。そうして特に私どもの聞いたところによりますと、その大半は、県の指導が少々あわて過ぎ、行き過ぎであって、地方実情に沿っておらぬ。地方がだんだんとこれを研究するというと、どうも県の言うことを聞くわけにいかない。そういうものでたな上げになっておるものがほとんどであるということであります。しかもその場合に、県はやはり功を急ぐのあまり、どうしても県の策定案でやってしまえ、あるいはまた知事あるいは県議会、さらにまた住民の側に立ちましても、村長さんだとか議会側がすっかりいこじになってしまいまして、その間にどうも意思の疎通を欠くというようなことで、あなた方は今後ぐっと上るだろうと言われるが、どうも現実には私は、残った一五、六%というものは実施が困難であろうかと思うのであります。そういう点につきましてあなた方はもっと長い目でもってこれを見ていく、さらにまたこれまでの策定計画その他を御破算にして、白紙で見ていく。大体この町村合併促進法の根本方針は、住民本位であります。ところが現状を見ますと、どうも住民本位じゃない。住民の上に乗っかっておりますところのそういう公職者の感情的な対立、それも住民との対立があるというふうなことでありまして、まるで鳥もちにひっかかったようなもので、抜きさしならぬというのが非常に多いのであります。こういう際に私は自治庁一つ見方を変えて、そうして今政務次官も言いましたが、こういう問題を一つ白紙の立場で考えるお考えはないか、これが一つと、それからもう一つ、最近のことではありますが、府県の境界にわたっております町村で、他府県の方へいきたいということが非常にある。これはおそらく全国で二、三十はあろうかと思うのでありますが、そのことにつきまして、どうも知事会その他で一切そういうことは認めないようにしよう、これは自治庁の方からも強力なしり押しがあるんだ、こういうような話を聞くのでありますが、自治庁はそういう指導をされたことがあるか、また文書を出されたことがあるか。府県の境界の市町村のことについて見解を伺ってみたいと思います。
  63. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 御説のように、ただいま残ってきております未合併町村の合併というのは、それぞれ沿革もあり理由もあり、いきさつもございまして、非常にむずかしいものばかりでございます。これをいろいろ案件に従って検討してみます場合に、いろいろの理由がございます。もちろん県の町村合併計画自体が不手ぎわである、あるいわ実情に合わないというようなものがそう多いとは、われわれは考えておりませんが、なお謙虚に再検討してみてもよいのではあるまいかと思われるものも、若干例がないわけではございません。その他部落間のそれぞれの感情的な対立でありますとか、その他役場位置の問題でありますとか、財産処分の問題でありますとか、そういうような点が中心となりまして、なかなか合併が進まないというような状況に相なっておるような次第でございます。九月末で一応町村合併促進法の期限が切れるわけでございまするが、御承知のように十月から施行になりまする新法によりますと、未合併町村の合併促進につきましては、それぞれの県におきまして知事がさらに全般的な見通しを立てて、これを内閣総理大臣に協議をするという道が開かれてくるわけでございます。この段階において、現実に適合するような合併計画というものにつきましては、われわれといたしましても十分心してこれの調整に当って参りたい、かように考えておる次第でございます。ただ全般的に見まして、それぞれの県の計画自体が、合併促進審議会の何回にもわたる慎重な審議を経て策定をせられておるものでございまして、これが著しく不合理であるというものは、そう事例がないのではないかと思うのであります。しかしわれわれといたしましては、謙虚な気持に立ちまして、これらの協議段階において、合理的な実情に即した合併計画案の調整ということにつきましては、極力努力して参りたい、かように考えておる次第でございます。  第二点の県境にまたがりまする合併の問題でございますが、これはお尋ねのありましたようにわれわれといたしまして、知事会の方に県界の合併というものは一切認めないようにする方がいいとか、そういうようなことを申した例は全然ございません。またそういうようなことをなすはずもないわけでありまして、われわれといたしましては県境にまたがる合併でございましても、それが合理的なものであれば住民の意思等をそんたくをいたしまして、十分いい解決が出るように個々の事案につきまして十分慎重なる検討を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  64. 中井徳次郎

    ○中井委員 今のあとの段でございますが、ほんとうですか。実は私は一つの事実を知っておりますので、お尋ねするのであります。追い込みになりましたから、自治庁当局としてもそういううるさいものはなるべくあとの方に回してという気持はわかるのですが、それが下になりますと、そういうことになっております。これはある県からある村の村長にあてた公文書であります。それには自分の県は絶対他府県に行くことは認めがたい、これはよろしゅうございます。県の意思でございます。しかしこれは議会のなにではございません。「命により通達をする。」こういうことでございます。「一、一方国においても自治庁の基本方針として当分の間県の区域を越える町村合併は絶対認めない。」こう書いてある。「二、新市町村建設促進法による町村合併の最終段階において」「1、その町村の区域の住民に反対がない。」「2、町村の規模の合理化について県境を越えて合併することが、県内町村と合併するより合理的であること。」「3、県内の合併計画の推進に障害を及ぼさないこと。」まあいろいろ書いてありますが、その冒頭に、「当分の間県の区域を越える町村合併は絶対認めない。」これが国の方針である。そうして「右命により通達する。」こうなっておるのですが、この文書は間違いでしょうかね。偽造なのでしょうかね。あるいは何か国の方針を間違って出したのでしょうか。私はこれを頼まれて参りまして、これはほんとうかどうか自治庁へ確かめてくれ、間違いであるならば正式の文書をくれ、こういうことなんですが、どうでございましょうか。
  65. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 先刻も申し上げましたように、自治庁といたしましては、県境にまたがる合併というものは絶対に当分の間は認めないのだというようなことを通達いたしました覚えはございません。ただ県境にまたがる問題は、いろいろ政治的な問題になる可能性の多い問題でもございます。そのためにそちらの方にうき身をやつしておる結果、県内の本筋の合併というものがおくれてしまうというようなことでも困りますので、優先順位というような面からいけば、県境にまたがるものは問題が重大でもあるし、じっくりと取り組んでいかなければならないのじゃないかというようなことを、事務指導等の面において申したことはあるかと思うのでありますけれども、しかし県境にまたがる合併は絶対に認めないというようなことを申した記憶は全然ございません。ここで「命により」というのはおそらく知事の命によりということなのではないかというふうに思うのですが……。
  66. 中井徳次郎

    ○中井委員 「命により」というのは知事の命によりというのですか。しかしその内容に、国はこういう方針であるということを明確にいっておると私は申し上げたいのです。これはどこでもあると思うのです。同じ県でもらうところはなんぼでももらう。はずすところは一村でも絶対に反対だ。まあしかしこれは歯舞、色丹と違うのです。これは行政区画の変更です。われわれがこの促進法を作りました根本方針はあくまでも住民本位である。それで村が二つに分れればやむを得ない、よその県に行けばやむを得ない。それはそのときの知事の欠陥でも、行政のまずさでも何でもない。これは結果としてそうなるのであって、たまたま区画が変るだけである。こういうふうなことがこの促進法の根本精神だろうと思う。その根本精神を皆さんが府県を重要視される結果、いつの間にやら府県だけの領域争いのような形になって、地元の住民にとりましてはまことに困った問題である。私の出身の三重県では愛知県に行こうというところもあるのであります。また三重県に来ようというところもある。私は、行くところは行ったらいい、もらうところはもらったらいいというような考え方ですが、知事などはもう再三私のところへ来て、とにかく絶対にやらぬのだというような次第でありまして、これは知事の立場としてはわかると思うが、しかし自治庁はこれに引きずられてはならぬ、こういうふうなことをひそかに考えるものであります。ところがそういう際にこういう文書が出て参りまして絶対に認めない、これは非常な誤解を生みまして、この町村合併促進法の三十三条でありますか、一条をわざわざ設けて——これはあなたの前任地の大阪府で大いに問題がありましたので、こういうことなんかが取り上げられたのでありますが、皆さんはやはりそれを通してもらわないといけない、こう思うので、その点についてどうでございましょうか。私は技術的な、たとえば今、九月末であるから急にということは困難であるかもしれませんが、そういう意味であと回しにするということはわかります。わかりますが、実はあとになってそういうふうにまとまってきた場合に、やはり住民本位という線を、百対零でないといけない、七、三でないといけない、そういうことはいけません。これは民主主義の破壊だと思う。やはり四分六でも五分五厘と四分五厘でも、これは選挙と同じだ、しようがない、こういう立場で貫いていかれるかどうか、ちょっと事務当局見解を伺っておきます。
  67. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 お答えします。今お述べになりました点はしごくごもっともでありまして、私といたしましても全く同感でございます。従いまして自治庁といたしましては、別に知事の肩を一方的に持つというようなとらわれた考え方というものは一切とっておりませんし、今後ともとるつもりはございません。あくまで住民本位、全般的に見て大局的な見地からそれがいいということであれば、合理的な調整の方策を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。ただお述べになりましたように、県自体の立場になりますと、やはり寸土も譲れないというような気持が出て参りますために、これは非常に政治的な紛争の中心になる可能性のある問題でございます。従って、われわれといたしましては、よく実情等を勘案いたしまして、そういうような政治的な問題にまで持っていかないように、お述べになりましたような、あくまで合理的な住民の福祉増進のための地域的再編成であるというような見地から、本問題処理に極力当って参りたい、かように考えております。
  68. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の問題ですが、あなた方大へん政治問題ということを気になさっておるが、なるほど政治問題になり得る可能性が非常に多い。たとえば湯河原と川の向うの町の問題も私どもずいぶん聞かされました。しかし、これはやはり最初法律を作りましたあのすなおな気分をずっと流していく方が、それを貫く面においてもいいだろうと思います。政治問題になれば、反対するやつ賛成するやつがあるにきまっております。具体的にいいますと、そこに属しておる出身の代議士はその件を賛成しましょうし、反対の代議士は反対をするというようなことになりまして、これはもう収拾がつかないと思う。やはり私は法の精神をすなおに流してもらいたい。  そこでもう一つさらに伺いますが、そうなると、住民の意思はさらに細分されて参ろうと思います。その部落だけはこちらに行きたい、あの部落はそちらに行きたい、そういう場合には、これまでは大体村を割るということはいけないというので、穏便に処理されて参ったと思うが、最終段階にくると、やはりこれはあくまで筋を通してもらいたい。分村もまたやむを得ないと思うのでありますが、そういう面についての事務当局最後の気持というものを、もう一度念を押して聞いておきたいと思います。
  69. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 今の御質問の点でございますが、もちろんなるべくならば分村ということは望ましくないということは言えますが、しかし事柄の性質によりましては、分村をすることが問題の合理的な解決に資するという場合も、実は多々あるわけでございます。そういうものにつきましては、最終段階におきましては認めていくということにつきましては、われわれといたしましてもやぶさかではございません。
  70. 中井徳次郎

    ○中井委員 それからそういう問題でいつも議論になりますのは、やはり府県性格あるいはその人口等におきまして非常に大小があります。従って、町村合併でありますが、村から見ると府県の人口がふえたり減ったりするのであるから、この府県はあまりかわいそうだとか、この府県はどうだというような、第二義的な意味でもって、府県の地位というものから判断をなさるというようなことはありますか。その点をお聞きしたい。
  71. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 そのような意味で本件を処理する際に当って考慮に入れる考え方は全然持っておりません。
  72. 大矢省三

    大矢委員長 川村君。
  73. 川村継義

    ○川村(継)委員 財政部長にちょっとお伺いいたします。災害対策の問題について、御承知のように八月の中旬に、西日本、特に九州を中心に第九号台風によって相当荒らされて、おそらく自治庁あたりにも、その対策について各府県市町村からいろいろの陳情が来ておるだろうと思います。これについて、自治庁としてはどういう対策をとられようとしておるのか、あるいはまた実際とられたのか、そのことをはっきりお聞かせ願いたい。
  74. 小林与三次

    小林説明員 災害の問題は、今お話通りわれわれも大へん気にいたしております。それで、これにつきましては、自治庁といたしましてとるべき措置は、御案内の通り起債の問題と交付税の問題に結局帰するわけでございます。あとは資金の問題に帰するわけでございます。これは復旧事業の仕事がきまった跡始末の問題が多いのでございまして、各省の復旧の査定が終って、必要な仕事がきまれば、それに見合うものは起債で全部まかないをつける、こういう原則でおるのでございます。  なお、その他特別交付税の場合でも、必要なものは見れるだけ見る考えでおるわけでございますが、これにつきましてはこれからの問題でございまして、今までといたしましては、自治庁としてはそういう心組みで準備をいたしておるわけでございます。  なお、金の問題は、とりあえず資金の問題があるのでございますが、そこでこの間の交付税配分に当りましても、当然災害地というものを頭に入れまして、交付税配分上とりあえず特別な分け方をいたしまして資金の要求に応ずるような措置をいたしたのでござまいす。  以上が自治庁としての、今までとった措置と今後の考え方でございます。
  75. 川村継義

    ○川村(継)委員 この前大体交付税の配付額をきめられたのでございますが、その中に災害資金というような面で入っているのは、今度の災害に見合う分だったのですか。そういう考え方で出されていたわけでありますか。
  76. 小林与三次

    小林説明員 あれは今度の災害というよりも、災害がたびたびあるものですからちょっとわかりませんが、交付税を配るときにわかっておった従来の災害を頭に入れてやったわけでございます。その後の災害の問題はこれからの問題で考えなければならぬと思います。
  77. 川村継義

    ○川村(継)委員 農林省やあるいは運輸関係、建設省関係、こういうところで今いろいろと仕事を進めていると思いますが、昨日ある関係方面に聞いてみますと、まだ実際の対策や計画は何もできていないようでございまして、われわれとしては非常に残念に思っているわけです。御承知の通りにこの前の九号台風は相当大きな被害を九州方面に与えたようでありまして、私の出身県である熊本だけでも総額二十五億という被害で、長崎、佐賀、福岡、鹿児島というようなところは、われわれの見ていところだけでももっと被害が大きかった。われわれの方の一つの島に参りましても、村の唯一の通行路である海岸道路などがずたずたに寸断されてしまって、全然通行不可能になっているし、また、その島民の生命の綱と言われておった上水道、簡易水道の施設が破れてしまって、今では飲み水にも困っているというような非常に悲惨な状況に落されているわけでありまして、こういうことを考えると、市町村としてもやはり何かの金で早急に復旧したいと考えているだろうし、県としても、これはできるだけの手を差し伸べて復旧をやらなければならぬと考えていると思います。ところが大体において九州は、長崎、佐賀、熊本、鹿児島にしましても、再建団体適用を受けておりまして大きく計画に縛られておりますので、これについては十分苦慮しておるのじゃないかと思う。これを復旧するとなると、再建計画財政運営面にも大きな支障が出てくるでありましょうし、計画自体の狂いも当然出てくるだろうと思う。なお、復旧の方に手を差し伸べると、予定された事業が変更されなければならぬというようなことがやはり再建計画ワクの中にありますから、いろいろの問題点が出てくると思う。そこで、自治庁としては、今の交付税の問題とかあるいは起債の問題等をお考えになっておられると思いますが、こういう県は、われわれが申さなくても大体今までのいろいろの災害関係で一応のケースはあるわけですから、早急にやってもらうということと、農林省とか建設関係とか運輸関係とか、こういう関係しておりますところの各省の手が早く打たれるようにしてもらうということと、各省のいろいろ考えておりますことなどがわかっておりましたら、明日でもいいですから大体のところをお知らせいただければ、そういう災害地の諸君に対して、政府の考え方あたりを、あるいは場合によってはいろいろとわれわれからも伝達することができるというようなことを考えたわけです。自治庁としてはできるだけ早急にこの大きな災害についての対策を立てて手を打っていただたきい。特に九号台風でなくて、ちょうどこの委員会が始まります前に十二号台風がやって参りまして、これまた前に劣らない大きな被害を与えておるわけですね。次から次へ九州関係は特に大きな被害を受けておりますので、その点は十分考慮されてぜひ一つ効果のある対策をお願いしたい。最後に希望を申し上げておきます。
  78. 大矢省三

  79. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 簡単に一点質問したいと思います。それは本月一日から実施されました地方自治法の改正法の解釈についてお伺いしておきたいと思います。  今度の自治法で、常任委員会の数が人口段階に応じてきめられたわけです。たとえば八つあった常任委員会が六つということになった場合に、八月三十一日をもって過去の常任委員会は一応一切なくなってしまったものであるかどうか。従って本月から新しい常任委員会ができるまでは、その間常任委員会というものは全然ない、こういう形になっておるかどうか、新聞等によってある県の記事なんか見ておりますとそういう解釈をとっておるようで、改正自治法によって今まであった常任委員会は全然なくなったのだ。従って本月になってから常任委員会がかりに開かれてもそれは有効なものでなく、新しい、数に応じた常任委員会ができないうちはその間空白なものである。こういうような解釈をとっておるようですが、これは自治庁の解釈であるかあるいは政令にそういうことが盛られておるのか、あるいは改正自治法そのものの解釈がそういう解釈になっておるのか、あるいはそういう解釈でないのかその点を一点、法律上はっきりした解釈を承わっておきたいと存じます。
  80. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。ただいまの常任委員会に関する問題でございますが、御指摘の通り常任委員会関係の規定も含めまして、これが九月一日から正式に効力が発生をいたした次第であります。従って従来の常任委員会というものは八月三十一日をもって、これは全部効力がなくなったという解釈をいたしております。従いまして九月以降になりましてまだ新しい規定によります常任委員会の構成が行われておりません間は、これは正式な常任委員会活動というものはない状態が続いておるという解釈をいたしております。従いまして従来の常任委員会そのままの委員さんがお集まりになりまして、いろいろ御審議をいただくというような場合におきましては、それは事実上のいわゆる審議協議ということにとどまるものでございまして、自治法に基く常任委員会ではないということに相なるわけでございます。われわれといたしましてはその空白が生じないために、新法に適合いたしました常任委員会の構成を早急にはかるようにということで、それぞれ県あるいはその他の市町村に対しても指示をいたして参ってきておるのでございまして、この趣旨の通りにすでに常任委員会の構成を改めてしまったところもございまするが、まだそのような措置が講ぜられておらないところがあるわけでございます。これらの公共団体につきましては至急九月に入りました議会におきまして、まず先決要件として最初に常任委員会の構成をきめておいてもらうというふうに指導をいたしておるような次第であります。
  81. 北山愛郎

    北山委員 町村合併に関係して資料をお願いしたいのですが、それは多分これは自治庁で調査しておると思うのですが、町村合併の残った部分について、その合併が進まないいろいろな事情の調査をしておられると思うのです。たしか千八百幾つかの件数があるらしいのですが、その内容の資料、それから合併してからあとで分村、分町のケースが相当あるようです。私らの方にも独立宣言をやったところもあり、これは長野県にもあるようでありますが、そういう深刻な事態もある。これが全国で三百何十かあるらしいのですが、その御調査があると思うのですが、それを一つ明日、要領だけでけっこうでありますが、その町村合併の障害の方は事情別に御調査があると思います。それを一つ出していただきたいと思います。     —————————————
  82. 大矢省三

    大矢委員長 それではこの際理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち理事でありました吉田重延君が去る九月七日一たん委員辞任せられましたため、理事が一名欠員になっておりまするので、その補欠選任を行わなければなりませんが、これを委員長より指名いたしたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ理事には従前通り吉田重延君を指名いたします。  なお閉会中の理事辞任補欠選任につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。  次会は明十三日午前十時三十分より開会いたすことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十七分散会