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1956-07-27 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第56号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十一年七月二十七日(金曜日) 午前十一時四分
開議
出席委員
委員長
大矢
省三君
理事
亀山
孝一君
理事
鈴木
直人
君
理事
永田 亮一君
理事
吉田 重延君
理事
北山
愛郎
君
理事
中井徳次郎
君 青木 正君
加藤
精三
君 川崎末五郎君 纐纈 彌三君 櫻内 義雄君
渡海元三郎
君
徳田與吉郎
君
灘尾
弘吉君 丹羽 兵助君
福井
順一
君 山崎 巖君 加賀田 進君 川村
継義
君 五島 虎雄君 坂本
泰良
君 櫻井 奎夫君
西村
彰一君
西村
力弥
君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣
太田
正孝君
委員外
の
出席者
自治庁次長
鈴木
俊一君
総理府事務官
(
自治庁長官官
房財政再建課
長) 長野 士郎君
総理府事務官
(
自治庁行政部
長)
藤井
貞夫君
総理府事務官
(
自治庁財政部
長)
小林與三次
君
総理府事務官
(
自治庁税務部
長) 奧野
誠亮
君
総理府事務官
(
自治庁財政部
財政課長
) 柴田 護君
大蔵事務官
(
理財局地方資
金課長
)
堀口
定義君
文部事務官
(
大臣官房総務
参事官) 齋藤 正君
文部事務官
(
調査局宗務課
長)
近藤
春文
君
文部事務官
(
文化財保護委
員会事務局長
)
岡田
孝平君 専 門 員
圓地與
四松君 ――
―――――――――――
七月二十七日
委員小澤佐重喜
君、
森清
君及び
中村高
一君辞任 につき、その
補欠
として
福井順一
君、
加藤精三
君及び
西村力弥
君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
さ れた。 同日
委員加藤精三
君、
福井順一
君及び
西村力弥
君辞 任につき、その
補欠
として
森清
君、
小澤佐重喜
君及び
中村高
一君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
さ れた。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
地方自治法施行令
に関する件
地方財政再建
及び
観光施設税創設
に関する件 ――
―――――――――――
大矢省三
1
○
大矢委員長
これより
会議
を開きます。 それでは
地方自治
及び
地方財政
に関して
調査
を進めます。昨日
委員
からの御希望もございましたので、本日は
大蔵省
の
堀口地方資金課長
、それから文部省から
近藤宗務課長
、それから
岡田文化財保護委員会事務局長
が来ておられます。なお
閣議
が終りましたらば
太田国務大臣
が出席されるそうです。きょう特に
奥野税務部長
も出席されております。 今度新しく大阪から赴任されました
藤井行政部長
を御紹介申し上げます。
藤井貞夫
2
○
藤井説明員
ただいま御紹介を賜わりました
藤井
でございます。このたび
自治庁
の
行政部長
を拝命いたすことに相なりました次第でございます。しばらく
地方
におりまして中央の
状況
とは疎遠になっておることをおそれておる次第でございますが、微力を尽しまして大いに勉強をいたしたい、かように
考え
ておりますので、
委員
の
皆様方
には格別の御
指導
と御鞭撻をお願いいたしたいと
考え
ている次第でございます。一言ごあいさつを申し上げます。(拍手)
大矢省三
3
○
大矢委員長
では、昨日
資料
として配付せられました
地方自治法施行令
の一部を改正する
政令案
の
要綱
について
小林財政部長
から
説明
を願います。
小林與三次
4
○
小林説明員
便宜私から
政令案
の
中身
を御
説明
申し上げたいと思います。お配りいたしました
政令案
は
要綱
でございまして、本物の
政令
はもう
閣議
できまりまして
公布
の
手続
中でございますので、三十一日には間違いなく
公布
になるはずでございます。この
政令案
の
前段
の方はもう大した問題はないと思いますが、問題は四の例の
五大市
に対する
事務移譲
の問題で、これについてだけ御
説明
を申し上げたいと思います。この四の
五大市
の
事務移譲
につきましては、
最後
に
参議院
におきまして
政府
の
基本方針
を明らかにいたしたのでございますが、この
基本方針
にのっとりまして、
政令
を
政府部
内におきまして
調整
をして決定いたしたのでございます。この四に掲げてございますのは、その当時
国会
で言明した
中身
でございます。ここに書いてあるこれ以外の
事務
は、一切
五大市
に
移譲
する、こういうことにいたしたのでございます。 ちょっと読み上げますと、「四
地方自治法
第二百五十二条の十九第一項の
規定
により、
指定都市
又は
指定都市
の
市長
その他の
機関
が
処理
し又は管理し及び執行する
事務
は、同項各号に掲げる
事務
の中左に掲げる
事務
を除くものとし、これに伴い必要な
規定
の
整備
を行うものとすること。(一) 市の区域を超えて統一的に
処理
しなければならない
事務
1
保母試験
に関する
事務
。」この
保母試験
は、
試験
というものの
性質上府
県一本でやるべきだということで、
府県
に残すことにしておるのであります。「2
伝染病
流行し若しくは流行の虜あるときその
伝染病
の
疑似症
に対し
伝染病予防法
の全部又は一部の
規定
を適用すること。但し、
指定都市
においても、適用することができるものとすること。」これは
法定伝染病
以外で
疑似症
が出ました場合に、
伝染病予防法
を適用するか適用しないかという問題がございまして、これは
法律適用
の問題で、一部、全部を問うべき問題ではございません。そこでこの
仕事
は
府県
に残すことにしたのでございます。しかしながら
指定都市
において適用することができるものとし、
府県
に一般的に残しましたが、
指定都市自体
でも
指定都市
の
内部
に
指定都市
だけに発生する場合もあり得るので、これを
指定都市
もダブってやり得る、こういうことにいたしまして、事実上
指定都市
もやれることになったわけでございます。 次は「(二)
府県全般
にわたる統一的な
基準
の設定に関する
事務
1
飲食店営業
その他
公衆衛生
に与える影響が著しい
営業
の
施設
につき
業種別
に
公衆衛生
の見地から必要な
基準
を定めること。但し、
指定都市
においては、その
特殊事情
による必要な
基準
を附加して定めることができるものとすること。」これは2と関連しておりますから、一括して御
説明
いたします。 2は「
興行場
、
旅館
及び
公衆浴場
の
換気
、
採光
、覇、防湿及び清潔その他
公衆衛生
上必要な措置につき
条例
で
基準
を定めること。但し、
指定都市
においては、その
特殊事情
による必要な
基準
を附加して定めることができるものとすること」。1は
食品衛生法
にいう
公衆食品衛生
についての
営業規制
ということであります。それから2はいわゆる
営業立法
、
興行場
、
浴場
、
旅館
についての
営業規制
の
規定
でございますが、そのうちで全般的な
基準
を定める
事務
が
一つ
。つまり三
営業
の部に書いてあります
換気
、
採光
その他の
施設
についての
規制
を
条例
できめることになっております。それとその
条例
に基いてここの許認可の
処分
あるいは
取り消し処分
あるいは検査の
処分
、こういうものがあるのでありますが、そのうちで
条例事項
は、これは
最低限度府県下
を通じて統一的に
規定
するのが筋じゃないか。それで
最小限度
の
基準
を定める
権限
は
府県
に残して一本で定める。これが
前段
でございます。しかしながら
五大府県
と申しましても、
市部
と
郡部
とがございまして、
府県
で作ればどうしても
市部
、
郡部
を通じた統一的な
最小限度
の
基準
を定めざるを得ない。しかし
市部
におきましては、
大都市
の
特殊事情
から、さらにこの
保健衛生
上の要請が強いので、特別な
規制
を加える必要があり得るのでございます。そこでそういう場合には、その
最低基準
の上にプラスした
基準
は市もきめることができる、こういうことにいたしたのでございます。その他この
条例
に基く
自治体
の
執行処分
は全部
五大市
に移す、こういう
原則
を立てたのであります。なおこの
付加基準
を
条例
で
規定
し、市が定めるというのは、実は
建築基準法
に従来から先例もございまして、
建築基準
の
一般基準
を
府県
で定めるが、それぞれの
市町村
がその
実情
によってさらに条件をプラスする、あるいはまた緩和できる、こういう
事例
もございまして、これは
五大市
の場合にはプラスする以外は
考え
る必要がございませんので、プラスできる
条例
にいたしたのでございます。 それから(三)は「
府県
を通じて
一つ
の
施設
又は
機関
で足りる
事務
。
身体障害者更正相談所
を設置すること。但し、
指定都市
においても設置することができるものとすること。」
身体障害者更生相談所
は、これは
身体障害
、特殊な
身体障害者
に対する
相談サービス施設
でございますので、通常は一
府県
を通じて一個あれば必要にして十分だと
考え
られるのでございます。それでそれは重複して作る必要がない。しかしながら市の
実情
によって、これは
サービス機関
としてなお不足であって、もう
一つ
作った方がよかろうという場合もあり得るので、そういう場合には設置できる道を開いたのであります。なおこの前
参議院
で声明を明らかにいたしましたときに、
身体障害者
の
審議会
という問題がございまして
審議会
は
府県
に置くが市も設置できるという
趣旨
の
規定
を入れておいたのでございますが、現在の段階では実際上はむしろ作らせなければいかぬという
事例
もございましたので、これは
移譲
することにいたしました。だからこれは
国会
で声明した以上におろすことにいたしたのでございます。大体これが残すものでございまして、
あと
は全部おろす。 ただしこのうちで、もう
一つ
つけ加えて申し上げておきますが、
伝染病予防法
で特にいろいろ
法律案
の
審議
のとき
議論
になっておったのでございます。汽車の
検疫事務
、港の
検疫
の
事務
、あるいは
漁撈
の
制限
とか
游泳
の
制限
という
事務
がございまして、これは市郡の
境界
にまたがる場合も当然あり得るのでございます。そういう場合には市だけでやるということは、場合によっては
伝染病
という特殊な対策上不十分じゃないかということになりまして、
最後
に
厚生省
と話し合いの結果、市にはもちろんおろしますが、
府県
もこの市郡の
境界
にまたがって
伝染病
が蔓延したり蔓延するおそれのあるような場合におきましては、
知事
においても今申しましたような
伝染病予防法
の十八条、十九条の
事務
で、
検疫関係
の
事務
と
漁撈制限
あるいは
游泳制限等
の特殊な
制限事務
ですが、これは
知事
においてもそういう市郡にまたがるような場合に
処分
することを妨げないという
規定
を残すことにいたしまして
厚生省
と話を遂げたのでございます。その点だけを
報告
を申し上げておきたいと思います。 それから次の五番目は、これは
委員会
であまり
議論
になりませんでしたが、
不要許可
の問題、
五大市
に対する
許可事務
を緩和するという問題でございます。「
地方自治法
第二百五十二条の十九第二項の
規定
により、
指定都市
又は
指定都市
の
市長
その他の
機関
がその
事務
を
処理
し又は管理し及び執行するに当って、
都道府県知事
の
許可
、
認可等
の
処分
を要せず、若しくは
改善
、
停止等
の
指示
その他の
命令
に関する
法令
の
規定
を適用せず、又はこれに代えて
主務大臣
の
許可
、
認可等
の
処分
を要するものとし、若しくは
主務大臣
の
指示
その他の
命令
を受けるものとするものは、
原則
として、
指定都市
に
移譲
すべき
事務
及びこれらに類する
事務
に関する
法令
並びに五
大都市行政監督特例
に掲げる
法令
に
規定
する
許可
、
認可等
の
処分
又は
改善
、
停止等
の
命令
をすること。」ちょっと書いてあることがわかりにくいのでございますが、要するに
事務
は、
知事
の
権限
の
仕事
は市におろす。それとともに
市長
の
処分
に対して
知事
が
監督権
あるいは
指示権
、そういうものを持っている
事務
が相当あるのでございます。そうでございますから、
事務
の
移譲
とともにその
不要監督
は排除いたしまして、
市長
に全部まかせるというのがこの二項の
規定
でございます。今申しましたすべての
法律
につきまして、こういう
原則
で
事務
を排除したのでございます。
知事
が
指揮監督権
を一般的に持っておって、
各省大臣
が全然関係しておらぬ
事務
がございます。そういうものは
五大市
につきましては全部はずす。それからそうでなしに、
府県
がやる場合には
各省大臣
が
監督権
を持って、
市町村
がやる場合は
知事
が持つ、こういう場合がございます。そういう場合は、
五大市
を
府県並み
に扱いまして、
知事
の
監督
にかえて
各省大臣
の
監督
にする、こういう
原則
で、要するに
府県
と同じ体制でいこうというので、いろいろありましたものを全部排除することにいたしたのでございます。そういうことによりまして、
政府
といたしましては、
関係各省
の間に百パーセントの
了解
をつけまして、
政令案
の
閣議決定
をし、今
公布
の
手続
を進めている。この点御
報告
を申し上げておく次第でございます。 なおこれの
施行
につきましては、
最初法律
で
自治法
全体は九月一日
施行
いたしたい。その
施行
の
政令
も決定いたしております。それとともにこの
事務移譲
の問題は、
施行
のときから六カ月以内に
事務
の引継ぎをしなくちゃならないという
規定
が
法律
にあったのでございますが、九月できまって六カ月となりますと、例の三月一日までになるのでございます。しかしながらこの
政令
の話も早くつきまして、
方針
がきまった以上は、むしろなるべく早く
事務
の
移譲
をやった方が
お互い
にいいんじゃないか、そういうことで
政府部
内で
相談
いたしました結果、十一月一日までに
事務
の
移譲
を完了する、そういうことを
政令
に明らかにいたしてございます。こうした後直ちに
五大市
、
五大府県
と
お互い
に協議いたしまして、
事務移譲
の
手続
を進めて、十月
一ぱい
に完了いたしたい、こういう
考え
でおりますので、その点も御
報告
申し上げておきます。 なおこれに伴いまして、これからどういう人間がどういくかというようなことは、それぞれの
団体
で協議によってきめざるを得ないと思うのでございまして、その
職員
の
身分
の異動に伴う給与その他の
調整
などのことは、
法律
にも書いてありましたから、
政令
にもそれを受けて、
身分
、本人の地位は十分に確保する。
恩給
その他は
通算
するようになっておりますから、この点も御了承願いたいのでございます。 それからもう
一つ
この
自治法
の
施行令
で申し上げたいのは、例の
都道府県
と
国家公務員
、
義務教育職員
との間の
恩給
の
通算
並びに
都道府県
と
市町村
間において
恩給通算
に努めるという
趣旨
の
規定
が入ったのでございまして、実はその
関係政令
をもあわせて出したいと思っておりましたが、これは技術的になかなかめんどうな点がたくさんございましたり、
恩給局
との折衝がまた時間がかかっておりまして、今度はちょっとすぐに間に合いませんでしたので、
恩給
の部分以外は全部
施行令
を出しまして、
恩給
は今さっそく話を進めております。おそくとも八月中に話をつけまして
通算
の
政令
を出したい。これは多少おくれましても
恩給
は追っかけてやればいいのでございますから、その点技術的にも支障がないので、一応二段がまえにすることにいたしたので、この
政令
には乗っかっておりません。その点も御
報告
を申し上げておく次第でございます。
大矢省三
5
○
大矢委員長
鈴木直人
君。
鈴木直人
6
○
鈴木
(直)
委員
ただいま
説明
を受けましたのは、かつてわが党としても決定した線でありますし、
委員会
においても
了解
を得た線だと思いまするからいいとしまして、第六に「
指定都市
の区に、
区長
、
区助役
、
区収入役
、
区出納員
及び
区分任出納員
を置くとともに、これらの
職員
並びに区の
選挙管理委員会
に関する
規定
を
整備
すること。」ということになっておりますが、この点については実は初めて聞くわけなのです。今度新しく
制度
をきめるということでありますが、現在の
指定都市
の区はこの
通り
になっておるのか、現在はどんなふうになっているか、現在なっているものとこれとがどういうふうに違うか、その点を明らかにして
説明
をお願いしたいと思います。記憶によりますると、
区長
はありますけれ
ども
、
指定都市
におきましては市の出張所のような形において置かれてあって
助役
とか
収入役
とかいうようなやや市に準じたようなていさいは、まだ行われていないのではないかというふうに思うのであります。これによりますと、東京都における特別区――もちろん議会はありませんが、特別区にやや類したような、
出納
の
独立性
も相当認められておるようでありますが、
現状
とこの
指定
との差異を伺いたい。
小林與三次
7
○
小林説明員
これは
現状
と全然一緒にしてございます。これにつきましては改正をほとんど加えることをやめました。と申しますのは、
現行法
では、
政令
で
指定
する
五大市
につきましては
行政
区の
規定
を準用するということになっておりまして、
行政
区というのは例の特別市の中の区でありますが、
自治法
で実はこういう
規定
がみな乗っかっております。今度特別市の
規定
をはずしましたから一応落しまして、そうして区に
特例
を設けることになった、それをそのまま持ってきたということになっております。
中井徳次郎
8
○
中井委員
きのう配付されました
資料
に基きまして、
再建整備
の問題で二、三お尋ねをして、
あと
時間がありましたら
町村合併
のことをちょっと伺ってみたいと思います。
再建整備
の
事務手続
が済みました
一覧表
をいただいたのでありますが、
府県
においては九、市においては二十一、
町村
が二十七というふうになっております。実は私
ども
の伺うところによると、大へんたくさんな
申請
を
府県
、
市町村
がしたようでありますが、五月の三十一日が締め切りであったと思うのです。それからニカ月たちましてわずかに
府県
で九つ、市で二十一というような
進捗
の仕方で、これでいいのでしょうか、どういうところでそういう
事務
が停滞しておるのか、その辺のところをちょっと伺っておきたい。
小林與三次
9
○
小林説明員
ごらんの
数字
はまことに多くないのでございますが、その
事情
は、昨日も私申し上げましたが、大半は
自治庁
で今
現地
と
お互い
に折衝して
審査
中の問題もあります。それから
現地自体
でも具体的の
再建計画
がまとまっておらぬ、だから、正式の申し出の
申請
はございましたが、
計画自体
がそれぞれ
団体内部
において
調整
がついておらぬという問題もございます。せっかく
自治庁
にきたものにつきましては、一日もすみやかに
処理
を進めたいというので、
自治庁
も勉強し、また
大蔵省
へ行けば
大蔵省
の方でもそれに御協力願うようにさっそくやっておる次第でございます。
中井徳次郎
10
○
中井委員
今お話がございましたが、この
赤字団体
は、資金繰りその他の面において火のつくように困っておると思うのです。従いまして、
最初
この案が出ましたときには、この案が出ると非常に
地方自治
体の
自主性
がそこなわれる、これは私
ども
の持論でありまするが、もっともだということになりまして案外
財政再建整備
の
申請
をする
府県市町村
が少かったように私は伺った。そういたしますると、
自治庁
の方では、いやそういうものではない、これは大いに温情をもってやるのだというので、来る人にそういう説を説いたとみえまして今度は逆に非常にふえた。私も知っておりますが、
自治庁
の廊下には非常に各
団体
から人が参りまして、陳情、
書類
の
整備
その他で
一ぱい
であった。それが過ぎると、今度はまた
書類
の
審査
がなかなかどうも進まない。どうも私
ども
最初
考え
ましたように、
書類
の
整備
その他の方法が非常に厳重であって仮借なく、しかも詳細な点にわたるまで
指導
してチェックしていく、そうでないといかぬ、こういう結果になったので
事務
がおくれておるように思うのであります。承わるところによると、
自治庁
でOKといった、それから
大蔵省
にいく、また
自治庁
に返ってくるというような非常な煩瑣な手数をかけておるようでありますが、どうですか。
自治体
はあなた方の
下部機構
ではありません。特に
大蔵省関係
の
皆さん
にも私はこの点は訴えたいのでありますが、
自治体
というものはそんな性格なものではないのであります。大きなワクで
最低
の線をがっちりと押えて、
あと
は自主的な判断にまかすということが
原則
でなければならないと思うのでありますが、現在
進捗模様
を見ておりますと、どうもそうじゃない、非常にこまかく何千円というところまでおりていっているような形跡があります。このようなことをやっておりましてそれは
事務
としては非常に馬力をかけてはおりましょう、しかし、政治としてこれが果して妥当なものであるかどうか、これは非常に私は疑問だと思います。ちょうど
大臣
もお見えになりましたが、この点につきまして今私がお尋ねしておるのは、
再建整備
に関する
事務手続
が非常に渋滞をしておるということなのであります。こういう点について、もう少し幅の広いしかもがっちりとした――あなた方は
数字
をこまかく何千円までいかないことには押えられないと
考え
ておる、その
考え方
にどこか欠点があるのではないか、私はかように思うのであります。こういう点について、きのうも私
質疑
を伺っておりますとこういうことがありました。
山形
県や宮城県あたりで
災害
で非常に困った。
山形
県はすでに
承認
を受けております。そういたしますると、
災害
によってさっそく
承認
の
計画
を変更しなくてはならぬ、こういうことであるならば、一々
皆さん
が御丁寧にチェックをされましても、これは絶えず変更の問題が起ってくる。単に
事務
が煩瑣になるばかりであって大局としては一向どうも
意味
のないことをやっておられるのではないか。
意味
がないといえばおしかりを受けるかもしれません。大事なお金のことであるというので厳重におやりになるということなら、それまでのことでありますが、これは
皆さん
が
予算
をお組みになるわけではないのであります。大きなところで押えられて、それで私は間違いがないように思うのでありますが、この点についての
自治庁
の御見解を
一つ
伺っておきたいと思います。
鈴木俊一
11
○
鈴木説明員
再建計画
の
承認
並びに
財政再建債
の
許可
の
手続
の
進捗状況
を、もっと円滑にすみやかにまた煩瑣にわたらないようにやるべきであるという御主張に対しましては、私
ども
全くそのように
考え
ておるのでございます。
自治庁
といたしましても、従来
調査課
という
一つ
の課が、
地方
に対する窓口になりまして、具体的に
再建計画
の
相談
、
指導
にあずかってきたわけでございますが、つい最近
財政再建課
というものを独立いたしまして、この
仕事
に
専従
をする、もっとも従来とても
調査課
と申しておりましたものの、実質は
財政再建
に
専従
をしておったと申してもよいと思うのでありますが、今回専任の
課長
をはっきりと定めまして、
財政再建
の
仕事
の迅速な
処理
をはかるということにいたしたわけであります。また
大蔵省
との間におきましては、昨日もいろいろ御心配の御
質疑
が
亀山委員等
からもあったようでありますが、一般的な
方針
といいますか、
基準
というものにつきましては、あらかじめ十分これを打ち合せまして、その
基準
に従って個々の
審査
はできるだけ
自治庁
にまかせてもらうという
考え方
で話を進めておるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、具体的な
地方団体
について、ややめんどうな問題が起ったというような例もあるわけでございますが、そういうようなことも今後できるだけないように、一般的な
原則
によって事がさばかれるようにいたして迅速な
処理
をいたしたい、かように
考え
ている次第でございます。
太田正孝
12
○
太田国務大臣
今
次長
が申された
通り
でございますが、
中井
さんのおっしゃる点は、結局魂の置き方が問題だろうと思います。結局
予算
でこうきまっておって、これを実際に当てはめるについて、
考え方
を少し政治的――と言うと少し大きくなりますが、広い
考え
でこの
制度
の精神にかんがみてというお言葉と思いますが、その点はしかと
自治庁
に関する限りは御趣意を徹底するようにして急がすことにいたします。また私の方で急いでも、
大蔵省関係
がおくれる場合があるということも御指摘の
通り
でありまして、この点も
大蔵大臣
に強く主張するつもりでございます。さよう御了承願います。
中井徳次郎
13
○
中井委員
今の
大臣
のお答えでありますが、現実はどうもそうではないようでありますから、特に念を押しておきますが、お願いをいたしたいと思います。それに関連をいたしまして、私は数日前に、
国会
から出しております雑誌でありますが、それをちょっと見ましたところが、京都府の
計画
承認
に対する
計画
書が出ております。それに対するある有志の詳細なる解剖がありましたが、それを拝見いたしますと、京都府におきましては、これは何年か、八年間でありますか、再建年数がかかる。それがだんだん見てみますと、
最後
の年になればなるほど投資的な経費が毎年々々非常に減ってきております。これはどういうことであろうか、私も非常に疑問に思ったのでありますが、現実にそういうような形になっておりますので、これを
一つ
お聞きいたしたいと思います。
長野士郎
14
○長野
説明
員 京都府の
計画
におきましては、過年度に発生いたしました
災害
がたしか三十四年ごろで終ることになっておりまして現年度以降の新しい
災害
については
計画
上見込んでおりませんので、事業量としてはそれが相当大きく減った形になるようになると思います。それから公債費も多少上っております。そういう関係で後年度においては一応事業量が落ちてしまったような形をとっているというふうになっております。
中井徳次郎
15
○
中井委員
せっかくの長野君の
説明
でありますが、京都の
災害
の関係は
あと
もう一、二年で終ると思っております。従いまして私はあの
数字
を見てこれは非常に無理をしていると思う。大体投資的経費がここ数年だんだん減っていくというふうなことは、日本の
現状
から
考え
、道路の問題、河川の問題、いろいろさまざまなことから
考え
ましてこれはとうてい
考え
られない。従ってあれは第一号であったろうと思いますが、ああいうもので
承認
をされるということであれば、あの
計画
には相当な無理がある。これは私
ども
がしょっちゅう言っておりますように、何としても
地方自治
体の自己財源をふやさない限り、帳面づらははなはだ合う、あるいはまた
計画
としては、
皆さん
や
大蔵省
のエキスパートがいろいろチェックされましたので、それは非常に厳重な詳細な
計画
になっておるかもしれませんが、現実の前には一ぺんに押しつぶされてしまうというような感じを持ったのであります。そこでお尋ねするのでありますが、あの
計画
で行かれまして年度末に多少金が余りましたら、それはどういうことになりますか。再建年数十二年というのを十年に短かくするとか、あるいは余りました金を投資的なものにやるとか、この点についての
自治庁
としての一定の
方針
がおありかどうか、あるいはまたそれは一にかかって
地方自治
体の自主的な判断にまかすということになっておるのであるかどうか、この点は非常に重要だと思いますので、
一つ
お答えがいただきたいと思います。
小林與三次
16
○
小林説明員
大体の
考え方
は、これは
現状
を基礎にして
計画
を作っておりますから、長い先のことは
事情
もいろいろ変ってくるだろうと思います。その場合に今の余剰の財源ができました場合には
計画
を繰り上げるかどうかという問題で非常に長い
計画
を一応
考え
ておりますが、それ以後でも
事情
によっては
考え
なければなりませんが、非常に長い
計画
のものは
計画
を短縮するという問題を
考え
ております。そうでないものはいろいろ具体的な
事情
によって
考え
なければなりませんが、投資的な事業その他の
団体
が自主的に判断する事業に回してもいいというふうに
考え
ております。そういう場合に一々
承認
か、
許可
かという問題になりますが、
計画自体
の軽易なものは自主的にやっていい建前にいたしておるつもりでございます。
中井徳次郎
17
○
中井委員
今の御答弁でありますが、軽易なものと重要なものに対する
基準
、そこまではお
考え
になっておりませんか。私
ども
の見解では、一応
政府
が
承認
されましたならば、
あと
そういう余剰財源が出た場合には、これはせめてそれだけは
一つ
自治体
の自由にまかすべきであるという
考え方
をしたいと思うのでありますが、この点についてちょっと
大臣
の御意見を伺っておきたいと思います。
小林與三次
18
○
小林説明員
大体の基本的な気持はそういうものでございますが、しかし変更の度合いと申しますか、後年度に影響の及ぶものも当然あり得るのであります。
計画
全体に本質的な影響があるというふうな程度のものは、これはやむを得ないと思っております。
中井徳次郎
19
○
中井委員
私は
一つ
の事実でもってお尋ねしたいと思うのでありますが、東北方面のある県及び市においては近く非常に大きな工場を誘致するというふうなことで話が進んでおる、ところが再建
団体
の
指定
を受けましたものですから、工場誘致に伴いまするこれまでの工場側との契約を破棄せざるを得ないようになった。具体的に言いますると、固定資産税などの免除とまではいくまいけれ
ども
、
あと
建設の二、三年に関する限りは、
一つ
奨励金か何かの形で還付しようとか、いろいろな話し合いが出ておったようでありますが、
再建整備
を受けたためにそれができなくなる、できなくなるということになりますと、その都市はますます貧弱になっていく、こういう具体的な
事例
がはっきりと出ておるのであります。そういう面についても、
自治庁
はどういう
考え
であるか。もう少し私はそういう点については、やはり
自治庁
の本来の性格から
考え
て、大いにそういうことにならないような
指導
をなさるべきである。方法は私は幾らでもあろうと思います。税金を免除するなどということは元来正しくないことでありまして、私は終戦後できました各都市の工場誘致に関連するああいう話については反対であります。しかしそのかわりに、それを見合いにして適当な措置を講ずるということは非常にけっこうであるというふうな
考え方
を持つものでありますが、具体的にそういう問題にひっかかりまして、工場誘致がどうも成功するかしないかというふうな問題にまで、影響があるような事態が起っておるように伺っておるのであります。そういう問題について
自治庁
はどういうふうな
考え
でありますか。これは
一つ
の例にすぎませんけれ
ども
、再建
団体
になりましたために、そういう問題についてはその
府県
、
市町村
が萎靡沈滞をするというふうなことがあっては、まことにお気の毒であろうと思いますので、ちょっとお尋ねを申し上げる次第であります。
鈴木俊一
20
○
鈴木説明員
工場誘致等をはかりまして、
団体
の繁栄をはかりたい、こういうことは
地方団体
が
計画
をしておるわけでございまして、そういう場合には何か奨励金を交付するというような形で、実質的に固定資産税をしばらくの間免除する、あるいは事業税をしばらく免除する、こういうようなかっこうの措置を
条例
をもって定めておるところがあると思います。
再建計画
を作ります場合には、やはりあくまでも自主的にこれを作ることを認めております。従って個々の具体的の
団体
の
実情
に即して、たとえば先年誘致をして参りました工場の税収が、今後三年目から税金が入ってくるというような場合には、そういうものを現実に即して収入の上に計上して、
再建計画
を立てる、こういうようなことを実際にやっております。また新しく設置する場合におきましても、
条例
の
規定
に基いての歳出なり歳入なりというものを、それぞれそれに見合って計上する、こういうことで、やはり事態に即した
考え方
に立っているのであります。ただこの際従来免除いたしておりましたものをもうやめる、再建
団体
になったから、とてもそういうことはできない、こういうようなところもあるいは理論的には
考え
得るわけでございますが、しかしそれはそうした方がその
団体
としてはより有利であるというふうに自主的に決定した場合に、そういうことになると思うのでありまして、やはり当該
団体
のあくまでも
自主性
を基礎にして、工場誘致等の問題も、
再建計画
との関連も
考え
て参りたい、かように
考え
ておるのであります。
中井徳次郎
21
○
中井委員
今の
鈴木
氏の答弁でありますと、市や
府県
でもって
条例
を作っておって、それをやりたいといえば、
自治庁
はそこまでは押えておらぬというわけでありますか。そういうふうに
了解
してよろしゅうございますか。
鈴木俊一
22
○
鈴木説明員
実際そういうふうに作ってありますところに対しまして、それを押えるというところまではやっていないと思います。
中井徳次郎
23
○
中井委員
ちょっとその点はおかしいのでありまして、私はきょうは具体的なことは申しませんが、これは東北のある市でありますが、再建
団体
の
指定
をされるので、せっかく
条例
は作ったけれ
ども
、それができないのだというふうなことで、工場側は非常にあわてているというふうなことを伺っております。これはこの席でこれ以上は申しませんが、そういう御
方針
であるならば、どうぞ
一つ
その
方針
を貫いてもらいたいものであると私は
考え
ております。 それからこれに関連をしまして、せっかく再建案を作ったけれ
ども
、
災害
があるとすぐに変更せなければいかぬというふうなものとも関連があるのでありますが、先般
国家公務員
に対して人事院が勧告を出しました。この点について勧告が出ましたならば
地方
公務員もおそらく右へならえということにならなければならぬと思うのでありますが、この点について
政府
はまだはっきりとした
方針
がお立ちになっておらぬようにも伺いまするけれ
ども
、どうでございますか。
国家公務員
において何らか手を打つということになれば、
地方
公務員においてもこれを
考え
ていかなければならぬと思うのでありますが、
自治庁
長官とされまして、いつも
国家公務員
と
地方
公務員との間に線を引かない、こういうことが大
方針
のように伺っておるのでありますが、この点についての
大臣
の率直な気持を
一つ
聞かしていただきたいと思います。
太田正孝
24
○
太田国務大臣
先般人事院が勧告をした
国家公務員
に関する問題は、きょうも
閣議
で出ましたけれ
ども
、まだ決定しておりません。あの勧告の中にある問題と、今
中井
さんの御質問になった問題と関連があるかとも思いますが、
地方
公務員の方は高いのだから、この際これに即さなくていいというふうなお言葉がありましたが、これは私は反対でございます。そう思いません。これは一部の
府県
あるいは一部の市でありますと高いものもございましょうが、平均論をもってかように言うことはできないじゃないか、ましてや交付
団体
、不交付
団体
の関係もございますし、しかも昨年の一月十日現在をもっての調べでは、
国家公務員
より
地方
公務員の方が高いところがある、これは事実に出ております。けれ
ども
一年余りの月日を経ているのでありまして、一回昇給を延ばしましても相当に差が出てきますので、実際におきましてかようなことはできないということが
一つ
と、もう
一つ
は、
再建計画
の中におきましては、御承知の
通り
国家公務員
の給料によって実員をかけておりますので、その
国家公務員
の給料が上りますれば、右へならえの
原則
を当然受くべきものであり、
再建計画
は直さなければならぬと
考え
ております。ただいまのところどういうふうにこれを
処理
するかという
国家公務員
関係はきまっておりませんが、
地方
公務員関係と
国家公務員
関係についての財政関係は、かようなふうに私は
考え
ております。
中井徳次郎
25
○
中井委員
今の
大臣
の答弁は
自治庁
長官として当然のことであろうと思うのでありますが、しかしそれはまだ
閣議
の
了解
は得ておられないのでございますか。その点のところをもう
一つ
。
太田正孝
26
○
太田国務大臣
国家公務員
関係もきまっておりませず、
地方
公務員の方もきまっておりません。ただ私の意見としては今日もそのことを述べてきたような次第であります。
中井徳次郎
27
○
中井委員
この点、
国家公務員
との間に区別をつけないという点においては、少くとも
一つ
がんばってもらいたいと思うのであります。 人事院勧告の線でいきますと、
国家公務員
で所要の経費といたしましては、年額どれくらいになるお見込みでありますか。これは
事務
当局から伺います。
小林與三次
28
○
小林説明員
あの人事院勧告
通り
だと
国家公務員
については人事院の
数字
では六十九億という
数字
が一応出ておるのであります。それからそれに見合う
地方
公務員、これは元がどうなるかよくわかりませんので、私の方でまだ試算中でありますが、それをそのまま人事院の計算方法で一応伸ばしてみますと、総額二百五十四億という
数字
が――これは交付、不交付全部入れた
数字
でございまして、これは
義務教育職員
の負担金の補助金の問題、国庫補助
職員
、負担金支弁
職員
を全部入れて計算した
数字
でございます。しかしそういうものは国庫補助関係として国庫から支出されますので、そういうものをそれから除きますと、
地方
公共
団体
としては百九十八億円くらいの
数字
が出やせぬか、そのうちで交付、不交付に分けますと、交付
団体
は大体百五十億円ちょっと、不交付
団体
が四十四、五億というような一応の概算でございます。これは、今の人事院の勧告は御承知の
通り
新しい号俸への切りかえとともに、特別手当〇・一五というものも入っております。これらをみんな計算した
数字
であります。
中井徳次郎
29
○
中井委員
もう
一つ
念のために伺うのでありますが、そうなりますと結局
地方自治
体の負担になるものは、非常に厳格に計算して二百億ですか、そうして不交付
団体
を除くと交付
団体
はぎりぎりのところどれだけの経費がかかるか、財政
計画
に影響のあるものはどれだけであるか、あるいはまたそれをやることによって不交付
団体
が交付
団体
に変るというふうなことも私はあり得るのじゃないかと思いますが、そういう面でぎりぎりのところ、どれくらいのものであるか伺っておきたいと思います。
小林與三次
30
○
小林説明員
今までの
数字
の概算で申しますと、ぎりぎりのところで交付
団体
分が百五十三億という一応の
数字
が出ます。その結果交付
団体
から不交付
団体
に移る
団体
もあるいは具体的にはあり得るのであります。そこらは研究いたしております。
櫻井奎夫
31
○櫻井
委員
今の
中井
君の質問に関連いたしまして、
地方
によっては昇給昇格の延伸をしておるところがあるわけであります。かりに
国家公務員
に対する人事院の勧告が実施されたといたしまして、そのような処置をとっておるところの
地方団体
の
地方
公務員と
国家公務員
との間における非常な不均衡、こういう点について
自治庁
ではどのように
考え
ておられるか、
大臣
の御所信をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
小林與三次
32
○
小林説明員
ちょっと先に答弁さしていただきたいと思います。これは今度の新しい勧告の有無にかかわらず、同じような問題が出ておるのでございまして、われわれといたしましては
国家公務員
並みの給与を
地方
の財政上保障するという建前をとっておりますが、個々の
団体
で給与の上げ下げは御承知の
通り
地方
の公共
団体
にまかしております。財政
計画
上は必ず
国家公務員
並みのものを確保いたしたい、そういう
方針
で努力いたしておるつもりであります。
中井徳次郎
33
○
中井委員
今の御答弁で大体
数字
はわかったのでありますが、困難な
地方財政
の中にありまして、百五十三億という
数字
は相当の
数字
であろうかと思うのであります。そうなりますとやはりまた平衡交付税の問題とか、あるいは税制改正の問題とも大いなる関連を持ってくると思いまするが、
自治庁
長官は前の
国会
におきましては昭和三十一年度において相当な財源を見た、しかしこれの仕上げは
一つ
三十二年度にやるというふうなことでありましたが、昭和三十二年度には少しまだ早いかもしれませんが、税制改正につきまして
自治庁
として案がもうだんだん固まりつつあるのではないかと思うのでありますが、どういうふうなお
考え
でありまするか、お
考え
がありましたら今のところどういう程度のものであるか、お話をいただきたいと思うのであります。
太田正孝
34
○
太田国務大臣
三十二年度の問題こつきましては、国家財政、
地方財政
ともに関連を持った問題でございます。ただいまその問題につきまして
政府
としても
考え
ておる最中でございますが、私は
地方財政
の建前からいえば、国家財政の実際に下に
仕事
をおろして行う場合に、みな
地方財政
にかかって参りますので、
地方財政
の
現状
というものは相当に苦しいものである、しかも
赤字団体
においては給料の値上げもとめておるといわれ、実に涙ぐましいような事実を各地において見ておるのでございますが、そういう点を
考え
ると同時に税制についても十分工夫していかなければなりませんので、御承知の税制
調査
会におきまして三つの部に分れて、
地方財政
の部はたしか二週間前ぐらいでしたか――だんだん始めておりまして、きのう、おとといは実地
調査
に千葉、茨城の方に行ったような
状況
で、まだ固まっておりませんです。けれ
ども
国の経済が御承知の
通り
、船で言えば底の浅いところから底の浅くないところまで来たというのが一般の観測でございます。また経済白書の中におきましても、日本の経済生活は戦前戦後と分けた場合に戦後時代は去った、しかし底は深くなった、戦後時代が去ったといっても、ここでどういうふうにかじをとっていくかということは、国家の経済及び国家財政の問題であり、これをまた裏打ちしていく、また裏打ちされる
地方財政
の問題がからんで参りまして、ただいまそれらを一括して
政府
としても勉強しておるような次第でございます。
中井徳次郎
35
○
中井委員
固まっておられぬという、まあそうでございましょうが、ここでちょっと参考までに伺っておきたいのですが、昭和三十年度の全国各
府県市町村
の大体の決算の模様であります。これは二十九年度に比べまして相当よくはなっておるのではないかと思うのでありますが、これを
一つ
お漏らしをいただきたいということ、それから去年からことしにかけまして私はしょっちゅう申しましたが、自然増収とでもいわれまするか、そういうものが相当あろうかと思うのであります。国税を頂点といたしまして三十一年度あたりは住民税その他にはね返ってくる、かように
考え
ておるのでありますが、そういう点の見通しもちょっと伺っておきたいと思います。これは
事務
当局でけっこうです。
小林與三次
36
○
小林説明員
三十年度の決算は実はまだ集まっておりません。これは集まり次第なるべく早くわれわれも集計いたしまして、その結果を
報告
いたしたいと思います。お話の
通り
前年度よりはよくなっておるとは
考え
ます。
中井徳次郎
37
○
中井委員
全部は集まっておらぬだろうが、大体のところはもうわかっておらなければならぬと思う。もう二カ月もたっておりますが、どうですか。別にそれでどうこうしようというわけではないのですから。
柴田護
38
○柴田
説明
員
府県市町村
を通じまして、全部正式の決算が集まって参りますのは、今ごろから大体ずっと集まって参ります。従いましてはっきりしたことは申し上げられませんけれ
ども
、二カ月ほど前に、
府県
の場合につきましておおよその見通しを県の財政当局者から私が聞きましたところでは、大体単年度におきまして赤字を出すというような
団体
は非常に減少、むしろ
団体
によりましては古い赤字も若干解消しておるといったような傾向が見受けられます。なお
団体
によりますと、逆に赤字がふえたというような
団体
もあります。これはごく特異な
団体
でありますけれ
ども
、そういう
団体
も中にはございます。
中井徳次郎
39
○
中井委員
ちょっと参考までに伺いたいのだが、その赤字がふえた
府県
というのはどういう県でございましょうか。
柴田護
40
○柴田
説明
員 たとえて申し上げますと大分県であります。結局一般的に申し上げますと、あの県はずっと黒字で参った県でございますが、やはり三十年度に税収入の見積りを誤まったことがおもなる原因だと思います。
中井徳次郎
41
○
中井委員
財政関係のことはこの程度ですが、ちょっと
最後
に私、
町村合併
の問題で伺っておきたいのですが、よろしゅうございますか。
大矢省三
42
○
大矢委員長
どうぞ。
中井徳次郎
43
○
中井委員
町村合併
は大体順調に進んでおるというようなことでありましたが、いよいよ九月三十日で促進法案の期限が切れるわけでありますが、どうでございますか、今残っておりますものについて特に私がお尋ねいたしたいのは、
府県
の
境界
にあるような村で、そうして非常に住民の意思は他の
府県
にむしろ行きたい、ところが
府県
側においてこれを押えているというようなことのために、もやもやといたしまして、一向にはかどらない、関係の
府県
におきましてもそれに対する
計画
を一向に出さない、
計画
を出せば反対される、それで黙っておろう、これを九月三十日までほおかむりでいって、そして強引にどうも
境界
変更されると困る、少しでも減ると困るというような、まあ領土争いのような、非常に封建的な
考え方
から、住民の意思を故意に束縛をし、そうして遷延をしておるというふうな村が相当あるやに私は伺っておるのであります。これは
府県
知事
の立場からすれば、一応うなずけることではありましょうけれ
ども
、どうも日本というこんな小さいところでそんなことを言っておっても、とうてい私は
町村合併
の円満な
進捗
などはありそうにないのでありますが、そういう点について
自治庁
は一般的にどういうお
考え
であるか、それをちょっとこの際伺っておきたいと思います。
小林與三次
44
○
小林説明員
ちょっと便宜上私から答弁させていただきたいと思います。
町村合併
は今
中井
先生のお話の
通り
、九月三十日を一応のめどにして進めておるのでありますが、従来、今お話の
通り
、
府県
境の問題は全国を通じますと相当ございます。たくさんというほどではございませんが、かなりございます。これにつきましては、一般的に
自治庁
といたしまして、やはり県内の合併のめどをまずつけるだけつけまして、どうしても県間にまたがって
調整
しなくては
町村
の適正化が期せられない、そういうものは
最後
に取り上げて
調整
をいたしたい、こういう
考え
で進んでおるわけであります。それで県内の問題につきましても、従来県の
計画
が百パーセントいいとは必ずしも言えぬ場合もございまして、その後の実際の
状況
によって調節をする必要があろう、そういうので
自治庁
も今乗り出しまして、実はきょうも近県を集めてやっているはずでございますが、各県の残った
町村
につきまして、合併
計画
をもう一ぺん再検討いたしまして、県の
計画
のいいものはよし、ものによっては
調整
すべきものは
最後
の段階ですから
調整
をして、それもなるべく各県調子の合うように
調整
をして、そして
最後
の合併目標をきめたい、こういうことで今進んでおります。そこでこうした県内の合併
計画
の一応の
調整
も終りまして、ある程度進んで、どうしても県間に残るものは残ると思います。その場合には
最後
にそれを取り上げまして、
自治庁
が中心になってこれは県境の問題ですから、地元だけでは必ずしも話が私は進まないと思う。しかし現に円滑に進んでおる例もあるのでございますが、今までこじれているところは必ずしも地元だけでは進まない問題だろうと思いますので、そういうものにつきましては、
最後
の段階で
自治庁
も入りまして県境の問題を調節したい。その基本的な
考え方
は今
中井委員
もおっしゃいました
通り
、それぞれ地元の住民の意思を十分に汲む必要があろうと思います。ただその場合にも、地元でも必ずしも意見がまとまっておらぬ場合がございまして、県は別として
町村
自身の中でも意見が分れている場合があるのでございます。それでわれわれの一般的な気持は、
町村
の意見の分れているようなものにつきましては、県境の問題まで中央が乗り出してやるのは行き過ぎじゃないか、大きく言いましてそういう
考え
でございます。まず地元の
町村
の意見は百パーセントまとまっている。百パーセントと申しましても、もちろん例外はございますが、その前提で県間の意見がまとまらぬというときにこっちが乗り出していったらどうか、こういう
考え
でございます。さらにその場合にも、それじゃ地元の
町村
が百パーセント意見がまとまっておったら、必ずその
通り
にすべきかということになりますと、これはやはり多少問題がございまして、正直申しまして富裕県に隣接している
町村
は、おそらくはいいということになれば、どの
町村
もそれぞれ行きたいという傾向は現にあるのでございます。そうなってきますと、むしろそれは個々の
町村
の合併というよりも、県間の
境界
変更と見るべき事態が多いのでございまして、そういうものまでこの際取り上げるのは、私は行き過ぎじゃないか。ただ個々の
町村
といたしましては、県境にまたがって、隣県にまたがらなければどうしても
町村
として合理的な合併ができないというものも、地勢、交通その他から必ずこれはあるのでありまして、そういうものを
一つ
中心にして、思い切って県間の
調整
をはかるべきだというのが基本的な
考え方
でございます。その場合でもやはり県の立場から、これは一応
考え
ないといけないのでありまして、県といたしましても、県の
行政
を総合的に推進していくためには、どうしてもその地域が必要だ、こういうところも私はあり得ると思うのでございます。地勢その他
計画
を進めたりなんかするために、山奥でも一緒でなくてはいかぬということもあり得るのでありまして、そういう点は特別にある程度配慮する必要があると思います。しかし基本的には
町村
民の意思とそれを取り巻く客観的な
事情
というものを基礎にして、最終的にはぜひ
調整
すべきで、こういう機会には
調整
すべきものというのが基本的な
考え方
でございます。
中井徳次郎
45
○
中井委員
大体の
考え方
はわかりましたが、
町村
の意思が百パーセントまとまるということは、現実の問題としては、
町村合併
の問題いろいろありましたけれ
ども
、ほとんどそれはない。ある
意味
において民主主義でありますから、十人に一人か二人の反対はあり得ると思う。それから私はこの問題について、
皆さん
が少々急ぎ過ぎた、来年の三月までにみな断を下すというのでありますが、それまでにできますか。今残っておりますのは数は少い。数は少いが少いだけ非常に困難なところばかり残っているわけであります。そういう点について来年の三月までに線を引くということ、私
ども
はあれについてはまだ少し早いといって反対したのであります。通った以上はやむを得ませんが、どうも少し無理があるように思うのであります。そういう点についてどうでございます、自信を持っておられるのですか。それから百パーセントといいますが、そういう非常に問題のあったところは、やはり住民の意思も分れてしまいまして、あるいは分村の問題などが大きく浮び上ってくるのではないかと思います。そういう場合は
最後
にはやはり住民の意思というものが私は支配的でなければならぬと思うのであります。
府県
の都合ももちろんありましょうが、
府県
の合併でありません、
町村合併
でありますから、そういう点についてさらに突っ込んだ意見を伺っておきたいと思います。
小林與三次
46
○
小林説明員
百パーセントと申しましたのは、これは言葉に少し語弊があったと思いますが、もちろんこれは大多数という
意味
でございます。少数の反対はもちろんあり得ると思っております。しかし県境にまたがるような場合には少くとも県内と同様に、多少は四分六分でもというわけには私は参らぬのではないか、大半の意向が合致しているという前提で事を進めるべきではないかというふうに
考え
ております。 それからもう
一つ
は、さらにその場合に県間を越える分村の問題があると思う。これは当然にあり得ると思います。今までの
事例
でも、現に今言った岐阜と愛知などというものは県間の分村でございまして
最後
には分村によって解決すべき
事例
はあろうと思います。それもその実態に即して
考え
てよかろうと思います。 それからもう
一つ
は来年の三月まで全部うまくいくかという見通しの問題でございますが、これはきょうからやっております各
地方
の
最後
の意見を聞かなければ、正確なことは申せませんが、私の大体の今までの見当では、国の
計画
が
一つ
ありましてそれに基いて県の方で、もっとそれよりも上回った
計画
を作っております。大体国の
計画
の線は、私はおおむね五月前後までいくんじゃないだろうか。そこで県の
計画
はそれより数百上回っておりまして、この程度のものはきっと残らざるを得ぬじゃないか、客観的に見てそういう条件であります。そこでそういうものは三月までみんな片がつくかといえば、私は必ずしもそこまではいかぬと思っております。そこらにつきまして、先ほど申しました
通り
計画自体
に無理のあるものは、
計画
から場合によってはずしてしまう。北海道などはずいぶん
事情
も違いますから、はずすものははずして、だれが見てもやるものをやるということで、
最後
の
計画
を作りました。そうして三月までということも、これは勧告の期間でございまして、それまでに幾月までということは、私は必ずしも断言はもちろんできぬと思います。そういうことにはならないだろう、こういうふうな大づかみな見当をつけております。
大矢省三
47
○
大矢委員長
北山
愛郎
君。
北山愛郎
48
○北山
委員
大臣
に簡単な問題を二、三お伺いします。 第一はこの
地方
制度
調査
会の問題でありますが、
地方
制度
調査
会は第三次の
調査
会でもって、
府県
制度
の改革を多少やったようであります。ところがその問題を結論を得ないままに今度も任期が切れてしまったわけです。何でも申し送りの事項として
府県
制度
の改革、それから
地方
債の問題等を懸案事項として申し送ったようでありますが、今までの
地方
制度
調査
会の
審議
状況
などについても、この際われわれとしては、また
政府
としても
考え
を改める必要があるんじゃないかと思います。この際
府県
制度
の改革なり、あるいは
地方自治
全体にわたっての百年の大計を立てるのでありますから、
一つ
調査
会の声価を発揮させる
意味
におきまして、従来の
委員
について再検討するというようなお
考え
はありますかどうか、これを伺いたいと思います。
太田正孝
49
○
太田国務大臣
これまでの
地方
制度
調査
会が大へん有益なる御答申を下さいまして、それに非常に助けられつつ、及ばずながら
地方
行財政の改革をして参ったのでありますが、ただいまお言葉のあった
通り
、申し送りの問題としての二つの
地方
制度
の根本改革と
地方
債の問題とは、ぜひ次の
委員会
において、りっぱな御答申をお願いいたしたい、こう思っております。
委員
の切りかえのときに参りましたが、もちろん両院の議員の方々、これは
法律
によって数もきまっておるのでございます。これもぜひ早く充当したい。それからその他の学識経験者につきましても、ただいまいろいろと交渉等をしておる最中でございます。なるべく早く発足したいと
考え
ております。
北山愛郎
50
○北山
委員
従来の
調査
会が相当の成果を上げ、その
調査
会の答申について、
政府
としては相当熱心にこの実現をはかったという点は認めるわけであります。しかし私も
調査
会の
委員
として
審議
に参加した
状況
などを見ましても、実際の答申案の内容、
中身
というものはやはり
自治庁
の
内部
の
事務
局の方で、大体の骨子は作ってしまって、それをイエスと言うかノーと言うか、少しくらいこれを手直しするという程度に
調査
会が使われておるのじゃないか、私はどうもそういうふうに見えてならぬのであります。従って
一つ
この
委員
の人選等についても十分お
考え
を新たにせられて、そして民間の学者、経験者等においても相当清新な、しかも十分検討しておる学者等もあるわけでありますから、
一つ
そういう人たちを新しく
調査
会に加えて、もっと
調査
会自体がその自主的な活動ができるように御考慮をいただきたいと思うのであります。 それからもう
一つ
、昨年の
調査
会の活動を見まして感ずるのは、
調査
会といえば根本的な
地方
制度
ないし行財政の
制度
の改革を腰を据えてやるのが、
調査
会の本務であるにもかかわらず、その年度の
予算
を組むについて、場当りの答申を出す、また答申を求めるというふうに、政治的に
調査
会を
自治庁
が利用するかのごとくに見えることははなはだ遺憾である。従って今度の申し送り事項の中にも、
地方
債の問題がございますけれ
ども
、やはりこの問題についても、単に昭和三十二年度の
予算
編成の際に、
自治庁
の立場を有利にするため、てこを入れるというふうに
調査
会をお使いになることなく、もう少し根本的な
制度
を、将来を見通してしっかりとした答申を出させるという気持でやっていただきたいと思うのです。 そこでお伺いしたいのは、
府県
制度
について第二次の
調査
会におきましてたしか表面には出ませんでしたが、幹事会の案というものがあったわけです。それは、たしか
府県
を統合して中間
団体
を作るというような
府県
統合案であったように思われる。
大臣
としては、一体
府県
の将来について、道州制がいいのか、
府県
の統合がいいのか、あるいは大体
現状
の事態を基本にしていくのがいいのか、どういうふうにお
考え
であるか、この際ざっくばらんにお話を願いたい。
太田正孝
51
○
太田国務大臣
地方
制度
調査
会の運用について、もう少し清新なる空気を送り、
委員
にしてもまた
調査
方法にしてもという御注意は私も同感でございます。その心組みをもってやっていきたいと思います。
地方
制度
について道州制の問題が出ましたが、私自身も今踏み切るところまで行っておりません。これは白状申し上げます。よく
調査
会の意見も聞き、また自分も勉強して、庁内の意見も徴して腹をきめたいと
考え
ております。
北山愛郎
52
○北山
委員
それでは次の
地方
債の問題については、これは
大臣
も事あるごとに
地方財政
の対策としては、いろいろ三十一年度においてはやった。ただし
地方
債の問題が残っておるというふうに御見解を表明されておる。
地方
債について三十二年度においては、大体どういう格好で
地方
債の問題を
処理
していくお
考え
があるかと私は思うのです。結局問題が残っておると言われるのですから、残っておる
地方
債の問題をどういうふうに解決をするつもりであるかお伺いしたい。
太田正孝
53
○
太田国務大臣
その問題は最も大きな問題で、私は国のいろいろな
計画
を立てても、
地方
にこれが流れていって実現をするのには財源の問題になる。財源の問題になる場合に、過去の
地方
債がどれだけの妨げをしておるかということも
考え
なければならぬ。ただ単に国家財政等の立場から各省があれやれこれやれといっても実現できる程度、及び
地方
の負担力、そういうものを
考え
てみますと何としても
地方
債を片づけなければならぬという強い信念を持っております。しからばその
地方
債の利子補給の方法とか、あるいは借りかえの方法とかその他いろいろな案が、今
自治庁
の中でも起っておりますが、まだ決定するところまで行っておりません。何としても
地方
債問題が片づかなければ、これからの
地方
の行く道につきまして非常な困難を来たすということの事実を認識しつつ、いろいろな案が出ておりますけれ
ども
、そういう案をまとめていきたい、こういうように
考え
ております。
北山愛郎
54
○北山
委員
ただいまのお話ですと、要するに
地方
債問題というものは、民間の
地方
債元利償還の負担が増高していくという、
地方
の負担を何らかの方法によって軽減をするんだ、こういうお気持かと思うのです。その際に
地方
債の一部を国の方で肩がわりをするという方法、それから利子補給をするというような方法、あるいはまた私
ども
がこの前の
国会
に提案をした
通り
に、一部の元金についてこれを数年間たな上げをするというようないろいろな方法があると思うのですが、いずれにしましても昭和三十二年度の
予算
編成なり
地方財政
計画
については
地方団体
の公債費の負担を相当程度に軽減をするという気持といいますか、そういう
方針
でもっておやりになると
了解
していいかと思うのですが、そうでございますか。
太田正孝
55
○
太田国務大臣
その
通り
でございます。
北山愛郎
56
○北山
委員
なおこれに関連して、この公債費負担を減らすというのに、毎年の財政
計画
上の財源としての公債費、いわゆる
地方
債の割当でありますが、それを減らすべきであるという意見があると思うのです。昭和三十一年度は多分
政府
としてもそういうお
考え
のもとに一般事業債について相当大幅な圧縮をしたわけでありますが、私はこれは必ずしも適当でないんじゃないかというふうに
考え
ておりますが、
大臣
としては昭和三十一年度において百八十数億の一般事業債の
政府
資金のワクを減らした、こういうやり方を来年度においてもおとりになる
考え
であるか、その点はどうなんでしょうか。
太田正孝
57
○
太田国務大臣
地方
債の総額をどうするかという問題につきましては、この前の
国会
におきまして、私は三十二年度以降普通公債については六百億の限度をこさぬようにしたい、こういうことを申し上げましたが、その点につきましてもなお経済
事情
の移り変り等を
考え
まして、もう一ぺん
考え
てみたいと思いますが、ただいまのところはこの間の
国会
で申し上げた
通り
の
考え
でおるのでございます。
北山愛郎
58
○北山
委員
次に、
地方財政
の
財政再建
について大ざっぱにお伺いしますが、今まで
地方財政再建
促進法の適用
状況
を見ておりますと、結局
地方
の
赤字団体
に対して適用の結果、まず相当増税になってきた、それから事業が相当程度に圧縮された、それから首切りをやった、そういうふうなマイナスの面が非常に出てきておるのです。これは昨年
地方財政再建
促進法が提案をされたときに、この法案を実施すれば必ず増税、それから事業の圧縮、サービスの低下、それから
職員
の首切りというようなことが起るんだぞということをわれわれは指摘したわけなのですが、その
通り
になってきた。私
ども
実に不思議に思うのは、かりに赤字が実質のものを含めて七百億にしましても、これを解決するなんということは大してむずかしい問題ではないと思うのです。七百億という赤字はこれを七年間にすれば百億じゃないですか。この二十九年度に出てきた累積赤字を
処理
するならば、かりに六百億、七百億としても、これだけの問題とし
考え
るならば、それほど何万人の人の首を切ったり、あるいは税金をどんどん上げていろいろな種類の税金を新しく立てていく、あるいは事業がさっぱりできないというようなこんなマイナスの現象を起さなくても、あの程度の赤字であれば私は解決の方途があるように思うので、まことにこれは奇態だと思うのですが、今までの再建促進法の
状況
を見て、
大臣
としてはどういう御感想を持っておるか、お伺いしておきたい。
太田正孝
59
○
太田国務大臣
次長
からお答えいたさせます。
鈴木俊一
60
○
鈴木説明員
二十九年度の赤字は、なるほど御指摘のように七百億足らず、六百四十八億ということでございますが、
団体
によりましては、さっきも
財政課長
から
説明
いたしましたように、三十年度において徳島県等では二十九年度の赤字と同額程度の相当の赤字を出しておるというようなこともございます。また今後の再建期間中において公債費の非常に大きな負担が急激にかかって参りまして、それがやはりその年の半年度だけを取り上げてみますと、あるいは三十三年、三十四年というような
一つ
の年度だけをあげてみますと、相当の赤字が出るということがあるわけでありまして、二十九年度の赤字なり三十年度の赤字なり、あるいは今後の一般の交付税の伸び、
地方
税の伸びをもっては
処理
できないような
計画
年次中の赤字というものを、全部消していくというような
考え方
で
再建計画
を立てておるわけであります。再建期間の終了年次においては、そういう赤字をみんな解消するという建前であるわけであります。そういうわけでありますから、個々の
団体
にいたしますと、それらの解消のために非常に大きく圧力がかかるというような
団体
もあるわけであります。そういう
団体
は再建期間が十年をこえ、あるいは十二年、あるいは徳島県の十五年というようなことになるのでございまして、いろいろな増税、超過課税とか法定外普通税のような形で現われております
団体
におきましては、そういう異常な強い圧力がかかっておるというような
団体
が普通であります。大体の
状況
はそういうことでございます。
北山愛郎
61
○北山
委員
しかし先ほ
ども
お話があったのですが、昭和三十年度、今年度の赤字はふえないということでありましたし、また
地方
債の元利償還の負担がふえてくるのだということになれば、これは
地方
債の問題として今
大臣
のお話の
通り
の方法で別途解決すればよいのだということであるが、そういうことをやらないでおいてそうしてあの再建促進法で何とかつじつまを合せようと思うから、おそらく実際には必要と
考え
られる以上の圧力、苦しみを
地方団体
に与えておるのじゃないか。こんな状態で五年も七年も赤字だけをなくするために税金だけをどんどん高くして、
仕事
はさっぱりしてくれず首は切るということでは
地方団体
は浮ばれないと思います。だからこういう事態を
自治庁
としては何とか直す
考え
はないのか。たとえば今
地方
債については何らかの措置をとるというようなお話がございましたが、そういうことになれば、当然すでに適用になっている再建
団体
に対しても、これの
計画
変更にもなるし、そういういろいろの形で何とか今のような八方ふさがりの、ただ財布の帳じりを合せるということにおいてきゅうきゅうとしてやっておるような今の情ない
地方自治
体の状態を何とか解決、解消するということが大事じゃないか。何か
考え
はないでしょうか。
鈴木俊一
62
○
鈴木説明員
今申し上げましたような
実情
でございますが、これは各
団体
のそれぞれの自主的な決定ということを建前にいたしておりますけれ
ども
、先ほど申し上げましたように税収等でいわゆる伸び等を見ます場合に、新しい控除ができるということが確定しておるものについては、そういうものを将来の年次においても見て参りまして、それらを財源の中に組んで
考え
ておるのでございますが、何と申しても再建をほんとうに確実に行わしめますためには、見積りが非常に甘いということでは結局再建が成り立ちませんので、どちらかと申せば非常にかたい見方をしているわけであります。先ほ
ども
お話がございましたように、最近の経済
状況
の好転というようなことで、
地方
税も今明年にかけて非常な増収も
考え
られるでありましょうし、それらのものも非常にかたく見ております。また
地方
交付税等の増というようなことも当然出てくるわけでありまして、そういうようなものが見込みました以上におそらく出てくる場合が多いと思うのであります。そういう場合にはそれらを財源といたしまして事業量のワクを拡大するということが当然に出て参ると思うのであります。また必要
最小限度
の
指定
事業として、国としてもぜひこれはやってもらわなければならぬというような種類の事業については、昨日もお話がございましたように、
最低
限度のところは国も補助率の引き上げまでやってこれをやってもらう、こういう建前にいたしているわけでありまして具体的の年度におきまして
再建計画
に基いて組まれる
予算
については、いわば
再建計画
に若干の肉づけが行われることになろうと思うのであります。 それからさらに御指摘の公債費等についての根本的な
処理
が将来行われるということになりますならば、今の
再建計画
、ことに徳島県とかいうような
団体
においての一番大きな問題は公債費でございますので、そういうような点が根本的に打開されますならば、面目を一新することになろうかと思うのでありまして、今日の出発におきましては、
計画
だけをごらんになりますと、あるいは非常に窮屈にお感じになるかもしれませんが、具体的に、だんだん毎年度の
予算
編成におきましては必ずや好転する、今はむしろ一番悪い
状況
で
再建計画
を作ってもらって、しかもかたく見てもらっておる、こういうのが実際だと思うのであります。
北山愛郎
63
○北山
委員
財政再建
についてはいろいろ聞きたいこともあるのですが、このしわ寄せが国民健康保険に及んでくる。それから定時制高校ですね。これなんかは非常にやりにくくなってきておる。この定時制高校に対する
市町村
の寄付金、こういうものが
制限
をされてくることは当然なんですが、しかしそれは定時制高校をつぶすというんじゃなくて、やはり定時制高校が県立のものであるならば、県が負担すべきである、県の財政需要の中にこれを見るということでなければならぬと思うのです。ところがこの定時制高校について、特に県立の場合、そういうものについての
地方
交付税の
基準
財政需要額算定の場合に一体十分見ておるでしょうか。あるいはこういう高等学校等の
施設
費等について財源を十分与えておるのでしょうか。私の間違いであれば直していただきたいのですが、定時制高校の授業料の収入を
市町村
の収入に見ておるのじゃないですか。県立の定時制高校の授業料は県の方に入るのが当然でしょう。それを
市町村
の方の財政収入の中に入れているんじゃないですか、どうでしょう。
柴田護
64
○柴田
説明
員 定時制高校の問題につきましては、前から本
委員会
等でおしかりを受けております。毎年
改善
を実はいたして参っております。本年度におきましても、先般本
委員会
におきましていろいろおしかりもございましたが、文部省とも話し合いをいたしておりまして、相当
改善
すべく目下作業をいたしております。
北山愛郎
65
○北山
委員
今お伺いした点をお答え願いたいと思う。一体定時制高校の
基準
財政需要額と財政収入はどういうふうに交付税の算定上なされておるか。
市町村
は実際には寄付金でやっている。寄付金でやるのが当然だと認めるならば、財政需要の
市町村
の分に、全部でない、一部にしてもこれを計上しなければならぬ。そういうことはどういうふうになっておるのですか。あるいは寄付金として例の
制限
の中に入れておるのかはずしておるのか。何でもこれを委託費ということではずしておると聞いておる。
市町村
の事業を県に委託しているんだ。これも奇態な理論ですけれ
ども
、そういうふうな計算をしているようにも聞いておる。一体どういうふうになっておるのか。
柴田護
66
○柴田
説明
員 実態に従って大体の単位費用を算定しております。今御質問にありました点につきましては、実態は定時制高校の授業料は
市町村
が収入しておるのが
実情
でございます。そういう
意味
合いから、在来全部県の収入にいたしておりました分が相当あったのでありますが、それが漸次
市町村
が授業料を全部取るというように実態が変って参っておりますので、漸次そういう方向に
方針
を変えて参っております。
北山愛郎
67
○北山
委員
それは私も初めて聞くのですが、県立定時制高校の授業料を
市町村
が取るということなのですか。
柴田護
68
○柴田
説明
員 私誤解しておりました。県立の場合はそうでありません。
北山愛郎
69
○北山
委員
それを
地方
交付税の
基準
財政収入の中で見ているというのは、
市町村
立の定時制高校の授業料、そういうふうだと私は思うのです。 それからもう
一つ
お伺いしたいのは、例の寄付金の
制限
の中から、
市町村
から県立の定時制高校に出す寄付金は除かれておるかおらないか。要するに、定時制高校について
地方財政再建
がしわ寄せされておるわけです。定時制高校が、今までもやりにくかったのが、さらにだんだん縮小されていく、やめていくというような傾向にあるわけです。相当な問題になっておるわけです。これは文部省のお
考え
も聞きたいのですが、一体定時制高校をつぶす気なのか、これを立てていく気なのか、やる気なのか、やらぬ気なのか、それを、はっきりした見解を聞きたいのですが、それにしても、財政上県立のものであれば県の方でちゃんと財政需要額の中で、はっきり見ておればそんなことになるはずがないのです。それが見てないから結局
財政再建
のしわ寄せを一番強く受ける。国民健康保険もそうであります。今の国民健康保険の経営の実態というものは非常に苦しいのです。やっとやっとやっている。仕方がないから一般会計から繰り入れをしてやっと経営しているのが実態だと思う。ところがこの再建
団体
になると、繰入金をやっちゃいかぬ、だんだん減らせという。ところが
厚生省
の方では、たしか繰入金を入れなければ補助金も少くするというような御
方針
のようにも聞いている。この国保についての
厚生省
の
考え
と
自治庁
の
考え
はどうなっておるのか、それから定時制高校について文部省はどう
考え
ておるのか、これもこの機会に聞いておきたい。
齋藤正
70
○齋藤
説明
員 勤労青少年の教育といたしまして、定時制高校並びに通信教育、それから社会教育におきまして青年学級、この両者の振興をはかっていくということは、文部省の
考え方
の根本でございます。財政
計画
の上におきまして、全日制の高等学校に比べて定時制高校の方が不利であるという点もいろいろ承わっておりますので、この点につきましても、
自治庁
にいろいろお願いを従来もいたしております。今後もいたすつもりでおります。なお
市町村
立の定時制高等学校が逐次県立に移管ということに伴いまして、実態としてなお
市町村
の分担金と申しますか、寄付金というものによって相当数まかなわれておるところがある。それがいろいろ再建法との関係で問題があるということも承知しております。この点につきましても、
事務
的にいろいろ
自治庁
の方にお願いをいたしております。なお現在の定時制高校がこのような形で振興していく上に種々の障害があるかどうかにつきましては、本年度文部省としては根本的に検討を加えたいと思っております。
鈴木俊一
71
○
鈴木説明員
ただいまのお尋ねの点でございますが、定時制高等学校の問題につきましては、
自治庁
といたしましても、従来たしか標準的な
施設
の
基準
として七百人の高等学校の生徒を基礎として計算をいたしておりましたものを、本年度はそれを四百人程度にして計算をしていくようにいたしたい、こういうことを今検討いたしておる次第であります。昨年に比べますると相当画期的な
改善
になろうかと
考え
ておるのであります。それからまた国民健康保険の関係でございますが、これも
赤字団体
でございましても、国民健康保険それ自体は独立採算が建前でございまして、特別会計でございますから、あくまでもそういう
趣旨
でやってもらわなければならぬのでありますが、将来の繰り戻しということを条件にいたしまして、どうしても始末のつかない国民健康保険の特別会計に対しては、一般会計の財源の一部を繰り入れるということを認めることにいたしておるわけでありまして、これらにつきましても
厚生省
とは十分打ち合せをしておるのであります。 それからなお前の問題に戻りますが、定時制高等学校につきまして、再建
団体
等におきまして、ある程度の統廃合ということを、ことに分校の統廃合ということを
考え
ておりますが、これはやはりその県の財政力というものと定時制高等学校の分校等の分布
状況
というものとが必ずしもマッチしていない。ことに
町村合併
等が行われました場合において、いま少し分校の統合を認めてもいいのではないかというような場合もあるわけでありまして、若干の統合をいたさなければならぬのもやむを得ないことかと思うのであります。それらの点につきましては、文部省の御意向も私
ども
の方としては十分拝承いたしたいと
考え
ております。
北山愛郎
72
○北山
委員
簡単に
大臣
にお聞きしますが、農業事業税は来年度やるかやらないか、これを一言お答え願いたい。 それからもう
一つ
は、先ほど人事院勧告の話がありましたが、二十四
国会
の
地方自治法
の改正の中で、
地方
公務員に対する手当のうちに薪炭手当というのが入ったわけです。これは一応内容的にはどういうものだということは書いてありませんけれ
ども
、そういう薪炭手当という名のものを、
地方団体
が、
地方自治法
の改正案が
施行
された以後において、
条例
を作ってやっても違法であるのかないのか。いつでも
国家公務員
に右へならえをするというのですが、場合によっては
国家公務員
の方が
地方
公務員に、右へならえしても一向おかしくないのじゃないか。従って
地方自治法
の改正案が
施行
になり、薪炭手当が出せることになっておるのですから、
地方団体
が良識によって
条例
を作って薪炭手当を支給しても違法であるのかないのか、この二点だけをお伺いしておきます。
太田正孝
73
○
太田国務大臣
農業事業税につきましては、この前の
国会
のときに申し上げた
事情
でございまして、及ぶところが多いという関係などをその後におきましてもなお調べておる
状況
でございます。今度の税制改革の中におきましては、もちろんこれをよく検討いたしまして態度をきめたいと思います。 それから薪炭手当につきましては、財政部長からお答えいたします。
小林與三次
74
○
小林説明員
薪炭手当はどうせ
国家公務員
につきまして
法律
上年度内に支出しなければならぬのでございましょうから、その手当がつき次第、われわれといたしましても、それに見合う財政上の措置はあわせて
考え
なければならぬと
考え
ております。今のお尋ねはそういうものとかかわりなく、
自治法
上入ったからやったら違法であるのかないのか、こういうことかとも思いますが、これは純粋
法律
論だけから言えば、そこに書いてあるのだから、それは違法だとは申せませんが、これは
国家公務員
に対する財政上の措置もございませんし、やはり
国家公務員
に準じて措置されることを期待しておるわけであります。
門司亮
75
○門司
委員
この機会に
大臣
に
一つ
だけ聞いておきたいのですが、それは来年度から動き出して参ります例の首都圏建設に関する問題であります。首都圏の建設に関する
法律案
が通過いたしました際の
政府
の答弁では、各
地方自治
体に財政上の迷惑をかけないということが言われております。ところがこの問題は御承知のように関係をしております各
都道府県
の中にあります
市町村
の持っております現在の都市
計画
に、かなり大きな変更を加えることは事実であります。都市
計画
に変更が加えられて参りますと、必然的に財政上のいろいろの処置が生れて参ります。そうしてその中には建設省関係もございましょうし、あるいは
厚生省
の問題も出てくるかもしれない、あるいは農林省関係の問題も出てくるでございましょう。各省がいろいろこれに関連を持っておりますが、
法律
の内容を読んでみますと、各省はこれに協力をしなければならないということだけであって、はっきりした義務づけがない。そこで
一つ
の省がかりにこの問題に対して比較的熱意がなかったというようなことになって参りますと、全体の首都圏建設の
計画
というものがくずれざるを得なくなってくる。こういう問題について
大臣
は、あの
法律案
が
通り
ましたときと同じようなことで、そういうことは絶対にさせないという御答弁がここでできるかどうか、その点を
一つ
はっきり伺っておきたいと思います。
太田正孝
76
○
太田国務大臣
首都圏
整備
の問題は、国の大きな問題でございましてその
計画
がきまりましたならば、
予算
その他につきまして十分
考え
なければならぬと思います。
門司亮
77
○門司
委員
私が聞いておりますのは、すでに
事務
局長もきまりましたし、これから動き出すのであります。ただ
予算
のときに、今の
大臣
のような答弁では、実際に
計画
するところでは困ると思う。今までの都市
計画
というものが変って参りますから変更しなければならぬ。そうすると、そこに要する費用というものは、どうしてもやはり首都圏の
整備
に関する問題として各省が
予算
をとっていただかぬと、この問題の解決はつかぬのであります。そうしてこれは、建設事業は建設省が
考え
るのだ、
保健衛生
関係については
厚生省
が
考え
ればいいのだというような問題では済まされないと思う。あの
法律案
が
通り
ましたときの
会議
録を読んでみますと、少くともそういうことについては迷惑をかけないという答弁がしてある。従って各省はこれに対して忠実に
法律
の
趣旨
を守るべきだと思う。その責任の帰趨はもとより建設
大臣
にあるとは
考え
ますが、しかしこれが
地方
の財政に及ぼす影響というものはきわめて甚大でありますし、また
行政
上の処置についてもいろいろの問題が出てくると私は思う。従って
自治庁
の長官としてこれをそのまま放任されておるということは
自治体
にとって非常に迷惑だと思う。だから
自治庁
の長官として建設省に、あの法案が出たときと同じような気持で財政上の裏づけは必ずする。いわゆる二十年の
計画
で首都を
整備
しようという案でありますが、これも
計画
は必ず実行する。従って
予算
の裏づけは必ずする。だから各都市はそれに基いて都市
計画
のやり直しをしても
地方
に迷惑をかけないという御確信が、この際あるかどうかということを
自治庁
の長官としての立場からお聞きをしたいと
考え
るのであります。
太田正孝
78
○
太田国務大臣
建設
大臣
の所管になっておるその
計画
が正しいものである限りにおきましては、必ず今門司
委員
の言われました
通り
の趣意におきまして、
自治庁
としては措置していきたいと思います。
門司亮
79
○門司
委員
自治庁
としてということですけれ
ども
、問題になりますのは、建設省の所管であって、建設省がやるのだと言っておりますが、これは事業の主体が建設省にあるということであって、問題の解決はやはり
地方
の
自治体
がはからなければならぬことは当然であります。そこで出てきますのは、先ほど来申し上げておりますように、都市
計画
が今までの立場と変ってくるということに必然的にならざるを得ないということであります。そうなって参りますと、
地方
の財政に及ぼす影響というものはきわめて甚大である。そうしてかりにそれの一環がくずれ、
一つ
の省がそれについての熱意がなかったとするならば、道路はできた、あるいは家はできたが、保健関係の問題がどうもうまくいかないとか、あるいは住宅地の
指定
はできたが、それに対する財政上の措置がなかったことのために、どうも都市
計画
としてうまくいかないというような問題が必ず出てくると思う。私ははっきり
一つ
の例を申し上げます。たとえば横浜市なら横浜市で今立てております、あるいは今まで立てた都市
計画
というものを変更しなければならぬ、東京の首都を、
行政
上これ以上の膨張を完全に防止する。これ以上の東京都の複雑した
行政
を緩和することのために、どうしてもいろいろの
施設
を郊外に求めてくるということになりますと、それに対応した都市
計画
というものがやはり立てられる。御承知のように、東京を中心として何マイルくらいはこういう
計画
にするとか、あるいは緑地帯をこういう形で設けるとかというような構想に基いた案がありますので、この構想に基いた案を
地方
は
計画
を立てなければならない。そうした場合に、これは単に建設省の問題であるから、建設省だけでいいということでは私は済まされないと思う。責任のすべてのしりぬぐいは
地方
の
自治体
がこれをさせられる。そうすれば
自治庁
もそのはね返りを食って、また財政上の処置、また
行政
上の
考え方
をこれに及ぼしていかなければならない。従って
自治庁
の長官としてこれを今の御答弁のように何とかしましょうというようなことでは、私
ども
なかなか安心してやれないと思うのです。この問題が成功するかしないかということは、非常に大きな問題であります。今日の都市
行政
のあり方というものをある程度理想的に、人工でこれを直していこうというのでありますから、資本主義の社会にそういうことができるかどうかということを私は非常に疑問に思う。その疑問は大きい問題であって、ただ
考え方
としては、一応そういうことが
考え
られるという構想に基いて、為の法案というものが可決されている。従って実施は非常に困難性があり、多くの疑問を持っております。しかもその影響するところは
地方
の
自治体
に全部影響してくる。
行政
、財政両面とも影響してくる。従ってさっきから申し上げておりますように、もう少しはっきりした、
自治庁
の長官として各関係省に、
計画
に盛られたことに違反しないようにさせるというところまで、
一つ
思い切った御答弁ができるかどうかということを、もう一度念を押して聞いておきたいと思います。
太田正孝
80
○
太田国務大臣
政府
として
計画
がきまりましたなら、
自治庁
としては万全の処置をとります。
亀山孝一
81
○
亀山
委員
大臣
はお急ぎのようでありますので、きわめて簡単に、結論だけをこの際申し上げて、
あと
の
事務
当局への質問は保留させていただきます。 問題は今世間でいろいろいわれております京都市において実施しようとする観光
施設
税の問題であります。これについて私はるる申し上げますよりも、本日の朝日新聞の天声人語が、簡にして要を得たことを書いております。まずそれを
一つ
読ましていただきます。「京都も奈良も
地方財政
の赤字に苦しんでいる。古文化財を保護しようにも、国からのわずなか金では、ものの役にたたない。観光客は迎えたい。そこで、思いついたのが観光税であろう。京都市では、税収一億円ばかりの見当だという。もし、この税収が、市の一般的な赤字の穴うめにされるのであれば、税金としても明らかに悪税である。古文化財の保護、観光道路のためなどに使われる目的税であれば、感心はしないが、観光客も、高くない限り、これを支払うことを、さまで苦にはしまい。それにしても、社寺側では、十円でも五円でも拝観料が多くなるのは、観光客を少くする心配があるかもしれない。が、社寺側の最も憂えるのは、このような税金をかけることは、宗教法人法の精神に反し信仰を疎外することにあるようだ。一般の入場税と同じような形になると、仏像を拝し、建物、庭園を観ることも、いよいよ信仰と切り離され、博物館などでの観賞と同じ気持にさせ、社寺の神聖を汚すことになる、と
考え
るのは、宗教家としては、もっともと思われる。信仰に関することは、ただの理屈だけでは押しきれない。このことは、政治を行うものがよくよく心しておくべきで、当局は話の運び方がまずかったのではないか。社寺側にしても、古文化財を保護するには、なんとか金の工面をしなければならぬことはわかっていよう。拝観を謝絶するのはよろしくない。観光客を招くことは、信仰の機縁をつくるうえにも大切だ。信仰の純粋を保つことは結構ながら、同時に、宗教家は、現代の文明と宗教との調和について、十分努力しなければならない。文明と宗教との〝平和的共存〟を保つことができないでは、役人も衆生も済度はされまい。」そして冒頭に、「近ごろは、何
一つ
ことを運ぶにもすぐ税金、税金で、うんざりする。おまけにこんな争いとなっては、いよいよもって暑苦しい。東山三十六峰もウシミツ時でも静かには眠れまい。お互に、あんじょ話し合いはったらどうどす。」るる申し上げません。
あと
のことは、先ほど申し上げましたように
事務
当局に伺うとして、この際
大臣
にお伺いしたいのは、昨日のラジオでもまた昨今の新聞でも非常に論議されておる。そこで伺えば京都市会では強行しようとしておられるようであります。ところがやはり朝日新聞の指摘するように、やはり話し合いが必要ではないか。その話し合いができるまで、この
市町村
法定外普通税の
自治庁
の認可をある程度見合わされて、むしろ話し合いを
自治庁
は勧奨されてはどうか。話し合いができなければ、ある期間課税の問題を延期せざるを得ないのではないか、こういうように私
ども
は
考え
るのであります。こういうような問題でありますだけに、
大臣
のこれに対する
一つ
御所見をお伺いしたいと思う。
太田正孝
82
○
太田国務大臣
観覧税の問題につきましては、今の御趣意はよくわかりました。法定外の税を許す、許さぬの問題は、
地方
税法の定めるところでございまして、御承知の
通り
これは許さなければならぬとなって、許さない場合が三カ条あると記憶しております。国税と
地方
税と重複した場合とか、あるいは国の経済施策と相反する場合とか、あるいはもう
一つ
地方
の経済を阻害するというような場合、今の三カ条にわたって
考え
てみますと、それに触るることはないように思います。従って
法律
の文句から言いますれば、
許可
しないところの理由は発見することはできないと思います。しかしながら問題は
地方自治
体とその社寺との関係でございますので、
亀山
委員
がるる申された
通り
、いわゆる話し合いによってやらなければならぬということを
自治庁
の当局といたしましては内意を聞きに来たときに強い条件をつけておるのでございます。私
ども
は京都国際文化都市建設法とかいう昭和二十五年の
法律
が出たが、財源措置もできておらない。これをどうするかという、こういう問題から見て、京都市が措置しておることは
地方
税法に関する限り、これを
許可
するか
許可
しないかという
法律
の解釈に関する限りにおいては差しつかえないものと思いますが、これを実行するにつきましては、お示しの
通り
よく
地方
当局と社寺関係との間が円満に話をつける必要がある、そう思っております。またそれが
自治体
としての立場であり、また世の中における実際の問題を
処理
する方法であろうと思います。もちろん先ほど新聞の
最初
の言葉にありましたような、赤字を埋めるためというようなことは問題外であり、かくのごときことと関連して私は
考え
ておりません。さよう御了承を願いたいと思います。
亀山孝一
83
○
亀山
委員
非常に心強い御答弁でしたが、この問題につきましては昨日もラジオで
市長
と社寺側との討論みたいなものを聞きましたが、なかなか感情的になって容易でないと思います。そこで今
大臣
のお言葉にありましたように、この問題を話し合いでぜひ解決してやっていただきたい。
法律
上の問題はおっしゃる
通り
かもしれませんが、できる限りぜひ話し合いでやっていただきたいということを繰り返して申し上げまして、
大臣
に対する質問はこれで終ります。
加賀田進
84
○加賀田
委員
今の京都市の観光
施設
税の問題に対して
大臣
の答弁の中で、これは
地方
税法の多分六百七十一条を適用されて、三項目に抵触しなかったら
許可
しなければならぬと言っておりますが、この税金はそういうものに抵触しないなら
許可
せざるを得ない、こういう答弁だったと思うのです。もしそういうことになりますと、最も懸念されるのは、今京都市の問題として取り上げられておりますけれ
ども
、これはさらに奈良とか、あるいは日光とか、いろいろ全国的に波及するというおそれも相当あると思います。そういう場合にはやはり今と同じような形で全部
承認
されるという意思を長官が持っておられるのかどうか。このことはやはり全国的な問題として波及する大きなおそれをなしておる。この際明らかにしていただきたい。
太田正孝
85
○
太田国務大臣
現に加賀田
委員
の言われる
通り
でございまして、奈良県及び奈良市から同様な問題を聞き及んでおります。私は、京都市だけにこの問題を限定するという
考え
よりも、その問題の本質が何であるか、文化財いうものがいかに乱暴――乱暴という言葉は悪いのですが、その保護につきましても手厚くないというような
現状
等に顧みてみますれば、そういうことに財源を見出すことが他の条件において違わない限りにおいてはやむを得ないことじゃないかと思います。ただしくれぐれも申します
通り
、かようなことは実際問題としてその土地その土地の社寺関係の方々との話し合いがっかなければいかぬ、この点はやはり同様に感じておる次第でございます。
加賀田進
86
○加賀田
委員
そういたしますと、大体目的税でありますから、古文化財の保存等に重点を置かなければならぬと思うのですが、もしその目的にはずれた用途に基いて財政需要としようとする場合には
政府
としてはどう
考え
られるか。
太田正孝
87
○
太田国務大臣
むろん目的税でありますし、またその目的を達したならばやめるべき時限税たるべきものと私は思っております。それ以外はこれを使うとかいうことは断じて
法律
の精神でもなければ、その税の目的でもない、かように
考え
ております。
大矢省三
88
○
大矢委員長
ちょっとこの機会に伺いたい。奈良市と奈良県両方から
申請
があるようですが、これはいずれを
許可
するのが妥当なのかどうか。
自治庁
当局の御意見を聞きたい。
奧野誠亮
89
○奧野
説明
員 先ほどの加賀田さんの問題ともあわせて補足してお答え申し上げたいと思います。法定外普通税を
許可
いたします場合の条件として
大臣
が三つあげられたのですが、その
通り
でございます。さらにその大前提として当該
団体
自体の財政需要がある。こういう言葉も使っております。言いかえれば、京都国際文化都市建設法というように、国としても観光資源の維持開発あるいは観光
施設
の
整備
という問題について必要な援助を与えなければならないとまで
規定
しているような
地方
につきましては、そういう観光
施設
整備
の財政需要があると
考え
ておるわけでございます。従いまして、今
地方
においてこういう問題が起りました場合には、
原則
として
許可
をすべきだという
考え方
をとっておるわけでございます。従いましてどんな
市町村
であっても観光
施設
税の
許可
を願い出た場合に
許可
しなければならないものだとは
考え
ていないのであります。なお奈良県と奈良市の場合でありますが、奈良公園の管理を奈良県がやっております。しかしながらそれ以外の都市
計画
、その他道路
施設
の問題などは当然奈良市が担当しておるわけでございます。従いまして、そういう
意味
においては奈良県においても、奈良市においても観光
施設
税を
整備
するというような問題が起ってくるわけでございますので、奈良県と奈良市に対しましては、相互によく話し合って問題をどう解決するかということをきめてもらいたいということを言っております。この場合に税を起すことが目的ではなくて、観光
施設
を
整備
することが目的なんだろうから、どの観光
施設
から
整備
していくか、優先順位をつけてそれをきめたらどうだろうか。そうしますと、おのずからそれぞれ幾ら金がかかるかということがわかり、その金を現在の建前からいうと、県の負担に属するか、市の負担に属するかということがきまってくるわけだから、それに応じて何らかの形において財源が得られた場合にその財源を分け合って観光
施設
に充てていくべきことになるのじゃなかろうという
考え方
を申しておるわけであります。
門司亮
90
○門司
委員
文部省に聞きたいのですが、今観光税をかけようとするのは具体的にいうとお寺だとかお宮だとかいうものの収入に対してかけようという
考え方
だと思うのですが、今日の宗教法人に免税をしておる角度からいってこういう収入に直ちに税金をかけられますか。
齋藤正
91
○齋藤
説明
員 現在京都で
考え
られておりますことは、
地方
税法の
規定
に基きまして行われます場合に、直接宗教法人法との
規定
と矛盾抵触するところはございません。
門司亮
92
○門司
委員
そうだといたしますと、たとえば観光に使っております入場料その他というものは上げる必要がないということですね。その収入の中からかければいい、現実には大衆の負担にならないでその収入を得ておる社寺から税金を取ればいい、こういうことですか。
奧野誠亮
93
○奧野
説明
員 ちょっと私からお答えさせていただきたいと思います。問題になっております観光
施設
税は、観覧料を徴収するような社寺に、観覧者に一回十円程度のものを負担してもらったらどうだろうか、こういう
考え方
になっておるようであります。観覧料収入から税金を出してもらうのではなしに、それとは別途に観覧料を徴収する機会に観光
施設
税も一緒に徴収してもらう、言いかえますれば、観覧料と別途に徴収の任務だけをその機会に負ってもらったらどうだろうかという
考え方
になっているのであります。
門司亮
94
○門司
委員
そうなると問題は別になる。京都市で争いになっておる問題は観覧者にかける。社寺に関係がないというのならば今の問題は起らぬと思う。ところが今社寺側と
市長
との間に感情的に何か文句を言っておるのはおかしいと思う。実際の問題は一体社寺が収入の中から負担するのか、今のお話のように観覧者が負担するということになれば、観覧料の値上げ以外にはないのですが、そう解釈していいですか。
亀山孝一
95
○
亀山
委員
関連質問。この際今の京都でかけようとしている観光
施設
税のことを一応話していただきたい。いろいろ疑問もあるから、はっきりと
一つ
説明
を願います。
奧野誠亮
96
○奧野
説明
員 京都市で
考え
ておりますのは、観覧料を徴収しておりますような
施設
で、特に
条例
で
指定
したような個所は当初三十数個所
考え
ておったようでありますが、現在では二十個所くらい
考え
ておるように聞いております。その
施設
に訪れました場合に、観覧料を徴収する際に一人一回十円ずつを徴収していけば、その観光
施設
税の部分だけを市に納入してもらった額は観光
施設
のために全部あげていくのだ、こういう建前になっておるわけであります。従いまして門司さんが指摘されましたように観覧料が現在三十円であるといたしますと、観覧料と観光
施設
税十円を合せまして観覧者の負担は
原則
として四十円になるわけであります。社寺等がその場合に観覧料三十円を二十円に下げて従来の観覧者の負担が変らないようにするという問題もあるかと思いますが、建前は別でございますから、観覧者の負担はそれだけ加わるということになると思っております。
門司亮
97
○門司
委員
それで私はさっき文部省の方に聞いたのです。社寺のそうした収入に対して税金をかけることがかりに不都合でないというのならば、大衆の負担によらざる税の徴収の方法がおのずから生まれてくると思う。今の奥野君の答弁では大衆の負担による
地方
税だけであって、神社等については、税金だけ観覧料が高くなったから安い方に行って高い方に来なくなるという多少の入場者の減少はあるかもしれないが、しかし実質的に社寺の収入に変りはない。ただ手数がかかるだけである。そういうことがはっきりしておれば、そうしたことがあれば、今日社寺の強い反対はない。私はそう
考え
るからさっき聞いてみたのだが、その点は今奥野君の言ったことに間違いないですね。
奧野誠亮
98
○奧野
説明
員 私の言ったことに間違いはございません。ただ社寺側が反対されております当初の意見を新聞その他で見ておりますと、門司さんがおっしゃいましたように、社寺に税金をかける、こういう誤解を持たれた向きがずいぶん多いようでございます。こういう問題が
一つ
と、かりに観覧観光
施設
税を課するような
考え方
を是認するとしても、その分も一緒に、観覧料といいましょうか、そういうもので観覧者に負担してもらって、その中から寄付金として先に納付していただく、こういう
考え方
も社寺側から強く出されているようでございます。もう
一つ
、社寺側が特別徴収というような任務を負うことはまっぴらだ、こういう気持もかなり現在では強く
議論
されているようでございます。
加賀田進
99
○加賀田
委員
そういたしますと、大体目的税であって、特に観覧者に利益を与える費用に充当するということが基本的な
考え
のように
自治庁
では
考え
ておるように聞きましたが、この
計画
を見ますと、大体四つに集約されて事業
計画
が立てられておりますけれ
ども
、その中で観光
施設
の
整備
、これは道路とか河川等の拡充
整備
をやるので、直接観光者に利益があると思うのですが、ただ
最後
に国際文化観光会館、国際文化観光という名前はついておりますけれ
ども
、これがほとんど大半の経費を使用することになっておるわけです。これに四億五千万円とかいうような
計画
を立てておりますが、これを見ますと、大体京都におきましては公会堂が倒壊して、その後大会場がないから、国際的、国内的に大会場を作ることが主要目的だ、こういうことになっておるようでありますけれ
ども
、こう見てみますと、名前は国際文化観光会館となっておりますけれ
ども
、こういう公民館的な建物を建てることにおいて、外来者のいわゆる観光者にどれだけの利益が与えられるかということが大きな疑義になってくると思う。
あと
三つの今申し上げた観光
施設
を
整備
するとか、あるいは観光財保存の経費に使う、あるいは観光
資料
館を設置してサービスをする。こういう問題は観光者に対して直接のサービスにはなると思うのですが、第四項目の会館の建設に対しては、外来者には少しも影響を及ぼさない。京都市民にはもちろん影響があり、利益を受けると思う。ところが納税義務者はほとんど市以外のところから入ってきた人が多いのではないか。そうすると目的税としての目的からはずれておる傾向が非常に強いと思うのです。この点私は非常に疑義を持つわけです。目的税であるとするならば、納税義務者に直接利益のある事業というものが中心にならなければならない、こう思うのですが、今の
計画
によると、そういうような傾向がないので、この点
自治庁
はどう
考え
ておるのか。
奧野誠亮
100
○奧野
説明
員 京都市からこの問題が持ち出されました際には、私たちとして一番関心を持ちましたのは、その財源がどういうところに向けられるかという問題でございます。その際に、国際文化観光会館の建設の問題もございましたので、さらにその内容をもっとつまびらかにしてもらいたいということでるる承わったわけであります。その結果京都市から明らかにされました問題は、京都市で会合をいたします場合、二千人とまとまった人の会合をする場合には京都大学の講堂以外には何ら
施設
がないそうでございます。従いまして大
会議
になりますと、多くの人たちが京都市で
会議
を持ちたいのだけれ
ども
、
施設
がないためにやむを得ずよそに行ってしまう。その結果せっかく京都の観光資源を公開したいと思ってもその意に満たないという場合もあるのだ、こういうわけでございます。従いまして二千人も集って
会議
ができるような
施設
を持ち、さらにそこに国際
会議
も開けるような
施設
を充実して、広く外客も誘致していきたい、そうすることによってもっと京都市に観光客が入ってくるように、同時にまた観光客もそこで十分必要な要件を満たせるようにしたい、こういうような
考え方
でございました。
加賀田進
101
○加賀田
委員
今申し上げた
通り
特別徴収義務者の社寺側は京都市民かもしれません。しかし納税者のほとんどは外来者でございます。そうしますと、この会館を作ることによって、外国の人を招請したり、あるいは国内の集会を招請したりすることは可能になるでしょう、また観光も繁栄するでしょう。しかしそれによって直接利益を受けるのは市民なんです。だからやはり重点的に目的税としての事業を行うような経費を多く使わなければならないのに、その
計画
においては会館建設にほとんど使われておるところに大きな疑義があるのではないか。その点はどうですか。
奧野誠亮
102
○奧野
説明
員 おっしゃっておる
意味
が、これは目的税だから受益者負担として利益の限度を越えてはならぬというような
考え方
をいたされますと、厳密な
意味
においていろいろ問題が起ってくるかもしれません。しかし基本的に私たちはこういう
考え方
を持っておるわけです。京都市には観光文化資源が豊富にあるものでございますから、多数の人たちが京都市に入って参ります。その結果京都市といたしましては、道路
施設
にいたしましても、あるいは観光
施設
にいたしましても莫大な財政需要を負っておるわけでございます。そういたしますと、京都市を訪れる方々に対しまして、そういうような費用を幾らかでも持ってもらった方がいいのではないだろうか、なお社寺等を訪れます場合に、たまたま観覧料を徴収するものでございますから、その機会に同時に負担してもらう、そのかわり多くの外来者の人たちが京都市に入って
会議
をする、そういう場合には京都市にそういう
会議
をする
施設
もないものですから将来にわたってそういう
施設
も
整備
していくということになって参りますと、現在の外来の人と将来の外来の人という問題はございましょうけれ
ども
、やはり総体的にそういうような人たちの便益にも供されることになるのではないだろうか、そういうふうに
考え
ているわけでございます。
加賀田進
103
○加賀田
委員
間接的な利益というものは、全然皆無とは言い得ないと思うのですけれ
ども
、やはりこういう目的税である以上、観光財の保存等に相当多く財源を導入するのが正しいと思う。
計画
を見ますると、八年間で千四百万円しか計上してないわけです。会館、建設費四億五千万円、財源というのはほとんどこの会館建設に使用される、だから直接利益を与えるような方向の事業に重点的にやってもらうのが、私は今後の正しい方向ではないかと思うのです。 もう一点は税率でございますけれ
ども
、一般の人たちには一回に対して十円、義務教育の学徒に対しましては五円ということになっておりますけれ
ども
、学生はやはり普通の観光客と違って、教材として教師がそういうものを奨励し、あるいは観光
施設
について
説明
して、いろいろ歴史をひもといていくという性質のものであるのに、これに税金をかけるというのは少し酷ではないかと思う。昨年もスケート場の入場税を廃止しましたが、あれは学校によっては運動の正課としてスケートをとっておるところもあるから、こういうものには入場税をかけるものではないというので廃止をされたのです。その精神と全く同じではないかと思う。これに対して一回に五円ということになっておりますし、また特に修学旅行等におきましては、一日に十カ所、十五カ所を見る場合もございます。そうすると、十カ所見ますと五円だといっても一日に五十円、こういう観光税を支払わなければならないという問題が起ってくる。一般の人はバスに乗って一日に十カ所も、十五カ所も見にいくということはなかろうと思う。こういう点について
自治庁
としては考慮するように市の方に話をされたかどうか、あるいはその点について
自治庁
としてはどういうように
考え
ているか、伺いたい。
奧野誠亮
104
○奧野
説明
員 先ほど
大臣
がお話になりましたように、観光
施設
税をかけるについては五つの問題に留意してもらいたいということを言っております。その
一つ
の中で、おっしゃいますように、観光文化資源というものが教材的な役割を果しておるわけでありますので、生徒児童に対しては新たな負担をかけないことが望ましい。しかし観光
施設
整備
の財政需要等もにらみ合して可及的に負担の過重を来さないように留意してもらいたい、こういうことを言ったわけであります。これに対しまして京都市としては、現在の観光
施設
整備
計画
からすると、どうしてもやはり生徒児童にも五円程度の負担をしてもらわないと、今の観光
施設
の
整備
の目的が達成できないんだ。しかしこれらの
施設
の
整備
に伴って、自分たちとしては観覧者もさらにどんどんふえてくるんじゃないかと思うので、その
状況
ともにらみ合せて財政
計画
のめどが立った場合においては、なるべく早く生徒児童の負担はやめるようにしたい。差しあたりは五円ということで出発したい、こういうことを申し出ておるわけであります。 なお京都市といたしましては、修学旅行の生徒等につきましては、観光
資料
館を作って、そこにさらに映写室も設け、観光、修学旅行の生徒たちが短期間の間に見得ないようないろいろな文化財を、フィルムによって公開するようにしたいんだ、こういうことも言っておるのでありまして生徒児童に負担をかけるかわりに、観光文化財の維持の問題なり、あるいは積極的にそういうフィルムを通じての公開の努力なりをしたいんだ、こういうことを申しておるわけであります。
加賀田進
105
○加賀田
委員
そういたしますと、ここに明確にしていただきたいのは、社寺側と市側との話し合いということになっておりますが、現在社寺側はこれに反対いたしまして、金閣寺、苔寺その他はそれぞれ観光客が入場することを断っておる状態です。将来はどうなるか知りませんが、現在ストライキを決行しておるというような状態であります。そういう状態の中で両者が円満に話し合いを続けて解決をつけるというような見通しは、近い時期には私は不可能な状態だと思うのです。その
一つ
の大きな理由としては、やはりこの問題が全国的に波及するおそれも私はあると思う。今申し上げた
通り
、こういうことが
自治庁
としては
許可
せざるを得ないというような立場をとっておると、各よそのそうした類似の
市町村
にもそういう問題が起ってくるというようなおそれもあるので、今のお話は奈良県のように問題は県と市との話し合いでどちらかはっきりしてもらいたいというので、大体市で
許可
するような意思を私は聞いておりますが、そういたしますと、現在のところ全国的にそういう事態はないにしても、今のところは京都と奈良のみにそういう目的税を
許可
しようとする意思を持っておるのか。あるいは他にも検討されて、同じような例があれば、これも
許可
するというような気持があるのか。その点一線をどこに画すか、その点を明確にしていただきたいと思います。
奧野誠亮
106
○奧野
説明
員 先ほ
ども
ちょっと申し上げましたように、国際文化観光都市建設法まで制定されておって、それらの都市の観光
施設
の
整備
に対して国が必要な援助を与えなければならないという
法律
が作られているような
地方
で、だれが
考え
てもそういう方向に努力を国民としてしていかなければならないというような
地方
に限って、こういう問題を認めるべきだというふうに
考え
ております。差しあたっては京都と奈良以外には問題の具体化しているのはございません。
加賀田進
107
○加賀田
委員
それではもう一点だけ。
地方財政
のこういう状態の中から大体宗教法人にまで課税しようとして手を差し伸べるような傾向が各所に行われております。社寺側でたとえば物品を販売しておるとか、あるいは料理を提供するというような場合に、それに対しても税金を課そうという傾向が、特に京都にも各所に起っておるわけであります。
一つ
の例を申し上げますると、京都の宇治に有名な万福寺というお寺がございますが、このお寺で中国式の精進料理を大体希望者に出しております。料金は
最低
百八十円から最体五百円程度の料金をとっておるわけであります。一年間に一万名くらいの人が来る。このことが現在宇治を中心として問題になっております。これに対して課税すべきである。
営業
行為ではないか。しかも飲食物を提供しておるから
食品衛生法
を適用して
許可
をもらってもらいたい、
公衆衛生
上適当な
施設
をしてもらいたい、こういうことで、
地方団体
と社寺側といろいろ現在論争を行なっておるという状態があるわけであります。こういう問題に対して、
自治庁
としてはどういう――たとい宗教法人であろうとも、そういう
営業
的な行為をするのは、当然課税対象として税金をとるべきだという態度をとりておるのか、宗教法人には別個の考慮をすべきであるという態度をとっておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
奧野誠亮
108
○奧野
説明
員 今お話になりましたような事件につきまして、従前遊興飲食税の問題がずいぶんあったように思います。現在それらの事業から上ります所得に対しまして課税するかしないかという問題は、これは事業税として起っている問題ではなしに、国税の法人税として起っている問題だと私は承知しております。宗教法人の本来の事業に対しては課税いたさないのでありますけれ
ども
、収益事業を営んでいる場合には、これに課税できる。これを収益事業といっていいのかどうか知りませんが、物品販売に類するような行為をやっておって、何千万円あるいは億に達するような収入を上げて、これを放置しておくことがいいかどうかというようなことで、宗教法人のそういうような事業を国税関係でかなり綿密に
調査
をして、その結果一部においていろいろ争いも起っているという話も聞いているのであります。事業税は
原則
として法人税なり所得税なりの所得に乗っかって課税するという建前をとっておりますので、第一次的には国税の問題として起っているのではないかと思います。非常に顕著なものについては課税をして差しつかえないじゃないかと思いますが、しかしあまり零細なものでありましたり、本来の事業といえるようなものにつきまして課税の範囲を広げていくことは差し控えていくべきじゃないだろうかというふうにわれわれも
考え
ているのでございます。
門司亮
109
○門司
委員
もう
一つ
聞いておきたいと思います。
自治庁
の
考え
は今の奥野君の
説明
でわかったのですか、文部省関係でも、そうした社寺等の特別の収入に対して課税をすることに対する御意見はどうなんですか。反対なんですか、それとも差しつかえないという御見解ですか。
齋藤正
110
○齋藤
説明
員 この点については二つ問題があろうと思います。
一つ
は宗教という観点からでございます。そして先ほ
ども
申し上げましたが、これが宗教の行為、信仰というものに由来するお布施とか寄進とかいうもの、それをやるものがそれによって課税をされるということになりますれば、これは重大な問題でございます。信仰の自由という観点から重大な問題でございますので、先般この問題につきまして、
大臣
が京都へ行きました際も、現在
計画
されている税と、それから信仰上いろいろ寄進をすることを区別して、混同しないように工夫をこらしていただきたいということも申しております。その点も重要な点でございます。 それから第二は、文化財の保護活用、あるいは歴史的な遺産に対する学生、児童生徒の見学、修学という観点で、これに対して税金であろうともいかなる形であろうと、児童生徒、あるいは一般の人に負担の増高を来たすということは、文部省として好まないことでありますし、ない方がいいことと
考え
ております。この問題に対しましては、
大臣
も
自治庁
長官に対しまして、これを実施される場合には、これによる収入は文化財の保護活用に充当してもらいたいということと、それから学校の児童生徒に対してはできるだけ免税の措置をとってもらいたい。この二点を申し入れ、
事務
当局としてもいろいろ御連絡したわけであります。
門司亮
111
○門司
委員
そうなりますと、問題は二つに分れてくるようになると思います。
一つ
は現行の観覧料というものについての
考え方
であります。宗教法人の建前からくる、信仰からくる
一つ
の問題であって、これに税金をかけることが好ましくないという態度をとるということになって参りますと、たとえば社寺の持っておりますそうしたものについての保存、あるいはこれを別に汚さないようにしていくという建前からいけば、おのずからそこには観覧料に対する
制限
が生れてくると思います。いわゆる社寺の別途の収入という形でなくして、その観覧料はその社寺におけるそうした文化財を保存をすることのために必要な財源を、ここから求めていくというような
考え方
が出てくる、そういうことでありますと、信仰とはっきりと結びついていく。しかしその信仰というものが利用されて、その範囲を越えて、それが社寺の収入というような形においてなされているということになってくると、ここには
一つ
の
営業
的関係が生まれてくる。この関係は非常にむずかしいと思う。そうはいっても、その文化財だけを保存するのでなくして、その宗教の対象になっておる社寺全体を保存するための費用がこれだけかかるのだ、そうすればやはり入場料もこのくらいもらわなければやっていけないのだというような問題も出てくると思う。従ってこの限界は非常にむずかしいと思う。もう
一つ
の
考え方
は、そうでなくして、今の映画、演劇と同じようなものの
考え方
の上に立ってこれを入場税と同じような形で
考え
るということになれば、今
自治庁
の
考え
ておりますように観覧をする人から税金をとっていくという建前がおのずから出てくると思う。この二つの問題をどうかみ合わせていくかということが今京都における問題の争いの中心になっておる。従って、社寺側からこれをとるのかあるいは一般の観覧者からとるのかということが具体的の問題である。その奥にひそんでおるものには今申し上げましたようなことが
考え
られる。そこで文部省にもう
一つ
聞いておきたいと思いますことは、今の社寺のそうした観覧料というものについては、文部省が何らかの形で値段をきめる場合に干渉というと言い過ぎかもしれないが助言なりその他を与えておるかどうか、この点についてもう一度聞いておきたい。
岡田孝平
112
○
岡田
説明
員 京都の場合は社寺に対する課税ではありませんで、観覧者からとるいわゆる行為税であります。そういう点で
考え
ております。観覧者からとるこの観光
施設
税に対して、文化財保護の見地からどういうふうに
考え
ておるかということをちょっと申し上げます。これは文化財といたしましては広く一般国民にできれば無料で公開することを期待しておる。これが文化財の保護、活用の根本精神でありますので、そういう点からいいまして観覧者に対して一々税金をとるということは望ましくない。ことに学校生徒につきましては、これが教育上
一つ
の社会科の実習とでもいうべき場合が多いと思いますので、そういう場合に一々税金をとることはやはり学校教育上も感心しない、かように
考え
ております。また国税におきましては、一般に文化財あるいは国宝とかあるいは史蹟名勝天然記念物を公開する場合はすべて入場税はとらない、また宗教法人に対しましても入場税はとらない、無形文化財に
指定
されましたものを公開します場合にも入場税は特別の場合のほかはとらない、そういう国税の立て方からいいましても、税金をとることは本来からいえば望ましくない、かように
考え
ております。しかしながら、京都市におきましてどうしてもこれは課さなくてはならぬ、
自治庁
もこれを認可しなければならぬということでありますならば、それは私
ども
の
権限
外でありますのでいかんともいたし方ありませんので、さような場合には、とりました税源はできる限り文化財の保護活用つまり保存とか修理とかそういう経費に充ててもらいたい、かように
考え
まして、この旨は
自治庁
及び
大蔵省
に申し入れいたしております。京都市の
計画
は、承わるところによりますと、とりました税源のわずか四十分の一だけが文化財の保護に還元される。これではどうも文部省としてはまずいのじゃないだろうか、やはり税源はできる限り文化財の保護の必要面に優先的に充ててもらいたい、かように
考え
ておる次第であります。 それからお話の社寺の観覧料についてはどう
考え
るかということでありますが、社寺の観覧料はやはりできる限り安く、できればただにしてもらいたいと思いまして、その旨は文部省といたしましては機会あるごとに助言はいたしております。しかしながら文化財の保存、修理にも相当の経費がかかりますし、また国家から修理費に対しては補助金を出しておりますが、平常の管理に対しては何ら補助金は出しておらないというような
実情
もありますので、そういう文化財の保存管理上やむを得ざる程度におきましてはこれまた拝観料もやむを得ない、しかしこれは本来ならばできるだけ安くまたは無料にすべきだ、かように
考え
ておる次第であります。
門司亮
113
○門司
委員
そうするとこういうように解釈してよろしゅうございますか。観覧料については、先ほどから申し上げましたようにその対象物の保存あるいは修理等に要する費用に充てることに大体限らるべきだ、このことのために社寺がここから非常に大きな財政収入をあけておることについては文部省としては好ましくないと
考え
てよろしゅうございますか。
岡田孝平
114
○
岡田
説明
員 社寺に対する課税の問題は一応別に
考え
ております。私の申し上げましたのは、今回の問題になっておる京都市の税金、観覧者からとります税金につきまして申し上げたわけであります。それはできるならば文化財の保存管理の方に還元してもらいたい、しかしながら京都では、いろいろな観光
施設
の充実にもいろいろ経費も要りましょうから、それらの点もにらみ合せましてできる限り合理的に
考え
てもらいたい、かように
考え
ております。
大矢省三
115
○
大矢委員長
亀山
君。
亀山孝一
116
○
亀山
委員
まず
自治庁
にお伺いしたいのですが、この法定外普通税の
許可
は、市から
申請
してくればどうしてもある一定の期間には
許可
しなければならぬものですか、それとも、先ほど私が
大臣
にお尋ね申し上げたように、ある程度話し合いの期間を猶予するとかあるいはまたこれを修正するようなことが
考え
られますか、ちょっとその点をお伺いしたい。
奧野誠亮
117
○奧野
説明
員
地方
税法の定めるところでは、特別の条件に該当しない限りは
許可
をしなければならないという条項になっておるわけであります。しかしながら、何日までに
許可
をしなければならないという
規定
があるわけでもありませんので、税務
行政
が円滑にいくように、その推移を見て
許可
の
手続
をとるべきであろうと存じております。
亀山孝一
118
○
亀山
委員
先ほど来同僚の加賀田
委員
並びに門司
委員
からいろいろ御質問がございましたが、確かにこの税はよほど問題になるだろうと思うのです。先ほど私が読み上げました朝日の天声人語あたりにも書いてありますが、特に今加賀田
委員
が触れられた観光
施設
税の使い方です。この問題は、税務部長はいかにも市を弁護されるような御
趣旨
の答弁だと思いますが、もう少しこの問題をよく
考え
ていただきたい。 それから、同時にこの問題は非常に宗教上の関係を持ってくると思うのです。その点で文部省当局に伺いたいが、こういう問題は宗教上あまりおもしろくないのじゃないか、単に文化財保存というだけでなく、こういう社寺の観覧に対して、幾ら観光
施設
のために金が要るとは言いながら、観光
施設
税をかけることは、今門司
委員
の指摘された以外に宗教上の問題から私は考慮を要すると思いますが、いかがでございますか。
近藤春文
119
○
近藤
説明
員 宗教法人に対しまして各種の免税措置が講ぜられておりますのは、宗教
団体
の保護育成が前提になっておるわけであります。従いまして、先ほど門司先生からの御質問がございました中に、拝観料があがっても文化財以外の使途に使うことは不当であるかどうかということがありましたが、宗教
団体
といたしましては各種の宗教行事、儀式等を行うわけであります。従いまして、そういう場合に、宗教
団体
といたしましては一般的には檀徒信徒の寄捨金等によってまかなっていくわけでありますけれ
ども
、京都におきましては比較的檀家は少いのであります。従ってこれをまかなうために拝観料によりまして宗教法人の運営をやっていく、こういうことになっておりますので、そういう
意味
から古文化財の保護以外に、たとえば拝観料その他の今回の観光
施設
税をとることが不当であるということは言えないわけであります。もちろん大きな伽藍も持っておりますし社風等もありますので、その個々の寺院におきましては、希望はあると思いますが、その宗教
団体
の運営のために拝観料が使われていくということは妥当なことだと思います。またこの宗教法人の多くが文化財を持っております関係上、文化財に使われている金だけでも大きいということも
考え
られますが、その全部が文化財の修理管理以外に使ってならないということは宗教法人法上妥当でないと
考え
ます。なお今の宗教法人におかれましては、いろいろ公課課税をいたします場合には、宗教法人の特殊性、宗教
団体
の特殊性あるいはまたその慣習というものを十分尊重して行うということが前提になっております。従って今回の京都の問題におきましても、社寺側と市側とが十分に話し合っていくということがまず何よりも必要だと思います。きょう問題になっておりますのは、信仰の行為そのものに課税をするということが不当じゃないかということが問題になっておるわけであります。もちろん拝観者として、一般の観光者として来る者もありますが、その中には自分の信仰のために参る、いわゆる善男善女その他の信仰心を持って来る人が参る。これを全部観光という観点でやられることは宗教の自由から非常に一考を要するものではないかということが社寺側の言っていることであります。それからまた対象は何か、本尊とかそういうものを観光財として見るという
考え方
は必しも妥当でない。これらは何を対象とするか、あるいは信徒というものを全部観光客という一律の見方ですることは、宗教の保護あるいは宗教の尊重、宗教の自由ということから問題になるということを言っているのである。そういう
意味
から今回これにつきまして宗教
団体
側が非常に心配しておるということも十分了承されるわけでありますので、あくまでも社寺側等の意向を聞きあるいは市側当局の意見を聞きまして
お互い
に交渉する。またどういう部分について
了解
を得るという点についての話し合いをするように持って参りたいと
考え
ております。
亀山孝一
120
○
亀山
委員
今の御答弁ぴんとこないのですが、私が御質問申し上げたのは、一体こういう社寺、ことに宗教関係のそういうものを介してたまたま観覧料を取っているから観光
施設
税をかけるという点に私は非常に疑義を持つ。おそらく観覧料を取っているから徴収義務者を社寺にやらせるのが一番便利である、税の確保ができるというのかもしれないが、これは便宜論であって、京都市が観光
施設
税を真剣に
考え
るならば、私はこういうような観覧料を取るところだけということについては多少便宜論ということに過ぎてしまうと思う。全般的に宗教を基礎とする社寺というものに対して観光税をかけるという点が、私は宗教上非常に問題じゃないかという気がしたのでお伺いしたのですが、これ以上御答弁は求めません。先ほど
大臣
に申し上げたことと、加賀田
委員
のおっしゃった全国に波及するという問題について、今
奥野税務部長
は、奈良くらいかもしれない、また奈良以外のところはいろいろな
事情
でこれはできぬかもしれないという
意味
のお言葉でありましたが、これはよほど
考え
ていただきたい。法定以外の税が認められるならば、それは単に京都だけ奈良だけの問題ではありません。おそらく全国に波及してくれば、観光というもののために今のような税を課するという問題については、しきりに観光を宣伝している日本としても
考え
なければならぬ。そういう点を特に
自治庁
当局にお
考え
願いたい。また話し合いの問題につきましては、先ほど門司
委員
でしたか、心配されましたが、率直に申し上げれば、坊主憎けりゃけさまで憎いということでいろいろな市の問題があるらしい。そういうような感情的な問題ではなくて、事実観光
施設
のために必要であれば、そこに税によらずとも話し会いができるのではないか。
自治庁
当局は、
大臣
の御答弁にもありましたように、その及ぼす影響は非常に大きい、宗教に及ぼす影響は深刻であるということを
考え
られて、こういう税という
制度
によってこの観光
施設
をやられる観光
施設
はけっこうですけれ
ども
、社寺の観覧料を取るところにこれをぶっかけてやるということについてはよくお
考え
を願いたい。そういう点に対して話し合いをすると
大臣
がおっしゃいましたが、
事務
当局も勧奨される御意思があるかどうか、もう一ぺんはっきり伺いたい。
奧野誠亮
121
○奧野
説明
員
前段
の観光
施設
税を認めるような問題は特に限定すべきであるというお話はまことにごもっともに私も
考え
ております。心に十分とめまして、そのように持っていきたいと
考え
ております。 後段の寄付金の問題でありますが、これは社寺側は寄付金ならという気持を持っておられるようであります。それに対して京都市では寄付金ではいやだということを言っておられます。おそらく社寺側では信仰の問題もありましょうし、ふところ勘定が表向きになることを好まないところだろうと思います。京都市側といたしまして、観覧者の負担しておるものが社寺の収入になっておるのやら、京都市の収入になって観光
施設
の
整備
に当てられているものなのやら、寄付金ということになって参りますと、その関係が非常に不明朗になるのではないだろうかという心配を持っておられるようであります。同時にその金額をきめる場合にも、そこに観覧者の負担との関係において必ずしも明確な一線が画せられないで不明朗な感じを与えられはしないかという心配もあり得るわけであります。先般京都市からこの税をかけるに当りまして
自治庁
に協議に参ったわけであります。その際に五つの点を示しまして、その条項を前もって市会の議決を経て、それが
申請
をされるならば
許可
を与えます、こういうことを申し上げたわけであります。その際に社寺側と十分協議懇談するということを言っているわけでありますが、なかなか協議懇談が軌道に乗らないようであります。その過程においてたずねて来られたと思いますが、
自治庁
が協議懇談をしろと言われているけれ
ども
、ほんとうにそういうことに努力をするが、観光
施設
税を
許可
すると言われたのは、税ということを建前にして
申請
した場合に
許可
をするということなんだろうか、それを確認しておきたい、こういう話がありました。それはもとよりそういう話し合いでありましたので、そうだということを答えております。しかし京都市側が税の形をとらないで寄付金の形をとるということは京都市の任意であります。しかし京都市側が観光
施設
税という形で設けたいということで協議懇談を尽して
自治庁
に
許可
申請
を求めた場合に
許可
せざるを得ないのではないだろうか、こういう
考え方
を持っているわけであります。できる限り円満にいくようにわれわれとしても注意をして参りたいと思っております。
亀山孝一
122
○
亀山
委員
最後
に私はもう
一つ
天声人語の
最後
の文を引用して
自治庁
にお願いいたしたい。それは、文明と宗教との平和的共存を保つことができないでは、役人も衆生も済度はされまい。」と言っておりますが、非常に名言です。今税務部長の言葉では、税とか寄付とか、役人式のみつぎ取り式のお
考え
がありますが、こういう問題は文明と宗教との共存という
意味
で今のような割り切れないところに
一つ
の味もありますから、そういうふうになるべく
一つ
話し合いをお進め下さるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終ります。
門司亮
123
○門司
委員
さっき申し上げましたが、この問題の起った原因は、行為に対する税金をかけよう。実際は社寺における収入その他がかなりたくさんある。従ってこれをある程度社手の方から吐き出させた方がいいのではないかという
考え方
がありはしないかと思う。そういう問題がもしひそんでおったとすれば、いろいろな問題を起してくると思う。だから、問題の焦点として
考え
てもらわなければならぬことは、これは
一つ
の行為税として観覧者から取るのだということになってくると、今の映画や演劇とちっとも変らぬと思う。何も差別することはちっともない。映画を見たから税金を取る。仏様を拝んだから見たから税金を取る、拝んだから税を取るということにはならない。そういうことで簡単に片づけばこの問題は大した問題ではないと思う。しかし問題はいろいろ
議論
されましたようなことがひそんでおりますので、この機会にもう
一つ
文部省側に聞いておきたいと思うのであります。さっき聞いたことではどうも十分でないので、重ねて聞いておきますが、観覧料その他についての料金のきめ方について、文部省は何らかのサゼスチョンをする
権限
をお持ちになっておるかどうか。またそういうことを今日までされておるかどうか。この点をもう
一つ
聞いておきたいと思います。
岡田孝平
124
○
岡田
説明
員 これはあるいは宗教
課長
からの方がいいかと思いますが、社寺の観覧料、入場料等に対しまして、何ら法的に押えるものは別段ございません。しかしながら、お話の
通り
観覧料があまりに多いということになれば、自然社寺が利得するという結果にもなるわけであります。そうなりますと、いろいろそれに対する課税等の問題まで起ってくることは、先ほどの
自治庁
の答弁の
通り
でございます。しかしながら
文化財保護委
員会としては、先ほど申しましたように、できる限りこれは必要最少限度の文化財の保護管理に必要なもの、あるいは宗教法人で言いますと、宗教法人の存立、宗教活動に必要な限度において観覧料を取るということはきわめて当然でありましてそれ以上に取ることはできる限り避けてもらいたいと、私
ども
常にそう
考え
ておりますし、またさように今後も助言いたしたい、かように
考え
ております。 それから今映画のお話がありましたが、映画等におきましても、ああいう一種の娯楽
施設
についても、国税では三十円以下の場合には入場税は無税になっております。先ほど申しました文化財の公開につきましては、保護のための観覧料を取ることは差しつかえないと私は
考え
ております。大体社寺の観覧料は三十円、四十円、あるいは二十円、十円と、低額の場合が多いのであります。そういう場合にやはり税を取ることは好ましくないというふうに
考え
ております。
門司亮
125
○門司
委員
はっきりしませんが、私が聞いておりますのは、値段が高い安いということではなくて、観覧料をきめる場合にあなたの方から
許可
制とまではいかぬかもしれないが、何らかのサゼスチョンをする
権限
をあなた方が持っておるかということです。社寺が一方的に庫裏のやりくりがつかぬからこれくらい上げたらよかろう、これくらいにしたらよかろうというようにおまかせになっておるかどうかだけを、返事していただけばいいのです。
近藤春文
126
○
近藤
説明
員 宗教法人につきましては、観覧料は高過ぎるとか、そういう額をきめるとかいう
権限
は持っておりません。
北山愛郎
127
○北山
委員
税務部長が来られておりますので、これは観光税みたような、天声人語のような派手な問題じゃないですけれ
ども
、勤労者、いわゆる給与所得者の住民税ですが、これは例の特別徴収ということが
原則
になったわけです。これはたしか去年の改正でありましたか、
原則
としては特別徴収ということになった。そこで従来は納税組合等を作ってやっておったのを、特別徴収ということで源泉徴収されるために、幾らかの手数料といいますか、三分くらいのものをもらっておったがもらえなくなった、こういうことで相当各地でぶすぶす言っておるようですが、これは何か今の
法律
の上で救済というか、適当な方法がないものでしょうか。これは言うまでもなく給与所得者というものは確実にとられている。おまけに従来のこのような納税組合等の形による多少の恩典も剥奪されてしまうということで、どうも観光税どころではない、深刻な問題じゃないかと思うのですが、何か便法あるいは法の解釈で方法がないでしょうか。
奧野誠亮
128
○奧野
説明
員 給与所得者にかかります住民税を特別徴収にする、その場合に若干の金をその関係の向きの
市町村
が還付しておるかという問題であります。これは給与所得者の負担が他の所得者に比べて高過ぎるというところから起ったんだろうと思います。従いまして、根本的にはその問題を解決しなければいけないじゃないかと思っておりまして、そういう
意味
で努力をしているわけでありますが、所得税におきましても給与所得者の負担が実際面においてかなり重いのだ、これをぜひ是正したいということでいろいろ検討されておりますので、そういう面から抜本的な解決をはかりたいというふうに現在のところは存じておるわけであります。
北山愛郎
129
○北山
委員
それも問題ですけれ
ども
、深いところへ持っていかれたんじゃ、これはいつも言うことで、いつまで待っておってもやってくれないのです。奥野さんがやってくれればそんなことを言う必要はないですけれ
ども
、そっちはそっちでやってもらう。しかし今後の徴収の問題でありますから、従来であれば納税組合等を作れば多少そういうふうな形もできたが、それを剥奪されてしまった。税が高い上に確実に徴収され、しかもほかの方にあるような便宜までなくなってしまった。まことに何から何までよくないのですが、その分だけでも何とかならないか、こういうわけですが、根本的なことはまた別に解決するとして、これは徴収方法の問題として別個に
考え
る余地がないか、こういうことです。
奧野誠亮
130
○奧野
説明
員 特別徴収義務者に対しまして徴収
事務
に対する交付金的な形において金を渡されますことは所得税等にも関連して参りますので、これは避けていただきたいと思っております。しかし給与生活者の福祉の増進に役立つような
施設
を充実していく、これは幾らおやりになってもけっこうなことじゃなかろうかというふうに思っているのであります。そういうことよりもむしろそういうふうな
施設
の充実に金を使っていただきたいというふうに存じております。
川村継義
131
○川村(継)
委員
大へん時間がたっておりますので、簡単に、一、二の問題をお聞きしたいと思います。 昨日いただいた再建の
資料
についてお伺いいたします。午前中
中井委員
からも何かお話になったようでありますが、たくさんの
団体
で再建
団体
としての申し出をしているけれ
ども
、
承認
されている
団体
の数が非常に少いということは、財政部長からお話がありましたように、
地方自治
体自体の
計画
が進んでいないという理由もありましょうが、やはりこれは
自治庁
が何回も
計画
をやり直させる、非常に親切、丁寧に
指導
なさっているという結果が大きな原因じゃないかとわれわれは
考え
るが、もっと大きな原因は融資の内定について
大蔵省
、
自治庁
あたりとの折衝が難航しているじゃないか、こういうようにも見ているわけです。それが
承認
され、
団体
が決定されるのが非常に遅れているというふうに思うのですが、その中で融資の内定額なんであります。これは法の十二条あるいはそれに関係する
政令
等に基いて内定額をきめていかれると思いますか、この内定された
府県
の額等を
考え
てみて、一応内定された
考え方
なり、あるいは
方針
なりをお聞きしたいと思います。
長野士郎
132
○長野
説明
員 再建債の融資の対象になりますのは、先ほどお話がありましたように、
地方財政再建
特別措置法の
規定
及び
政令
の
規定
に基きまして融資額を大体定めるわけでございます。その内容は、
法律
の
規定
にもございますように赤字を見る見方といたしまして三種類ございまして、
一つ
は二十九年度の決算におきまして繰り上げ流用をいたしております。これは形式的な赤字というふうに一応
考え
ますが、その繰り上げ流用額全額でございます。それからもう
一つ
は、事業繰り越しをいたしております場合に事業繰り越しの中で、補助事業の場合でありますと補助基本額相当部分につきまして、継ぎ足しを除きましてその特定財源相当額については、これは赤字として
考え
ることにしております。これも
法律
及び
政令
の
規定
できまっております。それから単独事業につきましては、事業繰り越しをいたしました場合には、それに伴う特定財源を先食いするといいますか、そういう形になっております場合にはこれを赤字として
考え
ることになっております。その次は支払い繰り延べでございまして――支払い繰り延べと申しますのは御承知のように当該年度、すなわち二十九年度の
予算
に歳出の費目として上っておりますけれ
ども
歳入がそれに相応いたしませんとか、いろいろな
事情
がございまして契約その他債務が発生しておりますにもかかわらず支払いを繰り延べておる、こういうものは支払い繰り延べといたしまして、それも赤字額として算定をするにことなっております。大体その全額をまず確定をいたしまして、そうしてそのものを基本にして
考え
るわけでございますが、この場合に国庫支出金の未精算金、たとえば義務教育費の国庫負担金で精算額を二十九年度に精算されまするものがおくれて三十年度に入るというものがございまするが、これは当然に入るわけでございますから、その部分をそれから落して
考え
る、それから三十年度に黒字を出しまして過去の赤字を消しております場合には、それに相当いたしますものを落して
考え
るということになっておりますが、三十年度に黒字を出した
団体
というものはそれほど該当が多くございません。そういう関係がございますから、おおむねの
考え方
といたしましては国庫支出金の未精算額、先ほど申しました赤字額から国庫支出金の未精算分がありました場合には、それに相当するものを落した額というものが、おおむね融資対象額の総額となっておるわけでございます。
川村継義
133
○川村(継)
委員
そうしますと、端的にお答え願いたいと思いますが、二十九年度の決算の実質収支の赤字よりも、この内定額というのは上回ることがありますかどうですか。
長野士郎
134
○長野
説明
員 二十九年度の決算で出て参りますのは繰り上げ流用額、従いまして今申し上げましたような事業繰り越し、支払い繰り延べが加わりますから、それより上回るのが普通でございます。
川村継義
135
○川村(継)
委員
ここに九つの
府県
の
団体
がありますが、これをちょっと見てみますと、たくさん言ってもしようがありませんが、京都の場合歳出歳入のマイナスが二十九年度は二十二億一千五百万円余になっていますね。それからいわゆる実質赤字というものが二十四億九千五百万円余になっております。京都の場合には約二十五億ばかりの実質赤字というのを出しておる。それから徳島の場合は、二十九年度の決算で見ると四億五千万円余が歳出歳入の赤字であり、実質赤字として七億九千万円余出ておりますね。長崎の場合は三億五千万の歳出歳入の赤字であって、実質収支の赤字は六億余である。ところがこの内定額をずっと各
府県
見て参りますと、大ていの県がこの実質収支の赤字よりも少い額が決定される。ところが長崎は実質収支の赤字よりも多く決定されておる。こういう結果が出ておるわけですね。私はさっきお尋ねしたように法の十二条あるいは
関係政令
によって今お話しのような
基準
で算定されたでありましょうけれ
ども
、何かこの決定した結果がふぞろいのような感じがしたのでお尋ねしたわけですが、その点二十九年度のいわゆる実質赤字というもの、それとこの内定になったところの関係がどういうふうになっているのか、もう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
長野士郎
136
○長野
説明
員 先ほど申し上げましたのは決算上現われました形式的な赤字との関係はどうなっておるかというふうなお尋ねのように伺いましたので申し上げたのでありますが、今までの実質赤字額の見方と、それから再建債を算定いたします場合の見方とで多少相違がございます。その点が融資対象額を見ます場合に食い違いを生ずる
一つ
の原因でございますが、たとえば事業繰り越しについて
考え
ました場合に、事業繰り越しといいますものについて今まで出ておりました見方では、未収入の特定財源を引いたもののその余の部分を全部実質的な赤字として
考え
ておったわけであります。それはこの場合には未収入の特定財源を引いたものということをさらに分析をいたしまして、正確にしたと申しますか、事業繰り越しの中で補助いたしますならば補助対象になっております事業額、継ぎ足しというものを一応はずして
考え
まして補助対象になっておりますところの事業額の中で未収入の特定財源を落しましたものについて
考え
るということに
考え
ておるわけでございます。また単独事業につきましては、もちろん未収入の特定財源を落しますと同時に、一般財源を落して
考え
るという
考え方
になっておるわけであります。従いまして今まで言っておりますところの実質収支額よりやや下って参るわけであります。先ほどお話しの京都府とか、そういう問題について詳細に今よく記憶しておりませんが申し上げますと、京都の場合にあいておりましたようなお話のような額であったかと思いますが、落ちておりますのは、
一つ
は生活保護その他の先ほど申し上げました国庫支出金の未精算部分というものを除きましたので、それで落ちて参ったのであります。それからそのほか、たしか退職手当債の関係で退職手当債の振りかわったものの関連があると思います。長崎県の場合にふえておるということでございますが、これは今までの実質収支として長崎県の場合に
考え
られておりましたものをさらに精査をいたしましたところ、たしか昭和二十八年のころでございましたかに、いわゆる支払い繰り延べと称するものが相当あることが明らかになりました。これははっきり記憶いたしておりませんが、たしか二十八年の暮れでございますか、年末手当を
職員
に一応貸付をしたというような形になっておりまして、実際に支払っていないものでございます。それをやはり正式には支払い繰り延べとして
考え
るべきものというふうになって参りました。正当に
予算
上の経理ができておりませんが、実際はその場合に年末手当を、相当な額でございましたが、これを長崎県の債務として
職員
に対して支払うべきものであった、それが実質上はただ貸付という形で回収されるような形になっておりまして、正規に支払われていないということは明らかになりましたので、それを本来支払い繰り延べとして算入すべきものでございましたが、今までの実質収支額との関係で、それだけふくれて参った、こういう
状況
でございます。
川村継義
137
○川村(継)
委員
今の融資内定額と書いてありますが、その額はこれは動かない
数字
ですか、あるいはその後これから減らすことはないでしょうが、増加する見込みがあるのですか。それが
一つ
。それからもう
一つ
は、
政府
債と公募債の配分、割り振りについての
考え方
、あるいはその
方針
、それをちょっと簡単でいいですからお話し願いたい。
長野士郎
138
○長野
説明
員 ここにあげました融資内定額は、今後変更することはないと思います。 それから
政府
債、公募債の割り振りでございますが、これは普通に四百億円の中二百五十億円が公募債、百五十億円が
政府
債となっておりますので、普通の場合には五対三の割合でございます。ちょうど二百五十億、百五十億ですから五対三になりますが、五対三の割合で
考え
ることになっております。ただし地元の金融
機関
その他の消化能力というものとのにらみ合いがございますので、そういう場合に消化が実現しないということでは再建債としての
意味
をなしませんので、そういう場合には割合を変えることにいたしております。
川村継義
139
○川村(継)
委員
いろいろ聞きたいことがありますが、大筋だけ聞いておきます。今ここに京都初め山梨県にわたる九つの
団体
が
承認
になっておりますが、この九つの
団体
の
計画
の中で昇給昇格という財源についてどうなっているか、これはさっき北山
委員
からも御指摘されましたように、再建
団体
は非常に
地方
公務員に大きな犠牲というのはあまり大げさかもしれませんが、とにかく犠牲が人件費とか昇給昇格とかいろいろな面でかぶさっている傾向が出てきている。あるいは人員整理というような面へ出てきておりますが、この出ております九つの
団体
の
計画
の中に昇給昇格を初年度において落しておる
団体
はありますか、ありませんか。ちょっとお聞きしておきたい。
長野士郎
140
○長野
説明
員 これらの
団体
で、初年度におきましては昇給昇格を落しておる
団体
はございません。
川村継義
141
○川村(継)
委員
実はこれは
次長
に
一つ
お
考え
をお聞きしたいのですが、四月の十日ごろだったと思います。この
委員会
で昇給昇格とかいうような問題で論議なされまして、
次長
名かで各
都道府県
に昇給昇格の財源を確保するようにというような通牒を出されたことがあったと思います。私の記憶では、四月十三日だったと思いますが、
次長
は
自治庁
の幹部諸君と
団体
交渉をなさって、そうしてそこに六項目かの確認事項をなさっておるようであります。その中で、ここにちようど私の手元にありますが、第三項目の中に、
地方
公務員の給与は
国家公務員
の給与と均衡を保つように、右の財政
計画
を基礎として、昇給昇格が
赤字団体
であると黒字
団体
であるとにかかわらず、すべての
地方団体
において実施されることを期待している。それから四項目になりまして、従って再建法適用
団体
の
再建計画
の
審査
においては、昇給を含む給与費についても、今後も合理的基礎に基いて検討を加える。こういうような項目が確認されているようであります。
鈴木
次長
と自治労の幹部との間に右事項を確認するという六項目、そうして今私が読んだのがその三項目と四項目になっております。これは
自治庁
としては当然そのように
地方
公務員に対する給与ということを
考え
ていただくこと、努力してもらっていることについては、われわれは敬意を表するわけでありますが、今お聞きしますと、
承認
されている九つの
団体
の中には、いわゆる昇給財源というものを落して
計画
しているところはない、こういうことでありますので、これは非常にけっこうなことだと思いますが、私この前地元に帰りまして、私の方の県の
計画
を聞いて回ったところ、初年度は昇給昇格財源が全然
計画
に載せていないということだそうであります。その後どうなったかわかりませんが、どういうようなことで
自治庁
が
承認
なさったか、あるいはなさろうとしているか、よく存じませんけれ
ども
、昇給昇格財源を去年度において全然落している。これはそうなりますといつやられるか、見通しがつかない。しかしまあ何か交付税が多くなってきたというようなことであれば、それは実施しようというようなことだそうでありますが、もちろん実施してもらわねばならないと思います。ところが実施となると、第二年度以降の
計画
にこれは大きく支障が参りますので、当然修正をしなければならぬ。修正はもういつでもいいから、初年度においてとにかくそういうものを必ずしも載せておく必要はないじゃないかということになりますと、私は大へんなことじゃないかと思っている。こういうのを県自体が提出した場合に、
自治庁
としては当然これについては、今の
次長
の確認事項にもありますような
考え方
を持っておられるわけですから、これは
自治庁
としては、そういう
計画
を提出した
団体
については十分
指導
の手を加えていただくことが当然じゃないかと思うのですが、この辺についての
自治庁
のお
考え
をお聞かせ願いたい。
鈴木俊一
142
○
鈴木説明員
ただいまお話のございました点でございますが、今年度の
地方財政
計画
におきましては、御案内の
通り
給与費について従来の計算との間のズレを
国家公務員
の給与水準を基礎にいたしまして大幅に是正をいたしたわけでございまして、また昇給財源等につきましても
国家公務員
並みの財源措置を講ずるというふうな建前にいたしたわけでございます。そういうような関係からいたしまして、今の通常の財政運営によります
団体
におきましては、
地方
公務員の昇給昇格ということは、まず財政
計画
に予定いたした
通り
のことができると思うのでございまして、
赤字団体
あるいは再建
団体
等におきましては、私
ども
といたしましてはそういうことを期待いたしておりますけれ
ども
、
団体
の財政運営上そういうことがどうしてもできかねるというような結果になっている
団体
が遺憾ながらあるわけでございまして、その点はいたし方ないと申せばまことにいたし方ないことだと思うのであります。再建
団体
につきまして、
財政再建
計画
を
自治庁
といたしまして
相談
に応じて検討いたします際におきましては、これは歳入歳出の両面に及びまして、およそ合理的にさらに歳出の効率化をはかり得る余地があれば、あるいは節約し得る余地があれば、これを節約していただく、あるいは歳入についてもさらに合理的に増収をはかる余地がございますれば、必ずこれをやっていただく、そういうようなことで、何カ年かの間に赤字を帳消しにしてもらう、こういう前提によって
審査
をいたしておるわけでありまして、給与費につきまして昇給の財源というものをどういうふうに
考え
るか、これは今御引用の中にもございましたように、われわれといたしましてはあくまでも合理的基礎の上に立って検討する、こういう
考え方
でございます。ただいま九県以外の県について昇給財源を初年度において見込まないものがある、そういう
計画
を出しておるところがあるというお話でございますが、私
ども
もそういうものが具体的に出て参りました場合におきましては、十分に今申しましたような
趣旨
で
審査
をいたしておるつもりでございます。
川村継義
143
○川村(継)
委員
御承知のように
地方財政
の苦しいという立場から、再建
団体
の申し出もたくさんしておるわけでございますから、これは大幅な人員整理というものが各県で行われておる、あるいは
条例
で、どうも不当だと思われるような条件で、かつてに給与表を切りかえてみたり、今のように昇給昇格を一年間ストップしてみたり、あるいは一年なり九カ月なり六カ月なり、発令したけれ
ども
実際の金は渡っていない。いろいろなことが行われているわけです。各県の苦しい台所のことを
考え
ると、あるいはやむを得ないということも成り立つかもしれませんけれ
ども
、ただ
再建計画
というだけのために、やはり公務員のそういう
身分
というものが脅かされるということは、これはよほど
考え
なければならぬ重大な問題だとわれわれは見ているわけです。そこで今ここに出ております九
団体
には、そういうようなことはなかったといっておりますけれ
ども
、私が聞いた範囲内でもそういう昇給財源等は全然
再建計画
に載せていない。
計画
書を出してそうして
自治庁
から
承認
をとろうとしている、こういう点については、やはり
自治庁
はよろしいというような態度で出られるのか、やはり
あと
う限りの、将来新陳代謝等は、これは当然
考え
なければなりませんでしょうけれ
ども
、やはり昇給財源等は、初年度からちゃんと
計画
に載せて、
再建計画
を立つべきである、こういうふうに見て
指導
されておるのか。そのところが私は非常に大きな問題ではないかと思うのですが、もう一度
次長
からお聞かせ願いたい。
鈴木俊一
144
○
鈴木説明員
再建計画
を
審査
いたします場合に、給与費につきまして、合理的基礎に立って検討すると申し上げましたのは、当該
団体
の類似規模あるいは同一のような
状況
にありまする他の
団体
との比較等をいたしまして、果してこれでよろしいかどうかというようなことを、やはり私
ども
としては検討いたしておるわけでございますが、昇給の財源等につきましては、今お話にもございましたように、あるいは新陳代謝で高給の者がやめて参り、かわりに採用するものは少額で済むという場合に出て参りますような財源を、昇給財源に
考え
るとか、あるいは
職員
の若干の整理を
計画
いたすというような場合におきましてよって生ずる財源をその一部に充てるとかいうようなことを
計画
の上に
考え
ておる。
最小限度
そういうようなことは
考え
ておる
団体
が多いと思うのでございます。なおそれをもっても足らないような
計画
になっておる
団体
も若干ございますが、そういうようなものは先ほ
ども
申し上げましたように、税の自然増収等の見方を非常にきつくいたしておりますので、現実の当該年度の
予算
の編成の際におきましては、事業費なり人件費なり等で、さらに優先的な順位にありますものを、ふくらまして肉づけをしていく、こういうようなことをやるわけでございます。そういうような際におきまして、さらに妥当な基礎に立った
調整
が加えられるのではないかというふうに
考え
ております。
川村継義
145
○川村(継)
委員
時間がありませんので、いろいろお聞きしたいことがありますけれ
ども
、また別の機会にいたしたいと思いますが、この四月の十三日に
次長
が自治労の諸君と
団体
交渉で確約された六項目については、これは当時ただおざなりに気分休めに確約されたいというような
意味
合いでなくてやはり
地方
公務員の立場に立って、ぜひとももう一度読み返していただいてお含みおき願いたいとお願いいたすわけであります。 それからきょうの新聞で私ちょっと見たのですが、
市町村
共済組合の使い込み事件、あれは一体どういうふうになっているのですか。この前の
国会
で、私は
市町村
共済組合の
法律
改正、あるいは
市町村
の
恩給
法の一部改正等で、相当ああいう掛金の問題等が論議されたと思っております。問題になったわけです。先般は農林省の使い込み事件というのが大きく世間を騒がせた。とにかくこういうような公金かあのような不始末にされるということは、よほど注意しなければならぬ大問題だと思うのです。きょうの新聞に、名前はちょっと忘れましたが、
市町村
共済組合の使い込み事件が出ておる。それに対して
自治庁
は
市町村
共済組合について会計面あるいは一般問題について、どのような
指導
監督
をしておられるか、そのようなところを、その事件の内容あるいはそれらについての
自治庁
の立場をお聞かせおき願いたい。
鈴木俊一
146
○
鈴木説明員
今の
市町村
職員
共済組合につきましては、昨年ですか、
市町村
職員
共済組合法というものを制定願いまして、そして
市町村
の雇用人並びに
職員
に対します、共済の
制度
を
施行
することになったわけであります。これは各
都道府県
単位に
市町村
職員
共済組合というものを作って、そこで
市町村
の
職員
から一定の掛金を徴収し、
市町村
もこれに若干の負担をいたしまして、そして共済
制度
ができておることは御承知の
通り
でございます。これは全国四十六
都道府県
にあるわけでございますが、これらの第二次的な
監督
責任と申しますのは、
自治庁
の長官でございますが、第一次的には所在の
都道府県知事
にその
監督
をお願いいたしておるわけであります。きょうの新聞に報道されておりましたことは、そのうちの東京都の
市町村
職員
共済組合についての問題でございます。私
ども
もまだ具体的の内容をきょう新聞で初めて知っただけでありまして、内容を承知いたしておりません。十分これは
調査
をいたしまして、また御
報告
を申し上げたいと
考え
ております。
加賀田進
147
○加賀田
委員
ちょっと
一つ
だけ。小林さんにお尋ねしたいのですが、戦後
自治法
の改正で、
あと
の始末でいろいろ
説明
されたのですが、
恩給
の
通算
に対して十六項目が委譲されて、それに基いて
職員
が異動して
恩給
が
通算
される。聞きますとその
職員
が改めてさらに違った業務の方に、部とか課に異動した場合には、
恩給
が
通算
されぬというようなことを言っていたのですが、そういうことがあるのですか。
小林與三次
148
○
小林説明員
この
恩給
法の
通算
の
規定
は
法律
に基いておるのでございまして、
自治法
の改正法の附則十二号で、「
指定都市
の
職員
となる者は、
政令
で定めるところにより、その選択によって、
都道府県
の退職手当を受け、又は受けないことができる」、これは本人の得になるように選択権を認めたのでございます。ただし問題は、もう
一つ
は退職手当の問題でございますとともに、
恩給
の問題が中心だろうと思います。
恩給
法が準用になっておる、あるいは適用になっておる
職員
が、そのまま市へ行った場合に、
恩給
法そのものをつなげよう、こういうのと、もう
一つ
は
府県
が自主的にやっておる退職金をつなげようという両方があるわけであります。そこで
恩給
法は、
恩給
法の一部を改正する
法律
で、その
職員
が二百五十二条の十九の第一項の各号に掲げる
事務
に従事する間に限り
恩給
法の
規定
を準用することになっております。そこでこの
恩給
に関する限りは、今お尋ねの
通り
法律
に現にそうなっておりまして、これはわれわれも実は必ずしも合理的な
法律
だとは思っておりませんが、従来から市に
移譲
になった
事務
がほかにもいろいろあります。その場合に実は従来全部この例で一貫して参っておりまして、この場合もその例に従わざるを得ないんじゃないかというので、これは従っておるわけでございます。それでありますから根本的にこの問題を解決するためには、つまり
恩給
法の
通算
というものを
府県
だけでなしに市にどう及ぼすか。少くとも
五大市
あたりは
府県
と変らずにある程度
職員
の交流もあるから及ぼすべきではないかというようなところまで踏み込まなければ、今のところ解決できません。この点はわれわれとしては今ワン・ステップ踏んだわけでありますから、次の問題として研究いたしたいと思います。
大矢省三
149
○
大矢委員長
それでは本日はこの程度にして散会いたします。 午後二時三十二分散会