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1956-05-28 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)     午後二時三十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 北山 愛郎君    理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君       青木  正君    加藤鐐五郎君       唐澤 俊樹君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       灘尾 弘吉君    平野 三郎君       古井 喜實君    堀内 一雄君       森   清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   角田礼次郎君         総理府事務官         (自治庁行政部         振興課長)   宮沢  弘君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 五月二十八日  委員徳田與吉郎君、中嶋太郎君及び丹羽兵助君  辞任につき、その補欠として加藤鐐五郎君、青  木正君及び平野三郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員加藤鐐五郎君及び平野三郎辞任につき、  その補欠として徳田與吉郎君及び丹羽兵助君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十六日  昭和三十一年度から昭和三十五年度までに償還  すべき元金償還金がある地方債元金償還金の  償還等の特例に関する法律案北山愛郎君外十  名提出衆法第六一号)  地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する  法律案北山愛郎君外十名提出衆法第六二  号)  町村合併促進法の一部を改正する法律案北山  愛郎君外十名提出衆法第六三号) 同月二十五日  群馬県の凍霜害に伴う普通交付税繰上交付等  に関する請願長谷川四郎紹介)(第二三八  五号)  同(福井盛太紹介)(第二三八六号)  同(笹本一雄紹介)(第二三八七号)  地方債証券公庫設置請願神田博紹介)(  第二四〇八号)  同(江崎真澄紹介)(第二四〇九号)  国有鉄道等に対する固定資産税課税に関する請  願(纐纈彌三君紹介)(第二四一〇号)  同(神田博紹介)(第二四一一号)  同(江崎真澄紹介)(第二四一二号)  町村合併に伴う借入金を長期債に借換えの請願  (纐纈彌三君紹介)(第二四一三号)  同(神田博紹介)(第二四一四号)  同(江崎真澄紹介)(第二四一五号)  信用金庫に対する市民税等課税に関する請願(  纐纈彌三君紹介)(第二四一六号)  同(神田博紹介)(第二四一七号)  同(江崎真澄紹介)(第二四一八号)  町村職員恩給組合法に基く複式簿記実施期日延  期に関する請願五島虎雄紹介)(第二四一  九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)(参議院送付)  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (参議院送付)     —————————————
  2. 北山愛郎

    北山委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のためお見えになりませんので、理事の私が委員長の職務を行います。地方公務員法等の一部を改正する法律案及び新市町村建設促進法案の両案を一括して議題として質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。亀山孝一君。
  3. 亀山孝一

    亀山委員 地方公務員法等の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げたいと思います。幸いに太田自治庁長官がお見えでありますので、できる限り太田長官から御答弁をお願いしたいと思います。国家公務員に対しては停年制がありませんのに、地方公務員に対して停年制を設けられようとするその御趣旨をお伺いしたいのでございます。
  4. 太田正孝

    太田国務大臣 亀山委員お答え申し上げます。今回地方公務員法の中で地方公務員停年制を行わんとする案を提案いたしました。しかるに国家公務員に対してこのことなきに、何ゆえ地方公務員だけ取り上げてかようなことをするか、こういう御質問かと思います。国家公務員についてはばらばらではございますが、あるいは大学教授でございますとか、あるいは防衛庁役人たちでございますとか、裁判官等については部分的ではございますが行われております。現在におきましては公務員制度調査会におきしてこの問題と取り組んでおります。今公務員制度全般にわたっての案を得たいとしております。大体におきまして右へならえという場合に、国家公務員の方でやっておりますから、地方公務員関係においても給与その他のことを考える筋合いになっておりますのに、なぜ今回こちらを先にしたか。すでに事情も御案内のことと存じ上げますが、かねて地方自治体におきましては相当範囲におきまして停年制を実行しておったのでございます。しかるに法文解釈その他の問題がありまして、これが中絶と申してよいかと思うのでありますが、行われておらなくなっております。しかも国家公務員関係実態を比較してみますれば、相当停年制問題を強く感じておるのが、今日の地方公務員関係ではないかと思います。それでありますから、地方制度調査会におきましてもその答申におきまして、このことをうたっておる、しかも長くこの問題を世間におきましても、世論と言っていいかと私は受け取っておりますが、実行したらいい、こういうお声がありますので、国家公務員の問題は公務員制度調査会の線に沿いまして、むろんこの点に触れるのでございますが、今回こちらの方をまず世論もあり、答申もあり、かつて行なったという関係もあり、しかも法文解釈上疑義があるならば、きっぱりしたことにしたらどうか、申し上げるまでもなく、これはむやみに首切をしようという意味ではございませんので、いわゆる新陳代謝によってやっていこう。だいぶんに年とったお方々地方公務員関係には多いという事実も、この際において考えねばならぬ、かような意味でございます。
  5. 亀山孝一

    亀山委員 やはり世上のこの法案に対するいろいろの批評は、大臣がたびたびこの委員会の席上でもお述べのように、大体地方公務員国家公務員給与等も準じておる、それに対して、まだ国家公務員の方がきまらぬ、国家公務員についての停年制実施できないのにという声が非常に強いのでありますが、今の大臣お答えによりますと、だんだん準備も進んでいるように思いますが、大よその御検討を一つこの際お伺したいと存じますが、いかがでございましょうか。
  6. 太田正孝

    太田国務大臣 今この方面に直接関係を持っておる事務当局からのお話も聞きましたが、次の通常国会には提案したいという段取りにおきまして、事を進めておるように聞いております。
  7. 亀山孝一

    亀山委員 そこで停年制という問題は、今大臣お答えになりましたが、いろいろの意味で非常に論議のある問題です。これは地方公務員に当然限定すべきでありますけれども、一体停年制を設けようという御趣旨は、今ちょっとお触れになりましたが、もう少しはっきりとお示しを願いたいと思います。
  8. 太田正孝

    太田国務大臣 私は端的に新陳代謝行政というものを、特に地方行政を常に新しく常に活発に、しかも仕事の多い地方行政をなめらかに、早く功績の上るようにしていくという意味で、通俗に申します新陳代謝がこのねらいであると申し上げたいのでございます。
  9. 亀山孝一

    亀山委員 今大臣は、停年制新陳代謝を促進するという御答弁、まことにごもっともと思いますが、世間ではこれをどうも行政整理一つであるように考えておるのでありますけれども、その点はどういうようにお考えになっておりますか。
  10. 太田正孝

    太田国務大臣 行政整理というのは、一つの財源を生み出すために役所の人に仕事から引退を求めることでございますが、新陳代謝はむしろ役所の機構を新たにして、生々発展的なものにしたいというのが目的でございまして、経費の点からのみ考え行政整理とは趣旨におきまして、目的において違っておるのでございます。ただ最初のときに見ますと、人が減るという意味におきまして行政整理のように思われますが、行政のために実は息を吹き込むというところに、この停年制意味があるのでございまして、切りっぱなしでやっていこうという意味ではございません。
  11. 亀山孝一

    亀山委員 結局停年制と言えば、ある一定年令に達すれば、そこでやめるということになるのですが、若年でありましてもいわゆる若朽というものもありますし、ある程度の年令以上になりましても、ずいぶん練達な人もあるのですから、どうもその点で能率的に考えれば停年制という問題は、非常に批判のある問題だと思いますが、その点はただ清新の気を吹き込むという点も確かにおっしゃる通りありますけれども、清新のために事務能率というものを阻害し、あたら有能の才ある者を一定年令以上になればやめさせるという点についての批判があるように思いますが、いかがでしょう。
  12. 太田正孝

    太田国務大臣 役人種類にもいろいろお仕事関係がございますので、一律には申し上げることができないと思いますが、今申されたような能率の下るというようなことの万々ないようにやっていかなければならぬ。ただいかにも年令が非常にふえてきた、そういう問題につきましては若年停止恩給関係というようなことも考えなければならぬ。また仕事種類によっても考えなければならぬと思います。しかし金だけ浮かすという意味でなく、もちろん今申しました新しいお方も採用するという、能率を上げていくという意味において、私どもはやむを得ないことであると考えております。しかし余人をもってかえがたいというような場合におきましては、いずれは条例によって定め得るでございましょうが、特別な考慮も払うべきことは当然であろうかと存じ上げます。
  13. 亀山孝一

    亀山委員 そこで長官は一体この停年制は、男女何才ぐらいというようなおつもりでありますか。先般ここの参考人として新潟県知事が——私は欠席いたしておりましたけれども北山委員から伺いますと四十五才で云々というような話があったというので、非常にわれわれも驚いておるのですけれども一つこの際男女何才ぐらいを長官はお考えになり、同時にこういう点を条例に表わすように御指導なさるおつもりか、ちょっとお伺いしたい。
  14. 太田正孝

    太田国務大臣 停年制をしく場合の基準として、最も重要な問題であろうと思います。私は速記録も読まず、はなはだ怠ったわけでございますが、新潟県知事が四十五才と言ったのは、どうも私とは寸法が合いません。御案内通り実業界一般のケースは五十五才と私は見ております。それから国家公務員関係の特別な職にある者については、いろいろあるのでありまして、あるいは裁判官あるいは大学教授などありますが、最も低いところは防衛庁関係であったと記憶いたします。防衛庁関係では三十五才になっております。そういうふうにばらばらではございますが、一般的に見ますとやはり五十五才というのが常識的なところではございますまいか。但し医学発達につれまして、日本全体の停年制というものを、財界と言わず官界と言わず考えなければならぬのではなかろうか、だいぶ衛生状況あるいは医学発達のために命も伸びてくるような状況でございますので、この点も考えなければならぬ。但し他の一面において人口が増加していく、そして失業者なからしめるという大きな労働政策の建前から考えなければなりませんが、どうも四十五才というのはふに落ちぬところでございます。もし標準を言えば、現状においては五十五才という財界などでとっている線が、普通の考え方ではないかと思いますが、将来のことを考えますと、もう少し伸びるじゃないか、もう少し上の年までいいじゃないかとも思います。けれどもこの問題は人口問題の一番根本にも触れる問題でございますから、いろいろな点を考えなければならぬが、どうも四十五才という説には、私はどうしても納得がいきません。少くとも五十五才が現状常識ではないか、私はかように考えております。
  15. 亀山孝一

    亀山委員 それで大体五十五才という見当はつきますが、それは男女通じて五十五才という御趣旨でございましょうか、それとも男子について五十五才というので、女子については別個にお考えでありましょうか。一般には男子五十五才、女子四十五才というようなうわさも聞くのですが、その点を一つこの際はっきりとお伺いしたいのです。
  16. 太田正孝

    太田国務大臣 これは憲法にもあります通り性別によって区別することはできませんので、男も女も同様にやっていいと思います。ただ先ほど申しました医学の発展とか、あるいは通俗にいう厄年とか、いろいろな点を考えてみますと問題はありますが、しかしわれわれの取り扱う範囲においては、性別によってかかるものの取扱いを区別することはいけない、この原則は固く守らなければならぬと思います。
  17. 亀山孝一

    亀山委員 今女子に対しては四十五才ではない、男女ともに五十五才ということを伺いまして、非常に安心いたしました。実は先ほどもちょっと申し上げたように、女子職員に対しては四十五才で停年というようなうわさが飛んでおりますために、御案内のような女子家庭方々あるいは遺族で子供を抱えているような人々というものは非常に心配をしておりまして、われわれのところにもいろいろな手紙をよこしておりますが、お言葉のように男女ともに五十五才が原則ということは、私はけっこうだと思います。ただそういう誤解のありますことを、一つよく頭にお入れ願いたいと思います。  そこでこの問題について、あともう少し申し上げたいと思いますが、昨年でありましたか、停年制の問題については学校教育の問題で、文部当局から非常に反対がありまして、遂に出し得なかった問題ですが、今回は文部当局はこれで御了解になったのでございましょうか。その点をちょっとお伺いしたい。
  18. 太田正孝

    太田国務大臣 清瀬文部大臣と私の話し合いの中においては了解しておるのであります。すなわち文部省と自治庁との関係におきましては、了解しておるわけであります。
  19. 亀山孝一

    亀山委員 そこで今停年制をしかれますというと、結局相当年配になって新たに就職した者、ことに御案内引揚者方々は、内地に帰らてから就職されたために、停年制までわずかしかない。しかも恩給はつかぬ。共済制度の恩典にも浴しないというようなこともありますので、この停年制恩給制度あるいは共済制度との関係は、どういうふうにお考えになりますか、一つお伺いしたい。これは行政部長でけっこうです。
  20. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私より、ちょっとかわって御説明申し上げます。実は停年制恩給制度との関係は、これは当然運用考慮すべき問題であるだけでなしに、特に法律上もその関係を、はっきりさしておく必要があろうというので、今の二十八条の停年制改正規定の規則に一項をつけ加えまして、前項定年制を定めるに当っては、退職年金及び退職一時金の制度との関連について適当な考慮が払われなければならないと、職員の職の特殊性の問題とともに、退職年金制度との関連についての関係を十分に考慮すべきものといたしてあるのであります。それが一つには先ほど停年幾つにするかという問題で、長官の方から五十五才が常識じゃないかとおっしゃいましたのも、いわゆる若年停止がそういう点にあった。こういう点の考慮も当然考えてしかるべきではないか。それから今の引揚者等の年とって役所に入った人たちの問題も、これは引揚者だけの問題でなしに、ほかにいろいろの関係で途中で入られた方もおられるだろうと思います。これらの問題も、私はこの二十八条の八項の規定運用考慮いたしまして、運用条例において考えてしかるべきではないか。引揚者の問題は、団体によりましては全然問題にならぬところがありますし、団体によっては相当問題になるところもありまして、それぞれ実際の必要に応じて、この法律趣旨考えて適切な条例を作ることを期待いたしております。また必要ならば、そういう趣旨の指導もする必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 亀山孝一

    亀山委員 小林行政部長にその点についてお伺いしたいのですが、お説のように今の停年制規定の次に、「前項停年制を定めるに当っては、職員の職の特殊性並び退職年金及び退職一時金の制度との関連について……」と書いてある、これはもう少し具体的に言われると、どういうことになるのですか。つまり五十五才になっても、退職年金に達していないものは、退職年金まで延ばしてもいいということなんですか、その点を一つお伺いしたい。
  22. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そこのところは幾つで入られるかわかりませんし、これは一般的な職員構成との相対的な観察で行くよりしょうがない。一般原則としては、一般的にそういう退職年金が発生することを頭に置いてまず考える。それからその特殊なそういう年令構成の集団で、非常にたくさん入ってきて、それを一時にどうこうするということは、人事運用上非常に適正を欠く場合もあり得るだろうと思います。そういうときには、年令層等考えて、たとえばその恩給に達するまでと言えば、長過ぎることもあるかもしれない。あるいは数年だけの幅でさばきがつくかもしれない。そこらは実際に即して考えていいんじゃないか、こういうふうに存じております。
  23. 亀山孝一

    亀山委員 そうすると、条例で書く場合はどういうふうに書けば、自治庁は御満足行くような条例と思われるか、その点を一つ聞きたいと思います。
  24. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そこのところは、条例でどこまで書けばいいかわかりませんが、今お話通りたとえば退職が五十五才なら五十五才と書いてあります。そこで五十五才ではあるが、そのときに恩給年限に達するのが、もう二、三年待てば、みんなどっとやめるグループがあるかもしれません。そうすればその実態に即して、そういうものについては五十八才なら五十八才、臨時の問題としてそこらあたりでそういう規定を暫定的に入れるということが、これは条例で自由にできるだろうと思います。その書き方は別問題として、附則か何かでこういうものについては五十八才とする、プラス何年とするとかいうような考慮はできるだろうと思います。
  25. 亀山孝一

    亀山委員 もう一つ念を押したいのですが、そうすれば、この退職年金をもらえない人に対しては、停年制をしいても特別に考慮する。できるだけ老後の生活保障のできるようにしてやるおつもりなんですね。
  26. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは恩給年限に達しておらぬ者全部について、そうするというわけには参らぬだろうと思います。どういう事情で途中から団体へ入られたか、事情は千差万別でございますが、特に問題になるのは海外引き揚げ関係で、これは本人意思に全くかかわらず、ある年令層の人が引き揚げて、どっと団体に入ったことが想像されるわけでありまして、そういう異例な措置というものは頭に入れて考えるとすれば考えるべきじゃないだろうか。一般の経常化してしまえば、そういう特殊な問題を頭に入れるということは私は達当じゃない、こういうふうに存じております。
  27. 亀山孝一

    亀山委員 大体わかりましたが、海外引揚者の人とか母子家族の未亡人といったような者に対しては、特別に一つ考慮していただきたいということを、私はお願い申し上げます。  そこで次にお伺いしたいのは、いわゆる普通労務者、たとえばわれわれのところにも東京都の清掃関係の人などから陳情されるのですが、ほんとうにお気の毒です。それはどういうふうにお考えになりますか。
  28. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今おっしゃいましたのは、まさしくこの法律上予想しております職員の職の特殊性というものについての考え方でございまして、一般行政職に属する人とか、それから単純労務に属する人とか、あるいは特殊な専門的な技能を職とせられる人とか、そういう方がおられるだろうと思います。そういう人は、必ずしも一般行政関係者と一緒に扱うことはできぬだろうと思います。ところによっては、いなかの学校の小使さんやなんかは、年とったって一向にかまわぬし、また年とった人でなくちゃ、なかなか人を得られぬということもあり得ることでありますし、都会地におきましてもそういう事態がありまして、そういう人たちにつきましては、特別の配慮というものがあっていいじゃないか。ものによってははずすことも考えられれば、ものによっては年令特別扱いをする、一般が五十五才なら、そういうものは六十才とか、そういう配慮もそれぞれ実際に即してできるように、条例では自由な裁量とともに、そういう点を慎重に考慮してもらうことを、立法の方針といたしているわけであります。
  29. 亀山孝一

    亀山委員 大体それでわかりましたが、こういうことは考えられないですか。私どもの知っている実例なんですけれども、ある公立病院の皿洗い、これは相当年令ですが、その病院従業員では一番高給を取っている。その人は六十才を越えておりますから、停年になるわけだが、それをやめれば、若い者が三人雇えるらしい。そういう実例を見ると、なるほど停年制も必要だと思う。本人はやめたい意思がないんだから。そこでその人が、もしもやめると一家が困る。そこで若い人と同じように減給に甘んずる。それで若い人を雇ってくれてもいい。つまり若い者並み月給で、自分は職を続けていきたいというような希望のある場合は、レア・ケースだと思いますけれども、そういうことはどうお考えになりますか。
  30. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは非常にむずかしいのですが、たとえば三万円もらっている者が、若い者なら一万円でいいわけです、それで自分も一万円に減俸になってもかまわぬ、こういう事柄だと思います。そういう特定の場合も考えられぬわけでもありません。そういう場合、一つ考え方は、停年で三万円なら三万円で一応やめまして、そうすれば三万円を基礎とした退職金がもらえるわけですから、あとはさしあたり一万円かそこらで使ってもらいたいというならば、あるいは雇用関係を切りかえて、そうしてもう一ぺん安い月給で養うということも考えられるだろうと思います。そのかわり今まで吏員だった者が、かりに雇用員になって入るとか、これはそれぞれの団体人事運用実態に即して配慮し得る余地は十分にあるのではないか、そういうふうに考えております。
  31. 亀山孝一

    亀山委員 この問題は非常に私はレア・ケースであるけれども、注意すべきものだと思うのです。そういう点を条例などできめても、自治庁はいかぬとは言わないでしょうね。自治庁はいかぬとは言わないで、そういうものはむしろ今のお話のように、職員の身分を日雇に切りかえるとか、いわゆる用員に切りかえるというようなことであれば、大臣の先ほどおっしゃった新陳代謝というのには、ぴったりこないかもしれぬけれども、三人なら二人は新陳代謝、一人は旧代謝かもしれぬが、そういう点はお認めになるという、はっきりした御言明をいただきたい。
  32. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはもともと条例ですから、自主的に条例を作ることにつきましては、われわれ自治庁もかれこれ申すつもりはありません。ただそれが制度の基本に反しない限りは差しつかえないことでありまして、大体われわれの考え方といたしましては、一応当委員会においてもいろいろ御論議がありましょうし、参議院においても御論議がありまして、そういう御論議の存するところを入れた条例準則案のようなものを、一般的には考えて示すつもりでおります。なおそうした特殊な問題については、団体でなお特殊な考慮をせられても、これは一向にかまわない、そういうふうに存じております。
  33. 亀山孝一

    亀山委員 今お話しのように、準則案を示すということでありますが、参議院はどういうような附帯決議をやっておりますか。私も勉強してないので、一応参議院附帯決議趣旨をこの際一つ……。
  34. 小林與三次

    小林(與)政府委員 参議院附帯決議は、  停年制実施に当っては左記事項につき政府は格別の考慮を払うべきである。  一、教職員については、その特殊性にかんがみ、停年制の急激な影響を避けるため予め特別の考慮を加え、本制度実施により教育を阻害することなきよう努めること。  二、条例実施については相当の猶予期間を置くこと。  三、海外引揚者又は長期にわたり兵役に服した者又は他の者をもって代うべからざる知識技能を有する者等については、これが適用につき相当の斟酌を加えること。  四、停年者には過渡的に待命制度等を考慮すること。  五、単純労務に従事する者については停年年令につき特別の斟酌をすること。 この五項目でございます。  大体今まで論議になった問題が入っておりますが、要するに海外引揚者とか、兵役に服した者とか、あるいは余人をもってかうることができない者についてのしんしゃくが一つ、それから単純労務に従事する者についてのしんしゃくが一つ、それから教職員についての取扱いの慎重さを期することの問題が一つ、それからもう一つは、条例実施は、今まで停年制がなかったのに、急に実施しようとするときには、相当運用考慮しなければ危ないから、実施してすぐに首を切るということになっては大へんではないか、その間の最初の施行の猶予期間を考慮する、それからもう一つは、過渡的に、これも今の問題と関連するのでありますが、停年者につきましては、退職金の扱いというものも特別に考慮してやる必要がありはしないか、停年制を前提にして、ずっと仕事についてきた者と違って、今までなかったところに突然停年制度をしくのですから、とまどうに違いない、そういうものについては過渡的に待命制度の活用等、退職年金制度なり一時金に特別の配慮をしてやれ、こういう趣旨でございまして、政府といたしましても、全体の趣旨につきましては異存のないところでありまして、運用上遺憾のないように指導いたしたいと考えております。
  35. 亀山孝一

    亀山委員 そうしますと、今の参議院附帯決議通り実行するためには、自治庁としては今の条例の基準のごときものを、お示しになっていかれるということもわかるのでありますが、もしもそれに違うような、先ほど申し上げたような封建知事的なことをやられる場合には、これを是正する方法はございますか。その点を一つお伺いしたい。
  36. 小林與三次

    小林(與)政府委員 先ほどお話の出た封建知事というのは、新潟の話だろうと思います。新潟の知事さんのも、私は知事さんもどういう考えで言っておられるのかわかりませんが、一般的にも少し誤解を与えておるのじゃないかと思います。と申しますのは、新潟の知事も四十五年で停年制をしくのだということまで、この間の口吻ではそういう口吻でございましたが、果して決定的に考えておられるのか、これからの模様を見なければわかりません。それから知事さんの話では、それは一般の職と技術者というものは区別しなければいけない、技術者というものはどうしても必要であるけれども一般の職には少し人員が多過ぎるのじゃないかという問題が一つ、さらにその一般行政職員も全部それを四十五才でやめさせるのかというと、そういう気持ではないのでありまして、この間の話を聞いても、何かそれの委員会のようなものを作って、年令四十五才以上の者について、適不適というものを判断して、必ずしも適当でないと思われる者につきましては、なるべく若いうちに転職の機会を与えよう、こういう趣旨のようにお話をしておられました。これならそういう話も四十五才になったら、すぽっとやめるという停年制ではないのでありまして、おそらくはむしろ人事運用一つ考え方だという見方もできるだろうと思います。それでございますから、ただちに知事が条例を作って、ああいうものを考えられるとすれば、これはこの法律趣旨からいたしましても、この趣旨に沿わぬものでございまして、当然検討されなければいかぬ問題だろうと存ずるのでございます。そこで一般的にこの条例を作ります場合には、私の方でそういう大体の考え方で基準を立てますが、そのあとはそれぞれの団体運用を願うよりしょうがないと考えております。これにつきましては、私はこういう停年制のような重大な問題は、どうせ条例で議会の論議もあるのでございますから、そう非常識なことはできるはずのものではないというふうに信じております。しかしなお自治庁といたしましても、必要があれば、人事行政が公務員法の趣旨に従って運用されるように、必要な協力をしたり、技術的な助言をすることもできます。なおこういうことは考える必要はさらさらないと思いますけれども、だれが考えても非常におかしな法令違反と見なされるようなことがあれば、今度は自治法の規定の中にも、法令違反等の場合に再考慮を求める規定も入っております。そんな必要は私はこの問題については起りようがないと思いますけれども、そういう点もいろいろ配慮されまして、われわれといたしましても、これは公務員の身分に関する非常に重大な問題でございますから、この運用につきましては、遺憾のないように十分に留意して指導いたしたい、こういうふうに存じております。
  37. 亀山孝一

    亀山委員 大体御趣旨はわかりました。最後に、停年制問題というものは、大臣のおっしゃったように、確かに新陳代謝の問題、非常に重大問題であると思いますが、同時に今のところでは、職員が一体いつごろになったら、自分がその職をやめるだろうという見当がつかないのです。あまり年をとっていますと次の就職がない。ある程度停年制というものがあれば、ある程度の目安が立ちますから、その目安に従って自分の老後の準備をするようなことがありますので、私はある程度の停年制というものはやむを得ないかと思う。今若い人たちの就職が非常に困難になっておる今日、これもやむを得ないかと思います。ただ今御質問申し上げたような点につきましては、一つ十分御考慮を願いたい。  まだいろいろあとで申し上げるかもしれませんが、北山さんがいろいろ質問の準備をしておられますから、今度は委員長席からの質問に譲りまして、私はこの程度で終ります。
  38. 北山愛郎

    北山委員長代理 どうもこの席から質問するのは、あまり適当でないのですが、今の問題に関連して、一つだけお伺いしておきたいと思います。政府としてはこの際、地方公務員停年制をやりたいというようなことで、今度法案を出してきたわけでありますが、もしもこの停年制をしくことになれば、かりに五十五才以上ということになれば、どの程度の数の人たちがこれに該当するか。それから実際問題として各団体実施された場合には、そのうちどの程度の人がこの停年制によって退職をする結果になるかということについてのお見通しは、どうでありますか。
  39. 小林與三次

    小林(與)政府委員 年令幾つになるか知りませんが、かりに資料として五十五才以上、それから六十才以上に分けまして、職員数をお配りいたしたのでございます。それを見ますと、五十五才以上の一般職員は四万三千人都道府県市町村を通じておられます。六十才以上になりますと一万六千人一般職員についておられます。それでわれわれの考えは、この停年制を施行してどれだけ該当するかという問題でございますが、すべての市町村が全部この条例を作るとは必ずしも考えておりません。年令構成上そういう必要が特に強いところはやるだろうと思いますが、そうでないところは必ずしもやらぬのではないかと見ております。さらに年令も最低限度五十五才とわれわれは考えておるのでございます。果してそれでやるかもっと上でやるかという問題もございまして、現在のところ直ちに条例を作って、何人これに該当するかという数字の予測がつけかねるのが実情でございます。一応それに該当する年令者の数字だけは、御参考までに資料としてお配りいたしたような次第でございます。
  40. 北山愛郎

    北山委員長代理 停年制についてはいろいろな問題があると思うのですが、ただいままでの亀山委員との質疑応答をお伺いして、政府側の答弁の内容についてお伺いするのですが、どの程度の年令が適当であるかとか、その他いろいろのお話がありましたけれども、ただそれを今の政府側の御意向によって、各団体条例をしばるという保証はどこにもないではないか。先ほど小林行政部長の話にもありましたが、政府としてはそういうふうな大体の意向である。しかしそれぞれの団体が、かりに五十才あるいは四十五才というような条例を出しても、それは現在出されておる政府法律案によっては、違法だということは言えないという結果にならざるを得ないと思うのですが、一体これに対する救済は、どういうふうにお考えになっておるか承わりたい。
  41. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のお話しでございますが、われわれの考えでは、特に「停年制を定めるに当っては、職員の職の特殊性並び退職年金及び退職一時金の制度との関連について適当な考慮が払われなければならない。」という規定を入れたわけでございまして、この条文の趣旨に違反するとなれば、違法の問題が生ずるのではないか。これは十分な考慮が払われ、まさか四十五才というような条例は作らないと思いますが、そういうものを作ったとすれば、こういうものは十分な退職年金制度との関連に適当な考慮を払ったものとは言えないのでありまして、そういうものはこの条文から見ましても、むしろ法律に違反しておるということが当然言えるだろうと思います。そういうような法令に明らかに違反したような条例の制定などは、私は事実上もあり得ないし、そういうことがかりにあるとすれば、法令違反として、こちらの方からも反省を求めて再考慮をさせなくてはならないと考えております。これは知事の一存でできるわけではないのでありまして、当然条例ですから議会の議決を必要とするのでございますから、そういう自主立法においてそれほど法令に違反するような妙な事態が起るということは、ありようがないと考えておるのでございます。
  42. 北山愛郎

    北山委員長代理 重ねて伺います。この法案には職種や退職年金等の関連において適当な考慮を払うというようなことは書いてあるが、非常に抽象的な規定であります。従ってそういうような適当な考慮をしたのだということを主張するならば、それが違法の範囲であるか適法であるかというようなことは、一体どこでけじめをつけるか。ただいまの行政部長お話ですと、何か違法なことは明らかだ、たとえば四十五才が違法だというようなお話ですが、それなら五十才なら違法ではないか、どの程度まで違法なのか、そういうめどがなければならぬが、それはどうなんですか。
  43. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それは判断の問題になるもので、幾つくらいなら考慮を払ったかという問題になると、多少デリケートな問題になりますが、かりに四十五才ということになれば、法律解釈問題ですから常識的に解釈するよりほか、しようがないと思いますが、客観的に適当な考慮が払われたものと見えない事態が、当然あるだろうと思うのでございます。それからこれは公務員法の一般精神から申しましても、公務員法の五条でございますが、この公務員制度法律で根本基準をきめて、あとは条例で自主的にやらせるという建前になっておりますが、この場合でも、ただしその条例はこの法律の精神に反するものであってはならないという規定を明瞭に入れておりまして、公務員法の精神をあくまでも順守して、自主的な条例を作るべきことを要求しておるのでございます。それでございますから、その精神に反するか反せぬかということが非常に顕著な場合につきましては、当然明白な判断が下し得るだろうと思います。すれすれで五十五才が五十三才であるか、五十八才であるかということになれば、それは必ずしも直ちにそうだという論断はできぬだろうと思いますが、それは程度問題でございまして、常識考えられぬような程度にいけば、当然にこの法律の条章に違反するということは、当然に言えることではないかと思うのでございます。
  44. 北山愛郎

    北山委員長代理 どうもそのお答えでは納得ができない。常識とか良識とか言っても、そういうことは意見の相違で、おれは良識だと思っても相手は良識だと思っておらぬということは、しょっちゅうあることです。当然常識としてと言うのですが、何もそんなことは、大体のところはあるかもしれないが、ないのではないか。そういう議論からは、四十五才が違法だということは、どうも当然には出てこないと思う。実際にこの法律実施になった場合に、各団体がいろいろな年限をつけてきた場合に、それは違法だということができない。ただ今まで小林さんたちがよく言われるように、適当ではないが違法ではないというようなことになるのではないか。今まで地方公務員法等解釈についても、その文言が非常に抽象的なために、実にあいまいなわけです。そういう点からするならば、そういうふうな政府のお気持であるならば、この地方公務員法の改正案の中に、なぜある程度具体的にその条項として入れなかったのか、その点を重ねて伺いたいと思います。
  45. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それは、ごもっともでございます。違法であるかないかという問題は、判断の問題に帰する場合が相当多いことは、事実でございます。それは結局程度問題でもありますとともに、その程度が極端にいけば違法性があると認定される場合も、当然に出てくるだろうと思うのでございます。  そこでお話通り、そういうことは、はっきり書いたらいいじゃないかというのは重々御議論のあるところでありまして、そういうこともわれわれといたしましては考えるだけのことは考える必要があると思ったわけでございます。しかし一面におきましては、地方公務員法全般の法律体系というものを考えながら、その体系に合うように問題をきめる必要がある。地方公務員法はもともと全体の体系が、この地方公務員に関する一般的な根本的な基準を定めることにいたしまして、あとはみな自主的な判断にまかしておるのでございます。それは今問題になりました問題だけでなしに、たとえば給与条例などにつきましても、そういう問題になっておりますし、それから分限とか懲戒などの問題につきましても、みなそういう問題になっておるのでございまして、それぞれの団体の内部の問題、職員構成とか職員運用という問題は、団体内部の本来の、何と申しますか、国有事務と申しますか、そういう問題でございますから、団体として自主的に決定するという基本の方針だけは貫く必要があるのじゃないか。しかしながらその基本の方針を貫くにしろ、国の立場から、一般的な基準というか考え方というものを明らかにしておきまして、その精神にのっとって定めるという体系でいくことが、公務員制度の基本的な考え方になっておりますので、今度の場合におきましても、それに従うことにいたしたのでございます。  先ほど亀山委員からもお話がありましたが、実はこの前われわれが考えておったときには、単に条例職員停年制を定めることができるという道を開くことだけを考えようじゃないかということを考えておったのでありますけれども、その後、今北山委員のおっしゃいましたようないろんな論議もありますし、それで特にこの特殊性退職年金制についての考慮を払うという規定を入れることによりまして、そして文部省その他の関係方面とも話をつけたのでございます。まずわれわれといたしましては、公務員法の制度の建前から考えまして、これが適当な度合いであるだろう、それ以上具体的に何才以上とか何とか書くことは、千差万別の団体につきまして行き過ぎがあり、また公務員制度趣旨からいって、とるのが適当でない方策だろう、こういうふうに考えたのでございます。
  46. 亀山孝一

    亀山委員 関連して。今の北山さんの御質問はごもっともと思うのですが、もしもこの法案が通って、条例であまりに非常識なような場合に、お話のように良知常識でいろいろ解決すると言われるが、それがうまくいかぬ場合には、修正案を次の国会に政府は出されますか、その点を一つ……。
  47. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはごもっともでございまして、かりに自主的に非常に非常識なめちゃなことをやる、だれが見ても、全体の公務員制度の運営を考え、あるいは職員の利福を考えて容認できぬようなことがかりにあって、立法的措置を講じなければ救済のしようがない、こういうことになれば、われわれといたしましてもその責任上、当然必要な考慮を払わなくちゃならない、こういうふうに存じます。
  48. 亀山孝一

    亀山委員 そうするとその場合に、すでに発効した条例によって処分されてしまう、それを救済するようなことも、その修正案では考えられますか。
  49. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは法律の遡及効という問題から見れば、いろいろ議論があろうと思いますが、しかしながら本来公務員法が予定しておったことが全く守られなかった、全くこの法律趣旨に合わぬことをやった結果、不当に停年制のためにやめたという事態になれば、法律の遡及効も辞する必要がない、それは救済することをあわせて考えておかしくない、私はこういうふうに存じております。
  50. 亀山孝一

    亀山委員 今の小林行政部長の、私の質問に対するお答えを、大臣は御承認になりますか。
  51. 太田正孝

    太田国務大臣 北山委員亀山委員の御質問を聞いておりましたが、私も同様の疑義をこの法案のときにも感じたのでございますが、やはり先ほど北山委員が大体においてという言葉をお使いになった、私もそういうふうに思っております。大体において方角がきまるのではないか、その線を守らなければならぬ、守らない者はいけない、また亀山委員が言われた、もしそういう者があった場合に、次の場合に修正するか、これは私は当然修正しなければならぬと思います。その方法、遡及等の問題につきましては、もう少し研究したいと思いますが、修正しなければならぬということは申し上げてよろしいと思います。
  52. 北山愛郎

    北山委員長代理 もう一つだけ、ちょっと大臣にお伺いしておきますが、ただいまのお話は、大体においてうまくいくだろうと思うけれども、まずい場合も出てくるかもしれないというようなお話で、その際には修正する、こういうのですが、そういうことにも関連いたしますが、実はこの法案が提案をされましてから、われわれ委員のところには、いろいろな人から——停年制がしかれれば、それに該当するような地方公務員の方からはがきその他文書がたくさん参っておるわけであります。その中には相当家庭の事情等も書いて、子供が今高等学校へ行っておる、自分がもしもこの停年制の適用によってやめるということになれば、一家はどういうことになるか、あるいは親子心中を迫られるかもしれぬというような、非常に悲痛な内容を書いた手紙も参っておるわけであります。  そこで大臣にお伺いしますが、もしもこの停年制によって、たとい一人でもそういう者が出たという場合に、大臣はどういふうにこれをお考えになるか。こういうことはあり得ることでありますから、それに対する大臣の御所見を承わりたいのであります。
  53. 太田正孝

    太田国務大臣 人の生活面におけることは、私も非常に心痛するところであります。その人により家をささえておるというような場合に、特にその点を感じます。私自身の身近でも、そういういろんな場合を見もし、また相談にもあずかっておる次第でございますが、その問題と同時に、町村において今までこの制度が行われなかったためのお訴えも相当にございまするので、この際主として市町村をして、そのような道を開かせるということが、私は制度上必要でないか、もちろん他の一面において、かような問題につきましては、国としても社会制度全体の上からも考えなければならぬ、かように思っております。その人に同情する、それに対する社会施策等をどうするかという問題と、市町村等におけるこの停年制の道を開くということと、私は別に考えていかなければならぬ、かように感じております。
  54. 北山愛郎

    北山委員長代理 重ねてお伺いしますが、制度と今お伺いしたような問題は別個に考えていかなければならぬということでございますが、たとい一人でも今度の停年制によって、そういう犠牲者が出てくるということについては、出ないようにするというお気持については、大臣といえども同じだと思うのですが、そう考えました場合に、やはり先ほど来お話がありましたように、この法案の適用上これが乱用されるというようないろいろなおそれがある、そういう余地があるいいうことを、未然にできるだけ防止するということは、提案者としては当然考慮しなければならぬ問題であり、しかもまだこの国会において修正の時間は、決してないのではないのでありますからして、もしも与党の方でこのような修正を、今国会でされるという場合におきましては、大臣は一体どういうようなお考えを持つか、これをお伺いしておきたい。
  55. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいまの御趣意は、一人でもということは、聖書にあります九十九匹の羊は帰って、一匹帰ってこない、これこそ社会問題の中心問題でございます。そういう点を加味しつつ、修正でもされるというときはどうするか、こういうお言葉でございますが、私は修正案というものも、まだ拝見しておりませんし、われわれ入れ得るものでございましたならば、やはり社会の大きい問題ですから、考えねばならぬと思います。私どもの今の立場から申すと、この法案のように御審議、御可決願いたい、こう申し上げる以外にございません。
  56. 北山愛郎

    北山委員長代理 委員長ばかり質問するのもどうかと思います。新市町村建設促進法等もございますので、一つこの問題についても御質疑をいただきたいと思います。
  57. 亀山孝一

    亀山委員 新市町村建設促進法について、一つお伺いしたいと思います。これはこの前の委員会で、北山委員と当局といろいろ論議されたのですが、あの当時北山委員及び中井委員の御意見は、結局現行の町村合併促進法はこの九月末日で切れるが、これを延ばしたらどうだ、これを延期してやったらどうだ、新たにこういう立法をせぬでもいいじゃないか、こういう御意見であったように思います。これは北山、中井両委員とも強い御主張であったように思うのですが、これに対して当局のもっとはっきりした説明をお伺いしたいのです。
  58. 太田正孝

    太田国務大臣 はなはだ恐縮でございますが、私、その速記をまだ見ておりませんでございますが、われわれが今回合併促進法を九月で切って、新たに建設促進法をもってせんとする立場を申し上げれば、御了解できるかと思います。なるほど現在合併促進法の中においても、国その他の協力援助の規定もございます。また残った未合併のものをやっていかなければならぬ問題もあります。ただこれを引いていけば、それでいいではないか、こういうように考えられる面もございますが、実は合併という事柄を第一段と私は考え、さらに合併したものを、どう仕上げていくかということを二段に考えるという考え方でございました。もちろん未合併の問題は別といたしまして、すでに合併したものをどうやったならば健全に建設ができるかという問題をすでに合併のときにいろいろな計画もあるではないか、そのままにやっていったらいいじゃないかと考えられますが、何といたしましても合併いたしましたときに作った計画は、早々の際に作ったものも多かろうと思います。また互いに腹を探り合ってやったような合併もございますので、ここで再び新しく一つになった、新しい一つのその村が、その町が、その市が、どうやっていったらいいかということは、早々の際に考えて、もしそこにそこつでもありましたならば、考え直して、新しい一つ団体として伸びていく道の計画を作るのがほんとうではないか。この点につきましては、よく世間にも非難のありました通り、今まで国やその他の面の援助、協力が足りなかったではないか、こういうようなお言葉もございますが、今回この法律を新たにして、新たなる五カ年計画によりまして、こういう方向を立てるとともに、各省その他関係方面に援助してもらうという点をはっきりいたしまして、そうして予算等におきましても、あるいは補助の問題その他がとられておるわけでありますから、私は今までの合併促進法を続けていくという考え方と——合併したものを新たな一団体として、どうしたならば健全に、また重点的に、ばらばらでなく、三つの村が集まって一つの町ができて、それぞれの計画がここに集まって一つになっているようなものも、新しい一つ団体として見直すべき問題が相当に多いではないか、かように考えましたので、法律を新たにし、また協力の面も今まで怠っておった面のないように、何とかしてこのでき上ったものをやっていきたい、こういう意味で別の取扱い、新しい一つ団体の新しく伸びていく方法として考えた次第でございます。従ってそれを前のと切り離すことにしますれば、未合併問題がございますので、その処理もこれの中へ別に加えた次第でございます。
  59. 亀山孝一

    亀山委員 非常にりっぱな御答弁なのです。答弁は非常にりっぱなんですけれども、これについては一言ちょっと言わしていただきたいと思います。前の町村合併促進法という法律で、いろいろあるのですけれども、各官庁の協力というものは決して十分ではなかった。一例をあげれば、国有林野の払下げ問題等につきましても、法律にはあるけれども、実際上何件実行されたか。羊頭を掲げて狗肉を売るというような批評も出ている。今度の新市町村建設促進法では、先般北山委員及び中井委員もおっしゃいましたが、今度も同じようにまた美辞麗句を掲げられているのではないか、その間に各省との間の連絡は十分あって、今度はほんとうに前のような非難がないかどうか、一つその点をまずお伺いしたい。  次に合併町村については、先般の委員会でも、生田委員からいろいろと例の断食の問題もありましたが、現に永田委員もけさほど、ずいぶん御郷里の自分のおられる町村の合併問題で、実はやせて帰られたような状況です。私も実は自分の郷里にずいぶんこういう問題がございまして、ことに県の境を越えての合併問題等、これは相当に深刻で弱っておりますが、そういうものも今度の新市町村建設促進法では多少とも解決できる道があるのかどうかお伺いしたい。  いま一つは、大臣お話では予算の関係があるということでありましたが、この法律とはどういうふうに関係を持っているのか、それもこの際、一つお話し願いたいと思います。
  60. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の、今までのやり方は非常に手ぬるかった、少しずさんであった、行われなかったのではないか、その通りに私は思います。これは決して立場において前任者のやり方を、どうこういうわけではございません。私になってからの期間も相当ございますので、さようにその点は白状しなければならぬと思います。特にお示しになった国有林野のごときは、十万町歩という予定があったのが、一割にも達せざる現状でございます。これを新地方団体の財源とするとか、あるいは資源としてやっていくという意味におきまして、まことに計画はずれであることを感じます。今回私はそういう意味で、各省と交渉するに当っても、ほんとうに実行するのだ、たとえば電電会社におきまして、無電の電話のない村をなくしようというような問題につきましても、私は立ち入って事務当局に交渉さしたような次第でございます。予算の推移は、第三点にございましたが、事務当局からお話し申し上げることといたしますけれども、財政の許す限度におきましては、相当おねだりしたつもりでございます。国の方の関係から見ると、あるいは交付税でございますとか、あるいは単独事業費でございますとか、あるいは一般の補助費でございますとかいろいろございますが、これもでき得る限りは、ねだって、予算に計上していただいたような次第でございます。それ以外にもあるいは郵便局関係における郵政省の問題、あるいは電電会社に関する公社の問題等もその中に含まれております。国有林野につきましても、実行力というものを主にしてお願いしたつもりでございます。  第二は合併について、なかなか県境から——これは実は私の県にもあるのですが、問題などあり、これをどうするかという未解決の問題、もしくは困難なる問題をどう解決するか、問題の種類もいろいろございましょう。あるいは簡単な名称についての争いもございますし、あるいは境地についての争いもございますが、とにかくこの九月で切れますのをもう半年、六カ月の間にこれをきめていきたいというめどのもとに、今回の法律案が出ております。それには知事のあっせん、あるいは最後においては総理大臣の協力まで得てこの目的を達したい。何としても半年以内にこれはやっていこう、かような考えでございます。なおこまかい点で私の足らぬところは、行政部長から補うことといたします。
  61. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私からも簡単につけ加えて申し上げたいと思います。  一つは各省の協力の問題は、今長官から話があった通りでありまして、実はこれは町村会や町村議長会からも、たいへん強い意見がございまして、結局従来の合併促進法は、そんなことがあり得るはずはありませんが、議員立法だったから、やはり各省はそっぽ向いた向きがある。どうしても政府提案で、次官会議、閣議を経て、はっきりとしたものを作ってもらいたい、こういう強い意見が一つあったわけでございます。そういう点、これはそういうこととは全然かかわりのない問題でございますが、そういうこともありまして、今度の法律を作るに当りましては、われわれといたしましても各省事務当局と、逐次慎重な協議を遂げたのでございます。その結果たとえば各省の要望によって入れたものもたくさんございます。それからまたこの法律を前提にして、いろいろ予算も大蔵省も認めてくれたというようなものも実はあるのでございます。たとえば自治庁だけの経費は別問題といたしましても、小、中学校の統合等の問題、これは統合自体にもいろいろ問題はあろうと思いますが、やはり学校学校として整備するためには、そういうものも必要があるのでございまして、これは文部省の方の要望がある。現に合併市町村では、もっとこれに関する立法を整備したら、どうだという意見も要望も強く出ておるはずでございます。ともかくもそのきっかけの基礎を、この法律で入れることにいたしたわけでございます。それからなお電電公社の、これはかねてから問題になっておったわけでございますが、通信局等の統廃合の問題につきましても、これは電電公社の御希望もありまして、特に計画的に加入区域の変更等について必要な措置を講ずるような規定を入れたのも、それでございます。それから郵便局の区域の調整の問題などもそれでございます。  それからもう一つ大きな問題は、山の問題でございまして、今お話通りでございますが、これにつきましても林野庁と格別話を進めまして、その結果林野庁からも十分協力を得て、今回の改正案を作ったのでございますが、これも改正案だけでは意味がないのでありまして、実態的に林野の払い下げが行われなくては意味がない。それにつきましても、林野庁といたしましては十分新市町村において受け入れ態勢を整え、林野の育成、造林についての十分な計画をもってやるならば、できるだけ協力しようという態勢になっておるのでございます。その他いろいろな各省関係の条文につきましても、各省の要求によりまして入れた問題がございまして、ともかくも各省庁とも市町村を相手にして、主として行政をやっておる部面におきましては、この新市町村建設促進法というものを一つの足場にして、なおそれぞれの各省関係仕事を伸ばしたいという強い要望もございまして、われわれとともに相協力して、その方向に問題を進めていきたい、そういうふうに存じておるのでございます。この法律の制定によりまして、各省の協力が一段と進むということは、私は十分に期待できると思うのでございます。あとはただ国の財政力という絶対的なワクの問題はございますが、各省の気持はきわめて積極的に協力願えるものと存じておるわけでございます。  それからなお町村合併に伴う世論の問題でございますが、これも長官から話がございましたが、この問題は現在の合併促進法では、どうにも動きのつかない問題がやはりありまして、もう少し合理的に解決をしていく方策を考える必要があるのではないか、一つは合併はしたけれども、分村の問題とか、あるいは役場の位置とか、町村の各称の問題にからんで論議が起っているところもございます。それからなおこれは北山委員もよくおっしゃいますが、建設計画の実施につきましても論議が起っているような問題がございまして、そういうような問題は結局町村合併に伴う世論の問題として十分調停、あっせんをして、事をさばいていく必要がある。そういう意味の合理的な方策というものを考える必要があるのではないか、それが一つの問題、それとともに今後積極的になお町村合併を進める上において、あるいはそれに関連して一部分村の問題がからむ場合におきましても、そういう問題があるのでございまして、それにつきましてもこの紛争の調停、あっせんというものを合理的に進めていく方策を考えるべきではないかということで、それも今度の規定でそういう方策を考えたのでございます。  それからさらにもう一つは、町村合併につきましては県で合併計画を作っておりますが、この合併計画は、それぞれの県の立場を基礎にして、各方面の意見を考えてやったのでございますから、大筋においてはもちろん合理的にできているであろうと思いますが、それぞれ合併の進捗に伴いまして、いろいろな問題も出てきている現実的な調整の必要もございまして、計画につきましても場合によっては再検討すべきものがあるだろうと思うのでございます。そういう点も考慮いたしまして、今後合併を進める場合におきましては、その合併計画そのものに場合によっては無理があるということも考えられるのでございまして、そういうものは当然この段階になれば、全国的なめどにおきまして総合的に調整する必要があろうと思うのでございます。そういう意味において今後の問題といたしましては、知事は現場において県の審議会の意見を聞くとともに中央にも協議して、そして最終的に、合理的な案の調整もはかるように考えたのでございます。  こういうわけで新市町村の建設育成につきましても、なお不十分のそしりがあるかもしれませんが、われわれといたしましてもできるだけの考慮を払って手を尽すとともに、合併に伴う問題、またなお今後残る合併を円滑に進めていく問題等につきましても、できるだけの配慮を尽しまして、この法案を作ったのでございます。今の大勢としては、ともかくも新市町村をどう育成していくかというところに最重点を注ぐとともに、その合併に関連する残余の問題につきましての合理的な仕上げというものを円滑にやっていきたい。そういう両面の配慮を込めまして、この促進法を作ったのでございます。
  62. 亀山孝一

    亀山委員 前段に小林行政部長の報告がありました国有林野の問題は、今度は幾分か改善されたようですが、ただ念のためにわれわれが聞いている範囲を申し上げますと、林野を払い下げないとは言わないのです。ただその評価が非常に高いために事実町村は手が出ない。ですから、払い下げる意思があるならば、その町村が受け入れられるような価格にしてもらいたいと思うのですが、そういう点について、どういうように農林当局とお話し合いをやったか、お伺いしたいことが一点。  それから最後に、今お述べになりました促進審議会、これはこの前の委員会で、中井委員から痛烈に御批評があったのですが、北山委員もこの点に対してはあまり御賛成ではないらしいふうなんです。私どももこの点はもう少し説明されぬと、結局合併した計画を、それはあとで事情が非常に変るにしても、それを簡単にこの協議会なり調整委員が変えるかどうかという問題がある。かりにそれは変えなければならぬとすれば、町村議会があるのだから、それにやらしてはどうか、こういうような御質問だったと思うのですが、その点をこの際、もう一度はっきりお伺いしたいと思います。
  63. 小林與三次

    小林(與)政府委員 第一点の林野庁との問題、これはごもっともでございます。それで今度の改正につきましても、一番折衝に力を入れたのは林野庁との関係でございまして、これはなおいろいろ注文はあろうと思いますが、今度の改正で向うと話をつけました概要を申し上げたいと思うのでございます。  その一つは要するに、払い下げを受ける条件を町村として受け入れ得るようにする必要がある、その一つの問題は今の売却代金のきめ方の問題だろうと思います。これにつきましては、時価を割って値を下げて時価より安く買うという問題が、実は一つ議論になったのでございます。しかしながら今回のお話し合いではその結論が得られませんでした。その趣旨は、現在でも国有財産を公用とか公共用に使う場合には、時価より安く、場合によっては無償で譲渡する道がございます。しかしながらこのわれわれの新町村への払い下げは、むしろ新町村の基本財産として、営林財産として育成強化をしていくというのが趣旨でございまして、それが直ちに今の公用とか公共用に使う場合ならば、現行の国有財産法の建前で十分にそれはできる。しかしながら、こういう形で営林財産として町村の基本財産として、長久の財源として育成をしていくのに適正な値段を割ってやるということは筋が通らぬじゃないか。しかしながらそれは払い下げを受けても、直ちに多額の金を払う能力はもちろんありませんから、そこで問題は、むしろその金の償還の方法をどうするかということと、もう一つはその利子をどうするかということで、解決すべきじゃないかということになりまして、この点はわれわれといたしましても、これは一理ある議論だと思うのでございます。そこで、値段としては適正な価格で買うが、償還の方法をゆとりをもって償還できるようにしよう。どうせ山のことでございますから、逐次木が売れていくわけでございますが、その範囲内で償還できれば問題は片がつく。そういうことで、従来の法律におきましても、実はそういう趣旨で五カ年間据え置き、十五カ年間年賦という条件をつけたのでございます。しかしながら従来の条件ではこれはなお足らない。それで、据え置き期間は五カ年にしますが、償還期間は二十カ年間に延期することに林野庁の了承を得たわけでございます。  それともう一つは、利子が高過ぎるじゃないか。利子は現在六分五厘になっております。国有財産一般原則との問題もあって、ずいぶん議論があったのでございますが、この利払いに非常に苦労いたしておる。山が十分に売れる状態ならば、ちっとも問題ないのでございますが、このごろ木材の値段が必ずしもうまくいかない。そういう事情もありましてこの利払いに苦しんでおるわけでございます。そこでその点を考えまして、六分五厘というのは伐採期に入った山ならば無理もないが、山によってはまだ適齢期に達しておらぬものがある。そういうものは当然にその実情に合ようにせぬといかぬじゃないか、そういうことで、これはこの法律には現われておりませんが、政令で話し合いをつけた線で書くつもでおります。しかし利率まで政令で書くのも、従来の国有財産全般の扱いから無理じゃないかというので、政令で率までは書かずに、利率は実際の運用考えてもらうつもりですが、その山の木の樹齢に応じて、五分五厘にするなり四分五厘にするなり、そこの裁きをいたしまして、そして木の実態に合うようにいたそう、こういうことで林野庁との話をつけたのでございます。これでもって一つ国有林野のありようを考えてきたい。なおこれはもう一つ重大な問題は、これを現行の規定でこのまま動かすだけでなしに遡及させたい。つまり今までは合併促進法でも一部払い下げを受けておりましたが、それ以上の問題は、国有林野整備臨時措置法でその前数年間に十万町歩以上の山の払い下げを実は受けていることであります。その払い下げを受けました山について、その管理が適切でない、すぐに売り払ったりなんかするといういろいろな批判がございまして、それで合併促進法ができてからもなかなか山の払い下げが進まなかったという実情がございます。これは率直に私も認めなければいかぬと思うのでありまして、払い下げを受けた町村は、町村として山を愛撫して山の緑化に努めなければならぬというのは当りまえでございます。そういう意味で今度の法律の特例を過去の国有林野整備臨時措置法で払い下げを受けたものにつきましても全部さかのぼって適用させることにして、そのかわりに山の管理につきましてはある程度きちんとやっていく、こういうことを今度の法律でやることにして、これも林野庁と百パーセント話をつけたのでございます。こういうことによりまして、払下いげを受けた林野の管理について遺憾のない措置を講ずるとともに、払い下げの代金の支払いにつきましても、実情に合うように調節をいたしたいというのが、今回の改正の大きな実益のある問題点の一つだと存ずるのであります。その点を一つ御了承願いたいと思います。  それからもう一つの問題は、市町村における新市町村建設審議機関の問題でございまして、これは北山委員もかねてから、そういう御議論のように聞いておりますが、北山委員もおっしゃいました通り、問題がないわけではございません。われわれの今回の改正では、先ほど大臣が申されました通り、建設計画というものを、やはり新しくなった一つの町村で、もう一ぺん見直して、そのままでいいものももちろん少くありませんが、それとともに、やはり一つになったら一つになった立場で必要な調整を加えていくべきものもあるのであります。それとともにもう一つは、われわれの考えでは、新市町村の建設というのは、町村役場自体がやる仕事があるとともに、町村の区域内における全市町村のいわば町作り、村作りとしての総動員の協力態勢というものを作る必要があるのじゃないか。だから役場自体が作る公共施設があるとともに、運用団体その他のものがやるべき施設もある。森林組合のやるべき施設もある。それからその他文化面で文化団体が協力すべきものもある。そういういわば町全体の経営計画としては新市町村の建設が進められる必要があるのじゃないか。そういう趣旨からいたしまして、新市町村の建設計画というものを、それぞれの運用団体もあれば、それから学校の問題があるから教育委員もある。こういう各種公共団体の役員総ぐるみで、もう一ぺん新しい町のあり方というものを検討いたしまして、従来の計画そのままならそのままでよし、補うべきものは補い、プラスすべきものはプラスして、今後の新市町村というものを総動員態勢で進めていく必要があるのじゃないか。そういう意味の建設計画というものの調整と実施についての総動員態勢というものを考える必要がある。もちろん自治体の最後の意思機関が議会でございますから、当然最後は議会の御議決を経なければきめるべきものでもなし、当然そういたしておりますが、その前段におきまして、そうした町村内における各方面の意見を入れまして、町のあり方というものを検討し、町のそれぞれの団体の分担協力方式というものをきめまして新市町村の建設を進めたい。そうしてその後一度見直したものを中心にいたしまして、国なり府県なりというものの協力援助を強力に実施していくべきじゃないか、これがこの法律の骨子になっておるわけでございます。そうすると、従来合併前にそれぞれの町村が出した建設計画というものを、勝手にちょん切って合併をしたのだから、もうどうでもいいという考え方をとるべきものでないことは当然の話でありまして、約束をしたものは新市町村として全部それを土台にして仕事を進めていくことは、私は当然だろうと思うのであります。しかしながらそれを一つの立場でもう一ぺん考え直し、それとともに仕事をやっていくためにはやはり現実的な実施計画というものが必要でございまして、単なるデスク・プランでは、それは計画はいいかもしれぬが、仕事がうまく進む道理がないのでございます。われわれといたしましては仕事を着実に片をつけていく、そしてほんとうに合併の成果を住民の生活の上に実現していく、そこを考える必要があるのでございまして、そういう意味で、それぞれの団体の実情に合うように年度別の実施計画というものをきちんと立てて、そこで協力態勢を進めていきたい。その言葉をどう表現するか、それは簡単にいう必要があるというので、それを計画の調整という言葉を使ったのでございまして、総ざらいの計画を圧縮するとか縮減するとかいうだけじゃない、場合によってはプラスする場合もいろいろありましょうが、ここに申しましたのは、さしあたって三年なり五年なりの実施計画というものを、具体的に現実的に合理的にやらせよう、これが趣旨なのでございます。それでこの表現がいろいろ誤解を生みまして、なんだもとの建設計画をひっくり返すのかというような誤解を生んでおりますが、その点は条文の表現の上からも考慮いたしたのでありまして、考え方はそういうところに存するのでございます。そういう意味で、やはりこれは議会の議決だけでは不十分でありまして、町村におきましてそういう案をいろいろ作るためには、議会の議員ももちろん参加していいと思いますが、そういう各種機関、各種団体その他町村内全体の総知恵を入れて問題を審議検討し、並びにその実施につきましても、それぞれの機関、団体がそれぞれの立場で相協力をしていく、いわばそういう町の総動員態勢という形で事を進めていかなければ、新市町村の建設などというものは、恒久にわたってできるものではない、こういう考え方に立脚いたしておるのでございます。
  64. 亀山孝一

    亀山委員 私は北山さんの御質問の時間を奪ってもあれですから、一応この辺で打ち切ります。
  65. 吉田重延

    ○吉田(重)委員 今の建設計画のことに関連しまして、農林省で農漁村の建設計画を立てられておることを聞いております。その内容については、まだ私たち承知いたしておらないのでございますが、この新市町村建設計画を進めていく上に、非常に関連性の深い問題ではないかと思うのでございます。これについては省と省との了解と申しますか、打ち合せももちろんありましょうし、また地方に移った場合に、地方のただいまの建設審議会、また地方の新農漁村の建設委員会と申しますか、そういう会との関連、緊密な連絡、そういうことによって、この建設計画が効果的に実行に移され、能率が上るというようなことが考えられるわけですが、その関連についてただいままでのお話し合いなり、またそれに対する自治庁としての考え方なり、また実行に移す場合の具体的な方法等について、概括的でもよろしゅうございますから、ぜひこの際承わっておきたいと思います。
  66. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはごもつもでございまして、われわれも、農林省が所管しておりますのは、新農山漁村建設計画というふうな名前になっておりますが、そういうものの立案並びに実施の段階におきましては、新市町村後設計画との関連を一番考慮いたしまして、両省庁におきまして緊密な関連をもって実施計画、実施要領というものの作成に当って参ったのでございます。それで農林省の新農山漁村の振興計画の基本的な問題は、新農山漁村の振興のために従来農林省から、いろいろな補助金もばらばらにたくさん出ておったのでございますが、これを総合的にそれぞれの地域の特殊事情によって補助をする必要があるわけであります。基本的な問題がございまして、われわれもこれはかねてからそうあるべきものだと主張いたしておったのでございます。そこでそういうことに今度踏み切りをいたしたわけでございまして、それぞれの地域の特殊事情に合った一体的な計画を基礎にして、そこで農林漁業等の生産施設とかあるいは技術の改良とかあるいは生産品の加工販売、その他の問題につきまして総合的な補助をやろうということになっておるのでございます。これはまさしくわれわれの考えております新市町村建設計画の、ことに農村漁村部門における一環になるわけでございます。われわれの新市町村建設計画は新市町村総ぐるみで、単に農山漁村のみでなく、新市町村の文化、経済面、あらゆるものを総合的に都市部も農村部もあわせて考えておるのでございます。そのうちの農山漁業部門を中心にして集中的に、細部にさらに実施計画を作ることは、これは当然考えられる問題だと思うのでございます。計画が両者そごしてはいかぬのでありまして、この計画をあくまでも建設計画と一体的に作成するということが基本でございます。それがためにまず前提になっておる区域をどうきめるかという問題がございまして、その区域の決定が新市町村の区域とでたらめになっては非常に困る。そこで新市町村の区域というものを頭に置きながらやる。しかし農村部門と都市部門とありますので、全市町村一計画ということも、事業の性質上適当でない場合もあり得るのであります。いずれにしろその区域が、新市町村の計画と一致する必要がありますので、区域の決定につきましても市町村の意見を聞いて、そうして知事といたしましては考慮する建前になっておるのでございます。  それからさらにこの計画を具体的に作る場合には、農山漁村の関係団体機関、その他地域の住民の代表者がみな参画することになっておりますが、その計画の審議機関が私の方の新市町村の審議機関と人的に十分連絡がついて、人的な結びつきを持って考えるべき必要がある。計画自体はもちろん一体化される必要があるとともに、その機関におきましても人的連絡を十分に考える、これも農林省と同じ方針でいくことに話がきまっておるのであります。そうして最後の計画が一体的に調整されて作られるということも、この指導の方針におきまして確定いたしておるわけでございまして、その趣旨の通知が農林省からも出ておるはずでございますが、自治庁の方からもその趣旨を明らかにしたものを地方に流しております。  それでこれはそれぞれの現場における具体的な計画を調節して一体的に作るということが基本でございまして、そういう前提で円満な協調をして、むだのないように連携のとれるような配慮をいたしておるわけでございます。県の段階におきましても、そういう考え方で指導をしてもらうように、県の段階における審議機関も一体化するところの方策を考えてやっていただくように、現地に連絡をいたしておる次第でございます。
  67. 吉田重延

    ○吉田(重)委員 大体承わって了解いたしたのでございますが、地方におきまする長の役割と申しますか、権能と申しますか、この新農山漁村の建設計画に対して、どの程度の力を持てるということになるのでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  68. 小林與三次

    小林(與)政府委員 この指導計画実施要綱を作る場合にも、その点をいろいろ考えたのでございまして、まず第一番に地域をどうきめるかというときに、市町村長の地位を明らかにし、さらに計画を作る場合に、これは協議機関ができるのでございますが、協議機関の資格まで法定することはやめてございます。これは当然に町村長や町村会議員も参画いたしまして、その間において長を選ぶことになっております。それから計画ができた場合に県を通じて農林省にくるわけでございますが、そういう場合も当然に長を経由して、上に上ってくるようになっておりまして、実際の運用におきましては市町村長が、その中心的な役割を演ずるだろうと考えておるのでございます。
  69. 北山愛郎

    北山委員長代理 それでは新市町村建設促進法について私から自治庁長官にお伺いします。先ほどもお話がございましたが、昭和二十八年から町村合併が始まって以来、町村合併についてはいろいろな批判があるわけであります。ある人の意見によると、町村合併がうまくいっておらないというのは、政府が三カ年計画というようなことで、しゃにむに計画の達成のために拙速主義をとったから、そういうようないろいろまずいことが起っておる、こういうような意見があるわけであります。ところが、先ほどの長官お話でありますと、さらに未合併町村については、来年の三月まででもって完了したいという目標でこの法案を出しておられる。これに拙速主義に輪をかけるのではないか、こういうふうな感じがするわけです。未合併町村というのは約千九百くらいあるというお話がありましたが、これは何しろ合併に残った町村ですから、いろいろ困難な事情がそれぞれあるところばかりなのです。それを来年の三月を目標にして合併を進めるということは、これは今までの拙速主義にさらに輪をかけた拙速主義をやって、合併に対する批判、それからいろいろなトラブルが今まで以上に深刻になってくるのではないか、こういう気がするのですが、その点については長官どういうふうにお考えでしょうか。
  70. 太田正孝

    太田国務大臣 今までの合併が拙速であり、さらに急いで間違いを起してはいかぬというお言葉、私も身にしみて感じております。さっき私ちょっと言い違えましたが、六カ月というのは知事の勧告でございまして、それが実際に完成いたすのは六カ月という意味じゃございませんから、さよう御承知を願いたいと思います。この点につきましては、とにかく慎重を期して、そして残ったむずかしい問題、先ほど部長からも申しましたが、あるいは単純な名称等の問題もございますし、一番大きな境地の問題もございますし、それぞれに分けまして、こういう問題を処理していきたい、お言葉のように拙速にならぬように、しかも実績をおさめたい、かように考えておる次第でございます。
  71. 灘尾弘吉

    灘尾委員 ただいまの質問関連して、私もちょっとお伺いいたしたいと思います。  だんだんと合併が進んで参りまして、数字の上ではかなり成果を上げておるようでありますけれども、実質的には、合併した町村についてもやはり問題があるようであります。いわゆる拙速という言葉で現われるのがそれに該当するかと思います。今日までもそうでありますが、これから先この合併を促進するのはなかなか骨が折れるではないか。なるほどあとわずかばかりしか残っていないので、全部何とか片をつけたいということはわかる。何とか片づけて全部うまくいったというところへ持っていきたいことはわかるのですが、これからの合併はむずかしいところがあると思う。ただ単にやり方が上手とか下手ということではなしに、合併することによって、果してよい町村ができるかできぬかということについても問題があり得ると思う。そういうふうな点につきまして、合併しなければこうしてやらないとかなんとかいうふうなことでお勧めするのでなく、ほんとうに合併のできるような条件を整えてやることによって、今までむずかしかったものもできるかもしれぬ、こう考えますが、その辺の扱い方について、本省ではさようなお考えはないでしょうけれども、どうも地方になりますと、何とか一つ早く片づけたいというので無理をしているところもあるではないか。その辺無用の問題を起さないよう、うまく願いたいと思うのであります。長官のお考えも大体そういうふうにうかがえるのであります。御質問と申し上げますよりも、実はお願いを申し上げておきます。
  72. 太田正孝

    太田国務大臣 ほんとうに合併という仕事はむずかしい仕事でございます。しかし、合併しなければ起債の問題も認めないとかいうようなことを世間でときどき聞きますが、そんなこと万々ないようにいたしたいと思います。結局自治体の自主性ということが根本でございまして、あるいは知事の勧告とか、総理大臣の勧告という問題もございますが、もう最後の最後まで考えなければならぬのは、自治体の自主性ということであろうと思います。灘尾委員のおっしゃるお言葉、その通り私も感じております。
  73. 北山愛郎

    北山委員長代理 なお私からお伺いします。先ほど申し上げましたように、町村合併についてはいろいろな批判があるわけであります。ある地方行政の専門家は、いろいろな調査をしてみたけれども町村合併についてこれがうまくいったという意見は、ほとんどなかったということを言っておるのです。こういう点についてはどのようにお考えであるか。また同時に、この前小林行政部長から町村合併についての世論調査をおやりになったという話を聞きましたが、それはどういう方法でおやりになり、どういう成果が上っておるかお述べ願いたい。
  74. 小林與三次

    小林(與)政府委員 世論調査の問題がありましたから、私より申し上げたいと思います。これはまだ結果を公表するまでに至っておりませんが、従来総理府が中心になっていろいろな形で、全国的に抜き取り検査をやった方式がございます。もと輿論調査所がやっておった。今輿論調査所は民間に行ってしまいましたので、おそらくその機関に委託してやっておるはずであります。それで従来の普通やっておる方式にのっとりまして、合併問題も一度調べてみよう、こういうので新市町村につきましていろいろな問題をあげて聞いておるのであります。その結果は公表する段階に至れば、もちろん御報告申し上げたいと思います。調査項目のようなものなら、調べればじきわかるはずでございます。
  75. 北山愛郎

    北山委員長代理 前の点についてはどうでございますか。
  76. 太田正孝

    太田国務大臣 いろいろ経験者のお調べのところで、ほとんどいい成績のあるものはないというお言葉でございましたが、私ども事務当局から聞いた範囲においては、いいものも相当にある。いいその程度等の問題がございますが、全部が全部悪いというようには私はとっておりません。大体におきまして——悪い点ももちろん認めなければなりませんが、合併によって、ことにその新しい村作り、町作りの関係者の努力によりまして、今までの財政力も変ったとか、いろいろな点があげられていることと私は聞いております。
  77. 北山愛郎

    北山委員長代理 これはほんとうは今の世論調査等の結果も早く見たいわけなんですが、私どもの見聞している範囲では、先ほど申し上げた地方行政の専門家と大体において見解が同じなんで、どうも批判的な空気ばかりが強い。それにはいろいろな角度からの意見がありますが、たとえば各地において警察官と動員して住民投票をどうするとか、そういうふうなまことに深刻な事態が出ておる。私の県の方にも、ほとんど一郡合併をやったところがありますが、十ヵ町村ばかりが合併して五万以上の町になったのですが、それなんかも合併してまだあまりたたないのに、三つに分町運動が行われて、その分町について、ある地区はほとんど大部分の住民の署名をとっておるというような情勢なんです。その理由書なんかを見ますと、こういうことを言っている。合併前よりも住民の福祉が後退をした、住民感情が悪化をした、合併の範囲及び地域条件の差より見て適正規模と認めがたいことが明瞭になった。農業政策は諸条件を同じゅうする地域をもって区域とすることが効果的であるというような理由をはっきりあげて、分町運動を盛んにやっておるわけなんです。それから先般、今月の初めごろだと思いますが、青森県の鶴田町ですか、あそこで三百数十名の警察官が動員せられ、両部落の消防団が出て住民投票が中止になったというような、大きな地方的な問題があるわけであります。その他各地でいろいろな形の紛争事件が起きておりますので、そういう現象的に見て、町村合併から起ってくるいろいろ深刻な地方的な紛擾を惹起したという点から見ても、私どもはどうかと実は思っておるのですが、それ以外に建設計画を初めの約束通りさっぱりやらないじゃないかということ、あるいは税金が逆に高くなったとか合併したところが赤字がふえたとか、いろいろなマイナスのニュースばかりをたくさん聞いておるわけなんです。従って私どもの観点からすれば、この際国会としてもあるいは政府としても、町村合併促進法施行以来の合併の成果というものをこの際反省をして、再検討を行うべき段階ではないか、こういうふうに考えるのがむしろ妥当ではないか、こう考えておるのですが、そういう必要がないと長官はお考えになるか、これを承わりたい。
  78. 太田正孝

    太田国務大臣 今までの御非難の点、あるいは分村問題等につきましては御指摘以外にも私の耳にも入り、また陳情も出ております。それなればこそというと、変な理屈をつけるようなことになりますが、この建設計画は、もともと赤字もよけいふえたじゃないか、実は合併前には赤字を隠しておいたのが出たような例も少くございません。その他あるいは今までの六・三制制度による実行のために、いろんな隠されたものが今度出てきた、あるいは事業の点もあった、そんなこんながありまするので、見直すという意味は少し強く当ると思いますが、今までの計画をさらに新しい立場から、計画をし直すといいますか、手直しをするというか、よりよいものにするというか、こういう意味におきまして今度建設計画を立てたわけでございます。もちろん悪い点につきましては、率直にこれを認めまして、せっかくやり出したこの大きな仕事を完成するようにしなければならぬと思います。私は、批判の点を弁解するというよりも批判の点があればあるほど、この合併問題、新しき村、新しき町の建設ということが、この際特に痛切に感じられる次第でございます。私は、批判の点を弁解するというよりも、さらにそれを直してよきものにする、こういう意味におきまして幾多の点を考えなければならぬ、それにはこういった新しい見直した計画でいくよりほかない。もちろん先ほど申しましたように、私どもの知った範囲ではうまくいっておるところもございますから、これをどうこうということではございません。北山委員の言われました点はそれ以外にも——青森県の鶴田町以外にかような例は、あるいは茨城県ですとか、方々にあるのでございます。そんな点は直さなければなりませんが、しかしいい点もございまするし、悪い点につきましては、新しい観点に立ちまして、新しい計画のもとにその建設を実行していきたい、かように考えておる次第でございます。
  79. 北山愛郎

    北山委員長代理 今新しい計画というお話がありました。先ほども建設計画のお話がありました。ところが建設計画というものは、現在の合併促進法によれば、これはただ地方の市町村が作り上げた計画というよりも、合併の際の町村の協議ででき上っておる。それから、作る場合には都道府県知事の意見も聞いておる。そうして政府提出をしておる。政府は、内閣総理大臣は、これを関係行政機関に通知をするという手数までかけてできた計画でございまして、普通のちょっと紙に書いた、簡単に作られた計画とは違うわけです。従ってこれを作りかえるということならば、むしろそのこと自体がすでに町村合併の初めの目標をこわしてしまうことであって、これは住民の失望になるのではないか。それでもできた町村合併の当初の計画が、ある程度実行されつつこの調整ができるというのであれば、これはまた別でありますけれども、当初の建設計画がさっぱり実施をされない、されないままに調整をしなければならぬ。しかもそのうちの赤字の市町村のごときは、再建団体になってしまえば再建計画以上には出ないということになりますから、建設計画がほとんど再建計画に肩がわりをしてしまうというような結果になれば、いよいよもって新しい意味の新発足ではなくて、むしろ合併当初の憲法あるいは関係町村の条約というものがたな上げにされたという結果に、実際問題としてならざるを得ないのではないか。そうするならば、それは新しい計画による再発足ではなくて、むしろそういう今度の新しい法案の方針というものは、町村合併関係の住民の失望をさらに増大するのではないか、こういうような心配を私はするのですが、長官はどういうようにお考えですか。
  80. 太田正孝

    太田国務大臣 私の言葉が足らなかったのでございますが、私どもがここに新市町村建設計画の調整というのは、根本的に作り直すという意味じゃございませんので、法文の中にも説明的に「新市町村建設計画の実施のための年度別計画の変更又は作成をいう。」と申し上げておるような次第で、ある計画がありますのを実行上どうするか、実は計画を作るときには赤字は隠されておったが、赤字もわかってきた。そうすればこれを実行するにはどうすればよいかというときに変更を要するのでありまして、もとの計画をぶちこわすというのでなく、もとの計画を実施するためにやるのでございますから、住民の期待した目的、ねらい、その計画そのものを実施に移されるように持っていこうというのが調整の意味でございまして、私の言った言葉が足りませんでしたために誤解を引き起しましたならば、かように訂正しておく次第でございます。要するに各合併当該の町村が考えられた計画、これを実施するにはどうするか、ねらいはよかったとしても、その行うについての材料などにいろいろ手直しする点もあろう、目的はその計画によっていきまするが、実施につきましての調整をしていきたいというので、住民の期待を裏切るようなことは万々なきようにいたさなければならぬ、私の言った言葉が足りません点は、どうぞ御了解が願いたいと思います。
  81. 北山愛郎

    北山委員長代理 小林さんにお伺いいたしますけれども、今の建設計画ですが、これは従来の建設計画は内閣総理大臣に出されて、総理大臣から関係行政機関に通知するということになっておりますが、その通知がなされて、どういう措置がとられるのですか。
  82. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは通知がなされましたのを基礎にして、各省におきましては各省の予算計画といいますか、予算の折衝とかそういうものの材料にしていただくとともに、各省が補助金なり事業を実施する場合、合併町村を優先の原則と申しますか、それを優先的に扱うように具体的の実施上の配慮を、それを基礎にしてお願いいたしておるわけでございます。
  83. 北山愛郎

    北山委員長代理 ただいまの通知というのは、関係のところに通知はしておるのですか。個々の市町村の建設計画を……。それを重ねてお伺いいたします。
  84. 小林與三次

    小林(與)政府委員 個々の市町村の分も来たのは、全部、法律通りやっております。なお私の方で国会にお配りいたしましたように、総合的にまとめた場合は、まとめたものをまた別に資料としてお配りいたしております。
  85. 北山愛郎

    北山委員長代理 それからこれは先ほど吉田さんから御質疑があったのですが、市町村と農業政策、農政との関係です。今私があげた分町運動の中にも、農業政策がどうのこうのということがあります。合併した市町村においては、どうも都市行政というものが主になって、農政方面は後退した、こういうような意見が農村部においては相当あるのです。先ほど農村建設計画のお話がありましたが、こういう印象を農村部に与える原因はどこにあるか、それから市町村と新農村建設計画との関連関係しますけれども、私の考えでは今まででも市町村というものが農政にタッチをする部分が非常に少い、市町村内の農業協同組合とかあるいは共済組合とかあるいは土地改良組合とか、そういう農業関係団体は、市町村とは直接の関係を持たないで、府県に結びついておるわけです。そういたしますと、その市町村内における農政の総合計画を立てようとしても、それは宙に浮いた計画であって、市町村のありがたみが農民にさっぱり及ばないということが、今度の合併市町村における農民の不満となって現われておるのではないか、こういうような感じがするのですが、これらの点については、どういうふうにお考えですか。
  86. 太田正孝

    太田国務大臣 北山委員のお考えになった点は、実は私の最も憂慮した点であります。国勢調査と申しますか、人口の内容から見ましても、たしか市の人口が五割三分になっておるという、日本の大きく市に片寄った姿が出てきておるということは、全日本を見まして市がそんなに多くなったか、こう私は感じつつ同時に、農村の立場というものを深く考えなければならぬと思ったのでございます。もちろん市と申しましても、その中にずいぶん山もあれば、田もあり、畑もある今日の市の区域でありますが、しかしどちらにいたしましても、つまり商工部面と農村部面というものが同じ市内にあるわけでございまして、これがにらみ合ったり、もしくは今のお話しのように、農村が市に入ったために何の利益もないじゃないか、かようなことがあってはなりませんので、私は自分考え方としては商工部面と農村部面とが、その一つの区域内の市内におきまして、調和を得て均衡を得て、また利益にうまくあずかっていくようにしなければならぬという建前のもとに、今度の新計画を考えておる次第でございます。その詳細につきましては部長から御説明を申し上げます。
  87. 小林與三次

    小林(與)政府委員 ちょっと補足して申し上げたいと思います。  この点は私たちといたしましても立案の当初から、一番気にいたしたところでございまして、町村合併の基本方針を作る場合にも、これは農林省の方からも要望があり、町村合併の推進本部からもそうだということになりまして、市内地と農村地帯が合併するようなときには、特に農業の振興発達というものを中心に考えていかなければいかぬという趣旨のことを、明らかにいたしておるのであります。それでその後の予定のいろいろな市街におきましても、この点を配慮いたしておるのでありまして、特に合併で非常によい成績を上げておる町村などというものは、しばしば合併後の建設計画をやる場合に、一番僻遠の地域からやっていく、回りからやっていくという方策を現にとっておりまして、中心の町を一番あとにし、回りの農村地帯というものを中心にまず建設計画を進めていく、そういうような配慮もしておるようなところは、非常に調子よく事が進んでおるのであります。現在といたしましても、われわれといたしましてはその点の配慮を、常に注意いたしております。ただいま問題が起りますのは、やはり新市町村建設事業が、合併後最初やる仕事がおそらく学校とかその他公共施設とか、そういうものがたまっておるものですから、そこにすぐ手をつけまして、ほんとうの農民の基礎になる土地の改良とか、農道とか林道とか山道とかいう方面に、手が回る工合が思うように至らぬところに、そういう声が特にあるのだと思うのでございます。この点はそういう団体の財政と仕事がいろいろこんがらかってきておるので、一度に実現できない部面が多々ありますが、やはり何といたしましても農村を中心にしたところは、そういう基盤の上に立って、新市町村が発展すべきものでございますので、その点は十分考えなくちゃならないと存じております。それとともに、それにつきましては今北山委員の仰せられました通り、そもそもそうした行政の場合に、町村というものとのつながりというものが、だんだん薄れていっているじゃないか、そういう面がございまして、この点はわれわれ町村行政をやっておるものといたしましても、一番気にしておるところでございまして、ややともするとそういう各農業団体が系統農業団体ごとに直結をする、地域団体として市町村の中で、まず一体的にまとまっていくということが欠けるうらみのある場合もないわけじゃないのでございます。それでわれわれといたしまして、あくまでも地域社会として、その地域内において各団体各機関が一体的にやって、そしてそれぞれの筋で上へつながる、こういう方向に持っていく必要があろうと思のでございまして、これがためにも新市町村の経営建設の計画というものを町をあげて総合的に作る、地域計画を作るということが経営上非常に大事な問題じゃないか。単に役場のやる仕事だけについて建設計画を作っちゃ意味がないのでありまして、それとともにそうした農業団体、漁業団体、林業団体その他の公共的団体仕事との関連をも考えて、それぞれの分担を考えて、地域社会全体としての発展を考えた計画というものを作っていく必要がある。そうしてそれぞれの分担に応じて協力していく必要があるということが、特に私は町村の経営において非常に大事な問題だと思うのでございます。今度の建設計画というものは、ぜひそういう立場で見直してもらいたい、またそういう立場で今後仕事を進めていきたいということを念願いたしておるわけでございます。先ほどの農山漁村の建設計画との調整の問題も、そういう問題にからみ合っております。それからなおこの間中井委員もおっしゃいました農業団体に対する補助などというものは、できるだけ町村を経由したらどうだという問題も、全くそういう問題と根本的にからんでおる問題でございまして、われわれといたしましては、どうしてもそういう方向に、現在でも自治法では、単に形式的に市町村は団体についての総合調整権というものはありますけれども、これはいわば浮いておる場合がしばしばあるのでございまして、これを実態的に実際の仕事の上において結びつくようにしなければ、ほんとうの自治の円満な発展というものは期しがたい、これは単に新市町村の問題というよりも、自治の根本に触れる基本的な問題だろうと思うのでございまして、この点につきましては、われわれといたしましてもできるだけの力をいたしたいと思いますので、なおこれはわれわれだけの力では必ずしもできない国政全般の問題でもございますので、国会の方面におかれましても格別の御協力をぜひお願いいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 北山愛郎

    北山委員長代理 ただいまの問題非常に大きな問題で、私は今度の新市町村建設促進法でも、学校の統合だとかその他諸団体の統合であるとか、そういうことを言っておりますが、学校学校についての適正規模があるはずです。それから農業協同組合あるいは共済組合についても、やはり市町村が合併したからといって、その単位ごとの協同組合、農業団体でなければならぬということはないと思う。農業協同組合はもしも生産指導の団体であるとするならば、市町村合併とその範囲をひとしくするということは、むしろその生産指導の単位としての範囲を逸脱しておるのじゃないか。だから町村合併にしても、それらの点もいろいろと考えて進むべき問題ではないか。ところが今のお答えは、そういうこともあるから、そういういろいろなものも含めた、地区内における団体のいろいろな活動等も含めた新しい建設計画を作らなければならぬという話であります。ところが自分行政系統にないような団体のものを計画に入れてみたところで、それは宙に浮いた計画になるのです。もうすでに積雪寒冷地帯においては、御承知のように市町村の農業委員会が農業振興計画というものを作っている。ところがそれを市町村の仕事として実現するという手段を持たない。だからそういう計画はただ計画として眠っておるのですね。やはり今度の新市町村もそういう意味の計画であるとするならば、それは実現性がない。実現される計画というものは別個の計画であり、やはり新しい、しかも前の建設計画よりは縮小された計画を、また作るのだという結果になるのではないかと思うのです。しかしこれらの点はお話をすればたくさん問題がありますが、私はきょうは一応この程度にしたいと思うのです。
  89. 永田亮一

    ○永田委員 ちょっと具体的なことについて小林さんにお伺いしたいと思いますが、さっき亀山さんも言われたように、私実はきのうまで私の郷里へ帰っておりまして、町村合併のことでだいぶいじめられてやせたわけですが、今の町村合併解釈なんです。町村合併促進法の三十三条の問題ですが、町村合併に関して地方自治法第七条第一項の申請があった場合に、都道府県知事がその申請の日から四ヵ月以内に処分を行わないときには、関係町村は議会の議決を経て、六ヵ月以内に内閣総理大臣に対し、審査の請求をした場合に、その二項で自治庁長官が今度は意見を付して総理大臣に上申する、これの期限が書いてないわけです。それで今申請をしますと、四ヵ月というと九月になってしまうわけなんです。今申請をしておるのですが、申請して四ヵ月握りつぶしておいて、もう一週間か十日すると、それが切れてしまうわけなんです。そうすると、もうこの法律がなくなってしまうわけで、申請をしたことが無効ということになるのじゃないかと思うのですが、今お伺いすることは、自治庁長官が何日以内に総理大臣に申請をするかという規定がないために、そこのところをどういうふうに解釈したらいいか、また内閣総理大臣がさらにそれについて決定をする場合に、その日にちもないわけです。それで九月が終ってしまったあと、これはどういうことになるのか、そこの解釈一つお願いします。
  90. 小林與三次

    小林(與)政府委員 現在の促進法三十三条の解釈でございますが、三十三条では、今申されました通り、町村が合併の議決をやって、知事が処分を行わぬ場合には総理大臣に審査の請求ができるという規定があるのでございます。それで知事が処分を行わぬというのは、ずるずるして握りつぶしておった場合もありましょうし、それから積極的に処分を否定してしまった、議会あたりも否定するというようなこともあるだろうと思います。そういう場合には特にこの特例を設けておいたのでございますが、総理大臣に来た場合に、自治庁長官は総理大臣に上申するというのでございますが、この問題は、実際は町村合併の問題でございますから、一自治庁長官が処分をしてはいかぬ、行政の最高責任者である総理大臣の処分として必要な措置をやるべし、こういう考え方でできておるものでございます。しかし実際の仕事は、自治庁においてこれを補佐するわけでございます。そこで、この新市町村建設促進法案にはこうした規定は作ってございません。これは全然ないわけでもない。二十九条の三項に一部関係のある規定はございますが、その経過規定はそのままないのでございます。これはこの法律の施行を考えまして、自治庁におきましては期間に制限がございませんが、ここに書いてあります通り、知事の意見を聞いたりする必要がありますので、知事の意見を聞くときには議会の意見もあわせて聞く必要などもございます関係もあって、期間に制限がないのでございますが、当然に行政上の措置といたしまして、法律の施行期限等も考慮に入れながら、これは適当な措置をとることになるのだろう、こういうふうに考えております。内閣総理大臣ももちろんそういう趣旨でその事件を扱われるものと、われわれは考えておる次第でございます。
  91. 永田亮一

    ○永田委員 今ちょっとお話がありましたが、その中で知事が積極的に町村から申請があったものを否決した場合には、その瞬間から今度は町村が総理大臣に申請をしてもいいわけですね。
  92. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは知事が積極的に合併を否認すれば、この条文を運用して総理大臣に審査の請求をやって差しつかえない、こういうふうに考えております。
  93. 永田亮一

    ○永田委員 それからもう一つ、それと同じことなのですが、今度の新市町村建設促進法案について二十八条のところなんですが、都道府県知事が来年の三月三十一日までに内閣総理大臣に協議して、今度関係町村に勧告をしなければならないという規定がありますけれども、どうも私の方の町村で考えてみますと、これについても、知事があるいは勧告をしないで握りつぶすような感じがするのですが、そういうことがあった場合には、どうしたらいいですか。
  94. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはむずかしい問題でございまして、こう書いておけば知事はそんなことをすることはないと思っておりますが、この規定趣旨は、要するに合併が九月一ばいに終らなかった、それで幾つかの町村が残る、残った場合には、先ほど来いろいろ議論がありましたが、要するに合併計画自体に無理があって、再検討を要すべきものもあるかもしれぬ、もう一ぺん考え直して、ほんとうに合併計画をどうすべきかということを検討をして、そうして新しい合併計画を作る、その場合に、中央にも相談をして、全国的にもう一ぺんスクリーンをして総体的な合併計画を作って、そうして事後の手続を進めたい、こういう趣旨でございます。それでございますから、知事といたしましては、残った町村は、もう全然合併の必要がないんだという事態になれば、もちろんそういう必要がないのでございます。しかしながらそれにつきましては、地方といたしましてもどうせ関心を持っておりますので、たれが考えてもここの条件に該当するというようなものがあれば、知事は当然に国の機関としての立場で、知事の責任上必要な措置をとられるに違いない、こういうふうに考えております。
  95. 永田亮一

    ○永田委員 もう一つだけ伺います。今度の法案の新市町村建設促進審議会の第二十条のところですが、これのメンバーを見ておりますると、二十人以内となっておる。これは今までの審議会よりも数がだいぶふえているように思うのですが、この中に具体的に書いてあるところのどういう人を審議会の委員にするかという中に、県会議員が除いてあります。今までの町村合併促進法の中にはまっ先に書いてあるのですが、この県会議員を抜かしたのは、どういうわけなんですか。
  96. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは現行法では実は員数の制限がございませんで、条例にまかしております。そこでこれは中井委員もときどきこの点にいてお話がありましたが、県会議員全部を入れるということは、数十人で作っておる審議会などもありまして、かえって運用上いかがかという点があった部面も実はあるわけでございます。今度はむしろ建設計画を審議調整をして、建設を促進をしていくというところに重点がありますので、あまり員数を自由にしておくのもいかがかと思って、二十人と一応制限したわけでございます。ここで、この員数の中の委員の人選の問題につきましては、この前の案では、それぞれの諸団体の推薦するものとか、教育委員会の推薦するものというふうにこまかく書いてあったのでありますが、これは建設計画を促進をしていく立場から考えましても、あまりこまかく書く必要はないじゃないか、なるべく大ざっぱに簡素の規定を設けようということの観点でいたしたのでございます。それで、これはまた読み方の問題で、いつか北山委員からおしかりを受けたこともあるのですが、国の地方行政機関の職員のうち、これは国ですから問題は別として、当該都道府県の職員という場合には、議会の議員も入れたり、一般職員も入れておりますので、そこのところから入れてもよし、さらに学識経験を有する者のうちから学識経験者として県の議員を入れてもよし、これは当然県会議員の相当な人は入っていただくべきものと考えております。ただそれを書きますと、またほかのいろいろな団体も一々ここへ書くというような問題もありまして、なるべく規定を簡素にして、実際に合うように人数を考えたらどうか、こういう趣旨でございます。
  97. 永田亮一

    ○永田委員 御趣旨はよくわかりますけれども、この中に市町村の議会の議員ということがはっきり書いてあるわけです。それで県会議員を抜かしてある。これは県全体の立場から見て、やはり観察をしなければいけない問題だと思いますので、何かその理由があるように思うのです。県会議員が今まで入っていたために、あるいは差しさわりがあったというようなことがあったわけですか。たとえば県会議員の選挙区が減るとかふえるとか、定員が減るからとかいうようなことで、県会議員が入ってきた場合に、その区域をきめるのにきめにくかったとか、そういう弊害があったために抜かしたのじゃないですか。
  98. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは従来の合併審議会の場合に、県会議員が入って永田委員がおっしゃいましたような批評を聞いた事例もないわけじゃございません。しかしそれだから県会議員を入れぬという趣旨で、これを作ったのでは全然ないのでございまして、なるべく規定を簡単にしておこうじゃないかという気持だけでございます。市町村の方を入れたのは、これは県の機関じゃなく、市町村の機関でございますから、そこで市町村の機関は市町村建設のためにやるのだから——これはおまけに長と議員と市町村の職員というわけにいかぬ、市町村から入れれば、当然議会の代表者が町村の代表者だから、議員及び長と書いてあるだけです。その用語が適当でないという御議論もいろいろありましたが、そういう用例もありましたしするので、こういうことにいたしたのでございます。
  99. 北山愛郎

    北山委員長代理 本日はこの程度にいたしましてこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会