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小林(與)
政府委員 第一点の林野庁との問題、これはごもっともでございます。それで今度の改正につきましても、一番折衝に力を入れたのは林野庁との
関係でございまして、これはなおいろいろ注文はあろうと思いますが、今度の改正で向うと話をつけました概要を申し上げたいと思うのでございます。
その
一つは要するに、払い下げを受ける条件を町村として受け入れ得るようにする必要がある、その
一つの問題は今の売却代金のきめ方の問題だろうと思います。これにつきましては、時価を割って値を下げて時価より安く買うという問題が、実は
一つ議論になったのでございます。しかしながら今回の
お話し合いではその結論が得られませんでした。その
趣旨は、現在でも国有財産を公用とか公共用に使う場合には、時価より安く、場合によっては無償で譲渡する道がございます。しかしながらこのわれわれの新町村への払い下げは、むしろ新町村の基本財産として、営林財産として育成強化をしていくというのが
趣旨でございまして、それが直ちに今の公用とか公共用に使う場合ならば、現行の国有財産法の建前で十分にそれはできる。しかしながら、こういう形で営林財産として町村の基本財産として、長久の財源として育成をしていくのに適正な値段を割ってやるということは筋が通らぬじゃないか。しかしながらそれは払い下げを受けても、直ちに多額の金を払う能力はもちろんありませんから、そこで問題は、むしろその金の
償還の方法をどうするかということと、もう
一つはその利子をどうするかということで、解決すべきじゃないかということになりまして、この点はわれわれといたしましても、これは一理ある議論だと思うのでございます。そこで、値段としては適正な価格で買うが、
償還の方法をゆとりをもって
償還できるようにしよう。どうせ山のことでございますから、逐次木が売れていくわけでございますが、その
範囲内で
償還できれば問題は片がつく。そういうことで、従来の
法律におきましても、実はそういう
趣旨で五カ年間据え置き、十五カ年間年賦という条件をつけたのでございます。しかしながら従来の条件ではこれはなお足らない。それで、据え置き期間は五カ年にしますが、
償還期間は二十カ年間に延期することに林野庁の了承を得たわけでございます。
それともう
一つは、利子が高過ぎるじゃないか。利子は現在六分五厘になっております。国有財産
一般の
原則との問題もあって、ずいぶん議論があったのでございますが、この利払いに非常に苦労いたしておる。山が十分に売れる状態ならば、ちっとも問題ないのでございますが、このごろ木材の値段が必ずしもうまくいかない。そういう
事情もありましてこの利払いに苦しんでおるわけでございます。そこでその点を
考えまして、六分五厘というのは伐採期に入った山ならば無理もないが、山によってはまだ適齢期に達しておらぬものがある。そういうものは当然にその実情に合ようにせぬといかぬじゃないか、そういうことで、これはこの
法律には現われておりませんが、政令で話し合いをつけた線で書くつもでおります。しかし利率まで政令で書くのも、従来の国有財産全般の扱いから無理じゃないかというので、政令で率までは書かずに、利率は実際の
運用で
考えてもらうつもりですが、その山の木の樹齢に応じて、五分五厘にするなり四分五厘にするなり、そこの裁きをいたしまして、そして木の
実態に合うようにいたそう、こういうことで林野庁との話をつけたのでございます。これでもって
一つ国有林野のありようを
考えてきたい。なおこれはもう
一つ重大な問題は、これを現行の
規定でこのまま動かすだけでなしに遡及させたい。つまり今までは合併促進法でも一部払い下げを受けておりましたが、それ以上の問題は、国有林野整備臨時
措置法でその前数年間に十万町歩以上の山の払い下げを実は受けていることであります。その払い下げを受けました山について、その管理が適切でない、すぐに売り払ったりなんかするといういろいろな
批判がございまして、それで合併促進法ができてからもなかなか山の払い下げが進まなかったという実情がございます。これは率直に私も認めなければいかぬと思うのでありまして、払い下げを受けた町村は、町村として山を愛撫して山の緑化に努めなければならぬというのは当りまえでございます。そういう
意味で今度の
法律の特例を過去の国有林野整備臨時
措置法で払い下げを受けたものにつきましても全部さかのぼって適用させることにして、そのかわりに山の管理につきましてはある程度きちんとやっていく、こういうことを今度の
法律でやることにして、これも林野庁と百パーセント話をつけたのでございます。こういうことによりまして、払下いげを受けた林野の管理について遺憾のない
措置を講ずるとともに、払い下げの代金の支払いにつきましても、実情に合うように調節をいたしたいというのが、今回の改正の大きな実益のある問題点の
一つだと存ずるのであります。その点を
一つ御了承願いたいと思います。
それからもう
一つの問題は、市町村における新市町村建設審議機関の問題でございまして、これは
北山委員もかねてから、そういう御議論のように聞いておりますが、
北山委員もおっしゃいました
通り、問題がないわけではございません。われわれの今回の改正では、先ほど
大臣が申されました
通り、建設計画というものを、やはり新しくなった
一つの町村で、もう一ぺん見直して、そのままでいいものももちろん少くありませんが、それとともに、やはり
一つになったら
一つになった立場で必要な調整を加えていくべきものもあるのであります。それとともにもう
一つは、われわれの
考えでは、新市町村の建設というのは、町村役場自体がやる
仕事があるとともに、町村の区域内における全市町村のいわば町作り、村作りとしての総動員の協力態勢というものを作る必要があるのじゃないか。だから役場自体が作る公共施設があるとともに、
運用団体その他のものがやるべき施設もある。森林組合のやるべき施設もある。それからその他文化面で文化
団体が協力すべきものもある。そういういわば町全体の経営計画としては新市町村の建設が進められる必要があるのじゃないか。そういう
趣旨からいたしまして、新市町村の建設計画というものを、それぞれの
運用団体もあれば、それから
学校の問題があるから教育
委員もある。こういう各種公共
団体の役員総ぐるみで、もう一ぺん新しい町のあり方というものを検討いたしまして、従来の計画そのままならそのままでよし、補うべきものは補い、プラスすべきものはプラスして、今後の新市町村というものを総動員態勢で進めていく必要があるのじゃないか。そういう
意味の建設計画というものの調整と
実施についての総動員態勢というものを
考える必要がある。もちろん自治体の最後の
意思機関が議会でございますから、当然最後は議会の御議決を経なければきめるべきものでもなし、当然そういたしておりますが、その前段におきまして、そうした町村内における各方面の意見を入れまして、町のあり方というものを検討し、町のそれぞれの
団体の分担協力方式というものをきめまして新市町村の建設を進めたい。そうしてその後一度見直したものを中心にいたしまして、国なり府県なりというものの協力援助を強力に
実施していくべきじゃないか、これがこの
法律の骨子になっておるわけでございます。そうすると、従来合併前にそれぞれの町村が出した建設計画というものを、勝手にちょん切って合併をしたのだから、もうどうでもいいという
考え方をとるべきものでないことは当然の話でありまして、約束をしたものは新市町村として全部それを土台にして
仕事を進めていくことは、私は当然だろうと思うのであります。しかしながらそれを
一つの立場でもう一ぺん
考え直し、それとともに
仕事をやっていくためにはやはり現実的な
実施計画というものが必要でございまして、単なるデスク・プランでは、それは計画はいいかもしれぬが、
仕事がうまく進む道理がないのでございます。われわれといたしましては
仕事を着実に片をつけていく、そしてほんとうに合併の成果を住民の生活の上に実現していく、そこを
考える必要があるのでございまして、そういう
意味で、それぞれの
団体の実情に合うように年度別の
実施計画というものをきちんと立てて、そこで協力態勢を進めていきたい。その言葉をどう表現するか、それは簡単にいう必要があるというので、それを計画の調整という言葉を使ったのでございまして、総ざらいの計画を圧縮するとか縮減するとかいうだけじゃない、場合によってはプラスする場合もいろいろありましょうが、ここに申しましたのは、さしあたって三年なり五年なりの
実施計画というものを、具体的に現実的に合理的にやらせよう、これが
趣旨なのでございます。それでこの表現がいろいろ誤解を生みまして、なんだもとの建設計画をひっくり返すのかというような誤解を生んでおりますが、その点は条文の表現の上からも
考慮いたしたのでありまして、
考え方はそういうところに存するのでございます。そういう
意味で、やはりこれは議会の議決だけでは不十分でありまして、町村におきましてそういう案をいろいろ作るためには、議会の議員ももちろん参加していいと思いますが、そういう各種機関、各種
団体その他町村内全体の総知恵を入れて問題を審議検討し、並びにその
実施につきましても、それぞれの機関、
団体がそれぞれの立場で相協力をしていく、いわばそういう町の総動員態勢という形で事を進めていかなければ、新市町村の建設などというものは、恒久にわたってできるものではない、こういう
考え方に立脚いたしておるのでございます。