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1956-05-23 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十三日(水曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       川崎末五郎君    纐纈 彌三君       徳田與吉郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    山崎  巖君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (参議院送付)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  新市町村建設促進法案を議題として質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。北山君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 町村合併につきまして以前から、いろいろ資料をお願いしておりましたが、きょう資料をいただきましたので、まずこれについてお伺いしたいと思います。  第一に合併町村建設計画の問題であります。この建設計画については、今いただいておる資料昭和二十九年度及び三十年度、三十一年度というような三カ年の事業計画でありますが、初年度はたしか百八十何億、三十年度が七百何十億、三十一年度がやはり約七百億くらい、こういうふうな状況でありますが、現在までに合併した市町村から、それぞれ全部建設計画内閣総理大臣提出をされておるわけであります。これは年次別じゃなく、総額については一体どういうふうな数字になっておるか、お示し願いたいのです。
  4. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは今までの法施行前のものもみんな入れまして、要するに促進法ワクが一応かかっておる全体の町村建設計画総額は、三月三十一日までの資料集計で三千八百八十五億でございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 三千八百八十五億という膨大な建設計画集計でありますが、それは大体五カ年になっておるわけですけれども、各年次事業費計画はどうなっておりますか。それから産業経済、あるいは土木、あるいは水道というふうな大体の種目別内訳はどうなっておりますか。
  6. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは年次別のものを申しますと、このお配りしたものより、もう少し町村の数がふえていますから、数字は違いますが、三十年度は八百十四億、三十一年度は七百二十三億、三十二年度は九百十億、三十三年度は五百五十八億、三十四年度は四百五十二億、三十五年度は三十二億というのが数字の累計でございます。それから事業別内訳は、役場関係費、消防、土木教育、社会及び労働施設保健衛生産業経済財産費という費目の分類になっておりますが、ここにある資料集計が入っておりませんので、集計してあとで申し上げます。
  7. 北山愛郎

    北山委員 それで今までの町村合併促進法では、この建設計画というものは合併目標であり中核であるわけです。従ってこの建設計画というのは、単なる当該の合併市町村の自主的な建設計画というよりは、この建設計画中心にして合併をしておる合併の条件ともいうべき性格を持っておる。と同時に、それぞれ政府の方に個々建設計画提案になっておる。それからまた促進法では、この建設計画実施のために、いろいろ財政的な措置をするということも承わっておるわけです。従って現在の合併促進法の建前において、こういう三千八百八十何億という膨大な建設計画を、一体政府としてはどのように処理をするお考えであるか、それをお伺いしておきたい。
  8. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今お話通り建設計画は、町村合併目標と申しますか、理想と申しますか、これはほんとうの根源的なものでございまして、政府といたしましても、新町村町村建設計画実施するということにつきましては、この促進法に掲げてあります通り趣旨によって、これの実施が円滑にいくように、それぞれの分野においてできるだけ補助援助、助成をしていくものと考えておるのでございます。それで各省におきましても、それぞれの所管事務につきまして、合併町村優先的に援助をいたしておるのが実情でございます。ただ国の方におきましても、国の予算限度がございますので、なかなか町村の言う通り百パーセントの需要を直ちに満たすことができませんが、予算の許す限度において新町村育成をはかりたい、こういうので従来とも各省の御協力を願ってきておるわけでございます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 この三千八百八十五億の事業費財源として計画に載っておるのは、国の補助起債、それから自己財源、こういうふうなものになると思うのですが、その配分はどうなっておりますか。
  10. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の総額についての割合は、今数字を探させますから、後刻申し上げたいと思います。
  11. 北山愛郎

    北山委員 とにかくそういうふうな建設計画性格であるということは、促進法趣旨においてはっきりしておる。しかも自治庁としても、それの実現のために努力をしておるという話でありますが、そうなれば、当然個々事業についての国の補助なりあるいは起債ワク等において、ある程度具体的に現わされておらなければ、努力はしてもその結果が出てこないということになるわけです。これは当然なわけです。昭和二十八年に合併促進法が審議されましたときに、あれが成立する際に、政府、大蔵省及び自治庁においては、明らかに合併関係のそういう事業費については、たとえば学校建設起債ワクであるとか、そういうものはプラスアルファでやるんだ、一般起債ワク以外にプラスアルファでいくんだ、それでなければ優先的にやるといっても、ほかの方を食い込むことになるからと、たしか愛知大蔵政務次官がはっきりと政府責任において答弁をしておるのです。ところがその結果が一体現われておるでしょうかどうですか、これをお伺いしたいと思います。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 この合併町村に対する補助金あるいは起債の問題につきまして、別ワクと申しますか、そういうワクを作ってやった方がいいじゃないかという御議論は、衆議院においても参議院においてもいろいろあったのでございます。われわれといたしましては、ワクを別にすることがかえっていいのか悪いのか、ワクを別にすれば、結局非合併町村に対するワクを別に作ることになりまして、これでは合併促進という見地からいってかえっていかがか。むしろそうでなしにすべての補助費なりすべての起債なり、あるいはそういう経費というものを合併町村優先して流していく、こういう基本的な態度で進むことが適当じゃないか。こういう形で、今まではワクというものは考えておらぬのでございます。しかしながらこの合併町村の実際の財政需要というものがありまして、それぞれ事業についての強い要望もありますので、その事業につきましては、国の財政の許す限り援助することにして、それは新町村優先に扱う、こういう考え方で参っておるのでございます。自治庁といたしましても、これはそれぞれの事業費に対する補助でございますから、それぞれの各省事業所管庁において、その事業費を通じてこの運用をお願いをする。自治庁といたしましては、起債配分自治庁所管でございますので、起債につきましては合併の問題を特別に重要視いたしまして、また起債の問題は事実各省補助金とも深い関連がありますので、そういう形でこれは運転いたしておるのでございます。特に一般単独事業起債は、もうほとんど合併町村というものを前提にいたしまして、その他のものにつきましては、継続事業費等のやむを得ぬものはまあやむを得ぬが、新しいその他のものは、新町村中心に流そうという考え方で運用いたして参っておる次第でございます。
  13. 北山愛郎

    北山委員 建設計画実施のための財源措置は、当初の促進法成立の際の政府答弁は、そういう答弁じゃなかったのです。やはりプラスアルファでいかなければ、ワクそのものを狭めた中で優先措置をするということになれば、他の方の合併しない町村にしわ寄せがいくんだ。そういうことを心配して、当時の床次委員が質問した際に、そういうことが起らないようにプラスアルファでいくんだ。ワク外であるということは別といたしまして、とにかく起債ワクをふやすということでなければならぬわけです。そうでなければ優先措置というものが言葉だけの優先措置であって、当然得るべかりしものを、ただ合併町村であるから優先したというような名目だけつけて、合併しなくても当然そのくらいのワクはもらえるものを、そういうもったいをつけてもらうということにしかならない。そういう趣旨じゃなかったはずです。ところが自治庁は、その後どちらかといえば、こういう起債配分等については、これを府県仕事にまかせて、府県の中で操作をさせるというようなふうに、責任地方に転嫁をしてしまった。だからやはり促進法の基本の第二十九条なり、そういうような建設計画実施について、政府としては、一向熱意の見るべきものがない。こういうふうに判断せざるを得ないのですが、この点はどうでしょうか。
  14. 小林與三次

    小林(與)政府委員 政府は、きわめて熱意はあるのでございますが、これは国全体の財政の問題がございますので、補助金額になれば予算上の制約があり、起債には資金上のいろいろの制約があるのは御承知の通りであります。しかしながら、そういうものの許す限りにおきまして、こちらとしては最大熱意最大努力を持って今まで力をいたして参っているのでございます。しかしそれが一〇〇%とかそれに近いほど現地の要望を満たしていないということは、これははなはだ残念でありますが、それも事実であることは率直に認めざるを得ないのでありまして、なお一段と力をいたすべき必要もあろうと存じているのでございます。
  15. 北山愛郎

    北山委員 この町村合併は、促進法成立当初におきましては、合併をすれば税金が安くなるとか、行政が能率化するとか、いろいろりっぱなふれ込みで、そして地方住民は、とにかく合併した方がいいのだというから合併をするというように、中央の指導について行った、こういうのが全国的な傾向であろうと思います。ところがその後、現在の実情一般的に見ますと、合併をした市町村住民は、少くとも住民においては合併失望している。税金が安くなるといったのが逆に高くなっている。それから建設計画もずいぶんりっぱな建設計画を立てたが、一向実行してくれないというようなわけで、すべて当初の夢が破れてしまって、現在では大多数の住民は、合併に対して批判的になっているというのが全国的な傾向じゃないかと思う。これは与党の生田委員も、先日当委員会においてこういう点を指摘されましたが、その一つ原因となってのいるが、この建設計画です。一つの例を申し上げますが、私の方の郷里の江刺町というのは、一つの郡が合併した、一町九ヵ村が合併をした変則的な町でありまして、これは市でもなければ村でもない、仕方がないから町という名前でおりますが、いわば郡みたいな格好の農村の町であります。これが今三つの地区で分町の運動があるわけであります。これは昨年の二月の十日に合併をしたのでありますが、その理由としては、建設計画を履行しないことが、重要な住民の分町の動機なんです。こういうところはほかにもたくさんあろうかと思うのですが、この実情について伺うと同時に、一体合併そのものについて、私がお話を申し上げたような傾向が、全国的にあるのではないかというような点については、自治庁はどういうふうに見ているか、これをお伺いしておきたい。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 合併はしたけれどという批判、意見、これはあることもわれわれ聞いております。事実建設計画ができましたけれども、これが一〇〇%、それに近い形で実施しておらないのも事実でございます。それでわれわれといたしましても、建設計画はぜひ実現させなくちゃいかぬ、そういう方向努力しなくてはいかぬのでございまして、それは、それなら全然実施されていないかといえば、そうでもないのでありまして、先ほどお配りいたしました資料をごらん願いましても、十分でありませんが、二十九年度の事業を見ますと四七%、半分以下ですからこれは問題にならぬということも言えると思うのであります。しかしながらこの合併計画は、何分にもそれぞれの町村合併前提にして、それぞれの町村における問題を、いわばあらいらざい、さらけ出して、これを新市町村事業としてやろうといったので、それぞれの地元の町村では計画を慎重に練って、町村財政力とかその他を勘案して、着実な実施計画を作っているところもあれば、必ずしもそうでないところも正直申しましてあるのでありまして、この実施計画は当然実現しなくちゃいけませんが、直ちに短時日で全部できるかできないかということになれば、なお調整を要する部面のものも、これはあり得るのじゃないかと思うのであります。いずれにいたしましても合併した結果、思う通り仕事ができぬじゃないかという声は確かにあります。これは率直にわれわれといえども認めるのでございます。しかしながらそれだからといって合併をして、えらい損をしたということになるかといえば、それは合併をめぐる多少のいざこざの問題があって、分村の問題の声のあるのも、これはないわけじゃありません。しかし分村の場合の議論は、われわれの耳に入っておるところでは、たいていはいわゆる境界変更をめぐる問題でございまして、合併したが元のままに分れてしまえというのは絶無じゃありませんが、私はこれはきわめて少い、きわめて希有な場合の事例だと考えております。北山委員のおっしゃったような境界変更をめぐる問題は、これは事実相当ございます。相当ございまして、最近特に三十年度の下半期と申しますか、そういう場合におきましては、おおむね従来やった合併境界の再調整と申しますか、再編成が全国的に行われておるのでございまして、分村の問題がむしろ数からいって多いというのが実情でございます。それでございますから、そういうものも逐次落ちつくべきところへ落ちついておる。しかしまだ現に問題がくすぶって、大へん新聞をにぎわしておるような遺憾な事例のあるのも事実でございます。そういうような問題も合理的に調節していく方便を考える必要がある。それからなおその建設計画にいたしましても、着実に、堅実に実施していく道を、もっと合理的に推進していく必要がある、こういうことを率直に考えてるおるわけでございまして、今度の新市町村建設促進法案は、そういう意図を中心にいたしまして、これからの合併後の新市町村の健全な育成発展に資したいという考え提案になったものでございます。
  17. 北山愛郎

    北山委員 全国的に町村合併が不評判だということについては、どういうふうにお考えかと聞いておるのですが、これはわれわれが見聞する狭い範囲のみならず、町村合併に対する新聞雑誌その他の収録したいろいろな記事について見ても、単に合併がうまくいっておるという結論を出しておるものはないばかりでなくて、いろいろそこにはごたごたのニュースだけが伝わっておる。その報道機関ニュースばかりでなくて、私どもは現にそういういろいろなそれに適合するケースをまのあたりに見るのです。従ってどう考えても、われわれとしてはこの町村合併について今反省をし、検討をしなければならないというのが当然の結論ではないかと思う。ですから全国的な町村合併に対する住民不満あるいは失望という点については、一体自治庁はどう考えているか、お伺いしたい。
  18. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは私は全国的に全合併町村がことごとく合併を行なったけれども、合併に対して批判不平不満が起るとは必ずしも考えないのであります。それには事実いろいろな新聞とか雑誌等につきましては、そうしたいろいろな問題あるいはいざこざニュースになっておることはこれも事実でございます。事実でございますが、それは全合併市町村の問題だとは言えぬのでありまして、合併町村としてりっぱな経営をやっておる事例も、これもまたどれだけでもあるのでございます。ただ一般的にいって、建設計画が思うように行っておらぬという声のあるのは、おおいがたい事実でございます。これこそ一般的な声とし、私は聞き取ってよろしい、これだけは、はっきり申し上げてよかろうと思うのでございます。しかしながらそれだからといって、それが当然に合併をめぐる紛議とか紛争とかいうものと、必ずしも結びつく問題ではないのでありまして、紛争事件になっておるのは、私はむしろたぐい少い事例だろうと思います。でございますから、自治庁といたしましても、合併市町村のそうした要望と申しますか、気持に沿うような施策というものを、今後なおやっていく必要があるとともに、ともかくも一つでも二つでもそうした不幸な事態があるとすれば、その不幸な事態を早く調整いたしまして、円満に納まる方策も当然にこれは考えていかなくちゃならぬ、そういう段階であるということは、これは率直に考えておるわけでございます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 この町村合併に対する合併市町村住民の感情については、どうもわれわれと自治庁はちょっと見解が違うようであります。ですから私はいろいろの事例を今後そろえまして、さらにどちらが正しいかということを、やはりある程度究明をしなければならぬと思う。われわれはきわめて大ざっぱに考えても、いろいろな報道機関なり、そういうものの結論をもってして、そういうような感じがするのでありますけれども、そういうように考えておらない。しかも建設計画の進捗していないということが、町村合併に対する批判原因ではないということまで言っておるのです。現に私があげた例でも建設計画が実行されておらないというので、この関係住民不満に思って分町運動を起しておる、こういうことが一つの例としてあるのですよ。こういう例はほかにたくさんあると思う。われわれが合併で表面に現われたごたごたがないところですらも、その住民に聞いてみると何もやってくれない。いろいろなうまいことを言っておったが、合併をしても何もやってくれない。またことに農村部についてはどうも事業都市中心であって、村の方には今までよりも教育費が減ったとか、いろいろなことを聞くのです。そういう悪い方の面しか聞いていない。ですから、この点については、あくまで行政部長はこの町村合併がうまく行っていないというニュースは一部であって、うまく行っていると、こういうふうにお考えであるかどうか、これは重ねてお伺いしておきたい。
  20. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私の申しましたのは、これは町村ができたけれども、建設計画がうまく行っておらぬ、もっとやるべしという要望は、これは全国的にある。これは率直に私もそう考えております。全国の新市町村市町村長さんの声を聞いたって、議長さんの声を聞いたつて、ことごとくそうでございます。これは私も認めます。ところがそれだからといって合併が全部ごたごただとか、失敗だったとかいうことには、私は必ずしもならないということを実は申し上げたのでございまして、私はこれは新市町村当局、並びに住民が新市町村建設計画がともかくもすみやかに実現できるように全部念願をしておる。このことは率直に認めるのでございまして、またそういう目的を達成せしめるように、あらゆる努力をすべきものであるということも率直に認めておるのでございます。しかしながら要するにこの町村建設計画に対する要望というものは、いわば町村におけるすべての内政というか、国の施策に対する、少くとも内政部門に対する要望とこれは見てよいのでありまして、学校整備、道路の整備土地改良整備、その他保健衛生、あらゆる面における需要は、ことごとく今国民全体が熱願しておる。これは内政上の問題でございまして、それをどう合理的に逐次実現していくかというところに、町村悩みもあれば国の悩みもあるだろうと私は思います。そういう問題が合併によって逆になったか、そこなわれたかあるいはむしろ推進されたかというところに問題があるのでございまして、もちろん十分とは言えませんが、合併によって逐次推進されていっておる、その方向をもっと強くやるようにしなくちゃいかぬという気持を、私は申し上げたのでございます。不幸にして自分の部落にすぐに道がつかぬから分村だというような今仰せられた事例は、それに類するようなことだろうと思いますが、そういう例ももちろん絶無じゃないと思いますが、それだからといって分村騒ぎになっておるようなところは、全体としてはきわめて少い事例だということを私は申し上げたのでございまして、そういうところでも合併後何もやっておらぬかといえば、仕事経営に新町村としてできる限りの力を注いでおる。ただ遺憾ながら全部の需要を一度に充足することができない、そういう深刻な悩みに悩んでおるということを申し上げたのでございます。その悩みはできるだけ解決するようにしなくちゃいかぬというのがわれわれの考えでございます。
  21. 北山愛郎

    北山委員 そういう気持だけを言われてもしようがないのです。膨大な建設計画に対して、促進法が約束をしているようなことを、実際面においては国の方の財政措置としては行われておらない。だから毎国会十分な措置をしろというような決議をあげておる。そのことを自治庁も認めておる。むしろ国会に対して決議をあげてくれというて、委員会に頼んでいるくらいなのです。だから現実には促進法に示されておるような、せっかく合併した町村が描いておる建設計画を実現させるための措置というものは、気持はともかく——小林さんの気持は疑いませんけれども、結果においてはちっとも実現されていない。花だけ見せてだんごを与えないのですから、これは不満が起ってくるのは当然なのです。その事実は認めるかというのです。自治庁は一生懸命やっているのだから、その気持を買ってくれというのじゃなくて——そんなことは当然のことでありますが、実際に当初作った一つ目標建設計画というものが、実現されないということに対する失望というものは大きいと思うのです。もしも建設計画というものがなくて、合併がなくて旧態依然としてあるならば、それはまたそれで悪い状態であったけれども黙っておったかもしらぬ。しかしこうすべきであるという計画を立てて、そして合併をしろというふうな一つ目標を与えながら、いわば寝た子を起しながら、これにおっぱいをやらないということだから、そういう結果になって、合併に対する不満不平が起きてきているという事実を、自治庁は率直に認めなければならぬと私は思う。その点についてどうでしょう。
  22. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今北山委員のおっしゃいましたような事実は、私も率直に認めておるところでございます。合併計画が十分に実現されておらぬのは事実でございまして、われわれは一日も早くできるだけ合理的に実現させるようにせぬといかぬという考えを持っております。そうだからといってすぐにできるかと言われると、それは国全体の財政力なりの大きな制約がございます。しかしながらそうしたものの要望をできるだけ充足させていく方向にいくことを考えていかなくてはならぬ、またそういう方向政府全体としても動くべきである、本年度の予算でも、もちろん十分ではございませんが、合併というものを前提にして、従来のそれぞれの事業経営の中で、合併優先的に扱うというだけでなしに、合併を表に出したような経費も、不十分ですが、それぞれ各省とっておるのも、政府のそうした方面に対する熱意の現われでございます。そういう事実を基礎にいたしまして、できるだけその問題を解決していきたいというのが気持でございます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 小林さんが何と言われたって、今年の地方債にしろ、一般事業債は三割くらい減っているという事実は隠すことはできないと思うのです。あなたがいかに熱意があろうとも、現実地方債ワクが減っているのです。三割減ったのです、それが結果としては現われてくるのです。しかもそういう予算措置あるいは財政的な措置を、町村合併についてあるいは一般地方団体の仕事について、施す熱意が後退しておるということは、今度お出しになった新市町村建設促進法の中に現われておるのでありまして、第五条を見ると、結局建設計画の推進ではなくてこれの調整なのです。組み直しをやらせる、いわば縮小をしようということなのです。調整という言葉が重点になっておる。それから支所、出張所の統合なり、あるいは小中学校の統合なりそういうことをやらして、そこから財源を生み出して建設計画をやるというねらいが強くなっておる。だから政府地方債などのワクを減らして、地方団体はもっぱら自前で自分の支所、出張所を廃止したり、あるいは首を切ったり、増税をしたり、そういうことで建設計画をやれるだけやれ、やれない分は調整をしろ、これが今度の建設促進法の主張じゃないですか。一つの柱ですよ、そうじゃないですか。
  24. 小林與三次

    小林(與)政府委員 建設計画調整をし、新市町村が新市町村の内部においてそれぞれの組織、運営を合理化させる。これは一つの柱だと言っても私は間違いじゃないと存じております。新市町村建設は、合併した以上は新市町村としての内部の組織、運営を合理化するということは、当然考えるべき問題でございまして、合理化すべきものは合理化して、その上に立って建設事業を積極的に推進していく、これはもちろん両方で行くべき次第だろうと存ずるのでございます。建設計画調整の問題も、建設計画にはいろいろ正直に申してございます。初めからきわめて着実に、堅実に作っているところもあれば、そうでなしに、ともかくもあらいざらい、先ほど北山委員もおっしゃいましたが、合併考えておらなければ黙っておったであろう、思いもつかなかったであろう、言わなかったであろうというような問題も、合併ということになればみな持ち出して、この仕事をやりたいという事例がきわめて多いのでございます。それでありますからよけいな、寝た子を起したことになるのじゃないかという見方ももちろんできると思います。しかしながら合併を基礎にして、いろいろな問題を積極的に解決していこうという住民の強い建設の意欲の現われとも見ることができるわけでございます。そういう意味の建設の意欲というものを実現するためには、しかし何といいましても、おのずから市町村財政にも限度があれば、府県、国の財政にも限度がある。その限度の中において、最も効率的に実現をはかっていかなくちゃいかぬのでありまして、これもまた当然の次第だろうと思うのです。そういう意味で、着実なる建設計画というものを必要な部面におきましては作りまして、着実な実施計画というものを基礎にして、国並びに府県援助というものを集中していこうじゃないかという考え方に立っておるのが、この建設計画調整でございまして、計画そのものを縮小するとかいう考え方は、われわれは持っておりません。その計画はあくまでも町村経営計画として立てて、それをいかに実現していくか、それがためには堅実な第一次五ヵ年計画と申しますか、そういう形で着実に型づけをしていく方法を考えなくてはならぬというのは、これは基本的な考え方でございます。
  25. 北山愛郎

    北山委員 とにかく国の方では起債ワクを減らしておるのです。そうしておいてこういう規定を設けておる。組織、運営の合理化に努め、これによって経費の節減をはかって、建設計画による事業財源を確保するようにしなければならぬとか、あるいは支所、出張所の廃止、その他いわゆる合理化の規定が非常に強く出ておるのです。そうして一方では地方債ワクを減らしているのですから、これはどう考えても、地方団体の責任においてやらせよう、こういうねらいであるということはお認めにならざるを得ないのではないか。とにかく地方債が、一般事業債が三割以上も減っておるでしょう。これは両方が——今国も財政の都合がある、地方もそうだというようなお話であるならば、少くとも町村合併をさせて、これを促進し、助成をするという基本方針なんですから、国の方でもできるだけの財源措置をそこに計上する、しかしそれでは不十分だから、地方団体も一つ機構運営の合理化をやって、そうしてこれをできるだけ事業の方に回せというなら、まだ話はわかる。ところがそうではない。逆なんです。この町村合併のあと始末の責任地方に転嫁している、そこに私は非常な不満があるのでありますが、この事実だけは小林さんといえども認めざるを得ないと思うのですが、どうですか。
  26. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは北山委員の見方が事実とは私の方は必ずしも考えておらないのでありまして、こういう法案を作って、建設計画調整あるいは新市町村の組織、運営の合理化ということを要求しておるのは、それはその通りでございます。しかしながら国の起債ワクが減ったというお話でございますが、これは起債政策そのものを全体的にどう考えるかという大きな問題にもからんでおるわけでございますが、われわれといたしましては、起債だけの問題でなしに、国全体の財政ワクの許す範囲内において、新市町村というものの建設中心に進めたい、これは変らない気持であり、またそういう方針でもあるわけでございます。そこで、まず国は押えておいて、市町村責任を転嫁するのだという考え方じゃなしに、これは両々相待っていくべきだ、こういう考え方でございます。これはやはり自治体の経営でありますから、自治体自体が自主的にやる、それは基本的な意気込みと態勢がなくちゃいかぬ、そういうものと、国、府県の協力というものが相融和して、自治体の経営が進めらるべしということを基本的に考えておることは事実でございます。そういう考え方でありまして、お前たちまず先にやっておれ、国はもう知らんぞという気持じゃないのでありまして、両々相待って国の援助、指導というものも強化していこうという考え方でございます。
  27. 北山愛郎

    北山委員 気持だけじゃどうにもならない。法律は気持だけでもいいかもしれません。だから、今度の建設促進法案は、文句だけはりっぱにできておるし、なかなかいい文句が書いてあります。だけれども、この骨になっているのはやはり五条以下で、地方団体の自主的な合理化によって経常経費を節約して、それを事業に振り向けろという基本的な方向が新しく出てきた。しかも私がお尋ねしたいのは、これが実行できるかどうかの問題なんです。それはなぜかといえば、合併市町村のおもなる団体は残念ながら赤字団体なんです。その赤字団体は、再建計画を作って、そうして今ここに書いてあるような組織、運営の合理化ということから生み出した経費は、赤字の補てんの方へ回ってしまうのです。事業の方へ回らないのです。建設計画である以上は、通常行うような事業以外に、さらにその地方住民が不便を感じておるような、おくれておるいろいろの文化的な公共施設というものを、この際どんどん拡充していくということでもって、初めて建設計画なんで、それができないのです。こういうことを要求通りにやって、そうして経費を節約しても、それは再建計画の方のいわゆる赤字の補てんの方へ回ってしまうということであれば、七年も八年もかけなくちゃならぬ。市町村は赤字の整理であって、建設計画の方には回らない。だから、こういう合理化というものを二様に使おうとしておる。再建の方にも使い、建設計画の方にも回そうという非常に太い考え自治庁にあると思う。そこらの関係は一体どう考えておるのですか。再建計画とそういうものとの関連は……。
  28. 小林與三次

    小林(與)政府委員 再建団体になるような赤字市町村が、合併市町村に相当数あるのはこれは間違いありません。大体市町村といえばほとんど合併市町村がだんだん数の上においては多くなるのでございますから、市町村の赤字団体といえば即新市町村の赤字団体ということも、これは当然言えるだろうと思います。だからそういう意味で、新市町村の赤字の出たものにつきましての赤字の整理対策は、これはもちろん考えていかなければなりません。しかしながらこの新市町村が再建計画を作る場合に、そんなら赤字の解消ばかりやって建設計画を全部ゼロにしていいかというと、そういうことはないのでございまして、赤字を整理しながら建設計画で必要なものは逐次やっていく、こういう前提建設、再建計画は通常立てられておるのであります。もちろんその意味で仕事の面がある程度の制約を受けることは当然でありますけれども、その範囲内においては再建計画の上においても建設計画というものはできるだけ重要視して、計画の許す限り見ていこうという考え方自治庁の方でもおりますし、府県の方でもそういうつもりで指導いたしておるわけでございます。ここに書いてありますこうした内部の組織、運営の合理化というものは、赤字の有無を問わず、それからまた簡単にいえば合併の有無を問わず、それぞれ当然に考えらるべき問題だろうと思います。ことに数ヵ町村が集まって合併をすれば、市町村がほんとうに一体的な運営をやるためには配慮すべき部面が多いのでありまして、不幸にして赤字のあるところはあるかもしれませんが、そういうものとも全然関係なく、当然新市町村としてはそういうことを考えて、新市町村の基礎を固めていくのが私は当然の次第じゃないかと考えるのでございます。
  29. 北山愛郎

    北山委員 それは小林さんの頭の中では別個の問題であるかもしれない。だけれども、末端に行くと同じことになるのですよ。これは結局赤字団体が再建計画を立てて、そうしていろいろ節約をやるということと、それから建設計画実施ということとは、団体については同じなんです。あなたの方は観念上別に分けてある。ただ観念で法律を作ってもらっては困るのです。実際に法律が実施された場合に、どのよな効果——あるいはいい効果、悪い効果を出すか、出きてくるか、こないかということは、実体とマッチしなければならぬのです。ところが、ただ理屈のつじつまが合っているというようなことだけでは、私どもは受け取れない。結局合併しても、大多数の赤字団体においては、再建計画を立てるその際に公共事業等については二割五分くらいは平年よりも減らさなければなりませんから、そうすれば、当然これは建設計画なんか実施できないですよ。そういう結果になるじゃないですか。しかも地方団体の事業というものは、何も市町村合併建設計画ができて初めていろいろな学校とか道路の事業が始まるのじゃなくて、合併がなくても、学校が古くなれば建てかえをしなければならぬし、またやっておったわけです。悪ければ直さなければならぬ、橋もかけなければならぬ。何も建設計画ができて初めて始められた事業ではないのです。だから、建設計画ができなかったもとの程度あるいはそれ以下にしかならないじゃないか。そういうことでは、結果としては建設計画というものは意味をなさぬじゃないか。特に赤字団体についてはそういう結果になると私は思うのですが、この点はそうじゃないのですか。
  30. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは赤字団体につきましては、赤字の整理、再建が至上命令でございますから、それが思うように仕事ができないということはやむを得ぬ次第でございます。これは合併の有無にかかわらず当然そういうことはあるわけでございまして、すみやかに財政の基礎を固めて、なお建設を進めようという形で、合併の有無にかかわらず事を考えざるを得ない。その点は当然そうだろうと思います。それでございますから、不幸にして赤字を多くかかえているものは、赤字の原因はいろいろありましょうが、災害などの特殊な場合もありますが、大ていは建設事業をやったさいの方が多いだろうと思います。いずれにせよ、そういうところでは直ちに赤字の上塗りになるような仕事はできにくいということは私もその通りだと思います。しかしながら再建団体になったからといって、建設計画が全部無視されストップされるかといえばそうではないのでございまして、再建計画上許される限りは建設計画もやっていく。そのスピードが落ちるということはその通りでございます。これはいなみも何もいたしません。
  31. 北山愛郎

    北山委員 私はかりに合併した市町村住民の立場に立って言うのです。合併をすればよくなるのだ、税金が安くなる、いろいろの事業もやってくれるのだということで、この合併促進されたということは事実なんです。それがどういう理由か知らぬけれども、できないような事態になっている。かりに私が住民だったら、町村合併住民として希望したものは、ほとんど裏切られておるという感じを持つと思う。そういう結果になるということだけは、小林さんも認めざるを得ないと思う。今のお話は、それは赤字団体は再建をするのが当然だし、そういう結果になるかもしれないとか、理屈だけです。説明だけではしようがない。われわれが町村合併促進をわざわざ立法をしてやったのは、合併をして地方行政面において、サービスの面においても、相当な躍進があるのだ、向上があるのだ、しかもいろいろな住民が願っておるような建設計画も進むのだというようなことで、少くとも議員としてもわれわれはそういうことを期待しつつあの立法をしたはずなんです。ところがいかなる事由によるにもせよ、結果としてはそれが完全にくずれ去っているという事実はどうも認めざるを得ないのです。ただ町村数が減った、数が減ったということなんです。一体町村数の減るところが政府のねらいだったのではないですか。それ以外住民がどうあろうともそんなことはおかまいなしというように、今までの小林さんの毎国会の答弁を聞いていると、そういうふうに聞えるのですが、どうですか。
  32. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私の答弁がそういうふうに聞えておったら、これは全く言いそこないか聞きそこないかどっちかだと思うのでございまして、私はそういうつもりで申し上げたことは、さらさらございません。あくまでも合併の目的は、町村行政の基礎を強化して、町村の自立発展を期そうというので、これは間違いありません。そこで合併の際には、合併をしたならば道も作ってやる、学校も直してやる、現地ではいろいろなそういったことを言ったこともあり得るに違いない。税金も安くなるということを言ったことも私はあり得るだろうと思います。これは個々町村の問題でありまして、そういうこともあり得ると思います。しかしながら税金の問題にしましても、税率の高いところと低いところとあれば、高いところなどは大てい調整されて低くなっているはずでございます。そのままのところは一応そのままの態勢になっておりますが、そういうところはバランスがとれるように全体の近隣の住民が均衡のとれた税を納めるようになるのでございますから、これもきわめて合併による一つの大きな効果だろうといわざるを得ないのであります。合併したから税率を上げたというようなことは合併のせいでは必ずしもない。そういうところはほとんどないと思いますが、この間をとるからバランスがとれるようになったということはあろうと思います。  もう一つ建設計画合併したらとたんに、住民需要している一切の建設事業が立ちどころにでき上るということは、もちろんありようがない話でございまして、一切の保健、衛生から文教、社会事業土地改良全部の仕事が、とたんにでき上ってしまうような事態は、もちろん国の力からいっても県の力からいっても、どんなに金持の県であろうと国であろうとできるはずはないと思います。しかしながらともかく従来の小さな町村ではやりようがない、やりにくい仕事についてはやる可能性が生じ、しかもそのやる可能性が逐次実現されていくということが、だんだんでき上りつつあるということは聞違いないのでございまして、私は合併の効果というものは、いわばそういうことを言うのでありまして、合併したために直ちにすべての施設がよくなるとは思いません。またそういうことは夢のような話でございます。しかしながら従来の町村のままではなかなかできにくかったことが、逐次できるようにしていくように国も府県も力を注いでいく、こういうところに合併の問題があるのであります。町村個々の問題については、ある程度の時間をかけながらながめていかなければならぬ。そんなに一切の問題が立ちどころに解決するくらいなら、毎年々々国会自身が予算をめぐって騒ぐ必要はないのでありまして、そこのところを御了承願っていく必要があるのではないか。しかし住民は思っておったようなことがすぐにできないという不平不満があることは事実だと思いますから、その不平不満を逐次合理的に調整していく必要があるのではないか、そういうのがわれわれの考えであります。またおそらく大半の市町村考えも、そういうところにあるのでありまして、そのために市町村としても一段の援助協力を願っている。そういうことを少しでも促進できる方策をわれわれも進めたい。そこで今度の法案というのも、もっぱらそういうことを進めるためのきっかけとして動かしていきたいというのでございます。
  33. 中井徳次郎

    ○中井委員 関連して。私はきょう資料をいただいただけでありますから、二、三日調べてあとでお尋ねしますが、今税金の問題で北山君から御質問があったので関連してお尋ねするのですが、合併したが一向にいいことがないというようなことが全国で言われております。それにはそれの理由があろうと思いますが、あなた方は、合併した町村でこういう点がいけないとか、あるいはこういう村においては、かくかくのごとくやって非常に成功しているとかいうような、そういう全国的な資料府県や何かにどんどん流しておりますか。私は町村合併を阻害しているものは新しい法律を出して、それによってやるというのではなく、これまでの合併の実績なるものを、あなた方が詳細にお調べになって、どんどん啓蒙宣伝の方に回すということがなければ、さっぱり行き詰まってそのままになると思う。そういう意味において、これまでそういう面の努力を、ほんとうに積極的になされておりますか。またそれが府県の段階においてとどまっているのではないかと思いますが、どうですか。
  34. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは中井委員のおっしゃいました通り、われわれとしても、抽象的な方針とか対策とかいうよりも、実物というか、現実の姿のモデルが一番適当だと思うのでありまして、そういう考え方で、優秀合併町村の事績を明らかにして表彰も行えば、そういういろいろなパンフレットその他流しもしております。個々府県においても、モデル市町村を作らせまして、そういうもののモデルをなるべく他の市町村に見せたいという気持でできるだけのことはやっております。ただその仕事も、こちらもごたごたしておりますから、なかなか百パーセント思うようには行っておりません。これはわれわれもやっております。それから市長会なり町村会あたりでも、それぞれの分野で御協力を願って、できるだけ。パブリック・リレーションというものを広範にやりたいと考えております。なお合併に伴う住民の世論調査のようなものも実施を願って、結果はまだはっきりしたものを見ておりませんが、そういうことで、できるだけのことはわれわれとしてもやりたいと思います。今までのところは、正直に申しまして、北山委員のおしかりの通りになるかもしれませんが、合併する方に忙しくて、あとのところには十分に手が回らなかったというのが、各府県においても実情だろうと思います。しかしそれぞれの府県でも、合併の目的が大半達したところは、去年あたりから、新市町村の実態調査を基礎にして、その運営を推進しようというので、手をつけておる県も次第にございます。そういう方向に本年度はぜひ強く行かなくてはいかぬ、こういう考えでおります。
  35. 中井徳次郎

    ○中井委員 行政部長は宣伝しておるというが、現実には宣伝しておらぬ。その証拠には、私どもは全国を歩きますと、至るところで町村合併についての質問を受けますが、その質問は依然として非常に素朴な質問です。原則的な質問が非常に多いのです。従ってこの町村合併問題については、中央並びに府県段階の指導がまだまだ手ぬるい。将来これをうんとやってもらいたい。一例をあげましょうか。あなた方は合併すると税金も安くなる、仕事もできるといったが、逆に税金が高くなったという苦情を、これはもう至るところで聞きます。私も実際高くなったと聞くから調べてみますと、現実に高くなっている。それは、小林君の直接の責任ではないが、町村合併のあの法律が出ましたのは一昨年でありましたか、そうしてそれと同じときに、自治庁が固定資産税の評価を二割三分ないし三割上げるというふうな行政措置をやりました。当時私どもは大いに憤慨をしたのであるが、法律としては百分の一・六を一・五にし、一・四にする、二年間でもって一割五分下げるといっておきながら、行政措置において二割三分ないし三割上げる。でありますから、合併する、せぬにかかわらず、全国一斉に、特に市町村は、税金を上げました。この説明さえついていない。従って住民は全部、あれは合併による増税だと、これは百人のうち九十五人まではそう了解しておる。これは私は当時の——あのときは塚田君だったが、私は塚田君の失政であろうと思うのですけれども、まあ済んだことは仕方がないから、せめてそういうものの解説だけでもやっておかぬことには、合併すれば金が要る——そんなことはむちゃくちゃじゃないですか。私は今税金の話が出ましたからお尋ねするが、あのことが今日町村合併を阻害していることははなはだしいと思う。そこで、そういう説明さえなされておらぬで、しかもまだ少々残っておるから、強制的にやってしまえということについては、僕たちは実は納得できないのです。この点だけを一つ申し上げて、せめてそんなことだけでもやっておきなさい。どうして税金が上ったか、これは合併しない町村でも上っておる、こういうことだけでも言うておかぬことには、これが私は合併の一番大きな障害だと思う。  それから、今まだ合併していない町村というものは、全国でどのくらいありますか。
  36. 小林與三次

    小林(與)政府委員 県の計画では千九百——合併町村に関する資料がお配りしてございますが、一番下に未合併町村が千九百という数字が四月一日現在で出ております。
  37. 中井徳次郎

    ○中井委員 その千九百のうちで、資料にあるだろうと思うが、住民の意思によってどうしても合併しにくいというものよりも、むしろ私は指導に誤まりがあった、それを強引に押しつけるから、どうもうまくいかない——さっきの話に戻るが、あなた方の指導が——しかしこれは責任は中央にはないと思う。私は府県だと思うが、府県段階における指導が非常に軽率であって、そうしてがんばってしまって、その方の住民の意思をてんと聞かぬというようなことが、こじれた根本原因である。そうして首脳部だけに話をして、首脳部は県庁の顔色をうかがいながらやってしまった。ところが住民は聞かない。よく考えてみると住民の方がどうも正しいのだ。そういう面が非常に多いのであって、ちっとも法律にどうこう——法律に欠陥があるとすれば、予算の範囲内と書いてあるものだから、みな金を出さないということだけであって、あとは全く行政指導において非常な欠陥がある。それを九月三十日を控えて今顔を洗い直して新しい考え方で行ったならば、案外すくすくと行くというような村が相当にあるのではないかと思うのであります。そこでこの千九百ある中で、ほんとうに指導に欠陥のあるものが、どれくらいと考えておられるか。あるいは住民の感情の対立で、もうとっても動きがつかぬというものがどれくらいあるか。その辺のところを概略わかっておれば、ちょっとお聞かせ願いたい。
  38. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはごもっともでありまして、われわれの指導の至らぬところは、なお注意いたしますが、この未合併町村における合併が困難な事由というものを、お配りいたしました資料の十ページに——これも一般的な数字は、必ずしも今の千九百とぴたりと合っておりませんが、一応分析して書いてございます。大体この新市町村の名称とか、役場等についての意見が分れておるもの、あるいは指導者に対する住民の不信、住民の感情的な対立、それから財政的に非常にアンバランスであるということ、それからどこと合併するかということについて意見が合わぬ、いま一つは自分で是が非でも独立していこうという意見がある、その他というように一応分析して書いてあります。これはこの分け方にもいろいろ議論があろうと思いますが、大体の傾向だけはうかがえると思います。もっともこの中には相当ダブっておるところもあろうかと思いますが、その点はお含み置きの上ごらん願いたいと思います。
  39. 中井徳次郎

    ○中井委員 関連ですからこれでやめますが、もっと迫力を持って指導をやってもらいたい。それからその地区には地区の特殊事情があります。特にこのことは私は申し上げておきたいのだが、関西地方では問題はほとんど表に出ずに片づいて、出ずにはおりますが、例の部落の問題があります。この問題が合併に関連して非常に手間がかかる。そういうものを強制的にやってもいけないのであって、これはかかって熱心なる啓蒙宣伝にまたねばならぬ。中央の予算その他で、それがなければそれは大いにがんばって、それをつけていく。われわれも野党といえどもお手伝いをしますから……。そのことと、それからこれまでの状況を見ておると、中央も、特に地方においては苦情承わりどころになっておって逃げて歩いておる。そうして時の知事その他のスタッフも欲を出しました。この欲がちょうど小選挙区法案のちょっと十分の一くらいの欲なんでしょうけれども、その欲がやはりひっかかってきて何とも動きがとれない。そんな欲は県会の選挙が済んだり何かしまして、どんどん情勢が変っておるのだから、それを洗い直してあっさりと行けばいいというふうなことが、いまだに非常な障害になっております。奈良県等においては特にひどいのではないかと、実は推察をしておるのであります。そこでそういう面については、中央における指導も十分二枚腰で、やはりやってもらわなければならぬ。問題はその点にあって、何も法律をどうこうというのではない。予算の問題と行政技術の問題、これを法律で逃げていこうというのは卑怯であって、逃げたってできるものではありません。私はその限界を、きょうは一つ意見として申し上げておきますが、本日はこの程度にしておきます。
  40. 北山愛郎

    北山委員 先ほど小林君は、そんな効果のない法律なら何も国会が騒いでやるはずはないというようなお話だったのですが、国会が一生懸命騒いで審議をしたからといって、これは効果のある法律とは限っておらない。しかも今中井君が言われた通りで、今までの町村合併促進法というものが、その法律自体からいえば、その法律の中にはそう悪いものも持っておらない。問題はそれを運営してきた政府の側に、やはりあると思うのです。たとえばあの促進法が出ると、すぐに政府町村合併の基本計画、三年計画を作ったでしょう。あんなものは法律の中にも何にもないのですよ。ああいうふうにして何千町村というような計画を作ってしまった。それからもう一つは、合併にものさしがないということなのです。どの程度に合併をしたら、最も合理的であるかという基準を政府府県も持っておらない。だから紛争が起きてきたときにこうすればいいのだという裁断が下せないでしょう。そういうふうな基本的な準備を欠いた指導をしておる。そうしておいて、ただ町村の数を減らすということだけに専念した無理な計画を作って強行しつつ、しかも財政的な裏づけは国会の再々の要望にもかかわらず、一向にやってくれない。こういうことになっておるのですから、これは法律が悪いのじゃない。法律は運用次第ではよかったのです。だが両三年の経過を見ておると、残念ながら政府行政指導が非常にまずかったために、全国民の不満を買った。われわれは法案の賛成者として非常に責任を感じておる。だから今や反省の時期ではないかというふうに思っているのです。法律が悪いのかあるいは行政指導が悪いのか、その点をはっきりしてもらいたい。
  41. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私は法律が悪いとは少しも思っておりません。非常にりっぱな法律を作っていただいたから、これだけ合併ができたのだと考えております。ただ法律の運用等につきましては、われわれとして至らぬところを、先ほど中井委員がいろいろおっしゃいましたが、そういうところはあったろうと思います。その点は、これだけの大事業をやるのでございまして、われわれといたしましても、できるだけ慎重に考えたのでございます。合併の三年計画を作るのが行き過ぎだというようなお考えもございましょうが、ああした時限法ができますれば、合併の一応のめどを明らかにすることは必要じゃないかということで、政府が決定をしたわけでございますし、なお合併の指導方針と申しますか、指導要領のようなものも町村合併推進本部にかけてきめておるのでありまして、不十分であるというおしかりは重々受けなければなりませんが、われわれとしても実はできるだけのことはやって参ったのであります。なお足らぬところは一そう努力いたします。  それから基本的には財政的な裏づけが不十分だったということは事実でございます。その点はわれわれとしても率直に認めるのでございまして、不十分ではあるが、全くそのかいもなかったかということはもちろん言えませんけれども、不十分であったことは間違いないのであります。その点はもっと充実する必要があろう、そういうふうに考えております。
  42. 北山愛郎

    北山委員 今日は時間が過ぎておりますからこの程度にいたしますが、自治庁気持は私はわからぬわけじゃないので、この町村合併に伴う必要な予算は十分取りたかったに違いない。それが、いろいろな国の大きな政策なり、あるいは財政の関係で取れなかったというのが実情じゃないかと思うのです。従って、諸条件を考えて、今後町村合併について、どの程度の財政的な裏づけというか援助をやり得るかということを基本にして、この町村合併の今後の方針を立てていかなければならぬ。小林さんが言うように、ただ法律の筋が通っていく、理屈がつくというだけでは、ほんとうの行政にはならない。それでは昔の、強権的にものを持っていこう、そして実態を無理にもそれに当てはめていこうというような不合理の政治になってしまうので、政府としては今後町村合併に対して、財政的な関係においてどれだけのものがやり得るかということとの関連において、考えていかなければならぬし、われわれとしても、そういうことを考えた場合においては、今までの町村合併を振り返ってみて、この新市町村建設促進法案のように、今までの惰性を強行するような考え方にはどうしてもなり得ない。そこで、それらの点につきましては、資料もいただきましたから、よくこれは調べて、さらにお伺いをしたいと思います。
  43. 小林與三次

    小林(與)政府委員 さっき数字の御質問がありましたので、その点だけを御報告申し上げておきます。合併計画建設事業費総額事業費別の内訳を申し上げますと、役場費——これは庁舎の建築費だろうと思いますが二百八億、消防費百二十八億、土木費九百九十一億、教育費八百六十一億、社会及び労働施設費四百九十四億、保健衛生費五百十八億、産業経済費六百七十億、財産費十二億。  なおこれについての財源内訳でございますが、こういう数字が一応出ております。三十年度から三十五年度までの中で、総事業費三千四百九十二億という数字を基礎にして出したものですが、国庫が八百七十五億、地方債が千二百二十五億、府県負担が二百七十二億、自己負担が千百二十億、これは計画上の数字だけを御参考に申し上げておきます。
  44. 大矢省三

    大矢委員長 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしておきます。次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時四十八分散会