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1956-05-22 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 大矢省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       徳田與吉郎君    灘尾 弘吉言       堀内 一雄君    山崎  巖君       加賀田 進君    川村 継義君       五島 虎雄君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   角田礼次郎君         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 五月十七日  委員有馬輝武君辞任につき、その補欠として西  村彰一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十五日  発電税創設反対に関する請願中村梅吉君紹  介)(第二二四八号)  国有鉄道等に対する固定資産税課税に関する請  願(八木一郎君外三名紹介)(第二二八〇号)  信用金庫に対する市民税等課税に関する請願(  八木一郎君外三名紹介)(第二二八一号)  町村合併に伴う借入金を長期債に借換えの請願  (八木一郎君外三名紹介)(第二二八二号)  たばこ販売業に対する事業税撤廃に関する請願  (大矢省三紹介)(第二二八三号)  地方債証券公庫設置請願八木一郎君外三名  紹介)(第二二八九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  町村合併に伴う負債持込額国庫補助等に関する  陳情書(第七四  三号)  地方債金利引下げに関する陳情書  (第七四四号)  保土ヶ谷緑地撤廃に関する陳情書  (第七五〇号)  地方税制改革に関する陳情書  (第七六三号)  法定外普通税創設に関する陳情書  (第七七〇号)  補助事業早期決定等に関する陳情書  (第七七一号)  府県営発電事業用施設に対する固定資産税課税  反対に関する陳情書  (第七七三号)  積雪寒冷地帯の不均衡是正に関する陳情書  (第七七七号)  新市町村建設促進法制定促進に関する陳情書  外一件  (第七八七号)  地方自治法の一部を改正する法律案の一部修正  に関する陳情書外一件  (第七八八  号)  地方税法の一部改正に関する陳情書  (第七八九号)  地方自治法の一部を改正する法律等制定促進に  関する陳情書(第七  九〇号)  県債元金及び利子の償還期限延長に関する陳情  書(第七九二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四七号)(参議院送付)  市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四六号)     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案及び市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 町村職員恩給組合法につきましては、主要なる点の質疑が大体終ったのでありますが、締めくくりというような意味でお伺いしておきたいのは、恩給組合に対する市町村負担金が、給与額の千分の百十五でございますか、一割以上も市町村負担をしなければならぬということでございまして、地方財政の貧困の折柄大きな負担であるという点と、それから三十年、五十年というふうな非常に長期の計画のもとに保険数理に基いて積立金をしていくというために、そういうふうな大きな負担金が出るのでございますが、その負担金を引き下げなきゃならぬというような御意見が、当委員会においても支配的であるというふうに考えられます。そこで、これを引き下げるということになりますと、どういう方法でやるということになるか、これについて自治庁のお考えを承わっておきたいのであります。
  4. 早川崇

    早川政府委員 町村負担金が千分の百十五というのは、御指摘のように、私も高率に過ぎる、かように考えておりまするが、同時に、この恩給会計の内容を検討いたしまして、この町村負担金をどの程度まで引き下げられるかどうかということを検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 市町村恩給組合に対する負担金というものを引き下げるというのでございますが、これは現在の恩給組合法あるいはその他の法規上、自治庁としては行政指導なり何なりでおやりになるという根拠ですね、どういうふうな根拠でおやりになるか。これは組合ですから、大体においては組合の自主的な運営にまかしておるわけでございます。そこでわれわれは自治庁に対してこれを期待するのでありますけれども自治庁が何らの根拠なくこれを組合にやれと言ってもやれるものかどうか、何らかの根拠があるかどうか、これを伺っておきたいのであります。
  6. 早川崇

    早川政府委員 ただいまの問題につきましては、町村職員恩給組合法の第三条第二項に、「自治庁は、前項の事項に関し模範規約例を定め、町村職員恩給組合に示すことができる。」こういう規定がございます。この規定によりまして指導することができる、かように考えておる次第であります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 それでその規定に従って今後おやりになるという場合に、時期的にいえば大体いつごろからやることが可能になるか、それもついでに承わっておきたいと思います。
  8. 早川崇

    早川政府委員 この計算は少くとも数カ月を要するという事務当局の判断でございますので、数カ月経た後におきまして具体的なお答えができる、かように考えておる次第でございます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 次に共済組合の方でございますが、共済組合については、健康保険の方の改正関連をいたしまして改正された部分があるわけであります。たとえば組合員から一部負担金を取るというようなことでございますが、その共済組合における一部負担金というのは、やはり健康保険の方に準じてこれをおやりになる、大体同様にやらなければならぬということになりますでしょうか。
  10. 角田礼次郎

    角田説明員 ただいま御質問の趣旨の通りでございますが、今度の共済組合法改正におきましては、健康保険の例にならって、組合員にその費用の一部を負担させるという方式をとっておるわけであります。それでどういうやり方でとるか、あるいはその金額はいかほどになるかという点につきましては、これは健康保険法規定をそのまま使うということに、右へならえをするという書き方になっておりますので、そういう点は全部健康保険にならうわけであります。ただ一つ違っております点は、共済組合の場合は、一部負担金を取ることによって、余裕財源を生じた場合には、その余裕財源の範囲内で一部負担金を再び払い戻しをする、そのほかそれに準じた措置をとることができるというふうになっております。その点は健康保険とやや違った取扱いができるようになっております。
  11. 北山愛郎

    北山委員 この健康保険法の方の改正に伴って、それに準じた取扱いをするというのでありますが、大体現在問題になっている健康保険の方の改正に準じてやったとした場合に、共済組合の方の経理上においてはどういう影響が出てくるのか、これについて算定しているものでもございますればそれを承わっておきたい。それが余裕が出るか出ないかというようなことは、やはりそういうふうな一応の見込み、そういうものを基礎として考えられてくる、こう思いますので、そういう今問題になっている健康保険法改正で、一部負担金方法によったならば、どの程度共済組合経理影響があるのであるか、これの計算でもあれば一つ承わっておきたいのです。
  12. 角田礼次郎

    角田説明員 御承知のように、共済組合は実は昨年発足したばかりでございまして、療養の給付実績についても十分の実績がございません。従いまして、そういう実績をもとといたしまして、どの程度組合財政影響が一部負担金の実施に伴ってできるかということを推定することは、技術的に非常に困難な事情があるわけでございます。ただ一応私どものところで推定いたしましたところによりますと、これも健康保険の場合の一部負担金の額か、また最終的にきまっているわけではございませんが、すでに衆議院で修正されました案を基礎として考えますと、市町村職員共済組合全体で五千万円程度の一部負担金が出てくるということになるんじゃないかと思います。これがどの程度余裕財源として出てくるかということになるわけでありますが、これは正確に申しますと、市町村職員共済組合は四十五あります。共済組合がそれぞれ独立の各府県ごと組合になっております。今申し上げた数字は全体で五千万円という数字でございますが、各組合はそれぞれ独立財政をやっておりますから、各組合ごとに実は余裕財源というか、あるいはそういう計算をしなければならないわけであります。その点は現在の段階ではまだわからないわけであります。一応全体としては五千万円くらいの一部負担金の徴収、これに伴う余裕財源というものが出てくる。各組合の中には赤字の組合もございますし、黒字の組合もございますし、それぞれ財政的な基礎が違っておりますので、組合ごとには正確な数字というものはわからない次第でございます。
  13. 北山愛郎

    北山委員 われわれ今度の共済組合法改正についての資料をいただいておりますが、それを拝見しますと、掛金負担金の率でございますが、各県によって非常に違いがあるわけであります。組合員負担金についても非常に安いところ、たとえば千分の二十一というような安いところもあれば、千分の四十五というような非常に二倍以上も開きがあるところもあるわけです。それから市町村の方の負担金の率につきましても、相当な高低があるのです。これも低いところでは千分の四十台、高いところでは千分の七十というように、非常に食い違いがあるわけであります。こういうふうなことは、各府県によって事情が違うとは言うものの、これでもってやはり平均した共済組合事業というものが行えるものかどうか、まことにアンバランスというものが相当大きいので、ちょっとふしぎに考えるのですが、これらの点について御説明をいただきたいのであります。
  14. 角田礼次郎

    角田説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、各組合はそれぞれ独立でやっておるわけであります。従いまして、当然地域的に、あるいは職員構成その他の点で、病気になる率も違うわけでございます。従いまして、そういう意味では短期給付をやっていく上に、どれだけ財源として掛金なり負担金なりをとるかというその総額数字につきましては、これは各共済組合ごとに変るのは当然だろうと思います。資料で申し上げますと、大体千分の七一十台から千分の百ぐらいまでにわたっておりますが、そういう事情から、当然違ってくるわけであります。  なおそのほかに、組合によっては法定給付以外に附加給付を経過的に法律上認められておりますので、そういう附加給付を若干やるために、多少必要な金額が要るわけであります。そういう点も多少の違いが出てくる原因になっておるわけであります。  それからその総額のうちで、組合員市町村負担金の配分につきましては、法律の上では均分負担、これは政府管掌健康保険あるいは国家公務員共済組合等も、そういう原則をとっておるわけでありますか、組合員市町村均分負担ということに法律上はなっております。ただ現在の市町村共済組合は、この市町村共済組合に切りかえますまでは、健康保険組合を作っておったものがございます。その健康保険組合当時に多少市町村の方の負担が多いように、健康保険組合できめていたものがございます。そういうものにつきましては、これまた経過的に若干市町村負担が多いということを法律上認めております。そういう関係で、組合によりましては、市町村負担職員負担よりも、少し多いところの組合があるわけであります。
  15. 北山愛郎

    北山委員 今のお話の中で問題になるのは、いろいろな点があるのですが、均分負担ということで、組合員市町村団体側が同じような負担をするというのが、原則だというお話でありますが、実際には大体組合員市町村が同じ率でやっておるところと、大体団体の方が倍くらいを負担しておるところと、極端な場合には三倍、愛知県のごときは組合員の方が千分の二十一で、市町村の方が千分の六十三ですから、ちょうど三倍になるわけですが、そういうふうに非常な食い違いがあるわけです。これはやはり附加給付とか、そういうふうな事情によるのか、あるいはこういうふうに各県ごとに、地方ごとに、負担割合が食い違っておるということが適当であるかどうか、将来はこれはどうしたらいいものであるか、こういう点について承わりたい。  それからもう一つは、やはり市町村負担か、それにいたしましても、多いところで千分の七十ぐらいはあるようてあります。七十以上のところもある。そうなると、恩給組合の方で千分の百十五でありますから、給与の二割に近いものを、恩給組合共済組合負担今立として市町村が計上しなければならぬ。これはやはり広い意味における給与費でありますから、その負担相当に重いのじゃないかと思うのです。恩給組合についても同じでありますが、地方公務員に対するこれらの制度につきまして、国としてはこれをどういうふうに扱ったらいいか、やはり国の方でも地方公務員に国の事務相当程度に負わしておるのでありますから、国の方にも責任があるのじゃないかと思うのでありますが、この共済組合あるいは恩給組合について、国の方である程度補助金なり何なりを考えるべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、これらの点について伺いたいのであります。
  16. 角田礼次郎

    角田説明員 市町村負担が非常に多いというお話でございますが、先ほど多少説明が不足いたしましたけれども共済組合法附則の二十九項という規定がございまして、この規定によりますと、法律原則としては均分負担である。ただ従来健康保険組合を組織していたものが切りかわったものについては、健康保険組合当時に市町村職員より高率の負担をしていたのを急激に変えますと、職員負担が急激にふえるという点も考慮いたしまして、その附則の二十九項で、昭和三十四年十二月三十一日までの間は従来の健康保険組合割合によって市町村の万が多少多々負担することを認めておるわけです。昨年以来発足いたしまして、大体今までの例で言いますと、漸次市町村割合職員割合均分負担に近づけつつあるというのが、各組合の実情でございます。三十四年十二月三十一日までに漸次そういうふうに持っていって、そうしてこの割合を変えていく、なるべく市町村負担を減らしていくという考え方をとっておるわけであります。  それから先ほどの一部負担金の問題に関連いたしますが、一部負担金をとりまして、これを直接組合員払い戻しをするということも認められております。また組合員に払い戻さないで、それだけ余裕財源があるならば、全体として掛金なり負担金の率を下げろというふうな手段も、法律上認められることになっております。そういう方法を通じまして、できるだけ負担金市町村負担を減らしたいというふうに私どもとしては考えております。また事実そういう指導を今日までいたしております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 それから長期給付の場合ですね。退職年金、これは勤続年限が二十年以上でなければならぬのですが、これはたしか恩給の方は十七年だったと思いますが、やはり職員としては同じような条件にあると思いますが、これは十七年にすることはできないのでしょうか。それから五十才以上にならなければ、やはり実際に支給されない。いわゆる若年停止というか、五十才が若年かどうかわかりませんが、停年制などを考えましても、もう少し動続年限期間を縮めるというようなことも考慮さるべきではないだろうか。少くとも一般恩給該当者と同じような条件にできないものかどうか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  18. 角田礼次郎

    角田説明員 市町村共済組合長期給付条件は、国家公務員共済組合と全く同じであるわけであります。共済組合としてはそういう意味におきましては統一されておるわけであります。ただ御指摘のように恩給は十七年であり、共済組合は二十年であるという点において、恩給制度との間には若干のそごがございます。この点は前会の議論にも出ておりましたが、恩給制度というものと共済組合長期給付制度というものを、将来は統一すべきものであろうというふうに私どもとしても考えておるわけであります。ただこれは単に地方公務員恩給共済長期給付制度のみならず、国家公務員を含めました問題でもありますし、同時にまた厚生年金保険やそのほかの社会保険制度全体にもわたる問題であります。今直ちに市町村共済組合だけを二十年を十七年にするという点は、いろいろむずかしい問題があるのではないかと考える次第であります。ただ給付条件において、二十年、十七年というような点におきましては、共済組合は多少不利な点もございますが、年限によりましては、恩給は幾ら勤めておっても割合ふえないけれども共済組合の方は割合長く勤めていると、金額がかなり有利になるというような点もございまして、一概に十七年、二十年という期間だけでは、共済組合が直ちに不利というふうには言い切れないものがあります。ただ全体として率直に申しまして、共済組合の方は恩給よりは若干不利に取り扱われていることは事実でございます。そういう点は今度の共済組合法改正におきましても、たとえば退職一時金を受けて一たん退職したものが再就職いたします、そして前後の在職期間を合算いたしまして二十年になった場合には、年金に切りかえてやるというような改正をいたしております。この点は従来恩給制度では認あられておりましたが、共済組合長期給付においては認められておらなかった制度でございます。そういう点は今度の改正法案の中でもできるだけ恩給の方へ、いい方へ近づけるというような点を考えております。一歩々々恩給共済との長期給付をそろえるという点につきましては、大体そういう方向に進んでおるわけでございます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 ここで地方公務員関連した問題として、ちょっとお伺いしておきたいのですが、例の都道府県等に勤務する国費職員府県保険課あるいは労政、労働省関係職員あるいは陸運事務所というような職員は、国費職員として、職場は県の中にありますけれども身分の方は地方事務官というような格好になっておりまして、給与その他いろいろな待遇上、府県地方公務員一般職員と比べて非常に不利な状態にある。そこでこれらの職員の方では、やはり府県職員にしてもらいたいというような要望が長い間あるようでありますが、これについて自治庁としてはどのようなお考えでおるかを承わっておきたい。
  20. 角田礼次郎

    角田説明員 御指摘のように現在府県には若干の国家公務員が残っておるわけでございます。これは地方自治法施行当時に都道府県の官吏を、原則としては全部都道府県吏員つまり地方公務員身分を切りかえたのでございますが、社会保険関係のものあるいは職業安定法関係のもの、そのほかいろいろなものにつきまして、国家公務員のまま残したわけでございます。しかし、だんだんこれも整理されて参りまして、現在残っておりまするのは、社会保険関係職員職業安定法関係職員、さらに道路運送関係職員、この三種類に減って参っております。これらの国家公務員につきましては、単に給与その他の待遇の問題におきまして、地方公務員との間にいろいろ差が出てくるというだけの問題でなくて、およそ都道府県行政組織として、こういういわばち、一つ異例のものを認めていくということが、地方行政組織の上で果して適当かどうかという根本の問題があろうと思います。地方自治法においてこういう職員存在を認めました理由は、それぞれ自治法施行当時にはあったと思いますが、地方自治法自体考え方としても、これは暫定的なものである、法律の上では「当分の間、」ということになっておりますが、そういう考え方をとっているわけであります。そういう意味におきまして、この地方行政組織全体の上から見て、こういうものの存在を認めることが、果して行政をやっていく上において適当かどうかという観点から、まずこの問題を処理していきたいと、自治庁としては考えておる次第であります。現実の問題につきましては、給与等国家公務員としての給与を受けるわけでございまして、各府県によりまして——早い話が、富裕な府県に配属されている者と、必ずしもそうでない府県に配属されている者とは、一概にこれらの職員が非常に地方公務員よりも恵まれているとか、あるいは恵まれていないとかいうことは断定できないのじゃないかと思いますが、いずれにしても、同じ府県庁の中に、公務員制度、の上からいって、基礎の違った給与その他の待遇を受ける職員が、現実に机を並べて勤務しているということは、確かに待遇問題その他を処理する上に、決して好ましい姿ではないと思います。そういった点をいろいろ考えまして、私どもとしては今後こういうものをいつまで存続させるべきか、あるいはどういうふうに持っていくかという問題について、研究をいたしたいと考えております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 しかしこの問題は、今のお話ではございますが、自治庁としては一応原則的な方向としてはさまっておったのじゃないかと私は思うのです。要するに、地方に対する国のいわゆる出先機関をできるだけ整理して、そして府県なら府県の方へこれを委譲しろ、従ってそれを担当する職員についても同様だと思うのですが、そういう建前で今までやってきた。ただこれらの今残っている数千名の人たちが、一応当分の間認められたということにすぎないのであって、やはり原則としてはできるものならば、府県なら府県職員にこれを移管すべきだ、こういうふうな原則だけは、少くとも自治庁に関する限りはさまっておるのじゃないか。今のお話のようであれば、何かその原則行政組織等関連において、さらに検討しなければならぬということでありますが、われわれとしては今のお話は、ちょっと自治庁のお気持が変ったのじゃないかというふうに思われて、受け取りがたいのでありますが、どうでございますか。
  22. 角田礼次郎

    角田説明員 私どもとしては、こういう異例存在ということを先ほど申し上げましたが、異例存在原則的になくなすという気持は、少しも変っておりません。地方自治法施行当時から、そういう気持で今日まで来ておるわけであります。ただ単に給与の問題の面からだけじゃなくて、行政組織の面から検討すべきじゃないかという点を、実は申し上げたにすぎないのでございます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 行政組織の面からいっても、今残っておる社会保険にしても、あるいは職業安定所等関係あるいは陸運事務所にしても、この程度のものは別段保留しておく理由が乏しいのじゃないかと私は思うのです。根本的な国と府県との関係が確立をしなければ、この問題は解決をしないというのではなくて、やはりこれはこれとして改正をしてやっていっても差しつかえないのじゃないか、こう思うのであって、それが支障があるというのは、どこに支障があるのか自治庁としては関係労働省なりあるいは運輸省なり、そういうところへ交渉なさって、向うが反対しているとか、そういう事情にあるものかどうか。今まで、当分の間という異例措置をなくすることについて、自治庁がどのような御努力をなさったのであるか、これを承わりたいのです。
  24. 角田礼次郎

    角田説明員 この問題は非常に古い時代からの問題でございまして、私どもとしては絶えずこういうものを廃止して地方公務員に切りかえるということについて、各省といろいろ具体的に交渉したこともございます。非常に古い話を申し上げますが、地方公務員法を立案したころに、地方公務員法の附則でこの地方自治法規定を削りまして、こういう国家公務員を全部なくなしてしまおうということも試みたことがございます。当時いろいろ各省の反対もありまして、そのことは結局できなかったわけでございますが、それ以来出先機関の整理の問題とからみまして、一貫した方針として出先機関を整理する。これは直接各省の出先機関を整理すると同時に、こういうものも、出先機関ほど府県から離れた存在ではございませんが、やはり府県庁の中で異質の存在でございますから、そういうものを漸次なくなすという方向においては、私ども別に変っていないつもりであります。ただ国と府県との関係をどうするかというような問題ともからみまして、地方制度調査会あたりでも、いろいろ御議論があったようにも承わっておりますが、そういった点もいろいろ考えまして、私どもとしてはこれをできるだけ早い機会に、解決をいたしたいというふうに考えております。
  25. 北山愛郎

    北山委員 それではこの問題につきましては、既定の原則に基いて、一つすみやかにこういうふうな異例の状態を解消するように御努力を願いたい、これを要望いたします。  それから最後に共済組合の問題の中で、いわゆる共済組合法組合といいますか、法外の団体、いわゆる適用外の市町村団体があるわけでありますが、これも数からいえば二百八十幾つ、数は少いのですが、組合職員数からいえば十七万六千というように、大体この適用組合組合員数の約半分を占めているのであります。それでこの組合につきましては、共済組合法によるいろいろな恩典も受けておらないようなところもある。そこでこれは将来どういうふうにしていったらいいか、こういうふうな適用外の団体が、職員の数からすれば半分もあるというような状態は、やはり変則であろうと思うのでありますが、こういうものはどういうふうにしていくつもりであるか。また性質としては両者とも同じような仕事をするのでありまして、違いはないと思うのであります。従って共済組合法の適用は受けておらないけれども、しかし実質上は同じような効果を、これらの団体に及ぼすべきではないか。こういう点について自治庁はどういうふうにお考えでございますか。
  26. 早川崇

    早川政府委員 今の御質問の解決には、私は二つあると思うのでございます。適用外の市町村を、組合法適用の方に持っていくということと、またいろいろな面で、たとえば給付に対する非課税とか、そういった面において適用外が適用されるところと同様に準じていこう、こういう方向に持っていく。これはそれぞれ市町村の実情に応じて決定すべきものでございまして、自治庁といたしましてはそういった二つの方向で目的を達したいと、かように考えている次第でございます。
  27. 大矢省三

    大矢委員長 川村継義君。
  28. 川村継義

    ○川村(継)委員 私も簡単に一つお聞きしておきたいと思いますが、恩給組合の一部改正について、第四条関係の福祉事業の問題については、これまでの審議で、あるいはわが党の中井委員北山委員等からいろいろ論議されたようでありますが、結局恩給組合のあり方からして、このように事業を拡大するということはどうかというような意見が述べられておったように記憶いたしております。その中で、当然組合員の福祉ということを考えていく考え方は、あながち否定さるべきものではないと思いますけれども、この四条の三の一項に「職員の保健、保養又は教養に資する施設の経営」というのがありまして、これは規約で定めるということになっているようでありますが、規約で定めるといたしましても、ある点自治庁がやはり指導の手を差し伸べられるのじゃないかと、こう思うのですが、一体この職員の保健、保養または教養に関する施設ということになりますると、具体的にどういうような腹案があるのか、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 角田礼次郎

    角田説明員 各組合におきまして、現実にこういう事業を行います場合には、それぞれ組合規約で具体的にそういうものを定めることに相なるわけでございます。現に都道府県職員につきましては、地方職員共済組合というものがございまして、これと全く同じ法文の基礎に基きまして、いろいろ保健、保養または教養に資する施設の経営をやっておるのでございます。その地方職員共済組合でやっております例をかりて申し上げれば、大体市町村共済組合につきましては同じようなことが考えられると存ずるのでありますが、たとえば常備薬を配布するとか、健康診断をするとか、それから海の家とか山の家とかいったようなものを、みずから設置する場合もございましょうし、あるいは借り入れて多少料金などを割引して使わしてやるというようなものもございます。それから運動会を開催するとか、巡回文庫を設けるとか、そういう比較的簡単なものから、あるいは病院や診療所を経営するというようなもの、さらに、これは条文で申しますと二号に書いてあります「職員の利用に供する財産の取得、管理又は貸付」というものと関連して参るわけでありますが、住宅を作るとか、あるいは宿泊施設を作るとかいうものを、現在地方職員共済組合でやっております。従いまして市町村共済組合につきましても、一応そういう範囲のものが考えられるということになろうかと思います。
  30. 川村継義

    ○川村(継)委員 ただいまお話の海の家とか山の家とかそのような季節的な事業から、あるいは病院を作るとか宿泊所を作るとか、そういう常設的な経営をやるということですが、それでは現在市町村共済組合の方では、そういうことをやっておらぬのですか、やっておるとなると、どういう面を実際やっておりますか、そこのところをちょっとお聞かせ願いたい。
  31. 角田礼次郎

    角田説明員 市町村共済組合では、御承知のようにいわゆる健康保険相当する短期給付と、それから恩給相当する長期給付というものと二つやっているわけであります。それで長期給付の方につきましては、共済組合は発足後まだ非常に日が浅いわけでございます。従って、現在問題になっております恩給組合のように十分な積立金というものがございませんので、共済組合の方では長期給付積立金を利用したこういう施設の経営というようなものは、まだやっておりません。ただ、短期給付の方で若干金が余れば、これはそういう保健関係に回すということも法律上認められております。従いまして、現在市町村職員共済組合で若干福祉事業をやっておりますのは、いずれも短期給付関係の剰余金でやっているものばかりでございますが、その例といたしましては、恩給組合法の四条の三の一号、二号に相当するものとしましては保健経理、医療経理、宿泊経理。保健経理というのは先ほど申しました海の家とか山の家の経営だとか、運動会を開催するとか、薬を配布するとかいうものであります。医療経理は病院を経営する、宿泊経理は宿泊所を経営するということでございますが、そういうものの実情を申し上げますと、保健経理は二十一組合やっております。医療経理は五組合、宿泊経理は八組合やっております。大体そういう現状でございます。
  32. 川村継義

    ○川村(継)委員 私の聞き方が間違っておりましたらまた御訂正を願いたいと思いますが、共済組合の方である程度そういう福祉的な共済的な仕事をやっておられる。ところが、これはまだ発足日浅いので十分なことができないので、恩給組合からの力を借りなければならぬというような考え方が出てきておる、こういうふうにも聞き取れたわけなんですが、ただこの恩給組合と申しますと、これはやはりどうしても組合員退職金であるとか恩給支払いであるとか、そういうものが中心になって経理されるものだとわれわれは考えておるわけです。そこで恩給組合の方には金がある、余裕があるから、結局こういう福祉事業を起して共済組合と一体となって運営させるから、それだけ組合の福祉に貢献するだろうという考え方が成り立つかもしれませんけれども、その考え方は、私たちの経験からしても何か危険な気持があるのです。そのような福祉事業というものは、できるならばやはり共済組合考えて遂行していくべきものであって、恩給組合に金があるからというので、そちらの方に仕事を拡大するということはどうかと考えられるわけです。しかもたくさん資料をいただきましたように、これは長い保険の組合方式によってやっていかれるということになりますと、なおさらそういう危惧の念を持たざるを得なくなります。  そこで次にもう一点お尋ねいたしますが、大臣の提案理由説明の中に「恩給組合は、健全な保険数理基礎といたしまして、将来の給付に充てまするため相当額の責任準備金を積み立てなければならないのでありますが、これが運用の一方法として、職員の福祉を増進するため、一定の福祉事業を行うことができる」というような説明がしてございますね。その中で今の、私が尋ねましたまたあなたの御説明関連いたしますが、恩給組合に金があるから、余裕金が多いから、このまま寝せておっても困るからという、それだけの理由で、こういう福祉事業をやってもよろしいという提案をなさっておるのか。金があり余っているからということのほかに、何かもう少し根拠のあるお考えがあって提案なさっておられるのか、その辺のところを、もう少しはっまり御説明いただけませんか。
  33. 角田礼次郎

    角田説明員 共済組合に金がない、恩給組合に金があるから恩給組合に福祉事業をやらせるというような考え方では実はないのでございまして、私どもといたしましては恩給組合共済組合両々相待って職員の福祉事業をやってもらいたいという気持で、今度の改正案の中にも、四条の三の二項にはそういう趣旨のものを書いておりますし、また別途提案しております市町村共済組合法の改正案の中にも、そういう趣旨を入れております。従いまして両々相待ってやってほしい、お互いに矛盾そごがないようにやってほしいという気持であります。ただ現実市町村共済組合の方はまだ発足当初だから、それだけに回す積立金がないということを申し上げたわけでございます。それから恩給組合自体の問題といたしまして、それでは金があるから福祉事業をやらせるのだということではないかという御質問でございますが、これは実は逆でございまして、私どもといたしましては恩給組合はいわゆる健全な保険数理に基きまして、必要額を積み立てるという方式をとっているわけでございます。  恩給の支払いに必要な財源をどういうふうにして調達するかということにつきましては、いろいろな方法があろうかと思います。たとえば国の恩給のように、毎年必要額を予算に計上して、そして必要な額をそのまま払ってしまう、これは原則として一銭も残らないわけでございます。それからこの恩給組合のように、平準保険料方式と申しますか、将来の給付を一応予定いたしまして、現在の負担と将来の負担とを平準化するという意味におきまして、相当額を現在から徴収しておる、そしてそれを積み立てる方式もあるわけでございます。そういう方式のいずれがいいかということにつきましては、いろいろ議論があろうかと思いますが、恩給制度自体の基礎を将来にわたって確実にしておくという意味から、その点に限って申せば、現在の恩給組合制度の方が、はるかに理論的には正しいわけでございます。むろんどの程度負担を現在するかという点については、いろいろ問題もあろうと思いますが、ともかくそういう積立方式というのは、健全な恩給制度としては、当然とるべき制度ではないかと思います。現に国家公務員恩給につきまして、人事院がいろいろ新しい退職年令、法を勧告しておりますが、そういう退職年金法の考え方も、ある程度の積立方式を採用する、現在の国の恩給のような予算方式はとらない、人事院でも将来の退職年金方式としては積立方、武をとるべきだというようなことを言っておるような次第でございます。恩給組合はそれをすでに昭和十八年以来やっておるわけで、そういう意味では非常に進歩した制度であるということが言えるのじゃないかと思います。それでかりにどれだけの額を積み立てるかは別といたしまして、一定額を積み立てると、うことになりますと、その間この積み立てについては運用によって利子というものも相当出てくるわけでございます。現在の計算ではこれを五分に回せばいいというふうに財源計算をしておるわけであります。しかし五分というのは経済界の変動によっていろいろ考え方が違うと思いますが、少くとも従来は五分以上に十分楽に回せたわけでございます。そういった点ににおいて五分に回せば将来の恩給の支給に絶対不安がないという非常にかたい見方をしておるわけでありますから、それ以上に回せば相当余裕が出てくるわけでございます。その余裕金が出てきた場合に、これを負担金の軽減とかいう方向に回していくというのが確かに一つ方法であり、同時にそういう七分にも八分にも回せるものなら、それのうちの一部をこういう福祉施設に投資しても、因心給の支給そのものの基礎を脅かすようなことにはならないと思います。同時に恩給組合は今後複式簿記を採用して会計経理をやっていくわけでありますが、現金をかりに払い出しても、病院なら病院になりまして、それが不動産の資産として残るわけでございます。決してこの金は使いっぱなしでなくなってしまうということはないわけであります。そういう意味では銀行に金を預けて七分なり八分に回すと同じように、そういう不動産に投資していくということは、一面からいえば、また財産を保全していく方法であるとも言えると思います。従いまして資産管理の一方法として、そういうものを銀行なり貸付信託なり、社債に投資するということと同じような意味において、若干職員の福祉の方へ振り向けるということは、恩給基礎を脅かさない範囲であれば許されるのじゃないか、かたがたこの金は町村あるいは職員自体が出した金でございます。従って結局はそういうものを職員の利益に多少とも還元するという方法も当然考えられるのじゃないか、それは必ずしも恩給というものと矛盾するものではない、こういう考え方から今回福祉事業恩給組合もやることができるようにしたのでございます。決して金が余って困るから福祉事業をやらせるのだというような考え方ではございません。
  34. 川村継義

    ○川村(継)委員 お話はよくわかりました。しかし、どうもまだ恩給組合のあり方ということから考えてみますと、どうしてもそのまま賛成できない気持が一ぱいなんです。今あなたがおっしゃった最後の方の言葉に、たとえば病院なら病院を経営するとそれだけ資産として残るからということがありまして、私言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、たとえば病院にかりに一千万なら一千万投資して、いわゆる福祉事業を経営していく。経営していくにはそれだけの大きな経営費というものが要るし、その投資は、資産が三十年後にそのままの形で残るということも、われわれしろうとからしてもちょっと考えられない。またあなたの説明の中にも、恩給組合の資産というものを確実にしておく、こういうような考え方から出発しているのだという御説明もあるのですが、この確実にしておくという御説明について、やはり納得ができないものがあるわけです。その一つの例を申し上げますと、戦前の話なんです。私たちの関係いたしておりました団体で、学校の教職員を包含したものですが、大学あるいは高等学校、小、中学校などが、お互いに助け合おうというので互助会というものを作った。当時の職員の俸給の平均といったら月額五十円程度でしょうね。五十円を平均月額と見て、六十円取る人もおりますし、四十何円取るというような、あるいは四十円以下の俸給生活者もおるわけですね。それが月々みな平等に二円ずつ負担した。この二円ということになりますと、平均五十円といたしましても四%になりますね。相当負担率なんです。こういうような大きな負担を毎月やりまして、そしてお互いに助け合うという互助会というものを作った。県からも幾分の補助をもらった。それで結局これが瓦解するまでには約二十七、八年かかったと思います。これも設立いたしました当初から約十七、八年、二十年近くの間は、この組合の規約に該当した人は実に大きな恩典を受けた。退職すれば退職金を出す、あるいは績立金について複利をもって幾らの払い戻しをするということで、当時作った人たち、それから十七、八年の間の人々は実に大きな恩恵を受けてやってきた。ところが今のように、互助会の金がある、これをそのまま銀行に預けておいても結局おかしいではないか、うんと運転して利用して確実にした方がいい、あるいはふくらませた方がいいというような考え方に立ちまして、それから宿泊所を作ってみたり、あるいは組合員の福祉という名目で、自転車とか洋服とか、いわゆる薬品、こういうような面の購入、販売という面に手をつけていったのです。当初はよかったのです。ところがこれが年月を経るに従って、そういう方面に突っ込んだ金が、結局経理が悪かったということなど、あるいは経済の変動等の原因によりまして、終戦当時になりまして私がその仕事を引き受けたときには、これは驚くべき大きな赤字を出しておったというようなことを経験しているわけですね。これはもう実に大きな赤字を背負い込んで、これを整理しなければならぬというときに、もう二十年なり二十五年なり三十年なりかけた人にも一銭の払い戻しもできない。もちろん退蔵金とかなんとかいう規約にあるようなものは全然できなくなったということを、三十年足らずの戦前の仕事について経験を持っているわけです。そのことをいろいろ考えてみて、今私のお尋ねいたしているように、現在は恩給組合というものは相当余裕金もあるだろう、そこで共済組合と一体に福祉事業をやらせる、それが組合員の仕合せだ、福祉増進だとお考えでありましょうけれども、そういうふうに恩給組合のあり方、本質的な考え方ということから手を広げまして、福祉事業だといって、やれ病院を作ってみたりあるいは宿泊所を作ってみたり、そういうことになっていきますと、当初しばらくは組合員に非常にいい便宜を与えるかもしれないけれども、それが二十年なりその上の結果においては、恩給組合法そのものに大きなマイナスを来たすようなことになりはしないか。それよりも、そういうことでなくていわゆる堅実にする意味においては、もう少し考えなければならぬ方法もあるのではないか。特にだんだん論議されましたように、市町村負担率が非常に高いということであれば、これはやはり政府とされましても、今日の地方財政の状況からして、市町村負担率を幾分でも下げてやるというようなことに重点を置いてお考えなさった方が妥当じゃなかったろうかということなどを考え合せてみますと、あなたの御説明よくわかりますけれども、そういうような疑問点あるいは疑義というものが、のいていかないということなのです。そういう点についてもう少し一つ次官からでもよろしゅうございますから、御意見をお聞かせおき願いたいと思います。
  35. 早川崇

    早川政府委員 ただいまの互助会の問題、まことにわれわれとしては参考になるのでございまするが、互助会が本来の目的以外の福祉事業をやったのは手放しでやれたわけでございます。このたびの恩給組合なり共済組合なりの事業は、そういう危険のある状態にまで福祉事業が拡張されるということになりますると、政令で制限ができるようになっておるのでございまして、私といたしましてもたとえば教職員組合なり、あるいは都道府県職員共済組合その他が、あるいは寮を作ったりやっておるそれ自体は、確かに福祉としての目的を達しておりまするが、これも限界がございまして、お説のような結果にならないように、本来の目的を主体といたしまして——これは程度問題だとわれわれは考えております。そういう点を考慮いたしまして、自治庁といたしましては必要以上のものをやって、本来の目的を失わないように指導いたしたい、かように考えておるのでございます。
  36. 川村継義

    ○川村(継)委員 私の考え方からすると、そういう福祉事業というのは、共済組合の運営をなるたけ健全に大きく持っていって、そこでやらせていくというのが、本質的な考え方じゃないかというような気持があるわけです。今次官から政令等によってそういうことにならないようにやっていきたいということでありますが、実際この法案が通っていきますと、決してそういう状態にならないように、これは政府が責任を持って指導の手を加えてもらわなければ、とんでもないことになるのじゃないかということをおそれるわけです。  なお今の問題につきまして同じ提案理由の中に市町村共済組合と共同して行う、一体的になってやるというような意味のことを言っておられますし、共済組合法改正の中にもそういうようなことがうたってある。ところが実際面として共済組合恩給組合経理の上から、たとえば病院なら病院を経営する場合に、そういう面はどういうふうになっているのですか。私事務的なことはよくわかりませんが、この際御説明いただければと思います。
  37. 角田礼次郎

    角田説明員 共同して行う等、総合的に福祉事業が行われるように努めなければならないと書いてございまして、いろいろな形態が考えられると思います。また福祉事業もいろいろな形態がございますので、その間どんな方法があるかということは、非常に多くの方法があると思いますが、ごく簡単な例として申し上げれば、市町村職員一つ府県で非常に分布しているわけでございます。従いましてかりに海の家なり山の家なりを作るとしても、共済組合だけでは県内に一カ所しか、しかもそれを東の力の端にしか作れないというようなことでは、西の方の市町村職員現実に利用できないというようなこともあるわけでございます。そういうときには市町村共済組合は東の方へ一つ作ろう、恩給組合の方は西の方へ作ろう、この場合には経営などは全然別個なもので、ただお互いにそういう場所などを協定し合う、また利用料金その他一切お互いに一緒にしょうじやなしか、お互いに同じ市町村職員なのですから、そういう点をやるというのも「共同して行う等」の「等」に入るというふうに考えております。  それから最も共同した形態としては、一カ所に規模としてはかりに二千万円の病院がほしい、しかし現在共済組合としては資産の管理上出せる金は一千万円しかないという場合に、恩給組合の方で一千万円出す、こういうふうにしてお互いに出し合って病院の病棟を二つ作って、それを両方で協定を結んで共同して経営していくという方式も考えられるわけです。現にこのような方式は府県一般職員共済組合だとか、あるいは警察の共済組合などの間にも、実際上採用しているところもございます。従ってそういったところの経験なども勘案して参りまして、実際に共同方式をやる必要のある場合はやると思いますが、経理そのものはあくまで別の組合でございますから、そういう点ははっきり別にしていかなければならないと思います。なお先ほどちょっと申し落しましたが、病院などを経営して参ります場合に、共済組合では病院の建設費を長期給付積立金から借りてきて建てるわけでございます。その借りた場合には必ず所定の利子を返すという建前にしております。同時に減価償却も必ずやっております。そういう減価償却なり利子というものを、十分見込んだ上の独立採算をやることにいたしております。従いまして互助会などとは違って、そういう点は一応政令で、はっきりできることにいたしておりますから、減価償却なり利子というものをしっかり見ていけは、互助会の場合のように、そうめちゃくちゃな経理に陥るということはないと思います。従いましてそういう点から恩給組合共済組合が、病院なり、宿泊施設をお互いに共同経営する場合も、経理の面でははっきりそれを表わしまして、経理の上で紛糾を来すことがないようにいたしたいと考えております。
  38. 川村継義

    ○川村(継)委員 今の問題は実際問題としては実に大きな問題になるおそれを持つわけなのですが、お話の共同してやるというような場合に、東の方に共済組合が海の家を作った、西に恩給組合で作る、これは一応了解できます。そういうふうに独立していると、恩給組合共済組合は全然別個の団体ですから、経理上いろいろ支障を来たすことはないと思う。ところがあとの例からいうと、どうも政府委員説明は甘いのじゃないかと私は思うのです。これは今私の頭の中に浮んできたことで的確な意見になるかどうかわかりませんが、たとえば共同の病院なら病院を経営する、これはあなたがおっしゃるように、初めからちゃんと計画を立ててやっていけば問題はないと、一応お考えになると思いますけれども共済組合でもさっき御説明があったようにまだ非常に日が浅いので、金の面からいっても十分じゃない、恩給組合の方は相当順調にいっている。そうなると病院なら病院を経営していく場合に、必ず恩給組合の方に多くおんぶされていく結果が逐次出てくる、そういうことも当然予想されてくる。そうなりますと、さっき私が言ったような恩給組合に対する問題が、その辺からも出てくるということなどがあると思うのです、それから独立採算はもう当然のことでありまして、そう考えなければならぬと思いますけれども、今特殊の公務員の共済組合というものがいろいろなものを運営している。ところが御承知だと思いますが、われわれの知る範囲内においても、独立採算でびっしりいっているところはそう数は多くないのじゃないか。それは寮の経営にしましても、あるいは病院の経営にしましても相当の赤字を出しつつあるということがほんとうじゃないかと思うのです。そういうことを考えていったら、独立採算、独立採算と言いましても、なかなか、これはときに応じて変化いたしますから、そう初めから甘く考えて出発したら、またつまづきのもとになるのじゃないかということなども考えられるわけです。この点につきましては、この法案が通って出発するとなると、自治庁としても十分指導してもらわなければとんでもない結果に陥っていくということを考えるわけです。その点はいろいろ他の例をあげて論議していきますと、今の御答弁では非常に問題が出てくると思いますけれども一つよく御研究おき願いたいと思うのです。  それからもう一つの問題としては、この恩給組合の会計面では今度は複式簿記をとるようになっておるようです。今までは単式でやってきたのですね。これが発足するのは十月ですか、そうなりますと、本年の中途において切りかえなければならない。おそらく単式というのは、いろいろ問題が多いから会計を正確にするためには、複式がよろしいということをお考えになっておると思います。特に福祉事業等の広範な事業を経営していくことになりますと、どうせ単式ではいけないということなどをお考えになっておると思うのですが、それはそれといたしまして、十月の年度途中で単式から複式に切りかえるということについて混乱は起らぬのでしょうか。私ども事務的なことはよくわかりませんが、その点を心配するのですがどうでしょうか。
  39. 角田礼次郎

    角田説明員 混乱が起るかということでございますが、これは私どもとしてはそういう点立案に当りましていろいろ検討いたしたのでございますが、経過措置としていろいろそういう場合の混乱が起らないような措置を政令で定めて、そういう事態が起らないようにいたしたいというふうに考えておりますが、今の大体の私ども考え方といたしましては、本年は一応九月三十日までの決算を行いまして、その後十月一日からの新しいこの法律による事業計画書を作成いたしまして、そして新しい方式に切りかえるわけでございます。そこで年度の途中で決算をやるということが、非常に大へんかどうかという問題が一つあろうかと思いますが、従来恩給組合は結局恩給の支給だけをやっておるわけであります。あとは負担金掛金が毎月あるいは三ヵ月に一回入ってくるというだけでございます。従っていわゆる事業らしい事業は全然やっておりませんから、そういう意味では決算と申しましてもそれほど大しためんどうな決算というものではないと思います。従いましてこれを本年の年度の途中で行いましても、それほど非常にむずかしいようには私ども考えられないのじゃないかと思います。それからまた新しい事業計画書を作成いたしまして、十月一日から複式に切りかえるわけでありますが、これも現実の問題といたしまして、本年直ちに福祉事業をやるというようなことは、おそらく各組合考えておらないと思います。私どもとしても、先ほど来御議論にあるようなお気持というものは、十分尊重して参りたいと思います。本年直ちに福祉事業を始めるというようことは考えておりません。そういたしますと、事業の内容といたしましては、従来やっておったものを少くとも本年はそのままやっていくわけでございます。従って事業計画書としていろいろ新しいものをきめまして、新しい複式簿記の方法によるといたしましても、結局事業内容は非常に簡単でございますから、そういう意味から申しますと、それほどむずかしくないのじゃないかと思います。共済組合などはいわゆる短期給付をやっております。短期給付というのは組合員が医者にかかれ、ば、毎日金がかかるということで、非常に給付件数が多いわけでございますが、恩給はそう毎日人がやめるわけでもございませんし、年金になりますと支給時期というものは、一年に四回とかいうふうに限られておりますから、金の出し入れとかいうことも、共済組合の場合に比較しますと簡単だろうと思います。そういう意味から申しますと、年度の途中で切りかえてもこの混乱は起るおそれはない、同時にこの法律がかりに成立いたしましても、まだ数ヵ月の余裕はございます。この余裕期間内にそれぞれの恩給組合で、職員の訓練も行うことと思いますし、また私どももそういう点については、この法律が成立した暁におきましては十分に考慮いたしまして、指導をいたしたいと考えております。また現在の市町村共済組合と町村の恩給組合は、現実に少なくとも組合長だとか事務局長などのうえの方は兼任しておるというのが事実でございます。職員は別でございますが、上の方は兼任している例もございまして、そういう複式簿記のやり方について、全然無知識であるとも考えられませんし、そういった点いろいろ考え合せますと、この程度余裕期間がございますれば、年度の途中で切りかえましても、さして混乱はないであろうということを私どもとしては考えております。なお御指摘のような点は確かに一応考えられるわけでございますので、私どもとしましては、そういう点について今後十分留意いたしまして、遺憾のないように指導をいたして参りたいと考えております。
  40. 川村継義

    ○川村(継)委員 その点は今のお答えでわかったわけですが、会計の問題でございますから、ぜひ一つ混乱が起らないように、十分に指導していただきたいと思います。でき得ることなら政令等で複式に正式に切りかえるのは、来年の四月なら四月、年度がわりとかいうようなことで、できたらそういう方法をとってもらいたい。一つ十分期間を与えて共済組合恩給組合の会計が混乱を生じないようにしていただきたいと思います。  委員長にちょっとお尋ねいたしますが、この恩給組合関係は、きようで質疑は終了になるのでございますか。時間もありませんので、一応私は終りたいと思います。
  41. 大矢省三

    大矢委員長 大体きょう終える方針です。それでは中井君。
  42. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと一、二点だけ伺いたいと思います。さっきの御答弁の中で福祉施設のようなものについて、共済組合法の中でやれるというので今やっておる。その内容は長期給付の方はまだ金があまりたくさん集まらないので、おもに短期給付の経費でやっておるというふうな御説明でしたが、そういうふうに了解していいのですか。——そういうことになると、ちょっと私は筋が違うように思うのです。短期給付の金が余っているなら、これはやはり率を下げるという方向に行かねばならぬ。その点は長期給付のものでありますと、固定資産的なものを置きまして、それで十分収支を考えて——先ほど川村さんから非常にいい御意見があったと思うのですが、そういう点十分審議をされていくということで、いいのでありますが、短期給付で金が余ったというようなことは、私は根本的には筋が間違っていると思う。それはやはり負担金職員側も市町村側も低くしていく、こういうふうに努力すべきものであろうと思うのだが、どうですか。
  43. 角田礼次郎

    角田説明員 これは御指摘のようなお考えにつきましては、実はそういう考え方に十分首肯できるものを実は感じておるのであります。現在の共済組合におきましては、短期給付の率をきめます場合に、若干の保健施設へ回す必要額というものを、率の中に初めから組み入れまして、そしてそれを負担金掛金としてとっていくという方式をとっておるわけであります。これは健康保険の場合にも、健康保険組合におきましては、附加給付と称しまして、本来の医療給付以外に、若干そういうものに必要な金をとりまして、そして附加給付をやっていくということが認められておる。共済組合におきましても、そういう方式を現在とっております。これは全体の率から言いますと、実はわずかな金でございます。しかしながら金額としては、場合によってはある程度まとまってくるということも出てくるわけです。大きな組合あたりになりますと、そういうことができるわけであります。先ほど私金が短期給付で余っているからということを申し上げましたが、これは実は不正確でございまして、そういう保健施設に回せるものを初めから予定しまして、実は負担金掛金をとっているわけであります。ところが組合によっては、そういうものを医療給付の方で食いつぶされる。しかし組合によってはそれが医療給付の方で食いつぶされない。そこで余ってくるわけでございます。そういったものは負担金掛金の減少に振り向けるべきことが、確かに御指摘のように考えられると思いますが、その余り方の問題であろうと思います。非常に余ってくれば、当然負担金掛金に振り向けて、減少の方に振り向けるべきだと思いますが、まだそこまでに至らない場合で、しかもある程度金額のまとまった場合には、福祉施設に振り向けるということであろうと思います。
  44. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の御答弁で半分わかったわけだが、しかし筋として少しおかしいと思うのです。そういうふうに初めから社会福祉的なものに回す金を予定をしておるのならば、それはやはり長期給付の方で、私は予定すべきものであろうと思うわどうですか、この点は、私の言っていることは間違いだと思わないのですが、長期給付の方に回して、それでもってやるべきであると思いますが、そういう点について、将来改正をしていくというようなお考えはないですか。これはちょっと、今すぐの答弁でなくてもいいですが、筋違いです。あなた方はちょっと軽卒におやりになっておる。  もう一点お尋ねしたいのですが、この経理は、今度複式簿記になる。今の御説明では十月一日からなるということですが、これについては私どもはこの政府の案は必ずしも悪くないと考えておりますが、現実の問題としては、過去数十年間この事業に当っておる人たちは、全部どうも官庁会計でもって育った人たちであって、複式簿記について、企業会計について、ほとんど無経験の人が多い。従ってこれは非常に大きな動揺を来たしておるのではないかと思いますから、その経過措置といいますか、そういう点について政府はどのような指導をする意思であるか。これは非常に甘く考えておってはいけないように思うので、具体的な指導策というものがあれば、一つこの際承わっておきたい、かように思います。
  45. 角田礼次郎

    角田説明員 これは市町村共済組の方でも、この組合ができます場合に、従来は健康保険の当時には、全部単式簿記でやっていた人たちが長い間仕事をしていたわけであります。しかしながら共済組合になりまして、それが複式簿記に切りかわったわけでございまして、大体そういう人たちが、共済組合法ができたあと、現実施行されるまでの間に、いろいろ勉強していただきまして、私の方でも講習会をいたしましたし、また町村会あたりでもいろいろ講習会などやりまして、中共でやるばかりでなく、地方のブロックごとにやったり、それぞれの本人もまたいろいろ勉強されまして、現在のように市町村共済組合は複式簿記を採用して、そういう事務的な面からいって何ら支障のないようになっているわけであります。恩給組合の場合にも、確かに従来長い間単式簿記をやっておられた方にとっては、新しい複式簿記について非常な危惧の念を持たれるという気持は、私ども十分わかっております。そこでそういった点につきましては、この法律が成立しましたあと数カ月の余裕期間がございますので、この間に共済組合の場合に行いましたと同じような方法によりまして、そういう点遺憾のないように私どもとしても指導をして参りたい。また恩給組合連合会の方でも、そういう組織を通じて、おそらく私どもと協力して、そういった点十分に切りかえの措置の場合に混乱がないように連絡をとって、していただけるものと私ども考えております。
  46. 大矢省三

    大矢委員長 五島君。
  47. 五島虎雄

    ○五島委員 ただいま審議しております二法案には関係がございませんが、よろしいですか。——早川政務次官並びに行政課長がちょうど来ておられますので、その見解を一点明らかにしておいてもらいたいと思うのです。実は労働基準法で産前産後の休暇が認められており、そして条例等で実施されているところで、昇給制度関連しまして、この産前産後の休暇をとった婦人の職員に対しては、一括して昇給をストップするというようなことが行われる地方団体に対して、労働基準法に照し合せて、それが果して妥当であると解釈されるかどうかという問題を、ここに明らかにしておいてもらいたいと思います。
  48. 角田礼次郎

    角田説明員 産前産後の休暇は、お話のように労働基準法上認められているわけであります。一方昇給制度につきましては、これは法律の上で別にどうということはございませんが、具体的に各地方団体給与条例で昇給に関する規定を設けているわけでございます。しかもその給与条例におきまして、各昇給期にどういうものを昇給させるかということにつきましては、おそらく給与条例には予算の範囲内でということがございますから、予算の範囲内でまず考えなければならないと思います。それから勤務成績の良好な者に対しては、昇給することができるというような規定になっていると思いますから、そういう勤務成績がいいかどうかというような判断もされることと思います。またそのほかのいろいろな昇給させる者と昇給させない者との区別をする基準というものは、おそらく地方団体では知事その他の任命権者が、それぞれ適当な基準を設けてやっていることと考えられるわけであります。法律上もそういう建前になっていると思います。従いまして昇給基準といたしまして、一定の期間内に産前産後の休暇をとった者を昇給させる方に入れるかあるいは入れないか、またその休暇を何日とったら、それを休暇として扱うかというような問題につきましては、今申し上げたようにその団体の昇給予算の問題あるいは昇給させる人数の問題、それから単に産前産後の休暇をとった者だけの問題でなくして、ほかの職員との均衡、そのほかそういういろんな点を総合的に考慮して、きめるべき問題であろうと思います。そういった点は私ども一々実情を存じませんので、お答えいたしかねますが、総合的な考慮の上で、産前産後の休暇というものを御指摘のように昇給にからませることが、適当かどうかということを判断しなければならないと思います。
  49. 五島虎雄

    ○五島委員 総合的な問題で昇給にからませるということは、説明の通りだろうと思うわけですが、私が聞いている問題は、静岡県の県庁の職員に今回実施されるというような具体的な問題について聞いているわけで、行政課長もこの問題については知っておられるだろうと思うわけです。そこでたとえば勤務成績の問題にいたしましても、個々の勤務成績はそれぞれ差異はあるだろうと思います。それで勤務成績あるいは予算の範囲内——そうして次の機会には予算の許す範囲内において、何人を昇給せしめるというようなきまりがあろうと思うわけです。しかしながら労働基準法で認めておるところの、母性を保護する立場に、溶いて、労働基準法で産前産後の休暇を与えることが衛生上適当であるというようにきめられた問題が、それをとったからといって、直ちにその次の昇給にはとったもの全部に昇給ストップするというような、労働基準法の精神をあまりに無視した通達というようなものについての自治庁の判断はどうですか。ただ単に総合的な問題から、産前産後の休暇をとった婦人のA、Bの人に対する昇給は停止するというようなことならば、個々の実状に照らしてその人に昇給しない場合があり得るかもしれません。しかし成績が非常にいい婦人もあるでしょうし、成績がいい婦人に対しても一括して、とったものには昇給ストップするというようなことはあまりに行き過ぎであろうと解釈されますが、行政課長あるいは早川政務次官は行き過ぎであるというような判断はしておられませんか。
  50. 角田礼次郎

    角田説明員 確かに産前産後の休暇というものを基準法上認めておりますから、その基準法上認めています休暇をとったことが直接かつ当然に、また著しく他の一般職員との均衡において不利に扱われる。これは基準法の精神というものを無視したと言わざるを得ないと思います。というのは、基準法では一応産前産後の休暇をとることができるというわけで、とってもとらなくてもそれは個人の自由でございますが、そのとることを裏の方から現実的に非常に妨げるような制度というものは、これは基準法自体の違反ということには法律上ならないと思いますが、そのほかの点において精神というものを汲まない、産前産後の休暇をとることを、非常に現実に不可能にするというようなことは、これはやはり御指摘のように問題であろうと思います。ただ静岡県の場合は、私もいろいろ耳にした点はございますが、やはり他の一般職員との均衡という点も考えざるを得ない。産前産後の休暇をとった人もいるしとらない人もいる。他の一般職員が一日も休まないで勤務していた。たまたま休暇をとった者がいる。そこ一で限られた予算の範囲内で、限られた人間だけを昇給させようとする場合に、優先順位という点において、多少あと回しにされたという程度であるならば、これは直ちに、基準法の精神を著しく逸脱しているということは言えないじゃないか。しかし産前産後の休暇をとったことが、常に他の職員と非常に不均衡に不利に扱うというようなことであるならば、これは御指摘のように違法でないにしても、不適当じゃないかというふうに私どもとしては考える。
  51. 五島虎雄

    ○五島委員 産前産後の休暇をとらない婦人があるとお思いになりますか。それは規定上六週間とか何とかを完全にとったか、あるいは非常に安産をして、そのぎりぎり一ぱいの休暇をとらなくても勤務に差しつかえないと思った人が、やはり寝て安静にしているよりも、仕事を少々した方が健康のためによいんだと自分で判断をしたとき、ぶらぶらと出てきたりして仕事についたというような特例はあるでしょうけれども、労働基準法は母体を保護するために、次の二世を健康に育てるためにというような、国家の将来の大方針に基いたところの休暇制度であろうと思うわけです。それが少々ばかり無理をして勤務をしたからというて、お互いの均衡上完全に休んだ人なんかに、昇給をストップするというようなことが地方団体の各所でやられる。労働基準法の精神というものは、そういう具体的な事実の中からくずれ去っていく、そうして健康に育たなければならない日本国民の将来を阻害するものだ、しからば日本の将来の阻害をするものは地方団体である、こういうように結論をつけることも可能であろうと思う。従ってそういうような個々の問題等々を、この産前産後の休暇の問題に関連をさして考え、そうしてそれを実施するというようなことは、あまりにも地方財政上の問題において、何か昇給にみみっちい制度を打ち立てるものであろうというように解釈をされるわけです。従ってさいぜんの行政課長考え方は、もしもそうであるならばという仮定の問題として表現されたわけですけれども、これを事実の問題として、そういうような、たとえば総務の通達か何かで出ただろうと思います。私は現実に見ておりませんし、今取り寄せ中でありますけれども、そこでこういうようなことは労働基準法の精神を侵すものであるというように、はっきり指導をしていただきたいと思いますが、次官はどう考えられます。
  52. 北山愛郎

    北山委員 ちょっと関連して……。今の質疑で大体おわかりになると思うんですが、少くとも労働者に認められた産休の権利というものは、これは行使してもしなくても、昇給昇格の場合の要素として、査定の基準として使用すべきものでない。こういう一般原則については、行政課長も御同感のようでございますから、その点をはっきりしていただきたい。
  53. 早川崇

    早川政府委員 御指摘のように、単純に産前産後の休暇をとったことのみによって、昇給あるいは俸給の差別をつけるということは行き過ぎだと思っております。
  54. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると私が聞いておることが事実ならば、昇給の産前産後の休暇をとった婦人職員に対するところの昇給はストップするということが、そのまま通達になったことが事実として明らかとなった場合は、これは間違いであるという、自治庁はそれについての指示を与えていただけますか、
  55. 早川崇

    早川政府委員 自治庁にそういった権限がございませんので、果してそういう勧告が法的効果を持つとは考えられませんが、おそらく具体的に静岡の場合には、単純にそれだけで昇給の条件にしたというのでは私はなかろうと思いますので、なお実情をよく調べまして、お答えいたしたいと思います。
  56. 五島虎雄

    ○五島委員 それでは私も通達等の事実に基いて質問をしているわけではございませんから、この問題については、はっきりした資料を取り寄せた上で、あらためて政府の見解を聞いておきたいと思います。ですから、政務次官が申されました通り、政府においても静岡県の実情を調査されて、そうして次の機会にはっきりした見解を発表していただきたいと思います。から、私はこの点については終ります。
  57. 早川崇

    早川政府委員 今御要求の通り、政府といたしましても調査いたします。
  58. 大矢省三

    大矢委員長 他に質疑がなければ、町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案については、これにて質疑を終了いたしました。  なお市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案につきましては、一応質疑を終了することにいたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会をいたします。     午後一時十三分散会