○大野木
参考人 全国人事委員会連合会代表東
京都人事
委員長の大野木でございます。
本日は
地方自治法の一部を
改正する
法律案の御
審議に当りまして、私
どもの
意見をお聞き下さいますことをまことにありがたくお礼申し上げます。ただ私は先ほど御紹介いただきましたように人事
委員会連合会の代表でございまして、同連合会で問題といたしております点につきまして
意見を申し上げますので、本
改正案の百八十条の二、三、四条及び二百三条の二項その他に関しまして
意見を申し上げます。ただ先般本
委員会に陳情を申し上げました点もございますので、それらと若干重複いたす点がございますことをどうぞ御了承願いたいと存じます。
御承知の
通りに、人事
委員会は近代的な公務員
制度の実施を確保し、推進することによりまして、
地方公共団体の
行政の民主的かつ能率的な運営を保障し、もって
地方自治の本旨の実現に資することを目的として、
地方公務員法によって二十六年に
設置されたものでございますが、この目的達成のためには人事
制度全般にわたります絶えざる研究と努力が必要であり、なかんずく試験任用
制度、
給与の実態の調査に基く報告書作成でありますとか、あるいは不利益処分、
行政措置の要求に対する審査判定その他臨時職員の処遇問題等、またこのたび
地方公務員法の
改正が出ておりますが、その中に定員制の問題でありますとか、あるいはまた
市町村の公平
委員会の移管というような問題がございまして、それらが御議決になりますと、職務遂行は一そう複雑になって参るわけでございまして、長期にわたる研究を必要といたすのでございます。こういうわけでございますので、人事委員は単に
委員会開催の日ばかりでなく、ただいま申し上げましたような問題と取り組みまして、また
理事者及び職員
団体の間に立ちまして、中立性を保持しながら
両者の間の調整に当るようなこともしばしばございまして、不断に活動いたしておるのでざいます。それで単なる調査、
審議あるいは立ち会い等の機関とはその性格や使命を異にいたしておりまして常勤的な色彩が強いのでございます。このために
地方公務員法におきましても、人事
委員会の委員は常勤または非常勤とするということになっており、また服務につきましても
一般の職員に準ずるような制限が設けられておるわけでございます。ところが、問題はこれらに対する報酬のことになりますので申しにくいのでございますけれ
ども、ただいまの
法律ではそれらの者に対する報酬の額並びにその
支給方法は
条例でこれを定めるということになっておりますのを、このたび二百三条の二項が新設せられまして、「前項の」と申しますのは、
議員とか
委員会の委員とか選挙の立会人とかいう非常勤の職員でございますが、「職員の中
議会の
議員以外の者に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを
支給する。」というふうに
改正せられようといたしておるのであります。これは前述のような執行機関である人事
委員会の性格、責務または勤務の実態とはなはだ合わない立て方であると申さなければならぬと思います。報酬は勤務に対するものでございますから、勤務内容によって区別さるべきものと
考えるのでございますが、単に常勤、非常勤ということで一律に区別するのはいかがかと思うのでございます。勤務の内容が常勤に近いものにつきましては、そのような考慮が払われてしかるべきであろうと存ずるのでございます。また日当というふうなことに対しまして、感情的にも無視できないものがありまして、委員といたしましては
給与の額の問題ではなく、われわれは実は誇りを持って仕事をいたしているので、労務の切り売りのような形になることははなはだ心外であるということを申しております。ことに委員の中には非常勤ではありますが、実際の必要もありまして、定例日以外にも進んで勤務いたしている人たちが少くありません。それが日当ということになりますと、日当かせぎに出るというような
気持の上の拘束も受けることになりまして、せっかく自由な御奉公をしていくことがやりにくくなるという結果も生じます。また他のことを申すのはいかがかと存じますが、
議員だけが除外されておるということも一貫性を欠いておりまして、割り切れない
気持を持っておる次第でございます。どうか現行法のような、報酬及び費用弁償の額並びにその
支給方法は
条例で定めるという行き方が最も妥当だと
考えますので、現状のままに
お願いをしたいと思いますが、しいて改めますならば、
法案の、「前項の職員の中
議会の
議員以外の者」とありますところを、
議会の
議員及び執行機関たる
委員会の委員以外の者に対する報酬はその勤務日数に応じて
支給するというように御
修正を願いたいと存ずる次第でございます。このことはあるいは最近の
給与の体系の根本に触れる問題であるかとも存じますが、どうか勤務の実態を御賢察下さいまして御考慮を
お願いいたしたいと存ずる次第でございます。
また百八十条の二及び三の
改正並びに四の新設等につきましては、現行法で別に運営上支障はないように存じますし、ことに百八十条の三で現在、普通
地方公共団体の長は、
委員会または委員の申し出があるときは、吏員その他の職員を、当該執行機関の
事務を補助する職員と兼ねさせ、もしくはこれに充て、またはその
事務に従事させることができるというのを、協議してということに改められようとしておりますが、それでいきますと、積極的にそういうことを長の方から申し出ることができるようになります。このことはもとより協議はされるのでありますが、人事
委員会のように長のやりました処分その他を審査する必要のある場合もございますので、そういう場合に独立の
事務職員でございませんと、公平な取扱いができにくくなるような場合もあると
考えますので、組織の簡素化はもちろん必要と存じますが、角をためて牛を殺さないような御注意が必要であると存ずる次第であります。
右に申し上げました諸点は人事
行政の円滑な運営に支障を来たし、ひいては
地方行政の健全な発達を阻害する結果を来たし、
地方自治の本旨にもとるおそれがございますので、何とぞ御賢察をいただきたいと存じます。
なおこのたびの
改正の二百五十二条の十八等の新設によりまして、国の公務員と
都道府県の公務員または義務教育職員との間
において恩給等の
支給の基礎となる在職期間の通算の措置が講ぜられることとなり、また
都道府県の公務員と
市町村の公務員との間
においても、これに準じた処置が講ぜられるように努むべきものであるとされますことは、かねて人事の交流その他に関しまして人事
委員会におきましても
要望いたして参った次第でありまして、はなはだけっこうな
改正であると存じます。
以上をもって私の陳述を終ります。(拍手)