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1956-04-06 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月六日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       堀内 一雄君    山崎  巖君       加賀田 進君    五島 虎雄君       櫻井 奎夫君    西村 彰一君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         府県税課長)  細郷 道一君         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律案内閣提出第六四号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、税目別質疑を行います。昨日電気ガス税に対してまだ残っておるようでしたから、これを継続します。北山君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 電気ガス税につきまして、この改正事項細目を拝見しますと、電気またはガスを使用するものが、電気ガス税課税部分非課税部分とを合せて使用する場合において、その区分ができないときは製品または鉱物数量等基準として政令で定めるところにより云々とあるわけですが、これは一体どういうふうにして区分するわけですか。
  4. 奥野誠亮

    奥野政府委員 鉱物の掘採につきまして電気ガス税を免除している場合がございます。その場合に電気ガス税を免除していない鉱物一緒に掘採している場合、そういう場合に分離が困難でありますので、電気ガス料金に対しまして、全鉱物価格のうちで電気ガス税を課される鉱物価格の占めている割合を見まして課税対象部分を算出する、こういうやり方政令規定したい、かように考えております。
  5. 北山愛郎

    北山委員 そうするとこれは鉱物等の場合だけですか。四百八十九条を見ると、石炭とか銑鉄、金、銅、鉛、錫というようないろいろな鉱物もございますが、それ以外に電気製塩であるとか、硫安等化学肥料あるいはカーバイド、セメント、いろいろその他の化学製品も入っておるわけでありますが、こういうものについてはどういう基準で今の課税部分非課税部分とを分けるのであるか、これをお伺いしたいのです。
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現在そういう区分が困難だということで問題になっておりますのは、鉱物問題一つと、それから八幡製鉄所で使っております製鉄用の水、それを川からくみ上げてくるわけでございますけれども、他の用途に使う水と一緒にくみ上げてきているという場合がございます。そういう場合には水の容量で分けたい。現実区分の困難な問題が起りましたときに、そのつど解決するようにしたらいいんじゃないだろうかというふうに思っております。京都のどこでございましたか、そこで採掘されております鉱物の問題と、八幡製鉄所におきます製鉄用の水の問題と、現在二件でございます。この二件について今申し上げますような方法区分方法を定めたい、かように考えております。
  7. 北山愛郎

    北山委員 この四百八十九条の電気税非課税の金額というのは、この前も申し上げました通りに約九十三億あるわけですが、主として一番多いのはどういう業種なんでしょうか。この四百八十九条には、第一項の方は二十五種類があるわけです。それから第二項は発電用のもの、それから第三項は農業用と、いろいろあるわけでありますが、大体どんな割合にこれはなっておるものですか。内訳の概要を一つ説明願いたい。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 やはり電気を一番多量に消費するものが多いわけでございますけれども、そういう関係は十三号に書いております肥料関係が一番多いと承知しております。それから製鉄関係が多いのではないかと考えております。それぞれの業種別区分資料は持っておりませんが、大体におきましてそういう傾向になっております。
  9. 北山愛郎

    北山委員 その肥料の分というのは大体どのくらいになるものですか。  それからもう一つは、こういうような生産資材として使う電気については税金を課さないということになって、このためにすべてのこういう生産品価格についてコストを安くするというのですが、その商品価格の上において、その非課税措置というものが反映するような何らかの制度上の考慮がなされているものかどうか、コストは下げるけれども商品価格の方は野放しだということでは、非課税にしても、そのために一般のその商品消費者が受ける利益というものには関係がない、企業としては非常にやりやすくなるけれども消費者にとっては一向得にならない、何らかそこにその生産物価格非課税との関連性制度の上で保障するようなことが考慮されているかどうか、これは商品によって違うかもしれませんが、一つこの関連を伺いたい。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 電気ガス税電力会社に特別徴収さしているわけですから、推定で出ないわけではないのでありますけれども現在その資料を手元に持っておりませんので、別途御連絡さしていただきたいと思います。  それから第二番目の、どういうような政策を他の面についてとっているかという問題でございます。実はこういう非課税範囲を押えましたのは、当時価格統制が行われて価格を押える結果、国から価格差補給金を支出しておった、しかもその製造原価に占めます電気料金が多い、こういうものにつきまして非課税規定を定めたわけでございます。言いかえれば沿革的に定まってきている、こう申し上げた方がいいのではないかと思います。従いましてそれぞれについて今日なお強い統制を残しているかと申しますと、残しているものもありますし、残していないものもあるわけであります。今申し上げました肥料の問題につきましては、昨年かなり大きな問題になりましたように、硫安等価格統制に対しまして、政府としてはかなり強い態度をとられたように承知しているわけでございます。
  11. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、お話のようでありますと、これは価格統制時代遺物である。価格統制するためには、やはりコストを安くしなければならぬ。その措置のために非課税にしておったのだ。ところが価格の方の統制はほとんど取り払って自由にしておいて、非課税だけがここに残っておる、こういうふうに理解されるわけなんですが、そういたしますと大臣のお言葉がありましたが、非課税範囲を縮小したいということが、たしか今度の税法改正等についても、そういうことを趣旨として言われておるのですが、この電気税非課税については考慮される御意思はございませんか。大臣にお伺いします。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 当時価格差補給金を交付しておりましたのも重要な資材ばかりでありまして、いわゆる基礎資材の範疇に属するものであったわけでございます。従いまして現在価格差補給金とか価格統制制度がなくなったものでありましても、いずれも基礎資材でありますだけに、影響する範囲が非常に大きいわけでございます。そういう意味でできる限りこういう種類のものにつきましてはコスト増を招かないようにしていきたい。電気ガス税の性格というものが一種の消費税でありまして、基礎資材に対しまして、原価を構成するものの中にこの税負担消費税的なものを織り込むのは穏当でないだろう、こういう考え方を持っておるわけでございます。そういう意味でなお非課税規定を置くようにしておるわけであります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 しかし先ほどお話と違うのじゃないですか。初めはこれは統制時代遺物である。いわゆる価格統制をやっておった関係上、どうしてもこういう特別な考慮をしてコストを下げなければならなかった、そういう沿革があるということですから、今もしこれを御説の通り意味で続けるとしましても、そこには何らか価格との結びつきですね、非課税にする以上は。非課税ということはただ税金をまけてやるのではなくして、地方団体の必要な行政をやるのには必要な税金考えているわけなんです。もしもここにこの事業非課税にすれば、その分はほかの人たちがこれを負担するという理屈にならざるを得ないと思うのです。そうでしょう。そうするとこの分が税を免れれば、広い意味でよそのものがその分を負担している。それだけ犠牲をよそに払わしておるのですから、その効果というものを確保する措置をとらなければいけないのではないか。この前も電力のことを申し上げましたが、電力については統制料金であって、その非課税ということを一応計算上織り込んだ料金に押えておる。ところがこういう商品についてはそういろあれがない、野放しだ。しかもこの業種の中で、なるほど鉱業のような、いわばいろんな悪条件のもとで、ある程度の何らかの形の助成をしなければならぬという事業もございますけれども、そうじゃない、加工業も相当あるし、またこれに載っておる業種のごときは大体において今相当な利益を得ておるものが多いのじゃないかと考えられる。そこでお伺いするのですが、第二十五号の砕木パルプというのがありますね、あるいは十九にセメントというのがある。そういうものはどうしてこういうふうな非課税特典を与えてやらなければいかぬのですか。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 電気ガス税非課税につきましては、ただいま税務部長説明申し上げた通りでございますが、要するに基礎的な産業あるいは原材料と申しますか、そういう各産業基礎をなす重要のものにつきまして、特に産業政策見地を入れて、かような非課税を設けておるわけでございます。もちろん電気ガス税という点から、地方財政見地から申しまするならば、一律に非課税をなくして課することが望ましいのでありますけれども、しかし同時にさような単純な租税目的のみでなく、産業政策をある程度加味して、国全体としての施策の適正を期そう、こういうところからこの程度の非課税が入っておるわけでございますが、将来国としての産業政策の転換というようなことがありまして、許し得まするならば、むしろ一般的に非課税にさらに再検討を加えていくということが私どもも当然だと考えております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 その産業政策なんですが、中小企業等についても、やはり振興助成をするというのが政府政策である。そうだとすれば、やはり電気税におけるこのような措置中小企業生産物工場等についても適用をしなければおかしいのではないかと思うのです。産業政策というけれども、これでは基礎的な、いわば独占的な大きな産業に対してこれを援助していく、しかもその結果が、基礎資材が安くなるという保証は何らない。商品需給関係によって上ったり下ったりしている。税金はまけてあっても、別な事情によって遠慮なくその値段は上げたりして、そうして収益が出れば、それは自分の企業の努力によってもうかったもののような顔をしている。だから私は厳密にいうならば、このような電気税だけについて見ても、こういう一定の産業というものは保護を受けて課税上の特典を受けているというのならば、その企業内容について強い管理をしなければ、これは公平ではないと思う。産業政策からいっても当然伴わなければならぬ。恩典だけを与えて、あとは野放しだということになれば、これは産業政務云々というのは、その中には、言葉はよくても結局こういう基礎産業、しかも大産業というようなものを政府は応援する、助成保護する政策をとっているといわざるを得ない。中小企業に対してはこういう措置をとっておらぬ、そういう産業政策ではないですか、大臣どうです。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は産業基本あるいは企業経営基本に触れる問題でございまして、課税目的というよりも産業政策見地から、このような非課税措置を講じておる場合に、それに対して企業経営内容にまで立ち入って、その点をはっきりと確認をし、それだけコストを引き下げているかどうか、その負担関係もはっきりせよというような意味のお考えだろうと思うのでございますが、その点はやはり全体の現在の経済機構なり体制に対する考え方の問題でございましょうと思うのでありまして、地方税立場といたしましてはそこまでは考えていない。それは全体の国の産業方針の問題だと思っております。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 関連して……。私は北山君の電気ガス税に対する昨日からの質疑を伺っておるのでありますが、先ほどから大臣の御意見をというのでありまするが、これをまとめまして一つ伺ってみたいと思うのであります。国策に沿うというふうなことでもって免税あるいは非課税範囲を拡充するというふうなことについては、私はまず国税でやってもらいたい。地方税というふうなものにまでそれを及ぼすという点においては、私は一つの大きな基本的な面として大いに疑問があると思うのであります。これが第一点。それから第二点、そういうふうな非課税範囲を拡充するといいましても、それは間接税のようなものあるいは流通税のようなもの、こういうものにまで特に基幹産業とか、そういう美名のもとにこういうふうな免税措置をするということについては、私は基本的にこの二つの面から非常な疑問があると思うのです。このことはもっと率直に端的にいいますと、終戦後の十年の、非常に日本経済の底が浅いときに、そういう面に隠れまして、過去におきましては多少の効果もあったかと思いますが、こういうふうなことをえげつなくやることがいわゆる池田財政であるとか、池田税制であったと思うのです。この面が、地方税のこのような面にまでぐんぐん押して参りまして、私どもは押し切られておるわけでありますが、もう終戦後十年たちまして相当経済も落ちついて参りました。昨年あたりからは輸出も、しばしば申し上げるように非常に活況を呈して、政府の計画以上に上回っておるというふうなことになりますると——この地方税にまで及ぼすというような問題、あるいは流通税間接税的なものにまでこまかく、こういう面にまでは非常に親切である。固定費産税における基本的な電気産業に対するこの特例は、今度政府でお出しになった例の納付金交付金の問題、あれにかかる国鉄やあるいは専売公社、また放送協会関連を持っておるわけでありますが、それと電電公社、こういったものに課せられる率よりも、私企業であります電気産業に対する特例の方が、率が低いという面も実は出ておるのであります。こういうことについては私は議論の余地はないように思うのでありまするが、政府の答弁は、いつも、実は昭和三十一年度において抜本的な対策を講じるとおっしゃっておったが、実際現実にぶつかるとできないものであるから、これは一年延び延びになって、三十二年度はやりますというふうな御説明を承わっておるわけでありますが、そういうことになって参りますると、私どもは三十二年度においてはぜひともここへ手をつけなくちやならぬ。われわれは現在のものを修正したいと思うけれども、それはできないとしても、この次にはこの問題を一番大きな問題として取り上げなければならぬと、私ども考えておるのでありまするが、この点について大臣のこれまで、こんなことまで申し上げて恐縮でありますが、率直に言えばあなたは追放中でおられたと思いますが、その間にできましたあの旧自由党の税体系というものについては、裏から見ますと、非常にそういうふうな行き過ぎが実際あったと思われるのであります。そういう意味において大臣の率直な見解を私は承わってみたいと思うのです。
  18. 太田正孝

    太田国務大臣 一つの税を地方税にするか、国税にするかという問題は、徴税技術の問題も関係すると思います。また地方税に適するものと取り方というような問題から見ますると、非常に非課税部分が多いような性質のものを、国税でやっていくということは事実においてできないのでございます。軽油引取税についてもそういう考え方があるかと思いますが、今電気ガス税のごとき、かようなたくさんの問題を、国の徴税機関においてやっていくということは事実においてむずかしいのではないか、地方税にするか、国税にするかという分ち方については、負担関係考えなければならず、地方に収入を与える考えもしなければなにらず、税そのものの本質が、地方税に適するか、国税に適するかということによって分たれる問題があろうと思います。私はそういうことを第一に申し上げるとともに、第二に、今回何もしないというお話でございまするが、かようにたくさんの大部のものを出しまして、ある人はいわく、これはほんとうかどうか存じませんが、シャウプ勧告以来の税制に手を触れたとまで言っておる人があるほどでありまして、私は決して少い部分税制に手を触れたと思っておりません。相当のところまでやりましたが、むろんお示し通り足らない点がございます。またいろいろな審議を通じまして、これはもう一歩進めて考えなければならぬということは思っております。税の全体につきましては、財政の一端といたしまして、重要なる一部分として国税地方税をからんで考えるというのは、私はやはり道筋をたどっているように考えるのでございます。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 今の回答は、私は十聞きましたが、二つくらいの御返事のように思うのであります。まず第一に、それでは大臣の御見解に私は反対をしたい点がありまするが、徴税が非常に複雑なものは国税にやらしてはいけないというのは、私は現在の日本徴税機構から考えて全く反対だと思う。府県市町村にはそんな膨大な徴税の能力も機構もありません。これこそ国税として税務署でやってもらうのが一番はっきりしておる。これはそういうような形であるにもかかわらず、このような特免規定のものがたくさんありますから、府県市町村は戦争前の府県市町村よりもうんとそういうことで人数がよけい要って、徴税費がかかるというので困っておるのでありまして、私はむしろ逆であろうと思います。また対象から考えてみましても、ある市町村において大きな工場があるということになると、どかっとそういう免税措置でもって減収になる。そういうものこそ国全体の調節においてはかっていかなければならぬ。そういう穴のあいたものを一々交付税や何かでもって修正をしていくというふうなことになりますから、交付税を毎年々々いじらねばならぬというふうなことになって、私は大臣の今の御返事は全く事実は逆であるというふうに考えます。それからそれはもちろん税体系でありますから、国税地方税を通じて総合的な判断をしなければならぬが、しかし国策に沿ってやるというのならば、第一に国税でもってやるというのが、私は自然の姿であろうかと思うのであります。地方税についてあまりこういう例外的なものを作っていくことは、これは国税でも、もとより理論的にはそうでありましょうけれども地方税の方がなおさらこういうものは避くべきであると私ども考えたいのでありまするが、そういう点で、もう一度御回答を賜りたい。
  20. 太田正孝

    太田国務大臣 私は寡聞でございますが、大体においてこういう性質の税を、各国とも地方税で取り扱っておるように記憶しておるのでございます。むろん厳格な学術上の議論は別といたしまして、どれを地方税に、どれを国税にすべきかという議論はございましょうが、この問題は特に国税にするという立場においては私は今考えておりません。
  21. 中井徳次郎

    中井委員 私がお尋ねしておるのは、国税にしよう、地方税に移管しようという問題でなくて、地方税の中にこういうふうなあまり例外的な減免規定を置くべきじゃない。非課税範囲を縮小するというのが、今度の地方税法の一部を改正する法律案提案理由に関する太田国務大臣説明要旨の中の第一項目に入っておる。それで私は申し上げておる。これは非常にけっこうだと思う。そうして客観情勢は変っておるということです。終戦後のあの混乱時代と今と変っておるということ、このことについての御回答がちっともなかった。池田税制に対する太田税制一つ確立してもらいたいというのが私の気持です。実際あれは行き過ぎですよ。そういう意味で私はお尋ねしておるのですが、その点について御回答がなかったのですが、どうですか。
  22. 太田正孝

    太田国務大臣 池田さんのやったやり方を私はここで批評したくございません。地方税のすこやかなる地方財政への寄与ということのみを考えておるので、私は今池田財政をここで批判することは、ちょっとお許し願いたいと思います。
  23. 中井徳次郎

    中井委員 そんなことではあなたは大臣が勤まらないじゃないですか。何も前のことであろうが、同じ党であろうが、客観情勢が変っておるんですから、それに応じて変えられるのは当りまえだと思う。これは根本の問題ですから、それで私はお尋ねしておるのですがどうですか。池田税制がその当時にあってはよいか悪いか、そういうことの議論は抜きにいたしましょう。現状においてどうであるか、こういうことだけでけっこうです。
  24. 太田正孝

    太田国務大臣 税制だけを切り離しての政策の批判は財政上におきましては、よほど注意しなければならぬ。全体におきまして、国費の関係、そのときの情勢によって公債によるものもあるし、税によるものもあるし、あるいは減税による場合、増税による場合各種の場合があります。時局の推移、経済事情の変っているということはお示し通りに思っております。その時局に沿うべくまた変化に応ずべく、今回の税法におきましてその点は考えておる次第でございます。
  25. 北山愛郎

    北山委員 先ほどお話があった通りで、今電気ガス税についての非課税規定というものは物価統制時代遺物である、そういうふうな沿革であるというのですが、今日ここにあげてあるようないろいろな生産物価格というものの統制が解かれておる。ところが非課税だけが残っておる。これは不合理だと思うのです。おそらく大臣もそう思うのじゃないか。この遺物をそのまま残しておかないで、何とか手を触れるのが当然じゃないかと思う。ことに大臣非課税規定を縮小するというような方針を打ち出しておるのですから、まずもってこういうところに手をつけるのが至当ではないかと思う。ことにこれらの事業が使う電気というものは一般家庭が消費するような電気よりはずっと安い。何分の一かの電気を使っている。その上に電気税も安くしてもらっている。だからすでに電気料金の上でそういう基礎的な産業保護政策がとられ、さらに地方税の中で非課税規定が残されておる。こういうことは不当ではないか。大臣はこれを整理するお考えはございませんか。
  26. 太田正孝

    太田国務大臣 非課税規定の整理をするということは望ましいということを、申し上げた通りに今も思っております。本来この電気ガス税というものは、こまかい家庭用に使うというようなことも頭の中に入れた問題であり、また先ほど次長が申しました通り産業政策の建前からも見ていると思うのであります。お言葉のうちに利益も上ってくるとか、価格政策とかいう問題も含まれておったように思いますが、それは別に負担に応ずるところの所得関係その他において行くことでございまして、この物体をとらえた場合におきましては、電気ガス税として、あるいは工業の原料として考える場合もあろうし、あるいは家庭用にこれを使うという場合も考えなければなりません。そういう意味におきまして、整理するという方針は今も支持しておるのであります。現状におきましては、この非課税主義をこの点においてはとつていくのがいいのじゃないか、そして事業そのものを、中小企業であるとかあるいは大企業であるとかいうことについて、税の面から行きます場合においては、負担力をつかまえる、こういう点から判断すべきものじゃないかと思うのでございます。なお政府委員より追加して申し上げます。
  27. 奥野誠亮

    奥野政府委員 電気ガス税は、御承知のように国税としてありましたものを、昭和二十二年でしたか、地方税に譲り受けたわけでございます。当時は工業用の電気に対しましては、全面的に課税していなかったのであります。家庭用電気にだけ課税しておった。言えかえれば消費税として電気ガス税を消費面から考えておったのでございます。しかし価格差補給金等の関係もございまして、反面また工業用を全面的に改めますことは課税技術上の問題、税収入の問題ということもありまして、価格差補給金を受けているものに限定して非課税規定を残し、地方税として受け継いで参ったのであります。その後国会におきまして、ほとんど全会一致だったと思いますが、数次にわたりまして、非課税規定がどんどん追加されて参りました。自来政府といたしましても、電気ガス税消費税として純化すべきだろう。こういう考え方のもとにおきまして、工業原材料的なものに課税をして行きますことは、あるいは国際競争の問題等も考えあわせまして、適当ではないだろうというふうなことでやって参っているわけであります。中小企業とか、大企業ということじゃなしに、それぞれ製品の中に占める電気料金割合、こういうものを重点的に置き、しかも基礎資材であるという範囲のもとに非課税規定を、ここに規定して参っているような次第でございます。
  28. 北山愛郎

    北山委員 もしそういうふうな理論といいますか、原則を貫くならば、こういうふうな基礎産業のみならず、中小企業等の製造工業においても製造の原料として使う場合には、非課税とするというふうに拡大する場合ならば話はわかる。ほんとうの純粋な消費面だけを課税をし、生産の資材として使う場合には課税しないということを貫くならばわかる。今のお話のように初めはそういう趣旨だった。ところがそれを一部のものだけ残したところに私は問題があると思う。そうすると結局これらの産業だけが保護されるという結果になる。また価格統制時代ならば、お話のようにそれぞれの意味があった。今となってはそういう意味がなくなつたと私は思う。だから今お話のように、生産資材として使う場合の電気については、すべて課税をしないというふうに拡大をしていくか、あるいはこれを取っ払って税率を百分の十から百分の五に一率に下げてかけるとか、どっちかにしなければ公平の原則に反すると思う。大臣は公平主義ということを再再強調されておるのですが、公平主義に反するのじゃないですか。どうです。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 電気ガス税につきましてはお話のように産業の動力あるいは生産資材に要します動力につきまして一切課税しない、こういう形において公平を期するということもありますし、あるいはそういうことのいかんを問わず一律一体に課税をして公平を期するという行き方もあろうと思います。沿革はいろいろあったわけでございますが、そういう非課税を整理するという考え方から行きますと、そういう両用の考え方があろうかと思います。しかし今日の一部の産業につきまして、このような非課税を設けておりますことは、沿革的には価格統制時代のことがございましたけれども、それらの価格差補給金等が出ておりましたこのような産業といろものは、今日においても依然として各種の産業基礎をなす基幹的な産業でございますから、そういうものの中で特に相当多量の電気を要し、それが原価構成の上において大きな比重を占めるようなものにつきまして、今日なお全体の物価の上昇を押えるという一つ見地から、このように非課税をとっておるわけであります。このような非課税を、先ほどお話しもございましたように、各種の産業目的のあるものは、なるべく国税の分野において取り入れ得るものは取り入れて、地方税ではなるべくそういうものはなくする方が好ましいと思いますけれども、しかしながらこのような電気ガス税という地方税特有の税につきましては、やはり地方税の中においてこの程度の産業政策の目的を取り入れるということはやむを得ないことであろう、こう思うのであります。
  30. 北山愛郎

    北山委員 今のお答えの中にはどうもいろいろな理屈がこんがらがっているのじゃないかと思うのです。今のお答えはだいぶ苦しいようでありますが、とにかくこれは沿革からいっても、それから大臣が言われるような一般地方税を通ずる原則——公平あるいは権衡を保つような原則からしてもおかしいのじゃないかと私は思うのです。今の地方税の中に国策というものを突っ込んで行くということは、われわれはずいぶん大きな問題だと思っておりますし、また大臣は、こういう企業が栄えれば、ほかの方で税金をよけい取ったらいいじゃないかと先ほどお話をされた。ところがこういう産業は、法人税等についても特別な恩典を受けている。中小企業よりも安い税率の法人税等を納めている。いろいろな積立金、特別な控除というものを認められている。あらゆる面において、大資本、大産業というものは保護されている。これは資本蓄積と基礎産業保護育成するという名目のもとに行われておる。ところが結果としては、今のような資本主義の自由競争の時代では、そういう恵まれた大資本、大産業だけが日の当るような産業になって、大きな利益を上げて、それが自分の腕でもうけたような顔をしている。中小企業は非常に困っている。だからそういう大産業、大資本というものを擁護するのだ、自由民主党はそういう立党の精神である、中小産業については選挙スローガンとしては言うけれども、実際の税制を作る場合には別だというなら、これは話の筋がわかる。たしかこの委員会で、吉田内閣の当時大蔵次官は、こういうことをはっきり言われた。自由党は資本主義を建前とする政党でございまして、その政党の内閣が吉田内閣であるから資本主義を守るのだというようなことを正直に言われたのですが、大臣は、そういうふうに率直に、鳩山内閣もまた大資本、大産業を育成する政党である、中小企業についてはこういう恩典を与えなくてもよろしいと言われるのであるか、はっきりと答弁していただきたい。
  31. 太田正孝

    太田国務大臣 過去の政党が、私どもの縁のつながるものであるにしても、その政策をさように申したことには私ほ反対でございます。現在のわれわれの与党たる立場としましては、中小企業をいじめようとか、大資本を普通以上にかわいがっていこうとかいう考えのもとに税制考えてはおらないのであります。
  32. 北山愛郎

    北山委員 与党の方では中小企業を守るとかなんとか言っておりますけれども、しかし現実政策ではそうなっておらぬのです。現実政策をごらんなさい。電気税だけとってもそうなんだ。法人税についてしかり。国税の面においても、大資本、大産業に対しては、大法人に対するいろいろな恩典があるはずだ。それは一カ年で七、八百億にも及んでいるといわれておる。この上に、地方税の中でも今の電気税もそうでありますし、また固定資産税、住民税、法人税割、法人事業税等においても、国税のはね返りによってその恩典を受けている。非常な差別待遇をしている。中小企業が困っているのは無理ない。地方団体が一定の行政を行うためには、必要な税金をとらなければならぬでしょう。こういう産業から取らぬということになると、その部分はよそのものが負担することは明らかなんです。不公平じゃないですか。だから大資本というのは、それ自体大きいというだけで力があるのです。ちょうど自民党が数が多いから力があると同じように、それ自体力がある。その上に強い方に荷物を軽くしてやる、手伝ってやって、中小企業の方には税の重荷を負わせている。それでは自由競争ではないではないですか。不自由経済といわざるを得ないのですが、経済学者である太田さんは、この実態をどう思うか、お伺いしたい。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この税制では、大臣が今申し上げましたように、大企業とか中小企業とかいうことで、特に区別をしているわけではないわけでございます。先ほど申し上げましたように、これが基幹産業であり、あるいはすべての企業において使われる原材料を中心とする製造業であるということで、特に非課税にしているわけでございますから、たとえば石炭にいたしましても、大企業も使いますが、同時に中小企業も使うわけでございまして、非課税にすることによって、やはりその利益中小企業にも当然及んでくるわけでございます。
  34. 北山愛郎

    北山委員 何も中小企業に及んでいる保証がないのです。統制経済時代にはあったでしよう。現在ではないのです。この税を安くするために基礎資材が安くなったという証拠はない。何にも保証がない。だから遺物だということなんだ。  それからまた今中小企業もあるのだ言われましたけれども、ここに並べておる業種は、大体において基礎産業ですから、相当大きな資本でなければやれぬような産業ばかりです。これが実態なんです。理屈はなるほど十人、二十人の人を雇って山を掘っても石炭業かもしれない。しかし大体においてここに並べている二十五の産業の大部分は、肥料にしてもセメントにしても、中小企業肥料セメントを作っているというようなことはほとんどないでしょう。やはり結局は大産業保護の恩典だ。中小企業についてもこういう恩典を広げるかどうか。そういう考えがあるか。それがなければ公平に税率を下げて均霑させるかどうか。どちらの方法をとろうとするか。これを伺いたい。
  35. 奥野誠亮

    奥野政府委員 将来電気ガス税を存置しながらもどう持っていくかという場合に、北山さんのおっしやいましたような二つ方法があろうと思います。一つは、税率を引き下げて全面課税をする道であります。一つは、今とっておりますように、特殊なものにつきましては課税をしない方法であります。その場合に、電気ガス税をどういう性格の税と観念するかという問題が基本にならなければならぬと思います。電気ガス税は、私たちはやはり消費税だと思っておりまして、基礎資材原価を構成するような税を消費税という形で持っていくことが適当であるかどうか。私たちは、電気ガス税消費税と観念いたします限り、基礎資材原価を高くしていって、わが国の生産品原価を国際物価に比較して高く持っていくことは避けるべきだという考え方をとっているわけであります。そうしますと、どうしても現在のようなやり方をしていかなければならぬ。そういう場合に、北山さんの御指摘になりますように、大企業だけを優遇する措置をやめるべきだということは、これはごもっともであります。そういう考え方非課税規定規定しているわけではありません。ただ税務行政の見地から、あまり非課税範囲を広げていくことは適当でない。従って現在工業用全体を非課税にするのが税務行政上非常にすっきりするなら、これも一つ方法だと思います。しかしながら税務行政運営上、工業用とその他を分けること自体が非常に困難な問題がたくさん出て参りまして、やはりこれは適当ではないと思います。そうしますと、自然基礎資材であるということ、同時にまたその原価の中で、電気料金が非常に大きな割合を占めている。こういうものを中心として、原材料課税になるようなことは避けていかなければならぬ。従って同じような問題が出て参りました場合には、大企業であろうと中小企業であろうとを問わず、地方財政の状況と税務行政の便宜の問題もあわせ考慮しながら追加していくべきだろうという考え方を持っているわけであります。これはたびたび申し上げたと思いますが、やはり電気ガス税消費税として純化して行きたい。それについては、地方財政の将来の推移も考えていかなければならないし、税務行政の便宜も考えていかなければならぬだろうと考えております。
  36. 門司亮

    ○門司委員 関連して。今の奥野君の消費税としての考え方はそれでよろしいと思います。またそういう一つの性格を持った税金だと思いますが、ただこの税金に非常に大きな矛盾がある。その矛盾は消費であるという考え方には違いないが、電気会社の電灯料金の徴収というか、算定と、今の奥野君の意見の食い違いが出てくる。それはどこに出てくるかというと、御承知のように定額料金は非常に高い。たくさん電気をつけているところの電気料は非常に割安になっている。それが計数的に必要というならお示ししてもけっこうだが、普通一灯しかつけてない家の電気料金は非常に高い。それを時間的に計算しても高い。それで消費税としての性格を持たせるということになると、その辺の消費をする者の受けた利益から考えると、この税金は、今の料金に直接何パーセントをかけたのでは、そこに非常に大きな矛盾が出てくる。たとえば六十ワット一灯しかつけておらない人の料金と、これを五灯つけておる人の料金とを比較してごらんなさい。時間的に割っていっても、どこから割っていっても五灯つけている人の方が非常に安い料金を払っている。そこで少額の消費者というものは——というよりもむしろ担税能力においては非常に低い人の方が割高な料金を払っておる。そのために税金も割高な税金を払っておるという結論が出てくる。そうすると、今奥野君の言うように消費的のものだと考えるということになると、そこに大きな食い違いが出てくる。従って政府が公平に考え税金をとろうとするならば、そういう電気会社が経営一つ方針としてやっておる料金の定め方と、税金の定め方との間の矛盾が出てくると思う。この点について政府は一体どう考えているか。これはいなむことのできない数字の矛盾です。この矛盾を一体政府はどう解決するお考えであるか、もう一度ここで聞いておきたい。
  37. 奥野誠亮

    奥野政府委員 門可さんのお話は、電気料金に対する国の政策をどう持っていくか、こういうふうな問題だと思うのでございます。税の立場だけでそれをとやかく申し上げることもどうかと思うのでございますが、要するに電気ガス税消費税として純化していきたい、その場合に電気をたくさん使う人たちは比較的収入の多い人だろう、従って電気ガス税を設けることは、消費面から間接的に所得を把握していくことにならないだろうか、こういう考え方をしておるわけであります。ただ問題は個々の電気料金のきめ方を見ていった場合に、定額灯を使っている人とメーター制でやっている人の間に比例的にいろいろな不均衡が出て遂ているのじゃないか、こういう御指摘のように思うのであります。これは一つ料金政策の問題として、御意見の点を通産当局に伝えたいと思います。
  38. 門司亮

    ○門司委員 料金政策ではないですよ。料金政策で通産省がこれを考えるというのも、一つ考え方かもしれません。しかし少くとも税をとろうとしておるのであって、今の消費税としての観点から行けば、たくさん消費した人がたくさん料金を払うということは当然だと思う。ところがたくさん電力を使う人は料金の過程から行くと、実際は安いのです。少く電気を使っている人の方が非常に割高な料金を払っている。従って料金に対する税金だけでは、少し電気を使った人が割高な料金を払っているために、税金も非常に高い税金を払っているという矛盾が出てくる。だからこれを消費税として純化していこうとするためには、どうしてもその問題を解決していかなければ、今の奥野君の理論は成り立たぬと思う。従って今通産省に話をしてというようなことでおっつく筋合いの問題ではない。今税金の問題をやっている。税金でこれを解決したらどうか。私は率直に言うが、もしこれを税金で解決しようとすれば、たとえば定額の、一戸に一灯しかつけておらないというような諸君は、非常に割高な電気料金を納めておりますから、これらには税金を課さない方がいいと思う。そうすれば、この矛盾はある程度なくなる。これを純然たる消費税として課税していこうとするには、さっきのような矛盾が出てくるから、その矛盾を少くとも少くしようとするには、社会政策的にも、どこから考えても、割高な料金を払っている人、あるいは定額料金を払っている人については、税金を五%に下げる——これは十%とっておりますが、あるいはもう少し下げるかということが、消費税としての観念から行けば、当然そういう措置がとらるべきだ。その矛盾を一体政府はどう考えるか。
  39. 奥野誠亮

    奥野政府委員 門司さんのおっしゃることがわからぬわけではございません。ただ税務行政上非常に繁雑なことになって参りますと、かえって徴税費倒れになったりするものでありますから、ある程度画一的な課税方式を消費税についてはとって行かざるを得ないだろうと思うのであります。そういう場合にも、かえって少額所得者に電気ガス税がよけいかぶさって行くということは、これは避けなければならないだろうと思うのであります。しかし定額灯一灯使っておる人とメーター制でやつておる人との間の比例関係におきまして、あるいは例外的に矛盾が起るという門司さんの御指摘のような問題があるのかもしれませんけれども、しかしその間にある程度、メーター制の人の方が電気料金を支払う分量が多いだろうと思うのでございます。分量が多いわけでありますから、自然電気ガス税も多くなってきておると思うのでございまして、正確な比例はあるいはいろいろ問題があるかもしれませんが、間接的に推測するという意味におきましては、一応それでも成り立つのではないかと思っております。しかし料金のきめ方という問題も非常に重要な問題でございますので、そういう点につきましては、なおいろいろよく話をしてみたいと思います。
  40. 門司亮

    ○門司委員 これは徴税が非常に困難だと言うけれども、このくらい徴税が楽なものはない。電気会社が徴収したものの一割を払えばいいことになっておる。計算はわけはない。電気料金をとりに来るときに、ちゃんと一割だけ加算して書いてあるのだから、これを百分の五に直したからといって、徴税の手数など大してかからぬと思う。だから繰り返して言うが、奥野君の言っておるように、消費的の税金とこれを考えてやろうとするには、そういう公平さが保たれなければならないと思う。従ってそういう矛盾を一つなくしてもらいたい。これはもし計数が必要ならばすぐ取り寄せてもいい。私の方からごく最近に調べたこまかいのがある。定額の諸君がどれだけ割高な料金を払っておるか。どれだけよけいな税金を払っておるか。だからさっきから北山君の聞いておるような質問の内容から離れた、純消費的なものと考え課税するということなら、消費の度合いに応じて、結局消費は少いが電気料金はよけい払っておるという電気料金自体に無理がある、矛盾がある。これは定額のものとメーターのものと調べてみるとすぐわかる。従って割安になるからということで、最近の家庭はメーターをほとんどつけておるでしょう。定額はどうしても高くつく。そういう担税能力からいっても、四十ワット、あるいは六十ワット一つしかつけられないという諸君が、非常に割高な料金を払っておることは事実なんです。割高な料金を払っておるから税金も割高であるということ、だからこれを消費的な税金だと考えるならば、割高な面を、電気料金を変えるということも一つ方法だろうけれども税金の面でもこれを変えられないはずはないだろう。料金が高いから税金も高いのだという理屈はどこにも成り立たぬと思う。無理な料金を払っておるから、税金だけ考えても、税金を安くするということが当然だと思う。従って政府はそういうような施策をとる考え方があるかどうか。これは現実の問題なんです。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 門司さんの御指摘になる事実は、確かにそのようであろうと存ずるのであります。これを解決する方法といたしましては、やはり第一義的には将来電力会社料金が定額制とメーター制によって適正なバランスがとれておるかどうかという問題だろうと思います。もちろん消費者によって選択の自由があるわけでありますから、定額制による方が有利か、メーター制による方が有利かという調整はあろうかと思いますけれども、御指摘のような、そういう選択の自由さえ与えられないというような消費者もあろうかと思います。そこでやはり基本料金を合理的に定めるということであろうと思うのでありまして、現在のこの電気ガス税料金基礎にしてその一〇%、こういうことに相なっておりますから、料金が合理的でないとするならば、それが税の上にも反映してこようかと思います。しかし今お話のような、そのような社会政策的な目的を、この税の中に取り入れるというような——取り入れられれば取り入れてもけっこうでありますが、どうも今日の段階におきましては、それを取り入れることについてはなお検討を要するのではないだろうか。と申しますのは先ほどもいろいろお話がございましたように、そういう消費電力だけを別個に区分して考えるということが、徴税上若干めんどうではないだろうかというふうに思うのであります。しかし御指摘の事実は事実でございますから、その点を私どももさらに検討したいと思います。
  42. 門司亮

    ○門司委員 これは大臣にお聞きをいたしますが、私は今申し上げましたように、少くとも料金に矛盾があるからといって、税金にも矛盾があっていいという理屈はどこにも成り立たぬと思う。料金に矛盾があれば料金を直させることも一つ方法だ。しかし今の電灯会社の方としては、これは選択権があるといったところで、それはたくさんつけ得る力を持った者のみに選択権があるのであって、どうしても一灯しかつけられないという範囲の人に幾ら選択権を与えても、五灯つけますということには参らぬ。従ってみすみす高いものを買っておることに間違いがない。だから大臣にお聞きしておきますのは、少くとも税制を論じて参りまする場合に、住民の負担関係をいたしておりますので、料金が改正されなければ税率が変えられないという理屈は、私はどこにも成り立たぬと思う。国民の消費生活のことを考えていけば、少くとも割高のものを払っておるというならば、税金の方で、税率の方でかげんしていくことは容易にできると思う。できればそうした少額の、一軒に一灯しかつけていない人に対してほ免税が必要だと思う。担税能力の点から考えれば、私は免税だと思う。これらの諸君が割高の料金を払って、割の高い税金を納めて、それでいいという理屈は私はどこにも成り立たぬと思う。だから料金を改められることは必要でしょう。しかし税金税金として無理があるならば、やはり私は改めていくことがけっこうだと思う。そのことのために非課税だとか、あるいは税率についての減免の処置が、ほかの税金にみんな講じられているでしょう。この税金だけが免税点が設けられないという理屈は、私はどこにもないと思う。一律でなければならないという理屈は、どこにもないと思う。だから大臣にお聞きをいたしますが、税法の上でそういう便宜はどうしてもとれないということを、一体政府はお考えであるのかどうか。もしとれるとするならば、どういう処置をとっていただくことがいいかということは、私はおのずからわかってくると思います。今当局の鈴木君なり奥野君の意見なりを聞いてみますと、料金の方を変えてこなければ変えられないというようなことを言っているのですが、私はそういうものではないと思う。これは幾らでも変えられると思うのです。そういう点を大臣からこの際聞いておきたいと思います。
  43. 太田正孝

    太田国務大臣 消費税の客体というような問題は、非常にむずかしい問題だと思います。奢侈品に対する場合もあろうし、日用品に対する場合もありましょうし、事業場の資材として使うような場合もございましょう。よくたばこにその例を引かれる学者の議論があるように聞いておりまするが、今お示しの点の料金と税を区別して考えるということは、私は門司委員の言われる通りと思います。しかしながら関連がないのじゃない。料金というものの中にどういうように作用するかということは、申し上げるまでもありません。ただ最後に申されました免税点とするかどうか、この程度のものは免税にすべきだというお考えに対しましては、私といたしましては、この程度のところでは免税する必要はない。これは何と申しますか、認定論になってしまいますが、現行の制度のもとにおいてやって行きたい、こう考える次第でございます。
  44. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ、この税金に関するこまかい問題のようではありますが、矛盾を聞いておきたいと思います。この税金料金と同時に徴収することになっております。従って電気会社と需用者との間には、料金支払いの不能の場合は、結局電気を切られるということになる。こういう制裁があります。そこでやはり税金がその中に含まれておりますから、結局税金を納めなくても同じ形が出てくると思う。消費者の方は税金についてどういう観念を持っているか、電気料金はこれだけで、税金がこれだけだという観念は持っていない。一緒にくっつけて取っているだけに……。そういたしますと、電気料を払わないからといって電気を切られる。そうすると税金を払わなかったから電気を切られるということにも、一面関連性を持っていると思う。だからこの税金は、こういう形で徴収することが一番楽な徴税方法であります。しかし私は、やはり消費者電気料金税金というものは区別して納めるから、区別して、そして明瞭に消費者自身が納得をするような姿に、この税金は一応徴収の方法を改めたらどうか、実はこう考えるのであります。そうしないと、両方一緒にくっついておりますから、さっきから申しますように、観念的には二つの問題がからんで、そうして、電気料金を払わなかったからといって結局電気を切られるが、税金を払わなかったから電気を切られるということも、その中に百分の十だけ私は含んでいると思う。そういう矛盾がやはりこの中に出てくる。だから徴税方法としてどうなんです。これは税金とそれから料金とは——料金の徴収書を見てみますとはっきり書いてありますよ。書いてありますが、それはほとんど観念的にわかっていないと私は思う。だから区別する方法はつきませんか。
  45. 奥野誠亮

    奥野政府委員 分離して課税していくことは、やってできないことはないだろうと思います。しかし徴税に要する経費は莫大なものになるだろうと思います。それだけがまた国民に税負担としてはね返ってくるのじゃないか、こういうことをおそれるわけであります。第二には、電気ガス税はいわゆる間接税でございまして、それがいいとか悪いとかいろいろ議論はございますけれども、あまり苦痛を感じないで税金を納めていく、直接税の分量を減らして間接税の分量をふやせという意見もある際でございまして、そのことがいいか悪いかもちろん問題はあるわけでございますけれども間接税の特徴を生かしていくといたしますならば、やはり料金税金一緒に徴収していくということになるのじゃないかというふうに思うわけでございます。料金を納めないために電気を切られてしまうという問題もありますけれども電気ガス税を納めないでということはあり得ないわけでありますから、その点は御容赦を願いたいと思います。
  46. 門司亮

    ○門司委員 しかしそれは料金書と一緒にくっついている。離しておればそういう理屈は立つ。料金は払えなくても、税金は払えるかもしれないが、くっついているからそういう問題が出てくる。だから少くとも消費者の方からいえば、その辺がやはり明確になるようにすべきじゃないかと私は考える。政府は、これは話が少し飛ぶようだけれども、公給領収証すらやめようかということを考えたが、公給領収証というものは、おそらくこれと大して違わないような性格になっていると私は思う。  それでもう一つ、それなら聞いておきますが、どうしてもこの税金については、私が先ほどから申し上げておりますように、そういう二つの大きな矛盾を持っていると思うので、第一の矛盾に対しては、少くとも料金の変更ができないから税率も変更できないという理屈は、私はどこにも成り立たぬと思う。それから同時に、定額の電気をつけております諸君の税金を、かりに全廃しないでも、これを五%にしても、私は電灯会社に大した手数、迷惑をかけないと思う。これは電灯会社にはわかっているのですから、そう無理なものにもならないと思う。そうして初めて割高な料金を払っている者が、税金の方では消費と同じような率になるという、消費税を課している姿がはっきりと私は出てくると思う。料金自身が消費の対象になって、公平なるものであればそれはいいですよ。しかし料金自身は、電灯会社からいわせれば、政策的に、一軒のうちで五灯ないし十灯つけるところにはメートルをくっつけてやって、そして使用料だけ払えばいいということになるかもしれないが、一灯しかつけないところは、これは時間的に見ても非常に高い料金を払っているということは事実であります。そこで、そういうこの税と料金との矛盾を少くともなくしようとするならば、税の面から考えれば、この税金は、一灯か二灯しかつけていない、いわゆるメートル制にならない範囲のものについては、これを半分に下げたからといって、私は税金が不公平であるとは言えないと思う。その方が、むしろ私は公平だと思う。同時に社会政策的に考えても、それの方が穏当だと考えられる。ことにこの税金は、生活の必需品であります。なければならない電灯であります。従って、ほとんど強制的といっていいほど税金を取られるのであります。税金を納めるのがいやだからといって、今日の社会で電気をつけないというわけに参らないと私は思う。都市の生活には必需品として考えられる。これに税金をかけるということは、税金自体についても私どもは多少の考え方がある。しかしそれを一応おくとしても、必需品であるだけに、そういう定額の諸君についての税率を下げてやるということが、この際私は当然だと考えているから、どうしてもできるかできないかということを御答弁を願いたい。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 電気ガス税を従量制にすることと、現行のように料金基礎にいたしますることとの長短は、それぞれあろうと存じますが、今日料金を建前にして課税をいたしておりまするのは、やはり従量制ということになりますると、課税上非常に複雑になってくるわけでありまして、料金の計算と、従量に対する税金の計算と二度やらなければならないというようなことで、電力会社を特別徴収義務者にしておる関係もありまして、めんどうなことはなるべく避けたいというようなこともありますし、また消費税の性格から申しまして、たばこの税と同じように、やはり料金に対して一定の割合をかけたものをとるという方が筋だと思うのであります。そういうようなことで今日料金制の建前をとっておるわけであります。その結果として、料金は私は一応今日合理的にできておると思うのでございますが、それにもし不合理が含まれておるということでございますれば、御指摘のような点があるわけでございます。その点は私どもといたしましても今後十分研究いたしたいと思います。
  48. 門司亮

    ○門司委員 もうやめようと思ったのだが、今の話でまた質問しなければならない。従量制にするということを私は言っているのではないのです。今の料金の中で、従量制をとっているものと定額制をとっているものと二つある。これは御存じでしょう。現実料金の中には、従量で徴収している、いわゆるメートルで取っているのと、それからあなた方は経験ないかもしれませんが、場末に行ってごらんさい、一灯しかつけていないで、従量で取るといったって取りようがない、定額で取っている、この二つがあるのです。だからして従量制をとっているものは、割の安い料金を払っていることは確かです。それを従量制としてすっきりさせようとするには、たくさん使っておっても料金は安い、少し使っておっても料金が高いということ、この料金の矛盾がある、この矛盾を直すことも一つ。しかしあなたの方においては、大臣お話のように、これとあれとくっついておるから直せないということは、成り立たぬと思う。これが消費税であるとするならば、割高の料金を払っておるところには税率を安くするのは、地方税としての建前からは、私はすっきりすると思う。だからそのことを聞いておるのです。全部を従量制にして換算せよといったら大へんなことになるのです。また電灯会社では、それはできやしない。現実の問題をどう考えて解決するかということ、そうむずかしくものを考えないでも話はできると思う。だからどうしてもできないというなら、できないでいいですよ。われわれもまたその考え方がなければなりませんから。しかし電気ガス税というもの、今日の文化の社会の中で生活必需品と考えられるものの税金は、私はそういう矛盾があってはいけない、こう考えるのです。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 従量制の問題について、電灯会社の料金という意味で申したのではございませんで、税制の上で、従来から料金課税標準にするか、従量を課税標準にするかという問題があるわけでございます。もし従量制をとりまするならば、料金課税標準にしないで、使用した電力量を基礎課税標準とするならば、御指摘の点は排除できると思うのであります。要するに、料金が高い低いによって税が多くなったり少くなったりしないで、使用した量によって一律に税金をかけますから、こうすればこれはおっしゃるような意味の合理性は確保できると思うのであります。ただそういうことは、現在の徴収技術上、困難である、また実際やりにくいということで、今日料金制をとっておるわけでございますし、消費税という性格からもこの制度の方が筋が合うと私ども考えておるのでございます。御指摘の社会政策的な面を税制の上に反映させるという点は、先ほど大臣が申し上げましたように、今日の段階として私どもはそこまでこの税制の中で社会政策の問題を取り上げることは困難であろう、こう思っております。
  50. 門司亮

    ○門司委員 そういう理屈を言うなら、私も理屈を言わなければならない。今の電気料金を電灯会社がきめる場合にこれを従量制にする、あるいは今の定額制がある。税金をきめる場合に、全部これを従量制にしていこうというのは、一つ考え方かもしれないが、しかしこれはそんなことを言ったってできない相談だ。電灯会社が一つの営利事業としてやっている以上は、そろばんに合わないことを、幾ら税金を平らにしたいからと言っても、やりやしない。従って現在ある電灯料金というものを中心にして、ものを考えていく以外にない。もし自治庁から、税金を取るのがめんどうだから、電灯会社は従量制にしなければならないという法律をこしらえたらどうか、これはおそらく今日の私企業である電灯会社はそんなことはできやしない。現実にある従量制によって払っておる電灯料金というものは安いのである。もしあなた方がこれから先——私はあなた方に預けておきますが、現在の電灯会社の料金の支払いの方法とか、その単価、一キロワット当りの定額制と従量制と比較表を調べてごらんなさい、どんなものが出てくるか。私の方でごく最近調べた資料があります。あなた方の方でも調べてごらんなさい。どっちが割高でどっちが割安か。生活必需品である電気について割高な料金を払っておるところと割安な料金を払っているところが、税率は同じでいいということはない。税金の面から考えていけば、あるいはあなた方の考え方からすれば、そういうことが言えるかもしれない。しかしこれは消費税としてものを考えていけば、割高のものを払っているところには、税金の方を安くするということは当然だと考える。そうしなければ、どこまでいっても貧乏人は助からぬですよ。たくさんの電気を使っておるところは、従量制で安くなっておる、従って税金も安くなっておる。貧乏人の一灯しか使ってないところは、非常に高い料金を払っている、従って税金も高い税金を払っている。この矛盾がどこまでも出てくる。しかしその料金自身は、電灯会社は私企業、営利会社でありますので、従って会社の成り立つ角度において料金を徴収する方法は幾らでもあると思う。少くとも国が国民の負担の公平を期そうとするならば、やはりそういうものが当然考えらるべきである。料金が不公平だから税金も不公平であっていいという理屈はどこにも成り立たぬと思う。これは国が行う事業ですよ。私企業が行う仕事ではない。そうして税率も、こういう税金については何%にする、これは何%にするということはできるでしょう。現在おのおのの業種においてみなやっているでしょう。固定資産税を見てもそうです、あるいは事業税についてもそうですよ。百分の十六というのもある、百分の十五というのもある、百分の十二というのもある。幾らも考えはあるでしょう。この段階をつけた原因はどこにあるんですか。おのおのその業種の実態に即した税金の取り方をしなければ、無理ができる。事業税であるという一つの税の本質から割り出せば、あなた方の考え方もみな同じでいいはずです。事業税の本質にどこに変りがあるか。その事業税についておのおのの事業の実態に即した税率を定めていくということは、今日の税法の中に明らかに認められている。電気ガス税だけが認められない理屈がどこにあるのでありますか、電気ガス税に限ってそういうことが認められないという原則がどこにあるのでありますか。あったら、はっきりしておいてもらいたい。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 いろいろ御議論でございますが、料金につきましては、通産省がそれぞれ十分検討いたしまして、政府として認可をいたしておるわけでありまして、私どもはこの料金は一応均衡がとれているものと考えているのであります。  なおそういうもとにおいて、今御指摘のような社会政策的な趣旨をこの税の中に生かす必要があるかどうかという点については、先ほどすでに大臣からお答え申し上げた通りであります。
  52. 門司亮

    ○門司委員 社会政策的というよりも、むしろ私の聞いておりますのは、率直にそういう処置がとれるかとれないかということを聞いている。ほかの税金で、現実にとっている事業税でも、第一種、第二種、第三種というものをこしらえているでしょう。事業税という性格からいけば、これはみな同じものでなければならぬでしょう。そういう処置がとれるかとれないかということを聞いているんです。
  53. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもはそういう処置をとる必要はないと考えております。
  54. 門司亮

    ○門司委員 どういうわけでとる必要がないのですか。
  55. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはたとえばたばこの税も消費税でございましょうが、特に困窮している者に対してたばこの割引をするというようなことが事実上できないのと同じ意味において、これはやる必要はないと考えております。
  56. 門司亮

    ○門司委員 たばこは税金なんですか。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 名前は違いますが、実質は税でございます。
  58. 門司亮

    ○門司委員 名前は違うが、実質的に、税だというのですが、たばことこれとはどれだけ違いますか。たばこは嗜好品でしょう。少くとも生活必需品じゃないでしょう。たばこは生活必需品とあなたはお考えになりますか。どうなんですか。
  59. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 奢侈品とも申せないですが、今日では一般化、大衆化しましたので、一種の日常品と私は考えます。
  60. 門司亮

    ○門司委員 それでは電灯を日用品とあなたはお考えですか。今日の電気は日用品と考えてそれで世間が通りますか。一体どうなんですか。
  61. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 とにかくいろいろ御議論は御議論として拝聴いたしましたが、私ども先ほど来申し上げましたような考え方で、そういうようなことはできないと考えておるのであります。
  62. 門司亮

    ○門司委員 できないという議論は私はおかしいと思う。それじゃ現実にほかの税金はどうするのです。それじゃ事業税の格差をつけたのは何でつけたのですか。事業税の性格において同じでいいと思うのです。あなたの議論から行けばそこにはいろいろな問題がある。自家労力がどうだから、あるいは法律の制裁を受けているとか、理屈がくっついているからああいう形にしたのでしょう。税の本質から行くとみんな同じでいいはずです。
  63. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 事業税と電気消費税とは、一は直接税でございますし、一は消費税でございまして、性格はまるで違うと思います。
  64. 門司亮

    ○門司委員 税の性格が違っても取扱いは変らないでしょう。どうしてそれを一体変えるのですか。税金はむろんおのおのの性格を持っていることははっきりしている。しかし直接税だからやれる、間接税だからやれないという規則はどこにありますか。
  65. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 消費税につきましては、そのような趣旨を反映することが非常に困難でございます。
  66. 門司亮

    ○門司委員 私は困難じゃないと思う。料金がきまっているでしょう。そうすると、私は結論的に申し上げておきますが、政府の意向は、いかなる貧乏人も生活必需品である電灯については、たとい高額の割高の料金を払っておっても、料金に応じて割高の税金を納めさせることが正しい理論とお考えになっているかどうか。
  67. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 もうその点は何回も申し上げました通りども考えております。
  68. 門司亮

    ○門司委員 何回もといっても正しい理論とはいえない。正しい理論と考えているかどうかということを聞いているのです。
  69. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御説は十分拝聴いたしました。
  70. 門司亮

    ○門司委員 説を聞いたか聞かぬかということを聞いているのじゃない。これだけ大きな声を出しているから聞かぬとは言えない。聞いたか聞かぬかということを聞いているのじゃない。質問に対する答弁をしなさい。
  71. 太田正孝

    太田国務大臣 御熱心に下層階級の必需品に対する消費税のことをお話し下さいまして、拝聴いたしました。ただ、次長の申すように、直接税と間接税とは、課税方式におきましても、あるいは免税点の設け方において相当違っていること、これまた門司委員の御了承なさることと思います。ただ前後を通じて御熱心に主張されましたる点につきましては、よくその点を考えていきたいと思います。ただし現状におきましては、先ほど私が申しました通り、その一つ免税点等につきましても、現在の状況のもとにおける徴税及び課税方式といたしましては、この程度にいたしたい。しかし熱心なる御主張の点はよく私も勉強していきたいと思います。ただいまのところにおいては、変える気はないのでございます。
  72. 門司亮

    ○門司委員 私は大臣の答弁は非常に政治的な答弁で、それでもいいかと思いますが、問題になるのは、電気税というもの自身政策的であるものが加味されていることは事実でしょう。たとえば原材料と目されるようなものについては、これをできるだけはずしたいということである。しかし電気料金自身から考えていけば、これはやはり納めていいということである。これは取って悪いという規則はどこにもない。ただこれを消費税としてものを考えていく時分には、そうしたことに矛盾が出はしないかという考え方が出てくる。従って原材料と思われるようなものについての電気料金については、これを免税にしようということは一応考えられる。これも税金から来る一つのものの考え方である。しかし税全体を平らに考えてみなさい。見方によっては全部税金をかけたらいいじゃないか、同時にこれには多少の税率で加減してもいいのではないか。理屈はこれは出てくるのであります。税の取扱い自身がみなそれをやっているのである。にもかかわらず、この税金だけそういう取扱いができないという理屈はどこにも成り立たぬと思います。少くとも政府がものを考えるならば、やはり国民の負担の公平——税の公平ということは国民負担の公平でなければならない。一方は営利会社が行なっておる電気料金の徴収の方法である。従ってこれに政府が制約を加えることができればけっこうですが、なかなかこれは困難です。そうだとすれば、税の負担の公平を期そうとするならば、その基礎になっておる電気料金に矛盾があるとするならば、やはり税の負担の公平の建前からいえば、税金の方で税率を上げたり下げたりすることも私はなし得ると思う。またこれは政府としてなさなければならぬ仕事だと思う。そういう面について、大臣は今はできない、これから勉強しようというような変な御答弁ですれども、できなければできないでいいです。できなければできないでいいから、鈴木君のような、話を承わりましたというようなことでは、私は返事を聞かなければどうしてもやめるわけにはいかない。一体そういう考え方を持っているか持っていないか。話を聞いただけでどうするというのだ。
  73. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御趣旨の点はよくわかったのであります。私どももなおよく研究してみたいと考えます。
  74. 門司亮

    ○門司委員 なおよく研究するというなら、即刻に電灯会社が今日取っておる料金に対しての表を一応あなたの方で調べて、そうして私の手元へ一つ届けてもらいたい。どういうものができ上ってくるか、私の調査したものと違っておるかどうか、一ぺん聞いてみなければわからない。それをお調べになれば、すぐそういう矛盾が出てくると思う。  それからもう一つこの際聞いておきたいと思いますことは、電気料金について値上げの意向があるやに承わったのでありますが、政府はそういうお考えがないかどうか。  これは私個人が直接感じたことでありまするので、私の考え方が間違っておればそれでいいのでありますが、今電灯料金に対する電気税の値下げと電気料金の値上げとが何らかの関連性を持つような運動が行われていることがありますが、これに政府は気がついておろかどうか。
  75. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのところ政府部内におきまして、そのような話が具体化するということは聞いておりません。
  76. 北山愛郎

    北山委員 電気税の社会政策的な観念ということを今質疑されたわけですが、承わっていると、結局政府はこの電気税についても社会政策などを考える資格がない、それ以前なんです。私がお伺いしたのは、そういう政策の加味はできないが、しかし大資本、大産業保護する政策は加味できる、やっておる、こういうふうに考えざるを得ないわけなんです。いろいろな先ほど来の質疑を通じまして、大臣もその点はよくわかったと思うのですが、この四百八十九条の非課税規定というものは、これは統制時代遺物である、そういう沿革なんです。従ってこれを消費税的なものに一本化して、そしてすべて原材料として使う分については非課税に全部してしまう。あるいはまたそうじゃなくて、すべて原料でもあるいは消費物資として使う分について一律に課税をするか、そういうふうに行かなければ、大臣が言われておるような非課税の整理であるとかあるいは公平主義であるとかそういう原則が貫かれない、こういうふうに思うのですが、この電気税について今後どういうふうにやっていかれるつもりであるか、大臣にこの考え方を承わりたいのであります。
  77. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 電気ガス税につきましては、先ほど来申し上げましたように、方向としては全部一律一体にいたしまして、税率を安くしてこの同等程度の税収を確保する、こういうような非課税全廃の行き方が一つあるわけでございまするし、反面産業に要する電力というものは一切非課税にして、消費税の本質に徹した一般消費電力だけに課税する、こういう二つ考え方があろうかと思うのでございますが、いずれも影響するところ大でございまするから、この点は政府としても調査会等の意見も十分拝聴いたしまして、今後検討して参りたいと思っております。現状の姿が最善のものであろとは私ども考えていないのであります。
  78. 北山愛郎

    北山委員 非課税については、いろいろあるわけなんです。たくさんある。資料によって見ますというと、純粋に地方税の分についても、約四百億ばかりが、この非課税部分でございます。その中で大臣は、この前農業事業税のことを指摘されたわけであります。何かそれも地方制度調査会の答申にあったけれども、これはやらなかったというふうな口ぶりなんですが、もしも農業事業税を将来やるとかりに仮定するならば、それと同じように、この電気税非課税の問題も、これは問題にすべきじゃないか。農業事業税については約八十億でございますが、この電気税非課税は九十三億、こういうふうにあるわけなんで、どうもわれわれから考えると、よく世間では農業事業税については当然かけるべきじゃないか、農民の負担が軽過ぎるとか、そういうことばかりを問題にしている。そしてこういうような特殊な産業に対する、基礎産業に対する電気税非課税については、一向問題にしていない。これは片手落ちだと私は思うのです。現実にやっておる公平の原則に反するような、結果としては大産業保護にしかならないような、こういうような非課税規定はそのままにしておいて、農業事業税を論ずるということは、これは一つの一定の立場かもしれませんけれども、どうも公平ではないと私は思うのです。従ってこの際農業事業税というものを論ずるならば、同様に電気税非課税の問題もあわせて取り上げるべきであると思うのですが、大臣はどのようにお考えですか。大臣は一体ここに出席するのは、きょうはめずらしく来ておられるのだから、一つわれわれは大臣のお答えを願いたいのです。ところがただすわっておられるだけじゃ、一向来ておられる意味をなさぬのですから、一つざっくばらんにどんどん思うことを言っていただきたい。
  79. 太田正孝

    太田国務大臣 税制につきましては、全面的に調べて結果を得たいと思っております。
  80. 北山愛郎

    北山委員 それくらいのことを言うなら、何もここに来る必要はないのですよ。小学校の生徒でも、そのことくらい言える。やはり私ども電気税なら電気税の問題、固定資産税なら固定資産税の問題、現実の問題を論じておる。また政府としても今度の地方税の改正案は、具体的の問題を出しておるでしょう。それを基礎にしてお話しをしなければ、今後全面的に検討したいというような答弁では、一向この委員会の審議の意義がないと私は思う。もう少し具体的に話していただきたい。
  81. 太田正孝

    太田国務大臣 私は現状におきましての、地方税に手を加えるのは、この程度でいいと信じて、この法案を出した次第でございます。しかし税制改革となりますれば、いろいろな方面に関係するのでございまして、逃げ口上で言うのでなく、ほんとうにあらゆる問題を調べてみたいと思います。たとえば現状におきましての私の判断においては、農業事業税を起したくないと考えておりますが、なお農業政策もだいぶん変ってきている傾向もあるようでございまして、そんな点も加味しつつ、全面的に考えなければならぬ。あるいはこの税につきましても、門司委員が極力主張されたような社会政策的な意味において、どう考えるかという点について、現状においては私はこれでいいと思いますが、こういう点はやはり考えていかなければならぬ。税全般につきまして、非常に数の多いものを、一々私がこの税とこの税を今取り上げるということが言えないものでございますから、逃げ口上でなく、そうお答えするはかなかったのでございます。
  82. 北山愛郎

    北山委員 私具体的に聞きますが、この電気税の今お伺いをしている四百八十九条の非課税について、現状でこれでいいと思うというのは、どういう根拠なんですか。先ほど来のお話のように、これは過去の遺物であると言っておる。今の原則からいえば、非課税にするというと、その結果が、コストは安くなるかもしれませんけれども商品の値段に響かない。そういうように状況が変っておるのです。変ったものが残っておる。だから現状でいいという理屈は立たないと思う。直さなければならぬという状態になっておる。少くともそう思うのです。もしも現状でいいとするならば、やはり産業について、一部の産業保護するが、一部の産業は、特に中小企業等については保護しない、こういう考え方の上に立っての話じゃないかと思うのですが、現状でいいのだという根拠を明らかにしていただきたい。
  83. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 四百八十九条の電気ガス税非課税範囲につきましては、先ほど申し上げましたように、現状で将来ともよろしいんだということを決して申し上げているのではないのでございまして、今年度におきましては、この程度の非課税を存置することはやむを得ない、こういう前提に立っているのでございます。三十二年度以降におきまして、これらの問題についてどういうふうに処置をいたすかということは、国際物価の関係もございましょう、産業政策関係もあるわけでございまして、それらの観点から非課税を廃し得るかどうかということを検討いたしたいと考えているわけでございます。
  84. 北山愛郎

    北山委員 これも一つの例でありますが、一般的にいって、地方税について国の産業政策が浸透している例だと思うのです。ほかにもありますが、そういうことが適当かどうか。税のオーソドックスの原則からは、ちょっとはみ出しているんじゃないか。国税については、あるいは国策としてそういうことがあるかもしれぬが、そのために地方税が影響を受けるというようなことは避くべきじゃないか、私どもはそう考える。なぜならば、たとえば電気税にしても、それはその地域々々の財源のわけです。ところがこれらの産業に対して非課税にするということは、大きな国全体の産業政策の上からやっているので、セメントならセメントにしても、肥料にしても、地方的な問題じゃないのです。むしろ地方が今やっている工場誘致条例のようなものは、その減免措置地方の振興というものとの結びつきがある。むしろそっちの方が理由があると思うのです。しかしこういうような国家的な、全国的な見地からやっている非課税規定地方税に置くということは、これは適当でない、こういうふうに言うのが正しいと思うのですが、一体自治庁はどういうふうにお考えですか。
  85. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 原則論といたしましては、国家目的からいたしましての産業政策あるいは社会政策上の見地税制の上に反映するということは、これは国税の上で取り上げることが第一義であろうと思いますし、また地方税から申しますならば、その地方社会におけるそのような社会政策なり産業政策なりというものが地方税の中に反映してくる、これが第一義的なことだろうと思うのであります。しかし国が地方税金を全部地方の自主的な制度にまかせないで、国家の基本法において、地方税法におきまして、法律によって基礎を定めているということは、やはりそこに国全体として地方税制度の上におきましても、基礎的なことでは画一にしておきたいということがあるわけであります。これは半面国民の負担考えます以上は、当然なことであろうと思います。その場合におきまして、第二次的に地方税につきましても、社会政策なり産業政策の目的が反映してくるということは、これを一切排除するというような考え方は立ちがたい。やむを得ない程度においてそれらのものが取り入れられることも、これまたいたし方がないであろうと思うのであります。
  86. 中井徳次郎

    中井委員 順序によって進んでおりますが、これから軽油引取税なんかの重要な問題がまだ残っておりますし、それから私ども方々から陳情を受けております木材引取税、牛馬荷車税についても一、二お尋ねしたいのであります。けれども十二時半ですから、ちょっと一時間ばかり休憩してもらって、あるいは本会議の終了後引き続いてやってもらいたい、かように思います。それともこれからずっと本会議までやってということもありますが、どうも腹が減ってはどうでしょうか。
  87. 大矢省三

    大矢委員長 それではちょっと休憩して理事会を開きます。  暫時休憩します。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  88. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題として税目別質疑を行います。目的税に移ります。中井君。
  89. 中井徳次郎

    中井委員 目的税、軽油引取税に入ります前に木材引取税と自転車荷車税につきまして、この際政府見解をただしておきたいと思うのであります。  木材引取税につきましては、昨年度におきましてもまた本年の国会にも業者を中心といたしまして、全国の山林所有者からこれに対する猛烈な廃止の運動があるわけでございます。その趣旨を伺いますと、まことにもっともな理由が多いのであります。地方税で残っております流通税というか唯一のもので、しかもその取り方につきましては、これは陳情者の方は申しておりませんが、私ども立場から考えますと、まことに不均衡である。地区によって非常にまちまちであります。特にはっきりとわかりますのは、国有林の関係は比較的正確に納められております結果、国有林と私有林との間に非常な差額が出ておるというふうなことが実態でないかと思うのであります。しかも税の総額は四千億の地方税の中にありましては、わずかに十八億四百万円というふうなきわめて少額なものになっておる。これについては相当私は部内においても意見が必ずや出ておると思うのでありますが、その点について政府の総括的な、全体から見た木材引取税に対する考え方、それから将来にわたりましてどういうふうな気持でおるかということを、この際、きょうはもう質問の最後でありますから、締めくくりの意味におきまして私はお尋ねをいたしておきたい、かように思うのであります。
  90. 奥野誠亮

    奥野政府委員 木材引取税につきましては、御指摘のようにいろいろな問題が起って参っておりますし、この適正な運用につきましては、自治庁としても非常に苦慮いたしております。ただ山林につきまして何らかの形において税負担を求めることは至当ではなかろうか、こう思っております。その場合にどういう求め方をするかといいますと、やはり山の木を切って収入がある際に負担してもらう、そういうやり方が一番いいのではないだろうか、こう思うわけであります。そういたしますと、木材引取税のような形になって参るわけでございますけれども、現在木材検査というものがなくなりましてから、市町村における引き取り素材の数についての把握が、必ずしも適正に行っていない、こういう問題が一つございます。それともう一つ価格課税標準にしているわけでございますけれども、その価格そのものが必ずしも全国的に均衡のとれたものになっていない、こういう問題があるわけでございます。前者の問題につきましては、立木の伐採につきまして現在許可制になっておるわけでありますけれども市町村、県あるいは森林組合、これらの関係につきまして、もう少し連絡を強化する道はないものだろうか、こういう点についていろいろと考えをめぐらしておるわけでございます。もう一つ価格の問題につきましては二、三年前に、素材の種類ごとに一応この程度の価格課税標準にすることが至当と思われるという通達を出したわけでございますが、この点はまた非常な波紋を起したわけでありまして、ある意味においてはこのことが木材引取税の廃止運動に拍車をかけたとも言えるのではないかと思うのでございます。この価格につきましても税率の問題と一緒にして検討していきたい、そうすることによって適正な課税ができるように持っていきたいと思います。森林組合が負担金を山林所有者に求め、そういう場合にも立木伐採の都度その価格の一定割合負担金として求める、そのまた立木の価格の評価が非常に低いというような事例もいろいろあったりいたしますものですから、一そう木材引取税が複雑になってきているんじゃないかというふうに思っております。今後なお申し上げましたような点につきましてよく検討して参る所存でございます。
  91. 中井徳次郎

    中井委員 今の御答弁を伺いますと、御答弁の中でもこの引取税の形については十分であるとは決して思っていないということであります。政府も認めておられることでありますが、これはどうですか。もうぼつぼつこういうものは私は廃止の方向に進まなければならぬ、そういたしまして十八億ばかりの税源でありますから、できればこれに見返るようなものを工夫をしてみるのが、当然の行き方でないかと思うのでありますが、この前大臣にこの問題を少しお尋ねした記憶があるのでありますが、あのときには十分研究をしていきたいというふうなことでございました。どうですその後、わずか十八億のことであるし、あなたは今度の税制改正の御説明の中で、方針の第三にもはっきりとこの点をうたっておられる。これを進めていくと当然ここへくると思うのです。すなわち税務行政の規律を明確化するということ、この木材引取税に関する限りは規律を明確化するようにやるということになると、どうしてもいろいろな問題が起ってきまして、私は廃止の方向に行かなければならぬと思う。いろいろ方法はありましょうが、関連しましてお聞きするのですが、山林の関係の固定資産税、これは一体総額どれくらいになっていますか。私は十四、五億くらいじゃないかというふうに記憶いたしておるのであります。そうなりますと田地、畑と比較をいたしまして、面積はおそらく二倍から三倍ありましょうが、現実の税収入というのは二十分の一、三十分の一というふうなことになる。もとより同一はもちろんいけませんけれども、あまりこの辺のところに隔たりがあるようにも思えます。いろいろその他林業関係についての事業税も考えられると思うのでありますが、そういう点についての大臣の御意見をちょっと伺っておきたいと思います。
  92. 奥野誠亮

    奥野政府委員 山林に対します固定資産税の徴税見込み額は、十六億八千百万円になっております。
  93. 太田正孝

    太田国務大臣 中井さんのお話は、実は私は天竜川の山奥で、ほんとうの山林地に育った人間で、もう山林以外に何もないのであります。その話はよく承わります。ただ申し上げるまでもなく、山間地帯の税源というのは、非常に乏しいということも御了解願えるかと思うのでございます。しかも林道を作るとか開発するとか、金のかかる仕事がまた金のない上にあるような状況で、実は税源という問題も、そこに関係しておるのでございます。固定資産税の関係は、立木の方はかかっておらないような事情もございまして、いろいろ工夫しておるのでございますが、とにかく山間地帯に仕事はあり、税源が乏しいというのが、最も痛い問題の中心かと思うのでございます。
  94. 中井徳次郎

    中井委員 そういう点はよくわかっております。従って私はこれを廃止して、廃止し放しということになれば、交付税その他において十分見なくちゃならぬということはわかりまするが、どうも今の取り方は、あなたは天竜川の上流で金原明善の植林の御近所のように承わって、よくその辺の事情もおわかりだとおっしゃいますが、その辺のところと、たとえば九州地方とは公平に行われておるか、あるいはまた北海道の方はどうだということになると、非常に私はでこぼこがあるように思うのであります。そういう面から言いまして、どうも今の形はあまり感心しない。それから税源のお話でありますが、これは見方を変えまして、農村地帯においては、大体農地解放でもって一応経済的な地ならしは行われましたが、山林の関係はそのままであります。従いまして、ところどころに非常に大きな山林持ちがまだ依然として残っておりまして、現在大都市以外の各地において、いわゆる財産家というのは、全部これは山林を基礎といたしております。私は農業だけで財産家なんというものは、現在ないと思っております。ですから、税源の面になりまするというと、私は非常に貧弱だとはいいますが、個々を探ってみまするというと、非常に余裕があるものが出て参る。これは木材の売買その他の過程において、いろんな経過をたどっておのおの上手に税金をのがれる。俗に言いますと、のがれる方法をやっておられるようであります。もっともこれは三十年とか五十年に一回しか一つの山についてみますと収益はないというむずかしい考え方もありましょうけれども、私は立木でもって、三十年あるいは二十年以後のものにつきましては、一定の固定的な財源というものを考えていく段階に、もう来ておるのではないか。今の引取税のごときでありまするというと、まことにその辺のところが不均衡であり、不公平であるというふうに考えざるを得ない。  なおついでに伺っておくが、これは燃料用の木材につきましては、もちろん税金がかかっておらぬと思いますが、そういう立木というふうなものについても——これは大へん理屈になりますが、きょう午前中から議論がありましたように、都市生活の者にとりましては、朝起きて水道をひねると水道料がかかる。ちょっとお湯をわかそうと思えばガス税、電気をひねれば電気税、こういうわけであります。そういう意味におきまして、特にそういうものを勘案いたしますると、この木材引取税だけ、しかもでこぼこにとっておる。率直に申して、ある村におきましては、自分の方の木材業者からはとらないで、他村から来た連中からはとるというふうなことをやってみたり、あるいはもうほとんど九割九分までは妥協であります。村に参りますと、村長さんが土地の関係者を集めて、ことしは何ぼくらい納めてもらおうかのう、予算は十五万円じゃが、ちょっと金がないので、二十五万円にしてくれぬか、まあゆっくり相談しようというふうな形で、これはとられておるのでありまして、そういう点でまことに私は不明朗だと思うのでありまするが、さらにつっ込んでそういう問題について積極的に——私は業者の反対だけでは断じて取り上げるのではございませんが、税体系としてもふに落ちない点が多いのであります。もう一つつっ込んでお尋ねしますが、政府としましても、積極的にこの引取税について解決をしていく考え方であるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  95. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 木材引取税が、今日市町村税でありますことからいたしまして、課税の実態が各市町村間にでこぼこがあるということは、私どももこれを認めざるを得ない実情だろうと思っております。御承知のようにシャープ改革前におきましては、木材引取税は府県税であり、市町村はその付加税でございましたから、府県間において木材の検査等の問題もありまして、少くとも府県内の市町村におきましては、そのような不均衡ということは課税標準におきましてはなかったかと思うのでありますが、今日は市町村単位の税になっております関係から、御指摘のような実情は私どももいなみがたい点であろうと思うのであります。御指摘のようにそのような不均衡を是正するということは、負担の均衡という点から申しますと、まさしくその通りであろうと思っております。ただ自主的に市町村が税をとっております関係上、そこに若干のでこぼこが出てくるのはやむを得ないかと思いますけれども先ほど税務部長から申しましたように、森林組合なり県の主務部等の関係も、市町村との間において緊密な連携をとるようにいたしまして、御指摘のような非難ができるだけ少くなりますように、私どもも指導して参りたいと思います。
  96. 中井徳次郎

    中井委員 お話を承わっていると、私が指摘いたしておりますような結果については十分認めておられる。十分認めておられるが、それを行政措置できちんとやるように努力するというのですが、私はできないと思う。大体こんなものは木材の統制が撤廃されたときにやめるべきだった。そこまでお考えをいただきたい。これは現実にそういうことができるのなら、もうやっております。できないのであります。そういう面から、現状をそのまま残しておいて、小細工して少し直していこうということについては、私はどうも納得ができない。総体から見ましてわずか十八億です。これは何とか一つ積極的に解決策を考えられるのが、政府として私は当然だと思うのですが、どうですか。
  97. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府といたしましても、そのような趣旨のお話はしばしば承わっている点でございまして、今後調査会等においても十分研究をしてもらいまして、できるだけ御趣旨の点を考えて参りたいと思います。
  98. 中井徳次郎

    中井委員 どうぞ今の答弁のようにもっと積極的に、こんなものは廃止をしてもらいたいと思う。私ども社会党は廃止で進んでおります。  それからこれに関連しまして、これも毎年問題になるんだが、自転車荷車税です。これはどうですか。また今年も出て参りましたが、この間からちょっといただいた資料を調べてみますと、全国で自転車は千二百万台ある。そういうものから二百円ずっとりまして、二十四億になっている。これも庶民の足——げたか、ぞうりか、くつか知りませんが、商人には天びん棒だというようなことでありまして、ただ明治からずっとあるからといって置いておく、こういうことが地方税を非常に複雑にし、かつ不明朗にしている。しかもこれには徴税費が相当かかっていると思うが、この自転車荷車税の四十億に対して、徴税費はどれくらいかかっているのですか。
  99. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自転車荷車税は、御指摘のように自転車にいたしましても荷車にいたしましても、大衆的な用具でありますから、このようなものになるべくかけない方が望ましいことと私ども考えております。地方制度調査会等におきましても、これらの税目の存廃につきまして相当意見があった点でございまして、御指摘のように、このような税はなるべく廃止すべきであるという含みでのお話は、私どもまことに同感であります。他に適当なる財源さえ得られまするならば、将来積極的にこの問題についても考えて参りたいと思います。
  100. 中井徳次郎

    中井委員 いつもこの問題は他に適当な財源というようなことで、それは理論的にはごもっともなことです。しかし、一方ことししばしば問題になりましたように、この四千億の総計の中でいわゆる自然増というのは百億しかない。ことしは地方財政は非常に困難であるから、一応欲の深い計画をお立てになるという気持もわからぬではありませんけれども、これは実態とおよそほど遠いと思うのであります。こういうのを四十億か五十億ふやすということになりますと、こういう自転車荷車税なんかは全廃しても何ら差しつかえはない。特に私ども申し上げておるのは、最近方々で現われてきました原動機つきのもの、そういうものについては多少これは道も壊すでありましょう。そういう意味におきまして残しておいてもいいじゃないかと思いますが、もう素朴な自転車につきましては、どうもこれはわからない。この辺のところでどうですか。これは議論の余地は尽きておるように思う。その点さらに御回答が賜わりたいのと、今徴税費関係御返事がないが、どうですか。
  101. 奥野誠亮

    奥野政府委員 自転車荷車税だけの徴税費を調べたものはございませんけれども、町村等の徴税費の全体から推定いたしまして、八%前後じゃないだろうかというふうに考えます。
  102. 中井徳次郎

    中井委員 平均が八%ですか。
  103. 奥野誠亮

    奥野政府委員 五大市が六・一%、市が五・六%、町村が八・三%という数字が、二十七年度の実績で出ております。
  104. 中井徳次郎

    中井委員 それは一般地方税全体の比率でしょう。この自転車荷車税は全く私は比較にならぬと思う。これは非常にたくさん使われております。私はある町村の統計を見ましたが、三割とか四割とかいうことになっている。ほんとうですよ。この点についてあなた方はもう少し詳しく調べて下さい。それでは一例を言いましょうか。あの二百円の税金をとるために、各町村におきましては自転車の前に不格好なこんなものを出しておくでしょう。あれは一枚五十円しますよ。高いのになると七十円ぐらいします。これは一年では壊れないかもしれませんが、三年は持ちゃしません。二年に割ってごらんなさい。それだけで、五十円なら二十五円ということで、一割を突破しておる。これは全くばかばかしい税金だと思うのだが、そういう点について、この間もお尋ねしたのだが、どうもきょうは最後まで行くというから、きょうの間に合わぬと思いますが、この次の委員会には一応自転車荷車税だけの徴税費は一体どれくらいになっているか、調べて下さい。そんな八%なんという甘いものじゃありませんですよ。私は少くとも二割はかかっておると思う。少くとも二割はかかっておると思います。どうですか。
  105. 奥野誠亮

    奥野政府委員 自転車荷車税は一件当り零細な額のものでありますから、他の徴税費よりは若干割高になるだろうと思います。ただ、今お話になりました番号札といいましょうか、これは税とは別個にまた盗難防止といいましょうか、あるいは秩序維持といいましょうか、そういう面でも必要性が言われておるのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。お示しの自転車荷車税だけの徴収費用につきまして、都内の実例等でなるたけ早い間に調べて提出するようにいたしたいと思います。
  106. 中井徳次郎

    中井委員 今の番号札の問題ですが、それは警察の関係その他で要るといいますが、しかしああいう番号札が現われたのは、町村が非常に赤字になって何とかしたいというのから現われたのでありまして、警察関係でありますならば、ずいぶん前からあるはずであります。簡単に鑑札か何かをつけております。これが全部あれになったのでありますから、またその経費についてはおそらく市町村はとっておると思います。それだけそれでは税金が重くなっておる、こういう形になる。実質的には徴税費だと言わざるを得ないと思うのであります。この自転車荷車税についてそういう甘い考えではいけないと思う。この次の機会には私はまっ先に取り上げる。三十二年度のいわゆる税制改正をお考えになっておるなら、まずこの二つが問題にならねばならぬというふうに考えておりますので、先刻から申し上げたわけであります。軽油引取税についてはほかの人からも質問がありましょうから、一応自転車荷車税と木材引取税のことはこれでやめます。
  107. 五島虎雄

    ○五島委員 軽油引取税について少々大臣にお尋ねしたいと思います。これは先日の自動車税の問題についても関連して大臣の留守に質問をしたわけでありますけれども、この軽油引取税の新税創設については、まつ向から反対立場に立って質問をします。そうしてこの税創設の問題については、合同審査会等々で、あるいは公聴会等々で、いろいろな面からこれを論じられて、あるいは質問されておるわけです。従ってそれとの重複があるかもしれませんけれども、これが最後の機会ですから、大臣のこの税創設についての考え方を確認しておきたいと思うわけです。  まず政府は本国会の提案において一キロリットル当り六千円の課税をするという案に対しまして、揮発油税の三十一年度の収入見込みは三百七億二千万円あり、そうして特に二十九年度の自然増収は五十五億四百三十三万円ある。そうして合計が三百六十二億二千四百三十三万円である。その中に道路整備の五カ年計画の年次割として二百九十億円がこれに割り当てられておる。従って余剰額は七十二億二千四百三十三万円になるような状態である。そうしてその地方税としては地方道路税として七十四億二千万円、軽油引取税として二十四億五千四百万円、自動車税として八十六億三千六百万円が想定されておるわけです。ところが本国会において揮発油税の余剰額の七十二億円の中から道路公団の交付金として二十億円を支出されておるわけです。ところがこれは有料道路ですが、道路整備費としての目的税としては無料の道路を整備するというようなことであって、有料道路というようなことになると、今度は自動車からまた通行料というようなものが徴収されるわけですから、これは二重の課税ということになるわけです。従って揮発油税の徴収の中から道路公団に出資する。それが二十億円である。軽油引取税は二十四億五千四百万円である。その金額がちょうどとんとんになる。この道路公団に二十億円も出資するということは、軽油引取税創設と関連して、一体いいことかということについての大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  108. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまお話の点の御趣旨をあるいは伺い誤まったかもしれませんが、御趣旨は要するに揮発油税の一部二十億円を道路公団に出資するということ、一面今年度軽油引取税を二十四億とりますことと比較いたして、一体二十億を道路公団に出資することが適当であるかどうか、こういうことでございましょうが、この点は、道路公団もやはり道路の舗装、その他有料の特定の地域ではございますが、整備をいたす趣旨で生まれましたものでありますので、そこに二十億というものを出資いたしますことは、揮発油税の本来の趣旨から申しまして差しつかえないもの、適当なものと思うのでございます。
  109. 五島虎雄

    ○五島委員 差しつかえないものと解釈されると言うが、とにかく二重課税というような性格を持っておるように思う。特に二十億も出資して、一方では二十四億円程度の軽油引取税を創設するというようなことが、一体理屈に合っているかということを聞いておるのですよ。
  110. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 揮発油税は、要するに道路の五カ年計画に基きます道路の改良のためにあのような目的税をとろう、こういうことでございますから、その見込み以上に入りました一部を道路公団に出資いたしますということは、揮発油税を徴収いたします本来の趣旨には合致するものと思うのでございます。道路公団はまた道路公団として有料道路の改良にその資本を使うわけでございますから、これは両者その目的においてそごするところはないのではないか。また二重課税ではないかというようなお話でございますが、ちょっとその辺のところは私ども御質問の趣旨がはっきり理解いたしかねるのでございます。
  111. 五島虎雄

    ○五島委員 それでははっきりいたしますが、揮発油税として徴収して、その中の余剰金額の二十億円を有料道路に回し、道路ができれば、揮発油自動車も各種自動車もその道を通れば、ある一定限度は料金がとられるわけでしょう。無料じゃないのでしょう。従って一方では揮発油税を徴収されて、そうして今度道路を通る場合は道路の通行料をとられる、いわば二重になるのじゃないかというようなことなんです。
  112. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお話は、要するに有料道路でございますと料金をとるわけでございますから、そこにそれだけ自動車にまた負担がかかってくる、従ってこれは重複的ではないかというお尋ねのようでございますが、やはり有料道路の経営をいたします以上は、全体の事業の計画としてどれだけの料金をとればペイするかということを考え料金を定めるわけでありますので、なるほど自動車の負担はそれだけふえますけれども、しかしこれは反面それだけ自動車の損傷する度合いも減ってくるわけでございましょう、また時間も短かい時間で走ることができる、ガソリンの使用量もそれだけ減って参るというようなことで、やはりそれに応ずる受益があるわけでございますので、一がいにこれが二重課税といいますか重複負担ということで、それがいけないということにはならぬのじゃないかと思うのです。
  113. 北山愛郎

    北山委員 関連して。その二重課税ということを言葉通りとらないでいえばよくわかると思うのです。要するに揮発油税というものを道路の目的税としてとっておきながら、さらにその金をまた有料道路に使うということがおかしいじゃないか、むしろ二十億という道路公団にやるだけのものがあるならば、それを地方の団体の道路費に回してくれれば、二十四億の軽油引取税を創設しなくても済むのではないか、道路公団は道路公団で有料道路をやるならば、別な方面から金を持ってきてやるべきである、そうしてその二十億円分の揮発油の分はやはり地方の道路の方に回せば、何もこうして軽油引取税なんかを創設しなくても済むのじゃないか、そういう意味で五島君が質問しておると思うのです。これはやっぱり変じゃないか、やはりダブっておるじゃないかという感じがする。
  114. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお話の趣旨はよくわかりましたが、道路公団の出資分を別の、たとえば資金運用部資金とかあるいは一般会計から出して、その部分をさらに一般の道路改良の費用に充てるようにしたらいいじゃないか、こういう御見解のようでございます。それはもちろんそういうような考えも成り立つと存じますが、国全体の財政の問題からいたしまして、道路公団に対する出資のもとをここに求める、また求めても揮発油税の本来の趣旨からいって差しつかえないというので、こういうことにいたしたわけでございまして、御見解は御見解と思いますが、政府といたしましてはこのような形にしたわけであります。
  115. 加賀田進

    ○加賀田委員 今五島君の質問で、揮発油税を二十億、道路公団の方へ回して有料道路を作る、これはやはり二重負担になると思う。しかもその有料道路にはガソリン税を納めたものが均等にそこを通るものじゃない。全然通らないものもあるし通るものもある。ガソリンを使った自動車が有料道路を通るか通らないかはそれは自由なんです。だからもしこういう道路公団に渡さずして、均等にガソリン税が自動車の道路に使われて、しかもそれがために恩恵を受けるとすれば、これは税の目的から均衡を失することはない、妥当だと思うのですが、有料道路を作るために公団に二十億回して、しかもその有料道路を利用するのは限定された自動車です。ガソリンを使うもの全部がそこを通るのではないと思う。そういう面にも不均衡が起るし、二重負担になるので、その二十億は道路公団に使うべきじゃないので、五島君が言うように二十億は地方公共団体に回されて道路の修理等に回されれば、それは自動車が負担している負担は均衡に道路を使う自動車に返ってくるのじゃないかと私は思うが、これではそれが返らないことになるのではないかと思う。そういう矛盾を含んでいるので五島さんが尋ねたと思うのです。この点をもう一ぺん明確に御答弁願いたい。
  116. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 有料道路の場合はひとり軽油引取税を課せられる軽油自動車が料金を払うだけではございませんで、揮発油を用いる自動車もそこを通れば当然払うわけでありますから、軽油自動車と揮発油自動車との間における負担の不均衡、そういうことから何か軽油自動車だけによけい負担がかかるような意味での二重課税というお話ではないかと思いますが、そういうことはないと思います。両方同じようにかかって、同じように料金を払わなければならないわけであります。
  117. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういうことを言っておるわけではないのです。軽油自動車とガソリンを使う自動車との不均衡を言っておるのではなくて、ガソリンの二十億をいわゆる有料道路に使う。大体ガソリン税というものは、やはり応益性のあるもので、道路修理に使えば自動車の損失とか、そういうものは軽減されるから、自動車からそういうガソリン税を取って、そうして道路修理に使うわけでしょう。そうすればガソリン税を納めている自動車は、そのガソリンを使った量は自動車の使用する量なんですから、大体均衡にその恩恵に浴するだろうと思う。ところが有料道路にそれが使われると、それはそういう恩恵に均衡に浴さないわけです。有料道路を通った自動車だけがその恩恵に浴するわけです。このガソリン税を払う自動車が全部有料道路を利用するということはないだろうし、同じようにそれを利用するということはないだろうから、こういう矛盾が起ってくると思う。だから二十億というものは道路公団に渡して有料道路に使うのではなくて、自動車が均衡にその利益に浴するような方法地方団体に渡すべきではないか。そういう矛盾が起るので、その点をお聞きしておるわけです。
  118. 奥野誠亮

    奥野政府委員 揮発油税収入をどう使うか、これは一つ政策だと思います。この点につきましては道路公団に出資いたしますので、別途道路整備費の財源等に関する臨時措置法を修正することにいたしまして、現に建設委員会にかかっていると思っております。それが御承認いただければ、それでその支出もよろしいということになるのではなかろうか、こう思います。ただ五島さんの心配されている問題は、自動車が究極的には負担しているのに、その全額が自分たちの使う道路の改修に充てられないおそれがある、こういう点にかかってくるんじゃないかと思います。そこで軽油引取税との関連におきまして、どれくらい地方団体が道路費を負担しているのか、その財源はどうなっているのか、こういうことを申し上げればある程度御了解いただけるんじゃないかと思います。昭和三十一年度におきまする道路に関します事業費の総推が六百七十三億五千七百万円と推定いたしおります。そのうち国庫の負担に属しまする部分が三百二十五億四百万円、地方負担に属します部分が三百六十六億九千七百万円でございます。このうちで地方道路譲与税が七十四億二千万円、軽油引取税が二十四億五千四百万円、まず百億でありまして、三百六十六億のうち百億円くらいの地方道路譲与税と軽油引取税がございます。なお自動車税もお考えいただいてもけっこうでございますけれども、さらにそのほかに一般財源を相当出しておるわけでありますから、自動車に対しましては道路費としてかなり還元しておるのではないか、決して軽油引取税を起さぬでもよろしいということではないのではないだろうか、かように考えておるわけであります。
  119. 北山愛郎

    北山委員 ともかく軽油引取税というものは金額においても二十四億五千万円、ところが徴収に非常にめんどうくさいいろいろな問題点を含んでおるわけです。そういうふうな非常に手数のかかる、しかも脱税の危険もあるような税を起して、二十四億円も新しく徴収しなくても二十億というものを地方道路費の方に回せば大体間に合うのでなかったか。それで道路公団の方の財源は別途に考えたらよかったのでないか、こういう意味で私は言っておると思うのです。二十四億円の軽油引取税内容的に見て、すっきり簡単に取れるようなものであればまだよいのですけれども免税部分もありますし、すっきりとしておらぬのです。たとえば免税の点をどういうふうにして出すか、免税された部分が果してその用途に正しく使われるか。これは今までの例をとってみても、横流しになるような危険性がたくさんあるのであって、そういう制度を設けること自体が、犯罪を新しく作るということになると私は思う。そういうふうないろいろなめんどうくさい手続、徴収の方法をとって、そうしてわざわざ二十四億ばかりの新しい税を立てておるのに、一方では道路公団に別途ガソリンの方から出しておるというのはちょっと割り切れない。こういうような意味でわれわれは聞いておるわけです。だから今の二十億も、なぜ道路公団に二十億出さなければならなかったか。むしろ地方道路譲与税にそれだけプラスしてやれば、こういうめんどうくさいものは作らなくてもよかったのではないか、こう思うのですが、その間の事情一つお伺いいたしたい。
  120. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お話のごとく揮発油税を公団に回さないで、地方道路の費用にさらに二十億だけ回していくということにいたしますならば、地方としてはそれでよいと思いますけれども、しかし国全体としましては、今の二十億をどうするかという問題があるわけでございまして、他に求めるべき財源がないというところで、法律も一方において改正を予定し、予算にもこれを計上いたしまして、二十億を道路公団に出資する、こういうことにしたわけでございまして、政府考えました予算全体の計画の上におきましては、こうせざるを得なかったわけでございます。
  121. 中井徳次郎

    中井委員 軽油引取税について今道路公団との関連お話がありましたが、これはまたあとでもう一度お尋ねがあると思いますが、私は軽油引取税全般について締めくくり的に一応聞いてみたいのであります。これは非常に問題になりました税金でありまして、与党の皆さんにおいてもこの点については少くとも率は下げなくちゃいかぬ、一キロリットルに六千円なんというのはべらぼうだ、これは四千円だあるいは四千五百円だということでありましたが、この点において自治庁と運輸省関係と非常な数字の対立が、まずございました。また通産省関係資料その他についても、私ども政府からいろいろと率などにつきまして伺ったが、ちっともどうもはっきりいたさない。そこでまずこの率について、一年の使用量は百万キロリットルですか、何かそういうことについてはっきりと話がついたのかどうか。その辺のところを率の関係について、あらためて一つ伺ってみたいと思う。
  122. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 軽油の消費数量がどれだけであるか、従って課税数量の見込みが幾らであるかということにつきましては、いろいろ当委員会におきましても御論議があった、ことを承わっておりまするが、閣議におきましても、関係各省の間におきまして、そのような何か食い違いがあるんじゃないかというような疑念があってはいけないということで、三月の十五日に閣議におきまして、はっきりと課税基礎になりまする消費数量なり、課税数量の見込みというものをきめております。それによりますると、三十一年度における軽油の消費見込み数量は、政府としては百万キロリットルと見込んでおる。その内訳は原油から精製されるもの八十三万八千キロリットル、軽油として輸入されるもの十六万二千キロリットルであります。これは閣議決定をいたしました経済五カ年計画の策定の基礎となった数字に基くものでございます。
  123. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっとこの点で私は大臣に伺ってみたいのだが、これまで二、三年の地方税制の改正を見ておりますと、事務当局は非常に確実な数字をお出しになっておる、これは一応もっともだと思われる点もあります。しかし結果を見ますと、逆に特にガソリン税などを中心にいたしまして一割も二割も三割もふえておるというのが非常に多いのであります。私どもは百万キロリットルの問答を聞いておりますと、これは質問しておる方がどうも事実らしい。私どもの体験から言ってもそうであります。そういうふうに事務当局は税金をよけい取ったらいいでありましょう。しかし国民の立場から見るとこれは全くあこぎな話だと思うのであります。たとえばことし二十四億五千万円、これは一つ十八億でしんぼうしておくとしましても、来年は必ずや今の計画を突破するのでありますから、そういう面についてどうも事務当局の確実過ぎるといいますか、国民の側から見るとあこぎな冷酷な比率を、大臣はめくら判か何か知りませんが、簡単にこれをお引き受けになるというふうなことについては、あなたは財政の御専門でありますからよく御存じだと思うが、これはちょっと調節すべきでないか、率直に言ってぼくはそう考えておるのです。この率の問題について、閣議でも決定事項だと言いますから、閣議の内容なんかもお漏らしいただいて、一つ心境を伺ってみたいと思う。
  124. 太田正孝

    太田国務大臣 税につきましてよけい見積ると悪結果がある、また少く見積っても苛斂誅求になる、よけい見積ればありもしない財源でもって事をもくろむ、歳入の過小過大ということは非常に心すべきことで、中井委員の言われる通り私は思います。この問題につきまして百万キロリットルにきめて閣議にまで出したわけは、いろいろ運輸省の言われているところと私ども考えるところと少し食い違いなどあったようでございまして、それはいけない、実績に基き、また五カ年計画という基本問題から割り出していくということでございますので、関係当局と閣議に案を出しまして、そうして百万キロリットル、それから免税によってどれだけ減るか、また歩減りがとういうふうになるか、こういうことを考えてやりましたので、故意にこういう数字を申し上げたわけではございません。私どもとしては技術的のことはわかりませんが、中井委員の言われる通り多く見積っても少く見積っても、実はちょうどが一番いいのですが、人間わざでありましてむずかしいのですが、財政法則におけるがごとくに中正を得るようにという意味関係各省の御相談を願い、そして閣議にかけて統一した次第でございます。
  125. 中井徳次郎

    中井委員 ちょうどがいいというのならば、これは現実的に多過ぎるのですよ。地方税関係でこれまで大体政府が予定をされてそれ以下であったというのは全部これは行政技術のまずさというか、たとえば入場税の問題であるとか、遊興飲食税の問題だとか、初めから取りにくいもの、そういうもの以外は全部これであります。こういうものは簡単に筋を合わしたということだけではとうてい納得できない。同時にまたこれは与党の諸君もはなはだ私どもから見てへっぴり腰で、腰が弱いので、実は同僚の皆さんを横に置いて恐縮ですが、太田長官ががんばったら、みんな言うことを聞いてしまうというので、これはどうもたまらないのではないかという話も聞いておるのでありますが、どうですかこの率について、私どもはこんなものは全然必要ないという考え方です。そこできょうはこれで押し切るとしても、実績を見て予想外に多ければ、来年から大幅に減らすというような考えがあるかどうか、この点ちょっとお伺いしたい。
  126. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 軽油引取税につきましていろいろ御議論があります点は、私どもも十分承知をいたしておるのでございますが、この軽油引取税を今年度において全廃いたすとかあるいは減額、減率をするというようなことにつきましては、今日政府の予算がきまっておられるから、それに基きます地方財政計画がきまっております以上は、やはり私どもといたしましてはこの軽油引取税もこの中に盛り込まれておろのでございますから、これをさらに軽減する、あるいは免除するというようなことは、とうていけっこうであるとは申し上げかねるのでございます。
  127. 中井徳次郎

    中井委員 今の話は事務当局の最高峯である次官の話であって、現実はそんななまやさしいものではないと私は思うのですが、しかしこれはいかがですか、私どもはもう全面的に反対ですが、次善の策として四千円とか四千五百円とかいう線をぜひとも考えていただきたい。おそらくは附帯決議か何かが出るのではないかと思いますが、そういうことについてどういうお考えであるか、最後にこの率の面だけちょっと伺っておきたい。
  128. 太田正孝

    太田国務大臣 本年度の見積りにつきましては、ただいま次長の言われた通りでございますが、先ほど中井委員の言われたように実績が上ったらどうか、この場合におきましては三十二年度において実績はやはり重要なる資料として、率などの問題も考えなければならぬと思います。これは当然理論的にそうなると思います。
  129. 中井徳次郎

    中井委員 次に範囲の問題ですが、ガソリン税とちょっと取り方が違っておりますか。たとえば農業用のものあるいは陶磁器製造に使うもの、そういうものについての免税の手続が相当複雑のように思うのでありますが、これはほんとうの元売りさばき所で一括税金をかけて、そうして引くのはまた別に引くというような考え方に改めた方が、私は簡単で確実にできるように思うのですが、その辺のところを、これは奥野君でけっこうですが伺っておきます。
  130. 奥野誠亮

    奥野政府委員 製造段階で課税した方が徴税技術上は非常にすっきり行くと思います。ただ地方税で行きますと、その地方において消費せられる軽油についての税源を与える、そういう形にすることが望ましいと思うのであります。そうしますと製造段階ではごく限られた地域に片寄ってしまいまして、今申し上げました趣旨に合わないと思います。そうしますとどうしてもやはり現在考えておりますような特約店の段階で課税をしていくということになるのじゃなかろうか、かように思っておるのでございます。
  131. 中井徳次郎

    中井委員 今の回答でしたら私は何でもないと思う。全国の売り上げの率、帳面、みなありますから、それによって配分をすればいいのであって、私はこの問題についてはあなたのようにそう簡単に、そんな原因だけでこういうふうにおきめになっておるのならば、これはさっそく修正すべきであると考えております。  最後にこの軽油というものについては、日本国策といたしましてここ十年来非常に奨励をいたしております。従いましてこれまでこういう特殊な扱いをしてきまして、その結果このディーゼル・エンジン関係はドイツと匹敵するほど日本は発達をしております。昨年あたりからこれに関連する機械がどんどん輸出されておるというふうな実情であります。こういうことともにらみ合せまして、どう考えても、またその率の方に帰るわけでありますが、かけるにしても非常に低率なものでなければならぬというふうにも考えるわけでありまするが、その点、一つ大臣見解を伺いたいのと、最後に、これによりまして、私どもは一部の業者のみの負担になるのではないかと考えておりましたら、調べてみますると、たちまちこれもやはり一般大衆に還元をされる。今全国のバスはほとんど軽油を燃料にいたしておりまするが、これによって数字を調べてみますると、実にバス料金については四%強という影響があるというのであります。そうなりますと、バス料金の値上げは必至であろうと私は思うが、政府はこの税を新設されるに際しまして、そのバス料金の値上げ等についてまでお考えになったのか。またこれについてはどういう指導の方針をとっていかれるつもりであるか、この点を伺っておきたい。
  132. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点でございますが、御承知のごとく揮発油税は一キロリットル当り一万一千円、地方道路税がそれに二千円加わりまして、揮発油に対しましては一キロリットル当り一万三千円の税がかかっているわけでございます。今回の軽油につきましては、一キロリットル当り六千円ということでございまして、両者を比較いたしますると、二分の一にやや欠けるような税率でございます。そういうような状況でございまするので、ディーゼル車の普及というようなことにつきましては、この軽油引取税を創設いたしたからと申しまして、特別に大きな支障が生ずるようなことはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。なおバスの料金でございますが、税率が今申し上げましたような負担の状況でございまするので、このために特にバスの料金を引き上げなければならないというようなことはないのではないかと考えております。
  133. 中井徳次郎

    中井委員 今のお返事は非常に楽観論ですが、それはバス料金の値上げの原因にならぬと考えておるのですか。
  134. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 税負担関係から申しますると、私どもはそのように考えているわけでありますが、しかしバス料金を上げるか上げないかということは、やはり当該バスの全体の事業経営の状況、コストの状況等を勘案して考えらるべき問題だと思うのでございます。ただこの税の関係だけからは、直ちに料金を上げなければならないということにならない、こういうことを申し上げたのであります。
  135. 中井徳次郎

    中井委員 それでは大臣にお尋ねしますが、これを原因にしてバス料金の値上げ——これはやはり運輸省の関係であります。そういう申請がありましたときには、政府はそれを許可しないのですね。
  136. 太田正孝

    太田国務大臣 料金の問題は申すまでもなく、税だけでなくほかの問題とも関連しておりますが、見込みといたしまして、今次長の言いました通り、この税率のもとにバス料金は上らないということを申し上げたのでございまして、運輸省でそれをやるやらぬということは、全体の経営上からの御判断によること、こう申し上げる次第であります。
  137. 中井徳次郎

    中井委員 そうなりますと、私は運輸省にもお尋ねしたくなる。前回ここで公聴会か何かやりましたときに、運輸省の政務次官が、必ずバス料金の値上げをいたしますと言った。どうしてもやらねばなりませんと言いましたですよ。大臣の今の御回答と運輸政務次官の回答とまるで違う。どうです。
  138. 太田正孝

    太田国務大臣 私の申し上げましたのは、そういう料率を動かすのは税だけではございませんし、運輸省として、全体の経営等を考えられた上にきまることであると私は思います。従ってこの税だけについての私どもの見方を申しますれば、さようなことはなかろう、こういうので、運輸省の考えを私ども左右するような意味において申し上げたのではございません。
  139. 中井徳次郎

    中井委員 これは数字から見て、はっきりと四%ということになっているのです。そうして運輸省の関係の者が、はっきり言うと政務次官の伊能氏であったと思うが、私は鉄道運賃と関連してお尋ねをいたしましたら、必ず上げねばなりませんと言いました。ところが今あなた方は、上げる必要がない——ほかのものと総合的に考えたって、四%です。はっきりした数字ですよ。バス料金の値上げはいい、しかしこの四%だけは削るという御回答なら私はけっこうなんです。ほかの事情で上げるならやむを得ない、しかしこれで値上げをするのは政府は押えるというのならけっこうでございます。どちらなんですか。私は何もすぐに回答していただく必要はないと思う。これはやはり慎重に運輸省と早急に打合せをしてもらいたい。
  140. 太田正孝

    太田国務大臣 私の申し上げたのは、運賃の料率を動かすということは、運輸省当局においていろいろな関係から判断されることと思います。ただ今回私ども関係しておる地方税意味におきましてのこの目的税を設けましたことが、すぐ賃金値上げの問題とは関連しない、関連しないというより、それには響かないという私どもの見方でございます。従って自治庁の関する限りにおいて、運賃値上げという問題についてかれこれ申し上げる問題ではございません。おそらくそれはこの税以外のいろいろな要素があろうかと思います。運輸省当局の考え方でございまして、私ども地方税として取り扱うこの目的税たる軽油引取税につきましては、かような判断をしておる次第でございます。
  141. 中井徳次郎

    中井委員 非常に重要ですよ。あなたは、これに関する限りは値上げの原因にはならぬとおっしゃるけれども現実に運輸省では、値上げの原因の一番大きなものだ、四%強になります。そうしてバス料金の値上げについては何も全国一率にやるわけではありません。バス会社から申告があれば、それによって各地区でやるのです。今年あたりからもう相当押えておりましたけれども、こういう目的税が出たからには、もう押え切れませんからやりますと、はっきりと言っておるのですよ。あなた方はそれは原因にならぬということになれば、これは政府の答弁が二途に出ておるということにはっきりなります。それでよろしいのですか。
  142. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は、運輸政務次官の御答弁が、今私どもの申し上げましたのと違ったというお話でございますが、その点はなおよく取り調べまして、後刻お答え申し上げたいと思います。
  143. 中井徳次郎

    中井委員 この点は、きょうこの地方税法の結末をつけるまでに、一つ政府当局で意見の統一をはかって、正式にこの委員会で表明をしてもらいたいと思う。どうですか、よろしいですか。
  144. 大矢省三

    大矢委員長 政府、よろしゅうございますか。
  145. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは、あとでやりますから……。
  146. 五島虎雄

    ○五島委員 中井さんの今の問題で、これは課題になったのだからいいようなものの、大体運輸省の自動車局の発表では——発表といっては大本営発表みたいですけれども、発表では、燃料の人止業に占むるコスト割合は、一八%と発表しておるわけです。ところが、この新税創設によって四%がそれに加わるということならば、大体燃料だけ見積っても二二%のコストになるのじゃないかと考えるわけです。ところが自動車事業の現在の収益率の状況は、全国で一体どういうような状態にあるのですか。私たちが知る限りにおいては、この自動車輸送会社等々はほとんど赤字の経営を持続しているということです。ところが今大臣は、税の問題と運賃、料金の問題は、おのずからにして別個だというようなことを言われておるわけです。自動車企業において二十数パーセントの燃料費が負担されなければならぬということは、企業として大へんなことだ。そうして実態的には低賃金、低運賃でやっているというようなことの中から、そのしわ寄せが多くの会社の賃金遅払等々となって現われているという状態です。ところが四%税に徴収しても、この四%程度のものは企業内の努力において解決してもらいたいというような説明を、ずっと前に自治庁長官は言われたように記憶しているわけです。企業努力においてこれを解決せよということは、直接労働者の賃金とか給与とかの待遇問題にしわ寄せしてくるのじゃないかと考えるわけです。従って中井さんが言われたように、十分これを打ち合せて説明していただきたい。新設のキロ当り六千円ということについて、昨年末自治庁の事務当局は、大体一キロリットル三千円程度が考慮されたように発表しているわけですが、三千円程度考慮したということは事実ですか。
  147. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 一律に全部に課税をいたす場合の率としては、そのようなことを考えたこともあるわけでございます。
  148. 五島虎雄

    ○五島委員 全体一律にということになると、農業用、漁船用といものもですね。衆議院地方行政委員会調査室からわれわれに渡っている資料によると、軽油に対する消費税として一キロリットル当り三千円の税率で軽油税を創設し云々、ただし書きがついていて、ただし農業用、漁業用、機械洗浄用の軽油には課税しないと書いてありますから、一般に一律に課税しなくても三千円で大体用は足りるのだというように発表されたのではないのですか。自治庁当局は、当初は大体三千円くらいを想定されたと思う。そうするとこれは、一般的に課税した場合三千円で足りるのであって、農業用とか漁業用を差し引いたら六千円になるのだという鈴木次長説明は、ちょっとおかしくなるのですが……。
  149. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全体の額の問題を勘案いたしまして三千円という数字を出しました際には、免税の点を相当程度に、ことに農業関係等にも取り計らうというような議論も一時あったわけでありまして、そういうふうにいたしますことと、同時にまた先ほどは申し上げませんでしたけれども地方道路税について、現在の一キロリットル二千円という税率をさらに三千円ないし四千円にするというようなことを反面考えまして、その両方から、総体の税額のにらみ合いで、軽油引取税については、あるいは三千円はどうかという議論もあったわけであります。しかし軽油と揮発油税との負担の均衡ということから考えまして、今提案しておりますような立案をいたしたわけであります。
  150. 五島虎雄

    ○五島委員 この法律の説明をされるとき、軽油税をなぜ創設するかというところの説明では、ガソリン自動車税との均衡をはかるというようなことでした。昨年第二十二国会においては、揮発油税が二千円増税されるはずであったけれども、それができなくなったが、今国会ではこれには触れておられないのです。これはいい傾向だと思いますが、今度は軽油税に手をつけられた。従来から軽油自動車と揮発油自動車とは非常に不均衡であったが、第十九国会において、軽油自動車は揮発油自動車に対して五〇%だけ自動車税を高くされて均衡をはかられたとわれわれは承知するわけです。ところが今回これを六千円にするということについては、これで均衡がとれたと思っておられるわけですか。
  151. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 揮発油につきましては、現在一万三千円が一キロリットル当りの税額になっている。軽油については六千円ということで負担の均衡を得ていると思いますが、反面自動車税につきまして、さらに軽油自動車につきましては、今回揮発油の自動車税と同額にするという軽減措置考えておりますので、両者にらみ合わせればほとんど均衡を得ているというように考えております。
  152. 五島虎雄

    ○五島委員 さっき中井さんも触れられましたように、この軽油自動車については、輸出の面からも燃料対策の面からも、非常に政府は育成されてこられたわけです。ところが運輸省の自動車局でも、育成しなければならぬにもかかわらずこういうような新税を創設することは、非常な致命的打撃を受けるものであるという説明をしているわけです。こういうような面があり、また公聴会においてもいろいろな説があったわけです。非常にこれに対して不満の声が大きかったわけですが、こういう新しい税を創設することが、果して軽油自動車の育成に障害を与えることにならないかどうか、一体どういうふうにしてこの育成をされるつもりかとということを大臣から承わりたい。
  153. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 軽油引取税は、目的税として道路に関する費用に充てるわけでありますから、形式的には自動車に対する負担ではありますけれども、結果において、それはまた自動車の損傷度を低めることになって参るわけでございまして、自動車業の経営上にそれだけの利益が反映をして参るわけであります。そういうわけで、これは必ずしもこれだけ取りましたから、それが直ちに全部マイナスの要素になって反映してくるというものではなく、目的税でありますだけに、これは的確に自動車の便益にもなっていくというふうに私ども考えるのでございまして、これによって軽油自動車育成策がくつがえされるというようなことはないものと考えておるのであります。
  154. 北山愛郎

    北山委員 軽油引取税について一点だけお伺いしておきますが、今度のやつが百万キロの中で免税分が三分の一くらい、たしか三十五万キロですか、あると思うのです。相当大きな免税数量なんですが、これに対しては免税証を出すということになっておる。この法律が実際に施行された場合に、その免税証の出し方といいますか、これは割当で行くんだろうと思いますが、これは一番問題になると思うんです。それで免税証はどういうふうなルートで、どういうふうな決定手続をして、一体どういうふうな数量を記入するとか、あるいは指定販売業者であるとか、そういうふうな点について、これを実施した場合の免税証の取り扱い、これを一つ説明していただきたい。
  155. 奥野誠亮

    奥野政府委員 免税軽油を使用しようとする者は、府県免税証の交付を申請するわけであります。法文にも書いておりますように、免税軽油使用者の必要な軽油を交付しなければならないということにいたしております。その場合に、どの販売業者から購入するかということも、免税軽油使用者から申し出てもらう、その申し出ました販売業者の名前を書きました免税証を免税軽油使用者に交付するわけであります。免税軽油使用者はこの免税証を持って参りますれば、どこででも免税軽油を買える。しかし税の特別徴収義務者は特約店の段階に主としていたしておりますから、小売業者は言いかえれば仲立ちをする、こういう形式になるだろうと思っております。特約業者は免税証を持っておりますと、その部分につきましては、軽油引取税を除外した価格で販売していくわけでございまして、販売した総量からその部分だけを差っ引きましたものが軽油引取税を徴収した部分だということで、その部分につきまして申告納入を府県にいたして参るわけでございます。
  156. 北山愛郎

    北山委員 一番肝心のお答えのない点が問題なんです。この免税の該当者、それが申請をして免税証をもらうわけですね。申請分を何ぼでも申請すればもらえるかというと、そうはいかないでしょう。そうすると査定ということがそこに起ってくる。農業なら農業の人がこれだけの免税切符をもらいたい、こうして申請してきた場合に、はい、よろしゅうございますといって、そのまま出すものじゃないと思うのでございます。そこに基準になる所要量というものを査定しなければならない、こういう事務的な扱いというものはどういうことになるか。これは当然割当とか査定とか、そういう問題が起ってくると私は思う。それからまた切符についても、毎月の所要量を一括して免税証でもらって、そうして一回に使ってしまうというようなことはできないと思う。そこで免税証そのものの融通性もなければならぬ。そういうように実際に扱った場合に起り得る問題をどう考えておるか。
  157. 奥野誠亮

    奥野政府委員 免税軽油は実際に必要であっても、査定して減額するというようなことはしてはならないという建前に法文は規定しておるわけでございます。同時にまた免税軽油を使用しておった者が免税軽油がなくなってしまった、急いで軽油を購入しなければならない、そういう場合に、あとでその部分につきまして免税証を申請できる、そういう道も法文の上で開いております。
  158. 北山愛郎

    北山委員 そうすると査定をしないで、これは免税用のものである、免税部分のものであるといって申請したものに、無制限に出すということになれば、これはどうしてもその面からは横流しというものは防げないんじゃないかと思うんですよ。現実にその免税軽油を買った者が、横流しした場合をにらんでおって取り締るというようなやり方で行くんでは、これは犯罪を作るだけのものじゃないかと思うんです。やはり事前に、大体免税される鉄道なりあるいは農業業者なり、そういうものの所要量というものを見て切符を出さないで、申請に従って何ぼでも出すというようなことじゃ、横流しは当然出てくる。これはどうなんでしょう。
  159. 奥野誠亮

    奥野政府委員 七百条の十五の第二項で、「道府県知事は、前項の申請があった場合において、免税軽油使用者が引取を行おうとする軽油の数量がその用途及び使用期間に照らし、適当なものであると認めるときは、免税証を交付しなければならない。」というふうに、交付の義務を課しているわけでございます。もとよりお示しのように、常識的に考えましてもそれほど必要でないと思われるものにつきましてまで、交付する必要はないと考えます。しかしながら半面交付いたしましたものが早く使用されてしまった、考えておった使用期間よりも短期間に消費されてしまうという場合もあろうかと思うのでありまして、そういう場合には七百条の二十二の四項で、免税証の交付を受けた後当該免税証に記載された数量をこえる数量の軽油を免税の用途に供する必要が生じたため、軽油引取税の特別徴収義務者から免税軽油以外の軽油の引き取りを行なってこれを免税の用途に供した場合には、道府県知事の承認を得まして免税証の交付を受けることができる。横流しを防止する意味もございまして、どの販売業者から購入するかということを、免税軽油使用者に交付の際に申し出させまして、それを免税証の裏に記入することによって購入者と販売業者との間のルートをつけておく、そうすれば免税証を買い集めてよそで購入するということも防げるのではないか、こういうことも考えているわけであります。
  160. 北山愛郎

    北山委員 それを防ぐ方法は、こういう制度を設けた場合、やはり事前に適当な所要量に見合う免税証を渡すということが的確に行われる、これが必要だと思うのです。それをどんどん追加であれ何であれ、これだけは免税必要でございますといって申請したものを出して、あとで取り締まるというのでは、この免税は無制限に行われてもやむを得ない、そういうものを初めから覚悟してやっているとも考えられるのです。一体これでやっていけるものでしょうか。今の販売業者とのルートの問題も、販売業者は脱税を監視しているものではないのですから、幾らでも相談をすればできちゃう。だからその販売業者とこの需要者との間の関係をつけることによって脱税を防ぐということもできない。実際上切符の横流しもできると思うのです。あるいは現品を別に使ってしまうということも防げないでしょう。やはりこういう特定のものに特定の用途に限って免税切符を出す——免税切符というのは実際は金と同じなんです。それだけ特別に税金のかからない軽油を買えるのですから、お金を渡すと同じことなんです。それをどんどん申請によって渡すというのでは、これはもうしり抜けじゃないかと思うのですが、そういうような点は心配ないのでしょうか。
  161. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私たち法の立案に当りまして現物になってからの横流し、それはそれほど心配なものじゃない、こう思っておりまして、もっぱら免税証の横流しをできる限り防止していきたい。そういうようなことから先ほど申し上げましたように、軽油引取者と販売業者との間のルートをつけることによって、免税証をかき集めていっても購入先がない、こういうようなことで防止をしたいと考えたわけであります。同時にまた免税範囲も今御心配になりますようなことをおもんばかりまして、かなり制約をしたわけであります。三分の一にもなりますけれども、若干自動車以外の部分につきましても軽油引取税をあえて課税をするというような方式をとるに至ったわけでございます。
  162. 北山愛郎

    北山委員 しかし現物の横流しは大した問題ではない、そんなことは起らない、起っても大した数量ではない、こわいのは免税証の横流しだ、だから現品の横流しは大したことじゃないというふうにたかをくくっておるわけですね。起っても大したことはないと見込んでおる、こういうふうにも考えられる。どうなんですか。
  163. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現物を横流しするものは、かりにあったといたしましてもそう大量なものをそういう形においては実行できないだろうというふうに予想をいたしております。
  164. 加賀田進

    ○加賀田委員 軽油については一キロリットル六千円という税金を課するのですが、私は専門家でありませんからこまかい点はわかりませんけれども、ディーゼル・エンジンでもうまく使えば灯油も使えるということを聞いたのです。もちろんそのためにエンジンに早く故障が起るということも聞いておりますけれども、もしそういうことが可能であったら、それは脱税行為になるか。それらの防止はどうなさるのですか。
  165. 奥野誠亮

    奥野政府委員 灯油を使うのは農業用機械器具の中であるようでございます。そういうものは本来課税対象考えておりませんので、それでけっこうかと思います。また自動車でありましても、軽油によりませんでA重油と灯油を混合いたしまして、それを使用して動かせるということは可能なようでございます。しかしそれをやりますとエンジンがすぐいたんでしまうのでありまして、実際の場合においてはこういうばかなことをやる者はいないであろう、将来いろいろ動力が変って参りますれば、それによりましてまた税法も整備していかなければならない、しかし現状においてはこれで差しつかえない、こういうふうに考えております。
  166. 加賀田進

    ○加賀田委員 そうすると、もし自動車会社でそういう形で一つの脱税といいますか、灯油を使ってもエンジンに故障がないようなエンジンができて、税金がかかる軽油を使わずして、灯油を使うというような場合には、灯油にもかける意思があるのですか。そういう意味ですか。
  167. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御承知のように原油から最初に蒸溜されてとり得ますものが揮発油であり、灯油であり、軽油であり、A重油、B重油というふうになっておるように承知いたしております。しかしながらそれらの規格を制定いたします仕方によりましては、大へんその間の区分が微妙でありますので、その範囲が広がったり狭まったりするだろうと思います。それを現在軽油とか灯油とか重油とか、大きな幅で呼んでいるのだと思います。従って課税対象の規格は必要に応じて改正してもよろしいのではないかと思っております。
  168. 大矢省三

    大矢委員長 それでは先ほどの答弁が残っておりますが、一応この地方税に対しては質疑を終了したこととして、次に本案とともに国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案を議題にして一括審議をすることにいたします。
  169. 北山愛郎

    北山委員 ちょっと都市計画税でお聞きしますが、軽油引取税もそうですが、自治庁の考え方は受益者負担というものの拡大あるいは目的税の拡大ということで、都市計画税も何か目的税的な考え方をするのでありますが、一体都市計画税は目的税として考えるべきものであるか、都市計画事業なんかは地方団体の公共的な一般事業の観念でやるべきものじゃないか、特別に目的税でやるということは適当でないのじゃないか、特にこの目的税とするのはむしろ考え方がおくれておるのであって、都市計画なんというのは、これはもう地方団体一般事業じゃないか、こういうふうに思うのですが、やはり都市計画税は目的税というふうな考え方でいった方がいいものか、それをお伺いします。
  170. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都市計画税につきましては、地方道路税あるいは軽油引取税のごとく直接的な関係がないような感じも、一見いたすのでございますが、旧税制にございましたような都市計画税というのは、県が全市町村あるいは市町村内の全区域に対しまして都市計画割というものを課する、こういうような建前であったわけでございまして、これは相互の目的による関連性というものを非常に稀薄に考えておったわけでございますが、今回政府が提案をいたしました案は、すでに御案内のごとく都市計画区域の中で条例でさらに定める区域についてこの税を課する、こういうことにいたしておるわけでございまして、区域的にまず受益の関係を明らかにいたしておりますし、また都市計画の内容といたしましても、名前は総合的でございますが、特定の道路なりあるいはその他の施設の改修に充てるということが都市計画全体として明らかになっておるのでございますので、やはりこれは性格的には当然目的税でございますし、またその目的税の趣旨に合いますように旧制度のもとにおける都市計画税を改善をいたして提案をいたしたつもりでございます。
  171. 北山愛郎

    北山委員 一般の行政というのはどれもとってみても、ある意味の受益を与えておるのです。ですから私は国及び地方のような公共団体の行政事務の範囲が、やはりだんだん近代化すると同時に、その仕事の範囲が当然広まっていく、こういうのが大体の趨勢ではなかろうかと思うのです。ですから特定の受益を与えたために、それにくっついた税金を出すということはやはりおくれた段階といいますか初期の段階じゃないか。ですからむしろ都市計画なんかにつきましても、それはその区域だけの利益じゃない、やはり全国的な見地からあるいは広くその地方見地から、都市計画を一般事業としてやる、こういうことになればやはり一般の行政費の中に入る、そうしてこういう特定のものじゃなく、一般財源でやるという方向へ進むのがむしろ進歩じゃないか、ひものついた税を立てるということはやはり後退ではないか、たとえば教育についても教育税というものを設けるという考え方もある。だからそういうふうな目的税をどんどん作っていくというのは、むしろ逆行じゃないか、こういうふうに私どもは思うのですが、この税の理論からどうでしょう。大臣などはそういう点は詳しいと思うのですが、そういうふうにお考えになりませんか。
  172. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都市計画税につきましては、一般の税として起すということにいたすかどうかという点は、御見解のような角度から申すと、あるいは御議論があろうかと思いますけれども、やはりその都市施設を当該の地域にいたしますことによって土地の利益が増加する、あるいは全体にその地域の資産、家屋にいたしましても上ってくる、こういうようなことがございますので、その受益関係に着目いたしまして、都市計画税という形をとることがいいのではないか。これは唐突に今新しく起すと申しますよりも、過去においても沿革のあるなじんだ税でございますので、そういう意味において都市計画税を目的税といたし、また従来とかく受益関係が非常に稀薄なところまでも都市計画割をさせておったというようなことを改めたのでございまして、そういう点から申して、私どもは目的税の趣旨に合うものと思うのでございます。もちろん目的税をあまりに多くいたしますことは、財源の融通性と申しますか、そういう点を非常に害するわけでございまして、これはよくないと思いますし、ことにお話のごとく教育税というようなものは、私どもはとうてい賛成し得ないものでございますが、三十億程度のこの都市計画税を今回創設いたしましたからと申しまして、地方財政の融通性というものを特に阻害することはないのみならず、むしろ受益関係から申して、かえって適当ではないかと考えるのでございます。
  173. 加賀田進

    ○加賀田委員 今目的税として説明があったわけですが、都市計画税の性格は、これはやはり私は受益税の性格の非常に強いものだと思うのです。固定資産税と性格がどう違うかということを、ちょっと説明してもらいたいと思うのですが、私は大体固定資産税と同じ性格のものじゃないかと思うのです。固定資産税が三年間評価が据え置かれたので、どうも上げることができないというので、この固定資産税にかわって都市計画税というものを別個に設けて、千分の二ですか、これを課税されるような気がするのですが、性格が同じであるならば、固定資産税に何か改正を加えるべきだと思うのですが、どうなんですか。
  174. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 固定資産税は御承知のように一般の普通税でございますから、従って固定資産税として得られます税は、市町村全体の経費に充当せられるわけでありますし、都市計画税は都市計画に要する費用に充てるわけでございますから、まずその点において充当し得る経費の種類が違っておるというのが、やはり基本的だろうと思うのであります。土地なり家屋なりにかけるという点におきましては、御指摘のごとくいずれも同じ性格だろうと思います。ただ法律構成の上におきましては、今申しました目的の点と、それから償却資産にはこれはかけないわけでございますから、その点が違うわけでございます。ただ現実といたしまして、都市計画区域に入っていないような地域のものには、固定資産税がかかるわけでございますが、そういうところには都市施設の直接の利益を受けるものにかけるようなものは、かけない方がいいのじゃないか。ことに最近農村地帯を相当吸収いたしました新都市ができたわけでございますし、大都市にいたしましても、そういう農村地帯を相当多数持っておるわけでございますから、固定資産税でありますと、そういうところにも全部都市施設のための負担をさせることになるわけでございまして、これはやはり適当でないと思います。やはり都市施設の利益を受けますような区域に限ってかけるという必要があろうと思います。それらの点から、固定資産税と都市計画税の間におのずから違いがあると存ずるのであります。
  175. 加賀田進

    ○加賀田委員 この都市計画税と固定資産税の違いは、都市計画税は都市計画を進行させるための費用として使うわけであります。ところが固定資産税は、そういうようにして都市計画の事業が進行する、あるいは土地の区画整理の事業がずっと進行して参りますと、どうしてもそこの土地の値段が上ってくる、家屋の値段が必然的に上ってくる。家屋の値段が上り、土地の値段が上りますると、結局固定資産税が上ってくるのですね。固定資産税は、利益を受けたときにそういう資産に対して一定の税をかけられる。ところが都市計画税では、利益を受けるために、前に税金をかける。固定資産税を上げるためにまず都市計画税を先に払っておるような、これこそ二重課税的なぐるぐる回るような性格を持っておる。こういう点は、都市計画税というものに対して、これは固定資産税との関連で、非常にあいまいなものがあって困るのではないかと私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  176. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 一般的な評価の値上りということだけでは、やはり都市施設を行いました結果として特に利益を受ける部分につきましては、必ずしもその受益の点を公平に吸収できないと思うのであります。そういうような点から、たとえば土地増価税というような考え方一つあるわけであります。そういう考え方をとらないで、大体従来ありました固定資産税の限度程度のところまでをめどにいたしまして、都市計画区域内の土地所有者、家屋所有者に対してこのような税の負担をしてもらう、こういうことにいたしたいと存じます。それによって都市施設によって得ます受益、増益の点とある程度見合って考えたわけでございます。
  177. 北山愛郎

    北山委員 この受益という点は非常にむずかしいと私は思うんですよ。都市計画税を作っても、おそらく区画整理事業等については、それ以外の減歩率ですか、とられる土地等の負担がまた別にかかってくる。そういう問題とはどういう関連になりますか、こういう疑問があります。疑問があるけれどもそれは別といたしまして、この目的税をやりますと、今やっておる地方の都市計画事業あるいは土地区画整理事業、そういうものの財源としてどの程度のものになるか。この税を起したのは、何のことはない、今やっておる区画整理等について政府は起債や補助の財源を減らしたものだから、それを補うためにこういう新税を起したのじゃないか、私はそう思うのです。現在、来年度なら来年度、三十年度なら三十年度における地方の都市計画事業事業費の総額とその財源の関係、そしてその中で占める今度の都市計画税、こういうものをどういうふうな関連において考えておるか、これをお伺いしたいのであります。
  178. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十一年度におきます都市計画の事業費の総額が百三十二億七百万円と推定されております。そのうち国庫負担金が五十四億一千八百万円でありまして、地方負担額が七十七億八千九百万円であります。このうち都市計画で三十億三千九百万円を見込んでおるわけでございます。
  179. 北山愛郎

    北山委員 地方債の割当はどうなんですか。
  180. 奥野誠亮

    奥野政府委員 昭和三十年度におきまする地方債は、都市計画事業につきまして十八億六千二百万円充当される予定になっております。三十一年度については正確なものは出ておりませんが、大体十七億円くらい見込んでおるようでございます。
  181. 門司亮

    ○門司委員 都市計画はそう間違いはないと思うが、もし計画変更その他があった場合にはどういう処置をとるか。今まで取っておった税金は、都市計画の変更があったらただ取りっぱなしですか。そうすると結果において目的に反することになるが、この処置はどこで押えておくのか。
  182. 奥野誠亮

    奥野政府委員 都市計画事業というものが、そう簡単に終る見込みもありませんので、なおずっと継続的にやっていかなければならないというように思っております。
  183. 門司亮

    ○門司委員 計画の変更は事実上しばしば行われるのですよ。地方に行ってごらんなさい。かなり行われておると私は思うんです。そういう場合の処置を、どこかに入れておかなければまずいのじゃないですか。これはそのまま取りっぱなしでいいということですか。これは今までのような税金なら別ですが、目的税ということになって参りますと、勢いそういうものが私は出てくると思うが、同時に受益者負担ということになると当然そういう問題が出てくると思うのです。
  184. 奥野誠亮

    奥野政府委員 都市計画税は徴収した額を全額をこうした事業費に充てなければなりません。しかし実際問題としてはそれ以上に事業は行われているような状態にあるわけであります。もし計画変更によりまして、その年の事業分量が減りましても後年度にそれが繰り越されて使われる、同時に繰り越された財源があります場合には、都市計画税の税率を引き下げていくということになるのだろうと考えております。
  185. 門司亮

    ○門司委員 それから都市計画と同時に区画整理の関連性が出てくると思うのだが、都市計画を行う一つの区画ができておって、その中でさらに区画整理によって事業を行なっていくということになりますと、おのずから都市計画と違う形が出てこなければならない。だから区画整理の場合と都市計画の場合との事業の遂行に要する費用というものは、かなり私は違ってくると思う。そういうものについての処置はこの面では見当らないのですがどういうことになるのですか。実際上の問題としてしばしばそういう問題も出ると思います。従って都市計画で一応考えてみたがどうもはかばかしくいかない。従ってこれは都市計画内の区画整理に変更していこうという考え方が出て参ります。そうしてその区画整理のものは一定地域に限られて行われるということが出て参ります。そうすると同じ都市計画にある中で、一部分は区画整理を行なったことのために事業は早く完成したということになるのです。そうすると完成したところはこの都市計画税は取らないのでしょう。都市計画の完成した分はいつまでも取るのですか。
  186. 奥野誠亮

    奥野政府委員 門司さんの今おっしゃいましたような問題もございますので、両者一体として事業考えるように法文を規定いたしております。第七百一条に、市町村は、都市計画法に基いて行う都市計画事業または土地区画整理法に基いて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため都市計画税を課することができる、こういうふうに規定いたしております。
  187. 門司亮

    ○門司委員 それはわかっているが、そうしますと、同じ都市計画の中の一部分を区画整理に直してそこだけ早く仕上げたいということが、常識的というより実際的に出てくるのであります。そうするとその分を同じように今までは都市計画税をかけてきたが、区画整理によってそこだけが早く完成したということが出てくる、その完成した地域にも都市計画税を取るのか。そうすると一つの大きな都市計画というワクの中で、一部分だけが区画整理によって完成されてしまう、先に完成されたところはそれであともう都市計画税は取らない、残された部分だけはいつまでも都市計画税は取られる、こういう問題が必ず出てくると思うのだが、それに対してはどうお考えになっておりますか。
  188. 奥野誠亮

    奥野政府委員 むしろ完成された地域は、これから完成される地域の経費を負担すべきものじゃなかろうかというふうに考えるわけでございまして、逆になかなか先でなければ都市計画事業がその地域にまでこない地域にも都市計画税は課されていくわけであります。もとより課することができるし、その範囲は条例で限定しようと思えば限定できるというふうに規定しているわけでございます。むしろ土地区画整理が済んだ済まないだけではなしに、総体的にそういう地域は都市計画税は取られることになるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  189. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと一体どうなんですか。税の性格が少しぼけて来はしませんか。目的税であり受益者負担の形をとってきているので、一応その仕事が終れば税金というものがなくなるということが一つの目的に対するものの考え方じゃないか。これは普通の場合と私は違うと思うのです。恒久的の目的税的性格を持つものもあるいはあるかもしれない。この場合は一つの区画整理が終るのである。終った場合そこからもやはり税金を取ってどこかに使おう、そうするともう一つ飛躍して議論をしてみると、全体の都市計画が終ってしまいましたら、この条文でこの税金は廃止されるのですよ。そういうふうに解釈していいのですか。
  190. 奥野誠亮

    奥野政府委員 都市計画事業がなくなりましたら、当然都市計画税を起すことはできなくなります。それからもう一つ、先に区画整理等の行われた地域はもはや済んだから負担を免れる、これは適当でないと思っておるのでございまして、やはり都市計画施行区域内の土地や家屋が連帯して計画事業に要する経費を負担しながら、全体としての長年にわたる都市計画事業の完遂を期していきたい、こういう考え方をとっているわけでございます。
  191. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこういうことですか、こまかくなるが実際上の問題として、もう一つ聞いておきたいと思うのだが、たとえば一つの市がある、その市の中で都市計画が幾つかあるわけだ。全然都市計画に関係のない、指定されない地域もあるわけです。幾つか区切られると、計画が一つの市の中に何カ所あっても、全部が完成するまで都市計画税は取るということですか。
  192. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都市計画区域としましては、一つの区域としていつも一つの市内においてはあろうと思うのでございますが、その区域のある地域の都市計画施設が終りましても、これはやはり全体の区域の都市計画施設が完了することを目途として都市計画税を取っている場合が多いと思うのでございますので、やはり全体が済むまではそのままだろうと思うのであります。もちろんこの目的税をいつまでも取らなければならぬということはないわけでございまして、計画の途中において特別にこういうものを取らないでも一般税でやっていけるというのならば、それでもちろん差しつかえないのでございます。
  193. 門司亮

    ○門司委員 それは私は問題がかなりあると思うのです。たとえば一つの問題を見ますと、条例で取っております下水料金というようなものがある、そしてこれが一つの目的税の性格を持っておって、当該市町村の下水なら下水が完成するまでは、これを連帯責任として全部から取るという形をとっております。この場合はこの金によって先にやるかあとにやるかということであって、一番あとに回されるということは何年か取られるということである。従って歩調をそろえることのために、その市の下水道計画なら下水道計画が終るまで一応取られるものと私は考える。ところがこの場合は、今の当局の理論は私はそういう理論だと思います。同じ一つの市の中でやる仕事なのだから、その仕事が完成するまではやるべきである、そうして早いかおそいかということは、事業の計画によって行われるべきであって、連帯的に負担することが当然だというお考えだと私は思う。その考え方一つあると思いますが、問題は区画整理にこれがかかって参りますと、結局都市計画とはおのずから別の形が出て参りまして、そうして減歩等が当然行われなければならない。こっちの所有権というものを一時たな上げをしなければならぬ。そして道路その他の認定が行われて参りますと、これだけの分は私が申し上げましたように減歩が行われておる、これは区画整理ということによって地主は事実上それだけの犠牲を払っていると思う。当然減歩が行われるのであります。土地を提供するのであります。しかしその方が仕事が早い、都市計画でやっていればいつになるかわからないというので、大体多くは区画整理が行われている、その方が政府の補助金も多い、仕事も早い、地上物件の移転等についても問題が起らない。いわゆる土地の所有権が移転いたして参りますので、地上物件の移転はそれに伴うて簡単に行われる、都市計画ではなかなか地上物件の移転も困難である、こういうことからどうしても区画整理によって行う仕事の方が早いのであります。そういたしますとその場合は地主は相当な犠牲を払っておる、都市計画事業の遂行のためにも、この区画整理区域内全体の地主が大きな犠牲を払っておる、そういうふうに考えて参りますと、この税金がその土地にいつまでもあるということについては、私は多少の疑惑が残るのですが、自分たちがみんな犠牲を払ってやっておるんだ。そしてなおかつこの税金はあとまで負わなければならぬということについて、ちょっと私は割り切れないものが残るように感ずるのでございますが、それでもいいのですか。
  194. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは、もしも一般税でやりまするならば、その市内の全市民が連帯をして、都市計画の施設の負担をする、こういうことになるわけでございますが、これは目的税で、都市計画区域の、しかも条例で定める特定の地域だけからとるわけでございますから、この区域内のものはもちろん連帯をして施設のための負担をする、こういうふうに思うのであります。区画整理事業としてやる場合も、もちろん御指摘のようにあるわけでございますが、その場合におきまして、特に土地所有者がそれによって不利益をこうむる。なるほど土地を取り上げられるという点においては不利益でございますけれども、これは憲法の原則に基きまして、完全なる時価の補償ということが、絶対にあるわけでありまするから、そういうことによって、財産の形態は変りますけれども、補償は完全にやるわけでございまするので、その点から特にできない、こういうことはないだろうと考えるのであります。
  195. 門司亮

    ○門司委員 区画整理の場合は、減歩はするけれども、土地の補償にしないでしょう。この仕事は補助金でやっていきますけれども、実際上の土地の代価というものは払わないわけでしょう。大体区画整理組合というものは、そういうものを払わないでやっておる。都市計画の場合も同じようなことである。しかし都市計画でやる場合には、非常に日にちがかかる。いわゆる土地の所有権の移転というものが行われない。いつまでたってもなかなかでき上らない。区画整理の場合は、土地の所有権が一時公けの手に移ってくる。従って地上物件の移転その他が非常に楽になってくるということで、大体こういう都市計画というものは、都市計画を一応計画しておいて、その中で部分的に区画整理を行なっていって片づけていくという方針が、大体私はとられておると思う。それで今お聞きしておるのでありますが、そういうことになって参りますと、ある程度地主は犠牲を払って区画整理を行うことになるが、その上に区画整理が済んでもまだ都市計画税が残っておるということになりますと、少し税金をとり過ぎはしないかという気がするのですが、それを実はお聞きしておるのです。
  196. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 区画整理をいたします場合に、これはある部分は都市計画事業に伴って道路にする、こういうような事業があるわけでございますが、そういう場合には個人の所有地が収用されるということがあるわけでございます。そういう場合は、これはもちろん完全な補償が当然に行われなければならぬと思います。そういう所有権の移転を生じないような場合におきましても、もしそこに何らかの損失がありますならば、これは今の憲法の原則からいって、当然補償があるべきものと思うのであります。ただそういうことがない場合におきまして、やはりそういう街路事業が行われまする結果として、土地の増益ということがあるわけでありまして、そういうような点も考えまして、都市計画税をそういう場合にもとれる、こういうことにいたしておるわけであります。
  197. 門司亮

    ○門司委員 この都市計画税の場合は、私は今の鈴木さんの答弁ではどう考えても納得がいかぬような気がするのです。実際と食い違っておると思うのです。それはそれでいいとして、次に問題になりますのは、そうすると、都市計画を行おうとするのは、町村以外にはほとんどないといってよろしいと思います。新しい都市がそういう計画を立てるわけだ。同時にこの問題はむしろ市の理事者が税金をよけいとることのために、必要以上の計画を立てるという危険性が出てくると思う。これが区画整理というようなものに限られても、どうしてもこうやらなければならぬ。従って区画整理をやって、ちょうど町村の耕地整理と同じような形で、一応の土地所有権というものは、区画整理組合に移してしまう。そしてその上で地上物件の移転その他をすみやかに行なっていく方法が講ぜられて、現実には、私は区画整理によってのみ都市計画というものは、今日は行われておるのではないか。都市計画といってはなかなか行われていないというように考えられる。従って悪く考えると、理事者がこの税金をとることのために、必要以上の区画整理区域というものを指定する危険性が私は出てきはせぬかと思う。そういうようなものに対しても、この際政府の所見を明らかにしておきませんと、住民は私は非常に迷惑する。百年先になるんだか、二百年先に市街地になるんだかわからないようなところに都市計画を立て、区画整理区域にしてしまうということになると、税金をとろうと思えばとれるのであります。こういう点についてはどういうふうに考えておられるのですか。
  198. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは法律上新たに都市計画区域として指定されておるものの区域の全部または一部、こういうふうにいたしておるわけでございまして、しかもその具体的の区域というものは、当該市町村の条例で定めることになるわけでございますから、そう御心配のようなことはなく、当該市町村の実情に即して自主的にきめられるものと思うのでございます。
  199. 門司亮

    ○門司委員 これは税法だけなら、そういうことが言えるわけです。あなたの言うことでいいと思う。私の心配しておりますのは、理事者が不必要な都市計画を立てて申請してくる。幸いにして建設省がこれをければいいかもしれない。しかし建設省も自主的に持ってきた案をけるわけに私はいかぬと思う。必ず告示すると思う。告示されますると、この法律の適用が受けられるということになる。その中にさらに条例できめるから、こういうことですが、これはただ規則があるごいうだけであって、おそらくとる方については、そう甘い手は私は使わぬと思う。従って都市計画を受けようとするものの、あるいは指定しようとするものの範囲について、私は多少法律の中に何か規定を設けておくか、あるいはこういう審議の過程で、政府の意向というものを明らかにしておく必要があるのではないかという考えを持ちます。この点はこのままでよろしゅうございますか。
  200. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都市計画区域が不当に広い区域にわたって指定されはしないかという御心配のようでございますが、これはそれぞれ都市計画審議会の議を経て府県において一応定め、建設省との関連において最終的にきまるわけでございますから、そういう御心配のようなことはないと思いますし、かりに都市計画区域におきまして若干広い区域が指定されたといたしましても、その区域内においてどういう都市施設をやるかということと、またその都市計画税をどういう形においてとるかということは、いずれも議会がきめ、あるいは条例によってきめるわけでございますから、当該市町村の実情に即した諸措置が行われるものと、私どもは期待をいたしているわけであります。
  201. 門司亮

    ○門司委員 あまり長く議論をいたしませんが、私は今の鈴木さんの答弁はどうしても納得がいかぬ。これは都市計画というものは絶対に動かぬものだとお考えになっていると思うが、私はそうではないと思う。必ず都市の状況では動くと思う。  それからもう一つは、今申し上げました都市計画区域内における区画整理の早く完成したものについては——御承知のように都市計画で事業を行なって参ります場合には、ある程度土地の買収が行われる。建物の建築等については都市計画の線からはみ出て新しく建てることは許さないとか、都市計画は一つの計画でありますから、そういう一つの計画の線でありますが、区画整理の場合は、一つの計画ではなくて、すでに実施に移っている。そこで問題は単なる計画だけでなく、実施に移って参りますから、勢いさっきから申し上げておりますように土地の所有権の移転等が行われて、その上に地上物件の移転、あるいは道路の整備というようなものについては、容易に事業が進められる。しかしそれと同時に、地主については減歩が相当行われることは当然であります。道路の分だけはどうしても土地が狭くなる。これはその土地を持っておる人の犠牲においてそういうことが行われておる。しかしそれだけ地価が上っていくことのために、区画整理をすることのために——実質上の損はあるいはないかもしれない。しかしこれは事業の遂行の上における一つの過程であります。従ってその過程を踏んで参りまするときに、今申し上げますように、変更等の行われた場合、あるいはそういう形で区画整理を行なっておのおの犠牲を払ってやっておる。片方は都市計画だけで行くんだということになりますると、地主の犠牲は割合に少いのであります。市の費用はよけいに要りまするが、地主の犠牲は少いのであります。地主の持っておりまする利益の中に、おのずからバランスがとれなくなってくるというので、私の今聞いておりまするのは、このままの姿ではよろしくないのではないかということと、もう一つはさっきから申し上げますように、鈴木君はないと言うのだけれども、万一あった場合に政府は一体どう処置するのかということであります。これも建設省が許可するんだから、政府の許可して認めたものの範囲は、当然取るべきであるという御意見ならそれでもけっこうです。
  202. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都市計画府域につきましては、これは当然法定の手続によって定められるものでございまするので、その区域内におきまして、どういう区域を、都市計画税を負担させる区域として定めるかということは、これは当該団体が、条例、すなわち議会の意思によりまして最終的にきめるわけでございまするから、そこは地方自治の建前にまかして一向差しつかえないものじゃなかろうかと思うものでございます。
  203. 門司亮

    ○門司委員 さらにもう一つ聞いておきますが、この税金がかかって参りますと、それだけ固定資産税がふえるという形になって参ります。従ってこれが地代、家賃に直ちに影響すると私は思いますが、法律に書くわけにはいかないと思いますけれども、行政措置によって、通達か何かで、この税金が制定されても地代、家賃等を上げてはならないというような処置をとられる御意思があるかどうか、もう一度聞いておきたい。
  204. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この程度の負担につきましては、特にそのために料金を上げるような必要はないのではないかと考えております。
  205. 門司亮

    ○門司委員 これはないのではないかというお考えのようですけれども、実際問題は税金が上れば大体地代と家賃が上るのは常識ですよ。また上げることの一つの口実になるのです。地主がそれだけ負担してくれればいいのですが、ことにこういうところは地価が上るといっても都市計画が行われなければ地価は実際には上らぬのです。地主としては都市計画路線というようなものがあれば、実際は迷惑するのです。使えないのです。使えないところに税金を払わなければならないのです。家は新しく建てられぬ。へいくらいはできますけれども、家を建てるというわけにはいかぬのです。地主はそれだけの犠牲を払っておる。そういうところに税金がかけられて参りますると、それだけ家賃や地代が上ってくる危険性を持ってくる。これは土地増価税とは違うのであります。土地増価税は土地の価格が上ったから上げようというのでありますから、これは私はかまわぬと思う。しかしこの税金は目的税であって、こういう形で課せられる限りにおいては、必ず家賃と地代にかかってくると私は思う。またこれはかかる理由になる。従って行政措置としてはどうしても、ただ私はそう考えるという常識的な人のよい考え方ではいけないのではないか。政府としては一応こういう税金が制定されても、地代や家賃が上らないようにする何らかの措置をとられることが、私はこの際賢明だと思う。
  206. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは先ほど来申し上げまするように、当該地方団体が自主的にきめる税でございますから、すべての都市がすべてとるという筋のものではございません。またその都市計画税をとりまして、それによって都市施設を行いますることの結果といたしましては、その区域内の土地所有者なり、家屋所有者なりというものはそれによりまする増益を享受することになるわけでありまするし、だんだん殷賑をきわめて参るようなことになりまして、やはりそれ相応の利益を受けることになろうと思うのであります。このために特に直ちに税負担の上において出てきましたものを料金に転嫁しなければならぬ、こういうことはないと思います。もちろんその地方事情全体といたしましては、それはいろいろ事情がありましょうから、逐次変化はいたして参るでございましょうけれども、そのことのために今直ちに料金を上げる、こういうようなことを考える必要はないかと私ども考えております。
  207. 門司亮

    ○門司委員 その考え方が私はおかしいと思うんです。現実にあるでしょう。また地主、家主がこれを口実にするでしょう。結局家賃を上げたり、地代を上げたりすることが、こういう税金によって影響を受けるということは当然ですよ。だからこれがもし、このくらいのと言っておりますけれども、このくらいであろうと、どのくらいであろうと、実際の実情を見てごらんなさい。最近借りた土地と、三年ないし五年昔に借りた土地、あるいは戦争前に借りた土地、それぞれの土地の賃貸料というものは非常に大きな差を持ってくる。家屋の賃貸料も非常に大きな差を持ってくる。地主にしても、家主にいたしましても何らかの機会があれば上げたいと考えることは通念だと思うんです。ある意味から言えば一つの人情かもしれない。そういう場合にこういう税金をかけて参りますと、得たりかしこしというようなことで、必ずこれが口実となって上げられることは当然だと思う。だからもし政府がそういう零細な借地人、借家人等に多少の同情があるなら、この税金によって家賃、地代等を上げることは適当でないというような行政上の処置を、むだであっても私はとらるべきだと考える。地主は地価が上ってそれだけ将来に得をするかもしれない。しかし借りておる人はその土地を永久に占有しておるわけではない。家を借りている借家人も同じであります。占有者とこれを借りておる人の関係というものは私は違うと思う。いわゆる所有者、かりに占有者と言ってもよいと思います。従って所有者の利益になるからと言っておりますが、占有者はその上に立っております。占有者はそれの賃貸によって利潤を上げてきておるわけです。従って税金が上ってくれば地代、家賃の上ることは当然だと思う。だから政府は、繰り返して申し上げますが、ほんとうに零細な借地人、借家人に同情があるなら、私はそれだけの行政措置をこの際とることは正しいやり方ではないかと思う。
  208. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都市計画税を実行いたしまする都市におきまして、この税のために直ちに土地なり、家屋なりの使用料というものを引き上げをしなければならないということはないと思いますし、またなるべくただいま御注意のありましたようなことにいたしたいと考えておりますが、しかし将来の問題といたしましては、御指摘のようにだんだんと都市施設の結果として、その都市が殷賑をきわめて参りますれば、そこにおいて事業を営みますような者の全体の利益もふえてくるわけでございます。それは全体の経済水準が上ってくるだろうと思うのでありますが、当面の問題といたしまして、税を課したからといって直ちに借地、借家人に負担を転嫁していかなければならぬということはないだろうと思います。またそういうことのないようにできるだけいたしたいと思います。
  209. 大矢省三

    大矢委員長 暫時休憩します。     午後四時四十九分休憩      ————◇—————     午後五時二十三分開議
  210. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案、両案を一括議題として質疑を続行いたします。  先ほどの中井君の質問に対しての答弁が太田大臣からあります。
  211. 太田正孝

    太田国務大臣 先ほど中井委員から御質問のありました軽油引取税につきましてお答え申し上げます。軽油引取税の創設によりまして、特にバス料金の値上げとならないよう、政府としても処置して参りたいと存じます。
  212. 中井徳次郎

    中井委員 国有資産等所在市町村交付金及び納付金につきましては、政府地方制度調査会の答申に基く、こうあるわけでありますが、都合のいいときにはそういううたい文句でありますが、都合の悪いときにはあまりそれを御利用になっておらぬ。特に私ども、こういう税金を取りますに際しましては、きのうからきょうにかけてたびたびお尋ねいたしておりますように、従来の税体系との関係、特にまた地方制度調査会の答申ということになりますと、私は名前よりも実は率が非常に重要であろうと思うのであります。名前だけとっても、率が政府の都合によるということになりますと、実際は地方制度調査会の答申を採用しておるとは必ずしも言えない。そういう意味におきまして、たばこ消費税だとかあるいは交付税の問題だとか、そういうものにまだまだ制度調査会の答申の線まで行っておりませんものがたくさんあるわけであります。特に交付金につきましてはそうでございまして、政府は今回二二%を二七%に上げられましたけれども制度調査会の答申はもっともっと上のものであります。率が高い。四分の一といえば聞えがいいのでありますが、現実日本の内政ということを考えてみます場合に、特に府県あたりにおきましては国家的な仕事が多いのであります。それを引き受けておる、いわば国の手足になっておる部分が非常に多いのであります。そういう面から見ますと、私どもは二十五ではとうてい満足できない。従ってこれをたとえば二十七にいたしますと、ただ二%上っただけで百三十億という数字になる。それによって今度出ましたこの三公社だとか、特に今も問題になって、休憩中に議論をいたしました庶民住宅に対する課税の問題だとか、これは家賃にすぐはね返るわけですが、そういうものまですぐに、交付税の問題を押えつけておいて、飛び込むということにつきましては、どうも私どもには納得がいかないのであります。そういう前提のもとで、一応この法案を拝見いたしますと、政府方針としてどうしてもやるということになりましても、これはできるだけ慎重な態度で、しかも低率でやるべきである、これは当然のことでありますが、ほかの法案との関連において、たとえば電気産業なんかに比べておかしなものがある。さらにまたこういうふうなものにまで出てくるのならば、この間から私どもはたびたび陳情を受けておりますが、横須賀だとか呉だとか佐世保だとか、こういうところの軍用施設というか、膨大な国有地について——これは固定資産税という形ではとれませんから、所在市町村におきましては、非常な困難をいたしております。このことは駐留軍の関係を含めますと、膨大な金額におそらくなってくると思うのでありますが、こういう点について政府はどのようにお考えであるか、その辺のところは私は非常に不公平ではないかと思うのであります。この点をまず一点お尋ねをいたします。  第二点は、ちょっと具体的なこまかいことになるかもしれませんが、この説明案を拝見いたしますと提案の概略について、まず第一にというところで、国有林野にかかる土地、発電所、変電所または送電所、送電施設の用に供する固定資産につきましてとございますが、発電所、変電所となりまして電気についてここまでくると、水道はどうであろうかというような疑問が起るのであります。この点も私ども各委員とも水道関係について非常な陳情を受けておるのであります。特に水道は——電気もそうではありましょうが、独立採算制になっておりまして、水道施設関係で赤字であるというところはあまりないのであります。しかも非常に膨大な施設でありますから、これが他の市町村の領域を大きく侵しておるわけでありまして、その所在市町村におきましては水源地その他の関係で非常に迷惑をいたしております。もしそういうものがないと工場の誘致もできましょうし、あるいは農地として残しておきましても、ずいぶん利益の上る、いわゆる豊饒の土地を占領しておる場合が多いのでありますが、こういう点については今回は政府はこれを入れておられない。この二点につきまして、この案をお考えになった過程において、今お尋ねいたしましたような問題について、どのような意見が出たか、そうしてまたこれを省かれました理由等について、御回答が賜わりたいと存ずるのであります。
  213. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の税制改正におきまして、地方制度調査会あるいは税制調査会の答申を基礎にいたしたわけでございますが、ただいまのお尋ねの点は交付税を引き上げるというような点について、たとえば二七%にいたしますならば、今回この国有資産等所在市町村交付金というような制度をとらないでも済むではないかというような第一点のお尋ねでございますが、この点は私どもといたしましては、やはりできるだけ自主財源というものを多くいたしたい。交付税というような形のものよりも本来の地方税、あるいは名前は違いまするが、実質的に地方税でございまするから、そういうようなものをふやすように、第一義的に重要性をおいて考えて参りたい。こういうようなことで今回このような案を考えたわけでありまして、従来も一般の会社とか、私人が持っておりまする場合には、固定資産税がかかりまするのに、国なり地方団体が所有しているということだけの理由で、同種の財産について固定資産税がかからないということは、実際問題として不均衡であるというところから発足をいたしているわけでございまして、そういう趣旨で第二点のお尋ねに関連することでございますが、水道のごときものは、これは一般の民間で水道をやっているということはまずございませんので、地方団体の本来の公共目的に従って経営をいたしているわけでございますから、そういうものは今回交付金対象として除いたわけでございます。また発電につきましては、今申しましたような原則からいたしまして、これは一般電力会社とやはり同じような基礎に立って合理的なる経営をいたすべきである。こういうようなところから今回これは交付金対象にいたしておるわけでございます。駐留軍関係につきましては、直接使用さしておりまするところから、いわゆる収益というものが直接に出て参りませんので、今回はこれから一応抜いておるような次第でございます。
  214. 中井徳次郎

    中井委員 今の御説明は一応もっともらしい説明ではありますが、固有財源を与えるためなら幾ら税金を取ってもいいというようなことになるなら、これは非常に簡単に物事は進むと思うのであります。私どもは国民経済現状から見て、もうこれ以上の重税は困るというふうな見地からものを考えますると、そういう簡単な結論は出てこないと思う。そこで今度は鉄道、電信電話からお取りになるんだが、あなたは水道の施設の場合には、電気はほかのいわゆる私企業でやっておる、だからそれとの公平ということをおっしゃったのでありますが、水道におきましてもやはりそういう事実もたくさんありまするし、そういう面から言いますると、鉄道以外、たとえば電信電話などというものは電電公社が一本でやっておるのであって、ほかに何も競争相手もありません。そうしてこのことはもう必ずや料金の方にはね返ってくるということになりますると、とにかくこの三十一年度百二十億、それから三十二年度百七十億となりまするやつは、直接間接国民からさらにしぼり取るということになって参ります。そこでそういう面から言うと水道と電気との間に区別をつけておるということはわれわれにはわからない。それから利益が上らないというふうなお話でありましたけれども、これは佐世保、呉、横須賀というようなところは、所在の市町村にとりましてはそういうことになれば、もうこういう施設がなければうんと固定資産税その他が入るものをこれは入らない、得べかりしものが入らないということになるのでありますが、こういうのに対して交付税その他において私は相当な補償をしておると思うのだが、そういう面についてちょっと参考までに伺っておきたいと思います。どの程度であって、それがどのくらい足らぬのか、地元の要求はどの程度のものであるか、ちょっと伺っておきたい。
  215. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一点の電電公社からは納付金を取っておって水道からは取らないというのは、さきの理屈から言うとおかしいではないかという御指摘でございます。この点は電電公社は従来のように国有国営という形態ではなくて、いわゆる公社という組織になったわけでございますから、もちろんこれは一般の会社と違って公共目的を持っておりまするが、しかし同時に経済目的、経済性というものをあわせ持つ企業の形態でございまして、こういうものにつきましては国有資産あるいは公有資産と違って、私企業の原則をさらに強く及ぼしていいと思うのであります。そういう意味電電公社に対しては納付金を納めてもらう、こういうことにいたしたわけでございます。水道はこれと違って純然たる公共目的のために存する地方団体経営の、地方団体有のものでございますので、若干違うと思うのであります。それから電気との関係でございますが、電気との関係一般電気関係の会社との関係がございますので、先ほどの原則から申しまして交付金制度をとった次第でございます。なお御指摘のございました呉とか佐世保等でございますが、これらの国有の資産で現実に駐留軍が使っておるというようなものにつきましては、当該所在の市といたしましては御指摘のように、やはり固定資産税が入ってこないということに非常に不満を感じるのは当然でございます。私どもも従って将来の立法の問題といたしましては、この点をぜひさらに重ねて研究をして参りたいと考えておるわけでございますが、交付税等につきましては昨日も申し上げましたように、今年度は特にその点を考慮して配分をいたしておる次第でございます。その額につきましてはなお別途御連絡を申し上げたいと思います。
  216. 奥野誠亮

    奥野政府委員 呉市が自分のところに所在します合衆国の軍隊及び国際連合の軍隊並びに自衛隊が使用しております固定資産について、かりに国有資産等所在市町村交付金に準じた計算をすれば、一億九千八百万円くらい入ってくる、こういうような計算をいたしております。横須賀市が四億九千万円、佐世保市が二億九百万円、舞鶴市が三千万円、こういう数字の計算をいたしております。
  217. 中井徳次郎

    中井委員 そういう今伺いました金額を伺いますと、相当な金額になりますが、これにつきましては、いずれわれわれの方でも附帯決議その他において意思表示をいたしたいというふうに考えておるところでありまするから、きょうは時間もだいぶたちましたので、この程度にします。  最後に、水道ですが、鈴木さんはどうもやや筋の通らぬ御説明でありまして、私は納得いきません。そこで具体的に、この水道施設を持っておる市町村と、それの施設のあります市町村との間に、この間からいろいろ折衝があったように伺うし、またその点について自治庁において中に立って適当な数字をあんばいされておるやに伺うのでありますが、その折衝模様を、わかりましたらお聞かせをいただきたい。
  218. 奥野誠亮

    奥野政府委員 ただいま次長からお話もありましたように、国有資産等所在市町村交付金の適用をどこまで広げていくかということは、非常に重大な問題だというふうに考えているわけでございます。しかし御指摘の水道につきましては、別途発電施設につきまして交付金対象としておりますので、これと類似の施設、水道につきましても、水源地等の問題がございます。従いまして国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案が成立いたしました場合には、こういうふうな施設に範囲を限定して、関係地方団体間のあっせんをいたしたらいかがなものだろうか、こういうふうに考えております。
  219. 中井徳次郎

    中井委員 そのような下打ち合せその他はまだ具体的に進んでおりませんか。
  220. 奥野誠亮

    奥野政府委員 法律案が成立いたしましてからというふうに考えております。ただ、いろいろ御意見のあります点につきましては、そういう考え方をしているということは表明いたしておきます。
  221. 中井徳次郎

    中井委員 今の問題で私はいろいろな説を聞くわけでありまして、たとえばその場合に水道施設のある面積というふうなものを田地で計算するとか、畑で計算するとか、そういうことでは一向に金額も現実には上ってこない、そうして非常に困るというふうな陳情さえ実は私どもは受けているのであります。従ってそれについてもう少し具体的な話を私は伺いたい。現実に所在市町村としてはそれだけではたまらないであろう。非常に悪水も出ましょうし、いろいろな関連があります。大きな水道施設になりますと、住宅などもたくさん建ちまして、特に学校も拡充せなければいかぬというふうなことも伺っておりますので、もう少し詳しく御説明を願いたい。
  222. 奥野誠亮

    奥野政府委員 公営水道施設にかかわります固定資産につきまして、全面的にこのような交付金制度を適用すればどのくらいになるだろうか。要するに他の団体内に所有している固定資産であります。推定でございますが、二億三千六百万円くらいになるんじゃないか、こういうふうに見込みを立てております。しかしながら、その範囲をどう考えていくかということにつきましては、ただいま申し上げましたように、他の施設に準じて限定したらいかがなものだろうかと考えております。その場合に今お話がありましたように全額評価をする、そういうふうな意図は毛頭持っていないわけでありまして、国会の御意見のあるところいろいろ拝聴しておるわけでありますけれども、これを尊重してあっせんに当りたい。所在の市町村はぜひ多額の交付をされるようにしてもらいたい、そういう意見を聞いております。また水道協会の方では交付金制度の適用されることについては、水道料金等の問題もあるので困るというふうな話もございました。しかしながらこれに対しましては国会の考え方も伝えておりますし、私たちは制度ができ上りました場合にはこういう措置をとりたいというふうなことも申し上げておるわけであります。
  223. 中井徳次郎

    中井委員 最後に電電公社に対する納付金でありますが、これは資料を見ますと本年度は七億七千万円、平年度で十四億円、それで電電公社はことしあたりは非常に成績がよくて、実は五十億程度も黒字で繰り越すというふうな計算になっておるやに伺っております。しかるにこの納付金を取る取らぬというふうな話から、電電公社の予算を見ますと、私どもが三年前からやかましくいっております町村合併に伴います電信電話の統合に関する経費を、こういうものと振りかえて削ってしまって、その経費を納付金に回しておる。電電公社としては痛くもかゆくもないという結果になって、困るのは全国の市町村であるというふうな非常におかしい形が出てきたように承わるのでありますが、大臣はそういう問題についてはなぜもっとがんばらなかったか、どうも非常にその辺のところ不明朗なのであります。その辺の折衝過程を一つ伺ってみたいと思います。
  224. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私から数字だけ先に申し上げます。国会に提出されております日本電電公社の三十一年度の予算によりますと、町村合併に伴う電話施設の整備のために、昭和三十年よりも昭和三十一年度は五億円増しまして十億円を計上している、こういうことになっておるわけであります。
  225. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉電電公社関係でございますが、初め電話のない村との間に十億円くらい予定しておった、かようなことを私は聞きました。こういうふうに税に似たようなものがかかるというと、大へんそっちに影響するというのでございましたが、結局するところ、それじゃちっとも出さないのかというので、いろいろ——町村合併に伴う新市町村建設促進法の実行につきましてやはり協力されて、電電公社からも相当な金額を見積ってくれまして予算に載っておるような次第でございます。私といたしましては、先ほど申し上げたようなこの三公社の課税につきまして、どうしても出してもらわなければならぬという意味で、電話のない村へ引くという問題と別に交渉したわけでございました。ところがそういうことを聞きましたが、実質におきましては向うとしてやはりできるだけの協力をして下さいまして、新市町村の育成のために予算化されておるような次第でございます。
  226. 中井徳次郎

    中井委員 今のお話を伺うと、そんな甘いことでいらっしゃるが、それでは伺うが、一体町村合併促進に伴います電信電話の統合で、電電公社はどれくらいかかるつもりで予算を立てておるか御存じですか。
  227. 太田正孝

    太田国務大臣 さき申し上げました数字が違っておりまして大へん恐縮でございますが、町村合併に伴う電話施設の整備のため三十年度より五億円増の十億円及び新規の事項として無電話部落の解消のため二億円、合計十二億出しておるわけでございます。
  228. 中井徳次郎

    中井委員 十二億円は非常に多いようなお話であるが事実は全く逆である、これは三百億かかるのです。これは去年の逓信委員会における質疑で明らかになっております。そうしてことしから少くとも二十億円を下らないということをはっきりと電電公社が言明しておりました。おそらく二十億か二十五億を最初計上したのだろうと思う。それでも十五年かかるのです。そんなことで電信電話の統合ができるか。もっと四十億、五十億と大きく出せ、これはやかましい議論になった数字であります。十億で多いなどと思っておっては、はなはだ甘いと思うのですがどうですか。
  229. 太田正孝

    太田国務大臣 私は多いといった意味じゃございませんが……。
  230. 中井徳次郎

    中井委員 この点はうんと強力に推進をしてもらいたい。私はこれを条件にします。
  231. 大矢省三

    大矢委員長 他にありませんか。——それでは私から政府一つ質問を申し上げたいと思います。この法案成立後特に公営住宅に影響が多いことは御存じの通りであります。すでに新聞でも発表されておりますが、これが結局その使用者である人に転嫁されるおそれがある、すでにそういう傾向があるのです。この機会に家賃の値上げあるいは使用者の負担にならないよう、さしあたり政府はこれに対して何らかの措置を講ずべきだと考えるのですが、これに対する政府の意思をこの際表明を願いたいと思います。
  232. 太田正孝

    太田国務大臣 御趣意の点、特に低額なる所得者の使用する公営住宅に関して問題があると存じます。今回の交付金制度の創設によりまして、公営住宅の場合はその所有者たる地方団体は、それだけの経費負担の増を来たすわけでございます。その負担増加の分につきまして、居住者に転嫁されることも予想されるわけでございますが、これらの住宅のうちには特に低額所得者のために政策考慮から設けられている住宅、たとえば第二種公営住宅のようなものもありますので、かかるものにつきましてはそれらの設けられた特殊な考慮を尊重いたしまして、交付金相当額を直ちに転嫁するような措置をとらないようにすることをいたし、それが必要であることを認めます。従いまして御趣意のありますところを尊重して、本法の施行に当ってもよく地方団体の指導に努めたいと存じ上げます。
  233. 門司亮

    ○門司委員 最後に私が大臣に聞いておきたいと思いますことは、ただいま議題になっておりまする国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案でありますが、この法律案自体は非常にものの考え方のよくない法律案だと思います。これはすべて問題をあとに残しております。たとえば三公社の納付金にいたしましても、あるいは今の公共団体の住宅その他にしましても、いずれもこれを国民負担に転嫁される危険性のきわめて濃い法案だと考えます。従いましてこの法案の施行には特に注意をしてもらいたい。ただ単に今の住宅だけではございません。あらゆるものに国民の間接的な負担を増加する素因をここに持っていると思います。従って政府はこれの施行に当っては十分気をつけ、あるいはそういうことのないよう極力防止するという大臣にお考え等がございますならば、この際はっきり言明しておいていただきたい。
  234. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉通りに私は考えております。これはやらなければならぬと思っております。たとえば運賃が上りますとか、あるいは電話料金が上りますとかいうようなことのないように、この税との関係考えております。
  235. 大矢省三

    大矢委員長 他に御質疑はありませんか。——他に質疑がなければ、これにて両案に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ、これにて両案に対する質疑は終了いたしました。  ただいま委員長の手元に北山愛郎君外九名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、これについて説明を聴取いたします。北山君。
  237. 北山愛郎

    北山委員 それでは私からただいま議題となっております地方税法の一部改正案に対しまして、社会党の修正案の趣旨並びに内容の概要につきまして簡単に御説明申し上げます。  この修正案の要綱につきましては、お手元にも印刷物が差し上げてございますが、すでに当委員会に置かれました地方税改正の小委員会に提出をいたしまして、いろいろ御検討も願ったのでございます。私どもとしては、与党の中にもこの事項につきましてたくさんの御意見もあり、与党内部においても同じような修正案につきましていろいろ御検討をなさっておる、そこで実はでき得れば与党と共同して修正ができることを期待して参ったのであります。しかし残念ながら、例の公給領収証の問題等がこんがらかりまして、単独修正になりましたことは、まことに遺憾であります。従いまして、こまかく御説明を申し上げるまでもなく委員各位は、この要綱をごらんになって大体おわかりになると思いますが、まずわれわれのこの改正案に対する基本的な態度といたしましては、第一に、この改正案にあります増税、新税を創設するということには反対でございます。従ってそれらの部分、すなわち軽油引取税にしましても、都市計画税あるいは公共団体等の固定資産の交付金納付金制度の創設等につきましては反対をするのでございまして、その点は削除したい、かように考えておるのであります。この理由についてはまた別に討論者も申し上げると思いますが、すでに本年度におきましては、昨年のたばこ消費税の税率の改正あるいはその他法人税等の増収に伴いまして二百九十億円の地方税の自然増が見込まれるわけであります。従ってその上に百十何億という新税を立てることは、やはり地方税を約一割も昨年に比べてふやすということになりますので、このような大幅な増税をやるということは適当でない、かような基本的な考え方に立っておるわけであります。しかも本年の地方財政計画によりますと、百二十億円くらいの地方債の元利償還が昨年よりふえて参るのでありますが、この百十何億の新税を作ってもその全部を借金の元利償還に使ってしまうというのでは、これは何の役にも立たないような感じがいたします。従いまして、地方財政の需要の増加もありますが、別途の方法によってこれを考えるべきであります。約三百億に近い自然増以外に、このような新しい税を立てるべきではない、こういうのが理由であります。  その他の点は、住民税の不合理をこの機会に是正いたしたい。もちろん根本的な是正はできませんが、当面可能な限りにおいてこれを是正したいということであります。  その一点は、勤労者に対する住民税が過重である、これを何とかしたいというわけでございまして、すでに所得税については三十一年度から勤労控除が二〇%に上りました。この恩典を住民税につきましても本年から全面的に適用をさせるようにいたしたい。これがこの修正の一点であります。  もう一つは、市町村の間の住民税の不均衡をできるだけ是正したい。第一方式をとった場合と、第二方式あるいは第三方式をとった場合におきましては、委員会の質疑でもおわかりの通り、二倍あるいはそれ以上の食い違いがあるわけであります。東京等の大都市におる者と、地方の農村等におる人の間には、同じ所得で住民税が倍以上も違うということは、何としても非常な不均衡でありますので、それを一定限度に押えようというのがこの修正の一点でありまして、道府県民税と市町村民税とを合せまして第一方式をとった場合に比べまして、所得税額に対して五%程度までの増徴を認める、それ以上は課税してはならぬ、こういうふうな制限を設けるというのが修正の一つの点であります。  その他事業税におきましては、すでに当委員会にもいろいろ陳情がございます。そこで、大工、左官、士工、屋根ふき工、板金、トビ職、植木屋等の、いわゆる半分は自家労務を主としているというような営業者で、五十万以下の少い収入の者に対しましては、これは第三種の取扱いをする。それから一般の大衆が日常に使用する大衆浴場、公衆浴場につきましては、料金等の制約あるいはその他の制約がございますので、これを第三種にする。こういうような修正をいたしたいのであります。  それから地方鉄道軌道業等につきましては、今の外形標準によっております課税方式を改めて、これを収益の課税にするということでありますが、これはいろいろの議論のあるところでございまして、やはり今の交通事業、バス事業あるいは軌道事業等いろいろありますけれども、こういう鉄道軌道につきましては、相当大きな固定資産というものを、資本を固定しているのであります。一方におきまして、バス事業等の種類の、資本固定のないような有利な事業が競争的に出て参ります状態のもとにおいては、やはりその業績が一般的にいえば不利だ。事業、全国の鉄道軌道事業の何十という会社は、赤字を出しているというような状態でございまして、しかも料金というものは勝手にこれを引き上げるというわけにも参りません。従いまして、バス事業について、先年これを収益課税に変えたというような権衡もございますから、これの外形標準課税を収益課税に改める、こういう修正を入れたわけであります。  それから事業税につきましては、林業につきましていろいろ検討しましたが、一般の林業については対象が捕捉しにくいので、とりあえず法人のやっております林業につきましては、やはり事業税を課するということにいたしたい、こういう修正を入れておるわけであります。  それから固定資産税につきましては、日本放送協会に対する課税をやるということを削りました。これは現在固定資産税の非課税になっておるいろいろな団体等を見ますと、いろいろな種類の団体がございますが、放送協会等は、やはり文化事業を促進するという面におきまして、他の教育施設等に対するものと同様に考えていくべきじゃないか。もしも余裕があったならば、それは公共的な目的にこれを使っていくべきじゃないか、こういうような意味合いからいたしまして、固定資産税の課税は適当でないとして削ったわけであります。  それからこれは昨年からの懸案でございますが、市町村の大規模償却資産の課税の限度の制限、これを若干緩和して、三百四十九条の四の別表というものの金額を若干引き上げる、こういうような修正を入れたわけであります。  それから電気税につきましても、委員会の質疑にもいろいろ問題点を出しましたが、これは別途検討することにいたしまして、とりあえず公共道路の照明用の電気、これは市町村、あるいは部落会、あるいは町内会等の公共的な団体がやる場合に技術的に考えると思いますが、そういうものに対しては電気税はかけるべきでない、こういうような修正を入れました。それから自転車荷車税、これは社会党としましても、よほど前から何とかしてこれを廃止したいと考えておりましたが、今回修正案の中に入れて、総額においては三十六億円でありますが、影響するところは、自転車におきまして千百万台、それから荷車等は百三十六万台、リヤカー荷積み小車は二百六十万台というような、今まで税額としては少ないもでありますが、非常に広汎な大衆にかかっておりますこのような税をこの際やめたい、こういう修正を入れておるわけであります。  以上概要修正点を申し上げましたが、もちろんこれは現在当面しておる条件というものを考慮しまして、実際的にやり得るものを抜本してあげたのでございまして、この抜本的な税制の改正につきましては、われわれも政府が言明されると同じように、あるいはそれ以上にいろいろな熱意と気魂とを持っておるわけであります。今回はその一部を現在の限られた条件のもとで実現したい、こういう希望でございます。  なおこのような減税、あるいは一部は増税がございますが、それを差し引きますと、既定の財政計画に対しましてなお百七十一億の減額になりますが、それはたばこ消費税というものを百分の二%加えての差し引いた数字でございますが、この百七十一億につきましては、一部には地方交付税率を百分の二十七に引き上げる。二%でありますから百二十九億円それからあとの約五十億につきましては、地方債の元金償還のうちで、政府資金の分を五カ年間たな上げをしたい、こういう法案も別に用意をしておるわけでございます。こういうことによって、これは全額でありますというと、昭和三十一年度は政府関係資金の元金償還分は百九十三億でございますから、十分この百七十一億の減額を補って余りある、こういうふうな数字的な根拠になっておるわけであります。  先ほども申し上げました通り、この中の相当多数の事項につきましては、与党の皆さんも御賛成の方があるかと存じます。すでに党としての最終的な決定がきまっておられるように聞いておりますが、でき得るならば、これに実質上の最終的な御賛成をお願いいたしまして、私の説明を終る次第であります。(拍手)
  238. 大矢省三

    大矢委員長 これにて修正案に対する説明は終りました。  次にただいまの修正案中、たばこ消費税に関する部分につきまして予算に関係がございまするので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣として御意見があれば、この際承わることにいたします。
  239. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいまの御提案の中で、地方交付税率の引き上げ二%百二十九億円、及び地方債元金償還の一部支払い繰り延べと、たばこ消費税の税率引き上げ百分の二に伴い国の専売益金収入の減少額は四十三億二千四百万円である、こういう御提案がございますが、申すまでもなく予算はすでに成立しておりまして、補正予算を組まなければ実現できない段取りになります。従って政府としては、この御案に賛成しかねるのでございます。
  240. 大矢省三

    大矢委員長 修正案について質疑の通告がありますので、これを許します。亀山孝一君。
  241. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいま社会党から御提案になりました、地方税法の一部改正法案に対する修正案につきましては、まことに敬意を表するものでございます。中にはわが党におきましても、これを附帯決議に盛っておりますような、全く同意見の点もございます。しかしながらこの際お伺いしたと思いますことは、今御説明にもありましたが、要はこの税軽減の財源が地方交付税の二%引き上げにからんでおりますが、すでに予算も通りました今日、これが財源をどこに求められるか、その点をお伺いしたいということが一点でございます。  いま一点は、固定資産税の点につきまして、日本放送協会だけ課税を取りやめるという御案でございますが、先般来の御質疑を伺いますると、日本中央競馬会に対してはどういうお考えでありますか、この際一つお伺いをいたしたいと思います。
  242. 北山愛郎

    北山委員 この修正案の財源的な措置につきましては、これはあわせて今回の予算案の審議の際に社会党から提案をいたしました予算組みかえ案を基礎とし、背景といたしておるわけでありまして、もしもこの修正案が決定をすれば、その線に基いて予算の組みかえ修正をすれば可能である、かように考える次第でございます。  それから日本放送協会日本中央競馬会につきましては、やはりその団体の趣旨が違うと私は思います。先ほど申し上げたように、放送事業というものを、一つの放送文化をもっともっと拡大発展させるという趣旨におきまして、私は放送協会に対する固定資産税は適当でない、かように考えまして削除したのでございますが、競馬会につきましては、この質疑でもありましたように、競馬事業そのものに対しましてはわが党としては、将来はともかくといたしまして、現在の競馬事業は賭博的な要素を持っておる、現実にそうであるし、それからその経済能力というような点におきましても十分余裕があると見ております。それで国に対する納付金の減額なども、実はわれわれから見れば行き過ぎておるのではないか、かように考えておる次第であります。
  243. 亀山孝一

    ○亀山委員 大へん明快な答弁をいただきましたが、わが党から出しております附帯決議の中には、多分に社会党の修正案の内容も盛り込まれておるのでありますが、わが党の附帯決議案に御賛成下さいますかどうか、この際一つお伺いをいたします。
  244. 北山愛郎

    北山委員 この修正案の内容と同様な事項だけを含んでおる附帯決議であれば賛成できると私は思います。ただしわれわれが賛成できない条項もあるいは含んでおるのではないか。たとえば公給領収証の義務制の改廃の問題等も含んでおるように承わっておりますので、そういう点につきましては残念ながら賛成いたしかねる、はなはだ遺憾でございます。
  245. 大矢省三

    大矢委員長 それではこれより両案及び修正案を一括し討論を行います。討論の通告がありますので順次これを許します。永田亮一君。
  246. 永田亮一

    ○永田委員 私は自由民主党を代表いたしまして、政府提出の地方税法の一部を改正する法律案に賛成をし、社会党提出の地方税法の一部を改正する法律案の修正案に反対をいたさんとするものであります。  現行の地方税法に幾多の欠陥のあることは、つとにわが党も認めておるところでありまして、この点につきましては地方制度調査会におきましても、あるいはまた臨時税制調査会の答申にもうたわれておるのでありまして、政府はこういう答申の趣旨を尊重して、私どもが望んでおりました改正すべき点を、今度の法案におきまして十分とはどうも申しにくいのでありますが、まあまあほぼ満たしておるのではないかと思うのであります。  政府提案の法案の基調と思われます第一の点は、非課税範囲を縮小して、租税負担の均衡化をはかりながら増収を期待したということであります。こういう措置によりまして、地方における自主財源充実という観点から、相当の増収が期待されるのではないかと思われます。すなわち国有林野であるとか、あるいは地方団体の所有する発電施設であるとか、あるいはまた三公社の固定資産等に対して、固定資産税相当額の交付金または納付金を、固定資産所在の市町村に交付しまたは納付する、あるいはまた同様の趣旨から、日本放送協会あるいは日本中央競馬会の所有する固定資産に対する非課税制度を廃止する、こういう点につきましては、私どもが常に主張いたしております地方における自主財源充実、こういう観点から賛意を表するのであります。  次に政府提案のこの法案の特徴と思われますのは、受益者負担制度を拡張し、そうして施設を充実するという点であるかと思います。今日われわれ国民の租税負担というものが、一応限界に来ておるのではないかと思われるのでありまするが、こういう際において、さらに施設を充実するために要する財源を確保するためには、どうしてもこういう方法をとらなければならないんじゃないか、そして充実した施設によって受益する者に負担をさすということは、やむを得ないのではないかと思われるのであります。こういう趣旨に基いて目的税を拡充される。その一つは、道府県税としての軽油引取税を設けられる、第二番目には、市町村税としての都市計画税の創設、こういう点にもわれわれは賛意を表するのであります。  さらに次の特徴と思われますのは、財源調整の機能を強化して、自主財源の増強をはかると同時に、なお自主財源の不十分な地方団体に対して、入場譲与税による財源調整を強化した、こういう点にもわれわれは賛意を表するものであります。  しかしながら私どもは、決してこの政府の案に百パーセント賛成しておるものではないのでありまして、(拍手)不満の点がたくさんあるのであります。ただ今日の段階におきましては、すでに予算案も組まれたあとであります。また地方財政計画も今から変更するということはむずかしいと思われますし、地方財政再建もおくれておるので、なるべく早くやってほしいという要望も強いのであります。また選挙法なんかも審議がおくれては困るという政府の要望もありまして、まことに私どもは不満足ながら、今度の案に賛成をするという気がするのであります。しかしながら明年度におきましては、中央、地方を通じて税制の根本的な再検討をするということを政府はたびたび言明をされ、また確約をされておるのであります。私どもはこの政府の言明を信用いたしまして、私どもがあとで出す予定にしております附帯決議に盛られた点を、次の国会においては必ず実行するという前提のもとに、私ども政府案に賛成をいたす次第であります。(拍手)  次に社会党提出の修正案でありますが、ただいま北山さんの御説明をるる拝聴いたしました。この中には幾多の傾聴すべき点があります。御苦心のほどには満腔の敬意を表するものであります。(拍手)ただこれをずっと一覧してみますると、たばこ消費税の増徴以外は、大体において減収となるものばかりのようでありまして、八方美人的な感じがあるのであります。これは私どもが目ざしておりますところの地方における自主財源を充実するという目標からは離れること遠いものでありまして、どうしても全面的には賛意を表しかねるのであります。しかしながらこの中にはごもっともと思われるものがありまして、われわれの主張と同じものもあるのであります。特にこの修正案の事業税におけるところの、たとえば自家労務を持って営んでおるところの零細な大工、左官、板金、こういう事業あるいはまた大衆的な公衆浴場を第三種の事業に改める、そうして負担の軽減をはかってやろう、こういう点にはわれわれも双手をあげて賛成をいたすものであります。  さらに私鉄の軌道に対する外形標準課税を所得課税に改める点、これは私ども満腔の賛意を表するのであります。大臣はよく自分の主義として、収入主義とそれから公平主義は貫いていきたいということを申されておりまするが、これはまことにけっこうなことであります。しかしながらもしこういう主義をほんとうに実行されるならば、たとえばこの私鉄のように、収入が少くて赤字経営の犠牲で四苦八苦しておるものを正常に経営させるためには、どうしても所得課税に直すのが、ほんとうの収入主義の行き方ではないかと思われます。また大臣の言われる公平主義という見地から立つならば、同じような事業を行なっておるバス事業との均衡上から考えてみましても、どうしてもこれは外形のみによって課税をするということは不適当だと考えます。この外形標準課税は、われわれも所得課税に改めたいという考えを持っておりまするので、次の機会においては必ずこの所得課税に改められるように希望いたす次第であります。  さらに社会党の修正案の中でも、大規模償却資産に対する市町村課税限度額について緩和する、こういうような点につきましては、われわれの主張と全く同じでありますが先ほど申しましたように、すでに本年度の予算案も成立しておりますので、このたびは次の付帯決議でがまんをすることにいたしまして、来国会におきまして以上の諸点については、大いに政府を激励いたしまして、この目的を完遂したいと思っておりますので、社会党の諸君も了とせられるようにお願いをいたします。しかしその他の諸点についての修正はわれわれと全く見解を異にしていますので、反対せざるを得ないのであります。  以上をもちまして私の地方税法の一部を改正する法律案に賛成をし、社会党提案の地方税法の一部を改正する法律案の修正案に反対をいたす次第であります。(拍手)
  247. 大矢省三

  248. 中井徳次郎

    中井委員 私は日本社会党を代表しまして、政府提出の地方税法の一部を改正する法律案並びに国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案反対をいたしまして、わが党提出の地方税法の一部を改正する法律案の修正案に賛成の討論をいたさんとするものでございます。  ただいま自由民主党を代表されまして、永田亮一君から非常に明快な討論を承わりました。その内容を伺っておりますと、社会党の修正案については大いに賛成するところが多い。ただしかし率直に言えば、予算も通ったのだし、われわれも与党であるからして、まあ一つ政府の案に賛成であるというふうに承わったのでございます。このことは実は笑いの中で私どもは伺っておりましたが、本質的にきわめて重要な点を含んでおると思うのであります。すなわち私ども社会党が昨年統一をいたしました。皆さんの方も合同をして、二大政党になって、そうして国民生活を両方で見詰めていくということになって参りました。こうなって参りますと、現実の国民生活に直結いたしておりまするこの税制関係については、私は現実に議会政党といたしまして、必ず共通の場が見出されねばならぬと思うのであります。そういう面においてこの税制が最も具体的でありますから、必ずそれがあらねばならぬし、現に今の御説明でそれが出てきたと考えておるのであります。そういう面からいって、私は今回のこの政府の態度には基本的に非常に不満の念を持っております。たとえば自治庁の事務官僚だけが反対で、この点に固執いたしておるというふうな一例がありました。そういう面についてであります。私どもはこの地方税法の改正案を見まするときに、ただただとにかく増徴になればいいというので、特に本年度は百二十億またふやして参りましたが、その前に今の建前からいきますると、現在の体系において相当修正すべきものがある、こういうものについて無理に目をおおいまして、そうしてさらに百二十億取る。取る方は楽かもしれませんが、取られる国民にとりましては、私は迷惑千万であろうかと思います。特にことしの地方財政計画によりますると、自然増収などが非常に少く見積られております。これはたびたび論議になりましたけれども、これは百億ばかりではない。これをかりに正確にまじめに判断をいたしますと、私は今度の百二十億の増税なんか必要としないと考えております。去年からことしにかけて相当の税制の改革がありまして、ことしはほうっておいても次年度からは平年度並みというようなことでもって、相当な増収があるのであります。そういうものをもっとまじめに、政府として国民のために取り上げていただきたい。この点がなおざりにされましたことは私ははなはだ遺憾であると思います。従いまして、私は税目別にちょっと簡単に大きなところだけ申し上げてみたいと思うのだが、たとえば住民税におきまして例の地域別の差、それからさらに職業別の差、勤労者とそうでない人との間の差、地域別というと、オプション・ワン、ツー、スリーの関係ですが、これなどここ数年来非常にやかましく言われていながらちっとも改正されていない。小細工はありますが、大きな問題について根がついていない。また事業税につきましては概計標準でいくかどうかという問題、ところが先ほども御討論がありましたこういう問題も依然としてほうっておかれる。さらに電気ガス税に至りましては永田さんの方からずいぶん議論がありました非課税範囲政府は御存じあるのかないのか、法律にはっきり書いてありますが、石炭、鉄鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、今非常に景気のいい、硫安・苛性ソーダ、また三日景気の一つセメント、こういうものは全部免税である。従って電気を使います大きな工場はほとんど電気ガス税はかかっておりません。これは四、五年前に経済の復興のために、あるいはまたこういうものを経営いたしております大会社の業績が非常に悪いというときでありますならば、それはいいでありましょうが、どうですか、ここ二、三年、今私ちょっと読み上げたような産業につきましては、非常な好景気だといわれておるのである。しかるにこういうものについて何も手をつけられておらぬというのははなはだどうも私どもは不満でございます。これは政府の怠慢と言っても過言でないと考えておるのである。そうしてさらにまた自転車税、荷車税だとか木材引取税だとかいうものは、全国民からきらわれております税金でありますし、しかも税額が自転車税は四十億、木材引取税については十七、八億、これは毎年議論をいたしましても、この従来のまじめな地方行政委員会の議論については政府はちょっとも耳をかさない、はなはだ私は不満であるのであります。こういう意味からいいまして、私どもは今回出されました百二十億の増税について——都市計画なんかも三年前から固定資産税を下げる下げるといって政府は減税の大宣伝をやりまして、下げましたのは百分の一・六から一・四、それをまた都市には復活するのであります。そうしてその間に評価を二割も三割も上げておりますから、固定資産税は実質上非常にふえておる。軽油引取税に至りましては国策にも反しますし、先ほど太田長官はバス料金の値上げをしないようにがんばりますとは言いましたが、現実は数字で四%強とはっきり出ておりますから、これはもう値上げは必至であろうと思う。まあ半年や一年がんばっても、二年後には必ず値上げする、鉄道と同じであります。鉄道に至りましては、二千五百億円の運賃収入に対して、七十二億円という納付金でありますから、これも三%である。これで思い起すのでありますが、二、三年前、電気料金の値上げに際しまして、電気会社の固定資産税が大いに問題になりました。それを一般と同じように取ると、電気料金を値上げする材料になるから、特にこれだけ下げるのだというふうなことをいいまして、そうして非課税範囲を無理に電気産業に広げた記憶があります。そのときの調査によりますと、影響はそのときは千分の二であります。これは千分の三十、千分の四十というふうな大きなものでありますから、とうていそういうものと比較にならぬのでありますが、こういうものをお取りになる。これは地方制度調査会の答申に基くというようなお話であるが、地方制度調査会の答申はほかにもたくさんございます。取捨選択は政府の自由でありますが、国民の側に立ってお考えでなく、都合のよいのだけ、取りやすいものだけ簡単に取るというやり方については、私ども日本現状から行きましても、これ以上の増税はいけないという考え方から行きましても、今回の地方税法の改正案につきましてはとうてい賛成するわけには参らない。それに対して社会党の案は、他の方面に非常に影響がある、予算が成立してしまったから、とこう言ますけれども、たとえば交付税を二%上げるということになりますと、これで百三十億です。自治庁長官はこの間から、国の各機関と地方の各機関というものは、たとえば職員の待遇その他事業内容においては変りはないのであるから、車の両輪のごとくやっていかなければならぬ、一方が赤字で弱っておって、一方は豊かであるということはいけないというようなことをしばしば言われました。私どももその説には全面的に賛成であります。賛成であります限りは私はやってもらいたいと思います。国は財源が非常に不足しておる、あるいは非常に重要な仕事をかかえておると言いますけれども、二十九年度の決算において、会計検査院がちょっと簡単にある一部分調べただけで、七十三億円という国費の不正使用がちゃんと出ているということ、また一昨年はたしか自由党と民主党において年度の途中において、経費の節約をしようというので、二百億ばかり予算を削った記憶が私はある。そういうものをかれこれ考えますと、この二%というもの、百三十億という程度の金額は、私は今の地方財政と国家財政のどちらが苦しいかという面から見て、私どもはやはりまだ国の財政に余裕があると見なければならぬ。防衛費につきましては、防衛庁の増員だけで百四十億という関係であります。こういう面を考えまして、私どもは社会党が出しましたこの案ができないなんという考え方は、とうてい信じられない。予算が出たんなら、これはまたこの次——何でも政府は補正予算をお組みになる、大蔵省の主計局長ですか、次官ですか、はっきりとこの委員会で言うております。補正予算をお組みになるときに、どんどんいいことはおやりになったらどうか、私はかように思うのでございます。いろいろとまだこの案に対する欠陥も申し述べたいと思いますが、本会議もございます。委員会といたしましては、きょうは一応こういう概略的なことを申し上げまして、政府の案には、われわれ社会党といたしましては、残念ながら絶対賛成するわけには行きません。私どものこのまじめな案に、地方行政委員の各位がほんとうに勇気を出して——実は賛成であるが、まあ来年にしてもらいたいなどという、そういう勇気のないことじゃなくて、一月も大いにやったんでありますから、ぜひとも一つここのところで御賛成をお願いいたしたい、かように思います。  以上をもちまして、私の討論といたします。
  249. 永田亮一

    ○永田委員 先ほど言い残しましたが、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、賛成をいたす次第であります。
  250. 大矢省三

    大矢委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に移ります。  まず、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  251. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決しました。
  252. 川崎末五郎

    ○川崎(末)委員 私はこの際、自由民主党を代表いたしまして、ただいま可決すべしと決定いたしました本案につきまして、次の附帯決議を付することを動議として提出いたしたいと思います。  まず案文を朗読いたします。   国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に対する決議案  政府は左記事項の趣旨に従い次の国において改正法案を提出せられたい。  一、アメリカ合衆国の軍隊及び国際連合の軍隊が使用する固定資産並に旧軍港施設所在の市町村に対し、政府は国から当該固定資産に対する交付金相当額を交付する等の措置を講ずること。  二、地方公共団体が水道事業のための水源地等の施設を他の市町村の区域内に所有する場合においても、政府はこの法律を適用する等必要な措置を講ずること。  右決議する。  簡単に本案に対してただいま朗読いたしました附帯決議を付すべしということについての提案の趣旨を御説明申し上げたいと存じます。今般新たに創設されようとしております国有私産等の交付金制度地方財源充実の見地から適切なる施策たるを失わないのでありますが、交付金対象となる国有資産のうち、相当大きな部分を占めておりまする、アメリカ合衆国の軍隊及び国際連合の軍隊が使用する固定資産並びに、旧軍港施設が除外されておりますることは、これらの施設が直接間接その所在市町村利益関連するものでなく、全く純粋に国家的必要に基くものであり、しかもその存在が当該団体の行政上または財政上莫大な犠牲をしいておる結果となっておる実情から見まして、はなはだ納得しがたいものがあるのであります。従いまして政府はその責任において、これらの固定資産につき、所在市町村交付金相当額の補償を行う等の方法考慮すべきものと思うのであります。これが決議の第一項に対する趣旨であります。  次に第二項についてでありますが、大都市等が他の地方公共団体内に上水道用水の給源として水源地を設ける等の事例が少くないのでありまするが、これらの施設が所在地方団体の発展上ある種の障害となり、これなくば得られるであろう税収入上の損失も多大であることが想像されるのでございまして、このような場合につきましては、前項と同様の趣旨によりまして、本法の適用またはこれにかわるべき措置政府において研究し、すみやかに実現をすべきものであるというのであります。  右のような趣旨でありまするので、何とぞ御検討の上御賛成下さるようお願いいたしたいと存じます。  なおこの際政府にお伺いなり希望を申し上げておきたいのは、後段の水源地の施設等に関しましては、来年度から今申した附帯決議によって実行していただきたいのでございまするが、これが地方自治の本旨に反しない程度におきまして、もし今年度においてこの趣旨によりまして関係市町村の間に政府があっせんの労をとられることは私は好ましいことと存ずるのでございますが、この点もとくとお考え願いたいと存じます。  以上で終ります。
  253. 大矢省三

    大矢委員長 ただいま川崎君より本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。これについて御意見なり御質疑があれば、これを許します。
  254. 北山愛郎

    北山委員 この案の内容につきましては私ども賛成でございますが、ただ提案者のお言葉の中に、今度の政府提案になっております、ただいま採決をせられました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、これに賛成するがごとき理由の開陳がございましたので、その部分については、内容に賛成するという前提でないということをお認め願いたいと思います。この点だけをお断わりを申し上げておきます。
  255. 大矢省三

    大矢委員長 他になければ、川崎君の提出の動議について採決をいたします。本動議について賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  256. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって川崎君の提出の動議のごとく本附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  257. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方税法の一部を改正する法律案について採決をいたします。まず北山愛郎君外九名の提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を凍めます。     〔賛成者起立〕
  258. 大矢省三

    大矢委員長 起立少数。よって本修正案は否決せられました。  次に原案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  259. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決しました。
  260. 川崎末五郎

    ○川崎(末)委員 ただいま政府原案を可決すべしということの御決定がありましたが、これにつきまして私は自由民主党を代表いたしまして、次の附帯決議を付したいと存じて、これを動議として提出いたします。  まずその案文を朗読いたします。    地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、左記事項の趣旨に従い、次の国会において改正法案を提出せられたい。     記  一、主として自家労働を以て営む大工、左官、板金、植木業及び公衆浴場業に対する事業税については、その負担の軽減を図ること。  二、地方鉄道事業及び軌道事業に対する事業税の課税標準の改正、信用金庫のうち基礎の確立しないものに対する事業税の負担の緩和を図ること。  三、一般人のスケート場の利用に対する娯楽施設利用税を廃止すること。  四、昭和三十年度以降新たに建設に着手する水力発電所の償却資産に対する固定資産税の課税限度額につき激変緩和の経過的な措置を講ずること。  五、大規模償却資産に対する所在市町村の固定資産税の課税限度額につき、激変緩和の経過的な措置を講ずること。  六、軽油引取税については、軽油の消費状況の推移をみて、負担の緩和を図ること。  七、遊興飲食税につき再検討を加え、とくに公給領収証の使用義務制については、実施の状況に鑑み、改廃の措置を講ずること。  右決議する。  この付帯決議を付すべしとの動議を提出いたしました提案の趣旨を簡単に御説明いたしたいと存じます。  今次、政府提案にかかる地方税法の改正案は、申すまでもなく、窮迫せる地方財政の再建とその健全化に資するため、自主財源の増強をはかろうとする趣旨に基くものでありまして、われわれは、政府が、現在の困難な情勢のもとにおきまして、ここまで踏み切られた決意と苦心とに対しましては、敬意を表するにやぶさかでないのであります。しかしながら改正内容をしさいに検討してみますると、税収の確保をはかるに急なるのあまり、当然とられるべきであった負担の軽減と均衡化や、道府県市町村間の税源の調整等の措置が講ぜられておらないのであります。また新税の創設につきましても、その税率等になお検討を要するものがあると思うのであります。われわれといたしましては若干の不満の点がございますので、これらの点につきまして、本法案に修正を加えるべきであるとする意見もきわめて強かったことは御承知の通りであります。しかしながら本年度予算はすでに成立を見ております。地方財政の変改もきわめて困難な実情にありまするので、かれこれ勘案いたしまして、この際修正を行うことによって歳入に欠陥を生じ、せっかくこれから発足しようとする地方財政の再建に支障を来たすがごとき事態の発生を憂慮いたしまして、この際は修正を断念することといたし、次の機会においてすみやかにその実現を期するよう、政府に対して強く要望することにいたしたいと考えたのであります。これが本附帯決議案を提出する趣旨であります。  次に改正を要望する事項はここに列挙する通りでありまして、特に詳細に御説明いたすまでもないことと存じますが、一応その趣旨を明らかにしておきたいと存じます。  第一に、大工、左官、板金工、植木職等のうち、いわゆる一人親方の行う請負業につきましては、その実態が企業性を欠く零細なものであることにかんがみまして、これが事業税の軽減措置を講ずることがきわめて必要であり、かつ至当であると考えます。また公衆浴場業につきまして、その業務は公衆の家庭生活の延長でもあり、設備等に対する規制、料金の制限等もあり、また業態も主として自家労力によるものであるなどの点を考慮いたしまして、クリーニング業と同じく第三種事業並みを取扱いとすべきであると思うのであります。  第二に、地方鉄道事業及び軌道事業に対する事業税の課税方式は、これら事業経営の困難な実情に照らし、かつまたパス事業等との均衡上からいたしまして、現状においてはこれを収入課税から所得課税に改むべきであると考えるのであります。  また信用金庫に対する事業税につきましても、積立金額が出資総額の四分の一以上のものが課税される現行規定は、基礎の確立しない金庫にも課税される実情となっており、せっかくの中小企業金融の円滑化の趣旨に沿わないものがありますので、その制限を緩和する必要があると考えたのであります。  第三に、スケート場の利用に対する娯楽施設利用税につきましては、スケート自体がスポーツであり、娯楽としてもきわめて健全なレクリェーションである点、並びに入場税におきまする他のスポーツの取扱いとの均衡上、学生、生徒等に限らず、一般人に対してもこれを非課税とすべきであると思います。  第四に、昭和二十九年度以前に建設に着手した水力発電所の償却資産に対する固定資産税に対しましては、昨年の地方税法改正に際しましても、市町村課税限度額の激変を緩和する経過措置を講じ、将来固定資産税の増収を期待して、発電所建設による種々の損害を忍んでこれに協力し、またはこの財源を当てにして事業の実施を予定いたしておりました市町村に対し、その期待に激変を与えないようにいたしたのでありますが、市町村財政の実情に照らし、その経過期間が三年度とありますのを、少くとも五年度程度に延伸することを適当と認めるのであります。また昭和三十年度以降に着手したものについても、工事によって受ける市町村の損害を補償し、その協力を求めて電源開発の遂行を円滑にする見地からも、この措置の適用を考慮すべきであると思うのであります。  第五に、大規模償却資産に対する所在市町村の固定資産税の課税限度額については、市町村財政の推移から見まして、本年度においてはなはだしい減収を来たすことが明らかとなっていますので、財政保障の引き上げ等経過措置を早急に講ずべきであると思うのであります。  第六に、軽油引取税につきましては、租税負担の激増による諸般の悪影響もおそれられるでありますが、新税であって、その税収見込額の基礎となった本年度の軽油消費量についても、今後の消費状況の推移を見ました上、必要財源をこえる部分については税率の軽減をはかる方向に改正を行おうというのであります。  第七に、遊興飲食税についてでありますが、本税は税体系から見ましてその実施の現実から見ましても、きわめて問題の多い税目であります。その廃止または根本的改革が本委員会でも長い間の懸案となって参ったことは御承知の通りであります。政府はすみやかにその再検討を加えるべきであります。その際特に本税の徴税合理化の一方策として、昨年十一月から実施されましたいわゆる公給領収証制度につきましても、十分の再検討を要するものがあると信ずるのであります。本制度は税収確保の上から、ある程度効果をあげてきていることは事実のようでありますが、反面特別徴収義務者に相当過酷な義務をしいる結果を来たし、またこれに伴う好ましからぬ弊害も予想せられ、必ずしも適切な制度と断じがたいものがありますので、いましばらく実施の状況を注視し、本税の根本的改正とあわせてその改廃を決定すべきものがあろうと考える次第であります。  以上が本決議案の内容とその趣旨であります。何とぞ皆様の御賛同をお願いいたしたいと存じます。(拍手)  なお最後に政府にお伺いいたします。さきの国有資産等の交付税納付金に関する附帯決議、またただいま私が提案いたしましたこの附帯決議につきまして、どのような御所見を持っておられますか、この際お伺いできればしごくけっこうと存じます。
  261. 大矢省三

    大矢委員長 ただいま川崎君より本案に対して附帯決議を付すべしとの動議炉提出されました。これについて御意見なり御質疑があればこれを許します。——なければ、川崎君提出の動議について採決をいたします。本動議に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  262. 大矢省三

    大矢委員長 起立多数。よって川崎君提出の動議のごとく、本案は附帯決議を付すべしと決しました。  この際政府から発言をお求めになっておりますからこれを許します。太田国務大臣
  263. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいま川崎委員から御提出になりました附帯決議二案につきまして、とくと御趣意を尊重し、善処いたします。(拍手)
  264. 大矢省三

    大矢委員長 この際お諮りをいたします。ただいま議決いたしました両案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければさよう計らいます。  本日はこれにて散会をいたします。     午後七時三分散会