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北山委員 それでは私からただいま議題となっております
地方税法の一部改正案に対しまして、社会党の修正案の趣旨並びに
内容の概要につきまして簡単に御
説明申し上げます。
この修正案の要綱につきましては、お手元にも印刷物が差し上げてございますが、すでに当委員会に置かれました
地方税改正の小委員会に提出をいたしまして、いろいろ御検討も願ったのでございます。私
どもとしては、与党の中にもこの事項につきましてたくさんの御意見もあり、与党内部においても同じような修正案につきましていろいろ御検討をなさっておる、そこで実はでき得れば与党と共同して修正ができることを期待して参ったのであります。しかし残念ながら、例の公給領収証の問題等がこんがらかりまして、単独修正になりましたことは、まことに遺憾であります。従いまして、こまかく御
説明を申し上げるまでもなく委員各位は、この要綱をごらんになって大体おわかりになると思いますが、まずわれわれのこの改正案に対する
基本的な態度といたしましては、第一に、この改正案にあります増税、新税を創設するということには
反対でございます。従ってそれらの
部分、すなわち
軽油引取税にしましても、都市計画税あるいは公共団体等の固定資産の
交付金、
納付金制度の創設等につきましては
反対をするのでございまして、その点は削除したい、かように
考えておるのであります。この理由についてはまた別に討論者も申し上げると思いますが、すでに本年度におきましては、昨年のたばこ
消費税の税率の改正あるいはその他法人税等の増収に伴いまして二百九十億円の
地方税の自然増が見込まれるわけであります。従ってその上に百十何億という新税を立てることは、やはり
地方税を約一割も昨年に比べてふやすということになりますので、このような大幅な増税をやるということは適当でない、かような
基本的な
考え方に立っておるわけであります。しかも本年の
地方財政計画によりますと、百二十億円くらいの
地方債の元利償還が昨年よりふえて参るのでありますが、この百十何億の新税を作ってもその全部を借金の元利償還に使ってしまうというのでは、これは何の役にも立たないような感じがいたします。従いまして、
地方財政の需要の増加もありますが、別途の
方法によってこれを
考えるべきであります。約三百億に近い自然増以外に、このような新しい税を立てるべきではない、こういうのが理由であります。
その他の点は、住民税の不合理をこの機会に是正いたしたい。もちろん根本的な是正はできませんが、当面可能な限りにおいてこれを是正したいということであります。
その一点は、勤労者に対する住民税が過重である、これを何とかしたいというわけでございまして、すでに所得税については三十一年度から勤労控除が二〇%に上りました。この恩典を住民税につきましても本年から全面的に適用をさせるようにいたしたい。これがこの修正の一点であります。
もう
一つは、
市町村の間の住民税の不均衡をできるだけ是正したい。第一方式をとった場合と、第二方式あるいは第三方式をとった場合におきましては、委員会の
質疑でもおわかりの
通り、二倍あるいはそれ以上の食い違いがあるわけであります。東京等の大都市におる者と、
地方の農村等におる人の間には、同じ所得で住民税が倍以上も違うということは、何としても非常な不均衡でありますので、それを一定限度に押えようというのがこの修正の一点でありまして、道
府県民税と
市町村民税とを合せまして第一方式をとった場合に比べまして、所得税額に対して五%程度までの増徴を認める、それ以上は
課税してはならぬ、こういうふうな制限を設けるというのが修正の
一つの点であります。
その他
事業税におきましては、すでに当委員会にもいろいろ陳情がございます。そこで、大工、左官、士工、屋根ふき工、板金、トビ職、植木屋等の、いわゆる半分は自家労務を主としているというような営業者で、五十万以下の少い収入の者に対しましては、これは第三種の取扱いをする。それから
一般の大衆が日常に使用する大衆浴場、公衆浴場につきましては、
料金等の制約あるいはその他の制約がございますので、これを第三種にする。こういうような修正をいたしたいのであります。
それから
地方鉄道軌道業等につきましては、今の外形標準によっております
課税方式を改めて、これを収益の
課税にするということでありますが、これはいろいろの
議論のあるところでございまして、やはり今の交通
事業、バス
事業あるいは軌道
事業等いろいろありますけれ
ども、こういう鉄道軌道につきましては、相当大きな固定資産というものを、資本を固定しているのであります。一方におきまして、バス
事業等の
種類の、資本固定のないような有利な
事業が競争的に出て参ります状態のもとにおいては、やはりその業績が
一般的にいえば不利だ。
事業、全国の鉄道軌道
事業の何十という会社は、赤字を出しているというような状態でございまして、しかも
料金というものは勝手にこれを引き上げるというわけにも参りません。従いまして、バス
事業について、先年これを収益
課税に変えたというような権衡もございますから、これの外形標準
課税を収益
課税に改める、こういう修正を入れたわけであります。
それから
事業税につきましては、林業につきましていろいろ検討しましたが、
一般の林業については
対象が捕捉しにくいので、とりあえず法人のやっております林業につきましては、やはり
事業税を課するということにいたしたい、こういう修正を入れておるわけであります。
それから固定資産税につきましては、
日本放送協会に対する
課税をやるということを削りました。これは現在固定資産税の
非課税になっておるいろいろな団体等を見ますと、いろいろな
種類の団体がございますが、
放送協会等は、やはり文化
事業を促進するという面におきまして、他の教育施設等に対するものと同様に
考えていくべきじゃないか。もしも余裕があったならば、それは公共的な目的にこれを使っていくべきじゃないか、こういうような
意味合いからいたしまして、固定資産税の
課税は適当でないとして削ったわけであります。
それからこれは昨年からの懸案でございますが、
市町村の大規模償却資産の
課税の限度の制限、これを若干緩和して、三百四十九条の四の別表というものの金額を若干引き上げる、こういうような修正を入れたわけであります。
それから
電気税につきましても、委員会の
質疑にもいろいろ問題点を出しましたが、これは別途検討することにいたしまして、とりあえず公共道路の照明用の
電気、これは
市町村、あるいは部落会、あるいは町内会等の公共的な団体がやる場合に技術的に
考えると思いますが、そういうものに対しては
電気税はかけるべきでない、こういうような修正を入れました。それから自転車荷車税、これは社会党としましても、よほど前から何とかしてこれを廃止したいと
考えておりましたが、今回修正案の中に入れて、総額においては三十六億円でありますが、影響するところは、自転車におきまして千百万台、それから荷車等は百三十六万台、リヤカー荷積み小車は二百六十万台というような、今まで税額としては少ないもでありますが、非常に広汎な大衆にかかっておりますこのような税をこの際やめたい、こういう修正を入れておるわけであります。
以上概要修正点を申し上げましたが、もちろんこれは現在当面しておる条件というものを
考慮しまして、実際的にやり得るものを抜本してあげたのでございまして、この抜本的な
税制の改正につきましては、われわれも
政府が言明されると同じように、あるいはそれ以上にいろいろな熱意と気魂とを持っておるわけであります。今回はその一部を現在の限られた条件のもとで実現したい、こういう希望でございます。
なおこのような減税、あるいは一部は増税がございますが、それを差し引きますと、既定の
財政計画に対しましてなお百七十一億の減額になりますが、それはたばこ
消費税というものを百分の二%加えての差し引いた数字でございますが、この百七十一億につきましては、一部には
地方交付税率を百分の二十七に引き上げる。二%でありますから百二十九億円それからあとの約五十億につきましては、
地方債の元金償還のうちで、
政府資金の分を五カ年間たな上げをしたい、こういう法案も別に用意をしておるわけでございます。こういうことによって、これは全額でありますというと、
昭和三十一年度は
政府関係資金の元金償還分は百九十三億でございますから、十分この百七十一億の減額を補って余りある、こういうふうな数字的な根拠になっておるわけであります。
先ほども申し上げました
通り、この中の相当多数の事項につきましては、与党の皆さんも御賛成の方があるかと存じます。すでに党としての最終的な決定がきまっておられるように聞いておりますが、でき得るならば、これに実質上の最終的な御賛成をお願いいたしまして、私の
説明を終る次第であります。(拍手)